AmazonがQAnonの陰謀論に関連する製品を排除

Amazon(アマゾン)は、QAnon(キューアノン)関連の製品を同プラットフォームから排除する取り組みを開始した。

同社広報担当者は、これには数日かかる見通しだと話している。同社のシステムを回避して製品を展示しようと試みる販売者は、全Amazon店舗での販売禁止などの処分の対象となる。

この禁止措置のニュースは、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が最初に報じた

Amazonは、先週の米連邦議会議事堂で発生した暴動でQAnon支持者らがその存在を誇示していたことを受け、QAnon支持者が販売している製品を閉め出すことで、米国で最も新しく人気の高い陰謀論を排除しようとしている。

AmazonのQAnon関連製品の販売禁止措置は、同社のウェブサーバーとクラウドサービス・プラットフォームからParler(パーラー)を排除する決定に続くものだ。

販売禁止措置は、QAnonを支持する自費出版本、衣類、ポスター、ステッカー、その他QAnonの陰謀論に関連する商品に適用される。

Amazonには「いかなる人物または団体に対するものであれ、ヘイトや暴力の奨励、扇動、賞賛」を訴える製品の販売を禁じる規約があると同社はいう。

米国時間1月11日に同プラットフォームをざっと検索してみたところ、QAnon関連製品の一部はまだ販売が続けられていた

WWG1WGA(Where We Go One We Go All、我々は全員で団結に向かう)というQAnonのスローガンで検索すると、7ページにおよぶQAnon関連製品が現れた。

非常に疑わしいQAnonの陰謀論は、さまざまな陰謀論のごちゃ混ぜから生まれ出た後、2017年に掲示板4chanで広く知られることになった。

その出現により陰謀論は保守派活動家の注目を集め、支持者は先週に議事堂を襲った暴徒の中でかなり目立っていた。同じ週、少なくとも1人のQAnon信者が議会に出席していたにも関わらずだ。

AmazonによるQAnon関連製品の販売禁止措置は、以前TechCrunchもお伝えしたように、その活動が初めて暴力に発展したときから、何年も何年も何年もかかった。

QAnon信者が関わった犯罪行為には、ニューヨークのスタッテン島でのマフィアのボス殺人未遂事件フーバーダム近くにかかる橋の武力封鎖などがある。

また陰謀論支持者たちは、ハッシュタグ「#savethechildren(子どもを救え)」をジャックし、子どもの擁護者を装い公の場で極端な思想を振りまくなどして、合法的な児童の安全を守る活動の妨害も犯している。それ以前にQAnonを出入り禁止にしたFacebook(フェイスブック)は、この妨害活動を受けて、2020年末に同ハッシュタグの使用を制限している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonQAnonアメリカ

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(翻訳:金井哲夫)

Healthvanaの新型ワクチン接種デジタル証明書は免疫のパスポートではなくコミュニケーションツール

新型コロナウイルス(COVID-19)への反撃の準備が(多難のスタートながら)進む中、数多くの企業がワクチンの効果を高めようと、いろいろな支援を計画している。HIV患者のための患者情報をデジタルで提供する専門企業としてスタートしたヘルステックのスタートアップHealthvana(ヘルスバーナ)は、Apple(アップル)のウォレット技術を利用して新型コロナウイルスのワクチン接種証明書をモバイル機器に提供するというロサンゼルス郡の取り組みに協力している。この技術をざっと見た限りでは、それを導入することで、個人のワクチンの効果を手軽に証明できるようになると思われるかもしれないが、これは免疫を請け合うものではなく、技術自身もHealthvanaも、むしろ人々に個々の医療プログラムへの参加を促すことに重点を置いている。

「医療のほとんどが、見た目も使い勝手も、総じてWindows 95のようなものだと私は思っています」とHealthvanaのCEOで創設者のRamin Bastani(ラミン・バスタニ)氏はいう。「私たちのルック・アンド・フィールはInstagram(インスタグラム)です。どうしてそこにこだわるのかって?なぜなら患者は、自分が理解できるものに頼るからです。最も楽なのは、普段からコミュニケーションに利用している方法によるコミュニケーションです。つまるところそれが、より健康な結果をもたらすのです」。

バスタニ氏は、そのアプローチでHIVに関する患者教育とコミュニケーションに特化した会社を立ち上げ、そのソフトウェアを利用した場合、従来の方法で今後の治療に関する情報や次回の診察予約日のお知らせ受け取った人に比べ、7.4倍もの人が次の予約日に受診するようになることが証明できたと話す。同社は、単により良い医療を個々人にもたらすというだけでなく、誤解の払拭や、受診を続けるよう患者を追跡して説得するといった、労働時間を大幅に消費する大変な作業から医療や介護のスタッフを解放し、医療提供者のコストを削減することも視野に入れて、ツールやアプローチを構築している。

「実際に私たちは、医療提供者のコスト削減も実現しています。結果はどうだったか、理解できない、ログインできない、SARS陰性とはどういう意味かわからないといった1000件もの問い合わせにスタッフが対応する必要はなく、すべて私たちがシンプルに対処するからです」とバスタニ氏。「これで大きな違いが出ます。結局、患者の関心を惹き、彼ら自身が自分の健康問題に対して行動を起こせるようにすることが、あらゆる医療において重要な鍵になるだろうと、私は考えます」。

それはまた、新型コロナウイルス予防接種証明書で同社がロサンゼルス郡と協力して行っている取り組みの目標でもある。彼らは、同郡のワクチン接種証明書を確実に成功に導く極めて重要な役割を担っている。現在認可されている新型コロナウイルス用ワクチンは、どれもが2回接種を行うことになっている。1回目の予防接種に続き、少し間を開けて2回目で効果を高める。ロサンゼルスの住民への新型コロナウイルス予防接種、および2回目の接種が必要な人にはその旨の告知を徹底することが、この取り組みの第1の目標だ。そこに、患者の治療継続率を高めてきたHealthvanaの経験が活かされる。しかもこのアプリでは、新型コロナウイルスの治療に関する情報や、とりわけ便利な機能として、感染拡大の予防と感染を鈍化させる方法が提示される。

突き詰めれば、Healthvanaはメッセージ伝達の「最後の1マイル」だとバスタニ氏はいうものの、また適切な治療と予防のための正しい行動の判断にはそれ以外にも数多くのレイヤーが関わっているものの、彼らの実用価値のある情報を送り届ける方法は、すでにひとつの重要な手段である「接触者追跡」において大きな恩恵をもたらしている。一部の自治体では、Healthvanaは、検査で陽性になった人に、濃厚接触者のデバイスに匿名で直接知らせるよう促す取り組みを開始する。通知相手には、無料で受けられる検査の情報と、関連情報のリストも提供される。

「この広いロサンゼルス地区で2カ月以内にこれを成し遂げたのは、私たちだけです。すでに1万2000人以上の人たちにウイルスに曝露したことを通知しています」とバスタニ氏。「それぞれの人が、他の人や家族と同居している可能性が高いため、これが感染拡大を鈍らせる方法になります」。

Google(グーグル)とApple(アップル)は、珍しく協力して、最近のアップデートでiOSとAndroidのデバイスに曝露通知ツールを組み込んだが、その導入は比較的ゆっくりだった。その基礎となっている技術は確かなものであり、ユーザーのプライバシーにも特別な配慮を払っているにも関わらず、利用者数は世間の関心を惹くにはほど遠い。たとえばバージニア州の曝露通知フレームワークを使ったアプリでは、ローンチ以来この3カ月間に曝露を通知した人の数はわずか388人止まりだ。

Healthvanaは、その時々に即して個々人の必要性に応じた情報を、その人が一番よく理解している最も使い慣れた方法を通じて届けることに専念している。それはすでに、新型コロナウイルスとその地域感染の対策に大きな力を発揮できる潜在力を示した。同スタートアップは現在、米国国内の別の地域でも同様の取り組みを実施するための協議に入っている。これが米国国内のワクチンの効果を高め、ワクチンを手にした後の人々の新型コロナの対処法に大きな影響を与えることになるだろう。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Healthvana新型コロナウイルスワクチンロサンゼルス

画像クレジット:Healthvana

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

先週の米連邦議会議事堂での破壊行為の余波を受け、Facebook(フェイスブック)は米国時間1月11日、「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」という文言に関連するコンテンツを同プラットフォームから排除するという、一歩踏み込んだ措置に出た。これは民主的な米国の選挙が操作されているという誤った主張に基づく、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の権力を維持するためなら手段を選ばない右派のキャンペーンで使われるスローガンだ。今や、暴動もその手段に加わった。Facebookは2020年11月、すでに「Stop the Steal」を最初に訴え出した一部の団体を排除し、暴力行為を奨励するなど規約に違反するページ、グループ、イベントの削除を約束していた。

TechCrunchでもお伝えしたが、Facebookは2020年11月の選挙にまつわる陰謀論のハッシュタグ(#sharpiegate、#stopthestealなど)の阻止に踏み切っている。これらを検索しても、結果にグループや投稿は示されない。

だがこうした浄化作戦もFacebookが公言し、我々が期待していたほど大規模ではなく、長続きもしなかった。今これを書いている時点でも、たとえば「Stop the Steal」を公然と訴えるFacebookグループが複数活動している。

Facebookは、今回の強い措置は米国での暴力行為を煽る声の高まりに対処するための判断だと述べている。

「私たちは、選挙結果に関する実のある対話を認めてきましたが、それは今後も継続します」と、Facebookの品位担当副社長Guy Rosen(ガイ・ローゼン)氏とグローバルポリシー管理担当副社長Monika Bickert(モニカ・ビカート)氏の共著によるブログ記事で説明している。「しかし、暴力行為の誘発につながりかねない米国大統領選挙の結果に反対するイベントページを立ち上げようとする今なお止まない試みや、ワシントンD.C.での1月6日の暴力行為でも叫ばれていた文言の使用に関しては、大統領就任式に至るまでの間、この追加措置で対応します」。

「この新しい措置の施行には多少時間がかかることも考えられますが、すでに大量の投稿が削除されています」と彼らは訴えた。

Facebookは、米国の首都で起きた暴動の首謀者たち御用達のプラットフォームと見られることを、明らかに嫌っている。実際、Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は、米国時間1月11日に、Reuters(ロイター)のインタビューに応えて、あの暴動は、Facebook以外のインターネットサービスによって「大半が組織された」と主張している。Facebookは、QAnon(Qアノン)、Proud Boys(プラウドボーイズ)、Stop the Steal関連組織のような怪しいグループによるコンテンツ、および暴力を呼びかけるあらゆるコンテンツを削除してきたと彼女は話している。

規約違反のコンテンツを積極的に削除している大手ソーシャルプラットフォームは、Facebookだけではない。それは、ソーシャルメディアの比較的寛容な方針が、暴力的な抗議行動から、さらにはクーデターや人の殺害の企てを招くという思わぬ結果をもたらしたことへの対処だ。

米連邦議会が大統領の弾劾を検討し始める中、ソーシャルメディア企業には、プラットフォームからトランプ氏排除するところも出てきた。その一方で、それらに対抗するソーシャルネットワークParler(パーラー)に協力するアプリストアウェブサービスのプロバイダーは、Parlerから発信されるヘイトスピーチや暴力を増長している。

Facebookは、少なくとも1月22日までは、リアルタイムで危機を監視し対応できるよう、Integrity Operations Center(品位ある運用センター)に24時間体制でスタッフを常駐させると話している。FBIは、1月20日のJoe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式まで、50の州都とワシントンD.C.で武装抗議行動を企てないよう警告を発したと、今朝、APが報じたが、Facebookが定めた期間は、それに準じたものと思われる。そのためにこの数日間は、Facebookの品位ある運用センターの対応が非常に重要視される。

同センターはジョージア州の決戦投票と、議会の選挙人団による投票の集計よりも前からすでに活動していたが、その活動範囲は、議事堂での抗議活動を受けて拡張されたとFacebookは話している。

さらに同社は今後も法執行機関と協力して、コンテンツの削除、アカウントの凍結、ユーザー個人情報の法的要請への対応を継続するとのことだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook米国大統領選挙アメリカソーシャルメディアSNSドナルド・トランプ

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(翻訳:金井哲夫)

保守系メディアParlerがペンス副大統領の処刑を呼びかけたトランプ支持者リン・ウッド氏の投稿を削除

「表現の自由」を謳うソーシャルネットワークParler(パーラー)にすら限度はあるようだ。

表現の自由を重視する方針から保守派コメンテーターを数多く惹きつけていたこのソーシャルネットワークが、トランプ支持者であるLin Wood(リン・ウッド)氏の複数の投稿を削除したと、Mediaite(メディアイト)は伝えた

Parlerから削除された投稿の中には、ウッド氏が Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領の処刑を呼びかけるものもあった。

Zachary Petrizzo「トランプ支持の弁護士リン・ウッドはParlerに投稿『銃殺隊を招集しろ。最初はペンスだ』」
Zachary Petrizzo「ウッドは現在Twitterが停止されているとParlerに追記」

Mediaiteの記事によれば、Parlerの最高責任者Jphn Matze(ジョン・メッツ)氏は、同プラットフォームでのウッズ氏の投稿に対して措置を講じたことを認めている。

「ええ、彼のパーレイ(討議)は我々の規約に違反するため削除しました」とメッツ氏はMediaiteに語った。「あなたが問題にしている投稿も含まれています」。

Parlerの措置は非常に意味深い。なぜなら、保守派の大物の投稿も削除されることを示す最初の実例となったからだ。

表現の自由を堅持するソーシャルプラットフォームとして名高いParlerにも、コンテンツを管理するための規約は存在する。

Mediaiteが指摘していたとおり、ウッド氏の投稿は同社のサービス規約に違反しているように思える。その規約にはこうある。「当サービスを通じて報告されたパーレイ(討議)主催者、コメント、メッセージは、明示的暗示的を問わず、暴力または違法行為への参加奨励を含む場合、ガイドラインに違反したものと見なされます。これには以下のものが含まれます。(a)パーレイ主催者の主張が結果的に暴力または違法行為に利用される場合、(b)差し迫った暴力または違法行為の実行がパーレイ、コメント、メッセージの結果であると見なされた場合」。

Parlerのアカウントは温存されているウッズ氏だが、Twitter(ツイッター)のアカウントが米国時間1月7日に凍結されたことをForbes(フォーブス)が同時に報じている

一方、ペンス氏の処刑を扇動する声は、米国時間1月6日に連邦議会議事堂に乱入した暴徒の少なくとも一部を勢いづかせる要因になっていたようだ。Reuters Photo News(ロイター・フォト・ニューズ)の編集長Jim Bourg(ジム・ボーグ)氏は「マイク・ペンス副大統領を捕まえて、裏切り者として議事堂の木に吊して絞首刑にする」ことを望む少なくとも3人の暴徒の話を聞いたとツイートしている。

Jim Bourg「議事堂で少なくとも別の3人から、マイク・ペンス副大統領を捕まえて裏切り者として議事堂の木に吊して絞首刑にしたいという話を聞いた。この共通のフレーズが繰り返されている。さらに多くの人間が副大統領をどう処刑するかを話し合っていた」

関連記事:Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSソーシャルメディアParler

画像クレジット:BRENDAN SMIALOWSKI/AFP / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

保守系メディアParlerがペンス副大統領の処刑を呼びかけたトランプ支持者リン・ウッド氏の投稿を削除

「表現の自由」を謳うソーシャルネットワークParler(パーラー)にすら限度はあるようだ。

表現の自由を重視する方針から保守派コメンテーターを数多く惹きつけていたこのソーシャルネットワークが、トランプ支持者であるLin Wood(リン・ウッド)氏の複数の投稿を削除したと、Mediaite(メディアイト)は伝えた

Parlerから削除された投稿の中には、ウッド氏が Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領の処刑を呼びかけるものもあった。

Zachary Petrizzo「トランプ支持の弁護士リン・ウッドはParlerに投稿『銃殺隊を招集しろ。最初はペンスだ』」
Zachary Petrizzo「ウッドは現在Twitterが停止されているとParlerに追記」

Mediaiteの記事によれば、Parlerの最高責任者Jphn Matze(ジョン・メッツ)氏は、同プラットフォームでのウッズ氏の投稿に対して措置を講じたことを認めている。

「ええ、彼のパーレイ(討議)は我々の規約に違反するため削除しました」とメッツ氏はMediaiteに語った。「あなたが問題にしている投稿も含まれています」。

Parlerの措置は非常に意味深い。なぜなら、保守派の大物の投稿も削除されることを示す最初の実例となったからだ。

表現の自由を堅持するソーシャルプラットフォームとして名高いParlerにも、コンテンツを管理するための規約は存在する。

Mediaiteが指摘していたとおり、ウッド氏の投稿は同社のサービス規約に違反しているように思える。その規約にはこうある。「当サービスを通じて報告されたパーレイ(討議)主催者、コメント、メッセージは、明示的暗示的を問わず、暴力または違法行為への参加奨励を含む場合、ガイドラインに違反したものと見なされます。これには以下のものが含まれます。(a)パーレイ主催者の主張が結果的に暴力または違法行為に利用される場合、(b)差し迫った暴力または違法行為の実行がパーレイ、コメント、メッセージの結果であると見なされた場合」。

Parlerのアカウントは温存されているウッズ氏だが、Twitter(ツイッター)のアカウントが米国時間1月7日に凍結されたことをForbes(フォーブス)が同時に報じている

一方、ペンス氏の処刑を扇動する声は、米国時間1月6日に連邦議会議事堂に乱入した暴徒の少なくとも一部を勢いづかせる要因になっていたようだ。Reuters Photo News(ロイター・フォト・ニューズ)の編集長Jim Bourg(ジム・ボーグ)氏は「マイク・ペンス副大統領を捕まえて、裏切り者として議事堂の木に吊して絞首刑にする」ことを望む少なくとも3人の暴徒の話を聞いたとツイートしている。

Jim Bourg「議事堂で少なくとも別の3人から、マイク・ペンス副大統領を捕まえて裏切り者として議事堂の木に吊して絞首刑にしたいという話を聞いた。この共通のフレーズが繰り返されている。さらに多くの人間が副大統領をどう処刑するかを話し合っていた」

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(翻訳:金井哲夫)

CES 2021に先駆けてShowShoppersと台湾貿易センターが厳選した台湾エクセレンス受賞製品7点を紹介

台湾はFoxconn(フォックスコン)、Pegatron(ペガトロン)、TSMC、Acer(エイサー)、ASUS(エイスース)などが本社を構えるテック産業の原動力として知られている。しかし、名の通った大手企業の印象が強い台湾のテック業界ながら、そこは躍進するスタートップシーンの拠点でもある。CESの公式開幕に先立ち、台湾の貿易を促進する非営利団体対外貿易発展協会(TAIRA)とShowShoppers(ショーショッパーズ)は、台湾エクセレンス賞の受賞スタートアップの製品を紹介した。受賞したのは7社だが、その他11社も紹介された。それらの企業はフィットネス、医療、工業用モニターなど幅広い分野をカバーしている。

さらに多くのスタートアップが、来週開催されるCESのTaiwan Tech Arena(台湾科技新創基地)が主催する台湾パビリオンに出展される予定だ。

7つの台湾エクセレンス受賞製品

Advantech WISE-2410振動センサー(画像クレジット:Advantech)

AdvantechのLoRaWANソリューションは、遠近幅広い距離の機器を制御できるようデザインされており、洪水、病院の救急患者、運送インフラの監視など、多様なセンサーアレイに利用されている。同社の最新2機種のうちの1つは、最大500基のセンサーが接続でき、3G / LTEまたは有線のEthernetでクラウドにデータを送信できるWISE-6610。もう1つは、モーターを搭載した機器の振動を感知して潜在的問題点を特定し、故障を引き起す前に工場管理者がメンテナンスのスケジュールを組めるようにしてくれるWISE-2410がある。結果として修理のために機械を止めるという高コストな対応を回避できる。

画像クレジット:CyberLink

CyberLink(サイバーリンク)はセキュリティ、スマートリテール、アンケートなどのAIoTアプリに使われる、機械学習を用いたFaceMe Facial Recognition Engine(フェイスミー顔認証エンジン)を開発した企業。新型コロナウイルスのパンデミックが続く中で発表されたCyberLinkの新製品FaceMe Heaith(フェイスミー・ヘルス)は、マスクをしていても顔認証が可能で、またマスクをしていない人や熱のある人に警告を出すことがでる。病院、空港、店舗、工場などの感染対策を支援するためのものだ。

画像クレジット:Dyaco

Dyaco(ダイアコ)の運動器具製品ラインSOLE Fitness(ソール・フィットネス)に、新しくSOLE CC81 Cardio Climber(カーディオ・クライマー)が加わった。ステッパーとクライマーをかけ合わせたマシンだ。SOLE CC81は、関節の負担を抑えつつ有酸素運動ができるよう人間工学に基づきデザインされている。

画像クレジット:Green Jacket Sports

Green Jacket Sports(グリーン・ジャケット・スポーツ)は、Golface(ゴルフェース)スマートシステムを披露した。ゴルフコース管理者のためのコースの監視や運用データのリアルタイム収集を行うもので、ゴルファーがプレイしている最中でも使える。その他このスマートシステムは、航空動画を追加したり、リアルタイムでスコアを付ける機能もある。

画像クレジット:Maktar

Maktar(マクター)は、スマートフォン用のバックアップ機器Qubii(キュービー)のメーカー。小さなサイコロ型の装置で、充電中にスマホの中の写真などをバックアップする。インターネットもWi-Fiも使わない。microSDカードをQubiiに差し込み、スマホを通常の充電用ケーブルでコンセントや充電器に挿し込むだけ。充電するごとに、Qubiiは写真、動画、連絡先情報のバックアップを取る。また、同社の特許技術であるSDカードのロック機能によりデータが保護される。

画像クレジット:MiTAC Digital Technology

MiTAC Digital Technology(マイタック・デジタル・テクノロジー)のMio(ミオ)シリーズ車載カメラは、駐車場などの暗い場所でも鮮明な動画が撮影できる。最新型のMiVue(ミービュー) 798は、Sony(ソニー)のローライトセンサーSTARVIS(スタービス)と全ガラスレンズを採用し、最大2.8Kのワイドレンジ動画が撮影できる。また MiVue 798にはWi-Fi接続機能が内蔵されているため、MiVue Proアプリを使って動画のバックアップやシェアも行える。その他、GPSトラッキング、車間距離と制限速度の警告、車線の逸脱、運転車の疲労、前方衝突を警告する運転支援機能もある。

画像クレジット:Winmate

Winmate(ウィメイト)は、車両点検用のM133WK Ultra Rugged(ウルトラ・ラゲッド)タブレットPCを公開する。第8世代Intel(インテル)Core i5-i5-8265U Whiskey Lake(ウイスキーレイク)プロセッサを搭載。省電力で高い性能を発揮するM133WKの1920 × 1080ピクセルPCAPタッチパネルは、強い日光の下でも画像がよく見える。

TAITRAとShowStoppersが紹介するその他のスタートアップ11社

ATrack(エイトラック)のAK11 Fleet Hub(フリート・ハブ)は、さまざまな分野でフリートをリアルタイム管理できる4G LTEデバイス。

ELECLEAN(エレクリーン)360は「世界初のナノ触媒電気化学テクノロジー」と同社が称する技術を用い、水を過酸化水素水と水酸ラジカルに変換して洗浄と殺菌を行う。

InWIN Development(インウィン・デベロップメント)は、SR Pro CPU冷却器を発表する。特許技術のツインタービンポンプを並列に配置して水の流れを最適的化し、熱管理能力を高める。さらにPCを急速冷却するための高風量AJF 120ファンも搭載している。

Innolux(インノラックス)は、テレビ、モニター、ノートパソコン、工業、医療、モバイルなど数多くの分野で利用される液晶パネルを幅広く製造している。

Planet Technology(プラネット・テクノロジー)は、PLANET Powerful Enterprise VPN Cybersecurity(パワフル・エンタープライズVPNサイバーセキュリティ)と呼ばれる「新型コロナ後の時代」に向けた安全性の高いネットワークとファイヤーウォール・ソリューションを開発している。

Rice Air(ライス・エアー)は、フィルターを使わないナノテクノロジーを利用した個人向け空気清浄器LUFT Cube(ラフト・キューブ)を作っている。

Systems & Technology Corp(Systech、システック)のフリート管理プラットフォームは、インテリジェントなテレマティクスを利用して、車両がどこにいるかを管理者に知らせ、フリート管理を効率化する。

Tokuyu Biotech(トクヨ・バイオテック)は、アプリやセンサー技術に接続できるスマートな小型マッサージチェアや医療関連機器を製造している。

Winnoz(ウィノーズ)は、真空アシストによって指先から採血ができるポータブルな血液採取装置Haiim(ハイム)のメーカー。

WiseChip(ワイズチップ)は、タッチ機能付きの透明有機ELディスプレイを開発している。家電品、自動車、交通機関(乗客向け情報表示システムなど)、ウェアラブル機器の操作パネルに使われている。

Yztek(耀主科技:ヤオズジシュ)のE+ Autoff(イージャ・オートフ)は、コンロの消し忘れに対処するIoT機器。自動的に火を消してくれる他、調理時間の設定や省エネ機能もある。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:CES 2021台湾

画像クレジット:Cavan Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

2021年に最優先すべきはパンデミックから精神的に立ち直るための技術

2020年、米国人は感染の恐怖、耐え難い愛する人たちの喪失、経済的ストレス、孤独、絶え間ない不安による疲労など、さまざまな問題と格闘してきた。ワクチンの接種が始まり、日常に戻れる時が近づいているとしても、新型コロナウイルス(COVID-19)を終わったものとするのはまだ早い。パンデミックの長期的な悪影響は、今ようやく現れ始めたところだ。具体的には、米国における精神的健康(メンタルヘルス)危機への衝撃は大きい。しかし残念ながら、精神疾患に効くワクチンはない。

米国の成人のうちほぼ45%が精神疾患を抱えて生活しているが、2020年の出来事で状況はさらに悪化し、米国に住む人の5人に2人以上(CDC報告)が新型コロナウイルスの影響による精神疾患に苦しんでいると伝えられている。

さらに深刻なことに、世界保健機構によれば新型コロナ前の段階で、世界の国々では国民の求めに応じようと奮闘しているにも関わらず、国の医療予算のうちメンタルヘルスに支出されたのは、わずか2%だったという。つまりこれは、メンタルヘルスが重視されていないことに加え、治療機会が欠如していることを意味している。

最近になって、遠隔医療サービスが導入されるようになった。根拠に基づく治療で有効性がある場合は、それが膨大な支援要請に幅広く対処できる唯一の方法となる。要するに、各地で医療スタッフが不足しているということだ。

私が英国の国民医療サービス(NHS)の精神科医として勤務していたとき、即座に学んだのは、患者が来るのが遅すぎるということだった。時には数年も遅くなる。もっと早い時期に質の高い治療を提供できていれば、事態はそこまで深刻化していなかったはずだ。当時私は、ここまで需要と供給の差が開いてしまった以上、大規模にテクノロジーを展開するしか解決の道はないと悟った。そして2020年の出来事で、その確信がさらに強まった。

投資家もそこを重視している。その証拠に数多くのメンタルヘルス関連のスタートアップが資金調達に成功している。ビジネスリーダーたちは、変貌した世界に適合する製品に改めて注目している。私たちを危機から救い上げる方法としてイノベーションを優先させ始めているのは明らかだ。デジタルメンタルヘルスソリューションはすでに大幅な上昇を見せている。遠隔治療だけで患者を診ている臨床医は、76%(米国精神医学会報告)にも上っている。大規模に精神疾患に対処できるもっとも明白な方法は、根拠に基づく倫理的でパーソナライズされたデジタルソリューションだ。

遠隔医療を導入すれば、柔軟な治療の選択肢を望む人たちの助けになるだけでなく、地元地域では選択肢が限定されてしまう人々に豊富な治療機会を与えることにもなる。

人気は高まっているものの、デジタルメンタルヘルスソリューションには、克服すべき重大な課題がいくつか残されている。ひとつは消費者の信頼を得て、個人情報を倫理的に責任を持って扱えることを証明しなければならないという問題だ。米国人の81%(ピュー研究所報告)が、その恩恵よりも、個人情報を提供するリスクを重視している。遠隔医療を提供する側は、重大な機密情報であるユーザーの個人的な医療データを、責任を持って扱えることを示す必要があり、そうして初めて信頼が得られる。

これは、米国のHIPPA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)、ヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)よりも厳格なものでなければならず、提供者側のデジタルメンタルヘルスソリューションを支える倫理的枠組みの構築と実施を必要とする。だが、この取り組みは本物でなければならない。上面だけで倫理をうたう「倫理ウォッシング」の罠に落ちないようにしなければならない。そこで私は遠隔治療提供者に、外部の専門家の監修の元に倫理的枠組みを作り上げ、その結果の公開を約束するよう奨励したい。

さらにデジタルソリューションは、ユーザーのニーズに個人ベースで、パーソナライズしたかたちで応じる必要がある。精神的健康を管理できるとうたっているアプリは多くあるが、「1つのサイズで万人にフィット」させるアプローチであるため、患者固有の症状や個人の好みに適用できるこのテクノロジー本来の利点を活かしていない。ただ治療介入の種類を増やせば済むという問題ではない。たしかにそれも大切だが、要はテクノロジーとの関わり合い方は人それぞれだと知ることだ。

たとえばKoa Halth(コア・ヘルス)では、1つずつ手順を踏んで治療プログラムを進めたい患者もいるれば、必要なときにアクティビティに参加したい患者もいて、そのどちらの要望にも同等に対処することが重要だと認識している。1つの汎用手段ですべての人に対処するのは、単純に不可能だ。

デジタルソリューションは、単にデータに責任を持ち、ユーザーごとにあつらえればよいというものでもない。治療の有効性の証明により多くの力を入れるべきだ。最近の調査(HIMSS報告)では、メンタルヘルスアプリの64%が有効性をうたっているが、根拠を示しているものは14%しかないという。遠隔医療の導入が増えていることは頼もしいかぎりだが、プラスの影響は治療有効性を重視してデザインされ、質の高い臨床試験で効果が実証できる製品からのみもたらされる。根拠に基づく治療有効性と費用対効果が高ければ、それだけ医療提供者や保健会社はそのソリューションを広めてくれるようになる。

ワクチンが間もなくやって来る。しかし、パンデミックがメンタルヘルスに与えた影響は、すぐにでもその直接的な影響を覆い隠すほどの被害になるだろう。ヘルステックは将来有望な発展を遂げたが、精神疾患のデジタル治療ではとくに、これからのさらに大きなメンタルヘルス危機に対処すべく、有効で、倫理的で、パーソナライズされた治療に力を入れることが必要不可欠となる。

【Japan編集部】著者のOliver Harrison(オリバー・ハリソン)博士は、科学に裏付けされユーザーの幸福感を高めるようデザインされパーソナライズされた精神的健康のための広範なソリューションを提供し、治療を再構築するデジタル・メンタルヘルス・プロバイダーKoa Health(コア・ヘルス)のCEO。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルスメンタルヘルス遠隔医療

画像クレジット:Justin Paget / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Waymoは「自動運転」という表現をもう使わないと宣言するが業界には賛否両論

Waymo(ウェイモ)は自社の技術に10年以上使い続けてきた「Self-driving(セルフドライビング、自動運転)」という用語の使用を止め、代わりに「Autonomous(オートノマス、自律走行)」と呼ぶことにした。

見るからに小さな変更だが、これにより同社の技術は何をして、何をしないかが明確になるとAlphabet(アルファベット)傘下のであるWaymoは話す。またこれは、Tesla(テスラ)がその先進運転支援システムの説明に使っている「Full self-driving(完全自動運転)」という言葉と自社(さらには業界全体)との距離をとるための取り組みとも見られている。

「この1年間、私たちはその言葉の重要性と、『自動運転車』といった用語がWaymoのような自律走行車メーカーの製品を正確に表現しないことの意味を考えてきました」と米国時間1月6日に公開された同社のブログ記事に書かれている。「Waymoの車両は、自分から走るわけではありません。むしろWaymoは、運転操作の自動化を目指しているため、自律走行のほうが正確な表現となります。先進運転支援システムと自律走行技術といった、大きく異なる技術の説明を1つの用語でひっくるめてしまうことは、『Autonowashing(オートノウォッシング)』と呼ばれています。そこには深刻な安全性の問題が潜んでいます。人々は一貫して、運転支援機能の能力を過大評価する傾向があるとの研究結果もあります」。

【訳注】Autonowashingとは、実際はそこまで自動化されていないにも関わらず、それを隠蔽(ウォッシュ)して自動運転ができるかのように思わせる用語のこと。

自動運転という用語を止めるWaymoの決断は、他の自律走行車メーカーからは、業界全体への行動の呼びかけとして見られている。だが、業界が用語の明確化と一般大衆の啓蒙の必要性に基本的に合意しているにも関わらず、Waymoが受け入れた具体的な用語体系に賛同しない企業もある。

TechCrunchが話を聞いた業界内部の一部の人たちや企業創設者たちは、「自動運転」という用語を使わなくなれば、不本意ながらその用語をTeslaに譲ってしまうことになりかねないと懸念している。啓蒙のほうに労力を振り向けるべきだと示唆する声もある。

「私たちは、この技術の無人運転へ適用を追究しつつ、自家用車やトラックを運転するテクノロジーと運転者を支援するテクノロジーとの違いを明確にする用語を使いながら、その恩恵について人々の認識を高めてもらう取り組みをしています」と、Aurora(オーロラ)のCEO、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏はいう。「他の企業の誤解を招くマーケティング活動に同調して技術の名称を変えるよりも、私たちが目指す命を救う技術を定義する明確な用語に沿うことのほうが、業界としては重要であるという考えに私たちも同意します」。

そうしたWaymoへの反発は、ひとつには業界内の同社の立ち位置に関する認識が影響している。WaymoはもともとGoogle(グーグル)の自動運転車プロジェクトであり、技術開発と自律走行車の商品化で先陣を切る企業だ。同社の事業はこの新興市場において、大きな責任と影響力を背負っているからだ。

今回の発表にともない、啓蒙キャンペーンの名称を「Let’s Talk Self-Driving(自動運転を語ろう)」から「Let’s Talk Autonomous Driving(自律走行を語ろう)」に変更したWaymoは、自家用車の先進運転支援システムを、自動運転または半自律走行と説明し宣伝してきた自動車メーカーのこれまでのやり方が混乱を招いたと主張する。この呼称変更の元凶としてWaymoがTeslaを名指しすることは決してないが、「オートパイロット」や「FSD(フル・セルフ・ドライビング、完全自動運転)」といった用語を使うTeslaは、自動車と安全に関連する数多くの団体のみならず、自動車メーカーの間にも批判を巻き起こしている。

Waymoは、自動運転車として宣伝されている乗用車、トラック、SUVに乗るドライバーたちは、その技術の能力の限界を理解しておらず、間違った使い方をしかねないとの調査結果について語っている。同社が取り上げたのは、2019年に実施された調査だ。回答者の半数が、運転車が決してハンドルから手を離してはいけないシステムの場合でも、その運転支援機能は手放し運転が可能だと信じていたという。

ドライバーが運転席にいなくてもクルマが自動的に運転してくれる技術をどう表現するかに関連する疑問や混乱は、もう何年間も消えずにいる。自律走行、自動化運転、無人運転、自動運転といった用語が、この10年間、入れ替わり立ち替わり使われてきた。復活して人気を得ることなく、時とともに消えていった用語もある。「完全自律走行」は、ごく最近になって自律走行言語学に加わった新語だ。当のWaymoも、自動運転という言い方を止めると発表したブログ記事の中で、状況に応じて「自律走行」と「完全自律走行」を使い分けている。

「自動運転」という用語は、自律走行車技術を開発し商品化しようとする企業にとっては頼もしい存在だ。Argo AI(アーゴエーアイ)、Aurora(オーロラ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Nuro(ニューロ)、Voyage(ボイエージ)といった同業界の他主要メーカーは、彼らの取り組みを各ウェブサイトで「自動運転」と称している。Zoox(ズークス)は、自律走行配車サービスを自称するはみ出し者だ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Waymo自動運転

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(翻訳:金井哲夫)

バーチャル美容アプリYouCam MakeupのPerfect Corpが52億円調達

化粧品への出費は、普段なら経済危機も乗り越えるものだが、新型コロナウイルスのパンデミックで事情は変わった(The Guardian記事)。ステイホーム命令とマスクのお陰で、化粧をしたいという人々の欲求が低下してしまったからだ。これが小売業者のオンライン戦略を加速させ、店頭サンプルを使わずに客の関心を惹く新しい方法が求められるようになった。そこで、Perfect Corp(パーフェクト)などが開発する化粧品の仮想お試し技術が、デジタル化における重要は役割を担うことになる。同社は米国時間1月6日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)主導によるシリーズC投資5000万ドル(約52億円)を調達したことを発表した。

台湾の新平市を拠点とし、CEOのAlice Chang(アリス・チャン)氏が率いるPerfect Corpは、消費者の間では、その美容アプリYouCam Makeup(ユーキャム・メイクアップ)で最もよく知られている企業だろう。アプリでは、300を超える世界の化粧品ブランドの仮想サンプルの「お試し」が可能だ。そこには、Estée Lauder(エスティローダー)やL’Oréal Paris(ロレアルパリ)といった美容コングロマリットが所有するブランドも含まれる。2014年にローンチされたYouCam Makeupは、現在、月間アクティブユーザー数が4000万人から5000万人を数え、自撮り画像の拡張現実(AR)化から、美容インフルエンサーによるライブ配信やチュートリアル、ソーシャル機能、さらに肌の状態を評価する「スキンスコア」機能などを搭載するまでに成長した。

Perfect Corpの技術は店頭販売、eコマース、ソーシャルメディアツールにも活かされている。たとえば2020年12月にローンチされた、Google(グーグル)検索のための拡張現実を利用した新しいお試しツールの開発にも、この技術が役立てられている(以前はユーチューバーの化粧品お試し機能にも使われていた)。また同社は、Snapchat(スナップチャット)に化粧品お試し機能を統合する目的でSnap(スナップ)との共同開発も行っていた。

今回の資金調達により、Perfect Corpの調達総額は1億3000万ドル(約134億円)となった。それ以前に発表された資金調達に、2017年10月のシリーズA投資2500万ドル(約2億5800万円)がある。新たなシリーズC投資による資金は、多様な販売チャンネルのための技術開発の推進と、海外拠点の拡大に使われる(現在は11の都市で事業展開中)。

記者発表で、Goldman Sachsマーチャントバンキング担当責任者のXinyi Feng(フェン・ジンイ)氏は「人口知能、機械学習、拡張現実を通してテクノロジーを美容業界に統合することで、デジタル販売チャンネルの増大、パーソナライズの拡大、消費者のエンゲージメントの深化など、多大な可能性が開放されます」と述べている。

またPerfect Corpは、多様性のある国際的起業家を支援しようとGoldman Sachsが行っている5億ドル(約515億円)規模の投資活動であるLaunch with GS(ローンチ・ウィズ・GS)に参加する予定だ。

同社は、顔のランドマーク検出技術を利用している。化粧品のお試しがリアルに見えるよう、ユーザーの顔の上に「3Dメッシュ」を生成するというものだ。プライバシーの面では、最高戦略責任者Louis Chen(ルイス・チェン)氏がTechCrunchに話したところによると、写真や生体情報を含む個人情報は一切保存されず、すべての演算処理はユーザーのスマートフォン内で行われるという。

Perfect Corpの顧客の大多数、およそ90パーセントが、化粧品とスキンケアのブランドだ。残りは、ヘアケア、毛染め、アクセサリーのブランドとなる。Perfect Corpの技術が目指すのは、店頭で化粧品を試したときの体験をリアルに再現することだとチェン氏はいう。たとえばユーザーが口紅をバーチャルで塗ると、自分の唇に色がついて見えるだけでなく、マット、グロス、シマー、メタリックといったテクスチャーもわかる(同社が現在提供している口紅のテクスチャーは11種類あり、業界最多だとチェン氏は話す)。

パンデミックで化粧品の売上げは下がったが、反対にスキンケアは伸びた。NPDグループの2020年9月の報告には、米国人女性は2019年と比べて、より多くの種類の製品を購入し、より頻繁に使用ていることが示されている。各ブランドがその傾向を活かせるよう、Perfect Corpは先日、AI Skin Diagnostic solution(AI肌診断ソリューション)というツールをローンチした。同社によれば、これは皮膚科医の検証を受けて水分、シワ、目の下のクマなど、8つの指標で顔の皮膚の状態を評価するというものだ。このツールは、スキンケア製品ブランドのウェブサイトで使用でき、ユーザーに合った製品を教えてもらえる。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック以前、YouCam Makeupと同社の拡張現実お試しツールは、主に自撮り写真やフィルターを使い慣れているZ世代の若者を惹きつけていた。だがパンデミックによって、化粧品とスキンケアのブランドは、この技術の導入をすべての顧客に向けて加速せざるを得なくなった。美容業界における新型コロナウイルスの影響に関するMcKinsey(マッキンゼー)の報告書には、こう記されている。「安全と衛生への不安により、製品のテストと相談員の直接対応が基本的に不可能となった現在、テスト、発見、カスタマイズのための人工知能の利用を加速させる必要がある」。

「ブランドの地理的条件にもよりますが、過去において、事業のおそらくわずか10%、20%に満たない程度が消費者への直販でした。残りの80%は小売流通業者や提携流通業者を通じてのものです。そのネットワークはすでに2020年のうちに構築されています」とチェン氏。しかし、美容品メーカーは、現在、特にeコマースへの投資を強めており、Perfect Corpはその技術をSaaSとして提供することで、そこを活用している。

パンデミックの間、Perfect Corpが同社の製品を応用したもうひとつのかたちに、リモート相談ツールがある。通常はサロンやUltra(ウルトラ)などの店舗で働いている化粧とスキンケアの相談員が、ビデオ通話を利用してユーザーに化粧のやり方を実演して見せるというものだ。

「私たちが現在開発しているものは、どれをとっても単一の技術で構築されるものではありません」とチェン氏。「いまでは必ず動画配信機能が組み合わされています」。これには1対1のチャットに限らない。中国で大人気となり海外にも広がりつつあるライブショッピングや、YouTube(ユーチューブ)やSnapchatに組み込まれているAR技術なども含まれる。

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タグ:Perfect Corp資金調達美容メイクアップ仮想現実台湾

画像クレジット:Perfect Corp.

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(翻訳:金井哲夫)

ソーシャルメディアはクーデター未遂の暴挙を国民がリアルタイムで見ることを可能にした

米国時間1月6日発生した歴史的にしておぞましいトランプ大統領支持の過激派集団によるワシントンD.C.でのクーデターの試みが実況中継された。それも、この一団を組織したのと同じ、ソーシャルメディアを通じてだ。またしてもTwitter(ツイッター)、動画配信サイト、その他のユーザー発信によるメディアが、米国の首都で今何が起きているかを知ることのできる唯一の場となった。同時にそこは、誤情報やプロパガンダが人々を惑わす最適の場所でもある。

1月6日朝、公式動画配信や投稿がこれから起きるであろう不吉な出来事を予告していた。議事堂では、延び延びになっていた選挙人による当選認定手続きが行われていた間、トランプ氏率いる集会が抗議デモに変化した。だが、過激派集団が米国議会議事堂の正面階段に集結た頃には、あちらこちらで彼らと警官隊との間に衝突が発生し、やがてそれは過激派集団がいくつもの連邦政府の建物へ乱入するという全面的な暴動に発展した。両院合同会議が開かれていた議事堂も被害に遭った。

ニュースネットワークも大手メディアも、その後に続いて起きた混乱を双方の側から伝えようと奮闘した。過激派集団が周囲の建物、次に議事堂のロビーそして下院と上院の会議場に押し入るや、ホワイトハウスのプレスルームにいた記者、議員秘書、両院の議員の全員がその場でツイートや動画配信を行い、何が起きているかを伝えた。

大勢の警備員が暴徒から逃げていく様や、暴徒と殴り合う様を何百万もの人たちが目撃した。みな現実の出来事だとは、なかなか信じられなかったはずだ。同時に米国全土から、小規模ながら同様の浸入事件が起きているとの報道がなされた。

Matt Fuller「会議場に押し入ってきた」

その一方で、ソーシャルメディアは重要な情報をリアルタイムで収集する分散型のシステムとしての力(未訳記事)も見せつけた。上院会議場の中にいる人間が、割れた窓から警備員が銃口を向ける中、バリケードで塞がれたドアを破って押し入ろうとする暴徒の写真を投稿するなど、事件の発生現場からの情報を直接受け取れることの重要性に勝るものはない。

議員、秘書、記者たちは、それぞれのオフィスから避難する途中、ライブで状況を投稿していたが、銃撃されないよう床に伏せるよう、また催涙ガスや唐辛子スプレーが使用されたときのためにガスマスクを着用するよう告げられていた。事件をナショナル・モールの記者が伝えたときは漠然としか状況を掴めなかったものが、命の危険に怯える人たちの発信を見るや否や、衝撃的な事実が目の前に実体化された。

だがソーシャルメディアは、暴徒自身が現場から実況配信をしたり、Parler (パーラー)やトランプを支持するReddit(レディット)のクローンなど過激なサイトへ写真投稿を行うことで、このような歴史的犯罪の増幅や一般化を助長する存在にもなっている。暴徒が明らかにインスタ映えを狙って行動していることは、容易に見てとれる。それらの画像や動画は、すなわち連邦犯罪の自白と同義であるにも関わらずだ。

Timothy Burke「おまわりはテロリストと自撮りしてる」

かたやトランプ氏とその陣営は、民主党が「悪意あるレトリック」を用い、選挙関連の根拠のない主張を繰り返していると批判し、暴力を黙認している。

Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏やMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が長年繰り返してきた「真摯に受け止める」という見解に、白人至上主義者やProud Boys(プラウド・ボーイズ)のような自称「民兵」組織、そしてStop the steal(ストップ・ザ・スティール)などの誤情報まとめサイトの活動を鎮める力はまるでない。AIや精鋭モデレーションチームが監視していると常に公言しているにも関わらず、それらのプラットフォームには、いまだに新型コロナウイルスや選挙のセキュリティなどの話題に関連して人を騙したり誤情報を流す輩がいる。

テック業界のリーダーたちは、これら企業への不満を表明しているが、いまに始まったことではない。プラットフォームからの追放はある面では有効とされているが、完全な解決策ではない。たとえば動画配信サイトを立ち上げるためのコストやハードルは低下してきているため、ユーチューバーをYouTube(ユーチューブ)から追放したところで、別のプラットフォームに難なく乗り換えられてお終いだ。フォロワーもそれについていく。

ソーシャルメディアの有効性と危険性は、本日、これ以上ないかたちで示された。政府と暴徒の両方の側からも厚遇される個人情報さえなければ、こんな事件が将来また繰り返されるとはなかろう。

Twitter、Facebook(フェイスブック)、YouTubeは、それぞれ異なる行動を、それぞれ異なる本気度と期間で起こしたが、最悪の事態に厳正な処置を講じる気があるか否かは透けて見える。ツールが足りないこと、または犯罪者たちが独自のTwitter、Facebook、YouTubeを作ってしまったことから、彼らにはもうすでにその能力を失っている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSソーシャルメディア

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

OpenAIのDALL-Eは言葉による指示で「それらしい」画像を作り出す

OpenAI(オープンエーアイ)の奇妙ながら興味が惹かれる最新作はDALL-E(ダリー)だ(OpenAIリリース)。ざっくりいえば「GPT-3の画像版」といったところ。「蝶ネクタイをしたネコ」やら「チュチュを着て犬を散歩させる大根」など、わかりやすい言葉で表現できるものなら何でも、イラスト、写真、レンダリングといったお望みの手法で描き出してくれる。とはいえ、写真素材サービスやイラストの死亡記事を書くのはまだ早い。

例によって、OpenAIの新発明の解説は平易で、技術的になり過ぎるところがない。ただし、少々文脈を整理しながら読む努力は必要だ。

彼らがGPT-3で作り出したものは、お題をもらってそれに応じた内容の話を組み立てるAIだ。たとえば「森の中で魔女に出会った子どもの物語」といえば、それなりの物語を作り出す。もう一度ボタンを押せば、別のかたちで書き直す。それを何度でも繰り返せる。

その試行の中から、良いものが生まれることがある。辻褄が合わない話もあれば、人間が書いたものと見分けがつかないような話もあったりする。だが、まったく意味の通らないものや文法的に間違ったものはないため、いろいろな用途に応用できる可能性がある。現在、数多くのスタートアップや研究者たちが、その利用法を模索中だ。

DALL-E(ダリとウォーリーをかけ合わせた名前)は、それを一歩進めたものだ。文章から画像への変換は、長年にわたりさまざまなAIエージェントで試されてきた。程度の差こそあれ、着実に成功率を高めている。このエージェントの場合は、GPT-3から提供された言語理解と文脈、それに与えられた指示に従ったもっともらしい画像を生成する基本構造を利用している。

OpenAIはこう解説している。

GPT-3は、大規模ニューラルネットワークにさまざまな文章生成タスクの実行を指示する役割を、言語が担えることを証明した。画像GPTは、同じ種類のニューラルネットワークを、高忠実度の画像生成に利用できることを示した。私たちはこの2つの発見を発展させ、言語を用いた視覚的概念の操作がすでに手の届くところにあることを証明しようと考えた。

つまり、この種の画像生成器は、自然で簡単な指示で何をすべきかを伝えるだけで操作できるようになる、と彼らは話しているのだ。もちろん、脳のニューロンに刺激を与えるように、システムの内部を深く探り、色を示すトークンを特定して、その経路を解析して起動し、色を変更するという方法もある。だが、社内のイラストレーターに緑ではなく青系の絵を製作してほしいときには、絶対にそんなことはしない。ただ「緑のクルマ」ではなく「青いクルマで」というだけで済む。

DALL-Eにはそれができる。簡単な指示をよく理解して、大きく間違えることは滅多にない。もっとも、何百何千回と試みた中から最高のものを取り出したとしても、ちょっと……どころかずい分ズレてるといわなければならないが。後になるほどズレてくる。

OpenAIの記事では、同じ内容でも少しだけ違う指示に対してシステムがどう反応するかを、大量のインタラクティブな実例で示している。結果は納得できるものであり、ほぼ上々の仕上がりとなる。だが実は、こうしたシステムには大変に脆い一面がある。DALL-Eもある意味そうだと研究者たちは認めている。たとえば「五角形をした緑の革の財布」と指示をして期待どおりのものが作られることもあれば、「五角形をした青いスエードの財布」になることもあり、研究者は悪夢にうなされる。なぜか?これらのシステムは基本的にブラックボックスであるため、説明は難しい。

画像クレジット:OpenAI

しかし、DALL-Eはそうした変化に驚くほど強い。何を指示しても、かなり近いものを作る安定感がある。ドーナッツ型のワカモレ、シマウマ柄の球、小さな赤い積み木の上に乗った大きな青い積み木、ハッピーなカピバラの正面図、悲しいカピバラの等角図などなど。みなさんもサイトで自由に試すことができる。

またDALL-Eは、予期しないしかし便利な能力も示している。たとえば、まったく同じ(実在しない)ネコのスケッチを何枚も描けという指示を理解するために、直感的な論理を使い、オリジナルを上、スケッチを下に表示した。特別なプログラミングはしていない。「このような能力が生まれるとは予想していませんでした。ニューラルネットワークに変更を加えたり、そうするようトレーニング手順を変えたこともありません」とのこと。素晴らしい。

おもしろいことに、OpenAIのもうひとつの新システムCLIPは、DALL-Eと合わせて使うことで、与えられた画像の理解とランクづけを行っていた。かなり技術的で理解が難しい話なのだが。CLIPの詳細はこちらをどうぞ(OpenAIサイト)。

この能力が示唆するものは、多岐にわたる。OpenAIでは次のように述べているが、あまりに多くて奥が深いので、ここでは触れないでおく。

将来、DALL-Eのようなモデルが、特定の作業手順や職業における経済的影響といった社会問題にどう対処できるか、モデルの出力に偏向がないか、そして長期的にはこの技術が暗示する倫理的課題について分析したいと考えている。

現在は、GPT-3と同様、この技術は驚異でありながら、難し過ぎて、これに関連する明確な将来予測は立てづらい。

もっともこれが生み出す作品の中に、本当の意味で「仕上がった」と感じさせるものはほとんどない。つまり、私が今後書く予定の記事のトップを飾る画像として無修正でそのまま使える作品を作れと、これに命令する気にはなれないということだ。ちょっと見ただけでもAI的キテレツさがぼろぼろ出てくる。ここはJanelle Shane(ジャネル・シェイン)の十八番だが。やがてその粗削りな部分はスッキリ磨かれるようになるだろうが、それでも安心はできない。GPT-3の文章を、編集を一切加えずに人が書いた作品と入れ替えることが不可能であるのと同じだ。

たくさん作らせて、いいものを拾い出すという方法がいいようだ。下の図がそれを示している。

作成総数Xの中から良いものを8つ選んでいる。右に行くほど作成数が増える(画像クレジット:OpenAI)

だがそれは、OpenAIのこの業績を貶めるものではない。飛び抜けておもしろく力強い成果だ。同社の他のプロジェクトと同じく、近いうちに、もっとずば抜けた面白いものに発展することは間違いない。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:OpenAI

画像クレジット:OpenAI

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(翻訳:金井哲夫)

Dellの新型ディスプレイは飛び出すカメラとTeamsボタンでビデオ会議に対応

Dell(デル)の新型ディスプレイは、ビデオ会議に対応したシンプルだが頼りになるソリューションを求める声の高まりに応じるものとなった。スマートな飛び出し式のカメラと、さらにあまりスマートではないTeamsボタンを備えている。この新型ディスプレイにはいくつもの進歩的な機能が盛り込まれているが、それでもオフィスでの使用をしっかり念頭に置いて作られている。

Dellの新しい24インチ、27インチ、34インチのVideo Conferencing Monitor(ビデオカンファレンスモニター)は、大枚を投じることなく、スイッチ1つで簡単に会社をビデオ対応体制にしてくれるソリューションという、多くの企業の願いを叶える目的で作られたことは明白だ。

なかでもおもしろい機能は、上部に取りつけられた飛び出し式のカメラだ。これは世界初というわけではなく(数年前に見たことがある)、Dellにとっても最初ではない。しかしオールインワンシステムとは別のディスプレイ単体製品としては初であり、おそらくこれまでで最高のものだ。

画像クレジット:Dell

カメラは5メガピクセル(1080pをやや上回る、ほぼ3K)という平凡な解像度であるため、光学的に背景をぼかしたいとか、照明をよくしたいと思うなら、自分でカメラをセッティングすべきだ。だが、仕事の通話ならまったく問題ない。使わないときは本体に格納されるため、プライバシーを気にする人にも安心だ。

もう1つ気づきにくいことだが、この方式が好ましい理由として、ディスプレイ本体のベゼルに制限されないという点がある。これなら、高性能なレンズや大きなセンサーを組み込むことも可能だ。私はカメラの詳細情報をDellに求めた。ずば抜けた性能は期待できないが、画面の余白にカメラモジュールを詰め込むよりは、スペースに余裕があるほうがいいに決まっている。

画面の下には、感じのいいフェルトで覆われたスピーカーバーがある。出力は、激しい音楽には向かないが、ビデオ通話の音声をクリアに聞くには十分だ。

そのスピーカーバーの左端にはちょっとおもしろい、実用的かどうかはわからない、いくつかボタンが並んでいる。通話、音量、ミュートの他に、Microsoft(マイクロソフト)のTeamsのためのボタンが目につく。

画像クレジット:Dell

みなさんがどう感じるかわからないが、私には無用の存在だ。その理由は、単にTeamsを使わないからではない。

これは私だけのことかも知れないが、ちょうどいい位置に調整して置いたディスプレイに、音量を変えたりビデオ通話に出たりするたびに、わざわざ手を伸ばして操作するという考え方が好きになれない。よくよく気を遣ってそっと操作しても、その度に画面が揺れる。これらのボタンを使うとしても、特定のブランドのビデオ会議システムのためだけのボタンはほしくない。ビデオ会議プラットフォームは山ほどあるのに、使用を限定されている感じがする。

むしろ、アイスホッケーのパックぐらいなものに、それらのボタンと会話用のモノラルスピーカーとマイクが内蔵されていたなら、そっちに喜んで金を払いたい。ところで、ノイズキャンセリングはソフトウェアに任せておいたほうがいいだろう。大抵のビデオ通話アプリにはノイズキャンセリング機能がある。それと内蔵のノイズ対策機能が干渉し合わないとも限らないからだ。

もちろん、これは間違いなく製品としてもっともシンプルなソリューションだ。またおそらく、マイクロソフトとDellが共同で作り上げたものだ。飛び出すウェブカメラには赤外線カメラも含まれており、つい最近までその存在に気づかなかった顔認証ログイン技術のWindows Hello(ウィンドウズ・ハロー)に対応している。

これは明らかに、Dellとマイクロソフトがすでにそのエコシステムの中にいる企業顧客を意識したものだ。だが、Dellのディスプレイを愛する私からすれば、飛び出すカメラはいいが、サウンドバーとTeamsボタンはいらない。Dellよ、お前の愛はどこに?

この新型ビデオ会議用ディスプレイは2021年2月から発売される。価格は24インチタイプの520ドル(約53000円)から、27インチタイプの720ドル(約7万4000円)、さらに画面が湾曲した34インチタイプの1150ドル(約11万8000円)までとなっている。

関連記事:たった5分で普通のカメラを高画質のウェブカメラとして設定する方法

カテゴリー:ハードウェア
タグ:DellディスプレイCES 2021

画像クレジット:Dell

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(翻訳:金井哲夫)

2021年スマートフォン市場がゆっくり回復するもファーウェイに恩恵なしとTrendForceが予測

陰鬱な年を経て、2021年、世界のスマートフォン市場はゆっくりと回復を始めると、TrendForce(トレンドフォース)は予測する(TrendForceリリース)。しかし、Huawei(ファーウェイ)はその恩恵にあずかることができないどころか、同調査会社が作成した生産台数による世界のスマートフォンメーカー上位6社のリストから脱落するという。

2020年、世界のスマートフォン生産量は前年比で11%低下し、12億5000万台だった。2021年は古い機種の買い換えで新興市場での需要が高まることから、9%増加して13億6000万台になるとTrendForceは見ている。しかし、そんなささやかな回復ですら、経済と現在ほぼ全世界の電子機器業界に生産の遅延をもらしている世界的なチップ不足(Reuters記事)に、パンデミックがこのまま影響をおよぼし続けるか否かによって左右される状況にある。

2020年、生産台数トップ6のブランドは、Samsung(サムスン)、Apple(アップル)、ファーウェイ、Xiaomi(シャオミ)、OPPO(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)だった。だが2021年は、このランキングからファーウェイが脱落し、新トップ6はSamsung、アップル、Xiaomi、OPPO、VivoそしてTranssion(トランシオン)になるとTrendForceは予測した。

この6社は、2021年には世界のスマートフォン市場の80%を占め、ファーウェイは7位に落ち込むと見られている。

ファーウェイ脱落の主な原因は、格安スマートフォンブランドのHonor(オナー)の売却だ。ファーウェイは2020年11月、Honorを企業コンソーシアムに売却し、その部門のサプライチェーンを米国政府の取引制限による打撃から保護する計画があることを認めた。

Honorの独立は、ファーウェイの事業に損害を与えた制裁から同ブランドを守るための対策だ。しかし「新しいHonorがファーウェイの支援なしに消費者の関心を集められるか否かは未知数であり、しかもファーウェイと新しいHonorは、Hoaweiへの米国の制裁が解かれた将来、互いに直接競い合う関係になる」とTrendForceの報告書は伝えている。

Honor売却が発表された直後に公開された前回の報告書では、その取引が、世界的なチップ不足と相まって、2019年には17%、2020年には14%と見積もられていたファーウェイの市場占有率を、2021年にはわずか4%にまで落ち込ませるとTrendForceは予測していた。ファーウェイのハイエンドスマートフォンのシェアの一部はアップルが奪取を目論んでいる。Xiaomi、OPPO、Vivoもその恩恵に浸ろうとしている。独立したてのHonorは、2021年には2%の市場占有率を獲得するとTrendForceは見積もっている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:スマートフォンHuawei中国

画像クレジット:Barcroft Media / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

メディアとスタートアップにおける「黄金の釜」論

週が改まれば、また新しいニュースレターが届く。今週は、近年Politico(ポリティコ)から独立したJake Sherman(ジェイク・シャーマン)氏、Anna Palmer(アンア・パーマー)氏、John Bresnahan(ジョン・ブレスナハン)氏らが執筆する政治問題を中心としたニュースレターPunchbowl(パンチボウル)の話題だ。この件に関しては、Ben Smith(ベン・スミス)氏も記事(NTYimes記事)を書き、さらにThe Daily Beast(デイリー・ビースト)のMaxwell Tani (マックスウェル・タニ)氏もたっぷりと詳細な記事(The Daily Beast記事)を書いている。

なぜ私たちは、Politico Playbook(ポリティコ・プレイブック)、Axios(アクシオス)、The Daily 202(ザ・デイ202)など、ベルトウェイ(訳注:ワシントンD.C.の別称)の政治を分析するニュースレターがすでに数多く存在する中で、さらに新たなニュースレターが必要なのか。実際、なぜ私たちは、スタートアップ企業を紹介するテック系ニュースレターの情報をこれほど大量に必要とするのか(私が数えた限りでは、この業界を対象としたニュースレターは少なくとも数千はある)。なぜメディアの世界では、かつてはもっぱらロングテールのことを伝えるものとされていたニューメディア系スタートアップが、おしなべて同一のニッチ市場ばかりを繰り返し報道するようになったのか。

そこにあるのが黄金の釜だ。メディアは、他の数あるスタートアップ市場とは少し違っている。多様な製品のための永遠の需要があるように見えるが、大きな金が動く需要はほんのひと握りだ。

メディアには、ワシントンD.C.の政治スクープや投資銀行、M&A、ベンチャーキャピタルに関するニュースによって勝者が大量の読者を勝ち取り、おまけにサブスクリプションや広告による大量の収益も獲得できるという、古風で小さなスタートアップの世界がある。ニッチ市場は他にも山ほどあるのだがリーダーシップ、ユーザー、収入源が限られているために疲弊している。

いい換えればそこは、勝者総取りのトーナメント方式の市場であり、高い勝率でそこそこの収益を得るよりも、一攫千金を狙いたくなる場所なのだ。医療の世界では「全員」がガンの治療を目指す。熱帯病の治療はほとんど見向きもされない(治療できれば無数の人たちが恩恵を受けるに違いないのだが)。結局、ノーベル賞が授与されるのは、単に優れた科学ではなく、一定の注目度のある当代で最大の進歩だ。スタートアップ企業の創設者は、最大のビジネスと最大の顧客市場を目指す。市場を席巻することもない、ちょっとした便利なアプリではない。

ユニコーン企業は小さな市場からは生まれない。

もちろんこのモデルは、多くの市場に大きな負の外部性をもたらす。米国会議事堂周辺で、またはサンドヒルロード(訳注:ベンチャー投資会社が建ち並ぶシリコンバレーの道路)沿いで「最初に読まれるニュースレター」となるための競争がもたらすのは、幅広いさまざまな意見からなる選択肢ではなく、まったく同じ問題のまったく同じ分析の過剰な押しつけだ。新しいマーケティングテクノロジーや州議会などの報道は、もっとたくさんあってしかるべきだ。

スタートアップにおいて、たとえばフィンテックの極めて重要なレイヤーへの参入口は無数にある。資産管理のスタートアップや投資信託の自動投資(いわゆるロボアドバイザー)に特化した製品ですでに使われているものは、少なくとも50、いや100はある。それでも中には大儲けできるレイヤーもあるため、分別ある企業創設者は大抵口を揃えてこういう。「この道の先で報酬を手に入れる」と。

自由市場とは、そうしたニッチな分野でうまく回っていくものと思いたい。ワシントンD.C.のメディア界で注目を集めるための、または資産管理業界でユーザーを獲得するための競争においては、極限までコストを下げ、市場のパイをうんと小さく切り分けて、新規参入者には魅力が薄く、他のニッチ市場のほうがもっと大きな勝算があるように見せさえすればよい。

パイがどんどん分割されるようになれば、それが実現する。だがこの10年間の経験から私が思うに、そうなる可能性は低い。ワシントンD.C.の政治は、政治報道にとって黄金の釜だからだ。スクープを勝ち取るのは、3つのニュースレターの中の1つと決まっている。ウォールストリートのM&A情報は、ビジネスジャーナリズムの黄金の釜だ。最も重要な情報源を集中管理するひと握りの記者が、スクープを独占している。ベンチャー投資に関する報道は、スタートアップメディアの黄金の釜だ。TechCrunchと仲良しの競合他社数社が毎日懸命に記事を書いているのはそのためだ。

いつでも新しい市場が生まれ、古い市場は拡大し縮小していく。どこからともなく突然現れて、その独創性とまったく新しい分野を生み出してはまばゆく輝くスタートアップは必ず存在する。しかし、そのようにして誕生したユニコーン企業もみな、既存の大きな市場の中から生まれた他の10社ほどと、勝者だけに贈られる大きな報酬を競い合っている。

投資家が、1つの分野で15のスタートアップに投資したいと考えても何ら悪いことはない。報酬が得られるのだから、少なくとも報酬があると信じる場所であるからそれは道理だ。変革すべきは、他のニッチに、イノベーションのための同様の動機をもたらす方法だ。もっと多くの市場が黄金の釜を提供できるようにするには、どうすればよいのか。そもそも、そんなことが可能なのか。それとも私たちは、McConnell(マコーネル)、Schumer(シューマー)両上院議員の策謀を伝える100本のニュースレターをマコーネル氏の広告つきで読み続ける運命にあるのだろうか。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:コラム

画像クレジット:LEONELLO CALVETTI

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(翻訳:金井哲夫)

iPodの生みの親トニー・ファデルが語るスタートアップの未来はネット接続性と持続可能性

Tony Fadel(トニー・ファデル)氏はテクノロジー界の「次」を考えずにはいられない。

iPodの生みの親と称され、iPhoneを作り上げ、スマートホームの企業Nest(ネスト)を創設したこの人物は引退を決め込んでいたのだが、どうにも引退が性に合わず、新たなベンチャーFuture Shape(フューチャーシェイプ)を創設した。

そして51歳のデザイナー、エンジニアにして投資家の彼は、コアな協力者たちと3年を費やし、公的および非公開の数々の投資を受けつつ、テクノロジーの未来の姿を模索してきた。ファデル氏の挑戦は、自身の個人的興味(彼は腕時計マニアの情報サイトHodinkeeにも出資している)と、彼が思い描く技術革新の次なる波を追いかけることだ。

「私たちは資金提供できるメンターを自称しています」とファデル氏はこの最新の冒険について語っている。その理念は「本当に難しいことをやろうとしているすべての企業の支援」だ。

ファデル氏とその仲間たちは、将来大きな投資分野になると見込んだ本当に難しい事業をいくつか特定した。それには、すべてのものの電動化、あらゆるもののデジタル接続、バイオマニュファクチュアリングの推進、廃棄物の廃絶などがある。

同社の広報担当者によれば、これらのテーマがFuture Shapeのポートフォリオに含まれる200社を超える企業との活動の、すべてではないまでも一部を突き動かしているという。

ファデル氏の取り組みの中でも、あらゆるものをプログラマブルに電動化するというものがよく知られている。この分野には、ファデル氏が大きく期待を寄せる企業がいくつかある。マイクロLEDを製造するRohinni(ロヒンニ)、デジタルモーターを製造するTurntide(ターンタイド)、ミクロ電子工学用のスイッチを製造するMenlo Micro(メンロー・マイクロ)、冷却用半導体チップセットを製造するPhononic(フォノニック)だ。

こうしたテクノロジーはどれもが、機械工学技術がデジタル化されプログラム可能になってきたこの数十年間の進歩の中で、電球のような大きな関心を集めることがなかったものだ。

ファデル氏は、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)に所属していたころから培ってきた製造業界での自身の経験が活かせるFuture Shapeは、これらのテクノロジーを商品化できる独特な立ち位置にあると話す。

「私たちは原子と電子(ソフトウェア)のギャップを埋め、これらのシステムをそこへ適合させます」とファデル氏はいう。

その方針は、ほぼあらゆるものに広がるネット接続性とデジタル化の力を借りた技術開発に当てはまる。

「世界のあらゆる地域に、4Gまたは5Gの接続が拡大します。【略】そして、情報収集ができる安価なセンサーをスマートフォンに搭載し、ソフトウェアやクラウドサービスと統合できるようになります。【略】そこから新しい産業の誕生を可能にするデータが得られるのです」。

低コストのセンサー、バッテリー、電力の普及が拡大すれば、農業から建築までさまざまな新市場に活用可能なデータ収集の機会が増え、金融や保険といったすでにデータ依存度の高い産業が、よりよいサービスを生み出せるようになるとファレル氏は話す。

画像クレジット:Getty Images/Rost-9D

それが、Understory Weather(アンダーストーリー・ウェザー)に同社が投資する理由の1つでもある。気候変動駆動の次世代保険会社とファレル氏が呼ぶ、スマート気象観測所とデータで事業を開始した企業だ。

Future Shapeのポートフォリオには、この他にもファレル氏のバイオマニュファクチュアリングや廃棄物の廃絶に賭ける気持ちを反映した企業がある。Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)の初期投資者でもあるファデル氏は、たとえば代替タンパクを使った代替肉の開発に使われている数々の合成生物学的手法は、代替皮革の製造や現在使われている化学物質に取って代わる新たなバイオプラスティックの開発に発展させることが可能だと考えている。

Future ShapeがMycroWorks(マイクロワークス)に投資したのも、そのためだ。数多くのセレブや業界の支援者も参加して2020年11月にクローズした資金調達では、4000万ドル(約41億円)を集めた。

「バイオマニュファクチュアリングは始まっています。しかも驚異的な速度で始まっています。なぜなら私たちはこの惑星の大きな力、つまり生命を味方に付けているからです」とファレル氏。「市場は、進むべき方向に進めるべきです。そうすれば、みんな追従します。Impossible Foodsがしているように」

さらにファデル氏は、廃棄物の流れに関連するサプライチェーンの見直しという膨大な好機と、循環経済の創造における数多くの好機を見すえている。Sweetgreen(スイートグリーン)に代表されるレストラン産業と、製品のパッケージに革新的なバイオプラスティックを使用する企業がこれに当てはまる。

「もう1つ私たちが注目しているのは廃棄物です。どのように廃棄物を減らし、どのように廃棄物をリサイクルするか。私たちはそこを追究していますが、廃棄物は大きな問題です」とファレル氏は話す。

そこにおける数々のチャンスは、経済研究を行い、企業の二酸化炭素と物質的物理的な副産物の排出に関するライフサイクル分析を実施する企業から成長していく。「地球を掘らずに、廃棄物を採掘する」とファデル氏は、数十億ドル(数千億円)規模の採掘産業に取って代わる可能性を語った。

Future Shapeのポートフォリオに含まれる企業はほとんどがアーリーステージだが、エグジットを果たした企業もいくつかあり、さらに多くの企業がその準備中であるとファデル氏はいう。

「お金のためではありません。私たちは変化のために行っています」とファデル氏。「これを正しく行えば、お金がついて来ます。私の仕事はリミテッドパートナーを説得することではありません。【略】私たちは信念に基づいて活動しているのです」。

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カテゴリー: EnviroTech
タグ:トニー・ファデルFuture Shape持続可能性二酸化炭素

画像クレジット:Getty Images under a Christophe Morin license.

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(翻訳:金井哲夫)

バイデン政権は新たな暗号資産規の法制化でこの世界を変えることができる

米国政府は、フィンテックとブロックチェーンの法制化を怠ってきた。

この4年間、法律の枠組みが皆無であったため、私たちの暗号通貨関連製品の開発と展開という事業は、生死の境をさまよう状態が続いている。フィンテックとブロックチェーンの業界には、個人から大手銀行から政府に至るまで、あらゆる人々が本当に困っている問題を解決する製品の構想や、それを実現する能力を持つイノベーターが控えている。しかし、明確な道が示されない限り、こうした製品は成長できず、その能力を最大限に発揮できるまでに拡大することも叶わない。

法制化は、推理ゲームであってはならない。米証券取引委員会がビットコン(BTC)もイーサリアム(ETH)も安全ではないと宣言した2019年以降、この業界は停滞したままだ。不明朗のままでは、ブロックチェーンによるイノベーションはこの2つの通貨に限定されてしまう。この業界は、そんなに狭いものではない。法律がないままでは、暗号通貨とブロックチェーンが提供できる膨大な可能性は飼い殺し状態が続く。

新政権は、政治スペクトラム全体の議員に、明確な政策と法案を策定する新たなチャンスを提供している。それにより、銀行、フィンテック業界、企業が暗号通貨を保有できるようになり、それを使った効率化と顧客体験の改善が可能になる。

私たちは身近な歴史に学ぶことができる。1991年、Al Gore(アル・ゴア)上院議員が主導する超党派の取り組みにより高性能コンピューターおよび通信法(HPCCA)が可決され、George H.W. Bush(ジョージ・H・W・ブッシュ)大統領の署名により法律として成立した。

この法律が、Amazon(アマゾン)、eBay(イーベイ)、Yahoo(ヤフー)、Google(グーグル)といった企業の躍進に道を拓き、米国を初期のインターネットリーダーに押し上げた。1993年にはウェブブラウザが登場し、その直後の1994年にはドットコム時代が到来。そこで米国はイノベーションの象徴的存在としての地位を固めた。

ブラウザはあらゆるものを変えた。新たな雇用、新しい経済的好機、新しい技術分野を生み出した。これらは、30年前には想像もつかなかったものだ。1991年の「Fortune 500」のトップ100の企業を見ると、テック企業はほとんどレーダーに映らず、IBMだけが唯一のテック企業として入っていた。2020年までの間にその景色は劇的に変化し、トップ100リストは、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)、Alphabet(アルファベット)、Facebook(フェイスブック)、Salesforce(セールスフォース)などのテック企業が独占するようになった。

トップ100に数えられたテック企業は、300万件に迫る雇用の創出に貢献し、その多くが市場の価値を高めている。2020年は前代未聞の年であったにも関わらず、DoorDash(ドアダッシュ)、Snowflake(スノーフレーク)、Asana(アサナ)、Palantir(パランティア)のように、テック企業の順調なIPOも続いている。

Google、iPhone、Uber、Salesforce、Spotify、Postmatesなどの製品やサービスはごく当たり前のものとなったが、多くはHPCCAのお陰で実現している。そして今、私たちは、暗号通貨によるイノベーションを目指す超党派の取り組みが生まれるチャンスを目の当たりにしている。公共と民間の支援を得て、明確な法律の枠組みを作ろうというものだ。法律があれば、イノベーターは新製品が作りやすくなり、他国に対する米国の競争力が維持され、さらなる投資を呼び込むことが可能になる。

仮想通貨とブロックチェーンの導入事例が増えていることには議論の余地がない。Paypal(ペイパル)、Square(スクエア)、Robinhood(ロビンフッド)などの大手企業は仮想通貨に力を入れ、それをメインストリームに押し上げようとしている。これらのブランドによって有効性が実証されたなら、暗号通貨の利便性と暗号通貨による企業と顧客に向た優れたけサービスへの興味は、さらに増してゆくだろう。

Ripple(リップル)、Coinbase(コインベース)、Gemini(ジェミニ)、DCG、Chainalysis(チェイナリシス)といった主要暗号通貨企業は、現在米国に本拠地を置いている。ところが、法規が曖昧であるために、これらの新進企業家たちは米国でのイノベーションを起こせずにいる。一方、他の国々は法制化の枠組みを明確化する動きを見せている。起業家や企業が、そうした明確な法律のある地域を選び、米国での新たな店舗開設を思い留まってしまうことにもなりかねない。

プレイしているゲームのルールがわかれば、私たちは最良のプレイ、つまりイノベーションを継続できる。今はまだ始まったばかりだ。開発者はオープンソースのテクノロジーを元に製品を開発できる。起業家は新しい企業を立ち上げて製品を作ることができる。そして投資家はそうした企業に投資できる。

私たちには、この米国で創設され成長する、最高の暗号通貨企業とブロックチェーン企業を欲している。そこから米国国民のための価値と好機が生み出される。インターネットの黎明期と同じだ。5年後10年後にこの産業がどんな姿になるかはわからないが、柔軟な枠組みがあれば、可能性は計り知れない。

バイデン政権には、新しい政策と新しい法律の策定を刺激し、今後幾世代にもわたってフィンテックと暗号通貨のイノベーションを加速させる明確な指針を打ち出せる大きなチャンスがある。バイデン政権には、次のことが期待される。

  • デジタルバンキングのための国の免許制度を作る(シンガポールのデジタルバンキング免許のようなもの)。これによりフィンテック企業の暗号通貨の導入、貸し付け、支払いの認可が円滑化される。現在の米国企業は州ごとに免許を取得しなければならず、そのための法務関係の経費は数百万ドル(数億円)にのぼり、何年もの時間が費やされる。
  • デジタル資産、デリバティブ(スマートコントラクトを使用)、ステーブルコインの明確な分類を定義する。
  • 超党派の公共および民間セクターのグループを作る。ここでは、テクノロジーに精通したAndrew Yang(アンドリュー・ヤング)氏のようなリーダーが指揮を執り、HPCCAがインターネット企業に貢献したように、フィンテック企業に資する象徴的な法案を共同で策定する。
  • 米証券取引委員会の議長に、顧客と市場を守りつつ、本当に進歩したイノベーションを起こす方法を理解した人物を据える。私たちが証券取引委員会から聞かされてきたイノベーションに関するリップサービスは、単なるリップサービスでしかなかった。現在の証券取引委員会が関与した暗号通貨プロジェクトは、すべてが破産に追い込まれるか、役に立たないトークンを抱えて放置されるなどして、米国から逃げていってしまった。

政治家や規制当局が、私たちの業界が直面している問題をどう扱うかは別として、私たちは、フィンテックを利用する人たちの数を確実に急速に増やし、ブロックチェーン製品が消費者と市場を適切に保護しつつ、継続的に最上級のソリューションを得られるよう、政府との協力を続けなければならない。

そのテクノロジーが、今ここにあることは確かだ。議員たちが、それに巨大な金融業界の発展を促すパワーがあることを理解してくれるよう期待する。HPCCAと同じく、懸命な法律が、私たちの顧客と市場の両方を守ると同時に、誇りある米国企業による世の中を一変させてしまうようなイノベーションを可能にする。

【編集部注】著者のAsheesh Birla(アシシュ・バーラ)はRipple(リップル)のRippleNetジェネラルマネージャー。

カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産ジョー・バイデンアメリカ

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(翻訳:金井哲夫)

DeepMindのAI「MuZero」はルールを教わらなくても独学でゲームをマスターする

DeepMind(ディープマインド)は、AIがゲームの達人になれることに加え、ルールを教わらなくても強くなれることを証明するという目標を立てていたが、最新のAIエージェントMuZero(ミューゼロ)は、見た目はシンプルながら戦略が複雑な囲碁、チェス、将棋といったゲームで達成しただけでなく、見た目に複雑なAtari(アタリ)のゲームでもそれを実証した。

DeepMindの初期のAIの成功例は、少なくとも、有望な次の一手を示す膨大な決定木の中を、非常に効率的にナビゲートできるという一面が功を奏していた。囲碁やチェスでの決定木は、駒の動かし方や、この手を打つと次に何がどうなるかといった、非常に厳格な法則によって規定されている。

囲碁の世界チャンピオンを下したAIのAlphaGo(アルファゴ)は、ゲームのルールを理解し、しっかり頭に(というかメモリーに)刻みつつ、人同士の対局や人と自身との対局を研究して、最良の手や戦略を編みだしていた。その後継者であるAiphaGo Zero(アルファゴ・ゼロ)は、人間のデータは使わず、自己対局だけでそれをやってのけた。AiphaZero(アルファゼロ)は、2018年にそれと同じことを囲碁、チェス、将棋でも行い、単一でこれらすべてのゲームに熟達したAIモデルとなった。

しかしこれらのケースは、あらかじめAIにゲームの明確で不動のルールを教え込み、ルールに基づくフレームワークを構築して、そこから戦略を組み立てている。こう考えてほしい。ポーンはクイーンに成れることを教わっていれば、最初からそれを想定した計画を立てることができる。しかし、自分でそれを発見しなければならないとなれば、戦略はまったく違ったものになる。

この表から、それぞれのモデルがどのように基礎知識を獲得したかがわかる(画像クレジット:DeepMind)

この最新研究に関する同社のブログ記事にも書かれているが、AIに事前にルールを教えてしまうと、「複雑すぎて単純な法則に落とし込めない現実世界の雑多な問題に対応できなくなる」という。

だが、同社の最新型であるMuZeroは、前述のゲームがプレイできる上に、Atariのいろいろゲームもプレイできる。もちろん、ルールの説明書は一切与えられずにだ。この最新モデルは、Atariのゲームを、ごく基本的なルールすら教わることなく、どれも自分自身の体験(人のデータは使用しない)からプレイ方法を学ぶ。

ルールから最良のシナリオを描き出す代わりに(なぜなら不可能だからだ)、MuZeroはゲーム環境のあらゆる側面を取り上げ、観察して、それが重要か否かを判別する。何百万ものゲームを通して、それはルールの他にも、ポジションの総合的な価値、先へ進む際の基本方針、自身の行動の評価方法などを後から学ぶ。

特に自身の行動の評価能力は、自身の失敗から学ぶようになっている。前に戻り、別のアプローチでやり直してみることで、ポジションや方針の評価能力を磨いていく。

DeepMindが開発したAtariの57本のゲームに優れたモデルAgent57(エージェント57)を覚えておいでだろうか。MuZeroはそのAIの最大の利点を受け継ぎ、AlphaZeroの最も優れた部分と合体させた。MuZeroは、ゲーム環境全体をモデル化せず、意志決定に影響をおよぼす部分にだけ集中するという点で、そしてAlphaGoから受け継いだ、純粋に自身の試行と現場で得た知識だけに依存したルールのモデル化に立脚しているという点で、以前のものとは違っている。

ゲームの世界を理解することで、MuZeroは、Atariのゲームの多くがそうであるように、部分的にランダムで見た目に複雑な世界であったとしても、効率的に行動計画が立てられるようになる。そしてそれがAIを、あらゆる詳細事項を事前に教えられなくとも周囲の世界を理解し、安全に知的に現実世界と関わりが持てる存在へと導く(とはいえ、「人を傷つけてはいけない」などいくつかのルールは厳格に教えておく必要はあるが)。研究者の1人がBBCに語ったところによると、チームは現在、MuZeroがビデオ圧縮を改善できるかを見極める実験に着手しているという。明らかに、「Ms. Pac-Man(ミズ・パックマン)」とはまったく違う課題だ。

MuZeroの詳細は、12月23日にNature誌で発表されている

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:DeepMindゲームAtari

画像クレジット:DeepMind

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(翻訳:金井哲夫)

中国のオンデマンド物流企業LalamoveがシリーズE投資533億円を調達

オンデマンド物流企業Lalamove(ララムーブ、啦啦快送)は、シリーズE投資5億1500万ドル(約533億円)を調達し、中国国内のさらに多くの小規模都市にネットワークを拡大すると同社サイトで発表した。このラウンドはSequoia Capital Chinaが主導し、Hillhouse CapitalとShunwei Capitalが参加している。これら3社は、いずれも以前からの投資者だ。

Crunchbaseのデータによれば、これによりLalamoveの調達額は総額で9億7650万ドル(約1010億円)となった。同社が最初に資金調達の発表を行ったのは2019年2月。このときのシリーズD投資3億ドル(約310億円)で、ユニコーン企業の仲間入りを果たしている。

Bloombergが先週伝えたところによると、Lalamoveは評価額80億ドル(約8280億円)で、少なくとも5億ドル(約517億円)の新規投資ラウンドを目指しているという。これは2019年に調達した額の4倍だ。

地元の街でオンデマンド物流事業を行おうと2013年に設立されたLalamoveは、それ以来、貨物サービス、企業向けロジスティックス、引っ越し事業、車両レンタルへとビジネスを拡大してきた。中国本土の352の都市に加え、本拠地の香港、台湾、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイでも事業を展開している。2020年10月に初めて米国へ進出し、現在は月間48万人の実働ドライバーを擁し、月間720万件のアクティブユーザーがある。

今回のシリーズD投資の一部は、インド進出の資金として確保されているが、Lalamoveのアプリはインド政府がサイバーセキュリティー上の懸念があるとして禁止した43のアプリのなかの1つに加えられている。

LalamoveのCEOであるShing Chow(周勝馥、チョウ・シン)氏は、このシリーズE投資を使って中国の4級、5級の都市へ進出すると話している。「中国物流業界のモバイルインターネットへの移行は、まだまだ終わりません」と彼は言い足した。

中国の物流業界で、最近巨額の投資ラウンドの資金調達を果たした企業には、この他にManbang(マンバング)やYTOがある。

Lalamove(中国ではホウララと呼ばれている)の今回のシリーズEラウンドの発表によれば、2020年初め、新型コロナウイルスのパンデミックにより貨物量が93%落ち込んだが強力な回復を見せ、注文量は11月前の段階ですでに前年比82%を記録したということだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Lalamove物流中国

画像クレジット:Lalamove

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(翻訳:金井哲夫)

ネット上の怪しい活動を検知したTaskRabbitがユーザーのパスワードをリセット

TaskRabbit(タスクラビット)は、ネットワーク上の「怪しい活動」を検知し確認したとして、無数の顧客のパスワードをリセットした。

IKEA(イケア)が所有するオンデマンドの家事代行マッチングマーケットプレイスであるTaskRabbitは、十分な注意を払いつつユーザーのパスワードをリセットし、「ユーザーアカウントへの不正アクセスを防止する対策を講じた」と、TaskRabbitの広報担当者はTechCrunchに話した。

同社は後に、それがクレデンシャルスタッフィング攻撃であったことを認めた。これは、漏洩によって入手したユーザー名やパスワードを使い、別のウェブサイトのアクセスを試みるという攻撃だ。

「私たちは十分な注意を払って行動し、多くのTaskRabittアカウントのパスワードをリセットしました。これには、2020年5月1日からログインしていないすべてのユーザーと、そのほとんどがユーザーによる通常の利用ではあったものの、攻撃の最中にログインしていたすべてのユーザーが含まれます」と広報担当者は述べた。

「TaskRabbitコミュニティの安全とセキュリティが最優先であることに、変わりはありません。今後もユーザーの個人情報を守るために警戒は怠りません」と広報担当者はいう。

TaskRabbitの利用者は、具体的な理由は明かさず「セキュリティ上の予防措置」としてパスワード変更を行ったとだけ書かれた漠然とした電子メールで、この件を知らされた。TechCrunchは、このメールが本物であることを確認している。

TaskRabbitの利用者に送られたパスワードのリセットを伝えるメール(画像クレジット:Sarah Perez/TechCrunch)

利用者情報やアカウント情報の漏洩によって、個人情報が盗まれたり不正アクセスされるというセキュリティ上の問題が生じた際に、企業がパスワードのリセットを行うのは珍しいことではない。

2019年、アパレル系のオンラインマーケットプレイスStockX(ストックエックス)は、当初「システム更新」のためのとして利用者のパスワードをリセットしたが、実はネットワーク上の怪しい活動を発見した(未訳記事)後の行動だったことを認めている。数日後、あるハッカーが、680万件のStockXのアカウント記録(未訳記事)が同社のサーバーから盗まれていたとTechCrunchに教えてくれた。

TaskRabbitのフリーランスを対象とした労働力マーケットプレイスは2008年に創設され、条件の交渉ができる仕事やお使いのオークション型プラットフォーム(未訳記事)から、利用者と請け負い業者とをマッチングさせる、より成熟した利用者ごとに対応したマーケットプレイスに成長した。やがてそれはIKEAの目に留まり、TaskRabbitがストラテジックバイヤーの市場で買い手を探し始めた2017年9月、IKEAは同社を買収した。

しかし買収後1年目に、TaskRabbitは「サイバーセキュリティ事故」のためにウェブサイトとアプリを閉鎖する事態(未訳記事)に追い込まれた。同社は、システム攻撃で不正アクセスされたと後に公表(未訳記事)している。TaskRabbitの当時のCEO、Stacy Brown-Philpot(ステイシー・ブラウン・フィルポット)氏によれば、同社は、攻撃によってどの顧客情報が危険にさらさたかを特定するために外部の犯罪捜査チームと契約し、ユーザーと仕事の提供者の双方に対して、アカウントが怪しい活動に狙われていないか監視を続けるよう警告を発したという。

同社は攻撃の後、数々の新しいセキュリティ対策を導入し、それによりログイン時の安全性がさらに強化されると話している。また、仕事を依頼する側と受ける側の双方のデータのうち、保管されるものの量を減らし、さらに「ネットワークのサイバー犯罪の検知技術を全体的に強化する」とも話していた。

ブラウン・フィルポット氏は、2020年の初めにTaskRabbitを去り(未訳記事)、以来CEOは、元Airbnb(エアービーエヌビー)とUber Eats(ウーバー・イーツ)のAnia Smith(アニア・スミス)氏が務めている(PR Newswire記事)。

関連記事:Ikea、便利屋サービスのTaskRabbitを買収

カテゴリー:セキュリティ
タグ:TaskRabbitサイバー攻撃データ漏洩

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

民間による商用有人宇宙活動は思いのほか早く実現する

「宇宙で働く」という話を聞いたとき、SFの話をしているのだと感じたとしても無理はない。だが、地球の大気圏外で実際に働く人の数は、また人生の多くの時間を宇宙で過ごす人の数も、加速度的な割合で増え始めている。今はまだ人数がとても少ないので増加速度はゆっくりに感じられるが、間もなく目に見えてくるはずだ。人数を急速に増やすための計画も準備が整っている。

近々、これを中心的に牽引することになる企業は、宇宙ステーションでの民間向けサービスを提供し、ゆくゆくはステーションの運営も行おうというAxiom Space(アクシオム・スペース)だ。Axiomは、国際宇宙ステーション(ISS)での経験や専門知識を持つ人たちによって設立され、経営されている。同社はすでに、民間クライアントのためにISS上でNASAの宇宙飛行士の手を借りた研究開発ミッションを実施している。2021年からは、民間宇宙飛行士のISSへの送り迎え全般を取り仕切る計画を立てており、新しい商用宇宙ステーションの建造計画もある。これは、いずれISSが引退した後に、その役割を引き継ぐことになっている。

Axiomの最高ビジネス責任者Amir Blachman(アミア・ブラックマン)氏は、先週開催されたTC Sessions:Spaceのパネルディスカッションに登壇した。このディスカッションには、他にもNASAの探査およびミッション計画責任者のNujoud Merancy(ニュジャウド・メランシー)氏、Sierra Nevada Corporation(シエラネバダ・コーポレーション)上級副社長であり元宇宙飛行士のJanet Kavandi(ジャネット・カバンディ)氏、Space Exploration Architecture(スペース・エクスプロレーション・アーキテクチャー、SEArch+)共同創設者Melodie Yashar(メロディー・ヤシャー)氏も登場した。ここでは、公共と民間の団体が、地球の外で、または遠く離れて、過ごす時間が長くなる(比較的近い)将来の準備がどれだけ進んでいるかが集中的に議論された。

「今です。もう数年前から今です」とブラックマン氏は、実際に宇宙で暮らす人の数がNASAの宇宙飛行士を超えるのはいつかという質問に答えた。「Axiomは、独自のミッションでISSにクルーを送り込みます。同時に新しい商用宇宙ステーションを建造し、ISSが引退した後にその役割を引き継ぐ予定です。私たちの最初の有人ミッションは、今から12カ月後に予定している4人の宇宙飛行士の打ち上げです。この4人はすでに身体検査を行い、宇宙服の採寸を済ませています。またすでに、打ち上げを行う企業との医療とトレーニングのチームを統合を行いました。この4人は2021年に、別のクルーを2022年に、2023年に2人、2024年には4人を打ち上げ、その後は数を増やしていきます」。

バックマン氏とメランシー氏は、Axiomの将来の商用ステーションにも、NASAの将来の月面基地や月の軌道を巡り月ミッションの足場となるルナゲートウェイにも、自動化とロボットシステムが重要になると話していた。

「ISSは、人が常駐することを基本としています」とメランシー氏。「無人ステーションになることは想定していません。地上の管制官たちが実際にたくさんのオペレーションを行っていますが、ステーションの維持管理は人間が行う仕組みになっています。月の構造物やゲートウェイを計画する際には、そのような贅沢はいえません。ゲートウェイは、人がいるときだけ稼働します。月面基地に人が滞在するのも、次第に長くなりますが、最初は1週間程度です。しかしながら、人がいない間も、有用な科学調査や有用な探索が行える状態を維持しておかなければなりません。そこで、テレロボティクスや地上からのコマンドによる維持管理能力を持たせ、クルーが到着したときに、ハッチを開けて中に入ればすぐに仕事にかかれる環境になっているというのが理想です」。

「火星での、またそれ以前に月面での、そうした住居や重要インフラの建設においては、できる限り自立的に行うべきであり、またそのように考えで進めるべきだという想定の下で、私たちは作業を進めてきました」とヤシャー氏は続けた。「そのため私たちは基本的に、人を送り込む前の予備的ミッションの段階から、建設、材料、採掘、原料加工に至るほぼすべてのシステムと、私たちが目指している他のすべてのシステムが、多かれ少なかれ、できる限り自律的に行われることを期待してデザインしています」。

カバンディ氏も、現代の有人宇宙システムには大幅な自動化を導入すべきという点で、他のパネリストの考えに共鳴していた。それによって複雑性が増さないかとの私の質問に、彼女はむしろ反対の結果をもたらすと答えた。皮肉なようだが、宇宙の有人活動への道を拓くには、人の手をできるだけ減らすことが重要になるということだ。宇宙のインフラの運用と管理においてはなおさらだ。

「技術の進歩は、物事をより単純化する場合もあります」とカバンディ氏。「長年かけて私たちが能力を高めてきた過程で、たとえばコンピューターは、どんどん難しくなるのではなく、より簡単に使えるようになりました。目標は、クルーの拘束時間やクルーの維持管理の手間を削減して、どのようなミッションにおいても、研究やその他宇宙で本来行うべき仕事に専念できるようにすることです。インターフェイスを単純化するほど、自動化率は高まります。クルーは何か問題が起きたときだけ介入すればよくなります。しかし通常は物事が滞りなく進行し、クルーは何もしないで済むというのが理想のかたちです。そうなれば、本来宇宙で行うべき仕事に集中できる自由な時間が増えるのです」。

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画像クレジット:Axiom Space

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(翻訳:金井哲夫)