Indeedの「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査―男女差が浮き彫りにされるも、女性のメリットも明らかに

Indeedの「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査―男女差が浮き彫りにされるも、女性のメリットも明らかに

求人検索エンジンIndeed(インディード)の日本法人Indeed Japanは3月24日、国際女性デー(3月8日)に合わせて、IT技術関連職におけるジェンダーギャップに関する実態調査を行ったと発表、その結果を公表した。日本企業におけるIT技術者の女性比率が非常に低いことの背景が示唆されると同時に、男性優位の職場でのデメリットばかりでなく、実際に技術者として働く女性のメリットも見えてきた。

情報サービス産業協会(JISA)の「2020年版情報サービス産業基本統計調査」によると、日本のIT企業で働く技術者の女性比率は21.1%と低い。OECDの「図表で見る教育2021年版」では、日本の高等教育機関の新規入学者で、工学、製造、建築を専攻する女性は16%と、OECD加盟国の中で最下位となっている。この実態調査は、そうした男女格差をなくしたいと考えるIndeedの活動の一環として実施された。

調査は、職場の男女比、就職前のジェンダーギャップ、就職後のジェンダーギャップ、IT技術関連職での女性のメリットについて、IT技術関連職に就く20代から40代の男女それぞれ721人(計1442名)を対象に行われた。職場またはチームの男女比は、もっとも多い21.2%が男性7割。全体として、6割以上は男性の割合が73.2%だった。また女性のみの職場も4.7%あった。

高校時代において、IT技術職は「理系の人が就く仕事」だと考えていた人が男女とも差がなく約60%だった。また最終学歴での理系と文系の比率では、理系は男性が約50%、女性が約30%だった。

就職前に、IT技術関連職は「男性のほうが活躍しやすい」と考えていた人は、「あてはまる」と「ややあてはまる」を含め、男性が約39%、女性が約54%。また、プログラミングに興味があった人、IT技術職に興味があった人は、どちらも1割ほど女性が低かった。「男性の方が女性よりも、早い段階から現在就いている仕事とそれに関連する技術に興味を持ち始めていた傾向が高い」とIndeedは話している。

就職後、性別によるメリットを感じた人は男女ともほぼ同数だったが、内容には下の表のように違いが出た。

反対に性別によるデメリットを感じた人は、男性が約26%なのに対して女性は約37%と多くなっている。特に女性の場合は、昇進しにくい、給料が安い、仕事をまかせてもらえないなど、裁量権に関する不満が多く見られた。

仕事での困りごとでは、1位はどちらも急ぎの仕事が多いこと、2位は長時間残量の常態化と同じだが、女性の3位である「本職以外の仕事を割り振られる」という点には性差が感じられる。

しかし、女性のメリットについてはポジティブな面が現れた。育児との両立のしやすさについて、約49%が子育てに関連する休暇を申請しやすいと答え、約40%が子育てを理由にした勤務時間の調整がしやすいと答えている。また約42%は、産休、育休などの長期休暇から戻ってきても復職しやすい、未就学児童がいる場合に業務上適切な配慮をしてもらえると回答した。Indeedでは「女性がキャリアを考える際、(中略)両立しやすさという面において、IT技術関連職は1つの選択肢になるのではないでしょうか」とコメントしている。

最後に、女性が活躍することで生まれるメリットについて調査したところ、男女とも約6割が、多様な働き方が許容されるようになる、多様な視点で事業の開発や推進ができると答えた。「女性が増えることで多様性がもたらされることに期待を持つ人は多い」とIndeedは言う。

女性が職場にもたらすメリットとしては、30代の情報通信関連の男性は、「考え方が違うのでアプローチを変えて取り組むきっかけとなりやすい」と肯定的な考えを述べている。また女性としてのメリットについて、40代の情報通信関連の女性は、「年齢を重ねると女性は転職や就職をしづらいが、IT職は事務職と比べ給与は高いのと需要が長いので、即戦力としてとってもらえるので、転職しやすくなる」と話している。

この調査結果を踏まえてIndeedは、「今後も仕事探しや就業における男女格差を含むあらゆる不公平やバリアを無くしていくための活動にも尽力してまいります」と述べている。

アマゾンのアラバマとNYスタテンアイランド物流拠点の組合票の集計が来週から始まる

Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマーにあるフルフィルメントセンター(FC)での労働組合結成への道のりは、予想通り険しいものであった。苦闘の末、2021年4月、小売業界の巨人は勝利を収めた。労働者たちはBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員から共和党所属のMarco Rubio(マルコ・ルビオ)上院議員までさまざまな政治家の支持を得ていたが、結果は一方的な勝利であり、組合代表者は直ちに異議を唱えた。

Amazonが「悪質であからさまな違法行為」によって従業員を「心理的操作」してきたという告発を受けて、全米労働関係委員会(NLRB)が再投票を行うことに同意したため、小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)は年末に何とかカムバックを果たした。1月、NLRBは無記名投票の開始を2月4日と発表した。米国時間3月28日(月)に、これまで歴史的な取り組みとなってきた投票の集計が始まる。

Amazonのニューヨーク州スタテンアイランド倉庫も、比べるとかなり短い投票期間ではあるが、同様の取り組みに直面している。米国時間3月25日から始まる投票は3月31日まで行われ、その時点で集計が開始される予定だ。アラバマ州の郵便投票とは異なり、こちらは対面式で行われる。先の(ベッセマーでの)投票では、その方式が緊張の種となっていた。

この労働運動の推進は、すでにいくつかの論議を呼んでいる。元JFK8職員で組合支持者となったChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏は、2月下旬に他の2人とともに不法侵入の容疑で逮捕された。スモールズ氏は、同氏を含む3人はAmazonの従業員に食料を届けるために現場にいたのだと反論している。「これは単にAmazonが状況を作り出しているだけだ」と彼は報道陣に語った。会社側は独自の声明で反論し、同氏は「何度も警告を受けたにもかかわらず、不法侵入を繰り返した」とメディアに伝えた。

Amazonは以前から組合を弾圧する戦術で非難されており、労働者の扱いが長年にわたって厳しい批判にさらされてきた同社にとって、組合の推進が成功すれば、それが試金石となることを懸念しているのだろう。労働組合の結成が成功すれば、より多くの倉庫で働く労働者たちが勇気づけられることは間違いない。パンデミック中の状況も、多くの労働者にとっての動機づけの要因となっている。

Amazonの広報担当者であるKelly Nantel(ケリー・ナンテル)氏は、TechCrunchの取材に対し「従業員の声を反映していけることを楽しみにしています」と述べている。「Amazonがすばらしい職場であることを継続するために、チームと直接協力することに引き続き注力してまいります」。

注目すべきは、同社が労働者組織化に対する関心の高まりに直面しているいくつかの米国大手ブランドの1つであることだ。3月初めには、マンハッタンにあるREIの店舗で働く従業員が、組合結成に投票した。また、ニューヨーク州バッファローの店舗を皮切りに、全米のStarbucks(スターバックス)で一種のドミノ効果が展開されつつある。ニューヨーク州バッファローの店舗から始まり、アリゾナ州メサの店舗、そして今週初めには、同コーヒーチェーンの本拠地であるシアトルの店舗がこれに続いた。

画像クレジット:PATRICK T. FALLON/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

欧州のスタートアップによるウクライナ難民支援状況

ベルリンに本社を置くバッテリー交換のスタートアップSwobbeeの創業者でCEOのThomas Duscha(トーマス・ダーシャ)氏は、3月初旬にポーランドにいる家族を訪ねた。そこでウクライナ危機に接し、それが行動を起こすきっかけとなった。

「数週間前まで妻と生まれたばかりの子どもと一緒にポーランドにいたのですが、いつもと変わらない様子だったのに、突然、ブラックホークのヘリコプターが飛んできて。大変なことになっているんです」とダーシャ氏は話した。「何かしなければと、すぐに決心しました」。

ロシアがウクライナへの侵攻を始めてから数週間経つが、国連難民機関の追跡調査によると、米国時間3月15日時点で300万人超のウクライナ人が国外に逃れた。うち180万人超がポーランドに向かった。ベルリンはポーランドとの国境に近いため、ベルリンのスタートアップをはじめ多くの人々が技術に裏打ちされた草の根的な活動を始め、物資の提供、国境を越える移送、難民のための仕事と家の確保に取り組んでいる。

ダーシャ氏は、LinkedInへの投稿で、ベルリンのテックコミュニティに行動を呼びかけることから始めた。

3月3日の投稿には「SwobbeeはモバイルエネルギーとVodafone Gigacubeを提供し、人々が愛する人と確実に連絡が取れるようにします」と書かれている。「3月11日には、私の故郷であるトマシュフ・ルベルスキへ緊急物資を支援者と共に車で届けに行きます。状況が刻々と変化する中で、我々は市長とよくつながっています。市長のチームはどこをどのように支援すればよいかを熟知しています」

ダーシャ氏はフォロワーに、ベビーフード、缶詰、おむつ、寝袋、救急用品、生理用品、薬、パワーバンク、懐中電灯、電池などの寄付を求めた。そして、ベルリンのモビリティやスタートアップシーンで活躍する多くの経営者や創業者、投資家たちをタグ付けした。

「タグをつけたからには逃げられない。彼らは助けが必要だ」と、ダーシャ氏がある投稿でTier Mobilityの幹部をタグ付けしたところ、Tierには10トンの物資があるが運送業者がいないとすぐに返事が来たという。「その5分後には、解決策が見つかったのです」。

Swobbeeは、国境に送る物資を積んだバンを提供するために、都市部の物流に特化したeモビリティ企業のOnomotionや、最近GoTo Globalに買収されたeモペットシェアリング企業のEmmyなどのスタートアップの協力を得ることができた。国境で物資を降ろし、ウクライナの難民をベルリンに連れ帰ろう、と一部の物流顧客から声をかけられさえした。

ポーランドのウクライナ難民に物資を届けるベルリンのスタートアップのボランティアたち(画像クレジット:トーマス・ダーシャ氏[SwobbeeのCEOで共同創業者])

3月11日金曜日、約30人が乗り込んだ6台のバンの車列には5000個のヘッドランプ、2000個のパワーバンク、その他基本的な日用品が積み込まれ、ウクライナ国境に届けられた。その際、近くにあるキャビン付きのダーシャ氏の家族の敷地がベースキャンプになったと同氏は話した。

「まず孤児院を訪れ、いくらかの物資を置いてから、国境近くで電力供給が不足しているので助けてほしいと頼まれた都市に行き、クリミアに直接持ち込まれ、現在キエフにある電源バッグやバッテリーなども置いてきました」と同氏は述べた。「翌日、私たちの半分はドイツに戻り、国境で人々を拾いました。ポーランドの東部はすでにかなり混雑していて、そこで人々を受け入れる能力は限られています」

ダーシャ氏によると、自身とベルリンのテックコミュニティはLinkedIn、Facebook、WhatsApp、Telegramといった主要通信プラットフォームの様々なチャットルームを使って、国境を越えた物資や人の輸送を調整している。また、自身と身近にいる誰もが自分の家でウクライナからの避難民を受け入れているという。

ダーシャ氏のクラウドファンディングへの寄付はこちらからできる。

「これほどの連帯感を見たのは初めてです」とダーシャ氏は話す。「戦争中でなければ、EU(欧州連合)に起こった最高の出来事と言えるでしょう。新型コロナウイルス感染症やナショナリズムの影響によって分裂していましたが、今我々は結束しています。私がこの地球に生まれてから、一丸となったEUは見たことがありません」

ダーシャ氏とSwobbeeは、現地で難民に物資を届ける、難民を輸送する、難民のために家や仕事を見つける、資金を募る、サイバー攻撃や偽情報と戦っている、より広範な欧州のスタートアップエコシステムの一例に過ぎない。

このリストは定期的に更新される。最新情報を再度チェックしてほしい。

現地での物資調達

大規模な商業荷主と中小の貨物輸送会社をつなぐプラットフォームのSennderはベルリンで物資の寄付を集めてウクライナ国境まで輸送すべく、他のスタートアップとチームを組んだ

スタートアップのViceroy GroupとPopupのチームによって設立された慈善団体Commerce4goodは、高齢者への食料、民間人への無線機器、生産者への布地など必要な物資を迅速に提供するために、ウクライナにサプライヤーと現場ボランティアのネットワークを構築した。寄付はこちらから。

Uberはポーランドの多くの都市で、赤十字の拠点に物資を届けるために無料で利用できるコードのリストを公開した。このプロモーションの有効期限は3月6日で、最大7ドル(約830円)を1回無料で利用できるというものだった。このプロモーションを継続するのか、するとしたらいつまで続けるか、TechCrunchはUberに問い合わせたが、返事はまだない。

10分で食料品を配達するベルリン拠点Gorillasは、ベルリンの倉庫から必要なアイテムを集めて寄付し、国境に物資を届けるべくWolne Miejsce(ウォルネ・ミエジスツェ)財団に送っている。顧客はGorillasのアプリで「ヘルプボックス」を1つ注文して国境に送ることができる。

La French Tech missionFrance DigitaleThe Galion Projectの連合はLeetchiでクラウドファンディングを開始し、ウクライナ難民への物資を調達するための資金集めを行っている。

ウクライナからの難民の輸送

避難した人々が自立した生活を取り戻せるよう持続可能なデジタルソリューションを生み出している英国拠点の非営利団体Techfugeesは、ウクライナの難民に輸送や移住の選択肢など多くのリソースを提供するために通常の倍取り組んでいる(免責事項:TechCrunchの編集長Mike ButcherはTechfugeesの共同設立者で社長でもある)。 寄付はこちらから。

同団体は、インバウンドのリードコンバージョンとスケジュール管理アプリChili Piperを手がける米国の財団Citizens of Our Planetと連携し、ウクライナから人々を脱出させる方法、ウクライナ国内から国境までの輸送手段、難民を受け入れるすべての周辺国の手続き、利用できる宿泊施設などをまとめた広範囲なドキュメントを作成した

オンデマンドの配車サービス、クルマやスクーターのシェアリング、レストランや食料品店の配達を行うエストニアのスタートアップで社名を冠したアプリBoltは、ウクライナでのすべてのサービス手数料をゼロにすると発表した。また、ポーランドとスロバキアのドライバーには、ウクライナ国境での乗車を受け入れ、難民の輸送を支援するようインセンティブを与えている。さらにBoltは欧州での各注文の5%を赤十字などのNGOに寄付していて、来週中に最大500万ユーロ(約6億5000万円)を寄付する予定だ。

企業価値30億ドル(約3550億円)のドイツの交通スタートアップFlixMobility傘下のバス輸送サービスFlixbusは、国籍を問わず難民に無料チケットを提供している。同社は、ポーランドのプシェミシルやジェシェフ、あるいはルーマニアのブカレストからウクライナとポーランドの国境にやってくる人々のために、追加の接続路を設けた。同社はまた、自社の車両やパートナーとの連携により、難民のために物資を輸送している。

Uberはポーランドとウクライナの国境で無料乗車を提供している。「POMOCLUBELSKIE」または「POMOCPODKARPACKIE」というコードでUber Aidを選択すると、国境とルブリンまたはジェシェフの間で乗車できる。このコードではそれぞれ70ドル(約8300円)までの無料乗車が可能だ。注意事項にはコードは3月12日まで有効と記載されているが、UberはTechCrunchにこのキャンペーンはまだ継続中だと述べた。

ウクライナ人のソフトウェア開発者Andrii Taganskyi(アンドリイ・タガンスキー)氏とEugene Gusarov(ユージーン・グサロフ)氏は、最悪の紛争地域から逃れる民間人のために相乗りと乗車を手配しようと、相乗りアプリのBlaBlaCarとウクライナのUberであるUklonを説得した。2人はBlaBlaCarに手数料をなくしてもらい、ウクライナ全土の1万7000人のドライバーにテキストを送信して、人々を安全に移動させるための支援を呼びかけてもらった。

「最初の3日間だけで、BlaBlaCarは5万人以上をウクライナ西部の安全な場所に輸送しました」とタガンスキー氏はインディペンデント紙に語った。その後、同氏とグサロフ氏はウクライナの保険会社を巻き込んで、7万人以上のバス所有者にBlaBlaCarへの参加を求めるテキストを送ったと述べた。

難民のための住宅

パリのスタートアップキャンパスであるStation Fは、フランスに避難してきたウクライナ人起業家に対し、Station Fの起業家向け住居Flatmatesで宿泊を無料で提供している

ドイツのユーザーが家具付きの仮住まいを探すためのプラットフォームWunderflatsは、ウクライナ難民の仮住まい探しを支援している。価格設定は住居を提供する側の裁量によるため、Wunderflatsは無料の宿泊施設を約束することはできないが、同社によると、支援に登録した家主の3分の2は無償提供を申し出ているという。

空き部屋を抱えている人は、ウクライナ難民をさまざまな方法で支援する新しいプラットフォームWe Help Ukraineに登録することができる。テック企業から慈善団体、広告代理店まで、実に多様な団体が設立したこのプラットフォームは、避難しているウクライナ人が経済面、医療面、心理面でのサポートを得たり、難民資格を取得したり、仕事を見つけたり、現地の語学教室に通ったりすることも支援している。

EU4UAは、難民とシェルターを提供できる人をマッチングするプラットフォームとして、パリに拠点を置くHRTechスタートアップJobgetherの共同創業者たちによって結成された。

ウクライナ国内では、テックに精通した国民が、難民のためのAirbnbやCouchsurfingと称されるPrykhystokなどのウェブサイトを立ち上げた。Prykhystokは、独創的な考えを持つウクライナの国会議員Halyna Yanchenko(ガリーナ・ヤンチェンコ)氏が考案したものだ。インディペンデント紙によると、母親であるヤンチェンコ氏は砲撃を受けているキエフから動けず、安全のために子ども2人を西部に送り、子どもと離れ離れになっているという。このウェブサイトには現在、全国5000以上の避難所が掲載されているとヤンチェンコ氏は話す。

また、Ukraine Nowというウェブサイトも近々立ち上げられ、出国途中にウクライナ国内で滞在できる住宅の情報をクラウドソーシングするオンライン・シェルター・サービスを提供する予定だ

テック系スタートアップのCasafariによるものを含め、Shelter UKRTakecareBnBIcanhelp.hostUkraineTakeShelter.comなど、他にも多くの住宅に関する取り組みが展開されている。しかし、宿泊施設のホストの身元を確認する検証済みの方法を打ち出しているサイトはほとんどないため、慎重に行動することを読者にはお勧めする。

ウクライナ人のためのテック職

UA Talentsは、故郷を離れざるを得なくなったウクライナ人が欧州連合の雇用主を見つけるのをサポートするために生まれた雇用プラットフォームだ。設立メンバーは、海外に住むウクライナ出身のIT起業家や専門家で、難民とその家族の生活を支援したいという思いからボランティアで活動している。

Jobs4Ukraineは、ウクライナ人の職探しを支援するために最近設立されたプラットフォームだ。このサイトには、すでに数十社の企業が潜在的雇用主として登録している。また、ソフトウェア開発からマーケティング、翻訳に至るまで、スキルシェアリングに協力するボランティアを希望する人も登録することができる。

また、高度な技術を持つウクライナ人の労働力活用を目指すプラットフォームとしてRemote Ukraineがある。高度な訓練を受けたテック人材をEUの企業に紹介している。単発の仕事から短期契約、フルタイムのものまで何でもある。このサイトでは、プロセスをシームレスにするために支払いも行っている。Techfugeesとのジョイントベンチャーだ。

Techfugeesは、英国や欧州のVCと協力して、移住中に家族を支えるためにリモートで働くことができる避難民を支援できるような資金をプールしている。Tech Nation U.K.および特定の英国VCとオンラインプラットフォームを立ち上げ、合理的なプロセスを形成する予定だ。Techfugeesはまた、欧州のVCと集団を形成している。

IT軍団

NGOが人道支援をこれまで以上にうまく調整できるよう、システムの近代化とデジタル化を支援する取り組みがいくつか始まった。Tech to the Rescueは、この目的のために非営利団体と技術系企業をマッチングさせるプラットフォームで、最近#TechForUkraineキャンペーンを開始した。脆弱なセキュリティシステム、時代遅れのソフトウェア、ユーザーフレンドリーなUIやUXの欠如といった問題を抱えるウクライナの慈善団体を、テックに精通した人が支援することを目的としている。

Code for Romaniaは、市民社会と国家のためにルーマニアのデジタル化を目指すボランティア組織で、全力を戦争タスクフォースに注ぐために2月24日に通常の活動を停止した。この組織と2700人超のボランティアのコミュニティは、ウクライナ危機に対するデジタルソリューションのエコシステムを考案するために協力し合っている。ルーマニアの緊急事態省と協力して、リソースやボランティアを管理するためのツールを提供し、避難民のための重要な情報を掲載したガイドを作成した。

Code for Romaniaのタスクフォースは、難民を安全な宿泊施設に誘導し、緊急支援を提供するソリューションにも取り組んでいる。

Techfugeesは、、現在の紛争地域と安全な地域をマッピングするオープンソースの迅速対応サイトを開発し、車で出国する人のための燃料マップも作成した。

誤情報、フェイクニュース、ディープフェイクと戦うAI駆動型プラットフォームCREOpointは、ウクライナでの戦争に関連して、ロシアのプロパガンダマシンなどから出回る偽データに対抗するために活動している。

スタートアップではないが、GoogleウクライナのAndroidスマホに空襲警報を送信している

それでも必要なものは?

「スペインやドイツ、オランダなど、ウクライナの人々が避難する国では、セラピストやセラピー能力、トラウマに対処できる人材が必要です」とダーシャ氏は話す。「土曜日に、生後2カ月の赤ちゃんと6歳と10歳の女の子を連れて到着した男性に会いました。彼らはキエフから逃げてきたのですが、ロシア軍に攻撃され、男性の妻は車の中で撃たれて死亡しました。男性は子供たちと高速道路の脇に妻を埋葬しなければなりませんでした」

It’s Complicatedのようなセラピープラットフォームは、ウクライナでの戦争の影響を直接受けた人に、無料のオンラインカウンセリングを提供している。一部のイスラエルのヘルステック企業も、ウクライナ人の心のケアに協力するためにチームを組んでいる。心の健康をサポートするAI駆動型のパーソナルコーチKai、特別なニーズや学習・感情面での困難を抱える学生を支援するプラットフォームAmplio Learning、デジタル医療サービス企業Femiなどだ。

ロシア軍に攻撃されている都市から逃げ出すウクライナ人が増える中、住宅も非常に重要になる。3月14日には、2週間前にロシア軍に包囲されたマリウポル市から、初めて民間人が出発することができた。ウクライナ当局は、市内に閉じ込められた市民が食料や医薬品の配送を断たれ、ロシアからの執拗な砲撃が人々の脱出を妨げていることから、同市での人道的大惨事を警告している。戦闘が始まって以来、マリウポルでは2000人以上が死亡した

多くの企業がNGOや政府と協力して支援を行っているが、次の大きなステップはまさに需要と供給の調整、構造、最適化だとダーシャ氏は話す。資源をより集中的に管理する必要があり、そのためには民間企業の協力が必要だ。

ウクライナ難民を支援している他のスタートアップの情報を持っている人、またはこの記事に掲載されているいずれかのソースとのつながりを望む人は、rebecca.techcrunch@gmail.comまたはmike@techcrunch.comまで連絡を。

画像クレジット: Techfugees

[原文へ]

(文:Rebecca Bellan、Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

ベラルーシ当局がロシア語版ウィキペディアの主要編集者を逮捕、ロシア「フェイクニュース法」に抵触?

ベラルーシ当局がロシア語版ウィキペディアの主要編集者を逮捕、ロシア「フェイクニュース法」に抵触?

berean via Getty Images

ベラルーシの報道機関Zerkaloが、ロシア語版Wikipediaのトップ編集者マーク・バーンスタイン氏がベラルーシ当局に逮捕されたと報じました。バーンスタイン氏はロシアが先日定めた「フェイクニュース法」に違反したと伝えられています。

ロシアのフェイクニュース法は外国人も対象とされ、ロシア軍に関する「誤情報」、特にウクライナ侵攻に関する虚偽の情報(ロシア政府は特別軍事作戦と呼称)を拡散した者に対しては最長で禁固15年に処される可能性があるとされます。施行前後の3月4~10日にはウクライナ情勢を伝えるため現地に入っていた英BBCなどが取材活動を一時的に取りやめるに至っていました。

今回バーンスタイン氏はベラルーシの組織犯罪対策当局であるGUBOPiKに拘束されたとされ、逮捕直前にはバーンスタイン氏のWikipediaにおけるハンドルネームや勤務先といった情報がGUBOPiKの公開Telegramチャンネルに流れていたとされます。またこのチャンネルではバーンスタイン氏の逮捕の様子をとらえた動画も共有されたとのこと。

ただ、ロシアの法律をベラルーシ当局が適用して誰かを逮捕することは、普通ならできません。The Vergeはこの逮捕が一体何の罪状によるものなのか、どの記事がロシアのフェイクニュース法に抵触するのか定かではないとしています。

ロシアはウクライナ侵攻に関する政府公式の発表と異なる情報やその発信源の取り締まりを強化しており、フェイクニュース法によってロシア国内の独立系メディアを一掃しています。その独立系メディアのひとつである「Novaya Gazetaの編集長ドミトリー・A・ムラトフ氏はNew York Times紙に対して「ロシア政府によるプロパガンダ以外の情報はすべて削除される」と述べました。

Wikipediaを展開するWikimedia財団の広報は「財団の信頼と安全と人権のチームは、ウクライナで進行中の危機を監視してきました」と述べ「彼らの安全確保とニーズに対応するために、各地域の我々のコミュニティと連絡を密にしている」とし、状況を注意深く見守っていると述べました。

(Source:The VergeEngadget日本版より転載)

ロシア、アップルとグーグルに対し「野党支援アプリの削除か刑務所送り」と脅迫との報道―2021年秋から抑圧の下地作り

ロシア、アップルとグーグルに対し「野党支援アプリの削除か刑務所送り」と脅迫との報道―2021年秋から抑圧への下地作り進行

Mikhail Klimentyev/TASS via Getty Images

ウクライナ侵攻が続くなか、ロシア当局のハイテク大手に対する規制も強まり、プロパガンダを抑制しようとしたFacebookやTwitterも国内でブロックされました。そうした圧力は侵攻以前からあり、アップルやGoogleにプーチン政権にとって不都合なアプリを消すよう脅迫していたことが報じられています。

これはロシアの野党指導者で投獄されているアレクセイ・ナワリヌイ氏が構想したアプリ「Smart Voting」をめぐってのことです。本アプリはロシア政府や与党「統一ロシア」に選挙で対抗するために、最も有利な候補者を支援するものでしたが、ロシア当局はアップルとGoogleにアプリストアから削除するよう要請。はじめ両社とも従いませんでしたが、結局は圧力に屈してどちらも削除しています

米The Washington Postによると、アップルとGoogleのモスクワにいる幹部らは、このプーチン大統領が嫌っているアプリに関して、9月に直接脅迫されたとのこと。それぞれの幹部の自宅に捜査官が現れ「24時間以内にアプリを削除しないと刑務所に入れるぞ」と脅したと伝えられています。

そのうちGoogleは宿泊客と警備員が近くにいればある程度は守られると考え、速やかに幹部を偽名でホテルに移したそうです。が、捜査官は部屋に現われて「まだ時間は残っている」と告げたとのこと。この人物は、秘密警察KGBの流れを汲む治安機関FSB(ロシア連邦保安庁)の職員だと見られています。

この脅迫戦術は功を奏し、アプリは数時間のうちにGoogle PlayとApp Storeから削除されたと報じられています。その後にアップルを初めとしたハイテク大手に現地オフィスを開設を命じた(各企業や従業員らがロシアの法制度や政府の要求に対してより脆弱になる)ことも合わせて、The Washington Postは「現在ロシアで進行中の、ソ連式に表現の自由を抑圧する下地となった」と分析しています。

アップルはロシア政府の要求通りに現地オフィスを開設したとの報道もありましたが、他にも様々な圧力がかけられていたとすれば、やむを得なかったのかもしれません。

(Source:The Washington Post。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

ウクライナ出身のVC、故郷の難民のために支援金を募って送金

「今まであなたが会った中で最も幸運な人の1人だ」とニューヨークのオフィスで語るのはAlex Iskold(アレックス・イスコルド)氏だ。イスコルド氏はベンチャー企業2048 Venturesの共同創業者でマネージングパートナー。それ以前は、ニューヨーク市のプログラムのマネージングディレクターとしてTechstarsに5年間勤務し、100社以上のスタートアップに投資や支援を行った。

また、イスコルド氏は膨大な人脈を培ってきた。その人脈を2年ぶりに活用する。活用するのは今回が2回目で、1回目はパンデミック時に仲間のVCであるMinda Brusse(ミンダ・ブリュッス)氏とともに友人や知人に呼びかけて困っている家族に資金を提供した。ニューヨークタイムズ紙が表現したように、一種のヒューマンブロックチェーンを形成した。イスコルド氏によると、この活動は最終的におよそ1000世帯に300万ドル(約3億5000万円)を届けたという。

そして今、同氏は「1K Project」と名付けたこの活動を復活させ、国外に逃れたウクライナ難民、そしてウクライナ国内に取り残され、突然職を失い、もはや家と呼べる場所もない家族に必要な支援を提供しようとしている。

「1K Projectを再開することになるとは思ってもいませんでした。しかしロシアのウクライナ侵攻が何を意味するのかを理解するやいなや、電話をかけ始めました」と同氏はいう。

1カ月前には想像もつかなかったのに、すでに200万人超が避難し、1000億ドル(約11兆7000億円)超の被害が出ているこの戦争に、多くの人と同様、イスコルド氏も恐怖を感じている。しかし、それは個人的なことでもある。同氏はウクライナ人だ。人生の最初の19年間をウクライナで過ごし、今でも多くのいとこや友人、知人がウクライナにいる。実際、3番目のいとことその家族は、ロシア軍がウクライナに侵攻してすぐに出国した。その一方で、その他の人はウクライナ国内にとどまっている。というのも、家族の中に出国が禁じられている18〜60歳の息子や夫がいるためだ。

イスコルド氏のネットワークは、サポートの呼びかけにすばやく反応した。11日前、ウクライナの人々に支援金を届けるために1K Projectを復活させるとツイートして以来、開発者からデータアナリストまで30人のボランティアによるネットワークが活動を開始し、スポンサーと支援を受ける側が連絡を取り合うまでの道のりをスムーズにするために動き出した。

「私たちが構築した最も強力なものは、スポンサーと家族の迅速な申請を可能にする分散型ネットワークです。関心のある人は応募用紙を私たちのサイトで見つけることができます。スポンサーには軽い審査、支援を受ける家族の側にはより厳しい審査があります。しかし、スポンサーと家族が承認されると、両者はマッチングされ、スポンサーは(唯一の送金サービスである)Wise.comを通じて家族に資金を提供する方法をテキストまたは電子メールで指示されます」とイスコルド氏は説明する。

1000ドル(約11万7000円)単位の寄付は、税金の控除対象ではない。もっと多額の寄付をして税控除を受けたい人のために、財政スポンサーとして「OpenCollective.com」という団体を利用しているとイスコルド氏は説明した(例えば5世帯以上に寄付する場合、1K ProjectはOpenCollectiveへの寄付の方法を案内する。そしてOpenCollectiveを通じて1K Projectが各世帯に寄付を配分する)。

より多くのボランティア、そして寄付者が必要だ。1K Projectは「3人以上の子どもを持つ家庭を支援することに重点を置いている」とイスコルド氏は説明する。ここには紛争地域にいる女性、子どもを連れて避難している女性も含まれ、すでに対応しきれないほどの需要がある。「私たちにはランキングアルゴリズムがあり、間もなく1200世帯に資金を提供する予定です」と同氏はいう。「しかし、1万2000もの応募があり、全員に資金を提供することはできません。十分な資金がないのです」。

資金がどのように使われているかについては「実に多くの使用例があります」とイスコルド氏は話す。同氏はウクライナの銀行システムが完全な混乱の中でも機能し続けていることを評価している。

資金を使ってより安全な地域に移住した家族もいれば、すでにウクライナ国外にいて、子どものための食料を購入するのにこの資金を使う家族もいる、と同氏は説明する。

どのケースも家族は非常に困難な状況にあるという。「ある日はソファに座っていたのに、翌日には爆撃で家が完全に吹き飛ばされ、住むところもなく、Tシャツ1枚でそこから脱出する方法を考えなければならない、というような家族の話をたくさん聞いてきました」。

そうした話はイスコルド氏を苦しめる。「お礼のメッセージをもらって、いつも泣いているんです」。さらに悪いことに、同氏の広範にわたる熱心なネットワークにできることは限られていることを同氏は知っている。「軍用の弾薬や医療品など、私たちが支援できない問題が山積しているのです」。

そんな中、同氏は自身が知っている人のことを心配している。特に、彼らが追跡困難な状態に陥るときは心配だ。「(スマートフォンに)緑の点が表示されるときとされないときがありますよね?」。

その一方で、イスコルド氏は自分にできることを行い、少しずつ前進しているようだ。1K Projectを新たに立ち上げてから、人々は100万ドル(約1億1700万円)を800超の世帯に寄付した。すべてを一瞬で置き去りにした「難民にとって非常に役立つ」サポートだ。

しかし、そのニーズはさらに膨らみそうだ。「ウクライナ国内で避難生活を送る家族が運良く難民センターに入れた場合、多くのものが提供されます。難民センターに入れない家族は、食べ物や助けが必要なのです」とイスコルド氏は話した。

画像クレジット:Beata Zawrzel/Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏、テスラのカリフォルニア工場で組合投票を実施するよう全米自動車労働組合に挑む

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)がカリフォルニア州フリーモントの工場で全米自動車労働組合(UAW)が組合投票を行うことを阻止するために何もしないと述べた。マスク氏はツイートの中で、ベイエリアにおけるTeslaの真の課題は、求職者数より求人数が多いマイナスの失業率であり、そのため「(すばらしい)人々」をよく扱い、報酬を与えている、さもなければ彼らは去ってしまうだろう、と述べている。

マスク氏は、Biden(バイデン)大統領が一般教書演説でTeslaについて言及しなかったことを非難した際に、マスク氏の味方をしたKissのリード・シンガー、Gene Simmons(ジーン・シモンズ)氏に反応してこのツイートを投稿した。大統領は、Ford(フォード)とGeneral Mortors(ゼネラルモーターズ)が数十億ドル(数千億円)を投じて電気自動車を発売し、それによって何千人もの雇用を生み出していることを称賛しただけだった。Bloombergが指摘するように、大統領は労働組合の支持者であり、非組合員を抱えるTeslaを演説やインタビューの中でしばしば無視することがある。

マスク氏は、その後のツイートで、Teslaの工場労働者の報酬は自動車業界で最も高いと主張し、ソースとしてGMのMary Barra(メアリー・バーラ)CEOのインタビューを掲載した。そのインタビューでは、ニュースキャスターでジャーナリストのAndrew Sorkin(アンドリュー・ソーキン)氏が、Teslaの非組合員労働者は組合員労働者より多くの報酬を得ていると述べている。バーラ氏は、賃金だけでなく福利厚生も考慮しなければならないので、もっと情報を見なければならないが、ソーキン氏が言ったことは前回調べたときにはそうではなかったと答えている。

UAWは何年も前からTeslaの組合化に取り組んでおり、マスク氏は当初からそうした取り組みを批判してきた。2017年にフリーモントの労働者が劣悪な労働条件と低賃金を訴えたとき、マスク氏はUAWを攻撃すると同時に、要点を絞った手紙を従業員に送ったと伝えられている。彼は、組合の真の忠誠は「巨大な自動車会社にあり、従業員から会費で取る金はTeslaから稼ぐよりも莫大な額だ」と、述べている。

同年、全米労働関係委員会(NLRB)は、不当労働行為に関する苦情を調査した結果、同社を提訴した。NLRBによると、労働者はTeslaが組合結成について話し合えないような秘密保持契約を結んで「強制し、脅迫している」と述べた。2018年、NLRBは同社が組合活動家のRichard Ortiz(リチャード・オルティス)氏を解雇した際に労働法に違反したと認定し、逸失利益と福利厚生の補償を命じた。

また、労働委員会はマスク氏に対し、従業員への脅迫と思われるようなツイートの削除を命じた。このツイートでマスクは、同様に組合結成への取り組みを呼びかけていた。「我々の自動車工場のTeslaチームが組合に投票することを止めるものは何もない。彼らが望めば、(明日にでも)そうすることもできる」と彼は書いた。しかし、彼はこうも言っている。「だが、なぜ無駄に組合費を払い、ストックオプションをあきらめるのか?」NLRB議長のWilma Liebman(ウィルマ・リーブマン)氏は当時、従業員にとって、組合結成に投票したらストックオプションがなくなるように聞こえるかもしれないと説明した。Electrekが指摘するように、Teslaは、株式報酬制度をほとんどの従業員に提供しており、同社の株価上昇によって、この制度は非常に価値のある福利厚生となっている。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Monn(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetのアソシエイト・エディター。

画像クレジット:Sam Hall / Bloomberg / Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Yuta Kaminishi)

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、ロシア政府がアップルやGoogle、Twitterなどハイテク大手に現地オフィスを開設するよう義務づける法律を遵守するよう迫り、検閲キャンペーンを強化していると報じられています。

米The New York Timesによると、ロシア当局は「アップルをはじめとした企業に対し、国内に法人を設立することを義務付ける法律を遵守するよう警告した」とのことです。この通称「上陸法( landing law/現地に拠点を作らせるため)」により、企業や従業員がロシアの法制度や政府の検閲官の要求に対してより脆弱になる、との法律の専門家や市民団体のコメントも紹介されています。

この「上陸法」は2021年7月に、プーチン大統領が署名して成立したものです。それに基づき11月には対象となる企業のリストと、ロシアの要件を満たすため具体的に何をすべきかが明らかにされていました

ちなみにロシア当局は7月に、野党指導者ナワリヌイ氏が構想した選挙支援アプリにつき、アップルとGoogleにアプリストアから削除するように要請。さらに両社に対してアプリを削除しないと罰金を科すと脅したとの報道もありました

さてNYTによれば、今回の動きは「海外ハイテク企業に対するロシアの圧力キャンペーンの一部」とのことです。ロシア当局は罰金や(従業員の)逮捕、インターネット・サービスの遮断や速度制限の可能性をちらつかせ、クレムリン派(プーチン支持派)のメディアはそのままにして、ネット上の好ましくない素材を検閲するように企業に働きかけている、と伝えられています。

アップルはどう対応したかと言えば、すでに今月初めにモスクワにオフィスを開設して「上陸法」を遵守しているとの報道もあります。またウクライナ副首相がティム・クックCEOに対してロシア国内におけるアップル製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請しましたが、記事執筆時点ではクックCEOからの反応は確認されていません。

その一方で、Facebookの親会社であるMetaはウクライナ侵攻に際して、ロシア国営メディアが広告収入を得ることを禁止し、ファクトチェックを厳格にしていくとの対応を発表。これをロシア側は違法と主張し、同社のSNSへのアクセスを制限したことを明らかにしています。

ふだんアップルはプライバシーを基本的な人権の1つと呼び、ユーザー行動の追跡に基づくターゲティング広告が収益源のMetaおよびFacebookはその反対勢力と見られている印象があります。が、今回に限っては立場が逆転している感もあり、アップルに対して欧米の世論からの批判が高まるのかもしれません。

(Source:The New York Times。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

ウクライナ発の顔交換アプリ「Reface」が反戦プッシュ通知を追加

a16zが出資するウクライナ発の合成メディアアプリReface(リフェイス)は、世界中に抱える約2億人ものユーザーにロシアのウクライナ侵攻を知らせるプッシュ通知を追加し、アプリで作成した顔交換動画に透かしを入れるなど、人々に#StandWithUkraineを呼びかけている。

アプリで作成されたすべての動画には現在、ウクライナ国旗と#StandWithUkraineのハッシュタグの透かしが入る。

また、今回のアップデート後にアプリを開くと、キエフで避難する市民の画像が表示され、画像はロシアがウクライナを攻撃した「証拠」だとするキャプションが表示される。

メッセージはまた「戦争を止める」ために、ロシアを国際銀行決済システムSWIFTから排除するよう求めている。

Refaceによると、アプリの別の次期アップデートでは、すべてのユーザーに「ウクライナでの戦争に反対する声明を出す」よう促すという。

Refaceはまた、ウクライナをサポートできるリソースをユーザーに案内している。

画像クレジット:Reface

Refaceは2月最後の週末から反戦キャンペーンを開始し、これまでに900万通のメッセージが送信され、そのうち200万通はロシアのユーザーに届けられたという。

ユーザーの自撮り写真を有名人のビデオクリップにマッピングすることで、現実をファンタジーに変え、消費者に数秒間の想像上の楽しみを与えてきたこのアプリにとって、これは超現実的な展開だ。

しかし、Refaceの従業員がロシアの侵攻を直接体験していることから、チームは、この状況に対する世界的な認識を高め、人々に抗議を促すために何かする必要があると判断した。

画像クレジット:Reface

ウクライナからTechCrunchにメッセージを寄せたRefaceのCEOで共同創業者のDima Shvets(ディマ・シュヴェッツ)氏は、次のように語っている。「Refaceは大規模な情報キャンペーンを開始し、すべてのロシア人ユーザーにプッシュ通知を送り、我々の都市におけるロシアの攻撃の証拠を示し、ウクライナとともに立ち上がり、抗議行動に出るよう人々に呼びかけました。さらに、世界中のユーザーに対して、ウクライナを支援するためのアプリ内メッセージを追加し、現在、当社のアプリで作られたすべてのビデオには、#standwithukraineとウクライナ国旗の透かしが入っています」。

「我々はこのキャンペーンがいかに危険なものであるかを理解し、すべてのリスクを負っています。すでに多くの星1つのレビューや、真実を見る準備ができていなかった人たちからの報告を受けています」とも付け加えた。

Refaceは、ロシアにいる550万人のユーザーを対象に、抗議を促すプッシュ通知と、ウクライナ国内の戦争映像のスライドショー(焼け落ちた建物や爆撃を受けた建物、避難しようとする市民の写真など)へのリンクを送信する。

ロシアで展開されているスライドショーに添えられたキャプションには、次のように書かれている。「ロシアの顔に泥を塗れ」「一緒に戦争を止められる」「通りを埋め尽くせ」「我々が反対していることを世界に示せ」。

Refaceの広報担当者は「最初の目標は、ロシア人に本当の情報を広め、独立したメディアや信頼に値する情報源にアクセスできないロシアの人々に抗議を促すことです」と語った。

「リスクを理解し、そのすべてを負っていますが、それは我々の自由のために支払う小さな代償です。そして、App StoreとGoogle Playが我々をサポートすることを願っています」。

ロシア政府がロシアの主要メディアを支配しているため、ロシア国民は日常的に国家のプロパガンダにさらされている。例えば、ウクライナへの侵攻は「特別軍事作戦」であり、戦争行為や理不尽な侵略ではない、というプーチン大統領の主張などだ。

つまり、プーチン大統領の軍が隣国ウクライナを陸・空・海から砲撃し始めて以来、多くの一般ロシア人はウクライナ国内の映像を見たことがないことを意味する。

ロシア政府はまた、外国の主要ソーシャルメディアプラットフォームによって、プロパガンダの発信が制限されるのを防ごうと動いている。

同政府は2月25日、Facebook(フェイスブック)へのアクセスを一部制限すると発表した。明らかに、ソーシャルメディアプラットフォームがロシア政府とつながりのあるメディアに対して事実確認のラベルを貼ったことに対する報復だ。

関連記事:ロシア、国内でのフェイスブックへのアクセスを部分的に制限すると発表

ロシアのウクライナ侵攻を非難する立場を取ることで、Refaceはロシアのインターネット規制機関Roskomnadzorから同様の措置を受ける危険性がある。Roskomnadzorは、例えば、Apple(アップル)や Google(グーグル)のモバイルストアからRefaceアプリを排除するよう働きかけるかもしれない。

地下鉄に避難しているウクライナに残ったRefaceのスタッフ(画像クレジット:Reface)

ハイテク大手2社は9月、ロシア国家からの圧力に屈し、獄中のロシア政府批判者Alexei Navalny(アレクセイ・ナヴァルニー)氏の組織が作成した戦術的投票アプリをストアから削除した。

Roskomnadzorは、Smart Votingアプリを削除しないなら罰金を科すと脅した。

Roskomnadzorは以前にも、ロシア国民がローカルのアクセス制限を回避することを困難にしようと、VPNアプリを標的にしたことがある。

しかし、ロシアの情報形成のためのサイバー活動は、アクセス制限をはるかに超えて広がっている。Refaceに反戦メッセージが追加されて以来、突然星1つのレビューが殺到したのは、ロシア政府の支援を受けた偽情報屋が、反ウクライナ政策の一環として、アプリの評判を落として利用意欲を低下させようとする協調行動である可能性が少なくともある。

また、このほど新たな制裁を発表したEUは、悪名高いロシアのトロール工場(別名:インターネットリサーチ機関)とロシアの独裁者の出資者であるYevgeny Prigozhin(エフゲニー・プリゴジン)を、制裁対象の団体と個人の拡大リストに追加したことも注目される。

しかしRefaceは、反戦メッセージを公開して以来、同社のアプリに対する否定的なレビューが、ロシア政府への協調行動かどうかを判断するのは難しいと述べた(もちろん、もともと純粋な娯楽アプリであるRefaceが、反戦メッセージを送るという決定を下して、一部のユーザーを単に困らせたということは十分にあり得るし、おそらくかなりあり得ることだ)。

否定的な反応を受け、Refaceは「ウクライナの現状について世界に情報を提供し続ける」ことができるよう、人々に「App StoreとGoogle Play Storeでの評価を高く保つ」ことへの協力を呼びかけている。

つまり、アプリの評価さえも、サイバー戦争のプロパガンダの戦場として流用することができるようだ。

Refaceのチームが直面している現場の状況について尋ねると、チームのスタッフの多くは現在紛争地帯で仕事をしており、スタッフのほとんどがまだウクライナにいる、とRefaceは話した。ただし、12月以降、出国したり、海外でリモートワークをしている人もいるという。

男性の社員は、侵攻以来、政府の規制により国外に出ることができない。

Refaceの広報担当者はウクライナにいるスタッフについて、多くのスタッフはより安全な場所を求めてウクライナ西部に移動し、他のスタッフはキエフに留まって「防空壕から情報的・技術的に支援」していると話した。

また、自主的に国防軍に参加した人もいるという。

「チームは分裂を余儀なくされたものの、これほどまでに団結したことはありません」と広報担当者は語り、こう付け加えた。「私たちは勇敢で強く、ロシアの侵略者に滅ぼされることはないでしょう。しかし、世界からの全面的な支援なしには、この戦争を止めることはできません」。

ウクライナでの戦争中の別のReface従業員の仕事場(画像クレジット:Reface)

Refaceは世界の指導者たちに対して、ロシアに対してより厳しい制裁を科すとともに、ウクライナへの支援(武器など)を強化するよう求めている。

SWIFTに関しては、EUの首脳は禁止措置をめぐって揺れているように見えたが、2月25日、EUは他の多くの措置とともに、ロシアの銀行市場の70%を排除する制裁措置に合意した(ロイターより)。

EU委員長は週末に、ロシアの国営メディアであるロシア・トゥデイ(RT)とスプートニク(およびその子会社)に対し「前例のない」さらなる措置を講じると発表した

声明の中でEUのUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)委員長は、ロシア政府の「メディア・マシンは…プーチンの戦争を正当化し、我々の連合に分裂をもたらすために、もはや嘘を流すことはできないだろう」と述べ、EUは「欧州におけるロシアの有害な情報操作を禁止するツールを開発中」だと付け加えた。

EUが何を意図しているのか、禁止令が実際にどのように機能するのか、テレビ局だけでなく、そのコンテンツをホストしているオンラインプラットフォーム(YouTubeなど)にも適用されるのか、あるいは、穴だらけの(誤)情報時代にロシアのプロパガンダマシンを阻止するという話に本当に意味があるのか、正確にはわからないが、EUが試みたいと言っているという事実は注目される。

デジタル政策の立案において、EUの議員たちは往々にして言論統制と非難される可能性のある措置を提案することに非常に慎重だ。しかし、プーチンはEUの議員たちにその一線を越えさせてしまったようだ。

画像クレジット:Alain Pitton / NurPhoto / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】米国はシリコンバレーの力を活用して国防のイノベーションを推進すべきだ

米国防総省(DoD)をはじめとする米国政府機関および議会超党派合意は、中国が外交、インフォメーションとインテリジェンス、軍事力および経済力の戦略的活用によって、将来の世界秩序を再定義しようとしていることを認識している。

中国が宣言している目標と目的を踏まえれば、我々はこの評価が今後数十年間継続する可能性を予測すべきだ。

あらゆる公平な観察者にとって、中国の積極的な政府全体による支配、とりわけ軍事領域における支配への取り組みに対する米国の対応は、断片的かつ無効である。対応(要求、取得、予算)のために用意されたシステム(および人員)は、ライフサイクルコストと30年間におよぶDOTMLPF(教義、組織、訓練、物資、指導者育成、人事、施設)プロセス管理に最適化して設計されている。

しかし、戦略的競争に勝つためにはその正反対が必要だ。スピード、緊急性、スケール、短期ライフサイクル、およびアトリビュータブル(帰属可能)なシステムだ。既存のDoDシステムは、現在DoD関連の先端技術(AI / ML、自律、バイオテック、量子、宇宙利用、半導体、等々)のほとんどを支えている民間テクノロジー・エコシステムを効果的に利用するようには作られていない。

DoDの上級軍人および文民のリーダーの多くはこれを理解し、善意のイノベーションイニシアチブを設立してきた。しかし、こうしたイニシアチブへの長期的な資金提供とその効果は、先見性ある指導者個人の支援に依存することがほとんどあり、重要な指導者の在任期間が終わると危機に晒される。

その結果、この国のシステムも組織も人数も予算も、中国をはじめとする潜在的ライバルの挑戦を受けるためのスケーリングができない。我々の敵対者は、この国の伝統的システムが対応できるよりも速く革新している。

多くの人々が、既存のDoDシステムの刷新について記してきた。計画、プログラミング、予算、実行(PPBE)プロセスの修正、DoDアクセラレータおよびDefense Innovation Unit(国防イノベーション・ユニット)の規模拡大、既存の取得権限の活用などだ。

どれも良い考えだが、肝心の問題を見逃している、それは「DoDが民間産業と本格的に関わっていない」ことだ。米国民間セクターの並外れた潜在能力を活かし、その圧倒的に優れたリソースを持ち込むことでより効果的に前進することが、この戦略的競争に勝利するための鍵だ。

シリコンバレーはゲームに戻る準備ができている

第2次世界対戦後の最初の20年間、シリコンバレーは事実上「defense valley(防衛バレー)」だった。DoDと諜報機関のためにチップとシステムを作っていた。シリコンバレーにおけるイノベーションは、戦後スタンフォード大学への海軍研究事務所からの資金提供に始まり、さまざまな機関からの最先端の無線・電子システム開発の発注がそれに続いた。

生まれたての半導体企業にとって最初の大型契約は、大陸間弾道弾ミサイル、Minuteman II(ミニットマン2)の誘導システム、次いでアポロ宇宙船だった。冷戦期、Lockheed(ロッキード)はシリコンバレー最大の雇用主であり、3世代にわたる潜水艦発射弾道ミサイル、人工衛星、およびその他の兵器システムを製造した。シリコンバレーのリソースを結集させた我々の能力が、米国にとって決定的に重要で、最終的にソビエト連邦との冷戦に勝利をもたらしたことは間違いない。

今世紀の戦略的競争に勝つためには、同様のリソースと人材を確保する必要がある。今日、シリコンバレーはDoDを圧倒するテクノロジーエコシステムの中心に位置し、スピードと緊急性をもって動き、インセンティブが与えられれば、資金と人員を壮大なスケールで結集させ、一連の問題を解決することができる。

しかしDoDは、これを「大規模かつスピーディー」に活用すべきリソースであることをなかなか認めない。そして、完全に認めていないために、もしこのリソースを集結できれば何が可能になるのかを考えていない。

そして想像したことがないために、年間3000億ドル(34兆円)以上のベンチャー資金(対してDoDの研究、開発、試験、評価[RDT&R]プログラムは1120億ドル[約13兆円]、調達は1320億ドル[約15兆円])をこの国の安全保障を支える可能性のある軍民両用活動を支える分野に注ぎ込ませるために、どのようなインセンティブ(たとえば大規模な優遇税制など)を与えればよいのか考えたこともない。

「ハンマーにはあらゆるものが釘にみえる」ということわざは、主権と国際法への脅威のような問題の答をうまく説明している。ほとんどの思考は、既存の兵器システム(艦船、空母、原子力潜水艦)の追加 / 改良に限定されていて、代替的な軍事概念や南シナ海やバルト海やカリニングラードにおける戦争の阻止あるいは勝利に貢献した即時展開可能な兵器ではない。

どうやら、新しいベンダーによる小型、低価格、アトリビュータブル、自律型、致死的、大量、分散、短期ライフサイクルのプロジェクトを中心に作られた新しいシステムとコンセプトに関する会話は、ほぼ禁止されているようだ。しかし、これらこそが集まってくるソリューションとイノベーションエコシステムだ。SpaceX(スペースエックス)のような会社50社が、21世紀のDoDを作るのに協力するところを想像して欲しい。

米国の選りすぐりを戦略的競争に参加させよ

米国の民間セクター、特にシリコンバレーに焦点を合わせ、比類なきイノベーションと並外れた潜在投資力とともにその力を爆発させることで、中国に対する米国の能力低下を逆転させ、さまざまな主要テクノロジー分野で優位性を保つことができる。

それだけではない。我々はもっと積極的かつ意識的に、この国の世界に名だたる高等教育機構、すなわち米国主要大学に集まった才気あふれる革新的かつ創造的な学生たちと教員陣の膨大な未開発の可能性を活用しなくてはならない。

この国はかつてこれに成功したことがある。スタンフォードをはじめとする米国主要研究大学のほとんどは、冷戦期の軍事イノベーションエコシステムに不可欠な存在だった。しかし、シリコンバレーが独特だったのは、スタンフォード大学の工学部が、教授や大学院生に軍事エレクトロニクス企業を立ち上げるよう積極的に働きかけたことだった。最高の人材を集め、テクノロジーを商品化することでソビエト連邦とのレースに勝つための手助けをした。

この歴史的事例に触発され、我々は最近Stanford Gordian Knot Center for National Security Innovation(スタンフォード・ゴーディアン・ノット国家安全イノベーション・センター)を設立し、シリコンバレーのテクノロジー、人材、資産、スピード、そして困難な問題に立ち向かう情熱を駆使して米国がこの戦略的競争の新時代を勝ち抜く力になろうとしている。

我々はさらに、シリコンバレーや他のイノベーションエコシステムを横断してリソースを統合する取り組みを進めていかなければならない。トップクラスの大学では、国家安全保障イノベーションの教育を本格化する必要がある。国家安全保障イノベーターの養成、洞察力、融合、ポリシーアウトリーチの提供、最も困難な問題の解決の触媒になりうる実用最小限の製品の継続的創出などだ。

この国のすべてのリソースと至高の人的財産を活用しないリスクはあまりにも大きい。

編集部注:Steve Blank(スティーブ・ブランク)氏は、スタンフォード大学Gordian Knot Center for National Security Innovationの創立メンバーで、同大学の非常勤教授およびコロンビア大学のイノベーション担当上級フェロー。

Joe Felter(ジョー・フェルター)氏はGordian Knot Center for National Security Innovationのセンター・ディレクター、創立メンバーで、スタンフォー大学のCenter for International Security and Cooperation、Hoover Institution、およびStanford Technology Ventures Programの講師、研究職。

Raj Shah(ラジ・シャー)氏はGordian Knot Center for National Security Innovationの創立メンバー、テクノロジー企業家・投資家、スタンフォード大学非常勤教授、ペンタゴン防衛イノベーション・ユニット実験の元マネージング・パートナー。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Steve Blank、Joe Felter、Raj Shah、翻訳:Nob Takahashi / facebook

MetaにEUのプライバシー規制当局が米国への個人データ転送に関する新たな予備決定を送付

TechCrunchが得た情報によると、Facebook(フェイスブック)は、EUのプライバシー規制当局から、ユーザーデータを引き続き米国へ転送できるかどうかに影響を与える「修正された」予備的決定案を受け取ったという。

「Meta(メタ、旧Facebook)には28日以内にこの予備的決定に対する意見を提出する権限が与えられており、その時点で他の関係監督機関向けに第60条の決定案を作成する予定です。これは4月中に行われると予想しています」と、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)のGraham Doyle(グレアム・ドイル)副委員長は筆者に語った。

ドイル氏は、予備決定の内容については詳細を語らなかった。

しかし、2020年9月に関係者の発言を引用した当時のWall Street Journalの報道によれば、DPCは、Facebookにデータ移転の停止を指示する仮命令を出している。

最近そのデータマイニング帝国の名称を(Facebookから)変更したMetaは、投資家との電話会談で、EU-US間のデータ転送には継続的なリスクがあることを警告している。

同社は直ちに先のDPCの仮命令に異議を唱えようともしたが、2021年5月にアイルランド高等裁判所がDPCのやり方に対する異議を棄却する判決を下したため、この法的手段は頓挫していた。

欧州のデータ保護法と米国の監視権限との衝突を争点とするこの訴訟では、同社にデータ転送の一時停止を指示した先の仮命令以降、規制当局が今回は異なる結論を出すことになるような、事実関係に重大な変化があったかどうかは不明だ。

さらに、ここ数カ月の間に、欧州の他のデータ保護機関は、Google Analytics(グーグル・アナリティクス)など、米国へ個人データの転送を行う他の米国のサービスに対して「違法」との決定を下しており、少なくとも一般的な観点からは、DPCがMetaに対して最終的な決定を下す方向へ圧力が高まっている。

この規制当局はまた、当初の申し立て人であるMax Schrems(マックス・シュレムス)氏による手続き上の課題にも直面している。同氏は2021年1月に、長年の申し立てを速やかに最終決定するという合意を引き出している。つまり、もう1つの準期限があるということだ。

関連記事:フェイスブックのEU米国間データ転送問題の決着が近い

この合意条件に基づき、DPCはシュレムス氏が(並行して)「自らの意思」で行う手続きでも審理を受けることに合意した。これはシュレムス氏の最初の(2013年の)苦情に関する調査に加えて開始されたもので、現在はMetaに出されたこの新しい予備的決定を通して進められている。

シュレムス氏は、DPCから決定書が送られてきたことを認めたものの、それ以上のコメントはしなかった。

(さらにややこしいことに、2021年11月には、シュレムス氏が設立したプライバシー擁護団体が、他の苦情草案の公表を阻止しようとしたことに関連して、DPCが「手続き上の脅迫」を行ったとして、この規制当局に対して刑事上の汚職の訴えを起こしている……)

Metaにデータ転送の停止を命じる可能性のある最終的な決定が下されるまで、この数年にわたるデータ転送問題が、具体的にあとどれくらい続きそうであるかは、依然として不明だ。

しかし、もはや数年というよりは数カ月に近いはずだ。

第60条のプロセスには、利害関係のある他のデータ保護機関も加わることになる。これらの機関は、主導する機関の決定案に対して、まず1カ月の期間内に理由のある異議を唱えることができる。ただし、延長も可能だ。仮決定に対してデータ保護当局間で大きな意見の相違があった場合には、最終的な決定を下すプロセスに数カ月を要することになり、最後には欧州データ保護委員会が介入して最終的な決定を下すことになるかもしれない。

これらはまだ先の話だ。今のところ、ボールはMetaのコートに戻り、同社の弁護士がどんな新しい言い訳を思いつくか、見守る段階となっている。

この最新の進展についてMetaにコメントを求めたところ、同社の広報担当者は、次のように筆者に返答した。

「これは最終決定ではなく、アイルランドデータ保護委員会はさらなる法的提出を求めています。データ転送の一時停止は、当社のサービスを利用しているEU域内の何百万人もの人々、慈善団体、企業だけでなく、グローバルなサービスを提供するためにEU-US間のデータ転送に依存している他の何千もの企業にも損害を与えることになります。人々、企業、経済のつながりを維持するためには、EU-US間のデータ転送における長期的な解決策が必要です」。

この終わりの見えない物語には、もう1つ別の動きがある。それは、欧州委員会と米国の間で、無効となった「プライバシーシールド」に代わるデータ移転の取り決めについての交渉が続いていることだ。

ここ数カ月、FacebookとGoogleは、大西洋をまたぐ新たなデータ転送協定の合意を公に求めており、米国の数多くのクラウドサービス(少なくとも、個人データへの明確なアクセスを自ら放棄しないサービス)が直面している法的な不確実性を高レベルで修正するよう訴えている。

しかし欧州委員会は、今回は「迅速な解決」はないと以前から警告しており、欧州司法裁判所が2020年7月にプライバシーシールドを無効とする判決で指摘したすべての問題が解決された場合にのみ、代替案が可能になると述べている(これは、欧州の人々に合法的かつ簡単に利用可能な救済手段を提供すること、そしてインターネット通信の一括傍受に頼る米国の過度な監視力に対処することの両方を意味する)。

要するに、プライバシーシールド3.0の実現は、難しい注文のように思われる。Metaの通常時の要求のような、すぐにできる注文でないことは確かだ。同社の主任ロビイストであるNick Clegg(ニック・クレッグ)氏は、確かに難しい仕事を抱えている。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英国政府、ポルノサイトの年齢確認の復活なるか?

英国政府は、インターネットプラットフォームのコンテンツに関する包括的な規則を定めた次期法案に、ポルノサイトの年齢制限の設置義務を新たに追加することを発表した。これは、子どもがポルノにアクセスしたり、偶然見つけたりすることを防ぐために、アダルトサイトに「年齢認証技術」の使用を義務付けるという政府の長年の目標の復活である。

デジタル・メディア・文化・スポーツ省(DCMS)は「セーファー・インターネット・デー」に合わせてこの発表を行い、子どもの保護に関する大衆的なレトリックを強化している。

DCMSによると、未成年者のアクセスを防ぐためのポルノサイトに対する法的義務は、ポルノサイトをOnline Safety Bill(オンライン安全法案)の対象にすることで実現されるという。オンライン安全法案は、2021年5月に政府が制定した、でに非常に広範な法案を、さらに拡大するものである。

この法案は当初、ユーザーが作成したコンテンツに付随するさまざまな「害悪」に焦点を当てていた。しかし、児童安全の活動家は、実際のポルノを提案された法的義務の対象外とすれば制度全体が弱体化すると警告し、政府もその点を認めたようだ。

Chris Philp(クリス・フィルプ)デジタル大臣は声明の中で次のように述べる。「子どもはあまりにも簡単にオンラインでポルノにアクセスできます。保護者が『子どもはオンラインで見てはいけないものを見ないように保護されている』という安心感をもてるようにしなければなりません」。

「私たちは現在、オンライン安全法案を強化し、すべてのポルノサイトに適用して、子どもたちにとってインターネットをもっと安全な場所にするという目的を達成しようとしています」。

DCMSによると、今回の法案には、ポルノサイトはどのような年齢認証技術を使用して、利用者が18歳以上であることを「確実に」確認する必要があるかは明記されていないという。

DCMSは「成人側が、安全な年齢認証技術を使用してクレジットカードを所持していることや18歳以上であることを証明したり、第三者サービスに政府のデータと照らし合わせて年齢を確認することなどが考えられる」と提案している。

「新しい法的義務をどのように遵守するかを決める責任は企業自身にあります。Ofcom(英国放送通信庁)は、ユーザーデータの処理を最小限に抑えることができる、幅広い年齢認証技術の利用を企業に推奨する可能性があります」と政府は延べ、次のように続ける。「 この法案は、特定のソリューションの使用は義務付けていません。イノベーションと、将来のより効果的なテクノロジーの開発と利用を可能にする柔軟性が不可欠だからです」。

児童安全の活動家は、オンライン安全法案のさらなる拡大を求めているが、市民の自由権やデジタル権(個人がデジタルコンテンツにアクセスする権利)を訴える活動家たちは、個人の権利や自由に対するリスクを引き続き警告し、あらゆる種類のインターネットコンテンツを規制するという大規模な計画の実現性にも疑問を投げかけている。彼らによると、この法案は、オンライン上の表現を萎縮させる恐れがあると同時に、英国でのデジタルビジネスの障壁にもなりかねないという。

後者についてはともかく、現在検討されているように、ポルノサイトへの年齢確認の義務化や、何らかの形で年齢確認を行い責任を軽減するようプラットフォームに働きかける「注意義務」制度などを盛り込んだ法案が実際に成立すれば、少なくとも年齢認証業界は大きな収益を上げることになりそうだ。

プライバシーや市民的自由に関する批判に対応するために、DCMSのプレスリリースでは、ポルノサイトが導入を義務付けられる年齢認証技術は「完全な身元確認は必要としない」としている。

また、ユーザーが身分証明書などを使って年齢を証明する必要がある「かもしれない」としながらも、企業が導入するソリューションでは「年齢確認の目的とは無関係のデータを処理または保存してはならない」と規定している。

(DCMSのプレスリリースは)「現在利用可能なソリューションには、携帯電話会社が保有する情報とユーザーの年齢を照合する方法、クレジットカードを使って照合する方法、パスポートデータなど政府が保有するデータを含むデータベースを使って照合する方法などがある」として「使用する年齢認証技術は、安全かつ効果的で、プライバシーを保護するものでなければならない」と強調する。

DCMSは、年齢認証技術を「使用または構築」する企業は、英国のデータ保護規制を遵守する必要があり、さもなければ英国個人情報保護監督機関(ICO)から強制措置を受ける可能性があると指摘する。

しかし、政府が同時に国内のデータ保護体制の簡易化を検討していることは注目に値する。DCMSは、人々のプライバシーを低下させることで、デジタルビジネスの「革新」を促進するかもしれないと示唆しているが、より明白な影響、すなわち、商業的なデータマイニングを野放しにした場合、個人のデータ侵害や誤用のリスクは大幅に拡大し、セキュリティ違反やスキャンダルのパイプラインを並べることで、デジタルサービスに対する国民の不信感を確実に高めることになる、という点を考慮していない。

DCMSは、英国の既存の個人情報保護法は、年齢・身元確認の義務化などにともなうポルノユーザーやインターネットユーザーの不正な追跡を防ぐことができると主張しているが、ICOがアドテックによるインターネットユーザーの不正な追跡をまったく阻止できなかったことを考えると、DCMSの主張も批判的に検討する必要がある。ICOが方針を180度転換し、英国のポルノユーザーが私的に楽しむ権利を強固に守るために、注意が大好きで企業に優しい規制当局がポルノサイトの年齢確認基準を積極的に尋問することを想像すると、控えめに言っても相当の不信の停止(批判を一時停止し、非現実なものを受け入れること)が必要がある。

しかし、政府のプレスリリースにはこのような詳細は書かれていない。むしろDCMSは、提案されているオンライントラッキングの拡大を「オンラインでの年齢確認は、オンラインギャンブルや年齢制限のある販売など、他のオンライン分野ではますます一般的になっている」として単に常態化しようとしている。

その上で「業界と協力して、企業が年齢認証技術を利用する際に従うべき強固な基準を策定し、Ofcomもオンラインの安全体制を監督する際にそれを利用できることを期待している」と述べる (つまり「産業界が年齢認証技術をどのように利用するかについては、我々が産業界と協力して考えるから、ユーザーが心配する必要はない」というのが政府の方針なのだ。えーっと……)。

英国政府は以前、ポルノサイトに年齢確認を義務付けようとしたことがある。しかし、年齢確認を義務化することは技術的にも規制的にも困難であり、また、アダルトサイトの利用者全員に本人確認を求めることはプライバシーの観点からも問題があるとの批判を受け、2019年にこの計画をひっそりと取り下げざるを得なかった。それにもかかわらず、政府は、このコンセプトを、すでに準備中のオンライン上の有害性に対するより包括的なアプローチに組み込めるように取り組むとしている。

このような「ポルノブロック」の波乱に満ちた過去や、拡大し続けるオンライン安全法案の範囲と野放図な表現の制限をめぐる現在の論争にもかかわらず、DCMSは法案の見直しを提案するのではなく、さらに項目を追加してインターネットコンテンツの規制を倍増しようとしている。

2月5日、DCMSの国務長官であるNadine Dorries(ナディン・ドリーズ)は、メディアのインタビューに応じ、犯罪コンテンツに新たに追加された項目について言及した。それにはオンラインでの麻薬や武器の取引、密入国、リベンジポルノ、詐欺、自殺の助長、売春を扇動・管理して利益を得ることなどが含まれ、取り締まりを強化するために法案の文言に追加されるという。

同氏は、オンラインやデジタルデバイスを使用したDV(ドメスティックバイオレンス)や強姦・殺害の脅迫に対処するために、新たな刑罰を法案に追加することも発表した。

この追加により、対象となるプラットフォームでは、積極的に識別して削除することが求められるコンテンツの種類が大幅に拡大される(単にユーザーからの問題コンテンツの報告に対応するだけには留まらない)。

つまり、これまでプラットフォームが何十年にもわたって享受してきた法的責任体制が大きく変わることになり、プラットフォームの運営やコスト、オンライン上の言論に大きな影響を与えることになる。

DCMSは2月4日に発表したプレスリリースで、次のように示唆している。「優先度の高い犯罪に積極的に取り組むために、企業は自社サービスの特徴、機能、アルゴリズムが、これらの犯罪への遭遇を防止し、これらのコンテンツの利用時間を最小限に抑えるように設計されていることを確認する必要があります」「これは、自動または人力によるコンテンツの修正、違法な検索ワードの禁止、疑わしいユーザーの検出、利用を禁止されたユーザーが新しいアカウントを作成できないようにするための効果的なシステムの導入などで実現可能です」。

法案で提案されている、この高度に規制されたコンテンツモデレーション体制(コンテンツをチェック・評価して不適切なものを除外する体制)を実施するために手段には、規制に準拠していないプラットフォームに対して最大で全世界の年間売上高の10%という大規模な金銭的罰則が含まれている。また、テロリズムや児童の性的搾取、自殺の助長や詐欺などの増え続ける害悪から人々を守ることができないアルゴリズムやプロセスが発見された場合、上級管理職に対しては懲役刑が科せられる可能性もある。

この法案には、英国の新しいインターネットコンテンツ規制機関であるOfcomにサイトをブロックする権限を与え、英国内でアクセスできないようにすることも含まれている(ということは、これは年齢認証技術を促進するだけではなく、VPNサービスの急成長も後押しすることになるはずだ)。

規制により創出されるかもしれないニッチなビジネスチャンスとしては、政府はエンド・ツー・エンドの暗号化サービスに組み込むことができる技術の開発を奨励しようとしている、という点が挙げられる。この技術では、監視を回避するために強固に暗号化されたコンテンツでも児童の性的虐待に関する情報をスキャンできるようにすることで、法律が適用されるようになる(ただし、ある種の違法なコンテンツをスキャンできるようになれば、他の犯罪や単に有害なコンテンツをチェックする機能を追加しようとする政治的圧力に抵抗するのは難しくなるだろう)。

1つの法律(実際には多くの二次的な法律も存在する)で非常に多くの複雑で微妙な問題を解決しようとすることは、本来ならば政治的な自殺行為であるはずだ。しかし、終わりの見えないコンテンツスキャンダルのおかげでハイテク企業を無責任な利益追求者として描くことが容易になった今、政府はこの法律に過度に単純化した「児童保護」という要素を付け加え、長く待たされたFacebook(フェイスブック)などを「調教」することに対する大衆的な支持を得られる理想的な状況を作り出したのである。

この法案の「ありとあらゆるものを詰め込んだ」性質と曖昧な定義が相まって、結果を予測することは非常に困難になった。連動する要件すべてが実際に何を意味するのかについての明確な指針の欠落は、この提案を推し進める閣僚にさらなる援護射撃となっている。

今回の追加提案の前にオンライン安全法案を精査した2つの議会委員会は、多くの懸念を表明しており、最近では、DCMS委員会が「この提案は言論の保護と有害性への取り組みに欠ける」と警告している

12月には、別の議会委員会が、ビッグテックによる自主規制の時代に終止符を打つという政府の広範な目的を支持しながらも、一連の変更を要求した。

政府は、児童保護活動家から寄せられたポルノサイトへのアクセスに関する広範な懸念とともに、これらの意見を最新の追加法案に反映させたとしている。

画像クレジット:Harshil Shah / Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

FBIが新たに「ランサムウェアの爆発的増加」に対応する暗号資産犯罪ユニット立ち上げ

米国連邦捜査局(FBI)は、暗号資産関連犯罪やランサムウェアによる利益を追跡するための専門部署を新たに立ち上げることを発表した。

Lisa Monaco(リサ・モナコ)司法副長官は、今週開催されたMunich Cyber Security Conference(MCSC)での講演で、Virtual Asset Exploitation Team(VAXU、仮想資産搾取ユニット)の設立を発表し、この新部署は「市場がイノベーションを生み出すのと同じ速さで、それを悪用する脅威の行為者」に米国政府が対応するのに一役買うと述べた。

さらにモナコ氏は、FBIが現在100種類以上のランサムウェアの亜種を追跡していることを指摘し「ランサムウェアの爆発的な増加と暗号資産の乱用」も同チームの担当に含まれると述べた。Chainalysisの報告によると、詐欺師が2021年に世界の被害者から奪った暗号資産は77億ドル(約8860億円)以上で、前年に比べて80%増加しているという。

FBIのVAXUユニットは、暗号資産の専門家、ブロックチェーン分析、暗号資産の押収を1つにまとめ、捜査を行うとともに、FBIの他の部署にトレーニングを提供する。この専門部署は、デジタル資産の犯罪利用を調査するために2021年末に創設された米国司法(DOJ)の部門である国家暗号資産執行チーム(NCET、National Cryptocurrency Enforcement Team)の一部を構成し、特に暗号資産取引所や、暗号資産の悪用を可能にしたり犯罪行為を助長するその他の技術に重点を置いていく。

モナコ氏はこう述べている。「ランサムウェアやデジタル恐喝は、暗号資産を利用した他の多くの犯罪と同様に、犯罪者が支払いを受ける場合にのみ機能します。つまり、彼らのビジネスモデルを破壊しなければならないということです。通貨は仮想かもしれませんが、企業に伝えたいメッセージは具体的です。『私たちに報告していただければ、お金の流れを追うことができ、あなたの組織を助けるだけでなく、うまくいけば次の被害者が出るのを防ぐことができます』」。

また、モナコ氏は今週、サイバー犯罪者の検挙経験を持つ連邦検事のEun Young Choi(チェ・ウンヨン)氏をNCETの初代ディレクターに任命したことを発表した。

「NCETは、デジタル資産を取り巻く技術が成長・進化する中で、あらゆる種類の犯罪者による不正利用に対抗するための取り組みを司法省が加速・拡大していく上で、極めて重要な役割を果たすことになるでしょう」とチェ氏は述べている。

今回の発表は、2016年に暗号資産取引所Bitfinex (ビットフィネックス)のハッキングで盗まれたとされる9万4000以上のBitcoin(現在の価値は36億ドル / 約4200億円)を司法省が押収し、同省による「史上最大」の金融資産押収となった数週間後に行われた。

関連記事:米司法省がハッキングで盗まれた4160億円相当のビットコインを押収、ロンダリングの疑いで技術系スタートアップ関係者夫婦を逮捕

画像クレジット:Stefani Reynolds / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

メタ、グローバルコミュニティ開発責任者が未成年者との性交渉ビデオに撮影され辞任

Facebook(フェイスブック)の親会社であるMeta(メタ)は、グローバルコミュニティ開発マネージャーを務めていたJeren A. Miles(ジェレン・A・マイルズ)氏が、小児性愛者を捕まえる目的で素人が行ったおとり捜査に登場する様子を撮影した動画がYouTubeで拡散され、その後Reddit(レディット)などにも転載されたことを受けて、現在は同社と雇用関係にないことをTechCrunchに確認した。

「PCI: Predator Catchers Indianapolis」というアマチュアグループがYouTubeに投稿した2時間のビデオには、マイルズ氏が性行為をしていたり、特定の性行為を認めたり、性行為を実行する意図を認めたりする様子は描かれていない。また、このビデオによる法的な影響があるとすれば、それは明らかではない。

しかし、この動画では2人の人物がマイルズ氏を尋問しており、同氏はその過程で、13歳の少年と生々しい不適切なコミュニケーションをとったことを認めている。マイルズ氏はその後、FacebookTwitter(ツイッター)などのSNSで自身のソーシャルプロファイルを削除しており、また、解雇されたのか自発的に辞職したのかは別として、この問題をめぐってFacebookでの役割を辞めるのに十分なほど、のっぴきならない不利な内容となっている。

「これらの疑惑の深刻さは決して無視できません。この人物については、当社との雇用関係は終了しています。当社はこの状況を積極的に調査しており、現時点ではこれ以上のコメントはできません」と、Metaの広報担当者であるDrew Pusateri(ドリュー・プサテリ)氏は声明で述べた。なお、プサテリ氏は声明文をTechCrunchに送る前に、通話でこの記事のニュース性について(公開する価値はないと)筆者を説得しようとし、他の報道機関がこの記事を取り上げていないことを指摘した(アドバイスに感謝する)。

データ保護やプライバシーに関する話から、問題のある製品の実行、エンゲージメント数の低下まで、Metaはここ何年も論争の波に襲われているように感じる。未成年者のセックススキャンダルでさえ、この時点では目新しいニュースではない。

世界中の何十億人もの人々が、Facebook、Instagram(インスタグラム)、Messenger(メッセンジャー)、WhatsApp(ワッツアップ)、Workplace、Oculusなどを含むMetaの製品ポートフォリオの常連ユーザーであることを考えると、これらはすべて、Metaのように大きくて露出度が高い企業であることの一部だといえるかもしれないが、いずれにしても良いことではない。

折しも、同社は元英国政治家のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏をグローバルアフェアーズ担当社長に任命するなど、PRオフェンスの刷新を図っている。彼らには、大きな仕事が待ち構えている。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)

スタテンアイランドFCのAmazonワーカーの組合投票は2022年3月の予定

計画どおりいけば、来月、2022年3月下旬にAmazonのスタテンアイランドFC(フルフィルメントセンター)の労働者が待望の組合投票を行なう。対面式の選挙は、アラバマ州ベッセマーにある同社の倉庫で行われている郵便による再投票の集大成と同じ3月25日から30日に予定されている。

元ニューヨーク市ニューヨーク区のJFK8倉庫の従業員で、現在はAmazon労働組合(Amazon Labor Union)の議長であるChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏が認めるのは、Amazonがこの投票に関して全国労働関係委員会(National Labor Relations Board、NLRB)と合意に達したことだ。同社はその経過をテキストメッセージで社員に確認し、1カ月以上前から「ノー」と投票することを勧めていた。

それは、今後確実にこのリテール大手の強力な反組合運動となるものの始まりだ。Amazonは2021年4月の投票に向けて攻撃的な戦術をとった。そして結局は、社内メールボックスや「ノーに投票しよう」の看板などが小売卸百貨店組合の異議不服を買うに十分となり、今回の再投票に至った。スタテンアイランドの投票は、JKF8の従業員独自の長期的活動の成果だ。

時間を無駄にするな‼

その巨大な倉庫では2020年に事態が過熱し、ニューヨーク市における新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの最初の波が高まっている間、エッセンシャルワーカーの労働条件に従業員たちが抗議した。当時アシスタントマネージャーだったスモールズ氏は、ストライキを率いた日に解雇された。同社は彼のことを、新型コロナウイルス感染症の安全規約に違反したと非難した。噂によると同社は、その直後にスモールズ反対キャンペーンを開始した。

10月にAmazon労働組合は、すでに同社のスタテンアイランドのすべての倉庫を含む投票を推していたが、署名が得られず撤回した。代わりに、今回の最新の投票は同区の最大のFCであるJFK8に集中する。12月にはシカゴのFCのワーカーたちが、倉庫の労働条件に対する反発の盛り上がりの一環として独自のストライキを主催した。

実質的に、この国の2つの異なる場所で大規模な投票が行われるようになったことが象徴的に示すものから、確かにAmazonは逃げられなかった。同社は長年組合の結成に抵抗し、長年の否定的な報道にもひるまず、FCの労働者は公正に扱われていると主張していた。2つの投票までの数週間は大量の激論が続くだろうが、特に激しいのは、リアルで行われるニューヨークの投票だろう。

TechCrunchはAmazonとAmazon労働組合とNLRBにコメントを求めている。

画像クレジット:ANGELA WEISS/AFP/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

東北大学、2050年の超高齢化社会を見据えた次世代介護ロボット研究開発拠点「青葉山リビングラボ」をオープン

東北大学、2050年の超高齢化社会を見据えた次世代介護ロボット研究開発拠点「青葉山リビングラボ」をオープン

東北大学は2月14日、超高齢化社会を担う介護ロボット機器やシステムの研究開発拠点となる「青葉山リビングラボ」を、東北大学青葉山キャンパスに開設したことを発表した。ここでは、2050年の未来を想定した画期的なアプローチと、近い将来に適用できる現実的なソリューションの両方を見据えた研究が行われる。2月21日にオンライン開催される第1回「東北Kaigo-Tech実践研究会」で正式公開される予定。

「リビングラボ」とは、厚生労働省の「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業」に参画する研究所のことで、現在青葉山リビングラボを含めて全国に8カ所が存在している。実際の生活空間を再現し、利用者が参加する形で新しい技術やサービスの開発を行う施設のことをいう。

青葉山リビングラボでは、250m2のスペースに介護施設と在宅介護の模擬環境を作り、3次元モーションキャプチャーシステム、床反力計測用フォースプレート、6軸力学センサー、環境認識用センサーなどの計測機器に、転倒衝撃を軽減する寄り添いロボット、ロボットアシストウォーカー、移乗サポートロボットなどの介護ロボットや介護装をが配備している。

東北大学、2050年の超高齢化社会を見据えた次世代介護ロボット研究開発拠点「青葉山リビングラボ」をオープン

これは、東北大学大学院工学研究科の平田泰久教授がプロジェクトマネージャーを務める科学技術振興機構「ムーンショット型研究開発事業」のうち、目標3の研究開発プロジェクト「活力ある社会を創る適応自在AIロボット群」が2050年に実現を目指す、誰もが積極的に社会参画できる社会の構築を支援するものだ。また同時に、2030年をめどとして、AIロボット群が人に寄り添う支援やサービスの介護現場での実証も目指している。

青葉山リビングラボでは、2050年に活用が期待される画期的なアプローチと、近い将来の実用化、市販化を見据えた研究開発、またそのスピンアウトや開発企業の支援とを両輪として、超高齢者社会の課題解決に取り組んでゆくとしている。

ペットテック領域スタートアップのPETOKOTOが「ペットテック業界カオスマップ2022(日本版/海外版)」公開

  1. ペットテック領域スタートアップのPETOKOTOが「ペットテック業界カオスマップ2022(日本版/海外版)」公開

ペットウェルネスブランド「PETOKOTO」(ペトコト)を提供するPETOKOTOは2月16日、近年急速に増加している国内・海外のペットテック業界カオスマップ「ペットテック業界カオスマップ2022(日本版/海外版)」を発表した。また同社代表取締役社長の大久保泰介氏が、執筆した最新の市場トレンドのレポート「「【2022年度版】ペットテックがペットライフを変える。成長するPET TECH市場を牽引するアメリカや日本の企業カオスマップ」「【ペット市場 2022年度】アフターコロナでさらに拡大する国内海外の市場規模内訳や今後の展望」を公開している。

PETOKOTOでは、「ペット×テクノロジー」の略称にあたる「ペットテック」について、テクノロジーの力によって、ペットに関わる業界課題や従来の商習慣を変えようとする価値・仕組みを指すものと定義。価値や仕組みの創出に寄与している企業・サービスをカオスマップに掲載した。

現在ペット市場は、全世界で2230億ドル(約25兆円)の巨大産業で、毎年年次3.5〜4%で成長しているという。日本の場合は、犬猫飼育頭数は約1650万匹(ペットフード協会「令和3年(2021年)全国犬猫飼育実態調査」)で、15歳未満の子どもの数を上回っている(総務省統計局「こどもの数は1493万人、40年連続の減少」)。世帯の約20%がペットを飼育していることになり、家族の在り方の1つとなっている。

また、ペット市場の成長を牽引するトレンドとしては、「ペットの家族化」が挙げられる。欧米諸国では「Pet Humanization」とも呼ばれ、ペットの存在が人間と同じ存在となっているそうだ。ペットの家族化に伴い、テクノロジーの活用により食事・健康管理など各カテゴリーにおけるサービス体験が向上したほか、国内外で様々なブランドがペットテック領域に参入している。

PETOKOTOは、収益の成長性のためだけでなく、殺処分問題の社会問題をはじめ、まだペットをモノとして捉える社会や産業の負を解決し、「人が動物と共に生きる社会をつくる」ことをミッションに掲げ活動しているという。同社と同様の思いを掲げる企業・ブランドとともに、ペットテック市場の活性化を図っていければと考えているそうだ。こういった背景から、今回の「ペットテック業界カオスマップ2022年版」の作成に至ったという。

PETOKOTOは、犬や猫が苦手だった大久保氏が1匹の犬との出逢いをきっかけに動物が大好きになり、殺処分問題をはじめペットがモノとして捉えらえる社会やペット産業の負の課題を解決するため、2015年に設立。「人が動物と共に生きる社会をつくる」ことをミッションに掲げ、すべての犬猫と飼い主のQOLの向上を目指して、DXとFX(Family Transformation)を通して家族品質の暮らしを提案するペットウェルネスブランドという。

出逢いの場として保護犬猫マッチングサイトの「OMUSUBI」、情報の場としてペットライフメディア「PETOKOTO」、食事の場として「PETOKOTO FOODS」を展開。ペットライフのコンシェルジュプラットフォームを目指している。

準天頂起動衛星みちびき利用、車椅子ユーザー向け介助システム「B-SOS」と視覚障害者向け歩行ナビ「あしらせ」実証実験

準天頂起動衛星みちびきを利用、車椅子ユーザー向け介助システム「B-SOS」と視覚障害者向け歩行ナビ「あしらせ」の実証実験

準天頂軌道衛星みちびき(提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)

車椅子ユーザー向け介助システムを開発するバリアフリーコンソーシアムと、視覚障害者のための歩行ナビゲーションシステムの開発を行うAshiraseは2022年1月24日、大分県大分市の大分駅前にて2つの介助サービスの実証実験を実施した。ひとつは、車椅子ユーザーの突発的な問題に付近の介助者が急行できるようにするシステム「B-SOS」。もうひとつは歩行ナビゲーションを行うシステム「あしらせ」。これらは、Ashiraseが提案し、内閣府と準天頂衛星システムサービスによる2021年度「みちびきを利用した実証事業」に採択された事業だ。

「B-SOS」システムは、車椅子ユーザーが単独で移動している際、段差や側溝にはまって立ち往生してしまったときなどに、付近にいる介助者がすぐに駆けつけられるようにサポートするというものだ。「みちびき」が配信するセンチメートル精度の測位補強情報「CLARCS」(クラークス)を利用して、「B-SOS」アプリに現場までのナビゲーション情報を示す。

準天頂起動衛星みちびきを利用、車椅子ユーザー向け介助システム「B-SOS」と視覚障害者向け歩行ナビ「あしらせ」の実証実験

B-SOSシステムのアプリ画面(ラムダシステム)

実証実験は、植え込みで車椅子が脱輪、歩行度までの坂を登れない、店の車椅子専用路に段ボール箱が置かれていて入店できないという3つの場面を想定し、社会福祉法人太陽の家の車椅子ユーザーと、大分東明高等学校の看護学生が参加して行われた。介助を求める人から、100メートル、200メートル、300メートルの各地点でSOSを受信した看護学生が、「B-SOS」のナビゲーションに従って駆けつけた。

B-SOSシステムでSOSを受信した介助役の看護学生により救出される様子

B-SOSシステムでSOSを受信した介助役の看護学生により救出される様子

もうひとつは、Ashiraseが2022年度に提供開始を予定している視覚障害者向けの歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」を使った実験。ここでは「みちびき」のサブメーター級測位補強情報の配信サービス「SLAS」(エスラス)と組み合わせて、社会福祉法人大分県盲人協会の協力により視覚障害者に300メートルのコースを歩いてもらった。このシステムは、視覚障害者向けに特化した誘導情報を生成し、靴に装着した独自の振動インターフェイスで足に信号を伝える。音声を使わないため、聴覚を邪魔しないというメリットがある。また、目的地に到着しても建物の入口がわからないとった問題も想定し、被験者が目的地に近づいたときに人が出迎えて誘導する「あしらせお出迎え」サービスの検証も行った。

視覚障害者向けの歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」

視覚障害者向けの歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」

あしらせ実証実験の様子

あしらせ実証実験の様子

バリアフリーコソーシアムは、おおいたサテライトオフィスラムダシステム宇宙システム開発利用推進機構minsoraで構成される団体。大分を中心に企業の支援事業を展開するおおいたサテライトオフィスは、大分県の車椅子ユーザーの窓口を担当。ラムダシステムは、システム開発を担当。宇宙システム開発利用推進機構は「CLARCS」利用の技術サポートを担当。minsoraは、この事業のとりまとめを担当している。バリアフリーコンソーシアムは、大分県内での「B-SOS」システムの事業化を目指すとしている。また今回、「CLARCS」の配信プロバイダーサービスを2022年4月に開始する予定のminsoraは、宇宙システム開発利用推進機構との業務提携を発表した。

Bilibiliコンテンツモデレーター過労死疑惑で中国テック業界の長時間労働文化の議論が再燃

中国で先週、オンラインコンテンツのモデレーターが急死したことで、インターネット時代に生まれた職業の労苦に焦点が当たっている。

中国の動画配信サイト「Bilibili(ビリビリ、哔哩哔哩)」でコンテンツを監視していた25歳の男性が、春節(旧正月)中の2月5日に突然亡くなった。この件に詳しい人物から情報を得たというWeibo(ウェイボー、微博)ユーザーの投稿によると、春節の連休中、午前9時から午後9時までの12時間シフトで働いた後のことだったとされている。

この投稿は数時間のうちに何万回も閲覧され、中国のテック業界に蔓延する長時間労働文化に対して、ネット上で新たな抗議の波を引き起こした。

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2009年のサービス開始以来、Bilibiliはサブカルチャーのためのニッチな安息地から、2021年9月時点で月間アクティブユーザー数(MAU)2億7千万人を誇る人気動画共有サイトへと変貌を遂げた。

コミュニティが拡大しているということは、それだけ審査すべき動画が増えているということでもある。中国の広大なネット検閲体制の背後には、WeChat(ウィーチャット、微信)、TikTok(ティックトック)、Weiboなどのコンテンツプラットフォームに雇用されている大勢のモデレーターが存在する。これらのモデレーターは、しばしばコンピュータの前で長時間作業し「違法・有害な」ユーザーの投稿にフラグを立てて削除する。その過酷な労働条件から、インターネット時代の「生産ライン」とも呼ばれている。また、工場での仕事と同様に、一日中コンテンツをパージする作業は、労働者の健康を損なうことにつながる。

過労死疑惑に対してBilibiliは、従業員が亡くなる前の1週間、彼は1日8時間、週5日という標準的な労働時間で働いており、同社は法律に基づいて休日出勤した彼の給与を3倍にしていたと主張している。

「彼が担当していたコンテンツセキュリティモデレーションの仕事は、24時間体制の特別な業務です。他の公共サービスと同様に、コンテンツセキュリティは旧正月であっても止めることはできません」と同社は声明で述べた。

もちろん、このような説明では激昂した世論を鎮めることはできない。「悲劇を繰り返さない」ために、Bilibiliは、コンテンツ監査チームの健康状態を「積極的に改善する」と述べている。そのために、2022年中に1000人のモデレーターを追加して「平均的な仕事量を減らす」とともに、同部門のスタッフに「強化された健康チェック」を導入する予定だという。

Bilibili従業員の死について最初に投稿したWeiboユーザーは、動画配信大手である同社の弁護士から手紙を受け取ったと投稿している。スクリーンネームを「Wang Luobei」とするこのユーザーは、Weiboで500万人近いフォロワーを抱えている。Bilibiliは、この弁護士の手紙についてのTechCrunchの問い合わせには応じていない。

画像クレジット:Gao Yuwen / VCG / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

カリフォルニア州当局がテスラを人種差別とハラスメントの疑いで提訴

カリフォルニア州公正雇用住宅局(DFEH)は米国時間2月9日、人種差別とハラスメントの疑いでTesla(テスラ)を提訴した。州裁判所に提出された訴状では、カリフォルニア州フリーモントにあるTeslaの製造工場での問題が指摘されている。

同当局は「労働者からの数百件の苦情」を受け、フリーモント工場が「黒人労働者が人種差別的な中傷にさらされ、仕事の割り当て、懲罰、給与、昇進で差別され、敵対的な職場環境を作り出している分離された職場」である証拠を確認したと、同当局の長官Kevin Kish(ケビン・キッシュ)氏が声明で述べた、とウォールストリートジャーナルは報じている

Teslaがハラスメントや差別の訴訟に直面するのは、今回が初めてではない。2017年には元工場労働者のMarcus Vaughn(マーカス・ヴォーン)氏が、フリーモント工場でヴォーン氏がマネージャーや同僚から繰り返し「Nワード」を浴びせられたという苦情をTeslaが調査しなかったとして、同社を相手取って集団訴訟を起こした

数カ月前にはTeslaは、同じ工場での差別と人種的虐待を見て見ぬふりをしたと訴えた黒人の元契約社員に、1億3700万ドル(約125億円)の損害賠償を支払うよう命じられたばかりだ。この訴訟で労働者のOwen Diaz(オーウェン・ディアス)氏は、人種差別的な中傷を受け、Teslaの従業員が人種差別的な落書きやかぎ十字、不快な漫画などの絵を同氏に残し、監督者はそれを止めるのを怠ったと主張した。

2021年末には複数の女性が、まさに同じ工場でTeslaがセクハラ文化を醸成していると告発した。女性たちは仕事中に差別、冷やかし、好ましくない言い寄り、身体的接触を受けたという。

関連記事:さらに6人の女性がテスラを職場のセクハラで訴える

Teslaは訴訟が起こされる前に公開したブログ投稿で、差別やハラスメントに強く反対していることを強調し、同社が苦情に対応し、多様性や公平性、包括性に取り組むために取ったとする対策を誇示して自社を擁護した。

「Teslaはこれまで、人種差別やハラスメントを行う従業員を含め、不正行為を行った従業員を懲戒解雇してきました」と投稿には書かれている。

「Teslaはまた、カリフォルニア州に残る最後の自動車メーカーです」と、同社が以前から指摘している点に言及した。「しかし、製造業の雇用がカリフォルニアから失われつつある今、公正雇用住宅局は建設的に協力するのではなく、当社を訴えることにしました。これは不公平であり、特に数年前の出来事に焦点を当てた申し立てであるため、逆効果です」。

Teslaは2021年に、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が「今後のTeslaの扱い」次第ではカリフォルニアでの製造活動を一切停止する可能性があると脅した後、本社をカリフォルニアからテキサス州オースティンに移した。同社は2020年5月、新型コロナウイルス感染症の拡散を阻止するためにフリーモントにある同社の製造施設を閉鎖した件でアラメダ郡を提訴していたが、この訴訟は後に取り下げられた。

DFEHはWSJに対し、黒人労働者はTeslaの監督者やマネージャーが人種差別的な言葉を使うのをしばしば聞いたり、工場内で人種差別的な落書きを見たりした他、肉体的により過酷な職務を割り当てられ、より厳しい処分を受け、職業上の機会も除外されたと述べている。

Teslaは2020年12月に初の多様性報告書を発表し、米国内の労働力の10%が黒人・アフリカ系米国人であることを明らかにした。取締役レベルでは黒人の割合は4%にすぎない。ヒスパニック・ラテン系の従業員は全従業員の22%で、ディレクタークラス以上では4%にとどまる。アジア系従業員は全従業員の21%で、このグループはディレクターレベルの従業員の4分の1を占めている。

WSJによると、DFEHは2月10日朝に訴状をオンラインで閲覧できるようにするという。

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi