ソフトバンクが2030年代の「Beyond 5G」「6G」のコンセプトと12の挑戦を公開

ソフトバンクが次世代移動体通信規格「Beyond 5G」「6G」に向けた12の挑戦を公開ソフトバンクは、2030年代の商用化が期待されている、次世代移動体通信規格「Beyond 5G」および「6G」に向けた12の挑戦を公開しました。

内容としては、5Gの「ミリ波」よりもさらに高い周波数帯「テラヘルツ波」の利用や、無人の電気飛行機を使って成層圏に携帯基地局を浮かべる「HAPS」、LEO(低軌道通信衛星)を活用した、100%のエリアカバレッジなどが紹介されています。全文は下記の通りです。

(1)ベストエフォートからの脱却

これまでのモバイルネットワークでは、スマートフォンをインターネットに接続するベストエフォートなサービスを提供してきました。例えば、ネットショッピングや動画のストリーミング視聴といった、多少の遅延やパケットロスが発生しても生活に支障が生じにくいアプリケーションを提供してきました。6Gのモバイルネットワークでは、さまざまな産業を支える社会インフラの実装が期待されており、各産業が要求するサービスレベルに見合った、品質の高いモバイルネットワークを提供する必要があります。ソフトバンクは、日本全国を網羅するモバイルネットワークに、MEC(Mobile Edge Computing)やネットワークスライシングなどの機能を実装して、産業を支える社会インフラを実現していきます。

(2)モバイルのウェブ化

インターネットは、これまで多くのIT企業によってシステムやプロトコルの改善がなされ、進化を続けてきました。一方、モバイルネットワークは、クローズドなネットワークであるため、世界的に標準化される以上に進化を遂げることはありません。今後、モバイルネットワークのサービスの幅を広げるために、より柔軟なアーキテクチャーに生まれ変わることが期待されます。6Gでは、ウェブサービスのアーキテクチャーを取り込むことで、さらにお客さまに便利なサービスを提供できると考えて、研究開発を進めていきます。

(3)AIのネットワーク

AI技術は、画像認識による物体の検知や、音声認識・翻訳だけではなく、ネットワークの最適化や運用の自動化など、幅広く適用されるようなりました。同時に、無線基地局を含むモバイル通信を支えるネットワーク装置では、汎用コンピューターによる仮想化も進んできました。AI技術と、ネットワーク装置の仮想化は、いずれもGPU(Graphic Processing Unit)によって効率的に処理できるソフトウエアです。モバイルネットワーク上にGPUを搭載したコンピューターを分散配置することで、低コストで高品質なネットワークとサービスの提供が可能になります。ソフトバンクは、2019年からGPUを活用した仮想基地局の技術検証に取り組んでおり、AI技術とネットワークが融合したMEC環境を実現していきます。

(4)エリア 100%

6Gでは、居住エリアで圏外をなくすことや、地球すべてをエリア化することが求められます。ソフトバンクは、HAPSやLEO(低軌道)衛星、GEO(静止軌道)衛星を活用した非地上系ネットワークソリューションを提供することで、この問題を解決します。これにより、世界中で30億を超えるインターネットに接続できない人々に、インターネットを提供することが可能になります。また、これまで基地局を設置できなかった海上や山間部、さらには上空を含むエリアにモバイルネットワークを提供することが可能になり、自動運転や空飛ぶタクシー、ドローンなど新しい産業を支えるインフラとなります。

(5)エリアの拡張

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルは、2017年から成層圏プラットフォームと通信システムの開発に取り組んでいます。2020年にはソーラーパネルを搭載した成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)が、ニューメキシコで成層圏フライトおよび成層圏からのLTE通信に成功し、HAPSが実現可能であることを証明しました。このフライトテストで得た膨大なデータを基に、商用化に向けて機体や無線機の開発、レギュレーションの整備などを進めていきます。

(6)周波数の拡張

5Gでは、これまで移動体通信で利用されることがなかったミリ波が利用できるようにしました。6Gでは、5Gの10倍の通信速度を実現するため、ミリ波よりも高い周波数のテラヘルツ波の活用が期待されています。一般的に、100GHzから10THzまでがテラヘルツ帯とされ、2019年に開催された世界無線通信会議(WRC-19)では、これまで割り当てられたことがなかった275GHz以上の周波数の中で、合計137GHzが通信用途として特定されました。この広大な周波数を移動通信で活用することで、さらなる超高速・大容量の通信の実現を目指します。

(7)電波によるセンシング

ソフトバンクは、これまで電波を主に通信用途で活用してきましたが、6G時代では通信以外の用途でも活用することが可能になります。例えば、Wi-Fiの電波を使用して、屋内で人の位置を特定する技術はすでに実用化されている他、Bluetoothを位置情報のトラッキングに利用するケースもあります。6G時代では、電波を活用して、通信と同時にセンシングやトラッキングなどを行うサービスの提供を目指します。

(8)電波による充電・給電

スマートフォンなどのデバイスは、Qi規格による無接点充電技術が多く使用されていますが、距離が離れてしまうと充電・給電ができないという欠点があります。6G時代には、電池交換や日々の充電から解放される未来がやってくると期待しており、距離が離れても電波を活用した充電・給電を行える技術の研究開発を進めていきます。

(9)周波数

周波数は、これまで各事業者が占有して利用することを前提に割り当てられてきましたが、IP技術を無線区間に応用することで、時間的・空間的に空いている帯域を複数事業者で共有することも可能になると考えます。Massive MIMOやDSS(Dynamic Spectrum Sharing)などの多重化技術がすでに確立されていますが、これらを含めた技術をさらに発展させて周波数の有効活用を進めていきます。

(10)超安全

2030年には、量子コンピューターの実用化まで開発が進むと言われています。量子コンピューターが実用化されると、現在インターネットの暗号化に使われているRSA暗号の解読ができるようになり、通信の中身を盗まれる可能性があります。将来、通信インフラの上に成り立つ産業全体を守るために、耐量子計算機暗号(PQC)や量子暗号通信(QKD)などの技術検証に取り組み、発展させることで、超安全なネットワークの実現を目指します。

(11)耐障害性

モバイルネットワークは、5G以降により一層社会インフラとしての役割が強くなってくると考えており、通信障害が発生した場合でも社会インフラとして維持し続ける必要があります。そこで、従来のネットワークアーキテクチャーを見直すことで、障害が起こりにくいネットワークを構築するとともに、万が一、障害が発生した場合でもサービスを維持できるようなネットワークの技術の研究開発を進めていきます。

(12)ネットゼロ

大量のセンサーやデバイスからのデータ、あらゆる計算機によるデータ処理によって、CO2排出量を常時監視・観察ができるようになると、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするネットゼロの達成に大きく寄与できると考えられます。しかし、常にセンサーなどで監視されることになるため、プライバシー情報の取り扱いや情報セキュリティーといった課題を解決することも必要になります。また、基地局自体もカーボンニュートラルな運用を目指しています。現在、災害時でもネットワークを稼働させるため、基地局の予備電源の設置が義務付けられていますが、電源を普段から活用することや、日中に充電した電気を夜間に使うことで、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。さらに、通信量に応じてリアルタイムな基地局の稼働制御を行うことで、消費電力を最小化することも可能になります。カーボンフリーな基地局の実現に向けて研究開発を進めていきます。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援Holoeyesは、Dental Predictionとソフトバンクの協力のもと「5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証」に関する実証実験を7月12日から実施します。

5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用した実験で、東京にいる指導医が大阪にいる若手歯科医に、VR・AR映像を通して診断・治療の指導と手術を支援をするといった内容です。

具体的には、歯が欠損した場合に行うインプラント手術の症例を扱います。インプラント手術は、知識的にも技術的にも比較的難易度の高い処置です。5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用して、物理的な場所の制約を受けずに若手歯科医への知識や技術の伝授ができるかを検証します。

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

3Dモデル/3Dプリンティング模型

実験では患者のデータを基に作成した頭蓋骨の3Dモデルを使い手術に必要な3次元の動きをVR空間で共有します。診断と検討の後、指導医は3DモデルをAR空間で操作しながら、同じ患者の顎骨の3Dプリンティング模型を使って指導します。

若手歯科医はAR映像を見ながら模型にドリルで穴を開けるなどの実習を行うことで、インプラント手術の一連の流れを体験できます。最終的には、指導医が東京からAR映像を通して支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者の手術を行います。

なお、遠隔指導および遠隔手術支援に当たっては、現役の歯科医であるDental Prediction代表の宇野澤氏が、診断を行う上で重要なポイントや解剖に関する手順を解説します。

各種デバイスに対応したHoloeyesの医療用画像表示サービス「Holoeyes XR」と、オンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、ソフトバンクの5GネットワークでVR・AR映像を送受信することで、指導や手術支援を行います。

以降リリースより転載です。

実証実験の概要

  1. 名称:5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証
  2. 実施期間(予定):2021年7月12日~9月
  3. 実施場所:東京会場:ソフトバンク本社(東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー)、大阪会場:5G X LAB OSAKA(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟 6階「ソフト産業プラザTEQS」内)

実施の流れ

  • ステップ1(7月12日実施予定):過去に手術を受けた患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。複数の若手歯科医へ同時に遠隔指導することで、その有用性を検証します。
  • ステップ2(8月実施予定):これから手術を受ける患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。今後予定している手術を、複数の若手歯科医が同時に疑似体験できることを検証します。
  • ステップ3(9月実施予定):東京の指導医が遠隔支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者(ステップ2の患者)の手術を実施します。若手歯科医が、指導医の遠隔支援の下で安全かつ確実に手術ができることを検証します。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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ソフトバンクが日本における「Yahoo」商標の永久ライセンスを1785億円で取得

米国時間7月4日の晩、ニューヨーク港からは独立記念日を祝う花火が打ち上げられたが、数ブロック先のミッドタウンにあるVerizon(ベライゾン)本社では、まったく別のことが祝われていたようだ。

TechCrunchの親会社であるVerizon Media(ベライゾン・メディア)のApollo(アポロ)による買収が完了するまであと数週間、TechCrunchを所有しているVerizonは、日本のソフトバンクグループの一部門であるZ Holdings(Zホールディングス)との間で、日本市場におけるYahooブランドおよび関連する技術インフラの商標を約16億ドル(約1785億円)で売却する契約を締結したと夜間に発表した。

