新型コロナ治療開発にも取り組む細胞・遺伝子治療のElevateBioが約183億円調達

見通せない経済状況、そして世界中で新型コロナウイルス感染拡大が続く中で、今は資金調達を行うベストな環境ではないが、一部の企業は巨額調達のクローズを発表している。その一例が、ケンブリッジ拠点のElevateBio(エレベートバイオ)だ。同社は30日、1億7000万ドル(約183億円)のシリーズBを発表した。このラウンドには新規投資家としてThe Invus Group、Surveyor Capital、EDBI、Vertex Venturesが、既存投資家としてF2 Ventures、MPM Capital、EcoR1 Capital、Redmile Group、Samsara BioCapitalが参加した。

ElevateBioは1年弱前に一般向けのサービスを正式に立ち上げた。同社は新しいタイプの細胞・遺伝子治療開発を専門としており、開発と製造それぞれを専門とする新会社を立ち上げて運営している。今回のラウンドで、ElevateBioがこれまでに調達した額は3億ドル(約323億円)超となった。同社は2019年、スイス投資銀行UBSのOncology Impact Fundがリードした1億5000万ドル(約162億円)のシリーズAラウンドを発表した。

ElevateBioは動きを加速させている。R&Dにフォーカスするためにマサチューセッツ州に建設中の広さ14万平方フィート(約1万3000平方メートル)の施設は完成間近だ。同社はまた、特に幹細胞移植に伴うウイルス抑制のためのT細胞免疫治療に取り組むAlloVirという会社も立ち上げた。この治療は臨床試験の後期段階にある。そしてElevateBioはHighPassBioという会社も立ち上げた。HighPassBioもまたT細胞治療を使って幹細胞関連の病気の治療をサポートすることを目的としている。こちらは移植後の白血病再発に主眼を置いている。

ご予想の通り、ElevateBioはCOVID-19の影響を抑制するための取り組みも行っている。特にAlloVirは、免疫システムが脆弱になりCOVID-19によってリスクが高まっている状態の患者を救うのに役立つ一種のT細胞治療の開発に取り組むために 、ベイラー医科大学との既存の研究提携を拡大させている。

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(翻訳:Mizoguchi

気化した過酸化水素で除染すればN95マスクも再利用可能に

N95マスクの不足が全国的に続いているので保健医療施設は、COVID-19への暴露の危険性が最も高い医師や看護師を保護するために、マスクの洗浄と再利用するための方法をなんとか見つけ出そうとしている。

デューク大学は、過酸化水素を使ってマスクの除染する方法を発見したと考えている。

このプロセスでは特殊な装置を使って過酸化水素を気化させ、その蒸気をマスクのすべての層に通して、その素材を劣化させずにウイルスも含め殺菌する。

同大のバイオセーフティー実験所の副所長であるScott Alderman(スコット・アルダーマン)氏は、声明で 「これは我々が長年使ってきた除染技術だ」と言っている。

同大の労働環境安全室のディレクターであるMatthew Stiegel(マシュー・スティーゲル)氏によると、は有効性が証明されており、3つの大学病院のすべてで利用を開始する予定だという。

病院は常に新しいマスクを使い、汚染除去の必要がないことが理想的だが、しかし現在は、そんなことを言ってる場合ではない。

デューク大学におけるN95マスクの消毒に過酸化水素を使う決定は、2016年に発表された研究に基づいているが、マスクの不足でなかったこともあり広く普及していなかった。またこれまでの研究では、クリーニング後のフィットなどは行われていなかった。しかし今回、同大学では実際の現場でその実用性のテストを行っているという。

医学博士で准教授、そして感染症の専門家でもあるCameron Wolfe(キャメロン・ウルフ)氏は「必要不可欠なN95マスクを再利用できれば、深刻なマスク不足に陥っている現在も、最前線で働く医療従事者を保護する能力を高めることができる」という。

Duke University Health SystemのMonte Brown(モンテ・ブラウン)氏は、このテクニックを学外にも広めたいと言う。彼によると、いくつかの医療システムと製薬企業には必要な装置がすでにあるが、現在は他の目的に使われている。しかしそれぞれの地元病院の支援に向けることは可能だとのことだ。

さらにブラウン氏は「我々がスタッフの前で、確信を持って何年も前に実証された除染方法を使ってることを言うことができた。これだけでは問題は解決しないが、今の不足状態の中ではマスクを一度か二度再利用できるだけでも大きな利益になる」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロケット打ち上げスタートアップのSkyroraは消毒液とマスクの生産に注力

Skyroraは、実際にペイロードを軌道上に運ぶ稀有な民間打ち上げスタートアップの仲間入りを目指している新しい企業の1つだ。しかし今、英国内の製造能力のすべてを、COVID-19対応に集中させることにした。スコットランドのエジンバラに拠点を置くSkyroraは、英国政府やNHS(英国民医療サービス)からの製造業者への呼びかけに応じて、できる限りのことをすることにした。新型コロナウイルス危機と最前線で戦っている人たちのために、切望されている医療用品を供給するのだ。

Skyroraryによれば、英国にある事業全体つまりすべての人的資源と運転資金を現在はCOVID-19対応に向けているという。同社は2017年に設立され、最初の宇宙船の試験飛行に向けて活動していた。この2月にはより環境にやさしい実験的なロケット燃料を使った初期のエンジンテストに成功したばかりだった。

しかし現時点、Skyroraは手指消毒液の製造に注力することにした。これが同社としてCOVID-19対応をサポートする初の仕事となる。すでにWHOのガイドラインと要件に沿って最初のバッチを生産している。現在、1週間あたり250mlボトルで1万本以上を製造できるよう生産活動拡大を目指している。

実際のところ、ロケット工学と手指消毒液の間にはかなり密接な関係がある。消毒液の基本的な殺菌成分はエタノールだ。これはアルコールの一種で、初期のロケット燃料に使用されていた。ただしSkyroraの「Ecosene」燃料は灯油の一種で、現在の航空機やロケットの燃料としてかなり一般的に使われているものとなる。

Skyroraは消毒液だけでなく3Dプリンターで作った保護用フェイスマスクが、医療従事者の安全確保に貢献できる可能性についてスコットランド政府と協議している。現在、初期のプロトタイプのテスト中だ。効果が確認できれば、この保護器具を大量生産することを検討している。

多くの企業が、自社の生産ラインと製造能力を最も需要のある領域にシフトするなど、可能な範囲で努力している。今は間違いなく「総動員」が求められる時期だ。とはいえ、注力する分野をここまで大きく変更した企業に、今回のような緊急事態が過ぎたとき、いったい何が起こるのかという疑問もある。特に新しい分野の若いスタートアップにとっては、深刻な問題だろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

市販の材料を使い1分で完成する医療用フェイスシールドの作り方をニューヨーク大学が無料公開

ニューヨーク大学(NYU)は他の多くの学術、民間、公営機関と同様、世界中の医療従事者が必要としている個人防護具(PPE)の供給についてできることに取り組んでいる。同大学はいち早くオープンソースのフェイスシールドを開発し、量産してすこしでも需要に応えるべくその作り方を無料で公開した。

フェイスシールドは、新型コロナ患者と濃密な接触をする現場の医療従事者にとって不可欠な器具だ。具体的にはプラスチック製の透明なマスクで、顔全体を覆う。呼吸器防護具のN95マスクやサージカルマスクとともに使用され、患者が咳やくしゃみをした際に飛散するウイルスを含有する飛沫から医療従事者を保護する。

