将来、DiscordにNFTと暗号資産ウォレットが登場するかもしれない

Discord(ディスコード)はすでに、NFT(非代替性トークン)のコミュニティの事実上の拠点となっているが、さらにこれらのつながりを大幅に深めることを計画しているかもしれない。

米国時間11月8日、Discordの創業者でCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏が、Discordが人気の暗号資産ウォレットサービスのMetaMask(メタマスク)や、多くのモバイル暗号資産ウォレットが基盤としているオープンプロトコルであるWalletConnect(ウォレットコネクト)と統合されている様子を示すスクリーンショットをツイートした。シトロン氏は、本当は「これは大変なことになるだろう」を意味しているNFTのツイッター用語である「probably nothing(おそらく大したことじゃない)」を用いて、以下のようなツイートを行った。

現段階でのウォレットのサポートは、純粋に予備調査的なものに思える。シトロン氏は、この仮の暗号資産統合がどのように機能するのか、Discordが暗号資産統合の検討にどれほど真剣に取り組んでいるのかについては詳細を提示せず、同社もまた具体的な説明を拒んでいる。

Discordの広報担当者はTechCrunchに対して「私たちはいつでも、提供するコミュニティを改善できるものを探求し実験し続けています」と語った。そしてこのスクリーンショットは最近行われたハッカソンでのものだと付け加えた。

Discordがソーシャルチャットアプリに暗号資産機能を追加することに興味を持っているという想像はまだ仮説段階かもしれないが、もし同社がEthereum(イーサリウム)への対応を行うのであれば、その計画は単なる支払いにとどまらない可能性が出てくる。また、Discordは最近、NFTについての考えに関する調査をユーザーに対して行った。

2021年Discordは、何千ものNFTプロジェクトの自然発生的な拠点となった。それらのプロジェクトの多くは、専用のDiscordサーバーを通じて、フォロワーと連絡を取り合い、最新情報を送り、売上や市場の動きを追跡している。また、NFTの配布イベントをコーディネートする際にも、Discordが選ばれている。イベントでNFTが「鋳造」され、支援者たちに販売または配布された後、それらは最終的にOpenSea(オープンシー)などの取引プラットフォームに送られる。その際、多くの場合には、大幅な値上げが行われる(ご存知のように、通常はJPEGが対象だ)。

Discordは、Ethereumやその他のデジタル通貨での支払いを念頭に置いているだけかもしれないが、シトロン氏がMetaMaskのサポートをほのめかしたことは、NFTを中心としたより野心的な計画を示唆している可能性もある。Ethereumのようなコインは、基本的な支払いや取引に使用することができるが、この暗号資産は、Ethereumのブロックチェーン上のスマートコントラクトを通じて追跡・取引される、ほとんどのNFTの技術的バックボーンとしても機能している。

Discordは抜け目のない経験豊富な企業であり、人びとが自分のデジタルアイデンティティを表現するためにNFTをどのように利用しているかをよく理解していると思われる。Discordはテキストとボイスのチャットアプリで、ユーザーのアイデンティティは主にどんなアバターを選んだかで表現されている、これは現在NFTが注目していることだ。すでにTwitter(ツイッター)やDiscordでは、NFTに精通したユーザーたちが、最もレアな(そしてしばしば最も高価な)NFTを選んで、PFP(プロフィール画像)として使用している。MetaMaskがサポートされれば、Discordは、ユーザープロフィールにリンクされたギャラリーにNFTを展示したり、所有権がブロックチェーンによって担保された「認証済み」のアバター画像を選択したりする場所になるかもしれない。

特に、急成長を遂げているWeb3.0の分野で同社はその足場を活用できる立場にある。なおWeb3とは分散化、デジタルグッズ、所有権に基づく仮想IDなどで定義されると多くの人が予想しているインターネットの次の段階である、しかし、Discordは現状でも有利な材料を持っている。

ツイッターでは、シトロン氏のツイートと、同社が実施した「DiscordとWeb3.0」に関するアンケートが相まって、賛否両論が巻き起こった。多くのアカウントからDiscordユーザーに対して、DiscordがNFTに全面的に乗り出すのではないかという懸念を理由に、月額料金で機能特典を提供しているプレミアムNitro(ニトロ)サブスクリプションをキャンセルするよう呼びかけが行われた。「Nitroサブスクリプションを解約してやったぜ。@discordはクソ、NFTもクソ」とつぶやいたツイートには1万近くの「いいね!」がついた。

また、シトロン氏のツイートには、Discordの芽吹きつつある暗号資産計画が、詐欺やスパムでコミュニティサーバーを圧迫している結果になっていることを嘆く声も多数寄せられている。シトロン氏は、Discordが、NFTの交換や販売を中心とした多くのサーバーなどで横行するいい加減な行為に対処するために、新たなチームを設立したことを伝え、一部のTwitterユーザーを安心させようとした。「スパムとセキュリティは、この世界における当社の最優先事項です」とシトロン氏は書く。「最近、具体的な対処チームを立ち上げました。詳しくは追ってお知らせします」。

関連記事
DiscordがClubhouseのような音声イベント用チャンネルの提供を開始
RobloxがDiscordと競合するゲーマー向けチャットプラットフォームのGuildedを買収

画像クレジット:Discord/Eric Szwanek

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

ブロックチェーン・NFT活用したマンガのファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」正式版が提供開始

GaudiyがNFTや分散型IDなどブロックチェーンを活用しファン体験を統合する新規ゲームIPパートナーを募集

ブロックチェーンとエンターテインメントを結び付け、ファンコミュニティー事業を展開するGaudiy(ガウディ)は11月9日、コミックスマートと共同でブロックチェーンを活用したファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」(ガンマ!コミュニティ)正式版の提供開始を発表した。

Gaudiyは、マンガアプリ「GANMA!」(Android版iOS版)を介しマンガ家の育成やマンガコンテンツの配信などを行うコミックスマートと共同で、ファンが自主的にマンガ作者や作品を応援できる共創型のファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」ベータ版の開発と提供を行ってきた。そこでは、「漫画の新たな楽しみ方やファンと漫画の新しい関係性を、ファン主体で創っていくコミュニティ」として、ファン同士の交流や創作活動を促進すると同時に、新しいオークション方式による作品関連のデジタルアイテム(NFT)の販売といったファン体験の実験も行われた。

一般にNFTの販売では、設定価格から値段を下げてゆく「ダッ・チオークション」方式(競り下げ方式)が主流だが、わかりづらいなどの問題が多い。そこでGANMA!コミュニティでは、値段を競り上げてゆく方式をベースに、慶應義塾大学経済学部の坂井豊貴教授との共同研究で生まれた「Gaudiy-Sakai方式」を採用した。これは、事前入札期間を設け、参加者の需要に応じてNFTアイテムの発行枚数を決めるというというもの。価格と発行枚数を適切に調整できる「公正でユーザーフレンドリーな」方式だという。実際にGaudiy-Sakai方式のオークションでは、NFTになじみの薄い中高生も多く参加し、「作品のファンを楽しませる新しい体験を提供」できたとGaudiyでは話している。

ブロックチェーン・NFT活用したマンガのファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」正式版が提供開始ブロックチェーン・NFT活用したマンガのファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」正式版が提供開始

そうした取り組みにより、新規ファンの増加、ファン同士の自発的なコミュニケーションの創出・活性化が見られ、「コミュニティ醸成における一定の成果」が確認されたことから、GANMA!コミュニティ正式版のリリースとなった。Gaudiyとコミックスマートは、今後も「マンガ業界の課題解決と新しいファン体験の創出」に務めてゆくとのことだ。

【コラム】イーサリアムはプライバシーの基準も変える

イーサリアムは世界で最も人気のあるデジタル契約コンパイラーで、多くの人によって管理されているものの、誰かが所有しているわけではない。イーサリアムが普及している要因の1つで最も興味深いのは、おそらくイーサリアムが描く未来だろう。イーサリアムは、今後所有権、価値の創造、そしてこれが最も重要であるが、プライバシーに関する現在のインターネットの基準を変えていくだろうと思われる。

どのような変化が今後起こるのだろうか?

イーサリアムでは、アプリを開発できるだけでなく、写真、音楽ファイル、ビデオ、お母さんのお気に入りのかぼちゃパイのレシピ(他にも日々生み出されるさまざまな可能性があるが)など、デジタルなものなら何でも一意に有償で所有、交換、保管できる。

多くの人々がインターネットはさまざまな保護によって階層化されると予想してきたが、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ-リー)氏の言葉の言い換えになるが、結局は基盤となるテクノロジーを誰もが利用できるようにすることで、その受容と有用性が大幅に向上することがわかった。

イーサリアムとWeb 3.0の出現によって、インターネットが単にプライベートであるというだけでなく、オープンで透明性のあるものである、という概念が生まれ、状況が変化しつつある。

イーサリアムのこれまで

2013年、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、イーサリアムのアイディアを思いつき、イーサリアムは2年後に開発されサービスの提供を始めた。このプラットフォームは、インターネットにアクセスできる世界中のだれもが、永続的なアプリケーション(分散型アプリ、またはdAppsとして知られる)を開発できるように設計された。この分散型アプリは誰もが使えるが変更はできないもので、厳密な整合性を備えたオープンソースソフトウェアである。これらのアプリの基本機能はスマートコントラクトと呼ばれ、デジタル契約を可能にする。

つまり、言い換えると、もはや仲介者を通して財務サービスや法務サービスを行う必要がないということである。イーサリアムは基本的に証書保管代理人、公証人、IDをチェックする銀行の出納係、または住宅ローンの原資産所有者を必要とせず、それらを一瞬のデジタル取引に置き換えてしまう。

この非常に貴重な機能によりイーサリアムは、現在多くの競争者の先を行く最も有名な暗号資産そしてブロックチェーンの1つとなった。ビットコインの価格は最近史上最高値を記録し、イーサリアムの周辺は大いに沸き立っている。

これに関連する概念であるWeb 3.0は、これらのピアツーピアのブロックチェーンを用い、ユーザーが仲介者なしに、データを取り扱い、価値を保存し、エンティティとやりとりする、といったことを可能にする、未来のインターネットと目されている。

イーサリアムの現在

イーサリアムが法務、財務、契約締結などの基本インフラになるにつれ、その強みや弱みを理解することが財産の所有と譲渡の基本的な性質になるだろう。

Stephen Hawking(ステファン・ホーキング)氏の「基礎的コンピュータープログラミングは学ばなければならない必須のスキルである」という言葉をこの状況に即して言い換えれば、イーサリアムでのスマートコントラクトの基礎を学ぶことは、基本的な法務スキルや財務スキルになるだろう。

現在イーサリアムで最も注目を集めているアプリケーションはNFT(non-fungible tokens:代替不可能なトークン)である。NFTは比較的新しいものであるが、価値の保存だけでなくデジタルな一意の所有権を主張するものとして、消費者、アーティスト、投資家に人気である。

NFTは、操作、変更、複製ができない、つまり代替不可能であるため、インターネット上であらゆるデジタル(ファイル)を所有または取引することができる。Ape、Kitty、Punkを巡りソーシャルメディア上で騒ぎが起こっているが、それらはすべて、高価なデジタルアートにファンが群がる急成長中の現象に関連している。

このテクノロジーの1つの使用例として予測されるのが、惑星間のマイニングである。地球を本拠地にしている企業は、社員が実際に訪れることがほとんどない小惑星の鉱業権を売買する必要がでてくるだろう。

他に予想される使用例としては住宅ローン、不動産購入、イベントチケット販売、音楽祭、ファイルストレージ、ゲーム(例えばAxie InfinityはプレイヤーがNFTに基づくゲーム世界でしっかり生計をたてることができるという証拠である)などがある。

可能性は無限であり、日々好奇心がありエネルギーに溢れたコミュニティによってアイディアが生み出されている。

今後のイーサリアムの課題

この基盤となるテクノロジーに規制が追いついてきている現在、多くの人がそれを制御する試みを目にすることになるのか確信を持てないでいる。暗号戦争で長年たたかわされてきた議論には暗号化を抑制または損なう要求がともなっていたが、それと同様に、イーサリアムの「変化しない性質」に変更を加えると、その重要な特性である「永続的整合性」が損なわれる可能性がある。

イーサリアムの不変性とそれが広く受容されている状況との間には、潜在的な対立が存在する可能性がある。つまり金融規制当局が何らかの形でその展開に対して所有権を得たりまたは管理しようとするかもしれないということである。これらの規制当局が「広くつながったノードの領域を、その真の価値である分散性自体を損なうことなく慎重に管理するにはどうしたらよいか」という疑問にどう答えるか大変興味深い。

このテクノロジーが直面するその他の課題や限界はと言えば、パフォーマンスの持続可能性ではないかと思われる。イーサリアム上にアプリなどを作成する際、ガス代といわれる料金が必要になるが、近年この料金が上昇しており、プラットフォームの処理時間が遅くなっていることが知られている。イーサリアム2.0は非効率性を解消できると考えられているが、すべての取引を保存し計算するために最適化されたブロックチェーンにおいて、スピードを維持し続けるにはどうしたらよいのだろうか?

セキュリティも課題の1つであり、広く悪用されているわけではないもののイーサリアムには脆弱性の問題があることが知られている。Poly Networkは「契約呼び出し間の脆弱性」に起因するハッキングがあったことを2021年報告している。

スマートコントラクトは作成するには複雑な機能であるため、ネットワークに展開する前に十分な監査が必要である。イーサリアムのセキュリティもパスワードを必要としない、非対称暗号化に基づいて構築されている。量子コンピューティングが最終的に非対称暗号化標準を混乱させる可能性は多いにある。

私たちは、イーサリアムやブロックチェーンがいかに存続し続け、それを私たちがメタバースへ、そしてそれを超えて維持していけるのかに興味がある。

編集部注:本稿でAshley Tolbert(アシュリー・トルバート)氏とTarah Wheeler(タラ・ウィーラー)氏によって述べられた見解は両氏の個人的見解であり、両氏が関係する団体の見解ではありません。アシュリー・トルバート氏は、情報セキュリティの研究者およびエンジニア。タラ・ウィーラー氏はハーバード大学ケネディスクールオブガバメントのベルファーセンターサイバープロジェクトフェローで、情報セキュリティ研究者。

画像クレジット:Prostock Studio / Getty Images

原文へ

(文:Ashley Tolbert、Tarah Wheeler、翻訳:Dragonfly)

BTSがNFT市場に参入、韓国の暗号資産取引所Upbitとの合弁で

K-POPのメガスターBTSを擁する韓国のエージェンシーHybeは、韓国の暗号取引所Upbitと合弁会社を設立し、NFT事業に参入する予定であることを発表しました。

Hybeは、暗号資産取引所Upbitを運営するブロックチェーンベースのフィンテックスタートアップDunamuの株式2.5%を5000億ウォン(約482億円)で購入する。同時にDunamuは、ソウルに本社を置く音楽エージェンシーの新たに発行されたHybe株(5.6%の株式)を5億9240万ドルで取得すると規制当局に申請している。

合弁会社はNFTフォトカードを作成し、グローバルなHybeのファンとアーティストのコミュニケーションアプリ「Weverse」で取引される予定だ。HybeのCEOであるSi-Hyuk Bang(パン・シヒョク)氏とDunamuの会長であるChi-Hyung Song(チ・ヒョンソン)氏は、現地時間11月4日の説明会で共同声明を行った。

HybeのBTS NFTには、動画やアーティストの声などが含まれているとパン氏はいう。それに加えて、世界中のファンがデジタルフォトカードを仮想空間で交換することができるようになる、チ氏は述べた。

Hybeとその子会社は、BTSブランドをデジタル領域でより深く拡張するためのさらなる計画も発表した。NFT JVに加えて、BTSのビデオゲーム、そして「ウェブトゥーン」ビジネスが予定される。

Hybeは現在、ポップバンドを生み出す企業の中で最も成功している企業の1つであり、彼らはその波に乗っています。説明会では、Hybe AmericaのCEOであるLenzo Yoon(ユン・ソクジュン)氏が「HybeとUniversal Music Groupは、グローバルなガールズグループのデビューを披露する準備もしています。これとは別に、Hybe Japanは日本でボーイズバンドを発表する予定だと、CEOのHyunrock Han(ハン・ヒョンロク)氏は述べている。

韓国のK-POP大手は、既存のIPをデジタル資産に変えることで収益の可能性を広げるため、NFTに備えている。

韓国の4大エンターテインメント企業であるHybe、JYP、SM、YGは、この新しい技術を利用しようと競い合っている。JYP Entertainmentは7月にDunamuと提携してK-POPベースのNFTプラットフォームを立ち上げ、SMは2019年に暗号資産とブロックチェーンのプラットフォームを構築を発表している。

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Katsuyuki Yasui)

クリエイターが稼ぐ方法としてPatreonは暗号資産を検討

Patreon(パトロン)の共同創業者でCEOのJack Conte(ジャック・コンテ)氏と最高プロダクト責任者のJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏は、現地時間10月28日に開催されたThe Informationの2021 Creator Economy Summitのパネルに登壇し、同社の会員制プラットフォームの暗号資産に関する計画について質問を受けた。

「暗号資産とNFTの分野で、明らかに壮大なイノベーションが起きています」とガットマン氏は話した。「私たちが目にするアート市場や貴重品市場では、狂気じみた価格がつきます。それがクリエイターエコノミー全体で持続可能なのか、明らかではありません。しかし、には、基本的な技術的要素というものがあり、オーディエンスに価値を売る方法として機能しています。クリエイターの活動が世の中で重要性を増すと、二次販売によってその価値を継続して享受することができます」。

Patreonは9月、四半期ごとのCreator Policy Engagement Programのライブストリームに先立ち、クリエイターコミュニティに対し、クリエイターコインのアイデアを提示した。このライブストリームでは、クリエイターがプラットフォームのポリシー変更について意見を述べることができる。だが同社は、このテーマについてクリエイターと深く話し合うことができなかった。Mastercardのアダルトコンテンツに関する新基準に関連した、より緊急性の高い問題と一緒に提示されたためだ。

Patreonのポリシー責任者であるLaurent Crenshaw(ローレント・クレンショー)氏はPatreon Connectのライブストリームで「私たちは今、いかなるタイプのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の創設についても検討していません。明らかに、Patreonの現在のガイドラインでは認められていません」と話した。「しかし、多くのクリエイターから、彼らの支援者に対し、コインやトークンなどにより、限定的なメンバーシップや特典を提供することに興味があるという声を耳にしてきました。そうしたデジタルアイテムは、クリエイターのファンクラブの一員であることを示し、持ち続けることができます。そこで私たちは、少なくとも、そのような方法をガイドラインが認める可能性を探れるのではないかと考えました」。

Patreonでは、クリエイターが個人的な投資話やアドバイスをすることはできるが、現在のガイドラインでは、クリエイターやその支援者の直接的な金銭的利益を目的としたコインや、投資スキームの一部として提供されるコイン、暗号資産の購入や入手を促す明示的なインセンティブなどは禁止されている。しかし、クリエイターがクリエイターコインの提供に興味を示すなら、Patreonはポリシー変更を検討するという。

クリエイターコインとは、暗号ベースのソーシャル通貨の一種で、基本的には、ファンがクリエイターの成功に投資できるような仕組みだ。BitCloutRollRallyなどの企業が個別のトークン作成に取り組んでいる。クリエイターのトークンを早期に購入し、その人がスーパースターになれば、自分も利益を得ることができる。

「Patreonが常に心がけていることの1つは、クリエイターにとって持続可能で長期的な道筋を作っていくことです。収益化が爆発的に進むことではありません」とガットマン氏はThe Informationのサミットで述べた。「ですから、NFTやその基盤となる技術が、クリエイターにとって持続可能で長期的な収益を生み出すためにどう役立つのかを検討し、理解することに興味があります。しかし、個々のアセットの販売を伸ばすことに関していえば、クリエイターにとって価値があると思えるなら、クリエイターが提供できる幅広いポートフォリオの一部として、クリエイターコインの提供を考えないわけではありません。しかし、私たちとしては、クリエイターにとって持続可能で継続する未来を築くにはどうすればよいかを真剣に考えているがために、暗号資産についても広く検討しているわけです」。

クリエイターに作品の所有権を与えることを目的とする暗号資産の取り組みもある。例えば、アーティストはNFTを販売するたびにロイヤルティを得ることができるが、通常のファインアーティストに同じことは当てはまらない。

「暗号資産やNFTに関する一般論として、私はクリエイターが自分のメディアやコンテンツを所有するという考えがとても気に入っています。クリエイターがレバレッジを効かせてコントロールするという考え方が好きなのです。プラットフォームではなく、クリエイターがオーディエンスのデータを所有するという考え方も好きです。基盤となる多くのインフラが、クリエイターに自立の力を与えてくれるというのはすばらしいことだと思います。権力を組織から個々のクリエイターに移すという考え方が好きです」とコンテ氏はイベントで語った。「私は、このテクノロジーの多くが目指しているのはそういうことだと思いますし、それが本当に深くエキサイティングなことだと思っています」。

しかし、Patreonが先月提案した、クリエイターが暗号資産に手を出せるようにするというPatreonのアイデアには、多くのクリエイターが抵抗を感じていた。ほとんどは環境コストが理由だ。

「暗号資産を加えるというアイデアは心配です。アーティストのコミュニティにおける暗号資産の評判は絶対的に悪いからです。表面的には有益であってもです。クリエイターの支援者がプラットフォームへの暗号資産導入に賛成しないことで、支援者を失ってしまうのではないかと心配しています」と、あるクリエイターはライブストリームの公開チャットに書き込んだ。

パネルの司会を務めたThe InformationのLaura Mandaro(ローラ・マンダーロ)氏は、コンテ氏に対し、Patreonには暗号資産に取り組むフルタイムの従業員がいるのかと尋ねた。

「それについてはノーコメントですが、検討はしています」とコンテ氏は答えた。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

アドビのクリエイター向けSNS「Behance」がNFTと有料サブスク販売を新たにサポート

Adobe(アドビ)は米国時間10月26日、年次カンファレンス「MAX」において、同社のクリエーター向けポートフォリオサイトBehance(ビハンス)の興味深いアップデートを発表した。Adobeによると、2020年1年間で1億6000万人以上がBehanceを訪れ、22億5000万回以上もクリエイターの作品を閲覧したという。これは非常に活発なコミュニティであり、Adobeが、ユーザーがそこから直接、あるいは間接的に利益を得られるような新機能をいくつか追加するのも当然のことかもしれない。


Adobeが追加した機能の中で最も注目を集めているのは、NFTアートワークをサイト上でよりよく紹介できるようになったことだろう。クリエイターは、Behanceに自分の暗号ウォレットを接続できるようになった。同社は、Polygon(ポリゴン)、Solana(ソラナ)、Flow(フロウ)、Tezos(テゾス)などのブロックチェーンの導入を進めている。また、OpenSea(オープンシー)、SuperRare(スーパーレア)、KnownOriginRarible(ラリブル)などのNFTマーケットプレイスと提携し、現在多くのCreative Cloud(クリエイティブ クラウド)ツールに組み込まれている「コンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative、CAI)」のデータ来歴を、Behanceに加えてそれぞれのサイトで可視化して表示している。

Adobeの副社長でBehanceを含む複数の部署を担当するWill Allen(ウィル・アレン)氏は、Adobeは独自のNFTマーケットプレイスを作ることには興味がないという。「当社は、クリエイターが自分の作品を発表しやすくすることに専念しています。当社ができることの中で重要な焦点は、クリエイターが自分の作品を紹介する場を作り、好きな場所で取引ができるようにすることです」。

画像クレジット:Adobe

Behanceのユーザーの多くは、学ぶために仲間のクリエーターのサブスクライバーとなっている、とアレン氏は筆者に話してくれた。「彼らに共通しているのは『学びたい』ということですね」と同氏はいう。「舞台裏を見たがっているわけです。『この人はすごいイラストレーターだから、創作活動を見て、どうやってこれらのことをするのかを見てみたい。彼らのPSDにアクセスして、それをテンプレートにして、自分の創造性を次のレベルに引き上げたい』などというように」。

クリエイターは、Behanceでサブスクリプションを販売し、チュートリアル、ワークショップ、ライブストリームへのアクセスを販売することもできるようになった。これらのサブスクリプションの価格はクリエイターが自由に設定することができ、Adobeはこれらの販売からコミッションを受け取ることはないという。

また、Behanceのもう1つの新機能として、仕事の依頼が可能であることを表示できるようになった。多くのBehanceユーザーにとって、仕事の機会を見つけることは常に目標となっていたが、新しいボタンを使うことで、クリエイターはそれを明示できるようになった。クリエイターは、自分がフリーランスで働けるのか、フルタイムで働けるのかを示すことができる。

画像クレジット:Adobe

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

NFTマーケットプレイスOpenSeaの苦悩、「真の友人は正面から君を刺す」

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

みなさんこんにちは!今日は気楽な話題なので、くつろぎながら読んで欲しい。

よく知られているオスカー・ワイルドの言葉に「真の友人は正面から君を刺す」というものがあるが、この言葉は覚えておくべき機知に富んだ真実だ。Coinbase(コインベース)がNFTに参入するという最近の決定について、ここ1、2週間あれこれと考えているうちにこの言葉が浮かんできた。

関連記事:CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

いくつかの事実を知れば、ワイルドの言葉がなぜ今の状況に合っているのかがわかるだろう。

  • a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者であるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、上場前から支援してきたCoinbase(コインベース)の役員を務めている
  • 一方a16zはOpenSeaのシリーズAを主導した。これは2300万ドル(約26億円)規模で、NFT市場に多額の資金と信用をもたらした
  • Coinbase VenturesもOpeanSeaに投資しているが、これは同VCが行ってきた数多くの投資の1つだ
  • そしていま、CoinbaseがNFTに参入することを発表したことで、ウェイティングリストに大量の登録者が集まった

暗号資産ウォッチンググループのDappRadar(ダップレーダー)によれば、現在OpenSeaは最大のNFTマーケットプレイスだ。もし競合するソリューションに興味を示したユーザーたちが、著名な暗号資産投資プラットフォームであるCoinbaseで実際にNFTを売買するようになれば、CoinbaseはOpenSeaを圧倒するかもしれない。

そうなると、OpenSeaは困った立場になるだろう。

VCが上場後も企業の取締役に留まるのは、彼らがそうすることを選択し、そして投資先企業が彼らを引き留めるのであれば問題はない。公開された企業のボードメンバーになることを習慣にしているVCもある。例えばMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、Facebookの取締役会に参加しているが、Facebookはアンドリーセン氏についての説明の中で、彼が以前にeBayやHPで取締役を務めていたことを紹介している。やるもんだ。

しかし、ある投資家が上場後も投資先企業の役員に留まりながら、同じ投資家の会社のポートフォリオ企業と直接対抗することを決めたとすると、少し厄介なことになる。その投資家がまだ働いているところ。仮に私がOpenSeaの立場だったとすると、アンドリーセン氏がCoinbaseのボードにいて同時に彼のベンチャーファーム(a16z)が私(OpenSea)の投資者に名を連ねているときに、Coinbaseが私の市場を攻撃することを決めたとしたら、私は腹を立てるだろう。

「真の友人は正面から刺す」ものなのか?

また、Facebookによる最近の暗号資産の推進は、ご存知の通りCoinbaseとの提携であることも思い出そう!

関連記事:フェイスブックが暗号資産ウォレット「Novi」の試験運用を米国とグアテマラで開始

また最近、Facebookのボードメンバーが関わる皮肉な事態は他にもみられた。例えばPeter Thiel(ピーター・ティール)氏はFacebookの役員だ。そして彼は同時に、政治家を目指すJ.D. Vance(J.D.バンス)氏も支援している。ここで注目すべきは、J.D.バンス氏が選挙に出馬しながらFacebookを攻撃している点だ。個人的には大企業が中小企業を沈めようとしているのを見るのは好きではないので、OpenSeaの事態を眺めているのは少々不愉快だが、Facebookの資金が循環してFacebookの尻に噛みついているのを見るのは、その過程で稚魚たちが被害を受けていないこともあって滑稽だ。

とはいうものの、もう少し取締役会の席を他者に譲ったほうが良いのではないだろうか。そうでなければ、a16zは自分たちが支援している創業者たちを貶めるような活動を続けることなってしまうだろう。

Volvoその他のIPO

今週は時間を見つけてVolvo(ボルボ)の公開について調べようと思っていたが、それはかなわなかった。ここで会社自身によるノートを見ることができる。Volvoから分離したPolestar(ポールスター)は、SPACを使って株式を公開している。

そして先週の終わりに、Braze(ブレイズ)は株式公開を申請した。この会社とそのS-1については、米国時間の月曜日の朝一番に詳しくお伝えする。

今後も、(冗談抜きで)最高の企業ギフトプラットフォームを構築しようと競い合う熾烈なスタートアップレースの様子などを紹介していく。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが約2兆2200億円の評価額でSPAC上場へ

画像クレジット:Nigel Sussman

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

SFをテーマにしたNFTカードゲーム「Parallel」が急成長中、投資家の注目も高まり約570億円調達

Ethereum(イーサリアム)エコシステムの暗号資産投機家にとって、NFT(非代替性トークン)が保有資産を多様化するためのホットなスペースとなっていることは周知の事実である。これを、質の低い芸術作品を騙されやすい人に売り込む絶好の機会と考える人がいる一方で、NFTベースのゲームは一般に拡がる運命にあり、早い段階で仕組みを利用することができた製品が利権を得ると考える人もいる。

イーサリアムのブロックチェーンをベースにしたSFカードゲーム「Parallel(パラレル)」は、他の暗号資産プロジェクトよりも急激に成長を遂げている。投資家もそれに気づいており、このプラットフォームは、暗号資産専門VCのParadigm(パラダイム)から5億ドル(約570億円)の評価額を得て5000万ドル(約57億円)を調達したと、TechCrunchに語った。これまで同社には、YouTube(ユーチューブ)の共同創業者であるChad Hurley(チャド・ハーリー)氏、Focus Labs(フォーカス・ラボ)、OSS Capital(OSSキャピタル)、Yunt Capital(ユント・キャピタル)などが出資している。