名前からは正体がわかりにくいZホールディングスはソフトバンクの日本におけるインターネット事業を所有しており、中でもヤフージャパンのウェブポータルは日本で最もアクセス数の多いニュースサイトとなっている。Verizon Media(旧Oath、旧AOL・Yahoo)との直近の契約では、ヤフージャパンは日本でのYahooブランドの使用権と関連技術に対して定期的にロイヤルティを支払っていた。一度に前払いしたことで、今後はロイヤリティの支払いなく商標・技術を利用できることになる。

この契約の解決は、ApolloによるVerizon Mediaの50億ドル(約5545億円)の買収において、残された重要なニュアンスの1つだった。Verizonは、2021年初めに529億ドル(約5兆9000億円)を投じてCバンド帯を取得するなど、無線スペクトルのオークションにつぎ込んできた負債の削減に取り組んでおり、今回の買収はVerizonに追加的対価を与えることになる。

Zホールディングスはプレスリリースでこう述べている。「なお、『ヤフージャパン ライセンス契約』は終了するものの、事業・技術面などにおいて引き続きVerizon Mediaとの協力関係は維持されます。また、ヤフーはこれまで通り変わらず、『UPDATE JAPAN』をミッションに、『Yahoo! JAPAN』ブランドの各種サービスを通じて、より便利で革新的なサービスを提供してまいります」。(UPDATE JAPANというからには)日本へのさらなるパッチがまもなく配信されることを期待しよう、ということか。

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カテゴリー:その他
タグ:ソフトバンクVerizonYahooZホールディングス日本

画像クレジット:Tomohiro Ohsumi/Bloomberg / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

Pepper生産中止・肉の包装・ベリーの収穫、多数の資金調達が行われた今週のロボティクスまとめ

私たちはピッツバーグでの大規模なイベント終えたばかりだ。来週にはインタビューや発表されたプロフィール、その他の楽しい情報をすべて見直した上で感想をお届けしたい。一方、山のような投資ニュースに押されているせいで、後回しになっている部分もあることをお伝えしておく。そしてPittsburgh Robotics Network(PRN、ピッツバーグ・ロボティクス・ネットワーク)が、私たちのイベントと同じ日に、独自の大規模イベントを開催したことにも注目したいが、実際今週は国の政治家の訪問も含めて、市内では多くの活動が行われていたのだ。

PRNのプレスリリースは以下の通りだ。

本アライアンスには、カーネギーメロン大学、Argo AI(アルゴAI)、Aurora(オーロラ)、ピッツバーグ大学、Kaarta(カールタ)、RE2 Robotics(RE2ロボティクス)、Neya Systems(ネヤ・システムズ)、Carnegie Robotics(カーネギー・ロボティクス)、HEBI Robotics(HEBIロボティクス)、Near Earth Autonomy(ニア・アース・オートノミー)、BirdBrain Technologies(バードブレイン・テクノロジーズ)、Omnicell(オムニセル)、Advanced Construction Robotics(アドバンスト・コンストラクション・ロボティクス)など、ピッツバーグ地域のトップクラスのロボット企業、研究機関、大学のリーダーたちが参加している。Richard King Mellon (リチャード・キング・メロン)財団は、今回の会員数の増加を記念して、PRNの継続的な発展を支援するために12万5000ドル(約1395万円)の助成を行った。

先週私は、資金調達の発表が活発になるだろうと示唆したが、今週は確かにそれが実現した。かつては、夏枯れと呼ばれるような現象が起きていたものだ。それがおそらくはパンデミックのせいなのか、かつてのようなのんびりしたシーズンはいまは起きそうもない。VCたちはロボットに非常に積極的で、カテゴリーを問わず資金を投入し続けている。

しかし、その話を始める前に、Pepper(ペッパー)に対して少々悲しいお別れを告げておこう──少なくとも今は。SoftBank Robotics(ソフトバンク・ロボティクス)の担当者がTechCrunchに語ったところによれば、SoftBank Roboticsは、この愛嬌のある挨拶ロボットの生産を一時停止するとのことだ。ロイターが最初に、フランス国内で330人分の雇用枠を削減することをはじめとする、ソフトバンクのロボット部門の「縮小」を最初に報じた。ソフトバンクはプレスリリースの中で「ソフトバンクの子会社であるSoftBank Robotics Groupは、2012年以降ヒューマノイド(人型)ロボットに投資を続けてきました。PepperならびにNAO(ナオ)ロボット事業はこの先も継続していく意向です」と述べている。

画像クレジット:Aldebaran Robotics(CC-BY-3.0ライセンス)

おさらいしておくと、投資大手のソフトバンクが2021年にフランスのロボット企業Aldebaran Robotics(アルデバラン・ロボティクス)を買収したことで、SoftBank RoboticsとPepperが誕生した。後者は、その分野ではかなり広く普及していた研究用ロボット「Nao(ナオ)」を発展させたものだ。今でも、あちこちの大学や研究機関でこのロボットを目にすることができる。

Pepperは、その基礎となる技術の一部を、より多くの人々に提供しようとしたものだ。このロボットは人間に近い大きさで作られ、タブレットを持って挨拶をするようにデザインされていた。だが正直にいって、それは「それっぽいもの」というだけだった。テクノロジーを適用できる問題を探して、Applebee(アップルビー、米国のファミリーレストラン)での挨拶や、空港での情報提供などを行うことができる洗練されたロボットとして売り込まれた。

なぜPepperがうまくいかなかったのか、そのことに2020年の問題がどれほど影響しているのかについての詳細は後回しにするとして、そもそも私はこのロボットが本当に役に立つのかどうかをいつも疑問に思っていた。これには高度なロボット技術が必要とされるという説得力のある議論を見つけることは、なかなか難しい。もちろん、研究用ロボットの製作に特化しても、せいぜい客寄せのための目玉商品にしかならない、という、はるかに説得力のある議論もある。

画像クレジット:CMR Surgical

とはいえ、ロボット投資にはまだまだ期待が持たれている。そしてSoftBank Roboticsも規模は縮小しているかもしれないが、同社の投資部門は、メッセージボードを手に持っているだけではないロボットに対して、非常に強い関心を持っているようだ。たとえばVision Fund 2(ビジョンファンド2)は、CMR Surgical(CMRサージカル)の6億ドル(約669億6000万円)に及ぶ大規模なシリーズDを主導している。英国を拠点とするこの外科用ロボット企業は、いまやキーホール手術の技術で30億ドル(約3348億円)の評価を受け、ユニコーン3個分の価値となっている。

私がこのカテゴリーで最も魅力的だと思う理由は、高度に専門化した施術の分野を実質的に平準化できるという期待からだ。この技術へのアクセスは、高額な医療を受けることが困難な発展途上国やその他の市場にとって、非常に大きな意味を持つ。

画像クレジット:Soft Robotics

一方Soft Robotics(ソフト・ロボティクス、SoftBank Roboticsに似ているが「bank」が外れている)は、その23億ドル(約2553億円)のシリーズBを1000万ドル(約11億円)拡大する中で、パンデミックによる需要について言及している。すべてがアプトン・シンクレア(米国精肉業界の実態を告発した小説家)の書く世界のようではないものの、食肉加工業界はパンデミックの最中、まったくの地獄のような様相だった(私自身は肉を食べないので、この問題に関する私の個人的な考察は省くことにする)。Soft Roboticsは、損傷しやすい食品を移動させることができる空気圧式のグリッパーを提供しており、ロボットピッキングの分野では以前から注目されていたスタートアップだ。

関連記事:食品加工を柔らかなタッチの「手」でこなすSoft Roboticsがパンデミック関連の需要を見込み新たに約11億円調達

画像クレジット:Traptic

損傷しやすい食品の移動といえば、和たちたちは米国時間7月1日の午前中に、2019年のStartup BattlefieldのファイナリストであるTraptic(トラプティック)が、イチゴ摘みロボットの商業展開を開始したことを独占的に報じた。これは、先に行われた未発表である500万ドル(約5億6000万円)のシリーズAに続くもので、これによってこれまでの資金調達額は840万ドル(約9億4000万円)に達した。他の多くの業界と同様に、パンデミックのためにフィールドワークは大規模な人員不足に陥った。

関連記事:イチゴを傷つけずに収穫するロボットのTrapticが商業展開を開始

画像クレジット:Toggle

飲み物をミックスするロボットキオスクのBotristaは、今週シリーズAを発表した。同社は、最大8種類の材料を約20秒で混ぜることができるこのシステムをさらに改良するために、1000万ドル(約11億1000万円)を調達した。一方、ニューヨークを拠点とする建設用ロボット企業ToggleはシリーズAで800万ドル(約8億9000万円)を調達した。

画像クレジット:TechCrunch

退屈さを感じている暇はなかった。水曜日(米国時間6月30日)の大きなまとめを、木曜日に向けて書くおもしろさを味わえたからだ。だが時には、朝に大きなニュースがやってくることもある(ロボット関連のスタートアップ企業のみなさん、勝手なお願いだが、木曜日に大きなニュースを発表するのは控えていただけると個人的には大変助かる。ご協力に対してあらかじめお礼を述べておこう)。たとえばZebra(ゼブラ)がFetch(フェッチ)を2億9千万ドル(約323億1000万円)で買収する意向を示したといったニュースだ。この件については、もう少し考えをまとめて、別記事で紹介するが、とりあえず、FetchのCEOであるMelonee Wise(メロニー・ワイズ)氏の言葉を紹介しておきたい。

Fetchチームは、Zebraに参加してAMR(自律走行搬送ロボット)と当社のクラウドベースのロボティクスプラットフォームを通じて、柔軟な自動化の導入を加速させることに、期待を膨らませています。私たちは、適切なチームと適切な技術を合わせて、お客様の真の問題を解決できるエンド・ツー・エンドのソリューションを提供します。お客様がフルフィルメント、流通、製造のオペレーションを動的に最適化し、総合的に協調させることを支援することを通して、需要の増加に先んじて、配送時間を短縮し、労働力の減少に対応することを可能とします。

関連記事:ヒートアップする倉庫や仕分けのロボティクス、Zebra TechnologiesがFetchを約324億円買収

カテゴリー:ロボティクス
タグ:SoftBankPepperAldebaran RoboticsCMR SurgicalSoft RoboticsToggleFetch資金調達

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

現代自動車がソフトバンクからBoston Dynamicsの支配権取得を完了「歩くクルマ」に向け前進

Hyundai(現代自動車グループ)は現地時間6月21日、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収を完了したと発表した。この取引は革新的なロボットメーカーを11億ドル(約1210億円)で評価するもので、2020年末に発表されていた。両社は、今後の財務的な詳細については明らかにしていない。

韓国の自動車大手である現代(ヒュンダイ、2020年よりヒョンデに表記変更)は、これまでソフトバンクグループ(SBG)が所有していたBoston Dynamicsの支配的利権を持つことになった。3年強にわたってBoston Dynamicsを所有していたGoogle(グーグル)から前者を購入したSBGは、実質的に過渡期のオーナーだった。

ソフトバンク傘下にあった期間はGoogle / Alphabet X時代に比べてそれほど長くはなかったが、Boston Dynamicsは約30年前に設立されて以来、初めて2つの製品を商品化した。同社は、四足歩行ロボット「Spot」を市場に投入し、2021年には、倉庫用ロボット「Handle」のアップデート版である「Stretch」のローンチを発表した(発売日はまだ未定)。

関連記事:ボストン・ダイナミクスの次期商用ロボットは退屈な倉庫仕事をこなす「Stretch」

現代自動車のErnestine Fu(アーネスティン・フー)氏は、TechCrunchのMobilityイベントに最近出演した際、Boston Dynamicsの80%経営支配権を取得する計画について語った。フー氏は、現代自動車のUMV(Ultimate Mobility Vehicle、究極の移動手段)開発に特化したユニットであるNew Horizon Studiosが、数十年にわたるBoston Dynamicsの研究を基にした「歩く」自動車のコンセプトを複数プレビューしていることに言及した。

関連記事:ヒュンダイがドローンで運べる荷物運搬用小型「ウォーキングカー」ロボットを発表

「New Horizon Studiosでは、ロボット工学と、歩行ロボットや歩行車両などの従来の車輪付き移動手段とを組み合わせたときに何ができるかを再考することが課題となっています」とフー氏はTechCrunchに語った。「当然、Boston Dynamicsが開発してきた技術は、そのようなコンセプトを実現する上で重要な役割を果たします」とも。

Boston Dynamicsはこれまでの変遷の中で、独自の研究部門を維持することにこだわり、ヒューマノイドロボット「Atlas」のような商業的ではない技術を生み出してきた。現代自動車の傘下でどのように機能するかは未知数だが、現代は少なくとも将来を見据えたアプローチを維持することに強い関心を持っているようだ。

Boston DynamicsのCEOであるRob Playter(ロブ・プレイター)氏は、今回の買収が発表された際にこう述べていた。「当社と現代自動車はモビリティがもたらす変革力という視点を共有しており、最先端のオートメーションで世界を変える計画を加速させ、両社の顧客のために世界で最も困難なロボティクスの課題を解決し続けられるよう、協業することを楽しみにしています」。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston DynamicsHyundaiソフトバンク買収

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

ソフトバンクらが次世代電池研究開発においてリチウム金属負極を用いた質量エネルギー密度450Wh/kg級の実証に成功

ソフトバンクとEnpower Greentechが次世代電池開発に向けた質量エネルギー密度450Wh/kg級電池の実証に成功

開発した要素技術を用いた電池の試作品

ソフトバンクと米スタートアップEnpower Greentechは3月15日、次世代電池の研究開発において、リチウム金属負極を用いた質量エネルギー密度450Wh/kg級電池の実証に成功したと発表した。また、リチウム金属電池の長寿命化の要素技術の開発成功も明らかにした。

両社は、IoT機器や携帯電話基地局などでの活用を想定した、質量エネルギー密度(Wh/kg)が高く、また軽量かつ容量が大きい次世代電池を見据えた材料技術の共同研究を行う契約を2020年3月に締結し、4月から共同研究開発を実施。また今回開発した要素技術には、リチウム金属表面にデンドライトの発生を抑制する極薄(10nm以下)コーティング膜技術や、高い電池電圧と高いクーロン効率(充放電効率)を両立した電解液などもあるという。

デンドライトは、電池の充放電を繰り返した際に生じるリチウム金属の針状結晶のこと。これが成長し続けると、正極と負極の短絡を引き起こし、発火などの原因となる。クーロン効率(充放電効率)は充電時の充電容量に対する放電時の放電容量の比。クーロン効率が高いほど充電容量を無駄なく放電に使用でき、寿命が長い電池となる。

リチウム金属負極は負極材料として注目される一方、短期間で電池容量が減少するという課題を抱えていた

現在、デバイスの進化から電池の高容量化が望まれているものの、既存の電池材料(黒鉛など)では達成は厳しく、リチウム金属負極などの次世代材料が求められているという。

ただしリチウム金属電池の課題として、リチウム金属負極と電解液の反応に由来するサイクル寿命の短さが挙げられる。充放電に伴うデンドライトの発生によって、短期間で電池容量が減少するという課題があったという。リチウム金属は還元力が強く電解液が分解されてしまい、リチウム金属表面に不均一な不動態被膜が形成されることで、短絡の原因にもなるデンドライト生成を促してしまう。

ソフトバンクが次世代電池の研究開発・早期実用化の推進に向け「ソフトバンク次世代電池Lab.」を設立

そこで、ソフトバンクとEnpower Greentechは、デンドライトの発生抑制技術のひとつ「リチウム金属表面の無機コーティング技術」に注目。

リチウム金属表面を例えばイオン伝導材料などでコーティングすることで電解液との直接接触を遮断。安定した固体電解質界面(SEI)膜を形成するというアプローチを実施したそうだ。

リチウム金属負極と電解液の反応を抑制するためには、リチウム金属表面への電解液の接触を減らし、電解液の分解を抑制する必要がある。先に挙げたイオン伝導材料などをコーティングすることで、電解液がリチウム金属表面に接触することを防ぎ、リチウムイオンを均一に拡散させることを可能にする。これにより、デンドライトの発生を抑制し、リチウム金属電池の長寿命化が期待できるとした。

ソフトバンクが次世代電池の研究開発・早期実用化の推進に向け「ソフトバンク次世代電池Lab.」を設立

また今回、無機物を極薄(10nm以下)でコーティングしたリチウム金属電極を用いて、コイン型リチウム対称セル(ラボ測定用電池)で連続500時間経過しても、非常に低い過電圧を維持し続けている充放電データを得られたという。今後この技術を450Wh/kg級電池に適用し、電池のさらなる長寿命化を目指す(実験データなどの詳細。PDF)。

  1. ソフトバンクとEnpower Greentechが次世代電池開発に向けた質量エネルギー密度450Wh/kg級電池の実証に成功

  2. ソフトバンクとEnpower Greentechが次世代電池開発に向けた質量エネルギー密度450Wh/kg級電池の実証に成功

ソーラーパネル搭載の成層圏通信プラットフォームの長時間駆動への道筋

今回、共同開発に成功した材料技術を用いることで達成が期待できる質量エネルギー密度450Wh/kg級電池は、現在のリチウムイオン電池に比べ、質量エネルギー密度が約2倍となるという。この電池は、さまざまなIoT機器や携帯電話基地局だけでなく、ソフトバンク子会社HAPSモバイルが地上約20kmの成層圏で飛行させる、ソーラーパネル搭載の成層圏通信プラットフォーム(HAPS)向け無人航空機「Sunglider」への装用による長時間駆動も期待できるとしている。

Enpower Greentechは、全固体電池を含む次世代電池の研究開発と事業化に取り組んでいる米国のスタートアップ企業。日本においては、東京工業大学発スタートアップEnpower Japan(エンパワージャパン)として研究拠点を構えている。同社は、2015年から高容量電極材料や固体電解質材料などの材料技術開発に着手しているという。さらに2017年10月からは、テキサス大学オースティン校教授であり、ノーベル化学賞を受賞したJohn B. Goodenough(ジョン・B・グッドイナフ)教授の研究グループと全固体電池用材料技術の共同研究を実施している。

世界中の様々な次世代電池の評価・検証を行う施設「ソフトバンク次世代電池Lab.」

また同日ソフトバンクは、質量エネルギー密度(Wh/kg)が高く軽量で安全な次世代電池の研究開発および早期実用化の推進に向けて、世界中の様々な次世代電池の評価・検証を行う施設「ソフトバンク次世代電池Lab.」(ソフトバンク次世代電池ラボ)を、2021年6月に設立すると発表した。

ソフトバンク次世代電池Lab.は、環境試験器の世界トップメーカーであり、安全性・環境評価に優れた設備・ノウハウがあるエスペックの「バッテリー安全認証センター」内に設立。

今後は充放電設備の増強、モジュール・電池パックの大型評価設備の導入や、安全性試験・低温低気圧など、地上から上空までの特殊な環境試験においてエスペックと連携することを検討している。

「ソフトバンク次世代電池Lab.」のあるエスペック宇都宮テクノコンプレックス「バッテリー安全認証センター」外観

現在ソフトバンクは、質量エネルギー密度が高く軽量で安全な次世代電池について、IoT機器などの既存のデバイスやHAPS(High Altitude Platform Station、成層圏通信プラットフォーム)をはじめとする次世代通信システムなどへの導入を見据え、研究開発を推進している。また、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、高性能な電池が必要不可欠と考えているという。

次世代電池の開発については、世界のさまざまな電池メーカーが技術検証を実施しているものの、メーカーごとに技術評価環境・検証基準が異なり、同一環境下での性能差の分析・技術課題の特定が難しいという課題がある。ソフトバンクは、これらの課題を解決し、次世代電池の早期実現のため、ソフトバンク次世代電池Lab.を設立する。

今後ラボにおいて、世界中のメーカーのセルを同一環境下で評価・比較することで、性能差の分析・技術課題の早期特定を実現する。また各メーカーに検証結果をフィードバックすることで、次世代電池の開発加速を目指すという。

さらに同ラボでは、共同研究先と開発した要素技術の検証も行う予定。検証により得られたノウハウを参画メーカーと共有することで、次世代電池開発のベースアップに貢献する。すでに世界中の電池メーカー15社の次世代電池の検証を予定しており、今後さらに開発パートナーを拡大していく。

これらの活動を通しソフトバンク次世代電池Lab.は、次世代電池の開発促進を支援するプラットフォームになることを目指す。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:エスペック(企業)Enpower Greentech(企業)Enpower Japan(企業)ソフトバンク / SoftBank(企業)東京工業大学(組織)バッテリー(用語)日本(国・地域)

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

Zホールディングス(ZHD)LINEは3月1日、戦略方針説明会を開催し、経営統合の完了を発表した。

今回の統合によりZHDグループは、国内で200超のサービスを提供し、国内総利用者数は3億超、国内総クライアント数は約1500万、自治体との総連携案件数は3000超となり、グループ従業員約2万3000人(エンジニア6200人)を擁する国内最大規模のインターネットサービス企業グループとなった。また、統合により「情報」「決済」「コミュニケーション」という3つの起点を持つ企業グループにもなったとしている。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

ZHDグループは、中核企業のひとつであるヤフー(Yahoo! JAPAN)およびLINEを中心とした「検索・ポータル」「広告」「メッセンジャー」を「根幹領域」として引き続き推進する。また特に社会課題が大きく、インターネットによりその解決が見込める領域として「コマース」「ローカル・バーティカル」「Fintech」「社会」の4つを「集中領域」と定め取り組んでいく。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

さらに、それら領域にデータやAI技術を掛け合わせることで、シナジーを強固に創出するとともにユーザーの日常生活、企業活動、そして社会自体をアップデートするとしている。AIを中心に各事業を成長させるため、5年間で5000億円の投資を計画、5年間で5000人のAI活用に携わる国内外エンジニアの増員を行う。

「コマース」では、「ソーシャルコマース」「Xショッピング」、事業者向け「Smart Store Project」展開

代表取締役Co-CEO(共同最高経営責任者)の出澤剛氏が、コマース領域において既存サービスの強化および新たに価値を提供するものとして挙げたものが、「ソーシャルコマース」と「実店舗連携『X(クロス)ショッピング』」。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

ソーシャルコマースでは、コミュニケーションアプリ「LINE」などを活用したサービス「ソーシャルギフト」を新たに提供する。LINEアプリ上でギフトを送付できる「LINEギフト」において、将来的に「Yahoo!ショッピング」などと連携し、より多くの商品を選べるようにし贈り物ができるようにしていくという。

またLINE上で友だちに購入を呼びかけ一定人数で安く購入できるようになる「共同購入」も提供する。

インフルエンサーなどによる商品紹介の動画を見ながら、同じ動画を見ている人と交流しながら、「ライブコマース」も用意。LINEアプリのライブ配信機能を活用するとしていた。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

出澤氏は、オンライン店舗と実店舗の商品データを連携させる「X(クロス)ショッピング」も触れた。

同サービスは、商品の配送方法についてユーザーに最適な購入手段を選べるようにしたもの。中長期的には、オンラインに加え実店舗においても、サービス利用状況や誕生日などに合わせて商品価格が連動する仕組み(ダイナミックプライシング)によりお得に購入できる「My Price構想」も検討するとしていた。ユーザー向けロイヤリティプログラムの統合も予定しているそうだ。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

また事業者に対しては、トータルECソリューション「Smart Store Project」を2021年上半期に提供開始する予定。NAVERでの知見を活かしており、自社ECサイトの構築・運営、分析、さらには接客・送客などのプラットフォーム連携が可能になるという。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

中長期的には、実店舗、自社ECサイト、「Yahoo!ショッピング」などのモール型EC、集客用の各種SNSサイトやLINE公式アカウントなどをひとつの画面上で一括して管理・運営ができる仕組みを構築してゆく。事業者は煩雑な管理や運営から開放され、商品買い付けや開発など本来の業務に時間を割けるようになるとしていた。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

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代表取締役Co-CEO(共同最高経営責任者)の出澤剛氏は、「2020年代前半には圧倒的に支持されるサービス、つまりEC物販領域で国内No1になる」と明言

飲食予約や旅行予約などの「ローカル・バーティカル」

飲食や旅行などのローカル・バーティカルでは、日本の実態に合う形で企業のDXを支援。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

「Yahoo!ロコ」「一休.comレストラン」、LINEアプリで新たなローンチ予定の飲食店探しメディア「LINE PLACE」などの複数のサービスを介した予約・送客に加え、AIを徹底的に活用することで、ユーザーとのマッチング精度の向上を目指し、企業DXを支援する。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

また、フードデリバリー「出前館」では、デリバリーに進出したい企業を支援。出前館は、直近の加盟店舗数が5万5000を突破し、取扱高は昨年対比58%増、人口カバー率34%となったという。この実績を活かして国内最大規模のデリバリーインフラを構築し、加盟店舗数10万を目指すとしていた。

さらに、出前館の配送をZHDグループの他サービスにも利用することを検討し、グループ全体の利便性向上にもつなげるそうだ。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

広告においては「Yahoo! JAPAN」「LINE」「PayPay」が連携することで、事業者向けに新たなマーケティングソリューションを提供。

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例えば、「Yahoo! JAPAN」「LINE」のメディア上などで広告を配信し集客、特定の商品を購入した者にのみ、改めてクーポンを届け再購入を促すなど、効率的かつ継続的にアプローチ可能にするという。

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これにより、企業にとっては無駄がなく効果の高いマーケティングが可能となり、また、ユーザーごとに最適化したノイズの少ない情報を送付できるようになる。

Fintechでは「借りる」「増やす」「備える」など最適な金融商品を提案する「シナリオ金融」を拡充

Fintechからは、表取締役社長Co-CEO(共同最高経営責任者)の川邊健太郎氏が登壇。

同社は「買う」「予約する」「支払う」といったユーザーの行動に合わせて、ローンなどの「借りる」、投資商品などの「増やす」、保険などの「備える」といった、ニーズに沿う最適な金融商品を提案する「シナリオ金融」を拡充するという。

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また、シナリオ金融において連携する金融機関は、自社グループにとらわれないマルチパートナー戦略を採用するとした。例えばジャパンネット銀行においては三井フィナンシャルグループ、LINE Bank設立準備会社はみずほフィナンシャルグループと進めるといった形だ。

このほか、旅行・宿泊予約の際に「旅行キャンセル保険」、手持ちのお金が足りないなどの場合は個人向けローン「LINE Pocket Money」、資産運用向けにPayPayボーナスの「ボーナス運用」などの提案を行っていく。

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さらにPayPayとLINE Payは、2022年4月に「PayPay」に統合すべく協議を開始したという。LINEウォレットからのPayPay利用を可能にする。

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2021年4月下旬以降、LINE PayがPayPayのQRコード読み取りに対応する。全国300万カ所以上(2021年2月24日時点)のPayPay加盟店のうち、ユーザースキャン方式(MPM)加盟店において「LINE Pay」で支払いが可能になる。

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「行政DX」「防災」「ヘルスケア」の3分野を柱とする「社会」事業

社会事業では、「行政DX」「防災」「ヘルスケア」の3分野を柱とし、官民連携を活かした日本のDX、ひいては社会課題の解決に取り組む。

行政DXでは、LINEアプリを活用した新型コロナウイルスのワクチン接種予約システムを全国約200自治体で導入見込みである点を挙げた。自治体のLINE公式アカウントを通じて会場や日時などの予約・変更を行えるなど、LINEアプリ上で完結できるという。またLINEの音声対応サービスにより電話対応を自動化することで、コールセンターのリソース不足をはじめ、電話がつながりにくい、予約を取りにくいといった不便を解消する。

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このほか引っ越しを例に挙げて、自治体と協力しオンラインでも様々な行政手続きを完了できるよう尽力するとした。

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2021年中にYahoo! JAPANのサービスやLINE上において、網羅的でわかりやすい行政手続きの情報の拡充と、内閣府の「マイナポータル」と連携した行政手続きのオンライン申請サービスを開始する。児童手当や介護といった手続きから順次拡充を目指す。

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防災領域では、平時における生活エリアの危険度チェック、災害警戒時のパーソナルタイムライン、災害発生時の避難案内、復旧・復興時の支援マッチングなど、防災にまつわる様々なステージにおいて、ユーザーごとに最適な情報を提供する。

LINEおよびYahoo! JAPANは、これまでも情報発信や寄付の募集など、インターネットを活用する形で様々な活動を行ってきており、テクノロジーにより支援をさらに強化できるとみているという。

平時の場合は、ハザードマップやARを用いて自宅付近の浸水状況など災害リスクを可視化。ユーザーが災害時に取るべき行動を想定しておけるようにする。

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災害警戒時には、自分が避難すべきか判断しにくい場合があるため、洪水など災害発生を予測し、避難タイミングなど命を守るための情報をリアルタイムで発信するという。将来的には、安全に避難ができるナビゲーションの開発にも着手したいとしていた。

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災害発生時は、今すぐどのような行動を取るべきかという情報を発信。これまでは市区町村単位で情報を発信していたものの、市区町村内の現在位置により伝えるべき危機や必要な情報が違うことから、今この瞬間どこに避難すべきか、何をすればいいかを発信するという。さらに、位置情報から救助を要請できるようにもしていく。

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復旧・復興の場面では、物資・ボランティアのマッチング支援、その後の生活に必要な支援策に関する情報の発信を行う。

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ヘルスケア領域では、LINEヘルスケアが提供する「LINEドクター」を起点に、オンライン診療に加えて、オンラインでの服薬指導から薬の配送までのサービスを新たに展開する。決済なども含めスマホひとつで行えるようにすることで、遠隔医療のサービスをより便利で身近なものにするという。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

2021年度中にオンラインの服薬指導を開始するとともに、「LINEドクター」は国内No.1の提供数を目指す。医療業界のDXにも貢献したいとしていた。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

キーテクノロジーの「AI」に5年間で5000億円を投資、5年間で5000人のエンジニアを増員

また、集中領域を成功させるキーテクノロジーとしては、「AI」を挙げた。ZHDグループが目指すパーソナライズされたサービスは、リアルタイムかつバラエティに富むビッグデータとAIを掛け合わせるからこそ実現できるとしていた。

ZHDグループはすべてのサービスにAIを実装し、新たな価値の創造を推進していくという。AIを中心に各事業を成長させるため、5年間で5000億円の投資を計画するとともに、5年間で5000人のAIの活用に携わる国内外のエンジニアの増員するとした。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

グローバルでの展開としては、すでにLINEのサービス利用が多い台湾、タイ、インドネシアを起点とし、日本での成功事例を展開する。また海外での成功事例を日本市場へ展開していくことも視野に入れる。ソフトバンクやNAVERなどのノウハウ、ネットワークを存分に活かし、海外展開を図っていくとした。

ZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組むZホールディングスとLINEが戦略方針説明会、AIに5年間で5000億円投資し4つの集中領域に取り組む

データの取り扱い

データの取り扱いに際しては「わかりやすい説明」「国内法に基づく運用」「有識者による助言・評価」「プライバシー&セキュリティファースト」という4つのポイントを重視していく。Yahoo! JAPANとLINEとのデータ連携にあたっては、同意取得を前提に、徹底的にわかりやすい説明に努めるほか、各種の国際基準に準拠し安全安心の確保に努めるとしていた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Zホールディングス(企業)ソフトバンク / SoftBank(企業)NAVER(企業・サービス)Yahoo! Japan(製品・サービス)ヤフー(企業)LINE(企業・サービス)日本(国・地域)

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ソフトバンク株式会社(以後ソフトバンク)とNAVERは、ヤフージャパンなどを手掛けるZホールディングス(以後ZHD)とLINEの経営統合を実現するための取引の一環として、LINEをソフトバンクの連結子会社にすると発表しました。また、本日(2月24日)開催した臨時株主総会において、LINEの商号を2月28日よりAホールディングス株式会社(以後AHD)に変更することを決議しました。

AHDは戦略的持株会社として、経営統合後の新生ZHDの株式を65.3%保有します。また、ZHDとLINEは対等の立場で経営統合することから、AHDの親会社であるソフトバンクとNAVERは、AHDの株式を50%ずつ保有し、AHDはソフトバンクの連結子会社となります。

AHDの役員体制については、現在LINEの取締役を務める黄仁埈氏に加え、ソフトバンクの経営陣から宮内謙氏および藤原和彦氏が、NAVERの経営陣から李海珍氏が、それぞれ3月1日付けでAHDの常勤取締役に就任します。このうち、李海珍氏および宮内謙氏は3月2日付けでAHDの代表取締役に就任します。また、社外取締役として、現在JSRの取締役会長で、半導体をはじめとしたテクノロジー領域やグローバルの事業展開に明るい小柴満信氏が就任します。

新商号となるAHDのAには、下記3つの両社経営陣の思いを込めたといいます。

  • 「A-to-Z」の英語表現の意味の通り、グループ全体でシナジーを創出すること
  • 今後、グループ全体でAIを活用した事業領域に注力していくこと
  • まずはアジア(Asia)へ向けた事業展開を志向し、将来はグローバルへ事業を展開していくこと

プレスリリースでは『今後、ソフトバンクとNAVERの両社は、このAHDを通じて、本経営統合後の新生ZHDグループの事業成長をサポートするとともに、両社グループのそれぞれの事業領域における強みを生かしたシナジーを追求してグループの事業基盤と競争力を高め、グローバルレベルで勝ち抜ける企業グループ体制の構築を目指していきます』とコメントしています。

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ソフトバンクがマイアミ拠点のスタートアップ向けに104.7億円のファンドを設立

新興のスタートアップハブであるフロリダ州マイアミが、新たなパトロンを得た。Softbank(ソフトバンク)だ。日本の多国籍コングロマリットは、同社の複数のファンドから集めた1億ドル(約104億7000万円)を、マイアミ拠点のスタートアップに投資する計画を米国時間1月28日に発表した。ちなみに、SoftBankの50億ドル(約5235億8000万円)のラテンアメリカファンドもマイアミに本社を構える。

プロジェクトはSoftBank CEOのMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏が指揮する。このファンドは、マイアミ在住あるいはマイアミに移転予定の企業を支援する。

SoftBankによる出資は、シリコンバレーの通過儀礼的な意味合いがあり、同社の関わりはマイアミの成長が本物であることを他の投資家にも示すものだ。この非課税の安息地は、その成長シーンに参加しようとしている全米の投資家とファウンダーの集団を引き寄せている。移転組には、Founders FundのKeith Rabois(キース・ラボイス)氏、Blumberg CapitalのDavid Blumberg(デビッド・ブルンバーグ)氏、Andreessen HorowitzのChris Dixon(クリス・ディクソン)氏、Craft VenturesのDavid Sacks(デビッド・サックス)氏らがいる。

マイアミのFrancis Suarez(フランシス・スアレス)市長はTwitter(ツイッター)で、技術者たちにマイアミへの移住を勧め、この都市をスタートアップ震源地に変えようとするさまざまな取り組みを推進している。

Career KarmaのファウンダーであるRuben Harris(ルーベン・ハリス)氏は2018年以来、テック業界への人材勧誘でスアレス市長に協力している。

「SoftBankが行動を起こしたことで、他のファンドがこの例に倣うことが予想されます。これは人種だけでなく社会経済や性別の面から見ても多様化の大きな成果です」とハリス氏は語った。同氏はマイアミへの移住を考えている。現在Career Karmaは、VCファンドと協力して古いノートパソコンをReskill Americaプログラムに寄贈し、マイアミの新興労働者の訓練に役立てようとしている。

マイアミ拠点の非営利投資シンジケートであるFunction(ファンクション)のMonica Black
モニカ・ブラック)氏は、SoftBankの参入について「地域のスタートアップに流れる資金の額が増えてシリーズA以降の段階への成長を後押しするだけでなく、共同出資者として他の機関VCを引きつけます」と期待を寄せる。歴史的に、地域のスタートアップがシリコンバレーやニューヨークのファンドから資金を調達するのは難しい、と彼女はいう。例外はPapa(パパ)で、2020年9月に1800万ドル(約18億8000万円)を調達した同社は、高齢者をSound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)やCannan(カナン)のバーチャルコンパニオンとつなぐサービスを提供している。

マイアミ拠点のファンドであるANIMO VenturesのファウンダーNico Berardi(ニコ・ベラルディ)氏は、SoftBankの新たな取り組みを、サンフランシスコのFounders Fundがマイアミにオフィスを開設するという最近のニュースと結びつけた。

「どちらも象徴的な出来事で、象徴は重要だと私は思います」とベラルディ氏はいう。「彼らはここに旗を立てて、ここは将来有望なシーンだと宣言しています」。同氏の16社のポートフォリオ企業の中で、マイアミに拠点を置くのは1社だけだとベラルディ氏はいう。この地に移動する投資家が増えれば増えるほど、多くの人材を引き寄せることができる、とベラルディ氏は楽観している。

「次はマイアミでやろう、というファウンダーを何千人も呼び込むことができると私は期待しています」と同氏は語った。

関連記事:すべてのスタートアップの脳内にある2021年の大問題

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Softbank Groupマイアミ

画像クレジット:John Coletti / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクとアイリスオーヤマがロボット事業の合弁会社設立、AI除菌清掃ロボット「Whiz i アイリスエディション」発表

これまでSoftBank Robotics(ソフトバンクロボティクス)の製品に、強い印象を受けたことがなかったとしても無理もない。今のところ、同社の最も有名な製品は、2015年にフランスのロボット企業Aldebaran(アルデバラン)を買収したことから生まれた、挨拶や宣伝用に設計された人型ロボット「Pepper(ペッパー)」であることは間違いないだろう。

また、同じソフトバンクグループに属する投資会社がBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)を買収し、結局は売却したこともあった。この買収は確かに同社の市場進出を加速させるための手段となったが、2020年末には早くも手のひらを返し、現代自動車に売却された(ソフトバンクグループは20%を保持)。

だが、ソフトバンクのロボットに対する野望は衰えを知らない。その最新の動きは非常に興味深いものだ。日本時間1月27日、ソフトバンクロボティクスはアイリスオーヤマと提携を結び、合弁会社「アイリスロボティクス株式会社」を2021年2月1日に設立すると発表した。

このベンチャーの51%の株式を保有するアイリスオーヤマは(残りの49%をソフトバンクロボティクスが保有)、Reuters(ロイター)がいう「お米から炊飯器まで」を含め、幅広い製品を製造している日本のブランドである。

間もなくその中に、ロボティクスも加えることができそうだ。新たに設立されたアイリスロボティクスは、2025年までに1000億円の事業規模を目指すという非常に積極的な目標を設定している。

共同プレスリリースでは、新型コロナウイルス感染症がアイリスロボティクス設立の大きなきっかけになったと述べている。確かにそれは戦略として理に適っている。この1年で、ロボット工学と自動化への関心が本格的に高まったことは疑う余地もない。

しかし、このベンチャー企業が最初に手がける製品は、特に野心的なものではないようだ。まずは既存の2種類のロボットの「アイリスエディション」を提供・販売するという。ソフトバンクグループが出資しているBear Robotics(ベア・ロボティクス)社の配膳・運搬ロボット「Servi」と清掃ロボット「Whiz」だ。

ソフトバンクロボティクスの代表取締役社長兼CEOである冨澤文秀氏は、次のように述べている。

コロナ禍におけるニューノーマルの実現が急務となる中、ロボットにはさまざまな新しい期待が寄せられています。この度、強力なパートナーシップをアイリスオーヤマと結べたことはロボットソリューションの拡大、浸透にとって非常に大きな前進です。両社の強みを存分に活かし、社会が抱える課題にスピード感を持って応えていきます。

確かに、その技術的な野望は、Boston Dynamicsのような企業が現在取り組んでいるものと比べると地味に見えるが、家庭用ロボットの分野に向けてまず一歩を踏み出すとすれば、アイリスオーヤマは良い位置にいる企業といえるだろう。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:SoftBankアイリスオーヤマアイリスロボティクス

画像クレジット:SoftBank Robotics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

タクシー配車サービスの「DiDiモビリティジャパン」が52億円調達、ソフトバンクグループとのシナジー強化

タクシー配車アプリの「DiDiモビリティジャパン」が52億円調達、ソフトバンクグループとのシナジー強化

DiDiモビリティジャパンAndroid版iOS版)は1月18日、ソフトバンクとDidi Chuxing(滴滴出行。ディディチューシン)より総額52億円の資金調達を1月15日に完了したと発表した。

今回の資金調達により、PayPayをはじめとしたソフトバンクグループ企業とのシナジー強化、乗客の移動の利便性向上および、タクシー事業者の営業効率や売上の向上を実現する新たなプロダクト開発、日本におけるタクシーアプリのさらなる浸透に向けたマーケティング投資を行い、日本の消費者とタクシー業界の方々へ新しい価値の提供を目指す。

DiDiモビリティジャパンは、日本においてタクシー事業者や関係省庁などと連携し、革新的なタクシー配車プラットフォームサービスを提供することを目的として、ソフトバンクとDidi Chuxingからの出資により2018年6月設立。2018年9月より大阪でタクシー配車サービスを開始し、現在は北海道、東京、神奈川、大阪、福岡、沖縄など14の都道府県でサービスを展開している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)Didi / 滴滴出行DiDiモビリティジャパンPayPay日本(国・地域)

ソフトバンクから楽天モバイルに転職した従業員が5G技術に関する不正競争防止法違反容疑で逮捕

ソフトバンクから楽天モバイルに転職した従業員が5G技術に関する不正競争防止法違反容疑で逮捕

ソフトバンクは1月12日、2019年末に同社を退職し、現在楽天モバイルに勤務する人物が警視庁に不正競争防止法違反の容疑で逮捕されたと発表した。また楽天モバイルも同日、同人物の逮捕について発表した

同人物は、ソフトバンクとの間で秘密保持契約を締結していたにもかかわらず、退職申告から退職するまでの期間に、ソフトバンクの営業秘密に該当するネットワーク技術に関わる情報を不正に持ち出していたことが2020年2月に判明。その後ソフトバンクは警視庁へ相談し、被害を申告するとともに捜査に協力してきた。

同人物は、ソフトバンク在籍中、ネットワークの構築に関わる業務に従事していた。不正に持ち出された営業秘密は、4Gおよび5Gネットワーク用の基地局設備や、基地局同士や基地局と交換機を結ぶ固定通信網に関する技術情報という。

なお同人物は、ソフトバンク在籍中顧客の個人情報や通信の秘密に関わる情報、同社通信サービスの提供先である法人顧客の取引先に関する情報へのアクセス権限は保持しておらず、同社営業秘密の中にこれらの情報は一切含まれていないとしている。

ソフトバンクは、同人物が利用する楽天モバイルの業務用PC内にソフトバンクの営業秘密が保管されており、楽天モバイルが営業秘密をすでに何らかの形で利用している可能性が高いと認識しているとした。

今後、楽天モバイルにおいてソフトバンクの営業秘密が楽天モバイルの事業に利用されることがないよう、その利用停止と廃棄などを目的とした民事訴訟を提起する予定。また引き続き、捜査当局に全面的に協力し、同人物への損害賠償請求を含めた措置も視野に入れて、今後の対応を検討するとしている。

またソフトバンクは、全社員に対して定期的に秘密保持契約の締結やセキュリティー研修などを実施してきたが、今回の出来事を受けて、再発防止施策として以下の追加施策を2020年3月以降、順次実施した。

  • 情報資産管理の再強化(管理ポリシーの厳格化、棚卸しとアクセス権限の再度見直し)
  • 退職予定者の業務用情報端末によるアクセス権限の停止や利用の制限の強化
  • 全役員と全社員向けのセキュリティー研修(未受講者は重要情報資産へのアクセス不可)
  • 業務用OA端末の利用ログ全般を監視するシステムの導入

楽天モバイルは、社内調査を徹底しており、現時点までに、同人物が前職により得た営業情報を楽天モバイルの業務に利用していたという事実は確認していないとした。また5Gに関する技術情報も含まれていないとしている。事態の解明に向け、警察の捜査に全面的に協力していくとともに、厳粛に対処するとしている。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:ソフトバンク / SoftBank(企業)5G(用語)楽天モバイル(企業・サービス)日本(国・地域)

英国の市場規制当局がNVIDIAのArm買収に関し意見募集、ソフトバンクから買収成立なるか

英国の競争・市場規制当局は、NVIDIA(エヌビディア)によるArm Holdingsの買収について意見を求めており、この「Nvidia-Arm」買収が競争に与える潜在的な影響について正式な監督を開始する準備を進めている。

昨年9月に発表された、米国を拠点とするチップメーカーによる400億ドル(約4兆1530億円)での英国チップデザイナーの買収は、英国の雇用、産業戦略・経済主権、さらには国家安全保障への影響など、国内で様々な懸念を引き起こしたが、競争・市場庁(Competition & Markets Authority, CMA)の調査は、競争に関連した影響の可能性にのみ焦点を当てることになる。

英国時間1月6日のプレスリリースによると、Arm社が買収後、「NVIDIAのライバル企業に対しIPライセンシングサービスの撤退、値上げ、品質低下」を行うインセンティブがあるかどうかを調査する可能性が高いとされる。

CMAは、正式な調査の開始に先立ち、1月27日までに買収に関するコメントを募集している。第一段階の調査では、外部からのコメントの機会を追加して設ける予定であるとのことだが、CMAによると、買収に関する決定を下す時期は未定とのこと。

詳細はこちらのケースページで閲覧できる。

CMAの最高責任者であるAndrea Coscelli(アンドレア・コスチェリ)氏は声明で次のように述べている。「チップ技術産業は数十億ドルの価値があり、私たちが日常生活で最も多く使用している製品の多くにとって重要なものです。我々は、世界中の他の競争当局と緊密に協力して、この取引の影響を慎重に検討し、最終的に消費者がより高価な製品や低品質の製品に直面することのないように努めます。」

NVIDIAによるArm買収が英国に与える影響について警鐘を鳴らしている人物の一人は、Armの元々の創業者であるHermann Hauser(ヘルマン・ハウザー)氏に他ならない。

ハウザー氏は2020年9月に首相に手紙を出し、英国の雇用やArm社のビジネスモデル、経済主権の将来への影響について「非常に懸念している」と述べた。

ハウザー氏が反対の署名を集めるために立ち上げたウェブサイト(savearm.co.uk)によると、10月12日時点で2000人以上の署名が集まっているという。

CMAだけでなく、他の多くの国際的な規制当局がこの取引を精査することになり、NVIDIAは9月に、クリアランスプロセスには一年半かかると予想していると述べている。

英国の懸念を先取りしようと、同社はエンジニアリング事業の中核的な部分として、ケンブリッジにあるArmのオフィスを2倍に拡張するとともに、そこに「AI研究の拠点となる新たなグローバルセンター」を設立すると述べた。

CMAは、NVIDIAのArm買収に関して諸方面から出されているより広範な国家安全保障上の懸念について、英国政府は「適切な場合」公益介入通知を発行することを選択できると指摘している。

Armは、2016年にはソフトバンクに約310億ドル(約3兆2181億円)で買収された

その後の同社をNVIDIAに売却する取引は現金と株式交換による買収契約で、ソフトバンクへの即時20億ドル(約2076億円)の現金支払いが含まれていた。しかし、この取引の価値の大部分は、規制当局の認可が下りた後、取引終了時にNVIDIAの株式で支払われることになっている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:NVIDIA ソフトバンク 買収

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(翻訳:Nakazato)

2065億円を使い果たした建設業改革のKaterraがソフトバンクから救援資金206億円を獲得

報道によるとソフトバンクグループは、Katerraを救済するために2億ドル(約206億5000万円)を投資している。The Wall Street Journalによると、同社は垂直統合によって建設産業を改造しようとしていた。

Katerraの株主は米国時間12月30日にこの新しい投資を承認し、ソフトバンクからの新たなライフラインは、日本のテクノロジー複合企業が同社にこれまで注ぎ込んだおよそ20億ドル(約2065億円)に上乗せされることになる。

Katerraを倒産から救う資金は、ソフトバンクのVision Fund 1から供出される。WSJによると、KaterraのCEOであるPaal Kibsgaard(パール・キブスガード)氏は株主宛のメッセージでそう述べている。

さらにWSJによると、今回の投資の一環としてソフトバンクが融資している金融サービス企業Greensill Capitalは同社の株式の5%と引き換えにおよそ4億3500万ドル(約449億1000万円)の債務を帳消しにする。

この新たな金融支援は、ソフトバンクがKaterraの救済に乗り出す2020年だけでも2度目の救援措置となる。WSJによると2020年5月には、石油サービスの開発企業Schlumbergerのトップだったキブスガード氏を同社の財務回復のために招聘し、そのための資金としてSoftBankは2億ドルを注いでいる。

Katerraは2015年のローンチ以来これまで、この日本のテクノロジー複合企業から複数回、数億ドル(数百億円)のラウンドを調達している。2018年には、8億6500万ドル(約893億9000万円)を調達(未訳記事)して、そのときKaterraは商用ビルと住宅建設の両方で13億ドル(約1342億2000万円)の契約があり、一部には病院や学生寮もあると主張していた。大きな数字ではあるが、U.S. Census Bureau(米国国勢調査局)によると建設業への支出総額は2018年の11月だけでも1兆ドル(約103兆円)であるため、13億はわずかな額だともいえる。

Katerraは、一部のプロジェクトで工事の遅れやコスト超過に悩まされた。またWSJによると、同社がその会計処理に見つけた不統一性が、頭痛に輪をかけた。

しかし、そういう問題がありながらKaterraの経営は順調で、同社がWSJに与えた数字によると2020年の売上は15〜20億ドル(約1548億8000万〜約2065億円)といわれるている。

カテゴリー:その他
タグ:SoftBank GroupKaterra建築

画像クレジット:Katerra

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ソフトバンクグループが同社初の特別買収目的会社のIPO申請を米国時間12月21日に行うとの報道

Axiosによると、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)は米国時間12月21日月曜日にも、同社初の特別買収目的会社(SPAC)の新規株式公開(IPO)を通じて、5億〜6億ドル(約518〜621億円)の資金調達を申請する可能性があるという。

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズは2つのビジョンファンドを運用しており、今後もさらに2つのSPACを計画していることが報じられている。

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのRajeev Misra(ラジーヴ・ミスラ)CEOがMilken Institute Global Conferenceで講演した際に、SPACを計画していること(CNBC記事)を明らかにしたのは2020年10月のことだった。特別買収目的会社によりビジョンファンドが民間企業に投資する別の方法を提供できるだけでなく、一般の投資家がSoftBank(ソフトバンク)のポートフォリオに投資することを可能にする。

特別買収目的会社は他の企業の合併や買収を目的に設立される非上場企業であり、伝統的な株式市場への上場への上場に代わるものとして、2020年になって人気を集めている。

これはソフトバンクにとって初のSPACとなるが、同社の投資先企業の1つである不動産プラットフォームのOpenDoorは、最近SPACを通じて上場した。もう1つの投資先であるインドネシアのeコマース大手のTokopediaも、パンデミックの影響でIPO計画が中断した後、Richard Li(リチャード・リー)氏とPeter Thiel(ピーター・ティール)氏が支援するSPACを通じての上場を検討している(Financial Times記事)。

TechCrunchはソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズにコメントを求めている。

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カテゴリー:その他
タグ:ソフトバンクソフトバンク・ビジョン・ファンド特別買収目的会社

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ソフトバンク孫正義氏「手元キャッシュ8.3兆円、楽観的だが短期的には突発事態も予測」

日本のテクノロジーコングロマリット、SoftBank(ソフトバンク)の創業者で会長、CEO(最高経営責任者)の孫正義氏は、この1、2年大波乱を経験した。しかし今回のDealBookでのインタビュー(The New York Times記事)で孫氏は「自分が復帰してからグループは黒字になった」という点を強く主張した。

米国時間11月17日、バーチャル開催されたDealBookカンファレンスが配信され、孫正義氏は東京から参加してTikTokの今後を含め、幅広い話題について語った。ソフトバンクはTikTokの親会社、ByteDanceの大口投資家であるため当然見通しは楽観的だ。一方、ソフトバンクが投資失敗で数十億ドル(数千億円)を失ったWeWorkの追放された共同ファウンダーであるAdam Newman(アダム・ニューマン)氏については「いつか彼は大成功するだろうと強く信じています」と述べている。一方、孫氏が大規模な資産売却を実行したことにより、ソフトバンクには「手持ちキャッシュが800億ドル(約8兆3200億円)ある」として臨機に大型投資する能力に不安がないことを強調している。

孫氏の発言をリアルタイムで見なかった読者も多いと思うので、ハイライトを紹介したい。孫氏は「楽観的だが短期的には悲観的事態も予測」しているらしい。

新型コロナウイルスパンデミックの影響

孫氏は去る2020年3月、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する見解をツイートした後、日本の医療専門家からパニックを引き起こそうとしたと強く批判されたと語った。

その後ソフトバンクは、日本最大級の民間検査施設の運営をスタートした。日本は人口1億2650万人で、現在1日あたり約1300件の新規感染が確認されている(米国は人口3億2800万人に対して、1日あたり16万6000以上の新規感染)。

パンデミックとの戦いで日本がこれまで成功を収めている点について孫氏は「人々は自発的にマスクを着用しています。みんなマスクの重要性を強く意識している」と述べ市民を称賛した。しかしワクチンの大量生産と接種が実現には、時間がかかる。孫氏は「この2、3カ月であらゆる災害」が発生し得ると警告した。「大手企業が突然破綻してドミノ現象を引き起こす」可能性があるという。つまり2008年にリーマン・ブラザーズが突如倒産し、金融業界全体に激震が走ったのと似たような事態だ。

孫氏は「現在のような状況ではどんなことが起きるかわからない。ワクチン開発が進んでいるというのは良いニュースですが、まだ最悪のシナリオに備える必要があると考えています。いま私たちの手元には800億ドルのキャッシュがあります。この種の危機では万一の場合に備えたキャッシュの用意が非常に重要になると思います」と述べた。

巨額キャッシュの使いみち

インタビューを行ったAndrew Ross Sorkin(アンドルー・ロス・ソーキン)氏は、孫氏はElliott Managementについては特に言及しなかったと述べた。このヘッジファンドはソフトバンクグループの第2の大株主であり、同ファンドが孫氏に大規模な資産売却と株価テコ入れのための自社株買いを行うよう圧力をかけたと報道されている

孫氏は、低迷したソフトバンク株を買い戻したのは自分で決めたことだと述べた。3月に株価が暴落したとき同氏は「時価総額が70%、いや75%も下がった。あ、これは最高のタイミングだと思って買い戻しを決断した」という。つまり以前の4分の1の価格で自社株を購入できたわけだ。「これは絶対に買いだ」と思ったという。

資産売却で得たキャッシュの使いみちについて、孫氏は「パンデミックのために業績が悪化している既存のポートフォリオ企業に資金を供給するためなのか、それとも株価が暴落した他の企業の株を割安に買えると期待したのか」という質問にも答えた。

当然のことながら孫氏は資金の使いみちとしてポートフォリ企業を挙げ、「こうしたトップ企業にすかさず投資することにはとても積極的です」と述べた。こうした追加資金によってユニコーンの株価は大きく改善したという。

WeWorkへの投資失敗の教訓

ソーキン氏はユニコーンでは、WeWorkの件について触れた。WeWorkは、ソフトバンクが少なくとも185億ドル(約1兆9240億円円)を投資したことで有名だが、孫氏は同社の事業不振で数十億ドルの損失を被った(The Japan Times記事)ことを認めた。

ソーキン氏は、WeWork事件からソフトバンクはどういう教訓を得たのかと尋ねた。孫氏はインタビューの後半で「間違った決定をしたと認めることが、失敗から教訓を得る方法です」と述べたものの、WeWorkに関しては必ずしもソフトバンク側の失敗だとは考えていないらしく、共同ファウンダーで1年前に会社を追われた元CEO、アダム・ニューマン氏に問題があったことを示唆した。

「これは、アダム・ニューマン氏が自分の間違いから教訓を汲み取っているところだと思います。ニューマン氏は非常に優秀な人間なので、いくつかの判断ミスをしたことを認めていると思います。彼は頭が良くアグレッシブで、多くの才能を持ち、自分のビジョンを売り込む高い能力がある。リーダーとして素晴らしいタイプだと思います。しかしニューマン氏がいくつかの間違いを犯したことも確かです。間違いを犯さない人間はいません」と孫氏は述べた。

「私(孫)にも間違った意思決定の責任の一部があります。いまでもニューマン氏が好きですし、尊敬しています。ニューマン氏はやがて復活して、素晴らしいことをしれくれるはずだと確信しています。いつか大成功を収めるでしょう。WeWork時代のあれこれから多くの教訓を学んだと思います」と孫氏は付け加えた。

米国政府とTikTokの米国事業

TikTok事業の成否にも孫氏は重大な関係がある。TikTokの親会社であるBytedanceの30億ドル(約3120億円)の資金調達ラウンドをリードしたのは約2年前だった。当時780億ドル(約8兆1100億円)の価値があったが、最近の報道によれば、未公開企業でありながら1800億ドルと(約18兆7200億円)いう途方もない会社評価額で新ラウンド(Reuters記事)を実施中だという(このアグレッシブさは極めてソフトバンク的スタイルの投資だ。ソフトバンクが次のラウンドを以前の評価額の2倍以上でリードできるかどうかは興味あるところ)。

この秋、TikTokの米国事業を売却するようBytedanceに強い圧力がかかりOracle、Walmartが共同で値付けした点についても触れ、「大勢が楽しんでいるサービスが、ありもしないことに対する懸念から政治的に中断されるなら残念なこと」と述べた。

実際、孫氏は親会社Bytedanceのトップと話し合った結果として、「TikTokは米国であれインド、日本、ヨーロッパであれ事業を展開している国々の国家安全保障やユーザーのプライバシーを損なう意図はまったくありません」と保証した。またTikTokに対する疑念が続く地域には、「国内にサーバーを設置するなど国家安全保障の保護について安心できるような解決策はあります。技術的な解決策は常にあるのです」と述べた。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:孫正義ソフトバンクWeWorkTikTokByteDanceCOVID-19新型コロナウイルス

画像クレジット:Alessandro Di Ciommo/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクが日本の人手不足のレストランにBear Roboticsの給仕ロボ「Servi」導入へ

 

2020年1月、SoftBank(ソフトバンク)はBear Roboticsに3200万ドル(約33億7600万円)のシリーズAのベンチャー資金を投資した。このサンフランシスコ地区のロボットスタートアップはGoogle(グーグル)の元幹部エンジニアがファウンダーで、ソフトバンクは出資を手始めにBear Roboticsを積極的に支援してきた。

ソフトバンクがロボットにとってブレークスルーとなる時代が来たと考えている理由は容易に推測がつく。人手不足が世界に拡大しているからだ。新型コロナウイルスの蔓延によるパンデミックでソーシャルディスタンスが強制されていることがこれを加速している。

少子高齢化による人口の減少をはじめとするさまざなな要因から、日本における労働力の不足はなかでも深刻だ。これにパンデミックが追い打ちをかけている。今週、ソフトバンクはBearのServi ロボットを日本のレストランに導入する計画(Business Wire記事)を発表した。

報道によれば、ユーザーは月額10万円3年間のリース契約(Business Wire記事)でServiを利用できる。ロボットが実際に日本に登場するのは2021年1月からだ。Serviは自走するテーブル形の給仕ステーションで、レストランのウェイター業務を増強、代替できる。各ロボットは2人分の注文を運ぶことができ、食事後の回収用バケットも備えている。

ソフトバンクロボティクス新事業戦略発表会:2020年9月29日午前9時45分より開始

このロボットは基本的にグーグルの自動運転車のテクノロジーを応用しており、LiDARによって全周の障害物を検知して安全なナビゲーションを行う。床の上に落とされた財布などの障害も避けることが可能。またタブレットのアプリからリモートで操作できる。ユーザーはタッチスクリーンで入力する。Bear Roboticsの発表によれば、各ユニットは8-12時間程度の連続運用が可能だという。

ソフトバンクが投資するBoston Dynamicsの四脚の犬型ロボットはもちろん、ソフトバンク自身の人型のPepperなどと比較してBear Roboticsの給仕ロボットは見たところとてもシンプルだ。しかしロボティクスに関しては最もシンプルなアプローチが最善であることがよくある。

関連記事:ソフトバンクが支援する料理配膳ロボ開発のBear Roboticsとは?

カテゴリー:ロボティックス

タグ:ソフトバンク Bear Robotics Servi 資金調達

画像クレジット: Bear Robotics

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクやトヨタなど出資のMONETがMaaSシステム向けAPIを提供するマーケットプレイス公開

ソフトバンクやトヨタなど出資のMONET、MaaS用API提供の「MONETマーケットプレイス」公開

ソフトバンクとトヨタ自動車などが共同出資しMaaS(Mobility as a Service)事業を展開するMONET Technologies(MONET)は9月28日、MaaSシステム開発に活用できる天気・観光・地図情報など様々なデータや決済システム向けにAPIを提供する「MONETマーケットプレイス」を正式にオープンした。2020年度内にオンデマンドバスのAPIも提供を開始する予定。

また今回の正式オープンにより、一般企業がMONETマーケットプレイスを利用できるようにするほか、MONETマーケットプレイスにAPIを提供する企業を募集する。

MONETマーケットプレイスは、企業や自治体のMaaSの実現を包括的に支援するプラットフォーム「MONETプラットフォーム」の一部として提供するもの。同プラットフォームは、車両データや移動データなどを集約するデータ基盤と、MONETマーケットプレイスで構成される。MONETは、「MONETコンソーシアム」加盟のシステム開発企業などを対象に、4月からMONETマーケットプレイスの試験利用を実施し、正式オープンに向けた準備を行ってきた。

9月28日から提供するAPI

  • 決済(MONET): SBペイメントサービスのオンライン決済サービスを利用し、クレジットカードとPayPay(オンライン決済)での決済が可能
  • チケット(MONET): 予約情報や決済情報を基に、乗車券・入場券として利用できるQRコードを発行
  • 天気予報 API(ウェザーニューズ): 全国(1kmメッシュ)の天気予報を1時間ごとに取得できるAPIと、指定場所の最寄りの観測地点における過去の観測データを、2008年までさかのぼって取得できるAPI
  • るるぶDATA API(JTBパブリッシング): 旅行情報誌「るるぶ情報版」などに掲載されている全国の観光スポット情報やイベント情報・温泉地情報、観光視点で区切った全国のエリア区分の情報を取得できるAPI
  • いつもNAVI API(ゼンリンデータコム): 多彩な地図・位置情報サービスをウェブサイトやスマホアプリなどに実装するための開発ツールがセットになった、エンタープライズ向けサービス
  • Loogia(オプティマインド): 過去の走行データを活用してラストワンマイルにおける最適な配送ルートを計算する、配送および輸送事業者向けのAPI

今後提供が決まっているAPI

  • オンデマンドバス(MONET): オンデマンドバスの運行に必要な予約や運行管理などのAPIをまとめて提供。2020年度内提供予定
  • iTrust本人確認サービスAPI(サイバートラスト): マイナンバーカードと公的個人認証サービスの活用により、犯罪収益移転防止法に対応したオンラインでの本人確認や現況確認を実現するサービス

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NVIDIAがArmをソフトバンクグループから4.2兆円超で買収、半導体大手2社が一体に

数週間にわたる断続的な憶測を経て、NVIDIA(エヌビディア)は米国時間9月13日夜、半導体設計追ってのArm Holdings(アームホールディングス)を総額400億ドル(約4兆2450億円)で現在の所有者であるソフトバンクグループから買収する意向を正式に表明した。ソフトバンクグループは2016年に320億ドル(約3兆4000億円)でArmを買収していた。3社の取締役会すべてがこの取引の概要を承認している。

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この取引にはいくつか複雑な点がある。ソフトバンクグループは契約書署名後直ちに20億ドル(約2100億円)を現金で受け取る。その後、取引実行時に現金100億ドル(1兆600億円)およびNVIDIA株215億ドル(約2兆2800億円)を受け取る。この株式はNVIDIAの10%弱にあたる。さらにソフトバンクグループは、実績ベースのアーンアウトとして現金と株式を合わせて50億ドル(約5300億円)を受け取る見込みだ。買手企業が売手企業に対して買収対価の一部を支払うことを規定する、いわゆるアーンアウトの条件と時期は公表されていない。

買収価格400億ドルには、既存Arm社員の株式報酬15億ドル(約1600億円)も含まれており、社員は現在6000人以上いると同社は説明している。全体でソフトバンクグループは、アーンアウトが実施された場合、385億ドル(約4兆円)を手にすることになる。

NVIDIAはArmのInteret of Things(モノのインターネット)部門を除く全製品グループを買収する。モノのインターネットはArmが中核であるモバイルチップ設計事業以外に最近力を入れている分野の1つだ。

複雑な所有構造と複数の国が関わっていることから、契約実行には1年半を要すると見られており、規制当局および反トラストの承認を、米国のほかArmが拠点を置く英国、中国、および欧州連合のそれぞれから取得する必要がある。

NVIDIAは声明で、英国を同社技術部門の中心として注力することを明言しており、これは今年のブレグジットでEUを離脱した後の英国テック事業経済の競争力に対する、英国政府の懸念を鎮静化させる目的であることはほぼ間違いない。

同社は、Armのケンブリッジ事業所は拡張予定であり「最新AI研究の新たな世界的中心地を構築する」予定だと説明している。

この取引は、一連の大きな損失の回復に努めてめているソフトバンクグループにとって即効性のある現金注入だろう。契約金額の大きな部分を占めるNVIDIA株によって、ソフトバンクグループは再び同社の主要株主になる。日本の電話会社は、かつて同社のVision Fund(ビジョンファンド)を通じてNVIDIAの4.9%を保有していたが、2019年に33億ドル(約3500億円)で手放していた(Wall Street Journal記事)。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がデジタル療法のBiofourmisへの100億円超投資をリード

AIによるデータ分析とバイオセンサーを結びつけて治療の進捗をモニターするBiofourmisが、いま世界で最も注目を集めている投資家からの資金を調達した。このデジタル療法企業はシンガポールで起業し、現在本社はボストンにある。同社は米国時間9月2日間、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がリードする1億ドル(約106億円)のシリーズCを完了したことを発表した。既存投資家であるOpenspace VenturesとMassMutual Ventures、Sequoia Capital、およびEDBIもこのラウンドに参加した。

同社のこの前の資金調達の発表は、2019年5月の3500万ドル(約3億7000万円)のシリーズA(未訳記事)で、これはSequoia IndiaとMassMutualがリードした。後者は、Massachusetts Mutual Life Insurance Companyのベンチャーキャピタル部門だ。

Biofourmisのプラットホームは、AIを使った健康分析と着用型のセンサーを組み合わせて、ヘルスケアのプロバイダーによる患者の回復の進捗や薬などの処置の効果の判定を助ける。同社は2015年にCEOのKuldeep Singh Rajput(クルディープ・シン・ラージプート)氏と専務取締役のWendou Niu(ウェンドゥ・ニュー)氏が創業した。同社によると今回の投資は、東南アジアのヘルスケアスタートアップへの投資額としてこれまでで最大である。同社は、ボストンとシンガポールのほかに、スイスとインドにもオフィスがある。

同社のシリーズAの資金調達以来、Biofourmisは一連のパートナーシップにより成長を続けた。その主なパートナーは、7社の製薬企業と10社の医療システムだ。Novartis、AstraZeneca、Mayo Clinicなどの有名企業も含まれる。買収もいくつか行い、それにはバイオセンサーのBiovotionとガン患者のためのデジタル療法企業であるGaido Healthが含まれる。

今回の資金の主な用途は、心臓病や呼吸器疾患、腫瘍、痛みなどの新しい治療法を検証し、市場に持ち込むことだ。Biofourmisはまた、米国とアジア太平洋市場、特に中国と日本への拡張を計画している。

Biofourmisの本日の発表によると、今後同社は経営を、Biofourmis Therapeuticsと Biofourmis Healthの2本立てにする。前者Biofourmis Therapeuticsは、AstraZenecaや中外製薬などとのパートナーシップにより、医薬処置の効果を増強するためのソフトウェアを作る。そしてBiofourmis Healthは、同社の本拠地的医院として、ヘルスケアのプロバイダーが患者の急性期治療からの回復過程をリモートでモニターできるようにする。Biofourmis Healthは特に、心臓病と冠動脈疾患、呼吸器疾患、およびがんにフォーカスする。

EDBIはシンガポールの政府系投資企業で、ヘルスケアなど、国の産業の進歩に寄与するようなスタートアップを探している。EDBIのBiofourmisへの投資は政府としての戦略的投資でもあり、同社の技術による新型コロナウイルス再発(Channel News Asia記事)の対処が期待されている。

昨年の7月に発表されたソフトバンク・ビジョン、ファンド2は、AIを利用する技術に約12兆円を投資することを目的に創設された。最初のビジョン・ファンドは巨額の損失に直面しているが、その多くはWeWorkとUberから発生している。そこで今では、ヘルスケアなど特定の市場に集中するビジョン・ファンド2のパフォーマンスが注目されている(CNBC記事)。これまでヘルスケアの分野では、薬のデリバリーのAlto(Business Insider記事)、ライフサイエンスのKarius(Kariusプレスリリース)などに投資済みだ。これらの投資も、やがてその効果が判定される。

プレス向けの声明でSoftBank Investment AdvisersのパートナーであるGreg Moon「グレッグ・ムーン)氏は「医療の未来は予測的ヘルスケアにある」と信じている。そして「Biofourmisは、デジタル療法の進歩にAIと機械学習によるモデルを用いる技術の先頭を歩んでいる」と続けた。

画像クレジット: Biofourmis

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa