退屈なスライド・プレゼンをVR化して迫力を増すSharalike(iOS, Android, Oculus用)

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ちょいと!待ちなさいよ! あなたはこの記事のタイトルの、‘スライド’という(つまらない)言葉を見て、逃げようとしたでしょ。でもちょっとだけ、付き合いなさい。たしかにスライドは、涙が出るほど退屈だけど、でもSharalikeの最新のVRアプリケーションは、退屈な2D画像にVR(仮想現実)という新しい命を与えてしまうんだ。

Exploring photo slideshows in VR is a trippy experience.

SharalikeのVRでスライドの写真を見るとまるで幻覚のようだ

アプリケーション(アプリ)はAndroidiOS用、そしてOculusのアプリもあり、いわゆる没入的なスライドショウを体験できる。アプリが画像を調べてテーマを決め、それに合った背景ビデオや音楽を使う。

VRのスライドショウを作るのは、比較的簡単で分かりやすい。ただし、それを見る側は、慣れるまでちょっとたいへんかも知れない。ぼくは写真家なので、スライドショウについては、よく分かっているつもりだった。でもそれがVRという不思議で奇妙な体験になると、最初のうちはかなりまごつく。

Sharalikeのアプリがローンチしたのは18か月前で、ダウンロード数130万あまりという大ヒットになった。その‘スマートスライドショウ’に変換された写真は、3000万以上にもなる。大成功ではあるけれども、現状ではVR画像の解像度が課題だ。レティナディスプレイで写真を見慣れた目には、今のVRの視界は、その最良のものでも、ちょっとしょぼい。

でも手元にある古い写真が、360度やVRの世界で生き返る、と考えると、夢は大きいね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

InContext Solutionsが1520万ドルを調達、小売企業に対するVRデモサービスを強化

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VRを利用することで、企業は資金を投じて実際の店舗を建設する前に、デジタルな環境で消費者行動をモニタリングすることができる。

InContext Solutionsは、小売企業を主要なターゲットとし、新しい店舗のコンセプトをVR上でテストできるようなサービスを提供している。

そして同社は本日、Intel CapitalとBeringeaがリードインベスターとなったラウンドで、1520万ドルを調達したと発表した。今回のラウンドを含め、InContext Solutionsは今日までに4000万ドルを調達しており、Plymouth Venture PartnersやHyde Park Venture Partnersなどが投資家として名を連ねている。

これまで同社は、WebVRのソリューションを利用してVRサービスを提供してきたが、今回の調達資金を使って、今後はもっとVRヘッドセットの機能を活用した本格的なサービスの開発に注力していく予定だ。

「今回のラウンドでは、小売企業に対しこれまでにも増して強力で、ユーザーが夢中になれるようなVRソリューションを提供するという、私たちのビジョンをサポートしてくれる戦略的投資家から資金を調達することができました」とInContext Solution CEOのMark Hardyは声明の中で語った。「私たちはこれまで長い間、ウェブベースのVRサービスプロバイダーの先駆けとしてビジネスを展開してきました。今後は今回の調達資金を利用して、もっと積極的に自社VRプラットフォームの開発に注力することで、コストを下げつつも顧客のビジネスの高速化や売上拡大を支えていきたいと考えています」

InContext SolutionsのShopperMXプラットフォームでは、バーチャル空間で陳列棚を簡単に再現することができるほか、あるコンセプトのどこにユーザーが目を向けているかというのが分かるようになっている。さらに同社は、まだアイディア段階にあるものや既に作業中のものを含め、新しい陳列案にユーザーがどのように反応しているかというのを可視化するため、ヒートマップを含めた分析機能を開発中だ。

InContext Solutionsは、消費者向けのVRサービスが大衆に利用されはじめるずっと前の2009年に設立された。今後VRヘッドセットを利用したサービスを提供することで、同社が消費者行動に関してさらに意味のあるデータを集められるようになるのは確実だ。

Intel Capitalからの投資は、InContext SolutionsとIntel間で結ばれた、VRソリューションを共同で開発するためのパートナーシップがきっかけとなった。IntelはこれまでにもオールインワンのVRヘッドセットProject Alloyを含む、同社のRealSenseプラットフォームに関連した数々のVRイニシアティブを発表している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Google、アイトラッキング技術を開発するEyefluenceを買収

人々が何を見ているかまでGoogleは知りたい。

本日、EyefluenceはGoogleに買収されたことを発表した。2013年に創業したアイトラッキングによるインターフェイスを開発するEyefluenceはIntel Capital、Jazz Venture Partners、Motorola Solutions Venture Capital、NHN Investmentから2160万ドルを調達している。買収額などの詳細は公開されていない。

Eyefluenceは、 ブログ記事で静かに買収について発表した。Mattermarkが最初に報じている。

EyefluenceのチームはGoogleに参加することになりました。本日、このことをお伝えできて嬉しく思います。私たちが力を合わせることで、目線によるインタラクション技術を高め、人々の潜在能力と共感する力をさらに大きく発展させることが可能になります。現状を大きく変えるイノベーションに共に取り組めることを嬉しく思います。

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Googleは仮想現実プラットフォームDaydreamとDaydream Viewヘッドセットを来月ローンチする予定で、同社の次世代型ヘッドセットへの注目が集まっている。

アイトラッキングは、仮想現実ヘッドセットの未来を作るとても重要なテクノロジーだ。この分野のSMIやTobiiといった競合他社はインターフェイス上でユーザーの意図を示す方法として目線を取り入れる開発を進めてきたが、Eyefluenceはメニューの操作や選択を完全に目のジェスチャーだけで行う技術を開発してきた。

Eyefluenceの技術で、仮想現実用ヘッドマウントディスプレイや拡張現実用の眼鏡を装着するユーザーは、目線をマウスの代わりにして、目の動きだけで項目を選択できるようになる。またアイトラッキングは、画像密度の高いディスプレイにおいてユーザーの焦点が合っている場所に基づき、低解像度で表示する領域を決めるFoveated Rendering(中心窩適応レンダリング)といった技術的なユースケースでも用いられる。

この分野の競合にはFoveがいる。Foveのアイトラッキングセンサーを搭載したVRヘッドセットは来月初旬から事前注文を受け付ける予定だ。

近くでEyefluenceの卓越した技術を見た人なら、今回の買収にはあまり驚かなかったかもしれない。私は先月のDisrupt SFで、EyefluenceのCEOであるJim Marrgraffに人とコンピューターのインタラクションの未来について話を聞いた。その時の様子がこちらだ。彼は大胆なアイディアを話していた。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

AR・VR業界で起きている競争の実情

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【編集部注】執筆者のTim Merelは、Eyetouch RealityおよびDigi-Capitalのファウンダー兼CEO.

