経理アウトソーシングのメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

経理アウトソーシング「バーチャル経理アシスタント」を運営するメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

経理アウトソーシングを手がけるMerryBiz(メリービズ)は2月28日、同社代表取締役について、創業者の工藤博樹氏から、現取締役の山室佑太郎氏に同日付けで交代すると発表した。取締役陣は従来通り、経営管理・事業戦略担当の太田剛志氏を含む3名。「バーチャル経理アシスタント」のさらなる成長とサービス提供体制の強化、および新事業の研究・開発への投資を目的に、代表交代となったという。

代表後任となる山室氏は、創業期に近い2015年に同社へ参画し、2016年より取締役を務め経営を推進、2017年のオンライン経理アウトソーシングサービス「バーチャル経理アシスタント」のローンチから本事業の陣頭指揮を担当。経理アウトソーシング「バーチャル経理アシスタント」を運営するメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

企業フェーズの変化支える最適配置とチーム経営

工藤氏は、2011年7月にメリービズを創業。代表取締役として、レシート・領収書の入力代行サービスを主力事業としていた時代からこれまでの、いわゆる「ゼロイチ(0→1)」を牽引。創業から10年を経て、事業が成長フェーズへ移る中、組織作りや事業全体の指揮に長けた山室氏に代表を交代。工藤氏はR&D担当役員として、次なるサービスの研究・開発にも明確な投資にコミットしていくという。

これまで、元々チーム経営をしてきたMerryBiz。株主を含めてコミュニケーションを密に取ってきた。「代表者の交代というファクトはまだインパクトが大きいので、ステークホルダーを心配させないように丁寧に対話を重ねてきました。代表が誰かではなく、適材適所の配置をして事業を成長させることに主眼を置いています」と、工藤氏は明かす。「CxO自身がポジショニングに凝り固まりすぎず、事業のスケールをより優先事項に置くことで、状況によって柔軟な体制を取れるようになり攻守バランス良く成長していけると感じています」と太田氏。代表を引き継ぐ山室氏も「内部の各個人を評価するというより、MerryBizという法人がどう成長するかに合わせて各自の能力を当てはめていくことを重視しています」と述べた。経理アウトソーシング「バーチャル経理アシスタント」を運営するメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

カリスマのある代表者が牽引する企業が注目されることが多いが、有機的なコミュニケーションを重視したチーム経営は今の時代にフィットしてきているのかもしれない。チーム経営についての詳しい鼎談はこちら

今後は、バーチャル経理アシスタントの力強い成長の実現、および新事業の研究・開発への投資を進める。2021年は、社員数増加にともなう本社の拡大移転や、事業を支えているプロ経理リモートワーカーの登録者数が1000名を超えるなど、大きな節目となった。今回の体制変更により、顧客企業への業務支援・DX推進支援などを通じた価値提供はもちろん、全国各地の有能なリモートワーカーにさらに活躍の場をもたらすことを目指す。

STORESプラットフォームのheyが新人事制度WORK LOCAL開始、居住地の制限を撤廃し採用対象エリアを全国各地に拡大

STORESプラットフォームのheyが新人事制度WORK LOCAL開始、居住地の制限を撤廃し採用対象エリアを全国各地に拡大

「お商売のデジタル化」を支援する「STORES」(ストアーズ)プラットフォームを手がけるヘイ(hey)は2月14日、新たな人事制度「WORK LOCAL」を開始すると発表した。「日本全国、どこでも居住可能」「月15万円まで交通費支給」とすることで、採用対象エリアを全国へ拡大し、多様な働き方を推進する。

WORK LOCAL」概要

  • 日本中全国どこでも居住可能
  • 交通費は月15万円まで支給
  • 特急(利用条件あり)、新幹線、飛行機の通勤も可能
  • リモート環境整備の補助金(ホームオフィスサポート)として毎月1万円支給

コロナ禍で中小事業者を取り巻く環境は大きく変化し、首都圏に限らず、ローカル(地域・地元)の事業者がネットショップの開設や、来店予約制の導入など 新たな商売の形に挑戦する機会が増えたという。heyにおいても、ネットショップ開設や予約システムなど複数のサービスを通して、街のお店のデジタル化を支援する機会が増えているそうだ。

また、heyの社員自身も働き方が多様化。都内に引っ越さずに地元から働いたり、自分や家族が望む地域へ移住したりと、社員自身が全国各地へ働く場所を広げ、その地域で暮らすことで、「こだわりや情熱、たのしみによって駆動される経済」を支えることが自然な形になりつつあるという。

同制度実施にあたり、heyの社員を対象に行ったアンケートでは、回答者の約8割が(同制度を)「活用してみたい」、さらに約3割が「すでに移住をした・これから移住を予定している」と回答(アンケート実施期間:2022年2月7日〜2月8日。回答数:72名)。新しい働き方が浸透し始めているという。

heyは、事業成長に伴い採用を強化し、特にエンジニア人材は100名の増員・強化を予定。今後の組織拡大を見据え、全国どこからでも働ける新しい人事制度「WORK LOCAL」を通して、社員の地元・地域に根ざした働き方にも柔軟に対応するとしている。

heyは、「Just for Fun」をミッションに、こだわりや情熱、楽しみにより駆動される経済の発展を支援。ネットショップ開設「STORES」、POSレジ「STORES レジ」、キャッシュレス決済の「STORES 決済」、オンライン予約システム「STORES 予約」など、商売のデジタル化を支援する「STORES プラットフォーム」の展開を通じて、誰もがこだわりをもっと自由に発揮できる社会を目指している。

「デスクを持たない労働力」管理HRプラットフォームのSnapshift、市場拡大に向け約51.9億円調達

このいわゆる「大量自主退職時代」には、多くの現場作業員(看護師、トラック運転手など)が新型コロナウイルス感染流行をきっかけに自分の生活を見直しており、その一方で旧来の企業はこの新しい世界秩序に苦心している。従業員はまた、より良いコミュニケーションも求めているため、このようなコミュニケーションをアプリ化することは理に適っている。

フランスを拠点とするSnapshift(スナップシフト)は、レストラン向けのスタッフ管理ウェブソリューションとしてスタートし、Bpifrance(ビーピーアイフランス、フランスの政府系投資銀行)とFemmes Business Angels(フェム・ビジネス・エンジェルズ)から390万ユーロ(約5億1000万円)の資金を調達した。しかし、この会社は明らかに賢いアイデアを思い付いていた。そしてそれは、私たちが今、生きている時代に合わせて作られたようなものだ。

今やこのHR(人的資源)プラットフォームは、いわゆる「デスクレスワークフォース(デスクを持たない労働力)」を管理するためのプラットフォームとして生まれ変わった。これは、かつてブルーカラーやフロントラインワーカーと呼ばれていた人々のことを指す今風の言葉である。

Snapshiftは今回、4500万ドル(約51億9000万円)のシリーズAグロースエクイティ資金を調達した。このラウンドはHighland Europe(ハイランド・ヨーロッパ)が主導し、既存投資家であるBpifranceとUL Invest(ULインベスト)も参加した。

Snapshiftは、2021年に同社のサービスに対する「大きな需要」があったことを受け、現在はSubway(サブウェイ)、Pizza Hut(ピザハット)、Spar(スパー)、Amorino(アモリーノ)、Biocoop(ビオコープ)、Fitness Park(フィットネスパーク)、Columbus Cafe(コロンブス・カフェ)、Carrefour(カルフール)など、6000社以上の顧客を抱えているという。

今回の資金調達は、欧州のレストラン、ホテル、小売業など、すべての中小企業にサービスを拡大するために使用される予定で、スペインが最初の国際ターゲット市場となる。

Snapshiftのオリジナル製品は、スタートアップ企業やレストランの起業家であるOlivier Severyns(オリヴィエ・セヴェリンス)氏が、自身のスタッフ当番表を管理するために作ったものだった。その後、同氏は他の企業向けにSnapshiftを起ち上げることを決めた。現在では70名以上の従業員を抱えているが、2022年には150名に増員することを目指している。

セヴェリンス氏は、次のように述べている。「私たちの使命は、中小企業が人事関連のあらゆる事柄を理解し、最適化するための支援をすることです。給与管理やスタッフのスケジュール管理を簡素化し、刻々と変化する社会法や雇用法などの複雑な問題についてガイダンスを提供します。Snapshiftの顧客の多くは、新型コロナウイルスが招いた持続的な人材確保の問題から影響を受けています。Snapshiftの製品によって、顧客は管理システムを近代化し、信頼と透明性を促進することで、従業員にとって『働きがいのある会社』にすることができるのです」。

Highland EuropeのパートナーであるJean Tardy-Joubert(ジャン・タルディ・ジュベール)氏は、次のように述べている。「私たちは、広範なホスピタリティおよびサービス業界で、Snapshiftが解決しているまさにそのようなペインポイントに悩む無数の企業と話をしました。多くの業界が、ますます深刻さを増している人材不足の問題に直面している今、Snapshiftのミッションクリティカルなプラットフォームを他の業界に導入する大きなチャンスがあると、私たちは確信しています。オリヴィエと彼のチームが、このような短期間で成し遂げたことに非常に感銘を受けています」。

セヴェリンス氏は「当社の最大のライバルはExcel(エクセル)です。当社の顧客の80~90%は、Excelから初めてのデジタルスケジューリングソリューションに移行しています」と付け加えた。