NYUのプロジェクトはフェイスマスクを量産するためのさまざまな試みの1つだが、他の多くは3Dプリントを使用している。3Dプリントは小規模な業者や個人でも製作に貢献できるという利点があるが、1枚作るのに30分から1時間もかかってしまう。NYUのデザインは一般的な材料だけを使う。透明で柔軟なプラスチックと伸縮性のあるバンドがあればよく、薄くて平らな製品をつくる設備(穴あけ器、レーザーカッターなど)のある製造施設であればどこででも1分以内で製造することができる。

マスクは臨床医と共同で設計され、すでに100個以上が緊急治療室に配布されている。NYUのチームは製造能力を上げ、材料が製造パートナーに揃えば最大30万個を作る計画だ。パートナーにはDaedalus Design and Production、PGR Scenic Technologies、Showman Fabricatorsらがいる。

チームはその作り方をダウンロード可能なツールキットとして一般公開しており、多くの人が同大学のやっていることを真似してより多くのマスクが配布されることを望んでいる。大量生産に協力してくれるメーカーからの連絡も待っている。

個人防護具不足のさまざまな側面に取り組んでいるプロジェクトでは人工呼吸器を作ったり、1台の人工呼吸器を4人同時に使える器具を作っている。これは、コミュニティーのために賢明な人々や組織が協力することで何ができるかを示すすばらしい例であり、新型コロナ危機が深まるにつれ、同様の事例がさらに出てくるに違いない。

画像クレジット:NYU / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

5分間で陽性がわかる米食品医薬局が新たに認可したAbbottの新型コロナ検査

ヘルスケアテクノロジーのAbbottが開発した新しいCOVID-19の検査方法は、結果が出るまでの時間がこれまでで最速で、しかもその場でできるため検査機関への往復がする必要がない。現在、全世界的なパンデミックを起こしている新型コロナウイルスを検査するこの方法は、米国のFDA(食品医薬局)から緊急時使用許可を受けており、来週から生産を開始する。毎日50000セットも生産できるという。

このAbbott ID NOW COVID-19という検査は、診断プラットフォームAbbott ID NOWを使用する。検査装置は小さな台所用品ほどのサイズで、陽性の結果は5分間、陰性は15分間以下で出る。臨床の現場や診療所などでも検査できるようになること、また検査とその結果が出るまでの時間が短くなることから、非常に有用な手段になる。

他の国で使われてきた高速検査や、結果の精度を確認しないFDAの新しいガイドラインによる高速検査方法と違い、この検査は患者から採取した唾液や粘液を使う分子検査法を利用する。

この検査が利用可能になった良いニュースであるのは、検査に使用するAbbottのハードウェアID NOWが、米国ではすでに臨床現場即時遺伝子検査用として広く普及しているためだ。ID NOWは医師のオフィスや救急病院、集中治療室などの医療施設に設置されていることが多い。

Abbottによると、この新しい迅速検査と3月18日にFDAの緊急時使用認可を受けた施設での検査と合わせて4月には500万回の検査が可能になるという。

検査が、新型コロナウイルスによるパンデミックに対処する上で初期の問題の1つだ。1人あたりの検査実施数で、他国に後れをとっていた。そのためウイルスの拡散とそれによる呼吸器疾患を正確に調べることもできなかった。患者は、検査まで待つ日数が長すぎると不満の声をあげており、接触の可能性が高くてそれらしき症状が出ていても、これまでは迅速な対応を受けることができなかった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AIとビッグデータが新型コロナとの戦いで奇跡を起こすことはない

かなづちを持っている人には、あらゆる問題が釘のように見える。予想通り、テクノロジーセクターは目に入るすべての釘を一生懸命かなづちで叩いている。だが、現代のデータエコシステムの分析力は、新型コロナウイルス治療への対応の点では非常に限られている。

企業が持つ莫大な量のコンピューティングリソースを、何らかの形でウイルスと戦うための世界的な取り組みに向けることは、もちろん期待すべきことであり、称賛すべきでもある。

うまく使えば非常に価値ある取り組みができる。例えば、既知のコロナウイルスに関する何千もの記事Semantic Sc​​holarのコンテキスト認識テキスト分析を適用すれば、世界中の研究者が検索できる。研究所や保健当局が世界中で利用できるデジタルコラボレーションツールは、最後にこの規模の公衆衛生上の危機があった際に利用可能だったものをはるかにしのぐ。

だが、進歩に関して誤った印象を与えかねない分野もある。AIとテクノロジーが大きく進歩した分野の1つに創薬がある。数多くの企業が設立され、数億ドル(数百億円)の資金を集めたのは、AIを使用すれば特定の条件下で効果を発揮する新物質を発見するプロセスを高速化できるという期待があったからだ。

当然、新型コロナも研究の対象となる。すでに複数の企業や研究機関が新型コロナに10とか100の有効な物質を発見したと喧伝している。そうした発表は見出しを飾りやすい。「AIが新型コロナに効く可能性がある10個の物質を発見」といった類いだ。

AIを応用することが悪いわけではないが、実用的な結果はほとんど得られていない。例えば交通手段の選択肢を絞るという政策提案に対して、交通量のビッグデータを分析し、提案を支持したり低評価を付すというのは1つのあり方だ。 だが分析によって多数の選択肢が提示されても、いずれも行き詰まってしまったり、現在の取り組みに有害でさえあるなら、話はまったく異なってくる。

これは、AIを応用するのがハイテク企業であり、解決策を提案した後は必然的に彼らの手を離れてしまうからだ。治療の手がかりというものは、選択肢から除外する場合でさえ、過酷なテストを必要とする。有効性を確認するならなおさらだ。すでに他の用途に承認されている薬でさえ、責任を持って大規模に展開しようとするなら、新しい適用方法について再び審査する必要がある。

さらに、この種の創薬プロセスを経て新物質を発見したとしても、何十億という製造量はおろか、何千という規模でさえも、製造にこぎつける保証はない。それはまったく別問題だ。(断っておく必要があるが、取り組んでいるAI企業もある

リード(新薬候補となる化合物)を生成するメカニズムとして非常に重要なアプローチだが、問題はリードがないということではない。リードを発見し、フォローアップする体制は世界中にある。繰り返すが、新薬候補の探索活動を誰も行うべきではないと言っているのではない。仕事の内容をよく考えるべきだと言っているのだ。不確実な結果を伴う一連の課題にもっとふさわしい人々がいる。

同様に、例えば胸部X線をアルゴリズムによって自動的に分析する「AI」による手法は、将来的には価値がある可能性もあるため追求する必要があるが、期待を現実に合わせることが重要だ。今から1〜2年後に、AI分析を行う遠隔医療研究施設が設立されるかもしれない。だがこの春の時点で、新型コロナの診断を提供する「AIドクター」はまだ存在しない。

将来、アルゴリズムがもたらす予測と効率化が歓迎される分野であっても、現在の緊急事態では使えない。求められるのは賢さや斬新さではない。緊急事態では物事が慎重に進められ、三重にチェックされる必要がある。動きの速いスタートアップにとって最も魅力的で人気のあるアプローチは、数百万もの命がかかり、数千もの物事が相互作用するような世界的な危機にはほぼ適さない。

自動車メーカーがマスクや人工呼吸器の製造に工場を活用するのはありがたいが、新薬発見は期待していない。同様に、創薬に取り組んでいる人々がそれ以上のものであると期待するべきではない。AIは原理的に超人的な結果を出すという点から、魔法のようにとらえられる向きがある。以前にも述べたが「より良い」プロセスは、間違った答えをより早く出すだけということもある。

バイオテクノロジー産業におけるデジタル分野の最先端の研究は、基本的にはなくてはならない。だがその性質から、迫り来るヘルスクライシスの緩和には向いていない。見出しだけを読む一般市民も、テクノロジーの進歩がもたらす成果を当て込むテクノトピアンも、そのような期待を持つべきではない。

画像クレジット:Peter Zelei Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米Amazonの6つの施設で新型コロナ患者が相次いで発生

COVID-19のパンデミックで自発的または政府が強制した隔離生活送るようになると、Amazon(アマゾン)のようなオンラインの小売りサービスが頼みの命綱だ。倉庫の従業員とギグワーカー(オンデマンド労働者)が、社会的距離を保とうとするみんなの努力を有効にするための重要な最前線となっているが、彼らは自らの健康をリスクに晒している。

Amazonの少なくとも6つの施設において、その従業員のCOVID-19陽性が判明した。その多くはロッキー山脈の東にある施設で、最初の患者はニューヨークのクイーンズにある施設で発生しケンタッキー、フロリダ、テキサス、ミシガン、オクラホマと続いた。これらの州の別の施設、例えばスタテンアイランドにあるニューヨーク最大のフルフィルメントセンターでも患者が発生した。すべてについて言えるのは、ウイルス禍が拡大を続けている中、これらの事例は氷山の一角に過ぎないということだ。

従業員を助けウイルスの拡大を防ぐために、どのような対策をしていたのか。Amazonの広報担当者は「地元行政の指針に基づいて個人をサポートしている。すべての従業員の安全を確保するために、できる限りの支援を行っている」という。

関連記事:ニューヨークの倉庫で働くAmazon従業員が新型コロナ陽性

検査で陽性だった者は有給で14日間、自宅に隔離される。Amazonによると、タッチスクリーンからドアのハンドルに至るまで、施設の清掃を強化しているという。

新型コロナウイルスは、金属など彼らが好む面の上では長生きするようだ。New England Journal of Medicineによると「SARS-CoV-2は銅やボール紙よりもプラスチックやステンレスの方が安定しており、それらの面の上に置いて最大72時間後も生存しているウイルスが検出された」。それは確かに恐ろしい数字だが、それより長時間になると検出されるウイルスの量は激減した。そのため手洗いは続けるべきだし、必要以上に恐れることはない。

Amazonのスタッフに宛てた最近の公開書簡でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は「私の時間と思考はすべてCOVID-19と、それに対してAmazonができる最良の役割を見つけることにフォーカスしている。みなさんに知っていただきたいのは、Amazonは今後もその役目を継続し、新たな支援の機会を絶えず積極的に受け入れていくということだ」と述べている。

労働者が獲得した数少ない勝利の中には、20時間以上働いている労働者のための有給休暇がある。新型コロナウイルスの流行が、その獲得の契機になったことは確かだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが新型コロナ対策で政府機関と中小企業に860億円を寄付

GoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は米国時間3月27日に、政府機関や中小企業のCOVID-19対策のために広告クレジットとローンで8億ドル(約863億円)あまりを寄付する、と発表した。

その声明には寄付の内訳もある。その多くはGoogleのサービスのクレジットだ。

  • WHO(世界保健機構)をはじめ全世界の100以上の政府機関に2億5000万ドル(約270億円)分の広告費助成を提供する
  • 2019年アカウントが有効だった中小企業に3億4000万ドル(約367億円)の広告クレジットを提供する。クレジットは2020年の終わりまで有効である
  • COVID-19と戦っている大学や研究機関にGoogle Cloudの2000万ドル(約22億円)分のクレジットを提供する
  • 中小企業に対する融資の資金として非営利団体や金融機関に2億ドル(約216億円)のファンドを提供する
  • マスクなど個人を保護する器具増産のために、サプライヤーへの投資を今後も継続する

COVID-19はグローバルな危機であり、Googleのような大型テクノロジー企業は強力でグローバルなネットワークを利用できる。世界経済は疑いもなくパンデミックの影響下にあり、特に中小企業が苦しんでいる。またGoogleがWHOなどの政府機関の活動を、広告の利用という形で強化しようとしていることは歓迎すべきであり、他の企業も続くべきだ。

大型テクノロジー企業からの寄付と同じように、その寄付を受ける人や機関が何を得ているのかに注目するのは健全なことである。

Googleの広告事業も、パンデミックの影響による企業の事業縮小の影響を受けている。Googleは広告出稿に数億ドル(数百億円)を提供することで企業を助けるだけでなく、同社の広告エコシステムの競争力を維持し、広告主からGoogleへの好感も獲得したいと考えている。また政府機関への広告補助もやはりGoogleへの好感度を高め、今後のロビー活動に資するだろう。学術機関へのGoogle Cloudのクレジットは、AWSやAzureからの移籍を促進する効果も期待できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルがCOVID-19のスクリーニングサイトを開設

米国時間3月27日、Apple(アップル)は独自の新型コロナウイルス検診スクリーニングサイト(apple.com/covid19)とそのiOSアプリを、ホワイトハウスとCDCおよびFEMAと共に立ち上げた。

かなりシンプルなサイトで、ベストプラクティスや安全のためのヒントなどと並んで、自分や家族がCOVID-19の検査を受けるべきかを判断するための基本的なスクリーニングツールがある。サイトはモバイルとデスクトップの両方でアクセスでき、社会的距離の確保(Social Distancing)や自己隔離、手洗い、表面消毒、症状の監視などに関する基本情報もある。

アプリにもサイトと同じ情報を確認できるが、現時点では米国のみで提供されている。ウェブサイトは全世界で見ることができる。

サイトはユーザーの症状に応じて「医者や病院への連絡する」「新型コロナウイルス専門の緊急サービスを受診する」「検査の必要はない」などと助言してくれる。このウェブサイトから直接、検査機関にアクセスすることはできない。

Appleはプライバシー注記で、このサイトやアプリでどのようなデータを集めているかを述べている。それによると「Appleはスクリーニングツールから得た答えを収集していない。サイトを改善していくために、Appleはあなたの使い方に関する一部の情報を集めている。集められた情報が個人を特定することはない」という。

大手テクノロジー企業の多くが、COVID-19に関する基本的な情報を提供している。先週はGoogleのVerilyが、新型コロナウイルスのスクリーニングサイトであるProject Baselineの限定バージョンをローンチした。Appleのサイトと違いログインしなくてよいが、検査のスケジューリングなどが直接できない点は同じだ。

関連記事: Alphabet傘下のVerilyがカリフォルニアで新型コロナスクリーニングサイトのパイロット開始

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

3DプリンティングのFormlabsが米食品医薬品局の認可をもらって綿棒の量産へ

米国マサチューセッツ州の3Dプリンターと3Dプリンティングの事業を展開するFormlabs(非上場)が新型コロナウイルス(COVID-19)の検査キット用に設計した綿棒が、近く米食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration、FDA)から認可される見通しだ。

綿棒や試薬など、検査キットのサプライチェーンがグローバルにおよぶので、検査を容易に拡大できないことが米政府が新型コロナウイルスの国内における感染の広がりを知る妨げになっていた。

FormlabsのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)を務めるDavid Lakatos(デビッド・ラカトス)氏は「昨日FDAから通知を受け取り、これ(同社製の綿棒)がクラスワンの『人道機器向け治験適用免除』になった。ISO 135の非破壊検査でコントロールされる施設と設備で作られる限り、適用免除になる」と説明した。

患者は全米で見つかっているので、検査は疾病の広がりが速い地域が優先され、その他の地域には検査キットなどが行き渡らず、それらの地域では感染の広がりの全貌がなかなか把握できない。

綿棒に関しては問題がもっと複雑で、喉から手が出るほど必要な検査キットの部品なのにメーカーが少なく、これまでは米国で1社、イタリアで1社だけだった。

「約1週間半前に、弊社はこの取り組みに加わった」とラカトス氏は語る。

同氏によると「Formlabsには3Dプリンターが6万台あるので生産量を増やせるし、最近オハイオ州に買った工場では手術用クラスの高品質な製品も作れる」とのこと。

現在同社は、人間を使った試験を終えようとしており、オハイオの生産施設の能力を拡張している。同氏によると、同社が1日に供給できる綿棒の量は10万本だ。「そのプリンティングは開始しているが、検品でOKとなるまでは出荷しない」と説明する。

現在、綿棒の多くはパートナーの病院のマークがついているが、今後は大手流通企業とも協力して彼らの流通チャネルにもアクセスし、全米でおよそ3000病院に綿棒を納めたいという。

「なんと言っても、これら綿棒をぜひ世の中に出したい」と同氏は話す。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナの自発的感染による免疫獲得の勧めをTwitterが削除

保守系のオンライン雑誌であるThe Federalistが「人々は意図的に新型コロナウイルスに自分を感染させるべきである」とツイートで勧めていた。Twitterはそのツイートを、Twitterのルール違反であるとして削除した。

その違反ツイートは米国時間3月25日の朝に投稿された。内容は「既存の枠から外れた考え方をすべき時だ。新型コロナウイルスに対する、常識を超えたやり方をすべきだ。それは、慎重にコントロールされた自発的な感染だ」というもの。

Twitterのスポークスパーソンは、そのツイートが同社の新型コロナウイルス関連の新しい規則に違反していることを確認した。

The Federalistが主張する自発的な感染とは、いわゆるPox Partyのことだ。Pox Partyとは、親が子供たちを1カ所に集めて、子供のころによくかかる病気に自分の子供にわざと感染させること。理屈としては、それによって子どもは免疫を獲得し、その後の人生で病気に苦しまない。大人になってかかったら重症になることが多いという。ツイートはそれを、すでに2万人あまりが死んでいる新型コロナウイルスでやろうと言っているわけだ。

国と州の政府はどちらも、在宅と自己隔離を命じている。それによってウイルスの拡散を抑え、保健医療体制の能力を超えた感染や発病の規模になることを防ごうとしている。

Vice誌の記事は、そのツイートを書いたDoug Perednia(ダグ・ペレドニア)氏はオレゴン州に住む無免許の皮膚科医だ、と言っている。

専門家たちはただちに、ペレドニア氏のツイートを批判した。オンラインの禁煙推進団体Cool Quitの医師でCEOのEugene Gu(ユージーン・グー)氏は、そのツイートを「危険かつ無責任だ」と非難した。しかも、人種差別的な言葉も使っている点をグー氏は「危険で嘘の医学的アドバイスを人種差別のチェリーで飾ったケーキだ」と表現している。

あるTwitterユーザーによると、今ではThe Federalist誌の記事へのリンクも有害としてブロックされているそうだ。The Federalist誌のスポークスパーソンからは、いまのところコメントは届いていない。

Twitterは新型コロナウイルス関連の全ツイートを1つひとつ専門家に諮ってチェックし、正確な情報だけが流布するよう努めている。また、ツイートに関するポリシーもアップデートして、新型コロナウイルスに感染するリスクを高めるようなツイートを禁じている。

関連記事:Twitterが新型コロナ感染拡大につながるツイート削除を強化

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

223兆円の景気刺激策を米上院と米政府が合意、新型コロナの経済的影響を軽減

上院のリーダーとトランプ政権の5日間の交渉を経て、ホワイトハウスは米国時間3月25日の早朝、上院院内総務とトランプ政権がCOVID-19の経済的影響を救済する2兆ドル(約222兆5000億円円)の経済刺激策パッケージで合意に達したと発表した。

Washington Post(ワシントン・ポスト)によると午前1時にホワイトハウスの法制部長であるEric Ueland(エリック・ウエランド)氏は記者たちに「みなさん終わりました。私たちは合意に達しました」と告げたという。

上院の多数党院内総務を務めるMitch McConnell(ミッチ・マコーネル)氏と少数党院内総務を務めるChuck Schumer(チャック・シューマー)氏は、ウエランド氏や財務長官のSteven Mnuchin(スティーブン・ムヌチン)氏らと交渉し、その結果は近く上院で議論される。

合意は上院と下院の承認を要するが、しかし3月24日の火曜日に株式市場は合意が近いという報道で上がり、ダウ平均株価は2100ポイントすなわち11.4% 増加した。

関連記事: Wall Street roars on news of potential stimulus deal, Trump hints at opening economy(経済刺激策合意の可能性でウォール街が吠える、未訳)

この1週間で経済刺激策パッケージのサイズも膨らみ、トランプ政権が最初に提示した8500億ドル(約95兆5000億円)から現在の2兆ドル(約223兆円)になった。

政策パッケージの中には失業保険の増額や、病院の助成金1300億ドル(約14兆5000億円)、国民1人当たり1200ドル(約13万3000円)の援助、中小企業への3670億ドル(約40兆8000億円)の融資などが含まれている。

The New York Times紙の記者Alan Rappeport(アラン・ラペポート)氏によると、合意にはシューマー氏の主張により大統領と副大統領、国会議員および連邦省庁の長が支配する企業を国庫からの融資や投資の対象にしないという項目がある。

ドナルド・トランプ大統領は今週、公衆衛生の専門家たちの提案よりも早く緊急事態宣言を解除したいと提案した。米国時間3月24日にトランプ氏は、新型コロナウイルスの拡散を封じ込めるためにはさらに時間が必要だとする公衆衛生の専門家たちの警告にもかかわらず記者たちに、「イースターまでには国の閉塞状態を終わらせたい、どうしてもそうしたくてうずうずしている」と語っている。

ジョンズホプキンス大学のデータによると、米国のCOVID-19の患者は5万5200名あまりで、死者は801名に達している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Travelで目的地のアクティブな旅行情報や航空会社のキャンセルポリシーが強調表示に

Google(グーグル)は米国時間3月24日、モバイルとデスクトップの両方のGoogle Travelに小さいが重要な機能を追加したと発表した。

Google Travelでフライトやホテル、アクティビティを検索すると、目的地のアクティブな旅行情報がハイライト表示されるようになった。さらに、現在のCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、ほとんどの航空会社がフライトの変更やキャンセルのポリシーを変更しているため、Googleはフライト結果ページに航空会社のポリシーへのダイレクトリンクを追加した。

これらは小さな変更だが、残念ながら必要なものだ。誰もが現在の米国務省によるレベル4の「旅行すべきでない」という勧告を知っているだろうが、今後数カ月の間にいくつか地域でポリシーが変更され、あるいは他の地域では変更されないだろう。

航空会社については、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応がまだ流動的であることは、注目に値する。例えば多くの会社は現在、5月に予約されたすべての便をキャンセルできるように、キャンセルポリシーを延長している。またほとんどの航空会社が当面の間、限定的なフライトスケジュールで運航しているが、航空業界がこの危機の影響に対処しようとする今後数週間のうちに、この状況は容易に変わる可能性がある。

航空会社間のポリシー変更に対応するため、Googleはヘルプセンターで新しい文書を公開し、ほとんどの主要航空会社のポリシーへのリンクを掲載している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

離れていても最大4人で収録できるAnchorの新機能でポッドキャスト制作がより簡単に

ポッドキャストを始めようと思ったことがなかったとしても、ここ数週間の孤独な生活の中で、その可能性を考えさせられた。COVID-19こと新型コロナウイルスのパンデミックによる最も害の少ない影響の1つは、間違いなく大量のポッドキャスト配信になるだろう。人々は退屈し、家に閉じこもり、仲間と話をしたり聞いたりすることに飢えている。

対面ではなくオンラインに移行し、個人的にライブ動画を配信したという自分の経験について、長い記事を執筆した。

私は何年も前にAnchorを卒業したが、このアプリはポッドキャストというすばらしい新世界への第一歩を踏み出そうとしている人たちに、多くのものを提供してくれる。Spotifyが現在所有するこのプラットフォームはバージョン2.0のアップデートによって、リモートポッドキャスティング機能「Record With Friends」を拡張すると発表した。

最新バージョンのベータ版では、最大4人のユーザーが会話に参加するためのシンプルなリンクを提供する。そして、ブラウザからアクセスできるさまざまなデバイスで利用できる。まずユーザーがAnchorのアプリでデスクトップまたはモバイルデバイスで会話を開始し、「招待」ボタンをクリックする。

もちろんその有用性や音質もさまざまだろうが、Podcastを始める敷居を下げることができれば、現状において意義があるといえるだろう。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

家に閉じこもる今、ポッドキャストを始めるためのヒント

もう過去5年以上ポッドキャストをしてきたが、これまではゲストと直接顔を会わせてインタビューできない場合、オファーを断ってきた。リモートで優れたポッドキャストを行う人々は大勢おり、私自身も何回か(そこそこのレベルで)番組に出たことがある。しかし直接、会ってインタビューすることの代わりにはならない。動画や音声がクラウドを通過する間にあまりに多くのニュアンスが失われてしまうからだ。

しかしこの数週間、そういう贅沢は言っていられないことになった。ゲストと直接対話して配信するというオプションは当面使えない。そこで自他の安全を確保しつつ高品質のポッドキャストを作るために、かなりの時間を費やしてハード、ソフトを研究してみた。長めの記事だが、自宅でポッドキャストを始めようと考えている大勢の人々のヒントになれば幸いだ。

ただしいくつかの注意点がある。まずはデマや未確認情報を拡散するなというCDCの警告だ。新型コロナウイルスの影響は広汎で職場、私生活をはじめとして社会生活全般に及ぶ。そうした変化に不用意に触れることはCDCの警告を無視することになる。また退屈した人間が他の人間を退屈に巻き込むつもりなのか、YouTubeにはくだらないポッドキャストが山ほど投稿されている。私は以前から多数のポッドキャストが生まれるのは良いことだと主張してきたが、パンデミックはその主張を検証してくれるものになるでしょう。

2番目の注意点は、これは他のハウツー記事でも同様だが、あくまで現在の状況で私個人にとって最適な解だという点だ。何が最適なのかは、人や状況によって異なる。

ポッドキャストを配信していて気づいた点の1つは視聴者は寛容だということだ。CNNを見ているときと不安定なSkypeを介して専門家の意見を聞いているときでは期待のレベルが違う。ウェブカメラの質が悪いことなどポッドキャストの視聴者は気にしない。そうであっても利用できるリソースで可能なかぎり最高の品質を配信したいと考えるのは当然だ。

私はジャーナリストという職業がら、多数のハードウェアをテストできた。そこで高価なスタジオをレンタルしなくても現在市場に出まわっているUSBマイクに十分な能力があることが確認できた。

BlueのYetiといったマイクはポッドキャストやリモートインタビュー用として十分な品質があると一般に認められている。しかしポッドキャスト、YouTubeチャンネルの利用が拡大するにつれて多数のメーカーがこの分野に参入している。

現在、AKGのLyra(写真左)を使っているが、音質に十分満足している。価格はBlueのYetiと同程度、Yeti Pro(写真右)より100ドル(約1万1100円)ほど安い。Lyraのデザインは非常にスマートだが、私の環境ではやや浮いて見える。Lyraには4つ集音パターン(フロント、フロント&バック、タイトステレオ、ワイドステレオ)があり、どれに設定されているか前面のランプでひと目でわかる。コントロールは非常にシンプルでわかりやすい。せっかく定評あるUSBマイクを使いながら大勢のユーチューバーがマイクの設定を間違えて非常に品質の悪い音声を配信していることを考えるとこれはこの点は大きなプラスだ。

もうひとつ、マイク用のウィンドスクリーンを買っておくことを強く勧める。上の写真でLyraにクリップで取り付けてあるのはEJT Upgraded Microphone Pop Filterだ。サイドに幅を調整できる万力タイプのグリップがあり、さまざまなマイクに取り付けることができる。10ドル(約1100円)以下の買い物だが安いウィンドスクリーンでも音質に大きな違いが出る。ポッドキャストを編集してみれば、不愉快な息継ぎ音や風音を除く手間が格段に減っていることに驚くはずだ。

次点にRodeのNT-USB Miniを挙げておく必要がある。ミニサイズなのに強力でサウンドは驚くほど良い。もっともRodeの製品だから当然かもしれないが、99ドル(約1万1000円)という低価格はやはりすばらしい。Blue Raspberryと並んで携帯性が高い低価格マイクの定番だ。また旅行が可能になったら出先に持っていくマイクにはこれを選ぼうと思っている。マイクは付属のデスクトップスタンドに磁石で吸着するようになっており、外してアームや別のスタンドに取り付けるのが非常に簡単だ。

ただし私がどうしても手放せない重要なBlueのプロダクトが1つある。私はポッドキャストの録音では耳をすっぽり覆うタイプのヘッドフォンを使う。BlueのMo-Fiは大型で頑丈でまさにこの目的に理想的だ。着け心地のいい大型のイヤーパッドは環境雑音をきれいにブロックしてくれる(私はニューヨークのアパートメントビルに住んでいる)。たいていの場合、手近にあるヘッドフォンで用が足りはずだが、これから本格的にポッドキャストを始めるのであれば良質のヘッドフォンに投資することを考えてもいいだろう。

ポッドキャスト用のカメラはMac内蔵のウェブカメラを使っている。上でも言ったように視聴者は画質には寛容だ。それでもポッドキャストを制作したら公開する前にカメラのテストをしておくことを強く勧める。まずフレーム内に何が写っているかを確認する。カメラアングルを変えることができるなら、いろいろ動かして最適な背景を探してみよう。ただしカメラアングル以上に重要なのは照明だ。

正直、私自身まだ照明のセットアップに納得できていない。現状は……「間にあわせ」に近いかもしれない。

Macの上の天井のソケットに取り付けた小さいベッドサイドランプだ。ビデオで私の眼鏡に反射するのが見えるだろう。

ソフトウェアではいくつかのオプションを使っている。オーディオのみのポッドキャストならZencastrがやはり優れている。ポッドキャスト用に最適化されており、複数トラックを個別、同時にクラウドへアップできる。同社は今回のパンデミックに対応して無料枠を大幅に拡大し、ポッドキャスティングの普及を図っている。

現在製作中で未発表の分も含めてビデオポッドキャストの場合、録音はAudacityでローカルに行いSkypeを使ってアップロードしている。Zencasterは優れたアプリだが、共同ホストの1人に接続問題を起こすのでもっと伝統的なやり方をしているわけだ。

パンデミックになってビデオポッドキャストのオプションをあれこれ試しているが、今のところ気に入っているのはZoomとYouTube Liveの組み合わせだ。しかしZoomからYouTubeまたはFacebookでダイレクトにストリーミングするには、有料のアカウントを取得する必要がある。最も安いプランが月額14ドル(日本では2000円/月)だ。私は少なくとも新型コロナウイルスの流行がひと段落するまで有料プランにしておくつもりだ。

Zoomの良い点は参加者がログインすべき時間を指定できる点だ。プレミアムメンバーになれば参加者はダイアルアップでオーディオだけの参加もできる。世界に向けてライブ配信する前に、テストビデオを非公開で配信しすべてが正常に稼働していることを確認しておくことを強くお勧めしておきたい。予定されているゲストには開始時刻の少なくとも数分前に参加をしてもらいデバイス、ソフトなどの動作を確認するようにしよう。

Zoomがユーザーの YouTubeアカウントに接続するために少なくとも24時間は必要だ。トラブルシューティングの時間も考えててライブ配信の始める数日前にZoomの設定を済ませておく。

ライブになってからは配信状況のモニターはYouTube Studioを利用する。視聴者からコメントの処理なども簡単だ。私はポッドキャストの時間を通してギャラリーモードに設定している。これは参加者全員が常時ディスプレイに表示されているので面倒な操作が不要だ。アーティストがゲストで音楽のパフォーマンスがある場合は単一カメラモードとし、その参加者のカメラに切り替えている。もっと高額のプランに切り替えると画面に透かしロゴが入るが、機能に問題はない。サービスには基本的なエディターが含まれており、配信の開始、終了部分トリミングすることができる。

さらに洗練された手法もあるのだろうが、前にも述べたようにポッドキャストであれば視聴者はあまり細かい点は気にしない。例えオンラインにせよ、誰かが仲間になって楽しく時間が過ごせればそれだけで喜んでくれる視聴者も大勢いるのだ。

最近公開したポッドキャスト:

I’m Listening’s Anita Flores
Let’s Talk About Cats’ Mary Phillips-Sandy and Lizzie Jacobs
Broken Record’s Justin Richmond
Criminal/This Is Love’s Lauren Spohrer
Jeffrey Cranor of Welcome to Night Vale
Jesse Thorn of Bullseye
Ben Lindbergh of Effectively Wild
My own podcast, RiYL

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ボルボは完全電気自動車Polestar 2を中国で生産開始

Polestar(ポールスター)は、COVID-19のパンデミックで自動車産業が大打撃を受け、世界中に自動車工場の閉鎖の波が広がる中、完全電気自動車Polestar 2の生産を中国の工場で開始した。

Polestar 2の生産開始は、Volvo Group(ボルボ・グループ)傘下の独立した高性能電気自動車ブランドであるPolestarにとって重要な一歩となる。それは、世界が新型コロナウイルスが引き起こす感染症COVID-19による大騒動の真っ只中に開始したというだけの理由ではない。ちょうど3年前、新たな使命を帯びて再出発したボルボの名前で売り出される初の完全電気自動車だからだ。

かつてPolestarは、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)の高性能車のブランドだった。2017年に同社は、エキサイティングで運転が楽しい電気自動車の製造を目指すブランドとして再編成された。そこはTesla(テスラ)が最初に製品を投入して以来、独占状態が続いているニッチな市場だ。Polestarは、Volvo Carsと中国の浙江吉利控股集団が共同で保有する企業だ。2010年に、Volvoはこの吉利に買収されている。

COVID-19は、Polestarとその親会社の事業に影響を及ぼした。世界で最初にこの感染症が猛威を振るった中国で工場閉鎖が始まった。現在、COVID-19の流行の中心が欧州と北米に移り、中国の工場は再開されている。だが欧州と北米の自動車メーカーは、ほとんどが生産を見合わせている。

PolestarのCEO、Thomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏は、従業員の健康と安全にしっかりと配慮した上で、この厳しい状況の中で生産を開始したと話している。また、中国の路橋区の工場は、同社がいかにしてその親会社の専門性を活用しているかを表す好例だと言う。

集団感染に対処すべく、頻繁な職場の消毒や従業員のマスク着用と定期的な体温測定の義務付けといった特別な感染予防対策が施されているという。こうした取り組みの結果、中国人従業員にはCOVID-19の検査で陽性になった者はいないとPolestarは話している。

COVID-19は、Polestarのスケジュールにも影響を及ぼした。同社はオンラインでのみ車の販売を行い、車両のサブスクリプションも提供することに決めた。以前は客が車に触れ、予約すれば試乗もできる「ポールスター・スペース」というショールームの開設予定を公表していた。これは、既存のVolvo販売店の中に併設されるのではなく、独立したショールームだ。Polestarでは2020年までにオスロ、ロサンゼルス、上海など60カ所にオープンすることにしていた。

そのショールームのオープン予定が、COVID-19によって延期させられてしまった。しかし状況が改善すれば、直ちに仮設の販売店を開設し、現在まだ建設中の恒久的なショールームができるまでの間、人々に実車を見て知ってもらおうと同社は計画しているとのことだ。

Polestar 2が何台生産されるかは、明らかになっていない。PolestarがTechCrunchに話したところによると、年間「数万台」が計画されているという。その数はPolestar 2の需要と、同じ工場で生産される他のモデルとの兼ね合いでも変わってくる。

画像クレジット:Screenshot/Polestar

またPolestarは、出荷を開始するまで正確な予約台数は公表しない。出荷はヨーロッパでは今夏、中国と北米がそれに続くことになっている。予約台数は5桁だと、同社はTechCrunchに明言した。

Polestar 2が初お目見えしたのは2019年2月。テスラのModel 3に対抗する車という位置づけだった(初代のPolestar 1はプラグインハイブリッドで、モーターを2基、34kWhのバッテリーパックを3基、ターボとスーパーチャージャーを備えた直列4気筒のガソリンエンジンを搭載していた)。

だが、2020年から2021年にかけてVolkswagen(フォルクスワーゲン)、GM、Ford(フォード)それにLucid Motorsなどのスタートアップ、さらにオフロードに特化したRivianといった他メーカーから販売される新型電気自動車とも競合することになりそうだ。

出力408馬力、トルク487ft·lb(約660Nm)、78kWhのバッテリーパック1基を搭載し、航続距離は欧州のWLTPモードで292mi(約470km)というこのファストバックスタイルの車の技術と性能が人々を魅了するものと、ポールスターは期待している。

Polestar 2の情報システムは、Android OSで管理されるため、結果としてGoogleアシスタント、Googleマップ、Google Play StoreといったGoogleのサービスが車内で利用できるようになる。Android Autoと混乱することはない。Android AutoはOSの上層に位置する二次的なインターフェイスだからだ。Android OSは、Linux上で走るオープンソースのモバイル用オペレーティングシステムを元に作られているが、スマートフォンやタブレットではなく、自動車の中で使うように作り変えられている

画像クレジット:Screenshot/Polestar

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

YouTubeが回線混雑対策で動画再生のデフォルトを全世界で標準画質に

YouTubeは、ビデオ再生画質のデフォルトを来月4月いっぱい標準画質(SD)にすると発表した。家に縛られた退屈な人たちからの需要に応えるためだ。 欧州でも先週同様の対応がなされるなど、高帯域幅を多く使う会社は影響を最小限にすべく努力している。

ストリーム品質をデフォルトで制限するこのポリシーを最初に報じたのはBloomberg だった。Googleは声明で「世界中の政府や通信業者と密に協力して、この未曾有の状況下でシステム負荷を最小限にするべく、我々にできることをやり続けていく」と述べている。

関連記事:YouTubeが新型コロナで欧州における動画視聴のデフォルトを標準画質に

ユーザーは高画質を選ぶこともできるが、十分低い帯域幅にデフォルトを設定することで、人々がその違いを気にしなければ相当量のネットワーク容量を節約することができる。変更は3月14日から徐々に適用される。

YouTubeがネットワーク渋滞を引き起こさないための安全策はすでに十分練られている。「当社ではネットワーク容量を使いすぎないよう、自動的にシステムを調整する仕組みを導入している」とYouTubeの広報担当者は先週TechCrunchに話した。

Netflix(ネットフリックス)、Disney+(ディズニー・プラス)などのストリーミングサービスも使用する帯域幅を絞り、需要が供給を上回ったときにコマ落ちやバッファリングが起きないようにしている。Microsoft(マイクロソフト)とソニーは、ゲームのダウンロードやアップデートの通信速度を下げて、ピーク時のネットワーク飽和を防いでいる。

関連記事:回線混雑緩和のためにゲームのダウンロードが速度制限へ

画像クレジット:Florian Gaertner/Getty Images (画像は加工済み)

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Ford、3M、GEが新型コロナ用の人工呼吸器やフェイスシールド製造へ

Ford(フォード)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療現場で働くスタッフや患者が必要としている医療機器の製造に関する最新の情報を発表した。ここには、3Mとの提携による電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)製造が含まれる。保護具の性能を確保し、増産に対応できるよう、両社が手がける既存のパーツを使用する新たなデザインとなっている。

Fordはまた、同社の3D印刷能力を活用してフェイスシールドも製造するとしていて、週10万枚の生産を見込んでいる。フェイスシールドは、最前線で働くヘルスケアスタッフが患者の咳やくしゃみを通じて広がるウイルスを含んだ飛沫から、自らを保護するためになくてはならない重要な保護用具だ。Fordは新たなフェイスシールドをデザインし、その性能を評価するために最初の1000ユニットを今週、デトロイト・マーシー大学、ヘンリー・フォード・ヘルス・システムズ、そしてミシガンのDMCサイナイグレース病院でテストする予定だ。想定通りの性能が確認できれば、今週末までに7万5000ユニットを製造し、来週以降はミシガン州プリマスにある生産施設の1つで週10万ユニットの製造を見込む。

さらにFordは、GEヘルスケア人工呼吸器の生産能力アップでGEと協業することにしている。この呼吸器のデザインは簡素化されたもので、大量生産が可能だ。こうした取り組みはヘルスケア必需品をめぐる米政府の要望に応えるためのもの、と同社は述べた。米国にフォーカスしたGEとの人工呼吸器プロジェクトに加え、Fordはまた英政府からの要請に基づき同国でも人工呼吸器の製造に取り組んでいる。そして、2020年初めに同社が米国から中国に送ったN95マスク16万5000枚を米国に送り返している。米国での需要が大きいからだと同社は説明。加えて、中国の状況は改善している。

週末にトランプ大統領はFord、GM、Tesla(テスラ)といった米国の自動車メーカーに、人工呼吸器や他のプロダクトをなるだけ早く生産するよう「ゴーサイン」を出したとツイートした。

「我々は米国と英国の政府と事前協議を行い、実現可能性について調べた」とFordの広報担当Rachel McCleery(レイチェル・マッククリーリー)氏はTechCrunchに述べた。「危機に立ち向かうため、皆がこれまで以上に力を合わせて国をサポートすることが必要だ」。

今回のアップデートに基づくと、Fordは貢献できる部分にかなり素早く取り組んでいる。同社は多くの需要がある医療備品を生産するために自前の施設、そしてパートナー企業の施設も使用するつもりだと24日の電話会見で述べた。そしてまた、生産能力と生産量をアップするために既存のパーツや設備を活用する。

例えばFordが生産するPAPRは同社のF-150トラックの冷却シート用の部品や3Mの既存のHEPAフィルターを使っている。こうしたPAPRはバッテリーで動く。1つのバッテリーで8時間駆動して空気中のウイルス微小物質をフィルターで除去できるため、N95マスクよりもかなりの利点がある。交換できる独立型のバッテリーパックは腰につける。生産のタイムラインや能力についてはというと、3MのグローバルテクニカルディレクターのMike Kesti(マイク・ケスティ)氏は、まだそれを確かめているところであり、特に新バージョンの生産に入る前にFordが既存のPAPRの生産をどれだけ補強できるかを精査している、と話した。

「Fordは我々の既存のユニットの生産能力拡大をサポートしてくれている」とケスティ氏は述べた。「今後数日から数週間で既存の製品の増産という形で成果が現れるだろう。しかし我々はFordが保有する部品、そしてNIOSH(米国立労働安全衛生研究所)の規格をクリアした弊社フィルターの活用でも緊密に連携している。可能な限り早期の生産拡大を目指す」。

Fordはまた、既存のN95マスクの生産拡大でもM3をサポートしている、とも同氏は述べている。

FordもGEも、現在取り組んでいる新しいタイプの人工呼吸器のタイムラインや予想される生産能力などは示していない。しかしGEヘルスケア副社長で品質責任者のTom Westrick(トム・ウェストリック)氏によると、発表できるよう鋭意進めているとのことだ。

「新たな人工呼吸器のでデザインやリリースに関する具体的なタイムライン、数字は持ち合わせていない。しかし明らかにこれはGE、そしてFordにとって最重要のものだ」と同氏は述べている。

画像クレジット: Ford

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(翻訳:Mizoguchi

回線混雑緩和のためゲームのダウンロードに速度制限

新型コロナ感染抑制の世界的取り組みのために自宅で釘付けにされている数十億の人々にとって、ゲームはうってつけの逃避方法だ。しかしゲームは巨大だ。Microsoft(マイクロソフト)、Sony(ソニー)をはじめとするゲーム各社は、巨大なゲームをダウンロードする何百万人もの人たちが帯域幅を独占しないよう対策を始めている。でも心配無用、あなたのゲームプレイには影響しない。

コンテンツ配信ネットワークのAkamai(アカマイ)のブログ記事で、インターネットのインフラが直面している津波のようなトラフィックを軽減するために同社が行っていることをいくつか説明している。もちろんビデオストリーミングは最大要因の1つだが、ゲームも連続的ではないもののネットワークにとって大きな負担だ。

Akamaiは「主要ソフトウェア配信業者、特にゲーム業界についてはマイクロソフトやソニーと協力して、ピーク利用時の混雑緩和に取り組んでいる。アップデートが公開された時に大量のトラフィックを生むゲームソフトのダウンロードは非常に重要だ」と記事は書いている。

例えば最新のバトルロイヤルゲーム 「Call of Duty: Warzone」が先週無料で公開され、大きな人気を呼んでいる。ご存じない方のために書くと、Call of Dutyシリーズの最新タイトルであるWarzoneは80GB以上のダウンロードサイズでNetflixの映画数十本分に相当する。さらにいうと、その80GBは自宅のネット接続の最大帯域幅でダウンロードされる可能性が高い。ストリーミングビデオは、数Mbに抑えられているので、接続を独占する心配はない。

関連記事:Netflixが新型コロナによる通信量増加で欧州でのストリーミング画質を30日間抑制へ

Warzoneだけではない。ほかにも山ほどの人気ゲームが、ゲーム以外することのない多くの人たちが家にいる時期にリリースされた。PCゲームプラットフォームのSteamは先日2000万同時ユーザーを記録し、あるアナリストはゲームのトラフィックが400% 増えたと言っている。つまり、ゲームはかつてないほど多くプレイされていて、ゲームのサイズはかつてないほど大きい。

そういうわけで、ゲームのダウンロードは近いうちに帯域幅を絞られる可能性がある。少なくとも一部の分野では。「プレーヤーはゲームのダウンロードが多少遅く感じるかもしれない」とSony Interactive Entertainment(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)CEOのJim Ryan(ジム・ライアン)氏はブログ記事に書いている。TechCrunchはマイクロソフトとNintendo(任天堂)、Valve(バルブ)にも各社のやり方を質問している。

重要なことだが、これはダウンロード以外のゲームプレイには影響しない。ゲームのダウンロードと異なり、ゲームプレイで使用する帯域幅はおどろくほど小さい。プレイのタイミングを維持するために、パケットを高速でやりとりすることは重要だが、データ量は低解像度のストリーミングビデオと比べても少ない。

ゲームのダウンロードは夜間に行うのがベストだ。地域のネットワークインフラは多くの人が寝ている間の方が混雑が少ないからだ。昼間にダウンロードやアップデートするときは、いつもより時間がかかったり、待たされることになっても驚かないように。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

有給休暇の要求で団結したAmazonの倉庫従業員を新型コロナが後押し

Amazonは、その倉庫での労働条件がいかにすばらしいかを公言してやまないが、世の常として、当の従業員の話は少し違っている。シカゴの倉庫に勤める従業員たちは、非正規従業員に約束していた有給休暇や休みの提供を渋りつづけるAmazonに業を煮やしていた。彼らは団結したがAmazonは反発。ところが、新型コロナウイルスがその均衡を破ることになった。

これは、企業に搾取され待遇を変えさせたいと奮闘する従業員から直接聞いた話として、とても興味深い。搾取とは、仕事が辛く給与が安いという意味ではない。それも事実なのだが、従業員の健康と幸福を大切にすると主張している企業から当たり前の配慮と待遇を得るために戦わなければならない状況を意味している。

関連記事:Report alleges Amazon worked with Indiana to downplay warehouse worker’s death and safety concerns

この従業員グループは組合ではないが、ずっと昔に労働組合が巻いた種ではある。共通の不満を持つ従業員が団結して、雇用主側を交渉のテーブルに引きずり出すというものだ。そもそもこのグループは、きれいな飲料水を要求するために組織されたものだ。そう、読んで字のごとし。個人的に訴えても聞き入れられなかったため、150人が嘆願書に署名し提出したところ、すぐにボトル入りの飲み水が大量に届けられ、新しいウォーターサーバーも設置された。

このことから、改善が必要な場合には、みんなで組織的に行動を起こすことが大切だと学びました。その後も、解決すべきばからしい問題は山ほどあるため、私たちは再び集まり、何度かブレインストーミングを行い、自らをDCH1 Amazonians United(DCH1アマゾニアンズ・ユナイテッド)と名乗ることに決めました。組合や非営利団体のバックアップもない、ただの従業員の集まりですが、威厳を忘れず、なんとか生活を保とうと努力しています。私たちは、使えるはずの有給休暇をAmazonが使わせないことを知ったとき、それに対処する態勢が整っていました。

Amazonは、週20時間以上勤務している従業員には有給休暇と休みをとる権利があると書面で伝えているが、そのとおりになっていない。なぜか倉庫の従業員は特別扱いで、週20時間以上働いても有給休暇や休みを取る権利が与えられていないのだ。どうにかして改善されるべき問題だ。

有給休暇を求める嘆願書に251名の署名を集めた彼らは、地区担当のマネージャーと交渉の席を設けた。それは、各シフトが管理者側の説明が聞けるよう、個別に3回行われた。その結果、1人のマネージャーは嘆願書を受理し、後の2人は拒絶した。管理者側は従業員の孤立化を図るようになった。グループでは会わず、個人面談なら受け付けるというのだ。ちなみにこれは、労働者の組織化を潰す初歩的な手法だ。

彼らは、サクラメントの倉庫で同様のグループがストライキを決行したことを聞いた。組織的な活動に神経質になった管理者側が、組織潰しに出たのは明らかだ。Amazonの従業員による国際会議も開かれ、情報や活動方法などが交換された。

関連記事:ニューヨークの倉庫で働くAmazon従業員が新型コロナ陽性

そこへ新型コロナウイルスが襲ってきた。いくつものAmazonの従業員グループから感染予防対策、危険手当と育児補助金の増額を求める嘆願書が提出され、Amazonは病欠を有給扱いに切り替えた。

こうした取り組みの高まりを受け、Amazonは週20時間以上勤務する者全員に有給休暇を与える決断を下した。

画像クレジット:DHC1 Amazonians United

TechCrunchに送られた声明には、Amazonは「前例のないパンデミックに対応し、私たちの業務と物流ネットワークに携わる従業員のための福利厚生を、新しく大幅に改善しました」と述べられていた。またこの決定は、アマゾニアンズ・ユナイテッドまたはいかなるグループからの圧力によるものではないという。だがこれはAmazonを説得するには、世界中のグループが団結して会社の方針に抗議しなければならないと言っているようにも聞こえる。そもそもなぜ有給休暇が与えられなかったのか、私はその理由を尋ねたが、まだ返事が来ない。

シカゴのグループは、窮地に際して決して孤独ではなかったが、必要な改善を勝ち取るための勇気と手段を手にするには、組織とコミュニケーションが必要だった。Amazonは新たに10万人を雇用する予定だが、このグループが勝ち取った恩恵を彼らも同様に受けられることを願う。

関連記事:在宅人口の急増で宅配の需要が増えAmazonは10万名の倉庫労働者を緊急雇用

画像クレジット:Johannes EISELE / AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)