ラテンアメリカの電動スクーターシェアの「Grow」が1000万回の利用回数を達成

ラテンアメリカのGrow Mobilityは、マイクロモビリティのGrinとYellowが今年のはじめに合併してできた企業だ。Grinは1年前にメキシコで事業を開始した。その後YellowRideとの合併を経て、ラテンアメリカの23都市へと事業を拡大してきた。そのGrowの利用回数が1000万回に達した。

これは、BirdとLimeがそれぞれ最初の1年で達成した記録と同じペースだ。昨年9月にBirdは開業後約1年でスクーターの1000万回の利用を達成した。同じ月にLimeは開業後14カ月でバイクとスクーターの1150万回の利用を達成した

Grow Mobilityの営業地域

米国時間6月26日に、米国のLimeはラテンアメリカで電動スクーター事業を拡大し、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、メキシコ、チリで営業すると発表したばかりだった。Limeの利用回数はこれまでに6500万回に達している。

Growは1億5千万ドル(約160億円)を調達し、ラテンアメリカでスクーター、バイク、電動機付き自転車を共有する同社のユーザーは500万人いる。Growのマイクロモビリティを使ったユーザーの移動距離は、合計で1450万キロ以上となった。

画像:Yellow

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(翻訳:Kaori Koyama)

Waymoが自動運転車でのLyft客ピックアップを開始

自動運転開発企業のWaymoが、ごく少数の車両を使ってフェニックスのテストゾーンでLyft客のピックアップを開始したとCNBCが報じた。これを利用するには、乗車をリクエストするLyftユーザーは、指定されている自動運転のテストゾーンであるフェニックスのエリア内で乗降しなければならない。

このトライアルに使用されているWaymoの車両は10台以下で、Waymoはゆくゆくは計10台以上にする計画だが、当面はまだだ。これは、このオプションを利用すると見込まれる人がそれほど多くはないことを意味する。しかし、利用を選択すれば、Waymoのバン(セーフティードライバーが乗車する)か、従来のLyft車両かを選べるようになる。

WaymoLyft5月に提携を発表しているが、WaymoはLyftとの提携と並行して、自動運転車による自前の配車サービスの展開も継続するつもりだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

テスラが自前でバッテリー開発を検討中との報道

自動車メーカーのTesla(テスラ)が、サプライチェーンの主要パートの1つを自前で抱えたらどうなるか、カリフォルニア州フリーモントの工場近くの秘密のラボで行われている研究を通じて検討中だ、とCNBCが報じた。テスラは現在、車載用のバッテリーパックと電池の製造をパナソニックに頼っている。これは全体の部品表の中で最も重要な構成要素といわなくても、重要なものの1つだ。

Teslaにとって、自動車メーカーの間では一般的なサプライチェーンの構成要素を外部業者に任せるのではなく、自前で抱えるのは初めてではない。例えばTeslaはフリーモントの車工場の少し先にある施設で自社製品向けの座席を作っている。そして最近では、Nvidiaに代わって自動運転機能のための自前のチップの製造を始めた。

利用可能なチェーンの排除はTeslaのCEOであるElon Musk氏(イーロン・マスク)氏がApple(アップル)に得たインスピレーションからきている。AppleではSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏がサプライミックスの主要部分のコントロールを握る押しの強い戦略をとり、部品コストの改善を図った。車だけでなくソーラーエネルギーシステム向けのバッテリーであるPowerwallのような家庭用電気プロダクトも製造するTeslaの能力について、マスク氏はバッテリーが大きな制約となっていると繰り返し指摘してきた。

CNBCの報道によると、TeslaはKato roadがあるフリーモントの工場の近くの実験ラボでバッテリーの研究を行っている。しかし、バッテリーに関する野心を、必要とされるスケールでの生産に変えるにはかなりの時間と努力を要し、すぐにパナソニックに代わって生産できるとは思えない。実際、上海工場でモデル3の生産が始まれば、TeslaはパナソニックだけでなくLGもサプライヤーに加えるかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi)

電動垂直離着陸機による地域航空サービスが意外にも実現される理由

今月初めにワシントンDCで開催されたUberのElevateサミットには、オンデマンド航空サービスの到来が近づいたことを讃えようと、研究者、業界のリーダー、エンジニアたちが集結した。デトロイトのAirspace Experience Technologies(ASX)の共同創設者にして最高製品責任者のAnita Sengupta博士にとってそれは、電動垂直離着陸機(eVTOL)を実用化する同社独特のアプローチが、ビジネスとして成り立つことを証明する実りあるイベントだった。

ASXのeVTOLは、ティルトウィング方式だ。この分野のイカしたコンセプト航空機によく見られるティルトローター方式とは明確に異なる。それそれの方式の名称から察しが付くだろうが、ティルトウィングは、翼全体が角度を変えるものだ。それに対して、ティルトローターは、翼構造は固定されたままでローターの角度だけが変化する。

Sengupta博士によると、ASXがティルトウィングを採用したのは、素早く市場に送り込めて、現行の規制や飛行機操縦免許の枠組みと互換性があるため有利だからだ。それだからこそ、ASXは貨物輸送サービスをいち早く顧客に提供できる。人の輸送は、規制当局と一般社会が問題ないと認めた時点で開始される。

ASX創設者の2人。Jon Rimanelli氏とAnita Sengupta博士(写真提供:ASX)

「採用する航空機の構造によって、例えば私たちが選択した固定翼機の場合、回転翼機には区分されません。私たちの飛行機は、多発固定翼機となります。おわかりのとおり、垂直離着陸機能のための特別な認可が追加されるだけです。もちろん、パイロットには特別な審査がありますが、ヘリコプターではなく、固定翼機のパイロットが操縦することになります」とSengupta博士は説明してくれた。

ASXの飛行機は、狭い場所では垂直に離陸でき、広い場所では、私たちが日常利用している昔ながらの飛行機と同じように、短距離を滑走して離陸することもできる。これは、従来式の操縦訓練と経験を積んだパイロットにとって操縦しやすい飛行機であるだけでなく、既存のインフラに比較的簡単に適応できることを意味する。米国全国にすでに点在しながら、あまり利用されていない地方空港を活用できるのだ。

「趣味で飛行機を操縦する人でなければ、全国くまなくゼネラルアビエーション空港(民間向け多目的空港)があることを知らないでしょう。そこは、私たちのような(Sengupta博士もパイロットだ)趣味で飛行機を飛ばしている人間がよく利用しているだけで、ほとんど使われていないのです」と彼女は言う。

「私たちの地元にあるデトロイトシティーエアポートなどは、1日に発着する飛行機が3機だけなんていうときもあります。そこは、行政の資金で建設され、行政の経費で運営しているのですが、活用されていません。それを、新しいUAM(Urban Air Mobility、都市型航空交通システム)のためのスペースとして使うのです。人にとっても貨物にとっても、それはとても良いことです。新しい交通システムのいちばんの障壁になるのが、インフラのコストですからね」

ASXは、実際に飛行機を飛ばすのも早かった。それが、商業化への独自路線を整える助けになっている。同社は、デモンストレーションとテスト用に6機の縮小モデルを製作した。実際の製品版の5分の1サイズのものが5機と、3分の1サイズのものが1機だ。これらの試験機を使えば、あらゆる飛行モードのデモンストレーションが、デトロイトシティーエアポートの管制塔から楽に目視でき、モニターできる。

「小さな会社で資金繰りが本当に厳しいときは、縮小モデルを使えば、改良を重ねたり、プロトタイピングしたり、飛ばし方を研究するといった仕事が数多く行えます」とSengupta博士は私に話してくれた。

「ソフトウェアの観点からすると、ある程度の完成を見るまで、つまり満足のいく設定ができるまで、フルサイズの実機を作る必要はありません。そのため、次の投資(昨年は1億円を少し超える資金を調達している)が得られたら、実際の大きさのものを作る予定です」。

Sengupta博士とASXの大きな目標は、地域電動航空機の経済性を変えることで、効率的な空の旅の時代を引き寄せる手助けになることだ。それは、ともにeVTOLによる物流市場の可能性を探る新たな覚書にサインしたグローバル運送サービス企業であるTPS Logisticsを含む、投資家も業界のパートナーたちも惹きつけることになる。

「現在、空港は大変に混み合っています。このままでは混雑は増す一方で、業務用の駐機場や滑走路を造設しなければならず、それには大変な費用がかかります。ゼネラルアビエーション空港を地域航空交通の要にできれば、民間空港にそれらを建設する必要がなくなり、さまざまな問題が一気に解決します」とSengupta博士は話す。

「例えば300マイル(約480km)の距離を飛行する場合、まずはハイブリッド方式を使うことになるでしょう。エネルギー密度がまだそこまで高くないからです。しかし、完全に燃料で飛ぶよりはましです。

そして理想を言えば(中略)水素燃料電池が、地域飛行に必要なエネルギーを供給してくれる本命です。そのため、まずは都市部でのごく短い距離で電動飛行機の使用事例を作り、それをもとに、地域航空用の完全な電動飛行機を開発するよう業界に圧力をかけるのです」

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(翻訳:金井哲夫)

空飛ぶ自動車のキティーホークがボーイングと提携でエアタクシーに協力

グーグル(Google)を創ったラリー・ページ(Larry Page)氏とユダシティ(Udacity)の共同創業者セバスチアン・スラン(Sebastian Thrun)氏が支援する飛行自動車の企業キティーホーク(Kitty Hawk)が、大手航空宇宙企業ボーイング(Boeing)と契約を結んだ。

この戦略的パートナーシップの詳しい内容はよく分からないが、二社は都市の空中移動手段で協力するらしい。とくに、安全性と、自動運転と人間操縦士の共存が課題になるようだ。

キティーホークに今ある機種は、二人乗りのエアタクシー「コーラ(Cora)」と、個人化されたフライトを提供する「フライヤー(Flyer)」だ。発表によると、このパートナーシップがフォーカスするのは完全電動で自動運転の空飛ぶタクシー、コーラだ。

ボーイングの社内で次世代交通を研究している組織ボーイング・ネクスト(Boeing NeXt)の副社長で総支配人スティーブ・ノルドランド(Steve Nordlund)氏はこう語る。「キティーホークのような企業と一緒に仕事をすると、移動の未来を安全に進歩させるというわが社のゴールに、より近づくことができる」。

スラン氏はグーグルの超未来部門エックス(X)を作った人物で、キティーホークでも共同創設者だ。会社はカリフォルニア州マウンテンビューにあるが、テストは主にニュージーランドで行われている。昨年キティーホークはコーラを一般公開したが、それは垂直離着陸機で、ヘリのように離陸し、飛行機のように飛ぶ航空機だ。

関連記事: 「空飛ぶ自動車」のKitty Hawk、テストパイロットたちも大満足

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

走行距離720kmの完全ソーラーカーLightyear Oneは予約価格1450万円

電動車は化石燃料を燃やす車より環境に良いけど、依然として通常の電力網に依存しているので、そこで何がどう使われているかによって汚かったりきれいだったりする。このたび登場したプロトタイプカー「Lightyear One」は、走行に必要な電力を太陽から得ることによって、この状況を乗り越えようとする。

オランダのスタートアップLightyearは、最初はStellaという名前で、2015年に本誌主催Crunchie賞を勝ち取った。それが今や、路上走行ができるようになったらしい。プロトタイプ車のLightyear Oneは今日(米国時間6/25)披露されたばかりだが、すっきりとしたドライバーフレンドリーなデザインで、しかも一回の充電で720キロメートル走る。太陽光を電源とし実際に消費者市場をねらっている自動車としてこの性能は、断固初めてだ。

© Twycer / http://www.twycer.nl

同社によると、まだ一度も路上を走ったことのないこの車は、すでに予約が100台以上ある。しかし、お届けは2021年の予定で、最初のリリースの予約はあと500台可能だ。お値段は前払いで11万9000ユーロ、日本円換算ではおよそ1450万円だ。あくまでも予約時前払いなので、よろしく。

Lightyear Oneは、単純に太陽電池を屋根の上に載せたプラグイン電動車ではなくて、通常より小さな電池で最大の性能が得られるよう最適化された太陽電池で屋根とボンネット合わせて1.5平方メートルを覆っている。電池は安全ガラスに収められている。通常のコンセントや充電ステーションも使えるが、軽量化された設計のため、この方式の充電ではフル充電の走行距離が400キロメートルだ。

  1. © Twycer / http://www.twycer.nl

  2. Lightyear-One-Interior

  3. Lightyear-One-Dutch-shore

  4. Lightyear-One-Mountain-drive

  5. © Twycer / http://www.twycer.nl

同社によるとこの車は、電動車はほしいけど走行距離が心配、電池の充電も心配、という客層向けだ。まだ製造は始まっていないが、いずれにしても相当高価で小規模生産の車に当面はなるだろう。しかし感動的な挑戦ではあるし、未来のEVの方向性を示しているかもしれない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動運転のスタートアップDrive.aiが廃業

自動運転技術のスタートアップで、評価額2億ドルだったこともあるDrive.aiが、設立4年で廃業する。規制当局の提出資料による。

San Francisco Chronicle紙が最初に報じた。同社はメディアの質問には回答しない、と広報担当者がTechCrunchに伝えた。

同社のカリフォルニア州マウンテンビュー本社は金曜日に閉鎖されると、カリフォルニア州雇用開発局に提出されたWARN文書に書かれている。企業は大量の解雇や事業所閉鎖の前にWARN(Worker Adjustment and Retraining Notification Act)文書を提出しなければならない。

ここ数週間、Appleがこのスタートアップを買収するという噂があった。今月、The Information誌はAppleがDrive.aiのアクイ・ハイヤーを検討していると報じた。特定の人材獲得を目的とした一般には小規模な買収だ。

Drive.aiの従業員90名の中には、好結果となった人もいたようだ。少なくとも5名がLinkedInのプロフィールを更新して、Appleの特別プロジェクトに転職したと書いている。San Francisco Chronicleの報道を受けてTechCrunchが確認した。

Drive.aiは2015年に、著名なAIエキスパート、Anrew Ng率いるスタンフォード大学人工知能研究所の卒業生らが設立した。NgはDrive.aiの取締役会会長となり、共同ファウンダーのCarol Reileyと結婚している。

当初同社は、自動運転ソフトウェア・システムおよびインテリジェント・コミュニケーション・システムに特化し、多くの注目と投資を受けた。後にディープラーニング・ソフトウェアおよび後付け用自動運転キットのハードウェア開発へとビジネスモデルを転換し、さらに資金を調達した。Pitchbookによると総調達額は7700万ドルだった。最後の評価額は2017年の2億ドルだった。

Drive.aiは2017年、2018年と事業を拡大していった。昨年にはテキサス州フリスコでパイロットプログラムを開始し、自動運転車によるオンデマンドサービスを試行した。しかし、事業拡大の一方で、経営チームは混乱があったようで、CEOの席は何度も入れ替わっていた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

エアバスVoomがUber Copter競合となるヘリコプターサービスを米国で年内に提供へ

米国のエアタクシーマーケットが加熱している。FastCompanyの報告によれば、航空業界大手のAirbus(エアバス)が2019年に米国で、オンデマンドのエアトラベルサービスを開始するようだ。同社のオンデマンド型ヘリコプターサービスのVoomは、これまで南米でのみサービスを提供していたが、今秋からは米国でも店舗を展開する。

Uber(ウーバー)は今月はじめ、独自の「Uber Copter」サービスを発表し、7月からマンハッタンよりJFK空港までのサービスを提供する予定だ。さらにBladeも、ニューヨーク市から3カ所の空港までと、ベイエリアにてシャトル便を提供している。エアバスのVoomは2019年にはアジア地域にも展開するとFastCompanyに対して認めており、2025年までには世界25都市をカバーし、年間200万人の乗客を見込んでいる。

これらの企業はいずれも、垂直離着陸可能な電動航空機(eVTOL)へ移行する手がかりとして、ヘリコプターによるサービスを計画している。エアポートシャトルは混雑時の移動時間を減らし、200ドル程度の出費をいとわずに頻繁に移動する顧客のためのエアタクシーサービスの初期計画としては、最適なユースケースとなるようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日産のゼロエミッションのアイス販売車は古いEVの電池を再利用

アイスクリーム販売車は、実は「環境に重大な危害をもたらすとは誰も思わなかったけどもしかしたらそうかもしれない」モノの仲間だった。日産が開発した新しいコンセプトカーは、これまでのアイスクリーム販売車が作り出していたすべての排気ガスをなくし、特に古い車種ではアイスクリームが溶けないために停車中でもエンジンをアイドリングして作り出していた大量の温室効果ガスもなくしてしまう。

このプロジェクトのために日産がパートナーしたアイスクリーム企業であるMackie’s of Scotlandは、すでに原料の牛乳を、風や太陽などの再生可能エネルギーで操業している家族経営の自家農園から調達して、環境フットプリントの削減に一歩を踏み出している。製品の持続可能な生産方式と今回の日産が考案したゼロエミッションのデリバリーバンの組み合わせは、企業の炭素フットプリントを減らす最高の方法だ。

そのために日産が選んだ軽量級商用バンのe-NV200は、完全電動車で1回の充電で約200km走る。このアイスクリーム企業のコンセプトに合わせて日産が特製したリチウムイオン電池パック「Energy Roam」は、2010年以降に生産された日産の古いEVから回収したバッテリーセルを使っている。その再生電池パックはそれぞれ約0.7kWhを貯蔵し、1kWを出力する。うち2つはエンジン用ではなく、ソフトクリーム機や冷蔵庫、冷凍庫用だ。充電は通常の公衆電源(英国だから230V)でもいいし、またバンの屋根のソーラーを使えば2〜4時間で充電できる。

全電動であること以外に、この日産のコンセプトバンにはこれまでの移動アイスクリーム販売車になかった特徴がいくつかある。まず、バンの外に立つ売り子の頭上にはハッチが開いて、アイスクリームディスペンサーの面白さを子どもたちに見せる。Apple PayやGoogle Payで払えるから売り子はお金に手を触れない。What3Wordsを統合して、自分の位置をTwitterでブロードキャストしている。あの元気なベルの音が聞こえなくても、大丈夫。

そして、日産からのボーナスとして、冷菓の売れない季節には機器が使用するはずだった電池の電気を電力会社に売ることができる。ただしこれはまだ、構想の段階だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドライバー支援システムができること/できないことをドライバーは理解していない

アウディ、BMW、GMのキャデラック、日産、そしてテスラのような自動車メーカーは、ある程度の運転タスクを代行することで、日々の高速道路通勤の苦痛を和らげてくれる十分に堅牢な先進的ドライバー支援システムを用意している。ここでの問題は何だろう?ドライバーたちがこうしたシステムの限界を理解していないということだ。このことは6月20日に「Insurance Institute for Highway Safety」(IIHS、ハイウェイ安全協会)からリリースされた2つの新しい調査で示された。

先進的ドライバー支援システムをめぐる理解の混乱は大きく、IIHSの調査によれば特にテスラのAutopilotシステムができることとできないことの理解に関する混乱が大きい。

この理解調査では、2500人に対して現在の車に搭載されている5種類の「レベル2」運転自動化システムについての質問が行われた。具体的には、Tesla(テスラ)のAutopilot、アウディとアキュラのTraffic Jam Assist、キャデラックのSuper Cruise、BMWのDriving Assistant Plus、そして日産のProPilot Assistだ。レベル2が意味するのは、ドライバーの監視の下でシステムが運転作業の2つ以上の部分をできるということだ。例えば、システムは車を車線の中心に保ちながら、同時に適切なクルーズコントロール(加速減速操作)を行うことができる。

調査対象者のうち48%が、Autopilotを使っているときにはハンドルから手を離しても安全だと答えている。IIHSの調査の中では、他のシステムに関してはいずれも33%もしくはそれ以下の人が安全だと答えている。IIHSの調査によれば、Autopilotの場合は、風景を見たり、本を読んだり、携帯電話で離したり、SMSを送ったりしても安全だと考えている人の割合もかなり高いという。さらに6%の人々はAutopilotを使っている最中に居眠りをしても大丈夫だと考えていた。他のシステムの場合は、この比率は3%だった。

この調査は意図的に一般人を対象として行われた。つまり、Autopilotがどのように動作するかをよりよく理解していると思われるテスラのオーナーを対象にした調査ではない。実際、テスラはこの調査に対して以下のような反論を行っている。

「この調査は、テスラの所有者やAutopilotの使用経験のある人々の理解を代表するものではありません。なので、この結果を強調するのは不正確です」とテスラは言う。「もしIIHSが『Autopilot』(自動操縦)という名前に反対だというのなら、おそらく彼らは同じように『Automobile』(自動車)という名前にも反対なのでしょう」。

テスラはそれに続けて、同社の車のオーナーたちに対して、Autopilotをいかに正しく使えばいいかの明快なガイダンスを提供していることはもちろん、システムを使う前、そして機能を利用中にも車内での指示を伝えていると語っている。Autopilotの利用中に、ドライバーが運転にきちんと注意を払っていないことを、もしテスラ車が検知した場合には、ドライバーはその機能を使うことが禁じられる。

だがテスラのオーナーたちがAutopilotを悪用もしくは誤用していることを示す多くのYouTubeビデオのことはとりあえず無視するとしても、テスラの主張する「トレーニング」の効果は、IIHSのもう1つの調査の結果には十分反論できるものではない。2番目の調査は、トレーニングの効果に焦点を絞り、ドライバーたちがDrive Pilotシステムを搭載した2017型メルセデス・ベンツE-Classのディスプレイから、レベル2自動運行情報を理解しているかどうかが調べられた。

IIHSはE-Classのディスプレイを使った理由を、他の自動車メーカーと比べても典型的なディスプレイだからと述べている。大きく異なるテスラのディスプレイを使って同じ研究を行ってみたら、おそらく興味深い結果になるだろう。

こちらの調査では80人のボランティアが、E-Classのハンドル越しの運転手の視点から録画されたビデオを見た。実験に際して被験者の半数は、システムの状態を示す機器のアイコンの意味についての、簡単な事前トレーニングを受けた。

トレーニングは効果を発揮しなかった。IIHSによれば、当初検出範囲よりも遠かったためにシステムが前方の車両を検知しなかった場合、大多数の人はそれが何を意味しているかを理解できなかったという。

要するに?ドライバー支援システムはより一般的で高性能になっているが、ドライバーたちはその変化に追いついていない。それは危険な組み合わせなのだ。

より率直に言えば、先進的ドライバー支援システム(ADAS)がどのように機能するのか、そしてシステムができることとできないことに関して、人びとはきちんと理解していない。ADASは決して自律性を意味しない。そして、一部のメディアや企業が主張していることにかかわらず、現在製品としての自動運転車は路上を走っていないのだ。

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(翻訳:sako)

黒のテスラ車を1000ドル値上げする理由

Tesla(テスラ)はかつて標準仕様だった黒塗りモデルを来月から1000ドル値上げすることをCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏がツイートで語った。採算向上を狙った価格調整の一環だ。

ベーシックなホワイトが新たな(唯一の)無料標準車体カラーになることをマスク氏が後のツイートで付け加えた。同氏は価格変更の理由やそれ以上の詳細は明らかにしなかった。

自動車メーカーは利幅や売上を増やすためのツールとして、価格調整をしたり報奨を与えたりする。しかし今のテスラのやり方は(マスク氏が変更をツイートすることが多い)、何がうまくいくのか、顧客が何を受け入れるかを見極めるためのトライアルのように感じる。

テスラは失望の四半期を受け、このところ広報に力を入れている。去る4月、テスラは第1四半期決算で7.02億ドルという予想を上回る損失を計上し、期待はずれの出荷台数やコスト、価格設定の見直しなどの影響で黒字化への道が遠のいた。

広報活動の一環として、米国時間6月18日に同社は、最新ビデオゲーム Beach Buggy Racing 2をコレクションに加えた。ショウルームに招いた人たちにビデオゲームをプレイしてもらうプロモーションもスタートした。

今年、マスク氏は「フル自動運転」(FSD)の値上げについてツイートした。テスラ車は自動運転車ではない。同氏は、先進運転支援システムによるオートパイロットが改善を続けて将来は完全自動運転になると約束した。オートパイロットは標準装備になった。FSD機能のためのソフトウェアアップデートは6000ドルだ。

またテスラは、税優遇の減額によって販売が停滞するリスクも抱えている。マスク氏は株主総会でテスラ車、特にModel 3には需要の問題はないことを強調した。

マスク氏は水曜日に税優遇の減額をリマインドした。2018年に同社は20万台目の車を納車し、電気自動車の新車買う消費者に与えられる7500ドルの税額控除のカウントダウンが始まった。6月30日以降、税額控除は1875ドルに引き下げられる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Waymoが自動運転車技術のグローバル展開を目指しルノー日産と提携

Waymo(ウェイモ)は、Renault(ルノー)および日産との独占的パートナーシップにより、フランスと日本で商用の自動運転車が乗客と自動車業界にとっていかなる形であるべきかを研究していくことになった。

発表ではこのパートナーシップには「初期的期間」と呼ばれる日限があり、しかしウェイモも、ルノー・日産・三菱アライアンスも具体的な終了日を明かさなかった。

当面は、研究がこのパートナーシップのベースだ。彼らの計画では、商用面、法律面、および規制の面での問題を研究する。しかしウェイモのCEOであるJohn Krafcik(ジョン・クラシク)氏および同社の見方では、これは両国における商用サービスの展開の開始を意味し、可能性としてはさらに中国などほかの国での展開にもつながる。

クラシク氏は声明でこう述べている。「これはウェイモにとってその自動運転技術を革新的なパートナーとともにグローバル化していく理想的な機会である。アライアンスの国際的なリーチとスケールに支えられて弊社のWaymo Driverはモビリティの変革を提供でき、フランス、日本、およびそのほかの国の乗客と自動車販売業界に安心して奉仕していける」。

ルノーと日産のプランでは、アライアンスに焦点を置いたジョイントベンチャー企業をフランスと日本に作り、それを自動運転車によるモビリティサービスの専業企業にしていく。

この発表の前には、さまざまなアライアンスの発表や契約の失敗、そして数々の自動運転車企業やサプライヤー、自動車メーカーなどの間の、数多いパートナーシップが各所で雨後の筍していた。

5月にはFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)がルノー日産アライアンスとの合併のプロポーズを引っ込めた。その50対50のタイアップは、コストを下げ、より多くの資本を自動運転車のような次世代技術の市場化に向けて投入できると喧伝されていた。

その合併は水泡に帰したが、フィアット・クライスラーと自動運転車のスタートアップAurora(オーロラ)との間で進行中だった契約は公表された。その発表の直後には、Volkswagen(フォルクスワーゲン、VW)がAuroraとのパートナーシップを終了したとFinancial Timesが報じた。

そしてその間も、フォードが支援するArgo AIとVWの交渉はずっと続いている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAの超音速ジェット機にはフロントウィンドウの場所に4Kディスプレイを設置

NASAの静音超音速航空機の実験機であるX-59 QueSSTは、コックピットが独特だ。本来ならフロントウィンドウがあるべき場所に、大きな4Kのスクリーンがある。なぜか?これが奇抜な外見を狙った飛行機だからだ。

ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)が2億4700万ドルの予算で開発したX-59は、ソニックブーム(衝撃波音)を発生させずに音よりも相当速く飛ぶとされている。というより、少なくとも地上の見物人にとっては「車のドアを閉める音」より大きなノイズをいっさい発生しない。

そのためには当然、なるべく流線型の形状が望ましい。だとすると、ジェット戦闘機のような突き出たコックピットはだめだ。というかむしろ、操縦士を先頭に置いて大きな窓をつける、というデザインが許されない。

コックピットはどちらかというと、小さくて変わった形をした翼の先端の上の面からつまみ出した小部屋のようで、その側面からの眺めはきれいでも前方には機首が見えるだけだ。

対策としてこの機には複数のディスプレイがあり、下の方にあるのは今の航空機にもある位置などの表示だが、上が4Kのモニターで、それはeXternal Visibility System(XVS、外部可視性システム)と呼ばれるものの一部になる。機の外部にある2台のカメラの像を縫い合わせ、前もってロードされていた地形データと合成される。

だからそれは現実の画面ではないが、パイロットはシミュレーターで過ごす時間が長いから、すぐ慣れるだろう。そして現実世界をどうしても見たいときには、そのための窓もある。

このロッキードとNASAの航空機は建造段階に入っているが、一部の部品は明らかにまだ設計途上だ。初フライトは2021年とされていて、このような実験機にしては欲張りなゴールだ。でもこの通称X-planeは、NASAが30年かけて開発してきた企画。もし成功したら、そのほかの静音超音速機の先駆者になり、かつてコンコルドなどがトライした超音速陸上空路便を未来に復活させるだろう。

ただしBoomに負けなければだが。

関連記事: JALとVirginが出資するBoomが超音速旅客機開発計画の詳細を明かす

画像クレジット: NASA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ギグエコノミーの隆盛を受けロンドン発のインシュアテックZegoが45億円を調達

ロンドンを拠点とするスタートアップのZegoが、ギグエコノミー労働者たちのための保険の必要性に気付いたのは数年前のことだ。そして同社は、当時Balderton Capitalが主導するシリーズAで600万ポンド(約8億1000万円)を調達した。その最初の保険商品は、食料配達人たち向けの従量制のスクーターならびに自動車保険だった。

今回同社は、欧州のインシュアテック(保険テック)スタートアップとしては最大規模である4200万ドル(約45億円)のシリーズB調達を、欧州全域をカバーするフィンテック並びにモビリティに特化した専門ファームであるTarget Globalの主導によって行った。同シリーズの支援者の中にはTransferWiseの創業者であるターベ・ヒンリクス(Taavet Hinrikus)氏も入っている。調達された資金は、Zegoのヨーロッパ全域での拡大と、従業員数を75人から150人へと増やすために使われる。

この調達によって同社の調達総額は5100万ドル(約55億2千万円)となり、既存の支援者であるBalderton CapitalならびにDST Globalのトム・スタッフォード(Tom Stafford)氏に、Latitudeが新たに投資家として加わった。この投資は、同社が過去12カ月間で10倍になるという、途方もない成長を遂げたことによって行われたものだ。

Zegoは、配車サービス、相乗りサービス、カーレンタル、そしてスクーターシェアリングといった新しいモビリティサービスの要求に応えるかたちで、従来の保険よりも柔軟な分刻み契約から年間契約に至る、さまざまな種類の保険ポリシーを提供している。保険料は車両から得られる利用実績データに基いて計算される。

これが意味することは、スクーターや車を使う配達人たちや、乗り合いやタクシーサービスの間で人気が高まっているということだ。同社は現在英国の食品配達市場の、3分の1の保険を担っている。その大きな部分はDeliveroo、Just Eat、およびUber Eatsとの提携を通したものだ。

ZegoのCEOで共同創業者であるステン・ザール(Sten Saar)氏は、次のように述べている。「私たちが3年前にZegoをゼロから立ち上げたときには、私たちのミッションは、急速に変化しつつある輸送業界の状況を真に反映した商品を生み出して、保険業界を変革することでした。世界はますます都市化が進み、そのことによって、従来の車両の『所有権』は、共有される『使用権』へと変化しています。これは、何百年もの間存在してきた、硬直した保険モデルが、もはや目的に適さないということを意味しています」。

Target Globalのリード投資家であるベン・カミンスキー(Ben Kaminski)氏は、次のように述べている。「新しいモビリティサービスの成長を受けて、Zegoは保険市場に大きな隙間を見出し、それを埋めるために独自のビジネスモデルを編み出しました。この会社の可能性はほぼ無限です。そして英国内での成功は、今後数年のうちにヨーロッパ全域はもちろん、その先へと反映されていくことでしょう」。

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(翻訳:sako)

ボルボがNVIDIAと共同で商用/産業向け自動運転トラックを開発

Volvo(ボルボ)とNVIDIA(エヌビディア)は米国時間6月18日、ボルボグループの商業/産業向けの自動運転トラックの次世代エンジンの開発を目標とした、新たなパートナーシップを発表した。この提携では、センサーからのデータの処理や知覚システム、位置情報、マッピングや経路予測/計画を担当する、エヌビディアの人工知能プラットフォーム「Drive」を利用する。

ボルボはすでに、初期サービスにて自動運転技術を搭載した貨物車をいくつか運行しており、これはスウェーデンのGothenburg(イェーテボリ)港のように厳しく管理され監視された環境にて配備されている。エヌビディアとボルボのパートナーシップではAI(人工知能)による自動運転が可能な車両を配備しテストするだけでなく、最終的にはこれらの商用車が公道や高速道路にて運行できることを目標としている。

また配送車両はパートナーシップの目標の一つにすぎず、エヌビディアとボルボはゴミやリサイクル品の回収、建設現場や鉱山、林業でも運用できる、自動運転システムと車両の構築を目指す。Nvidiaのブログによると、同社のソリューションは消費者向け荷物の運搬需要の増大による、世界的な配送需要の拡大の対処に役立つという。また、オンサイトでの港湾貨物管理など、小規模な用途にも対応できる。

両社の合意は数年間にわたり、それぞれのチームはイェーテボリにあるボルボの本社とエヌビディアのカリフォルニア州サンタクララの両方でスペースを共有する。

エヌビディアはこれまでにも中国の自動運転スタートアップのTuSimpleへの出資や完全自動運転を目指すEinrideの配送車両へのインテリジェンスの強化、そしてUber内部のATGによるトラック事業への協力など、数多くの自動運転トラック事業に関わってきた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ドミノ・ピザがNuroの自動運転車を使ったピザ配達をテスト中

Domino’s Pizza(ドミノ・ピザ)は、「イノベーション」への取り組みを強く押し出している。たとえそれがマーケティング戦術の一環だとしても、グローバルなピザブランドは有言実行だ。米国テキサス州ヒューストンでNuroとの提携によって実施する自動運転ピザ配達のパイロットテストがその好例だ。

自動運転技術のNuro は、Googleの自動運転車プロジェクト(後にWaymoになった)出身のベテランであるDave Ferguson氏とJiajun Zhu氏が設立したスタートアップで、Waymo、Apple、Uber、GM、Teslaなどで経験を積んだ自動運転技術者も加わった。同社がスタートアップとしてこれほどの人材を集められたのは、ソフトバンクから10億ドル近い資金を調達したことが大きな理由だろう。あるいは、その逆かもしれない。

ドミノ・ピザはNuroの自動運転テスト車を使って、ヒューストンでアプリまたはウェブで注文した人にピザを配達する。配達にはNuroの第2世代自動運転テスト車であるR2が使用され、サービスは今年中に開始される予定。自動運転車の利用はオプトイン方式で、注文した人にはチェックアウト時に自動運転オプションが提示され、選択すると到着した車のドアを開けて美味しいピザを受け取るための暗証番号が渡される。

ドミノ・ピザが自動運転ピザ(奇妙な表現だ)のテストをするのはこれが初めてではない。2017年にはFord(フォード)と組んで、消費者がこの種のサービスに何を期待しているかを知るための限定的なテストを行った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国初の自動運転ユニコーン企業Momentaは利益よりもデータを追う

Cao Xudong(曹旭東) は、ジーンズと彼のスタートアップ企業の名前である「Momenta」と書かれた黒いTシャツ姿で路肩に現れた。

昨年、企業価値10億ドル(約109億ドル)を記録し、中国初の自動運転系「ユニコーン」企業となったこの会社を立ち上げる以前から、彼は誰もが羨む生活を送っていたのだだが、自動運転は次なる大きな波だと自分に言い聞かせてきた。

曹は、完全な自動運転車で一発当てようと考えているわけではない。それは20年後の話だと彼は言う。むしろ彼は、半自動運転ソフトウエアを販売し、次世代の自動運転技術に投資するという、地に2本の足を着けたアプローチを取っている。

曹(中国語読みでツァオ)は、中国における人工知能研究者の第一世代のための「士官学校」と噂されるMicrosoftの基礎研究機関Research Asiaで働く機会を得たとき、まだ機械工学の博士課程にいた。彼は4年間以上Microsoftで辛抱した末、退職し、より現実的な仕事に手を付けた。スタートアップだ。

「その当時、学術的なAI研究はかなり成熟していました」と、現在33歳の曹は、Microsoftを去る決意をしたときを振り返り、TechCrunchのインタビューで語った。「しかし、AIを応用しようという業界の動きは始まったばかりでした。2012年から2015年までの学会での波よりも、業界で起きる波の方が大きくて強力なものになると私は信じていました」。

2015年、曹は、政府に納入している顔認証技術などによる高収益のお陰で今や世界で最も価値の高いAIスタートアップとなったSenseTimeに入社した。17カ月の在籍期間中、曹は研究部門をスタッフ0人からスタートして100人態勢の強力なチームに育て上げた。

間もなく曹は、またしても新たな冒険に惹かれるようになった。彼は、結果はあまり気にせず、「何かをやること」に重きを置いているという。その傾向は、名門精華大学の在籍中にすでに現れていた。彼はアウトドアクラブの部員だった。特別にハイキングが好きだったわけではないが、冒険のチャンスに恵まれ、彼と同様に粘り強く大胆不敵な仲間たちが大変に魅力的だったからだと彼は話している。

車ではなくコンピューターを作る

曹は、カメラやレーダーなど、自動運転車でよく目にする装置を取り付けた車に私を案内してくれた。トランクには、目に見えないコンピューターコードがインストールされている。我々は車に乗り込んだ。ドライバーは、Momentaが作成した高解像度のマップからルートを選択した。そして、ハイウェイに近づくなり、自動的に自動運転モードに切り替わった。複数のセンサーが、リアルタイムで周囲のデータをマップに送り始める。それをもとに、コンピューターは走行中の判断を下す。

試験車両にセンサーを取り付けるMomentaのスタッフ(写真:Momenta)

Momentaは車もハードウエアも作らないと、曹は念を押した。その代わりに、頭脳、つまり深層学習能力を作って自動車に自動運転機能を与えるのだという。これは事実上、いわゆるTire2のサプライヤーだ。IntelMobileyeと同じように、自動車部品を製造するTire1サプライヤーに製品を販売している。また、自動車を設計し、サプライイヤーに部品を注文して最終的な製品を製造するOEMとも、直接取り引きをしている。どちらの場合でも、Momentaはクライアントと協力しながら最終的なソフトウエアの仕様を決めている。

こうしたアセットライトなアプローチによって、最先端の運転技術が開発できるとMomentaは信じている。自動車や部品のメーカーにソフトウェアを販売することで、収益を得るだけでなく、たとえば、いつどのように人間が介入すべきかに関する大量のデータを収集でき、低コストでAIをトレーニングできる。

クライアントの企業名は公表しなかったが、中国内外の一流自動車メーカーとTire1のサプライヤーが含まれているとのことだ。数は多くない。なぜなら自動車業界での「パートナーシップ」は、深い資源集約的な協力を必要とするため、少ないほうが有利だと考えられているからだ。我々の認識では、後援者にDaimler AGが含まれている。またMomentaは、このメルセデス・ベンツの親会社が中国で投資した初めてのスタートアップでもある。しかし、Daimlerがクライアントかどうかは、曹は明かさなかった。

「1万台の自動運転車を動かしてデータを集めるとしましょう。その費用は、年間で軽く10億ドルに達します。10万台なら100億ドルです。巨大ハイテク企業であっても怖じ気づく額です」と曹は言う。「意味のあるデータの海を手に入れたければ、大量市場向けの製品を作ることです」。

自動車をコントロールする半自動運転ソリューションHighway Pilotは、Momentaの最初の大量市場向けソフトウェアだ。今後、さらに多くの製品が投入されるが、それには、完全自動駐車ソリューションや、都市部向けの自動運転ロボットタクシー・パッケージなどが含まれる。

長期的には、非効率的な中国の440億ドル(約48000億円)規模の物流市場に取り組みたいと同社は語っている。AlibabaJD.comが開発した倉庫向けのロボットのことはよく知られているが、全体的に中国の物流の効率は、まだ低水準にある。2018年、物流コストは中国のGDPの15%近くを占めていることが発表された。同じ年、世界銀行が発表した、世界の物流業界の効率を示した物流パフォーマンス指標ランキングでは、中国は26位だった。

MomentaのCEO曹旭東(写真:Momenta)

控えめなCEOである曹が語調を強めたのは、同社の地に2本の足を付けた戦略について説明したときだった。その2つセットのアプローチは「閉じた輪」を形成する。これは、同社の競争力について語るときに繰り返し登場した言葉だ。現在と未来の中間を拾うのではなく、Waymoがレベル4(基本的な状況下で人間の介入なしに自動運転できる車の区分)で行ったように、またはTeslaが半自動運転で行ったように、Momentaはその両方に取り組む。それには、収益がロボットタクシーのための研究費となり、現実のシナリオから収集されるセンサーのデータが研究室のモデルに投入されるHighway Pilotのような、利益を生むビジネスが利用される。そして、その研究室で得られた結果は、公道を走る車に供給する技術をパワーアップする。

人間かマシンか

昼間の公道での40分の試乗の間、我々が乗った車は、自動的に車線変更をし、合流し、乱暴なドライバーから距離を取るなどしていたが、ある一瞬だけ、ドライバーが操作を加えた。試乗の終わりごろ、ハイウェイの出口ランプの中央に停車していた危険な車を避けるために、ドライバーがレバーを引いて車線変更を行っている。Momentaはこれを、「インタラクティブな車線変更」と呼んでいる。同社は、これは自動運転システムの一部であり、厳格な定義によれば、人間の「介入」ではないと力説していた。

「人間による運転の介入は、これからも長きにわたって支配的な存在でいるでしょう。あと20年ほどは」と曹は指摘する。車は車内カメラでドライバーの動作を細かく把握しているため、この設定は安全性を一段階高くするとのことだ。

「たとえば、ドライバーが携帯電話に目を落としたとします。すると(Momentaの)システムは運転に集中するよう警告を発します」と彼は言う。

試乗中の撮影は許されなかったが、Momentaが公開している下の動画でハイウェイでの様子を少しだけ確認できる。

人間は、我々が思っている以上に、すでに自動化の範囲に組み込まれている。曹は、他の多くのAI研究者と同じく、最終的にはロボットがハンドルを握るようになると考えている。Alphabetが所有するWaymoは、すでに数カ月前からアリゾナでロボットタクシーを走らせている。Drive.aiのような比較的小規模なスタートアップですら、テキサスで同様のサービスを行っている。

業界にはさまざまな誇大宣伝や流行があるが、同乗者の安全、規制の概要、その他数多くの高速移動技術の問題など、厄介な疑問は残されたままだ。去年、自動運転車による死亡事故を起こしたUberでは、将来の計画が先送りされ、人々の批判を浴びることになった。上海に拠点を置くベンチャー投資会社は、先日、私にこう話した。「人類はまだ自動運転の準備ができていないのだと思う」

業界の最大の問題は、技術的なものではなく、社会的なものだと彼は言った。「自動運転は、社会の法体系、文化、倫理、正義に難題を投げかけている」。

曹も、この論争のことはよく知っている。未来の自動車を形作る企業であるMomentaは、「安全に対する大きな責任を負っている」と彼は認識している。そのため彼は、すべての幹部に、自動運転車で一定の距離を走り、システムに欠点がないかを確認するよう求めている。そうすれば、お客さんが遭遇する前に、社内の人間が欠点に遭遇する確率が上がる。

「この方針があれば、管理職はシステムの安全性を真剣に考えるようになります」と曹は主張した。

中国の蘇州に建つMomentaの新本社ビル(写真:Momenta)

信頼性を確保し、説明責任を明確にできるソフトウェアをデザインするために、Momentaは「システム研究開発のアーキテクト」を任命している。この人物は、基本的に、ブラックボックス化された自動運転アルゴリズムの解析の責任を負う。深層学習モデルは「説明可能」でなければならないと曹は言う。それは、何か不具合が起きたときに原因を突き止める重要な鍵となるからだ。故障箇所はセンサーなのか、コンピューターなのか、ナビゲーションアプリなのか?

さらに曹は、研究開発に多額の資金を投入してはいるが、利益を生もうと焦ってはいないと話している。ただし、ソフトウェア販売の利益が「大きい」ことも認めている。またこのスタートアップは、多額の資金に恵まれている。曹の経歴が投資を惹きつけているところが大きい。同じように、共同創設者であるRen Shaoqing(任少卿)とXia Yan(夏炎)もMicrosoft Researchの出身だ。

昨年10月の時点でMometaは、Daimler、Cathay Capital、GGV Capital、Kai-Fu LeeのSinovation Ventures、Lei JunのShunwei Capital、Blue Lake Capital、NIO Capital、それに蘇州政府を含めた著名な投資企業から少なくとも2億ドル(約217億円)を調達している。蘇州には、高速鉄道の駅のすぐ隣にMomentaの新本社ビルが建つ予定だ。

蘇州を高速鉄道が通過するとき、乗客はその車窓からMomentaの特徴的な新社屋を眺めることができる。数年もすれば、この中国東部の歴史ある街の新たなランドマークになるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

Waymoがついに電動CUV車Jaguar I-Paceを公道上で自動運転

1年あまり前にWaymo(ウェイモ)は、同社の自動運転車事業の次の大きな一歩としてJaguar Land Rover(ジャガー・ランド・ローバー)をパートナーとし、その全電動クロスオーバー車であるI-Paceを自動運転化すると発表して業界を驚かせた。

その自動運転のJaguar I-Paceがついに、Waymoの本社のある米国カリフォルニア州マウンテンビューの公道でテストを始めたらしい。米国時間6月17日朝の目撃情報によると、セーフティードライバーが運転席にいる自動運転車Jaguar I-Paceが確かに公道を走行中でWaymoも試験を始めたことを認めた。

Googleの自動運転プロジェクトがAlphabet傘下の企業となったWaymoは、2018年7月に最初の3台のI-Paceを受け取った。それらが、道路のデータを集めるためにサンフランシスコのベイエリア周辺を走っているところが目撃されたが、それは自動運転ではなかった。Waymoの計画では、自動運転のI-Paceは2020年に同社のライドシェア事業に起用される予定だ。

WaymoとJLRの契約によると、最大で2万台のI-Paceが最初の2年間でロボタクシーサービスに利用される。そのパートナーシップの構造はWaymoとFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の関係に似ていて、FCAはハイブリッドミニバンであるChrysler Pacifica(パシフィカ)をWaymoに供給する。

そのミニバンはフェニックスの郊外周辺で、WaymoのテストとWaymo Oneライドシェアサービスの別名になった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Rivianと登山家Alex HonnoldがEV用バッテリーを再利用したソーラー・マイクログリッド建設で協力

かつては秘密主義だったが11月に電動ピックアップトラックとSUVで公にデビューを果たした自動車メーカーRivianは、自社の中古バッテリーを、プエルトリコでのソーラー・マイクログリッド・プロジェクトに役立てようと計画している。

Rivianは、プロの登山家でドキュメンタリー映画『Free Solo』の主役にもなったAlex Honnoldが創設したThe Honnold財団と手を組み、このマイクログリッド・プロジェクトを進める。HonnoldとRivianのCEO、RJ Scaringeは、土曜、デンバーにてプロジェクトに関する対談を行う予定で、その様子は米山岳部時間で午後6時からストリーミング配信される(訳注:すでに終了しています)。

マクログリッド・プロジェクトは、プエルトリコの中西部に位置する人口2万人の都市アドフンタスで実施される。ここは2017年のハリケーン・マリアによる甚大な被害を受けた地域だ。アドフンタスに拠点を置き、この地域に安価に電力を供給する方法を模索している環境監視団体Casa Puebloも、プロジェクトに参加する。

Rivianは、自動車開発に使用した135キロワット毎時のバッテリーパックを提供してマイクログリッドを支える。今年の始め、RivianとThe Honnold財団のエンジニアがCasa Puebloを訪れた。彼らは、地域の代表者たちを交えて、アドフンタスの中心地でビジネスを展開する数多くの事業所に電力を供給する、地域に適合したシステムの設計について話しあった。

街の中心地を対象としたマイクログリッド・プロジェクトには、2つの目的がある。主電源が使えなくなったときに地元の中核的事業に電気を供給すること。そして、アメリカ全体の平均の2倍にもなるプエルトリコの電気料金を日常的に引き下げることだ。

このシステムは2020年の稼働を予定している。

「再生バッテリーは、再生可能エネルギーの普及を加速させる大きな力になります。このシステムが地域社会で重要な役割を果たすことを想像すると、胸が躍ります。このシステムは、場所の制約、災害復旧、エネルギーの独立性などを考慮して、地域ごとにカスタマイズできるエネルギー貯蓄ソリューションのモデルになるでしょう」とScaringeは話した。

このプロジェクトは、再生バッテリーの広範な利用法を探すという同社の長期計画の第一歩となる。

同社では、そのバッテリーパック、モジュール、バッテリー管理システムを、電気自動車用としての生涯を終えた後も、自動車用充電池から据え置き型充電池へ転換できるよう設計している。モジュール自体は薄型デザインになっているので、再生後は、場所をとらないカスタマイズ可能な装置として応用できる。

Rivianは、ピックアップトラックやSUVといったスポーティーなオフロード車に特化した電気自動車のメーカーだ。同社は2月、アマゾン主導のラウンド投資7億ドル(約760億円)を調達したことを発表した。

この企業は、創設当初、一般の目に触れない形で事業を行ってきた。2009年に設立されたときの社名はMainstream Motorsだった。2011年には社名をRivianに変更し、フロリダを離れた。現在、同社は、ミシガン州プリマス、カリフォルニア州サンノゼとアーバイン、イギリスのサリーに開発部門を分散し、1000名以上の従業員を擁している。また、イリノイ州ノーマルには、約73000坪の工場を構えている。

RivianはR1T電気ピックアップトラックと、R1S SUVを、2020年後半にアメリカで発売する予定だ。その他の地域では2021年から展開が開始される。

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(翻訳:金井哲夫)

電動スクーター戦争は続く、Lyftが新スクーターを相次ぎ投入

Lyftは、サンフランシスコ・ベイエリア向けの車輪がピンク色をした電動バイクを公開したのに続き、同じものをコロラド州デンバーにも導入しようとしている。Lyftによると、これらのスクーターはより頑丈に作られていて、よりパワフルなバッテリーとハンドブレーキを搭載しているとのことだ。

しかし一見、同社の最初の電動バイクより特段頑丈で持ちが良いようには見えない。だがLyftはこれらのスクーターは折り畳むことができず、そして以前よりも重くなって安定性が増し、航空機グレードのアルミで作られているとしている。このスクーターはSegway Ninebotとの提携でつくられていて、両社は今年1月にModel Maxを発表していた。

電動スクーターシェアリングのサービスではスクーターの摩耗が大きな問題、という認識のもとにModel Maxはデザインされた。Model Maxはより頑丈で乗り心地がよく、バッテリーフル充電時の航続距離は以前15マイルだったのが37.5マイルになるなど運用効率も高いようだ。

またデコボコ路面の対策として、Model Maxでは従来の8インチのかわりに10インチの空気式タイヤを前輪と後輪に採用している。そしてベースボードも広くなっている。

「この新しいモデルでLyftはライダー体験を次のレベルにもっていく」とLyftの自転車・スクーター・歩行者政策の責任者Caroline Samponaro氏は発表文で述べている。「初めてスクーターに我々のシンボルカラーであるピンク色の車輪を搭載した。個人所有の車のためではなく人のための町、というLyftの将来のビジョンでは間違いなくスクーターが中心にくる」。

気づいている人もいるだろうが、電動スクーターシェアの業界では現在さまざまな動きがみられる。今週初め、BirdはScootの買収を認めた。Scootはサンフランシスコでのサービス提供が許可されている。

ワシントンD.C.で開かれたUber Elevate Summitで、Uberは最新の電動スクーターを発表した。非公開企業V2との提携のもとに作られたJUMP電動スクーターは大きなフレームとハンドブレーキでより頑丈に、そして安全になっている。

D.C.にいる間、私はJUMPやSpin、Bird、そしてLyftなどいくつかのスクーターに乗った。JUMPのスクーターは他のスクーターよりもデコボコ道で乗りやすく、LyftのV1 は乗っていて楽しかった。しかし、バッテリー切れだったり予約済みだったりするスクーター、それから修理の必要があるスクーターや加速に欠陥があったり急に加速したりするスクーターなど、電動スクーターのシェアリングについていくぶん冷めた気持ちになったのは否めない。

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(翻訳・Mizoguchi)