Appleマップが3Dビューを展開、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコで

Apple(アップル)は、「マップ」アプリ内で、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなど、多くの都市に3Dマップを導入する。iOS 15で提供されるこの体験は、市場をリードするGoogleマップとの競争力を高めるためにAppleのマッピングプラットフォームに数年にわたって行われた投資の結果だ。このアップデートには、現在主要な市場に導入されているような3Dマップの追加だけでなく、全体的により詳細な地図、改善された交通機関の機能、AR表示モードなども含まれている。

関連記事:AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

これらの機能の多くは、充実した機能を得るためまず米国および世界の主要都市で導入され、時間をかけて展開してきた。例えばARビューイングは、2021年に入ってから一部の都市で開始された

画像クレジット:Apple

Appleによると、3Dマップでは、ユーザーは近隣地域、商業地区、マリーナ、ビルなどの詳細を見ることができ、標高の詳細、新しい道路ラベル、さらにはカスタムデザインされたランドマークも表示されるという。

例えば、サンフランシスコのコイトタワー、ロサンゼルスのドジャー・スタジアム、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールなど、有名なスポットのレンダリング画像がマップに表示され、今後さらに多くのランドマークが追加される予定だ。

画像クレジット:Apple

2021年後半には、フィラデルフィア、サンディエゴ、ワシントンD.C.でこの種の3Dマップが利用できるようになるとAppleは述べている。そして2022年には、モントリオール、トロント、バンクーバーでも利用できるようになる。

Appleは、より明確に表示されるターンレーン、中央分離帯、バス・タクシー用レーン、横断歩道などによって、道路レベルでのナビゲーションも強化している。これらは3D表示モードで表示されるため、交通状況に応じて最適な車線を選択したり、より良いルート計画を立てたりすることが容易になる。また、Googleマップと同様に、現在の道路状況に基づいた到着予定時刻も表示される。Appleは、これまで2021年のリリースが発表されていたこの新しいナビゲーションが、具体的な期限はなしに2021年後半にCarPlayに搭載される予定であると述べた。

画像クレジット:Apple

同様に、2021年初めに発表されていた他の地図のメジャーアップデートも現在展開中だ。これには、Citymapperのような、交通機関を利用する人たちに好まれるサードパーティのアプリケーションに対して、Appleマップがより競争力を持つように設計された機能が含まれている。近くの交通機関の駅が画面上部に大きく表示され、ユーザーはお気に入りの路線をマップにピン留めして簡単にアクセスできるようになった。また、Apple Watchでもできるように、路線を選択すると、降りる時間になるとマップが自動的に通知する。

Appleマップは、拡張現実(AR)を利用したステップ・バイ・ステップの案内で、より臨場感のある徒歩ルート案内を提供する。これは、ユーザーが携帯電話をかざして周辺の建物をスキャンすると、マップがより正確な位置を生成し、より詳細な案内を提供するというものだ。この機能は、2021年に入ってから一部の市場で提供されている。

iOS 15のユーザーは、新しい3D地球儀を見ることができる。また、マップの「ガイドを詳しく見る」ボタンをタップすると、Time Out、The Washington Post、The National Park Foundation、Complex、The Infatuationなどが提供する厳選されたガイドにアクセスすることがでる。これらのガイドは世界中の都市での観光ガイドを提案する。また、ユーザー自身がガイドを作成し、友人や家族と共有することもできる。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

巧妙化する金融犯罪と戦うAIベースのビッグデータ分析ツール開発Quantexaが約168億円を調達

金融犯罪の巧妙化が進むにつれて、それと戦うために使用されるツールも高度化している。Quantexaは、マネーロンダリングや詐欺などの違法行為を検知して阻止するAIベースのソリューションを開発してきた興味深いスタートアップだが、このほど1億5300万ドル(約168億円)の成長ラウンドを獲得した。この資金調達は、金融分野での事業拡大の継続と、同社のツールをより広範なコンテキストに展開すること、つまりすべての顧客データとその他のデータを取り巻く点を結びつけていくことに充てられる。

「当社は金融サービスに止まらない多様化を進めており、政府機関や、ヘルスケア、電気通信、保険業界と協働しています」と創業者兼CEOのVishal Marria(ヴィシャール・マルリア)氏はインタビューで語った。「そのことは非常に大きな意義を醸成しています。より大規模なデジタル変革の一環として、市場がコンテキストに基づく意思決定インテリジェンスに取り組んできたことを考えると、その流れは必然的なものでした」。

このシリーズDでは、ロンドンに拠点を置く同スタートアップの価値は8億〜9億ドル(約880億~990億円)と評価されている。これはQuantexaが2020年、サブスクリプション収入を108%成長させたことに続くものだ。

Warburg Pincusがこのラウンドを主導し、既存の支援者であるDawn Capital、AlbionVC、Evolution Equity Partners(サイバーセキュリティ専門のVC)、HSBC、ABN AMRO Ventures、British Patient Capitalも参加した。2020年7月のシリーズCでのQuantexaの評価額は、2億〜3億ドル(約220億~330億円)の間だった。これまでの調達総額は2億4000万ドル(約264億円)になる。

マルリア氏はErnst & Youngでディレクターを務め、マネーロンダリングなどの不正行為への対策についてクライアントを支援する役割を担っていた。Quantexaは、マルリア氏がそのときに特定した市場のギャップを出発点としている。同氏が認識したのは、潜在的な詐欺、マネーロンダリングなどの違法行為に関する有意義なインサイトを迅速かつ正確に得ることができる、真に有用なシステムが市場に存在しないということだった。企業の内部情報と外部公開データの照合・解析を通じて、利用可能なデータの世界を効率的に活用する、インサイトの導出に必要なツールが整備されていなかった。

Quantexaの機械学習システムは、この課題に対して典型的なビッグデータの問題としてアプローチしている。人間が自分で解析するにはデータが多すぎるが、特定の目的のために大量のデータを処理できるAIアルゴリズムにとっては小さな仕事だ。

Quantexaのいわゆる「Contextual Decision Intelligence(コンテキストに基づく意思決定インテリジェンス)」モデル(Quantexaという名前は「quantum」と「context」を想起することを意図している)は当初、金融サービス向けに特化して開発された。リスクとコンプライアンスの評価と金融犯罪行為の特定を行うAIツールを用いて、Quantexaが有するAccenture、Deloitte、Microsoft、Googleといったパートナーとのリレーションシップを活用し、より多くのデータギャップを埋めていくものだ。

同社のソフトウェア(データではなくこのソフトウェアが企業に販売され、企業独自のデータセットに使用される)は、単一のエンゲージメントで最大600億件のレコードを処理した実績があるという。処理を経た後、ユーザーが異なるエンティティ間の関係などをよりよく理解できるように、わかりやすいグラフやその他の形式でインサイトが提示される。

マルリア氏によると、現在、同社の事業の約60%を金融サービス企業が占めており、顧客には英国とオーストラリアの銀行上位10行のうち7行、北米の金融機関上位14行のうち6行が含まれているという。(このリストには、戦略的な支援を行うHSBCの他、Standard Chartered BankとDanske Bankも名を連ねている)。

しかし同時に、Quantexaの他のセクターへの進出は一層顕著な伸びを見せている。より広範なデータセットに大きく依存するようになった市場の大幅なシフト、近年における各企業のシステム更新、そして過去1年間でオンラインアクティビティが「唯一の」活動になることが多くなったという事実がそれを加速させている。

「(2007年の)金融危機は、金融サービス企業がよりプロアクティブになるための転換点でした。そして、パンデミックは、ヘルスケアなどの他のセクターがよりプロアクティブになる方法を模索する転換点となっています」とマルリア氏はいう。「その実現には、より多くのデータとインサイトが必要です」。

そのため、Quantexaは特にこの1年で、ヘルスケア、保険、政府機関(例えば税務コンプライアンス)、電気通信 / 通信手段など、金融犯罪に直面している他のバーティカルへの拡張を進めてきた。加えて、KYC(顧客確認)コンプライアンスに向けたより完全な顧客プロファイルの構築、カスタマイズされた製品の提供など、さらに多くのユースケースをカバーするための多様化を続けている。政府機関と協働し、人身売買の追跡や特定のような、違法行為の他の分野にも同社のソフトウェアが適用される見通しだ。

Quantexaは、70にわたる市場に「数千」もの顧客を抱えている。金融犯罪とより全般的なKYCの両方を含むこの種のサービスの市場規模は、年間約1140億ドル(約12兆6000億円)に上るとのIDCの予測を、Quantexaは引き合いに出している。

「Quantexaが独自に開発した技術により、クライアントは個人や組織の単一のビューを生成して、グラフネットワーク解析で可視化し、最先端のAI技術でスケールすることができます」とWarburg Pincusのヨーロッパ共同責任者であるAdarsh Sarma(アダーシュ・サルマ)医学博士は声明で述べている。「このケイパビリティはすでに、世界最大の金融機関や政府機関によるKYC、AML(マネーロンダリング対策)、不正行為プロセスの運営方法に革命的な変化をもたらしており、業界における重要性を増しつつある大きなギャップに対処しています。これまでの同社の目覚ましい成長は、利用可能な市場全体における計り知れない価値の提案と、新規セクターや地域への継続的な拡大を反映しています」。

興味深いことに、同社は大手テック企業などから買収のターゲットとしてアプローチを受けていることを、マルリア氏は筆者に認めた。それほど驚くことではない。しかし、長期的には、マルリア氏の視野の先には自立した未来があり、Quantexaが独自の成長を続けることを念頭に置いているという。

「確かに、大手テック企業などに買収されることは十分あり得ますが、私はIPOに向けて準備を進めています」とマルリア氏は語った。

画像クレジット:piranka / Getty Images

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

独Xaynが広告を表示させずにプライバシーを保護できる検索ツールのウェブ版を発表

ベルリンを拠点とするスタートアップ企業Xayn(ゼイン)は、Googleのようなアドテック大手のトラッキングやプロファイリングを利用せずに、プライバシー保護とパーソナライズを両立させた広告のない検索サービスを提供している(2020年のTechCrunchの記事を参照のこと)。同社はその製品の提供範囲を拡大し、ウェブ版(現在はベータ版)を発表した。

関連記事:オンデバイスAIでプライバシー保護とパーソナライズを両立させる検索エンジン「Xayn」

同社がモバイルアプリと同様の機能を持つ「light web version」と説明しているウェブ版「Xayn WebBeta」は、あるコンテンツに「興味がないことを意思表示するためにスワイプ」できないといった点がXaynのモバイルアプリとは異なる。

ブラウザのように見えても、Xayn自体はブラウザとも少し違う。同社が「ブラウジングエンジン」と称するXaynでは、プライベート検索だけでなく、ディスカバリーフィード(ニュースフィード)の形でコンテンツを整理して表示することで、アプリ内でブラウジングすることができる。

デスクトップのブラウザでXaynを読み込むと、XaynのAIがフィードで何を表示するかを判断するために、短いタイムラグが発生する(モバイルでも同様)。Xaynを最初に起動したとき(すなわち、AIがゼロからコンテンツをユーザーの地域に合わせてローカライズしているとき)は、すでにユーザーが何回かXaynにアクセスしてユーザー固有の閲覧シグナルをAIが利用できるときを比べて、わずかに長く時間がかかるようだ。

ウェブ版のXaynでは、コンテンツの左右に緑(好き)またはピンク(嫌い)のバーが表示されている。そのバーの横にカーソルを合わせるとホップアップ表示される、上向き(または下向き)の親指のアイコンをクリックすることで、特定のコンテンツに対する「評価する」または「評価しない」のシグナルを送ることができる。左クリックだけで「いいね!」できる、という仕組みだ。

また、フィードを増やしたくない場合は、フィードをオフにして、起動時に検索バーだけを表示させることもできる。

デフォルトでは、検索結果はコンテンツペインに、ニュースフィードと同じような長方形のグリッドで表示される。情報を求めているユーザーにとっては、少しばかり情報密度が足りないだろうか。

Xaynウェブ版(ベータ版)の検索結果ページのサンプル(画像キャプチャー:Natasha Lomas / TechCrunch)

Xaynの学習AIは、右上の「脳」のアイコンをクリックすれば、いつでもオフにすることができる。オフにすると、ユーザーが閲覧しているものが、ユーザーに表示されるコンテンツ(フィードのコンテンツと検索結果の両方)を決定するAIの学習に使用されないようになる。

全体をまっさらな状態に戻したい場合は、手動で閲覧データを消去して学習をリセットすることもできる。

ユーザーに魅力的なもう1つの要素はXaynには広告が表示されないことだ。DuckDuckGoやQwantのような他の非追跡型プライベート検索エンジンは、コンテクスト広告を表示することで収益を上げているが、Xaynには広告がない。

さらに同社は、検索業界の常識にとらわれずに、Xayn AIの検索アルゴリズムをオープンソースで提供している。

他にもウェブ版のXaynには、クリック1つで関連コンテンツが表示される「ディープサーチ」や「コレクション」というブックマークのような機能がある。ユーザーは「コレクションを作成、コンテンツを追加、管理することで、お気に入りのウェブコンテンツを集めて保存することができる」という。

Xaynは広告を表示しないだけでなく、広告ブロッカーを搭載し、第三者のサイトに表示される広告をブロックして「ノイズのない」ブラウジングを実現している。

Xaynのウェブ版は、ChromiumベースのブラウザとFirefoxにのみ対応しているので、Safariユーザーはサポートされたブラウザに切り替えてXaynを使用する必要がある。

同社によると、2020年12月に発表されたXaynのモバイルアプリは、その後世界中で25万回以上ダウンロードされている。

Xaynのモバイルアプリでは、発表から3カ月後には毎日10万以上のアクティブ検索が行われ、Xaynはブラウジングデータとユーザーの興味を示すスワイプを取り込み、このツールの価値提案の中核であるパーソナライズされたコンテンツの検索のためのAIをトレーニングし、改善している。この学習と再評価はすべてデバイス上で行われ「Xaynはユーザーごとの検索結果のプライバシーを保護している」とアピールできる材料になっている。

また、フィルターバブル(泡の中にいるように、自分の見たい情報しか見えなくなること)効果を避けるために、Xaynの検索結果には意図的な変化が加えられ、アルゴリズムが常に同じものばかりをユーザーに提供しないようにしている。

Xaynのウェブ版もモバイル版も、Masked Federated Learning(保護されたフェデレーテッドラーニング(連合学習))と呼ばれる技術を用いて、ユーザーのプライバシーを損なうことなく、ユーザーにパーソナライズされたウェブエクスペリエンスを提供している。

もちろんGoogle(グーグル)も独自の広告ターゲティング技術の改善に取り組んでいて、現在、広告ターゲティングのためにブラウザユーザーをインタレストバケットに分類するFloC(コホートの連合学習)と呼ばれる技術を試験的に導入し、トラッキングクッキーを廃止しようとしている。しかし、Xaynとは異なり、Googleのコアビジネスはユーザーをプロファイリングして広告主に販売することだ。

共同創業者でCEOのLeif-Nissen Lundbæk(レイフニッセン・ルンドベーク)氏は声明で次のように述べる。「私たちは、誤ったプライバシーと利便性のジレンマへの直接的な対応としてXaynを開発しました。このジレンマを解決できることはすぐに証明されました。ユーザーはもはや敗者ではありません。実際、私たちのすばらしいエンジニア&デザイナーチームは、アップデートのたびに、プライバシーや品質、優れたユーザーエクスペリエンスがいかに密接に結びついているかを繰り返し実証してくれます」。

「私たちは既存のものをコピーするのではなく、じっくりと検討して新しいものを作りたいと考えました。Xaynでは、積極的にウェブを検索したり、インターネット全体からパーソナライズされたコンテンツを提案するディスカバリーフィードを閲覧したりして、インターネット上のお気に入りのサイトを見つけることができます。どちらの方法でもユーザーのプライバシーは常に保護されます」。

デザイン部門の責任者であるJulia Hintz(ジュリア・ヒンツ)氏も、別の声明で次のように付言している。「Xaynのウェブ版を開発するにあたり、Xaynアプリの成功につながったすべての要素をデスクトップのブラウザウィンドウで利用できるようにしました」。

「ウェブ版にもプライバシーを保護するアルゴリズム、直感的なデザイン、スムーズなアニメーションが採用されています。ユーザーは、慣れ親しんだ環境から切り離されることなく、モバイルとデスクトップを簡単に切り替えることができます。これこそが、シームレスで強いインタラクションの鍵となる、Xaynのすばらしい利点です」。

ウェブ版のXaynでは、ユーザーの個人情報はブラウザ内に保存されるという。

ウェブ版のセキュリティについては、広報担当者が次のように話す。「デスクトップパソコンは、一般的にスマートフォンよりも安全性が低いといわれています。Xaynはプライバシー保護のために、分散型の機械学習と暗号化を組み合わせて個人データを保護しています。純粋に技術的な観点から見ると、Xaynはデスクトップデバイス上のブラウザの中のブラウザです。Xaynはそれぞれのブラウザのサンドボックス内で動作し、個人データを第三者の不要なアクセスから保護します」。

Xaynは今後、プライバシーを保護しながらパーソナライズされたブラウジングを同期する機能を追加する予定で、オンラインであればどこからでも、モバイルとデスクトップの複数のデバイスでAIの学習結果を享受できるようになる。

ブラウザでwww.xayn.comにアクセスすれば、Xayn検索エンジンのウェブ版(ベータ版)をデスクトップパソコンで確認できる。

Xaynは2021年8月、日本のベンチャーキャピタルGlobal Brain(グローバル・ブレイン)とKDDIが主導し、ベルリンのEarlybird VC(アーリーバードVC)などの既存の支援者が参加したシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達。累計調達額は2300万ドル(約25億円)を超えた。同社が日本をはじめとするアジアに注目しているのは確実だ。

関連記事:プライバシーとパーソナライズを両立する検索エンジンXaynが日本のKDDIやGlobal Brainなどから約13億円調達

画像クレジット:Xayn

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

グーグルが顔のジェスチャーを利用したショートカットやスイッチでアシスティブ技術を強化

スマートフォンをもっとアクセシブルにすることは、常に大切な考えだ。Google(グーグル)の最新機能では、主に表情で周囲とコミュニケーションをとる人がすばやくアクションを実行したり操作したりすることができるようになる。同社のProject Activateアプリやカメラスイッチ設定を使うと、ユーザーはカスタムのフレーズを話したりスイッチインターフェイスで操作するといったタスクを顔のジェスチャーだけで実行できる。

Project Activateアプリやカメラスイッチ設定の新機能では、スマートフォンの前面カメラが使われる。前面カメラがリアルタイムで、微笑む、眉を上げる、口を開ける、左を見る、右を見る、上を見るの6種類の表情のいずれかを認識する。完全にデバイス上の処理で実行され、画像データは保存されず、一般に「顔認識」と考えられていることもしていない。ここで利用されている機械学習は、例えば眉を識別してカスタマイズ可能な一定のしきい値を超えたときに信号を送るといった機能に特化されている。

それぞれの表情に異なる動作を割り当てることができる。Androidはすでにジョイスティックや息を吹き込むチューブなどのアシスティブ技術を使って操作できるようになっているが、カメラスイッチはこうしたスイッチの互換性と統合されている。これにより周辺機器を何も使わずに操作できるようになり、ユーザーは選択を繰り返す、選択項目を確認する、戻るなどの操作にさまざまな顔のジェスチャーを使うことができる。

画像クレジット:Google

Project Activateアプリを使うと、フレーズを話すというような単独で完結するアクションと表情を紐づけることができる。障がいのある人の多くはさまざまな理由で介助者のサポートを必要とするが、介助者にはできないことがある。それは、介助者に話しかけることだ。だから眉を上げるとデバイスが「ねえ!」とか「お願いします」とか「ありがとう!」と言葉を発するように割り当てられるアプリは便利だ。

ジェスチャーを使ってオーディオファイルを再生したり、テキストメッセージを送信したり、あらかじめ決めておいた番号に電話をかけたりすることもできる。表情や機能を増やすのはこれからだが、言語についてもこれからだ。顔にはもちろん言語はないが、アプリや対応するドキュメントには言語がある。Project Activateアプリはまず英語圏の国を対象とし、そこから広げていく。一方のカメラスイッチの設定は最初から80言語に対応する。

Project Activateアプリとカメラスイッチ設定は同時に使用できないことを付記しておく。両方ともカメラへのアクセスと表情の識別が必要だからだ。したがって、ユーザーは操作をするための予備の方法を用意しておく必要がある。両方とも、ここ5年ほどで販売されたAndroidスマートフォンでかなりきちんと動作するはずだ。

最後に、視覚障がいのある人向けにラベルなどを読み上げるGoogleのLookoutアプリがアップデートされ、印刷物と同じように手書きの文字もスキャンして読めるようになる。付箋、店頭にある「釣りに行っています」の貼り紙、贈り主からのメッセージが書かれたグリーティングカードなどに便利だ。このアプリはこの1年間で利用者が大幅に増えて機能が強化されている(新たにユーロとインドのルピーの紙幣を識別できるようになることも成長を加速させるだろう)。

紹介した新機能はすべて今週中に無料で使えるようになる予定だ。

関連記事:グーグルの視覚障がい者向けAIアプリ「Lookout」で食品ラベルや長文のスキャンが可能に

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Kaori Koyama)

D-IDが写真を独自のフォトリアルな動画に変換する「Speaking Portrait」の提供を開始

古い家族写真を生き生きとした動きのある肖像画に変えた、 センセーショナルなMyHeritage(マイヘリテージ)アプリへの技術提供を行った会社が、新しい応用を引っさげて再登場した。静止画を超リアルな動画に変換し、好きなことをしゃべらせることができるようにする技術だ。

D-ID(ディーアイディー)のSpeaking Portraits(スピーキング・ポートレイト)は、ここ数年話題になっていた悪名高い「ディープフェイク」に似ているようにみえるかもしれないが、基盤技術はまったく異なっており、基本的な機能の提供のためのトレーニングは不要だ。

関連記事:MyHeritageが古い家族写真をディープフェイク技術でアニメーション化

かつて2018年のTechCrunch Battlefieldではまったく異なる技術(顔認識技術への対抗技術)でデビューしたD-IDが、今回のTechCrunch Disrupt 2021では新しいSpeaking Portraits製品をライブで披露した。同社はこの技術を使って、さまざまな感情を表現できる多言語テレビキャスターの作成、カスタマーサポート用のバーチャルチャットボットのペルソナ作成、プロフェッショナル育成用のトレーニングコースの開発、インタラクティブな会話型ビデオ広告キオスクの作成など、さまざまなユースケースを紹介した。

この新製品やMyHeritageとの提携は、明らかにD-IDの当初の方向性からは大きく異なっている(MyHeritageのアプリは一時的にAppleのApp Storeのチャートでトップになった)。2020年の5月頃までは、D-IDは従来のやりかたで資金調達を行っていたが、2021年の2月にはMyHeritageとの提携を開始し、その後GoodTrust(グッドトラスト)との提携を経て、Hugh Jackman(ヒュー・ジャックマン)監督の映画「Reminiscence(レミニセンス)」では、ワーナー・ブラザースとの提携により、ファンが予告編に自分の姿を入れることができるようになるといった派手な展開を見せた。

こうしたD-IDの方向転換はこれ以上なく劇的なものに見えるかもしれない、しかし技術的な観点から見ると、写真に命を吹き込むことに焦点を当てた新しい方向性は、同社がもともと開発してきた画像匿名化(de-identification)ソフトウェアとそれほど大きな違いはない。D-IDのCEOで共同創業者であるGil Perry(ギル・ペリー)氏は、この種のアプリケーションに関して、アプローチ可能な非常に大きな市場があることが明らかになったので、新しい方向性を選択したと話している。

関連記事:動画中の顔をぼかして本人同定を不可能にするプライバシー技術のD-IDが14.5億円を調達

ワーナー・ブラザースのようなビッグネームのクライアントや、比較的無名のブランドからApp Storeを席巻するアプリが出たことは、この評価を裏づけるものと言えそうだ。だがSpeaking Portraitsが狙うのは、さまざまな規模のクライアントだ。誰もがソース画像からフルHDビデオを作成し、録音された音声や、字幕を加えることができる。D-IDは英語、スペイン語、日本語に対応した製品をローンチするが、将来的には顧客の要望に応じて他の言語も追加していく予定だ。

Speaking Portraitsでは2種類の基本カテゴリーが提供される。そのうちの1つである「Single Portrait」(シングルポートレート)オプションは、頭は動くが他の部分は動かない映像を1枚の写真だけで作ることができる。こちらは、既存の背景を使っても動作する。

さらなるリアリティを追求したい場合には「Trained Character(トレインド・キャラクター)」というオプションがある。このオプションでは、希望するキャラクターの10分間のトレーニングビデオを、同社のガイドラインに沿って提出する必要がある。これには、独自の交換可能な背景を使うことができるという利点があり、キャラクターの体や手にいくつかのプリセットされた動作を加えるオプションもある。

Trained Characterを用いて作成されたSpeaking Portraitニュースキャスターの例を以下に示すので、そのリアルさがどのようなものかを見て欲しい。

今回のDisruptでペリー氏がライブで見せてくれたデモは、子どもの頃の自分の静止画から作られたものだった。この写真は、人形遣い役の人物が演じる顔の表情にマッピングされている。またこの人形遣い役は、ギル氏が現在の自分と若い自分が交わす対話の中で、Speaking Portrait版が話すスクリプトの声も担当していた。話し手の表情がどのようにアニメーションとして反映されるかは以下の動画でみることができる。

もちろん、たった1枚の写真から、どんなセリフも説得力を持って伝えることができるフォトリアリスティックな動画を作ることができるということは、ちょっと身の毛もよだつような話であることはいうまでもない。すでに、ディープフェイクの倫理性についてさまざまな議論が交わされているなかで、AIが現実的ではあるが人工的な結果を生み出した場合に、それを特定できるようにしようとする業界の取り組みも見られる。

Disruptでペリー氏は、D-IDは「この技術が悪いことではなく、良いことに使われるようにしたいと熱望しています」と述べ、その実現に向けて10月末にはパートナー企業とともに、Speaking Portraitsのような技術を使用する際の「透明性と同意」へのコミットメントをまとめた誓約書を発行する予定だと述べた。このコミットメントの目的は「ユーザーが自分の見ているものについて混乱することなく、同意を行う機会が与えられること」を保証することだ。

D-IDは、この種の技術の悪用について、利用規約や公式見解で保証したいと考えているが、ペリー氏はそれを「単独ではできない」という。同じエコシステムの他の企業にも、悪用を避けるための努力に参加するよう呼びかけているのはそれが理由だ。

画像クレジット:D-ID

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:sako)

Androidスマホに多数の運転者向け新機能、グーグルはホンダとの協業も発表

Google(グーグル)は米国時間9月23日「Android Auto(アンドロイト・オート)」に追加されるさまざまな新機能を発表した。また、2022年後半に北米で発売されるHonda(本田技研工業、ホンダ)の新型車より、ホンダとGoogleの協業による車載向けコネクテッドサービスの搭載が開始されることも、両社から発表されている。

Googleは2015年に「Android Auto(アンドロイト・オート)」と呼ばれるアプリを発表。これを使ってドライバーは車内でスマートフォンと車載オーディオを無線で接続し、スマートフォンから音楽を車内で再生したり、マップのナビゲーションをスピーカーから音声で読み上げたり、ハンドルを握ったまま車載サウンドシステムを通じて電話をかけたりすることができるようになった。それから6年が経った今、Android Autoも、それが動作する車載インフォテインメントシステムも、格段に賢くなっている。Googleは今回、さらに多くの機能をドライバーに提供すると発表した。これらの機能はドライバーがスマートフォンでAndroid Autoを起動しなくても、車載システムを通じて直接利用できる。

Android Autoは運転中のドライバーの気を散らさないように設計されたものだが、これまでは携帯電話を車載インフォテインメントシステムやオーディオシステムに接続するのにも一苦労だった。携帯電話でBluetoothが有効になっていることを確認し、クルマにデバイスを認識させてペアリングし、さらに実際にAndroid Autoにさせたいことをさせるためには、無数の音声コマンドを覚えなければならなかった。しかし、もうそんな必要はなくなるのだ! ドライバーは「Hey Google, let’s drive.」と声をかけるだけで、接続のプロセスを実質的に自動化できるようになる。

さらに、Googleはユーザーインターフェイスも刷新し、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)、Audible(オーディブル)、iHeartRadio(アイハートラジオ)、JioSaavn(ジオサーバン)、Pandora(パンドラ)、Podcast Addict(ポッドキャスト・アディクト)、SoundCloud(サウンドクラウド)、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)など、数多くのコンテンツソースにワンタップでアクセスできるようにした他、受信したテキストメッセージをシステムが読み上げ、ドライバーが音声で応答できるようにした。これらの新機能は、今後数週間のうちに、英語圏をはじめ、ドイツ、スペイン、メキシコ、フランス、イタリアの各市場で提供される予定だ。

また、デュアルSIM携帯電話を使用している国際的な旅行者のために、Android Autoでは仕事用と個人用のプロファイルを別々に設定し、運転している時間や用事に応じて、関連する連絡先リストやカレンダーの予定を表示できるようになる。

車載ディスプレイを搭載している車両では、Android Autoに追加されたゲームなどの新機能を利用できるようになる。GoogleはGameSnacks(ゲームスナックス)と提携し、車を駐車している間、ドライバーに手軽で楽しい気分転換を提供する。これで公共の充電施設で座ったまま、くだらないニュースを読んで時間を潰す行為から解放される。さらにGoogleは、ガソリン代の支払い方法も簡単にした。「Hey Google, pay for gas」というだけで、Google Pay(グーグル・ペイ)による非接触型の支払いが完了する。もっとも、燃料の種類を選択したり、実際に給油したりする作業は依然として必要だが。この機能はまず、Exxon Mobil(エクソンモービル)、Conoco(コノコ)、Phillips 66(フィリップス66)、76(セブンティシックス)の全米3万2500店舗のガソリンスタンドから利用できるようになる。

一方、車両搭載型システムの「Android Automotive OS(アンドロイド・オートモーティブOS)」は現在、Polestar 2 (ポールスター2)やVolvo XC40 Recharge(ボルボXC40リチャージ)といった一部の車に搭載されているが、今後はFord(フォード)やGMなど、さらに多くのメーカーやモデルに搭載されることになる予定だ。Googleはその最新のパートナーがホンダになることを発表した。ホンダはGoogleと協業して「Googleの車載向けコネクテッドサービス」を搭載した新型車を、まずは2022年後半に北米で発売し「その後、順次グローバルに展開」していくと述べている。Googleの車載システムは、Chevy Silverado(シボレー・シルバラード)とRenault Mégane E-Tech(ルノー・メガーヌEテック)にも搭載される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantolaは、Engadgetの編集主任。

関連記事
北米ホンダ初の電動SUV「プロローグ」は2024年初めに発売、EV量販モデル第1弾はGMと共同開発
グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

画像クレジット:Geoff Robins / AFP / Getty Images

原文へ

(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

フードデリバリー比較注文アプリ「done!」(ダン)を手がける「いえメシ」は9月24日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による3500万円の資金調達を発表した。引受先はDRG Fund、MIRAISE。調達した資金は、done!の開発体制の強化にあてる。

また、done!の正式開始は10月中旬予定としており、本日東京都在住者向けにクローズドβ版を公開し、先行利用(利用料無料)の受付を開始した。申し込みは、「先行利用受付フォーム」から行える。

done!は、フードデリバリーを横断検索して注文できるアプリ。サービスごとに異なる料金や時間を一括で比較し、最適なデリバリーを提案するという。「料金を安く抑えたい」「注文する料理がマンネリぎみなので、おいしいお店を効率よく探したい」「グルメサイトでの評価を毎回確認しにいくのが面倒」といったユーザーの声に応えるとしている。

取り扱いサービスは、デリバリーサービスが出前館・Uber Eats・menu・Wolt・foodpanda・楽天ぐるなびデリバリーで、グルメサイトは食べログ。掲載エリアは東京都内(全国対応に向け順次拡大予定)。フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

現在、多種多様なフードデリバリーサービスが立ち上がる中、ユーザーには無数の選択肢があるものの、自分が本当に食べたいものやお店を探すのは容易ではない。いえメシによると、店舗ごとに契約するサービスが異なり、あるサービスでは希望の店舗が掲載されていないというパターンもよくあるという。また、フードデリバリー利用時にユーザーが感じる不満などに「配送料金が高い」「配送エリアが限られる」「届くまでの時間が長い」がトップ3として上がるそうだ(クロス・マーケティング。2020年11月「食品宅配サービス・フードデリバリーに関する調査」)。

いえメシは、こうしたユーザーのニーズに応えるためにdone!を開発したという。

フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

クロス・マーケティング。2020年11月「食品宅配サービス・フードデリバリーに関する調査

Twitterがモバイルアプリで発生する「TL上で読んでいるツイートが突如消える不具合」を2か月以内に修正と発表

Twitterがモバイルアプリで発生する「TL上で読んでいるツイートが突如消える不具合」を2か月以内に修正と発表

OPA Images via Getty Images

Twitterの米国サポートアカウントが、モバイルアプリで発生している「タイムライン上で読んでいるツイートが突然消えてしまう」不具合について、今後2か月以内にアップデートを行うと発表しました。

この不具合は、タイムラインに表示されているツイートを読んでいる最中に突然画面が更新され、そのツイートが消える(見失ってしまう)というもの。この原因は、読んでいる対象のツイートに誰かが返信したり、スレッド化された場合に自動更新が発生するためとのこと。

発表のツイートでは、この現象がイライラさせられるものであることは分かっているので、改善に取り組んでいる、としています。

タイムライン関連の不具合としては、9月初めにも、iOSアプリで勝手に先頭にスクロールしてしまうという不具合を修正したばかり。昨今のTwitterは積極的に新機能のテストも行っていますが、地道に不具合対応もしている印象です。

また、タイムライン関連ではありませんが、音声チャットのスペースで、ホストがクラッシュした場合に2分以内なら視聴者がルームに残ったまま再接続できるようになりました。そもそもクラッシュしないようにはできないのかとも思いますが、暫定対応としては助かる人も多そうです。

(Source:TwitterEngadget日本版より転載)

新ブラウザQikfoxはオンライン詐欺から消費者を守り、インターネットコンテンツの民主化を目指す

Qikfoxはただのブラウザではない。消費者をオンライン詐欺の蔓延から守るだけでなく、コンテンツの公開を民主化して、多くの人に届けるという使命がある。

Qikfoxはすでに、長年のベンチャー投資家であるTim Draper(ティム・ドレイパー)氏からシード資金を調達しており、今週のTechCrunch Startup Alleyに出場した。ブラウザのエクステンション(拡張機能)でスタートした同社は、独自の検索エンジンやウイルス撃退機能、そして「世界で初めて」の分散化IDシステムを持つ完全に羽根の生えそろったプレミアムブラウザに変身した。

Qikfoxの創業者でCEOのTarun Gaur(タルン・ガウル)氏は、「開発した動機は、インターネットブラウザが消費者に提供しているものを自分たちで管理していないからです。インターネットブラウザは40億ものウェブページをホストしていますが、インターネットはこのようなコンテンツの洪水を想定していませんでした」と語る。

「デベロッパーやプライバシーにフォーカスしたインターネットブラウザもありますが、まず安全性とセキュリティを解決しなければ、プライバシーを解決することはできません」。

Qikfoxのアイデアは、テクノロジーに詳しいガウル氏の母親が、Googleの偽広告をクリックしてオンライン詐欺の被害に遭ったことから生まれました。Qikfoxは、人口が多いベビーブーム世代が同じ被害に遭わないように、オンラインビジネスが正当なものであるかどうかを確認する78種類のシグナルを採用している。

「私たちのブラウザは、これらのウェブサイトを識別し、アクセスできないようにブロックします。これにより消費者が詐欺に遭うことはほとんどありません」とガウル氏はいう。

Qikfoxが搭載するウイルス撃退システムはブラウザをスキャンして保護するだけでなく、ユーザーのシステム全体を監視する。ガウル氏によると、Qikfoxは今日の市場で最も安全なブラウザだ。「ベンチマークによると、プライバシーとセキュリティの面で競合他社を圧倒しています」という。

ガウル氏は以前、モバイルとクラウドファーストのターンキーソフトウェアのコンサルティング企業Tringappsを創業した。しかし彼は、そこに安住しなかった。彼は現在、Amazonのようなeコマースのウェブサイトで偽造品を検出する高度な機能を開発している。また長期的には、Qikfoxを完全なオペレーティングシステムにする計画もある。

しかし、彼の究極の使命は、ゼロコードのコンテンツ公開と普遍的に発見可能なハンドルを使うことで、ウェブをより参加的で民主的なものにすることだ。

「分散インターネットを作る試みはたくさんありましたが、すべて失敗しました。技術がなかったからではなく、スパムをどうやってコントロールするか、誰にもわらなかったからです。そこで私たちが開発したのは、IPFS(InterPlanetary File System)をもっと革新的にしたような技術で、それは今日のIPFSや分散インターネット技術にできることを、はるかに超えています。例えばドメインネームというシステムはまったく必要ありません」とガウル氏はいう。

ガウル氏は、技術者でない一般消費者がデジタル経済に参加するために、Smart Stacksというものを開発した。それは、ゼロコード(コーディング不要)のコンテンツ発行プラットフォームで、コンテンツを普遍的に発見可能にする。「Googleが現在、クラウドでやってることを分散化で置き換えるようなものを作りたい」とガウル氏はいう。

Qikfoxの使用料は年間180ドル(約1万9800円)で、今のところ北米地区で招待制のみで提供されているが、すでに4000あまりのサブスクリプションがあるという。ガウル氏によると、今後3カ月で英国とヨーロッパにもこのブラウザを紹介したいという。

画像クレジット:Qikfox

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「動画版ストリートビュー」を目指すHappaningの技術はマルチ視点ビデオで現実世界を記録し誤情報も防ぐ

スタートアップHappaningは、同じ出来事を異なる視点から見られるようにすることで、ビデオをより没頭的な体験にしようとしている。共同ファウンダーでCEOのAndrew Eniwumide(アンドリュー・エニウミド)氏が好む表現を使うなら「Googleストリートビュー、ただしビデオ版」だ。同社はそのユニークのテクノロジーが提供するマルチ視点ビデオは、ビデオに新たなユーザー体験をもたらすだけではなく、誤情報やディープフェイクなどの問題を解決する可能性をもっていると信じている。同じシーンを別の視点から撮影した検証済み映像は、ビデオ編集によって人を欺こうとする動画のファクトチェックにも使えるからだ。

しかし、その崇高な目標はさらに先を見ている。

米国時間9月22日、TechCrunch Disrup 2021のスタートアップバトルフィールドの「ワイルドカード」枠で公開されたHappaningのアーリーベータ版は、まずマルチ視点ビデオのコンセプトを紹介する。同社はこれを「ViiVid」テクノロジーとして商標登録している。これはユーザーが同社のモバイルアプリを使ってビデオコンテンツを作成し、同じ場所同じ時間に撮影された別のビデオと組み合わせるシステムだ。

ビデオの検証にブロックチェーン技術は使われていないが、コンセプトには類似点がある。Happaningは数多くの人々がmaster ledger(元帳)のようなものに情報を書き込むブロックチェーンの分散ネットワークのアイデアを借用している。ただしHappaningでは、同じ情報をすべて持っているノードは存在しない、ある人のビデオは誰のビデオとも異なるからだ。しかし、組み合わさることで、ある時間と場所で起きた真実をより詳しく見せることができる。

同社は複数ビデオストリームの同期、異なるビデオ視点間をスワイプで移動するユーザー体験など、自社テクノロジーに関係するコンセプトの特許を、チームの拠点がある英国および世界知的所有権機関(WIPO)で取得している。

このテクノロジーの最初の使用事例は、結婚式、コンサート、スポーツイベント、抗議運動、デモ行進、そのた大勢の人の集まる実世界イベントの記録だ。Happanningに記録した後は、同じイベントを異なる角度や視点かから撮影したビデオをタップして見比べることができる。例えばコンサートで後列からステージを見下ろしているビデオから前列のビデオに切り替えるところを想像して欲しい。

エニウミド氏は、ビデオが悪用されたり誤解を招くために使用されている問題を解決するためにHappaningのアイデアを思いついたと話す。彼はこの問題がソーシャルメディア全体に広がっていることを指摘し、誤情報源によるFacebook投稿が、信用あるニュースサイトの記事よりも6倍多く反応を得ていることを示す記事を引用した。

「昨今、うそつきメディアの手法は日に日に高度化し、360度ビデオまで登場しています。しかし、同時に私たちは、それらが悪用されたり、不用意な編集をされたり、偏見やディープフェイクに使われている事実も見てきました」とエニウミド氏はいう。ビデオが改ざんされず、本当に宣言どおりの場所で起きたこと検証できるアプリがあれば役に立つと彼は考えた。

「私はこれをGoogleストリートビューのビデオバージョンと呼ぶのが好きです」とエニウミド氏は続ける。「つまり、あなたがビデオを撮ったのと同じ場所で誰かもビデオを撮っていたら、時間と場所、音声や視覚的なヒントを使って私たちが同期します」。

そして、見ている人は自分の行きたい方向にスワイプすれば、Google Street Viewで別方向に移動できるのと同じように、別の角度や視点からシーンを見ることができる。

公開時点では、ライブストリームビデオに焦点を合わせているが、今後は自分たちの知的財産を一種の技術標準として開発し、ビデオをエクスポートしたり別のところで公開する方法を提供したいとスタートアップは考えている。Happaningのデビューバージョンは、ほぼMVP(実用最小限の製品)か技術デモというべきもので、全体のユーザーインターフェースと体験は開発が完了したようには見えない。しかしアプリは無料で利用可能で、勢いがつけば、長期的にサブスクリプションプランも考えている。

エニウミド氏には、英国のエンジニアリング企業、Detica、BAE Systemsなどでソフトウェア開発者および主要コンサルタントとして12年以上働いた経験がある。その後同氏はCFOのLeslie Sagay(レスリー・サゲイ)氏、CMOのJoanna Steele(ジョアンナ・スティール)氏、CTOのColin Agbabiaka(コリン・アグバジアカ)氏、インフラストラクチャー担当のAJ Adesanya(アジ・アデサニャ)氏らを迎え入れた。ただしチームの大半は現時点で同社のフルタイム社員ではない。

Happaningはこれまでにプレシード資金21万9500ポンド(約3300万円)を調達前評価額300万ポンド(約4億5000万円)で調達しており、調達前評価額450万ポンド(約6億7000万円)でシード資金50万ポンド(約7500万円)を調達することを目標にしている。

画像クレジット:Happaning

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

サーバーレスアプリケーションのためのAPIベースのデータベースサービスを提供するXata

Xataをご紹介しよう。同社は、これまでにない新しい角度からマネージドデータベースに取り組んだスタートアップだ。同社はあなたのデータベースをあなたに代わって動かし、それをAPIに変えるので、データベースのクエリやアップデートをサーバーレスのアプリケーションから行える。Xataはこの度、500万ドル(約5億5000万円)の資金を調達した。プロダクトはまだ十分に成熟していないが、同社はその詳細をすでにシェアしている。

XataはJamstackのウェブサイトに特に合ってるように思われる。Jamstackは、大規模なウェブサイトを開発しデプロイするための方法として、よく使われてきた。よく知られているJamstackのホスティングプラットフォームは、NetlifyVercelそしてCloudflare Pagesなどだ。

アプリケーションはグローバルなエッジネットワーク上にデプロイされ、ロジックはもっぱらAPI呼び出しが扱う。その結果ウェブサイトないしウェブアプリケーションはロードが速くて大量のトラフィックを扱える。

JamstackのウェブサイトはGitのリポジトリとタイトに統合されていることが多いため、デプロイがとても簡単だ。コードの変更をコミットしたら、サーバーレスのプラットフォームがアプリケーションのデプロイをやってくれる。APIベースのデベロッパーツールの統合は比較的楽だし、ロジックを自分で管理しなくてもよい。

たとえば静的なコンテンツとStripeのチェックアウトモジュールのあるウェブサイトをデプロイするなら、決済のサーバーはあなたに代わってStripeが管理する。しかしそこに、ライブのデータベースとそれとの対話が加わると、複雑な仕事になる。従来的なデータベースは、行を1行加えるだけでもインターネット上でAPI呼び出しに頼ろうとしない。複数の行を探索してデータを見つけるなら、なおさらだ。

Xataはデータベースに注力して、データベースをユーザーのサーバーレスアプリケーションに容易に統合できるようにしたい。データベースのスケーリングもXataが行うため、ユーザーはインフラストラクチャーを気にする必要がない。ソフトウェアのアップデートや、新しいサーバーへのデータの移動なども同じくだ。

データベースは通常、応答時間を速くして冗長性を持たせるために複数のデータセンターに分散している。画像も含めて、サポートするデータ型はとても多い。それでいてXataでは、データベースとの対話はまるでそこらのRESTful APIのようにに行われる。

同社はまた、Airtableのようなよく使われているノーコードのスタートアップからもヒントを得ている。データベースをウェブブラウザの中で開いて、データとの対話は直接そこから行なう。例えばカレントビューをフィルターし、特定の基準でデータをソートし、そして自分のコードで使えるAPIのクエリを得る。

データベースに大量のデータがあるなら、それらをフリーテキスト(無定型な自由文)検索機能で検索できる。また、Xataをアナリティクスに使ってチャートや視覚化を作ることもできる。

ウェブブラウザからデータと対話できる能力が、Xataの強みだ。今は、新しいプロジェクトのプロトタイプを作るときに、最初のバックエンドとしてAirtableに頼る企業が多い。しかしXataはそういうAirtableアズアバックエンド型のデータ管理モデルで、プロダクション(本番)にも対応したバージョンになれる。

500万ドルのラウンドはIndex Venturesがリードした。Operator CollectiveとSV Angel、そしてX-Factorのfirstminute Capitalが参加した。また当業界のエンジェルとして、ElasticのShay Banon氏とUri Boness氏、ConfluentのNeha Narkhede氏、VercelのGuillermo Rauch氏、 Color GenomicsのElad Gil氏、NetlifyのChristian Bach氏とMathias Biilmann氏が投資した。

同社の創業者はMonica Sarbu(モニカ・サルブ)氏だ。彼女はElasticのエンジニアリングのディレクターだったため、データベースのスケーリングについては詳しいはずだ。

画像クレジット:Xata

画像クレジット:Susan Q Yin/Unsplash

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アルコールやマリファナなど検査のために「目」のスキャンデータベースを構築するEyeGage

LaVonda Brown(ラヴォンダ・ブラウン)氏はジョージア工科大学在学中にアイトラッキング(目の動きの追跡)に関心を持つようになった。「心の窓」と言われる目をスキャンすることで得られる情報に魅了され、これが2021年のDisrupt Startup Battlefieldで競っている20社のうちの1つ、EyeGage(アイゲージ)の礎となった。

TechCrunchコンペティションへのEyeGageのエントリーは、同社初のプロダクトである、運転できるほどには酔っ払っていないかどうかを確認できるアプリを立ち上げようとしている中でのものだ。アプリでは、酔っ払っている場合には「Do Not Drive(運転してはいけません)」という大きな赤い文字の警告と、UberかLyftにつながるリンクが案内される。アプリは無料で、2つの目的がある。消費者へのサービス提供、そしてEyeGageの拡大中の目のデータセットに参加してもらうというものだ。

「アプリをダウンロードし、目の写真を撮ると、アプリは消費者がライドシェアサービスを使うべきかどうかを提案します。究極的には目に基づき、運転を不可とします」とブラウン氏は説明する。「アプリは無料です。バーターのサブスクサービスと呼びましょう。アプリユーザーは当社に自身の目の写真やビデオを提供し、当社はユーザーに適切な判断をくだせるようテクノロジーへのアクセスを提供します」。

このアプリは今のところ、同社事業の中で最も目立つ要素だ。同社が行っていることのほとんどは目のデータセットの構築に向かう。同社は目のさまざまな面へのアルコールの影響の測定を始める。ここには、連邦政府が承認したテスト施設で同社が現在行っている研究も含まれる。テスト参加の申し込みにサインした人はアルコールを飲み、その間に同社は目の写真やビデオを撮り、血液サンプルも採取する。

現在いくつかの州で合法であることを考えると、次に来るのがマリファナだ。オピオイド、アンフェタミン、ベンゾジアゼピンのような他のドラッグはデータを収集するのがより難しいが、こうした物質の合法バージョンを扱っている病院やクリニックが、きちんとした同意をともなうデータ収集の良い源になるかもしれない。

労働環境が論理的な次のステップでもある、とブラウン氏は話す。法執行当局もリストに載っているが、そうした種の提携を得るにはさまざまなハードルがある。「建設や製造、輸送などリスクの高い職場をターゲットとしています。そうした産業では特にドラッグやアルコールの使用率が高くなっています」とブラウン氏はTechCrunchに語った。

また、体内の物質を検出するための緊急使用以外でのデータセットの潜在的な使い道があるかもしれない。

「目の動きのモニタリングは多くの分野で使用することができます」とブラウン氏は付け加えた。「そしてもちろん、目を見て識別することができます。脳しんとうや糖尿病など特定の病気を診断するのに使え、また異なるマーケットの分野でも使えます。目は体の中で何が起こっているのかについての情報を多く持っています。目が光にどのように反応するかをみることでカフェインを摂取したかどうかわかります。目の動きがあまりに速い場合は刺激物のようなものの摂取となります。そしてあまりにも動きが遅ければ、抑制剤のようなものの摂取が考えられます」。

EyeGageはこれまでに14万2455ドル(約1560万円)を調達した。友人や家族からの4万2455ドル(約465万円)のプレシード資金、そしてこのほどGoogle Black Founders Fundから贈られた賞金10万ドル(約1095万円)だ。

画像クレジット:EyeGage

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラウドベースのドキュメントエディターを開発するAlmanacが37億円調達、リモートワーク普及が背景

企業のオフィスへの復帰は遅れ続け、一時的なリモートワーク制度が恒久的なものになりつつあるなかで、リモートワークファーストの文化のためのツールを開発するスタートアップが、際限ない顧客の供給を目の当たりにしているように見える。

「企業は、リモートワークへの移行が新型コロナウイルスによる一過性の異常な出来事ではないことに気づいています」とAlmanac(アルマナック)のCEOであるAdam Nathan(アダム・ネイサン)氏はTechCrunchに語った。「ここ数カ月、爆発的な収益の伸びを見せています」。

Almanacはドキュメントエディターを開発しており、GitHubのような開発者向けプラットフォームからバージョン管理などの機能を取り入れている。リモートワークへの移行を捉え、オープンソースのオフィスドキュメントライブラリ「Core」を通じて新規顧客を獲得するとともに、オンラインで企業のハンドブックを作成するような、オンボーディングを容易にする機能を展開している。

ここ数年、急成長しているスタートアップ企業の資金調達期間が短くなっている。Almanacは2020年、Floodgateがリードした900万ドル(約10億円)のシードラウンドを発表した。この度発表した3400万ドル(約37億円)のシリーズAでは、パンデミックの間、スタートアップへの投資に最も積極的だったTiger Globalがリードした。このシリーズAには、General Catalystや多くのエンジェルとともにFloodgateも参加した。

Floodgateは、この共同作業型ドキュメントエディターを、より多くの企業がオンライン生産性ソフトウェアを本格的に導入する方法としたいと考えている。ローカルファーストのドキュメントエディターをゴミ箱行きにする動きだ。オフィス生産性スイートの世界では、Alphabet(アルファベット)のG Suiteが台頭しつつあるが、依然としてMicrosoft Officeが市場を支配している。

「私たちは、Microsoft Officeに対する世代を超えた挑戦者であると考えています」とネイサン氏は話す。「Microsoft Officeは古いプロダクトであるだけでなく、私たちが現在行っていることからすると、完全に時代遅れのプロダクトなのです」。

投資家らはパンデミック時代のトレンドを背景に多数のスタートアップに投資したが、そのトレンドはすでに消滅したように見える。オフィス文化やハイブリッド文化から完全なリモートワークへの移行が進んでいることは、従業員が柔軟なリモートワーク制度がある仕事を重視していることからも明らかになっている。

Facebook(フェイスブック)のような大手テック企業では、リモートで仕事が可能な従業員のために、フルリモートワークに向けた制度を徐々に整備している。一方、Apple(アップル)の積極的なオフィス復帰プランは、同社の従業員から公開・非公開を問わず珍しいほどの批判が殺到している。ネイサン氏は、多くの企業が変化する現実を把握するにつれ、この対立が加速すると予想している。

「個人的には、ハイブリッドというものが存在するとは思っていません」と同氏はいう。「オフィス文化かクラウド文化か、どちらかを選ばなければなりません」。

画像クレジット:Almanac

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

エンジンシ・ミュレーター・アプリ「Trans4motor」の航空機版「Trans4motor S」が発売開始

エンジンシ・ミュレーター・アプリ「Trans4motor」の航空機版「Trans4motor S」が発売開始

キットピークは9月22日、レシプロ航空機エンジンの動作や燃焼の再現の他、カスタマイズも可能なエンジン・シミュレーター・アプリ「Trans4motor S」(トランスフォーモーターエス)の発売を開始した(iOS版)。すでに発売済みの自動車・自動二輪のエンジン・シミュレーター「Trans4motor」(iOS版)の航空機版にあたる。R-4360 Wasp Major/ワスプ・メジャー(空冷星型28気筒)を近日追加予定。

iPhone(iOS14以降)、iPad(iPad OS14以降)に対応。価格は980円(税込)。Android版のリリースは、現在「検討中」とのことだ。

同アプリでは、ライト兄弟のライトフライヤー号に搭載されていた直列4気筒エンジンから、航空機特有の星型、倒立V型、W型、H型まで様々なエンジンを動かすことができる。ピストン、コンロッド、カム、バルブなど、エンジンのメカニズムとその動きが再現され、各パーツの分解や合体も行える。リアルな美しい画像とサウンドで「栄光のレシプロ航空機エンジンの発達を追体験」ができ、内燃機関の勉強にもなる。

カットモデル・モード

空冷フィンやクランクケースを任意の場所でカットし、動いている状態のエンジンの内部を観察できる「カットモデル・モード」

エンジン始動モード

「エンジン始動モード」では、スターターハンドルを回す、手動でのエンジン始動を仮想体験できる

「Trans4motor」の特徴は以下のとおり。

  • シームレスなエンジン形式の変形:エンジンが駆動している状態で、アニメーションを中断することなく、エンジンの形式を切り替えられる
  • エンジンサウンドとスロットル操作:エンジン音アプリ「RealEngineSim」を開発したサウンドデザインラボの協力により、新たに航空機のエンジン音合成を新造。気筒数、空冷、水冷の違いや、プロペラの干渉音などのサウンドがリアルに再現される。本格的な航空エンジン物理モデル(エンジン発生トルクや、プロペラの直径や枚数による空気抵抗によるエンジン回転抵抗などを毎時計算)も実装
  • カットモデル・モード:空冷フィンやクランクケースを任意の場所でカットし、動いている状態のエンジンの内部を観察できる
  • エンジン始動モード:スターターハンドルを回す手動でのエンジン始動を仮想体験できる
  • 機銃モード:零戦搭載の栄エンジンの九七式七粍七固定機銃や、bf 109搭載のDB601エンジンのMG 151/20機関砲を試射できる。スーパースローでプロペラと機銃の同調の仕組みを見ることもできる
  • エンジンの追加拡張:プリセットされているエンジンは、直列4気筒に、7気筒・14気筒・18気筒の星型、H型、W型、V型、倒立V型の8種類。ボア、ストローク、気筒数、星型の配列などを自由に編集して登録することも可能
  • インタラクティブ動画:「4ストロークエンジンの原理」、「カムと歯車」、「航空機銃と機関砲」、「スリーブバルブ」の4本のインタラクティブ動画を収録
  • 各種設定機能:プロペラ、カム、バルブ、スパークプラグなどの部品の表示・非表示を切り替えられる。金属質感、HDR(360度背景)切替機能

米国でApple Walletに証明に使える新型コロナワクチン接種記録を保存可能に

米国では施設に入るのに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を証明する書類が必要になる場合もある。Apple(アップル)は電子メールを探し出したり、ポケットにカード実物を携帯したりする手間をなくしたいと考えている。同社は今後行うiPhoneソフトウェアのアップデートの中で、証明として使える新型コロナウイルスのワクチン接種記録をWalletに導入する。この機能では、国際的なSMART Health Cards規格(すでにいくつかの州で採用されている)を利用して、予防接種の証明書を作成し、秘密鍵で署名し、公開鍵を作成して情報を検証します。

リリースされたばかりのiOS 15では、すでに検証可能な予防接種や検査結果を、同じ規格を使って「ヘルスケア」アプリに保存することができる。記録は、QRコードやダウンロード可能なファイル、あるいはiPhoneの「ヘルスケアレコード」を利用する医療機関を通じて受け取ることができる。

Appleは、ユーザーの全データに対して厳格なプライバシーを約束している。同社はユーザーのインポートされたり、共有されたりしたデータへのアクセスは持たず、どこか別のところに送られるときにはすべての情報は暗号化され、安全に保管されなければならない。Appleはまた、ユーザーのワクチン接種記録や、ユーザーがどのように記録を使ったかを確認することはできない。ユーザーは「承認した」サードパーティのアプリと情報を共有できるが、その時、1回限り有効というのが基本だ。

Appleはアップデートをいつリリースするのか明らかにしていない。もしあなたがワクチン接種の有無をコンサート会場やレストランと共有するというコンセプトについて懸念しているなら、この機能は楽しみではないだろう。しかし少なくとも会場に入るプロセスを合理化し、イベントに遅刻しているときには大事なものとなるはずだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて追加、アップデートはユーザーに任せだが個人的にはオススメ

iOS 15のリリースは、確かにモバイルOSにおけるビッグイベントだ。しかし2021年は、目立って重要なテーマや画期的な機能はない。今回、Apple(アップル)は、自社アプリの新しい機能に加えて、日常生活的な細部の改良に力を入れている。

その結果、アップデートはとても堅実なものとなり、論争を起こすことはなさそうだ。一部の人、自分のスマートフォンをできるかぎりパーソナルなものにしたいと考え、カスタマイズに長時間を割いているような人たちにとって新しい「集中モード」はうれしいものだろう。また、そうでない人たちは、その新機能に気づかないか、もしくは無視するだろうが。

2021年のアップデートはまた、iOS 15にアップデートしなくてもよい、という点でも変わっている。iOS 14のままで十分、AppleにiOS 15へのジャンプを強いられることはない。現在のままでも、セキュリティパッチはもらえる。だから、iOS 15を完全に無視する人も存在する。

小さな変化のように思えるかもしれないが、それはiOSの現状について多くを語っている。AppleはiOSを、成熟したプラットフォームだと考えている。Macを使っていて、必要なければmacOSを最新バージョンにアップデートしない人もいるように、アップデートは自分のペースでやればよい。

またiOSは、アプリ開発者にとっても成熟したプラットフォームであるため、多くの人が今すぐiOS 15にアップデートしないのであれば、開発者の採用も遅くなるだろう。アプリは以前と比べて長い期間、古いバージョンのiOSで動くはずだ。

もちろんiPhoneそのものを新しい機種に買い替えた場合、それに合わせてiOSの「アップデート」も行われる。

画像クレジット:Apple

スマホ以上にユーザーに「集中」する

iOS 15における最大の変化は、コントロールセンターから集中モードを変更できることだ。これは意外なほど強力な機能で、いろいろなオプションや調整項目がある。Appleの機能ではないみたいだ。

しかしこれは絶対に、iOS 15で最も興味深い機能だ。現在は多くの人が、スマホを触る時間がとても長くなっており、デバイスで行うことや気になることも非常に多くなっている。しかし今度の新機能では、人が主導権を取り戻し、ユーザーである自分が主人公になる。

必要のないときに通知をナシにする「おやすみモード」は、このユーザー主導という考え方をよく表している。iOS 15でこの「おやすみモード」を使い続けたい場合は、そのまま何も変更しなくてよい。

iOS 15からは、集中モードを作成することもできる。デフォルトで仕事、睡眠、運転、フィットネス、マインドフルネス、パーソナル、読書などが用意されている。自分に合わせて、新たな集中モードを作ることもできる。

特定の集中モードをオンにすると、基本的にデフォルトで通知がブロックされる。しかし、人やアプリを追加することで、それらの人やアプリからの通知が届くようにもできる。また、アプリ開発者は、時間的に重要な通知をマークすることで、常に通知を受け取ることも可能だ。この機能が悪用されないことを願う。

さらに3つの設定を有効にすることができる。まず、メッセージや対応するサードパーティ製アプリで、通知が現在ミュートにされていることをオプションで共有することができる。2つ目は、ホーム画面のページを完全に隠せるようになる。3つ目は、ロック画面から通知を隠したり、ホーム画面からバッジを隠したりすることができるようになる。

また、特定の集中モードと自動化機能を組み合わせることで、さらに興味深いものになります。例えば、夜になると自動的に「睡眠」をオンにしたり、出社すると自動的に「仕事」をオンにしたりすることができる。

パワーユーザーは、集中モードをショートカットと組み合わせて使うのも楽しいだろう。例えば、「スリープ」をオンにしたときに「時計」アプリを開くようにショートカットを設定できる。このように、新機能は非常に奥が深く、ベータ版ユーザーはまだ表面をなぞっただけでしかない。

画像クレジット:Apple

すべてのアプリをアップデート

iOS 15では、デフォルトアプリのほとんどすべてがアップデートされた。新たに加わった機能の一部はなかなかすばらしいが、疑問符の付くものもある。

まず、論争を招いたのがSafariの新デザインだ。しかし2021年6月のWWDCで目にしたものは、今では影も形もない。結局Appleはフィードバックを聞き入れて、夏の間にウェブブラウザのインターフェースを変更したのだ。

関連記事:アップルが不評だったSafariの変更点をiOS 15 beta 6で修正、再びアドレスバーの上部表示も可能に

まず、デフォルトではアドレスバーが画面下、ブックマークを開いたり、現在のページをシェアしたり、前のページへ行ったりするボタン列のすぐ上にある。それはとても良いと思うが、アドレスバーを下に置きたくない人は、簡単に上へ戻せる。

それ以外では、Safariの変更はすべて良い改良だ。例えばこのブラウザは今や、前からあるウェブエクステンションをサポートする。Safariは次に、Google Chromeの人気エクステンションもサポートするだろうか?もう1つのすてきな新機能は、タブグループを作れることだ。そしてそのタブグループは、他のデバイスからでも確認できる。

FaceTimeが、多機能なビデオ会議サービスになった。今度からは、リンクを作って友だちと共有したり、「カレンダー」の招待に加えることができる。これで初めて、Appleのデバイスを持ってない人でもFaceTimeの通話にウェブブラウザから参加できるようになる。また、グリッドビューでZoomのビューを見られる。

しかし残念ながら、FaceTimeの機能の大成長は、中途半端だ。オーディオやビデオの再生を友だちなどと同期するSharePlay機能は、この秋の終わりごろリリースされるという。

「天気」アプリもデザインが変更された。情報量が増えて、降雨マップもあり、次の1時間の降雨予報や紫外線指数も表示される。もう、サードパーティ製の天気予報アプリに負けないかもしれない。私は今でもSnowflakeを使っているが、その差は縮まる一方だ。

「メッセージ」は、他のAppleアプリとの統合性が向上された。誰かがあなたに、記事や写真のアルバムやポッドキャストや曲を送ると、Appleの他のアプリや「Apple News」「写真」「ポッドキャスト」「ミュージック」などにそれらのレコメンデーションが出る。これもまた、私がiOS 15をテストしているときにはすてきな追加機能と感じられたが、実際に日常の中でスマートフォンを使ってるときのデバイスの使い方は何も変わらない。

「マップ」は、サンフランシスコの住民にとっては特別に良くなった。何年も使ってなかった人には、おすすめだ。「Googleマップ」の強力な代替アプリになっている。

特にサンフランシスコやロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンなどでは、ビルが3Dで表示され、バスレーンや歩道などもわかる詳細地図を見ることができる。まるで、ビデオゲームの中でそれらの都市を歩いているような詳しさだ。また、場所のカードや、運転者のためのユーザーインターフェース、アプリのセットアップなどもデザインが変わった。

「 写真」も、大きく改良された。毎年、同社は「メモリー」のデザインをすっきりとしたものにしている。ユーザーがそんなに多いアプリではないと思うが、とにかく前より良くなった。写真をスワイプして表示される情報にも、シャッター速度や使用レンズなどが追加され、以前より詳しくなった。

しかし写真ライブラリにおける最大の変化は、写真の中のテキストを検索できることだ。iOSは写真をスキャンしてテキストを見つけ、それをSpotlightの検索に保存する。

同じく、カメラをテキストに向けてそのテキストを指定できる。メニュー上にレストランのアドレスを探したり、旅行中に何かのテキストを翻訳したくなって友だちとシェアしたいときなどに、とても便利だ。

画像クレジット:Apple

ちょっとした特徴や使い方

iOS 14よりもiOS 15が良いといえる小さな変化は山ほどある。ごく一部をリストアップしてみよう。

  • 家のキーやホテルのキー、オフィスのキー、IDカードなどをWalletアプリに入れられる
  • 健康データを誰かとシェアできる。愛する人と遠く離れていたり、ヘルスケアのチームをアップデートしたいとき便利だ
  • iCloudで決済する人は、今やiCloud+のユーザーでもある。ストレージの他に、ベータでiCloud Private Relayを使えるので、ウェブを閲覧するときのプライバシーがアップする。また、Hide My Emailでランダムなメールアドレスを作れるので、ウェブで新しいアカウントを作れる
  • 家族がiCloudのメールアドレスを使っているなら、パーソナルなドメイン名を作ってiCloudをセットアップできる
  • iOSは音声認識機能がデバイス内にあるので、テキストの口述入力が速い
  • しかもiOSはSiriのリクエストの一部もオンデバイスで処理するため、タイマーの起動やアラームのセット、音楽の変更なども瞬間的にできる。私の場合、これでSiriの使い方が変わった
  • iCloudのアカウントにアクセスできなくなったときのために、アカウント回復の連絡先を加えられる。できるだけ多くの人に、二要素認証の利用を説得すべきだ
  • 二要素認証(2FA)といえば、Appleが内蔵しているパスワードマネージャー「パスワード」は今度から2FAの詳細を保存でき、入力欄の自動入力ができる。それは1Passwordのときの2FAとほぼ同じだ
  • 故人を自分のApple IDにすることができるが、人によってはできない場合もあるのでご注意を。Appleが、亡くなった人の写真を使わせてくれないことがあるのだ。
  • リマインダーとノートにタグが追加された。ノートでも人を@メンションできる

ご覧のように、iOS 15の変更箇所のリストはとても長い。しかしそれでも、iOS 15へのアップデートはユーザーの任意だ。昔iPhone OS 3でカット&ペーストとコピペが加わったときは、アップデートするのが当たり前だった。今度の新しい機能も、個人的には好きなので、アップデートの価値があった。「する」か「しない」、本記事がその判断の助けになれば幸いだ。

関連記事:iOS 15へのアップデート可能に、iPadOS 15、watchOS 8も提供開始

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Google Meetブラウザ版にウェブカメラの明るさを自動調節する機能追加

Google Meet(グーグル ミート)は間もなく、ビデオ通話の際に同僚や友人の全員の姿を、もっとよく見ることができるようになる。このアプリのウェブ版では、照明が暗くて露出が不足している人を検出し、自動的に明るさを上げてその人の顔がよく見えるようにする機能が導入される。また、あなたが使っているウェブカメラの性能が低い場合にも、あなたの姿を鮮やかに調整してくれるはずだ。

低照度モードはすでに2020年、Google MeetのiOSおよびAndroid用モバイルアプリに搭載されている。このモードではAIを使って光量を検知し、映像の明るさを調整する。管理者がコントロールできるわけではないが、ユーザーはこの機能をオフにすることもできる。Google(グーグル)はこの機能を有効にすると、デバイスの動作が遅くなることがあると述べている。

この機能は、すべてのGoogle Workspace(グーグル ワークスペース)とG Suite(Gスイート)のBasic(ベーシック)およびBusiness(ビジネス)ユーザーが利用できるようになる。

Googleはこの機能を、即時リリース方式では米国時間9月20日より、計画的リリース方式では10月4日より、順次展開していくという。ただし、どちらの場合も実際に使えるようになるまで、最大15日かかる場合があるとのこと。10月中旬になれば、オンライン会議でウェブカメラの映像が暗くて相手の表情が見えづらいなんてことは、過去の話になるかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Kris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

iOS 15へのアップデート可能に、iPadOS 15、watchOS 8も提供開始

Apple(アップル)は、iPhone用OSの次のメジャーバージョンである「iOS 15」の最終版をリリースした。ダウンロードは無料で、iPhone 6s以降、両世代のiPhone SE、そして最新のiPod touchで動作うする(iPadユーザーも本日よりiPadOS 15を、さらにwatchOS 8へのアップデートも可能だ)。

iOS 15における最大の変更点は、新しい「Focus mode(集中モード)」の登場だ。「Do not disturb(おやすみモード)」に加えて、さまざまなモードを設定することができます。通知して欲しいアプリや人を選び、何をしているかによって集中することを変えられる。例えば「仕事」「睡眠」「ワークアウト」などを作ることができる。

新しい天気予報アプリ、Apple純正「マップ」における地図の更新、FaceTimeの改良版など、全体的に多くの新機能が搭載。また、Safariも一新されている。

新バージョンのiOSでは、写真をスキャンしてテキストを表示する機能もある。「Live Text」という機能を使えば、写真の中のテキストをハイライトしたり、コピーしたり、ペーストしたりすることができる。この機能は、アクセシビリティの向上にも役立つ。iOSはこの情報をSpotlightに活用する予定だ。写真の中のテキストをSpotlightで直接検索すると、関連する写真が表示される。これらの機能はデバイス上で直接処理されている。

関連記事
【インタビュー】アップルのプライバシー責任者、児童虐待検出機能とメッセージアプリの通信の安全性機能への懸念について答える
【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで

有料のiCloudユーザーは、iCloud+にアップグレードされた。ストレージ容量の増加に加えて、いくつかの新機能を利用できる。ベータ版として提供されている「iCloud Private Relay」では、プライバシーを確保しながらウェブを閲覧することができる。「Hide My Email」では、ランダムに生成されたEメールアドレスを使って、ウェブ上で新しいアカウントを作成することができる。また、iCloudメールのユーザーは、個人のドメイン名に切り替えることができる。

このアップデートはすでに提供されている。「設定」アプリを利用したワイヤレスでも、iPhoneをコンピュータに接続する有線でもアップデートを行うことができる。作業前には、iPhoneのバックアップを。iPhoneまたはiPadの「設定」アプリを開き、上部にある「アカウント情報」をタップし、次に「デバイス名」をタップして、iCloudのバックアップが最新の状態になっていることを確認しよう。さらに、iOSデバイスをコンピュータに接続して、FinderやWindows用のiTunesで手動バックアップを行うこともできる(iCloudとコンピュータの両方にバックアップをとってもいい)。

iTunesでバックアップを暗号化することをお忘れなく。万が一、誰かがあなたのコンピュータをハッキングしても、安全性が高まる。また、暗号化されたバックアップには、保存されたパスワードやヘルスケアのデータが含まれているため、すべてのオンラインアカウントに再接続する必要はなくなる。

バックアップ作業が終わったら「設定」アプリから「一般」「ソフトウェア・アップデート」の順に進もう。利用可能なアップデートが表示されるはずだ。その後、ダウンロードが可能な状態になると自動的に開始される。

関連記事
迫るiOS 15リリースでマーケティング担当者が失うデータ、計画すべきDIYメトリクス戦略
アップルが「デジタル免許証」をサポートする最初の2州を確保するも、プライバシーに関する疑問は残る
iPhoneのセキュリティ対策もすり抜けるスパイウェア「Pegasus」のNSOによる新たなゼロクリック攻撃
画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Katsuyuki Yasui)

グーグルがインドでAndroidの独占的地位を乱用と反トラスト調査で判明

Googleは、インドにおけるAndroidの支配的地位を悪用して、この世界第2位のインターネット市場における競合他社に対して違法に損害を与えていることが、インドの監視当局による2年間の独占禁止法調査で明らかになった。

今回の調査では、Androidメーカーが、Androidの代替バージョン(「フォーク」と呼ばれることが多い)を搭載した端末を開発・販売する能力や意欲を低下させていたことが判明したと、調査結果について説明を受けた2人の関係者は語っている。

さらに、デバイスメーカーに自社アプリのプリインストールを義務付けるというGoogleの要求は、インドの競争法に違反しているとしている。

この調査においては、AmazonやAppleなど5ダース以上の企業がインドの規制当局、Competition Commission of India(インド競争委員会、CCI)の聞き取りに応じた。

インドの規制当局はGoogleがPlay Storeで強制しているポリシーも問題視し、それらは「一方的で一意的でなく不明瞭で偏りがあり恣意的である」と述べている。

Googleによると、同社はCCIと協力して「Androidは競争とイノベーションを促進しこそすれ、阻害することはないことを示したい」という。

調査結果はまだ公式発表の前の段階だが、インドのGoogleにとって最新の挫折となる。同社はその他にも複数反トラスト調査に直面しており、現在成長途上にある国産スタートアップや創業者、投資家などからも攻撃されている。

Alliance of Digital India Foundationは350のスタートアップ、創業者、投資家の集団だが、CCIの調査結果を褒めそやし、報告書の内容はインドのデジタルエコシステムのニーズに沿っている、と述べている。

関連記事
インド当局がグーグルに対し印スマートTV市場での独禁法調査を命令
韓国がグーグルに罰金194億円、OSで支配的地位を乱用

画像クレジット:MANJUNATH KIRAN/AFP/Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

システム障害に対応するエンジニアのための共同作業ノートブック「Fiberplane」

アムステルダムを拠点とするFiberplane(ファイバープレーン)は、Googleドキュメントのグループ編集に似た方法で、SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニア)がインシデントに取り組むための共同作業ノートブックを構築している。このアーリーステージのスタートアップ企業は現地時間9月16日、シードラウンドにおける750万ユーロ(約9億7000万円)の資金調達を発表した。

この投資ラウンドは、Crane Venture Partners(クレーン・ベンチャー・パートナーズ)とNotion Capital(ノーション・キャピタル)が共同で主導し、Northzone(ノースゾーン)、System.One(システムワン)、Basecase Capital(ベースケース・キャピタル)が参加した。

通称Mies(ミース)と呼ばれているMicha Hernandez van Leuffen(ミシャ・ヘルナンデス・ファン・ロイフェン)氏は、Fiberplaneの創業者でCEOだ。以前起ち上げたスタートアップのWerker(ワーカー)が2017年にOracle(オラクル)に買収されたことをきっかけに、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はより大きな会社の一員となり、そこで(どこの会社でも起こる)障害への対応に苦労している人々を目にした。

関連記事:WerckerをOracleが買収、コンテナベースのデベロッパープラットホームに既存大手も着目

「私たちは常にメトリクス、ログ、トレースの間を行ったり来たりして、私はいつもこれを宝探しと呼んでいるのですが、機能停止やダウンタイムの根本的な原因を突き止めていました」と、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏は筆者に語ってくれた。

同氏はこの経験から、インシデント対応に関するいくつかの重要な洞察が得られたという。1つ目は、すべてのインシデントデータを集めておく集中的な場所が必要だということ。2つ目は、分散したシステムを管理する分散したチームが、しばしば異なるタイムゾーンを越えて、リアルタイムに協力する必要があるということだ。

2020年8月にOracleを退職した同氏は、DevOps(デブオプス)チームやSREに、組織内の他のチームがGoogleドキュメントやNotion(ノーション)などのツールで行っているのと同じようなグループ編集機能を与えることができないかと考え始め、新会社のアイデアを具体化させていった。

同氏がFiberplaneで作り上げたものは、SREがさまざまな種類のデータを取り込み、インシデントを解決するために共同作業を始めるためのコラボレーションノートブックだ。同時にこのノートブックには、何が起き、どのように問題を解決したかという自然な監査証跡を残すことができる。Googleドキュメントを複数の人が編集できるように、このノートブックにもさまざまな人が参加できるようにすることで、当初の構想を実現している。

複数の人が関わっているFiberplaneのコラボレーションノートの例(画像クレジット:Fiberplane)

しかし、彼はそこで止まるつもりはない。長期的なビジョンとしては、SREやDevOpsチームが障害のあらゆる側面に対応できる運用プラットフォームを目指している。「これは私たちの出発点です。しかし、ここからさらに拡大して、いわばSREのワークベンチとして、インフラを指揮・管理できるものにしたいと考えています」と、同氏は述べている。

現在、Fiberplaneでは13名の従業員が働いており、今も成長を続けている。彼らは、今の彼らがそうであるように、多様性のある会社を作るための方法を模索しており、より多様な候補者を見つけるための具体的な戦略を検討している。

「私たちは多様な人材を雇用するために、当社のトップ・オブ・ザ・ファネルのプロセスを再検討しているところです。当社の取り組みとしては、社会的弱者のコミュニティに求人情報を掲載したり、求人情報の記述をジェンダーデコーダにかけたり、求人情報の公開期間を長くしたりしています」と、Fiberplaneのマーケティングマネージャーを務めるElena Boroda(エレナ・ボロダ)氏は述べている。

ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はアムステルダムを拠点としているが、同社は英国、ベルリン、コペンハーゲン、そして米国でも人材を雇用しているという。従業員の大半がアムステルダムに住んでいるため、オフィスが再開される際にはアムステルダムを中心拠点とする計画だ。

画像クレジット:lemono / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)