東大COI開発の行動変容促進システム活用、日立システムズが特定健康保健指導を支援する「健康支援サービス(MIRAMED)」

東大COI開発の行動変容促進システム活用、日立システムズが特定健康保健指導を支援する「健康支援サービス(MIRAMED)」提供

日立システムズは11月1日、特定保健指導を受ける人たちに向けた業務支援サービス「健康支援サービス(MIRAMED)」(ミラメド)の提供開始を発表した。メタボリックシンドロームのリスクを図式化したり、日々の目標を示したり、専門家によるアドバイスや遠隔面談、チャットなどを提供することで、特定保健指導対象者の健康をサポートするサービスだ。

このサービスは、東京大学センター・オブ・イノベーション(COI)が開発した、AIを活用しメタボリックシンドロームのリスクや関連疾患のリスクを減らすための行動変容アプリ「MIRAMED」を通じて提供される。特徴としては、健康診断やアンケートの結果などから、生活習慣関連疾患のリスクを抱える人に、自分の体の状況を図式化などでわかりやすく伝えること、遠隔面談、チャット、ウェアラブルデバイスとの連携などで、指導担当者との情報共有ができること、簡便に濃厚な指導が受けられること、長期目標だけでなく日々のチャレンジも取り込めること、食事や運動に加え、飲酒、喫煙、睡眠、ストレスを毎日記録して1週間ごとの評価を受けられること、東京大学の専門家が科学的根拠のある内容を基に作成したアドバイスが受けられることなどがある。

自治体や健康保健組合など、健康指導を行う側にも、ユーザーの情報が把握しやすく円滑な指導が可能となり、遠隔面談やチャットなどで場所や時間を選ばず指導できることや、指導ポイントの自動集計などで、労力が削減できるといったメリットがある。

日立システムズでは、「医薬・ヘルスケア領域において、健診から治療支援、介護までのサイクルを包括した切れ目のないサービスの提供」を目指しており、これはその中の「未病分野」の取り組みにあたる。自治体、企業、健康保健組合が行う特定保健指導に着目した同社は、 Amazon Web Services(AWS)を利用し、クラウド基盤上で特定保健指導を支援するこのサービスの提供に至った。今後は、日本遠隔保健指導センターを運営し、機械学習による医療系データ解析などを行うLiDAT(ライダット)と連携し、「より先進的で高品質・高効率な特定保健指導の確立にも挑んでまいります」と話している。

アマゾンの株価が下落、第3四半期の売上減少、マクロ経済の状況によるコスト増で

1兆7500億ドル(約198兆7685億円)の価値がある企業を悪くいうのは極めて難しいことなので、今回それはしないが、Amazonの株主たちは米国時間10月28日午後の時間外にやや弱気になっている。取引終了後に発表されたAmazonの2021 第3四半期決算報告で、同社は売上と利益のさまざまなミスを含む最新の業績について詳しく述べている。


2021年9月30日で終わる3カ月において、eコマースとクラウドコンピューティングの巨人は1108億ドル(約12兆5859億円)、前年比15%増の売上を報告した。同期間の純利益は32億ドル(約3634億円)、1株あたり6ドル12セントだ。

アナリストたちが予想した売上は1116億ドル(約12兆6758億円)で、1株あたり利益は8ドル92セントだった。同社の純利益は前年比で49%落ち込んだ。記事を書いている米国時間10月28日午後で、Amazonの株価は5%強下落している。

しかし、Amazonの第3四半期の業績は、AWS部門の売上高が前年同期比で加速的に増加し、同社ファンが喜ぶような結果となっているが、第4四半期の業績は、これまでの結果を覆す可能性がある。同社の新CEOであるAndrew Jassy(アンディ・ジャシー)氏は、同社の業績ダイジェストで以下のように述べている。

第4四半期には、コンシューマープロダクツ事業において労働力不足、賃金コストの増加、グローバルなサプライチェーンの問題、貨物輸送コストの増加などに対処するため、数十億ドル(数千億円)の追加コストが発生すると見込んでいます。またその一方で、このホリデーシーズンに顧客や販売パートナーに与える影響を最小限に抑えるために、あらゆる手段を講じています。

経営陣は、差し迫ったコストを「顧客志向(カスタマーフォワード)」と位置づけ、長期的な成果のために短期的な打撃を受けることは妥当なことだと主張している。投資家は、将来のキャッシュフローを約束されても十分に満足できず、同社の時価総額を数百億ドル(数兆円)減らすことは避けられなかった。

しかし、私たちが指摘したように、第3四半期にAmazonが毎月10億ドル(約1136億円)を超える純利益を計上していることを考えると、同社に対してそれほど悪い印象を持つことはできない。

クラウドでの収入は、Amazonの業績において、TechCrunchが最も注目する要素であるため、そのデータを覗いてみよう。まず、同社のAWS部門の売上高と営業利益ベースでの業績は次のとおりだ。

画像クレジット:Amazon

 

つまり、前年同期比で約45億ドル(約5111億円)の新たな収益と、約15億ドル(約1704億円)の新たな営業利益が発生したことになる。興味のある方は、AWSの収益と営業費用の両方が、前年同期比で約39%増加していることを確認してほしい。では、純粋な成長指標を詳しく見てみよう。

画像クレジット:Amazon

このデータに注目すべき理由は、AWSがAmazonで最も急速に成長している分野だからだ。Amazonはeコマース事業で注目を集めているが、現在、静かで目立たないクラウドグループが成長を牽引している。投資家が、価値を引き出すために会社を2つに分割するよう要求する日は遠くないかもしれない。

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg/Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Google CloudがBigQuery Omniの一般提供を開始

Google(グーグル)は2020年夏にAnthosベースのマルチクラウドデータ分析ソリューションであるBigQuery Omniを初めて公開した。米国時間10月12日、毎年恒例のCloud Nextイベントで同社はBigQuery Omniの一般提供を開始したと発表した。Omniの特徴は、標準的なBigQueryのインターフェイスを使ってMicrosoft(マイクロソフト)のAzureやAWSなど他のクラウドにあるデータのクエリを実行できることだ。クラウド間でデータを移動する必要はない。

関連記事:Google CloudのBigQuery Omniがアルファローンチ、GCPやAWS、Azureのデータをクエリ可能

Googleのデータベース、アナリティクス、Looker担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのGerrit Kazmaier(ゲリット・カッツマイヤー)氏は筆者に対し次のように語った。「データサイロは良くないと誰もがわかっていますが、あちこちのクラウドにデータサイロを作っているのが今の現実です。データサイロの新しい世代となり、世界の企業の多くがマルチクラウドの現実に生きていることを我々は認識しています。我々はマルチクラウドを横断するクロスクラウド分析の可能性をBigQuery Omniで提供しています。クロスクラウド分析は究極にシンプルな方法です。データの移動や、管理上の反復や冗長性を考える必要がなくなるからです。1つにまとめられたインターフェイスと1つの処理フレームワークとして、基本的にはBigQueryを採用して他のクラウドの多くの部分で利用できるようにした、エンジニアリングのすばらしい成果です」。

画像クレジット:Google

Google Cloudの顧客の多くがすでにこの機能を利用している。カッツマイヤー氏は、Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)がこの機能を使ってGoogle CloudにあるデータをAWSのS3にあるデータと組み合わせたり、Electronic Arts(エレクトロニック・アーツ)がゲーム内購入の広告データを組み合わせたりしている事例を挙げた。

データサイロに関しては、Googleは現在はプレビューであるDataplexも2021年中に一般公開になると発表した。Dataplexは企業が複数のデータレイクやデータウェアハウスにまたがるデータの管理、監視、運用をするためのツールだ。

米国時間10月12日にGoogle Cloudが発表した多くの内容と同様に、BigQuery OmniとDataplexもほとんどの企業がマルチクラウド環境で運営されていることを認めた上でのもので、つまり有益なデータが複数のシステムに分かれているのがデフォルトである。複数のシステムにわたるデータの管理は面倒でエラーが発生しやすいが、最も重要なのはデータを1つのシステムにまとめるのが難しい(そしてたいていお金がかかる)ということだ。Googleは同社のサービスをさまざまなクラウドに広げてGCPから管理するアプローチをとっている。これはAnthosでKubernetesのクラスタを管理するアプローチであり、GCPの中心的なサービスの一部を同社のクラウド以外でも実行できるようにしたということになる。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

共同作業プラットフォームNotionが全世界のスタートアップに有料プラン用クレジットを無料で提供、AWS・Stripeとも連携

共同作業プラットフォームのNotionは2019年に多くのアクセラレーターやインキュベーターの協力を得て、その投資先のスタートアップがNotionプラットフォームを無料で使えるクレジットを提供した。今度はもっと積極的に、同様のプログラムをすべてのスタートアップを対象に展開する。

Notionは米国時間9月28日にスタートアップ向けの新たなプログラムを開始し、全世界のスタートアップに500ドル(約5万5000円)以上のクレジットを提供して同社製品を無料で試用できるようにした。スタートアップの規模や資金調達の状況は問わない。チームの規模に応じて、スタートアップはこのクレジットでNotionの有料機能を無料で最長1年間利用できる。

Notionの最高執行責任者であるAkshay Kothari(アクシェイ・コサリ)氏はTechCrunchの取材に応じ、同社がこのプログラムを最初に始めたときは「Notionが世界中のスタートアップに受け入れられること」を試していたと述べた。

この2年間で同社の状況は劇的に変化した。直近の資金調達ラウンドで20億ドル(約2200億円)のバリュエーションとなり、多くのスタートアップ(ごくわずかだが例を挙げればFigma、Substack、Modern Health、Mixpanel、Buffer、Headspaceなど)や開発者、クリエイター、デザイナーなどに選ばれる生産性スイートとして頭角を表している。

関連記事:職場の生産性プラットフォーム運営のNotionが約54億円調達

世界中の企業がリモートワークを取り入れたことから、Notionを利用するスタートアップの数はこの1年間で4倍に急増したと同社は説明する。Yコンビネーターに直近で参加したスタートアップの半数以上がNotionのワークスペースを利用し、Forbesが発表したクラウド企業トップ100のうち90社がNotionのチーム向けワークスペースを持ち、Crunchbaseに掲載され100万ドル(約1億1000万円)以上を調達した全世界のスタートアップのおよそ28%がNotionのプラットフォームを使っている。

Notionがそれほど重視していなかった市場であるインドの起業家の間でもNotionはかなり一般的になり、作成したピッチの資料をNotionに保存して潜在的な投資家に公開している。多くのスタートアップがNotionに発表を掲載し、Notionのページでノートを書いてチームで共有している。

コサリ氏は新たな展開の1つとして、Notionはこのようなユースケースでのフリクションを取り除く新しいテンプレートも開発していると述べた。さらにスタートアップ向けのスターターパックも公開した。これはガイド、チュートリアル、ライブストリームのイベント、カスタマーストーリー、FAQを集めたものだ。

同氏は「我々のゴールは、Notionを世界中のスタートアップが意識せずに使えるツールにすることです」と語る。

その規模に到達することを目指して、Notionはスタートアップの多くが高く評価するインフラ大手2社とも連携する。AWSとStripeだ。コタリ氏によれば、両社は今後、自社プログラムを利用する数十万のスタートアップに対してNotionの有料プランで利用できる一定のクレジットを提供する。

AWSとStripeがスタートアップにとって重要な存在になったのと同様に「NotionはAWSやStripeと協力することで情報のインフラになれると考えています」とコタリ氏はいう。さらに同氏は「この連携をスタートしたので、今後も引き続きさらなるパートナーシップを構築する機会を検討していきます」と述べた。

Stripeのスタートアップビジネス責任者であるKrithika Muthukumar(クリティカ・ムスクマール)氏は発表の中で「NotionはStripe Atlasコミュニティに恩恵をもたらし、あらゆる規模の企業が重要なマイルストーンを通じてまとまり、意識を合わせ、従業員同士の距離を縮めるのに役立っています。我々はNotionをAtlasのプログラムに迎え、コミュニティをともに支える新たな方法を探っていくことをうれしく思います」と述べた。AWSは発表の中で、同社の顧客はNotionを「絶賛」し、Notionと戦略的に協業する方法をさらに調査すると述べている。

画像クレジット:Notion

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(文:Manish Singh、翻訳:Kaori Koyama)

【コラム】2008年、AnimotoがAWSを追い詰めた日

現在、Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス、AWS)は、クラウドインフラストラクチャサービス市場を牽引する企業であり、600億ドル(約6兆6000億円)と圧倒的なビジネス規模を誇る。しかし、2008年当時のAWSはまだ日が浅く、クラウドサーバーの需要拡大に対応するために奮闘していた。実際、AWSがAmazon EC2(アマゾンEC2)のベータ版を発表したのは、15年前、2006年8月25日のことだ。それ以来、AWSはスタートアップに無制限のコンピューティングパワーを提供し、当時、主力のセールスポイントとなった。

EC2は、大規模なエラスティックコンピューティング(必要に応じてスケールアップし、不要になったら削除するサーバーリソース)を販売するための、最初の本格的な試みの1つだった。2008年、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がスタートアップを対象とした初期のセールスプレゼンテーションで「雷が落ちても大丈夫なように準備をしておかないと、大いに後悔することになるだろう。もし雷が落ちたときに準備ができていなかったら、その状況に対処するのは難しい。だからといって、雷が落ちなかったときのことを考えると、非現実的に冗長な物理的インフラを準備するわけにもいかない。だから、(AWSは)その難しい状況を手助けする」と語っている。

2008年、この価値提案に試練が訪れた。AWSの顧客であるスタートアップAnimoto(アニモト)が、South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト)でFacebook(フェイスブック)アプリを発表した直後、ユーザーが4日間で2万5000人から25万人に膨れ上がった時のことだ。

当時のアニモトは、ユーザーが写真をアップロードして、それをBGM付きの動画にできるという、一般消費者向けのアプリを提供していた。今となっては大したことのないサービスに聞こえるかもしれないが、当時としては最先端の技術であり、1つの動画を作るのにかなりのコンピューティングリソースを使用していた。Web 2.0のユーザー生成コンテンツというだけでなく、モバイルコンピューティングとクラウドの融合という、今日では当たり前のことをいち早く実現していたのだ。

2006年に設立されたアニモトにとって、AWSを選択することはリスクの高い提案だったが、サービスへの需要がダイナミックに変化することから、自社でインフラを運営することは、それ以上のリスクをともなうことに気づいた。自社でサーバーを立ち上げるには、莫大な設備投資が必要だったのだ。アニモトは当初、最初の資金を集める前にサーバーを構築していたため、AWSに注意を向ける前はそのような方法を取っていたと、同社の共同創業者兼CEOのBrad Jefferson(ブラッド・ジェファーソン)氏は説明する。

「当社では、何らかの方法でコンセプトを証明する必要があると考え、自分たちでサーバーを構築し始めた。その結果、概念実証の段階でさらに弾みが付き、ある程度のユーザーにサービスを利用してもらえるようになった。そのため、一旦一歩下がって、失敗に備えるだけでなく、成功に備えるには何が必要なのか、考えてみることにした」と同氏はいう。

AWSの採用を決断することは、現在の状況を考えれば簡単なことのように思えるかもしれないが、2007年当時としては、ほとんど実績のないコンセプトに、会社の命運を託すことを意味した。

「AWSとEC2の躍進には眼を見張るものがあるが、当時としては本当にギャンブルだった。何しろ、eコマース企業と『インフラの運営について』話していたのだ。Amazonは、自分たちがそういったサーバーを持っていて、それが完全に動的に利用できるということを納得させようとしていた。今にして思えば明らかなことだが、当時、当社のような会社がAWSに賭けるのはリスクがあった」とジェファーソン氏は話す。

アニモトは、AWSが謳っていることの実現を信じるだけでなく、自社のソフトウェアをAmazonのクラウド上で動作するように半年間かけて再設計する必要があった。しかし、ジェファーソン氏が収支を計算してみると、この選択は理に適っていることがわかった。当時のアニモトのビジネスモデルは、30秒の動画は無料、それ以上の動画は5ドル(当時約600円)もしくは1年あたり30ドル(同約3600円)というものだった。このモデルを実現するために必要なリソースレベルをモデル化しようとしたところ非常に難しかったため、同氏と共同創業者たちは、利用者が急増したときでも対処できることを期待し、AWSに賭けるという決断を下した。

そのテストは、翌年のサウス・バイ・サウスウエストで行われたが、アニモトがFacebookアプリを発表したことで需要が急増し、結果として当時のAWSの能力の限界を押し上げることになった。同社が新しいアプリを発表した数週間後には、関心が爆発的に高まり、Amazonは同社のサービスを継続的に運営するために必要なリソースの確保に奔走することになったのだ。

現在、AmazonのEC2担当副社長を務めるDave Brown(デイブ・ブラウン)氏は、2008年当時、エンジニアとしてチームに参加していたが「(アニモトの)すべての動画は、個別のEC2インスタンスを起動し、処理し、終了させることで対応していた。ところが、前の月は、1日あたり50~100インスタンスを使用していたのに、火曜日のピーク時には約400、水曜日には900、そして金曜日の朝には3400インスタンスが使われるといったことが起きていた」と語る。AWSが急増した需要に必要なリソースを提供できたため、アニモトはその需要に対応することができた。アニモトの使用量は最終的に5000インスタンスに達したが、その後落ち着き、エラスティックコンピューティングが実際に有益であることを証明した。

しかし、ジェファーソン氏によると、その時点でアニモトは単にEC2のマーケティングを信用していただけではなく、AWSの幹部と定期的に電話で話し、需要が増えてもサービスが破綻しないことを確認していたという。「話の要点は、もっとサーバーを用意してくれ、もっとサーバーが必要だ、ということだった。AWSが自分たちのウェブサイトや他のサイトから処理能力を奪ったのかどうかはわからないが、AWSのおかげで、当社が必要としていた処理能力を確保することができた。そして、その急上昇を乗り越えることができ、その後は自然と落ち着いていった」と同氏は語る。

アニモトをオンラインにしておくというコンセプトは、同社の最大のセールスポイントとなり、友人や家族以外でこのスタートアップに投資したのは、実はアマゾンが最初の企業だった。その後同社は、2011年に最後の資金調達を行い、合計3000万ドル(当時約24億円)を調達した。現在、同社はどちらかというとB2Bの事業を中心としており、マーケティング部門が簡単に動画を作成できるよう支援している。

ジェファーソン氏は、具体的なコストについては言及しなかったが、多くの時間休眠しているサーバーの維持にコストをかけることは、同社にとって許容できる方法ではないと明言する。クラウドコンピューティングが最適なモデルであるとわかり、同社は今もAWSを利用していると同氏はいう。

クラウドコンピューティングは、必要なときに必要なだけのコンピューティングを提供することを目的としているが、当時の特殊な状況において、その概念が大々的に試されることとなった。

現在、Amazonでは毎日6000万インスタンスを処理していることを考えると、3400インスタンスの生成に苦労したというエピソードは古臭いものに思えるが、当時としては大きな挑戦であり、エラスティックコンピューティングの考え方が単に理論に留まらないものであることをスタートアップに示した功績は大きい。

画像クレジット:EThamPhoto / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

米テック大企業トップがホワイトハウスで会合、サイバーセキュリティ強化で巨額拠出を約束

テック大企業のApple(アップル)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)は、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領との会合に出席し、米国のサイバーセキュリティ強化で巨額の拠出を約束した。

金融や教育の分野からの出席者も含まれた今回の会合は、重要なインフラやいくつかの政府機関に対する有名なサイバー攻撃を受けて開かれた。サーバー攻撃ではサイバーセキュリティのスキルギャップがあることが明るみに出た。CyberSeekのデータによると、現在米国ではサイバーセキュリティに関連する約50万人の求人があり、それらはまだ埋まっていない。

「我々の重要なインフラの大半は民間セクターによって所有・運営されていて、連邦政府だけでこの問題に対処できません」とバイデン大統領は会合の冒頭に述べた。「今日みなさんにお集まりいただいたのは、あなた方がサイバーセキュリティについての水準を引き上げるパワー、能力、そして責任を有していると考えているからです」。

増加傾向にあるサイバー攻撃に対する戦いで米国をサポートするために、テック大企業はサイバーセキュリティ防衛を強化し、スキルを持つサイバーセキュリティ労働者を訓練するために多額を投資することを約束した。

ホワイトハウスによると、Appleは多要素認証の「浸透」とセキュリティ訓練を促進するために米国内の9000超のサプライヤーと協業すること、そして引き続きテクノロジーサプライチェーン全体でセキュリティ改善を促進するために新しいプログラムを設けることを約束した。

Googleはゼロトラストプログラムを拡大し、ソフトウェアサプライチェーンを安全なものにするために、そしてオープンソースのセキュリティを強化するために今後5年間で100億ドル(約1兆1000億円)超を投資すると述べた。検索と広告の大手である同社はまた、ITサポートやデータ分析、そしてデータプライバシーとセキュリティを含む最も需要の高いスキルの習得といった分野で米国人10万人を訓練することも約束した。

「強固なサイバーセキュリティは最終的には実行する人がいるかどうかに左右されます」とGoogleのグローバル問題責任者、Kent Walker(ケント・ウォーカー)氏は述べた。「中でも、サイバーセキュリティソリューションをデザインして実行することができる、あるいはサイバーセキュリティリスクとプロトコルの啓発を促進することができるデジタルスキルを持つ人が必要とされています」。

そしてMicrosoftはデザインでサイバーセキュリティを統合し「高度なセキュリティソリューション」を提供するために200億ドル(約2兆2000億円)を拠出すると述べた。また、キュリティ保護のアップグレードで連邦政府や州政府、地域の行政をサポートすべく、テクニカルサービスにただちに1億5000万ドル(約165億円)をあて、サイバーセキュリティ訓練で地方の大学や非営利組織との提携を拡大する、と発表した。

Amazonのクラウドコンピューティング部門であるAmazon Web Services (AWS)やIBMも会合に出席した。AWSはセキュリティ啓発トレーニングを一般も利用できるようにし、全AWS顧客に多要素認証デバイスを整備すると明らかにした。IBMは今後5年間で15万人にサイバーセキュリティスキル訓練を提供すると述べた。

多くの人がテック大企業の約束を歓迎し、Nominet CyberのマネージングディレクターDavid Carroll(デイビッド・キャロル)氏はTechCrunchに対し、これらの最新の取り組みは「強力な前例」となり「本気で戦う」ことを示していると話した。その一方で、サイバーセキュリティ業界の一部の人は懐疑的な目を向けた。

発表を受けて、一部の情報セキュリティのベテランは、米国が埋めようとしているサイバーセキュリティ職の求人の多くは給与面や福利厚生面で遅れをとっている、と指摘した。

「50万件のサイバーセキュリティの求人があり、ほぼ同じだけ、あるいはそれを上回る人が職を求めています」とテクノロジー分野の女性をサポートする財団TechSecChixの創業者、Khalilah Scott(カリラ・スコット)氏はツイートした。「理に適うようにしましょう」。

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラウドインフラ市場は2021年第2四半期も成長を続け、売上高は約4.6兆円に到達

野球で、高い天井が見込めるなどという。若い選手の伸び代が大いにあるということだ。同じことがクラウドインフラストラクチャの市場にも言えるかもしれない。この市場は成長を続け、今後すぐに成長が鈍る兆候は見えない。主要ベンダーの第2四半期の売上合計は420億ドル(約4兆6000億円)に達し、第1四半期より20億ドル(約2200億円)増加した。

Synergy Researchのレポートによると売上は39%のペースで増えており、4四半期連続で増加している。これまで通りAWSがトップだが、Microsoftが急速に成長しGoogleも勢いを維持している。

AWSは依然として市場の論理をものともせず、前四半期をさらに5ポイント上回る37%の成長を見せた。成熟した市場を持つAWSとしてはすばらしい伸びだ。Amazonのクラウド部門の売上は148億1000万ドル(約1兆6300億円)でランレートは600億ドル(約6兆6000億円)近くに達し、市場シェアは33%でトップを走っている。シェアはここ数年このあたりにとどまっているが、市場規模が大きくなっているので売上も伸び続けている。

Microsoftの成長は51%とさらに急速だ。Microsoftのクラウドインフラストラクチャのデータを確実につきとめるのはいつも難しいが、Synergy Researchによると市場シェアは20%で売上は84億ドル(約9220億円)と、前四半期の78億ドル(約8560億円)から増加している。

GoogleもThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏のリーダーシップのもとでゆっくりと着実に成長を続けている。第2四半期の売上は42億ドル(約4610億円)で54%の増加となった。市場シェアは10%で、Google Cloudのシェアが2桁台のパーセンテージになったのはSynergyが四半期ごとのデータを調査するようになってから初めてだ。前四半期の売上は35億ドル(約3840億円)だった。

画像クレジット:Synergy Research

ビッグ3に続くAlibabaは前四半期と同じくシェア6%と堅調で(ただし発表はまだで近日中の予定)、IBMは前四半期よりも1ポイント落として4%となった。IBMはハイブリッドクラウドマネジメントへと移行する中で純粋なインフラストラクチャとして苦戦しているためだ。

SynergyのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、ビッグ3はこの成長を加速するために多額の資金を投じているという。同氏は発表の中で「Amazon、Microsoft、Googleの合計で、四半期あたり通常250億ドル(約2兆7500億円)以上の投資をしており、その多くは340カ所以上のハイパースケールデータセンターの建設や設備のためです」と述べた。

一方、Canalysの分析も同様の数字を示しているが、市場全体の売上をSynergyをやや上回る470億ドル(約5兆1500億円)としている。Canalysの調べによる市場シェアは、Amazonが31%、Microsoftが22%、Googleが8%となっている。

CanalysのアナリストであるBlake Murray(ブレイク・マリー)氏は、クラウドベンダーがその巨大なデータセンターの運営にあたって再生可能エネルギーの利用を増やしていることから、企業の業務がクラウドへと移行している理由の1つは環境に対する持続可能性のゴールを達成するためだと述べている。

マリー氏は発表の中で「クラウドベンダーが利用するベストプラクティスとテクロジーは、業界の他の部分にも今後広がっていくでしょう。一方、顧客は環境に対する責任の一端を果たし持続可能性のゴールを達成するためにクラウドサービスの利用を増やしていくでしょう」と述べた。

企業はデータセンタービジネスから離れてクラウドに移行しているのか、あるいはビッグ3の持続可能性の取り組みに便乗したいのかに関わらず、着実にクラウドに移行している。世界全体でのクラウド利用率は25%との推計もあり、特に米国外では多くの市場が未開拓であることから今後も成長を続ける可能性は高い。

このことはビッグ3や、市場シェアに食い込んで売上を大きく伸ばそうとしているビッグ3より小規模の事業者にとっては良い兆候だ。Synergyのディンスデール氏は「ビッグ3より小規模でターゲットを絞っているクラウドプロバイダにとってはまだ大いにチャンスがありますが、ビッグ3の目の飛び出るような数字から目を離せるほどの状況にはならないでしょう」と述べた。

確かに今のところ、ビッグ3が天井にぶつかるとは考えにくい。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:クラウドストレージクラウドコンピューティングSynergy ResearchAWSMicrosoft AzureGoogle CloudAlibaba Cloud

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

保険テック系スタートアップBackNineの過失で米大手保険会社の数十万件の申込書が流出

保険テクノロジーのスタートアップ企業であるBackNine(バックナイン)のセキュリティ上の過失により、同社のクラウドサーバーがインターネット上に無防備に放置され、数十万件の保険申込書が流出した。

BackNineという社名に聞き覚えはないかもしれないが、過去数年の間に保険を申し込んだことがあるなら、あなたの個人情報も処理していたかもしれない。カリフォルニアを拠点とする同社は、大手保険会社が生命保険や障害保険を販売・維持するためのバックオフィスソフトウェアを構築している。また、中小企業や独立系のファイナンシャルプランナーがウェブサイトで保険プランを販売する場合には、ホワイトレーベルの見積もりウェブフォームを提供している。

しかし、Amazon(アマゾン)のクラウド上でホストされていた同社のストレージサーバーの1つが、誤って設定されていたため、そこに保存されていた71万1000件のファイルに誰でもアクセスできる状態になっていた。その中には、本人とその家族の非常に機密性の高い個人情報や医療情報が含まれている作成済みの保険申込書もあった。さらに個人の署名の画像や、その他BackNineの社内ファイルも含まれていた。

TechCrunchは、調査した書類の中に、氏名、住所、電話番号などの連絡先情報の他、社会保障番号、医療診断、服用している薬、申込者の過去と現在の健康状態に関する詳細な記入済みアンケートなどがあることを発見した。血液検査や心電図などの検査結果も含まれていた。運転免許証の番号が記載されている申込書もあった。

無防備に放置されていた書類は、2015年にまで遡り、最近では今月に入ってから作成されたものもある。

バケットと呼ばれるアマゾンのストレージサーバーは、デフォルトでは非公開に設定されているので、バケットを管理している誰かがその権限を公開に変更したのだろう。データはいずれも暗号化されていなかった。

セキュリティ研究者のBob Diachenko(ボブ・ディアチェンコ)氏は、公開状態となっていたストレージバケットを発見し、2021年6月初旬に同社にメールでこの過失の詳細を伝えていたが、最初の返事を受け取った後、返信はなく、バケットは公開されたままだった。

TechCrunchは、ディアチェンコ氏が連絡して無視されたBackNineのバイスプレジデントであるReid Tattersall(レイド・タッターソル)氏と連絡を取ろうとしたが、TechCrunchも無視された。しかし、タッターソル氏に(同氏のみに)公開状態になっていたバケットの名前を伝えてから数分後に、それらのデータはロックされた。TechCrunchは、タッターソル氏からも、同氏の父親でBackNineの最高経営責任者であるMark(マーク)氏からも、まだ返事をもらっていない。

TechCrunchはタッターソル氏に、同社が州のデータ漏洩通知法に基づいて地元当局に通報したかどうか、データ漏洩の影響を受ける個人に通知する計画があるかどうかを尋ねたが、回答は得られなかった。サイバーセキュリティ事件の開示を怠った企業は、厳しい財政的・民事的な罰則を受ける可能性がある。

BackNineは、いくつかの米国の大手保険会社と取引をしている。今回公開されてしまったバケットには、AIG、TransAmerica(トランスアメリカ)、John Hancock(ジョン・ハンコック)、Lincoln Financial Group(リンカーン・フィナンシャル・グループ)、Prudential(プルデンシャル)の保険申込書が多く含まれていた。本記事掲載前に連絡を取ったこれらの保険会社の広報担当者はコメントを控えた。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:データ漏洩個人情報保険アメリカAWS

画像クレジット:TechCrunch (composite) / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新しいレーシングカーのためにF1がデータを収集した方法とは

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

こんにちは!立ち寄っていただいたことに感謝したい。今日は材料がてんこ盛りだ。資金調達ラウンドのダイジェストや、スタートアップ市場のデータ(DocSend[ドックセンド]に感謝する)などをお届けする。だが、最初は個人的に大好きなものから始めよう。レースだ。

The Exchangeは、テクノロジーマネーがF1の世界に流れ込むことに関する、さまざまなジョークを飛ばしてきた。Splunk(スプランク)、Webex(ウェベックス)、Microsoft(マイクロソフト)、Zoom(ズーム)、Oracle(オラクル)というた企業が、チームやレース、そしてリーグそのものを後援している。

F1のパートナーとして注目されているのがAmazon(アマゾン)だ。例えば同社のパブリッククラウドプロジェクトのAWS(アマゾン・ウェブサービス)は、F1中継の画面上に現れるグラフィックを動作させている。もちろん、ファンの目からはAWSグループの計算機クラスターがどのようにして特定の指標を出しているのかが正確にはわからないこともあるが、AWSによるタイヤの摩耗に関するメモは有用でタイムリーなものだ。

しかし、F1の世界の舞台裏では、Amazonがこれまで私が理解していた以上に活躍していたことがわかった。要するに、これまで述べてきたテクノロジー企業とF1のお金の話は、大きなパズルの一部に過ぎなかったのだ。それはどのようなものなのだろう?実はF1の新しい2022年型マシンの設計過程で、AWSが重要な役割を果たしていたことがわかったのだ。

マシンはこんな感じだ。

画像クレジット:フォーミュラ・ワン

なかなかいいんじゃない?

なぜこんなにスラリとした形状なのか気になっていると思う。その答えは、この車両が非常に特殊な空力目標を持って設計されているからだ。例えばF1マシンの後ろに流れる空気の影響で、後続車のコースどりが難しくなる「ダーティエア」現象を減らすことなどだ。

現在のF1マシンは、現行世代のF1ハードウェアとしては最後のシーズンを迎えているが、大量のダーティエアを発生させている(頑張れランド!)。そのため、大切なダウンフォースを失うことを恐れて、コース上のクルマ同士が近づくことができないという、少々厄介なレースになっている。ご存知のようにダウンフォースは、クルマが壁にぶつからずコース上に留まることを助ける。

F1が次の時代の競争で求めていた、ダーティエアを削減しよりクルマ同士が接近したレースを可能にするベースカーを設計するためには、CFD(Computational Fluid Dynamics、計算流体力学)に多くのコンピューターパワーが投入されなければならなかった。そのとき、AWSがF1のコンピューティングニーズに対応していることがわかったのだ。

今回、初めてAmazon Chime(アマゾン・チャイム、Amazonのウェブ会議システム)を利用して、F1のデータシステム担当ディレクターであるRob Smedley(ロブ・スメドレー)氏とこうした統合について話をすることができた。元フェラーリとウィリアムズのエンジニアだったスメドレー氏によれば、F1とAmazonは2018年から新型車のプロジェクトを進めているそうだ。F1には自社の問題を解決するための多くの頭脳が集まっており、一方Amazonはトリッキーな計算をするために大量のコアを提供した。

スメドレー氏によると、もし彼のチームが、個別のF1チームに許されているものと同じコンピューティングパワーを使っていたとしたら、2台の車が前後を走る新しいモデルを計算するのに1回あたり4日かかっていただろうという(なにしろF1レースというスポーツには、チームをある程度平等にするための、あるいはメルセデスの足を引っ張るための規制がたくさんあるのだ)。

しかし、Amazonが2500個の計算コアを提供したことで、スメドレー氏とF1のデータ科学者たちは、同じ作業を6時間または8時間で終わらせることができた。つまり、F1グループはより多くのシミュレーションを行い、より良いクルマを設計することができるのだ。時にはより多くの計算パワーを使用することもある。スメドレー氏は2020年のある時点で、彼のチームが十数種類の繰り返しシミュレーションを同時に実行したこともあるとThe Exchangeに対して語っている。これを可能にしたのは、約7500個のコアによるデータ処理だ。このシミュレーションの実行には30時間かかった。

つまり、F1にはテック系の資金が多く投入されていて、各チームが仕事をすることを助けて、財政的に余裕がある状態にさせていることは事実だが、しかし、F1の本質的な部分にも多くの技術が投入されているのだ。また、F1オタクの私にとって、自分の好きなことが仕事に結びつくのはとてもうれしいことだ。

さて、いつもの話題に戻ろう。

中西部の最新ユニコーン

M1 Finance(M1ファイナンス)は、私の取材活動の中に何度も登場する会社だ。その大きな理由は、彼らがずっと資金を調達し、新しいパフォーマンス指標を発表し続けているからだ。今週、同社は1億5000万ドル(約165億円)のラウンドを実施し、評価額は14億5000万ドル(約1595億7000万円)に達した。この消費者向けフィンテックスーパーアプリの最新の資金調達ラウンドは、ソフトバンクのVision Fund 2が主導した。

関連記事:フィンテックM1 Financeがソフトバンク主導のシリーズEラウンドでユニコーンに

さて、なぜ私たちがこの会社気にするのか?M1の超おもしろい点は、同社の収益の成長を時間軸に沿って追跡する方法を教えてくれたことだ。私がこのスタートアップを取材しはじめた頃、同社のCEOは、運用資産(AUM)の約1%程度の収益を挙げたいと語っていた。つまり、AUMの増加を追跡することで、会社の収益成長を追跡することができるのだ。

そして、同社はAUMの数字を発表し続けている(世の広報担当のみなさん、長期的なデータを提供することは、私たちにスタートアップへの興味を持たせ続けるためのすばらしい方法なのだ!)

M1のAUMを時系列で見てみよう。

1%の目標値で換算すると、年間収益はそれぞれ1450万ドル(約15億6000万円)、2000万ドル(約22億円)、3500万ドル(約38億5000万円)、4500万ドル(約49億6000万円)となる。言い換えれば、2020年6月から実質的に収益が3倍になっている。これはとても良い数字で、投資家が支持したいと思うような成長だ。それが今回のラウンドとなり、そして、M1の新しいユニコーン価格となった。

Truveta

Truveta(トゥルベータ)を覚えているだろうか? 以前、同社が計画を発表したときに、記事を書いている。Microsoft(マイクロソフト)の元幹部であるTerry Myerson(テリー・マイヤーソン)氏がチームの一員であり、私もかつてMicrosoftの取材を生業としていたため、このスタートアップには初期の頃から注目していた。Truvetaは「医療機関から大量のデータを収集し、それを匿名化して集計し、第三者が研究に利用できるようにしたい」と考えていることを、前回お伝えした。

今週、このスタートアップは、新しいパートナーシップと9500万ドル(約104億5000万円)の資金調達を発表した。これはかなり大きな調達額だ!このスタートアップは現在、17のパートナーヘルスグループを抱えている。

多くのデータを1カ所に集めることで、医療の世界をより良く、より公平にすることを目指している。そして今、その目標を達成するために大金を手に入れたのだ。この先何ができるあがるのかを見ていこう。

関連記事:データは米国の不公平なヘルスケア問題を解決できるだろうか?

その他の重要なこと

文字数を適度に抑えて編集の手間を減らしたために、他の記事では紹介しきれなかった重要なものを紹介しよう。

Cambridge Savings Bank(CSB、ケンブリッジ・セービング・バンク)がフィンテックに参入:Goldman(ゴールドマン)が一般庶民向けのデジタル銀行Marcus(マーカス)を立ち上げたことを覚えているだろうか?同じこと狙うのは1社だけではない。今回はCSBが独自のデジタル・ファースト銀行のIvy(アイビー)を構築しローンチを行った。率直に言って、長い営業の歴史と、古典的な技術スタックとサービス群を持つ銀行から始めるというアイデアを私は気に入っている。そして、そのすぐ隣にもっとモダンなものを建てるのだ。古い銀行そのものに新しい技術を習得させるよりも、その方が良い解決策となるだろう。また、多くの銀行がこのようなことをすれば、ある程度ネオバンクの勢いを削ぐこともできるだろう。だよね?

Code-X(コードX)が500万ドル(約5億5000万円)を調達、評価額を公表しても大騒ぎにはならないことを証明:「ラティスベースのデータ保護プラットフォーム」を構築したフロリダのスタートアップ、Code-Xが、最新の増資により4000万ドル(約44億円)の価値を持つことになった。いや「ラティスベースのデータ保護プラットフォーム」が何であるかは知らない。しかし、Code-Xがアーリーステージ ラウンドの一環として評価額を発表したことは知っている。それは拍手喝采に値する。よくやった、Code-X。

最後にDocSendのデータ:その名の通り「文書を送る」同社が今週新しいデータを発表したので、ご紹介しよう。以下がその主たる内容だ。

DocSendのStartup Index(スタートアップインデックス)中の2021年第2四半期のデータによると、スタートアップのピッチ資料に対する投資家の関心とエンゲージメント(需要の代名詞だ)は、前年同期比で41%増加している。一方積極的に資金調達を行っているファウンダーが作成したピッチ資料へのリンク(供給の指標だ)は、2021年第2四半期に前年同期比で36%増加している。

なぜこれがおもしろいのかって?需要が供給を上回っているからだ!あははっ!それがすべてを物語っているような気がする。

ここ数週間、ベンチャー企業の第2四半期決算を調べてきたが、どうにも簡潔にまとめることができなかった。なぜスタートアップの評価額が上がっているのか?なぜ スタートアップ企業はより多くの資金を、より早く調達しているのか?なぜなら、ベンチャーの後援対象となる企業たちに対して、投資家の需要が供給をはるかに上回っているからだ。

それが2021年だ。

きょうのみなさんは素晴らしく、楽しそうで、とてもすてきだ!

来週は、バッテリーに特化した2つのSPAC、つまりEvonix(エボニックス)とSESについてご紹介する。バッテリー技術、エネルギー密度、そして未来について、多くのことを語ることができるだろう。そして、もちろんお金についても。

ではまた。

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タグ:The TechCrunch Exchangeレース自動車F1AmazonAWSユニコーンM1 Finance

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

アマゾンのベゾス氏が退任、新CEOにAWSトップのアンディ・ジャシーが就任

Amazon(アマゾン)の創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は常に、毎日がDay 1だと言って従業員を鼓舞することを好んだ。そして米国時間7月6日は、後継者であるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏にとってのDay 1であり、正式にAmazonのCEOに就任した。

ベゾス氏は2021年2月、自身の慈善活動のDay 1 FundやBezos Earth Fund、億万長者である同氏の宇宙企業Blue Origin、2013年に買収した新聞The Washington Postなどの事業に注力するためにCEO職を退くと発表した

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ベゾス氏はCEOを退任しても、取締役会長として残る。しかし今後Amazonの舵取りをするのは、大きな成功を収めたAWSクラウドインフラ部門の構築にこれまでのキャリアの大半を費やしてきたジャシー氏となる

ジャシー氏は1997年にAmazonに入社し、ベゾス氏のエグゼクティブアシスタントとしてしばらく働き、ウェブサービスを統合したAmazon Web Servicesを立ち上げるアイデアを具現化するのをサポートした。ジャシー氏は初期からAWSに関わり、年間売上500億ドル(約5兆5310億円)という大事業に育てるのを手伝った。そして2016年にAWSのCEOに昇格した。

ウォールストリートジャーナル紙は、現在ランレートが540億ドル(約5兆9730億円)であるクラウド部門のAWSがもし独立した会社であれば、Fortune 500社の中で69位にランクインする、と報じた。ジャシー氏がFortune 500社リストで2位に入っているAmazonを継ぐというのはすごいことだ。パンデミックによってオンラインショッピングが促進されたためAmazonは売り上げを大幅に増やすことができ、2020年の売上高は3860億ドル(約42兆6950億円)に達した

新型コロナウイルス感染が落ち着き、人々が再び対面で買い物し始めることができるようになるのにともない、ジャシー氏は成長を維持し続けることを含めて多くの困難に直面することになる。また、米国とEUにおける独禁法に絡む政府の動きAmazon倉庫の組合設立の推進Amazonの成長マーケット影響力に対する一般的な恐怖などに対処する必要もある。

経営移行のような役員のイス取りゲームでは影響力が働く傾向にある中で、Tableauの元CEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏がジャシー氏の後任としてAWSのCEO職を継ぐ。セリプスキー氏は2016年にTableaump経営に携わるようになる前に、AWSの立ち上げで10年以上ジャシー氏を支えた。

立会時間前の取引でAmazonの株価は0.42%上昇し、市場関係者が同社での権限委譲がスムーズに行われることを予想していることを伺わせている。ジャシー氏は何年にもわたって経営陣の主要メンバーであり、初めから現在に至るまでAWSを築き上げたという点でかなり成功したが、現在、Amazon全体を経営することになり、その役割に適任であることを示す必要がある。

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カテゴリー:ネットサービス
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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

AWSが米国家安全保障局お墨付きの暗号化メッセージングサービスWickrを買収

Amazon(アマゾン)のクラウドサービスであるAmazon Web Services(AWS)が、暗号化されたメッセージ事業に参入する。AWSは米国時間6月25日、政府や軍、企業向けのサービスを提供しているメッセージングアプリ「Wickr(ウィッカー)」を買収したと発表した。Wickrは、米国家安全保障局(NSA)が定めたセキュリティ基準を満たす唯一の「コラボレーションサービス」であると、同社では主張している。

AWSはWickrの運営をそのまま継続し、AWSの顧客にそのサービスを「事実上即座に」提供すると、AWSのバイスプレジデントで最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めるStephen Schmidt(スティーブン・シュミット)氏は、このニュースを報告するプログ記事で書いている。

短い発表の中で金銭的条件は開示されていない。調査会社PitchBook(ピッチブック)のデータによると、Wickrの資金調達総額は6000万ドル(約66億5000万円)に満たない(3000万ドル以下との評価額も記されているが、これはかなり古い推定値のようだ)。一方、アマゾンのクラウドエンタープライズ部門であるAWSは、電子商取引とオンラインサービスの巨大企業にとって強大な存在となっている。AWSの前四半期の売上は、前年同期比32%増の135億ドル(約1兆5000億円)で、純利益は81億ドル(約9000億円)だった。

アマゾンが、政府機関に安全なサービスを提供しているメッセージングプロダクトを買収したこのタイミングは、Microsoft (マイクロソフト)がTrump(トランプ)政権時代に米国防総省から獲得した100億ドル(約1兆1080億円)規模のクラウド契約「JEDI」をめぐる争いに引き続き巻き込まれている時期でもある。

この買収が、アマゾンが自社のサービスを充実させるために、より多くのインフラやサービスを構築しようとする取り組みの一環なのか、それとも、JEDIの契約獲得の有無にかかわらず、アマゾンが引き続き政府機関という市場に働きかけかけようとする兆候なのかはわからない。

また、この動きはアマゾンがメッセージング分野への進出を、これまで以上に推進している可能性も示唆している。これは同社に待望されていたことだという声もある。

AWSでは現在、Amazon Chime(アマゾン・チャイム)というコミュニケーションサービスを提供しており、組織でのミーティングやチャット、ビジネスコールなどを可能にしている。しかし、これはあまり知られていない製品で、ライバルサービスであるSlack(スラック)やMicrosoft Teams(マイクロソフト・チームズ)ほどの影響力を持てずにいる。また、Wickrのようなエンド・ツー・エンドの暗号化にも力が入れられていない。

アマゾンは、2017年にもメッセージング製品を開発中と報じられたが、それはより一般消費者に向けたものだったようだ。同社は多くのソーシャルメディア関連の特許も保有している。

2021年になると、メッセージングサービスには、暗号化やプライバシー保護機能など、2017年にはあまり重要な要素ではなかった考慮すべき事項が山ほどある。また、メッセージング全般においてますます高度化が進んでいる。

アマゾンが興味を持ちそうな分野については、特に以下の4つが上げられる。1. Wickrをビジネスサービスとして提供し、現在の使い方を継続する。2. 他のAWSサービスのように、他の企業が自社のアプリで利用できる「メッセージング・アズ・ア・サービス」を構築する。3. Wickrのインフラ上に消費者向けのメッセージングアプリを構築する。4. Echoに接続するサービスを増やし、より大きなソーシャルコマース/インタラクティブプレイに向けて機能を拡張する。あるいは上記のすべてを実行する。

今回の買収について、AWSのCISOであるシュミット氏は次のように述べている。「この種のセキュアな通信へのニーズは加速しています。新型コロナウイルス感染流行の影響もあり、ハイブリッドな就業環境への移行が進む中、企業や政府機関では多くの遠隔地をつなぐ通信を保護したいという要望が高まっています。Wickrの安全性が高いコミュニケーション・ソリューションは、企業や政府機関がこのような就業形態の変化に対応するために役立ち、AWSが顧客やパートナーに提供するコラボレーションや生産性向上のためのサービスが、ますます充実することになります」。

Wickrのウェブサイトに掲載された告知には、次のように書かれている。「10年前の創業以来、当社は世界中の幅広い業種の組織にサービスを提供するまでに成長しました。AWSとともに、当社のソリューションを、お客様やパートナーのために、次のレベルに引き上げることを楽しみにしています」。

2011年にサンフランシスコで設立されたWickrは、自らを「最も安全な」ビデオ会議とコラボレーションのプラットフォームと表現している。他ののコラボレーションツールでは、ユーザーのデバイスから企業のサーバーに送信されるメッセージは暗号化されるが、それらの通信は暗号化されない状態で保存される。Wickrはエンド・ツー・エンドの暗号化を採用しているため、会話の両端にいる人のみが暗号化を解除してメッセージを読むことができる。またWickrには、ユーザーが開封から数秒という短い時間でメッセージを自動消去できる「削除タイマー」を設定する機能も備わっている。

同社は最近、人々の大規模なオンライン・コミュニケーションへの移行にともない、企業向け展開にも大きく力を入れている。2021年2月には、企業や政府機関がネットワーク外部にいる業務上重要なパートナーとエンド・ツー・エンドの暗号化を用いて安全に通信できる「Global Federation(グローバル・フェデレーション)」という機能を導入した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AWS買収Amazonメッセージ

画像クレジット:Pedro Fiúza/NurPhoto / AP

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(文:Carly Page, Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SalesforceとAWSがパートナーシップの拡大を発表、さらなる双方向の統合を実現

Salesforce(セールスフォース)とAWSは、それぞれのカテゴリーで最も成功しているクラウド企業だ。ここ数年、2つの巨大なクラウド企業は発展的なパートナーシップを築いてきた。両社は米国時間6月23日、データの共有と2つのプラットフォームを横断するアプリケーションの構築を容易にするための、新たな統合機能の計画を発表した。

Salesforceのプラットフォーム担当EVP兼GMであるPatrick Stokes(パトリック・ストーク)氏は「両社はこれまでにも、2つのサービス間での安全な共有などの機能を提供するために協力してきましたが、 顧客からはさらに踏み込んだサービスを望む声が寄せられていました。本日の発表はその実現に向けた第一歩です」と話した。

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「(パートナーシップの初期段階は)本当に大成功でした。Salesforceの製品群とAmazon(アマゾン)の製品群の両方で、2つのソリューションがお互いにうまく補完し合うようにするため、顧客がどのようなことを実現したいのか、お互いから、そして共通の顧客から多くのことを学んでいます。そして、顧客からはさらなる要望が寄せられており、パートナーシップの次の段階に進めることをうれしく思っています」とストークス氏は説明した。

さらに「目標は、両社のプラットフォームを統合し、AmazonのサービスとSalesforceのプラットフォームのすべての力を融合させることです」と述べた。今回の機能は、それを実現するための次のステップになるかもしれない。

この機能には、プラットフォーム側とアプリケーション側の両方の開発者を支援するために両社が取り組んでいるいくつかの新機能が含まれている。まず、開発者は、AmazonのデータをSalesforce内で仮想化することができ、そのためのコーディングを手作業で行う必要がない。

「具体的には、Salesforceプラットフォーム内でAmazonのデータを仮想化します。S3バケットやAmazon RDSなど、何を扱っていても、データを仮想化して、Salesforceプラットフォーム上のネイティブデータと同じように表示させることができます」とストークス氏はいう。

同様に、Amazon上でアプリケーションを構築する開発者は、Salesforceのデータにアクセスし、それをAmazon上でネイティブに表示できるようになる。このために、2つのシステム間のコネクターを提供して、データがスムーズに流れるようにする必要があり、そのためには多くのコーディングが必要になる。

また、両社はイベント共有機能も発表しており、AmazonとSalesforceの両方の顧客が、両プラットフォームを横断するマイクロサービスベースのアプリケーションを簡単に構築できるようになる。

「SalesforceとAmazonのプラットフォームのサービスを横断するマイクロサービス指向のアーキテクチャーを、やはりコードを書くことなく開発することができます。そのために、すぐに使えるコネクターを開発しており、必要なイベントをクリック&ドラッグすることができます」。

また、アイデンティティおよびアクセス管理の観点から、ガイド付きのセットアップでプラットフォームにアクセスできるようにする計画も発表した。さらに両社は、Amazon ChimeコミュニケーションツールをService Cloudやその他のSalesforceサービスに組み込み、AWSの機械学習技術を利用してバーチャルコールセンターなどを構築するアプリケーションに取り組んでいる。

Amazonのグローバルマーケティング担当副社長であるRachel Thorton(レイチェル・ソートン)氏は、2つの巨大なクラウドがこのように連携することで、開発者は2つのプラットフォームにまたがるソリューションを簡単に作成できるようになると話す。「開発者がより速く、より革新的になれば、企業にとってもチャンスが広がり、より良い顧客体験を生み出すことができると思います」とソートン氏は述べた。

Salesforceが、Microsoft AzureGoogle Cloud Platformなど、他のクラウドプロバイダーとも広範なパートナーシップを結んでいることは注目に値する。

Salesforceの発表ではよくあることだが、これらの機能はすべて本日発表されたもので、まだ開発段階であり、ベータテストの開始は2021年後半、GA (General Availability)は2022年中を見込んでいる。両社は、2021年後半に開催されるカスタマーカンファレンス「Dreamforce」および「re:Invent」で、このパートナーシップに関する詳細を発表する予定だ。

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タグ:SalesforceAWS

画像クレジット:sefa ozel / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

EU諸機関によるAWSとマイクロソフトの各クラウドサービス利用について同プライバシー責任者が調査を開始

欧州の主要データ保護規制当局は、EU機関による米国クラウド大手Amazon(アマゾン)とMicrosoft(マイクロソフト)のそれぞれのクラウドサービス利用について、調査を開始した。欧州の団体、機関、官公庁は、AWSおよびMicrosoftの間でいわゆる「Cloud II」契約を締結している。

欧州データ保護監察機関(EDPS)によると、欧州委員会によるMicrosoftのOffice 365の使用についても、以前の勧告への準拠状況を評価するための独立した調査が開始されたという。

Wojciech Wiewiórowski(ヴォイチェフ・ヴィヴィオロフスキ)氏は、2020年10月に発表されたより広範なコンプライアンス戦略の一環として、EUのクラウドサービスの利用を調査している。当該戦略は、欧州司法裁判所(CJEU)による画期的な裁定(通称Schrems II)を受けたものだ。この裁定は、EU-米国間の「Privacy Shield」データ移転協定を無効にし、EUユーザーの個人データが大規模監視体制によって危険にさらされる可能性のある第三国に流出している場合の、代替的なデータ移転メカニズムの実行可能性に疑問を投げかけるものだった。

EUの最高プライバシー規制当局は去る2020年10月、EU加盟国以外の国への個人データの移転について報告するようEU加盟国の機関に要請した。EDPSが米国時間5月27日の発表したところによると、この分析によってデータが第三国に流れていることが確認されたという。また、特に米国への流入が顕著であり、その理由として、EU機関が大手クラウドサービスプロバイダ(その多くは米国を拠点としている)への依存を高めていることが挙げられる。

驚くことではない。しかしEDPSは、Schrems II判決以前に署名された2社との契約がCJEUの判断に沿っているかどうかを見極めたいと考えており、次のステップは非常に興味深いものになるだろう。

実際、EDPSはその準拠性について懸念を示しており、将来的にはEU諸機関に対して代替のクラウドサービスプロバイダ(法的な不確実性を回避するためにEU内に設置されている可能性が高い)を探すことを要請する可能性もある。今回の調査は、規制当局主導による、EUの米国クラウド大手からの移行の始まりとなるかもしれない。

ヴィヴィオロフスキ氏は声明で次のように述べている。「EUの機関や団体からの報告の結果を受けて、私たちは両社との契約が特別な注意を要するものであることを特定しました。それが今回の2つの調査を開始することにした理由です。『Cloud II契約』は『Schrems II』判決前の2020年初めに署名されたこと、そしてAmazon(アマゾン)とMicrosoftの両方がその判決に沿うことを目的とした新たな措置を発表したことを認識しています。しかし、これらの措置はEUのデータ保護法を完全に遵守するのに十分ではない可能性があり、適切に調査する必要があります」。

AmazonとMicrosoftは、EU機関とのCloud II 契約に適用した特別措置に関する問い合わせに応じているところだ。

【更新1】現在、Microsoftの広報担当者が次のような声明を出している。

当社は、欧州データ保護監督機関から提起された質問に答えるために、EU機関を積極的に支援し、いかなる懸念にも迅速に対応する自信があります。EUのデータ保護要件を確実に遵守し、それ以上の成果を上げるための当社のアプローチに変更はありません。当社の「Defending Your Data」イニシアチブの一環として、EUの公共部門または商業部門のお客様のデータを求める政府の要請に対し、我々に合法的な根拠がある場合はすべて異議を申し立てることを約束しています。また、適用される個人情報保護法に違反してデータを開示し、損害を与えた場合には、ユーザーに金銭的な補償を行います。当社は今後も規制当局の指導に対応し、顧客のプライバシー保護の強化を継続的に図っていきます。

【更新2】Amazonからも次の声明が届いている。

EUの機関は、Schrems IIの要件に準拠してAWSサービスを利用することができ、お客様が欧州データ保護監察機関(EDPS)にそのことを実証してくださることをうれしく思います。顧客データを保護するための当社の強化された契約上のコミットメントは、Schrems II判決で要求されている以上のものであり、法執行機関の要求に挑戦してきた当社の長年の実績に基づいています」と述べている。

EDPSは、EUの機関に模範的な主導を求めていると表明した。欧州データ保護委員会(EDPB)は2020年、Schrems IIの判決の意味するところを実行するための規制猶予期間はないと公に警鐘を鳴らしたが、未だにデータ移転に関する本格的な取り組みがなされていないことを考えると、今回の動きは重要に思える。

対応が遅れていた理由として最も可能性が高いのは、法的基準を満たすことを期待して契約に加えられた、かなりの量の向こう見ずな反応や表面的な変更だろう(ただし規制当局による審査はまだ行われていない)。

EDPBからの最終的なガイダンスも保留中だが、当委員会は2020年秋に詳細な勧告を提示している。

CJEUの判決は、当該領域のEU法は看過されるべきではないことを明確に示した。EUのデータ規制当局がEUのデータを外部へ持ち出している契約を精査し始めることで、必然的にこれらの取り決めのいくつかは不十分であると判断され、関連するデータフローは停止を命じられることになるだろう。

ちなみに、長期戦となっているFacebook(フェイスブック)によるEU-米国間データ移転をめぐる苦情申し立ては、まさにそのような可能性に向けての歩みを遅らせている。申し立ての発端は、EUのプライバシー活動家で弁護士でもあるMax Schrems(マックス・シュレムス)氏によって2013年に提起された訴えにある。

2020年秋のSchrems II判決を受けて、アイルランドの規制当局はFacebookに対し、欧州の人々のデータを海を越えて移動させることはできないとする仮命令を出していた。Facebookはアイルランドの裁判所でこれに異議を唱えたが、今月初めにはその手続きを阻止する試みに失敗した。そのため、数カ月以内に業務停止命令を受ける可能性がある。

Facebookがどう反応するかは誰もが予想しているところだが、シュレムス氏は2020年夏TechCrunchに対し、同社は最終的にEUユーザーのデータをEU内に保存し、サービスをフェデレートする必要があると示唆している。

Schrems IIの判決は、法的な不確実性の問題を解決するために自らを位置づけることができるEUベースのクラウドサービスプロバイダにとって、一般的には朗報になりそうだ(米国ベースのクラウド大手ほど競争力のある価格や拡張性がない場合であっても)。

一方、CJEUの裁判官が繰り返し指摘しているように、EUの人々のデータへの脅威とみなされないようにする目的において、米国の監視法を独立した監督下に置き、市民以外の人々が利用可能な救済メカニズムを確立するには「数カ月」よりもはるかに長い時間がかかる可能性が高いだろう。それも米国当局が自らのアプローチを改革する必要性を確信することができるのならではあるが。

それでも、EUの規制当局が最終的にSchrems IIに対して行動を起こすようになれば、米国の政策立案者の意識を監視改革に集中させるのに役立つかもしれない。そうでなければ、ローカルストレージが将来の新しい標準になることもあり得る。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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画像クレジット:Jason Alden / Bloomberg / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

クラウドインフラ市場の2021年第1四半期売上高は約4.3兆円、新型コロナ追い風に移行が加速

パンデミックによって企業は2020年、かつてない速さでクラウドへと移行した、というのが広く受け入れられている見解だろう。数年かかるトランスフォーメーションを数カ月で達成し、強制するような要因がなければなし得なかったスピードだった。直近の四半期のクラウドインフラ市場の売上高はこの見解が正しかったことを証明しているようだ。

Synergy Researchのデータによると、今週四半期決算を発表したAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグスリーを含め、クラウドインフラマーケットの売上高は400億ドル(約4兆3735億円)だった。前四半期より20億ドル(約2190円)増加し、前年同期比37%増だった。Canalysの数字はわずかに高い420億ドル(約4兆5900億円)だった。

この業界をフォローしている人なら予想していたかと思うが、AWSが前年同期比32%増の135億ドル(約1兆4760億円)で業界トップだった。ランレートは540億ドル(約5兆9030億円)だ。とんでもない数字である一方で、真に注目に値するのは年間売上高の伸びだ。特にAmazonのような規模と成熟度が高い企業においてはそうだ。大数の法則に従えばそうした数字は持続可能ではないが、全体のパイは成長し続けていて、Amazonは引き続きかなりの割合を占める。

全体をみると、AWSのマーケットシェアは32%だった。売上高は増え続けているが、マーケットシェアはここ数年横ばいだ。シェアを伸ばしてきたのは別の企業で、最も顕著なのがMicrosoftだ。同社の四半期売上高は78億ドル(約8525億円)で、シェアは20%だった。

GoogleはThomas Kurian氏(トーマス・クリアン)氏の下で引き続き有望なサインを示していて、35億ドル(約3825億円)の売上を達成した。マーケットシェアは9%で、2桁に向けて着実に成長している。IBMですら好成績の四半期となり、Red Hatが引っ張ってシェアは5%、売上高は20億ドル(約2190億円)だった。

画像クレジット: Synergy Research

SynergyのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏はAWSとMicrosoftがマーケットをしっかりと掌握しているが、これは業界の他の企業が売上を伸ばせないということではない、と指摘する。

「AWSとMicrosoftはミラーで後ろを見るのにあまり時間をかける必要はなく、競争を意識しています。しかし、他のプレイヤーにとってすばらしい機会がないと言っているわけではありません。AmazonとMicrosoftを除いた残りのマーケットは四半期に180億ドル(約1兆9675億円)を売り上げ、前年比で30%成長しました。特定の地域やサービス、ユーザーグループにフォーカスしているクラウドプロバイダーは今後数年間、大きな成長を目指すことができます」とディンスデール氏は声明で述べた。

Synergy同様にこの業界をウォッチしているCanalysも、わずかに異なる部分はあるもののほぼ同じようなデータを示した。マーケットシェアはAWSが32%、Microsoftは19%、Googleは7%だった。

画像クレジット:Canalys

CanalysのアナリストBlake Murray(ブレイク・マリー)氏は、成長する余地がまだあり、数年にわたってこの分野の売上高は継続して増えるだろうと話す。「2020年は大規模なクラウドインフラ支出がありましたが、大半の企業のワークロードはまだクラウドに移行していません。顧客の自信が2021年に高まり、移行とクラウド支出は続きます。2020年延期された大型プロジェクトが再浮上し、その一方で新しいユースケースが獲得可能な最大市場規模を広げるでしょう」と同氏は述べた。

我々が目にしている数字はもはや驚きではない。企業がさらに多くのワークロードをクラウドに移行するにつれ、この数字は今後も拡大する。MicrosoftがマーケットシェアでAmazonに引き続き近づくことができるか、というのが現在の疑問だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:クラウドストレージAmazonAWSMicrosoftGoogle

画像 クレジット:imaginima / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがML学習用カーレースDeepRacerデバイスソフトのオープンソース化を発表

Amazon(アマゾン)が2018年にAWS DeepRacerを発表した際、それは開発者が機械学習を学ぶのを助ける楽しい方法として意図されていた。その後進化を遂げ、DeepRacerのコンペを取り入れてきたが、米国時間4月27日に同社は新しい機能を追加することを発表した。それは、ミニカーを走らせるために同社が作成したソフトウェアをオープンソース化するというものだ。

DeepRacerは、Ubuntu LinuxとアマゾンのRobot Operating System(ROS)を搭載したミニコンピュータを中核としている。同社はデバイスソフトウェアを開発者に公開することで、クルマのデフォルト動作を変更できるようになり、よりクリエイティブな利用を促進できると考えている。

「AWS DeepRacerのデバイスコードがオープンソース化されたことで、現在トラックで使用されているレーシングカーのデフォルト動作を迅速かつ簡単に変更できます。対策を講じて他のクルマが追い越すのをブロックしたいですか?A地点からB地点まで自動車を速く走らせるために、独自のカスタムアルゴリズムを導入したいですか?あなたはそれを夢見てコードを書くだけでいいのです」と、アマゾンはオープンソース化を発表したブログ記事で述べている。

2018年に車両を導入した後、アマゾンはDeepRacerのリーグを展開し、最近ではバーチャルレースも実施している。実際に同社は2020年3月にリーグを再編し、新たな人々がこの技術に関わるのを奨励した。オープンソースのコンポーネントを追加することで開発者が自分で作る機会を得て、これまで不可能だった新しい利用層を車両に追加しさらに関心が高まる可能性がある。

AWSのMarcia Villalba(マルシア・ビラルバ)氏が3月のブログで述べたように、これは開発者に機械学習の基礎を教えることを目的としている。

「AWS DeepRacerはAWS DeepRacerコンソールで仮想的にレースをしたり、AWSや顧客のイベントで物理的にレースを行ったりすることで、『強化学習』モデルをテストするために設計された1/18スケールの自律的なレースカーです。AWS DeepRacerはMLの経験のありなしに関わらず、あらゆるスキルレベルの開発者を対象としています。AWS DeepRacerを使ってRLを学ぶ際には、AWS DeepRacer Leagueに参加して楽しくかつ競争の激しい環境で機械学習を体験できます」。

クルマのソフトウェアをカスタマイズしたい場合、プロジェクトのドキュメントはGitHubAWS DeepRacer Open Sourceページで入手でき、6つのサンプルプロジェクトから始めることができる。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AmazonDeepRacerAWS機械学習

画像クレジット:Amazon

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(文:Ron Miller、翻訳:塚本直樹 / Twitter

double jump. tokyoが「NBA Top Shot」のDapperLabsと提携、「Flow」ブロックチェーンの日本進出支援

doublejump. tokyoがNBA Top ShotやCryptokittiesのDapperLabsと提携、「Flow」ブロックチェーンの日本進出支援

ブロックチェーン技術を用いたアプリ開発を行うdouble jump.tokyoは4月22日、「Cryptokitties」(クリプトキティ)や「NBA Top Shot」(NBAトップショット)を手がけるDapperLabs(ダッパーラボ)と提携したと発表した。DapperLabsが開発するブロックチェーン「Flow」(フロー)に関するNFTおよびブロックチェーンゲームなどの対応、トランザクションが正しいかどうかを検証・合意形成を行うValidatorNode(バリデーターノード)の運用を開始する。

Flowは、NFTを世に広めた初のコンテンツ「Cryptokitties」などのDapperLabsが手がけている、新たなブロックチェーン。現在は、Flow上で動作する同社開発・運営のNFTトレーディングカードゲーム「NBA Top Shot」が人気で、サービス開始後の流通取引総額が約400億円となったことから第2のNFTブームを生み出すきっかけのひとつとなっている。

double jump.tokyoは今回のパートナー提携により、Flowを通じたNFT・ブロックチェーンゲームの海外展開の推進、またFlowの日本進出を支援する。同時に、ValidatorNodeの運用を開始することで、Flowチェーンの地理的な分散性に貢献する。

またdouble jump.tokyoが開発してきた、AWS Key Management Service(AWS KMS)を使ったビジネス向け「Flow Wallet SDK」をオープンソース(MITライセンス)として提供開始。すでに「AWS KMS authorizer (signer) for Flow blockchain」としてGitHub上で公開している。Flowでサービス展開を行う企業に広く使用してもらうことでFlowエコシステムに貢献するとしている。

Ethereum上のNFT標準規格「ERC-721」の生みの親「DapperLabs」がFlowを新規開発

Flowは、Cryptokittiesと、Ethereum上のNFT標準規格ERC-721を生み出したDapperLabsが、新たなブロックチェーンとして開発した。

doublejump. tokyoがNBA Top ShotやCryptokittiesのDapperLabsと提携、「Flow」ブロックチェーンの日本進出支援

現在のEthereumは、ガス代の高騰をはじめとするスケーリング問題に直面していること、コンシューマー向けのレイヤー1ブロックチェーンが存在しないことなどの課題が広く知られており、これに対してFlowは、DapperLabsがゲームやアプリ、またNFTなどのためにゼロから開発したブロックチェーン基盤と位置付けている。

Flowのユースケースとしては、先のNBA Top Shotが挙げられる。NBA Top Shotでは、ローンチしてから2021年2月末までの5カ月間で2億3000万ドルの取引が行われており、世界中から話題を集めている。

double jump.tokyo

2018年4月設立のdouble jump.tokyoは、ブロックチェーン技術を用いたゲームおよびアセットの開発・運営・販売を手がけるブロックチェーンゲーム専業開発会社。

数多くのゲーム(モバイルソーシャルゲーム、PCオンラインゲーム、家庭用ゲームなど)およびプラットフォームの開発・運営、ブロックチェーン技術および暗号資産を含むファイナンスにおけるノウハウを有するメンバーが参画している。

同社のブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリプトヒーローズ)は2019年8月、DappRadarにおいて、ブロックチェーンゲームとして世界No.1のユーザー数、トランザクション数を記録した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)Amazon Web Services / AWS(製品・サービス)Ethereum(製品・サービス)ERC-721(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)Dapper Labs(企業)
double jump.tokyo(企業)Flow(製品・サービス)ブロックチェーン(用語)日本(国・地域)

リスク管理のスタートアップLogicGateが自らのデータ漏洩を認める

リスクとコンプライアンスのスタートアップであるLogicGate(ロジックゲート)がデータ漏洩を認めた。ただし、顧客でない限り本件について聞いていないだろう。

LogicGateが2021年4月初めに顧客宛に送ったメールによると、2月23日、同社の主要プラットフォームであるRisk Cloudの顧客のバックアップファイルを保存しているAmazon Web Serviceのクラウド・ストレージ・サーバーの認証情報を、権限のない第三者が入手した。Risk Cloudは企業が自社のリスクとコンプライアンスを確認・管理するためにデータ保護とセキュリティ標準を提供するプラットフォームだ。Risk Cloudはセキュリティの脆弱性を悪意のあるハッカーに利用される前に検知するためにも役立つとLogicGateは述べている。

認証情報は「権限のない第三者が、Logic Gate Risk Cloudバックアップ環境のAWS S3バケットに保存されている特定のファイル群を解読するために使われたと見られる」とメールに書かれている。

「2021年2月23日以前にRisk Cloud環境にアップロードされたデータのみが、当該バックアップファイルに含まれています。また、お客様がRisk Cloudに保存したアタッチメントについては、それに関連する解読事象は特定されていません」。

LogiGateはどうやってAWS認証情報が漏洩したかについては明らかにしていない。4月9日にLogiGateが送った追伸メールによると、同社は問題の根本原因を今週中に見つけるつもりだとしている。

しかしLogicGateはデータ侵害について公的発表は一切していない。また、同社が顧客全員に連絡をとったのか、データをアクセスされた顧客だけなのかもはっきりしない。LogicGateはCapco、Sofi、およびBlue Cross Blue Shield of Kansas Cityが顧客であるという。

TechCrunchは同社に質問を送り、影響を受けた顧客の数や、同社が州の情報漏洩通知法に従って米国当局に通知したかどうかを尋ねた。LogicGate CEOのMatt Kunkel(マット・クンケル)氏は情報漏洩については認めたが、進行中の調査についてコメントを拒んだ。「状況を当社顧客に直接伝えるのが最適だと信じています」と同氏は語った。

クンケル氏は質問に対して、アタッカーが解読した顧客データをサーバーから取り出したかどうかについても語らなかった。

情報漏洩通知法は州によって異なるが、セキュリティ事象の報告を怠った企業は高額な罰金を科される。ヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)の下では、違反した企業は年間売上の最大4%を罰金として科されることがある。

2020年12月、LogicGateは875万ドル(約9億5000万円)の資金調達を完了し、2015年の設立以来の累計は4000万ドル(約43億6000万円)を超えた。

関連記事:常套句「プライバシーやセキュリティを真剣にとらえている」は耳にタコだ

もしあなたがLogicgateの顧客だったら、SignalまたはWhatsAppで、+1 646-755-8849まで情報提供して欲しい。本誌のSecureDropを使ってファイルや文書を送ることもできる。詳しくはこちら

カテゴリー:セキュリティ
タグ:LogicGateデータ漏洩AWS

画像クレジット:Jan Willem Kunnen / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

NVIDIAがArmベースのデータセンター用CPU「Grace」発表、2023年に搭載システム立ち上げ予定

NVIDIAがArmベースのデータセンター用CPU「Grace」発表、2023年に搭載システム立ち上げ予定

「Grace」という名の由来は、プログラミング言語COBOLの開発者グレース・ホッパー氏とのこと

AppleがM1チップを開発したように、NVIDIAがArmベースの独自CPU「Grace」を発表しました。同社初のデータセンター向けCPUで、AIスーパーコンピューティングや自然言語処理など、大規模なデータ処理を対象としています。

NVIDIAによると、「Grace」を搭載したシステムは、x86ベースの「DGX」システムと比較して、1兆個のパラメーターを持つ自然言語処理(NLP)モデルの学習を約10倍速でこなします。

このパフォーマンス向上を支えるのが、NVIDIA独自の「NVLink」インターコネクト技術です。同技術の適用により、Grace CPUとNVIDA製GPU間で900GB/sのスループットを実現し、これは現在の主要なサーバーの約30倍の速度だとNVIDIAは説明しています。また、LPDDR5xメモリの採用により、Graceシステムのエネルギー効率は10倍に向上、DDR4 RAMの2倍の帯域幅を実現しています。

この「Grace」は、スイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS)と、米国のロスアラモス国立研究所に採用予定。両施設とも2023年に「Grace」を搭載したシステムを立ち上げ予定で、その頃には他の顧客にも「Grace」を採用したシステムが広がる見通しです。

NVIDIAはこのほか、Amazon Web Servies(AWS)との提携も発表。NVIDIA GPUをAWSのArmベースのCPU「Graviton2」と組み合わせると発表しました。このNVIDIA GPUを搭載したAWSインスタンスは、Androidゲームをネイティブに実行できるだけでなく、モバイル機器にゲームをストリーミングしたり、レンダリングやエンコードを高速化できるといいます。

加えて、NVIDIAはArmベースのHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)用の開発者キットも発表。同キットには、Armのサーバー向けCPUである「ARM Neoverse」を80コア、NVIDIA A100 GPUを2基、ネットワークやセキュリティの高度化、ストレージを高速化する「NVIDIA BlueField-2 DPU」を搭載しています。

NVIDIAがArmベースのデータセンター用CPU「Grace」発表、2023年に搭載システム立ち上げ予定

エネルギー効率の高いArmアーキテクチャは、膨大な電力を消費するデータセンターと相性が良いとされています。コンシューマーPC分野におけるApple M1の登場に続き、データセンター向けにもArmベースの製品が拡充されたことは、x86アーキテクチャを主力とするインテルの新たな脅威と言えそうです。

(Source:NVIDIAEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Amazon Web Services / AWS(製品・サービス)Arm(企業)自然言語処理 / NLP(用語)GTC / GPU Technology ConferenceGPU(用語)NVIDIA(企業)

アマゾンがAWSの宇宙スタートアップアクセラレーターでSeraphimと提携

AmazonはまもなくKuiperプロジェクトで衛星コンステレーションによるインターネット接続ビジネスの重要な部分を担うことになる。一方、地上ではもう少し地味だが同じくらい重要な宇宙ビジネスのアクセラレーターを立ち上げることを目指している。Amazonは宇宙ビジネスを専門とするベンチャーキャピタルであるSeraphim Capitalと提携して4週間のプログラムを提供する。参加のインセンティブとして10万ドル(約1100万円)分のAWSクレジットの提供が含まれる。

関連記事:アマゾンのProject Kuiperは3236基の衛星打ち上げに複数企業の参加を期待

AWS Space Acceleratorは現在募集中だ。応募条件は宇宙分野を目指したビジネスでありAWSの利用を予定していることだけだ。募集枠は10組み、4月21日まで受け付けている。

プログラムは比較的標準的な仕組みだ。分野は「テクノロジー、ビジネス、メンターシップ」であり、特色としてはAWSの適切な使用方法を学ぶ。AWSパートナーネットワークをはじめ、宇宙分野に焦点を当てたテクノロジー、法的規制、セキュリティについて専門家から優れたコーチングを得ることができる。またベンチャーキャピタリストと直接資金調達ラウンドについて交渉できる(Seraphim参加チームが最初の投資契約を得ることができるのは間違いなさそうだが、事前の厳密な投資約定はないようだ)。

「選定されたスタートアップは、最大10万ドルのAWS Activateクレジットを獲得できる可能性がある」と発表されている。「可能性」というような若干あいまいな表現になっているのはおそらく法的な配慮からだろう。

宇宙に特化したプログラムは数多いが、いずれも資金需要は十分に満たされているとはいえない。宇宙関連のスタートアップは、高度な技術を必要としユーザーは国家などの公共機関が多い。企業向けSaaSと比較してさえより多くの資金を必要とするという特殊な分野だ。

プログラムの具体的な詳細については、最初のバッチの参加メンバーが発表されてからになるだろう。これは少なくとも1〜2カ月後になる見込みだ。

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カテゴリー:宇宙
タグ:AmazonAWSアクセラレータープログラムSeraphim

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSとスイスのABBが企業の電動保有車輌管理プラットホームで共同開発へ

スイスのオートメーションとテクノロジーの企業ABBが、Amazon Web Services(AWS)と協力して、企業が保有するEVをクラウドから管理し、それにより今後の全車輌のEV化を早めるためのプラットホームを作ることを発表した。同社によると、そのプラットホームを利用すれば企業は事業を中断することなくEVに切り替えていくことができ、その実際の展開は2021年の後半になるという。

この発表は、近年大手配送企業の多くが全車両のEV化を宣言していることに対応している。AmazonはすでにRivianの電動デリバリーバンをカリフォルニアの路上で運用しており、年内にさらに1万台増やす計画だ。UPSは1万台の電動バンをArrivalに注文し、DHLは保有車輌の20%がすでに電動、そしてFedExは2040年までに全車両を電動化する計画である。McKinseyの2020年の報告書によると、米国の電動車は一般乗用車と商用車を合わせて2030年には800万台になるという。それは2018年にはわずか5千台だった。800万台は全車輌の10ないし15%に相当する。

ABBの電動車部門担当社長Frank Muehlon氏によると、「私たちはEVの採用をもっと容易にし、大量の保有車輌にも対応できるようにしたい。そのためには業界の優れた頭脳を集めて、起業家のようなアプローチで製品開発に取り組むことが必要だ」、という。

この合弁プロジェクトにABBが提供するものは、電動車技術とエネルギー管理、および充電技術における経験だ。それらとAWSのクラウドおよびソフトウェアの技術を組み合わせると、一つの全体的なプラットホームを企業のニーズに合わせて好きなように仕立てることができる。たとえば企業は、充電の計画やEVの保守状態、時間帯や天候や利用のパターンに合わせてのルートの最適化など、必要な部分に焦点を絞ることができる。Muehlon氏によると、今後は顧客と協力して、保有車輌から集めた既存のデータを有効利用し、実装を早めていきたい。

関連記事: 10 investors predict MaaS, on-demand delivery and EVs will dominate mobility’s post-pandemic future(未訳、有料記事)

そのプラットホームはAWSのクラウド上にホスティングされるので、AWSを利用できるところならどこでも柔軟なスケーリングが可能であり、その利用可能域はグローバルで25のリージョンに広がっている。

プラットホームはハードウェアを特定せず、どんなタイプのEVでも充電ステーションでも対応する。ソフトウェアを特定のEV車群に統合する作業は、その車群がアクセスできるサードパーティの資産運用管理システムやオンボードのEVテレマティクスにも依るが、今後はプラットホームが層状の機能集合を採用して、その車輌にもっとも合った、もっとも正確な車輌データを利用できるようになる。Muehlon氏によればその方が、特定のEVモデルと充電インフラにしか対応していない既存のサードパーティ製充電管理ソフトウェア比べて、よりシームレスなインタフェイスを提供できる。

Muehlon氏は曰く、「保有車輌の管理は充電技術の目まぐるしい進歩に対応するだけでなく、車と充電の状態を表すリアルタイムの情報によって充電のインフラストラクチャにもアクセスし、現場で行うメンテナンスのための情報も得なければならない。こういう、これまでなかったリアルタイムの新しいEV車輌管理のソリューションは、電動車の世界に、保有車輌のグローバルな運用企業のための新しいスタンダードをもたらし、運用の改善を実現するだろう」。

このソフトウェアはデポや商用の保有車輌が対象で、また公共施設や公共交通の車輌管理部門でも利用できる。今現在の運用者や顧客についてMuehlon氏は口をつぐむが、今複数のパイロット事業が進行中で、それにより、あらゆる種類の車群に合う、市場性の高いソリューションを開発したい、と言っている。

関連記事: アマゾンがRivian製の配達EVテストをサンフランシスコでも開始

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

画像クレジット: ABB

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa