空撮動画だけじゃない、ドローンが開く来年の国内関連ビジネスとは?

「この1年でビジネスになるドローンビジネスは何か? 法律的課題は?」。こうした問いかけに対して日本でドローン関連ビジネスに詳しい専門家がディスカッションをするセッションが、インフィニティ・ベンチャーズ・サミット 2015 Fall Kyoto(IVS)で行われた。

IVSはネット業界の経営者が集まる招待制イベントで、年に2回行われている。今回は12月7日、8日、9日の予定で京都で開幕した。

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会場では実際に複数のドローンを操縦して空撮の様子もデモ

美しい空撮動画と6機種のデモ

初日午後に行われたセッション「IoT、ドローンの未来」には多くの聴衆が集まった。モデレーターを務めたのは「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」「プロ野球PRIDE」などのゲームで知られるコロプラ取締役副社長、千葉功太郎氏だ。

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コロプラ取締役副社長 千葉功太郎氏

ネット業界で千葉氏といえば、2015年3月にドローンに目覚めてからは趣味といえるレベルを超えてドローンを飛ばしまくっていることで知られている。前置きでも「今日は本業とは全然関係のない話で来ました」と千葉氏。といいながら、今や「慶應義塾大学SFCドローンコンソーシアム上席研究員」という肩書きも持っているそう。千葉氏はセッション会場となったホテルのボールルームで代表的なドローン6機種を次々と飛ばしながら現在市場で入手可能なドローンの特徴を紹介した。

千葉氏によれば、120グラムくらいの小さなドローンは姿勢制御などを自分で行う必要があるほか、200グラム以上が規制の対象であることもあって「練習に向いている」。一方、ある程度のサイズを超えたドローンだと気圧センサーやビジュアルポジショニング、GPSなどを使った自律姿勢制御をするために操縦自体はやりやすいという。屋外での遠隔操作飛行にも向いていて、例えばParrotのBebopならiPhone利用時に200m、専用リモコンだと2kmくらいが操作可能範囲という。

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中国発スタートアップで世界のドローン市場で70%という大きなシェアを持つDJIの「Inspire 1」だと、遠隔操縦だけでなく、カメラの制御を別の人が担当する「2オペレーター撮影」が可能といい、かなり本格的な空撮動画の制作が可能だそうだ。

日本でも急ピッチで進む法整備

セッションに登壇したDJI JAPAN代表取締役の呉韜氏によれば、日本のドローン市場、関連ビジネスの立ち上がりは遅れている。DJIは2007年に創業していて、当初は日本と米国が2大市場だったが、スマホが登場して空撮写真や動画をシェアするといった用途で米国が先行したのに対して、「日本はB2Bの利用が進んでいる。飛ばす場所がないので一般ユーザーの利用が遅れているのではないか」(呉氏)という。DJIはグローバルに市場を持っているが、日本が占める割合は5%に過ぎないという。

一方で、ちょうどいま日本では官民によるドローン関連の環境整備協議会が霞が関でスタートしたことや、この12月11日にも改正航空法が施行されて法整備が本格化することもあって、急ピッチでドローン関連ビジネスが立ち上がろうとしていると話す。

改正航空法で市街地の飛行は不可能になるほか、目視外飛行も禁止となるが、逆にこうした法整備によって「飛ばしやすくなる」。そう話すのは、すでにドローンのよる空撮ビジネスやコンサルなどを手掛けるORSO代表取締役社長の坂本義親氏だ。ORSOはこれまで全国80箇所で100台以上保有するドローンを使って1700フライトをしてきた実績があるといい、独自にテスト項目や安全確認項目を策定するなどリスク管理やマニュアル整備を進めてきた。「これまで通報されたりすることもあった。今後は届け出をした上で土地の所有権のある人に連絡し、安全飛行マニュアルにそってやっていく」ことで、すでにある空撮ビジネスの置き換えなどは特に問題がないだろうという。ORSOは安全管理や操縦テクニックなどを教程として提供していくこともビジネスにしていくそうだ。

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ORSO代表取締役社長 坂本義親氏

カメラで生育状況を把握して、ドローンで農薬散布

空撮ビジネスの代替というのは自明だし、趣味としてのドローンでも空撮が注目されてきた。では、それ以外の用途にはどういう可能性があるのだろうか?

DIJ JAPANの呉氏は、「ケータイは人間の時間軸を埋めた。ドローンは3次元の空間を埋める道具になっていく」といい、例えば「来年は農業方面で発達する」と話す。すでに無人機による農薬散布などは日本でも市場があるが、既存システムが機体だけで2000万円もするのに対して、ドローンなら100万円程度で機体が入手できる。農薬以外にも種の散布もあるし、農地の状態や農作物の生育状況をスペクトラルカメラを使った空撮によって把握して、どこに農薬を重点散布すべきなどといったことを、ドローンの自律操縦と機械学習の組み合わせで無人化していくことが、早ければ来年にもできるようになってくるだろうという。もともと先物取引での価格付けなどは衛星を使った映像解析が使われていたこともあって、すでにアメリカではドローンで生育状況を把握するという試みが始まっているそうだ。

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DJI JAPAN代表取締役 呉韜氏

このほかにも呉氏は、フィールド・スポーツでのフォームチェック用途として、日本のラグビーチームがInspire 1を利用していることや、災害時の救済ツールとしての応用があり得ることなどを紹介した。

もしもドローンにSIMカードが搭載されたら?

パネルディスカッションに参加したソラコムの玉川憲氏は、「もしドローンにSIMカードを搭載したら?」という議論を展開した。ソラコムはTechCrunch Japanでも何度かお伝えしているようにクラウド制御可能なSIMカードを提供している。

今のところSIMカードを搭載できるのは基地局のみで、空中に飛ばす飛行物体へのSIMカード搭載は法的にはNG。ただ、もしもドローンが広域のワイヤレスネットワークに繋がったら、というのは興味深い視点だ。玉川氏は100歳になる祖母が「高野山に行きたい」というのぞみを叶えてあげたいといい、ネットワークカメラをドローンに搭載して遠隔地のスマホから操作する、あるいはVRカメラを使って仮想体験するようなことが可能なのではないかと話した。

「いまのドローンは操縦者がいて2kmの範囲でしか動かせません。でもモバイル通信にはハンドオーバーという仕組みがあって、基地局から基地局へ移っていける。そうなると問題はバッテリーだけになる」。

完全自律制御と遠隔制御の両方が使えるようになったとき、ドローンを使った新しいビジネスが生まれてくるのではないかという指摘だ。ちなみに、DJI呉氏によると、ドローンのバッテリー持続時間は一般に30分程度。ガソリンを使うと1〜3時間程度なのだそうだ。

ドローンは完全無人化するのか? 群制御の応用は?

パネルセッションの終盤にモデレーターの千葉氏から興味深い論点が2つ出た。1つは、今後ドローンは完全自律制御となって操縦者がいなくなっていくのかという点。もう1つは、複数のドローンが昆虫の群れのようにグループとして行動する「群制御」にはどういう未来があるのか、という点だ。3年後や5年後にはどうなっているのだろうか。

DJIの呉氏は、そもそも障害物がない空であれば、クルマの自動運転よりも簡単だと指摘する。「クルマは2次元で逃げ道がありません。でも3次元だとやりやすいので自律飛行は今でも可能です。例えば向こうの島まで荷物を運ぼうというのは、今でもできる。でも、密集地での飛行はまだ先の話。街なか荷物配達をやるのは簡単じゃない」。

ドローンのリスク管理アセスメントなども手掛けるORSOの坂本氏は「人間も自動も両方あったほうがいい。いかなる場合でも人間がいるというように冗長化しておいたほうがいい」と話す。ドローン市場立ち上がりのカギは、安全と安心の確保というのは登壇者の一致した見解のようだった。

複数のドローンが、まるでリーダーの統率に従うかのようにフォーメーションを組んで飛行するような「群制御」の動画はTechCrunchの読者なら1度は見たことがあるだろう。この群制御にはどんな可能性があるのか?

呉氏は2つの使い方があるという。1つはドローン同士が助け合うこと。1台のドローンだと積載重量やぶら下げられる荷物の重量が決まっているが、複数のドローンを協調させることでより重たいものでも運べるという。もう1つの利用は「認識しあう」という方向性。呉氏は10年後にはドローンがビュンビュン周囲を飛び交っていて、それを現在の子どもたちが全く不思議に思わないようなインフラとなっているだろうとした上で、互いに衝突しないような制御をしているのではないかと話す。

「道路があるクルマより、ドローンは制御がしやすい。ドローンが飛びまくっている世の中になる。アメリカはすでに動き始めています。もしかすると人間が乗れるドローンが出てくるかもしれない。ただ、クルマも、車検や保険、免許など社会インフラの整備が必要で普及に時間がかった。ドローンも技術的には時間はかからないが、インフラ整備には10年ぐらい時間がかかると思う」(呉氏)

玉川氏は別の例として、ソラコムの利用顧客であるセーフキャストという放射線量を計測するプロジェクトを応用例として可能性があるのではないかと紹介する。セーフキャストは、ガイガーカウンターをばらまいて放射線マップを作る活動をしているが、原子力発電所で事故が起こった際に、多数のドローンを飛ばして近隣のマップをいち早く作るようなことが民間レベルでもできるのではないか、という。「群制御で大量に飛んでいって、たとえ何台か落ちたとしても情報を取れるようになる」。災害時の映像を異なるアングルからリアルタイムで取得するような応用例については、DJI呉氏は3年以内に実現することだと指摘した。

もともとゲームなどエンタメコンテンツでビジネスをしてきたORSOの坂本氏は、「人々の生活を豊かにしてくれるドローンの未来とは?」との問いに対して次のように話した。「ルンバが部屋の端っこで引っかかる。それをドローンが助けたら楽しいと思うんですよ。エンタメな人間なので、そういう発想をします。部屋の中で、常に周囲にいて写真を撮っているようなドローンはいいですよね。私は絶対にドローンに名前を付けると思いますね」

小売価格1300万ドルの紅茶を淹れるロボットTeforiaが$5.1Mのシード資金を獲得…紅茶道は奥が深い?

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どんな茶葉からも完璧な紅茶*を淹れる、と称するTeforiaが、510万ドルの資金を獲得して、その市場をさらに拡大しようとしている。〔*: もっと広く、あらゆる“お茶”かもしれない。〕

同社は、この比較的お高い製品の最初の予約販売に成功し、一台649ドルのクラウドファンディングキャンペーンで30万ドルを集めた。似たような製品にワンタッチティーメーカーBrevilleがあるが、こちらは慎ましく、Amazonで242ドルだ。

ファウンダのAllen Hanによると、Teforiaは他とまったく違う。“Teforiaはきわめて科学的であると同時にきわめて芸術的だ”、と彼は主張する。自分の企業を創業する前にXBOX 360やKindle Fireのデザインも手がけたことのあるHanは、Teforiaでは紅茶の浸出過程を眺(なが)めるのが楽しい、とも言う。“しかも紅茶の種類等によって自動的に淹れ方を変えるSIPシステムにより、紅茶のさまざまな成分を抽出できる”。

SIPはSelective Infusion Profile System(浸出方式の性格を選択できるシステム)の頭字語で、HanがTeforiaのために開発した独自の技術だ。彼によると、この特殊なシステムにより、マシンはさまざまな茶葉に対して正しい淹れ方を直観的に推量し、個々の品種の最良のものを取り出す。

Hanによると、Teforiaは最初の500台が、メディアキャンペーンの成功と、シリコンバレーのテク企業の役員に売るというマーケティングが功を奏して、すぐに売れた。現在同社は、このデバイスの第二回目のバッチを計画している。その計画によると、最初の250台を699ドルで売り、それ以降は通常小売価格の1299ドルで売る。発売は2016年の春だ。

この二度目のバッチでは、予約販売の売上が製造の資金に回ることはない。調達した資金がすでにある。製造だけでなく、研究開発と成長戦略にも資金を回せる。

今回の510万ドルのシードラウンドはUpfront Venturesがリードし、Lemnos Labs、PreAngel、InnoSpringなどが参加した。

それは良い賭けだろうか? 平均的な紅茶好きが700〜1300ドルの道具を買うとは思えない。でもStatistaによると、お茶を飲ませるビジネスは今370億ドルの産業であり、2021年には440億ドルに成長すると予想されている。伝統的にコーヒーが支配している合衆国ですら、最近は健康志向から、紅茶の愛好家が増えている。お茶の出し方淹れ方に非常にこだわりたい人なら、良い道具に1000ドルぐらいは平気だろう。

Upfront VenturesのパートナーYves Sisteronは、自分自身が自称“熱心な紅茶党員”なので、今回の投資を決めた、という。“Teforiaにできることと、グローバルな紅茶市場の巨大さを考え合わせると、この会社を早急に支援することは当然だ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

速報:Apple、 Swiftプログラミング言語をオープンソース化

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Appleの OS XとiOSプラットフォーム向けプログラミング言語、Swiftはオープンソース化された。利用にはApache Licenseが適用される。つまり、Swift言語を利用して開発を行った場合、アプリのパッケージ・マネージャーを含むすべてのソースコードが公開され、自由に編集、コンパイルできなければならない。ただ新しいプログラムにアトリビューションを付加する必要はない。

AppleではSwift言語の今後の利用に関してさまざまなプランを用意しており、新しく作られた swift.orgで順次公開中だ(ただしこのサイトは現在ダウンしているようだ)〔日本の環境からは時間はかかるもののオープンできた〕。

言語の開発者、Chris Lattnerは、2010年からSwiftに取り組んでいた。Appleが一般公開したのは2014年のデベロッパー・カンファレンスの場だった。 Lattnerは当初の開発のヒントを「Objective-C、Rust、Haskell、Ruby、Python、C#、CLU、その他ここには挙げきれない多数の言語に負っている」と述べている。デベロッパーはSwiftを用いてデスクトップだけでなくiOSアプリも作成できる。オープンソース版は従来通り、Linuxバイナリーが含まれる。またファイルやフォルダーを指定してプログラムを走らせるためのコマンドライ・ツールも用意されている。

Swift言語は今日(米国時間12/3)から利用可能になった。誰でも、どんなプラットフォームを用いてもよい。Appleとしてはおおいに興味深いオープンソース化の動きだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソニーのPS4はJaguar第7コアの利用で少し強力になっている

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たぶん一般のゲーマーのほとんどは気づいていないだろうが、PlayStation 4はほんのわずかだが強力になっている。PlayStation 4のCPUはオクタ(8)コアのAMD Jaguarだ。これまでゲーム・デベロッパーはそのうちの6コアを利用できた。他の2コア、つまり第7と第8のコアはOS専用だった。しかしソニーは最近、第7コアのOSロックを外して、というか部分的にはずして、デベロッパーが利用できる道を開いた。

ソニーはこの点についてまだ何も発表していないが、一部のデベロッパーはすでに第7コアを使い始めている。たとえば、オーディオ・ミドルウェアを提供しているFirelight Technologiesは人気のサウンドエフェクト・エンジン、FMODの新バージョンをリリースしている。

Firelight TechnologiesではバージョンアップのログEurogamerサイトが第7コアについて新発見をしたと指摘し、特に次のように述べている。「PS4:新しく、FMOD_THREAD_CORE6が追加され、このスレッドによって第7コアへのアクセスが可能になった」。

FMODはすべてのゲーム・コンソールのOSで作動するモジュールだ。PlayStation 2、3、 4、Portable、Vitaだけでなく、MicrosoftのXbox、Xbox
360、Xbox One、任天堂のWii、Wii U、 3DS、また iOSやAndroid、OS X、Windows、LinuxでもFMODは走る。またUnreal EngineUnity、 CryEngineSource Engineなどのゲームエンジンを通じて多くの人気ゲームに組み込まれている。つまり、Firelight Technologiesは単にPS4だけでなくすべてのプラットフォームにおけるオーディオ・エンジンの効率改善の手法を教えてくれたわけだ。

ちなみに、Microsoftは今年、Xbox Oneについて第7コアの利用方法を発表している。

PS4とXbox Oneはどちらもこのコアを音声コマンドのようなタスクの実行に利用しているようだ。ゲーム・デベロッパーが第7エンジンを利用するときはすでにシステムこのコアを使っていることに留意する必要があるだろう。

ところでこのアップデートは一般のPS4ユーザーにはどの程度の影響があるのだろう? すべてのゲームは最初の6コアをフルに利用しており、ソフトウェアは6コアに最適化されている。つまりそのままでは7番目のコアを利用することはできない。利用するためには新しいパッチが必要になる。第7コアのり利用には6コアですでに順調に動いているソフトのためにわざわざパッチを開発するほどのインセンティブはなさそうだ。

しかし今後開発される新しいゲームについては話が別で、第7コアをフルに利用することが前提になるだろう。デベロッパーはゲーム開発の途中であっても第7コアが使えるようソフトを書き換えるはずだ。上記のゲーム・エンジンのメーカーは真っ先にアップデートを行い、新機能が利用できるようにするだろう。

ただしPS4やXbox Oneにおける現在のゲームソフトではGPUの能力がCPPUより重視される傾向にある。ゲーム・デベロッパーはさまざまな昨日をGPUに分担させてきたからだ。つまりCPUの改良は天地が逆転するほどの影響は持たない。しかしゲームを今よりスムーズに走らせるためには大いに役立つだろう。

画像: TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クリスマスプレゼントにないわけではないかもしれない2万ドルの「スーパーマリオ」時計

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世の中に任天堂ファンが多いことの間接的な証明であるのだろう。ファンの心をくすぐる1万9000ドルの腕時計がリリースされた。Romain Jeromeの「Super Mario Bros.」腕時計だ。盤面にパワーアップアイテムのきのこを配して、懐かしい思い出を楽しみたい富裕層に訴えるアイテムとなっている。

Romain Jeromeはこれまでにもアーケードゲームをモチーフとした腕時計をリリースしていて、パックマンやスペース・インベーダーを配したモデルも発表している。ムーブメントはオートマチックで、画面上にゲームで登場するアイテムを3Dエナメルで描いている。今回のマリオバージョンではマッシュルーム、雲、草といったメイン(?)アイテムが文字盤上に配置されている。大きさは幅46mmで、ゲームが1985年にリリースされたことにちなんで、限定85セットの販売となっている。

まあ、普通の人は2万ドルも出して購入しようとは思わないだろうと思う。しかしちょっと(かなり?)かわった贅沢の表現手法としてはありなのかとも思う。文字盤上のマリオもなかなかよくできていると思うのだ。

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via ABlogToWatch

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(翻訳:Maeda, H

2016年はVR元年となるか——普及のカギは「コンテンツ」にあり

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「2016年はVR元年になる」——業界関係者が期待する声は大きい。すでに発表されているOculus RiftPlayStation VRといったコンシューマー用のVR機器が発売されることもその後押しになると考えられている。11月17〜18日に東京・渋谷で開催された「TechCrunch Tokyo 2015」でも、そんなVRに関するセッション「VR最戦前:360度動画が開く新しい世界とビジネス」が開催された。

セッションに登壇したのは1000円のダンボール製VRデバイスとコンテンツプラットフォームを提供するハコスコ代表取締役の藤井直敬氏と、VR向けの「360度動画」を制作しているHOME360代表取締役の中谷孔明氏。いずれも国内VR業界のキーパーソンだ。VR専門メディア「PANORA」編集長の広田稔氏がモデレーターを務めた。

