病気と老化をハックする長寿テックGero AIが健康状態の変化を定量化するモバイルAPIを発表

スマートフォンやウェアラブルデバイスのセンサーデータにより、個人の「生物学的年齢」やストレスへの耐性を実用レベルで予測することができると語るのは、Gero AI(ジェロ・エーアイ)だ。

この長寿技術のスタートアップは、そのミッションを「Gero AIで複雑な病気と老化をハックする」という簡潔な目標に集約しており、モバイルユーザーの身体的活動を追跡する歩数計センサーデータのパターン認識に基づいた「デジタルバイオマーカー」を用いて、罹患リスクを予測するAIモデルを開発した。

単に「歩数」を計測しただけでは、個人の健康状態を予測するのに十分な差異を識別できない、というのが同社の主張だ。同社のAIは、大量の生体データを用いて学習し、罹患リスクに結びつくパターンを見つけ出す。また、生物学的ストレスからの回復の早さも測定するが、これも寿命に関連するバイオマーカーの1つだ。つまり、ストレスからの回復が早ければ早いほど、その人の全体的な健康状態が良くなるということだ。

査読付き生物医学誌Aging(エージング)に掲載されたGero AIの研究論文では、ディープニューラルネットワークを学習させてモバイル機器のセンサーデータから罹患リスクを予測する方法を説明している。そして、その生物学的年齢加速モデルが血液検査の結果に基づくモデルと同等であることを実証した。

また、2021年5月末にNature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)誌に掲載される予定の別の論文では、デバイスを用いた生物学的回復力の測定について詳しく説明している。

シンガポールを拠点とするこのスタートアップは、ロシアに研究のルーツを持ち、理論物理学のバックグラウンドを持つロシア人科学者によって2015年に設立された。そして、これまでに2回のシードラウンドで合計500万ドル(約5億4000万円)を調達している。

共同設立者のPeter Fedichev(ピーター・フェディチェフ)によると、出資者はバイオテック分野とAI分野の両方から参加しているという。投資家には、ベラルーシを拠点としAIに特化したアーリーステージファンド、Bulba Ventures(バルバベンチャーズ)のパートナーであるYury Melnichek(ユリー・メルニチェク)が含まれている。製薬分野では、ロシアの医薬品開発企業であるValenta(バレンタ)に関連する(匿名の)個人投資家数名からの支援を受けている(バレンタ自体は出資していない)。

フェディチェフ氏は理論物理学者で、博士号を取得し、10年ほど学術研究の世界に身を置いた後、バイオテックの世界に入り、創薬のために分子モデリングや機械学習に取り組んだ。そしてそこで老化の問題に興味を持ち、会社を設立することにした。

同社では、長寿に関するマウスや線虫を用いた生物学的研究に加え、モバイルデバイスで取得したセンサーデータを使って人間の生物学的年齢やストレスからの回復力を予測する、AIモデルの開発にも力を入れている。

「健康は、もちろん1つの数字だけで表せるものではない」とフェディチェフ氏は率直にいう。そして「そのことに幻想を抱くべきではない。しかし、人間の健康を1つの数字に集約するのであれば、多くの人にとって、生物学的年齢が最適な数字となる。自分のライフスタイルがどれだけ不健康であるのか、本質的に知ることができる。実年齢に比べて生物学的年齢が高ければ高いほど、慢性疾患や季節性の感染症にかかる可能性が高くなり、またそういった季節性の疾患から合併症を併発する可能性も高くなる」と語る。

Gero AIは最近、GeroSenseという(今のところ有料の)APIを公開した。このAPIは、健康やフィットネス関係のアプリを対象としており、AIモデリングを適用して、ユーザーに生物学的年齢とストレス耐性(ストレス状態から各個人の基準値への回復率)の個別評価を提供できる。

初期のパートナーは、長寿に注力する別の企業、AgelessRx(エイジレス・アールエックス)とHumanity(ヒューマニティ)だ。そして、このモデルをフィットネスアプリに広く搭載し、長期的な活動データをGero AIに安定的に送信してAIの予測能力をさらに高め、製薬会社との協業によりアンチエイジング薬の開発を進めるという広範な研究ミッションをサポートすることを意図している。

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フィットネスプロバイダーがAPIを導入するメリットは、楽しい上に価値のある機能をユーザーに提供できることだ。個人の健康状態を測定することで、ポジティブな(あるいはネガティブな)生物学的変化を把握することができ、利用しているフィットネスサービスの価値を定量化することが可能になる。

「ジムなどを含めた、あらゆるヘルス&ウェルネスプロバイダーは、自分のアプリに、例えば【略】ジムのすべてのクラス、ジムのすべてのシステムを、さまざまなタイプのユーザーに合った価値に応じてランク付けすることができる」とフェディチェフ氏は説明する。

「マウスではなく、人間の老化の仕組みを理解するために、このような機能を開発した。開発後は、遺伝子を見つけるための高度な遺伝子研究に使用し、見つけた遺伝子は研究室でテストしている。しかし、ウェアラブルデバイスから得られる継続的な信号から老化を測定するこのテクノロジーは、それだけでも優れた手法だ。だからこそ、このGero AIセンスプロジェクトを発表した」と続ける。

「老化とは、機能的能力が徐々に低下していくことであり、望ましいことではないが、ジムに行けば改善できる可能性がある。しかし、問題はこの回復力を失っていくこと、つまり、(生物学的な)ストレスを受けたときに、できるだけ早く通常の状態に戻ることができないということだ。そのため、回復力をフィードバックしている。この回復力が失われ始めると、頑健さを維持できなくなり、20代と同じレベルのストレスを受けたときに、ノックアウトされてしまうことになる。

この回復力の低下は、病気になる前の段階でも、近いうちに病気にかかる可能性があることを教えてくれるので、老化の重要な表現型の1つだと考えている。

社内では老化がすべてだ。当社は、老化の測定と介入に全力で取り組んでいる」とフェディチェフ氏は語り、「長寿と健康のためのオペレーティングシステムのようなものを作りたいと考えている」と付け加える。

Gero AIは「トップクラス」の保険会社と2件の試行的運用からも収益を得ている。フェディチェフ氏によると、この試行は、現段階では基本的にビジネスモデルの実証として行なっているとのことだ。また、Pepsi Co(ペプシコ)とも試行の初期段階にあるという。

さらに同氏は、健康転帰の分野で保険会社と連携することとElon Musk(イーロン・マスク)氏がセンサーを搭載したTesla(テスラ)の所有者に対して、その検知した運転状況に基づき保険商品を提供することとの関連性を説明する。両社はどちらもセンサーデータを利用しているためだ。(「イーロン・マスクが自動車に対して行おうとしていることを、当社は人間に対して行おうとしている」と、同氏はいう」)。

しかし、近い将来の計画は、さらに資金を調達し、APIの提供を無料に切り替えてデータ収集の機会を大幅に拡大することだ。

話を少し広げると、Googleが出資するCalico(キャリコ)が「死の克服」というムーンショットミッションを掲げて設立されてから、約10年が経過した。それ以来、小さいながらも成長を続ける「長寿」分野ではスタートアップが誕生し、(まず第1に)人間の寿命を延ばすための研究を行っている。(死を終わらせることは、明らかに、ムーンショットの中のムーンショットだ)。

もちろん死は避けられるものではないが、死神の襲来から逃れるための薬や治療法を見つけるビジネスはペースを上げ続けており、投資家からの資金も集まってきている。

研究データのオープン化や、健康状態把握のためのデジタルデバイスやサービスの普及により、健康や生物学的なデータがますます充実し、入手しやすくなっていることに加え、予測医療や創薬などに急速に展開されている機械学習の将来性も相まって、この傾向は加速している。

また、最近では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、健康やウェルネス、そして特に死亡率に関心が集まっていることから、長寿への関心の高まりも見られる。

しかし、そうは言っても、複雑で多分野にまたがるビジネスであることに変わりはない。これらのバイオテックでのムーンショットを狙う企業の中には、病気の診断や創薬を推進するためにバイオエンジニアリングや遺伝子編集に焦点を当てた企業もある。

また、Gero AIのように、AIやビッグデータ解析を利用して、生物学的な老化を深く理解し進行を妨げようとしている企業も数多くある。そういった企業では、物理学、数学、生物学の専門家を集めてバイオマーカーを探し、老化にともなう病気や機能低下に対処するための研究を進めている。

最近の例としてはAIスタートアップのDeep Longevity(ディープ・ロンジェビティ)が、2020年の夏にAI創薬企業Insilico Medicine(インシリコ・メディシン)からスピンアウトしステルスモードから姿を現した。同社は、AIによる「サービスとしての長寿」システムを謳い、個人の生物学的年齢を「従来の方法よりも大幅に正確に」予測できるとしている(また、科学者らが「老化に関連する疾患を引き起こす生物学的な原因」を解明するのに役立つと期待している)。

Gero AIは、包括的には同じ目標に向かっているが別のアプローチを取っている。つまり、人々が日常的に持ち歩いている(あるいは身につけている)モバイルデバイスに搭載された活動センサーが生成するデータに注目し、生物学的研究のための代用信号として活用する。

その利点は、自分の健康状態を把握するために、定期的に(侵襲による)血液検査を受ける必要がないことだ。その代わりに、人々のパーソナルデバイスを使って、生物学的研究のための代用信号を、受動的に大規模かつ低コストで生成することができる。つまり、Gero AIの「デジタルバイオマーカー」によって、個人の健康状態の予測に使うデータを民主的に取得できるようになる。

Peter Thiel(ピーター・ティール)氏のような億万長者は、死の一歩手前でいられるよう、特注の医療モニタリングや医療介入に大金を払う余裕があるが、そのようなハイエンドのサービスは、一般の人々の手が届くはずもない。

Gero AIのデジタルバイオマーカーが同社の主張に沿うものであれば、少なくとも何百万人もの人々をより健康的なライフスタイルへと導くことができるだろう。そして同時に、長寿の研究開発のための豊富なデータを得ることができ、人間の寿命を延ばすことができる薬の開発の助けにもなる(そのような延命薬剤がいくらかかるかはまったく別の話だが)。

保険業界も当然関心を示しており、このようなツールを使って契約者に健康的なライフスタイルを促すことで、保険金の支払いコストを削減できる可能性がある。

健康増進に意欲的な人にとって、現在の問題は、どのようなライフスタイルの変化や医療介入が自分の生物学的特性に最も適しているのかを正確に知ることが非常に困難なことだとフェディチェフ氏はいう。

例えば、ファスティングは生物学的老化の防止に役立つという研究結果がある。しかし、同氏はこのアプローチがすべての人に有効であるとは限らないと指摘する。同じことが、一般的に健康に良いとされている行動(運動や特定の食品を食べたり避けたりすることなど)にも言えるだろう。

また、そういった経験則も、個人の特定の生物学的性質に応じて、さまざまな差異があるかもしれない。さらに、科学的な研究には、どうしても資金面での制約がある。(そのため、研究の対象では、女性よりも男性、中高年よりも若年層といったように、特定のグループに焦点が当てられ、他のグループが除外される傾向がある)。

そのような理由から、フェディチェフ氏は、基本的に個人の費用負担なしで健康に関する知識のギャップに対処できるように、評価基準を作成することに大きな価値があると考えている。

Gero AIは、研究パートナーの1つである英国のバイオバンクの長期間にわたるデータを用いて、同社のモデルによる生物学的年齢と回復力の測定値を検証した。しかし、もちろん、より多くのデータを取り込むことで、さらにモデルを進化させたいと考えている。

「技術的には、当社が行なっていることとそれ程違うものではない。ただ、UKバイオバンクのような取り組みがあるからこそ、今、当社ができることがある。政府の資金と業界のスポンサーの資金に加え、おそらく人類史上初めて、何十万人もの人々の電子医療記録、遺伝学、ウェアラブルデバイスが揃った状況になり、それが可能になった。技術的なものだけでなく、(英国のバイオバンクのような)『社会技術』と呼ばれるものも含めて、いくつかの開発が収束した結果だ」と同氏はTechCrunchに語る。

「想像してみて欲しい。すべての食事、すべてのトレーニング、すべての瞑想……ライフスタイルを実際に最適化するために、(それぞれの人にとって)どのようなことが効果的で、どのようなことが効果的でないのかを理解できることを。あるいは、すでに動物で寿命を延ばすことが証明されている実験的な薬が有効かもしれないし、何か違うことができるかもしれない」。

「100万件の追跡データ(100万人の半年分のデータ)が集まれば、それを遺伝学と組み合わせて、老化を解決できるだろう」と、起業家らしく語り「この計画の挑戦的なスケジュールでは、年末までにその100万件の追跡データを手に入れたいと考えている」と続ける。

フィットネスや健康のアプリは、データを必要とする長寿研究者にとってパートナーのターゲットとなることは明らかだが、お互いに関心を引く関係になることも想像に難くない。一方はユーザーを提供し、もう一方は高度なテクノロジーとハードサイエンスに裏付けられた信頼性のオーラをもたらすことができる。

「当社は、これらの(アプリ)が多くのユーザーを獲得することを期待している。そして、まず楽しい機能として、ユーザーのためにユーザー自身を分析できるだろう。しかし、その裏では、人間の老化に関する最高のモデルを構築する必要がある」とフェディチェフ氏は続ける。そして、さまざまなフィットネスや健康増進法の効果をスコアリングすることが、ウェルネスと健康の「次のフロンティア」になると予測している(あるいは、より簡潔に言えば「ウェルネスと健康は、デジタルで定量的なものにならなければならない」ということだ)。

「当社が行なっていることは、物理学者を人間のデータの分析に参加させることだ。最近では、多くのバイオバンクがあり、人間の老化プロセスを数年単位で表示するデバイスからのものを含め、多くのシグナルを入手している。つまり、天気予報や金融市場の予測のような、動的なシステムだ」と同氏は述べる。

「治療方法は特許を取得できないので自分たちのものにはならないが、パーソナライゼーション、つまり治療法を各個人に合わせてカスタマイズしてくれるAIは自分たちのものになるかもしれない」。

スタートアップの視点からは明確だ。長い目で見れば、パーソナライゼーションは、ここにある。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Gero AI健康長寿人工知能APIアプリウェアラブルデバイスムーンショット

画像クレジット:Gero AI

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

中国ByteDanceの動画編集アプリ「CapCut」が米App Storeランキング1位に

​CapCutのスクリーンショット

中国のアプリが、西洋諸国のGoogle PlayとApp Storeのランキングでトップに輝くのをときどき目にする。それはセルフィー画像加工やカジュアルなビデオゲームなど、世界にアピールしローカライゼーションの手間をそれほど伴わないユーティリティツールだったりする。しかし大半は取るに足らないものでありがちだ。

海外のチャートのトップに躍り出た最新の中国アプリはTikTokの運営会社ByteDance(バイトダンス)からのものだ。CapCutというビデオ編集アプリではユーザーはスティッカー、フィルター、エフェクトを加えられるだけでなく、Ken Burnsエフェクトのように作用するズーム機能の使いやすいグリーンスクリーンファンクション、その他にも多くの機能を搭載している。そのためいつでもアクセスできるFinal Cutのようなアプリになっている。

ユーザーは使用する音楽の代金を心配する必要はない。CapCutはライセンスを取得しているサウンドクリップのライブラリーを備えていて、ユーザーはコンテンツをおもしろくするのにそれらを使うことができる。TikTokは2020年ミュージシャンをスカウトしたり大手レーベルと契約を結んだりといった取り組みを通じて音楽ライブラリーの拡充を図ってきた。

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ByteDanceは最初にサービスを無料提供することでかなりのユーザーベースをひきつけ、そしてユーザーがプロダクトを頻繁に使用するようになった後に収益化モデルを模索するという手法に熟達している。CapCutでも同じアプローチを取っているようだ。

CapCutの中国における姉妹アプリJianyingはDouyin(TikTokの中国版)ユーザーの間ですでに成功している。そして現在、そのパターンが中国外で繰り返されている。TikTokユーザーは、何回かスマホをタップするだけでビデオをスムーズでプロの作品のようなものにすることができるCapCutを利用している。

調査会社SensorTowerによると、CapCutは米国時間5月21日以来、米国のApp Store無料アプリランキング第1位で、米国Google Playでは記事執筆時点で第9位だApp Annieによると、世界33カ国で無料iOSアプリランキング第1位となっている。

CapCutはApp StoreとGoogle Play合わせて世界で計2億5000万回超インストールされ、うち950万回近くが米国のアプリストアでのものだとSensorTowerは指摘する。

CapCutの人気ぶりは中国の写真編集アプリ「Meitu」を彷彿とさせる。Meituは中国ではセルフィー画像加工と同義語になったくらい人気で、しっかりとした忠実な国外ユーザーのベースも持っていた。CapCutとMeituの違いは、CapCutの人気が姉妹アプリTikTokのグローバルな優位性の上に築かれているのに対し、ユーザーの使用頻度を増やすための写真ツールソーシャルネットワークを展開しようというMeituの初期の試みは実現することはなかった。

CapCutはおそらく、クチコミで人気となるByteDanceの最後のアプリではない。TikTokの広大なコンテンツ帝国はビデオ編集、あるいはクリエイターが収益を上げるため、そしてユーザーがお気に入りのインフルエンサーおすすめのプロダクトを購入するeコマースサービスなど、さらに派生していくだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ByteDanceTikTok動画編集App Storeアプリ

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

SnapchatにARとカメラを活用したコマース重視の新機能追加

Snap(スナップ)のパートナーサミットでは、数々の開発者向けツールやARクリエーター向けソフトウェア「Lens Studio(レンズ・スタジオ)」のアップデートが発表された。その中には、同社の「Snapchat(スナップチャット)」を使ったショッピング体験をより深める機能も含まれている。

中でも最もクールなアップデートの1つが、ユーザーのカメラを通して見たコンテンツを分析して、関連情報をすばやく表示するコンピュータビジョン「Scan」の新機能だ。月に約1億7千万人のユーザーに利用されているというScanは、アプリのカメラセクション内のより目立つ場所に配置されるようになり「Screenshop(スクリーンショップ)」と呼ばれる機能が統合されたことにより、ショッピング用途の性能がさらに高まった。

例えばユーザーが「Snap Camera」を使って友人が着ている服をスキャンすると、何百ものブランドからオススメのショッピング情報がすぐに表示される。また、これと同じ技術を使って、キッチンにある食材の写真を撮影すると、その食材を使った料理のレシピが、Allrecipes(オールレシピ)のサイトから表示される機能の導入も予定されている。

これらの機能は、ユーザーが現在カメラで撮影しているものを解析し、それに基づくインテリジェントな提案を行うという広範な取り組みの一部だ。

画像クレジット:Snap

企業はSnapchat内で公開プロフィールを作成することができ、ユーザーは各企業が「Shop」機能を通じて提供する販売アイテムをはじめ、Lenses(レンズ)、Highlights(ハイライト)、 Stories(ストーリーズ)などを見ることができる。

拡張現実の面では、レンズをよりスマートに統合するAPIを提供し、企業向けソリューションを引き続き重視していく。小売業者は、Business Manager(ビジネス・マネージャー)と呼ばれる機能を使って製品カタログを統合し、ユーザーが現在在庫のある製品の試着レンズにのみアクセスできるようにすることが可能になる。

ラグジュアリーファッションの販売プラットフォームであるFarfetch(ファーフェッチ)やPrada(プラダ)とのパートナーシップにより、ARプラットフォームはさらなるアップデートが施され、3Dメッシュの先進技術を使ったバーチャルな服の試着は一層リアルになる。ユーザーは、音声コマンドやジェスチャーを使って、試着しているアイテムを切り替えることもできるようになる。

「当社のカメラプラットフォームの力によって、Snapchatユーザーと彼らが好感を持っている企業を、有意義な方法で結びつけることができるものと期待しています」と、SnapのグローバルARプロダクト責任者であるCarolina Arguelles Navas(キャロライナ・アーグエレス・ナヴァス)氏は述べている。「これまで以上に、私たちのコミュニティは、自宅で新製品を体験したり、試着したり、触れたり、学んだりすることができるでしょう」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SnapSnapchatAReコマース アプリコンピュータービジョン

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Snapが提携企業からの情報を2.5億人が利用するソーシャルマップに追加するLayersを導入

Snap(スナップ)は、ユーザーが自分の周りの世界を、よりパーソナルに見えるようにしたいと考えている。

GoogleマップやApple(アップル)のマップなどの製品は、背景関係を考慮した洞察の質を高めるために長いことデータパートナーに依存してきたが、Snapはサードパーティーからの協力をSnap Mapにさまざまに組み合わせ、ユーザーが自分の関心事に合わせた地理的環境の視点を構築できるような、より実践的なアプローチをユーザーに提供したいと考えている。

米国時間5月20日のSnap Partner Summit(スナップ・パートナー・サミット)で発表された「Layers(レイヤーズ)」と呼ばれる新機能は、Snapから選ばれた開発者パートナーのデータを直接マップに追加することで、ユーザーは世界を特定の視点から見ることができるようになる。

「Layersによって、Snap Mapは単一の製品からプラットフォームへ進化します」と、SnapのBryant Detwiller(ブライアント・デトウィラー)氏はTechCrunchに語った。「最終的には、Snap Mapをより便利にしたいのです」。

Snap Mapは、自動車や道順ではなく、人や友人を中心にデザインされた、根本的にソーシャルな製品を目指している。Layersは、理論的には、Snap Mapのユーザーが関心事に合わせたポイントからマップの構成をカスタマイズできるようにするものだ。

同社によると、Snap Mapの月間アクティブユーザー数は約2億5000万人だという。

SnapによるTicketmasterの統合

SnapがWeChatのような「Minis」や「Games」を導入したときと同様、Layersでもパートナーシップに関してはかなりゆっくりとしたスタートを切っている。現在はまだ2社のみ、Ticketmaster(チケットマスター)と、レストランレビューサイトのThe Infatuation(インファチュエーション)との提携から始まったところだ。

TicketmasterのLayerでは、近くのコンサート会場で開催されるショーを分類し、Layerから新たに設置されたTicketmaster Miniに直接移動して、Snapchatアプリ内でチケットを購入することができる。The InfatuationのLayerでは、地図をスキャンして近くのおすすめレストランを探し、サイトに掲載されているリストやレビューを見ることができる。このようなパートナーシップは今後も増えていく予定だが、Snapが今すぐ開発者に広く門戸を開くことを計画しているわけではなさそうだ。

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タグ:Snap地図SNSアプリ

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Googleマップに間もなく新機能、急ブレーキを避ける経路案内や地域ごとの混雑度表示など

Google(グーグル)は、そのプラットフォームにAIを活用した100以上の改良を年末までに行うという大きな目標の一環として、Google マップに導入が予定されているいくつかのアップデートを明らかにした。米国時間5月18日に開催された開発者会議「Google I/O」で発表された新機能は、経路検索の改善、ライブビューの強化、高精細ストリートマップの拡大、混雑エリアの可視化、よりパーソナライズされたマップ体験などだ。

新たに改善された経路検索では、機械学習とナビゲーション情報を利用して、なるべく急ブレーキを踏まなければならない状況が少なくなりそうな経路を案内するようになる。急に交通の流れが遅くなる可能性のある場所は避けるように考慮されるというわけだ。

現在、Googleはマップで経路案内をする際に、道路の車線数や曲がる箇所の回数など、様々な要素に基づいて複数のルートを算出している。今回のアップデートでは、「急ブレーキを踏む」可能性が最も低いルートがそれらに加わる。Googleによると、他の経路と比べて到着予定時間が同じか、あまり差がない場合、急ブレーキを踏む可能性が最も少ないルートを推奨するようになるという。この変更により、Google マップを利用して走行する経路では、急ブレーキを踏む回数が年間1億回も減ると同社は見込んでいる。

2019年に導入されたGoogleマップの拡張現実機能「ライブビュー」は、間もなくマップのボタンから直接利用できるようになり、即座に近隣の情報を調べたり、近くのショップやレストランの混雑状況や最近のレビュー、写真などの詳細情報を確認できるようになる。また、複雑な交差点には道路標識が表示されるようにアップデートされ、旅先では滞在しているホテル等の場所と自分の位置関係を教えてくれるので、慣れない土地でも帰り道がわかりやすくなる。

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画像クレジット:Google

Googleは2020年に、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンで初めて提供したより詳細な地図を、他の都市にも拡大していく。これらの地図はより精細で、自然の特徴が色分けで示され、歩道や横断歩道、歩行者用の安全地帯などの有無や位置まで表示される。これらの情報は、街を徒歩や自転車、あるいは車椅子などで移動する人にとって特に有用だ。

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2021年末までには、ベルリン、サンパウロ、シアトル、シンガポールなど、さらに50の都市でこの詳細な地図が利用できるようになる予定だ。

画像クレジット:Google

もう1つの新機能は、既にGoogleがマップの店舗情報で提供している、ユーザーから収集された匿名化された位置情報に基づく「混雑状況」の表示を拡張するものだ。新型コロナウイルス流行時には、この機能が、健康と安全のために店舗内での混雑を避ける有効な手段となった。今回のアップデートで、Google マップは街の一部や地域について、相対的な「混雑度」情報が表示されるようになる。これによって、ストリートフェスティバルやファーマーズマーケット、ナイトスポットなどの混雑している場所を避ける(あるいは見つける)のに役立つ。

さらにGoogle マップは、新たな方法で個人に合わせたインターフェイスのカスタマイズを開始する。

まず、ユーザーの現在の時間帯に応じて適切な情報が表示されるようになる。

例えば、平日の午前8時にマップを開くとコーヒーショップが目立つように表示されるが、夜になるとディナースポットが多く表示されるといった具合だ。郊外に出かけている時には、これらの店舗に代わってランドマークや観光地が表示されるようになる。同じ種類の場所をもっと探したいと思ったら、どれか1つをタップすれば、近くにあるそれと同じ種類の場所を見ることができる。

画像クレジット:Google

Googleによると、これらの新機能は今後数カ月のうちにiOSとAndroidでグローバルに展開する予定だというが、各機能の正確な導入時期については言及していない。ただし、より詳細な地図は年末までに提供されるとのことだから、他のアップデートよりも少々遅くなるのかもしれない。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle I/O 2021地図iOSAndroidアプリGoogleマップ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがアプリ開発プラットフォーム「Firebase」を改訂、パーソナライズ機能、セキュリティツールなどを強化

Google(グーグル)は米国時間5月18日のI/Oデベロッパーカンファレンスで、デベロッパープラットフォームのFirebase(ファイアベース)の数多くのアップデートを発表した。同社はFirebaseが300万以上のアプリに使われていることも明らかにした。

主要なアップデートがいくつかあり、その多くはFirebase Remote ConfigやFirebaseのモニタリング機能など既存ツールの改善に関わるものだが、まったく新しい機能もある。Android App Bundleを作成する機能や、App Checkと呼ばれる新しいセキュリティツールなどだ。

「デベロッパーの成功に役立つことがFirebaseの成功です」とFirebaseのプロダクトマネージャーであるKristen Richards(クリステン・リチャーズ)氏がこの日の発表に先立って私に話した。「そのために、有用性とデベロッパーに役立つことを私たちのすることすべての中心に据えています」。彼女は、パンデミックの中でGoogleは、初心者からプロフェッショナルまで多くの人達がアプリ開発に集中するようになったのを見てきたという。同時に彼らは、新しいアプリを早く公開にしようとする多くの企業が同社のプラットフォームに移行するところも見た。

おそらくI/Oで最も注目を集めたFirebaseの発表はRemote Configだろう。デベロッパーにとって、新しいバージョンをリリースすることなく、公開中のアプリに変更を加えられるという機能は、常に非常に強力だ。A/Bテストから、特定のユーザーグループ向けにカスタマイズされたアプリ内体験を提供することまで、さまざまな場面で利用できる。

Googleはこのアップデートで、Remote Configコンソールも改訂し、デベロッパーがツールの利用状況を把握しやすくするとともに、パブリッシングのフローを改め、A/Bテストの結果ページのデザイン変更も行った。

画像クレジット:Google

しかし最も重要なのは、GoogleがRemote Configを一歩前進させて、デベロッパーが個々のユーザーのユーザー体験を自動的に最適化するPersonalization(パーソナライゼーション)機能を追加したことだ。「この新機能は、Googleの機械学習を使って、個人ごとに独自のアプリ体験を作り出します」とリチャーズ氏は説明した。「設定するだけで、ユーザーごとに仕立てられたパーソナライズド体験を自動的に作り出すので実に簡単です。人によって好きなものは違うでしょう。体験をカスタマイズすることで、最近のユーザーが本当に期待しているものを作ることができます。おそらく今は、誰もが以前よりもっとカスタマイズされた体験を期待していると思います」。

画像クレジット:Google

GoogleはFirebaseの分析およびモニター機能にもいくつか改善を施していて、アプリがクラッシュした理由を解析するCrashlystics(クラッシュリスティスク)サービスがその1つだ。たとえばゲームデベロッパーにとって、それはUnityプラットフォームを使って書かれたゲームのサポートがよくなることを意味しているが、全デベロッパーにとって、Firebaseの性能モニタリングサービスがリアルタイムにデータを処理するようになったことは、性能データが(特に公開日に)半日近く遅れてやってくる現在と比べて大きな改善だ。

FirebaseはAndroid App Bundlesのサポートをようやく追加した。アプリのコードとリソースをパッケージにまとめるGoogleの比較的新しいフォーマットで、Google PlayがAPKを作る際にインストールされるデバイスの種類に応じて正しいリソースを使って最適化できる。これによってダウンロードサイズが小さくなりインストールも速くなる。

セキュリティ面では、App Checkのベータ版が公開される。App Checkはデベロッパーがアプリを外部の脅威から守るのを助けるツールだ。たとえばFirebaseのCloud StorageやRealtime Database、Cloud Functions(その他も近くサポートされる)などのオンライン・リソースに対する有効な認証情報をもたないトラフィックを自動的にブロックする。

画像クレジット:Google

もう1つ紹介しておくべきアップデートは、Firebase Extensionsに関するもので、かなり以前に公開された機能だが今回拡張機能がいくつか追加された。Algolia(アルゴリア)、Mailchimp(メールチンプ)、およびMessageBird(メッセージバード)から新たな拡張機能が提供され、たとえばAlgoliaの検索機能やMessageBirdの通信機能をプラットフォーム上で直接利用できるようになる。Google自身も新しい拡張機能として「人々を会話から離れさせるような乱暴で無礼で理不尽な」コメントを検出する仕組みをデベロッパーに提供する。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle I/O 2021Firebaseアプリ

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2021年中に、Volvo(ボルボ)とGMとRenault(ルノー)およびPolestar(ポールスター)の計10車種以上にAndroid Automotiveオペレーティングシステムが搭載され、内蔵のGoogle(グーグル)アプリとサービスのすべてを利用できるようになる。今後同社は、サードパーティの開発者が、ナビゲーションやEVの充電、駐車、メディアなどのアプリを車のスクリーン上にもっと容易かつ直接的に実装できるよう図っていく。

Googleは米国時間5月18日に行われたデベロッパーカンファレンスで、Android for Cars App Libraryの拡張を発表した。ライブラリスイートAndroid Jetpackに含まれ、Android Automotiveオペレーティングシステムをサポートする。これにより開発者は、Android OSとAndroid Autoという、2つの異なる(ただし重複部分もある)プラットフォームに対応したアプリを開発できるため、良いニュースでもある。また開発者は、アプリを1つ開発したらそれが複数の車種で問題なく動くという状態を維持確保できる。

Googleの発表によると、同社はすでに初期パートナーたちとの共同事業を開始しており、ParkwhizやPlugshare、Sygic、ChargePoint、Flitsmeister、SpotHeroらの開発者とともにAndroid Automotive OSで動く各種車載アプリの開発を進めている。

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Android Automotive OSとAndroid Autoを混同しないように。後者はオペレーティングシステムの上に来る二次的なインタフェイスだ。Android Autoは、ユーザーのスマートフォンで動くアプリで、クルマのインフォテインメントシステムとワイヤレスで通信する。一方、Android Automotive OSはLinuxの上で動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムAndroidがその基本形だ。ただしAndroidであってもスマートフォンやタブレットで動くのではなく、自動車メーカーが車載用に使えるよう、Googleが変更を加えている。GoogleはこのOSのオープンソースバージョンを自動車メーカーにしばらく提供していたが、しかし最近では自動車メーカーがテクノロジー企業と共同で、Google AssistantやGoogle Maps、Google Play StoreなどGoogleのアプリとサービスをすべて内蔵するAndroid OSをネイティブで作り込んでいる。

Spotifyなど多くのサードパーティ開発者がAndroid for Cars App Libraryを使って独自のAndroid Autoアプリを開発し、Play Storeへ出している。Cars AppをOSの拡張とすることにより開発者は、アプリを1度だけビルドすればよい。

2年前にGoogleは、Android Automotiveオペレーティングシステムをサードパーティの開発者に公開して、音楽などのエンターテインメントアプリをクルマのインフォテインメントシステム用に作らせようとした。それが最初に実現したのが、Volvoが電動車専門のパフォーマンスブランドとして誕生したPolestarの、Polestar 2だ。その後のVolvo XC40 Rechargeなども、この方式を採用している。

アーリーアクセスプログラムに参加を希望する企業は、こちら書式に記入して申し込むこと。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米上院は独禁法公聴会でアップルのApp Storeにおける不正防止の怠慢を非難

米国時間4月21日に米上院司法委員会の反トラスト法小委員会で開催されたヒアリングでApple(アップル)はApp Store における詐欺的行為についても追及を受けた。Appleはこれまで、App Storeにおける高額の手数料はAppleが詐欺、不正を防止し消費者を守るために必要だと主張していた。しかし最近デベロッパーコミュニティは「Appleは詐欺的であることが明白な有料・課金アプリに対して防止の努力を十分払わずこうしたアプリ全般に対する消費者の信頼損ねている。そのため合法的なサブスクリプション・ビジネスに対しても悪影響が出ている」と主張している。

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特にあるデベロッパーのKosta Eleftheriou(コスタス・エレフテリウ)氏はApp Storeにおける明白な不正を暴くことを自らの使命としている。エレフテリウ氏はいわば企業犯罪取締のワンマンアーミーとしてレビュー欄に大量のフェイク投稿を載せてユーザーを集めるなどの有害アプリをTwitter で告発し続けてきた。

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これまでに発見されたこうした詐欺行為の中でも特に目立つものは、あるユーザーの全財産であるビットコイン約60万ドル(6500万円)を騙し取った暗号資産ウォレットや、オンラインカジノを隠した子ども向けゲーム年間500万ドル(約5億4000万円)を騙し取ったVPNアプリなどがある。そもそもエレフテリウ氏をこの活動に向かわせる発端となった詐欺事件も詳しく報告している。同氏が開発したApple Watchアプリのライバルがマーケティング資料を盗み、アプリをコピーし、金を払って偽のレビューを投稿させたという。これによって詐欺アプリの方が優れた選択肢であるかのように見せかけて「ユーザーから年間200万ドル(約2億2000万円)をだまし取った」とエレフテリウ氏は主張する。

エレフテリウ氏のツイートは、アプリ開発者コミュニティで大きな注目を集めた。デベロッパーは自分が発見した詐欺の事例をエレフテリウ氏にメールで送るようになった。同氏は最近、さらに一歩を進め、App Store詐欺によって被った損害についてAppleを相手に訴訟を起こした

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上院の反トラスト法ヒアリングではエレフテリウ氏の名前は言及されなかったが同氏の努力が広く評価されていることは確実だ。

ヒアリングではJon Ossoff(ジョン・オソフ)上院議員(ジョージア州、民主党)がAppleの最高コンプライアンス責任者Kyle Andeer(カイル・アンディア)氏に対し「なぜアップルはこのような詐欺的アプリを摘発できないのか?」と質問した。オソフ上院議員は「これらが詐欺的アプリであるのは明白であり、そのようなものと判断するのは極めて容易なはずだ」と述べた。

上院議員は「なぜ我々は App Store における不正を発見するためにデベロッパー・コミュニティやジャーナリストからの情報に頼らねばならないのか?」と追求した。これはおそらくエレフテリウ氏の活動を念頭に置いたものだろう。

エレフテリウ氏自身は「(詐欺アプリの発見に)さして努力を払ったことはない」と述べている。「高い利益を上げているアプリについて不審なユーザーレビューがないか利用料金が高額ではないかチェックするだけです。その両方に当てはまるならおそらく詐欺です」という。

上院議員の質問に対しアンディア氏は「我々はApp Storeのセキュリティ強化と改善のために数千万ドル(数十億円)から数億ドル(数百億円)を投資しています」と述べて反論した。

アンディア氏は続けて「アプリストアにおけるセキュリティ強化と詐欺の防止はモグラ叩きです。このビジネスに携わっている全員がそう認めるでしょう。だからこそ、私たちは常に改善に取り組んでいます」と述べた。またAppleは不正行為者を発見するために膨大なリソースを新しいテクノロジーに投資していると主張した。同氏はApp Storeが消費者にリスクをもたらすアプリケーションを毎年何千も拒否していることを指摘した。

同氏はApp Store を運営しているのがApple でなかったら事態はさらに悪くなっていただろうとして次のように述べた。

誰しも完全な仕事はできません。しかし私たちは他社よりも優れた仕事をしていることを何度も証明してきたと思っています。App Store に登録されたアプリ以外のプログラムをサイドロードすることやサードパーティのアプリケストアにiPhoneを開放することはこの問題をますます悪化させるものと考えています。他のアプリストアや配信プラットフォームを観察すると、その状態は恐ろしいものです。

オソフ上院議員は、サイドローディングに関しては別途質問するとして詐欺アプリについて再度「Appleはこうした詐欺的アプリからも手数料を徴収していすね?」と質問した。

アンディア氏は「そういうことはないと考えてます。詐欺あるいは不正を発見すれば我々は直ちに是正措置を取ります。これは毎日行われています 」と答えた。

しかし、mAppleがApp Storeの詐欺からどの程度の利益を得ていたのかについては明確にならなかった。オソフ上院議員はAppleが詐欺による請求で得た収入の「全額」を被害者に返金したのかどうか、言い換えれば、これまでに契約したすべての顧客が、詐欺が確認されたときに返金を受けたのかを尋ねた。

アンディア氏の答えはいささか漠然としていたが、どうやら現行のシステムでは「詐欺を通報しまた苦情を申し立てた顧客については返金している」ことになっている受け取れた。同氏は、詐欺が発見された場合「顧客全員に返金している」とういう表現を避け「Appleは顧客が満足するよう取り計らっている」と慎重に答えた。アンディア氏はこう述べた。

もちろんAppleには毎日この作業を行っている専門チームがあります。私の理解によれば、チームは顧客の立場に立って懸命に働いています。顧客の満足が結局のところ私たちが最も重視する点です。もし顧客の信頼を失えば、Appleにとって痛手となります。

しかしエレフテリウ氏はこうした説明に満足していない。同氏は TechCrunchの取材に対して次のように述べた

昨日の公聴会でのオソフ上院議員の質問は的確なものでしたが、Appleは事実上回答から逃げました。デベロッパーコミュニティの全員はこれに対して怒りを感じています。App Storeでは何年も数百万ドル規模の詐欺行為がチェックされず見過ごされtえいています。しかしこれを発見するのは私のような個人でも簡単なのです。なぜAppleが見過ごしているのか、その理由についてAppleはまったく説明しませんでした。またApp Storeでの詐欺行為に対しAppleに責任があるのかどうかについても明確な回答をしませんでした。

Appleはこうした詐欺行為から利益を得ているように受け取れます。つまり後になって詐欺的と判明したアプリを削除しても、すべてのユーザーに被害金額を返金するのではないのです。私たちは10年以上にわたり、Appleの問題点を指摘し続けてきました。上院反トラスト法委員会には、こうした疑問の真相を究明するよう強く求めます。これには数年前にApp Storeでユーザーが疑わしいアプリに通報フラグを立てる機能を削除したAppleの不可解きわまる決定も含まれます

Appleにコメントを求めているがいまのところ回答がない。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:独占禁止法アメリカAppleアプリApp Store詐欺

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

Google Meetに複数ピン留めや明るさ自動調整、背景置き換えなどの新機能追加

Google(グーグル)は米国時間4月21日、ビデオ会議サービス「Google Meet(グーグル・ミート)」のメジャーアップデートを発表した。デスクトップユーザー向けにはいくつかユーザーインターフェース(UI)の調整が行われた他、1人ではなく複数の発言者をピン留めする機能や、AIを活用した明るさ自動調整、オートズーム、低速なモバイルネットワークでのデータ使用量を制限するデータセーバー機能など、多くの新機能が追加されている。

筆者のようにビデオ会議にうんざりしている人は多いに違いない(しばしばカメラをオフにしているくらいだ)。しかし現実には、好むと好まざるとにかかわらず、このようなスタイルの会議は今後も続いていくだろう。

画像クレジット:Google

Googleは、このアップデートがビデオ会議を「より没入的で、包括的で、生産的」にすると述べている。UIの変更は抜本的なものではないが、多くの操作や機能をメニューの中に隠すのではなく、指の届く場所に置くようになった。従来のシステムではメインメニューバーと上部の小さなメニューに分散されていた機能も、最下段に集約された。

自分の姿を映したくない会議参加者は、自分のビデオフィードを最小化したり、完全に隠したりすることもできる。あるいは自分の姿を常に横目でチェックしたければ、自分のフィードの位置をグリッドに固定することも可能だ。Googleは近日中にすべてのMeetの通話で自分の映像をオフにできるようにすることも計画しているという。

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ピン留めに関しては、特に便利だと思われる機能は、複数の発言者(またはグループ)の映像を同時に強調表示する機能だ。この新しいマルチピン機能を使えば、例えば、最もアクティブな数名のチャット参加者に、常に注目し続けることが容易になる。この機能は数カ月以内に導入される予定だ。

さらに数カ月後には、大きなサイズで表示された映像の中に、よりおもしろく(見方によっては鬱陶しく)見えるものが現れるかもしれない。Googleは今後、ビデオの背景を置き換える機能の導入も予定している(まだすぐには採用されない)からだ。最初に用意される背景は「教室」「パーティー」「森」の3種類だけだが、後からさらに追加されるという。ただし、自分で用意した映像を背景に使うことは、当面はできないようだ。

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その他の新機能としては、周囲が暗かったり、あるいは強い照明の前に座っている場合にも、自動的に画面の明るさを調整して自分の姿がよく見えるようにする機能が追加される。これは数週間以内に利用可能になる予定だ。また、AIを活用して自動的にズームし、自分の姿を画面の中央に配置する「Autozoom(オートズーム)」機能も導入されるが、こちらはGoogle Workspace(グーグル・ワークスペース)の有料会員向けに、今後数カ月以内に提供される。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle Meetビデオ会議アプリ

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルとグーグルが上院の独禁法ヒアリングでサードパーティーアプリのデータ共有の詳細を問われる

米国時間4月21日、米上院で行われた反トラスト法に関するヒアリングでAppleとGoogleの代表がそれぞれのアプリストアで収集されたデータを不当に利用していないかどうか質問された。プラットフォームにアプリを登録しているサードパーティーの企業のデータを自社の製品開発に流用し、不当に競争力を得ることを防ぐために「厳しいファイアウォール」その他の内部ポリシーを設けているかどうかが焦点となった。Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員(コネティカット州、民主党)はAppleに対して「sherlocking(シャーロッキング)」という慣行について質問した。同上院議員はAppleの開発者コミュニティでは他のアプリをコピーする行為が一般的になっており「シャーロッキング」というニックネームで呼ばれていると指摘した。

Sherlock(シャーロット)というソフトウェアはWikipediaに1項目を立てた記事が掲載されているが、2000年代初頭にAppleが開発した検索ツールだ。サードパーティーのデベロッパーであるKarelia SoftwareはSherlockのライバルとなるWatsonという検索ツールを開発した。この製品の成功に対し、AppleはWatsonと同一の機能を自社のSherlock検索ツールに追加したためWatsonは事実上ビジネスの継続が不可能となった。後に「Sherlock」ないし「sherlocking」という呼び名はAppleがサードパーティーのデベロッパーのアイデアをコピーし、ライバルを脅かしたり潰したりすることを意味するようになった。

以後、デベロッパーコミュニティはAppleは多年にわたって数多くのアプリを「Sherlock」してきたと主張してきた。例えばデスクトップ・ウィジェットのKonfabulator、ポッドキャストマネージャーのiPodderX、ウェブサイト作成アプリSandvox、Mac OS Xの通知システムGrowl、さらに近年では、画面のブルーライト軽減ツールF.lux、iPadをサブディスプレイにするアプリDuetとLunaに加えてさまざまなスクリーンタイム管理ツールなどがそうだという。今回、TileはAppleのAirTagは不当な方法で同社の市場を脅かすものだと主張している。

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ブルーメンソール上院議員がヒアリングで質問した相手はAppleのKyle Andeer(カイル・アンディア)最高コンプライアンス責任者とGoogleのWislon White(ウィルソン・ホワイト)公共政策および政府関係担当シニアディレクターだ。同上院議員はAppleのアプリストアとビジネス戦略立案の間に何らかの「ファイアウォール」を採用しているか尋ねた。

アンディア氏は「上院議員の質問を正しく理解しているなら、AppleではApp Storeを管理するチームと製品開発戦略に携わるチームは別個の存在しです」と述べ質問をかわそうとした。

これに対しブルメンソール議員は「ファイアウォール 」の意味を具体的に説明した。つまり、それぞれを担当するチームが存在するかどうかではなく、App StoreとAppleの他事業部の間でデータ共有を禁止する社内規定の有無を尋ねているのだと述べた。

アンディア氏は「私たちは適切な管理を行っています」と答えた。

これに続いて「過去12年間、Appleはごく少数のアプリとサービスを導入したのみです」と述べた。いずれの場合においてもApp Storeには「サードパーティーによる数十の選択肢があり、そうしたライバルのアプリがAppleの製品より人気があることも多々ありました」とした。

アンディア氏は「我々はコピーしませんし、敵を潰したりしません。私たちがしているのは新しい選択肢と新しいイノベーションを提供することだけです」と述べた。

この主張は、SpotifyとApple Music、NetflixとApple TV +、KindleとApple Booksなど強力なライバルとの競争の場合には当てはまるかもしれない。しかしAppleがiPadをサブディスプレイにすることができる機能であるSidecarを導入したときのようにAppleが限定された領域で改良を行う場合は別だ。DuetやLunaのようなアプリがサブディスプレイ接続のニーズがあることを証明したもののSidecarの導入でサードパーティーのアプリは行き場を失った。

もう1つの例は、AppleがiOSに視聴時間制限機能を組み込んだときだ。サードパーティーのスクリーンタイムアプリのデベロッパーにAPIを提供しなかったため消費者はサードパーティーのアプリからAppleのスクリーンタイム設定機能にアクセスすることが不可能となった。このためユーザーはサードパーティーの専用インターフェースや独自機能を利用できなかった。

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ブルーメンソール議員はファイアウォールの存在に関するアンディア氏の答えた「ノー」だと断定した。

同じ質問を受けたGoogleのホワイト氏は「Googleにはサードパーティーのサービスからのデータの使用方法に対するデータアクセスコントロールが実施されていると理解しています」と答えた。

上院議員はこれが前述の「ファイアウォール」であるかどうかを明確にするようさらに迫った。議員はサードパーティのデータへの別チームの「アクセスを禁止しているかどうか」に明確に答えるよう求めた。

「Google自身のサービスと直接競合するような仕方でサードパーティーのサービスを利用することは禁止されています。Googleにはそれを管理する内部規定があります」とホワイト氏は述べた。

この時点で時間切れとなったため、ブルーメンソール上院議員は「フォローアップ質問は書面で行う」と述べた。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:独占禁止法アメリカAppleGoogleアプリApp StoreGoogle Play

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

Zoomが同社プラットフォームでの事業立ち上げを支援する108億円のZoom Apps投資ファンド開設

2020年、Zoom(ズーム)がZoom Apps(ズームアプス)とそのアプリを販売するためのMarketplace(マーケットプレイス)をローンチしたのは、人気ビデオ会議アプリだけでは終わらないという強いメッセージだった。同社が目指すのは、開発者たちがZoom上でアプリが開発できるプラットフォームだ。

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米国時間4月19日、同社は1億ドル(約108億円)の投資ファンドを開設し、有望なスタートアップがZoomのプラットフォーム上で同社のツールセットを使った事業を立ち上げられるよう、資金を提供して支援すると発表した。同時に、その他の開発者たちにもプラットフォーム上のツールをジャンプ台として活用するよう奨励している。

「私たちは、実現性の高い商品と、アーリーステージの市場けん引力を持ち、Zoomエコシステムでの開発に関与し、そこへ資本投下している企業を探しています」とZoomのColin Born(コリン・ボーン)氏は、今回の新プログラム発表のブログ記事に書いている。

Zoomの幹部チームが強く関与する経営企画部門は、ポートフォリオ企業の選択と管理を任されることになる。同社では、ポートフォリオに加えられた企業には、それぞれ25万ドル(約2700万円)から250万ドル(約2億7000万円)の投資を行うことにしている。

「その大部分は、それらアーリーステージ企業が成長し成功するよう、事業推進を促し、Zoomの資源とコネクションが活用できるようにするのが狙いです」とZoomのCTOであるBrendan Ittelson(ブレンダン・イッテルソン)氏は私に話した。

投資の成功を望んではいるものの、その目的の大きな部分を占めるのは、Zoomが提供するプラットフォームを有効に利用するよう資金提供によって開発者たちを励ますことだ。「それらの企業が価値ある魅力的な体験を構築できるよう支援し、それを手にし、そこに投資することで、ソリューションの獲得とエコシステムのさらなる拡大を助け、ひいては顧客がそこから恩恵が得られるようにできると感じています」と彼はいう。

Zoomには、新参起業家たちがZoom機能を利用したアプリ構築に利用できる開発ツールが揃っている。2021年3月、同社は、プログラマーがZoom機能を開発中のアプリに組み込めるようにするSDK(ソフトウェア開発キット)を公開した。

また同社は、教育や医療など特定の目的のためにデザインされたアプリをZoomに埋め込むためのツールも提供している。さらに、その方法を集中的に学べる場所をdeveloper.zoom.usに開設した。

Zoomプラットフォームのためのアプリを開発する企業に投資しているのは、Zoomだけではない。Sequoia(セコイア)、Maven Ventures(メイベン・ベンチャーズ)、Emergence Capital(エマージェンス・キャピタル)といった企業も、すでにZoom上でアプリを開発するスタートアップ企業に投資を行っている。Mmhmm(ンーフー)、Docket(ドケット)、ClassEdu(クラスエデュ)などがそうだ。

このファンドは、スタートアップ創設者に、アイデアを実現に近づけるための資金調達に、新たなオプションを追加するものだ。イッテルソン氏は、投資はすべて創設間もない企業に向けたシードレベルのものであり、Zoomからは、若い企業の製品開発と流通を手伝う開発者とビジネス資源も提供すると話している。

現在、ポートフォリオに加えるべき有望なスタートアップを探している最中だと彼は話しているが、興味のある起業家のみなさんは、こちらからzoom.com/fundへ直接申し込むことも可能だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Zoomベンチャーファンドアプリ

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(文:Ron Miller、翻訳:金井哲夫)

保守派お気に入りのソーシャルメディアアプリParlerが数カ月の禁止を経てアップルのApp Storeに復活へ

Apple(アップル)が米上院議員Mike Lee(マイク・リー)氏と下院議員Ken Buck(ケン・バック)氏に送った書簡によると、同社は数カ月にわたって禁止措置となっているParler(パーラー)をApp Storeに復活させる。書簡は米国時間4月19日朝にバック氏のTwitterへの投稿で公になった。TechCrunchも書簡を入手し、そしてAppleに直接確認した。リー氏とバック氏は3月31日に、保守派の人のかなりのお気に入りであるParlerがなぜApp Storeから削除されたのか、追加の情報を求めてAppleに書簡を送っていた。Appleは返事で、Parlerがどのように規則を破ったかについて説明しているが、アプリの削除以来、Parlerのチームとかなりやり取りしてきたと述べた。Appleはまた、Parlerが提案したアプリへのアップデート、コンテンツ、モデレーションのプラクティスによってApp Storeへの復活がすぐに承認されることになるだろう、とも述べている。

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米国会議事堂での暴動後、トランプ氏のサポーターや極右ユーザーが暴力を求め、議事堂乱入の計画を立てるのにいかにParlerが使われてきたかが明るみに出た後、AppleはParlerを禁止したプラットフォームの1つとなった。この暴動では5人が死亡し、警官140人超が負傷した。そして数百人が逮捕されることとなった。

Google(グーグル)とAmazon(アマゾン)も議事堂暴動後にすぐさま自社プラットフォームからParlerを排除した。

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Appleの場合、まずParlerにコンテンツモデレーション改善計画を提出しなければアプリが削除される、と通告した。しかしParlerの当時のCEOであるJohn Matze(ジョン・マッツェ)氏は自身のParlerアカウントにAppleの最後通牒には降参しないと投稿し、Appleの要件を満たさなかったParlerアプリは禁止となった。その数週間後にマッツェ氏は共和党後援者のRebekah Mercer(レベッカ・マーサー)氏が牛耳るParlerの役員会によってクビとなった

Parlerはアプリが削除されて以来、App Storeへの再登場に向けて取り組んできた。しかし依然として基準を満たさなかった。例えばBloombergは2021年3月、Parlerが2月に提出した新たなガイドラインは、違反コンテンツに関する問題でApp Storeのルールに十分に沿うものではなかった、と報じた。2021年2月25日にParlerのポリシー担当最高責任者に送られた書簡には「悪意に満ちた、人種差別的、不公平なコンテンツはApp Storeでは一切受け入れられません」とあった。

2021年4月19日に出された同社の新たな書簡によると、状況は変わった。Appleは4月14日付でParlerが提案したモデレーションプラクティスが復活要件を満たしていると伝えた。Appleの北米政府業務担当のシニアディレクターTimothy Powderly(ティモシー・パウダリー)氏の署名が入った書簡には次のように書かれている。

AppleがParlerアプリをApp Storeから排除して以来、AppleのアプリレビューチームはParlerアプリをガイドラインに則ったものにしてApp Storeに復活させようと、Parlerとかなりのやり取りをしてきました。その結果、Parlerはアプリのアップデートとコンテンツモデレーションプラクティスを提案し、アプリレビューチームは4月14日付で同社が提案したアップデートされたアプリのApp Storeへの復活を承認すると伝えました。アップデートされたParlerアプリがリリースされ次第すぐに利用できるようになると見込んでいます。

書簡はまた、Parler削除という判断についてGoogleやAmazonと相談しなかったとも書いている。この言及は、削除は保守派を黙らせるためのテック企業間の組織的な対応だったという嘘の主張を沈静化させることを意図している。

AppleはParlerがどういった変更に同意したのか詳細は明らかにしなかったが、2021年初めにはアプリはまだかぎ十字や白人主義の画像をユーザープロフィールで使用することを許すなど、Appleのガイドラインに沿っていなかった。Parlerは女性増悪的、同性愛嫌悪的、そして人種差別的なユーザーネームや投稿を認めていたからだ、とBloombergは当時報じた。

CNNが4月19日朝に最初に報じたAppleの書簡は、提出されればParlerがすぐに承認されることを示している。

Appleはまた、Parlerの再ローンチのタイムフレームはParlerの判断次第だとTechCrunchに述べたが、追加のコメントはなかった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ParlerAppleApp Storeアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラ車オーナー向けアプリ「TezLab」を使えば充電する電力の「クリーン度」がわかる

Tesla(テスラ)の電気自動車オーナーは、自分のクルマに供給されているエネルギーの種類を正確に把握することが可能になった。テスラ車のためのFitbit(フィットビット)のような無料アプリ「TezLab(テスラボ)」に、エネルギーミックス(化石燃料による発電と再生可能エネルギーの種類と正確な割合)を表示する新機能が加わったのだ。これを使えば、米国内のSuperchargers(スーパーチャージャー)やサードパーティの充電ネットワークから供給される電気が、どのように発電されたものなのか、その種類と割合を知ることができる。

「私たちはエネルギーに関連するデータの出所を追跡しているため、ツーソンやブルックリン(あるいはどんな場所でも)で充電した時、その電気がどこから供給されているのか、そのエネルギーミックスはどうなっているのか、知ることができます」と、TezLabのCEOで共同設立者であるBen Schippers(ベン・シッパーズ)氏は最近のインタビューで説明している。「その結果、自宅で充電しているか、スーパーチャージャーで充電しているか、またその充電量に応じて、どれだけの炭素が大気中に排出されているかを知ることができるのです」。

Tomorrow(トゥモロー)のプロジェクトであるElectricityMap(エレクトトリシティマップ)がエネルギーデータを提供し、TezLabはそれを消費者向けアプリに組み込んだ。このアプリはダウンロードすると、テスラのオーナーがいつ、どこで充電しているかを認識することができる。そして新たにアプリに追加されたエネルギーミックス機能が、その電気のクリーン度や汚染度などの全体的な情報を、オーナーに提供する。

例えば、ラスベガスにあるテスラのLinq High Roller Supercharger(リンク・ハイ・ローラー・スーパーチャージャー)は、V3スーパーチャージャーで、1台当たり最大250kWのピーク充電レートに対応している。また、テスラのソーラーパネルとPowerpack(パワーパック)エネルギー貯蔵システムを使用し、充電器を作動させるのに必要な電力を生成・貯蔵していることで注目を浴びている充電施設だ。

TezLabのデータによると、この充電器で供給される電気のエネルギーミックスは、太陽光による発電が1.7%。再生可能エネルギーの主なものはフーバーダムによる水力発電で65.6%。残りの約33%が天然ガスによる発電だ。

カリフォルニア州ホーソーンにあるテスラのスーパーチャージャーは、いち早くソーラーパネルを設置したが、そのエネルギーミックスは、太陽光0.2%、原子力5.5%、天然ガス13.3%、石炭27%、風力49.9%となっている。

ワシントン州のセントレア、レブンワース、モーゼスレイク、シアトルなどの「最もクリーンな」スーパーチャージャーのトップ10は、水力発電のおかげでこの目標を達成できた。太陽エネルギーを最も多く利用しているスーパーチャージャーは、いずれもカリフォルニア州の同じ電力網に位置しており、バーストウ、オックスナード、カバゾン、サンディエゴ、モハーベ、イニョカーン、サンマテオ、シーサイド、サンタアナにあるスーパーチャージャーでは、太陽光が22.7%、風力が15%となっている。残りのエネルギー構成は、蓄電池0.2%、バイオマス2.9%、地熱5.6%、水力6.3%、原子力6.6%、天然ガス40%だ。

TezLabを作り出したHappyFunCorp(ハッピーファンコープ)は、モバイル、ウェブ、ウェアラブル、モノのインターネットデバイス用のアプリケーションを構築しているソフトウェアエンジニアリング会社で、その顧客には、Amazon(アマゾン)やFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)をはじめ、数多くのスタートアップ企業が含まれる。同社共同設立者のシッパーズ氏(現会長)とWilliam Schenk(ウィリアム・シェンク)氏をはじめとするHFCのエンジニアたちは、テスラの主にソフトウェア主導型のアプローチに惹かれた。特にテスラのAPIのオープン性から生まれるチャンスに興味を持ったという。テスラのAPIは、技術的にはプライベートなものだが、エンドポイントは部外者でもアクセスできる。リバースエンジニアリングすると、サードパーティのアプリがAPIと直接通信することが可能になる。

関連記事:TezLabアプリはテスラ車のためのFitbitだ

2018年に配布が始まった当時、TezLabはオーナーが電力消費率や総走行距離を記録したり、ドアの施錠・解錠や冷暖房など、車両の特定の機能を制御できる機能を備えていた。その後、テスラのオーナーがスーパーチャージャー・ステーションを評価できる機能など、主にコミュニティの構築に焦点を当てた機能がさらに追加された。

これらのデータはすべて匿名で集約されている。TezLabはそのデータを販売するつもりはないという。同社はこれらのデータから得られた見解をウェブサイトに掲載しており、例えば、モデル別の所有者の内訳、平均走行距離、平均充電時間などを知ることができる。

TezLabは他の電気自動車の発売に合わせて、Ford Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)などをアプリに追加している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:TezLabTeslaエネルギー再生可能エネルギー温室効果ガス電気自動車炭素アプリ

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ディープフェイク動画のiOSアプリ「Avatarify」が電子透かし提供へ

ディープフェイク動画の作成は昔は大仕事だった。今や必要なのはスマートフォンだけだ。クラウドにアップせず、スマホ内で直接ディープフェイク動画を作るアプリを提供するスタートアップであるAvatarifyは、David Beckham(デビッド・ベッカム)の妻、Victoria Beckham(ヴィクトリア・ベッカム)などのセレブに利用され、アプリチャートで急上昇中だ。

しかしディープフェイク動画に共通する問題点は動画がフェイクであることを簡単に判断できるような電子透かしが添付されないことだ。Avatarifyは悪用その他の好ましくない事態を防ぐための電子透かしを近く提供開始するという。

米国に本社があるが本拠はモスクワのスタートアップAvatarifyは、2020年7月に創立されて以後、数百万回もダウンロードされている。ファウンダーによれば、2021年に入って以降だけで1億4000万本のディープフェイク動画が作成されたという。TikTokでは現在、ハッシュタグ「#avatarify」が付けられた動画の再生回数が1億2500万回に達している。ライバルには、資金豊富なSnapchatをはじめRefaceやWombo.ai、Mug Life、Xpressionなどがある。ただしAvatarifyの外部資金調達はエンジェルラウンドのみだ。

ファウンダーによれば、エンジェルラウンドで得た資金はわずか12万ドル(約1300万円)に過ぎなかったが、その後はベンチャーキャピタルを受け入れておらず、スクラッチでスタートしてたちまち1000万ダウンロードを達成し、10人足らずのチームで通年換算1000万ドル(約10億8900万円)のビジネスに成長したという。

これほど安定したビジネスを作れた理由はわかりやすい。Avatarifyは7日間の無料トライアルというフリーミアムのサブスクリプションモデルを採用している。サブスクリプション料金は年間契約の場合34.99ドル(約3800円)、週決めは2.49ドル(約270円)だ。無料で利用を続けることもできるが、動画には目に見える透かしが入る。

Avatarifyは、フリーミアムのサブスクリプションモデルを採用してるだけでなくプライバシー保護にも適した仕組みだという。動画はハッキングその他によって情報がリークされるる可能性があるクラウドにアップされることなく、スマートフォン(iPhone)上でローカルで処理される。

Avatarifyは機械学習アルゴリズムなどを利用してユーザーが選択した写真を加工し、顔をアニメーションさせたり、サウンドと同期させたりしてショート動画を作成する。ユーザーは素材写真を選び、エフェクトや音楽を選択してタップするだけでよい。Avatarifyが自動的にアニメーションさせる。成果物はInstagramやTikTokにショート動画として投稿することができる。

特にTikTokではAvatarify動画が大人気だ。ティーンエージャーは自分でダンスしなくても有名人や友達はてはペットの写真を処理してアニメ化できるからだ。苦労して自分が下手なダンスを披露するよりずっとクリエイティブなアイデアが利用できるわけだ。

Avartifyは「このアプリを使って他人になりすますような悪用をしてはならない」と警告しているが、もちろんこれを効果的に禁圧する方法はない。

共同ファウンダーのAli Aliev(アリ・アリエフ)氏とKarim Iskakov(カリム・イシャコフ)氏は、2020年4月に新型コロナウイルスによるロックダウンが強制されたときにこのアプリを開発したという。アリエフ氏はPythonでプログラムを書くのに2時間しかかからなかったという。これはZoomのフィルターを使って自分の顔の表情を別の顔にマッピングするものだった。その結果フェイクビデオをリアルタイムでZoomにストリーミングすることができるようになった。アリエフ氏はElon Mask(イーロン・マスク)氏の顔のアバターで通話に登場し、その場にいた全員が仰天したという。チームがこの動画を投稿したこころバイラルに拡散した。

ファンダーがこのコードをGithubに掲載するとすぐにダウンロード数が伸び始めたという。2020年4月6日にリポジトリを公開し、2021年3月19日時点で5万回のダウンロードを記録した。

アリエフ氏はSamsun AIセンターでの仕事を辞めアプリの開発に専念した。2020年6月28日にAvatarifyのiOSアプリが公開されるとTikTokのバイラル動画で拡散され、有償販売開始前だったにもかかわらずApp Storeのトップチャートにランクインした。2021年2月には、Avatarifyは世界の無料アプリのランキングで1位になった。2021年2月から3月までの期間では月間収益が100万ドル(約1億1000万円)を超えた(AppMagicより)

こうした成功にも関わらずAvartifyもディープフェイクビデオが持つ根本的な問題からの逃れることができていない。つまり無断で他人の顔写真を利用してポルノ動画を作成するなどディープフェイク動画の悪用問題は依然として残っている。電子透かしの提供は正しい方向への一歩だろう。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Avatarifyディープフェイクアプリ電子透かし

画像クレジット:Avatarify

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(文:Mike Butcher、翻訳:滑川海彦@Facebook

eスポーツ大会運営のRATELが1.2億円を調達、プロゲーマー向けボイスチャットアプリ「VOLBOX」の開発を強化

画像左からCEOの吉村信平氏とCOOの吉本砂月氏

2021年4月14日、eスポーツ関連事業を展開するRATELはシードラウンドで総額1億2000万円を調達したことを発表した。引受先はNOW、F Ventures、ABBALab、East Ventures、個人投資家の田中邦裕氏、 田中良和氏、高梨大輔氏、他複数の投資家を含む。

2018年10月に設立したRATELの主力事業はeスポーツ大会の運営と放送だ。具体的にはeスポーツ大会の運営と放送、クリエティブ制作、大会運営に必要な配信機材と施設の貸し出し、実況者や解説者、オピニオンリーダーなど演者のキャスティング、イベントの企画、コンサルティングなどを行っている。2021年5月からは大会への新規参入を容易にし、長期的な大会運営が実現できるよう、レベニューシェア型の大会立ち上げサービス「ノバシェア」を提供する予定だ。

もう1つ、RATELはアプリ事業にも注力していきたい考えだ。現在、RATELはプロのモバイルゲーマー向けボイスチャットアプリケーション「VOLBOX」を開発している。

開発中のボイスチャットアプリケーション「VOLBOX」

何人かでゲームをする時に使えるコミュニケーションツールには、ゲーム特化のコミュニティアプリ「Discord」やLINEのグループ通話機能などいくつかある。ただ、それらはスマホゲームをプレイする際に使うには不便な点が多いとRATELのCOOを務める吉本砂月氏は説明する。

例えば、Discordのスマホ版は、出力される音声がモノラルになってしまうのが難点という。ステレオは左右のイヤフォンまたはスピーカーから異なる音を出力することで、音の立体感を出す技術のことだが、モノラルの場合は左右で同じ音を出力する。FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)など、立体的な動きのあるゲームの場合、モノラルだと他のプレイヤーの足音がする方向が分からなくなり、プレイに支障が出てしまう。他のボイスチャットアプリにはステレオ出力できるものもあるが、ゲーム音とボイスチャットの音のそれぞれの音量を調整できないなどスマホゲームと併用するには不便な点があるのだそう。

VOLBOXではそうした課題を解消するため、ステレオで音声を出力し、ボイスチャットの音とゲームの音をそれぞれ調整できる機能などを盛り込むなどして、プロのeスポーツ選手が使えるボイスチャットアプリを目指している。現在はクローズドベータ版をeスポーツの選手やインフルエンサーなどに提供して、サービス改善のためのフィードバックを得ている段階だという。正式リリースは2021年の秋頃を見込んでいる。

今回調達した資金は、VOLBOXの開発とeスポーツイベントの製作チームの強化に充てる予定だ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:RATEL資金調達ボイスチャットアプリ日本VOLBOX

画像クレジット:RATEL

アップルとグーグルがアプリストアの競争に関する米上院公聴会に出席

姿を見せない思われていたApple(アップル)が、2021年4月末に行われる同社アプリストアの独占禁止をめぐる上院の聴聞会に代理人を送ることを約束した。

先に上院議員のAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏(民主党・ミネソタ州)とMike Lee(マイク・リー)氏(共和党・ユタ州)はAppleに圧力をかけた。クロブシャー氏はこの小委員会の議長を務めており、テクノロジー業界で最も支配的な企業に対する独占禁止法上の懸念に焦点を当てている。

Google(グーグル)も出席するその聴聞会では、AppleとGoogleによる「消費者とアプリの開発者と競争に及ぼす、モバイルアプリケーションのコストと配布と可用性に関するコントロール」を徹底的に掘り下げられる。

アプリストアはテクノロジー業界において、二社による複占の嫌疑を最もかけられている部分だ。その疑いは、FortniteのメーカーであるEpic Gamesに対するAppleの高飛車な法定闘争で一層深まった。しかし一方ではテクノロジー大手に対する州レベルの規制もいくつか芽生えており、アリゾナでは、AppleとGoogleによるアプリストアの利益の簒奪から開発者を護る方策が模索されている

関連記事:フォートナイトをApp Storeに戻すように求めるEpicの要求をカリフォルニア州判事が却下

先週の書簡で、クロブシャー氏と小委員会の有料メンバーであるリー氏は、Appleが4月21日に行われる公聴会に証人を送らないと決めたことを「唐突」に非難した。

「Appleが突然方針を変えて、4月に行われるアプリストアの競争の問題に関する小委員会で、証人の提供を拒否したことは、同社が他の公共の場では明らかにそれらの問題を議論する意思を示しているだけに、容認できない」と議員たちは述べている。

4月12日には、この圧力が効果を表したようで、Appleは公聴会への出席に合意した。この件に関して、Appleはコメントの求めに応じなかった。

議員たちはAppleの応諾を勝利に数えたが、同社CEOが出席するとは限らない。テクノロジー大手のCEOたちが議会に呼ばれる機会はここ数年増えているが、そこから得られる成果はむしろ減っているかもしれない。

テクノロジー企業のCEOたちは、AppleのTim Cook(ティム・クック)氏も含めて、議員から圧力を受けたときには実のあることを何も言わない術を学習している。CEOを引っ張り出すことは権力の誇示にはなるかもしれないが、テクノロジー業界の役員たちは一般的に、その長い証言の過程でほとんど何も明かさない。ヒアリングに本格的な取り調べが並行していない場合には、特にそうだ。

関連記事:アップルがApp Storeの反トラスト訴訟でEpicの秘密プロジェクトを告発、Epicは独占を批判

カテゴリー:その他
タグ:AppleApp StoreGoogle独占禁止法アプリGoogle Play

画像クレジット:Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

登録者数累計3万人突破のキャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリをリリース

登録者数累計3万人突破のキャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリをリリース

キャリアSNS「YOUTRUST」を運営するYOUTRUSTは4月12日、iOSアプリ「YOUTRUST -日本のキャリアSN‪S」のリリースを発表した。また同リリースを機に、サービスメッセージを「信頼でつながる 日本のキャリアSNS」にアップデートすると明らかにした。

同アプリでは、即時的な通知機能によりスカウトや投稿・意欲変更の情報を見逃すことがなくなるという。YOUTRUSTユーザー間での交流やYOUTRUSTを通じたキャリアチャンスの広がりが一層加速することを期待しているという。

登録者数累計3万人突破のキャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリをリリース

2017年12月設立のYOUTRUSTは、信頼でつながる「日本のキャリアSNS」を展開。友人のつながりから副業や転職のオファーが届いたり、経歴書にはないプロフィールが作成・発見できたり、最新情報を気軽に眺めたりできる。活躍し続けるキャリアを歩みたいすべての人にとって、キャリアのチャンスを増やし出会いを生み出すSNSという。

2018年4月のサービス開始以来、YOUTRUSTは累計3万人を超えるユーザーが登録。副業・転職などの機会創出の場として成長しているという。マクロ環境において、ジョブ型雇用の推進や脱・終身雇用の流れなど「個の時代」における新しい働き方に向け急速な変化が進み、自分らしく活躍し続けるためには、今すぐのキャリアチェンジを考えていない方でも「キャリア」について継続的に考え、チャンスやつながりを増やし広げておくことが欠かせなくなったとしている。

登録者数累計3万人突破のキャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリをリリース

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カテゴリー:HRテック
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)副業(用語)YOUTRUST(企業・サービス)リファラル採用(用語)日本(国・地域)

ケビン・コスナーとロードトリップしたい?投資家たちはみんなそうだと確信している

Woody Sears(ウッディ・シアーズ)氏は以前からストーリーテリングに関心を抱いていた。2007年に初めてiPhoneが登場した後、iPhoneとiPad向けに児童書のナレーションと挿絵のライブラリを構築したストーリーテリングアプリのZuukaの基礎を作った。

シアーズ氏は後に、その会社をニューヨークを拠点とする小さな会社に売却した。だが、カリフォルニア州サンタバーバラを拠点とするシアーズ氏は、まだストーリーテリングを終わりにしたわけではなかった。その代わりに、2番目の会社となる新たなストーリーテリングのスタートアップであるHearHereのために160万ドル(約1億7571万円)の開業資金を調達したところだ。そのサブスクリプションベースのオーディオ・ロードトリップ・アプリでは、ユーザーが許可すると運転中にプッシュ配信し、3~5分の番組で、まったく知ることのなかった興味深い場所などの、周辺についてのちょっとした情報を提供する。

その狙いは地域の無名、あるいは忘れられた歴史を浮上させることだ。こうしたことは、より多くの人々がロードトリップを再びし始め、TikTokから子どもたちの注意をそらせたいと切に願う親たちが増えた世の中では意味がある。実際、シアーズ氏の隣人であるKevin Costner(ケビン・コスナー)氏は、こうしたアイデアに賛同し、最近、この5人のチームに共同創設者、ナレーター、投資者として参加した。Snap Inc.、法律事務所のCooley、Camping WorldのCEOであり、リアリティTVのスター であるMarcus Lemonis(マーカス・レモニス)氏、AAAやNextGen Venture Partnersも含めた多数の個人投資家たちもともに参加している。

私たちも歴史やロードトリップが(本当はケビン・コスナー氏が)好きなので、先ほど、シアーズ氏とコスナー氏に、他のリッチコンテンツのジオロケーションベース・アプリが本格的な選択肢として不十分な中で、なぜHearHereが成功すると考えるのかを聞いた。

以下、長さに関して軽く編集した会話の抜粋。

TechCrunch(以下、TC):米国のオーディオマップを作成されていますが、現時点でどの位のストーリーが用意されていますか?

ウッディ・シアーズ氏(以下、WS):22州全体で5500話までのストーリーが完成していて、夏までに全国を網羅する予定です。その地域の歴史、自然、個性的な人物たちのストーリーを提供して、旅先と人々を結び付けるのが目的です。また、スポーツや音楽のストーリーでローカル・インサイトも提供していきます。

TC:収集して、編集、録音するコンテンツがたくさんありますね。進行の様子はいかがですか?

WS:結局のところ、コンテンツが最も重要なので、トラベルジャーナリズムの経歴を持つ、リサーチャー、ライター、編集者、ナレーターから成る22人のチームで、最新の注意を払いながらストーリーを制作しています。そうしたチーム・アプローチで、最高の結果が得られると心底感じています。

最終的にはサードパーティーのコンテンツコントリビューターに開放して、プロのコンテンツとユーザー生成コンテンツの両方をホストしていく予定です。

TC:AIのコンポーネントはありますか?もしくは、これから用意する予定はありますか?

WS:このアプリは、旅行中にストーリーが風景に重ね合わされ、異なる視点を提供するという点で、むしろ拡張現実だと考えていますが、AIや機械学習は外国語やエンドユーザーのニーズにより合わせたコンテンツをてがけ始めたら組み込んでいく予定です。

TC:コンテンツ・ライブラリーを構築する際に、伝えるストーリーにはどのように優先順位を付けていますか?

WS:主要な歴史的な場所は非常に魅力的ですが、あまり知られていないすばらしい場所も探しています。それから、どの高速道路を使い、どの景色の良いルートが好まれるのかという、観光旅行の際の移動方法にも注目しています。

TC:サブスクリプションの内容はどのようなものですか?

WS:毎月5話のストーリーを無料で利用できます。無制限のストリーミングは年間35.99ドル(約3952円)です。

TC:ケビンさんには、多くのスタートアップの提案や投資の機会があったと思います。なぜこれに深く関わるようになったのですか?

ケビン・コスナー(以下、KC):どう見ても私はストーリー志向なので、このように関わるようになったことを誰も驚きませんでした。でも、あなたの言うとおり、多くの提案はされてきました。

HearHereについては、ウッディが私と話したいことがあるのだと、妻から伝えられました。彼女がそれを説明してくれたので、どんなものかを知ったのです。特に私たちの国に関して、ストーリーテリングをしたり、良いストーリーを生み出す力があるというのは、とてもすばらいく感じました。

だから、ミーティングを開いてコンセプトを説明してもらいました。その内容は、どこに行っても記念プレートに立ち寄り、歴史的意義について読むという、私がこれまでずっとしてきたことに似ていました。立ち寄っていると、みんなの旅行を妨げることになりますけどね(笑い)。クルマに残っている人たちは、立ち止まったせいで不満げですが、外に出て脚を伸ばし、少しばかり歴史について読んで、想像を膨らませたりしていたんです。

私にとって、この製品はその延長線上にあります。発展したより詳しいストーリーを車から降りることなく聞くことができるのです。車で通り過ぎていたものにも、もっと関わることができるし、同乗者たちも、私が立ち止まるほど引き付けられた魅力を感じることができるかもしれません。

画像クレジット:Hearhere

TC:歴史がお好きなんですね。

KC:HearHereは歴史だけではありませんが、私は歴史に引きつけられました。こうして、この会社にもっと関わりたいと考えるようになり、さらに知ることで、創設者として参加したいと思ったのです。

TC:AAAやCamping Worldが戦略的投資家となっています。彼らはどのようにアプリを宣伝していくのでしょうか?また、適切なタイミングでHearHereを発表するために、他にどのようなパートナーシップを締結しましたか?

WS:Camping Worldは世界最大のRV(Recreational Vehiclem,レジャーを楽しむためのクルマ)オーナーの組織であるGood Sam Clubも所有し、AAAは米国に5700万人の会員がいる巨大組織です。このアプリのことは、現在オーディエンスに提供していないサービスを実現させる手段だと捉えられています。デジタルへの架け橋となるこのアプリをこうした会員や顧客に提供できることを本当に喜ばしく感じています。

また、(RVマーケットプレイスの)OutdoorsyやRVshare、そして、(RVレンタルおよび販売会社の) Cruise Americaとも提携しています。今話題のマーケットです。

TC:これまでも似たようなアイデアがありました。カテリーナ・フェイクのFinderyは、ユーザーがその場所の詳細を知るのに役立つことを目指した初期のアプリでした。Grouponの共同創設者のアンドリュー・メイソンが設立したスタートアップのDetourは、都市のウォーキング・オーディオ・ツアーを提供していました。興味深いものでしたが、人気は出ませんでした。このスタートアップがうまくいくと考える理由は何ですか?

WS:Detourは好きでしたよ。私は両方とも、とても気に入っていました。

Detourがプロダクトマーケットフィットを逃したのは、使えるシナリオの数や、ユーザーの時間を得る必要があったからだと思います。私たちがロードトリップから始めようと決めたのは、囚われの聴衆がいるからです。歴史を探索する際に、本やツアーガイドなどのあらゆる選択肢がある町中とは違い、運転中はできることがあまりありません。それに、歩き回っているときは気が散り、2時間ほど割く必要もあります。

私たちは旅の途中にある、あまり知られず、語られていないけれども人を魅了する場所を捉えていきたいと考えています。短時間の形式で始めるのが功を奏することでしょう。オンデマンドなので、あらかじめ指定されたルートに従う必要はありません。左折したり、右折したりしなくてはならない、特定のツアーに連れて行くわけでもありません。どんなルートを取っても、ストーリーを提供していきます。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:HearHereケビン・コスナーロードトリップアプリ

画像クレジット:Yellowstone

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

Androidの人気野良アプリストア「APKPure」公式クライアントに悪質なアドウェアが含まれていたと発覚

セキュリティ研究者らによると、Google(グーグル)のアプリストア以外から古い / 打ち切られたAndroidアプリをインストールするための非公式マーケットとして広く普及している「APKPure」の公式アプリに、被害者のデバイスに不要な広告を氾濫させる悪意のあるアドウェアが含まれていたという。

Kaspersky Labによると、APKPureアプリの直近のバージョンである3.17.18には、被害者の知らないうちに端末からデータを吸い上げ、端末のロック画面やバックグラウンドにプッシュ型の広告を表示し、バックグラウンドでアドウェア運営者に不正な収益をもたらす悪意のあるコードが含まれていると米国時間4月8日に開発者に通知したとのこと。

しかもこの悪質なコードには他のマルウェアをダウンロードする機能があり、被害者をさらに危険にさらす可能性があると研究者らは述べている。

研究者らによると、APKPureの開発者はおそらく、検証されていないソースから新しいアドウェアSDK(ソフトウェア開発キット)を実装した際に、この悪意のあるコードを導入した可能性が高いとのこと。APKPureは悪質なコードを削除して新しいバージョンである3.17.19をリリースしており、悪意のあるバージョンは現在サイトに掲載されていない

APKPureは、Androidユーザーが古いバージョンを含むAndroidアプリやゲームの膨大なリポジトリにアクセスできるようにするため、2014年に設立された。また、Androidの公式アプリストアであるGoogle Playに掲載されなくなった他地域のアプリバージョンにもアクセスできる場所として知られる。その後、それ自体もGoogle Playの外でインストールする必要があるAndroidアプリをリリースし、ユーザーが古いアプリをAndroid端末に直接ダウンロードできる独自のアプリストアとして機能している。

APKPureは、ネット上で最も人気のあるサイトの1つとされている。

しかしAndroidのマルウェアの多くは、被害者にアプリストア外から悪意のあるアプリをインストールさせるため、品質や安全性に大きなばらつきがあるとして、セキュリティ専門家は長い間、公式アプリストア以外からアプリをインストールしないよう警告してきた。GoogleはGoogle Playに登録されるすべてのAndroidアプリをスキャンしているが、これまでにも一部のアプリはその隙間をすり抜けていた

TechCrunchはAPKPureにコメントを求めたが、返答は得られなかった。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:APKPureアドウェアAndroidアプリマルウェアGoogle

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

アプリに毎日費やす時間は平均4.2時間、2年前から30%増

新型コロナウイルスパンデミックは私たちの合計スクリーンタイムを増やしたが、特にモバイルデバイスで顕著だ。モバイルデータ分析会社App Annieの新たなレポートによると、世界の消費者は現在スマートフォンのアプリに1日あたり平均4.2時間費やしており、これは2年前に比べて30%増えている。一部のマーケットでは平均時間はより長く、5時間以上だ。

2021年第1四半期に毎日アプリに費やした時間は米国、トルコ、メキシコ、インドで初めて4時間を超えた、とレポートにはある。中でもインドは最大の伸びで、消費者は2021年第1四半期にスマホアプリに2019年第1四半期より80%も多い時間を費やした。

米国マーケットをみると、Nielsenは2020年、消費者が生放送あるいは録画したテレビの視聴に4時間半費やし、スマホアプリに使った時間は3時間46分だったという。

画像クレジット:App Annie

しかし、NielsenとApp Annieの分析は必ずしも直接比較できるものではないことは指摘しておくべきだろう。App AnnieはAndroid端末の使用時間のみを測定しており、多くの米国人はiPhoneを使っているからだ。一方、Nielsenは代表的なサンプリングを行うのにアドバイス機関に頼っている。にもかかわらず共通する傾向は大まかには、モバイルアプリは米国人のテレビという古き良き過ごし方よりも人気のエンターテインメント手段であるということだ。

App Annieのレポートはまた、ブラジル、韓国、インドネシアの3つのマーケットで、1日にアプリに費やした平均時間が2021年第1四半期に5時間超に増えたことも指摘した。

最もダウンロードされたアプリは毎四半期ほぼ同じであるため、どのアプリがこうした平均使用時間アップをもたらしたのか決めるのは難しい。アプリのダウンロード数チャートの上位はTikTok、YouTube、Facebookなどおなじみの名前で独占されている。だからこそApp Annieは、同社が「ブレイクアウトアプリ」と呼ぶもの(iOSとAndroidの両方にわたって四半期比較でダウンロード数が急増したアプリ)を追跡している。

画像クレジット:App Annie

2021年第1四半期に欧米マーケットでは安全なメッセージアプリのSignalとTelegramのダウンロードが急増した。たとえばSignalは英国、ドイツ、フランスでブレイクアウトアプリランキング第1位で、米国では第4位だった。Telegramは英国で第9位、フランスで第5位、米国で第7位だった。

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投資と取引のアプリもまた同四半期に人気だった。Coinbaseの暗号資産(仮想通貨)アプリは米国と英国で第6位で、Binanceはフランスで第7位だった。一方、暗号資産取引アプリのUpbitは韓国で第1位だった。日本のブレイクアウトアプリランキングでは決済アプリのPayPayが第1位だった。そしてRobinhoodは米国で第2位だった。

Clubhouseもまたブレイクアウトアプリチャートに登場した。ドイツで第4位、日本で第3位と米国外のマーケットで勢いを得た。

中国のブレイクアウトアプリチャートは異なり、TikTok、Kwai、CapCut、iQIYIといったビデオアプリが上位に入った。

画像クレジット:App Annie

TikTokのゲームへの影響も同四半期に顕著だった。イスタンブール拠点のRollic(現在はZyngaが所有)のゲームHigh HeelsはTikTok上でかなり広告され、米国と英国のゲーム部門のブレイクアウトアプリチャートで第1位、中国で第3位、ドイツで第7位、ロシアで第6位だった。

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その他のハイパーカジュアルなゲームも健闘した。「Project Makeover」「DOP 2:Delete One Part(DOP 2:一部を消そう)」「Phone Case DIY(スマホケースDIY)」などだ。

「Crash Bandicoot:On the Run(クラッシュ・バンディクー ブッとび!マルチワールド)」もまたブレイクアウトした。3月25日にリリースされたにもかかわらず、わずか4日間で2100万回ダウンロードされ、ドイツではブレイクアウトアプリチャートのトップとなり、米国では第2位、英国では第3位、フランスでは第9位だった。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:App Annieアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi