人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Spotify Kidsアプリにコンテンツをブロックする保護者向け機能が登場

Spotifyは、Spotify Kidsアプリのペアレンタルコントロール機能を強化している。Spotify Kidsは、保護者がSpotify Premium Familyプランを契約している、3歳以上の子供を対象としたアプリだ。これまで保護者は「ちいさな こどもむけのおんがく」か「おおきな こどもむけのおんがく」のいずれかを選択できるだけだった。今後は、子供の再生履歴にアクセスし、子供のアカウントに対して特定のコンテンツをブロックできる。

この機能は、2020年3月に米国などでSpotify Kidsがデビューしたときに示唆されていた。その時点でSpotifyは、いくつかの市場でこのアプリをテストした保護者からアプリに含まれるコンテンツをもっとコントロールしたいという声があったと語った。同社は詳しい計画を明らかにしなかったが、子供がストリーミングできるコンテンツを保護者がもっと具体的に選択できる機能を新たに搭載するだろうと述べていた。

再生履歴を表示しコンテンツをブロックする機能は、暗証番号で保護された「保護者向け設定」の中にある。ここで保護者は、変更または表示したい子供のアカウントを選択する。

「これまで きいた きょく」のオプションには、子供が過去3カ月間にSpotify Kidsアプリでストリーミングした曲がすべて表示される。保護者は、曲の横にあるブロックのアイコンをタップして、問題のある曲をブロックすることができる。

ブロックされた曲は子供のアカウントから削除され、ストリーミングできなくなる。ただし保護者は後から、履歴かブロックされた曲のセクションから曲の横にある赤いアイコンをタップして、その曲のブロックを解除できる。

Spotifyによれば、この新機能はKidsアプリで予定している多くのアップデートの第一歩だという。現在Spotifyには、8000を超える子供向けの曲、ストーリー、オーディオブック、サウンドがあり、125以上のプレイリストが作られている。アプリは子供向けで、「大きな子供向け」の設定があるにもかかわらず、8〜14歳あたりでこのアプリから卒業したくなる子供が多い。アーティストや音楽の好みができてくるのに、Spotify Kidsで配信されるコンテンツは限られているからだ。しかも、キュレーションされたコンテンツであるため、例えばTikTokで爆発するような新たなヒットはSpotify Kidsでは現れにくいだろう。

Spotifyが小さな子供の保護者を対象としたペアレンタルコントロールにいち早く取り組んでいるのは理解できる。ただ、ホワイトリストを作成するオプションや事前に承認したプレイリストの取り込みといった新たな方向に進めば、大きな子供の保護者から歓迎されるだろう。

2020年5月13日現在、Spotify Kidsアプリは日本やドイツなどを含む14のマーケットで利用できる。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

SpotifyのQ1売上高は約2140億円、月間アクティブユーザー数は31%増

新型コロナウイルス(COVID-19)は経済を停滞させているが、デジタル音楽への影響は最小限に抑えられていることが世界最大の音楽ストリーミング会社によって証明された。Spotify(スポティファイ)は29日、第1四半期の決算を発表し、それによると売上高は18億4800万ユーロ(約2140億円)、純利益は100万ドル(約1億円)だった。月間アクティブユーザーは2億8600万人、有料(プレミアム)サービスユーザーは1億3000万人で、広告入りサービスユーザーは1億6300万人だった。広告入りサービスユーザーの方が伸びはわずかに大きく成長率は32%で、これに対し有料サービスは31%だった、とSpotifyは話した。

Spotifyの決算は、売上高とEPS(1株あたり利益)の両方でアナリストの予想を上回った。アナリストの売上高の予想は平均18億6000万ドル(約1980億円)で、EPSは0.49ドル(約52円)の損失を予想していた。しかし実際のEPSは希薄化後で0.20ドル(約21円)の損失、希薄化前で0ドルだった。

これらの数字は音楽産業から聞こえていたポジティブなサインを強調している。人々が家にこもってエンターテイメントを模索するにつれ、ビデオをも含むストリーミングメディアサービスでかなりの利用増がみられた。少なくともUniversal Music Groupが今月発表した決算でも新型コロナパンデミックの影響はほとんど見られなかった。

「第1四半期のCOVID-19をめぐる世界的な不確実性にもかかわらず、我々の事業はあらゆる指標で予想通り、または予想を超えた」と同社は株主に説明している。「第2四半期、並びに今年残りに関して、主要なパフォーマンス指標の見通しはほとんどは変わらない。ただし売上は広告収入の落ち込みや為替レートの大幅な変動の影響を受ける」

言い換えると、全体的な数字は安定が見込まれる一方で、特定のマーケットやプロダクトエリアで減少がなかったわけではない、ということだ。

たとえば、Spotifyがこれまで強かったイタリアやスペインはCOVID-19の感染や経済への影響が最も深刻なマーケットで、その結果、Spotifyによるとこの2つのマーケットのデーリーアクティブユーザー数と消費は激減した。そしてイタリアとスペインで新規感染患者数が落ち着くのと同時にデーリーアクティブユーザー数と消費はいま復活し始めている。

視聴パターンもまた変化している、とSpotifyは指摘した。「今や毎日が週末のようだ」と述べた(何を言わんとするか想像がつく)。

車やウェアラブル、ウェブプラットフォームでの使用は落ち込んだが、テレビとゲームコンソールでの使用は1年前に比べ50%以上増加した。米国におけるゲームコンソールを介しての広告入りサービスの月間アクティブユーザー数は消費という点ではトップ2位か3位のプラットフォームとなり、コネクテッドデバイスの使用は世界中の広告入りサービスユーザーの間で40%超アップした。

料理や毎日の雑用、家族の時間、家でのリラックス時の視聴時間は、過去数週間で2桁増となった。「オーディオはまた、多くの人がこの先例のない環境で感じているストレスや不安をコントロールするのに、大きな役割を果たしてきた」と使用方法に関する説明で述べた。

サブスクの数については、無料ユーザー数が有料ユーザー数を引き続き上回っていて、有料へのアップセルのための跳躍台になっている。これは現況ではより強固なモデルのようだ。

「過去数カ月で、我々はフリーミアムモデルに対する確信をさらに強めた」と同社は述べた。「言及したように、ユーザー数は大きく伸びている。経験から言うと、プレミアムユーザーの60%以上が広告入りサービスのユーザーとして利用を始める。なので、間口部分での継続したユーザー増加は我々のエコシステムにとってかなり健全なものだ。また利用をやめたユーザーのおおよそ70%が45日以内にSpotifyに戻ってくる。ここにはプレミアムサービス、広告入りサービスの両方が含まれる。我々の切なる願いは、人々の暮らしに“健全さ”が一刻も早く戻ることだが、我々のモデルがこの嵐を耐えるだけでなく、乗り越えてさらに強くなるものだと確信している」

注記:同社の自前のコンテンツ制作へのシフトは実を結んだようだ。ポッドキャスト事業でかなりの成長がみられた。

粗利益率は25.5%で、「我々の予想を上回りガイダンスレンジの最大値となった」と同社は指摘した。その理由は「商品構成のコアなロイヤルティ要素が単発割引によって相殺されたから」だ。これは目下プロダクションが停滞しているために影響を受ける。

Spotifyは今月初めに、より多くのマーケットをカバーするWarner Music Groupとの新たなグローバルライセンス提携を発表した。ただしこれはロイヤルティー料金の変更が行われるのではなく、Spotifyにさらに多くのマーケットで幅広い音楽を、そしておそらく他のIPへのアクセスを提供する。

「我々は結果に満足している。前述した通り、新たな提携が音楽経済に著しく影響するとは考えていない」と書いている。「長期にわたって音楽産業を成長させるために、Warnerと協業することを楽しみにしている」

Spotifyは過去7週間、完全にリモートワークを行なっている。他の多くのテック企業と違って、Spotifyはこれまでのところ従業員を全く解雇していない。しかし、2020年の残りは新規採用を減らし、掲げていた数字の30%減となる、と記している。

画像クレジット: Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Spotify傘下のAnchorがビデオチャットを音声ポッドキャストにするツールをリリース

新型コロナウイルス(COVID-19)によるリモートワークが拡大する中、Spotifyはビデオ会議、ビデオ通話をポッドキャストの普及に役立てようとしている。Spotifyのポッドキャスト作成プラットフォームは2019年に1億4000万ドル(150億円)前後で買収したAnchorだ。米国時間4月28日、同社はビデオチャットやビデオハングアウトを誰でも簡単にポッドキャスト化可能な音声ファイルに変換する機能をリリースした。 ビデオファイルからオーディオトラックを抽出する変換ツールはGoogle Meet、Zoom、Skype、Apple FaceTime、Twitch、Instagram Liveなどの人気あるビデオチャットのプラットフォームに対応する。

またローカルで作成したmp4とmovファイルもAnchorにアップロードすればポッドキャスト用に変換してもらえる。

ビデオをオーディオに変換する手順は簡単だ。ビデオチャットのビデオファイルをローカルにダウンロードし、次にAnchorのウェブでAnchorのプラットフォームにアップロードすればよい。

変換されたファイルは、Anchorプラットフォームの編集ツール、エピソードビルダーに即座に表示される。ユーザー自由にトリミング、カット、ペーストその他の編集ができる。AnchorにはBGMや各種サウンドエフェクトを付加する機能があり、音声を録音して追加することもできる。

Anchorは自身でポッドキャストをホストする他、主要なポッドキャストプラットフォームに無料で配信する。ターゲットにはSpotifyはもちろんApple Podcast、Google Podcast、Overcast、Breaker、Castboxなどが含まれる。

手間取る可能性があるのはビデオの変換ではなく、ビデオチャットからビデオファイルを作成するところだろう。

グループチャットのビデオをダウンロードするプロセスは、利用したプラットフォームによって異なる。Anchorの発表には「ビデオチャット録画のハウツー」セクションが設けられ、多数のビデオチャットのヘルプページへのリンクが用意されている。 ただし、ビデオをエクスポートするには有料アカウントが必要になるサービスもあるので注意が必要だ。

またYouTubeは動画を.mp4または.mov形式にダウンロードする方法を公式には提供していない。しかしGoogleで検索すればYouTube動画を取得するヒントが見つかるかもしれない。

Anchorの新機能を使用するには当該ビデオを使用するライセンスとビデオチャット参加者の許可が必要なのはもちろんだ。

新機能は新型コロナウイルスによる大混乱の最中という時期にタイミングよく登場した。ソーシャルディスタンス確保の要請や外出禁止命令により、ユーザーはスタジオなどでゲストと直接対面して会話を録音することができなくなっている

他方、ポッドキャストでは学校や職場が閉鎖され、リモートワークやホームスクーリングに移行することとなったため人々の日常が混乱し、数週間にわたってリスナーの減少がみられた。レイオフされたりスモールビジネスを維持するために苦闘するケースも多かった。そういう状況ではポッドキャストに耳を傾ける時間や心の余裕が持ちにくい。

これによりロックダウンの最初の数週間はポッドキャストのリスニングが減少した。しかしNiemanLabのレポートによれば、先週のポッドキャストのダウンロード数は4%アップ、オーディエンス数は2%アップと、少しずつ回復している

ポッドキャストの制作に関しては事情が異なる。AnchorはTechCrunchに対し「先月、Spotifyにおけるポッドキャストの制作数は大幅に増加した」と語っている。

2020年3月にSpotifyに投稿された新しいポッドキャストの数は対前月比69%増の15万本弱となっている。これはSpotifyにおけるポッドキャストの月間オーガニック成長率で最大のものだという。

ビデオからオーディオへの変換サービスは本日、米国時間4月28日に全ユーザー向けてにウェブで公開される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Spotifyが予告していたアーティストのための募金機能の提供を開始

Spotify(スポティファイ)は先月、新型コロナウイルスに関する取り組みの一環として、プラットフォームにアーティストのための募金機能を間もなく加えると発表していた。そして今日(4月22日)、「Artist Fundraising Pick」の立ち上げを発表した。この新機能では、アーティストが自分自身やクルー、そしてSpotifyがすでにSpotify COVID-19 Music Reliefプロジェクトを通じて資金を提供している音楽救済イニシアチブの1つのために寄付を募ることができる。

立ち上げにあたっては、Spotifyは寄付プロセスを簡単にするために、Cash App、GoFundMe、PayPal.meなどいくつかの資金調達を扱うパートナーと共に取り組んでいる。

Cash Appは現在、Spotifyが好んで使っている手段で、Cash Appはまたアーティストのための100万ドル(約1億円)の基金を設置した。Spotifyのアーティストが自分たちのArtist Fundraising Pickとして“$cashtag” を選び、額に関係なく少なくとも1件の募金を確保したら、Cash Appからアカウントに100ドル(約1万円)が入る。これはCash Appの100万ドルが全て提供されてなくなるまで続く。Cash App基金は米国と英国のアーティスト向けだが、世界中のSpotifyユーザーがCash Appを通じて募金できる。

新たな募金ツールを使うには、アーティスト(もしくはSpotify for Artists管理者ユーザー)は自分のArtistダッシュボードにいき、上部にあるバナーの「Get started(始める)」をクリックしてFundraising Pickを提出する。これはアーティストが自分のプロフィールに表示したいトラックを選ぶプロセスに似ている。

そしてオンになったら、ファンはアーティストプロフィールを通じてアーティストに募金できる。Cash Appに加えてPayPalも広く利用でき、 GoFundMeは19マーケットで利用可能だ。

もしアーティストが音楽救援組織のための募金を立ち上げるなら、Spotifyの既存のチャリティー・プロジェクトと関連するものから選ぶことができる。このチャリティー・プロジェクトはMusiCares、PRS Foundation、そしてHelp Musiciansとの提携のもとに先月始まった。今ではローカルのものも含め、幅広い組織が含まれていて、現在も拡大している。

今日の立ち上げでは、一握りのアーティストがすでに新機能を活用している。Tyrese PopeBoy ScoutsCash Appを通じて寄付を募っている。MarshmelloMusiCaresのために、そしてBenjamin IngrossoMusikerforbundetのために資金を調達しようとしている。

Spotifyは、この機能がアーティストがファンのグローバルネットワークから寄付を募るのをサポートするユニークなものになると考え、立ち上げに素早く取り組んだ。しかし、この手のものをこれまでに立ち上げたことはなかったとも説明し、同社はこれを「初のバージョン」とらえている。今後、同機能はアーティストのフィードバックをもとにアップデートされていくはずだ。

「多くのSpotifyユーザー、そして世界中の人にとって今は極めて困難なときだ。そして困難なときをサポートする多くの正当な理由がある」と同社は発表で述べた。「新機能で我々は純粋に、助けが必要なこの時に関心のある人がアーティストをサポートし、COVID-19 Music Reliefパートナーが音楽のための取り組みを続けるために必要な資金を調達する機会をつくり、我々の産業を浮揚させることがきればと願っている」。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

FitbitがGPSとSpotifyコントロールを搭載したウェアラブル端末Charge 4を発表

今は新しいフィットネストラッカーを発表するのにいいタイミングではない。多くの人にとって、歩数やワークアウトの時間といったゲーム性のあるデータを記録しようという意欲は失せている。しかし、新しいハードウェアの発売が止まるわけではない。

FitbitのCharge 4は、(当然だが)いつものようなプレスイベントではなく、プレスリリースで発表された。ウェアラブルのカテゴリーはスマートウォッチに支配されつつあるが、Googleによる買収が昨年発表されたFitbitにとって、Chargeシリーズは地味ではあるが堅調な基本ラインアップだ。

大きな変更点は、Fitbitのトラッカーでは初となるGPS内蔵と、Spotifyのコントロール。Spotify Connectの機能でプレイリストから音楽を再生するには、Spotify Premiumのアカウントが必要だ。

Fitbit Premiumのユーザーは、家でできるヨガなどのワークアウトに直接アクセスできる(訳注:本稿翻訳時点でFitbit Premiumアカウントは日本では未提供)。また、Active Zone Minutes(アクティブな心拍ゾーン)が組み込まれていて、世界保健機構(WHO)と米国心臓協会(AHA)が推奨するワークアウトの情報が提供される。睡眠改善の機能も搭載される。

Fitbit Charge 4の利用シーン

GPSが追加されたのは好ましいが、特に画期的なことではない。ただ、Fitbitを含むスマートウォッチがほかのウェアラブル製品を凌駕しつつある中で、GPSの追加は衰退するフィットネストラッカーに少しばかり息を吹き込むことになるだろう。

Charge 4は日本時間4月14日に発売される。価格は2万1980円で、専用の交換用バンドが付属するSpecial Editionは2万5990円。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyが新型コロナで影響を受けているアーティスト支援を開始、募金機能も

Spotifyは3月25日、新型コロナウイルス(COVID-19)危機に関連する新たな取り組みを発表した。新型コロナによって深刻な影響を受けているクリエイティブコミュニティの経済的支援を始める。ここにはウェブサイト上で一般から募る募金機能も含まれる。同社はまた、アーティストがSpotifyのアーティストプロフィールページ経由でファンから直接支援金を集められる機能も加える。一方、リスナー向けにはCOVID-19ニュース・情報ハブをアプリ内に設ける。

新しいSpotify COVID-19 Music Relief Projectは、音楽コミュニティーの中で助けを必要とする世界中の人に経済的支援を提供する認証された組織を推薦する。立ち上げに際しSpotifyはMusiCares、PRS Foundation、Help Musiciansと提携し、今後さらにパートナーを増やす計画だ。

同社はまた、Spotify COVID-19 Music Reliefページを通じて最大1000万ドル(約11億円)の支援金を集め、それを分配するとも話す。経済的支援が必要なアーティストはパートナーサイトで申込方法などの情報を確認できる。

「ストリーミングはアーティストにとってファンとつながる手段であり続ける一方で、アーティストが売上をあげる他の手段の多くはコロナ危機により棚上げされている」とReliefプロジェクトのページには記されている。「我々にできることとして、我々のコミュニティをサポートする手法を見つけるために世界中のクリエイターに経済的支援を行っている組織のリストを扱う」としている。

まだ立ち上がってはいないが、Spotifyはアーティストのための新たな募金機能も加えるべく取り組んでいる。この機能では、ファンが募金先を自分で選択できるようにする。アーティストが、助けを求めている他のアーティストのために直接支援金を募ることもできる。この機能はオプションで、参加しなければプロフィールページへの変更はない。他のサイトでの募金と異なり、Spotifyは手数料は取らないとしている。

もちろん、こうした危機の最中の支援金集めは問題を抱えることにもなりえる。というのも、多くのスキャマーが資金調達者になりすまして不正に稼ごうとしているからだ。アーティストもこうした詐欺の被害に遭うかもしれず、ファンをスキャマーへと向かわせることになるかもしれない。支援金を本当の支援団体から奪うことも考えられる。

個人の資金調達者は通常、自分自身が詐欺師ではなく不正も働いていないことを調べられる必要があるため、事はさらに厄介なものとなる。大規模に支援金集めをしているFacebookですら、新型コロナ拡大のために個人の支援金集めをレビューするスタッフの数が通常よりも少ないとユーザーに警告している。支援金集めをする人はまったくレビューされることがないかもしれないし、仮にレビューされるにしてもいつもよりも時間がかかるとも述べている。ただし、Spotifyのスタッフが減っていることや勤務体制が滅茶苦茶なために、この支援金集め機能はまだ展開されていない。スタッフは自宅から働いているが、新型コロナウイルスは全業種に影響を及ぼしていて、どの企業も影響から逃れられない。


そして、SpotifyはCOVID-19についてのニュースと情報にリスナーが接することができるようにする機能も加えた。アプリ内のハブを通じ、SpotifyはユーザーにABC New、BBC World Service、CNN、Foreign Policy、NPRなどのメディアのニュースやポッドキャストを案内する。

また、他企業と同様、Spotifyも政府や健康情報を扱う非営利団体などに広告スペースを提供している。

COVID-19 Music Relief ProjectCOVID-19ハブは3月25日から利用でき、アーティストの支援金集め機能はまだ準備中だ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

SpotifyがポッドキャストのAPIを公開するもストリーミング機能は含まれず

Spotifyがポッドキャストのカタログを他社のアプリに公開する。米国時間3月20日に同社は、ポッドキャスト関連の新しいAPIを発表した。この新しいAPIを使って他社製アプリからSpotifyに接続し、利用者のポッドキャストライブラリの管理、ポッドキャストのカタログの検索、番組やエピソードの詳細情報の取得ができるようになるという。

これはより多くのデベロッパーにアプローチし、Spotifyのポッドキャストのユーザーベースを増やす上で重要な意味がある。さらに、Spotifyにしかない番組をそれ以外のアプリユーザーに知ってもらうことにもなる。

【略】

Spotifyは、ポッドキャストの制作や管理を手がけるテックスタートアップや、業界トップクラスの番組を配信していたThe RingerGimletParcastなど多くのポッドキャストネットワークを買収した。ポッドキャストに投資したことで、聴取時間は前年比200%となり、ターゲット広告の技術向上により広告収入の増加にもつながった。

現在、70万にものぼるポッドキャストの多くはSpotifyでの限定配信だ。したがって、限定の番組を聴くにはSpotifyを利用する必要がある。

つまり、ポッドキャストをストリーミングするリスナーはSpotifyアプリを使わなくてはならないということでもある。Overcast、Pocket Casts、Breaker、Castro、その他たくさんのお気に入りのアプリでは聴けない。

残念ながら、新しいAPIの登場でこの状況が変わるわけではない。

新しいAPIはポッドキャストの発見、検索、番組の管理をするものであり、他社のアプリでSpotifyのポッドキャスト、限定の番組、オリジナル番組をストリーミングするものではない。

新しいAPIは他社製アプリで利用者のSpotifyライブラリに番組をインポートしたり、カレンダーアプリと統合したり、Spotifyユーザーが自分の聴いているものを友達に共有したりするのに役立つだろうと同社は予想している。

Spotifyは発表の中で次のように述べている。「ポッドキャストのAPIの公開は、現在の我々にとって大きな意味がある。我々はポッドキャストリスナーにとっての新しい価値の創造を追求している。デベロッパーコミュニティが創造性を発揮し、まだ進出していない領域にSpotifyが広がっていくことを楽しみにしている」

この新しいポッドキャストのAPI公開に先立ち、Spotifyはフィードバックを得るために外部との統合を開発する一部のパートナーと連携していた。同社はAPIの設計を何度か変更し、デベロッパーがすぐに使い始められるようにしている。ただし、今後半年間はこのプロジェクトにしっかりと取り組み、さらに広く利用できるように改良する計画であるとしている。

今後はSpotifyのデベロッパー向けWebサイトで新しいアプリが取り上げられるものとみられる。

画像:Getty Images

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(抄訳:Kaori Koyama)

大手ファッションブランドのJ.Crewが顧客アカウントの被害を公表

大手ファッションブランドのJ.Crewが、同社顧客のオンラインアカウントが「権限のない1つのグループ」によってアクセスされたと発表した。このアクセスは約1年前のことだが、今になってこの被害を公表した。

同社は米国時間3月3日にカリフォルニア州司法当局を通じて公表した書面で、ハッカーは2019年4月ごろに顧客のアカウントにアクセスしたと述べた。この書面によれば、ハッカーは顧客のオンラインアカウントからカード種別、カード番号の下4桁、有効期限、請求先住所などの情報を取得した。オンラインアカウントには顧客の注文番号、配送確認番号、配送状況も保存されていた。

同社の広報担当者は、ハッカーがクレデンシャルスタッフィング攻撃(パスワードリスト型攻撃)のテクニックを使ったことを認めた。これは、すでに流出しているユーザー名とパスワードを使って別のウェブサイトのアカウントにアクセスするテクニックだ。

広報担当者は、影響を受けた顧客は「少数」だと述べたが、正確な数には言及しなかった。カリフォルニア州で事業を運営している企業は、同州の500人以上の住民に関係するセキュリティの問題が発生したら司法当局に報告することが義務づけられている。当局に提出された書面には「複数の州」への通知と記載されており、カリフォルニア州在住以外の顧客にも影響が及んだことが示唆されている。

さらに重大な疑問は、なぜJ.Crewはこの問題を検知し当局と顧客に公表するまでに約1年を要したのかということだが、これについても明らかにされていない。

広報担当者は、「定期的なウェブのスキャン」で不正アクセスを検知し、顧客には「即座に通知した」と述べた。いつスキャンしたか、なぜアカウントの被害をもっと早く検知できなかったかは明らかにされていない。カリフォルニアと、J.Crewの本社があるニューヨーク、そのどちらの法律でも、企業が被害を公表する期限は具体的には定められていない。「適切なタイミングで、不合理な遅れなく」顧客に通知するというだけだ。

クレデンシャルスタッフィング攻撃によるセキュリティの被害を公表した企業としては、J.Crewが最新のケースだ。昨年はSpotify、メキシコ料理レストランのChipotle、Amazon傘下のドア用インターホンメーカーのRing、ゲームストリーミングサービスのTwitchが顧客からアカウント流出の訴えを受けた。

画像: Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyの使いやすさを重視した最新アップデートで直感的かつ片手でも操作可能に

最近ポッドキャストが見やすくなるようにデザインを微調整したSpotifyは、米国時間2月27日、モバイルのエクスペリエンス全体を新しくしたと発表した。まずはiOSアプリで無料とプレミアムの両方のユーザーに対し、一貫性があって操作しやすい外観、新しいアプリ内アイコン、カバーアートの表示の変更などを提供する。

画像:stockcam / Getty Images

新しいアプリにはシンプルで汎用的なシャッフル再生ボタンがあり、1回タップするだけで曲をシャッフル再生できる。

「お気に入り」「再生」「ダウンロード」といったプレミアムユーザー向けのアクションボタンは、これまでインターフェイスのあちこちに散らばっていたが、これからは画面下部にまとめられる。プレミアムユーザー向けのダウンロードボタンは、ポッドキャストをダウンロードする際に使うボタンと同じデザインに変更された。

アクションが1カ所にまとめられて直感的なエクスペリエンスになり、しかもSpotifyを片手で操作できるようになった。これまではアクションが画面の両側に分かれていたり右上にメニューがあったりしたので、片手で操作するのはまったくもって難しかった。よほど親指が長くない限りは、アプリを両手で操作する必要があったのだ。

新しいアプリはブラウズもしやすい。曲のカバーアートが、アルバム表示以外のどの画面にも表示されるからだ。そのため、曲のリストをスクロールするときに、タイトルの文字をいちいち読まなくてもよくなった。カバーアートをざっと眺めていけばいい。さらに、以前にお気に入りにした曲は、曲名の横にハートのアイコンが表示されるので、これも目印になる。

一つひとつの変更はささいなことだが、全体としての目標はSpotifyのアプリを使いやすくすることだ。これは、これまでSpotifyが苦手としていることだ。パーソナライズのテクノロジーが優れているとか、幅広いプレイリストがあるといったことは称賛されても、デザインは称賛されていなかった。すっきりとしていて明快に使えるデザインのApple MusicからSpotifyに乗り換えたユーザーは、Spotifyに欠けているものに気づく。

今回の変更でこの問題が解決されるかどうかはわからない。Spotifyは依然としてダークなテーマを使い続けているし、必要以上にごちゃごちゃしている。ポッドキャストを音楽と同じアプリに押し込んだのが、その主な理由だ。Appleはポッドキャストと音楽を別のアプリに分けている。しかし今回のアップデートで、これまでよりは少し使いやすくなった。これはグローバルな市場に拡大していく際には特に重要なことだ。世界中にいるモバイルの初心者ユーザーに受け入れられるには、シンプルなエクスペリエンスが鍵となるかもしれない。

iOS版の新バージョンは米国時間2月27日から順次公開されている。Spotifyは、Android版も近日中に新しいデザインになるとしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyの「2019年まとめ」提供、Google Dataflow史上最大のジョブの舞台裏

2019年12月前半に、Spotifyはその年にユーザーが最も多くストリーミング再生した曲を集めた「Wrapped(まとめ)」プレイリストをパーソナライズして提供した。これ自体は以前から提供されているもので特に新しいものではないが、2019年は過去10年間を振り返るプレイリストも提供された。これはかなり大規模のジョブだ。増え続ける無料ユーザーと有料サブスクリプション利用者に向けてどのようにこのプレイリストを生成したのか、Spotifyは舞台裏の一部を明かした。

画像:Frazer Harrison/Getty Images for Spotify / Getty Images

SpotifyがGoogle Cloud Platformの大口利用者であることは、秘密ではない。2016年にSpotifyはGoogle Cloudへの移行を発表し、2018年にはその後の3年間でGoogle Cloudのインフラストラクチャに4億5000万ドル(約500億円)以上を支出する見込みであることを明らかにしている。

同じく2018年、この年のWrappedでSpotifyはGoogle Cloud Platform上で史上最大のGoogle Cloud Dataflowでジョブを実行した。Dataflowは数年前にGoogleが実験を開始したサービスだ。Spotifyのエンジニアリング担当バイスプレジデント、Tyson Singer(タイソン・シンガー)氏は筆者に対し次のように語った。「2015年に我々はビッグデータを処理するApache BeamとGoogle Cloud DataflowのためのScala API『Scio』を開発し、オープンソース化した。我々はDataprocではなくDataflowを選択した。スケールする際に運用のオーバーヘッドが少なくて済むことと、Dataflowが予測されるストリーミング処理のニーズに合っていたことがその理由だ。現在はDataflow用に設計され最適化された優れたオープンソースのツールセットがあり、社内のほとんどのチームで使用しているほか、Spotify以外でも使われている」

Wrapped 2019には、1年間のまとめと10年間のまとめがあった。Spotifyが実行したジョブは2018年の5倍の規模だったが、かかった費用は4分の3で済んだ。このことについてシンガー氏は、チームがプラットフォームを熟知したからだと考えている。「このようなグローバルのスケールでは、複雑になるのが当たり前だ。Google Cloudのエンジニアリングチームや専門家と緊密に協力し、前年までの経験から学んだ結果、我々が実行したDataflowのジョブはこれまでに書かれた中で最も洗練されたもののひとつとなった」

専門知識があっても、データ分析を最適化しユーザーの興味を引くストーリーを伝えるために、データセット全体のイテレーションを回すことはできない。シンガー氏は「これを処理するジョブは大規模で複雑だ。Google Cloud Dataflowに負担をかけすぎないために、複雑さと処理を切り離す必要があった。つまり我々はアイデアから、データ分析、ユーザーごとに固有のストーリーを生み出すに至るまで、もっとクリエイティブになる必要があった。そして時間内にコストを下げてスケールする必要もあった。十分に注意を払わないと、リソースを無駄にし下流のチームの速度を落としてしまう危険があった」と語る。

この作業負荷を処理するために、Spotifyは社内のチームをデータ処理、クライアント向けの設計、バックエンドシステムの3つのグループに分け、さらにデータ処理のジョブを細かく分けた。これはチームにとってきわめて異例のアプローチだった。「2019年、SpotifyはDataflowの『Shuffle』という機能を使った大規模なジョブを実行した。大量のデータがあり、誰が何をしたのかを理解するためにそのデータを整理する必要があったためだ。これはとてもパワフルだが、データ量が多いとコストがかさむ」。

2020年、SpotifyのエンジニアはGoogle CloudのBigtableを中間ストレージレイヤーとして使うことによりShuffleの使用を最小限にとどめた。シンガー氏は「常にデータの再グループ化が必要というよりは、多くのデータをパラレルに処理し格納するために、BigtableをDataflowのジョブ間を修復するツールとして使用した。Dataflowのジョブを小さいコンポーネントに分割し、コアの機能を再利用することで、ジョブのスピードを上げレジリエンスを高めることができた」と説明する。

シンガー氏は、少なくともコスト削減の一部はBigtableを使うこのテクニックによるものと考えている一方で、課題をデータ収集、アグリゲーション、データ変換のジョブに分解してからさらに複数のジョブに分割したことも指摘する。「こうすることで、より多くのデータをパラレルに処理するだけでなく、再実行するジョブを選択してコストを抑えた」

シンガー氏のチームのエンジニアたちが開発したテクニックの多くは、現在、Spotify全体で使われている。同氏は「Wrappedを機能させることで、我々はユーザーを理解するためのツールを作り、ユーザーのために優れた製品を作ることができる。Scio、Dataflow、ビッグデータ処理に関する我々の専門技術と専門知識は、Spotifyの製品ポートフォリオを強化するために広く使われている」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyのポッドキャストのページがアップル風デザインに

Spotifyはポッドキャストのストリーミングに投資を続けていて、昨年は前年比で200%の成長だった。しかし現在、ポッドキャストを聴いているのはSpotifyの月間アクティブユーザーのわずか16%だ。同社はアプリのデザインを変更することで、この数字を増加させようとしている。新しいレイアウトでは、これまでより簡単にポッドキャストの情報を見ることができ、新しい番組を見つけやすくなった。

特に、ポッドキャストのトレーラーが目立つように表示されている。

ポッドキャストとその制作者を簡潔に紹介するトレーラーを提供すれば、新しいリスナーを獲得しやすくなる。番組の特長を売り込み、コンテンツの一部を紹介してリスナーがもっと聴きたくなるような優れたトレーラーなら、リスナーはその番組のコンセプトをよく理解できる。

Spotifyアプリの新バージョンでは、トレーラーがポッドキャストのエピソード一覧のいちばん上に「トレーラー」のラベル付きで、通常のコンテンツとは分かれて表示される。これはアップルのPodcastアプリと同様だ。

これは、リスナーはエピソードをすべて視聴することなくさまざまなポッドキャストを手軽に試そうとしているとの考えによるものだ。Spotifyのポッドキャストのライブラリが増えて、このことがさらに重要になっている。Spotifyには現在、全カテゴリで70万以上のポッドキャストがある。1月のCESで同社は「50万以上のポッドキャスト」と述べており、増加のスピードは速い。今月、売上高を発表した時点では「70万」となっていた。

ポッドキャストを見つけやすくするために、番組の説明の下にカテゴリーも表示されるようになった。「True crime」「Personal stories」「Travel」「Relationships」といったシンプルなラベルだ。マーケットリーダーであるアップルのポッドキャストはこのようにカテゴリー分けされており、これに追随する変更だ。

さらに、ポッドキャストのランディングページがひとめでわかりやすくなったことも大きな変更点だ。

ポッドキャストの説明がページの上部に表示されるようになり、スワイプしなくても読めるようになった。これまではポッドキャストのサムネイルが上部に表示されていたので、説明を読むにはスワイプする必要があった。このレイアウトも、そう、アップルのポッドキャストに似ている。

Spotifyアプリにこのようなさまざまな変更が加えられて、ポッドキャストを聴いたり見つけたりしやすくなった。アップルのポッドキャストの設計やレイアウトに慣れていて、これからSpotifyで聴いてみようと思っている人にとっては特に使いやすい。とはいえ、ポッドキャストに関するSpotifyの真の強みは、アップルの優れたデザインの模倣ではない。制作者の要求への対応、オリジナルや独占番組への投資、おすすめのパーソナライズ、そしてこれからは広告だ。

モバイルアプリの新デザインは、すでに公開が開始されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyがソングライターのページとプレイリストを公開

Spotifyは、ソングライターがこれまでに書いた曲や頻繁にコラボしているアーティストを紹介する「ソングライターページ」という新機能を公開した。このページには「Written By」(このアーティストが書いた)プレイリストも新たに登場し、リスナーはこのプレイリストを再生したりフォローしたり、Spotifyの検索でソングライターの作品を見つけたりすることができる。

第一弾として、Meghan Trainor(メーガン・トレイナー)、Fraser T. Smith(フレイザー・T・スミス)、Missy Elliott(ミッシー・エリオット)、Teddy Geiger(テディ・ガイガー)、Ben Billions(ベン・ビリオンズ)、Justin Tranter(ジャスティン・トランター)といったトップアーティストのソングライターページが登場している。この機能はまだベータだが、パブリッシャーとSpotifyがソングライターと連携してページを公開できるようになっている。公開したいソングライターはオンラインフォームからこのプログラムへの参加を申請できる。

ソングライターページの開始にあたり、Spotifyはすべてのリスナーのホームタブに「Written By」プレイリストを表示している(訳注:本稿翻訳の2月14日現在、日本語版アプリでは表示されていない模様)。

Spotifyはこれまで音楽制作の舞台裏をもっと賞賛しようとしてきた。2018年にはアプリにソングライターとプロデューサーのクレジットが追加された。このようなクレジットは、かつては物理的なアルバムのライナーノートに書かれていたが、デジタルの時代になって抜け落ちていた。クレジットの追加は、Spotifyが将来的にソングライターとプロデューサーを特定して支払いをするのに役立つということでもある。これはストリーミングサービスにとって複雑な問題であり、Spotifyにとって多額の出費となっている問題だ。

例えば2018年にSpotifyは複数のソングライターに対して11200万ドル(約123億円)の和解金を支払っている。2016年にはパブリッシャーに対して2000万ドル(約22億円)で和解している。

Spotifyは、アプリの変更により状況は好転してきたという。同社は2018年に楽曲のクレジットの表示を始め、これ以降はレーベルやディストリビューターが新曲をリリースする際にソングライターをクレジットする頻度が60%増加したと主張している。

ソングライターページが新たに設けられたことで、ソングライターのクレジットを示してファンの注目を引くだけでなく、レーベルやパブリッシャー、音楽監督、アーティストがソングライターを見つけやすくなる。今までは、新しいソングライターを見つけようと思ったらクレジットを探しまわらなくてはならなかった。ソングライターページがあれば、その人の作品をもっと整理された形で見たりフォローしたりすることができるようになる。

「Written By」プレイリストのリンクは、ソングライターのウェブサイトやソーシャルメディアなどSpotify以外にも共有できる。

ソングライターページを見るには、デスクトップアプリで曲を右クリックするか、モバイルアプリで曲名などの右にある「…」をタップする。そして「楽曲クレジットを表示」(モバイルアプリでは「楽曲クレジット」)を選択し、ソングライターの名前をクリックまたはタップする。ソングライターページから、プレイリストを見てフォローしたり、「Listen on Spotify」(Spotifyで聴く)をクリックして曲をすぐにストリーミングしたりすることができる。

この機能はまだベータテスト中で、ソングライターページやプレイリストの数は限られている。しかしSpotifyは今後この機能を多くのソングライターに広げていく計画で、拡大状況についてはSpotifyforArtists」のInstagramで知らせるとしている。

Spotifyでソングライターのクレジット表示が始まった頃には、信頼性が低いという批判があった。もっと広い目で見ると、不適切なメタデータの問題はSpotifyに限らずストリーミング業界全体に影響を及ぼしている。そしてサービスに間違いがあると、大きな混乱を招きかねない

Spotifyのパブリッシング&ソングライターリレーション責任者、Jules Parker(ジュールス・パーカー)氏は発表の中で次のように述べている。「Spotifyは、アーティスト、楽曲、さらにソングライターを発見しやすくするためのより良い方法を新たに作ろうと常に努めている。2018年にソングライターのクレジットを公表したのは、小さな第一歩だった。我々はパブリッシング業界と力を合わせてデータの共有と分析の努力を続けている。そして今回の新たなイテレーションを公開したことを喜ばしく思っている」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ポッドキャスト好調のSpotify、2019年Q4売上高は24%増の約2195億円

米国のような主要マーケットでは、いまや音楽消費の80%超がストリーミングによるものだ。そしてこの分野のリーダー的存在である1社がその恩恵を受けている。Spotify(スポティファイ)は2月5日、2019年第4四半期の決算を発表した。購読者数は前年同期比31%増の2億7100万人で、中でも有料購読者は29%増の1億2500万人だった。総売上高は前年同期比24%増の20億ドル(約2195億円)、粗利益率は25.6%だった。しかし同社はこれまで同様に営業損失も出した。今期の営業損失額は7700万ユーロ(約93億円)で、1株あたり損失は1.14ユーロ(約138円)ほどとなっている。

成長を牽引したのがポッドキャストで、前年から200%成長した。月間アクティブユーザー(MAU)の16%超がポッドキャストコンテンツを聴いている(おそらくThe Ringerのような人気ポッドキャストブランドを買収しようとしている噂があるのはこれが理由の1つだろう(アップデート:SpotifyはThe Ringerを買収していた)。

決算内容は同社の予想と一致する。予想では、MAU数を2億5500万〜2億7000万人、プレミアム購読者を1億2000万〜1億2500万人、売上高を17億4000万〜19億4000万ユーロ(約2100〜2340億円)、粗利益率は23.7〜25.7%、営業損失は3100万〜1億3100万ユーロ(約37〜158億円)としていた。

一方、アナリストは売上高を20億9000万ドル(約2290億円)、1株あたり損失は0.25ドル(約27円)と予想していて、実際の数字はいずれもアナリスト予想を下回った。

Spotifyはまた、2020年第1四半期についての見通しも示し、MAU数2億7900万〜2億8900万人、プレミアム購読者1億2600万〜1億3100万人とした。売上高は17億1000万〜19億1000万ユーロ(約2060〜2300億円)に減少する一方で、粗利益率は23.5〜25.5%で推移すると見込んでいる。

Spotifyは全ストリーミングサービスの中で最大手という位置にい続けているが、資金を十分に持っている企業との競争が激しくなりつつある。Amazon(アマゾン)は先月、Amazon Musicのユーザーが5500万人であることを発表し、Apple(アップル)は有料ユーザーが6000万人であることを昨夏明らかにした。そしTikTok(ティクトック)も音楽ストリーミングサービスの準備を進めている。ショートビデオで知られるTikTokは音楽に関心があり、そしてモバイルの扱いに慣れている急増中のオーディエンスを取り込むことで音楽ストリーミング業界に一気に食い込みたい考えだ。

上記のサービスはおそらく米国と欧州で最も知れているものだが、他のマーケットをみると、競争はもっと激しい。インドのGaanaは同国だけでMAU1億5200万人を抱え、同国での成長を模索するSpotifyにとって手強い相手だ。

Spotifyは第4四半期のMAUは「これまでの中で最も増加幅が大きく、購読者を1000万人増やすのにかかった時間は最も短かった」と述べた。これは、無料の3カ月トライアル提供によるところが大きく、無料トライアルは現在家族向けプランにも適用されている。一部の小売でも6カ月無料トライアルを提供している。継続しているGoogle Homeとのパートナーシップや、AlexaオーナーへのSpotify無料サービス提供もまた、今後成長に貢献するはずだ。

売上高の成長に関しては、2つの主要事業エリアで逆のトレンドがあると同社は指摘する。平均売上高が5%減少したにもかかわらず(無料トライアルが拡大されているため)、プレミアム講読の売上高はSpotifyの予想を上回って前年比24%増の16億3800万ユーロ(約1980億円)だった。広告は23%増の2億1700万ユーロ(約262億円)だった。

前年比80%増の5億5100万ユーロ(約665億円)だった営業経費と、1株あたりの損失への影響について、Spotifyは「弊社の株価上昇による社会的費用が想定よりも大きかったため」と説明した。

同社が指摘した社会的費用というのは、株価連動型報酬に関係する給与税だ。「スウェーデンはソーシャルコストを考慮するが、サービスを展開するいくつかの国で我々はソーシャル税の対象となっている。ガイダンスでは株価の変動は見通せず、株価の上下は営業経費に影響を及ぼす。第4四半期では、株価の上昇で社会的費用が計画よりも2000万ユーロ(約24億円)かさんだ」。

「想定よりも膨らんだ社会的費用をのぞき、営業損失は粗利額がわずかによくなった結果、予想よりも改善された」とも付け加えた。ポッドキャストは力強い成長を見せ、Spotifyの中で存在感は大きい。Spotifyには70万タイトルものポッドキャストがあり、新たなディスカバリー機能でユーザーはカタログ内を探検できる。

Spotifyは昨年、ポッドキャスト関連事業の買収に4〜5億ドル(約440〜550億円)を使ったとされている。そして今年に入ってもポッドキャストを買収した。Bill Simmons(ビル・シモンズ)氏のThe Ringer networkだ。

今回の買収をSpotifyはスポーツコンテンツの強化のためだけでなく、オーディオを超えた人気のメディア展開という大きな動きをつくりだすために活用している。「我々がここで投資しているトレンドは、ラジオのオンラインへの移行だ」とCEOのDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は決算報告で述べた。「我々は次のESPNを買収した」。

Spotifyは長い間、アーティストがコンテンツを売って収益をあげるのをサポートするツールを提供する、両面マーケットプレイスの構築に取り組んできた。またポッドキャストにも守備範囲を広げ、いまやSpotifyはオリジナルのコンテンツとサービスに力を入れ国際展開もしている。日本での「Hypnosis Radio」(ヒプノシスラジオ)、メキシコでの「Fausto」(ファウスト)、ドイツの視聴者向けの「SEKTEN & KULTE」と呼ばれるParcast社「Cults」のリメイク、インドにおける3つのオリジナルポッドキャスト「22 Yarns」「Love Aaj Kal」「Bhaskar Bose」などがある。

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(翻訳:Mizoguchi

ビリー・アイリッシュも活用するSpotifyのループ動画がInstagramでも見られるようになった

Spotifyは、新しいストーリー機能をソーシャルメディアのインフルエンサーの間でテストしていることを正式に認めたが、それに続き、米国時間1月27日の午前、アーティストがInstagram上でファンたちとつながる新しい方法を発表した。ただしこれは、Spotifyストーリーを他のソーシャルメディアで公開するのではなく、SpotifyのCanvas(キャンバス)機能で制作した独自のビデオアートをInstagramでシェアできるようにするものだ。

2019年秋にベータ公開されたCanvasは、アーティストがアルバムアートの代わりに動きのあるビジュアルの短い動画を曲の再生中にループで流せる仕組みだ。Canvasビデオのレビューにおける評判はさまざまで、目障りだというユーザーも、気に入っているというユーザーもいる。

今日、1月27日から、Canvasベータを使っているアーティスト数千人が、タップひとつで自身のループ動画をInstagramに公開できるようになる。

Spotify for Artistsアプリのアーティスト・プロフィール画面で、Canvasビデオのある楽曲の横には「Share(シェア)」アイコンが表示される。タップすると、その曲とCanvasがInstagramストーリーでシェアされる。これまでのSpotifyのシェアと同じように、カバーアートとSpotifyで曲を再生するためのリンクがある。ただし、再生すると背景がループ動画になる。

現在、Canvasベータを利用できるのは、iOS版のSpotify for Artistsアプリを使っている人だけだ。Spotifyは近々Android版にも同機能を搭載するとしている。

なお、InstagramでCanvasを見たファンは、クリックしてSpotifyに飛ばない限りCanvasの統計情報にはカウントされない。

新機能は、新曲をInstagram上でファンに宣伝したいアーティストを支援すると同時に、Canvasの機能追加を広く知らせるためのものでもある。他にもミュージックビデオのクリップや、ライブパフォーマンスの画像を表示する機能もある。

Canvasを活用している有名アーティストの1人が、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)で、つい昨日、1月26日にグラミー賞の主要4部門(最優秀新人賞、年間最優秀レコード賞、年間最優秀アルバム賞、年間最優秀楽曲賞)を独占した。アイリッシュはCanvasでアニメバージョンのファンアート(ファンが描いた絵)をシェアしてファン層との結びつきを強めている。

Spotifyによると、質の高いCanvasを作ることで、楽曲のシェアが最大200%増加し、ストリーミング、セーブ、アーティスト・プロファイルのアクセスも増えたという。CanvasをInstagramに拡大することで、さらにシェア回数が増えるだろうと同社は確信している。

Spotifyは、ストーリー機能やCanvasのループ動画など、ソーシャルメディアを意識した機能を追加しているが、自社のSpotifyを新たなソーシャルプラットフォームにしようという意志はない。代わりに、アーティストやリスナーが、別のソーシャルメディアにいるファンたちとつながりやすくする機能の構築に注力している。これらは自分自身や楽曲を売り込んだりフォロワーが新しい音楽を発見するための機能だ。

Canvasに興味のあるアーティストはここでウェイティングリストに入ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Spotifyにペット向けプレイリスト追加、ただしウサギ用なし

音楽は、人類がこれまでに生み出した最高のものだ。Spotifyにペット向けのプレイリストが追加された。

ペット向けにキュレートされたプレイリストは、基本的にユーザーの好みに基づきながら、動物の気分も考慮したものだ。その対象には犬や猫、イグアナ、鳥、ハムスターが含まれる。ただし、ウサギはない。

 

 

ちなみに、この写真は米TechCruch記者が飼育する、愛しいルーシーだ。ルーシーはクラシックピアノとジャズが好きだ。しかし、彼女向けのプレイリストは(まだ)存在しない。

 

 

それに、魚向けのプレイリストも存在していない。まぁ、水中スピーカーでもない限り、彼らに音楽を聞かせることは難しいだろう。

それにしても、なぜウサギ向けのプレイリストがないのだろう。Apple Musicの中の人がこの見落としについて、なんらかのアクションを起こしてくれることを期待している。

我々は、Spotifyに対してウサギ向けのプレイリストを追加する用意があるのかどうかを、問い合わせている。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Spotifyが検証体制不十分として政治広告を「一時停止」へ

2016年の米大統領選の選挙戦(そして、ほぼ間違いなくそのかなり前)から、政治広告は偽情報の取り締まりを目指すソーシャルメディアサイトにつきまとう大きな問題だ。Facebookはほぼ誰も満足しないかたちでこの問題に取り組んでいるが、Twitteは完全に禁止している。

Ad Ageは12月23日の週に、Spotifyが当面の間、Twitterの後に続くと述べた。世界有数の音楽ストリーミングサービスであるSpotifyは、2020年の大統領候補者レースでは政治から距離を置きつつある。

同社はTechCrunchに対し、その決定を認めた。

2020年初めから、Spotifyは政治広告の掲載を一時停止する。これには、広告掲載プランとSpotifyオリジナル・独占ポッドキャストの政治広告コンテンツが含まれる。現時点では、このコンテンツを責任を持って検証・レビューするために必要な水準の包括的なプロセス、システム、ツールがない。当社は対応能力の改善を続けながら、この決定を再度見直す予定だ。

確かに、自らの限界を知るために言うべきことはある。同社の収益の大半は無料プランのユーザーに表示される広告から得ており、選挙戦が本格化する中で、安定した収益源を一部放棄してまで行った選択は賞賛すべきだ。Spotifyは金額的な影響についてコメントしないと思われるが、Ad Ageが指摘しているように、現在、Bernie Sanders(バーニー・サンダース)陣営やRNC(共和党全国委員会)などのさまざまな政治組織がSpotifyのプラットフォームに広告を掲載している。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Spotifyは謎のUSBメモリを報道陣に送るべきではなかった

先週Spotifyは、報道関係者に大量のUSBメモリを送りつけ、そこには 「Play me.(再生してください)」と書かれていた。

記者がUSBメモリを受け取るのは珍しいことではない。テック系カンファレンスなどでビデオなど配布が困難な大きいファイルを配布するために、企業がUSBメモリを配ることはよくある。

しかし、基礎的なセキュリティー訓練(TechCrunchでも行っている)を受けた人なら、十分な注意を払わずに、USBメモリを差し込んではいけないことを知っている。
心配しながらもひるむことなく、われわれは予備のコンピューターで動く使い捨てバージョンのUbuntu Linux(CDから起動)でUSBメモリの内容を安全に検査した。調べた結果そのUSBに問題はなかった。

USBメモリの中にはオーディオファイルが1つだけあり、再生すると 「This is Alex Goldman, and you’ve just been hacked(私はアレックス・ゴールドマン、あなたはたった今ハックされた)」という音声が流れた。

そのUSBは、単なるSpotifyポッドキャストのプロモーションだった。もちろん、そのために送られたものだったためだ。

Spotifyが記者団に送付したUSBメモリ(画像:TechCrunch)

元NSAハッカーでRendition Infosecのファウンダー、Jake Williams(ジェイク・ウィリアムズ)氏は、記者たちにUSBメモリを挿させようとしたことを「驚くべき鈍感」な行為であると指摘した。

USBメモリは本質的に悪質のあるものではないが、発電所核濃縮施設などのインターネット接続のない場所でのハッキングに使われることでも知られている。USBメモリに入れられたマルウェアが標的のパソコンにバックドアをインストールすることがある、とウィリアムズ氏は言う。

「USBメモリ内のファイルが攻撃性のあるコンテンツを含む」場合もあり、開くとパソコン上のバグを悪用する恐れがあると同氏は言った。

Spotifyの広報担当者から返答はなかった。代わりに、本誌の質問をSpotifyと契約している広報会社であるSunshine Sachs(サンシャインサックス)に転送し、同社からは「記者は全員このUSBメモリが送られることを予告するメールを受け取っている」という以上のコメントはなかった。

正体不明のUSBメモリを挿入することは、みんなが想像している以上に大きい問題だ。Googleのセキュリティー研究者、Elie Bursztein(エリー・ブルステイン)氏は自身で行った調査の結果、およそ半数の人々が不明のUSBメモリを自分のパソコンに差し込むことを発見した。

今年、農業機械メーカー最大手のJohn Deere(ディア・アンド・カンパニー)は、配布したプロモーション用USBメモリがパソコンのキーボードをハイジャックしたことで大騒動を起こした。USBメモリが挿入された時に自動的に実行されるコードが仕込まれていて、ブラウザーを起動し自動的に会社のウェブサイトのURLをタイプした。本質的に悪質なものではなかったものの、多くのマルウェアが同様の方法を用いていたことから、同社のやり方は厳しく批判された。

USBメモリが起こす可能性のある脅威を踏まえ、国土安全保障省のサイバーセキュリティー部門であるCISAは先月、USBメモリのセキュリティーに関する指針を改定した。記者は一部の国々の政府の標的になることが頻繁にあり、 標的型サイバーアタックもそのひとつだ。

警告:USBメモリの扱いには十分な注意を怠らないこと。信用できる時以外、決して挿入しないこと。

関連記事:シークレットサービスであってもUSBメモリをやみくもにコンピュータに接続してはいけない

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

音声コンテンツの新たな指標を目指す「JAPAN PODCAST AWARDS」が開催決定、エントリー受付を開始

優良なポッドキャストを発掘し応援する「JAPAN PODCAST AWARDS」の開催が決定し、本日よりエントリーの受付を開始した。企画、制作はニッポン放送で、オトバンク、Radiotalk、SPOON、himalayaが協力企業として、Spotifyが協賛企業として参加している。

同アワードの目的は「ファンを獲得し熱狂を生んでいながらも、世の中になかなか周知され辛い、本当に優良なオリジナル音声コンテンツを発掘する」こと。同アワードが音声コンテンツの新たな指標となることで、日本でもポッドキャストを含む音声コンテンツが今まで以上に聴かれるようになることを目指す。

本日より始まった一般公募では、専用応募フォームよりエントリーを受付。応募条件は(1)オリジナルの音声コンテンツであること(2)2019年の間に1回でも世に配信されていること(3)日本語圏に向けた音声コンテンツであること。

一次審査では、全ての作品を実行委員会が聴いた上でノミネート20作品を選出。最終審査では選考委員による審査を行う。本日第一弾として発表されている選考委員の4名は、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行氏、メディアコンサルタントでBuzzFeed日本版の創刊編集長を務めた古田大輔氏、LINE取締役CSMOの舛田淳氏、そしてアンジェルムおよびハロー!プロジェクトを卒業した和田彩花氏。その他の選考委員は後日発表される予定だ。

選考基準は、今、絶対に聴くべきか、もっと世の中に知られるべきか、そして、そのポッドキャストを通じて、製作者が新しい視点を生み出しているか。

審査の後、最も評価の高かった作品がJAPAN PODCAST AWARDS大賞を受賞する。2020年4月には受賞式が開催される予定だ。大賞とは別に、Spotifyが選ぶ優秀作品に贈られる特別賞のSpotify賞が設置されている。

音声コンテンツプラットフォーマー各社が協力企業として、そしてSpotifyが協賛企業として参加しているJAPAN PODCAST AWARDSが、ポッドキャスト配信者の新たな指標、そしてモチベーションの源となり、日本でもより多くの優良な音声コンテンツが誕生し、注目を浴びることを期待したい。

Spotifyがソーシャルに曲を「発見」できるTastebuds機能を開発中

Spotify(スポティファイ)は、友だちが何を聴いているかを調べられる「Tastebuds」(テイストバッズ、味蕾という意味)のプロトタイプを開発している。音楽発見サービスは本来ソーシャルなものだが、2017年にInboxを廃止して以来、Spotifyにはモバイルアプリで友だちと直接コミュニケートできる機能がない。「友達のアクティビティー」の表示機能はデスクトップ版に限定されている。

どうやらSpotifyは、同社が用意したプレイリストと「発見」の画面だけをユーザーに見せるために、故意にソーシャル機能を制限しているようだ。それが、Spotifyにキングメーカーの地位を与えている。ここで紹介されたアーティストはスターへの道が開かれるため、Spotifyは大変な影響力を手にしたわけだ。そのため、レコードレーベルはSpotifyと仲良くしておかないと、つまり持続可能なロイヤリティー料率と独占権を提供しなければ、自社のアーティストがプレイリストから外されてしまうと恐れるようになり、Spotifyのレコードレーベルとの交渉態度はさらに強気になった。

この戦略が功を奏し、Spotifyはライセンス契約数を増やし、レーベルにとっては決定的な意味を持つ重要なプロモーションパートナーとなり、やがては新規株式公開への道筋が付いた。Spotifyの株価は、公開価格132ドルでスタートし、公開当日は165ドルまで上昇したが、152ドル近辺で推移している。この地位に大変に満足したSpotifyは今回、「発見」に関する制限を解除。ユーザーが、友だちが聴いている音楽からよりよいインスピレーションが得られるようにしようと考えたようだ。

ジェーン・マンチャン・ウォンによるSpotifyのTestebudsのコード

Testebudsは、友だちの音楽の嗜好を探れるというものだ。Tastebudsは、My Library、Home、Browsのセクションと並んで、ナビゲーションのオプションという位置づけになる。まだ機能していないが、この機能のランディングページには誰でもアクセス可能だ。説明もわかりやすい。そして「Tastebudsとは?味覚の確かな友だちを通じて音楽を発見できるようになります」と書かれている。

プロトタイプの機能は、リバースエンジニアリングの魔女でありTechCrunchの常連情報屋であるJane Manchun Wong(ジェーン・マンチャン・ウォン)氏がSpotifyのウェブ版から発見した。彼女はその仕組みを詳しく教えてくれた。「フォローしている人の検索」を行うペンのアイコンをタップすると、そのユーザーたちが一番よく聴いている曲の情報が示され、その曲を簡単に聴くことができ、彼らのライブラリに曲を追加することもできるという。

Tastebudsがなければ、Spotifyでソーシャルに他の人たちと関わり合える手段は、目立たないわずかなものに限られる。SMSやFacebook Messengerなどのボタンで曲を友だちに送るか、InstagramやSnapchatのストリーに曲を貼り付けるかだ。Spotifyでは、以前はアプリに内蔵されたInboxで曲のやりとりができたのだが、もっと人気のあるメッセージアプリを使ったほうがユーザーのためになるという理由から廃止されてしまった。

モバイル版とウェブ版では廃止されたが、デスクトップ版アプリでは、Facebookの「友達」が今聴いている曲を「友達のアクティビティー」のティッカーで見ることができる。また、特定のユーザーを探してフォローすれば、その人が公開しているプレイリストが見られるようになる。だが、Spotifyはユーザーの検索を積極的に推奨はしていない。

Spotifyには、他にも、実験は行ったが採用されなかったソーシャル機能がいくつかあった。そのひとつが、The Vergeのkly-playlist” rel=”noopener”>Dani Deahl(ダニー・ディール)氏が去年発見したFrends Weeklyというプレイリストだ。今年の5月には、ウォン氏が発見して我々が報じた、キューを共有して、離れていても友だちと同じ曲を同時に聴けるSocial Listening機能があった。 2014年には、Spotifyはブロブ的なブランジングから、アルゴリズムによるお勧め、好きなアーティストの新曲、友だちがよく聴いている曲などをもとに動的に更新されるPlayFeedプレイリストを作るようになると私が報じたが、その後、Discovery WeeklyとRelease Radarが追加された。Tastebudsも、最新のソーシャル機能として加わる可能性が高い。

Spotifyの友だちと同時に聴けるソーシャル視聴機能のプロトタイプ

結果としてできるのは、友だちが今何を聴いているかをほんの少しだけのぞくか、非常に数が少なく、それでいて古くなってることが多い友だちが自分で公開したプレイリストを手に入れるか、別のメッセージアプリで曲を送るぐらいなものだ。友だちが最近何を聴いているのか、またその人の音楽の好みを全体的に知る優れた手段がない。

我々は、Tastebudsがどのように動作するのか、誰が何を見られるのかに関するプライバシー機能、この機能は実際に採用されるのか、されるとしたらいつかといった詳しい話をSpotifyに問い合わせている。我々はまた、音楽を共有することで人と人がつながり、恋が芽生えるようにと2010年に設立されたTastebuds.fm(テイストバッズ・エフエム)という音楽出会い系サービスのスタートアップと何らかの契約を交わしているのかについても興味がある。

【更新】Spotifyの広報担当者は「私たちは常に新しい製品やエクスペリエンスを試していますが、現時点でお知らせできるニュースはありません」と断言した。また、スタートアップのTastebuds.fmとは関係がないことも話した。

Spotifyにとってソーシャルは、巨大にして、いまだその恩恵を引き出せていない要素だ。ソーシャルなお勧めがSpotifyで音楽を楽しむユーザーを長く引き留めるというだけでなく、それによってより多くの広告を聞いてもらえるようになり、サブスクリプションの解約も減らせるだろう。さらに、他にはない独自のソーシャルグラフにユーザーを固定するこにもつながる。Apple MusicやYouTubeといった競合サービスが類似の音楽カタログを提供する可能性はあるが、Tastebudsのソーシャルな「発見」でユーザーたちを虜にできれば、Spotifyからの離脱を防げるはずだ。

関連記事:Spotifyはどのようにしてレーベルへの影響力を強めたのか(未訳)

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(翻訳:金井哲夫)