VRはまだアーリーアダプターも食いつくせていない

ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏

ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏

「VRはもう体験した? あれはすごいよね」—そんな声が新しいモノ好きの間で聞こえはじめてから2年ほど経った。しかし、実際にデバイスを持ち、日常的にVRを体験している人はごくわずかだ。

ハコスコの藤井氏も「未だにアーリーアダプターさえ食いつくせていない」と現状を語る。エベレット・M・ロジャーズが掲げた「イノベーター理論」でいうところのイノベーター(全体の2.5%)には波及しているが、アーリーアダプターと呼ばれる比較的流行に敏感な層(全体の13.5%)までは届いていないという。

ゲームやエンタメから始まり、さまざまな領域で利用できると考えればVRのマーケットは巨大だと言える。しかし果たして本当にVR浸透していくのか? 今回のセッションではその一般化に向けた「キー」はVRの「コンテンツ」だという話が強調されていた。

「10カ月視聴され続けるコンテンツ」に普及の可能性

ハコスコで1月にリリースされたコンテンツで、未だに人気を博している動画がある。男性3人組アイドルグループ「Lead」のプロモーションビデオだ。動画を撮影したのはありきたりな普通のスタジオ。演出も凝っているわけではなく、ただひたすら3人が360度から自分に歌いかけているように見えるという動画だ。藤井氏は、この動画にVRが普及する可能性があると語った。

HOME360代表取締役の中谷孔明氏

HOME360代表取締役の中谷孔明氏

「普通、アーティストのプロモーションビデオは続けて見られることは少ない。それが実際に今でも見られ、視聴者からは『出勤前に見て元気を貰ったと』いうコメントがきている。この動画のヒットには、一般化に向けた可能性があると感じ、深堀していきたいと考えている」(藤井氏)

また、アーリーアダプターやイノベーターではなく、Leadのファンというセグメントにリーチすることができたこと。そしてVRの最大の魅力である没入感のみで感情を動かすができたことは、一般の人々にどのようにコンテンツをしかけていくべきかのヒントになるだろう。

4分の動画で1TBに……高品質化に課題

VRコンテンツでは、実写動画の場合360度動画が必要となる。この360度動画は実際にヘッドマウントディスプレイを通すと、中心以外は解像度が下がって見えてしまうという特徴がある。没入感や臨場感を高めるためには、より高い解像度の動画が求められるわけだが、高品質化には大きな課題があるとHOME360の中谷氏は指摘する。

VRコンテンツの、あくまで「現状」最適なフォーマット

セッション中に提示された、VRコンテンツの(あくまで“現状”)最適なフォーマット

 

「普段4Kや8Kで撮影、編集をするが、これらを再生するにはハイスペックなPCが必要となる。また、8Kの360度動画の場合、1分の動画でデータ容量が250GB程度あるため、編集作業に時間がかかる。そもそもまだAdobeの編集ソフトが対応していなかったりする」(中谷氏)

1分で250GB、つまり4分動画で1TBということだ。このデータ容量の大きさは、編集だけでなく配信するときにも大きな障壁となることは間違いない。ただ中谷氏もVR普及のために重要なのはコンテンツの解像度より内容のほうが重要であると語った。

「一番大事なのはコンテンツの内容だ。いくら8Kでも単に撮りっぱなしのコンテンツはつまらないですから」(中谷氏)

TechCrunch Tokyo 2015内でデモを行ったH2Lの「UnlimitedHand」は、筋肉への電気刺激でユーザーに触覚を与える、VRとの連携を想定したデバイスであった。そんな周辺機器の開発も進むなど、VRの波はそこまで来ている。2016年のVR元年からはじまる産業が数年で廃れてしまうことのないようにまずはコンテンツの発展に期待したい。

New Balanceが3Dに進出―最新ランニングシューズのミッドソールは3D出力される

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テクノロジーは実際に世界を制覇しつつあるらしい。それはハイテク・シューズのNew Balanceがこのトレンドを最大限取り入れることにしたことでも分かる。同社は近く3Dプリントしたランニング・シューズを発売すると発表した。.

もちろん靴全体が3Dプリントされるわけではない。 3Dテクノロジーが用いられているのはミッドソールの部分だけだ。これは足底に触れる部分とゴムの靴底との間に挟まれる部分で、走ったときに足をしっかり支持し、衝撃を吸収する重要な役割を持っている。

New Balanceは今回3D Systemsの協力を求め、同社のDuraForm Flex TPUというSLSエラストメリック粉末を利用した。これは柔軟で耐久力のある形状を3D出力するのに適した素材だという。

New Balanceのプレスリリースによれば、

3Dプリンティングを利用すればきわめて複雑な構造を最適化して正確に出力でき、必要な部分に十分な(あるいは最小限の)素材を配置することが可能となる。すなわち、1層ずつ積み上げていく3Dプリント・テクノロジーによってまったく新しい.有機的な形状が容易に作成できるようになった。こうした技術の恩恵を得て、New Balanceは人体構造的に革命的なミッドソールの開発に…成功した。

バズワードを少し省いて説明すると、New Balanceは3D出力によってユーザーの足と走り方に合わせてきわめて多数の形状のミッドソールを作ることが可能となったということだ。New Balanceは高度な計測機器を用いてユーザーが走るときに足底のどの部分に最大の力がかかるかを測定し、これに合わせて適切な部分のクッションを増加させることができる。

ミッドソールを3Dプリントしようとしたのはこの製品が最初というわけではない。New Balance自身、3Dテクノロジーを用いたミッドソールをプロ・アスリート向けに2013年から提供している。しかしメインストリームの消費者向けのNew Balance製品に3Dプリンティングが利用されるのはこれが初めてだ。

ただし、製品が実際にお目見えするのは2016年の4月以降で、販売されるのも特定のショップに限られるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これは驚き! ―新しいRaspberry Pi Zeroはなんと価格5ドルだ

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シングルボードコンピュータの価格競争ではなんといってもRaspberry Piファウンデーションがトップを走っている。そのRaspberry Piがファミリー向けマイクロプロセッサーのシリーズに有力な新製品を発表した。Pi Zeroは価格が5ドルだ。外国からの購入者にはプレミアムが上乗せされるのは間違いない。それにしても機能完備したコンピューターの価格が5ドルなのだから驚く。

ではこのPi Zeroのターゲットはどういう層だろう? ロボットやモジュール式のガジェットなどコンピューターを利用するさまざまな製品のメーカーはまず最初に行列に並んだ方がよい。しかし5ドルなら一般ユーザーが衝動買いしても大丈夫だ。実際、Pi Zeroはファウンデーションが発行しているMagPiという雑誌の表紙にオマケとして無料でついてくる。

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Raspberry PiでZeroの次に安いモデルはModel A+で、こちらは20ドルだ。Raspberry Piには最近ライバル(クローン?)が現れてOrange Piを15ドルで売っている。いずれにせよ低価格コンピューターはますますわれわれの手が届きやすい価格になっていく。

ではこの5ドルのPiで何ができるのか見てみよう。 ハードウェアだが、コアは1GHzのチップだ。実はオリジナルRaspberry Piに使われていたのと同じものだ。ただしクロックがわずかに速められ、それに応じて能力も若干アップしている。ボードにはこれに加えて512MBのRAM、micro-SDカード・スロット、mini-HDMI端子、micro-USBポートx2が装備される。〔詳細スペックは原文参照〕

このボードに載っていないものは、と眺めてみると、まずEthernetとWi-Fi接続機能だ。こういうパーツを用意するのは5ドルでは無理なのだろう。Wi-Fiが欲しければmicro-USBポートにドングル形式でパーツを接続することになる。

ボード自体のサイズは65mm x 30mm x 5mmときわめてコンパクトだ。接続パーツはボードの一方の側に手際よく並べられている。使い勝手もよさそうだが、コスト削減にも役立っているのだろう。なんといってもRaspberry Piはこの数年で500万台以上も製造されている。ただしPiファウンデーションは非営利団体だ。

ファウンデーションは子供向けのプログラミングの課外講習を行う組織、Code Clubと最近、合併した。「世界のあらゆるコミュニティー」にプログラミング教室を拡大するのが使命だという。今月初めにチームを取材したときにこの話を聞いたが、そのときはあまりにも野心的な目標ではないかと驚いた。しかし5ドルのコンピューターが発売されたのを見ると、この目標も実現性は高いのかもしれない。

私はこのときRaspberry Piファウンデーションの共同ファウンダー、Eben Uptonと話した。Pi Zeroが普及しそうかどうか尋ねると、Uptonは「Pi ZeroにはTV向け〔HDMI〕出力が装備されている。これは特に途上国で古いデジタルTVを手に入れてコンピューターを作ろうとするユーザーにたいへん便利だ」と述べて自信を見せた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソニー、クリスマス商戦を控えて「PS4の世界での販売は3000万台以上」と発表

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クリスマス商戦が近づく時期だが、 今日(米国時間11/25)、ソニーはPlayStation 4の世界での累計販売台数を明らかにした。ソニーはすでに 3020万台のPS4を売ったという。この数字はライバル・メーカーのゲーム機販売台数を大きく上回るものだ。

ソニーがこの発表を行ったのはクリスマス商戦の開始を告げるブラック・フライデー〔感謝祭直後の金曜日〕に先立つタイミングを見計らってのことだろう。今年、ソニーはアメリカで300ドルのPS4の販売に全力を挙げている。このハードにはUncharted: The Nathan Drake Collectionがバンドルされる。このバンドルはカナダでは369.99カナダ・ドルとなる。ヨーロッパのファンにはまた別のセールが用意されている。

Sonyは先ごろ、PS4を349ドルまで値下げしたPS4の販売台数はこの3月に2000万台だった。つまりソニーは最近の8ヶ月たらずで1000万台をう売ったことになる。一月平均120万台というのは相当な数字だ。.

ライバルの動向について言えば、Microsoftの最近の発表によると、約1年前に発売されたXbox Oneの販売台数が1000万台を超えたという。 非公式ながらゲーム機の売れ行きをモニターしているVGChartzによると、 Xbox Oneコンソールの総販売台数は現在のところ1560万台に近づいており、任天堂のWii Usは 1100万台と推計されている。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

サムスン製Gear VRのCMビデオは驚きの完成度

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Samsung Gear VRの発売が始まったのを機に、サムスンは新しいテレビCMを投入している。たとえば49ers vs. Seahawksの試合中にも流れていた。

見てすっかり感心した。
かなり興味深いものに仕上がっているのだ。

TechCrunchでもこのSamsung Gear VRの記事をいくつか公開しているが、VRの魅力をふつうの映像で伝えることの難しさを感じていたのだった。しかしサムスンのCMでは、見事にVRの魅力が表現されているのだ。

Gear VRが出てからの評判を聞いてみると、どうやらVR関連業界でもサムスンのプロダクト戦略はなかなかうまくいっているのではないかということだ。キャンペーンのキャッチコピーは「It’s Not a Phone, It’s a Galaxy.」というものだ。

CMビデオを見てみよう。

広く一般の人に魅力を訴えようとする努力が読み取れるのではないだろうか。もちろん、この99ドルのデバイスを楽しむために、新たにサムスン製スマートフォンを買おうと考える人はそう多くはないだろう。しかし、クリスマスプレゼントにねだってみようと考えた新しいもの好きの人々(子供たち)はいるはずだ。

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(翻訳:Maeda, H

Appleのティム・クック、「iPadとMacのミックス製品など誰も欲しがらない」とOS統合をはっきり否定

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AppleのCEO、ティム・クックは Irish Independent紙のインタビューに答えて、Appleの人気商品、iPadとMacbookという両ハードウェアをハイブリッド化するつもりがないことを明言した。クパチーノではSurfaceシリーズのようなタブレットとノートを混合した製品を開発するつもりがないということだ。クックは「二つのデバイスのユーザー体験を混合することは双方の体験を損なう」と述べてライバルのMicrosoftのアプローチを批判した。

Microftはご承知のとおり、最近Surface Bookを発表している。これはまさにノート・パソコンとタブレットのハイブリッドで、iPadをエンタープライズ・デバイスの王座の地位から蹴落とすのが目的だ。一方、Appleは消費者人口も勘案して大型のiPad Proに賭けている。

クックはIndependent紙に対して次のように激しくミックス製品を否定した。「消費者はMacと iPadのミックスなど欲しがらないと確信している。双方ともに消費者が望み得る最高の体験を提供しているので、両者を混合することはユーザー体験を損なうばかりだろう。われわれは世界でベストのタブレットと世界でベストのMacを提供していく。両者を混合することは悪しき妥協にすぎない」

Tim Cook

この発言は今月初めにiPad Proの発表を受けてそのPRのためにThe Telegraph紙に対して述べた内容に沿うものだ。前回、クックは、タブレットの強力化の進展にともなって、パソコンの役割は低下していくだろうという見通しを主張していた。

しかし今回のインタビューでクックは明らかにMacではなくWindowsパソコンについて述べている。「われわれはMacとパソコンを同じカテゴリーの製品とは考えていない。われわれのMacとiPadのチップセットは最近、類似点が増えてきたが、両者のデザイン思想とユースケースは全く異なる」とクックは語った。

「われわれはiOSとMacをユーザーがどのように使っているか正確に認識しなければならない。それによってAppleは両者があらゆる場面でシームレスに協調して作動するためにどんな機能を付け加えるべきか知ることができる。われわれのHandoffのような連携機能によって、ユーザーはある時点で作業を中断し、必要に応じて別のデバイスを開いて作業を続行することが今までになく簡単になった」とクックは付け加えた。

しかしTechCrunchのMicrosoft当番、Alex Wilhel記者はこうした主張に完全に納得していない。先日のSurfaceのレビュー記事でWilhelm記者は「Surface Pro 4はWindows 10を得て最良のタブレットになった」と書いている。

一方でTCのAppleウォッチャーでもあるMatthew Panzerino編集長は iPad Proのレビュー記事で、コンピューティングは単なるデバイスの優劣によるソリューションを超えた「微妙なグレーのニュアンス」を判別しなければならい領域へ進みつつあると書いている。Panzarinoは「『パソコンは死んだ』というような断言はもっと大胆な人々にまかせておく。しかし一部の、しかしコンピューティングの一つの標準を作るに足る数の人々にとって、iPad Proはいつも使っているスマートフォンの弱点を完全に補うデバイス、つまりこれこそ真のコンピューターに映るだろう」と予想している。

ハイブリッド・デバイスというコンセプト自体は決して新しいものではない。Androidデバイスにはスマートフォンとタブレットの中間ないし設定しだいでパソコンとタブレットの両方に使える製品が何年も前から市場に出ている。 しかしMicrosoftのアプローチが注目されるのは、全デバイスで OSを統一的に作動させようと努力を続け、Windows 10でついに成功したことだ。これはAppleがデータとアプリの互換性は保証されるものの、タブレットとコンピューターを峻別してきた方針と大きく異る。

言うまでもなく、コンピューティングのハードウェアを2種類にはっきり区分しておくことは、本質的にハードウェア・メーカーであるAppleの基本戦略に合致するものだ。逆にOSを統一化し、作動するハードウェアの統一化を図るのは、クパチーノへの有効な直接的攻撃になるとして、長年のライバルであるMicrosoftの基本戦略の重要な柱となっているのだろう。

しかしメーカーがOSを統一するということは必ずしも全ユーザーがそれを好むことを意味しない。「ソフトウェアが世界を飲み込む」というのは長い目で見たトレンドとして正しいかもしれないが、それがAppleのビジネスにどのような影響を与えるかはまだ不明だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

超軽くて超クールなStaryの電動スケートボード、電池もモーターもどこかへ消えている

電動スケートボードは建前としてはクールだけど、本音としては、今やあまりにもありふれている。ほんとにいいのが欲しければ、中国に行くべきだ。

でもご心配なく。中国へはぼくらが代わりに行ったし、きみの代わりに良いスケボーを探してきた。

今月初めに行われたTechCrunch Beijingで、Staryのチームと仲良しになった。上海のとてもクールな会社で、CEOのRex Chenが、Staryのボードのデモを見せてくれた(上のビデオ)。このスケボーは、この前のKickstarterのキャンペーンで、目標額10万ドルに対して74万ドルも集めて、一躍注目された。

Staryのボードは最高時速18.6 MPHと速いけど、ものすごく軽い。電池は外付けでなく、ボード本体に収まっている。そしてモーターはどこだ? 後輪の中にひっそりと入っているのだ。さらに、片手に収まる小さなリモコンには、ぼくみたいな初心者のためにブレーキ(停止ボタン)もある。

つまりこれは、世界でいちばん、出しゃばらない電動スケートボードだ。

Kickstarterに間に合わなかった読者は、Stary.ioで買える。899ドルだ。ただし発売は2016年3月である。スケボーが大好きな人には、それぐらい待つ価値が十分にあるだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Android Wear、セルラー通信に対応してスマートフォンに依存しない利用シーンを拡大

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Googleの提供するスマートフォンおよびウェアラブル向けのOSであるAndroid Wearが、セルラー通信に正式対応した。スマートフォンがない状態でも利用できるシーンが増えるわけだ。

これまでもAndroid WearはBluetoothおよびWifiを使った接続には対応していた。しかしこれからは他デバイスに接続するのではなく、直接に通信を行うことができるようになる。

たとえばSMSの送受信やGoogleでの検索結果の表示などといった作業が、スマートフォンやWifiでネットワークに接続していない状態でも行えるようになるのだ。Googleのブログ記事には、ランニングにいったり、ちょっとした買い物に出かけるようなときにはスマートフォンを置いて出かけても大丈夫だと書いてある。もちろん、外出時間が数分以上になるのなら、スマートフォンを置いて出かけようかと考える人はほとんどいないのだとは思う。

今回の変更を有効に活用できるのは、これからリリースされるAndroid Wearデバイスということになる。最初の適用事例となるのはLG’s new Urbane 2nd Edition LTEだ。こちらのデバイスはアメリカではすでにAT&TおよびVerizonから入手できる。諸外国でも数ヶ月のうちに発売を開始したいと考えているとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

サムスン発の新しいGear VR、99.99ドルの価格でプレオーダーを開始

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サムスンのVR実現ツールであるGear VRの第二世代版が、99.99ドルの価格でプレオーダーを開始した(Best Buy)。このデバイスにより、バーチャルリアリティというものが一気に広がることになるかもしれない。

以前のGear VRと同様に、Gear VRの前面に装着するGalaxy製のスマートフォンやノートなどによりバーチャルリアリティを実現する仕組みだ。そのおかげでGear VR自体の仕組みは簡単なものとなっているが、ただしOculus RiftやHTC Viveなどと比べると、バーチャルリアリティを楽しむ機能は制限されてはいる。Gear VRではNetflixを見たり、Googleのストリートビューを使った移動体験をしてみたり、数が増えつつあるVRゲームを楽しむことなども行える。

Gear VRには加速度センサー、近接センサーなどの各種センサーを搭載していて、VR体験を十分楽しむことができるようになっている。より多くの人がVRの世界を楽しむようになることだろう。

先にも記したが、Oculusの方がよりリアルなグラフィック能力を備え、動作も自然に感じられるようになっていて、一層本格的なVRを提供してくれる。またコントロールもより本格的に行うことができる。しかし利用にあたってはPCと接続することが必要で、また費用もかなり高額になっている。Oculusのようなものがより低価格で利用できるようになるまで、Gear VRは十分にVR世界の魅力を伝えてくれるものとなってくれるだろう。

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(翻訳:Maeda, H

タグ・ホイヤー、1500ドルのAndroidスマートウォッチ「Carrera Connected」を発表

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タグ・ホイヤーが高級スマートウォッチのCarrera Connectedを公式発表した。

CEOのJean-Claude BiverがLe Matinでのインタビューにて詳細をアナウンスしたのだ。価格は1500ドルで、Apple Watchと「ほぼ同様の機能を持つ」ものなのだそうだ。

外見はタグ・ホイヤーの「カレラ」と同じだ。ボディはチタン製で6種類のバンドが使えるようになっている。

製造にあたってはIntelおよびGoogleとも協力して行ったそうだ。OSはGoogleのAndroid Wearだ。

ニューヨークでのプレゼンテーションでは、伝統あるスイスの時計産業とシリコンバレーが協業する第一歩となると話していた。それは確かにそうだろうが、Android Watch界に登場した、Apple Watch対抗の高級スマートウォッチの第一歩ということもできよう。

購入時に3つの文字盤デザインを選ぶことができ、さらにGoogle Playストアから追加のデザインをダウンロードすることもできる。「いかにも」なスマートウォッチ風な外見でなく、高級アナログ時計風のものが好みだという人には気になるプロダクトだろう。

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(翻訳:Maeda, H

Xiaomi〔小米〕から新しいウェアラブル、Mi Band Pulseが登場―15ドルで心拍を24時間モニタ

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低価格のフィットネス・バンド、Mi Bandを大ヒットさせた後、次に何を発売するのか世界中から注目されていたXiaomi〔小米、シャオミ〕の新デバイスは心拍モニタ機能を備えたMi Band Pulseだと判明した

今年初めCanalysの記事はこの中国の躍進企業が開発中の最初のウェアラブル、Mi Bandについて「FitBitに迫る大ヒットとなるだろう」と予測していた。その後Apple Watchが発売され、事情はやや変化したが、予測の方向はほぼ正しかったようだ。

Mi Band Pulseはユーザーの運動量や歩数を計り、目覚まし時計になる他に、以前から予想されていたとおり、常時ユーザーの脈拍をモニタする。. このデバイスは心拍計測に多くの医療器具と同様、PPG(光電式脈波測定)を用いている。このため最初の製品よりサイズは若干大き目となった。オリジナルのMi Bandは発売後にiPhoneをサポートするまで多少時間がかかったが、Xiaomiのウェブサイトでは新しいMi Band Pulseは当初からAndroid(4.4以降)とiOS(iPhone 4S/iOS 7.0以降)で作動すると保証している。

いちばん重要な点はやはり価格で、Xiaomiの製品だけに安い。 99人民元、約15ドルで手に入るという。心拍モニタ機能を欠くオリジナルのフィットネス・バンド、Mi Bandも販売は継続される。こちらは69人民元、約11ドルとなる。

Xiaomiの低価格ガジェットのファンはMi Band Pulseが当面中国国内のみで販売されると聞いて失望するかもしれない。しかしこれは 11月11日に中国で大規模なオンライン・ショッピング・フェスティバルが開催されることなどによるもので一時的な措置だという。

われわれの取材に対し、Xiaomiでは世界での販売開始スケジュールを明らかにしなかったが、われわれの得た情報ではMi Band Pulseは間もなく中国国外でも入手可能になるはずだ。最初の製品であるMi BandはXiaomiの世界的オンライン・ストアMi.comを通じてインド、ヨーロッパ、アメリカなどで発売されている。

私はフィットネスをモニタするデバイスを本当に必要とするのかテストするため(低価格をさいわいに)、最近Mi Bandを購入したところだった。そういうわけで私はまだMi Band Pulseを自分ではテストしていない。しかしMi Bandに心拍モニタ機能が加わればもちろんプロダクトははるかに魅力的になるはずだ。

〔スマートフォンを始めとする低価格ハイテク・ガジェットで高い人気を呼んでいるシャオミ(小米 = キビ・粟など雑穀の意)だが、創業以来の経緯やポリシーを詳しく紹介した『シャオミ 爆買いを生む戦略』が日本でも翻訳、出版されて注目を集めている。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、12.9インチの大型iPad Proを水曜日から世界のオンラインショップで発売

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もっと大きいiPadを探していたユーザーに朗報だ。Appleは12.9インチのiPad Proを11月11日(水)から40ヵ国のオンラインショップ発売する。発売はオンラインが先で、実店舗への入荷は今週末になるとみられる。スマート・スタイラスのApple Pencilとスマート・キーボードも水曜日に注文可能だ。

入門モデルはメモリ32GBで799ドル、128GBメモリーに携帯網接続機能がついたモデルは1079ドルとなる〔日本サイトでは11/10朝現在、ページは用意されているもの価格は表示されておらず、予約ボタンもまだライブになっていない。〕

iPad Proが新しいのはディスプレイのサイズだけではない。このモンスターには美しい12.9インチ画面が搭載され、HD映画を見るのにも高度なアートワークにも十分なスペースを提供する。また2つのアプリをワンタッチで切替られるフルスクリーン・マルチタスクが可能だ。マルチタッチ・スクリーンはAppleの誇る次世代チップ、A9Xで駆動され、これは以前のA8に比べて1.8倍速いという。iPad Proのバッテリーは10時間の作動に十分な容量があり、8MPのiSightカメラ、Touch ID、4基のスピーカーを備える。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

巧妙なハック作品Synesthesia Maskは色を匂いとして感じさせてくれる

シネシージア(synesthesia, 共感覚)は超能力として畏れられているが、その多くは、色を数として感じるなど、退屈なものが多い。でもこのDIY的ハッカー的作品では、色を匂いとして感じるから、虹を見ると果物の匂いがするかもしれない。

このシステムは、いろんな物の表面の色を読み、それに対応する香りを出力する。香りはファンでユーザの顔に到達し、さまざまな色を匂いとして感じる。以下、説明書より:

Synesthesia Maskは匂いのピクセルだ。赤、緑、青(光の三原色)のピクセルが混じりあっていろんな色になるように、このマスクはあなたが触っている物の色の赤、緑、青の量にマッチする匂いを発散する。実際には、香気マニホールドの先端にあるファンが、赤、緑、青に相当する匂いが入っている試験管から空気を送り出す。それぞれの試験管についているサーボが管の傾斜角度を調節することによって、管中の香油からの香りの排出量が加減される。そのようにして、あなたが手にしているセンサが読み取った色に含まれている、赤、緑、青の量に応じた匂いが、マスクに吹き出し、あなたの鼻に届く。

 

このシステムはIntelのEdisonボードと小さなサーボを使って、香りをユーザの顔に噴射する。色は、ユーザが手に持っているセンサが判読し、内蔵されているカメラが色の各ピクセルを匂いに換える。たとえば、赤をバラの香り、青をスミレの香りにして地下鉄の地図をスワイプしたら、花の香りの大爆発が起きるだろう。

この楽しくて簡単なプロジェクトで、あなたはミュータントになる。そして、地球という星に住む人間という愚かな生き物を、やっつけるのだ。楽しい休日プロジェクトだね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

太陽にヒントを得たスマートランプで体内時計を正常化しよう

Ario

スマートフォン(あるいは音声)にて、明るさや色を変えることのできるスマートライトが数多く世に登場している。しかし「便利さ」ではなく「健康」に気を使ったスマートライトというのは新しいかもしれない。プロダクトはArioという名前で、Kickstarterにてキャンペーンを展開中だ。

Arioは自然界に輝く太陽と同じタイプの光を人工灯で実現しようとするものだ。朝には明るいブルーの光を、そして夕方には温かみのある優しい光を発光する。

Arioの共同ファウンダー兼CEOであるBrian Hoskinsによると、ブルーの光はコルチゾールの生成を促し、人体を目覚めた状態に導くのだとのこと。夕方に発光する光には、「睡眠ホルモン」ともよばれるメラトニンの生成を促すのだとのこと。

Hoskinsによれば、アメリカ人の大半は8時間以上を人工灯のもとで過ごしており、それがために体内時計の狂いを招いて生活リズムの乱れに悩んでいるのだとのこと。

ArioはWifi機能を備え、また各家庭での睡眠習慣を学習して最適な灯りを提供することを狙いとするプロダクトだ。

Kickstarterキャンペーンでは、目標額の5万ドルをキャンペーン初日に調達している。市販価格は300ドル程度になる予定であるらしい。

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(翻訳:Maeda, H

TechCrunch Tokyoにメッシュセンサーでビルの省エネを実現する「Enlighted」が来る

Christian-Rodatus1約2週間後の11月17日、18日に迫ったTechCrunch Tokyo 2015の海外ゲストスピーカーについて、またもう1人紹介したい。日本ではほとんど知られていないだろうけど、広い意味でIoT系スタートアップ企業といえる「Enlighted」から、グローバル・ビジネス部門を統括するChristian Rodatus氏にご登壇いただけることとなった。

フロアのヒトの位置、流れを把握してオフィスの電力消費を最適化

IoTというと最近出てきたバズワードだけど、Enlightedが生まれたのは2009年と、もう少し歴史は古い。Enlightedは過去5回の投資ラウンドで5560万ドル(67億円)の資金を調達している。何をしているかをヒトコトで言うと、センサーネットワークを使ったオフィスビルの省エネだ。以下のようなセンサーデバイスを主に天井に取り付け、オフィス内の光と温度、動きの分布を検知して、電灯や空調をコントロールする。

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Enlightedのセンサー。天井に貼り付けるもの、屋外利用できるもの、小型タイプなどがある

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ヒートマップでヒトの動きを把握

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実際にヒトがいるところだけ電気をオンに

Englightedの1つのポイントは、光を検知するといっても光の強度のことであり、映像を撮影するというわけではないということ。

Enlightedのセンサーデバイスのもう1つのポイントは、ZigBeeを使った無線ネットワークを独自に構築していること。つまり既存のWiFiに依存することはない。Enlightedは、もともと無線技術のプロが集まって「メッシュネットワークが何に使えるか?」という議論から始まった会社なのだそうだ。メッシュネットワークなので、WiFiのアクセスポイントのように複雑なネットワーク設計が不要でインストールが容易というメリットがある。ゲートウェイを介してクラウド側に送った各種メトリックスは、ブラウザ経由で見ることができて、各種設定も利用者がブラウザから直接行える。

オフィスといっても全フロアに常に人がいるわけではない。例えば、夜になって一部の残業組のためにオフィスの電灯が煌々と全フロアを照らしているという光景は、多くの人が見覚えがあるだろう。最近だと「こまめに電気を消しましょう (総務部)」と書いてあるのかもしれないが、もう人間が電気のオン・オフをやる時代は終わるのだ。「まだ人間が消灯してるの?」ということだよね。

オフィス環境の空調も同じだ。ヒトの分布を調べ、空調を最適化することができれば、エネルギー効率は高まる。曜日や時間帯でパターンを学習していくことができれば、人間がやるよりも、はるかにきめ細かなコントロールができて、しかも快適ということになる。

将来的には家賃や人件費の最適化にも

Enlightedは、すでにOracleやGoogle、AT&Tのコールセンターといった大企業など約60社でも採用されていて、6万5000平米のオフィスをカバーしているという。もしこれが日本の話で島型レイアウトオフィスで執務室25平米あたり8人の席があるとすると、だいたい2万人分だ。

Englighted導入による省エネ効果は、学校やオフィスで50%程度の照明用電気代の削減、ビルの通路だと78%の電力カットという事例があるそうだ。エアコンのほうは20〜30%程度の電力削減効果という。

電気代は固定費だから定常的に削ることができれば大きなメリットになるが、実は多くの企業は初期導入コストが大きくなると簡単にEnlightedのようなシステムを導入できない。特にEnlighted立ち上げの初期には、コスト削減効果を証明しづらいために企業は導入をためらった。この問題に直面したEnlightedは「GEO」(Global Energy Optimization)というファイナンス面でのスキームも考案。導入企業に代わって借入を行い、効果を保証した上で初期導入費用の問題を解決しているという。Enlightedはスタートアップ企業だが、テックのイノベーションだけでなく、こうしたビジネス面で工夫も注目だと思う。TechCrunch Tokyoに登壇してくれるChristianはSAPから引き抜かれてCEOの右腕となっている人物だから、この辺の苦労話も聞かせてくれることと思う。

さて、EnlightedをIoT企業と紹介したが、それはセンサーネットワークとして電灯のオン・オフ以上の価値を生み出す可能性が高いからだ。例えば、会議室が10個ぐらいあって、その稼働率を正確に把握できれば、8個に減らして最適化することができるかもしれない。ヒートマップでヒトの流れが分かれば、コピー機をわざとフロアに1つだけに限定して人的交流を生み出すという施策が効果を発揮しているかといった洞察に繋がるかもしれない。小売業者なら、ヒートマップによって売場レイアウト見直しの重要な気付きが得られるだろうから、これは電気代じゃなくて家賃や人件費の話になってくる。

リストバンドのようなヘルスケアアイテムで認知が広がった感のあるIoTだが、企業活動にインパクトのあるプロダクトを生み出しているエンタープライズ系IoTの最先端の話を、ぜひTechCrunch Tokyoに聞きに来てもらえればと思う。あ、ちなみにEnlightedは日本でのビジネス展開を、今まさに始めたところだそうで、パートナー企業になりたいような関係者も注目だ。

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