‘死刑’を回避するのにZTEに残されたカードは少ない

7万5000人もの従業員を抱え、一時は時価総額200億ドルあった企業が刻々と最後の審判を迎えつつある。

それが今、中国の通信機器メーカーZTEが直面している状況だ。米国のテクノロジーを搭載する機器をZTEが米国の制裁に反してイランと北朝鮮に販売していたことが明らかになり、このためトランプ大統領はZTEを潰す、と決めた。その後、一転して潰さないと決めた。そして今週、米議会はZTEを潰すか、潰さないかを決めようとしている。この問題はもう終わり、と考えていたホワイトハウスにとってはかなり苦々しい展開だ。Tom Cotton(共和党、アーカンソー州選出)のような上院議員は今週「ZTEの行いをみれば、死刑が妥当だ」との声明を明らかにした。

この問題を深く掘り下げる前に、一歩下がって一体いま何が起こっているのかを考えてみよう。何百億ドルもの金、何万もの雇用がかかっているという、中国政府の息がかかったテック企業の1社であるZTEの運命について、米議会とホワイトハウスは政治的駆け引きを続けている。これを主導権争いと言わずして何と言うだろう。ここで忘れてはならないのは、立法府、行政府ともに同じ党が率いているという事実だ。

中国政府は、ZTEに救済策を与えるようトランプ政権に圧力をかけるため、クアルコム社のNXPセミコンダクタ買収の承認を棚上げにしてきた。この中国政府のメッセージをトランプ政権ははっきり認識し、これによりZTEに罰金10億ドルを科すという決定をし、事を先に進めようとした。

しかしながら、議会はそうしたロジックを知らない。クアルコム社のNXP買収成功と、米国の5G分野における支配、さらにはZTEの救済を関連づけて考えることはできないのだ。たったの3ステップなのだが、これは知の結集である議会にとって理解するには多すぎたのだろう。

ZTEへの死刑執行はもはや政治的な動きとなっている。さらにZTEにとって厄介なのは、こうした動きは二大政党によるものであるということだ。どちらかというと、共和党サイドより民主党サイドの方に強硬姿勢が強い。上院議員Chris Van Hollen(民主党、メリーランド州選出)は、ZTE救済について「この件の行方を見守っている世界に対し、米国の制裁に違反しても刑罰がないという誤ったメッセージを発信することになる。我々はそうさせてはならない」とThe Hillで述べている。

民主党にとって、貿易、安全保障、中国を材料にトランプ政権を叩くことは、選挙がある今年、政治的に強力な武器となる。トランプ政権がZTEと合意したことを受け、民主党はスタンスを若干修正し、この問題についてトランプよりも厳しく臨むよう議員に自由裁量を与えている。

皮肉にも、ーここで見方をクリアにしておくが、私は情報筋に基づいて書いているのではなく、戦略的な視点で指摘したいーZTEを救済するよう政府を使ったのはクアルコム社かもしれない。そうしたロビイストたちは、クアルコム社が年初にBroadcomに買収されるのを防いだが、今回の件に関しても議員たちが脅しのような姿勢を引っ込めなければ事態は修復不可能になるとして議会に働きかけた可能性がある。

ここで言う皮肉とは、議会における新たな貿易保護主義は、シンガポール拠点のBroadcomからクアルコムを守る役目があったということだ。国家安全保障という観点からクアルコムは買収されるのを阻止できた。しかし、同じ安全保障の懸念により最も重要な取引先を失うという事態に直面している。短期的視野の政治的判断は年初時には事態を前に進めたが、ここへきて難しい局面となっている。

中国政府の直接的な介入の他に、ZTEに残されたカードは少ない。まず、ファイナンシャル・タイムズによると、ZTEは中国の2つの銀行に107億ドルものローンを申し込んでいる。加えて、トランプ政権との合意に基づき、役員会に何人かの新メンバーを加えようとしている。これはスマートな対応だ。取り決めが実行されればされるほど、議会のZTEを潰そうとする動きは弱まるからだ。

ZTEはほかにも使える手を持っている。それは、米国への進出を拡大するというものだ。これは通信機器のHuaweiが米国マーケットに進出するのをほぼ禁じられたのと同様、履歴に矛盾するものだ。にもかかわらず、トランプ政権に優先権を与えようと、平和的提案として雇用や製造の拠点を米国に移そうとZTEが工作してきたことには驚かされる。これが実現すれば、議員の何人かはお膝元で雇用が増えることになり、結果的に強い支持を得ることになるわけだ。

もう一つの選択肢は、ZTEが経営の透明性を高めるということだ。またしてもHuaweiを引き合いに出すが、Huaweiと同じく共産党とのつながりが一度も十分に説明されておらず、ZTEのリーダーシップはかなり不透明だ。ZTEは、中国政府と中国経済にとって価値ある資産であり、もし情報を公開して今後透明性を高めるなら、議会の反発を和らげることができるかもしれない。

しかしZTEがこうした選択肢をとるとは考えにくい。中国政府が本当にZTEを救いたいのかについても確信が持てない。議会の命令による死刑執行があれば、中国全人代は人民に向け、どのような代償を払ったとしても経済発展は続けると発信することになる。ニューヨーク・タイムズのLi Yuanはこうした状況を中国のスプトーニク・モーメント(日本語版注:奮起せざるを得ない状況)と呼んでいる。これは言い得た表現だと思う。もし議会がZTEを潰せば、これは単に中国の大企業の終わりではなく開かれた経済の終わりを意味し、貿易面でのナショナリズム再台頭を招くことになる。

イメージクレジット: Liu Youzhi/Southern Metropolis Daily/VCG / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

ZTEに罰金10億ドル

トランプ政権との激しい交渉の末、中国の通信機器大手ZTEが罰金10億ドルを支払うことに合意した。Wilbur Ross米商務長官が今朝(6月7日)発表した。この罰金は、イランと北朝鮮への通信機器の販売を禁止する米国の制裁に違反したとして、調査を経て課せられた。Ross長官はCNBCの朝の番組Squawk Boxでコメントしている。

ZTEにとってかなり堪える脅しだった。昨年の米国政府との話し合いでは、罰金11億9000万ドルを支払うこと、米国の規則に沿うよう社員を入れ替えることを受け入れていた。その後、トランプ政権は違反への制裁をさらに拡大し、米国の企業に対し、ZTEが販売する商品に必須の部品をZTEに7年間販売することを禁じた。この決定は、制裁前の段階で約7万5000人の従業員を抱え、企業価値200億ドルZTEを破綻させるものだった。

この制裁によりZTEはもう終わりかと思われたが、ドナルド・トランプ大統領は5月13日に救済策を提案したようだ。この日、トランプ大統領は商務省にZTEが“速やかに事業再開できる方策”を検討するよう命じるつもりだとツイートした。トランプ大統領は気まぐれの決断をすることで知られているが、この方向転換はDC関係者をかなり驚かせた。というのも国家安全当局は声を大にしてどのようなZTE救済策にも反対していたからだ。

10億ドルの罰金に加え、ZTEは抱えていた共産党リーダーを社外に出すなど、社員の入れ替えを行った。また、ZTEは、今後の違反に使われることになる4億ドルの保証金を出すことも了承したとされている。そして米国の監視チームがZTEと共同でコンプライアンスが適正かどうかも行う。

ZTEが今後どうなるか、というのは見えていない。米国と中国は過去数カ月にわたり関税、市場開放、2国間の赤字など貿易問題で行ったり来たりの交渉を展開している。米国は、今回のZTEへの罰金は法律に基づいた措置で、現在進行形の貿易に関する交渉には含まれていないという姿勢だ。

しかしながら消息筋によると、中国政府はZTEの件を少しでも有利に交渉できるよう、クアルコムのNXPセミコンダクターズの買収を意図的に妨げてきた。この買収案件を認めないのは世界で中国だけで、これにより買収はこの数週間進んでいない。これは、中国が米国と交渉するうえで重要な役割を果たした。

加えて、トランプ大統領は北朝鮮の指導者、金正恩と会談するために来週シンガポールへ赴く。中国の北朝鮮への影響力は、会談の成否に影響する。これは中国にとって、ZTE問題をめぐってトランプ政権と交渉するうえでさらに大きな材料だった。

ともあれ、トランプ政権はいま議会から大きな反発を受けている。両政党ともZTEの事業再開に反対だからだ。上院の野党リーダー、Chuck Schmer(民主党、NY州選出)は公の場で「議会の両党は今回の取り決めを阻止するために協力すべきだ」と述べた。上院議員Marco Rubio(共和党、フロリダ州選出)は取り決めを阻止しようと議会に提案書を出した。しかしZTEをめぐる両国間の交渉はほぼ最終段階となり、これらの議員のコメントは単に発言しただけで終わるのか、それとも議会の“大多数”が大統領の決断を覆す用意が本当にできているのか、今後明らかになる。

この件についてはこれまでも分析や詳しい情報を報じてきたが、状況は流動的で、新たな情報が入り次第アップデートする。

Image Credits: LLUIS GENE / Staff / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

トランプ政権、中国のSTEM学生をターゲットにしたビザ発給制限を6月から実施

トランプ政権は、テクノロジーやエンジニアリング分野で学ぶ中国からの学生のビザ有効期間を短縮する施策を6月から導入する。現在の法律下では、ほとんどのビザが最長の有効期間で発行されているが、Associated Pressの報道によると、新施策ではロボティックス、航空学、高度な製造業を学ぶ中国からの学生のビザを1年に制限する。

国務省の当局者はThe Hillに対し、「中国籍の人へのビザのほとんどは最長の有効期間で発行されているが、新ルールでは領事職員はケースバイケースで有効期間を制限することがある」と語っている。

学生ビザの制限に加え、領事館や大使館には中国籍の人のビザ申請にかかる手続きでも新たなルールが案内されたようだ。そのルールとは、米国商務省の要注意の企業リストに入っているところで研究またはマネジメント職として働くために中国籍の人がビザを申請する時は追加の許可が必要になるというものだ。

このビザ発給制限の方針は、論争の的になっている中国に対する新たな関税措置の一環で、米国の知的財産を守るというのがその理由だ。

このビザ発行の変更は、トランプ政権が昨年12月に発表した国家安全保障戦略レポートで予告されていた。そのレポートでは、より分かりやすく説明されている。

米国は、情報収集者による経済盗難を減らすため、ビザ発給の手続きを見直す。特定の国から来るSTEMを学ぶ学生に対し制限を設けることを検討する。最新技術を持った労働力を受け入れることは重要であるが、知的財産が競争相手に流れないようにするためのものだ。

国務省はビザ発行の新ルールは6月11日から適用されるとしている。

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(翻訳:Mizoguchi)

世界最高の評価額をつけるAIスタートアップである中国のSenseTimeが、6億2000万ドルの追加ラウンドを完了

45億ドル以上という世界最高の評価額を持つSenseTimeが、再び資金の話題の世界に戻ってきた。

先月発表された、Alibaba主導によるファイナンシングラウンドで6億ドルを調達したばかりだが、今回は本日(米国時間5月30日)発表された「シリーズC+」ラウンドで6億2000万ドルを追加したのだ

前回の取引を主導したのはAlibabaだが、今回はより多くの旧来の投資家たちが参加している、例えばFidelity International、Hopu Capital、Silver Lake、そしてTiger Globaなどだ。前回投資を行ったQualcommも、再び今回のラウンドに参加したことをSenseTimeは認めている。

今回の調達によって、これまでSenseTimeが投資家たちから集めた資金は16億ドルに達した。同社によれば、直近のこの2つのラウンドを経て、評価額は45億ドル「以上」に留まっているということだ。昨年シリーズBで4億1000万ドルを調達したときには、その評価額は15億ドルだった。

Alibabaは先月の投資時点で、SenseTimeに対する最大の単一投資家となったと述べていた。今回の新たな資金注入を経て、それが変化したのか否かははっきりしていない。SenseTimeの広報担当者はTechCrunchに対して、「Alibabaと他の主要投資家の状況は変わっていない」と語っている。

SenseTimeによれば、同社には様々な産業分野(フィンテック、自動車、スマートフォン、スマートシティ開発など)にまたがる700社以上の顧客がいるということだが、その中にはホンダ 、Nvidia、UnionPay、Weibo、China Merchants Bank、Huawei、Oppo、Vivo、Xiaomiなどが含まれている。

おそらく最も目立つパートナーは、国民監視システムにそのシステムを使用している中国政府だ。中国国内に設置された1億7千万のCCTVカメラや新システムで撮影されたデータをSenseTimeは処理している(その新システムには警察官が街頭で着用するスマートグラスなども含まれている)。

中国は技術開発に重点を置いており、AIはその重要な柱の一つである。

政府の計画では、2030年までに同国をAI技術の世界的リーダーにすることを目指していると、New York Timesはレポートしている。その時までには業界は年間1500億ドル以上の価値を持つだろうと予測されている。SenseTimeの継続的な開発は、その野望に直接注ぎ込まれる。

SenseTimeは最近、その存在感を高めようとしている。同社はMIT Intelligence Questに参加した最初の会社となり、Alibabaと共に香港にAIラボを立ち上げた。同社は、中国の高校生向けのAIの教科書も策定していると述べた。それは程なく40の学校で採用されるだろう。

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(翻訳:sako)

画像クレジット:Photographer is my life

Googleがアプリでじわりじわりと中国プレゼンスを拡大、今度はファイル管理のFiles Go

Googleが今度はAndroidデバイスのためのファイル管理サービスFiles Goをローンチして、そのゆっくり着実な中国戦略を継続している。このアプリは昨年グローバルにローンチしたが、今日(米国時間5/30)は4つのサードパーティアプリストアから中国に上陸した。

中国で‘Google 文件极客’と呼ばれるこのアプリは、ユーザーのファイルがストレージの容量内に収まるように、削除するファイルを提案したりする。そのほか、ファイルを見つけたり、インターネットを介さずにファイルをローカルなデバイスと共有する機能などがある。スマホがすいすい使えるためには、良質なインターネット接続とともに、ストレージの十分な空きスペースがあることも重要だから、Files Goはそのあたりをヘルプする。

Files Goは、安価なAndroidフォーンが多く使われているインド向けに最初は作られたが、世界的に関心が広まったので全世界に向けてローンチした。今やアメリカは、このアプリの三つめに大きな市場だ。Googleの‘Next Billion’チームのプロダクトマネージャーJosh Woodwardが、そう語ってくれた。

それだけグローバルな需要のあるアプリを、中国戦略の一環として利用することは、なかなか合理的なやり方だ。しかも今回のローンチでは、Google Play Storeが中国で禁じられているので、サードパーティのアプリストアを使った。今回選んだのはTencentとXiaomi, Huawei, そしてBaiduのアプリストアだが、Googleはこれで、中国市場の感触をつかめるだろう。

Googleのサービスはこの国でまだ禁じられているが、アプリは昨年のGoogle Translateの復帰と、今週のARCoreのローンチに次いで、これで三つめだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

メアリ・ミーカー、恒例のインターネット・トレンドを発表――全スライドと重要ポイント要約

テクノロジー分野の最新の数字を漏れなく知っておきたいなら朗報だ。伝説のアナリスト、ベンチャー投資家、 メアリー・ミーカーがInternet Trendsの2018年版を発表した。記事末に294ページに及ぶスライド全体をエンベッドしてある。モバイルからeコマースまであらゆるジャンルがカバーされている。ここでは特に重要と思われる点を選んで要約してみた。

  • Internetの普及: 2018年には世界の人口の半数、約36億人がインターネットにアクセス可能になる。これをもたらした大きな要因は安価なAndroidスマートフォンとWifiだ。ただしインターネットの普及が飽和点に近づくにつれ、個々のサービスは新たなユーザーを獲得することが困難になるものと予想される。
  • モバイル利用状況:インターネット・ユーザー数の増加率が低下するとともにスマートフォンの出荷は頭打ちとなった。一方、モバイルの普及によりアメリカの成人がオンラインで過ごす時間は増えている。 2016年には1日あたり平均5.6時間だったものが、 2017年には5.9時間に増加した。
  • モバイル広告: 消費者がモバイルにシフトするスピードは速く、広告費はそれに追いついていない。モバイル利用時間に広告費が比例するためにはさらに70億ドルの支出が必要。各プラットフォームはコンテンツの選別を次第に強め、内容が安全と認められるページに出広する傾向にある。
  • 暗号化:オンラインの暗号通貨はブームを巻き起こしている。Coinbaseのユーザー数は2017年1月以来4倍に増えた。
  • 音声: 音声テクノロジーがいよいよブレークした。音声認識の精度が95%を超えた。また2017年にはAmazon Echoの販売台数累計も1000万台から3000万台に増加した。
  • 1日あたり利用状況: Facebookなどのサービスの売上は1日あたりユーザー数の増加に強く結びついている。つまりユーザーがそのサービスの利用を習慣化するかどうかが収益性のカギとなる。
  • テクノロジー投資: 上場、非上場企業ともテクノロジー投資は過去最高を記録している。上場企業におけるR&D投資プラス資本的支出のトップ6社はすべてテクノロジー企業だった。

写真はMorgan Stanleyのアナリスト当時のメアリー・ミーカー。サンフランシスコで 2010年11月16日に開催されたWeb 2.0 Summitで講演中のもの。現在ミーカーはベンチャーキャピタル、KPCBのパートナーで、今年も11月17日に講演の予定。タイトルは「コントロール・ポイント:ネットワーク経済をめぐる戦い」。撮影:Tony Avelar/Bloomberg/ Getty Images

  • eコマース対現実店舗:eコマースの成長は加速し、全リテール支出の13%を占めるまでになった。オンライン・ショッピングと商品の発送数は急増しており、ショッピング・アプリにはビッグチャンスとなっている。
  • Amazon:ますます多くの消費者が検索エンジンよりむしろAmazonで商品の検索を行うようになった。AmazonのCEO、ジェフ・ベゾスは依然としてFacebookやYouTubeで消費者の購買意欲をかきたてる努力を続けている。
  • サブスクリプション・サービス:契約者数は急増している。2017年には対前年比でNetflixは25%、New York Timesは43%、Spotifyは48%それぞれアップした。フリーミアム・モデルは有料契約へのコンバージョンを加速する効果がある。
  • 教育: 学資ローンの返済額が急上昇するにつれ、雇用者は企業が必要とする新しい能力を学ぶためYouTubeや各種のオンライン・コースを利用する傾向を強めている。
  • フリーランス化:雇用者は在宅勤務を含めて柔軟性の高い労働時間を強く求めるようになった。またインターネットを利用したフリーランス雇用は全雇用の3倍の伸び率を示している。2017年にオンデマンド労働は23%増加した。これはUber、Airbnb、Etsy、Upwork、Doordashなどのサービスの成長によるところが大きい。
  • 運輸交通:自動車の購入台数は減少傾向にあり、長く乗るようになった。交通関連への支出はUberなどライドシェア・サービスにシフトしている。2017年にはライドシェアへの支出は倍増している。
  • エンタープライズ: エンタープライズ向けサービスがより良いインターフェイスを得てコンシューマ・アプリ化している。DropboxとSlackが.このような急成長の代表的な例。
  •  

  • 中国: 中国のユーザーはアメリカと比較してプライバシーと交換に利便性を獲得することをためらわない傾向がある。 これは中国企業の競争力を高めており、インターネット企業のトップ20にますます多くの中国企業が加わる結果を生んでいる。またこれらの企業はAIに巨額の投資を行っている。
  • 中国のeコマース: Alibabaが商圏を中国の外に急拡大している。売上では依然Amazonがリード。
  • 移民:アメリカのトップ企業の56%は移民1世または2世によって創立されており、経済成長にとって決定的に重要な要因となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

米、中国のハイテク商品に25%の関税発動へー制裁タイムラインを発表

米国と中国の貿易問題をめぐる協議はここ数カ月行ったり来たりしていてたが、ホワイトハウスは中国のハイテク製品に関税を課し、また中国からの米国企業への投資にも厳しい制限を設ける方針を明らかにした。

今朝(米国5月29日朝)のホワイトハウスの発表によると、トランプ政権は“産業的に重要な技術”を含んでいる500億ドル相当の中国のハイテク製品に対し、25%の関税を課す。これは、中国による知的財産権の侵害に関する調査を経て発動された通商法301条に基づくものだ。どのような製品を対象とするかはこれまで検討が続いていたが、最終リストは6月15日に発表される。今回の課税は、今年初めに発表された鉄鋼とアルミニウムへの関税とは異なるパッケージとなる。

中国企業による投資の制限については、その内容を6月末までに公表する。知的財産の保護を巡る世界貿易機関(WTO)への提訴はそのまま続行する。

こうした発表は、関係当局向けに行われるべきものだろう。とういうのも、ホワイトハウス内部、そして中国政府との一連の交渉における最新カードにすぎないからだ。

米国が産業保護を目的に中国に対しどれくらい強硬に出るか、ホワイトハウスはさまざまな意見で揺れていた。Steven Mnuchin財務長官のような財務分野の人は柔軟な策をとるべきとしているのに対し、通商代表部のRobert Lighthizerや国家通商会議ディレクターのPeter Navarroは攻めの姿勢をみせている。こうした人々がそれぞれの考えを大統領に吹き込み、案が出ては消えるという状態だった。

外に目を向けると、米国と中国は貿易を巡り長い多次元的交渉を続けてきた。米国サイドでは、クアルコム社のNXP買収の承認問題、中国サイドではZTEへの輸出再開の許可問題などを抱える。これらの交渉はまだ継続しており、数週間内に何らかの声明、または報復措置などが発表されることが見込まれる。

企業やスタートアップにとって、これらの関税方針は不安定かつ非常に不透明で、対応が難しい。新方針が発表されれば製品のロードマップやサプライチェーンを見直さなければならず、今後の新商品の展開も難しくなる。テック業界では誰も関税など求めていないが、関税が設けられると考えるのが賢明だろう。

より難しいのは、発表が迫っている投資制限だ。通常、ベンチャーキャピタルのラウンドはデューデリジェンスのために数週間かかることを考えると、新投資規制の発表のデッドラインは6月末となる。シリコンバレーの創業者たちは、ワシントンから投資制限の通達が届くことを見越し、中国のベンチャーキャピタルの資金受け入れを躊躇していることだろう。

私は以前、国家保障と中国ベンチャーキャピタルを関連づけて考えるのは大げさだと書いた。しかし結局、トランプ政権は新ルールを導入しようとしている。新たな情報がない限り、中国関連企業からの投資はなくなる。貿易をめぐって、米国と中国は駆け引きを続けており、さらなる展開が予想される。

イメージクレジット:JACQUELYN MARTIN/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

GoogleがXiaomiとパートナーしてARCoreの技術を中国に持ち込む、水面下の中国市場拡大努力を継続中

Googleが、中国に戻る努力を強化している。今年初めには、同社の拡張現実/仮想現実技術ARCoreを中国のスマートフォンに実装する計画を発表したが、今週はその最初のパートナーがXiaomiに決まった。

最初その技術はXiaomiのMix 2Sに実装され、アプリはXiaomi App Storeから提供されるが、しかしGoogleは長期的には中国本土のパートナーをもっと増やしたいと考えている〔下図のgoo.gl/f6pyCnリンク〕。Googleの以前の発表によると、その方向ですでに決まっているパートナーはHuaweiとSamsungだ。

Googleのメインのサービスは中国でまだブロックされているが、ARCoreのアプリはデバイス上で完全にローカルで動くから、中国政府の検閲の手は届かない。

問題は、ソフトウェア自身よりもその配布だ。中国でGoogle Play Storeの利用は制限されており、サードパーティのAndroidアプリストアは、メジャーなものだけでも各地に計10以上ある。しかしXiaomiやHuaweiなどとパートナーすれば、彼らのアプリストアが使えるほか、アプリをデバイスにプレロードするやり方もある。そしてGoogleは消費者に到達できる。

ARCoreアプリの画面

ARCoreの中国でのやり方は秘かに潜行するタイプだが、それもまた、中国でのプレゼンスを拡大しようとするGoogleの継続的努力の一環だ。それはメディアが騒ぐようなGoogle Play Storeの蘇生ではなく、ほかの方面での努力の積み上げだ。

最近同社はTencentとパートナーして、中国のスタートアップたちに投資していくことになった。それらは、バイオのXtalPi、ライブストリーミングのChushouなどだ。そのほか、北京におけるAIラボも発表した。さらにGoogleは台湾におけるプレゼンスも大きく、とくに目立つのがHTCの部分的買収だ。そして‘ハードウェアのシリコンバレー’と呼ばれる深圳にもオフィスを開いた。

そして9月に上海では、同社としてはアジア初のデモデーを主催する。参加受付は、先週からやっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ZTEの米国での事業継続は罰金13億ドルと経営刷新が条件、とトランプ大統領

米国大統領ドナルド・トランプは、中国の通信機器メーカーZTEが北米で事業を継続するためには、罰金13億ドルの支払いと、経営陣の大幅刷新が条件だと述べた。

米国商務省は、ZTEがイランと北朝鮮との取引を禁止する法律を破ったとして、米国の企業にZTEへの部品販売を禁止する措置をとった。これを受け、ZTEは今月初めに米国での事業停止を余儀なくされ、極めて厳しい状況に置かれていた。

米国と中国は貿易面で摩擦を抱えており、ZTEは報復措置を受けていた。しかしトランプは今日、ZTEが事業を再開するのなら、それに見合うコストが発生すると述べた。それが13億ドルの罰金であり、経営陣や役員の刷新、高度なセキュリティの確保だ。

トランプはこれより前に、ツイッターでZTEの制裁見直しに言及していた。そして今日、政治的な要素が強いが、ZTEにチャンスを与える理由を明らかにした。

ZTEは7万人超の従業員を抱え、年間売上高は170億ドルを超える。そして中国政府とのつながりが強い。今月私が記事で書いたように、グローバル展開しているこの企業は、米国に大きな収益をもたらしている。消費者向けのサービスに目をうばわれがちだが、Qualcommのように部品を供給しているメーカーも恩恵を受けている企業の一つだ。もしZTE が明日にでもなくなったら、Qualcommにはかなりの打撃となるだろう。

トランプの主張はこうだ。ZTEは“USの部品を購入しなければならない”。つまり、ZTEとの取引は米国の部品メーカーにとって重要なものであると同時に、トランプ政権と中国との関係の中で鍵を握るものであることを意味している。

こうした状況であるにもかかわらず、ZTEに事業を再開させるかは大きな論争の的になっている。というのも、ZTEのように違法な行為があった場合、ほとんどの企業がもう一度チャンスを与えられることはないからだ。

ZTEは、イランと北朝鮮へ違法に輸出し、そのことについて虚偽の報告をして事実を隠蔽しようとした。しかし、最終的に違法性を認めた。トランプ政権の商務長官Wilbur Rossは4月に下記のように述べている。

ZTEは、対象リストについて米政権に虚偽の報告をし、一時猶予中にも虚偽報告を行い、さらには執行猶予中に再び虚偽報告した。ZTEは米国商務省を欺いた。従業員や幹部を懲戒処分にする代わりに、彼らにボーナスを支払っていた。こうしたとんでもない行為は看過できるものではない。

それにも増して、ZTEが中国政府と近い関係にあり、そのZTEの通信機器を米国の通信会社や保安当局が使用するというのは、米国の保安当局にとって長らく懸案だった。

FBI長官Chris Wrayの2月の上院情報委員会での発言は以下の通りだ。

我々は、米国と価値観を共有しない外国政府の息がかかった企業が、米国の通信ネットワーク分野で影響力を持つことに深い懸念を抱いている。

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(翻訳:Mizoguchi)

China App StoreからGoogleのDuoやCiscoのWebex TeamsなどのVoIPアプリが消えた

【抄訳】
今週初めに、Appleが中国政府の要求により、いくつかのVoIPアプリをApp Storeから取り去ったことが明らかになった。これらのアプリはVoIPアプリの起呼インタフェイスを提供するAppleの新しいツールセットCallKitを使っていて、それによりデベロッパーはバックエンドの通信部分を自分で書かなくてもすんでいた。中国政府はAppleを介してデベロッパーたちに、China App Storeで売っている彼らのアプリからCallKitを取り除くか、またはアプリケーション全体を取り去るよう求めた。

Appleがデベロッパーに送った通知を最初に見つけたのは9to5Macだ。同サイトはメール上に見つけたそれの、断片を共有した。

そのメールは、中国のMinistry of Industry and Information Technology(MIIT)(工業と情報技術省)が“China App Storeで入手できるアプリにおいてCallKitを不活にするよう要請した”、と述べ、アプリが承認されるためにはこの規制に従う必要がある、とデベロッパーに告げていた。

規制の対象は、China App Storeで配布されるアプリのみだ。

つまりアプリは他の市場で売るのならCallKitを使っていてもよい、ということだろう。

Appleはこの件についてコメントを発表していない。

CallKitに対する反発は、中国でVoIPサービスを開発または利用させないようにするための新たな手段だが、それをアプリを直接禁じずにもっと地味にやろう、というのだ。この分野を中国が弾圧するのは、これが初めてではない。11月にはMicrosoftのSkypeも、AppleとAndroidのアプリストアから取り除かれた

政府は昨年、ユーザーが万里の火壁(Great Firewall)(中国政府のインターネット規制のこと)を迂回するために使うVPNアプリをアプリストアから取り去るよう命じた。これもまた、Appleに下された命令だ。

WhatsAppやFacebookのようなソーシャルメディアアプリもときどきやられているし、The New York TimesやWall Street Journalのような新聞のアプリもブロックされている。

アプリストアに関する情報サービスSensor Towerによると、ニュースで報道される前の週には、CallKitを使っているアプリが2ダース、削除された。

下表は、そのリストだ。削除された日付とアプリの発行者の名前もある:

Sensor Towerによると、ほかのストアから削除されたアプリもあるが、同社はそのデータを持っていない。

また上表は、そのアプリのカテゴリーで上位1500位に入るほど多くダウンロードされたもののみである。そのほかについては、Sensor Towerにもデータを拾えない。でもランク外のアプリはダウンロード数も少ないから、削除のインパクトも小さいだろう。

しかしそれでもなお、このリストにはいくつかのよく知られている名前が並んでいる。CiscoのWebex Teamsや、Googleのビデオ通話アプリDuoなどの名も、そのほかのVoIPオペレーターやプロバイダーたちと一緒に登場している。

以下は、9to5Macが見つけたAppleのメールの全文だ:

【後略】
〔訳注: メール本文(英文)の訳を略します。CallKitに関する中国政府の要請について述べられています。〕

From Apple
5. Legal: Preamble
Guideline 5.0 – Legal

Recently, the Chinese Ministry of Industry and Information Technology (MIIT) requested that CallKit functionality be deactivated in all apps available on the China App Store. During our review, we found that your app currently includes CallKit functionality and has China listed as an available territory in iTunes Connect.

Next Steps

This app cannot be approved with CallKit functionality active in China. Please make the appropriate changes and resubmit this app for review. If you have already ensured that CallKit functionality is not active in China, you may reply to this message in Resolution Center to confirm. Voice over Internet Protocol (VoIP) call functionality continues to be allowed but can no longer take advantage of CallKit’s intuitive look and feel. CallKit can continue to be used in apps outside of China.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Xiaomiが正式に香港市場にIPO申請、公開価格は推定100億ドルか

かねてより噂のあったXiaomiのIPO(株式公開)だが、この中国の巨大スマホメーカーはようやく正式に香港証券取引所にIPOを申請した

申請書類のドラフト初版には上場に伴う財務諸表といった詳細は記載していないものの、地元メディアSouth China Morning Postは「設立8年のこの会社は公開価格100億ドル、時価総額にして1000億ドルを狙っている」と報じている。これは、今年最大のIPOとなるばかりでなく、アリババが2014年にニューヨーク証券取引所に上場した時以来の規模となる。時価総額に基づくと、Xiaomiは上場により中国で3番目に大きなテック企業となる。

Xiaomiは同業他社と異なり、少ない利ざやでスマートフォンやスマートデバイスを販売し、その代わりサービスや利用料などで利益を出している。スマホ販売にとどまらず、自ら小売やオンライン支払い、ストリーミングなどの事業を展開している。CEOのLei Jun氏が言うところの「トライアスロン」戦略では、ハードウェア部門で5%という最大の純利益を達成して以来、さらに成長するためにサービス部門に最も注力している。

Xiaomiは上場申請書類に、中国では1億9000万人超がXiaomi独自開発のMIUIバージョンAndroid携帯を使用している、としたためている。これは、MIUIデバイスが何台出回ってしるのかを知る良い洞察だ。一方で、Xiaomiはこれまでスマートウォッチやフィットネス用バンド、スマート体重計など接続デバイスを1億台以上販売している。Xiaomiは、同社のユーザーが1日に4.5時間スマホを利用し、顧客140万人が5台以上の接続デバイスを使用している、と述べている。

分析会社IDCによると、Xiaomiはスマホ出荷台数で見ると世界第4位で、販売台数がこのところ低迷している中国マーケットで健闘している数少ない企業の一つだ。

Xiaomiの財政状況はまったく驚くべきものだ。

2017年には1146億人民元(約180億ドル)の売上を記録した。2016年の684億人民元、2015年の668億人民元から大幅なアップだ。

一方でXiaomiは2017年に投資家への優先株式発行(540億人民元)で439億人民元(約69億ドル)の損失を計上したが、成長路線はゆるぎない。営業利益は122億人民元(19億2000万ドル)と、前年の3倍超となっている。

売り上げの70%がスマホで、20%超がスマートデバイス、残りがサービス関連となっている。

中国というと、多くの人が収入を上げるマーケットととらえている向きがあるが、Xiaomiは中国マーケット頼りではなくなってきつつある。2017年の売上では中国マーケットが72%を占めたが、2015年は94%、2016年は87%だった。Xiaomiにとって、いま中国以外で最も成功しているマーケットはなんといってもインドだ。シェアでいえば、Xiaomiはインドでナンバーワン、他のエリアではまだ不安定な状況だ。

興味深いことに、Xiaomiはこれまで米国スマホ市場への進出について言及したことがない。しかしながら、IPOで得る資金の30%は東南アジや欧州、ロシア、そして“その他地域”での市場開拓にあてるとしている。近年、Xiaomiは世界74カ国で販売していて、そこにはアクセサリーなどスマホ関連商品を販売している米国も含まれている。

IPOで調達する資金の別の30%は研究開発や製品開発にあて、またさらに別の30%はモノのインターネットやスマート製品エコシステムに、そして残り10%は運転資金にあてる。

Xiaomiは、同社の主要投資家がどれくらいの割合で株式を保有しているのか正確な数字は明らかにしていないが、CEOのLei Jun氏が最大の株式保有者の一人だとされている。Jun氏が同社株式の75%超を保有しているとのレポートもあり、今回のIPOによりJun氏は中国で最も裕福な中国人の一人となりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

レポート:中国のスマホ出荷21%減、2013年以来最低水準に

かねてからアナリストたちは中国のスマホ市場の成長に警戒感を示していた。それが、とうとう現実のものとなったようだ。

10億超もの人口を抱える中国では多くの人がスマホに飛びつき、スマホ市場はしばらく右肩上がりで、これにより中国国内のOEMメーカーの業績は目覚ましいものだった。しかしそのスマホ市場は2017年に飽和点に達し、初めて成長が止まった。そして今年の第一四半期では、状況はさらに悪化している。

調査会社Canalysが今日発表したレポートによると、2018年第一四半期のスマホ出荷台数は前年同期に比べ21%減だった。

四半期の全モバイル端末の出荷台数としては2013年10~12月期以来初めて1億台を下回ったとしている。

Gionee、Meizu、Samsungの出荷台数はそれぞれ2017年第一四半期の半分以下に落ち込み、スマホメーカー10社のうち8社が年間を通しての出荷減となる、と分析している。

大変な事態となった。

そうした中で、1000億ドル規模のIPOが予想されているXiaomiだけが数字を伸ばした。出荷台数は37%増え、1200万台を達成した。これにより、Appleを追い越してシェア第4位になっている。ただ、Xiaomiの数字は、ハイエンドモデルに比べて利益の少ない150ドルのRedmiによるところが大きい。

中国のスマホ市場はHuwei、Oppo、Vivoの3メーカーが引っ張ってきた。信じられないことだが、この3メーカーとXiaomiで市場の73%を占めている。Canalysは「こうした状況は中国の消費者やスマホ愛用者にとっては好ましいものではない」と指摘している。

「競争が激しさを増す中で、どのメーカーも他社のスマホの機能やマーケティング戦略を真似せざるを得なくなっている」とアナリストのMo Jia氏はレポートの中で述べている。「Huwei、Oppo、Vivo、Xiaomiは縮小するマーケットと戦わなければならない。一方で、今後メーカーの淘汰が進み、これは4大メーカーにとってプラス材料となる。この4メーカーは中小メーカーより長く生き残れるだろう」と分析する。

もしかすると、間もなく明るい兆しが見えるかもしれない。Canalysは、Oppo、Vivo、Huweiの3社が次々に旗艦モデルを投入する第二四半期は成長を見込んでいる。しかしながら、現在、米国の消費者はキャリアが望むほどには頻繁にスマホをアップグレードしない。すでにブームを経験した中国のスマホ市場は、米国とまさしく同じ問題を抱えることになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

 

Y Combinatorは中国内初の公式イベントで中国のスタートアップを追う

有名な、米国のスタートアップアクセラレーターY Combinatorは、中国内初の公式イベント開催を発表した後、より多くの中国系スタートアップをプログラムに参加させようとしている。

近年YC(Y Combinator)は、北米以外からのスタートアップの参加を奨励してきた。それによって、インド、東南アジア、アフリカなどの企業が集まってきていたが、中国の企業はまだ不十分だった。YC自身のデータによると、そのプログラムを通過した中国企業はまだ10社に満たない。なおYCのプログラムを卒業した企業は1400社以上に及ぶ。

イベント“Startup School Beijing”は、中国首都の清華大学で5月19日に開催が予定されている。このイベントは、出席者はチケット申し込みは必要なものの、参加費そのものは無料である。米国プログラムへの参加のメリットを示すことが目的だからだ。

そのメリットを具体的に示すために、YCはAirbnbStripeのようなスター企業を連れてくる予定だ。またYCのプレジデントであるSam Altman自身も登壇する。

このイベントではYC卒業生たちやYCパートナーとのセッション、そして「ステージ上でのライブオフィスアワー」セッションが行われる。最後の「ライブオフィスアワー」では、会場から3社が選ばれて、実際のYCプログラムで行われるようなアドバイスやヒントが、参加したパートナーたちからステージ上で与えられる。セッションは英語と中国語の両方で行われ、同時通訳が行われる。

Pebbleを創業したYCのパートナーEric Migicovskyが、このイベントの進行を務める予定だ。現時点では以下のスピーカーたちが登壇する予定である:

Migikovskyは、米国のハードウェア創業者たちを支援するだけでなく、中国への進出を具体化するために登場するのだが、彼はそこに強い需要があることを楽観視している。

「私たちは開催するStartup School in Beijingで地元の起業家たちに会い、YCが彼らをどのような形で支援できるかについて、話し合いを始められることを期待しています」と、彼はTechCrunchに語った。「今回のイベントと、私たちが会う創業者たちが、私たちの戦略を広く知ってもらうためのきっかけとなるでしょう。当然のことながら、私たちはシリコンバレーで実施しているY Combinatorのコアプログラムに参加する中国企業に出会えることを期待しています」。

Migicovskyは、顧客、パートナー、雇用などを求めて、世界マーケットにアクセスしたいと考えている中国のスタートアップたちに、とりわけ価値を感じていると付け加えた。

YCが正式にこのイベントを発表したのは今日(米国時間4月25日)だが、その影響力がとても大きいため、招待状が送られ始めた時点で既に地元メディアでは話題となっていた。このことは私たちの中国におけるパートナーであるTechnodeでも報道されている。

北京のイベントの詳細については、conference.startupschool.orgを参照のこと。

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(翻訳:sako)

Cloud Foundry財団、Alibabaがゴールド会員に――中国のクラウドのオープンソース化加速へ

Cloud Foundryはエンタープライズ分野でもっとも成功しているオープンソースプロジェクトだろう。これはクラウドの種類を選ばずソフトウェアを動作させるPaaS(Platform-as-a-Service)だ。これにより企業はソフトウェアの開発と運用が大きく効率化される。多数の大企業でアプリケーション開発の標準となっている。事実、Fortune 500にリストアップされた大企業の半数はなんらかの形でCloud Foundryを使っている。

このプロジェクトの生みの親であり、現在も運営に中心的な役割を果たしているPivotal近々上場を実施することもあり、 Cloud Foundryは現在のコアなユーザーグループの外に飛躍しようとしている。現在Cloud FoundryはCisco、IBM、SAP、SUSE、Google、Microsoft、Ford、Volkswagen、Huawei、NTT Communications、Fujitsuなどが支援している。

ここで今日(米国時間4/18)、中国の巨人、Alibabaグループ Cloud Foundry 財団にゴールド会員として参加した。AWS、Azure、Google Cloudなどに比べれば、Alibaba Cloudのメディアへの露出は少なかったが、世界的にみても大規模なクラウド・サービスの一つだ。今日から、Cloud FoundryはAlibaba Cloudで作動するようになった。Cloud Foundryのアプリケーションとコンテナのランタイムがサポートされる。

Cloud FoundryのCTO、 Chip Childersは私の取材に対して「Alibabaはオープンソース・コミュニティーで積極的な活動をしていくものと期待している」と述べた。またChildersによれば、Cloud Foundryは中国で急速に成長中だという。私の経験からも中国ではOpenStackなどの大型のオープンソースプロジェクトの成長が著しいようだ。

中国でオープンソースが普及するにつれ、企業はこうしたプロジェクトに効果的に貢献する方法を模索している。Coud Foundry財団に加入するのは最初の一歩だろう。Childersはまた伝統的な中国の大企業の多くがデジタル化による変身を図っていると語った。これがまた中国におけるクラウドやオープンソースツールの需要を高めているのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

いまさら聞けない中国預託証券(CDR)入門 ―― 1兆ドル規模の投資市場の誕生か

中国預託証券で、中国政府は莫大な富を生み出すだろう

先日、中国政府は新たに、1兆ドル規模の投資市場の創出を発表した。もちろんエイプリルフールの冗談ではない。

AlibabaやTencentのような、中国の巨大テクノロジー企業が世界で最も価値のある企業であることや、Xiaomiのような次世代スタートアップがIPOを控えていることは実に喜ばしい。中国の人びとの多くが興奮することになるだろうが、それらの成功とは裏腹に、そこには深刻な皮肉が横たわっている。これらの中国のハイテク企業の株式を、実際に中国の証券取引所で購入することはできないし、中国の個人投資家たちもそれらの株式を購入することはできない。

中国人労働者がこれらの企業を築き上げ、その価値はアメリカの資本家に集まるのだ(おそらく「中国的社会主義のせいで」?)

現在、中国中央政府は、中国預託証券(CDR)を導入することで、そうした企業たちを中国本土に呼び戻す新しいルールを提案しようとしている。これは大きなニュースである。世界のいくつかの大手テクノロジー企業の時価総額を完全に変えてしまうだけでなく、ニューヨーク証券取引所や、香港、上海、深センなどにある中国国内証券取引所との競争も激化させることになるからだ。

ではCDRとは一体何だろう?その詳細に入る前に、まずはそれらが必要とされる理由を理解する必要がある。

国内のバイヤーたちが国内株式を買うことは、中国では本当に本当に難しい

経済学の理論には、自由貿易と効率的な市場という概念の輝かしい例証として証券取引所が取り上げられている。各企業は標準ユニット(株式)を販売し、その価格は透明に開示されていて、買い手と売り手は中央市場(取引所)で、有価証券を任意の価格で売買することができる。

もちろん実際には、政府が金融証券を強く規制することで、それらの取引所が整然と運営されることを保証している。米国の証券取引委員会は、国の取引所の運営と事業を規制する複数の公的機関ならびに民間機関の1つに過ぎない。

さて中国に目を向けた場合、その規制は100倍厳しいものだと考えて欲しい。証券取引所への上場には、中央政府の承認を受けなければならず、それに加えて規制当局は過去数年間にわたり積極的に上場を阻止してきたのだ強力な資本規制により、中国市民は国内の証券のみを購入することが可能で、外国の証券取引所を通じて中国国外の企業に投資することはできない。同様に、外国人投資家は、過去20年間にわたる自由化プログラムにもかかわらず、中国国内企業への投資には極めてハードルの高い難題に直面している。政府は、貿易の停止その他の手段によって、上海証券取引所と深セン証券取引所の運営に定期的に介入している 。国内証券規制は負担の大きなものとなり、企業には「共産党支援」活動が強いられる

個人投資家から資本を調達しようと考える中国企業にとっては、2つの道が考えられる。1つは、異なる場所で取引される複数のタイプの株式を提供することだ。これまでこれに相当していたのは、上海で取引され、地元の人びとだけが購入できる「A株」と、外国人のみが取引可能な「B株」だった。中国国内の証券取引所の証券規制がない香港で上場する「H株」を選択する企業もあった。これらの異なるクラスの株式は価格も独自に決まり、それらの間に大きな食い違いがあることも見られた(伝統的にA株は他のタイプの株式に比べて高い価値を持ってきた、しかし研究者たちは、いまだにその正確な理由を知らない)。

この経路は複雑なので、AlibabaTencentなどを始めとする中国の大企業たちは、国内の証券要件を回避でき、外国資本市場へのアクセスも与えられるケイマン諸島のような場所に会社を設立してきた。オフショア法人設立専門法律事務所であるWalkersの分析によれば、香港上場株式のほぼ半分はケイマン諸島を拠点とし、他の4分の1はバミューダを拠点としている。こうしたやりかたは、経営陣にとっては財務的に賢明な判断だが、中国当局にとっては認めがたい手段である。このことで企業に対する影響力が失われ、海外取引所に上場された際にこれらの株式が獲得する将来的な成長も失われてしまうからだ。

では中国預託証券(CDR)とは何なのか?

そこで中国預託証券(CDR)が登場するというわけだ。ほぼ100年前に発明されたアメリカ預託証券(ADR:American Depositary Receipts)をお手本として生まれた中国預託証券(CDR:Chinese Depositary Receipts)は、国内の買い手たちが、国内の証券規制を守りつつ取引の困難さを軽減しながら海外の株式を所有できる手段である。

銀行は、海外の発行者と地元の買い手との間の仲買ブローカーとして機能する。預託者として知られるこの機関は、信用できる企業の外国株式を保有していて、その預託株式に比例した数の証券(例えば6株当たり1証券など)を、国内で新しい証券として発行する。さて、ここで2種類の証券が登場している。1つはレシート(Receipt)と呼ばれる証券で、預託銀行に紐付けられる形で証券購入者が持つものである。そしてもう1つはオリジナルの海外株式で、これは海外発行者の発行したものを銀行が保有している証券である。

ここが「魔法」の起きる場所だ。ここで証券規制は、国内の買い手を対象に、新しく発行された証券に適用され、オリジナルの会社の株式には適用されないのだ(実際には何千ページにわたる政策と法律が関わっているので、話はもっと込み入っているが、ともあれ基本となるアイデアはこのようなものなのだ)。取引が仲介されることで、誰でも便益を受けることができる。国内の買い手は国内の規制を守りながら、海外投資にアクセスすることができるのだ。

ここではあまり深入りしたくない膨大な特性があることを指摘しておくことは重要だ。対象株式の管理と取引を行うための費用を捻出する必要があるために、通常の株式取引に比べてより多くの手数料が発生する。税務上の影響やその他の会計上の問題は、投資家によっては相当複雑になる可能性がある。

しかし、このような複雑さにもかかわらず、預託証券は米国ではとても人気がある。米国最大の預託銀行であるBNY Mellonによれば、2016年の市場規模はおよそ2.9兆ドルで、取引されている銘柄はおよそ3500種あり、その年にさらに数十銘柄が追加されている。いくつかの経済指標では、中国経済が既に米国を追い抜いていることを思えば、CDR市場の規模は優に1兆ドルを超える可能性がある。

国内で富を分かち合う

預託証券の背後にあるコンセプトは、新しいものではないかもしれないが、その利用はこれまで中国国内では正式には認められておらず、それが変わろうとしているのだ。先の金曜日(3月31日)中国中央政府は、国内証券取引所で中国預託証券を発行することを可能にする、新しい証券規制方針の草案を発表した。

China Banking Newsによれば、今回主に関心の対象となっているのはテクノロジー企業のようである。「世論は、戦略的新興産業の一部のハイテク企業や大企業が、株式の発行や預託証券を通して上場を果すことを望んでいる。そうしたことが期待される産業分野は、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能、ソフトウェア、集積回路、ハイエンド製造業、そしてバイオテクである」。技術に焦点を当てることは、中国共産党の他の動きにもマッチするものだ。特に、同国が技術的優位性を狙うための、中国製造2025(Made in China 2015)と呼ばれるロードマップには良く合致している。

CDRが整備されれば、現在海外に上場している中国企業たちは、それを利用して国内の買い手たちに購入する権利を開放せよという、大きな圧力に直面することが予想される。すでに、 Baidu、Sogou、Alibaba、Tencent、そしてXiaomiといったな企業たちは、本土に戻るためのチャンネルが見つかることに興味があると公表している(Xiaomiの場合、少なくとも部分的に初期提供を開始する可能性がある)。Bloombergが1ヵ月前に書いたように「巨大企業を国内での上場に誘うことで、気まぐれな規制、不安定性、そして恒常的な政府の介入によって悪名高い、中国の2大証券取引所である上海と深センの評判も、向上することだろう」。

さらに、より多くの国内の中国人株主を得ることで、これらの国内企業への統制を中国当局の手に留めることを可能にする。中国共産党は、この面で特に積極的であり、トップ企業の株式を取得し、企業の役員に共産党幹部を送り込むことを提案している 。これらの企業の株主構造を変えるということは、共産党による民間部門への支配の延長とみなされるべきものである。

変化はまだ進行中だが、私たちはそうした企業たち ―― 特にテクノロジー分野 ―― の大きな資本構造の変化に備える必要がある。AlibabaとTencentを合わせた時価総額は1兆ドル近くに上る。他にも数多くの中国株が、米国や西側の取引所に独占的に上場されているが、もしCDRが普及すれば、巨大な市場になる可能性があるだろう。最終的な規制の公表に向かい、CDRは今年後半の主要なニュースストーリーの1つとなるだろう。

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(翻訳:sako)

中国の宇宙ステーション、天宮1は間もなく墜落――重量9.4トン、正確な落下地点は不明

「上がったものはやがて下りてこなければならない」とことわざに言うが、使命を終えた衛星にも当てはまる。中国の最初の宇宙ステーション、天宮1( Tiangong-1)は7年近く軌道にあったものの、制御不能となり降下を続けている。今夜〔太平洋夏時間〕にも盛大な火の玉となって太平洋上に落下するはずだが…正確な場所はわからない。

不明な要素が多すぎるため天宮-1の軌道は推測するしかない。専門家が一致しているのは向こう24時間以内に大気圏に再突入するだろうという点だ。落下地点は北緯43度から南緯43度の間だという。

しかしESA(欧州宇宙機関)の専門家が最近説明したところによれば、巨大な物体が超高速で上層大気に突入するという事態の性質上、正確な時刻、地点はそれが起きるまで分からないという。

それだけ聞けば深刻な事態のように思えるが、実際にはさほどでもない。

天宮1はバスくらいの大きさで重量は9.4トンある(The Aerospace Corporationのビデオではスクールバスと比較されている)。しかし同サイズの隕石に比べると天宮1は内部が空洞なのできわめて軽く、脆弱だ。大気圏に突入すれば容易にばらばらになる。宇宙ステーションははるか以前に放棄されており乗員はいない。他の有人衛星と衝突する可能性もないという。

天宮1は2011年後半に2つの衛星として打ち上げられ、軌道上で結合された。中国の宇宙開発計画で最初の試みだった。その後2年にわたって3基の神舟(Shenzhou)衛星が宇宙ステーションとのドッキングに成功している。神舟8は無人のロボット衛星で、神舟9、10はそれぞれ3名の宇宙飛行士が搭乗していた。

天宮1は中国の宇宙ステーション技術をテストするプラットフォームだった(その後2016年に天宮2が打ち上げられている)。2013年には予定されたミッションを終えて退役した。中国の宇宙機関はスラスターを噴射させて天宮1を洋上に落下させる予定だった。いかに危険は小さいとはいえ、よその国にスペースデブリを振りまくのは良いマナーとはいえない。

The Aerospace Corporationによる図解。天宮1の軌道高度は120km程度で、高度80km程度まで降下したところで分解し、大きな破片は幅70km、長さ2000kmの区域のどこかに落下する。

残念ながら2年前から宇宙ステーションは地上からの指令に反応しなくなった。つまり制御された落下は不可能になった。落下日時が推定されたのは数ヶ月前だ。

テレメトリーが作動していないので、天宮1の現状は外部からの観察に頼るしかない(ドイツのフラウンホーファー研究所のレーダー画像)が、不確定要素が多数あるため正確は予測はできない。24時間程度の誤差で落下予測が可能になったのは先週のことだ。

天宮1の落下を目撃できれば大型隕石が大気圏に突入するときのような火の玉が出現するだろう。宇宙ステーションが上層大気と衝突してランダムに旋転し、分解、炎上するところは中国の宇宙機関の表現によれば「壮大な」宇宙ショーになるはずだ。おそらく1分以上目視可能だろう。

落下が近づくにつれて予測精度はさらに改善される可能性があるので、新たな情報があれば記事をアップデートする。

画像:Fraunhofer

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

試験対策から生活情報まで、外国人留学生向けEラーニングのLincが1億円調達

外国から日本に留学する人材向けのオンライン教育サービスを提供するLincは2月14日、ジェネシア・ベンチャーズBEENEXTを引受先とする第三者割当増資を実施した。調達金額は1億円だ。

Lincの中心メンバーたち。写真左が代表取締役の仲思遥氏。ここに写る全員が外国籍の留学生だ。

近年、日本における外国人留学生数は右肩上がりで推移している。2007年には約12万人だった留学生数は、その10年後の2017年には約26万人にまで増えた。そういった人材が日本に来る際に障害となるのが、言語や文化の壁だ。Lincは同社のオンライン教育サービス「羚課日本留学」を通してその壁を取り払おうとしている(羚課はLincの中国語発音だ)。

現在、Lincが主に提供しているのが留学生向けの試験対策カリキュラムだ。外国人留学生が日本の大学に入学する場合、日本留学試験(EJU)を受験する必要がある。これは留学生版のセンター試験とも言えるもので、日本語能力のほか、地理、歴史、政治経済などの文系科目や、物理や化学などの理系科目などの基礎学力を評価するテストだ。

LincではこのEJU対策カリキュラムをオンライン授業という形で提供している。ただし、現在は歴史や数学などの科目の授業のみを提供。語学としての日本語を教える授業は提供していない。また、Lincは今のところ中国人向けにサービスを特化しているため、授業はすべて中国語で提供している。同社によれば、ターゲットとなる中国語圏の日本語学習者は約100万人ほどいるという。

羚課日本留学のオンライン授業には録画とライブ配信の2種類がある。科目授業など知識系の授業では録画形式で授業を行ない、日本に渡航したあとの生活についてレクチャーを行う授業では、受講者からの質問に対応するためにライブ配信で授業を行っている。この、日本の生活についてのレクチャーは、日本の慣習や文化に慣れない留学生にとって価値のある情報だ。

クレジットカードの審査で見られる信用情報(クレジットヒストリー)の履歴は、渡航した直後から蓄積される。留学生はその認識が低くなりがちで、渡航直後に公共料金の支払い遅延があったなどという理由でクレジットカードが発行されないケースもあるという。ライブ配信の授業ではこういった日本のルールについても学ぶことができる。「その人が育った国の常識に従えば良いのではなく、日本ではそういった遅延がのちのちトラブルにつながる可能性があることなどを教える」(Linc代表取締役の仲思遥氏)

こう話す仲氏自身、中国出身の外国人として日本の大学を卒業した元留学生だ。中国で生まれた仲氏は6〜12歳まで日本で暮らした。その後中国に戻ったが、「日本での生活が好きだった」という仲氏は進学先として日本の大学を選んだ。仲氏自身が日本での生活から学んだ“体験”を外国人留学生に伝えたいという。

現在のところ羚課日本留学では約680本の授業動画が提供されていて、総視聴回数は10万回を超えるという。単月ベースでの黒字化はすでに達成しているそうだ。羚課日本留学の利用料金は1年契約で10万円。日本語学校の中には日本留学試験の対策講座を行っている学校もあるが、それらの授業料は1年あたり約60〜70万円の費用がかかることもある。それに比べれば、羚課日本留学の利用料金はかなり安く設定されていると言えるだろう。

外国人が日本に留学しようと決意したとき、彼らの多くはまず留学エージェントに相談する。エージェントはバックマージン欲しさに日本語学校への入学を強く勧めるが、それが唯一の選択肢だと勘違いしてしまっている人もいる。その結果、授業料の支払いのために母国で大きな借金を抱えて来日する人たちもいる。仲氏は羚課日本留学について、「日本語学校以外の選択肢の1つとして見てもらいたい」と話す。

今回のラウンドで1億円を調達したLincは、今後カリキュラムの提供国を東南アジアにまで拡大する。また、将来的には、サービスを通して集めたユーザーデータをもとに外国人材の「信用」をスコア化し、それを利用して外国人向けの住宅探し、アルバイト探し、転職支援サービスなどにビジネス領域を拡大していきたいという。仲氏は今後、さまざまなライフイベントに関わるサービス群を提供していくことで「外国人版のリクルートを目指したい」と将来のビジョンを語った。

中国海軍がレールガンの艦載に成功?――リーク写真に議論百出

シュワルツネッガーの『イレイザー』が公開されて以来、誰もがレールガンを欲しがるようになった。どうやら中国海軍もその一員だったらしい。中国の最新兵器開発の動向に詳しいDafeng Caoのツイートによれば、揚陸艦に中国独自の電磁レールガンとおぼしき巨大な砲填兵装が搭載された写真が発見された。

レールガンは2本の導体間に大電流を流して中間に置かれた実体弾を加速する兵器で、火薬を推進薬に利用する従来の砲と比較して何倍ものスピードを弾頭に与えることができる。その速度はマッハ6以上になるようだ。アメリカは長年この兵器の開発を続けており、しばらく前に下のようなクールなデモビデオも公開されている。しかし実際に艦載されたということは聞いていない。

さすがシュワルツネッガー、レールガン両手撃ち

中国海軍は何も発表しておらず、今のところすべては推測にすぎない。ただし中国もレールガンの開発に努力していたことは公然の秘密だった。それにこの写真の砲はきわめて異例の形状だ。

まず砲身が長さに比べて太い。また砲塔内にかなりの部分が隠れているように見える。この部分に加速装置が隠されているとすれば、アメリカが開発したレールガンの形状に近い。

4000トン級の揚陸艦にこのような大口径砲を装備すれば安定性に悪影響が出る。通常の艦載砲であるとは想像しにくい。

次に搭載されている艦は中国海軍が新兵器をテストする際に標準的に使われている種類、909型ではないという点だ。Dafeng Caoは元中国海軍の将校の発言として「909型の発電能力はレールガンを運用するのに必要な大電流を発生できないからだろう」と引用している。

3番目に、砲塔の直後に海上コンテナがいくつか見える。レールガンは大電流を必要とするので発電装置やコンデンサーなど運用のインフラを必要とする。これらは非常にかさばるので砲塔内に収めるのは難しいが、コンテナ内なら可能かもしれない。

写真の赤い横断幕には「世界一流の海軍兵装を提供し世界一流の海軍を建設しよう」とある。非常に断定的かつ野心的なスローガンだ。

Dafen Caoがツイートしているようにこの野心的な宣言のバナーが艦上に掲げられている。 海軍記念日その他の祝日に新型砲をみせびらかすというのはクールだが、カモフラージュ・ネットをかけたままでは実際の発砲はできないだろう。

レールガンは桁外れに重く、かさばる兵器なので、中国が本当にレールガンの艦載に成功したのであれば、小型化とモジュラー化でアメリカに比べて飛躍的な進歩を遂げたことになる。実際レールガンが近く実用化されるという話はまったく聞いていない。火薬を利用する従来型の砲の方が今のところはるかに現実的だ。 アメリカのレールガンは鳴り物入りで登場したものの、このままお蔵になるかもしれないという報道も出ている。

US Naval Research

画像: Dafeng Cao / Twitter

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、中国Tencentと特許権クロスライセンスに調印

Googleからまた中国関連のニュースが出た。Googleは中国のテクノロジーの巨人、Tencent(騰訊)と特許に関するクロスライセンス契約を結んだことを発表した。

契約の詳細は明かされていないがTencentは時価総額5000億ドルの巨大企業であり、Googleではこの契約は「広汎なプロダクトとテクノロジーが含まれる長期的なもの」としている。両社は今後もイノベーションとテクノロジーに関して協力していくことを約束した。

Googleの特許部門の責任者、Mike Leeは「われわれはTencentと特許に関するクロスライセンス契約を結んだことを報告する。両社がこのような協力で合意できたことは喜ばしい。このような協力によりテクノロジー企業はユーザーのためのプロダクトとサービスの改良に努力を集中することができる」と声明で述べた。

Googleの主要事業である検索サービスは中国で依然としてブロックされているが、Googleはそれ以外の分野で中国との関係を深める一連の行動を取ってきた。昨年12月にGoogleは北京にAIラボを開設している。Googleが最初にこのような施設を中国に設けたのは、 深センの施設だが、最近ではスポーツ・ストリーミングの Chushou(触手)に投資している。

Tencent側にとっても今回の契約はグローバル企業に発展する上で重要なステップとなる。同社は長く中国最大の企業の一つであり、巨大かつ高収益のゲーム・ビジネス、圧倒的な規模のWeChatサービスなどをベースに、昨年は世界的な存在に向けてSnapTeslaSpotifyなどに大型の投資を行っている。

画像:Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Huaweiがアメリカのキャリアと契約できなくなったのは議員からの圧力のため、という説

Huaweiの長引いているアメリカ進出のトラブルは、その最新の状況が、先週のCESにおける予期せざる、そして人びとの興味をそそる、記事ネタにもなった。しかしこの玉ねぎには、まだ剥くべき層がたくさんある。今朝(米国時間1/16)Reuters(ロイター通信)は、AT&Tがこの中国のスマートフォンメーカーとの契約を土壇場で破談にしたのは、このキャリアに対するアメリカの議員からの圧力があったからだ、とする憶測を確認している

この通信社の情報筋によると、AT&Tが同社のキャリア援助事業によりHuaweiのハンドセットを提供する、という計画に数名の議員が反対したため、AT&Tの手は塞(ふさ)がれた。議員たちはさらに、このアメリカ第二のキャリアに、Huaweiとの関係を断つよう強制することすらしたらしい。

関係というのは、5Gの規格策定や実装で協調することと、AT&Tが2013年に買収したプリペイドのワイヤレスプロバイダーCricketとの契約だ。上述の議員たちは、Huaweiおよび国営通信企業China Mobileとの関係は、同社の今後のアメリカ政府との契約の可能性を損なうかもしれない、とAT&Tに警告したそうだ。

その記事の内容は確かに、HuaweiとZTEの両社をセキュリティリスクと位置づけた2012年の下院諜報委員会の報告に沿っている。そのときの報告は、“アメリカの民間部門は、装置やサービスに関してZTEまたはHuaweiのどちらかと事業を行うことに結びついている長期的なセキュリティリスクに配慮することを、強力に奨励されている”、と言っている。〔両社とビジネス関係を持つな、ということ。〕

金曜日(米国時間1/12)には、テキサス州選出下院議員Michael Conawayが、アメリカ政府がHuaweiまたはZTEのハンドセットを使っているキャリアと仕事をすることを禁ずる法案を提出した。それは、HuaweiのCEO Richard Yu(上図)が、たぶんスピーチの草稿にはなかった部分として、同社との協働を拒否するアメリカのキャリアを酷評してから、数日後のことだ。そのときYuは、“それは消費者にとって大きな損失である。なぜなら彼らは、最良の製品を選べないからだ”、と述べた。

Huaweiは明らかに、今年はアメリカに進出するという大きな計画を持っていた。Wonder Womanの主演女優Gal Gadotをコマーシャルに起用して、大規模な広告キャンペーンを打った。しかしスマートフォンの購入の多くがキャリア経由である国でそのサポートが得られないなら、どんな積極姿勢もその一歩を踏み出せないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa