NASAのアルテミス協定が宇宙協力に関する新ルールを起案

NASAの月への帰還計画はそれだけでも十分に意欲的だが、同機関はその過程で宇宙における国際協力をより現代的にしようと狙っている。NASAは米国時間5月15日に、自主的なガイドラインのセットである「Artemis Accords(アルテミス協定)の概要を発表した。それは、NASAのパートナーである国や組織が協力して、宇宙の探究と宇宙産業の大きな目的をグローバルに前進させることを狙いとしている。

宇宙はいかなる国家主権の下にもなく、またそれ自身の主権もないため当然ながら無法状態にある。そのためこの協定案も、宇宙法というよりも共有されるべきプライオリティの集合をなるべく明確に書き表したものになっている。既にに多くの国がさまざまな協定や条約に参加しているが、宇宙探検の進歩と、すぐそのあとにやってくるであろう植民や資源採掘などの問題は、既存の体制ではとうてい扱えない。全面的な書き換えが喫緊の課題であり、そしてとりあえずNASAが最初にペンを握ることにしたのだ。

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アルテミス協定は古いルールや協定の重要性を再確認しながらも、いくつかの新しいルールを持ち込んでいる。それらは現段階ではあくまでも一般的な記述であり、具体化のためには今後数カ月ないし数年にわたる協議が必要となる。

ルールとその理由を説明しているNASAの声明は短く、明らかに一般の人向けを想定している。ただしここでは、読みやすくわかりやすくするために箇条書きにまとめた。

最初は新しいと思われるルールだ。NASAとパートナー諸国は以下について合意する。

  • 方針や計画を透明なやり方で記述し、公開する。
  • 「安全区域」を作る位置とその運用の一般的な性質を公開し、抗争を避ける。
  • 国際的なオープンスタンダードを用い、必要なら新しいスタンダードを開発し、実用的な範囲内で相互運用性をサポートする。
  • 科学データを全面的かつタイムリーに一般公開する。
  • 歴史的価値のある遺構や人工物を保護する。例えばアポロ計画の着地点はまだ法的に保護されていない。
  • 軌道デブリの減少を計画的に行う。寿命を迎えた宇宙船は安全かつタイムリーに処分する。

ご想像どおり、これらのどれもが多くの新しい問題を提起する。例えば「透明」とはどういうことなのか? どのような運用をどんなタイミングで公開すべきか? 「歴史的価値」を誰が決めるのか?

今後いろいろなことが長期間にわたって議論されるだろうが、基本的な想定として「秘密主義はいけない」や「アポロ13号の着陸船を盗むなかれ」などのルールは、会話を始めるための良いきっかけになるかもしれない。

Jim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン): 宇宙の探究の新しい夜明けだ! 名誉なことに、本日、アルテミス協定を発表する。月への人間の帰還事業に参加する国際的パートナー全員が共有するビジョンを確立し、原則を設定する。私たち全員が一緒に進むのだ。

一方、この協定は、既存の条約やガイドラインへのNASAの賛意を再確認している。NASAとパートナーは以下を遵守する。

  • Outer Space Treaty(宇宙条約)に準じ、すべての活動を平和的な目的のためにのみ行う。
  • Agreement on the Rescue of Astronauts(宇宙救助返還協定)などの協定に基づき、遭難した宇宙飛行士を助けるためのすべてのリーズナブルなステップを行う。
  • Registration Convention(宇宙物体登録条約)に基づき、宇宙に送られるオブジェクトを登録する。
  • 宇宙の資源の取り出しと利用は、Outer Space Treaty(宇宙条約)の第II、VI、XI条に基づいて行う。
  • パートナー国に「安全区域」について知らせ、Outer Space Treaty(宇宙条約)第IX条に従って調整する。
  • 国連の宇宙の平和利用委員会のガイドラインに基づいてデブリを減らす。

アルテミス計画では2024年に次の米国人男性と初めての女性を月に送ることを目標としているが、そのスケジュールは日増しに不可能の様相を呈している。ミッションはコスト削減のために民間の打ち上げプロバイダーとそのほかの商業的パートナーに前例のないほど大きく依存し、それでいて必要なレベルの信頼性と安全性を維持しようとしている。

関連記事:NASAの月ロケット打ち上げは計画から2年遅れで予算オーバーとの内部報告

画像クレジット:NASA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

パンデミック中の買収でフェイスブックが再び独禁法調査の標的に

多くの業界が身動きをとれず損失に動揺するなか、テック業界のビッグプレイヤーたちは、ここでもルールの外にいることを証明しつつある。米国時間5月15日、Facebook(フェイスブック)はGIPHY(ジフィー)を買収する計画を発表した。人気GIF検索エンジンの価値は4億ドル(約430億円)といわれている。

フェイスブックは、GIPHYとは新たな開発およびコンテンツで関係を結びたいといっているが、世界最大のソーシャルネットワークが人気のGIFプラットフォームを欲しがる本当の理由は別にあるかもしれない。Bloomberg(ブルームバーグ)などの報道によると、フェイスブックの真の狙いはGIPHYを競合プラットフォームのユーザー動向を見るメガネとして使うことだという。GIPHYのGIF検索ツールは現在いくつかのメッセージングプラットフォームに組み込まれていて、その中にはTikTok、Twitter、Apple(アップル)のiMessageもある。

2018年にフェイスブックが、Onavoというモバイルアプリの使用を巡って窮地に立たされたことはよく知られている。このアプリはフェイスブック以外のアプリの利用状況を覗き見するもので、アップルのデータ収集に関するポリシーに違反した。その問題が修正された後も、フェイスブックはライバルの動向を見ることに執着するあまり、未成年を含むユーザーに報酬を渡し、ユーザーのモバイル行動をすべて見ることのできるアプリをインストールさせたことをTechCrunchは2019年に暴露した。

議員や規制当局にとって、GIPHYの買収は2種類の警鐘を鳴らす案件だ。1つはテック業界における反トラストに関わるの不正行為の新たな証拠として、もう1つはこの買収が消費者のプライバシー侵害となる可能性だ。

「司法省や連邦取引委員会はこの買収提案を精査すべきだ」とミネソタ州のAmy Kobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員がTechCrunch宛の声明で語った。「フェイスブックのライバルも含め多くの企業がGIPHYの共有コンテンツライブラリーなどのサービスに依存している。そのためこの買収提案に関して私は大変懸念している」。

2020年4月に提案された法案でElizapeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員(民主党・マサチューセッツ州)とAlexandria Ocasio-Cortez(アレクサンドリア・オカシオ・コルテス)下院議員は、 大型買収の凍結を求め、巨大企業はパンデミックに乗じて中小会社を買い叩くことで権力基盤を固めようとしているのではないか、と警告した。

ウォーレン上院議員の広報担当者は声明で、フェイスブックのニュースを「巨大企業がパンデミックを利用して権力基盤をさらに広げようとしている」と指摘し、同社の「プライバシー違反の歴史」に言及した。

「ウォーレン上院議員によるパンデミック期間中の大型買収の一時休止計画は必要であり、巨大テック企業を分割する執行者が必要だ」と広報担当者は語っている。

関連記事:AOC and Elizabeth Warren call for a freeze on big mergers as the coronavirus crisis unfolds

フェイスブックのこの最新の動きは、UberがGrubhubの買収を計画していることをWall Street Journalが暴露した数日後だった。GrubhubはフードデリバリーでUber Eatsと直接競合する会社だ。

そのニュースは、巨大テック企業の分解を目論んでいた規制賛成派議員たちも驚かせた。下院の反トラスト小委員会委員長を務めるDavid Cicilline(デビッド・シシリーニ)下院議員(民主党・ロードアイランド州)は、この買収を「パンデミック不当利益の最悪事例」と評した。

「本件は買収停止令の緊急度を改めて強調するものである。これは私が同僚議員とともに党によるサポートを強く要請してきたことだ」とシシリーニ氏がGrubhubに関する声明で語った。

パンデミック初期の日々には、テック大企業の反トラスト対する注目はやや薄らいでいたかもしれないが、政府も国民も新型コロナウイルス危機の中でリズムを取り戻すと、それも長くは続かなかった。5月15日のWall Street Journalは、司法省と何人かの州検事がGoogle(グーグル)に対する反トラスト訴訟を準備中で、夏頃には実行する予定だと報じた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ禍の中でカリフォルニアは大統領選挙に向け住民の安全のために郵便投票を採用

米国時間5月8日、米国カリフォルニア州知事のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)氏は、11月の大統領選挙に向けて登録済有権者全員に郵便投票用紙(未訳記事)を発行すると発表した。ニューサム氏はこの決定を、他のカリフォルニア州機関と調整の上、行政命令として下した。

この命令は、すべての郡の選挙担当者に、有権者へ郵便投票用紙を提供することを要求するものだが、同時に障碍者、住所をもたないホームレス、英語以外の言語での投票資料を必要とする人たちのために対面式投票所の設置も設定することも求めている。

カリフォルニアは、郵便投票州になりました。
登録されている有権者の皆さまに、11月の選挙のための郵便投票用紙が送られます。
安全な対面投票オプションも提供します。
投票権は私たちの民主主義の基盤です。その権利を行使するために健康を危険にさらすことを強いられてはなりません。

命令によれば、対面投票を可能な限り安全にするために、知事は州務長官およびカリフォルニア州議会と調整を行う。カリフォルニア州では、州務長官が選挙の最高責任者であり、投票設備、セキュリティ、そしてアクセシビリティの監督を行っている。

Alex Padilla(アレックス・パディラ)州務長官はこの決定について「全登録有権者に投票用紙を郵送することで、カリフォルニア州は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに対応する国内で最初の州になります」と語った。「私たちは今年11月の選挙で、アクセスしやすく、安全で、安心な選挙を提供するという義務を果たします。登録されているすべての有権者に、郵便で投票用紙を送ることは賢明な方針ですし、この新型コロナウイルスパンデミック期間で行うこととしては絶対に正しい行動です」。

11月の選挙が迫る中、パンデミックの真っ最中の総選挙が突き付ける独自の課題に、各州は迅速に対応しようとしている。この先投票システムを再考できない州に起き得る混乱を、既に行われた予備選挙戦が予め示したからだ。特にウィスコンシン州では、長い列と混雑した投票所が報じられた。他の多くの州が予備選挙を遅らせて(未訳記事)時間を稼ぐ中、ウィスコンシン州は健康専門家からの警告と有権者からの懸念にもかかわらず、当初の日程で対面投票を進めたのだ。

一部の政治家(特にトランプ大統領はその筆頭)たちは郵便投票を党派的な問題だと片付けようとしているが、現実には、赤い州(共和党支持が多い週)と青い州(民主党支持が多い州)どちらの選挙担当者も、11月には投票用紙を住民に郵便で送ることを検討している。

オレゴン州、ワシントン州、コロラド州、ユタ州、ハワイ州では、すでに郵便投票を主要な投票手段として安全に利用しており、これらの州(ならびに不在者投票を認めている他の州)での投票者の不正行為は、統計的に無視できる程度のものである。

関連記事:Vote-by-mail should be having its moment.Will it?(郵便投票が、いままさに脚光を浴びるのか?、未訳記事)

画像クレジット: Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:sako)

ニューヨーク州司法長官がAmazonのCOVID-19対策を「不適切」「ぞっとする」労働方針と呼ぶ

報道によると、ニューヨーク州の司法長官事務所がアマゾン(Amazon)に送った厳しい内容の書簡で、同社がCOVID-19パンデミックに際して採った措置は「きわめて不適切で、労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act)のいくつかの規定に違反しているおそれがあり」、そしてまた、率直な発言をする労働者を解雇したことは「他の社員への脅しのメッセージ」を送っている、と述べている。

その、まだ公開されていないがNPRが入手した書簡は、本誌も今司法長官事務所に確認を求めているが、情報のみで法的行為は含まれていない。しかしその言葉は、次のステップが法的行為であるかのような、厳しさに満ちている。

今調査を継続しているが、これまでに得た情報からは、COVID-19パンデミックに対して採ったAmazonの健康と安全に関する措置がきわめて不適切で、労働安全衛生法の複数の条項に違反しているおそれがあるとの懸念を喚び起こすものである。

これらはまさしく、過去2か月にわたって多くの倉庫労働者が指摘した懸念だ。自分が働いている施設の労働条件について抗議したChris Smallsは、3月に解雇された。

—ツイート訳—
[ニューヨーク州司法長官事務所James: パンデミックのさなかにChris Smallsと彼の同僚たちは、社員保護の欠如に勇敢にも抗議し、そして解雇された。現在すべての法的オプションを検討中であり、労働関係局に調査を求めている。Amazonよ、恥を知れ。]
[フィナンシャル・タイムズDave Lee: Amazonはスタテンアイランドのフルフィルメントセンターで抗議活動を組織したChris Smallsを解雇したが、解雇理由は社会的距離への違反と他の社員を危険にさらしたこと、としている。]

Amazonは、Smallsは労働者を 扇動したから解雇されたのではない、と言っている。しかし報道によると、Jeff Bezosが同席する会議で同社の法務部長が、「いつも話題になる労働者の安全の問題」に彼を結びつける前に、彼を「組合結成と労働者組織化運動全体の顔に」してしまえ、と示唆した。

(Amazonはこれらのコメントが言われたことを確認も否定もしなかったが、言ったとされる当人のものか不明な謝罪文を送ってきた。)

2週間後にはさらに、発言の多い2人の社員が、「数度にわたる内規違反」で解雇された。当然ながら、その理由付けはいつもどおりだ。

ニューヨーク州司法長官事務所の書簡は、「不法な報復」の可能性を調査中と言い、その根拠を次のように述べている:

Smalls氏の解雇のあと、多くの労働者が、彼らの懸念について発言することを恐れるようになった、と伝え聞いている。これは、パンデミックの間に送るメッセージとしては特別に危険であり、健康と安全に関する社員の発言を抑えることは、文字通り生と死を分かつ問題である。

Amazonはいつものように、同社は労働に関しては模範生だ、と抗議している。つまり同社はいつものように、Smallsのような労働者の言うことに矛盾している。彼らはその労働の現実を同社の倉庫で実際に体験したのだ

AmazonはNPRに対しても、いつもの論点を繰り返している: 「Amazonの健康と安全について他と比較することを、全員に奨励している。危機に際しての対策の実装の速さも、他のリテイラーと比べていただきたい」。司法長官は、同社のこの誘いに乗る気のようだ。

関連記事: 有給休暇の要求で団結したAmazonの倉庫従業員を新型コロナが後押し

関連記事: Report alleges Amazon worked with Indiana to downplay warehouse worker’s death and safety concerns…アマゾンが倉庫労働者の死を隠蔽か(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米国で大麻関連企業を新型コロナ支援の対象とする法案が提出

新型コロナウイルス(COVID-19)への米政府による大規模な資金援助が間近に迫っている中、以前に大麻ビジネスが急成長していた州の2人の議員が、政府に大麻産業への保護を要請している。

Earl Blumenauer(アール・ブルメナウアー)下院議員とEd Perlmutter(エド・パールマター)下院議員が提出したこの法案は、大麻企業に給与保護プログラム、経済傷害災害融資、災害融資プログラムを通じた緊急融資の資格を与えるものだ。

大麻関連企業は必要な事業認可を与えられており、大麻が医療やレクリエーション目的の販売で合法化されているほとんどの州で、事業を継続することができる。それでもこれらの企業は、例えプログラムの要件を満たしていたとしても、米中小企業庁を通じた融資や、その他の新型コロナウイルスによる危機に対する援助を申請することができない。これに、前回の大規模な新型コロナウイルス支援パッケージの後に導入された、PPPと呼ばれる融資免除プログラムも含まれている。

