フォードの電動ピックアップトラックF-150 Lightningの予約が12万件超え

Ford(フォード)と同社のベストセラー車両であるF-150ピックアップトラックは一貫してピックアップトラック所有者のブランド忠誠心を鼓舞してきた。J.D. Power 2020 U.S. Automotive Brand Loyalty Studyによると、Fordの顧客ロイヤリティ率は54.3%だ。そしていま、車両の電動化に動く中で、同社は新たな購入者を引き込んでいるようだ。

Fordは米国時間7月28日、2021年第2四半期の決算を発表した。現在も続く半導体不足にもかかわらず驚くべき収益をあげたことに加え、F-150 Lightning電動ピックアップトラックのプレオーダー件数が5月の発表以来、12万件に達したことを明らかにした。同社の2021年第2四半期の売上高は268億ドル(約2兆9360億円)と予想をわずかに下回り、純利益は5億6100万ドル(約615億円)だった。

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明確にしておくと、プレオーダーは注文ではなく、同社が今後販売する台数を正確に反映しているわけではない。顧客は払い戻し可能な100ドル(約1万1000円)のデポジットを払ってEVを予約できる。

しかしプレオーダーからは需要についての知見が得られる。

重要なことは、決算発表によるとこれらの新規オーダーの4分の3がこれまで同社車両に乗っていない客からのものであるということだ。決算発表時にCEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は、Lightningのプレオーダー5件のうち2件がICE(内燃エンジン)ピックアップとの交換になるとも述べた。

これはFordの販売に影響を及ぼす可能性があるばかりでなく、同社の最近のバッテリー製造進出の妥当性をも立証している。世界中の自動車メーカーがセル会社や化学会社とのバッテリー合弁事業に関わっていて、Fordも例に漏れない。同社は米国でのバッテリーセル製造でSK Innovationと提携していて、電動化のための300億ドル(約3兆2865億円)の投資の一環としてミシガン州にR&Dセンターを建設中だ。

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販売増はまた、Fordがかなりの投資を約束している、埋め込まれた電動アーキテクチャのアップグレードを支える。ファーリー氏によると、これによりFordはずっと簡単に今後発売するEVをアップデートでき、新たなコネクテッド機能を使えるようにすることができる。

「ですので、我々が電気自動車のアップグレードについて語るとき、電気自動車のツーリングとエンジニアリング、部品、推進力への投資以上の基礎的なものなのです」とファーリー氏は決算会見で話した。「また、埋め込まれたソフトウェアとハードウェアのシステムへの完全に新しいアプローチも含まれています」。

F-150 Lightningは、基本価格4万ドル(約440万円)超を喜んで払う新規顧客に魅力的に映る多くのアップグレードをともなう。ガソリンで走るモデルと同じトルクとパワーを備え、加えてハンズフリーのADAS BlueCruiseシステム、包括的なインフォテイメントユニット、停電時に家に給電できるだけの容量を持つバッテリーも持つ。

ファーリー氏は決算会見で、価格が2万ドル(約220万円)〜のコンパクトなハイブリッドピックアップである新Ford Maverickの注文がすでに8万件近く入っていることも明らかにした。このモデルは、必ずしもピックアップトラックを求めているわけではないものの、実用性にひかれている人向けのものだ。

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「当社の初の大量生産EVに対する需要は明らかに当社の楽観的な予測を上回りました」とファーリー氏は述べた。「当社はいま、制限をなくしてこれら最新のバッテリーで動くEVの生産能力を増やすために懸命に取り組んでいます」。

決算によると、米国顧客の電動Mustang Mach-Eの注文と他のFord車両の販売の合算は、2020年同時期の7倍超だった。需要の高まりを受け、半導体の供給が安定したとき事業は「バネ仕掛け」でリバウンドする、とファーリー氏は述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford電気自動車トラック決算発表

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックが予想を上回る第2四半期決算を発表、今後は広告事業への「逆風」を警告

Facebook(フェイスブック)は、第2四半期の決算を米国時間7月28日に発表した。その売上高は290億ドル(約3兆1800億円)と、アナリストの予想を上回った。

この世界最大のソーシャルメディア企業は、2021年度の第2四半期の売上高が、前年同期の186億ドル(約2兆400億円)から50%増となる278億ドル(約3兆500億円)と予想されていた。1株当たり利益は3.61ドル(約396円)と、こちらも予想を上回った。

新型コロナウイルスの世界的流行に見舞われた1年を経て、経済的に半正常な状態に戻った最初の決算期に、Facebookは予想通りユーザー数の増加を達成させた。3月末時点で、Facebookは各アプリのネットワーク全体で28億5000万人の月間アクティブユーザーを抱えていた。第2四半期末(6月30日)の時点では、月間アクティブユーザー数はほぼ予想された通りの29億人となっている。

米国時間7月28日の朝、375ドル(約4万1200円)で始まった同社の株価は、決算発表後に360ドル(約3万9500円)まで下落した。

好調な四半期を終えたにもかかわらず、Facebookは今後の変化について警告している。これはすなわち、今四半期の売上高290億ドルのうち285億ドル(約3兆1300億円)を占める巨大な広告事業が受ける影響の件だ。Facebookは同社の事業を脅かすものとして、特にApple(アップル)のモバイルOSに導入されたプライバシー機能を強化するアップデートを挙げている。

「2021年には、規制やプラットフォームの変更による広告ターゲティングの逆風が強まると、私たちは引き続き予想しています。特に最近のiOSのアップデートは、第2四半期よりも第3四半期に大きな影響を与えるでしょう」と、同社は投資家向け報告で見通しを述べている。

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FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同社の投資家向けオンライン会見で、広告収入への依存度を下げる計画を指摘。コンテンツクリエイターを惹きつけ、支援するための取り組みを拡大していること、特にeコマースに関する計画について述べた。「当社のプラットフォームを、クリエイターが生計を立てるための最良の場所にしたいと考えています」と、ザッカーバーグ氏は語り、2023年からクリエイターツールの収益化を開始する計画があることを明らかにした。

ザッカーバーグ氏はまた、VRを使ったソーシャル体験に対するFacebookの壮大な野望も強調し「バーチャルリアリティは、ソーシャルなプラットフォームになるでしょう。だからこそ、私たちはそれを構築することに集中しているのです」と語った。

このオンライン会見の中で、ザッカーバーグ氏は、バーチャルリアリティをベースとしたソーシャルネットワークでは、衣服やアバターなどのデジタル商品を収益化することが可能だというFacebookの見通しについても語った。Facebookは、バーチャルなソーシャルネットワークが相互に接続されたウェブの概念を「metaverse(メタバース)」と呼んでいる。これは、1992年に出版されたNeal Stephenson(ニール・スティーヴンスン)の未来派SF小説「Snow Crash(スノウ・クラッシュ)」に因んだものだ。

Facebookが水曜日にどのような報告を予定していたかに関係なく、同社が財務的に強大な存在であることに変わりはない。西洋諸国での悪評やユーザーの不信感は、同社の収益を悪化させるほどのものではなく、同社の広告事業は相変わらず市場を圧倒しているように見える。米国で意義ある反トラスト法改正が行われたり、競合他社が急成長しない限り、Facebookの行く手を阻むものはほとんどない。前者については、議会の党派的な対立を考えると、ホワイトハウス関与しているとはいえ、未だ望みは薄いかもしれない。しかし後者については、Facebookにもついに脅威が迫っている。

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これまで長年の間、Facebookに適当な競合となるソーシャルメディアプラットフォームが現れるとは、想像が難しかった。市場を支配している同社には、競合他社を買収したり、そのイノベーションを大胆にコピーする悪癖があったためだ。しかし今、TikTok(ティックトック)がまさにそんな存在になりつつあることは明らかだ。YouTube(ユーチューブ)は巨大だが、Facebookとは並行して共存しながら成熟し、互いに補完的な体験を提供しているため、脅威となるような直接的な競合ではなかったのだ。

調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)のデータによると、TikTokは2020年7月に月間アクティブユーザー数が7億人に達し、2021年7月初めには全世界でのダウンロード数が30億回を超えた。これはFacebook傘下ではないアプリとしては初の快挙だ。もし、この中毒性の高い短編動画アプリが、若いユーザーがInstagram(インスタグラム)をはじめとするFacebook傘下のプラットフォームに費やしている長い時間の一部をうまく吸い上げ、その過程において企業にとっても快適なホームとなることができたら、メンロパークから出てきた青い巨人はついに寝不足になるかもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook決算発表広告クリエイター収益化VRメタバース

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Shopifyの第2四半期売上高は前年同期比57%増、新型コロナでeコマースが好調

カナダのeコマース大企業Shopify(ショッピファイ)は現地時間7月28日、第2四半期決算を発表した。Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)の決算発表後の時間外取引と同じく、同社の株価は予想を上回る決算内容に対して控えめに反応している。

Shopifyの2021年第2四半期の売上高は11億2000万ドル(約1228億円)で、前年同期比57%増だった。同社のサブスクプロダクトの売上高は同70%増の3億3420万ドル(約366億円)で、その一方で販売サービスの総収入はボリュームが増えたことで同52%増の7億8520万ドル(約861億円)に達した。

投資家らは売上高10億5000万ドル(約1151億円)を予想していた

Shopifyはまた、巨大な利益も計上した。実際、総売上高11億2000万ドルからGAAPで純利益8億7910万ドル(約964億円)を生み出した。どうやって可能にしたのか。とんでもない額の収益は、部分的には株式投資に関連する7億7800万ドル(約853億円)もの含み益によるものだ。しかしそうした収益がなかったとしても、同社の2億8460万ドル(約312億円)という修正後純利益は前年同期の1億2940万ドル(約141億円)の2倍超だ。同社の1株あたり利益は含み益なしで2.24ドル(約245円)で、予想されていた97セント(106円)を大きく上回った。

決算発表後、同社の株価上昇率は1%にも満たない。

テック大企業の決算が予想を上回ったことに対する控えめな反応を考えると、主要テック企業の第2四半期決算が予想を上回ると投資家が見込んでいたことが明らかになっている。テック企業の決算が予想を上回るのはそれぞれの発表前に織り込み済みだった。

Shopifyの四半期決算の残りの数字はいずれも大きなものだ。2021年4〜6月の同社の流通取引総額(GMV)は422億ドル(約4兆6310億円)で前年同期比40%増だった。この額は予想を10億ドル(約1097億円)超上回った。そして同社の月次経常収益(MRR)は同67%増の9510万ドル(約104億円)だった。

Shopifyの成長は続くと思われている。年換算売上高を算出するのに第2四半期決算の売上高を使うと、同社の評価額は現在の総収入の43倍となる。これは、投資家のお気に入りであるリカーリングソフトウェア料から売上を生み出す企業にとってアグレッシブだ。その代わり、投資家は同社のGMVベースのサービス売上高と従来型のソフトウェア収入の組み合わせに対し事実上の最高額を支払うことに満足しているようだ。

eコマースの成長が続いていることでマーケットが強気であることを考慮して欲しい。

Shopifyの競合相手で同じく公開企業であるBigCommerce(ビッグコマース)の8月上旬の決算発表への反応がどのようなものになるのか興味深いところだ。Shopifyの決算を受けてBigCommerceの株価は3%以上上昇した。Shopifyに対するマーケットの反応を考えると皮肉かもしれない。もちろん、市場は平等ではない。

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アップルの第3四半期決算はiPhoneと各種サービスが牽引し36%増、ただし翌四半期の鈍化予想も
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shopify決算発表eコマース

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルの第3四半期決算はiPhoneと各種サービスが牽引し36%増、ただし翌四半期の鈍化予想も

Apple(アップル)にとってこの四半期もすばらしいものだった。売上高は814億ドル(約8兆9400億円)と、前年同期比で36%の増加であり、ウォール街が予想した733億ドル(約8兆500億円)を大幅に上回った。

「当社の4〜6月期の営業成績は、各地域セグメントで売上高の新記録を達成し、各製品カテゴリーで2桁の成長を遂げ、アクティブ端末数はインストールベースで過去最高を記録しました」と、Luca Maestri(ルカ・マエストリ)最高財務責任者(CFO)はリリースの中で述べている。「当四半期には、210億ドル(約2兆3000億円)の営業キャッシュフローを生み出し、290億ドル(約3兆2000億円)近くを株主に還元しました。そして長期的な成長計画を支えるために事業全体にわたって多額の投資を継続しました」。

すべてにおいて同社にとって好調な数字が並んでいるが、引き続きこれらを牽引したのはiPhoneの販売とサブスクリプションサービスだ。これまで同社の四半期決算を追ってきた人にとってはお馴染みの話だろう。

iPhoneの売上高は、260億ドル(約2兆8600億円)から395億ドル(約4兆3400億円)に増加した。これは、同社が待ち望んでいた5G回線の導入が、引き続き強みを発揮したことによるものだ。一方、サービスによる売上高は131億ドル(約1兆4400億円)から175億ドル(約1兆9200億円)に増加。アップルはサービスの拡大を続けており、現在はApple Music(アップル・ミュージック)、Apple TV+(アップルTVプラス)、iCloud(アイクラウド)、Apple Arcade(アップル・アーケード)、News+(アップル・ニュース・プラス)、Fitness+(アップル・フィットネス・プラス)などのサービスを提供している。同社は明らかに、サブスクリプションサービスの取り揃えを収益モデルの将来像と見なしている。

この第3四半期に中華圏はアップルにとって強力な市場であることが証明された。同地域の売上高は147億6000万ドル(約1兆6210億円)と、前年同期比50%以上の増加となった。一方、米州地域では270億ドル(約2兆9650億円)から358億9000万ドル(約3兆9410億円)に増加した。

Tim Cook(ティム・クック)最高経営責任者(CEO)は決算報告の中で、新型コロナウイルス関連の問題に言及し、同社のより広範な社会的関心を強調した。

「当四半期、私たちのチームは比類なき革新を続け、テクノロジーを使ってあらゆる場所の人々をつなぐことがかつてないほど重要になっている中、パワフルな新製品をユーザーのみなさまにお届けしました」と、アップルのティム・クックCEOは語った。「私たちは、新しい世代の開発者にコードを学ぼうとするやる気を奮起させ、2030年の環境目標に近づき、より公平な未来を築くための切迫した課題に取り組むことで、私たちを定義する価値観をすべての製品に吹き込むための取り組みを、引き続き推し進めていきます」。

同社は、新型コロナウイルス流行による不確実性を理由に、業績見通しの提示を今回も断った。しかしながら、引き続き行われた投資家たちとの電話会見で、マエストリCFOは「収益の成長は第3四半期よりも低くなると予想しています」と言及し、その理由として、米ドルとの為替レート、各サービスの成長率の鈍化、ハードウェア製品に影響を及ぼす半導体不足など、さまざまな問題を挙げた。

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カテゴリー:その他
タグ:Apple決算発表iPhoneTim Cook

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Alphabetが第2四半期決算で予測超え、Google Cloudが売上54%増で損出減少

主要テクノロジー企業の決算報告が相次ぐ中、Alphabet(アルファベット)は米国時間7月28日株式市場終了後に第2四半期決算を発表した。検索・サービスの巨人は、2021年6月30日締め四半期に619億ドルの売上を計上し、純利益は185億ドル(約2兆300億円)、1株当たり利益は27.26ドルだった。売上は62%増、純利益は166%増だった。もちろんこれはパンデミックに影響された2020年第4四半期との比較だが、それでもこの成長は注目に値する。

Androidメーカーの結果は、予想を打ち砕いた。ウォール街はGoogle(グーグル)の親会社の売上を560億ドル(約6兆1500億円)、1株当り利益を19.14ドルと予測していた。しかし時間外取引でのAlphabet株の値上がりは1桁パーセント前後であり、Microsoft(マイクロソフト)の公式予想売上を上回る結果に対する市場の静かな反応と似ている。

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Alphabetはいくつか変動要素を持つ会社なので、もう少し数字を分解してみよう。

YouTubeの売上70億ドル(約7700億円)は対前年比84%増だ。これはYouTubeの年齢を踏まえると率直にいって好調な結果だ。それでも、ライバルサービスに食われるまでにどれほど多くの広告をYouTubeに載せられるのかは気になるところだ。別の報告でYouTubeは、YouTube Shorts(ユーチューブ・ショート)が「日間グローバルビューが150億回を超えた」ことを発表した。2021年3月に詳しく伝えられた日間ビュー65億回の131%増だ(誰もがTikTokを食べたがっているらしい)。

Google Cloud(グーグル・クラウド)の売上は46億ドル(約5050億円)、対前年比54%増だった。この成長率はMicrosoftが同社のクラウド製品であるAzure(アジュール)について報告した数字よりわずかに大きい。しかし、Microsoftの売上規模はGoogleよりも大きいと考えられているため、投資家はAlphabetの報告よりも大きい成長率を期待していたのかもしれない。Google Cloudは営業損失を1年前の第2四半期の14億ドル(約1540億円)から、今四半期の5億9100万ドル(約650億円)へと縮小した。これは素直に良い結果だ。

Other Bets(その他の投資)部門では売上が上昇した!ただし損失も。Alphabetのskunkworks(最先端技術開発)グループは売上1億9200万ドル(約210億円)を計上し、1年前の1億4800万ドル(約160億円)を上回った。しかし、さまざまな試行錯誤は四半期で14億ドルを失い、前年同期の11億ドル(約1210億円)より悪化した。

営業利益194億ドル(約2兆1300億円)には、Other Betsコストセンターが「含まれている」ため、Alphabetは将来の形ある売上につながるプロジェクトに余裕をもって投資し続けることができる。

しかし、AlphabetのGoogle主要サービス(検索、YouTubeなど)以外のすべての部分が同四半期で損を出している。

>画像クレジット:Alphabet

しかし、真実はAlphabetが報告した2020年第2四半期から2021年第2四半期にかけての壮大な営業利益増だ。営業利益の加速ぶりを見て欲しい!これは少々混乱させるわかりにくい内容だ。

その他の注目ポイント。Googleの株式再購入プログラムは一部変更されたが、一般投資家に影響を与えるものではない。というわけでAlphabetの決算報告記事は、今のところ時間外取引で株価を上げることはできていないが、1兆7500億ドル(約192兆1500億円)を超える時価総額を守るのに十分な好成績だった、としておこう。

巨大テック企業にとってすばらしい時だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AlphabetGoogleGoogle Cloud決算発表YouTube

画像クレジット:Michael Short/Bloomberg / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトの第2四半期は47%増益、クラウド事業が過去最高の業績

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間7月27日の取引開始直後に、2021年第2四半期に相当する会計年度2021年第4四半期の決算を発表した。売上高は462億ドル(約5兆767億円)、純利益は165億ドル(約1兆8131億円)、1株あたり利益は2.17ドル(約238円)だった。売上高は前年同期比21%増だったが、純利益はさらに魅力的な同47%増だった。

同社の決算内容は予想を上回った。Yahoo Financeのレポートでは売上高は441億ドル(約4兆8460億円)、1株あたり利益は1.90ドル(約208円)を予想していた。決算発表後、Microsoftの株価は下落した。おそらく、いわゆるウィスパー・ナンバー(非公式の1株あたり利益予測業績予測のこと)を欠いていたためだろう。Microsoft株はこのところ上場来高値で取引されていたこともあり、時間外取引で3%下落している。テック株の同日の通常時間内での取引は全般的に弱く、Microsoftは企業価値を1%弱減らした。

同社は非常に大きな会社であり、今回のトップレベルの決算はわかりづらい。詳細をさらに見てみよう。

まず、同社のクラウドコンピューティングプラットフォームであるAzureの売上高は前年同期比51%増となった。同社によると、通貨の変動を除くとこの数字は45%になるとのことだ。初期分析では、51%という成長はAzureに関するものとしては会計年度2020年第3四半期(2020年第1四半期)以来、最高となった。

そうした観点から、Azureの過去3カ月の成長はほとんど文句のつけようがない。

残りの部門の主要3部門の売上高の成長は以下の通りだ。

  • インテリジェント・クラウド:30%増、部分的にはAzureの成長によって押し上げられた
  • プロダクティビティとビジネスプロセス:21%増、LinkedIn(46%増)とDynamics 365 CRMプロダクト(49%増)が牽引
  • パーソナル・コンピューティング:9%増、検索(53%増、トラフィック獲得コストを除く)が牽引

Microsoftの売上高レビューで弱点を見つけるのは難しい。消費者向けOfficeの売上高は18%増え、これはどちらかというとやや控えめな数字だ。Windows OEMの売上高は3%減、Surfaceの売上高は20%減だった。

しかしそうした取るに足りない数字は、同社の全体的な成長像と巨大な収益性を踏み潰すには十分ではなかった。Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏の会社はどれくらい儲かっているのか。Microsoftは自社株買いで104億ドル(約1兆1425億円)を費やし、直近の四半期に割り当てた。正直にいうと、いくぶん紛らわしい金額だ。そしてこの点について、なぜMicrosoftが自社株を買い戻すのか我々は少し困惑している。同社の時価総額は2兆ドル(約219兆7330億円)を少し上回り、同社がかなりの費用をかけて徐々に株式の数を減らすことができることをせいぜい意味するくらいだろう。もちろん、もっといい金の使い方はあるはずだ。

にもかかわらず、同社の決算内容は、驚くほど巨額で儲けの多い決算内容となった巨大テック企業の最近の勢いがまだ終わっていないことを示している。これは広範にはテック企業に対する信頼を投資家に与えるのに役立つかもしれない。スタートアップにとって悪いことではないだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Microsoft決算発表Microsoft Azure

画像クレジット:NICHOLAS KAMM / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

ついにテスラの太陽電池・エネルギー貯蔵事業が売上原価を超える、売上げ約882.6億円

Tesla(テスラ)は、電気自動車の販売を主な収益源としているが、最新の四半期業績報告書の中では、エネルギー貯蔵と太陽光発電事業の成長が確認できる。

テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、エネルギー貯蔵製品のために十分なチップを入手できれば、同部門への需要はさらに明るくなるという。

テスラは米国時間7月26日、太陽光発電、家庭・企業向け蓄電装置Powerwall(パワーウォール)、大規模蓄電装置Megapack(メガパック)の3つの主要製品を含む、発電・蓄電事業から8億100万ドル(約882億6000万円)の売上を発表したが、これは120億ドル(約1兆3200億円)近くある総売上のほんの一部に過ぎない。小さいながらも、この部門は蓄電や太陽光発電の販売を強化している。この部門の売上は前四半期比で62%増え、2020年の同四半期比では116%以上の伸びを示している。テスラは太陽光発電とエネルギー貯蔵の売上を分けていない。

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さらに重要なことは、太陽電池・エネルギー貯蔵事業の売上原価が7億8100万ドル(約860億5000万円)であったことだ。すなわちエネルギー貯蔵関連製品の生産・販売にかかる総コストが、初めて売上額を下回ったことを意味する。これは良いニュースだ。

当然のことながら、総設置量も増加している。テスラは、2021年第2四半期に、前年同期比205%増の1274メガワット時(MWh)のエネルギー貯蔵装置を設置した。また、2021年の第2四半期に設置された太陽光発電量の合計は85MWhで、2020年第2四半期から214%増加している。補足すると、テスラの太陽光発電とエネルギー貯蔵の総設置量は、2019年第2四半期と2020年第2四半期の数字を比較するとほぼ横ばいだった、これはパンデミックによってビジネスが全般的に停止したためと思われれる。

大事なのは売上の伸びだ。2019年、テスラは太陽光発電とエネルギー貯蔵事業からの売上を3億6900万ドル(約406億6000万円)と報告した。2020年第2四半期時点での売上は停滞し、同事業からの収益は3億7000万ドル(約407億7000万円)にとどまった。今回の四半期は、2019年と2020年の同じ四半期にテスラが達成した売上の倍以上の数字となった。

何が変わったのだろう?新型コロナウイルス以外にも、テスラはいくつかのMegapackプロジェクトが稼働し始めていることや、太陽光発電とPowerwall(パワーウォール)を組み合わせた製品の人気が高まっていることを指摘している(太陽光発電設備を設置せずにPowerwallを注文することはできなくなった)。またテスラのウェブサイトに掲載されている概算によると、Megapack1台の価格は税抜きで約120万ドル(約1億3000万円)だ。テスラによれば、いくつかの州では、最も早い納入が2023年になるという。

だが、テスラのエネルギー貯蔵事業は困難に直面している。マスク氏によると、Megapack、Powerwallともに需要が供給を上回っており、バックログが増えているのだ。世界的なチップ不足のため、その需要に応えることができないのだという。

テスラは、Powerwallに自動車と同じチップを使用しており、マスク氏は、供給が少ない間は自動車を優先すると表明している。

マスク氏は業績説明会で「この大幅な不足が解消されれば、Powerwallの生産を大幅に増やすことができます」と語っている。「来年には、Powerwallを年100万台のペースにできるチャンスがあると思います、おそらく週に2万台のペースということです。繰り返しますが、セルの供給や半導体に依存します【略】世界が持続可能なエネルギー生産に移行する中で、太陽光や風力が注目されていますが、その不安定さを考えると、安定した電気を供給するためにはバッテリーパックが必要なのです。そして、世界中の電力事業を見れば、膨大な量のバックアップバッテリーを必要としていることがわかります」。

マスク氏は、長期的には、テスラと他のサプライヤーが蓄電需要に対応するためには、合わせて年間1000〜2000GWhが必要になると述べている。マスク氏によると、同社はセルサプライヤーに2022年に供給量を2倍にするよう要請しているが、この目標はサプライチェーンの問題に左右されるとマスク氏は注意を促している。現在の同社の戦略は、セルの供給をオーバーシュートさせて、それをエネルギー貯蔵製品に振り向けるというものだが、チップが不足した場合と同様に、その場合でも自動車の生産が優先されるだろうとマスク氏は述べている。

バッテリー計画

バッテリーの話題は、開発中の4680バッテリーに集中していたが、マスク氏は、安価なLFP(リン酸鉄リチウムイオン)を一部の製品に利用したいというテスラの意図にも触れた。具体的には、すべての固定蓄電池を鉄系電池に移行し、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーやニッケル・コバルト・アルミニウムバッテリーから撤退する可能性が高いということだ。

「おそらく3分の2が鉄、3分の1がニッケルになるのではないかと思います」とマスク氏はテスラの計画について語った。「実際これは良いことなのです、なにしろ世界には膨大な量の鉄がありますから。一方、ニッケルとコバルトは非常に少ないのです」。

ニッケル系として残る3分の1のバッテリーは、より長距離巡航型の電気自動車に使用される。また、その他のEVもすべてLFPバッテリーに移行するが、これは中国で生産している車両ではすでに行われている。

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カテゴリー:ハードウェア
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

Teslaの第2四半期の純利益は過去最高の約1257億円、決算好感で株価も上昇

Tesla(テスラ)は米国時間7月26日、第2四半期の純利益が11億4000万ドル(約1257億円)だっと発表した。アナリストの予想を上回り、同社の四半期利益(GAAPベース)としては初めて10億ドルを超えた。この決算内容を受けて同社の株価は時間外取引で2.2%上昇した。

サプライチェーン問題とビットコイン投資での損失を抱えたにもかかわらず、業績は予想を上回り、8四半期連続で黒字を達成した。営業利益は生産増とコスト削減により前年同期の3億2700万ドル(約360億円)から13億ドル(約1433億円)に増えた、と同社は述べた。そうした業績は部分的に営業経費の増加やサプライチェーン問題、規制クレジット収入減、前述のビットコイン関連の2300万ドル(約25億円)もの減損で相殺された。

サプライチェーン問題、特に世界的な半導体チップ不足と港の混雑が第2四半期の事業に影響した2大要因だった。Teslaはサプライチェーン問題が引き続き事業と2021年の納車台数増加率に影響を及ぼす、と指摘した。

「グローバルで記録的水準の車両需要があり、部品の供給は2021年残りの納車台数増加率に大きな影響を及ぼす」と株主向けのリリースで同社は説明した。

売上高は119億6000万ドル(約1兆3188億円)と2020年第2四半期の60億4000万ドル(約6660億円)から100%近く増えた。2021年第2四半期の売上高は、前四半期の103億9000万ドル(約1兆1457億円)も上回った。Factsetの調査対象のアナリストは売上高114億ドル(約1兆2571億円)、純利益6億ドル(約661億円)を予想していた。

同社の自動車関連の売上高は102億ドル(約1兆1248億円)だった。注目すべきことに、そのうち規制クレジット収入は3億5400万ドル(約390億円)にとどまり、これは前四半期より17%少なく、過去4四半期の中で最も少なかった。一方、自動車関連の粗利益は前年同期比28.4増%と過去最高となった。

11億4000万ドルという純利益は2020年同期の1億400万ドル(約114億円)から1000%近い増加だ。過去最高となった今期の数字は2021年第1四半期の4億3800万ドル(約483億円)の3倍近くだ。調整後EBITDAでは22億4000万ドル(約2470億円)で、前年同期の12億1000万ドルから100%近い増加となった。

Teslaによると、現金および現金同等物の四半期末残高は162億ドル(約1兆7856億円)に減った。減少は主に負債総額と16億ドル(約1764億円)のファイナンスリース返済によるもので、部分的には6億1900万ドル(約682億円)のフリーキャッシュフローと相殺された。

同社は7月初め、第2四半期に20万6421台を生産したと発表した。そのうち20万1250台を納車し、第1四半期に比べて9%近く増えた。

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タグ:Tesla決算発表

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Snapが4年ぶりに最高の四半期を迎えた

2021年、Snapchat(スナップチャット)をより頻繁に使うようになったのは、あなただけではない。先に開催された第2四半期業績説明会で、Snap(スナップ)のCEOであるEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は、プラットフォームの売上高とデイリーアクティブユーザー数が過去4年間で最高の伸び率で増加したことを発表した。現在、Snapchatのデイリーアクティブユーザー数は2億9300万人で、2020年から23%増加している。

Snapは2017年に240億ドル(約2兆6530億円)の評価額で上場したが、その少し前に、Instagramが当時のSnapの独自機能であるStories(ストーリーズ)をクローンしてしまうという大変な苦難を経験した。Instagram Stories(インスタグラム・ストーリーズ)の開始後、Snapchatの成長は82%も低下した。そして、Snapchatがアプリのインターフェイスを一新すると、女優のKylie Jenner(カイリー・ジェンナー)氏が「もうSnapchatは使わない」とツイートし、同社の評価額は12億ドル(約1327億円)も下落した。

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しかし、Snapchatは持ちこたえ、カムバックを果たした。その収益は、2020年の第4四半期に過去最高の9億1100万ドル(約1007億円)に達した後、次の四半期には7億7000万ドル(約851億円)にまで落ち込んだ。そして2021年第2四半期になり、Snapchatの収益は、これまでの最高額を超えて9億8200万ドル(約1086億円)に達したのだ。

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この第2四半期のアプリの成長は、パンデミックの最中に支出を減らした広告主が戻ってきたことと、ロックダウン中にアプリに集まってきたユーザーがそのまま使い続けていることによるものだ。多くのソーシャルメディアと同様に、Snapchatもパンデミックの間に収益とユーザー数を伸ばしたが、これは単に、ユーザーたちが卒業したアプリを再び利用しているという意味ではない。TikTokが爆発的に普及し、クリエイター経済が活性化する中で、SnapchatはTikTokのクローンであるSpotlight(スポットライト)を開発し、拡張現実のアプリケーションに投資することで対応を続けた。

スピーゲル氏は「この四半期は、AR(拡張現実)プラットフォームで大きな進展がありました」と述べている。「毎日平均して2億人以上のSnapchatユーザーのみなさんがARを使い、20万人以上のクリエイターの方々がLens Studio(レンズスタジオ)を使ってコミュニティのためにARレンズを提供なさっています」。

2021年6月、Snapchatは、ユーザーをピクサー映画のキャラクターのように見せる「Cartoon 3D Style Lens」(カートゥーン3Dスタイルレンズ)で話題になった。スピーゲル氏はこのレンズについて「Snapchatの内外で話題になるレンズの力を見せつけた」機能だと述べている。しかし、Snapchatは楽しい顔フィルターだけでなく、ARを使ってeコマースのパートナーにも訴求している。このアプリは、Walt Disney World(ウォルトディズニーワールド)、Smile Direct Club(スマイルダイレクトクラブ)、Zenni Optical(ゼニオプティカル)、e.l.f. Cosmetics(e.l.fコスメティクス)、Ralph Lauren(ラルフローレン)などのAR体験を開発してきた。こうした機能には、時計、ジュエリー、アイウェア、ハンドバッグ、メイクアップ、そして洋服の試着なども含まれている。Snapchatは、5月に開催されたパートナーサミットで、ユーザーが友人の服装をスキャンして、似たようなスタイルのおすすめのショッピング情報を見つけることができるようにするアップデートを公開した。

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SnapchatにARとカメラを活用したコマース重視の新機能追加

SnapのチーフビジネスオフィサーであるJeremi Gorman(ジェレミ・ゴーマン)氏は「当社の技術を発展させ、ARの普及を促進するためには、まだまだ多くの課題がありますが、カメラの長期的な可能性に投資し続ける当社のパートナーの皆さまが、手にしている結果には感動しています」と述べている。「私たちは長期的な可能性に自信を持っていますし、拡張現実によるショッピングや商取引を倍増させることに興奮しています」。

3月にSnapは、ベルリンに拠点を置くスタートアップ企業Fit Analytics(フィットアナリティクス)を買収した。Fit Analyticsは、買い物客がオンラインショッピングで適切なサイズの服や靴を見つけられるようサポートする企業だ。SnapのARへの投資と組み合わせることで、いずれはARで服のサイズを確認して注文できるようになるかも?このような技術の応用は、特に10代の若者の摂食障害の割合が増加している中では、注意深く対応する必要がある。

eコマース以外にも、SnapchatはHBO Max(HBOマックス)やUniversal Music Group(ユニバーサルミュージックグループ)などのエンターテインメント企業との戦略的パートナーシップを模索し、AR体験ができるメガネSpectacles(スペクタクルス)の開発をさらに強化している。もちろん、FacebookもARグラス を開発している。両社にとって、Snapの最近の成功は、AR体験の普及と価値の高まりを示しているのだ。

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タグ:SnapSnapchat決算発表

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

英フィンテックRevolutの2020年売上高は前年比57%増の約398億円

フィンテックスタートアップのRevolut(レボリュート)が決算を発表し、報道機関にも詳細を明らかにした。同社の2020年の売上高は3億6100万ドル(約398億円)で、2019年の2億2900万ドル(約252億円)から57%増だった。

興味深いことに、そうした数字には暗号資産(仮想通貨)のアセットでの公正価格の上昇が反映されている。つまり、Revolutが貸借対照表上、暗号資産を有していることを意味する。同社は暗号資産アセットで5400万ドル(約60億円)増やした。

粗利益は1億7000万ドル(約187億円)に達した。と同時に、同社は損失も計上している。特に2020年第1四半期は不振で、調整後の営業損失は7600万ドル(約84億円)だった。

2020年の調整前の営業損失は2億7700万ドル(約305億円)に達した。他の多くのテック企業と同様、営業損失においては一般管理費が大きな割合を占める。従業員2200人を抱える同社は一般管理費だけで3億6700万ドル(約405億円)だった。しかし状況は改善しているようだ。

こうした傾向は、筆者が以前書いたように2020年にフィンテックスタートアップが収益性と利ざやの改善に注力していたことを考えると驚くことではない。2020年末時点でRevolutの個人顧客は1450万人で、50万社がRevolut Businessを活用していた。

「2020年の特殊な環境がデジタル金融管理へと駆り立てましたが、当社は顧客の財務面でのやり取りを簡単なものにして日常使用を加速させるべく、刷新を続けます。当社は新たに24のリテールとビジネスの商品を立ち上げ、米国、日本、オーストラリアに進出し、リトアニアで銀行サービスを開始しました。その間、収益性を大幅に改善しました」と創業者でCEOのNikolay Storonsky(ニコライ・ストロンスキー)氏は声明文で述べた。「急成長に向けた軌道をさらに確かなものにする、これまで以上に逆境に強く、生産的なビジネスで2021年をスタートさせました」。

2020年第1四半期と2021年第1四半期と比較したとき、様子は大きく異なる。2021年第1四半期の売上高は前年同期比130%増となり、粗利益は300%成長した。

Revolutは売上源を多様化するために数多くのプロダクトを立ち上げてきた。現在アカウント、デビットカード、取引サービス、保険商品、プレミアムサブスク、暗号資産取引などを展開し、金融スーパーアプリになりつつある。

カード決済の売上交換手数料からの収入が同社の売上高のかなりの割合を占めているのは興味深い。2020年のカードと手数料の売上高は1億3100万ドル(約140億円)だった。Revolutの顧客がカードで購入するたびに、カードスキーム(VisaあるいはMastercard)によってRevolutに手数料が入る。割合に基づく手数料はかなり少額だが、カードを使った購入件数が何百万となるとそれなりの額になる。

外国為替と資産の部門の売上高は1億1100万ドル(約120億円)で、もう1つの大きな収入源だ。そして最後にRevolut Plus、Revolut Premium、Revolut Metalといったサブスクの売上高は1億400万ドル(約115億円)だった。

これらが同社の収益に貢献している強力な3本柱だ。この3つで同社の全売上高の3分の1ほどを占めている。

Revolutは過去数年、積極的に英国外へ事業を拡大してきたが、それでも英国が圧倒的に最大のマーケットだ。2020年の売上高の88.4%が英国関連のものだった。英国を除く欧州経済エリアは売上高の10.2%を占めた。米国、日本、オーストラリア、他のマーケットの売上高はかなり少なかった。

Revolutはまた、2020年に巨額の資金を調達した。シリーズDラウンドで5億ドル(約550億円)を獲得し、累計調達額は5億8000万ドル(約640億円)となった。同社が今後12カ月以内に新規株式公開しても筆者は驚かない。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Revolut決算発表

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Lordstown Motorsが電動ピックアップトラックの生産見通しを大幅に下方修正、それでもさらに現金が必要か

Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)と特別買収目的会社(SPAC)が見たキャッシュリッチの夢は、単なる願望に過ぎなかった……。同社が米国時間5月下旬に発表した第1四半期の業績は、赤字まみれの残念なものだった。

赤字の原因としては、予想を上回る費用の増加、さらなる資金調達の必要性、2021年のEndurance(同社初の車両)の生産台数が想定を下回り、約2200台から1000台に減少したことなどが挙げられる。要するに、同社は巷の予想よりも多くの現金を使ってしまい、Enduranceの量産が予定よりも遅れてしまったのだ。

2020年、SPACとの合併により上場した同社の株価は、合併後の最高値から急激に下落している。同社の株価は、米国時間5月24日に公表された2021年第1四半期報告書を受けて、取引終了後にさらに7%下落した。

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Lordstown Motorsは約1年前、社運をかけた全電動ピックアップトラックEnduranceの試作車を披露したが、投資家を盛り上げることはできなかった。

Lordstown Motorsは、CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏が所有していたWorkhorse Group(ワークホース・グループ)から派生した会社である。1998年に設立されたWorkhorse Groupは、バッテリーや電気輸送技術を扱う小さな上場企業であるが、さまざまな局面で苦しい経営を強いられていた。その分社であるLordstown Motorsは、11月にGMからオハイオ州ローズタウンにある57万6000平方メートルの工場を買収し、2021年後半から年間2万台の電気トラックの製造を開始するとしていた。

生産上の不幸、資本上の懸念

第1四半期の決算は収益ゼロ。1億2500万ドル(約136億円)の純損失を計上して5300万ドル(約58億円)の資本的支出を行ったLordstown Motorsだが、その多額の支出に見合うだけの成果を上げることはできなかった。

同社は報告書の中で、Enduranceの生産を2021年中に開始するが、その生産量は「せいぜい事前予想の50%程度」と述べている。それにもかかわらず、多額の現金を取り崩したことは、投資家にとってはうれしい話ではない。

バーンズ氏は米国時間5月24日に行った投資家との電話会議で「当社の調査によると、当社の自動車に対する需要は非常に旺盛である。しかし、資金の問題で、当社が期待する数の車両を製造できない可能性がある。そのため当社は常に資金需要と戦略的資本を含むさまざまな種類の資金調達を調査している」と話している。

先般のSPACとの合併による資金調達にもかかわらず、Lordstown Motorsの2021年末の流動資産はわずか5000万~7500万ドル(約55億~約82億円)であろうと予測される。2020年末の同社の手元の現金は6億3000万ドル(約688億円)、2021年第1四半期には5億8700万ドル(約640億円)だった。同社は、通常の事業費の現金支出に加えて「2億5000万~2億7500万ドル(約273億~約300億円)の資本的支出」を見込んでいる。

バーンズ氏によると、同社は資産担保型の資金調達について金融機関と協議中とのことだが、どの金融機関かは明かされていない。

「当社には負債がなく、多くの資産があり、多くの部品を購入しています。そのため、資金調達に協力してくれる企業があるのです」とバーンズ氏。Lordstownは、米国の「先端技術を利用した自動車製造に対する融資プログラム(Advanced Technology Vehicles Manufacturing、ATVM)」の対象になることも諦めていない。バーンズ氏が「2010年1月にATVMの融資を受けていなければTesla(テスラ)は存在していなかった」と繰り返す中、同社の経営陣によると、審査機関によるデューデリジェンスが何度か実施されたとのことだが、時期についてはコメントされていない。

SPAC合併後の企業にとって、Lordstownのいまひとつな業績と弱気な取引は、SPACを利用してEVやその他の自動車関連企業を上場させるブームが時期尚早であったかもしれないということを示している。

Lordstownは、2020年9月に時価16億ドル(約1750億円)のSPAC合併を発表し、株価は52週高値で1株31.80ドルまで高騰した(米国時間5月24日時点では8.77ドル)。

バーンズ氏は、ハブモーターの構造や物理的なシンプルさなど、同社が主張する競争優位性を自賛し、それが所有コストの軽減につながると話す。しかし同社は、EVに新規参入したRivian(リビアン)やTesla(Cybertruckを生産開始予定)、さらにはFord(フォード)のような歴史のあるメーカーとの厳しい競争にさらされている。Fordは2021年5月初め、同社の名を冠したF-150トラックモデルの電動モデルを発表したが、価格は4万ドル(約490万円)以下に設定された。

しかしバーンズ氏は、同社が競合他社と同位置にあり、自動車の需要に応じて「飛びかかれる」ようにしておきたいとの思いを繰り返し、Rivian R1TやFord F-150 Lightningには及ばないものの、約400kmの目標航続距離を達成する自信があると話す。

Lordstownは、2021年1月に10万件というマイルストーンを達成したと発表された予約注文について、ざっくりとした最新情報も公開した。バーンズ氏は、そのうち約3万台が「車両購入契約」と呼ばれるものに変更されたと話すが、そのうち何人がどの程度の支払いを行ったかについては言及せず「その契約の多く」が何らかの頭金を含む契約であると述べるにとどまった。

同社は、2台目の電動バンの開発にも着手しており、2021年の夏の終わりには試作車が完成する予定だ。

決算

Lordstownの第1四半期の業績に目を向けると、非常に複雑な製品のテストと生産規模の拡大に苦慮している収益を生み出す前の段階の企業であることがわかる。非常にコストの高い取り組みだ。

同社の計算書は次のとおりである。

画像クレジット:Lordstown

同社の販売管理費が以前よりも増加しているのは、研究開発費が急増していることに比べれば大したものではない。Lordstownの株式を保有している投資家は、早く製造が軌道に乗り、大量生産につながることを期待しているが、これは納得しがたい損益計算書だ。

2021年第1四半期、Lordstownは研究開発費として約9万1000ドル(約1000万円)を支出した。LordstownのCFOであるJulio Rodriguez(フリオ・ロドリゲス)氏は「予想を上回る研究開発費の増加は、サプライチェーンの逼迫(ひっぱく)やコロケーションによる部品コストの上昇が主な要因です。ベータ版のコスト、スピード配送を含む出荷コストの上昇、一時的な外部エンジニアリングへの依存の拡大はこの影響を受けたものです」と話す。

同社幹部は、自動車の予約注文を偽装していると主張する空売り筋のHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)の告発についても、簡単に言及した。Hindenburgによると「広範な調査の結果、Lordstownの注文はほとんどが架空のもので、資本を調達し、正当性を得るためのまやかしであることが判明した」とのこと。

バーンズ氏は投資家に対し、同社が報告書の疑惑を調査するために特別独立委員会を設立したことを伝えた。この委員会は、同社が協力している米国証券取引委員会による調査とは別のものだという。

なお、このようなLordstownの決算にもかかわらず、TeslaとNikola(ニコラ)の株価には大きな変化はなかった。

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タグ:Lordstown MotorsSPAC決算発表電気自動車

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(文:Alex Wilhelm、Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

クラウドサービス企業Boxが予想を上回る四半期決算を発表、業績見通しを引き上げ復調を示唆

Box(ボックス)の経営陣は2020年以降、アクティビストインベスター(物言う投資家)であるStarboard Value(スターボード・バリュー)との交渉を続けながら、他のすべて人々と同様、新型コロナウイルス感染流行の時期を戦い抜いた。同社が米国時間5月27日に発表した財務諸表によると、2022年度第1四半期は、このクラウドコンテンツマネジメント企業にとって、全体的に良好な四半期となったようだ。

収益は前年同期比10%増の2億240万ドル(約221億9000万円)で、2億ドルから2億100万ドル(約219億3000万〜220億4000万円)というBoxの予測を上回った。Yahoo Finance(ヤフーファイナンス)によると、アナリストの意見は2億50万ドル(約219億9000万円)だったので、市場の予想も上回ったことになる。

Boxのようなクラウド企業にとって好ましい状況が続いているにもかかわらず、同社はこの1年間、強い逆風にさらされてきた。会社の方向性とリーダーシップをめぐり、取締役会におけるStarboard Valueとの争いに直面している同社にとって、このような報告は非常に必要なものだった。

共同創業者でCEOを務めるAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏は、この業績報告が良い傾向の始まりとなることを期待している。「現在はIT投資に適した経済状況になっていると思います。さらに、ハイブリッドワークのトレンドや、デジタルトランスフォーメーションの長期的なトレンドは、当社の戦略を大いに後押しするものだと私は思います」と、同氏は決算後のTechCrunchによるインタビューで語っている。

Boxは、2021年2月に電子署名のスタートアップ企業であるSignRequest(サインリクエスト)を買収したが、実際にその機能をプラットフォームに組み込むのは2021年夏以降になる予定だという。レヴィ氏によると、緩やかな収益の成長を支えているのは、コンテンツセキュリティ製品であるBox Shield(ボックス・シールド)や、顧客がBox上でワークフローをカスタマイズしたりアプリケーションを構築したりすることができるプラットフォームツールだという。

関連記事:Boxがセキュリティ強化ツールの「Box Shield」を発表

また、同社は大口顧客の獲得にも成功している。レヴィ氏によると、10万ドル(約1096万円)以上を支払っている顧客の数は前年同期に比べて約50%増加したとのこと。Boxの成長戦略の1つは、プラットフォームを拡大し、時間をかけて追加のプラットフォームサービスをアップセルすることだったが、この数字はその努力が実を結んでいることを示している。

レヴィ氏は、M&Aのカードについては手の内を見せようとしなかったものの、もし買収によってさらなる成長を促進する適切な機会が訪れれば、同氏は確実にさらなる人為的な成長を強く検討すると語った。「M&Aについては、今後も慎重に検討していくつもりです。金額と、我々のロードマップを加速させる力、あるいは現在参入していない市場の一部に参入する力になるという点において、我々が魅力的だと思うM&Aだけを行うつもりです」と、レヴィ氏は語った。

財務状況を詳しく見る

この第1四半期の成長率はわずかに加速したが、これは同社の業績を連続的に見た場合にのみ言えることだ。簡単に言えば、今回Boxが報告した2022年度第1四半期の10%成長は、2021年度第4四半期の8%成長よりは良かったが、前年同期の13%成長よりは悪かったということになる。

しかし、Boxの場合は、一般的な慣例に基づいて判断するのではなく、四半期ごとに数字を見て、期待される加速の兆候を探ることにしたい。この基準では、Boxは自らの目標を達成したことになる。

投資家の反応はどうだったか? 時間外の同社の株価は、急落したり回復したりとさまざまだった。市場はこの結果に混乱しているようだ。決算報告書を吟味して、適度に加速しているBoxの成長が、同社の株式を保有するに値するほど魅力的なものか、あるいは逆に、同社の成長が、同社にもっと劇的な変化を求めている外部の人々を退けるほど、まだ十分に発展していないかを判断しているのだろう。

Boxの業績を俯瞰すると、成長率以外にも同社が事業を順調に導いていることがわかる。営業利益率(GAAPベースおよび非GAAPベース)は改善し、現金創出も回復している。

おそらく最も重要なことは、Boxが業績見通しを「8億4000万ドル(約921億円)から8億4800万ドル(約930億円)の範囲」から「8億4500万ドル(約927億円)から8億5300万ドル(約936億円)の範囲」に引き上げたことだ。これは大きいだろうか?いや、そうでもない。目標の下限値と上限値の両方とも、その差は500万ドル(約6億円)。しかし、目を凝らしてみると、同社の第4四半期から第1四半期にかけての収益の加速と業績見通しの引き上げは、業績回復の早期指標となる可能性がある。

レヴィ氏は、2020年がBoxにとって厳しい年であったことを認めている。「2020年は、マクロ環境やコロナ禍など、さまざまな要素が絡み合った複雑な1年でした」と、同氏は語る。しかし、CEOは、自分たちの組織が将来の成長に向けて準備が整っていると、引き続き考えている。

果たしてBoxは「物言う株主」を満足させるだけの業績を上げることができるだろうか?レヴィ氏は、今回のような四半期を重ねることができれば、Starboard Valueを食い止めることができると考えている。「次の3四半期を見れば、収益を上げる力、採算性を上げる力がわかると思います。非常に好調な業績報告となり、現在の事業の勢いを示すものになると我々は確信しています」と、レヴィ氏は語った。

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タグ:Box決算発表クラウドストレージ

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(文:Ron Miller, Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Alphabet、Microsoft、Pinterestの決算報告をまとめて読む

米国時間4月27日の午後、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)、Pinterest(ピンタレスト)の3社が2021年最初の3カ月の四半期決算を報告した。MicrosoftとPinterestは決算報告直後から急激に値を下げたが、Alphabetは決算発表以降株価を上げている。

大量の数字で読者を圧倒しないために、それぞれの決算報告書についてTechCrunchが思うところをできるだけ少ない言葉でまとめてみた。

  • Alphabetの決算はいくつかの面で好調さを見せ、投資家を喜ばせた。YouTubeの売上は50%近く伸びて60億ドル(約6530億円)に達し、広告も好調で、不採算部門と悪名高かった「Other Bets」部門さえも2億ドル(約220億円)近い売上を計上した。しかし、テクノロジー総合企業の最も注目すべき結果はクラウド部門だ。Google Cloudは2020年同期の売上27億7700万ドル(約3020億円)、営業損失17億3000万ドル(約1880億円)から、売上40億4700万ドル(約4400億円)、営業損失わずか9億7400万ドル(約1060億円)へと成長した。カリフォルニア州マウンテンビュー拠点のテックサービス集団は、非広告プロダクトからかたちのある売上ストリームを作り出すだけでなく、かたちのある営業利益を生み出しつつある。トレンドが続くならば。
  • Microsoftの決算報告は、ウォール街の無関心を他所に、かなり良かった。Microsoftは1年前の四半期から17%成長し、営業利益を31%増の170億ドル(約1兆8510億円)へと押し上げた。売上よりも速い利益の成長は、営業レバレッジの証だ。実際同社の純利益は営業利益以上の速さで伸びており、予測を上回った。MicrosoftのGoogle CloudでAWS競合のAzureは、四半期で50%伸び、予測と一致した。CNBCによる。Microsoftは現在も驚くほど裕福であり、会社が一番将来に期待している製品群がかなり大きい数字を生み出している。悪くない!
  • Pinterestは巨大な四半期を報告した。ウォール街は喜んでいない。Pinterestの2021年第1四半期売上、4億8523万ドル(約530億円)は2020年同期から78%の増加であり、同社の純損失は同じ期間に1億4119万6000ドル(約154億円)から2167万4000ドル(約24億円)へと改善し、非GAAP純利益はマイナス5991万6000ドル(約65億円)からプラス7852万7000ドル(約85億円)へと上昇した。この著しく魅力的な四半期の結果は何をもたらしたか?株価は8%以上下落した。考えられる理由は、Pinterestの月間アクティブユーザーが予測を下回り(実績は4億7800万ドル[約520億円]、予測は4億8050万ドル[約523億円])「営業費の増加傾向が第2四半期に加速する」ことを予告したことだろう。しかし、現四半期の売上成長105%と、同四半期のミドルティーンの月間アクティブユーザー数の成長を同社が見込んでいることから、そこまで辛く当たられる筋合いはない。私たちが何か大きなことを見逃しているのでない限り、Pinterestは単にもっと多くを求めていた投資家たちにいじめられているだけだろう。

以上、大急ぎでまとめてみた。

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タグ:AlphabetMicrosoftPinterest決算発表

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラにとってビットコインはすばやく現金にアクセスできる重要な金融ツール

Tesla(テスラ)のBitcoin(ビットコイン)に対する気持ちは戯れではないようだ。同社のCFO(最高財務責任者)で「Master of Coin(コインの達人)」との肩書を持つZach Kirkhorn(ザック・カークホーン)氏が、米国時間4月26日の決算説明会で述べたコメントによると、テスラはビットコインの変動性にもかかわらず、その長期的な価値を信じているという。

テスラは今四半期に15億ドル(約1624億円)をビットコインに投資し、そのあとポジションを10%切り下げたと、同社の四半期決算説明会でカークホーン氏は語った。その売却により、第1四半期の同社の収益に1億100万ドル(約109億3000万円)の「プラスの影響」があったと、同氏は続けた。テスラは顧客がビットコインで車両代金や予約金を支払うことも可能にしている。

テスラがビットコインに目をつけたのは、現金の保管場所としてすぐにアクセスでき、しかも中央銀行がバックアップする伝統的な安全資産よりも優れた投資収益率を可能にするからだ。もちろん、変動の激しいデジタル資産がもたらす高い利回りには、高いリスクがともなう。

連邦準備制度理事会(FRB)のJay Powell(ジェイ・パウエル)議長は、2021年3月に国際決済銀行がバーチャル開催したサミットで、暗号化された投機的な資産は変動が激しく、価値の保存には適さないとFRBは考えていると指摘したが、このような警戒を高める風潮にテスラは反対している。通貨の基本的な機能は価値を保存する能力であるため、FRBの警告は重要なことだ。また、パウエル議長はデジタル通貨には何の裏づけもないことを指摘し、ドルではなく金に例えた。

カークホーン氏は以下のように述べている。

Elon(イーロン・マスク氏)と私は、すぐに使わない現金を保管する場所を探していました。ある程度のリターンを得ながら、流動性も確保したいと私たちは考えていました。特にオースティンとベルリンに新設した工場の稼働を控え、半導体や港のキャパシティに不安がある中、すぐに現金にアクセスできることは、今の私たちにとって非常に重要なのです。

そしてご存知のように、そのようなことができる伝統的な機会は多くありません。特に余計なリスクを負うことがなく、流動性も犠牲にしないとなると、少なくとも私たちは見つけることができず、他の人に聞いても良い答えは得られませんでした。当時、ビットコインは日常業務にすぐに使用しない、あるいは年末まで必要としない現金を保管する場所に適しており、ある程度のリターンが見込めるように思われました。これまでのところ、その判断が正しかったことが証明されています。

テスラはこのデジタル通貨を注視しており、多くの楽観的な材料があるとカークホーン氏は述べている。

「企業財務の観点から考えると、ビットコイン市場の流動性の高さには非常に満足しています」と、同氏はいう。「最初のポジションは非常に早く構築できました。3月下旬に売却を行った際も、非常に迅速に実行することができました。このように、リスクマネジメントの観点から事業に対するグローバルな流動性を考えると、市場に現金を出し入れできることは、当社にとって非常に重要なことだと思います」。

テスラは2021年3月にポジションを縮小したものの、同社の意図は手持ちのビットコインを長期的に保有し、顧客が車両を購入する際の取引からビットコインを蓄積し続けることだと、カークホーン氏は付け加えた。同社の「Technoking(テクノキング)」を名乗るMusk(マスク)氏は、3月にテスラが米国での支払い手段としてビットコインを受け入れると発表した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Tesla暗号資産Bitcoinデジタル通貨決算発表イーロン・マスク

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラの第1四半期売上高は74%増の1.1兆円、EV生産台数も大幅増

米国時間4月26日の株式取引開始直後に米国の電気自動車会社Tesla(テスラ)は2021年第1四半期決算を発表した。その後、同社の株価は下げた。

ここ数カ月多くのSPAC(特別買収目的会社)との合併を模索してきた電気自動車(EV)・バッテリースタートアップのマーケットにとって、一般的にポジティブなTeslaの決算はこの分野のハードウェアに対するマーケット需要が続いていることを強調し、業界にとって大きな恩恵となり得る。

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数字に目を向けると、2021年第1四半期にTeslaは103億8900万ドル(約1兆1237億円)を売り上げ、粗利益は22億1500万ドル(約2396億円)、純利益は4億3800万ドル(約473億円)だった。

修正後純利益は10億5200万ドル(約1137億円)で、非GAAPベースで希薄化後の1株あたり利益は0.93ドル(約100円)となった。マーケットは売上高102億9000万ドル(約1兆1132億円)、修正後の1株あたり利益は0.79ドル(約85円)を予想していた。同社が収支を発表した後、同社の株価は時間外取引で約1%下げている。

Teslaは前年同期に比べ急激に成長した。前年同期は売上高59億8500万ドル(約6475億円)で、純利益はわずか6800万ドル(約73億円)だった。2021年第1四半期の売上高は前年同期比で74%成長し、車部門の粗利益率は1%近く(0.95%)改善した。粗利益総計の改善はわずかに少なかった(0.70%)。純利益は1850%増と爆発的に増え、修正後純利益も304%増と驚くべき成長を見せた。

第1四半期にTeslaの営業活動によるキャッシュフローは16億4100万ドル(約1775億円)だった。同社はキャッシュを生み出すペースで快適に自社で資金をまかなうことができる。これは、現金・現金同等物計171億ドル(約1兆8501億円)で第1四半期を終えたという事実によって強調されている。

売上高75%成長を分析すると、自動車生産の売上高は76%成長した。同社は18万338台を生産し、前年同期の10万2672台を大きく上回った。納車台数は前年同期比109%増の18万4877台だった。

Teslaの太陽光発電・蓄電事業もしっかりと成長した。太陽光発電の展開は163%増の92MWで、蓄電の方は71%増の445MWhだった。

同社はスライドで投資家に対し「今後複数年にわたって納車台数は平均年50%増となると予想しています」と説明した。同社はまた、Tesla Semiの納車が2021年始まり、複数展開しているプロダクトに加わることで売上ソースが追加される、とも述べた。

今後について、投資家は調整後の希薄化後1株あたり純利益0.99ドル(約107円)、売上高113億9000万ドル(約1兆2323億円)を予想している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla電気自動車決算発表

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

スマホ事業不振のHuaweiはIoTに活路を見出そうとしている

米国・中国間の貿易摩擦に苦しんでいるHuawei(ファーウェイ)は、中国内外の多くのハードウェアメーカーに対抗することになる、他のスマートデバイスでの機会模索を余儀なくされている。

中国テック大手Huaweiの2020年の売上成長は緩やかなものとなり、わずか3.8%増の8914億元(約15兆435億円)で、純利益は3.2%増の646億元(約1兆895億円)だった。こうした決算内容はHuaweiの予測と一致した、と同社は現地時間3月31日に深圳で開いた年次報告会で述べた。報告会は上場していない企業の内情を垣間見る稀な機会だ。

決算の数字を比較すると、Huaweiの売上高は2019年に19%、2018年に19.5%成長していた。

2020年の減速は主に、米国が核となるチップセットの同社への輸出と消費者にとって重要なGoogleサービスの提供を禁止したのち、中国外でのスマートフォン売上高がスランプに陥ったことだ。しかしこうした困難な状況は、同社が事業を多様化し、スマホ事業の損失を相殺するペースを加速させてきた。

過去2年間、HuaweiはAR / VRヘッドセット、タブレット、ラップトップ、テレビ、スマートウォッチ、スピーカー、ヘッドフォン、車載システムなど多数のスマートデバイスでの取り組みを増やしてきた。

世界中でスマート車両がブームとなっているなか、特に同社の車産業への進出はかなり脚光を浴びた。ロイターはこのほど、Huaweiが独自ブランドの車を生産すると報じている。この件について同社は否定している。今日の年次報告会で同社の輪番会長Ken Hu(ケン・フー)氏は、Huaweiが独自の強みを発揮し、車載オペレーティングシステムやスマートコックピットなど特定の構成要素やサービスを供給するだけだと繰り返した。

Huaweiのコネクテッドプロダクトの基盤はXiaomi(シャオミ)のスマホとOSを中心としたIoT戦略を彷彿とさせる。両社の違いは、Huaweiは通信インフラのサプライヤーでもあるということだ。

英国などいくつかの国で、5G推進計画からHuaweiを除外する動きがあるにもかかわらず、Huaweiの通信部門の2020年売上高は前年と同程度だった。新型コロナウイルスパンデミックが通信事業にとってプラスに作用し、人々が家から働いたり教育を受けたりしたのにともない、ネットワークソリューションに対する世界の需要が高まった、とフー氏は述べた。

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HuaweiのIoT推進では初期の牽引力を示したが、競争は激しい。スマートウォッチが2020年の売上高に主に貢献したもの1つだった、と同社は話した。

グローバルではApple(アップル)がウェアラブル部門のトップで、調査会社IDCによると、Appleの2020年のマーケットシェアは34.1%だった。Huaweiはシェア9.8%で3位につけているが、国内のライバルXiaomiのシェアは11.4%と後塵を拝している。

全体的にHuaweiは2020年に成長を維持するために国内マーケットに大きく依存していた。国別では総売上高の65.5%を中国が占め、前年比15.4%増だった。一方、欧州、中東、アフリカの売上高は12.2%減、中国以外のアジアは8.7%減、北米・南米は24.5%減だった。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Huawei中国決算発表

画像クレジット:Ken Hu, Huawei’s rotating chairman

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

好決算にもかかわらずウォール街の怒りを買ったエンタープライズ向け企業のSnowflake

今週、Snowflakeが発表した業績は好調のようで、売上高は前年比で2倍以上に伸びている。

しかし、同社の第4四半期の収益は117%増加し1億9050万ドル(約206億5000万円)となったものの、それはおそらく投資家たちを満足させることはできなかったようだ。なにしろ米国時間3月3日にその発表が行われた後、株価は急落したのだ。

この反応は、2月第4週にSalesforce(セールスフォース)が、好調な業績報告を発表した後にウォール街から受けた反応に似ている。Snowflakeの株価は米国時間3月5日、4%ほどの下落で引けたが、日中みられた最大12%程度の下落からは戻した。

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株価が下落する理由は何だろう。ウォール街の収益報告に対する反応は、ある企業が直近に何をしたかではなく、次に何をするかに着目していることが多い。しかし、Snowflakeの今四半期の収益予想は、アナリストの予想に沿った数字の、1億9500万ドル(約211億4000万円)から2億ドル(約216億8000万円)というもので、再び力強い数字になるように思えた。

良さそうなのだが……?どうやらある特定の企業に関していえば、アナリストの予想に沿っているだけでは、投資家にとっては十分ではないようなのだ。つまり、公表されていた期待を上回っていなかったので、失望を招いたのだろう。期待に応えることが失敗とみなされるほどのものなのかはよくわからないが、目の前の現実はそうなっている。

もちろん、2021年は、現時点まではテック株の価格が下がってきているという事実は押さえておく価値があるだろう。同僚のAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)記者が米国時間3月5日の朝に記事にしたように、その傾向は今週さらに悪化した。テック系の多いNASDAQが過去52週の最高値から11.4%下落していることを考えると、おそらく投資家はすべてに鞭を打っていて、Snowflakeは単にそのとばっちりを受けているだけなのだろう。

SnowflakeのCEOであるFrank Slootman(フランク・スルートマン)氏は、3月第1週の業績説明会で、Snowflakeのポジションは良好であると指摘したが、これは同社がオンプレミスインフラストラクチャのデータ制限を取り除いたという事実によってある程度証明されている。クラウドの良さはリソースが無限であるという点にあり、そのことから同社は、使用可能量ではなく、実消費量の管理を支援するように促されてきた。これはSnowflakeにとって有利に働く進化となった。

「大きなパラダイム変化が起きています。これまでは歴史的にみればオンプレミスのデータセンターでは、ユーザーは容量を管理しなければなりませんでした。それが今では、もはや容量管理ではなく、消費量管理が必要になってきたのです。そしてそれは、全員ではありませんが多くのユーザーにとって、そしてパブリッククラウドを利用しているユーザーにとって新しいことなのです。もちろん私は消費量という概念に馴染んできていました、なぜならそれはインフラストラクチャクラウドにも同じように適用されるからです」とスルートマン氏は業績報告会で述べている。

Snowflake は、期待を管理する必要がある。同社によれば10社以上の顧客がこの先12カ月ベースで、毎月500万ドル(約5億4000万円)以上の支払いを行うのである。どう考えても大金である。また、クラウドへの明らかな移行傾向があるとはいえ、実際に移行されたデータ量が企業のワークロード全体に占める割合はまだ小さい。すなわちSnowflakeには多くの成長機会が残されていることを意味している。

さらにSnowflakeの幹部たちは、顧客が実際に利用開始する前に、データをSnowflakeのデータレイクに移動させるために必要な時間が増えていると指摘している。つまり、新規顧客が開始するのには時間がかかるとしても、顧客がSnowflakeのプラットフォームにデータを移行し続ける限り、時間が経つにつれてより多くの支払いが行われることになる。

では、なぜSnowflakeの四半期の成長率が伸びないのか?まあ、企業がSnowflake位の規模になると、大数の法則が働き始めて、その派手な成長率の数字を維持するのが難しくなる。

私はウォール街の投資家たちに仕事のやり方を教えるためにいるのではないし、彼らに私の仕事のやり方を教えて欲しいとも思っていない。しかし、同社の全体的な財務状況、未開拓のクラウドの可能性、そしてSnowflakeの課金に対するアプローチの特性を見た場合、短期的な投資家の反応に関わらず、同社の見通しを肯定的に捉えずにはいられない。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Snowflakeクラウドコンピューティング決算発表

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

好調な四半期決算にもかかわらずSalesforceの株価は6.3%下落

ウォールストリートの投資家たちは、気まぐれな野獣になり得る。Salesforce(セールスフォース)がその例だ。CRM(顧客情報管理)大手の同社は米国時間2月25日、四半期決算の売上高が58億2000万ドル(約6204億円)だったと発表した。前年同期比20%増だ。同社はまたクローズしたばかりの2021年会計年度の総売上高が前年比24%増の212億5000万ドル(約2兆2652万円)だったことも明らかにした。おまけに、2022年会計年度のガイダンスでは250億ドル(約2兆6649万円)とした。文句のつけようがない。

より多い四半期の売上高を望めば、Salesforceはそれを上回るものを出す。より高い成長率と確固たる売上高の予想を望むなら、それも達成する。実際、四半期決算は非の打ち所がない。同社はうまくやっており、この規模と年数の組織としては目覚ましい速度で成長している。そして今後も引き続き好成績と成長が見込まれる。

ウォールストリートはこのきらびやかな決算にどう反応したか?6%超の株価下落だ。同社が将来を約束するような決算を発表したことを考えれば、かなり悲惨な日だ。

画像クレジット:Google

何が起こっているのか。投資家が単に、同社の成長は持続可能ではないと考えたのかもしれないし、あるいは2020年末にSlackを270億ドル(約2兆8781億円)で買収したときに払いすぎたのかもしれない。また、今週の冷え込んだマーケットに人々が過剰に反応しただけなのかもしれない。しかし、もし投資家が高成長の企業を探しているのなら、Salesforceはそれに応えている。

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Slackは高価だったが、2月25日の決算には売上高2億5000万ドル(約266億円)超とある。ランレートは10億ドル(約1065億円)で、年間経常収支が100万ドル(約1億円)超の有料顧客を100社超抱える。そうした数字は最終的にSalesforceの収益に加わる。

Canaccord GenuityのアナリストであるDavid Hynes Jr(デビッド・ハインズJr)氏は投資家らのこの決算への反応に困惑した、と書いた。筆者と同様、同氏は多くのポジティブな要素を見出していた。それでもウォールストリートはネガティブな要素に注意を向けることにし、同氏が投資家へのメモに記したように「グラスはまだ半分ある、ではなく『もう半分空だ』」ととらえた。

「株価は明らかに、証拠を見るまで信じないというモードです。つまり、ファンダメンタルが実際にしっかりしていて、Slackは機会を狙っていたが(確かに高い)急激な成長悪化を覆う意図はなかった、という考えを投資家が受け入れるにはもう数四半期かかりそうだということを意味します」とハインズ氏は書いた。

2月25日のアナリストとの決算会見の間、クレディスイスのBrad Zelnick(ブラッド・ゼルニック)氏はSalesforceがパンデミックによる経済停滞からの脱出をいかに加速させられるのか尋ねた。同社の最高経営責任者で最高レベニュー責任者のGavin Patterson(ギャビン・パターソン)氏は、世界がパンデミックから脱却するときはいつでもSalesforceは準備できている、としている。

「私に言わせれば、当社は営業部隊という点で、その能力を構築しています。当社はそうした需要をうまく利用するために直接の営業部隊にかなり投資しています。需要に応えられるとかなり自信を持っています。ですので、あなたは今日、事業は力強く、パイプラインも強いもので、次の年に向けて自信を持って臨んでいるというメッセージを我々から受け取るでしょう」とパターソン氏は話した。

Salesforceの役員たちは明らかにそれなりの理由があって自信に溢れていたが、投資家側には懸念が残り、それが株価下落、終日軟調となって現れた。ハインズ氏が指摘したように、投資家たちの方が間違っていたと証明し続けるのはSalesforce次第だろう。ウォールストリートの否定論者が今日考えていたことにもかかわらず、今週発表したような成績の四半期が続く間は大丈夫なはずだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Salesforce決算発表

画像クレジット:Ron Miller / TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンク・グループがビジョン・ファンド幹部へのインセンティブを半額に

Softbank Group(ソフトバンク・グループ)は米国時間2月8日、2021年3月期第3四半期の決算を発表した。その中には運用額986億ドル(約10兆370億円)のVision Fund(ビジョン・ファンド)の業績も含まれる。最近上場したDoorDash(ドアダッシュ)が数十億ドル(数千億円)の利益をもたらしたこともあり、その数字は魅力的なものだった。これは同ファンドにとって本当の意味での最初の大ヒット投資の1つである。同社は現在18件の投資を回収しており、そのうち10件は全部エグジットし、8件は現在公開市場で取引されている。

だが、同社の決算短信を注意深く見ると、ビジョン・ファンドのリーダーシップに割り当てられていたインセンティブを50億ドル(約5256億円)から25億ドル(約2628億円)に半減させたことが記されている。

この50億ドルのインセンティブ・スキームは、2018年4月にFinancial Times(フィナンシャル・タイムズ)などの出版物が最初に報じたときに物議を醸した。このモデルでは、基本的にソフトバンクが従業員に融資してビジョン・ファンドに出資させるという仕組みで、1000億ドル(約10兆5100億円)の資金調達のクロージングを加速させるためのものだった。同社は2018年第2四半期の決算で初めてインセンティブ・スキームに関する文言を追加し、こう記している。

2018年10月19日、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは中間クロージングを行い、追加の出資コミットメント50億米ドルを取得しました。これにより同ファンドの累計出資コミットメント総額は967億米ドル(約10兆1470億円)となります。なお、当該追加出資コミットメントは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの運営に係るインセンティブ・スキームの導入に向けたものです。

それ以来、同社は四半期ごとの決算報告書で50億ドルという数字について一貫した表現をしてきた。しかし、今回の最新の2020年度第3四半期決算では、インセンティブは「25億米ドル(前回の50億米ドルから減額)」になったことが記されている。

ソフトバンクのインセンティブ・スキームは、業界関係者の間で大きな論点となっている。2週間前のフィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、ソフトバンクの4人のトップ幹部であるRajeev Misra(ラジーブ・ミスラ)氏、Marcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏、佐護勝紀氏、宮内謙氏は、ビジョン・ファンドに出資するために6億ドル(約631億円)をまとめて貸し付けられたという。その資金の一部は50億ドル(現在は25億ドル)のインセンティブ・スキームから出たものだが、全額がこの特定のプールからのみ充当されたのかどうかは明らかではない。

ソフトバンクがビジョン・ファンドのインセンティブを引き下げたのは、同ファンドの全体的な業績の低迷と、グループに大幅な損失をもたらしたWeWork(ウィーワーク)への悲惨な投資に対応したためと思われる。ビジョン・ファンドとしては最近のパフォーマンスははるかに良くなっているが、これらのインセンティブの一部を排除することで、ファンド全体の業績が向上し、最終的にはソフトバンク・グループの収益が改善されるはずだ。

ビジョン・ファンド1は2020年の時点で新規企業への投資を停止している。第2のファンドは、すべてソフトバンク・グループ自身からの出資で100億ドル(約1兆510億円)の資本を持ち、定期的に投資を行っている。ビジョン・ファンドはまた、2020年12月の1社目に続き、先週末に新たな2つのSPAC(特別買収目的会社)の申請も行っている

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Softbank GroupSoftbank Vision Fund決算発表

画像クレジット:Carl Court / Staff / Getty Images / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンクの好調な決算報告から同社が語らないWeWork回復の内情を探る

日本のテレコムコングロマリットであるSoftbank(ソフトバンク)のジェットコースター的な決算はいつもビジネスニュースの目玉になってきた。過去数年間同社が絶好調だと説明してきたストーリーの柱の1つはWeWorkだった。しかし問題のオフィスシェアリング企業の大失敗で好調さは一瞬で吹き飛んでしまった 。

数年前にWeWorkを包んでいたホットな炎は薄れ、「Billion Dollar Loser(10億ドルの敗者)」といった本にも取り上げられたWeWorkだが、最近のソフトバンクの財務プレゼンでは、WeWorkは滅多にスポットライトを浴びなくなっている。986億ドル(約10兆3800億円)であるVision Fund最大の投資先の1つであるにもかかわらず、2020年12月の同ファンドの四半期報告でも触れられていない。投資家向けプレゼンでも同社についての言及はない(ポートフォリオ一覧のページにはWeWorkのロゴが掲載されているが他社のロゴの中に埋もれている)。

財務から会社運営まで、ありとあらゆる悪いニュースを発してきたWeWorkだが、新型コロナウイルス流行後の世界における位置は予想よりもずっと良いようだ。

米国時間2月8日のソフトバンクが出した決算報告書の脚注を注意して読めば、WeWorkに関連したいくつかの良いニュースが埋もれているのに気づくだろう。WeWork向けの各種財務数字は2020年の最初の四半期と比較して13億6000万ドル(約1430億円)も改善している。

WeWorkが陥った不安定な状況を考慮して、ソフトバンクはその財務状況健全化のために家賃やローン支払いなど義務的経費をまかなうために多額の資金を確保していた。しかしソフトバンクによれば「主にWeWorkの信用状況が改善された」ため、2021年はWeWorkへの与信リスクが大きく改善されたという。WeWorkには、9カ月前のような財務的補助輪の必要性が薄れているという。

もちろんこうした数字は新手の会計操作かもしれないが、WeWorkのパフォーマンスが改善されしつつあることは、同社が再び上場を目指すことが期待されているというこの数週間の噂を裏づけている。

先週、Wall Street Journalは「ソフトバンクがSPAC(特別買収目的会社)を介して100億ドル(1兆500億円)でWeWorkの上場を図っている」という噂を報じた。この目論見はまだ正式に発表されておらず、SottBankはさらに2社、合計3社のSPACを設立しようとしている。つまりWeWorkを自社に統合する可能性は低いだろう。

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100億ドルという時価総額は2019年9月のロードショーでWeWorkが投資家を煽っていた強気な価格をはるかに下回っているが、それでも同社が2年前の首に重しのついた失敗企業ではなくなった可能性があることを示している。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:SoftBank GroupWeWork決算発表

画像:KAZUHIRO NOGI/ Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:滑川海彦@Facebook