マッチングサービス「CROSS ME」は“すれ違い”をきっかけに出会いを提案する

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pairs」「Omiai」「タップル誕生」といったサービスの躍進も追い風となり、認知が広がっているマッチングサービス。この領域にまた新たなプレーヤーが登場した。サイバーエージェント傘下のプレイモーションは8月23日、マッチングサービス「CROSS ME(クロスミー)」の提供を開始した。

CROSS MEのコンセプトは「すれ違いの恋をきっかけにするアプリ」。アプリをインストールし、FacebookやTwitterアカウント、SMSでの認証をしてユーザー登録をすれば、あとはアプリを立ち上げなくても自動で他のユーザーと「すれ違い」が可能になる。同じタイミングに同じ場所にいた異性ユーザーは「すれ違い」リストに「いつ、どのあたりで、何回すれ違ったか」までが表示される。そのリストの中で気になる異性がいれば「いいね!」を送ることができる。お互いが「いいね!」を送り合えば2人でメッセージをやり取りすることが可能になる。

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位置情報は起動時および基地局の変更時に取得している。位置情報は町名までを取得。実際の「すれ違い」を判定する距離などは非公開で、今後利用動向を見てチューニングしていくという。ユーザーによっては夜間など自分の位置情報を伝えたくない時間帯もあるだろうが、あらかじめ設定しておけば、特定の時間帯に位置情報を送信しない機能も備えている。ユーザー検索機能も用意するが、基本的にはすれ違ったユーザーとのコミュニケーションを前提としているという。

プレイモーション代表取締役の平松繁和氏

プレイモーション代表取締役の平松繁和氏

ターゲットとするのは20代半ばまでの比較的若い世代。「同じ学校ですれ違ったのか、電車に乗る際にすれ違ったのかという偶然にドキドキして欲しい。恋活、婚活といったテーマのマッチングサービスもあるが、恋のきっかけとして利用して欲しい」(プレイモーション代表取締役の平松繁和氏)。若いユーザー層の利用を想定してFacebook以外にTwitterでの認証も導入したという。ただし24時間体制での監視を導入し、安全性を担保するという。

サイバーエージェントグループと言えば、冒頭で紹介したタップル誕生も提供しているが、ターゲットの属性が異なるため(タップルの方が上の世代をターゲットにしている)、競合ではなく補完関係にあるサービスだと説明する。

メッセージを往復する際に男性に料金がかかる。料金は最大で月額3800円だが、22歳の3月になるまでのユーザーに限定して月額600円の「学割」を導入する。今後はまず首都圏に限定してプロモーションを強化していく。

Nianticの「ポケモンGO」が登場して以降、改めて注目を浴びている“位置情報系”のサービス。果たしてマッチングという領域でも新しい価値を生み出せるだろうか。

「INFLUENCER ONE」はインスタの人気者に商品PRを依頼できるクラウドソースサービス

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Instagramで数万人のフォロワーがいるなら、もうちょっとした有名人と言っても良さそうだ。その影響力に乗せて商品のプロモーションをしたいと考える企業も多いだろう。本日ローンチした「INFLUENCER ONE」はインフルエンサーとそういったインフルエンサーにマーケティングの仕事を依頼したい企業や広告代理店をつなぐクラウドソースサービスだ。INFLUENCER ONEは、登録モデルに具体的なポーズやシーンの写真素材を依頼できるクラウドソースサービス「INSTAMODEL」を展開するレモネードが手がけている。

INFLUENCER ONEの仕組みは一般的なクラウドソースサービスとそう変わらない。インフルエンサー・マーケティングを依頼したい企業は対象ブランドの説明、案件内容、投稿日、報酬、入札単価といった情報をINFLUENCER ONEに掲載し、インフルエンサーを募集する。条件と依頼内容見て応募したインフルエンサーの中から企業は適任者を選定して依頼するという流れだ。インフルエンサーなら誰でもインフルエンサー側のサイトページからINFLUENCER ONEに登録できるが、案件に応募するには、各企業の承認が必要となる。インフルエンサーは依頼通りの写真や動画をInstagramに投稿した後、その証拠となるスクリーンショット画像とURLをINFLUENCER ONEにアップロードし、企業側がそれを確認して案件が完了する。INFLUENCER ONEは、依頼が完了した時点でマージンを得るビジネスモデルだ。

マーケティング事業者、インフルエンサーどちらのの手間も削減

レモネード代表取締役の石橋尚也氏は、2016年2月にローンチした最初のサービス、INSTAMODELを運営する中で、インフルエンサー・マーケティングへの需要と企業の抱える課題が見えてきたと言う。INSTAMODELでは、企業は登録モデルに具体的なポーズなどの写真の撮影を依頼することが可能だ。だが、企業からは写真に留まらず、商品のPRキャンペーンのためにインフルエンサー・マーケティングを依頼したいという要望が多く寄せられたと石橋氏は話す。石橋氏はこういった依頼にも応えようとしたが、「手動で行うのはしんどい」ことが分かったと話す。写真素材であれば適任のモデルに依頼をするだけで良かったが、インフルエンサー・マーケティングを実現するには、インフルエンサーのSNSアカウントのフォロワー数やどういう投稿が多いかを確認した上で適任者を探し、さらには案件の進行管理や報酬の支払いといった作業が発生する。INFLUENCER ONEでは、そういった作業を効率化するために開発したサービスと石橋氏は説明する。

これはインフルエンサー側にとっても仕事の効率化につながることが期待できるという。石橋氏がインフルエンサー・マーケティングを行ったことがあるモデルに聞いたところ、インフルエンサー・マーケティングの事業者や代理店とは案件の詳細をLINEや電話で何回も確認したり、共通して使用するプラットフォームがないために手帳にメモしたりと依頼の管理に時間がかかるのが課題という声があったという。また、管理がずさんな事業者や代理店も多いが、INFLUENCER ONEではプラットフォーム上で報酬や支払い期日を確認でき、やりとりも残るので安心して仕事ができるというレビューもあったと話す。

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INFLUENCER ONEのもう1つの特徴は、フォロワー数による課金と平均エンゲージメントによる課金の2つの入札形式を採用していることと石橋氏は言う。SNSでは一般的にフォロワー数が多くなるほどエンゲージメント率が下がる傾向にある。エンゲージメントを重視する企業のために、フォロワー数による従量課金のほかにエンゲージメントに応じた課金ができる選択肢を用意したそうだ。石橋氏は、広告代理業に10年携わってきてきた経験があり、リスティング、アフィリエイト、ソーシャル広告など色々な運用型広告で得た知見を活かしてサービスを提供していきたいと話す。

INFLUENCER ONEでは、まずはINSTAMODELの登録モデルに依頼ができるようになる。登録しているモデルの数はおよそ3000人だそうだ。3、4万人のフォロワーを持つモデルが多く、中には15万人以上のフォロワーを持つ人もいるという。INSTAMODELはINFLUENCER ONEと並行して、引き続き提供していくという。INFLUENCER ONEの方では、モデルの他に写真や動画のクリエイターを集めることに注力していく予定と石橋氏は話す。

スマホでバーチャル試着──ファッションECで「サイズの悩み」解消をうたうunisize、一般向けサービスがローンチ

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メイキップは、ECサイトで洋服を購入する際に、最適なサイズをレコメンドする一般消費者向けサービス 「unisize(ユニサイズ)」をローンチした。1分程度で終わるアンケートに答えるだけで、その人の身体にあった洋服のサイズを推奨するという。サービスは無料で提供し、広告モデルによる収益化を目指す。

unisizeは、ECサイトで服を購入する際にありがちな、サイズの心配の解消をうたうサービスだ。20万点・2000ブランドにのぼる服の色やサイズ情報を蓄積している。

使い方としては、スマートフォンのみで閲覧できるunisizeのウェブページ上で、他のECサイトで見かけた欲しい服の商品名やブランド名を検索する。お目当ての服がヒットしたら、1分程度で終わる簡単なアンケートに答えるだけで、「あなたにはLサイズ」「あなたにはSサイズ」といった具合に、その人に適切なサイズを推奨してくれる。店舗で実際に試着しなくても、スマートフォンの操作だけで自分に合うサイズがわかるというわけだ。

技術的には、まず身長や年齢・性別に応じた体型データを用意。それに加えてアンケートで、よく購入するブランドのサイズを回答することで、おおまかな体型を推定。あとは、腕や足の長さといった普段気になる部位を回答して、補正をかける仕組みだ。unisizeが蓄積する20万点にのぼる服のサイズ情報は、インターネットをクロールして集めているが、その際にはブランドごとにバラバラなサイズ表記や、「グリーン」や「オリーブ」といった色名のフォーマットも統一している。

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欲しい洋服を検索し、よく選んでいるブランドのサイズなどを回答

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腕の長さなどの普段気になる体の部位を回答、するとおすすめのサイズがレコメンドされる

競合となるバーチャル試着サービスは、Virtusizeや楽天が買収したFits.meがあるし、BtoB向けならTrue Fitもある。それらと比較した強みについて、メイキップ代表取締役社長の柄本真吾氏は「メジャーで身体を測らずに済む」点を挙げ、さらに「PCの時代は手元のメジャーで測れたが、今はスマホの時代」とも話す。つまり、手元のスマートフォンだけでフィッティングが完了するunisizeは、モバイルECへの適応度が高いという説明だ。

気になるレコメンドの精度だが、具体的な数字はまだ出していない。ただ、精度を高めることを目的に洋服レンタルサービスのairCloset(エアー クローゼット)と業務提携。「ワンピースに関するサイズ満足度は20代女性が高い」「パンツのサイズ満足度は全体的に低い」といったフィードバックを得て、それに応じて評価方法を見直す仕組みも整えているという。

なおunisizeは一般消費者向けに先行して、2016年2月8日より法人向けサービスを開始している。ファッションECサイトの夢展望における導入例では、導入前との比較でコンバージョンレートが2.5倍になった事例もあるという。また、詳細は明かせないものの、海外の大手ファストファッションブランドが運営するECサイトへの導入交渉も進んでいるとしている。

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一般ユーザー向けに先行してローンチしていた法人向けunisize

unisizeを立ち上げた理由について、柄本氏は「学生時代にラグビー部に所属していて、自分に合うサイズの服がなかなか無かった」と服選びの苦労を話す。前職のドリコムでは広告本部長などを歴任。その前はWEB広告・マーケティング事業を展開するセプテーニにいた。広告畑を歩んできたという同氏だが、インターネットや事業の可能性を目の当たりにして、自分で事業を興したいという気持ちが強くなったと話す。そこで2015年2月にメイキップを設立した。

なおメイキップは、unisizeとは別に展開するWEBマーケティング事業でマネタイズをしており、現在はこれと銀行からの借り入れで運営している。今後はさらなる事業拡大のため、シリーズAに向け億単位も想定した資金の調達を検討しているという。

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左からメイキップ取締役 山崎慎一氏、同代表取締役社長 柄本真吾氏、同ディレクターの森本裕介氏

ユーザー向けunisizeはローンチ時点ではウェブ版のみの提供だが、機能拡張に伴ってアプリ版の開発も想定している。また、サイズ以外に服の形や素材、コーディネートといった服に関する総合的な情報の提供も目指している。

今後の展望について柄本氏は「我々がイメージしているのはプラットフォーム。洋服やユーザーの身体の情報を蓄積し、そのマッチングポイントで価値を提供する」とし「ファッションECにおけるインフラになりたい」とも語った。

「TechCrunch Tokyo 2016」ってどんなイベント? 見どころをご紹介

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TechCrunch Japanが開催する国内最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2016」。今回で6回目となるこのイベントには、昨年2000人超が参加した。

今年も11月17〜18日に東京・渋谷ヒカリエにて開催予定で、すでに超早割チケットの販売も開始している。まだ非公開ながら著名な起業家やスタートアップ関係者の登壇も確定しつつあるのだけれど、ここでは昨年の様子をもとにイベントの見どころをお伝えしたい。

気鋭起業家や業界関係者が登壇するセッション

TechCrunch Tokyoの中心となるのは、国内外の起業家やスタートアップ関係者を中心にしたセッションだ。過去を振り返れば、まだ日本に参入する前のUberAirbnb、マッチングサービスのTinderなど、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの海外スタートアップが登場している。昨年のキーノートスピーチには、現在コミュニケーションロボットを開発するJiboが登壇。会場を賑わせた。

もちろん国内スピーカーも盛りだくさんだ。昨年はキーノートスピーチにマネックス証券の松本大氏が登壇。当時務めていたゴールドマン・サックスの上場で数十億円とも言われた報酬が手に入るはずだったがそれを蹴って起業したというストーリーから、経営論などが語られたほか、LINEを退任してC Channelを立ち上げた森川亮氏、ユーザーを拡大し続けるフリマアプリのメルカリを運営する山田進太郎氏、米IACグループが買収したエウレカの赤坂優氏など、昨年注目を集めた起業家達が続々登場している。

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立ち見客続出のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」

TechCrunch Tokyoの目玉と言えるのが「スタートアップバトル」。創業3年未満、プロダクトローンチ1年未満という非常に限られた条件のスタートアップに限定したプレゼンコンテストだ。毎回立ち見客が出るほどで、会場は文字通り熱気に包まれる。昨年は合計12社がプレゼンを繰り広げ、労務管理クラウドの「SmartHR」を手がけるKUFUが見事優勝を勝ち取った。今年はイベント初日の11月17日に約20社のスタートアップでファーストラウンドを開催。その中の上位5社が18日のファイナルラウンドに登壇する。なおバトルの参加者は現在絶賛募集中。簡易登録の制度も用意しているので、興味あるスタートアップはこちらから気軽に応募して欲しい。

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スタートアップの今を一気に学べるデモブース

TechCrunch Tokyoの見どころはセッションだけじゃない。気鋭のスタートアップを一度に知ることができるデモブースも魅力だ。今年は会場となる渋谷ヒカリエの通路とホール1つをブースに充てているので、一周すれば文字通り日本のスタートアップトレンドを知ることができるはずだ。そのほかにもスポンサーによるブースやVRコンテンツを体験できるブースなどを準備中だ。

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起業家の生の声を聞ける「TC Lounge」

セッションの登壇者により近い距離で話を聞けるのが「TC Lounge」だ。昨年「Fireside Chat」という名称で、セッション後の登壇者の話を身近に聞けるミニステージを用意していたのだが、今年はそれをパワーアップ。著名人に直接質問をしたり、インタラクティブなセッションを楽しめる場を用意したいと思っている。

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このほかにも、今回導入するマッチングツール「Jublia」の利用者向けのミーティングスペースやさまざまな来場者と交流できるパーティーなど、TechCrunch Tokyoでは多くの企画を用意している。もし興味をもった人は、是非ともお得な超早割チケットを今すぐゲットして欲しい。販売は今月いっぱいとなっている。

草野球やフットサル対応のチーム管理アプリ「TeamHub」が正式ローンチ、運営元は6000万円調達

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スポーツコミュニティ向けサービスを展開するLink Sportsが、2015年12月にβ版を公開したチームマネジメントアプリ「TeamHub」を正式リリースした。iOS、Androidで利用可能だ。また、ベンチャーユナイテッド株式会社を引受先とした合計6000万円の第三者割り当てを実施したことも同時に発表した。同社は2014年2月にサムライインキュベートおよび個人投資家から合計650万円のシード資金を調達している。Link Sportsは今回調達した資金をもとにエンジニアの拡充を目指すと話している。

アマチュアチームならではの問題点

Link Sportsが正式リリースしたアプリ「TeamHub」は、草野球チームやフットサルクラブなど、アマチュア・スポーツチームの管理者の負担を劇的に減らしてくれるアプリだ。スコアの入力、練習試合などの日程調整や出欠確認、試合結果の共有などをすることができる。

アマチュアチームの運営は、まだアナログの部分が多い。世代がバラバラの人々で構成されるアマチュアチームでは、LineやFacebookなど一つのコミュニケーション・ツールで連絡を完結させるのは難しく、日程や出欠の連絡などはメールや電話で行い、スコアの入力はオリジナルのエクセルシートに入力していくというチームがほとんどなのだ。この問題点を解決するのが「TeamHub」だ。

「TeamHub」を利用するにあたって、チームの管理者以外のメンバーは必ずしもアプリをダウンロードする必要はない。アプリを通して管理者から送られる出欠確認などは、Eメールやフィーチャーフォン、いわゆる「ガラケー」のメールでも受け取ることができ、メールに記載されたリンクから参加表明ができる仕組みだ。

直感的に利用できるスコアの入力機能

また、スコア入力機能は幅広い世代でも簡単に利用できるように工夫されている。サッカーや野球など、スポーツの種目ごとに入力画面が用意されており、シンプルなデザインで直感的にスコアを入力することができるようになっている。現在スコア入力に対応しているのは「フットサル」と「サッカー」のみだが、年内に「ラクロス」、「ビーチサッカー」、「野球」を追加し、2017年には20種目に対応させることを目指す。

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さらに同社は、入力されたスコア情報を元にチームや選手の強さを数値化する機能も開発中だ。Link Sports CEOの小泉氏は、「例えば野球チームであれば野球ゲームのように、チームや個人の能力を可視化できるようにしたいと考えています。そうすることで、その数値と位置情報を利用して練習試合相手のマッチングをすることも可能になります」と話す。アマチュアチームにとって、実力がある程度拮抗した試合相手を探すのは骨の折れる作業であり、この機能が実現すればチーム管理者の負担をさらに減らすことができる。この機能は来年度中にも導入する予定となっている。この他にも、チーム内のお金のやり取りをアプリ上で完結できる送金機能なども開発中だ。

アマチュアチームのマネジメントという市場の可能性

小泉氏によれば、アメリカでは2012年頃からアマチュアチームのマネジメントという分野が盛んになりつつある一方で、まだ日本では発展途上だという。「以前から、日本にもチームのマネジメントができるWEBサービスは存在していました。しかし、スマホファーストで、かつ多種目に対応したマネジメント・ツールを開発したのは当社が初めてです」と小泉氏は話す。市場規模については、「チームのマネジメント分野だけに絞ると、国内では約300億の市場規模。しかし、備品やスポーツ保険の購入費などを含めた”チームスポーツを楽しむ”という市場は約1.17兆円の市場になる。そこを狙っていきたい。また、アマチュアチームのマネジメントがまだ盛んではないアジア諸国への海外展開も今後目指していく」と話す。

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小泉氏はかつて、甲子園を目指す野球少年だった。ところが、肩の故障により選手からチームの運営者へと転向することになる。そこで感じた問題点を解決するために生まれたのが「TeamHub」だ。昨年12月のβ版リリース以降、これまでに500チームが当アプリを利用している。同社はアプリ内の機能解放による課金などのマネタイズにより、月1.5億円の売上高を目指す。

ライブ動画配信の「LINE LIVE」、ユーザー向けに配信機能を解放——ライバルは「Snapchat」?

「LINE LIVE」のデモ

LINEが提供するライブ動画配信プラットフォーム「LINE LIVE」。LINEでは近日中にも一般ユーザー向けにライブ配信機能を開放する予定だとしていたが、アプリのアップデートにともなって、8月10日よりいよいよ一般ユーザーへのプラットフォーム開放が始まった(現状はiOS版のみ。Android版も間もなくアップデート予定)。

LINE LIVEはLINEが提供するライブ動画配信プラットフォーム。2015年12月にサービスを開始。この約半年間、LINEと組む制作会社やテレビ・ラジオ局などの企業、音楽アーティストやアイドルなどの著名人が配信する生中継番組を中心にしてコンテンツを拡大してきた。2016年6月末時点での延べ視聴者数は3億5000万人を突破。これまでに300人以上のアーティストやタレントがライブなどを配信している。

今回アップデートにより、そのライブ配信機能をユーザーに開放。LINE IDを持つユーザーであれば、誰でも動画の配信が可能になった。あらかじめアプリ上でLINE IDを連携しておけば、ボタン1つでライブ配信が可能になる。配信中はLINEが提供する自撮り動画アプリ「egg」でも実装されている「LIVE スタンプ」(顔認識を使って、配信者の顔をウサギにしたり、天使にしたりするスタンプ。最大3人まで認識可能)や色味を変えるフィルターでのデコレーションが可能だ。顔認識を使ったデコレーションと言えば「Snapchat」や「Snow」でもおなじみの機能ではあるが、ブラウンのようなキャラクターのスタンプも用意されているのはLINEらしいところ。ローンチ時点で45種類のスタンプを用意するが、今後は企業とのコラボなども含めて数を拡大する予定だ。

視聴者は配信者に対してコメントをしたり、面白ければ「ハート」を送ることができる。その他、仮想通貨を使ってさまざまなギフトアイテム(有料コンテンツ)を配信者にプレゼント可能。なおLINE LIVEではこのハートやギフトの数(厳密にはギフトごとに仮想通貨の額が決まっており、その額分のハートが配信者に贈られる)、視聴者数、配信時間などをもとに、配信者に対してLINEポイントをインセンティブとして付与する。ポイントの算出方法は「今後も非公開。体感して分かって欲しい」(LINE執行役員でエンターテイメント事業部の佐々木大輔氏)とのこと。なお現状はこの仮想通貨の購入がLINEの収益化手段となる。今後はLIVEスタンプの有料販売をはじめとして幅広いマネタイズ手段を検討しているという。

ライブの配信時間は最大30分。配信した動画は1カ月間アーカイブが残り、その後自動で消去される。設定によりアーカイブを非公開にすることも可能だ。ちなみに生放送とアーカイブでは、生放送の方が試聴されるという。例えば配信者が視聴者の名前を呼ぶ、質問に答えるなどインタラクティブなやり取りができるため盛り上がるのだという。僕はサービスのローンチに先駆けてサービスを体験する機会を得たのだが、やっぱりLIVEスタンプがあることでこれまでのサービスよりも配信ハードルは低い気がする。

ライバルは生配信よりSnapchat?

モイの「ツイキャス」にドワンゴの「ニコニコ動画」、ディー・エヌ・エーグループの「SHOWROOM」、海外を見ればTwitterの「Periscope」、最近ではFacebookアプリでも……ライブストリーミングのサービスはすでに多くある。佐々木氏はこれらのサービスに対して、「『競合は考えていない』というのではないが、(LINE LIVEは)コミュニケーションが中心のサービス」だと説明する。

それに加えて興味深かったのは、佐々木氏と2人で話した際に、ライブ配信サービスよりもSnapchatについて意識していた点だ。配信時に立ち上がるのはインカメラ——つまり外の世界ではなく自撮りを楽しむ前提のサービスであること、顔認識によって自撮りのハードルを下げていること、コミュニケーションだけでなく「ストーリー」というメディア機能を備えていること(前述のとおりLINE LIVEではローンチ時より企業や著名人のコンテンツが配信されている)——たしかにこれはSnapchatとLINE LIVEに共通する内容ではないだろうか。LINEの国内ユーザーは現在6800万人以上。このプラットフォームを生かして、LINE LIVEはどのように成長するのだろうか。

クラウドソーシングを使った翻訳事業を展開するエニドア、ロゼッタが約14億円で買収へ

クラウドソーシングを使った人力翻訳サービス「Conyac」を運営するエニドア。同社がM&Aによるイグジットを果たしたようだ。翻訳事業を手がけるロゼッタは8月10日、株式取得および簡易株式交換により、エニドアを完全子会社化すると発表した。

ロゼッタはエニドアの発行済み株式1263株のうち633株(議決権ベースで50.12%)を8月15日付けで7億3200円にて取得。残りの630株を株式交換で取得する(エニドア1株に対してロゼッタ311株を割り当てる。合計19万5930株。1株3414円で算定し、6億6891万円)。合計すると約14億円でのM&Aとなる。

ロゼッタはこれまでプロ翻訳者による「翻訳通訳事業」と機械翻訳による「MT事業」、プロ翻訳者と機械翻訳を活動する「GLOZE事業」を展開してきた。エニドアの提供するConyacがこのGLOZE事業とMT事業の間の領域を補完するとしている。なお、エニドア代表取締役の山田尚貴氏らは引き続きConyac事業を担当する。

エニドアは2009年2月の設立。スカイライトコンサルティング主催のビジネスプランコンテスト「起業チャレンジ2009」で最優秀賞を受賞し、その賞金をもとに起業した。これまでにサムライインキュベートのほか、スカイライトコンサルティング、ベンチャーユナイテッド(当時はngi groupで、ファンドもngiベンチャーコミュニティ・ファンド2号からの出資)、ANRI、East Ventures、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルなどから出資を受けている。同社の2016年3月期業績は売上高5億6900万円、営業利益が2億7000万円、経常利益が2億6900万円、純利益が2億2300万円となっている。

日本のFinTechはいよいよ応用期に——その全体像を読み解く

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この原稿はFinTechスタートアップであるマネーフォワードの創業メンバーで取締役兼Fintech研究所長の瀧俊雄氏による寄稿である。マネーフォワードは自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」やビジネス向けのクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などを提供。4月には代表取締役の辻庸介氏と瀧氏の共著「FinTech入門」も上梓している。本稿では、いよいよ応用期を迎える日本のFinTech事情について論じてもらった。

本誌に2年前に寄稿した頃、FinTechはまだ、知る人ぞ知るテーマであった。その後、FinTechはスタートアップ界隈のみならず、金融業界をも含めた一大テーマとなり、今や誰しもが知るところとなった。本稿では、現在の問題意識とそのあり方について述べてみることとしたい。

産業政策となったFinTech

現在行われている様々な議論のルーツを紐解くと、FinTechの盛り上がりの火付け役となったのは、2015年2月5日に開催された金融審議会における決済高度化スタディグループである。同スタディグループでは楽天やヤフー、AmazonといったIT産業のプレーヤーが、ECなどの自社のプラットフォームで生まれる取引から決済事業や融資事業を展開する中で、同様のチャンスが既存の銀行業においても模索されるべきではないか、とする問題意識が取り上げられた。

この議論は2015年を通じて、銀行法をはじめとする様々な制度改定として結実しつつある。その内容は、銀行によるFinTech事業会社の保有規制の緩和や、ATMの現金引き出し機能をコンビニやスーパーのレジに持たせること、ビットコインの取引所における利用者保護の仕組みなど、多岐にわたる。このような制度改定の第一弾ともいえる銀行法等を改正する法案は2016年5月に国会を通過した。

制度変化の中で、メガバンクのみならず地域金融機関や、証券会社、保険会社などにおいてもFinTechに関する専門部署が立ち上がり、協業や新規事業開発に向けて異例ともいえるスピード感を発揮している。

このような既存の金融システムの高度化・利便性向上という観点に加えて、成長産業としてのFinTechにも関心が集まっている。2015年の後半に開始した経済産業省のFinTech研究会では、多種多様なプレーヤーを内外から招いた、総合的なFinTechに関する情報収集とあるべき政府の規制とサポートが議論された。そして、産業競争力会議における会合や、自民党政務調査会における戦略的対応としての取り上げなどを含めて、1つのベンチャー用語としてのFinTechから、産業政策としてのFinTechという位置づけへの昇華が見られた。

FinTechのインパクトは多様であるが、誰もが意識するべき2点として、(1)インターネットが持つ力学が金融の世界にも浸透し、ユーザー中心の社会が実現されていくこと、(2)新たな金融インフラのあり方に対して、先取りし、自ら考える経営姿勢が各ステークホルダーに求められていること、である。この2点を元に、未来像を描いていくことこそが重要である。

(1)ユーザー中心主義のサービス設計について

FinTechでは、Techを活かすことができるベンチャー企業が主語となっている。その理由は明確で、ベンチャー企業は顧客獲得競争において、失敗を通じた学習がより許容される環境に置かれているからである。その結果、「分かりやすいサービスであるか」「真の問題解決に近づくソリューションを提供できるか」「不安をなくすことができるか」「ペイン・ポイントに近い場所でサービス訴求ができるか」といった軸での競争がサービスレイヤーでは行われている。

FinTech産業の全体像と海外における主要なプレーヤー

FinTech産業の全体像と海外における主要なプレーヤー

 

個別の業態の詳細については拙著での記述に譲ることとしたいが、オープンソースの進展や、スマートフォンの浸透を通じて、海外ではゲームチェンジャーといえる規模まで普及するサービスが生まれてきている。そこでは、従来の金融機関が総合的なサービスを提供してきた中で、ある特定のニッチと思われる領域において段違いに効率的・効果的なサービスを提供し、横展開を通じて規模拡大を図っていく姿が見られている。

金融サービスへのニーズや背景は国ごとに異なるが、肝心なのは様々な試行錯誤と競争からプレーヤーが生まれてくるプロセスそのものである。そして、従来の金融機関が提供しえなかったUXを新規のプレーヤーが提供することが常態化するのであれば、ユーザビリティを自社サービスに取り込むオープンイノベーションのあり方が金融機関においても重要となっていく。

金融は「金融サービス産業」とも呼ばれるように本来、サービスへの満足度を求めた競争が行われる場所である中で、このレイヤーにおける戦略に向けて先手を打っていくことは、次に述べるインフラ面での変化を踏まえると、とりわけ重要である。

(2)インフラ面での変化について

日本における金融インフラにおけるキーワードは、(1)キャッシュレス化、(2)API化、(3)中期的な分散型の技術の活用である。

今後、キャッシュレス化は消費者の基礎的な行動の変化をもたらす一大テーマとなる。2020年の東京五輪を見据えて、インバウンド消費向けの決済インフラ(クレジットカード、デビットカード)の整備が進むと同時に、電子マネーの存在感もオートチャージ型の普及に伴って拡大し、現金利用はいよいよ減少していくこととなる。また、LINE Payやau WALLETカードのような、未成年も使うことができ、すでに大きなユーザーベースを抱える決済方法も誕生してきていることも、その一層の促進材料となる。

また、今般の制度改定でキャッシュアウト(小売店舗におけるレジにATMとしての機能を持たせ、現金引き出しが可能となること)が可能となる中、個人と金融機関の接点は一変していくこととなる。現金引き出しは今後、わざわざATMに行くのではなく、スーパーやコンビニ等のレジで、「買い物のついでに行われる」ものとなる。

キャッシュレス化とキャッシュアウトの二つで、ATMが使われる需要は激減する。筆者も米国に居住していた頃の明細では、1年間で銀行のATM自体を利用したのは2回であり、その金額は合計300ドルであった。ほとんどの現金需要はスーパーでの引き出しによって賄われている中で、同じような世の中が、もうすぐ日本でも実現しようとしている。

金融広報中央委員会による調査(2015年)によれば、日本の世帯の78.5%は取引金融機関を決める際に、店舗やATMの近さをその理由として挙げている(次点は経営の健全性で29.8%)。しかしながら、今後ATMの近さがキャッシュレス化の中で金融機関選択の軸としてのポジションを失っていく中では、純粋なユーザビリティに向けたサービス品質の追及が急務となっていく。

そのような中、銀行によるAPI提供は目下の重要テーマとなりつつある。APIの提供は、元々は欧州で預金者のためのデータアクセスを確保するべく生まれた背景があるが、結果的に、金融機関がオープンイノベーションを提供するにあたって必須のものとして台頭しつつある。従来、自社アプリとして提供が行われていた機能は、今後は、PFM(Personal Financial Management:個人資産管理)やECなど幅広い外部サービスに取って代わられていく。そうなると、データの閲覧や取引の実行も含めてこれまでの銀行機能自体がAPIとして提供されることとなる。そして、外部のサービスプロバイダにとって、メリットの高いプラットフォームとなることこそが、金融機関に求められるようになっていく。

銀行と預金者の接点のイメージ図

銀行と預金者の接点のイメージ図

 

最後に、ブロックチェーンをはじめとする分散型台帳の技術の台頭がある。本テーマはすでに多くの言及がある中で詳細は割愛するが、金融システムがもつ根幹的な価値である「真実性」について、政府や規制が保証を提供するあり方から、参加者と技術的な仕組みが正しさを担保するあり方への転換を促すことのインパクトは計り知れない。

IoTなどの文脈で大量のデータが利用可能となっていく中、特定条件をトリガーとした金融サービスのあり方を、契約と検証コストではなく、技術によって担保することで、10年後の世界では、想像されている以上のインパクトや、インフラの変化をもたらしている可能性がある。

従来と比べて、圧倒的に時代の変化が早くなってきている中で、ベンチャーも含めて新しい状況に適応し、可能な限り先取りを行っていくことが求められている。結局のところ重要なのは、顧客を見つめ、必要とされるサービスを作り続けることである。これは「FinTech的アプローチなのか」という見方ではなく、実際にユーザーが求めているソリューションにおいて、新たな技術が使えるのではないか、という観点こそが求められている。

実証期に入ったFinTech

FinTechに向けた投資資金も、最近は数百億円を超える規模の専門ファンドを、SBIグループ楽天が立ち上げる動きも見られる。

資金面でのサポートに加えて、規制緩和もある中で、金融機関はいよいよ「どのようなFinTechビジネスが実際に役に立つのか」というシビアな検証へと入っていくフェーズといえるだろう。これまでが、「FinTech入門」というフェーズだったのであれば、今後はいち早く「FinTech応用」を行い、正しいユーザーに向けた訴求パスを見つけられるかが課題といえるだろう。

その際には、絶え間なく最新の技術動向を押さえつつも、ユーザーにサンドボックス的にサービスを提供し、それがユーザーに刺さるか否かを細かく検証していく地道なプロセスがある。その過程で元々の高い期待値に応えることができない、ハイプ・サイクルにおける幻滅期としての特徴も現れてくるだろう。FinTechとはなんだったのか? と思われるタイミングも訪れるのかもしれない。

しかし、生産性が発揮される頃には、その頃の苦労も忘れられ、新たな満足点にユーザーもたどり着いていくこととなる。このためのリスクテイクができる環境が、ベンチャー側にも金融機関側にも、まさに求められている。

FinTechではよく「アンバンドリング」という言葉が取りざたされる。この言葉は、「従来、金融機関が一手に担ってきた諸機能が分解される」というニュアンスを含んでいるが、これと同時に用いられる対義語が「リバンドリング」である。米国の例として、例えばJPモルガンがオンラインレンダーであるOnDeckと提携したように、適材適所での資源活用が行われ、各プレーヤーも自らの立ち位置を再構築する発想こそが重要といえるだろう。

おわりに

2年前の拙稿の言葉を引用してみたい。

日本の若年層は数十年前の日本人と比べて、所得の安定や、将来に向けた備えなど、様々な形での自己責任を求められるようになった。この社会的背景の中で、資産運用や将来設計などの米国型のソリューションに加えて、より分かりやすい貯蓄・節約方法や加入する保険の見直し、ローンの管理など、より問題解決につながるビジネスモデルが今後は求められているのかもしれない。

2年前と比べると、FinTechが捉える諸課題は金融インフラを含む広大なものとなった。とはいえ、このユーザー起点での発想の重要性は幾分も変わっていない。様々な社会のニーズを捉え、解決していくことは、ベンチャーに限らずすべてのビジネスが本来的に持つ課題である。

今や産業政策となった日本のFinTech。オープンに良いアイデアを取り込む枠組みをいかに維持し、ユーザーを見ながら育てていけるかが、今後の試金石となるだろう。

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オンライン秘書・在宅派遣を手がけるキャスターが大和企業投資から1億円の資金調達

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オンラインビジネスアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは8月8日、大和企業投資を引受先とした総額1億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

キャスターは2014年9月の設立。同年12月よりオンラインで経理や人事、秘書代行を行うオンラインビジネスアシスタントサービスのCasterBizを展開。またこれに加えて、2016年に入ってからは全国のリモートワーカーをオンラインで派遣する「在宅派遣」を展開してきた(同社ではこれに向けて、日本発となるオンライン人材派遣業の資格を取得している)。在宅派遣については、エンジニアやデザイナー、ディレクターなどの登録が増えたことから、ウェブ制作や開発関係の業務委託に特化した「RemoteStyle」もスタートしている。

両事業の導入実績は、CasterBizを中心に合計100社(7月時点)を超えた。CasterBizに関しては「メニューを絞ってもいいので低価格、ロットの小さい案件のニーズが多数寄せられている」(キャスター代表取締役の中川祥太氏)とのことで、CasterBizの一部の作業に関してはボット化して提供することも検討中だという。

キャスターでは今回調達した資金をもとに、エンジニアおよびマーケティング担当者の拡充を進めるとしている。

TechCrunch Tokyo 2016「スタートアップバトル」エントリーを開始しました

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TechCrunch Japanは11月17・18日、東京の渋谷ヒカリエで「TechCrunch Tokyo 2016」を開催する。本日から、お得な「超早割チケット」を販売開始したが、例年、イベントで最も大きな盛り上がりを見せる「スタートアップバトル」(以下、バトル)の参加企業の登録もあわせてスタートしたのでお知らせしたい。

バトルを簡単に説明すると、スタートアップが今年ローンチした、もしくはローンチ予定のプロダクトをプレゼンで競い合うというもの。昨年は105社の応募があり、書類審査に通過した12社が決勝に進出した。

今年は、書類審査に通過した約20社が参加する「ファーストラウンド」を11月17日に、ファーストラウンドを勝ち抜いた5社が優勝を競う「ファイナルラウンド」を11月18日に開催する。優勝チームには賞金100万円を贈呈する。

応募チームに特典

書類選考を通過した全チームには、会場の展示ブースを無償で提供する。惜しくもファーストラウンド出場を逃したチームの中でも、VCを中心に構成される予選審査員が「これは」と思った何社かには同様の特典を用意する予定だ。

それともうひとつ。昨年は米国のTechCrunchでも、スタートアップバトルの様子をロングレポートしている。今年も米国から本家TechCrunchスタッフが来日する予定なので、世界デビューを目論んでいるスタートアップにとっては大きなチャンスだ。最近では本家TechCrunchで日本のスタートアップ情報を取り上げることも増えている。

応募方法

今年は「仮登録」と「本登録」の2種類を用意した。仮登録は企業名と担当者名、メールアドレスを入力するだけ。本登録は代表者のプロフィールやプロダクトの概要、プロダクトの優位性などを入力してもらう。

昨年までは「本登録」のみだったが、「あとで登録すればいいか」と先延ばしにしたせいで締め切りが過ぎてしまった……と、あとから連絡をもらうケースも少なくなかった。こうした悲劇を防ぐためにも、今年は「仮登録」してもらえれば、我々の方でリマインドしようというわけだ。もちろん、いきなり「本登録」していただくのは大歓迎である。

スタートアップバトルの応募要項は以下のとおりなので、条件に当てはまるスタートアップは是非、応募ページから早めに申し込んでほしい。

バトル仮登録はこちらから→

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応募資格

未ローンチまたは2016年1月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業(2015年12月以前にベータ版をローンチした企業でも、正式版を2016年1月以降に公開したスタートアップ企業は応募可能)

創業年数3年未満(2013年11月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと

応募期間

・バトル仮登録は2016年8月31日(水)23時59分まで

・バトル本登録は2016年9月30日(金)23時59分まで

審査について

・審査基準: プロダクトの市場性やビジネスの成長性、またビジョンを実現していけるチームであるかを基準とします。

・事前審査:一次審査は書類審査とし、その後一部評価に必要な情報が足りない場合はインタビューやデモを見せていただく場合があります。選考を通った応募企業には運営事務局から10月7日までに審査結果を通知します。

・ファーストラウンド: TechCrunch Tokyo 2016の1日目(11月17日)に行います。

・ファイナルラウンド: TechCrunch Tokyo 2016の2日目(11月18日)に行います。

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ソフトバンク、パートナー企業と新規事業生み出す「Softbank Innovation Program」第2回を開催へ

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ソフトバンクがパートナー企業と組んで新しい事業を生み出す「Softbank Innovation Program」。第1回のプログラムは2015年7月にスタート。2016年3月には採択企業8社が決定し、実証実験を進めているところだ。

第1回採択企業との具体的な事業については今後の話になるが、ソフトバンクでは早速第2回のプログラムの開催を発表している。8月3日から9月30日まで候補企業を募集中だ。プログラムのサイト上から応募できる。募集企業に対しては12月末までに選考を進め、2017年1月上旬にも実証実験などを行う予定。

第2回のプロフラムで募集するのは、スマートホーム、コネクテッド・ビークル、ヘルスケア、フィンテック、VR/AR/MR、ドローンの6カテゴリのスタートアップ。応募の条件は、スタートアップから大企業までの幅広い法人であること(個人の応募は受け付けない)、応募内容を実現できる技術や体制を有していることなど。また、必要に応じて日本(東京)もしくは米国(シリコンバレー)での面談が設定される。

選考を通過した企業に対しては、プロトタイプ開発の費用やテストマーケティング実施環境などをソフトバンクが提供する。「第1回の採択企業についても、パートナーとの組み方はさまざま。ただし実費として負担するようなことは求めていない」(ソフトバンク)。第1回の実績で言えば、ドライバー向けのスマートフォン操作アプリを開発するDrivemodeに対して、実証実験に向けてレンタカー会社との提携を支援。またリノベーション仲介・施工のリノベるとは、共同でIoT関連のアプリ開発を進めるといったように、各社に対して最適な支援を行っているという。

ソフトバンクでは8月19日にプログラムの説明会も開催する予定。

VRコンテンツに特化した広告ネットワーク「VRise Ad」、クローズドベータテストを開始

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盛り上がりを見せるVR市場にまた新たなスタートアップのサービスが登場した。VRizeは8月4日より、VR内動画広告ネットワーク「VRize Ad」のクローズドベータテストを開始する。申し込みは同社のウェブサイトから行えるが、利用は一部の開発者に限定する見込みだ。正式版のリリースは2016年秋の予定だ。

VR内動画広告ネットワーク——ちょっと聞き慣れないかも知れないが、これはVR向けのコンテンツ内で表示される動画広告のアドネットワークだ。VRアプリを制作する開発者がVRize Adの提供するSDKを組み込むことで動画広告の配信が可能になる。海外を見ると、アプリ向けリワード広告を手がけるTapjoyの元CEOであるMihir Shah氏らが手がけるImmersvなどが同種のサービスを展開しているが、VRize代表取締役の正田英之氏によると、国内企業としては初のプロダクトになるという。

VRise Adで提供する広告は大きく3つ。1つは360度動画を使った広告、もう1つはVR空間にバーチャルな部屋を作り、その中に巨大スクリーンを設置。そのスクリーン上で広告を配信するテレビCM風のもの。そして最後はCGのオブジェクトをVR空間上で動かして表示するものだ。

特に最後の広告については自分で書いていても説明が難しいのだけれども、ゲームアプリなどで言うところの、ステージクリアごとに画面にポップアップ表示される「インタースティシャル広告」の3DCG版といったような印象を受ける。僕がデモで見せてもらったのは、スポーツの360度動画を再生する際、清涼飲料水とそのロゴの3DCGがどこからか目の前に飛んできて目の前に数秒表示され、消えるというものだった。

VRコンテンツに関しては言葉で表現するのは難しいけれども、テレビのCMなんかよりも短く(2、3秒)、かつ目の前に迫ってくる面白さもあって(これは慣れの問題もあるかもしれない)、ユーザーとして決して受け入れにくいモノではないと感じた。正田氏に聞くと、VRiseでもこの最後の広告がビジネスの中心になると考えているそう。今後はアドネットワークのシステム開発だけでなく、CGの制作も請け負う予定だとしている。

VRiseは2016年2月の設立。代表の正田氏は、以前にInstagramを活用したフリマアプリの「10sec」を米国で展開していた人物。独自のフリマアプリなども開発していたが、2015年秋にサービスをクローズ。当時からのメンバーであるCTOの露木雅氏と新会社を立ち上げて二度目のチャレンジとしてVR広告に取り組んでいる。今春にエンジェル複数人から資金を調達。6月に独立系ベンチャーキャピタルのTLM、East Venturesから資金を調達している(いずれも金額、出資比率等非公開だが合計で数千万円前半と見られる)。

VRise代表取締役の正田英之氏(左)と、CTOの

VRise代表取締役の正田英之氏(左)と、共同創業者でCTOの露木雅氏(右)

オンライン印刷のラクスル、フィデリティ投信などから20.5億円を調達——既存事業のほか海外展開も強化

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏(写真は2015年3月撮影)

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏(写真は2015年3月撮影)

オンライン印刷サービス「ラクスル」などを手がけるラクスル。2015年2月に40億円の大型調達を実施した同社が8月4日、新たにFidelity Investments(フィデリティ投信)、日本政策投資銀行(いずれも新規株主)のほか、オプト、グローバル・ブレイン、GMOベンチャーパートナーズ、Global Catalyst Partners(いずれも既存株主)から第三者割当増資により20億5000万円の資金調達を実施したことを発表した。

ラクスルでは今回調達した資金をもとに、主力である印刷事業に加えて、2015年12月にスタートしたCtoC型配送サービスの「ハコベル」事業(詳細はこちら)の2つの事業領域の成長に向け、マーケティング投資、人員拡充、システム投資を進める。加えて、海外投資と新規事業への投資も進めるとしている。

またラクスルは2015年11月にインドネシアで同様のサービスを手がけるPrinzioに出資しているが、これに続いて、インドのInkmonkへの投資も実施しているという。両社に対しては日本のナレッジを共有するほか、ベトナムや中国に持つオペレーション部隊のシェア、システムAPIの提供などを行い、事業面でのバックアップを行っているという。

ラクスルの創業は2009年。印刷所の非稼働時間を利用して、安価な印刷サービスを展開。これに加えて中小企業向けにチラシポスティングなどのマーケティング支援、前述のハコベルによる配送サービスなどを手がけている。7月末時点での中小企業ユーザーは30万アカウント、売上高は非公開だが3年間で50倍に成長した。またハコベルは現在2000台のトラックを登録しており、マーケティング支援事業と合わせて急成長しているという。

以前の資金調達時、ラクスル代表取締役の松本恭攝(やすかね)氏は「『投資をすれば拡大する』ということが見えてきたので、小さく上場するより赤字を掘ってでもより成長しようと考えた」といった話をしていた。今回の調達について尋ねたところ、「掘った後の大きな利益成長、Jカーブ(事業開始からしばらくの間は投資フェーズで赤字になるが、その後は投資した分大きく成長していくというスタートアップの成長モデル)を実現する。むやみに掘ってるわけではなく、資本効率の良い範囲で、最大の投資をしてる」という回答を得た。また今後の上場に関しては「ノーコメント」とのこと。

なおフィデリティ投信は年金基金や機関投資家の資金をもとに、上場株や債権などに投資を実施している。また傘下のベンチャーキャピタルであるEight Roads Venturesの日本チームがUI/UX改善ソリューションを手がけるKAIZEN Platformやグルメサイト運営のRettyなど国内スタートアップに投資を行ってきているが(厳密にはKAIZENは米国登記)、フィデリティ投信本体での国内スタートアップへの投資は公表されている限りこれが初めて。CrunchBaseにもあるが、フィデリティではこれまでSpotifyやUber、Airbnb、SnapChatなどへの出資を行っている。

SoftbankのPepperロボットがアメリカのハイテク製品ショップで販売員のアルバイト

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アジア各地の小売店にPepperが進出中だ。日本のファーストフード店ではレジ係をしているのが一例だ。Softbankのこの人間型ロボットはアメリカでは職を見つけるのに苦労していた。しかしアメリカでのリリースを年内に控え(最初の海外での販売は台湾)、あちこちでPepperを目にする機会が増えそうだ。

実際、Pepperはベイエリアのハイテク製品のチェーン店、b8taで短期のアルバイトをするという。アメリカでロボット販売員が顧客への挨拶を担当するというのはこのデモが最初らしい。 b8taのフラグシップ、パロアルト店では 8月11日から1週間Pepperを雇う。4フィート(1.2m)のロボットはピザハットのレジ係より一段と目立つ存在なりそうだ。

Softbankでは同時にデベロッパー・ワークショップも開催する。5月の I/Oでスタートしたデベロッパー向けのポータルにさらに多数のプログラマーを参加させるのが狙いだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Supershipの「Sunnychat」は5秒動画を軸にしたコミュニケーションアプリ

Supership取締役の古川健介氏(左)、Supership代表取締役の森岡康一氏(右)

Supership取締役の古川健介氏(左)、Supership代表取締役の森岡康一氏(右)

コミュニケーションアプリと言えば、テキストやスタンプでのやり取りを思い浮かべるが、Supershipが8月1日にリリースした「Sunnychat」(iOSAndroidでそれぞれ提供)は、1つの動画(もしくは写真)を友人間で共有するところからコミュニケーションをスタートさせるアプリになっている。

アプリを起動してホーム画面にあるムービーアイコンをタップし、動画や写真を撮影し、アプリ上の友人と共有。共有した友人間でテキストチャットやスタンプによるコミュニケーションができるサービス。動画は最大5秒まで撮影可能。友人の追加はFacebookやQRコード、電話帳連携が可能(Androidのみ。iOSでは現状QRコードでしか友人を追加できないようだ)。今後はTwitter連携にも対応する予定だ。

Sunnychatの画面イメージ

Sunnychatの画面イメージ

サービスを担当するのはSupership取締役の古川健介氏。Supershipは2015年9月にKDDIグループ(厳密にはKDDIの子会社であるSyn.ホールディングスの傘下)のスケールアウト、nanapi、ビットセラーの3社が合併して生まれた。古川氏はnanapiの創業者で元代表取締役だ。

ちなみにSyn.ホールディングスでは、「すべてが相互につながる『よりよい世界』を実現する」というテーマのもと、スマートフォン時代の新ポータル構想「Syn.」を掲げてサービス群のアライアンスを組んでいる。Syn.ホールディングス代表取締役副社長でSupership代表取締役の森岡康一氏は、Sunnychatもこの「繋がり」のテーマに沿った新規事業だと説明する。

古川氏は「テキスト、つまり言語を中心にしたコミュニケーションはネガティブな感情に振れやすい。逆に非言語、動画や写真を軸にしたコミュニケーションはポジティブな感情に振れやすい」と語る(古川氏はチームラボ代表取締役である猪子寿之氏の話としてこれを数年前に語っていた)。

ではポジティブなコミュニケーションを生むにはどうしたらいいか? Sunnychatではまずは動画や画像を投稿することで、それらについてのポジティブなリアクションができるような仕様にしたのだそう。今後はSnapChatSNOWのような顔認識を使ったエフェクト、さらにはARを使ったエフェクトなども導入を検討している。なおKDDIグループのサービスと連携することは現時点では予定しておらず、ユーザーベースを独自に作っていくことを目指すという。また目標ユーザー数などは公開しておらず、マネタイズに関してはまずはユーザーを拡大してから…とのこと。

8月1日にSupership内で開催された会見の質疑では、前述のSnapChatやSNOWのほか、LINEやTwitterなど先行するコミュニケーションサービスとの差別化に関する質問があったが、「いろいろ参考にさせてもらっているが、競合というのは実はあまり考えていない」(古川氏)という。とは言え、ダウンロードして1日、まだ僕の環境(iOS版)では友人招待の方法が限られていることもあって友人があまり居ないので、他のコミュニケーションサービスとの決定的な違いについてはまだちょっとはっきりしていないところもある(例えば動画が自動再生されるので、LINEのように都度ダウンロードして再生するといった手間がない、とかはあるのだけど)。

ところで古川氏といえば、学生時代に受験生向けの電子掲示板「ミルクカフェ」を立ち上げ、また総合電子掲示板「したらば掲示板」を運営(その後ライブドアに売却)した後にリクルートに入社。いくつかのコミュニティサービスを立ち上げた後にnanapi(当時の社名はロケットスタート)を起業。ハウツーメディアの「nanapi」などを提供してきた。会見後、メディアやコミュニティを運営してきた古川氏がどうしてこのサービスを開発したのか尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。

「コミュニケーションをメディア化したものがコミュニティだと思う。そしてコミュニティはいろいろと、『キツい』ことがある。知らない人とのコミュニケーションを許容できる人は、実はそういない。オープンなもの(コミュニティ)も考えたが、それよりも多くの人がコミュニケーションできるようなサービスを作りたかった」(古川氏)

海外投資続ける電通ベンチャーズ、今度は子ども向け学習プラットフォーム「Tynker」に出資

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電通が運用するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「電通ベンチャーズ1号グローバルファンド(電通ベンチャーズ)」は8月2日、子ども向けプログラミング学習プラットフォーム「Tynker(ティンカー)」を開発する米Neuron Fuelへ出資したことを明らかにした。出資額は非公開だが、関係者によると数億円規模の出資のようだ。

Neuron Fuelは2012年3月の設立。彼らが提供するTynkerは8〜14歳の子どもをメインターゲットにしたプログラミング学習のプラットフォームで、ゲーム感覚で各種プログラミング言語の基本を学ぶことができる。最近だとドローンやロボットといったデバイスのコントロールまでを学習できる教材も展開している。プログラミング経験のない保護者などでも習熟度が分かるようなダッシュボードも提供し、学習を支援している。累計ユーザー(無料含む)は世界で3000万人以上だという。

海外投資進める電通ベンチャーズ

電通ベンチャーズと言えば、これまでコミュニケーションロボットを手がけるJiboやクラウド対応のスマートフォンを手がけるNextbit、コオロギから抽出したタンパク質を使用した健康食品を開発するExoなど海外のかなりエッジの効いたスタートアップに投資を行っている。少し前に彼らの成り立ちについても聞いたのでここで紹介したい。

2015年4月に50億円規模の1号ファンドを組成した電通ベンチャーズは公開しているだけで8社(Neuron Fuelを含む)の海外スタートアップに投資している。投資ステージはシード、アーリーからレイターステージまで(シードで数千万円から数億円前半程度)、領域は前述の通りだがネット企業から食品やヘルスケアまで多岐にわたっており、どちらかというと電通の本業から少し離れた、数年後に市場が活性化するであろう領域への投資のイメージが強い。

「ファンド組成の理由は2つ。1つは広告業界が変わる中で新しいビジネスをどう作るかということ。またもう1つは電通の成り立ちとして、クライアントをサポートするビジネスを手がけてきたということ。スタートアップについても同じようにサポートしていける」(電通ベンチャーズ マネージングパートナーの笹本康太郎氏)

ファンドを共同で運用するのはフィールドマネジメント・キャピタル。KDDIがグローバル・ブレインと組んで「KDDI Open Innoavtion Fund(KOIF)」を立ち上げたように、共同でディールソーシング(投資先探し)や投資検討を行っている(ちなみにフィールドマネジメント・キャピタル共同創業者でマネージング・パートナーの堀部大司氏と長谷川勝之氏はグローバル・ブレインの出身。KOIFの立ち上げにも関わった)。

彼らが強みにうたうのは、ビジネス開発を支援する「バリュークリエーションチーム」を組織していること。電通本体のリソースを使って、PRやメディアリレーションから、ローカライズなども行っているという。電通ベンチャーズの投資先は基本的に欧米やアジアのスタートアップ。彼らの日本参入に関しての具体的な支援ができるのが強みだそう。たとえばJiboであれば、電通内に「ロボット推進センター」があるため、ここでローカライズやサポートなどができると説明する。「VC業は本業との相性がいい。スタートアップのエコシステム発展のためにも大企業のリソースをうまくスタートアップに運んでいきたい。電通はクライアントのサポートをビジネスにしてきた会社だ」(笹本氏)

本業より“ちょっと先”の領域への投資が多い電通ベンチャーズだが、もちろんCVCとしてファイナンシャルリターンも求めていく。「ファイナンシャルとストラテジーの割合は50対50。投資先とのシナジー重視かと言われるが、やはりファイナンシャルリターンはVCの基本。外部の評価をしっかり取り入れていく」(笹本氏)。ファンドの運用期間は7年。引き続き欧米・アジア圏での投資を進めつつ2号のファンドの立ち上げも計画するとしている。

電通ベンチャーズのメンバー

電通ベンチャーズのメンバー。中央がマネージングパートナーの笹本康太郎氏

YouTuberと企業を結ぶプラットフォーム「BitStar」、運営のBizcastがコロプラから資金調達——海外展開も視野に

Googleの積極的なプロモーションもあって、言葉としても定着した感のある「YouTuber」。そのYouTuberとクライアントとなる企業を繋ぐマッチングプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastが8月1日、コロプラを引受先としたシリーズAの第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、関係者の話によると億単位の調達だと見られる。

BitStarは2015年9月のリリース。YouTuberをインフルエンサーにして商品のマーケティングを行いたいクライアント企業と、動画広告での収益化を図りたいYouTuberをマッチングするプラットフォームだ。MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTubeチャンネル運営者と提携してコンテンツ作成やプロモーション、権利管理などを行う組織)やタレント事務所に所属していない、事務所無所属のYouTuberの登録が中心となっている。

UUUMやiCON CASTなどYouTuberと企業を結び付けるサービスはほかにもある。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏いわく(1)3200万チャンネル登録者とインフルエンサーのネットワーク規模が大きい、かつジャンルも多岐にわたること、(2)YouTuberとともに最適な企画を作るほか、機材貸与やファン向け施策の支援なども実施した「YouTuber寄り」な運営をしていること、(3)YouTuberごとのクリック単価や再生回数、再生数ベースの効果分析など、企業向けに効果測定のレポーティングを充実させていること——の3点がBitStarの特長だという。

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同社は7月で第3期目を迎えたが、1期から2期での売上は10倍以上(売上の金額は非公開だが、動画の単価は数万円から1000万円以上、数百万円規模が中心)に成長しているそう。クライアントは大手企業が中心で、たとえばゲームだとスクウェア・エニックスやフジテレビジョン、アプリならペロリ(MERY運営)、美容ならアルビオン、ユニチャームなどの名前が挙がる。例えば競馬好きのYouTuberが競馬ゲームの紹介とあわせて馬券を購入、実際に120万円の馬券を当てて話題になった動画などがあるそうだが、この動画を通じて約5000件のアプリダウンロードが発生。CPI(インストール単価)数十円という好調な結果を得た事例などがあるという。

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Bizcastは今回の調達をもとに新商品開発やシステム開発強化、人材拡充を含めた経営基盤の強化を進めるとしている。渡邉氏いわく、いわゆるタレントマネジメント業までは行わないものの、システムや制度面で事務所無所属のYouTuber向けの支援施策も強化するという。クライアント企業に対しては、戦略立案から企画、調査、実行、効果測定までをサポートできる体制を拡充するとしている。

また今後はアジア圏を中心にしたビジネスの拡大を進める。具体的には、国内企業のアジア向け施策のマーケティング・プロモーション支援や現地企業と現地YouTuberのマッチングなど。これに向け、グローバル戦略向けの人員体制も強化する予定だ。加えて、YouTuber以外のプラットフォームでのインフルエンサー獲得についても検討しているという。同社では今期目標について「売上で前期比5〜10倍を目指す」(渡邉氏)としている。

不動産スタートアップのリノベる、一棟リノベーション事業に向け合弁会社——東京・渋谷エリアから展開

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中古マンションのリノベーションをオンライン、オフラインを通じて手がける不動産スタートアップのリノベる。これまで区分所有(マンションの一室)エリアのリノベーションを行ってきた同社が、中古マンションや中古ビル全体の再生・運営に乗り出す。同社は8月1日、u.company、THINK GREEN PRODUCE(TGP)との3社で合弁会社の設立に向けた基本合意書を締結したことを明らかにした。

合弁会社の設立予定日は8月19日、社名はJapan Asset Managementの予定。代表取締役社長には京王電鉄傘下でリノベーション事業を手がけるリビタ元常務取締役・u.company代表取締役の内山博文氏が就任する(同氏は最近、リノベーション物件の売買やオフィスデザインなどを手がけるスタートアップ、ツクルバの戦略アドバイザーにもなっている)。資本金は1000万円で出資比率はリノベるが51%、u.companyが33%、TGPが16%。

リノベるは2010年4月の設立。現在サイトやリアル店舗を通じたリノベーションの仲介・改修事業のほか、施工業者向けのツール提供といったHomeTech領域のビジネスを展開している(ソフトバンクともアプリの共同開発が進んでいる)。店舗はフランチャイズも含めて全国19箇所に展開(8月には東京・吉祥寺にも出店予定)。2015年9月には、渋谷にスマートハウスのショールームもオープンしている。2015年度の受注数は400件、売上高は34億円。3年後の受注数1000件、売上100億円を目指す。

「やっと拡大フェーズに来た」——そう語るのは代表取締役の山下智弘氏。同氏はゼネコンや飲食店経営を経てリノベるを立ち上げた。同社には東京急行電鉄(東急)やグロービス・キャピタル・パートナーズのほか、Vector Group International、オークファン、GMO VenturePartners、三井住友海上キャピタル、西武しんきんキャピタルなどが出資している。東急からの出資(資本業務提携)は2016年3月のこと。この際に提携内容として発表された「一棟リノベーションマンション事業」が今回の取り組みのベースになっている。なおリノベるは東急の実施したアクセラレーションプログラム「東急アクセラレートプログラム」の2015年最終選考企業だ。

リノベる代表取締役社長の山下智弘氏

リノベる代表取締役社長の山下智弘氏

リノベるでは、「最初に役員全員がハンコをついて決めた」(山下氏)というルールがあるそうで、その内容は「自社で物件を所有しない」ということ。あくまで顧客の持つ物件のリノベーションを行うのであり、自社でリノベーション物件を持つことはしないという。「おいしい情報が流れてきたからといって(不動産を所有して)、景気の波にさらわれて死んでしまう会社を見てきた。そこはこだわらないといけない」(山下氏)。

だがその弊害とも言えるのが、区分所有エリア以外…つまりマンションやビルの一棟まるまるのリノベーションが難しいということ。自社で不動産を持つのでなければビルオーナーと交渉してリノベーションを行うことになるが、すでにさまざまな入居者が居る中古マンションなどでは、室内のリノベーションのように簡単にできる話ではなかった。

これに対して、合弁会社は一棟リノベーションに特化した事業を展開する。代表の内山氏はリビタで一棟リノベーションなどを手がけてきた。またTGP代表取締役の関口正人氏は、不動産会社で神奈川県・鎌倉の複合商業施設「WEEKEND HOUSE ALLEY」の開発や堂施設内のレストラン「bills」の経営などを手がけた後に独立。商業施設のプロデュースなどを手がけてきた。一棟リノベーションや商業施設のプロデュースといった経験を持つ会社と組むことで、新たな領域に挑戦するかたちだ。3社はビルやマンションのバリュエーションから企画、プランニング、リーシング・販売までをワンストップで行う「開発型アセットマネジメント会社」を目指すとしている。

当初ターゲットにするのは東京・渋谷を中心とした都心エリア。詳細は非公開だが、すでにプロジェクトが動き出した建物もあるそうで、「1年後くらいには実物を披露できる」(山下氏)という。合弁会社設立から1年で大小5〜10の建物のリノベーションを手がける予定だ。前述の東急グループと言えば、「広域渋谷圏」でスタートアップと組んだ地域活性施策を進めていると聞く。今後は東急もこの合弁会社のクライアントとなり、渋谷エリアの再開発を進めていくことになるのだろう。

再開発のために必要となるのはそのエリアの地上げ(ネガティブに捉えられがちな言葉だが、ここでは本来の「開発のための土地購入」という意味で使っている)だが、エリアすべての土地を購入するまでには、数年からそれこそ10年単位の時間がかかることもある。ではその間、先行して購入した土地をそのままにしておくのかというと、それもももったいない話。山下氏はそんな土地(や、再開発まで存在している建物)でも合弁会社によるリノベーションで価値を生むことができるのではないかとしている。

今年も決めるぞ「CTO・オブ・ザ・イヤー2016」―TechCrunch Tokyo CTO Nightを11月に開催

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毎年11月に開催しているスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo」ではイベント内イベントとして、2013年から「TechCrunch Tokyo CTO Night powered by AWS」を開催してきた。駆け出したばかりのスタートアップにも、痛みを感じるほどのスピードで組織が成長するスタートアップにも、それぞれ異なる技術的課題があるだろう。そうした技術的課題や、エンジニアチームの組織上の課題に、経営にコミットした立場から向き合う「CTO」(Chief Technology Officer)という職がある。

このCTOという職種は担っている役割の重要さの割に十分に光があたってこなかった。TechCrunch Japanでは、そう考えている。そこで2014年から「CTO・オブ・ザ・イヤー」という表彰イベントを続けている。自薦・他薦によって選ばれたCTOたち約10人にステージに登壇していただいて、ピッチ・コンテスト形式で日々の仕事の成果をシェアし、たたえ合う場だ。同業者だからこそ分かる苦労話もあるだろうし、同じプロとして惜しみない賞賛を送りたくなるような仕事もあるだろう。

昨年の例でいえば、「CTO・オブ・ザ・イヤー2015」に選ばれたソラコムの安川健太氏は「ソラコムの裏側」として開発チームのワークスタイルを披露して賞賛を浴びた。ソラコム開発チームは1日1回30分の全体進行のシェアをする以外はSlackで連携し、非同期で動くチームとなっているという。クラウド側システムも一枚岩のシステムではなく、いわゆる「疎結合」のサービス群として実装されていて、モジュールの開発や運用が非同期で進む。こうすることで開発速度を上げているという話だった。組織図は製品の内部構造に似るというが、分散型のアーキテクチャーと、非同期分散型の組織運営は不可分の話なのだろう。その後のソラコムの開発、ビジネス展開速度に眼を見張るものがあるのはTechCrunch Japan読者ならご存知の通りだ。

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2015年、CTOオブ・ザ・イヤーに選ばれたソラコムCTOの安川健太氏

これまでのCTO・オブ・ザ・イヤー登壇企業は以下の通り。

【CTO・オブ・ザ・イヤー2014】
株式会社ユーザベース(SPEEDA/NewsPicks) 竹内秀行CTO

【CTO Night登壇企業(2014)】
Beatrobo, Inc.(PlugAir) 竹井英行CTO
freee株式会社(freee) 横路隆CTO
Tokyo Otaku Mode Inc.(Tokyo Otaku Mode) 関根雅史CTO
ヴァズ株式会社(SnapDish) 清田史和CTO
株式会社オモロキ(ボケて) 和田裕介CTO
株式会社Moff(Moff Band) 米坂元宏CTO
株式会社エウレカ(pairs) 石橋準也CTO
株式会社DoBoken(ZenClerk) 磯部有司CTO

【CTO・オブ・ザ・イヤー2015】
株式会社ソラコム (SORACOM Air) 安川健太CTO

【CTO Night登壇企業(2015)】
BASE株式会社 (PAY.JP) 藤川真一CTO
Increments株式会社 (Qiita) 高橋侑久CTO
株式会社トランスリミット (Brain Dots) 松下雅和CTO
株式会社トレタ (トレタ) 増井雄一郎CTO
株式会社VASILY (iQON) 今村雅幸CTO
株式会社フォトシンス (AKERUN) 本間和弘CTO
株式会社エアークローゼット (airCloset) 辻亮佑CTO

さて、3年目の開催となるCTO・オブ・ザ・イヤー2016は、11月17日夜に東京の渋谷・ヒカリエで開催予定だ。イベント本編であるTechCrunch Tokyo 2016は有料だが、CTO Night単体への参加であれば無償。CTOの皆さんには是非仕事帰りに遊びに来てほしいと思っている(参加登録開始は近日!)。ぶっちゃけエンジニアとしてのキャリアやジョブ・セキュリティーを考える上で、まだ数自体多くない同業者たちの取り組みを知り、横につながっておくことは重要なんじゃないかと思う。

自薦・他薦による登壇スタートアップ企業の応募も開始しているので、われこそはというCTOは是非 tips@techcrunch.jp までお知らせしていただければと思う。

【イベント名称】TechCrunch Tokyo CTO Night 2016 powered by AWS
【日時】TechCrunch Tokyo 2016初日の11月17日木曜日の夜19時30分スタート(90〜100分)
【コンテスト】登壇CTOによる1人8分の発表+3分のQAセッションを8社行い、審査を経て「CTO・オブ・ザ・イヤー 2016」を選出する
【審査基準】技術によるビジネスへの貢献度(独自性、先進性、業界へのインフルエンス、組織運営についても評価対象)
【審査】CTOオブ・ザ・イヤー実行委員会による
【審査員】順次発表予定
【企画・協力】アマゾン ウェブ サービス ジャパン
【運営】TechCrunch Japan / AOLオンライン・ジャパン
【チケット】無料(近日登録開始予定)
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

分散型料理動画メディア「もぐー」運営のスタートアウツ、億単位の資金調達

エブリーの「DELISH KITCHEN」、delyの「Kurashiru Food」、そして7月にローンチしたBuzzFeedの「Tasty Japan」など、この数カ月でなにかと話題を振りまいている分散型の料理動画メディア。今回もそんな分散型動画メディアを運営するスタートアップの資金調達発表のニュースだ。分散型動画メディア「もぐー」を運営するスタートアウツは7月29日、環境エネルギー投資、アドウェイズ、みずほキャピタル、山田進太郎氏(メルカリ代表取締役社長)、East Venturesを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。ただし関係者によると、調達額は数億円規模と見られる。

バイラルメディアからのピボット

スタートアウツ代表取締役の板本拓也氏

スタートアウツ代表取締役の板本拓也氏

スタートアウツは2013年の設立。代表取締役の板本拓也氏は「中学生の頃から起業をしたいという思いがあった」と語る。大阪大学の学生だった2013年の春、Twitterを通じてEast Ventures(EV)パートナーの衛藤バタラ氏と交流したことを契機に、いよいよ起業することになる。

「そこから上京して、シェアハウスで生活しつつサービスの開発を始めました」(板本氏)

会社を設立したのは2013年3月。当時、East Venturesの出資先の多くは六本木一丁目のとあるビルに集まっていた。メルカリ、BASE、CAMPFIREなどなど。創業期の各社を横目に見つつ1人で開発を続けた。

いくつかサービスを立ち上げてはピボットしたが、2013年12月には動画のバイラルメディア「Whats」をローンチした。サービスを1年運営してユーザー数は伸びていたが、ビジネスとしての成功は難しい状況だった。次のプランを考える中でたどり着いたのが分散型の料理動画メディア、もぐーだった。

「もともと動画まわりのビジネスに興味があったんですが、Whatsではコンテンツを自社で持っていいなかったし、メディアのコンセプトも薄かった。これがはっきりしないとユーザーが付いて来ないことに気付いていませんでした」

「ただ個人的な思いとして、コンシューマー向けのサービスしかやりたくなかった。例えば人々の生活のベースになるようなもの。料理や食ならば、普通は1日3回接触する、『ジャンル自体』にファンの居る領域だと考えました」

ターゲットは主婦層、今後はリアルイベントも

スタートアウツでは現在、Facebookのほか、TwitterやInstagram、YouTubeでそれぞれ1日2本程度、プラットフォームごとに最適な長さに編集(例えばTwitterは尺短め、Facebookは長めだそう)した動画を配信している。動画で重視しているのは「動画を観るだけで料理が作れるかどうか」だという。「エンターテインメントとしてすごい動画もあります。でももぐーのターゲットは実際に料理を作る主婦です」(板本氏)

競合サービス同様、すでにクライアント企業とタイアップ動画の制作にも取り組んでいる。「価格設定は競合よりも安価。今はマネタイズのフェーズというよりは、付き合うクライアントを増やして、ニーズを聞く機会を作るフェーズ」(板本氏)。また競合差別化施策の一環として、料理教室を開催したりもしている。今後は動画制作だけでなく、こういったリアルイベントなども行っていく予定だ。