フランスでヘイトコンテンツの24時間以内の削除をプラットフォームに強制する法案が可決

フランスの下院議会は、論争の的となっていた法案を可決した。法案はソーシャルネットワークとオンラインプラットフォームにおけるヘイトスピーチに対抗するものだ。

画像クレジット:Stéphanede Sakutin / AF / Getty Images

私が既に2019年に説明したように、これでオンラインプラットフォームは、フラグが立てられた反社会的なコンテンツを24時間以内に削除しなければならなくなる。さもなければ、この法律に違反したとして毎回多額の罰金を支払う必要が生じる。

反社会的なコンテンツとは、どんなものを指すのだろうか? 基本的にオフラインの世界で違反行為あるいは犯罪と見なされるものは、今やオンラインプラットフォームでも、反社会的なコンテンツと見なされることになる。特に殺害予告、差別、ホロコーストの否定といったものは、まっ先に挙げることができる。

最も極端なカテゴリーとして、テロリストによるコンテンツや児童ポルノについては、オンラインプラットフォームは1時間以内に対応しなければならない。

オンラインのヘイトスピーチが手に負えないものになってきている一方で、多くの人は、オンラインプラットフォームによるコンテンツの検閲が、あまりにも性急なのではないかと懸念を抱いている。そうした企業は罰金が科されるリスクを冒したくないので、法律に違反していないコンテンツでも、確信が持てないために削除する可能性がある。

基本的にオンラインプラットフォームは、自分自身を規制する必要がある。その上で政府は、彼らが適切な仕事をしているかどうかをチェックする。「銀行に対する規制機関と同じようなものです。彼らは、銀行が効率的なシステムを施設していることを確認し、そうしたシステムの運営を監査します。これについても同じように考えるべきでしょう」と、フランスのデジタル大臣であるCédric O(セドリック・オー)氏は2019年のインタビューで私に述べていた。

罰金には複数のレベルがある。最初は数十万ユーロ(数千万円)だが、悪質なケースの場合には、上限としてその会社の全世界の年間収益の4%に達する可能性もある。視聴覚最高評議会(CSA、Superior Council of the Audiovisual)が、こうした案件を担当する規制当局となる。

ドイツは既に同様の規制を採択しており、欧州連合レベルでの議論も続いている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

豪政府「グーグルとフェイスブックはメディア企業にコンテンツ使用料を支払うべき」

オーストラリア政府は、Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)などのテクノロジー大手企業に対し、地元メディアのコンテンツを利用した際に使用料を支払うことを義務付ける規範を導入する方針を発表した。Reuter(ロイター)によってすでに報じられている通り、同政府は以前にもこの2社に対して国内のニュース発行者と広告収入を分け合うようにと要請したことがある。

オーストラリア財務相のJosh Frydenberg(ジョシュ・フライデンバーグ)氏はAustralian Fridayに寄稿した記事の中で、次のように述べている。「消費者を保護し、透明性を高め、当事者間の力の不均衡を是正するという目的で、2020年11月までにデジタルプラットフォーム各社とメディア企業間の関係を管理統制する自主規範を導入するいう当初のプランは進展が見られず失敗に終わった」。

この記事の中でフライデンバーグ氏はさらに「自主規範によって解決しようとしていたコンテンツ使用料に関する根本的な課題について有意義な進展が見られなかった。さらにオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)によると『話が前進する気配さえなかった』」と書いている。

今回の義務規範の立案はACCCが担当する。フライデンバーグ氏によると「価値交換と収益の分配、検索結果のランキングアルゴリズムの透明性、ユーザーデータへのアクセス、ニュース記事の掲載方法、コンプライアンス違反の罰則や制裁に関する条項が盛り込まれる」ことになるという。

「7月末までに規範の草案を公開して意見を求め、その後すぐに法制化する予定だ。検索エンジンとソーシャルメディアの最大手である2社が、自社サイトにトラフィックを誘導するために使ったニュースコンテンツの元記事に対して使用料を支払うのは当然のことだ」と同氏はいう。

テクノロジー大手が他社の記事を再利用している(および間接的に収益を得ている)ことに対する、支払い請求を巡る論争は今回が初めてではない。そうした企業は自社のプラットフォームや集約サービスでニュース記事の抜粋を表示しているのだ。ただ今回は、新型コロナウイルスの影響で広告主の予算が世界的に大幅に削減され、メディア各社の収益減も危機的な状況となっているため、メディア発行者から政策立案者への要請もさらに強くなったと思われる。

2020年4月初め、フランスの競争監視機関はグーグルに対し、コンテンツの再利用に対する支払いについて地元メディア各社と誠実な交渉に応じるよう命じた。

この動きは、EU全体の著作権法改訂を受けて2019年に制定された国内法令に続くものだ。同改訂は、ニュース記事の抜粋表示に対抗した権利の拡張を目的としている。しかしグーグルはフランスのニュース発行者にコンテンツ再利用料を支払うことはせず、その代わりに、フランス国内のGoogle検索結果とGoogle Newsで同法令により保護対象となっているコンテンツの掲載を停止した。

フランスの競争監視機関は「このような一方的な動きは、市場での支配的な地位を乱用したものである」と考えており、調査を継続する一方で、グーグルを強制的に交渉の席に着かせる仮命令を下すという措置を取った。

フライデンバーグ氏の記事では、このフランスの動きだけでなく、2014年のスペインでの一件にも言及されている。スペインでも、ニュース集約サービスで再利用されたニュースの抜粋に対する使用料をグーグルに支払わせることを目的とする法律が制定された。このときグーグルは単純にスペインからGoogle Newsサービスを撤退させた。現在でもスペインではGoogle Newsサービスは停止したままである。

スペインでグーグルのニュースサービスにアクセスすると表示されるメッセージ。

「デジタルプラットフォームとニュースメディア各社間の関係を統制する強制力のある規範を実際に施行することが難しく複雑である点については十分理解しており幻想など抱いていない。ただ、この問題については正面から取り組む必要がある」とフライデンバーグ氏は指摘する。「我々の目的は、従来型のメディア企業を熾烈な競争やテクノロジー革命がもたらす挑戦から保護することではない。我々が目指すのは、市場支配力が乱用されない公平な競争環境を作り上げ、メディア企業が公平に勝負でき、ニュースコンテンツのオリジナル制作者としての適正な対価を受け取れる環境を整えることだ」と同氏は語る。

オーストラリア政府の今回の動きについてグーグルにコメントを求めたところ、次のような返信があった。

当社はニュース業界と協調的パートナーとしての関係を長年に渡って築き上げてきた。広告やサブスクリプションサービスで彼らの成長を手助けし、価値のあるトラフィックを誘導して読者の獲得にも貢献してきた。2月以降、当社はオーストラリアのニュース発行者25社以上と、自主規範に基づく記事の取得について協議を重ね、ACCCによって設定されたスケジュールとプロセスに従って対話を進めてきた。当社は、メディア業界、ACCC、およびオーストラリア政府と行動規範の策定に向けて建設的な取り組みを進めており、本日同政府によって設定された改正プロセスに従って今後も同様の取り組みを継続していく。

グーグルは「ニュース発行者のサイトにトラフィックを誘導し、広告やサブスクリプション転換によって収益を上げられるようにすることで多大な価値を提供している」という主張を依然として崩しておらず、2018年だけで、オーストラリア国内ユーザーによるオーストラリアのニュース発行者サイトのクリック数は20億回を超えたと指摘している。

またグーグルは「ニュース発行者は、グーグルの検索結果に自社のコンテンツを表示するかどうかを選択できる」とも指摘している。ただ、フランスの競争監視機関が「グーグルがニュースの使用料を支払うつもりはないと明言していることで一部のニュース発行者が不利益を被る可能性がある」という見方を示していることは注目に値する。

グーグル検索エンジンの市場支配力と、フェイスブックが人々のデジタルアテンション時間(デジタル機器に表示されるコンテンツに注目している時間)の大半を握っているという事実が、こうした介入の主要な要因となっていることは確かだ。

この点について、フライデンバーグ氏の記事ではモバイル機器上でのオンライン検索の98%以上でグーグルが利用されており、約1700万人のオーストラリア人(オーストラリアの人口は約2500万人)が1日30分以上フェイスブックを見ている、というオーストラリア公正取引委員会による報告が引用されている。

さらに「オーストラリアの広告主によるオンライン広告出稿先の内訳は、グーグルが47%、フェイスブックが24%、その他が29%となっている」と話し、オーストラリアのオンライン広告市場は年間約90億ドル(約9853億円)で、2005年と比較して8倍以上も拡大していると指摘する。

今回オーストラリア政府がニュースコンテンツの再利用に関して強制力ある規範を策定した件についてフェイスブックにコメントを求めたところ、同社のオーストラリア・ニュージーランドのマネージング・ディレクターを務めるWill Easton(ウィル・イーストン)氏より次のような返信があった。

この度のオーストラリア政府の発表は遺憾に思う。同政府と合意した期限を守るために当社が尽力してきたことを考えるとなおさらだ。新型コロナウイルスにより、ニュース発行者を含め国内のすべてのビジネスと業界が打撃を被っている。だからこそ、広告収入が低下しているこの時期に、ニュース企業を支えるためのグローバルな投資計画を新たに発表した。ニュースコンテンツの配信における大きなイノベーションと、より高い透明性が、持続可能な新しいエコシステムの構築には不可欠だ。当社は、オーストラリアのニュース発行者をサポートするために、コンテンツの手配、パートナーシップ、業界の育成という形で数百万ドルを投資してきた。今回の規範が、当社のサービスを毎日利用している数百万のオーストラリア国民と中小企業の利益を保護するものになることを願っている。

今後、競争環境の平等化を目的とする法的な改正により、グーグルとフェイスブックに対してメディア企業への使用料支払いを求める国が増えて無視できない数に達すれば、この2社はニュースコンテンツの再利用料金を何らかの形で支払わざるを得なくなるだろう。しかし、2社にはニュース発行者に対する広告料金の値上げという対抗手段がまだ残されている

グーグルとフェイスブックは、巨大な広告ネットワークを支配しながらオンラインコンテンツおよび広告の配信、発見、収益化を行うことと、アルゴリズムによってコンテンツ階層を構築し効果的に広告を表示するという2つの事業を同時に行っている。そのため、一部の国々で新たに独占禁止法違反の疑いで調査の対象となっている。

英国の競争・市場庁(CMA)は2019年7月に、グーグルとフェイスブックの広告プラットフォームの市場調査を開始し、同年12月の中間報告で懸念を表明した。その結果、両社の巨大プラットフォームの分割、私利的な設定の制限、さらにはデータ共有やデータ機能の相互運用化の強制による他社との平等な競争環境の実現まで、競合企業との競争促進を目指すさまざまな試みに関する協議が始まった。

CMAは調査開始後の初期所見で、オンラインプラットフォームとデジタル広告市場での競争に重大な障害が存在することが疑われる「正当な根拠」が存在すると述べた。それでも規制当局はこれまでのところ政府に提言する程度で留まっており、オンラインプラットフォーム各社の行動を統制する「総合的な規制の枠組み」の策定に参加はしているが、自ら直接介入する動きは見せていない。

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(翻訳:Dragonfly)

億万長者を惹きつけた植物繊維で作る代替プラスチック

メルボルンの小さなスタートアップで、2人の起業家がパッケージ業界に大変革をもたらす技術を開発している。

Stuart Gordon(ステュアート・ゴードン)氏とMark Appleford(マーク・アップルフォード)氏は、サトウキビの搾りかすをプラスチックの機能性を持つ紙のような梱包用製品に作り替える技術を開発するVarden(バーデン)を共同創設した。

この技術は、世界で最も裕福な人物のひとりである李嘉誠(リー・カシン)氏の財産管理も行うベンチャー投資会社Horizons Ventures(ホライゾンズ・ベンチャーズ)の興味を引き、彼らは220万ドル(約2億4000万円)の資金を調達した。

今は、新しい梱包技術を世に送り出す好機だ。EUは既に使い捨てのプラスチック製品を禁止する法律を制定し、2021年に施行することになっている。それが引き金となり、NestléとWalmartは、2025年から製品のパッケージに持続可能な素材だけを使うことを約束した。

梱包材が地球上の生物生息域に及ぼした環境破壊は、既に多くの人たちの懸案になっている。だが解決を急げば、消費者や企業に消費行動の変更を押しつけることになり、さらに多くの廃棄物を生み出すだけだ。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的パンデミックによる社会的距離の確保も、それに追い打ちをかける。

「私は二酸化炭素削減を主眼に置いた技術が好きです」とHorizons Venturesのオーストラリア代理人Chris Liu(クリス・リウ)氏はいう。

Intelやデジタル・デザイン・スタジオのFjord(フィヨード)に勤務した経験を持ち、テクノロジーとプロダクト関係の企業幹部を長年勤めてきたリウ氏は、つい最近オーストラリアに移住し、自身も電力会社の電気を使わないオフグリッドの生活を送っている。

西オーストラリア州に住み、国中で荒れ狂った山火事が彼の新居のわずか2km先まで迫るという体験をしたリウ氏には、気候非常事態は最優先事項としてダイレクトに意識にのぼる。

マーク・アップルフォード氏の場合、山火事よりも、彼が愛する海岸に絶え間なく打ち上げられるゴミのほうが切実な問題だった。

バーベキューでビールを飲みながら彼は、後に共同創設者となるステュアート・ゴードン氏に、もし物事を変える力があれば、環境問題の何を解決したいかを語り始めた。そしてプラスチックに行き着いた。

アップルフォード氏の洗濯室で、2人はVerdenにつながる技術の開発を始めた。2015年、洗濯室での初期の努力が少額のシードラウンドをもたらし、最初の製品を一部の顧客に渡してテストしてもらうまでの、長く厳しい道を進むことになった。

ニュージーランドの製造業者Fisher(フィッシャー)とPaykel(ペイケル)になんとか時間を作ってもらい、2人の共同創設者たちは初期のプロトタイプを作り上げた。砂糖の原料であるサトウキビの搾りかすから作ったバガス紙という再生材料を使ったコーヒーポッドだ。

「顧客からサプライチェーンへと、私たちは逆向きに作業をしました。そうして、人々がよく知っている製品を作ることができる材料を選んだのです」とゴードン氏は言う。

製造工程は、一辺が120cmのコンテナに収まるまでに進化した。この中には農業廃棄物を梱包材に変えるVardenの機械がすっぽり入る。

製紙工場のようなローラーは使わず、Verdenのテクノロジーは熱成形で植物性の廃棄物を製品に加工する。その製品にはプラスチックと変わらない特性がある。

こうすることで、植物性廃棄物をバクテリアで分解してプラスチック代替品を作り業者に販売するといった、今ある多くのバイオプラスチックの製造に必要な複雑な工程を省くことができた。

「紙のように見えます。手で半分に破ることができ、そのときの音も紙と似ています。そのままゴミ箱に捨てられます」とアップルフォード氏は話す。

ゴードン氏によれば、同社が製造する容器は、素材としてのプラスチックよりも優れているという。最初に代替を狙う製品は、コーヒーのカプセルだと2人はいう。

「我々がコーヒーに目をつけたのは、それが最も難しいからです」とアップルフォード氏。

そこは巨大市場でもあると、彼らはいう。Vardenでは毎年200億個以上のコーヒーポッドが消費されていると見積もっている。

今回の投資金を使ってVardenは、試験的に契約した企業の最初の注文に応えられるよう生産規模を拡大する。さらに彼らはコーヒーポッドの他に、薬の包装シートなど製品ラインの拡大も図る予定だ。

「パイロットプラントとしては、年間に2000万ユニットが製造できる工場を考えています」とゴードン氏。

彼らは両者とも、彼らの製品が(そして類似のものも含めて)新しい持続可能な梱包材の時代を先導することを期待している。それは、製品寿命のどの段階においても、環境にやさしい製品だ。

「次世代のパッケージングはより良いものになります。植物由来には、サラダでもポテトチップスでも対応できる柔軟性があります。(しかし)次世代の成形パッケージングは私たちのものです。バイオプラスチックはいずれ消えてなくなります」

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(翻訳:金井哲夫)

フランス競争当局がGoogleにニュース再利用の対価支払いを命じる

フランスの競争当局は、コンテンツのスニペット(Googleの「ニュース」アグリゲーションや検索結果に表示される抜粋)再利用に伴う対価支払いについて、掲載元と交渉するようGoogle(グーグル)に命じた

フランスは欧州議会でで著作権法の改正案が可決されたことを受け、ニュースに関する著作隣接権を国内法として施行した最初のEU加盟国となった。

さまざまな物議を醸している改正案の項目には、Googleニュースなどのアグリゲーターが切り取って表示するニュース記事のリード文などを適用対象とする著作権拡張規定が含まれている。欧州議会で2019年3月に著作権改正案が採決に付されたことを受け、掲載元の権利を拡張するフランスの国内法が2019年10月に施行された。

ドイツやスペインなどのいくつかのEU加盟国では、ニューススニペットの使用を対象とする同様の法案が先に可決されていた。だが、各国の議員らが望んだのとは裏腹に、Googleに支払いを強制するには至っていなかった。

例えば掲載元への支払いが義務付けられていたスペインでGoogleは、「Googleニュース」サービスから全面的に撤退した。だが、EU改正案のためロビー活動を行った掲載元側は、より広範に圧力をかけてGoogleへの締め付けを強めようとした。同社はこの種のコンテンツに対する支払いに関して厳しい姿勢を貫いてきている。

Googleは2019年9月のブログ投稿で、あからさまな皮肉は加えずに、詳細にこう書いている。「当社は広告を売る。検索結果ではない。Googleの広告は明確にそれとわかるよう表示されている。検索結果のリンクをクリックしたときに掲載元に支払いを行わないのは、1つにはこのためだ」

またEuractivが2019年に報告したように、フランスでもGoogleニュースのコンテンツの表示方法が変更されている。見出しとURLのみを表示し、他のほとんどの市場で表示されるテキストスニペットは外している。

フランスにおけるGoogleニュースのコンテンツ表示のスクリーンショット

しかし、フランスの競争当局はGoogleの戦術を一蹴した。支払いを拒否するためのGoogleの一方的なスニペット表示の撤回は、市場での支配的地位の乱用として成立する可能性が高いとの見方だ。当局は「深刻で直接的な損害を報道業界に与えた」と記載した。

Googleは欧州の検索市場で支配的な地位を占めており、市場シェアは90%以上だ。

当局は、Googleの「掲載元が無料の許可を示さない限り、さまざまなサービス(Google検索、Googleニュース、ディスカバー)内でより長い形式での記事の抜粋、写真、インフォグラフィック、ビデオの表示は行わない」とした一方的な措置を不公正な行為だとした。

「記事掲載元の大多数は、実際には保護されたコンテンツの使用と表示についてGoogleにライセンスを付与している。これについて交渉は行われず、Googleから対価を受け取ることもない。さらに、Googleの新しい表示ポリシーの一環として、掲載元や報道機関が付与したライセンスによって、以前よりも多くのコンテンツをGoogleが利用できる可能性が広がった」とフランス語で書かれている(筆者がGoogle翻訳で翻訳した)。

「このような条件下で、当局は実態に言及した上で、コンテンツの再利用に関する対価支払いについて誠実に協議するようGoogleに求める暫定措置命令を要求した」。

こうして緊急命令が出された。Googleには3カ月の猶予が与えられ、報道機関や掲載元との間で、コンテンツの一部の再利用に関する対価支払いの交渉を「誠実に」行うことになった。

現段階の調査でGoogleの乱用行為として当局が疑っているのは、不公正な取引条件の強制、脱法行為、差別的行為(すべての掲載元に対して支払わないという一方的なポリシーによる)だ。

命令の下で、Googleは交渉期間中、掲載元の希望に従ってニューススニペットを表示する必要があり、交渉プロセスを通じて合意された条件は法律施行日から(つまり2019年10月から)遡及適用される。

Googleはまた、意思決定をどう実行に移しているかに関する月次レポートを送る必要がある。

「この命令は、交渉を経てGoogleが実際に支払いの提案をすることを求めている」と付け加えている。

TechCrunchはフランス競争当局(FCA)の動きについてGoogleにコメントを求めた。同社のニュース担当副社長であるRichard Gingras(リチャード・ジングラス)氏は、声明で次のように述べている。「欧州著作権法が昨年フランスで施行されて以来、ニュースへのサポートと投資を増やすために掲載元と協力してきた。FCAの命令を精査するが、交渉を続ける間はFCAの命令に従う」。

Googleの広報担当者はまた、2019年の同社のブログ投稿に言及し「当社はすでにニュースの掲載元と協力して状況の把握に努めている」と強調した。

Googleはブログ投稿で、ニュースサイトへのトラフィック誘導、多くの掲載元が利用する広告技術の提供、「インターネットとともに出現したさまざまな出版市場に適した新製品やビジネスモデルを世界中のニュース掲載元が開発するのを支援するため」に3億ドル(約330億円)を注ぎ込んだ投資ビークルついて説明している。

暫定措置は欧州の競争当局が最近になって食器棚の奥から引っ張り出してきて、ほこりを払い始めた独占禁止法上のツールの1つだ。

EUの競争責任者であるMargrethe Vestager(マルグレテ・ベスタジェ)氏は2019年10月、チップメーカーのBroadcom(ブロードコム)に対し暫定命令を出し、同社の主要顧客6社との合意に基づく独占権条項の適用を停止させた。本件は引き続き調査を受けている。

競争委員会でEUのデジタル戦略を統括するエグゼクティブ・バイスプレジデントでもあるベスタジェ氏は、デジタルエコノミーの急速な発展に歩調を合わせるため、暫定命令を執行手段としてもっと活用すると述べた。これは、インターネット時代における市場での乱用削減に当局が効果的に対応できていないという懸念に対応する動きだ。

フランスの競争当局は、Googleの掲載元コンテンツの扱いに関する調査に関して、命令に基づく暫定的な保護措置は「実態」に関して決定が下されるまで有効であると述べている。

画像クレジット:Beata Zawrzel/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Microsoftの$7.5BのGitHub買収計画にEUの規制当局が青信号を点灯

Microsoftが計画していた、Gitを利用するコード共有コラボレーションサービスGitHubの買収を、欧州連合(European Union, EU)の規制当局が無条件で承認した。

この巨大ソフトウェア企業がGitHubの買収意思を発表したのは6月で、同社の株式で75億ドルを支払う、とされた。そして当時同社は、“GitHubはそのデベロッパーファーストの精神を維持し、独立した事業活動により、すべての業界のすべてのデベロッパーにオープンなプラットホームを提供する”、と誓った。

EUの執行機関欧州委員会(European Commission, EC)が今日、その計画を承認し、その査定が、関連市場における競争を阻害しないと結論した、と述べた。この併合後の企業実体の方がむしろ、継続的に“厳しい競争”に直面するであろう、と。

ECはとくに、Microsoftには自社のdevopsツールやクラウドサービスをGitHubに統合してサードパーティのツールやサービスの統合を制限する能力や誘因はない、と言っている。

委員会は、MicrosoftにはGitHubのオープン性を損なう動機はない、とも結論している。そして、そのようないかなる試みもデベロッパーにとっての価値を減損させるだろう、とも言っている。委員会の判断では、そのようなときデベロッパーは他のプラットホームに切り替える意思と能力を持っているだろう、という。

Microsoftの前の発言では、同社は買収の完了を年内と予想している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

パナソニックがBrexitへの懸念からヨーロッパ本社をイギリスの外へ移す

Brexitがまた減点: 日本のエレクトロニクス企業Panasonicが10月にヨーロッパ本社をイギリスからアムステルダムに移す。理由は、イギリスにとどまった場合の税金の問題だ。Nikkei Asian Reviewが、そう報じている。

同社は、Brexitの結果イギリスが法人税の税制を変えた場合に生じる納税義務を懸念している。

Panasonic EuropeのCEO Laurent Abadieが上記NAR誌に語っているところによると、イギリスが法人税率を下げるなら、同国をタックスヘイブンと見なすことができる。実際に政府は、EUの通商圏の外に出たらイギリスを企業にとってもっと魅力的な場所にするよう努める、と示唆していた

2016年の11月にイギリスの首相は、同国の法人税率のレビューを発表して、税率を今の20%から大幅に下げることができる、と言った。

その前には、前財務大臣のGeorge Osborneが、税率を15%以下にする、と明言した

税率のレビューを発表したその同じときに首相は、企業政策のパッケージを披露した。それは、Brexitをめぐる不安を鎮めるためだった。しかし税率カットは明らかに、どの企業に対してもフレンドリーというわけではない。

Panasonicの場合同社は、日本がイギリスをタックスヘイブンと指定したら、本国で未納税が発生することを懸念している。そこで、EUの中に地域本社があるようにすれば、そのリスクはなくなる。

AbadieがNAR誌に語っているところでは、地域本社を大陸ヨーロッパへ移せば、人や物の流れに対してBrexitがもたらす障壁を避けることもできる。

それが一体どんな協定になるのか、あるいはそもそも、イギリスとEUの間に協定なんかありうるのか、どちらもイギリスがEUから抜ける日限である数か月後…2019年3月…になってみないと分からない。だから企業は、ありうる、あるいは起こりうる結果に備えて、重要な意思決定をしなければならない。

一方、この地域に対するイギリスの規制的影響力は、日増しに減衰している…。

[これまではロンドンでヨーロッパのことを決められたが、それができなくなる]
[貿易、人材へのアクセス、規制の及ぶ範囲などなどでロンドンは単なる‘支社’になってしまう]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

大規模な調査がインターネットフィルタリングの無効性を実証、ポルノはフィルターで防げない

【抄訳】
Internet Filtering and Adolescent Exposure to Online Sexual Material(インターネットのフィルタリングとオンラインの性的素材の青少年への露出)と題された論文で、Oxford Internet Institute(オックスフォード大学インターネット研究所)の研究員Victoria NashとAndrew Przybylskiが、インターネットのフィルターが青少年をオンラインのポルノから遠ざけることはほどんどない、と指摘している。

Nash博士は曰く“インターネットのフィルタリングは、そのその効力を検討することが重要である。インターネットのフィルタリングツールは開発とメンテナンスに費用がかかり、しかもコンテンツをシェアする新しい方法が常時開発されているので、すぐにバイパスされてしまう。またフィルタリングには過剰なブロックによる人権侵犯の懸念もあり、フィルタリングのために若者が正しい健康情報や関係情報にアクセスできないおそれもある”。

この研究の前にはイギリス政府による、全国をカバーするポルノフィルターの探究、という論争を喚び、ほとんど必ず失敗しそうな政策が発表された。その政策では、イギリスが宗教的ないし政治的理由からパブリックなインターネットをフィルターしている世界の国々の、仲間入りをしてしまうだろう。

そして一般的な結論としては、フィルターは費用が高く、しかも効果がない、ということになる。

費用と制約が大きいだけでなく、注目すべきは、フィルタリングには若者をオンラインの性的素材から遮蔽する効果があるとする説に、確実な証拠がほとんどないことである。スマートフォンやタブレット以前の2005年に集めたデータについて報告してい二つの研究は、若者が性的素材に出会う相対的なリスクをインターネットのフィルタリングが軽減するかもしれない、という仮説的な証拠を提供している。しかしそれらのペーパーから10年後となる最新のデータ収集ならびに研究は、保護者がインターネットフィルタリング技術を使用しても、オンラインの多様で悪質な体験への子どもたちの露出を減らせない、という強力な証拠を提供している。それら悪質な体験には、子どもたちの心を不安にする性的コンテンツとの遭遇も含まれる。このトピックに関する研究はまだきわめて少なく、またそれらが述べている所見は決定的に斉一性を欠く。インターネットフィルタリングの広範囲な利用を肯定する証拠は、現状ではきわめて弱い。

研究者たちは、“インターネットのフィルタリングツールが多くの場合に効果がなく、その利用の有無は若者たちが露骨に性的なコンテンツを見たことの有無とまったく相関していない〔両者間に関係がない〕ことを見出した”。

この研究のもっとも興味深い所見は、“多くの世帯が、(自分の家の)一人の若者を性的コンテンツにアクセスすることから守るためにはインターネットのフィルタリングツールの利用が必要、と答えているが、しかしそれでもなおかつ、フィルターは、統計的ないし実際的に有意な防止的効果を示さなかった”、という部分だ。

この研究はEUとイギリスの、男性9352名、女性9357名を調査し、そのほぼ50%の家庭に何らかのインターネットフィルターがあることを見つけた。しかしフィルターがインストールされていても被験者は依然として、ほぼ同じ量のポルノを見ていた。この研究が結論として言いたいのは、学校や行政や保護者などがインターネットのフィルターを、若者をネット上で安全に保つために有効と考える、惰性的な思考をそろそろ断つべき、という提言だ。それは、高価な価格を常時維持して繁栄しているフィルタリング産業への、批判でもある。

【後略】
〔有効な代案等は示していない。本研究の目的は、インターネットフィルターをめぐる“迷信”(有効であるという迷信)の打破にある。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ヨーロッパの子どもたちのためのプログラミング教育振興事業EU Code WeekにAppleとGoogleも協賛

EC(European Commission, 欧州委員会)が毎年主催する、児童生徒のためのプログラミング入門行事EU Code Week、今年は明日(米国時間10/7)から10月22日までの2週間行われる。

昨年と同じく、ヨーロッパ各国のさまざまな団体や組織により、何千ものプログラミング入門イベントが開催され、ヨーロッパをはみ出た部分もわずかにある。

各国各地のイベントの詳細は、この主催者ページで分かる。

昨年のEU Code Weekでは、総数23000のイベントに計100万名近くが参加した。第一回の2013年には、イベント数3000、参加者数10000だったから、すごい成長だ。

開催するイベントの数がいちばん多いのはイタリアで、今挙がっているものだけでも2659件、イギリスはやや慎ましやかに187件だ。

第二位のポーランドは497件、次いでトルコ244、フランス228、ドイツ225等となる。

子どもにプログラミングへの興味と初歩的な力をつけることが目的の行事だから、イベントも子ども対象が多いが、全年齢対象のイベントも少なくない。

イベントはプログラミングのさまざまなテーマを扱い、それらはアプリの開発、ロボット、AI、ゲームの設計など、いろいろだ。

今年はAppleも参加して、EU Code Weekの期間中にヨーロッパ各地のストアで無料のプログラミングコースを開催する。Swiftプログラミング言語の入門がメインだが、Star WarsやSpheroのキャラクターを利用する子ども向けのロボット入門もある。

Appleによると、来年はヨーロッパ全域10か国の100あまりのストアで、計6000以上のコースを開催し、それらをAppleがこれまでやってきた店内教育事業Today at Appleの一環として展開する。

Googleは、学校などで行われるイベントに資金を出したり、資金提供者を紹介したりする。

Googleの社会貢献部門は数年前に、その資金によりイギリスの児童生徒に大量のRaspberry Piマイクロコンピューターを寄贈した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))