しかし、SnapshiftにはSkello(スケロ)とPlanday(プランデイ)というSaaSの競合企業が存在する。

同じくフランスを拠点とするSkelloは、これまでに5440万ドル(約62億7000万円)を調達しており、デンマークのPlandayは、7310万ドル(約84億2000万円)を調達している。このように、HR機能をシンプルなアプリにするための競争が繰り広げられているのだ……。

画像クレジット:Snapshift founder Olivier Severyns

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フロントラインワーカーのためのチャット&人事アプリFlipがユーザー数100万人突破で約34.5億円を調達

共同創業者兼製品責任者のGiacomo Kenner(ジャコモ・ケナー)氏、CMOのAnn Kathrin Stärkel(アン・カトリン・スターケル)氏、創業者兼CEOのBenedikt Ilg(ベネディクトイ・ルグ)氏、CFOのGeorg Renz氏(画像クレジット:Flip)

世界の労働人口の8割以上約27億人はコンピューターの前で日々を過ごしていないため、テクノロジーに関しても格差が激しく、彼らをユーザーとして対象としたIT投資は1%程度と言われている。それが、スマートフォンやアプリの台頭で急速に変化しており、米国時間2月2日、その流れを受けてビジネスが好調なスタートアップの1社が、このチャンスに飛びつくべく、資金調達を発表している。

フロントラインで働く人々が互いにチャットしたり、マネジメントチームから連絡を受けたり、シフトの入れ替えなどの人事活動を行うためのコミュニケーションアプリを作っているFlip(フリップ)は、3000万ドル(約34億5200万円)を調達したそうだ。ドイツのシュトゥットガルトに拠点を置き、主にドイツ語圏のDACH地域(ドイツ・オーストリア・スイス)で利用されているこのスタートアップは、この資金を利用して、まずは英国をはじめとする新しい市場に進出する予定だと、CEO兼創業者のBenedikt Ilg(ベネディクト・イルグ)氏は述べている。

Notion Ventures(ノーション・ベンチャーズ)とベルリンのファンドHV Capital(HVキャピタル)が共同でこのラウンドをリードし、これまでの出資者であるCavalry Ventures(キャバルリー・ベンチャーズ)とLEA Partners(LEAパートナーズ)、そしてVolkswagen(フォルクスワーゲン)会長Matthias Müller(マティアス・ミューラー)氏をはじめとする多くの個人出資者が参加している。

Meta(メタ)のWorkplace、Microsoft(マイクロソフト)のTeamsCrew(現在はSquareが所有)、Blink(ブリンク)Yoobic(ヨービック)When I Work(ウェン・アイ・ワーク)Workstream(ワークストリーム)など、世界の労働者の同じ分野、そしてコミュニケーションに関する同じユースケースを対象としたアプリが市場に多数存在している。実際、2月2日、Snapshift(スナップシフト)という、主に人事側に焦点を当てたフロントラインの仕事アプリも資金調達を発表したばかりだ。

しかし、混戦のように見えるこの分野には、3つのことがいえる。第一に、この市場は十分に大きく、断片的であるため、長期的にいくつかの強力なプレイヤーが混在する可能性があるということ。第二に、この市場はまだかなり新しいので、各プレイヤーが進化や革新を遂げる可能性はまだたくさんあるということ(イルグ氏は、FlipのアプリがGDPRの規則に厳格に準拠していることが、他の企業がGDPRに準拠していると主張するも、実際には準拠していない際に、同社がビジネスを獲得するのに役立っていると述べている)。また、かなり基本的な部分でも、同社はユーザーインターフェースや操作性だけでなく、アプリのサイズ、携帯電話上で占有する容量、使用するために必要な帯域幅など、アプリを使いやすくしている。

「私はFlipを始める前にPorsche(ポルシェ)で製造の仕事をしていたので、マネジメントとのコミュニケーション不足など、その気持ちはよくわかります」とイルグ氏はいう。「私たちは、画面数も少なく、ダウンロードして使用することに関して、この分野で最もシンプルなアプリケーションです。これが、エンドユーザーのために私たちが作って提供したい製品の精神です」。と語る。

そして三つ目は、成功のためにはクリティカルマスが重要だとすれば、Flipは実際に前面に躍り出ているということだ。

McDonald’s(マクドナルド)、Rossmann(ロスマン)、Edeka(エデカ)、Magna(マグナ)、Mahle(マーレ)など、現在までに200社、約100万人のユーザーを獲得している。パンデミックにより、最前線で働く人たちが突然、人々の意識の中心に現れた瞬間、Flipの収益は急上昇し、2021年は6倍になったとイルグ氏は語った(このスタートアップは、実際の収益や評価額を公表していない)。

この分野を追っている人は、先々週、WorkplaceがMcDonald’sを顧客として発表することを望んでいたものの、それを控えていたという話を書いたことに気づいたかもしれない。FlipのMcDonald’sとの契約人数は、現在約6万人。McDonald’sはすでにFlipと公の場で協働していることを考えると、Workplaceとの契約がどうなるかは興味深いところだ。いずれにせよ、この案件がいかに大きな意味を持つかは明白である。

今日のアプリは、主に雇用主が、日中動き回っている、通常は1つの場所で働くことのない、より広範囲の従業員とコミュニケーションをとるために使用されている。また、従業員同士も、主に生産性向上のために、シフト交換や給与明細の確認など、コミュニケーションをとるためにアプリを使うが、仕事に直接関連する機能を実行するために使うわけではない。この分野は、Yoobicのようなライバルが機能を構築している分野であり、イルグ氏は、Flipもその可能性を検討し始めていると述べた。

Notion VenturesのJos White(ヨス・ホワイト)氏は「Flipは、デスクを持たない社員1人ひとりが、自社のコミュニケーションプロセスに真に参加する機会を提供します。このような社員を積極的に取り込むことには、大きな可能性があります。Flipが英語圏の市場で拡大する際に、我々の専門知識と経験でサポートできることを楽しみにしています」と声明で述べている。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】「大量退職時代」はテックワーカーがキャリア代理人を利用するきっかけになるか?

大量退職時代(The Great Resignation、ザ・グレート・リジグネーション)は、テックワーカーに彼らの力を再認識させた。給料は上がり、人材需要は高まり、もしあなたがStripe(ストライプ)のエンジニアなら、アイデアのタネもないうちからプレ・シード会社を支援してくれる投資家が少なくとも3人いる。

しかし、求人熱の高まりは、進路決定をやさしくするわけでは決してない。もしあなたがShopify(ショッピファイ)のクリエイティブ・ディレクターか、Thrasio(スラシオ)のプロダクト責任者なら、オファーが殺到するだろう。

Free Agency(フリー・エージェンシー)は、2019年にSherveen Mashayekhi(シャービーン・マシャエキ)氏とAlex Rothberg(アレックス・ロスバーグ)氏が共同設立したスタートアップで、スタートアップ人材に対する熱望をビジネスの糧にしようとしている。テックワーカーも、ハリウッドスターやスポーツ選手が代理人から受けているのと同じようなサービスの恩恵に預かれるはずだ、とこのスタートアップは考えた。Free Agencyは、プロダクト、エンジニアリング、マーケティング、デザインなどの分野にわたり、中級から上級幹部レベルの候補者に代理人サービスを提供する。これまでに同社は、4700回の面接で候補者を支援し、交渉の結果獲得した提示給与総額は2億ドル(約229億4000万円)に上るとFree Agencyは推定している。

例えばFree Agencyが手がけたあるクライアントは、プロダクト担当シニアディレクターとして90万ドル(約1億円)の報酬を得て前職の総報酬から53%急増した。その過程で同社は、Snapchat(スナップチャット)、Coinbase(コインベース)、Lyft(リフト)などの企業と計21回の面接を設定し、クライアントは求職活動中1通の応募書類もメールも送る必要がなかった。

「当社のネットワークと仕事検索エンジンを使って、クライアントが寝ている間に面接を設定しました」とマシャエキ氏はメールに書いた。

このエージェントモデルは、ハリウッドでは比較的よく見かけるものだが、テック業界はサードパーティーを通じたキャリアマネージメントという発想をまだ受け入れていない。転職マーケットプレイスを設立し、Toptal(トプタル)やStella.ai(ステラ・エーアイ)などの求人会社で働いた経験を持つマシャエキ氏は、人材活用におけるテクノロジー利用は、伝統的に雇用者を喜ばすためのもので、従業員のためではないと話す。

「もしあなたが人材テック分野のエンタープライズ向けスタートアップのファウンダーなら、雇用者のところへ行って『私のツールを買ってください』と『マーケットプレイスにお金を払ってください』というほうが簡単です。なぜなら相手は問題の緊急性を理解しているから」と彼はいう。「雇用者は、そのお金が雇用と従業員維持の問題を解決することを理解していますが、候補者は歴史的にそういうお金の使い方をしてきませんでした」。

「スパム」を送ったり候補者の「パターンマッチ」をするために雇用者から料金を取るのではなく、Free Agencyは候補者の目的のみに焦点を当てている。同社は、候補者に初年度報酬の5~10%程度を請求して利益を得る。

一方雇用者は、Free Agencyが1週間に最大5人の候補者を紹介するサブスクリプションサービスを無料で利用できる。キャリアを管理するためにリクルーターに金を払えと従業員にいうのは大きな頼み事だ。しかも、候補者は今の職に満足していれば、そのサービスを少なくとも数年間、おそらくもっと長い間必要としない、

マシャエキ氏は、Free Agencyは入社時だけでなく、社内異動、能力向上など昇進サイクルを通じて候補者を手助けすることで価値を示すことができると強調する。現在同社は積極的にプロダクトを拡充しており、エンジニアリング・チームはキャリア・オペレーティング・システムの開発を進めている。そこではユーザーが求人情報や勤務評価、報酬評価などを行える。

もう1つの疑問は、Free Agencyは同社のサービスを最も必要としている人たちに提供するのか、という点だ。歴史的に過小評価され、概してネットワークとのつながりがなく重要な情報を得られない人たちだ。それとも、すでに十分つながりのある人たちをもっとよいところに着地させる手伝いをするだけなのか。

「率直に言って、Free Agentsに登録されている人たちの多様性の内訳は可もなし不可もなしです」とマシャエキ氏がメールで語った。同社は営業、顧客獲得、および市場開拓プログラムを展開してこれを変えようとしている。現在同社のプラットフォーム上にいる代理人は60%が女性で、20%が過小評価グループ出身だ。

こうした疑問符をつけられながらも、Free Agencyは2021年12月、1000万ドル(約11億5000万円)のシリーズAラウンドをアーリー・ステージ投資会社、Maveron(マベロン)のリードで完了した。さらに、Free Agencyのクライアント20社も出資しており、他にKevin Durant(ケビン・デュラント)氏のThirty Five Ventures、Resoloute、Bloomberg Beta、Kygo(カイゴ)氏のPalm Tree Crewなども参加した。同社は以前に、535万ドル(約6億1000万円)のシードラウンドも完了している。

それでもFree Agencyの最終テストは、管理された職探しを積極的に外部委託しようとい候補者を十分な数集められるかどうかだ。大量退職時代は、転職希望者がFree Agencyのようなサービスを試してみる推進力になっているかもしれないが、一度、波が去った後、求職者がどこまで確信を持てるかは不透明だ。

関連記事:従業員のウェルビーイングを管理、ポストコロナ期の燃え尽き症候群を防ぐQuan

画像クレジット:Gary Waters / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

従業員のウェルビーイングを管理、ポストコロナ期の燃え尽き症候群を防ぐQuan

新型コロナウイルス流行収束後のバーンアウト(燃え尽き症候群)の増加、リモートワークへの移行、そして「大量退職時代」が辞書に載るようになった今、企業は人材を確保するのに苦労している。

Culture Amp(カルチャー・アンプ)やGlint(グリント)のようなカルチャープラットフォームは、別の時代に構築されたものであり、人事部にインサイトやレポートを提供するが、それらの多くは2022年に適合しているとは言えない。また、従業員のウェルビーイングは、依然としてますます重要な課題になっている。

新たなスタートアップ企業のQuan(クアン)は、エンゲージメント調査とウェルビーイング手当の間にあるギャップに対処するために、Y Combinator(ワイコンビネーター)をはじめ、オランダのインパクトファンドや複数の匿名のエンジェル投資家たちから、プレシード資金として115万ドル(約1億3000万円)を調達した。

女性が主導するオランダのスタートアップとして初めてY Combinatorに採用された創業者のArosha Brouwer(アロシャ・ブラウワー)氏とLucy Howie(ルーシー・ハウイー)氏は、医師、心理学者、セラピストと一緒にこの問題を研究し、200以上の予測因子に裏打ちされた20以上のウェルビーイングの下位次元を特定したと述べている。

Quanは、2021年3月にベータ版製品を発表し、現在は12の組織と提携を結び、1000人以上の有料ユーザーを獲得しており、プラットフォームのエンゲージメント率は88%に達しているという。

ブラウワー氏は筆者に次のように語った。「あまりにも長い間、人材・行動様式プラットフォームのプレイヤーたちは、ウェルビーイングを効果的に管理する方法を提供せずに『従業員エンゲージメント』や『従業員エクスペリエンス』を測定し、それをビジネス指標に直接結び付けてきました。そのため、バーンアウトや有害な企業文化といった問題が誤った方向に進んでしまう傾向にあるのです。Quanは、社会的な問題を効果的に解決するためには、それを経済的な問題(またはインセンティブ)にもしなければならないと考えています。冷厳な事実ですが、企業に従業員を大事にさせるためには、それが企業の利益にどのように影響するかを直接測定する必要があるのです」。

Quan社は現在、企業のリーダー向けに無料のアクセストライアルを提供している。

画像クレジット:Quan founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アジアのHRテックプラットフォームDarwinboxがTCV主導で約81.9億円調達、ユニコーンに

投資家が「アジアのSaaS化」と呼ぶトレンドを、人事テックプラットフォームDarwinbox(ダーウィンボックス)がリードする中、同社は新たに7200万ドル(約81億9400万円)の資金調達ラウンドで評価額を3倍以上に引き上げ、ユニコーンになった。

Technology Crossover Ventures (テクノロジー・クロスオーバー・ベンチャーズ/TCV) は、Netflix(ネットフリックス)、Meta(メタ)、Spotify(スポティファイ)、Airbnb(エアービーアンドビー)などの企業を支援することで知られる投資家で、ハイデラバードを拠点とするこのスタートアップのシリーズD資金7200万ドルをリードした。

Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インド)、Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)、3One4 Capital(スリーワンフォー・キャピタル)、Endiya Partners(エンディヤ・パートナーズ)、SCB 10Xなどの既存投資家もこのラウンドに参加し、Darwinboxの調達額は過去最高の1億1000万ドル(約125億円)を超え、10億ドル(約1137億円)を超える価値を持つことになったと、創業6年の同スタートアップは述べている。

Darwinboxは、クラウドベースの人材管理プラットフォームを運営している。このスタートアップの名を冠したプラットフォームは、従業員の「採用から退職まで」のサイクルニーズ全体を管理する。Starbucks(スターバックス)、Domino’s(ドミノピザ)、最近デカコーン化したSwiggy(スウィギー)、Tokopedia(トコペディア)、Zilingo(ジリンゴ)、Kotak(コタック)など数百の企業が、新入社員の入社手続きや業績、退職率の把握、継続的なフィードバックループの確立のためにこのプラットフォームを利用している。

今回の資金調達は、Darwinboxが力強い成長を遂げた1年に続くものだ。共同設立者のChaitanya Peddi(チャイタニア・ペディ)氏は、TechCrunchのインタビューで、世界中の企業が従業員と連携し、従業員にサービスを提供するツールを探すのに奔走したパンデミックがDarwinboxの成長を加速させたと語っている。

同スタートアップによると、2021年の収益は2倍になり、全体の収益の約20%を占める東南アジア地域では3倍に成長したという。

チャイタニア・ペディ氏、ジャヤント・パレティ氏、ロヒト・チェンナマネニ氏の3人(写真左から)は、2015年末にDarwinboxを共同設立した。(画像クレジット:Darwinbox)

このスタートアップは、社員同士がつながりを保つためのソーシャルネットワークや、電話からすばやく音声コマンドで休暇申請やミーティングの設定を行うAIアシスタントなど、フルスタックのサービスを提供しており、Gartner(ガートナー)のエンタープライズ向けクラウドHCMのマジック・クアドラントにアジアのスタートアップとして唯一取り上げられるなど、その地位を確立している。

Darwinboxの顧客の3分の1は、以前はOracle(オラクル)やSAP、Workday(ワークデイ)などの定評あるプラットフォームを利用していた人々であることも、この幅広いサービスによって説明できるかもしれない。

TCVのジェネラルパートナーであるGopi Vaddi(ゴピ・ヴァディ)氏は「我々は、非常に共鳴的な製品で大規模な産業を根本から変革しようとしている、先見性のある創業者を後ろで投資できることにとても興奮します」と、声明の中で述べている。

「また、非常にインパクトがあり、急速に進化するHRテクノロジーの分野でまさにそれを実践している優れたチームを支援し、グローバルHCMリーダーへの道をともに歩んでいけることをうれしく思っています」。と語る。

Lightspeed Venture PartnersのパートナーであるDev Khare(デヴ・カレ)氏は、Darwinboxは、アジアから世界へ向けて構築しているスタートアップのコホートの一部であるという。「私は、アジアのSaaS化を強く信じています。アジア向けのSaaS企業の市場には引き合いが増えており、5年前に観察したものとは大きく変わっています」と、同氏は2019年にLinkedInに投稿している。

「なぜアジア向けSaaSがカテゴリーとして存在する必要すらあるのか、疑問に思われるかもしれません。なぜ米国や欧州のベンダーがここで支配し続けることができないのでしょうか?私の考えでは、これらの欧米のベンダーは実際に支配したことはなく、市場のトップをかすめただけなのです。インドやアジアで実際に起こっていることは、パッケージ・アプリケーションのユーザーではなかった企業や、テクノロジーを利用するユーザーではなかった従業員(ブルーカラー労働者など)が、紙ベースのマニュアルプロセスからSaaSへと直接飛び越え始めているということです」と彼は書いている。

Darwinboxは、今回の資金をチームの拡大とグローバル展開のさらなる推進に充てる予定だ。また、製品ラインナップを拡充し、企業が自社の人事テックエコシステムにプラグアンドプレイできるような補助的なサービスやソリューションを多数追加することも目指している。

同社は、他のスタートアップとの合併や買収によって、これらの製品のいくつかを追加することも視野に入れていると、ペディ氏は述べている。

画像クレジット:Darwinbox

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】注意、会社はあなたを見張っている

新しい1年の始まりに、みんなに役立つことを教えよう。

ITが十分に確立されておらず、会社の構築とともに方針が急速に進化しているスタートアップで働く場合、雇用主が迅速に動いて物事を実行し、後から許可を取ろうとしてしまうリスクが普段よりも高くなる。これはほぼ直感的に理解できるだろう。通常、創業初期のスタートアップは落ち着きなく、猛烈なスピードで動いているものだ。これは合法か?もちろんそうではないが、スタートアップ業界には、会社が成功しなければ許可など無意味なことだという考えも多く存在するようだ。また、会社が一流の急成長企業のスピードで成長しているなら、十分な資金があり弁護士もいるので、後で解決することもできるだろう。

この記事は、スタートアップの従業員数人(みんなが知っているであろう企業だが、名前を明かさないことを希望した)との会話がきっかけで生まれた。会社名を特定するのに十分な裏付け情報を得ることはできなかった(がんばって聞き出すので、ご心配なく)。ここでは、やる気満々で2022年を迎えたみなさんに、いくつか毎年恒例のお知らせを。

会社でのSlack(スラック)では、話の内容に気をつけよう。DMはプライベートなものだと思っているかもしれないが、企業の管理者がSlackインスタンスで送信されたすべてのDMをエクスポートできることをご存じだろうか?もちろん、データのエクスポートについては法律があるが、DMで違法なことや非道徳的なことを話すと、上司がDMのコピーを見せてそれについて説明する羽目になるだろう。過ちを重ねても意味がない。疑った仕事熱心なIT部長が細かく調べることを決めると、雇用主を訴える場合もあるかもしれない。しかし個人的なトークは個人的なチャンネルに、仕事のトークは仕事のチャンネルと区別すれば簡単に避けられる。もちろん、あなたのテキストはプライベートにできかもしれないが、少なくともそれらにアクセスすることは難しくなる。そして、特にこだわりがあるなら、メッセージが一定時間を過ぎると消えるSignal(シグナル)Telegram(テレグラム)もある。

上司は会社の機器を監視することができる。契約書には、会社が提供する備品の使用や使用不可について条項があることが多い。その一部は明確だが(「違法なことをしてはならない」)、一部はもっと曖昧だ。それは仕方がない。契約書をよく読むこと。あなたの会社が、あなたがコンピュータ上で何をしているか監視することが許可されると謳っているかもしれない。法に認められているようには思えないが、多くの労働契約に遠回しに記載されている。AIツールがますます強力になり、追跡されても全然構わないという契約書に署名する世界では、ソフトウェアを作成する多数の企業(AktivTrakActiveOpsVeratio他多数)があなたを監視し、雇用主はこれらをあなたのコンピュータにインストールしてさまざまなレベルのステルス行為を行い、あなたの許可を得ることができる。

AktivTrakは9000を超える組織で使用されており、そのツールは「いつ、誰により、何がやりとりされたかについて理解を深め、同時にコンプライアンスの確保を助けるための知見を提供するための、ユーザーアクティビティおよびセキュリティイベント詳細ログの参照」のために使用できると主張している。みなさんはどうだか知らないが、私はもう安全に感じている(スクリーンショット:AktivTrak website)

人事部はあなたの味方ではない。あなたの会社の人事部門はフレンドリーで、よく手を貸してくれて、親切かもしれない。全力で職場の問題解決を手伝ってくれるかもしれない。しかし彼らはあなたの味方ではない。人事部は会社のために働いているのだ。会社の利益を守るためにそこにいる。あなたの利益と会社の利益が対立すれば、人事部門で働く人は、いくらフレンドリーでも、生活費を稼ぐ必要があるし、あなたが辞めた後、解雇された後、異動した後も彼らの上司と良好な労働関係を維持する必要がある。James Altucher(ジェームズ・オルタッハー)氏が自身のコラム「いずれ、あなたは解雇される」で指摘している通り。

会社への忠誠の義務はない。特に米国では、多くが「随意」雇用であり、すなわちいつでも、いかなる理由でも一時解雇される可能性があり、会社が機会を与える限り雇用されたままになり、最終収益に貢献する。特にスタートアップでは、これは変わりやすい分野である。なぜなら目的と目標は取締役会ごとに代わる可能性があるからだ。ある月は、エンジニアリング部門は会社にとって最も必要不可欠な存在である。しかし銀行口座の金額と資金調達環境はすぐに変わり、翌月にはすべてが変わってしまう可能性がある。特に状況が困難になると、指導的立場にある人にとってKPIを基に運営し、成長と顧客獲得のみに焦点を置くことが魅力的になるかもしれない。その場合、エンジニアリングは短期的にみると重要性が低く、突然広告費と販売活動が最優先事項になる。しっかりした長期的ビジョンを持った偉大なるリーダーたちが急な変化を起こさざるを得なくなる可能性がある。プロの世界の忠誠心は、雇用主のみに恩恵を与える神話である。あなたをやめさせる必要があればそうする。リクルーターが声をかけてきたら、電話をとってその市場でのあなたの値段を確認しよう。

辞めてはならない。マネージャーや人事部門の誰かが経験則であなたに自らの意思でやめさせようとしても、抵抗するのが最善策だ。やめてはいけない!多くのメカニズムが(一部の州では、失業手当を含めて)、あなたが一時解雇された場合にのみ適用される。もし辞めたら、特に会社を訴えないと約束した合意書に同意した場合は、将来的に選択肢を大きく弱めることになる。

人事部はあなたのSlack DMメッセージまたはEメールを、あなたに対して使用しただろうか?現在私は数社のスタートアップの多数の従業員とお話ししている。みなさんのご意見もお聞かせいただきたい。お問い合わせ先:tc@kamps.org

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

韓国の人事自動化プラットフォームflexが約329億円の評価額で約36.7億円のシリーズBを獲得

韓国を拠点とする人材管理プラットフォームのflex(フレックス)は、米国時間1月17日、評価額2億8700万ドル(約329億円)で、3200万ドル(約36億7600万円)のシリーズBラウンドを完了したと発表した。これで合計調達額が4200万ドル(約48億2500万円)に達することになった、今回の資金調達は、Greenoaks(グリーンオークス)が主導し、DST Global Partners(DSTグローバル・パートナーズ)が参加した。

同社のミッションは、企業が手作業の人事業務プロセスを自動化して合理化し、より人材に集中できるようにすることだ。同社の自動化ツールは給与計算、電子署名サポート、入社・退社手続き、人材分析などにおいて、グループ間でシームレスなデータフローを実現し、従業員の体験を最適化する。また、2022年第1四半期には、パフォーマンスレビュー(業績評価)とタレントリレーションズマネジメント(人材関係管理)ツールも発表する予定だ。

「flexでは、HRを『Human Resources(人事)』ではなく、『Human Relations(人間関係)』と定義しています。私たちは、人事チームが従業員を管理し、サービスを提供するために世界クラスのソフトウェアがふさわしいと考えています。しかし今日、多くの組織がいまだにスプレッドシートやレガシー製品を使っていることは明らかです」と、flexのCEOであるHaenam Chang(ヘナム・チャン)氏は述べている。

設立2年のこのスタートアップは、今回の資金を、需要に応じた事業の拡大、人事オートメーションやSaaS製品の開発、従業員の増員などに充てる予定だ。

シリーズBの資金調達は、多くの製品の発売と新規顧客の獲得により、2021年と比較して約10倍の収益成長を達成したことを背景に行われた。同社は、主にIT分野の中小企業にサービスを提供してきた。しかし、2022年、中小企業の新しい業界をターゲットにすることで、対応可能な市場を拡大する計画だ。なお、ユーザー数や顧客数については、質問されても明らかにしなかった。

現在、flexは、過去20年間の技術進歩への適応が遅れていた人事機能とプロセスを近代化するSaaSソリューションを提供することで、韓国での成長に注力している。同社は、韓国における人材管理の文化的ニュアンスと人事規制を深く理解しているため、韓国企業に合わせた製品群を提供するのに有利な立場にあると述べている。

「一部の企業は、従業員を把握し、管理方法を改善するためのソリューションを導入していますが、ほとんどの企業が、従業員に関するその場限りの決定を下す際に、直感や不十分なデータに依然として依存しています。flexでは、従業員データの信頼できるソースと、従業員を管理するための豊富なツールセットでお客様を支援し、個人と組織のパフォーマンスを最大化させます。私たちの目標は、単に優れた人事ソフトウェアソリューションを提供することではなく、企業が最も重要な資産である従業員をよりよく把握・管理できるようにすることです」とチャン氏は述べている。

GreenoaksのJosh Cho(ジョシュ・チョウ)氏は「韓国は世界で最も大きくダイナミックな経済の1つですが、歴史的に企業が従業員を管理し給与を支払うためのネイティブなソリューションがなく、企業は不満を抱えながら独自のソリューションを開発しなければなりませんでした。flexは、国内初の次世代人事情報システムおよび給与計算プラットフォームを急速に構築しています。私たちは、企業がパフォーマンス管理から採用、給与計算など、すべての人事機能を1カ所で処理できるようにするエンド・ツー・エンドの製品に関する彼らのビジョンに期待しています」と語っている。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

セカンドライフの生みの親が元祖メタバース企業Linden Labの顧問として戻る

最も初期の、そして最も永続的な象徴である仮想世界の生みの親が、自らのルーツに戻ろうとしている。「Second Life(セカンドライフ)」の創始者Philip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏は、2013年に同氏が共同設立した空間オーディオ企業High Fidelity(ハイ・フィデリティ)がSecond Lifeの開発会社Linden Lab(リンデン・ラボ)に投資した後、1999年に設立した同社に戦略顧問として再参加する予定だ。この取引には、不特定の現金投資、関連特許、開発チームの一部メンバーが含まれている。

ローズデール氏はプレスリリースで「Second Lifeのような仮想世界の構築には、誰も近づいていない」と述べている。「大企業がVRヘッドセットを配り、広告主導の行動変容型プラットフォームでメタバースを構築しても、魔法のような、誰もが楽しめる単一のデジタルユートピアは生まれないでしょう。Second Lifeは、住人にポジティブで豊かな体験を提供し、さらに数百万人が参加する余地があり、同時にサブスクリプションベースのビジネスの構築を成功させたのです。仮想世界はディストピアである必要はないのです」。

Meta(メタ)のような企業がメタバースに対する独自のビジョンを打ち出すなか、ローズデール氏は、広告ベースのソーシャルネットワークからビットコインの採掘作業で発生するエネルギーが環境に与える影響まで、現在のオンライン生活を支えるいくつかの力学を声高に批判し続けている。

年代的に、Roblox(ロブロックス)のユーザーで、Second Lifeを詳しく知っているという人は少ないかもしれないが、ローズデール氏の仮想社会プラットフォームは、ごく最近になって「メタバース」という括りで注目されるようになった概念の多くを先駆けて生み出した。Second Lifeは、Facebookがエリート大学の学生をつなぐためだけに存在していた2000年代初頭に、デジタルアイデンティティ、仮想不動産、デジタル経済、オンライン・マルチプレイヤーエコシステムといった概念を探求していたのだ。

同社によると、ローズデール氏はすでにLinden LabのBrad Oberwager(ブラッド・オバーワガー)会長と定期的に連絡を取り合っているが、新しい顧問としての役割で、このプラットフォームの製品計画への関与を大幅に深めることになるとのことだ。また、High Fidelityの現在の仕事は、セカンドライフの第二の人生と極めて密接な関係を保っている。最近、多くのソーシャルプラットフォームが、より没入感のある体験を生み出すために空間オーディオを追加したが、そのうちのいくつかは、クラブハウスのように、それを実現するためにHigh Fidelityのコードをライセンス供与しているのだ。

「フィリップが1999年にセカンドライフを始めて以来、その先見性のあるアプローチは時の試練に耐えただけでなく、未来に向けた位置づけを確率してきました」と、オバーワガー氏は述べている。「彼とHigh Fidelityのチームは比類のない経験を持っており、私は目の前の大きなチャンスを生かすのが待ちきれません」。

ローズデール氏が復帰したことで、Linden Labは、その早期参入マジックに足を踏み入れる興味を持ったようだ。しかし、Second Lifeが再び注目を浴びるには、まだまだ長い道のりがある。FortniteのメーカーであるEpic(エピック)、Roblox、Meta、その他無数の大手企業が、際限なく儲かる仮想商品を提供し、デジタルアイデンティティが住む仮想世界の近い将来(人によっては間違いなく現在と捉えることも)に大きく賭けている。ローズデール氏独自の視点は、現在いくつかのプラットフォームが提供しているメタバースの片鱗を真似するようなことはしないだろう。そのため、20年間この問題について考えてきた人物が、多くの企業が突然私たち全員が移行することを強く望んでいるこの仮想世界というものをどう描いていくのか、興味深いところである。

画像クレジット:PATRICK KOVARIK / Staff / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

従業員の報酬に秩序と公平性をもたらすシステムAssembleが約5.7億円の資金を獲得

どの企業も従業員の給与を決定し、その報酬を何らかの方法で管理していく必要がある。多くの場合、スプレッドシートと、給与計算、財務、人事システムなどの異なるシステム間を行き来しているだろう。また、企業は、同レベルの経験を持つ従業員に対して、同じ仕事に対して同水準の報酬を支払っていることを確認する必要がある。

アーリーステージのスタートアップであるAssemble(アセンブル)は、このプロセスを整理したいと考えており、米国時間1月11日、Susa Ventures(スーザ・ベンチャーズ)、Goldcrest Capital(ゴールドクレスト・キャピタル)および複数の業界エンジェル投資家から500万ドル(約5億7600万円)のシード投資を受けたと発表した。

Assembleの共同設立者であるEnrique Esclusa(エンリケ・エスクルーサ)氏は、同スタートアップが報酬決定のためのエンゲージメントシステムを構築したと述べている。

「これは、通常はバラバラのシステムで管理されている報酬と労働力のデータをすべて1カ所に集め、会社全体のさまざまな関係者がアクセスできるだけでなく、実行可能で理解しやすいようにするためのシステムです」と彼は説明した。

エスクルーサ氏と共同設立者のLisa Wallace(リサ・ウォレス)氏は、ウォレス氏が採用を担当し、エスクルーサ氏が財務と事業運営を管理していた別の企業で一緒に働いていた。そこで2人は、この種の情報を管理することがいかに難しいかを、身をもって知ったのである。

「私たちが気づいたのは、すべてが仮想的にスプレッドシートで管理されていたということです。このデータとフレームワークをまとめ、会社全体の意思決定を行う人々に正しい情報を共有し、人を雇い、引きつけ、失わない競争力を持つだけでなく、財政的な責任と公平・公正さを持った意思決定を行うためには、とても苦痛で時間のかかる方法でした」と、彼は述べた。

そこで2020年、この2人の創業者が集まり、自分たちが経験した問題に対処するための製品を作ることを決めたのだ。

ウォレス氏によると、企業は通常、組織を構築した後に、それを修正するために、コンサルタントがさまざまなシステムから情報を引き出す必要があるため、直接的な方法で公平性を考慮することはないという。Assembleは、最初から報酬体系に公平性を組み込むように設計されている。

「重要なのは、1つの場所で報酬の公平性分析を実施したり、別の場所で管理職に単発の可視性を提供したりすることだけではありません。報酬に関わる複数のステークホルダーからなるエンゲージメントのレイヤーを組織全体に設けることです。Assembleは、報酬システムに公平性を最初から組み込むように設計されています。というのも、報酬にはさまざまなステークホルダーが存在し、各自さまざまな目標があるため、簡単にレールを外れてしまうことがあるからです」と、彼女はいう。

画像クレジット:Assemble

Assembleは現在10名の従業員を持ち、多様な創業チームと給与の公平性に関わるDE&I(多様性、公平性、包摂性)ミッションを掲げており、多様で包摂性のある企業づくりに取り組んでいる。

「私たちは多様な候補者を面接し、評価するために、各採用案件に対してかなり協調的な努力をしてきました。それは、私がとても重視していることです。エンリケと私は、自分たちの時間の3分の1を採用活動に費やしています」と語った。加えて、従業員数は10名と少ないが、多様性の数値は多くの指標でかなり良好であると述べている。

「会社としてのヒスパニック系は40%で、従業員の60%が移民か移民の子どもなんです」と彼女はいう。現在10名の社員のうち、女性はわずか2名だが、ウォレス氏は今後の採用で対応する予定だという。また、歴史的に存在感の薄いエンジェル投資家をキャップテーブルに迎え入れ、資金調達の面でも多様性の確保に取り組んでいるという。

報酬は組織内では単独で存在しえないため、AssembleはWorkDay、Gusto、ADP、Bamboo HRなどの人事・給与ソフトツールと連動して動作するようになっている。

画像クレジット:Golden Sikorka / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Akihito Mizukoshi)

サムスン電子が消費者家電とモバイル部門を統合、新共同CEO・CFOを発表

Samsung Electronics(サムスン電子)は、モバイル(IM)とコンシューマーエレクトロニクス(CE)事業部門を統合し、現地時間12月7日から3つの主要部門のリーダーを入れ替えると発表した。こうした大規模な経営陣刷新は2017年以来となる。

CE部門のビジュアルディスプレイ事業を統括していたJong-Hee (JH) Han(ハン・ジョンヒ、韓宗熙)氏は、副会長兼共同CEOに昇格し、新たに統合されたモバイル・家電部門(SET部門)を率いる。同氏は、引き続きビジュアルディスプレイ事業の責任者を務める。

過去15年間、世界のテレビ販売で同社がトップの座を獲得する上で重要な役割を果たしたハン氏は「SET部門の異なる事業部間のシナジーを強化し、新事業・新技術の推進に貢献すると期待される」とサムスンは述べている。

また、サムスン・エレクトロ・メカニクスのCEOであるKehyun Kyung(キョン・ゲヒョン、慶桂顕)氏は、サムスン電子の共同CEOに就任し、半導体と部品部門にまたがるデバイスソリューション(DS)部門を率いることになった。

テック巨人である同社は本発表で、新しいリーダーシップが「今後の成長の新たな局面をリードし、事業競争力を強化する」ことに貢献すると述べている。

モバイルとコンシューマーエレクトロニクスの2つの主要部門の統合は、構造を簡素化し、半導体事業により集中するための動きと見られている。

今回の大規模な再編の発表は、同社の副社長であり事実上のリーダーであったJay Y. Lee(イ・ジェヨン、李在鎔)氏が8月に仮釈放されてから約4カ月後に行われた。

サムスンは11月、テキサス州テイラーに170億ドル(約1兆9300億円)規模の米国半導体工場を建設する計画を発表し、今後3年間で半導体、AI、ロボット、バイオファーマなどを含む2050億ドル(約23兆2900億円)規模の投資を行う計画を打ち出した。

また、副会長でDS部門長であったKinam Kim(キム・ギナム、金奇南)氏は、Samsung Advanced Institute of Technology(SAIT、サムスン総合技術院)の会長に就任した。さらに同社は、今回の事業再編の一環として、DS部門に所属していたHark Kyu Park(パク・ハッキュ、朴学圭)氏を新CFOに任命した。

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画像クレジット:georgeclerk / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

中国アリババがCFO交代を含む大規模な経営陣の再編を発表

Alibaba(アリババ)は、同社の最近の歴史の中で最大規模の再編成の1つとして、4人の幹部の役割を変更することを中国時間12月6日朝に発表した。

eコマースの巨人である同社のMaggie Wu(マギー・ウー、武衛)CFO(最高財務責任者)は2022年4月に退任し、後任には現副CFOのToby Xu(トビー・シュー、徐宏)氏が就任する。ウー氏は、Alibabaの方向性に大きな影響力を持つ人材で構成されるAlibaba Partnership(アリババ・パートナーシップ)のパートナーとAlibaba取締役会の執行取締役を引き続き務める。

ウー氏は、約15年前にAlibabaに入社して以来、同社の3件の株式上場に貢献した。2007年のAlibaba.com(同社のB2Bマーケットプレイス)の香港証券取引所への上場、2014年のAlibaba Group Holding(アリババグループ・ホールディング)のニューヨーク証券取引所への上場、2019年の香港証券取引所への上場である。Alibabaは、米中の緊張が高まる中、香港でのセカンダリー上場を推し進めた米国上場の中国企業の1つだ。

1999年に設立されたAlibabaは、2015年にJack Ma(ジャック・マー、馬雲)氏がCEOの座をDaniel Zhang(ダニエル・チャン、張勇)氏に譲り、さらに2019年に会長に任命したことで、すでに大きな再編を経験している。

ウーCFOは声明で次のように述べている。「本日行われたAlibabaのCFO交代の発表は、長年にわたる広範な準備の集大成であり、Alibabaの幹部継承計画の一環です」。

同氏はこう付け加えた。「市場には常に浮き沈みがありますが、Alibabaには野心的な長期目標があります。私たちはリレー選手のようなもので、会社を前進させるには、新世代の人材が必要です。私は、数年前に初めてCFOに就任した時の自分以上にトビー(・シュー)を信頼しています」。

シュー氏は、3年前にPwC(プライスウォーターハウスクーパース)からAlibabaに入社し、2021年の同社の投資家向け説明会に副CFOとして初めて登場した。Alibabaでは、中国でのスターバックスとの提携など、いくつかの大きな取引を監督してきた。

CFOの交代と同時に、ダニエル・チャンCEOは社内文書で、Alibabaは、国内および国際的なeコマースという2本立ての戦略を強化するための大規模な組織再編をすると発表した。

Alibabaの収益の柱である中国国内の消費者向けマーケットプレイスを長年にわたって指揮してきたJiang Fan(ジャン・ファン)氏は、新たに設立されたインターナショナルデジタルコマース部門を指揮する。インターナショナル部門には、同社が2016年に経営権を取得した東南アジアのAmazon(アマゾン)と呼ばれるLazada(ラザダ)が含まれる。また、Alibabaはトルコの主要なECプラットフォームTrendyolの過半数株式を取得し、南アジアで同社に相当する地位のDarazを買収している。

チャンCEOは社内文書の中で「今後も真のグローバル企業を目指していく中で、海外市場には多くのエキサイティングな可能性と機会があると考えています」と記している。

一方、中国国内の消費者向け市場と卸売市場は統合され、新たに中国デジタルコマース部門が設立され、Trudy Dai(トゥルーディ・ダイ)氏の監督下に置かれる。ダイ氏はこれまで、Alibabaの新たな成長ドライバーである、中国の低所得者層を対象としたバザー「Taobao Deals(淘宝ディールズ)」と、近隣の食料品店を対象とした「Taocaicai」の2つのサービスの陣頭指揮を執ってきた。

画像クレジット:Qilai Shen/Bloomberg / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターの新CEOパラグ・アグラワル氏が就任早々リストラ開始、すでに幹部2人退任

米国時間11月29日、Twitter(ツイッター)の共同創業者兼CEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、その職を退いた。そして、CTOのParag Agrawal(パラグ・アグラワル)氏を新CEOに任命した。2011年にエンジニアとしてTwitterに入社したアグラワル氏は、The Washington Post紙が入手した社内メールによると、12月3日の時点ですでに、会社の大幅な組織変更を発表したという。TwitterはTechCrunchにもこのニュースを確認した。

この再編の一環として、これまでに2人の幹部が退任した。2019年に入社したTwitterのチーフデザインオフィサーDantley Davis(ダントリー・デイビス)氏と、2011年に入社したエンジニアリング責任者のMichael Montano(マイケル・モンターノ)氏である。

8月にニューヨーク・タイムズ紙は、デイビス氏の職場における「愛のムチ」の方針を報じ、同社関係者はこれが時に行き過ぎた可能性があると述べている。この行動パターンは「協力的で、お互いに敬意を払い、かなりクールな雰囲気を持つ文化を作る」ことを強調する、Twitterの「#LoveWhereYou Work」や「#OneTeam」のスローガンに反しているように見えた。

Twitterの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると「ダントレー(・デイビス)の退社はあくまでも、当社の組織モデルを、1人のリードマネージャーが会社の重要な目標をサポートする構造にシフトさせることに焦点を置いたものです」とのこと。「関係者を尊重するために、この変更についてこれ以上の詳細をお伝えすることはできません」とも。

「パラグ(・アグラワルCEO)は、卓越したオペレーションとTwitterの目標達成に注力しており、今回の変更はそれを念頭に置いて行われました。製品および技術部門のチームについては、ゼネラルマネージャーモデルに移行し、会社の主要な目標をサポートする業務を1人が担当することになります。これにより、よりクロスファンクショナルな運営が可能になり、より迅速で情報に基づいた意思決定ができるようになります」と同社の広報担当者は付け加えた。

2021年初め、ドーシー氏は、Twitterと彼が共同設立したフィンテック企業Square(スクエア)のCEOを兼務していることをめぐり、株主から批判され、訴訟まで起こされた。Twitterは、これまで革新が遅れていたが、2021年に入ってからは、サブスクリプションサービス「Twitter Blue」、オーディオルーム「Spaces」「Super Follows」「Ticketed Spaces」、暗号資産での投げ銭機能などの新機能を急速に追加している。アグラワル氏は、今後もTwitterのペースを上げていくことに興味を示している。

「我々は最近、野心的な目標を達成するために戦略を更新しましたが、その戦略は大胆で正しいものだと信じています」と、11月29日にスタッフに宛てたメールに書いた後、アグラワル氏はその内容をツイートした。「しかし、私たちの重要な課題は、それをどのように実行し、結果を出すかということです。それが、お客様、株主のみなさま、そしてみなさま1人ひとりのために、Twitterを最高のものにする方法です」。

ドーシー氏が共同設立した両社にとって、この1週間は大きな変化の連続だった。彼がTwitterのCEOを退任することを発表した数日後、Squareは12月1日、Block(ブロック)にブランドを変更すると発表した。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

ブレット・テイラー氏がSalesforceの共同CEOに昇格

Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏はJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏と同じように取締役会会長に就任し第一線から退く準備ができているのではないかという憶測が以前からあった。そして噂では、Bret Taylor(ブレット・テイラー)氏が昇進するのではないかと言われていたが、ベニオフ氏はまだその準備ができていなかったようだ。テイラー氏は米国時間11月30日、Salesforce(セールスフォース)の共同CEOに昇格した。

社長兼最高執行責任者(COO)だったテイラー氏は、ベニオフ氏の直属ではなく、副会長兼共同CEOとしてベニオフ氏と一緒に働くことになった。2019年に157億ドル(約1兆7810億円)で買収したTableau(タブロー)や、2020年末にテイラー氏が陣頭指揮を執って277億ドル(約3兆1420億円)で買収したSlack(スラック)のような大型買収により近年大きく事業を拡大してきたSalesforceにとって、今回のテイラー氏の昇格は今後の運営に適した方法だとベニオフ氏は考えている。

カバーすべき領域はたくさんあり、1人ですべてを担うのはおそらく困難な仕事なのだろう。「私たちは新しい世界にいて、Salesforceは顧客にとってかつてないほど重要で戦略的な存在になっています。ブレットと私は、信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、すべての人への平等という共通の価値観を大切にしながら、ともにSalesforceを次の章へと導いていきます」とベニオフ氏は(当たり障りのない)声明を発表した。

さすがのテイラー氏も、ベニオフ氏と並んで食物連鎖の頂点に立つ機会を得たことに感謝しているようだ。「22年前に彼が共同設立した会社を率いるために、彼とパートナーを組むことは非常に名誉なことです。Salesforceの社員、開拓者、顧客、そして会社と世界をより良い場所にするためにサポートしてくださるすべての関係者に感謝しています」とテイラー氏は声明で述べた。

Salesforceが共同CEOの手法を取るのは、今回が初めてではない。以前、Keith Block(キース・ブロック)氏が2018年からその役割を担い、2020年に退任した。

初期のソーシャルネットワークであるFriendFeed(フレンドフィード)でCEOを務めていたこともあるテイラー氏は、2009年から2012年までFacebook(フェイスブック)でCTOを務めていた。同氏は、Salesforceが2016年にQuip(クイップ)を7億5000万ドル(約850億円)で買収した際にSalesforceに加わった。そして他の長年の幹部を飛び越して、すぐに昇進した。2019年には社長兼COOに昇進し、今日までベニオフ氏のすぐ下に付けていた。

11月30日にTwitter(ツイッター)の独立取締役会長にも就任したテイラー氏にとっては、なかなかの1週間のようだ。

画像クレジット:Salesforce

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

正社員としての契約を与えることでフランスのフリーランサーに安定をもたらすJump

フランスのスタートアップJump(ジャンプ)は、アンブレラ型企業(一時的な契約業務に従事するエージェント契約者を雇用する会社のこと)の業界を破壊しようとしている。それら企業は、従来のフリーランスの仕事に新たに代わるものを提供している。彼らは労働者を正社員として雇用することで、労働力の安定性と正社員契約のメリットを得ることができる。しかし、労働者は独立性を保ち、複数のクライアントと仕事をしたり、自分で直接契約を交渉したりすることができる。

Jumpが従来のそれら企業と異なるのは、既存のサービスよりもはるかに低コストで、より自動化されている点だ。ユーザーは自動でアカウントを作成でき、最初の請求書も自動で送信されるため、Jumpのスタッフと話す必要もない。

登録すると、クライアントに自分への直接支払いではなく、Jumpへ支払いをするよう依頼し始めることができるようになる。ユーザーはいつでも未払いの請求書や、Jumpのアカウントにある金額を確認することが可能だ。

Jumpのユーザーは、給与明細書を作成し、給与を受け取ることができる。また、フランスの通常の正社員契約なので、国民健康保険制度に登録され、老後の生活資金を貯めることもできるのだ。顧客との関係がうまくいかない場合は、法定合意解約を申請し、失業手当を受ける権利を得られるようになる。

同社は、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)を中心に450万ドル(約5億1200万円)のシードラウンドを実施した。Kima Ventures(キマ・ベンチャーズ)と16人のエンジェル投資家もこのラウンドに参加しており、Nicolas Brusson(ニコラス・ブルソン)氏、Hanno Renner(ハンノ・レナー)氏、Laurent Ritter(ローラン・リッター)氏、Thibaud Elziere(ティボー・エルジエ)氏などが名を連ねている。

従来のアンブレラ型企業は、年間売上高の一部を徴収する。価格はさまざまだが5%、7%、場合によっては10%になることもある。例えば、Jumpの共同設立者でありCEOのNicolas Fayon(ニコラス・フェイヨン)氏は、かつてITGに勤務していたが、ITGでは売上に対して6%から8%の手数料を徴収していた。また、ITGにさらに2%の追加料金を支払うことで、経費を管理し、給与を最適化することもできる。

Jumpは現在、月額79ユーロ(約1万円)の定額制でサービスを提供している。顧客は、Axa(アクサ)の社会人・個人向け生命保険、Alan(アラン)の健康保険、フリーランスマーケットプレイス(Malt、Talent.io、LeGratin)、その他いろいろなサービス(Simbel、Secret、HelloPrêt)など、サードパーティのサービスにもアクセスすることができるようになる。

これまでに、Jumpは何百人ものフリーランサーと仕事をしてきた。これまでの請求は300万ユーロ(約3億8400万円)にのぼる。開発者、不動産業者、ドライバーなど、多くのフリーランサーがこの製品の恩恵を受けることができるだろう。また、フランスに子会社を作りたくない外資系企業でリモートワークをしている人たちにとっても特に便利なため、アンブレラ型企業にとっては大きな市場機会があるだろう。

画像クレジット:Romain Dancre / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップルの取締役会にジョンソン・エンド・ジョンソンのCEOが参加

Apple(アップル)は、Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の会長兼CEOであるAlex Gorsky(アレックス・ゴルスキー)氏が同社の取締役会に加わったことを発表した。ゴルスキー氏は、2022年1月に予定されているJohnson & JohnsonのCEOとしての退任に先立ち、Appleの取締役に就任した。また、Appleがヘルステックにより注力している時期とも一致する。

Appleは、何年もの間iOSやWatchOSに健康に特化した機能を数多く投入するなど、健康とウェルネス分野への野望を公にしてきた。ゴルスキー氏をガバナンスチームの一員として起用したことは驚くべきことではない。

AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOは、プレスリリースの中でこう述べた。「アレックス(・ゴルスキー)は、長年にわたりヘルスケア分野で先見性を発揮し、その卓越した洞察力、経験、テクノロジーへの情熱を、人々の生活を改善し、より健康的なコミュニティを構築するために注いできました。彼のリーダーシップと専門知識から、私たち全員が恩恵を受けることになるでしょう」。

ゴルスキー氏は、1988年にJohnson & Johnsonに入社し、2012年にCEOに就任した。Appleは、同氏は在任中イノベーションとテクノロジーを重要な優先事項とし、医薬品、医療機器、コンシューマーヘルス分野の未来を形作るための投資を行ってきたと述べている。

ゴルスキー氏はプレスリリースで、次のように述べている。「テクノロジーには人々の生活を向上させ、より健康的なコミュニティを生み出す可能性があるというAppleの信念を、ずっと共有してきました。Appleの取締役会に加わり、私たちの生活を助け、向上させるために絶えず革新を続けている価値主導の企業の一員となることを光栄に思います」。

画像クレジット:Steven Ferdman / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

中小企業向けHRプラットフォームPersonioが約306億円調達、人事業務プロセスの自動化にも進出

この20カ月間でHRテクノロジーはスポットライトを浴びてきた。新型コロナウイルス(COVID-19)で私たちの働き方が変わったことで、仕事環境において人を管理する方法も変わらなければならなかったからだ。米国時間10月11日、中小企業に特化してこの問題に対処する方法を提供し大きなビジネスを構築してきた、ミュンヘンを拠点とするスタートアップ企業であるPersonio(ペルソニオ)が、同社のサービスに対する強い需要を受け、次のステップに向けて2億7000万ドル(約306億円)の資金調達を発表した。今回のシリーズEにより、Personioの評価額は63億ドル(約7140億円)に跳ね上がり、現在ヨーロッパで最も価値のある人事関連のスタートアップ企業の1つとなっている。

今回の資金調達は、Greenoaks Capital Partners(グリーンオークス・キャピタル・パートナーズ)が主導し、新たな投資家であるAltimeter Capital(アルティメット・キャピタル)とAlkeon(アルキオン)も参加している。このラウンドには、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Accel(アクセル)、Meritech(メリテック)、Lightspeed(ライトスピード)、Northzone(ノースゾーン)、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)など、以前からの支援者も参加している。IndexとMeritechは、2021年1月に行われたばかりの同社の前回のラウンドを主導した。当時のシリーズDラウンドの評価額は17億ドル(約1920億円)で、10カ月で3.7倍に成長したことになり、Personioの成長の速さを物語っている。

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Personioは現在、ヨーロッパの中小企業(通常、従業員数10~2000人)を対象に、採用・入社手続き、給与計算、欠勤管理などの主要な人事機能をオールインワンのプラットフォームで提供している。1月の時点では3000社だった顧客数は、現在5000社に達している。Personioは、今後もさまざまなツールを拡充していく一方で、CEOのHanno Renner(ハンノ・レナー)氏が「ピープルワークフローオートメーション(人事業務プロセスの自動化)」と表現する分野にも進出していく予定だ。

基本的にこれは、Personio以外のアプリケーションで行う人事関連の作業において、人事情報を自動入力したり、それらのアプリケーション内でアクションを起こしたりすることで、手作業では時間がかかっていた作業をスピードアップすることを目的としている。例えば、雇用契約書の作成・発行や、入社や退職時に特定のアプリへのアクセス権を切り替えるといったことが可能だ。

Personioのプラットフォームが、企業が大規模で多面的なプラットフォームを用意するのと同じように、中小企業のニーズに合わせて連携する一連のHRツールであり「中小企業のためのWorkday」と捉えられるとすれば、同社が現在追加している自動化ツールは、中小企業向けのUiPath(ユーパス)やServiceNow(サービスナウ)に対する答えだと捉えられるかもしれない。つまり、機械学習やロボティック・プロセス・オートメーションなどの技術を使って、人事関連のタスクに関わる忙しい反復業務を取り除くことができる。

「12ヵ月間取り組んできましたが、今では5000人のお客様にプロダクトをそのまま使っていただいて、そこから学んでいます」とレナー氏はインタビューで答えている。この問題の核心は、異なる領域にあるソフトウェアをより迅速に連携させることにある。例えば、内定者に契約書を発行する必要があるときに、ここで時間をかけてその内定者が別の会社で契約するようなことにならないに、また、解雇された従業員が会社のITシステムに侵入できるようなことがないようにする必要がある。「人事プロセスは人事部だけではありません。人事プロセスは人事にとどまらず、他の機能や部門にも影響を与えます。遅延は時間を無駄にするだけでなく、有害な結果をもたらす可能性があるのです」。

Personioはこれまで、中小企業向けの製品を開発することで、中小企業という収益性の高い顧客層を開拓してきた新興企業グループの一員であることをアピールしてきた。中小企業は、ヨーロッパだけでも2500万社以上あり、全企業の99%以上を占めている。しかし、中小企業はさまざまな業種や関心事によって細分化されており、IT予算も非常に少なかったり、もしくはまったくなかったりするため、見過ごされがちだ。

人事の世界では、それがさらに深刻な状態だったとレナー氏はいう。ほとんどの中小企業は、人事関連のデータをエクセルのスプレッドシートや、ただの紙で管理していたりする。「私たちが日々目にするのは、中小企業の70%が何らかのHRソリューションを持っていないという状況です」と彼はいう。

しかし、デジタルトランスフォーメーションが中小企業を完全に見過ごしていたわけではなく、先進的な中小企業は販売、財務、CRMソフトウェアを徐々に導入していきている。そしてその流れが人事に関する考え方にも「波及」してきていると彼はいう。

Personioは、このことが顧客に自動化を売り込む際にも役立つと考えている。一般的な中小企業では、平均して約40種類のアプリを使用しており、その多くが人事システムからのデータを必要としていると同社は推定している。Personioは、これらのアプリケーションに連動性を提供することで、これらのアプリケーションの動作を高速化することができると考えている。

同社にはまだまだ多くの成長余地が残っている。Personioが対象としている中小企業(従業員数10〜2000人)の数は170万社であり、これはまだ市場のごく一部に過ぎないからだ。

つまり、新しい自動化製品が軌道に乗るかどうかにかかわらず、Personioにはまだ成長の可能性が高いということであり、同社が必要とする前に都合よく調達された今回の資金は役に立つだろう。新技術の導入により、将来的には人事部門以外の中小企業にも自動化サービスを提供できる可能性が出てきたため、今回の評価額の大幅な上昇は、中小企業に人事部門を進出させるための大きなチャンスであると同時に、その多様化にも関係していると考えられる。

「小規模企業は欧州経済を支える存在ですが、従来の企業では長い間、十分なサービスを受けられず、見過ごされてきました。Personioは、従業員のライフサイクル全体にわたって人事業務プロセスを簡素化し、大手企業がもっていた機能を広く普及させ、生産性を一段階向上させてくれました」とGreenoaks(グリーンオークス)の創業者兼マネージングパートナーであるNeil Mehta(ニール・メータ)氏は語っている。「私たちは、世界有数のプライベート・テクノロジー企業の多くとパートナー関係にあることを幸運に思っていますが、Personioのチームは、まだ彼らのミッションに着手したばかりだと確信しています。「人事業務プロセス自動化」のカテゴリーを立ち上げることで、ヨーロッパ中の企業にさらに多くの価値を提供することができるでしょう。私たちは、Personioのスリリングなステージに参加できることを誇りに思うとともに、今後も末永くパートナーであり続けたいと思っています」。

長期的には株式公開も視野に入れているが、ここで強調したいのは、その「長期的には」の部分だ。Personioは現在5億ドル(約560億円)の資金を調達しているが、レナー氏は次のステップを考えるのは少なくとも18〜24ヵ月後だと述べている。「公開を急いでいるわけではありません」と彼は語っている。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、Akihito Mizukoshi)

Redditが初の最高プロダクト責任者(CPO)に元Google Cloud幹部を採用

Reddit(レディット)は、Google Cloudのプロダクトデザイン担当副社長を務めていたPali Bhat(パリー・バット)氏を、同社初の最高プロダクト責任者(チーフ・プロダクト・オフィサー)として採用したことを本日(米国時間10月11日)発表した。バット氏は、Redditのプロダクト組織を統括し、プラットフォームのツールや機能の開発をリードする役割を担うこととなる。

本ポジションは、RedditのCEOであるSteve Huffman(スティーブ・ハフマン)氏の直属となる。バット氏は、Redditに「コミュニティと帰属意識」をもたらすことを目的としたツールや機能の開発をリードし、促進するとのことだ。

バット氏は、開発者向けプラットフォームや、Google(グーグル)の主要サービスを含むコンシューマー向けサービスにおいて、15年以上にわたりチームや製品をリードしてきた。

Reddit入社以前は、Googleで10年以上にわたり上級管理職を務め、直近では、高成長中の製品群において、エンジニア、プロダクトマネージャー、ユーザーエクスペリエンスデザイナー、リサーチャーからなる約1000人規模のチームを率いてきた。Google以前は、SAP Labs(SAPラボ)およびMcKinsey & Co.(マッキンゼー・アンド・カンパニー)でリーダーシップを発揮していた。

バット氏は声明の中で「私はRedditを長く愛してきたし、世界中の何百万人もの人々を助けるためにチームが行っている仕事をさらに発展させることに、やる気で満ち溢れています。Redditチームの一員になることで、コミュニティ、クリエイター、テクノロジープラットフォームに対する私の情熱を集約させ、Redditがプラットフォームを拡大し、世界中のユーザーコミュニティを拡大していくことに貢献できるまたとない機会を得ることができました」と述べている。

RedditのCEOであるスティーブ・ハフマン氏は、声明の中で「パリー氏は、コミュニティと帰属意識を育むことに関して、私たちと同じくらい情熱を持っています。彼は、我々のリーダーシップチームの一員として、真の人間の繋がりを促進する無限の会話に人々が参加するための新しい方法を提供するという重要な仕事に取り組んでくれます」と語っている。

Redditには現在、毎日5000万人のアクティブビジターが訪れ、10万のアクティブなサブレディットが存在する。

関連記事:RedditがシリーズFで最大770億円調達へ、評価額は1兆円超えに

画像クレジット:Reddit

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(文:Aisha Malik、Akihito Mizukoshi)

フォードが電動カーゴバンの市場投入に先立ち、商用車部門のリーダーシップチームを構築

Ford(フォード)は、新たに設立した商用車・サービス事業部に6名の上級幹部を採用した。これは商用車ユーザー向けの新たな主力製品となる電動カーゴバン「E-Transit(イートランジット)」と、電動ピックアップトラックの商用バージョン「F-150 Lightning Pro(F-150ライトニングプロ)」の市場投入に先立ち、準備を整えるためだ。

フォードは、新ビジネスユニット「Ford Pro(フォード・プロ)」のリーダーシップチームを、社内外から招集した。新たに採用されたのは、6月にフォードが買収したバッテリー管理および車両監視ソフトウェアのスタートアップ企業であるElectriphi(エレクトリフィ)でCEOを務めているMuffi Ghadiali(マフィ・ガディアリ)氏だ。同氏はElectriphiにおける職務を継続し、フォード・プロの充電部門を統括する。

関連記事:フォードがEVバッテリー管理ソフトウェアのElectriphiを買収、法人顧客向けEV事業を強化

また、これまでフォードの米国マーケティング・販売・サービス担当コントローラーを務めていたTim Baughman(ティム・バックマン)氏は、フォード・プロ・ノースアメリカのジェネラルマネージャーに任命された。

フォード・プロの新しいCFOには、Ford Autonomous Vehicles LLC(フォード自動運転車有限責任会社)に在籍していたNavin Kumar(ナビン・クマール)が就任する。

Walt Disney Company(ウォルト・ディズニー・カンパニー)から移籍してきたTracey Pass(トレーシー・パス)氏は最高人事責任者として採用され、Ford Autonomous Vehiclesのソフトウェア開発責任者だったRahul Singh(ラフル・シン)氏はCTOに就任。Samsung Electronics America(サムスン電子アメリカ)のチーフ・マーケティング・オフィサーだったWanda Young(ワンダ・ヤング)氏は、フォード・プロで同じ役職に就くことになった。

フォードはすでにHans Schep(ハンス・シェップ)氏がフォード・プロの欧州地域担当ジェネラル・マネージャーに就任することも発表している。

フォード・プロが力を入れているのは単に商用バンだけではない。Ted Cannis(テッド・カニス)氏が率いるこの部門は、フリート管理やメインテナンス、充電サービスなども顧客に提供することを目指している。フォード・プロはハードウェアとそれに関連する新サービスから、2025年までに450億ドル(約4兆9500億円)の収益を上げることを期待しているという。

2019年に商用車部門の売上高が270億ドル(約2兆9700億円)だったことを考えれば、これは大きな収益増だ。フォードはこの目標を達成するために、バンやフルサイズのピックアップトラックに、内燃機関とハイブリッド、そして近い将来に追加される電気自動車バージョンを組み合わせて販売し、さらにそのEVのために、車両基地だけでなく自宅でも充電できる設備や、顧客のフリート管理およびメインテナンスに役立つデジタルサービス、サービスセンターのネットワーク、そしてもちろん融資を提供することを計画している。

フォードの商用車事業は欧州で先行しており、同地域では6年連続で商用車ブランドの首位に輝いている。北米では、クラス1からクラス7までのフルサイズ商用トラックおよびバンで、フォードのシェアは40%を超えているという。

特に欧州では、各国政府が都市部における排ガス規制を強化していることから、EV事業に力を入れている自動車メーカーには、より多くのシェアを獲得するための新たなチャンスが生まれている。フォード・プロの計画には、2021年後半に納車が開始予定のE-Transitと、2022年春の発売が見込まれるF-150 Lightning Proが重要な役割を果たすことになる。

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)