韓国の暗号通貨取引サービスBithumbがハッカーに$30Mを盗まれたと言っている

数週間前にも韓国の暗号通貨取引サービスCoinrailが、ハッカーによるとされる被害で4000万ドルを失ったが、この暗号通貨狂の国でまたひとつ、今度はBithumbが、3000万ドルあまりの暗号通貨をハッカーに持ち逃げされた、と申し立てている。

Coinrailは韓国では比較的小さい方の取引所だが、しかしBithumbはずっと大きい。この取引所は、EthereumとBitcoin Cashの取引では世界のトップテンに入り、新しいEOSではトップだ、とCoinmarketcap.comのデータが言っている。

そのツイートはすでに削除されているが、Bithumbは今日(米国時間6/19)、350億ウォンのトークン…ほぼ3100万ドル…が盗まれた、と言った。攻撃の詳細は明かさなかったが、同社によると、ユーザーの損失はすべて償うという。この事件により“ウォレットシステムを変えなければならない”ので、その間一時的に同社は預り金と取引を凍結するそうだ。

このハックの数日前にBithumbはTwitter上で、セキュリティシステムを構築し同社のデータベースをアップグレードするために全資産をコールドウォレットへ転送している、と言った。その動きが攻撃のせいかどうかは分からないが、もしそうなら何日も前に起きていたことになる。あるいは逆に、それが攻撃を可能にしたひとつの要素だったかもしれない。

[6月16日/サービス再開に関する注記–われわれはセキュリティシステムを構築しDBをアップグレードするために全資産をコールドウォレットに転送中である。本日午後3時(韓国標準時間)より、われわれはわれわれのサービスをリスタートし、可及的速やかに再び通知する。諸兄のご支持を感謝申し上げる。]

Bithumbは数日前のツイートでハックされたと言った

そのいわゆるハックが何なのか、分からない場合が多いが、暗号通貨コミュニティの一部の説では、ほとんどの事件が内部者の犯行だという。今回の場合は、今月初めに報じられたBithumbに対する300億ウォンの政府徴税令状の件が、疑念を呼ぶ。しかし、この事件を独立機関あるいはサードパーティが調べて報告しないかぎり、そもそも何が起きたのかを知ることすら難しい。

でも、ここにはまたまた大きな教訓がある。暗号通貨を買う者は自らのトークンを自分のプライベートなウォレット(できれがアクセスにハードウェアキーを要するもの)に保存すべきであり、犯罪被害に遭いがちな取引所は避けるべきである。今回Bithumbは十分に大きいから損失を補填できると思われるが、そうでない場合もあるから、トークンを安全に保存することがトラブルを防ぐ、と言える。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Bitcoin価格急落――しかし取引は続く

最近Bitcoinマーケットを見ていなかったなら驚いたはずだ。笑った人もいるかもしれない。Bitcoinは1万9000ドルという過去最高値を付けた後で急落した。この記事を書いている時点で6785ドルあたりを低迷している。そこでBitcoinという実験は終わりだと考えたものも多い。しかしもっと多くの人間がこれは何かの始まりによくある現象に過ぎないと考えている。

もちろんこの暴落で痛手を受けた話にはこと欠かない。ルーマニアの起業家から聞いたところによると、友達がクレジットカードで目一杯BTCを買った末、ひどい苦境に陥っているという。Bitcoinブームのテールエンドにようやく滑り込んだつもりの人間は努力が水の泡となるのを見ただろう。私の友人は仕事中のウェイターが1万8000ドルでBitcoinのトレードをしていのを目撃した。暴落前にポジションを処分していることを祈る。

しかし暗号通貨を積んだ列車は止まる気配をみせていない。 世界中のスタートアップはICOを検討し、実行している。初期からの暗号通貨のマイナーやトレーダーは十分な利益を確保しており、あらゆる形で投資することができる。ブロックチェーン・サービスのR3が苦境に陥っていることに対してBitcoinコミュニティーは冷淡だ。金融機関は「重要なのはブロックチェーン・テクノロジーであってBitcoinではない」といった意見にはあまり興味を示さない。金融機関は伝統的な証券やコモディティ商品と同様、Bitcoinも重要な金融マーケットの一つであると認識し始めている。.

もちろんマーケットにおける取引も活発に続いている。これは重要なことだ。Coindeskのレポートも指摘しているように、何を扱う市場であれ、市場というのは乱高下するものだ。リスクを取ることをいとわない参加者にとって暴落はチャンスとなる。

私の言うことを鵜呑みにする必要はない。下に掲載したのはほぼすべての主要なマーケットにおけるこの7日間の取引量だ。

Bitcoinは過去に例を見なかったレベルで組織的かつ国際的に富の再編、移転をもたらすという点が本質だ。これまでこうした富の再編は、相続や事業合弁によって徐々に行われてきた。しかし暗号通貨取引は世代も遠近も問わず、ほとんど即時にパートナーを形成することができる。これは非常に興味深い経済的な仕組みであり、近い将来に無用になるとは思えない。

価格は急上昇することもあれば急降下することもある。賢明な参加者でありたいなら市場の本質として覚えておくべき点だろう。市場の心電図は激しく動いており、決して水平なラインを示していない。患者は死んでいない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ASUSが暗号通貨マイニング専用のマザーボードを発表…自己診断機能を充実

マイニング用のハードウェアは、おかしなものだ。日用品のような安いハードウェアを使って複雑な計算を…効率悪く…やらせたり、あるいは特別設計の高価なボードにBitcoinを稼ぐ仕事しかやらせなかったり。そこで、マザーボードのメーカーとしても有名なASUSは、この両極端のギャップを埋めようとしている。

H370 Mining Masterは、20のグラフィクスカードをサポートするベーシックなマザーボードで、Ethereumなどのあまりリソース集約的でないスクリプトで使われる。カードはPCIe-over-USBで接続し、各ポートは、オンボードの診断機能により個別にコントロールされ管理される。それにより、個々のグラフィクスカードがどれも正しく動き、接続が完全であるようにする。

プレスリリースから引用しよう:

マシンのメンテナンスに割く時間が少なければ、それだけマイニングの時間が多くなる。そこでH370 Mining Masterには一連の自己診断機能があって、プラットホームの管理を容易にしている。中でも重要なのがGPU State Detectionで、ブート時にシステムをスキャンして各ライザーポートの状態を調べ、空か、機能するグラフィクスカードが接続されているか、あるいは問題が起きているかを点検する。State DetectionのアップデートされたGUIにより、各ポートの位置とステータスを英数字のコードで確認できる。オンボードの診断機能は、個別のデバッグ用LEDも利用する。それらは、CPUやメモリなど、特定のシステム部位に問題があれば点灯する。

ボード自身がさまざまな暗号通貨の機能を持ち、それらは、最初に電源を入れたときから完動する。

このボードの発売は2018年第三四半期で、価格は数百ドルだ。マイニング用のカスタムハードウェアに比べると、馬鹿安い。ただし、大量のグラフィクスカードがせっせと採掘を続けられるためには、それなりの電気料金を覚悟しなければならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

大型ICO関係者、証券詐欺で起訴――ボクシングの元チャンプ、メイウェザーもCentra Techの広告塔だった

ICOで3200万ドルを集めたCentra Techの共同ファウンダーに有線通信詐欺、証券詐欺等の容疑がかかっているとはすでに報じたが、このほど3人が正式に起訴された。有罪になれば最低でも5年の刑期が課せられる。

共同ファウンダーはRaymond Trapani、Sohrab Sharma、Robert Farkasの3名で、ICOによって投資家を騙そうとしたという。Centra Techの詐欺行為ではトークン販売を助けるためにVisaとMasterCardと提携したという虚偽の宣伝をしたとされる。ニューヨーク南部地区連邦検事、Robert Khuzamiによれば、容疑者たちは「暗号通貨関連の資産を販売すると称し、有線通信詐欺、証券詐欺を構成すべき計画を予謀し、かつ実行した。これにより複数の被害者に重大な情報の隠蔽、捏造によりCentra Techが発行したものと称して暗号通貨トークンを用いて無登録の証券を販売し、数百万ドルの損害を与えた」と述べている。

ボクシングの元世界チャンピオン、フロイド・メイウェザー・ジュニアや著名なアーティストのDJキャレドのようなセレブもをInstagramにCentra TechのICOを支援する投稿を掲載し、同社のクレジットカードを使ってBitcoin、Ethereum、「その他のコイン」による支払ができると述べていた。メイウェザーの投稿はこちらだったが、現在は削除されている。

3人の共同ファウンダーの行為はことの他悪質とされ、SECもきわめて厳しく追求している。Khuzami検事によれば、3人はトークンを販売するためにさまざまな捏造を行ったが、その中には偽のCEOをでっち上げることが含まれていたという。【起訴状略】

FBIは詐欺チームが所有していた9万1000 Ether(9000万ドル相当)を差し押さえた。3人は「長期5年の刑となるべき証券詐欺の謀議1件、長期20年の刑となるべき有線通信詐欺の謀議1件、長期20年の刑となるべき証券詐欺1件、長期20年の刑となるべき有線通信詐欺1件」の容疑に直面している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Telegramの史上最大、17億ドルのICOが大混乱――初期投資家が大量に利食い売り

Telegramの新規暗号通貨売出しは新たな非集権的インターネットのプラットフォーム構築の資金となると期待されていた。しかし現実としては精緻に組み立てられた企業の資金調達市場に大混乱をもたらす結果となっている。Telegramの初期の投資家が利食いを狙って大量のトークン売却に出ているからだ。

今週、Wall Street Journalが報じたところによればTelegramは最近ICOの一般向け販売をキャンセルした。同社がこれに先立って特定投資家向けのトークン販売で17億ドル相当の資金調達(SEC提出書類)に成功したことはTechCrunchも報道している。 しかしこの問題が起きたのはそれより以前からだった。

TelegramはTON(Telegram Open Network)と呼ばれるブロックチェーン・テクノロジーを利用したプラットフォームとこれを利用するためのメッセージ・アプリを提供している。Telegramのビジョンは、各種支払だけでなく、ファイル保存、検閲を受けないブラウジング、その他各種の非集権的アプリのプラットフォームとなることだ。この3月、Telegramはメッセージ・アプリの1日当たりアクティブユーザーが間もなく2億人になると発表していた。当初のホワイトペーパーによれば、Telegramは招待オンリーの特定投資家と一般投資家、双方へのトークン売出しで12億ドル相当の資金を調達することを計画していた。

Telegramは調達額目標を17億ドルにアップし、その後一般投資家への売出しをキャンセルした。これは同社がTONネットワークを構築するために必要な資金をすでに確保したことを意味すると同時に、SEC〔米証券取引委員会〕がスタートさせた公衆から資金を調達するICOに関する調査を避ける意味合いだと考えられている。

この結果、一般投資家はGramと呼ばれるTelegramのトークンを直接購入することができず、トークンが取引所に現れるのを待つことになったが、Gramの取引所における売買が開始されるスケジュールは現在不明だ。しかしTelegramのメッセージ・アプリが大成功を収めていること、また初期投資家は大幅な割引価格でトークンを購入できたため、トークンを取引所外で売買するセカンダリーマーケットが出現した。これにより一部の投資家はすでに大金を手にしている。

TechCrunchが取材したある情報源によれば、初期投資家向けトランシュではトークンあたり価格は0.37ドルだったという。それが現在では1.30ドルでの売りを狙っている。実現すれば、公開取引が開始される前にすでに3.5倍の値上がり益を手にできる。これ以外にもさまざまな価格で同種の取引が行われてきたとTechCrunchでは考えている。簡単に大きな値ざやが稼げるところから新たな仲介者も現れた。売り手と買い手をマッチングさせ、取引が成立すれば手数料を得るブローカー業者だ。

ここに挙げたのは同種の非公式取引の一例にすぎない。Gramに対する需要が旺盛なためトークンを所有する初期投資家は現金化の機会を得た。また一般向け売出しがキャンセルされため、この傾向にはますます拍車がかかった。初期投資家は大幅な割引価格でGramを購入できたのできわめて容易に大きな利益を手にすることができるわけだ。

TechCrunchが取材した別の情報源によれば、Telegramはこうした非公式なトークンの売買が行われていることを認識しているものの、なんら法規に違反しているわけではない――ICOは公的規制を受けていない――ため、打つ手はないのだという。Telegramがこうした巨額の資金移動をコントロールできていないという事実はICOプロセスに強い懸念を抱かせる。【略】

TelegramのICOはこれまでで最大の暗号通貨売出しによる資金調達だ。2位のFilecoinの2億5000万ドルのICOをはるかに引き離している。しかしICOとして模範的なものとなったとは到底いえそうにない。

トークンの無秩序な売買に加えて、このICO自体の不透明性が当初から強く批判されていた。 Pantera Capitalの Charles Noyesは、TelegramのICOを「オポチュニスト的」と述べ、ホワイトペーパーについて「簡単に言えば、こうなれば良いという希望的観測のリストだ。クラッシュと炎上を避けられたらこうなるはずという筋書きを述べたもの」だと批判した。MIT Technology Reviewの記事は「大胆だがアイディアに乏しい」とした。またこの文書中のテクノロジー面の理論付けは他のプロジェクトからリサイクルされたものだという批判も出ていた。

しかも現在Telegramにとっての難題はICO関係だけではない。ロシア政府は強引な検閲によりTelegramのメッセージ・アプリを無効化しようと試みている。Telegramに対する取締りを逃れるために利用されていたIPアドレスでロシア政府よってブロックされた数は1900万に上ると推定されている。この大規模なもぐら叩きの巻き添えを受けてTwitch、Slack、Soundcloud、Viber、Spotify、Fifa、Nintendoなどのサービスにも被害が出ている。

TechCrunchはTelegramのCEO、Pavel Durovにコメントを求めたが本記事執筆時点では回答がない。

情報開示:執筆者のJon Russellは少額の暗号通貨を所有している。

画像:Carl Court / Getty Images

〔日本版〕フランス政府は政府職員がTelegram利用することを禁止し独自アプリに移行させることを準備中。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本発の仮想通貨ウォレット「Ginco」がビットコインに対応、分散型サービスの入口となることを狙う

仮想通貨ウォレットアプリ「Ginco」を開発・提供するGincoは4月24日、同アプリをビットコイン(BTC)にも対応させ、本格リリースしたと発表した。BTCへの対応は、2月にリリースしたベータ版でのイーサ(ETH)、3月のアップデートによるイーサリアム上のトークンERC20系通貨9種への対応と、ブロックチェーンを使ったVR空間アプリケーション「Decentraland」内の仮想通貨MANAへの対応に続くもの。これで取引量上位2種のBTC、ETHを含む、12通貨に対応したことになる。

Gincoはスマートフォンで仮想通貨を管理するためのクライアント型ウォレットアプリ。日本語インターフェースで仮想通貨の入金・送金・管理が可能で、取引所から送金した仮想通貨の保管、飲食店やECサイトでの決済、個人間での仮想通貨のやり取りなどに利用できる。現在はiOS版がリリースされている。

ウォレット提供の背景について、Gincoでは「仮想通貨ユーザーの資産の正しい管理・保護」と「ブロックチェーン技術の本来の意味での活用」を目的に挙げている。同社代表取締役の森川夢佑斗氏は、3年ほど前からGincoとは別のウォレットアプリを開発してきたが、「日本では仮想通貨やブロックチェーン、ウォレットに関する知識、普及が遅れている」と話す。

「ウォレットは仮想通貨の入れ物というだけでなく、テクノロジーとして本来のあり方でブロックチェーンを生かす土台であるべき。『ブロックチェーン技術を使ったサービス上で仮想通貨を利用できる』ようなウォレットが必要だと考えてきた。Gincoは仮想通貨ユーザーの資産保護と、ブロックチェーン技術の本来の意味での活用の両面からウォレット開発を進め、ブロックチェーンを使った分散型社会を実現するイノベーションを届けることを目指している」(森川氏)

技術とデザインの力でウォレット普及を図る

2017年は日本の「仮想通貨元年」とも言うべき年になり、仮想通貨保有者は100万人を超え、200万人になったとも言われている。2018年3月には国内交換業者17社の現物取引顧客数が350万人となった(4月10日、日本仮想通貨交換業協会が発表)。一方でCoincheckのNEM不正流出事件などでも見られたように、多くのユーザーが取引所に仮想通貨を預けたままにしている実態もわかってきた。

資産として仮想通貨を管理・保護するのであれば、不正アクセスなどで狙われやすい取引所ではなく、秘密鍵を端末で管理するクライアント型ウォレットなどへ移し替えて管理した方が、より安全だ。だが、既存のウォレットは海外発のものが多く、日本のユーザーにとってわかりやすく使いやすいものが少ない。そのことが、日本でのウォレット普及を遅らせるひとつの要因ともなっている。

森川氏は「海外発のウォレットは英語インターフェースだけのものが多く、日本人にとってはユーザーフレンドリーではない。デザイン面でも、一般の人にはとっつきにくい。このため、バックアップやプライベートキー(秘密鍵)の管理などウォレット操作が難しくなっているが、これらの操作はウォレットで仮想通貨を正しく安全に扱うためには外せない。そこで我々のウォレットは、デザインとしてユーザーがわかりやすいものにしたいと考えた」と話している。

仮想通貨ウォレットの概念は難しく、とはいえ資産を守るためには、秘密鍵の使い方を他人に手取り足取り教えてもらうわけにもいかない。自分で仮想通貨を管理するには、相応のリテラシーが必要だ。Gincoでは、日本語でのバックアップの設定など、誤操作での資産損失がなるべく起こらないようなUI設計を行ったという。

「仮想通貨に詳しい人のブログなどを調べずに、初心者でも使えるようなウォレットは今までなかった。我々は技術とデザインをウォレットの“使いやすさ”に落とし込んで、ユーザーにアプローチしたい」(森川氏)

またGincoはセキュリティ対応に加え、外部APIに依存せずにウォレット機能を独自に実装したことで、自前でブロックチェーンにアクセスでき、正しい取引履歴情報に対応するスケーラビリティを備える。日本では外部APIに依存するウォレットが多いが、「それでは仮想通貨のインフラとして十分でない」との考えからだ。

現状ではGincoは、ブロックチェーンの仕組み上最低限必要な手数料だけで、上乗せ手数料なしで利用できる。「今はダウンロードしてもらうことに注力し、仮想通貨をより活用する場面が出てきたときに何かしらの形でマネタイズする」とGincoでは考えているようだ。リアルの銀行が口座ごとにいくら資産があるか、情報を持っていることを強みとしているように、仮想通貨の銀行、お金のハブとなることで集まる情報を使ってビジネスにしていくという。

Gincoは近いうちに、ビットコインキャッシュ(BCH)やライトコイン(LTC)などの主要な仮想通貨にも順次対応していくとのことだ。またAndrod版の開発なども進めていくという。

ブロックチェーン時代の「銀行」を目指して

Gincoは今後、DEX(Decentralized EXchange:分散型取引所)やDapps(Decentralized Applications:分散型アプリケーション)への接続機能を拡張していくことで、ブロックチェーン時代の銀行、分散化された社会を実現するためのインターフェースとなることを目指している。

現在利用されている、bitFlyerやZaif、Coincheckといった取引所は、管理主体がある中央集権型取引所だ。それに対し、DEXは取引を管理する主体がなくても機能する、ブロックチェーンを活用して個人同士で取引を行うことが可能な取引所である。

Dappsはブロックチェーンを用いた分散型アプリケーションの総称で、実はビットコイン自体も分散型の通貨アプリケーション、つまりDappsの一種である。現在、インターネット上にさまざまなウェブアプリケーションが存在しているように、さまざまな分散型アプリケーションがブロックチェーン上で開発されている。

分散型アプリケーションの代表的な例がゲームのCryptoKitties。過去にTechCrunchの記事でも紹介されているが、イーサリアム・ブロックチェーン上に構築されたトレーディングカードゲームのようなもので、バーチャルな子猫を売買したり、交配して新しいタイプの子猫を作り出すことができる。ガチャのように子猫のレア度をゲーム運営主体が調整することはなく、透明性が保たれている。また購入や交配で得た子猫は、中央集権型ゲームで運営会社が倒産すれば無価値になるキャラクターとは異なり、イーサリアム・ブロックチェーンがある限り資産となる。

森川氏は「中央集権型サービスと非中央集権の分散型サービスにはそれぞれ一長一短があるが、分散型のほうがメリットがあるサービスがDappsへ移行してくるのは確実」と話す。「その時に入口として必要になるウォレットをGincoで実現する」(森川氏)

Gincoでは、イーサリアム・ブロックチェーンベースのトークンでVR空間に土地が買えるDecentralandをはじめ、Dapps開発が盛んな海外のブロックチェーンカンパニーを中心にアライアンスを組み、Dappsとの接続を進めていくという。

森川氏は「仮想通貨をリアルな決済手段として浸透させて普及させる、というのは“ダウト”。結局は使われないのではないかと思っている」と話している。「SUICAなど、既存のバーチャルマネーは使える場面が多いから使われているわけで、場面が少なければ『使って何の得があるの?』となるだけ」(森川氏)

森川氏は、ブロックチェーンを利用した分散型のコンテンツプラットフォーム「Primas」を例に説明する。「Primasでは良いコンテンツを生産すれば、評価によって(仮想通貨の形で)返ってくる。今は円を仮想通貨、仮想通貨を円に替えるといった、わざわざボラティリティの高いことをやっているが、そうじゃなくて使ったサービスを通して仮想通貨を手に入れられなければ、仮想通貨経済は回らない」(森川氏)

「仮想通貨を仮想通貨として使うサービスやアプリ(Dapps)はまだ少ない。そこへアクセスするためのウォレットも少ない。そこでまずは海外のプレイヤーと組んで、ウォレットからDappsを使えるようにして、いずれは自分たちでもDappsを作っていこうと思っている」と話す森川氏。将来的にはDappsで得た仮想通貨がウォレットに入ってくるよう連携したり、ウォレット内で各種仮想通貨間の両替なども行えるようにしたいと語っている。

Dapps接続および通貨としての利用を見越して、Gincoではビットコインやイーサリアムなど、仕様の異なる複数のブロックチェーンプラットフォームに対応している。「現状ではイーサ(ETH)を使うDappsが多いが、BTC対応のものも出てきており、利用者の多さから対応は必須と考えている。ウォレット開発は、ブロックチェーンを使ったアプリケーションなどを展開するための足がかりとしてのステップ1だ」と森川氏は話す。

Gincoは2017年12月の設立。1月にはグローバル・ブレインが運営するファンドから、総額約1.5億円の資金調達を実施したことを発表している。

仮想通貨Centraの創立者、3200万ドルを調達したICO詐欺で告発される

米国政府は、仮想通貨ICO詐欺を厳重に取締る約束を果たしている。金曜日(米国時間4/20)SEC(証券取引委員会)は、Centra Tech Inc.の第3の共同ファウンダーであるRaymond Trapaniを告発した。同社は昨年、DJキャレドとボクサーのフロイド・メイウェザーが推奨した派手なICOで、仮想通貨デビットカードを通じて3200万ドルを調達した。他の二人の共同ファウンダー、Sam SharmaとRobert Farkasは今月すでに告発、逮捕されている。

「われわれはCentraの共同ファウンダーらが、以前から有効な最先端技術を開発したかのような誤認識を与えていたと疑っている」とSECのサイバーユニットの責任者、Robert A. Cohenが語った。「投資家は、デジタル資産への投資に十分な注意を払う必要がある。うますぎる話は特にそうだ」

SECはTrapaniを、不正ICOスキームの黒幕と呼んでいる。Trapaniは、主要クレジットカードと提携していると称し、自社製品の説明を偽り、ファウンダーの経歴詐称やCentraトークン(CTR)の価格操作を行って投資家を誘惑していた。

SEC文書によると、これらのICO詐欺犯は現行犯で逮捕された。

被告人らがやりとりしたテキストメッセージから、不正の意志が露呈した。主要銀行から、Centraの宣伝資料に掲載されていた銀行名を外すよう停止勧告が送られてきたあと、SharmaはFarkasとTrapaniaとメッセージを交換し、偽書類をでっち上げるよう指示していた。

ニュヨーク南地区連邦検察局もTrapaniを証券詐欺罪および有線通信詐欺罪で告発し、金曜日午前に逮捕した。Trapaniは証券詐欺の謀議1件、有線通信不正の謀議1件、証券詐欺1件、および有線通信詐欺1件で告発された。4件中3件の罪に最大20年の禁固刑が規定されている。