仮想、拡張、複合現実(それぞれVR、AR、MR)は競争上の問題を抱えている。

ほとんどのAR・VR企業は、1番の競争相手となる企業と自社を比較し、どのくらい自分たちが優れているかについて宣伝しているが、彼らは戦う相手を間違えている。VRについてはOculusやHTC、Sony、Samsung、Google、AR(MRを含む)についてはMicrosoftやMagic Leap、Meta、ODGといった会社間での競争が取り沙汰されているが、これは真の意味での戦いではない。彼らにはもっと巨大で恐ろしい相手がいるのだ。

現状

現状(Status quo)こそがARとVRの最大の競争相手だ(ちなみにStatus quoとはLive Aidのオープニングアクトを務めたイギリスのバンドのことではない)。

現代人は、平均して1日のうち11時間を電子メディアの視聴に使っている。つまり平均寿命である79年のうち、34年以上がメディアに捧げられているのだ。何がそこまで魅力的で、私たちは一生の約半分をメディアに投じているのだろうか。

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その内訳としては、テレビ(ライブ・録画の両方)が48%、携帯電話・タブレットが20%、ラジオが18%、オンラインPCが9%、そしてその他が6%となっている。そしてほとんどのメディアにおいて、視聴時間が横ばいか減少傾向にある中、スマートフォンとタブレットに関しては、メディア市場の拡大という、これまで不可能だと思われていたことが起きている。携帯電話・タブレット上でのメディア視聴時間は、過去2年間だけで1日あたり2時間以上へと倍増したのだ。そしてこの傾向は若者に顕著に見られる。年配の人の、最近の若者は携帯電話ばかり見ているという愚痴には、実は現実が反映されている。

ここでの大きな問いは、ARやVRがどのようにテレビや携帯電話、タブレットと戦っていくのかということだ。

メディア以外に費やされる時間

しかもAR・VRが戦わなければならないのは、メディアだけではない。

私たちは一生の半分近くを電子機器に費やしている一方、それ以上の時間を、他のやらなければいけないことに使っている。仕事と睡眠にはそれぞれ1日あたり平均7時間必要で、メディアに費やされる時間と合わせると、それだけで地球の自転一周分にあたる24時間が埋め尽くされてしまう。

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睡眠に関しては、ARやVRもどうすることもできず、携帯電話でさえ睡眠の壁をこえられないでいる。しかし仕事(そしてその他の生活の一部)はどうだろうか?これこそ、ARやVRが携帯電話の栄光から学ぶべき点であるともに、ARとVRの差異が表れだすポイントだ。

マルチタスキング

感の鋭い人は、メディアと仕事と睡眠で24時間が埋まってしまうと、食事やスポーツ、家事、家族や友人との交流、通勤といった、その他の活動のための時間が無いということに既にお気づきだろう。もちろんこのような活動を行いたいと考えている人は存在し、ここで携帯電話が成功をおさめる上で大きな要因となった、マルチタスキングが力を発揮する。

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マルチタスキング(テレビに限って言えばセカンドスクリーニングとも呼ばれる)とは、同時に2つ以上の作業を行うことを指す。87%の人が、テレビを見ている時のセカンドスクリーンとして、携帯電話やタブレット、(数は減るが)PCを利用している。中には、携帯電話を使う合間にテレビを見る人の存在を指摘し、テレビの方がセカンドスクリーンになったと主張する人もいる。

しかし携帯電話とマルチタスキングには、他にも議論されるべき点がある。人は平均して1日に40回以上(若者の場合には70回以上)携帯電話をチェックしているのだ。つまり食事中や家事をしているとき、家族の面倒を見たり、友人と遊んでいるときや通勤中などにも、携帯電話が常に利用されている。そして携帯電話は、多くの人にとって朝目を覚まして最初に見るものだ(その他にもさまざまな朝の支度中に携帯電話が使用されており、これが最近の携帯電話に防水機能が搭載されている理由でもある)。

VRの性質

VRの売りはその没入感で、これこそVRが人気になるであろう理由のひとつだ。

しかしVRの性質として、全ての注意をコンテンツに向ける必要があり、携帯電話では問題にならなかったマルチタスキング上の課題が生まれてくる。VRヘッドセットをしたまま通りを歩いたり、VRの世界の外にいる人と意味のある会話を試みたりすると、その課題の意味が分かるだろう。また、VRコンテンツを楽しみながらテレビやスマートフォンをセカンドスクリーニングすることもできるが、それでもユーザーはVRの世界の中にとどまったままで、現実世界でセカンドスクリーニングをしているわけではない。

そのため、時間の観点から言えば、VRは既に埋め尽くされている24時間の枠の中にある他の欲求や、それに紐づいた活動と戦わなければいけないのだ。これは大衆消費者(コアなゲーマーではなくお年寄りや親戚の子どもを想像してほしい)を相手にする上でとても大きな問題だ。VRは、マルチタスキングの恩恵を受けずに消費者の時間を獲得するため、別の活動をステージから引きずり下ろす必要がある。これは現状やVR以外のもの全てとの真っ向勝負を意味する。

ARの性質

ARはVRよりも解決するのが難しい技術的な課題を抱えている。それゆえ、現在ARはエンタープライズをターゲットとし、未だ大衆消費者には手を伸ばしていない。しかしAR企業の中には、2017年から2018年にかけて大衆消費者向けのサービスをローンチするという積極的な計画を立てているところもあり、これはもはや時間の問題だ。

ARが消費者市場に登場すれば、携帯電話が持っていたマルチタスキングという利点を使うことができる。実際のところ、この点に関して、ARは携帯電話よりも大きなアドバンテージを持っている。

まずポケットからデバイスを取り出す必要がなく、スクリーンをチェックするためにデバイスを見下ろす必要もない。小さなスクリーンのサイズに制限されることもなければ、仕事中にCandy Crushで遊んでいるところを背中越しに誰かに見られてしまうこともない。さらにWeChatをチェックしながら歩いていて何かにぶつかってしまうこともないのだ。

しかもこれは単なる憶測ではない。これまでに街中でPokémon Goで遊んでいる子どもたちを見たことがあれば、私の言っていることがわかるだろう。Pokémon Goのように必要最小限のAR機能を備えたものでも、そのマルチタスキングのしやすさが既に証明されているのだ。

AR・VR界の内部での競争はどうなっているのか?

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AR・VR界のリーダーたち

業界内での競争はさらに白熱している。というのも、AR・VR業界のどこを見ても、これまで独占的なポジションを獲得できた企業が存在しないのだ。そもそも、市場の成長段階を考えると、どこかの企業が覇権を握るにはまだ早過ぎる。そのため、健全なレベルの競争が起きている中で、全てのプレイヤーにチャンスがあり、市場のルールも現在構築されている。

この業界の実情を内部から観察していて喜ばしいのは、各企業が競合相手を威圧しながらも、コミュニティ全体ではコラボレーションが促進され続けているということだ。どの企業も切磋琢磨の精神を理解しているように感じられる。だからこそ、私たちが毎クォーター開催しているReality CheckというAR・VR業界のCEO向けフォーラムには、競合し合う企業のCEOや幹部、VCのパートナーが何百人も参加して取引やコラボレーションを行っているのだ。

ということでAR・VR業界の競争は大歓迎だ。今後さらにこの業界は面白くなっていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

「VRでより豊かなストーリーテリングを」Baobab Studiosが2500万ドルを調達

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ユーザーを熱狂させるバーチャル・リアリティのコンテンツは沢山あるなか、結局のところ、素晴らしいコンテンツとはユーザーとの感情的なコネクションを持つコンテンツのことだ。

Baobab Studiosが目指すのは、単にVRで目新しいものを創るということではなく、VR独自の豊かなユーザー体験を利用して、ユーザーから愛される(そして嫌われる)キャラクターを生み出すことだ。

本日、Baobab StudiosはシリーズBにおいて2500万ドルを調達したことを発表した。リード投資家はHorizon Venturesで、他にもTwentieth Century Fox、Evolution Media Partners、中国のShanghai Media Group、Youku Global Media Fund、LDV Partnersも本ラウンドに参加している。同社はこれまでに合計で3100万ドルを調達している。

今回のシリーズBはVRスタジオが1回のラウンドで調達した金額としては最大級の調達金額だ。共同創業者兼CEOのMaureen Fanはこの規模の資金調達が可能になった理由として、生まれたばかりのVRプラットフォームという分野に人々の関心が集まり続けていること、そして、同社はVRのストーリーテリングという側面にフォーカスしており、VRの存在に危機感をもつハリウッドからの支持を得ることができたことが要因だと語っている。

先月Baobab Studiosに関するニュースが大きく取り上げられたことがあった。同社が開発する6分間のVRアニメ「Invasion!」が、ハリウッドの映画プロダクションRoth Kirschenbaumによって長編アニメ映画化されることが決定したためだ。

Baobab Studioは映画業界からだけでなく、VR業界からも注目を集める存在だ。

ユーザーから人気を集めるVRヘッドセットGear VRの開発元であるSamsung、そして同じく人気のあるViveを開発するHTCもBaobabに出資する企業の1つだ。先週発売されたソニーのPSVRでもBaobabは広告塔のような役割を果たしている。すべてのPSVRに付属するデモディスクで彼らのVRアニメ「Invasion!」を観ることができるようになっているのだ。また、今月開かれたデベロッパー・カンファレンスのOculus ConnectではFanが登壇し、Baobabの最新プロジェクト「Asteroids!」を発表した。

現在20名のチームを抱えるBaobao Studiosは事業の拡大にともない役員メンバーの強化を図っており、PixarとDreamworksで役員を務めたLarry Cutlerが同社のCTOに、そしてWithinのCEOであるChris Milkが顧問役に就任している。

これまで色々と言われてきたコンシューマー向けVRプラットフォームであるが、先週PlayStation VRがローンチを果たしたことで、そのほとんどがマーケットに出揃ったことになる。ハードウェアを消費者の元に届けていくことがこれから重要なのは言うまでもない。だがそれだけでなく、VR独自の強みが生きるようなコンテンツを提供し、なぜVRを買うべきなのかということを消費者に理解してもらうことが今後の最も大きな課題となるだろう。

Baobab Studiosも、それが同社をさらに成長させるための鍵になると考えている。

「ストーリーがまず重要であり、テクノロジーはそのストーリーを支える存在であると確信しています」とFanは語る。

ストーリーテリングにフォーカスするという考え方がメディア界の投資家の心を掴んだ一方で、従来のテック投資家が注目するのはBaobabが開発する「コア・テクノロジー」だ。Fanはその詳細について多くを語らなかったものの、そのテクノロジーによってVRクリエイターが「ストーリーテリングの新しい手法を試すことができるようになる」と話してくれた。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

VR特化の広告ネットワークを手がけるVRizeが資金調達、VR動画アプリ制作用CMSも提供へ

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8月にVRコンテンツ特化のアドネットワーク「VRize Ad」のクローズドベータテストを開始したVRize。同社が10月17日、B DASH VENTURES、Speeeを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。VRizeはこれまでにTLM、East Venturesから資金を調達しているが、累計での資金調達額は数千万円後半になるという。同社はこの資金を元に開発体制の強化を図るとしている。

VRizeでは、今回の発表にあわせてVR動画アプリ制作環境の「VRize Video」を発表している。このVRize Videoはマルチプラットフォーム対応のVR動画アプリ制作用CMSで、作成したアプリでは360度動画の閲覧、VR空間内に設置した大型スクリーンによる2D動画の閲覧、ライブストリーミングの配信などが可能。解析機能も提供するとしている。VRizeにとっては、CMSにアップロードされる共通のフォーマットの素材でVR動画アプリを制作できるというコスト上のメリットもあるようだ。料金は問い合わせ。

VR特化のアドネットワークを提供するVRizeがVR動画アプリの制作環境までを提供する背景には、広告ネットワークの配信先を拡大するという意図があるようだ。VRize代表取締役の正田英之氏に聞いたところによると、VRize Adの発表以降、同社には問い合わせは多く来ているのだそう。だが一方で広告の配信先——すなわちVRのコンテンツ自体——はまだまだ多くないという状況。同社としては創業時からアドネットワークの提供とあわせてVRコンテンツの制作環境までを展開することを検討していたのだという。

「『VRize』という会社名のとおり、VRを普及させていくというミッションがベースにある。その実現のためにはマネタイズの手法を確立することと、優れたVR体験を提供するアプリ作りを支援するという2つが必要だと考えている。VRize Adは前者、VRize Videoは後者のソリューションに当たる」(正田氏)

プレステVR、HTC Vive、Oculus Riftーー買うならどれがいい?

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ここ数ヶ月、私は結構な時間、ヘッドセットを顔につけてVRを体験した。それが私の人生を豊かにしたか、あるいは混乱させたかは分からない。少なくともVRゲームは本当に楽しめるものになり始めていて、動画コンテンツは今後一層良くなるだろうとお伝えすることはできる。

Playstation VRがローンチし、コンシューマーが高品質なVRを楽しむための3つの代表的な製品がある。最初の質問は、これを今買うべかどうかだ。

ハードコアなゲーマーなら答えは「イエス」だ。常に最新テクノロジーのアーリーアダプターであるなら、それも「イエス」だ。いつもBurning Manに行っている、あるいは常にBurning Manの話をしているなら、その答えも「イエス」だ。その他の人にとってはというと、私は懐疑的だ。これらを買うために貯金する必要はないだろう。Gear VRもしばらくの間、十分だと思えるほどのものだ。

ここ数ヶ月の間で知り得たことは、PCで動くヘッドセットのアップデートサイクルは、モバイル端末と同じ頻度ではなく、ゲームコンソールの期間(おそらく3、4年おき)と同じくらいになるだろうということだ。

コンシューマーが個人的にこれに投資するには、高額すぎるだろう。また、光学やセンサーなどの発展のおかげで次のヘッドセットでは技術的に大きな飛躍が見込まれる。そうなれば、次の変更で、大部分に互換性が残るとは限らない。少し興味があって、これらのハイパワーのヘッドセットの第2世代を待つというなら、それは2019年か2020年頃になるだろう。

この記事を読んでいて、まだVRを購入するという選択肢が残っているなら、主要なヘッドセットの概要を簡単にここにまとめたので参考にしてほしい。

PlayStation VR

レビュー記事はこちら

+ ヘッドセット、カメラ、コントローラーが付いて499ドル
+ PS4システムが必要
+ 既存のMoveモーションコントローラーを使用
+ ディスプレイ解像度1080×960 OLED (片目ごと)
+ ディスプレイのリフレッシュレート:120Hz

HTC Vive

レビュー記事はこちら

+ 全部込みで799ドル
+ 強力なPCが必要
+ SteamVR OS
+ ルームスケールのトラッキングとモーションコントローラー付き
+ ディスプレイ解像度:1200×1080 OLED (片目ごと)
+ ディスプレイのリフレッシュレート:90Hz

 Oculus Rift

レビュー記事はこちら

+ ヘッドセットとXbox Oneコントローラーで599ドル
+ Touchコントローラーは199ドル(12月6日発売予定)
+ 強力なPCが必要
+ Oculus Home OS
+ ディスプレイ解像度 1200×1080 AMOLED(片目ごと)
+ ディスプレイのリフレッシュレート:90Hz

結局どれがいい?

各ヘッドセットは上記に挙げた通りだ。では、どれを買うべきか?単刀直入に回答したいと思う。

高額なPCを買いたくないのなら、PS VRがいいだろう。ベストなヘッドセットではないが、価格が適正で定期的なシステムアップグレードの時にGPUで見栄を張り合る気苦労もない。また、Sonyはゲームスタジオとの関係性を築いているので、良いゲームタイトルがこのプラットフォームに最初に登場する可能性が高い。

VRの保守主義者で、VRがオープンプラットフォームであることを保証するために個人的に投資しようと思うのなら、HTC Viveがいいだろう。OculusとPlaystationは独占的だが、HTCはValveのSteamVRシステムを活用していて、1つのコンテンツが異なるヘッドセットで利用できるようになることを目指している。

しかし、VRに多額を費やしてもいいという気持ちがあるならOculus Riftがいいだろう。現段階ではViveの方が全体の体験はいいだろうし、トラッキングも素晴らしいが、新しく出るTouchコントローラー(12月6日発売予定)が一番良いものだ。OC3で見たOculusだけで遊べる良質なゲームの多さも衝撃的だった。いくつかの最新のテクノロジーで、少しパワーの落ちるPCでも動かすことが可能にもなる。また、親会社のFacebookとの距離が近いことは、このVR大手がゲーム以外のソーシャルアプリでも最先端を行き、そのネットワークが持つポテンシャルを引き出すだろう。XBox OneのコントローラーではVRのコンテンツ体験はパッとしないものだったが、ヘッドセットが脚光を浴びる時代はこれからだ。

まだVRは始まったばかりだが、早すぎるということもない。このどれを買ったとしても、大きく外すということはないだろう。Google Cardboardからその機能、複雑さ、価格から大きく飛躍した。あなたのニーズに合った最良のVR体験を見つける参考にしてほしい。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

現時点で最高のVR端末は、Playstation VRで間違いない

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コンシューマー向けVR分野の新たなリーダーが誕生した。ローンチしたばかりのPlaystation VRだ。それは、厳重に隠されている軍の訓練用テスト端末、何百万ドルと高額なもの以外で私たちが利用できる最も良いVRで間違いない。HTC ViveやOculus Riftといった最上級ハードウェアから、スマートフォンで利用できるSamsung Gear VRを含めた中で最も良い。

私はHTC Viveを持っているが、すぐにそれを放り出すということではない。Gear VRも使ったことがあるし、Google Pixelのローンチイベントで少しだけ試すことができたDaydream VRも今後もっと使ってみたいと待ち遠しく思っている。もし個人でどのVRハードウェアを購入しようか検討している場合は、Lucasが書いたまとめ記事を読むと参考になるかもしれない。しかし、それでも私はPlaystation VRが、コンシューマー向けVRは圧倒的な代表格となる存在だと考えている。日常的に使用するユーザーにとって使いやすく、価値のあるテクノロジーを届けることができるだろう。

PSVRが完璧かと聞かれれば、全くそうではないだろう。ビジュアルの正確性やルームスケールVRはどちらも私の持つHTC Viveの方が良い。ワイヤレスのGear VRのような自由度もない。Playstationのカメラでは、ヘッドセットの位置を見失うというトラッキングの問題が時折生じるのも見つけた。これは没入体験の中で方向感覚を失わせるものだ。

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しかし、Playstation VRはシンプルなところが魅力だ。設定からキャリブレーション(測定の調整)、実際の使用まで、他のゲームコンソールを設定する時の体験と似ていた。Viveを含め、他のより複雑なシステムの設定を経験してきたからそう思うというのもあるが、PSVRは箱から取り出して、実際に使用するまで、その過程は一貫して「それだけでいいの?」と思わせるものだった。実際にVRを体験するまで、多くの手間がかかることを予想していた。

シンプルなだけでは十分ではない。けれどもPSVRはシンプルさと強力な体験の良いバランスを保っている。ハイエンドな技術的要件やテクノロジーに親しんでいなくとも、ViveやSteamVRのゲームを体験した時のような驚きを平均的なエンドユーザーにも提供している。

もう1つPlayStation VRが優っているのは、ゲームの選択肢があることだ。ローンチ時点でもそのゲームライブラリは圧倒的だが、最も良い点は全てのゲームがVRであるべきゲームだったと言えるからだ。全てが秀逸と言えるものではないだろう。けれど私が試した全てのゲームは、VRに対する全体の印象を良くするほどの影響があった。ViveやGear VRで試したゲームでは言えないことだ。

もし、PSVRに大きな課題があるとしたら、それはまだ高額すぎることだ。PCの金額も上乗せされるViveやOculusほど高額ではないものの、Playstation VRの価格はコアなゲーマー層以外を惹きつけるには高すぎるかもしれない。しかし、PSVRは自宅に置かれるようになる。そこでは様々なユーザーが試すだろう。VRにはそれが今、最も必要なことだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

デジタルコミックのスタートアップMadefireが初のVRアプリを提供

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デジタルコミックのスタートアップMadefireは、数日前にその最新の資金調達ラウンドの発表を行った。共同創業者兼CEOのBen Wolstenholmeは、同社が仮想ならびに拡張現実へ参入する準備が整ったと話した。彼はその約束の早期実現の期待に応えて、SamsungのOculus-powered Gear VRプラトフォーム向けのプレビューアプリをNew York Comic Conの会場で発表し、デモを行った。

以前Wolstenholmeは私に、コミック読書体験内にとどまりながらも「ネイティブデジタル体験」を与えるものの創出に挑戦していると語った。デモから判断する限り、新しいVR体験とともにその構想はまだ生きている – 音楽、サウンド効果、そしてアニメーションが加わっているが、それでも基本的にはコミックを読んでいる感覚なのである。

Wolstenholmeは、MadefireのVRに対するアプローチを、読書体験に3つ目の次元を追加するものとして説明してくれた。それ自体は3Dコミックではないのだが、読者として、コミックパネルの前に浮かんでいるような感覚を受けるだろう。

彼はそれを、劇場や洞窟壁画と交互に比較した、どちらのメタファーを好むとしても、今まで以上の没入体験を与えてくれるだろう。私もそれを試してみたが、あたかも作品と同じ空間にいるように感じた、タブレットやスマートフォンのスクリーンで読んでいる時に比べて、遥かに大きく圧倒的に感じることができた(コミックが360度のシーンを含むことができるのも役に立つだろう)。

Madefireのオーサリングツールは、クリエイターたちが作品の3次元的側面を比較的単純にカスタマイズし制御できるようにしてくれる筈だ、とWolstenholmeは語った。しかし同社はそのコミックライブラリ全体も自動的にアップグレードしている最中だ:「クリスマスまでには全部を揃えたいと思います」。

一方、デモアプリが現在含んでいるのは、一握りのタイトルである、例えばDCのInjustice: Year OneとMadefireオリジナルのMono: he Old Curiosity Shop (WolstenholmeとLiam Sharp作)などだ。

またこのニュースに関してコミック作家のDave Gibbonsと議論するチャンスがあった。彼はここ2、3年Madefireと一緒に作品作りをしている。彼は新しいVRサポートを含むMadefireフォーマットを賞賛していた、なぜならそれは作家に、作品の読書体験に対するより多くのコントロールを与えてくれるからだ。

「Madefireはスイートスポットを見つけました – 単なる仕掛けではなく、物語が重要なのです」とGibbonsは語った。「(オーサリング)ツールは誰でも使えます、なので自分自身の作品を生み出すことに何の障害もありません。私には素晴らしいことだと思えます」。

WatchmenThe Secret Service(映画KingsmanThe Secret Serviceの原作)の共作者として、Gibbonsはコミックのストーリーとキャラクタが他のメディアに入り込んでいくのを見ている。彼はコミックが「ごく最近は、コミックが映画に向けてのプロトタイプあるいはプレゼンテーション用ツールとして使われるようになっています」と語った。Madefireの新しいフオーマットを使えば、コミックはこれからも様々なものの跳躍台の役割を果たし、一方書き手や描き手が新しいテクノロジーや、読者を引きつけ続けるための新しい方法を、探求することを可能にするだろう。

「これまで、もうすべての見るべきものは見たよう気がして満足していました、なので、このように新鮮で新しく、そして役に立つものを見ることはエキサイティングなのです」とGibbonsは付け加えた。

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(翻訳:Sako)

Facebookがジェスチャーでアバターに感情を持たせる「VR絵文字」を発明

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握った拳を振ると、仮想現実世界にいるアバターが「怒った」表情を見せる。映画「ホームアローン」の主人公のように、手を顔にあてれば「ショック」の表情だ。高々と手をあげればバーチャル世界のあなたが「喜んだ」表情を見せてくれる。

これはFacebookが開発する「VR絵文字」の例であり、Facebookが考える仮想現実世界での感情表現のあり方なのだ。アバターの頭の上に黄色の絵文字が表示されるわけではない。アバターの目、眉毛、口などが動き、現実世界さながらの表情をつくり出すのだ。

フェイス・トゥ・バーチャルフェイス

FacebookのソーシャルVR部門を率いるMichael Boothが絵文字による感情表現について話してくれた。「私たちはテキストメッセージで感情表現をしたい場合、絵文字を使います」。テキストメッセージでは声のトーンや体の動きは伝わらない。だからこそ、テキストがもつ本当の意味を表すために絵文字が誕生した。これが無ければ、例えば「うそー」と書かれたメッセージを受け取った場合、それが「興奮」を表すのか、または「疑念」を表すのかを知ることは難しいのだ。

Boothが目指すのは、本当の顔を見ることができないソーシャルVRならではの感情表現の曖昧さを減らすことだ。その結果、単なる「いいね」以上に細かな感情を表現できる360 News Feedの「Reactions」よりも、さらに優れた方法を発明することに成功したのだ。

「アバターに感情を持たせるために、その引き金となるボディーランゲージを作るというアイデアです」と彼は語る。それこそが、Boothが言うところの「VR絵文字」なのだ。「私たちは無表情の存在にはなり得ません。(仮想現実にも)目があり、口がある。感情がなければ、なんの情緒も生まれないのです」。仮想現実世界で友人にショッキングな出来事を伝えるとき、無表情ではまったく臨場感が伝わらない。私たちは顔から情報を得ることに慣れ親しんでいるのだ。

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例えば、現実世界で何かについて長い説明を行うとき、相手の困惑した表情を見れば自分の話している内容が伝わっていないことが分かる。そのため、難しい言い方を避けたり、話の背景を説明したり、違う言い方でもう一度説明したりするべきだと分かるのだ。

VR絵文字がなかったとすれば、理解できてないことを伝えるために相手の話をさえぎるか、自分の言いたいことが伝わるか分からないまま手を振り回すか、話が終わるのを待つしかない。VR絵文字を使えば、そういう場合には手のひらを上に向けて肩をすくめるポーズをすれば、アバターが眉をしかめ、口をゆがませて困惑した表情を見せてくれるのだ。ただし、BoothはVR絵文字を使うためのジェスチャーは変更される可能性があると注意している。

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Mark Zuckerbergは、人間の脳がどのようにソーシャルVRを処理するのかを説明した

VR絵文字は目の動きや顔の表情のトラッキングを必要としない。VRヘッドセットにトラッキング機能を持たせるためには、追加のハードウェアが必要となってしまう。FOVEなど一部のスタートアップのなかにはアイトラッキングが可能なヘッドセットを開発する企業もあり、VRチャットアプリのAltspaceなどはアバターの目の動きをユーザーの目の動きと合わせている。しかし、アイトラッキング機能はOculus Rift、Gear VR、Google DaydreamとGoogle Cardboard、HTC Vive、Playstation VRヘッドセットには搭載されていない。

FacebookのソーシャルVRにおいて、実際の人間と同じようなアバターを生み出すうえでの4つのゴールをBoothが教えてくれた。

  1. “アバターで再現された自分の外見に満足できる”
  2. “一目見るだけで友人が自分だと気付いてくれる”
  3. “気味が悪かったり、不快にさせるような見た目ではない”
  4. “Facebookは17億人ユーザーそれぞれに似せたアバターを創り出すことができる”

Facebookはアバターをユーザーに似せる方法をまだ模索中だ。一つの選択肢は、ユーザー自身がアバターで再現する自分の顔を描くことができるイラストレーション・ツールだ。もう一つの選択肢として、Occipital Structureセンサーなどを使ってユーザーの頭部をモデリングする方法がある。SNSにアップロードされているユーザーの写真からVR用の顔を再現することも可能だろう。

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どのような方法が採用されたとしても、信頼するに足る働きをしてくれることだろう。さもなければ、上の1番と4番のルールに反したグロテスクな見た目のアバターが生まれるかもしれない。

ライブVR

幸いにも、Boothはアバターにとても精通する人物だ。彼はValveでゲーム製作に10年間携わり、同じくゲーム会社のBlizzardでも2年間勤務している。彼は自身のVRゲームスタジオを立ち上げる予定だったが、FacebookがBoothの元を訪れ、ソーシャルVR「Toybox」のデモを彼に見せつけた。彼はそのデモに「本当に圧倒されてしまった」と話している。BoothはFacebookのチームに参加することになり、本日プロトタイプが公開された名称未定のソーシャルVR「Toybox」の責任者に昨年12月から就任している。

リアルな存在感だけでは十分ではなく、VRに意味を持たせなければならない。仮想現実世界で「やること」が無ければいけないのだ。BoothとMark ZuckerbergはVR絵文字の発表に加えて、アバターとなった友人と一緒にVR上の目的地を訪れるというデモンストレーションを見せた。デモの中で彼らは、トランプを楽しんだり、テレビを見たり、ちゃんばらごっこをして遊ぶ姿を観衆に披露した。なにかクールなものを見つければVRでセルフィーを撮ることだってできるし、手首にあるボタンを押すことで、撮ったそばからFacebookでその写真をシェアすることもできる。VRでFacebook Messengerのビデオ通話を受け取れば、バーチャル世界の自分と現実世界の通話相手が会話することになる。

だが、これらの機能はまだ序の口だ。Facebookが計画しているのは、ユーザーをVR世界のビデオカメラマンにすることだ。Facebookは「バーチャルなカメラを持って動き回ることができる」機能を開発中だとBoothが話してくれた。これにより、VRヘッドセットを持っていない友人でもユーザーのFacebookにアップされたその映像を見てVRの楽しみを知ることができるのだ。「ユーザーは自分の友人のためにVR世界の2Dカメラマンになることができるのです」とBoothは語る。「ビデオをストリーミングすれば、スーパースターの一員です」。

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FacebookのソーシャルVRの進化過程。初期段階のアバターからブロック型のアバター、丸みを帯びるようになったアバター、そして感情をもった生き物へ。

Facebook Liveストリーミングを現実世界からデジタルな世界にまで広げるというコンセプトによって、ビデオにフォーカスするFacebookはソーシャルVRを同社の中心的製品と考えるようになった。OculusとFacebookはそれぞれが固有のものとして始まったプロダクトではあるが、その境界線が薄くなってきているのだ。

Facebookが思わず夢中になるようなVR体験を大規模に実現できれば、その後は「マネタイズの方法を考えることになるでしょう。VR世界での広告はとても面白い存在になることは明らかです」とBoothは話す。

ただ、現時点でのソーシャルVRは世界をつなげ、どこにいても友人とのつながりを感じさせるというFacebookのミッションを達成するための次世代の方法でしかない。ごく基本的なプロフィールから写真付きのプロフィール、そしてニュースフィードの自動再生ビデオへと進化したように、テキストチャットからマルチメディアで機能するMessengerアプリへと進化してきたように、ウェブからモバイルへ、そして今ではVRへと進化したようにFacebookはこれからも進化し続ける。それを実現するテクノロジーが何であれ、Facebookはその第一原理である「People First」に忠実であり続けるのだ。そうBoothは語っている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

FacebookとOculusがVRコンテンツとダイバーシティと教育に$250Mあまりを投資、VRを本気でメジャー化するつもりだ

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Oculusが望むのは、次のコンピューティングプラットホームが確実に、これまでみたいに白人男性が支配するものではないようにすることだ。同社は、女性や有色人種の人びとによるVRアプリやビデオの創造を支援するために、1000万ドルの基金を設ける、と発表した。

これと並行してFacebookとOculusはさらに2億5000万ドルを、高品質なVRコンテンツの潤沢な開発を加速するために投資する。これまでにもVRコンテンツに2億5000万ドルを投資しているから、一挙に倍増となる。

そのダイバーシティ資金は、OculusのLaunch Pad及びVR For Good事業へ行く。またそれは、“新しい声を増幅する”ためにも投じられる。多様なVR作者とオーディエンスを支援することによって、人生や正義や不平等など、さまざまな視点視野に関する理解が深まる。Oculusは今日(米国時間10/6)、Diverse Filmmakers Projectというダイバーシティ事業を立ち上げた。

1000万ドルの方はOculusのNextGen事業へ向かう。それは、UnityのワークショップとSamsungやAMDおよびOculusのハードウェアを大学に寄贈し、大学におけるVRコンテンツ創造事業を振興する。VRには、コンピューター科学以外にもさまざまな学科の学習を活性化する力がある。VRによる教育アプリ/アプリケーションは、授業をよりおもしろくし、児童生徒は歴史の教科書の上のテキストを読むだけでなく、実際に過去の戦場を体験できる。

デベロッパーがそのUnityのプラットホームで開発することの、リスクを減らすために、FacebookはUnityのロイヤリティを、デベロッパーたちの収益が最初の500万ドルに達するまで負担する。デベロッパーは、自分たちのアプリが商業的に軌道に乗ったら、その後は自分で払うことになる。

モバイルゲームのデベロッパー用に、5000万ドルが取り置かれる。ケーブルを引きずりながら体験するOculus Riftが今は注目されているが、VRの真価はSamsung Gear VRやGoogleのCardboardとDaydreamヘッドセットなど、モバイルのプラットホームにある。今後のユーザー人口を大きく増やすためには、ポータビリティと価格の手頃感が重要である。

何にも増して、こうやってFacebookが巨額を投じたからには、これからはVRデベロッパーにとって良い時代になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「iPhone版DayDream」でGoogleに挑む──スマホVRコントローラーのVroomがKickstarterで出資募集中

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「DayDreamに対抗するVRプラットフォームを創りあげる」──こう語るのはワンダーリーグの代表取締役社長・北村勝利氏だ。同社はiPhoneや既存のAndroid端末でも使えるスマホVR用のモーションコントローラー「Vroom」を開発し、Kickstarterで出資の募集を開始した。目標金額は約100万円で、2017年1月後半の出荷を予定する。

Vroomは、ハコスコなどといった市販のVRビューワーと組み合わせて、iPhoneや既存のAndroidスマートフォンで使うことができるVRモーションコントローラーだ。加速度、地磁気、傾きの9軸センサーを搭載し、手の動きをVRの仮想空間に反映させることができる。筆者はエンジニアリングサンプルを使ったデモを見たが、iPhoneのスクリーン上に表示したVR空間上に、まるでOculus TouchかHTC Viveといった専用機のコントローラーで操作するごとく手の動きが再現されており新鮮さを感じた。

DayDreamはGoogleにしては「珍しくクローズド」

スマホVRを巡っては、Googleが今年春に最新のVRプロジェクト「DayDream」を発表。10月のイベントでは対応ヘッドセット「View」とスマートフォン「Pixel」を発表した。DayDreamの特徴は、手の3次元の動きをVR空間に反映できる”モーションコントローラー”を備える点にある。HTC Viveなどの据え置き型VRでは当たり前だが、これまでのスマホVRにおいてはモーションコントローラが存在しなかったこともあり、DayDreamの登場でスマホVRのリッチ化が進むとの期待が大きい。

一方でDayDreamは「Googleにしては珍しくクローズドなプラットフォーム」だと北村氏は指摘する。同氏は「ハードウェアはGoogleが指定したメーカーしか作れないし、アプリケーションはGoogleが審査したものしか動かない」とも話す。このクローズさを勝機と捉え、DayDreamに対抗する”オープンソース”なVRモーションコントローラとして開発したのがVroomだという。

「Macに対してWindows、iPhoneに対してAndroidが立ち上がったように、リーディングプロダクトがクローズドな仕組みで登場すると、これに対抗するオープンな仕組みが求められる。今そのポジションが空いたと判断した」(北村氏)

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ワンダーリーグの代表取締役社長の北村勝利氏

北村氏は、福岡県出身の実業家。25歳にして情報提供サービスを手がける会社を設立。以来25年にわたってソフトウェアやモバイルビジネスの分野で会社を経営し、次々に事業を立ち上げたシリアルアントレプレナーだ。エグジットはこれまでに4度も経験し、東芝子会社の社長を3年間務めたこともある。同氏が2004年に設立し、しばらく休眠状態に置いていたワンダーリーグ社を本格始動させたのは2014年。2015年までEスポーツアプリの開発を手がけていたが、今回新規事業としてVRに参入した。資本金は約1億3000万円(資本準備金9200万円)で、これまでアドウェイズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ、B Dash Ventures、日本アジア投資、D2C R、ベルロックメディアから出資をウケている。

世界に500万人いるUnityユーザーに届けたい

北村氏は「ハードウェアで儲けるつもりはない」と話す。Vroomについても「誰でも採用できるオープンなVRコントローラーのプラットフォームを目指した」としていて、VroomのファームウェアやSDKも全てオープンにしている。Kickstarterで出資を募集したのは「世界に500万人いるUnityエンジニアの方々に届ける」ことが目的だと北村氏は言う。目標額が日本円にして約100万円と控え目なのは、このような事情もあるのだろう。

ではどこでマネタイズするのかというと、Unityのアセットストアにおいて、Vroomのアセットをエンジニア向けに販売したりする。「ソフト屋なので、Vroomのプラットフォームが広がれば支援業務で稼げる」と北村氏は語る。例えば中国メーカーが低価格なVRビューワーに、Vroomのプラットフォームを採用することも大歓迎なのだという。顧客としては全世界のスマートフォン向けアプリディベロッパーやVRビジネス参入検討会社、そして玩具メーカーなどを想定している。

また国内では、不動産や建設会社向けのAR/VRのソリューションにも取り組む。「VRを使えば住宅展示場と同じことがスマホ1台で行える。従来のスマホVRは『見るだけ』だったが、Vroomを使えば手を伸ばしてドアを空けることもできる。また既存のスマホやiPhoneを使えるので、数を用意することが必要な法人ソリューションに最適」と北村氏は述べた。

開発途中のデモ動画を見る限り、モーショントラッキングの精度は高いと感じた

来春に公開予定のVroom対応ゲーム TrainFaith。手を動かしてパンチを繰り出せる

来春に公開予定のVroom対応ゲーム Trainfight。手を動かしてパンチを繰り出せる

なお現時点でVroomの競合は、DayDreamを除いて存在しないという。大手メーカーが競合となる可能性ついては、東芝子会社の社長を3年間務めた経験から「大手はSDKが必要な製品は作りたながらない」と北川氏は語り、さらに「我々が既にオープンソースで出しているので、競合が出す意味もない」と付け加えた。

Sharpの小型HDディスプレイでVRの解像度が倍(1000ppi)になる

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仮想現実は、がんばって装着してみれば、なかなかすごい。でも今あるヘッドセットは、その最良のものでも、それほどシャープ(高精細)ではない。このことに着目したSharpは、今あるものの倍の解像度を持つVR専用のディスプレイを作った。

それはまだプロトタイプで、日本のCEATECで展示されている〔7日まで〕。PC Watch誌がSharpのブースで写真を数枚撮ったが、小型スクリーンは矩形と円形の両方がある(上図)。

矩形は2160×1920、円形は直径1920だが、サイズはわずか2インチだ。だからppiは1000にもなる。今のスマホの5〜6インチの画面が、300-500ppiぐらいだ。Oculus RiftやHTC Viveで使われてるのも、やはりそれぐらい。ただしVR用でなければ、もっとすごい、2000ppiの製品もすでにある。

このSharpのディスプレイが発色もレスポンスタイムも良好だとすると…IGZOだからそのはずだが…、VR体験に革命をもたらす。それは、レティナディスプレイの前とあとのiPhoneの違いにも匹敵するだろう。

展示されてる中で、もうひとつ、ぼくの目を引いたのが、5.2インチのHDパネル“Free Form” だ(下図)。ご覧のようにコーナーが円くて、完全にベゼルがないスマートフォンのプロトタイプだ。エッジの丸いところも画面表示の一部だから、すごい。来年は、これでキメたいな。

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PC Watchのページが、Sharpのブースを詳しく紹介している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Occipal、iPhoneでルームスケールVRを可能にする開発キットを500ドルで販売

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VRに興味のあるiOSユーザーやMacユーザーにとって、今はAndroidかWindowsのダークサイドへ移り住む以外にできることはあまりない。

Occipitalは、iOSプラットフォームの人たちにもっと良いVR環境を提供しようとしている。今日(米国時間9/27)同社は、iOS(Androidも)端末でルームスケールのモーショントラッキングを可能にするVR開発キットを500ドルで提供開始した。Uploardが報じた

キットには、同社が開発したStructureというセンサーが使われている。このセンサーはiPhoneやiPadで3Dメッシュを作るために既に提供されているものだが、VRに焦点を絞った用途は初めての試みだ。iPhoneは、遅延に関してシステムレベルの制約があるため、未だにプラットフォームとして完全ではないが、Appleが動きだすまでの間、これが今できる最善の努力だ。

ルームスケールとは、ユーザーが自由に歩き回ってVRを楽しめるシステムだ。また、奥行き検知機能によって、ソファーや壁に激突することなく移動できる。正直なところ説明するより見てもらった方が簡単なので、下の短いビデオをご覧いただきたい。

AppleがVR/AR分野に進出するという噂がはびこる中、具体的な情報は何もなくCEO Tim CookがARには膨大な可能性があると言っただけだ。今のところVRに関心のあるiPhoneユーザーは、Googleカードボードに頼るしかない。Android NougatにVRモードが塔載されれば、カードボードの体験で著しく遅れをとることになる。

Occipital等の会社が作るアドオンを見ていると、次世代スマートフォンカメラでどんなことが可能になるかを想像できる。AppleのiPhone 7 Plusはデュアルカメラを採用し、一種の奥行き検知機能によってスタイリッシュな写真を撮れるようにしたが、多くの人々は、Appleが今後のモデルでもっと高度な技術を統合することを望んでいる。おそらく2013年にAppleが3.6億ドルで買ったと言われるスタートアップ、PrimeSenseのセンサーを使って。

Occipitalは、自社の技術が最終的にメーカーの心を捕え、消費者の端末に入り込むことを願っている。今のところ、デベロッパーはここでキットの内容を見て、購入、開発することができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

互いに愛しあうLeicaとHuaweiがドイツに共同研究所を開設、具体的なプロジェクトはまだ不明

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iPhone 7がデュアルレンズをクールなものにする以前に、…いや、違う、最初にクールにしたのがHuaweiとLeicaだ(そしてその他大勢がそれをダサいものにした)。彼らのコラボレーションの果実P9がけっこうよく売れたので、両社はもっと真剣な関係を求めた。一緒に新居に引っ越すことを。それはつまり、ドイツに作る共同研究所だ。

両社がWetzlar(ウェッツラー, ヴェツラー)に作るMax Berek Innovation Labは、主に画像技術に関する研究を行うが、ほかにVRやARの技術にも取り組む。Huaweiは4月にシンプルなヘッドセットを発表してVRの世界に一歩踏み込んだが、本格的なVR事業の展開のためにはLeicaのレンズ技術が大いに貢献するだろう。

LeicaとHuaweiのあいだには、もうすぐ子どもが生まれるだろう。それはカラー/モノクロ兼用システムかもしれないし、多焦点距離カメラかもしれない。誰も予想しなかったものかもしれない。それらが、この新しい研究所から生まれるのだ。

BerekはLeicaの初期の技術者の一人で、最初のLeicaレンズは彼が作った。彼は、1949年に亡くなった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

電通ベンチャーズ、スポーツ観戦向けVR動画配信を手がける米LiveLikeに出資

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電通傘下のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドである電通ベンチャーズ。主に海外、新事業領域への出資をしている彼らが9月21日、VRによるスポーツ観戦を実現する米LiveLikeへの出資を発表した。出資額は非公開だが、数千万円程度と見られる。

LiveLikeは2015年2月に立ち上がった米ニューヨーク発のスタートアップ。同社は、スポーツ観戦に特化したライブVR動画配信プラットフォームを開発している。このプラットフォームを利用すれば、ワイドカメラ1台で競技場を撮影してVR動画の配信が可能。VR撮影専用の設備を用意せずともよいという。

ユーザーは専用アプリ(iOS、Android、Gear VR対応)を通じて、配信されている360度動画の視聴が可能。Facebook経由でユーザーを招待すれば同じVR空間を共有できるため、実際に友人と一緒にスポーツ観戦をしているのと同じような体験ができるという。観戦中の競技に関する情報やショップ機能なども提供していく。現在はFox SportsやサッカーチームのManchester City FCなどとコンテンツ面で提携している。

Foveの視線追跡型VRヘッドセットFove 0がついに11月から予約販売を開始

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消費者製品としては初めての、視線追跡(eye-tracking, 視標追跡)機能のあるVRヘッドセットが、いよいよ発売される。

その製品は今や公式にFove 0と呼ばれ、Foveはその予約受付を11月2日の午前8時(太平洋標準時)に開始する。価格に関する発表は、まだない。

Kickstarterで資金を募集していたころは、3月初旬の発売、とされていたが、その後数々の製造上の問題に遭遇し、ここまで延びてしまった

発売に関するある程度の情報とともに同社は、このデバイスの技術的仕様を明らかにした。

このヘッドセットは、ワイヤレスではなく有線。70hz 2560 x 1440のOLEDディスプレイを使用し、視野角は90ないし100度。視線追跡機能は120fpsでリフレッシュされ、中心窩レンダリング(foveated rendering)の機能もある。これは、人間の目を真似て、視界の端の方の解像度をやや粗くする描画技術だ。でも本来の解像度がとても大きいから、これによってコンピューティングの負荷が有意に軽減するか、それは疑問だ。

Foveが初めて視線追跡機能を世に問うて以来、さまざまなヘッドセットのデザインが登場してきた。中でも気になるのは、ワイヤレスのQualcomm VR820かな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コンピューターとの対話はマルチモーダルへと向かう

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私たちはテクノロジーと触れ合うために、長い間コンピュータのマウスを利用してきた。そしてタッチスクリーンが、私たちのガジェットへのコマンド入力に新しい方法をもたらしたが、それらはマウスクリックと基本的には同じ考え方に依存している。iPhone 7上の新しい3Dタッチにしても、指を使ってイエス/ノーに答える、恐ろしく洗練された方法だというだけの話だ。

Leap MotionのCEOであるMichael Buckwaldと、EyefluenceのCEOであるJim Marggraffの2人は、将来のヒューマンコンピューターインタラクションは、様々な入力手段が組み合わされた(=マルチモーダルな)ものになるということで意見が一致している。Marggraffは、Steve Jobsがマウスの役割を指で置き換えたことと同様のことを、目で行おうとしている。彼の会社は、ARとVRのための視線追跡テクノロジーを開発している。一方Buckwaldはコミュニケーションツールとして手の動きを活用する、やや方向の違うアプローチをとっている。

「誰もが今、それぞれのポケットに15年前のスーパーコンピューターを持っています」とBuckwaldが付け加えた。「しかし私たちがこれらのデバイスを実際に使う方法を比較してみると、その使い方は本質的にはオン/オフのバイナリのままなのです」。

人間には、コミュニケーションを双方向なものにしたい自然な欲求がある。こうした理由から私たちは触覚的なフィードバックや、実際のプラスチックボタンなどを熱望するのだ。しかし、新しいコミュニケーションの方法を生み出したときには、新しく不慣れなフィードバックにも間接的に出会うことになる。時には、このフィードバックは、VRで過剰に時間を過ごしたために感じる吐き気のような不快なものであり得るが、一方素晴らしいものとなる場合もある。

「報告によれば、70から80パーセントの人が、なんらかの触覚的フィードバックを得ているように脳が感じているようですね」と、Leap Motion Orionの利用者が感じるファントムセンセーション(実際に存在しないものがあたかも有るように感じる錯覚現象)に触れながら、Buckwaldは語った。

これは、退屈な日常の仕事を逃れてエベレストのベースキャンプへ行きたいと思っている人たちにとっても楽しいものである一方、切断手術に伴う幻肢痛に苦しむ人たちにとっては信じられないほど価値のあるものとなる。VRは、そうした人たちの失われた手足を、まだそれがそこにあると信じている脳に接続するための貴重なツールとして使われるのだ。

更に悪い例だが、閉じ込め症候群(locked-in syndrome)の人は容易に外部とコミュニケーションを取ることができない。彼らにとってコミュニケーションは、多大な努力を必要とする疲れるプロセスであり、私たちが当然と思っている早口に追いつくことも闘いなのだ。

「一般的に言って、メニューを視線で操作することは、手を使う時間に比べて、わずか数十ミリ秒で完結できるのです」とMarggraffは付け加えた。

比喩を使って話すことを好む人がいる一方で、ユーモアを使いたい人もいる。人間と機械の対話はこれが決定版だというような、勝者が総取りをするようなやり方にはならない。

「仮想オブジェクトを捕まえて、保持し、動かして、様々な方向から眺めて、その大きさを調べたり、色を変えたり、変形したり。そうしたことを手で始めて、目でそれを引き継ぐこともできるのです」とMarggraffは続けた。

私たちが確信しているのは、入力メカニズムがどうであれ、コミュニケーションは遅延や中断のないシームレスなものでなければならないということだ。自然さとリアルさは、経験の質と表裏一体である。世界がより没入型になるだけでなく、その中で不快に感じることも少なくなるだろう。

これは全ての人にとって意味のあることだ。いつか私たちの子供たちは、別の大陸にいる友達とVRを通して遊べるような世界で育つことになるだろう。これはAltspaceVRのような企業によって、共有体験の上に形作られるソーシャルネットワーク全体とともに探求されている仮説と同じである。

VRの成長の中で、コンテンツの品揃えは、エンターテインメントプラットフォームとして偏ったままである。この先「iPhoneが起こしたような転換」は起こり得るだろう。ただしそれはマルチモーダルなヒューマンコンピューターインタラクションを通してのことになる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Google、3D写真撮影に使うCardboard CameraのiOS版をリリース(共有機能も追加)

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Googleが新しいiOSアプリケーションをリリースした。「Cardboard Camera」というもので、スマートフォンを使って360度の3D写真を撮影するためのものだ。2015年の発表以来、Android版のみが提供されていた。今回のiOS版提供開始にともなって、Android版もアップデートされてている。

Cardboard Cameraで3D写真をとるには、記録開始用のボタンをタップして、パノラマ写真を撮るようにぐるりと一周回って撮影する。Googleによるアナウンスはこちらで見ることができる。

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なお、撮影の方法はパノラマ写真と同様ではあるが、写真に奥行きをもたせることで3Dを実現している。写真上に距離感が生まれ、近くのものは近くに、そして遠くのものは遠くに見えるようになるのだ。これは、左右の目にほんの少し異なる画像を見せ、3D効果を感じさせることで実現している。

もちろん本当の3D画像のように、裏側に回って見るようなことはできない。しかしそれでも従来の写真にはなかった面白い効果を感じることができるだろう。また、音も記録することができるので、没入感をもって写真を眺めることができるようになる。

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iOS版のデビューおよびAndroid版のアップグレードに伴い、双方でVR写真を共有する機能も提供開始となった。

共有するには、目的の写真(複数でもOK)を選択して「Share」ボタンをタップするだけでいい。アプリケーションでリンクが生成されるので、それをメッセージングアプリケーションやメールで送れば良いのだ。もちろんウェブなどで公開して、広く公開することもできる。リンクをたどる人たちは、自身のVRビュワーを使って閲覧することとなる。当然ながらビュワーを持たない人は、3D画像を見ることはできない。

Googleによると、Cardboard CameraのAndroid版をリリースして以来、500万の3D写真が制作されているのだとのこと。

iOS版はこちらから無料でダウンロードすることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Oculusの短編VRムービー‘Henry’がエミー賞を受賞、いよいよハリウッドもVRに本気

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VRのオリジナルコンテンツは今やたくさんあるけど、それがメジャーな著名な賞をもらうのは、確かに今回が初めてだ。Oculusの短編”Henry”が、エミー賞の“オリジナルな対話的プログラム部門”で最優秀賞の受賞者になったのだ。

この仮想現実ムービーは、主人公がハリネズミのHenryだ。彼は全身に針が生えているのにハグが大好きだ。おもしろい部分はすぐにやってくる。彼は自分の誕生日パーティーに、風船でできた動物たちをたくさん招待する。

この短編映画のナレーターはElijah Wood、監督はPixarで“Brave”や“Cars 2”を手がけたRamiro Lopez Dauだ。

制作プロダクションのOculus Story Studiosには、多くの有能な映画制作者やアニメーター(アニメ作家)がいて、仮想現実という新しいメディアによる作品作りに取り組んでいる。

Oculusはこれまでもっぱら仮想現実によるゲームの企業、というイメージだったし、同じVR企業でもHTCなどに比べると、ゲーム以外のコンテンツで目立とうとしていない。でも“Henry”は、Oculus Story Studioの優れた能力を示す好例だ。彼らはVRによるストーリー展開の、より基本的な要素を探求している。VRによる映画的表現はまだまだごく初期の段階だが、彼らのクリエイターとしての才能は、賞の審査員である高名な評論家などの心をしっかりと捉えたのだ。

監督のRamiro Lopez DauがVariety誌に語っている: “これがVR産業の転換点になるといいね。VRがアートでもあることを、見せたかった。まだきわめて初期的段階だけど、それでも、ストーリー展開のための強力なツールだから、多くの制作者が魅力を感じるはずだ。今回のエミー賞が、そのことを証明している”。

ハリウッドはこのところますます本気で、仮想現実に関心を示している。この1年で彼らは、ギミック的なVRプロモーションコンテンツの製作から卒業して、本物のVRチームを起用し、オリジナルコンテンツを作ろうとし始めている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))