ChefのHabitatは多様なインフラストラクチャへの対応雑務からアプリケーションデベロッパーを解放する

Chefが今日(米国時間6/14)、Habitatをローンチした。それはアプリケーションを、いろんなインフラストラクチャの上でそのまま動けるようにパッケージする、オープンソースのプロジェクトだ。

Habitatは基本的に、アプリケーションを独自の軽量ランタイム環境で包み、それらをどんな環境でも動けるようにする。ベアメタルのサーバー、仮想マシン、Dockerコンテナ(+そのコンテナ管理サービス)、Cloud FoundryのようなPaaSシステム、などなど。

2016-06-14_1038

“アプリケーションをインフラストラクチャへの依存性から解放して、DevOpsが本来の仕事をできるようにすべきである”、とChefの協同ファウンダーでCTOのAdam Jacobが今日の声明で述べている。“オープンソースソフトウェアは世界中でこれからもどんどん作られていく。そんな中へHabitatを送り出すことは、たいへんすばらしい。アプリケーション中心の自動化が、現代の開発チームに彼らが本当に望むものを与える。それは、新しいアプリケーションを作ったら、ややこしいインフラの工事をいっさいしなくても、それをすぐに動かせることだ”。

Chefのチームによると、最近のソリューションはどれも、あまりにもエンタープライズへ視野狭窄していて、どの企業の環境も独自に深くサイロ化しているので、“われわれはソフトウェアを個々のサイロに合わせていちいち再設計しなければならない”、という。一方GoogleやFacebookのようなWebスケールの企業は独自のプラットホームをスクラッチから作り、それを作ることが彼らのビジネスになっているが、それはどんな企業にもできるやり方ではない。

そこでHabitatは、アプリケーションの見地から見て、アプリケーションを作り、デプロイし、管理するためのベストの方法は何か?、という問に答えようとする。それは、インフラストラクチャを定義するのではなく、アプリケーションが動くために何を必要とするか、を定義し、そこから出発する。そして、一種の“スーパーバイザー”であるHabitatがデプロイを担当し、またあなたがそこにデプロイしたいと考えている環境の、アップグレードやセキュリティポリシーの面倒も見る。

Chefのチームによると、レガシーのアプリケーションをHabitatに移植するのは、かなり簡単だそうだ。

Habitatのそんな約束は、そもそも、かねてからコンテナについて言われていたことと似ている。でもChefによると、Habitatはコンテナ体験を改良し、コンテナ管理の複雑性を大幅に減らした。そこで、ある意味ではこのプロジェクトは、コンテナに対するChefの反応のようでもある。コンテナは、少なくとも部分的には、同社のコアビジネスを脅(おびや)かしているのだ。そして当然ながらHabitatは、Chefの既存のDevOpsツールと問題なく併用できる。

Habitatを試してみたい人のために、Chefはチュートリアル集対話的なデモを提供している。

2016-06-14_0844_001

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマートフォンを充電するたびにバックアップを自動的に行うMeemのUSB充電ケーブル

meem_ks_img_cover

スマートフォンをバックアップするのまた忘れただろ? Meemの新製品は、まさにそんな悩みのソリューションかもしれない。同社が作ったiOSとAndroid用の電源ケーブル(上図)は、スマートフォンに差し込むたびにそのデバイスをバックアップする。Kickstarterのキャンペーンで成功したこのケーブルは、今週初めに一般発売された。

スマートフォンの使い方は大きく変わり、それをコンピューターに挿入することはめったになくなった。でも、スマートフォン上のデータは重要だし、クラウド上のストレージサービスは安全性をいまいち信用できない。では、バックアップを毎日の日課にするためにはどうしたらいいか。

Gotta love some cable porn. Phwoar.

爆発したケーブルは最高にセクシー!ワーォ!

Meemによると、ケーブルは物理デバイスだから(クラウドサービスでもコンピューター上のファイルでもないから)、より安全である。それも一理あるが、あなたはどうかな。ぼくなんかこれまでに、忘れたクラウドのパスワードよりも、なくした充電ケーブルの方が多い。

Meemの良い点は、ユーザーがいちいち意識しないことだ。デバイスのバックアップは忘れても、充電を忘れることはまずない。Meemのケーブルをつないで4桁のPIN(暗証番号)をタイプすると、ユーザーの個人データがたちまちバックアップされる。スマートフォンを充電するたびに。

この充電ケーブルはiPhone用もAndroid用も16GBと32GBの2タイプある。電話機上の全データはもっと多いが、どうしてもバックアップすべき個人データはそれほどでもない。オペレーティングシステムやアプリは、個人的にバックアップする必要がない。同社によると今後は、USB-Cバージョンを出すそうだ。

Meemのプロダクトは1月にKickstarterのプロジェクトとしてスタートし、かろうじて目標額は達成したが、同社のトップは経歴がすごい。CEOのKelly SumnerはGrand Theft Autoで有名なTake-Two InteractiveのCEO、Guitar HeroのRedOctaneのCEO、そしてKickstarterキャンペーンの前にはイギリスのクラウドファンディングプラットホームCrowdCubeで71万ポンド(100万ドル】を282名の個人投資家から集め、会社の時価総額を1100万ポンド(1630万ドル)にふくらませた。

ケーブルはMeemのWebサイトとAmazonで入手できる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

富士通、Boxのクラウドストレージを企業向けソフトウェアに統合

aaron-levie15

Boxは、海外での成長に焦点を絞る中、アジアで最大の契約を完了した。日本の大手ITサービスプロバイダー、Fujitsuは今日(米国時間6/7)、クラウドストレージ会社のBoxと戦略的提携を行い、同社の企業向けソフトウェアにBoxを統合することを発表した。

Fujitsuはまず、全世界16万人の従業員が使うコミュニケーションツールで送受信されるファイルの保存と管理にBoxを使用する。同社は、Boxのサービスを社内利用することによって、2017年3月までにリリースしアジア全体での販売を計画している、顧客関係および企業コンテンツ管理ソリューションをはじめとする、同社の新しい企業向けソフトウェアの開発に役立てると言っている。

Fujitsuは同社の新しいクラウドプラットフォーム、MetaArcにも来年Boxを統合する。MetaArcはサードパーティーサービス(Boxのストレージのような)の他、インフラストラクチャーとホスティングサービスも備えている。Boxにアップロードされた顧客データは、日本のFujitsuデータセンターに保存される。これは、自社データを海外に保存したくない企業にBoxをアピールするのを後押しすると共に、同社のBox Zonesと呼ばれるクラウドデータセンターをアイルランド、ドイツ、シンガポール、および日本に提供する新しい計画とも一致する。

Boxのファウンダー・CEO、Aaron Levieは、ヨーロッパとアジアでの拡大は同社の優先課題であると言っている。Boxは2015年1月に上場したが、好調な収益にもかかわらず、それ以来IPO価格以下で取り引きされている。

Boxは他にも海外への拡大を目指して提携を結んでおり、IBMとの契約では、BoxがIBMの16ヵ国にわたるクラウドデータセンターにデータを保存できるようになった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのBigQueryによる大規模データ分析をGoogle DriveやGoogle Sheetsのユーザーにも可利用に…CloudとAppsの融合を進める

cbf_009

Googleが今日(米国時間5/6)、Google Cloud PlatformとGoogle Appsのツールを部分的に接近させるような発表を行った。Googleの、サーバー不要(serverless)の分析型データウェアハウジングサービスBigQueryが、これからは、Google Driveからファイルを読んだり、Google Sheetsのスプレッドシートにアクセスできるようになる。

これまでは、Googleのクラウドコンピューティングサービスと、Google Appsの消費者ないし企業向けの一連の生産性ツールは、まるで両者間にファイヤーウォールでもあるかのように、互いに遮断されていた。しかし今日Googleのスポークスパーソンが述べたところによると、同社は今、両サービスを統合するためのより良い方法を模索しており、それにより今後はGoogle AppsとGoogle Cloud Platformの両方を合わせたような、統一的ソリューションを提供していく予定だ。

Screen Shot 2016-04-05 at 1.09.27 PM

そのスポークスパーソンはこう語る: “Diane Greeneが何度か指摘したように、顧客はGoogleの複数のプロダクトを使っているので、弊社としてもエンタープライズチーム全体との協働により統一的なソリューションを作り、最良のユーザー体験を提供していきたい。今回の統合によって、高度で大規模なデータ分析を生産性アプリケーションのエンドユーザーが気軽に利用できるようになり、データ主体のワークロードを単純化し、エンタープライズの顧客がGoogle Cloud PlatformとGoogle Appsの両方を容易に使いこなせるようにしていきたい”。

具体的にはこうなる: ユーザーはBigQueryによる分析結果を直接、Google Sheets(“GoogleのExcel”)にエキスポートできる。またBigQueryから直接、Google Driveのファイルにアクセスして分析を行える(データをいったんBigQueryにロードする必要がない)。さらにBigQueryは、編集中のGoogle Sheetsにも直接アクセスできる。

ユーザーはGoogle Driveに、最大5TBまでのファイルを保存できる。BigQueryはもっと大きなデータベースでも楽に扱えるが、でもGoogle Driveからのユーザーは、もっと小さなファイルを使用/保有しているだろう。非常に大きなデータベースともなれば、BigQueryの料金も必ずしもお安くはないが、各月の最初の1TBのデータ処理は無料だから、小さなデータ集合やGoogle Drive上の大きなスプレッドシートでBigQueryを試すぶんには、ふところもほとんど痛まないだろう。

Screen Shot 2016-05-03 at 2.13.42 PM

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Dropboxがクラウド上のファイルを(クラウドにあるままで)ローカルファイルと同列に扱えるサービスProject Infiniteを発表

dropbox-image

Dropboxの、というかすべてのクラウドストレージの問題点は、ローカルドライブ上におけるクラウドストレージのビューの実装だ。ローカルのファイル管理ツールでクラウドのファイルシステムにアクセスしたければ、それが自分のドライブ上に文字通り保存されていなければならない。これではそもそも、ストレージがクラウドにあるという考えそのものが裏切られる。ハードディスクの容量が小さい人は、物理的にも困る。

あるいは、Dropbox.comを開いて別のインタフェイスでファイルにアクセスする方法もあるが、これはほとんどの人が嫌いだ。

Dropboxは、この状況を変えようとしている。

今日(米国時間4/26)ロンドンで行われたDropbox Openカンファレンスで同社は、ファイルがどこにあっても(クラウド、ネットワークドライブ、ローカルドライブ、等)、それらにローカルアクセスできるProject Infiniteと名付けたシステムを、企業顧客向けに発表した。つまり、WindowsのExplorerやOSXのFinderを開くと、Dropboxのすべてのファイルにまるでローカルファイルのようにアクセスできるが、ファイルはユーザーのドライブに保存する必要がない。

Project InfiniteのドライブInfinite Driveは、従来のローカルファイルシステムと同じくシステム全体を視野とするが、ファイルがクラウドにあればクラウドのアイコンが付き、ユーザーのハードディスク上にあってクラウド上にバックアップがあれば、グリーンのチェックマークが付く(下図)。こうして、クラウド上のファイルをローカルファイルのように管理できるが、ユーザーのドライブ上のスペースは専有しない。これまでとは、大きな違いだ。

Dropbox Project Infinite in Mac Finder.

写真提供: Dropbox.

 

Project Infiniteは実際にはinfinite(無限)ではないが、でもユーザーの物理ドライブとDropboxのクラウドストレージの両方をシームレスにカバーする層を提供する。自分のハードディスクに収まりきれないほど大量のコンテンツがあれば、それらをクラウド上のフォルダに入れておいて、必要なものだけをダウンロードすればよい。それでも、そのフォルダの構造は無傷で維持される。ファイルそのものは、ローカルでもDropboxでも、どこにあってもよいのだから。

Dropboxによる今日のProject Infiniteのプレビューの発表では、一般公開の日程が明言されなかった。ぼくと同様、いいなぁと思った読者も、しばし待たなければならない。したがって料金についてもまだ不明だし、最終的には消費者にも可利用になるのか、その点も不明だ。

プレビューではなく、一般公開バージョンが出るころには、これらの疑問への答も提供されるだろう。Dropboxがクラウドストレージの大きな問題のひとつを解決したことは確かだし、それは、そろそろ出てもよいタイミングだった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

OpenStackの第13リリースMitakaは大企業のプロダクションユースの増加に対応して管理性とユーザー体験に注力

dsc09941-1

OpenStack Foundationが今日(米国時間4/7)、そのオープンソースのエンタープライズクラウドプラットホームの13回目のリリース、Mitakaをローンチした。

多くの点でこの新しいリリースは、2010年にRackspaceとNASAから孵化したこのプロジェクトの、さらなる成長ぶりを見せている。重要な機能を新たにたくさん加えることよりも(今回も多いことは多いが)、焦点はこのプラットホームをクラウドの運用者にとって管理しやすくすることと、全体的なユーザー体験の改良に置かれている。

“焦点の置きどころを変えたのは、ほぼ2年前ぐらいから、大企業や大きな組織がOpenStackを彼らのITの最前線で使い始めているからだ”、とOpenStack FoundationのCOO Mark Collierは語る。

そういう大型ユーザー、AT&TやComcast、SAP、Time Warnerなどは、デプロイが容易であることを強く求める。どう転んでもOpenStackが相当複雑なプロジェクトであることに変わりはないから、ユーザーはまず、デプロイに関してさまざまな意思決定を迫られる。そう強調するCollierによると、そのため今では、このプラットホームのコアなコンポーネントはなるべくデフォルトの設定で行けるようにして、ユーザー元におけるセットアップや構成の努力を省力化している。それらのデフォルトは、OpenStackの大型ユーザーの多くが開発してきたベストプラクティスに基づいている。そのひとつの例であるOpenStackの”Keystone“アイデンティティサービスは、アドミニストレーターがActive Directoryなどのアイデンティティサービスを統合でき、またセットアップのプロセスを単純化している。

さらにCollierによると、この新しいリリースはユーザー体験の改良にも力を入れ、デベロッパーがOpenStack用のより良質なアプリケーションを書けるようにしている。たとえばデベロッパーは、これからはOpenStackの統一化クライアントを利用できるので、ワンセットの呼び出しでプラットホーム上にさまざまなリソースを作ることができる。今回のMitakaリリースはSDKもアップデートし、デベロッパーがOpenStackの”Neutron”ネットワーキングスタックをずっと容易に使えるようにしている(その一部はまだ開発途上ではあるが)。

ここ数年の動きの中でCollierにとってとくに意外だったのは、多くの通信企業が今では、ネットワーク機能のソフトウェアによる仮想化を採用するためのデファクトの方法としてOpenStackを利用し、これまでのようにプロプライエタリで高度に専用機化されているハードウェアを使わずに、情報のルーティングを行っていることだ。とくに彼が注目したのは、たとえば今のAT&Tの顧客は、電話をかけるたびに、なんらかの形でOpenStackに触(さわ)っている可能性が高いことだ。AT&T以外にも、Deutsche Telekom, Telefonica, (AOLとTechCrunchの親会社)Verizonなどの著名企業が、今やOpenStackのユーザーだ。

Collierがもうひとつ強調するのは、OpenStackに対する関心の多くが、これまでは、それをプライベートクラウドの構築に利用している企業に由来していたが、しかし今では、とくにアジアとヨーロッパで、OpenStackをパブリッククラウドのデプロイに使用している企業もたくさんあることだ。ただし合衆国は、まだそこまで行っていない。DreamHostやRackspaceなど、OpenStackによるパブリッククラウドに力を入れているところも少なくはないが、ユーザー数で言えばAWSが圧倒的に大きいのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

DreamHostのOpenStackベースのクラウドプラットホームDreamComputeがベータを脱し本番提供へ

shutterstock_286565288

DreamHostはWebホスティングサービスとしてよく知られているが、でも同社はかなり前から、オープンソースのエンタープライズプラットホームOpenStackの、主要なコントリビューターだ。そして数年前からは、OpenStackベースの同社独自のクラウドコンピューティングサービスDreamComputeをベータで提供していた。

今日(米国時間4/5)、そのDreamComputeがベータを終わり、従量制と月額定額制を折衷したような、新しい料金モデルで一般供用を開始した。

DreamComputeは、OpenStackにストレージシステムCephと、Dreamhostが育てたネットワークオーケストレーションサービスProject Astaraを組み合わせたサービスで、AmazonのクラウドコンピューティングサービスEC2などともろに競合する。

約1200社の顧客企業と一緒に、DreamComputeのベータを長年やってきた経験から、チームはDreamHostの合衆国東部データセンターに完全に新しいアーキテクチャを実装した。同社のクラウド担当VP Jonathan LaCourによると、この新しいアーキテクチャはベータ時の倍近いパフォーマンスを提供する。チームがこの新しいアーキテクチャの開発に取り組んだのは約1年前だが、そのときチームがすぐに理解したのは、たとえばユーザーがSSDのストレージを求めていること、そして、たくさんコアがあることよりも、高速なシングルコアのパフォーマンスに関心があることだった。

DreamComputeはベースがOpenStackだから、デベロッパーはマシンにrootアクセスでき、またOpenStackのAPIもすべて利用できる。

料金は時間単位の従量制が基本だが、顧客は25日ぶん以上を請求されることはない。月額の最低料金は4ドル50セントだ。この金額では、従来的なハードディスクを使う古いクラスターは、RAM 1GB、仮想CPU1つだが、SSDを使う高速なクラスターではRAMが512MBのみだ(1GBのマシンは月額6ドルから)。DreamComputeの各クラスターには、100GBのブロックストレージが無料でつく。詳しい料金体系は、ここにある

同社はこの、OpenStackクラウドコンピューティングサービスのローンチに併せて、サービスの使い方を詳細に記した知識ベースを立ち上げた。そのすべての情報はGitHub上にあり、またこれに対する、ユーザーの今後の自由な貢献も期待している。LaCourによると、今後はチュートリアルなどそのほかのドキュメンテーションも、何らかのインセンティブ制により、ユーザー貢献型にしたいという。ドキュメンテーションに対するこのやり方は、Linux仮想サーバーホスティングのLinodeのやり方に似ている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Appleはインフラストラクチャ多様化の一環としてGoogleのCloud Platformを使用か

cbf_009

今日(米国時間3/16)飛び交っている噂によると、Appleは同社のクラウド事業の一部をAWSからGoogleのCloud Platformに移しつつある。本誌も独自に調べてみたが、確かにAppleはiCloudのストレージの多様化に努めているようで、その事業用としてGoogleも利用するようだ。

これは、いちばん控えめに言っても、Googleにとってはまた一つの大勝利で、AWSにとっては敗北だ。これまでも、Dropboxは合衆国におけるストレージ事業の相当量をAWSから自社内へ移したし、Spotifyはそのビジネスの少なくとも一部をAWSからGoogleへ移した。

これまでの試合経過を見ると、今月はGoogleにとってとくに良い月だった…とりわけ、同社のクラウドビジネスの新しいトップDiane Greeneにとっては。SpotifyやAppleのような有名企業が顧客なら、そのほかのエンタープライズ顧客もますますGoogleに魅(ひ)かれるだろう。GoogleのCloud PlatformはGoogle自身のデータセンターの技術がベースだが、しかしそのことはこれまで、AWSやMicrosoftのAzureに対する有利な競合要因になっていない。AWSには古顔の有利性があり、Azureの背後にはMicrosoftの強力な営業力とハイブリッドクラウド技術への特化がある。ただしAzureは、バックにいくら強力なMicrosoftがいても、クラウドビジネスではずーっと後方の二位だ。

まだ、プラットホームの移行に関するApple自身の意思決定の内容は不明だ。AWSやGoogleも、この件に関しては口をつぐんでいる。

某匿名情報筋によると、Appleは今確かに、複数のパブリッククラウドベンダ、中でもとくにMicrosoft AzureとGoogleを、自社のオプションとして検討している。しかしまだ、最終的な意思決定は行われていない。、なおAppleはすでにiCloudサービスやメディアのサービングにおいて、AzureとAWSを使っている。

要するに事態が本当に(今日の噂どおりに)‘AWSからの離脱’なのか、その辺も明確でない。ただしAppleが、クラウドのサプライヤーのポートフォリオの中身を多様化しようとしていることは、確かなようだ。

状況のもうひとつの側面として、今Appleはオレゴン州プラインビルのデータセンターを拡張中であり、合衆国とヨーロッパで新しいデータセンターも作るらしい。そして、これに今回の話が絡むのなら、AWSからGoogleへ、Googleからさらにプラインビルへ、という線はないだろう。新しいデータセンターの竣工を、単純に待つだろうから。

もしもAppleが、単純にインフラストラクチャの多様化を目指して、これまでのAzure、AWS、および自社データセンターに加えてGoogleも使う、ということなら、無理のない線だ。また、AppleがGoogleのクラウド上の特定のサービスを使うつもりなら、データ分析プラットホームBigQueryあたりが、ねらい目だろう。

われわれにとって既知の事項のひとつは、Akamaiの最近の決算報告だ。Akamaiはその中で、同社の最大のクライアントのうちの2社が、多様化しつつある、と言っている。“過去数年間にわたり、中でもとくに弊社の最大の二つの顧客 が、Akamaiの全体的な売上の約13%を占めてきた”、とAkamaiのCEO Tom Leightonが述べている。“2016年を展望するならば、これら二つのアカウントが依然として弊社の最大のメディア顧客であり続け、弊社の総売上の約6%に貢献するだろう。貢献率のこの7ポイントの変化は、彼らのDIY努力の増加がその原因であり、それは、今後の2四半期における、低い前年比売上増加率が予想される主な理由でもある”。

Akamaiの最大のクライアントがAppleであることは衆智だから、上の言葉は、AppleがCDN(Content Delivery Network)事業の一部も自社化しようとしていることを、意味している。

Googleは来週サンフランシスコで、大規模なクラウドイベントGoogle Nextを開催する。もしも(←これは確かにビッグな“もしも”だが)同社が、同社の新しい顧客について何かを発表するつもりなら、それはたぶん、このイベントにおいてだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Office Onlineのリアルタイム編集コラボレーションがDropboxなどMicrosoftのパートナー上のファイルに対してもできる

new-cloud-storage-options-for-office-mobile-and-office-online-2-1024x768

Microsoftが今日(米国時間1/27)、1年前に始めたCloud Storage Partner Program(CSPP)を拡大して、BoxとDropbox、Egnyte、CitrixおよびShareFileのより深い統合をローンチする、と発表した

この‘深い統合’による、同社が自慢しているひとつの新しい機能は、Office Onlineのリアルタイム共同執筆だ。ドキュメントは、パートナーのクラウドサービスに保存されていてもよい。これにより、複数の人が一つのドキュメントの上でリアルタイムにコラボレーションできる。

共同執筆(co-authoring, コオーサリング)は前からGoogle Docsの目玉機能だったが、2013年にOffice Onlineにも登場した。ただし、Microsoftのプロダクトからしかドキュメントにアクセスできなかった(OneDriveとSharePoint Online)。昨年Microsoftは、BoxやDropboxのような人気のクラウドサービスとパートナーし始め、Officeで何でもできるように努力した。しかしそれなのに今日までは、ユーザーはこれらのサービスにファイルを保存できても、保存したドキュメントの共同執筆はできなかった。

EgnyteのCEO Vineet Jainの説によると、MicrosoftのボスSatya Nadellaは、今後有望なエンタープライズクラウドサービスに熱心なので、競合よりもプラットホームの門戸をEgnyteのような企業にどんどん開いている。

クラウドパートナーの統合は、Office for iOSでもできるようになりつつある。Dropboxのユーザーはすでに、そのアプリの中でPowerPointやWord、Excelのドキュメントを編集できていたが、今ではそれがBoxでもできるようになった。Microsoftによると、もうすぐCitrixやShareFile、Egnyte、それにEdmodoでもできるようになる。

DropboxとBoxは今後、Outlookのメールサービスとも統合するので、Dropbox/Boxに保存されているファイルをメールの連絡先へ簡単に送れるようになる。その際ユーザーは、ドキュメントをメールの添付ファイルで送ったり、あるいはクラウド上のリンクを送ったりする。

関連記事。〕

 

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Microsoftがクラウドプラットホームの10億ドル相当の利用を全世界の非営利活動に無償提供

shutterstock_232670755

MicrosoftのCEO Satya Nadellaが今日(米国時間1/19)、今後3年間、Microsoft Cloudサービスにおいて非営利団体に10億ドルの寄付を行う、と発表した

計画では、Azure, Office 365, PowerBI, オンラインCRMなどMicrosoftのクラウドプラットホーム上で、合計約7万の非営利団体をサポートする。

今日の発表声明で、Nadellaはこう述べている: “Microsoftは、われわれの世代におけるもっとも変える力のある技術であるクラウドコンピューティングサービスを寄付して、この惑星全域の、使命を追求されておられる組織に力をお貸しする。今後は、7万あまりの組織が技術にアクセスし、それを、大きな社会的問題の解決に利用して、究極的には人間の状態を改良し、新たな成長を平等に前進させるだろう”。

MS-Phil-Twitter-Crd-1

またMicrosoftの計画では、Azureのストレージとコンピューティングリソースへの無料アクセス助成を、大学の研究員に拡大する。現在、約600の研究事業がこの助成を受けているが、今後はその対象者を50%増やす。

さらにこれらのサービスには、“新しいローコストなラストマイルインターネットアクセス技術とコミュニティトレーニングへの投資”が組み合わされる。これの実際の意味は、たとえばアフリカにおける、テレビの(電波帯の)ホワイトスペースをインターネットアクセスに利用するプロジェクトをサポートすることだ。Microsoftは、2017年までに15か国で20の同種プロジェクトをサポートする計画だ。

根っからの皮肉屋であるぼくなんか、この3年が終わったときどうなるのか、と疑問に思わずにはいられない。こういう、初期利用の無料サービスは販促的な試用期間として提供されることが多く、無料期間が終わればプラットホームの正規ユーザになることが期待される。大学を対象とする事業も、同様だ。学生が卒業したら、これまで大学で使い慣れていたサービスを継続して利用するだろう、というわけだ。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Amazonが容量無制限のクラウドストレージを5ドルで提供、ただし今の契約年だけかもしれない

cloud-drive-devices

【抄訳】
ブラックフライデーの商戦でWebの上でもあちこちでディープなディスカウントが行われているが、Amazonも今回、非っ常に分かりやすい値引きを開始した。同社のクラウドストレージの料金が使用量無制限で5ドルになるのだ。通常ならそれは年額60ドルだから、92%の値引きである。

そのねらいは、AmazonのCloud Driveサービスの販売促進だ。これはDropboxやGoogle Drive、MicrosoftのOneDriveなどなどと競合するサービスで、文書も音楽も写真もビデオもなんでも保存できて、Webからアクセスできる。Cloud Driveのモバイルアプリを使えば、スマートフォンやタブレットからでも。

でも、あなたがAmazonのプライム会員で、Cloud Driveを写真のバックアップだけに使うのなら、プライムの会員特典として無料かつ容量無制限だから、今回の5ドルの販促企画に乗る必要はない。

嬉しいことにこの5ドルという料金は、これから新たにCloud Driveのユーザになる人だけでなく、既存のユーザにも適用される。5ドルに対する既存料金の返金は、これまで使った日割り計算で行われる。

UE-Buy

ただしこの5ドル無制限は、ある日、幸せな夢のように覚めるだろう。つまりAmazon Cloud Driveは年会費制だから、契約を次の年に更新するときには正価を払うことになる(そのときAmazonがこの企画を継続しなければ)。だから、今の契約年だけでもよいから、大きなストレージを安く使いたい、という人にしか、この企画のメリットはないと思われる。

【後略】

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Evernoteの就任間もないCOO、Linda Kozlowskiが年内退職へ

evernote

AAEAAQAAAAAAAAObAAAAJDE5MDcyNDIxLTA4MzEtNGIwZC1iMDBlLTdkOWJlNzEyNjM3ZQEvernoteは、人の生活やそれ以上の物事に関するアイデアとメモを残すプラットフォームとして名を成してきた。しかし、同じ永続性はそこで働く人々にはあてはまらなかった。

本誌は複数の情報筋を通じて、EvernoteのCOO、Linda Kozlowskiが、年内に会社を去る予定であることを確認した。

これは、人気スタートアップに相次いでいる紆余曲折の最新事例だ。今年Evernoteは、新たなCEOを迎え、レイオフを体験し、複数のオフィスを閉鎖し、複数のサービスを中止してきた。

Kozlowskiが辞める理由は明らかにされていないが、その唐突さは注目に値する。KozlowskiはEvernoteに入社後わずか3年あまりであり、COOの任務に就いたのはつい今年の夏だった。

この後他に何が続くかも注目だ。少なくともあと4人の幹部が数ヵ月中に去る、と複数の筋が伝えている。

Kozlowskiの就任後これほど早い退社は、現在Evernoteに起きている激変を浮き彫りにしている。

Evernoteは2007年に設立され、そのモバイル・デスクトップ用メモ書き・整理アプリのユーザーは1億人を超え 、これまでに2.9億ドルの資金を、Sequoia、Morgenthalerらの投資家から調達した。最も近くは、日本の経済紙最大手、日経も名を連ねた。

しかし最近になって、同社は混乱に陥っている。製品の焦点が定まっていないことを叩かれている ― 様々なバーティカルアプリやサービスの提供と閉鎖を繰り返し、中核製品はアプリであるにも関わらず、物理的商品にリソースを注入している。また、無償ユーザーの有償プランへの転換が十分できていないことも批判されている。

一連の幹部の退社も、上級社員の多くはPhil Libinが仕切っていた頃からのメンバーであることを考えれば、驚きではない(Libinは今も会長を務めているが、General Catalystのパートナーでもあるため、現CEOのO’Neillほど日常業務に関わっていない)。

KozlowskiはEvernoteの新市場および新ビジネス分野両方の成長における中心人物であると、Libinが 彼女を指名した時のブログに書いている。

在籍中、LindaはEvernoteを世界中の個人やチームに届けるために休みなく働いてきた。国際事業担当VPとして、彼女はEvernoteの国際的取り組みをすべて取り仕切り、中国とブラジルへのEvernote進出も指揮した。最近では、Evernoteの国際料金戦略でも采配をふるい、新たなEvernote PlusおよびEvernote Premium料金プランの成功を導いた。

いずれもEvernoteの重要な目標であることは間違いない。しかし、CEO O’Neillの言う、「明日に向けての成長と拡大への集中」という方針に、ユーザーもEvernote社員自身も、今日またどんな変化が起きるのか不安に感じているだろう。

EvernoteおよびKozlowskiは、本誌のコメント要求に答えなかった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Driveのモバイルアプリが共有を通知で知らせるなどモバイル的UIをやっと実装

group_sharing

Google Driveのモバイルアプリは、今のぼくにとってすごく重要だ。ノートをとるときでも、ブログ記事などを書いているときでも、それらを外出先から同僚と簡単に共有できるからだ。

今日(米国時間11/4)はそれの、スピードを速くし、共有とコラボレーションを助けるための新しい機能が発表された。これまで、これらの要素は、モバイル上で遅く感じられることがあった。

そう、これまでのGoogle Driveは共有リクエストやドキュメントへの招待をメールで送るのだ。今どき、なんたること!。

でもこれからは、iOSでもAndroidでも、共有は通知で知らされる。ファイルやフォルダを共有したら、指定したアプリに通知がやってくる。その通知をタップすると、そのドキュメントに直行する。この便利さはとても重要だ。

Androidでは、ファイルやフォルダへのアクセスを一回のタップでリクエストできる。通知がiOSやAndroidにやってくると、アクセスが素早く認められる。これまでは、リクエストと応答のキャッチボールで、かったるかった。

しかもこれからは、GoogleのアカウントがなくてもAndroid上でファイルをプレビューできる。デスクトップでは今でもできるが、Googleにログインしていないときには便利な機能だ。iOSでもできるようにならないと、便利さは100点とは言えないけど。

このアップデートが可利用になるのは、来週中だそうだ。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

バックアップサービスのBackblazeがAmazon S3の1/4の料金でクラウドストレージサービスを立ち上げ

backblaze-b2-08-storage-pod

Backblazeは消費者向けと企業向けのバックアップサービスでよく知られており、そのサービスのために同社が買うハードディスクの台数も話題になった。しかし今日同社は、これまでとはやや毛色の違うサービスBackblaze B2の非公開ベータを立ち上げた。それはAmazon S3や、あるいはMicrosoft AzureとGoogleのCloud Platformなどと価格で競合するクラウドストレージサービスだ。

Backblaze-B2-02-cloud-storage-cost-comparison

2007年にローンチして今では利益も出ている同社は、150ペタバイト相当のバックアップデータと1000万を超えるファイルをそのサーバ上に保存している。同社の協同ファウンダでCEOのGleb Budmanによると、そもそもBackblazeが独自のストレージサービスを始めたのも、当時自己資本のみの同社にとって既存のサービスが高すぎたためだ。

“これまでは毎年、時間と労力の90%がクラウドストレージの構築に投じられ、フロントエンドはわずか10%だった”。と彼は語る。そして、きわめて安定したバックエンドを持つようになった同社は、多くのユーザから、バックアップを預けるだけでなく、S3のようなAPIでそのバックエンドに自分で直接アクセスしたい、という要望が寄せられるようになった。

Budmanによると、Backblazeの技術者たちは一年がかりで、その要望に応えるためのソフトウェアを構築した。最初の頃は、わずかな数の社員たちが日々の成長への対応に追われていたから、こんな余技はまったく不可能だっただろう。でも今では、既存勢力と価格や可用性で十分勝負できるB2Bプロダクトを作れる、という気持になっている。

Backblaze-B2-04-screenshots-UI-CLI-API

Backblazeのサービスの料金は、AWSのとても遅いコールドストレージサービスAmazon Glacierの半額、通常のS3サービスの1/4だ。Budmanも、デベロッパがS3からBackblazeに乗り換えるとしたら、その動機は価格だ、と認める。彼によると、“ストレージが高すぎるために存在できないユースケースがいろいろある”、という。たとえばデータを世界各地に分散させて保存したいが、それをAWSだけでやろうとすると、自分で工夫してやる場合の倍の費用がかかるだろう。Backblazeの低料金なら、データの冗長コピーをAmazonに払う場合の15%の料金(約1/6弱)で保存できる。

当面Backblaze B2のユーザは、画像やビデオ、大量のドキュメントなどのデータを保存するだろうが、Budmanは、いずれ膨大な量の研究データなども保存されるようになる、と展望している。

Backblaze B2には無料プランもある(ストレージ10GBまで、読み出し1GB/日、書き込み帯域は無制限)。デベロッパにはAPIとコマンドラインインタフェイスが提供されるが、一般人のためのWebインタフェイスもある。

今はまだ非公開ベータだが、登録はここでできる。一般公開は今年の終わりごろの予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Dropbox for Businessにエンタープライズ向けの新機能―2段階認証、Active Directory連携など

2015-06-05-dropboxforbusiness

今日(米国時間6/4)、Dropboxはエンタープライズ向けの新機能をいくつか追加したことを発表した。主として大企業ユーザーのDropbox for Businessに対する信頼感を高めるのが狙いだ。

Dropboxはエンタープライズ・ユーザーの獲得に苦闘してきた。たしかにDropbox for Businessのユーザー数はかなり増えており、同社によれば10万社以上で、MITやHard Rock Cafeなどの著名な組織が含まれるという。しかしライバルのBoxやEgnyteは早くからエンタープライズ分野に進出していた。Dropboxがエンタープライズ市場に参入するのは遅かったが、たゆまずビジネス向けツールの整備を進めている。

2週間ほど前にビジネス・ツール開発の責任者、Ilya Fushmanを失ったのはDropboxにとっては痛手だっただろう。FushmanはIndex Venturesに加わった。この1年Fushmanの右腕を務めてきたRob Baesmanが新しい責任者となる。

さて、今日Dropboxが発表した新機能は次のようなものだ。

特に目を引くのは2段階認証のサポートだ。セキュリティーの確保に神経を尖らせる大企業は、ユーザーのファイル・アクセスに2段階認証を強制することができるようになった。認証に失敗した場合、再認証の手順は自動的に案内される。システム管理のレイヤーは3段階になった。Baesmanによれば、多くの大企業が採用している管理方式にならったものだという。

また既存のフォルダーの共有管理が改良された。これまでこの点がやりにくいとしてユーザーから改善の要望が出ていた。Dropbox for Businessにデータ漏洩防止(DLP)やデジタル著作権管理(DRM)ツールをプラグインとして提供しているベンダーにとってはことに朗報だ。

共有フォルダーAPIは共有管理を直接かつ自動的に実行できるので管理者の手間を大いに減らす。たとえばDLPツールの場合、ユーザーが内規に違反して、たとえば社会保障番号などを共有しようとした場合、ツールが自動的にそのファイルアクセスをブロックできる。

さらにMicrosoftのActive Directoryへのコネクターが追加され、ユーザーはAPIを利用してActive Directoryにアクセスことができるようになった。これはActive Directoryを利用してユーザー認証を行っている大企業がDropbox for Businessを利用する際の導入作業を大幅に効率化する。

これらはいずれも単独では驚天動地の新機能というわけではないが、Dropbox for Businessが全体として着実に進化を続けていることの証左となるだろう。Dropboxはアップデートのたびに新たなAPIなどのツールを通じて、多くの大企業が利用しているさまざまな社内システムへの適合性を高めている。Dropobx for Businessは企業にとって魅力的な選択肢になりつつある。

Featured Image: Ian Lamont/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DropboxとMicrosoft、提携をさらに強化―無料Office OnlineでDropbox上のOffice文書が編集可能に

今日(米国時間4/9)、MicrosoftとDropboxはすでに親密な関係をさらに強化する新しい提携を発表した。ユーザーはウェブのOffice Onlineを利用してDropbox上のOfficeファイル(Word、PowerPoint、Excel)をブラウザから開き、自由に編集できるようになった。

これまでもデスクトップのOfficeアプリから直接Dropboxのファイルを開くことができたが、そのためにはユーザーはOfficeがインストールされているコンピュータを利用しなければならなかった。オンライン編集が可能になったことでユーザーはビジネスセンターやインターネットカフェなどのマシンでDropboxのOfficeファイルを編集できるようになり、自由度が大幅に増した。

Dropboxのブログ記事によれば、新機能を利用するためには、ファイルをプレビューしたときに表示される“Open”ボタンをクリックすると、「Office Onlineを利用してブラウザから編集」というオプションが現れるという。このオプションが利用できるのはOffice 365のライセンスを持つDropbox for BusinessのユーザーおよびDropbox Basic、Proのユーザーだ。ただしBasic、Proのユーザーは、事前にOffice Onlinのアカウントを作っておくことが必要だ。Office Onlineは無料版でよい。Microsoftにアカウントを登録するだけで無料版のアカウントが作成できる。

今回のアップグレードの意味は大きい。これまでウェブ版のOfficeのユーザーはDropbox内のOfficeファイルをプレビューすることはできても編集は不可能だった。Dropbox BusinessのユーザーはDropbox Badgeというコラボ・ツールでWordやExcelファイルをオフラインのOfficeアプリ開き、他のユーザーと共同で編集することができた。新しい統合機能のおかげでホーム・ユーザーもビジネス・ユーザーも簡単にブラウザ上でOfficeファイルのオンライン編集ができるようになった。

新機能は今日から有効となる。

なお、既存ファイルの編集だけでなく、Office Online内からDropboxへ新ファイルを保存することも可能だ。

Dropbox-office-online-screenshot-EN

Dropboxによれば、現在Dropbox上には350億のOfficeファイルが保存されている。Microsoft のOfficeユーザーは12億、 Office 365のHome、Personalのユーザーは9200万だという。今回の統合はDropboxユーザー数百万の利便性を向上させることになるだろう。これはGoogle DriveなどOfficeに似た生産性アプリを備えたクラウド・ストレージのライバルに対する少なからぬ優位性となる。

  1. dropbox-3-1024x654.png

  2. dropbox-2-1024x654.png

  3. dropbox-1.png

MicrosoftとDropboxが最初の戦略的提携を発表したのが、2014年11月だった。このときにはOffice文書がDropboxのモバイル・アプリから編集可能になり、またOfficeアプリから Dropboxに保存した文書が開けるなどOfficeのDropboxサポートが向上した。

ただしMicrosoftはOfficeの活動場所を拡大するにあたってDropboxだけと提携しているわけではない。さる2月にはiCloudやBoxなどのクラウド・サービスとも広汎な提携低関係を結んでいる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、クラウド・ストレージで強烈攻勢―月1ドルで写真を無制限に保存、5ドルなら全種類無制限

去年、Amazonはプライム会員向けにCloud Drive容量無制限、無料の写真ストレージを提供した。今日(米国時間3/26)、Amazonは有料の容量無制限のストレージ・サービスを発表した。Unlimited Cloud Storageと呼ばれる新サービスはプライム会員以外のユーザーも対象となり、写真以外のファイルのアップロードもサポートされる。これには2種類のプランが用意され、写真のみを対象とするプランは年額11.99ドル、unlimited everythingというビデオやPDFファイルなどあらゆるメディアファイルがサポートされるプランが年額59.99ドルとなる。

また最初の3ヶ月間。無料トライアルができる。

Amazonのこの動きはDropbox、Google、Microsoftその他クラウド・ストレージ分野のライバルに対して真っ向から勝負を挑むものだ。「容量無制限」のサービス自体はこれが初めてではないが、広く一般ユーザーを対象としたものとしてはこれが最初の試みだろう。たとえばDropboxの容量無制限プランはDropbox for Businessの中にある。同様にGoogleの場合も容量無制限サービスは教育機関向けエンタープライズ向けDrive for Workの一部となっている。今回のAmazonのサービスにいちばん近いのはMicrosoftだが、それでも無制限の容量が提供されるのはOffice 365の契約者だ。

この新サービスの狙いは、明らかに一般ユーザーだ。今や一般消費者がもつデジタル・コンテンツはさまざまなデバイスとプラットフォームをまたいで、大量かつ無秩序にちらばり(おっと、私もそうだ!)、伝統的な方法による管理が限界に近づいている。.

Amazonのクラウド・ドライブのディレクター、Josh Petersenは、「多くの人々は誕生パーティー、バケーション、旅行その他ありとあらゆる無数の記憶すべき瞬間を多様なデバイスの上に保存している。そのすべてをバックアップするには何ギガバイトあればいいのかもわからないという状態だ。われわれが今日発表した2種類の新しいプランを使えば、消費者はもうストレージについて心配する必要がなくなる。写真、ビデオ、映画、音楽、その他あらゆるデジタル・コンテンツを安全、確実、かつ手頃な料金で一箇所でまとめて保存、管理できるようになる」とコメントした。

現在AmazonのCloud Driveのユーザー数がどれほどなのか、正確なところは不明だが、Amazon Musicなど既存サービスのユーザーを転換させるというより、まだクラウド・ストレージをまったく利用していない一般消費者から大量の新たなユーザーを獲得することを目的としているようだ。

ただしすでに写真について無料で容量無制限のストレージを提供されている既存のプライム会員やFireデバイスのユーザーも追加料金を払えばUnlimited Everything プランを利用できる。またCloud Driveの他の他のプランのユーザーも今日から新サービスに乗り換えができる。

Amazonによる新サービスの紹介は以下のとおり。

無制限写真プラン(Unlimited Photos Plan) 最初の3ヶ月は無料試用期間。その後は年額11.99ドル(すなわち月1ドル以下)。契約者は枚数制限なしに写真をCloud Driveに保存できる。ユーザーは撮影した写真をデバイスからアップロードすることも、既存の写真フォルダーをアップロードすることもできる。このプランにはビデオや文書の保管のために5GBの容量が追加提供される。

無制限全種類プラン(Unlimited Everything Plan) 最初の3ヶ月は無料試用期間。その後は年額59.99ドル(すなわち月5ドル以下)。写真、ビデオ、文書、映画、音楽のファイルを本数無制限でCloud Driveに保存できる。

〔日本版〕Amazonの日本版クラウド・ドライブのトップページには新プランについてまだ記載がない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Microsoftのオープン化さらに進む―iOS版OfficeからiCloud、Boxへのアクセスを提供

Microsoftは、最近のDropboxとの統合に続いて、今日(米国時間2/17)、Officeソフトと新たなサードパーティーのクラウドサービスとの連携を発表した。手始めとして、iOS版OfficeがiCloudとBoxに直接アクセスできるようになる。これはOfficeのファイル選択機能とiOSのクラウド上に保存されたファイルにアクセするス機能を連携させることによって 実現された。

Microsoftは 公式ブログの記事で、「OfficeユーザーはOfficeアプリ内からサードパーティーのクラウド上のファイルを直接開き、編集し、保存することができるようになったことを歓迎するだろう」と述べた。Microsofによれば「このアップデートは最初にiOSに適用されるが、同様の機能は今後Windows 10アプリ全般、さらにはAndroid版Officeにも提供される」という。

最近Microsoftはサードパーティーのサービスのサポートに強い意欲を見せている。伝統的にMicrosoftはクローズドな自社のエコシステムにユーザーを囲い込もうとする戦略の代表と見られてきたが、この点は 大きく変わった。たとえばMicrosoftは昨年後半にiOS版Officeを、今年に入ってiOS版、Android版Outlook をローンチしている。現在MicrosoftはiOSとAndroidアプリを合計100種類も提供中だ。

またMicrosoftは新しくクラウドストレージ・パートナー・プログラムを発足させた。これはサードパーティーのクラウドストレージのプロバイダーが自身のアプリとOffice365とを直接連携させることができるゆにする。これによりユーザーはウェブ版Officeからサードパーティーのクラウドストレージのファイルを呼び出し、編集し、保存できるようになる。このプログラムの当初のパートナーにはBox、Citrix、Salesforceなどが含まれるが、他のプロバイダーもこちらから参加を申し込める。

有力クラウドストレージ・サービスの中ではGoogleが提携に含まれていないが、Google Driveの生産性ツールはOfficeの直接的ライバルということなのだろう。

一方、BoxのCEO Aaron LevieはTwitterでMicrosoftの動きを「オープンさを新段階に進めたもの」とし、その原動力となっているMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラを賞賛している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Dropbox、ウェブ版UIをアップデート―ボタン追加で共有が簡単になった

今日(米国時間11/11)、Dropboxはこれまでより簡単に共有ができるように新たな機能を追加したことを発表した。Dropboxのウェブサイトにログインすると、新しく「共有」ボタンが追加されたことに気づくだろう。このボタンをクリックするとドロップダウンメニューが表示され、共同作業の相手を加えたり、共有(閲覧のみ)リンクを送信したりできる。

新しい共有ボタンは、ファイルまたはフォルダにマウスでフォーカスを当てたとき、右端に表示される。ドロップダウン・メニューの最初のオプション「共同作業をするユーザーを招待…」ではファイルまたはフォルダを編集できる他のDropboxユーザーを追加できる。相手は閲覧、編集、削除が可能だ。もし閲覧のみ許可したい場合は、2番目のオプション、「リンクを送信」を選択する。このオプションでは相手がDropboxのアカウントを持っていなくてもよい。閲覧者はファイルをプレビューし、ダウンロードすることができるがオンラインで編集、削除はできない。

Dropboxにはこれまでも共有機能が用意されていた。ページ上部、検索窓の左側の小さい虹のアイコンがそれだ。また右クリックからも共有を設定することができた。しかし新しい共有ボタンはフォルダまたはファイルの上にマウスを乗せると表示されるのでわかりやすいし、手数も省ける。この「マウスを乗せて表示」は直感的なだけでなく、UIをすっきりさせておく効果もある。

マイナーチェンジだが、Dropboxのユーザー体験を大いに改善するものとして歓迎したい。初心者やITに強くないユーザーには特にありがたい改良だろう。Dropboxが数多くのライバルを押しのけて一般ユーザーの数を増やしているのはシンプルなUIのわかりやすさが大きく貢献しているようだ。

〔日本版〕日本語版でもすでに「共有」ボタンは実装ずみ。「リンクを送信」を選択すると、共有用URL、送信先メールアドレス、メッセージ入力窓が表示される。また、それに加えて、「可視性/有効期限を設定」のオプションからリンクの有効期限や閲覧するためのパスワードを付加することができる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Bitcasaが容量無制限プランを取り下げ、収益化のためB2Bに進出

【抄訳】

ことわざにもある。タダ飯というものはない(there’s no such thing as a free lunch, タダほど高いものはない)。

容量無制限のストレージを低価格で提供して話題になったBitcasaが、このオプションを廃止する。理由は、ユーザ数が少なすぎて費用を賄えないこと。今の、わずかばかりの無制限ユーザの一部を同社は、サービス規約の濫用者、と呼んでいる。

BitcasaはTechCrunch Disrupt Battlefieldのファイナリストだった。2011年に始まったこのサービスは、月額10ドルで容量無制限のクラウドストレージを提供した。それからわずか3年で、その無制限プランはなくなった。

Bitcasaのブログに、新しい料金体系が説明されている。また、アップロード/ダウンロードのパフォーマンスを良くするなど、ストレージのインフラそのもののオーバーホールも行うそうだ。その記事から引用しよう:

Bitcasaには今後、容量無制限のストレージプランがありません。廃止の主な理由は需要が少ないからですが、弊社のサービス規約がたえず濫用されていることも理由の一つです。すべてのアカウントのうち、1TB以上を使われている方はわずかに0.5%、10TB以上の方は0.1%です。容量無制限という理想を維持すべく努力しましたが、低需要と、濫用が疑われる方々の増加により、無制限プランをビジネスとして維持することは不可能になりました。大容量のニーズに対応するために、これまでのProプランの上限を5TBから10TBに増加します。

今後Bitcasaで大容量のストレージを使いたい人には、年額99ドルで容量1TBのプレミアムプランと、容量10TBで年額999ドルのプロプランがある。無制限プランのままだと、データは11月16日に全消去される。

これからのBitcasaは、上記のように、ストレージインフラのパフォーマンスを改良するとともに、同社の目玉である”ゼロ知識暗号化“(zero knowledge encryption, クライアントサイド暗号化)は継続される。また、BitcasaのAPI集とも呼ぶべきデベロッパサービスCloudFSのローンチを契機に、(従来の消費者向けサービスを維持しつつ)ビジネスモデルのB2B化も推進される。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))