多くの中小企業経営者が労働者の雇用維持のためにPPPローンによる助成金を申請したが、資金を確保できた企業はほとんどなかった。さらに悪いことに、融資の一部は大手レストランチェーンヘッジファンドなど、中小企業の定義外の企業に与えられた。

「大麻ビジネスはコロラド州および全国の地域経済における主要な雇用者であり、また重要な貢献者でもある」と、パールマター議員は述べている。「大麻関連企業は他の合法的なビジネスと同レベルの支援を受けるべきであり、今回の新型コロナウイルスの危機の間、米中小企業向け貸付(SBA)の救済基金の対象となるべきだ」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

インドの大手配車プラットフォームOlaが新型コロナ対策で政府に協力

インドが国民を新型コロナウイルス(COVID-19)から守るために緊急体制をとる中、配車サービス大手のOlaが支援に乗り出した。同社テクノロジープラットフォーム機能のうち、リアルタイムの追跡とナビゲーション、そして群衆に対応する機能を連邦政府と州政府に無償で公開する。

すでにパンジャブ州政府と連携しているOlaは、同社のプラットフォームを政府や公共サービス機関のリアルタイムの戦略に役立つよう調整できるとしている。

同社のプラットフォームでは多くの車両と人を追跡でき、人がマスクを着用しているかどうかをセルフィーの写真で確認する機能もある。後者のセルフィーの機能は、Olaでは運転席に座っている人が登録済みのドライバーパートナーかどうかを認証するために使っている。同社は「最高レベルのデータのプライバシーとセキュリティを保証します」と強調している。

Olaによれば、パンジャブ州政府は同社のテクノロジーを使って野菜市場で170万人以上の農業従事者の生産物と車両の動きを追跡管理し、対人距離の基準が確実に守られるようにしているという。

このような機能は州政府にとって有用だろう。地元メディアの報道によると、多くの地域でここ数週間に、野菜市場内や食料品店の外に大勢の人々が集まってしまうことがあったからだ。連邦政府は2020年3月に、全土に対して人の移動を制限する命令を出している。

パンジャブ州では、Olaのプラットフォームは州政府がデジタルの移動許可証を発行するのにも使われている。インド各州の政府は、医療従事者や緊急の業務のために家から出なくてはならない人に対して許可証を発行している。

政府機関のPunjab Mandi Boardの秘書官でガバナンス改革特別秘書官のRavi Bhagat(ラビ・バガット)氏は声明で「現在の危機的状況において、Ola CONNECTSは市民全体の利益のために政府関係者が迅速に展開できる強力なプラットフォームだ」と述べた。

Ola Connectというのが、危機的状況を支援するOlaの最新の取り組みの名前だ。ここ数週間で、同社はドライバーパートナーのリース契約を放棄した。また、新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されたドライバーパートナーとその家族に対し、数百ドル(数万円)の支援をすることを明らかにしている。

Olaの共同創業者のPranay Jivrajka(プラネイ・ジブラージカ)氏は声明で「AI、追跡技術、配置とフローの管理にわたるOlaのイノベーションはすべて、CONNECTSプラットフォームに活かされる。我々は国のためにできる限りの方法で尽力する。先頭に立って新型コロナウイルスと戦っている多くの医師、医療従事者、最前線のスタッフのために、このプラットフォームを無償で提供する」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

セキュリティーの欠如で顔認識スタートアップClearviewのソースコードがすべて漏洩

2020年1月、ある新聞社の調査によってその衝撃的な存在が明らかになった、顔認識スタートアップのClearview AI(クリアビュー・エーアイ)は、たちまちハイテク系スタートアップ界の最も捉えどころがない隠蔽体質の嫌われ者になってしまった。

物議を醸している同社は、法執行機関が人の顔写真を撮りアップロードすると、30億人分の画像を保管しているとされる同社のデータベースで照合ができるサービスを提供しているが、その画像とは、一般のソーシャルメディアから集めたプロフィール写真だ。

だがしばらくの間、サーバーの設定ミスにより、同社の内部ファイル、アプリ、ソースコードが、インターネット上の誰もが見られる形で漏洩してしまった。

ドバイのサイバーセキュリティー企業SpiderSilk(スパイダーシルク)の最高セキュリティー責任者を務めるMossab Hussein(モサブ・フセイン)氏は、Clearviewのソースコードが保管されていたレポジトリーを突き止めた。そのレポジトリーはパスワードで守られてはいたが、設定ミスにより誰でも新規ユーザー登録ができ、ソースコードが保管されているシステムにログインできる状態になっていた。

レポジトリーには、コンパイルすればアプリとして実行できるClearviewのソースコードが保存されていた。さらにそこには、Clearviewのクラウド・ストレージのバケットにアクセスできる秘密の鍵と認証情報もあった。そのバケットの中には、Windows版とMac版とAndroid版のアプリの完成品が収められていて、さらにはApple(アップル)が規約違反としてブロックしたiOS版アプリもあった。また、通常はテスト用にのみ使われる開発者向けの初期のリリース前バージョンのアプリも保管されていたと、フセイン氏は言う。

しかもフセイン氏によれば、そのレポジトリーでは、ClearviewのSlackのトークンも晒されていた。これを使えば、同社の内部メッセージや会話がパスワードなしで誰にでも読めてしまう。

Clearviewには、ニューヨーク・タイムズによってその隠密活動を暴かれて以来、ずっとプライバシーの懸念が付きまっている。だがその技術はまだほとんどテストされておらず、顔認証の精度も実証されていない。Clearviewでは、この技術は法執行機関にのみ使用を許すものだと主張しているが、同社はMacy’s、Walmart、NBAといった民間企業にも声を掛けていたと報道されている。だが今回のセキュリティー上の失態により、セキュリティーとプライバシーへの取り組みに関して、同社にはさらに厳しい目が向けられることになりそうだ。

コメントを求めると、Clearviewの創業者であるHoan Ton-That(ホアン・トンタット)氏は、彼の会社は「常に大量のサイバー侵入攻撃に晒されているが、セキュリティー強化には多額の投資を行ってきた」と主張した。

「私たちは、HackerOne(ハッカーワン)の協力で賞金付きのバグ探しプログラムを立ち上げました。Cleaview AIの欠陥を発見したセキュリティー研究者には報酬が支払われます」とトンタット氏。「SpiderSilkは、このプログラムには参加していませんが、Clearview AIの欠陥を見つけて私たちに連絡してきました。今回の漏洩事件では、個人が特定されるような情報、検索履歴、整体認証情報は一切漏れていません」。

iOS用Clearview AIはログインする必要がないとフセイン氏は言う。彼は、このアプリの仕組みがわかるスクリーンショットをいくつか取り込んだ。ここではフセイン氏は、マーク・ザッカーバーグ氏の写真で試している。

トンタット氏は、SpiderSilkの行動を恐喝だと非難しているが、ClearviewとSpiderSilkとの間で交わされた電子メールから見えてくる様子は違っている。

これまでMoviePassRemineBlindといった数々のスタートアップのセキュリティー上の問題を報告してきたフセイン氏は、Clearviewの欠陥を報告はしたが、賞金は遠慮したと話している。受け取りにサインすれば、この一件を世間に公表できなくなるからだ。

賞金付きでバグ探しプログラムを実施する企業は、よくこうした契約を求める。セキュリティー上の欠陥を修復した後にその件を公表されないよう、秘密保持契約を結ばされることもある。だが、研究者たちには賞金を受け取る義務も、秘密保持契約を守る義務もないのだと、TechCrunchは専門家たちから聞いている。

トンタット氏は、Clearviewは「ホストの完全な犯罪科学検査を実施し、不正なアクセスは他に一件もなかったことを確認した」と話す。秘密の鍵は既に変更され、もう使えないとのことだ。

フセイン氏の発見により、普段はほとんど見ることができない秘密主義的な企業の業務が垣間見えた。同氏が公開したスクリーンショットには、トンタット氏が「プロトタイプ」だと説明した同社のInsight Camera(インサイト・カメラ)を参照するコードとアプリがわかるものがある。このカメラはもう開発が中止されている。

Clearview AIのmacOS版アプリのスクリーンショット。APIを使ってClearviewのデータベースに接続される。またこのアプリは、Clearviewの以前のカメラ・ハードウェアのプロトタイプInsight Cameraを参照するようにもなっていた。

BuzzFeed Newsによると、そのカメラをテストした企業に、ニューヨーク市の不動産会社Rudin Management(ルーディン・マネージメント)があると伝えている。同社が所有する2つのマンションに試験的に導入したという。

フセイン氏は、Clearviewのクラウド・ストレージのバケットの中に、およそ7万本もの動画を発見した。マンションのロビーに、人の顔の高さに設置されたカメラの画像だ。その動画には、建物を出入りする住人の顔が映されている。

トンタット氏は「防犯カメラ製品の試作段階で、私たちは、厳密にデバッギングを目的とした生の映像を収集していました。建物の管理会社から許可を得ています」と説明する。

TechCrunchが調べたところによると、Rudinが所有する建物はマンハッタンのイーストサイドにあった。物件リストとロビーの映像からも、それが確認できた。この不動産会社の担当者にメールを送ったが、返事は来ない。

マンションのロビーに設置し、通り過ぎる住人を撮影したカメラの映像のひとつ(顔のぼかしはTechCrunchが加工)。

Clearviewは、1月に世間に知られるようになってから、厳しい監視の目に晒されている。さらにハッカーたちの標的にもなっている。

2月にClearviewは、データ漏洩の際に顧客リストが盗まれたことを顧客に報告した。だが、同社のサーバーには「アクセスの形跡はない」と主張している。Clearviewはまた、Android版アプリを保管したものを含むクラウドストレージの複数のバケットをプロテクトせずに放置していた。

バーモント州の検事当局は、消費者保護法違反の疑いで、すでに同社の捜査を開始し、ニュージャージーサンディエゴを含む各警察署にはClearviewを使わないよう通達を出した。Facebook、Twitter、YouTubeをはじめとするハイテク企業の一部も、Clearview AIに対して停止通告書を送っている。

CBS Newsのインタビューで、トンタット氏は自社の事業をこう弁護していた。「もしそれが公共のもので、使える状態になっていて、Googleの検索エンジンで見られるものなら、それは私たちが所有しているとも言えます」。

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(翻訳:金井哲夫)

フェイスブックは自らの規定に反してブラジル大統領の新型コロナに関する誤報を削除

Facebook(フェイスブック)は、ブラジルのJair Bolsonaro(ジャイール・ボルソナーロ)大統領による新型コロナウイルスに関する有害と思われる誤報の拡散を防ぐために、政治家の発言の虚偽をチェックしないという自らの方針に反した。Facebookが行なった断固たる選択は、米国時間3月29日にボルソナーロ氏がシェアしたビデオを削除することであり、そのビデオの中で彼は「ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)がどこでも効くんだよ」と主張している。その薬は新型コロナウイルスへの治療効果を試験されているが、研究者や保健医療機関はその効果を確認していない。

フェイスブックのスポークスパーソンはTechCrunchに対して次のように語っている。「フェイスブックとInstagramにおける弊社のコミュニティ規定に違反しているコンテンツは削除している。身体に害を及ぼす可能性のある誤報もそのひとつだ」。治癒や治療法、必要不可欠なサービスの利用可能性そして感染症の発生場所やその程度に関する虚偽の主張を特に禁じている。

BBC News Brazilが、ポルトガル語で最初に報じている。その削除されたビデオの中でボルソナーロ氏は路上商と話をしており、WHOが社会的距離を推奨しているにもかかわらず「彼らは仕事をしたいんだよ」と話していた。そして「あの薬、ヒドロキシクロロキンならどこでも効くんだよ」と口にしている。

誰にでも効く新型コロナウイルスの薬があると間違って信じると、外出や仕事、隔離状態の拒否も平気でできるようになり、ウイルスの拡散を強めるばかりかその抑止努力を無意味にし、医療システムを崩壊させる恐れもある。

そこでTwitterは謝った情報が広がるのを止めるために、日曜日にボルソナーロ氏のツイートを2つ、そして元ニューヨーク市長であるRudy Giuliani(ルドルフ・ジュリアーニ)氏のツイートを1つ削除した。しかし3月30日までFacebookは、政治家の主張の真実性をめぐる裁定役を基本的に避けてきた。それは悪名高く、Donald Trump(ドナルド・トランプ)をはじめとした政治広告の中にある露骨な誤報も、ファクトチェッカーに送ることを拒否してきた。

関連記事:トランプのコロナウイルス「デマ」発言を巡ってFacebookでファクトチェック抗争が勃発

しかし先週、Facebookは「差し迫った身体的危害を助長する可能性のある」新型コロナウイルスに関する誤報は、2018年以来のその他の案件に対して行ったように、直接かつ直ちに削除すると発表した。それに対してさほど緊急性がなく、身体的危害に直結しない陰謀説などはFacebookでのリーチを下げることができるファクトチェッカーへ送られる。

問題は、感染の深刻さや治療法の可能性、人びとを仕事に復帰させることに関する危険性などについて誤報をばらまいて批判されてきたトランプにも、このような削除やファクトチェックは適用されるのかということだ。Facebookは、自分たちの投稿を差別したり、検閲したりしているという虚偽の話による保守的な政治家や一般市民から反発を恐れていることで知られている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ニューヨーク州が必要不可欠な職をのぞく全労働者の出勤を禁止

3月20日の記者会見で、ニューヨーク州のAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)知事は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、住民に対し自宅に留まるよう命じた。知事は、往々にして無遠慮な印象を与える「屋内退避」という言葉を注意深く避けながらも、必要不可欠な業種をのぞく「すべての労働者の出勤禁止」も明らかにした。22日夜から適用される。

「我々が取れる最も思い切った行動だ」とクオモ知事は述べた。Gavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事率いるカリフォルニア州の3月19日の動きに続くものだ。クオモ知事は「単独での運動」は命令の対象外となるが、市民が命令を守るよう州は積極的な行動に出るとも述べている。大量輸送機関やレストラン、フードデリバリー、銀行は営業を続ける。ランドリーサービスについての質問にはクオモ知事は答えられなかったが、除外されるサービスのリストは午後にも公開される。

ソーシャルディスタンス(感染予防策として他人との物理的距離を保つこと)を積極的にとる人々の増加する需要に対処するため、州はインターネットサービスプロバイダーにデータ容量を無料で増やすよう依頼している。

「これらは法的な規則だ。法的拘束力を持つようになる」とクオモ知事は述べた。州は決定に従わなかった「必要不可欠でない」事業者に罰金を科す。「これは冗談ではない」とも付け加えた。人々が集まることに対する罰則は現段階ではないようだ。外出禁止の例外には、肉体・精神的な健康のためのものが含まれる。

クオモ知事はまた、かなり脅威的な感染者数の増加にも言及した。現段階でニューヨーク州では2900人の感染が確認されている。これらはすべて過去16日間に診断された。そして35人が新型コロナで死亡した。主に高齢者だ。「最も困難な問題は、人工呼吸器3万台が必要なことだ」とクオモ知事は説明した。「その他のことは二の次だ」。すでに手指消毒薬の製造を始めている同州は、マスクのような役立つヘルスケア製品を製造できる地元の事業所をサポートする。

すでに多くの医療機関の対応能力が限界にきているニューヨーク市は、患者を収容するためにニューヨーク州立大学、ニューヨーク市立大学、そしてジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンションセンターに目をつけている。クオモ知事はまた、事業所や住宅の立ち退きに関して90日の猶予措置を取る。

今回の出勤や外出を禁止する措置に期限はなく、クオモ知事は「2カ月、3カ月、あるいは4カ月」続くかもしれない、と付け加えた。

例外も含めた禁止命令の全文はここで閲覧できる。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米国議会に急かされてFCCはロボコール対策技術の実装をキャリアに義務化

通信キャリアに対して、1年間の猶予期間を与えた米国のFCC(連邦通信委員会)がついに本日、米国時間3月7日から、ロボコール排撃技術の実装を彼らに要請する。もちろんFCC自身も、待ちくたびれた議会にせっつかれて、通信キャリアに対する行動を起こさざるをえない。

この技術は「Secure Telephony Identity Revisited / Secure Handling of Asserted information using toKENs」と呼ばれ、幸いにも「STIR/SHAKEN」という略称がある。これは、電話番号の悪用を防ぐための一種の認証局だ。興味のある方は、この技術記事を読んでみよう。

STIR/SHAKENはかなり前から、ロボコール対策の重要なポイントとして頻繁に取り上げられてきた。2018年にFCCの議長であるAjit Pai(アジット・パイ)氏は、通信キャリアは2019年の末までにそれを実装せよと命じている。その2019年が過ぎ、FCCと通信キャリアは他のロボコール対策を導入し、STIR/SHAKENはほとんど忘れ去られていた。

その間、おそらく迷惑電話に悩まされ続けたと思われる議会は超党派で「TRACED Act」を成立させて、FCCとその他の省庁がロボコール対策のアクションを起こせることになった。そしてもちろん、通信キャリアはロボコール排撃サービスの料金を請求できない。

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また議会は、FCCに対してSTIR/SHAKENの実装期限を設けるよう命じた。現在、パイ氏はそれに応じている。

パイ氏による3月7日の声明では「この重要な技術の全面的な展開を促進するために、FCCのアクションが必要なことは明らかである。ロボコールの根絶に特効薬はないが、しかしこれは 我々がかねてから攻撃していたターゲットにとって致命傷になる」と述べられている。

しかしまだ、みんなが急いでいる気配はない。必要なFCCの票決は3月終わりに予定されていて、音声サービスのプロバイダーはSTIR/SHAKENを2021年の6月までに実装しなければならない。実装が困難と自称している小規模なプロバイダーには、さらに1年間の猶予が与えられる。

ということは、クルーズ船の割引乗船料金とか、税務署からの警告などと称する奇怪な電話は、当分かかってくるということだ。もちろん、自分でできる迷惑電話対策もある。例えばこれらの簡単な工夫は、あなたの精神安定に役立つだろう。

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米上院を通過した「買い換え法案」はファーウェイやZTEの機器の排除を補助金で促進

米国時間2月27日、米上院はSecure and Trusted Telecommunications Networks Actを満場一致で可決した。中国のハードウェアメーカーに対する最近の懸念に呼応して書かれたこの法案は、ファーウェイやZTEなど、米国との抗争のさなかにあるメーカーからの通信機器の購入を禁じている。

下院を12月に通過したこのH.R.4998法案には、地方の中小の通信企業の機器買い換えを促進するための10億ドル(約1090億円)の補助金制度がある。法案の成立には大統領の署名を要するが、Politicoによると、現政権はこの補助金制度をすでに認めており、FCCの管理下で施行されることになる。

関連記事:ファーウェイ排除で米国は貿易戦争には勝ったがネットワーク戦争に負ける

ミシシッピ州選出の上院議員Roger Wicker(ロジャー・ウィッカー)氏は、この超党派で成立した法案について「敵対する外国からの通信機器は、国家の安全と経済的繁栄、および高度なワイヤレス技術における米国のリーダーシップに対する、重大な脅威をもたらす。この法案は『買い換え助成制度』を成立させることによって、米国の通信ネットワークに有意義な保護措置を提供し、米国人のより安全な接続を可能にする。この法案を大統領のデスクに送ることに貢献した両党の仲間たちに、感謝申し上げる」とコメントした。

中でも特にファーウェイは、長年中国政府との結びつきがあるとして米国の懸念の中心にあった。トランプ政権は同社を、スパイ容疑の標的にしてきたが、ファーウェイはそれを現在まで断固否定している。昨年5月に同社は米商務省のエンティティリストに加えられ、米企業はこのハードウェア大手と取り引きできないことになった。

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CircleCIとAWS GovCloudが協力して米国政府のアプリ開発のモダナイズを支援

民間企業と同じく合衆国政府も今はワークロードをクラウドへ移す過程にあり、ともに同じような課題に直面している。米国時間2月25日、継続的デリバリーサービスのCircleCIが、AWS GovCloudとのパートナーシップを発表し、AWSの政府向けプラットホームを使っている連邦政府機関のアプリケーション開発のモダナイズを支援していくことになった。

CircleCIのCEOであるJim Rose(ジム・ローズ)氏は「サーバーをわが社のオンプレミスで動かし、それを政府の顧客がAWS GovCloud上の専用の純粋なクラウドリソース上で動かすかたちになる」と語る。

GovCloudは、専用のシングルテナントクラウドプラットホームであり、そこで政府機関はFedRAMP準拠の安全なクラウドソリューションを作ることができる。また、ほかのクラウドベンダーにも同様のサービスがある。FedRAMPは、政府のためのセキュリティスタンダードの集合で、クラウドベンダーが連邦政府の仕事をするときには必ず準拠しなければならない。

CircleCIは、開発チームに急速なサイクルでアプリケーションに変更を行うための継続的インテグレーションと継続的デリバリー(continuous integrationとcontinuous delivery、CI/CD)パイプラインを構築する。

「GovCloudがあることによって、政府機関が求めているオンプレミスと同じレベルのセキュリティとサービスを、専用のシングルテナントのクラウド環境で提供することができる」とローズ氏は説明する。

また、ローズ氏によると、クラウドアプリケーションの構築には多くのステップがあるが、同社が提供するのは継続的デリバリーのパイプラインという基本部分だけだという。他の関連サービスは提供しない。彼が言うように、1〜2年に1回アップデートするだけのレガシーなメインフレームアプリケーションならCircleCIの出番はない。しかし開発環境をモダナイズしようとしたときには、同社のサービスが大きな助けになる。

さらに 「現代的なクラウドアプリケーションの開発工程では、1日に数百回も変更を加えることがある。しかも多くの場合、変更のソースはとても多人数が関わっており複雑で、マニュアルな管理はほぼ不可能なのだ」とローズ氏はいう。

同社はかつて、中小企業庁(Small Business Administration、SBA)の仕事をしたことがあるが、今後はそのときと同じように、省庁を直接相手にすることになるだろう。またときには、システムインテグレーターやAWSも関わってきて、彼らが大きなRFP(業者への提案依頼書)に載っていることもあるはずだ。

政府の仕事では、そこから論争が生じる場合があることも、ローズ氏は承知している。ChefでもSalesforceでもGoogleでも、一部の社員が国防総省(DoD)や移民局(ICE)の仕事はしたくない、とごねたことがある。そこでCircleCIは、国民との対話を改善する意思のある省庁の仕事に集中し、他の省庁とはお近づきになりたくない、とローズ氏はいう。

「我々のような立場は、政府の問題に深く関われるわけではないが、彼らの一部になるのではなく、常に集団の先頭に立っていたい。商用の仕事でも、政府系の仕事でも越えてはならない一線というものを、常に意識していたい」と決意を述べる。

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米警察のナンバープレート自動読み取りシステムが悪用されていた

ナンバープレート自動読み取りシステム(Automated License Plate Readers、ALPR)は、防犯など公共の利益に貢献するものではあるが、一方で批判も多い。残念ながら誰も驚かないが、その運用方法は「疑問だらけであり、そのデータの濫用は心配や疑いどころかまさに事実である」とその監査を指示した米国カリフォルニアの州議会議員がコメントしている。

ナンバープレート自動読み取りの監査を要求したのは、民主党でサンフランシスコ選出のScott Weiner氏(スコット・ウェイナー)で、「警察など多くの法執行機関が、州法を破って個人データを長期にわたり保有し、これらの個人データをばらまいている。このような状態は、まったく受け入れられない」と警告。監査は、ロサンゼルス警察とフレスノ警察、およびマリン郡とサクラメント郡の群保安局に対して実施された。

