多数の著名投資家が支援するカーボンオフセットマーケットPachamaが約16億円調達

世界の森林の復元と保全は、大気中の温室効果ガスを減らす最も簡単でコストも安く、シンプルな方法の1つだと長い間考えられてきた。

脱炭素、あるいは事業から排出される炭素の相殺に向けた長い道のりにおいて、簡単な最初のステップを模索している企業にとっては圧倒的に人気の手法だ。しかしこのところ、Bloombergの爆弾のような報道のおかげで、数多くの森林オフセットの効率、妥当性、そして信頼性には疑問の目が向けられてきた。

森林カーボンクレジットのためのマーケットプレイスを構築しているPachama(パチャマ)の財務を投資家が補強することになったというのは、この不確実な背景に反するものだ。このマーケットプレイスについて同社は、衛星画像と機械学習テクノロジーのおかげで透明性があり、検証可能だと話す。

そうした主張は新規ラウンドで1500万ドル(約16億円)をもたらした。共同調達した資金はプロダクト開発とマーケットプレイスの拡大に使われる、と創業者でCEOのDiego Saez Gil(ディエゴ・サエズ・ギル)氏は話した。

わずか1年前に創業されたPachamaは著名な顧客や投資家を獲得してきた。(Amazonがどれくらいマイナスの影響を地球に及ぼしたか考えると)他ならぬJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が、役職を間もなく離れるCEOとして株主に宛てた手紙でPachamaに言及した。南米最大のeコマース企業Mercado Libreは持続可能性に向けた広範な取り組みの一環として80万ドル(約8700万円)のオフセットプロジェクトの管理でPachamaを選んだ。

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AmazonのClimate Pledge Fundは最新ラウンドに出資している。この最新ラウンドはBill Gates(ビル・ゲイツ)氏の投資部門Breakthrough Energy Venturesがリードした。他の投資家にはLowercarbon Capital(Uberへの投資で成功したエンジェル投資家のChris Sacca[クリス・サッカ]氏の気候専門のファンド)、元Uber幹部Ryan Graves(ライアン・グレーブズ)氏のSaltwater、MCJ Collectiveが、そして新規投資家としてTim O’Reilly(ティム・オライリー)氏のOATV、Ram Fhiram(ラム・フィラム)氏、Joe Gebbia(ジョー・ゲビア)氏、Marcos Galperin(マルコス・ガルペリン)氏、NBAスターのManu Ginobili(マヌ・ジノビリ)氏、James Beshara(ジェームズ・ベシャラ)氏、Fabrice Grinda(ファブリス・グリンダ)氏、Sahil Lavignia(サヒール・ラヴィニア)氏、Tomi Pierucci(トミ・ピエルッチ)氏がいる。

これは同社の投資家のフルリストではない。Pachamaの成功の理由はGoogle、Facebook、SpaceX、Tesla、OpenAI、Microsoft、Impossible Foods、Orbital Insightsなどの企業からトップの人材を引きつける能力と併せて、十分に理解された森林オフセットマーケットに気候ミッションを適用していることだ、とサエズ・ギル氏は話した。

「自然の回復は気候変動の最も重要なソリューションの1つです。森林、海洋、その他のエコシステムは膨大な量の二酸化炭素を大気から隔離するだけでなく、多様な生物に重要な生息地を提供し、世界中のコミュニティの暮らしの源です。当社は誠実さ、透明性、そして効率性をもって資金をこうしたエコシステム回復と保全に振り分けられるようにするのに必要なテクノロジーを構築しています」とサエズ・ギル氏は説明した。「我々のミッションを信じ、長期的に成長を喜んで支えようという気持ちを示している、信じられないような投資家のグループからサポートを得ることができ、名誉に思うと同時に興奮しています」。

南米以外の顧客もまたPachamaのオフセットマーケットプレイスへのアクセスを求めている。Microsoft、Shopify、SoftBankも有料の顧客だ。

これはY Combinator、Social Capital、Tobi Lutke、Serena Williams、Aglaé Ventures (LVMHのテック投資部門)、Paul Graham(ポール・グレアム)氏、AirAngels、Global Founders、ThirdKind Ventures、Sweet Capital、Xplorer Capital、Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Tim Schumacher(ティム・シューマッハ)氏、Gustaf Alstromer(グスタフ・アルストロマー)氏、Facundo Garreton(ファクンド・ガレトン)氏、Terrence Rohan(テレンス・ローハン)氏が、Pachamaの2020年の創業以来の調達資金2400万ドル(約26億円)の支援を約束できたもう1つの理由だ。

「Pachamaは大気から二酸化炭素を取り除く自然の潜在能力をフルに引き出すべく取り組んでいます」とBreakthrough Energy VenturesのCarmichael Roberts(カーマイケル・ロバーツ)氏は声明で述べた。「Pachamaのテクノロジーベースのアプローチは、インパクトのあるカーボンニュートラルイニシアチブを認証、モニター、測定するための森林分析に機械学習モデルを使うことで巨大な相乗効果を生み出します。Pachamaのチームが短期間に成し遂げた成果に感銘を受け、彼らのユニークなソリューションをグローバル展開するために協業することを楽しみにしています」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Pachamaカーボンオフセット資金調達二酸化炭素

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

ゲーミフィケーションを活用したコネクテッドローイングマシンのErgattaが約32.8億円を調達

世界が今よりも正常な状態に戻る第一歩を踏み出している中、大きな問いが残っている。我々の日常はこの先も完全に変わっていくのか、ということだ。この問いが最も大きく存在するのはフィットネスだ。家庭用コネクテッドマシンはこの1年で急激に変化したが、ジムが安全に再開したらこの業界はどれほど衰退するのだろうか?

最も可能性の高い答えは、長期的には成長が止まるだろうということだ。しかし投資家たちは今もこの分野に対して、大手となったPeloton、Mirror、Tonal以外にも成長の可能性が大いにあると見ている。ニューヨークに拠点を置くErgattaはこの追い風の恩恵を受けた企業としては最も新しく、米国時間4月28日に3000万ドル(約32億8000万円)のシリーズAを発表した。

このラウンドを主導したのはAdvance Venture Partnersで、Greycroft、Fifth Wall、Gaingels、GGV CapitalのHans Tung(ハンス・タン)氏が参加した。2020年7月に実施した500万ドル(約5億4500万円)のシードラウンドと合わせて、Ergattaの調達金額の合計は3500万ドル(約38億2500万円)となった。Ergattaは、調達した資金で同社プラットフォーム上の新しいコンテンツ、競争機能、ソーシャル機能を開発するとしている。

Ergattaのハードウェアはローイングマシンだ。米国産の桜の木で作られたマシンは、他の多くの家庭用ワークアウト機材よりも確かに温かみがある。工業機械のような大きな機材を寝室に置きたくない人にとっては好ましい。コンテンツはというと、同社のプラットフォームはゲーミフィケーションを活用したエクササイズコンテンツがメインとなっている。Y Combinatorが支援しているアーリーステージのAvironに似たアプローチだ。

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Ergattaの共同創業者でCEOのTom Aulet(トム・オーレット)氏は資金調達に関する報道発表の中で「我々は、インストラクターではなくゲームと競争を活用するデジタルフィットネスコンテンツの新しいパラダイムを構築しています。我々のミッションは、1人ひとりを把握して各自のフィットネスレベルに応じてパーソナライズされた魅力のあるプログラムを作り、ずっと継続できるフィットネスの習慣を推進することで、毎日のフィットネスをメンバーの方々に提供することです」と述べた。

Ergatta Rowerは2200ドル(約24万円)で、他のユーザーとの競争やゴールを目指すワークアウトが表示されるタッチスクリーンを備えている。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Ergatta資金調達フィットネス

画像クレジット:Ergatta

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

国内初のIoT型胎児モニターを製造販売する香川大学発「メロディ・インターナショナル」が1.5億円調達

国内初のIoT型胎児モニターを製造販売する香川大学発「メロディ・インターナショナル」が1.5億円調達

IoT型胎児モニターおよびクラウド周産期遠隔医療プラットフォームにより安心・安全な妊娠・出産環境の実現を目指すメロディ・インターナショナルは4月30日、第三者割当増資による1億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、京都大学イノベーションキャピタル(京都iCAP)を無限責任組合員とするイノベーション京都2021投資事業有限責任組合(KYOTO-iCAP2号ファンド)。

2015年設立のメロディ・インターナショナルは、周産期医療の胎児モニタリングで利用される、国内初のIoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」を開発する香川大学発スタートアップ。

分娩監視装置は、超音波ドップラー技術により胎児心拍を測定する際に妊婦健診・分娩監視で利用されるものの、既存製品は装置が大きく据置型であるため、測定できる場所が限られているという。

また日本では産科施設の減少が進み、定期健診などの通院が妊婦にとって負担となっている。高齢出産の増加もあり、出産のハイリスク化も進んでいる状況でもある。さらに最近では、コロナ禍により妊婦の感染対策が求められている。

そこでメロディ・インターナショナルは、いつでも・どこでも遠隔で胎児モニタリングできるように小型・IoT化したモバイル型装置を開発し、2019年に医療機器として発売した。先に挙げた課題に対して周産期における遠隔医療が解決策のひとつとなっており、同社製品が安心安全な出産の実現に役立つことが期待されているという。

国内初のIoT型胎児モニターを製造販売する香川大学発「メロディ・インターナショナル」が1.5億円調達
iCTGは、胎児の心拍と妊婦さんのお腹の張りを、病院や自宅などで測定できるデバイス。iCTGを妊婦のお腹にセンサーをあて計測すると、Bluetooth接続でスマートフォンやタブレットのアプリケーション内に結果が表示され、医師が診断に活用できる。

国内初のIoT型胎児モニターを製造販売する香川大学発「メロディ・インターナショナル」が1.5億円調達

また周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i」(メロディ・アイ)は、妊婦さんが計測した結果をかかりつけ医師に送信でき、遠隔で医師から受診推奨などアドバイスを得られるコミュニケーションプラットフォーム。妊婦さんと医師との連携だけでなく、クリニックからNICUのある中核病院へのデータ連携も行える。

国内初のIoT型胎児モニターを製造販売する香川大学発「メロディ・インターナショナル」が1.5億円調達

京都iCAPは、iCTGおよびMelody iの将来性を高く評価し新規投資を実行したとしている。また同投資は、京都大学以外の国立大学発ベンチャーも支援可能となったKYOTO-iCAP 2号ファンドによる、京都大学以外の国立大学発ベンチャー企業への初めての投資案件という。

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カテゴリー:フェムテック
タグ:IoT(用語)遠隔医療(用語)香川大学(組織)資金調達(用語)出産妊娠(用語)メロディ・インターナショナル日本(国・地域)

割り勘アプリのSplitwiseがシリーズAで約22億円を調達

米国ロードアイランド州プロビデンスを拠点とするスタートアップのSplitwise(スプリットワイズ)が米国時間4月28日、2000万ドル(約22億円)のシリーズAをクローズしたと発表した。

同社は、ユーザーが支払いを割り勘にできる消費者向けフィンテックソフトウェアを開発している。ただし、SplitwiseはVenmoやPaytmのクローンではない。同社はユーザーの友人への送金は支援しない。送金は他社に任せる。Splitwiseは、お金があらゆる種類の人間関係に与えるストレスと煩雑さを軽減したいだけだ、とCEOのJon Bittner(ジョン・ビットナー)氏はTechCrunchにインタビューで語った。

ルームメイト、パートナー、財布を別にしている夫婦、スキー旅行に行く友人同士などはみな、支払いをどう負担するかを考える必要がある。支払いを求めて友達、配偶者、ルームメイトを追いかけ回すのはまったく楽しいことではない。Splitwiseのソフトウェアを使えば、共通の支払いに関する合意と管理が容易になる。このアプリは、そうした支払いをオープンにし、誰が誰に支払うべきかを明らかにすることで支払われるべき金額を明確し、お金に関するトラブルを避けることを目指す。

その製品コンセプトは世界中から聴衆を集めた。ビットナー氏によると、同社は2011年以来、数千万人の登録ユーザーを惹きつけた。金額にして900億ドル(約9兆8000万円)が割り勘にされ、または管理されたという。同社はアクティブユーザー数の開示を拒否した。シリーズAで資金を調達したにすぎないため、より具体的なユーザー数に関する指標はアーリーステージではパスしても良いだろう。

Splitwiseはユーザー間での送金を他社に任せているため、取引手数料や消費者から預る資金で利益を得ることはない。ではどのようにキャッシュを生むのか。Proサービスでユーザーに月額3ドル(約330円)を請求する。簡単に言えば、Splitwiseはもっとパワフルな割り勘ソフトウェアを必要とするユーザーに消費者向けサブスクリプションを提供する。

Splitwiseのサブスクユーザー層の厚みがどの程度なのかを示す指標は手元にないが、ビットナー氏は、同社の無料ユーザー層が拡大したため、同社の無料から有料へのコンバージョンレートは低下していないという。ただし、Insight Partnersが同社への2000万ドル(約22億円)の投資を進んでリードしたため、有料ユーザー層は少なくともそれなりのレベルで成長しているものと推測される。

シリーズAの前に、ビットナー氏はTechCrunchに対し、同社は約900万ドル(約9億8000万円)を調達したと語った。

Splitwiseは長い間オーガニックに成長してきた。新規ユーザーの獲得に資金を投下せずに済んできたため、コストを低く抑えることができた。つまり、他の消費者向けフィンテック企業と同じ速度でベンチャーキャピタルから資金をを調達する必要がなかったわけだ。だが、資金調達を最小限に抑えてきたため、経営資源を何に割り当てるべきかについて、いくらか注意を払う必要があった。

CEOは、新しい資本により同社は製品開発のペースを上げることができると語った。

ただし、有料版でのみ使える機能の作成に資金がすべて注ぎ込まれるとは思わないで欲しい。SplitwiseはTechCrunchに対し、友達をサービスへ招待したいと思わせるのに十分な無料体験を望んでおり、過度に押し付けがましいデジタルの商業環境にユーザーを引っ張り込むリスクは冒したくないと明らかにした。

Insight PartnersのBoris Treskunov(ボリス・トレスクノフ)氏は声明で「このアプリが友人や家族の間で簡単に支払いを分割するための頼れるプラットフォームになるのを目の当たりにしてうれしく思っています」と述べた。他の投資家の考えも一致しているようだ。この種のアプリが広く使われるには、無料のエクスペリエンスが幅広く必要だ。これはつまり、同社がフリーミアム製品の無料の側面に資金を費やすことを意味する。

Splitwiseはおそらくプロビデンスで最も有名なスタートアップだが、最近Y Combinatorを卒業したPangeaも資金調達に関して同地域で名を馳せた。とにかく2社は、スタートアップの仕事に最もつながりが深い米国の数えるほどの都市の外であっても、成長するテクノロジー企業を築き上げることが可能であることの証左となった。Splitwiseが新しい資本で何ができるか、そして将来の採用の何パーセントが地元のメインハブではなくリモートになるか注目したい。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Splitwise資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

コスパで勝負するクラウドストレージの中堅WasabiがシリーズCで約122億円調達

クラウドストレージでAmazon S3と戦うのは無謀な挑戦のようにも思えるが、Wasabiはストレージの安価な構築方法を見つけて、節約効果を顧客と共有している。米国時間4月29日、ボストン生まれの同社は7億ドル(約761億7000万円)の評価額で1億1200万ドル(約121億9000万円)のシリーズCを発表した。

Fidelity Management & Research Companyがこのラウンドをリードし、これまでの投資家たちも参加した。同社のこれまでの調達総額は2億1900万ドル(約238億3000万円)になる。この他に多少の負債金融もある。ストレージの構築というビジネスは金食い虫だ。

CEOのDavid Friend(デビッド・フレンド)氏によると、投資は、業績が好調なのでそれを維持するためにお金が必要、ということを意味している。「事業は爆発的に成長している。このラウンドでは7億ドルの評価額を達成したため、好調であるとご想像いただけるでしょう。過去3年間では、各年に3倍増を達成し、2021年は計画値を超えそうです」とフレンド氏はいう。

フレンド氏によると需要はずっと堅調で、さまざまな国からリクエストがあるという。今回の増資も、それが1番の理由だ。データの属国性を求める一連の法律が、財務やヘルスケア関連の機密データを国内で保存することを要請しているため、企業は容量を増やす必要があるとのことだ。

企業はストレージを分散ではなく、いくつかのコロケーション施設内に固定するようになったとフレンド氏はいう。パンデミックの間に、彼らは業者を雇いハードウェアをオンサイトにまとめ、効率を上げているとのこと。彼らはまた、マネージドサービスプロバイダー(MSP)や付加価値リセラー(VARs)などのチャネルパートナーたちに、顧客にWasabiを販売するよう奨励している。

Wasabiのストレージは1テラバイトあたり月額5.99ドル(約651.7円)からとなっており、Amazon S3よりずっと安い。S3は、最初の50テラバイトまでが1Gバイトあたり0.023ドル(約2.5円)であるためら、1テラバイトあたり23ドル(約2502.5円)になる。Wasabiより相当高い。

しかしフレンド氏は、Wasabiは今でもスタートアップであるため向かい風がきついという。どれだけ安くても企業は自分のデータがいつまでもそこにあることを求めるため、信頼性のイメージで負けることもある。今回のラウンドで名門のFidelityが幹事会社になってくれたことは、ベンチャーキャピタル企業からの業務改善要求が特になくても、大企業の顧客が同社の信頼性イメージを高めることに貢献するだろう。

「私にとってFidelityは理想的な投資家です。彼らは取締役の席を欲しがらない。会社の経営について、あれこれ言わない。彼らがIPOなどを求めていることは当然ですが、彼らの関心はこのビジネスに投資することにあります。なぜならクラウドストレージは事実上、無限大の市場機会だからです」とフレンド氏はいう。

彼によると、同社は典型的なマーケット刺激剤だという。同社は同業他社から見れば業界の外れ者であり、超巨大のストレージ企業から見れば箸にもかからぬ小物だとフレンド氏はいう。IPOは遠い未来かもしれないが、機関投資家がこんなに早く関心を示したのは、いずれIPOがあると信じているからだ。

フレンド氏は次のように述べている。「私たちが今いるマーケットは、大きなマーケットです。そこに、正しい技術で正しいタイミングで入れたことは、ラッキーなことです。今後のWasabiが、クラウドインフラストラチャーという業種で、かなり注目される上場企業になることは間違いないでしょう。それは私たちにぴったり合ったニッチであり、そんな私たちが今後成長できない理由はどこにもありません」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Wasabi資金調達クラウドストレージ

画像クレジット:Maxiphoto / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

PayPalと提携したPaxosが暗号資産インフラとサービス拡大で約326億円を調達

Paxos(パクソス)はOak HC/FTがリードしたシリーズDラウンドで3億ドル(約326億円)を調達した。これによりPaxosの評価額は現在、24億ドル(約2612億円)だ。同社は顧客に暗号資産(仮想通貨)プロダクトを提供したい法人顧客のためのインフラ構築とホワイトラベルのサービスを手がけてきた。

中でも、Paxosは暗号資産機能でPayPal(ペイパル)と提携した。2020年10月以来、PayPalの顧客はBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Bitcoin Cash(ビットコインキャッシュ)、Litecoin(ライトコイン)の購入、保持、売却ができる。PayPalの子会社Venmo(ベンモ)はちょうど数日前に同じ暗号資産機能を加えた

関連記事:PayPalが仮想通貨の売買サービスを米国で開始、Paxosと提携

PaxosのシリーズDラウンドにはDeclaration Partners、PayPal Ventures、Mithril Capital、Senator Investment Group、Liberty City Ventures、WestCapが参加した。

Paxosは暗号資産取引や決済、管理、トークン発行能力などさまざまなプロダクトを提供している。専門とする顧客はRevolut、Crédit Suisse、Société Générale、StoneXなど主に大企業だ。

Paxosは可能な限り規則を順守しようとしている。そしていくつかの国や分野の規制に引き続き従うつもりだ。

例えば同社はPaxos National Trust Bankを立ち上げて米国の証券取引委員会の清算機関登録に申し込む計画だ。シンガポールでは、主要決済機関ライセンスに申し込んでいる。この規制関係の取り組みは、安全な暗号資産の機会を求めているより多くの法人顧客との提携を育む。

同社はまた、Paxos Standard (PAX)という自前のステーブルコインも立ち上げた。ステーブルコインはBTCやETHのような暗号資産だ。しかしPAXの価値はUSD(米国ドル)で示される。いつでも1PAXは1USDだ。他の人気のステーブルコインとしてはTetherとUSDCがある。

Paxosはまた、独自ブランドのステーブルコインの発行も可能にしている。例えばBinanceは自社プラットフォームでBUSDを発行するのにPaxosと協業した。想像がつくだろうが、1BUSDの価値は1USDだ。

Paxosは金に支えられたデジタル資産であるPAX Goldでも知られている。Ethereumブロックチェーンで機能する限り効率的であるはずの金ETFの代替だ。

最後にPaxosはitBitという自前の暗号資産取引所を持っている。CoinMarketCapによると、itBitは一握りのものだけを扱う。消費者向けではなく、Paxosの他のプロダクトを動かしている。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Paxos資金調達暗号資産

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドの小規模小売店の運転資金や在庫を支えるElasticRunが約80億円調達

インドの小規模小売12万5000店超が運転資金やトップブランドからの在庫を確保したり、売り上げを伸ばすためのeコマース会社と協業をサポートするスタートアップElasticRunが、現地時間4月28日、世界2番目のインターネットマーケットである同国でさらにリーチを伸ばすために新たに資金調達したと発表した。

インド・プネー拠点のElasticRun(イラスティックラン)は、既存投資家のAvataar VenturesとProsus Venturesが共同でリードしたシリーズDラウンドで7500万ドル(約80億円)を調達したと明らかにした。同じく既存投資家のKalaari Capitalも本ラウンドに参加し、創業4年になるElasticRunがこれまでに調達した資金は累計1億3050万ドル(約140億円)になった。インドの大都市や小都市、町、村に点在し、eコマース大手やスーパーチェーン小売業者と競合するのは難しいことがわかっている何百万もの小規模小売店は、同国における新しい取り組みの中心にある。

多くのeコマース企業、実在店舗チェーン、フィンテックスタートアップが巨大な未開拓の機会に目を向け、こうした家族経営の小規模店と先を争って協業しようとしている。

2019年の会議で事業について話すElasticRunの共同創業者でCEOのSandeep Deshmukh(サンディープ・デシムク)氏

ElasticRunは、在庫確保のために1カ月に数日は大きな街に足を運ばなければならないというのが典型的な小売店経営者が、信頼でき、そして手頃な価格の商品を大手ブランドから直接入手するのをサポートしている(リーチを大きく広げられるため大手ブランドはこのサポートを気に入っている)。

こうした小売店のオーナーはまた、商売が低調なときは特に何もせずに何時間も過ごす。ElasticRunはこの労働力を顧客への配達に有効利用するためにAmazonやFlipkartなどを含む最大のeコマース会社と提携することで、この空き時間問題も解決している(eコマース会社はこの取り組みに価値を見出している。というのも、小規模店はインドでは大きな存在であり、顧客にすばやくアクセスでき、往々にして独自の在庫を持っているからだ)。

Prosus Venturesのインド投資責任者Ashutosh Sharma(アシュトシュ・シャルマ)氏は、ElasticRunが可変容量でクラウドソースの配達モデルを構築したとTechCrunchに語った。このモデルは、配達するのに給料を支払う人の数を固定している他のプレイヤーとElasticRunが異なる点だ。ElasticRunがレールを敷き、数多くの新たな機会が出てきたとシャルマ氏は話した。

そうした機会の1つが、運転資本を小規模小売店に提供することだ。小売店の経営者は多くの場合、貯蓄がなく、在庫を補充する資金を確保するために既存の在庫を売る必要がある。ElasticRunは近年、こうした小売業者にクレジットを提供するために銀行やノンバンク金融会社と提携を結んできた。

ElasticRunは現在インドのほぼ全州の300超の都市で事業を展開している。12万5000店超と協業し、今後18〜24カ月で100万店へと拡大する計画だ、と共同創業者で最高テクノロジー責任者のShitiz Bansal(シティズ・バンサル)氏はTechCrunchとのインタビューで述べた。

ElasticRunの現在のランレートは約3億5000万ドル(約380億円)で、この数字は今後12カ月で10億ドル(約1090億円)に成長する見込みだとバンサル氏は話した。

共同創業者で最高執行責任者のSaurabh Nigam(サウラブ・ニガム)氏は、新たな資金調達で過去5年にわたる同社の成長の「有形便益」に初期の従業員がアクセスできるようにした、と述べた。

カテゴリー:その他
タグ:ElasticRunインド資金調達eコマース小売

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

歯科医療人材をマッチングする「HANOWA」が総額6000万円を調達、ライフスタイルに合った働き方を支援

左から2番目がHANOWAの新井翔平代表

歯科医療人材のシェアリングプラットフォーム「HANOWA」を運営するHANOWAは4月30日、第三者割当増資によりプレシリーズAラウンドで総額6000万円の資金調達を行ったと発表した。調達した資金は開発体制・顧客サポート体制の強化や、マーケティング費用に充てていく。

引受先はANOBAKAと日本スタートアップ支援協会、G-STARTUPファンド、守屋実氏、端羽英子氏、大冨智弘氏、遠藤健治氏、ガゼルキャピタルの他、複数の歯科医師を含む個人投資家となる。

歯科衛生士らと歯科医院をマッチング

滑らかに働き続けることが可能に

歯科衛生士国家試験の合格者に対する免許登録事務などを行う登録歯科医療振興財団によると、歯科衛生士名簿登録者数は約29万人となっている。一方、厚生労働省の調査によると、実際に就業している歯科衛生士は13万人程度しかいない。アクティブ率は5割を切っている状況だ。

結婚や妊娠、出産、育児、介護などを機に、うまく家庭と仕事を両立させることができないでいる『潜在医療従事者』が日本には大勢いるという。歯科医療も含めて医療業界の人材不足は大きな課題となっているのだ。

これらの課題を解決するため、HANOWAを2019年1月に設立した。同社は大阪府大阪市に拠点を構える。同社が2019年12月にローンチしたHANOWAは、自身のライフスタイルに合った働き方をしたい歯科衛生士らと、働き手が欲しい歯科医院をマッチングするプラットフォームとなる。歯科衛生士はHANOWAを通じて、転職するための一歩としても、スキマ時間に単発で働くことも、メインの仕事として週に何度も働くことも可能になるのだ。

歯科衛生士の登録者数は4月30日時点で700人を超えているという。現在は東京都23区と大阪市内でサービスを利用できるが、2021年度中には全国展開を目指している。

HANOWAの新井翔平代表は「歯科医院としては、通常は固定費になる人件費をHANOWAによって変動費にできます。歯科衛生士が就職を希望するのであれば、単発で働いてもらった後にミスマッチのない人材だけを採用できるなどのベネフィットもあります」と話した。

歯科衛生士にもメリットはある。「面接だけでは見えづらい現場も実際に働いて知ることができます。地域のいくつかの歯科医院で実際に働いて自分に合うかを選び、最終的には就職を希望することも可能です。また、常勤勤務というかたちをとらなくても、結婚、妊娠、出産などのライフイベントに合わせて、キャリアを分断せずに滑らかに働き続けることができます」と新井氏は説明した。

HANOWAでは、歯科衛生士のサービス利用料や登録料は無料となる。専用アプリをダウンロードする必要はなく、PCやスマホ経由でブラウザからサービスを使うことができる。

登録後は希望自給や勤務可能な日程、自己PRといった情報をオンライン上に入力していく。地域の歯科医院はそれらの情報から、HANOWAに登録する歯科衛生士にメッセージを送り、実際に勤務可能かすり合わせていく流れだ。もちろん、歯科衛生士から仕事の依頼を行うこともできる。

また、マッチングし終わった歯科医院の院長と歯科衛生士はレビューを交換するようになっており、HANOWAではこのレビューを「アリガトウ」と呼んでいる。

HANOWAに登録している歯科医院で働いた人からのレビューも閲覧でき、安心して働く場所を選べる。歯科衛生士側もHANOWAで働くたびにレビューが積み重なっていくため、自身のキャリアに自信が持てるようになる。新井氏は「今はレビューが多くなるほど、希望自給の提示金額が上がる傾向にあります」という。

なお、マネタイズの部分では月額利用料やマッチング手数料を歯科クリニックから得ている。

看護師や薬剤師へと領域を横展開

新井氏は今後の展望について「歯科領域の人材やシフト管理や労務管理など、アナログな医院経営などをDXしていきます。具体的にはシフト管理SaaSを次に提供することで、我々の登録人材を自動で人材不足の日程に埋め込み、経営者が人材不足について考えなくて済むようなかたちにしていきます。そして歯科業界で蓄えたナレッジを基に、歯科領域と同じスキームで看護師や薬剤師へと領域を横に展開していきます」と語った。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:HANOWA資金調達医療日本マッチングサービス

画像クレジット:HANOWA

実店舗を持たない21世紀のレストランチェーン構築を目指すパリのTasterが約40億円調達

フランスのスタートアップTasterはシリーズBのラウンドで3700万ドル(約40億円)を調達した。資金はOctopus Venture、Battery Ventures、LocalGlobe、HeartCore、楽天、GFC、Founders Futureからのものだ。同社はフードデリバリープラットフォーム上にしか存在しないレストランを、数十店舗運営している。テーブルがないので、予約はできない。

Tasterはこれまで「Bian Dang(台湾料理)」「A Burgers(植物性バーガー)」「Mission Saigon(ベトナム料理)」「Out Fry(韓国料理)」「Stacksando(日本のストリートフード)」という5つのストリートフードにインスパイアされたコンセプトに注力してきた。その後、同社は40の異なる都市で数十のキッチンをオープンし、DeliverooやUber Eatsなどのフードデリバリープラットフォームにキッチンを掲載している。

Tasterは21世紀の新しいレストランチェーンを構築したいと考えている。同社は実店舗を持つレストランをオープンする代わりにフードデリバリーに焦点を当てているが、これは今ブームとなっている分野だ。パリではTasterのレストランは、McDonald’s(マクドナルド)とBurger King(バーガーキング)に次ぐDeliverooの中で第3のレストラングループとなっており、1日あたり5000食以上を提供している。

自前のキッチンを運営してきたTasterは、DeliverooやUber Eatsで注文が少ない既存のレストランと提携したいとも考えている。Tasterは独自のブランドとメニュー、そして技術的なツールを持っている。

TasterはAndroidとiOS向けに独自の配達アプリを開発したが、サードパーティーのプラットフォームでもTasterのレストランを見つけることができる。同スタートアップは車輪を再発明して、食品注文プラットフォームを置き換えることは望んでいない。しかし、エンドユーザーに直接サービスを提供するのは理に適っている。

Tasterのブランドがより身近なものになれば、初日から需要が生まれるはずだ。レストランでは最初の1週間で4000ユーロから6000ユーロ(約53万〜79万円)の収益が期待できる。Tasterはこのパートナーシップモデルにより、2025年までに1000都市で事業を展開したいと考えている。

画像クレジット:Taster

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タグ:Tasterフランス資金調達レストランゴーストキッチン

画像クレジット:Roam Robotics

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ハリウッドの約半分が支持、クリエイターにTikTokで新たなユーザーやエンゲージメントを提供するPearpopが約17.3億円資金調達

ミュージシャン、職人、シェフ、ピエロ、日記作家、ダンサー、アーティスト、俳優、曲芸師、セレブ志望者、そして実際のセレブたちが集うソーシャルコラボレーションマーケットプレイスを展開するPearpopが、1600万ドル(約17億3000万円)を調達した。この資金調達は、ハリウッドの約半分に相当するとも思える支援を得ており、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven SixベンチャーファームとBessemer Venture Partnersも参加している。

資金の内訳は、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏とGuy Oseary(ガイ・オセアリー)氏のSound VenturesとSlow Venturesが共同で主導し、Atelier VenturesとChapter 1 Venturesが参加した600万ドル(約6億4900万円)のシードラウンドと、オハニアン氏のSeven Seven Sixが主導してBessemerが参加した1000万ドル(約11億円)の追加投資によるものだ。

TechCrunchが最初にPearpopを取り上げたのは2020年のことだが、このスタートアップが何かを成し遂げつつあることは間違いない。そのサービスは基本的に、Cameoのセレブマーケットプレイスでプライベートなシャウトアウトを手に入れるようなかたちをとっており、それを一般化したものだ。ソーシャルメディアのパーソナリティがお金を支払って、より人気のあるパーソナリティに彼らの投稿に対してシャウトアウトやデュエット、コメントを付けてもらうことで、フォロワーを増やすことを可能にする。

「クリエイターエコノミーがクリエイターに公平とは言えない結果をもたらしていることがずっと気になっていました。それが私がPerpopに投資した理由です。私は以前、クリエイターエコノミーにミドルクラスが欠けていることについて語っていますが、その考えが帰着するところです」と語るのは、Atelier Venturesの創設者で、クリエイターエコノミクスに関する記事「The creator economy needs a middle class」の寄稿者であるLi Jin(リー・ジン)氏だ。

「Pearpopに出会ったとき、クリエイティブミドルクラスのクリエイターにとって大きな可能性を秘めているように感じました。このメカニズムを導入することで、より多くのクリエイターが少数のクリエイターの助けになることができ、誰もがエコシステムの中の他の誰かに価値のあるものを提供することができるようになるのです」。

ジン氏はTechCrunchでPearpopを知ったという。「貴メディアの記事を読んで、Pearpopのチームに連絡を取りました」。

このアイデアは注目を集め、ミュージシャン、アスリート、俳優、エンターテイナーなどが数多く参加した。The WeekndのAbel Makkonen(エイベル・マッコネン)氏、Amy Schumer(エイミー・シューマー)氏、The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)、Diddy(ディディ)、Gary Vaynerchuk(ギャリー・ヴァイナーチュック)氏、Griffin Johnson(グリフィン・ジョンソン)氏、Josh Richards(ジョシュ・リチャーズ)氏、Kevin Durant(ケビン・デュラント)氏(Thirty 5 Ventures)、Kevin Hart(ケヴィン・ハート)氏(HartBeat Ventures)、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Marshmello(マシュメロ)氏、Moe Shalizi(モエ・シャリジ)氏、Michael Gruen(マイケル・グルーエン)氏(Animal Capital)、MrBeast(ミスター・ビースト)氏(Night Media Ventures)、Rich Miner(リッチ・マイナー)氏(Androidの共同創業者)、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)氏が名を連ねている。

「Peapopには、新たなユーザーやエンゲージメントを提供し、同時にクリエイターに与えられる機会を平等にすることで、あらゆるソーシャルメディアプラットフォームに利益がある可能性があります」と、Seven Seven Sixの創設者であるアレクシス・オハニアン氏は語る。「同社は、ソーシャルメディアのマネタイズの再創造に繋がる、革新的かつ新しい市場モデルを生み出しました。ソーシャルメディアの創設者として、また投資家として、Pearpopの今後にはとても期待しています」。

すでにHeidi Klum(ハイディ・クルム)氏、Loren Gray(ローレン・グレイ)氏、スヌープ・ドッグ氏、Tony Hawk(トニー・ホーク)氏は、ソーシャルメディアのプラットフォーム「TikTok」上で、意欲的な投稿者の記事に登場することで報酬を得ている。

同プラットフォームの利用は比較的簡単だ。ソーシャルメディアユーザー(現在のところはTikTokのみ)は、フィードに存在する投稿を送信し、別のソーシャルメディアユーザーが何らかのかたちでこれにインタラクション(コメント、返信としての動画投稿、音の追加など)を持つようにリクエストを行う。リクエストに問題がない(あるいはブランドに一致している)ようであれば、リクエストを受けた人物は言われたアクションを実行する。

そのタスクを実行するソーシャルメディアユーザーは対価の75%を、Pearpopは25%を受け取る。

同社は収益の実数値には言及しなかったものの、2021年中に100万ドル(1億円)規模に達するだろうと語っている。

プラットフォーム上のユーザーが価格を設定し、契約者によるソーシャルメディアへの投稿を増やすために提供するサービスの種類を決定する。

ユーザーのフォローやリクエストのタイプによって、価格は5ドル(約540円)から1万ドル(約108万円)の範囲で決定される。現在、このマーケットプレイスで最もリクエストを受けているのは、TikTokスターのAnna Banana(アンナ・バナナ)氏だ。

こうした類いの取引にはインパクトがある。同社によると、同プラットフォームにおけるパーソナリティは、そのフォロワー数をこのサービスの利用によって増加させることができたという。例えば、Leah Svoboda(リア・スヴォボダ)氏は、 Anna Shumate(アンナ・シュメイト)氏とのポップデュエットによってフォロワー数が2万人から14万人以上に増えている。

まるでディストピアな世界観のSFみたいだ、すべてのやり取りが商品化されて、お金に換えられてしまっている、そんな風に感じるかもしれないが、そういう世界なのである

「Pearpopについて私が最も期待しているのは、クリエイターとしてのコントロールを得られるということです」とTikTokのインフルエンサーであるアンナ・シュメイト氏(@annabananaxdddd)はいう。「同プラットフォームにより、やりたいことをやりたいように投稿することが可能になりました。本当に私らしい投稿ができるので、フォロワーにも満足してもらっています。そこが他のソーシャルメディアとPearpopの違いです」。

タレントエージェントもこの動きに注目している。Talent XやGet Engaged、Next Step Talent、The Fuel Injectorなどのアーリーアダプターは、すべてのタレントをPearpopに追加した。その中にはKody Antle(コーディ・アントル)氏、Brooke Monk(ブルック・モンク)氏、Harry Raftus(ハリー・ラフタス)氏も含まれるという。

「最初のコンセプトは、ギャップからでした。両者にとって価値のあるシンプルかつ自分らしいコラボレーションによってマネタイズすることを、あらゆる規模のクリエイターに可能にできるようなマーケットプレイスがなかったのです」とPearpopのCEOであり共同創設者のCole Mason(コール・メイソン)氏は語っている。「これは人々が待ち望んでいたプロダクトなのだとすぐに分かりました。今では数千という人々が私たちのプラットフォームで、TikTokを皮切りに、ソーシャルメディアにおける自己資産を管理するようになっています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pearpopクリエイター資金調達ソーシャルメディアTikTok

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Dragonfly)

ストリーミングメディアソフトメーカーPlexが広告付きストリーミングと事業拡大のため54.6億円の資金調達を実施

ストリーミングメディアソフトウェアメーカーのPlexはレンタル、購入、サブスクリプションコンテンツへの事業拡大に向けて、既存の投資元であるIntercapから5000万ドル(約54億600万円)の増資を行ったことを米国時間4月14日に発表した。今回の資金調達は、Plexにとって2014年以来初めてのものであり、Plexの初期のシード投資家や過去の買収時の株主からの株式およびオプションの購入、および初期の従業員の流動性確保のために一部が使用される。調達した5000万ドル(約54億600万円)のうち、1500万ドル(約16億2200万円)は新たな成長資金として活用される。

今回の資金調達(厳密にはPlexのシリーズC)による評価額は公表されていないが、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)やNexstar(ネクスタ―)など、継続している既存の投資家にとっては、比較的希薄化は低く済んだということだ。一方、初期の投資家の中には、株式の10倍以上のリターンを得ることができた人もいた。

今回のラウンドの一環として、Intercapの会長兼CEOであるJason Chapnik(ジェイソン・チャプニック)氏が会長として取締役会に参加し、Intercapの社長であるJames Merkur(ジェームズ・メルクア)氏も取締役会に参加した。今回の資金調達を含め、Plexはこれまでに6000万ドル(64億8900万円)以上の資金を調達している。

これまでPlexが資金調達に慎重だったのは、PlexのCEOであるKeith Valory(キース・ヴァロリー)氏がいうように「本当にその必要がなかったから」だ。つまり、同社は単独で利益を上げてきた

しかし、近年のPlexの状況は変化している。Plexは、映画やテレビ、音楽、写真などをユーザーのホームネットワーク上で整理するソフトウェアを提供することで、ホームメディアの愛好家を対象としてきたが、2017年に低価格のDIYストリーミングTVサービスを開始したことで、より大きな市場であるインターネットメディアに移行する人々を本格的に狙うようになった。その後Plexは、広告付きの無料ストリーミングサービスを展開し、2020年はViacomCBS(バイアコムCBS)傘下のPluto TV(プルートTV)のようなライバル企業に対抗して、広告付きのライブTV配信サービスを開始した。

現在、Plexは193カ国で2万本以上の無料オンデマンド映画や番組、150以上の無料ライブTVチャンネルを提供しており、パーソナルメディアライブラリやストリーミング音楽、ポッドキャストなどのコンテンツにもアクセスできる。

Plexは、提供するサービスの種類を増やすと同時に、Plexを初めて利用する人にとっての参入障壁を低くした。ユーザーはアカウント登録をせずに広告付き動画やライブ・リニア・ストリーミング・サービスにアクセスでき、これはPlexのビジネスモデルに影響を与えている。

画像クレジット:Plex

「これは例えば、RokuやFire TV、Vizioなどのデバイスの検索機能に組み込まれるようなデジタルマーケティングを対象としています。またサーチエンジンマーケティングやFacebookなど、デバイス上のデジタルマーケティングプログラムを利用して、ユーザーに視聴を開始してもらうこともあります」とヴァロリー氏はいう。「このタイプのデジタルマーケティングと事業のための顧客獲得コストが、実に効率的であることが分かりました。その結果、マーケティングへの投資から本当にすぐに利益を得ることができました」と付け加えた。

このモデルを基に、Plexは事業の拡大と新たな分野への進出のための資金調達を検討した。

新たな分野にはサブスクリプションコンテンツの管理やレンタル・購入の提供なども含まれており、Plexは2020年のロードマップの中で、2020年に登場する可能性があるとも話していた。しかし、その後新型コロナが発生した。ストリーミング自体は成長し、特に4月から6月、7月にかけては広告付きの動画が増えたものの、Plexの一部の社員は新型コロナ流行の影響を他の人よりも強く受けた。また、Plexはインフラの準備にもっと時間が必要だった。

Plexは現在、これらの取り組みを2021年中に開始するための準備を進めており、おそらく最初は動画レンタルかサブスクリプション・アグリゲーターのどちらかを提供することになるだろう(Plexによると、両方が同時に構築されているため、どちらが先にスタートするかは不明とのことだ)。

Plexは、AmazonやAppleがPrime VideoチャンネルやApple TVチャンネルで行っているようなサブスクリプションの販売だけを考えているわけではない。Plexは、ユーザーがお気に入りのストリーミングアプリ(他のサービスでは利用できない有名ブランドも含む)にアクセスできるようなディープリンク技術も検討している。これにより、PlexはReelgoodのようなサービスの競合相手となる可能性があるだろう。Reelgoodでは、ユーザーが視聴しているコンテンツを追跡し、個々のアプリ内だけでなく、すべてのストリーミングアプリでお勧めのコンテンツを得ることができる。

一方、Plexの動画レンタル(および購入)市場は、他のサービスと同じように、ユーザーがストリーミングできなかったコンテンツをお金を払って視聴する機会を提供するものだ。

双方のアイデアは「すべてのメディアニーズに応えるワンストップショップになる」というPlexの大きな目標に合致している。

「私たちは常に、かなり大胆なミッションを掲げています。自分の好きなコンテンツを手に入れるために、20種類のアプリを使用する必要はありません。1つの場所に行けば、すべてのことができるようにするべきなのです」とヴァロリー氏は語る。

画像クレジット:Plex

Plexは、この分野と広告サポート事業の両方で成長を促進するために、今回の資金を利用して現在100人いるチームを拡大し、マーケティング部門やマネタイズ部門、開発面での投資を行う予定だ。

「確かに、パフォーマンス、成長のためのマーケティング、そしてエンゲージメントの強化という点では、まだまだやるべきことがあります。この事業は非常に急速に成長しており、これまでのところ、広告型動画配信サービスで新規ユーザーを獲得するための力をつけるという点ではかなり上手くいっています。課題は山積していますが、今までにつけた力は、製品全体のTOFU(トップオブファネル)やエンゲージメントの向上につながると考えています」とヴァロリー氏はいう。

Plexのラウンドを主導したIntercapは、長期的な視野に立っており、特にストリーミングの世界で現在起こっている断片化は、最終的にPlex自身の成長に役立つと述べている。

チャプニック氏は「コンテンツプロバイダー、クリエイター、そして消費者は、多くのストリーミングメディアサービスが爆発的に増えたことによるツケを払っていて、業界は、その体験を可能な限り楽しくするための信頼できる方法を必要としています。Plexは、常に新しいメディアの課題を解決する最前線にいて、この問題を解決するための準備が整っていると信じています。彼らは将来のTV会社になるでしょう」と語った。

関連記事:Plexがレトロゲーム専門のストリーミングサービス「Plex Arcade」をローンチ

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Plex資金調達動画配信

画像クレジット:Plex

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ソーラールーフタイルで家を仮想電力会社にするSunRoofが約5.9億円調達

SunRoof(サンルーフ)は、巧妙なアイデアを思いついた欧州のスタートアップだ。同社は、太陽光で発電する独自のルーフタイル技術を持つ。さらに、ルーフタイルを使う家をつなげて一種の仮想発電所を構築し、住宅の所有者が余剰エネルギーをグリッドに売却することを可能にする。

同社は、Inovo Venture Partnersがリードし、SMOK Venturesが参加した450万ユーロ(約5億9400万円)のラウンド(シード延長)をクローズしたばかりだ(200万ユーロ、約2億6400万円はコンバーチブルノートで調達した)。他の投資家には、LT Capital、EIT InnoEnergy、FD Growth Capital、KnowledgeHubが含まれる。

スウェーデンを拠点とするSunRoofのアプローチは、同じくソーラールーフタイルを展開するTesla Energy(テスラエナジー)を彷彿とさせる。テスラはクローズド(閉じた)エネルギーエコシステムを運営しているが、SunRoofは複数のエネルギーパートナーと協力する計画だ。

SunRoofは2020年、この「仮想電力会社」の実現に向け、再生可能エネルギーシステムRedlogger(レッドロガー)を買収した。SunRoofのCEOはシリアルアントレプレナーのLech Kaniuk(レック・カニューク)氏で、以前はDelivery Hero、PizzaPortal、iTaxiに在籍していた。

SunRoofのプラットフォームは、従来の太陽光発電モジュールなしで発電する2-in-1ソーラールーフとファサードで構成され、1.7平方メートルの大きなガラス板2枚に挟まれた単結晶太陽電池を使用する。表面積が大きく、接続部分が小さいため、安価で迅速に屋根をふくことができる。

同社は住宅所有者に、Redloggerのインフラで太陽光を管理するエネルギーアプリを提供する。

テスラのAutobidder(オートビッダー)は、屋根から得られるエネルギーを管理する取引プラットフォームだが、閉じたエコシステムだ。対照的に、SunRoofは複数のパートナーと連携する。

カニューク氏は次のように述べる。「SunRoofを創業したのは、機能やデザインを損なわずに、再生可能エネルギーへの移行を容易にするだけでなく費用対効果の高いものにするためです。私たちはすでに前年比で500%以上成長しており、今回得た資金によって成長を加速させます」。

Inovo Venture PartnersのパートナーであるMichal Rokosz(マイカル・ロコズ)氏は次のようにコメントした。「太陽エネルギーの市場は活況を呈しており、2026年までに3340億ドル(約36兆円)に達すると推定されています。統合されたソーラールーフの技術は変曲点を超えました。新しい家をソーラーソリューションとともに建てることは、消費者にとって経済的にも難しいことではありません。従来の屋根とソーラーパネルのハイブリッドに比べ、エレガントで効率的な代替品として、サンルーフは明らかに際立っています。ソーラールーフのブランドの1つになるチャンスがあり、クリーンテクノロジーをより幅広い顧客層へアピールします」。

SunRoofのチームには、共同創業者のMarek Zmysłowski(マレク・ズミスロースキー氏、以前はJumia TravelおよびHotelOnline.coに在籍)、元Google幹部のRafal Plutecki(ラファル・プルテクスキー)氏、元Tesla ChannelセールスマネージャーのRobert Bruchner(ロバート・ブルックナー)氏もいる。

スウェーデン、ドイツ、ポーランド、スイス、イタリア、スペイン、米国で事業を拡大する計画がある。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:SunRoof太陽光発電資金調達

画像クレジット:SunRoof

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

自動運転シャトルバスの仏EasyMileが72.5億円を調達

レベル5の完全な自動運転車が公道を走るのはまだ先のことかも知れないが、その一方で、限定された閉鎖的なキャンパス向けの、特定の用途の自動運転車やシャトルを製造している企業たちは、商用運行への道を歩んでおり、そのための資金を調達していると語っている。この度、乗客や貨物を運ぶシャトルバスを製造している、フランスのトゥールーズのスタートアップEasyMile(イージーマイル)が、シリーズBで5500万ユーロ(約72億5000万円)を調達した。

今回の資金調達は、今週初めにFCC(連邦通信委員会)の元議長Ajit Pai(アジート・パイ)氏を新たなパートナーに任命したSearchlight Capital Partnersが主導し、McWinとNextStage AMが参加している。また、これまでの出資者である鉄道業界大手のAlstom(アルストム)、Bpifrance(仏公共投資銀行)、自動車大手のContinental(コンチネンタル)も参加した。Searchlight Capital Partnersは、他にGet Your Guide(ゲット・ユア・ガイド)やUnivision(ユニビジョン)にも出資している。

EasyMileは自社を、自動運転シャトルの世界的リーダーであるといい、世界市場の60%で同社の車両が使用されていると主張している。同社の車両は、世界30カ国、300カ所以上で80万kmを走破したという。しかし、その一方でEasyMileは、その市場の小ささと新しさを示すように、同社は全世界で180台の車両しか配備していないのだと語る(興味深いことに、競合大手ののNavya(ナビヤ)もフランスに本社を置いている)。

EasyMileはこの資金を、閉ざされたキャンパス環境での商用展開を推進し、事業を拡大するために利用すると述べている。また、公共交通機関に自社の車両や技術を導入するという長期的な戦略にも引き続き投資していくが、より身近なユースケースに焦点を当ててきたことが、成長や新たな投資を呼び込むことにつながったと考えているとのことだ。

EasyMileの創業者でCEOであるGilbert Gagnaire(ジルベール・ガニエール)氏は声明の中でこう語る「私たちは、現実的なタイムフレームの中で提供できるものに集中し、今すぐにでも対応可能なニッチ市場のリーダーたちと提携してきました。「EasyMileの初期の投資家の方々全員に、今回のラウンドにも参加していただけたことは、当社の拡大計画に対する強い信頼の証です。そしてSearchlight、McWin 、NextStageをお迎えし、彼らの専門知識のおかげで当社の成長が加速することを大変うれしく思っています」。

EasyMileは評価額を公表しておらず、募集枠を超えたと同社が形容するラウンドで、これまでに調達した金額も公表していない。現在、同社に問い合わせ中だが、詳細が分かり次第、この記事を更新する。

EasyMileの車両には、人を運ぶシャトルバスのEZ10(イージー10)や、自動運転で荷物を運ぶ牽引式のトレーラーシステムTractEasy(トラクトイージー)などがあり、これまでに航空貨物の地上輸送のTLDで使われた他に、現在はPeugeot(プジョー)、Chrysler(クライスラー)、Fiat(フィアット)グループのStellantis(ステランティス)と共同で、EasyMileの技術を使った自動運転車の開発を進めていいる。

同社は挫折も経験している。2020年、EasyMileが事故を起こした後、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)は同社が乗客を乗せてサービスを行うことを禁止した(乗客なしでの運行は禁止されていない)。この件に関する最新の状況については、同社に問い合わせている。

その点では、新しい投資家が規制上の問題にどのような影響を与えるのかが注目される。

Searchlight CapitalのパートナーであるRalf Ackermann(ラルフ・アッカーマン)氏は「EasyMileの成長にとって重要な節目であるタイミングで投資をできることを、大変うれしく思っています」と述べている。「彼らの持つ、堅牢で品質を重視したアプローチと業界をリードする技術を見て、この会社が商業的に拡大できる十分な立場にあると確信しました。その発展の道のりに参加できることが喜びです」。

自動運転分野での再編や、場合によっては縮小も見られる時期に行われたという点で、この資金調達は興味深いものだ。今週Lyft(リフト)がLevel 5(レベル5)部門をトヨタのWoven Planet(ウーブン・プラネット)に5億5千万ドル(約597億2000万円)で売却したばかりだ。EasyMileは、閉環境のシャトルを中心とした特定の市場に焦点を当て続けてきたことが、さらに多くの変化や障害が起こることが予想される未発達の市場ので、事業を進め、より多くの支持と注目を集めることができたとのだ考えている。

Benoit Perrin(ブノワ・ペラン)GMは声明の中で「今回の資本注入は、EasyMileの戦略の正しさを立証するもので、技術開発の最終仕上げとスケールアップ戦略を可能にしてくれるものです。私たちは技術を産業レベルにまで引き上げ、実際の商業サービスを提供します」と述べている。

関連記事:トヨタのウーブン・プラネットが配車サービスLyftの自動運転部門を約600億円で買収

カテゴリー:モビリティ
タグ:EasyMile資金調達自動運転フランス

画像クレジット:EasyMile

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

フランスのオンライン学校OpenClassroomsが86.9億円のシリーズCを調達

フランスのOpenClassroomsが、Lumos Capital GroupがリードするシリーズCのラウンドで8000万ドル(約86億9000万円)を調達した。同社はフランスと英国でオンライン教育のプラットフォームを運営している。54のプラグラムがあり、終了した生徒は終了証書をもらうことができる。中には、フランス政府公認の学士号や修士号をもらえるプラグラムもある。

今回のラウンドにはGSV VenturesとChan Zuckerberg Initiative、Salesforce Venturesが参加した。これまでの投資家であるGeneral AtlanticとBpifranceも、再び同社に投資している。

OpenClassroomsには、極めて多様なプログラムがある。ウェブ開発もあれば、デジタルマーケティングやプロダクト管理、人事、営業などもある。いずれも相当ヘビーで、フルタイムでも6カ月から12カ月はかかる。しかしOpenClassroomsには契約メンターがいるため、やる気を失いそうなときは助けてくれる。

プログラム終了後の就職を同社は保証している。仕事がなかなか見つからないときには、同社がキャリアコーチと協力して、本人に合った仕事を見つける。2020年には4300名の生徒が、OpenClassroomsを受講後に、仕事を見つけたり昇進したりした。

フランスには専門教育を受けるための政府補助金制度があるため、OpenClassroomsの授業料をこの公的補助でまかなうこともできる。

同社によると、パンデミックでオンライン教育の人気が増した。現在、多くの人びとが自分のスキルのブラッシュアップや新たなスキルの習得を目指しており、そういう人たちがOpenClassroomsに頼る。同社は個人向けのプログラムの他に、1400社の企業にコースを提供している。

Capgeminiなど一部の企業は、OpenClassroomsと協力して見習い修行による職業教育を提供している。生徒たちはCapgeminiで働き、同時にスキルを学ぶ。この見習い制度は、単純な求人では必要な人材が得られない企業に好評だ。現在は1500名の生徒が見習いプログラムを受けている。

同社は経営も順調で、2021年第1四半期の収益は前年同期比で140%高かった。最近OpenClassroomsはB-Corp認定を申請した。フリークラスにはまだ余裕があるので、来週やることを探している人にはうってつけだ。

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カテゴリー:EdTech
タグ:フランスOpenClassroomsオンライン学習資金調達

画像クレジット:NeONBRAND/Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

チャットボットアプリの開発をもっと簡単にするツールのBotpressがシリーズAで16.2億円調達

Botpress(ボットプレス)は、カナダ、モントリオールのアーリーステージスタートアップで、デベロッパーが会話ベースアプリを開発するのをもっと簡単にしたいと思っている。タイプしたりクリックやタップをする代わりに、人間が話すことでやり取りできるアプリのことだ。同社は米国時間4月28日、1500万ドル(約16億3000万円)のシリーズAラウンドをDecibelとinovia Capitalのリードで完了したことを発表した。

「私たちは人間レベルのデジタルアシスタント機能を大衆に広めるために、デベロッパーが会話形AIアプリケーションを開発するのに必要なツールを提供しようとしています。【略】これは、従来のグラフィカルユーザーインターフェースの代わりに人間の言語をユーザーインターフェースとして使用するソフトウェアを開発、使用するための新しい方法です」とBotpressの創業者でCEOのSylvain Perron(シルヴァン・ペロン)はいう。

同社は、デベロッパーがこの種のアプリケーションを開発する際の複雑さを取り除くためのオープンソースツールキットを作った。「デベロッパーが私たちを選ぶのは、通常のソフトウェア開発のワークフローを変えることなく会話型AIを作るために必要なツールを提供しているからです」とペロン氏は説明した。

数年前、ペロン氏はボットアプリを作ろうとしたが、助けてくれる適切なガイドを見つけられなかったので、自ずからソリューションを作ろうと決心した。2017年にツールの最初のバージョンを公開して以来、世界で10万以上のデベロッパーがこのオープンソースのツールキットを使っている。その中にはFortune 500企業も数多くある。

関連記事:Moveworksがチャットボットプラットフォームを企業が社内のさまざまな部署にも対応できるように拡張

Decibelで投資責任者を務めるJon Sakoda(ジョン・サコダ)氏は、この会社はそんな大企業の関心を、自分たちがその企業を支援するビジネスへと変えているという。「現在、商用のオープンソースのソリューションは存在しており、多くの会社が有償で利用していますが、多くのオープンソース企業が成功する現状で、クラウド・プロダクトの需要が高まっているのがわかると思います。そして今回の出資によってBotpressは、ターンキークラウド製品の開発に投資できるようになると信じています」とサコダ氏はいう。

Botpressの魅力は、デベロッパーがノートパソコンで1時間以内にボットを作れることだと彼はいう。しかし、クラウドプロダクトを使うことで、開発したボットの展開とスケーリングにまつわる複雑さのレイヤーをもう1つ取り除くことができる。

同社はモントリオールおよびケベックシティにオフィスがあり、現在25名の従業員がいる。今回の資金で、2022年にはチームのサイズを3倍にする計画だ。その際、多様性と包括性が雇用の重要な目標だとペロン氏は話す。

「規模が大きくなる時、間違いなく包括性の高い会社であり続けることが重要だと社内で話し合っています。特にこのスピードで大きくなる時には、容易に非包括的なやり方になりがちなので、私たちにとってそれは常に念頭においている方針であり、正しく遂行していることを確認するために大きな努力をしています」と彼は言った。

会社は初期の段階からリモートで、ケベックシティにオフィスを開いたのはちょうどパンデミックが襲ってきたときだったので、ほとんど使う機会がなかった。ペロン氏は、オフィスに戻れるようになった時にはハイブリッド方式を取るつもりだが、出社するかどうかは従業員に任せると述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:チャットボットBotpress資金調達カナダ

画像クレジット:sesame / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フランス家電修理会社SOS Accessoireが約13億円調達、消費者の節約だけでなく環境への貢献を目指す

家電製品の診断・修理を支援するフランスのスタートアップSOS Accessoireは、ETF Partnersが主導する資金調達ラウンドで1000万ユーロ(約13億円)を調達した。このラウンドにはQuadia、Starquest、Seed for Goodが参加した。

現在、このようなスタートアップ企業が提供する家電修理市場が成長しており、人々はお金を節約できるだけでなく、廃棄物を減らし、最終的には環境にも貢献できるようになる。

家電製品の約80%が修理されずに買い替えられており、環境問題が深刻化している。一方でSOS Accessoireによると、スペアパーツ市場はEUだけでも41億ユーロ(約5400億円)の価値があるという。そのような消費者の欲求を利用しない手はあるのだろうか。

しかしスペアパーツを調達するのは容易ではなく、何百ものサプライヤーが存在し、マニュアルはアマチュア修理業者ではなくプロを対象としている。

SOS Accessoireは家電製品の故障を診断したり、スペアパーツを入手したり、修理手順のビデオチュートリアルを提供したりしている。

SOS Accessoireによると、2020年には50万台の家電製品が廃棄されなかったと推定されており、これは2万トンの二酸化炭素排出量に相当する。また、これは4375人のフランス人が1年間に排出する二酸化炭素に相当する量が削減されたと推測される。

SOS Accessoireの創設者であるOlivier de Montlivault(オリビエ・ド・モンリヴォー)氏は「私達には家電製品の廃棄量を削減し、壊れたら交換しなければならないという常識を覆す大きなチャンスがあります」と述べている。

SOS Accessoireの直接の競合相手はSparekaやAdepemなど、小売店の顧客に焦点を当てた他のデジタルプレイヤーだ。しかし同社によると、規模の大きさやスペアパーツの入手のしやすさ、カタログやデータベースの充実度などが競争上の優位性だとしている。

ETF PartnersのパートナーであるRemy de Tonnac(レミー・ド・トナック)氏は「消費者が家電製品を捨てるのではなく、メンテナンスしたいと考えるようになってきている。SOS Accessoireはそのようなニーズに応えるための理想的な場所にあります。市場を深く理解している経営陣と、eコマース部門の中でこのニッチな分野を支配するだけでなく、より広く市場自体を破壊するビジネスモデルを持っています」と述べた。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:SOS Accessoire資金調達フランス家電修理

画像クレジット:SOS Accessoire

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ウェブを閲覧しながら外国語を学べるToucanが約4.9億円を追加調達

ウェブを閲覧しながら新しい言語を学ぶことができるスタートアップのToucan(トゥーキャン)が、シード資金調達で450万ドル(約4億9000万円)を追加したと発表した。

2020年秋にお伝えしたように、カリフォルニア州サンタモニカを拠点とするこのスタートアップは、ユーザーが読んでいるウェブサイトのテキストをスキャンして、選ばれた単語を学習対象の言語に翻訳するChrome拡張機能を開発した。つまり、わざわざ勉強する時間を作ったり、日常的な行動パターンを変えることなく、外国語の語彙を増やすことができるのだ。

関連記事:ウェブをブラウズしながら外国語を学習できるToucanが3億円を調達

Toucanは現在、スペイン語、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、日本語の7言語に対応している。同社共同設立者でCEOを務めるTaylor Nieman(テイラー・ニーマン)氏によると、同社の月間アクティブユーザー数は約6万人で、すべて有機的に獲得したものだという。

「Toucanは表面的にはおもちゃのように見えますが、その裏には大規模なエンジニアリング技術が存在します」と、ニーマン氏は付け加えた。

例えば、このスタートアップには人間の翻訳者チームがいるが、機械学習と自然言語処理を利用して、各単語の文脈を理解し、適切な翻訳になるように努めている。ニーマン氏によると、時間の経過とともに、表示される翻訳にインテリジェントでパーソナライズされたアプローチを適用することで、翻訳をより複雑にすることができ、ユーザーの意欲を維持するという。

画像クレジット:Toucan

Toucanは無料で利用できるが、ユーザーは月額4.99ドル(約544円)を支払って、より密度の高い翻訳が提供されるToucan Premiumに加入することもできる。Toucan Premiumの加入者は、広告の表示 / 非表示を選択することも可能だ。どうやら「Own The Word広告」(その単語が翻訳されるたびにスポンサーのメッセージが表示される機能)は人気があるため、有料ユーザーの中にはこの機能を失いたくない人もいるらしい。

Toucanは今回の追加によって総額750万ドル(約8億2000万円)を調達した。この投資ラウンドは、LightShed Ventures(ライトシェド・ベンチャーズ)が主導し、新規投資家となったNext Play Ventures(ネクスト・プレイ・ベンチャーズ)、Concrete Rose Capital(コンクリート・ローズ・キャピタル)、GingerBread Capital(ジンジャーブレッド・キャピタル)、Form Capital(フォーム・キャピタル)、Goodwater Capital(グッドウォーター・キャピタル)、Hampton VC(ハンプトンVC)、Spacecadet Ventures(スペースカデット・ベンチャーズ)、GTMfund(GTMファンド)、Baron Davis Enterprises(バロン・デイビス・エンタープライゼス)、Human Ventures(ヒューマン・ベンチャーズ)が、既存の投資家であるGSV Ventures(GSVベンチャーズ)、AmplifyHer Ventures(アンプリファイハー・ベンチャーズ)、Vitalize(ヴァイタライズ)とともに参加した。

LightShed VenturesのゼネラルパートナーであるRichard Greenfield(リチャード・グリーンフィールド)氏は、声明の中で次のように述べている。「若い世代は常にネットに接続した状態で生活しているため、画面を見ている時間は世界的に増加しています。Toucanは、シンプルなブラウザの拡張機能を介して、すでに利用しているウェブサイト(まもなくアプリも)に言語学習をシームレスに統合し、画面を見ている時間を学習する時間に変えることができます」。

ニーマン氏によると、Toucanは今回の資金調達により、チームを12人から16人に拡大する予定だという。また、英語からスペイン語への翻訳だけでなく、スペイン語から英語への翻訳など、さらなる国際化も計画している。新たにSafari(サファリ)の拡張機能もリリースされる(将来的には、より多くのブラウザをサポートする予定だ)。最終的なビジョンは、Toucanが「どこにいてもレイヤー化されている」ことである。

「私たちは、ウェブ、モバイルブラウジング、人気のソーシャルアプリ、さらには物理的な世界においても、学習の拡張レイヤーになりたいと思っています」と、ニーマン氏はいう。将来は「街中で目にする地下鉄の標識を翻訳し、あらゆるところで学習のマイクロモーメントを提供する超クールなコンタクトレンズを、人々が装着しているかもしれません」と、彼女は予測する。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Toucan語学学習資金調達翻訳機械学習自然言語処理

画像クレジット:Toucan

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

リスボンのSenseiがAmazon Go風の自動販売店舗を他小売業者に提供

Amazon Goは注意する必要がある。リスボンのスタートアップが、同様の自動販売店舗の技術を他の小売業者にも提供する計画だ。Senseiはコンビニエンスストアが会計なしで購入できるようにするコンピュータビジョンのスタートアップで、540万ユーロ(約7億1000万円)のシードラウンドを獲得した。今回の資金調達はSeaya VenturesIberis Capitalが主導し、200M Fundが参加した。

Senseiは今後、研究開発の規模を拡大し、新しい店舗を立ち上げる予定だ。同社独自のプラットフォームはカメラ、センサー、AI(人工知能)を組み合わせて、新規および既存の店舗を自動化する。このプラットフォームは小売業者がリアルタイムで在庫を管理し、店舗の利用方法に関するインサイトにアクセスできることを意味する。

SenseiのCEO兼共同創業者であるVasco Portugal(バスコ・ポルトガル)は「Senseiの技術は、小売業者がAmazon(アマゾン)のようなテック業界の巨人と競争するために役立つでしょう。お客様にとって身近で楽しいショッピング体験を、シームレスで便利で安全なものにしていきます」と述べた。

Senseiは、主にグラブ・アンド・ゴー・ストアやフォアコート、および類似の小売フォーマットと連動するように設計されている。ライバルには8900万ドル(約97億円)を調達したTrigoがいる。

関連記事:Amazonがレジなし店舗技術をほかの小売業者に販売開始

新型コロナウイルスのパンデミックが発生している現在、自動販売店舗の利点は明らかだ。顧客は行列に並ぶ必要がなくなる。加えて小売店は在庫切れを避け、スタッフは顧客サポートに回ることができる。

「現在、目立って加速している商取引のデジタル化の一端を担うビジネスに投資できることを、私達は喜ばしく思っています」と、Seaya Venturesでプリンシパルを務めるAris Xenofontos(アリス・ゼノフォントス)氏は述べた。

Iberis CapitalのパートナーであるLuis Quaresma(ルイス・クアレスマ)氏は「Senseiは小売業界に多大な効率化とコスト削減をもたらし、同時に消費者に必要なシームレスな支払い体験を提供します」とつけ加えた。

Senseiの設立者はVasco Portugal(MIT出身のCEO)、Joana Rafael(ジョアナ・ラファエル、COO)、Nuno Moutinho(ヌノ・ムーティーニョ、CTO)、Paulo Carreira(パウロ・カレイラ、CSO)だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Sensei店舗資金調達リスボン

画像クレジット:Sensei founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

安全性重視の暗号資産ウォレットZenGoが約21.7億円調達、デビットカードも近く提供

暗号資産(仮想通貨)を管理するモバイルアプリのZenGoは、Insight Partnersが主導する2000万ドル(約21億7000万円)のシリーズA資金調達ラウンドを実施した。ZenGoは自己管理ウォレット(non-custodial wallet)で、同社がユーザーの暗号資産を管理するのではなく、秘密鍵とデジタル資産の管理は自分で行うことを意味する。

他の投資家には、Distributed GlobalとAustin Rief Venturesが含まれる。また、既存投資家であるBenson Oak、Samsung Next、Elron、Collider Ventures、FJ Labsなどもイスラエル時間4月27日に行われた資金調達ラウンドに参加した。

ZenGoが他のウォレットアプリと異なるのは、シンプルで使いやすく理解しやすい商品を維持しながら、一般的な暗号資産ウォレットよりも安全性の高いものを構築しようとしている点だ。同社はCoinbase Wallet(Coinbase.comとは異なる)やArgentなど、他の自己管理ウォレットと競合している。

具体的には、ZenGoはマルチパーティ計算(MPC)をベースにしている。最初にウォレットを作成する際、ZenGoは複数の秘密鍵(シークレットキー)を生成し、それらを異なる方法で保存・暗号化する。つまり、同社はユーザーのトークンに直接アクセスできず、ユーザーは携帯電話を紛失してもウォレットを復元することができる。

インフラや企業顧客に焦点を当てている他の暗号資産企業も、セキュリティモデルとしてMPCを選択している。最近1億3300万ドル(約145億円)を調達したFireblocksはその一例だ。

関連記事:暗号資産インフラプロバイダーのFireblocksがシリーズCで約145億円を調達、BNYメロンも出資

しかし、ZenGoが作っているのは消費者向けのアプリだ。同社は2020年には、10万人のユーザーから1億ドル(約109億円)以上の暗号資産取引を処理している。ZenGoは2021年の最初の3カ月で同じマイルストーンに到達し、新たに10万人のユーザーを増やしている。

また、ZenGoを通じてDeFiプロジェクト(DeFi:decentralized finance、分散ファイナンス)を閲覧し、貯蓄プールにアクセスすることもできる。同社は、これらの投資から利益を得ている。

今回の資金調達により、ZenGoは同じ哲学を念頭に置いて事業を拡大していく予定だ。より多くのチェーンやアセットのサポート、より多くのパートナーシップ、暗号資産を購入して不換紙幣に変換するオプションなどが期待できるという。

同社は最近、デビットカードの提供を開始する計画を発表した。これにより、ユーザーは暗号資産を変換した後、Visaカードが使える場所であればどこでも支払いに使えるようになる。つまり、ZenGoはセキュリティを重視した暗号資産スーパーアプリを構築しているということだ。

関連記事:仮想通貨ウォレットアプリZenGoが米国でデビットカードを発行

画像クレジット:ZenGo

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ZenGo暗号資産資金調達デビットカード

画像クレジット:ZenGo

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

材料研究を効率化するプラットフォーム開発するのイスラエルMaterials Zoneが約6.5億円を調達

テルアビブに拠点を置くスタートアップ企業で、AIを活用して材料研究の高速化を図るMaterials Zone(マテリアル・ゾーン)は、シードラウンドで600万ドル(約6億5000万円)の資金を調達したと、米国時間4月27日に発表した。この投資ラウンドはInsight Partners(インサイト・パートナーズ)が主導し、クラウドファンディングの「OurCrowd(アワークラウド)」も参加した。

Materials Zoneのプラットフォームはさまざまなツールで構成されているが、その中核となるのは、科学機器や製造施設、実験装置、外部データベース、発表された論文、Excelシートなどからデータを取り込み、それを解析して標準化するデータベースだ。このデータベースは必要に応じて可視化することができ、研究者にとってはこれがあるだけで恩恵になると、同社は主張する。

画像クレジット:Materials Zone

「新しい技術や物理的な製品を開発するためには、まずその製品を構成する材料やその特性を理解する必要があります」と、Materials Zoneの創設者でCEOを務めるDr. Assaf Anderson(アサフ・アンダーソン博士)はいう。「ゆえに、材料の科学を理解することがイノベーションの原動力となります。しかし、材料の研究開発や生産の背景にあるデータは、慣習的に管理が不十分で、構造化されておらず十分に活用されていませんでした。そのため実験が重複したり、過去の経験を生かすことができなかったり、効果的な共同作業ができなかったりして、莫大な費用と手間が無駄になっていました」。

画像クレジット:Materials Zone

アンダーソン博士は、Materials Zoneを設立する以前、バル=イラン大学のナノテクノロジー・先端材料研究所に在籍し、コンビナトリアルマテリアル実験室の責任者を務めていた。

Materials Zoneの創設者でCEOであるアサフ・アンダーソン博士(画像クレジット:Materials Zone)

「私は材料科学者の1人として、研究開発の課題を身をもって経験しているため、研究開発がどのように改善できるかということを理解しています」と、アンダーソン博士はいう。「私たちは長年の経験を元に当社のプラットフォームを開発し、革新的なAI(人工知能)/ML(機械学習)技術を活用して、これらの問題に対する独自のソリューションを生み出しました」。

例えば、新しい太陽光発電用の透明なウィンドウを開発するためには、適切なコア材料とそのパラメータを見つけるために何千回もの実験が必要になる。Materials Zoneは、このようなデータをすべて集約して標準化し、それを扱うためのデータおよびワークフロー管理ツールを提供することで、このプロセスをより速く、より安価に行えるようにすると、アンダーソン博士は説明する。その一方で、同社の分析・機械学習ツールは、研究者がこのデータを解釈するための支援をする。

 

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Materials Zone資金調達人工知能 / AI機械学習データベースイスラエル材料

画像クレジット:SEBASTIAN KAULITZKI/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)