バイデン大統領が連邦政府機関の全車両のEV化を発表

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は米国1月25日、米政府が政府機関の乗用車、トラック、SUVを米国製の電動タイプに取り換えると発表した。米国の車産業とサプライチェーンで100万人の新規雇用を生み出すという、選挙中の幅広い公約につながっている動きだ。

約束が実現すれば米国の自動車メーカー、特に乗用車から商用バン、軽トラックなど多様なポートフォリオを展開している企業にとって後押しとなる。

バイデン大統領は「the Made in America(メイドインアメリカ)」大統領令への署名に先駆けて、大統領令では連邦政府の調達に関する慣行に厳しいルールを適用するとコメントした。政府には従来の「buy American(バイアメリカン)」ルールがあり、そこには連邦政府が調達するプロダクトの一定量は米国製でなければならないと記されている。

今回の大統領令は抜け穴を塞ぐもので、米国で生産された製品の購入を増やすのが目的だとバイデン大統領は述べた。大統領令はプロダクトの閾値と国産品の価格設定を上げる。これは、政府が米国以外のサプライヤーから購入できるものとの価格の違いを意味する。また、プロダクトが十分に米国で生産されたものかを判断するプロセスもアップデートする。

スピーチの途中でバイデン大統領はバイアメリカンのルールが、連邦政府のかなりの数の車両に拡大されると述べた。

「連邦政府は膨大な数の車両を所有しています。これらをここ米国で、米国人労働者によって生産されたクリーンな電気自動車に置き換え、何百万という新規雇用を創出します。自動車関連では100万人の雇用です」。

これは大きな機会だ。米一般調達局(GSA)の入手可能な最新データによると、米政府は2019年に車両64万5000台超を所有していた。そのうち約22万4000台が乗用車で、41万2000台超がトラックだ。

「GSAは政府車両のグリーン化を含め、気候危機を克服するために政府の購買・リース力を行使する機会の模索に注力します」とGSAの広報担当はTechCrunchに電子メールで述べた。「GSAは現在、連邦政府のミッションをサポートするために乗用車22万4000台を管理しています。クリーンエネルギー車両テクノロジーを活用することでGSAは大統領の気候分野における目標の達成を支え、その一方でこうした次世代の車両が米国人労働者によって米国で製造されるよう米国の自動車製造業界と協業します」。

指令を完全遂行するのは簡単ではない。連邦政府の車両の多くはリースで、契約の長さ次第では電気自動車への移行が遅れることもあり得る。充電インフラ、サプライなど他にも障害がある。また要件となっていないようだが、バイデン大統領は1月25日も含めこれまでに何回も自動車組合の仕事を支持すると公言してきた。

Tesla(テスラ)は電気自動車メーカー最大手とされている。しかし同社には組合労働者がおらず、たとえやや安めのModel 3でも車両価格が高いことは障壁となり得る。

Ford(フォード)とGM(ゼネラルモーターズ)は現在のところEV供給量は多くないが、両社ともユニオンショップ(労働者が必ず職場の労働組合に加入しなければならない制度)を有しており、EVプロダクトの拡大にかなり投資している。

GMは2021年1月初め、EVトップメーカーを目指す270億ドル(約2兆8000億円)の取り組みの一環として、法人顧客に電動・コネクテッドプロダクトのエコシステムを提供するための新しい事業部門を立ち上げた。BrightDropと呼ばれるその部門は2つの主要プロダクトで始動する。航続距離250マイル(402km)のEV600と呼ばれる電動バン、そしてEP1と命名されたポッド状の電動パレットだ。

同社は2025年までに新たに30種のEVをグローバル展開する計画だと述べた。同社によると、そうした発売車両の3分の2超が北米で販売され、Cadillac、GMC、Chevrolet、Buickを含むGMの全ブランドでEVが展開される。

一方、Fordは2020年11月、電動化への115億ドル(約1兆2000億円)の投資の一環としてE-Transitという設定変更が可能な電動貨物バンを発表した。同社は主に消費者マーケットでの電動化に注力してきた。代表的なものがMustang Mach-Eだ。同社のミズーリ州クレイコモにあるカンザスシティー組立工場で生産されるE-Transitは商業部門向けだ。

また Rivian(リビアン)、Lordstown Motors(ローズタウンモーターズ)、Fisker(フィスカー)などを含め、新規EVメーカーの参入も相次いでいる。Rivianは電動ピックアップトラックの生産・発売を2020年7月に開始し、その後電動SUVに取りかかる。同社はまたAmazon(アマゾン)向けの電動バンの開発・組み立ても手がけている。

バイデン大統領の車両置き換え指令は、選挙運動期間中に訴えてきたことに基づいている。大統領は電動車両製造と投入資材、パーツの部門において米国をグローバルリーダーにすべく、購買力、R&D、税、通商、投資政策を含め「連邦政府が有するあらゆる手段を使う」と約束していた。

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タグ:アメリカ電気自動車ジョー・バイデン

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(翻訳:Mizoguchi

EV充電施設のEVgoがSPACとの合併を通じて上場へ

電気自動車(EV)向けの公共急速充電設備を所有・運営しているLS Powerの完全子会社EVgoは、特別買収目的会社(SPAC)のClimate Change Crisis Real Impact I Acquisition Corporationとの合併を通じて公開企業となることで合意した。

新しいティッカーシンボル「EVGO」で上場する合併会社の時価総額は26億ドル(約2700億円)となる見込みだ。100%自社で所有しているLS PowerとEVgoの全資本は今回の合併に合体させる。取引が第2四半期にクローズすれば、LS Powerは新合併会社の株式74%を保有することになる。

EVgoはこれまでに約5億7500万ドル(約597億円)を調達した。ここにはPIPE(プライベートエクイティによる上場企業の私募増資の引き受け)での4億ドル(約415億円)が含まれる。発表によると、投資家はPacific Investment Management Company LLC (PIMCO)、BlackRockが管理するファンドや個人、Wellington Management、Neuberger Berman Funds、Van Eck Associates Corporationなどだ。

EVgoの経営陣はそのまま残り、引き続きCathy Zoi(キャシー・ゾイ)氏が合併会社のCEOを務める。

EV関連企業がいわゆる白紙小切手会社と合併して、IPOに向けた従来の手法を回避するという動きがこのところ続いており、今回の取引は最新のものとなる。過去8カ月間でArrival、Canoo、ChargePoint、Fisker、Lordstown Motors、Proterra、The Lion Electric Companyといった企業がSPACと合併したり、あるいは合併の予定を発表した。

EVgoはEV業界新規参入者ではない。同社は2010年に創業され、過去10年のほとんどをインフラの拡大に費やしてきた。今日では同社は34州にまたがる67主要都市マーケットの800カ所超にチャージャーを展開している。同社はチャージャーを設置するのにAlbertsons、Kroger、Wawaなどを含め数多くの提携を結んでいる。

EVgoはまたGMや日産といった自動車メーカー、配車サービスのLyftやUberなどとも提携している。2020年7月にGMとEVgoは向こう5年で2700基超の急速充電を新設する計画を発表した。

現在走行している乗用車、トラック、SUVにEVが占める割合はまだ小さい一方で、自動車業界はEVマーケットが2019年から2040年にかけて100倍超に拡大すると予想している、とEVgoは述べた。同社によると、公開市場で調達する資金は事業拡大を加速させるのに使われる。

「わずか数年前、EVはニッチなものととらえられていました」とEVgoのCEOであるゾイ氏は声明文で述べた。「今日では改良されたテクノロジー、低コスト、豊富な選択肢、EVパフォーマンス評価の向上によって、選択できる車両テクノロジーになりつつあります。そのため急速充電の需要は高まっています」。

米国人の30%が自宅で充電できないと推測され、EVに切り替える車両の増加と併せて、そうした需要に応えるために公共の充電施設は必要不可欠なものになると、とゾイ氏は述べた。

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タグ:EVgo電気自動車充電ステーションSPAC

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(翻訳:Mizoguchi

RivianがEVピックアップトラック生産開始に向け2753億円調達

今夏の全電動ピックアップトラック生産開始に向け、Rivian(リビアン)は26億5000万ドル(約2753億円)を調達した。T. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドや個人がリードした本ラウンドにはFidelity Management and Research Company、 Amazon(アマゾン)のClimate Pledge Fund、Coatue、D1 Capital Partners、そのほかの既存・新規投資家も参加した。

本ラウンドに詳しい情報筋によると、Rivianは現在、276億ドル(約2兆8670億円)で評価されている。

Rivianにとって重要な時期での資金調達となる。同社は消費者向けの2モデル(R1TピックアップトラックとR1S SUV)のデザイン、開発、生産、納車を進めている。そして電気自動車充電ネットワークを構築中で、Amazonから注文のあった配達用のバン10万台にも対応中だ。

「投資家からのサポートと信頼を受けて、当社は引き続き車両の立ち上げにフォーカスし、と同時に次なる成長に向けて事業を拡大することができます」とRivianの創業者でCEOのRJ Scaringe(RJ・スカーリンジ)氏は声明文で述べた。

今回の資金調達は、同社が電動SUVとピックアップトラックを2018年のLAオートショーで発表した後に本格的に始まった、2年にわたるかなりの投資の動きに続くものだ。

発表からわずか数カ月後にRivianはAmazonがリードした7億ドル(約727億円)のラウンドを発表した。その後、Ford(フォード)からの5億ドル(約519億円)の拠出など、さらに投資や未来のEVプログラムでのコラボの約束が続いた。2019年9月にはCox Automotive(コックス・オートモーティブ)が3億5000万ドル(約364億円)を出資した。Rivianは、T. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドや個人がリードし、AmazonやFord Motor Company、BlackRockが管理するファンドも参加した13億ドル(約1350億円)のラウンドを発表して同年を締め括った。

