ヘリコプターシェアのAirXと京急電鉄が資本業務提携、空の交通を推進し「空の駅」設置・eVTOL商用化など検討

京浜急行電鉄(京急)と、空の交通デジタルプラットフォームを開発するテック企業AirXサムライインキュベートは10月27日、資本業務提携を発表した。3社は今後、東京、船橋、横浜地区と三浦半島を結ぶヘリコーター路線の開設やヘリポートの運営などにより、新たな観光の創出を図るとしている。

長中期的には、京急が「成長トライアングルゾーン」と位置づける地域の拠点となる、品川・羽田・横浜にスカイポート(空の駅)の設置、いわゆる空飛ぶクルマ(eVTOL)の商用化の検討も進め、観光だけでなく、移動手段としての空の足を形作るという。

三浦半島におけるヘリコプター運航事業

時期は2021~23年度とし、三浦半島に常設ヘリポートを設置。他エリアのヘリポートとの新規路線を開設する。現在は、東京、船橋、横浜と三浦半島を結ぶ路線を想定。三浦半島遊覧飛行や、三浦半島観光施設へのヘリコプターでの送迎付き宿泊プランの開発も行う。

「成長トライアングルゾーン」スカイポート設置

時期は2023~25年度とし、品川、羽田、横浜地区に、規制緩和を見据えてスカイポートの設置を検討する。

空飛ぶクルマ(eVTOL)商用化

時期は2025年度以降とし、上記事業にeVTOLの導入を検討する。

京急とサムライインキュベートは、「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」を目指したスタートアップ支援プログラム「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」(京急アクセラレータープログラム)に取り組んでろい、AirXは、2019年度に実施した第2期の採択企業にあたる。今回の資本業務提携は、このプログラムを通じて実施された。

初心者でもタッチスクリーンをスワイプして飛行機を操縦できるようにするSkyryseが約228億円調達

創業5年目のスタートアップであるSkyryseは、2億ドル(約228億円)のシリーズB資金を調達し、飛行自動化技術スタックであるFlightOSの開発を進めている。FlightOSは、経験豊富なパイロットが新しいタイプの航空機を操作するのに役立つだけでなく、まったくの初心者でもすぐに飛行のコツを学ぶことができると同社は述べている。


ここで最も重要なのは、FlightOSはあらゆる航空機に後付けすることができ、同社によれば、タッチスクリーンとジョイスティックを操作できる人なら誰でもフライトコントロールができるようになる可能性があるということだ。現在、そのタッチスクリーンにはiPadが使用されているが、SkyryseはTechCrunchに対し、完成品では「航空規格に適合したタッチスクリーン」に変更されると述べている。

スクリーンとジョイスティックに加えて、FlightOSスタックにはアクチュエーターとフライトコントロールコンピューターが含まれており、航空機の既存の機械システムを置き換えることになる。このように1対1で置き換えられるということは、システム全体が「コストニュートラル」であることを意味し、OEMメーカーは既存の航空機と同じコストでFlightOSを搭載した機体を製造することができるという。

Skyryseは設立当初、都市部でのエアモビリティサービスの立ち上げを念頭に、完全自動化システムを追求していた。しかし、同社はオペレーターとしての活動を縮小し、代わりにFlightOSスタックの開発を本格的に進めている。

FlightOSは完全な自動化ではなく、やはりジョイスティックを操作する人間が誰かいなければならない。しかし、それに近いものがある。現在、Mark Groden(マーク・グローデン)CEOは、短期的な目標は認定パイロットのスキルを向上させることだが、長期的にはもっと野心的な計画を立てていると述べている。

グローデン氏はTechCrunchの取材に対し、こう語った。「当社の短期的な目標は、航空業界の安全性を向上させ、既存のパイロットに家族と一緒にさまざまな天候下で飛行できるという安心感を与え、彼らに新しいタイプの航空機を開放することです。我々の長期的な目標は、2億2千万人の免許を持つ(自動車の)ドライバーが、あらゆる航空機を安全かつ効果的に操作できるようにすることです」。

しかし、このシステムでは、航空管制官とのコミュニケーションや、どのような状況であれば安全に飛行できないのかという理解など、認定を受けたパイロットが学ぶようなことは考慮されていない。しかし、グローデン氏は、自動車の運転免許を取得しても注意深い運転ができないのと同じように、現在の認証プロセスだけではパイロットの安全性を確保することはできないと語った。

SkyryseのCEOマーク・グローデン氏(画像クレジット:Skyryse)

「現実には、FAA(連邦航空局)のパイロット免許取得のための最低ラインは、安全で効果的であるためには十分ではありません。当社の目標は、それを実現することです」と同氏はいう。「一般的に、免許を取得するには平均50時間の運転経験が必要と言われています。これに対し、FAAは自家用機パイロットになるために40時間しか必要としません」。

この40時間という要件は、すべての種類の航空機の運航に適用されるわけではないことに注意が必要だ。例えば、民間航空会社の飛行機を操縦するためには、パイロットは合計1500時間の飛行時間が必要だ。しかし、Skyryseのシステムを使えば、経験の浅いパイロットでも、長時間の追加訓練をすることなく、新しい種類の航空機に挑戦できる可能性がある。

Skyryseは現在、Robinsons Helicoptersを含む固定翼機および回転翼機のメーカー5社と提携している。FlightOSがeVTOLやヘリコプターに搭載されるには、まずFAAの認証を受ける必要がある。既存の航空機に組み込むことで、例えばeVTOLの開発者が行わなければならないような、まったく新しい機体の認証を受ける必要がなくなるため、プロセスが短縮される可能性がある。

この技術は世界的なパイロット不足の解消にも役立つだろうと、同社は述べている。その状況は、10年以内にエアタクシーが実用化されれば、さらに悪化する可能性がある。

今回の資金調達により、同社の累計調達額は2億5000万ドル(約284億円)に達した。今回の資金調達は、Fidelity Management & Research CompanyとMonashee Investment Managementが主導し、ArrowMark Partners、Republic Capital、Raptor Group、Infinite Capital、Embedded Ventures、Fortistar、K3 Ventures、Rosecliff、SV Pacific Ventures、Laurence Tosi(ローレンス・トシ)氏、Dmitry Balyasn(ドミトリー・バルヤスニー)氏が参加した。既存投資家のVenrock、Eclipse Ventures、Fontinalis Partnersも参加した。

画像クレジット:Skyryse

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

GMがディーラーと協力してEV充電ステーション4万基を北米で設置

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車の導入を促進するため、7億5000万ドル(約853億円)を投じて充電インフラを整備するという野心的な計画の一環として、北米全域に最大4万基の電気自動車用充電器を設置すると発表した。


このプログラムでは、GMは米国およびカナダの自動車ディーラーに充電器を提供する。しかし、ディーラーは自社の敷地内に充電器を設置するのではなく、適切な場所を特定してインフラの設置を行う。GMは、各ディーラーに最大10基のUltium充電ステーションを提供し、それぞれの地域に配備する。また、ディーラーが充電器を設置するためのインセンティブやその他の資金調達プログラムへの申請を支援するとしている。

GMのEVインフラ担当リードアーキテクトであるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏はTechCrunchに「ディーラーはすでに地元で活動していることが多く、この計画(Dealer Community Charging Programと呼ばれている)でGMはディーラーと提携することにしました」と語った。「ディーラーはすでに地域社会でかなり活発に活動しており、すばらしい関係を築いて地域社会のことをよく知っているので、それを活用しない手はありません」。

新しいインフラは「Ultium Chargers」と呼ばれ、GMの明確なブランド名を持つことになるが、TeslaのSuperchargingネットワークと違ってGMの4万基の新しいレベル2充電器は独自のネットワークではない。ケロス氏は、電気自動車の販売を促進するために、独占的なネットワークを展開することには興味がない、と明言した。

「我々の世界観は、『誰でも参加できる 』というものです。私たちは、海を育てるようにしたいのです」。

GMはまた、EV充電器メーカーのCTEKと共同で開発・製造した家庭用および業務用のUltium Level2スマートチャージャー3種を展開する。このうち2種は11.5kW、残る1種は19.2kWで、間もなく発売予定の電気自動車GMC HummerやCadillac Lyriqへの電力供給に最適だ。これらの充電器は、Dealer Community Charging Programで使用されるが、家庭での使用にも適している、とケロス氏は話した。

充電器にはWi-FiとBluetooth機能が搭載され、より強力なタイプにはカスタマイズ可能なスクリーンが搭載される。また、充電器は負荷を分散することができ、車両へのエネルギーの流れを安全に調整することができる。例えば、住宅に設置した場合、自動車と他の家電製品との間の電流のバランスを取ることができる。

GMのアプリ「Ultium Charge 360」を使えば、充電器の状態を把握したり、充電スケジュールを設定したりすることができ、充電の習慣や履歴などの統計情報を閲覧することも可能だ。このアプリではすでにGreenlots、Blink、FLO、ChargePoint、EVgo、EV Connect、Greenlots、SemaConnectなど北米の7つのネットワークの充電器を検索することができる。GMは、GM車と非GM車の間で充電体験がどのように異なるかについて詳細は明らかにせず、すべてのEVに対応するとだけ述べた。

GMは、コミュニティ充電プログラムの開始に合わせて、来年には充電器の販売を開始する予定だ。顧客は充電器の購入費用をGMファイナンシャル・リースや契約に組み込むことができる。

同社は、2025年末までに全世界で30種のEVを発売するという目標を掲げている。同年までにEVと自動運転技術に350億ドル(約3兆9810億円)を投資する計画を立てており、その実現に向けて迅速に動いている。

関連記事:GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ

先の記者会見で、会長兼CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「入手しやすい価格のEV、真に手ごろ価格のEVを提供します。またそうした車両は多くの人々にとって唯一の自動車となり、信頼できる充電インフラを必要とするため、当社はエコシステムにも取り組んでいます」と述べた。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

高級SUV「レンジローバー」の電気自動車が2024年に登場

Land Rover(ランドローバー)は、そのラインナップに高級SUV「Range Rover(レンジローバー)」の電気自動車を、2024年に加える計画があることを明らかにした。

この発表は、第5世代モデルにあたる新型レンジローバーの公開に併せて行われた。デザインが一新された新型レンジローバーは、無線によるソフトウェア・アップデートのサポートなど新たな技術を満載しており、プラグイン・ハイブリッド車や電気自動車にも対応するその新開発のフレキシブルなアーキテクチャは、ランドローバーから将来登場する新型モデルのベースとしても使われる予定だ。

ランドローバーは、この近々登場する電気自動車について、多くの情報を開示していない。だが、ブランドの親会社であるJaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)の動きを観察していた人であれば、この事態を予測していたかもしれない。振り返れば2017年に、JLRはJaguar(ジャガー)とランドローバーの両ブランドから2020年以降に発表されるすべての新型車に、電気自動車またはハイブリッド車を設定すると述べていたからだ。

ランドローバーによると、新型レンジローバーは、まずマイルド・ハイブリッド・バージョンが発売になり、やや遅れて(米国では2023年に)プラグイン・ハイブリッド・バージョンが追加されるという。

2023年に登場するExtended Range(エクステンデッド・レンジ)プラグイン・ハイブリッドは、48ボルトのマイルド・ハイブリッド技術を採用した直列6気筒エンジンと、105kWを発生する電気モーター、そして38.2kWh(使用可能容量は31.8kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載し、システム合計で最高出力440psを発生。電気のみで最長100kmの距離を走行可能だ。

画像クレジット:Land Rover

2022年に発売になる新型レンジローバーには、標準 / ロングホイールベースのボディ、6気筒/ 8気筒のパワートレイン、2列5人乗り/ 2列4人乗り/ 3列7人乗りの座席オプションなど、さまざまなバリエーションが用意されている。

米国向けの2022年モデルでエントリーグレードとなるマイルド・ハイブリッドの「レンジローバーP400 SE」は、最高出力400ps、最大トルク550Nmを発揮する3.0Lガソリンターボ直列6気筒エンジンを搭載し、ベース価格は10万4000ドル(約1180万円)。そして最上級グレードは、ロングホイールベースのボディに最高出力530psと最大トルク750Nmを発揮する4.4LガソリンツインターボV8エンジンを搭載した「P530 First Edition」で、こちらは16万3500ドル(約1860万円)からとなっている。いずれも価格には税金およびディーラーまでの輸送費1350ドル(約15万円)は含まれていない。

新型レンジローバーにおけるもう1つの注目すべき技術的なハイライトは「Electrical Vehicle Architecture(EVA 2.0)」と呼ばれる新しい電気系アーキテクチャが採用されたことで、これによって70以上の電子モジュールにおける無線ソフトウェアアップデートが可能になったという。つまり、ランドローバーはこの無線アップデートを介して、新型レンジローバーに新しいアプリなどの機能を追加したり、既存の機能を改良したりできるようになるということだ。これはテクノロジー中心の時代に対応したいと考える自動車メーカーにとって重要な機能である。

新型レンジローバーには、音声アシスタントとしてAmazon Alexa(アマゾン・アレクサ)が搭載されており、最新ニュースを読み上げたり、ドライバーがカレンダーにアクセスできる他、一部の車載機能の制御や、自宅の照明の点灯、Alexa対応の他のデバイスとの接続などが可能だ。

また、スマートフォンの見た目や機能を、車内に設置された画面に表示して使うことができる「Apple CarPlay(アップル・カープレイ)」と「Android Auto(アンドロイド・オート)」も、新型レンジローバーの前席中央に備わる車載タッチスクリーンで利用できる。

画像クレジット:Land Rover

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】フォード2021マスタングMach-E GTとGTパフォーマンス初試乗、ついに「Mach-E」の名にふさわしいものに

Mustang Mach-E(マスタングMach-E)という名前について議論するのはもうやめよう。Mach-Eではなく、もう片方のことだ。電気SUVに塗られたポニーカーの血統。その議論に終止符を打つ。人々は二手に分かれたのだ。Mach-Eがマスタングかどうかという疑問は妥当ではない。「Mach-E GTがGTの名にふさわしいか」という、それよりはるかに差し迫った問いが私たちに投げかけられている。


無条件で、Mach-E GT(5万9900ドル[約684万円]から)とMach-E GTパフォーマンスエディション(6万4900ドル[約741万円]から)の両方がFord(フォード)のグランドツーリングの名にふさわしい。これは通常のMach-Eからのトリムレベルの著しい強化、新たなトラックモード、そしてパフォーマンスエディションではアップグレードしたサスペンションシステムにより実現した。

アンブライドルド

画像クレジット:Roberto Baldwin

ベース車のMach-EはEVパワートレインのおかげですでに加速面で優れている。GTとGTパフォーマンスエディションでは、加速とスロットルレスポンスが増して驚異的な速度のバーストを生んだ。標準のGTは480馬力、600ポンドフィート(約814ニュートンメートル)のトルクを誇り、完全停止状態から3.8秒で時速60マイル(約96km)に達する。フォードは加速のために、バッテリーパックは88 kWhと変わらないままパックの配線とチューニングを強化しつつ、フロントモーターをアップグレードした。

予算に余裕があり、もっと早く時速60マイル(約96km)を出したい人には、480馬力、634ポンドフィート(約860ニュートンメートル)のトルクで、3.5秒でゼロから時速96kmに達するGTパフォーマンスエディションがよい。GTと同じく、バッテリーの配線とチューニングのアップグレードとフロントモーターの強化が行われた。

両車とも出荷時は前輪駆動(AWD)標準だ。すべてのEVトルクを道路に伝達するのに役立つが、そのパワーは本来あるべきほど十分に維持されない。複数回のローンチの間、両方の車両の前輪が、ローンチ時または時速30マイル(約48km)に達する前にスリップした。また、GTパフォーマンスエディションで、完全停止状態からアクセルを踏んだ瞬間のトルクステアも体験した。

これらの小さな急加速がGTで予想される。通常のMach-Eと同じマルチリンク式サスペンションで回転する。しかしGTパフォーマンスエディションは、MagneRideサスペンションシステムを装備したフォード初のEVだ 。コーナーでボディロールを減らすことには優れているが、発進時にフロントのホイールのスリップを減らすためにバックエンドが飛び出さないようにするには、もう少し調整が必要なようだ。私は同日に両方の車を運転して、高速道路と田舎道の両方でMagneRideの利点を見ることができた。GTは角を曲がったところで適切なハンドリングができたが、より高価なGTパフォーマンスエディションよりもはるかに多くのボディロールが見られた。ヘアピンターンでこれは特に顕著だった。そこではパフォーマンスエディションは車体を保持していたが、GTは外側に飛び出していた。

コーナリングに関しては、どちらの車両もAWDで、わずかなアンダーステアを示した。これさほど驚くことではない。しかし試乗2日目には、フォードはGTパフォーマンスエディションでレース用トラックを走らせてくれた。トラクションコントロールをオフにするとコーナーでよりニュートラルに感じ、力を入れるとわずかにオーバーステアが生じた。

BlueCruise

GTを運転している最中に、フォードのハンズフリー運転支援システム「BlueCruise(ブルークルーズ)」に初めてお目にかかった。GMのSuper Cruise(スーパークルーズ)のように、レベル2システムにより一定条件下でドライバーがホイールから手を離すことができる。スーパークルーズと同様、システムは地図化されている中央分離帯のある高速道路に対してジオフェンスされており、ドライバーモニタリングシステムを使用してホイールを握る人が道路に注意を払っているか確認する。フォードは、ブルークルーズをオプションの1900ドル(約22万円)のフォードCo-Pilot360 アクティブ2.0パッケージの一部として両方の車両で利用できると述べた。

テスト中、システムはGMの製品よりもわずかに堅牢性が低く、急カーブ後の車両のノッキングが少し多いことがわかった。1度だけ、車両が十分に鋭く曲がっていないと感じ、隣の車線に滑り込んでいくと思ったため、ステアリング動作を引き継いだ。ほとんどのコーナーで、直線で走行するとき、変化する交通状況とカットインを上手く処理していた。前方の路上ではなくインフォテインメント画面を見るのに時間をかけすぎると、システムに適切に注意してくれた。

警告音が少し大きくなり、フォードがダッシュクラスターに加えて、ライトバーまたは警告灯が車両のステアリングホイールに追加され、注意が必要なときやBlueCruiseのハンズフリー機能が解除されるときに警告してくれるようになることを強く願う。BMW、GM、Mercedes(メルセデス・ベンツ)はオンホイールインジケーターを使用している。フォードが彼らの先導に従わないことに決めたのは残念だ。

内装:同じだが、違う

内装は通常のMach-Eと同じだが、新しいシートでは素材がアップグレードされている。GTではスポーツスタイルのシートにより、コーナリング中にドライバーがシートから飛び出さないよう、サイドボルスタリングをわずかに追加している。新しいシートは、過度にスポーティーでなく快適だ。

GTパフォーマンスエディションのシートは別の問題がある。パフォーマンスのシートはショルダーラインに追加エレメントがあり、身長190cmの私は態勢をどう変えても座り心地がよくなかった。背が低い場合は大丈夫だが、私は座り心地が悪く、GTに乗り換えるとよくなった。

通常のMach-Eと同様、二種類のGTはSync 4A を搭載したフォード製15.5インチポートレートディスプレイを採用している。インフォテインメントシステムはわずかなレイテンシを示した。その表面積の大きさが、これが車の未来であることを思い出させてくれる。ほとんどの機能をすぐに利用でき、ディスプレイ近くに大きなノブがあることがこの車で一番のお気に入りだ。

温度調節はインフォテインメントシステムによって処理されるが、私は好きではない。コントロールが常に画面の下にあるため、温度の調整は比較的簡単だった。

両方の車両の後部座席は、背の高い大人でも快適だ。また、後部座席の後ろにあるMach-Eの29.7立方フィートの貨物スペースは、中型の荷物を4〜5個運ぶには十分だ。

バッテリ―とレンジ

画像クレジット:Roberto Baldwin

GTのすべての楽しみは、ベース車のMach-Eの4万2895ドル(約490万円)と比べて、大きなコスト差のある価格で提供される。

パワーが増強されると、走行距離を失う。Mach-E(5万775ドル(約580万円)から)は1回で306マイル(約492km)走行できる。Mach-E GTは最高270マイルに達し、GTパフォーマンスエディションは260マイルの後電力系統に接続する必要がある。

幸運もどちらもDC急速充電ステーションで最大150 kWの充電をサポートしている。さらにはプラグアンドチャージ機能を備えていることから、Electrify America(エレクトリファイ・アメリカ)のような充電ステーションでアカウントを持っていれば、車両を接続するだけで、アプリやクレジットカードを使用せずにその電気を車両のバッテリーに送り始める。車両を認識してくれるのだ。

どちらを購入するか

Mach-E GTパフォーマンスエディションは5000ドル(約57万円)をパワーのわずかな向上とサスペンションの改善に費やすことへの、説得力ある事例を作り出している。現実は、運転者のほとんどがトラックを見たり、フォードのMach-E trackトラックモードのUnbridled Extend機能を使用したりすることは絶対にない。彼らはトラックタイムより交通状況を見る、日常生活のドライバーである可能性が高い。その場合、ハンズフリーのBlueCruiseを搭載した1900ドル(約22万円)の運転支援パッケージは価値ある出費だ。

どちらを選択しようとEVの運転体験が得られる。私たちは同意しないかもしれないが、間違いなく認めることができるのは、マスタングがGTバッジにふさわしいということだ。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Dragonfly)

エアタクシー離陸に向けたロサンゼルスの取り組み

配車サービスやeスクーターなどの製品を提供している企業は、発生する問題の数を超えるペースでさまざまな問題を解決していくと約束してはいるものの、米国中の都市の交通は混乱状態だ。ロサンゼルスは、CO2排出量ゼロの交通機関を導入しようと躍起になっており、エアタクシーの導入では過去の過ちを繰り返さないようにしたいと考えている。


ロサンゼルスでのエアータクシー導入の準備を進めるため、ロサンゼルス市長Eric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏の肝いりで設立された非営利組織が、2020年代後半に予定されている商業運転の開始に先立ち、エアタクシーの開発元および地元住民と協力して、ポリシーツールキットの開発に取り組んでいる。

しかし、その前に多くの問題を解決する必要がある。第一に、エアタクシーは、連邦航空局の認可を受ける必要がある。これ自体、大変な仕事だ。しかも認可を受ける前に、サービス提供企業はインフラの構築計画を立てる必要がある。つまり、エアタクシーのバーティポート(垂直離着陸機用の離発着ターミナル)の建設だ。ところが、これには騒音、都市計画法などの現実の問題がともなう。これらは、市民だけでなく交通網にも影響を及ぼす可能性のある問題だ。

Urban Movement Labs(UML)は、2020年に市長の経済開発局からスピンアウトして設立され、市のモビリティの未来を形成するという目的で、501c(3)非営利独立組織となった。2021年、同組織は市長室およびロサンゼルス運輸局と都市航空モビリティ(UAM)の推進で提携し、UAMを市の既存のインフラおよび交通網に統合し、なおかつ公平性とアクセス性が最大化されるようにするための具体的な取り組みを進めている。

このパートナーシップに資金を供給したのは、Archer AviationとHyundaiの都市エアモビリティ部門だ。

「HyundaiとArcher Aviationからは、このポリシーツールキットの開発支援を重視するという確約をいただいています」とUMLのエグセクティブディレクターSam Morrissey(サム・モリシー)氏は、最近行われたインタビューに答えて語った。「このポリシーには、エアタクシーの飛行区域、飛行経路、民間機専用空港以外で着陸が許可される場所についてのポリシー、その他バーティポートの計画に関連するポリシーが含まれます」。

Joby Aviationは設立当初からUMLと協力を続けている。また、ドイツのUAM開発企業Volocopterが2021年10月初め、最新のパートナーとして新たにUMLに参加した。

「私たちの役割は、ロサンゼルスへの新しいテクノロジーの導入を促進することです」とモリシー氏はいい、Uber、Lyft などの輸送企業およびスクーターレンタルサービス登場後の状況のように、新しい輸送テクノロジーが導入されてから慌てて規制を整備するようなことは避けたいと考えていると付け加えた。

「2016年にUber Elevateが米国の各都市でエアタクシーを巡航させるという話を始めたとき、ロサンゼルス市は「この問題に注力できる別の組織が必要だ」と述べている。

インフラストラクチャの課題

UMLは、自身を、ロサンゼルス市、民間企業、そして何より、ロサンゼルス市民の三者間の橋渡し役と考えている。この三者の展望は必ずしも一致していない。特に、電気エアタクシーの導入には、火災の危険性、飛行区域、騒音、利害関係者間で意見の食い違いが生じるさまざまな問題など、解決すべき特殊な課題がある。

バーティポートについて考えてみよう。航空機の認可は完全にFAAの管轄だが「新しいインフラをゼロから構築する必要がある場合は、地方自治体と市の問題であることは明らかです」とJoby Aviationの政府業務関連担当主任GregBowles(グレッグ・ボウルズ)氏は説明する。「(エアタクシーの)利用方法、アクセス、許可はすべて自治体の問題です」。

モリシー氏によると、各企業は飛行経路の策定を、例えばUberのプレミアムサービスであるUber Blackが現在主にどこで利用されているかを見るという具合に、マーケットの観点から考えているが、UMLは、これを地域計画のアプローチに重ね合わせることで、UAMが既存の交通網を長期的にどのような形で支えるようになるのかを説明したいと考えている。

敷地と都市区画法の問題もある。かつてバーティポートの敷地候補となった場所が突如として浮上してくるニンビー主義についてはすぐに想像できるが、その他にも、航行速度や1時間あたりのフライト数なども、特定の敷地を利用できるエアタクシー業者の数に影響を与える可能性がある。

Archer AviationとJoby AviationはどちらもREEF Technologyとの民間提携を宣言して、立体駐車場などの資産をバーティポートとして再利用することを考えているが(UMLも立体駐車場はいろいろな意味で極めて合理的だという認識を示している)、エアタクシーが実際に顧客を乗せて飛行するには、市自体の規制も考慮に入れる必要がある。

「立体駐車場の屋上階を歳利用するのは良いアイデアですが、最終的にはビルの安全性部門が、こうした立体駐車場はエアタクシーを支えるだけの強度があるのかとか、消化設備は十分に備わっているのかといった問題を調査する必要があります」とモリシー氏はいう。

バーティポートを専用利用にするのか企業間で共有するのか、また専用と共有の割合をどくらいにするのかというのも大きな問題だ。エアタクシーの離着陸サイトとしては、空港ゲート型(均一的ですべての航空会社によって共有される)、ガソリンスタンド型(ブランド化されており、競争が激しく、施設も異なる)などが想像できる。この点も、市、住民、エアタクシー企業の間で対立が生じる可能性がある。

とはいえ、少なくとも最初は、大半の企業が、(例えば騒音や料金などについて標準を設定するなどして)連携するほうが、各企業で個別に取り組むよりも全体的な商業化と採用への近道になると考えるだろう。

「私たちはバーティポートを競合スペースとしては見ていません」とJoby Aviationのバーティポート標準化作業についてボウルズ氏はいう。「バーティポートは絶対に必要ですから、他の多くのOEM業者や将来のエアタクシー事業者と協力して取り組んでいます」。

画像クレジット:Joby Aviation

最後の質問はもちろん、誰が費用を支払うのかという永続的な問題だ。

「将来のバーティポートについて考える場合は、さまざまな課題について検討する必要があります。建設費用と運営費用の負担、バーティポートを利用できる人についての市との話し合い、自由にアクセス可能にするかどうかについてのコミュニティ側から見た賛否両論などです」とArcher Aviationの事業開発担当主任Andrew Cummins(アンドリュー・カミンズ)を氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語った。

UMLの都市エアーモビリティ担当フェローClint Harper(クリント・ハーパー)氏もカミンズ氏と同意見だ。ロサンゼルス市は「OEMあいまい性」を好んでいることを明言してきたものの、最終的な交通網の大半は、バーティポートが完全に民間によって建設されるのか、官民連携で建設されるのかによって大きく異なってくる。「完全な民間と官民連携とでは、インフラを現実化するための財源モデルも異なります」と同氏はいう。「どのような財源モデルを採用するかによって、複数事業者の共有施設になるのか、単一事業者の専用施設になるのかが決まります」。

Volocopterの最高商務責任者Christian Bauer(クリスチャン・バウアー)氏は、すべてのOEMにとって「オープンなシステムが必要」だというのが同社の考えであると語った。「私たちは不動産には投資したくありません」と同氏は付け加えた。

市との協力体制と今後

以上の問題の多くは大きな問題であり、妥協案が成立するまでに数年を要するだろう。というのは、各都市はまだ連邦規制のガイダンス待ちの状態だからだ。ハーパー氏は、FAA、National Fire Protection Association(全国防火協会)、International Code Council(国際基準評議会)の建築基準法の推奨事項の変化に柔軟に対応していくと語った。

エアタクシーOEM業者も自分たちの意向を反映してもらうために連邦レベルでポリシーの策定作業を進めている。Archer Aviation、Joby Aviation、およびVolocopterはすべて連邦の規制担当機関および都市と協力して作業を行っている。

UMLは、2021年の残りと来年を見据え、交通支援グループ(歩行者や自転車の安全支援組織など)およびホームレス問題などを注視している社会問題グループにも接触して、都市航空モビリティ計画の策定方法を把握するつもりだという。過去の過ちを繰り返さないためには、交通計画には公平性がとりわけ重要となる。例えばUnion of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟)によると、有色および低所得のカリフォルニアの住民は排ガスにさらされる度合いが異常に高いという。

市側の作業の大部分は、市の関連部門がバーティポートの建設に関する最新の動向を常に把握している状態にすることだ。具体的には、建設、安全、火災関連部門などが、バーティポートおよび新しいインフラの建設準備のためにフルタイムの職員を割り当てられるようにすることなどがある。

結局のところ、UMLは、順序立てて事を進めていくつもりだ、とモリシー氏は述べた。

「エアタクシーはおそらく現実のものとなるでしょう。私たちはそのためにあらゆる準備を怠らず、ハイプ・サイクルに陥らないようにしたいと考えています」。

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

ホンダがモバイルバッテリーをシェアサイクルに活用、電動自転車の「電池切れ」解消へ

ホンダがモバイルバッテリーをシェアサイクルに活用、電動自転車の「電池切れ」解消へ

電動アシスト自転車の“電池切れ”をモバイルバッテリーで解消する──。そんなことが可能になる「シェアサイクル用2電源システム」をHondaが開発しました。2022年にシェアサイクル事業者との共同実験を行い、事業化を目指すとしています。

このシステムは、普段持ち歩くモバイルバッテリーをシェアサイクル用の電動アシスト自転車に接続するという至って単純な仕組み。これにより、走行時の電池切れを防げるほか、停車時に自転車への充電も可能です。

いまや公共交通機関やクルマのラストワンマイルを支える“モビリティ”に欠かせない手段となった自転車ですが、Hondaによれば、車両の充電を含めたシェアサイクル事業者のオペレーションコストは、売上の半分以上を占めるとのこと。

Hondaは、このシステムを活用することで、シェアサイクル事業者が車両を充電するためにかかるコストを削減し、事業収益の改善に貢献できる点もアピールしています。

ちなみに、このシステムのネーミングの由来については、「モバイルバッテリーと車両本体のバッテリーの2つから同時に電力を供給することができるシステムという意味を表現した」としています。

・本田技研工業株式会社 執行職 モビリティサービス事業本部長 高見聡氏のコメント

現在、都市における移動手段として利用が拡大するシェアサイクル領域ですが、事業者のオペレーションコスト削減が課題となっています。シェアサイクル用2電源システムはシンプルなアイデアから生まれましたが、ユーザーには利便性を高め安心して利用いただくことができ、事業者の課題である充電切れ解消や電池交換コスト削減にも貢献することができると考えています。Hondaは、こうした課題解決を通じ、モビリティサービスの更なる充実にチャレンジしていきます

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

米運輸安全委がマスク氏にテスラ「Autopilot」の設計変更を要求、安全勧告無視に懸念

米国運輸安全委員会(NTSB)のJennifer Homendy(ジェニファー・ホメンディ)委員長は、Tesla(テスラ)に対し、同社の先進運転支援システムがドライバーに誤用されないように設計を変更するよう求めた。

TechCrunchが閲覧したこの書簡は、NTSBが4年以上前に出した2つの安全勧告をTeslaがまだ実施していないことに懸念を示している。これらの安全勧告に対応する緊急性は現在、Teslaがいわゆる「フルセルフドライビング(FSD)」ソフトウェアベータ版を通じて、より多くの自動運転機能を展開していることで高まっている。

ホメンディ氏は「貴社の車両に関わる我々の事故調査では、誤使用の可能性があるため、安全性を確保するためにはシステム設計の変更が必要であることが明確に示されています」と記している。Teslaにもコメントを求めているが、回答は得られていない。

NTSBは勧告を行うだけで、既存の法律を施行したり、政策を決定する権限はない。

ホメンディ氏は、NTSBが調査してきたさまざまな事故や事件の後、TeslaがNTSB調査官に協力していることに感謝しつつも、書簡の大部分を使って、Teslaが「NTSBの重要な安全勧告を実施していない」ことへの深い懸念を述べている。

一部抜粋する。

貴社はこれまで「Teslaの設計においては、常に安全性が第一の要件である」と述べてきました。ウィリストン、デルレイビーチ、マウンテンビューで発生した致命的な事故の原因となった設計上の欠陥をまず解決することなく、最近の発表では、Teslaのドライバーは、高速道路と市街地の両方で動作する「フルセルフドライビング(FSD)ベータ版技術」へのアクセスを要求できるということで、以前の発言は裏切られました。

Tesla車の設計において安全性を最優先することを真剣に考えているのであれば、4年前に私たちが出した安全性に関する提言を完全に実行していただきたいと思います。

NTSBは、道路における悲劇や負傷を防ぎ、人命を救うためのさまざまな技術の導入を長年にわたり提唱してきましたが、そのような技術を導入する際には、すべての道路利用者の安全を第一に考えることが極めて重要です。私たちの安全に関する提言についてのアップデートをお待ちしています。

2017年、NTSBは、Joshua Brown(ジョシュア・ブラウン)氏が乗ったTesla Model S(モデルS)セダンが、進路を横切ったトラクタートレーラーに衝突して死亡した事故の調査に基づき、同社に対して2つの安全勧告を出した。この事故では、Teslaの先進運転支援システムであるAutopilotが作動していた。同局は、ブラウン氏がAutopilotを、システムが想定していない道路で使用していたことや、長時間ハンドルから手を離し運転していたことを明らかにした。Autopilotはハンズフリーシステムではない。

NTSBは、TeslaのAutopilotシステムは、ドライバーがステアリングホイールを握る動作を効果的に監視し、それに対応してドライバーのエンゲージメントを確保していないと判断した。同局はTeslaに対し、Autopilotを設計時の条件に限定するセーフガードを設け、さらに「ドライバーのエンゲージメントレベルを効果的に感知し、自動車両制御システムの使用中にエンゲージメントが不足している場合はドライバーに警告する」方法を開発するよう勧告した。

Teslaは、Autopilotなどのいわゆるレベル2の運転支援システムについては、許容される動作環境をドライバーが決定するため、運用設計領域(ODD)の制限は適用されないと主張している。ホメンディ氏はマスク氏に宛てたメールの中でこの主張に反論し、当局の事故調査では「誤用される可能性があるため、安全性を確保するためにシステム設計の変更が必要であることが明確に示されている」と指摘した。

またホメンディ氏は、レベル2の運転自動化システムを搭載した車両を持つ他の自動車メーカー5社に、ドライバーの関与を促し警告する方法を適用するよう勧告を送ったことにも言及した。ホメンディ氏がマスク氏に宛てた書簡によると、これらのメーカー5社はNTSBに回答し、ドライバーのエンゲージメントレベルをよりよくモニターするために計画している、または実施している行動を説明したという。

「Teslaは、この勧告について公式に回答しなかった唯一のメーカーです」と同氏は書いている。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

テスラの時価総額が1兆ドル突破、レンタカーHertzとの大型契約で株価上昇

Tesla(テスラ)の時価総額が米国時間10月25日に1兆ドル(約113兆円)を突破した。上場から11年目にして達成したマイルストーンだ。これにより同社は、時価総額が1兆ドルを超えるApple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)と並ぶ。

Teslaの株価は、米国時間10月25日正午に998.22ドル(約11万3400円)となった。本稿執筆時点の株価は約994ドル(約11万2900円)で、取引開始時から約9%上昇している。

この株価上昇は、最近破産から脱却したレンタカー大手のHertz(ハーツ)が、Teslaから10万台のEV購入に合意したことなど、Teslaに関連するいくつかのニュースを受けてのものだ。この購入により、Hertzが全世界で展開するレンタカー車両の20%がEVとなる。契約額は42億ドル(約4777億円)とされている。早ければ11月にも米国の主要市場および欧州の一部の都市で、HertzのレンタカーにTeslaのModel 3が導入される。

また、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)のアナリストであるAdam Jonas(アダム・ジョナス)氏が、目標株価を従来の900ドル(約10万2200円)から1200ドル(約13万6300円)に引き上げ、オーバーウエート(買い)の評価を継続すると発表したことなど、Teslaに関する強気の情報を提供するニュースも株価上昇に貢献した。

加えて、これとは別に、JATO Dynamicsのレポートによると、TeslaのModel 3は9月に欧州で最も売れたクルマで、初めて電気自動車が内燃機関モデルを上回ったとロイターが報じた

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

米レンタカーHertzがテスラにEV10万台発注、両社の株価は上昇

レンタカー大手のHertz(ハーツ)はTesla(テスラ)車10万台を発注した。2022年末までの納車が見込まれる。これは、単一のEV(電気自動車)購入としては史上最大規模だ。Bloombergの報道によれば、この契約額は42億ドル(約4777億円)といわれており、Hertzは全世界で展開するレンタカーの20%をEVでまかなうことになる。

Tesla Model 3は、早ければ11月にも米国の主要市場および欧州の一部の都市でHertzのレンタカーに登場する。

今回の注文は、今後14カ月間に生産・納入されるTesla車のかなりの部分を占めることになりそうだ。Teslaの2020年の納入台数は49万9550台で、その大半が最も人気の高いセダン「Model 3」だった。2021年に入ってから、生産台数と納車台数は増加している。同社は2021年第1〜第3四半期に62万7572台を納車した。同期間の生産台数は約62万4582台だった。

Hertzはまた、EV増加に対応するため、ネットワーク全体で数千台の充電器を設置し、Tesla車をレンタルする顧客に対して、車の使い方や充電方法の教育を含む「プレミアムで差別化されたレンタル体験」を提供する計画を発表した。Model 3をレンタルする顧客は、Teslaのスーパーチャージングステーションも利用することができる。同充電施設の一部は、Tesla車の販売が急増しているためにすでに切迫した状態にある。

今回のニュースを受けて、Teslaの株価は5%以上上昇し、取引開始直後に960ドル(約10万9200円)まで上昇した。また、Hertzの株価も11%上昇し、約27ドル(約3070円)となった。

旅行・観光業界の他の企業と同様に、Hertzも2020年5月にはレンタカー利用の減少により破産申請を行うなど、多難な状況を経験した。今回のTeslaとの契約は、Hertzが破産から脱却してからわずか4カ月後のことで、レンタカー業界が目覚ましい回復を遂げている中でのものだ。投資会社Knighthead Capital ManagementとCertares Managementが2021年初めにHertzを買収した。

画像クレジット:Hertz

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラ、最新「完全自動運転」ベータ版ソフトウェアの問題が相次ぎ即座に撤回

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社のフルセルフドライビング(FSD)ソフトウェアベータ版の最新バージョンがリリースされてから1日も経たないうちに、一時的にロールバックしたとツイートした。

「(FSDベータ)10.3でいくつかの問題が発生したため、一時的に10.2に戻しました」とマスク氏は米国時間10月24日にツイートした。「これはベータ版ソフトウェアでは想定の範囲内だと了承して頂きたい。社内のQA(品質保証)では、すべてのハードウェア構成をあらゆる条件下でテストすることは不可能であり、そのためのパブリックベータ版ということです」とも。

このニュースは、Teslaが「Autopilot(オートパイロット)」とブランディングされている先進運転支援システムの安全性について規制当局から非難を受けている中でのことだ。AutopilotはTesla車に標準装備されている。いわゆるFSDソフトウェアはプラス1万ドル(約110万円)で、より多くの自動運転機能を提供する。

関連記事:米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

ただし、Tesla車は自動運転ではない。先進運転支援システムであることに変わりはなく、FSDが作動していてもドライバーは十分な注意を払う必要がある。最近のMITの研究では、(Autopilot作動中に)ドライバーの注意力が低下する傾向にあり、それが安全上のリスクにつながることがわかっている。

関連記事:MITがテスラ車ドライバーは「オートパイロット使用時に注意散漫になる」研究結果を発表

バージョン10.3は、米国時間10月22日に一部のTeslaオーナーにリリースされる予定だったが、23日にマスク氏は、もう1日待つ必要があると述べていた。

「10.3の内部QAで、信号機での左折時の不具合が見つかった」と同氏は23日にツイートした。「現在修正中で、おそらく明日リリースする予定です」。

FSD10.3ベータ版ユーザーが投稿した動画には、危険がないにもかかわらず「前方衝突警告」が発せられたという例が複数あり、中には理由なく自動ブレーキがかかる車両もあった。また、ドライバーたちはソーシャルメディアに、オートステアオプションの消滅、トラフィックアウェア クルーズコントロール機能の問題、Autopilotのパニックなどの問題を投稿した。マスク氏は、Autopilotとクルーズコントロールの問題に取り組んでいるとツイートしている。

マスク氏は、FSDの次のバージョンのリリース日についてはまだ発表していない。

画像クレジット:Tesla

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

スウェーデンのスタートアップJetsonが1人乗りeVTOL機「Jetson One」正式発表、2022年の生産予定数はすでに完売

スウェーデンのスタートアップJetsonが1人乗りeVTOL機「Jetson One」正式発表、2022年の生産予定数はすでに完売

Jetson AB

スウェーデンのスタートアップJetsonが、1人乗りのeVTOL「Jetson One」を発表しました。2018年にプロトタイプによる飛行テストを成功させており、市販バージョンはすでに2022年の生産予定数である12機を完売。現在は2023年生産分となる5機の予約注文を受け付けており、生地執筆時点で残り枠は3機になっています。

空飛ぶ車やエアタクシーなどいくつかの呼び方があるeVTOL業界はすでに150社以上がひしめいているとされますが、そのほとんどはいまだ市販できる段階に至っていません。しかしJetsonは今回の発表でOneを顧客に提供する準備ができていることをアピールしています。

Jetson Oneはアルミフレームで構成される1人乗りのeVTOL機で、大容量のリチウムイオン電池を搭載しつつ機体重量を86kgに抑えています。

純粋に楽しむことを目的とした機体で、その飛行性能は最高速度63mph(約102km/h)を出すことが可能。4本のアームに8つのプロップ(プロペラ)を備えており、合計88kwのピークパワーで浮上します。なお、Jetsonの説明によれば、仮にモーターが何らかのトラブルで1つ停止しても、安全に飛行できるとのこと。

スウェーデンのスタートアップJetsonが1人乗りeVTOL機「Jetson One」正式発表、2022年の生産予定数はすでに完売

Jetson AB

操縦は左右のレバーで行い、右レバー手前にはおそらくスマートフォンを利用したダッシュパネルで最小限の情報を表示しています。

情報表示がスマートフォンというところには一抹の不安を覚えなくもありませんが、機体に搭載されるフライトコンピューターはトリプルリダンダント、つまり3重冗長構成になっており、たとえばパイロットがスティックから手を離してしまってもその場にホバリングしたり、もしくは自動的に着陸することが可能。LiDARによる地形把握・障害物回避機能を備え、トラブルを未然に防止するようになっています。最悪、ある程度の高度から落下するような事態になっても迅速に展開する緊急着陸用パラシュートが搭載されています。

機体サイズは2845×2400×1030mmですが、動画を見ればわかるとおり非常にコンパクトで、使用しないときはプロップアームを折りたたんでその幅を90cmにまで縮めることができ、実質バイクとそれほど変わらないぐらいの大きさになるとのこと。したがって保管場所や可搬性の点でも便利になっています。

紹介動画では、周囲に何もない荒野をすいーーーっと飛ぶJetson Oneが映し出されており、観ていて非常に楽しそうに思えます。現実問題としてこの機体を飛ばせる場所は非常に限られることでしょうが、もし操縦が簡単で誰でも操縦できるような代物であれば、一度試乗してみたい気もします。

Jetson Oneは50%組み立て済みの自作キットとして提供され、おそらくこれを飛ばそうとする人は自家用操縦士のライセンスが必要になるはず。またオプションでプロップガードが用意されるでしょうが、万が一の墜落の際は何の保護にもならないであろうことは覚悟が必要かもしれません。また飛行時間は15分しかないため、はるばる飛ばせる場所まで出かけても、20~30分後には帰り支度をすることになるでしょう。

それでも、安全な場所で安全に飛行を楽しみたい人のであれば、Jetosonは9万2000ドル(約1045万円)で予約注文を受け付けているとのこと。手付金は2万2000ドル。購入費用と必要なライセンス、法規制、広大な土地など条件を満たした環境があるならば、来年、再来年には自宅のガレージに自家用eVTOLを置ける時代がやってきます。

(Source:Jetson(Instagram)。Via ElectrekEngadget日本版より転載)

完全自動運転、フライングカー、ロボットポニー。XPeng 2021 Tech Dayトップハイライト

中国のスマート電気自動車メーカーであるXPeng(小鵬汽車、シャオペン)は、未来のモビリティエコシステムの構築を見据えた一連のイノベーションを発表した。

XPengの会長でCEOのHe Xiaopeng(小鵬何、シャオペン・フー)氏は、中国時間10月24日(日曜日)に北京で開催された2021 Tech Dayにおいて「より効率的で安全、かつカーボンニュートラルなモビリティソリューションの探求は、スマートEVをはるかに越えて、当社の長期的な競争優位性の礎となります」と述べた。「お客さまのために、最先端のモビリティ技術を量産モデルに搭載することを目指しています」。

シャオペン氏は、同社の先進運転支援システム(ADAS)の最新バージョン 、スーパーチャージャー・ネットワーク 、HT Aero(HTエアロ)との共同開発による次世代飛行自動車、そして 子ども用ロボットポニーについて詳しく説明した。

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街乗り用にデザインされるXpilot 3.5

「シティ・ナビゲーション・ガイデッド・パイロット(NGP)」を搭載するXpilot 3.5

XPengは、2022年前半に一部の都市で次世代ADASをドライバーに提供する予定だ。Xpilot 3.5は「シティ・ナビゲーション・ガイデッド・パイロット(NGP)」を搭載するが、XpengのP5ファミリーセダンのみで利用できる予定だ。P5ファミリーセダンには、都市レベルのNGPには必須の、LiDAR(ライダー)、ミリ波レーダー、複数のターゲットを認識・分類・位置付けできる3D視覚認識ネットワークが搭載される。

これに対して、XpengのP7セダンのドライバーに提供されたXpilotの現行バージョンである3.0は、高速道路レベルのNGPに対応し、Xpengは距離にして約1200万キロメートル分のデータを収集している。

Xpilot 3.5には、高度な予測機能を備えた戦略的プランニングモジュールが搭載され、ルール駆動型とデータ駆動型のAIを組み合わせて、静止物や路上の弱者の回避、任意の速度での車線変更などの、都市型シナリオに対応できるという。

XPengの完全自動運転へのアプローチは、Tesla(テスラ)と同様にレベル2の自動運転(ADASシステム)を経て、レベル5に到達することを目指している(SAE International[米国自動車技術者協会]は、レベル2の自動運転を、アダプティブ・クルーズ・コントロールやブレーキ・サポートなどのサポート機能を中心としたものとしている。そしてレベル5の自動運転とは、あらゆる状況下でどこでも運転ができるシステムと説明されている)。テスラは2021年9月、顧客がFSDベータ(Full Self-Driving Beta)ソフトウェアの利用を要求できるソフトウェアアップデートをリリースした。FSDには、自動車線変更、駐車場への進入・退出、オートステアリングなどの機能が含まれているものの、現在のところ街中ではまだ利用できない。テスラは、この機能をいつ都市で使えるようにするかについては明らかにしていない。同機能は視覚とニューラルネットワーク処理のみを利用する

XPengの自動運転担当副社長であるXinzhou Wu(吳新宙、ウー・シンジョウ)氏は、イベントの中で「人間と機械の共同運転機能は、当面の間、重要なものであり続けるでしょう」と述べた。「私たちの 使命は、高度な運転支援から完全な自動運転へと段階的に移行することであり、まずすべての運転シナリオを完全に洗い出すという明確なロードマップを持っています。クローズドループでのデータ操作、ソフトウェアの反復開発、量産性など、すべてを自社で開発していることで、私たちは安全性を大幅に向上し、業界のロングテール問題を解決するための最先端を走ることができているのです」。

テスラがFSDソフトウェアを有料化したように、XPengもXpilotを有料化した。XPengはバージョン3.5の価格を明らかにしなかったが、XPengの広報担当者は、バージョン3.0は現在2万人民元(約35万5400円)で買い切るか、または年間サブスクリプションで支払うことができるとTechCrunchに語った。

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Xpilot 4.0でフルシナリオのポイントツーポイントADASを実現

XPengが2023年前半に展開を予定しているXpilot 4.0は、完全な自律性を目指すレースでの優位をもたらすことになるだろう。この計画でXPengは、クルマを起動してから駐車するまで、ならびにその間のすべての場面のフルシナリオの、アシスト付きスマートドライビング体験を提供する最初の企業となることを目指していいる。

このバージョンのXpilotは多大な計算能力を必要とするため、XPengはバージョン4.0のためのハードウェア・アップグレードを開発している。同社はその声明の中で「508 TOPS ECUの計算能力を、2つのOrin-X自動運転システム・オン・ザ・チップ(SOC)ユニットでサポートしています。800万画素のフロントビュー双眼カメラと290万画素のサイドビューカメラ(これらで前後左右をカバー)、そして高度に統合された拡張可能なドメインコントローラーを搭載しています」と述べている。

XPengは、Xpilot 4.0の市場投入準備を行う中で来年末までに、高速道路でのNGP走行距離7500万マイル分、市街地でのNGP走行距離2200万マイル分のデータ収集、さらに自動駐車機能であるValet Parking Assist(VPA)の普及率90%を目指している。

XPengはまた、これらのADASを量産する際の安全性の重要性を強調し、スマートドライビングはその1つの側面に過ぎないとした。スタートアップは、ユーザーインターフェイスとオペレーティングシステムのアップグレードを発表した。Xmart OS 4.0は、車の周囲の環境を3Dで表現し、詳細な表示を行うことを約束した。XPengは、ドライバーがよりスムーズに運転できるように、独自の音声アシスタントのバージョン2.0も提供しようとしている。

最後に、テスラがFSDベータ版ソフトウェアをテストしたいドライバーのために安全性スコアを公開すると同時に、新しい保険のために大量のデータを取得したように、XPengはXpilotを起動する前にドライバーがXpilotの限界を理解できるようにするための安全性テストを公開している。ドライバーにはスマートドライビングスコアが表示されるが、XPengはその正確な提供時期を明らかにしていない。

5分で最大200kmの走行が可能になるスーパーチャージャー

もしXPengが未来のスマートモビリティーのエコシステムを作りたいのであれば、そのための電力が必要だ。XPengは、すでに中国全土で1648カ所の無料充電ステーションと439カ所のブランド充電ステーションを展開しているが、今回のTech Dayでは、800Vの高電圧を持つシリコンカーバイド製の量産型充電プラットフォームをベースにした次世代の「X-Power」スーパーチャージャーを生産する計画を明らかにした。

X-Powerチャージャーは、わずか5分でEVが200kmまで走行できるだけの電力を供給することができ、1台のスーパーチャージャーで平均30台の車両を同時に充電することができるとXPengはいう。またXPengは、軽量の480kWの高電圧スーパーチャージャーバッテリーを導入する予定だ。このバッテリーは車両と一緒に納品されるためオーナーは初回の充電にそれを使うことができる。このスーパーチャージングネットワークをサポートするために、XPengは電池と移動式車両の形の充電設備を立ち上げるという。

XPengは、この新しい充電技術がいつ市場に出るかについては明言していない。

地上走行もできるフライングカー

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XPengはこのイベントで、世界トップの、低高度有人フライングカーメーカーになるという新たな目標を明らかにした。そして、第6世代のフライングカーの計画を発表した。しかし、これはただのフライングカーではない。路上も走行できるようになるのだ。

イベント中に上映されたビデオでは、Xpeng P7よりもさらにセクシーなクルマが、折り畳み式のローター機構によって普通の車からフライングカーに変身するという映像が示されていた。XPengによれば、この低高度フライングカーの重量はP7の50%になり、道路走行用のステアリングホイールと飛行モード用のシングルレバーを備えているという。

また、この新型フライングカーには、周囲の環境や天候を十分に評価し、離陸前に安全性の評価を行うことができる高度な環境認識システムが搭載されるという。システムは収集したデータを運行目的に照らし合わせて評価し、安全な離着陸を確保し、飛行中は高度な知覚と飛行制御アルゴリズムを用いて障害物を回避する。

XPengの関連会社であるアーバンエアモビリティ(UAM、都市型飛行移動)企業のHT Aeroが開発しているこの新しい装置は、早ければ2024年には量産が開始される予定だ。最終的なデザインは来年中に決定される予定だが、シャオペン氏によれば100万人民元(約1780万円)以下のコストを目指しているという。

先週XPengは、HT Aeroの5億ドル(約567億8000万円)のシリーズA資金調達を主導した。HT AeroはXPengのために他のUAM機も製造しており、直近ではXPengの第5世代のフライングカーである2人乗りのXPeng X2を製造している。XPengの広報担当者がTechCrunchに語ったところによれば、第6世代のフライングカーはX2同様の、たとえばオフィスから空港への移動などの、飛行時間が30分以内の都市部での利用が想定されているという。XPengの狙いは消費者に直接販売することで、低高度飛行規制がどのように変化して、そのかなり早い市場投入戦略に対応するのかが注目される。同社は、2024年までに民間用のフライングカーを量産するために、規制当局とどのように協力していくかについては、詳しく述べていない。

ロボットポニーに乗ってスマートモビリティへの道へ

XPengは2021年9月、子どもが乗って遊ぶことのできるポニー(子馬)型ロボットを発表した。人間の感情を察知することができる明敏な四足動物となることが理想だ。XPengはTech Dayにおいて、このポニーのようなスマートロボットが、自動車よりもはるかに複雑な自律性の課題に対応できる、統合スマートモビリティシステムのインテリジェントなプラットフォームになると考えていることを詳しく説明した。

Xpengのロボットポニーにおやつを積み込む女性。Xpengの2021年Tech Dayで発表されたビデオより

そして、それは子どもだけのものではない。XPengはプレゼンテーションの中で、このかわいいポニーのロボットが、オフィスでスナックやその他の小包を配達するのに使えることを示すビデオを上映した(そして同じビデオの中で、XPengは同じ仮想オフィスの中をうろうろしている別のロボットをからかい気味に描いていた。それはXiaomの不気味なロボット犬にどことなく似ていた)。

このロボットは、多様な環境と複数のターゲットを認識するように訓練され、3Dでルートプランニングを行い、顔、体、声紋によってユーザーを認識することができるようになるとXPengはいう。また、動的音響マッピング、バイオニック聴覚、バイオニック嗅覚、さらには足裏や指紋によるタッチや皮膚のセンシングによるバイオニック触覚体験などの技術を実験している、XPengのロボットは、360度カメラモジュールとLiDARセンシングシステムに加えて、物体認識と音場認識技術を備えており、やり取りする環境の最も正確なモデルを得ることができる。

XPengの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、このロボットポニーの市場投入までのスケジュールはまだ決まっていないものの、開発段階のプロトタイプはあるという。

声明の中で同社は「より高度なターゲット認識と環境との正確なインタラクション、より複雑な地形での移動を可能にする3Dルートプランニング、そして強化されたバイオニックな感覚を利用することで、XPengはスマートモビリティの未来のために、より広いモビリティ、より高度な自律的プランニング、そしてより強力なマンマシンインタラクションをサポートする、より大きなアプリケーションシナリオを実現します」という。

画像クレジット:Xpeng

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

【コラム】「完全自動運転の電気自動車」という革命には「設計」の革新も必要だ

1世紀以上前、内燃機関の出現によって、私たちは馬車の時代を脱し、自動車の時代に入った。馬の撤退とともに、ドライバーの快適性と安全性を重視した車両設計が台頭し始めた。

それ以来、社会はある種のクルマの設計を受け入れるようになった。つまり、ガソリンを動力とし、歩行者や他の道路利用者への配慮が不十分で、しばしば注意散漫な人間によって運転されることがあるというものだ。今日、モビリティはまた別の大きな変化を遂げつつある。そして私たちは次なるものを構築しようとしている。それは完全自動運転の電気自動車である。

自動運転車(AV)は今や、車両の設計方法、使用方法、そして誰に役立つかを再考することを通して、変革の機会を提供している。

この変革を支援するために、私たちは、Coalition for Safe Autonomous Vehicles and Electrification(SAVE、安全な自動運転車と電化のための連合)の立ち上げを発表する。SAVEの創設メンバーであるZoox(ズークス)、Nuro(ニューロ)、Local Motors(ローカル・モーターズ)は、安全な自動運転システムの構築、完全電動プラットフォームへの自動運転車の配備、すべての人のモビリティとアクセスを向上させる新しい車両設計の採用という、3つの基本原則に沿って結束している。

従来の車両設計では十分ではない

今日、私たちは、1人乗りのクルマによって促進される渋滞、ガソリン車による汚染、不均衡なアクセス、増加する交通事故死亡者数などの問題を抱えている。SAVEは、政策立案者、業界のリーダー、そしてアドボケイトたちを団結させ、私たちのコミュニティを自律性を持って改善しようとしている。この自律性には、クルマの再考も含まれている。

クルマの設計変更なしに自動運転車を構築することは、ダイヤル式の携帯電話を構築するようなものである。

SAVEのメンバーは、誰もが利用できるモビリティの未来のためのクルマの設計を進めている。Zooxが開発した自動運転車は、共有されるように設計されており、従来の車にはない100を超える安全革新が盛り込まれている。

Nuroは、クルマの外にいる人の安全のために設計された無人配送用自動運転車を開発している。これにより、フードデザート(食の砂漠)の食料品へのアクセスを改善できる。

Local Motorsは、障害者のアクセシビリティを向上させる設計革新により、交通機関とのファーストマイルおよびラストマイルの接続を提供するシャトルバスを構築している。

AVは誰にとっても安全なクルマづくりにつながる

私たちの道路の公衆衛生危機は、2020年に推定3万8680人の死亡をもたらした。自動運転車は、ドライバーのミスや選択(飲酒運転、スピード違反、注意散漫など)が重要な要因となっている死者をともなう衝突事故の94%を減らすのに役立つ可能性がある。しかし、自動運転車と新しい車両設計を組み合わせることで、さらに大きな改善を達成できるだろう。

今日の道路は、1989年以来と比べて、歩行者にとってより危険な状態になっている。歴史的に車両は、外部の人々ではなく、ドライバーの安全と快適さのために設計されてきた。そのため、歩行者や自転車にとってより致命的な車両サイズが増え続けている。ピックアップとSUVは現在、年間新車販売台数の約70%を占めており、衝突事故で歩行者を死亡させる可能性は2倍から3倍高くなっている。

シートベルトとエアバッグが乗員の安全性を大幅に向上させたように、自動運転車は車外の人々の安全を大きく変える機会を提供する。バージニア工科大学の最近の研究によると、無人配送用自動運転車は、設計ベースだけでも、致死的な衝突事故や負傷事故を約60%減らすことができるという。加えて、Zoox車の外部照明と音響システムのような新しい安全革新は、自動運転車と、歩行者や他の道路利用者とのコミュニケーションを可能にする。

ゼロエミッションAVは、排出量を削減し、効率を向上する

輸送の未来はゼロエミッションである必要があり、それが私たちが完全電気自動車を基礎から徹底的に作り上げようとしている理由である。

U.S. Environmental Protection Agency(EPA / 米国環境保護庁)によると、輸送セクターは温室効果ガス排出量が最も多く、その汚染が生命を脅かす小児喘息の発生率を高め、特に有色人種のコミュニティに大きな影響を与えているという。

しかし、1人乗りのガソリン車で埋め尽くされた混雑する道路の状況は、電気自動車でもまったく同じことである。そのため、自動車の使い方を根本的に変える必要があるだろう。

電気自動運転車を共有フリートに幅広く導入し、交通機関や能動輸送と組み合わせることで、2050年までにCO2排出量を80%削減することにつながる可能性がある。さらに、複数の人に電気とバッチによる配送を行うことで、配送用自動運転車は2025年から2035年までに4億700万トンのCO2排出量を削減し、10年間にわたって米国の4大都市のすべての家庭に電力を供給することによる排出量を、効果的に相殺することに貢献するだろう。

AVはアクセス可能で公平な移動オプションを提供する必要がある

クルマがあれば仕事に就く可能性は4倍になり、安価な共有自動運転車サービスを利用すれば家計費を大幅に削減し、低所得層の米国人を新たな仕事の機会に結びつけることができる。

さらに、配送用自動運転車は、フードデザートで暮らす2000万人の低所得者層の米国人のうち、1400万人(70%)の生鮮食料品へのアクセスを改善するのに役立つ。

車両は伝統的に健常者を中心に設計されており、障害者や高齢者が利用できる移動手段の選択肢が限られている。自動運転車の導入は、移動を制限する障害を持つ2550万人の米国人が利用できる自動車を設計する新たな機会を私たちに与えてくれる。それは、障害を持つ人々に推定200万の新たな雇用機会をもたらす可能性がある。

規制の近代化がAVの最大のメリットを引き出す

議会は2021年に入り、切実に必要とされている補修に資金を提供し、電気自動車の消費者への普及を加速させるため、米国のインフラへの世代間再投資を検討している。しかし、新しい道路を同じように使うだけでは十分ではない。

議会は連邦政策を近代化し、道路がどのように使われているかを再考する機会を捉えなければならない。安全目的を維持しつつ、連邦車両基準を更新することは、より安全な道路、アクセスの拡大、そしてより持続可能で効率的な輸送セクターを提供する自動運転車の展開を促進するであろう。

そうでなければ、舗装されたばかりの道路でもう一度缶を蹴る(難題への対応を繰り返し先送りする)ことになるだろう。

編集部注:本稿の執筆者はMatthew Lipka(マシュー・リプカ)氏、Bob de Kruyff(ボブ・デ・クルイフ)氏、Bert Kaufman(バート・カウフマン)氏。マシュー・リプカ氏は、SAVE Coalitionの設立メンバーでNuroの政策責任者。ボブ・デ・クルイフ氏はSAVE Coalitionの設立メンバーでLocal Motorsのエンジニアリング担当副社長。バート・カウフマン氏はSAVE Coalitionの設立メンバーで、Zooxの企業および規制関連業務の責任者。

画像クレジット:Artur Debat / Getty Images

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(文:Matthew Lipka、Bob de Kruyff、Bert Kaufman、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】GMC Hummer EVにしびれる。3つのモーターと四輪操舵ですばらしいスピードとハンドリングを実現

11万ドル(約1230万円)のGMC Hummer EV(ジーエムシー・ハマー・イーブイ)は、最高のオフローダーであるとともに、高級セダンの快適さとスポーツカーのスピードを併せ持つ、欲張りなマッシュアップだ。そしてトラックとしての荷台を備える。GM(ゼネラルモーターズ)は、この車をスーパートラックと呼ぶが、そのとおりだろう。

GMのテストコースでHummer EVを運転してみて、いくつかのことがすぐにわかった。まず、この巨大なHummer EVは、十分なパワーと優れた四輪操舵のおかげで、運転が楽しい。次に、インフォテインメントシステムと運転席のメーターパネルは美しいが、非常に込み入っており、時折表示に遅れが生じる。最後に、Hummer EVは、GMの「Ultium(アルティウム)」プラットフォームが、いかに新規性のある機能や特徴を車に持たせることができるかを示す、絶好の例となっている。

GMの広報担当者は、筆者に運転させる前、あまり大きな期待は抱かせなかった。GMは、Hummer EVの運転や操作の仕方についてのみ説明し、具体的な車両の仕様、性能、入手状況などについては答えられないとしていた。カメラの使用は禁止され、筆者の携帯電話にセキュリティテープを貼るほどだった。筆者がHummer EVを運転したのはわずか30分だけで、すべてミシガン州ミルフォードの僻地にあるGMの試験場奥地でのことだ。

留意すべきは、その試走は量産前の車両で行われたということだ。必要なものはすべて揃っているといわれたが、一部の内装材や付加的な騒音防止材など、いくつかの部材が欠けていた。

Hummer EVで岩場を越えたり、未舗装の道路を突っ走ったり、GMの高速テストコースで時速95マイル(時速約153 km)を叩き出したりした。そして、いろいろなことがわかった。Hummer EVは、どこへでも行けて、何でもできるクルマだ。岩場を登ることも、狭い駐車場に入れることも、大人5人とその荷物を快適に運ぶこともできる。3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達し、四輪操舵のおかげで、見た目よりもずっと小回りが利く。

GMCHummer EV、2021年9月25日土曜日、ミシガン州ミルフォードにあるゼネラルモーターズのミルフォード試験場にて(画像クレジット:Steve Fecht for GMC)

四輪操舵が最高

Hummer EVには、楽しい仕掛けがある。この大きな幅広の車は、道路上をのろのろと走り出すが、それはあっという間に軽快な走りに変わる。電気モーターと四輪操舵により、ピックアップトラックよりも軽快に走り、大型クロスオーバー車よりも応答性が良い。つまり、Hummer EVはピックアップトラックではなく、頑丈で幅広のスポーツカーのような走りをする。

往年のハマーは、耐久性のあるトラックのように、圧倒的なパワーが感じられた。このHummer EVもやはり止めることのできない感じがあるが、今では高速道路でも山奥の小道でも同じように快適に走ることができる。購入者は、Hummer EVの性能のために快適さを譲歩する必要はない。過去のハマー(そして現在のJeep[ジープ]や4Runner[フォー・ランナー])は、オフロード性能のためにオンロードでの乗り心地を犠牲にしていたが、Hummer EVでは何も失われていないように見える。あるボタンを押せば、岩場を登り、別のボタンを押せば、ほとんどのスポーツカーを凌駕する走りを見せる。

その公式は、3つの電気モーター+四輪操舵だ。これは秘密の公式というわけではなく、Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも同じ組み合わせが搭載されている。

Hummer EVの四輪操舵のインパクトは簡単には語れない。後輪は最大10度まで舵角を変えることができ、全モデルに標準装備されている。「CrabWalk(クラブウォーク、カニ歩き)」と呼ばれる最も極端な使用例では、四輪操舵により、まるで氷の上のように左右に滑るように動き、5人乗りのピックアップトラックというよりも後輪駆動のフォークリフトのような感覚で走行することができる。

後輪操舵は1980年代に登場したが、当時はスポーツカー以外にはほとんど採用されなかった。しかし、2000年代初頭から再度使われ始め、GMは2002年から2005年までハーフトントラックのSuburban(サバーバン)とSilverado(シルバラード)に搭載していた。現在では、いくつかのセダンに搭載されており、一部のモデルでは2~3度、超高級モデルでは最大10度の転舵が可能だ。これらのシステムは、一部の購入者に向けた高価なオプションだが、Hummer EVでは標準装備されており、その機能と魅力に欠かせないものとなっている。

また、この四輪操舵により、Hummer EVは同等のサイズの車よりもはるかに小回りが利く。転回は速く、バックも楽になり、大型SUVというよりファミリーセダンのように扱えるピックアップトラックだ。回転半径は37フィート(約11 m)で、フルサイズピックアップのシボレー・シルバラードよりもコンパクトカーのシボレー・ソニックに近い。

このシステムを試せたのはほんの数分だけだったが、四輪操舵に慣れが必要ということもなく、タイトな転回を補うために自分のドライビング感覚を調整する必要もなかった。自然に機能し、自然に感じられた。後部座席ではこの違いを感じられるかどうか気になるところだ。

四輪操舵は、デフォルトでアクティブになっているが、オフにすることもできる。高速道路を走行しているときには、Hummer EVの前輪と後輪は同位相で動くため、けん引するトレーラーの揺れがなくなり安定するという(検証する機会があるとよいのだが)。

この四輪操舵機能により、Hummer EVは斜めに走ることができる。クラブウォークを作動させるには、ドライバーが車を止めて、いくつかのメニューボタンをクリックする必要がある。一旦作動させると、前輪と後輪が連動して転舵するようになり、今までにない感覚で車を横へ向かって走らせることができる。ハンドルを左に切れば、車体は左斜めに滑るように移動する。車の前部が左に向くのではなく、車両全体が左に流れて行くのだ。四輪操舵はスピードを出すためのものではなく、駐車やロングドライブを快適にし、見る者を感動させるためのシステムだ。そして、これまでにはない感覚だ。

デトロイトで開催された2021年のWoodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)においてGM社員がHummer EVの能力を示す熱いデモを行っている。その様子は以下の動画をご覧いただきたい。

Watts to Freedom=WTFモード

Hummer EVは、本気を出せば、とんでもない加速を見せる。Watts to Freedom(ワッツ・トゥ・フリーダム、WTF)モードと呼ばれる発進モードはすばらしく、ドライバーは3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達する。これは超絶な速さだ。標準的な車両モードでの普通の発進でも、Hummer EVはスムーズに加速するが、WTFモードのようにドライバーをシートに貼り付けるほどではない。

どのような車でもこの加速があるだけですばらしいことだが、5人乗りのピックアップトラックでそれを実現するのは、さらに衝撃的だ。この四輪駆動のピックアップは、余裕の駆動力によりロケットのような勢いで飛び出していく。これは、テスラのModel X(モデルエックス)など、他の電気自動車からも受けるスタート感覚に似ている。

通常の走行モードでは、Hummer EVのトルクは抑えられているが、それでもなおドラッグレースにも足りる十分な速さがある。加速はモニターされた上で制御されており、このチューニングの精度は評価に値する。

Hummer EVのワイドなボディは、安定した乗り心地につながっている。試験場の裏道でHummer EVを走らせ、砂利道ではテールを振ってみた。アグレッシブなコーナリングでは、車体はしっかりとフラットを保ち安定している印象を受けた。バンクのあるテストコースでも、他の車と同じようにしっかりとした頑丈さが感じられた。トラックの底部に詰め込まれたバッテリーにより、重心は低く保たれ、Hummer EVは、以前のガソリンモデルのようにトップヘビーになることはなかった。

高速周回コースでは、何もしなくても時速90マイル(時速約145 km)に達した。無理をしている様子はなく、アクセルを踏めばあっという間にスピードに乗る。Hummer EVは、ラングラーの35インチ(約89 cm)の巨大なタイヤで道路を疾走し、最高のクルーズを提供する。また、タイヤノイズも気にならない。

Hummer EVは静かではない。アクセルを踏むと、2つの音が聞こえてくる。3つの電気モーターがうなる音と、より鈍重で電気ノイズのように聞こえる人工的な回転音だ。オフロードモードでは、増えたロードノイズをかき消すほど、人工的な音が大きくなる。しかし結局のところ、不快ではないと感じた。これらの音は激しくなく、常にバックグラウンドに溶け込んでいる。GMのエンジニアは、ドライバーが音によるフィードバックを必要とし、無意識のうちに期待していると同社は判断したと説明する。

筆者はHummer EVで数十の大きな岩を乗り越えるボルダリングを試した。乗り越えられたか?もちろん。難なく?そうでもない。Hummer EVは岩の上を滑り、トラクションを維持するのに苦労した。念のためにいっておくと、今回の試走は、GMがビーチボール大の岩を多数敷き詰めたテストコースで行われ、10フィート(約3 m)のセクションを試すことができた。Hummer EVのオフロード性能を結論づけるには、今回の体験だけでは足りないだろう。

工業製品的な使用感

インフォテインメントシステムについては、あまり詳しく見る機会がなかった。それでも、いくつかの発見はあった。1つは、Epic(エピック)のUnreal(アンリアル)グラフィックエンジンのおかげで、このシステムが美しいことだ。ビデオゲーム用に開発されたUnrealエンジンのこの特別なビルドを使用したのは、Hummer EVが初めてだ。このシステムは美しいが、量産前のテスト車両ではラグがあり、入力に反応するまで、常に数秒を要した。これは、画面上でオプションを選択しても、機械的なコントローラー(テレインセレクトのダイヤルなど)を使用しても同じだった。

また、インフォテイメントのデザインは、表示は美しいものの、複雑で込み入っており、いかにも人工的な工業製品のようだ。GMのエンジニアは、大げさなアイコンやメニューを多数使ったインターフェイスにより、画面のグラフィック能力を誇示しようとしたのではないだろうか。グラフィカルな要素は、使いやすさよりも見た目の美しさを重視しているように見える。

GMは、Hummer EVのカメラの性能のデモに熱心だった。車両には18台のカメラが搭載されており、そのうちの数台は車体の下に取り付けられている。これは、不整地を走行するときやトレーダージョーズで駐車するときにドライバーをサポートするためのものだ。これらのカメラは公表されている通りに機能し、一部のカメラには汚れを除去するクリーナーが内蔵されている。

また、GMがエアコンのボタンをタッチスクリーンのメニューに含めるのではなく、物理的なボタンとして残しているのはうれしいことだ。テスラやRivian(リビアン)など、他のEVメーカーは、温度設定ダイヤルやシートヒーター、さらにはベントの向きのコントロールさえもタッチスクリーンに追いやっているが、Hummer EVでは、そうした操作のためにロッカースイッチが並んでいる。

運転席からの視界はすばらしく、ドライバーは、遠くまで見渡すことができる。運転席と助手席の足元と上部には十分なスペースが確保されており、広々としている。後部座席は足元が若干狭くなっているが、それでもワイドボディのおかげで余裕がある。フルサイズSUVといえば、前は広く、後ろは狭いというものだろう。

新しい電動パワートレイン

GMは、Hummer EVのパワートレインの詳細を公表している。Hummer EVエディション1は、ユニボディのフレームに24モジュールのバッテリーシステムを搭載している。これは、GMが2020年3月に発表したUltiumプラットフォームを、同社で初めて採用したものだ。

関連記事:GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開

3つのモーターを搭載するメリットはいくつかある。これらの電気モーターにより、ハマーの前後輪両軸に電子制御式のディファレンシャル機構を装備することができ、低トラクション時に効果を発揮する。前輪には「eロッカー」を搭載し、後輪の2つのモーターは物理的には接続されていないがソフトウェアによって仮想的にロックされており、トルクベクタリングにより4輪のトラクションを制御でき、各タイヤの駆動や停止はミリ秒単位で制御できる。

Hummer EVのバッテリーについて、バッテリーが原因で二度のリコールを行ったChevy Bolt(シボレー・ボルト)に使用されているバッテリーパックと同様のものではないかと聞いてみた。GMの広報担当者は、GMはLG(エル・ジー)と共同でセルを開発しているが、Hummer EVのパックはミシガン州デトロイトのブラウンズタウン工場で製造しており、このバッテリーはボルトに使われているものよりも新しいセル化学を採用していると説明した。最終的には、オハイオ州ローズタウンにLGと共同で設立した施設でUltium電池を製造する予定だという。

残る疑問

Hummer EVには、筆者が試乗や使用できなかった機能が満載されている。例えば、GMの自動運転モードの最新版である「スーパークルーズ」では、高速道路での車線変更が可能になった。また、自動でタイヤの空気を抜く機能や、26インチ(約66 cm)の水深でも走行できる機能、100マイル(約161 km)の走行に必要な充電を10分で行う機能なども搭載されているという。残念ながら、ルーフパネルを外したり、いわゆるフランクに収納された状態を見たりすることはできなかった。また、インフォテインメントシステムも詳しく見てみたい。没入感は得られそうだが複雑そうでもある。

GMは、Hummer EVのいくつかの点について公表しておらず、今回の試乗でもほとんど何も明かされなかった。価格の詳細と入手状況は未だ不明だ。EPA(米国環境保護庁)の公式な航続距離評価は未発表であり、牽引力や運搬能力もまだわからない。

日頃から大型トレーラーを牽引している筆者には、Hummer EVは運搬や牽引のために作られたものではないように感じられた。パワーはあるが、ユニボディのフレームとエアサスペンションが、シボレー・シルバラード1500やFord(フォード)F-150よりも低い牽引力を物語っている。Hummer EVの牽引力は、ハーフトン・ピックアップ(8000~1万2000ポンド[約3600~5400 kg])よりもフルサイズSUV(6000~8000ポンド[約2700~3600 kg])に近いと推測している。もしそうであれば、Hummer EVはATV(四輪バギー)や小型ボートのトレーラー、そしてカーゴトレーラーなどは牽引できるということだ。しかしその仕様では、トラベルトレーラーについては小型か超軽量タイプ以外を牽引することはできないだろう。また、荷物を運ぶことがバッテリーの航続距離にどう影響するのかについても不明だ。

電気自動車革命

ここからは実際の状況だ。GMはナーバスになっている。Hummer EVは2020年10月に発表され、2021年秋にはディーラーに並ぶ予定だった。2021年10月現在、自動車産業に影響を与える世界的なサプライチェーンの危機に加え、同社のもう1台のEVであるシボレー・ボルトのバッテリーのリコールに思いの他注力しなければならない状況だ。関係者によると、GMは、シボレー・ボルトにおいて2回のバッテリーリコールを行ったことにより、消費者からの信頼について神経質になっているという。

ハマーのEV劇場の主役は、GMのUltiumプラットフォームだ。GMが2020年にEVの青写真を発表した際には、後輪駆動、前輪駆動、全輪駆動など、バッテリーと駆動ユニットの組み合わせにより19種類の構成で車両を作ることができるとしていた。また、400ボルトと800ボルトのバッテリーパックも用意するとし、このデザインはこのアメリカ最大の自動車メーカーに多くの選択肢を与えることを意味している。ハマーのEVは、そのUltiumプラットフォームの能力を実地で示す概念実証だ。もしそれが、Hummer EVの圧倒的なスピードと優れた操縦性を実現するのであれば、ロードスター、クロスオーバー、または7人乗りのファミリーカーに何が提供できるかも明白だ。

Hummer EVは、GMの仰々しく、注目を集めるスーパー電気自動車として成功している。最新のHummer EVは、これまでのハマーと同様に法外であり過剰だ。GMが何か特別な電動ピックアップトラックを作ったことは、ほんの数分でわかる。大きくて、重い電気自動車でありながら、とてつもないスピード、本格的なオフロード性能、充実した荷室容量など、すべてを備えている。Hummer EVにはすべてが詰まっている。

画像クレジット:GMC

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(文:Matt Burns、翻訳:Dragonfly)

テスラ車15万台が「フルセルフドライビング」へのアクセス権を求めその評価基準「セーフティスコア」ツールを利用中

Tesla(テスラ)の約15万台の車両が、2021年9月に発表された新しい「セーフティスコア」を利用していることが、第3四半期の決算説明会で明らかになった。これは、ドライバーが「フルセルフドライビング」ソフトウェアのベータ版にアクセスできるかどうかを判断するためのツールだ。

「フルセルフドライビング(FSD)」のベータ版登録プログラムには現在15万台のクルマが加入しているが、ソフトウェアへのアクセス権が与えられたドライバーはごく一部である。過去1年間でFSDプログラムを試すことができたドライバーは、わずか2000人だ。10月初め、Teslaはバージョン10.2を、セーフティスコアが満点の約1000人のオーナーに追加で展開した。

Teslaは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが何年も前から「いつか完全な自律走行機能を実現する」と約束してきたFSDソフトウェアを1万ドル(約114万円)で販売している。しかし、FSDを搭載したTesla車は、自律運転ではない。FSDは、駐車ツール「サモン」をはじめ、高速道路のオンランプからオフランプまで、インターチェンジや車線変更を含めてクルマをナビゲートするアクティブ支援システム「ナビゲート・オン・オートパイロット」など、多くの自動化機能を搭載した先進運転支援システムだ。

最新のFSDベータ版では、高速道路や市街地での運転を自動化することを想定している。このシステムはまだレベル2の運転支援システムであり、ドライバーは常に注意を払い、ハンドルから手を離さず、コントロールする必要がある。

ベータ版ソフトウェアにアクセスするためには100点満点でなければならないセーフティスコアが、FSDへのアクセスを計るために使用されているが、Teslaは他の用途も考えている。同社はこの機能を、10月初旬にテキサス州で販売を開始したばかりの、成長が著しいテレマティクス保険の情報に利用したいと考えている。セーフティスコアは、ブレーキ操作、旋回、尾行、前方衝突警告、オートパイロットの強制解除などを参考にして、衝突事故の可能性を予測するものだ。

関連記事:テスラ、「リアルタイムの運転行動」が価格を左右する自動車保険をテキサス州でスタート

Teslaの最高財務責任者(CFO)であるZachary Kirkhorn(ザカリー・カークホーン)氏は、これまでに同社が収集した1億マイル(約1億6000km)以上の走行データを分析した結果、セーフティスコアを使用している顧客の衝突の確率は、使用していない顧客より30%低いことがわかったと述べている。

「つまりこれは、製品が機能しており、顧客がそれに反応していることを意味しています」と同氏は語っている。

Teslaの車はコネクテッド・システムを採用しているため、同社は膨大な量のデータを使ってドライバーの属性を評価し、その属性が安全性と相関しているかどうかを判断することができる、とカークホーン氏はいう。Teslaでは、この運転履歴データを用いて、一定期間の衝突確率を予測するモデルを作成した。

「モデルは完璧なものではなく、利用可能なデータの関数です。データセットが増え続けるにつれ、我々は新しい変数を試し続けます。そして、そのモデルで衝突の頻度を予測することができれば、それを価格曲線に反映させることができるのです」。とカークホーン氏はいう。

これによりTeslaは「クルマに組み込まれ、アプリに組み込まれ、お客様の体験に組み込まれた」個別化された価格を提供することができる。また、運転のたびに、衝突の確率を減らすためにどのような運転調整が必要であるかをドライバーに伝えるフィードバックループも備えている。

Teslaが保険についてリサーチを始めたとき、従来の保険会社は、事故歴や配偶者の有無、年齢などの人口統計情報など、静的な既存データに基づいて保険料を算出していることがわかった。その結果、リスクの低い顧客は保険料を払いすぎてしまい、その払いすぎた保険料がリスクの高い顧客の補助に使われてしまうのだとカークホーン氏はいう。

「私たちは、このデータを見て、これは公平ではないと思いました」とカークホーン氏は話している。

Teslaは約2年前からカリフォルニア州で保険を提供しているが、セーフティスコアによって保険料が決定されるのはテキサス州が初めだ。同社は、規制当局の承認を得ながら、保険を提供する州を追加していくロードマップを作成しており、Tesla車が存在するすべての主要市場に参入することを目標としている、とカークホーン氏は語っている。

画像クレジット:Tesla

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

「テスラに対する偏見がある」とマスク氏が非難したNHTSAの顧問任命を、米運輸長官が擁護

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、Missy Cummings(ミッシー・カミングス)氏が米国で最上位の交通局の重要な顧問に任命されたことについて、Twitter(ツイッター)で懸念を表明したが、米国運輸長官のPete Buttigieg(ピート・バッティジエッグ)氏は、マスク氏に懸念があるなら直接自分に話すようにと提案した。

Reutersによると、バティジエッグ氏は米国時間10月20日に開催されたイベントで「もしマスク氏が懸念を抱いているのであれば、ぜひ私に電話して欲しい」と、記者団に語ったという。「我々には道路を走るすべての車両が安全であることを確認する責任があります」。

マスク氏は、Duke University(デューク大学)の工学・コンピューターサイエンス教授であるミッシー・カミングス氏が、米国運輸省道路安全局(NHTSA)の安全顧問に任命されたことに憤慨している。「客観的に見て、彼女の実績はテスラに対する甚だしい偏見がある」と、マスク氏は米国時間10月19日に語った。

NHTSAの最近の行動は、政治的な動機があり、テスラに対して強い偏見があるように見えました。今回のミッシー・カミングス氏の起用は、その説を裏付けるものに思えます。イーロン・マスクさん、感想は?
マット・スミス

客観的に見て、彼女の実績はテスラに対する甚だしい偏見があります。
イーロン・マスク

デューク大学で「Humans and Autonomy Laboratory(人間と自律性の研究室)」を率いるカミングス氏は、マスク氏といつでも「喜んで座って話をします」と答えた。

カミングス氏もTwitterを頻繁に利用しており、そこでテスラの運転支援技術とその展開方法についてしばしば懸念を表明している。9月には、テスラがその「Full Self-Driving(フル・セルフドライビング)」ソフトウェアのベータプログラムに参加を認めるユーザーを選別するために「安全スコア」を導入したことを批判する一連のツイートを行った。

しかし、彼女のテスラに対する批判はもっと昔にまで遡る。2年前、カミングス氏は、テスラの先進的運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」について「モードの混乱を引き起こしやすく、信頼性が低くて安全性に欠ける」と(これもTwitterで)述べ、NHTSAはテスラにこの機能を停止するよう求めるべきだと続けた。

カミングスがNHTSAの安全顧問に指名されたことは、NHTSAが今後、先進運転支援システム(ADAS)やテスラに対してより保守的な姿勢をとることを示唆していると考えられる。

もちろん、NHTSAとテスラはこれまで馴染みがなかったわけではない。道路安全局は2021年8月、テスラのクルマが駐車中の緊急車両に衝突した12件の事件を発見し、Autopilotについて安全性調査を開始した。この規制当局はまた、2017年の死者を出した事故と、それ以降にテスラのADASが関与した25件の事故に対しても調査を行っている。

関連記事:米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

8月の時点では、テスラのFSDが完全な自動運転を実現できると思うかと尋ねるツイートに対し、カミングス氏は次のように答えている。「私の予想では、絶対無理」。しかしそれは、彼女が必ずしもLiDAR(レーザー光のパルスで距離を測定する光検出・測距技術)こそが解決策だと考えていることを意味するわけではない。カミングス氏は、完全な自動運転はディープラーニングの進化によってもたらされる「不確実性の下で行われる推論の完全な再考」なしには実現できないという考えを述べている。

テスラの支持者たちは「Autopilot Users for Progress(進歩のためのオートパイロット・ユーザーたち)」というバナーの下、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領とNHTSAのスタッフに対し、利益相反や偏見の懸念に関して人事の見直しを求める請願運動をChange.orgで開始した。

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏のBoring Companyがラスベガス地下ループ拡張の初期承認を取得

Elon Musk(イーロン・マスク)氏のBoring Company(ボーリングカンパニー)は米国時間10月20日、ラスベガスの地下トンネルネットワークを介して、Tesla(テスラ)車に乗った乗客を輸送する交通システムを構築するために必要な最初の承認を取得した。

クラーク郡当局が特別使用許可とフランチャイズ契約を承認したことにより、Boring Companyはラスベガス・コンベンション・センターのキャンパスを結ぶ現在長さ1.7マイル(約2.7km)のVegas Loopシステムを、ラスベガス・ストリップ沿いのカジノ、市のフットボールスタジアム、UNLV(ネバダ大学ラスベガス校)など51のステーションを持つ29マイル(約46km)のルートに拡大することができる。また、最終的にはマッカラン国際空港まで延伸する。この承認については、Las Vegas Review-Journal(ラスベガス・レビュー・ジャーナル)が最初に報じた。

Boring Companyはトンネルの費用を負担するとこれまでに述べているが、クラーク郡当局は10月20日、その点を繰り返し強調した。クラーク郡との契約によると、フランチャイズ契約は50年間続くことになっている。

このプロジェクトは重要なマイルストーンを通過したものの、まだ完了したわけではない。今回の特別使用許可は、Boring Companyが各駅やトンネルの土地使用許可や建築許可を申請するためのものだ。同社はラスベガス市から別途フランチャイズ契約の承認も得なければならない。

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラが過去最高の四半期純利益1852億円を達成、世界的チップ不足の中でもEV販売が絶好調

Tesla(テスラ)は引き続き収益性を高めている。米国時間10月20日に発表した第3四半期の純利益は16億2000万ドル(約1852億円)で、前年同期の3億3100万ドル(約378億円)の約5倍に増えた。世界的なチップ不足とサプライチェーンの制約が業界に影響を及ぼしているにもかかわらず、この過去最高の利益は記録的な売上高の達成によるものだ。

注目すべきは、売上の大半が同社のラインナップでは安めの電気自動車Model YとModel 3で占められているにもかかわらず、16億2000万ドル(約1852億円、GAAPベース)の利益を確保できたことだ。なお、同社は9月30日までの四半期で、ビットコイン関連の減損5100万ドル(約58億円)を計上した。

営業利益は20億ドル(約2286億円)で、前年同期の8億900万ドル(約925億円)から増加し、第2四半期の13億ドル(約1486億円)からは54%増となった。また、第3四半期の売上高は137億5000万ドル(約1兆5721億円)で、前年同期の87億7000万ドル(約1兆円)から56%増加し、2021年第2四半期の119億6000万ドル(約1兆3675億円)を15%上回った。

Teslaは自らをエネルギー、テクノロジー、持続可能性の企業と称しているが、その売上は大部分が依然として電気自動車の販売からだ。Teslaの自動車関連の売上高は、第3四半期に120億ドル(約1兆3680億円)となり、前年同期に比べ50%増加した。その自動車関連売上高のうち約2億7900万ドル(約318億円)は環境クレジットの販売によるものだ。これは2019年第4四半期以降、最低の水準だった。一方、Teslaの自動車事業の売上総利益(GAAPベース)は、過去最高の30.5%に急上昇した。

決算はアナリスト予想を上回った。Yahoo Finance提供の売上高のアナリスト予想は136億2000万ドル(約1兆5557億円)だった。Factset提供のアナリスト予想は、売上高が136億ドル(約1兆5550億円)、利益を13億ドル(約1480億円)としていた。

今のところ、同社の成功は(同社が製造・販売する太陽光発電システムや蓄電池という他の2つの製品ではなく)電気自動車を生産・販売できるかどうかにかかっている。、またFSD(Full Self-Driving)と呼ばれるソフトウェアを、製品を購入したオーナーが広く利用できるようにすることができるかどうかにかかっている。一部のオーナーにベータ版ソフトウェアを公開するという戦術をめぐって、規制当局によるTeslaへの監視の目が厳しくなっている

同社は第3四半期決算報告で「半導体不足、港湾の渋滞、計画停電などのさまざまな課題が、私たちが工場をフル稼働させようとする際に影響を与えています」と指摘した。このコメントは、需要が問題なのではなく、同社が制約を受けているのはサプライチェーンや物流のみからであることを示唆している。

蓄電池の販売量(メガワット時ベース)は、前年同期比で71%増加した。しかし、第2四半期から第3四半期にかけて成長が鈍化し、メガワット時ベースの販売量はわずか1.6%の増加にとどまった。

太陽エネルギーの分野でも同じストーリーとなった。Teslaは第3四半期に83メガワットのソーラーパネルを設置した。前年同期比で46%の増加、前四半期比で2.35%の減少となった。第3四半期に設置したパネルの数は、2021年の四半期決算の中で最も低水準だった。

今回の好決算は、第3四半期にModel 3およびModel Yの販売台数が記録的に増加したためだ。第3四半期に24万1300台の電気自動車を納入し、予想を大きく上回る結果となった。世界的なチップ不足の影響で、他の米国の自動車メーカーは販売台数を減少させた。

販売台数の大部分(約96%)は、新型のModel 3セダンとModel Yクロスオーバーだった。納入台数は、第2四半期から20%増加し、前年同期比で73%増加となった。

生産台数も伸びた。第3四半期に23万7823台を生産し、同社の記録を更新した。

関連記事:テスラ第3四半期の販売台数は半導体不足にもかかわらず過去最多24万1300台

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードが約360億円を投じて英国のトランスミッション組立施設を電動パワーユニット工場に転換

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、2億3000万ポンド(約360億円)を投じて、英国・ヘイルウッドにある自動車用トランスミッションの組立施設を、電動パワーユニット工場に転換すると発表した。これが同社初の欧州における電気自動車用コンポーネントの自社組立施設となる。

The Times(タイムズ紙)によると、この投資には英国政府が自動車変革基金を通じて提供する推定3000万ポンド(約47億円)の資金が含まれているという。この投資により、約5000人の自動車関連の雇用が地域に創出されると、同紙は伝えている。

この工場で生産されるパワーユニットは、フォードが将来欧州で販売する電気自動車の乗用車および商用車に供給され、同社の電動化に向けた目標達成を後押しすることになる。フォードは2021年2月、2030年までに欧州で販売する乗用車のすべてを電気自動車に、商用車の3分の2を電気自動車またはプラグインハイブリッド車にするという欧州戦略を発表。同社は10億ドル(約1140億円)を投じてドイツのケルンにある組立工場を改修し、2023年にはそこで同社初の欧州製となる量販電気乗用車の生産を開始する予定だ。

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この電動パワーユニットは、内燃機関自動車のエンジンとトランスミッションの代わりとなるもので、バッテリーから供給される電気の流れを管理し、電気モーターの速度や発生するトルクを制御する。フォードはその生産を2024年半ばに開始する予定で、年間約25万台程度の生産能力を計画している。このパワーユニットはケルンの工場または他の工場の組立ラインに送られるのかという質問に、フォードは答えなかった。歴史的に、ヘイルウッド工場で生産されたユニットは100%が輸出されており、フォードは、エンジンやトランスミッションを「6大陸15カ国以上に輸出し、海外での売上は年間約25億ポンド(約3900億円)に上る」英国最大の輸出企業の1つとなっているという。

「電気自動車の製造を確保するための激しい国際的な競争の中で、英国が確実に利益を得ることが我々の優先事項です」と、英国のビジネス大臣であるKwasi Kwarteng(クワシ・クワーテング)国会議員は、声明の中で述べている。「本日の発表は、政府の資金援助を受けたものであり、英国経済の将来性と電気自動車の生産拡大計画に対する大きな信頼の証しです。これにより、ヘイルウッドの誇るべき産業遺産が将来にわたって維持され、北西部の高技能・高給の雇用が確保されることになります」。

フォードが電気自動車の生産を拡大しようとしているのは欧州だけではない。この自動車会社は電動化に向け、2025年までに300億ドル(約3兆4300億円)の投資を用意しており、そのうちの1つである中国でも努力の成果が実り始めている。10月18日、中国で最初に製造された電気自動車「Mustang Mach-E(マスタング・マックE)」が組立ラインからロールオフされたのだ。中国の顧客は、フォードの直販ネットワークであるEVシティストアを通じて、年末までに現地生産のMach-Eを手に入れることができる。フォードは、2021年中に主要都市部で25店舗のEV販売店をオープンし、今後5年以内に100店舗以上に拡大する予定だという。

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画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)