アップルのWWDC20は6月22日開幕、初のオンライン開催

話は3月にさかのぼるが、テック企業が次から次へとオンライン限定の年次イベントを発表する動きにApple(アップル)も加わった。世界中のイベント開催者が深刻化するパンデミックによる新たな現実を受け入れようとする中で、Apple上級副社長のPhil Schiller(フィル・シラー)氏は当時、「デベロッパーコミュニティに新たな体験をもたらし、世界中の数百万のデベロッパーにリーチする画期的な方法になる」ことを約束した。

アップルは米国時間5月5日朝、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の維持)と外出禁止の最中に開催されるWWDCがどのようなものになるか情報を出した。年次開発者会議は6月22日に開幕する。既に示されていたように、イベントは iOS、iPadOS、そしてMacOSのデベロッパー向けのオンラインセッションで構成される。全デベロッパーが、Apple DeveloperアプリとApple Developerウェブサイトを通じて無料でカンファレンスに参加できる。物理的に集うことが制限されているためではあるが、こうした形でアップルがイベントを開催するのは、過去30年で初めてのことだ。アップルのサイトからアクセスできるようになることに、サンノゼマッケンナリーコンベンションセンターはもちろん青ざめているだろう。

プレスリリースの中で、シラー氏は不透明な時代に新たな方式を導入することについて、またもやポジティブな発言をしている。「WWDC20は世界の2300万人超のデベロッパーコミュニティが集う、これまでで最大規模のものになる。Appleプラットフォームの未来を学ぶために6月に1週間にわたって前例のない方法で開催される」と述べた。「グローバルのデベロッパーコミュニティと6月にオンライン上で顔を合わせ、デベロッパーがこれまで以上にすばらしいアプリやサービスを創造するのをサポートすべく現在取り組んでいる新たなツールを共有するのが楽しみだ」。

詳細はイベントが始まる半月ほど前に明らかになる見込みだ。アップルはまた、優秀者がWWDCノベルティをもらえるSwift Student Challengeを5月16日まで開催する。新型コロナウイルス(COVID-19)のために再調整された多数の他のイベントのように、アップルのような大企業のものであっても多少の不具合はあるかもしれない。そうだとしてもオンラインファーストの会議が、新型コロナの脅威が落ち着いた後に特例ではなく常態になるかどうか興味深いところだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

アップルは6月のWWDCをオンライン開催に、新型コロナ懸念で

米国時間3月13日、Apple(アップル)は他の大手テクノロジー企業の動きにならい、6月に開催される毎年恒例のWorld Wide Developers Conference(WWDC、世界開発者会議)の通常開催をキャンセルすることを発表した。近年サンノゼで開催されていたような大規模なイベントではなく、同会議をオンラインのみの形態にシフトする。アップルはこの決定の主要因として「現在の健康状況」を挙げている。

シニアVPのPhil Schiller(フィル・シラー)氏はニュースリリースの中で「私たちは6月のWWDC2020を、世界中の何百万人もの開発者のみなさまに、革新的な方法でご提供いたします。開発者コミュニティ全体に新しい体験をもたらすことになるでしょう」と述べている。「現在の健康が懸念される状況は、私たちにオンラインキーノートとセッションを含む完全なプログラムを提供する新しいWWDC 2020形式を求めています。もちろん世界中の開発者コミュニティ全体にすばらしい学習体験を提供いたします。今後数週間のうちに、完全な詳細を発表いたします」

2020年で31年目を迎えるこの会議は、その多くで新しいハードウェアの発表を行い、それに伴ってiOSやmacOSといったソフトウェアの最新機能を紹介する、開発者と消費者の両方にアピールする大きなイベントになっていた。現在公開されている公式グラフィックはMacBookがフィーチャーされているが、おそらく新しいノートブックの登場を示唆しているのだと思われる。冒頭の基調講演以外に、会議は開発者向けの数日間のワークショップで構成されている。これまでずっとアップルは、ライブストリーミングされたコンテンツを含むワークショップのビデオを、開催後に提供してきた。現段階での発表は、同社が6月にそれらにどのようにアプローチするつもりかを示すものだろう。

WWDCに関する発表は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴って延期、再構成、キャンセルされた一連のイベント(MWCやGoogle I/Oなど)に続くものとなる。米国時間3月12日にカリフォルニア州のサンタクララ郡は、近くのサンフランシスコにならい1000人以上の集会を禁止した。最新のレポートによれば、サンノゼがあるサンタクララ郡では、48人の新型コロナウイルス感染症確定患者と1件の死亡が報告されている。

同郡は1週間前の時点で集会禁止を否定していた。だが、サンタクララ郡の保健局担当者であるSara Cody(サラ・コディ)氏は、今週始めの記者会見で「新しいデータによれば、5日前に明らかになったものよりも広範なコミュニティ内での広がりが見られるため、病気の広がりを遅らせ、公衆を保護するために、より多くの行動をとる必要がある」と述べていた。6月の状況を知ることはできないが、Appleの動きはすべての関係者にとって明らかに最も理にかなったものだ。Appleは、イベントのキャンセルにより失われた収益を補填するために、サンノゼに拠点を置く複数の組織に対して100万ドル(約1億1000万円)を提供することも約束している。

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(翻訳:sako)

WWDCで発表されたiOS、macOS、watchOSのおいしい部分まとめ

米国時間6月3日のWWDCの基調講演では、予想通り多くのものが発表された。そのすべてを見終わってみると、なんだかAppleは、今回取り上げた新機能の間で競争を繰り広げていたようにも感じられた。全部を2時間ちょっとのイベントに詰め込まなければならなかったのだから、それも当然だろう。

多くの人にとって、新しいMac Proが今回の発表のハイライトに見えただろう。ただしAppleとしては、ソフトウェアに焦点を当てていたのは確かだ。Appleは、ハードウェアの売り上げが伸び悩むにつれて、やはり将来はソフトウェア、サービス、そしてコンテンツにかかっているのだと、痛切に感じているはずだ。今回の基調講演では、iOS、macOS、そしてwatchOSが提供することになる新しい機能の中でもベストな部分を、解説付きで観ることができた。

驚くべきことではないが、その中ではiOS 13が最も大きな変更をもたらす。ダークモードは、いわばその中のハイライトだ。この機能のセールスポイントは、macOSなど、他のOSのものと基本的に変わらない。つまり、目に優しく、バッテリーの消費を抑えるというもの。ユーザーの設定によって、常にそのモードを使うか、太陽が沈んでいる間だけ有効にするかを選ぶことができる。

ダークモードにすると、自動的に暗い壁紙が選ばれる。とりあえずAppleの純正アプリで動作するが、やがてサードパーティ製アプリもサポートする。また、アプリ開発環境も標準的にサポートするはずだ。

Appleマップは、登場した直後には鳴かず飛ばずだったが、大きなアップグレードがずっと加えられてきた。今回の新機能で最も注目に値するのはLook Aroundだ。Googleがずっと前から実現しているストリートビューに対抗するものとなる。デモを見る限り、非常にスムーズに動作する。ただし、実際に路上のセルラーネットワーク環境でどのように動くかはわからない。しかしデモは、間違いなく印象的なものだった。

イメージングに関しては、これまでもiOSにとって重要なアップグレードのポイントとなってきた。それは今回も同じだ。写真アプリの編集機能はかなり進化している。ホワイトバランス、コントラスト、シャープネス、ノイズ除去など、プロっぽいコントロールが可能となった。

簡単に使えるフールプルーフ的な機能も加わっている。たとえば、肌の色に影響を与えずに彩度を調整する機能などだ。また、画質や色調の調整や、全体の回転など、ビデオに対して使える編集ツールも加わった。また写真アプリでは、撮影した写真の1画面の表示数、並べ方をダイナミックに変更できる。たとえば、誕生日に撮影した画像をグループ化して表示すれば、時の経過を嫌でも再認識することになるだろう。

今年の基調講演は、iPadにとって、大きな節目となるものだった。iPad用のOSが、iPhone用のiOSから分離されたからだ。ユーザーにとっては、iPadの大きな画面を活かした機能を利用できるようになることを意味する。たとえば、同じアプリのウィンドウを複数開いて、これまでとはまた違う意味のマルチタスクも可能となる。さらに、ジェスチャーによってテキストを選択したり、コピー&ペーストまでできるようにもなる。こうしてiPadOSは、パソコンの操作感覚に近づいていく。

しかし、それより何より、最もエキサイティングな新機能は、実はMac側にあった。macOS Catalinaは、DuetやLuna Displayのようなセカンドディスプレイ機能をiPadに付加する。つまり、iPadをMacの外部モニターとして利用できるのだ。この機能は、Bluetoothによる無線接続でも、USBによる有線接続でも使える。

WWDCの会場は、無線通信にとっては過酷な環境のためか、デモは有線接続で行われた。複雑な操作にも対応して完璧に動作したことは言うまでもない。iPad Proなら、Apple Pencilで描くこともできる。また、iPadのディスプレイの下部には、Touch Barのようなメニュートレイも表示される。

watchOSについても、いくつか付け加えておく価値があるだろう。中でも重要なのは、月経周期の記録、予想機能だ。この機能はiOSでも利用できるようになる。これまでとはまた違った意味での健康管理を可能とするもの。

その他、watchOSに追加される機能としては、オーディオブックをApple Watchで直接聴くための純正アプリ、内蔵マイクを使用して、聴覚障害の原因となる可能性のある騒音をユーザーに警告するNoiseアプリなどがある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOS 13で写真アプリが大改良、目当ての写真がさらに見つけやすく

iPhoneの上で写真を見つけようと思ったら、どうするか?やり方はたくさんあるが、でも正直なところカメラロールへ行って光よりも速くスクロールし、自分の目が目的の写真を正しく見つけてくれることを信じるというやり方が圧倒的に多いだろう。でも今度からは「写真」アプリの新しいレイアウトによりそれが変わるかもしれない。写真を見つけやすいように、日、月、年別にまとめてくれるのだ。

現在、写真アプリは混乱の巣窟だ。写真を整理する方法はいくらでもあるが、どれ1つとして正しいとは思えない。「For You」タブには最近の一定期間の、ランダムに選んだランダムなお勧め写真がある。それらを「1年前」「春」「旅行」「食事」などで検索できる。たくさんの小さな画像を日付順に並べてくれる機能もあるけど、小さすぎてよくわからない。だからみんなカメラロールを自分でスクロールしまくる原始的な方法に頼るのだ。

WWDCで発表された、Days(日)、Months(月)、Years(年)のテーマでそれが変わるかもしれない。そしていろんなタブ、多すぎるぐらいのタブがあってそれらの期間を指定できる。

そのデフォルトのモードは単なるカメラロールに似ているが、でもDays(日)を選ぶと、ライブフォトが有効なままで、それぞれの日のいろんな写真がハイライトされる。次の日ヘ行くのも簡単だ。もっと新しい写真が下のほうへ出てくる。

Months(月)を選ぶと、各月の写真が場所やイベントごとにまとめられている。Years(年)でも同じだが、各年のアルバムの表紙には同じ日の写真が載る。例えば、誰かの誕生日パーティーに行った日の写真とか。

写真アプリには前から、特定の日付を指定する機能があるけど、それよりも今度の方法の方がいいね。ある年を選んで、さらに月、日、と大量の写真をかき分けていく。カメラロールの単純なスクロールよりもずっと有意義だ。とはいえ、カメラロールスクロール主義を完全に放棄することは絶対にないだろう。

以上は、iOSのマイナーな変化にすぎないが、写真アプリはなにしろ使う頻度が多いから、写真を見つけやすくなったことは相当重大な変化と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルの新しいTestFlightでスクリーンショット付きのフィードバックを簡単に送れる

アップルのテスト用プラットフォーム、TestFlightがアップデートされる。WWDCで発表された新バージョンのXcode 11では、TestFlightアプリのユーザーからのフィードバックが自動で有効になる。ユーザーはテスト中のTestflightアプリからスクリーンショットを共有する際に、ベータフィードバックとして共有するかどうか、コメントをつけるかどうかを選択できる。これまでよりも一体化したエクスペリエンスにすることによって、より多くのユーザーにフィードバックを促そうというものだ。

こうした機能は人気のアプリフィードバックプラットフォームのInstabugにもある。InstabugはBuddybuildのサービスで、アップルは2018年1月にBuddybuildを買収していた

開発者はApp Store Connectで受け取ったフィードバックをすべて確認し、詳細をダウンロードして後で参照することができる。

ちょっとしたアップデートのように思えるが、開発者はiOSのApp Storeでアプリを広く公開する前のユーザーテスト期間中に多くのバグや問題を把握できるようになる。エンドユーザーにとってはアプリのテストとフィードバック提供がシンプルになる。これまではフォームに入力したり開発者にメールを送信したりといった手間がかかって、フィードバックせずに放置されることがあったと推測される。

これは、アプリのフィードバックに関して米国時間6月3日に発表された2つのうちのひとつだ。

もうひとつというのは、ユーザーが共有に同意すると、アプリの開発者はバッテリー駆動時間、起動時間、メモリリークの数値を匿名化した形で取得できることだ。これらの数値は集約され、クラッシュやエネルギー使用量の隣のオーガナイザーに表示されるので、開発者がアプリのパフォーマンスを監視し向上させるのに役立つ。

アップルによれば、集約された数値の収集は実際には今年の春のiOS 12.2から始まっていたので、多くのアプリではすでにこのデータをこれから利用できる状態になっているという。

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(翻訳:Kaori Koyama)

TechCrunch Japanは本日25時30分よりWWDC19解説生放送を放映、その見どころは?

アップルは太平洋標準時の6月3日午前10時(日本時間6月4日午前2時)に、毎年恒例の開発者向けイベント「WWDC」を開催する。今年のWWDC19の開催場所も、昨年と同様に米国カリフォルニア州サンノゼにあるMcEnery Convention Center(マッケンナリー・コンベンション・センター)。会期は7日までの5日間。

プログラムを見てみると、詳細は未定(To Be Announced)ながらタイトルが日本語や簡体字、ハングルで記載されたセッションが用意されているので、もしかすると各国に特化した発表があるのかもしれない。しかし、太平洋標準時6月3日午前10時からの基調講演以外はNDA(守秘義務契約)が前提なので、残念ながら一般メディアでは各セッションの詳細を伝えられない。

TechCrunch Japanでは、3月のiPad発表会に引き続きWWDC19のライブ中継を見ながらその内容を解説するニコニコ生放送を放映する。放送開始時間は本日25時30分(6月4日午前1時30分)。終了時間はWWDC19の基調講演が終わり次第。放送中には、姉妹サイトであるEngadget日本版の速報記事も適宜紹介・解説する予定だ。

【iOS13?新Mac Pro発表!?】アップルWWDC2019 発表イベント実況~Engadget日本版 & TechCrunch Japan

さて、TechCrunch Japanでは、すでにWWDC19で発表される内容を予想した記事を公開しているが、実際にどこに注目すべきかを改めてまとめておく。

関連記事:週明け開幕のWWDC 2019でアップルが発表するモノ

 

■iOS

iOS 13がプレビューされる予定。新機能としてウワサされているのは、昨年リリースのmacOS Mojaveで搭載されたダークモード。UIの基調色を黒系にすることで落ち着いた印象になるが、個人的には正直いってどうでもいい。一方で話題の5Gやアップルが注力しているARについて大きな発表があるのは来年に登場予定のiOS 14になるという。このタイミングで5Gについてまったく触れないとなると、かなりの出遅れ感はある。

個人的にずっと前から期待しているのが「メッセージ」アプリのオープン化だ。現在、米国では送金などにも対応している同アプリだが、いまのところiOSデバイスやMacとしかやり取りできないため使用範囲がかなり限られてしまう。LINEのようにiOSとAndroidに両対応、もしくはFacebookメッセンジャーのようにスマホやタブレット端末、PCで同じアカウントを共有できるようにして、ユーザーの拡大を目指すべきではないか。Goolgeと協力してデフォルトのメッセージアプリの共通化を進めてもいいかもしれない。

米中の貿易摩擦によってファーウェイ製品を閉め出している米国だが、一方で中国でのiPhoneは人気に陰りが見える。仮にG20で米国と中国が妥協点を見い出して和解しても、ハードウェア性能でファーウェイ端末を圧倒できなくなっているiPhoneが、中国で再びシェアを伸ばすことは考えにくい。となるとアップルは大幅な戦略の練り直しが必要だ。

iPhoneのシェアが高い米国や日本を重視したサービスや機能をiOSに組み込むべきだろう。PayPayとLINE Payの壮絶な殴り合いでキャシュレス決済やユーザー間送金が身近になってきた日本なら、メッセージアプリの送金機能やマルチプラットフォーム化は歓迎されるかもしれない。アニ文字の種類を増やしている場合ではないのだ。

 

■macOS

最近のmacOSは、iOSに先行導入された機能を取り込む傾向が強いが、昨年登場したmacOS Mojaveでは、iOSの機能ではなくアプリごと取り込んだことで話題になった。もちろん、WWDC19で期待するのはMarzipan(マジパン)だ。

Marzipanとは、iOSとmacOSのソースコード共通化できるアプリ開発環境のこと。WWDC18でこの開発環境のβ版を利用して、株価、ボイスメモ、ホームなどのiPadアプリがmacOSアプリに移植された。とはいえ、タッチパネル操作が前提のiOSデバイスと、キーボードとマウス(トラックパッド)の操作が前提のMacではアプリのUI/UX設計が大きく異なる。従って実際にはまったく同じソースコードを使うことは難しいが、果たしてどこまで少ない手間でmacOSに最適化できるのか注目だ。

いっそのこと、Apple AシリーズのSoCで動作するmacOS、もしくはタッチパネル操作が可能なMacをリリースしてほしいところだ。特に後者が登場すれば、Marzipanによる単一コード化はさらに容易になるほか、iOSとmacOSの融合による新たなユーザー体験を生み出せるかもしれない。

 

■watchOS

アップルの数少ない成長分野であるApple Watchは、健康をより重視する機能の搭載を期待したい。既存機能の拡張としては、ユーザーの動きに応じて自動的にエクササイズの種類を判別する機能の精度向上、計測できるバイタルデータの種類を増やすといった内容もうれしいところ。WWDCでは、おそらく米国の大手医療機関の要人がゲスト登壇していろいろ話すのだろう。日本在住のユーザーとしては、心電図機能を早く使えるようにしてほしいところ。

 

■tvOS

ソフトウェアのApple TVの登場で、先行きがよくわからないハードウェアのApple TV用のtvOS。個人的には、Apple TVアプリが予定どおりAmazonのFireTVに対応すれば、ハードウェアのApple TVの必要性はかなり下がると感じている。サブスクリプションなどをサービス事業を柱とするならば、ハードウェアとそれにともなうOSの開発はこの際きっぱり中止して、アプリ開発に注力する手もあるのではないか。

 

■ハードウェア

ウワサされているのは、もちろんMac Pro。2013年以来6年ほど新モデルが登場しておらず、待たせるにもほどがある。これまでのアップルの発表では、新Mac Proはモジュール形式のマシンになるとのこと。CPUやGPU、そしてロジックボードまでを適宜取り替えたり、増設したりできる仕様になるのか期待して待ちたい。スペック的には、CPUにXeonプロセッサ、GPUにRadeon Pro Vegaの最新版が採用されるのだろう。できればGeForceも使いたいが。

とはいえ、いまどきMac Pro級のパワフルなマシンが必要なユーザーは限られている。本体価格が高価すぎると、iMac Pro同様一部のプロフェッショナルなユーザーだけのマシンとなり、先行きがまた不安になってくる。モジュール形式を生かして最小構成は10万円台の手頃な価格設定にし、オプションでいろいろ追加していくと100万円超になるといった夢のある設計にしてほしい。もちろん、LEDでピカピカ光るようなギミックはいらない。

そして、アップルがいま提案すべきなのはAR/VRコンテンツの開発・視聴環境としてMac。Facebookからは、6DOF対応VRヘッドマウントディスプレイの最高峰であるOcurus Rift Sが出荷されたばかりなので、少なくとももRift Sへの完全対応を果たしてほしいところ。AR/VRの開発環境についてはWWDC18でも概要が発表されたが、VR/AR市場を本気で獲りに行くという力強いメッセージをアップルから聞きたいものだ。

アップルがWWDC19を6月3日から開催、参加費は約18万円

アップルの年次デベロッパー・カンファレンス[開発者向けイベント)は3年続けて米国カリフォルニア州サンノゼのMcEnery Convention Center(マクネリーコンベンションセンター)で行われることになった。 WWDCの開催期間は6月3日~7日。例によってキーノート講演と消費者向け製品の発表イベントが初日に行われる。今年はWWDCの30周年にあたる。

今からアップルのウェブサイトで参加費1599ドル(約18万円)の会議に申し込める。これまでと同じ価格だ。ただし、申し込んでもイベントに参加できるとは限らない。アップルは誰が料金を払ってデベロッパー会議に出席できるかを抽選して決める。

登録は3月20日午後5時まで。当選すればその翌日に通知が送られてくる。抽選期間は昨年より少し短めなので遅れないように。学生はWWDCスカラシップに申し込むことができる。今年は350人の学生がこのプロセスを通じて無料で会議に参加できる。

初日の新製品発表に加えて、アップルは数多くの技術セッションやハンズオンラボを用意してアップルエコシステムのサードパーティーデベロッパーを支援する。この会議はiOS、macOS、tvOS、およびwatchOSの開発に携わっている人たちが主な対象だ。新しいフレームワークが自分たちのアプリにどう影響するか、どうやってそれを生かすことができるかを理解する良い機会だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iOS 12、macOS Mojaveのセキュリティー機能を復習しておこう――ビッグイベントはいよいよ明日

9月といえばAppleが新製品を出す月だ。新しいiPhoneだけでなく、Apple Watchその他のハードウェアもお披露目されるだろう。しかしそれを動かすソフトウェアが同様に重要だ。

今年6月、Appleは恒例のWWDCデベロッパー・カンファレンスでiOS 12とmacOS Mojaveを発表した。このアップデートの重点はセキュリティーとプライバシーの改善に置かれていた。

明日のビッグ・イベントを控えて、Appleのソフトウェア・アップデートの内容を確認しておこう。

macOS Mojave

macOS MojaveはMac OSとして6代目のプロダクトとなる。モハーベはカリフォルニアで有名な観光スポットでもあるモハーベ砂漠にちなんでいる。 ダークモード、同種のファイルを整理してくれるスタック、FaceTime通話などの機能が新しい。

Safariブラウザはフィンガー・プリンティング、クロスサイト・トラッキングを防止する

こういう意味だ: Safariは新しい スマート・トラッキング防止システムを採用した。広告主はブラウザにユニークな値を割り当て、サイトを超えてユーザーを追跡するというテクニックを使っていたが、新しいSafariはこれを困難にする。Facebookのようなソーシャル・メディアもユーザーがあちこちのサイトで行う「いいね!」入力や記事共有などを通じてユーザーの動向を非常に詳しく把握してきた。

重要性は?  トラッキング防止機能は、広告システムがブラウザに「フィンガープリント」と呼ばれるユニークな値を割り当てることを防ぐ。つまり特定のユーザーに向けたターゲット広告を表示することが難しくなる。ブラウザのフィンガープリントを取ることはプライベートないしシークレット・モードのブラウジングでも効果があった。フィンガープリンティングが困難になれば、広告システムが詳しいユーザー・プロフィールを作ることも難しくなる。

カメラ、マイク、バックアップにユーザーの許可が必要になった

こういう意味だ:アプリがカレンダーや連絡帳にアクセスするするときはユーザーの許可を求める。これと同様にMojaveではたとえばFaceTimeがカメラ、マイク、位置情報、バックアップなどにアクセスする際に、まずユーザーの許可を求めてくる。

重要性は?アプリの実行権限に対する制限を強化したことで、アプリが勝手にカメラやマイクをオンにしたりすることを防ぐ。一部のアプリは密かにマイクを起動してテレビ広告が流れるのを探知したり、マルウェアがカメラを乗っ取ってスパイ行為を働いたりするという。カメラやマイクだけでなく、バックアップ(多くの場合暗号化されていない)へのアクセスにも明示的許可が必要になれば、マルウェアがユーザーのデータを盗み出すのを防ぐために効果的だ。

iOS 12

WWDCでプレビュー版が公開されたiOS 12はiPhones 5s、iPad Air(1、2)以降など既存のデバイスにインストールでき、そのパフォーマンスを大きく改善する。 また 新しいマップ通知の改良、AIKitのアップデートなどが含まれる。

Pパスワード・マネージャーが使い回しを警告する

こういう意味だ: iOS 12のデフォールトのパスワード・マネージャーはユーザーが入力するパスワードをすべて保存し、簡単にアクセスできるように管理する。この際、異なるサイトやアプリで同じパスワードを使っている場合、警告を発する。

重要性は? パスワードの使い回しは深刻な問題だ。ユーザーはとかくすべてのサイトで同じパスワードを使おうとする。ハッカーはセキュリティーがいちばん弱いサイトを破るだけでユーザーのすべてのサイトにアクセスできるようになってしまう。iOS 12はパスワードが弱すぎる場合、またパスワードを使い回している場合に警告する。パスワード・マネージャーに保存されたパスワードは指紋ないしパスコードで簡単に取り出すことができる。

2要素認証のコードが自動補完される

こういう意味だ: ユーザーが2要素認証を行うとサイト側から認証用のワンタイムパスコードが送られてくる。パスコードがSMSやプッシュ通知で送信された場合、 iOS 12は自動的にそのコードをログインボックスに入力する。

重要性は? 2要素認証はログインにあたってユーザー名、パスワードに加えてされにもう一つのレイヤーを要求する。これはセキュリティーの向上のために効果的だが、残念ながら普及率は低い。パスコードを受け取っていちいち入力するのが面倒だからだ。iOS 12の自動補完機能はセキュリティーを強化しつつ、ユーザーにとって苛立たしい手順を踏む必要をなくし、ログインをスムーズにする。

USB制限モードがさらに強化された

こういう意味だ:セキュリティー機能のアップデートにより、iPhoneないしiPadが1時間以上ロックされている場合USBポート、ヘッドホン・ポートを含め、デバイスに接続されたアクセサリーは同じくロックされる。

重要性は? これはiOS 11.4.1に対する追加オプションだが、iOS 12では標準的に採用されるはずだ。これにより捜査当局やハッカーがデバイスからデータを盗み出すことがさらに困難になる。デバイスの内容は暗号化されているためAppleでさえ正しいパスワードなしにコンテツを解読することはできない。しかしブルートフォース(総当たり)法でパスワードを探り当てるGrayKeysのようなシステムが登場していた。新機能はこうした方法をあらかた無効にするはずだ。

Appleのプレスイベントは太平洋時間で午前10時〔日本時間13日午前2時〕にスタートする。

more iPhone Event 2018 coverage

画像:Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Apple、広告トラッキングに対し厳しい姿勢を鮮明にーWWDC

Appleは、1年前のWWDCで発表した広告トラッキングブロッカーを活用してウェブブラウザーSafari上のプライバシー機能を強化するいくつかの策を今年の開発者会議で明らかにした。

Appleが‘Intelligent Tracking Prevention’(IPT)と呼ぶその機能は、ユーザーのウェブ閲覧履歴のトラッキングを制限する。閲覧から30日すぎるとトラッキングできないようにするというものだ。

IPTが発表されて以降、Facebookはデータ不正使用の大きなスキャンダルに飲み込まれた。このスキャンダルで、消費者はソーシャルプラットフォームやデータブローカーがいかに消費者をウェブ上で追跡し、詳細なプロフィールを作成してターゲティング広告を展開することにで消費者のプライバシーを侵害していたかを知ることとなった。

Appleはこの問題に関し、他社に先駆けたきた。ウェブインフラがユーザーの行動をどう監視しているのかという懸念が高まりつつあるが、Appleはトラッキングに厳しく対応することで、こうした懸念に応えようとしている。

Appleの主な収益源はデバイスの販売であるとはいえ、もちろんAppleのビジネスモデルはプライバシーとつながっている。デバイスに搭載する機能は、ユーザーのデータ保護をサポートするものだ。これは、ライバル他社のもの、例えばGoogleのAndroid OSで作動するデバイスに比べてクリアで、しかも他社と差別化を図れているポイントだ。

「Safariはあなたのプライバシーを守るために実によく働いているが、今年はさらに強化する」とAppleのソフトウェアエンジニア担当SVP、Creig Federighiは開発者イベントで語った。

そして彼はソーシャルメディアの大御所Facebookを直に取り上げた。Likeボタンのようなソーシャルプラグインや、Facebookのログインを使ったコメント欄がいかにウェブをまたがってユーザーを追跡するトラッキング構造の中核を成すものかを強調した。

米国の議員は4月、FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグにFacebook以外のところでのウェブブラウジングで集めたユーザーについての情報をただした。そうした情報はトラッキングのCookieやピクセルを使って集められたものだ。しかしザッカーバーグからは曖昧な答えしか返ってこなかった。

Facebookはその後、履歴を削除する機能を追加すると発表した。この機能では、ユーザーはFacebookからブラウジング履歴を消すことができるのだという。しかし、Facebookのサーバーから全てデータを削除できるのかは不明だ。

この機能は、Facebookが表明した通りのことをきちんと実行するとユーザーが信じることが前提となるわけだが、実際のところ大いに疑問は残る。だからこそ、消費者サイドからすればトラッキングそのものをできないようにすればいいではないか、ということになる。これこそが、Appleが開発者会議で意図したことの要旨だろう。

「これら(Likeやコメント欄)はあなたがクリックしたかどうかをトラッキングしてきた。だから我々は今年、これができないようにする」とFederighiは述べ、WWDC参加者から拍手喝采を浴びた。

それからFederighiは、Safariがブラウジングをトラッキングするプラグインを許可するかどうかユーザーに尋ねるポップアップがどのように現れるかデモして見せた。

Appleの最初のIPTでは、Safariはウェブサイト利用の24時間後にCookieを分割するとしていたが、今後はすぐにトラッキング能力を持つことを認めたドメインと、Cookieを分割する。

また、第三者のコンテンツプロバイダーに使用されることはないが、案内型のリダイレクトを通じてユーザーをトラッキングする、といった“ファーストパーティ・バウンストラッカー”としてドメインが完全に使用されていることを検知する機能も開発した。検知された場合、Safariはウェブサイトのデータを全て削除する。

Federighiが明らかにした別のプライバシー策は、サイトをまたいでユーザーをトラッキングするフィンガープリントと呼ばれるテクニック対策だ。このテクニックは、Cookieが使えなくなってもトラッキングする手段となりえる。

「データ会社は賢く、容赦抜け目ない」とFederighiは語る。「あなたがウェブをブラウズしたら、コンフィギュレーションやインストールしたフォントプラグインといったものの性質を利用してあなたのデバイスは特定されてしまう、といったことになりかねない」。

Mojaveでは、トラッカーがフィンガープリントをつくりにくいようにしている。簡素化されたシステム構成でのみウェブサイトを表示し、ビルトインのフォントでのみ表示する。フィンガープリントにつながらないよう、legacyプラグインはもはやサポートされない。結果として、あなたのMacは他の誰かのMacと同じようなものになるが、データ会社にとってはあなたのデバイスを認識してあなたをトラッキングすることが難しくなる」。

IPT 2.0について詳しく述べているWebkitデベロッパーブログへの投稿で、AppleのセキュリティエンジニアJohn Wilanderは、アップルの研究者はサイトをまたぐトラッカーが“ユーザーを特定するのを互いに助けている”ことを発見した、と書いている。

「1人のトラッカーが別のトラッカーに‘これはユーザーABCだ’と伝える。そしてその2人目のトラッカーが3人目のトラッカーに‘トラッカー1はユーザーABCだと思っているが、私はユーザーXYZだと考える’と伝える。私たちはこれをトラッカーの共謀と呼んでいる。IPT 2.0ではこうした共謀の行動を感知し、それに関わった人全てをトラッカーとみなす」とWilanderは説明する。これはデベロッパーへの警告だ。ゆえに、「デベロッパーは’トラッキング能力を有すると分類されやすいドメインへの不必要なリダイレクトを避けるようになる」。あるいは間違ってトラッカーとされ、データ消去というペナルティを科せられることになる。

IPT 2.0はまた、Webページのリファラヘッダーを制限する。リファラヘッダーでは、システムがトラッカーかもしれないと分類し、ユーザーの行動を受け取っていないドメインに届くサードパーティー要請のための元ページを、トラッカーが受け取ることを可能にする」(Appleは、これはただのサイト訪問ではなく、タップやクリックといった動作を伴うものでなければならないと明示している)。

Appleは例として、‘https ://store.example/baby-products/strollers/deluxe-navy-blue.html’ というサイトにいったらどうなるかを示した。このページはトラッカーのリソースをロードする。IPT 2.0以前ではリファラ全部を含むリクエストを受けていた(ここには、どの商品が購入されようとしているのかや、どの個人情報がユーザーを表しているかといった情報も含んでいる)。

しかしIPT 2.0では、リファラは“https ://store.example” とだけになる。これだとプライバシーが守られる。

プライバシー関連で別の歓迎すべきMac向けアップデートはーたとえWindowsとiOSが抜きつ抜かれつを展開しているだけだとしてもーMojaveではカメラやマイクまわりでプライバシーコントロールが拡張されているので、どのアプリを使うときもデフォルトで保護されるという点だ。iOS同様、ユーザーはアクセスを認可することになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

日本語版:WWDC関連記事まとめ

米国時間6月4日から開催されているWWDC。Appleが手がける毎年恒例の注目イベントだ。TechCrunchでも同イベントを取り上げた記事を続々と公開している。日本語で書かれたWWDC関連記事を以下にまとめたので、ぜひ活用してもらいたい。

 

Apple、watchOS 5を発表

Appleの WWDCのキーノート講演で、watchOSチームのKevin Lynchが次期バージョンのwatchOSを紹介した。これまでApple Watchはゆっくりだが着実な伸びを見せている。他を大きく引き離す人気のスマートウォッチであり、毎年少しずつ便利になってきている。

今年も例外ではない。新しいタイプのワークアウトがヨガとハイキング用に追加された。7日間の競争で友達にチャレンジできるようになった。

しかし、もっと目立つのがワークアウトの自動検出だ。自転車に乗って心拍数が上がり始めると、Apple Watchが自動的にワークアウトを記録し始める。ワークアウトを終えるかどうかの通知も来る。

噂どおり、Appleは新たにウォーキートーキーアプリをApple Watchユーザーに届ける。押してメッセージを録音し、離して送信する。友達は通知を受け取る。この機能から興味深いプロフェッショナルな利用場面が生まれそうだ。セルラーモデルのApple Watchならいっそうこの機能の利用価値も高まる。

新機能のSiri Shortcuのおかげで、Siri文字盤にさまざまなアプリを統合できるようになった。たとえばCitymapperの推奨を受けられる。

ボイスアシスタントを使うために”Hey Siri” という必要がなくなる。これからは腕を持ち上げるだけで話し始められる。

AppleがwatchOSにWebKitを移植したことで多くの可能性が開けた。たとえばウェブのコンテンツをwatchで見られるようになる。Podcastのネイティブサポートとバックグラウンド・オーディオもApple Watchに加わる。

全体的にみて、Appleは達成しやすい目標に数多く取り組んだ。しかし、これはApple Watchの価値をかつてないほどに高める力強い宣言と言えるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple発インテリジェントスピーカーのHomePod、2月9日に発売開始

AppleのHomePodが、いよいよ売り出されることになった。発売開始は2月9日で、2017年のWWDCでアナウンスして7ヵ月後の出荷となる。価格は349ドルで、販売開始時はアメリカ、イギリス、そしてオーストラリアでの限定展開となるようだ。

情報元はAppleで、HomePodではSiriも主要な役割を担う。「メッセージの送信、タイマーの設定、ポッドキャストの再生、ニュースやスポーツ、ないし交通情報や天気などの確認を行うことができ、スマートホームを構成する各種HomeKitデバイスのコントロールも行うことができます」とのこと。ちなみにSiriを通じた音楽再生は、当初の情報通りApple Musicに限定されるとのこと。SpotifyやPandoraなどを音声コマンドで操作することはできないそうだ。

外見はWWDCでのアナウンス時点と同様にみえる。高さ7インチで、デバイス上部にウーファーを配置し、低部には7つのトゥイーターが並ぶ。デモ時はなかなかの高音質であったが、スペック的に変更のないことを望みたいところだ。

Appleによれば、リリース後に提供する無償アップグレードにより、複数の部屋で連携してHomePodを使えるようになる予定だとのこと。すなわち、複数のHomePodを家の中のあちこちに配置して、同じ曲を鳴らすことができるようになるわけだ。1部屋に2台を配置して、ステレオスピーカーとして用いることもできるようになるらしい。

HomePodの狙う市場は、AmazonおよびGoogleによって急速に成長しつつあるところだ。Appleは、高音質を武器に殴りこみをかけることになる。ただし価格もかなりの高額となる。AmazonおよびGoogleのデバイスは50ドル以下で手に入る「日用品」としての立場をとっているわけだが、349ドルの値をつけたAppleは「高級品」としての市場展開を狙っているわけだ。ただし機能的にみた場合、少なくとも当初はAmazonないしGoogleのデバイスに劣るものともなっている。

すなわちAmazonおよびGoogleは、プラットフォームをサードパーティーにも提供しており、機能の拡張を許している。Amazonデバイス上であっても、Amazon MusicのみならずSpotifyの機能を利用できるようになっているのだ。Appleも開発者向けにSiriKitなるプラットフォームを用意しているが、サードパーティーのサービスが使えるようにはなっていない。基本的なサービスはAppleによるものを利用するように設計されているのだ。こうした方針が、どのように受け取られるのかはまだわからない部分がある。プロダクトが世に出てから、デバイスをとりまく状況について改めてレポートしていきたいと思っている。

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(翻訳:Maeda, H

意外な展開:MacBook Airはまだ生きている

MacBook Airはどっこいまだ生きている。昨年Appleは薄く軽くなったMacBook Proを発売したが、みんなはやっぱり新しいMacBook Airを欲しがっている。MacBook Proの重さは13インチのMacBook Airと変わらないが、まだ値段が高い。それがみんなまだMacBook Airを好きな理由だ。

MacBook Airを完全に消すのではなく、Appleはまだ売り続けていて実際よく売れている。さらに嬉しいことに、このノートパソコンのCPUがアップグレードされた。Appleのプレスリリースに次の一行があった。「本日Appleは、13インチMacBook AirのCPUを1.8 GHzに変更した」。

あああああ゛…それだけ。Retinaディスプレイや大きなストレージやRAMを期待してはいけない。MacBook Airは明らかに生命維持状態にある。IntelのKaby Lakeプロセッサーもつかない。

これで足りないという人たちのために、Appleは13インチMacBook ProのTouch Bar無しの入門機を値下げした。1499ドルから1299ドルになり、MacBook Airをスキップする誘惑を少しだけ大きくした。

Before:

・128GB PCIeベースSSD
・256GB PCIeベースSSD オプション:512GB SSDに変更可能

・1.6GHzデュアルコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大2.7GHz)、3MB共有L3キャッシュ
 オプション:2.2GHzデュアルコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大3.2GHz)、4MB共有L3キャッシュに変更可能

After:

・128GB PCIeベースSSD オプション:256GBまたは512GB SSDに変更可能
・256GB PCIeベースSSD オプション:512GB SSDに変更可能

・1.8GHzデュアルコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大2.9GHz)、
3MB共有L3キャッシュ

 オプション:2.2GHzデュアルコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大3.2GHz)、4MB共有L3キャッシュに変更可能

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Siriに翻訳機能が加わり、声も人間らしくなる

Siriが少し賢く、ちょっとだけ人間らしくなる。これは矛盾していない。

Appleの音声アシスタントは、これまでより男女とも明瞭で人間らしい声になり、イントネーションもよくなって、新しいスキルも身につける。iOS 11ではSiriの総合的能力が向上する。

Appleが今日発表したところによると、現在Siriは月間3.75億台以上のデバイスで利用されている。

AppleはSiriに翻訳機能を導入し、ある英語のフレーズを様々な言語でどう言うかをこの音声アシスタントに尋ねることができる。初期の対応言語は、中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、およびスペイン語。

Siriはここ数年かなり厳しい競争にさらされている。AmazonのAlexaやGoogle Assistantなどの能力が向上したことで、SiriのAIの弱点が明白になってきた。今回の改訂で、Appleは再びSiriが音声アシスタントのリーダーであることを示したいと思っているが、結果は自分の目で実物を確かめるまでわからない。

Siriは、補足質問を扱えるようになる。Google Assistantにはずっと前からあった機能だが、これでSiriは複雑で段階的な質問にも答えらえるようになる。

またこれは派手なニュースではないが、AppleはSiriを単なる音声アシスタントではなく、iOS全体をカバーする汎用AIとして考え始めている。例えばiMessageで、Siriはコンテキストに少し敏感になり、会話の相手から「今どこにいるの?」と聞かれると、現在のGPS位置がポップアップする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、10.5インチのiPad Proを発表

Appleはつい先ほど新しいiPad Proを発表した。

新しいiPad Proは画面サイズが10.5インチになったが、本体の大きさは以前の9.7インチモデルとほぼ同じだ。これはAppleがベゼルをかなり細く削ったことを意味している。

画面が20%大きくなりベゼルがずっと細くなった新しいタブレットの重さは約1ポンドほどだ[日本語版注:Wi-Fiモデルが469 g]。

ご存知の通り、Appleは3月にiPadの異例な改訂を行い、実質的に処理能力を上げて価格を下げた。

この大画面によって画面キーボードはフルサイズになり、さらにAppleは外部キーボードも提供する。

iPad Proは旧9.7インチモデルの改訂に加えて、13インチモデルは輝度600 nitのTrue Toneディスプレイを搭載し、HDRビデオを扱えるようになった。さらにAppleはリフレッシュレートを120 Hzに上げ、アニメーションのフレームを事実上倍増しスクロールは非常にスムーズになった。

それでも、Appleは見る内容に合わせてリフレッシュレートを自動的に調整することで、バッテリー寿命を維持している。例えば、フレームレートの高い映画を見ている時のリフレッシュレートは最大の120 Hzになっている可能性が高い。静止画を見ている時は、ずっと低いリフレッシュレートに落ちる。

その結果Apple Pencisの遅延時間も改善され、20 msまで縮まった。

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新iPad ProのCPUは6コアA10xで、A9xより30%高速になった。またiPad Proのベースモデルのストレージ容量は2倍の64GBになった。

バッテリー寿命は約10時間と変わらず、カメラも前の世代と同じく背面が12メガピクセル、前面が7メガピクセル。

新しい10.5インチiPad Proの価格は649ドル[6万9800円]から、12.9インチモデルは799ドル[8万6800円]からで、来週発売が開始される。

ソフトウェアについて。iPad Proにドックが導入され、アプリの切り替え方式も変更されて同時に見えるアプリの数が増えた。さらにはiPad でドラッグアンドドロップができるようになった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WWDC:AppleがHomePodを発表――Amazon Echoに対抗するスマートスピーカー

AppleがAmazon Echoに対抗する製品を開発しているという情報は事実だった。この製品は(もっともなことに) HomePodと呼ばれる。AppleのCEO、ティム・クックは今回のWWDCカンファレンスのキーノートで「われわれはホーム・ミュージックを再発明した」と述べた。つまりAppleスピーカーは単にSiriを登載したスピーカーではなく本格的な音楽用だった。

Appleのグローバル・マーケティング担当上級副社長、フィル・シラーは「Sonosはスマート・スピーカーではないしAmazon Echoは良いスピーカーではない」と主張した。Appleは両者の「いいとこどり」を狙ったようで、マーケティング戦略として巧みだ。HomePodは今年後半に出荷される予定だが、まだ量産段階ではないようだ。

HomePodはクッションを思わせる円形のスピーカーで、7個のツィーターのアレイと1個のカスタムメイドのウーファー、AppleのA8チップを登載する。マルチチャンネルのエコー・キャンセラー、リアルタイムのアクースティック・モデリングなどの機能を備える。

HomePodは置かれた環境をスキャンし、それに応じてオーディオを最適化する。シラーはこのスピーカーのサウンドがいかにすばらしいか説明するために大いに時間をかけた。ただしWWDCの会場では巨大なスピーカーシステムから音が流れていたのでHomePodの音質について正確なところは判断できなかった。

当然ながらこのスピーカーはApple Musicと高度に協調作動する。Apple Musicのライブラリーにある曲ならなんでもスピーカーに向けて呼びかけるだけで再生できる。それ以外にも「これに似た音楽をもっと再生」と指示したり「この曲はいいね」などと言うことができる。

ユーザーはニュース、天気、スポーツの試合の結果その他、Siriが理解できるような他の情報をこのスピーカーに求めることができる。また照明、ガレージドア、エアコンその他がHomeKit対応デバイスである場合はHomePodに話しかけることでコントロールができる。

興味ある点は、今日のWWDCでAppleがAirPlay 2を発表したことだ。これはWiFiを通じて複数のスピーカーをコントロールできるシステムだ。多くのユーザーが複数の部屋で音楽を聞くために複数のスピーカーを買うのではないかと思う。

HomePodの価格は349ドルになる予定だ。カラーバリエーションは白とスペースグレイという。当面アメリカ、イギリス、オーストラリアで販売が開始される。他の国での発売は来年になる。

現時点で判明した情報はざっと以上のようなものだ。秋までにさらに詳しい情報が得られるものと思う。ただAppleはHomePodの発表をあまり華々しいものにはしなかった。Appleとしてもだいぶ遅れてこの市場に参入することになるのを知っており、キャッチコピーなどよりまず実物で優れたスピーカーであること実証したいようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、MacBookを近くアップデート――6月5日のWWDCで発表か

Bloombergによれば、AppleはMacBookとMacBook Proのアップデートを近々行う予定だ。Appleはこれを6月5日のWWDCカンファレンスのキーノートで発表するはずだという。

Retinaディスプレイの12インチMacBookがアップデートされたのは1年前だが、このモデルは全体的に優れたデザインなので、新バージョンはスペックの強化程度にとどまるだろう。

もしかするとAppleは第2のUSB-Cポートを追加するかもしれない。現行モデルはポートが1つしかないため、充電しながら別のデバイスを接続することができなかった(ドングルを使えば可能だが、少々煩わしい)。またキーボードも最新のMacBook Proと比較するとやや見劣りがした。

Touch Barを装備したMacBook Proはまだ十分新しいモデルだが、AppleはCPU、RAM、ハードディスク容量などを定期的に拡大してきた。

現行MacBook ProはIntelのKaby Lakeプロセッサを登載するのが間に合わなかった。Skylake CPUでも特に不都合はないが、この機会に新世代CPUが登載されるなら歓迎だ。

むしろBloombergの記事で驚いたのは、AppleはMacBook Airの新モデルの発表も考えているという点だった。タッチバーなしのエントリーモデルの13インチMacBook ProならMacBook Airの新型機にぴったりだろう。重量は13インチMacBook Airと同程度がProはかなり高価だ。

Makbook Airは安価なのがその(少なくとも当面の)存在理由だが、もう少し能力を高めたMacBook Airが後継機になるなら素晴らしい。とはいえMacbook Airが今回のアップデートに含まれることはないかもしれない。.

WWDCはその名称の通りデベロッパー・カンファレンスだ。Appleはこのカンファレンスをデベロッパー・コミュニティー向けにソフトウェアのアップデートを発表する場としている。今年もその点には変わりはない。したがってiOS 11、tvOS 11、watchOS 4、macOS 10.12などについていろいろ聞くことになりそうだ。

もちろんWWDCに集まるデベロッパーは毎日Macを使っているユーザーだ。そこでハードウェアのマイナー・バージョンアップを発表するのは理にかなっている。Macのユーザーは以前からiMacとMac Proの新モデルを待ちわびているが、それらの発表はWWDCには間に合わないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

間近に迫るWWDC。目玉は新iPadおよびSiriスピーカー

信頼できるアナリストであるKGIのMing-Chi Kuoや9to5macの情報によれば、Appleは間もなく開催されるWWDCカンファレンスにて、複数のハードウェアデバイスを新たに発表する予定であるそうだ。ひとつはベゼルを薄くして画面を広くしたiPadとなりそうだ。こちらのデバイスについては、既にさまざまな噂も流れている。また、Amazon Echoの競合プロダクトの登場も噂されている。

ちなみにWWDCはWorldwide Developers Conferenceの略称であり、その名の通り開発者のためのイベントという位置づけだ。これまでのカンファレンスでは、新しいソフトウェアに関する開発者向け情報を発表してきたが、もちろん今年も例外ではないはずだ。iOS 11、macOS 10.13、tvOS 11、およびwatchOS 4などについての情報が発表されるものと思われる。

元来、Appleは新しいハードウェアプロダクト(および新しいオフィスについての発表)については、春のイベントで発表を行なってきた。Ming-Chi Kuoによれば、どうやら春のイベントには間に合わなかったものもあり、今回のWWDCが発表の場となりそうだとのことだ。

Appleは春の段階でiPadのエントリーモデルのパフォーマンスを改善し、価格を下げている。今回新しくなるのはiPad Proだろうか。ただし、しばらく変更されていない外観について、大きな変更はなさそうだとのこと。

従来モデルから大きく変わるのはディスプレイの大きさだ。ベゼルを狭めることで、これまでのモデルとほぼ同じサイズを保ちながら、画面サイズを10.5インチにしたものが発表されるようだ。iPadの解像度バリエーションが増えることになるが、開発者に対してどのような手段を提供していくつもりなのかは、まだわからない。ベゼルが狭まれば、手に持って利用する際には指が画面の一部を覆ってしまうことになりそうだが、それについての対処があるのかどうかについても、今のところは不明だ。

さまざまな噂が流れているスピーカーについてはどうか。AppleはSiriの機能を新しくしてきているが、この面での進化はまだまだ留まるものではないようだ。Appleは高音質かつ高価格のAmazon Echo競合デバイスを発表する予定となっているからだ。ディスプレイも搭載しているとも噂されている。

伝えられるところでは、このEcho競合デバイスは「ハイエンド」デバイスの位置づけであるようだ。音声入力に対応していることは言うまでもない。詳細については不明なことが多いのだが、もし対応する音楽ストリーミングがApple Musicだけだということになれば、こちらの利用者も大幅に増やすことが期待されているのだろう。Siriが使えるということもうりのひとつなのだろうが、Apple Music専用デバイスとしての展開も狙っているのかもしれない。

WWDCは6月5日だ。さまざまな情報がが発表されることになるはずだ。カレンダーに印をつけて当日を待ちたい。

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(翻訳:Maeda, H