長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOMが資金調達、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプ開発

長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOMが資金調達、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプ開発

長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOM(ルクオム)は4月19日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。調達額は非公開としているものの、8000万円規模とみられる。引受先は、インキュベイトファンド。

2020年1月設立のLQUOMは、長距離量子暗号通信の実現に必須となる量子中継機の開発および事業化を進めるスタートアップ企業。新関和哉氏(横浜国立大学 大学院工学府)が代表取締役で、堀切智之氏(横浜国立大学大学院工学研究院准教授)がテクニカルアドバイザーに就任している。

同社はこれまで、量子中継器の実現に必要な「量子光源」「量子メモリー」「インターフェース技術」の3つの要素技術の研究、またこれらの統合技術の開発を進めてきたという。今回調達した資金は、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプの開発および人材採用に投資する。

実用化に向けて製品組み込みを目指す量子光源

実用化に向けて製品組み込みを目指す量子光源

量子インターネットを見据えた波長変換器

量子インターネットを見据えた波長変換器

現在の暗号通信は素因数分解問題を利用しており、最先端のコンピューターを活用しても、解読に膨大な計算時間を必要とし、その膨大な解読時間が暗号通信としての安全性を保証している。

一方、昨今開発が進む量子コンピューターの計算速度は、将来的に最新コンピューターと比較して桁違いに速くなるとされ、従来の暗号通信の安全性が危険に晒されることが想定されている。IoT、自動運転、遠隔医療、金融、軍事などは高度なセキュリティーが必要不可欠であり、新たな暗号通信が求められているという。

このような背景から、量子力学に基づく量子暗号通信が複数の研究機関で研究されているそうだ。

ただ、量子暗号通信を用いると、原理的にかつ絶対に盗聴が不可能であるものの、現時点では通信距離が数十km程度にとどまっているという状況にある。本格的な社会実装に必要な数百km以上の長距離通信が実現されるまでには至っていないという。

LQUOMは、この長距離通信を実現するために必要となる量子中継器の研究・開発について、国内外の研究機関と協力して行っており、近い将来の実用化を目指すとしている。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:資金調達(用語)横浜国立大学(組織)量子暗号(用語)量子インターネット(用語)量子コンピュータ(用語)LQUOM(企業)日本(国・地域)

8580円の新スマートバンド「HUAWEI Band 6」日本上陸、心拍数や血中酸素の24時間常時計測に対応

税込8580円の新型スマートバンド「HUAWEI Band 6」日本上陸、心拍数や血中酸素の測定に対応ファーウェイが新型スマートバンド「HUAWEI Band 6」を日本投入します。価格は税込8580円で近日発売します。

「HUAWEI Band 6」は、先代比で42%大型化した、大画面有機ELディスプレイを搭載。心拍数や血中酸素の測定に対応し、96種類の運動トラッキングモードを備えます。重量は18g(ベルト含まず)と軽量で、5気圧防水にも対応します。

心拍や血中酸素は24時間常時計測に対応するほか、睡眠中に装着すれば睡眠の質もトラッキングできます。ストレスモニタリングにも対応し、基準を上回った場合、呼吸トレーニングを促します。

ペアリング相手がAndroidスマートフォンであれば、着信や天気の確認、音楽再生コントロールが可能。また、ファーウェイ製の対応スマートフォンであればリモートシャッターも利用できます。

バッテリー寿命は最大2週間で、頻繁に使用しても10日間持続します。また、5分間の充電で2日間の動作が可能です。(いずれも公称値)

税込8580円の新型スマートバンド「HUAWEI Band 6」日本上陸、心拍数や血中酸素の測定に対応

運動時で汗が染み込まないシリコン製のバンドが付属。カラーバリエーションはサクラピンク・グラファイトブラック・アンバーサンライズ・フォレストグリーンの4色展開です。

いざ実機に触れてみたところ、ディスプレイが大型・かつ高精細で、スポーティーなスマートウォッチとしても十分に使えそうです。

税込8580円の新型スマートバンド「HUAWEI Band 6」日本上陸、心拍数や血中酸素の測定に対応

発売日はグラファイトブラック・サクラピンクが近日、フォレストグリーン・アンバーサンライズが5月以降です。

(Source:ファーウェイ・ジャパンEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
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HRテックのEDGEが約1.5億円を調達してMBO完了、社員の価値観を可視化する新サービスも提供開始

左から3人目がEDGEの佐原資寛代表

HRテックのスタートアップEDGEは4月20日、第三者割当増資で9600万円とりそな銀行から融資6000万円を合わせ総額1億5600万円の資金調達を行い、人事課題解決に特化した「エアリーシリーズ」を提供する旧EDGEの株式65%超を取得したと発表した。同日付でEDGEは旧EDGEを合併し、経営陣が自らの会社を買収するMBO(マネジメント・バイアウト)の手続きをすべて完了した。

今後、EDGEは既存事業はもちろん、社員の価値観などを見える化する「エアリーマネジメントクラウド」と、1on1ミーテイングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」の新事業に力を入れていく。なお、引受先はエアトリ取締役会長の大石崇徳氏、PCIソリューションズ、インサイト、Legaseedとなる。

昨今のコロナ禍によって、企業における働き方は大きく変わり、マネジメントや組織開発の難しさが顕著になっている。旧EDGEは2017年4月にHRテクノロジー「エアリー」を主力事業として創業して以来、社内SNSを活用した組織内コミュニケーション支援事業を展開してきた。

コロナ禍の状況を踏まえ、これまでよりスピード感を持ち、課題解決策を提供していくため、MBOに踏み切ったという。旧EDGEの筆頭株主だったガイアックスは引き続き株主として一部の株式を保有する。

「エアリーマネジメントクラウド」でより適正なマネジメントを

社員1人ひとりに重点を置く診断

エアリーマネジメントクラウドは、発達心理学などをベースにした診断から、社員の価値観や幸福度を可視化して組織課題を改善するサービスとなる。今回の発表に合わせ、4月20日からサービス提供を始めた。

働き方改革などが進む中、社員のキャリアや働き方に対する価値観や考えを把握する重要性が増している。ただ、EDGEが取引先に行ったヒアリングによると、上司と部下間で信頼関係の構築が上手くいっていないケースが多かったという。コロナ禍により対面でコミュニケーションを取る機会が減ったことで、上司は以前にも増して社員の思いを汲むことが難しくなった。

エアリーマネジメントクラウドでは、これまでの組織診断ツールとは異なり、平均値ではなく社員1人ひとりの状態を把握することに重点を置いた。社員には自身の価値観に関する50個程度の質問をウェブ上で受けてもらい、意識構造のどの階層にいるかを診断する。

客観的な診断結果からマネジメントができる

同社は「価値観は意識構造に関連しているので、その意識構造では何に価値を感じ、どのような思考をするかを診断結果から提示できます。また幸福度については、目の前の仕事に没頭しているかなどの短期的な満足度と、未来の理想像に近づいている実感があるかという中長期的な満足度も計測し、総合的にスコア化しています」と説明した。

上司はこれらの情報を、社員の個別フォローや目標設定、適正配属などの決定に活用していく。客観的な診断結果から判断できることで、より適正なマネジメントを行えるようになるのだ。EDGEは2021年中に、100社へのサービス導入を目指す。

1on1ミーティングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」

音声分析により感情を可視化

エアリーフィードバッククラウドは音声分析から上司と部下の感情の推移を可視化して把握し、理想的な1on1の実施を支援するサービスだ。

近年、社員の生産性向上や人財育成の観点から、上司と社員が定期的に1対1でミーティングを行う1on1が注目されている。ただ「部下とどのように個別に話をすればいいのかわからない」「価値観や考えを引き出すことができない」といったノウハウ不足などの理由から、1on1導入に踏み切れない企業も多い。

このため、EDGEは2020年からエアリーフィードバッククラウドのベータ版を提供して質の高い1on1の特徴を分析してきたが、2021年5月初旬を目途に製品版をリリースする。製品版ではベータ版の分析を元に、上司が1on1を振り返って改善し「互いに本音をぶつけあうことができる」といった心理的安全性の高い状態を実現できるようになるという。

製品版リリース時には、上司と部下間における発話割合の測定機能を実装する予定だ。これにより、上司が1on1中に一方的に話すことなどを防ぎ、部下の意見もしっかりと引き出せるようにしていく。

また、音声分析から感情の推移を把握した後、相手にどのような印象を与えているかを客観的に評価してフィードバックする機能も追加する予定だ。この他、1on1開始時と終了時で、部下の活気スコアが増えているかなどを分析し、ポジティブな方向に導けているかをフィードバックする機能なども加えていくという。なお、この2つの機能の実装時期は現時点で未定となっている。

カテゴリー:HRテック
タグ:EDGEMBO日本資金調達買収

画像クレジット:EDGE

データ活用支援のDATAFLUCTが3億円調達、スタートアップスタジオモデルで2年後の上場目指す

「多くの企業は、データを会社の中で腐らせてしまっています」。そう話すのは、データサイエンスビジネスを展開するDATAFLUCT(データフラクト)CEOの久米村隼人氏だ。同社は2021年4月20日、東京大学エッジキャピタルパートナーズよりシリーズAで3億円の資金調達を行ったと発表した。

埋もれているデータに「価値」を与える

DATAFLUCTは、企業がもつデータを最大限に活用するためのさまざまなサービスを提供している。企業に「埋もれているデータ」と、同社が保有する外部データや機械学習アルゴリズムを組み合わせることで、新しいインサイトを創造する。

同社が提供するサービスの1つは、大型スーパーの新規出店候補地を探すサポートだ。これは、クライアントであるスーパーの過去の出店履歴や売上データなどを取得し、立地条件を当てはめるという手法をとる。例えば、駅からの距離・フロアの面積・周辺エリアの人流・近隣にある学校や企業など、200から300ポイントにおよぶデータをAIに学習させる。これにより「○○の条件下では売上は○○」といった推測を行い、新規出店の場所を決定していく。

画像クレジット:DATAFLUCT

久米村氏は「もちろん、実際に出店してみないことには正確な売上げはわかりません。例えば、周辺に橋があると人の流れが大きく変わったり、ライバル店の商圏に影響されたりなど、科学できない部分はある。でも私達が大切にしているのは、『ダメな選択肢を削る』ということです。仮に毎月100件の物件を検討するときに、そもそも商機がないところをあらかじめ除外できるサービスは、企業にとって非常に大きいインパクトをもたらします」という。

同社の事業領域は、不動産にとどとどまらない。メディア企業向けに「さまざまな媒体での広告出稿の効果」をクリック1つでビジュアル化するツール。食品メーカー向けに「油を変える最適なタイミング」を示すツール。物流会社向けには「最も効率よく配送を完了できる道順」を示すツールなど、多岐にわたる業界にDXソリューションを提供している。

同時多発的にプロダクトをローンチ

しかし「データを活用したDXソリューション」は、DATAFLUCTが展開する事業のほんの一部にすぎない。同社は創業から約18カ月間でモビリティ、スマートシティ、EdTech、スマートグリッド関連など13プロダクト(SaaS)を矢継ぎ早にローンチ。これは、同社が各ユニットに独立採算制を採用するスタートアップスタジオだからこそ実現した。一方で「JAXA認定ベンチャー」としての顔も持ち、衛星データ解析を活用したSDGs事業を意欲的に行う。久米村氏自身も「うちは常識から逸脱していることが多すぎて、VCにも理解されにくい」と苦笑いだ。

それにしても「なぜさまざまな業界に同時に参入する必要があるのか?」と思われる読者がいるかもしれない。久米村氏はこう説明する。「私達のサービスは、そもそも社会課題を解決するという出発点から始まっています。例えば、食品廃棄ロス問題を解決したいとすると、生産者(農家)、製造業、卸売、スーパーなど、サプライチェーン上のすべての課題を解決する必要がある。私達は、これらをデータで統合することで解決に導きたいと考えています。例えば、衛星データを活用した野菜の収穫支援から、店舗での需要予測アルゴリズム、ダイナミックプライシングの導入まで、包括的にデータを活用することでサプライチェーンの効率化を実現したい。そのために、これまで同時多発的にプロダクトをローンチし、全領域を攻めてきました」。

データ活用を通じて社会の変革を目指す

DATAFLUCTのCEOである久米村氏は、これまでベネッセコーポレーション、リクルートマーケティングパートナーズ、日本経済新聞社などを渡り歩き、データ分析を活用した新規事業開発を主にてがけてきた。「私自身、DXコンサルで約70業界に携わり、立ち上げた新規事業は30を超えます。物流のことを聞かれてもおおよそわかるし、ヘルスケアのことを聞かれてもおおよそわかる。顧客が言ったことに対して、すぐに打ち返せるパワーが強みだと思っています」。

独立のきっかけは、同氏が会社員時代に持っていた不満だった。「ハッキリいうと、コンサル会社に金を払いすぎていると思ったのです。彼らの働きを見て『自分だったらもっとうまくできるのではないか』と」。それでも独立後は、新型コロナウイルスの影響により、リアル店舗を対象とした初期のプロダクトから一時撤退を余儀なくされた。しかし、データ活用のニーズを持つ多様な業種の企業から声がかかり、DXソリューションの提供へとピボットしていくうちに事業が軌道に乗った。

今回調達した3億円の主な使途は人材採用だ。久米村氏は「2年後の上場を目指しています。でも2年だとできることは少ない。お金稼ぎはできるかもしれないが、社会の変革はできない。5年先、10年先にはじめてDATAFLUCTの価値がでてくるのかな、と考えています」と話す。

「21世紀の石油」ともいわれるデータ。もし今後、多くの企業が社内に眠ったままだったデータの価値を掘り起こすことができるようになれば、DATAFLUCTが目指す社会課題の解決も夢物語ではなくなるだろう。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:DATAFLUCTデータサイエンス東京大学エッジキャピタルパートナーズ資金調達DX日本

画像クレジット:DATAFLUCT

IoTで「生活を便利に」「業務を改善」するブログ記事募集、ソラコムがラズパイとSORACOM活用コンテスト開催

IoTで「生活を便利に」「業務を改善」するブログ記事募集、ソラコムがラズパイとSORACOM活用コンテスト開催

ソラコムは4月19日、Raspberry Pi(ラズパイ)とIoTプラットフォーム「SORACOM」(ソラコム)を使い、「生活を便利に」「業務を改善」するブログ記事を募集する「ラズパイコンテスト 〜IoTで業務改善、ライフハックを始めよう〜」の開催を発表した。応募期間は4月19日~5月13日。優秀作品には、ソラコムおよび協賛企業から賞品が授与される。

「ラズパイコンテスト〜IoTで業務改善、ライフハックを始めよう〜」概要

  • 応募期間:4月19日〜5月31日
  • ​結果発表:6月下旬、ソラコム公式ブログで発表
  • 募集対象:企業、個人、グループ
  • 参加条件:Raspberry Piと、SORACOM IoT SIMまたはSORACOMサービスを利用すること、実際に動く物を作ること、コンテスト期間中に新規に執筆した記事であること
  • 募集内容:「Raspberry Pi」とIoTプラットフォーム「SORACOM」を利用した、「生活を便利に」「業務を改善」するIoTの仕組み、その手順について記載されたブログ記事
  • 評価ポイント:新規性(課題に対する解決アプローチの新しさ)、実現性(構成図や手順書がわかりやすく記載されていること)、完成度(作品が洗練されている度合)、ストーリー性(作品の背景と、解決方法に対する共感度)
  • 賞品:優秀作品には、ソラコムおよび協賛企業から賞品を授与。優秀賞(ソラコム賞)は「Fitbit Charge4 GPS搭載フィットネストラッカー」(1名)。メカトラックス賞はRaspberry Pi用電源管理・死活監視モジュール「slee-Pi3」(1名)。日本ラズベリーパイユーザーズグループ賞(ラズベリーパイ財団賞)はRaspberryPiほか詰め合わせ(1名。学生のみ)ほか
  • 主催:ソラコム
  • 協賛:メカトラックス、ケイエスワイ、日本ラズベリーパイユーザーズグループ
  • コンテスト詳細および応募フォームhttps://www.lp.soracom.jp/202104-soracom-raspberry-pi-contest

ソラコムのSORACOMは、リーズナブルなIoT通信とスムーズにIoTを始められるオプションサービスを提供するプラットフォーム。ソラコムは誰でも気軽に先進技術を活用できる「IoTの民主化」を掲げ、IoT活用を始めるハードルを下げるとともに、ソラコムおよびソラコムユーザーによる情報の発信と共有を推進してきた。

同社デバイス通販サイト「SORACOM IoTストア」では、SORACOMと組み合わせて使いやすいRaspberry Piや、Arduinoなどのマイコンボードと組み合わせて使える通信デバイスを1台から提供。また無料のIoT手順書「IoT DIYレシピ」では、IoTを初めて学ぶ方も試しやすい37個のレシピを公開している(2021年4月現在、随時拡充。このうちラズパイを利用したレシピは5種類公開)。

IoTで「生活を便利に」「業務を改善」するブログ記事募集、ソラコムがラズパイとSORACOM活用コンテスト開催

なおコンテストのFAQでは、初めてRaspberrry PiとSORACOMを購入する方向けに、Raspberry Pi・SORACOM・3G USBドングル・ウェブカメラをまとめたキット「IoT 体験キット 〜簡易監視カメラ〜」、Raspberry Pi・SORACOM・3G USBドングル・超音波センサーのキット「IoT 体験キット 〜距離測定センサー〜」を紹介している。

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カテゴリー:IoT
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運送業向けクラウドのhacobuが9.4億円調達、物流業界初のビッグデータ・ガバナンス体制立ち上げ

運送業支援クラウドのhacobuが9.4億円調達、物流業界初のビッグデータ・ガバナンス体制立ち上げ

「運ぶを最適化する」をミッションとして、企業間物流の最適化を目指すHacobu(ハコブ)は4月19日、第三者割当増資による総額約9億4000万円の資金調達を発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合、NREGイノベーション1号投資事業有限責任組合(野村不動産グループ)、豊田通商、Logistics Innovation Fund投資事業有限責任組合(セイノーホールディングスをアンカーLPとするSector-Focused Fund)、SMBC社会課題解決投資事業有限責任組合、ダイワロジテック(大和ハウスグループ。既存株主)、三井不動産(既存株主)。

これを機にHacobuは、社会課題解決に賛同するステークホルダーとのパートナーシップ強化とともに、アプリケーションの開発・販売にかかる人員の増強、物流ビッグデータ分析基盤の強化にかかる人員の増強、また物流業界初となるビッグデータ・ガバナンス体制の立ち上げ・運用などの施策を推進し、物流ビッグデータ活用に向けた体制を強化する。

外部専門家で構成する物流ビッグデータ・ガバナンス委員会では、委員長として國領二郎氏(慶應義塾常任理事、慶應義塾大学総合政策学部教授政策・メディア研究科委員 経営学博士)、委員として岩田彰一郎氏(フォース・マーケティングアンドマネージメント代表取締役社長CEO)、水越尚子氏(レフトライト国際法律事務所 弁護士)が就任する。

また資金調達と同時に、野村不動産および豊田通商と、物流業界における公正なビッグデータ活用を通じた社会課題解決と相互の事業発展を目的として、業務提携契約を締結した。野村不動産とは物流施設とそれに関わるサービスを活用したオープンイノベーションの推進、豊田通商とは、物流業界が抱える課題解決やカーボンニュートラル社会の実現に向けて、自動車業界を中心とした物流およびサプライチェーンにおけるビックデータの活用と最適化の実践を中心的な取り組む。

資金使途:物流ビッグデータ活用に向けた体制強化

  • アプリケーションの開発・販売にかかる人員の増強:企業間(発着荷主、物流企業、運送会社)のやり取りや物流現場の業務をデジタル化するアプリケーション群「MOVO」(ムーボ)の機能増強、物流業界向け他社サービスとのAPI連携によるプラットフォームとしての成長の加速、新アプリケーション開発推進に向けたエンジニア・デザイナー・プロダクトオーナーの採用を加速。また、顧客の物流DX推進パートナーとなるセールス・カスタマーサクセス・マーケティング・企画系職種の採用を加速
  • 物流ビッグデータ分析基盤の強化にかかる人員の増強:Hacobuでは、MOVOに蓄積された物流ビッグデータを分析・活用し、業務効率化の提案を複数企業に対し展開。抜本的な物流コストの削減や現場の生産性向上につながる示唆を顧客に提供している。この取り組みをけん引するHacobu Strategies(コンサルティングサービス)の物流DXコンサルタント・データエンジニア・データアナリストの採用を加速する
  • 物流業界初となるビッグデータ・ガバナンス体制の立ち上げ・運用:サプライチェーン全体の最適化の実現に向けて、個社の枠を越え、公正性・客観性を確保しつつ物流ビッグデータの活用を進めるために、外部専門家で構成する物流ビッグデータ・ガバナンス委員会を設置する。第三者の視点や意見を取り入れ、物流ビッグデータ活用に関するガイドラインを策定、運用する体制を構築する

現在物流業界は、トラックドライバーの人手不足に陥っている一方で、企業間のやり取りが電話やFAX、紙帳票などの非効率なツールが中心になっており、DXによる業務の効率化が急務となっている。

これに対してHacobuは、物流現場の業務をデジタル化するアプリケーション群MOVOを提供することで、事業者・業界の垣根を超えた「モノと車両と場所」にかかわる物流情報をビッグデータとして蓄積し、物流全体が最適化された持続可能な社会を目指すという。

MOVOでは、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」(ムーボ・バース)、動態管理サービス「MOVO Fleet」(ムーボ・フリート)、流通資材モニタリングサービス「MOVO Seek」(ムーボ・シーク)、配送案件管理サービス「MOVO Vista」(ムーボ・ヴィスタ)の4アプリケーションを提供しており、メーカー、小売、物流企業など、すでに500社以上の企業に導入されているそうだ。

またHacobuによると、MOVOの導入企業の広がりとともに物流ビッグデータの蓄積が進んでおり、この個社の枠を越えた物流ビッグデータを分析・活用し、物流業界に還元することでサプライチェーン全体の最適化を図りたいと考えているという。

同社は、物流の最適化には、個社内に閉じた取り組みだけではなくサプライチェーン内のステークホルダー間での調整が必要で、複数のステークホルダーで議論する際にはデータが不可欠と指摘。Hacobuは、担当者間の属人的なつながりだけに頼るのではなく、データを基盤とした議論によって、業界や会社の枠を超えた物流の協調が進むとした。また、ひとつの会社内でも物流部と他部署が建設的な議論をするために、データがあると本質的な課題の抽出と部署間での連携が行われるとしている。

データがあることで、事実を共有しかつ見つ直し、建設的な解決策を考え、新しいロジスティクスの在り方を考えていく、そのようなロジスティクスの世界を「Data-Driven Logistics」と定義し、Hacobuはその実現に邁進するとしている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達(用語)hacobu(企業)ビッグデータ(用語)MOVO(製品・サービス)日本(国・地域)

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するDAIZは4月19日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額18億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、味の素、丸紅、ENEOSホールディングスなど事業会社7社との資本業務提携と、三菱UFJキャピタル、農林中央金庫、三井住友海上キャピタルなどの金融投資家9社。累計資本調達額は30億5000万円となった。植物肉スタートアップとしては国内最大の資金調達となる。

シリーズBラウンドの引受先の概要

  • 資本業務提携先(7社):味の素、丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品、ENEOSイノベーションパートナーズ、きちりホールディングス
  • 金融投資家(9社):MSIVC2020V投資事業有限責任組合(三井住友海上キャピタル)、
    農林中央金庫、グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合(グローバル・ブレイン)、食の未来1号投資事業有限責任組合(kemuri ventures)、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合(三菱UFJキャピタル、追加投資)、Golden Asia Fund Ⅱ, L.P.(Golden Asia Fund Ventures)、QB第一号投資事業有限責任組合(QBキャピタル、追加投資)、投資事業有限責任組合しんきんの翼(信金キャピタル)、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND(グローバル・ブレイン)

シリーズBラウンドにおいて調達した資金は、ミラクルミートの生産体制の拡大と研究開発(R&D)の強化、グローバルでの事業展開、成長を支える人材採用などにあて、さらなる事業基盤の拡充を図る。生産体制の拡大として、工場の増床により2021年6月からミラクルミートは年間4000トンの生産キャパシティとなる予定という。また、DAIZは今後も積極的に大手事業会社との提携を進める予定としている。

また味の素、ニチレイフーズとは、ミラクルミートを原料とした家庭用・業務用商品の共同開発を行う。丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品とは、商社のネットワークを通じてミラクルミートの国内外への販路拡大を推進する。

CO2排出削減に資する事業の創出を目指すENEOSホールディングスとは、従来の食肉や脱脂大豆由来の植物肉と比べて環境負荷が小さいミラクルミートの普及を通じ、低炭素社会の実現を目指す。

DAIZは、2019年12月より本格的に植物肉「ミラクルミート」の事業を展開。この1年余りでは、大手のハンバーガーチェーンやスーパーマーケット、食品メーカー、飲食店において「ミラクルミート」の採用が進んでいる。フレッシュネスバーガーなどのハンバーガーチェーンを通じて、おいしい植物肉メニューを気軽に食べられるようになり、イオンやライフなどのスーパーマーケットでの発売やニチレイフーズブランドの商品にも導入されている。

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

DAIZの発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」

これまでの植物肉に使用されてきた主原料は大豆搾油後の残渣物(脱脂加工大豆)であったため、「味と食感に残る違和感」「大豆特有の青臭さや油臭さ」「肉に見劣りする機能性(栄養価)」といった課題が残っており、本格的な普及の妨げとなっていたという。

これに対してDAIZの植物肉は、原料に丸大豆を採用。オレイン酸リッチ大豆を使用することで、大豆特有の臭みをなくし、異風味を低減した。また独自の発芽技術によって、これまでの課題を解決する植物肉の開発に成功している。

また、味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」(特許第5722518号)で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大。発芽大豆は、水を加えながら高温下でスクリューで圧力をかけ押し出すことにより混練・加工・成形・膨化・殺菌などを行うエクストルーダー(押出成形機)にかけ、膨化成形技術により肉のような弾力・食感を再現している。これらの独自技術により、異風味を低減した植物肉(ミラクルミート)を製造しているという。

発芽タンクを用いた独自の製造プロセスにより、原価低減を実現し、牛肉・豚肉・鶏肉に対し、価格競争力があるとしている。

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

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カテゴリー:フードテック
タグ:SDGs(用語)資金調達(用語)食品(用語)DAIZ(企業)代替肉 / 植物由来肉(用語)日本(国・地域)

マイオリッジが京都大学保有のiPS細胞由来心筋細胞製造方法について海外企業と初のライセンス契約

マイオリッジが京都大学保有のiPS細胞由来心筋細胞製造方法について海外企業と初のライセンス契約

京都大学発スタートアップ「マイオリッジ」は4月19日、iPS細胞由来心筋細胞を用いた再生医療関連製品を開発する米Avery Therapeutics(Avery)との間で、京都大学およびマイオリッジが保有するiPS細胞由来心筋細胞の分化誘導法について非独占的なライセンスをAveryへ共与するライセンス契約を締結いたしたと発表した。

この契約に基づきAveryは、同誘導法を使用した製品の製造・開発販売を北米において行う非独占的な権利を得る。現在Averyの製品は、非臨床試験の段階にあるという。

なお同契約は、公表されている限り、京都大学の保有するiPS細胞由来心筋細胞製造方法として、海外企業に対して臨床応用を目指した技術供与を行う、初めてのライセンス契約となる。マイオリッジは、京都大学よりライセンスを受けた同誘導法に加えて、iPS細胞などの幹細胞や中胚葉由来細胞(心筋細胞、間葉系幹細胞、血球系細胞など)の製造にかかる基盤技術を有している。今後も独自性の高い基盤技術を世の中へ送り出すことで、再生医療の普及に貢献するとしている。

マイオリッジは、京都大学の研究成果を基に2016年8月に設立されたスタートアップ。新規低分子化合物を用いることで高価なタンパク質を必要とせずに、浮遊培養にて多能性細胞を心筋細胞を含む分化細胞へ分化誘導できる基盤技術を保有している。同誘導法は京都大学よりライセンスを受け実施している。

同技術を活用したiPS細胞由来心筋細胞の販売のほか、自社で保有する低分子化合物データベース、特許出願中の培地成分探索技術を活用したオーダーメイドの培地開発支援、製造プロセス開発支援といった、再生医療等製品を開発する企業を対象としたサービスなどの事業を展開している。

Averyは、心血管疾患に苦しむ患者のため高度な治療法を開発している企業で、主要な開発パイプラインは、慢性心不全の治療を目的に開発中の同種再生医療製品MyCardiaとなっている。同社は、独自の製造プロセスを活用しMyCardiaの大規模製造を実現し、凍結保存することで即時使用可能な製品としてMyCardiaを販売する予定。さらに同社は、独自の組織プラットフォームを活用し、他の心血管系疾患を対象とした開発も進めている。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:iPS細胞(用語)医療(用語)京都大学(組織)再生医学・再生医療細胞療法マイオリッジ(企業)日本(国・地域)

「日本版StartX」目指す東大1stROUNDが東京工業大など4大学共催の国内初インキュベーションプログラムに

スタンフォード大学の卒業生が運営するStartXをご存知だろうか。これまで700社以上のスタートアップを生み出したこの非営利アクセラレータプログラムは、同大学出身者からなる強力なスタートアップエコシステムの形成に寄与している。

このStartXの「日本版」を目指し誕生した、東京大学協創プラットフォーム(東大IPC)主催のインキュベーションプログラム「1stROUND」は、新たに筑波大学、東京医科歯科大学、東京工業大学の参画を発表。国内初の4大学共催のインキュベーションプログラムとして始動する。

「株を取得しない」インキュベーションプログラム

1stROUNDは、ベンチャー起業を目指す上記4大学の学生や卒業生を主な対象として、最大1000万円の資金援助と事業開発環境を6カ月間提供するインキュベーションプログラムだ。その目標は、設立後間もないベンチャーの「最初の資金調達(ファーストラウンド)」の達成までをサポートするということ。実際に、1stROUNDの採択企業34社のうち90%が、VCからの資金調達に成功しているという。

1stROUNDの大きな特徴は、最大1000万円の資金提供をするにも関わらず「株を取得しない」ということだろう。これは、採択したベンチャーが後に大成功を収めることになったとしても、1stROUONDとしては直接的な利益を享受しないことを意味する。また同プログラムには、パートナー企業としてトヨタ自動車、日本生命、三井不動産など業界を代表する大企業が名を連ねているが、これらの企業も「無償」で同プログラムに資金を提供している。

画像クレジット:東大IPC

一見したところ「1stROUNDには投資家として参加するインセンティブがないのでは」と考えてしまうが、東大IPCやパートナー企業にも大きなメリットが存在する。それをわかりやすく示す例が、2020年4月に設立されたアーバンエックステクノロジーズだ。スマートフォンカメラを活用して道路の損傷箇所を検知するシステムを開発していた同社は、1stROUNDに応募して採択された企業の1社である。

当時、創業約5カ月にすぎなかったアーバンエックスに起こったことは、1stROUNDのパートナー企業である三井住友海上火災保険との戦略的提携だった。日本最大級の損害保険会社である同社は「ドラレコ型保険」を展開しており、約300万台のドライブレコーダーを保有する。これにアーバンエックスのAI画像分析技術を搭載することで、ドラレコ付き自動車が日本全国の道路を点検できるようになった。同プログラムを創設した水本尚宏氏は「1stROUNDのネットワークがなければ、まず実現し得なかったことだと思います」と話す。

その後、アーバンエックスはVCからの資金調達を成功させるが、そのリード投資家となったのは東大IPCの「AOI(アオイ)1号ファンド」だった。同ファンドは、1stROUNDと同じく水本氏が2020年に設立し、パートナーとして運営している。つまり、1stROUNDでは採択したベンチャーの株を取得することはないものの、のちにAOIファンドで出資を行い株を取得することができるので、東大IPCとしても将来的に利益を確保することが可能になる。

1stROUNDで支援を受けるベンチャーは、無償での資金提供に加えて大企業とのネットワーク支援を受けられる。一方でパートナー企業は「誰の手にもついていない」ベンチャー企業の情報収集や、戦略的提携の可能性がある。そして、東大IPCにとっても後のファンド投資につながる可能性がある。1stROUNDは、三者にとってメリットがある見事な仕組みといえるだろう。

画像クレジット:東大IPC

AOI 1号ファンドは240億円超に増資

これまで主に東大の学生や卒業生などを対象として運営してきた1stROUNDは、今後東京工業大学・筑波大学・東京医科歯科大学を含めた4大学に門戸を広げる。また、企業の一事業や部門を新法人として独立させる「カーブアウト」を主に扱うAOIファンドも、設立時の28億円から241億円への増資を発表し、さらに勢いに乗りそうだ。

1stROUND、AOIファンドの運営を行う水本氏はこう語る。「私達は『ファンドとしてきちんとリターンを出す』ことを目指しています。当たり前と思われるかもしれませんが、上から『儲からない案件をやれ』と言われがちな官民ファンドは、この基本的な部分が緩みがちなのです。しかし私は、1stROUNDのプレシードや、AOIファンドのカーブアウトといった、一般的に難しいとされる分野で成果を出したい。『こういう投資が儲かる』ことを証明し、民間VCや企業が参入してきた結果、エコシステムが大きくなると思うからです。私たちが民間VCと同じくらい、もしくはそれ以上にきちんと儲けることが、ゆくゆくは日本のためになると信じています」。

成功事例に乏しい分野にあえて挑戦し、国益に資することを目標とする東大IPC。数年後、ここから世界を驚かせるベンチャーがいったい何社出てくるか、楽しみだ。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:1stROUNDStartX東京大学筑波大学東京医科歯科大学東京工業大学インキュベーションアーバンエックステクノロジーズ東京大学協創プラットフォーム日本ベンチャーキャピタル

マニュアル作成プラットフォームのスタディストが総額18億円超を調達

チームメンバーに意図がうまく伝わらない、という経験をしたことはないだろうか。「伝えることを、もっと簡単に」というミッションの下、ビジュアルマニュアル作成ツール「Teachme Biz」と、小売業者向け販売PDCAマネジメントツール「Hansoku Cloud」を提供するスタディストは、三井不動産とグローバル・ブレインが運営する31VENTURES、シンガポール政府が所有する投資会社テマセク・ホールディングス傘下のプライベートエクイティファンドであるPavilion Capital、博報堂DYベンチャーズを新たな引受先として、総額18億5000万円の資金調達を実施した。

同社は12期目となり、従業員数は現在116名、顧客アカウント数は32万。Forbes JAPANの「Japan’s Cloud Top10」や、週刊東洋経済の「すごいベンチャー100」などにも採り上げられている。

マルチデバイスでマニュアルの作成や閲覧が可能なTeachme Biz

Teachme Bizは、PowerpointやWordなどを使わずに、マルチデバイスで簡単に手順書が作成できるツールだ。画像を追加してテキストを付与、項目を並び替えて手順書が完成すれば、あとは共有するだけだ。

従来の属人的なOJTでは、教える側の意図がうまく伝わらない、教えられる側が同じことをもう一度聞きにくい、管理者が各自の習得度を把握しにくいといった課題があった。同社はこの問題を改善しようとサービス開発を行なっていたが、新型コロナウイルスの影響で遠隔研修のニーズが拡大し、導入社数が増加。特に小売業、飲食、宿泊、医療、金融といった、同じことを多拠点で多くの人に習得してもらう必要がある労働集約型事業での需要が高いという。

またスタディストは、Teachme Bizなどが動画や画像メインのサービスであることから、言語の壁がある海外での展開を目指して、アジア諸国に進出している日系企業へもアプローチを開始。2018年にはタイに現地法人を設立、現地の従業員教育をすばやく簡単に行えることが評価された。飲食事業を営む顧客の中には、新メニューを思いついたらすぐにTeachme Bizでそのレシピや調理手順を他店舗へ共有し、12時間で全店舗での新メニュー提供まで行えているところもあるという。

タイでも2020年にロックダウンがあったが、現地法人の2020年度売上は、前年度比70%で成長。スタディストはタイを中心にマレーシア、ベトナム、シンガポール、ミャンマー、香港のASEAN6カ国で事業を拡大し、その実績が今回の調達にもつながった。現在、Teachme Bizは日本語、英語、タイ語に対応しており、今後も東南アジアを中心とした展開を検討している。

Teachme Bizの顧客の課題から誕生したHansoku Cloud

「Hansoku Cloud」は、Teachme Bizの導入率が高い小売業者向けに、クロスセルで売れる商品を作ろうと考案したサービスだ。小売業のラストワンマイルと呼ばれる「店頭実現率(店頭在庫率)」を商品別にわかりやすく表示し、販売機会の損失を防ぐ。店頭在庫の確認や補充は、通常、店頭スタッフが対応するが、本部から受け取った文字だらけの店舗指示書は、理解するまで時間がかかることが多い。Hansoku CloudはTeachme Bizの機能が含まれており、本部からの店舗指示がビジュアルで確認できる他、各店舗の実行率が本部ですぐ確認できるため、直接指導をすべき先に対して早期に対応できる。ドラッグストアにおける胃腸薬店頭実現率を改善できるかPoCを実施したところ、1.5〜2倍の売上向上効果が出た。

Teachme Bizの顧客のペインから、それを解決するソリューションを増やしていく

今回の調達では、投資元のクライアントや投資先との提携を前提とした事業シナジー期待を主眼に置いた。Pavilion Capitalとの連携を活用して海外事業の拡大を図り、2025年2月期の全社売上において3億円を目指す。

同社は、労働生産性の向上により新しいものが次々登場する社会の創造を目指しており、必要な効率化手段を増強していく方針だ。代表取締役CEOの鈴木悟史氏はコンサルティングファーム出身で、過去の経験を活かしてPoCスキームのコンサルティング事業も育成検討をしており、今回の調達はコンサルタントの採用にも活かす考えだという。鈴木氏は今回グローバル調達に成功したことも踏まえ「これからはグローバルの時代。日本の起業家は語学の壁に怯まず、ぜひ果敢に海外に飛び出して欲しい」と語った。

カテゴリー:HRテック
タグ:スタディスト資金調達日本マニュアル

日本のVC「サムライインキュベート」がアフリカのスタートアップ向けに20億円超のファンドを組成完了

東京拠点のベンチャーキャピタルであるSamurai Incubate(サムライインキュベート)が「Samurai Africa Fund 2号」の組成を完了し、総額20億2600万円を集めたことを4月15日に発表した。

同社によると、目標額20億円のファンドには募集枠以上の応募があり、総勢54名の投資家がLP(有限責任組合員)として出資した。注目すべきLPの1つが豊田通商株式会社で、アフリカ大陸全体に多様なネットワークを持っている。同社はコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のMobility 54を設立し、アフリカの輸送、物流、フィンテックのスタートアップへの投資を計画している。

榊原健太郎氏は2018年にSamurai Incubateを設立し、子会社のLeapfrog Venturesを立ち上げてアフリカへの投資を開始した。Samurai Incubateは新たな子会社を通じて2018年8月以来、アフリカのスタートアップ20社に250万ドル(約2億7000万円)出資した。そして2019年6月、Leapfrogの社名をSamurai Incubate Africaに変更した。

「当社は一貫してファウンダーへの価値提案を最大化するという経営方針の改善と最適化に注力してきました。しかし、いつも完璧だったわけではありません。私たちがもたらす価値は、資金や日本の投資家や企業へのアクセス以上のものであるべきだと信じています」と同社は声明で語った。

セクター無依存のファンドを提供するSamurai Incubate Africaはすでに26社に投資している。今回の第2号ファンドの投資先には、テック利用ホームサービスのスタートアップであるEden Life、オンライン融資マーケットプレイスのEvolve Credit、エネルギー・スタートアップのShyft Power Solutions、自動車レンタル向け少額融資サービスのFMG、貨物輸送会社のOneport、およびオンライン食料品プラットフォームのPricepallyら6社が含まれている。

Samuraiの会社の多くはアフリカの3つの国、ケニア、ナイジェリア、南アフリカにある。しかし、今後はそれが変わる。マネージングパートナーの米山怜奈氏によると、Samurai Incubate Africaは対象国にエジプトを加える予定だ。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

2018年以来、エジプトにおけるエコシステムの成長は目覚ましく、人材、スタートアップ、および地元投資家を猛烈なスピードで生み出している。Samurai Incubate Africaにとって、この成長に目をつけるのは当然であり、エジプトが加わることで、同社はアフリカ大陸のトップスタートアップエコシステムであるBig Fourすべてでスタートアップを持つことになる。

「エジプトのスタートアップエコシステムと経済は急速に拡大しており、この国には数多くの才能あるファウンダーと偉大な投資家がいることを知っています」と米山氏がTechCrunchに話した。「すでにエジプトのスタートアップ1社への投資を決めており、絶対に後悔しないことがわかっています」。

2020年にSamuraiが最初にこのファンドを発表した時、出資規模は5万ドル(約540万円)から50万ドル(約5400万円)だった。プレシードからシードラウンドまで、スタートアップは20万ドル(約2200万円)以下を獲得する。プレシリーズAとシリーズAラウンドでも50万ドル以下だった。しかしファンドの組成完了後は、投資金額を80万ドル(約8700万円)へと拡大する。

「投資先企業のプレシリーズAとシリーズAを既存出資者として支援するつもりです。そのために、投資額を企業の最近ラウンド規模と評価額に応じて増やすほうがいいと考えました」と米山氏は説明した。

セクター無依存ではあるが、同社が特に力を入れているのはフィンテック、インシュアテック、流通、医療健康、消費者、コマース、エネルギー、アグリテック、モビリティー、エンターテインメントだ。

日本のVCは、プレシードとシードステージの新規企業30~40社に加えて、投資先企業7~10社のプレシリーズAとシリーズAラウンドにも参加する計画だ。Samurai Incubateは、Kepple AfricaやUncovered Fundなどと並ぶ、日本で増えつつあるアフリカのスタートアップを対象としたVCの1つだ。

関連記事:日本のUncovered Fundがアフリカのアーリーステージ企業向けに15億円超のファンドを設立

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Samurai Incubate日本東京アフリカエジプト

画像クレジット:Samurai Incubate

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」が健康保険組合向け健康増進アプリに採用

服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」が健康保険組合向け健康増進アプリに採用

Bodygram Japan(ボディグラム・ジャパン)は4月16日、QOLead(キュオリード)提供の健康増進アプリ「QOLism」(キュオリズム)において、BodygramのAI採寸テクノロジーが採用されたと発表した。

第一生命保険およびQOLeadは、健康保険組合向けに保健事業の効率化と医療費抑制を支援するサービスとして「Healstep」(ヘルステップ)を提供している。AIを通じ将来の疾病リスクと将来医療費予測を可視化するとともに対応方針を策定し、保健指導サービス事業者とのマッチングや継続的なフォロー、施策の評価・改善の提案までをワンパッケージでサポートするというものだ。

QOLismは、この中で「健康増進アプリ」として位置付けられており、ユーザーの身体データや登録情報を基に食事の管理や運動メニューのレコメンドなど、健康維持に関わる様々な生活習慣改善サポートを包括的に行う。QOLismを日常的に利用することで、健康的な生活習慣が自然と身に付くとしている。

服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」が健康保険組合向け健康増進アプリに採用

同アプリにおいてBodygramは、独自の高精度AI推定採寸技術を提供。身体サイズを把握する機能として、スマートフォンで撮影した2枚の写真を用いた全身25カ所の推定採寸が可能だ。これによりユーザーは、自身の身体サイズ記録から身体の状態を把握できるとしている。

服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」が健康保険組合向け健康増進アプリに採用

Bodygram Japanでは、今回の技術提供を皮切りにヘルスケア分野の中でも特にデータ観点で人々の健康状態を分析し、改善に役立てるデータヘルスの領域においてサービス展開を強化していきたいという。また、こうしたデータヘルス領域での展開は、昨今コロナ禍で市場の注目度が増している遠隔医療においても、患者と医師の密な連携が必要になる中、Bodygramの技術によって自分自身で体の状態・変化をモニタリングをすることを習慣化することで、予防医学としても活用の幅が広がるとしている。

Bodygramは、AIの学習機能を駆使し身体サイズを推定する先進技術を開発。年齢・身長・体重・性別を入力し、服を着たまま、スマートフォンで正面と側面の2枚の写真を撮影するだけで被写体のボディラインを自動で検出し、腹囲・肩幅・手足の長さなど全身25か所の推定採寸が可能になる。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Bodygram Japan日本(国・地域)

電球1つで通信可能、LEDとSIMの一体型IoT電球「HelloLight」でさりげない見守りサービス

家庭にある電球を取り換えるだけでHelloLightは使えるようになる

LEDとSIMが一体化したIoT電球「HelloLight(ハローライト)」を提供するハローライトは、どの家庭にもある電球に着目し、HelloLightの点灯状況から異常を知らせる見守りサービスを展開している。

HelloLightは一般的な電球と同じ規格となり、明るさは40W形相当で口金はE26となっている。トイレやお風呂、洗面所など、1日のうちに利用する場所の電球と取り換えるだけで使える。Wi-Fiや電源コンセントに繋ぐ必要はなく、特別な設置工事もいらない。

LEDとSIMの一体化

ハローライトが販売する場合、ベーシックプランで本体代と3年間の通信料込みで税込1万6720円となる。また現在、ヤマト運輸などが同社と提携しそれぞれのサービスと組み合わせて販売しているため、販売窓口により価格やサービスは異なる。

増える高齢者の1人暮らし

日本社会は高齢化の一途を辿っている。内閣府の高齢化社会白書によると2019年10月時点で、日本の総人口1億2617万人のうち、3589万人(総人口の28.4%)が65歳以上の高齢者となっている。

高齢者の1人暮らしの人数をみると、1980年に男性が約19万人、女性が約69万人だったが、2015年には男性が約192万人、女性が約400万人に増加。また、厚生労働省の調査では2017年に全国で約627万世帯だった高齢者の1人暮らしは、2019年には約737万世帯となった。今後、高齢者の1人暮らしはさらに増えると予想されている。

さらに、過疎化が進む地方などでは地域コミュニティの繋がりが弱まり、高齢者が孤立しやすい状況が問題になっている。介護福祉事業者や自治会といった見守る側の高齢化や人材不足の他、コロナ禍で帰省なども気軽にできなくなり、見守りサービスの重要性は高まっているのだ。

IoT電球「HelloLight」から点灯状況を発信

HelloLightによる通信の流れ

HelloLightは電球内に、SIMとアンテナが内蔵されている。IoT向けの通信技術のLPWA(Low Power Wide Area)に対応し、スマホで電波が通じる場所であれば、電球1つで基地局に点灯状況の通信ができる。

ユーザーはHelloLightのシリアルナンバーと自身のメールアドレスを紐づけるだけで見守りサービスが始められる。見守りサービスの基本機能は、HelloLightの通信から得た点灯状況をクラウド上で管理し、前日の24時間で点灯と消灯の動きがないといった異常があった時に限り、翌日にメールで知らせるものだ。

異常を知らせる仕組み

メールの送信先は事前にメールアドレスを登録した家族らになる。家族らは異常を知らせるメールを受けたら、設置先の高齢者に連絡を取ることで、状況を把握することができる。メールアドレスの登録者はスマホのブラウザから、点灯状況の最終検知時間なども確認可能だ。

ハローライトでは、登録できるメールアドレスが増え、点灯したら通知が来る機能や、異常を知らせるメールを受ける時間帯を設定できるといったスタンダードプランへのアップグレードを推奨している。ベーシックプラン購入手続き後、追加で月額税込330円を支払うかたちとなる。

見守りカメラ・センサーなど用いたサービスでは、高齢者が常に監視されているという状況に慣れないこともあるという。HelloLightであれば、単に電球のON / OFFを検知しているだけなので、高齢者のプライバシーに干渉せずに済む。HelloLightは見守りサービスとしての機能をシンプルにした結果、サービス利用までのハードルを大きく下げることに成功しているのだ。

ハローライトの鳥居暁代表は「電球の点灯状況は、窓から漏れる明かりと同じ。遠くにいてもその家の明かりを知ることができるようにしたのがHelloLightです。さりげない見守りとして、何かあれば気が付くことができます」と語った。

さりげない見守りサービスとして、シンプルなものに

3年半を経てHelloLightを開発

初年度で5000個を出荷

HelloLightは2019年5月に初出荷したが、試作品はその4年前に発表していた。そもそも鳥居氏の別会社でIoT電球を開発し、別の用途で利用する考えで動いていた。その中で、社員から介護支援を行うケアマネージャーの話を聞き、見守りサービスとしてのアイデアが生まれたという。

当時はIoT電球とは別にインターネット通信用の機器が必要で、月々の費用も高価になるという課題があった。鳥居氏は課題解決のため3年半の間、研究開発・実証実験を続け、2018年12月にHelloLightの開発に漕ぎ付けた。月々の費用も従来から10分の1程度に抑えることに成功した。

販売すると市場からの反響は良く、事業可能性があるとして、鳥居氏は2019年6月にハローライトを立ち上げた。初出荷から1年間で約5000個を売り上げ、2021年6月までの2年間で販売個数は約1万個に到達する見通しだ。

HelloLightの全国展開と海外進出への動き

世界80カ国以上に対応

ハローライトは大手事業者とも連携している。同社とヤマト運輸は2020年6月から東京都多摩市で、HelloLightを活用した見守りサービスの実証実験を行った。ヤマト運輸によると、サービスの実効性が得られた他、地方自治体から導入の要望が多く寄せられたという。このため、2021年2月からは全国で同サービスを展開している。

このヤマト運輸との取り組みのように、事業者などにはHelloLightの法人向けサブスク型サービスを提供。HelloLightにプラスアルファで事業者らが持つサービスを付加し、その上で料金設定をして販売できるようにしている。

今回のヤマト運輸の場合では、HelloLightの設置から異常時のメール通知、ユーザーからの依頼時における代理訪問までのパッケージ料金で、月々税込1078円となる。

鳥居氏によると、不動産会社や地域の自治会単位でも利用が多いという。それぞれがHelloLightの運用をよりしやすくするため、HelloLightを一元管理するシステムも提供している。ハローライト単体でHelloLightを売り出すのではなく、販売パートナーを増やしていくことで、HelloLightの普及をさらに進める狙いだ。

HelloLightは日本で広がりをみせているが、製品自体は世界80カ国以上に対応している。鳥居氏は今後の展開についてこう語る。

「我々は中国進出を検討しています。中国の高齢化も急速に進み、2025年に高齢者は3億人になると言われています。2020年に東京都主催のグローバルアクセラレータープログラム『X-HUB Tokyo』の深センコースに採択されました。現在、中国の企業や銀行などの支援により、協議を進めています」。

カテゴリー:IoT
タグ:ハローライトLED高齢者日本

画像クレジット:ハローライト

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を手がけるINFORICHが23億円調達

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を手がけるINFORICHが23億円調達

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」(チャージスポット)を手がけるINFORICHは4月16日、23億円の資金調達を発表した。引受先は、南都銀行の投資専門子会社南都キャピタルパートナーズと、ベンチャーラボインベストメント運営のナントCVC2号投資事業有限責任組合、ひろぎんホールディングスの投資専門子会社ひろぎんキャピタルパートナーズが運営するHiCAP3号投資事業有限責任組合、日本国際経済開発機構、ピー・アンド・イー・ディレクションズなど。

調達した資金により、さらなる設置台数の拡大をはじめ、グローバルへの展開も拡大する。また、新型コロナウイルス感染拡大を受け、ChargeSPOTバッテリーの抗菌抗ウイルス対応を行うことで、安心・安全なサービスを提供する。

またChargeSPOTは、年内5万台、2022年に8万台、2023年に10万台と設置を拡大し、日常生活には必要不可欠な生活インフラ化を目指す。専用アプリを専用ダウンロードしなくても「ChargeSPOT」を手軽に利用できるよう、キャリア系決済アプリとのミニプログラム連携なども行う。

2015年9月設立のINFORICHは、ChargeSPOTを2018年4月から提供。現在では、日本全国約2万6000台、香港約3000台、台湾約3000台、タイ約1000台(2021年3月時点)の設置が完了しているという。

サービスの利用は、専用アプリのほかに、LINE公式アカウント内からも行える。事前に専用アプリをダウンロードしていなかった場合もその場で利用可能。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:INFORICH資金調達(用語)ChargeSPOT日本(国・地域)

複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充

複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充

複業マッチングプラットフォーム「Another works」(Android版iOS版)を展開するAnother worksは4月16日、第三者割当増資による総額1億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、ベクトル、個人投資家の梅田裕真氏(メディカルノート代表取締役CEO)、複数の個人投資家など。シードラウンドを含めた累計調達額は約2億円となった。

調達した資金は、主にAI技術を活用したプロダクトの機能拡充、プロモーション、新規事業開発、および質の高いサービス提供のための人材採用に充てる予定。

同社はすでに単月黒字化を実現しており、ビジネスモデルが成立していることから、さらなる事業成長と技術投資を企図して資金調達に至ったという。無料トライアル期間の利用も含めると累計500社以上がAnother worksを導入しており、地方自治体との連携も推進するとしている。

複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充

Another worksは、複業したい人と企業をつなぐSaaS型の複業マッチングプラットフォーム。企業は毎月定額料金で、登録している全タレントから求める人材を探し、無制限にアプローチできる。採用が実現しても成約手数料は一切かからないため、採用コストが削減できる今までにないサービスとしている。

またタレントは登録・利用が一切無料で、求人へ直接エントリーが可能。企業からのスカウトが届くこともあるので、複業の機会を最大化させられるという。

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カテゴリー:HRテック
タグ:Another works(企業・サービス)資金調達(用語)副業(用語)マッチングサービス(用語)日本(国・地域)

傘シェアのアイカサが山手線全30駅に84スポット119台の傘立てを設置完了、無料利用キャンペーン実施

傘シェアのアイカサが山手線全30駅に84スポット119台の傘立ての設置を完了、無料利用キャンペーン実施

傘のシェアリングサービス「アイカサ」(Android版iOS版)を運営するNature Innovation Group(アイカサ)は4月16日、2019年のJR東日本スタートアップとの資本業務提携と実証実験実施以降、首都圏主要駅を中心に傘シェアリングスポットの導入を進め、2021年1月には山手線全30駅に84スポット119台の傘立ての設置を完了したと発表した。山手線の乗車客に対して、3日分の無料クーポンをプレゼントするキャンペーンも実施する。

傘シェアのアイカサが山手線全30駅に84スポット119台の傘立ての設置を完了、無料利用キャンペーン実施

山手線展開記念無料キャンペーン

  • クーポン概要:「アイカサ」サービス3日間分無料(210円分の割引)
  • クーポン配布期間:4月30日まで
  • クーポン配布場所:山手線30駅に設置されている傘立てにクーポンコードを記載

また山手線全駅への設置完了後、アイカサ設置箇所の中で最も使われる路線となったという。認知度・傘立てへの接触人数の増加に合わせ、ジェイアール東日本企画(jeki)と共同で傘立ての前面を広告媒体として販売を開始し、傘シェアリングスポットの新たな価値を提供する。

傘立てを「広告枠」とするスキームにより、広告クライントは傘シェアリングサービスの持続可能な取り組みに参画し、傘シェアリングユーザーへの広告アプローチとSDGs貢献メッセージの双方を実現するとしている。

傘シェアのアイカサが山手線全30駅に84スポット119台の傘立ての設置を完了、無料利用キャンペーン実施

アイカサは、2018年12月にサービスを開始した、日本初の本格的な傘のシェアリングサービス。突発的な雨にもビニール傘をわざわざ購入せずに、アイカサを借りて利用し、雨が止んだ際には最寄りの傘スポットに傘を返却できる。

現在は、東京駅・新宿駅をはじめとする都内全域と関東、関西、福岡、岡山、愛知などでの展開を合わせて、スポット数約800カ所を展開しており、アイカサ累計登録ユーザー数は合計12万人超えを達成した。

傘シェアのアイカサが山手線全30駅に84スポット119台の傘立ての設置を完了、無料利用キャンペーン実施

傘シェアのアイカサが山手線全30駅に84スポット119台の傘立ての設置を完了、無料利用キャンペーン実施

傘がないことによって移動ができないことや濡れて不快になることをなくし、「雨の日のプラットフォーム」としてのインフラを構築、傘をシェアし使い捨て傘ゼロを実現する社会づくりをミッションとしている。

なおアイカサは4月14日、東急電鉄が運営する田園都市線・東横線全47駅に本格導入予定であることも発表済みだ。

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日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電力が始動

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電気が始動

みんな電力は4月15日、アーティストが再生可能エネルギーによる発電に参加でき、さらにアーティストの発電所で作った電気を購入できる「アーティスト電力」を開始した。ブロックチェーンを活用した同社独自のP2P電力トラッキングシステム「ENECTION2.0」を用いており、アーティストの発電所を指定して電気を購入できる取り組みは日本初(同社調べ)。

第1弾は、「アーティスト電力」発案者であり、同社の押しかけ課長・作家でクリエイターのいとうせいこう氏の太陽光発電所(いとうせいこう発電所)の電気契約を先着100名限定で受け付ける。

「アーティスト電力」の3つの特徴

  • アーティストの発電所で作った電気をみんなで購入できる
  • 電気を利用することで、コロナ禍のアーティストや音楽関係者を応援できる
  • 契約者限定ライブの開催

またみんな電力は、第1弾のいとうせいこう発電所を皮切りに、第2弾以降も順次検討しているという。これまで電気を消費する側だったアーティストが電気の生産者となる「アーティスト電力」を通じて、アーティストとファンが一緒に楽しみながら脱炭素アクションができる仕組みを広げるとともに、電気を自由に選ぶことができる楽しさを伝えるとしている。

いとうせいこう氏は、「いまは中央集権ではなく自律分散の時代であり、太陽光パネルを分割してみんなで持ち合うことでエネルギーも分散化できる」というアイデアを提案。「電気を面白く選ぶ体験を広めたい」と考える同社が共感し、ENECTION2.0を活用しこれからの電気のカタチを提案するプロジェクトを始動させたという。

同氏は、「電気料金の中にエンターテイメント代が入っていて、アーティストの支援にもつながる。そうやって、みんなで楽しく再生可能エネルギーの社会に変えていっちゃおうと。そしたらバタバタバタと僕らは新しい社会をつくれてしまっているかもしれないと思います」とコメントしている。

アーティストの発電所で作った電気をみんなで購入

アーティスト電力では、ENECTION2.0を通じ、発電量と需要量を30分ごとにマッチングを行う。これにより、アーティストの発電所で作った再エネ電力を購入できるという。

ブロックチェーンを活用してアーティストが作った電気をみんなで分け合うことになり、契約者専用のマイページで電力使用量におけるマッチング率を確認できる。第1弾として、いとうせいこう氏の太陽光発電所(福島県二本松市)の電力を先着100名限定で購入できる。

福島県にあるいとうせいこう発電所

福島県にあるいとうせいこう発電所

マイページでは、マッチングした電力量を確認できる

マイページでは、マッチングした電力量を確認できる

またこの電力供給においては、いとうせいこう発電所の総発電量の一部が提供され、残りの電力は太陽光、風力などの再エネ・FIT電気などを組み合わせて再エネ100%の電気を供給する。インバランス(電力の需要量・供給量の差分)発生時など再エネ比率が100%にならない場合があるものの、その際も証書によりCO2排出係数ゼロは維持される。

なおFIT電気とは、太陽光、風力などの再エネ電源を用いて発電され、固定価格買取制度によって電気事業者に買い取られた電気を指す。同社の調達費用の一部は、再生可能エネルギー発電促進賦課金によりまかなわれている。

電気を購入することで、コロナ禍のアーティストや音楽関係者を応援

アーティスト電力では、毎月の電気料金の一部をアーティストや音楽関係者に届けることができ、好きなアーティストを簡単かつ継続的に応援可能。1円単位で電気料金の支払先がわかる「超明細」にて、毎月の電気料金のうち、アーティストや音楽関係者にお届けする金額も確認できる。

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電気が始動

「アーティスト電力」契約者の「超明細」画面

「アーティスト電力」契約者の「超明細」画面

契約者限定ライブの開催

アーティスト電力に申し込んだ方のみを対象に、アーティストによるオンラインライブを開催。アーカイブ視聴もでき、電力をきっかけとしたアーティストとファンの接点を生み出すとしている。

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ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が新型コロナ感染事例は「店舗」「事業所」で急増と報告

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例が「店舗」「事業所」で急増と報告データインテリジェンス領域に特化したテックベンチャー「JX通信社」は4月15日、新型コロナウイルス感染事例が判明している施設の数とその内訳を公開した。同施設データを分析したところ、緊急事態宣言が解除された3月22日以降、感染が報告された施設数は飲食店やスーパーなどの「店舗」が639カ所、オフィスや工場・製作所などの「事業所」が234カ所に上り、医療施設や福祉施設を大きく上回っていることが判明した。

アルコールを含む飲食やフードコートなどマスクを外すシーンでの感染が多発していると想定されることから、改めて不要不急の外出を控え、うがい・手洗いの徹底、オフィスなど事業所ではリモートワーク・テレワークの徹底が重要と呼びかけている。

JX通信社では、国内トップレベルの新型コロナウイルス感染事例報告施設データを保有するとともに、感染事例が報告されている施設の情報を集約しマップにまとめ、ニュース速報アプリ「NewsDigest」(Android版iOS版)内で限定公開している。同マップに掲載された新型コロナウイルス感染事例が判明している施設は、4月13日午前8時時点で少なくとも2万5746カ所に上るという。

さらに、緊急事態宣言がすべて解除された3月22日以降に期間を絞って集計したところ、全国で1378カ所が確認できたそうだ。内訳は、飲食店で134施設、オフィスで126施設と、この2種類の施設だけで全体の2割弱を占めていた。

なお同マップ内の情報は、自治体・企業から発表されている情報を公益の観点から集約・整理したものに限られており、発信元が不明な情報は含んでいない。このため、すべての感染情報を網羅するものではないとしている。

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例は「店舗」「事業所」で急増と報告

大阪府大阪市の現状

大阪府大阪市について、3月22日以降感染事例が判明している施設数を24区ごとに集計した結果、オフィス街や飲食店などが密集している繁華街でキタ(北区)とミナミ(中央区)に感染事例が集中しているとわかった。不要不急の外出を一定期間控える、リモートワーク・テレワークで出社は控えるなどの外出制限により、感染の拡大が防げる可能性を示唆しているという。

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例が「店舗」「事業所」で急増と報告

東京都の現状

東京23区の場合は、大阪市のようにひとつの区に集中して感染が報告されておらず、千代田区を中心に都心部で満遍なく感染報告が上がっているという。

この状況で変異株による感染が広がると、都心を中心に一気に広がる可能性があるとし、今しばらくは、大阪同様に不要不急の外出を控えるなどの外出制限が必要としている。

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例が「店舗」「事業所」で急増と報告

JX通信社のNewsDigestは、ニュース速報や地震・災害速報のほか、鉄道情報など生活に必要な情報を伝えるライフライン型ニュース速報アプリ。

同アプリでは、新型コロナウイルス感染症について、自宅・勤務先近くの具体的な感染事例や、消毒の有無などの情報を誰でもマップ上で確認可能。ユーザーが感染者との接触のリスクを自ら確認できるようにするとともに、外出自粛や行動抑制を呼びかけているほか、無関係な店舗への風評被害・デマなどを防ぐ狙いがあるとしている。

JX通信社は、データインテリジェンス領域に特化したテックベンチャー。国内の大半の報道機関のほか官公庁、インフラ企業等にSNS発のリスク情報を配信する「FASTALERT」(ファストアラート)、一般消費者向けのNewsDigest、自動電話情勢調査などのサービスを提供している。新型コロナウイルス感染症をめぐっては、2020年2月16日より国内感染状況の統計をまとめた「新型コロナウイルス感染状況マップ」を公開し、各報道機関・メディア・研究機関にも情報提供を行っている。

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研究以外の業務で疲弊する日本の研究業界の効率化を図るバイオインフォマティクス解析「ANCAT」が4000万円調達

研究以外の業務で疲弊する日本の研究業界の効率化を図るバイオインフォマティクス解析プラットフォームの「ANCAT」が4000万円調達

バイオインフォマティクス解析プラットフォーム「ANCAT」を開発・提供するアンプラットは4月15日、第三者割当増資による総額4000万円の資金調達を発表した。引受先はANRI、DEEPCORE。また現在ANCATのβ版ユーザーを募集中で、多種多様な研究領域に対応するため、様々な領域の研究者からの問い合わせを受け付けている。

アンプラットによると、海外では実験設備の共用化や、PIとは別に管理運営を主業とするラボマネージャーの存在など、日本にはあまり取り入れられていない方法で研究の効率化がなされているという。同社は、こういった、研究者が研究に没頭できる環境を整えることが研究成果に直結すると指摘。

2021年2月設立のアンプラットは、ANCATを通して研究以外の業務で疲弊する日本の研究業界の効率化を図るとともに、海外へ事業を展開することで、日本の研究者と海外研究者とのつながりを強化し、研究環境のグローバルスタンダードの普及を目指すとしている。

研究以外の業務で疲弊する日本の研究業界の効率化を図るバイオインフォマティクス解析プラットフォームの「ANCAT」が4000万円調達

アンプラットは、研究業界における叡智創出のエコシステムの形成をミッションに掲げ、急速なIT化による研究者の専門性の希薄化や、労働効率の低下、業界特有の人材流動性の高さによるノウハウ継承の困難性の解消にコミットするソリューションカンパニー。

ANCATでは、各研究チームで所有している解析手法を登録しクラウド上で管理することで、解析の簡便化を図れるという。また、遺伝子解析という大規模になりがちなストレージやコンピューティングのランニングコストを抑えるとともに、任意の公開設定によって施設間連携も可能だ。

解析プラットフォーム「ANCAT」のダッシュボード(左)と解析登録画面(右)

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カテゴリー:バイオテック
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ソニーが「Xperia 1 III」発表、劇的進化の望遠カメラや世界初の4K 120Hz駆動ディスプレイ採用

ソニーが「Xperia 1 III」発表、劇的進化の望遠カメラや世界初の4K 120Hz駆動ディスプレイ採用

ソニーがXperiaシリーズのフラッグシップ「Xperia 1 III」を発表しました。デザインを前モデルから踏襲しているため、一見すると、前モデルの「Xperia 1 II」から大きく変わっていないようにも見えますが、カメラ・ディスプレイ・オーディオなど、Xperiaが得意とする機能が確実に進化しています。

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Xperia 1シリーズの3代目にあたるXperia 1 III。カメラ、ディスプレイ、オーディオを強化した

Xperia 1シリーズの3代目にあたるXperia 1 III。カメラ、ディスプレイ、オーディオを強化した

可変式レンズと大型イメージセンサーで望遠でも高画質に

まずカメラですが、「Xperia 1 III」では望遠カメラを大きく強化しています。望遠は70mm(光学2.9倍)と105mm(光学4.4倍)に切り替わる可変式望遠レンズを採用しています。

ペリスコープ構造で取り込んだ光を屈曲させることで距離を稼いでいる点は、他の望遠を売りにする端末と同じですが、その中のレンズがスライドすることで、倍率を切り替える仕様になっています。見た目的にはトリプルカメラですが、実質的にクアッドカメラとして使えるというわけです。

カメラは上から超広角・広角・望遠。望遠レンズはペリスコープ構造で、焦点距離を70mm(光学2.9倍)と105mm(光学4.4倍)から選択できる

カメラは上から超広角・広角・望遠。望遠レンズはペリスコープ構造で、焦点距離を70mm(光学2.9倍)と105mm(光学4.4倍)から選択できる

一般的にペリスコープ型の望遠カメラはレンズが暗くなり、画質がイマイチになりがちです。一方の「Xperia 1 III」はセンサーサイズが1/2.9と望遠カメラの中では大きめ。さらにレンズも70mmでF2.3、105mmでF2.8と明るめです。

日本向けの他の機種だと、例えば「Galaxy S21 Ultra」は光学3倍望遠がF2.4なのに対し、光学10倍望遠はF4.9。OPPOの「Find X2 Pro」は光学10倍望遠でF3.0と、高倍率は比較的暗めです。「Xperia 1 III」の望遠カメラは倍率こそ低めですが、メインカメラとの差分を減らし画質を強化していることがうかがえます。

70mmはF2.3、105mmはF2.8と明るいレンズを搭載。倍率は低いがセンサーサイズも望遠カメラとしては大きく、実用性が高いズームと言えそうだ

70mmはF2.3、105mmはF2.8と明るいレンズを搭載。倍率は低いがセンサーサイズも望遠カメラとしては大きく、実用性が高いズームと言えそうだ

70mmはF2.3、105mmはF2.8と明るいレンズを搭載。倍率は低いがセンサーサイズも望遠カメラとしては大きく、実用性が高いズームと言えそうだ

また、ズームレンズにもDual PDのセンサーを採用しているため、オートフォーカスのスピードが速いのも特徴です。単に望遠の倍率を追い求めるのではなく、望遠でも105mmまでに抑えながら、仕上がりのよさを重視しているのはXperiaらしいところです。

ちなみに、24mmの広角レンズはもちろん、16mmの超広角レンズにもDual PDのセンサーを採用しています。画素数は「Xperia 1 II」と同様に1200万画素に統一。こうした“デジカメらしさ”を追求しているのはXperiaならではと言えそうです。

デジカメらしい点では、「Xperia 1 III」から標準のカメラアプリが廃止され、カメラの操作はαの操作を模した「Photography Pro」に一本化されています。より正確に言えば、Photographyにスマホライクな撮影ができる「BASIC」モードを追加することで、標準カメラアプリを統合したというわけです。「Xperia 1 II」までは2つのカメラアプリに分かれてしまっていて、どちらを起動すればいいか迷うこともありましたが、統合によって操作性がシンプルになった格好です。

カメラアプリはPhotography Proに統一された。これまでの標準カメラアプリの代わりになるのが、BASICモードだ

カメラアプリはPhotography Proに統一された。これまでの標準カメラアプリの代わりになるのが、BASICモードだ

Photography ProのBASICモードでは、画面上にシャッターボタンが表示されます。動画撮影やインカメラでの撮影ができるのも、こちらのモード。標準カメラで必要とされていた機能を、ほぼ丸ごとBASICモードとしてPhotography Proに吸収させたことがうかがえます。

メリットとしては、これまで標準カメラで利用できなかった秒間60回のAF/AEや、リアルタイム瞳AFに対応している点が挙げられます。Xperiaのカメラ機能を引出しつつ、スマホ風の操作で写真を撮りたい人に向けたモードがBASICモードと言えるでしょう。

ディスプレイは世界初の4K 120Hz駆動に対応

次に、ディスプレイですが、こちらは従来からの4K HDRに加えて、120Hz駆動にも対応しました。ここまでの高解像度と、120Hzの高速駆動を両立させたのは世界初です。120Hz駆動だけなら、昨年発売された「Xperia 5 II」でも実現していましたが、あちらは解像度がフルHD+。対する「Xperia 1 II」は、4K HDR対応ながら、ディスプレイのリフレッシュレートは90Hz“相当”までしか上げられていませんでした。「Xperia 1 III」で晴れて4K HDRと120Hzに両対応できたというわけです。

世界初となる4K HDRでの120Hz駆動を実現

世界初となる4K HDRでの120Hz駆動を実現

さらに、「Xperia 1 III」では、ディスプレイの色ずれを個体ごとに補正するディスプレイキャリブレーションを実施しています。

キャリブレーションと言えば、最近では「Xperia PRO」、もう少しさかのぼると「Xperia 1 Professional Edition」でも行われていた作業ですが、どちらかいうと、プロ向け端末のための工程といった感がありました。出荷台数も多いであろう、フラッグシップモデルの「Xperia 1 III」は、これら2機種以上に手間がかかることは確かですが、個体ごとの違いがないというのは購入する側にとって安心感があります。

個体ごとに補正をかけるキャリブレーションを実施。ここまでやっていたのは、プロフェッショナル向けの端末だけだった

個体ごとに補正をかけるキャリブレーションを実施。ここまでやっていたのは、プロフェッショナル向けの端末だけだった

Xperia 1 II比でスピーカーの音圧が40%向上

カメラ・ディスプレイに続く3つ目の強化点はサウンドです。まず、ハードウェアとして、スピーカーの構造を見直し、音圧を「Xperia 1 II」比で40%向上させました。Dolby Atmosにも対応していますが、さらに、ソニー・ピクチャーズ エンタテイメントが独自のチューニングを施しているところはソニーグループならでは。スピーカーだけでなく有線イヤホン/ヘッドホン接続時の音圧も40%アップしています。

スピーカー、有線イヤホンともに、40%音圧がアップしている

スピーカー、有線イヤホンともに、40%音圧がアップしている

スピーカー、有線イヤホンともに、40%音圧がアップしている

さらに、本体のスピーカーだけで、360 Reality Audioを楽しむこともできます。対応するストリーミングサービスが「TIDAL」のみで、TIDALが日本でのサービスを展開していないため、実質的に日本では利用できない機能になってしまっているのは残念ですが、サービスインを期待したいところです。

これとは別に、通常のステレオ音源を立体化できる「360 Spatial Sound」にも対応しており、こちらはヘッドホンで楽しむことができます。

端末単体での360 Reality Audioに対応。ただし、対応サービスはTIDALのみで、実質的に日本では利用できない

端末単体での360 Reality Audioに対応。ただし、対応サービスはTIDALのみで、実質的に日本では利用できない

既存の楽曲を360度化する360 Spatial Soundにも対応

既存の楽曲を360度化する360 Spatial Soundにも対応

カメラ、ディスプレイ、オーディオと、ソニーの得意分野をさらに磨いた格好の「Xperia 1 III」ですが、スペックが底上げされている点も見逃せません。チップセットにはSnapdragon 888を採用。メモリ(RAM)は12GBと大容量です。ストレージ(ROM)は2パターンあり、地域によって256GBか512GBのどちらかが採用されるといいます。

スペック面で注目したいのは、ミリ波に対応したところ。これも地域に応じて対応の可否が変わるため、日本版がミリ波対応するかどうかは不明ですが、Sub-6のみだった「Xperia 1 II」からは大きな進化です。

主な仕様。Snapdragon 888を搭載し、一部国向けのモデルはミリ波に対応する

主な仕様。Snapdragon 888を搭載し、一部国向けのモデルはミリ波に対応する

ちなみに、Sub-6版とミリ波版ではアンテナ構造の違いから、本体デザインにも差分があるようです。具体的には、Sub-6版がアンテナ用のスリットが見える以下の写真のようなデザインなのに対し、ミリ波版は逆に継ぎ目がないように色が加えられているとのこと。

「iPhone 12」シリーズは、米国のみミリ波対応だった一方、側面にちょっと残念なアンテナが露出していましたが、「Xperia 1 III」の場合はミリ波版の方がよりソリッドなデザインに仕上がっていると言えるでしょう。

写真はSub-6版。Xperia 1 IIのときと同様、アンテナラインが見える。ミリ波版には、これがないという

写真はSub-6版。Xperia 1 IIのときと同様、アンテナラインが見える。ミリ波版には、これがないという

ただし、側面に関しては「Xperia 1 II」より1つボタンが増えています。ソニーによると、これはGoogleアシスタントボタンとのこと。「Xperia PRO」のように、アプリの割り当てはできないのは残念なお知らせです。ボタンに凹みがあり、かつカメラボタンには「Xperia 1 III」からエンボス加工が施されているため、押し間違えはなさそうですが、右側面がボタンだらけなのは少々いただけません。

Googleアシスタントボタンが増えてしまった

Googleアシスタントボタンが増えてしまった

Googleアシスタントボタンは、グーグルが一部メーカーに対して搭載するよう働きかけているという話を耳にしますが、当のグーグルが作るPixelにもないボタンなだけに、対応の一貫性には疑問が残ります。Googleアシスタントは声や画面の下の隅をフリックすれば呼び出せるため、専用ボタンまでは必要がない人も多いはず。せめてほかのアプリが割り当てられるようになっていれば……と思わざるをえませんでした。

背面ガラスのフロスト加工を全色へ拡大

デザインは「Xperia 1 II」に似ていますが、背面の処理を変え、差別化を図っています。「Xperia 1 II」はピカピカの光沢があったのに対し、「Xperia 1 III」はマットな手触り。「Xperia 1 II」のSIMフリー版にあったフロスト仕上げが全色に採用されています。

カラーはフロストブラック、フロストグレー、フロストパープルの3色で、発売は初夏を予定しているとのこと。日本ではキャリアの採用発表待ちですが、「Xperia 1 II」と同様、デュアルSIM対応のSIMフリー版にも期待したいところです。

カラーは3色。Xperia 1 IIのSIMフリー版が採用していたフロスト加工を3色で展開する

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(石野純也。Engadget日本版より転載)

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