「最高の暗号資産ゲームは、ファーストパーティのコンテンツを超えて、プレイヤーや開発者のコミュニティを刺激し、ゲームそのものを構築するものになるでしょう。我々は、Parallelのユニークなアプローチと初期の熱狂的なコミュニティに感銘を受け、彼らの次の成長段階を支援できることをうれしく思います」と、Paradigmの共同創業者であるMatt Huang(マット・ファン)氏はメールで語った。

Parallelは、世界的なエネルギー危機を解決しようとする終末論的な試みの後、人類が宇宙から脱出するというファンタジー系ストーリーをベースにしている。CryptoPunks(クリプトパンク)などの高い価値が付けられたドット絵的な他のNFTプロジェクトとは異なり、Parallelのアートスタイルはリアリズムを重視したものになっている。

Parallelが今後リリースする予定のNFT(画像クレジット:Parallel)

このSF NFTカードゲームは、NFTへの投機が急増した2021年8月に最初のパックをリリースすると、すぐに人気に火が着いた。暗号資産情報を追跡しているCryptoSlam(クリプトスラム)によると、Parallelの取引量は1億500万ドル(約120億円)に迫るという。同タイトルに含まれる「Masterpiece(マスターピース)」カードの1つは、110万ドル(約1億2500万円)相当のイーサリアム暗号資産で販売された。9月の売上は1100万ドル(約12億5000万円)を超える程度で収まったものの、このように大きな金額が動いた月は、NFTプロジェクトの長期的な価値に大きな影響を与える可能性がある。というのも、その間に購入された希少な品を長期的に保有することで、オンチェーンで鋳造(発行)される新しい資産の価格基準を安定させることができるからだ。

何千人もの技術に精通した投機家が、大金持ちになるためにシステムを破壊しようとすることほど、システムのストレステストになるものはない。その結果、NFTの「ドロップ」は、ありとあらゆる悪夢のようなシナリオに悩まされてきた。独自のドロップシステムを構築してきたParallelにとって、今のところ順調に進んでいるものの、数日後に迫った次のドロップは、カードの潜在的な価値が高まっていることもあり、どれだけスムーズに進むかに人々の注目が集まっている。

このプロジェクトのゲーム要素は、実際にはまだ存在しておらず、初期の資金はそれを構築するために使われている。Parallelは、NFTの売上に対して10%のロイヤリティを徴収し、その半分がゲーム内の賞金として保持され、残りは会社の収益となる。これはコアプラットフォームにとって将来的により大きな収益をもたらす可能性があるが、ゲームのエントリーポイントが数千ドル(数十万円)に膨れ上がると、この「ゲーム」としての性質はまったく違ったものになってしまう。希少性で投資家を惹きつけつつ、新規ユーザーにも優しい市場のバランスをとることは、NFTゲームプロジェクトが取り組まなければならない大きな課題となっている。

画像クレジット:Parallel

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

JPG画像に100億円?希少価値のある優良NFTプロジェクトを買い漁るMeta4 Capitalの狙い

2020年のNFT(非代替性トークン)狂乱は、アート、トレーディングカードゲーム、豪華アバター、デジタル・オブジェクトなどさまざまな分野に暗号資産がなだれ込むきっかけとなったが、今のところ、機関投資家はこうしたブロックチェーンベース商品を注意深く見守りながら、背後にいるプラットフォームに株式投資べく資産を準備しているようだ。

フロリダ州マイアミ拠点のMeta4 Capital(メタ4キャピタル)は、このトレンドに逆らい、集めた資金をプロジェクトそのものにつぎ込み、画素の粗いカエルやデジタルの馬や少々疲れたサルを買い占めている。これは多くの伝統的スタートアップが一蹴する大胆な判断だが、チームはすでに大きな後ろ盾を得ている。リードインベスターはベンチャーキャピタルおAndreessen Horowitz(a16z)だ。Meta4は最終的に、a16zが支える1億ドル(約114億円)のファンドをターゲットにしている。

共同ファンダーのBrandon Buchanan(ブランドン・ブキャナン)氏とNabyl Charania(ナビル・チャラニア)氏は、著名VCのファンドに支えられて、予測可能性がないことでよく知られている市場に新境地を開こうとしている。Meta4の関心事は、認められた優良NFTプロジェクトの希少品を買うことであり、数には注目していない。2021年同社は、100万ドル(約1億1000万円)のパイロットファンドを立ち上げ、その資金でNFTを31件だけ購入した。その中には1組のCryptoPunks(クリプトパンク)やCrypToadz(クリプトトーズ)の他、 Zed Run(ゼッド・ラン)の馬がいくつか入っている。彼らの投資は、ここ数カ月の市場回復を受けて、すでに価値総額が500~600%になっていると言われている。

関連記事:イーサリアムの「最古のNFTプロジェクト」CryptoPunksをめぐる驚くべき熱狂

2021年4月にBeeple(ピープル)のコラージュが6900万ドル(約78億6000万円)で売れた後、NFTが初めて多くの投資家の目に止まって以来、驚くばかりの資金がこのスペースに流入している。8月にはNFTプラットフォームのOpenSea(オープンシー)が取引高34億ドル(約3873億3000万円)の新記録を打ち立てた。劇的な投資急増のきっかけの1つとなったのが、ビジネスインフルエンサーのGary Vaynerchuk(ゲイリー・ベイナーチャック)氏が、稀少なCryptPunkサルを376万ドル(約4億3000万円)で買ったことだった。高額取引の勢いは続いた。今週、レアなBored Ape(ボアード・エイプ、退屈なサル)が270万ドル(実際には696.969ETH、約3億1000万円)で売れた。

「私は投資家に対し、『ツナミ』はまだきもいないと言っています。これは必要な代物、今すぐ必要な代物。エイリアンもサルも必要なのです」とブキャナン氏はTechCrunchのインタビューで語った。

NFTスペースに高まる興奮がある分、規制の明瞭性を欠いている。既存ルールの遵守も欠けている。規制当局はCoinbase(コインベース)などの主要取引所に焦点を宛てているようだが、暗号資産投資の世界に関わる前に証券弁護士だったブキャナン氏によると、人気のNFTプロジェクトは闇の領域に陥りつつあるという。多くのNFTプロジェクトが投資家資産のリターンに複雑なメカニズムを開発しており、ブキャナン氏が特に強調したのは、NFTオーナーに独自のトークンを与えるプロジェクトがいくつかあることで、そのふるまいは証券に酷似していると彼はいう。

「私たちがまだ買っていない商品があるのには理由があるのです」。

新しいプロジェクトが毎日出現し、資産の爆発はいくつもの急上昇ユニコーンNFTスタートアップを生み出した。その多くがMeta4を支えるa16zが支援しているもので、OpenSeaやトレーディングカードゲーム、NBA Top ShotのメーカーであるDapper Labs、Axie Infinityを作ったSky Mavisなどがいる。2021年の夏、a16zは22億ドル(約2506億5000万円)の暗号資産に特化したファンドを立ち上げた。Meta4によると、このファンドはアートやコレクションアイテムに焦点を絞り、NFTスタートアップへの株式投資は見合わすようだ。

「(a16zは)そちらはカバー済なのだと私は思っています」とブキャナン氏はいう。

画像クレジット:Meta4 Capital

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

TC Tokyo2021「NFT & メタバース」のセッションでは話題のRTFKT創設者ブノワ・パゴット氏が登壇決定

12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

「NFT & Metaverse(メタバース)」をテーマにしたセッションでは、RTFKTのBenoit Pagotto(ブノワ・パゴット)氏が登場する。

RTFKTはメタバースのための次世代スニーカーとコレクターズアイテムを扱うサービスだ。その3人の創設者の1人であるブノワ氏は、高級ファッションとゲーム/esportsの両方で経験を積んだブノワ氏は、この2つの異なる世界を融合させた次世代ブランド、チーム、ビジネスモデルの構築を専門としている。

すでに参加者チケットは発売中。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。本講演は英語でのセッションとなるが、日本語の字幕が入る。

チケット購入

本記事執筆時点では「早割チケット」は税込3500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。

デジタル証券の第二取引市場を目指す投資プラットフォームRepublicが171億円超を追加調達

スタートアップの世界では、デジタル資産が米国証券取引委員会にとって、いつ有価証券と見なされるか否かについて、山ほど不満が募っている。

多くの人々が規制の暗雲を感じる分野で、創業5年のニューヨーク拠点の投資プラットフォームであるRepublic (リパブリック)が機会を伺っている。多くの企業が特定のデジタル資産と距離を置くべきかどうか悩んでいる中、Republic(CEOのKendrick Ngyueyn[ケンドリック・グエン]氏はGoodwin Procterでの証券訴訟が最初の仕事だった)は「compliant tokenization(規則に準拠したトークン化)」とグエン氏が呼ぶものの第1人者になることを創業時から目指してきた。

そして今同社は、すでに構築したデジタル「証券」の購入と再販のためのコンプライアンスを重視したマーケットプレイスを拡大する大きな野望をほのめかしている。

関連記事:厳選されたスタートアップ投資機会を提供するRepublicのCEOケンドリック・グエン氏のTC Tokyo2021登壇決定

グエン氏は先週TechCrunchとの電話で「米国内の主要な取引所でデジタル証券トークンを扱っているところはありません」と語った。つまり、製品やサービスに利用できるユーティリティトークンではなく、その価値が不動産のような外部の取引可能な資産に連動しているトークンのことだ。

扱わない理由の1つは、SECが、Ripple Labs(リップル・ラブズ)が開発した暗号資産であるXRPを、(通貨ではなく)Coinbaseなどの取引所が販売していない「証券」とみなしていることを極めて明確に示したからだ。

グエン氏は、Republicは「有能で良いカスタマーサービスを提供し、米国で証券とデジタル証券の第二の活発な市場を可能にする」取引所があれば「今すぐ提携する」意志があると語った。しかし、そんな取引所は存在しないため「あと1年ソリューションが見つからなければ、Republicはデジタル証券の二次的取引所に投資するか関連会社を通じて直接設立するつもりだ」と語った。

これはRepublicが運営している中で最も野心的なサービスであり、100万人以上のユーザーを集め、大規模な資金調達も行っている。

本日、米国時間10月20日、同社は1億5000万ドル(約171億円)のシリーズBラウンドをValor Equity Partnersのリードで完了したことを発表した。これは2021年3月に発表したGalaxy Interactive、Motley Fool Ventures、HOF Capital、Tribe Capital、およびCoinFundらが参加した3600万ドル(約41億円)のシリーズAラウンドに続くものだ(なお、これらの既存投資家は今回も参加し、Pillar VC、Brevan Howard、Golden Tree、およびAtreidesが新たに加わった)。

現在Republicの従業員は200名で、最新ラウンドの前に、新株発行で5000万ドル(約57億円)以上を、トークンの販売で2000万ドル(約23億円)以上を調達している。

会社はさまざまな調整に忙しく動いている。Republicはすでにいくつかの事業部門からなっており、10ドル(約1140円)から始められる人気の個人投資プラットフォームや、10億ドル(約1141億円)近い資産を管理し、認定投資家をふるいにかけてスタートアップに紹介する民間資本部門から、技術、財務、流通、およびトークン化サービスを提供するブロックチェーンコンサルタント部門まである。

さらにRepubliには、現在スタートアップや暗号資産プロジェクトに資金を配分するクローズドエンド型投資ファンドが2件ある他、Republic Realm(リパブリック・レルム)の名前で運用しているメタバース(仮想空間)とNFT(非代替性トークン)に特化したデジタル投資部門もある。

Republicがどうやってすべてをコントロールしているのかを聞かれたグエン氏は「異なるプラットフォームがあるとは考えていません」として、関心事や預金残高に関わらずあらゆる人にサービスを提供できる会社と考えていると語った。「もし億万長者がRepublicにやっきてきて、100ドル投資するのに時間を使うより10万ドルを配分したいというなら、我々はその機会を提供します。もしあなたが20歳で、20ドルをビデオゲームか不動産か女性起業家に投資したいなら、そのための機会もあります」。

目指しているのは「全人口」の要求に応えることだと彼は述べ、Republicなら培った技術力を駆使して成功できると強く思っている。そこにはある基本理念がある。それは「DeFiとNFTを含めほとんどのトークンは証券である」というRepublicの強い信念だ。その結果「私たちはRepublicのやっていることのすべて、触れるものすべてをなんらかの証券として扱い、米国証券法の既存の枠組みに適合させています」と彼は言った。

他の投資プラットフォームがSECに抵抗したいのならもちろんそれは彼らの権利です。Republicとしては「自分たちの仕事をするために新しいルールや規制を求めません。私たちのやり方は既存の法律、強固な法的根拠に基づいています」。

画像クレジット:Kendrick Nguyen / Republic

原文へ

(文:Connie Loizos、翻訳:Nob Takahashi / facebook

暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

TBA via Getty Images

セキュアなメッセージングアプリ「Signal」の創業者で暗号化技術のエキスパート、モクシー・マーリンスパイク氏が、表示するプラットフォームによって紐付けられた画像データの見え方が変わってしまうNFTをリリースしました。また、そのNFTは購入したのウォレットにウ〇コの絵文字( )を表示するとのこと。

NFTは、アート作品や貴重なメディアデータのオリジナル性と所有権を証明するためにブロックチェーン上に保存されるトークンのこと。デジタル鑑定書とでも言えばわかりやすいかもしれません。

しかし、マーリンスパイク氏がリリースしたNFT「At my whim, #1」は、他の誰かがそれを購入した際にデジタルウォレット内にウ〇コの絵文字が表示されます。さらにNFTプラットフォームのOpenSeaと、NFT販売所のRaribleそれぞれで、紐付けられたはずの画像の見え方が異なるとのこと。

マーリンスパイク氏はこのNFTを使った悪戯について、紐付けられたものの所有権を証明するはずのNFTが持つ脆弱性にスポットライトを当てることが目的だとしています。

NFTは技術的にはブロックチェーン上に保存されるユニークなデジタルトークンです。しかしほとんどの場合、実際にそこに保存されるのは記録だけで、アート作品などのデータは別のどこかに保管されることになります。

つまり、NFTに高額の代金を支払ってオリジナルデータとされる画像を購入したつもりでも、肝心のオリジナルデータはブロックチェーンとは異なるところにあり、保存先のなすがままに「いつでもNFTの画像を別のものに差し替えられる」可能性があるということです。

マーリンスパイク氏はOpenSeaおよびRaribleの説明書きに「あなたはこのファンクションコール」を所有しているかもしれませんが、私はファンクションそのものを所有しています」と記しています。

(Source:Moxie Marlinspike(Twitter)Engadget日本版より転載)

Robloxが今後の計画を発表、アバターの改良やNFTのような限定アイテム販売などを予定

Roblox(ロブロックス)は、米国時間10月14日に開催された年次開発者会議で、子どもや若者に人気の高い急成長しているオンライン・マルチプレイヤー・ポータルの今後について展望を示した。

基調講演では、Robloxの共同設立者兼CEOであるDavid Baszucki(デイビット・バシュッキ)氏が、計画の概要を説明した。それによると同社は、プレイヤーのアバターを磨き上げ、ゲーム内における新たな収益化の流れを導入し、ゲームとソーシャルネットワーキングの交差点で同社を大きな成功に導いた、ユーザー生成コンテンツを創造している開発者の体験を能率化させていくという。

関連記事:ゲーミングプラットフォームのRobloxが約3.7兆円の評価額7倍で資金調達、直接上場に向けて準備

Robloxは、ブロック状の比較的素朴なキャラクターモデルとゲームグラフィックスで知られているが、そのスタイルが同社の爆発的な成長を妨げることはなかった。しかし、Robloxはプレイヤーのアバターを、よりリアルでカスタマイズ可能なものにしようとしている。これは、若いコアユーザーが年齢を重ねても魅力的なプラットフォームを維持し、仮想世界に作られた無限の拠点の中で、さまざまな形の自己表現を可能にするという、同社の目標に合致した選択である。

「Robloxには際限がないことを、人々は理解すると思います」と、Robloxの最高製品責任者を務めるManuel Bronstein(マニュエル・ブロンスタイン)氏は、TechCrunchに語った。

同日、Robloxはこの方向性に沿ったいくつかの重要な変更を発表した。1つ目はLayered Clothing Studio(レイヤード・クロージング・スタジオ)と呼ばれるもので、これはアバターの衣装をよりリアルでダイナミックなものにするビジュアル・アップデートだ。これによって、例えばあなたが気に入ったRobloxのバーチャルなジーンズ・ジャケットを、あなたのキャラクター・モデルが人型であっても、恐竜であっても、体型に合った姿で着ることができる。これらの衣服は、より写実的なゲームで見られるように、キャラクターの身体にぴったりとフィットし、自然なドレープを描く。

この新たに発表されたRobloxのアバター・アップデートは、現在のRobloxの象徴ともいえるレゴのようなブロック状の外見に、より多くのカスタマイズ性とリアリティを注入することを目的としている。ブロンスタイン氏は、今回の変更を、Robloxのソーシャル体験で中核をなすアバターの「莫大な進化」と表現している。「自己同一性はメタバースの重要な柱であり、自分のユニークなアバターに合わせて衣服をきちんとカスタマイズできることは、個人の表現において最も重要な能力です」と、バシュッキ氏は基調講演で語った。

ゲーム内アイテムを販売するビジネスが活況であることを考えると、Robloxには、バーチャルなファッションシーンを、より洗練された実在感のあるものにするための経済的な動機がたっぷりとある。Epic Games(エピック・ゲームズ)のような、競合他社に遅れを取るわけにもいかない。Epic Gamesは「Fortnite(フォートナイト)」のキャラクターデザインと、1件で5000万ドル(約57億円)もの収益を上げることができるブランドパートナーシップの両面で、業界をリードする存在だ。Robloxは独自のブランドとIP(知的財産)との提携を持っているが、さらに見た目に魅力的なバーチャルグッズの販売を広く手がけるようになれば、その旨味はどんどん増すだろう。

画像クレジット:Roblox

さらなるリアルさを目指して、Robloxは開発者に「Dynamic Heads(ダイナミック・ヘッズ)」と呼ばれる機能のベータ版の提供も開始した。これはアバターの顔がアニメーションするというもので、フェイシャルトラッキングと組み合わせて、キャラクターモデルの口が言葉に合わせて動くようにすることもできる。これには、Robloxが2020年末に買収したデジタルアバターのスタートアップ企業「Loom.ai(ルーム・ドット・エーアイ)」の技術が活用されている。同社はまず、プラットフォームのルーツを思わせるブロックのような頭のデザインをいくつか用意した。開発者はこれらを使って、新しいフェイシャル・アニメーションを試すことができるようになる。最初はユーザーに提供せず、まず導入の第一段階として開発者の手に渡ることを、Robloxは望んでいる。

関連記事
ゲーミングプラットフォームのRobloxがデジタルアバター作成のLoom.aiを買収
Robloxに仮想世界が今本当に必要する「ボイスチャット」機能が登場予定

Robloxは、2021年9月に発表したボイスチャットの大規模な展開を続けており、これまでテキストチャット中心だった体験を、より自然で没入感のあるインタラクションへと急速に移行させようとしている。また、同社は今回、13歳以上の全ユーザーが年齢認証を選択できるようになったことも発表した。この審査過程をパスすることによって、一部のユーザーは導入予定の新機能にいち早くアクセスできるようになる。認証されたユーザーは、Robloxの新しいボイスチャット機能を「2021年の秋の終わり頃から」利用できるようになるという。

アバター体験の向上に加えて、Robloxは限定アイテムを導入する計画も発表した。これは、にぎやかなゲーム内経済からお金を稼ぐ(現実のお金と交換できるRobuxという形で)ための興味深い新たな方法だ。Robloxのクリエイターは、自分がデザインしたアイテムを限定数または期間限定で販売することができる。ゲーム内で確立された仮想経済に、コレクションする楽しみという要素を取り入れるわけだ。クリエイターは、Robloxのゲーム内アイテムをいくつかのNFTと共有し、ロイヤリティを有効にすることで、そこでの販売から収益を得ることもできる。「最終的には、アイテムの再販に関するルールを、ユーザーが設定できるようにするという発想です」と、ブロンスタイン氏はNFTとの関連性について、TechCrunchに語った。

開発者はまた、RobloxがOpen Cloud(オープン・クラウド)と呼ぶ新しいシステムを通じて、そのプラットフォーム用のコンテンツをより柔軟に作成できるようにもなる。Open Cloudでは、開発者はRoblox自身の開発環境であるRoblox Studio(ロブロックス・スタジオ)に制限されることなく、サードパーティ製ツールでコンテンツを作成し、それをRobloxにプラグインすることができる。

同社はクラウド化を推進しており、Robloxのコンテンツ制作者に、より多くのデータ・ストレージを提供し、このプラットフォームを、開発者にとって全般に魅力的で汎用性の高い場所にしようとしている。Robloxはまた、よりリアルな衝突物理学やパラシュートが展開するようなビジュアルを表現できる空気力学など、開発者がすぐに遊び始めることができるグラフィックスの強化も発表した。

2021年には、Robloxはそのユーザー生成ゲームの世界でコンテンツを作成した開発者に、総額5億ドル(約570億円)を支払うことになる見込みだ。3年前の7000万ドル(80億円)と比べると、どれほど大きく成長しているかがわかるだろう。

「私たちは、このメタバースが完全にユーザーによって生成されるものになると確信しています」と、ブロンスタイン氏はいう。「そして、誰もがクリエイターになれるようにすることで、より没入感が増した、多くの種類(の体験)をプラットフォーム上で得ることができるようになると、私たちは考えています」。

画像クレジット:Roblox

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ViacomCBSがNFTスタートアップRecurとの提携でNFTに参入、普通のカードでも購入可

メディアコングロマリットのViacomCBS(バイアコムCBS)がNFTに参入する。NFT(非代替性トークン)はブロックチェーン上に保存された所有権にリンクしたデジタル資産だが、デジタルアートやコレクターズアイテムの売買によく使われており、その潜在的な市場が注目されている。ViacomCBSは、NFT企業であるRecur提携し、2022年から同社の象徴的なIPやフランチャイズをデジタルコレクターズアイテムの世界に導入することを発表した。これには、CBS、MTV、Showtime(ショウタイム)、Paramount Pictures(パラマウント・ピクチャーズ)、BET、Nickelodeon(ニコロデオン)、Comedy Central(コメディ・セントラル)といったViacomCBSのトップブランドの番組や映画の商品やコレクターズアイテムが含まれる。

このプロジェクトの詳細については同社は多くを明らかにしていないが、ファンが同社のポートフォリオに含まれるNFTを購入、収集、取引できる場所を作ることになると述べている。また、このプラットフォームは「ピア・ツー・ピアのエンゲージメントを促進し、ユーザーが新しい体験をするための革新的な方法を促進する」とも述べており、マーケットプレイスの側面だけでなく、新しい体験にはソーシャルな要素があることを示唆している。

最近、5000万ドル(約56億7000万円)のシリーズAを調達し、ローンチ前の評価額を3億3300万ドル(約377億円)に高めたRecurは、現在、NFTU.comというNFTプラットフォームの構築に取り組んでいる。このプラットフォームは、デジタルライセンシング企業であるVeritone(ベリト―ン)と共同で構築しており、Pac-12 Networksの大学スポーツビデオコンテンツ(スポーツハイライトなど)を使ったNFTを提供する。

このプロジェクトから、ViacomCBSが自社のNFT計画で何を考えているのか垣間見ることができる。

すでに多くのNFTマーケットプレイスが存在しているが、Recurの計画は、あらゆる暗号資産で鋳造される定期的なロイヤルティを標準化する技術を開発することだ。この決定は、NFTが「チェーンアグノスティック(非依存)」になることを意味し、より多くの潜在的なファンを暗号資産エコシステムに引き入れることになる。ブランドパートナーやIP保有者にとっては、NFTが自分のプラットフォームを離れて他の場所で再販された場合、元の権利者はその販売や再販から継続的なロイヤルティを無期限に受け取ることができるということだ。

これは、デジタルコレクターズアイテムとなりうるIPを大量に保有するメディア企業にとって、魅力的なことだ。例えば、Spongebob Squarepants(スポンジ・ボブ)、South Park(サウスパーク)、Star Trek(スタートレック)などのグッズを考えてみて欲しい(ただし、ViacomCBSは、最初のディストリビューションにどの番組を含めるかを発表していない。また、そのような決定を下す前に、IPに関連するクリエイターや俳優などと、より複雑な権利関係の話し合いが必要になる可能性もある)。

また、Recurのチェーンにとらわれないアプローチにより、NFTの購入には、暗号資産だけでなく、米国のクレジットカードやデビットカードも使用できるようになる。これは、暗号技術のアーリーアダプター以外の、より多くの人々にリーチしたい企業にとっても魅力的なことだ。

この新しいプラットフォーム(基本的にはRecurが提供するホワイトラベルのマーケットプレイス)は、2022年春にローンチするとViacomCBSは述べている。

NFTを導入するメディア企業は、ViacomCBSが初めてではない。メディア業界の著名人に加え、CNN、The New Yorker(ザ・ニューヨーカー)、Time(タイム)、Playboy(プレイボーイ)、Lionsgate(ライオンズゲート)、Media CentralGannett(ガネット、USAトゥデイなどの親会社)、Fox(フォックス)などがNFTを採用したり、独自の調査や実験を始めている。

ViacomCBSのコンシューマープロダクツ担当プレジデントであるPam Kaufman(パム・カウフマン)氏は、声明でこう述べている。「愛されているキャラクターや多世代に渡って愛されているアイコニックな作品に後押しされ、当社のコンシューマープロダクツのプレゼンスを、成長を続けるメタバースに向けてさらに加速させることができ、大変うれしく思っています。Recurと協力し、ViacomCBSのIPに特化したNFTプラットフォームを構築することで、熱心なコレクターも、初めてNFTを購入する方も、お気に入りのシリーズの一部を所有するユニークな機会を得ることができます」。

また、ViacomCBSは、NFTの販売による収益化には当面注力せず、このプラットフォームをコミュニティ構築やファンのエンゲージメントのために活用したいと考えているとのこと。

画像クレジット:ViacomCBS

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

Coinbase(コインベース)は、OpenSea(オープンシー)など既存の主要プレイヤーに対抗するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの起ち上げを準備しており、年内に予定しているローンチに向け、早期アクセス用順番待ちリストへの登録が可能になったことを、米国時間10月12日に発表した。

Coinbaseは、近日中に提供を始めるこのプラットフォームについて、現時点では詳細を明らかにしていないものの、ブログ記事の中では、ソーシャルメディア機能をより深くプラットフォームに統合したいと述べている。「Coinbase NFTは、NFTの創作、購入、展示、発見をこれまで以上に簡単にします。複雑な仕組みは舞台裏に隠した直感的なインターフェースを構築することで、NFTをよりアクセスしやすいものにします。また、交流や発見のための新たな道を開くソーシャル機能を追加します」と、同社は書いている。

Bitcoin(ビットコイン)が、Coinbaseの直接上場時に記録した史上最高値に迫っているにもかかわらず、Coinbaseの株価は、この分野で最も人気のある暗号資産(暗号資産)の成長回復に追いつけず、4月の直接上場以来約27%の下落となっている。この暗号資産取引所は、同時に規制当局からも睨まれており、最近ではSEC(米国証券取引委員会)が「Lend(レンド)」という融資商品に関して同社を提訴すると圧力をかけ、発売を中止したこともあった。また、Robinhood(ロビンフッド)のような取引アプリが暗号資産への対応を強化したこともあり、Coinbaseはますます激しさを増す暗号資産売買業界の競争に対処を迫られている。

画像クレジット:Coinbase

NFTが高額なデジタルコレクションやアートを求める投資家の関心を集め続ければ、Coinbase NFTは上場会社となったCoinbaseに大きな収益源をもたらす可能性がある。2021年初めに急騰し、8月に再び盛り上がったNFT市場は、多くの人が予想していたよりも回復力を見せているが、すでに大きく変動している暗号資産の値段よりも、依然としてさらに激しい変動が見られる。OpenSeaは、8月に34億ドル(約3860億円)もの取引量を記録した。

CoinbaseはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンのサポートを開始しており、そこでNFTの展開を始めるということはそれほど意外ではないが、Coinbase NFTの開始時には、レイヤー2のスケーリングネットワークとの統合は行わないとしている。つまり、Coinbase NFTのユーザーは、高額なガス代を支払い、Ethereumメインネットのスケーラビリティ問題の多くに対処しなければならない可能性があるということだ。

Coinbaseはブログで、いずれ「マルチチェーン」サポートを導入する予定と書いているが、Coinbase NFTのローンチ時にはEthereum標準のERC-721とERC-1155規格のみをサポートする。競合のOpenSeaは最近、Polygon(ポリゴン)ネットワークを活用した大幅に低コストな取引のサポートを開始している。

OpenSeaはこの分野で強大な勢力を持つが、Coinbaseが競合しなければならない唯一のプレイヤーというわけではない。ライバルであるBinance(バイナンス)やFTXも、最近NFT市場エコシステムへの参入を発表している。多くの暗号資産投資家がNFTの可能性はまだ表面に現れてきたばかりと見ているものの、Coinbaseは間もなく競合する他社よりも、かなり遅れて参入しようとしている。とはいえ、コンシューマー・クリプトの世界におけるCoinbaseの知名度を考えると、その参入は大きなものになりそうだ。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターがアバター関連スタートアップFacemojiに出資

アバター関連のスタートアップ企業はここ数年の間に次々と生まれては消えていったが、その背後にいる起業家の多くが当初想像していた未来は、多かれ少なかれ正確であることが証明されている。Apple(アップル)はMemoji(ミー文字)によるアバター表現に関心を高めており、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook(フェイスブック)をメタバース企業にしたいと考えている。また、ユーザーが仮想世界に入り込み、自分のキャラクターのためのアクセサリーを購入するRoblox(ロブロックス)のようなプラットフォームは、かつてないほどの人気を博している。

Facemoji(フェースモジ)は、ゲームやアプリの開発者が同社のSDK(ソフトウェア開発キット)を使ってアバターシステムをアプリに導入するためのプラグアンドプレイ技術プラットフォームを構築している。Facemojiは、Play Ventures(プレイベンチャーズ)を中心に、Twitter(ツイッター)、Roosh Ventures(ルーシュベンチャーズ)、エンジェル投資家が参加した300万ドル(約3億3400万円)のシードラウンドを実施した。

チームによると、この分野の他の多くの企業は、開発者が扱いたくないUnityのプラグインに依存しているが、Facemojiの軽量ソリューションは、独自のレンダリングパイプラインに依存している。また、開発者が望むのであれば、すぐに利用できる多様なアバターアートのシステムをすでに持っている。

画像クレジット:Facemoji

Facemojiは、より多くのゲームメーカーが独自のアバターシステムを簡単に構築したいと考えているが、必ずしも他のネットワークに接続したいとは思っていないと考えている。初期のアバタープラットフォームの弱点は、独自のメタバースとして機能する一貫したクロスプラットフォームのアバターシステムを構築しようとする野心にあることが多い。それは、製品を開発するスタートアップやユーザーにとっては意味のあることだが、ゲームメーカーにとっては、独自のプラットフォームを作る機会をただテーブルの上に置いておくのは無駄なことだった。

Facemojiは、AppleがMemojiを開発者コミュニティに開放することは予想しておらず、Snap(スナップ)の方がより顕著な競争相手であると述べている。Facemojiのスタートアップの競合企業は、ますます速いペースで買収されている。2020年には、RobloxがLoom.aiを買収し、Epic Games(エピックゲームズ)がHyperSense(ハイパーセンス)を買収した。

関連記事:ゲーミングプラットフォームのRobloxがデジタルアバター作成のLoom.aiを買収

Facemojiの創業者たちは、メタバースの流行や最新のNFTブームに強く惹かれており、開発者が統合してユーザーにアバター用のアクセサリーを購入させることができるプラグアンドプレイのNFTストアフロントを開発している。Facemojiは、初期の暗号化されたTwitterのプロフィール写真の使い方は、一般消費者が自分のアバターをカスタマイズすることに興味を持つようになった証拠だと考えている。

「最終的には、エゴに帰結します」とFacemojiのCEOであるRobin Raszka(ロビン・ラズカ)氏は、TechCrunchに次のように述べた。「バーキンのバッグを持っていることをどうやってアピールするか、Twitterのアバターはそのための主要な領域であり、人々はただ見せびらかしたいだけなのです」。

企業への投資をあまり行わないTwitterにとって、これは特に興味深い投資だ。Facemojiのチームは、画面共有ソーシャルアプリSquad(スクワッド)がTwitterに買収される前に、Squadのチームとアバターの統合についていくつか会話をしたと述べている。また、Twitterは、現在進行中のNFTプロジェクトについて詳しく説明しており、CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、この分野のスタートアップ企業を積極的に支援している。

Facemojiチームは、ゲームに加えて、人々がアバターとして次のZoom(ズーム)にダイヤルしたり、クラスに参加したりすることが簡単にできるようになり、実写のアバターがこれまでの汚名を返上し、カメラのオンとオフの間の自然なメディアとして扱われるようになることを期待している。

関連記事:Twitterがスクリーン共有ソーシャルアプリのSquadを買収

画像クレジット:Facemoji

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Yuta Kaminishi)

ファンタジー「スタートアップ」ゲームVisionrareは実際の企業のフェイクNFT株を購入し最高のパフォーマンスを誇るポートフォリオ構築を競う

所有権のミーム化と、未公開スタートアップのバリエーション高騰を背景に、ベンチャーキャピタルの元アソシエイトが「ファンタジースタートアップ投資」のための暗号資産(仮想通貨)マーケットプレイスを創設した。ユーザーは、リアルの資金で、リアルのスタートアップの、フェイクの株式を購入する。株式はもちろんNFT(非代替性トークン)の形態だ。

【更新】「Visionrare」はオープンベータ1日で有料マーケットプレイスを閉鎖してしまった

米国時間10月6日からクローズドベータで始まったこのゲームは「Visionrare」と呼ばれる。創設者のJacob Claerhout(ジェイコブ・クラーホート)氏とBoris Gordts(ボリス・ゴーツ)氏は、投資のゲーム化を極限まで進め、ファンタジースポーツリーグの魅力を真似て、ユーザーが成功すると思うスタートアップに賭けて友人と競争する手段を提供することを考えている。ユーザーは、数百種類のスタートアップ企業のNFT株を落札し、最高のパフォーマンスを出すフェイクのポートフォリオ構築を競う。

当初、Visionrareのデータベースに登録される企業は、Y Combinatorの最近のクラスを出たスタートアップが中心だ。Visionrareは、同社が販売するフェイクの株式の母体であるスタートアップの名前やロゴを使用する許可を得るどころか、ほとんどの場合、打診してさえいない。だが創業者らは、このプラットフォームのゲーム性により、対象となった企業が停止要求書の提出を思いとどまることを期待している。スタートアップは、自社のプロフィールが正しいことを確認した上でNFT株のうち大きな割合を受け取り、好きなように分配することもできるし、Visionrareに連絡してプロフィールを削除してもらうこともできる。もちろん、無視することもできる。

このゲームは、ベンチャーキャピタルの複雑さを入札形式により単純化することを目的としており、スタートアップの実際の資金調達サイクルや現実世界での業績と連動している。Visionrareは、資金調達ラウンドごとに連番になった100単位の「VisionShares」を入札にかけ、各スタートアップにつき一度に1単位ずつ、5ドル(約550円)から入札できる。ユーザーの保有株式が一定の数(最低5株)に達すると、リーグに参加できる。そこで他のユーザーとファンタジーのような体験を通じて競い合い、順位表を上下しながら、自分のポートフォリオのパフォーマンスに基づくVisionSharesの価値の合計を競う。

Visionrareのマーケットプレイス(画像クレジット:Visionrare)

オープンベータに移行したVisionrareには、セカンダリーマーケットの構築や、OpenSeaなどの外部プラットフォームにおけるVisionSharesの販売サポートなど、いくつかの重要な課題が残っている。ユーザーは現在、クレジットカードでVisionSharesを購入しているが、チームは暗号資産による支払いを導入することも検討している。

このゲームの主な問題は、マンデーナイトフットボールのようなものとの相関関係が少ないことだ。そのため、ファンタジーリーグの規模拡大は難しいかもしれない。つまり、業績に関する公開情報がないのだ。対象が上場企業であれば、ゲームは株価や、四半期決算に載るような一貫した指標のように具体的な何かを中心に構成することができるが、スタートアップ企業は情報公開に非常に慎重だ。

VisionrareはTracxnからスタートアップの業績データを入手し、それをもとに毎週、独自のバリエーションのような「Visionrareスコア」をはじき出す。このスコアは、リーグの進捗や勝者を追跡するための基礎となるものだが、無形資産がバリュエーションを押し上げることが多い市場で、プレスリリースへの言及、ソーシャルメディアのフォロワー数、アプリのダウンロード数といった業界横断的で一貫性のあるデータに過度に重きを置けば、未公開市場でのバリエーションとスコアの間に著しい乖離が生じることは明らかだ。パリに拠点を置く投資会社Partechで、アーリーステージの投資に携わっていたクラーホート氏は「これは正確な科学ではありません」としながらも、時間をかけてより多くのデータストリームにアクセスし、スコアリングアルゴリズムのパフォーマンスを向上させていきたいと考えている。

さらに大きな課題は、最もお金を持っているユーザーがリーグ戦で常勝しないようにすることかもしれない。現実の世界と同じだ。リーグ戦の勝者は、ある期間中にVisionrareのスコアポイントを最も多く獲得したポートフォリオによって決まる。だが、ベンチャー企業のサクセスストーリーは長い時間をかけて作られるため、初期のチームに長期的に賭けることと、流行のSaaSスタートアップに馬車を繋ぐことには、不均衡があるかもしれない。創業者らは、リーグの仕組みはまだ試行錯誤中であり、Visionrareの規模が大きくなるにつれ、楽しく公平なものになるよう調整していくと述べた。

結局のところ、このプロジェクトは、2人の若い起業家が資金ゼロから立ち上げた初期段階のプロジェクトであり、暗号資産空間と今日のスタートアップの投資エコシステムの両方の馬鹿げた部分を捉えている。だが、Visionrareの創業者らは、このNFTフェイク株式市場が、スタートアップに興味を持つ人々が確信する勝者はどの企業なのかを示す機会を提供し、いつの日か、次の採用候補者を探しているVCにとってシグナルとなることを望んでいる。

「この業界は信用を築くのが本当に難しく、アクセスも資本もない人がたくさんいます」とクラーホート氏はTechCrunchに語った。「もしあなたが会社というものを信じるなら、VisionShareを買ってください」。

画像クレジット:Visionrare

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】NFT、メタバース、ゲームの親和性が持つ魅力と高まる関心における間違い

ゲームが普及するスピードは、そのエコシステムにあふれる新しいバズワードのペースに並び他に類を見ない。マーケターやディシジョンメーカーは、ゲーム業界でのビジネスチャンスについて、すでにFOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)に陥っており、常にキャッチアップしているだけでは事足りず、ゲームにおけるブロックチェーンの活用や「メタバース(インターネット上の仮想世界)」などの話題性のあるトレンドに食いつき、さらに先取りをしようとしている。

ブロックチェーン、メタバース、ゲームの親和性が持つ魅力は明らかだ。ゲームは常にデジタル所有権(ゲームプラットフォームであるSteamの功績により、ゲームや、おそらく映画などの他のメディアにおけるこの概念が標準化されたといえる)の最前線にある。また、メタバースのビジョンが、分散化されたデジタル所有権を有するゲームに共通する仮想環境に依存していることも多くが認めるところだ。

デジタル所有権とメタバースのそれぞれをどう見るかはさておき、筆者はこの2つがゲームの未来に相互作用を発揮すると考えている。しかし、この流行りの話題が成功するかどうかは、現時点では見過ごされている重要なステップにかかっている。

まず、ブロックチェーン、もっと具体的にはNFT(非代替トークン)の例を見てみよう。多くのゲームでは、希少性が高く、多くの場合あちこちに隠された、さまざまなアイテムを集めることで、モンスターを倒し、強力な武器を手に入れ、さらに強いモンスターを倒し、もっと強力な武器を手に入れたりといった中核となる「ループ」が形成されている。また「スキン」(ゲームキャラクターのさまざまな衣装やアバターアイテム)を集めることは、ゲームにおけるマイクロトランザクションの定番の1つだ。

現在、NFTは、不変で追跡可能でありオープンな価値を持つさまざまなレアアイテムと自然に調和するものとして位置づけられている。最近発売された「Loot(for Adventurers)」では、NFTをファンタジーを呼び起こすための仕かけと簡単に説明し、他のクリエイターが世界を構築するためのツールとして提供するという斬新なアプローチをとっている。Lootのように、NFTアイテムを中心としたゲームが開発されることは想像に難くない。

関連記事:NFTを使った新プロジェクト、まだルールも存在しないが価値を生み出す「Loot」に熱中するのか?

同様のことは以前にも行われたことがある。上記のような「Loot式のループ」を持つゲームの開発者は、ゲームの利用規約に反しゲーム通貨やアイテムを取得して他のプレイヤーにリアルマネーで販売する「ゴールドファーマー」の問題を長年抱えてきた。そして、その解決策として、ゲーム内に「オークションハウス」を導入することで、プレイヤー同士がリアルマネーでアイテムを購入できるようにしたのだ。

ところが、これには望ましくない副作用があった。著名なゲーム心理学者であるJamie Madigan(ジェイミー・マディガン)氏によると、人の脳は、思いがけない有益な報酬に特別な注意を払うように進化しているという。ゲームの楽しさの多くは、予想外の報酬をランダムに獲得できることにあるが、あけすけな報酬がリアルマネーで簡単に手に入ることになると、ゲームのそういった楽しさが奪われてしまうことになる。

ゲームに関連して、現在議論されているNFTの用法は、ゲームの核となるループを経済的な近道によって潰してしまうといった罠に陥る危険性が高いといえる。この現象の最も極端な例では、ゲームにおける最大の罪を犯している。つまり「Pay to Win(金を払って勝つ)」という類のゲームでは、大きな資金を持つプレイヤーが、対戦ゲームの用具における優位性を獲得できるのだ。

Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)のようなブロックチェーンゲームは「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」というコンセプトのもとで急速に熱を帯びている。これはブロックチェーンゲームの環境でトークン化したリソースやキャラクターを獲得し、それを売却することで、プレイヤーが収益を得られるというものだ。これが「金を払って勝つ」とほとんど同じシナリオじゃないかといわれれば、それはその通りだろう。

それが今の状況下で重要であるかどうかは、あまりはっきりしていない。NFTの潜在的な市場価値やプレイによる収入の可能性ではなく、ゲームのコアそのものに関心を持つ人はいるのだろうか。より本質的にいえば、実世界での収益がポイントである場合、それは本当にゲームなのだろうか、それとも、上記のような「ゴールドファーミング」が不正な行為ではなく、むしろゲームの中核的メカニズムであるような、ゲーム化されたミクロ経済に過ぎないのだろうか。

ブロックチェーンを中心とするテクノロジーや文化は、ごく少数の人が関心を持つような非常に難しい問題を解決する力を高めてきた。テクノロジーにおける多くの問題と同様、そのソリューションには、より人道的なアプローチからの再評価が必要だ。ゲームの場合、これらのテクノロジーが主流の推進力になる前に、根本的なゲームの楽しさやゲーム心理の問題に取り組む必要がある。

これに関連する例として、メタバースに目を向けてみよう。ゲームに興味がない人でも、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebook(フェイスブック)の将来を賭けたこのコンセプトについては、耳にした人もいるだろう。しかし、盛り上がってはいるものの、根本的な問題は、それが単に存在しないということだ。最も近いものとしては、「Fortnite(フォートナイト)」のような巨大なデジタルゲーム空間かRoblox(ロブロックス)のようなサンドボックスだ。また、多くのブランドやマーケターは、ゲームを理解することに取り組まずに、いつまで経っても実現しない可能性のあるチャンスをつかもうと近道を探している。

ゲームは、メタバースの補助輪と見ることができる。仮想空間についてのコミュニケーション、ナビゲート、思考の方法は、すべてゲームを基盤とするメカニズムやシステムに基づいている。極言すれば「メタバース」を最初に実現するのは、こうしたスキルに磨きをかけ、バーチャルな環境に身を寄せることを楽しんでいるゲーマーたちかもしれない。

そろそろパターンが見えてきたのではないだろうか。ゲームの「今」という視点をあまり持たずに、ゲームの「未来」のアプリケーションに対する関心が高まっている。社会学から医学に至る広い分野でゲームが思考に与える影響について認識されたため、学術の世界では2000年代初頭からゲームの研究が急速に盛んになったが、ビジネスの世界では最近まであまり感心が持たれていなかった。

その結果、マーケターやディシジョンメーカーは、なぜそのようなものが重要なのか、そのようなものを手に入れたときに何をすべきなのかといった当たり前の背景を知らずに、新しい大きな話題を追いかけることに全力を尽くしているのだ。ゲームの発展は大きな可能性を生み出しているが、その可能性をめぐる議論は、関心の方向性が間違っていることもあって、まだ十分に洗練されていない。

この死角から抜け出すためには「金を払って勝つ」のような近道はない。勝つためには労力を惜しんではならない。

編集部注:Jonathan Stringfield(ジョナサン・ストリングフィールド)博士は、Activision Blizzard Media and Esportsのビジネスマーケティング、計測、インサイト部門のVP兼グローバルヘッド。

画像クレジット:Gunes Ozcan / Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Stringfield、翻訳:Dragonfly)

「NFT」セッションでスタートバーンの施井泰平氏がTC Tokyo2021登壇決定

「NFT」セッションでスタートバーンの施井泰平氏がTC Tokyo2021登壇決定12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

このうち「NFT」をテーマにしたセッションでは、スタートバーン代表取締役の施井泰平氏が登場する。

同社は、「アート×テクノロジー」を理念に掲げアート領域でのブロックチェーン活用に取り組むスタートアップ。ブロックチェーン技術およびNFTを利用し、アート作品の証明書や来歴の管理などアートの流通を支えるインフラ「Startrail」、アート作品の真正性と信頼性を守るためのブロックチェーン証明書「Cert.」、またコンテンツを取り扱う企業を対象にNFT事業の構築支援サービスを展開している。

NFT事業では、コンテンツの価値継承においては権利や情報の長期的な管理が重要となることから、現状のNFT市場の課題であるサービス同士の互換性と、サービスを横断した二次流通・利用の管理を実現したという。

施井氏は1977年生まれで、少年期をアメリカで過ごす。東京大学大学院学際情報学府修了。2001年に多摩美術大学絵画科油画専攻卒業後、美術家として「インターネットの時代のアート」をテーマに制作、現在もギャラリーや美術館で展示を重ねる。2006年よりスタートバーンを構想、その後日米で特許を取得。大学院在学中に起業し現在に至る。2021年にアートビート代表取締役就任。講演やトークイベントにも多数登壇。

すでに参加者チケットは発売中。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。

チケット購入

本記事執筆時点では「超早割チケット」は税込2500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「超早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。また、10月18日まで「超早割チケット」で安価で購入できるのでオススメだ。

NFTスタートアップのDapper Labsが有名バーチャルインフルエンサーを生み出したBrudを買収

「NBA Top Shot(NBAトップショット)」を開発したNFT(非代替性トークン)スタートアップ企業で、最近75億ドル(約8350億円)以上の評価を受けたDapper Labs(ダッパー・ラブズ)は、米国時間10月4日、興味深い買収を行った。暗号資産関連メディアのDecrypt(デクリプト)によると、Dapper Labsはバーチャルインフルエンサーを手がけるスタートアップ企業Brud(ブラッド)を買収し、32人の従業員全員を雇用するという。

Brudは、デジタルレンダリングされたソーシャルメディアのインフルエンサーキャラクターでよく知られており、特にLil Miquela(リル・ミケーラ)というキャラクターが有名だ。同社が2018年に投資家の注目を集めた際には、追従する他のプレイヤーをいくつか出現させたものの、バーチャルインフルエンサーという分野が爆発的な関心を集めることはなく、長年にわたり非常にニッチな領域に留まっている。Brudが作り出したキャラクターたちは、 Instagram(インスタグラム)上で架空の生活を送ってフォロワーを増やし、同社の評価額は1億2500万ドル(約139億4000万円)に達している。Dapperは買収額を明らかにしていない。

rev rはエンジニアを募集中! DMください

Twitter友達のみなさん、私は今日、BrudがDapper Labsに買収されたと発表できることにとても興奮しています。

私たちは、Flow Blockchain上でDAOによる分散化され、集団で所有するメディアとソーシャルの未来を一緒に作っていきます。

ここで最も適切な質問は、DapperのようなNFTスタートアップが、リル・ミケーラ(現在は単にミケーラ)に何を求めているのかということだ。

まあひと言でいえば「それほど多くは求めていない」ということになるだろうか。Brudの創業者であるTrevor McFedries(トレヴァー・マクフェドリーズ)氏は、暗号資産の世界に深く入り込んでおり、自分が設立した会社の焦点を、DAO(自律分散型組織)による集団的意思決定に移しつつある。Dapperの中心的な関心はそこにあるようだ。マクフェドリーズ氏はすでに、最も人気の高いDAOの1つである「Friends With Benefits(フレンズ・ウィズ・ベネフィッツ)」を共同設立している。DAOは、ユーザーがチームを組んで集団で投資判断を行うために役立つ。暗号資産界の開発者たちが、この分野で大胆なプロジェクトを作り始めたことから、この1年ほどで人気が高まっている。

マクフェドリース氏は、Miquelaの開発は継続するとしながらも、今後はDapper Labs内に新設されるDapper Collectives(ダッパー・コレクティブズ)という部門を率いて、同社の「Flow」(フロー)」ブロックチェーンを活用しながら、DAOをより使いやすく、新世代の暗号ウェブユーザーが利用しやすいものにすることに注力していくという。

画像クレジット:Brud

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)