関連記事:Police license plate readers are still exposed on the internet(警察の車のナンバー読み取りがインターネットに漏れている、未訳)

調査は、このナンバープレート読み取り事業がほとんどその存在を正当化されないことを明らかにし、セキュリティとプライバシーのベストプラクティスに従うどころか、それらの内規すらないと結論している。

  • ロサンゼルスだけでも3億2000万のナンバープレートの画像を保存しているが、その99.9%は公式の捜査令状や捜査命令に基づいて収集されたものではなかった
  • それらの画像を他の数百もの機関が共有したが、共有の法的根拠や共有方法の正しさに関する記録はない
  • すべての機関に、2016年に制定された要件を満たすプライバシーポリシーが存在しない。今回の四つの監査対象機関のうち3つは、無許可アクセスについて適切な説明ができず、データの破壊処理をいつどのようにやったか、やらなかったかも述べられなかった。そして他の機関は、ポリシーそのものが作られていなかった
  • アカウントの作成と使用に関するポリシーや保護がほとんどなく、自己のシステムが一度も監査されたことがない
  • 3つの機関が画像とデータをクラウドベンダーに保存している。その契約は不適切であり、データの保護はほとんどない

今回の監査に関するプレスリリースは、「警告に値する重大な疑義がある」と言っている。このナンバープレート自動読み取り事業は州法に違反していると思われるので、訴追されるべきかもしれないし、また既存の法は彼らを規制するタスクには不適切であると思われる。ウェイナー氏は新法が必要と主張し、すでに法案作成を始めている。

監査の報告書全文はCalifornia State Auditorのサイトで読める。

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通信キャリアによるリアルタイムの顧客位置情報販売を米FCCが犯罪と認定

1年半あまり前に、米国の無線通信事業者たちがリアルタイムの顧客位置情報を、金さえ払えば誰にでも売ってることが発覚したが、このほどFCC(連邦通信委員会)はその販売を犯罪と認定した。彼らの犯行過程を詳細に述べた公式文書も、近く公開される。

FCCのAjit Pai(アジット・パイ)委員長は、FCCを監督する下院のエネルギーと商業委員会委員長Frank Pallone(フランク・パローン)氏(民主党・ニュージャージー州)およびそのほかの下院議員と、書簡でその所見を共有した。パローン議員と彼の同僚たちはこの問題に以前から熱心で、2019年は一貫してFCCにアップデートを促し、ついに本日、米国時間2月1日の書簡に至った。

パイ氏は「FCC監督局の徹底的な調査により、1つ以上の無線通信事業者に違法性の疑いがあると結論された」と記している。

TechCrunchがこの言語道断なプライバシー侵犯を知ったのは2018年の5月のことだ。そのときは複数の記事が、本誌の親会社Verizonも含むすべての大手キャリアが正確な位置データをリセラーに販売し、さらにそれらが売られたり公開されたりしていた、と報じていた。それをやめるというキャリアの約束が実行されたのは、それから1年近くあとだ。そして今日見られるように規制当局が対応したのは、それから18カ月後のこととなる。

関連記事:A year after outcry, carriers are finally stopping sale of location data, letters to FCC show…1年経ってやっとキャリアは位置データの販売を停止した(未訳)

委員長の書簡に伴う声明で委員のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォルセル)氏は「FCCが当然のような結論に到達するまでに、このように長くかかったことは残念だ」と言っている。彼女はこれまで何度もこの問題を採り上げてきた。これほど大規模であからさまな違反を、FCCがほとんど完全に無視してきたことに、彼女は疑問を感じていたようだ。

Brendan Starks(ブレンダン・スタークス)委員も、声明で彼女と同じ気持ちを述べている。「このような金を払えば追跡データが得られるという方式は、消費者のプライバシー権を犯し、安全を脅かしている。これほどひどい内容の申し立てに対してFCCがやっと腰を上げたことは喜ばしいが、しかし、なぜそんなに長くかかったのだろうか?」

パイ委員長の書簡は、数社に対して「科料義務可能性通告書」を近く提出するとある。このよくわからない名前の文書は、要するに公式の宣言であり、証拠と法的根拠を挙げて、誰かがFCCの規則に違反したので罰金措置の対象になるかもしれない、という可能性を告げるものだ。

今のところ、他の委員たちからの情報を含めてもここまでしかわかっていないが、通告書が届けば状況はさらに明らかになる。FCCがどれだけ本気だったかもわかる。

パローン議員の代理人は、Pai委員長の書簡を受け取ってから次のような声明を発表した。

我々が長期間行動を求めてきたFCCがやっと本日、当下院委員会に、一社以上の無線通信事業者が消費者のリアルタイムの位置情報を広く開示して国のプライバシー保護を犯したらしいことを報告してきた。確かにこれは、正しい方向への一歩であり、違法者を軽い叱責だけで解放しようとするFCCのジェスチャーでないことを確実に見守りたい。

関連記事: サイバーセキュリティ強化のためにチェックすべきトップ5

情報開示: 本誌TechCrunchはVerizon Mediaの子会社であり、さらにVerizon MediaはVerizon Wirelessの子会社である。しかしながらこの事実は、本誌の記事に何ら影響を及ぼしていない。

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アマゾンが最新の透明性レポートを黙って発表

絶好調の決算報告でご機嫌のAmazon(アマゾン)が、いつものように無言で最新の透明性レポートを発表し、ユーザーデータに関する政府の要求がわずかに減ったことを明かしている。

同じ時期に透明性レポートは、FacebookやGoogle、Microsoft、Twitterなどのテクノロジー大手にも届き、そしてそのほとんどすべてが政府からの要求の増加を示していた。 減っていたのは、Appleだけだった。

アマゾンの場合は、1841通の召喚状と、440通の捜索礼状、ユーザーデータを求めるそのほかの裁判所命令114を2019年の後半6か月に受け取った。それらの対象デバイスはEchoやFireなどだ。以上は、前年同期に比べて4%の減少だった。

また、同社のクラウドサービスAmazon Web Servicesも、顧客が保存しているデータへの要求は約10%減少した。アマゾンの消費者サービスとクラウドサービス両方が受け取った国家安全リクエストの数は0から249の間だった。これは司法省の規則により具体的な値でなく値域しか開示できない。

この記事を書いている時点では、アマゾンは法執行要求ページを今度の透明性レポートでアップデートしていない。

年に2回来る透明性レポートは、テクノロジー業界全体の中でアマゾンのものがいちばん軽い。前にTechCrunchdでも報じたように、アマゾンの透明性レポートは長年、意図的に曖昧にされ、業界のトレンドである明晰に反していた。同社はわずか3ページの報告で、それぞれの法的要求にどう応えたかを述べ、その数字は明かしていない。

法執行当局とのなれ合い的関係お粗末なセキュリテと批判を浴びたスマートカメラのRingも、データ要求の数を明かしていない

関連記事:スマート家電メーカーは見聞きした情報を政府に開示するのか?

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Huaweiに売れないと米企業も困る、ペンタゴンと財務省が制裁に「待った」

(ファーウェイ)は米国時間1月24日、もっとも予想していなかった場所に味方を見つけたのかもしれない。The Wall Street Journalの最新記事によると、アメリカ国防総省と財務省の両方が、現在、米国が敵対している中国のハードウェア大手からの販売に対する商務省の禁令に、待ったをかけた。

これにより商務省の職員たちは、米国の企業がファーウェイと協働することを一層困難にする提議を引っ込めたと言われる。

国防長官のMark Esper(マーク・エスパー)氏がWSJ紙に語っている現実面に重点を置いた談話では、「我々はこれらのテクノロジー企業とイノベーターたちの、サプライチェーンの維持に配慮する必要がある。均衡の達成が目的だ」という。

関連記事: ファーウェイが同社製品購入の禁止は「違憲」として米通信委を提訴

Huaweiはすでに、他国に対する制裁を無視したとして訴追されていたが、今ではトランプのホワイトハウスと中国との煮えたぎる貿易戦争の主役だ。このスマートフォンメーカーは、中国政府との密接な関係に対する懸念により、5Gのネットワーキング機器を売ることができない。

一方、2019年に米国政府は、Googleなどの米国企業のソフトウェアやコンポーネントを、Huaweiが利用することを禁じた。Huaweiは今後のホワイトハウスにおける議論で、再度、中心的な論点になるだろう。政権は、Huaweiのパートナーである米国企業におよぶ反動と制裁行為の効果とを秤にかけなければならないからだ。

商務省はまだ、この記事に対する公式の発表を出していない。

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ロサンゼルスのWoman’s Marchは女性運動の連帯と鼓舞に最新テクノロジーを活用

今年で第3回となるWomen’s March(ウイメンズ・マーチ)におよそ30万人の参加者がロサンゼルスのダウンタウンを行進したが、彼女たちは米国を代表する有力政治家の話を聞く機会に恵まれただけではない。主催者が、この運動のために導入したテクノロジーによる新しい体験ができた。

偶然にもWomen’s Marchと同じタイミングでローンチされたSameSide(セイムサイド)と呼ばれる組織運営ツールを活用することで、選挙の投票を促す非営利団体RockTheVote(ロックザボート)とも力を合わせるWomen’s Marchの主催者は、今年の大統領選挙に向けて、この行進のエネルギーを、地方や国レベルの女性問題に対処するための、もっと大きな政治的運動に発展させたいと考えている。

同時に彼らは、公共の空間を汚すことなく、このイベントにアートやアーティストを巻き込も方法を模索していた。そこで目を付けたのが、まだローンチ前の新しいアプリケーションMark(マーク)だ。

Markは、デンマークのゲーム開発企業Sybo(シボ)と中国のモバイルゲームのパブリッシャーiDreamSky(アイドリームスカイ)とのジョイントベンチャー。拡張現実によってデジタルな形でストリートアートを恒久的に残せるというもの。設立から2年目の企業でアプリはまだベータ版だが、Women’s Marchで初めての製品テストを行うことを決めた。

同社は、最大で総額30万ドル(約3300万円)と、アプリを新規ダウンロードしたユーザー1人につき最大で100ドルを寄付することに合意している。ユーザーがアプリをダウンロードして、このイベント期間中にアカウントを開設し最初のシェアを行うと、Markから1ドルが寄付される。残りの寄付は、その後も、アプリを続けて使用し、Markから投稿を複数シェアしたときに実施されると同社は話している。60日間連続してログインしてMarkで拡張現実作品を20本投稿すると、Women’s Marchに100ドルが寄付される仕組みだ。

画像提供:Mark

「どの運動もアートを取り入れています」とWomen’s March財団ロサンゼルス事務局長Emiliana Guereca(エミリアナ・グレカ)氏は話す。「社会正義芸術とテクノロジーと社会運動が、ここでうまく融合しています。テクノロジーではありますが有機的です」。

ARCoreには、Googleの耐久性の高いクラウド・アンカーを使っているため、どこかに絵を描けば恒久的に保存され、Markを使っていつでも見たり変更したりができる。ロサンゼルスでは、同社は国際的な米国人アーティストのAmy Sol(エイミー・ソル)、Sam Kirk(サム・カーク)、 Faith XLVII(フェイス47)、Ledania(レダニア)、Fatma Al-Remaihi(ファトマ・アル・ルマイヒ)と協力して作品を制作し、行進のルート上のさまざまな場所で見られるようにした。

Women’s MarchはMarkのデビュー会場となったわけだが、同社は、政治に関連する場所は避けた。「私たちは、できるだけ政治的中立を保ちたいと思っています」とMarkの最高責任者Jeff Lyndon Ko(ジェフ・リンドン・コー)氏は言う。コー氏は中国・深圳の上場ゲームパブリッシャーiDreamSkyの創業者であり、その新しい会社は中国当局の統制が厳しいソーシャルメディア市場では活動できなかったものと広く考えられている。

「このプロジェクトには、大中華圏の外に多くの脚を伸ばせる可能性があります」とコー氏は言う。中国の株主たちにとって(iDreamSkyはMarkに投資している)、米国の女性運動は未知の領域だ。「中国のチームは、何それ?って感じです」とコー氏。

Markとの協力が人々を鼓舞することを目的としているならば、Women’s March財団ロサンゼルスがSameSideと行っている活動の目的は、行動を促すことにある。

政治に焦点を当てたアクセラレーターHigher Ground Labsを卒業したSameSideは、Nicole a’Beckett(ニコール・エイベケット)と、海軍特殊部隊出身の兄とで創設された。2人は協力して政治的関与と社会活動を結びつけ、共通のイデオロギーと目的を持つコミュニティーを育てるソーシャルネットワークを構築した。

関連記事:Higher Ground Labsはテクノロジーが2020年大統領選挙を民主党有利にすると予測(未訳)

SameSideは、重要な日の通知やリマインダー、それに社会的イベントに参加してくれそうな政治活動家のデータベースも提供する。言うなれば、政治に特化し、メンバーに重要な日を伝えたり将来の活動のための行動を呼びかける機能を追加したMeetupのようなものだ。

「Women’s Marchで、SameSideが非公式ローンチされます。プラットフォームを提供することで、ロサンゼルスのWomen’s Marchを活動の媒体にして、いたるところで人々が関連イベント、例えばプラカードを作るパーティー、行進の前の朝のミートアップお茶会、行進に参加できない人のためのハウスパーティーなどを設定できるようになります。また、SameSideでは、さまざまな関連イベントやロサンゼルスのWomen’s Marchに出欠の返事をすたすべての人に、RockTheVoteが制作した選挙人登録活動キットを配布します」とエイベケット氏はメールに書いてくれた。

Woman’s March財団ロサンゼルスの主催者は、行進の参加者にとって、政治への関与が次なる重要なステップだと考えている。「行進の後の、やることリストがあります」とグレカ氏。「SameSideを仲間にしたことで、人々がつながれるようになりました。スマートフォンを使ってどのように運動を継続させるかが、とても重要なのです」。

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(翻訳:金井哲夫)

インド政府が異論噴出の法案への支持を求める偽キャンペーンで炎上

インドの政権与党であるインド人民党(BJP)は、異論噴出の法案への支持を求める虚偽の疑いが濃厚なTwitterキャンペーンで非難されている。

まずは話の背景を解説しておこう。インド政府は、先月、イスラム教徒が多数を占める隣国のアフガニスタン、バングラデッシュ、パキスタンからの非イスラム教徒少数派移民がインドの市民権を取得しやすくする市民権法改正法案(CAA)を可決した。

しかし批評家たちはこれを、国民登録制度の法案と結びつけ、インドに住むイスラム少数派を差別し、宗教にとらわれないインドの伝統をなし崩しにするものだと警告している。

この数週間、インド各地では、少なくとも数万人の市民が法案に反対する平和的な抗議活動に参加した。インド政府は抗議を鎮めようと、多くの地域で一時的にインターネットモバイル通信を遮断するなど、これまでのところ法案撤回の意志は示していない。

それどころか、1月4日にインド政府は法案への支持を求めて新しい手に出たようだ。インドのAmit Shah(アミット・シャー)内務大臣は1月2日、「CAA法支持」の意志表明を行う番号に電話をかけるよう国民にツイートした。

すると1月4日になって、数千人のBJP党員たちがTwitterでその電話番号を拡散し始めた。その番号に電話をかければ、就職機会や無料モバイルデータ通信、Netflixの無料アカウント、果ては「寂しい女性」との出会いが得られるといったご褒美が約束されている。

CAA支持を求める4つの写真にわたる物語……
・不在着信でCAAへの支持を示してください
・パーティーの電話番号です。気軽に不在着信を。よろしく……
・今日はすごく退屈なのでフォロワーのみなさんに私の電話番号をシェアします。電話してね
・携帯をなくしました。誰か、この番号に電話して
・電話してね

非常事態の非常手段……

Netflixを6カ月間無料で視たくないですか?8866288662に電話をしてユーザー名とパスワードを取得してください。先着1000名様限りのご優待です

Netflix Indiaこれは完全なフェイクです。タダでNetflixを見たい方は、普通の人がやるように他人のアカウントを使ってください

ハフィントンポストのインド版は、異論の多い法案への支持を集めるためのこの動きを、最新の「BJP策略」と呼んでいる。インドのファクトチェックのための団体BoomLive(ブームライブ)は、これを行っている人の多くは与党に所属していると伝えている

私たちは、BJPとTwitterの広報担当者にコメントを求めている。

議会で法案を通すために、大勢の人間を動員して、セックスや仕事やNetflixのアカウントを餌にして支持を集めるなんてことは、70年の歴史の中で初めて

主張が真実であればの話だが、BJPがTwitterを使って積極的にそのビジョンを宣伝したのはこれが初めてではない。2017年、BuzzFeedは、インドでのTwitterのトレンド、トップ10の中に政治的なハッシュタグが数多く見られ、組織的なキャンペーンの結果であったと報じている

ファクトチェックのウェブサイトであるAlt News(オルト・ニューズ)の共同創設者であるPratik Sinha(プラティック・シンハ)氏は、昨年、Googleドキュメントに保存された声明文にアクセスして内容に手を加えれば、いとも簡単に大勢の政治家を操って特定の内容のツイートをさせることができことを実証して見せた。

先月、カシミールに雪が降った。大変な緊張状態にあり、4カ月以上もインターネットが遮断されている地域なのだだが、米国のTwitterでトレンドになっていた。それが不可解なことに、カシミールがトレンドのリストに載るようになった理由を多くのジャーナリストから質問された途端に、そのトレンドは消えてしまった。

カシミールに関する「トレンド」のことがすごく不思議。8月からインターネットが使えなくなっているのに。広告でもない。@Jack、どうなってるの?

我々が話を聞こうとすると、インドのTwitterの広報担当者は、トレンド・トピックの仕組みを説明しているFAQページを見るようTechCrunchに伝えてきた。だが、私たちが求める答はFAQの中にはなかった。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

ウィキメディア財団がインドが提案する仲介者責任規則に深い懸念を表明

Wikipediaをはじめ、さまざまなプロジェクトを運用している非営利団体であるWikimediaが、インド政府に国の仲介者責任規則の変更案を考え直すよう促している。その変更は大量の企業と5億あまりの人々の情報へのオンラインアクセスに影響を及ぼす。

同団体はインド政府に、仲介者(情報の授受を仲介するサービス)ルールの最新の変更案を公開し、インドではインターネットがどのように統治されるべきかに関し、利害を有する者全員に十分な情報に基づく堅固な議論に参加する機会を与えるべきと求めた。

インドの仲介者ルールに対する政府の改定案は12月に提出され、その後数カ月内に承認されると予想される。その提案によると、インドの電子IT省は仲介者アプリケーション(ユーザー数500万以上のサービス)に、インド国内にオフィスを持ち法律的問題に責任を持ちうる上級役員を置くよう要求できる。

Wikimedia Foundationの法務担当Amanda Keton(アマンダ・ケトン)氏は米国時間12月26日、中間者ルールのインドの改定案は、ユーザーの寄与貢献に依存する公開編集方式で、誰もが新しい記事を書いたり既存の記事を改訂できるWikipediaの事業に深刻な影響を及ぼし、他の団体にも影響が及ぶと述べた。

彼女はまた、そのルールにより非営利のテクノロジー団体に相当量の財務的負担が生じ、またインドのインターネットユーザーの表現の自由を損なうと説明する。Wikimedia Foundationはその懸念を、インドの電子IT省長官であるRavi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサード)氏に伝えた。その書簡を誰もが見られるように、自らのブログにも載せた。

仲介者ルールのインドの最近の変更案はインターネットを地元住民にとってより安全な体験にするために起案され、仲介者は「不法な情報やコンテンツへの公開アクセスを事前に見つけて削除または無効化するための」自動ツールをデプロイしなければならないとしている。

この変更案を懸念する者は多い。今年初めにはMozillaとMicrosoftのGitHub、およびWikimediaの連名書簡により、仲介者に不法コンテンツを事前に排除させるというインド政府の要求は、「(仲介者でなく)不法な活動を行っている悪者を有責とし、企業はそういう行為を知っていたときにのみ責任を負うという、既存の法に盛り込まれた細心の均衡を崩す」と主張した。

このグループはまた、インド政府の案では「インターネットサービスの上の監視の要求が大きく拡張される」と注意を喚起した。GoogleやFacebookなども含まれるインドのいくつかの業界団体も、政府案の大幅な変更を求めている。米国時間12月16日に発行された公開書簡でWikimediaのケトン氏もこれらの懸念を繰り返し、「コンサルテーションに参加した者も一般公衆も、昨年以降はルールの新しい案を目にしていない」と言っている。彼女はまた、最近提案されたルール案で仲介者の定義の範囲が広くなりすぎているのを改めるよう政府に求めている。

インドはWikipediaの5番目に大きな市場であり、先月の訪問者は7億7100万件を超えている。Wikimediaはインド語のWikipediaを拡張するために、人々を招いていろんな事業を行っている。

ケトン氏はインド政府に、オンラインのコミュニケーションに「追跡可能性」を導入する要件を考え直すよう説得した。それがあるとWikipediaの寄与貢献者たちが自由に参加することが困難になるからだ。追跡可能性についてはWhatsAppが、そのような要求に応じたら、どのユーザーも自分のメッセージの暗号化を危険にさらすことになると語った。

関連記事: インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロボコール遮断法案が上院通過、大統領の署名待ちに

大統領弾劾をめぐって両党が激しく対立している中で、米国上院はある法案を超党派で議決した。あとは、大統領が署名すれば法律が成立する。そのTRACED法(Telephone Robocall Abuse Criminal Enforcement Act、電話のロボコール濫用を犯罪とする法律)は、ロボコールが呼び出し音を鳴らす前にキャリアがそれを封ずることを義務付け、特に悪質なものはFCCに捜査権を与える。

下院エネルギーおよび商業委員会の法案共同提案者は:「不法なロボコールを遮断するこの法案を下院が速やかに可決したことは喜ばしい。我々は米国の人びとがこれらのしつこい不法な起呼から解放されるために懸命な努力を行った。この超党派の圧倒的多数で議決された法案に、大統領がきわめて速やかに署名することを期待する」。

関連記事: 米下院と上院が迷惑電話のロボコール対策法案で合意、早急の制定目指す

さまざまなケースが超党派と呼ばれるが、これは本物だ。上院と下院で法案の2つのバージョンが生まれ、どちらも圧倒的多数で議決された。関連する委員会が共同で両案を生かした統一バージョンの法案を作り、その後わずか1カ月でホワイトハウスに渡って大統領の署名を待つことになったのだから、すごいことだ。

法案の要約はここで読めるが、要約すると以下のようになる。

  • ロボコール迷惑行為に対するFCCの出訴期限を延長し、罰金を増額する
  • FCCはスパムコールとスパムテキストから消費者を護るための規則を作る(すでに着手)
  • FCCはロボコール対策に関する年報を作りFCC推奨の法案を作成する
  • 発信者電話番号の詐称を防止するためにSTIR/SHAKENフレームワークの適切なタイムラインを採用する
  • キャリアは上記サービスに課金せず、ありうる過誤を犯すことから自力で自己を遮蔽する
  • 司法長官は犯行者の訴追のために多省庁にまたがる特別調査委員会を召集する
  • 司法省は犯行者を訴追できる。
  • 規則が実効していることを確認するための切り抜き作成や調査を行い、関連団体などからのフィードバックが確実にあるように図る

この特定の問題に具体的にフォーカスしているという意味で、これはいい法案のようだ。余計なものは何もない。早く署名され、早く法律として発効することを望みたい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa