Appleの第1四半期売上は11.6兆円と過去最高だが市場は無反応

Apple(アップル)は米国時間1月27日に第1四半期の決算を発表した。収入は予測を上回る1114億ドル(約11兆6200億円)で過去最高を記録した。ところが決算の発表後、時間外取引の株価はわずかに下落した。投資家は、この決算にほとんど関心を示さなかったようだ。

収入は巨大な金額であるだけでなく、第1四半期決算のアナリストの予測も上回っていた。Appleは1株当たり利益と収入の双方で投資家の期待を上回た。アナリストの予測は売上1033億ドル(約10兆7700億円)、1株当たり利益1.41ドルだった。この点でもAppleは1.68ドルを記録し、期待を上回っている。

GameStopやAMC Entertainmentのような人気株、いわゆるミーム株は、100%を超す上昇率を示しており、 今回の反応の低さは市場一般が大型テクノロジー株に一段と大きな成長と時価総額の達成を期待していることを示すものだ。今回の決算の発表で衝撃的な値動きがなかったとはいえ、Appleの株価は2020年10月の第4四半期決算発表後から、さらに23%以上上昇している。

第1四半期のAppleの収入は、前年比で20%のアップとなっている。大部分は単一の地域、つまり中国市場におけるものだった。この地域の四半期収入は、昨年比で136億ドル(約1兆4000億円)から57%増加して213億ドル(約2兆2200億円)以上となった。

製品分野別の収入では、もちろんiPhoneがキングであり、売上高は656億ドル(約6兆8400億円)と前年同期の560億ドル(約5兆8400億円)から大きくアップした。AppleのiPhoneの新バージョンのリリーススケジュールが今回はやや遅れたため、第1四半期には新バージョンのセールスが例年より多く含まれている。

iPhoneが好調だっただけでなく、iPadもMacの売上高を上回った。Macの売上高は87億ドル(約9100億円)、iPadの売上高は84億ドル(約8100億円)と、このカテゴリーでも多く伸びた。ウェアラブル、ホームお呼びアクセサリー部門は130億ドル(約1兆3500億円)、サービスは158億ドル(約1兆6500億円)とこれも新記録となった。

決算発表にともなう電話記者会見の内容もフォローする予定だ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Apple決算発表

画像:Olly Curtis/Future / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AIでファッショントレンドを予測し商品開発を行うFinesseが4.7億円調達、Z世代がターゲット

ファッションのトレンドの予測から、当てにならない推測による時間の無駄を省くことを目指すスタートアップFinesseが、シードとプレシードのラウンドで450万ドル(4億7000万円)のベンチャー資金を調達したと発表した。

ファウンダーでCEOのRamin Ahmari(ラミン・アーマリ)氏は「ファッション業界が毎年、途方もない無駄を出しているのは公然の秘密です」と述べた。たとえば著名なアパレルブランドのBurberry(バーバリー)は売れ残った商品を焼却するという同社の慣行に対する批判の高まりに直面している。業界全体ではおよそ1300万トンの繊維製品が廃棄物となっていると推定されている

アーマリ氏は「Finesseの目的は、これを変えることです」と語った。ファッショントレンドがファッションショーというクローズドな世界からソーシャルメディアに移行している。これにより新商品がKylie Jenner(カイリー・ジェンナー)のようなインフルエンサーが実際に着用することで人気になるケースが増えている。

「インターネット上のデータなら我々は自由にアクセスできます。以前、働いていた金融ビジネスに比べればファッション業界ははるかに予測しやすい。自然言語処理やディープラーニングなどのツールをファッションビジネスに適用するテクノロジー・スタートアップがまだ存在していなかっただけです」とアーマリ氏は述べた。

「つまりカイリー・ジェンナーがInstagramに新しいファッションの写真を投稿し、人々がそれに夢中になっているとしましょう。【略】データはカイリーの投稿だけではありません。Instagram、TikTok、Google(グーグル)トレンド全体で何が起きているかを推測できます。我々は新しいファッションがブレークする前に、次のトレンドを予測できるのです」。

画像クレジット:Finesse

Finesseは予測データをベースに新商品を開発する。アーマリ氏はCLO 3Dモデリングソフトウェアなどのツールを利用すれば「サプライチェーンの大幅な高速化」が可能だとする。Finesseはトレンドの推定から25日以内に、ユーザーが実際に商品を購入できるようにすることができると述べた。

Finessは米国時間1月27日に正式スタートしたが、すでに「ドロップマーケティング」を通じて商品販売を行っている。ユーザーはほしいアイテムに投票し、予約する。商品は数量限定だ。アーマリ氏によれば、Finesseは売れ行きが予測しやすい定番商品ではなくユニークなアイテムに重点を置いているが、需要に自信があるため商品を手頃な価格にすることができるという。事実、現在販売されている商品は8ドル(約830円)から116ドル(約1万2100円)の価格帯だ。

また多くのファッション企業と違い、アーマリ氏は、Finesseは巨大で費用のかかるデザイン部門を抱える必要がないと指摘している。ただしプロダクト担当バイスプレジデントのAndrea Knopf(アンドレア・クノップ)氏、プロダクト開発責任者のBrittany Fleck(ブリタニー・フランク)氏などのメンバーについて「彼ら自身が優秀なアーティストです」と述べた。

「本当のAIが実現しない限り(これはもちろん遠い目標です)、AIがクリエイティブになることはできない。ユーザーからのフィードバックがどうしても必要です。【略】私たちが排除したいのは、この業界で給料の安いインターン社員がこなしている重労働です。私たちは非常に効果的なテクノロジーによってInstagramなどを通じて新しいファッショントレンドを見つけています」とアーマリ氏は説明する。

アーマリ氏はまた、持続可能性とLGBTQコミュニティとの関係も重視しており(アーマリ氏自身、自分が男女の性別に区分けされることを拒むノンバイナリーだと認めている)、プロダクトはすべてユニセックスのものとしてデザインされている。Finesseは「白人高齢シスジェンダーの男性」が支配するファッションにうんざりしているZ世代の消費者をターゲットにしている。

このスタートアップの投資家には、Hoxton Ventures、MaC Venture Capital、Mango Capitalなどのベンチャーキャピタルに加えて元Twitterのエンジニアリング責任者であるAlex Roetter(アレックス・レトラー)氏、Collective HealthのCEOであるAli Diab(アリ・ディアブ)氏、Fab Fit Funの共同ファウンダーであるSam Teller(サム・テラー)氏らの個人投資家も含まれている。

MaCのマネージングパートナーMarlon Nichols(マリオン・ニコルズ)氏は声明で「Finesseは、トレンド予測から持続可能なサプライチェーンの構築に至るまで、まさにファッションの未来であると信じています。Finesseによる創造的破壊から他のファッションブランドが学ぶべきことは多いと考えており、次に何をしてくれるのか大いに期待しています」と述べている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Finesseファッションネットショッピング人工知能

画像クレジット:Finesse

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AppleがiOS 14.4を公開、ハッカーが悪用した3カ所の脆弱性を修正

Apple(アップル)はセキュリティ上の脆弱性3カ所を修正したiOS 14のアップデートであるiOS 14.4を公開した。修正されたバグはすでにハッカーによって攻撃に利用されていたという。

Appleは、iOSとiPadOS 14.4のセキュリティアップデートのページで「3つのバグが悪用された可能性がある」と述べている。 脆弱性の詳細は明らかにされていない。Appleの広報担当は公式発表の内容を超えるコメントを避けた。

誰が脆弱性を積極的に悪用していたのか、攻撃の犠牲になったのは誰かといった詳細は不明だ。 Appleは攻撃が特定のユーザーを標的にしたのか、広汎な無差別攻撃だったのかについても明らかにしていない。Appleは「バグ報告者の身元は明らかにしない」と述べた。

バグのうち2つは、SafariブラウザのエンジンであるWebKitとOSのカーネルでそれぞれ発見された。単一の脆弱性ではなく、一連の脆弱性を連鎖的に利用するものもある。攻撃者がOSにアクセスする突破口としてまずデバイスのブラウザの脆弱性を突くことは珍しくない。

Appleは詳細を間もなく発表すると述べたが、具体的な時期は述べなかった。

Appleは自社のデバイスがセキュリティに強いというイメージを維持したいためか、ユーザーがハッカーによる攻撃の被害を受けた可能性があることを認めたことはほぼなかった。

2019年にGoogle(グーグル)のセキュリティチームは、ユーザーに気づかれずにiPhoneをハッキングできるコードを含む悪意あるウェブサイト多数を発見している。 このときTechCrunchは、「これはウイグルのイスラムに対する中国政府によるスパイ行為の一部だった可能性が高い」と結論を出した。これも珍しいことだったが、AppleはGoogleの調査結果に異議を唱える公式声明を出している。しかし「攻撃の深刻さを過小評価するもの」としてさらなる批判に直面することとなった。

2020年12月、市民によるインターネット監視グループであるCitizen Labは、詳細不明の脆弱性によって数十人のジャーナリストがiPhoneをハッキングされていたことを発見した。この攻撃はイスラエルを拠点とするNSOグループが開発したスパイウェアをインストールするために行われたという。

述べたとおり詳細はまだ不明だが、iPhone、iPadのユーザーは早急にiOS 14.4にアップデートすべきだろう。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:AppleiOSアップデート

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

反クラウド論、プライバシーを保護できていない現在のクラウドアプリ

過去10年間に我々が世界と関わり、対話する方法に大きな変化が見られた。職業別電話帳はすでに細かく説明する必要がある概念であり、そんなことを試みれば我々は年齢を思い知らせることになる。今の世界はスマートフォンとそのアプリの中にある。

我々はGoogle(グーグル)が約束したように「あらゆる情報を指先に」置いた世界のメリットを享受しているが、利便性と引き換えにプライバシーはそのかけらさえ放棄して顧みない。

我々は巨大テクノロジー企業があるときは無謀さで、あるときは計算づくで構築してきた線をまたいでいる。この線はアプリの開発者とアプリストアのさまざまな要求に我々が同意するにつれ、長い時間をかけてできてきた。

個人データを吸い込むブラックホール

SymantecによればAndroidアプリの89%、iOSアプリの39%が個人情報へのアクセスを必要としている。このデータの使用はリスクを孕んでいる。アプリケーションのパフォーマンスを改善させる(フィットネスアプリには各種の個人データが必要だろう)場合もあるが、、広告ターゲティングのためのデモグラフィックデータを得たい場合もある。どちらの場合の我々の個人情報はクラウドサーバーに送られる。

データを得た大企業は、長期にわたって保存されていない、あるいは悪用されていないと主張するだろう。しかしモバイルアプリを使えば、詳細な利用ログが残るのはまぎれもない事実だ。テクノロジー企業はデータが移動中に失われないよう(複数のコピーを)保持している。世界中のサーバーが互いにデータを流し続けるにつれて、我々の個人データはますます遠く離れたサーバーに移っていく。

我々はきちんと規約を読まないまま、アプリの利用条件に同意してしまうのが普通だ。すると私たちのプライベートデータはもはやプライベートではなくなる。データはクラウドの中にあるわけだが、このコンセプトは長年にわたって正確な理解をすりぬけてきた。

まず、クラウドベースのアプリとクラウドコンピューティングの違いを説明する必要がある。企業レベルでのクラウドコンピューティングは、長年に渡って議論が続いたものの、多くの企業にとって安全でコスト効率の高い選択肢であるというのがコンセンサスだ。

2010年の時点でさえMicrosoft(マイクロソフト)は、クラウドベースまたはクラウド関連のプロジェクトに取り組んでいるエンジニアは70%に上り、この数字は1年以内に90%にアップなると予測していた。しかしこれは一般ユーザーが極めて個人的かつプライベートなデータを保存するためにクラウドに頼るようになる前のことだ。

クラウドにかかる雲が混乱を増幅

この問題をさらに複雑にしているのは「プラバシー保護アプリ」だ。こうしたアプリは、その名の通り、スマートフォン上にある他のアプリの活動からプライバシーを保護するためのアプリだということになっている。しかしプライバシーという飾りを剥がしてみれば、プライバシー保護アプリ自体が驚くべきレベルで個人データへのアクセスを要求していることがわかる。「プライバシー保護」という糧語彙リーでなければ、ユーザーは眉をひそめて警戒したに違いない。

秘匿鍵でデータを暗号化する場合を考えてみよう。どんな方式で何段階にもわたって鍵を暗号化したにせよ、最後の鍵、最も重要な鍵は暗号化できない。ここには「Win-Win」のシナリオはない。医師がカルテを読んで病歴以外の個人データを知るのと同様の容易さで、プライバシー保護アプリはユーザーが他のアプリで何を購入したか発見できる。

クラウドは目に見えず、データの提供者である我々が直接アクセスする方法もない。企業は独自のクラウドサーバーを持ち、それぞれが似たようなデータを収集している。しかし我々はなぜこのデータを提供するのかよく考えておかねばならない。見返りに何を得るのか?アプリは生活を楽にしたり、より良いものにしたりするのだろう。しかしこれらは本質的にはサービスだ。クラウド上行われるこのサービス、トランザクションのサービス側こそが問題なのだ。

アプリ開発者は、個人データを保存する必要のないサービス提供の方法を見つけなければならない。これには2つの側面がある。まず第一にユーザーのローカルデバイス内で機能するアルゴリズムを作ることだ。クラウドに吸い上げられ他のデータと混在する方式はリスクが大きい。第二に個人データに関するテクノロジー業界の態度全般を変えねばならない。現在は個人データが無料提供されるサービスのコストを担っている(最終的にはターゲティング広告といった企業マーケティングに利用される)。

個人データの収集と企業マーケティングの統合によって成功してきた既存の巨大データ企業に、この点の変化を求めてもムダだろう。だからこそ、新しい企業のチャレンジに期待する。つまりクラウドにおいてもプライバシーを提供しつつ料金を支払う価値のあるサービスを提供するというチャレンジだ。これにはリスクがあるが、この変化はどうしても必要だ。世の中に無料のものはない。そもそもこの状況に陥ってしまったのは我々が「無料」という看板に釣られてしまったからだともいえる。

プライバシーにかかる雲を吹き払わねばならない

最低限、我々が個人としてできることは、まず健全な警戒心を持つことだ。個人データが世界中に散在するクラウドサーバーへ流れていくことを止めることができないにせよ、不必要に個人データを収集するバカげた構造のアプリの利用を控えることはできる。たとえばゲームアプリは作動するために連絡先へのアクセスを必要とするはずはない。Facebook(フェイスブック)が我々のことを異常によく知っている理由は、カメラアプリをはじめスマートフォン内のほとんどの機能にアクセスできるからだ。銀行口座と連動していれば、Facebookは口座の残高まで知っている。

このデータ収集はアプリとクラウドの双方のレベルで行われる。アプリを使う時の条件をよく考慮する必要がある例の1つだ。アプリにサインインするときに、Facebookのようなソーシャルアカウントを利用すると個人データの収集はいっそう容易なものになる。

クラウドは別に全能の悪魔というわけではないが、個人データの大量収集を可能にするツールであり、また口実としても使われている。

将来はデバイスやアプリが自己完結型となり、ローカルのデバイス内でユーザーが個人情報ををコントロールできるようになる方向に向かうだろう。クラウド上のアプリやデータへのアクセス方法も変化し、サービス提供方法の変更を余儀なくされるような機能が必要となるはずだ。クラウドは公共データストレージ機能に限定される。プライベートデータは本来あるべき場所、つまりユーザーのデバイス上にのみ保存されるのでなければならない。外部に残したデータのプライバシーが失われないよう、我々は一丸となってこの変化を推進しなければなならない。

【Japan編集部】著者のMichael Huth(マイケル・フート)博士はXaynの共同ファウンダーでCTO。インペリアル・カレッジ・ロンドン教授。専門分野はサイバーセキュリティ、暗号化、数学モデリング、機械学習におけるセキュリティとプライバシー。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:プライバシークラウドコンピューティングコラム

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

あらゆる年齢の子供たちにお金に関する知識を与えるGoalsetterが4億円のシード資金獲得

Goalsetterは両親が子供たちに金融リテラシーを教えるのを助けるプラットフォームだ。同社は米国時間1月25日、Astiaがリードするシードラウンドで390万ドル(約4億円)を調達したと発表した。

投資企業にはPNC Bank、Mastercard US Bank、Northwestern Mutual Future Ventures、Elevate Capital、Portfolia’s First Step and Rising America Fund、Pipeline Angelsが含まれる。また元メジャーリーグ投手のCC Sabathia(CC・サバシア)、その妻であるAmber Sabathia(アンバー・サバシア)氏らが個人投資家として参加している。

Goalsetterは2019年に創業され、アクセラレーターのEntrepreneurs Roundtableに加わった。ファウンダーは2001年のバブル崩壊で100万ドル(約1億円)以上を失ったTanya Court(ターニャ・コート)氏だ。このプラットフォームは、あらゆる年齢の子供たちに金融リテラシーを教え、経済の仕組み、用語、健全な資産管理の原則を学ぶのを助けるようとしている。

子供向け番組を専門とするNickelodeon(ニコロデオン)やスポーツ番組のESPNに長期間勤務した経験から、コート氏は子供たちの学習の仕組みや集中力を維持する方法をよく理解している。コート氏は、子供たちが資産を守り、増やす方法を知らないままでいることが絶対ないようにしようと誓った。

このアプリでは、両親はアプリを通してお小遣いを子供たちに渡すことができる。またアプリ内で問題を出し、子供たちが正解するたびに所定の報奨金を支払うこともできる。家族や友人がギフトカードの代わりに「ゴールカード」をプレゼントするできる。これは子供たちが将来のために貯金する習慣を作るために役立つ。

同社は最近、子供向けデビットカードを導入した。このカードは親が使用方法を管理できる。またアプリ内で出された金融リテラシークイズに正解するまで利用をロックすることもできる。

コート氏によれば、ユーザー家族はアプリ内で月平均120ドル(約1万2500円)を貯金しており、2020年1年間で1万ドル(約100万円)以上貯金した家族も2つあったという。

同社はBlack History Month(黒人歴史月間)である来週、大規模なキャンペーンを開始する。これは金融教育を通じてアフリカ系などの子供たちに見られる富のギャップを埋めることが目的だ。コート氏はこう述べた。

子供たちに渡すお小遣いを、デビットカードにするのは非常に良いことです。これはお金の使い方の第一歩を学ぶのに役立つでしょう。しかし資産の形成、運用方法を学ぶことはまったく別のことです。たとえば普通預金口座に貯金するのと投資勘定口座、CD(譲渡性預金証書)、ミューチュアルファンド(投資信託)などに資金を入れることの違い、またそれぞれの口座の特徴を学ぶのは非常に重要です。Goalsetterは子供たちに金利とは何か、複利とは何かなど資産運用の基礎となる概念を教えています。子供たちにお金の使い方を教えるだけでは不十分なのです。私たちが重視しているのは金融教育です。

Goalsetterは2019年に210万ドル(約2億2000万円)を調達しており、今回のシードラウンドで合計600万ドル(約6億2000万円)を調達したことになる。このラウンドは目標額を上回る投資を受けており、コート氏は投資家を選択するできる機会を得た。コート氏はこう述べている。

私たちの投資家全員が4月のデモ行進の前に、社会正義、多様性、インクルージョンのイニシアチブへのコミットメントを明らかにしていました。これは本当に重要なことでした。投資の申し込みが予定の枠を上回ったため私たちは投資家を選ぶことができました。招待した投資家は全員が2019年、2018年、2017年にこのようなイニシアチブに投資している人々でした。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Goalsetter資金調達

画像クレジット:Goalsetter

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

人気の次世代音声SNS「Clubhouse」がクリエイターへの支払い計画を発表、Andreessen Horowitz主導の新ラウンド準備中

音声によるライブチャットを利用したSNSであるClubhouseは新しい資金調達ラウンドを準備していることを確認した。ただし具体的な金額は明らかにされなかった。シリーズBラウンドをリードするのはAndreessen HorowitzでパートナーのAndrew Chen(アンドリュー・チャン)氏が担当する。この発表の直前にThe Informationが「Clubhouseは評価額10億ドル(1038億円)で資金調達中」という記事を公開していた。TechCrunchは今回のラウンドの評価額、調達予定額を確認しようとしている。それと別に我々は、Cubhouseがサブスクリプション、チップ、チケット販売などにより、クリエイターがプラットフォームで収入を得る機能を導入する計画を確認している。

シリーズBラウンドによる資金はこの「クリエイター助成プログラム(Creator Grant Program)」にも充てられる。Clubhouseブログによればのプログラム「プラットフォーム上で人気を得つつあるクリエーターをサポートする」ための仕組みだという。Clubhouseのモバイルアプリはセレブや政治家などをクリエイターとして引きつけることに驚異的な成果を挙げている。クリエーターが収入を得られるようにすることは現在のクリエーターの関心を持続化させると同時に、新たな関心を刺激してメンバーへの参加を促すのに役立つことは間違いない。YouTubeやTikTokでインフルエンサーのようになれるというのは魅力的な可能性だ。

もちろん、ユーザーの収益化と同時にClubhouse自身の収益化も追求されるはずだ。今のところ、このプラットフォームはすべてのユーザーに無料で提供されており、ユーザーに課金するプラン、方法はまだない。広告もサポートされていない。メンバーがクリエーターに支払いを行う方法が追加されれば、Clubhouse自身がその一部を手数料として保持する機会が得られるはずだ。

クリエイターのための収益化機能の開発スケジュールは、現時点ではまだ十分に厳密に決定されていないようだ。Clubhouseは3つの分野(チップ、チケット、サブスクリプション)について「この数カ月間 」に最初のテストを開始すると述べている。YouTubeなどのクリエーターに収益化の機会を提供するPatreonのような機能をClubhouseプラットフォームに組み込むことを考えているのかもしれない。この中で「チケット」は独特で、座談会形式のClubhouseイベントと相性の良いオプションだ。チケットの導入は バーチャルイベントを開催したい企業などがClubhouseを利用することを後押しする可能性がある。

同社のアプリは今のところiOS版のみだが、Android版の開発を開始し、ニーズの急増に対応できるようバックエンドのスケーリングにも投資する。人材の獲得、不正利用を検出し排除するためのツールの開発にも力を入れていくと発表した。Clubhouseは、過去に悪用の防止に関して失敗があったと批判されたことがあったので開発のこの側面には各方面の関心が集まるだろう。同社はまたユーザーグループ(アプリの用語では「クラブ」)を検索、表示する方法の改良も行う。

Clubhouseがホストしている公開のクラブ「タウンホール」でファウンダー、CEOのPaul Davison(ポール・デビッソン)氏は同社には週あたり200万人のアクティブユーザーがいることを明らかにした。また現在同社の投資家は180を超えるとと述べていることも注目だ。シリーズB段階のスタートアップにしては大きな数だが、その多くは小規模な独立投資家で投資も少額だろうと思われる。

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タグ:ClubhouseSNS資金調達

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

FacebookとInstagramのAI生成画像キャプションがアップデート、より詳細な情報を提供

Facebook(フェイスブック)とInstagramに投稿された写真は、画像分析AIによって分析されキャプションが作成される。このAIがこのほど一段と強化された。新システムは視覚にハンデのあるユーザーを助けると同時に、将来は一般ユーザーが写真をすばやく見つけるのにも役立つようになるという。

AI分析によって「野原で人が馬の横に立っている」「ボートの上に犬がいる」のようなキャプションが生成され、画像のメタデータに保存される。これにより画像を見ることができない人も、どんな画像なのかを理解できるようになる。

これまで撮影者やメディアは、こうしたユーザー補助キャプションを手動で追加してきた。しかしソーシャルメディアに写真をアップロードする一般ユーザーは、いちいちキャプションを入力しないことが多い。Googleフォトのような画像をAIで分析して検索可能にするテクノロジーが、ここ数年で大きく進歩を遂げている。この機能がソーシャルメディアに導入されれば利便性が飛躍的にアップすることは明らかだった。

Facebookは、自動代替テキスト(Automatic Alt Text)システムを2016年に開発した。これは機械学習が普及し始めるよりずっと前のことだった。それ以来チームは、処理をスピードアップし内容を詳細にするため多くの改良を加えきた。最新のアップデートでは、詳細なキャプションをオンデマンドで生成するオプションが追加されている。

改良されたシステムは当初の10倍、約1200種類の対象、コンセプトを認識する。説明も詳細になっている。以前は「建物の側にいる2人」だったが、今では「エッフェル塔の側で2人が自撮り」というキャプションも可能だろう(実際のキャプションでは「かもしれない」と断りを入れるし、大胆過ぎる推測は避けられる)。

必ずしも大きな意味があるとは限らないが、たとえば下の例ではAIは人と物の相対的な位置を認識している。

画像クレジット:Facebook

人が立っているならドラムより背が高いし、帽子をかぶっているならそれは人の頭の上にある。こういう場合はいちいち位置関係を説明する必要はない。しかし「家と木と山」という場合はどうだろうか?そういう画像の場合、家は山の上にあるのか手前にあるのか?木の位置は家の手前か後ろか?それとも遠くの山に生えているのか?

つまり少ない語数で簡単に説明できる場合でも、背後で詳細な情報を生成しておく必要がある。我々は詳細な情報を求めて画像をクリックして拡大することがある。「詳細な画像の説明を生成」コマンドはキャプションで同様の役割を果たす(Androidアプリの場合は長押し、iOSならカスタムアクションで起動する)。

おそらく「雪が降っている山の手前に家と複数の木」というような説明になるのだろう。そうなるのであれば、画像理解のために便利だ (もちろんこの例は説明のために今考えついたものだが、おそらくそのような方向に改善されるのだろうと思う)。

この「詳細な説明」機能は、まずFacebookでテスト公開されるが、続いてInstagramでも行われるはずだ。キャプションは、すでにサポートされている他の言語に翻訳できる。ただしこの機能自体は当面多数の言語に拡張されることはないようだ。

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タグ:FacebookInstagram

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeが全ユーザー向けにハッシュタグ・ランディングページを公開、ハッシュタグをクリックで表示

YouTubeは以前からハッシュタグの利用に積極的に取り組んできたが、今回ユーザーがハッシュタグでコンテンツを効率よく発見できるようにする新機能を公開した。従来はYouTubeでハッシュタグをクリックするか、ハッシュタグを含むURLを直接入力すると、関連する多数のコンテンツが返ってきたが、中にはハッシュタグが使われていない動画もあった。YouTubeが公開した新しい「ハッシュタグ・ランディングページ」はこの状況を変えた。

アップデート後はハッシュタグをクリックするとそれを実際に使っている動画だけを含む専用ランディングページが表示される。YouTubeによれば「最高の動画がトップとなるようソートされている」という。ただし、このアルゴリズムはまだ改善が必要だろう。新しい動画と古い動画が奇妙に入り混じっているし、カテゴリーによってはインド製のコンテンツがむやみにたくさん表示される。

今のところYouTubeのハッシュタグ機能はFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのSNSのハッシュタグ検索ほど高度ではない。SNSの検索では投稿時期も考慮され最新のコンテンツが上位に表示される。現在のYouTubeのハッシュタグ検索では、「観たい動画を即座に見つける」(これがそもそもの狙いだったが)のはまだ難しいかもしれない。しかしクリエイターにとってはハッシュタグの有効な活用法を検討するための便利なツールとして役立つはずだ。

たとえば「#interiordesign」というハッシュタグをクリックすると8400のチャンネルと2万9000本の動画が含まれる非常に混雑した場所に連れていかれる。これに対して「#interiordesignlivingroom」のようなニッチなハッシュタグならチャンネル、動画は100未満だ。ユーザーが動画を探すために頻繁にハッシュタグを使用し始めた場合、ターゲットを絞ったタグを使ったほうが発見される確率が高まるわけだ。

画像クレジット:YouTube(スクリーンショット)

YouTubeのハッシュタグ・ランディングページを表示するには動画の説明欄のハッシュタグをクリックする(検索欄でのハッシュタグ検索ではないので注意)。あるいはyoutube.com/hashtag/*****のURL形式でアドレスを入力するとそのハッシュタグのページに直接アクセスできる。(例えばyoutube.com/hashtag/beauty)

この機能のテストで、YouTubeが以前にブロックするとしていたQAnonや#stopthestealなどの選挙関連動画などの物議を醸す用語のハッシュタグページがないことがわかった。

ハッシュタグ・ランディングページ機能は2021年1月初めにYouTubeのコミュニティフォーラムで発表された。ここでYouTubeは「コンテンツをグループ化し、ハッシュタグを使用して動画を見つけやすくする機能」を準備していると説明していた。

今週、YouTubeはCreatorInsiderチャンネルで新機能は「全ユーザーに100%公開された」と強調した。ただしこの動画では「ハッシュタグ検索で新しいランディングページにアクセスできる」としていたが、現在のところそうなっていない。ハッシュタグ・ランディングページはデスクトップ、モバイルの双方で利用できる。

【Japan編集部】YouTubeのハッシュタグは、日本語もサポートしている。

関連記事:ユーチューバーに最適な高品質フリーミアム音楽プラットフォームUppbeatがサービス提供開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTubeハッシュタグ

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeが全ユーザー向けにハッシュタグ・ランディングページを公開、ハッシュタグをクリックで表示

YouTubeは以前からハッシュタグの利用に積極的に取り組んできたが、今回ユーザーがハッシュタグでコンテンツを効率よく発見できるようにする新機能を公開した。従来はYouTubeでハッシュタグをクリックするか、ハッシュタグを含むURLを直接入力すると、関連する多数のコンテンツが返ってきたが、中にはハッシュタグが使われていない動画もあった。YouTubeが公開した新しい「ハッシュタグ・ランディングページ」はこの状況を変えた。

アップデート後はハッシュタグをクリックするとそれを実際に使っている動画だけを含む専用ランディングページが表示される。YouTubeによれば「最高の動画がトップとなるようソートされている」という。ただし、このアルゴリズムはまだ改善が必要だろう。新しい動画と古い動画が奇妙に入り混じっているし、カテゴリーによってはインド製のコンテンツがむやみにたくさん表示される。

今のところYouTubeのハッシュタグ機能はFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのSNSのハッシュタグ検索ほど高度ではない。SNSの検索では投稿時期も考慮され最新のコンテンツが上位に表示される。現在のYouTubeのハッシュタグ検索では、「観たい動画を即座に見つける」(これがそもそもの狙いだったが)のはまだ難しいかもしれない。しかしクリエイターにとってはハッシュタグの有効な活用法を検討するための便利なツールとして役立つはずだ。

たとえば「#interiordesign」というハッシュタグをクリックすると8400のチャンネルと2万9000本の動画が含まれる非常に混雑した場所に連れていかれる。これに対して「#interiordesignlivingroom」のようなニッチなハッシュタグならチャンネル、動画は100未満だ。ユーザーが動画を探すために頻繁にハッシュタグを使用し始めた場合、ターゲットを絞ったタグを使ったほうが発見される確率が高まるわけだ。

画像クレジット:YouTube(スクリーンショット)

YouTubeのハッシュタグ・ランディングページを表示するには動画の説明欄のハッシュタグをクリックする(検索欄でのハッシュタグ検索ではないので注意)。あるいはyoutube.com/hashtag/*****のURL形式でアドレスを入力するとそのハッシュタグのページに直接アクセスできる。(例えばyoutube.com/hashtag/beauty)

この機能のテストで、YouTubeが以前にブロックするとしていたQAnonや#stopthestealなどの選挙関連動画などの物議を醸す用語のハッシュタグページがないことがわかった。

ハッシュタグ・ランディングページ機能は2021年1月初めにYouTubeのコミュニティフォーラムで発表された。ここでYouTubeは「コンテンツをグループ化し、ハッシュタグを使用して動画を見つけやすくする機能」を準備していると説明していた。

今週、YouTubeはCreatorInsiderチャンネルで新機能は「全ユーザーに100%公開された」と強調した。ただしこの動画では「ハッシュタグ検索で新しいランディングページにアクセスできる」としていたが、現在のところそうなっていない。ハッシュタグ・ランディングページはデスクトップ、モバイルの双方で利用できる。

【Japan編集部】YouTubeのハッシュタグは、日本語もサポートしている。

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タグ:YouTubeハッシュタグ

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

TikTokがQ&A機能をテスト中、ファンからの質問にクリエイターはテキストと動画で効果的な回答が可能に

人気ショートビデオサービスのTikTokは、クリエイターが視聴者の質問に効果的に回答できる新機能を追加する。TechCrunchの取材に対し同社は、テキストと動画を利用できるQ&A機能をテストしていることを認めた。この機能は動画、ライブストリーム(TikTok LIVE)の双方をサポートしている。ただし現在のところ、利用できるのはテストにオプトインした一部のクリエイターに限られるという。

Q&Aはクリエイターがソーシャルメディアを通じてファンを獲得するための最も有力な方法だ。Instagram StoriesやSnapchat傘下のYOLOといったソーシャルアプリ、さらに小規模なスタートアップでも特に人気がある分野だということが実証されている。

事実、TikTokでもQ&Aがユーザー体験の大きな部分を占めている。ただしこれまではファンからの質問に対しクリエイターは新しい動画の投稿でコメントに返信してきた。ビデオとテキストを併用した回答は単なる短いテキストよりも詳細は情報を与えることができる。クリエイターはこうした動画で背景や意味を説明し、コンテキストを明確化することもあれば、トロルや荒らしに反撃している場合もあった。そのためTikTokのコメント欄は、TikTokという文化とトレンドを形作る上で非常に大きな役割を果たすようになった。

またQ&Aはクリエイターがライブストリーミングの際にファンと交流するためのチャンネルとしても重要だ。しかし現在のライブチャットのインターフェースではクリエイターは大量の質問やコメントに手際よく回答するのが難しい。

クリエイターが現在ファンとの交流をどのように処理しているかを検討する中で、新機能のアイデアが生まれたという。現在の「動画でコメントに返信する」機能と同様に、Q&Aではクリエイターは視聴者の質問に直接、動画で回答できる。動画のコメントフィールドに「Q&A」ボタンが表示される場合、ユーザーははボタンをタップするだけでコメントを「質問」に指定できる。またプロフィールページのQ&Aリンクから直接質問を送信することも可能だ。

クリエイターの立場からいえば、Q&A機能はファンの質問をすべて1カ所に集約してくれるため、回答プロセスが大幅に効率化される。

クリエイターが受け取る質問の数に制限はないが、もちろんすべてに返信する必要はない。

TikTokのQ&A機能は、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が最初に発見した。ナバラ氏は新機能がユーザーのプロフィールにどのように表示されるかなどの実例をスクリーンショットで撮って公開している。

TikTokはTechCrunchの取材に対して「テスト期間中新しいQ&A機能を利用できるのはアカウントを公開しているクリエイターで、フォロワーが1万人以上あり、設定からこの機能にオプトインした場合のみ」だと回答した。判明しているテスト参加者には、2020年にTikTokが発表したCreative Learning Fundプログラムのセーフリストに登録されたクリエイターも含まれている。

TikTokは「Q&A機能は現在世界でテスト中であり、今後数週間でクリエイターアカウントを持つより多くのユーザーに公開することを目指している」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Netflixがテレビアプリでテスト中の「シャッフル再生」を2021年前半に全ユーザーに公開へ

Netflixはユーザーがサービスを隅から隅までスクロールして時間を無駄にせず、観たい番組をすぐに発見するための方法を常に探ってきた。同社は最近テストを続けていたシャッフル再生を世界のユーザーに公開すると発表した。シャッフル再生は視聴体験の効率化に焦点を当てた機能であり、同社によればテストで高い人気を得たという。

Netflixは米国時間1月18日に2020年第4四半期の決算報告を発表し登録ユーザーが2億人を超えと発表した。同社はその中で新機能の開発についても簡単に説明している。「ユーザーがタイトルをブラウズせず、少ない候補から選択してすぐに見たいビデオを視聴できるようにする」という部分がこの新機能のテストを指している。決算報告ではまた「この機能は2021年前半に世界中のすべてのユーザーに公開される」と述べている。

NetflixはTechCrunchの取材に対して、このテストは、シャッフル再生を指していると確認した。我々は2020年8月にこのテストを報じている。同社によれば、この機能の名称はまだ正式に決定されていないというが、我々はとりあえず「シャッフル再生」と呼んでおく。

シャッフル再生ではホーム画面のユーザープロフィールの下に大きなボタンが表示される。クリックされるとパーソナル化のアルゴリズムが起動し、ユーザーが気に入る可能性の高いコンテンツがランダムにプレビューされる。これには視聴中や視聴リストに保存したタイトルに加えて、過去に視聴したコンテンツに似たタイトルなどが含まれる。

スマートテレビのNetflixアプリのサイドバーナビゲーションにもこれに似た機能があるが、名称は以前の「Play Something(いろいろ再生)」ではなく「シャッフル再生」に変更されていることがわかった。

テレビのNetflixアプリでホーム画面を下にスクロールしていくとある時点で「シャッフル再生」というオプションの説明と左サイドバーの「シャッフル再生」を指す赤い矢印が表示される。

Netflixはいきなりシャッフル再生を始めるのではなく「何を見ようか迷ったらこちらへ」 と表示し、まず仕組みを説明する。

画像クレジット:TechCrunch

すでに触れたようにシャッフル再生ボタンはすでに一部のユーザーのスマートテレビ用Netflixアプリに表示され、テストが行われている。

Netflixは投資家への説明で「シャッフル再生に対するユーザーの反応は好意的だった」と述べている。実はソーシャルメディアの投稿ではこの機能に対する評価は明らかに賛否両論だった。同社は、少数のユーザーのツイートではなく、Netflixのメンバーをこの機能を実際にどれほど利用したかというもっと確実性の高いデータに基づいて決定を下したのだろう。

またNetflixの説明によれば、シャッフル再生はTVデバイスでのみテストされており、ウェブやモバイルなどのプラットフォームではまだテストされていないいう。またこれまでにシャッフル再生にオプトインしたユーザー数のパーセンテージを明らかにすることも避けた。

シャッフル再生は、Netflixがユーザーのビデオの選択を効率化する試みの最新例だ。

2019年にNetflixは人気番組をクリックしてランダムなエピソードの再生を開始できるシャッフルモードをテストした。これは、ユーザーが「The Office(ジ・オフィス)」や「Friends(フレンズ)」といった人気シリーズのエピソードをランダムに視聴したい場合には好都合な機能だが、Netflixはどちらのシリーズも最新版の配信権を手放している

Netflixはログイン画面やスクリーンセーバーで番組を宣伝するなどしてきた。しかし「プレビュー自動再生はうるさい」というユーザーの苦情に応じて、2020年にプレビュー再生をオフにする方法を追加した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

タコベルも新メニューでBeyond Meatの代替肉を採用、Beyond株急上昇中

TacoBell(タコベル)がメニューの新しい品目にBeyond Meat(ビヨンド・ミート)の代替肉を採用するというニュースで、Beyond Meatの株価が急上昇中だ。

米国時間1月14日の朝、2022年にテストされる新メニューにBeyond Meatの代替肉を採用するとタコベルが発表した後、Beyond Meatの株価は17.13ドルから13.67%アップして142.48ドルになった

メキシカンファストフードの大手チェーンであるTacoBellは、Yum Brandsのグループ企業だが、これまでベジタリアン向けアイテムの開発を単独で行ってきた。Beyond Meatとの提携は新路線となる。

TacoBellの北米事業担当プレジデントのJulie Felss Masino(ジュリー・フェルス・マシノ)氏は2019年にCNBCの番組でこう述べている

TacoBellは、さまざまなオプションを検討してきました。Beyond MeatともImpossible Foodsとも会いました。我々のイノベーションの責任者はこの分野の全員を知っています。同時に全員が我々を知っています。ともあれ私たちが誇りに思っているのはTacoBellは57年前からベジタリアンフードを提供していることです。

結局、TacoBellは南カリフォルニアのBeyond Meatのプロダクトを最良の代替タンパク質だと決めたようだ。タコベルのグローバル最高食品イノベーション責任者であるLiz Matthews(リズ・マシューズ)氏は、「私たちは長い間、ベジタリアン分野でもリーダーでしたが、2021年は菜食主義者、野菜好きだけでなく普段肉食の人たちにも喜ばれる肉なしのメニューを増やしました」と述べた。

TacoBellの米国におけるメニューには30以上のベジタリアン向けアイテムが掲載されているが、これまで代替肉を使用したものはなかった。ライバルの多くが競って代替肉を使ったメニューを発表している中、この分野におけるTacoBellの出遅れが目立っていた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

反トラスト法に阻まれてVisaがPlaid買収中止、フィンテック関係者に落胆の声が広がる

報じられているようにVisaはフィンテックスタートアップPlaidとの買収交渉を打ち切った。すでに両者の間では合意があったが、これも無効とされた。消費者向けクレジットカードの大手がフィンテックのAPIを構築しているスタートアップをグループに組み込む可能性はなくなった。

合併に関して当初両者の合意が発表されたとき、買収額は53億ドル(約5510億円)とされた。買収交渉が行われていることを我々が報じたのはちょうど1年前、2020年1月13日だった。しかし2020年11月、米司法省はこの合併に反対した。司法省は「この買収は、在来の貯蓄口座およびさらに進歩的なオンラインデビットカードサービスの分野で、現在生じつつあるライバルを排除することになる危険性がある。したがってこの合併はライバル企業ならびに消費者の利益に反する」と主張した。

当初、VISAは「政府の見解は誤っている」と主張し、争う姿勢を見せていた。

しかし2021年1月12日になって両社は買収合意が正式に解消されたことを確認した。プレスリリースの中でVisaは「最終的には買収を実行できたかもしれないが問題の複雑性を考慮し、(訴訟になれば)解決まで長時間を要することになるのは不適切だと考えた」と述べている。

要するにVisaは手間がかかりすぎる、と嫌ったわけだ。

これに対してPlaidはもっと強気で社内向けのメモに「昨年には、Plaidを利用したサービスに対する需要が前例のないレベルに高まった」と書いている。2020年に始まったフィンテックブームによって一般消費者が無料の株取引アプリや「ネオバンク」に殺到したことを考えれば、昨年のPlaidの成長は驚くべきことではない。結局、PlaidのプロダクトであるAPIは消費者とフィンテック企業を仲介する位置にあるため、両者がいっそう緊密なトランザクションを望むならAPIスタートアップには強い追い風となる。

【更新】Plaidに取材し、今後、独立企業としての計画と、2020年に具体的にどれほどのスピードで成長したかを尋ねた。PlaidはTechCrunchに対して「2020年にはクライアントが60%増加し、4000を超えた」と回答している。顧客ベースの純ドル保有率が中程度だと仮定した場合、Plaidは昨年数百パーセントの成長を遂げた可能性がある。

VisaのPlaid買収は単に1つの取引の中止であることには違いないが、資金力豊富な既存大企業への買収という有利なエグジット(現金化)を狙っていたフィンテック分野のスタートアップやユニコーン企業は失望を隠せない。つまり米司法省による反トラスト法を根拠とした主張で買収が不可能になったわけでないが、大企業はスタートアップの買収により慎重にならざるをない。金持ちの大企業への売却というエグジットを考えていたフィンテックスタートアップ関係者にとって都合のいい話ではない。

これにより、今後、フィンテックスタートアップの買収金額は下がることになると予想される。フィンテックに重点をおくベンチャーキャピタルの意欲を削ぎ、スタートアップの資金調達にも逆風となる可能性がある。フィンテック関係者は、VisaのPlaid買収における高額の企業評価額が、ベンチャーキャピタルによるスタートアップへの投資ラウンドでの評価額にも反映すると期待していた。つまり買収がなくなればその逆、ということになるわけだ。

【Japan編集部】日常用語ではタータンチェックのような格子をPlaidと呼ぶためトップ写真はその模様の布地になっている。

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カテゴリー:フィンテック
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(翻訳:滑川海彦@Facebook

パンデミックで需要が高まるeコマースプラットフォームのNacelleがシリーズAで18.7億円調達

新型コロナウイルス時代に消費者がオンラインショッピングに向かったことは多くのウェブストアに思いがけぬ追加収入をもたらした。同時にこのトレンドは、eコマースサイトのショッピング体験をスムーズにし運営の効率化を支援するデベロッパーツールのマーケットにも新たな活気を吹き込んだ。

パンデミックの中、ロサンゼルスを拠点としてeコマースのインフラストラクチャーの提供を目指すNacelleは投資家から注目を集めているスタートアッップの1つだ。

ウェブサービス企業はいわゆる「ヘッドレス」プラットフォームを構築して、ショッピングサイトのフロントエンドとバックエンドが対話する中間過程を改良することによりシステムの効率化を図る。Nacelleのテクノロジーを利用するデベロッパーはサイトのパフォーマンスを向上させるだけでなく、スケーラビリティをアップし、ホスティングのコストを節約させ、より洗練されたショッピング体験を提供できるとしている。

NacelleはこのほどInoviaがリードしたシリーズAのラウンドを完了し、1800万ドル(約18億7000蔓延)の資金を調達した。投資家にはAccomplice、Index Ventures、High Alpha、Silas Capital、Lerer Hippeauが参加している。同社は2020年半ばに480万ドル(約5億円)のシードラウンドを実施したばかりだ。わずか半年後にシリーズAが実施されたわけで、この速いペースはeコマース事業に対する投資家の関心が大きく高まっているいるのだろう。

同社のCEOである Brian Anderson(ブライアン・アンダーソン)氏は TechCrunchの取材に対し、「小売業が新型コロナ下でも好成績を上げていることは秘密ではない。表面に見えにくいビジネス構造の変化は新型コロナによる一時的なものではないと私は考えています。同時に(ショッピングサイトを運営する)マーチャント側ではパフォーマンスの改良にいっそう力を入れています」と述べた。

Nacelleが努力の中心としているのは 消費者に過度の負担をかけることなくとなくスムーズにプラットフォームに引き入れることだ。アンダーソン氏は「これまでは自社内の他のサービスのデータを統合することが苦痛をもたらすリスクがありました」と指摘する。Nacelleのサービスは「リッピング・アンド・リプレース」の防止を目指している。同社のテクノロジーは顧客が複数のサービスを統合しようとする場合、データをすべてコピーてして「まったく新しいシステムを再構築する」必要をなくすことが目的だ。

同社のユーザーは主にeコマースサイトを持つ中小規模の小売業だ。Nacelleは、顧客獲得のために代理店と緊密に提携しており、ShopifyPlusの代理店を運営していた時代に培ったアンダーソン氏の人脈も利用している。

消費者はショッピングを実店舗をeコマースへとシフトさせてきたが、2020年8月にIBMが発表したU.S. Retail Indexのデータによると、パンデミックはこのシフトを一気に過去5年分推し進めたという。

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VCのSuperChargerがEdTechのバーチャルアクセラレーター開始

パンデミック以前は総合ベンチャーキャピタルはEdTechに興味を示さなかった。教育分野をターゲットとするスタートアップはベンチャー資金をあまり調達できない状態が数十年続いた。新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が始まってから1年以上経った今、この分野には才能ある人材が殺到し、スタートアップは損益分岐点達成からユニコーンへ、さらに株式上場の可能性まで視野に入るようになっている。

こうした勢いを背景に、アジアを中心に国際的ネットワークを持つベンチャーキャピタルであるSuperCharger Venturesは、アーリーステージのEdTech向けアクセラレーターを立ち上げた。米国時間1月11日にオンラインでスタートする12週間のプログラムには6つのスタートアップチームが参加している。

SuperChargerがアクセラレーターを開催するのは、これが初めてではない。同社は過去にフィンテックのアクセラレーターを3回実施している。SuperCharger Venturesの共同ファウンダーJanos Barberis(ヤノス・バルベリス)氏はこのピボットの理由は非常に単純だと語った。つまり銀行だという。

バルベリス氏によれば、新型コロナにより多くの銀行が支店の営業を続けることが困難になっており、フィンテックサービスの需要が激減したという。同氏は「現在、銀行にはイノベーションに取り組むための余裕がありません。こういうときに真っ先に削減されるのはイノベーションです」と語った。

こうした状況で同社はEdTechにピボット(未訳記事)したが、フィンテックのアクセラレーターを運営した経験から重要な教訓を得ている。つまり継続的な収入源を得るためのB2B(企業向け事業)の重要性だ。

バルベリス氏は「B2B事業は収益を得る上での安定性、健全性があるので重視しています。つまり健全な収入源です。現在、投資家が投資を決める要因は健全な収入の有無だと思います」と語った。

たしかにバルベリス氏の主張に異議を唱えるのは難しい。しかしQuizletCourse HeroApplyBoardといった現在のEdTechユニコーンの多くはコンシューマ向け、つまりB2Cだ。教育機関は多数ありしかも非常に細分化されているため、エンドユーザーをターゲットとするほうがマーケティング上有利になるためだ。少なくとも米国ではそうだ。

しかし理論的にはB2BビジネスはB2Cより容易に多数のユーザーを獲得する可能性を秘めており、新型コロナの蔓延はB2B移行というトレンドを加速している。バルベリス氏は「国際的に知名度を高めることも重要です。また(国際市場では)教育機関の細分化が米国より少ない場合があります」と述べた。

アクセラレーターに参加しているスタートアップは、B2B市場の開拓だけでなく、アジアとヨーロッパ市場への拡大にも焦点を当てることが求められている。

バルベリス氏は、ヨーロッパと(中国を除く)アジア市場はどちらもEdTech分野に需要と供給のギャップがあり、十分にビジネスチャンスがあると考えている。ヨーロッパでは企業は大学によるデジタル学習を求めている。アジアでは、中国外の市場が有力であることを投資家に実証する必要があると考えている。ヨーロッパにはすでに需要があり、アジアには需要を生み出すチャンスがあるわけだ。

同氏は当面、米国と中国をターゲットから外している。両国にはすでに多数のスタートアップが存在し市場が飽和状態にあると考えているためだ。

SuperChargerのEdTechのクラスは、通常のアクセラレーターモデルに準じている。ただし教育機関との提携や短期間で実効を上げる(B2BのEdTech事業の需要は夏季に集中的に発生する)方法など、教育事業の特性に合わせた内容が含まれている。

SuperChargerは資金を提供しない。サービスの対価はスタートアップの株式の1〜2%だ。これは会社評価額として7万5000ドル(約780万円)から10万ドル(約1040万円)程度と見積もられている。アクセラレーターはデモデーでクライマックスを迎える。この際、総額1500万ドル(約15億6000万円)から2000万ドル(約20億8000万円)程度のベンチャー資金を調達できると考えている。

TechCrunchでも報じたNextView Venturesをはじめ、アクセラレータープログラムを開催してビジネスの成長支援し、パンデミック下でもシード分野の活気を維持しようとするベンチャーキャピタルは多い。

上記しているようにSuperCharger Venturesはフィンテックに焦点を当てたアクセラレーターを3回実行し、49社が卒業している。フィンテックは過去に十分活況を呈しているセクターだったが「この分野は飽和したため(EdTechに)ピボットした」とバルベリス氏は述べた。

最初のクラスには208チームの応募から以下の6チームが選ばれている

  • Axon Park:ファウンダーはTaylor Freeman(テイラー・フリーマン)氏ら。仮想現実を利用して医療専門家にパンデミック下の個人防護具使用手順等の職業訓練を行う。ターゲットは企業、政府、大学。
  • BSD Education:共同創業者はChristopher Geary(クリストファー・ギアリー)氏、Nickey Khemchandani(ニッキー・ケムチャンダニ)氏。8歳から18歳までの生徒向けのテクノロジー学習カリキュラム。このスタートアップはカリキュラムの提供以外に、教師向けの専門的トレーニングとオンライン学習のプラットフォームを提供する。
  • Dijital KolejZeynep Dereli(ゼイネップ・デレリ)氏とFerruh Gürtaş(フェルー・ギュルタシュ)氏が創立。自由な時間に再生できる非同期学習と特定時間に実施される同期学習のハイブリッドによるオンライン教育モデルの構築。
  • NewcampusWill Fan(ウィルファン)氏、Fei Yao(フェイ・ヤオ)氏の創立。ジム(会員性運動クラブ)の学習版と位置づけている。企業におけるリーダーシップ育成に焦点を当てた生涯学習のプラットフォーム。
  • Ringbeller:ファウンダーはCJ Casciotta(CJ・カシオッタ)氏。インタラクティブなビデオレッスンを利用して子供たちにソフトスキル(創造性、親切心など)を教える。
  • RoybiElnaz Sarraf(エルナズ・サラフ)氏、Ron Cheng(ロン・チェン)氏が創立。STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)分野で子供向けテーマを教えるAIロボットの構築。

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タグ:VCアクセラレータープログラム

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

遺伝子回路テクノロジーでガン制圧を目指すSenti Bioがバイエルから109億円を調達

Senti Biosciencesは、ライフサイエンス分野の世界的企業であるBayer(バイエル)がリードした資金調達ラウンドで1億500万ドル(約109億円)を調達したことを発表した。同社はプログラム可能なバイオプラットフォームによって新しいガン治療法の開発を行っている。

同社は新しい計算生物学的手法を用いて人体の特定細胞を正確に標的とする細胞・遺伝子治療法を開発している。

ハーバード医学部の出身でMITで准教授を務めたSenti BiosciencesのCEOであるTim Lu(ティム・ルー)氏は、同社のテクノロジーを伝統的な手続き型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングの違いにたとえてこう述べている。「『Helloworld』を表示するだけのプログラムでは意味がありません。オブジェクト指向ならifステートメントを駆使したプログラミングができます」という。

Senti Biosciencesでは複数の受容体を標的とする遺伝物質を合成することで体内の遺伝物質を識別し、病変部に正確に薬剤を到達させること目標としている。「細胞の単一受容体ではなく【略】我々は2つの受容体を対象にできます」とルー氏は述べた。

同社は当初、遺伝子回路テクノロジーのプラットフォーム上に体内のガン細胞を標的にしてそれらを駆逐する「キメラ抗原受容体ナチュラルキラー(CAR-NK)」細胞を合成する治療法を開発している。現在の細胞・遺伝子治療は、ナチュラルキラーT細胞を利用している。これは、体内の白血球内に存在し、人体に有害なウイルスや細菌などの異物を排除する免疫プロセスで重要な役割を果たす。

ところがT細胞を利用したの治療法は、患者に毒性をもたらす可能性がある。極めて危険な免疫暴走を誘発するをリスクだ。CAR-NK細胞を利用すれば同様の効果を得ながら免疫暴走という副作用を大きく低減できる。

ルー氏によれば「我々の治療法は遺伝子回路とは独立のものですす。遺伝子回路は個人に特異的です。【略】CAR-T細胞またはCAR-NK細胞を使った治療では【略】(ガン細胞という)標的を発見して薬剤を送り届け他の正常な細胞に影響を与えないようにします。我々は遺伝子回路にロジックを組み込み、CAR-NK細胞が1つではなく2つの標的を識別できるようにします」という。

Senti Bioがターゲティング能力を強化するのは、抗ガン剤が体内の病変細胞だけに作用し、変異していない健康な細胞が破壊されることを防ぐためだという。

共同ファウンダーのルー氏、MITの同僚であるJim Collins(ジム・コリンズ)教授、ボストン大学のWilson Wong(ウィルソン・ウォン)教授、また合成生物学の専門家であるPhillip Lee(フィリップ・リー)氏らの数十年にわたる研究の集大成がSenti Biosciencesに結実したという。

ルー氏は遺伝子回路テクノロジー開発の現状をこう解説する。

遺伝子治療の現状は、半導体素子開発の初期と比較できます。研究段階ではさまざまな要素技術が開発されていました。しかし世界に影響を与えるためには産業として成立する規模が実現される必要がありました。

そこでルー氏ら共同ファウンダーはMIT、ボストン大学、スタンフォード大学からのライセンスを受け、開発作業を研究室レベルから産業レベルにアップすべくスタートアップを設立した。

「(Seinti Bioを)創立したとき、我々が持っていたのはいくつかのツールとノウハウでした」とルー氏はいう。それはまだ完成したプラットフォームには遠かった。

バイエル他の投資家による資金投入により、同社は新しい制ガン療法の商業化に進む準備ができた。

同社は声明で「最初の製品は急性骨髄性白血病、肝細胞ガン、その他の詳細はまだ明かせないが、各種の固形腫瘍を対象とした治療法になる」と述べている。バイエルのベンチャーキャピタル、Leaps by Bayerの責任者Juergen Eckhardt(ユルゲン・エックハルト)医学博士はこう述べている。

Leaps by Bayerの使命は、何百万人もの人々の生活をより良い方向に変える可能性のある画期的なテクノロジーに投資することです。合成生物学は次世代の細胞・遺伝子治療の重要な柱になると信じています。遺伝子回路設計と最適化におけるSenti Bioのリーダーシップは、ガンの予防と治療、また失われた組織機能再生という我々の目標に理想的に適合します。

ルー氏ら共同ファウンダーは、同社のプラットフォームをガンだけでなく他の疾病治療その他の用途のための細胞療法を開発するために有効と考えている。これについては(バイエル以外の)製薬会社とも提携して製品化を進めるつもりだという。ルー氏は声明でこう述べている。

過去2年間、Senti Biosciencesのチームは信頼性の高い薬剤製造ラインを開発するために何千もの高度な遺伝子回路を設計、構築、テストしてきました。現在まで治療が困難な液状および固体腫瘍に適応するる同種異系CAR-NK細胞療法に焦点を当ててきました。今後、2021年にはIND(新薬臨床試験)申請の準備を開始するなど、プラットフォームテクノロジーと製造パイプラインのさらなる進歩が達成できるものと期待しています。

今回のラウンドによりSenti Biosciencesの資本は1億6000万ドル(約166億円)弱となった。ルー氏は「この資金は製造プロセスを強化し、大手製薬会社との提携作業を加速するために用いられます」と述べた。

現在のスケジュールでは2022年後半から2023年初頭に新薬臨床試験開始申請を行い、2023年中に実際の臨床試験を開始する計画だ。

遺伝子回路開発は急成長中の分野だ。Cell Design Labsは2017年にGilead Sciencesが5億6700万ドル(約588億円)で買収した。この分野に取り組んでいる他の企業にはCRISPRテクノロジーを利用したCRISPR Therapeutics、Intellius、Editasなどがある。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Senti BiosciencesDNACRISPR資金調達

画像クレジット:KTSDESIGN/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookが「ページ」をリニューアル、「いいね!」ボタンが消えニュースフィードが追加される

Facebookページ」がリニューアルされる。米国時間1月6日、Facebook(フェイスブック)は「ページ」のメジャーアップデートを公開することを発表した。レイアウト、ナビゲーションが一新され、専用ニュースフィード、ファンを惹きつけるためのQ&Aフォーマットなどが導入されるなどFacebookページの体験が大幅に変更される。準備中のバージョンで目立つのは「いいね!」ボタンが削除され、現在、何人がページをフォローしているかという直接の測定値に焦点が移されることだ。

TechCrunchはFacebookページのオーバーホール計画を確認し、この夏記事にしている(未訳記事)。これはハリウッドスター、作家、クリエイターなどの著名人を対象に新バージョンのテストが行われたことを知ったのがきっかけだった。Facebookは続いて英語版の企業ページのアップデートもテストした。

FacebookはFacebookページの新バージョンが今後数カ月にわたって順次正式公開されると発表している。

画像クレジット:Facebook

上で触れたように、新しいページデザインにおける最大の変更点の1つは、「いいね!」がなくなることだ。これは、「いいね!」数がページの人気を正しく伝えていないという反省から生まれた。これまでFacebookユーザーがページを「いいね!」すると、自動的にフォローすることになる。ところがテーマに関心が薄れたり、ニュースフィードにページからの投稿が頻繁に表示されるのがわずらわしくなったなどの理由でフォローを解除するユーザーが多数現われていた。「いいね!」のリクエストを受け取った後、義理で「いいね!」したものの、ページからの更新情報を受け取ることは選択しなかったユーザーも多い。

もう1つの大きな変更は、独自のニュースフィードだ。ページ自体が公人・著名人ないしブランドとして会話に参加し、トレンドを追跡し、ファンと交流することができる。この専用のニュースフィードには、ぺージが会話する相手として他の公人・著名人、ページ、グループ、トレンドのコンテンツなどが提案されている。

ユーザーがページをフォローすると、他ユーザーの投稿コメント欄のトップにページからのコメントが目立つように表示される。またそのページをフォローしていることを示す青いチェックマークが付加される。このコメント投稿はユーザー自身のニュースフィードにも表示されることがある。

Facebookによると、ユーザーはコメントや推薦された投稿から直接ページをフォローできるようになるという。

また、Facebookはページがファンとの交流を深めることができる新しいQ&Aフォーマットを準備している。クリエイターがファンから質問を受けストーリーで答えるというInstagramに似た方式だ。Facebookページの場合、フォロワーは特定のトピックについて質問することができる。ページが回答したQ&Aはスワイプしてすばやくブラウズすることが可能で、ユーザーが情報を得るのに便利だ。これは特定のクリエイターのことをさらによく知りたいファンが質問してくる場合に、そうしたファンを楽しませるようなカジュアルなスタイルで回答した場合、特に便利だろう。

画像クレジット:Facebook

こうした大きな変更に加えて、Facebookページの管理者向けのバックエンドのアップデートもある。たとえば管理者のアクセス許可のオプションが増える。これによりページインサイト、広告、コンテンツ、コミュニティ活動、一般メッセージなどそれぞれの活動に対して適正なレベルのアクセスを割り当てることができる。

Facebookはテスト時のフィードバックを参考にして、権限の管理、管理者の追加、管理者のページインサイトへのアクセスコントロールなどを可能にする管理ツールを構築した。これはページの「管理」ボタンから直接利用できる。またモバイルアプリがCクリエータースタジオをフルサポートするようになる。

Facebookは「ヘイトスピーチ、暴力的、性的、スパム的コンテンツ、なりすましアカウント、フィッシング」を検出してフィルタリングする機能を強化し、モデレーションも改善したとしている。さらに詳細を取材したがFacebookは回答を避けた。

テストが始まって以降、新バージョンに対するユーザーの評価は好意的だった。ユーザーに好まれたのはインターフェイスのシンプル化、実際のプロフィールと公開プロフィール、またページ間の切り替えが簡単になったこと、ファンのエンゲージメントをアップするための機能の追加などだ。

Facebookでは「ページのアップデートは今後数カ月で行われる」としている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトのARゲームMinecraft Earthが2021年6月末にサービス終了、新型コロナの影響

2019年を通してMicrosoft(マイクロソフト)のMinecraftはゲームにおける拡張現実(AR)構築を実験してきた。このゲームはPokémon GOと似ており、現実世界上にMinecraft Earth呼ばれる仮想世界を重ね合わせようとするものだった。そしてMinecraft Earthは2019年11月にようやく一般公開された。

ところが、あと数か月後にMinecraft Earthは閉鎖され、プレイヤーデータもすべて削除されることが発表された。

一体何が起きたのか?Minecraft Earthの開発チームはこう述べている。

Minecraft Earthは、プレイヤーがどこにでも自由に移動でき協力してプレイを楽しめるようデザインされました。ところが現在の世界の状況が、これをほぼ不可能にしてしまいました。私たちは、Minecraftコミュニティにいっそう大きな価値を与える別の領域にリソースをシフトすることを決定しました。これにともない2021年6月にMinecraft Earthのサポートを終了をするという難しい決断を下さざるを得ませんでした。

簡単にいえば、このゲームはパンデミックに撃墜された。Pokémon GOはすでに熱狂的かつ膨大な数のプレイヤーによって強力な基盤を築いている。しかも好奇心に駆られた新たなユーザーも、安定して流入している。しかし静止状態からいきなり時速100kmに加速することはできない。

では次にどうなるかというと、以下のとおりだ。

  • チームは最終アップデートを配信し、すべてのアプリ内課金メカニズムを削除する。同時にこのアップデートで、残る時間を最大限利用できるようゲームを簡単かつ高速にする。
  • 2021年6月30日にゲームはシャットダウンされる。インストール済みのアプリも動作しなくなる。翌7月1日にプレイヤーのデータがすべて削除される。
  • Minecraft Earth内で課金を行ったユーザーは金額に関わらずMinecraft Bedrockのコピーを無料で入手できる。またMinecraft Earthの仮想通貨ルビーの使い残しがあるプレイヤーは、Minecraftコミュニティのマーケットプレイスで利用できるMinecoinに交換できる(交換率は未発表)。

クールなコンセプトだっただけに、発表からわずか1年でシャットダウンが発表されたことは非常に残念だ。しかし他に方法はなかったのだろうか。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:MicrosoftMinecraft Earth拡張現実

画像クレジット:Mojang

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Zoom疲れ対策を目指す元GitHubエンジニアのビデオ会議データベース化サービス「Rewatch」

パンデミックによってリモートワークが増加した。オフィスが閉鎖、準閉鎖状態のため企業は業務を分散作業に切り替えている。我々は以前よるはるかに多くの時間をビデオ会議に費やすようになり、ZoomやGoogleハングアウトを使ってコミュニケーションを図っている。企業は事業部署やタイムゾーンを超えて、世界に広く拡散したチームが緊密にコミュニケーションを図る方法を考え出す必要が生じている。

Rewatchは、会議を効率化(できれば短縮化)したいと考えている。共同ファウンダーのConnor Sears(コナー・シアーズ)氏、Scott Goldman(スコット・ゴールドマン)氏は 企業が会議を保存してプライベートなビデオチャンネルを作り、社員が自分の都合がいい時間に再生するサービスを提供しようとしている。

Rewatchは本質的な部分でZoomなどと反対の非同期的体験だ。共同ファウンダーたちはビデオ会議を視聴する新しい方法を提供することで、「Zoom疲れ」と戦うことができると期待している。

仕組みはこうだ。Rewatchを導入した企業はZoomまたはGoogleハングアウトによる会議を記録し、データベースにアーカイブする。この際、タグとメモを書き込んで動画検索を効果的にすることができる。たとえば参加者は自分が取り組んでいるプロジェクトが話題になった時間を記録しておくことができる。また同僚が突然なにか大声で主張した時間もタグ付けしておけば後からの検索に便利だ。

Rewatchでは企業独自のビデオライブラリを「ミニYouTubeチャンネル」と呼んでいる。サービスには会議音声の文字起こしも含まれている。つまり現在のビデオ会議は、リアルタイムでしか参加できない同期体験をRewatchはこれを非同期の動画掲示板とドキュメントに変換する。

「これまでビデオ会議の利用範囲を拡大する唯一の方法は、会議時間を長くするか会議の数を増やすしかありませんでした」とシアーズ氏は説明する。Rewatchを使えば「会議は終了しました」というそっけない無音の表示をどんなタイムゾーンにいるユーザーでもタグとテキストで検索できる対話的なビデオ情報源に変えることができる。

シアーズ氏は有名なデベロッパー向けサービスであるGitHubの元社員で、そこでRewatchのアイデアを得たという。オープン分散サービスであるGitHubは、タイムゾーンを超えて世界のデベロッパーが協力できるよう部内にYouTubeチャンネルを作成した。現在、共同ファウンダーたちは、GitHub内で人気を得ているこの機能を利用し、さらに拡充してメインストリームのサービスとしようと試みている。


RewatchはすでにGitHub自身を含め多くの顧客を獲得できたという。ただしその数は明らかにされていない。料金は未定だがサブスクリプションモデルを考えており一般公開の際には課金することになる。

当然GoogleドライブがRewatchのライバルとなる。しかしGoogleドライブはビデオコンテンツの保存と構造化に関して相当に遅れをとっている。Rewatchは、ライブ文字起こしやタグ付加などビデオを検索しやすい機能を追加してライバルに対する優位性を得ようとしている。他のライバルとしてはベルリンのスタートアップで非同期会議に取り組んでいるAcapela(未訳記事)や、ポッドキャストサービスのStoryboard(Business Wire記事)などが含まれる。後者は、ポッドキャストの作成者がオーディオコンテンツをオンデマンドで関係者に公開するのを支援する機能が含まれる。最近、両社とも数百万ドル(数億円)クラスの資金調達を実施した。

ビデオ会議開催体験の改良は確かに重要だ。しかしRewatchやそのライバルは企業の社員が会議コンテンツのデータベースをかなり頻繁に利用し、大きな意義を認めることにビジネスを賭けている。このビジネスはユーザー行動に大きく左右される。ただ正直なところ、現在の我々は休暇中に開催されて見逃した会議をわざわざ後から再生することは滅多にないだろう。

テクノロジー上のイノベーションが無意味だというという意味ではまったくないが、非同期ビデオ会議再生のようなビジネスが成功するためには、ユーザーの習慣に大きな変化が起こること必要になる。一方、冷笑主義を否定する投資家はすでに何百万ドルもこうした事業に投資している事実も考えねばならない。

実際、Rewatchのビジョンに納得した投資家は数多い。このスタートアップはTechCrunchの取材に対し、今回のプレシードラウンドはSemil Shah(セミル・シャー)氏のHaystackがリードし、Kent Goldman(ケント・ゴールドマン)氏のUpside Partnershipが参加し200万ドル(約2億1000万円)の資金の調達に成功したことを確認した。投資家にはこの他、GumroadのCEOであるSahil Lavingia(サヒル・ラビンギア)氏、GitHubのCTOであるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏、ZendeskのシニアバイスプレジデントであるJason Smeale(ジェイソン・スミール)氏らが含まれる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:RewatchGitHubZoomリモートワーク

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ドコモ、KDDIも利用するミリ波5Gテストツールの台湾TMYTEKが基地局に狙いを定める

5Gミリ波機器のテスト用プロダクトを開発する台湾のスタートアップであるTMYTEKがシリーズA+ラウンドを実施し1000万ドル(約10億3000万円)を調達した。現在同社のユーザーには日本のKDDI、NTTドコモをはじめ各種研究機関が含まれている。TMYTEKはNokia(ノキア)、Ericsson(エリクソン)、Samsung(サムスン)、Huawei(ファーウェイ)などの既存企業に対抗して独自の基地局ソリューションを販売することも目標としている。TMYTEKは、ユーザーが5Gインフラを開発するのを支援してきたが、共同ファウンダーでCEOのSu-Wei Chang(スー・ウェイ・チャン)氏は「これによって得たノウハウを生かして完全な5G機器のサプライチェーン」を構築するとしている。

今回の資金調達ラウンドでは、台湾最大のOEMの1つでTMYTEKのパートナーであるInventecがリードした。これまでの資金調達のトータルは1330万ドル(約13億7000万円)となった。ラウンドには台湾政府の国家発展基金を始めTaisic Materials、ITEQ、日本の多摩川電子も参加した。TMYTEKは最近、台北のSparkLabsアクセラレータプログラムにも参加している。

CEOのスー・ウェイ・チャン氏は、TechCrunchの取材に対し「基地局の開発・商品化のためにさらにシリーズBラウンドを実施する予定だ」と語っている。最近、TMYTEKはO-RAN Allianceに参加した。この組織は5G時代の無線アクセスネットワークのオープン化、インテリジェント化のために日本のNTTドコモをはじめとする主要キャリアによって設立された標準化団体だ。

チャン氏によれば、TMYTEKのが台湾を拠点することには戦略的優位性があるという。5G機器は台湾経済の重要な部分であり2020年下半期には過去最高の輸出(AmCham Taipei記事)を達成した。これはスマートフォン、自動運転車、スマートデバイス用の5G関連機器、テクノロジーに対する需要の高まりも追い風となったものだ。

同氏はマサチューセッツ大学アマースト校で学んだ。6年前に台湾でTMYTEKを設立したとき、スタートアップ資金確保が容易な米国で行わなかった理由をよく尋ねられた。しかし台湾に本拠を置くことで日本をはじめとする重要な市場へのアクセスが得ることができた。現在の同社の事業の30%を日本が占めており、米国や欧州に事業を拡大するための基礎を確立できたという。

また台湾という地理的条件により、サプライチェーン上の利点も得られた。TMYTEKは中国本土に加えて、台湾のInventec、ベトナム、タイなどアジア全域の多数のメーカーをパートナーとしている。チャン氏は「これは我々が新型コロナウイルスのパンデミックや米中貿易摩擦の激化によって不利益を受けなったことを示しています」と述べた。

2014年にTMYTEKを立ち上げる以前、共同ファウンダーのチャン氏とEthan Lin(イーサン・リン)氏は、台湾のトップ研究機関の1つである中央研究院(Academia Sinica)に所属していた。当時、移動体通信の研究者の多くはミッドバンドを対象としていたが、両氏はミリ波に研究の焦点を合わせた。

しかしデバイス、アプリの数が飛躍的に増加し、4Gスペクトルが混雑し始めるとミリ波はニッチな研究対象ではなくなった。Qualcommが次世代の5Gミリ波用のハードウェアとチップを発表し、ミリ波をカバーするキャリアが増え、ミリ波がメインストリームに浮上した。

高い周波数帯域を利用するミリ波は、原理的に多数のチャンネルを収容できレイテンシーも低いが、建物などの障害物に遮られやすいという欠点もある。カバー範囲が限定を受けやすいため基地局の数は増加する。デメリットを克服するために信号を特定のデバイスに志向するビームフォーミング、複数のアンテナを単一のアンテナのように機能させるアンテナアレイなどのテクノロジーも必要となる。

5G基地局、デバイスを開発する時間とコストを80%節約できる

ミリ波普及における課題の1つは、既存のR&Dツールが利用できないため市場投入までの期間が長くなりがちでコストもかさむことだ。

この状況を事業のチャンスとみたTMYTEKは、クライアント向けに設計や製造を行うOEMの立場から、BBox(ビームフォーミングボックス)のようなミリ波5G普及に必須となるソリューションの販売に重点を移した。このプロダクトを開発したきっかけは国立台湾大学の教授が「私のチームは5Gデバイスのアンテナ設計に取り組んでいるが、基地局側でビームフォーミングできるテクノロジーが必要だ」と語ったことだった。BBoxはソフトウェアを使用して電波信号の振幅と位相を制御して16のビームを作成できる。これによりアンテナやその他のハードウェアの機能するか迅速にテストできる。TMYTEKは、BBoxはエンジニアがデバイスを開発する時間とコストを80%節約できるとしている。

チャン氏によると、TMYTEKは台湾で最も先進的な研究を行っている国立台湾大学の研究者があるソリューションを必要としている場合、その需要は普遍的なものであることに気づいた。すでにBBoxは日本のKDDI、NTTドコモ、富士通をはじめフォーチュン500企業や研究機関などに30セットが納入ずみだという。

BBoxはデバイスのアンテナ設計者向けのプロダクトだが、同社では他の設計分野を支援するソリューションも開発中だ。これにはビームトラッキングなど基地局とデバイスの通信やデータの収集を助けるアルゴリズムの開発が含まれる。

TMYTEKの共同ファウンダーであるイーサン・リン氏がXBeamミリ波テスト向けのアンテナのパッケージを示す(画像クレジット:TMYTEK)

MYTEKのXBeamはこのためのツールで、「トータルソリューション」と呼ばれ大量生産における各段階をサポートする。ツールが対象とするのはスマートフォン自体、基地局に含まれるモジュールをテストできる。従来のソリューションはメカニカルな回転子を利用していたが、チャン氏は「研究開発の段階ではいいが、大量生産段階のテストには向かない」という。BBoxをベースにしたXBeamは電子的操作によってビームを生成してスキャンする。同社によればXBeamは他のテストソリューションよりも最大20倍高速だという。

TMYTEKは2019年にXBeamのプロトタイプを発表し、2020年11月に商品化した。

BBoxとXBeamはTMYTEK自身が基地局ビジネスを構築するための重要な資産だ。同社はこれらの独自のソリューションによって基地局をテストを効率化し市場投入までの期間を短縮できる。次にこうしたツールが高い評価を受ければ、基地局をキャリアや企業内ネットワークをマーケティングする上で役立つ。TMYTEKは基地局局ビジネスをノキア、エリクソン、サムスン、ファーウェイなどに対抗できる製品とすることを目指しているため、これは特に重要だ。

「TMYTEKの強みは自分自身で設計を行う能力があり、製造のために優れたパートナーを有しているいることです。投資家のInventecは、台湾のトップ5メーカーです。またTMYTEKは独自のテストソリューションも構築しているためユーザー企業にトータルソリューションを提供できます。これらがTMYTEKが価値ある企業である理由です」とチャン氏は述べた。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:TMYTEK5G台湾資金調達

画像クレジット:TMYTEK

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(翻訳:滑川海彦@Facebook