資金流入は2020年も止まらなかった。Rivianは2020年7月に、T. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドや個人がリードしたラウンドで25億ドル(約2597億円)を調達したと発表した。既存株主のAmazonや BlackRockとともに、Soros Fund Management LLC、Coatue、Fidelity Management and Research Company、Baron Capital Groupといった新規投資家もラウンドに参加した。

2019年初めからのRivianの資金調達額は80億ドル(約8311億円)になった。

イリノイ州ノーマルにあるRivianの工場(画像クレジット:Rivian)

Rivianはそうした資金の使途を隠してこなかった。同社は10億ドル(約1039億円)超をイリノイ州ノーマルの工場に注ぎ込んだ。三菱とChrysler Corporation(クライスラー)の合弁会社を通じてかつて三菱のEclipseを生産していた同工場は完全に刷新・拡張された。

Rivianによると、広さ300万平方フィート(約28万平方メートル)の工場の整備は予定通り進んでいるがまだ完了していない。試験ラインが稼働し、R1Tピックアップトラックの認証プロトタイプを毎日生産している。

Rivianはまた、Amazonの配達バンを同工場で生産する計画だ。Amazonへの最初の納車は2021年後半が見込まれている。

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タグ:Rivian電気自動車資金調達

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(翻訳:Mizoguchi

広告サポート型EV充電ステーションネットワークのVoltaが約130億円調達

広告により収益化する電気自動車充電ステーションネットワークを開発しているVoltaは、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)管理の下で1億2500万ドル(約130億円)の新規資金調達を行った。

Voltaは食料品店、薬局チェーン、銀行、病院周辺の駐車場に設置された電気自動車用充電ステーションのネットワークを構築し、運営している。

声明によると、同社は55インチのデジタルディスプレイを備えた充電ステーションを、米国23州の200都市に設置している。

車の所有者は無料で充電でき、EVユーザーにリーチしたい小売店や消費財メーカーの支援を受けている。

今回の新たな資金調達により、Voltaはこれまで2億ドル(約210億円)以上の資金調達を行っており、そのキャッシュを使って国際的な事業展開を開始する意向だ。

Voltaの充電器を設置している企業にはAlbertsons Companies、Giant Food、Regency Centers、Wegmans、TopGolfなどがある。また、同社のスクリーンに広告を掲載しているブランドにはGM、Hulu、Nestlé(ネスレ)、Polestar、Porsche(ポルシェ)、Unilever(ユニリーバ)などがある。

「2018年に初めてVoltaに投資して以来、電化への興奮と関心、特に公共の充電ソリューションの解決への関心は高まり続けています」と、今回のラウンドの主要かつ既存の投資家であるEnergize VenturesのマネージングパートナーのJohn Tough(ジョン・タフ)氏は語った。「このチームにおける私たちの信念も同様に成長しており、Voltaは国内で最も資本効率が高く、利用率の高いEV充電ネットワークとして、この市場をリードする準備ができていると考えています」。

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タグ:Volta電気自動車資金調達充電ステーション

画像クレジット:Volta Charging

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

フォックスコンと中国Geelyが提携、次のテスラを目指し自動車メーカー向けに電気自動車、自動運転車、シェアリング車を開発

将来の電気自動車、自動運転車はApple(アップル)の主要サプライヤーであるFoxconn(フォックスコン、鴻海科技集団)と、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding Group(チョーチアン・ギーリー・ホールディング・グループ、浙江吉利控股集団)によって製造されるのかもしれない。
両社は、自動車メーカー向けの受託製造に焦点を合わせた合弁会社を設立することで合意しており、特に電動化、コネクティビティ、自動運転技術、およびシェアリングを目的とした車両に注力する。それぞれが、新合弁会社の株式の50%を均等に保有する。両社が発表した声明によると、取締役会は5人で構成され、Foxconnは会長を含む3人、Geelyは2人を選任するという。

今回の合意は、両社が自動車メーカーからの委託製造で、より大きな役割を担うようになったことを受けてのものだ。今週の初め、Geelyは中国の検索大手Baidhu(バイドゥ、百度)による、電気自動車生産会社の設立を支援することを発表した。Baiduがスマートドライブ技術を提供し、Geelyは自動車の設計・製造を担当する。一方Foxconnは、経営が苦しい中国の電気自動車スタートアップBytonのM-Byte SUV製造を支援する計画を発表している。

Geely Holding GroupのDaniel Donghui Li (ダニエル・ドンホイ・リー)CEOは、世界の自動車産業は大きな変化を迎えていると語った。彼は、Geelyが「変化を積極的に受け入れ、アライアンスを構築し、リソースを相乗的に活用して、ユーザーのみなさまにとってのより大きな価値を創造しなければなりません」と語り、Foxconnの専門知識が自動車業界の変革と進化のための重要な知見を提供するだろうと付け加えた。

新しい合弁会社は、自動車メーカーやライドシェア事業者に対して車両全体、部品、インテリジェントドライブシステムなどの、自動車エコシステムプラットフォームに関するコンサルティングサービスを提供して行く。Geelyは自動車分野での設計、エンジニアリング、研究開発、インテリジェント製造、サプライチェーンマネジメント、品質管理などの経験を提供し、一方Foxconnは、製造とICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)のノウハウを提供する。

新会社の目的は、自動車メーカーたちが、業界ではCASEと呼ばれているコネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化技術に基づく、革新的で効率的な新しい製造プロセスやビジネスモデルへの移行を加速するための支援を行うことにあると、両社は述べている。

次のTesla(テスラ)を目指す企業や、自動運転車の商業化を目指す企業がここ数年で多数誕生しており、このFoxconn-Geely合弁会社には、候補となり得る顧客の長いリストができている。自動車を大量生産するための主要な障害の1つは、工場を建設して稼働させるために必要な数十億ドル(数千億円)資金である。こうした資金の必要性が、多くのEVスタートアップ企業に、特別買収目的会社(SPAC)と合併して株式公開企業になることを促している。Canoo(カヌー)、Fisker(フィスカー)、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Nikola Corp.(ニコラ・コープ)といった企業が、白紙小切手会社とも呼ばれるSPACと合併している。

Foxconn Technology GroupのYoung-way Liu(ヤンウェィ・リュー、劉揚偉)会長は今回の提携を、自動車産業と情報通信技術(ICT)産業の協力の歴史におけるマイルストーンと呼んでいる。

「Foxconnの世界をリードする研究開発技術、インテリジェント製造、ハードウェアとソフトウェアの統合能力によって、両社は非常に補完的なパートナーシップを生み出すことができます、これにより私たちはより良いサービスを提供し、様々な顧客の多様なニーズを満たすことが可能になり、最も先進的で、最速で、費用対効果の高いフルバリューチェーンの自動車生産サービスプラットフォームを提供することができます」とリュー会長は語り、さらに、このパートナーシップは自動車産業の発展に大きな変化をもたらすだろうと付け加えた。

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タグ:FoxconnGeely自動運転EV

画像クレジット:SAM YEH/AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

Sono Motorsがソーラーカー技術を自動運転シャトルバスのEasyMileにライセンス供与

Sono Motorsは、ソーラーカー用に開発した技術をもっと広く普及させたいと考えている。そこで同社はまず、自動運転のシャトルバスサービスであるEasyMileとパートナーシップを結んだ。

ドイツのスタートアップSono Motorsは、バーチャルで行われているCES 2021で米国時間1月12日にプレゼンテーションを行い、同社の自動車ボディ用ソーラーパネルの技術をライセンス提供したい、と述べた。EasyMileは政府機関や大学、一般企業などに電動車による自動運転シャトルバスを提供しており、Sono Motorsのソーラーボディパネルを使用する最初の企業になる、とSono Motorsの共同創業者でCEOのLaurin Hahn(ラウリン・ハーン)氏は述べた。発表では、同社の次世代ソーラー電気自動車Sionも紹介された。

Sono MotorsのEVであるSionは、遠目からだと黒い塗装のコンパクトカーのように見える。しかし近くで見ると、車両のエクステリア全体が、ガラスの代わりにポリマーに組み込まれた数百の太陽電池から構成されている。

Sono Motorsのソーラーインテグレーション担当上級マネージャーであるArun Ramakrishnan(アルン・ラマクリシュナン)氏によると、この技術により同社の車両は市場で現在利用可能な他のどの技術よりも軽く、頑丈かつ安価で効率的になるとのこと。また、このソーラーインテグレーション技術は、クルマ以外にも活用できるという。

ボディパネルは、他社の自動車のボディパネルに比べて軽量で、ポリマーのコーティングによりセルが裂けることを防いでいる。これらのソーラーセルが太陽光をエネルギーに変換し、クルマのバッテリーに保存する。ソーラーセルは運転時と駐車時に使用でき、ミュンヘンの平均的な天候だと1日の走行距離を約35km延長する。

ハーン氏によると、その目的は充電インフラへの依存度を下げることだという。

画像クレジット:Sono Motors / スクリーンショット

ソーラーパネルは、従来の充電方法に取って代わるものではない。しかし、プラグを差し込む頻度を減らすことができる。Sono Motorsによると、Sionにソーラーパネルを搭載したことで、ドイツにおける毎日の平均通勤距離10マイル(約16.1km)を走ったとして、充電の必要性が1週間に1回から4週間に1回になったという。

Sono Motorsは米国時間1月12日に、この技術のユースケースの1つであるソーラーパネルを搭載したトレーラーを披露した。トレーラーはプロトタイプで、1日に最大80kWhの発電能力がある。

「大きな可能性を想像してみてください」とラマクリシュナン氏。この技術は冷蔵トラックやその他の車両にも利用できるという。

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タグ:Sono Motors太陽光発電電気自動車CES 2021

画像クレジット:Sono Motors

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GMが配送業者向け新事業部起ち上げ、商用EVバンと電動アシスト付きパレット発表

GMはFedEx(フェデックス)をはじめとする法人顧客に、電気自動車とコネクテッド製品のエコシステムを提供する新事業部を立ち上げた。これは同社が電気自動車メーカーの主導的な企業となるために、270億ドル(約2兆8000億円)を投資する野心の最新の取り組みだ。

「BrightDrop(ブライトドロップ)」と呼ばれる新事業は、バーチャルで開催されたCES 2021の期間中、米国時間1月12日に正式発表が行われた。まずは航続距離250マイル(約400km)の「EV600」と呼ばれる電動バンと、「EP1」と名づけられたポッド型電動パレットの2つの主要製品からスタートする。

BrightDropは他の製品も念頭に置いており、複数台のEP1電動パレットを輸送できる中距離車両や、緊急配送用車両などのコンセプトも開発中ということが、12日に発表された。

画像クレジット:GM

だが、この取り組みは車両のみにとどまらない。GMは商用車市場にEVのエコシステムを提供するためのソフトウェアツール群も開発している。また、販売とサービスをサポートするためのディーラーネットワークを構築し、商用車の顧客が充電インフラを設置するのを支援する計画だ。

GMによると、ウェブサイトやモバイルアプリからアクセスできるクラウドベースのソフトウェアプラットフォームは、ユーザーに最適な配送ルートやその他のフリート管理機能など、業務改善に役立つ情報を提供するという。電動バンとパレットには、位置監視、遠隔からのバッテリー状態チェック、リモート解錠 / 施錠など、より便利に顧客が車両を監視・管理するために設計された様々なコネクテッド機能が搭載される予定だ。

画像クレジット:GM

BrightDropはこれまでOnStar Insurance(オンスター・インシュアランス)、OnStar Guardian(オンスター・ガーディアン)、GM Defense(GMディフェンス)の起ち上げにつながったGMの社内組織であるGlobal Innovation(グローバルイノベーション)からスピンアウトした最新の「スタートアップ」だ。BrightDropのCEO兼社長には、Redpoint Ventures(レッドポイント・ベンチャーズ)のアントレプレナーインレジデンスだったTravis Katz(トラビス・カッツ)氏が就任した。

BrightDropのアイデアは、GMのグローバル・イノベーションのチームが、電子商取引の成長と新型コロナウイルスの感染拡大によって悪化したオンライン配送に対する消費者の需要を評価していたことに端を発する。

「最初の1マイル(約1.6km)から文字通り最後の5フィート(約1.5m)まで、配送と物流における需要と課題について知れば知るほど、電動化、モビリティアプリケーション、テレマティクス、車両管理などの分野におけるGMの専門知識を活用し、企業がよりスマートで持続可能な方法で商品やサービスを移動できるようにする機会であることが分かってきました」と、GMのグローバイノベーション担当副社長のPam Fletcher(パム・フレッチャー)氏は、発表前のメディア向け説明会で語った。

GMの予測によれば、この機会はかなり大規模なものだ。2025年までに、米国における小荷物配達、食品配達、リバースロジスティクスの市場機会は、合計で8500億ドル(約88兆円)以上になるとGMは見積もっている。世界経済フォーラムによると、都市部でのラストマイル配送の需要は2030年までに78%増加し、世界の上位100都市で配送車両の36%増加につながると予想されている。この需要増加によって、配達による二酸化炭素排出量は30%以上増加すると予想されている。

EP1

画像クレジット:GM

同事業部の第一弾製品は「EP1」と呼ばれる近距離の荷物搬送を目的に開発された電動アシスト付きパレットだ。このパレットは、たとえば倉庫から配送用バンまで商品を何度も往復輸送するために使うことができるだろう。2021年初頭に発売 が予定されている。

EP1には電気ハブモーターが内蔵されており、最高時速3マイル(時速約4.8km)までの移動が可能。ポッドの速度は、これを押すオペレーターの歩く速さに応じて調整される。

GMによると、EP1は狭い空間で操作することを想定して設計されており、約23立方フィート(約650リットル)のカーゴスペースを持ち、最大200ポンド(約91kg)の荷を積むことができる。ポッドの内部には調節可能な棚板とロック可能なドアが備わり、輸送中の積み荷にリモートでアクセスできるようになっている。

FedExは先日、EP1の試験的プログラムを完了した。GM によると、FedEx Express(フェデックス・エクスプレス)の宅配業者はEP1を導入したことで、1日あたり25%増の荷物を安全に取り扱うことができたとのこと。

BrightDropとFedEx Expressは、今四半期中にも米国の主要都市で試験的な運用を実施する予定だ。

EV600

画像クレジット:GM

この電動宅配バンは、GMのEV戦略の中核となる「Ultium(アルティウム)」アーキテクチャをベースに設計・製造された車両。2021年末よりFedExに最初の納車が始まる予定だ。BrightDropでは、2022年初頭より受注を開始し、より多くの顧客にEV600を提供できるようになると予想している。

EV600は、一度の満充電で250マイル(約400km)ほどの距離を走行可能になる見込みだ。120kWのDC急速充電器を使えば、1時間の充電で最大170マイル(約274km)の距離を走行できるとGMはいう。

内部に備わる荷室の容量は600立体フィート(約1万6990リットル)以上と広大で、荷物を安全に保つためのセキュリティシステムが付属する。運転席には対角13.4インチのフルカラーインフォテインメントスクリーンや、フロントのスライド式ポケットドアを装備。ワイドなキャビンはウォークスルーが可能で、荷室との間には自動で大きく開くドアが備わる。

この商用電動バンには、前後のパークアシストや自動緊急ブレーキ、車線逸脱警報など、GMの乗用車に見られる多くの運転支援技術が標準装備されている。さらに前方衝突警報、先行車との車間距離表示機能、歩行者検知ブレーキ、自動ハイビーム切り替え機能、高精細な後方視界カメラなども標準で装備される。

顧客がさらなる安全機能を求めるのであれば、後方の横方向から迫る車両を検知して自動的にブレーキを作動させるリアクロストラフィックブレーキ、ブラインドスポットを監視して危険があれば自動で操舵を補助するブラインドゾーンステアリングアシスト、後退時の自動ブレーキ、車両の周囲を映し出すHDサラウンドビジョン、後方歩行者検知警報、カメラに加えてレーダーも併用することで全速度域で作動するエンハンスドオートマチックエマージェンシーブレーキなどもオプションで装着可能だ。


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カテゴリー:モビリティ
タグ:GMFedExロジスティクスCES 2021電気自動車

画像クレジット:GM

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(翻訳:TechCrunch Japan)

UberがEVを推進する「Uber Green」プログラムを北米1400都市に拡大

Uber(ウーバー)は、ドライバーに電気自動車またはハイブリッド車の利用を促進するインセンティブプログラムを北米1400都市へと拡大した。新たに加わったのは、テキサス州のオースティンとヒューストン、フロリダ州マイアミ、ニューヨーク市などで2040年までに排出ゼロプラットフォームを目指す同社の取り組みの一環だ。

Uber Green(ウーバー・グリーン)と呼ばれるこのプログラムでは、乗客がEVまたはハイブリッド車を指定するオプションを与えられる。ドライバーはUber Green乗車が完了する毎に、乗客が払う1ドル(約104円)の追加料金から0.50ドル(約52円)を受けとる。米国時間1月12日Uberは、同プログラムをUber Passメンバーシップサービスと統合し、「Uber Green」に乗車したメンバーに10%割引を適用すると語った。

もちろん、Uber Greenの成否はドライバーこの切り替えを起こさせる力にかかっている。同社は2025年までにドライバーが電気自動車を使うようにするために、8億ドル(約828億5000万円)を準備している。

このほど同社は、プログラムのインセンティブを強化するべく自動車メーカー、充電ネットワーク提供者、およびEVレンタル・運行会社などとの提携を開始した。Uberによると、ロサンゼルスのドライバーはAvis(エイビス)との提携によって電気自動車をレンタルできる。プログラムは2021年中に全世界に拡大される予定だ。

UberはAmple(アンプル)とも提携した。2021年1月からサンフランシスコのドライバーは、Ampleのバッテリー交換テクノロジーを備えた車両をレンタルできるようになる。電気自動車のバッテリーを数分のうちに交換できる仕組みだ。

同社はEVgoとも提携し、同社ライドシェアリングプラットフォームのドライバーが、米国内800カ所以上の充電ステーションを割引料金で利用できるようにした。

Uberのゼロエミッションの目標達成には、ドライバーや乗客にEVを使わせるだけでは足りない。同社は他のプログラムも展開しており、公共交通機関利用者のための移動計画機能がその1つだ。この機能は現在世界40都市以上で提供されており、ユーザーはUberアプリを通じて公共交通機関による移動を計画することができ、駅への歩行経路の案内やリアルタイムスケジュールなども使える。同社は12日、同機能がジョージア州アトランタ、オークランド(ニュージーランド)、ブリスベン(オーストラリア)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、グアダラハラ(メキシコ)、ペンシルベニア州フィラデルフィア、インドのバンガロール、チェンナイ、ムンバイの各都市でも利用できるようになったことを発表した。

Uberは、メキシコシティとロンドンで、ライドシェアリングと徒歩経路案内と市バス、地下鉄、鉄道の乗り換えを組み合わせたマルチモーダルトリッププランナーを提供することも発表した。同機能はシドニー(オーストラリア)とイリノイ州シカゴですでに提供されている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:UberEVUber Greenゼロエミッション

画像クレジット:Uber

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開

2020年のCESで最大のサプライズの1つとなったSony(ソニー)の「VISION-S(ヴィジョン・エス)」プロトタイプセダンは、ショーが終了した後も消え失せることはなかった。

米国時間1月11日に開幕したCES 2021で、ソニーが公開した一連の新しい動画の中に、再びVISION-Sの姿を見ることができた。そのうち2本の動画には、VISION-Sがオーストリアの私設コースと公道を走行している様子が映し出されている。だが、3本目の長いビデオ(記事の最後に掲載)では、ソニーがこのプロトタイプをどのようにして設計・開発したのか、そしてそのパートナーやボディの下に隠れたいくつかの技術について、より多く光が当てられている。

画像クレジット:Sony(スクリーンショット)

重要なことは、VISION-Sのプロトタイプがソニーにとっては単なる出発点に過ぎないということだと、このプロジェクトのパートナーの1つ、自動車製造受託会社であるMagna Steyr(マグナ・シュタイヤー)のFrank Stein(フランク・スタイン)社長は語る。約9分におよぶこのビデオの中でインタビューに応じているスタイン氏は、ソニーとMagna Steyrのパートナーシップが今後も継続することを示唆しており、このプロトタイプが一過性のものではないかという憶測を払拭させるような発言をしている。

ソニーのウェブサイトに、詳細な情報と一緒に掲載されているこの動画は、同社とその多くのパートナーが1年の間にこのクルマの開発をさらに進めてきたことを示している。

動画に登場するソニー執行役員の川西泉氏によると、ソニーは360度の認識を可能にするために、車両に搭載されているセンサーの数を40個に増やし、そのセンシング能力をどこまで高められるかの実験を行ったという。また、そのコネクテッドビークルの安全・安心を検証するシステムも作成してきたと、同氏は述べている。

下の写真で見られるダッシュボード全幅にわたる長さのディスプレイには、中央部分に5つのタイルが配置されており、それぞれカメラ、設定、ナビゲーション、音楽、ビデオというラベルが付けられている。

画像クレジット:Sony/screenshot

動画を見ると音声アシスタント、ジェスチャーコントロール、ビデオゲームなどのエンターテインメント、車両のソフトウェアをワイヤレスでアップデートする機能、5G接続、車内カメラを使ったドライバーモニタリングシステムなど、他にもいくつかの機能が追加あるいは開発されていることがわかる。特に、ソニーのウェブサイトで詳しく説明されているカメラが興味深い。

車内に装備されたToFカメラは、乗員の状態を認識・確認するために使われる。後部座席に寝ている乗員を検知すると、自動的にエアコンを制御し、その座席の周囲を最適な温度に調整するという。このシステムは日常的に使用することで進化を続け、運転者の好みの温度や音楽、走行ルートなどを学習する。実際の走行データを活用し、車内をより快適な空間にしていくと、ソニーは述べている。

このビデオには、Bosch(ボッシュ)やContinental(コンチネンタル)、ハンガリーの自動運転スタートアップ企業であるAIMotive(エーアイモーティブ)、ソフトウェア会社のElektrobit Automotive(エレクトロビット・オートモーティブ)、フランスの自動車部品サプライヤーであるValeo(ヴァレオ)、通信大手のVodafone(ボーダフォン)、ドイツの自動車部品メーカーであるZF Group(ZFグループ)など、VISION-Sに関わるパートナーがずらりと登場する。他にも地図作成会社のHERE(ヒア)、NVIDIA(エヌビディア)、BlackBerry(ブラックベリー) / QNX、Qualcomm(クアルコム)などの企業がパートナーとして参加しており、いつかソニーが開発したクルマを一般消費者が購入できる日が来ることは、まず間違いないだろうと思えてくる。

「(ソニーのビジョンの1つとして)『人に寄り添う』ということをテーマに掲げているので、そのための1つのツールとして、モビリティは存在するだろうと思います」と、ソニーのAIロボティクスビジネス担当執行役員の川西氏は動画の中で語っている。

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タグ:Sony電気自動車、VISION-S、CES 2021

画像クレジット:Sony

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

中国の検索大手のBaidu(バイドゥ、百度)が、その自動車への野望を、単なるソフトウェア提供から生産へと広げている。同社は中国時間1月11日、中国の自動車メーカーGeely(ギーリー、吉利)の協力を得て、電気自動車(EV)製造会社を設立することを発表した。過去10年ほど中国のインターネット検索市場を席巻してきた百度がスマートドライブ技術を提供し、一方スウェーデンのVolvo(ボルボ)との合併(ロイター記事)が間近に迫っているGeelyが自動車の設計と製造を担当する。

新たなEV製造会社の設立は、中国のインターネット業界の先端企業がEVスペースに参入することを意味している。2020年11月には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴)と中国の国営自動車メーカーSAIC Motor(上海汽車集団)が手を組んで、電気自動車を生産するというニュースが流れた。ライドシェア企業のDidi(ディディ)とEVメーカーのBYD(比亜迪汽車)が共同開発した配車サービス用モデルは、すでにIdeanomics(PR Newswire記事)のような顧客を獲得している。一方、中国におけるTesla(テスラ)への挑戦者であるXpeng(シャオペン、小鵬)、Li Auto(リ・オート)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)などの株は、この1年順調に上昇傾向にある。

Baiduの自動車への注力は、検索広告収入に依存するビジネスを多様化するための試みの一環である。ByteDance(バイトダンス、北京字節跳動科技)のニュースアグリゲーターToutiao(トウティァオ、今日頭条)や短編動画アプリDouyin(ドウイン、抖音)などの新しいメディアプラットフォームには独自の検索機能が搭載されており、Baiduのような伝統的検索エンジンのシェアを徐々に侵食している。データ分析会社のJiguang(ジグアン、极光)が示したところによれば(WeChat記事)、中国ではショートビデオサービスが、インターネット検索ではウェブ検索エンジンに次いで2番目に人気のあるチャンネルとして浮上しており、ソーシャルネットワークや電子商取引よりも先を行っている。

Baiduは2017年から自動運転に積極的に取り組んでいる。「スマートドライブのためのアンドロイド」と呼ばれるそのApollo(アポロ)エコシステムは、100社以上の製造業やサプライヤーのパートナーを集めてきた。Baiduはまた、自動運転のテストに熱心で(未訳記事)、最近ではロボタクシーの一群をロールアウトした(South China Morning Post記事)。

新会社はBaiduの子会社として運営され、Geelyが戦略的パートナーとなり、ApolloやBaidu Maps(バイドゥマップ)などのBaiduの各部門が機能を提供する。新会社は車両設計、研究開発、製造、販売、サービスなどの自動車産業チェーン全体をカバーする。

BaiduとGeelyの提携がApolloの運営にどのような影響を与えるかは不明だが、Baiduは発表の中で「AI技術業界全体でのオープンなコラボレーションの精神を堅持し、エコシステムのパートナーと緊密に協力してインテリジェントトランスフォーメーションの新しい波を押し進めるよう努力します」と約束している。

Baiduの共同創業者であり最高経営責任者であるRobin Li(ロビン・リー、李彦宏)氏は「Baiduは、インテリジェントドライブの未来をずっと信じており、過去10年間でAIに多額の投資を行い、世界クラスの自動運転サービスのポートフォリオを構築してきました」と述べている。

「私たちは、スマートトランスポーテーション、コネクテッドカー、自動運転に関するBaiduの専門知識と、大手自動車メーカーでありEVメーカーでもあるGeelyの専門知識を組み合わせることで、新しいパートナーシップが将来の乗用車への道を切り拓くものと確信しています」。

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タグ:BaiduGeelyEV自動運転

画像クレジット:Baidu’s autonomous driving car

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(翻訳:sako)

GMがEVへの本気度を示す新ロゴを発表、ウェブサイトも刷新

General Motors(ゼネラル・モーターズ)はロゴを変更し、ウェブサイトを刷新し、新たに「Everybody In」マーケティングキャンペーンを立ち上げた。電気自動車の浸透を加速させることに真剣であるという、モダンで迅速、そしてインクルーシブな組織への同社のトランスフォーメーションを示す取り組みの一環だ。

これらの変更は、米国時間1月11日からバーチャルで開催されるテックトレードショー2021 CESへの参加を発表するのにともなって明らかにされた。同日から新しいウェブサイトになる。

「115年の歴史の中でGMがロゴを変更するのは今回が5回目で、おそらく1964年以来最も革新的なものです」と同社のマーケティング責任者Deborah Wahl(デボラ・ワール)氏は米国時間1月8日の記者会見で述べた。すべて大文字のGMロゴは、ゼロエミッションできれいな空を連想させるソフトな青いグラデーションの小文字「gm」に変わった。そして「m」の下には下線があり、これはGMの基礎をなすUltiumバッテリーアーキテクチャーを示している。mの周辺の空白部分は電気プラグのようにも見えるとワール氏は話した。

「楽観的で、エネルギーと活気があり、当社の未来に対する見方を反映しています」と同氏は語った。「当社でしっかりと受け継がれてきたものに、見て取れる一貫性と信頼という重要な要素が加わっています。しかし全体的に真にGMに人間性を与えようとしており、実際、このブランドアイデンティティプロジェクトは、これが従業員16万4000人を表すことを知っている当社のデザイナーチームがリードしました」。

2021年1月に立ち上げたGMの新しい広告キャンペーンのサーファーのベサニー・ハミルトン氏

この取り組みはロゴの変更、そして著作家のMalcolm Gladwell(マルコム・グラッドウェル)氏、サーファーのBethany Hamilton(ベサニー・ハミルトン)氏、ゲーマーのErin A. Simon(エリン A・シモン)氏、Peloton(ペロトン)のサイクリングインストラクターCody Rigsby(コーディ・リグスビー)氏の短い出演とともに普通の人々が登場する新しい広告以上のものになることを意図している。同社が動きの遅い遺産的な自動車メーカーから、すばやく動き、技術を中心に据え、そして次世代車の所有者にアピールする自動車メーカーへと真に進化したことを示すのが狙いだ。

GMはインスパイアしたいと考えている。ロゴやウェブサイトの変更は変身の始まりを意味する。

もちろんこの変革を支えるのは資金やリソースだ。GMは2020年11月、今後5年間で電気自動車と自動運転テクノロジーの開発に270億ドル(約2兆8000億円)を注ぐと述べている。これは石油・ディーゼルへの投資より35%多く、プロダクトをより早くマーケットに投入するためのものだ。

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タグ:GM電気自動車

画像クレジット:GM

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(翻訳:Mizoguchi

AppleとのEV提携の可能性に関する報道で現代自動車の株価が20%以上アップ

韓国の現代自動車(ヒュンダイ)は、自動運転電気自動車の生産に向けた協議をApple(アップル)と行っていると報じられたが、現代自動車はその協議はまだ「初期段階」で、何も決まったことはないと軽く扱う姿勢を崩していない。しかし、公表前には固い秘密主義を貫くことで知られたAppleとの協業の可能性に触れたそのニュースは、韓国時間1月8日、Korea Exchange(韓国証券取引所)における現代自動車の株価を20%以上押し上げた(Yahooファイナンス記事)。

協議が最初に報じられたのはKorea Economic Daily(コリア・エコノミック・デイリー)紙上で、その内容は韓国の自動車大手である現代自動車自らがBloomberg(ブルームバーグ記事)に対して以下のように認めている。「Appleと現代自動車は協議中です、しかしそれはまだ初期段階で、何も決定されていません」。また、同社はCNBCに対しては「Appleが現代自動車を含むさまざまな世界的な自動車メーカーと協議中であることは知っています。議論は始まったばかりなので、何も決まってはいません」と語っている。

現代自動車の広報担当者はTechCrunchへのコメントを拒否した。また、Appleにはコメントを求めている最中である。

2020年12月、Reuters(ロイター)が報じたところによれば、Appleの自動車構想Project Titan(プロジェクト・タイタン)はまだ続いており、自動運転式の電気乗用車の開発が計画されているという。だがこの車の発売は2024年以降になると考えられている。

現代自動車は2020年8月に独自の電気自動車ブランドであるIoniq(イオニーク)を立ち上げた。今後4年間の間に3種類の完全電気自動車を市場に投入する予定だが、これは2025年までにバッテリー式電気自動車を100万台販売し、EV市場で10%のシェアを取る戦略の一環である。また、現代自動車は自動運転技術企業のAptiv(アプティブ)との合弁会社を設立し、2022年までにレベル4とレベル5の量産可能な自動運転システムを、ロボタクシー、車両運用業者、自動車メーカーに提供することを目標としている。Aptivとの提携は2019年に発表されている。

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タグ:現代自動車Apple自動運転電気自動車

画像クレジット:DIRK WAEM/AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

フォルクスワーゲンがEV充電ロボットのプロトタイプを開発

Volkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)はモバイル型の電気自動車(EV)チャージャーを開発した。人間が介することなく、駐車場を自動走行してEVを充電し、基地に戻ることができる。

VW Group Componentsが製造したプロトタイプは、VWが電気自動車を生産・販売するのに伴って増大することが見込まれる需要に対応するのに今後数年間で充電インフラをどのように拡大するかを示すことを目的としている。VWグループは今後10年で数十のEVモデル立ち上げを約束している。同グループ傘下のフォルクスワーゲンブランドは2025年までにEV150万台を生産・販売する計画だ。

「将来のために効率的な充電インフラを整備することは業界全体の主な課題です」とVW Group ComponentsのCEO、Thomas Schmall(トーマス・シュマル)氏は声明文で述べた。「当社は費用のかかるスタンドアロンの方法を回避するのに役立つソリューションを開発しています。モバイル型の充電ロボットとフレキシブルな急速充電ステーションが現在取り組んでいるソリューション例です」

VWグループは一連の異なるDC充電プロダクトを開発している。ここには最大22キロワットで充電するDCウォールボックスも含まれる。VWは12月初め、ドイツにある生産工場でDCウォールボックスの試験を開始した。VWグループはまた、フレキシブルな(しかし設置型に近い)急速充電ステーションを2021年初めにマーケットに投入する計画だ。

モバイル型充電ロボットの発売時期はまだ決まっていない。プロトタイプが出来上がった段階であり、「全体的にさらに開発する」と同社は話した。モバイル型のチャージャーに関しては1つ注意点がある。モバイル型チャージャーがマーケットに浸透するには、車両がインフラに「話す」ことができるようになるカー・トゥー・エックスコミュニケーションが前提条件となる、とVWは述べた。

充電ロボットのプロトタイプは車両のオーナーあるいはカー・トゥー・エックスコミュニケーションが立ち上げるアプリでスタートできる。コミュニケーションが始まると、モバイル型チャージャーはオンになり(ディスプレイに2つのデジタルアイが現れる)、車両に向かって自動走行する。そして充電ソケットのフラップを開けてプラグを接続させたり抜いたりする。このチャージャーはまた、動き回って車両をエネルギーストレージユニットに接続させることもできる。充電が完了すると、ロボットはモバイルエネルギーストレージユニットを回収し、中央充電ステーションに戻す。

DC充電プロダクトは顧客のニーズとEVの技術的な前提条件にフォーカスするだけでなく、駐車場運営者などのパートナーとの経済的な可能性も開く、とシュマル氏は話した。

モバイル型充電ロボットが作動している様子は以下のビデオで閲覧できる。

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画像クレジット: VW Group

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(翻訳:Mizoguchi

Teslaが2021年「早期に」インドでEV事業開始へ、生産も視野

Tesla(テスラ)は2021年「早期に」インドで事業を開始する。テクノロジーを駆使している車メーカーTeslaが、世界で2番目に人口が多いインドのマーケットに来年参入すると確信していると述べた翌12月28日、インドの大臣が明らかにした。

Teslaの事業は2021年早期に販売で始まり、その後車の組立・生産も「おそらく」検討する、とインドの運輸大臣Nitin Gadkari(ニティン・ガッカーリ)氏がIndian Express(インディアン・エクスプレス)紙に述べた。来年の早期とはいつなのか? 絶対に来月ではない、とTeslaのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はツイートした。

同社は何年もの間、インド進出に関心を示してきた。しかし2018年のツイートで、同氏はインドの「政府規制」が障壁となっている、と述べていた。

世界の他の国でもそうだが、マスク氏はインドに数千万人のファンを抱える。ほんの一握りの人だけが2016年に1000ドル(約10万円)を払ってModel 3をプレオーダーした。後に同氏はインドの顧客への納車遅れに関してインドの規制を非難した。

「おそらく私は嘘を吹き込まれたのだろうが、パーツの30%はインドで調達したものでなければならないと伝えられ、それに応えるだけのサプライはインドには存在しない」と2017年にツイートした。

Teslaは長年グローバル展開に注力していて、今ではオーストラリア、カナダ、中国、日本、メキシコ、それから欧州各国にショールームを設置し、2013年にはオランダのティルブルフに最終組立工場を開所した。しかし同社が米国外での車両生産を開始したのは2019年だ。同年後半にTeslaは上海の工場で電気自動車の生産を開始した。同社はベルリン、そしてテキサス州オースティンにも工場を建設中だ。

米国、韓国、そして中国の企業にとってインドは世界最大の激戦地の1つとなっている。そうした企業はユーザー・顧客ベースを拡大させるために南アジアのマーケットに注目している。たとえば、ユーザーの数という点でインドを最大のマーケットとしてとらえているFacebook(フェイスブック)と Google(グーグル)は今年、インドの通信大手Jio Platforms(ジオプラットフォームズ)に数十億ドル(数千億円)規模の額を出資した。Apple(アップル)は近年、インドのスマホマーケットのシェアを拡大すべくインドでの生産を増やしてきた。インドのスマホマーケットの70%超を中国スマホメーカーが牛耳っている。

ここ何年かの間で1000以上の「古い法律」を廃止したと主張するインド政府は以前、マスク氏が指摘した悩みの種を認めていた。過去3年でインドは、電動車両への移行を促し、また石油消費を減らし大気汚染を抑制するのに役立つバッテリーの生産やイノベーションを加速させるために、車メーカーに対し数十億ドル(数千億円)ものインセンティブを提案してきた。

インドはまた、配車サービスのUber(ウーバー)とOla(オラ)に、同国で展開する車両の40%を2026年4月までに電動タイプに換えることを提案した。

今年初めにアムステルダム拠点のEtetgoを買収したインド企業のOlaは今月、インド南部のナミルナドゥ州に「世界最大のスクーター工場」を設置するために3億2700万ドル(約340億円)を投資する計画だと述べた。同社によると、工場設置で新たに1万人以上の雇用を生み出し、初期生産能力は年間200万台だ。

インドのナレンドラ・モディ首相が支援しているシンクタンクNiti Aayogが今年初めにまとめた提案書には、電動車両が広く浸透すれば、今後10年で石油輸入費用を400億ドル(約4兆1500億円)削減できるかもしれない、と書かれている。

ガッカーリ氏はインドのメディアに対し、インドが5年内に車生産の最大のハブになると期待している、と述べた。

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画像クレジット: Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

「アップルカー」の噂が再燃、2024年発売を示す新たな報道

Appleカー。このテクノロジー巨人のあまり秘密とはいえないプロジェクトが消滅した、というのはいい過ぎだったかもしれない。2019年に200人ほどメンバー削減されたApple(アップル)のいわゆる「Project Titan(プロジェクト・タイタン)」は、存続しているだけでなく、「画期的バッテリー技術」と自動運転技術を搭載した電気自動車を2024年までに生産する計画であると、Reuters(ロイター)が報じている。

どんな外観になるのか、製造パートナーが誰なのか、アップルが開発を続けている自動運転システムはクルマの一部になるのか、それともソフトウェア製品として他社に提供されるのか、何もわかっていない。Reutersの記事は、台湾の報道機関であるEconomic Daily Timesの報道に基づいており、そこにはアップルによる自動車部品や装備品の注文が同国で増加していると書かれている。ともあれ両報道とも、アップルが静かな少人数のチームであれ、クルマを諦めていないことの証拠を提供している。

Reutersの情報源は、これを乗用車だと説明しており、そうであればアップルは、自動運転テクノロジー会社でロボタクシーサービスの商業化を目指すWaymoとは違うカテゴリーに属することになる(Waymoは自社の乗用車向け自動運転技術をライセンスすることにも関心をもっているが、第一優先ではない)。

アップルでProject Titanの日常業務を指揮しているDoug Field(ダグ・フィールド)氏は、電気自動車メーカーのTesla(テスラ)で仕事をした後、2018年に同社に戻った。フィールド氏はTeslaでエンジニアリング担当上級副社長を務め、Model 3発売を支えた重要幹部の1人だった。フィールド氏の指揮の下、AppleカーはAlphabetのWaymoなどよりも直接Teslaと対決することになるかもしれない。

2020年12月上旬にBloomberg(ブルームバーグ)は、アップルがフィールド氏およびProject Titanチームを同社幹部であるJohn Giannandrea(ジョン・ジャナンドレア)氏の人工知能・機械学習グループ配下に移したと報じている。

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タグ:Apple自動運転電気自動車

画像クレジット:Anthony Kwan/Bloomberg / Getty Images(画像は加工済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電気自動車を活用した電力需給調整とカーシェアを展開する「REXEV」が約7.4億円調達

電気自動車を活用した電力需給調整とカーシェアを展開する「REXEV」が約7.4億円調達

電気自動車(EV)を活用した電力需給調整およびカーシェアリング事業を行う「REXEV」(レクシヴ)は12月21日、第三者割当増資による総額約7.4億円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのジャフコ グループ、三井住友ファイナンス&リース、エースタート、大阪ガス、京セラ、東芝など。

調達した資金は、さらなる技術開発、MaaSとの連携、地域レジリエンス向上のためのEV活用の検討、サービス開発に利用する。また引受先企業とは、技術面・営業面でも協力していく。

REXEVは、EVが備えるモビリティと蓄電池の二面性に着目し、これらの価値総和を最大化することにより、環境と経済のどちらも持続可能となるソリューションの実現を目指しているという。またe-モビリティへの充電電力を再生可能エネルギーの普及に合わせ転換していくことで、経済的かつ社会全体での環境対策に資する、「Well-to-Wheel」(WtW。油田からタイヤまで。資源の採掘から車が走るところまでの意)の考え方を取り入れた事業展開を行っていくとしている。

REXEVは、持続可能な社会の実現を目指し、エネルギー企業の新規事業開発、企業のコスト削減および環境対策を支援。またカーシェアリングサービス「eemo」(イーモ。Android版iOS版)を神奈川県小田原市を中心に2020年6月に開始。全車EVを採用しており、カーシェアリングで貸し出す一方、貸し出されていないEVは電力の調整力として電力需給調整などに活用している。

小田原市および湘南電力と協定を締結し事業を行っており、再生可能エネルギー利用の最大化と、電力の安定化を目指して独自のエネルギー・マネジメント技術を開発。

また小田原市とは防災に関する協定を結び、災害時にはEVを電源として利用し、避難所などでの電力供給を無償で行う。現時点で小田原・箱根地域で34台が稼働しており、2022年度末までの実証期間中に100台まで規模を拡大する予定。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:eemoWell-to-Wheel再生可能エネルギー(用語)資金調達(用語)電気自動車 / EV(用語)REXEV日本(国・地域)

2022年発売のCanooの電動車両第2弾はラストマイル配達向け

12月下旬にNasdaq(ナスダック)上場を予定しているロサンゼルスを拠点とする電気自動車スタートアップCanoo(カヌー)は12月17日、全電動の多目的配達車両を発表した。

ハイルーフで、荷物ロッカーと車両を管理するためのサービスプラットフォームとしてのソフトウェアを有する電動配達車両は小規模の事業所や、宅配企業、小売業者、大企業、ロジスティック企業のようなラストマイルの配達を行う企業をターゲットとしている。

2019年のデビュー以来Canooにとって2つめのプロダクトとなるこの最新車両は、Canooのフレキシビリティと、消費者とB2Bへの応用に向けたプロダクトを作るという同社の意思を示すのが目的だ。Canooの全ての車両は同じ基礎アーキテクチャを共有し、車内や外観が異なる。

多目的配達車両の他のバリエーションも出る予定で、Canooは今後サービスネットワークの発表も計画している。

画像クレジット:Canoo

Canooは2017年にEvelozcityとして始まった。創業したのは元Faraday Futureの幹部、Stefan Krause(ステファン・クラウス)氏とUlrich Kranz(アルリッチ・クランツ)氏だ。同社は2019年春に社名をCanooに変え、その数カ月後に最初の車両をデビューさせた。同社にとって初の車両はサブスク限定で提供する予定で、これは投資家や企業、メディアの関心を集めた。

従来の電動SUVというよりマイクロバスのような外観の最初の車両は、キャビン下のキャシーにバッテリーと電動ドライブトレインを搭載する「スケートボード」式のアーキテクチャだ。これは今年初め、Hyundai(ヒュンダイ、現代自動車)の関心をひいた。Hyundaiは2月に、Canoo独自仕様のスケートボードデザインを元にして、Canooと共同で電動車両プラットフォームを開発する計画を発表した。開発するプラットフォームはHyundaiとKiaの将来の電動車両、そしてHyundaiグループの「多目的車両」に使われる。HyundaiがCES 2020で発表したPBVは、レストランやクリニックなどさまざまな目的のために使うことができる移動可能なポッド状の車両だ。

この新しい配達車両はまず2つのサイズで提供される。その後違うバージョンも展開される見込みで、特定の要件を満たすためにCanooとカスタム車両を共同開発するオプションも提供されるとCanooは述べた。

電動配達車両の価格は3万3000ドル(約340万円)からだ。ただし、購入は待たなければならない。販売は2022年からで、大量生産の開始は2023年が予定されている。1台あたり返金可能なデポジット100ドル(約1万円)でプレオーダーできる。

米国での商業デビューに続き、カナダやメキシコ、欧州といった他のマーケットでも多目的配達車両を立ち上げる計画だとCanooは話した。

同社の会長Tony Aquila(トニー・アクイラ)氏によると、配達車両はドライバーのエルゴノミックを念頭に置いてデザインされ、ドライバーが快適に、そして生産的に仕事ができるようディテールにこだわった。アクイラ氏はこの車両はリーズナブル価格であり、現在市場に出回っている同等クラスの電動配達車両よりも積載許容量が大きいとも説明した。

画像クレジット:Canoo

「車所有にかかる全体のコストを下げ、ローカルの零細企業から大企業までみなの投資に対するリターンを増やすことを目的としています」と声明で述べた。

実際、Canooは配達車両を注文する企業に対し、ユースケースにもよるが他社の最も売れている配達車両と比較したときに6年から7年で5万〜8万ドル(約517〜827万円)分の業務改善ができると約束している。

Canooはまた、配達車両にフレキシビリティを持たせ、異なるワークステーション用に生産できるとしている。バッテリーパックサイズは40〜80キロワットアワーの間でいくつか用意され、備品やツールを充電するのに使える双方向のチャージャーも搭載される。

Canooはまた、車両に搭載したテクノロジー、特に高度なドライバー補助システム、無線ソフトウェアアップデート、ソフトウェア・アズ・ア・サービスのプラットフォームが機能の管理やルートのプラン、走行の診断を行い、ドライバーをサポートすると宣伝した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Canoo、電気自動車

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(翻訳:Mizoguchi

フォードの新型EV「マスタング・マックE」に初試乗、第一印象はがっかり

これは2021年型Ford Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)スポーツSUVのレビューではない

数週間前、私はこのフォードが間もなく発売するEVに、2時間という短い時間のみ乗ることができた。わずか数時間ほど運転しただけで結論を出すのは気が引ける。マックEにはもっと時間が必要だし、フォードがこの記事を読んだ後、私はおそらく長期テストの列の最後に並ぶことになるだろう。

私がマックEと短い時間を過ごしている間に、1つのことが明らかになった。マックEはマスタングと呼ばれるべきではないし、SUVと呼ばれるべきではない。

マックEをマスタングのSUVと呼ぶことで、フォードは実体のない体験を顧客に売り込もうとしている。これは意味論による議論ではない。マックEは、伝統的な作法に則ったスポーティSUVではない。それはAudi E-Tron Sportback(アウディ・イートロン・スポーツバック)やTesla Model X(テスラ・モデルX)を見ればわかるだろう。これらはマックEに欠落しているいくつかの重要な特性を備えている。マックEが小さく、ゆるく、締まりがなく感じるのに対し、これらのSUVは頑丈で、骨太で、パワフルだ。

気になる点はいくつかある。私はヴィークルダイナミクス(車両の運動性能)に疑問を感じた。スロットルは不快感を覚えるし、リアエンドはトラクションを維持するのに苦労している。航続距離(一度の満充電で走れる距離)はライバル車に比べて劣っており、AWD(4輪駆動)バージョンはテスラの競合モデルより80kmも短い。電気自動車において、運動性能や航続距離よりも重要なことが他にあるだろうか?

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初期の印象

数週間前、私は2021年式マスタング・マックE AWDに乗って、ミシガン州南部の慣れ親しんだルートを回った。自動車ジャーナリストなら、誰もがこの地域をミシガン州の地獄と呼ぶことを知っている。だが、そんな名前とは裏腹に、原生林の広葉樹が並び、クルマが息を吹き返すような緩やかなワインディングロードが続く素敵なエリアだ。幹線道路を降りて、砂利道でちょっとしたスリルを味わうのも楽しい。しかし、このエリアはマックEには優しくなかった。

短時間のテストだったが、いくつかの印象が残っている。

マックEは、安物のクロスオーバーのようにガタガタと走る。乗り心地やハンドリングに自信も安心も感じられない。「マスタング」という名前がついていても、マックEはマスタングのようには走らない(冗談は置いといて、最新型のマスタングは素晴らしいクルマだ)。マックEは、コーナーに飛び込んで安全に立ち上がることを期待できるようなクルマではない。ボディは大きく傾き、後輪はだらしなく滑り、マスタングという名前に対する敬意は失われてしまう。

アクセルは過敏で微妙な調整がやりづらい。ペダルに足を乗せるだけで、マックEは前方に飛び出す。アクセルペダルを戻すと積極的に作動する回生ブレーキと相まって、マックEの運転には慣れが必要だ。パワートレインは気力が感じられない。電気自動車には洗練させるための修練が必要だ。電気モーターは滑らかに、そしてドライバーの予想どおりにパワーを供給する必要がある。威圧することなく、ドライバーに興奮と自信を感じさせなければならない。難しい公式であり、最初から正解を導き出せる自動車メーカーはほとんどない。

運転してすぐに、AWDのマックEのハンドリングの酷さに困惑させられた。最近のEVは、運転しても安定しているが退屈なものが多い。しかしマックEは違う。リアエンドは乗用車にしては元気が良すぎる。かといってスポーティな性格というわけでもない。これでは単に粗雑で無頓着なだけだ。普通の交差点を曲がるだけで簡単にタイヤが滑ってしまう。アクセルペダルを踏み込んで車輪を回転させようとすると、後輪が空転しないように頻繁にトラクションコントロールが作動する。

マックEをスポーティなクルマと言い張ることで、フォードは自らの技術力以上のものを顧客に期待させようとしているのだ。だが、ドライバーがマックEの性能面に向き合うと、緩みが生じてしまう。私がマックEに試乗していた時、普通にコーナーを回っているのに後輪が予想外の挙動をしたり、車幅が広すぎると感じることが何度かあった。これはスピードが上がるとさらに誇張される。AWDシステムが雪や氷にどれだけ対応できるかも気がかりだ。私が試乗中に、砂利の上で何度か苦労したからだ。

試乗後、フォードのエンジニアにオーバーステアがあまりにも強いことについて尋ねると、彼は「ああ、そんな運転をした場合にはね」と答えた。それが引っかかったのは、私は自分のせいではないと思うからだ。私はミシガン州アナーバー周辺で、マックEを特にアグレッシブに走らせたわけではない。しかも路面は乾いていた。それなのに、私の短いドライブの間に、何度かトラクションコントロールが作動した。そんなことはあってはならないはずだ。

マックEは、真っ直ぐ走る分にはずっと良かった。加速は速い。アクセルペダルを床まで踏み込むと、マックEは後ろ足で路面を蹴り、勢いよく前方に飛び出す。テスラより速いかって?それはない。だが、それでもこの価格帯のクルマの中では一番速いし、信号が変わって発進する際に隣車線のクルマを置き去りにすることは容易だろう。

マックEには3つのドライブモードが用意されている。標準モードとエコノミーモードでは、粗雑で扱いにくい印象のあるパフォーマンスモードよりも、より洗練された秩序に基づいてパワーが供給される。どのモードでも、積極的に回生ブレーキを利用して、いわゆる「ワンペダル走行」(ブレーキペダルを使わず、アクセルペダルの開閉だけで加減速をまかなう走り方)が可能だ。

航続距離もマックEで考慮すべき要素の1つだ。EPA(米国環境保護庁)による推定航続距離は、テスラ Model Y(モデルY)のAWDバージョンが326マイル(約524.6km)であるのに対し、マックEのAWD仕様は最大270マイル(約434.5km)に過ぎない。

今回のような短いテストでは、マックEのバッテリーが現実の路上でどのくらいの距離を走れるかについて、判断を下すことはできない。それにはもっと長い時間、日常的にマックEと過ごし、街中と長距離の両方を含む様々な状況で実際に走らせる必要がある。私が報告できるのは、2時間のドライブの結果だけだ。その際に私は、1kWの電力で平均2.7マイル(約4.3km)の距離を走行した。クルマを返却した時、あと112マイル(約180.2km)の距離が走行可能と表示されており、バッテリー残量は56%だった。私が試乗したのは、容量88kWhのエクステンド・レンジ・バッテリー(標準バッテリーは68kWh)を搭載したAWDモデルだったが、EPAとフォードによると、このバージョンのマックEは1度の充電で270マイル(約434.5km)の距離を走行できるとされている。

マックEの価格設定は、4万2895ドル(約444.2万円)からと競争力がある。AWD+エクステンド・レンジ・バッテリー搭載バージョンは5万4700ドル(約566.5万円)からで、オプションを付ければさらに高くなる。米国の購入者のほとんどは、7500ドル(約77.7万円)の税額控除を受けることができる。テスラ Model 3(モデル3)は3万7990ドル(約393.4万円)から。ロングレンジAWDのModel 3は4万6990ドル(約486.7万円)から、クロスオーバーのModel Y(モデルY)は4万9990ドル(約517.7万円)からだ。

競合他社にも不利な面がある。テスラのModel 3とModel Yは、クラストップの航続距離を誇る斬新なクルマだが、製造品質に疑問が残るなど、欠点がないわけではない。他にもPolestar 2(ポールスター2)のような素晴らしいクルマはあるが、航続距離が短く、価格も5万9900ドル(約620.4万円)からと高い。

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マックEのインテリアは素晴らしい。だが、それで驚くことはなかった。フォードはそのクラスで最も美しいインテリアをいくつか作っているからだ。マックEの車内もとても素敵だ。

ほとんどのEVと同様に、フォードは伝統的な自動車の部品を現代的な同等品に置き換えるという大きなステップに踏み出した。メーターパネルの代わりに、小さな細長い液晶画面がドライバーの前に装備されている。高級感があり効率的だ。センタースタックには、メディアの再生や空調コントロール用の大型LCDスクリーンが設置されている。スクリーンの下部には回転するノブが取り付けられており、物理的な操作で音量調節が可能だ。私はこのボリュームノブがとても気に入った

シートも問題なさそうだ。私は2時間しか座っていないが。

車内は少し窮屈だが、小型クロスオーバーとしては許容範囲。ドライバーはコマンダーポジションと呼ばれる高い位置に座るので、これがこのSUVを選ぶ理由になるかもしれない。大人2人が座れる後部座席は、街中を巡る小旅行には最適だが、足元のスペースが不足しているので、長時間座っていたいとは思わない。

マックEの車内にはいくつかの楽しい装備も見られるが、私にはそれよりも運動性能に対する不満の方が大きかった。オーナーは自分のスマートフォンをクルマのキーとして使用でき、よくできたロードトリップマップのアプリを使ってドライブ前にナビゲーションルートを設定しておくことができる。ドアはボタン操作で開閉可能。それによってドアノブのないすっきりしたエクステリアを実現している。フォードはさらに、無線アップデートでハンズフリー運転機能も追加するという。しかし、これらの項目はほとんど重要ではない。残念な味のケーキを食べたとき、誰がその飾り付けを気にするだろうか?

長すぎて読む気がしない人へ

私はマックEに乗れることに興奮し、楽観的な気分で短い試乗に臨んだ。だが、私のこのクルマに対する第一印象は悪かった。私にとって、このフォード・マックEは、電気自動車の楽しさを、慣れ親しんだ車名と伝統ある自動車メーカーを通じて、大衆に届ける存在であるはずだった。私はミシガンに住んでいるフォードファンであり、地元の誇りを持ってマックEの開発を見てきた。それなのに、がっかりだ。

現時点では、私は自分の第一印象に基づき、消費者がフォード・マスタング・マックEを購入する前に、競合他車を試すように勧めすることしかできない。私はこのクルマがテスラよりも十分に買う価値があるとは思えない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:フォード電気自動車Mustang Mach-Eレビュー

画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:TechCrunch Japan)

EVメーカーRivianが独自の充電ネットワークをアクティブなレジャースポットにも展開する理由

人里離れた道をクルージングするドライバーは、これから数カ月の間に珍しい光景に出くわすかもしれない。都市部や幹線道路ではない、人気のない場所にRivian(リビアン)の充電ステーションが設置されているかもしれないからだ。

電気自動車メーカーのRivianは、ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の最初の納車に向けて、米国内に電気自動車用充電ステーションのネットワークを設計し、構築することに着手している。このネットワークには、高速道路に沿って設置される急速充電器が含まれる予定だ。これはTesla(テスラ)やElectrify America(フォルクスワーゲンがディーゼル排出ガス不正スキャンダルをめぐる米国規制当局との和解の一環として設立した事業体)が採用している戦略である。

だが、Rivianは電気自動車の充電設備展開計画に、業界では珍しい第2のレイヤーを追加しようとしている。同社はマウンテンバイクやハイキングコースからカヤックスポット、さらには人気のある登山用の岩場の近くなど、アクティブなレジャースポットの駐車場に数十台のEV充電器を設置する予定だ。オーナーがこれらのアウトドアアクティビティを楽しんでいる間に、彼らが乗ってきた電気自動車に電力を供給するというわけである。これはRivianの顧客基盤に向けた直接的なアピールであり、ブランドと電気自動車に対する信頼を築くために必要なものであると、Rivianの創業者でCEOのRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏は充電、バッテリー、自動運転などについての幅広いインタビューの中で、TechCrunchに語った。

「私たちは、州間高速道路以外の場所にRivianの充電施設を造ることにワクワクしています。それによって、これまで充電の問題から電気自動車で行きづらかった場所、電気自動車が歓迎されなかった場所にも、行けるようになり、また行きたくなるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。「電気自動車のオーナーが自分の興味に応じて、目的地やそこまでの道のりを精選したドライブができる手段について、私たちは長い時間をかけて考えました。旅の途中で立ち寄って、2〜3kmあるいは7〜8kmほどのハイキングを楽しむことができるルートがあり、そのすぐ隣には充電ステーションがあるのです」。

「全部取り」アプローチ

Rivianの顧客向けネットワークは、ドライバーが必要とする高速道路沿いの急速充電器と、戦略的にスピードが重要でない目的地に設置された充電器を提供する2本立てとなる。そこで問題となるのは、スカーリンジ氏は「本当におもしろくて、やりがいのある不動産」問題と表現しているが、つまり人々が興味を惹かれるポイントを探り当て、どのルートのどこに充電ステーションを設置するか、最適な場所を特定することだ。

Rivianのネットワーク構築は、消費者のブランド認知度と不動産の知恵を試すだけのものではない。約60億ドル(約6250億円)を調達したこの電気自動車メーカーは、急速DC充電器を含む技術を自社で開発した。

「これについてはあまり話したことはありませんが、あの充電器、パワーエレクトロニクスモジュール、あるいはそれらの充電施設のバックボーンについて、我々は規模を拡大して展開しようと考えています」とスカーリンジ氏は語り、同社の急速DC充電器は約20分で最大140マイル(約225.3km)の走行が可能になると付け加えた。

このハードウェアとそれに付随する充電ソフトウェアは、Rivianのコンシューマー向けネットワークで最も目にすることになるだろう。しかし、このプラットフォームとその周辺のハードウェアは、フリートベース(複数の車両を用いる事業向け)製品にも使用されることになると、スカーリンジ氏はいう。

「商用バンを考えれば、充電器とディスペンサーは少し違うように見えるかもしれませんが、充電機能を構築するために使用されるこれらのパワーモジュールの心臓部は、まったく異なるアプリケーションにも同じように適用されます」と、彼は語った。「それが、当社が中核技術をすべて自社開発した理由の1つです。これによってフリートベースのB2B充電ソリューションと、Rivianの個人オーナーのための一般消費者向けアドベンチャー・ネットワークの両方を、構築することができるのです」。

体験をコントロール

Rivianは、R1TとR1Sを市場に出すために数年と数億ドル(数百億円)を費やしてきた。これまでに60億ドル(約6250億円)を調達しているが、その資金は技術開発や製造規模の拡大で簡単に消えてしまう。Rivianネットワークは、自動車メーカーがユーザーの所有体験全体をコントロールすることで信頼性を高めたいと考えているならば、必要な事業であるとスカーリンジ氏は主張する。

現在、ChargePoint、EVConnect、EVGo、Electrify America、Greenlotsなど、多数のサードパーティの充電会社が運営されている。従来の自動車メーカーは、電気自動車の展開に先立ち、これらの企業と提携し、戦略的な投資を行ってきた。しかし、スカーリンジ氏には、サードパーティのネットワークに完全に依存する気はない。

「問題は、決済プラットフォーム、稼働時間、パフォーマンス、充電器の予約機能など、充電の手間を省くために必要なことが、私たちの手ですべてコントロールできないということです」と、スカーリンジ氏はいう。「Rivianアドベンチャーネットワークでは、これらを私たち自身が100%コントロールすることができます。どのクルマが、どれくらい充電しているか、料金はいくらだったか、すべて私たちは知ることができます。充電器の設置場所についても、まさしく独創的になれるので、Rivian独自の特別な場所に設置することが可能です」。

開放それとも閉鎖?

Rivianネットワークは明らかにRivianの顧客のために構築されている。しかし、これが必ずしもテスラのスーパーチャージャーネットワークのようなクローズドな独自システムになるわけではない。

急速充電に使われる一般的なコネクタは、CCS(Combined Charging System、通称コンボ)かCHAdeMO(チャデモ)の2種類だ。Rivianが採用している直流コネクタのCCSは、近年ヨーロッパや北米で普及が進んでいるオープンな国際規格である。

つまり、RivianのトラックやSUVはアダプターを使用しなくても、CCS対応ならどのサードパーティ製充電ステーションも使用することができるということだ。これは同時に、CCS規格を採用している他の電気自動車も、理論的にはRivianネットワークを使用できることを意味するが、ソフトウェアがその使用をブロックする可能性もある。

Rivianの電動ピックアップとSUVの最初の納車開始が予定されている2021年夏までに、いくつの充電ステーションがオープンするかについて、スカーリンジ氏は正確な数を明らかにしようとはしなかった。2021年には米国で数十カ所の充電ステーション(各ステーションには平均6つの充電コネクタがある)が建設予定であることに同氏は言及した。

「そのネットワークが構築されたら、非常に大きなバッテリーパックを持たなければというプレッシャーを取り除くことができるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。

Rivian R1TとR1Sには、一度の充電で300マイル(約483km)以上の距離を走れるバッテリーパックが標準装備されている。2022年1月には、R1Tに400マイル(約644km)以上の距離を走れるバッテリーパックが用意される予定だ。5人乗りおよび7人乗りのR1Sでさらに航続距離が長いモデルについては、生産開始後に発表されることになっている。Rivianは最終的に、より小さな航続距離250マイル(約402km)のバッテリーパックを搭載して価格を抑えたR1TとR1Sを発売することも計画している。

具体的な数字はなくても、Rivianの充電ステーションに対するスカーリンジ氏の希望と計画が、「数十」をはるかに超えることは明らかだ。

「ネットワークの規模は、一朝一夕にできるものではありません」と彼はいう。「米国全土をカバーするには数カ月、高密度にカバーするには数年の時間が必要です。2023年か2024年までには、確実に我々はそれを実現できているでしょう」。

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タグ:Rivian電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中古EVバッテリーのコンディションレポートを提供するRecurrentが3.6億円を調達

シアトルを拠点とするスタートアップのRecurrentは米国時間12月8日、電気自動車用バッテリー分野で車両履歴レポートを提供するCarfaxになることを目指し、350万ドル(約3億6000万円)の資金調達を完了したと発表した。

バッテリーシステムは電気自動車の最も重要な部分であり、中古電気自動車の市場が拡大するにつれ、バッテリーの寿命と航続距離に関する独立した検証により自動車購入者の決定に役立つとRecurrentは述べている。

投資家にはWireframe Ventures、PSL Ventures、Vulcan Capital、Prelude Ventures、Powerhouse Ventures、Ascend.VC、米国自動車協会(AAA)ワシントン支部などが参加している。

Wireframe VenturesのマネージングディレクターであるPaul Straub(ポール・ストラウブ)氏は声明で「中古車販売は、少なくとも新車販売の2倍になっています。Tesla Model 3の発売から3周年を迎え、すべての自動車メーカーに電気自動車が急速に導入されたことで、中古EVの販売は大きく伸びようとしています」と述べた。「強力なデータとテクノロジーの優位性を持つ企業が、これらの取り引きに信頼性と透明性をもたらすには適切なタイミングです」。

Recurrentによると、この資金は中古電気自動車購入者向けのサードパーティーによるコンディションレポートや、現在の電気自動車所有者向けのバッテリー分析統計を改善するための継続的な製品開発に投資するために使われるという。

Recurrentは現在、同社のサービスを利用している2500人の電気自動車運転手からボランティアで、車両のバッテリー情報を毎月収集している。

「業界に市場主導の機会があるのは明らかですが、私たちは特にバイデン政権の政策がEV導入に与える潜在的な影響に興奮しています」と、Powerhouse Venturesの創設者でマネージングパートナーのEmily Kirsch(エミリー・キルシュ)氏は声明で述べた。「私達はEUにおける有利な政策が大きな影響を与えていることを見てきました。米国でも同様に加速する可能性があると考えています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Recurrent電気自動車バッテリー資金調達

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter