米国の州検事総長がTikTokとSnapに対して他社製ペアレンタルコントロールアプリに対応するよう要望

TikTok(ティックトック)とSnapchat(スナップチャット)にはペアレンタルコントロールの強化が必要だとする書面に、44人の州検事総長が署名した。

米国時間3月29日、全米検事総長協会(NAAG)は10代の間で広く使われているTikTokとSnapchatに対し、一連の懸念を書面で送った。

州検事総長のグループはソーシャルメディアアプリに関して、広い意味で子どもの身体、感情、精神の健康に与える悪影響などさまざまな問題点を挙げている。虐待的な性的関係を表現したコンテンツは子どもの健全な関係に対する考え方を著しく傷つけることがあり、家庭内虐待や人身売買の継続を助長する恐れもあると指摘している。そして書面では、TikTokとSnapchatが他社製ペアレンタルコントロールアプリと効果的に連携して保護者がプラットフォーム上での子どもの行動を監視し制限することに努めていないと強調している。

NAAGはBarkというアプリの調査を引き合いに出した。2021年に30種類のアプリで34億通のメッセージを分析したところ、10代の74.6%が自傷や自殺の状況に関わり、90.73%がオンラインでヌードや性的コンテンツに接し、93.31%がドラッグやアルコールについて話したという。

書面では「ペアレンタルコントロールアプリは保護者や学校に対し、プラットフォーム上のメッセージや投稿が有害で危険な恐れがあることを警告します。子どもが自傷や自殺の願望を示した場合にも保護者に警告できます」と述べられている。

Snapchatにはすでにアプリ内のペアレンタルコントロール機能があり、TikTokにもあるが、州検事総長のグループはプラットフォームに対し他社製ペアレンタルコントロールアプリとの互換性を高めるように要望している。ただし、特定のプロダクトは推奨していない。州検事総長のグループは、ペアレンタルコントロールアプリはプライベートなメッセージなどアプリに内蔵のペアレンタルコントロールでは監視していないソーシャルメディアアプリの機能にもアクセスできることに言及している。さらに他社製アプリは、アプリのメインのフィードに表示されるユーザー生成コンテンツのフィルタリング機能も優れているとしている。

ただし、他社のコントロールアプリには子どもを監視する方法に関して独自の問題がある。

TikTokとSnapchatにはペアレンタルコントロール機能があるが、競合のInstagram(インスタグラム)にはなかった。ソーシャルメディアが10代のメンタルヘルスに与える影響に関する一連の上院公聴会の後、Meta(メタ)はようやくInstagramにペアレンタルコントロールの導入を開始した。

しかしペアレンタルコントロールの有無に関わらず、こうしたプラットフォーム上での10代の安全について米国政府は今も懸念を持っている。バイデン大統領は一般教書演説でソーシャルメディアが10代のメンタルヘルスに与える脅威に言及した。この一般教書演説にはFacebook(フェイスブック)の元従業員で内部告発をしたFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏がゲストとして参加していた。

10代の間ではInstagramよりTikTokの方が人気があり、Instagramはそれに負けじとTikTokによく似たリールに投資している。しかしTikTokは急速に成長してソーシャルアプリとして地位を守っているため、Metaは自社の存在感を維持するために驚きの行動に出た。The Washington Postが米国時間3月30日に報じたところによると、Metaは共和党系コンサルティング企業のTargeted Victoryを使ってTikTokに対する大衆の反感をあおったという。Targeted Victoryが危険なクチコミトレンドがTikTokで始まったと主張して世論に影響を与えようとしたが、それは実際にはFacebookで始まったものだったというケースもあった。TechCrunchも2018年に、FacebookがTargeted Victoryと組んでFacebookプラットフォームの政治広告費に影響を及ぼす法案の進行を遅らせようとしたことを報じた

Targeted VictoryのCEOであるZac Moffatt(ザック・モファット)氏は声明で「Targeted Victoryの企業活動ではクライアントに代わって両党のチームに対応しています。我々が数年間にわたってMetaと協力しているのは広く知られていることで、我々はこれまでの仕事を誇りに思っています」と述べた。

いずれにしても、アプリを10代にとって安全なものにするためにペアレンタルコントロールにできることは限られている。アプリそのものが、危険なコンテンツを10代に提供しないように努めなくてはならない。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

Zoom・Teams・TikTok対応、AIで自分の外観をDXできる「xpression camera」正式版リリース―1.5億円の資金調達も

Zoom・Teams・TikTok対応、AIで自分の外観をDXできる「xpression camera」正式版リリース―1.5億円の資金調達も

「学習し模倣するAI」を「想像し創造するAI」へ進化させることをミッションに掲げるテック企業EmbodyMe(エンボディーミー)は、ビデオ会議などで自分の映像を別のものに置き換えられる「xpression camera」(エクスプレッションカメラ)の正式版をリリースした。WindowsとMacに対応し、無料で使うことができる。アプリはこちらからダウンロードできる。

また同社は、FreakOut Shinsei Fund、DEEPCORE、キャナルベンチャーズ、山口キャピタルを引受先として、1億5000万円の資金調達を実施したことも発表した。

xpression cameraは、使いたい画像が1枚あれば、それをAIにより自分の外観と置き換えて、リアルタイムでコミュニケーションができるようになるというツール。Zoomのほかに、Teams、YouTube、TikTokなどあらゆるビデオアプリで利用できる。たとえばパジャマ姿でも、スーツを着た自分の画像に置き換えてリモート会議に参加するということが可能になる。自分だけでなく、顔として認証されるものなら、絵画や動物の写真を使うこともできる。

 

2020年9月からベータ版を提供していたが、AIのコアエンジンを一新してクオリティーを高め、バーチャル背景などの機能も追加した。映像の録画・読み込み・画像検索・バーチャル背景の編集が可能な有料版の「Pro Plan」もある。さらに、企業向けの「Enterprise Plan」の提供も予定しており、現在はパイロットプログラムへの参加企業を募集している。

EmbodyMeは、「最終的にはAIで目に見えるあらゆるものを誰もが自由自在に作り出せるツールになることを目標とし、今まで想像もできなかったようなまったく新しいメディア、業界をも創造していきます」と話している。

TikTokが新しい動画作成ツール「TikTok Library」でGIFのコレクションを提供するGIPHYと提携

TikTokは米国時間3月29日、新しいアプリ内作成ツール「TikTok Library」を発表した。クリエイターがエンターテインメントコンテンツにアクセスしたり、トレンドに参加したりしやすくなることを期待している。当初は、GIPHY Clips(ジーフィークリップス)と呼ばれる音声付きGIFのコレクションなど、GIPHY(ジーフィー)から厳選されたコンテンツがライブラリに掲載される予定だ。時間の経過とともに、TikTokは追加のコンテンツソース、オーディオやサウンド、テキストテンプレート、その他のTikTokクリエイターのコンテンツでライブラリを拡張するとしている。

ただし同社は、そうした取り組みのために将来的にどのようなパートナーと提携するのかについては言及を避けた。

2019年にGIPHY Videoとして開始された今日のGIPHY Clipsは、テレビや映画のスタジオ、ゲームメーカー、レコードレーベル、スポーツリーグ、ニュースメディアなどのエンターテインメントパートナーが、GIPHYのプラットフォーム上で適切にライセンスされたコンテンツを共有するための手段だ。この機能は時間とともに拡大し、音声付きGIF(短編動画としても知られている)を活用してGIPHYの数億人のデイリーアクティブユーザーにリーチしたいと考える何千ものコンテンツメーカーが参加するようになった。これらのGIPHY Clipsは、GIPHYの開発者向けツールセットであるGIPHY SDKを介して、ウェブ上のリンク、メッセージングアプリ内、Slackなどの職場用ツール、その他のサードパーティアプリケーション内のどこでも共有することが可能だ。

画像クレジット:TikTok

TikTokによると、さし当たってはリアクション、引用、人物、アイコニック・モーメントといったGIPHY Clipsのカテゴリーをサポートする。

リアクションは、誰かの生の感情をとらえたGIFで、引用は著名人の印象的なキャッチフレーズや格言だ。人物は、有名人やスポーツ選手などファンを抱える人に特化したカテゴリーだ。そしてアイコニック・モーメントは、スポーツの名プレーや授賞式のスピーチなど、大きなイベントでの忘れられない瞬間だ(おそらく、私たちが3月27日にアカデミー賞授賞式で目撃したものなど)。

TikTokへの統合には、GIPHYの幅広いライブラリからの数百万のGIFに加えて、数万のGIPHY Clipsライブラリの一部が含まれると同社の広報担当者は述べた。

TikTokはすでにソーシャルビデオアプリで多くのクリエイティブツールを提供しているが、クリエイターの自己表現をサポートする新しい方法を探し続けているという。そこで、GIPHYとの統合が実現した。

この機能を使うには、TikTokのユーザーはアプリのカメラ画面の垂直サイドバーにある新しい「ライブラリ」アイコンをタップする。ライブラリに入ると、トレンドのコンテンツをスクロールしたり、検索バーを使ってより具体的なものを探したりすることができる。使いたいコンテンツを選んだら、好きな長さにクリップし、撮影画面に戻って動画の撮影を続けることができる。

画像クレジット:TikTok

TikTokによると、ライブラリ機能はまずAndroidの一部のマーケットで展開され、iOSでは来週、そして今後数週間で世界中のより多くのTikTokユーザーへと拡大される予定だ。

もちろん、Facebook(フェイスブック)の最大の脅威の1つとなっているTikTokが、Facebookがかつて4億ドル(約490億円)で買収した会社のコンテンツを活用して短編動画アプリを改良しているという皮肉もそこにはある。しかし、Facebook、現在のMeta(メタ)は英国の競争市場庁(CMA)が反競争的との視点で買収取引を調査したため、GIPHYを完全に統合することを阻止されている。CMAは2021年11月、MetaにGIPHYを売却するよう求める判断をした。Metaは現在、その判決を不服として控訴している。しかし、もしMetaがGIPHYを完全に自社に統合することが許されていたら、このようなTikTokの統合は進んでいたのだろうかと思わざるを得ない。

公平を期して言えば、これはTikTokにとって初めてのGIPHY統合ではない。TikTokは以前、Green ScreenでStickersGIFsを立ち上げた。しかし、GIPHYの動画を活用するのは今回が初めてだ。

TikTokはGIPHY統合をより広範な機能の始まりにすぎないとしているが、考えられる将来のパートナーについての詳細がないため、この追加はまだ初期段階のようだ。「TikTok Library」と呼ぶことで、単純なGIPHY SDKの統合よりもずっと興味深いものに聞こえる。

さらに、この機能がより完全なものになる前にLibraryを発表することで、TikTokは今週末のアカデミー賞授賞式とそれに付随するハイライトや修羅場といった最新のポップカルチャー・モーメントの勢いにすばやく乗ることができ、これらはすでに数百万回試聴されたTikTokビデオに組み込まれている。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokが保存し損ねた動画を発見しやすくする「視聴履歴」機能をテスト中

TikTok(ティックトック)は「For You(おすすめ)」ページに表示された動画のうち、保存する機会が逃してしまったものを見つけることができる新しい「Watch history(視聴履歴)」機能を、一部のユーザーを対象にテストしている。

TikTokではコンテンツが常に流れているため、誤って「For You」ページを更新してしまい「いいね」を押す前に動画が消えてしまうことは、ユーザーにとってよくある問題だ。TikTokはこの問題を解決する機能の追加を検討しているようだ。

同社は、テストを拡大してより多くのユーザーにこの機能を展開する計画があるかという質問に対し、現時点ではテストについてこれ以上発表できることはないと、TechCrunchにメールで回答した。

「私たちのコミュニティに価値をもたらし、TikTok経験を豊かにするための新しい方法を、私たちは常に考えています」と、コメントを求められたTikTokの広報担当者はTechCrunchに語った。

この機能は、ソーシャルメディアプラットフォームで現在テスト中の機能を発見することが多いTwitter(ツイッター)ユーザーのHammod Oh(ハモッド・オー)氏が最初に発見し、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏がこれに注目した。ハモッド・オー氏や他のユーザーが投稿したスクリーンショットによると、TikTokユーザーの「Watch history」は、アプリの設定にある「コンテンツとアクティビティ」のセクションからアクセスできるようになるとのこと。

今回のテストが実施される前に、TikTokのユーザーの中には、この失われた動画を見つける回避策を見つけた人もいる。2022年1月、TikTokユーザーの「rachforaday」氏は、同プラットフォーム上で失われたビデオを発見するプロセスをユーザーに説明する動画を投稿した。この動画では、ユーザーに「Discover(トレンド)」ページから検索をクリックし、アスタリスクを入力して、検索フィルタータブで「視聴済み動画」ボタンを切り替えるように指示している。適用をクリックすると、過去7日間に見た動画のリストが表示される。この動画は絶大な支持を集め、3200万回以上再生され、550万以上の「いいね」を獲得している。

ユーザーが見失ったTikTok動画を発掘する方法は、これだけではない。別の回避策では、アプリからデータ全体をダウンロードするプロセスを通して「動画の閲覧履歴」を見ることができるZipファイルにアクセスするように指示している。

TikTokの視聴履歴機能が正式導入されれば、ユーザーが見失った動画を見つけるプロセスがずっと簡単になり、上記のような回避策の必要性はなくなるはずだ。

画像クレジット:TOLGA AKMEN / Contributor / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Pinterestがクリエイター向けファンドへの投資を大幅に追加

競合各社がクリエイターに熱を上げる中、Pinterest(ピンタレスト)は米国時間3月28日、Creator Fundへの当初の投資を大幅に増やし、まだ評価を得ていないクリエイター層に対し現金での支援、広告のクレジット、その他のリソースとして追加で120万ドル(約1億4800万円)を投じると発表した。同社は2021年に50万ドル(約6200万円)のCreator Fundを開始すること、および新しいコンテンツポリシーとクリエイター向けツールを発表していた。ただ、Pinterestが投資を増やしクリエイターとの関わりを強化するものの、Meta(メタ)やYouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティックトック)、Snap(スナップ)といったソーシャル大手の大がかりな取り組みに比べると、その規模はまだ小さい。

Pinterestは2021年4月にCreator Fundを発表し、同年秋には米国でクリエイターの報酬としてさらに2000万ドル(約24億6000万円)を投じると発表した。この報酬は「チャレンジ」への参加に対してクリエイターに直接支払われる。ただしこの取り組みはCreator Fundの一環ではないとされている。同社は、Creator Fundは資金と教育の両方のリソースを提供して、まだ評価を得ていない層のクリエイターを支援することに特化していると説明している(TechCrunchの問い合わせに対し、同社は新たに投資する120万ドル[約1億4800万円]のうちどの程度を現金で支援するのかについて明らかにしなかった)。

PinterestはCreator Fundの拡張にともない、四半期ごとに5週間のサイクルをコンテンツのテーマを変えてクリエイターに提供する。テーマはファッションとビューティー、ウェルネス、ライフスタイルとホーム、フードが予定されている。2022年の4サイクルのうち最初のサイクルではファッションとビューティーを取り上げ、このサイクルでは初のブランドパートナーとしてL’Oréal USA(ロレアルUSA)の後援を受ける。Creator Fundの参加者はPinterestが提供するトレーニングを受けられる他、L’Oréal USAから美容業界のインサイトとこの分野における専門家のサポートも提供される。参加するクリエイターは現在募集中だ。

Creator Fundの参加者は、現金での支援と広告クレジット、機材の提供を受け、さらにブランドパートナーになるチャンスやクリエイター向けカンファレンスへの参加、さらにPinterestのプロダクトをいち早く目にする機会もあると同社は述べている。

当初のファンド、そして以前に発表された2000万ドル(約24億6000万円)の報酬よりも大幅に増額されたが、それでもクリエイターに対するPinterestの取り組みは競合に遅れをとっている。

比較のために挙げると、TikTokは2020年に独自のクリエイターファンドを2億ドル(約246億円)で立ち上げたが、向こう3年間で10億ドル(約1230億円)以上にまで拡大するとしている。Metaも10億ドル(約1230億円)のクリエイター向けボーナスプログラムを発表した。YouTubeはTikTokへの対抗策としてYouTubeショートのクリエイター向けとして2021年に1億ドル(約123億円)のファンドを発表したが、過去3年間で合計300億ドル(約3兆6900億円)を超えるクリエイターへの幅広い投資を喧伝している。そしてSnapも最近、TikTokに似たSpotlightのクリエイターに対し、2021年に2億5000万ドル(約307億5000万円)を支払ったと述べた。

これらに対し、Pinterestはクリエイターに対する取り組みを始めたばかりだ。この1年間ほど、同社はそのプラットフォームをインスピレーションやアイデア、販売のための画像のピンボードから、動画や動画に関連する収益化の取り組みを通じてクリエイターのコミュニティに資するものにシフトしようと試みている。2021年5月にはクリエイター向け動画ファースト機能でTikTokとストーリーをミックスしたような「アイデアピン」を正式に発表した。Pinterestユーザーは、BGMやトランジション、さまざまなインタラクティブ要素など他のソーシャルプラットフォームと似たツールでクリエイティブなコンテンツを録画し、編集できる。しかしTikTokの動画とは異なり、Pinterestのアイデアピンは、例えばクリエイターがレシピやDIYの製作過程などを共有するページといった動画以外のコンテンツも組み合わせられるようになっている。

2021年秋にPinterestは、ビデオのピンを簡単にスクロールできる「Watch」タブをアプリに追加した。この取り組みがどの程度効果を上げているかは、今のところ明らかにされていない。The Informationは最近、PinterestはオンラインショッピングプラットフォームのVerishopを買収しようとしたが、Pinterestが買収されると取り沙汰される中で決断は先延ばしになったと報じた。Verishopは買収に乗り気ではなかった。

Pinterestによれば、同社Creator Fundプログラムを修了した参加者は平均で60%フォロワーが増えたという。しかし比較の基準がないので、クリエイターの実際の成果やもっと広い意味でのPinterestへの影響はなかなか理解できない。

Pinterestは、2022年後半には米国以外にもCreator Fundを拡大する計画であるとしている。

画像クレジット:Pinterest

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

元TikTokコンテンツモデレーター2人が「精神的トラウマ」で提訴

TikTokのコンテンツレビュワー2人が、TikTokから不快な動画を削除するというひどい心痛をともなう作業に従事する中で、適切なサポートが受けられなかったとして同社を提訴した。NPRが最初に報じたこの訴訟は、米3月24日に連邦裁判所に起こされた

原告のAshley Velez(アシュリー・ヴェレス)氏とReece Young(リース・ヤング)氏は、それぞれカナダのハイテク企業Telus International(テルス・インターナショナル)とニューヨークのAtrium(アトリウム)という第三者企業を通じてTikTokのモデレーション作業を請け負っていた。ヴェレス氏とヤング氏は集団訴訟を模索しており、企業の慣行によって悪影響を受けたと主張する他のTikTokコンテンツモデレーターも訴訟に参加できるようになりそうだ。

訴訟では、ヴェレス氏とヤング氏が日常的に従事させられている「異常に危険な活動」の精神的リスクにもかかわらず、TikTokとByteDanceが適切なメンタルヘルスサポートを提供せず、カリフォルニア労働法に違反したと主張している。また、同社はモデレーターに対して、ノルマを達成するために大量の過激なコンテンツをレビューするよう強制し、さらにモデレーターが見たものについて法的な議論ができないよう秘密保持契約(NDA)にサインさせることによって、その害を増幅させたと主張している。

「被告は、アプリにアップロードされたフィルタリングされていない不快で攻撃的なコンテンツと、毎日アプリを利用する何億人もの人々との間のゲートキーパーである何千人もの請負業者に安全な職場を提供しなかった」と訴状にはある。TikTokとByteDanceは、このようなトラウマ的なコンテンツに長期間さらされることによる心理的リスクを知っていたにもかかわらず、労働者が過激なコンテンツに対処するための「適切な改善措置」を事後的に提供する努力をしなかった、と主張している。

訴状では、両原告が勤務日にどのように「児童の性的虐待、レイプ、拷問、残忍な行為、斬首、自殺、殺人」を含む過激で不快なコンテンツのレビューに12時間費やしたかを説明している。また、ヴェレス氏とヤング氏は、生々しいコンテンツ以外にも、ヘイトスピーチや陰謀論に繰り返しさらされ、それが精神衛生に悪影響を及ぼしたと訴えている。TikTokのコンテンツモデレーターであるCandie Frazier(キャンディ・フレイジャー)氏も12月に同様の訴訟を起こしたが、NPRの報道によるとこの訴訟はもはや前進していないようだ。

新しいTikTokの訴訟は、同じ弁護団が2018年にFacebook(フェイスブック)に対して起こした集団訴訟に続くものだ。同社は2年後、日常的にコンテンツの選別を任された結果、メンタルヘルスに悩む1万1000人以上のモデレーターに5200万ドル(約63億円)を支払うことで合意し、和解した。

画像クレジット:TOLGA AKMEN / Contributor / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

おや、TikTokにFacebookが現れた

Facebook(フェイスブック)はTikTok(ティックトック)で何をしているのだろう?競合の偵察?TikTokの人気スター、Charli(チャーリー・ダミリオ)にメッセージを送る?ベータテスターのリクルート?広告を買うの?きっと直にわかるだろう。FacebookはTikTokのアカウントを作成し、動画をまだ1本も投稿していないのに本記事英語版執筆時点ですでに1万5100人(日本語版翻訳時点では1万8600人)のフォロワーを集めているのだから。このアカウントはTikTokが認証済みで、Facebookもこれが本物であることを認めている。

ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が数日前にFacebookのTikTok(妙な言い方ですが)を発見した。

このアカウントは認証済みであることを示す青いチェックマークをすでに獲得している。しかしコンテンツはなく、プロフィールも「We believe people can do more together, than alone.(一緒ならもっと多くのことができると信じています、1人よりも。)」とコンマも含めてなんだか不思議な感じで、これが本当にFacebookのアカウントなのかどうかと疑ってしまう。しかも、このアカウントのプロフィールに書かれているリンク先はFacebookのアプリだ。Facebookのウェブサイトでも、何らかの公式なコミュニケーションチャネルでもない。

それに、FacebookはMetaになったはずでは?

どういうことかというと、FacebookはすでにTwitter.com/Facebookを非公開にしている。Instagram.com/Facebookは存在せず、Instagram.com/Metaとなっている。

しかしFacebook、ではなくてMetaは、TechCrunchに対しTikTokのアカウントは本物であると述べた。

Metaの広報は「ブランドは、当社のソーシャルメディアプラットフォームも含め、さまざまなチャネルを活用して日々自社の製品やサービスを利用する人々に対しリーチし、エンゲージします。ブランドのプレゼンスを確立しTikTokなどのプラットフォーム上でコミュニティを育てようとする当社の意図も同じです」と述べた。

画像クレジット:FacebookのTikTok

最近、Facebookは直前の四半期でアクティブユーザー数が横ばいとなり、さらに注目すべきことに1日のアクティブユーザーが初の減少と転じたと報じられた。このことから、FacebookはTikTok(とその広告プラットフォーム)を活用してZ世代のユーザーベースを強化したいと考えている可能性はある。

大手ブランドがマーケティングやコミュニケーションにさまざまなチャネルを使うのは確かにその通りだが、Facebookが最近TikTokについて重大な競争上の脅威であるとしばしば言及していることを考えれば、FacebookがTikTokに現れたのはちょっと奇妙だ。

Metaの2021年第4四半期決算発表でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は投資家に対し、こうした点を繰り返し語った。

同氏は「人々が時間を使う選択肢はたくさんあり、TikTokなどのアプリは急速に成長しています」と述べた。そして「TikTokはすでに巨大な競合であり、極めて大きな基盤からさらに急速な成長を続けています」とも述べた。

MetaはTikTokでの計画に対し、どのようなコンテンツを準備しているのか、このアカウントに広告を掲載するのかどうかなど、詳しい情報を明らかにしなかった(でも何か見かけたら筆者にメッセージをください!)。

TikTok上にあるMetaのブランドはFacebookだけではない。Instagram(インスタグラム)が広告を掲載し、Instagram Creatorsも最近アカウントを開設したようだ。

当面、私たちの気持ちとしてはこんな感じ……。

@angiebhandal

#howdoyoudofellowkids #30rock #stevebusemi #meme

♬ original sound – Angie B

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

TikTokが音楽配信プラットフォームのSoundOnを公開

TikTok(ティックトック)は現在の音楽業界にすでに多大な影響与えており、アプリ内で人気の曲はチャートの上位にランクインする。今度は自分の音楽をもっと聴いてもらいたいアーティストを支援するために独自の音楽マーケティング・配信プラットフォーム「SoundOn」を開始する。この新しいプラットフォームでは、アーティストは自分の音楽をTikTokと、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)の音楽ストリーミングサービスのRessoに直接アップロードでき、さらにApple Music、Spotify、Pandora、Deezer、Tencent(テンセント)のJooxといったグローバルなストリーミングプラットフォームにもアップロードできる。

配信に対する課金はなく、プラットフォームは手数料を請求しない。TikTokは、ByteDance傘下のプラットフォームに関しては無期限で使用料の100%をSoundOnから音楽クリエイターに支払うとしている。これにはTikTokでの配信の他、ブラジル、インドネシア、インドのRessoと、ByteDanceの動画編集アプリのCapCutの分が含まれる。

グローバルのストリーミングサービスに関しては、そのアーティストの1年目は100%が支払われるが、2年目以降は90%に下がる。比較のために挙げると、競合のDistroKidはサブスクリプションベースでアーティストとレーベルに対して課金し、アーティストは売上の100%を受け取れる。一方、TuneCoreは曲またはアルバム単位で配信に対して課金するが、こちらもアーティストはストリーミング売上の100%を受け取れる。

SoundOnのFAQによれば、アーティストはすべての権利と使用料を保持する。つまりマスターを所持しつつ、さらに使用料の100%(または一定期間後に90%)を受け取れるということだ。

画像クレジット:TikTok

SoundOnは音楽配信の仕組みだけでなくプロモーションのためのツールやサポートも提供する。具体的にはオーディエンスのインサイトと開拓、SoundOnマーケティングチームからのアドバイス、TikTokのミュージックタブの利用(自分のプロフィールページから曲へリンクできる)、TikTokによる認証、RessoとCapCutでの紹介、TikTokプラットフォームのクリエイターマーケティングを活用したプロモーションの支援などだ。

SoundOnのウェブサイトには、このプラットフォームでリリースするとTikTokクリエイターの目に触れると書かれている。

ウェブサイトでは以下のように説明されている。「TikTokクリエイターはこのプラットフォームの活力源であり、サウンドがヒットする理由です。あなたがこのプラットフォームでリリースすると、我々は多様なクリエイターがあなたの曲を使って動画を制作するように働きかけます。これによりあなたのファンは広がり、クリエイターたちの新しいコミュニティにリーチできます」。

SoundOnのバリュープロポジションに対するTikTokのマーケティング面としては、このサービスはキャリアの浅いアーティストに特にアピールするかもしれない。TikTokにはバイラルのトレンドがあり、特別にプッシュされれば自分がブレイクして多くの人へのリーチとにつながると理解されているからだ。その後、ファンは音楽ストリーミングサービスでそのアーティストをフォローし、その売上が自身の収入になる。

TikTokの音楽担当グローバル責任者のOle Obermann(オーレ・オルバーマン)氏はSoundOnの提供開始に関する発表の中で「TikTokには新人のアーティストや音楽クリエイターたちの活気に満ちあふれたコミュニティがあり、SoundOnはこうした人々がキャリアの最初の一歩を踏み出せるようにと開発されました。SoundOnチームはクリエイターが大きなステージへと成長するジャーニーをガイドし、TikTokの専門性とパワーをアーティストのために活かします。我々は新しい才能が表に出てきて前進し、SoundOnがますます多様化し成長するグローバルな音楽業界に貢献することをたいへん楽しみにしています」と述べた。

SoundOnプラットフォームでは2021年秋からベータテストを実施し、今後は米国、英国、ブラジル、インドネシアで一般に広く使えるようになる。すでにこのサービスを利用しているアーティストとクリエイターの人数は明らかにされていないが、Muni Long(マニー・ロング)、Games We Play(ゲームス・ウィ・プレイ)、Abby Roberts(アビー・ロバーツ)、Chloe Adams(クロエ・アダムズ)らが利用している。

TikTokが音楽配信分野に参入するのはSoundOnが初めてではない。同社は2020年にUnitedMastersとの提携を発表し、これがTikTokと音楽配信企業との初の統合になった。

ByteDanceが音楽配信を拡大するのはストリーミングサービス事業者としてはよくある流れだ。例えばAppleは2021年に、NBAやESPN、そしてTikTokとも大型契約を交わしているUnitedMastersに投資した。SpotifyはDistroKidに小規模な出資をしているが、2021年秋に出資分の3分の2を1億6700万ドル(約193億7200万円)で売却した。

TikTokによれば、SoundOnに関心のあるアーティストはus.soundon.globalまたはsoundon.globalで登録できる。

画像クレジット:TOLGA AKMEN / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッター、モバイル向け新ショッピング機能「Twitter Shops」を導入

Twitter(ツイッター)は米国時間3月9日、新しいショッピング機能「Twitter Shops(ツイッターショップ)」を導入した。この機能では、販売者は最大50の商品のコレクションをキュレートし、Twitterのプロフィール上で紹介することができる。このモバイルファーストの機能は無料で利用でき、Twitterのプラットフォーム上で商品について話すだけでなく、実際にクリックして販売者の商品を閲覧し、精算するようユーザーを促すことが目的だ。

しかし、Instagram(インスタグラム)のネイティブのShops(ショップ)とは異なり、これらの取引はTwitter自体で行われるわけではない。ユーザーはまず、販売者のショップにアクセスするのに、販売者のツイートの上にある「ショップを見る」ボタンをクリックする。そして購入の準備が整ったら、その商品をクリックし、販売者のウェブサイトに移動して取引を完了させる。この体験はアプリ内のブラウザで行われ、TikTok(ティクトック)の新しいショッピング機能の仕組みと似ている。

Twitter Shopsは無料で使用でき、Twitterは現在のところ、テスト中の新製品で収益化していないとのことだ。

画像クレジット:Twitter

Twitter Shopsは、ここ数カ月の間に同社が行ったeコマースに関する他の取り組みの上に構築されている。

Twitterは昨夏、米国でeコマースの試験運用を開始し、ユーザーは販売者のプロフィールの上部にある「Shop Module」から商品を閲覧できるようになった。しかし、このモジュールでは、ユーザーがスクロールできる商品は最大5つだ。新しいTwitter Shopsでは、販売者はより豊富なカタログを掲載することができ、CSVファイル経由でアップロードすることができる。

このファイルには、商品名、説明、価格、その他の詳細を含む最大1万点の商品を含めることができ、販売者は、プロフィールに表示する商品50点の選択を簡単に変更することができる。

Shop Modulesに加え、Twitterは2021年11月、新しいライブストリームショッピングプラットフォームのテストを開始し、Walmart(ウォルマート)が最初のベータテスターに選ばれた。Twitterによると、Walmartはライブストリームで行われたイベントで200万回以上の視聴を記録した。しかしそれがどの程度のコンバージョンにつながったかは明らかにしなかった。Live Shoppingはその後、フードデリバリーブランドGopuff (ゴーパフ)やSamsung(サムスン)など、他のマネージドパートナーにも展開された。

新しいTwitter Shops、そしてShop ModuleとLive Shoppingの機能は、TwitterのShopping Manager内に設置されていて、販売者が利用可能なショッピング機能を設定・管理する入口になっている。このShopping Managerは現在、Twitterのマネージドパートナーに提供されているとTwitterは話す。

画像クレジット:Twitter

導入にあたり、Twitter Shopsは米国で@Verizon@ArdenCove@LatinxInPower@GayPrideApp@AllIDoIsCookUSなど数百のブランドと英語でベータテストされる。Twitterは今後、他の販売者やマネージドパートナーからベータ参加者を募って加わってもらう予定だ。

今回のeコマースの拡張は、Twitterがとんでもない速さで新機能を展開してきた一連の動きに続くものだ。この1年ほどの間に同社は、クリエイターツール(スーパーフォロー)、パワーユーザー向け購読商品(Twitter Blue)、ニュースレター(Revue)、NFTアバター、アプリ内投げ銭、ライブオーディオ(Twitterスペース)などを発表している。しかし、プラットフォームの収益を上げる新しい方法を見つけることに焦点を当てたこれらの取り組みが、誤報やプロパガンダの拡散に関連する分野(ロシアとウクライナの戦争が続く中でこれまで以上に重要だ)で取り組むべき、より重要な仕事から注意を逸らさせているという批判もある。

Twitterのeコマースへの取り組みに関するもう1つの課題は、ソーシャルネットワークがエンドユーザーにどのように受け止められているかということに関連している。テキストが多いという性質を考えると、TwitterのユーザーがTwitterを商品を発見する場としてとらえているとは言い難い(Twitterは、同社のライブビデオプラットフォームのPeriscope(ペリスコープ)や、TikTokよりも先に展開されてきた短編ビデオプラットフォームVine(バイン)などのサイトにもっと動画を追加するような取り組みを長年にわたって停止してきた)。

一方、今日のオンラインユーザーは、Instagramの写真や動画、そして最近ではTikTokの動画を通じて、ソーシャルメディア上で買い物をする傾向がある。特にTikTokのトレンドのバイラル性は、より自発的な購買を促す。TikTokは2月のイベントで、48%のユーザーが自社プラットフォームで商品を見てすぐに購入したことがあり、67%が買い物を考えていないときにも購入したとクリエイターに語った。

Twitterも明らかにそうした動きの一部を取り込もうとしているが、TikTokのようなライバルはオンラインショッピングを単なる追加機能としてではなく、没入型ビデオやパーソナライズされたホームフィードを通じてすでに提供している、予期しない発見の自然な延長線上にある機能として位置づけている。

Twitter Shopsは当面の間、iPhoneのTwitterユーザーのみが利用できる。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokと連携、タカラトミーが電動ヨーヨーとARエフェクトを組み合わせた新感覚トイ「MUGENYOYO」発売

TikTokと連携、タカラトミーが電動ヨーヨーとARエフェクトを組み合わせた新感覚トイ「MUGENYOYO」発売

タカラトミーは3月8日、電動ヨーヨーとARエフェクトを組み合わせた新感覚のトイエンターテイメント「MUGENYOYO」(ムゲンヨーヨー)を5月26日に発売すると発表した。価格は5940円(税込)。また、CAMPFIREクラウドファンディングを3月8日に開始し、4月からタカラトミーの公式ショッピングサイト「タカラトミーモール」で予約を受け付ける。

ヨーヨー本体には電動モーターが内蔵され、初心者でもさまざまなトリックが楽しめるようになっている。スマートフォンに専用アプリ(Android版iOS版)をインストールしてヨーヨーにかざすと、ヨーヨーの動きに合わせて「グラフィックス」と呼ばれるAR効果が映像の上にオーバーレイされ、保存した映像はTikTokに直接投稿できる。専用アプリでTikTokと連携する玩具は、日本ではこれが初めてとのこと。TikTokと連携、タカラトミーが電動ヨーヨーとARエフェクトを組み合わせた新感覚トイ「MUGENYOYO」発売TikTokと連携、タカラトミーが電動ヨーヨーとARエフェクトを組み合わせた新感覚トイ「MUGENYOYO」発売

ヨーヨーのスキルが上がると「ケイデンス値」と呼ばれる経験値が貯まる。これは、アプリで撮影したときに出たARエフェクトの表示時間、移動スピード、移動距離などから算出されるポイントだ。ケイデンス値が増えると、新しい「グラフィックス」が解放されて使えるようになる。こうして、レベルが上がるほど多彩な動画表現が楽しめるようになるとうわけだ。ケイデンス値はアプリ内でランキング表示されるので、他の人たちとスコアを競いながら腕を磨くことができる。TikTokと連携、タカラトミーが電動ヨーヨーとARエフェクトを組み合わせた新感覚トイ「MUGENYOYO」発売

 

「MUGENYOYO」概要

  • 商品サイズ:57×57×45mm
  • 商品内容:ムゲンヨーヨー、交換用ストリング、USBケーブル、取扱説明書
  • 対象年齢:8歳以上
  • 希望小売価格:5940円(税込)

画像クレジット:© TOMY

Netflix、PayPal、Adobe、Epic Games、任天堂もロシアでの事業停止

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでの事業を停止するハイテク企業のリストが増え続けている。この動きに最近加わった企業には、Netflix(ネットフリックス)、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)などの有名どころが含まれている。

Varietyが最初に報じたように、Netflixは米国時間3月6日、ロシアでのサービスを停止すると発表した。この措置は、同社が先週、ストリーミング配信会社にロシアの20のプロパガンダチャンネルホスティングを義務づけるロシアの新法に従わないと述べたことを受けたものだ。Netflixはまた、ロシアで制作を予定していた今後のすべてのプロジェクトを一時停止している。

Adobe(アドビ)も、ロシアにおける自社製品・サービスの新規販売をすべて停止すると発表した。同社は、自社の製品やサービスが「法律に反した戦争の支援に使用されない」ようにする責任があると信じている、と述べている。

PayPal(ペイパル)は、米国時間3月5日にロイターが最初に報じたように、ロシアでのサービスを停止すると発表した。ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相はツイートで、PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏がこの措置を確認している書簡を公開した。

ロシアから撤退した決済企業はPayPalだけではない。Mastercardは米国時間3月5日、ロシアにおけるネットワークサービスを停止すると発表した。つまり、ロシアの銀行が発行したカードは、今後Mastercardのネットワークではサポートされなくなる。また、ロシア国外で発行されたすべてのカードは、ロシアの商店やATMで使用できなくなる。同社は、適切な時期に業務を復活させるとしている。

同様にVisaも同日、ロシアでの全業務を停止したと発表した。同社は、ロシア国内の顧客やパートナーと協力し、すべてのVisa取引を停止するとしている。ロシア国内で発行されたVisaカードでの取引はすべてロシア国外では機能しなくなり、ロシア国外の金融機関が発行したVisaカードはロシア国内で使えなくなる。

ゲーム会社もまた、テック業界の他の企業とともにロシア国内でのビジネスを終了する。Epic Games(エピックゲームズ)は米国時間3月5日、ゲームに関するロシアとの取引を停止すると発表した。しかし同社は「他のコミュニケーションツールがオンラインであるのと同じ理由で、アクセスをブロックしていない。自由な世界は、すべての対話をオープンにしておくべきだ」と述べた。

態度を明らかにしたゲーム会社はEpic Gamesだけではない。Activision Blizzard(アクティベーションブリザード)も同じ日にロシアの消費者へのゲーム販売を一時停止すると発表した。同社はまた、ロシアでのゲーム内購入の提供も停止する予定だ。

任天堂も、利用している決済サービスが「ルーブルでの決済処理を停止した」ため、ロシアのeショップを一時的にメンテナンスモードにし、同国でのデジタル販売を停止した。

Snapchat(スナップチャット)は先日、安全予防策としてウクライナで公開されているSnap Mapの「ヒートマップ」を無効化すると発表し、対応を拡大した。ヒートマップ機能は通常、人々が多数のSnapを共有した場所を目立たせる。この措置は、同社がその前にロシアで広告を一時停止していると発表したのに続くものだ。

また、TikTok(ティクトック)は米国時間3月6日、ロシアの新しい「フェイクニュース」法に対応して、ライブストリーミングと動画サービスの新コンテンツを停止すると発表した。この法律では、ロシア政府がウクライナ侵攻に関する偽情報と見なすものを公開した者は刑務所に入ることになる、と脅している。TikTokは、従業員とユーザーの安全を維持するために、同国での事業を停止することを決定した。

Samsung Electronics(サムスン電子)は「このところの地政学的な動きにより」ロシアへの全製品の出荷を停止すると発表した。出荷が停止された製品には、スマートフォン、半導体、家電製品などが含まれる。この動きは、デバイスメーカーのApple(アップル)やDell(デル)、チップメーカーのIntel(インテル)、ソフトウェア大手のMicrosoft(マイクロソフト)からの同様の発表に続くものだ。

GrubHub(グラブハブ)は、ロイターが最初に報じたように、ロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)との提携を終了すると発表した。複数年にわたるこの提携は、大学生に食事を配達するドライバーレスロボットに関するものだった。Grubhubは、欧州最大の食事宅配会社Just Eat Takeaway.com(ジャストイート・テイクアウェイ・ドットコム)の一部門だ。

ロシアに対抗する姿勢を示したこれらの最新の企業グループは、AppleやGoogleなどの仲間入りをしている。Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。また、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogleはAppleに続き、自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。Googleはロシアでの広告販売も一時停止した

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokがロシアの「フェイクニュース」法を受け同国内での投稿を停止

TikTok(ティックトック)はロシアの新たな「フェイクニュース」法に対応して、この国でのライブストリーミングと新規コンテンツの配信を停止すると3月6日に発表した。

ロシア下院議会が3月4日に承認した同法は、政府が同国のウクライナ侵攻に関する誤情報とみなした投稿をした者は誰であれ懲役刑に処すると脅している。ロシア軍に関する誤情報を拡散したことで有罪になった者は最長15年の懲役または150万ルーブル、1万4000米ドル(約160万円)の罰金を課せられる。

TikTokは他のいくつかのニュース機関と共に、同国での運用を中止する決定を下した。「人々が深い悲しみと孤独に直面している戦争下に、安らぎと人とのつながりを提供」するためにアプリを使うユーザーおよび社員の安全を確保するため、と同社はツイートした。

ロシア政府はウクライナにおける行動を「特殊軍事作戦」および「平和維持活動」であると説明しているため、それに反するあらゆる記述は危険である。この法律やFacebookを禁止したロシアの決定は、政府の公式声明に相反する言動、あるいは同国軍隊が人道的危機を引き起こしていることを暴露する行為のすべてを抑圧しようとする政府の意図を実証している。

さらに言えば、同法はいかなる反論も圧迫しようとするロシアの行動を象徴している。現在この国では反戦抗議行動が噴出しており、3月6日には53の都市にわたり4000人近くが拘束された。モスクワだけでその数は1400人に上る。

TikTokユーザーはらは、抗議行動あるいは、経済制裁がいかにロシア人の日常に影響を与えているかなどの状況を現地から報告してきた。こうしたサービスの停止は、政府に反対する国民の行動を世界に知らしめる手段をまた1つ減らすことになる。

直近の危機は、ロシア国民がTikTokを政治的戦場として使った最初の事例ではない。1年前、若者たちは、言論の自由を支持し、反権威主義、反プーチン、反腐敗の政治家で活動家のAlexei Navalny(アレクセイ・ナワリヌイ)氏に対する政府の扱いに反対するビデオを制作した。さまざまな政治紛争の中で、ナワリヌイ氏はプーチン政府による複数回の投獄、被毒に直面し、以前の仮釈放違反の罪に問われた。

ナワリヌイ氏の支援を盛り上げ、ロシア政府によるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックや弱体化した経済への対策に対する怒りと不満を表現するために、TikTokはティーンエージャーらがパスポートを切り刻んで投げ捨てるビデオや抗議活動のハウツーを伝えるビデオであふれかえった。

TikTokの停止を受け、こうした情報を投稿していた一部のTikToker(ティックトッカー)らは、新たな聴衆を集めたりストーリーを届ける手段を失ったことを嘆いたが、Instagram(インスタグラム)やYouTube(ユーチューブ)を使って情報を拡散する決意を固めた、ただしこれらのプラットフォームがロシア・ユーザーを遮断しなければの話だ。彼らは聴衆をTelegram(テレグラム)のチャンネルにも呼び込んでいる。

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画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

TikTokが10代に与える悪影響について米国各州の司法長官団が調査を行うと発表

米国各州の司法長官は、現地時間3月3日、TikTok(ティックトック)が、子どもたちや10代の若者たちの心身の健康状態に与える悪影響について調査を行うと発表した

この調査では、TikTokがどのように若いユーザーに悪影響を及ぼすか、またTikTokがその悪影響について事前に知っていたかどうかを分析する。この党派を超えた司法長官のグループは、TikTokが若年ユーザーのエンゲージメントを高める方法や、TikTokがユーザーに同プラットフォームでより多くの時間を過ごすように仕向ける誘因を調査する。この調査は、TikTokが州の消費者保護法に違反し、一般市民に害を与えているかどうかを弁護士団が判断するために役立つことになる。

「子どもや10代の若者が、すでに不安や社会的圧力、抑鬱などの問題と格闘している中で、ソーシャルメディアが彼らの身体や心の健康を、さらに害することは許容できません」と、マサチューセッツ州司法長官のMaura Healey(マウラ・ヒーリー)氏は、プレスリリースで述べている。「各州の司法長官にとって、若者を保護し、TikTokのような企業が彼らの日常生活にどのような影響を与えているかについて、より多くの情報を得ることは急務です」。

このような行動が起こることは珍しくないが、それが大手テック企業に大きな変化をもたらすことは滅多にない。それでも2021年には、44人の弁護士から成る同じような団体が、同じくヒーリー司法長官を共同代表として、Meta(メタ)にInstagram Kids(インスタグラム・キッズ)の立ち上げ計画を一時停止させることに成功した。しかし、この決定はおそらく、元Facebook(フェイスブック)の幹部だったFrances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏の内部告発があったことが深く関係している。

ソーシャルメディアが子どもの精神衛生に与える影響は、政府も気にかけている。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が、米国時間3月1日夜の一般教書演説で、ソーシャルメディアに言及したほどだ。

「私たちは、ソーシャルメディアプラットフォームが利益のために、我が国の子どもたちに対して行っている国民的実験に対して、責任を持たなければなりません」と、大統領は全国的な演説の中で語った。「今こそ、プライバシー保護を強化し、子どもへのターゲティング広告を禁止し、テック企業に子どもの個人データ収集を止めるよう要求する時です」。フランシス・ホーゲン氏は、ファーストレディであるJill Biden(ジル・バイデン)博士の貴賓として出席し、バイデン大統領の演説の中で個人的な謝辞さえ送られていた。

TikTokに対する調査は、カリフォルニア、フロリダ、ケンタッキー、マサチューセッツ、ネブラスカ、ニュージャージー、テネシー、バーモントの司法長官をはじめ、全米の弁護士からなる超党派の連合団体が主導して行っていく。

画像クレジット:Bryce durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

コンテンツクリエイターに無料の音楽を提供する英国のUppbeatが約7億円を調達

英国を拠点とする音楽プラットフォームのUppbeatは、コンテンツクリエイターがYouTubeやTwitch、TikTokなどのプラットフォームで公開する動画に使用できる無料で高品質の音楽を簡単に見つけられるサービスを構築し、現在50万人以上のユーザーが利用している。同社はビジネスを成長させるためにシリーズAで460万ポンド(約7億500万円)を調達したと発表した。

Uppbeatを構築したのは、英国を拠点とする音楽ライセンス企業のMusic Vineを共同で創業したLewis Foster(ルイス・フォスター)氏とMatt Russell(マット・ラッセル)氏だ。2人は、自分たちの専門性を活かしてクリエイターの間で高まっている無料の音楽リソースのニーズに応えるチャンスがあると考えた。現在、1億人以上がソーシャルプラットフォームでコンテンツを共有しているが、無料でありながら高品質の音楽の選択肢は多くないと2人は確信していた。

Uppbeatは2021年1月にサービスを開始し、費用のかかる音楽ライセンスプラットフォーム、あるいはYouTubeのオーディオライブラリやクリエイティブ・コモンズの音楽といった無料の音楽に代わる選択肢を提供することで、クリエイターが作るコンテンツで使われる音楽の著作権に関する頭痛の種を取り除いている。

Uppbeatはフリーミアムのモデルを活用して、クリエイターがアカウントを作成するとサイトのカタログの約50%にアクセスでき、1カ月に10件ダウンロードできるようにしている。プレミアムのサブスクリプション(月額6.99ドル、約800円)ではすべてにアクセスし、無制限にダウンロードできる(3年間と永続のサブスクリプションも用意されている)。

2021年9月にはサイトを拡張して、音楽だけでなく「ミームスタイル」のコンテンツに適した効果音とクリップのライブラリも提供している。

画像クレジット:Uppbeat

曲にはライセンスのない使用への対抗策としてフィンガープリントが必要であるため、Uppbeatの音楽を使う際に著作権の主張が発生することもある。しかしおよそ5分以内でシステムが必要なクレジットを確認してから主張を自動で処理する。無料ユーザーはYouTubeの動画の説明にクレジットを追加して著作権の主張をクリアすればよい。YouTubeを利用するプレミアムユーザーは自分のチャンネルをホワイトリストに登録して自動で著作権の主張から保護することができる。

このシステムはYouTube限定ではない。音楽と効果音はストリーマー、ポッドキャスター、ブロガー、その他のソーシャルメディアクリエイターが利用する、ほぼすべてのプラットフォームで動作する。

一方、Uppbeatのアーティストは音楽の所有権をすべて保持し、レベニューシェアベースで報酬を受け取る。

Uppbeatによれば、毎月7万5000人以上の新規ユーザーを獲得し、サイトへのトラフィックは月間100万セッションを超えるという。リテンションは高く直帰率は10%未満の低さであると、同社はTechCrunchに対して語った。セッションタイムの平均は5分以上だという。

Uppbeatのカタログはサービス開始時の1000曲から3000曲以上へと増えている。2500種類の効果音とクリップも追加された。同社は、年間収益ランレートは71万8000ドル(約8300万円)で、Music Vine全体としてはおよそ240万ドル(約2億7600万円)と発表している。

同社は、シリーズAの投資家は戦略的支援者でありこの分野のリーダーで、当人が公表を望まないため発表できないと述べた。

今回の資金調達により、Uppbeatは同社の音楽をYouTubeで公開してブランドのプレゼンスをさらに高め、オンラインのコミュニティとこれまで以上に直接関わっていくとしている。バックエンド全体を見直して、パーソナライズ機能を備えたスマートなユーザーインターフェイスの構築も予定している。

さらにクリエイター向け新機能を公開する計画もある。例えばクリエイターが独自のプレイリストを作成して共有する機能が挙げられる。これによりUppbeatのアーティストの露出が増え、クリエイターの収益化につながる可能性もある。すでに同社はユーチューバーと連携し、厳選された「パートナーのプレイリスト」を公開してユーチューバーが自分のチャンネルでよく使う音楽を紹介している。

従業員も現在の9人から増員し、新しいオフィスに移る予定だ。

共同創業者でCEOのフォスター氏は次のように述べた。「Uppbeatの公開以来、クリエイターコミュニティの反応はまさにすばらしいものです。クリエイターの積極性とフィードバックによりこのプラットフォームは現在の地位を得ることができました。Uppbeatがエキサイティングな新しい展開を始めるにあたり多額の投資を受けられたのはクリエイターのみなさんのおかげです。今回の調達はUppbeatが目指す成長戦略の資金となるゲームチェンジャーであるだけでなく、クリエイターコミュニティにとってエキサイティングな出来事であり誰もが自由に創作活動ができるようにするという我々の道のりにおける大きなマイルストーンです」。

画像クレジット:Uppbeat

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

InstagramがスタンドアローンのIGTVアプリを3月中旬にアプリストアから削除

Instagram(インスタグラム)は米国時間2月28日、IGTVのスタンドアローンアプリについてサポートを終了すると発表した。Instagramの親会社であるMeta(メタ)はTechCrunchに対し、3月中旬にアプリストアからIGTVが削除されることを認めた。Instagramはブログ記事で、この変更は動画の発見と作成をできるだけシンプルにするための取り組みの1つであると説明している。Instagramによれば、同社はこれから動画をすべてInstagram本体のアプリに統合することに集中し、今後数カ月間かけて本体アプリの動画機能をシンプルにし、向上させるという。

2021年10月にInstagramはIGTVのブランディングを廃止し、IGTVの長尺動画とInstagramのフィードの動画を「Instagram動画」という新しいフォーマットに一本化した。その時点でInstagramは、IGTVアプリは廃止せずリブランドすると述べていた。

米国時間2月28日に同社は、リールに集中するためインストリーム動画広告(旧IGTV広告)のサポートを終了することも発表した。同社は、インストリーム動画広告で精力的に収益化しているクリエイターには、最近の収益に基づいて一時的に毎月臨時金が支払われるとしている。これはクリエイターの収益化に関して言えば後退のように思えるが、同社はユーザーが収益を得る方法をさらに増やすべく模索していることを明らかにした。2022年中にはInstagramの新たな広告機能のテストを開始し、この機能によりリールに表示される広告から収益を得られるようにする予定だという。この新しい収益化のオプションは、クリエイターが毎月収益化するチャンスであるリールのボーナスプログラムに追加されるものだ。

同日の発表の中でInstagramは、TikTokの競合である短尺動画のリールに注力する考えを再び述べた。同社は、リールは引き続きアプリのエンゲージメント向上に最も大きく貢献するもので、今後も投資を続けていく計画であるとしている。

ブログ記事で同社は「動画は、人々がInstagramを利用する大きな動機の1つです。クリエイターのみなさんが動画を自己表現や他のクリエイターとのコラボに、そしてフォロワーとのつながり構築に活用していることをうれしく思います。リールは今後も成長し、Instagramの重要な機能であり続けることから、私たちはこのフォーマットによりいっそう注力する考えです」と述べた。

IGTVはスタンドアローンのプロダクトとしてはすでに人気を失っていたことから、アプリの終了が決定した。2020年初めにInstagramは、トラクションが少ないためInstagramのホームページからオレンジ色のIGTVボタンを削除していた。以前にTechCrunchがSensor Towerの調査を引用して報じた通り、10億人以上いるInstagramユーザーのうちスタンドアローンのIGTVアプリをダウンロードしたのはせいぜい700万人だった。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

TikTok、動画の長さを従来の3分から10分に拡大

TikTok(ティクトック)は、ユーザーが最長10分の動画をアップロードできる機能を展開し始めたことをTechCrunchに認めた。Tiktokは過去数カ月に渡ってこの変更をテストしており、今回、正式な提供開始となる。これまでTikTokの動画は、2021年7月の変更で最長3分となり、それ以前は当初15秒でスタートした後に60秒が上限だった。

「当社は、コミュニティに価値をもたらし、TikTokの体験を豊かにするための新しい方法を常に考えています。2021年、動画の時間を伸ばし、コミュニティがTikTokで創造し、楽しむための時間を増やしました」とTikTokの広報担当者は声明で述べた。「今日、最長10分の動画をアップロードする機能の展開を開始したことをうれしく思います。世界中のクリエイターのためにさらに創造的な可能性を解き放つことを期待しています」。

この動画時間の拡大により、クリエイターは、料理の実演、美容チュートリアル、教育コンテンツ、お笑いコントなどを撮影する際に、より多くの時間と柔軟性を得ることができる。以前は、クリエイターはTikTokの制限を回避するために、動画シリーズのパート2以降を視聴者にフォローするよう促していた。この方法は時には有効だが、ユーザーにとっては、シリーズの適切な動画を見つけるためにクリエイターのフィードをスクロールしなければならず、フラストレーションがたまることがある。

今日の発表によりTikTokは、2021年に288億ドル(約3兆3150億円)の広告収入があったYouTube(ユーチューブ)のより強力な競争相手となる。しかし、YouTubeはTikTokの成長について十分に脅威を感じており、自社のアプリ「YouTube Shorts」で直接、短編動画のライバルを立ち上げている。ただ、短編動画のホストはTikTokの唯一の強みではなく、特殊効果のライブラリ、ARツール、音楽カタログなどの機能の組み合わせで知られている。また、ステッチやデュエットなど、クリエイターが他のユーザーのコンテンツとコラボできる機能も人気だ。

TikTokの脅威に気づいたソーシャルアプリはYouTubeだけでなく、Instagram(インスタグラム)も2020年にTikTokクローンであるInstagram Reelsを発表した。それ以来、InstagramはデュエットのようなRemix機能など、TikTokに類似したいくつかのReels機能を展開している。また、Facebook(フェイスブック)にもReelsを導入した。そしてSnapchat(スナップチャット)もPinterest(ピンタレスト)と同様、TikTokのような動画機能を開始した。

しかし、TikTokがYouTubeの広告収入を追いかける中、YouTubeはテレビ広告に注力している。Google傘下のYouTubeは最近、デジタルNewFrontsの代わりに、5月のTV Upfrontsの週に毎年恒例のBrandcast広告主イベントを開催することを発表した(ただし、デジタルNewFrontsではスポンサーを続ける予定だ)。

TikTokによると、アプリでより長い動画を撮影するオプションは、今後数週間で世界中のユーザーに提供される。アップデートを受信すると、ユーザーは通知を受ける。また、この機能を試す前に、最新バージョンのTikTokを使用していることを確認する必要がある。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

17歳のTikTokトップスター、チャーリー・ダミリオ氏の一家が自撮加工アプリFacetuneで知られるLightricksに投資

Charli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)氏は、TikTokで最もフォロワー数が多く最も稼いでいるクリエイターだ。この17歳のスーパースターとその家族は、短い動画から得られる短期間の富よりもさらに先を見ている。米国時間2月23日、ダミリオファミリーはLightricksとのパートナーシップを発表した。LightricksはFacetuneVideoleapといった写真やビデオ編集アプリのメーカーで、アプリのダウンロード数は合計で5億回を超えている。

チャーリーと、姉で同じくTikTokのスターであるDixie(ディクシー)、コネチカット州上院の共和党候補だった父のMarc(マーク)、元モデルの母Heidi(ハイディ)のダミリオファミリーは、Lightricksの株式を取得し戦略アドバイザーとして参画する。Lightricksはファミリーの投資額を明らかにしていないが、ファミリーからの投資は同社が最近調達したシリーズDの1億3000万ドル(約149億5000万円)とは別であると認めた。ファミリーは資金面の支援の他、The247というエディトリアル記事サービスに限定コンテンツを提供する。

Lightricksはダミリオファミリーとのパートナーシップの発表に加え、リンク・イン・バイオに関してLinktreeBeaconsSnipfeedなどのプラットフォームの競合となるLinkInBioのサービスも発表した。LightricksのLinkInBioの利用は無料で、クリエイターがソーシャルプロフィールやウェブサイトへのリンク、そして重要なポイントとしてStripeを利用した投げ銭機能を追加してカスタマイズできる。もっとも、ライバルのリンク・イン・バイオプラットフォームはもっと洗練された収益化手段を提供している。例えばSnipfeedには、購入者向けにパーソナライズした非同期のタロット占いのようなデジタルグッズの販売機能がある。しかしそのトレードオフとして、高機能なプラットフォームはサブスクリプションの課金や売上手数料の徴収などをする傾向がある。

Lightricksの共同創業者でCEOのZeev Farbman(ゼエブ・ファーブマン)氏は報道発表の中で「(ダミリオ)ファミリーはクリエイターエコノミーのトップランナーであり、世界中の前途有望なクリエイターに常に刺激を与えています。一家が開発プロセスのあらゆるステップに携わることとなり喜ばしく思います」と述べている。

Crunchbaseのデータによれば、ダミリオファミリーとしてのスタートアップへの投資はこれが初めてだ。ただしチャーリー・ダミリオ氏自身は2021年にティーン向けバンキングサービスのStepが1億ドル(約115億円)を調達したシリーズCに参加している。セレブがスタートアップへの投資を通じて資産を増やそうとするのはめずらしいことではない。俳優のAshton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏も、ミュージシャンのThe Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)も、女優のJessica Alba(ジェシカ・アルバ)氏もそうだ。しかしダミリオファミリーは、インフルエンサーから投資家へという新しいジャンルを体現している。

ダミリオファミリーはTechCrunchへのメールで「我々はスタートアップの分野に強い関心を持ち、起業家や新しい企業と出あうことを楽しみにしています。我々は今後数件の投資をして、すばらしいプロダクトやサービスを構築できると思われる企業を支援する予定です」と記した。

TikTokのクリエイターは、テニスプレイヤーのSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏やハリウッド俳優のRyan Reynolds(ライアン・レイノルズ)氏といったスターのように長く輝き続けることはできないと不安に思っているかもしれない。両親のサポートのもと、チャーリーとディクシーの姉妹はアパレルのHollisterリングライトの会社、さらにはHuluのリアリティ番組までさまざまなベンチャービジネスを手がけて、すでに知名度を高めている。

しかしティーンの億万長者の苦闘(そう、多くの苦闘だ)を描いた物語でもあるNetflixの「Hype House」と同様に、この「ダミリオショー」は常にオンラインで注目されることによるメンタルヘルスへの負の影響に姉妹がどう対処するかの意味合いも強い。Lightricksとのパートナーシップは疑問のある選択のようにも思える。LightricksのフラッグシップアプリであるFacetuneはレタッチツールとして使われることが多く、身体イメージの問題の一因と考えられてきたからだ。ティーンのメンタルヘルスに対するソーシャルメディアの負の影響は最近大きな議論となっているが、Facetune以外にもLightricksのツールは簡単にビデオを編集するだけの目的でよく使われている。米国時間2月22日にチャーリー・ダミリオ氏はニキビ(ティーンにはごく普通のことだ!)がはっきり写った自撮りを投稿した。レタッチツールは今後も存在するし、本来は邪悪なものではないが、問題はどのように(そしていつ)我々がそれを使うかだ。

画像クレジット:Lightricks

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

Netflix、短編動画フィード「Fast Laughs」をテレビに導入

Netflix(ネットフリックス)は、短編動画機能「Fast Laughs(ファストラフス)」をテレビの大画面に展開する。1年前に開始されたこのTikTok(ティックトック)にインスパイアされたおもしろい動画のフィードは、これまでモバイルデバイスでのみ利用可能で、Netflixユーザーが観たいと思う新しい番組、映画、コメディスペシャルを紹介する役割を担っていた。

スマートフォン版「Fast Laughs」は、Netflixアプリの目立つ位置にあり、現在は下部ナビゲーションバーの真ん中のボタンになっている。この配置は、TikTokや、今ではInstagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)のリールといったライバル動画アプリにユーザーのモバイルでの時間を奪われることをNetflixが懸念していることを示しているようだ。

TikTokと同様に、モバイルでの「Fast Laughs」はスワイプ可能な垂直のビデオフィードを提供し、反応、共有、またはコンテンツを保存するボタンが画面の右側にあった。しかし、Netflixの目的はソーシャルプラットフォームの開発ではなく、短いティーザー動画を見たユーザーが番組や映画、スペシャル番組をNetflixのウォッチリストに追加したり、すぐに作品のストリーミングを開始できるようにすることだ。

NetflixのTVプラットフォームでは「Fast Laughs」は少し違った働きをする。

オプトイン機能は、会員ページの6から12行目あたりに表示されるようになる。この場合、ユーザーが何か見たいものを探してスクロールしている時に、短編動画を提供するというアイデアだ。また、携帯電話のようにコンテンツを縦に移動するのではなく、画面右側の矢印からリモコンでクリックすることで、動画を閲覧することができる。

画面下部には番組名とレーティングが表示され「More Info」のボタンをクリックすると、そのタイトルのページに移動することもできる。

画像クレジット:Netflix

この機能は、大人向けコンテンツを紹介することもあるため、子どものプロフィールには表示されない(Netflixは、子ども向けの短編動画機能をモバイルでもテストしていた。しかし、そちらはまだテレビに展開していない)。ただし「Fast Laughs」は、設定されていれば、ユーザーの年齢設定を尊重すると、Netflixは述べてている。

発売当初、TV版「Fast Laughs」には「アーミー・オブ・ザ・デッド」「ファザーフッド」「キスから始まるものがたり」などのNetflix映画「ビッグマウス」「デッドトゥミー」「私の”初めて”日記」などのTV番組、さらにアリ・ウォン、ジョコイ、ジェリー・サインフェルドなどのスタンドアップ・コメディのクリップが収録される予定だ。

Netflixによると、テレビでの「Fast Laughs」はまだ当面はテストとみなされ、まず米国、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリアなどの英語圏の市場で展開が開始されるという。これらの展開は2月22日に始まり、今後数日から数週間かけてゆっくりと継続される予定だ。

「Fast Laughs」は、同社が新機能を設計する際にソーシャルメディアアプリからコンセプトを借用した初めての例ではない。2018年、Netflixはプレビュー機能を導入する際に「Stories(ストーリーズ)」形式を採用した。そしてNetflixは、会員がカタログからコンテンツをよりよく発見できるようなアイデアを常に実験している。例えば、2021年、「ランダム再生」というシャッフルモード機能を立ち上げ、Netflixの体験にさらなる偶然の発見を可能にしようと試みた。この機能は、ユーザーの興味やこれまでの視聴行動に基づいて、サービスが好きそうだと思うタイトルを再生するものだ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Instagram、「アクティビティ」「セキュリティチェック」機能を全世界で展開

Instagram(インスタグラム)は、ユーザーがアプリ上で自分のアクティビティを確認・管理できる「アクティビティ」タブを展開することを発表した。同社は2021年末からこの機能のテストを開始し、現在世界中の全ユーザーに展開している。新しいタブでは、ユーザーが自分のコンテンツやインタラクションを一括削除することができる。これには投稿、ストーリー、リール、コメント、いいね、ストーリーステッカーのリアクションなどが含まれる。また、ユーザーは、新しい表示内で、コンテンツやインタラクションを日付でソートおよびフィルタリングしたり、特定の日付範囲から過去のコメント、いいね、ストーリーのリプライを検索したりすることができるようになる。

また、最近削除したコンテンツやアーカイブしたコンテンツの検索、検索履歴の確認、訪問したリンクやプラットフォームで費やした時間の確認もできる。新しいタブにアクセスするには、自分のプロフィールに行き、右上のメニューをタップして「アクティビティ」を選択する必要がある。

Instagramはまた「セキュリティチェック」機能を世界中に展開している。同社は2021年夏、アカウントがハッキングされた可能性のある人を対象に、この機能のテストを開始した。セキュリティチェックは、ユーザーのアカウントを保護するために必要なステップを案内する。ログイン操作の確認、プロフィール情報の確認、ログイン情報を共有しているアカウントの確認、また電話番号やメールアドレスなどのアカウント回復情報の更新も可能だ。セキュリティチェックは、設定にアクセスすることで完了する。

画像クレジット:Instagram

同社はまた、ユーザーがアカウントへのアクセスを回復するために、友人に身元確認を依頼する方法をテストしていることを明らかにした。この機能は、まずアカウントにアクセスするために使用した以前のパスワードを入力することで機能する。次に、Instagram上で自分の身元を確認できる友人を2人選ぶ必要がある。リクエストを送ると、そのユーザーは24時間以内に返信する必要がある。24時間以内に2人の友達が本人確認をすれば、新しいパスワードが作成できるようになる。そうでない場合は、別の友人を2人選ぶチャンスがある。Instagramによると、この機能については、近日中に詳細を発表するとしている。

これらの新機能に加え、Instagramは数週間前、ユーザーの今後のライブストリームを表示する新しいプロフィールバナーを導入したばかりだ。また、同社は米国でクリエイターサブスクの初期テストを開始した。選ばれたクリエイターは、Instagramライブの限定動画やストーリーへの有料アクセスをフォロワーに提供できるようになった。クリエイターは、限定コンテンツにアクセスするための価格帯を自分で選ぶことができる。有料会員には特別なバッジが表示され、コメントの海の中で無報酬ユーザーと区別される。Instagramだけでなく、TikTok(ティックトック)も有料サブスクのサポートをテストしていることが確認されている。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

「クリエイターファンド」はそれほど褒められたものじゃない

2020年の夏、TikTok(ティックトック)は「クリエイターファンド」と称して、米国内のクリエイターに贈与するための2億ドル(約229億3500万円)を用意した。これは当時としてはまだ珍しい手法である。より成熟したプラットフォームのYouTube(ユーチューブ)は、クリエイターの投稿動画で再生される広告の収益をシェアできるようにする、2007年に設立されたパートナープログラムを通じて資金を分配することでクリエイターに報酬を支払ってきた。しかしここ数年、TikTokの人気上昇に対抗するため、各ソーシャルメディア企業が独自のクリエイタープログラムを立ち上げている。YouTubeはショートのために1億ドル(約114億6500万円)のクリエイターファンドを設立し、Snapchat(スナップチャット)はSpotlight(スポットライト)チャレンジへの投稿に賞金を提供、Instagram(インスタグラム)はReels(リール)のクリエイターにゲーム化されたキャッシュボーナスを配布している。

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客観的に見て、大手テック企業が大金を放出しているというのはクリエイターにとって良いことのはずだ。しかし、長年ユーチューバーとして活躍し、最近ではTikTokのスターとなったVidCon(ビッドコン)の創設者であるHank Green(ハンク・グリーン)氏が最近のビデオエッセイで指摘しているように、クリエイターファンドは特段称賛されるべきものではないのかもしれない。こういったファンドはクリエイターの収益を配慮してのものではなく、「独立系アーティストにお金を払っています!」という企業のアピールに過ぎないという可能性もある。

TikTokのようなクリエイターファンドでは決まった一定の資金から支払いが行われているのに対し、YouTubeパートナープログラムでは広告収入のパーセンテージがクリエイターに分配される仕組みとなっている。つまりYouTubeが成長すればするほど、クリエイターに支払われるお金の総額も増えていくということになり、過去3年間でYouTubeはクリエイターに300億ドル(約3兆4374億円)を支払っている(YouTubeのパートナープログラムを通じて、クリエイターは自分の動画に掲載された広告から得られる収益の55%を得ることができる)。一方で、TikTokが成長してもクリエイターファンドの規模が変わることはない。

TikTokのプラットフォームは急速に成長しているのにも関わらず、その結果としてTikTokのクリエイターの収入はむしろ減っているとグリーン氏は主張している。ユーザーが良いコンテンツを投稿しているからこそ、このプラットフォームは成長できているのだという人もいるだろう。こういった巨大なテック企業にユーザーがもたらした価値に対して、これらのユーザーは適切な報酬を得ていないのである。

TikTokの広報担当者はTechCrunchの取材に対し「クリエイターファンドは、クリエイターがTikTokでお金を稼ぐための方法の1つに過ぎません」と答えている。

ブランドとコンテンツ制作者が簡単につながることができる「TikTok Creator Marketplace」(ティックトック・クリエイター・マーケットプレイス)や、ライブ配信中だけでなくいつでもクリエイターがチップを受け取れるようにした機能が2021年1月から開始するなど、新たな取り組みを数多く進めていると同社は主張しているが、当然このようなマネタイズ機能はYouTubeにもある。

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「クリエイターコミュニティの声に耳を傾け、フィードバックを得て、プログラムに参加している方々の体験を向上させるために機能を進化させ続けていきます」と同社はTechCrunchの取材に対して答えている。

TikTokの収益を1年以上にわたって綿密に追跡してきたグリーン氏によると、以前は1000回の再生で5セント(約5.7円)を稼いでいたものの、ここ数カ月は1000回の再生で2セント(約2.3円)になっているという。これはTikTokが成長しているために再生回数が増え、それにともないクリエイターへの報酬が減っているからだと同氏は主張している。

確かにTikTokは、フルタイムのクリエイタービジネス全体に資金を提供するためにこれらのプログラムを作ったわけではない。しかしこの支払い額は、ソーシャルプラットフォームへのクリエイターの貢献度を過小評価しすぎているのではないだろうか。クリエイターファンドがTikTokの長期的なクリエイター向け収益化計画であるかどうかは不明であり、またInstagram、YouTube、Snapchatの場合、これらの報酬はクリエイターに自分たちのプラットフォームを使ってもらうためのインセンティブに過ぎないが、クリエイターは短編動画をめぐる競争において少々疲弊気味のようだ。

他のフルタイムクリエイターもグリーン氏の意見に同意している。英国のテック系ユーチューバーであるSafwan AhmedMia(サフワン・アメッドミア)氏は、2021年4月からTikTokで2500万回以上の再生回数を集めたにも関わらず、112.04ポンド(約1万7000円)しか稼げなかったとツイートしている。YouTubeの米国トップクリエイターであるMrBeast(ミスター・ビースト)もこのツイートに返答し「10億回以上の再生回数」で1万4910.92ドル(約171万円)稼いだと答えている。TikTokは総再生回数を表示しないため、手動で数えない限りわからないようになっており、彼らの計算はグリーン氏の計算よりも正確ではないが、それでも彼らの試算によると、ミスター・ビーストとアメッドミア氏の2人は、再生回数1000回につき2セント(約2.3円)以下の収入しか得ていないことになる。

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クリエイターにとっては一般的に、YouTube、TikTok、Snapchatなどの動画のインプレッション数よりも、ブランドとの契約による収益の方が大きいといわれているが、それでもクリエイターは自分がプラットフォームにもたらす価値に見合った対価を支払って欲しいと願っている。

「TikTokの収益が上がれば、クリエイターの収益は下がる、というスローガンが作れるほどです。あらかじめ決まった額からの捻出ではなく、収益の一定割合を報酬として支払うというのはTikTokにとっては非常に悪いことですが、クリエイターにとっては非常に良いことです。TikTokはPRNewswireなんかで『今後3年間で10億ドル(約1155億円)をクリエイターに支払います』などと発表し、あたかもこれが莫大な金額かのようにして話していますが、実際のところ支払い額は完全にコントロールされており、参加するクリエイターが増えてアプリが成功すればするほどクリエイターの1ビューあたりの収入は減っていくのです」。

TikTokアプリ自体がどれだけの収益を上げているのかは不明だが、親会社のByteDance(バイトダンス)は2021年580億ドル(約6兆6500億円)の収益を上げており、この数字を見ると約2年前に開始した2億ドル(約229億3500万円)のクリエイターファンドがあまりにも小さな数字に感じてしまう。

それでもTikTokとYouTubeを比較するというのは、リンゴとオレンジを比較するようなものである。30秒のTikTokが、20分のYouTube動画の支払い額よりも少ないのは当然だ。YouTubeにはプレロール、ミッドロール、エンドロール広告があるが、TikTokの広告は動画と動画の間に表示される(広告主も日に日に賢くなっており、人気トレンドをみんなと同じように繰り返して普通のTikTok動画のように見せてくるため、ユーザーはしばらくして突然動画が洗顔料か何かを売ろうとしていることに気づくのである)。TikTokの途中で広告が再生されることはなく、あまり煩わしくないユーザー体験を提供している。これに対してYouTubeは広告なしのYouTube Premiumプランを月額11.99ドル(1180円)で提供している。

TikTokもYouTubeに倣ってより多くの広告を挿入して収益を上げ、クリエイターへの報酬を増やすことができるだろう。しかしそれはかなり迷惑な話であり、またTikTokがお金に困っているとも思えない。もう一度いうが、ByteDanceは2021年に580億ドル(約6兆6500億円)を稼いだのである。TikTokのクリエイターファンドは2億ドル。これはTikTokの親会社の収益の0.3%にあたり、その0.3%が複数年にまたがってクリエイターファンドに費やされているのである。

TikTokがクリエイター経済に革命を起こしているというが、実際はクリエイターたちがプラットフォーム上で寄せ集めたオーディエンスを構築し、活用しているというところが正確だ。ただし数字を見ると、TikTokは実際にクリエイターを支援するために十分な資金を一切投入していないのである。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)