アップルがiPhoneでクルマの空調やシートをコントロールできる技術を開発中か

iPhoneが、電話に出たり音楽を選んだりする以外にも、クルマの中で役立つことができるようになるかもしれない。Bloombergによると、Apple(アップル)はコードネーム「IronHeart」というiPhoneを使ってクライメートシステム、ラジオ、シート、さらにはインストルメントクラスターをコントロールできるようになる技術を開発しているとのことだ。暖房の温度を上げるためだけに、CarPlayとクルマの(おそらく不便な)インフォテイメントソフトウェアを切り替える必要はなくなるだろう。

情報提供者によると、IronHeartはまだ開発の初期段階にあり、自動車ブランドとのパートナーシップが必要になるとのことだ。この件についてAppleはコメントを控えている。

このような取り組みは、自動車におけるAppleの存在感を、CarPlayや最近のCarKeyのような限定的な技術を超えたものにする可能性がある。また、かねてより噂されている電気自動車戦略の一環というわけではないが、この技術の開発を通して自動車のより多くの側面を経験することができ、Appleでの自動車開発にも役立つはずだ。

ただ、自動車メーカーがこのコンセプトを受け入れるかどうかは別の問題だ。Appleは、多くの一般的な作業において、自動車の元々のインターフェイスを事実上バイパスすることになる。特に、Appleのサービスと競合するサービスを持っているメーカーは、自社のカーインターフェースやアプリに多大な労力を費やしてきただけに、躊躇することは容易に想像できる。もしIronHeartが出荷されたとしても、クルマの購入者から熱狂的な反応がない限り、その搭載は一部のメーカーやモデルに限られるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:JOSH EDELSON / Stringer / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Yuta Kaminishi)

アップルが小学生向けの新しいコーディングアクティビティガイドを発表

Apple(アップル)は、新しい「Everyone Can Code Early Learners」アクティビティガイドを含む、小学生向けのいくつかの新しいリソースを公開した。この新しいガイドは、Appleのコーディングカリキュラムリソースを幼稚園から大学まで拡張する。今回のロールアウトは、教育関係者や家庭が早い段階で生徒にコーディングを紹介できるようにすることを目的とした、テックジャイアントの「Everyone Can Code」イニシアティブの一環だ。

Appleの教育・エンタープライズマーケティング担当副社長であるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏は、声明の中で次のように述べた。「コーディングとアプリデザインは、アプリ開発者になるかどうかにかかわらず、学生が批判的かつ創造的に考えるために必要なリテラシーです。Appleは現在、幼稚園から大学までの学習者向けにコーディングリソースを提供しており、みなさんにインクルーシブでユーザーが利用しやすい、すばらしいアプリの設計に挑戦してもらいたいと考えています」。

関連記事:アップルのプログラミング体験集会「Everyone Can Code」が大幅拡張

「Everyone Can Code Early Learners」ガイドでは、幼稚園から小学校3年生までの生徒が、音楽、美術、科学、体育などの複数の科目を通じて、コーディングの中核となる概念の基礎を築くことができる。例えばAppleは、生徒たちがダンスの動きを通してコーディングコマンドについて学べるとしている。また、社会性と情動の学習のために、心を落ち着かせるためのテクニックを生徒たちに話してもらう課題もある。

またAppleは、教育関係者に、新しい1時間のインクルーシブ「アプリデザイン」アクティビティセッションを試してもらうよう勧めている。この新しいレッスンは、アプリをデザインする際に、インクルージョンとアクセシビリティの重要性を忘れないよう、教師が生徒に指導することを支援しようとするもの。セッションは基本的に、生徒がアプリの作成方法について批判的に考えることを促すようになっている。このレッスンでは、生徒たちが情熱を持って取り組める問題を特定し、その解決策を計画することを助ける。

Appleは、同社のSchoolworkアプリの中で「イグジットチケット」と呼ばれるアンケートツールのサポートも追加している。これは、教育者が授業中または授業後に生徒の反応やエンゲージメントを測るための質問を行い、生徒の様子を確認するための方法だ。また、教師は生徒のSchoolworkアカウントをより簡単に作成できるようになった。

「Everyone Can Code Early Learners」ガイドは、Swift Playgroundsアプリ内で利用できる。このガイドは、英語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ノルウェー語、スペイン語で提供を開始しており、今後さらに多くの言語に対応する予定だ。Appleは、Everyone Can Codeプログラムを長年にわたって拡大し、より多くの年齢層が利用できるようにしてきた。2019年、Appleは「Everyone Can Code Puzzles」という、生徒がコンセプトを試してみることを目的したプログラムを提供開始した。2020年、同社は「Everyone Can Code Adventures」という、より高度なアクティビティを行う新しいプログラムを公開した。

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画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

中国での電力供給不足からくる工場の減産により、半導体の原料である金属シリコンの価格が2ヶ月足らずで約4倍にも高騰し、アップルをはじめとする大手ハイテク企業にとって大問題となる可能性が浮上しています。

金属シリコンはテクノロジー業界で重要な役割を果たしており、チップ製造のみならずガラスやコンクリート、太陽光発電パネルやシリコン製品などの様々な産業に使われています。シリコンは地殻の28%を占めるほど豊富に存在するものの、精製された高純度なシリコン原料は生産が追いつかず原料メーカーは増産に追われていましたが、中国での減産により供給がさらにタイトになっている模様です。

これまでの世界的な半導体不足は、チップ需要の増加や水不足などが原因となっていましたが、そこにシリコン原料の生産量が減らされたことが追い打ちを掛けるかたちです。

Bloombergの報道によると、中国政府が国内の電力消費量を減らすため、金属シリコン製造の主要拠点で減産を命じているとのことです。たとえば国内第2の生産地である雲南省は、9月~12月は8月の水準より90%の減産を命じられたそうです。そのため以前は1トンあたり8,000元~1万7000元(約13万3000円~27万円)だった金属シリコンが、現在では6万7300元にまで値上がりしたと伝えられています。

すでに材料不足は太陽電池業界にも影響を与えており、太陽電池用ポリシリコンは先週水曜(9月29日)に13%も値上がりし、2011年以来の最高値を記録しています。

またシリコン価格は長期にわたって高止まりすると予想されており、上海金属市場のアナリストの見解では2022年夏まで高水準が続くとのこと。その時期になれば、同年後半にかけて生産が増やせる見通しが開けると述べられています。つまり、それまではシリコン価格の値上がりが減産による品不足や、最終的に消費者が支払う価格などに影響する可能性があると思われます。

これまでアップルは例外的に半導体や部品不足の影響を免れてきたと見られていますが、とはいえiPhone 13 Proモデルの出荷予定は11月までずれ込んでいます。もしかすると、年末までに発売が予想される新型MacBook Proなどにシリコン不足のしわ寄せが直撃するのかもしれません。

(Source:Bloomberg。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る今年も10月5日となり、アップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏が逝去してからちょうど10年の節目を迎えました。

どれほどの偉人や有名人といえども歳月が経つと知名度の風化は免れにくいものですが、令和の時代でも「出でよ、日本のジョブズ」というタイトルの記事を見かけることはたびたびあり、故人の影響力の強さが偲ばれます。ジョブズ氏の美的感覚や「製品はユーザー体験を総合したもの」という考えがiPhoneという形に結実し、10数年以上にわたるシリーズを通じて日常の一部になっているからかもしれません。

以下、これまでの過去記事を引用しつつ、ジョブズ氏の残した足跡を振り返っていきましょう。

Apple TV操作アプリ「Remote」開発者、スティーブ・ジョブズとの思い出を語る

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る
ジョブズ氏の関わった製品やソフトウェアも永遠ではなく、いつかは終わりが来る。その現れの1つがiPhoneやiPadをApple TVのリモコン代わりにする「Remote」アプリの廃止でした。もっともiOS 12以降のコントロールセンター画面に同機能が統合されているため、発展的解消ともいえる出来事です。

そのコードの最初の1行を15年前に書いた元アップルのエンジニアは、「App Storeチームがストアへのアップロードの流れをテストするために使用した」最初のProduction(App Store公開に必要な証明書を得た)アプリになった」と振り返っていました。つまり、App Storeのはじめの一歩が踏み出されたわけです。

さらに時代が下って2010年には。ジョブズ氏は「次のApple TVリモコンは、この操作がディスプレイなしで出来なければならない」と語っていたとのこと。それが後のSiri Remoteや、ひいてはiPod Classicのクイックホイールのような操作感が蘇った第2世代へと繋がった。製品や形がなくなったとしても、志は受け継がれていく証でしょう。

ジョブズ、「iTunesがCD市場を滅ぼす」とベゾスに警告したとの証言

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏はEC(電子商取引)のビジネスモデルを根づかせ、送料無料などを武器に全世界を席巻した風雲児です。そんなベゾス氏とジョブズ氏は「音楽」(CD)という接点で関わりを持ち、後のアマゾンのあり方に大きな影響を与えたのではないか、と思わせる逸話がありました。

アマゾンプライムやAWS、KindleやAmazon Musicの創設に関わった著者らによる『Working Backwards』という書籍では2003年、アップルがMac用のiTunesを公開して間もない頃のエピソードが語られています。

アップル本社に招かれたベゾス氏に、ジョブズ氏はWindows用iTunesを開発し終えたと明かし、「アマゾンは、CDを買う最後の場所になる可能性が十分にある」「CDは手に入りにくくなるから、プレミアムをつけてもいいだろう」と述べたそうです。

この発言がアップルとアマゾンの提携を持ちかけていたとは考えにくいのですが、少なくとも「これからの音楽はデジタルかつダウンロード販売になる」と宣言したのは確かなことでしょう。2003年当時のアマゾンにとってCDは小さくて郵送しやすいことから、貴重な収入源の1つでした。

ジョブズ氏の性格から推測すると、本書で述べられる「挑発して、アマゾンのビジネス上の判断を誤らせようとしていた」可能性は高いと思われます。が、ベゾス氏は冷静に対応し、その後まもなくKindleを発売したり、AWS(アマゾンウェブサービス)を立ち上げ、物理媒体への比重を減らして見事に成功を収めています。

天才は天才を知る。ジョブズ氏が予言したCD市場の衰退は現実となっており(さらにストリーミングのSpotifyが登場することでiTunesの「1曲ごとに1ドル27セント」ビジネスも崩壊しましたが)それが反映された今日のアマゾンも「ジョブズの遺伝子」を受け継いでいるのかもしれません。

元アップル幹部、ジョブズのApp Store反対やiOS向けFlash開発を語る

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る

Scott Forstal

App Storeの成長は目覚ましく、ゲームの収益だけでもソニーと任天堂とマイクロソフトの合計を超えた(2019年)との報道もあります。しかしジョブズ氏はApp Storeの設立に反対する最大の人物のひとりだったという、元アップル幹部の証言がありました。

デバイスの梱包から操作性、搭載アプリから流通まですべてのユーザー体験に責任を持ちたい—そんなジョブズ氏の信念からすれば、サードパーティのアプリ開発を一切可能にすべきではないと強硬に反対していたとの回想は頷けることです。

妥協案として上がっていた「Webアプリをブラウザ内で実現できれば十分」という考えは、おそらく実現していればユーザーも不満が募り、ジョブズ氏の「ユーザー体験は快適であるべき」という理想にも反する結果となっていたはず。

とはいえ生粋の技術者ではないジョブズ氏がそこまで見通せるとも考えにくく、やはり強烈な自我を持つスコット・フォーストール氏らが粘り強く説得し、しぶしぶサードパーティ製アプリ開発を認めさせたことは、アップル内外を問わず幸運だったと思われます。

またフォーストール氏は、最終的にはiPhone向けFlashを却下したジョブズ氏が、実はAdobeとの協力を進めさせていた(が、デキが酷かったので辞めさせた)との興味深い証言もしています。ジョブズ氏の先を見通す力は並々ならなかった一方で、部下の苦言にも耳を傾け、時には自説を撤回する度量があったことを示している(部下にも相当な信用や胆力が必要そうですが)と言えそうです。

ジョブズのメールから「iPhone Nano」が検討されていたことが判明

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返るアップルとEpicとの「フォートナイト」やApp Store手数料をめぐる訴訟では、証拠として様々な資料が提出され、その中には門外不出のはずのアップル社内メールも多く含まれていました。そこから、ジョブズ氏が「iPhone Nano」なるデバイスの開発を検討していたことが明らかとなっています。

それはiPhone 4発売から数ヶ月後の2010年末、部下に対して送ったもの。この年はAndroidスマートフォンの販売も本格化し、ソニーのXperia最初の機種が発売された時期(海外のみ)ではありますが、「Googleとの聖戦(Holy War with Google)」という言葉があるのも味わい深いところです。

「iPhone Nano」計画が興味深いのは、iPhoneの単一サイズにこだわりがあると思われたジョブズ氏が(原則が崩れたのは2014年発売のiPhone 6 Plus以降)現行モデルの小型化らしきデバイスを自ら提案している点でしょう。実際、2009年~2011年にかけて「iPhone Nano」の噂が飛びかっていたとの証言もあります。

初代iPhone発売時には「誰もスタイラスなんて欲しくない(中略)誰もが生まれつき持っているポインティングデバイス、生まれつき10本持ってる指を使うんだ」としてスタイラス嫌いを標榜していたジョブズ氏ですが、自ら「iPhone Nano」を認めたように、iPad Pro以降のApple Pencilも評価する柔軟さを持ち合わせていたとも思われます。

今年2021年は、アップル創業45周年でもあります。ティム・クックCEOが引用した「これまでのところ素晴らしい旅だったが、まだ始まったばかりだ」という故人の言葉通り、ジョブズ氏の遺産とも言えるiPhoneやiPad、数々のアップル製品と共に、われわれ人類の旅はまだ始まったばかりかもしれません。

Engadget日本版より転載)

アップルがユーザーによる悪質なアプリや詐欺行為の報告を簡単に

The Vergeによると、App Storeのトップアプリのかなりの割合が詐欺であることが明らかになった報道を受けて、Apple(アップル)はユーザーがそのような行為を報告できるようにしているという。iOS 15の一環として、最新のApp Storeアップデートでは、無料、アプリ内課金(IAP)、有料のいずれのアプリについても、問題のアプリをインストールしていれば「詐欺や不正行為を報告」できるようになっている。

Kosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリウ)氏とRichard Mazkewich(リチャード・マズケウィッチ)氏のTwitterでの詳細によると、この機能は、従来の「問題を報告」機能よりもさらに踏み込んだものとなっている。これまでのように「疑わしい活動を報告する」「品質問題を報告する」「返金を要求する」「自分のコンテンツを探す」だけではなく、詐欺や不正行為を知らせることができるようになった。以前は、詐欺や不正行為を強調する前に、アプリ内での購入も必要だったが、それも必要なくなっている。

The Vergeが指摘したように「問題を報告」機能自体は数年ぶりに個々のアプリのリストに戻ってきた。以前は「アプリ」や「ゲーム」タブの下部にあり、報告する際には別のウェブサイトに送られていた。

Appleは、2021年6月に新しいApp Store Reviewガイドラインを発表した際に、この変更を実質的に予見していた。いくつかのセクションでは、Appleが不正行為や詐欺、開発者の不正行為に対してより厳しい姿勢で臨むという変更が含まれていたと当時TechCrunchは指摘していた。

関連記事:アップルが詐欺撲滅を目指してApp Storeガイドラインを改訂

2021年初めにWashington Postが明らかにしたところによると、App Storeで発見された悪質なアプリには、顧客を騙して不要なソフトウェアを購入させるVPN、悪質な出会い系アプリ、QRリーダー、主要ブランドを詐称したアプリなどが含まれていた。同紙の推定によると、これらのアプリは、ユーザーから推定4800万ドル(約53億円)を詐取した可能性があるという。

編集部注:この記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

Apple Watch Series 7は10月15日発売、税込4万8800円から

米国時間9月14日に開催されたビッグイベントでデビューしたApple Watch Series 7の発売日は、「秋」という漠然としたものだった。本日、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、ロシア、韓国、アラブ首長国連邦、英国、米国のユーザーを対象に、日本時間10月8日午後9時から予約受付を開始し、1週間後の15日から店頭で販売することを発表した。

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最も注目すべき点は、ディスプレイのサイズが前モデルよりも20%大きくなり、文字の表示量が50%増加したことだ。さらにディスプレイはより明るくなり、クリスタルも強化されている。また、防塵性能はIP6X、防水性能はWR50となっている。ウワサと違い全体的なバッテリー駆動時間は改善されていないが(定格は18時間)、充電は33%高速化されている。

画像クレジット:Apple

このスマートウォッチには、アルミニウムはミッドナイト、スターライト、ブルー、グリーン、(Product)Redの5種類のカラーがある。ステンレスは3色(シルバー、グラファイト、ゴールド)、チタンは2色(チタニウム、スペースブラックチタニウム)のラインナップがある。Apple Watch Series 7は399ドル(税込4万8800円)から、SEは279ドル(日本では税込3万2800円)からとなっています。また、Series 3は199ドル(日本では税込2万2800円)からとなっており、こちらも引き続き購入することができる。

アップルは、スマートウォッチの世界市場で圧倒的なシェアを維持しており、GoogleやSamsungといった競合他社は、Wear OSとTizenの両方を採用した「Galaxy Watch 4」で力を合わせている。Amazonもウェアラブル市場に参入しているが、これまでのところフィットネスバンドに特化しており、Google傘下のFitbitの直接的なライバルとなっている。

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画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

【インタビュー】iPhone 13シネマティックモードの開発経緯をアップル副社長とデザイナーに聞く

iPhone 13 Proモデルのシネマティックモードは、先に行われたApple(アップル)の同端末のプレゼンテーションで特に強調されていた。これまでに公開されたレビューを読んだ人たちは、このモードの賢さは認めているものの、その利便性に疑問も感じているようだ。

筆者はこの機能を試してみた。最新のiPhoneをディズニーランドに持っていって、今後数年で数千人いや数百万人の人たちが行うような方法で実際にこの機能をざっと試してみた。筆者が行った個人的なテストの一部は、この記事でも触れる他、こちらの筆者のiPhoneレビューでも紹介している。この記事では少し掘り下げた情報をお届けする。

関連記事:【レビュー】iPhone 13 Proを持ってディズニーランドへ!カメラとバッテリー駆動時間をテスト

この記事では、世界iPhone製品マーケティング担当副社長Kaiann Drance(カイアン・ドランス)氏とアップルのヒューマンインターフェースチームのデザイナーJohnnie Manzari(ジョニー・マンザリ)氏に、この機能の目標と開発の経緯について話を聞いた。

「動画で高品質の被写体深度(DOF:ピントの合う最も近い距離と遠い距離の間)を実現するのはポートレートモードよりもはるかに難しいことはわかっていました」とドランス氏はいう。「静止画と違い、動画は撮影時に動く(撮影者の手ぶれも含め)ことが前提です。ですから、シネマティックモードで、被写体、人、ペット、モノを撮影するには、さらに高品質の深度データが必要になります。しかも、その深度データをすべてのフレームに追いつくように継続的に維持する必要があります。このようなオートフォーカスの変更をリアルタイムで実行すると、非常に重い計算負荷がかかります」。

シネマティックモードではA15 BionicチップとNeural Engineを多用する。Dolby Vision HDRでエンコードすることを考えると当然だ。また、ライブプレビュー機能も犠牲にしたくはなかった(アップルがこの機能を導入後、大半の競合他社は数年間、この機能を実現できなかった)。

しかし、アップルは最初からシネマティックモードの概念を機能として考えていたわけではない、とマンザリ氏はいう。実際、設計チームでは、機能とは反対の側面から取り掛かることが多い(同氏)。

「シネマティックモードなどというアイデアはありませんでした。ただ、興味深いとは思いました。映画製作が今も昔も人々を惹き付けるのはなぜだろうか、と。そして、それが徐々におもしろい方向へと進み始め、このテーマについて調査が始まり、社内で広く検討されるようになり、それが問題解決につながります」。

ドランス氏によると、開発が始まる前、アップルの設計チームは映画撮影技術の調査に時間を費やし、リアルな焦点移動と光学特性について学んだという。

「設計プロセスではまず、現在に至るまでの映像と映画撮影の歴史に深い敬意を払うことから始めました。映像と映画撮影のどの部分が今も昔も人々を惹き付けるのか、映画撮影のどのような技術が文化的な試練に耐えて生き残ったのか、またそれはなぜなのか、という疑問には大変魅了されました」。

マンザリ氏によると、従来とは異なる技法を選択する決断を下すときでさえ、アップルのチームはもともとのコンテキストの観点から慎重かつ丁寧に決断を下そうとするという。アップルのデザインとエンジニアリング能力を活かして、複雑さを排除し、人々が自身の可能性を引き出せるような何かを作成する方法を見出せるようにすることに重点を置く。

ポートレートライティング機能の開発プロセスでも、アップルの設計チームは、アヴェンドンやウォーホルなどの古典的な肖像画家やレンブラントなどの画家、および中国のブラシポートレートなどを研究し、多くの場合、オリジナルを見に足を運んだり、研究室でさまざまな特性を分析したりした。シネマティックモードの開発でも同様のプロセスが使用された。

画像クレジット:Matthew Panzarino

設計チームはまず、世界中の最高の映画撮影スタッフに話を聞いた。また、映画を観たり、昔のさまざまな映像例を分析したりした。

「そうすることで、いくつかの傾向が見えてきました」とマンザリ氏はいう。「ピントとピントの変更はストーリーテリングには欠かせない基本的な道具であること、私たちのように職能上の枠を超えたチームではそうした道具を使う方法とタイミングを把握する必要があることは明らかでした」。

それができたら、撮影監督、撮影スタッフ、第一助手カメラマン(ピント調整役)などと緊密になる。セットで彼らを観察したり、質問したりする。

「浅い被写界深度を使う理由、またそれがストーリーテリングという観点からどのように役に立つのかについて、撮影スタッフと話すことができたことも本当に良い刺激になりました。そこで覚えたのは、これは本当に陳腐化することのない知見ですが、見る人の注意を誘導する必要がある、ということです」。

「しかしこれは、現在のところ、スキルのあるプロ向けのアドバイスです」とマンザリ氏はいう。「あまりに難しいため、普通の人は試してみようとも思いません。1つのミスで数インチずれただけでだめです。これはポートレートモードで我々が学習したことです。いくら音楽やセリフで見る人の聴覚を刺激しても、視覚に訴えることができないなら、使いものになりません」。

その上にトラッキングショットがある。トラッキングショットでは、カメラが移動し、被写体もカメラに対して移動している状態で、ピント調整担当者は継続的にピントを合わせる必要がある。高度なスキルを要する操作だ。トラッキングショットを成功させるには、カメラマンは数年間、徹底的に練習を重ねる必要がある。マンザリ氏によると、アップルはここにビジネスチャンスを見出したのだという。

「これはアップルが最も得意とする分野なのです。つまり、難しくて、習得が困難とされている技術を、自動的かつシンプルにできるようにしてしまうというものです」。

チームはまず、フォーカスの特定、フォーカスロック、ラックフォーカスなどの技術的な問題に取り組む。こうした研究からチームは凝視にたどり着く。

「映画では、凝視と体の動きによってストーリーを組み立てていくのは極めて基本的なことです。人間はごく普通に凝視をコミュニケーションに使います。あなたが何かを見れば、私も同じものを見るという具合です」。

こうして、アップルのチームは凝視を検出する仕組みを組み込んでピントの対象をフレーム間で操作できるようにすることで、観る側がストーリーを追えるようにする必要があることに気づく。アップルは撮影現場で、こうした高度なスキルを備えた技術者を観察し、その感覚を組み込んでいったとマンザリ氏はいう。

「我々は撮影現場でこうした高い技術を備えた人たちと出会うことができます。彼らは本当に最高レベルの人たちです。そんな中、あるエンジニアが気づきます。ピント調整担当者というのはピント調整ホイールの感覚が体に染み付いていて、我々は、彼らがそれを操る様子を観ているだけだと。つまり、本当にピアノがうまい人が演奏しているのを観ていると、簡単そうに見えるけれど、自分にはできないことはわかっているのと同じ感覚です。ピント調整担当者が行っていることをそのまま真似ることなどできないのだと」とマンザリ氏はいう。

「第一助手カメラマンはアーティストで、自分がやっている仕事が本当にうまく、すばらしい技量を備えています。ですから、我々チームもフォーカスホイールを回すアナログ的感覚をモデル化しようと多くの時間を費やしました」。

これには、例えば長い焦点距離の変更と短い焦点距離の変更では、フォーカスホイールランプの操作スピードが速くなったり遅くなったりするため、変更の仕方が異なるといったことも含まれている。また、ピント調整が意図的かつ自然に感じられない場合、ストーリーテリングツールにはならない、とマンザリ氏はいう。ストーリーテリングツールは観る側に気づかれてはならないからだ。映画を観ていて、ピント調整テクニックに気づいたとしたら、おそらくピントが合っていないか、第一助手カメラマン(または俳優)が失敗したからだ。

最終的に、チームは映画撮影現場での調査研究を終えて多くの芸術的および技術的な課題を持ち帰ったのだが、それを解決するには極めて難しい機械学習の問題を解く必要があった。幸いにも、アップルには、機械学習研究者のチームとNeural Engineを構築したシリコンチームがいつでも協力してくれる体制があった。シネマティックモードに内在する問題の中には、これまでにない新しい独自のMLの問題が含まれていた。それらの問題の多くは非常に厄介で、微妙な差異や有機的な(人間くさい)感覚を維持するという掴みどころのないものを表現するテクニックを必要としていた。

シネマティックモードを試す

このテストの目的は、1日でできること(と午後のプールでのひととき)を撮影することだった。ディズニーランドに行けば誰もがやりたいと思うようなことだ。1人でカメラを持ち、特別なセットアップもなければ、撮影者の指示もほとんどない。ときどき、子どもにこっちを向いてというくらいだ。下の動画は、誰が撮っても大体こんな感じになるだろうというレベルを維持した。これは肝心なところだ。B-ROLL(ビーロール)はあまり用意していないし、何度も撮り直すようなこともしなかった。編集もしていない。唯一、撮影後にシネマティックモードを使っていくつか重要な場所を選択した。これは、エフェクトを入れるため、または自動検出機能によって選択されたカ所が気に入らなかったためだ。といっても大した編集ではなかったが、編集結果には満足している。下のデモ動画を再生できない場合は、こちらをクリックしていただきたい。

この動画はもちろん完璧なものではないし、シネマティックモード自体も完璧ではない。アップルがポートレートモードで導入して大成功した人工的なぼけ味(レンズブラー)は、1秒あたりの実行回数があまりに多くなる点が非常に苦しい。焦点追跡もカクカクすることがあるため、撮影後に編集するケースが想定していたよりも多くなるようだ。低照度設定でも問題なく動作するように思うが、高い精度を求めるならライダー光線の届く範囲内(約3メートル以内)で撮影するのがベストだ。

それでも、何を追跡しているのか、どこに向かっているのかはわかるし、このままでもとても便利で使っていて楽しい。多くのレビューがこのあたりを軽く流していることは知っているが、この種の新機能を(実際に使ってみるのではなく)人工的な負荷を与えてテストするのは、ごく普通の人がどの程度便利に使えるのかを確認するには、いささか雑な方法ではないかと思う。筆者が、2014年にディズニーランドでiPhoneのテストを始めた理由の1つもそこにある。iPhoneが数百万の人たちに使用されるようになって、処理速度とデータ量の時代はあっという間に過ぎ去りつつある。どのくらいの高い負荷を高速処理できるかはもうあまり重要なことではなくなってしまった。

人工的なテストフレームワークによって多くの早期レビューワたちが主に欠点を見つけているのを見ても別に驚きもしない(実際欠点は存在するのだ)。だが筆者は可能性のほうに注目したい。

シネマティックモードとは

シネマティックモードは実は、カメラアプリの新しいセクションに存在する一連の機能であり、iPhoneのほぼすべての主要コンポーネントを利用して実現されている。具体的には、CPUとGPUはもちろん、アップルのNeural Engineによる機械学習作業、加速度計による動きの追跡、そしてもちろんアップグレードされた広角レンズとスタビライザーも利用されている。

シネマティックモードを構成している機能の一部を以下に示す。

  • 被写体認識と追跡
  • フォカースロック
  • ラックフォーカス(ある被写体から別の被写体に自然にピントを移動する)
  • イメージオーバースキャンとカメラ内蔵スタビライザー
  • 人工的ぼけ(レンズブラー)
  • 撮影後編集モード(撮影後にピント変更可)

上記のすべての機能はリアルタイムで実行される。

動作原理

これらすべてを、リアルタイムプレビューや後編集で毎秒30回も実行するためには、控えめにみても、かなり大きな処理能力が必要だ。アップルのA15チップで、Neural Engineのパフォーマンスが飛躍的に向上しており、GPUの処理能力も大幅に向上しているのはそのためだ。上記の機能を実現するには、そのくらいの処理能力が必要なのだ。信じられないのは、シネマティックモードを1日中かなり使ったにもかかわらず、バッテリーの駆動時間が明らかに短くなるということがなかった点だ。ここでも、アップルのワットあたりのパフォーマンスの高さがはっきりと現れている。

撮影中でも、ライブプレビューによって撮影内容を極めて正確に確認できるので、そのパワーは明らかだ。撮影中、iPhoneは加速度計からのシグナルを拾って、ロックした被写体に自分が近づいているのか、逆に被写体から遠ざかっているのかを予測し、すばやくピントを合わせることができるようにする。

と同時に「凝視」のパワーも利用している。

凝視検出機能により、次の移動先となる被写体を予測し、撮影シーン中のある人物が別の人物を見たり、フィールド中の物体を見ている場合、システムはその被写体に自動的にラックフォーカスできる。

アップルはすでにセンサーをオーバースキャンしてスタビライザーを実現している(つまり、事実上フレームの「エッジを越えて」見ている)ため、設計チームは、これは被写体予測にも使えるのではないかと考えた。

「ピント調整担当者は被写体が完全にフレーム内に収まるまで待ってからラックを行うわけではなく、被写体の動きを予測して、その人がそこに来る前にラックを開始します」とマンザリ氏は説明する。「そこで、フルセンサーを実行することで動きを予測できることがわかったのです。このように予測することで、その人が現れたときには、すでにその人にピントが合っている状態になります」。

これは上記の動画の後半のほうで確認できる。娘がフレームの左下に入ってきたときにはすでにピントが合っている。まるで、目に見えないピント調整担当者がそのシーンに娘が入ってくるのを予測して、そこ(つまりストーリーに新しく入ってきた人)に観る人の注意を惹きつけているかのようだ。

撮影した後も、焦点を修正して、クリエイティブな補正を行うことができる。

シネマティックモードの編集ビュー(画像クレジット:Matthew Panzarino)

撮影後の焦点選択ですばらしいのは、iPhoneのレンズは非常に小さいため、当然の結果として、被写界焦点が極めて深くなる(だからこそポートレートモードやシネマティックモードで人工的なぼけを実現できる)。つまり、物体に非常に近い位置にいない限り、フレーム内の任意の物体を選択してピントを合わせることができる。その後、シネマティックモードがすべての動画について保持している深度情報とセグメンテーションマスキングを使用してリアルタイムで変更が行われ、人工的なぼけエフェクトが再生される。

筆者は、iPhone 13 Proのレビューで、シネマティックモードについて次のように書いた。

このモードは、マーケティング上はともかく、焦点距離の設定や膝を曲げてのスタビライズ、しゃがんで歩いてラックしてのフォーカシングなどの方法を知らない大多数のiPhoneユーザーに、新たなクリエイティブの可能性を提供することを目的としている。今までは手の届かなかった大きなバケツを開けるようなものだ。そして多くの場合、実験的なものに興味があったり、目先の不具合に対処したりすることを厭わない人は、iPhoneの思い出ウィジェットに追加するためのすばらしい映像を撮影することができるようになると思う。

この機能をデモするためにアップルがどの映画会社と組もうと興味はないが、この機能から最大の恩恵を受けることができるのは、必ずしもカメラの操作に長けている人たちとは限らないと思う。幸いにも手が空いていて、このコロナ禍という厳しい現実の中でも、そこにいたときの気持ちを撮りたいという基本的な欲求を持っている人たちこそ最大の恩恵を受けるのではないか。

そして、それこそが映画という媒体の持つパワーだ。そこにいたときの気持ちになれる。シネマティックモードは、この初期バージョンではまだまだ完璧には程遠いが、従来よりもはるかに容易で、扱いやすい形で、これまではとても手が出せなかった世界への扉を開く道具を「ごく普通の人たち」に与えてくれるものだ。

現時点では、詳しく見ていけば不満な点もたくさんあるだろう。しかし、初めて実物のカイロ・レンを目の当たりにしたときの子どもの反応を撮影したことがある人なら、気にいる点もたくさんあるはずだ。完璧ではないからといって、この種の道具が使えることに異を唱えるのは難しい。

「私が誇りに思うのは、誰かが私のところにやってきて、写真を見せてくれたときです。写真の出来栄えを誇らしげに語り、自分が突如として才能あるクリエーターになったかのように満面の笑みをたたえて、こんな風に話してくれる。『私は美術学校など行ったこともないし、デザイナーでもない。私を写真家だと思った人など1人もいないけど、この写真は本当にスゴイでしょ』と」とマンザリ氏はいう。

「映画は人間のさまざまな感情やストーリーを見せてくれます。そして、基本を正しく抑えていれば、そうした感情やストーリーを観る側に伝えることができる。iPhoneであなたにも新しい世界が開けるのです。私たちはシネマティックモードに長い間、本当に懸命に取り組んできました。お客様に実際に試していただけるのを本当に楽しみにしています」。

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

インドの新しい決済ルール発効による影響に備えるテックジャイアントたち

世界第2位のインターネット市場であるインドで、中央銀行が定期的支払いを処理するための新たな指令を施行したことにともない、Apple(アップル)、Sony(ソニー)、Google(グーグル)、Zoom(ズーム)、PayPal(ペイパル)などのハイテク企業や多くの銀行が、インドの顧客やパートナーに対して、取引の拒否が急増することを予想して注意を促している。

インド時間10月1日に発効したインド準備銀行(RBI、インドの中央銀行)の指令は、銀行、金融機関、ペイメントゲートウェイが5000インドルピー(約7490円)以上の自動更新される取引に対して、通知、電子マンデート、AFA(Additional Factors of Authentication、要素追加認証)を介して、ユーザーから追加の承認を得ることを求めている。この指令は、クレジットカードだけでなく、デビットカードのすべての取引にも影響する。

2019年に初めて発表されたこの指令は、2021年4月に発効する予定だったが、銀行などの影響を受ける業者が、遵守するための準備が十分ではないと主張したため、9月30日まで延長された。

中央銀行は、業界の対応に不満があったようで、3月には「延長された期限を超えてフレームワークの完全な遵守を確保するのが遅れれば、厳しい監督措置を取ることになる」と述べていた。

インド準備銀行は、2019年に行われた当初の案内時点で、このフレームワークは「リスク軽減と顧客の簡便化のための措置」として機能するようにデザインされていると述べ、こうした取引を処理する業者は「実際の請求の少なくとも24時間前に、顧客の指定に応じてSMSまたは電子メールで取引前通知を顧客に送信しなければならない」としていた。

複数の企業が、顧客や、場合によっては他のビジネスパートナーに対して、新しい指令についての注意を促している。

水曜日(インド時間9月29日)には、Appleは開発者に対して、この新しい指令によって「要件を満たさない一部の取引は、銀行またはカード発行会社によって拒否されるでしょう」と注意を促した。

インド最大の民間銀行であるHDFCは、ウェブサイトに以下のメッセージを掲載した。「ご注意:2021年10月1日より、HDFC銀行のクレジットカードやデビットカードを使って、加盟店のウェブサイトやアプリで行われた自動引落(定期的な支払いを処理するための電子指示)は、RBI(インド準備銀行)が定めたプロセスに準拠していない限り、承認されません」。HDFC、Axis、Kotakを含む複数の銀行が、今週、新ルールを遵守することを発表している。

2021年5月には、GoogleはPlay Storeでの定期的な支払いを行う新規顧客の登録を停止している。同社は開発者に対して「このエコシステムの課題が解決されるまで」、無料トライアルや導入価格をアプリから削除するよう求めた。YouTubeは、プレミアムサービスに対して、プリペイド方式の、使った分だけ支払い(pay as you go)方法のみをサポートするようになった

また同じ月にAmazonは、追って通知があるまで、Amazonプライムの無料体験への新規会員登録を「一時的に」中止すると発表した。その後、新たな通知は行われていない。

この指令は、リテールバンクの連合体が構築した決済インフラであるUPIを通じた定期的な支払いには影響しない。そのため、Netflix(ネットフリックス)をはじめとするいくつかの企業は、インド国内のUPIを使った自動支払いをサポートしている。

しかし、影響は広範囲に及ぶと思われる。あるフィンテック企業の創業者がTechCrunchに語ったところによると、彼らがFacebookやGoogleで広告を出すために利用している決済サービス会社が、中央銀行のルールを理由に、今週後半から自動決済は処理されないと通知してきたそうだ。この創業者は、デリケートだと思う内容を話すために匿名を希望した。

この新ルールは、インド中央銀行が近年提案または施行してきた一連のガイドラインの中で最新のものだ。Pratik Bhakta(プラティック・バクタ)氏がThe CapTable(キャップ・テーブル)に投稿した概要によると、今回の動きは、規制当局がユーザーのために革新を行うフィンテックスタートアップの普及を奨励している一方で、消費者を傷つけようとしている傾向がないかをRBIが注意深く見守っていることを示しているものだという。

RBIの副総裁であるT Rabi Sankar(T・ラヴィ・サンカー)氏は、今週初めに開催された会議で「法律が追いつくまでは、破壊的ではない方法で金融システムがデジタル・イノベーションを吸収できるよう、規制を適応させなければなりません」と述べ「すべての利害関係者が短期的な利益よりも長期的な改善を重視し、インフォームド・コンセントやデータ利用の透明性といった、成熟した慣行を浸透させてこそ、繁栄し成熟した決済システムに到達することができるでしょう」と語っている。

ソニーは、インド時間9月30日にPlayStation Plus(プレイステーション・プラス)の加入者に宛てた電子メールで「2021年9月30日以降、PlayStation Store(プレイステーション・ストア)でPlayStation Plusのためのサブスクリプション料を支払おうとする際に、クレジットカードおよび / またはデビットカードの支払いが失敗することがあります」と伝えている。

「これは、新規にサブスクリプションを始める場合と、定期的な支払いの両者に適用されます。このため、今後自動的に課金されるように設定されたPlayStation Plusの利用料の支払いが失敗する可能性があります。もしそうなった場合、お客様のPlayStation Plusのサブスクリプションはその時点で終了となります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

Apple Watchのロック解除バグを修正するiOS 15アップデート提供開始

Apple Watchでロックを解除するようにiPhoneを設定し、最近iPhone 13にアップグレードした人は、ソフトウェアのバグで、この機能を継続して使用することができないかもしれない。ただし、すでにありがたいことに修正プログラムが登場しているので、それをインストールすれば「Face ID」に頼る必要はない(もちろんパスコード入力の必要もない)。最新のiOS15アップデート(iOS 15.0.1)が登場している。変更履歴によると「iPhone 13モデルで『Apple WatchでiPhoneのロック解除』が機能しなかったことがある問題」のバグ修正が行われている。

Appleは2021年初めにwatchOS 7.4でApple Watchでのロック解除機能を追加し、外出中にマスクをしていてもiPhoneに簡単にアクセスできるようにした。この機能は、その後のiOSとアップデートで壊れ、修正するために別の無線パッケージが必要だった。Appleは最近、iPhone 13の一部のモデルでこの機能が動作しないことを認め、近日中に解決策を提供すると述べていた。iPhone 13は9月24日に販売が開始されたばかりであり、少なくともこの問題は早期に発見されたといえるだろう。アップデートが数日後に行われたのは良いことだが、ここ数カ月の間に同社がこの機能に関して抱えていた問題を見るのは興味深いことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のCherylnn LowはEngadgetのレビューエディター。

画像クレジット:AleksandarGeorgiev / Getty Images

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(文:Cherylnn Low、翻訳:Katsuyuki Yasui)

iFixitが新型iPad mini(第6世代)を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析・iPad Air(第4世代)と比較

iFixitが新型iPad mini 第6世代を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析

iFixit

修理業者iFixitがiPhone 13 Proの分解に続き、新型iPad mini(第6世代)の分解動画を公開しています。今回の記事では、新iPad miniの画面表示が揺れる「ゼリースクロール」問題について深く掘り下げ、iPad Air(第4世代)との比較などを行っています。

iFixit恒例の修理しやすさスコアは、10点満点中の3点です。分解の結果、アップルは新型モデルでバッテリー交換しやすくするよう検討したものの、最終的には断念し、今まで通りバッテリーを本体に固定したとの推論に達しています。

さて、真の本題ともいえるゼリースクロール問題について。この症状は長いWebページなどを素早くスクロールすると、画面上の文字や画像がゼリーのように揺れて見える現象のこと。ディスプレイの左右で画面書き換え速度が違うために起こるもので、アップルも事実と認めつつも「液晶画面の正常動作である」趣旨を回答しています。つまり公式見解では不具合ではない、というわけです。

iFixitが新型iPad mini 第6世代を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析

iFixit

iFixitいわく、ゼリースクロールは液晶デバイス一般では珍しくないとのこと。では、なぜ新型iPad miniで顕著に目立っているのか? それは画面のスキャン(書き換え)方向が、本体内でディスプレイを駆動するコントローラーボードの配置に関係しているため、と推測されています。

新型iPad miniでは、この部品は(縦置きした場合に)左側、縦向きに配置されています。かたや同じ問題が発生していない第4世代iPad Airでは、コントローラーボードが上部に配置されています。すなわちAirでは、ディスプレイが更新される方向がスクロールの動きと平行になっており、やはり画面が一度に更新はされないものの、横に並んだ文字が分割されないため影響は目立たない、というわけです。

iFixitが新型iPad mini 第6世代を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析

iFixit

その逆に新型iPad miniではディスプレイ更新の方向とスクロールが垂直になっており、横方向に書き換えのタイミングがずれるために左や右に傾いて見えるということ。この推測であれば、iPad miniを横置きしたときにゼリー現象が目立たなくなる現象も説明が付くと思われます。

またiFixitは、アップルが新型iPad miniに安物のディスプレイパネルを使っている可能性もあり、そのために書き換えが予想以上に目立っているかもしれないと述べています。

ディスプレイのスキャン方向は設計的にどうしようもありませんが、もしも画面パネルの品質によるところが大きければ、「当たり」(たまたまパネル品質がいい)の個体を引き当てれば、ゼリースクロールも抑えられているはず。どうしても気になる場合は、製品の受け取りから14日以内に受けられる交換手続きを利用してもいいかもしれません。

(Source:iFixit(YouTube)Engadget日本版より転載)

Windows 11のアプリストアはサードパーティにも開放、Epic Games Storeも登場予定

Microsoft(マイクロソフト)がWindows 11のポータルにサードパーティのアプリストアを増やしたいと言ったのは、単に夢想に耽っていたわけではなかった。The Vergeによると、Microsoft Storeの新しいポリシーは、サードパーティのストアフロントアプリの展開が可能になるという。Amazon(アマゾン)のアプリストアだけでなく、Epic Games Storeも「今後数カ月」内にMicrosoft Storeに登場する見込みだ。約束通り、マイクロソフトはこれらのストアから得られる収益の分配を要求しない。

同社がライバルのブラウザに対する方針を緩めたこと(マイクロソフト以外のエンジンを搭載したブラウザを認めるようになった)も実を結ぶ。Microsoft Storeでは、OperaとYandex Browserが、Edgeの代替品として提供される。最初から衝動的にChromeやFirefoxをダウンロードしてしまう人には、これらの追加はあまり役に立たないだろうが、マイクロソフトが少なくとも、自分のところのストアで競争することには、寛容であることを示している。

SteamやGOGなどの有名なアプリやゲームストアについての言及はない。Epicが早いうちから選ばれていることは驚くに値しない。EpicはApple(アップル)のApp Storeポリシーに声を大にして反対しており、できるだけEpic Games Storeを提供したいと考えている。マイクロソフトがこれを利用しない手はない。Microsoft Storeを、アップルのApp Storeよりもオープンなストアであると宣伝できるからだ。もっとも、Mac(マック)ユーザーがEpic Games Storeや他のストアフロントにアクセスするのに、何か実際に問題があるわけではないのだけれど。

編集部注:本稿の初出はEngadget執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット:Microsoft

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Apple Watchが心房細動以外の不整脈も検出できることを示す新たな研究結果

スタンフォード大学とAppleが2017年に実施した「Apple Heart Study」では、40万人を超える被験者の登録に成功し、この種の研究としては過去に実施された中でも最も大規模なものの1つとなった。継続的な研究により、Apple Watchは心房細動(AF)に加えて、その他の不整脈も検出できることが明らかになっている。Apple Watchは現在、心電図(ECG)センサーを追加したSeries 4アップデートにより、心房細動の検出と通知の機能をコアヘルス機能の1つとして提供している。

Apple Heart Studyの結果は、この機能の背後にある科学的根拠を証明している。Apple自身は、非常に正確な予測や実際の医療機器ではなく、自分の健康や心臓の健康に影響を与える可能性のある状態をより認識するための方法だと位置づけている。しかし何年も前からApple Watchユーザーの中には、心房細動の通知機能と医師によるフォローアップのおかげで無症状の問題を早期に発見できたという話が数多く確認されている。

今回のHeart Studyの追加調査では、収集したデータをさらに掘り下げ、Apple Watchから不整脈の可能性に関する通知を受けたものの、医療用心電図によるフォローアップ検査でAFが検出されなかった参加者の40%に、他の不整脈が存在していたことがわかった。これらの不整脈には、早発性心室複合体、非持続性心室頻拍などがある。これらの不整脈はごく一般的なもので、経験者の間では動悸として認識されることが多いが、特に早発性複合体は他の基礎疾患の指標となる可能性がある。

米国心臓協会の「Circulation Journal」に掲載された今回の研究では、通知を受けた後に心電図パッチを使って心房細動が検出されなかった参加者の約3分の1が、Apple Heart Study終了時には実際に心房細動と診断されていたことも判明した。これは、これまでの研究で示されたよりも、Apple製ウェアラブルデバイスの有効性が高いことを示唆している。

新世代のApple Watchに導入される新しいセンサーや技術的機能の可能性については、常にさまざまな憶測が飛び交っているが、Apple Heart StudyやApple Heart and Movement Studyといった大規模な研究から、既存のハードウェアやセンサーを利用した新機能への道筋が見えてきている。他の心臓の不整脈を検出するというApple Watchの有望な結果は、将来、より多くの「ヘルスケア」機能を生み出すかもしれない。

画像クレジット:Apple

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Dragonfly)

Appleマップが3Dビューを展開、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコで

Apple(アップル)は、「マップ」アプリ内で、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなど、多くの都市に3Dマップを導入する。iOS 15で提供されるこの体験は、市場をリードするGoogleマップとの競争力を高めるためにAppleのマッピングプラットフォームに数年にわたって行われた投資の結果だ。このアップデートには、現在主要な市場に導入されているような3Dマップの追加だけでなく、全体的により詳細な地図、改善された交通機関の機能、AR表示モードなども含まれている。

関連記事:AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

これらの機能の多くは、充実した機能を得るためまず米国および世界の主要都市で導入され、時間をかけて展開してきた。例えばARビューイングは、2021年に入ってから一部の都市で開始された

画像クレジット:Apple

Appleによると、3Dマップでは、ユーザーは近隣地域、商業地区、マリーナ、ビルなどの詳細を見ることができ、標高の詳細、新しい道路ラベル、さらにはカスタムデザインされたランドマークも表示されるという。

例えば、サンフランシスコのコイトタワー、ロサンゼルスのドジャー・スタジアム、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールなど、有名なスポットのレンダリング画像がマップに表示され、今後さらに多くのランドマークが追加される予定だ。

画像クレジット:Apple

2021年後半には、フィラデルフィア、サンディエゴ、ワシントンD.C.でこの種の3Dマップが利用できるようになるとAppleは述べている。そして2022年には、モントリオール、トロント、バンクーバーでも利用できるようになる。

Appleは、より明確に表示されるターンレーン、中央分離帯、バス・タクシー用レーン、横断歩道などによって、道路レベルでのナビゲーションも強化している。これらは3D表示モードで表示されるため、交通状況に応じて最適な車線を選択したり、より良いルート計画を立てたりすることが容易になる。また、Googleマップと同様に、現在の道路状況に基づいた到着予定時刻も表示される。Appleは、これまで2021年のリリースが発表されていたこの新しいナビゲーションが、具体的な期限はなしに2021年後半にCarPlayに搭載される予定であると述べた。

画像クレジット:Apple

同様に、2021年初めに発表されていた他の地図のメジャーアップデートも現在展開中だ。これには、Citymapperのような、交通機関を利用する人たちに好まれるサードパーティのアプリケーションに対して、Appleマップがより競争力を持つように設計された機能が含まれている。近くの交通機関の駅が画面上部に大きく表示され、ユーザーはお気に入りの路線をマップにピン留めして簡単にアクセスできるようになった。また、Apple Watchでもできるように、路線を選択すると、降りる時間になるとマップが自動的に通知する。

Appleマップは、拡張現実(AR)を利用したステップ・バイ・ステップの案内で、より臨場感のある徒歩ルート案内を提供する。これは、ユーザーが携帯電話をかざして周辺の建物をスキャンすると、マップがより正確な位置を生成し、より詳細な案内を提供するというものだ。この機能は、2021年に入ってから一部の市場で提供されている。

iOS 15のユーザーは、新しい3D地球儀を見ることができる。また、マップの「ガイドを詳しく見る」ボタンをタップすると、Time Out、The Washington Post、The National Park Foundation、Complex、The Infatuationなどが提供する厳選されたガイドにアクセスすることがでる。これらのガイドは世界中の都市での観光ガイドを提案する。また、ユーザー自身がガイドを作成し、友人や家族と共有することもできる。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

ついにヨーロッパが携帯電話の充電器を共通化するための法律を制定、共通の充電ポートはUSB-Cに

スマートフォンやタブレットなどの家電製品の充電ポートの標準化に向けて、EUの議員がようやく動き出した。今回発表されたこの提案が採用されれば、カメラ、ヘッドフォン、ポータブルスピーカー、携帯型ゲーム機などの機器に共通の充電ポートとして、USB-Cが採用されることになる。

スマートウォッチやフィットネスバンドのような小型の家電製品は、そのサイズや使用形態などの理由から除外されている。

また、この委員会の計画では、地域の議員が携帯電話の充電器の販売を分離して、自動的に同梱されないようにすることが望まれている。

また、急速充電の規格も統一され、機器メーカーは、必要な電力や急速充電に対応しているかどうかなど「充電性能に関する関連情報」をユーザーに提供する義務を負うことになる。

欧州委員会は「これにより、消費者は既存の充電器が新しい機器の要件を満たしているかどうかを確認したり、互換性のある充電器を選択したりすることが容易になります」と指摘し、さらに一連の措置によって、消費者が新しい充電器を購入する回数を減らし、不必要な充電器の購入にかかっている年間2億5000万ユーロ(約323億9000万円)を節約することができると述べている。

欧州委員会はこの提案の発表の中で、欧州委員会が10年以上にわたって推し進めてきた「自主的なアプローチ」、すなわち覚書のような推奨を通じて電子機器業界に共通の基準を実現させようとする試みが、求められている基準を実現できておらず、たとえば携帯電話の充電器にはいまだに3つの異なるタイプが存在していることを述べている。

より広い目的としては、家電製品から発生する廃棄物の一部を削減することで、世界の廃棄物の山に意味のある変化をもたらすことが目指されている。たとえば欧州委員会は、消費者が携帯電話の充電器を平均3個所有しており、そのうち2個を定期的に使用していると指摘している。それゆえ、機器メーカーが毎回新しい充電器を用意する必要はないのだ。

また、同委員会は、廃棄される未使用の充電器は、年間約1万1000トンの電子廃棄物に相当すると推定していることを付け加えた。

もちろん、現在携帯電話市場に出回っている非標準的な充電器の1つは、iPhoneメーカーであるApple(アップル)のものだ。Appleはこれまで、自社の機器に標準的なポートを搭載させようとする圧力に抵抗してきたが、汎EU法によって世界共通の充電器を強制的に導入することができれば、巨大企業はついに独自のLightning(ライトニング)ポートを放棄せざるを得なくなるだろう。

Appleは長年にわたり、デバイスに標準的なポートを採用する代わりに、間違いなく幅広く莫大な利益を生むアクセサリービジネスを展開してきた。例えば、iPhoneの3.5mmヘッドフォンジャックを削除するなど、標準的なポートを削除することさえあったのだ。つまり、Appleのデバイスのユーザーは、より多くの標準的なポートにアクセスしたい場合には、ドングルを購入しなければならず、将来的にさらに多くの廃棄物が発生することになる。

EUの立法案が、Appleのドングルを使った組み込み型の汎用的な回避策を実際に禁止するかどうかは、まだはっきりしない(私たちは欧州委員会に質問してみた)。

欧州委員会のデジタル戦略担当EVPであるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、欧州委員会の提案について次のようなコメントを述べている。「欧州の消費者は、互換性のない充電器が引き出しに溜まっていくことにずっと不満を感じていました。産業界には独自の解決策を提案するための時間を十分に与えてきましたが、今は共通の充電器に向けた立法措置をとる時期に来ています。これは、消費者と環境にとって大切な勝利であり、私たちのグリーンとデジタルの目標に沿ったものです」。

欧州連合(EU)のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)域内市場担当委員は、呼応する声明の中で次のように付け加えている「私たちの最も重要な電子機器のすべてに電力を供給しているのが充電器です。機器が増えれば増えるほど、互換性のない、あるいは必要のない充電器がどんどん売られていきます。私たちはそれに終止符を打ちます。私たちの提案により、欧州の消費者は1つの充電器ですべての携帯電子機器を使用できるようになるでしょう。これは利便性の向上と廃棄物の削減のための重要なステップとなります」。

なお、この提案が法律として成立するためには、EUの他の機関である欧州議会と欧州理事会がこの提案を支持する必要がある。欧州議会は、欧州委員会が共通の充電基準を実現できていないことに以前から不満を表明しており、2020年はこの問題への厳しい対応を求める投票が圧倒的に多かった。そのため欧州議会議員がこの問題に関する汎EU法の制定に熱心なのだろう。

とはいえ、一朝一夕に激変するわけではない。欧州委員会は、過去の法制化の適用データから、24カ月間の移行期間を提案しているので、たとえ議会と理事会がこの計画に迅速に合意したとしても、機器メーカーが遵守しなければならなくなるには、何年もかかることになる。

欧州委員会の広報は、これまで産業界にこの問題に関して10年以上の圧力をかけてはきたものの、計画されている法改正に適応するための「十分な時間」を与えたいとしている。

欧州委員会が求める共通の充電器ソリューションを欧州で実現するためには、さらなるステップが必要である。外部電源の相互運用性を確保するためのさらなる調整が必要とされているからだ。立法者によると、こちらの問題はエコデザイン規則の見直しによって対処されるという。この規則は、共通充電器ポート要件と同時に発効することを目指して、2021年後半の開始が予定されている。

後者の提案に関するFAQの中で、欧州委員会は、この問題で立法上の難問に取り組むのになぜこれほど時間がかかったのかという自らの疑問に答えているが、当初は業界が関与することを期待して、より「野心的な」自主的アプローチを継続しようとしていたと書いている。しかし、業界が提案した案は「不十分」であり、共通の充電ソリューションを提供することはできなかったと述べている。

世界が気候変動マイクロプラスチック汚染などの環境問題への取り組みを進める上で、立法者たちが「実際の立法の必要性」を学んだことは重要な教訓となるだろう。

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画像クレジット:Getty Images under a iStock / Getty Images Plus license

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(文:Natasha Lomas、翻訳:sako)

空間オーディオのためのデザイン、元アップルデザイナーが興した高級オーディオスタートアップSyngが約54億円調達

オーディオスタートアップSyng(シング)は、平均的な新参のハードウェアスタートアップよりも少し華々しい。それは主に、同社を率いているチームのためだ。創業者でCEOのChris Stringer(クリス・ストリンガー)氏は、Jony Ive(ジョニー・アイブ)氏がApple(アップル)で最初に雇った人物であり、同社で21年間働いた。インタビューでストリンガー氏は、ステレオオーディオを初めて聴いた時のことを「最も感銘を受けたプロダクトデモだった」と述懐した。そして同氏の会社は、空間オーディオを使ってホームリスニング体験を刷新することができる「triphonic(トリフォニック)」オーディオハードウェアを作ることでその感銘を具体化しようとしている。

「究極的には壁にかかっている画像にすぎないステージ / オーディエンスの静的なエクスペリエンスから、実際にあなたの家の一角をステージにするという、ステージ変革なのです」とストリンガー氏は話す。

Syngはパロアルト拠点のEclipse Venturesがリードした4875万ドル(約54億円)の「組み合わさった」シリーズAをクローズした、とTechCrunchに語った。他の投資家には、Instagramの共同創業者Mike Krieger(マイク・クリーガー)氏とLionel Richie(リオネル・リッチー)氏、そしてAirbnbの共同創業者Joe Gebbia(ジョー・ゲビア)氏がいる。Syngは、デザインと高度なテックにかなり特化したオーディオハードウェアスタートアップを運営するためにこれまでに計5000万ドル(約55億円)を調達した。

同社のハードウェアは、消費者がHomePodのようなプロダクトで目にしているテックに似ているコンピューター計算のオーディオテクノロジーに頼っている。このテックではスピーカーは置かれた空間に合わせて音を調整することができる。しかしSyngのプロダクトは何よりもまず空間オーディオのためにデザインされている。同社の初のプロダクトであるSyng Cell Alphaは1799ドル(約20万円)する高級スピーカーで、20世紀中盤のモダンな宇宙船の仲間のような外観だ。Appleのデザイン精神は、Jony Ive(ジョナサン・アイブ)氏がデザインしたHarman Kardon SoundSticksにみられるように、プロダクトにはっきりと表れている。現在超ハイエンドなオーディオと区別されているブルータリストなタワースピーカーとしてよりも家具のように扱われることを意図している、とストリンガー氏は話す。

筆者はそのハードウェアが出す音を聴くチャンスはなかった。なので意見は控えておくが、1799ドルは確かにスピーカーとしてはかなり高価で、ほとんどのユーザーが1つのだけ購入しただけではその恩恵を最大限引き出せないことは明らかだ。Cell Alphaスピーカーは互いに連動するようになっていて、ユーザーのためにダイナミックなサウンドステージを作り出しながらフィードバックも受ける。自動調整の最大の長所は、スピーカーが完全に固定設置するタイプのものではなく、部屋の自然な音響よりも、スピーカーが置かれた場所であなたのデザイン指向を見せつけられることだ。これは、ある程度まではおそらくそうだろうが、壁にかけられた巨大なテレビの近くに固定されたオーディオシステムを減らし、多くの人が真に家庭で音楽を楽しめることにつながることをストリンガー氏は期待している。

同社は現在、1つの部屋で最大4台のスピーカーをサポートしている。Cell Alphaは今のところ1種類のみだが、今後展開するプロダクトでは価格やサイズに幅を持たせることをストリンガー氏はほのめかした。

超ハイエンドなオーディオ機器を家に設置するというのは通常、業者を雇ってスピーカー、ケーブル、レシーバー、アンプ、そして誰でも使えるようにするユニバーサルなリモコンの集合体を作りだすことを意味する。SyngのモデルはSonosのようなアプローチをとっており、偽装して隠される実用的な物体というより家財道具のようにデバイスを扱っている。

彼らがいうように、ハードウェアは難しい。消費者向けオーディオは参入するのに特に難しい分野だ。人々は往々にしてプレミアムなホームオーディオ製品を何十年も、少なくとも他のテックデバイスよりも長く維持できるため、インターネット接続オーディオでは大半の他のハードウェアよりもレガシーが重要だ。生涯にわたるファームウェアのアップデートの信頼性を新しいスタートアップに賭けるというのは、消費者にとってやや微妙だ。Cell Alphaのような高額なものになるとなおさらだ。大半のユーザーが空間オーディオを再生するのにはわずかなオプションしか持っていないこともSyngにとってはハードルとなっている。ほとんどの音楽ストリーミングサービスは空間オーディオに対応していない。ストリンガー氏が指摘するように、このテクノロジーを積極的に推進し始めたAppleのような大手にはあてはまらないが、ハードウェアスタートアップとマーケットのタイミングは常に複雑な関係にある。

Syngに出資する他の投資家にはBridford Group、SIP Global Partners、Renegade Partners、Animal Capital、Schusterman Family Investments、Vince Zampella、Alex Rigopoulosがいる。新たに調達した資金は将来展開するハードウェアとソフトウェアのR&Dに使われる、とストリンガー氏は話している。

画像クレジット:Syng

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックがアップルのプライバシーポリシー変更による広告事業への影響を報告

Facebook(フェイスブック)は米国時間9月22日、Apple(アップル)のプライバシーに関する変更が同社の広告事業にどのような影響を与えているかについての最新情報を提供した。すでに同社は、第2四半期の決算発表時に、第3四半期までに広告ターゲティング事業にさらに大きな影響が出ることが予想されると投資家に警告していた。同社は今回、その点を改めて強調するとともに、iOSのウェブコンバージョンを約15%過少に報告していたため、広告主にその影響が予想以上に大きいと思われていたことを指摘した。

Facebookのビジネスブログに掲載された発表によると、その正確なパーセンテージは、個々の広告主によって大きく異なる可能性があるとのこと。しかし、売上やアプリのインストールなどを含む実際のコンバージョンは、広告主がFacebookのアナリティクスを使って見ている数値よりも高い可能性があると述べている。

このニュースを受けて、Facebookの株価は4%近く下落している(記事執筆時点)。

Facebookが誤解を招くような測定値を公開したことは、今回が初めてではない。過去には動画広告の測定基準を水増ししていたにもかかわらず、すぐに問題を修正しなかったため、集団訴訟に発展したこともある。しかし、今回のケースでは、評価指標の問題はFacebookを実際よりも良く見せるのではなく、むしろ悪く見せてしまっていたということだ。Facebookは、広告主コミュニティから、ネットワーク上の広告投資に計画していた以上の影響が見られるという声を聞いており、懸念が高まっていると言及した。

そこでFacebookは、この新時代にキャンペーンの影響とパフォーマンスをよりよく理解するためのヒントをいくつか広告主に提供することにした。これまでのように毎日評価するのではなく、最低でも72時間、あるいは最適化ウィンドウがいっぱいになるのを待ってから、パフォーマンスを評価することを、同社は提案している。また、推定されるコンバージョンが遅れてレポートされる場合があるため、広告主は可能な限りキャンペーンレベルでレポートを分析すべきだとも述べている。さらに、広告主のコアビジネスに最も合致したウェブイベント(購入や登録など)を選択することなどを勧めている。

この測定値に関する問題に対処するため、Facebookはコンバージョンモデルの改善に取り組んでおり、レポートのギャップを解決するための投資を加速させ、ウェブコンバージョンを追跡する新機能を導入し、すでにインストールされているアプリ内のコンバージョンを測定する機能を拡張すると述べている。さらにバグを発見したら迅速にその修正に取り組むとしており、最近では約10%の過少報告につながっていたバグを修正し、広告主には共有済みだという。

Facebookは8月に、アップルとGoogle(グーグル)のプライバシーに関する変更と新たな規制の状況に照らして、パーソナライズド広告事業を適応させるためにどのように取り組んでいるかを説明したが、こうした取り組みには時間がかかると述べていた。

広告技術のアップデートだけでなく、Facebookは広告主がアプリを閲覧する消費者に、より効果的にアピールできるような新製品も開発している。例えば先週には、ビジネス向けツールのラインナップを刷新し、いくつかの新機能の導入や、消費者が企業を発見する機会を増やすための小規模なテストを拡大すると発表したばかりだ。すでに米国の一部ユーザーを対象に行われていたこのテストでは、ニュースフィードの投稿の下に、関連した他の企業やトピックを表示し、ユーザーを直接導こうとするものだ。他にも、企業がInstagram(インスタグラム)のプロフィールにWhatsApp(ワッツアップ)のボタンを追加できるようにしたり、InstagramユーザーをWhatsAppのビジネスチャットに誘導する広告を作成できるようにしている。

関連記事:広告ターゲティング事業が脅かされつつあるフェイスブック、事業主向けに数々の新機能を発表

Facebookは以前から、モバイルユーザーがiOSアプリ上で追跡されることをオプトアウトできるアップルの新しいプライバシー機能が、同社の広告ターゲティング事業の一般的な運用に問題をもたらすと広告主に警告してきた。Facebookはまた、アップルの変更が、Facebook広告に依存して顧客を獲得している小規模な店舗などの事業に影響を与えると繰り返し主張もしてきた。そしてこの変更が実施されると、Facebookの懸念は妥当であることが確認された。iOS上でトラッキング許可を選択している消費者はほとんどいないという調査結果が出たのである。

画像クレジット:Sean Gallup / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルは控訴決着まで「フォートナイト」のApp Store復帰認めず、Epicが通告メール公開

Apple(アップル)と「Fortnite(フォートナイト)」の大規模でドラマチックな訴訟は、どちらの当事者にとっても実際に望んでいた結論には至らなかったようだが、その解決策はフォートナイトファンにとって、同タイトルがApp StoreやAppleデバイスに戻ってくるかもしれないという希望を与えた。

しかし、そうは問屋が卸さない。法律用語が再びこのバトルロワイヤルに割り込んでくることになりそうだ。米国時間9月22日に投稿されたEpic Games(エピックゲームズ)のTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOのツイートスレッドを見ると、同氏とAppleの法務チームとの間で交わされたコミュニケーションは、Epicが裁判所の判決を不服として訴え続けている間は、Appleがフォートナイトを復活させる気がないことを裏付けているようだ。スウィーニー氏は、このプロセスによって、フォートナイトがあと5年以上App Storeから姿を消してしまう可能性があると見積もっている。

Appleは嘘をつきました。Appleは過去1年、世界、裁判所、報道機関に「Epicが他の企業と同じルールでプレイすることに同意するなら、EpicのApp Storeへの復帰を歓迎する」と伝えました。Epicはこれに同意しましたが、Appleは10億人を超えるユーザーに対する独占的な力をまたもや乱用し、これを反故にしました。

スウィーニー氏は、自身がAppleのPhil Schiller(フィル・シラー)氏に送ったメールと、Appleの法務チームから受け取った手短な返信メールを共有した。「Appleは、Epicの開発者プログラムアカウントを現時点で復活させないという裁量権を行使しました」と説明されており「さらにAppleは、連邦地裁の判決が確定して上訴できなくなるまで、再登録を求めるさらなる要請について検討することはない」という内容だった。

以下がそのメールの全文だ。

ゲイリー様

2020年、正当な理由により解約されたEpicの開発者プログラムのアカウントを復活させて欲しいというAppleへの要請についてお答えします。Epicは、Appleからコードを隠し、関連する不実表示と不作為を行うことで、意図的な契約違反と信頼の失墜を犯しました。裁判所は判決の中で「Appleは、同社の行動に関し契約上の権利を持っていた。(Epicの) 内部文書によれば、Epic Gamesが期待していたように、これらの権利を行使したに過ぎない」と認めました(ECF No. 812 178-79頁)。さらに裁判所は「Appleによる、Epic GamesとAppleとの間の [開発者プログラムライセンシング契約] および関連する契約の解除は、有効かつ合法的であり、強制力がある」と判断しました(判決文179頁)。この判決を受けて、スウィーニー氏は、Epicが「フォートナイトをiOSに戻すために(代替決済システムを)引き換えにすることはない」と公言しました。裁判所の判決以降のこのような発言やその他の発言、そしてEpicの過去の二枚舌的な行動を考慮して、Appleは現時点ではEpicの開発者プログラムアカウントを復活させないという裁量権を行使しました。さらにAppleは、連邦地裁の判決が確定し上訴が不可能になるまで、今後の復帰要請を検討しないこととしました。

マーク・ A・ペリー

裁判所は2021年9月初めの判決で、Appleは「反トラスト法に違反していない」と判断し、Epic GamesはAppleに失われたApp Storeの手数料を返済しなければならないとした。だが最も興味深いことに、AppleはApp Store内での代替的な支払い方法をブロックし続けることはできないとした。この判決はAppleのApp Storeの経済状況を非常に複雑にするものだが、Appleはこの判決を全体的に圧倒的な勝利とみなし、控訴しなかった。一方のEpic Gamesは、この判決を不服とし「戦い続ける」ことを誓った。

判決の直後に行われた記者会見で、Appleは、Epic GamesがApp Storeの他の開発者と同じルールに従うことに同意すれば、フォートナイトの復活を歓迎すると述べていたが、この発言は、Epicが判決に対して公式に控訴する前のことだった。

スウィーニー氏は、同氏のスレッドのさらに下の方にあるツイートで、Appleがフォートナイトの開発者アカウントの復活を拒否したことについて「Appleによるもう1つの途方もない反競争的な動きであり、彼らの市場を再構築して勝者と敗者を選ぶ力を示している」と述べている。

TechCrunchはAppleにコメントを求めている。

関連記事:Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

画像クレジット:Christian Petersen / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

iPhone 13シリーズ最大の発明は「シネマティック」という命名だ

9月24日から、iPhone 13が発売になる。今回はデザイン変更ではなく「中身」が中心のターン。変化がカメラに集中しているので「別にまあいいか」と思っている人もいそうだ。

iPhone 13 Pro(シエラブルー)とiPhone 13(PRODUCT RED)

iPhone 13 Pro(シエラブルー)とiPhone 13(PRODUCT RED)

こちらもiPhone 13(PRODUCT RED)とiPhone 13 Pro(シエラブルー)

こちらもiPhone 13(PRODUCT RED)とiPhone 13 Pro(シエラブルー)

右がiPhone 12 Pro Max(パシフィックブルー)で、左がiPhone 13 Pro(シエラブルー)

右がiPhone 12 Pro Max(パシフィックブルー)で、左がiPhone 13 Pro(シエラブルー)

iPhone 13 Pro(シエラブルー)。かなり爽やかな色

iPhone 13 Pro(シエラブルー)。かなり爽やかな色

iPhone 13(PRODUCT RED)。昨年より濃い赤で光沢が映える

iPhone 13(PRODUCT RED)。昨年より濃い赤で光沢が映える

でも、ちょっとそれはもったいない。というのも、今回からiPhone 13シリーズに入ったカメラ機能はとても大きな可能性を秘めているからだ。

実機性能も含め、その辺をちょっとまとめてみよう。

今回のiPhoneも「カメラ」がポイント

今回のiPhoneも「カメラ」がポイント

誰でもスマホ1つでできるのが「シネマティックモード」の魅力

多くの人が記事にしているように、今回のiPhone 13シリーズにおけるカメラのポイントは「動画」、特にシネマティックモードだ。

シネマティックモードの正体はシンプル。静止画における「ポートレートモード」の動画版だ。写真に計算から生み出した「深度(奥行き)」の情報をセットして、適宜フォーカス(ピント)が合う場所を変えてそれ以外をボカす……というモードである。

性能が上がったら静止画から動画へ、というのはわかりやすい流れなのだが、その際には新しい配慮も必要になる。「フォーカスが合う場所を時間の変化によって変える」ことを助ける機能が必要なのだ。

その一番シンプルな形が、「人を認識して、動きに応じて変える」というものだ。以下の動画は、iPhone 13 Proを使って撮影したものを、音声カット以外は未編集で掲載したものだ。手前に入ってくる筆者から奥の矢崎編集長へのフォーカス切り替えは完全に自動だ。

▲iPhone 13 Proで撮影。音声カット・前後カット以外は撮ったままの無加工。人が入ってきたり、振り向いたりするとフォーカス場所が変わる
認識するのは人だけでなく物体も含まれるので、以下のような動画も撮れる。

▲せっかくなので「シネマティック・ドリンク」と「シネマティック・焼肉」も。どちらもiPhone 13 で撮影し、音声・前後カットと2本の連結以外は撮ったままだ
「輪郭のヌケが完全じゃない」「背景のボケ感が画一的で書き割りのように見える」
たしかに。この機能はまったく完全じゃない。適切なカメラとレンズを用意し、しっかりとフォーカス操作をしながらなら、もっとハイクオリティなものが撮れるのは間違いない。カメラに慣れた人ならあたりまえのテクニックであり、今なら「Vlog向けカメラ」などでもっと高品質に撮れる。

だが、これらの動画を「スマホ1つで」「特別な操作なしで」「撮って出し」で作れるのは大きな進化だ。iPhone 13シリーズを買えば、誰でもこんなことができるのだ。

ついでに、ちょっとこんな動画も撮ってみた。

▲テーブルを囲んで会議している様子をシネマティックに。撮影された側曰く「テラハっぽい」
どうだろう? 単にテーブルを囲んで話しているだけなのに、ボケの演出がついただけでなんとなくドラマチックに見えてこないだろうか。
この「誰でも日常を撮るだけでテラハっぽくなる」ことこそ、シネマティックモードの価値なのである。今回iPhone 13シリーズを買わなくても、これからiPhoneの新シリーズを買うと標準機能として付いてくるだろう。そして、似たことは他のハイエンドスマホメーカーもやってきて、ありふれた機能になっていく。

今回のアップルの最大の発明は、ボケ付きの映像を撮影する機能に「シネマティックモード」という印象的な名前をつけたことそのもの、と言ってもいい。簡単なことに思えるが、こういうところが糸口となって、機能は一般化していくものだ。

編集はiMovieがお勧め、シネマティックモードの視聴は「大型画面」向き

ちょっとネタバラシはしておこう。

実は、一番最後の最後の動画だけは「撮って出し」ではない。アップルの動画編集ソフト「iMovie」のiPad版を使い、フォーカス位置をかなり細かくいじって作ったものだ。

自動でもある程度はできるが、人が多いとフォーカスが頻繁に変わりすぎて見づらい映像にになる。なので、シネマティックモードのデータをそのまま再編集できるiMovieで編集をしているのだ。なお、ここに掲載した他の動画も、フォーカス位置はいじっていないものの、音と前後のカットにはiMovieを使っている。

iPad Proに画像を転送してiMovieで加工

iPad Proに画像を転送してiMovieで加工

編集に使う機種は、iOS 15/iPadOS 15が入ったiPhoneかiPadであれば、シネマティックモードを持っていない機種(要はiPhone 13シリーズ以外)でもいい。

ただし、編集する場合の動画データは、「シネマティックモード用の付加データがカットされてない」必要がある。

同じ1080p・30Hzの動画で比較すると、通常のモードで撮影した映像データとシネマティックモードで撮影した映像データでは、容量が倍近く違うこともあった。すなわち、1080p・30Hzのシネマティックモード動画の容量=1080p・60Hzの通常動画の容量、という感じになっている。

ここで注意すべきは、単に転送するとシネマティックモード用の「深度データ」が消えてしまうこと。

自分のアカウントである場合にはiCloudの「写真」データとして同期すればいいのだが、他人にAirDropなどで渡す場合には、シェアする際の画面上方にある「オプション」をタップし、次の画面で「すべての写真データ」をオンにしてから転送しよう。

AirDropで誰かに動画を送る場合には「すべての写真データ」(右画面の最下段)をオンにしないと、シネマティックモードの深度情報がなくなり、フォーカスなどの再編集はできなくなる

AirDropで誰かに動画を送る場合には「すべての写真データ」(右画面の最下段)をオンにしないと、シネマティックモードの深度情報がなくなり、フォーカスなどの再編集はできなくなる

また、フォーカス位置の変更などの再編集については、iMovieを使わず、iPhoneの「写真」アプリだけでも可能だ。とはいえ、操作はiMovieの方が簡単で、できることも多い。iPhoneユーザーであればiMovieは無料で使えるので、活用をお勧めする。

iPhone 13での撮影時や「写真」アプリからでも、フォーカスなどの変更は可能。でも、iMovieを使った方が操作は楽だ

iPhone 13での撮影時や「写真」アプリからでも、フォーカスなどの変更は可能。でも、iMovieを使った方が操作は楽だ

それからもう一つ。

前述の動画、「どうも効果が分かりづらい」と思った人はいないだろうか。そういう方々は、おそらく「スマホの画面」で動画を見ているのだろう。

実のところ、ボケはそこそこ繊細な表現であり、動画自体の表示サイズが小さいと分かりづらい。スマホの縦画面などではピンと来ないことも多いのではないだろうか。

お勧めは、MacやiPadなどで視聴することだ。10インチ以上の画面になれば、ボケの効果は驚くほどしっかり楽しめる。また、Apple TVを使ったり、iPhoneなどをテレビにつないだりして、より大画面で楽しむのもいいだろう。

そういう意味では、シネマティックモードは「スマホで撮れるが、楽しむならスマホ以外からの方がいい」機能でもある。

やはり「Pro」は速かった。A15は順当な進化

ベンチマークテストから見える性能についても触れておこう。

すでにご存知の通り、iPhone 13シリーズが採用しているSoCは「A15 Bionic」。アップル設計によるSoCの最新モデルだが、現時点でもバリエーションが3つ存在する。

1つ目は、「iPhone 13」「iPhone 13 mini」に使われているもの。これらに使われているのはクロックが最大3.2GHzで、GPUコアが4つ。メインメモリーは4GBだ。

iPhone 13/miniのSoC。メインメモリーは4GBになっている

iPhone 13/miniのSoC。メインメモリーは4GBになっている

2つ目は「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」のもの。こちらもクロックは最大3.2GHzで、GPUコアが5つになる。メインメモリーは6GBだ。

こちらはiPhone 13 Pro/Pro MaxのSoC。メインメモリーは6GBになっている

こちらはiPhone 13 Pro/Pro MaxのSoC。メインメモリーは6GBになっている

そして3つ目が、先日レビューも掲載した「iPad mini」向け。こちらはクロックが最大2.93GHzで、GPUコアが5つ。メインメモリーは4GBだ。

参考記事:iPad mini 第6世代に死角なし iPhone 13 Pro同等の最新仕様で処理も通信も高速(西田宗千佳)

さて、これらの性能はどのくらいなのか? 数字を丸めて簡単な大小で表すと、

iPhone 13 Proシリーズ>iPad mini≒iPad Pro 11インチ(2020年モデル)≒iPhone 13シリーズ>iPhone 12 Proシリーズ>iPhone 12シリーズ

という感じだろうか。

メインメモリー量とクロックは違うが、同じ構成のiPhone 13 ProとiPad miniは、おおむね「クロック通り」の差。全体的にワンランク上だ。

iPhone 13とiPad miniは、CPUについてはほぼクロック通りの差で、GPUのコアが多い分、クロックが低くてもiPad miniの方が高性能。総合して考えると大体近い性能……という感じかと思う。

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCompute(主にGPU)スコア

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCompute(主にGPU)スコア

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCompute(主にGPU)スコア。コア数が1つ多い分、iPhone 13より数値がグッと高い

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCompute(主にGPU)スコア。コア数が1つ多い分、iPhone 13より数値がグッと高い

昨年モデルであるA14世代はもちろん、A12世代でコア数を増やしたハイエンド製品(主にiPad向け)を超えていくのだから、性能向上はいまだ「ちゃんと続いている」といっていいだろう。

iPad miniのレビューでも述べたが、A15は高性能とはいえ、それでも「よりパフォーマンス重視で作られたM1」にはまったく敵わない。コア数の考え方を含め、コストも狙いも違うのだ。

この辺からも、アップルが「スマホ向けで進める性能向上」と「Mac向けで進める性能向上」が違ってきており、使い分けが今後も進むであろうことが予測できる。

(西田宗千佳。Engadget日本版より転載)

【レビュー】2021年版miniは衝撃的だった初代以降、最も「iPad」らしいiPadだ

iPad miniを愛する人たちは、数年ごとにこの特別なデバイスが存続するのか、それとも切り捨てられるのかを固唾を呑んで見守ることになる。新しいiPad Proのようなデザイン、A15 Bionicチップ、新しいディスプレイ技術を採用して、大きくモダンに生まれ変わったばかりなので、しばらくはその心配をする必要はないだろう。

また、iPad miniは一部の市場で非常によく売れているため、それほど心配する必要もないだろう。パイロットや医療従事者、産業従事者といったプロフェッショナルは、仕事に欠かせないものとしてタブレット端末を活用している。基本的に、Apple(アップル)のiPadは十分な普及率と互換性を備えた唯一のデバイスだ。空の上のコックピットは、基本的にiPadがないと成り立たなくなっている。パイロットの脚や白衣の大きなポケットなど、スペースが限られている場所では、iPad miniが圧倒的な存在感を示している。

もちろん、iPad miniが旅行に最適なポータブルサイズであり、長時間の読書や視聴をする際に手に持ちやすいと感じる人も同じようにたくさん存在する。

今回の新しいiPad miniは、そのよう人たちのために、ハードウェアとソフトウェアを最新のものになっている。iPad AirおよびProのデザイン言語を取り入れたminiの再設計は、Appleの「トップエンド」のiPadデザイン理論が統一されたということであり、歓迎すべきことだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

エントリーモデルであるiPadも、同じ価格でありながら舞台裏でアップグレードされている。これはすばらしいことだ。新デザインの採用や新しいApple Pencilとの互換性はないが、それでもこの価格では非常に高性能なマシンだ。タブレット市場は基本的にAppleが独占しているため、エントリーモデルを大々的に投入することも可能だったが、価格の割には非常に優秀で、使ってみると速さと親しみやすさを感じることができる。IPSディスプレイとA13 Bionicは最先端ではないかもしれないが「iPadが欲しい」というニーズだけであるなら、このベーシックなモデルを購入してもまったく損をしないのはうれしいことだ。

しかし、iPad miniにはその両方が備わっている。価格もそれに見合うものだ。499ドル(日本では税込5万9800円)という価格は、Appleはこの製品でエントリーポイントを狙っていない。そのメッセージは明らかに「このサイズで作れる最高のiPad」というものであり「より小さく、より安く」ではない。

このメッセージは、フォームファクターは好きだが、1、2世代遅れているのが嫌なユーザーには理想的なものだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

最大の新機能は、iPad Airで導入された上部に搭載されたTouch IDだ。ほとんどの場合、すばやく簡単に動作する。しかし「ロックを解除するために休んでいる」のに、誤って電源ボタンを押して電源を切ってしまうという厄介なループが発生する可能性もある。しかし、全体的にはAirよりも使いやすいといえるだろう。手がより小さなminiのエッジにフィットしやすいことを考えると。

使い勝手はこれまでとあまり変わらないものの、依然として残っているユーザビリティに対する指摘には、分割表示の実装でかろうじてクリアしている。機能的には問題ないが、時として少々窮屈に感じることもある。ここにもっと良い解決策があるかもしれない。アイコンのサイズも、縦方向では少し粗いが、横方向では完璧なものに感じられる。要するに、iPad mini専用に調整したバージョンのiPadOSが必要だ。リニューアルされたモデルを手に入れた現在、私はiPad miniを独自の使いやすさの次元に引き上げるために、2022年の進化を求めたいと思っている。

それ以外は、すべて本当に楽しい。スピード、軽さ、そして大きくなった画面サイズは、初代iPad移行、最も「iPad」らしいiPadの1つだと思う。初代iPadは、今思えばかなり重かったが、実際に使って触ってみたときは、本当に衝撃的だった。コンピュータの純粋な「スラブ(平板)」だった。今回のminiでは、その感動を思い出した。

ここ数日、iPadで読書やブラウジング、映画を観ているが、とてもいい感じだ。新バージョンのApple Pencil(側面のフラット化とマグネット式充電により実現)が追加されたのも良い点で、これによりすばらしいスケッチツールとなった。

iPad miniは、iPad Airが持つすべての機能とそれ以上の機能を、最新の技術を駆使して小さなパッケージに収めたものだ。全体的にとても魅力的だ。もし迷っている人がいるのであれば、まずそのことを知ってほしい。

画像クレジット:Matthew Panzarino

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Katsuyuki Yasui)

【レビュー】iPhone 13 Proを持ってディズニーランドへ!カメラとバッテリー駆動時間をテスト

2021年のiPhoneレビューは、えーと、もちろん、数年ぶりにディズニーランドに戻ってくることになった。うれしいことに、iPhone 13 ProとiPhone 13は非常に良いパフォーマンスを見せてくれた。また、iPhone miniとiPhone 13 Pro Maxで行った限定的なテストでは、初めて、望遠レンズがなくても問題なければ、iPhoneをサイズの好みで簡単に選択できるようになったことがわかった。

私がこれらのiPhoneをいつもディズニーランドに持ち込む大きな理由の1つは、Apple(アップル)が主張する改善点を実際の環境で激しくテストするのに最適な場所だからだ。ディズニーランド内は暑く、ネットワーク環境は最悪で、写真やチケットのスキャン、食べ物の注文など、最近ではほとんどすべてのことに携帯電話を使わなければならず、かけたお金の分最大限楽しめるようできるだけ長く滞在することが多い。これは、人為的なバッテリー消耗や管理された写真環境を含まない、理想的な耐久テストと言えるだろう。

私の行ったテストでは、それほどではないケースもあったが、Appleの改良点のほとんどが、実際に旅先での生活の質に目に見える影響を与えてくれた。画面の明るさ、より長い望遠、そして長くなったバッテリーの持続時間は、いずれもうれしいポイントだった。

パフォーマンスとバッテリー

iPhone 13 Proのバッテリーは、園内での使用でちょうど13時間超えを記録したところで使い切った。2021年はビデオのテストが多かったため、カメラアプリが通常よりも長く画面に表示され「画面上」での使用時間が1時間強となり、システムに少し負担をかけてしまった。実際に標準的な使い方をすれば、それ以上の効果が得られると思うので、iPhone 12 Proのビデオ再生時間が1時間以上長くなったというAppleの見積もりは、おそらくかなり正確なものだと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

私のテストでは、iPhone 13 Pro Maxに同じレベルの負荷を与えることは難しかったものの、iPhone 13 Proが充電を必要としたときにまだ余力があったことを考えると、iPhone 13 Pro Maxにはさらに多くのバッテリー駆動時間が期待できると言えるだろう。ただ、より大きなバッテリーで、より多くのバッテリー駆動時間が得られるというのは、大きな驚きではない。

開園一番に入園するつもりなら、午前6時くらいに充電器から外して、午後4時くらいまでには充電器を用意して、電池切れにならないように計画したほうがいいだろう。これは、厳しい環境下でカメラを多用するiPhoneにとって、全体的に悪くない稼働率だと思う。

Appleの新しいProMotionディスプレイもいい感じにアップグレードされていて、画面の明るさが増していることに気づいた。ただし、この明るさの向上は、iPhone 12 Proの画面にハイキーなコンテンツを表示した状態で並べてみて初めて実感できるものだった。ディズニーランドのアプリを起動してバーコードを読み取ると、読み取りの安定性が向上し、直射日光の下では全体的な明るさが増していることがわかる(はっきりとは言えないが)。直射日光が当たらない場所では、この違いほとんどわからないと思う。

ProMotionスクリーンの可変リフレッシュレートは、Safariをスクロールしているときに120Hzまで上昇するが、これは本当に生活の質の面ですばらしい向上だ。私はここ数年、コンピューティングのほとんどをiPad Proで行ってきたので、残念ながらこの分野には少し飽きているが、まだ経験したことのないiPhoneユーザーにとってこれは驚くべき進歩に映るだろう。Appleのシステム上で120Hzに固定されているわけではないため、写真やテキストなどの静止したコンテンツを見るとき、スクロールしないときなどは画面のリフレッシュレートを遅くすることで、バッテリー寿命を節約することができる。うれしいことに、スクロール中に大きなずれも発生せず、この切り替えの際にも、実に反応が良く、シームレスに処理されている。

新しいA15チップは、そう、2020年よりもパワフルになっている。この点が気になる人のために、以下いくつかの数字を紹介しよう。

画像クレジット:Apple

特に、バッテリー駆動時間が短くなったのではなく、むしろ長くなったという点で、非常に印象的だ。Appleデバイスのワットあたりの性能は、チップ担当部門の(あまり)知られていない偉業であり続けている。2021年のiPhoneやM1ラップトップが、単にめちゃくちゃ速いというだけでなく、充電器に接続せずとも、実際に膨大な時間使用が可能であるということだ。気になる方のために触れておくと、iPhone 13 Proには6GBのRAMが搭載されているようだ。

デザイン

画像クレジット:Matthew Panzarino

iPhoneのデザインは、相変わらずカメラと無線を中心に構成されている。カメラパッケージのセンサーとレンズをサポートするために必要なもの、そしてアンテナが5Gに対応できるようにするために必要なものが、iPhoneの現時点におけるデザインのハンドルをコントロールしており、それはごく自然なことだ。

iPhone 13 Proの背面にあるカメラアレイは、Appleが新たに搭載した3つのカメラに対応するため、より大きく、高くなっている。そう、全体で40%も大きくなり、高くなっているのだ。Appleの新しいケースには、非常に目立つ隆起がある。これは、ケースを表面に置いたときにレンズを保護するためのものだ。

他のすべての部分は、カメラと、ワイヤレス充電と無線性能の必要性を中心に作られている。しかし、Appleのつや消しガラスとスチール製の縁の外観は、2021年も宝石のような品質を維持しており、やはりすばらしい見た目のものに仕上がっている。多くの人がケースを付けずに長時間見ることはないと思うが、見ている間はイケてる携帯電話だと言えるだろう。

カメラのパッケージングを改善したことで、前面のノッチはわずかに小さくなり、動画視聴などの際の画面領域がわずかに増えたが、デベロッパーの人たちが浮いたピクセルをうまく利用する方法を見つけてくれるのを待たなければならない。

次に、カメラについて説明しよう。

カメラ

純粋に、ユーザーの選択肢や、見違えるほど画質を向上させるような改善を、Appleが毎年続けていくことはあり得ないことのように思える。にもかかわらず、カメラの品質と機能は、iPhone 11 Proから全面的に大きく飛躍しており、iPhone 12 Proからも顕著な改善が見られる。それら以前の機種を使っている人であれば、きっと気に入るであろう最高の画質を目の当たりにすることになるだろう。

カメラのパッケージと機能セットも、これまで以上にラインナップ全体で統一されている。Appleのセンサーシフト光学式手ぶれ補正システムは、すべてのモデルに搭載されており、iPhone 13 miniでさえも搭載されているのだが、このセンサーアレイの全体的なパッケージサイズを考えると、これは驚くべきことだろう。

2021年のディズニーランド内での私の経験では、どのレンズを選んでも、Appleによるカメラ改良の大きな違いを感じることができた。低照度から高倍率ズームまで、熱心な写真家の人たちにも満足してもらえる内容となっているはずだ。それと、シネマティックモードについても後で紹介しよう。

望遠

私が改善を期待していたレンズの中で、望遠レンズには実はそれほど大きな期待を寄せていなかった。しかし、このレンズの撮影範囲の広さと実用性の高さには、うれしい驚きを感じた。私は自他ともに認める望遠派で、iPhone 12 Proで撮影した写真の60%が、ワイドよりも望遠で撮影したものだ。後からトリミングしなくても、フレーミングをより綿密に選ぶことができるのが個人的に好きなのだ。

望遠レンズにナイトモードが搭載されたことで、以前のように暗闇の中でクロップしてワイドレンズに戻ることがなくなった。このように、本来の光学の望遠に加えて、ナイトモードの魔法も手に入れることができる。2年前にはまったく手が届かなかったことだが、黒の表現力が格段に向上し、手持ちでズームしても、全体的にすばらしい露出を生んでくれるようになった。

画像クレジット:Matthew Panzarino

より高いズームレベルでは、ポートレートはよりタイトにトリミングされ、ポートレートモード以外の有機的なボケ(ブラー)がより美しくなる。この新しいレンズを使えば、人物をより美しく撮影できるようになるだろう。

もしあなたがカメラ好きならわかると思うが、3倍ズームは私が愛用している105mm固定式ポートレートレンズによく似ている。このレンズのパッケージは、クロップ機能もあり、優秀な背景の分離機能もあり、そして光学品質がとにかく非常に優れている。今回、Appleは望遠で見事に成功したと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

演出のときもあるが、基本的にはパンデミック対策のため、パフォーマーとゲストとの間に距離があることが多いディズニーランドでは、より長い光学レンジも非常に便利だった。カイロ・レンが観客を盛り上げているところを、手を伸ばして撮影できたのは楽しいことだった。

広角

Appleのワイドレンズは、センサー技術全体で最大の進歩を遂げている。ƒ/1.5の大きな開口部と新しい1.9µmのピクセルサイズにより、集光力が約2倍になり、その違いがよく表れている。夜間や車内での撮影では、黒の深みやダイナミックレンジが向上し、全体的な画質が著しく向上した。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ナイトモードを有効にすると、集光範囲の拡大とSmart HDR 4の改善により、黒がより濃くなり、洗いざらしのような写りにならなくなる。あえて言えば、全体的に「より自然」ということになるが、これは今回のiPhoneのカメラに共通するテーマだと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ナイトモードを有効にしていない状態では、より多くの光を取り込むことで画質が向上していることが一目瞭然だ。ナイトモードをオフにしなければならない状況はほとんどないと思うが、光が少ない中で動いている被写体などはそのユースケースの1つであり、この新しいセンサーとレンズの組み合わせであれば、そのような場合でも数センチの余裕を得ることができる。

センサーシフト式OIS(光学式手ブレ補正)がiPhone 13に搭載されたことは、静止画と動画の両方に大きな恩恵をもたらす。私はiPhone 12 Pro Maxの手ぶれ補正機能でいろいろ遊べたことに満足しているが、まだ手ぶれ補正機能を使ったことがない人は、この機能がもたらす、レベルアップしたシャープさに信じられないほど満足することになるだろう。

超広角

Appleの超広角カメラは、しばらくの間、嫌われてきた。新しい視点を提供してくれるものの、発売以来、オートフォーカス機能の欠如や集光性能の低さに悩まされてきた。しかし今回のカメラでは、ƒ/1.8の大口径化とオートフォーカスを実現している。集光力が92%向上したとAppleは主張しているが、かなり厳しい照明条件でテストしたところ、全体的に大幅な改善が見られた。

ディズニーランドでは通常、ワイド撮影の方法は2つに1つだ。1つはポートレート撮影時に魚眼レンズのような遠近感を出すために接近して撮影する方法、もう1つは照明やシーンの設定が特に良いときに景色を撮影する方法だ。オートフォーカスを使えば、1つ目の方法は大幅に改善され、2つ目の方法も絞りを開けることで大幅に改善される。

月明かりに照らされたTrader Sam(トレーダー・サム)を撮影した写真を見て欲しい。照明と風景がちょうどよく、思わず手に取ってしまいそうなスナップだ。iPhone 12 Proも悪くないが、両者の露出には明らかな差があるのがわかる。絞り値の改善を比較するために、どちらもナイトモードをオフにして撮影している。

画像クレジット:Matthew Panzarino

この差は明らかで、Appleがこの超広角カメラを改良し続けていることに総じてかなり感心しているのだが、現時点では、このサイズの12MPセンサーがこのような広い視野を持つレンズにもたらすことができる限界に達しつつあることは明らかだと思われる。

新しいISP(画像信号プロセッサ)では、ナイトモードの撮影も改善されている。絞り値が大きくなったことで撮影可能な生の範囲が増え、ナイトモードの撮影では、明るいキャンディのような見た目が削ぎ落とされ、より深みのある有機的な感覚が得られる。

マクロ写真と動画撮影

また、iPhone 13 Proの新たな撮影機能として、2cmまで接近して撮影できるマクロモードがある。iPhone本体の超広角レンズに搭載されているだけあって、本当によくできている。

信じられないほど細かい部分まで撮影することができた。「物体の表面の質感」が見えるくらい細かく「蜂の胸部にぶら下がっている花粉」が見えるくらい細かく「露が….」、まぁこのあたりはもうなんとなくわかるはずだ。マクロアタッチメントを持ち歩かなくても、かなり接近して撮影でき、これだけで十分なのだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

撮影領域の中心となる40%程度の粗い領域では、マクロ画像のシャープさと鮮明さが際立っていた。マクロモードがウルトラワイドであるため、画像の周辺部にはかなりの量のコマ収差が発生する。基本的には、レンズが非常に湾曲しているため、超球面素子の端で過剰なボケが発生する。これは、焦点距離の最小値である非常に近い距離でのみ見えるものだ。数センチの距離であれば、気がつくと思うが、おそらくトリミングするか、我慢するだろう。10cm程度の「中マクロ」であれば、あまり気にはならないかもしれない。

これは、すべてのマクロレンズの特徴である「極めて」狭い焦点距離とは別の要素だ。基本的に、最大マクロでは精密さが求められるが、それは今に始まったことではない。

ディズニーランドのスケールの大きさを考えると、マクロの使い方を積極的に模索しなければならなかったが、他の場所ではもっといろいろな使い方ができるのではないだろうか。しかし、Radiator Springs(ラジエーター・スプリングス)のボトルのきめや、Galaxy’s Edge(ギャラクシーズ・エッジ)の人工的な菌類など、クールな写真を撮ることができた。

マクロ撮影も同様に楽しいものだが、本当に活用するためには、手をかなり安定させるか三脚が必要となる。手のわずかな動きが、焦点領域に比例してカメラを大きく動かすことになるからだ。基本的に、このモードでは小さな手の動きが大きなカメラの動きに繋がってしまう。しかし、これは非常に楽しいツールであり、私はこれを使ってGrand Californian Hotel(グランド・カリフォルニア・ホテル)の庭で花びらにいる虫を追いかけるのを楽しんだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

大きなスケールから超細かなディテールまで、さまざまな写真を撮影するのに最適な方法だ。

iPhone 13 Proでは、超広角カメラがマクロ撮影のホームグラウンドとなっているが、興味深い点として、マクロ撮影の範囲に入ると、広角カメラと超広角カメラとの切り替わりが確認できるという点が挙げられる。これは、1つのカメラがオフになり、もう1つのカメラがオンになるという、画像の素早い変化として現れる。これは、照明条件やiPhoneのカメラスタックによる画像判断によってカメラが常に切り替わるにもかかわらず、他の状況ではほとんど見られなかったことだ。

通常、ユーザーはこのことにほとんど気づくことはないだろうが、公式のマクロカメラが利用できるようになったことを考えると「1倍」撮影中に対象物に急接近すると「0.5倍」モードに切り替わり、超近接撮影が可能になる。これはこれでいいのだが「マクロの距離」(約10~15cm)に入ったり出たりしてカメラが切り替わると、少しハラハラする。

このカメラ切り替えの動作についてAppleに問い合わせたところ「今秋のソフトウェアアップデートで、マクロ撮影やビデオ撮影のための近距離での撮影時にカメラの自動切り替えをオフにする新しい設定が追加される予定です」とのことだった。

これにより、マクロ域に特化した作業をしたい人にとっては、この比較的小さなクセが解消されるはずだ。

フォトグラフィックスタイルとスマートHDR 4

コンピュテーショナルフォトグラフィー(デジタル処理によって画像を生成することを前提としたイメージング技術)に対するAppleのアプローチでよく対立することの1つが、高度に処理された画像に関しては、全般的に控えめになりがちだということだ。簡単に言えば、Appleは自分たちの画像が「自然」であることを好むのだが、Google(グーグル)やSamsung(サムスン)といった競合他社の同様のシステムでは、差別化を図るためにさまざまな選択を行い「よりパンチの効いた」、時には全体的に明るい画像を作り出している。

画像クレジット:Matthew Panzarino

画像クレジット:Matthew Panzarino

2年前にAppleがナイトモードを導入したとき、私はこれらのアプローチを比較した。

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2021年、Appleが発表した新製品でも、この「自然体」というテーマに大きな変化はなかった。しかし今回「フォトグラフィックスタイル」が導入され「トーン」と「ウォーム」と呼ぶ2つのコントロールを調整することができるようになった。これらは、基本的には「ヴァイブランス」と「色温度」だ(一般的にはの話だが)。調整なしを含む5つのプリセットと、-100〜+100のスケールで調整できるプリセットの2つの設定を選ぶことができる。

私は、長期的に人々がこれらの設定を使いこなし、特定の見え方を撮影するためのおすすめの方法などが出回ることを予想している。これらのプリセットの中で私が最も気に入っているのは「ヴァイブラント」だ。オープンシャドウと中間色のポップさが好きだからだ。しかし、多くの人が「リッチコントラスト」に惹かれると思う。一般的に、コントラストが高い方が人間の目には好ましいと映りがちだからだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

子どもサイズのスピーダーを撮影したこの写真では、シャドーとミッドトーン、そして全体の色温度に影響が出ているのがわかる。私は、これは状況に応じたフィルターというよりも、フィルムカメラでフィルムの種類を選ぶような、深い「カメラ設定」機能だと捉えている。コントラストを重視するなら「Kodak Ektachrome」、寒色系やニュートラル系なら「Fuji」、暖色系の肌色なら「Kodak Portra」、発色を重視するなら「Ultramax」といった具合だ。

この設定では、出したい色が出るようにカメラを設定することができる。この設定は、カメラアプリを閉じても保管される。これにより、カメラを開いたときにすぐ、思い通りの撮影ができるように設定されている。iOS 15では、ほとんどのカメラ設定がこのようになっている。これは、iPhoneのカメラを開くたびにリセットされていた昔と比べて、生活の質を向上させるものだろう。

なお、これらのカラー設定は画像に「埋め込まれて」おり、ポートレートモードのライティングシナリオのように後から調整することはできない。また、RAWの状態では有効ではない。これは理解できる。

また、スマートHDR 4は、フレーム内の被写体に基づいてスマートなセグメント化を行うようになったことも特筆すべき点だ。例えば、逆光で撮影されたグループ写真を撮影した場合、新しいISPでは、それぞれの被写体を個別にセグメント化し、カラープロファイル、露出、ホワイトバランスなどの調整をリアルタイムに行う。これにより、窓からの撮影や太陽の下での撮影など、暗い場所から明るい場所への撮影が格段に向上した。

2021年の自撮りカメラは、あまり改善されていないように思うが、いつもどおりだ。シネマティックモードを使用することができ、自撮りモードではそれほど便利ではないものの楽しい。

シネマティックモード

これは、一般に公開されている実験機能のようなモードだ。実験に参加しようとしている人たちにとっては、最高の舞台装置となるだろう。Appleの一般的なマーケティングに反して、これはまだ映画セットでの実際のカメララックフォーカスのセットアップに取って代わるものではない。しかし、これまでカメラやレンズ、機材といった多くの扉の後ろに閉じ込められていた巨大な撮影ツールセットを、新進の映画制作者やカジュアルユーザーに開放するものとなる。

シネマティックモードでは、カメラの深度情報、加速度センサー、その他の信号を使用して、合成ボケ(ブラー)を挿入し、フレーム内の被写体を追跡して、ユーザーの要求に応じて効率的に被写体間でフォーカスを「ラック」する映像を作成する。また、驚きのフォーカストラッキング機能が搭載されており、被写体をロックして追いかける「トラッキングショット」では、人混みや手すり、水辺などの障害物があってもピントを合わせ続けることができる。初期のテストでは、このような深度を利用したトラッキング機能は非常に印象的だったが、セグメンテーションマスキングでは、被写体を背景から分離するための鮮明な境界線を定義するのに苦労し、少し物足りなさを感じてしまった。ポートレートモードが静止画で行っていることを、複雑で混乱した背景で1秒間に30回行うのは、非常に困難であることがわかった。

この機能は1080p/30fpsに固定されているが、これはその使用目的をよく表している。この機能は家族映像をデバイス上で流したり、テレビにAirPlayしたり、ウェブに掲載したりするためのものだ。セレクティブフォーカスの新しいストーリーテリングツールを使って、すばらしい作品を作ることができるであろうTikTok(テイックトック)の映像制作者の間ではかなりウケるだろうと踏んでいる。

画像クレジット:Matthew Panzarino

子どもたちが人混みの中を歩いたり、メリーゴーランドに乗ったりしているところをテスト撮影してみたが、本当に衝撃的なほど良かった。以前は、一眼レフカメラでマニュアルフォーカスのレンズを使って動画を撮影する際に、すばやく連続的にフォーカスを調整することでしか得られなかった、映画のような、夢のようなクオリティの動画が撮影できた。

これこそが、シネマティックモードを理解するための大きな鍵だと思う。このモードは、マーケティング上はともかく、焦点距離の設定や膝を曲げてのスタビライズ、しゃがんで歩いてラックしてのフォーカシングなどの方法を知らない大多数のiPhoneユーザーに、新たなクリエイティブの可能性を提供することを目的としている。今までは手の届かなかった大きなバケツを開けるようなものだ。そして多くの場合、実験的なものに興味があったり、目先の不具合に対処したりすることを厭わない人は、iPhoneの思い出ウィジェットに追加するためのすばらしい映像を撮影することができるようになると思う。

画像クレジット:Matthew Panzarino

画像クレジット:Matthew Panzarino

この機能については、今週末に詳しく紹介する予定なので、お楽しみに。とりあえず知っておいてもらいたいのは、平均的な人が明るい場所でこれを使って撮影すれば、かなり楽しくて感動的な結果が得られるということ。しかし、本格的なプロ用ツールではないということ。そして、特定の被写体にピントが合わなかったとしても、レンズの焦点範囲内であれば、編集ボタンを押して被写体をタップするだけで、後から調整することもできる。

その場で即座にいつでも撮影したい世代のための映画制作ツールとして、これは非常に魅力的なコンセプトだろう。実際、映画製作のメカニズムに費やす時間と技術的なエネルギーを減らし、ストーリーテリングの部分により多くの時間を割くことができるのだ。映画製作は、常にテクノロジーと絡み合った芸術であり、アーティストは常に新しいテクノロジーを最初に採用し、その限界に挑戦するものであるという理想の真の例の1つと言えるだろう。

最近では、私たちのほとんどが映画の言葉に慣れてしまっているので、説明するのは難しいのだが、このようなツールを手に入れることは、今後数年間に私たち一般の人たちが作るホームビデオの見た目や雰囲気を大きく前進させることになるだろう。

Appleのポートレートモードが過去6年間で大幅に改善されたように、シネマティックモードも成長し続け、改善されていくことを期待している。低照度下でのかなり雑なパフォーマンスとロックされたズームは、来年に望む改善点のうちの上位に入っているし、セグメンテーションの改善もそのうちの1つだ。リアルタイムのプレビューだけでなく、撮影後の編集モードでもこのようなスライスや調整ができるのは、Appleの技術力の高さを感じるし、今後もその進化を楽しみにしている。

評価

今回のアップデートは、1日がかりの濃厚なディズニーランドへの外出でも、あらゆる面でユーザー体験を向上させるすばらしいものとなっている。明るさと画面のリフレッシュレートが改善されたことで、ディズニーランドシステム内の操作が容易になり、日中でも案内や待ち時間などの視認性が向上している。カメラの性能が向上したことで、行列での待ち時間や高さのある場所からの撮影など、暗い場所から明るい場所への撮影がしやすくなった。また、新たに追加された望遠では、最近は人混みから離れた場所にいるキャストをクローズアップして撮影することができ、ポートレートモードでなくても美しいポートレートレンズとして機能する。

全体的に、園内で携帯電話をテストした今までの経験の中で最も良いものの1つとなった。カメラを使って「すごい!」と思う瞬間が続き、自分のバイアスに疑問を感じたほどだ。上で紹介した「ナイトモード」の広角と望遠の写真のように、印象的な写真がたくさんあったので、ブラインドテストで他の人にこの2つの画像についてどう思うか聞いてみることにした。そのたびに、明らかにiPhone 13が勝っていた。本当に、全体的に画像作りが明らかに向上しているのだ。

他の部分もかなり良いものになった。A15 Bionicのパフォーマンスが大幅に向上したことで、バッテリー駆動時間に目立った影響がないばかりか、1時間も延長された。上述のパフォーマンスチャートを見れば一目瞭然かもしれないが、1日のチップの電力使用量のパフォーマンスは、まさにAppleのチップチームの最も印象的な偉業であり続けている。

2021年のiPhone 13は画質、バッテリー駆動時間、そしてありがたいことにスクリーンの改良など、この先また1年間にわたってAppleに貢献してくれるであろう強固な壁を提供してくれる、すばらしいプロダクトだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Akihito Mizukoshi)