「告発のとおり、Raymond Trapaniは共同被告人らと共に、自社製品に関する虚偽の申告および信用ある金融機関との虚偽の関係を主張することによって投資家らを誘引した」とRobert Khuzami連邦検事補が罪状を説明した。

「仮想通貨に投資することは合法だが、投資家を騙すために嘘をつくことは違う」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クリエイターの“お金に換えられない価値”を評価・支援する暗号通貨「CLAP」

個人の価値をお金やモノなど別の価値に換える「評価経済」。これまでのYouTubeやInstagramといった、インフルエンサーが発信する“コンテンツ”が評価されるプラットフォームに加え、2017年は、自分の価値を模擬株式として発行し、ビットコインで取引ができる「VALU」が5月にスタート、ユーザーが提供する時間を10秒単位で取引する取引所「タイムバンク」も9月にアプリを公開するなど、評価自体を取引できるサービスのローンチが相次ぐ年だった。

そうした中、新たに独自の暗号通貨を使ったサービスでクリエイターの価値を可視化して、支援しようと2017年8月に設立されたのがOnokuwa(オノクワ)だ。オノクワが開発した独自通貨「CLAP(クラップ)」は、ビットコインなどと同様にブロックチェーン技術を活用した暗号通貨(仮想通貨)。CLAPをやり取りすることで、ミュージシャンやイラストレーター、漫画家などのクリエイターが活動できる場を提供する「CLAP経済圏」の構築を、オノクワは目論んでいる。

そのCLAPの第1弾サービスが4月19日、リリースされた。ベータ版として登場したiOSアプリ「CLAP」は、この独自通貨CLAPを獲得するためのツールだ。

クリエイターが活動するライブハウスや劇場、ギャラリー、グッズショップなどの「CLAP SPOT」に設置されたQRコードを読み取ることで、1カ所につき1日1回CLAPが獲得できる。つまりファンがクリエイターを応援するために実際に足を運ぶことで、CLAPが増えていくという仕組みだ。

4月時点では、都内約25カ所のCLAP SPOTにQRコードが設置される。CLAP SPOTがどこにあるかは、CLAPアプリ内で確認することができる。

オノクワではCLAPを使ったクリエイター支援のための経済圏を作りたい、としている。CLAPアプリでは、ファンが獲得したCLAPを好きなクリエイターの支援に使ったり、CLAPと引き換えにクリエイターのオリジナル特典(会員証)を手に入れたりできる。

第1弾クリエイターとして音楽制作ユニット「Mili(ミリー)」が参加することが決定、キャンペーンの実施も発表された。ユーザー(ファン)は、4月25日にリリースされるMiliの3rdアルバム『Millennium Mother』の関連グッズ購入やライブ来場でCLAPを入手できる。またスペシャルイベントの開催も予定されているという。

さらに今後オノクワでは、クリエイター側がファンから支援されたCLAPを使い、自身の創作活動を行うために利用できるサービスなどのリリースも予定している。

クリエイターが与える感動の総量をブロックチェーンで可視化する

オノクワを立ち上げた代表取締役CEOの石谷優樹氏と、共同創業者CSOの森川夢佑斗氏は、学生時代のインターン時代に知り合った。石谷氏は、関西学院大学在学中に700人規模の音楽フェスを成功させたこともあり、クリエイターがやりたいことをできる表現の場を用意することに関心があった。

一方、森川氏は「資本主義の『お金を稼ぐだけ』の拝金主義的な評価だけでなく、社会への貢献やYouTuberに対する評価なども評価軸としたい」と考える中で、ブロックチェーンに興味を持ったという。京都大学在学中にブロックチェーン技術を活用したプロダクト開発やコンサルティングを行うAltaAppsを創業。仮想通貨ウォレットを開発するGincoの代表取締役でもあり、1月31日には1.5億円の資金調達実施を発表している。

2人は昨年の初夏、森川氏が書籍『ブロックチェーン入門』を出版したことをきっかけに連絡を取り合い、久しぶりに会う機会があった。そこで、森川氏の1軸から多軸による価値評価へ、という思いと、石谷氏のクリエイターを支援したい、という思いを重ね合わせたときに「影響力、すなわちクリエイターが与える感動の総量を可視化できていないことが課題だ」との共通認識を持つ。

これを解決するためにツールとしてブロックチェーンを使い、ビジネスとして仕組み化することにしたのが、オノクワ設立のいきさつだ。

森川氏は「新しい価値指標としてのCLAPには、透明性と特定の機関に依存しないことを求めて、ブロックチェーンを使うことを選んだ。ブロックチェーンを利用することで、指標をグローバルに広めることもできる」と話している。「またブロックチェーンは個人間のP2P取引に用いられる仕組み。たまったCLAPをファンからクリエイターへ、クリエイターが別の才能を持つクリエイターへ、という形でやり取りすることで、価値を個人間で流通させることも目指している」(森川氏)

ブロックチェーンの活用により仮想通貨(CLAP)を基盤としたプロダクトを開発し、アセットとなるデータを扱うアプリを用意する。この仮想通貨を流通させることで、歌手の世界でいえば「オリコンチャート」のようなものに当たる指標を、音楽でも絵でも文字でも横断的に、クリエイター分野全体で把握できるデータとして持ち、指標の提供をビジネスとして展開する。これがオノクワの想定する収益モデルだ。つまり、売上ランキング、あるいはYouTubeやInstagram、Twitterなどのフォロワー数に代わる、クリエイターの評価指標を提供しよう、ということのようだ。

実際、森川氏はCLAPについて「お金とフォロワー数の間ぐらいに位置するものと認識している」と言う。そして「それこそが、評価経済プラットフォームとして先行するVALUとの違いだ」と説明する。「VALUでは、最後には評価が金銭として価値化される。CLAPは円やビットコインとはつながない。CLAPは、クリエイターの活動場所に、足を運んで参加するファンの行動に対して与えられる。これにより、投機的な行動が入らなくなる。純粋にファンが『いい』と思ったものに入る仕組みだ」(森川氏)

「CLAPではこれまでの仕組みと比べて、よりピュアな評価が見える」と森川氏は考えている。「例えば『Twitterのフォロワーは少なくても、ライブに足しげく通うコアなファンが付いている』というような、本来の“人を動かす力”が可視化できる。影響力の可視化という点ではCLAPもVALUと同じだが、アプローチが違う。副次的な価値は人気の実態とは乖離する。だから、独立した指標を作りたい」(森川氏)

TechCrunch Disrupt SFで暗号通貨対談――RippleのCEOとTCのファウンダーMichael Arrington

グローバルな支払サービス、RippleのCEO、Brad GarlinghouseとArrington XRP Capitalのファウンダー(かつTechCrunchのファウンダーでもある)Michael Arringtonが9月にサンフランシスコで開催されるTechCrunch Disrupt SFに登壇し、暗号通貨について対談する。

Garlinghouseはテクノロジー業界で長くかつ華々しい経歴を持つ。Yahoo!のバイスプレジデント、AOLのコンシューマー・アプリケーション事業部のプレジデント、ファイル共有サービスのHightailのCEOなどを歴任した。2016年にGarlinghouseはRippleのCOOからCEOにCEOに就任 した。

Rippleの目標はある場所から他の場所へ資金を移動させることを世界中で可能なかぎりシンプルに行えるようにすることだ。 現在これは非常にやっかいな手続きを必要としている。国外送金、特に銀行サービスが整っていない地域への送金には世界的に統一された基準が存在しない。送金記録の統一化というのは新しいアイディアではないが、Rippleを総合的金融サービス会社に育てたのはまさにこの考え方だった。

Rippleはまた世界3位の規模となる暗号通貨トークン、XRPを創造した。このトークンの時価総額は300億ドルに上っている。Rippleは銀行向けツールとしてXRPのユースケースを拡大しようと努力中だ。ただ現在銀行は国際送金分野で利用しているに過ぎない。

暗号通貨はますます大きな注目を集め、メインストリームの存在になりつつある。暗号通貨トークンは金融ビジネス全体に徹底的な革命をもたらすと予測されている。

TechCrunchのファウンダーであり、元編集長だったMichael ArringtonはDisrupt SFの壇上でGarlinghouseと暗号通貨の発展の背景と今後の見通しについて対談する。Arringtonは2011年にTechCrunchを去ってCrunchFundの運営に専念した。このファンドはUber、Airbnb、Yammerといったビッグネームのスタートアップに投資している。

2016年にArringtonはCrunchFundにおける役割を縮小し、Arrington XRP Capitalの運営を開始した。これはブロックチェーン・テクノロジーをベースにしたデジタル資産の運用サービスで規模は1億ドルだ。 当然ながらRippleはArrington XRP Capitalの最初のポートフォリオ企業の一つとなった。

SEC〔証券取引委員会〕は暗号通貨について知れるだけのことを知ろうと懸命だ。同委員会はArrington XRP Capitalも含め、あらゆる暗号通貨ファンドに情報提供を求める命令を出しているという。

Disrupt SFでの2人の対話は間違いなく興味深いものとなる。Disrupt SF(9月5日から7日)のチケットを購入すれば見逃す心配がない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

暗号通貨の激しい乱高下をカーレースで楽しむゲームCrypto Rider

暗号通貨の世界は奇妙な世界だが、でもユーモアのセンスはあるようだ。ここでご紹介する新しいゲームでは、小さな暗号カーに乗ったプレーヤーが、メジャーだったりマイナーだったりさまざまな通貨の激しい乱高下を楽しむ。ばかばかしいけど、決して悪いゲームではない!

予想どおりCrypto Riderと名付けられたこのゲームは、人気ゲームLine Riderの物真似のようだが、でも電動スクーターなどと違って、市当局から停止命令を受けることはないだろう(願わくば)。

まず車を選び、それからコース・チャートを選ぶ。安値から高値へ、というコースが多い。しかし途中に、山に似た“時価総額”や、評価額ギャップをクリアしてBTCの保有者を悲しませる“ドラッグレース”もある。それは2万ドルから7850ドルへ、という急降下だ。今後新しい暗号通貨が登場して、それらも乱高下していけば、このゲームにも新しいトラックが登場するだろう。

ゲームのデザインは可愛らしいし、途中で楽しいメッセージも出る。そして、排気は小さなコインだ(右図)。コインを集めると、新車をアンロックできる。外観〜ルックスが変わるだけで車の性能はみな同じだと思うが、ぼくはDogecarをねらっている。

デベロッパーSuperFly GamesのファウンダーDaniel Faheyは、“自分の余暇時間に作ったサイドプロジェクトだ”、と言っている。“最初に作った10のトラックは、だから、何度でも遊べるのにした。でも、とても評判がいいから、今後もっとトラックを増やしたいね”。

無料で馬鹿くて楽しいゲームだから、時間つぶしにはぴったりだ。これをプレーしながら、ついでに、これまでの金融システムを転覆させようとするこの性急な試み〔==仮想通貨〕の傲慢ぶりをやっつけた気分になるのも、悪くないかも。

Faheyも言っている: “全然シリアスな意図はないから、楽しく遊んでくれれば嬉しい。仮想通貨という、ちょっとシリアスな世界の、軽い遊びだから”。

ブロックチェーンは将来性がありそうだし、それはいずれ広く実用化されるだろう。でもこのゲームが強調しているのは、その過程もまた、激しい道のりだろう、ということ。

Crypto RiderはiOS用Android用がある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ベトナムのICOで6.6億ドルと首謀者7人が消えた――愚か者とその金は…?

ベトナムに本拠を置くスタートアップ、Modern TechはPincoinというトークンを売り出してICOを行い、3万2000人から6億6000万ドルを集めた。Modern TechはPincoin ICOの後、投資に対する継続的利益を約束しつつ、続いてiFan(セレブ向けソーシャルネットワーク・トークンとやらいうもの))を売り出した。Picoinの出資者は当初、キャッシュで配当を受けるが、その後iFanのトークンが利益として支払われるはずだった。

その後、連中は姿を消した。

こういう手口はエグジット・スカムと呼ばれるが、その中でも今回の事件は近年稀に見る規模だ。またICO市場の今後を考える上でも大いに示唆するものがあった。ベトナム国籍の7人組は、騙されたと知った大勢の投資家が本社に押しかける中、密かに国を脱出していたという。

Tuoi Treの報道によれば、

この事件の首謀者はベトナム国籍の7人で、チームはハノイやホーチミン市、さらに地方都市でもカンファレンスを開き、投資家を釣り寄せていた

7人組は投資家に対して最初の出資に対して月48%の利益が得られるとし、4ヶ月後には投資元本が回収できると説明していた。また新たな投資家を紹介できた場合、その投資額の8%がコミッションとして与えられると約束した。

この「新たなメンバーを引き込むとボーナスが支払われる」というPincoinの仕組みはどこかで聞いたことがある人も多いだろう。スカム屋どもはこの1月までは約束どおりキャッシュで支払っていたが、その後は支払をiFanトークンに変えた。そして先月、洒落たオフィスはもぬけの殻になった。後に残ったのは作りかけではあるが妙に出来のよいウェブサイトだけだった。

そのサイトを詳しく観察すると、ビジネスモデルが巧みなごまかしの上に成り立っていたことがよくわかる。「PINプロジェクトの使命は、共有経済の原則の上に世界のコミュニティーのために共同消費のプラットフォームを構築することであり、これにはブロックチェーン・テクノロジーによる暗号通貨が用いられる…」といった空中のパイ〔絵に描いた餅〕の羅列だけで、どこを探してもファウンダーやアドバイザーについての言及がない。しかも多国語の洒落たホワイトペーパーにさえファウンダーの身元をはっっきりさせるような情報がない。簡単にいえば7人組が力を入れたのはもっともらしいウェブサイトを作ることで、これによって大勢にちゃんとした会社であると信じ込ませることに成功した。

Viet Baoによればチームは以下の7人だという。Bui Thi My Ngoc、Ho Phu Ty、Ho Xuan Van、Luong Huynh Quoc Huy、Luu Trong Tuan、 Nguyen Duc Trong、Nguyen Trung Hieu、Vu Huu Loi。彼らはPincoinとiFanをゼロから立ち上げて数ヶ月で数千万ドルの規模にした。【略】

口先巧みに人を丸め込もうとした興味ある例がiFanのページに見出される。ページの中ほどに彼らのトークンは「Ethereumプラットフォームを利用している」とあり、続いてEthereumの値動きやビジネスの規模が紹介されている。つまりiFanトークンの価値がEthereumと直接連動しているかのように思い込ませようとした表現だ。

このくだりは7人組のホワイトペーパーの中にも出てくる。

現在のような規制のないICOビジネスは「愚か者とその金はすぐに別れる」ということわざの興味深い実例となる雲行きだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Salesforceはブロックチェーンプロダクトに取り組んでいる

Salesforceは、モバイル、ソーシャル、IoT、人工知能といった、次の大きなテクノロジーにいつでも目を向けている企業である。セールスフォースの共同創業者Marc BenioffとParker Harrisは、3月末に行われたBusiness InsiderのJulie Bortとのインタビューの中で、様々なテーマについて語ったが、そのうちの1つは次のホットテクノロジーであるブロックチェーンプロダクトへの取り組みについてだった。

Benioffは、スイスで行われた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に参加したときに得たセレンディピティ(偶然のひらめき)について語った。このひらめきがBenioffにブロックチェーンと、それがSalesforceの製品ファミリーの中にどのように組み込まれるかを考えさせ始めたのだ。

開催時になって認識されたのだが、世界経済フォーラムと並行して、とある暗号通貨会議が開催されており、SalesforceがIntercontinental Hotelで開催したイベントでその2つの世界が交流することになったのだ。その際に、暗号通貨会議の参加者の1人がBenioffに声をかけたことが「何か」の始まりだった。

「私はそれまでにSalesforceのブロックチェーン戦略とは何かについて、そしてSalesforceの暗号通貨関連の戦略とは何かについて、そしてそれら全部をどのように関連付けて行けば良いかについて、ずっと考えていたのです」とBenioffは語った。実際彼はセレンディピティの力を強く信じている人物であり、そのイベントでの会話をきっかけに、この発展途上技術に対するSalesforceの役割をより真剣に考え始めたのだという。

彼は、考えを深めれば深めるほど、SalesforceがBlockchainを利用できるという信念が固まったと言う。そして突然新たなひらめきが訪れ、ブロックチェーンと暗号通貨をSalesforceに組み込む方法が見えたのだという。「それはどのように機能するかに関するアイデアです。Dreamforceイベントまでにはブロックチェーンと暗号通貨ソリューションをまとめられたら良いなと思っています」。

Benioffはもちろん先見性のある人物だが、ダボスで交わした会話に対して注意を向けた結果、多くの事に気がついたのだという。そのことで、Salesforceを有意義に拡張できるチャンスを見出したのだ。「沢山のこうしたアイデアは、注意深く聴くことによってもたらされています。常に新しいアイディアが生まれていますよ」と彼は語った。彼は、自分たちでは手が回りきれないほど沢山のアイデアがあることに気がついているが、彼の仕事の一つは、その中でSalesforceの顧客にとって最も重要なものはどれかを見出すことだ。

ブロックチェーンは、Bitcoinやその他の暗号通貨を追跡に使われる電子元帳であるが、さらに一般的なビジネス上の役割も担っている。動かぬ証拠を伴う改竄不可能な記録として、いかなる価値も追跡することができるのだ。

なおDreamforceとはSalesforceの大規模な年次顧客向け会議である。今年は9月25日から28日にかけてサンフランシスコで開催されるが、もし予定通りにプランがまとまったならば、今年はブロックチェーンプロダクトが発表されることになるだろう。

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Salesforceの創業者Parker HarrisMarc Benioffに対する、Business InsiderのJulie Bortによるインタビュー全体の様子はこちら。

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(翻訳:sako)

Chromeの暗号通貨マイニング拡張機能は全面禁止――Google、Chrome Web Storeの規約改定

今日(米国時間4/2)、GoogleはChrome Web Storeで暗号通貨マイニングを行うブラウザ拡張機能(エクステンション)を公開することを全面的に禁止すると発表した。

ブラウザを利用して暗号通貨マイニングを行うことは手っ取り早く金持ちになる方法とはいえない。しかし運用者がデベロッパーで、何千台ものマシンに密かにアクセスできるなら話は別だ。GoogleのChrome Web Storeではこれまで長い間、暗号通貨マイニングを目的とする拡張機能の公開をを許していた。しかしChrome Web Storeに登録できる拡張機能は単一の機能の実行を目的とし、かつその目的を明示したものなければならない。

ところが暗号通貨マイニングを実行する拡張機能の90%はこのルールに従っていなかった。金持ちになれるという誘惑はあまりに大きく、一部のデベロッパーは一見まともと見える拡張機能にマイニングのスクリプトを紛れこませていた。こういう拡張機能は発見されて即座にストアから削除されることもあれば、首尾よくストアで公開されることもあった。マイニング機能はバックグラウンドで動作し、勝手にCPUパワーを大量に使う〔下図〕。こうした拡張機能はユーザーによって個別に削除される必要があった。当然ながらGoogleはユーザー体験を悪化させるこうした拡張機能を快く思っていなかった。

そこでChrome Web Storeでは暗号通貨マイニングを行う拡張機能の新規登録が今日から禁止され、既存の拡張機能についても6月以降削除されることになった。ただしブロックチェーン関連であってもマイニングを行わない拡張機能は引き続き許可される。

Chromeの拡張機能プラットフォームのプロダクト・マネージャー、James Wagnerは、ブログに「Chromeの拡張機能プラットフォームはデベロッパーが各種の有用な拡張機能を開発することを可能にし、ユーザーにとってChromeの価値を高めるために大いに貢献してきた。残念ながら、これまでこの機能が悪意あるソフトウェアを開発するデベロッパーを引き寄せ、ユーザーを不当に利用することを可能にしていた。今回の措置はChromeユーザーが知らないうちにリスクにさらされることを防ぎ、安心して拡張機能を利用できるようにするわれわれの努力の一環だ」と書いている。

画像:matejmo

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

英単語アプリのmikanがビットコイン用ウォレットアプリ「Yenom」をリリース

英単語の高速暗記アプリ「mikan」を運営するmikanが、ビットコイン用ウォレット事業への参入を発表したのは、3月9日のこと。今日3月30日、リリースが予告されていたウォレットアプリ「Yenom(エノム)」のiOS版・Android版が日本語・英語の2言語で正式公開された。

エノムは、ビットコインキャッシュ(BCH)の受け取り・送金専用のウォレットアプリ。ビットコインキャッシュが利用できるECサイトや一部飲食店で決済に使えるほか、個人間でもビットコインキャッシュの送受信ができる。

mikan代表取締役社長の宇佐美峻氏は、機能や通貨の種類を絞ったことについて「とにかく簡単に使えるウォレットを作って、ビットコイン利用のハードルを下げたかった」と説明する。

※この記事では宇佐美氏の発言に沿って、通貨としてのビットコイン自体を表す場合には「ビットコイン(BTC)」、ビットコイン(BTC)とそこから派生した暗号通貨を総称する場合には「ビットコイン」と表記しています。

エノムと既存の暗号通貨(仮想通貨)のウォレットとの違いは、機能がシンプル、ということのほかにもある。既存のモバイルウォレットでは、インストール後のチュートリアル、バックアップの手順があって、なかなかすぐに送受金ができる、というわけにはいかない。

これにはもちろん理由があって、例えば「12個の復元フレーズを書き留める」といった形でバックアップを行うのは、スマホ自体をなくしたときでもフレーズさえ保管してあれば、ウォレットに移した暗号通貨を復元することができるようにするためだ。

暗号通貨がどういう仕組みでやり取りされるもので、どのように保護すべきかが分かっている人や、既に多額の暗号通貨を保有していて、取引所には置いておきたくない、ハッキングの心配が少なく保全性の高いウォレットに通貨を移したい、という人なら、こうしたウォレットを利用する意義もあり、積極的に使っていくべきだろう。

しかし「少額でいいからビットコインというものを使ってみたい」「友だちの持つビットコインを受け取ってみたい」という初心者にとっては、ウォレットを作ることのハードルが高く、そのことが「ウォレットにさわれない、あるいは場合によっては取引所に通貨を置いたままにしてしまう理由にもなっている」と宇佐美氏は言う。

英語版のYenom。左から受け取り、送金、取引履歴の各画面。

エノムはインストールすると、利用規約の確認・同意後すぐ、ビットコインキャッシュの受け取り画面が表示される。チュートリアルの説明を読み込む必要もないし、パスフレーズの入力も不要だ。宇佐美氏は「スマホをなくしたらエノムに入っていた通貨はなくなってしまう。資産としての暗号通貨を保持するには向いていない。これまでのウォレットが銀行口座のようなものを目指しているのに対して、エノムは常に持ち歩くお財布のような存在だ」と説明する。

「お財布に数百万円、数千万円を入れて歩く人はいない。エノムでは、簡便さと引き換えに“資産”の保全はやらない。少額の暗号通貨を触ってみたい、受け取ってみたいという人が、初めて使うためのウォレットアプリだ」(宇佐美氏)

ビットコインを通貨としてもっと使いたい、使わせたい

そもそも、英単語アプリの開発・運営を行うmikanがなぜ、ウォレットアプリを提供するのか。そのきっかけは、昨年5月末にリリースされた「VALU」にあると宇佐美氏は言う。

VALUは個人の価値を株式のように発行し、ビットコイン(BTC)で取引できるSNSサービス。このVALUを通じて、取引のためにビットコインを買ったり、自分でもビットコインをもらったりして、宇佐美氏はビットコインにはまったという。

その後、昨年8月のビットコイン(BTC)のハードフォークイベントの際、「(ハードフォークで誕生する)ビットコインキャッシュ(BCH)を持ちたい」と考えたことが、さらに宇佐美氏をビットコインにのめり込ませることになる。「自分でウォレットを作って、そこにビットコイン(BTC)を保有すれば、ビットコインキャッシュを受け取ることができる。そう考えてウォレットをつくり、自分でビットコインキャッシュを分離した」(宇佐美氏)

フォークイベントの後も「最初は土日の趣味として始めたものが、いつの間にか月曜もビットコインのことを調べていて、そのうち火曜も、水曜も……。ホビーのつもりが完全にはまってしまって」と話す宇佐美氏。「マイニングもトレードも一通りやって、調べていく中で知った暗号通貨の考え方や仕組み、歴史もすべてが面白かった」と言う宇佐美氏は、ついには「何かビットコインのためにできることはないか」と考え始めたという。

そうしているうちに宇佐美氏が気づいたのは「他の人にビットコインのことを説明するのが難しい」ということだった。「日本ではそもそも、株や通貨の取引も日常的にやっている人が少なくて、その比喩ではビットコインのトレードの面白さもあまり伝わらない。『じゃあ、とにかく一度少し送るから受け取ってみてよ』というのが(理解してもらうのに)早いかな、と思っても、ウォレットのインストールが面倒で『ああ、やっぱまた今度にするわ』となってしまう。実際に触っている人が少ないのがウォレットのせいなら、簡単に使えるウォレットを作ってみよう、と考えた」(宇佐美氏)

「取り扱う暗号通貨にビットコインキャッシュを選んだのは、通貨としての価値と決済のしやすさにある」と言う宇佐美氏は「暗号通貨普及のキラーアプリは“通貨”だと考えている。であれば、普通のお金と同じように誰もが簡単に使えないといけない」と話している。そして「暗号通貨の中には、投機などを中心にしていて通貨を目指しているものが少ない。その中で、世界的に普遍的な通貨として使えるのはビットコインだ」と言う。

「暗号通貨の通貨としての堅牢性や、データの整合性は、コンピューティングパワーの強さで担保される。ビットコインはネットワーク効果が非常に強い。ネットワーク効果が強ければ通貨として強いのはリアルな貨幣と同じで、現段階でビットコインが世界最大の暗号通貨と言っていい」(宇佐美氏)

一方で宇佐美氏は「ビットコイン(BTC)は通貨として決済に使われるのを目指していないのではないか」とも指摘する。「ビットコイン(BTC)の送金手数料は、高いときには数千円、今でも数百円かかり、少額決済向けではない。データベース改ざんなどに強く、高額決済ではリアルマネーより相対的に手数料が低いので、高額決済には良いけれども」(宇佐美氏)

宇佐美氏は「諸説あるが」と前置きした上で、ビットコインキャッシュはビットコイン系暗号通貨のひとつと捉えている、とし、その中でビットコインキャッシュを選択した理由について、こう述べている。「ビットコインキャッシュは、通貨として日常的に使われることを指向していて、手数料を安くしている。通貨は使われることが大事。鶏が先か卵が先か、みたいな話だが、使われることでマイニングへの参加も増えて、参加が増えれば増えるほど改ざんもされにくくなる」(宇佐美氏)

エノムのマネタイズについては「今は考えていない」と宇佐美氏は言う。「現在世界で最も使われているウォレット『Blockchain』のアカウントが2〜3万ぐらい。当面はそれを超える世界一のウォレットになること、そして世界中でビットコインが使われることを目標とする」(宇佐美氏)

宇佐美氏は「お金がある人が使うものなのだから、何らかの形でいずれ収益化は考えられる。それより今は、ビットコインをとにかく使いたいし、使わせたい。エノムを提供することで『これで使えますよ』というふうにしたい」と語り、「ビットコイン周りでやりたいことは、ほかにもいろいろあるけれど、まずはウォレットにフォーカスして、みんなが使うアプリにしていきたい」としている。日英に続き、中国語やほかの言語への対応も、近日予定しているとのことだ。

ちなみに英単語アプリのmikanの方も事業は順調で、昨年黒字化を果たしたとのこと。「今年は学校用プロダクトのリリースも予定していて、事業として軌道に乗り始めた。こちらも引き続き、運営を行っていく」と宇佐美氏は話していた。

Twitterの創始者Jack Dorsey曰く、10年後にはbitcoinが世界で唯一の通貨になってる

Twitterの創始者Jack Dorseyがbitcoinを強力に推していることは周知の事実だが、 今日(米国時間3/21)は、彼がbitcoinに関してものすごく強気であることを伺わせる談話が飛び込んできた。

イギリスの有力紙The Timesのインタビューで、この、Twitterと簡易決済システムSquareのCEOは、bitcoinには成長痛に負けないだけの力があり、いずれは世界中で使われる普遍的なデジタル通貨になる、という信念を述べた。

“世界は最終的には単一の通貨を持ち、インターネットも単一の通貨を持つ。私の個人的な信条では、それはbitcoinだろう”、とDorseyは述べている。その変化に要する時間は、彼によると、“たぶん10年か、それよりもっと短いぐらい”、だそうだ。

今のbitcoinには“有効な貨幣になるための能力がない”、と認めるDorseyも、そのコア技術の改良によって、いずれは、より良質な貨幣に育つ、と考えている。

“今のbitcoinは遅いし高コストだが、もっと多くの人が持つようになると、その問題もなくなるだろう。ブロックチェーンの今後の新しい技術によって、bitcoinはもっと親しみやすいものになっていく”。DorseyはTimes紙にそう語っている

つい先週Dorseyは、bitcoinのような暗号通貨の処理を高速化できるプロトコルLightning Networkを扱うBay AreaのスタートアップLightning Labsに、250万ドルのシード資金を提供した。bitcoinなどの上にLightning Networkの層があることによって、独自の小さな台帳を持った二次的チャネルが作られ、それらが本体ブロックチェーンの過剰なトラフィックによる渋滞を緩和し、処理をスピードアップする。この技術に興味のある方には、Coindeskにあるこのドキュメントの一読をお勧めしたい。

Dorseyはまた、自分の企業Squareでも、そのモバイル決済システムでbitcoinのサポートを続けるつもりだ。Square Cashにbitcoinのサポートが加わったのは昨年で、今では Square Cashのすべてのユーザーが、そのサポートを利用できる

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

コインチェックがNEM保有者への補償と一部仮想通貨の出金・売却再開を発表

3月12日、コインチェックは、1月26日に起きた仮想通貨NEMの不正送金に関する補償と、一部仮想通貨の出金・売却再開について発表を行った。

まず、仮想通貨NEMの不正送金に関する補償については、同日中に行うとコインチェックでは述べている。補償対象は日本時間2018年1月26日23:59:59時点でNEMを保有していた顧客で、補償金額は88.549円×同時刻での保有数。補償は日本円で行われ、顧客のCoincheckアカウントの残高に補償金額が反映される。NEMと日本円のレートは1月28日に発表されたものと同額。3月8日の同社の会見では、補償対象のNEM総数は5億2630万10XEMと発表されており、補償総額は約466億円となる。

日本円での補償にともなう課税については国税当局に同社が相談を行っており、分かり次第アナウンスが行われるという。平成29年分の確定申告には影響はない。

一方の一部仮想通貨の出金・売却再開については、同日から順次行われるという。再開される機能は一部仮想通貨の出金と売却で、入金・購入は対象外。出金再開対象となるのは、ETH、ETC、XRP、LTC、BCH、BTCの各通貨。売却再開対象はETH、ETC、XRP、LTC、BCHの各通貨(BTC売却は停止されていない)。

コインチェックでは今回の再開について「外部専門家による協力のもと技術的な安全性等の確認が完了した」ことを受けてのものだと述べている。再開は技術的な安全性等の確認が完了した機能、通貨から順次行う、としている。

また「全ての仮想通貨の入金、購入、新規登録等については、経営管理態勢及び内部管理態勢が整い次第再開する」という。コインチェックでは3月8日の金融庁による業務改善命令を受け、内部管理態勢、経営管理態勢等を抜本的に見直すとコメントしていた。

NEM不正流出から現在までの主な流れは、以下の通り。

自称「サトシ・ナカモト」のライト氏、最大110万BTCを奪ったとして元同僚の遺族から訴えられる

eng-logo-20152016年に「我こそはサトシ・ナカモトなり」と名乗り出たことで知られるオーストラリア人実業家クレイグ・ライト氏が、かつてビジネスパートナーだった故デビッド・クレイマン氏とともに所有していたビットコイン、最大110万BTCをすべて奪ったとして、クレイマン氏の遺族から訴訟を起こされました。この2人はごく初期のビットコイン開発に関わっていたとされます。

デビッド・クレイマン氏は2013年に他界しました。しかし、クレイマン氏の兄弟であるアイラ・クレイマン氏は、クレイグ・ライト氏がクレイマン氏の所有していたビットコインなどの資産をだまし取ったと訴え出ました。

Motherboardが伝えるところによると、ライト氏とクレイマン氏はごく初期のビットコイン開発に関わっており、2人で最大110万BTCを保持していたと考えられています。

訴訟内容によるとライト氏は2013年、クレイマン氏が亡くなった直後に遺族に連絡し、2人の会社W&K Info Defence Researchの経営権をライト氏が譲り受ける契約を取り交わしていたと主張、偽造サインが記された偽の契約書類を提示してクレイマン氏の資産を独占したとのこと。

アイラ・クレイマン氏はライト氏がだまし取ったビットコイン他の資産はおよそ5500億円の価値に相当するとしています。また提示された契約書類に関しても、ライト氏に問いただした際にコンピューターで偽造したことを認めたと主張しています。

ライト氏は、2016年に自身がビットコイン開発者のサトシ・ナカモトだと主張して、その名を世界に知られるところとなりました。しかしその後は自身がサトシである確たる証拠を提示するとしつつも、結局「勇気がない」として、自ら表舞台を降りています。この行動の裏にはオーストラリア政府からの税金などに関する調査などがあったと言われています。ライト氏はその後、自身の経歴詐称なども発覚したりしていましたが、依然としてビットコイン開発者の一人である可能性は否定されてはいません。

ちなみに、サトシ・ナカモトが所有すると言われるビットコインはおよそ100万BTCとされ、2人が所有していた可能性のある最大110万BTCと非常に近い値となります。サトシ所有のBTCは長らく動かされた形跡がないため、ずっと誰かの手元で寝かされている可能性が高いはず。もし本当にライト氏が110万BTCを独り占めしたのであれば、それをそのまま置いている理由も気になるところです。

Engadget 日本版からの転載。

暗号通貨による資金調達「ICO」、ブームの影でその約半数が失敗に終わったとの調査結果

eng-logo-20152017年は暗号通貨そのものの価値急騰だけでなく、暗号通貨を使った資金調達方法であるICO(Initial Coin Offering)がいろいろと話題になった年でした。

しかし、ICOは従来の新規株式公開(IPO)にベンチャー企業などが手軽に資金集めをできる手法である一方、2017年に実施されたICOの実に半数近くがすでに失敗に終わっているという気がかりなデータが報告されました。

2017年の暗号通貨の人気急騰にともない、多くの人がその利益を手にしようと暗号通貨購入に走ったほか、いくつかの企業はマイニングに参加したり、新たな取引所開設などもありました。そして、投資家たちのあいだでブームとも言える盛り上がりを見せたのがICOの数々です。

ICOを実施するのにはいくつかの目的があるものの、その多くは資金調達を目的としており、企業が独自に発行する”トークン”を投資家が購入することで、その後トークンの価値が上昇すればキャピタルゲインを得られるというしくみ。IPOでは企業が株式を売買しますが、ICOの場合は株式の代わりがトークンであり、トークンを購入するのには仮想通貨が用いられます。

Bitcoin.comはTokendataのデータをもとに、2017年に実施された902件のクラウドセールスベースのICOを分析しました。その結果、全体の46%がすでに失敗に終わっていることが判明したとのこと。

これらのうち142のICOは資金調達自体に失敗し、別の276の例はジリジリと状況が悪化しフェードアウトしたものだったり、詐欺まがいのものであったりしたとのこと。さらにそのほかの113例では、すでにSNSなどを通じた宣伝は停止しており、すでにプロジェクトが瀕死の状態であることを醸し出しています。

そして、まだ生き残っているプロジェクトも、決してうまく行っているわけではありません。もちろん、なかには1000万ドル以上の調達に成功した例もあるもののそれはほんの一握りだけであり、残りはいまだ厳しい戦いを続けている状態です。

詐欺プロジェクトは論外として、こうしたICOのほとんどがうまくいかない理由は、もともと対象とする商品が歯科、貨物輸送、不動産といったニッチな商品を対象としたもので、大勢の興味を惹きつけられなかったことがあげられます。投資家の多くはこうしたICOには敏感に反応して手早く手を引く一方で、やはり一定数は被害を被る人がいます。こうした失敗プロジェクトが集めた金額を合計すると、約248億円にものぼるとのこと。

こうした状況にもかかわらずいまだにICOのブームは続いています。今年始めには米イーストマン・コダックがICOを実施すると発表し、直後に株価が急騰していました。しかしその後はICOプロセスにおける投資家審査の遅れなどから再び株価を下げるなど若干波乱含みな様相を呈しています。

2018年に入ってから上記コダックの他にも、ゲームメーカーのアタリコインチェックのNEM流出問題の際に少し話題になったチャットアプリ「Telegram」を開発するTelegramのICO案件もまた注目を集めています。

とはいえ、このように注目されると、どうしても信頼性の低い案件も続々と出てくることが考えられます。投資家には、これまで以上に厳しい嗅覚が求められることになりそうです。

Engadget 日本版からの転載。

Zaifが「0円売買」不具合について謝罪と報告

仮想通貨取引所「Zaif」を運営するテックビューロは2月16日に発生していた同取引所の不具合について20日、経緯の説明と謝罪を行った。

問題が発生したのは、2月16日17時40分ごろから58分ごろの間。Zaifが提供する「簡単売買」サービス上で、ビットコインおよびモナーコインを0円で売買できる状態になっていた。また、この時間帯にあるユーザーが21億BTC(約2200兆円相当)を0円で購入、そのうちの20億BTCを売り注文に出したことで、板情報にビットコインの発行上限枚数の2100万BTCを超える、異常な数値が表示されることとなった。

このユーザー“麺屋銀次”氏は「0円の表示を見つけ、決済できないだろうと思って試したところ、購入できてしまった。また購入したBTCを買えないように指値で販売してみたところ、こちらも注文できてしまった。Zaifにはすぐメールで報告した」とYouTubeで述べている。

テックビューロでは、問題の原因について「簡単売買の価格計算システムに異常が生じ、ウェブシステム側で0円でも売買できてしまうという不具合が重なり、7名のお客様が0円で仮想通貨を購入してしまった。一部のお客様が0円で購入した仮想通貨を取引所で売り注文に出されたため、取引板に異常な数値が表示された」と説明している。

不具合に対しては、問題の発生時点から対応を開始し、修正を実施。現在は正常に稼働しているという。0円で購入された売買については、システムの異常によるものとして、訂正扱いとし、対象ユーザーの残高データについても修正を実施した。

テックビューロによれば、不具合の対象となった顧客は7名で、そのうち6名との対応を完了、1名と継続対応中、他の顧客には影響はない、という。

仮想通貨取引所にまつわるトラブルでは、1月26日にコインチェックで580億円分のNEM不正流出が起き、大きな話題となっている。

クラウドのセキュリティが弱いと暗号通貨の採掘に無断で使われる、最新の被害者がTesla

この新種で悪者の暗号通貨採掘者は、手当たりしだい誰でも攻撃しているようだ。最新流行のハッカー行為の今度の犠牲者は、なんとTeslaだ。クラウドコンピューティングのセキュリティが貧弱だったため、彼らはまんまと侵入した。

セキュリティ企業のRedLockはすでにこのタイプの攻撃をいくつか検出していたが、その最新の例がこれだ。いずれの場合も、Kubernetesのアドミンコンソールが完全無防備だった。パスワードすら、なかった。

RedLockに見つかるものなら、当然、ハッカーにも見つかる、…そして、見つけた。そのクラウドコンピューティングの、正規のユーザーによる正常な利用のようなふりをしてログインし、TeslaのAWSエンジンを無断で使って、黙々と採掘をした。ただし、そうやって彼らがマイニングをした時間と、被害額は公表されていない。暗号通貨は乱高下が激しいから、被害額の正しいドル換算は難しいだろう。

言うまでもなく対策は、とにかくインフラストラクチャのセキュリティに万全を尽くすことだ。使えるツールは何でも使おう。また、トラフィックが異様に増えたり、ふつうでない使い方がされていないか、たえずチェックしよう…利口なハッカーが、すでに侵入したかもしれないから。そして、いずれにしても、パスワードは必ず設けよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa