ドイツの次期政権は石炭火力廃止を2030年に前倒し、連立政権樹立のための妥協に懸念も

ドイツは、最新の気候変動対策の一環として、従来の計画より8年早い2030年までに石炭の使用を廃止することを計画している。同年、ドイツでは電力の80%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としている。BBCによると、ドイツ社会民主党のOlaf Scholz(オラフ・ショルツ)党首は、緑の党、自由民主党との3党連立政権の下で、前副首相がドイツを統治することになる協定の一部として、現地時間11月24日にこの計画を発表した。

9月26日に行われたドイツ総選挙では、緑の党が連邦議会で118議席を獲得し、過去最高の結果となった。ショルツ氏は、緑の党のリーダーであるAnnalena Baerbock(アンナレーナ・ベーアボック)氏を外務大臣に起用する見込みだ。さらに、緑の党の共同党首であるRobert Habeck(ロベルト・ハーベック)が副首相に就任し、国のエネルギー転換を監督する機会を得ると思われる。

注目すべきは、連立政権がより積極的な排出削減目標を設定しなかったことだ。同国は、2030年までに1990年比で65%の削減を目指すとしている。非営利団体Climate Action Trackerの試算によると、パリ協定で打ち出された摂氏1.5度の目標を達成するためには、ドイツは2020年代の終わりまでに、温室効果ガス排出量を少なくとも70%削減する必要があるという。

さらに、社会民主党との合意にあたり、緑の党は大きな妥協をした。Bloombergによると、石炭と再生可能エネルギーの間の移行を容易にするために、天然ガスを使用するとのこと。評論家たちは、連立政権はEVの導入を促進するためにもっと努力すべきだったと発言している。同国政府は、2030年までに1500万台のEVをドイツの道路で走らせるということしか計画していない。生物学者でNGOのCampact代表であるChristoph Bautz(クリストフ・バウツ)氏は、Clean Energy Wireに次のように述べている。「これは進歩のための連合には見えません。気候変動運動は、真の意味での気候変動政府にするために、連立政権に働きかけ続ける必要があります」。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:John W Banagan / Getty Images

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

EV急速充電ネットワークのIONITYが、充電器の数を4倍以上に増やすために約905億円を投資

Daimler AG(ダイムラーAG)やVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)などの大手自動車会社が共同で設立した、電気自動車用急速充電ネットワークプロバイダーのIONITY(アイオニティ)は、資産運用会社のBlackRock Global(ブラックロック・グローバル)と既存の株主から7億ユーロ(約905億円)の投資を獲得。欧州全域における事業拡大を目指している。

EV用の超急速充電ステーションを欧州各地に設置しているIONITYは、ダイムラーとフォルクスワーゲングループの他、BMW Group(BMWグループ)、Ford(フォード)の4社による合弁事業として2017年に設立され、後にHyundai Motor Group(現代自動車グループ)も加わった。同社は今回の投資により、現在設置されている約1500基の充電器を、2025年までに4倍以上の7000基に増やすことを計画している。

新たに建設される充電ステーションは、高速道路などの主要道路や主要都市の近くに設置され、それぞれの場所で6~12台分のEVを同時に充電できるようにする予定だ。また、需要の高い既存の施設にも、充電器の数を追加していくという。

IONITYは、車両の充電中にドライバーも「充電」できるフルサービスステーションの所有・運営も計画している。同社で「Oasis(オアシス)」と呼ぶこのステーションのコンセプトは、現在の道路沿いある休憩所と似たものだ。

BlackRockは、同社のGlobal Renewable Power(グローバル・リニューアブル・パワー)株式投資ビークルを通じて、IONITYに出資した。自動車関連企業以外からIONITYが資本を受け入れるのは、これが初めてのことだ。BlackRockは4月に48億ドル(約5500億円)の資金を集めており、これは機関投資家の脱炭素技術への関心が高まっていることを示している。

この投資は、有力な投資家たちが、来るべき交通機関の電動化に確信を深めていることも物語っている。BlackRockはこれまで、陸上・洋上風力発電や太陽光発電プロジェクトへの投資を中心に行ってきた。同社がEV充電に興味を示したことは注目に値する。

画像クレジット:Ionity

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMC、EVで復活するハマー第1弾「Edition 1」トラックは12月に納入開始と発表

初の電動版Hummer(ハマー)は、このホリデーシーズンに新しいオーナーのもとに届けられる。Autoblogによると、GMC(ジーエムシー)のボスであるDuncan Aldred(ダンカン・アルドレッド)氏は、11万2000ドル(約1290万円)以上の価格で購入できるEVトラックモデル「Hummer Edition 1(ハマー・エディション1)」の納車を12月から開始すると発表した。Edition 1のEPA航続距離は329マイル(約529.5 km)で、当初予想されていた350マイル(約563.3 km)より若干短いことも今回のコンファレンスで明らかになった。

重量が4トンあるGMCの電気トラックは、3つのモーターによって生み出される最大1000hpのパワーと1590kgmのトルクにより、ゼロ発進から時速60マイルまで3秒以内で到達する能力を備えている。また、7500ポンド(約3402 kg)の牽引と1300ポンド(約590 kg)の運搬が可能だ。このトラックは、GMが今後数年間に自社ブランドの数十のモデルを電動化するために開発したプラットフォームであるUltium(アルティウム)バッテリーパックを使用している。

2021年12月に出荷が開始されると、「Edition 1」Hummer EVは、Rivian(リヴィアン)のR1Tと並んで、市場で最初の電気トラックの1つとなる。Tesla(テスラ)もEVピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」の開発に取り組んでいるが、同社は8月に発売を2022年に延期した。Autoblogによると、Hummer EVの予約の80%以上はEdition 1の注文だが、他のEVバージョンも2023年に登場する予定だという。それらの中には、より安く、航続距離が長いものもあるとのこと。GMCは、Hummer EVのSUVバージョンも2023年に納入を開始する。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:GMC

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

イスラエル発Cybellum奥田正和氏が語る「コネクテッドカーのセキュリティ」の今

2018年からの1年間でコネクテッドカーに対するサイバー攻撃が倍増した。イスラエル発のサイバーセキュリティ企業、Cybellum(サイべラム)で日本カントリーマネージャーを務める奥田正和氏は「コネクテッドカーのセキュリティは喫緊の課題ですが、対処していくスピードを上げる必要があります」と語る。コネクテッドカーが抱えるリスクとは何か。安全性はどう守られるべきなのか。同氏に詳しく話を聞いた。

コネクテッドカーのサイバーセキュリティとは

コネクテッドカーには数多くのソフトウェアが使用されている。そのため、ソフトウェアのセキュリティを守ることが重要になる。

奥田氏は「ソフトウェアの守り方は色々あります。ファイアウォールなど、防御の壁を増やすようなアプローチもありますが、ソフトウェアそのものにバグや脆弱性があったのでは、壁を足すだけでは守りきれません。そこで当社はコネクテッドカーの中のソフトウェアをスキャンし、脆弱性を見つけるツールを提供しています」と話す。

Cybellum プロダクト・セキュリティ・アセスメントのインターフェース

同氏によると、担当エンジニアは多くの場合「堅牢なソフトウェアはどんなものか」「ハッカーに攻撃される脆弱性はどんなものか」を理解しており、対応方法もわかっているという。問題は、コネクテッドカーに搭載されるソフトウェアの数が多く、すべての脆弱性に対応しきれないことなのだ。

専門家が脆弱性を発見した際、発見した脆弱性を登録するCommon Vulnerabilities and Exposures (CVE)、National Vulnerability Database(NVD)などのデータベースがある。こうした場所には年間2〜3万件の新規脆弱性が報告される。

奥田氏は「このペースで脆弱性が見つかるので、どこかの会社がソフトウェアを出したら、規模にもよりますが数カ月で数十件程度の脆弱性が見つかります。ハッカーたちは公表された脆弱性を使った攻撃も仕かけてきます。一方で、ソフトウェアには『未発見、未公表のすでに存在している脆弱性』もあります。また、1つの脆弱性を直すには数カ月〜数年かかることもあります。新しい脆弱性も後から出てきます。『脆弱性ゼロ』の日はありません。ソフトウェア提供企業は公表された脆弱性に優先的に対応しつつ、未公表の脆弱性にも対応していかなくてはなりません」と話す。

理想的には、開発段階から脆弱性データベースを参考に脆弱性が混入しないよう開発を進め、製品が出荷されてからもデータベースを見続け、公表された脆弱性が製品に該当しないかをチェックし続けることが望ましいという。

自動車サイバーセキュリティ規制

開発段階と自動車のライフタイム(開発以降のあらゆる時期)を通した脆弱性対策は、自動車サイバーセキュリティ規制(UNECE WP.29 R155)でも定められている。これは、国連欧州経済委員会の作業部会である自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が策定したものだ。

奥田氏は「この規制で重要なのは、『自動車のサイバーセキュリティを担保する社内プロセスを保持すること』です。これを企業目線で具体的に落とし込むと、サイバーセキュリティの専門チームや専任者を設置する、開発プロセスとレビュープロセスを策定する、出荷後も脆弱性を監視し続ける、ということになります。組織とプロセスが全体的に規制されるのです」と説明。

自動車サイバーセキュリティ規制は、自動車における「安全性」の概念の変化も反映している。自動車はもはや「安全性を担保して出荷すれば良い物」ではない。自動車メーカーは企画・開発・生産から廃棄までセキュリティを監視しなければならないのだ。

さらに、この規制のステークホルダーは最終生産メーカーを筆頭に、部品メーカーやベンダーなど、サプライチェーン全体におよび、規制に対する対応の有無の説明責任は最終生産メーカーが負う。

セキュリティはコストなのか

自動車サイバーセキュリティ規制は、自動車のセキュリティをライフタイム全般にわたり担保するもので、ユーザーの利益になるものだ。だが、自動車メーカー側の負担は大きくないだろうか。

「その側面は否定できません。運転支援機能や自動運転機能のように、先端技術を追加して安全性を高めても、セキュリティ対策に関しては今はそうした付加価値を値段に転嫁しにくい状況です。『最先端のセキュリティに対応しているので、このクルマは10万円高くなります』というのは難しいのではないでしょうか」と奥田氏。

しかし、十分なセキュリティ対策を行わず、自動車がサイバー攻撃に遭い、損失や危険な事象が発生した場合、自動車メーカーの評判は落ちてしまう。

奥田氏は「攻撃が発生すれば『セキュリティをしっかりしておいてよかった』という話になりますが、そうでない時にはセキュリティはコストに見えてしまいます」とセキュリティの重要性を指摘する。

コネクテッドカー向けセキュリティの差別化

では、自動車メーカーはソフトウェアの脆弱性をどう発見すれば良いのか。

「多くの脆弱性はソースコードの中にあるので、エンジニアが集まってコードをレビューすれば、脆弱性を見つけることは可能です。ですが、今日の激増するソフトウェア量を考えるとこのやり方は非現実的です。実際には、当社が提供しているような、製品に組み込まれているソフトウェアコンポーネント群をスキャンし、脆弱性を見つけるサービスを活用して効率化を目指すのが望ましいです」と奥田氏。

しかし、ソフトウェアをスキャンするサービスならなんでもいいというわけではない。

奥田氏は「現在、多くのIT企業がソフトウェアチェッカーを提供しています。ですが、自動車の組み込みソフトウェアに十分に対応しているものはほんの一部です。組み込みソフトウェアは必ずしもサーバやPC上で動くものではないので、自動車用ではないソフトウェアチェッカーは、自動車のソフトウェアチェックに対応できない部分も多いのです」と力説する。

では、こうした企業はどうやって差別化しているのだろうか。

奥田氏によると、現在、自動車向けソフトウェアチェッカーを提供している主要な企業は、基本的に類似した技術を提供しており、差別化要素の1つが対応している半導体の種類、OSなどだそうだ。

また、ソフトウェアは使用される製品によって構造が変わってくる。そのため、ソフトウェアチェッカー提供企業の得手不得手も分野によって現れるという。

自動車業界のソフトウェア活用では、ソースコードとバイナリコードという観点も重要だ。ソースコードは、プログラミング言語で書かれたコンピュータプログラムで「どんな動作をさせたいか」を表現する。機械はソースコードをそのまま実行できないため、ソースコードは機械が読み込むことができるバイナリコードに変換される。

奥田氏は「自動車の最終生産メーカーがすべてのソースコードを保持していることは非常に稀です。自動車はサプライヤーから集めてきた多様なパーツで成り立つため、各部のソースコードが最終メーカーの手元にすべて届くとは限らないのです。むしろソースコードが送られてこない方が普通かもしれません」と話す。

しかし、最終メーカーの手元には、自動車の全体統制のために必要な全体のバイナリコードがある。そのため、実際にスキャンできるのは、バイナリコードになる。自動車のソフトウェアをスキャンするには、バイナリコードのスキャン技術と精度が重要になる。

奥田氏は「当社はバイナリコードのスキャンに対応していますが、ソースコードにしか対応していない企業もあります。バイナリコード対応の有無も差別化のポイントになりますね」と補足した。

対策すべきリスク

Uswitchの調査によると、2018年から2019年にかけてコネクテッドカーに対するサイバー攻撃が99%増加した。奥田氏はこれをどう見るのか。

「コネクテッドカーへの攻撃は、危惧されていたよりは増加していないと考えています。『実現可能な攻撃』に関する議論が活発化していますが、『実現可能な攻撃』と『実際に生じる攻撃』は別物です」と奥田氏。「『実際に生じる攻撃』は金銭的利益が発生するところで起こります。そのため、車載コンテンツ配信システムや、移動情報から得るドライバーの個人情報は狙われやすいでしょう。また、それを使ったランサムウェア攻撃もあり得ます。逆にいうと、コネクテッドカーを攻撃して、ドライバーを殺傷するようなことは金銭的利益があまり見込めないので、起こりにくいと考えられます」と話す。

コネクテッドカーを狙ったランサムウェア攻撃は誰に起こり得るのか。奥田氏はトラック運送会社など、コネクテッドカーを事業で利用している企業や組織が狙われるとみている。会社のコネクテッドカーが攻撃によりロックされてしまうと、一時的に売り上げが立てられなくなる。それなら身代金を払って一刻も早く自社のコネクテッドカーを仕事に回した方が良い、と決断する企業が出てきても不思議ではない。

奥田氏は「損失が身代金より大きいなら、払う方が良い、と考える企業はあるでしょう。今危惧されているのはこういった攻撃です」と話す。

コネクテッドカーは情報の宝庫だ。ドライバーの個人情報、家族の情報、移動情報などが蓄積される。これらの情報はそのまま売ることもできるし、銀行システムの攻撃にも悪用できる。

「自動車メーカーからすると、自社製品のセキュリティが破られたら、自社の評判が落ちます。また、過失が認められれば訴訟にも発展するかもしれません」と奥田氏は補足する。

とはいえ今のところ、コネクテッドカーのセキュリティの重要性の認知は、自動車メーカーやその周辺のエコシステムに限られており、一般の自動車ユーザーの間にはあまり浸透していない。そのため「この車はセキュリティ対策が優れています」というアピールが魅力的に映らない。

奥田氏は「自動車ユーザーのみなさんにセキュリティの大切さをお伝えできれば、車の魅力としてセキュリティをアピールすることもできます。ドライバーのみなさんを守るためにも、セキュリティ理解の促進は重要な課題です」と話した。

Polestarが次世代EVセダン「プリセプト」改め「Polestar 5」は2024年に市場投入と発表

コンセプトカーから量産プロジェクトになった「Polestar Precept(ポールスター・プリセプト)」セダンの名前が変わり、正式な発売日が決まった。Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)からスピンアウトしたEVパフォーマンスブランドであるPolestar(ポールスター)は、シャークノーズを持つこのセダンを「Polestar 5(ポールスター5)」と名付け、2024年に生産を開始すると発表した。

Polestarが2020年初頭に初めてPreceptを公開したときは、この新会社の方向性を示すための印象的な提案ではあったが、単なるコンセプトカーに過ぎなかった。同社はその年の9月には、Preceptを量産化すると発表した。当時、Polestarは「2025年までに」という曖昧な表現を使い、その時期を明らかにしなかった。

それ以来Polestarは、デザイン、開発、そして生産プロセスの内側を垣間見ることができるいくつかのYouTubeビデオを含め、Preceptセダンのティーザーといくつかの詳細を発表してきた。ポールスターの最新のビデオは、エクステリアデザインのインスピレーションに焦点を当てている。

今回のビデオでは、4分近くの時間の大半を、PreceptのエクステリアデザインマネージャーであるNahum Escobedo(ナハム・エスコベド)氏と過ごす。シャープなエクステリアラインは何からインスピレーションを受けたのか?少なくとも部分的には「サメと飛行機です」とエスコベド氏は語る。

画像クレジット:Polestar(スクリーンショット)

「このプロジェクトでは、非常にエレガントでありながら、スピード感のあるものを求めていました。私にとって、サメはそうしたフィーリングを持つものでした」と彼はビデオの中で語った。

Polestar 5のドラマチックなリアエンドには、長い一筋のエアロブレードライトが見られる。これも初期のデザイン上の特徴で、生産バージョンでも採用されているようだ。

画像クレジット:Polestar(スクリーンショット)

Polestarはこの新しいビデオの中で、バッテリーの航続距離やパワートレインなどのスペックを一切公開しなかった。しかし、2022年に生産開始が予定されている電動SUV「Polestar 3(ポールスター3)」に続くモデルであることはわかっている。

Polestarの最初の量産車は、プラグインハイブリッドのグランドツアラー「Polestar 1(ポールスター1)」だった。その後、2020年にはオール電化のセダン「Polestar 2(ポールスター2)」が登場した。(同社が数字による命名法を続けると仮定して)Polestar 4が何であるかはまだわかっていない。

かつてPreceptと呼ばれたEV、Polestar 5についての最新情報は、同社が2021年に行った2つの大きな事業拡大と財務上の動きに続くものだ。Polestarは9月下旬に、Gores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)とのSPAC合併により上場することで合意し、合併後の会社の評価額は約200億ドル(約2兆3000億円)となる見込みと発表した。合併が完了すると、統合後の会社はPolestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有することになる。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。

6月には、同社はPolestar 3を米国で生産することを発表した。ポールスター3は、サウスカロライナ州リッジビルにあるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)との共同工場で組み立てられる。Polestar 3の生産は、2022年にグローバルで開始される予定だ。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

英国、2022年から新築住宅・オフィスにEV充電器の設置を義務づける

英国政府は、2022年から英国のすべての新築住宅およびビジネスに電気自動車(EV)充電ステーションの設置を義務付けると発表した。この新しい施策は、毎年14万5千カ所の充電ポイントを追加することで、英国でのEV普及を促進することを目的としている。

「これにより、人々はEVの未来に備えた新築物件を購入することができ、また、英国内の新しい店舗や職場で充電ポイントを容易に利用できるようにすることで、今日のガソリン車やディーゼル車の給油と同じように簡単に利用できるようになります」とプレスリリースには記されている。

英国政府はすでに25万台以上の充電ポイントの設置を支援しているが、この新ルールにより、初年度だけで50%以上の増加が見込まれる。スーパーマーケットやオフィスビルなどの建物に加え、10台以上の駐車スペースを持つ大規模な改築も対象となる。ただし、設置場所の仕様や出力など、ルールの詳細はまだ公表されていない。

英国の野党である労働党は、ロンドンと同国の南東部には「イングランドとウェールズの他の地域を合わせたよりも多くの充電ポイントがある」と指摘し、新法はその点で役に立たないと主張している。また、低・中所得者層がEVをより購入しやすくなるような条項も含まれていないと、BBCは報じている。

英国政府は、予定よりも10年早い2030年までに化石燃料車の販売を完全に禁止することを目指している。同国政府は以前、英国内のEV充電インフラ整備に5億ポンド(約769億円)を投じる用意があると述べていた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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(文:Steve Dent、翻訳:Dragonfly)

LAオートショー2021の高揚感としらけムード

LAオートショーは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下で初めて戻ってきた室内自動車ショーだ。ニュースに乏しく、いつも以上にベーパーウェアが多い中、それでも、いくつかのクルマやテクノロジーや企業が、イベントに先立って行われた2日間のプレスデーで目立っていた。

以下に、2021年のロサンゼルスで良くも悪くもTechCrunchの目に止まったクルマとテーマを紹介する。

グリーン&クリーンへと変わるストーリー

画像クレジット:Kirsten Korosec

米国時間11月17日正午前に行われた少数の主要なニュースカンファレンスでは、持続可能性と気候変動が中心テーマだった。そこには企業の偽善的環境配慮と実際の行動が入り混じっていた。

Hyundai(ヒョンデ)とKia(キア)は、環境の認識がいかに大切かを訴える短編動画を流したあと、全電動コンセプトカーとプラグインハイブリッド車を披露した。Fisker(フィスカー)は海洋保護について話した。長年グリーン化に取り組み、国立公園から動物保護まであらゆる活動の支援に多額の資金を投入してきたSubaru(スバル)も、環境保護の支援を継続していくことを強調した。

これは過去においても珍しくなかったことだが、自動車業界全体が二酸化炭素排出量低下に重い腰を上げ、持続可能な生産と調達に革新を起こし、有効な寿命を終えた部品や車両リサイクルと再利用の方法を探求していることは銘記しておくべきだろう。人類の気候変動への影響を減せる時間はあと10年しかないという恐怖の警告は、ショーで行われた複数のプレス会見で言及されていた。

ハリウッドモード

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年特に目立った発表の1つが、Fisker Ocean(フィスカー・オーシャン)の量産間近なバージョンだ。全電動SUVが備える17.1インチ巨大スクリーンは、180度回転可能で、同社が「ハリウッドモード」と呼ぶ横位置のランドスケープモードから縦位置のポートレートモードへ回転できる。

横位置モードでは、Oceanが駐車あるいは充電中に、ゲームをプレイしたりビデオを見たりできる。Fiskerは、このスクリーン回転技術の特許を取得していると述べた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

電化、電化、電化

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショー全体のテーマは、(驚くに当たらないが)あらゆるものの電化だ。展示場にはICE(内燃エンジン)駆動の車両が数多く見られたものの、バッテリー電力の世界にいくつもビッグニュースがやってきた。

Nissan(日産)の全電動SUV、Ariya(アリヤ)、Toyota(トヨタ)bz4xと双子車Subaru Solterra(ソルテラ)から、TechCrunchのお気に入りである全電動Porsche(ポルシェ)Sport Turismo(スポーツ・ツーリズモ)セダンの最新モデルとマジックルーフ付きワゴンまで話題は尽きない。

健康被害からあなたを守るテクノロジー

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現行パンデミックが3年目を迎える中、自動車メーカーは利用者を病気から守る方法を考え始めている。HyundaiがLAオートショーで披露した SUVコンセプトカーSEVEN は、垂直空気循環、抗菌性の銅、紫外線殺菌装置などの機能を提供している。

電動化レストモッドがやってくる

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショーで目についたトレンドの1つが、何台かの古い車体に電動パワートレインを積んだレストモッド(レジストレーション&モディフィケーション)モデルだ。内燃エンジンのような直感的体験を与えることはないかもしれないが、クラシックカーの新しい楽しみ方を提供するものだ。

自動車製造のスタートアップ、Cobera(コベラ)が展示していたC300は、懐かしいShelby Cobraとよく似た外観だ。しかし、ボンネットの中にはV8エンジンに代わってC300を時速0〜62マイル(0〜約99.8km)まで2.7秒で加速すると同社がいう全電動パワートレインが入っている。Cobera C300は、ハンガリーの乗用車とキャンピングカーの製造に特化した会社Composite-Projects(コンポジット・プロジェクト)が設計・製造した。車両のスイッチを入れると、合成されたサウンドが出て、昔のV8に少しだけ似た音が聞こえる。

Electra Meccanica(エレクトラ・メカニカ)は、LAオートショーで三輪自動車Solo(ソロ)(詳しくは下で解説)も発表している会社だが、もう1台、Porsche 356 Speedsterに似た電動車、eRoadsterを披露した。エアコンディショニング、パワーウィンドウ&ロック、最新インフォテイメントシステムなどを備える。

画像クレジット:Kirsten Korosec

新たなパワートレインを搭載したレストモッドを披露したのは比較的無名で小さなメーカーだけではない。Ford(フォード)は11月初旬のSEMAショーに登場した電動化したF-100を持ちこんだ。1978 F-100 Ford Eluminator(フォード・エルミネーター)はFordの電動モーター、E-crate(イークレート)を備えたレストモッド機能で、ユーザーはこれを購入して自分の車両に取りつけられる。

F-100は前輪と後輪に1台ずつモーターを備え、最高出力480馬力、最大トルク634lb-ft(860Nm)を誇る。室内には新型インフォテイメントシステムのスクリーンとデジタル・ダッシュボードがある。

画像クレジット:Kirsten Korosec

三輪車

画像クレジット:Kirsten Korosec

例年、会場には少なくとも数台の三輪自動車が登場するが、2021年はいつもより多かった。Biliti Electric(ビリティ・エレクトリック)が持ってきた電動&ソーラー駆動トゥクトゥクは、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)が世界の人口密集都市のラストワンマイル配達に使える、と同社は言っている。

同社のGMW Taskmanは、すでにヨーロッパ、アジアの各所で使われていて、これまでに1200万個の荷物を配達し、延べ2000万マイル(3200万km)を走ったとファンダーが言っていた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Electra Meccanica のもう1台、Soloは同社が2016年のこのショーでも披露したsharyou

で、プレスデーにテスト乗車を提供していた。同社によるとSoloは1回の充電で最長100マイル(約161 km)走行可能で、最大出力82馬力、最大トルク140lb-ft(約190N-m)、最高速度は80mph(約128 km/h)。定員1名で荷物スペースを備え、近距離の移動や都市圏での通勤のために作られている。Soloの価格は1万8500ドル(約211万円)で、アリゾナ州メサで製造されている。

Sondors(ソンダーズ)の三輪電気自動車は、3人乗りで航行可能距離は約100マイル(約160km)と同社はいう。このクルマは、100万ドル(約1億1400万円)以上を集めて成功したクラウドファンディングの後に開発されたもので、33 kWhのバッテリーパックを備え、最大出力170馬力、最大トルク323 lb-ft(約438N-m)を発揮する。

Imperium (インペリウム)も三輪電気自動車、Sagitta(サギッタ)を披露した。ショーに登場した三輪乗用車の中では最大で、4人まで乗ることができるスペースをもつ。Sagittaは車両のスペックを発表していないが、2022年中頃から予約を開始すると同社は述べた。

バービー

画像クレジット:Abigail Bassett

ことしのLAオートはには、バービーまで登場した。Mattel(マテル)はBarbie Exra(バービー・エクストラ)カーの実物大バージョンを公開した。2021年式Fiat(フィアット)500のシャシーに載せたファイバーグラスのボディーはキラキラの白い塗装で飾られ、ウィング式ドアと後部にはペット用プールもある。

ソーラーパワー

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のショーには、興味深いソーラー充電オプションを備えたクルマがいくつかあった。中国のエネルギー会社、SPI参加のPhoenix Motor Inc.(フェニックス・モーター)が発表したピックアップトラック、EF1-Tの収納可能なソーラーピックアップベッカバーは、最大25〜35マイル(約40〜56km)の走行距離を追加できると同社はいう。EF1-TおよびバンバージョンのEF1-Vは、いずれも巨大な車両で、明らかにまだプロトタイプであり、機能や利用形態について顧客の意見を聞いているところだと会社は述べた。

大きな虫のような外観のEF1-Tは、1回の充電で380〜450マイル(約612〜724 km)走行可能で、2025年の発売に向けて予約を受け付けているという。ずいぶんと遠い話だ。

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードとリビアンがEVの共同開発計画を中止

Ford(フォード)とRivian(リビアン)が、EV(電気自動車)を共同開発する計画を断念した。Automotive Newsのインタビューで、フォードのCEOである Jim Farley(ジム・ファーリー)氏は、2023年末までに年間60万台の電気自動車を生産するという目標にフォード単独で取り組むと語っている。

フォードがRivianに5億ドル(約570億円)の投資をした2019年には、両社はRivianの「スケートボード」パワートレインを利用したフォードブランドのEVを共同で生産すると発表していた。だが2020年初頭には、パンデミックを理由にリンカーンブランドのEV開発を中止していた。当時は、Rivianの技術をベースにした「別の車両」の開発を進める予定だと語っていた。現在では、そのプロジェクトも進まないこととなった。

ファーリー氏はAutomotive Newsに対し「すでに私たちは電気自動車の分野で勝つことができるという自信を深めています」と語っている。「私たちの現在の状況と元々投資を行ったときの状況を比べてみると、私たちの能力やブランドの方向性などの多くの点で変化がありました。そし私たちにとっては取り組むべきことがはっきりとしてきたのです」。

ファーリー氏によると、フォードとRivianがプロジェクトを進めないことを決めた理由の1つは、両社のハードとソフトを組み合わせる作業が複雑だったからだという。今回の決定が両社の関係に影響を与えることはないとしている。

Rivianの広報担当者は「フォードが独自のEV戦略を拡大する一方で、Rivianの車両に対する需要も高まったため、お互いに独自のプロジェクトと出荷に集中することを決定しました」と述べている。「フォードとの関係は私たちの旅の重要な一部ですし、フォードは電動化された未来への共通の道を歩むための投資家であり味方であり続けます」。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文: Igor Bonifacic、翻訳:sako)

Miniの電気自動車の未来はどうなる?期待されるコンバーチブル化やさらなる小型化

1950年代後半に英国で起きた燃料危機をきっかけに生まれた、小型で意外と運転が楽しいクルマ、Mini(ミニ)がまた革命を起こしている。今回の革命の背後には、気候変動と親会社であるBMWが2030年までにすべてを電気自動車にするという計画がある。

Miniは、2008年にMini Eのパイロットプログラムを開始して以来、バッテリー駆動の電気自動車に取り組んできた。現行の電気自動車Mini SEは、2020年に発売されて以来、高い需要がある。しかし、それらは未来ではない。

「Mini EもCooper SEも基本的には、既存の内燃機関車を改造したものです。ですから、私たちはまだこの分野に本格的に参入していません」と、MINI of the Americasの副社長であるMike Peyton(マイク・ペイトン)氏はTechCrunchに語った。

ほぼすべての自動車メーカーがそうであるように、Miniも将来の自動車のために専用の電気プラットフォームに取り組んでいる。しかし、中心となるのは走行距離ではなく、その走り方だ。それはMiniらしくなければならない。

「楽しいクルマでなければならないんです。Miniのようなハンドリングでなければなりません。そして、私たちは、それが電動化の全体像にぴったりだと考えています」とペイトン氏は語っている。Miniの特徴であるゴーカートのようなフィーリングが、恐竜の死骸ではなく電子を動力源としている場合でも必要なのだ。

未来の電気自動車Miniがどのようになるかについて、ペイトン氏は次のように述べている。「それは間違いなく、人々がこれまで見てきたもの、期待していたものを、より現代的に解釈したものになるでしょう。初期の頃は、ミニマリズムとシンプルさを大切にしていました。未来の車にも、このテーマが見られると思います」。

未来のクルマには、レガシーとブランドアイデンティティを維持しつつ、テクノロジーを推進する電気自動車のコンバーチブルMiniが含まれる。同社は現在、そのような未来のブランド中心のEVがどのようなもので、今後どのように進化していくのかを検討している。

Miniはもっと小さく、もっと大きくなるかもしれない

よりエキサイティングなのは、電気自動車のSUVやクロスオーバーが急速に普及している世界で、まったく予想外のものが生まれる可能性があることだ。ペイトン氏は、将来「いかにもMiniらしい小さなフォーマットのクルマも登場するでしょう」と述べている。これらの未来の車両が、現在販売している車両よりも小さくなるのかという質問に対して、ペイトン氏は「可能性はあります」と答えた。

BMWに買収される前の、信じられないほど小さなMiniのファンにとって、電動化への移行は、米国に新しいマイクロビークル市場をもたらすかもしれない。

ペイトン氏は、現在走行しているMiniよりも大きなサイズのEV Miniを設計・販売する可能性もあると述べている。この「より大きな」Miniが何を意味するのかは不明だ。同社のコンセプト「アーバノート」への反応を見ると、このクルマはMiniというよりもVWのマイクロバスに近いかもしれない。

Miniは興味深い立場にある。小型で楽しく、都市向けの同社のクルマの特徴は、EVのパッケージに非常によく適合している。

Mini SE(ガソリン車に電気自動車のパワートレインを搭載したクルマ)は、同社の未来を示す前菜のようなものだ。200マイル(約321km)以上の走行が標準の世界で、110マイル(約177km)という笑ってしまう航続距離にもかかわらず、初年度の生産分は完売した。Miniによると、このクルマを購入する人の80%は、Miniが初めての人だという。

気候変動の危機を乗り越えるために、このブランドが成功するかどうかは、ある1つのことにかかっている。そのEVがどのように走り、どのように見えるかだ。その点についてペイトン氏は「それは常に紛れもなくMiniである」と語っている。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Yuta Kaminishi)

中国の新興EVメーカーXpengが海外進出、ノルウェーを足がかりに多くの欧州市場を目指す

Nio(ニオ)と同様に、中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)も海外展開を開始した。しかし、ノルウェーで派手なキャンペーンを展開したライバルとは異なり、Xpengは2021年10月にスカンジナビアの国で静かにスタートした。

同社はノルウェーで、SUVの「G3」とセダンの「P7」の出荷を開始した。2022年にさらに多くの欧州市場に参入することを目指していると、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。

Xpengが海外展開を控えめにしているのは、おそらく11月18日発表した最初の「国際的」モデルであるSUVの「G9」の発売を待っていたからだろう。

「G9は、国際市場と中国市場の両方に向けて一から構想を練って開発された当社初のモデルであり、当社の最も洗練されたデザインを世界中の顧客にお届けします」と、同社の共同創業者で社長のHenry Xia(ヘンリー・シャ)氏は11月19日の自動車展示会で述べた。

このSUVは、Xpengの4番目の生産モデルであり、同社の最新の先進運転支援システム(ADAS)を搭載した初のモデルとなる。Xpilot 4.0と呼ばれるこのADASは、2021年10月のTech DayでXpengが説明したように、都市部での運転を想定して作られている。Xpilot 4.0を乗用車に搭載するのは野心的であり、完全な自律走行に近づくために「車両の始動から駐車まで」を支援することを目的としている。

Xpilot 4.0のコンピューティングパワーは、2つのNVIDIA Orin-Xシステムオンザチップユニットで構成されている。そのハードウェアには、カメラ、ライダー、ミリ波レーダー、3D視覚認識ネットワークが組み込まれている。

言い換えると、G9にはセンサーが何層にも重なっていることになる。しかし、Xpengはそれらを目立たないようにしている。例えば、デュアルライダーユニットはヘッドライトに組み込まれている。従来、ライダーは量産車には高価なものだったが、Xpengや業界関係者はセンサー技術を手頃な価格にすべく取り組んでいる。

この件に詳しい人物によると、G9が中国で発売されるのは2022年の第3四半期で、そのため欧州の顧客がSUVを試すことができるのは2023年以降になりそうだ。

一方、Xpengは、高度な自律走行乗用車を国際展開できるようにするために多くの課題を抱えている。同社は、ターゲットとする市場で充電ネットワークを構築する必要があるが、このプロセスは新型コロナウイルス感染症で中断されがちだ。また、Xpilotは高精細な地図に頼っているため、おそらく中国国内のナビゲーション会社との連携が必要になる。

また、Xpengはスマートカーの安全性について、各国政府から疑問を投げかけられるかもしれない。自動車の自動運転に対する各国政府の姿勢は異なり、Tesla(テスラ)のADASが絡んだ衝突事故の件で、この技術が準備万端かどうか懐疑的な見方が強まった。

Xpengはこの点に関していくつかの準備をしている。例えば、ドライバーにXpilotを起動させる前に、ドライバーをテストして安全性のスコアを与えることにしている。また、車両に搭載されたモニタリングシステムがドライバーの審査を行い、ドライバーが無責任な行動をしていると判断した場合には、Xpilotへのアクセスを取り消すこともある。

その他の仕様

G9は、Xpengの「スーパーチャージャー」に対応している。このスーパーチャージャーは800Vの高電圧の量産型SiC(シリコンカーバイド)で、5分もかからず最大200km走行分を充電することができる。

また、G9には故障カ所を特定できる「故障検知」システムが搭載されている。そして、システムは在庫があるサービスセンターを表示するとともに、修理時間と費用の見積もりも案内する。

最後に、G9にはギガビット・イーサネット通信アーキテクチャが採用されていて、より高いレベルの自律走行、スマート・コックピット、OTAアップグレードのために「通信とサポートを向上」している。

画像クレジット:Xpeng’s G3

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

Eatronは「インテリジェントな自動車用ソフトウェア」を開発

電気自動車は基本的に「車輪の付いたソフトウェア」で、それは多くの可動部品を必要とする。もちろん、物理的なものではなく、仮想的なものだ。そのソフトウェアは、走行中の電気自動車の性能、効率、安全性を継続的に最適化する必要がある。しかし、そこに問題が生じている。自動車メーカーが自社のソフトウェアを公開して、改善に役立てることができないということだ。そこで、この自動車用の組み込みソフトウェアを、その土台にある電子部品のハードウェアから切り離せば、より最適化が進み、より効率的な自動車を実現することが可能になる。それはバッテリーの航続距離や性能全体に重要な影響を及ぼす。

このような理由から、英国に本拠を置き「インテリジェントな自動車用ソフトウェア」を開発しているEatron(イートロン)という企業は、英国のMMC Ventures(MMCベンチャーズ)が主導する1100万ドル(約12億5000万円)のシリーズA資金調達を成し遂げた。

この投資ラウンドには、Aster Capital(アスター・キャピタル)とベトナムの自動車メーカーであるVinFast(ビンファスト)も参加した。Eatronはこれまで、VinFastの電気自動車開発に協力してきた。また、このスタートアップ企業はドイツのHirschvogel Group(ヒルシュフォーゲルローランド・グループ)とも戦略的パートナーシップを結んでおり、同グループはEatronに150万ドル(約1億7000万円)を出資している。

同社の技術を利用することで、自動車メーカーやティア1サプライヤーは、バッテリーマネジメント、インテリジェントモーションコントロール、先進運転支援などを目的とする自動車用ソフトウェアを、自社のハードウェアから切り離すことができる。これにより、自動車メーカーにとってはサプライヤーの選択肢が増え、コスト、リスク、市場投入までの時間を減らす効果がもたらされる。

今回のシリーズA資金の一部は、サードパーティ製ソフトウェアモジュールや、半導体およびハードウェア部品のサプライヤーとの提携を増やし、プラットフォームを拡大するために使用される予定だ。また、ドイツ、インド、米国の営業チームを増強することも計画されている。

Eatronの共同創業者兼CEOであるUmut Genc(ウムット・ゲンク)博士は次のように述べている。「モビリティ、特に自動車は、劇的な変化の真っ只中にあり、その変化の一環として、ソフトウェア主導型の産業になることが必要とされています。端末に組み込まれ、クラウドに接続されたインテリジェントな自動車用ソフトウェアプラットフォームは、この変革において重要な役割を果たすでしょう」。

MMC Venturesの投資家であるMina Samaan(ミナ・サマーン)氏は次のように述べている。「自動車メーカーをサポートする興味深いアルゴリズムのコンセプトを構築するソフトウェアビジネスは数多く見てきましたが、量産市販車に必要な規制、セキュリティ、安全性の要件を満たす専門知識を持った企業はありませんでした。しかし、Eatronは例外です。同社のソフトウェアは、自動車用品質を目指して一から構築されたもので、今後の数年間で何十万台もの自動車のバッテリーや自動運転機能を推進する可能性を秘めています」。

画像クレジット:VinFast

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

BMWの電動スクーター「CE 04」、同社幹部はスタイルと技術が新しい顧客をもたらすと信じている

この2年間に奇妙なことが起こった。何年もの間、落ち込んでいたオートバイとスクーターの販売が復活したのだ。これはBMWの二輪車部門であるMotorrad(モトラッド)とその最新の電動スクーター「CE 04」にとって良い知らせだ。

ロサンゼルスオートショーに先立つイベントで披露されたこのレトロフューチャーなバイクは、二輪車ルネッサンスの波に乗ることで、電動スクーターがより広く受け入れられる先駆けとなる可能性がある。

BMW MotorradアメリカのTrudy Hardy(トゥルーディ・ハーディ)副社長は、この二輪EVが単なるクールなバイク以上の存在になると考えている。「このカテゴリーにスクーターが入ることは、交通手段における課題の解決になるという点で興味深いと、私は思います」。

2022年初頭に発売予定のCE 04は、1万1795ドル(約135万円)から。BMWのすべての製品がそうであるように、この製品もプレミアムな価格が付けられている。しかし、その機能と電動であることを考えれば、実際にはお買い得と言えるかもしれない。

このスクーターは2人乗りで、42馬力のパワーと62Nmのトルクを発揮する。容量8.9kWhのバッテリーパックは、一度の充電で130kmの距離を走行できるという。最大6.9kWのレベル2充電に対応し、1時間40分でフル充電できる。

さらに、10.25インチの大型TFTディスプレイを搭載し、BMW Motorradアプリと組み合わせれば、ターンバイターンのナビゲーション機能が利用できる他、コーナーでどれだけ体を傾けたかといったライダーのデータや、車両の一般的な情報も把握することができる。

画像クレジット:Roberto Baldwin

電動二輪車の世界では、Harley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン)から「Livewire(ライブワイヤー)」が登場し、Zero Motorcycle(ゼロ・モーターサイクル)が繁栄を続けているが、CE 04は電動スクーターだ。

ハーディ氏は、BMWにとってこれはスマートな戦略だと確信している。「モーターサイクルなんて検討していなかったような新しい人々をブランドに引き入れ、そういう人々にこれがフレンドリーなソリューションだとわかってもらえるでしょう」。

BMWが米国市場に初めて導入した電動スクーターは「C evolution(Cエボリューション)」だった。しかし、これは実質的にはパイロットプログラムに過ぎなかった。「実際には、下調べのためのちょっとしたテストでした。これ(CE 04)は、電動車市場に本格的に参入する当社の最初の試みです」と、ハーディ氏はTechCrunchに語った。

とはいえ、米国では人々がスクーターを過小評価する傾向があることに、ハーディ氏は神経質になっている。同氏のいう新しい顧客とは、オートバイやスクーターに初めて乗る人々のことだ。現在、電動アシスト自転車に乗っていて、CE 04のような電動スクーターにステップアップするような顧客には、見た目以上にパワフルであることを理解してもらえないかもしれない。スクーターというと、パワーが足りないという先入観から避けられることも多いが、実際には電気自動車を活発に走らせる強力な電動モーターのトルクが、このスクーターにも備わっているのだ。

これは玩具のような乗り物ではない。幸いなことに、BMW Motorradのラインナップでは、アンチロックブレーキなどの安全装備が全車に標準装備されている。

二輪車が初めての人にも、経験豊富な人にも、CE 04はちょっとした新しさを提供する。コンパクトでありながら活発に走るEV二輪車は、シティコミューターの答えになるかもしない。ハーディ氏は、これを会社全体の継続的な動きの一環として捉えている。「BMWはこれまで常に性能面と技術面で知られてきた会社です。そして今、電動化の領域を四輪から二輪へ拡げようとしているのは、すばらしいことです」。米国では現在、新しいバイクやEVを購入する人が増えていることも後押しするだろう。その双方の組み合わせは、ファンキーなCE 04を勝利に導くかもしれない。

画像クレジット:Roberto Baldwinn

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

現代自動車が「衛生的なインテリア」を備えた電気自動車SUVのコンセプトカー「SEVEN」を公開

Hyundai(ヒョンデ、現代自動車)は、ロサンゼルスオートショー2021で、新しいSUV型電気自動車のコンセプトカーを発表した。「SEVEN(セブン)」と名づけられたコンセプトカーは、回転式のラウンジシートから、同社が「衛生的」と呼ぶインテリアまで備えている。新型コロナウイルス感染流行が始まってから3年目を迎えた今の時代に、それは相応しい機能といえそうだ。

コンセプトカーというものは、その名のとおり、未来のクルマの可能性を示す創造性と技術の習作だ。だから、モーターショーでコンセプトカーとして発表されたクルマが、将来必ずしも販売店に並ぶとは限らない。しかし、ヒョンデは今回、フルサイズSUVのコンセプトを、実際にディーラーで購入できるプラットフォーム上で実現して見せた。

コンセプト:衛生的なインテリア

完全な自動運転車が、実際に大衆のものとして実現する日に備えて、ラウンジのようなインテリアや360度回転するシートを備えたコンセプトカーを、ヒョンデのみならず多くの自動車メーカーが披露している。だが、SEVENコンセプトのユニークな特徴は、衛生的なインテリア機能にある。

まず「Hygiene Airflow(ハイジーン・エアフロー)」システムが、前席と後席の乗員間の空気の流れを分離する。ルーフレールに設けられたインテークから取り入れた空気が、車内で上から下へ流れ、リアホイール後方のベントから排出されるという仕組みで、ヒョンデでは「バーティカル(垂直)モード」と呼んでいる。これを「ホリゾンタル(水平)モード」、つまり我々が一般的な自動車の換気と考えているモードに切り替えると、空気は前方から後方へと移動する。ヒョンデによると、このシステムは航空機に採用されている先進的なシステムからヒントを得たもので、走行中でも停車中でも作動するという。

画像クレジット:Abigail Bassett

将来的に自動運転車は複数の人々で共有することになるため、ヒョンデは空気の流れを調整するだけでなく、乗客が入れ替わる間に車内を清潔にするコンセプトも披露した。新型コロナウイルスは、呼吸器系の飛沫やエアロゾルを介して感染し、布地を含むあらゆる表面で何時間も生存できるため、ウイルス感染流行時代においては、非常に現実的な懸念といえるだろう。

SEVENには、乗客がクルマから降りた後に実行されるUV-C除菌サイクルが備わっている。UV-C(紫外線C波線)は、空気、水、非多孔質表面を殺菌できる効果があり、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2ウイルスを死滅させると、FDA(アメリカ食品医薬品)から報告されている。ただし、UV-C光は目や皮膚を焼く可能性があるため、プログラムを実行する前にすべての乗員を車外に出す必要がある。

垂直エアフローとUV-C殺菌に加えて、ヒョンデは将来のウイルスの拡散をさらに防ぐために、内装に抗菌機能を持つ銅や、衛生加工された生地を使用するなどの興味深い工夫も施している。

さらにSEVENには、乗客の靴の洗浄と消臭を行う「シューケアコンパートメント」も装備されている。

実際の充電と航続距離

 

このSEVENコンセプトは、ヒョンデの電気自動車用プラットフォーム「Electric Global Modular Platform(E-GMP、エレクトリック・グローバル・モジュラー・プラットフォーム)」をベースに作られている。このプラットフォームは、ヒョンデのクロスオーバー電気自動車「Ioniq 5(アイオニック・ファイブ)」をはじめ、KIA(起亜、キア)の新型電気自動車「EV6」など、Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)の他の車両にも採用されているものだ。同グループの高級車ブランドであるGenesis(ジェネシス)から将来登場する電気自動車の基盤にもなる。

このプラットフォームでは、400Vと800Vの両方の急速充電に対応できるようになっており、実際に市販されているIoniq 5の場合、350kWのDC急速充電器を使えば20分以内にバッテリーを10%から80%まで充電することができる。ヒョンデによれば、同社が提供する77.4kWhの大型バッテリーパックによって、一度の充電で300マイル(約483km)以上の航続距離を得ることが可能だという。

コンセプトカーはそのほとんどがベーパーウェアではあるものの、ヒョンデのSEVENコンセプトは、想像と現実が融合した興味深いデザインで、同社が考える未来の交通手段を示唆するものになっている。

画像クレジット:Abigail Bassett

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新型電気自動車「Fisker Ocean」はフォックスコン製回転式スクリーンを搭載

Foxconn(フォックスコン)の特徴が、近々発売される新型電気自動車「Fisker Ocean(フィスカー・オーシャン)」の主要なディテールの1つとなる。

同社はこの電動SUVの量産予定モデルを、米国時間11月17日に開幕したLAオートショーで公開した。

このFisker(フィスカー)初の電気自動車には、Foxconn製の特徴的な17.1インチのスクリーンがダッシュボード中央に搭載されている。このタッチパネルは、縦型の「ポートレート」モードから、横画面の「ハリウッド」モードへと回転可能で、後者は駐車して充電を待つ間に、ドライバーや同乗者が(その名称の元となったように)映画を観たり、ゲームを楽しんだりするためのモードだという。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Fiskerの共同創業者兼CEOであるHenrik Fisker(ヘンリック・フィスカー)氏は、この回転式スクリーン技術の特許を申請したと述べている。

Fiskerはまず2020年に、ラスベガスで毎年開催される「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、Oceanのプロトタイプを発表した。市販予定モデルとなった今回は、航続距離や各種トリムレベルとその価格、さらにパッシブ充電用のソーラールーフなどの装備も含め、車両に関するより詳細なスペックが明らかにされた。

Fiskerは4種類のトリム、14色におよぶカラーバリエーションの設定を予定しており、ベースグレードの「Ocean Sport(オーション・スポーツ)」の価格は、補助金・税金別で3万7499ドル(約430万円)となっている。このSportではフロントに搭載した1基のモーターが前輪を駆動し、最高出力は275馬力。CATL社製のリン酸鉄リチウムイオン電池を使用し、1回の充電で250マイル(約402km)の距離を走行できる。

それ以外のトリムは、いずれも車両の前後に2基のモーターを搭載する四輪駆動だが、グレードによって性能に差がつけられている。4万9999ドル(約570万円)の「Ocean Ultra(オーシャン・ウルトラ)」は540馬力で0-60mph(約96.6km/h)加速が3.9秒。そして最上位モデルの「Ocean Extreme(オーシャン・エクストリーム)」とそれに準じたローンチ・エディション(先行発売モデル)の「Ocean One(オーシャン・ワン)」は、どちらも6万8999ドル(約790万円)で550馬力を発揮、0-60mph加速は3.6秒に縮まる。

UltraとExtremおよびOneには、ニッケル・マンガン・コバルト電池を使用したCATL製バッテリーが搭載される。各バッテリーの容量は公開されていないものの、Ultraの推定航続距離は340マイル(約547km)、ExtremとOneは350マイル(約563km)を超えるとのこと。

Fiskerでは現在、2つの車両プログラムに取り組んでいる。ロサンゼルスオートショーで注目を集めたFisker Oceanは、欧州の自動車受託製造会社であるMagna Steyr(マグナ・シュタイヤー)が組み立てを担当し、2022年11月に生産開始が予定されている。2022年後半から欧州および米国で納車が始まり、2023年中には生産能力が月産5000台を超える計画となっている。中国の顧客への納車は2023年に始まる予定だ。

そしてもう1つのプログラムとして、Fiskerは2021年5月に、Foxconnと新しい電気自動車を共同開発・製造する契約を締結。ヘンリック・フィスカー氏によると、両社は「かなり早く」デザインを進めており、現在は、トランクを開ける新しい方法の特許取得やその他の技術革新に取り組むなど、エンジニアリングや技術的な詳細に没頭しているという。

おもしろいことに、この自動車製造パートナーシップは、フィスカーが独自のインフォテインメント・ディスプレイの供給を受けるためにFoxconnと話し合ったことから生まれたものだと、ヘンリック・フィスカー氏は17日のTechCrunchによるインタビューで語っている。

「自動車業界が抱えている本当の問題は、車両に搭載されている技術が3年以上も前のものであるということです」と、フィスカー氏はいう。「私たちは、クルマに搭載されているものよりも、携帯電話の方が優れていて、賢くて、速いと常に感じているのですから、これは何かが間違っています」。

同氏はFoxconnとの提携について、その狙いはiPhoneを製造している企業(Foxconn)と同じくらい早く動けるようになることだと語った。

Fiskerは1月にFoxconnとの話し合いを開始し、間もなく契約を締結した。Project PEAR(プロジェクト・ペア)と呼ばれる車両製造の契約が発表されたのは、それからすぐ後のことだ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スバル初のグローバル展開、新型電気自動車「ソルテラ」がLAオートショーで米国デビュー

SUBARU(スバル)は、2021年5月にチラ見せしていたクロスオーバー型電気自動車の全貌を、11月11日に世界初公開した。そして米国時間11月17日、この「SOLTERRA(ソルテラ)」と名づけられた同社初のグローバル展開となる電気自動車は、ロサンゼルスオートショーで米国デビューを果たした。

ソルテラは、スバルとトヨタの共同プロジェクトから誕生したサブコンパクトクラスのバッテリー駆動クロスオーバーで、トヨタが4月に発表した電動クロスオーバー「bZ4X」とほとんど双子に近い兄弟関係にある。つまり、従来の「スバル BRZ」と「Toyota 86(トヨタ86)」の関係と同様だ。

このクルマを一文でまとめると次のようになる。ソルテラは、アメリカ人の飽くなきクロスオーバーへの欲求をターゲットにしており、トヨタの協力を得てスバルがEV市場に参入する足がかりとなる。

この2年間は、半導体不足により生産が滞ったにもかかわらず、スバルにとっては非常に良い年だった。米国では過去最高の販売台数を記録している。

四輪駆動の中型SUVとして知られる「Forester(フォレスター)」は、販売台数でセグメントをリードしてきたものの、2021年10月の販売台数では、小型クロスオーバーの「Crosstrek(クロストレック)」が最も売れていると報じられている(販売台数ベース)。スバルによると、フォレスターと「Outback(アウトバック)」のオフロード志向を強めたバリエーションである「Wilderness(ウィルダネス)」を販売店に留めておくことは難しく、メーカー希望小売価格より5000ドル(約57万円)も高いプレミアム価格が付けられているとのこと。

トヨタは2019年9月からスバルの20%を保有しているが、その提携は、GMがスバル(当時の富士重工業)との関係を解消した2005年にさかのぼる。トヨタとスバルの提携は、スバルが得意な四輪駆動システムの専門知識をもたらし、トヨタがハイブリッドや電気パワートレインを提供するという形で、双方にとって有益なものとなっている。2つの日本企業は、両社とも新しい領域に踏み込む際には保守的で慎重になる傾向があるが、ソルテラはスバルが考えるオフロード性能を備えた電動クロスオーバーの将来像を示すという意味でも興味深い。

全輪駆動の共有プラットフォーム

ソルテラは、スバルがトヨタと取り組んだ共同プロジェクトであるため、デザイン(特にインテリア)はトヨタに少々似ているが、エクステリア、シャシー、全輪駆動システムはすべてスバルによるものだ。トヨタはバッテリーの調達も担当している。

このバッテリーは、71.4kWhのリチウムイオン電池で、前後車軸の間に格納されており、フロントとリアに搭載された合計2基の電気モーターに接続されている(日本版編集部注:モーターをフロントに1基のみ搭載する前輪駆動仕様もあり)。一度の充電で走行可能な航続距離は460km前後(WLTCモード、日本国内向け基準)になる見込みだという(日本版編集部注:前輪駆動モデルは530km前後)。最大150kWのDC急速充電に対応し、0~80%までわずか30分程度で充電できる。

モーターの最高出力は、前後とも80kWで合計160kW(約217.5ps)。最大トルクは246lb-ft(約333.5Nm)で、低回転から十分な力を発揮するため、いわゆるソフトローダーとしては十分な動力性能が期待できるだろう。(日本版編集部注:前輪駆動モデルは1基のモーターのみで150kW[約204ps]を発生)。

画像クレジット:Kirsten Korosec

オートショーに先駆けて郊外で行われた発表会では、小さな岩が転がる道を登ったり浅い池を越えたりしながら、集まった報道陣の前で写真撮影を行い、軽めのオフロード走行を披露した。

ソルテラには、スバルのトレードマークである左右対称の全輪駆動システムに加え、滑りやすい路面でトラクションを高める「X-MODE(エックスモード)」が搭載されている。1輪が宙に浮くような状況では、ブレーキを自動的に調整して障害物を乗り越えていくことができるため、適度なオフロード性能を備えたEVと言えるだろう。210mmの最低地上高は、同じ電動小型クロスオーバーである「Volkswagen(フォルクスワーゲン)の「ID. 4」やTesla(テスラ)の「Model Y(モデルY)」よりも優れていると、スバルはLAオートショーにおける発表の際に強調していた。

先の発表イベントでは、スバルはソルテラが階段やオフセットランプのようなオフロードの障害物でテストしている映像を流し、この小型クロスオーバーがどれほどの性能を備えているかを示した。さらに「Jaguar I-Pace(ジャガー・アイペース)」のような競合車と、同じ障害物テストで対決までさせてみせた。

価格はまだ正式には発表されていないものの、スバルによれば、米国では3万9000ドル(約450万円)前後から購入できる見込みとのこと。ソルテラは2022年中旬までに日本、米国・カナダ、欧州、中国などの市場で販売が始まる予定だ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

家庭の電力利用をよりスマートにすることを使命とするSpan、新しいEV充電器Span Driveをリリース

エアコンや洗濯機、乾燥機などの電化製品が家庭で主役を務めた時代は終わった。最近は、EV(電気自動車)充電器、太陽光発電パネル、蓄電ソリューションなどにより、家庭の電力利用状況はますます複雑度を増している。Spanは、そうした状況にスマートさを組み込もうとしている会社の1つだ。同社がこのたびリリースしたSpan Driveは、さまざまなルールに基づいてEVをさらにパワフルな存在にするEV充電器だ。

米国の家庭はますます電化が進み、とりわけ最新の電化製品は古い設計の家では想定されていないような大量の電力を消費する。エアコン、ヒーター、ヒートポンプ、給湯器、洗濯機、乾燥機、電気コンロ、電気オーブン、EV充電器、蓄電装置などは、多大な電力を消費する可能性がある。それに加えて、ソーラーパネルを設置する家庭が増えたため、大量の電力が家庭に入ってくるようになった。こうした状況の中、米国家庭の電力状況は複雑度を増し、電力を大量消費するようになっているが、実際には、こうした電化製品をすべて同時に使用することはまずない。これは、最近の電子設計が直面している難題である。つまり、家庭に送電網から送電されてくる電力が最大100Aで、家庭にある電化製品の消費電力の合計が180Aであっても、実際にはそれらの電化製品をすべて同時に使用することはおそらくない。問題は、一時的に、すべての電化製品の電源を同時にオンにした場合、少なくともブレーカーが上がるまでは、電力会社にとって厳しい状況になるという点だ。

Spanはこうした問題を解消してくれる。Spanは5月に、家庭用スマートブレーカーパネルをリリースし、その数カ月前に2000万ドル(約22億8000万円)の資金調達ラウンドを発表した。同社はこのたび、500ドル(約5万7000円)のEV充電器Span Driveをリリースし、それに合わせて、3500ドル(約40万円)のブレーカーパネルは、今家庭で最大の電力を消費する装置である電気自動車向けにスマート性能が強化された。

「当社は、家庭でアンペアを100から200、200から400に上げる際のコストや時間をかけることなく、電化製品を追加し続けることができるようにしたいと考えています」とSpanのCEO Arch Rao(アーチ・ラオ)氏はいう。

「ブレーカーパネルをアップグレードするというより、家庭内の電化製品の使われ方を基本的に考え直して、電源管理を改善し、クリーンエネルギーと電化製品の統合を強化したいと考えています。従来のブレーカーパネルは安全装置としては大変優れていました。家庭に入ってきた電気はこのパネルを経由して家庭内の各装置と回路に分配されます。回路の動作状況が危険なレベルに達すると、回路は遮断されます。これがブレーカーの仕事であり、その仕組みは約100年間進歩していません。つまり、受動的な安全装置として機能しているのです」とラオ氏は説明する。「ブレーカーパネルが設置されている場所こそ、まさしくイノベーションが必要な場所です。ブレーカーパネルはグリッドと家庭内のすべての電化製品の交差点に位置しています。電化製品だけではなく、ソーラーシステム、電気自動車、蓄電システムなども、ブレーカーパネルに接続されています。当社が開発した新しいパネルは、グリッドと安全に遮断または再接続するための装置であるという点で、単なる安全装置としての機能よりもはるかに多くの仕事をします」。

グリッドとの接続とグリッドからの遮断は、グリッドに依存して生活している人たちにとって重要な点だ。家庭を、少なくとも電気的には、島に変えることができるというのが、将来的な観点から見たときのSpanのシステムの興味深い点の1つだ。また、Spanのパネルを使用すれば、停電時に従来よりも長く自力で電力を供給できる。蓄電ソリューションが設置されている家庭では、このパネルはよりスマートに動作する。停電を検出すると、不要な電気製品の電源が落とされる。例えばサーモスタットをオフにして、食品が腐らないように冷蔵庫や冷凍庫をできるだけ長く稼働させる。

Span Driveはしゃれたデザインの低価格EV充電器で、Span製パネルの機能を拡張する(画像クレジット:Span)

このシステムはアプリで制御できる。このアプリで家の電気の使い方に関する「ルール」を設定できる。例えば太陽光発電でまかなえるときだけエアコンを稼働するよう選択できる。48Aを電気自動車に接続して高速充電するよう選択する場合は、他の大量に電力を消費する電化製品の電源を落として、総電力消費量を100A以下に抑えるようにする。逆のケースもある。つまり、できるだけ高アンペアで高速充電しているときに、乾燥機、エアコンが同時に稼働し、電気オーブンと電気コンロで料理を始めると、Span Driveは充電に使用する電流を下げ、子どもたちが食事を済ませ、衣類がすっかり乾いてみんなでハグできるようになったら元に戻す。

あるいは、電気自動車の充電を太陽光発電でのみまかなうようSpan Driveをプログラムすることもできる。Tesla(テスラ)のオーナーは信号待ちから静かに発信させてフェラーリを抜き去りたいといつも考えているようだが、Span Driveのこの機能でそうしたオーナーの自己満足度は何倍にもなるに違いない。

もちろん、Spanのパネル自体から回路をオン / オフすることもできるが、このパネルは各回路に分配されている電力量を把握しているため、家電製品が増えてもより細かい制御が可能になる。これにはおそらくAmazon(アマゾン)のアイデアも一部入っているのだろう。アマゾンはSpanの最近の投資ラウンドに参加し、Alexaとの互換性を実現することも発表した。

ある意味、Spanは、従来家庭内でスマートさを欠いていた部分に多くのスマートな機能を組み込んだように感じる。電力はそのままではローテクだが、電化製品のスマート性が向上し、IoTの波が日常的に使う多くの電化製品にまで押し寄せる中、Spanは家庭全体に、マイクログリッドを構築しているように思われる。それは、孤立したゾーンであり、まだ誰も使い方を知らない強力な機能を備えている。SpanのCEOもその点を認識しており、同社は家庭の未来の争奪戦の真っ只中にいることに同意する。

「ブレーカーパネルには、他のどんな製品にもない永続性があります。今後30年は、現在と変わらず壁に設置されたままでしょう。もちろん、将来を見据えた設計についても考えています。現在当社が提供している機能は、競合他社が提供するどのような機能とも一線を画すものです。未来に重点を置くことで、現行のさまざまなソリューションを基本的な部分で凌駕していると思います」とラオ氏は話す。

画像クレジット:Span

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

トヨタの電気自動車 「bZ4x 」が2022年半ばに米国登場、最大航続距離402km

トヨタ自動車の新ブランドbzの最初の電気自動車であるbZ4xは、2022年半ばに米国で発売される予定で、推定航続距離は最大250マイル(約402km)だ。

bZ4xは、米国時間11月17日に開幕したロサンゼルスオートショーでともに発表されたスバルのSolterraとほぼ同じモデルだ。bZ4xとSolterraは、トヨタとスバルの電気自動車専用プラットフォームの共同開発という提携で生まれたクルマだ。この2つの車には、テールライトをはじめとするいくつかの小さな違いがある。しかし、一般の人からするとbZ4xとSolterraを見分けるのは難しいかもしれない。

画像クレジット:Kirsten Korosec

トヨタは10月に日本市場向けのbZ4x生産モデルを公開した。米国版は、右ハンドルという点を除いて基本的に同じだが、航続距離の数値が新たに明らかになった。この数値はトヨタの社内推定値であり、生産日近くになって発表されるEPA公式値ではない。航続距離250マイルは、bZ4xの前輪駆動モデルであるXLEのものだ。全輪駆動モデルの航続距離は明らかにされなかった。

bZ4xは、トヨタの二酸化炭素排出量削減に向けた「上記のすべて」アプローチの一環であり、業界が電気自動車中心のアプローチに傾いている中、トヨタはこのスタンスを堅持している。今週行われたイベントでトヨタの幹部は、マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド、バッテリー電気、水素燃料電池の車両を幅広く提供するという戦略を繰り返し述べた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

GM(ゼネラルモーターズ)をはじめとする他の自動車メーカーは、将来的にバッテリー駆動の電気自動車に完全に移行することを約束しているが、トヨタはそれを譲らないようだ。同社は、2025年までにグローバルで約70種類の電動化モデルを提供する計画を発表している。そのうち、15種が電気自動車で、ここにはbZ(beyond zeroを指す)ブランドの7種が含まれる。

2020年代末までに、同社は年間販売台数1000万台のうち200万台がバッテリー駆動車になると見込んでいる。また、200万台は内燃機関を搭載する。残りの800万台、つまりポートフォリオの80%はハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、水素燃料電池車になる。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポルシェが電気自動車Taycanにセダンとスポーティワゴンの2種類のGTSを投入

Porsche(ポルシェ)は、汎用性が高くパフォーマンスに特化したGTSの名を、電気自動車Taycan(タイカン)最後の2車種に与えた。

ロサンゼルスオートショーに先立つ米国時間11月16日夜のイベントで、ポルシェはTaycan GTSセダンと、新しい第3のボディスタイルを持つTaycan GTS Sport Turismo(タイカンGTSスポーツツーリスモ)を発表した。この2種類のTaycanの発表は、ポルシェにとっては1世代以上にわたる最大の賭けを締めくくるものになる。ポルシェは2019年秋に発表された4ドアのTaycanの開発に、10億ドル(約1148億円)以上を投じた。それ以降、ポルシェはTaycanを、Cross Turismo(クロスツーリスモ)とともに完全電気式ワゴンへと進めてきた。

今回の新車種の投入によって、後輪駆動のTaycanの4、4S、Turbo、Turbo SそれぞれのセダンとCross Turismoバリエーションと合わせて計10種類となる。しかし、2022年の第2四半期に米国での販売が開始される際に、顧客から最も大きな反響を呼ぶのは、カスタムキャリブレーションとチューニングによって、より激しく、より速い反応のパフォーマンスを実現した今回のTaycan GTSのバリエーションとなるだろう。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Taycanの10種類のバリエーションは多い。だが、北米ポルシェのCEOであるKjell Gruner(キエル・グルーナー)氏は、これは個々の顧客の要求を満たすという会社のミッションに合致しているのだと語っている。

グルーナー氏は米国時間11月16日のインタビューで「私たちは決して1つのもので押し切ろうとはしません」と語った。「そしてそれは、単なるバリエーションではなく、それぞれのバリエーションの中にも考えられるのです」。

Tycanのマルチバリエーション戦略は終わったが、ポルシェは次の「エレクトリックベイビー」にも同じような白紙状態からのアプローチを採用するだろう、とグルーナー氏はいう。その次期EVとは、Premium Platform Electric(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)プラットフォームを採用した、ポルシェ初のモデルとなるMacan(マカン)だ。電気自動車のMacanの出荷は2023年に予定されている。

Taycan GTSの話に戻そう

GTSバージョンのTaycanでは、フロントノーズカバー、サイドスカート、サイドウィンドウトリムがハイグロスブラックに変更されている他、ヘッドライトがブラックに着色されている。このTaycanには、リアやサイドスカートなどにGTSのロゴがふんだんに使われている。

車内では、他のモデルと同じインフォテイメントシステムが採用されており、マルチスクリーンのダッシュボードには、1963年のポルシェ911からインスピレーションを得たディテールが盛り込まれている。Apple CarPlayとAndroid Autoは、スマートフォンの表示と機能を車の中央画面に表示するための車載プラットフォームだが、他のバージョンと同様にGTSにも搭載されている。また、フルオートエアコンや充電プランナーなどの機能も備えている。

Taycan Cross TurismoとTaycanセダンをマッシュアップしたようなTaycan GTS Sport Turismoは、リアスポイラーをボディカラーに合わせて塗装し、ホイールアーチにクラッディング(被覆加工)をしていない点が特徴的だ。このSport Turismoは、Cross Turismoワゴンと同じシルエットと収納スペースを持っている。だが、セダンのTaycanよりも低い車高を持つことで、よりレース指向でパフォーマンスを秘めた外観と雰囲気を醸し出している。

画像クレジット:Kirsten Korosec

特に注目したいのは、今回のGTSには、ドライバーや同乗者が光の入り具合を調整できる新しいパノラミックルーフを採用している点だ。ルーフはデジタル時計のような9つの液晶フィルムセグメントで構成されている。各セグメントは電気的に独立している。充電されると、それらのセグメントは不透明になる。ユーザーはクリア(透明)、マット(不透明)、40%、60%の4種類のプリセットパターンから選ぶことができる。車両の電源がオフになると、ルーフは自動的にマットに切り替わる。システムは前回の設定を記憶しており、車両の電源を入れると、ドライバーが前回選択した設定へと戻る。

画像クレジット:Porsche

Taycan GTSセダンとGTS Sport Turismoの間には、片方は低床ワゴンという明確な違いがあるものの、共通する部分も少なくない。両車とも同じ永久磁石式の1速フロントモーター、大型の永久磁石式リアモーター、2速リアトランスミッションを搭載し、0〜60マイル/h(0〜97km/h)を3.5秒で加速することができる。

93.4kWhのバッテリーと、最大270kWの速さで充電可能な800Vのアーキテクチャを標準装備している。つまり5%から80%までの充電を22.5分で行うことができるということだ。

GTSは、価格とパワーの点でTaycan 4SとTaycan Turboの中間に位置する(ブランドのローンチコントロール機能により、総出力は590馬力となる)。Taycan GTSセダンは13万1400ドル(約1509万円)から、Taycan GTS Sport Turismoは13万3300ドル(約1531万円)からとなっている。どちらの価格にも、配送料、処理費、手数料の1350ドル(約15万5000円)は含まれていない。

また、ポルシェはまだ推定航続距離を発表していないが、GTSの航続距離も4SとTurboの中間になると思われる、つまり227マイル(約365km)から212マイル(約341km)の間になるだろう。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:sako)

Lucid Groupの第3四半期末以降のEV予約が1万7000台を突破

Lucid Group(ルーシッドグループ)は上場企業としての最初の四半期を終えた。急成長する高級EV市場で頂点を目指す中、株価は上昇し、顧客への納車も進む。

同社は、2007年にAtievaという名で創業して以来、長い道のりを歩んできた。EV用バッテリーやパワートレインの製造から高級車の製造にシフトし、2021年最も注目されたEV SPAC取引の1つであるChurchill Capital IV Corpとの合併を経て、7月に株式を公開した。

この新規参入EV企業の株価は、10月27日の27ドル(約3100円)前後から、米国時間11月15日の市場終了時には44.88ドル(約5100円)と、この1カ月で約2倍になった。これは、同社が10月末に、16万9000ドル(約1920万円)のセダン「Air Dream Edition」を20数台、顧客へ納入し始めたためだと思われる。その数週間前には、このモデルのEPA(米環境保護庁)認定の航続距離が520マイル(約837km)以上と、市販されているEVの中で最長であると発表していた。

全体として、第3四半期の顧客からの予約は1万3000件に増加し、それが約13億ドル(約1480億円)という売上高に反映された。また、7月には1万1000台だった予約が、四半期末には1万7000台超に増加した。Lucid GroupのCEOであるPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は、11月15日に投資家に対し、予約の大部分は米国からであり、予約件数順ではサウジアラビアが第2位だったと話した。同社は、サウジアラビアの政府系ファンドから大規模な投資を受けており、現在も同ファンドは筆頭株主だ。

ローリンソン氏は声明で、2022年には2万台の生産能力を達成できることを確信していると述べた。同社の長期的な目標は、それよりほんの少しだけ野心的なもので、10年後までに50万台としている。だが、まずは、520台のDream Editionを顧客に届けることが目標だ。その後、Grand Touring、Touring、Air Pure(ベースモデルで、価格は約7万7000ドル[約880万円]から)を来年に出荷する予定だ。

いずれの車両も、アリゾナ州カサグランデにある同社の工場で生産される。同工場は今後、約285万平方フィート(約26万平方メートル)にまで拡張する。ミステリアスなSUV「Project Gravity」を含め、最終的には2023年末までに同工場で年間最大9万台、全体では最大36万5000台の製造を目指す、とローリンソン氏は話す。

Gravityは2023年後半の生産に向け順調に進んでいることを、幹部が投資家向け電話会議で認めた。ローリンソン氏は、このSUVについて「AirがSUVの分野で果たしたように、GravityもSUVの分野で破壊的な役割を果たします」と誓った以外には、あまり詳細に触れなかった。

財務面では、SPACとの合併とPIPE(公開会社による私募増資)による44億ドル(約5020億円)と、SPAC取引終了時の貸借対照表上の現金を合わせ、約48億ドル(約5470億円)の現金残高で四半期を終えた。CFOのSherry House(シェリー・ハウス)氏は、生産コストは今期の利益に反映されているものの、顧客への納入が10月30日に始まったため、車の売り上げが財務諸表に反映されるのは次の四半期になってからだと明言した。

また、11月15日には、Lucid AirがMotorTrendの2022年カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことが発表された。「新しいブランド、新しい会社が受賞したことは、私の知る限り、過去に一度しかありません。私はその場にいたので知っています」と、2012年にTesla(テスラ)がModel Sで受賞したときのことを指して、ローリンソン氏は語った。同氏は、2009年にTeslaに入社して以来、Model Sの車両エンジニアを務めていた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国が独占するEV用電池の鉄系正極材料製造を目指すMitra Chem

Mitra Chem(ミトラ・ケム)の名称で知られるMitra Future Technologies(ミトラ・フューチャー・テクノロジーズ)は、億万長者の投資家Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏が創立したSocial Capital Holdings(ソーシャル・キャピタル・ホールディングス)が主導する2000万ドル(約23億円)のシリーズA資金調達を実施した。このスタートアップ企業は、中国以外向けの鉄系正極材料を製造することで、現在、中国が独占している北米のバッテリーサプライチェーン業界を活性化することを目指している。

今回のラウンドには、台湾の億万長者Richard Tsai(リチャード・ツァイ)氏、Fontinalis Partners(フォンティナリス・パートナーズ)、Integrated Energy Materials(インテグレーテッド・エナジー・マテリアルズ)、Earthshot Ventures(アースショット・ベンチャーズ)も参加した。また、かつてTesla(テスラ)でグローバル・サプライ・マネジメントを担当しており、現在はロケット打ち上げ企業のAstra(アストラ)でサプライチェーン担当VPを務めるWill Drewer(ウィル・ドリューリー)氏が、パリハピティヤ氏とともにこのスタートアップの取締役会に加わることになった。

鉄系電池は、特に中国の企業が独占的に製造できる特許を取得していたため、もっぱら中国で主流になっており、欧米ではニッケル系電池が普及していた。しかし、これらの特許が間もなく切れることから、鉄系電池は自動車メーカーにとってますます人気の高い選択肢となりつつある。Tesla(テスラ)は最近、安価な鉄系電池を、全世界向けのModel 3(モデル3)とModel Y(モデルY)に標準搭載することを認めた

自動車メーカーで鉄系電池の採用が進む一方で、問題となっているのが中国の優位性だ。「これは大きなアキレス腱です」と、Mitra Chemの共同設立者兼CEOであるVivas Kumar(ヴィヴァス・クマール)氏は、最近のTechCrunchによるインタビューで語っている。

このサプライチェーンにおけるギャップを埋めるために、同社は中国以外のバッテリーに適用できる鉄系正極材料の製造を計画している。テスラでバッテリーサプライチェーン担当チームに所属していたクマール氏によると、鉄系材料を採用するという決定は、単に地政学的な問題のみならず、特に自動車メーカーが、消費者の幅広いニーズを満たすために、さまざまなモデルのEVを発売することによって、EV用バッテリーに対する市場の需要が高まっていることに応じるためだという。

「バッテリーが自動車に使われている部品の中で最大のものであり、電気自動車の性能を決定する部分でもあることを考えれば、用途別の差別化が必要になるのは時間の問題でした。現在、市場で使用されている単一サイズですべてに合わせる正極材料のソリューションだけでは対応できなくなります」と、クマール氏はいう。

特に、General Motors(ゼネラルモーターズ)やFord(フォード)を含む北米の自動車メーカーが、電池メーカーと提携して電池セル工場を米国内に構えることを次々と発表する中で、米国に垂直的なサプライチェーンのハブを作ることは、ビジネス的にも意味のあることだと同氏は付け加えた。

Mitra Chemは現在、カリフォルニア州マウンテンビューに研究施設を建設中で、2022年半ばまでにプレパイロット生産が可能になる予定だ。同社は共同創業者でスタンフォード大学の材料科学教授であるWill Chueh(ウィル・チュエ)氏が先駆けて開発した機械学習プロセスを採用し、この鉄系正極材料を研究所から生産規模まで、他社よりも早く実現すると述べている。

業界情報会社のBenchmark Mineral Intelligence(ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス)によると、原材料の精製から必須部品の製造、最終的なリチウムイオン電池セルの生産に至るまで、中国はサプライチェーンのすべての段階において、電池業界最大のプレイヤーであるという。

ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスが「リチウムイオン電池の中核を成す部品」と呼ぶ正極や負極などの部品の生産量は、世界の約66%を中国が占めている。また、中国は大規模な電池工場の計画数も最も多く、2030年までに計画されている200施設のうち148施設が中国にあることが、同社の調べで分かった。

クマール氏は、現在の電池サプライチェーンの状況を、歴史的な米国の石油に関する立場に例えながら次のように述べている。

「75年間、米国は石油の純輸入国であり、そのエネルギー面における不利益は、米国の消費者や、時には敵対する他国との関係にも大きな影響を与えてきたことを忘れてはなりません」と、同氏は語る。「今も同じことが起きています。(中略)北米にサプライチェーンのようなものがなく、100%外部に無防備な状態であるということは、過去に石油に関して無防備な状態であったのと同じことになります」。

画像クレジット:ChargePoint

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)