YCが支援するBlocknomは「東南アジアのCoinbase Earn」を目指す

Y Combinator(Yコンビネーター)の2022年冬バッチに参加したBlocknom(ブロックノム)は「東南アジアのCoinbase Earn(コインベース・アーン)」になることを志す暗号資産稼ぎプラットフォームだ。同社は米国時間3月4日、Y Combinator、Number Capital(ナンバー・キャピタル)、Magic Fund(マジック・ファンド)からプレシード資金として50万ドル(約5800万円)を調達したと発表した。

Blocknomの共同設立者であるFransiskus Raymond(フランシスカス・レイモンド)氏とGhuniyu Fattah Rozaq(グニュ・ファタ・ロザク)氏によると、このアプリはユーザーに、年率最大13%の安定した高利回りの利息を得るための安全な方法を提供するという。同アプリは暗号資産インフラ企業のFireblocks(ファイアブロックス)と提携しており、ユーザーはいつでも手数料なしでお金を引き出すことができる。

2人の創業者は、新型コロナウイルス感染流行が始まった頃、2020年にオープンソースプロジェクトに取り組んでいるときに出会ったという。「ウイルス感染が流行している間に、私たちはインドネシアで暗号資産市場が活況であることに気づきました。その一方で、私たち2人はすでに暗号資産投資家でした」と、レイモンド氏はTechCrunchに語った。

「しかし、ユーザーと話してみると、誰もが取引でうまくいっているわけではないことがわかりました」。2人はDeFi(分散型金融)が安定的で高利回りの暗号資産による利得方法であることに気づいたものの、インドネシアには競合する製品がなかったため、自分たちで作ることにした。同社がDeFiで提携しているパートナーは、Compound(コンパウンド)、AAVE(アーベ)、Terra(テラ)、Cake(ケイク)などだ。

Blocknomにサインアップすると、銀行口座を持つユーザーはStablecoins(ステーブルコイン)を預金することができる。Stablecoinsは従来の銀行預金と最も同等であるため、新しい暗号資産ユーザーがアクセスしやすいように、同社の創業者たちが選んだ。

レイモンド氏によると、Blocknomが投資アプリと異なるのは、Stablecoinを保有して長期的に保持することを推奨している点であるという。

画像クレジット:DBenitostock / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】創業者として成功に「大学なんて関係ない」というのはシリコンバレーの幻想だ

シリコンバレーは「ドロップアウト(中退)」を礼賛するのが大好きだ。伝統的な教育では、関連性のないことを教えられ、なかなか進歩できず、そして情報が簡単に手に入る世界では、もはやかつてのように学習リソースを提供できないため、自分には向いていないと判断した起業家が、着想を得ると考えられているからだ。

ドロップアウト礼賛の伝説的な支持者は、Thiel Fellows(ティール・フェローズ)プログラムで1年間大学を休学する学生に資金を提供するPeter Thiel(ピーター・ティール)氏から、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏やBill Gates(ビル・ゲイツ)氏といった非公式のマスコットまで、大学は卒業しなかったが実際には高度な教育を精力的に擁護する人々である。

私の大学入試に対する考え方は、世界最高峰の大学への入学を目指す何千人もの野心的な学生を国際的に支援し、彼らのキャリアが次にどうなるかを見てきたことから得られたものだ。

相当な資産を持ち、恵まれたコネクションのある家庭に生まれたのでなければ(ドロップアウト礼賛の擁護者の多くはそのような立場だ)、一流大学の学位は、既存の社会経済的環境における機会で、最も強力な武器になる。

シリコンバレーを代表するスタートアップアクセラレーターといえば、言わずと知れたY Combinator(Yコンビネーター)だ。Coinbase(コインベース)、Brex(ブレックス)、DoorDash(ドアダッシュ)、Airbnb(エアビーアンドビー)など、さまざまな分野で数多くのユニコーン企業を輩出することに成功している。若くて野心に溢れた起業家は、新たなユニコーンを生み出すための支援として、シード資金、メンターシップ、ネットワーキングの機会を得たいと望み、Y Combinatorに応募する。

ドロップアウト礼賛を理解するために、私はY Combinatorで実際に成功している人たちを調べてみた。その結果、私はイスから転げ落ちそうになった。私はすでに学位取得の大推薦者だったのだが。

まず、人口統計を見てみよう。ユニコーン企業を生み出したY Combinator出身の創業者は、平均年齢28.1歳で会社を起ち上げた。しかし、消費者向けテクノロジーのユニコーン企業の場合、平均年齢は22.5歳(つまり大学を卒業したばかり)だった。このような企業の創業者は非常に若く、多くの場合未経験者である。となると「なぜ、Y Combinatorはこのような優秀な若者に自信をもって賭けることができるのか?」と疑問に思わざるを得ない。彼らの能力を見分けるシグナルは何なのだろうか?

画像クレジット:Jamie Beaton

その答えは、学位に依るところが大きい。このような共同創業者たちの中で、大学に進学していない人はわずか7.1%。中退者はわずか3.9%で、しかも全員がハーバード、スタンフォード、MITなどの有名校を中退している。つまり、入学資格を得たというだけで、学力の高さを示す強力なシグナルを発しているわけだ。これらの中退者たちは、普通の脱落者ではない。彼らは、世界で最も有名な大学への入学資格を獲得し、高校生活を極めて真剣に過ごしていたのだ。

では、大多数は?ご想像のとおり。創業者の35%がハーバード、スタンフォード、イェール、プリンストン、MIT、カリフォルニア大学バークレー校に進学し、共同創業者の45%がアイビーリーグ、オックスブリッジ、MIT、スタンフォード、カーネギーメロン、USCに進学している。25歳以前に起業した共同創業者のうち、3分の2以上がアイビーリーグ、オックスブリッジ、MIT、スタンフォード、CMU、USCのいずれかに進学している。共同創業者の出身大学はMITが最も多く、次いでスタンフォード、カリフォルニア大学バークレー校となっている。

他の人たちはどこへ進学したのか?インドのユニコーン創業者の大多数は、インドのアイビーリーグであるインド工科大学に進学している。創業者たちは学部卒に留まらない。共同創業者の35.7%が何らかの大学院を修了している。

私はこの現象を説明するために、著書の中で「シグナリング」という言葉を提唱している。これは、ノーベル経済学賞を受賞したGary Becker(ゲイリー・ベッカー)が作った造語だ。本質的に、労働力市場は競争が激しいので、すべての人に実際にどの程度の才能があるのかを把握するにはコストがかかりすぎる。そのため、ベンチャーキャピタルは誰に賭けるべきかを判断するために、簡潔な経験則を用いる必要がある。

エリート大学の学位は、若者が長期間にわたって学業、課外活動、リーダーシップの追求に何千時間も費やし、入学審査委員会から一定の水準にあると見做されたことを意味する。これは、Y Combinatorのようなアクセラレーターにとって、候補者がどれだけ有望であるかを迅速に選別するために必要なシグナルとして機能する。

スタンフォード大学の学部生なら全員がY Combinatorに受かるわけではないが、スタンフォード、MIT、ハーバード出身者の合格率は、一般的な大学やこのレベルの教育を受けずに応募した人たちを圧倒する。

私は、世界トップクラスの投資家から成長資金を調達する際、投資家たちが、ある創業者には「投資できる」、ある創業者には「投資できない」と言っているのをよく耳にした。この定義について調べてみると、創業者の学歴がどれだけ説得力があるかということに関わっていることが多いのだ。この人物は投資対象になりそうか?ファンドの機関投資家は首をかしげるだろうか、それとも支援してくれるだろうか?

ピーター・ティール氏は、おそらく中退ヒステリーの最も声が大きな擁護者の1人だ。だが、彼自身、スタンフォード大学で学士号と法学博士号を取得している。私の調査では、大学中退の道を支持する人の中で、自分自身がエリート教育機関のバッファを持っていない人を見つけることは難しい。

ピーター・ティール氏の個人的なベンチャーファンドであるFounders Fund(ファウンダーズ・ファンド)は、エリート大学教育を受けずに投資家を志す人のためのものであるかのように聞こえる。だが、よく見てみると、その逆であることがわかる。Founders Fundで働く18人の中には、スタンフォード大学学部卒6人、ハーバード大学法学博士1人、スタンフォード大学MBA2人、スタンフォード大学法学博士1人、コーネル大学学部卒、イェール大学学部卒、MIT学部卒、デューク大学学部卒など、18人のエリート学歴者がいるのだ。ある投資家はそれに近い。彼らは「最も中退しそうな学生」という賞を受賞したが、それでもちゃんとMBAを取得した。

最高のアドバイスは、それを与える人がそうやってきたということだ。もし、あなたがユニコーンの創業者になって起業家精神で世界を揺るがしたいと望むなら、最も有効な発射台は一流大学の学位である。

編集部注:本稿の執筆者Jamie Beaton(ジェイミー・ビートン)は「Accepted! Secrets to Gaining Admission to the World’s Topic Universities(合格!世界で話題の大学に入学許可を得るための秘密)」の著者であり、大学入試コンサルティング会社であるCrimson Education(クリムゾン・エデュケーション)のCEO。

画像クレジット:SEAN GLADWELL / Getty Images

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(文:Jamie Beaton、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

地球低軌道で撮影されるハイパースペクトル画像を提供するWyvernが約5.2億円調達、2022年に同社初の打ち上げを予定

衛星画像技術の最先端を行くカナダのWyvernが、450万ドル(約5億2000万円)を調達した。そのうち225万ドル(約2億6000万円)はシードラウンドで、残る225万ドルはプレシードと政府投資の合計となる。同社はハイパースペクトルイメージング(可視光線を含むさまざまな波長において波長の違いを識別する能力で対象物の反射光を撮影し、可視化する技術)に特化して取り組んでいる。同社はまた、Y Combinatorの2022冬季に参加している。

TechCrunchは過去にも、インキュベーターCreative Destruction Lab(CDL)の2019年に行われた学会のようなデモデーに参加したときなど、同社を取り上げてきた。その後、同社は資金調達以外の面でも急速な成長を遂げ、社員は18名となり、航空宇宙業界のベテランで元Airbus(エアバス)のCTOだったChristine Tovee(クリスティン・トビー)氏を招いている。さらにWyvernは、2022年に同社初となる衛星の打ち上げを行う。

共同創業者でCEOのChristopher Robson(クリストファー・ロブソン)氏は次のように語る。「打ち上げは、私たちが楽しみにしている次の大きな事業です。これは私たちの最初の画像製品になります。これは超高解像度のハイパースペクトルを得るための最初のステップとなります。超高解像度のものはまだ数年先ですが、登場すれば、かなりすばらしいものになり、ゲームを変えるものになるでしょう」。

宇宙から捉えたハイパースペクトル画像へのアクセスを商用の顧客に提供できるようになれば、Wyvernの最初のターゲットである農業をはじめ、既存の産業の効率を大幅に上げるだけでなく、まったく新しい事業や産業にも実現の機会を提供する。ハイパースペクトル画像は、例えば捉えたシーンの化学的組成など、これまで隠れていた情報を詳細に提供することができる。

シードラウンドをリードしたMaC Venture Capitalは、ハイパースペクトルの広大なポテンシャルを認識しており、ロブソン氏によると、同VCとこの度新たにWyvernの取締役会に加わったAdrian Fenty(エイドリアン・フェンティ)氏は、若い同社に完璧にマッチしているという。

「最初の会議のときから、両社は波長が合っていました。またそれ以上に重要なことは、MaCにはすでに宇宙産業への投資経験があったことです。同社は、宇宙市場に対して極めて積極的です。彼らは非常に戦略レベルで考えるため、投資に臨む視点の中に顧客と投資家とパートナーからの見方が共存しています。またそれは、宇宙に限定されず、その他の私たちの顧客市場対しても同様です」とフェンティ氏はいう。

若い起業家とエンジニアと科学者たちのチームが創業したWyvernは、その戦略的な利点に加えて最近、トビー氏を招いた。ロブソン氏は、同社のその重要なリーダーシップチームチームメンバーの招聘について、次のように語った。

「クリスティン(・トビー)はかなり前から私たちの技術顧問団の1人です。また両者は、CDLのころからの強固な関係があります。それに、一緒に仕事をすることが楽しい。クリスティンと我々チームとの間には、お互いに対する深い尊敬があります。私たちとしては航空宇宙のベテランを役員が必要で、宇宙産業に対する私たちの理解を深めてもらいたかった。だから彼女が来たことは、戦略的な面でとてもすばらしいことです」。

Tovee氏はまた、ジェンダーのダイバーシティがおそろしく遅れている業界で、同社の2人目の女性上級管理職として迎えられる。2021年のTechCrunch主催セッションTC Sessions:Spaceに出てくれた、Wyvernの共同創業者でCOOのCallie Lissinna氏は、ダイバーシティは最初から同社のプライオリティであり、そのことは投資家や入社志望者たちとの会話でも良い効果を生んでいるという。

「投資家たちはほとんどみんな、宇宙産業で創業時から50 / 50のダイバーシティ、役員チームでは66%の女性上位を実現していることに言及しとてもユニークだといいます。そしてこのことは雇用や募集にも影響を与えています。学生たちは、私たちの創業チームや社内のダイバーシティがとても気に入った、といってくれます。だからこれは、人材獲得と投資調達の両方の面で、私たちの魅力になっているようです」とトビー氏はいう。

画像クレジット:Wyvern

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Y Combinatorが投資規模を拡大、育成対象スタートアップ1社につき約5760万円提供へ

スタートアップアクセラレーターのY Combinator(YC、Yコンビネータ)は米国時間1月10日朝、プログラム条件を更新し、参加企業により多くの現金総額を提供することを発表した。同グループはこれから、バッチに参加するスタートアップに50万ドル(約5760万円)を投資していく。

この資金は、2つの異なる形態で提供される。1つ目は、よく知られているY Combinatorの株式取引で、YCはスタートアップに12万5000ドル(約1440万円)を出資し、スタートアップ企業は7%のエクイティをYCへ付与する。これに加えて「最恵国待遇(MFN、Most Favored Nation)」の条項が付いた上限なしのSAFEで37万5000ドル(約4320万円)を提供する予定だ。

「上限なし」とは、37万5000ドルのSAFEが株式に転換される際の上限価格が設定されていないことを意味し「最恵国待遇」という文言は、後に株式に転換された際に、Y Combinatorが他の投資家と同様に有利な条件を得られることを保証するものだ。

Y Combinatorがスタートアップ企業により多くの資金を提供していくという発表は驚くべきことではない。むしろ、同グループがその条件を更新するのにこれほど時間がかかったことの方が大きな驚きだ。それでも、50万ドル(約5760万円)という金額は、プレシードやシードステージの投資市場が近年向かってきた方向、即ちより大きな金額をより高い価格で投資する傾向に沿ったものだといえる。

この条件変更によって、アクセラレーター自体が投資先企業のアップサイドを維持することが少なくなるわけではない。それどころか、Y Combinatorの条件が更新されたことで、Y Combinatorの門をくぐった企業への伝統的な出資の代わりにというわけではなく、それに加えてより多くの資本を提供することになり、防御的な意味合いが強くなったといえるだろう。これでYCは、初期の株式投資を歴史的に有利な価格帯で実施しながらも、より大きな小切手で優秀なアーリーステージのスタートアップを集めることができるかもしれない。

Y Combinatorは、スタートアップ市場の進化に合わせて組織としてのあり方を変えてきた。対面式の仕事を重視していたY Combinatorは、パンデミックの際にはリモートになった。その結果、TechCrunchの計算によると、他の国や市場から参加するスタートアップが増えた。また、リモートでのデモデイを行うようになった。サンフランシスコからクルマで移動して、イスの数が足りない大きな部屋に行く必要がなくなったことをTechCrunchでも感謝している。

Y Combinatorの更新された条件に、ライバルのアクセラレーターがどのように反応するのか、もし変化があるとすれば興味深いところだ。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

一度に1000社を育てるY Combinatorだって?YCの御冥福を祈ろう

ご心配ご無用。この意見全体を、「Y Combinatorに入(はい)れなかった落ちこぼれ創業者」の愚痴と思われても大いに結構だ。たしかに、見方によってはそのとおりだ。しかし最近のY Combinatorは、Y Combinatorであるだけで一種のステータスになってしまった。Y Combinatorを出た人は、そのことを、おごそかな口調で語る。まるで自分たちの頭上には神の後光があるかのような。彼らの体には、天使の翼が触れているかのような。

実際には、多くの企業にとって、Y Combinatorにいたことだけで箔が付き、YC卒業のスタンプをもらっただけで格が上がる。その選別基準は、従来からとても厳しかった。YCのデモデーがあるたびに、スタートアップのエコシステムの全体が反応し、エキサイトするのだ。プレスは鉛筆を研ぎ澄ます。投資家はもっとも将来性のあるスタートアップを真っ先に掴もうとして競う。両者が騒ぐのは、同じ理由からだ。メディアも投資家も、YCの選考過程に最後まで付き合って、終わったときまだ生きていることは、自分が一人前と評価されるための最低条件だ。

武道をよく知らない人は、黒帯の獲得をすごいことと思うだろう。たしかにそうだが、でも多くの場合それは、基本的な技能に達したことの証にすぎず、安心して練習を任せられるレベルに達していることを意味しているにすぎない。武道をよく理解している人たちは、黒帯が本格的な研鑽の始まりであることを知っている。ある意味で、Y Combinatorにも同じことが言える。入学を許され、一歩々々その教程をこなしていく。そして、黒帯をもらう。お祝いのシャンペンを開け、自分の肩をたたく。これからが、本当の仕事の始まりだ。

Y Combinatorの新しいボスであるGeoff Ralston氏が、Y Combinatorはそう遠くない将来に1回のバッチで1000社に投資すると発表したときは、私の受け取り方では、同社は武道の名門私塾から大衆的な道場に変身して、あほらしいほど大量の創業者を格闘家の空手キッズに育てようとしている、と思えた。でも、「Karate Kid」(邦題「ベスト・キッド」)を実際に見た方は覚えておられると思うが、あの映画の結論では、小さくてごみだらけのジムの方が良い場所だった。

Y Combinatorにとっては、大きな意味のある変化だろう。Ralston氏が主張するように同社が創業者の質と高い選考基準を維持できるなら、同社はスタートアップのインデックスファンドを作ることになる。Y Combinatorが投資する段階では、同社は少数の企業を低い投資額で拾い上げる。1‰(パーミル、1/1000)のスタートアップがAirbnbやDoorDash、Coinbase、GitLab、Dropbox、Amplitude、Matterport、PagerDuty、Stripe、Instacart、Cruise、Brex、Reddit、Zapier、Gusto、Flexport、Monzo、Mux、Ripplingなどなどに育つのだから、それはすごいビジネスモデルだ。ここに並んでいるスタートアップの顔ぶれもすごいが、どれも聞いたことのある名前だと思うし、全員がY Combinatorのポートフォリオ企業だ。

問題は投資家ではない。彼らはうまくやっている。問題はスタートアップだ。ネットワークが大きくなればネットワーク効果も良質である、という説は正しいだろう。でもそれは、おそろしく難解な問題だ。優秀な創業者には実際にネットワークに参加する時間がないことも、問題だ。とくに、初期ほどそうだ。彼らは自分のスタートアップを作ることに追われ、他の創業者たちを助ける余裕がない。

一人の創業者として問いたいのは、1000名を超える同級生たちと一緒に学ぶことに価値があるだろうか、ということだ。Y Combinatorのバッジを付けていることが、投資家との会見で役に立つのか? それとも、「選ばれた人」という価値が薄まり、Y Combinatorの卒業生という価値が消えてしまうのか?

私の個人的な疑念では、Y Combinatorが巨大化すれば、それはYCと一部のパートナー(YCに投資している人)にとっては良くても、やがてスタートアップの得る価値が減り始める地点があるのではないか。実はその減価の起点は、1学年が377社に膨れ上がったときすでに訪れていた。それはもはや不格好に肥大し、その急速に広がっている壁の中で起きていることの、概要記事を書くだけでもたいへんだった。

誰かが初期のY Combinatorにあったサービスと他に類のない特質を提供し始めるのは、もはや時間の問題だ。すでに数社の候補が活動を始めている。そのうちの1社が人気を獲得してその独自のポートフォリオを築き始めると、YCは着外馬のインデックスファンドとして取り残される。私が間違っていたら嬉しいが、でもこれは、シリコンバレーと呼ばれる伝説の終わりの始まりと感じられる。

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Bryce Durbin/TechCrunch

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開発者がアプリのサイズを小さくとどめるために役立つツールを提供するEmerge Tools

アプリは時間が経つに連れて大きくなる傾向がある。新しい機能を追加するということは、より多くのコード、より多くのサードパーティ製フレームワーク、より多くの画像や動画などのアセットを追加するということだ。フォントやサポートドキュメントのようなリソースは重複し、最適化や圧縮が行われないままビルドプロセスを通過してしまう。

アプリを小さく維持することは、ユーザーにも開発者にもメリットがあるものの、必ずしも常に最優先されるものではない。開発チームの規模や優先順位によっては、誰かに文句を言われるまで忘れ去られてしまう類のことだ。

Y Combinator(Yコンビネータ)W21(2021年冬)クラスのEmerge Tools(エマージ・ツールズ)は、アプリを小さく留めるためのツールを開発している企業だ。このツールは、ビルドごとの変更を監視し、必要なストレージ容量を削減するためのアクションを推奨してくれる。

なぜアプリを小さくするのか?理由はいくつかあるが、Emergeの共同設立者であるJoshua Cohenzadeh(ジョシュア・コヘンザデ)氏は次のようなことを指摘している。例えば、開発したiOSアプリのサイズが大きすぎると、App Store(アップ・ストア)はユーザーに、Wi-Fiが使えるようになるまでダウンロードするのを待つように提案するため、ユーザーが興味を失ってしまうことがある。ちなみにUber(ウーバー)は最近のブログ記事で、App Storeのサイズ制限によって最大でインストール数の10%が失われたと書いている。世界中にユーザーを拡げたいと考えているアプリ開発者は、潜在的なユーザーの多くが低速のネットワークを利用していたり、メガバイト単位で通信料を支払っている可能性があることを考慮しなければならない。あるいはまた、スマートフォンの空き容量を確保しようとした時に「おいおい、なんで〇〇のアプリが400MBも使っているんだ?」と思ったことがない人はいないだろう。

Emergeを共同で設立したコヘンザデ氏とNoah Martin(ノア・マーティン)氏は、文字通り子どもの頃から一緒にものづくりを行ってきた。高校時代には、Macの画面解像度をすばやく変更するためのメニューバーツール「QuickRes(クイックレズ)」を開発した。その後も、人気の高いMac用スクリーンショットマネージャーや、MacからTesla(テスラ)をコントロールするためのメニューバーウィジェット、さらにTinder(ティンダー)の写真をA/Bテストするためのツールなどを作成したが、コヘンザデ氏によると、これは配布停止命令を受けることになってしまったとのこと。

大学卒業後、大企業に就職した2人は、サイドプロジェクトとしてのアプリ開発(コヘンザデ氏は「小さな取るに足りないアプリ」と呼んでいた)をやめて、本格的にスタートアップを起ち上げることにした。Y Combinatorに応募した2人は、アイデアを練っているうちに、モバイルネットワークに制限がある国々では、ユーザーがデータ転送に多大な労力を費やしているという調査結果を見つける。そこで2人は、アプリがどこでデータを浪費しているかを調べ、さらに掘り下げていったところ、アプリのサイズについては、多くの開発チームが、多くの大企業でさえも、常に重視しているわけではないことがわかった。

「小規模な企業では、独自のパフォーマンスチームを持つほどのリソースはありません。クレイジーな最適化などを行うリソースもありません」とコヘンザデ氏はいう。「だからEmergeの基礎となったのは、これを標準化しようということでした」。

Emergeは、いくつかの異なる方法でインサイトを提供している。開発チームのGitHub(ギットハブ)に接続して、アプリのサイズ変更を各プルリクエストのコメントとしてフラグを付けることもできるし、一方でEmergeのダッシュボードでは、アプリ内で何がスペースを占めているかを複数の異なるビューで表示し、スリム化する方法を提案する。

Emergeの「X-Ray」ビュー(画像クレジット:Emerge)

「X-ray」ビューでは、各フレームワークやアセットがどれだけの容量を占めているかが一目瞭然だ。特定のフレームワークを1つか2つのあまり使わない機能にしか使用していないのに、アプリのサイズの5分の1を占めている場合、そのフレームワークを使用する価値はあるだろうか? ビルドに何度も紛れ込むように管理されたファイルもハイライトされる。「重複ファイルを抱え込んでいる会社が多いことには驚かされます」と、コヘンザデ氏はいう。

「Breakdown」ビューでは、アプリの中でバイナリ自体が占める割合、画像や動画などのアセットが占める割合などが、カテゴリーごとに分けて表示される。

Emergeの「Insights」ビュー(画像クレジット:Emerge)

「Insights」タブには、アプリのサイズに最も大きな影響を与える可能性のあるアクションが提案される。例えば、Swift(スイフト)のバイナリでバイナリシンボルを削除したり、所定のプラットフォームで異なる画像タイプを使用したり(iOSではPNGの代わりにHEICを使用するなど)、前述の重複ファイルを削除する方法を考え出したりする。

自分たちが開発したアプリの中からEmergeが何を見つけるか、興味がある人もいるだろう。だが、1つ問題がある。同社のツールはまだ誰にでも公開されているわけではないのだ。というのも、コヘンザデ氏によると、彼らが提携している企業のほとんどは、このようなツールにアクセスを許可する前に、厳格なセキュリティ審査と法的契約を必要とするからだ。Emergeでは、小規模なチームを対象とした「完全セルフサービスのモデル」を近々発表する予定であるという。価格は、アプリの数、ビルドの数、チームの規模、どのプラットフォーム向けにビルドするかといった基準に基づき、企業ごとに異なる。Emergeが2021年初めに設立された当初は、iOS向けアプリのみに集中していたが、2021年10月よりAndroid向けアプリのサポートも追加した。

Emergeは最近、170万ドル(約1億9000万円)を調達した投資ラウンドを完了させたが、これは同社にとって初のラウンドだった。コヘンザデ氏によると、このラウンドにはHaystack(ヘイスタック)、Matrix Partners(マトリックス・パートナーズ)、Y Combinator、Liquid2 Ventures(リキッド2ベンチャーズ)の他、数名のエンジェル投資家が参加したとのこと。

画像クレジット:Emerge

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

デベロッパーのウェブアプリ開発をスピードアップするクロアチアのWaspが約1.7億円調達

アプリケーションの開発における、コーディングの複雑さから開発者を解放しようと努力しているスタートアップは少なくない。先にはRunXのシードラウンドを取り上げたが、そこは開発者がバックエンドのクラウドリソースを迅速にコーディングできるようにしている。米国時間10月4日、Y Combinatorの2021冬季を卒業したWaspが150万ドル(約1億7000万円)のシードラウンドを発表して、アプリケーションのビジネスロジックの部分のコーディングを迅速化しようとしている。

このラウンドはLunar VenturesとHV Capitalが共同でリードし、468 CapitalとTokyo Black、Acequia Capital、Abstraction Capital、そして多くの個人エンジェルが参加した。

WaspのCEOであるMatija Sosic(マチヤ・ソシッチ)氏によると、双子の兄弟Martin(マーティン)氏と一緒に2019年にクロアチアでスタートし、複数のサービスを縫い合わせて1つのフルスタックウェブアプリケーション作る開発者の仕事を、もっと簡単にしようとした。容易化する方法は、開発者がすでに使っているプログラミング言語がReactであれNode.jsあれ、何であっても、その上に構成(コンフィギュレーション)の層を設けることだ。

ソシッチ氏によると「非常に高いレベルで、Waspは少ないコードと内蔵のベストプラクティスでフルスタックのアプリケーションを作るためのシンプルな言語です。私たちは開発者に個別の言語にとらわれない統一的な体験を提供しますが、それは私たちの考えでは彼らに最大の価値を与えるエスクペリエンスです。なぜなら、開発者がいろいろなソリューションを自分で組み立ててアプリケーションを作る必要がありません」。

RunXと同様、Waspもオープンソースのツールで、開発者は無料で使える。そしてソシッチ氏によると、これまでにWaspを使って約300のアプリケーションが開発された。当面はオープンソースに徹して正しいツールを作っていくが、その後、最終目標として収益化の方法を考えたいという。

ソシッチ氏と彼の弟は2年前に、自費で会社を作った。Waspの初期のバージョンをProduct Huntでリリースしたのは2021年初めだ。彼らはその後、最初の関心事だったことを始めた。それはY Combinatorに入学し、シードラウンドを調達して、プロダクトの開発を続けることだ。

現在、プロダクトはアルファで、GitHubでダウンロードできる。今回得た資金は、機能を増やしてベータへ移行し、最終的にはバージョン1.0をリリースすることにつぎ込みたい、という。

画像クレジット:Wasp

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

私がご機嫌な理由、Y CombinatorとDAO

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。
週末には、まだ私が完全には解明できていない大きなSPAC案件があった。まあとりあえず、その投資家向けプレゼンテーションには、世界の指導者たちの顔写真を並べたスライドが含まれていたので、少なくとも「国際SPACプレゼンテーション誇大広告オリンピック」で銀メダルを獲得する価値はあるといっておこう。また、Oyo(オヨ)が公開の申請を行った。これらについては、これから多くのことが起きることを期待している。

関連記事:ソフトバンク出資のインドの格安ホテル予約サービス「Oyo」がIPO申請、最大約1290億円調達へ

だが今回は、Y Combinator(YC、ワイコンビネーター)とDAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散型組織)の話をしよう。あらかじめご注意を、YCはDAOではないので、この2つは別の話題だ。詳しく見ていこう。

Y Combinator、信頼性、そして評価が気になる人へ

1文字あたりのスコヴィル値で言えば、先週は以下のようなスパイシーなツイートがは少なかった。

2021年のアーリーステージ投資で最も驚くべきことは、Tigerでもなく、5億ドル(約555億円)のシードファンドでもなく、ローリングファンドでもない。

驚くべきは、いまだにYCが、すばらしい企業の7%分を12万5千ドル(約1388万円)で買っていることだ。

少し説明するならば、アーリーステージのスタートアップ企業に資金を投入しようとする資本がますます増え、スタートアップ市場では最近評価額が上昇傾向にある中、なぜY Combinatorは、スタートアップのメカニズムに資本とコースを提供するやりかたで、これほど多くのものを得ることができるのだろうかということだ?その一部はブランドの力だ。そして、YCが提供するガイダンスにも一定の力がある。

Y Combinatorの支援を受けたスタートアップであることは、現実よりも夢と呼ぶほうが近いような設立間もない組織に、一定の信頼性を与えることになる。それは、通ったことを誇りに思える大学の卒業証書を、壁に飾ることに少し似ている。そして重要なことは、新興国のスタートアップにとっては、Y Combinatorを経由することで、自身を投資家の地図に載せることができるということなのだ。そのため、希薄化するとしても入会の価値があるのかもしれない。

とはいえ大きなコストがかかるが。スタートアップがベーシスポイント(0.01%)あたりに得られるのは200ドル(約2万2200円)を下回ることになり、これは、Y Combinatorの最近の標準的なバッチのヒット率を考えれば、安いという言葉では足りないほどだ。これは本質的に、YCグループのためにお金を印刷するライセンスなのだ。

それ自体が問題なのではなく、資本主義が働いているだけだ。しかし、Y Combinatorへの参加の実質的なコストが上昇するにつれ、つまり、YCが支援する企業の市場価格とアクセラレーターが入場税として評価する価値とのギャップが拡大するにつれ、国際的な企業の参加も増えるなかで、この取引は魅力的ではなくなってきている。ということで、インドアフリカのスタートアップたちがYCに参加するようになったことはすばらしいことだが、より希薄化されるプログラムのために、より多くの費用を支払わなければならないように見える。それは、私の脳の一部をうんざりさせる。

それにしても、Y CombinatorのシードファンドのLPになった人たちには脱帽だ。ぜひ我が世の春を楽しんで欲しい。

DAOたち

今回はあまり心地よくないスタートだったが、ここまでお付き合いいただき感謝する。こちらの方が少し気持ちのよい内容だ。

DAO(自律分散型組織)の世界では、先週2つの重要なニュースがあった。1つ目はとんでもなくおもしろかった

何の話か知らない方のためにお伝えすると、Compound(コンパウンド)がコーディングのミスで、数千万ドル(約数十億円)分のコインを送り出してしまったのだ。もちろんそれは間違いだった。そして、Compoundがそのお金を取り戻そうとする際に、タダで手に入れた金を返さないと、ユーザーをIRSに告発すると脅したのだ。

自分のミスを棚に上げて自分のユーザーを脅かすという問題はさておき、Compoundは権限を分散させる民主的な仕組みで運営されている。その仕組みについてはここを読んで欲しい。しかしここで重要なのは、Compoundのエラーケースの中で私たちは、分散型の権限が大規模かつ滑稽な方法で失敗したときに何が起こるかを目撃できたという点だ。

この先このような間違いは多発するだろう。しかもそれは同時に笑えるものとなるだろう。だが、それによってDAOの魅力が失われたとは思わない。

現在の資本主義のうんざりさせる要素の1つとして、株主の議決権の低下が挙げられる。Facebook(フェイスブック)は、ただ1人の人間がその未来を支配している企業の典型的な例だ。Snap(スナップ)も、まったく投票権を得られない株式を公開して上場したことで有名だ。シリコンバレーが投資する企業では、外部の人間よりも内部の人間に多くの投票権を与えるデュアルクラス(A、B2種類の株式を発行してB株の方により大きな投票権を持たせること)、さらにはトリプルクラスの株式発行がますます増えているように感じられる。

それは酷いやり方だ。いったい誰が資本主義をより君主制に近づけることを望んでいるのだろうか?考えただけで、吐きそうな気分になる。

それに対して、DAOはその成り立ちから、より民主的なものだ。もちろん、議決権は所有率の高い人が持つことになるだろう。それは健全な株式市場に期待されていたものなのだ。よってDAOは、少なくとも現在のIPOや、現在の責任者が生涯を通して最高の管理人となることを信頼することをみんなに求める能天気さに対して、改善手段を提供することになるだろう。

かつてのVCはそんなことを信じてはいなかった。そのころ、彼らはプロフェッショナルなCEOに大きな信頼を寄せていたのだ。その後、創業者と投資家のパワーバランスの変化により、創業者がより大きな力を持つようになり、創業者主導の企業がいくつか成功したことで、VCはこのこだわりを捨てた。

もしかしたら、DAOはビジネスを少しでも民主的にすることに成功するかもしれない。

さて今回のDAOランドからの2つ目のニュースはこれだ「Utopia Labs(ユートピア・ラボ)がDAO用のOSを開発中」。この会社名は悪くない、それどこころかとてもすばらしいと言える。なぜなら、ユートピアはファシストのパラダイスではなく、ユートピアを考えるときには、誰もが発言権を持つモデルを思い浮かべることが多いからだ。つまり、DAOはある意味、ユートピア思考のビジネス版なのかもしれない。悪くないね。

では今回はここまで。次回はCapitalGのGene Frantz(ジーン・フランツ)とのチャットのメモをご紹介する。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

スマホ内に潜むモバイルスパイウェアの脅威を取り除くMallocのアプリ

モバイルスパイウェアは、無秩序な監視の中でも最も侵襲的かつ標的を定めた方法の1つだ。あなたがどこへ行き、誰と会い、何を話したかを追跡するために使うことができる。そしてその隠密的性質ゆえに、モバイルスパイウェアを発見することは不可能に近い

しかし、このY Combinatorが支援するスタートアップは、ユーザーが自分のスマートフォンに侵入したモバイルスパイウェアを見つけるためのアプリを開発している。

関連記事:米連邦取引委員会がスパイウェアSpyFoneを禁止措置に、ハッキングされた被害者に通知するよう命令

キプロス拠点のアーリーステージのスタートアップMalloc(マロック)は、「Antistalker(アンチストーカー)」というアプリでデビューを飾った。スマートフォンのセンサーと動作中のアプリを監視して、マイクやカメラが密かに起動されたり、ユーザーの知らぬ間にデータが転送されるのを検出する(当初はAndroidにのみ対応)。これは消費者グレードのスパイウェアの典型的行為であり、他にメッセージ、写真、ウェブ閲覧履歴、リアルタイム位置情報などをユーザーの許可なく盗むものもある。

こうしたスパイウェアによる脅威の増大は、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)両社が端末のマイクロフォンやカメラが使用されていることを示すインジケーターを導入するきっかけとなった。しかし、特に巧妙で高性能のスパイウェア(政府や民族国家がよく利用する)は、iOSとAndroidの防御をすり抜けることもある。

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そこがAntistalkerの出番だとMallocはいう。Mallocの共同ファウンダーであるMaria Terzi(マリア・タージ)氏、Artemis Kontou(アルテミス・コントウ)氏、Liza Charalambous(リザ・チャラランボス)氏の3人は、機械学習(ML)モデルに基づいてアプリを作り、スパイウェアが録音、録画したりデータを送信していると思われるデバイスの動きを検知してブロックする。

Mallocの共同ファウンダー。写真左リザ・チャラランボス氏、中央マリア・タージ氏、右アルテミス・コントウ氏(画像クレジット:Malloc)

MLが専門のタージ氏は、同社が実世界の監視を模倣するために、既知のストーカーウェアアプリを使ってMLモデルを学習させたとTechCrunchに話した。機械学習は、アプリが幅広く、それまでに知られていない新たな脅威を見つける能力を高めるために役立つ。従来は既知のスパイウェアアプリの特徴との一致を調べる方法だった。

「私たちはスパイウェアとわかっているアプリケーションを知っています。それならその行動パターを利用して機械学習モデルを訓練し、新しいスパイウェアを認識できるようにするのに使わない手はありません」とタージ氏はTechCrunchに語った。

このMLモデルは、端末上でプライバシーに配慮した方法で動作し、データをクラウドに送ることはない。Mallocは、将来一部の匿名データを収集することで、MLモデルを改善しユーザーの端末に出現する新たな脅威をアプリが検出できるようにする考えがあると話した。

アプリの異常な行動、たとえば長らく使っていなかったアプリが大量にデータを送るような動きも同アプリは検出するほか、どのアプリがいつマイクロフォンやカメラをアクセスしたかをユーザーは見ることができる。

彼らの賭けはすでに投資家の目を引いており、同社はY CombinatorとUrban Innovation Fund(アーパン・イノベーション・ファンド)から200万ドル(約2億2000万円)近くを獲得している。

同社は2021年サービスを開始して、現在月間8万人以上のアクティブユーザーがいてなお増加中だとタージ氏言っており、企業が社員を監視の脅威から守るためのエンタープライズ向け製品も計画している。近い将来にはiOSアプリも公開予定だ。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

5G需要が高まる中、タワー設置場所を探す通信事業者と不動産所有者を効率的につなぐSitenna

5Gネットワークの構築は急速に進んでおり、先進国の多くで大規模な展開が行われている。しかし、カバレッジマップのギャップを埋める上での最大の課題の1つは、5G伝送に対する制約だ。5G技術は4Gに比べ高周波数の帯域を利用するため、通信事業者は、ユーザーが期待する同品質の信号で宣伝されているだけの帯域幅を提供するために、何倍もの数の通信塔を設置する必要がある。

しかし、セルタワーを設置するのは気が遠くなるような作業だ。通信事業者は、ユーザーへの見通し線を配慮してちょうどいい場所を探し、その場所に電源とインターネットアクセスがあることを確認し、さらに土地所有者と交渉して、10年以上にわたってタワーを設置し続ける契約を結ばなければならない。これを何万回(あるいはそれ以上)繰り返すことを想像して欲しい。

Sitenna(site+antenna=サイテナ)は、Y Combinator(Yコンビネータ)の「Summer 2021 Demo Day」で来週発表される予定のスタートアップだ。Sitennaは、タワーやアンテナの設置場所の選定と契約締結のプロセスを大幅に短縮し、不動産所有者、タワー運営者、通信事業者のためのマーケットプレイスを構築することを目指している。

タワーの立地やポールへのアクセスは、場合によっては国家的なインフラの優先課題として浮上している。米国では、トランプ政権下の連邦通信委員会(FCC)が、新たなタワーの設置、そしてそれらの迅速な確保にまつわる課題を最優先事項とし、タワー設置に関する規制を緩和しようと「5G FAST Plan」を立ち上げた。

Sitennaの創業者であるDaniel Campion(ダニエル・カンピオン)氏とBrian Sexton(ブライアン・セクストン)氏は、このようなプログラムにチャンスを見出し、この動きを支援することにした。彼らはこの1年間で、一方では不動産所有者が通信利用を検討する価値のある資産を持っているかどうか把握するのに役立ち、他方ではタワー事業者が設置のための契約を選択してデジタルで締結することを支援するマーケットプレイスを構築した。

Sitenna共同創業者兼CEOダニエル・カンピオン氏(画像クレジット:Sitenna)

同社は2021年6月に英国でサービスを開始したが「これが反響を呼びました」とカンピオン氏は語る。英国では6万5000件の不動産資産と、タワーの約15%がこのプラットフォームに登録されているという。同社は、Vodafone(ボーダフォン)とそのタワープロバイダーであるCornerstone(コーナーストーン)と協力し、2つのパイロットプロジェクトを開始した。また、2022年の第1四半期には米国市場への参入を予定しているとのこと。

Sitennaは今日の多くのスタートアップと同様にマーケットプレイスからスタートしているが、そのマーケットプレイスをB2B SaaSツールで補完している。同社の場合は、通信事業者が新しいタワーの設置場所を確保するプロセスと、その資産を管理するためのツールを意味する。カンピオン氏はこう述べている。「通信事業者はタワーの設置場所を見つけると、メールでピンポンのように行ったり来たりのやり取りをします。そこで、彼らのワークフローを支援するツールを開発しました」。

Sitennaのプラットフォームでは、土地所有者とタワー事業者がタワーの設置場所を検査し、取引することができる(画像クレジット:Sitenna)

現在5Gワイヤレスへの移行にともない、タワー設置の大きな波が起こっているのは確かだが、だからといって、数年後に突然タワーの設置がなくなるということではない。カンピオン氏は、利用パターンの変化やビルの再開発、標準的なハードウェアの交換などの理由から「キャリア側では15〜20%の継続的な更新が行われています」と指摘する。

そしてもちろん、6Gもある。現在はまだ完全に形になっていないコンセプトだが、筆者がカンファレンスに招待されるぐらい現実的なものだ。次世代のワイヤレスは常に存在しており、Sitennaはそのインフラを管理するセンターになりたいと考えている。

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画像クレジット:Pranav Mv / EyeEm / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)

小型無人飛行船でミドル・マイルの配達が抱える問題に挑むBuoyant

近年、飛行機やヘリコプターに取って代わられた技術である「飛行船」の復活を目指す企業が続々と登場している。

フランスのFlying Whales、英国のHybrid Air Vehicles、Lockheed Martin、億万長者のSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏などが、特に貨物輸送に重点を置いた飛行船プロジェクトを開発中だ。しかし、まだ顧客へのサービスを実際に開始したものはない。

Buoyantは、その最初の企業になりたいと考えている。

Buoyantは、ミドルマイルの貨物を運ぶ小型の無人飛行船を開発することを目的として、2021年Y Combinatorを卒業した。倉庫から家庭への配送ではなく、倉庫から倉庫への配送を考えてみて欲しい。創業者のBen Claman(ベン・クラマン)氏とJoe Figura(ジョー・フィグラ)氏は、小型飛行機やヘリコプターでの輸送に比べて、輸送コストを半分にできると述べている。また、他の企業が失敗している点については、小型であることで乗り越えられるという。Buoyantの最終的な飛行船は、建設に多額の資金と揚力に必要な大量のガスを必要とする数百フィート(数百m)の巨大な飛行船とは違い、約60フィート(約18.28m)の長さしかない。

クラマン氏とフィグラ氏は、MITのハードウェアエンジニアで、宇宙船やアンテナの製作に携わってきた。2人とも、以前の職場では、アラスカのような遠隔地(クラマン氏が育った地でもある)に低コストの通信手段を提供するプロジェクトに取り組んでいた。

Buoyantの創業者であるジョー・フィグラ氏とベン・クラマン氏(画像クレジット:Buoyant)

「ジョーと私がこれらの会社で働いていたときに話していたのは、インターネットだけでなく、実際の商品をこれらの地域に届けるのがいかに難しいかということだった」とクラマン氏はいう。「このような地域では、人々はオンラインで買い物をし、物を送ってもらっている。届くまでに何週間も何カ月も待たされることもある」。

クラマン氏は、Y Combinator参加時は、既存のプロトタイプに近い飛行船を作ることを想像していたと付け加えた。例えば、アマゾン(Amazon)のラストマイル配送ができる小型の機体だ。

「多くの企業と話をした結果、地方のラストマイルよりも地方のミドルマイルの方がはるかに大きな問題であることがわかった。例えば、ある地域に5000人の人が住んでいるとすると、その中の1人にラストワンマイルの配達を委託することができる。しかし、メインハブからその場所まで配達物を届けるのは、実際にはとても困難で、とにかくお金がかかる」。

この問題を解決するために、Buoyantは「ハイブリッド」なバッテリーを用いた電気飛行船を開発した。つまり、揚力の約70%を空気より軽いガス(この場合はヘリウム)で発生させる。残りの30%の揚力は、ティルトローター(垂直/短距離離着陸のための手法の1つ)の構造によるものだ。Buoyantによると、このハイブリッド設計により、貨物を降ろす際の困難な問題を解決することができる。ティルトローターを採用したことで、離着陸の際にヘリコプターに近い運用が可能になるからだ。

 

しかし、ヘリコプターには、カーボンファイバーやステンレススチールでできた1500~1万ポンド(約680〜4535kg)の重量を持ち上げる能力が必要だが、Buoyantの飛行船は、有効荷重自体とその機体の重量を持ち上げるだけで済む。これにより、資本コストを削減できるだけでなく、最終的には自律的に飛行することを目指して開発を進めているため、パイロットを使用する必要もない、とBuoyantは述べている。

Buoyantは、これまでに4隻の飛行船を試作し、飛行させてきた。最も最近飛行した小型スケールの船は、長さ20フィート(約6m)、最高時速35マイル(時速約56km)、積載量10ポンド(約4.5kg)だが、最終的な目標は、時速60マイル(時速約97km)前後の巡航速度で最大650ポンド(約294kg)の貨物を運搬できる飛行船を作ることだ。

この飛行船は、Part 107のライセンス(米国でドローンなど、航空機を飛行時に必要なライセンス)を取得して運航している。同社が顧客へのサービスを開始するには、飛行船の耐空性を証明する型式証明と、飛行船を操縦するグループに対する操縦証明の2つの証明を取得する必要がある。「どちらも多くの飛行時間を必要とするが、これが私たちの主な開発活動になる」とフィグラ氏はHackerNewsで述べている。

今後の予定としては、飛行制御システムの改良を続け、数カ月後には小型スケールのプロトタイプでフィールドデモを行う予定だ。Buoyantは、来年には実物大の試作機を作りたいと考えており、その際には自社で製造する可能性が高い、とクラマン氏は語っている。

Buoyantにとって、アラスカの地方航空会社を含む、複数の可能性のある顧客との間で交わした500万ドル(約5億4900万円)相当の趣意書を正式な契約に結びつけるためには、この先のいくつかのステップがとても重要になる。

また、今秋には小型スケールのプロトタイプ、1年後には実物大の機体で、いずれも物流・宅配会社を対象とした2つのパイロットプログラムを予定している。

「人間はコンピューターが登場する前から飛行船を建造していたし、空気力学を理解する前から飛行船を建造していたので、人類が飛行船を建造してきた期間の長さだけでもアドバンテージがある」とクラマン氏は付け加えた。「そこにはたくさんのデータがある。飛行船の開発が止まったわけではない。人類は基本的に、100年以上にわたって継続的に飛行船を開発してきた」。

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画像クレジット:Buoyant

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アジア全体で心のケアをより身近にしたい遠隔メンタルヘルスケアのIntellectが約2.4億円調達

シンガポールを拠点とし、アジアでのメンタルヘルスケアをより身近なものにしたいと考えているスタートアップ「Intellect(インテレクト)」は、プレシリーズAで220万ドル(約2億4000万円)の資金を調達したと発表した。Intellectは、8月末にデモデーを開催する予定のY Combinator(Yコンビネータ)の現在のバッチに参加している。

今回の資金調達は、再出資となるInsignia Venture Partnersがリードし、Y Combinator、XA Networkの他、Rainforest(レインフォレスト)の共同創業者であるJ.J.Chai(J・J・チャイ)氏、PreneeticsおよびCircleDNAの創業者であるDanny Yeung(ダニー・イェン)氏、Google(グーグル)のグローバルHRオペレーション担当ディレクターであるGilberto Gaeta(ジルベルト・ゲータ)氏などのエンジェル投資家が参加した。

これにより、Intellectの1年前の立ち上げからの資金調達額は、同じくInsigniaが主導した2020年12月に発表されたシードラウンドを含め、300万ドル(約3億3000万円)となった。

関連記事:メンタルヘルスをタブー視するアジアの文化に挑むIntellect

Intellectは主に2つの製品スイートを提供している。認知行動療法(CBT)をベースにしたセルフガイドプログラムを提供するコンシューマー向けアプリと、オンラインのセラピープログラムや遠隔医療サービスを提供する雇用者向けのメンタルヘルス福利厚生ソリューションだ。現在、アプリのユーザー数は250万人を超え、同社はFoodPanda(フードパンダ)、Shopback(ショップバック)、Carousell(カルーセル)、Avery Dennison(エイブリィ・デニソン)、Schroders(シュローダー)、政府機関など、20社の企業顧客を抱えているという。

創業者兼CEOのTheodoric Chew(テオドリック・チュー)氏はTechCrunchに対し、Intellectの利用率は従来のEAP(従業員支援プログラム)ヘルプラインソリューションよりも高いと語った。同社のメンタルヘルスベネフィットソリューションは、従業員数5000人以上の企業に採用された後、平均して3カ月以内に約20%から45%のエンゲージメントが得られている。

アジアの多くの文化では、メンタルヘルスの問題に対する強い偏見がいまだに残っているが、新型コロナウイルスパンデミックの精神的な影響に人々が対処し続けていることから、この1年半で変化してきたとチュー氏はいう。「個人から企業、保険会社、政府まで、さまざまな人々や組織が、今日、個人や組織レベルでのメンタルヘルスケアを非常に迅速に優先しています」。

Intellectはゼロ知識暗号化によりユーザーのプライバシーを保護しており、同社や雇用主は、ユーザーの記録や、コーチやカウンセラーとのコミュニケーションにアクセスすることはできない。雇用主と共有されるインサイトはすべて集約および匿名化される。チュー氏によると、同社はISO、HIPAA、GDPRといった主要なデータプライバシー規制にも準拠しているという。

Intellectは現在、シンガポール国立大学、キングス・カレッジ・ロンドン、クイーンズランド大学、シンガポール総合病院などの機関と10件の共同研究を行っている。これまでの研究では、ユーザーの精神的な安定、ストレスレベル、不安感の改善が実証されているとのこと。

今回の調達で得られた資金は、より多くのアジア市場に進出するために使用される。Intellectは現在12カ国でサービスを提供し、11言語に対応している。

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画像クレジット:d3sign / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

睡眠中の脳卒中も早期に警告、治療開始までの時間を短縮するZeitのウェアラブルデバイス

脳卒中のリスクがある人は、進行中の脳卒中の兆候に常に注意を払っているが、寝ているときに注意を払うことは誰にもできない。つまり、何千人もの人が「目覚めたときの脳卒中」に見舞われ、数時間後にようやく判明するということだ。Zeit Medicalが開発した脳モニタリングウェアラブルは、脳卒中の兆候を早期に発見して病院に搬送することで、脳卒中によるダメージを軽減し、命を救うことができる。

数十年前までは、脳卒中の患者を助けるためにできることはほとんどなかった。しかし、90年代には有効な薬が使われるようになり、その少し後には外科手術も行われるようになったのだが、それらはいずれも脳卒中発症後数時間以内に処置する必要がある。

Orestis Vardoulis(オレスティス・ヴァルドゥリス)氏とUrs Naber(ウルス・ネーバー)氏は、脳卒中に関する911コールから被害者が必要な治療を受けるまでの時間を短縮するために、多くのリソースが使われているのを知り、Zeit(ドイツ語で「時間」の意)を立ち上げた。同社は、Y CombinatorのSummer 2021グループに参加している。

「以前は何もできなかったが、突然、いかに早く病院に行けるかが重要になってきた」とネーバー氏は語る。「脳卒中になると、すぐに脳が死滅し始めるため、時間が最も重要だ。911番通報から搬送までにかかる時間、そして病院の扉を開けてから治療にあたるまでの時間を短縮しようと多くの人が力を注いできたが、誰も911番通報の前に起こる時間には対応していない。だから、イノベーションが必要な分野だと思った」。

本人が気づかないうちに脳卒中を発見できれば、救急車が呼ばれるよりもずっと前に、本人や周囲の人に警告して病院に搬送することができる。しかし、これを実現するためには、手術室での作業が必要となる。

EEG信号の特性が変化した場合、このアルゴリズムによってすばやく検出することができる(画像クレジット:Zeit)

手術を行う外科医や看護師は、患者のバイタルを注意深く観察し、脳波から脳梗塞の兆候を見極めることができる。

「脳波には特定のパターンがあり、彼らはそれらを目で捉えられるように訓練されている。私たちは、最も優秀な神経学者から、彼らがこのデータをどのように視覚的に処理するかを学び、それを自動的に検出するツールを作った」とヴァルドゥリス氏はいう。「この臨床経験は本当に役に立った。というのも、彼らが信号内の特徴を定義付けするのを助けてくれたおかげで、何が重要で何が重要でないかを決定するプロセスの進行を加速させることができたからだ」。

チームは、脳からの関係する信号をモニターするコンパクトなEEGを内蔵した、柔らかいウェアラブルヘッドバンドを作った。このデータがスマートフォンのアプリに送られ、前述のパターンで訓練された機械学習モデルによって分析され、何かが検出されると、ユーザーと事前に指定した介護者にアラームが送られる。また、自動的に911に通報するように設定することもできる。

「私たちが分析したデータの大部分は手術室から出てきたものだ」とヴァルドゥリス氏は語る。このデータをすぐに整合性チェック用データと照合することができる。「その結果、手術室で発生した事象を偽陽性ゼロで確実に捉えることができるアルゴリズムがあることがわかった」。

この結果は、複雑な変数が少ない家庭でも活用できるはずだとのこと。それを実験するために、すでに一度脳卒中にかかったことのある、ハイリスクと言われる人たちのグループと協力して進めている。脳卒中やそれに関連する症状(臨床的にはさまざまなカテゴリーに分類される)が発生した直後の数カ月間は、2回目が多発する危険な時期だ。

画像クレジット:Zeit

「現在、ヘッドバンドと携帯電話をセットにした研究用キットを、研究に参加している人たちに届けている。ユーザーは毎晩それを装着している」とヴァルドゥリス氏はいう。「我々は、2023年のどこかのタイミングで商業化できるような道筋を準備しているところだ。この認可を得るために必要な臨床証明を明確にするため、現在FDAと協力して動いている」。

脳卒中のリハビリテーションを行うBrainQと同様に、彼らのものも「画期的なデバイス」の分類に位置づけられており、試験や認証を迅速に進めることができる。

「まずは米国での販売を開始するが、世界的にもニーズがあると考えている」とネーバー氏はいう。「高齢化がさらに進み、障害者介護のサポート体制がさらに整っていない国もある」。このデバイスは、これまで定期的に病院に通わなければならなかった多くの人々にとって、在宅介護や障害者介護のリスクとコストを大幅に低減することができる。

現在の計画では、データと協力してくれるパートナーを集め続け、大規模な研究を準備することになっている。この研究は、このデバイスを直販から、費用払い戻しの適用(保険適用など)の対象にするために必要なものだ。また、現在は脳卒中に焦点を当てているが、このメソッドは他の神経疾患の検査にも応用できるはずだ。

「将来的には、脳卒中のリスクがある人全員にこのデバイスが支給されるようになることを期待している」とヴァルドゥリス氏は述べている。「私たちは、このデバイスが脳卒中の治療において現在欠けているパズルのピースであると考えている」と述べている。

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画像クレジット:Zeit

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Akihito Mizukoshi)

人間が行うアプリのテスト手順を自動スクリプト化するtestRigor

人間のQAテスターが開発中のアプリをテストする際に行う一連のアクションを平易な言葉で入力すると、自動テストスクリプトができ上がる。Y Combinator(Yコンビネーター)の2021年夏のコホートメンバーであるtestRigor(テストリガー)という会社が実現したのは、まさにそういうことだ。このアーリーステージのスタートアップは米国時間8月24日、410万ドル(約4億5000万円)のシード資金調達ラウンドを実施したと発表した。

今回のラウンドに参加した投資家には、FlashPoint VC(フラッシュポイントVC)、Y Combinator、PTV、Phystech Ventures(フィズテック・ベンチャーズ)、および複数の個人が含まれる。同社はこれまでに、30万ドル(約3300万円)のエンジェル資金調達と70万ドル(約7700万円)のプレシード資金調達を行っているので、現時点までに調達した資金の総額は510万ドル(約5億6000万円)となっている。

testRigorの優れているところは「スタートボタンをクリック」「ストップボタンをクリック」といった一連の手順を入力すると、testRigorがそれをコード化し、自動的にスクリプトを実行して、アプリケーションの合否を報せてくれることだ。

「(testRigorは)指示した手順を実行し、簡潔に合否を判定します。もし不合格になった場合は、何が問題だったのかを教えてくれるので、JIRA(ジラ)のチケットを作成してその場で修正したり、問題を再現するための手順を示すことができます。(中略)そしてこれが実際に、私たちの最も価値を提供するところなのです」と、共同設立者でCEOのArtem Golubev(アルテム・ゴルベフ)氏は説明する。

このプロセスをさらにシンプルにするために、同社はテストの手順を記録するためのChromeの拡張機能を作成した。また、人々がどのようにアプリを使用しているかを判断する分析結果に基づいて、自動的にテストを作成し、最も人気のある機能をテストすることもできる。

後者の機能は「行動テスト」と呼ばれている。「私たちは言葉通り、分析スクリプトを導入しており、エンドユーザーが実際の環境でどのようにアプリケーションを使用しているかに基づいて、システムが自動的に(テストを)作成します」と、ゴルベフ氏は述べている。

testRigorは現在、Netflix(ネットフリックス)をはじめ、フォーチュン500社を含む約100社の顧客を抱えており、22人の従業員が働いている。そのうち12人は2021年採用された。ゴルベフ氏は年内に30人にまで増やしたいと考えている。同氏によれば、雇用には苦心しており、Y Combinatorに参加した理由の1つは、その分野で支援を得るためだったという。

「雇用という問題を解決するために私は走り回っているのですが、YCがこの分野で役立つということを知りました。当社の最大の問題は、すぐに採用できないことです」と、ゴルベフ氏はいう。その点では、YCに参加したことが確かに役に立つと、同氏は考えている。

採用難に直面しているにもかかわらず、ゴルベフ氏は「多様な人材を採用する必要がある」と考えており、22人の従業員のうち約40%が女性であるとのこと。多くの企業が偏見のために良い人材を逃していると、同氏は考えているという。「私が見てきたのは、人々が非常に大きな偏見を持っているために、自分の思い描くプロフィールに一致しない非常に優秀な人材を見逃しているということです」と、ゴルベフ氏は語る。

ゴルベフ氏は、新型コロナウイルス流行前にtestRigorをリモート会社として起ち上げ、今回のような資金調達ができたらオフィスを開設しようと考えていたが、今は100%リモート会社になることを決意しており、完全リモート企業であるGitLab(ギットラブ)を、会社を成長させる上でのモデルとして見ているという。

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画像クレジット:Artis777 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

すべての歯科医を虫歯を迅速に見つける「スーパー歯科医」にすることを目指すAdra

ヘルスケアのさまざまな分野がそうであるように、歯科も着々とテクノロジーを取り入れている。その多くは歯科矯正の分野だが、Adraなどのスタートアップは歯科医の日々のワークフロー、特に虫歯の発見にAIを活用しようとしている。2021年に世界の歯科医療の市場規模は4350億8000万ドル(約47兆6800億円)になると見られている。

シンガポールを拠点とするAdraは2020年に構想を開始し、2021年に創業した。共同創業者のHamed Fesharaki(ハメド・フェシャラキ)氏は歯科医として10年以上のキャリアがあり、シンガポールで2カ所の医院を経営している。

フェシャラキ氏によれば、歯学部でX線画像の読み方は習うがきちんと読めるようになるには数年かかるという。また歯科医は患者の間を飛び回っているので、X線画像を読む時間が数分間しかないこともしばしばだ。

こうしたことから、共同創業者のYasaman Nematbakhsh(ヤサマン・ネマトバクシュ)氏によれば、歯科医は最大40%の確率で虫歯を誤診するという。同氏のバックグラウンドはイメージングで、見えにくいガンをAIで特定する機器を開発していた。フェシャラキ氏はこれを歯科にも応用できるのではないかと考えた。

フェシャラキ氏はTechCrunchに対し、Adraは経験豊富な歯科医のような見方を提供することですべての歯科医を「スーパー歯科医」にしようとしていると語った。同社のソフトウェアを使うと歯科のX線写真から虫歯などの歯の問題を短時間で検出でき精度は25%向上するため、歯科医院ではその分患者により良い医療を提供し収益を増やせる。

Adraのソフトウェアのサンプル(画像クレジット:Adra)

フェシャラキ氏は「我々は経験豊富な歯科医の視点を活かし、X線写真を画像に変換することによって問題点を表示して、何に着目すればいいかを理解できるようにします。最終的に判断するのは歯科医ですが、我々が経験的な要素を取り入れることで歯科医が比較検討をするのに役立ち、助言を提供できます」と述べた。

問題のある箇所とその程度をすばやく示すことで、歯科医は治療法を決めることができる。例えば詰め物をするのかフッ素を使うのかしばらく様子を見るのか、ということだ。

もう1人の共同創業者であるShifeng Chen(シーファン・チェン)氏とともにAdraはYコンビネーターの夏学期を終了し、これまでに25万ドル(約2700万円)を調達した。フェシャラキ氏は、正式にシード資金調達を実施しエンジニアを増やしてユーザーエクスペリエンスの向上や機能の追加に取り組む意向だ。

同社はいくつかの歯科医院で試験運用をしており、米国食品医薬品局の認可取得に向けて試験をする医院をさらに増やしたい考えだ。フェシャラキ氏は認可を受けるまで6〜9カ月かかるだろうと予測している。認可の後、2022年後半か2023年前半に製品として販売を開始できるだろう。

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画像クレジット:Adra

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

コンピュータビジョンとAIで服のフィット感をより正確に見られる仮想試着室「Revery.ai」

ウェブサイトで洋服のサイズやフィット感を確認する作業は、時としてオンラインショッピングの楽しみを奪ってしまう。そこでRevery.aiは、コンピュータビジョンとAIを活用したツールを開発し、より良いオンラインドレッシングルーム体験を実現しようとしている。

イリノイ大学Center for Computer ScienceのアドバイザーであるDavid Forsyt(デビッド・フォーサイス)博士の指導のもと、博士課程の学生であるKedan Li(ケダン・リー)氏、Jeffrey Zhan(ジェフリー・チャン)氏、Min Jin Chong(ミン・ジン・チョン)氏からなるチームは、既存のカタログ画像を利用して、従来のバーチャルドレッシングルームでは困難であった、毎週100万着以上の規模の処理を行う初めてのツールを作成しているとリー氏はTechCrunchに語った。

Revery.aiの共同ファウンダーのジェフリー・チャン氏、ミン・ジン・チョン氏、ケダン・リー氏(画像クレジット:Revery.ai)

カリフォルニアを拠点とするReveryは、Y Combinator(Yコンビネータ)の2021年夏のコホートに参加しており、8月末のプログラム終了を目指している。YCは、同社に12万5000ドル(約1370万円)投資している。リー氏によると、同社はすでに2年間のランウェイを持っているが、150万ドル(約1億6500万円)のシードラウンドを調達することで成長を加速させ、大手小売業者に対してより成熟した企業であることをアピールしたいと考えているという。

Reveryの前には、リー氏はパーソナライズされたメールの分野で別のスタートアップに取り組んでいたが、すでに大手レガシー企業の無料版があったため、うまく機能させることができなかった。独占が少なく、テクノロジーを収益化できる分野を探していたところ、ファッションに興味を持ったという。別のアドバイザーと協力してワードローブコレクションを始めたが、そのアイデアは頓挫してしまった。

チームは、フォーサイス教授との共同作業でエンジンがかかり、すでにウェブサイトに画像を掲載しておりユーザーはいるが、コンピュータビジョンの側面を求めていたB2B顧客をターゲットに、技術のイテレーションを数回行っている。

多くの競合他社は、3Dモデリングや画像を手作業で加工してモデルに重ね合わせる方法を採用しているが、Reveryはディープラーニングとコンピュータビジョンを活用することで、服のドレープ性を高め、さらにユーザーは肌のトーンや髪型、ポーズなどをカスタマイズして自分に似せたモデルを作ることができる。また、完全に自動化されており、何百万ものSKUを扱うことができ、数週間で顧客に提供することができる。

同社のバーチャルドレッシングルームは現在、東南アジア最大級のファッション企業であるZalora-Global Fashion Groupを含む多くのファッションECプラットフォームで利用されている、とリー氏はいう。

Revery.aiランディングページ(画像クレジット:Revery.ai)

「こんなに良い結果が出ているのはすごいことです」と彼は付け加えた。「お客様からは、3〜5倍といった、これまでになかったような高いコンバージョン率の報告を受けています。ZaloraでABテストを行ったところ、380%の増加が見られました。これから当社の技術をZaloraのすべてのプラットフォームに展開していくことを大変うれしく思っています」。

この技術は、2020年、パンデミックの影響でオンラインショッピングが急増した時期に登場した。米国だけでも、2020年にはファッションリテール売上高の29.5%をeコマースファッション業界が占めており、2021年に同市場の価値は1000億ドル(約11兆円)に達すると予想されている

Reveryは「オンラインレースで勝つためのロードマップにこれを入れている」40社以上のリテーラーとすでに交渉中です、とリー氏はいう。

同社はこれからの1年、より多くの顧客に採用され、本番運用を開始することに焦点を当てている。競合他社との差別化を図るために、リー氏は、リテーラーから求められているボディタイプ機能を搭載したいと考えている。このような技術は、多様な体型のモデルがあまり存在しないため、難度が高いと彼は語った。

Reveryがユーザーにアバターを作成して服の見え方を確認できる機能を提供するためには、自社で独自のデータを収集する必要があると同氏は考えている。

「もしかしたら今見ているのは実際に大きな波の始まりで、そのニーズに応える適切な製品を私たちは持っているのかもしれません」と彼は付け加えた。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

KaiPod Learningは今後も「ラーニングポッド」が定着すると考えている

「ラーニングポッド」はその登場以来.EdTechの世界で議論の的となってきた。これはマイクロスクール、パンデミックポッド、少人数グループ学習などと同義で、同じ年齢層の子どもが少人数で集まり、そこに指導員がついて、学校教育の代替または補完を目指すものだ。

2020年、学校の授業がビデオ中心になり、働く保護者が子どもにとってもっと魅力的で1人ひとりに合わせた教材で補いたいと求めたことから、ラーニングポッドのコンセプトがスタートした。一部のEdTechの起業家は、在宅で学ぶ子どもたちの新しい波が到来しラーニングポッドを利用できる裕福な家庭に恩恵があるだろうと予測した。Tyton Partnersの推計によると、2020年に700万人が補習ラーニングポッドに申し込み、家庭学習の支出は120億ドル(約1兆3000億円)になったという。

最初のラーニングポッドが登場してからおよそ1年が経った今、Yコンビネーター出身のスタートアップがこの急成長した学習モデルで学校教育のような役割を担い始めている。Pearson Online Learningの最高製品責任者だったAmar Kumar(アマール・クマール)氏が創業したKaiPod Learningは、在宅で学ぶ子どもを対面式の補習ラーニングポッドとつなぐサービスを開始した。

ボストンを拠点とするKaiPodは、対面でのやりとりをカリキュラムに取り入れた、オンラインで学ぶ子どもとラーニングポッドのための頼れるプラットフォームを目指している。同社はまず既存のカリキュラムのテコ入れを必要としている在宅学習の家族をターゲットにする。

KaiPodは、Sora Schoolsのようなバーチャルのマイクロスクールや地域が用意する在宅学習プログラムなど、子どもにとって最適なオンラインスクールを選ぶ保護者のサポートからサービスを開始している。これにより、子どもたちはこれまでの学校の代替として最低限の要件を満たすオンラインスクールを利用できるようになる。さらに同社は、オンラインスクールを利用する子どもにとってのコワーキングスペースのようなサービスを提供しようとしている。

クマール氏は「クラウドで社会性を育むことはできず、クラウドで子育てをすることもできません。これらは保護者が学校に期待することです。すべてをオンラインに移行したためにこうしたことが排除され、優先順位が適切でなかったことが明らかになっています」と述べた。

子どもたちは近隣のKaiPodセンターに行き、そこでラーニングコーチとコミュニケーションをとる。ラーニングコーチとは、教員でありキャンプカウンセラーでもあるとクマール氏が定義する役割だ。

コーチはオンラインの学習課題を通じて支援する一方、学校生活における社会性を取り戻す活動も指導する。ラーニングコーチはセンターでさまざまなカリキュラムを担当するが、KaiPodが成長するにあたってはこのことが品質を保証する上での難題になるかもしれない。

広い意味ではKaiPodはバーチャルスクールで学ぶ子どもが実際の学校に行く支援をしているが、状況に応じて柔軟性と多様性を持たせている。例えばある子どもは別の子どもとはまったく異なるカリキュラムで学んでいるかもしれない。つまり物理的な場所は講義のために使われるのではなく、子どものモチベーションを上げて個別の学びを共有するソクラテス式問答スタイルのゼミに使われるかもしれない。

教育におけるWeWorkなのか

クマール氏はこうしたことをラーニングポッドのインクルーシブなアプローチであると考えている。教育と同時に子育てでもあるからだ。センターは週に5日、朝8時から夕方5時30分までオープンしている。

同氏は、校外の補習モデルが学びの豊かさにつながる例として公文式を挙げた。公文式は1カ所のセンターから始まり、最終的にはフランチャイズモデルによって放課後に指導をする企業として世界最大級になった。

KaiPodの成功に関して重要なのは、コロナ禍によって関心が高まった在宅学習が今後定着するかどうかだ。National Center for Education Statistics(全米教育統計センター)によると米国で2020年から2021年に在宅学習をしている家庭の割合は3倍になったが、この数字は学校に戻ることによる変化を完全に反映しているわけではない。

KaiPod Learningは2021年に8人の子どもを集めたパイロットプログラムをボストンで実施した。クマール氏は、あるラーニングコーチがゲーム中にミドルスクールの生徒1人に学習障害が疑われる兆候を見つけ、これは少人数制で指導者が「講義形式の授業よりも子どもたちと深く関わっている」ことの表れだとした。KaiPodは今後数カ月以内にさらに5〜7カ所のセンターを開設する予定だ。

クマール氏は「我々の知名度が上がれば他の州の起業家も我々のプレイブック(つまりフランチャイズモデル)を利用したセンターの開設を希望すると考えています。愛情を込めて『KaiPod OS』というコードネームで呼んでいる我々のテクノロジーレイヤーでそうした人々を支援できます」と述べた。センターを開設する場所は、KaiPodが誰に販売をするのか、また社会経済学的にさまざまなバックグラウンドの家族が利用するかどうかを示すことになるだろう。

同氏は「現時点では教育におけるWeWorkのようなものになることに関心はありません。センターは家庭が子どもを預け、立ち寄り、ポッドで何をしているかを知ることのできる便利な場所であると考えてください」と語った。

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画像クレジット:Witthaya Prasongsin / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)

Paladinが初の行政向け緊急対応ドローン「ナイトホーク」を発売

緊急対応は一刻を争うものだ。火災が発生したりクルマが衝突した時、数秒が生死を分けることもあり、状況は制御不能になる。消防と警察にとって、気まぐれな交通渋滞と不完全な道案内の中でチームを現地に派遣することは大きな課題だ。

テキサス州ヒューストン拠点のスタートアップPaladin(パラディン)は、都市が緊急事態により早く、より良いデータを得て対応するために、ドローンによるハードウェアとソフトウェアのソリューションを開発している。同社は数年の開発期間を経て、同社はKnighthawk(ナイトホーク)とWatchtower(ウォッチタワー)という製品を公開した。

Knighthawkは緊急対応人員の特別なニーズに応えるために設計されたカスタムメイドのドローンだ。2台のカメラ(1台が光学10倍ズーム、1台がサーマル)を備え、昼夜を問わずわずか0.5秒の遅延で刻々と変化する現場の状況を高画質動画で伝える。重要なのは、ドローン飛行時間が55分間あるので何マイルも離れた場所にも到達できることだ、と同社は言う。離陸までの時間は911通報が届いてから数秒以内だ。

日中飛行するPaladin DronesのKnighthawk(画像クレジット:Paladin Drones)

ドローンを操縦して動画を見るためには、同社のソフトウェアWatchtower(アプリとして提供)を使い、マップ上で緊急現場と思われる場所にピンを置いてドローンを向かわせる。到着したら、アップロードされた動画はアプリ上だけでなく既存のコンピュータ化された911センター配備システムにも送られる。

Paladin DronesのWatchtowerを使って操縦者はKnighthawkドローンを誘導、操作して動画を見ることができる(画像クレジット:Paladin Drones)

この一般公開は同社にとって大きな一歩だ。TechCrunchが2019年に取り上げた時、会社はY Combinatorから登場したところで、Khosla、Correlation Ventures、Paul Buchheit氏らからシード資金を受け取っていた。当時の目標は、市販のDJIドローンに統合するソフトウェアの開発だった。Paladinが実験していたAndroidアプリでは、操縦者がマップにピンを置いてドローンを誘導していた。

しかしそのバージョンはその業務には不十分だったことがわかった。CEOで共同ファウンダーのDivy Shrivastava(ディビー・シュリバスタバ)氏は、プロダクトの開発が進むにつれ会社はハードウェアも持つ必要があることがわかった。「私たちが使っていたドローンは自動運転向けに作られてはいませんでした」と彼はいう。「結局ドローンには私たち自身の通信技術を組み込みました、接続が途切れないようにするためです」。

CEO・共同ファウンダーのDivy Shrivastava(ディビー・シュリバスタバ)氏(画像クレジット:Paladin Drones)

2018年の創業以来、同社のドローンは約1600件の緊急事態に対応したと同社の内部データはいう。彼らはヒューストンのMomorial Villagesとオハイオ州のOrange Twonshipという2カ所の現場で途方もない時間を費やしたが、1日数件決められた時間帯に緊急通報に対応するだけだった。

その制約が、このドローンスタートアップにとって最大の障壁の1つを示唆している。規制だ。FAA(連邦航空局)は操縦者の目視範囲に関して厳格なルールを定めている。完全にシームレスで簡単に配備できるシステムのビジョンを実現するために、Paladinは膨大なデータを集めてFAAに申請し免除を受ける必要があった。FAAは「First Responder Tactical Beyond Visual Line of Sight」、その他の関連する例外規定に沿って認可する。これまでにPaladinは同社が運用している2都市で正式な目視見通し免除を得ており、シュリバスタバ氏は、今後同社製品を購入する新しい都市でも使える繰り返し可能なプロセスを開発できたと自信を持っている。

インストールは比較的簡単だとシュリバスタバ氏はいう。ドローン自身はどこにでも、駐車スペースに置くこともでき、通常は警察または消防署に設置される。ドローンが地形を分析したり周辺を理解するための特別なハードウェアやセンサーやガイドラインを設置する必要はない。911通報受信者が使用するコンピューター管理の配備システムにドローンを統合するためには何らかのソフトウェア統合が必要になる。

一般公開され、これまで以上の実績を示さなくてはならない今、会社は売上の上昇に注力すると共に「私たちの長期的目標はすべての消防、警察、緊急対応機関が当社製品を使うことです」と言っている。

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画像クレジット:Paladin Drones

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ザンビアから初めてY Combinatorに入学したスタートアップがアフリカ初のカード発行APIを開発

過去10年間、40以上のスタートアップがアフリカの国々からY Combinator(ワイ・コンビネーター)にやってきた。米国時間8月5日、ザンビア共和国がそのリストに加わり、初の参加企業となった Union54(ユニオン54)は最初をかざるにふさわしいスタートアップだ。

Union54(54はアフリカの国家数にちなんだもの)は、Perseus Mlambo(パースース・ムランボ)氏とAlessandra Martini(アレサンドラ・マーティニ)氏が立ち上げたフィンテック企業だ。同社はアフリカ初のカード発行APIの提供を目指して今年創業したばかりだ。しかし、Union54は突如現れたわけではない。2人が以前たちあげたスタートアップ、Zazu(ザズ)から生まれたたプロジェクトだ。

Zazuは2015年にザンビアでチャレンジャー・バンクとして設立された。アフリカ大陸のフィンテックがみなそうであるように、Zazuはユーザーがウォレットにつなぐことのできるデビットカードを自ら発行しなければならなかった。Zazuは国の提携銀行がカードを発行するまで数ヶ月またされることがほとんどだった。18ヶ月待たされたこともある、とムランボ氏は言った。

そんな中、2人のファウンダーは自身でカードを発行するために地域の銀行と交渉を開始した。しかし、銀行の対応は無気力だった。「処理業者や銀行には私たちの質問に答える能力も、私たちが求めていたプロダクトを提供する能力もないことがわかりました」とムランボ氏が本誌のインタビューに答えて語った。

そこでスタートアップはMastercard(マスターカード)を直撃した。カードを発行する会社と交渉できるのに銀行を待つ必要などない、ということた。最終的に同社は、Mastercardプリンシパル・メンバーシップを獲得した自称アフリカ初のフィンテックになった。

プリンシパル・メンバーになったZazuはカード発行銀行として活動する資格を得た。言い換えれば、彼らはデビットカードを発行できるようになり、それはアクワイアラーとして取引処理サービスを提供できることを意味する。

その過程でファウンダーらは、アフリカのフィンテックを本格的に推進するためには、どの国のフィンテックでも簡単にバーチャルまたはプラスチックのデビットカードを発行できるようにすることが不可欠だと気づいた。そこでチームはZazuからUnion54をスピンアウトさせた。 現在同プラットフォームには、プログラム可能なデビットカードをどのフィンテックでも発行できるAPIがいくつかある。

「私たちはメンバー資格を利用して、自身でカードを発行したいアフリカのフィンテックの支援もできるようになりました。当社に来てAPIを手に入れるだけで、長い時間交渉することなく今すぐ行動に移せます」とアフリカの他のフィンテックにサービスを提供することについてムランボ氏は語った。

同社のターゲットは、バーチャルまたはプラスチックのカードを発行するために数十万ドルもの初期費用を使いたくないフィッテックだとCEOは語る。Union54は、BIN(銀行識別コード)の付与、管理・調停プログラムなどを行うAPIを通じて数週間でカードを発行できると言っている。

こうしてUnion54は、アフリカ初のカード発行APIを謳う権利を得た。このチャンスに目をつけたフィンテックはほとんどない。多くの会社が決済ゲートウェイからウォレットまでその他のさまざまな分野に焦点をあててきた。興味深いのは、これらの分野の大物たちが結局は自社顧客にバーチャルカードやプラスチックカードを作ろうとして複雑な作業に直面していることだ。Union54はそのギャップを埋めようとしている。現在まだベータ段階だが、すでに数多くのお得意様がウェイティングリストに名を連ね、プラットフォームを利用していることを同社は誇っている。

「素晴らしいことに、利用しているのはただの企業はありません、アフリカでトップ5%に入るフィンテックです。そして私は常に、自分たちがアフリカ・フィンテックの黄金世代だと言っています。だから、この分野のリーダーとされる人たちが使うためのカード発行プロダクトにとって今は最適の時期です。これは、人々が毎日使いたいものを私たちが持っている、という意味なのです」とCEOは付け加えた。

ウェブサイトには、 同社のAPIのユースケースが8種類紹介されている:Ledger based(帳簿ベース)、アクワイアラー/ゲートウェイ、バイ・ナウ・ペイ・レイター(後払い)、信用組合、運送会社、デジタルバンキング、クレジットカード管理、および法人カード。

Union54を使用するフィンテックは、カードのデザイン、使用する通貨の設定ができるほか、誰が使うか、何に使うか、いつ使うか、どう使うかが書かれたカタログを作ることもできる。

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フィンテックはUnion54の利用料金をAPIを使用する毎に支払う。プラスチック・カードを作るためには7〜9ドルの固定料金および取引が成立したときの固定料金(非公開)を支払う。

ムランボ氏はYCの2021年夏組に参加したことで、初期の顧客をYCのネットワークから獲得することができたと語った。彼はYCについて、初日から役に立つプログラムだと説明している。

「Union54がザンビアで最初Y Combinatorに参加を許されたフィンテックであることを誇りに思います。アフリカ南部では2番目です。ご存知のように、世界の投資家がアフリカを見る時、アフリカ西部から考えることがほとんどです。私たちがY Combinatorに入ることで私たちの幅広い仮説のごく一部が実証されました。ザンビアのようにフレンドリーな国がアフリカの役に立てるのです」

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画像クレジット:Union54

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

恋に落ちる36の質問(ただし相手は共同ファウンダー)

数カ月間のベータテストを終え、Y Combinator(Yコンビネーター)は共同ファウンダーマッチングプラットフォームを公開した。そこでは起業家たちがプロファイルを作成し、自分自身のことや共同ファウンダーに望むこと、たとえば場所やスキルなどを記入することができる。システムはその情報を分析し、ニーズに合った候補者を何人か選んで提示する。言ってみれば共同ファウンダーのためのTinder(ティンダー)のようなものだ。これまでに4500人の共同ファウンダーの間で9000件のマッチングが出来上がった、とY Combinatorは言っている。

Y Combinatorがこのツールを運用するのに適した立場にあることは明らかだ。このアクセラレーターは、Startup School(スタートアップ・スクール)という人気の無料オンラインプログラムを開設しており、会社を始めたい人なら誰でも、設立に必要なリソースを手に入れ講義を受けることができる。スクールは190か国、23万人のファウンダーからなるコミュニティを作り上げた。このため、マッチングツールの提供はごく自然な流れであり、YCパートナーが新たに芽生えつつある才能を早期に集め、情報収集する場所としても役立っている。中でも、このマッチング・プラットフォームで出会った2つの会社はいずれもY Combinatorの2021年夏学期のメンバーだ。エコシステム万歳!

私の第一感はこうだ。このツールは、気が利いていて需要のあるシンプルなツールとして人々を結びつけることができるだろうが、意味のある形で運用していくのは、みんなが思うよりもはるかに大変だ、YCのように著名で実績のあるアクセラレーターにとってさえも。この後、このツールに関する提案、というよりも私の希望のリストを書いていきたい。January Ventures(ジャニュアリー・ベンチャーズ)の共同ファウンダーであるJennifer Neundorfer(ジェニファー・ニューンドーファー)氏と話して彼女の考えを聞いた後にまとめたものだ。

  1. 共同ファウンダーマッチングツールが最も向いているのは、自分のネットワークを持たず、初期段階で共同作業者を見つける方法を必要としている人たちだ。Startup Schoolは非常に大きいネットワークだが、クラス内の多様化と少数派登用に苦闘しているY Combinatorとしては、ファウンダーをマッチングさせる際にその問題を悪化させない方法を見つける必要がある。性別や民族によるフィルターは可能か?その機能はあるべきなのか? そこは危うい領域だ。
  2. YCは私にこう言った「Startup School参加者には地域年齢に関する情報を、最近追加した性別に関する自由記入テキストボックス以外尋ねていません。そして大部分の人たちは性別情報をまだ記入していません。現在私たちは、この情報を共同ファウンダーのマッチングに使用しています。女性であれば、女性共同ファウンダーを探しているというマークをつけることができ、その場合は共同ファウンダー候補として女性が選ばれる可能性が高くなります」。
  3. 双方が持つ情報が非対称である「逆選択」は実際に起きる。以前ニューンドーファー氏は、共同ファウンダーマッチングツールにはネットワークを持たないファウンダー「のみ」が集まると私に話したが、これは両者の経歴を組み合わせてもまだVCとのミーティングができない場合、あまり意味をなさない。共同ファウンダー・マッチングツールはよい加減の「ゴルディロックス状態」をどうやって見つけるのだろうか。起業家精神に関する鋭いスタートアップ思考を持つスター・プロジェクトマネージャーと、コーディングは大好きだがシリコンバレーにひとりも知り合いのいない大学院生の「両方」をどうやって引きつけるのか?
  4. それは(Tinderのように)右にスワイプするほど簡単ではない。果たしてYCは、マッチングサービス内の共同ファウンダーたちが相性を厳しく吟味する方法を簡単に学べる方法を見つけられるのか?NY Times(ニューヨーク・タイムズ)で人気となった恋に落ちる36の質問は、共同ファウンダー探しにも利用できる。

新ツールを発表したブロク記事で、YCはこの最後の点に言及した。「人はおそらく、1回デートしただけで結婚すべきではないでしょう。同じように、誰かと会社を共同設立するかどうかを決めるためにはビデオ通話が2回以上は必要でしょう」とブログに書かれている。「マッチした候補と実際に顔を合わせ、機会があれば、目的とゴールを明確にした期間限定のテストプロジェクトで一緒に働き、共同ファウンダーとの相性を慎重に吟味することをお勧めします」。

ともあれ、私は応援している。なぜなら、というか、誰でもそうだろう。ニューンドーファー氏はこう言っている「ファウンダーマッチングツールはファウンダーの供給を拡大しファウンダー基盤を多様化する興味深い方法です」。あとはツール群が多様性とアクセシビリティーを考慮して作られているかどうかだけだ。

この記事の後半では、IPO前の会社で起きた珍しい幹部のシャッフル、最新のウェブ・デリバリー・テック・スタックを深堀りしたExtra Crunchの特集EC-1、およびDidi(ディディ)を取り上げる。

Instacartシャッフル

画像クレジット:Instacart

Instacart(インスタカート)は、予定されているIPOを前に、Facebook (フェイスブック)幹部のFidji Simo(フィジー・シモ)氏を新CEOに指名した。食料品デリバリーのスタートアップは最新の評価額が390億ドル(約4兆3040億円)で、現CEOでファウンダーのApoorva Mehta(アプアバ・メフタ)氏は取締役会長に就任する。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

注目ポイントはここだ:上場直前の重要な幹部シャッフルは稀でありかつ疑問符がつく。Instacartのメフタ氏は自身が10年近く前に創業した会社を公開する直前に現職を去ることになる。そして、The Information(ジ・インフォメーション)によると、シモ氏のCEO就任は、Instacartで長らく続いているFacebookの「人材漁り」の最新事例だという。同誌の推計によると、2021年にInstacartは、エンジニア、プロジェクトマネージャー、リクルーター、デザイナー、およびデータサイエンティストの計55人以上をFacebookから引き抜いている。もちろん、シモ氏の新しい仕事は、Facebookが最高ランクの女性幹部を1人失ったことを意味しており、すでに多様性に苦闘している会社にとって見っとも良い話ではない。

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EC-1のNS1特集

画像クレジット:Nigel Sussman

TechCrunchがスタートアップの設立から直面する課題への取り組みまで詳細に分析するEC-1の最新号はNS1を特集している。最新ウェブデリバリー技術スタックの中核を破壊しようとしている会社だ。

注目ポイントはここだ:この記事はITや大企業の仕組みの大ファンではない普通の人たちにとっても一読の価値がある。なぜか?そこでは資金豊富なビッグテック企業とVC支援の大物スタートアップでいっぱいの成熟した市場で、どうやってスタートアップが戦っていくかが書かれているからだ。そして、インターネット・トラフィックの再検討の必要性がなぜニッチな話ではないのかも。

EC-1記事

TechCrunchのEquityチームは今週特にすばらしい仕事をした。私はそこにいなかったので、ここでは多少バイアスの少ない私の言葉を読めるだろう。

注目ポイントはここだ:この回で一番興味深い部分は、Didi、および同社のが中国企業の米国上場に与える影響に関する話題だ。規制の問題には投資家の興味を薄れさせる効果があるが、DidiはTechCrunchがそれを指摘しなければならない唯一の事例ではない。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Y CombinatorInstacartDidi

画像クレジット:ALFRED PASIEKA/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook