高級日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」のグローバル化を目指すClearが12.96億円を調達

高級日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」のグローバル化を目指すClearが12.96億円を調達

ラグジュアリーな日本酒ブランドとして世界展開を目指す「SAKE HUNDRED」(サケハンドレッド)と、日本酒専門ウェブメディア「SAKETIMES」(サケタイムズ)を運営するClear(クリアー)は5月26日、第三者割当増資による総額12億9500万円の資金調達実施を発表した。引受先には、ジャフコ グループをリード投資家に、既存投資家である三井住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、アカツキ「Heart Driven Fund」、OPENSAUCE、その他複数の投資家が名を連ねている。

Clearは「日本酒の未来をつくる」をビジョンに、2013年に創設されたスタートアップ企業。SAKETIMESは2014年から運用を始め、現在の月間購読者は55万人。SAKE HUNDREDは2021年5月26日現在の会員登録者数が5万3109人となっている。「SAKE HUNDREDでは、ラグジュアリーシーンで愛される日本酒ブランドを確立して新たな市場をつくることを、SAKETIMESでは世界における日本酒情報のインフラとなること」を目指している。

今回調達した資金は、SAKE HUNDREDとSAKETIMESの事業を拡大し、新たなステージに引き上げることにあてられる。具体的な今後の展開は、SAKE HUNDREDの海外進出強化、SAKE HUNDREDのブランド投資、サステナビリティーの推進、グローバル展開のための人材採用、SAKETIMESの発展が揚げられている。

海外展開では、これまで香港、シンガポールを中心に行ってきたが、今後は、アメリカ、イギリス、中国、UAEに輸出エリアを拡大し、卸売販売に加えて個人販売も促進してゆく。

SAKE HNDREDのブランド投資では、直営ブティックの開業プロジェクトを推進し、「最高峰のグローバル日本酒ブランド」の味に加え、「お客様の心の充足に貢献するためのブランド体験」を提供してゆく。

SAKE HUNDREDでは、環境に配慮した酒づくりの資材の研究開発、大学や研究機関との協力で日本酒製造時の環境負荷の可視化と低減に取り組み、日本酒産業全体のサステナビリティーな発展に貢献してゆくという。そうした活動は、SAKETIMESで発信してゆくとのことだ。

Clear代表取締役、生駒龍史氏はこう話している。
「自社の売上・利益を上げることを前提に、サプライチェーン全体が潤う起点となること、Clearの事業を通じて、産業全体の未来が拓かれていくことこそが、私たちの目指す未来です」

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カテゴリー:フードテック
タグ:CLEAR酒 / アルコール飲料(用語)SAKE100資金調達(用語)日本酒日本(国・地域)

CAN EATと南海電鉄が食物アレルギーのある人も安心して食事を楽しめる店舗情報マップ作成企画を開始

CAN EATと南海電鉄が食物アレルギーのある人も安心して食事を楽しめる店舗情報マップ作成企画を開始

大阪を中心に鉄道・開発および付帯事業を行う南海電鉄CAN EATは4月28日、「みんなでCAN EAT with NANKAI ~発掘!アレルギーフレンドリーなお店~」キャンペーンを開始すると発表した。

これは、食物アレルギーのある人や、そのような子どもを持つ親がアレルギーフレンドリーな飲食店または昼食提供店(テイクアウトなど)を共有することで、安心して食事を楽しめる仕組みを提供するための取り組みだ。

キャンペーンは、食事制限のある人の声を集めた店舗紹介サービス「CAN EAT外食マップ」を提供するCAN EATと、南海電鉄とのタイアップして実施される。

具体的には、募集フォームを通じて応募のあったキュレーターに、南海電鉄沿線のアレルギーフレンドリーな飲食店または昼食提供店を利用のうえ、感想などを投稿してもらう。その情報は2021年7月公開予定の「CAN EAT外食マップ」南海沿線版に掲載。誰もが閲覧できるようにする。

CAN EATと南海電鉄が食物アレルギーのある人も安心して食事を楽しめる店舗情報マップ作成企画を開始

投稿内容は、店名と地図情報のほか、提供された食事など店舗利用時の写真、また当該店舗の推薦理由。

投稿対象の店舗は、南海沿線の次の市町村で営業している飲食店または昼食提供店。

大阪府の投稿対象店舗

  • :泉大津、泉佐野、大阪(中央区、浪速区、西成区、住之江区、住吉区)、大阪狭山、貝塚、河内長野、岸和田、堺、高石、富田林
  • :熊取、田尻、忠岡、岬

和歌山県の投稿対象店舗

  • :橋本、和歌山
  • :九度山、高野

キュレーターは、2021年4月28日14時に募集を開始。本人または家族にアレルギーがあり、日常的に食事に注意を払っている人で南海沿線上の店舗情報を投稿可能な人が対象。募集フォームを通じて応募した後、数日後にメールで案内されるオンライン面談を行い、キュレーター認定されると投稿が可能になる。キュレーター募集フォームの運営、オンライン面談、キュレーター認定は、すべてCAN EATが行う。

認定キュレーターは、2枚以上の写真を添付した200字以上の推薦理由を投稿することで、飲食店利用時の費用を「みんなで投稿キャンペーン」により投稿1件につき最大1000円まで補助してもらうこともできる。店舗利用時のレシートをメールに添付すること、補助金受け取りのため銀行口座を登録することが適用条件。2021年9月30日まで、または本キャンペーン対象の投稿が150件を達成した場合のいずれか早い時点で「みんなで投稿キャンペーン」は終了となる。

「みんなでCAN EAT with NANKAI ~発掘!アレルギーフレンドリーなお店~」キャンペーンは、南海沿線に住みたい、そこに出かけたいという人を増やす意図があり、南海電鉄が掲げている「選ばれる沿線づくり」という事業戦略にマッチしたものとなっている。

南海電鉄では、「企業が食物アレルギーをテーマにCAN EAT外食マップとタイアップするのは全国初の取り組み」としている。

2019年4月設立のCAN EATは、「すべての人の食事をおいしく・楽しく・健康的にする」をミッションに、先に挙げたCAN EAT外食マップはじめ、食物アレルギー当事者やアレルギー対応に取り組む外食事業者を支援するサービスの開発・運営を行っている。

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カテゴリー:フードテック
タグ:CAN EAT(企業)食物アレルギー(用語)南海電鉄(企業)日本(国・地域)

ラボ育ちの和牛、ヘラジカ、バイソンに投資家が殺到、billion Bioが5.4億円調達

Orbillion Bioは実験室で高級肉を製造する計画を立てており、投資家たちは同社のキャップテーブルに座るために列をなしている。

シリコンバレーに拠点を置くOrbillion Bioは高級ラムのロース肉、エルクのステーキ、バイソンのハンバーガーなどを提供する会社として、著名なY Combinatorのアクセラレータプログラムを開始してからわずか数週間で500万ドル(約5億4000万円)の資金調達に成功した。

関連記事:和牛、ヘラジカ、羊の細胞株で培養肉を高級化するY Combinatorスタートアップ「Orbillion Bio」

Orbillion Bioを率いるのはPatricia Bubner(パトリシア・ブブナー)、Gabrial Levesque Tremblay(ガブリアル・レヴェスク・トレンブレイ)、Samet Yidrim(サメット・イドリム)の3人で、彼らはバイオプロセスやバイオ医薬品業界で30年以上の経験がある。

1カ月ほど前にOrbillion Bioは初の試食会を開催し、エルク、ビーフ、ヒツジなどの肉をペトリ皿からテーブルに並べた。

今回の500万ドルのラウンドには、以下の投資家が参加した。Finless FoodsやWild Earthを支援しているAt One Ventures、Metaplanet Holdings、ヨーロッパの投資会社k16 ventures、SpaceX(スペースX)にも出資しているFoundersX Ventures、Mission BarnsやTurtle Tree Labsを支援しているPrithi Ventures、Hanmi PharmaceuticalsのCEOであるJonghoon Lim(ジョンフン・リム)氏、Kris Corzine(クリス・コルジン)氏、初のバイオPBCであるPerlaraのCEOであるEthan Perlstein(イーサン・パールスタイン)氏などのエンジェル投資家、そして有名な大学の基金などだ。

「Orbillion Bioがラム、ヘラジカ、和牛、バイソンなど、高級で風味豊かかつ入手困難な肉に焦点を当てていること、科学やビジネス、エンジニアリングの分野で優れた経歴を持っていること、そして文字どおりマスターブッチャーをアドバイザリーボードに迎えているほど風味にこだわっていることに、私たちはすぐに衝撃を受けました」と、Outset CapitalのGPであるAli Rohde(アリ・ローデ)氏は述べている。「ラボで育てられた肉は未来であり、Orbillion Bioはすでにその道を切り開いています」。

Orbillion Bioはこの資金を、最初の製品である和牛の試験生産に充てるとしている。

カテゴリー:フードテック
タグ:Y Combinator培養肉Orbillion Bio資金調達

画像クレジット:RJ Sangosti/The Denver Post via Getty Images / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「バドワイザーは卵を作る」食料大手が代替タンパク質産業に相次いで参入、投資額も急増

企業は代替タンパク質市場の潜在性に急速に目覚めつつある。米国最大の消費者ブランドが引き続き投資し、消費者がより健康的で環境的にも持続可能な食品へ移行するのをサポートしているスタートアップと提携している。

アースウィーク(地球保護週間)が近づく中、先に発表された新たな提携は、古い事業を一変させる新しいテクノロジーのポテンシャルを示している。

米国時間4月21日にAB InBevの投資・イノベーション部門であるニューヨーク拠点のZX Venturesは、卵の代用品の「醸造」などを含むタンパク質生産テクノロジーのデベロッパーClara Foodsと提携すると明らかにした。バドワイザーのメーカーであるAB InBevは飲用するというよりお湯で茹でるタイプの液体を作るための体制を整えている。

その場合、卵が孵化するかどうかは未来の消費者であるあなた次第だ。

「当初からClaraは世界の非動物性タンパク質へのトランジッションを加速させることをミッションとしてきました。まずは卵から始めています。毎年1兆個超の卵が世界で消費されていて、企業の放し飼いの約束は十分ではありません」とClara Foodsの創業者でCEOのArturo Elizondo(アルトゥーロ・エリゾンド)氏は話した。「地球に優しく、よりおいしい未来の実現に向けて協業するために、世界最大の発酵の会社と提携することに興奮しています。この提携は当社のビジョンの実現に向け大きなステップです」。

2020年の代替タンパク質への投資規模の拡大を示すグラフ。2019年から2020年にかけて代替タンパク質への投資は10億ドル(約1080億円)から30億ドル(約3240億円)に急増し、中でも植物性タンパク質の製品への投資が大半を占めた(画像クレジット:Good Food Institute)

提携はマーケット主導という理由がある。両社が引用した研究によると、高品質タンパク質への需要は2050年までに98%増えると予想されている。

「増大する食料需要に応えるには、新旧のいくつかの産業にまたがるコラボレーションとイノベーションの上に構築された画期的なソリューションを必要とします。昔ながらの自然な発酵プロセスは、グローバルの食料システムにおける未来の需要に応えるのをサポートするために、さらに利用することができます」とBioBrewの創業者でCEOのPatrick O’Riordan(パトリック・オリオーダン)氏は述べた。BioBrewはビール以外のものに大規模の発酵と下流処理の専門性を応用しようとしているZX Venturesの新規事業だ。「スケーラブルで持続可能、そして採算の合う方法でClara Foodsとともに高機能な非動物性タンパク質開発を開拓するのを楽しみにしています」。

一方、似たようなことがセントルイスでも起こっている。そこではシリアル大企業のPostもさまざまな代替肉を作っているスタートアップHungry Planetに投資している。

Kellogg(ケロッグ)のシリアル帝国を立ち上げたのと同じ植物ベースの食料と精神的核となるものとしての健康にフォーカスしているセブンスデー・アドベンチスト(安息日再臨派)によって組織されたPostは長らく、グレープナッツシリアルや他の穀物ベースの朝食の商品でコーンフレーク大企業のライバルだった。

そして今、PostはHungry Planetの2500万ドル(約27億円)の投資をリードした。Hungry Planetはクラブケーキ、ラム肉バーガー、鶏肉、豚肉、牛肉の肉ベースの代替品の提供を目指している。その他の投資家にはシンガポール拠点の環境に配慮したホールディングカンパーニーTrirecがある。

業界の動向を追跡しているGood Food Instituteによると、代替タンパク質はビッグビジネスだ。2020年、タンパク質の代替ソースのテクノロジー開発を手がけている企業や商業化している企業は30億ドル(約3240億円)超を調達した。

「2020年に代替タンパク質産業は前年よりもかなり多くの資金を調達し、レジリエンスだけでなく加速を示しました」とGFI法人エンゲージメントのディレクターであるCaroline Bushnell(キャロライン・ブッシュネル)氏は声明で述べた。「こうした資金流入と今後まだ行われる資金調達は、かなり必要とされているR&Dと、これらの企業がスケール展開してより多くの消費者に美味しくて手頃な値段、そして入手しやすい代替タンパク質の製品を提供できるようにする生産能力の構築を促進するでしょう」。

これは、森林破壊を止め、畜産関連の温室効果ガスの排出を減らすために、これまでよりも植物ベースの代替品を動物性タンパク質にもたらそうとする動きの一環だ。

「人類は我々が抱える問題の規模と緊急性に対応するソリューションを必要としています」とエリゾンド氏は述べた。

カテゴリー:フードテック
タグ:ZX VenturesClara Foodsタンパク質代替肉代替卵Anheuser-Busch InBev持続可能性

画像クレジット:plus49/Construction Photography/Avalon/Getty Images / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

ハワイ料理「ポケボウル」を出前するPoke Houseが5カ国での事業拡大に向け26億円調達

フードテック業界は事実上、ファストフードに進出し始めている。例えば米国のSweetgreen(スイートグリーン)は、ヘルシーな「ボウルフード」を提供する「ファストカジュアル」なレストランチェーンだ。同社はこれまで4億7860万ドル(約517億5000万円)を調達している。似たような会社に「Sweetfin」がある。どちらもバックエンドに多くの技術を採用し、効率化を図っている。

ヨーロッパ発のスタートアップPoke House(ポケハウス)は出前プラットフォーム向けに、もとはハワイ料理である「ポケボウル」の調製を能率的に工業化してこの分野に切り込もうとしている。Poke Houseは、マリネした魚を一口大の角切りにして、ご飯、ピクルス(訳註:欧米のポケボウルには洋風ピクルスがのっていることも多い)、好みの野菜などと合わせたボウルフード(丼もの)を専門としている。

Poke Houseはこのたび、Eulero Capitalが主導したシリーズB資金調達ラウンドで、FG2 Capitalの支援とMilan Investment Partners SGRの再投資を受け、2000万ユーロ(2400万ドル、約26億円)を調達した。同社はUber Eats(ウーバーイーツ)などのメジャーなフードデリバリープラットフォームを介して、技術とデータを使い製品の生産と配送を最適化している。イタリア生まれの同フードテックスタートアップは、2年以内に「1億ユーロ(約130億円)以上の企業」を作り上げたと主張している。

Matteo Pichi(マッテオ・ピキ)氏とVittoria Zanetti(ヴィットリア・ザネッティ)氏によって設立されたPoke Houseは、イタリア、ポルトガル、スペインに30以上の店舗を展開しており、現在400人の従業員を擁する。2021年には4000万ユーロ(約52億円)以上の売上を見込んでいるという。

今回の資金調達により、同社は既存市場での新規出店、フランスへの進出、英国での展開を開始する予定だ。

Poke Houseは、バックエンドに多くの技術を活用することで、サプライチェーンのあらゆる要素を追跡してビジネスを最適化しているという。また、Deliveroo(デリバルー)、Glovo(グロボ)、Uber Eatsなどのようなサードパーティのデリバリープラットフォームのデータを分析し、料理の準備時間を10分以下に、そして配達時間は25分以下にすることを目指している。

共同創業者のピキ氏は次のように述べている。「パンデミックの影響で、食品業界はチャレンジに直面しています。当社は、従来のレストラン体験を革新し、デジタル化するためには、テクノロジーが有効であると考えています。人々のニーズが、ヘルシーなファストフードへとシフトしているのを我々は目の当たりにしています。ポケボウルはこの新しいニーズに合致しており、近くから配達される、手軽で健康的な食事オプションを提供することで、よりバランスのとれたアクティブで持続可能なライフスタイルを促進します」。

ピキ氏はTechCrunchの取材に対し、こう付け加えた。「当社の競合相手は、米国で急成長しているSweetgreenやSweetfinのようなヘルシーコンセプトです。しかし同時に、我々はラッキーだと思っています。なぜなら、当社はフードデリバリーのエキスパートや元従業員によって100%構築された最初のブランドの1つだからです。次の競合相手は、データ分析やデジタルブランド構築に非常に強い、ネイティブバーチャルブランドになるでしょう。当社はフードデリバリープラットフォームをメディアプラットフォームとして利用しており、競合他社よりもそのチャンネルへの投資を多額にしています」。

Eulero Capitalの創業パートナーであるGianfranco Burei(ジャンフランコ・ビュレイ)氏は、次のように述べている。「Poke Houseのビジネスモデルは、食品分野の主要なトレンド(フードテック、ヘルシーフード、デリバリー、カスタマイズ)に乗っており、同社を欧州のトッププレイヤーに位置づけるための特徴と人材をすべて備えています。今後数年間の経済、テクノロジー、社会の発展を特徴づけるマクロトレンドに含まれる企業を探すという当社の投資戦略に沿っており、革新的で将来性のあるプロジェクトであるPoke Houseのパートナーになれることを嬉しく思います」。

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タグ:フードデリバリー 資金調達

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するDAIZは4月19日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額18億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、味の素、丸紅、ENEOSホールディングスなど事業会社7社との資本業務提携と、三菱UFJキャピタル、農林中央金庫、三井住友海上キャピタルなどの金融投資家9社。累計資本調達額は30億5000万円となった。植物肉スタートアップとしては国内最大の資金調達となる。

シリーズBラウンドの引受先の概要

  • 資本業務提携先(7社):味の素、丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品、ENEOSイノベーションパートナーズ、きちりホールディングス
  • 金融投資家(9社):MSIVC2020V投資事業有限責任組合(三井住友海上キャピタル)、
    農林中央金庫、グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合(グローバル・ブレイン)、食の未来1号投資事業有限責任組合(kemuri ventures)、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合(三菱UFJキャピタル、追加投資)、Golden Asia Fund Ⅱ, L.P.(Golden Asia Fund Ventures)、QB第一号投資事業有限責任組合(QBキャピタル、追加投資)、投資事業有限責任組合しんきんの翼(信金キャピタル)、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND(グローバル・ブレイン)

シリーズBラウンドにおいて調達した資金は、ミラクルミートの生産体制の拡大と研究開発(R&D)の強化、グローバルでの事業展開、成長を支える人材採用などにあて、さらなる事業基盤の拡充を図る。生産体制の拡大として、工場の増床により2021年6月からミラクルミートは年間4000トンの生産キャパシティとなる予定という。また、DAIZは今後も積極的に大手事業会社との提携を進める予定としている。

また味の素、ニチレイフーズとは、ミラクルミートを原料とした家庭用・業務用商品の共同開発を行う。丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品とは、商社のネットワークを通じてミラクルミートの国内外への販路拡大を推進する。

CO2排出削減に資する事業の創出を目指すENEOSホールディングスとは、従来の食肉や脱脂大豆由来の植物肉と比べて環境負荷が小さいミラクルミートの普及を通じ、低炭素社会の実現を目指す。

DAIZは、2019年12月より本格的に植物肉「ミラクルミート」の事業を展開。この1年余りでは、大手のハンバーガーチェーンやスーパーマーケット、食品メーカー、飲食店において「ミラクルミート」の採用が進んでいる。フレッシュネスバーガーなどのハンバーガーチェーンを通じて、おいしい植物肉メニューを気軽に食べられるようになり、イオンやライフなどのスーパーマーケットでの発売やニチレイフーズブランドの商品にも導入されている。

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

DAIZの発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」

これまでの植物肉に使用されてきた主原料は大豆搾油後の残渣物(脱脂加工大豆)であったため、「味と食感に残る違和感」「大豆特有の青臭さや油臭さ」「肉に見劣りする機能性(栄養価)」といった課題が残っており、本格的な普及の妨げとなっていたという。

これに対してDAIZの植物肉は、原料に丸大豆を採用。オレイン酸リッチ大豆を使用することで、大豆特有の臭みをなくし、異風味を低減した。また独自の発芽技術によって、これまでの課題を解決する植物肉の開発に成功している。

また、味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」(特許第5722518号)で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大。発芽大豆は、水を加えながら高温下でスクリューで圧力をかけ押し出すことにより混練・加工・成形・膨化・殺菌などを行うエクストルーダー(押出成形機)にかけ、膨化成形技術により肉のような弾力・食感を再現している。これらの独自技術により、異風味を低減した植物肉(ミラクルミート)を製造しているという。

発芽タンクを用いた独自の製造プロセスにより、原価低減を実現し、牛肉・豚肉・鶏肉に対し、価格競争力があるとしている。

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

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ソフトバンクがインドのフードデリバリーSwiggyに最大543億円投資か

SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が最大5億ドル(約543億円)をインドのフードデリバリーのスタートアップSwiggy(スウィギー)に出資することで交渉がかなり進んでいる。この件に詳しい2人の情報筋がTechCrunchに明らかにした。新たな投資はSwiggyを55億ドル(約5975億円)で評価しているとのことだ。

新規の投資は、Swiggyが2021年4月初めに発表した8億ドル(約869億円)の資金調達に追加される。ソフトバンクは2021年初めにインドのフードデリバリーへの投資拡大を模索しはじめ、SwiggyのライバルZomato(ゾマト)にも目を向けた。しかし今週初め、ソフトバンクはSwiggyを選んだ、と情報筋は話した。

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Swiggyとソフトバンクはコメントを控えた。この件の詳細はまだ公になっていないため、情報筋は匿名を希望した。

新たな投資の交渉は、Zomatoがここ数カ月で9億1000万ドル(約988億円)を調達している中でのものだ。グルガオン拠点のZomatoは2021年のIPOに向け準備を進めている。最後の取引でのZomatoの評価額は54億ドル(約5866億円)だった。資金調達の間、Zomatoは「当社の事業のさまざまな分野における競合相手からの攻撃や価格競争」と戦うために資金を調達している、と話した。

サードプレイヤーであるAmazon(アマゾン)もまた、2020年インドのフードデリバリーマーケットに参入したが、事業展開はまだバンガロールの一部に限定している。

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Bernsteinのアナリストは、インドのフードデリバリーマーケットが2022年までに120億ドル(約1兆3036億円)に成長することが見込まれる、と2021年初めのクライアント向けのレポートに書いた。

8億ドル調達後、Swiggyの共同創業者でCEOのSriharsha Majety(シュリハルシャ・マジェティ)氏は従業員へのメモで「新たな資金は現在のビジネスラインのために計画していた投資よりも多くのパワーを与えてくれます。我々の野心は果てしなく、後に投資の準備が整うかもしれない将来のために引き続き新たなサービスの種を撒いたり実験などをします。我々は今、インドから永続するアイコン的企業を生み出すために、今後数年にわたって絶えず考案して実行する必要があります」と伝えていた。

同氏はまたメモの中で、同社の長期的な目標は今後10〜15年でユーザー5億人にサービスを提供することだと述べ、評価額が1000億ドル(約10兆8600億円)を超えた中国のフード大手Meituan(美団)を引き合いに出した。

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「2020年の新型コロナウイルスによる非常に厳しい局面から我々は脱しつつあり、嵐は乗り越えました。しかしここから取り組むすべてのことは長期的に成功するチャンスを最大化する必要があります」とも書いた。

Prosus Venturesを最大の投資家の1つに持つSwiggyは2020年一部の従業員を解雇し(Zomatoも同様だ)、インド政府が数カ月にわたるロックダウンを命令することになったパンデミックをしのごうとクラウドキッチン事業を縮小した

ソフトバンクの出資を確認したインドのニュースメディアCapTableは交渉についてより詳細に報じている。

TechCrunchは4月14日にソフトバンク・ビジョン・ファンド2がZetaへの出資についても交渉していると報じた。eコマース大手Flipkart、配車サービスOla、格安ホテルスタートアップのOyoにも出資している同ファンドは2021年4月初め、ソーシャルコマースのMeeshoにも出資した。

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タグ:SwiggySoftBank Vision Fund投資インド資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Indranil Aditya / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラウドキッチンスタートアップJustKitchenがカナダのTSX Venture Exchangeに上場へ

クラウドキッチンのスタートアップであるJustKitchenは米国時間4月15日木曜日の朝、トロント証券取引所(TSX)のVenture Exchangeの取引を開始する。すでに同社は3000万ドル(約33億円)の評価額で800万ドル(約8億7000万円)を調達しており、普通株式による直接上場を行う。

JustKitchenによると、これは北米で最初ではないにしても、クラウドキッチン企業として初期に上場した会社の1つとなる。同社は2020年に台湾で事業を開始し、現在はカナダで法人化され、香港、シンガポール、フィリピン、米国にも進出する計画だ。TSX Ventureは、業種によって一定のしきい値に達するとメインボードに移行できる、スタートアップを含む新興企業のためのトロント証券取引所のボードだ。

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「これは市場に参入するための非常に便利な方法で、特にゴーストキッチン業界ではアーリーステージであり、多くの滑走路があります」と、共同創業者兼CEOのJason Chen(ジェイソン・チェン)氏はTechCrunchに次のように語っている。「私達はできるだけ早く事業を開始し、市場に進出する必要性を感じていました」。

JustKitchenのIPOラウンドには、(2020年同社のアクセラレータープログラムに参加した)以前からの投資家であるSparkLabs Taipeiや、トロントの投資機関、リテール顧客などが参加した。チェン氏によると、JustKitchenの発行済み株式の半分以上は同社の役員、取締役、従業員が所有しているという。

JustKitchenがTSX Venture Exchangeへの上場を決めた理由の1つは、チェン氏がカナダの資本市場と密接な関係にあることだ。同氏は投資銀行家として勤務した後、台湾に渡ってスタートアップを立ち上げた。またJustKitchenの役員の中にも、TSX Venture ExchangeのLocal Advisory CommitteeのメンバーであるDarren Devine(ダレン・ディバイン)氏をはじめ、カナダの資本市場で活躍している人が数名いる。

これらの要因のため、JustKitchenの今回のボードへの上場は自然な選択だったと、チェン氏はTechCrunchに語った。その他の理由としては、企業が一定の基準(時価総額や純利益率など)をクリアすれば、自動的にTSXのメインボードに進めることや、他国での二重上場が容易であることなどが挙げられる。JustKitchenも、米国のOTCQBとドイツのフランクフルト証券取引所に上場する準備を進めている。

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カテゴリー:フードテック
タグ:JustKitchenゴーストキッチンカナダ新規上場台湾

画像クレジット:JustKitchen

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マッシュルームでできた栄養価の高い代替肉をMeatiが2021年夏から展開

菌糸体(真菌類の構造繊維)を消費者向けの健康的な代替肉に変えるMeati(ミーティ)は2021年夏からの大々的な展開に向け準備中だ。

共同創業者のTyler Huggins(タイラー・ハギンズ)氏は、米国各地の選ばれたレストランにホールカットステーキと鶏肉プロダクトのサンプルを、初の商品であるジャーキーとともに提供することを予定している。

ハギンズ氏にとってプロダクトの立ち上げは、従来の肉より優れた代替物として機能性菌類食品を商業分野で幅広く受け入れられるようにする、長い道のりにおける1歩だ。

「これを会話の始まりに使いましょう。2オンス(約56グラム)であなたが毎日摂取すべきタンパク質の50%、食物繊維の50%、亜鉛の半分が摂れます。栄養という点でこのプロダクトに匹敵するものはありません」とハギンズ氏は話した。

そして肉からマッシュルームへの移行も地球にとっては良いものだ。

Meatiは今夏、試験プラントを稼働させ、Perfect Dayのミルク代替品、Atlastの肉代替品、EcovativeMycoWorksの革代替品など、マッシュルームを活用する一連の動きに加わる。

菌糸体を活用したプロダクトをマーケットに持ち込もうとしている他のテック企業について「私たちは間違いなく同じ動きをとっています」とハギンズ氏は述べた。

しかしながら、すべての菌糸体が同じように作られているわけではない、と同氏は指摘した。ハギンズ氏がユニークと言った、「最もハッピーな状態にキープして」菌を成長させる方法をMeatiは持っている、と同氏は話した。同社によると、それは最高の栄養価と最高の成長効率を意味する。

両親がバイソン牧場を所有し、畜牛地帯で育ったハギンズ氏にとって、目標はTボーンやリブアイに取って代わるのではなく、高級ブリトーや他の迅速にサーブする肉の切り身に使う肉や鶏肉とすることだ。

バインミーに使われているMeatiマッシュルームミート(画像クレジット:Meati)

「同じ種のカット肉に対して、我々は勝ちます。挑むための時間をいま稼いでいます。超高級路線でいこうとは思っていません」とハギンズ氏は話した。

同社の投資家のキャップテーブルにはかなり勇足の料理会社がすでに含まれている。Barack Obama(バラク・オバマ)元大統領の栄養政策担当上級顧問、Michelle Obama(ミッシェル・オバマ)夫人の「Let’s Move!」キャンペーンのエグゼクティブディレクターを務めたSam Kass(サム・カス)氏で知られるAcre Venture Partnersや、シカゴの高級料理店Alineaもそうだ。

しかしハギンズ氏はMeatiが日々使う代替肉となることを望んでいる。「これは毎日のタンパク質だと人々が思うようになって欲しいのです」と述べた。

Meatiは未来の代替肉が従来の牛肉や鶏肉と価格的に競争力を持つと考えているが、消費者の食欲を刺激するために同社はまずジャーキーから始める。

「Meatiのおいしいジャーキーは白紙のキャンバスです。当社はビーフジャーキーのような味をつけて提供を始めます。しかし、展開を初めてすぐに菌糸体のジャーキーだと言おうと思います」とハギンズ氏は話した。

同社は現在、ハギンズ氏と共同創業者のJustin Whiteley(ジャスティン・ホワイトリー)氏が30人のスタッフを率いている。創業者2人は当初、バッテリー代替品としてMeatiに取り組み始めた。調査に基づき(ハギンズ氏が菌糸体、ホワイトリー氏が高度なバッテリーを担当)、2人はリチウムイオンバッテリーのための菌糸体ベースの電極で助成金を受け取った。

「我々はより良いバッテリーを作るために菌糸体の化学組織を微調整しようとしていました。そして何か栄養価があり、食べることができるものを作っていることに我々は気づいたのです」とハギンズ氏は話した。

また、バッテリー会社はそれを欲しなかった。

Acre、Prelude Ventures、Congruent Ventures、Tao Capitalから調達した2800万ドル(約30億円)を手に、Meatiは市場参入する準備ができている。また、同社は菌糸体を育てる施設の広大なネットワークを構築するために借入資金へのアクセスも持っている。TrinityとSilicon Valley Bankから1800万ドル(約19億円)を借り入れたばかりだ。

「2年前、この業界のほとんどの企業には、施設を建てるために借金する能力はありませんでした。VCから資金を調達できることができ、そして負債による資金調達をするだけのマーケットがあることを考えたとき、フードテック業界にいられるのはエキサイティングです。これまで以上に開発は急展開するはずです」とハギンズ氏は話した。

Meatiの共同創業者であるタイラー・ハギンズ氏とジャスティン・ホワイトリー氏(画像クレジット:Meati)

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

6月4日は「虫の日」、徳島大学発「グリラス」が国産食用コオロギを用いた独自ブランド菓子を発売

6月4日は「虫の日」、徳島大学発「グリラス」が国産食用コオロギを用いた独自ブランド菓子を発売徳島大学発のフードテック領域スタートアップ「グリラス」は4月8日、国内で安心安全に生産した食用コオロギを用いて開発した「C.TRIA Cookie」(シートリア クッキー)と「C.TRIA Crunch」(シートリア クランチ)を発表した。C.TRIA Cookieは8枚入りが税込価格870円、16枚入りが1290円。C.TRIA Crunchは税込価格980円。同社オンラインストアにおいて、6月4日(虫の日)に発売する。

6月4日は「虫の日」、徳島大学発「グリラス」が国産食用コオロギを用いた独自ブランド菓子を発売

第1弾となるC.TRIA CookieおよびC.TRIA Crunchは、まだコオロギを食べたことがない方にとっても、家族や友達、同僚とともに気軽に楽しめるよう、お菓子として開発したという。また、初回となる両製品に限り日本国内向け配送料を無料としている。国内において食用コオロギ生産量日本一であるグリラスの強みを活かし、より多くの方が手頃な価格で試せるようにしたそうだ。

ブランド名の「C.TRIA」(シートリア)については、「Circulated Cultured Cricket」(循環型に養殖されたコオロギ)という単語にちなみ、3つ(TRIA)のCを表すものとして名付けた。食品ロスによって育てられたコオロギを介して新たなタンパク質を生み出す、循環型フードサイクルを創り出すことで、世界が直面している食料危機や環境問題に立ち向かいたいという思いを込めているそうだ。

6月4日は「虫の日」、徳島大学発「グリラス」が国産食用コオロギを用いた独自ブランド菓子を発売

グリラスは、徳島大学における25年を越えるコオロギ研究を基礎に、世界でもトップレベルのその知見・ノウハウを活かすべく2019年5月に設立したスタートアップ。2020年5月にジェイテクトと業務提携を行い、食用コオロギを量産するシステムの開発に着手。徳島県美馬市の廃校を新たな生産拠点として整備し、自動生産システムの導入を進めている。

また日本国内で安全・安心に生産した食用コオロギを販売することで、輸送を含めた生産プロセスにおける環境への負荷を最小限に留め、持続可能な社会の実現に貢献する。

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カテゴリー:フードテック
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植物性由来肉のBeyond Meatが中国に初の生産工場を開設

Beyond Meatがスターバックスのメニューとして中国でデビューしてから約1年、カリフォルニアの植物ベースのタンパク質企業は上海近くに生産施設を開設し、中国のサプライチェーン資源を活用し、製品の二酸化炭素排出量を削減する可能性を求めて、上海近郊に生産施設を開設した。

上海から85km離れた嘉興市に位置するこの工場は、Beyond Meatにとって米国外で初めてのエンド・ツー・エンドの製造施設になるとNASDAQに上場している同社は、米国時間4月7日の発表で述べた。

この1年で、Beyond MeatやEat Justなどの外国企業の進出に加えて、Hey MaetやStarfieldなどの国内スタートアップへの資本注入が相次ぎ、中国の代替タンパク質市場における競争は激化した。

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Beyond Meatは、競走を恐れていない。中国の代替タンパク質業界に関するTechCrunchの記事に感想を求められた同社代表者は「Beyond Meatが競合他社について考慮していることは何もない」と述べている。

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中国には食肉代替製品に対する巨大でまだ満たされていない市場があるだけでなく、中国自身が植物性タンパク質の主要なサプライヤーでもある。中国の食肉代替製品のスタートアップは最初から原価の有利性を享受し、また増加するミドルクラスの味覚をより反映した消費者製品の支援を競う投資家たちの関心にも事欠かない。

そのため中国に何らかの製造施設を持つことは、中国市場に真剣に取り組んでいる外国勢にとってほとんど必須の前提条件だ。以前、Teslaは安い電気自動車を提供するために上海にGigafactoryを作った。生産の地域化はまた、サプライチェーンの短縮により企業の持続可能性目標の達成を助ける。

Beyond Meat自身の言葉によると、嘉興の工場は中国国内の生産と流通を迅速させ、かつ大規模化できるだけでなく、Beyond Meatの原価構造と事業の持続可能性を改善するという。

この米国のフードテック大手はローカライゼーションに真剣で、中国では同社の旗艦製品であるバーガーのパティと豚挽肉の模造製品を販売するが、後者は世界最大の豚肉消費国向けに特別に製造されている。大豆と米を主原料とする豚挽肉もどきはさまざまな中国料理に使用でき、同社の上海とロサンゼルスのチームのコラボレーションの成果でもある。

嘉興の工場は製造だけでなく、中国市場向けの新製品の研究開発も行う。またBeyond Meatは2021年、ヨーロッパ初となる自社生産工場も設ける。

Beyond Meatの創業者でCEOのEthan Brown(イーサン・ブラウン)氏は「中国には長期的な成長を期待する地域としての本格的な投資を行う」と述べている。「この新しい製造施設は、私たちが中国の消費者に人間と地球の両方にとって良い植物由来のおいしいタンパク質を届けようと努力することによって、価格と持続可能性の両方を目標に近づける役割を果たすでしょう」。

Beyond Meatの製品は中国主要都市のスターバックスやKFC、AlibabaのスーパーマーケットであるHema、およびその他の小売店で販売されている。

カテゴリー:フードテック
タグ:Beyond Meat中国植物由来肉タンパク質

画像クレジット:Beyond Meat China

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「宇宙ビッグデータ米」が2021年中に販売予定、宇宙領域の天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が栽培着手

「宇宙ビッグデータ米」が2021年中に販売予定、宇宙領域の天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が栽培着手

JAXA認定の宇宙領域スタートアップ「天地人」は4月6日、スマート水田サービス「paditch」(パディッチ)を提供する農業ITスタートアップ笑農和(エノワ)、米卸大手の神明と協業し、「宇宙ビッグデータ米」の栽培に着手すると発表した。

現在日本の農業は、生産者の高齢化にともない農業就業人口は減少傾向にあり、今後の供給力が懸念されている。天地人と神明と笑農和の3社は、「米が足りなくなる」という共通の危機感を持っているという。そこで3社は、将来的なコメの生産増につながる農業施策として、宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクト「宇宙ビッグデータ米」を立ち上げ、栽培に着手するとした。

同プロジェクトは3社の強みを活かしており、以下の特徴を備えるとしている。

  • 地球観測衛星のデータを活用した天地人の土地評価エンジン「天地人コンパス」を採用。収穫量が増える圃場(ほじょう。農産物を栽培する場所)や、よりおいしく育つ可能性のある圃場を見つける
  • スマホで水管理を自動化できるpaditchを活用し、適正な水温・水量を維持することで、よりおいしい米を多く栽培する
  • 神明の直営店「米処 穂」で販売予定

宇宙ビッグデータ米の目的のひとつは、「気候変動に対応したブランド米をつくる」ことという。そのため、同タイミング同地域で「天地人コンパス」を使い見つけた圃場にpaditchなどテクノロジーを活用する方式と、従来方式とで栽培を行い、食味や収量などの比較を行う予定としている。

また近年、地球温暖化によって「高温障害」が多発しており、米の外観品質の劣化と食味の低下が懸念されているという。この問題に関しては、圃場選びや水管理で回避できると考えており、今回の栽培方法が有効かを実証する。

天地人は、JAXA職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙領域スタートアップ。天地人コンパスを使い、衛星データからビニールハウス内の作物に対する日射量を推定するプロジェクトや、キウイフルーツなどの作物の新規圃場の検討など、農業に関わるプロジェクトを実施している。

神明は、「私たちはお米を通じて、素晴らしい日本の水田、文化を守り、おいしさと幸せを創造して、人々の明るい食生活に貢献します。」の企業理念のもと、基幹事業である米穀事業に加え、無菌包装米飯・炊飯米などの加工食品の製造販売、水産品や青果流通への参入、外食事業の展開など、食に関わる多彩なビジネスを展開している。

笑農和は、「IT農業を通じて笑顔の人の和を創り社会に貢献する」を企業理念に掲げ、全国でスマート農業機器の販売と農業コンサルティングを展開。稲作工程中で最も時間と労力を使う「水管理」工程に着目し、スマホで水管理が行えるるpaditchシリーズを販売している。

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タグ:笑農和(企業)宇宙(用語)食品(用語)JAXA(組織)天地人(企業)農業 / アグリテック(用語)日本(国・地域)

新型コロナ後の成長加速へ向けインドのフードデリバリーSwiggyが約880億円調達

インドのフードデリバリースタートアップSwiggy(スウィギー)は現地時間4月5日、新規ラウンドで約8億ドル(約880億円)を調達したと従業員に伝えた。同社は数四半期前にパンデミックを乗り切るために従業員を解雇していたが、インドで事業を拡大するようだ。

従業員への電子メールの中で、Swiggyの共同創業者でCEOのSriharsha Majety(シュリハルシャ・マジェティ)氏は、同社が新規投資家のFalcon Edge Capital、Goldman Sachs、Think Capital、Amansa Capital、Carmignac、そして既存投資家のProsus VenturesとAccelから約8億ドルを調達したと述べた。このニュースはTimes of IndiaのジャーナリストDigbijay Mishra氏が最初に報じた

「この調達では、現在の業務のために計画していた投資よりもさらに多くの資金を獲得します。ただ、我々の野心は果てしなく、後に投資の準備が整うかもしれない将来のために引き続き新たなサービスのタネを撒いたり実験などをします。我々は今、インドから永続するアイコン的企業を生み出すために、今後数年にわたって絶えず考案して実行する必要があります」とマジェティ氏は電子メールに書いた。TechCrunchはこの電子メールを入手した。

マジェティ氏はSwiggyの新たな評価額を明らかにしなかったが「投資家らはSwiggyに対してポジティブな感情を持っており、新規ラウンドは既存投資家からの出資がかなり多かった」と述べた。この件に詳しい人物によると、新たな評価額は49億ドル(約5395億円)を超えた。同社の累計調達額は約22億ドル(約2422億円)となった。

Swiggyは2020年、約37億ドル(約4074億円)の評価額で1億5700万ドル(約172億円)を調達した。この調達は今回の新規ラウンドには含まれないと情報筋はTechCrunchに語った。

情報筋によると、かなりの資金を調達しているZomato(ゾマト)、そして新規参入者のAmazon(アマゾン)と競合しているSwiggyの長期的な目標は今後10〜15年でユーザー5億人にサービスを提供することだ。情報筋は2020年取引したユーザー数が5億人となり、評価額が1000億ドル(約11兆109億円)を超えた中国のフード大手Meituan(美団)を例に挙げた。

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「2020年の新型コロナウイルスによる非常に厳しい局面から我々は脱しつつあり、嵐は乗り越えました。しかしここから取り組むすべてのことは長期的に成功するチャンスを最大化する必要があります」とマジェティ氏は電子メールに書いた。

Swiggyは2020年いくつかの業務を削減し(Zomatoも同様)、インド政府が数カ月にわたるロックダウンを命令することになったパンデミックをしのごうとクラウドキッチン事業を縮小した

4月5日の資金調達の伝達は、グルがオン拠点のZomatoが2021年のIPOに向けてここ数カ月で9億1000万ドル(約1002億円)を調達した中でのものだ。直近の調達でZomatoの評価額は54億ドル(約5946億円)だった。資金調達の際、Zomatoは部分的には「自社の事業のさまざまなエリアにおける競合他社からの攻撃や価格競争」を退けるために資金を調達していると述べた。

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3番目のプレイヤーであるAmazonはインドのフードデリバリー分野に2020年参入した。ただし、事業はまだバンガロールの特定地域に限定されている。

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インドのフードデリバリーマーケットは2022年までに120億ドル(約1兆3213億円)に膨張するとBernsteinのアナリストは2021年初めの顧客向けレポートに書いた。そしてZomatoが現在マーケットをリードしていて、シェアは約50%だと指摘している。

「インドのフードテック産業はユニットエコノミクスを改善することで成長を維持します。テイクレート(取り分の割合)は20〜25%とインドでは最高の部類で、消費者の取り込みは増えています。マーケットは ZomatoとSwiggyが寡占していて2社でシェア80%超を占めます」とBank of Americaのアナリストは最近のレポートに書いた。TechCrunchはこのレポートを確認した。

「フードデリバリービジネスはかつてなく勢いがあります。そしていま、我々は今後10年で継続的な成長を推進するところにまできています。加えて、(グローサリー配達)Instamartのような新規事業のいくつかはかなり将来性があり、その一方で我々は間もなく展開する他の事業の準備を着々と進めてきました」とマジェティ氏は述べた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

味の素が一般アスリート・部活生向け自動献立提案AIアプリ「勝ち飯AI」β版を開発、限定ユーザーテスト開始

味の素が一般アスリート・部活生向け自動献立提案AIアプリ「勝ち飯AI」β版を開発、限定ユーザーテスト開始

味の素は3月31日、アスリート向け献立提案AIアプリ「ビクトリープロジェクト管理栄養士監修 勝ち飯AI」β版を開発し、ユーザーテストを開始した。限定ユーザーテストを通してコンセプトの受容性を確認するとともに、同社では今後さらに多様な領域において生活者への価値を創出・提案する予定。

勝ち飯AIは、同社がトップアスリート向けに培ってきた栄養計算や高度なサポートの知見を、一般のアスリートにも広く提供することをコンセプトとして開発した、自動献立提案アプリ。アスリートの厳しい栄養基準を満たしつつ好きなメニューを献立に組み込むなど、食事を楽しみ、親子のコミュニケーションなどを促しながら選手の目標に向けてサポートを行う。

同アプリは、献立やレシピに関する独自テクノロジーを基盤に、栄養面でトップアスリートへの食サポート活動を実施している同社「ビクトリープロジェクト」管理栄養士監修の下、開発。ビクトリープロジェクトのサポート現場で使用される栄養計算基準をアルゴリズム化し、ユーザーがアプリ上で必要な情報を入力するとAIが栄養基準を満たす献立を提案する。

また、必要栄養価を充たす献立を提案するためのメニューデータベースには、同社運営のレシピサイト「AJINOMOTO PARK」のデータを活用。各メニューに対し、栄養情報に加えて、ジャンル・季節・調理時間など様々な情報を紐づけており、AIがユーザーに適した献立を提案するという。

具体的な使用方法として、「選手」と、食で選手をサポートする「調理する人」とがアカウント連携することで利用できるという。

「選手」は、性別・体重・体脂肪率などの基礎情報に加え、種目(瞬発系、持久系、球技系、その他)や目標(体重を減らす、体重を増やす、現状維持)を選択し登録。日々の体組成をアプリに登録し、食事記録の際に味や食べた量を5段階で評価することでどのくらいの栄養価を摂取したかが分かるとともに、AIがユーザーの好みの味や量を学習し、使えば使うほど選手に最適化された献立が提案されるようになる。

「調理する人」は、選手の目標や体組成に応じてAIが提案する献立(10日分、毎食3パターン)から調理するメニューを選ぶことが可能。その際、あらかじめ選手が食べられない食材を登録したり、選手からのリクエストメニューを表示することもできる。

味の素は2018年、「食から未来を楽しく」というミッションの下、「生活者にとってのさまざまな価値」を実現することをすべての起点とし、新たな事業を生み出す部署として生活者解析・事業創造部を創設。研究機関やパートナーとの連携、AIなどのテクノロジーやデータの活用、サービスの開発と運用、生活者やパートナーからのフィードバックを通して世の中全体で多様な生活者価値を生み出し、新たな食の楽しい未来を作り上げたいという。

同アプリ開発にあたり生活者にヒアリングやリサーチを実施した結果、食事によるパフォーマンス向上への関心が高い「一般アスリート・部活生」に、トップアスリートと同様の食サポートプログラムを提供するサービスのニーズが高いことが判明。さらに、中高部活生を子に持つ親にインタビューを行ったところ、親としても食事面からサポートすべく講習会などに参加するものの、自分の子供に置き換えた場合栄養計算や献立の組み立てなどが結局分からないといった声があったという。

また、コロナ禍において活動休止・縮小となっている部活動も多く、「これまでの『たくさん動いて、たくさん食べよう』といった指導ができなくなっている」といった声も指導者から多く聞かれたそうだ。思うように練習ができない時にどのような食事でカラダ作りをするべきかなど、食事の内容に対する関心度の高まりを感じ、アスリート・部活生や食サポートをする方々の悩みを同社の知見を活かし解決することをアプリの目標として位置付けているという。

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タグ:味の素(企業・製品)アプリ / モバイルアプリ(用語)AI / 人工知能(用語)食品(用語)新型コロナウイルス(用語)スポーツ(用語)料理 / クッキング(用語)レシピ(用語)日本(国・地域)

味の素がZ世代対象事業創出の専任組織を新設、スタートアップや大学と新たな価値共創

味の素がスタートアップや大学との価値共創に向けZ世代対象事業創出の専任組織を新設

味の素は3月31日、食品事業本部内にZ世代事業創造部を2021年4月1日付で新設すると発表した。Z世代(Gen-Z。1995~2009年生まれ)の価値観や真に求めているものを追求し、「食と健康の課題解決」のための価値提供を行う事業創出をグローバルに加速する。スタートアップや大学などと新たな価値を共創することで事業化を推進し、2021年度中にZ世代向け新製品または新サービスを上市する予定。

Z世代事業創造専任部署の設置は、食品業界では日本初という(同社調べ)。同部新設にあたり、Z世代の価値観に寄り添い、生活動線に立脚した事業検討を進めるため、新事業検討チームのリーダーに30代の若手基幹職、チームメンバーには社内公募により選出した20代の若手人材3名を起用。

これらメンバーにより、既存事業の枠組みに捉われることなく、Z世代視点・生活者視点で自由に発想し、新領域製品や新チャネルの開発、デジタル技術を活用した新ビジネスモデルなどの事業創出をスピーディーに行うことを目的とし、事業立案・事業開発・市場定着まで一貫して実施する。

また同部は、渋谷スクランブルスクエア15階の共創施設「SHIBUYA QWS」(渋谷キューズ)をベースとして活動。Z世代と繋がりの強いスポットを拠点に、スタートアップや大学などと新たな価値を共創することで事業化を推進し、2021年度中にZ世代向け新製品または新サービスを上市する予定。

同社によると、Z世代は、世界で約13億人と現在の世代別構成において大きな割合を占めているという。地球環境・社会貢献・サステナビリティ・多様性と個の尊重などに対する関心が高いことが特徴とされ、この先の時代の人々のWell-beingに向けた価値形成・波及を推進する上で象徴的な存在とした。

同社は「食と健康の課題解決企業」を目指しており、次世代の主流となるZ世代を、心と体の健康価値や社会価値向上に繋がる新たなフードスタイル・先進的な食マーケティングのビジネスモデルを築くベースとなる重要なターゲットとして位置づけているという。

味の素がスタートアップや大学との価値共創に向けZ世代対象事業創出の専任組織を新設

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いくつもの植物性食品ブランドを抱えるLIVEKINDLYが約369億円調達

植物性食品のブランドを複数抱える、テレビコマーシャルが賑やかなLIVEKINDLY Collectiveがこのほど、1030億ドル(約11兆3545億円)のファンドを抱える投資企業TPGキャピタルのグローバルインパクト投資部門から、最新の投資ラウンドで3億3500万ドル(約369億円)を調達した。

この資金調達は、投資家たちが今でも植物性食品のブランドに相当期待していることの証であり、食品企業への投資といえば、メディア上ではBeyond MeatやImpossibleなどの新人、それにQuornやKelloggsのMorningstarといった古顔の再起が目立つが、多様なブランドへの投資家たちの旺盛な食欲は衰えていない。

LIVEKINDLYは、Unilever North Americaの元社長Kees Kruythoff(キース・クルイトフ)氏や、Blue Horizonの創業者Roger Lienhard(ロジャー・リエンハルト)氏、LIVEKINDLY MediaのCEOで創業者のJodi Monelleジョディ・モネル氏といった食品業界の大物たちが創業した。またチームには、Unileverの元社員であるMick Van Ettinger(ミック・ヴァン・エッティンガー)氏や元Nestléの社員Aldo Uva(アルド・ウバ)氏ら、食品産業のベテランたちが揃っている。

LIVEKINDLY Collectiveはさまざまなベジタリアンや代替たんぱく質食品のブランドを投資の傘下に集めた企業であり、今や最大の植物性食品の企業の1つとなっている。

同社によると、今回の資金は米国内と中国における市場拡大と、植物性食品企業の今後のさらなる買収やパートナーシップ、そして投資に充てられるという。

同社は以前、S2G Venturesとオランダの大きな金融サービス企業Rabobankの投資部門であるRabo Corporate Investmentsから資金を調達している。

LIVEKINDLYの創業を支えた投資家たちは基本的に、テクノロジーはその成熟までの道のりが長いと考えている。そして同社の最新のラウンドは、LIVEKINDLYの上場前の最後の非公開投資だとも考えている。

Blue Horizonの創業者で会長、そしてLIVEKINDLY Collectiveの創業者でもあるロジャー・リエンハルト氏は次にように語っている。「私たちは植物性代替食品のグローバルな専業企業を作りつつある。それが食品の未来だと信じているからだ。わずか1年で大きな資本を調達できたが、それは弊社のミッションの緊急性と、それが表している大きな投資機会を証明している。植物をベースとするライフスタイルの勢いは、非公開と公開、両方のマーケットで成長を続けるだろう」。

今回の投資の一環として、The Rise Fundの共同マネージングパートナーのSteve Ellis(スティーブ・エリス)氏がLIVEKINDLY Collectiveの取締役会に、2021年3月1日付で加わる。

「LIVEKINDLY Collectiveとその革新的な企業群のエコシステム、そして健康で植物性でクリーンラベル 食品に対するグローバルな需要に応える世界クラスのリーダーたちと一緒に仕事ができることにワクワクしている。同社のユニークなミッションにプッシュされたモデルは、種子から食卓までのバリューチェーンの全体に浸透し、植物性代替食品の世界的な採用を推進し、より健康な惑星作りに貢献している」とエリス氏は語る。

カテゴリー:フードテック
タグ:LIVEKINDLY Collective資金調達植物由来肉

画像クレジット:LIVEKINDLY Collective under a LIVEKINDLY Collective license.

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)

代替肉をおいしくする非動物性脂肪をNourish Ingredientsが開発

植物ベースの代替肉は、Beyond Meatのような新興企業が突然登場して以来、10年以上にわたって投資家から莫大な資金、そして消費者の注目を集めてきた。

これら新興企業は何十億ドル(何千億円)もの資金を調達し、不快な環境ダメージを与えることなく肉のような味の肉を世界中のスーパーマーケットの棚やレストランに持ってこようとしていて、今や少なくとも2000億ドル(約21兆8590億円)規模の産業となっている。

植物ベース食品への切り替えは、温室効果ガスを抑制するのにおそらく個人レベルで最も貢献できるものだろう(電気自動車の購入や屋根へのソーラーパネル設置をせずに)。

業界に付きまとっている問題は、スタートアップがこれまでよりも良いタンパク質や、Impossible FoodsのHemeのような新しい添加剤を作ることでどれだけ進歩を遂げても、代替肉の味と実際の肉の味の間にまだかなり大きな隔たりがあることだ。今日では、代替肉の企業は脂肪としてパーム油やココナッツ油に頼っている。

Nourish Ingredients(ノーリッシュ・イングリーディエンツ)を紹介しよう。同社はタンパク質ではなく、肉をおいしくする脂肪にフォーカスしている。脂肪なしに、本当に美味しいベーコンはありえない。同じく、脂肪なしに見事な霜降りステーキの代替もありえない。

オーストラリア拠点のThe Canberraは、香港の富豪Li Ka-shing(レイ・カーセン)氏が出資しているHorizons Ventures、オーストラリアの国立科学機関が設立した投資会社のMain Sequence Ventures、Commonwealth Scientific、そしてIndustrial Research Organisationから1100万ドル(約12億円)を調達した。

The CanberraはNourish Ingredientsの2人の共同創業者、James Petrie (ジェームズ・ペトリー)氏とBen Leita(ベン・レイタ)氏がサイエンティストとして働いていた2013年に出会った場所だ。作物開発が専門のペトリー氏はオメガ3キャノーラ油の開発の先頭に立っていた。一方のレイタ氏は化学とバイオプラスチックのキャリアを持っていた。

2人は以前、植物でオイル生産を増やそうと試みていた企業で働いていた。CSROが2017年ごろ特に興味を持っていた分野だ。代替肉のマーケットが立ち上がろうとしていたとき、2人の起業家は動物性脂肪の命題に取り組むことに注意を向けた。

「人々に話をしているときに、こうした代替食品分野は植物のような動物性脂肪を必要とするだろう、ということに気づきました」とレイタ氏は話した。「魚油のための、そしてキャノーラ油からのスキルセットを使うことができるかもしれません」。

Nourishの発明は、植物からバクテリアへの移行だった。「反復速度が速く、誤魔化しているかのような感覚です」とペトリー氏は述べた。「商品のコストをかなり下げることができます」。

Nourish Ingredientsは、トリグリセリドや脂質を大量に作るバクテリアや微生物を使っている。「ヤロウイアも含まれます。テーラードの油の生産に使われているものもあります。当社はこれらの油脂性生物を調整して、素晴らしい味と経験を与えてくれる動物性脂肪を作ることができます」とペトリー氏は説明した。

両氏が指摘したように、味のために脂肪は本当に重要だ。異なる肉を異なるものにするという点で主な差別化要因だと両氏は話した。

「牛は牛脂を作ります。それが牛です。しかしそれが必ずしも植物性タンパク質にとってベストな脂肪ということではありせん」とペトリー氏は述べた。「我々は模倣から始めます。元の生物に取り組まない理由はありません。我々は新しいエクスペリエンスを作ろうとしています。手に入れる新たなエクスペリエンスがあります」。

Nourish Ingredientsは、植物と組み替えタンパク質の生産分野ですでに顧客を数社持っている。現在従業員18人の同社は遺伝子組み換えと、非CRISPR(ゲノム編集)で作られた最適化された脂肪の両方を生産している。

他のスタートアップや既存事業者も新しいマーケットへの参入を可能にするかもしれないテクノロジーを持っている。たとえば現在コラーゲンに注力しているGeltor、さまざまなバイオベースの油や化学薬品をつくっているSolazymeなどがある。

「代替プロテイン分野における活発な投資家と同様、我々は従来の肉、鶏肉、魚肉製品の味を再現する非動物性脂肪は産業における次の突破口だと理解しています」とMain Sequence VenturesのパートナーであるPhil Morle(フィル・モール)氏は話した。「Nourishはどうやって持続可能で驚くほど美味しくできるか、その方法を発見しました。アーリーステージでNourishに加わることができてこの上なく幸せです」。

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タグ:Nourish Ingredients代替肉

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

タマゴを使わないタマゴとマヨネーズを開発する代替タンパク製品のEat Justがさらに217億円調達

タマゴを使わないタマゴとマヨネーズ、そして初めてシンガポール政府の承認を得た培養鶏肉のメーカーEat Jsut(イート・ジャスト)は、新規ラウンド2億ドル(約217億円)の資金調達を行ったと発表した。

このラウンドは、カタールの政府系ファンドQatar Investment Authorityが主導したもの。これに、Charlesbank Capital Partners、Microsoft(マイクロソフト)の共同創設者Paul G. Allen(ポール・G・アレン)氏の遺産で運用される投資会社Vulcan Capitalが参加している。

関連記事:Eat Justが世界初の認証を取得しシンガポールで培養肉の販売を開始

2011年、Hampton Creek(ハンプトン・クリーク)として創設されて以来、同社は総額6億5000万ドル(約705億円)以上を調達した。そのすべてが、代替タマゴ製品と新しい培養肉生産ラインの確立に注ぎ込まれている。

「私たちは、健康的で安全で持続可能なフードシステムを投資家のみなさんと構築できることを、大変にうれしく思っています。数々の産業の改革を進めてきたその企業提携の知識と専門性が、彼らをパートナーと決めた私たちの判断の根幹にあります」と、Eat Jsutの共同創設者にしてCEOのJosh Tetrick(ジョシュ・テトリック)氏は声明で述べている。

Eat Jsutの発展は、円満に進んできたわけではない。2017年、同社とその最高責任者はクーデター未遂事件に巻き込まれ、結果として数名の幹部の解雇を余儀なくされた。その解雇が、取締役会の全員辞職という事態を招いたが、数カ月後に新しい取締役を迎えることで事なきを得た。

この騒ぎの後、Hampton Creekはリブランドを行い、目標も刷新した。現在、同社の製品は、同系統の2つのカテゴリーに絞られている。植物由来の代替タマゴ製品、タマゴを使わないマヨネーズ、養鶏場で飼育された鶏の肉に置き換わる培養チキン製品だ。

Just Eatのチキンおよびタマゴ事業のうち、先陣を切ったのはタマゴ製品だった。そのため、2万を超える小売店と1万を超えるフードサービス店舗で同社製品が販売されていることは注目に値する。この製品は販売開始以来、アメリカの100万世帯に1億個以上のタマゴを届けている。

このタマゴ製品は、中国のファストフードチェーンDicos(ディコス)でも売られている。また、Cuisine Solutions(キュイジン・ソリューションズ)とは、代替タマゴの低温調理製品を販売する契約も結んだ。さらにPeet’s Coffee(ピーツ・コーヒー)のアメリカ全国の店舗でも購入が可能だ。Eat Justは、タマゴを使わないタマゴ製品の流通基盤をカナダにも広げたと話している。

次に来るのが GOOD Meat(グッド・ミート)製品だ。これはシンガポールで短期間だけ販売されていた。同社は、生産コストを下げ、他の種類の代替肉製品と並行して商品化を進めてゆく考えを声明に記している。

Khosla VenturesとFounders Fundからの、初めての百万ドル(数億円)単位の資金調達でスタートを切ってからここまで、Eat Jsutが歩んだ道のりは長かった。

カテゴリー:フードテック
タグ:Eat Just代替卵 / 植物由来卵培養肉資金調達シンガポール

画像クレジット:Eat Just

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

ビル・ゲイツ氏が勧める合成肉の開発に取り組むオランダのMeatableが約51億円調達

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏の近著「How to Avoid a Climate Disaster」について語った最近のインタビューの中で、Microsoft(マイクロソフト)とBreakthrough Energyの創業者で世界長者番付第3位の同氏は、温室効果ガスの排出を抑制するために世界の最富裕国の市民は同氏がいうところの合成肉が完全に使われている食事に切り替えるべきだと啓発した。

ゲイツ氏の要望は、アムステルダムからテルアビブ、ロンドン、ロサンゼルス、バークレー、シカゴに至るまであちこちで設立されたスタートアップや上場企業の動きと合致する。

実際、人工肉マーケットで最も資金潤沢な企業の2社はオランダで創業された。そこでは、4700万ドル(約51億円)の新規資金調達を発表したばかりの新興企業MeatableMosa Meatに挑んでいる。

Meatableは2023年までに欧州当局から最初のプロダクトの承認を得て2025年までに商業販売することを目指している。

同社の今後の道のりは長い。というのも、ゲイツ氏はMIT Technology Reviewとのインタビューで「細胞レベルで取り組んでいるMemphis Meatsなどもありますが、それが経済的なのかはわかりません」と認めた。

経済性の他にも、消費者が人工肉に進んで切り替えるかどうかという問題もある。サンフランシスコ拠点のJust FoodsやテルアビブのSupermeat など一部の企業はすでにいくつかのレストランで培養細胞から作られたチキンパテやナゲットを販売している。

Meatableのテクノロジー責任者Daan Luining(ダン・ルイニング)氏によると、こうしたプロダクトは細胞テクノロジーの全潜在能力を生かしていない。「ナゲットとチキンバーガーが登場しましたが、当社は全筋肉組織に取り組んでいます」と同氏は述べた。

この分野へのかなりの新規参入、そしてそうした企業が調達した資金は、企業が大規模生産時のコストと放し飼い肉代替品の質とのバランスを取りながら綱渡りできれば、いくつかの勝ち抜いた企業のためにチャンスが広がっていることを指している。

「当社のミッションは地球の人々のためのタンパク質提供でグローバルリーダーになることです。豚肉や牛肉の定期的な摂取の削減は環境や土地管理に影響を及ぼします」とルイニング氏は話した。「当社が使っているテクノロジーでは、異なる種を扱うことになります。最初に当社は気候変動やプラネタリーヘルス(地球全体の健康)に最大の影響を及ぼす動物にフォーカスします」。

目下、Meatableにとって価格が問題だ。同社は現在、1ポンド(450グラム)あたり約1万ドル(約108万円)で肉を生産しているが、競合他社と違って全肉を作っていると同社は話した。そこには、肉を構成する脂肪や結合組織が含まれる。つまり肉だ。

従業員35人と新たに調達した資金で、同社は研究・開発から食料生産企業に移行しようとしている。欧州において最大の食品バイオテクノロジー企業の1社であるDSMのような戦略的投資家がサポートするだろう。Vertex Pharmaceuticalsの会長Jeffrey Leiden(ジェフリー・リーデン)博士や、Bill and Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の元エグゼクティブディレクターで、最高メディカル責任者を務めたIlluminaを去った後にJuno Therapeutics、GRAIL、Mindstrong Healthを創業したRick Klausner(リック・クラウスナー)博士といったエンジェル投資家もサポートするはずだ。

Meatableの直近のラウンドに参加した機関投資家にはGoogle Ventures創業者Bill Maris(ビル・マリス)氏の新ファンドSection 32、既存投資家のBlueYard CapitalAgronomicsHumboldtTaavet Hinrikus(デビッド・ヒンリクス)氏が含まれる。

Meatableの最初の商品はおそらく人工の豚肉製品になるだろうが、オランダのトップ大学の1つが立地するデルフトにある施設を拡張し、牛肉製品の登場もそれほど遅くならなさそうだ。

「(Meatableは)すばらしいチーム、そして地球が直面している世界の食料不安の問題をめぐる困難を解決することができる画期的なテクノロジーを持っています」とクラウスナー氏は述べた。「Meatableは持続可能な方法で効率的に生産された肉の主要な選択となるための正しい成分を持っています」。

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タグ:Meatable資金調達培養肉オランダ

画像クレジット:Getty Images under a NICOLAS ASFOURI/AFP/Getty Images license.

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

食品科学業界念願の健康的な砂糖代替品をスタートアップがついに発見か

3年ほど前、カリフォルニア州マウンテンビューのComputer Science Museum(コンピューターサイエンスミュージアム)で、会社を起業して間もない英国のケンブリッジ出身の創設者が、Y Combinator(Yコンビネーター)の8月のDemo Dayで、著名人、投資家、起業家を集めて講演し、食品科学の大革命を宣言した。

このイベントは数年の間に、テクノロジー系投資家や業界関係の億万長者に向けて、将来的に莫大な利益を生み出す可能性を秘めた企業直後のビジネスを紹介する、比較的ローテクで低予算な発表会となってきた。

他のイノベーション志向の新進起業家らと共同でプロジェクトを進めるケンブリッジの科学者らは、砂糖の味だけでなく、カラメル化や粘質までも模倣した甘味料を製造できるテクノロジーを自信をもって発表した。パッケージ食品の約74%には何らかの甘味料が含まれているが、その中でも砂糖を主力の添加物にしている特性が、カラメル化や粘質だ。その科学者たちが設立したCambridge Glycoscience(ケンブリッジ・グリコサイエンス)という会社は、少なくとも1000億ドル(約10兆7000億円)に相当する巨大なマーケットシェアを獲得するだろうと豪語する。

現在、同社は社名をSupplant(サプラント)に変更し、さまざまな植物の廃棄物を原料とした砂糖の代替となる商品を低コストで展開するために、ベンチャーキャピタルから2400万ドル(約25億7000万円)の資金を調達している。

甘い食材の苦い歴史

砂糖の起源はニューギニア、台湾、中国などを原産とするサトウキビを人類が食生活に取り入れた約1万年前にさかのぼる。その後2000年かけて、これらの地域からサトウキビがマダガスカルに広がり、最終的には紀元前500年頃にインドに渡り、そこで初めて精製されるなど、地域に根づいた。

そこからこの甘味料はご存じのように全世界へと広がった。紀元後1世紀までには、ギリシャやローマの学者がその薬効について文献に記し、十字軍後の中世に欧州全体で砂糖の消費が広まった。

当時のヨーロッパで好まれていた甘味料である蜂蜜や、ローマ人が使っていた致死量に迫る鉛が含まれている初期の人工甘味料の代替品として、砂糖が好んで使われるようになった。

ヨーロッパ北部の非常に寒い気候ではサトウキビを栽培することが困難なため、温暖な南部やヨーロッパ南部に位置する島々で栽培されるようになった。

これらの地域を起点に、砂糖貿易の副産物である農業奴隷制度の試みが初めてヨーロッパで行われ、砂糖生産の産業的成長がアメリカ大陸に広がったことで、何世紀にもわたってアメリカ先住民やアフリカの人々の労働力を国際的に搾取する原因となった。

当初アメリカ大陸では、ヨーロッパから季節労働を強いられた奴隷が送りこまれ、奴隷にされた先住民とともに砂糖生産の原動力となっていたが、欧州から持ち込まれた伝染病、大量虐殺、過酷な労働が原因で先住民の人口が減少すると、奴隷がアフリカから新しい植民地であるアメリカ大陸に連れてこられ、砂糖を生産するために畑や精製所で働くようになった。

砂糖の後遺症

奴隷制度が残した爪痕は砂糖産業の最も忌まわしい遺産かもしれないが、人類が甘味料を渇望することによって引き起こされた問題はこれだけではない。

気候変動が脅威となっている中で砂糖の需要が世界的に高いため、原生林を他の産業に転換するよう促すブラジルの新政策により、森林伐採が増加する恐れがある

「サトウキビから砂糖を精製する従来の方法では、水を大量に消費する」とサプラントの共同設立者であるTom Simmons(トム・シモンズ)はインタビューで語った。水は気候変動が悪化することで影響を受ける可能性がある資源であるため、水の問題は砂糖が環境に影響を及ぼすもう1つの問題だ。加えて、種の絶滅も大きな問題となっている。

「WWF(世界自然保護基金)によると、世界的に失われている生物の多様性に最も影響を与えているのは、砂糖を生産しているサトウキビプランテーションだ。砂糖の生産には大量の水が必要だが、当社の事業は持続可能性の面で大きな訴求力がある。原料は現在流通している農産物だ」とシモンズ氏はいう。

米国で砂糖の代替品が求められるようになり、ぶどう糖果糖液糖(異性化糖)が米国でさまざまな製品に使われるようになった結果、関連する健康面のコストがかさむようになってきている。ぶどう糖果糖液糖は1957年に発明され、砂糖の代わりとして一般的に使用される甘味料の1つであるが、消費者の健康に世界的に極めて深刻な影響を与えると考えられている。

糖尿病、肥満、脂肪肝疾患の有病率が世界的に増加していることは、ぶどう糖果糖液糖の使用量と相関があると確認されている。

オーストラリア、メルボルン、4月8日。この写真は、2016年4月8日のオーストラリア、メルボルンで、糖分を多く含む商品がスーパーマーケットに陳列されている様子を映している。WHO(世界保健機関)が初めて発表した、糖尿病に関する世界的な調査の報告書によると、発展途上国を中心とする4億2200万人の成人が、糖尿病を患いながらの生活を強いられていることが明らかになった。オーストラリアの糖尿病専門家は、拡大する問題に対処するため、砂糖税導入の検討を連邦政府に求めている(画像クレジット:Luis Ascui/Getty Images)

健康的な代替品への期待

サプラントは砂糖に代わる主要な代替品を投資家とともに提供することを目指すことにより、同じように代替品を提供しようとする他社たちと競合することになった。

実用可能で毒性のない化学合成に由来する砂糖の代替品は、18世紀後半にドイツの化学者によって初めて発見された。サッカリンと名づけられたその代替品は、第一次世界大戦にともなってともなって砂糖が不足したことを受けて普及し、1960年から70年にわたる健康ブームで需要が大きく増加した。

ピンクの小袋のSweet’N Low(スイートンロー)やその他の製品でサッカリンが使用されているが、今ではアスパルテーム(Equalやダイエットコークのような飲料で砂糖の代替品として商業的に認知されている)によって継承され、アスパルテームはスクラロースに取って代わられた。スクラロースはSplenda(スプレンダ)のブランドで知られている。

化学合成由来のこのような甘味料は、何十年も市場で一般的になっている。しかし、化学由来ではなく天然由来の代替品を求める声も高く、砂糖が食材として持つ機能的特性の模倣の失敗もあり、優れた砂糖代替品の需要がかつてないほど高まっている。

競合他社の先をいく

「私たちが支援しているものすべてが世界を変えるわけではないが、これは根底から変えることができる」と、サプラントを強力にサポートする支援者の1人であるAydin Senkut(アイディン・センクット)氏はいう。彼は、Felicis Ventures(フェリシスベンチャーズ)というベンチャー企業の創設者兼マネージングパートナーだ。

サプラントの甘味料がヨーロッパでFDA(米国食品医薬品局)にあたるEUの規制当局からすでに仮承認を得ているため、センクット氏はサポートを買って出たのだ。この承認は、サプラント製品の甘味料としての販売を承認するだけでなく、具体的な健康上の効用を持つプロバイオティクス製品としても承認していることになると同氏はいう。

つまりサプラント製品は創業者らが主張するように、間違いなくより良い代替品であり、砂糖の代替品として使えるだけでなく、消費者が定期的に使用することで食物繊維を多く摂取できるという健康上のメリットがある、とセンクット氏は語る。

「欧州のFDAは米国のFDAよりもさらに厳しいが、厳しい基準があるなかで仮承認を取得することができた」とセンクット氏はいう。

Yコンビネーターで行われたケンブリッジ・グリコサイエンスのプレゼンテーション直後に、センクット氏のフェリシスベンチャーズはすかさず同社に投資した。

「私たちはシードラウンドで最大の投資家となった」とセンクット氏はいう。

サプラント製品のセールスポイントは、グリセミック指数が非常に低いことと、植物の廃繊維から製造できることであり、最終的には低コストで製造できるとセンクット氏は述べた。

競合他社との差別化

その他の重要な点でもサプラントは競合他社と異なると、同社の共同創業者であるTom Simmons(トム・シモンズ)氏は述べている。

イスラエルのスタートアップDouxMatok(ドゥーマトック)やコロラド州のMycoTechnology(マイコテクノロジー)、ウィスコンシン州のSensient(センシエント)のような企業は、菌類や木の根、さらには樹皮から砂糖の甘みを強化する添加物の開発に取り組んでいる一方で、サプラントは甘味料を作るために代替糖を使用している、と同氏は語る。

「他社との根本的な違いは、他社がキビ砂糖を使っていることだ。当社のセールスポイントは食物繊維から砂糖を作ることであるため、キビ砂糖を使う必要はない」とシモンズ氏は述べる。

シモンズ氏は、他のスタートアップが間違った方向から問題にアプローチしているという。「彼らがテクノロジーを使って取り組んでいる食感、膨らみ、カラメル化、結晶化などの問題は、業界が抱えている問題ではない。私たちはテクノロジーを駆使して、グラム単位で同じ甘さにできる」と述べている。

糖質には、カロリーが異なる6種類の糖分があるとシモンズ氏は説明する。牛乳に含まれる乳糖、サトウキビやサトウダイコンから取れるショ糖、小麦や大麦などの穀物に含まれる麦芽糖、果物や蜂蜜に含まれる果糖、特に炭水化物を含有する野菜、果物、穀物などに含まれるブドウ糖、乳糖が分解されることで生成される単糖のガラクトースだ。

シモンズ氏いわく、同氏の会社の砂糖代替品は1つの化合物だけを使って生成されるのではなく、食物繊維を構成するさまざまな成分に由来している。食物繊維を使用するため、体がその化合物を食物繊維として認識し、消化管内で食物繊維と同じように処理されることになる。一方で製品は砂糖のような味がして、食品中で砂糖と同じような作用をするという。「食物繊維由来の糖類は糖類に分類されるが、カロリーが高い糖類ではない」とシモンズ氏は説明する。

ニューヨーク、12月6日。2004年12月6日のニューヨークで販売されている人気の砂糖代替品「スプレンダ」のパッケージ。ノンカロリー甘味料の主要成分であるスクラロースのメーカーは、需要が非常に高いため、2006年に生産量を倍増させないと米国の新規顧客に対応できないという。スプレンダは低糖質のアトキンスダイエットの人気もあり、売り上げを伸ばしている(画像クレジット:Mario Tama/Getty Images)

プロセスの信頼性

サプラントは、テクノロジーを駆使して酵素を使い、さまざまな繊維を分解した上で細分化する。「繊維が分解されていくと分子的にはショ糖やキビ砂糖のように変化し、キビ砂糖のような成分になる」とシモンズ氏は語る。

この技術は、ケンブリッジ大学で始められた長年の研究の成果だと同氏がいう。「私がケンブリッジに来たの教授になるのが目的で、ビジネスを始めるつもりはなかった。科学の研究や発明、なによりも世界に届けられるようなものに興味があった。そのためには教授になるのが一番だと思っていた」

やがてシモンズ氏は博士号を取得し、サプラントに生かされる研究をポスドク研究として開始した後、会社を設立する必要があることに気付いた。「何かインパクトのあることをするためには、大学を辞めなければならなかった」と同氏は語る。

サプラントはある意味で、シモンズ氏が関心を持つ健康、栄養、持続可能性のすべてが融合して運営されている。そして、さまざまな消費者製品に加工テクノロジーを徐々に応用することを同社で計画しているが、現状では1000億ドル(約10兆7000億円)規模の砂糖代替品市場に重点を置き続けるとシモンズ氏はいう。

「それぞれの分野で核となる部分に科学的にアプローチしている部分というのは、ほんの一握りしかない。例えば、パーソナルケアやホームケアに使用される製品や、その分野で使われる化学物質がそうだ。業界が実現に向けて取り組んでいることとして、シャンプーに含まれる化学物質を肌に優しくかつ洗浄力の高いものにするという動きがあるが、それを持続可能な方法で実現しなければならない。つまり、製品が持続可能な原材料から作られ、生物分解が可能な製品であるということが必要だ」と同氏は語る。

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次の一手

サプラントは今、Manta Ray(マンタレイ)、Khosla Ventures(コースラベンチャーズ)、フェリシスベンチャーズ、Soma Capital(ソーマキャピタル)、Yコンビネーターなどの投資家から調達した資金で、ターゲットを細かく絞ったいくつかの実験でその製品価値を証明しようとしている【注】。シモンズ氏はあえて詳しく説明しなかったが、第1弾は著名なシェフと大々的に実験を仕かける。

センクット氏によると、同社の展開はImpossible Foods(インポッシブル・フーズ)が市場に参入してきた方法に似ているとのことだ。まず高級レストランや高級食品で何回か試した後に、消費者市場に進出するという手法だ。

サプラントが生産する砂糖代替品の原材料はサトウキビの絞りかすと小麦であり、醸造業界の加工用設備を使用している。この手法は将来的に、同社が米国にオフィスを構え、大きな製造拠点を築く上でメリットとして働くだろう。

「当社は既知の科学を利用し、市場として魅力のある食品業界にその科学を応用している。新しい酵素やいろいろなプロセスを発明しているわけではない。使っているもの自体は新しいものではない。生成に使用している糖がうまく機能し、キビ砂糖の代わりになるということが発見なのだ。これは、今まで誰も実現できなかったことだ。砂糖の代替品はほとんどの場合、キビ砂糖のような成分にはならない。乾燥しすぎていたり、湿っていたり、硬すぎたり、柔らかすぎたりする」とシモンズ氏はいう。

何よりも大切なことだが、シモンズ氏と20人のチームは、この消費者向け製品を作るという使命をしっかりと共有している。「私たちは、世界中で生み出されている膨大な量の再生可能資源を利用するつもりだ」と同氏はいう。

【注】この記事は、マンタレイとコースラベンチャーズがサプラントへの投資に参加したことを受けて更新された。

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Dragonfly)