テクノロジーの最も「ダサかった」瞬間を振り返る

2021年、テクノロジーは大きく進歩した。mRNAワクチンの普及! 小惑星軌道変更ミッション!物議を醸すノッチ付きの非常にパワフルなノートパソコン!しかし室内農業ロボットに驚嘆したことを思い出すよりも、最も困惑するような出来事を思い出す方が残念ながら簡単だ。

さあ、チューチューチューギートレインに跳び乗ろう。なお、お断りしておくが以下話題にするのは、イーロン・マスク氏が2021年にツイートした内容をまとめたものではない。

(訳注:「チューギー/Cheugy」とはネットスラングだが、基本的には「ダサい」「時代遅れ」「単純」といったニュアンスがある、この記事ではもっぱら「ダサい」に近いニュアンスで使っている。しかし日本語の「ヤバい」が肯定的な意味も否定的な意味も持つように「チューギー」も文脈によって肯定的もしくは否定的な意味を持っている)。


FacebookはMetaへ

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2021年、最大かつ最も愚かなリブランディングは争う余地なくFacebook(フェイスブック)のリブランディングだ。最も知名度の高い企業の1つが無数の人びとに与えた取り返しのつかない決定や損害から目をそらす「メタバース」に焦点を合わせるためにMeta(メタ)に社名を変更した。このようなことは誰も頼んでいないし、誰もFacebookに主導権を握らせたいとも思っていない。

これをBlockしよう

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2021年、歯ぎしりしたくなるようなリブランディングを行ったのは、Metaだけではない。さて、次にご紹介するのは……Block(ブロック)だ。もともとはSquare(スクエア)という会社だったスモールビジネスの王者だが、同社の四角い(スクエアな)カード読み取り装置は有名だった。現在、Blockは、新しい名前とアイデンティティのためにブロックチェーンを利用しているが、どうやらBlockの狙いはそれだけではないようだ。同社によると、それはブロックパーティ(コミュニティ作り)、コード開発、克服すべき障害物、そして「もちろん、タングステンキューブ 」(詳しくはこちら) にも関係しているという。おいおいジャック(BlockのCEOであるジャック・ドーシー氏のこと)ちょっと待ってくれ!H&R Block(H&Rブロック)はすでにBlockを商標権侵害で訴えている。名前はもちろんロゴのブロック、グリーンの配色などが、どれもちょっと似すぎている気がするからだ。そしてなにより税務申告準備で有名なH&R Blockは、中小企業向けの会計サービスや消費者向けのモバイルバンキングなど、Squareの…もといBlockのようなフィンテックサービスも販売しているからだ。どちらが先に手を引くか、落ち着くことができるのかは想像がつかない。

サタデーナイトマスク

「みなさんは腰をおろした方が良いかもしれません、私のいうことで少し腰を抜かすかもしれませんので」このセリフは、マスク氏がサタデーナイトライブ(SNL)内のコント「Gen Z Hospital」で医師役を演じたときのものだが、彼にしてみれば精一杯頑張ったものだろう。イーロン・マスク氏は、彼の後を追って一攫千金を狙っている世界中のファンたちの大部分をうまく騙してきたかも知れないが、結局のところ、このやり方はサタデーナイトライブでは通用しなかった。彼は俳優ではないし、さほどおもしろいわけでもない。世界有数の大金持ちであり、ソーシャルメディア上の主要なセレブであるという大きな力を持ってしても、彼のSNLのホスト役は…独りよがりで、でくのぼうで、退屈で、気まずい不発弾だった。そもそも、なぜ/どのように彼が注目を集めることになったのかには、疑問が残る(とはいえ、私はいつでも彼についてはそう思っているのだが)。

NFTオーナーのみなさん、ご機嫌はいかが?

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NFTのゴールドラッシュは、普段なら頭のいい人たちに残念なやり方でNFTを導入させようとした。数多くの企業がNFTに関連したプロジェクトを発表した。例えば、ファン作成のストーリー、ゲーム内アイテム、Discord絡みの何か(?)などをトークン化するなどだ。だがこの興味深い、しかし現時点では非常に疑わしい技術に対する、インターネット上での一般的な懐疑的意見を読み取ることができていなかったため、各社は大慌てで、場合によっては発表や噂のわずか数時間後に後退した。文字通り、誰もがダメなアイデアだと言ったはずだ。次の機会があったら質問してみると良いだろう。

ベゾス氏は、宇宙に向けて発射したお金を払ってくれた全員に感謝している

画像クレジット:Joe Raedle / Getty Images

Blue Origin(ブルー・オリジン)とVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)による、初の「本物」の宇宙旅行をめぐる執拗な自己満足の騒動は、非常に疲れさせるものだった。ブランソン氏の会社が不透明な運用をしていたことで評判を落としたことや、ベゾス氏が巨大な帽子で不評を買ったことには多少溜飲も下がったが、ベゾス氏にとって最高の見せ場は、倫理的に破綻した彼の巨大企業で世界中の人に買い物をしてもらったことで、彼の自尊心を満たす旅の資金が得られたことを、トンチンカンな感謝の言葉として述べた瞬間だった。「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様に感謝したいと思います。なにしろみなさんが、この費用を支払ってくれたのですからね」。彼はきっと一言一句を本気で言っているのだろうが、だからこそ最悪なのだ(また、ベゾス氏にイメージを台無しにされたカウボーイハットも哀れだ)。

Blue Originのイチャモンが次の月面着陸を遅らせることに

Blue Originは、ライバルのSpaceX(スペースX)にHuman Landing System(有人着陸システム)契約で大敗した後、不適切な行為があったとしてNASAを訴えた。同社の主張は非常に恥ずかしい形で却下されたが(NASAは業界全体を前にして同社を徹底的に非難した)、長大な手続きを経る必要に迫られたことで、2024年に予定されていた有人月面着陸は2025年に延期された。公平を期すために言っておくなら、皆がそうだと思ってはいたが、Blue Originは自身を完璧なスケープゴートに仕立てたのだ。この失態により、NASAとの関係は永久に悪化したかもしれない。これはBlue Originの唯一の資金源がNASAであることを考えると良い知らせではない(もちろん「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様」は別勘定だが)。

OnlyFansの自粛

私たちはOnlyFansが何のためにあるのかを知っているが、とりわけセックスワーカーたちが自分自身で収益を上げることができるプラットフォームを手に入れることができたのはすばらしいことだ。しかし、プラットフォームをにぎやかな場所にしてくれた人たちが、今後は禁止されることが突然発表された。さようなら、お元気で!ということだ。だがその反発はすさまじく、上品ぶった銀行を理由としていたその決定は、納得が得られないまま1週間で覆された。教訓。自分を養ってくれている手を噛んではいけない(健全なファンタジーの一環としてその手が同意している場合は別だが)。

ドナルド・J・トランプ氏のデスクより

トランプ氏のソーシャルメディアとの激しい関係は、ここで扱うにはあまりにも重すぎる問題だが、その中でも知っておくことに価値がある一面がある。それは、短命に終わった「ソーシャル」プラットフォーム「From The Desk of Donald J. Trump」(ドナルド・トランプの机から)だ。この素朴なマイクロブログは、彼があらゆる主要なソーシャルメディア・ネットワークから排斥されたあと登場したが、最小限の機能しか持たず、アクセス数も少なかったために、1カ月も保たずに閉鎖されてしまった。それは明らかに、彼のメディアチームが、今度はMastodonのコードを借りて、次作のTruth Social(トゥルースソーシャル)を作ることに集中するためだった。しかしそれすらも、2021年の後半に私たちが見ることになった必死のピッチデッキやSPACの前段階に過ぎなかった。よく言われるように、最初に大失敗したら、あきらめず失敗して、また失敗せよだ。(訳注:英語には「最初に失敗しても、あきらめず挑戦して、また挑戦せよ」という諺があるのだがここではそれをもじって皮肉っている)。

上院議員が、Facebookの担当者に「フィンスタ(裏アカウント)をなくすと約束して欲しい」と要請

現在、Facebookの内部告発者として知られるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、雇用主だったFacebookから膨大な内部文書を流出させた。その中には、Instagram(インスタグラム)が10代の少女たちに悪影響を与えていることを認識していることを示す文書も含まれていた。その直後、Facebookのセキュリティ部門のグローバル責任者であるAntigone Davis(アンティゴーン・デイビス)氏が上院に召喚され、子どもたちのインターネットの安全性について証言を行った。

75歳のRichard Blumenthal (リチャード・ブルーメンタール)上院議員(民主党/コネチカット州)は、若者が親に隠した秘密のアカウントを使うことを心配していた。

上院議員は「フィンスタ(finsta、裏Instagramアカウントのこと)をなくすと約束できますか?」と問いかけた。

デイビス氏は辛抱強く「上院議員どの、説明させて下さい。私たちが実際にフィンスタというものを提供しているわけではありません。フィンスタとは、若い人たちがより強いプライバシーを確保したいと思って設定したアカウントのことなのです」と答えた。

Facebookの流出した福利厚生登録動画

2021年1月6日の暴動を止めるために十分なことをしなかったという大量の非難を受ける中で、Facebook(現在の呼び名はMetaだが)で働くのは大変だろう。しかし、福利厚生に加入しなければならない場合でも、Facebookで働くのは大変かもしれない。

ハウゲン氏がリークしたファイルには、かなりひどい内容が記されているが、メタバースの支配者に対する信じられない気持ちを少しでも味わってみたいひとは、このビデオを観て欲しい。Facebookには充実した福利厚生があるに違いない。なにしろ1兆ドル(約115兆円)の巨大テクノロジー企業なのだから。だがこんな振り付けダンスが関わっているとしたら、補助金を受けるだけの価値があるのだろうか?

NFTはゲートキーピングにも向いていない

Bored Apes Yacht Club(退屈している猿のヨットクラブ)とは、Coinbase(コインベース)を愛する人たちの友愛会(フラタニティ)のようなものだ。排他的なギリシャ式友愛会に参加するために会費を払う代わりに、52イーサリアム(出版時には約21万ドル[約2416万円])の「猿のNFT」を購入すれば、クールなクラブの一員になることができる。そう、タレントのJimmy Fallon(ジミー・ファロン)氏、プロバスケットボール選手のSteph Curry(ステフ・カリー)氏、ラッパーのPost Malone(ポスト・マローン)氏もYacht Club(ヨットクラブ)のメンバーだ。ちょうど、あなたが生まれる20年前にBリスト俳優(一瞬売れっ子になったが今ではそうでもない俳優)があなたの大学の友愛会に入っていたようなものだ。しかしそれは単なる猿ではない。派手なイベントや物品などにアクセスできるのがこのNFTの価値なのだ。そこで、ナイトライフ・ジャーナリストのAdlan Jackson(アドラン・ジャクソン)氏は、Bored Apesのパーティーに忍び込むために、巧妙な計画を立てた

結局、ある友人の上司が猿NFTを所有していて、ジャクソン氏にパーティーに参加できるQRコードのスクリーンショットを送ってくれた。しかし門番が、実際のNFTではなく、以前のイベントで使用したリストバンドの有無をチェックしていたため、彼は猿NFT(のQRコード)を持っていたにもかかわらず追い返されてしまった。夜遅くなって、ジャクソン氏は再び入場しようとして…今度はそのまま入場できた。リストバンドも、NFTも、何も必要なかった。排他性といってもそんなものだ!幸運なことに、ジャクソン氏は The Strokes(ザ・ストロークス)のフロントマン、Julian Casablancas(ジュリアン・カサブランカス)氏がステージ上でこんな発言をしているのを目にした「これはアートのようなものだよね?NFTだって?へえ、それって何かな。わかるのは…今夜はたくさんの男どもが集まっているということだけだね」。

こんなことはやめさせよう

もしいまNFTが、金融ソーシャルメディア(これにどうして短い名前がないのか。たとえばFiSoとか?)という投機バブルで吹き上がっているとしたら、その多くは、Gamestop(ゲームストップ)のおかげだ。ミーム銘柄と呼ぶこともできるだろう。テクノロジーの革新、消費者の習慣、エンターテインメントの嗜好の変化に押されて潰された他の多くの凡庸な小売業者と同じように、同社も忘却の彼方に向かっていたかもしれない。しかし、そうなる代わりに、同社はネットの過大な噂の波にさらわれて価格が成層圏まで押し上げられた。その結果、誰が取引の世界の門番になり、誰が金を稼ぎ、誰が最大の敗者になるのかという多くの疑問が生じたのだ。人が煽られるのを見るのは嫌だろうが、煽られて買った人たちが力のない貧乏人のように扱われるのを嫌がる理由も理解できるだろう。これでは誰も勝者にはなれない。しかし、驚くべきことに、この物語はまだ終わらないのだ。株価は2021年1月の成層圏ピークに比べて低いものの、現在でもそれほどかけ離れているわけではない

Spotifyまとめは「ダサい」

はい、はい、Spotifyまとめ(Spotify Wrapped)のシェアを行うことは基本的にSpotifyの無料PRになることはわかっている。しかし「Spotifyまとめ」のコピー文言は、40歳のコミュニケーションスタッフが姪っ子にZ世代(現在20〜30歳位の世代)が好きなフレーズを尋ねたように思える。Spotifyは、Mystic Michaela(ミスティック・ミカエラ)氏というオーラ鑑定士を雇うことまでしていて、音のオーラを生み出すための協力をしてもらっている。その結果は?チューギーだ。

「この1年、あなたの頭の中に住んでいるポッドキャストがありました」とそれはいう。

「あなたはいつも使命を理解していました」。

「他の人たちがみんなNFTとは何かを考えている間、あなたはある1曲を繰り返し聴いていましたね」。

「あなたにふさわしいのはスキンケアと同じくらいの時間のプレイリストです」。

Elizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)には熱狂的なファンがいる

Theranos(セラノス)の元創業者でCEOだったElizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)は、2021年に4カ月以上にわたり、刑事詐欺の容疑で裁判にかけられていた。しかし、裁判の初日、何人かのファン(間違いではない)が、エリザベス・ホームズに扮して登場したのだ。金髪ならば簡単だ。黒のタートルネックに赤の口紅をつけて、髪を低い位置でポニーテールにすればそれで一丁上がりだ!これでハロウィンパーティーの準備は万端!

しかしこのコスプレイヤーたちは、話を聞いた記者たちが見た限り、みな本気だった。虚偽の血液検査結果を出すことで、人びとの健康を積極的に脅かした会社を経営するという深刻な詐欺罪で起訴されたエリザベス・ホームズを、有罪かどうかはまだわからないものの彼らは心から称賛していた。だが、ひとそれぞれだ。

LinkedIn(リンクトイン)でさえTikTok(ティクトック)のようになりたいと思っている

基本的に、すべてのソーシャル / エンターテインメント・プラットフォームは、縦長のショートフォームビデオを組み込む方法を編み出している。TikTokの直接のライバルであるInstagramやSnapchat(スナップチャット)がこのようなことをするのは、非常に無機的で派生的な感じがするものの、理には適っている。しかし、2021年末になるころには、Netflix(ネットフリックス)、Spotify、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)、Pinterest(ピンタレスト)といった企業までもが試行を始めていた。2022年にはLinkedInも加わる予定だ

プロフェッショナルネットワーキングプラットフォームのLinkedInは2021年、ストーリーを試みたが、Snapchatの丸パクリ機能を統合したInstagramほどの成功は収められなかった。

フリートよさらば

また、Twitterはフリートでもあまり良い結果を出せなかった。この件については、不吉な予感を感じることはできたのではないかと思う。まさにTwitterは、その名の通りフリートな運命を決定付けたのだ(英語のFleetは「束の間の」とか「はかない」という意味を持つ)。短くてすぐに消える動画に参入しようとした同社の試みは、Twitterユーザーの間で大きな反響を呼ぶことはなかった。Twitterユーザーたちは他のソーシャルメディアとは異なる機能を持つ従来のフォーマットを特に気に入っているからだ。すなわちユーザーのフォロー数に関係なく、鋭いユーモア、辛らつな批判、完璧なタイミングのフェイク、時折すばらしいものを垣間見させることができるテンポの速い単語や画像の応酬が好きなのだ。いまさらSnapchatやInstagramのストーリーのようなものを、一体誰がさらに必要としているというのだろうか?特にこの期に及んで、大した工夫もなく、簡単に利用できるものでもない機能を投入しているところは何をしたいのだろうか。

Instagramはウェブ上でティーン向けの安全機能をオンにし忘れていた

2021年7月にInstagramは、ユーザーの安全性を確保するために、これまでの欠点を覆うためのいくつかの新機能を導入した。そのうちの1つの機能は、16歳未満のユーザーが新規にアカウントを作成すると、デフォルトで非公開になるようにするというものだ。しかし、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党/テネシー州)は、何カ月も前から目の前にあったスクープを発掘してテックジャーナリストたちに恥をかかせた。10代の若者がウェブ上でInstagramのアカウントを作った場合、デフォルトでは公開になっていたのだ。

まあ公平な立場からみれば、Instagramをウェブで使う人はほぼいないだろう。しかし、これはかなり大きな見落としであると感じられたのだ。インスタグラムの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、自分のチームが失敗したことを認めなければならなかった。それ自身かなり困惑させるものだったが、同時に2021年の秋に上院で、10代の安全へのコミットメントを繰り返し主張してきた同社にとっては、憂慮すべき痛恨の間違いだった。

この記事の見出について

もとはDevin(デビン)のアイデアだったが、Amanda(アマンダ)に喜んで賛成してもらえた。まだまだチューギーだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、Amanda Silberling、Ingrid Lunden、翻訳:sako)

【コラム】Web3こそが関心や大きな注目が価値を生むアテンションエコノミーの欠陥を修復できる

不均衡なクリエイターエコノミーや貧弱なセキュリティ、一元的な管理や不満を持つコミュニティなど、Web 2.0の欠陥はここ数カ月間で明らかになった。

まず、Facebookの元プロダクトマネージャーであるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)は2021年10月に、当ソーシャルメディアの巨人は「安全性よりも利益を優先している」と議会で証言した。そしてそれを合図にしたかのように、Facebookの中央集権的なサービスが世界中でダウンした。この障害は非常に広範囲におよび、Facebook自身がサーバーにアクセスすることさえできなかった。

そんな中、不満を抱いた匿名のハッカーが、Amazonが運営する人気ストリーミングサービス「Twitch」の膨大な内部データを公開した。このハッカーは、ソースコードやトップクリエイターの報酬情報とともに、Twitchコミュニティを「オンライン動画ストリーミングの分野におけるさらなる破壊と競争の促進」を企てる「嫌な毒の巣窟」と呼び、改善を呼びかけた。

これらのプラットフォームが成長し、普及し、収益を上げているにもかかわらず、旧態依然とした人々が多くのことを取り違えたことは明らかだ。ネットワーク効果、大規模なスケール、勝者総取りの経済性を重視した中央集権型のWeb 2.0は、もはや社会のためにはならない。

今こそ変化を起こす時だろう。Web3の起業家として、より協調的・創造的でユーザー中心のインターネットを育むオープンなインフラを構築するにあたって、前世代のテクノロジーの根本的な欠陥を解決するのは私たちの役目だ。

Web3がどのように現在のデジタルエコノミーの最も顕著な問題点を解決できるのかを説明しよう。

セキュリティやデータ管理の不備

Twitchは、背景をAmazonの創業者である億万長者Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)の写真に置き換えるなどのいたずらに悩まされ続けている。これらのセキュリティ問題は元従業員からの報告にもあったように、常在していたようだ。

中央集権的な組織と共有しているデータはすべて危険にさらされていることがわかってきた。銀行、小売業者、SNSプラットフォームからの個人情報の流出が何年も続いていることからも、インターネット上のものは何であれ、真の意味でのプライバシーを保てるとは考えられない。

Web3は暗号プリミティブに基づいて構築されており、多くの場合オープンソースコードを採用しているため、誰でもコードをレビューすることでプロジェクトに貢献することができる。これによりユーザーのセキュリティが向上し、透明性が競争力につながる。これは、単にプライバシーに基づいているだけではなく、実際にユーザーの価値を守ることにつながる。セキュリティ研究者の@samczsunは、0x、Livepeer、Kyber、Nexus Mutual、Aragon、Curveなどのプロトコルに潜在するエクスプロイトを特定し、失われた可能性のあった価値を数十億ドル(数千億円)分救済した。

相互運用可能な規格の意味するところは、ERC-721ベースのNFTは多数の異なるフロントエンドアプリケーションで取引や閲覧ができ、ERC-20トークンは注目と価値を得るために競い合う金融商品のエコシステム全体にアクセスできるということだ。これにより、プラットフォームにとってはリスクが上がり、セキュリティ侵害があった場合にユーザーの流出につながる可能性がある。

有害性とプラットフォームの説明責任

Twitchのハッカーたちは、違法で不道徳な行為を行ったが、ある点では正しかったと言える。ストリーミングプラットフォームの有害性は増しており、大規模なハイテク企業は問題の大きさに見合った対応をするのに苦労している。だがWeb 2.0の世界では、ストリーマーには実行可能な代替手段がない。YouTubeやFacebook Liveに移行することはできても、それはまた別の有害なアテンション・エコノミーのプラットフォームに置き換えるだけのことになる。

これらの現実は、クリエイターがこれまで以上に力を持つ環境を受けた結果だ。ファンは好きなクリエイターを好きなプラットフォームでフォローし、それがクリエイターに大きな影響力を与える。有害性から逃れるためには、クリエーターはクローズド・プラットフォームから出て、コミュニティとの直接的な関係を通じて自分の運命をコントロールするためのWeb3ツールが必要だ。

またWeb3は、ユーザーとプラットフォーム間の力関係を再調整し、ユーザーは自分のデータをコントロールできるようになる。Spruceのようなデータ管理プラットフォームが提供する相互運用性とポータビリティのおかげで、Web3プラットフォームによってユーザーは簡単に「退場による意思表示」を行い、別のプラットフォームに移行できるようになる。

ConfluxやMoralisのような企業によって、ブロックチェーンや規格を超えた規模拡大が容易になったため、競合他社は機会があればいつでも迅速に行動を起こすことができる。例えば、NFTの取引プラットフォームであるOpenSeaが、どのNFTが取り上げられるかを知った上でインサイダー取引を行っていた可能性があることがユーザーに発覚した際には、Artionのような代替プラットフォームが登場し、NFT市場で認識されている不満の一部を解消した。このような市場の動きに対する迅速な反応は、規模の大きさと閉鎖的なアクセスに依存して新規参入を阻む従来のWeb2.0のエコシステムには存在しないものだ。

しかし、Web3.0はユーザーとの直接的な関係をはるかに超えている。これらのプラットフォームはユーザーが所有し、コミュニティが主体となっているため、コミュニティが自ら節度ある行動をとるような動機付けがなされている。動画配信のケースでは、大切なメンバーを他所に追いやるようなヘイト・レイドを望むコミュニティはないだろう。

Web2.0の世界では、ユーザーはプラットフォームが行動を起こすのを待たなくてはならない。Web3では、ユーザーは内蔵されたガバナンスとモデレーションのメカニズムを通じて行動することができる。Mirrorのブログプラットフォームでは、毎週誰が記事を書いて公開するかをユーザーが投票で決めている。Web3 indexでは、掲載されているプロジェクトが後続のプロジェクトの追加や削除を管理し、エコシステムの健全な成長を確実にしている。

Facebookの内部告発者は、Facebookには2層構造の司法制度があり、有名人は一般ユーザーとは異なる扱いを受けていることも明らかにした。一般のアカウントが利用規約に違反するとペナルティを受けることがあるが、多くのフォロワーを持つアカウントは同じ行為をしても逃げられる可能性がある。

Web3ではこの点も修正され、ブロックチェーンの不変性のおかげで透明性が高まり、検閲にも耐えられるようになった。意思決定はSnapshotのようなツールを使ってオープンに行われ、より広範なコミュニティによって推進される。ガバナンスはブロックチェーン上で行われ、誰もが見ることができる。裏取引や二層構造の司法制度はない(もちろん、投票でそう決められた場合は別だが)。すべてコミュニティ主導で行われるため、方向性や透明性のレベルに納得がいかない場合は、参加者は簡単に去ることができる。

不均衡なクリエイターエコノミー

Twitchのリークにより、トップパフォーマーと一般のクリエイターの支払い額に大きな格差があることが明らかになった。このようなダイナミクスは、プラットフォームと一部のクリエイターのみの間でインセンティブの合意を形成する。少数のクリエイターが収益の大半を占めるようになると、プラットフォームは最も重要なインフルエンサーに注目を集めるようになる。

Web3のパラダイムは、アクセスを民主化し、クリエイターとファンの間のサイロを解消することで、このようなインセンティブのズレを解消する。NFT、デジタルペイメント、トークン、クラウドファンディングといったWeb3のクリエイター向けマネタイズメカニズムは、クリエイターに優しいやり方で条件を平等にする。glass.xyzのようなプラットフォームを利用しているアーティストたちは、魅力的なライブストリームとともにNFTによって、Web 2.0モデルで販売するよりもはるかに優れた方法でコンテンツを収益化できることを発見した。

Web3では、ユーザーは自分のプラットフォームを所有することができ、多くの場合トークンによって調整される。ユーザーはプラットフォームの成長によって直接利益を得られるため、例えばモデレーションのような重要なサービスを提供する動機にもなる。

また、ユーザーはファントークンを購入することで、お気に入りのクリエイターにさらにコミットし、情熱を共有することで、健全なファンコミュニティを育むポジティブなフィードバックループを構築することができる。Rally、Socios(Chiliz上に構築)、Rollなどのプラットフォームは、クリエイターが自分の評判、権威、創造性を仲介者なしで直接収益化できるツールを提供する。これによりクリエーターがプラットフォームとなることで、インセンティブがさらに合致に近づく。クリエイターは関与のルールを定義することができ、利害関係のない第三者に干渉されずに、健全なコミュニティの維持に必要なことを行うことができる。

インターネットのアップグレードは、社会にとって良いこと

社会構造や経済構造の多くが民間企業数社が管理するインフラに依存していることは、間違いなく有害である。また、そのような企業が説明責任を果たさず、変革を約束しても注目が集まらなければ道半ばで終わってしまうようでは、ダメージはさらに大きくなる。

しかしWeb 2.0を完全に排除することはそれほど重要ではなく、社会が切実に必要としているインターネットのアップグレードを行うことが重要なのだ。Web 2.0のツール自体は非常に大きなポジティブなインパクトを持っているが、そこにはトレードオフもある。Web 2.0の構造的な誘引により、責任を負わない柔軟性に欠けるビッグテックによる独占が起こった。Web3は、先行するWeb 2.0の良い点を取り入れ、すべてのユーザーの間でエコノミーとインセンティブを調整することで、インターネットを進化させ、広告モデルの悪影響を回避できる。

文化とコントロールという点では、中央集権的なクローズド・プラットフォームよりも分散型サービスの方が圧倒的に有利だ。Web3は、データのポータビリティと相互運用性によってユーザーに力を与え、自己管理型のコミュニティをサポートするような動機を中心に置き直すことで、コミュニティを育成するためのまったく新しい方法を提案している。

ハウゲンは正しい。「Facebookを解体することが重要なのではありません。進むべき道は、透明性とガバナンスです」。私たちは皆、より良いものを得られるべきだ。そして、透明性とコミュニティのガバナンスを優先するサービス、プラットフォーム、製品こそが、次のデジタル経済の時代に繁栄するだろう。

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

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(文:Doug Petkanics、翻訳:Dragonfly)

自動車内のVRエンタHolorideが車内メタバースで使える暗号資産「Ride」をリリース

Audi(アウディ)が支援するスタートアップHoloride(ホロライド)は、クルマのドライバー向けに設計された車載バーチャルリアリティエンタテインメントシステムを開発しており、このほど自社の暗号資産トークン「Ride(ライド)」の販売を開始した。

暗号資産のローンチは、Holorideが開発者のコミュニティによって作られたゲームとエクスペリエンスのXR(Extended Reality、仮想世界と現実世界を融合して新たな体験をつくり出す技術の総称)エコシステムを構築する最新の動きだ。自分が乗っているクルマの動きに連動する仮想世界やゲームの体験を求めるユーザーは、Rideのユーティリティトークンを使って購入を行うことになる。

関連記事:2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

Holorideは2022年にXRシステムを自家用車に搭載することを目指しているが、どのブランドがいつローンチするかの詳細は不明だ。同社は以前、2022年夏のローンチを予定していたが、それ以降は具体的な時期について明言を避けている。

「ここ数年で、自動車メーカーやコンテンツクリエイターとユーザーをつなぐプロプライエタリな技術スタックを作り上げました」と、HolorideのCEOで共同創業者のNils Wolln(ニルス・ウォルニー)氏はTechCrunchに語った。「ブロックチェーン技術でプラットフォームを強化し、独自のRideトークンをローンチすることは、私たちのエコシステムを活性化し、公正で透明性のある参加を可能にするための論理的な次のステップです」。

Holorideは2021年5月に、Elrond(エルロンド)のブロックチェーンを自社の技術スタックに統合し、NFT(非代替性トークン)を使用して開発者にプラットフォーム上でより多くのコンテンツを作成するよう奨励すると発表した。NFTとRideはともにElrond上に構築されており、Holorideのエコシステムでの取引に利用できる。NFTは一意で複製できないのに対し、Rideの通貨は他の通貨と同様に交換可能となっている。

関連記事:車内VRエンタメのHolorideが市場投入に向けブロックチェーンとNFTを導入

「RIDEトークンと引き換えに、ユーザーやコンテンツクリエイターが彼らのエクスペリエンスに基づいて独自のNFTを作り出すことが可能になります」とウォルニー氏は語る。「できあがったNFTはRideを使って売買できます」。

ブロックチェーン、NFT、暗号資産をHolorideプラットフォームに組み込むことは、漠然としたバズワードで注目を集める方法以上のものだ。Holorideは、自動車の座席から、デジタル世界と仮想世界が物理的および拡張された現実と絡み合うメタバースへと、現実を広げる能力に賭けている。

RideがHoloride内のゲームやエンターテインメントの購入にしか使えないとしても、この賭けは報われるかもしれない。2021年12月にRideが正式に上場されれば、最初にElrondの暗号資産EGLDと交換可能になる。EGLDはUSDC(USDコイン)などの他の暗号資産またはフィアット通貨と交換することができ、成長を加速させる可能性がある。

多くのビッグネームがメタバースプロジェクトを発表し始めており、その中には親会社の名前をMeta(メタ)に変更したFacebook(フェイスブック)、Pokémon Go(ポケモンGO)のメーカーであるNiantic(ナイアンティック) 、Amazon(アマゾン)、Roblox(ロブロックス)、Unity Software(ユニティ・ソフトウェア)、Microsoft(マイクロソフト)なども含まれる。一方、このメタバースのビルディングブロックが成熟の兆しを見せ始めるにつれ、Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル) やLyft(リフト)、WeRide(ウィーライド)といった企業が商用化への道を歩み始めている自動運転配車業界も同様の様相を呈しつつある。

ウォルニー氏はTechCrunchに対し、Holorideを「メタバースのための輸送機関会社」にしたいと語った。Holorideは当初、自家用車をターゲットにしていたが、最終的には自動運転車に統合され、搭乗者に十分なダウンタイムを与えて楽しませることを目指している。

Holorideは2021年11月初め、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)と提携して、同社のPONSモビリティシステムに自社の技術を統合することを発表した。PONSは特定用途向けに開発された自動運転車Sango(サンゴ)をフィーチャーした自動運転共有モビリティコンセプトである。Holorideの技術は、ソフトウェア開発会社Terranet(テラネット)のVoxelFlow(ボクセルフロー)技術によって引き続き強化される。VoxelFlowは車両のセンサーを組み合わせて物体の距離、方向、速度を計算し、Holorideのプラットフォームにリアルタイムで通知する。これにより、ゲーム内のユーザーエクスペリエンスは車両の実際の動きにマッチするようになる。

RideはElrondのMaiar Launchpad(マイアール・ローンチパッド)で販売されている(暗号資産ローンチパッドは、新しいプロジェクトのために資金を調達する方法を提供し、投資家に早期に割引価格でトークンを販売する時間を与え、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築を助ける)。Holorideは最初に1億3000万個のトークンを循環させ、最大10億個のトークンを供給する。2億個のトークンがすでに0.02ドル(約2.26円)で個人販売されて終了済みで、さらに5000万個が暗号資産のローンチ前に一般に販売されていた。これで同社は総額600万ドル(約6億6800万円)を手にしたことになる。

Holorideのチームは、主にRideトークンの収益をコンテンツ制作に使う計画だが、開発、マーケティング、法務、セキュリティの監査にも資金を配分する。Rideのトークン割り当ては、Holorideが作っているXRのエコシステム全体で25%がフィルターされる。これにはエコシステムのサポーター、重要なパートナーシップ、成長のオポチュニティが含まれている。

「特に、開発者、コンテンツクリエイター、自動車メーカー、モビリティプロバイダー、オペレーショナルサポーター、アドバイザー、アンバサダーなどです」とウォルニー氏は述べている。

トークンの20%は「コミュニティ」に割り当てられる予定で、ベータユーザー、技術監査、コードレビューなど暗号資産コミュニティの初期のコントリビューターのために確保されているとウォルニー氏は話す。Holorideのファン、サポーター、信奉者たちを意味する「一般販売」に充てられるのは5%に留まり、残りは選ばれた金融・戦略投資家、株式投資家、Holorideの財務、およびHolorideチームに分配される。

ウォルニー氏によると、トークン所有者は初期段階で、購入エクスペリエンスやそれに関連する他の仮想アイテムに加えて、エコシステムのガバナンスや、サブスクリプション、アップグレード、特別イベントなどのコミュニティ特典にもトークンを利用できるようになるという。このトークンはまた、ユーザーが電気自動車へのサステナブルな乗車や特定のデータ共有などの特典を得ることができる「乗って遊んで利益を得る」サイクルへのインセンティブとしても使われる。さらに、コンテンツクリエイターや自動車メーカーはパートナーのロイヤリティとしてRideを受け取る可能性があるとウォルニー氏は説明する。

Holorideはローンチからまだ1年ほどしか経っていないが、このようなエコシステムが理にかなったものになるためには、相当なスケールが必要になるだろう。少なくとも、透明性、セキュリティ、相互運用性、参加といったブロックチェーン技術の基本的な原理に、メタバースがどのように依存していくかということの縮図となるかもしれない。ウォルニー氏は、どのようにしてメタバースを構築し、ユーザーが自分たちのアイデンティティを管理したり、価値を創造・獲得したりするのかというムーブメントの中心にHolorideが位置する可能性がある、と楽観的だ。

「今や誰もがメタバース、暗号資産、そしてNFTの世界にいますので、パズルのピースはよりフィットするかもしれません」とウォルニー氏。「ですが、まだ多くのことが未解決であり、最高のものがこれから出てくるでしょう」。

画像クレジット:Holoride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

NFTゲーム大手Dapper Labsの次なる挑戦はアバター用デジタルアクセサリープラットフォーム「The Warehouse」

100億ドル(約1兆1374億円)を超える取引量を記録したNFTの大ヒットイヤーが終わろうとしている中、昨今のNFTプロジェクトの開発者たちは、今日のドルを追いかけるか、明日のユーザーを追いかけるかというジレンマに直面している。

Dapper Labs(ダッパー・ラボ)は、NBAのトップショットをヒットさせた2021年の主流ブレイクアウトの1つを作った会社で、投資家に対し、後者に賭ける開発者を惹きつけることができると納得させようとしている。最近の時価総額が76億ドル(約8674億円)に達した同スタートアップは米国時間12月13日、その追求の成果の一部を提示し、スターのためのアバターを提供するスタートアップGenies(ジーニーズ)とのパートナーシップによるプロダクトを披露した。それは野心的なNFTストアで、ユーザーがアニメのアバターを作ったり、NFTのアクセサリーを身につけたりできるようにし、Web3デジタルアイデンティティのハブとして機能することを目指していく。

「The Warehouse」と呼ばれるこの新しいプラットフォームは、招待制の小規模なユーザーネットワーク向けにローンチされ、今後数カ月のうちに、徐々により幅広いユーザー層に提供される予定であると両スタートアップはTechCrunchに語った。

この新しいプラットフォームでは、ユーザーは、Geniesアプリ内で作成する3Dアニメのアバターに、DapperのブロックチェーンネットワークFlow(フロー)で作られるマスクや靴、バックパックなどのデジタルアクセサリーを装着することができる。Geniesによると、店舗の大部分のアイテムは20ドル(約2270円)未満で販売されるが、それは特に一次販売に限定されるという。これらの商品の所有者が個々のアイテムの二次販売の市場を決めることになる。The Warehouseではローンチ時に二次的なマーケットプレイスが有効化される予定はなく、Geniesのチームは、この取り組みがやがて、再販価値ではなくプロダクトへフォーカスするコミュニティを生み出すことを期待している。

画像クレジット:Genies

Geniesはすでに、同社のネイティブモバイルアプリ内でデジタルアパレルやアクセサリーを販売する試みを行っているが、この投機的事業にはブロックチェーンやNFT関連の要素は含まれていない。GeniesのNFTエコノミーへの進出は、Dapperという特定ブランドのブロックチェーンに対する賭けである。Bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)のようなネットワークほど分散化されていないかもしれないが、手数料の安さ、トランザクション能力の高さ、そしてクレジットカード処理やパスワードを忘れてしまうユーザーのようなWeb3「ラグジュアリー」に優しい開発者プラットフォームなど、切り離すことのできないユーザー利益の数々を提供するものだ。

Flowだけが、より安価な手数料とオンボーディングのしやすさを備えた消費者フレンドリーなブロックチェーンへの唯一の賭けではないことは確かだが、Dapperは将来の成功を約束して投資家から6億ドル(約684億9300万円)を調達した。Wax(ワックス)やSolana(ソラナ)のような競合するレイヤー1のチェーンでは、開発者がプラットフォームの強みとコインホルダーのウォレットを利用しようとしているため、ここ数カ月でネイティブのNFTプロジェクトからより多くの動きが見られている。ベンチャー投資家たちは2021年中に、Ethereumブロックチェーンを「ロールアップ」プロダクトでスケールしようとするいくつかの新たな暗号資産ユニコーンを立ち上げた。これにより開発者は、ネットワークのセキュリティを活用しながら、セカンダリーチェーン上での取引の処理とバンドルを進めることができるようになる。

2021年初めのNBA Top Shotの急成長はDapperに大きな注目を集め、月間取引額は2020年12月の100万ドル(約1億1400万円)弱から2021年2月には2億2500万ドル(約256億8300万円)近くに達した。最近においては、Top Shotのバイヤーとトランザクションのネットワークは最も顕著なライバルAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)よりもはるかに下に位置している。暗号資産アナリティクスを行うサイトCryptoSlam(クリプトスラム)によると、Axie Infinityは2021年11月時点で、Top Shotの6万4000人に対して52万人を超えるユニークバイヤーを擁していた。Top Shotがその部隊を立ち上げて以来、NFT市場は爆発的に拡大している一方で、新たな高トラフィックプロジェクトの大半はEthereumを採用しており、そのネットワークを流れる何千億という流動的な暗号資産の活用を図っている。

画像クレジット:Genies

The Warehouseのローンチは、Dapperにとって特に大きな節目となる。Dapperは、Top Shotでの失敗から学びながら、開発者を惹きつけ、再び注目を集めることを期待している。Top Shotは拡大するオーディエンスへの対応に初期の段階から苦労しており、Dapperがますます多くのNFT Momentsを発行し続けることで、アーリーアダプターの一部は自分たちのNFTの価値を失い、フラストレーションを感じてきたという経緯がある。

「Genies WarehouseはNBA Top Shot以来最大のFlow向けリリースであり、同様の成功を期待しています」とDapper LabsのCEOであるRoham Gharegozlou(ロハム・ガーレゴズルー)氏は声明で述べている。

Geniesは今のところ知名度が高いわけではないが、同スタートアップの著名なパートナーは間違いなくその名を馳せている。何年も前から、アバターのスタートアップが現れ「デジタルアイデンティティ」のパイの一部を獲得しようとしてきたが、ゲームメーカーはサードパーティシステムの採用に興味を示さず、セレブたちはソーシャルメディアの影響力を分析するのに忙しくて、仮想世界のことをわざわざ考えることもなかった。

Geniesは、最近の記憶ではどのスタートアップよりも、ウェブの未来への明らかにニッチなビジョンを備えたプロダクトに対するセレブとのパートナーシップネットワーク構築に成功しているが、2021年はNFTをより熱心に公に受け入れたことで、投資家の間でシェアが高まっている。Geniesは先週、Universal Music Group(ユニバーサルミュージックグループ)と提携し、同グループのレコーディングアーティストのアバターやデジタルグッズをホストすることを発表した。Geniesはすでに、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)氏、J Balvin(J・バルヴィン)氏、Cardi B(カーディ・B)氏などの著名なミュージシャンやアーティストたちとパートナーシップを結んでいる。

2021年5月にGeniesは、Mary Meeker(メアリー・ミーカー)氏のベンチャーファンドBond(ボンド)の支持を獲得し、同ファンド主導で6500万ドル(約74億2200万円)のシリーズB資金調達を行っている。

関連記事:アバター作成スタートアップGeniesがNFT人気に乗じて約71億円調達

NFTはテック業界やベンチャー投資家クラスに受け入れられているものの、消費者においては、何年もの間ゲームの中で購入してきたものと同じように見える高価なデジタルアイテムが、どのようにオンライン体験に革命を起こすのかについて、依然として懐疑的な見方が存在していることを示すエビデンスが多くあるようだ。

チャットアプリのDiscord(ディスコード)は2021年11月、CEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏がNFTウォレットプラットフォームMetaMask(メタマスク)との統合のスクリーンショットをツイートしたことで、ユーザーから激しい反発を受けた。多くの批判的なものを含む何千ものリプライが殺到した後、シトロン氏はそれが単なる「社内コンセプト」であり、同社には「現時点で組み込む計画はない」こと、そして「Web3には多くの利点があるが、当社の規模で取り組む必要がある多くの問題もある」ことを明確にしたツイートを続けた。

関連記事:Discordがユーザーの反発を受けて暗号資産やNFTの調査を一時中断

DapperもGeniesも、The WarehouseのデビューでNFT業界の重荷の一端を断ち切ろうとしている。

「これはアバターの1万プロフィール画像プロジェクトでも、NFTや暗号資産に文化を持ち込むものでもありません」とGeniesのCEOであるAkash Nigam(アカシ・ニガム)氏は語っている。「私たちはこれを、消費者に向けたメタバース全体に広がるデジタルアイデンティティを創造するための第一歩だと考えており、ウェアラブルな創造ツールを未来の消費者と才能ある人々に提供することを目指しています」。

画像クレジット:Iann Dior

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(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

Dapper Labsも支援するTiblesがドクター・スースのキャラをNFTトレーディングカードに

2012年、ブルックリンに拠点を置くモバイルアプリ開発のスタートアップ企業が、83年の歴史を持つトレーディングカード会社Topps(トップス)に仕事を依頼された。UCLAで経済学を専攻し、トレーディングカードをこよなく愛していた社長のErich Wood(エリック・ウッド)氏にとって、この仕事は楽しいだけでなく、彼の人生を大きく変えるものとなった。

その当時、Toppsは、メジャーリーグベースボール、ナショナルフットボールリーグ、スターウォーズとライセンス契約を結んでいた。当時の同社デジタル部門責任者に見出されたウッド氏の小さな会社は、これら3つの最初のデジタルトレーディングカードプラットフォームを構築するために招かれたのだった

このデジタルトレーディングカードはすぐに好評を博した。実際、ウッド氏によると、あまりにも上手くいったので、同氏は2016年、デジタル部門責任者だったMichael Bramlage(マイケル・ブラムレッジ)氏と一緒に、自分たちのデジタル収集品会社Quidd(クイッド)を設立することに決めた。

それから現在にまで早送りすると、ブラムレッジ氏はまだQuiddのCEOを務めているが、Quiddは2019年にAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)に買収され、現在は独立した子会社として運営されている。一方、ウッド氏は静かにTibles(ティブルズ)という新しい事業を13人で起ち上げており、
Cadenza Ventures(カデンツァ・ベンチャーズ)が主導するシード資金調達で300万ドル(約3億4300万円)を調達したばかりだ。このラウンドには、2021年初めに「NBA Top Shot(NBAトップショット)」で世界に旋風を巻き起こしたDapper Labs(ダッパーラボ)も、前回に続いて参加した。

関連記事:NFTとは何か?デジタル収集家たちのなぜ今、熱狂しているのか?

興味深いことに、TiblesはQuiddとあまり変わらないように見えるが、Quiddはまだコレクターズアイテムを「オフチェーン」、つまり中央のサーバーに保管しているのに対し、TiblesはDapper Labsが開発したブロックチェーン「Flow(フロー)」のみで動作するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスを構築している(ちなみにQuiddは、ホームページ上で「間もなくブロックチェーンに移行する」と言っている)。

また、Tiblesがポップカルチャーやエンターテインメント系のブランドに特化しているのに対し、Quiddはスポーツに関するコレクターズアイテムも販売しているという違いもある。

だが、おそらく最も重要な点は、ウッド氏の話から推察すると、TiblesはQuiddや他のデジタル収集品マーケットプレイスとは異なり、既存の画像をデジタル化してNFTにするだけではなく、ブランドと協力して、オリジナルのライセンスを受けたアート、トレーディング体験、コミュニティを備えたエコシステムの構築を計画しているということだ。同社の究極的な目標は、デジタルでの収集体験を、物理的な収集体験と同じくらい本物にすることだという。

それが計画通りにうまくいくかどうかはまだわからないが、まずはその出発点としてTiblesは、同社とDr. Seuss Enterprises(ドクター・スース・エンタープライズ)、Dapper Labsが協力して制作する「Seussibles(スースィブルズ)」を発表した。これはTheodor Geisel(セオドア・ガイゼル)のファンが、ドクター・スースの生み出したキャラクターであるLorax(ロラックスおじさん)や、Grinch(いじわるグリンチ)、Horton the Elephant(ぞうのホートン)などのNFTを所有し、他のファンと交流できるというものだ。

ウッド氏の説明によると、このNFTはPokémon(ポケモン)カードのような5枚組のブラインドパックとして販売されるという。「ステッカー」と呼ばれるこれらのカードは「ステッカーブック」で閲覧でき、他のユーザーたちとお互いのコレクションを見せ合うことができる。

また、ファン同士の交流の場であるクラブハウスや、保有しているカードを交換することができるトレーディングエリアも用意される。

今のところ、すべてのパックの価格は同じで「限定版」のNFTはないが、Tiblesはファンにとってどのキャラクターが他のキャラクターよりも価値があるのかを知るために、人々がどんなふうに交換するかを調べるに違いない。

このスタートアップ企業のロードマップでは、当然のことながら、まずは雇用が優先される。また、TiblesはDapper Labsと緊密に協力して、より多くのコンテンツを生み出せるように、より多くのライセンス契約を獲得する予定だ(具体的な内容を聞かれたウッド氏は「ライセンス契約のロードマップは長い」「秘密だらけだ」と答えている)。

開発面に関しては、ウッド氏によれば、計画は非常に単純だという。Tiblesは「他のApple(アップル)アプリ内課金と同じように、誰もが簡単に購入できるようなユーザー体験を提供することに非常に注力している」とのこと。また、ウッド氏は、ユーザーがコミュニティに参加したり、共有したり、整理したり、交換したりすることを、非常に簡単にしたいと考えている。「私たちは、これを楽しいものにして、(その成功を)いくつかの異なるパブリッシャーやライセンス、異なる体験で再現することに力を入れています」。

確かに、ウッド氏はデジタル収集品市場における長年の経験から、ファングループごとに評価が異なる傾向があることを知っている。Dapper LabsとDr. Seuss Enterprisesとの契約は、カードのようなステッカーを中心とするものだが、他のクライアントのための将来のプロジェクトでは「動画やアニメーション、あるいはインタラクションになるかもしれません」と、同氏は語る。

共通しているのは、すべてが収集可能なウェブオブジェクトになるということだ。あとはプロパティ次第である。「私たちは、IP、ブランド、ファン、そして彼らが好むものを理解することに多くの時間を費やします」と、ウッド氏はいう。「そして、それがうまくいくことはほとんどありません」。

Tiblesの最近の資金調達は、2021年初5月に実施された119万ドル(約1億3600万円)のシードラウンドに続くものだ。

前回のラウンドを主導したDapper Labsに加え、CoinFund(コインファンド)とWarburg Serres(ウォーバーグ・セレス)が両ラウンドに参加している。

画像クレジット:Tibles

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

社会問題・難病支援を「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

ガイアックスは12月23日、NFTを通じたチャリティ・支援のサービス「Ribbo」(リボ)を2022年1月下旬より提供開始すると発表した。決済方法はクレジットカード。ブロックチェーンを用いたチャリティ・支援のプラットフォームは日本初となる取り組みという。

またRibboは、2022年1月下旬のサービスリリースまでにリボン販売者登録数「100」を目指しており、リボン販売者登録ページにおいて登録受付を開始している。記事掲載時点では、Ribbo導入予定団体は、ハートリボン協会HON.jp学習圏開発機構LeSDAこちねことなっている。社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

社会問題や難病などに対し支持・支援を表明するシンボルとして身に着ける様々な色のリボンは、アウェアネス・リボン(Awareness ribbon。リボン)と呼ばれる。その代表例としては、乳がん撲滅の啓発を行う「ピンクリボン」が挙げられる。

ただ、これら活動においてグッズ販売など物販の売上から活動資金を得る場合、グッズ制作の初期投資や在庫リスクなど、活動資金を得るまでのハードルが高いという課題がある。例えば約2000円の価格で販売しているグッズでは原価だけで約1000円かかり、その他の費用も含めると得られる資金はほとんど残らないという事例が実際に発生しているそうだ。

その課題の解決策としてガイアックスは、ブロックチェーン技術を活用し、デジタルデータとして販売することで制作コストをほぼゼロに抑えられる、NFT体裁のリボンとしてRibboを実現した。

Ribboは、誰でも簡単にNFTリボンを作成・販売でき、支援を募ることができるサービス。「最短10秒でオリジナルのNFTリボンを作成」「リスク0で始められて売上の90%を受け取れる」「購入したNFTリボンで支援者の世界観を表現できる」という3つの特徴を備えているという。

初期費用はゼロで、販売手数料は金額の10%。NFTリボンを作成しストアに掲載するところまでは無料で行える。また集まったお金は、毎月1度1カ月分の売上をまとめて指定の口座に振り込む。社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

  • 最短10秒でオリジナルのNFTリボンを作成可能:Ribboでは画像と文字を選択することで簡単にオリジナルのNFTリボンを作成可能。発行したNFTリボンをその場ですぐに販売できる
  • リスク0で始められて売上の90%を受け取れる:初期費用はゼロで、NFTリボンを作成しストアに掲載するところまでは無料で行える。また、販売手数料は金額の10%。NFTリボンの制作に初期投資を必要とせず、売り上げた際の90%を受け取れる
  • 購入したリボンで支援者の世界観を表現できる:過去購入したNFTリボンは、購入者自身だけでなくRibbo上で誰もが閲覧できる。同じNFTリボンを購入した人同士、同じ世界観を応援している仲間との新しい出会いが生まれるきっかけになるという

なお今回の取り組みは、ブロックチェーンを学びたい人のコミュニティ「Blockchain Biz Community」の企画から生まれたものという。スタートアップでブロックチェーンを使いたい、ブロックチェーンの技術を学びプロダクト開発を行えるようになりたい方を対象とするコミュニティとなっているそうだ。

アンドリーセン・ホロウィッツのケイティ・ハウン氏、暗号資産で同社が成功した道のりを語る

Katie Haun(ケイティ・ハウン)氏がNFT(非代替性トークン)の支持者であるということは驚きではない。元連邦検察官で、現在はAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ / a16z)で強力な暗号化の実践を共同で先導しているこの人物は、少なくとも2018年にa16zがDapper Labs(ダッパー・ラブズ)を最初に支援したときからこの技術についてを学んでおり、今ではかなり貴重な存在となっている。

バンクーバーに拠点を置くDapper Labsは当時、CryptoKitties(クリプトキティ)と呼ばれる収集可能なデジタル猫ゲームで知られており、暗号コミュニティ外の人々を困惑させていた。2021年Dapperはブロックチェーン上でNBA Top Shot(NBAトップショット)という、スポーツファンがコレクション性の高いハイライトクリップを売買できるサービスを提供したことでブレイクしたが、むしろこれも全体の構想から見ればマイナーなユースケースであると、先に筆者が主催したサンフランシスコのイベントでハウン氏は話している。

広範囲をカバーした今回のインタビューで、ハウン氏は、現在集中しているNFTのユーザー層がこれから爆発的に増えると同氏が考えている理由を説明し、またNFTを収入源にしている比較的少数のクリエイターのみがNFTの恩恵を受けているという考えを否定した。また、a16zが導入した技術革新により、同社の暗号化投資の75%を占めるトークンを20%割引で購入できるようになった仕組みを説明し、さらには2019年にa16zが行ったように、すべてのベンチャー企業が登録投資顧問になるべきか否かというトピックについても話してくれた。以下では長さを調整するために編集を行っている。また、以下にフルインタビューを掲載している。

TC:a16zがNFTへのさまざまな期待について投資家に伝えていること、そして今後の筋道について。

根本的にNFTは、消費者やコンテンツ制作者にとって、インターネットのビジネスモデルを劇的に変えるものだと思っています。なぜ消費者にとって重要なのか?例えば今「Fortnite(フォートナイト)」のスキンを買ったとして、それなのに後にこのゲームがなくなったらどうでしょう。……しかしそれでは、自分のアイテムなどを別のプラットフォームに持っていくことができ、どこでも使うことができたとしたらどうでしょうか。これは消費者にとって非常に大きな力となります。消費者の手に直接パワーが戻るのですから。

また、コンテンツ制作者にとってもすばらしいことです。デジタル上の希少な商品であるトークンをプログラムすることで、今後のすべての取引において金銭的利点を得ることができるからです(そしてその過程で30%を取る中間業者を排除することができます)。これがクリエイターの経済にどんな影響を与えるか想像してみてください。今はデジタルアートに注目が集まっていますが、2022年の今頃は音楽の世界でどのような障壁が取り除かれるのかという話になっていると思います。

ハウン氏は現在、音楽関連のNFTに注目しており、シンガーソングライターのBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)を例にミュージシャンとNFTの間にどんな可能性があるか(場合によっては、すでに起こっているか)を話した。

ビリー・アイリッシュは当初インターネット上で一部のファンによって発掘されました。しかし、彼女を有名にした初期のファンたち、つまり彼女の本当のファンたちは、彼女のスターダムを共有できたでしょうか?まったくできていません。実際、彼女のスターダムを共有できなかっただけでなく、彼女がブレイクしたことで彼らの状況は悪化したと言えるでしょう。チケットの値段が上がり、スタジアムには長蛇の列ができ、コンサートは完売です。ところがもし、彼女を発見し、初期の彼女の成功に寄与した人々が、NFTやスマートコントラクトを通じて、ビリー・アイリッシュの成功に関連する何かを保有していたとしたらどうでしょうか。例えば、彼女がSpotifyに曲を録音した後に、関連するスマートコントラクトNFTを作成し、そういったファンにライブへの永久アクセス権を与えたり、彼女と一緒にツアーに参加したり、あるいは将来的に彼女のロイヤリティの一部を受け取れる権利を与えたりすることが考えられます。これで突然、レコード会社や弁護士、中間業者だけでなく、ファンも経済的な利益を共有することになります。

Twitch(ツイッチ)ではわずか1%のストリーマーが収益の半分を占めているというデータが流出したが、少数の人のみが経済的な利益を得ることができるようになっており、クリエイターにとっては、結局は現在と同じような経済状況になるのかというトピックについて。

2021年11月11日に開催されたStrictlyVCのイベントに登壇したケイティ・ハウン氏(画像クレジット:Dani Padgett)

これらのビジネスモデルは、まだ非常に初期の段階にあります。しかし、暗号化アーキテクチャの分散型システムについては、これで生計を立てられることがわかっており、このことはNFTですでに見られています。Beeple(ビープル)になって大金持ちにならなくても、生計を立てることは可能です。私はNFTをいくつか所有していますが、その中には、OpenSea(オープンシー)で買った、仕事を辞めてデジタルアートをプログラミングしている女性アーティストのものも含まれています。彼女はスマートコントラクトをプログラムしていて、私がこれらのNFTをあなたに販売したら、彼女はその販売額の一部を受け取ることができます。そしてあなたがそれを別の人に販売して、高い価格で評価されたら、彼女はその販売額からロイヤリティを受け取ることができるのです。

米国人の多くが生活費の支払いに苦しんでいる中、NFTは一部のお金に余裕のある購買層を中心に普及しているという認識を我々は持っている。この点についてハウン氏は、NFTが金持ちの道楽だと思われているのはもっともだが、この技術はまだ始まったばかりだと説明する。

NFTに関して言えばイノベーションの現状を、最終状態として判断しないことがとても重要だと思っています。おっしゃることはよくわかりますし、私自身もそういった現状を目にしています。しかしそれは物理的な世界でも同様で、ステータスシンボルという点では多くの米国人が苦労している一方で、高級車やロレックスを買える人がいるという状況が起きています。そのためデジタル界も大差ないでしょう。物理的な高級品があるように、現実の世界にも人々が所有したいと思う一般的な商品があり、そうしたより一般的な商品がデジタルの世界でも増えていくようになるのではないでしょうか。

ある時点から、話はa16zのディールフローに転換した。Coinbase(コインベース)とOpenSeaの2つの取締役会に在籍しているハウン氏は、そのおかげで暗号の世界で何が、誰が盛り上がっているのかをよく見ることができると説明する。

この世界の中心にいることができ、とても恵まれていると思います。私たちはエコシステムの最前列に座っていますが、それはChris Dixon(クリス・ディクソン)氏と私の2人が、長年にわたってCoinbaseの取締役を務めてきたからです【略】Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)も運営されていますが、【略】Coinbase Venturesに売り込みにこない暗号化プロジェクトはほとんどありません。私はOpenSeaでも現在役員を務めていますが、彼らは記録的な取引量を達成し、世界最大のNFTマーケットプレイスになった他、ベンチャー投資も行っています。このようにこの分野の大物たちとのつながりがあるだけで、彼らが取引をすることで、我々にも取引の流れが作られているのです。

当然暗号は非常にグローバルなものであり、現時点で我々はまさにグローバルな存在になっています。直近の暗号化ファンドでの投資のうち、少なくとも50%は海外からの投資だと思います。しかしだからこそ「CoinbaseやOpenSeaの役員を務めているから大丈夫」などと安心していてはいけないのです。多くの創業者がAndreessen Horowitzの名前を聞いたことがないような、さまざまな国の、さまざまなプロジェクトに対してオープンマインドでいなければなりません. . .私たちはここにいることが当たり前だと思っていますが、世界の他の地域の人々は私たちのことを聞いたことがないのです。私たちの価値を知らないのです。

場合によっては飛行機に乗らなければならないこともあります。Kiva(キヴァ)やMercy Corps(メルシー・コープス)のようなNGO、Deutsche Telekom(ドイツテレコム)のような企業、Stanford(スタンフォード)やBerkeley(バークレー)のような大学やイスラエルのTechnion(テクニオン)大学をはじめとする世界中の多くの大学など、世界中の参加者に当社のプルーフオブステークシステムを委ねるデリゲートプログラムも開拓してきました. . . これまですばらしい取引が行われてきたからといって、それが今後も続くと期待して甘んじているわけではありません。暗号化投資家の市場は確実に拡大しています。

同社が店頭での直接取引を含むトークンへの投資を多く行っている理由についても話が出た。そのような取引において、a16zが何らかの優先的な地位を得ているのかどうか、またCoinbaseやOpenSeaのような従来の株式取引から会社がシフトしていった理由は何なのか、そして、こうした取り決めに反発し始めたのは、暗号化の創業者たち自身なのかどうかについても質問した。以下はそれに対するハウン氏の答えである(ハウン氏は株式取引が完全になくなったわけではなく、より多くのVCが株式取引を求めて競争を始めたために価格が高騰したのだと指摘している)。

もし優先的なレートを提供してくれる店頭窓口を知っているなら教えて欲しいものです。店頭の場合我々はその場で買っているだけで、特別な扱いは受けていません。どちらかというと. . .すべて店頭取引になってプロトコルの創設者は我々が投資家であることさえ知らないというような市場にはしたくないという意識が強いですね。

また、プロトコルが特定のベンチャーキャピタルの投資家を希望する場合もありますが、これは急速に変化しているので機敏に対応する必要があります。プロトコルの創設者が私たちの参加を強く望んでいた場合、実際に3年前、トークン環境の初期段階で私たちに割引をしてくれました。しかしこれは暗号化のエコシステムでは非常に不評でした。なぜVCの投資家がコミュニティよりも割安にならなければならないのか、と。

その懸念を払拭するために「それならロックアップをしてください。私たちは7年〜10年を見据えられる忍耐強い投資家であり、暗号化ヘッジファンドを運営しているわけではありません」と提案したわけです。例えばもし20%の割引を欲しいとしたら、その代わりに4年間、場合によってはそれ以上、それ以下の間ロックアップされることになるかもしれません。これは、私たちがさまざまなトークンディールにもたらした1つのイノベーションです。しかしロックアップと引き換えに割引を受けたプロトコルのため、私たちはたくさんの仕事をしてきたのです. .

この質問は重複するが、同氏がOpenSeaとCoinbaseの両方の取締役に就任していることについても質問が投げられた。その意図は、OpenSeaはNFTマーケットプレイスであり、暗号資産取引所のCoinbaseも最近NFTマーケットプレイスのようなものを作る計画を発表しているため、この2社が衝突しかねないのではないだろうか、というものだ。実際、CoinbaseのCEOであるBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏は先週の決算説明会で、NFTの市場は同社の暗号資産事業に匹敵するか、それ以上の規模になる可能性があると考えていると述べている。

ハウン氏はどのようにしてこの複雑な状況をやりのけているのか、さらにはCoinbaseがOpenSeaを買収するのではないかと質問すると、2つ目の質問に対しては首を横に振り、2社の衝突について次のように説明した。

それは悲観的な見方ですね。私は両者が衝突しているとは思っていません。まず第一に、Coinbaseがどのような計画を立てているかはまだ発表されていません。NFT分野で何かをすることを検討していると発表しただけで、それが何になるのかはまだわかりません。

ブライアン・アームストロングが数年前に言っていたことを覚えていますが、取引スペースに競合他社が参入し始めたとき、彼は「これはすばらしい」と言っていました。私は自分が何を見逃しているのか疑問に思ったところ彼は「これはパイが大きくなっている証拠です。大きなチャンスであり、他の人もそれに気づいているんです」と言ったのです。

同様にNFTの領域は非常に巨大なので、多くのプレイヤーが活躍できる余地があると思っています。私はこの領域で活躍する最先端の企業2社の役員を務められることを大変幸運に思っています。両社が衝突しかねないなどとは思いません。もちろん、もしそのような展開になったり、エコシステムがそのように進化したりした場合、元連邦検察官として私が対処しなければならないことになるでしょう。

暗号の創始者たちに注目されたければ、ベンチャー企業は登録投資顧問になる必要があるかどうかという質問についてハウン氏は明言を避けたものの、理に適っているのではとほのめかす。

暗号化専用ファンドはすべてRIAとして登録されています。今では多くのファンドが存在していますが、すべてRIAとして登録されているのです。規制状況が非常に不確実な今、トークンを保有したいのなら賢明なことでしょう。

画像クレジット:Dani Padgett

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

ジャスティン・カン氏の新NFTプラットフォーム、詐欺師にユーザーの資金約1700万円を奪われる

ベンチャーキャピタルが数十億ドル(数千億円)の投資を行っているにもかかわらず、多くのWeb3.0暗号資産プラットフォームは、暗号の世界に慣れていないユーザーにとって、いまだに非友好的な場所である。

その適例を上げると、米国時間12月21日、Justin Kan(ジャスティン・カン)氏が運営するNFT(非代替性トークン)プラットフォームのFractal(フラクタル)で、セキュリティ侵害が発生した。

詐欺師が同社のDiscord(ディスコード)用告知ボットをハッキングし、10万人以上のユーザーに不正なリンクを送信して、新しいNFTを購入するためにお金を払うよう促したのだ。このメッセージは、Fractalの成功を記念して作成された3333個の記念NFTが入手できるとユーザーに約束する内容だったが、リンク先のfractal.isのURLは「i」と「l」を入れ替えて偽装されており、ユーザーはあるミンティングサイトに誘導されて資金を奪われ、何の見返りも得られなかった。

Zach Bussey

@justinkanの@fractalwagmiは順調に進んでいますが……。

同社の実際のDiscord Botがハッキングされ、3333のNFTを1Solana(約2万円相当)でミントするよう人々に勧めています。

しかし、リンク先はFractalではなくFractaiです…。3294個で合計60万ドル(約6800万円)近くが失われました。

その結果、詐欺師は実際に約15万ドル(約1700万円)を持ち逃げしたようだ。このハッキングは、Fractalが今週予定していたプラットフォームの起ち上げ前に行われた。カン氏のファンドであるGOAT Capital(ゴート・キャピタル)が支援しているこのスタートアップ企業は、すでにユーザーへの返金を約束しており「もしSolを失ったのなら、私たちが補償します。近々、さらなるアップデートを発表します」とツイートしている。

ちなみに、このような攻撃は特に珍しいものではない。Monkey Kingdom(モンキー・キングダム)と呼ばれるSolanaをベースにしたプロジェクトも、その数時間前にハッキングされて、130万ドル(約1億4800万円)以上の価値に相当する暗号資産が盗まれている。これら2つの攻撃がどちらもDiscord上で行われたことから、このチャットプラットフォームにもユーザーの認証に関して問題があることがわかる。

更新:火曜日の午後、FractalはMedium(ミディアム)への投稿で、373人のユーザーが詐欺の被害に遭ったことを確認したが、数日中に同プラットフォームから完全に補償されると述べている。SolanaベースのツールプラットフォームであるGrape Protocol(グレープ・プロトコル)は、管理者の1人がハッキングされたことを確認しており、これが今回のFractalとMonkey Kingdomの両方で悪用に使われたと思われる。

Grape Protocol

7日前に当社のセットアップ管理者の1人がハッキングされていたことが判明しました。

確実にこれは@fractalwagmiと@monkeykingdom_に影響を与えています。

ハッカーたちはDiscordのWebhookを悪用しています。

すぐにwebhookを確認してください。

詳細が分かり次第、更新します。

Fractalは、すでに他のNFTを中心とした多くのDiscordプロジェクトを悩ませているこのような攻撃が、可能性は高くないとしても、起こり得ることだと認識していたようだ。米国時間12月17日にFractalチームは、Discordに「詐欺対策」チャンネルを設け、ユーザーが悪質な行為者を警告できるようにしている。チームメンバーは、Fractalが「いかなるアドレスにも資金を送るように要求することは決してありませんし、記入を求めるGoogle(グーグル)フォームも一切ありません」と強調し、さらにユーザーに「目にしたリンクのスペルを再確認してください」と注意を促した。

Fractalのチームは、ユーザーを正しい方向に導こうとしていたようだが、より広範な問題は、NFT市場の根本的な誘引構造にある。発売されるNFTはすぐに売り切れてしまうため、ユーザーが懐疑的に関与することを妨げる傾向があるのだ。この世界にはあるゆるチャンスを掴もうとする文化があり、経験の浅い暗号資産購入者にとっては危険だ。

Fractal

SOLの最大級のエアドロップに取り組んでいます。

歴史を作ります。

画像クレジット:Fractal

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テック起業家がジョンソン英首相をパロディ肖像画NFTで風刺、収益をホームレス支援チャリティに寄付

NFT市場はクレイジーなものとなったが、NFTが莫大な価値を持つようになっても、猿やパンクのポン引き画像以外にも、NFTを使ってできることは増えてきている。

例えば、マンションがNFTとしてオークションにかけられるのも我々は見てきた。

関連記事:キエフのアパートが収集可能なNFTとして初オークション、ブロックチェーンスタートアップPropyが企画

そして最近は、慈善団体がこの熱狂状態からメリットを得て、新しいオーディエンスを惹きつけつつ、透明性のある方法で資金を調達しようとしている。

Binance(バイナンス)でも、Binanceチャリティ財団が設立したオープンプラットフォーム「NFT for Good」を立ち上げ、人々が自分のアートやクリエイティビティを社会的・人道的な問題を対象としたオークションに変換できるようにした。

NFTが資金調達のプロセスをゲーム化していることが、こうしたプロジェクトが成功している理由の一つだ。

同時に、暗号アートは、ダダイズムや風刺のリアリズム領域に入りつつある。2017年7月のICOで、最初の30分で3万ドル(約342万円)を調達したFUCKというイーサリアムのトークンを覚えているだろうか?今では、現在260.774イーサまたは104万ドル(約1億2000万円)の値がついている、NFTとしての世界で最もリッチな線(文字通り赤インクで描かれた線)がある。

NFTアートと風刺の世界は、NFTプラットフォームOpenSeaで公開されたばかりの新プロジェクト「Non Fungible Tories – The Boris Drop」でも融合している。

これは、英国のBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相を描いた8ビットパロディ肖像画のセットで、収益の52%(悪名高いBrexit、EU離脱投票の過半数と同じ割合)を、ホームレスを支援する英国の慈善団体に寄付するというものだ。

NFTシリーズでは、自らを「Pfeffel, a punk artist」と名乗るアーティスト(英国を拠点とするテック企業の創業者であることが、TechCrunchによって確認されている)が、ジョンソン英首相の最も有名な言葉を風刺している。

Pfeffel氏は「a clown, an oaf, a wager of culture war, and a pound-shop Churchill(道化師、愚か者、文化戦争の賭け人、1ポンドショップ[訳註:100円ショップのような意味合い]チャーチル)」へのトリビュートとして、ジョンソン氏の「Watermelon smile(スイカの微笑み)」「Letterbox(レターボックス)」、そしてジャーナリストの質問に答えずに冷蔵庫に隠れた瞬間などの名言をもとに、一連のNFTを作成した。

また、英国でパンデミックのロックダウンの最中に、No.10(官邸)でパーティーを開きチーズやワインをふるまっていたという、最新の論争も風刺している。この「2ビットの政治家の8ビット画像」はすべて初版となる。

Pfeffel氏は、クリスマスシーズンに英国の路上で生活するホームレスの人々を支援する慈善団体「Crisis at Christmas」に、NTFオークションの利益を寄付することを約束した。

確かにNFTのアーティストにとって、ジョンソン氏のネタはいくらでもある。

​​ジョンソン氏は、新型コロナウイルスのパンデミックに関して「fuck business(ビジネスなんてクソ食らえ)」や「let the body pile up(死体を山積みにしてしまえ)」というような言葉を使ったことで有名になり、「配慮と良心のない」政治家としての評価が高まっている。また、英国の援助予算を削減し、同国は彼の任期中に欧州で最も新型コロナによる死亡率が高くなり、G7の中で最も深刻な経済不振に陥っている。

Pfeffel氏はTechCrunchに語った。「悪魔を懲らしめる方法のひとつは、彼を笑うことです。私のアートはジョンソン氏を笑い飛ばします。これらのNFTが、死体が山積みになっているのにパーティーを楽しんでいるように見える政府から忘れ去られた路上の人々の苦しみを、何らかの形で和らげる手助けになることを期待しています」。

オークションは、英国時間12月21日正午(日本時間12月21日午後9時)に開始され、大晦日の正午に終了する。

オークションの最新情報は、こちらのTwitterでご覧いただける

画像クレジット:Non Fungible Tories – The Boris Drop

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

NFT活用のブロックチェーンゲームMy Crypto HeroesがDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

NFT活用のブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」がDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

イーサリアム(Ethereum)ベースのブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリ)の運営・開発を行うMCHは12月21日、国内でブロックチェーンゲームのDAO(自立分散型組織)型外部コミュニティの提供を行うForN(フォーン)とパートナーシップを締結したと発表した。2022年1月早期リリース予定としているマイクリの新たなエコシステム「My Crypto Heroes -Rays Mining-」の展開に際し、相互のマーケティング支援を含め連携する。

同パートナーシップにおいては、「ForNが組成するコミュニティにおけるMy Crypto Heroes -Rays Mining-の普及、スカラーシップモデルの拡大」「グローバル展開を見据えた相互サポート」を中心に、幅広く今後の連携を行うことに合意したという。

マイクリは2018年11月のローンチ以降、「ヒーロー」「エクステンション」「ランド」と呼ぶ3種のNFTを軸としてゲーム内のエコシステムを形成。また、2020年10月にはガバナンストークンとして「MCH Coin」(ERC-20)をリリースし、ユーザー主体のDAO型ブロックチェーンゲームの創出に向けて開発を進めてきた。

またローンチ当初より「ヒーローNFTは最大でも200種までしか販売しない」としており、公約通り2022年1月11日のセールをもってヒーローNFTはすべての販売を終了する。現在に至るまで価値を高め続けてきたヒーローは、今後ユーザー需要の拡大に対して供給量は一定を保ち続けるため、より一層貴重なNFTとなるとしている。

ただ一方で、マイクリのプレイに必須となるヒーローNFTの価値が高まることは、同時に新規ユーザーの初期投資額が上がり、ひいては参入障壁が上がることを意味するという。

このため、My Crypto Heroes -Rays Mining-では、供給量を無制限とするNFT「Soul」とFT「RAYS」を軸とし、高額な初期投資を必要としないマイクリのエントリーレベルのコンテンツとしてリリースする。

バトルシステム、UIなどは現在のマイクリのものを踏襲しており、エントリーレベルとしてMy Crypto Heroes -Rays Mining-をプレイしながら、本流のマイクリエコシステムへの接続もスムーズになる設計を採用しているという。

またMy Crypto Heroes -Rays Mining-では、「Free to Play」のスカラーシップモデルを前提としたエコシステム設計となっており、NFT保有者は全世界のユーザーに対してNFTを貸し出し、収益をシェアすることが可能となっている。スカラーシップモデルとは、NFT保有者がゲームプレイを請け負うユーザー「スカラー」に投資を行い、スカラー側はこれにより獲得した収益の一部をNFT保有者に還元するというものだ。

手塚プロダクション初のデジタルアートNFT「鉄腕アトム」が約5300万円(120ETH)で落札

手塚プロダクション初のデジタルアートNFT「鉄腕アトム」が約5300万円(120ETH)で落札double jump.tokyoは12月20日、メタバース連携を支援するNFT事業支援サービス「NFTPLUS」を通じプロデュースを行っている、手塚プロダクション初の公式NFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu」(手塚治虫のかけらたちより)において、シリーズ第1弾「鉄腕アトム」のデジタルアートNFTが120ETH(約5300万円)で落札されたと発表した。鉄腕アトムに続き「ブラック・ジャック」「火の鳥」の3種を現在企画中で、順次展開予定としている。

鉄腕アトムは、手塚治虫氏の漫画原稿で構成されたモザイクアートNFTとなっており、2021年12月18日にNFTマーケットプレイスOpenSeaで行われたオークションにおいて落札された。手塚プロダクションは、同プロジェクトのデジタルアートNFT(モザイクアート・ジェネレーティブアート双方)の純売り上げをユニセフと日本の子供のための組織に各10%寄付する。手塚プロダクション初のデジタルアートNFT「鉄腕アトム」が約5300万円(120ETH)で落札

From the Fragments of Tezuka Osamuは、日本のマンガの礎を築いた手塚治虫のチャレンジャー精神を受け継ぎ、デジタルアートNFTという新たなジャンルで手塚作品やメッセージ性を魅力的に発信するというプロジェクト。手塚治虫の代表作品を題材に、「モザイクアートNFT」「ジェネレーティブアートNFT」の2形態でデジタルアートNFT作品を展開している。


© 2021 Tezuka Productions, All Rights Reserved.
Produced by double jump.tokyo Inc.

LINEが米韓で新組織「LINENext」設立、グローバルNFT市場サービス来春開始に向けて準備中

Zホールディングスの完全子会社で、メッセージングアプリを提供する日本の企業LINE株式会社(ライン、LINE Corporation)は、新組織「LINENext」を通じて、日本を除くグローバル市場で企業や個人がNFTを取引するためのマーケットプレイスを提供するため、2022年からNFTサービスを開始する。LINEは別途、日本市場に適合した「LINE BITMAX Wallet」を通じてNFT市場のベータ版を運用していると、LINEの広報担当者は述べている。

LINEは先週、グローバルなNFTエコシステムの拡大に注力するため、韓国と米国にLineNextを設立したことを発表した。

約100名の従業員を擁する韓国のLineNextでは、グローバルNFTプラットフォームの戦略・企画、米国のLineNextでは、NFTプラットフォーム事業の開発・運営を行っている。広報担当者によると、米国オフィスの従業員は55名だという。

LineNextはプラットフォームプロバイダーであるため「トランザクションの仲介手数料が主な収益源となり、将来的には他の追加収益源も予定しています」と広報担当者はTechCrunchに語った。

LineNextは現在、約20社のグローバルパートナーと提携の可能性について協議していると同担当者は述べている。

LineNextの新しいグローバルNFTプラットフォームは、世界中の企業やクリエイターが市場を構築し、一般ユーザーがNFTを取引するためのコミュニティやエコシステムを構築することをサポートする。

LINENextのCEOに就任したLINEアプリ製品(およびLINEフィンテック企業)のチーフプロダクトオフィサーYoungsu Ko(コ・ヨンス)氏は、こう述べている。「NFTは、デジタル分野を変革し、コンテンツ、ゲーム、ソーシャル、コマースなどのあらゆる分野でユーザーエクスペリエンスを革新する、一種の技術インフラです。LINEはイノベーターとして10年以上の実績があり、アジアで最も人気のあるテック企業の1つとなっています。当社はグローバルパートナーとともに、エキサイティングな新分野であるNFTにおいても同じことを目指していきます。韓国オフィスはNFTプラットフォームのグローバル戦略、米国オフィスはNFTのビジネス面に注力します」。

LINENextは、メッセンジャーやブロックチェーンサービスを開発・成長させてきたLINEの豊富な経験を活かし、企業、クリエイター、ユーザーのNFT体験を変革することを目指している。

LINEは、2018年にLINE Blockchain Labを設立して以来、暗号資産「LINK」を発行し、暗号資産取引所であるLINE BITMAXを日本で、BITFRONTをグローバルで運営している。また、ブロックチェーンサービス開発プラットフォームである「LINE Blockchain Developers」を運営し、日本ではLINE BITMAX Wallet上にNFTマーケットのベータ版を開設している。

すでに130万件以上のNFTが、ZEPETO(ゼペット)や電通などさまざまなブロックチェーンパートナーによって発行され、知的財産やコンテンツ、ゲームなどが紹介されているという。

画像クレジット:screenshot / LineNext

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

NFTをふるさと納税の返礼品に活用する取り組みの推進に向け札幌拠点の「あるやうむ」が2100万円のシード調達

あるやうむは12月17日、シードラウンドにおいて、総額2100万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Skyland Ventures、林隆弘氏(HEROZ代表取締役Co-CEO)、佐藤崇氏(スマートアプリ創業者、エフルート創業者)。調達した資金は、ふるさと納税の返礼品にNFTを採用するソリューションを自治体に営業するための費用、NFTが返礼品となるポータルサイトの開発費用にあてる。

あるやうむによると、11月24日に「総務省告示百七十九号第五条第五号に沿うイラストのデータをNFT化してふるさと納税の返礼品としてよいか」という質問を総務省市町村税課に行ったところ、「そのイラストが総務省告示百七十九号第五条第五号に適合している場合は可能である」という回答を得たそうだ。

2020年11月設立のあるやうむは、「地域間格差の解消」をビジョンに掲げ、地方に眠る資源とNFTをつなげる北海道・札幌のスタートアップ企業。社名は「あるやうむ」は、アラビア語で「今日」という意味だという。

同社は、暗号資産やNFTへの関心・購買が強い方にふるさと納税の返礼品としてNFTを提供することで、自治体の税収増が見込めること、デジタルアートNFTの場合その自治体の観光資源をアートに盛り込むことで聖地巡礼需要を喚起し、交流人口の増加につなげられることなどを挙げている。

Voodooは「Play-to-Earn」、遊んで稼ぐブロックチェーンモバイルゲームに約227億円超を賭ける

フランスのスタートアップVoodoo(ブードゥー)は、ブロックチェーンを活用したモバイルゲームに多額の投資を行う計画を発表した。同社は、今後数年間で2億ドル(約227億4000万円)規模の投資を行うことになると見積もっている。

2021年は暗号ゲームにとって重要な年となり、中でもAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)はPlay-to-earn(ゲームして稼ぐ、P2E)モデルを普及させた。Mythical Games(ミシカルゲームス)のように、大規模な資金調達ラウンドを行い、メインストリームのブロックチェーンゲームに取り組んでいる企業もある。

サイドノートとして、ファンタジースポーツのNFTゲームも暗号ゲームと考えられる。その分野では、ファンタジーフットボールのSorare(ソラーレ)が6億8000万ドル(約773億3000万円)のシリーズBラウンドを調達し、NBA Top Shotを開発したDapper Labsは2億5000万ドル(約284億2000万円)を調達してNFT分野でのさらなる発展を目指している。

関連記事:レアル・マドリードやリヴァプールなどと提携するファンタジーサッカーNFTゲーム仏Sorareがソフトバンク主導で約743億円調達

Voodooは現在、ハイパーカジュアルゲームで最もよく知られており、50億のダウンロード数と3億人の月間アクティブユーザー(MAU)を抱えている。同社のゲームには「Helix Jump」「Crowd City」「Hole.io」「Paper.io 2」などがある。

Voodooは自社スタジオを持つ一方で、サードパーティのゲームスタジオのパブリッシャーとしても活動している。Voodooの秘伝のソースは、配信、ユーザーあたりの平均収益、絶え間ないイテレーションを最適化する技術スタックだ。

そして、モバイルゲームのエキスパートであるVoodooは、暗号ゲームに関しても何もせずじっとしているつもりはない。Voodooはすでに10の社内スタジオでブロックチェーンベースのゲームに取り組んでいる。2022年には、さらに20の暗号ゲームに特化したスタジオを開設する予定だ。

2021年、Voodooは8社を買収した。つまり、新しい暗号ゲームのスタジオは、買収から生まれる可能性があるようだ。

VoodooのAlex Yazdi(アレックス・ヤズディ)CEOは、声明の中で次のように述べている。「複数の業界を変革するような技術的ブレイクスルーを経験することは、人生においてほとんどありません。プレイヤーはすでにデジタル資産を購入することに慣れているため、ブロックチェーンは特にゲームに影響を与えるでしょう。この技術により、プレイヤーは自分のデジタル資産の真の所有権を得ることができ、ゲーム内のデジタル通貨やゲーム資産の収集、取引、販売などを通してプレイヤー同士の交流が深まり、楽しさやエンゲージメントが向上します。またこれにより、プレイヤーは自分の資産から利益を得ることができるようになり、新たな『Play-to-earn』モデルにつながります」。

つまり、今後のVoodooのゲームでは、取引可能なNFTが期待できるということだ。ユーザーがオンラインマーケットプレイスでNFTを売買できるようになれば、ゲーム外でも経済的価値を持つことになる。

Voodooの既存のスタックに加えて、同社はトークンの管理、NFTの作成、ウォレットアドレスの作成、(イーサリアムのような)レイヤー1ブロックチェーンやレイヤー2のソリューションと統合して取引コストを削減するための再利用可能なブロックチェーンスタックに取り組む予定だ。

画像クレジット:Afif Kusuma / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

NFTとファッションを融合させたRTFKT、人はメタバースで何を大事にするのか

12月2日から3日にかけてオンラインで開催されたスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」。2日目午後2時50分から3時25分にかけて行われた「NFT & メタバース」のセッションでは、RTFKT(アーティファクト)共同創業者Benoit Pagotto(ブノワ・パゴット)氏が登壇し、最近話題のメタバースという世界を生きる中で、NFTという技術をどのようにファッションと融合させることに成功したのかついて解説した。モデレーターはOff Topicを運営する宮武徹郎氏だ。

また、RTFKTはイベント後の米国時間12月14日、Nikeに買収されている。

関連記事:ナイキが話題のNFTスタジオ「RTFKT」買収、TC Tokyo 2021にも登壇

デジタルとファッションの融合を実現したRTFKT誕生の経緯

RTFKTの共同創業者であるブノワ氏の経歴は興味深い。起業前は、欧州のeスポーツチーム「Fnatic」のブランディング、およびマーケティングの責任者として働き、それ以外にもDior、パリの高級コレクトショップcoletteなどのブランド戦略をも手がけてきた。好きなものは、アニメとゲーム、日本のサブカルチャーなど。

さまざまな要素が彼の中に混在し、RTFKTは、その発露ともいえるようなスタートアップ企業だといえる。

RTFKTが生まれたのは、ブノワ氏がZaptioことSteven Vasiley(スティーブン・ヴァジリー)氏、Chris Le(クリス・リー)氏とeスポーツ内で出会ったことがきっかけだ。

「学校にいるよりもゲーム内にいることの多いような人にとって、自己表現を行うには、どのようなスキン(ゲーム内で使うアバターの見た目)を持っているかが重要だ」とブノワ氏。「そこで、多くの人気スキンを作っていたクリスに連絡を取り、チームのためにゲーム『CS:GO』用のスキン制作を依頼したのが始まりだった」。

「当時、ストリート文化ではスニーカーが流行しつつあった。クリスはCS:GOのスキンに、実在ブランドのスニーカーを取り入れていた。ファッションとゲーム文化の融合。とても良いと感じた」(ブノワ氏)

その後、「フォートナイト」に登場するレイブンのスキンにアディダスのスニーカーYeezy 700を組み合わせた絵を、チームのInstagramに投稿したところ、かつてないほどの反響を得る。

「実在するブランドとゲームという異なる文化を融合させることで、個性的なものになる、と確信した」(ブノワ氏)

ブノワ氏のチームは、2018年に欧州チームとして数年ぶりに決勝進出を決めた。そして、決勝という晴れ舞台に立つ選手用に、赤いカスタムスニーカーを準備。残念ながら、優勝は逃したが「靴もかなり注目を集めた」とブノワ氏。「そこで、記念エディションとして翌年1月に、スニーカーと限定パーカーを製作。在籍企業がゲームスキン用NFT制作を始めていたので、それも同梱した。その初めての試みを通じ、僕たち3人はどんどん仲良くなっていった」。

やがて、3人の経験を持ち寄れば、誰にも真似できないブランドを作れるのではないかと思ったブノワ氏は、RTFKTの構想を立て、コンテンツを制作。Instagramに投稿したところ、好評だったため、事業化を計画する。

「それまで、ゲームと暗号技術をつなぐ真のブランドは存在していなかった。アニメ、ゲーム、レトロファッション、そしてNFT。情熱を注いだそれらを融合させ、未来のブランド像を示したかった。そして、ゲームに関連したファッションやキャラ、考え方をメタバースの中で広めていきたかった。それも非独占的に。それが創業に際しての理念だ」(ブノワ氏)

そして、それまでの仕事を辞め、2020年1月にRTFKTを立ち上げたのだ。

デジタル所有物は環境負荷を軽減する

そして2年目。ブノワ氏は、この1年を「自分たちほどたくさんの仕事をしたブランドはない」と豪語する。

2021年1月にはPCゲーマー向けにPCパーツやゲーミング周辺機器を開発・販売しているNZNXとバーチャルまたリアルでスニーカーを作るパートナーシップを締結した。それに先がけて紹介したゲームスニーカーの動画が反響を呼んだのはいうまでもない。

また、スニーカー界のレジェンドとも呼ばれ、ストリート系ブランドSTAPLEの生みの親であるジェフ・ステイプル氏とのコラボも実現した。

「個人的に気に入っているのは、PUNKS PROJECTだ」とブノワ氏はいう。「1万足の、それぞれユニークな(他とは異なる)スニーカーをCrypto Punksとともに作った」と振り返る。それぞれを異なるものにしたのは、以前にいた業界で目にしたことが関係している。

「高級ファッション業界で見てきたのは、大金をかけて没個性的になってしまっている人々だった。ヴィトンの鞄は高くても、世界中にゴマンとあるでしょう?」と問いかけた。

「1万足の完成品は、どれもクールで個性的。(Crypto)Punksの感性にマッチしたものだった」とブノワ氏。「送付方法は、TwitterのDMで。1対1ということもあり、毎晩2時まで作業していた」と振り返る。

「彼らと面識はないが、特別な一体感を感じた。これは前例のない功績だろう。とても誇らしく感じる」(ブノワ氏)

すべてのスニーカーは、当然NFTの技術を使っている。そのため、それぞれが一点物であり、デジタルであってもコピーできない。リアルなスニーカーと同じく、ユーザーはそれを「所有」している。

ブノワ氏は「デジタル物の所有はとても大切だ」という。「ゲームでスキンやキャラに大金を注ぎ込んでも、ゲーム機の世代が代わったり、ゲームそのものが終わってしまったり、アカウントが何らかの理由で停止させられてしまったりすれば、すべてが水の泡。ゲームの外に持ち出せなかった」と解説。

「しかし、NFTであれば、自分で所有できるため好きなときに交換できる。NFTに出会ったとき、真っ先にゲームでの活用を考えたのは、デジタル物を所有できる技術だと感じたからだ」(ブノワ氏)

人は、リアル世界でモノを所有することを重視するが「現実よりも仮想空間で長く時を過ごすようになれば、仮想空間でデジタル化されたものを持ちたいと思うようになるでしょう」とブノワ氏。「仮想生活が、現実以上に重要になりえる」という。

そして、仮想空間での生活の重みが増すことにより、フィジカルなモノよりデジタル化された所有物が増え、それは環境負荷を軽減させるものになると考えている。

さらに「メタバースでは人が区別されることのない世界。そこでの生活の創造性をグッと高めたいし、新興ブランドとしてその先鞭をつけるのが重要だと考えている」と語った。

「ファッション企業では、販売ありきで創造を行う。その流れを逆転させたい。たとえ無名でも、たとえ非常に若くても、斬新なものづくりをしている優れたクリエイターを起用していきたい。そして、利益を分かち合っていきたい。創造行為と権力の関係を変えていきたい」(ブノワ氏)

習うより使って学ぼう

11月に予約販売が始まった「Clone X NFT」についての話も行われた。Clone X NFTは、身につけるものではなく、アバターそのものを2万体制作するというプロジェクトだ。

思いついたのは、Crypto Punksとのコラボを発表したときだとブノワ氏はいう。「ファッションブランドには、あれが究極のプロジェクトだったが、キャラクターを作れば世界が変わる。ブランドがキャラクターを作れば、その特定ブランドから継続的に購入するようになり、ブランドの存在感に変化が生じるようになる」という計算だ。

人型の3D制作にはDaz 3Dを、アバターのデザインには「好きな要素を全部詰め込み」アニメの要素を組み込んだ。

ファッションコレクションも同時進行で制作していった。「150点ほど作ったので、コーディネートすることもできる」とブノワ氏。「デジタルで制作したそれらのファッションを、現実世界でも身につけたいと考える人が出ることだろう」。まさに、バーチャルとリアルの融合だ。

ブノワ氏は、これを「ファッションブランドの新時代の始まり。ブランドの礎、エコシステムの始まり」と位置づける。

なお、村上隆氏がClone X NFTにコラボするようになったいきさつについては、そもそも日本が好きで、日本のアニメ、ゲームなど日本文化を「世界一すばらしい」と感じている3人が、ファンである村上氏から、Instagramアカウントをフォローされたことに端を発しているとのこと。

「すぐにDMを送り、コラボを意識して連絡を交わした。そして、このプロジェクトが実現した」(ブノワ氏)

「NFTは新しい技術。使っているとクールに見えるため、『NFTって何?』と尋ねられることも多い。でも、僕は言いたい。知りたいのなら、使ってみようよ、と。それが最大の学びになる。NFTでデジタル物を所有するとはどういうことなのか。利益のこととは関係なく、ぜひとも(Clone X NFTの)アバターを使ってみて欲しい」とブノワ氏はいう。

音楽のNFT販売を支援するプラットフォーム「Sound.xyz」がa16zから5.7億円調達

2021年、私たちはNFT(非代替性トークン)がビジュアルアート販売の経済を揺るがす証拠を山ほど見てきたが、アート世界の別分野、たとえば音楽の経済をWeb3がひっくり返す、という動きはあまり見ることがない。

Sound.xyzは、ミュージシャンがNFTを通じて収益をあげるためのコミュニティを作ろうとしているスタートアップで、ミュージシャンたちを、いわゆる「web3 fold」(ウェブスリー・フォールド)と呼ばれる集団に導くための一連のツールを開発している。2021年12月、同社は最初の製品、Listening Parties(リスニング・パーティーズ)を公開した。アーティストが新曲のリリースにタグ付けされたNFTを販売できるようにするツールだ。

同社はAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードしたシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)調達したことをTechCrunchに伝えた。ラウンドには他に、Variant Fund、Weekend Fund、Scalar Capital、Flamingo、Packy McCormici、および21 Savageらが参加している。

同スタートアップは新進アーティストがNFTを活用し、自分たちの作品をより効率的に収益化できるようすることで、Spotifyなどのプラットフォームで得られるストリーム当たり1セント(約1円)以下の利益を乗り越えて欲しいと思っている。

「私たちはアーティストが自分たちの楽曲を新しい方法で収益化するためのツールセットを作っています」とSoundのCEOであるDavid Greenstein(デビッド・グリーンスタイン)氏がTechCrunchに話した。「私たちが解決したい問題は、『音楽を聴いてもらい、アーティストにお金が入るにはどうすればよいか?』です」。

スタートアップは、コミュニティに参加している数多くの「暗号化に理解のある」レコーディングアーティストたちとパートナー契約を結んだ。早期の作品は、数十曲の限定エディションNFTで、すぐに完売した。1万ドル(約114万円)分のNFTを売ることは、100万ドル(約1億1410万円)のセールスに慣れている業界にとって注目に値しないと感じるかもしれないが、同じ金額をSpotifyで稼ぐために数十万回のストリームが必要なアーティストにとっては大きな違いだとグリーンスタイン氏はいう。同社はアーティストの楽曲に結び付けられたNFTの需要を測定しているので、アーティストはコミュニティにさらにNFTをリリースするインセンティブがある。同社がNFTの販売手数料をとっていないことは注目に値する。

チームは他にも、NFT所有者がストリームにコメントを書いてアーティストに読んでもらう、といった機能も実験している。いずれは、ミュージシャンがファンのクラウドファンディングで新しい作品を作ったり、新しいプロジェクトに挑戦できるツールや、収集家が新しい作品を発見したり自慢するための新しいインセンティブモデルを作ろうとしている。

SoundはNFT音楽分野で唯一のプレイヤーではない。2021年11月、a16z Cryptoは、ロイヤリティをトークン化してファンに販売するNFT音楽プラットフォームであるRoyal(ロイヤル)に投資した。ブロックチェーンを利用した音楽ストリーミングプラットフォームAudius(オーディウス)は、General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)とCoinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)らから、1350万ドル(約15億4000万円)以上の資金を調達た。

関連記事:NFT音楽著作権のスタートアップRoyalがa16z Cryptoの主導で63.1億円調達、前ラウンドからわずか3カ月

画像クレジット:Sound

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

パ・リーグ6球団およびパシフィックリーグマーケティング(PLM)とメルカリは12月16日、2021年12月(予定)より、パ・リーグ6球団として初めてNFT事業で連携し、パ・リーグ6球団の名場面やメモリアルシーンをコレクションできる「パ・リーグ Exciting Moments β」の提供を開始すると発表した。試合映像を使ったNFT事業にスポーツリーグが参入するのは日本初の試み。まずは販売のみの機能提供となるが、2022年めどにブロックチェーンを活用したサービスの提供やコレクションの再販機能の提供など、ファン同士のコミュニティ活性化を目的としたマーケットプレイスの構築も検討する予定。パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

パ・リーグ Exciting Moments βは、パ・リーグ6球団の記憶に残る名場面やメモリアルシーンを捉えた動画コンテンツを自分だけのコレクションとして保有できるパ・リーグ6球団公式のサービス。

初期ラインナップ「Series 1 – ’21 Season Best Players」は、2021シーズンで特に活躍した選手を中心に計18プレーを収録予定。シーンや選手に応じて、★の個数でレアリティが付いており、専用ウェブサイトで購入できる。通常の試合の公式映像は、ダウンロードなどは禁止されているが、購入したコンテンツの場合は、ダウンロードして購入者が自身で保有したり、サービス内機能を活用時のみSNSなどでシェアすることも可能。

パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

初期ラインナップ「Series 1 – ’21 Season Best Players」の計18選手(予定)。かっこ内は初期限定販売数。初期販売においては、★1つの販売はない

昨今のコロナ災禍などにより、各球団は、主要な収益ポイントとなっているチケット販売・飲食販売・グッズ販売などの機会が大きく減少し、前年比半減近い売上となった球団があるなど、業界全体で厳しい事業環境が継続しているという。また、より中長期的な課題として、球場にファンが訪れることで生まれていた直接的なコミュニケーションの機会が失われることによるファンの減少などの可能性もある。

またメルカリは、2021年4月にメルコインを設立し、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行ってきた。

そこで今回、パ・リーグ6球団およびPLMとメルカリが連携することで、プロ野球ファンに対して、自分の好きなシーンを購入し、いつでも視聴でき、自分だけのコレクションとして保有できるサービスをスタートする。今後は、メルカリがフリマアプリ「メルカリ」で培ったマーケットプレイスの知見を活かし、2022年をめどにブロックチェーンを活用したサービスの提供やコレクションの再販機能の提供など、ファン同士のコミュニティ活性化を目的としたマーケットプレイスの構築も検討する予定。

パ・リーグ6球団およびPLMが持つ豊富で貴重なコンテンツとメルカリが持つマーケットプレイスの知見と技術力を融合し、新たなスポーツビジネス、ファンコミュニケーションの形を構築する。パ・リーグ6球団とメルカリが共同でNFT事業に参入、2022年めどにブロックチェーン活用サービス提供など検討

ウータン・クランの幻のアルバムを手に入れたNFT投資家グループをアンドリーセン・ホロウィッツが支援

Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のアルバム「Once Upon a Time in Shaolin」や、Doge(ドージ)のオリジナル写真データのNFT(非代替性トークン)を購入した暗号資産集団に新しいメンバーが加わった。ベンチャーキャピタル会社のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)だ。

同社はTechCrunchに、PleasrDAOへの投資を行ったと述べている。PleasrDAOは、ブロックチェーンで連合したグループで、数十人の暗号資産投資家がチームを組み、ここ数カ月で高額なNFTを次々と購入している。このグループが購入したものには、4億円以上(正確には1696.9ETH)で落札した後、後に細分化して暗号コミュニティに販売した有名なDoge画像がある(現在の時価総額は100億円以上と見られている)。また、このDAOはEdward Snowden(エドワード・スノーデン)の作品に約5億5000万円(2224ETH)、ウータン・クランのアルバムに400万ドル(約4億5000万円)を払っている。

DAO(decentralized autonomous organization、自律分散型組織)とは、基本的にブロックチェーンの投票メカニズムを中心に形式的に組織されたグループで、意思決定や資本投資を行うというものだ。

A16z Crypto(アンドリーセン・ホロウィッツの暗号資産投資部門)によるPleasrDAOへの投資は、彼らが公に発表した組織タイプへの最初の投資というわけではない。

同社は10月、Friends With Benefits(FWB、フレンズ・ウィズ・ベネフィッツ)というDAOに投資を行い、これを1億ドル(約114億円)と評価している。Andreessen Horowitzは、PleasrDAOへの投資規模を明らかにしなかったが、評議員のSantiago Santos(サンティアゴ・サントス)氏は、このDAOの管理トークンに対する彼らの全体的な出資額が「5%未満」だと明言している。

他の多くの暗号資産グループと同様に、PleasrDAOはそれが形成されたとき、非常に特異な野心を持っていた。それは、デジタルアーティストによる作品に入札すること。この場合はpplpleasrの作品だ。この作品は、分散型取引所プラットフォーム「Uniswap(ユニスワップ)」のアニメーションビデオ広告だった。このグループは、暗号資産創設者のLeighton Cusack(レイトン・キューザック)氏がオークションへのリンクをツイートし「誰かこれに入札するクイックDAOを作りたい人はいませんか?」と尋ねたことをきっかけに、3月に結成された。同グループは最終的に310ETH(当時約5800万円)で落札し、購入代金はすべてチャリティーに充てられた。

「DeFiの最も賢い頭脳の多くがここにいる、これを本当におもしろい方向に持っていく機会がある、と私たちはすぐに考えました」。サントス氏はTechCrunchにそう語った。「時間が経つにつれて、もっと構造と階層が必要だと感じられるところまで、このDAOは成長したと私は思います」。

このグループはその後も投資を続け、ポートフォリオを充実させるとともに、支援できる新しいアーティストの発掘を目指している。サントス氏は、このグループがNFTの「メディチ家」になることを目指していると語る。それは「多くのデジタルネイティブアーティストが集まり、参加や発見ができる場所」だという。

「DAOはWeb3と暗号資産の最も純粋に近い現れ方です」と、a16zのGPであるAli Yahya(アリ・ヤーヤ)氏はTechCrunchに語った。

a16zは早くから暗号資産に取り組んできたが、この分野の創業者や開発者ネットワークの近くで活動するいわゆる「暗号ネイティブ」な投資ファンドの台頭により、a16zのような従来型の企業にはDAOのような新しいグループをより大胆に支援する必要性が生じてきた。Andreessen Horowitzは、方針や規制に関する懸念など、PleasrDAOを支援できる領域がたくさんあると見ている。DAOは現在、プールされた資本の規制されていない投資ファンドとしてグレーゾーンで運用されているように見えるからだ。

A16zのこのグループへの賭けは、多くの意味で、同グループがすでに大きく賭けているNFTへのレバレッジ賭けである。

A16zは2021年、NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)や、大手NFTゲーム起業のSky Mavis(スカイメイビス)、NFT音楽プラットフォームのRoyal(ロイヤル)などに出資した。また、高価なNFTの買い取りに特化した1億ドルのベンチャーファンド「Meta4」にも参加している。これらの投資は、同社が2021年の夏に起ち上げた22億ドル(約2500億円)の巨大な暗号資産特化ファンドから行われている。

「NFTの可能性を過小評価することは簡単です」と、ヤーヤ氏はいう。「NFTが巨大化し、将来的にすべてのNFTの時価総額の合計が、代替可能トークンの時価総額よりも大きくなる可能性は十分にあります」。

関連記事:JPG画像に100億円?希少価値のある優良NFTプロジェクトを買い漁るMeta4 Capitalの狙い

画像クレジット:PleasrDAO

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Coinbase、NFTコレクションをブラウザウォレットで閲覧可能に

暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

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画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

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暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

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画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi