Clubhouseが日本語対応、最新アップデートで13言語を追加し多言語化、Android版から展開開始

ボイスファーストのソーシャルメディアであるClubhouse(クラブハウス)は、学校に戻って十数の新しい言語を学んだ。同社は、インドで行われた記者会見で、アプリに13の新しい言語を追加したと発表した。これにより、母国語での利用を望むユーザーにとって、より利用しやすいものとなっている。今回のアップデートでは、英語を話せない多くの人々や、単にローカル言語のオプションを好む人々のために、ローカライゼーションが組み込まれている。

ローカライズされる言語は、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、インドネシア語、イタリア語、日本語、カンナダ語、韓国語、マラヤーラム語、ブラジルポルトガル語、スペイン語、タミル語、テルグ語の13言語だ。世界で最も話されている言語のトップ10のうち4つ(中国語、アラビア語、ベンガル語、ロシア語)が含まれていないのは、興味深いラインナップといえる。

これらの言語は、まずAndroid版のアプリで提供開始されるが、これは理にかなっている。Statcounterによると、インドのモバイルユーザーの96%以上がAndroidを利用しており、iOSのシェアは約3%と遅れをとっている。今回のアップデートでのAndroidファーストのアプローチは、Android版の提供に恥ずかしいほど長い時間を要した同アプリにとって好ましいものだ。

Clubhouseの広報担当者は、TechCrunchへのメールで、「英語しか対応していないアプリで、これほど多くの国の人々が集まって利用して下さったことに、正直驚きました」と述べている。まあ……そうだろう。

Clubhouseは、複数の言語の大切さを新たに発見したことに加えて、建築家からミュージシャン、シンガーソングライターに転身したAnirudh Deshmukh(アニルド・デシュムク)氏(上の画像)をモデルにした新しいアプリアイコンを発表した。ムンバイを拠点とするデシュムク氏は、2021年初めにClubhouseに参加し、春には現在7万2000人のメンバーを抱えるクラブ「Anirudh」を立ち上げ、毎晩自身の番組「Late Night Jam」をホストしている。

画像クレジット:Clubhouse

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

Azureがカオスエンジニアリングツール「Chaos Studio」を発表

カオスに頼るのは健全なエンジニアリングの方法ではないように思えるかもしれない。しかしカオスエンジニアリングは急速に、現実の障害で複雑なシステムが試される前にテストをする標準的な方法になりつつある。Netflixのエンジニアリングチームが2012年にChaos Monkeyを開発し、これは今でもよく使われるツールの1つだ。米国時間11月2日、Microsoft Azureも同社プラットフォーム上でユーザーが利用できる同様のツール、Azure Chaos Studioを発表した。

AzureユーザーはChaos Studioを使って、自分のアプリにランダムな停止、極端なネットワークレイテンシー、シークレットの無効化、さらにはデータセンターの完全な停止などを発生させ、実際の障害時にアプリがどう反応するかを確かめることができる。こうしたことが発生した場合に何が起きるかの理論を構築し、それに応じて計画を立てる方法はある。しかし実際の動作を見るのは、また別の話だ。現在のデータセンターインフラストラクチャの複雑さを考えれば、どこかで発生した小さな障害が雪崩のように大きな問題となるのはあり得ることで、あなたが気づく前にプラットフォームは数日間ダウンしてしまう。

ちなみにAWSはFault Injection Simulatorで同様の機能をユーザーに提供している。人気のエンジニアリングのコンセプトで多く見られるようにこうした分野のスタートアップもあり、例えばGremlinはカオスエンジニアリングに特化したサービスを提供している。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft Azureがハイブリッド及びマルチクラウドの機能を拡大

Microsoft Azureは近年、競合他社と同様、企業が単一のプラットフォームを使ってクラウドや自社のデータセンターの仮想マシンやコンテナを管理できるツールを数多く発表してきた。その主要なツールがAzure Arcだ。Microsoft(マイクロソフト)は米国11月2日のIgniteカンファレンスで、Arcの新機能やハイブリッド及びマルチクラウドのラインナップ全体を紹介した。このイベントがITプロフェッショナルを対象としていることを考えれば、Igniteでの発表は驚くにあたらない。

「顧客は、何千、何万ものアプリ、データベース、サーバーを様々な場所で運用しています」とMicrosoftのAzure Edge and Platform担当コーポレートバイスプレジデントであるRoanne Sones(ロアンヌ・ソンズ)氏は話す。「規制は常に進化し、拡大しています。セキュリティ攻撃はますます巧妙になっています。一貫性をもってそれらに対応することは、セキュリティ攻撃が実行される環境の広がりを考えると、非常に難しくなっています。かなりの負担を強いられます。そこで同時に、クラウドに注目し、その革新的な乗り物に便乗したいと考えますが、クラウドに移行できないワークロードがあり、それは困難です。クラウドで利用できるものを、必要な場所と方法で実際に運用するには、どうすれば良いでしょうか」

ソンズ氏は、すべてを一貫して管理する方法を見つけることが第一歩だと主張する。最近のインフラの複雑さを考えると、道のりは幾分長い。MicrosoftはIgniteで、管理を容易にするいくつかの新しい統合機能を紹介した。その中には、Azure Stack HCI、VMware vSphere、Azure Policy Guest Configurationとの統合が含まれる。例えば、Azure Stack HCI(HCIは「hyperconverged infrastructure=ハイパーコンバージドインフラ」の略)は、デフォルトでArcに対応する。また、vSphereユーザーは、AzureからセルフサービスのVMコントロールが利用可能になり、vSphereテンプレートに基づいてVMを管理できるようになる。さらに、Azure Arcは、以前のアップデートですでにArc対応環境でのモデルの構築とトレーニングが可能になっていたが、今回、機械学習の推論もサポートする。

「クラウドとエッジの間に完全な一貫性を持たせることができるようになりました」とソンズ氏は語る。「データを移動したくなければ、その必要はありません。これまでは、オンプレミスにデータを移動させる必要がありました。クラウドでは、Arcに対応したすべての機能を利用し、それを持ち帰ることができます。新しいフルライフサイクルを実現させたのです」

現在、Microsoftの顧客の多くは、そうしたAI機能を概念実証で使用しているが、必ずしも本番環境で使用しているわけではない。しかし、ソンズ氏によれば、すでにマルチクラウド環境でモデルを本番環境に投入し始めている顧客もいるという。これは、Azureの顧客(名の知れたユーザーとしてNokiaがいる)が、規制の多い業界で活動していることが大きな理由だ。

オンプレミスの利用に配慮した、もう1つの関連する新機能は、Azure Virtual Desktopsの提供開始だ。顧客のオンプレミスのデータセンターにあるAzure Stack HCI上で、マルチセッションのWindows 10および11のデスクトップインスタンスをクラウド上で実行する機能だ。ソンズ氏によると、これは規制産業のユーザーが求めていた機能だが、こうしたローカルでの展開は、レイテンシーが問題となる場合でも重要だ。

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画像クレジット:sedmak / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

Zoomが無料ユーザー対象の広告表示をテスト

Zoomは「ベーシック」の無料プランユーザーに対して広告を表示する試験的なプログラムを導入する。同社は、広告は投資の支えとなり、プラットフォームを無料のユーザーに今後も提供できると述べている。

基本プランユーザーがホストするミーティングに参加する基本プランユーザーに対してのみ、広告が表示される。最初のテストでは、ミーティングを終了するときにユーザーが見るブラウザのページに広告が表示される。最初のテストの完了後に、ユーザーインターフェイスの別の場所に広告が表示される可能性がある。

テストの一環としてCookie管理ツールへのリンクを示すウェブサイトにバナーが表示されるので、ユーザーはどんな広告が表示されるのかを管理できる。同社は、プライバシーの声明を更新してミーティング、ウェビナー、メッセージングのコンテンツをいかなるマーケティング、プロモーション、サードパーティの広告目的にも使用しないと明記したとも述べている。

画像クレジット:Zoom

Zoomはミーティング中は広告が表示されないと明言しているが、この最新の動きは大きな変更だ。無料の基本サービスでは最長40分のグループミーティングをホストすることができるため、Zoomはコロナ禍で爆発的な人気を得た。今回の変更で無料の基本ユーザーに対して新たな制限が課されることになるが、同社はこれは必要なステップであるとしている。

Zoomの最高マーケティング責任者であるJanine Pelosi(ジャニーン・ペロシ)氏はブログ投稿の中で「この変更によって、無料の基本ユーザーは我々が常に提供してきた堅牢なプラットフォームのまま、引き続き友人、家族、同僚とつながることができます」と述べた。

今回の変更が導入される前の2020年、Zoomは人気のビデオ会議ツールにはとどまらない存在になろうとしていた。2021年4月には同社プラットフォーム用アプリを開発する企業に投資するために1億ドル(約113億円)のファンドを開設した。2021年8月にはこのファンドから最初の投資ラウンドを実施した。

買収に関しては、機械学習ベースのリアルタイム翻訳を導入するためにドイツのスタートアップであるKarlsruhe Information Technology Solutions、略称「Kites」を買収する計画を2021年6月に発表した。さらにクラウドベースのカスタマーサービスソフトウェアメーカーであるFive9の買収も計画していたが、こちらはその後中止された

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

Tinderの殺人ミステリーをテーマにした新しい「スワイプナイト」が11月7日に復活

Tinder(ティンダー)は、ユーザーがマッチングしてチャットする以外の別の方法で打ち解けることができる、アプリ内のインタラクティブなイベント「Swipe Night(スワイプナイト)」を復活させる。Tinderは、第1シーズンの「あなたが選ぶアドベンチャー」のような世界の終末的なストーリーで2000万人以上のユーザーを獲得した後、今度は「whodunit(ホワイダニット)」と呼ばれる殺人ミステリーをテーマにした新しいイベントを導入すると発表した。このイベント「Swipe Night:キラー・ウィーク」は、米国時間11月7日の午後6時にスタートする。

「スワイプナイト」は、6月に導入されたTinderの新しいセクション「Explore」で実施されるが、このセクションには今後、より多くのソーシャル体験が搭載されることになる。このセクションには「スワイプナイト」以外にも、スピードデートのように時間を区切ってメンバー同士がリアルタイムでチャットできる「Hot Takes(ホット・テイク)」や、同じ趣味を持つ人と出会える「Passion(パッション)」などがある。

今回、Tinderは「スワイプナイト」の仕組みにいくつかの変更を加えた。今回のイベントでは、ストーリーを見て次に何をすべきかを選択するのではなく、Tinderユーザー自身が殺人事件の容疑者になるという、より直接的なイベントになっている。また、プレイヤーは家の中の部屋を探索・検索したり、物を調べててがかりを探したりすることができる。

毎週末、参加者は自分の怪しいと思うユーザーを選ぶことになるが、その際、別の容疑者を選んだ別のユーザーと「Fast Chat(ファスト・チャット)」(マッチングしなくてもチャットができる)でペアを組み、感想を語り合ったり、手がかりを分析したりして、一緒に謎を解き明かすことになる。これらのペアリングは、年齢、性別、距離などの要素で探している人物を示したユーザーのプロフィール設定に基づいたアルゴリズムにより行われる。しかし、ユーザーが別の容疑者を選択することで、会話を円滑に進めることができる。オンラインの出会い系アプリでは、ユーザーが最初の言葉を交わすのに苦労することが多いのだが、ここではそのようなことはない。

会話が終わり、プレイヤーが「スワイプナイト」の体験を超えて相手と話を続けたい場合、相手とのマッチングを選択することができるようになっている。

同社は、このようなプレッシャーの少ないチャットによって、ユーザーはマッチングの前に相性を試しやすくなり、アプリ内でメッセージを送信しても翌日まで見られない可能性があるよりも、全体的に良い体験ができると考えている。また、一緒にゲームをすることで、ユーザーは自分の考えや選択をよりリアルに表現できるようになるかもしれない。これは、ユーザーのプロフィールを見て即決するよりも、相手を知るためのより良い方法だとTinderは主張している。

さらに、Tinderのプロダクト担当副社長であるKyle Miller(カイル・ミラー)氏は、このようなリアルタイムのチャットは、TinderのZ世代のような若いユーザーに好まれていると述べている。

「人口統計学的に見て、Z世代は、新しい人と出会うために、このようなインタラクティブで楽しい方法をより多く利用しています」と同氏は説明する。「これが、私たちが『Explore』を作った大きな理由の1つです。Tinderが生き生きとしていて、体験的で没入感のあるものにしたかったのです…。スワイプしてマッチングしてチャットするという同じパターンを何度も繰り返していると、単調になってしまいます。これは私たちが望んでいたことではありません。楽しさや目新しさだけでなく、本質的なものを注入することで、Z世代が本当に惹かれていることがわかると思います」とミラー氏は述べている。

Tinderは「スワイプナイト」をより広く提供するために、オリジナル版が米国のみでスタートしたのに対し、今回は世界25カ国の市場で開始する。

また、第1シーズンとは異なり、いつでもプレイできるようになる。

「前回の『スワイプナイト』は、日曜日や週末にしかプレイできず、かなり限定的なものでした。しかし、今回は『Explore』セクションでライブ配信され、シーズン終了後も『Explore』セクションで利用できるようになります。半年後には、実際に『スワイプナイト』に参加して、今日のストリーミングと同じように、エピソードを再視聴、つまり再体験して、より多くの手がかりを探しに行くことができるでしょう」とミラー氏は述べている。

同氏は「スワイプナイト」のすべてのバージョンではないにしても、ユーザーがいつでも参加できるインタラクティブな体験のカタログを用意するという将来的な可能性も否定はしなかった。

このような種類の体験が開始されれば、Tinderは時間をかけてユーザーのエンゲージメントを高め、会員にとってより良い結果をもたらすことができるだろう。Tinderによると、最初の「スワイプナイト」の2000万人のユーザーは、マッチ数が26%増加したという。また、現在「トゥルー・クライム(実録犯罪)」系のジャンルへの関心が過去最高となっており、それに言及したプロフィールが年初から20%増加している。Tinderのユーザープロフィールの3万件以上に「犯罪のパートナー」を探していると書かれている。

今シーズンの「スワイプナイト」は、Sasie Sealy(サジー・シーリー)氏が監督を務め、Z世代の若手キャストとして、Ashley Ganger(アシュリー・ガンガー:『グランド・アーミー』 / Netflix)氏、Calvin Seabrooks (カルヴィン・シーブルックス:『ドールフェイス』 / Hulu、『ウエストワールド』 / HBO Max)、Luke Slattery (ルーク・スラッタリー:『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』、『レイトナイト 私の素敵なボス』)氏、Francesca Olivia Xuereb (フランチェスカ・オリビア・シューレブ:『Room203』、『The Sex Lives of College Girls』 / HBO Max)氏、Nozipho Mclean(ノジポ・マクリーン:『インヘリタンス』、『Are You Happy Now』)、Ivan Carlo (イワン・カルロ:『ゴシップガール』 / HBO Max)氏、Emile Ravenet(エミール・ラベネット)氏が出演する。

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Amazon Music、米国でポッドキャストに「文字起こし」機能を搭載

Amazon Music(アマゾンミュージック)は米国時間11月2日より、米国のユーザーを対象に、一部のポッドキャストで自動生成された同期トランスクリプト(文字起こし)の提供を開始する。iOSおよびAndroidのAmazon Musicアプリの最新版では、Amazon Originals(アマゾンオリジナル)とAmazonが所有するネットワークのWondery(ワンダリー)が提供する一部のポッドキャストの最新エピソードの文字起こしが提供される。また、American Public Media(アメリカンパブリックメディア)、audiochuck(オーディオチャック)、Cadence13(ケイデンス13)、The New York Times(ニューヨークタイムズ)、Stitcher(スティッチャー)、TED(テッド)が提供する「My Favorite Murder(マイフェイバリットマーダー)」「Crime Junkie(クライムジャンキー)」「Modern Love(モダンラブ)」「This American Life(ディスアメリカンライフ)」などの一部の番組でも文字起こしが利用できるようになる。

2020年9月にAmazon Musicにポッドキャストを追加して以降、この文字起こしは同アプリが実装した初めての大きなポッドキャスト機能だ。Spotify(スポティファイ)は、5月にSpotify Exclusive and Original(エクスクルーシブアンドオリジナル)の番組に対して同様の機能をベータテストした。Apple Podcastのクリエイターは、番組ノートに文字起こしを記載することができ、それをアプリ内で検索することができるが、今回のAmazon Musicのように音声と同期していなかった。

画像クレジット:Amazon Music

リスナーはアプリ内でパラグラフ形式の文字起こしを読むことができ、ホストがいう言葉がハイライトされているのをみながら一緒に聞くこともできる。この機能は、ポッドキャストの特定の場所を探すのにも役立つ。カーソルをドラッグすると、ビデオのサムネイルのプレビューを見るように、話されている言葉のプレビューを見ることができる。

音声のみのメディアであるポッドキャストにとって、聴覚に障害のある視聴者にも楽しんでもらうために、文字起こしは不可欠なものだ。多くのポッドキャストは、すでにウェブサイトに文字起こしを掲載しているが、この機能は、番組を体験するための別の方法を提供する。ライブオーディオの場合、ライブキャプションはアクセシビリティに不可欠な機能だ。Twitter Spaces(スペース)はこの機能を提供しているが、Clubhouse(クラブハウス)はまだこの機能を実装していない。

画像クレジット:Amazon Music

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

SnapchatでNBCユニバーサルのオーディオクリップが使えるようになる

ソーシャルアプリではユニークなサウンドを利用できるようにすることがライバルに対するアドバンテージになる。米国時間11月1日、SnapchatはNBCユニバーサルとの契約により、NBCUのさまざまな映画やテレビ番組からライセンスされたオーディオクリップを利用できるようにすると発表した。この最新機能により、ユーザーは自分のSnapに「サタデー・ナイト・ライブ」や「The Office」などのお気に入りコンテンツからオーディオクリップを追加し、他の人に送ったりSnapchatのSpotlightに投稿したりすることができる。

サウンド付きのSnapを受け取った人は、上へスワイプしてそのサウンドが使われていた映画やテレビシリーズのタイトルを確認できる。「このサウンドを再生」リンクからウェブページを開くとストリーミングのプラットフォームが表示され、その映画やテレビ番組を見ることができる。

人気のテレビ番組や映画のオーディオを使えるようになっていて「40歳の童貞男」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「Billy Madison」「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」「寝取られ男のラブ♂バカンス」「俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル」「スカーフェイス」「シュレック」「The Office」「パークス・アンド・レクリエーション」「サタデー・ナイト・ライブ」「ロー&オーダー」「ブルックリン・ナイン-ナイン」「30 ROCK/サーティー・ロック」「プライド 栄光への絆」などがそろっている。他には「Saved by the Bell」「Girls5eva」「A.P. Bio」など、オリジナルや独占番組を配信しているPeacock Originalsのサウンドもある。

Snapのコンテンツおよびパートナーシップ担当シニアバイスプレジデントのBen Schwerin(ベン・シュヴェリン)氏は発表の中で「NBCユニバーサルにはアイコン的な作品がそろっており、Snapchatユーザーはお気に入りの映画やシリーズから自分のスナップに引用して大切な瞬間を完璧に表現することを楽しんでくれるでしょう」と述べている。

Snapchatは、ユニバーサルミュージックグループ、ワーナー・ミュージック・グループ、NMPA(全米音楽出版社協会)、ソニー・ミュージックパブリッシング、Warner Chappell、Kobalt、BMGなど、音楽業界の多くのスタジオや企業とも提携している。

SnapchatのライバルであるTikTokは、たくさん用意されている中から音楽を選んで設定できるショートビデオの共有で人気だ。ユーザーが別のタイプのサウンドを利用できるようにすることは、SnapchatにとってTIkTokに対抗する重要な取り組みの1つだ。Snapchatは2020年に、ユーザーが自分のSnapに音楽を付けられる機能の「Sounds」を公開した。同社によれば、Soundsの公開以降、Soundsで音楽を付けたビデオは5億2100万本作成され、310億回再生されたという。

Soundsは、Snapchatを盛り上げるために使われているだけではない。Soundsの公開以降にこの機能を使って作られたSnapchatの全ビデオ(送信、投稿、保存されたビデオ)の約45%は、ダイレクトメッセージで送信された。

新しいNBCUのサウンドはiOSとAndroidからグローバルで使えるようになる。

画像クレジット:Snap

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

営業特化の顧客データプラットフォーム「TranSales」を展開するスマスマが約6000万円調達

将来の見込顧客を予測し、精度の高い顧客情報を提供するプラットフォーム「TranSales」を展開するスマスマは11月1日、前回プレシードと合わせて約6000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、XTech Ventures、East Ventures、個人投資家の加松宏樹氏と漆畑慶将氏。調達した資金は、エンジニアの採用とデータ製造の体制強化にあてる。

TranSalesは、見込顧客や効率的な営業タイミングを予測できる、営業に特化した顧客データプラットフォーム。日本における営業活動では、新規顧客から見込顧客を作っていくフェーズにおいていまだにアナログ作業の膨大な工程がかかっている。このフェーズにTranSalesを利用すれば、ユーザーの保有する企業リストとスマスマ独自の顧客データベースを結合させ見込顧客を自動的に予測し、適切なタイミングでアプローチできるようになるという。より効果的なマーケティング・営業施策の立案と実行の手助けを行なえるとのこと。

2018年7月設立のスマスマは「営業成果が100件に1件から、10件に1件の世界」を目指し、営業現場の課題をテクノロジーで解決するスタートアップ。これまでに得た営業ノウハウとデータを活かして、「アナログ×デジタル」「人×AI」によって本質的な課題解決を行い営業を効率化することを目標としている。

KOLテクノロジーズが約1億円のプレシリーズA調達、サステナブルECサイトやインフルエンサーマッチング事業強化

KOLテクノロジーズが約1億円のプレシリーズA調達、サステナブルECサイトやインフルエンサーマッチング事業強化

サステナブルECサイト「サステナモール」およびインフルエンサーマッチングサービス「Beee」(ビー)を運営するKOLテクノロジーズは11月2日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資による総額約1億円の資金調達を発表した。引受先は新規投資家。これにより、シードラウンドと合わせ累計調達額は約2億円となった。

調達した資金は、「サステナモールとBeeeのサービス改善」「同2事業への加盟店舗とインフルエンサーを含む新規ユーザーの獲得、既存ユーザーのリピート醸成のためのマーケティング強化」にあてる予定。内部人材の採用強化も行なう。

サステナモールは、余剰在庫をリーズナブルな価格で販売するECサイト。捨てられていくモノは、誰かにとって価値のあるものになるという思いから衣類、雑貨、化粧品、ペット用品など幅広い商品を扱っている。単に販売するだけでなく、発信力のあるインフルエンサーがセレクトショップを作成し、良いと思った商品をフォロワーへ紹介できるサービスも提供している。今後は余剰在庫のほか、B級品やリユース品の販売、買うだけで選んだ団体に寄付できる「Kifu Movement」を実施予定。

Beeeは、花と花をつなぐミツバチのようにインフルエンサーと企業を結ぶパートナーとなるという考えから2021年8月にローンチしたプラットフォーム。在庫商品を持つ店のみならず、コロナ禍により集客に悩む飲食店や美容サロンなどへ「AIマッチングで理想のインフルエンサーに出会える」サービスを提供している。

Instagramがコンテンツの連鎖を生み出す「Add Yoursステッカー」を提供、日本でもテスト

米国時間11月1日、Instagramはストーリーズの中に公開スレッドを作れる「Add Yours」ステッカーの導入を発表した。この新しい機能でユーザーは、他のユーザーのストーリーズに、プロンプトや何かのトピックにフォローして応答できる。この機能は2021年11月、日本とインドネシアテストを行い、その後グローバルにローンチする。

このインタラクティブなステッカーを使ってコンテンツの連鎖を作り、そこに各ユーザーは自分のストーリーを加えることができる。たとえばあるユーザーが「今日のおしゃれ」というストーリーをポストし、フォロワーたちにステッカーを使って自分のおしゃれストーリーを加えるよう、促すことができる。

Add Yours = ストーリーズの中に公開スレッドを作るステッカー  カスタムのプロンプトと公開の応答でステッカーをシェアし、自分のストーリーズに誰が応答しているか見ることができる。

上のツイートでInstagramは「カスタムのプロンプトと公開の応答でステッカーをシェアし、自分のストーリーズに誰が応答しているか見ることができる」と述べている。

この新しい機能は、コンテンツを自分のストーリーに捕捉またはアップロードするとき、上部のナビゲーションバーからステッカーツールを選んで利用できる。そこからさらに「Add Yours」をセレクトすると、公開スレッドがスタートする。また「Add Yours」ステッカーへの応答のやり方は、その上をクリックして自分のストーリーを加え、そのコンテンツ連鎖に加わる。

この機能の目的はユーザー同士のコラボレーションだが、そこから新たにフォローしたい人を見つけることもできる。誰かのストーリーのステッカーをクリックすると、そのスレッドに参加している全員を見られるし、その人たちのストーリーズも見られる。

なお、このステッカー機能はTikTokの「duet(デュエット)」機能にやや似ていて、こちらはユーザーがオリジナルビデオをフィーチャーしたコンテンツを作れる。Instagramの方がやや違うのは、コンテンツ連鎖(コンテンツチェーン)中にあるみんなの追加したポストを1カ所で見られることだ。TikTokの機能は現在、オリジナルからポストされた、つまりデュエットされたビデオを、1カ所で見ることはできない。

この最新のステッカーのローンチのちょっと前の先週には、ストーリーズのLinkステッカーを全ユーザーが利用できるようになった。それはこれまで、企業や高名なクリエイターに利用が限られていた。

2つの新しいステッカーを全ユーザーが使えるようになり、コラボレーションや関心を全員が共有できるようになった。ソーシャルメディアも最近は競争が激しいから、Instagramもその競争から落ちこぼれるわけにはいかない。

画像クレジット:Instagram

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インドの10分で食料品を届けるスタートアップ「Zepto」が創業半年で約68.5億円調達

学校の子どもたちのための通学用迎車アプリなど、数々のプロジェクトで協働し、新たなスタートアップを目指して2020年にスタンフォード大学を退学した19歳の2人の起業家が6000万ドル(約68億5300万円)を調達したと米国時間10月31日に発表した。過密で競争の激しいインドの食料品配送市場を改革する狙いだ。

Glade Brook Capital(グレード・ブルック・キャピタル)が、このスタートアップZepto(ゼプト)の最初の機関投資家向け資金調達ラウンドを主導したと、同社の創業者で最高経営責任者のAadit Palicha(アーディット・パリシャ)氏はTechCrunchのインタビューで語っている。このラウンドには、Nexus(ネクサス)とY Combinator(Yコンビネーター)の他、エンジェル投資家のLachy Groom(ラチー・グルーム)氏、Neeraj Arora(ニーラージ・アロラ)氏、Manik Gupta(マニック・グプタ)氏も参加しており、Zeptoの価値は2億2500万ドル(約256億9100万円)となっている。

今日までほとんどステルスモードで運営されてきたZeptoは、6カ月前にアプリを発表し、数カ月前から話題になっていた。ビジネスを説明するために数学用語を使った遊び心のある名前のこのスタートアップは、10分で食料品を配達するサービスを提供しており、多くの有力なライバル企業をスピード面で打ち負かしている。

この偉業を達成するために、Zeptoは事業を展開する都市(ムンバイ、ベンガルール、そして今週からはデリー)にダークストアを設置した。パリシャ氏によると、同社が設置したこれらのダークストアは、高速配送のために設計され、最適化されているとのことだ(Zeptoのアプローチは、在庫を通常の食料品店に依存している多くのインドのスタートアップとは異なる。これついて、同氏は他の市場を調査し、それらの会社を運営している事業者と話をしたと述べている)。

「私たちの現在の成長の仕方、そして現在の普及率と利用頻度を見ると、チャンスは本当に巨大です」と彼はいう。同社は、近々ハイデラバード、プネ、コルカタにも進出し、現在40店舗あるダークストアの数を2022年初頭までに100店舗以上に増やす予定だという。

Zeptoが運営するダークストア(画像クレジット:Zepto)

Zeptoを創設するアイデアは、2020年のパンデミックの際に、もう1人の創業者であるKaivalya Vohra(カイバリャ・ボーラ)氏と一緒にムンバイの自宅にこもっていた時に生まれたとパリシャ氏はいう。「私たちは、起業家やテック系スタートアップの世界に非常に深く触れていました。今、私たちはムンバイにいますが、独身の2人にとって最大の問題は食料品や必需品の確保でした」と述べている。

マハラシュトラ州では、他のインドの州と同様に、ウイルスの拡散を抑えるために封鎖措置がとられていたため、配達物が顧客のもとに届くまでに2~3日かかっていた。「非常に苛立ちを覚えました」と同氏はいう。

「世界最大級の規模を誇るインドの食料品宅配市場のオンライン状況が、重大な実行エラーに陥っていると感じたのです」と、企業名は伏せた上で付け加えた。

Zeptoは、Flipkart(フリップカート)、Uber(ウーバー)、Dream11(ドリーム11)、Pharmeasy(ファーミーシー)、Pepperfry(ペッパーフライ)の元幹部を含むチームを編成しており、SoftBank(ソフトバンク)が支援するSwiggy(スウィッギー)やGrofers(グローファーズ)、Google(グーグル)が支援するDunzo(ダンゾー)など、多くの支援を受けているスタートアップ企業と競合しており、その多くがここ数四半期で高速食料品配送分野に進出している。

「私たちは、このモデルを完成させるために、長い間、雑音を無視し、ひたすら頭を隠して活動してきました。そして、その努力が報われています。今日では、止めらないチーム、強固な製品インフラ、機関投資家の資金への深い繋がりのおかげで毎月200%の成長を続けています」とパリシャ氏は述べている。

Sanford C. Bernstein(サンフォード・C・バーンスタイン)のアナリストによると、2025年までに210億ドル(約2兆3900億円)の価値があると推定されている。「オンライン食料品販売の普及率は、現在の1%未満から2025年には3~5%に達すると予想されています。長期的な構造的要因としては、所得と豊かさの向上、低価格帯の消費、eコマースの普及(年率30%以上)、若い人口(25歳以下が50%以上)などが挙げられます。収入に占める食料品支出の割合は30%と依然として高い水準にあります」。と彼らは綴っている。

「既存の都市では、トラフィックが多く、コンバージョンとリテンションが増加しているため、より高い普及率を推進する余地が大きくあります。オンライン食料品販売の導入は、エンゲージメントレベルと注文量が加速しています。DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)は、他の多くの食料品販売アプリ上でも、ロックダウン中に強い伸びを示しました。ダウンロード数は最近増加しています。オンライン食料品販売には、24時間いつでも買い物ができ、幅広い単品管理の品揃え、即日・翌日配送という需要側の利点があります」。と述べている。

画像クレジット:Zepto

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

米国とカナダのAmazon Fire TVにTikTokが登場

Amazon(アマゾン)は米国時間11月1日、米国とカナダのユーザーを対象に、Amazon Fire TVでTikTok(ティックトック)アプリが利用可能になったことを発表した。このアプリはEcho Show(エコーショー)デバイスにも近日中に提供される予定だ。


Fire TV AppstoreからTikTokをダウンロードすると、ユーザーは自分のTikTokアカウントにログインするか、10億人にも及ぶアプリの月間アクティブユーザーでない場合はアカウントを作成できる。その後、モバイルアプリと同様に「フォロー中」「レコメンド」「ディスカバー」などのTikTokのフィードを閲覧することができる。アプリ自体では、次のビデオクリップを見るために手動でスクロールする必要があるが、Fire TVアプリには自動再生機能があるので、リモコンのボタンを押したり、Alexa(アレクサ)に数秒(または数分)ごとに次のビデオを再生するように指示したりする必要はない。

TikTokアプリは、すでにGoogle TVやAndroid TV、一部のSamsung製スマートTVでも利用可能で、大画面で縦長の短編動画を視聴できるようになるのは、今回のFire TVアプリが初めてではない。しかし、TikTokでは、クリエイターが最大3分間の動画をアップロードできるようになったため、例えば15秒の動画しか見ない場合よりも、大画面での視聴を選択する方が自然に感じられるかもしれない。

2021年の夏、TikTokがより長い動画に対応したように、テレビでもアプリを利用できるようにすることは、2021年初めにTikTokの対抗馬としてYouTube Shorts(ユーチューブショート)を作ったYouTube(ユーチューブ)との競争の一例だ。

画像クレジット:Amazon

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

地元の独立系書店を支えるBookshop.orgでの売上好調、Amazonとの競う未来を見据える

もしグーテンベルクが生きていたら、多忙なエンジェル投資家になっていただろう。

2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)によるロックダウンの最中に書籍の売り上げが急増したことを受けて、この控えめな書き言葉が突如としてVCや創業者たちの間で脚光を浴びるようになった。アルゴリズムを使ったレコメンデーションエンジンのBingeBooks、ブッククラブスタートアップLiteratiやその名のとおりのBookClub、ストリーミングサービスのLitnerdなど、新規プロダクトや資金調達の途切れのない華麗な行進を私たちは目にしてきた。またGloseLitChartsEpicなども、イグジットを果たしたか、そのポテンシャルを有している。

しかし、多くの読者の想像力を捉えたのはBookshop.orgであり、オンラインストアを構築してAmazonのジャガーノート(絶対的な力)に対抗するための、地元の独立系書店にとって頼りになるプラットフォームとなっている。新型コロナのパンデミックが広がり始めた2020年1月にデビューを果たした同社は、読書エコシステムに深い愛情を持つ勤勉なパブリッシャーである創業者のAndy Hunter(アンディ・ハンター)氏のヘッドラインとプロフィールを急速に蓄積していった。

1年半が過ぎた今、状況はどうなっているだろうか。幸いなことに、書店を含む小売店に顧客が戻ってきているにもかかわらず、Bookshopは低迷していない。ハンター氏によると、8月の売り上げは7月に比べて10%増加しており、2021年は2020年と同程度の売り上げを達成する見込みだという。同氏は5月のBookshopの売り上げが前年同月比で130%増加していることを挙げ、その予測値を説明した。「当社の売り上げは加法的であることが示されています」と同氏は述べている。

Bookshopのプラットフォーム上には現在1100のストアがあり、3万以上のアフィリエイトが本のレコメンデーションをキュレートしている。これらのリストはBookshopのオファリングの中心となっている。「こうしたレコメンデーションリストは、書店だけでなく、文学雑誌、文学団体、本愛好家、図書館員などからも得られています」とハンター氏はいう。

公益法人であるBookshopは、すべてのeコマース事業と同様、在庫を移動することで収益を上げている。しかし差別化要因として、アフィリエイトやプラットフォームセラープログラムに参加している書店への支払いがかなりリベラルであることが挙げられる。アフィリエイトには売り上げの10%が支払われ、書店自身はプラットフォームを通じて得た売り上げからカバー価格の30%を受け取る。さらに、Bookshopのアフィリエイトと直販の10%が利益分配プールに入れられ、それが加盟書店と共有される。同社のウェブサイトによると、Bookshopはローンチ以来、書店に1580万ドル(約17億2700万円)を支払っている。

同社は最初の1年半で多くの開発を行ってきたが、次の展開はどのようなものになるのだろうか。ハンター氏にとって鍵となるのは、可能な限りシンプルな方法で顧客と書店の両方を魅了し続けるプロダクトを構築することだ。「オッカムの剃刀(『必要なしに多くのものを定立してはならない』という原則)を堅持します」と同氏は自身のプロダクト哲学について語っている。すべての機能について「エクスペリエンスへの付加が行われますが、顧客を混乱させることはありません」。

もちろん、言うは易く行うは難しではある。「私にとって目下の課題は、顧客に対して圧倒的な魅力を放ちながら、書店が当社に求めていることすべてを実現するようなプラットフォームを作り、最高のオンライン書籍購入および販売エクスペリエンスを創出することです」とハンター氏。このことが実際的に意味するものとしては、(書店での買い物のような)プロダクトの「人間味」を維持しつつ、書店がオンライン上での優位性を最大化するのを支援する、というものであろう。

Bookshop.orgのCEOで創業者のアンディ・ハンター氏(画像クレジット:Idris Solomon)

例えば、同社は書店と協力して、検索エンジン発見のためのレコメンデーションリストの最適化に努めているとハンター氏は説明する。SEOは、従来の小売業界で身につけるようなスキルではないが、オンラインで競争力を維持する上では欠かせないものだ。「Googleで第1位にランクインするような本のレコメンデーションを生み出すブックリストを当社のストアたちはいまや有しています」と同氏はいう。「2年前であれば、こうしたリンクはすべてAmazonのリンクだったでしょう」。ハンター氏によると、同社はEメールマーケティング、顧客とのコミュニケーション、そしてプラットフォーム上でのコンバージョン率の最適化に関するベストプラクティスも積み重ねているという。

Bookshop.orgは何万ものリストを提供しており、アルゴリズムによるレコメンデーションよりも「人間的」なアプローチで本を探すことができる

顧客に向けては、Bookshopは今後、シリコンバレーのトップ企業の間で人気のアルゴリズムによるレコメンデーションモデルを避け、それよりもはるかに人間味のあるキュレーションのエクスペリエンスを提供しようとしている。何万ものアフィリエイトを擁していることから「活気あふれるミツバチの巣のような一大拠点です【略】本を取り巻く多様なエコシステムを構成する機関や小売業者も存在しています」とハンター氏。「彼らは皆それぞれの個性を持ってますので、それを発揮してもらいたいと考えています」。

やるべきことはたくさんあるが、暗い雲が地平線を脅かさないということでもない。

Amazonはもちろん、同社にとって最大の課題だ。Kindleデバイスの人気は非常に高く、これによりAmazonは物理的な販売では得られない強固な囲い込みを手に入れたとハンター氏は指摘する。「DRMおよびパブリッシャーとの契約がありますので、電子書籍を販売してそれをKindleで読めるようにすることは非常に困難です」と同氏は述べ、その結びつきをMicrosoftがWindowsにInternet Explorerをバンドルしたことになぞらえた。「法廷に持ち込まれることになるでしょう」。人々がKindleを好んでいることは事実だが「Amazonを気に入っているとしても【略】健康的ではないことを認識する必要があると思います」。

著者はハンター氏に、本の分野で資金提供を受けるスタートアップの数や、その資金がBookshopを締め出す可能性について懸念しているかどうかを尋ねた。「ブッククラブスタートアップは、本、そして本に関する会話を最大のオーディエンスの前に置くことで成功を収める」とハンター氏は考えている。「そうすれば誰もが成功するでしょう」。しかし「破壊」へのフォーカスに憂慮を示し「既存の独立系書店やコミュニティのメンバーと提携する形で成功することを願っています」と語った。

結局のところ、ハンター氏の戦略的な懸案事項は競合他社に向けられたものではなく、本が廃れているかどうか(廃れてはいない)という問題でもない。より具体的な課題は、現在のパブリッシングエコシステムが、一握りの本だけが成功することを保証しているという点にある。

「ミッドリスト問題」とも呼ばれるが、ハンター氏は最近の本の大ベストセラー体質を案じている。「1冊の本がほとんどの酸素を吸い取り、話題やトップ20の本の大半を吸い上げてしまう一方、若い作家や多様性のある声による優れた革新的な作品は、それに値する注目を集めることができません」と同氏は述べている。常に読者を最大の勝者に押しつけるレコメンデーションアルゴリズムではなく、リストによる人間的なキュレーションがより活気ある本のエコシステムの維持に役立つことを、Bookshopは期待している。

Bookshopが創業3年目を迎えるにあたり、人間に焦点を当て、店舗での豊富なブラウジングエクスペリエンスをオンラインの世界にもたらしていきたいと、ハンター氏は考えている。究極的には、それは志向性に関するものである。「どこで、どのように買い物をするかについての小さな決断のすべてを伴いながら、私たちは自分たちが生きる未来を創造しているのだということ、そしてそうした決断をどのように熟考するかについて、強く意識し続けるべきだということを、人々に理解してもらいたいと心から願っています」と同氏は語る。「Bookshopが単なる市民的な義務を果たす場所ではなく、楽しく買い物ができる場所であることを私は望んでいます」。

画像クレジット:MirageC / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

リモートワーク時代にふさわしい「バーチャルオフィス」を提案するLoungeの新アプリ

Loungeと呼ばれるスタートアップが、リモートワーク時代にふさわしいオフィスとはなにかをもう一度考え直そうと試みている。社員同士がまだ一度も実際に会ったことがない状態で(今後、顔を合せる機会が訪れない可能性もある)企業が企業文化や社員同士の関係を築くにあたり、Slack、Zoom、Teamsといったツールでは不足している要素があるからだ。こうした従来のツールでは、ユーザーの身元はメッセージボードやプロフィールに、写真や短い経歴で記されるだけであったが、Loungeの場合は、その人物のタイムゾーン、天気、場所、所属チーム、会社のイベントへの参加状況など、さまざまな情報が伝えられるようになっている。また、Loungeは社員同士がお互いを知り、個人的に交流を深められるよう、ドロップインオーディオチャット、フォトシェアリングのようなツールも提供している。

Loungeのアイデアは、共同創設者であるCEOのAlex Kwon(アレックス・クウォン)氏とCTOのJason Jardim(ジェイソン・ジャーディム)氏が構想したものだ。両氏はかつてともにLife360で働いていた。2人は、パンデミックの最中、リモートで働きながら、家族向けのタスク管理アプリを開発していた。結局そのプロジェクトは廃止されてしまったが、2人はこの時期にリモートワークとその落とし穴について多くのことを学んだのだ。

クウォン氏はかつて一度もリモートで働いたことがなかったが、実際に経験してみると人とのふれあいの部分で物足りながあることに気がついたという。

「Zoom通話で1日に1回話したり、Slackで1時間遅れでチャットするというやり方を、私はとても寂しいと感じました」と彼は説明する。

そういったオンラインでの会話には、同僚と実際に向き合って交わす会話から得られるきらきらした火花のようなものが欠けていた。そうした火花が新しいアイディアにつながったりすることも少なくない。こうした対面での共同作業こそ、多くの企業がパンデミックの有無に関わらず、スタッフをオフィスに呼び戻したいと望んでいる理由の1つなのだ。

しかし、クウォン氏は、対面でのふれあいだけがチームに仲間意識をもたらし企業文化を育てる唯一の方法ではないと信じている。

「人々はインターネットが普及して以来、オンラインで関係を『育んで』きました。彼らはWorld of Warcraftの中でオンラインで人と出会ったり結婚したりしています。そして、私の友人の多くもパートナーとなる相手をデートアプリで見つけています。それもこれも、始まりはオンラインです」。

友情や愛がオンラインで生まれるなら、仕事がらみの仲間意識だって育むことができる、というのがクウォン氏の考えだ。

画像クレジット:Lounge

両氏は、より繋がりを感じられる方法の模索を始めた。インスピレーションが湧いた時いつでも会話できるよう24時間年中無休のZoom通話を試したりもしたが、それはあまりに圧迫感もあり、子どもが邪魔をすることもしばしばだった。常にオーディオをオンにしていることも、同様の問題があった。このため、最終的には、お互いのプライバシーを尊重しながら、タップするだけでオーディオチャットですばやくつながることのできるシンプルなアプリが開発された。

このアプリが彼らがリモートワークで感じていた問題を解決することができたことを受け、彼らはタスク管理アプリを開発するスタートアップのアイデアを捨て、かわりにLoungeに取り組むことになった。

Loungeでは社員はチームやプロジェクト、さらには趣味や興味ごとにグループ分けされたバーチャルデスクで表示されている。こうすることで、誰がどんな作業をしているのかが簡単にわかる。このバーチャルデスクは、役割的には会社の組織図に似ているが、よりパーソナライズされた情報を伝えることができる。例えば、画像にある小さな窓で夜なのか昼なのか示しタイムゾーンを伝えたり、さらには天気までわかるようになっているのだ。また、社員のプロフィール写真や他のデータも見ることができる。

画像クレジット:Lounge

社員自身の個々のデスクに加え、Loungeには複数の社員からなる「ルーム」コンセプトが導入されている。トピックやプロジェクトのみに焦点を当てているSlackチャンネルとは異なり、ルームはどんな目的にも対応できるようデザインされており、従来のオフィスが提供していた物理的空間のバーチャルバージョン的役割を果たす。例えば、ユーザーは対話集会や、ホワイトボードセッションが開催されているルームに参加したり、会社のカフェテリアのような公共スペースで同僚とバーチャルに交流することもできる。

ルームには鍵をかけることもできるし、それを解除することもできる。プロジェクトに没頭中なら、訪問者に応答する必要はない。ルームに鍵をかければよいのである。その場合、訪問者は、Slackでするのと同様、チャットにプライベートなダイレクトメッセージを残すことができる。しかし、ルームがオープンの場合は、クリックして音声で同僚とその場でやりとりすることができる。これは、誰かの机まで歩いていって「やあ、元気?」と声をかける行為のバーチャルバージョンである。相手はあなたが挨拶するのを聞き、ミュートを解除して音声で会話する。

クウォン氏は「これをZoomとSlackを合わせたようなものだと考えてください」という。

画像クレジット:Lounge

またLoungeは、写真をシェアする機能もある。これはクウォン氏が以前立ち上げたスタートアップ、Oneminuteで得た着想で、人々が撮ったさまざまな写真をシェアすることのできる機能だ。写真をシェアするとしばらくはその写真がバーチャルデスクやアプリ内の他の場所に表示される。これにより周囲の人々に個人的に関心を持っていることや、飼い犬や週末に楽しんでいる趣味など、プライベートな事柄を伝えることができる。これは Slackチャンネルにすでに備わった機能だが、Loungeではこれを一歩進め、これらの共有された写真が1本にまとめられる仕組みになっている。これを新入社員が見てチームメートとの会話のいとぐちを見つけるのに利用することも可能だ。

Loungeは4月以来一部の顧客に対し非公開ベータ版サービスを行ってきたが、ウェイティングリストには何百もの顧客が登録している。現在のところ、同社がターゲットにしているのは社員が20名以下の比較的規模の小さなチームである。

Loungeは、Unusual Ventures、Hustle Fund、Translink、Unpopular Venturesやその他のエンジェル投資家から120万ドル(約1億3000万円)の資金を調達している。

   画像クレジット:Lounge

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

第3四半期のクラウドインフラ市場は年20兆円規模に、チップ不足でも減速せず

Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のクラウドインフラベンダーのビッグ3が決算を発表した。お察しのとおり、業績は好調で、成長する市場は全世界で450億ドル(約5兆1300億円)を突破した。年換算で1800億ドル(約20兆5200億円)と、気が遠くなるような金額だ。過去12カ月の売上高は1640億ドル(約18兆6960億円)に達した。Synergy Researchによれば、当四半期の売上高は全体で37%増加した。

問題は、これらのベンダーが、スマートフォンからコンピュータまで、テクノロジーのサプライチェーン全体に影響を及ぼしているチップ不足に先手を打てるかどうかだ。

まずは、今期の市場シェアの70%を占めるトップ3のベンダーから見てみよう。Amazonは今回も市場をリードした。シェアは33%とここ数年安定しており、売上高成長率は39%と前四半期比では2%増加、前年同期比では10%増加し、目覚ましい成長を遂げた。

Amazonの売上高は161億ドル(約1兆8354億円)で、前年同期の116億ドル(約1兆3224億円)から増加した。少し計算してみれば、この数字が450億ドル(約5兆1300億円)の3分の1ではないことはわかるだろう。Synergy Researchは、インフラ、プラットフォームサービス、ホステッドプライベートクラウドの金額を集計しており、コンサルティングやハードウェアなど、純粋にクラウドインフラのカテゴリに属さない売上高を除いているためだ。

Microsoftがクラウドインフラ市場全体の把握をさらに難しくする。Synergy Researchのデータに基づいて計算すると、Azureインフラからの売上高は90億ドル(約1兆260億円)となり、前四半期の84億ドル(約9576億円)から増加した。同社によると、Azureおよびその他のクラウドサービスは50%成長した。前四半期の51%成長からわずかに減速した。前年同期比では2%増加した。

最後にGoogleだが、シェアは10%と安定しており、売上高は45億ドル(約5130億円)で前四半期の42億ドル(約4788億円)、前年同期の29億ドル(約3306億円)のいずれからも増加となった。Googleはクラウドインフラ市場で着実な進歩を続けている。

Canalysは、全体の売上高を494億ドル(約5兆6316億円)とさらに大きく見積もっており、年換算で2000億ドル(約22兆4000億円)近くになるとしている。成長率は少し低い35%を見込む。また、ビッグ3の市場シェアも若干異なり、Amazonが32%、Microsoftが21%、Googleが8%と見積もる。

どの数字を使うにせよ、いまだ高成長を続ける重要な市場だが、チップ不足により来年の成長が鈍化する可能性があるとCanalysは警告する。「全体的なコンピュート需要はチップ製造能力を上回っており、クラウドサービスプロバイダーによるインフラの拡張は制限される可能性があります」とCanalysのBlake Murray(ブレイク・マレー)氏は声明で述べた。

サプライチェーンの制約は、企業自身やアナリストらが決算説明会で気にしていたことでもある。MicrosoftのCFOであるAmy Hood(アミー・フッド)氏は、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)のアナリストであるKash Rangan(カッシュ・ランガン)氏から、サプライチェーンの問題がデータセンターの拡張に与える影響について具体的に質問され、次のように答えた

「第二に、サプライチェーンの影響、特にデータセンターに関する良い質問をいただきました。今期の支出を踏まえると、次へのガイダンスも似たようなものになると思います。カッシュ氏がいうことの多くは、リードタイムの長いものであると考えています。私たちは、観測したキャパシティのシグナルを満たすために必要なリードタイムをよく理解しています。複数のサプライヤーを利用することは、こうした状況に対応するために重要です。チームは非常に良い仕事をしたと感じています」とフッド氏は決算説明で語った。

Synergy ResearchのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、これらの大手ベンダーが、チップ市場全体を覆う問題を横目に、その影響力により必要なものを入手できる可能性が高いと述べた。「これらの企業は、サプライチェーンの管理に長けており、巨大な顧客でもあるため、サプライヤーから優遇措置を受けられると考えるのが妥当だと思います」と同氏は話した。

「また、彼らが調整できる点がいくつかあります。建設とリースの意思決定、サーバーの寿命の若干の延長、ワークロードの異なる地域への切り替えなどです。今では、巨大で地理的に分散したデータセンターネットワークを持っているため、必要なものを手に入れる余裕が多くあります」と同氏は語る。

チップ市場の動向を注視しているMoor Insights and Strategiesの主席アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏も、コストが上昇したとしてもハイパースケーラーはおそらく供給を受けることになると話す。

「今はまだその段階ではないと思います。不足がさらにひどくなればそうなるでしょうが、近々そうなるとは考えていません。チップメーカーは利益率の高いデータセンターを優先するため、コンシューマー向けのPCやスマートフォンよりも優先されるのです」とムーアヘッド氏は話した。

供給の問題がデータセンターの成長に短期的な影響を与えたとしても、長期的にはこの市場を減速させることはないようだ。企業はより多くのワークロードをクラウドに移行しようと準備しているため、成長は確実と思われるが、サプライチェーンの影響の有無については次の四半期にわかるだろう。

画像クレジット:Chris Clor / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】大手テックの考えや政策で変化し続けるインターネットの世界で道を切り開くために

現代のインターネット事情を語るとき、まず1番に頭をよぎるのはGoogleの圧倒的な市場シェアである。

最新のレポートによると、Googleは世界の検索市場の87%近くを、Chromeは世界のブラウザ市場の67%以上を占め、全世界で26.5億人のユーザーを擁している。そのため、オンラインツールを開発するスタートアップは誰もが何らかの形でGoogleのパートナーであると考えなければならない。しかしGoogleがこのように市場を支配しているということは、ブラウザの優位性を活かして規制を好きなように変更できてしまうということでもある。

実際、Googleは過去10年間にわたり、オンラインスタートアップに対する一定の制限をChrome上に織り込んできた。数年前からGoogleは「単一目的の拡張機能」ポリシーを施行し、拡張機能を一焦点やブラウザ機能に限定するよう求めている。

近年、Googleはユーザーのセキュリティとプライバシーを向上させることを目的としたChrome拡張機能を構築するための新しい仕様であるManifest V3の計画を発表した。原則的にChromeウェブストアは、2022年1月以降従来のManifest V2ガイドラインで構築された新拡張機能を受け付けなくなり、またその翌年までにManifest V3の規制に準拠していない既存のプログラムはすべて停止されることになる。

これにより多くのスタートアップは生死を分けるシナリオに直面することになる。時間とリソースを費やして自社製品をManifest V3に適応させるか、あるいはChrome内で完全に存在しなくなるかのどちらかを迫られるということだ。実際、他の企業と同様にこの問題に直面しているのが、私の雇用主であるGhosteryである。

こういった課題に落胆している人々も多いかもしれないが、実際のところGoogleはこの障害がこの分野の個々のプレイヤーにどのような影響を与えるのか、真摯に耳を傾けてくれている。開発者らの見識を集めるため、ロールアウトのスケジュールを延長さえしてくれているのだ。スタートアップはこの延期期間を最大限に活用して、自社の移行に関する具体的な課題を伝えておくべきである。

Chromeの今回のアップデートは、オンラインでイノベーションを起こしているスタートアップが、いつ何時、不意打ちを受けてもおかしくないということを示す一例であり、これらのポリシーを常に把握し、このような細かな変更に対応できる適切なエンジニアを配置するためのリソースを常に確保する必要があるというリマインダーでもある。

何であれ、コアビジネスをインターネット上で行うというのは、自社のことを広く認知してもらうことができ、簡単にインストールでき、熱心なユーザーにアクセスできるなどの紛れもない利点がある。Googleのような大手企業がスタートアップと協力して、すべての関係者にとって最適なソリューションを見つけようとしているならば(実際にそうしているように感じられる)、このようなオープンなコミュニケーションチャネルを利用して、自社の製品をアピールできるか否かは中小企業次第なのではないだろうか。

ネットワークを活用する

幸いなことに、変化し続けるインターネットの世界でスタートアップが一社で立ち向かう必要はない。あらゆる企業が同じエコシステムの中で活動しているため、サポートやアドバイスを得るために関連企業の広大なネットワークを利用することが可能だ。オンライン分野のスタートアップは、自分たちの課題内で孤独に戦うのではなく、エコシステム内のすべての企業に影響を与える絶え間ない変化において団結すべきなのである。

例えば私たちはManifest V3に対応するため、ウェブ拡張のW3Cグループに参加した。このコミュニティで当社のユースケースを共有し、影響を受けた他の企業と協力することにより、最新のガイドラインに合わせて当社の技術を調整することができる。リソースを共有して共同作業を行うことで、適応プロセスの早い段階でトラブルシューティングを行うことができるのである。

同じようなグループを探したり、創業者やビジネスリーダーのネットワークに直接相談したりして製品や一般的なビジネスの方向性を決めるため、このような過渡期にはスタートアップコミュニティに寄り添うべきなのである。

さまざまな方法で適応できるようになる

オンラインでイノベーションを起こしているスタートアップ企業は、ヒーロー製品に適応するためのリソースを積極的に配分するだけでなく、製品のロードマップを常に見直し、提供する製品を多様化するためのユニークな機会を模索する必要がある。

インターネットの歴史において変化のない年はなく、安定しているのは、エコシステムの中で人々は常にカスタマイズのオプションを望んでいるということだけである。鋭敏なスタートアップはeコマースツールからパスワード保護システム、プライバシースイートなど、最新かつ最高のソリューションを提供する準備を整えている。

企業によっては、Chrome以外の製品開発にも時間を割き、FirefoxやSafariなどの代替ブラウザが提供する機能を研究する必要があるかもしれない。大手企業はブラウザのカスタマイズに関する独自のポリシーを持っているため、スタートアップはまったく新しいユーザー層に門戸を開き、異なるシステムに対応した独自の機能を構築することができるのである。

モバイル分野に進出し、オンライン上の革新的な技術をiOSやAndroidでどのように利用できるか試すこともできるだろう。最終的にはインブラウザからモバイルアプリケーションまで、私たちのオンライン生活を網羅する製品範囲を持つことで、企業はオンライン世界の絶え間ない変化に対応できるようになる。最初から多角化をビジネスプランの一部にしておけば、このようなレジリエンシーの構築はずっと簡単になる。

常に変化することを受け入れる

オンラインツールやプログラムを開発しているスタートアップは政策の変更、規制の変更、市場の要求などの課題に常に直面しているが、ビッグテックとのコラボレーションを恐れずに適応可能な製品戦略を追求する企業は、消費者に最高の製品と体験を提供するための道を歩み続けることができるだろう。

自社のミッションを堅持し、かつ途中でアプローチを変更することを厭わないということが、将来にわたってイノベーションを成功させることにつながるのである。

編集部注:本稿の執筆者Pete Knowlton(ピート・ノウルトン)氏は、デジタルプライバシー企業Ghosteryの運用およびコミュニティのシニアディレクター。

画像クレジット:alengo / Getty Images

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(文:Pete Knowlton、翻訳:Dragonfly)

Mastodonがコードの悪用を巡りトランプ氏のSNSに猶予30日間の最後通牒を提示

トランプ前大統領の新しいソーシャルネットワークは、立ち上げ前からすでに話題になっているのかもしれない。無料のソーシャルメディアフレームワークであるMastodon(マストドン)は、Truth Socialがオープンソースソフトウェアを自社のものだと偽っていると主張し、その是正に30日間の猶予を与えた。2021年11月末までに修正されなければ、事態は混乱する可能性がある。


Mastodonの創業者でCEOのEugen Rochko(ユーゲン・ロッコ)氏は、同社のブログへの投稿で、問題は単にTruth SocialがMastodonを使用していることではなく、Truth Socialのサイトのコードに関する所有権を主張しながら使用していることだと説明している。先週、立ち上げ前のサイトのコードを調べた人々が、Mastodonのコードが明らかに無断で使用されていることを発見した。

「利用規約には気がかりな一節が含まれています。サイトは所有権のある財産であり、すべてのソースコードとソフトウェアは、彼ら(Truth Social)によって所有または管理されているか、彼らにライセンスされていると主張しています」とロッコ氏は書いた。「MastodonはAGPLv3ライセンスで公開されているフリーソフトウェアであり、これを使用する他のネットワークサービスは、ソースコードとそのあらゆる変更を公開することが求められています」。

Truth SocialはMastodonについて言及していないが、Mastodonのコードが使用されていることは明らかだ。SNSこの種のライセンスは、オープンソースソフトウェアでは一般的なもので、多くの場合、大企業にも無料で提供されている。大企業は、そのソフトウェアを自由に使用・変更することができるが、使用する場合、その作業を公開し、ツールの開発全体の一部として扱うことが求められる。これが、時間を割いてボランティアで活動する人々と、お金をもらって貢献するエンジニアを抱える企業との間に、豊かなコラボレーション環境を生む。

しかし、得てしてこうしたライセンスは尊重されない。大企業は多くの場合、自分たちは逃げ切れると考えているか、あるいは、自分たちに何が求められているのかを理解していない。たとえ、それが単に、使用を認めることであったり、GitHubのページにコードをどう変更したかを記録したりするだけであってもだ。違反した場合の影響はまったくわからず、さまざまな要因に左右される。例えば、ある企業が、利用可能な状態にある有料ライセンスへの支払いを回避するために、オープンソースソフトウェアを無料で使用した場合、失われた収入に対する金銭的損害賠償を求める訴訟が起こされるかもしれない。また、最近のVizioに対する訴訟のように、純粋にコードをオープンにしておきたいという動機で訴訟が起こされることもある。

世の中には膨大な数のライセンス違反が存在するため、多くの違反は見逃される。だが、トランプ氏のソーシャルネットワークが公然とライセンス違反を犯せば、それが見逃されることはないだろう。ロッコ氏の投稿によると、もしTruth SocialがMastodonのソースコード利用を認めず、コードをレビューに回さなければ、ライセンスは11月26日(Truth Socialの最高法務責任者にこの件を説明する書簡が送られてから30日後)に取り消されるという。

これは先週、Software Freedom Conservancyが予言した救済措置そのものだ。というのも、彼らが指摘するように「AGPLv3の救済規定は、不動産王やリアリティテレビのスター、さらには前大統領であっても例外なく機能する」からだ。この「治癒」は、他に何らかの合意がないことを前提に、著作権者(つまりMastodon)からの通知があれば足りる。

「ライセンスなしにコードを使用する人は、私たちの著作権を侵害することになります」ロッコ氏はTechCrunchにメールで述べた。「そして、著作権侵害に対抗する手段が私たちに開かれることになります」。

ロッコ氏は、トランプ一派が自分たちのソフトウェアを使用していることは喜ばしくないと認めているが、ビジネスを始めたときにそのような事態が起こることは覚悟していたとし、唯一の、真の異議申し立ては、ルールに従って使用されていないことだと述べた。

個人的には、もちろん、私たちの価値観に反する人々が、私たちの労力を利用して利益を得ることがないことを望みます。しかし、現実的に、フリーソフトウェアに取り組むということは、誰が利用でき、または誰が利用できないかを選択する可能性を最初から放棄しているということです。実際上は、Truth Socialのような存在に対して私たちが問題にできるのは、利用者がフリーソフトウェアライセンスに従わない場合だけです。私たちはライセンスに基づき成果物をリリースするからです。

Mastodonは、意図的にインスタンスが完全に独立するよう設計されており、同社が介入して特定のインスタンスをシャットダウンすることはできない。皮肉なことに、このソーシャルメディアツールは、トランプ氏の仲間たちが声高に求めてきたものだ。彼らは、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)という集権化された権威に不満を述べてきた。Mastodonは何年も前から利用可能だったが、トランプ氏の会社は利用にあたり最もあやしい方法を採ったため、会社全体の運営を危険にさらした。

Truth Socialが、ソーシャルネットワークを自ら作り上げたという主張を撤回すれば、安全ではあるが、少し輝きを失うことになるかもしれない。単なるMastodonのインスタンスのセットアップは、誰でも半日あればできる。もし撤回しないのであれば、これは教科書的なケースであり、結局のところ、訴訟を受けてTruth Socialは独自のコードベースを構築せざるを得なくなるかもしれない。そして、それは予想以上に難しいことだと分かるかもしれない。

画像クレジット:Mastodon

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

同じ集合住宅に住む人のための超ローカルなソーシャルネットワークを構築するOneRoof

都市部の賃貸市場が回復し、人々が都市に戻ってくると、ロックダウンが開けた生活の新たな活気を受け入れようとしているコミュニティの中で、人々は再びたくさんの新たな隣人に囲まれることになる。

OneRoof(ワンルーフ)は、集合住宅用のソーシャルネットワークを構築している企業だ。郵便番号や近隣地域に基づくコミュニティを組織するNextdoor(ネクストドア)とは異なり、OneRoofは大規模な集合住宅の中に存在感を高め、近隣住民がより小さくて緊密な輪の中でお互いを知ることができるようにしたいと考えている。

「(Nextdoor)は郵便番号に基づいていますが、サンフランシスコやニューヨークのような大都市では、何万人もの人々が含まれます」と、OneRoofのCEOであるSelin Sonmez(セリン・ソンメス)氏は、TechCrunchに語った。「その時点で、人々には共通点が少なくなってしまいます。集合体が大きすぎて、もはや関連がないからです」。

共通点があるということだけでなく、人々はひと握りの隣人とコミュニケーションをとる方が、何千人もの人々とそうするよりも安心できると、ソンメス氏は述べている。

ソンメス氏と共同設立者(で夫でもある)のNikos Georgantas(ニコス・ジョルガンタス)氏は、このアプリによって、人々がビルのエレベーターや廊下で出会う人々とより気軽に話ができるようになり、新型コロナウイルス感染流行によって大都市では困難になったよく知らない者同士の関係が育まれることを期待している。

このビジョンを実現するために、OneRoofは125万ドル(約1億4000万円)の小規模なシード資金調達を実施した。これはGeneral Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)が主導し、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)のディスカバリーファンド、Dream Machine(ドリーム・マシーン)、Script Capital(スクリプト・キャピタル)、Urban US(アーバンUS)が参加した。

このアプリはメッセージ機能を中心に構成されており、ユーザーはSlackのようなハブで近隣の人々とさまざまなトピックについて話し合い、興味に応じて自分のサブコミュニティを組織することができる。なお、OneRoofはビル管理者と深いパートナーシップを築くことは求めていない。過去にビル全体のメッセージボードを作ろうとした際には、ビルの管理者にグループの管理を任せたため、ほとんどが失敗したという。

画像クレジット:OneRoof

このような小規模での運営にはいくつか難しい点がある。OneRoofのモデルでは「スーパーネイバーズ」と呼ばれる人々が、自分たちの住む建物への初期導入作業の多くを担う。ユーザーが自分の住む建物をOneRoofに登録したいと思ったら、OneRoofに依頼して、同じ建物の住人の郵便受けにサービスの宣伝チラシを送ってもらうことで、このプライベートアプリに参加するための独自のコードを住民に教えることができる。また、上の写真のような、参加コードが記載されたドアノブにかける札を送ってもらうことも可能だ。ソンメス氏はこれが特に成功しているという。

このアプリは、ニューヨーク市内にある約400のビルに導入されており、近々、ボストン、マイアミ、ロサンゼルスなど、他の主要都市にも拡げることを計画している。

画像クレジット:OneRoof

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】フェイスブック「怒りの絵文字」を米証券取引委員会が注視する理由

Facebook(フェイスブック)は新しい名前になったかもしれないが、ブランド名を変えても、同社が社会にとっていかに破壊的であるか、そして自社の投資家にとっていかに有害であるかを示す、最近の複数の情報開示は消えない。

Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏の暴露は衝撃的だったが、驚きではなかった。大量の文章を報道機関や議員、当局に提出する以前、Facebookの選挙のセキュリティ問題を担当していたハウゲン氏によると、Facebookは、例えば、拒食症の可能性を高めるいわゆる「thin-spiration(シンスピレーション)」を10代の少女たちに押し付けるなどの非難すべき行為とともに、そのアルゴリズムが社会や弱者に害を及ぼしていることを一貫して認識していた。

Facebookの内部文書の最近の分析は、Facebookのエンジニアは、「怒り」の絵文字を含む絵文字のリアクションを「いいね!」の5倍の価値があるものとして扱い、ユーザーを惹きつけて利益を上げるために、物議を醸すような投稿を好んでいたことを示している。

これは、単に企業が公共の利益に反して行動し、自社の消費者に損害を与えているという話ではなく、その投資家に反して行動したという話でもある。ホーゲン氏によれば、同社は、安全性への取り組み方からユーザーベースの規模まで、ビジネスの基本的な事実について株主を欺いていた。

このような重要な情報を連続して投資家に伝えなかったことで、Facebookは米国の証券取引法に違反した可能性がある。また、ハウゲン氏は、Facebookが会社の内部調査に関連する重要な情報を隠していたことで法律に違反していると主張し、少なくとも8件の苦情を証券取引委員会に提出している。

一方、2人目の無名の内部告発者は、Facebookがヘイトスピーチや誤情報よりも成長と利益を優先していると主張する宣誓供述書を米国証券取引委員会に提出した。

内部告発が注目を集めているのにもかかわらず、Facebookを規制・抑制するために米国証券取引委員会が果たしうる役割が最重要視されていないのは驚きだ。Facebookはハイテク企業だが、何よりもまず上場企業であり、それゆえに米国証券取引委員会の規制と監視の対象となる。

株式公開後もMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が会社を完全に実効支配できるような奇妙な特殊クラスの株式が含まれていたにも関わらず、2012年のFacebookの新規株式公開を承認したのは、オバマ政権下の米国証券取引委員会だった。さらに、スキャンダラスなデータ会社であるCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が、約3000万人の米国人のFacebookデータにアクセスして悪用したことを知っていたにもかかわらず、それを投資家に適切に開示しなかった件について、Facebookと和解したのはトランプ時代の米国証券取引委員会だった。

過去2年半の間に証券法違反で米国証券取引委員会と和解した企業であるFacebookを詳しく調査するように求めることは、驚くことではなく、合理的なことであり、私たちが証券規制当局に期待することでもある。

バイデン政権が、Gary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)氏とLina Khan(リナ・カーン)氏という強力な規制官をそれぞれ米国証券取引委員会と連邦取引委員会の委員長に任命したことは、米国人にとって幸運なことだ。しかし、Facebookをはじめとするビッグテック企業が、経済、政治、日常生活のあらゆる側面に影響を及ぼすようになったように、これらの企業を適切に規制し、抑制するという課題は、1つや2つの機関では解決できない。

大規模テック企業がもたらす問題や脅威に真に取り組むために必要なのは、政府全体でのアプローチだ。バイデン政権は、競争評議会で良い第一歩を踏み出したが、これは最終的な製品ではなく、最初の切り札でなければならない。また、大規模なテック企業に、フィンテック、通貨、政府との特別契約など新しい市場へのアクセスを与えないことも重要だ。これらの企業は、中小企業や消費者を犠牲に、これらの機会を利用してさらに強力になることはほぼ間違いないからだ。

また、これらの重要な問題については、議会の関与が必要だ。ホーゲン氏が上院の小委員会で証言した同じ日に、下院金融サービス委員会は、米国証券取引委員会の監督に関する公聴会を開催した。ホーゲン氏の扇情的な主張が数日間にわたって報道されたにもかかわらず、公聴会は、Facebookの投資家に対する説明責任を果たす上での米国証券取引委員会の役割について何のコメントも質問もなく何時間も続いた。

この重要な監視の機会が失われたことは、想像力と協調性の欠如を意味している。ビッグテックの危険性に真に対処するためには、すべてのメンバーが、バイデン政権への働きかけを含め、これらの巨大企業に対処するための改善策を考える必要がある。

ホーゲン氏は、フェイスブックから生まれた最初の内部告発者でもなければ、最後の告発者でもない。米国連邦政府が、ビッグテック企業の従業員、株主、下請け業者、さらには創業者が、これらの企業が米国人にもたらす危険性を明らかにするのを黙って見ている時代ではなくなった。

企業の規模、力、そして危険性がましている今こそ、バイデン政権は、大胆に、積極的に、結束して行動すべきだ。そのためには、まず、米国証券取引委員会が、この問題を取り上げ、Facebookを徹底的に調査し、法律を完全に執行することから始める必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Lisa Gilbert(リサ・ギルバート)氏は、Public Citizenの副社長。

画像クレジット:Serdarbayraktar / Getty Images

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(文:Lisa Gilbert、翻訳:Yuta Kaminishi)

ツイッター、全iOSユーザーが特定のクリエイターを「スーパーフォロー」できるように

Twitter(ツイッター)は、すべてのiOSユーザーが特定のクリエイターを「Super Follow(スーパーフォロー)」できる機能を世界中で展開中だ。これまでは、米国とカナダのユーザーだけが利用できた。スーパーフォローでは、ユーザーは気に入ったアカウントを月額料金でサブスクし、限定コンテンツを入手できる。


この機能は、2月に発表され、9月に始まった。スーパーフォローは、クリエイターがソーシャルメディアを通じて収入を得るためのもう1つのツールだ。対象となるアカウントは、スーパーフォローのサブスク料を設定することができ、月額2.99ドル(約340円)、4.99ドル(約560円)、9.99ドル(約1100円)のいずれかを選択できる。クリエイターは、一部のツイートを購読者専用にし、購読していないフォロワーには通常のツイートでアプローチを続けることができる。

クリエイターがスーパーフォロワーになるプロセスは、現在は申請ベースとなっている。対象となるのは、米国在住で、1万人のフォロワーを抱え、過去1カ月間に25回以上ツイートしたクリエイターだ。

2021年9月に発表されたSensor Tower(センサータワー)のレポートでは、スーパーフォロー開始2週間で、米国では約6000ドル(約68万円)、カナダでは約600ドル(約6万8000円)ほどの収益しかあがっていないことが明らかになった。スーパーフォローのゆっくりとした立ち上がりについてのTwitterの見解は「何かを判断するにはまだ早すぎる」というものだ。

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注目すべきは、スーパーフォローがTwitterの唯一の収益化機能ではないということだ。

2021年初め、Twitterは、アカウントがフォロワーから1回限りの支払いを受けられるTip Jarを導入した。このテストは現在、クリエイター、ジャーナリスト、専門家、非営利団体など、対象となるアカウントの一部に限定されている。また、Twitterは、ライブオーディオルーム機能にTicketed Spacesを導入し、クリエーターが1〜999ドル(約113円〜11万3800円)の範囲で課金して前売りチケットを販売できるようにした。

画像クレジット:Twitter

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi