買収ラッシュのServiceNowが今度はインドのRPAスタートアップIntellibotを獲得

ServiceNow(サービスナウ)はインド・ハイデラバード拠点のRPA(ロボットによる業務自動化)スタートアップIntellibot(インテリボット)の買収を発表し、RPAを思い切って取りこむ最新の企業となった。両社は買収価格を公表しなかった。

今回の買収は、企業が組織内の業務の自動化に目を向けていることを受けてのものだ。RPAは往々にして人が退屈な繰り返し作業を行うことをともなう一連の古いプロセスを自動化する方法を提供する。

発表はServiceNowの2021年3月初めのノーコードワークフローの発表に続くもので、同社のクリエイターワークフロープロダクト担当のSVPであるJosh Kahn(ジョッシュ・カーン)氏によると買収は社の広範なワークフロー戦略の一環だという。

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「RPAはローコードツール、ワークフロー、プレイブック、150超の統合、機械学習、プロセスマイニング、予測分析を含むServiceNowの現在の自動化機能を増強します」とカーン氏は説明した。今回の買収で企業はRPAをネイティブのものとしてプラットフォームにもってくることができ、それでも顧客が必要とするなら他のベンダーのRPAボットを使うこともできると同氏はいう。

「ServiceNowの顧客はAutomation Anywhere、UiPath、Blue PrismといったRPA専門のベンダーのボットを組み込んだワークフローを構築でき、また当社は引き続きそうした企業との提携を続けます。顧客がインテリジェントでエンド・ツー・エンドの自動化作業をNow Platformで構築するとき、当社のパートナーのRPA機能とともに当社ネイティブのRPA機能を使いたいというケースが多く出てくるでしょう」とカーン氏は説明した。

この買収は、他のエンタープライズベンダーがRPA市場に参入する中で行われた。SAPは2020年12月末に新しいRPAツールを発表し、1月にプロセス自動化スタートアップのSignavioを買収した。一方、Microsoftは2021年3月初めに無料のRPAツールを発表し、この分野は明らかに大手企業の注意を引きつつある。

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ServiceNowはこの1年ほどで、Element AILoom SystemsPassage AISweagleを含む5社を立て続けに買収した。買収はすべて企業が組織内で自動化を構築するのをサポートするサービスだとカーン氏は話す。

「これらすべてのテクノロジーをNow Platformに持ってくることで、当社はより多くの洗練されたユースケースを自動化する能力を向上させます。手書きのものや電子メール、PDFのような書類の非構造化データのより良い取り扱い、そして大きなデータセットやルーティーンでないタスクのようなより弾力性のある自動化などです」とカーン氏は話した。

Intellibotは2015年に創業され、インドにおける強固な足がかりをServiceNowにおまけとしてもたらす。両社は2021年6月までの買収完了を見込んでいる。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

ロンドンのDijaがケンブリッジのGenieを買収し10分で食料品を配達するサービスを英国でさらに拡大

Blossom Capital、Creandum、Index Venturesが支援するロンドンの食料品宅配スタートアップ企業Dija(ディジャ)は、英国ケンブリッジに拠点を置くGenie(ジーニー)を買収した。

買収条件は今のところ非公開だが、Genieの創業者であるTim Chan(ティム・チャン)氏とCallum MacBeth(カラム・マクベス)氏がDijaのチームに加わるほか、Genieの資産も含まれている。Genieを英国の大学都市として知られるケンブリッジで立ち上げた彼らは、ロンドン以外の地域でのDijaの成長をサポートする役割を担うことになる。

長年Deliverooで上級職を務めたAlberto Menolascina(アルベルト・メノラシナ)氏とYusuf Saban(ユーセフ・サバン)氏によって設立されたDijaは、今月初めにロンドンでサービスを開始した。Dijaは、グローサリーやその他のコンビニ商品をオンデマンドで配送する、乱立しているヨーロッパの新興企業のひとつだ。同社は、超ローカルな配送に特化したフルフィルメントセンター、いわゆる「ダークストア」を構築し、独自に配達要員を採用することでこれを実現している。このフルスタックまたはバーティカルなアプローチと、それによってもたらされる可視性によって、ユニットエコノミクスを実現するのに十分なサプライチェーンとロジスティクスの効率性が生み出されると考えられているが、それはまだ証明されていない。

他のダークストア事業者としては、ベルリンのFlink(フリンク)が株式と負債を合わせて5200万ドル(約56億6000万円)のシード資金を調達しているほか、ベルリン拠点のGorillas(ゴリラズ)がシリーズAで4400万ドル(約47億9000万円)の資金を調達しており、最近ではドイツとオランダに加えてロンドンにも進出している。それに加えロンドンで事業展開しているのは、Weezy(ウィージー)Getir(ゲッティアー)Zapp(ザップ)の3社で、Jiffy(ジフィー)も間もなくサービスを開始する予定だ。また、米国のユニコーン企業であるgoPuffも欧州への進出を目指しており、英国のFancy(ファンシー)を買収または投資する交渉を行っていると報じられている

Dijaは現在、サウス・ケンジントン、フルハム、イズリントン、ハックニーの4カ所で倉庫ハブを運営しており、グローサリーやその他のコンビニ商品を10分以内に配達しているという。夏までには、ロンドン中心部とゾーン 2をカバーする20のハブをさらにオープンする予定だ。各ハブでは約2000点の商品を取り扱っており、「推奨小売価格」での販売をうたっている。配送料は1回の注文につき一律1.99ポンド(約300円)だ。

Dijaの共同設立者兼CEOのAlberto Menolascina(アルベルト・メノラシナ)氏は、声明の中で次のように述べた。「当社の野望は、M25(ロンドンの周囲を繋ぐ環状高速道路)の中だけではありません。ティムとカラムがDijaファミリーに加わり、英国やヨーロッパでより多くの人々がこの信頼性と効率性の高いサービスを利用できるようになることを嬉しく思います」。

Genieの共同設立者兼CEOであるTim Chan(ティム・チャン)氏はこう付け加えた。「日用品を数分でお届けするという共通のミッションを継続するために、Dijaのチームと力を合わせられることを嬉しく思います。既存のお客様にとって、今回の取引は、より多くの商品、よりよい価格、そしてより速い配送時間へのアクセスを意味します。これまでにケンブリッジでは非常に大きな反響がありましたが、今後数カ月のうちに英国のより多くの地域にDijaを導入することを楽しみにしています」。

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タグ:フードデリバリー 買収 イギリス

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)

自動運転開発のCruiseが同業Voyageを買収、ロボタクシー商業化へ前進

Udacity(ユーダシティ)のスピンアウトで自動運転車開発のスタートアップVoyage(ヴォヤージュ)がCruise(クルーズ)に買収された。発生期にある産業における統合が続いていることを示す取引だ。

金銭的条件は開示されなかった。Voyageの総勢60人のチームはCruiseに加わり、Voyageの共同創業者でCEOのOliver Cameron(オリーバー・キャメロン)氏はプロダクト担当副社長に就任する。Stellantisと呼ばれるVoyageのFCAとの提携はCruiseによる買収がクローズすれば解消となる。

2017年創業のVoyageは、CruiseやArgo AI(アルゴエーアイ)、Waymo(ウェイモ)、Aurora(オーロラ)といった資金潤沢な企業に比べると零細だった。しかしその規模、そしてわずか5200万ドル(約56億7400万円)の資金調達にもかかわらず、キャメロン氏はVoyageを際立たせた。同社は2つの高齢者居住コミュニティでの事業展開でよく知られている。Voyageはカリフォルニア州サンノゼの4000人が暮らす退職者居住地域と、フロリダの12万5000人が暮らす広さ40平方マイル(約103平方キロメートル)の高齢者居住地域The Villagesでテストを行い、乗車を提供した。

「Voyageのアプローチは、移動のための足を最も必要とする人、つまり高齢者にモビリティを戻すプロダクトを提供するために当社の限られたリソースを活用するというものでした。この目標に向けて当社は大きく前進しました。コミュニティ周辺で数えきれない高齢者(最高齢者は92歳!)に移動手段を提供しました」とキャメロン氏は買収を発表するブログに書いた。「いまCruiseで我々は、ゆくゆくは高齢者だけでなく自動運転サービスの恩恵を受けるあらゆる年齢層の人々にサービスを提供するための十分なリソースを持つことに興奮しています」。

Voyageは2つの高齢者居住地域での事業からすぐさま撤退したりはしない。しかしながらCruiseは、同社が注力しているのはサンフランシスコでの商業事業であることをTecCrunchに繰り返し述べた。Cruiseはタイムラインを示さなかったが、テストや高齢者居住コミュニティでの事業展開はいずれ終了を余儀なくされる。

プロダクト担当副社長というキャメロン氏の役割は、Cruiseがサンフランシスコで商業ロボタクシーサービスを立ち上げる計画に近づいていることの表れだ。Cruiseはハードウェア、ソフトウェア両方のエンジニアを数百人雇ったが、ロボタクシーユーザーの忠実な基盤を構築するのに顧客を獲得する必要がある。キャメロン氏は新たな役割でCruisの自動運転サービスのために顧客との接点をじっくりと考えることになる。

同氏は米国時間3月15日朝のツイートで、CruiseとVoyageの合体を「すばらしい結婚」と表現した。Cruiseが「最も高度な自動運転テクノロジー、ユニークな自動車企業パートナー、初の専用自動運転者を持っている」と指摘した。「Voyageと当社の顧客サービス第一のチームで、我々はともに革新的な自動運転プロダクトを提供します」。

Cruiseは車両開発を進めるための資金を持っている。2021年初め、同社は新規ラウンドで20億ドル(約2180億円)を調達して評価額は300億ドル(約3兆2740億円)となり、投資家ならびにパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わったと明らかにした。Cruiseがテクノロジー商業展開に近づくなか、GM(ゼネラル・モーターズ)とホンダ、他の機関投資家もさらに資金をCruiseに注入した。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:CruiseVoyage買収自動運転ロボタクシー

画像クレジット:Voyage

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンデマンドシャトルのViaがマッピングのRemixを108億円で買収

自治体が交通計画や街路デザインに使っているマッピングソフトウェアを開発したスタートアップRemix(レミックス)は、Code for Americaのフェローシップでのハッカソンから生まれた。産声を上げて7年、サンフランシスコに拠点を置くRemixは現金と株式による取引で1億ドル(約108億円)でVia(ビア)に買収される。

RemixはViaの子会社となり、独立ブランドを維持する。Remixの従業員65人、そして2人の共同創業者、CEOのTiffany Chu(ティファニー・チュ)氏とCTOのDan Getelman(ダン・ ゲテルマン)氏はそのまま社に残る。

この買収により、拡大中のViaの事業に新たなサービスと22カ国にまたがる350超の自治体という顧客ベースが加わる。

Remixの強みはプランニングにある。その一方でViaはソフトウェアとオペレーションに専門性を持っている、とチュ氏は最近のインタービューで述べた。

「2社の強みを持ち寄ることで、交通計画をめぐるアイデアを生み育てて実行に移すまで、個々には成し得なかった方法で我々はエンド・ツー・エンドのソリューションとして確固たる存在になります」とチュ氏は話した。

画像クレジット:Remix

Viaは2012年にオンデマンドシャトル事業者として始まった。2020年シリーズEラウンドで4億ドル(約434億円)を調達した後に評価額が22億5000万ドル(約2440億円)になった同社は当初、消費者に照準を絞って立ち上げられた。

そして3月10日、Viaの基幹事業はソフトウェアとオペレーションプラットフォームだ。これは自治体や交通当局がオンデマンドと固定ルートの交通、補助的交通、スクールバスを計画・予定・展開するのに使われている。同社は24カ国に200のパートナーを抱えている。

ViaはExorから出資を受けている。Exorはイタリアの名門財閥一族アニェッリ家の持ち株会社であり、同社はPartnerRe、Ferrari、Fiat Chrysler Automobiles、Macquarie Capital、Mori Building、Shell 83North、Broadscale Group、Ervington Investments、Hearst Ventures、Planven Ventures、Pitango、RiverPark Venturesの株式も持っている。

偶然的な創業

Remixのシリコンバレー風の創業は、あまりいそうもない起業家たちによってもたらされた。

チュ氏はCode for Americaの1年のフェローシップを完了させるためにサンフランシスコに引っ越した時、Zipcarでユーザーエクスペリエンスのデザイナーを務めていた。フェローシップの半ばでチュ氏と、後の共同創業者ゲテルマン氏、 Sam Hashemi(サム・ハシェミ)氏、Danny Whalen(ダニー・ワレン)氏はサンフランシスコの市民がより良い交通ルートをサンフランシスコ交通当局に提案するのをサポートするためのハッカソンプロジェクトに取り組んでいた。

交通計画ツールはTwitterでシェアされ、クチコミで広まった。そして2週間で3万ものマップが作成された。

「人々がオンラインで探検する、おもしろく予想もしなかったお手軽な交通計画ツールになりました」とチュ氏は回顧した。しかしこれに注意を払ったのは地元市民だけではなかった。約200の都市プランナーがコンタクトを取ってきて、自分たちの交通計画プロジェクトのために当局が使うことになる追加機能を構築して欲しいと依頼してきた。

「草の根的な市民プロジェクトになるはずだったものが実際に交通に関する現実のニーズや問題に適用できると認識しました。我々にとってかなり驚くべき瞬間でした」とチュ氏は述べた。

Remixはその後すぐに設立され、同社の創業者たちはY Combinatorに申し込んで受け入れらた。同社は続いてY Combinator、Sequoia、Energy Impact Partnersからの資金調達で計2700万ドル(約29億円)を獲得した

カテゴリー:モビリティ
タグ:Via買収

画像クレジット:Remix/Via

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Epic Gamesが写真測量ソフトウェアメーカーのCapturing Realityを買収

Epic GamesはUnreal Engine開発者スイートの拡充を目的とした最近の一連の買収により、ゲームインフラのM&Aで急速に支配力を増している。米国時間3月9日、同社は環境やオブジェクトの3Dスキャンを処理する方法を改善するために、写真測量スタジオのCapturing Realityのチームを採用したと発表した。

なお、買収条件は明らかにされていない。

フォトグラメトリーでは複数の写真やレーザースキャンをつなぎ合わせてオブジェクトの3Dモデルを作成し、それを単一のファイルとしてエクスポートできる。コンピュータビジョンの技術が進化し、手動での調整を最小限に抑えられるようになったため、デザイナーは現実世界の環境をゲームに取り込むためにフォトグラメトリーを多用するようになっている。

フォトグラメトリーを使用することで、スタジオ開発者は同じような3Dアセットをゼロから作成するのにかかる時間の何分の一かの時間で、フォトリアリスティックなアセットを短時間で作成できる。フォトグラメトリーは衣類からクルマ、山まで、あらゆるものの3Dアセットをすばやく作成するために使用できる。3D空間に存在するすべてのものをキャプチャーでき、ゲーム機やGPUの出力能力が向上するにつれてレンダリングできるディテールのレベルが向上し、より詳細な3Dアセットを利用する必要性も高まっている。

スロバキアのブラチスラバに拠点を置くCapturing RealityはUnrealに機能が統合されても、独立して運営を続ける。EpicはCapturing Realityのサービスの価格を引き下げ、永久ライセンス料を1万5000ドル(約163万円)から3750ドル(約41万円)に引き下げたことを発表した。スタジオサイトに掲載されているFAQによると、同社は今後もゲーム以外のユーザーをサポートしていくという。

なお2019年にEpic Gamesは、開発者がアクセス可能な写真測量「メガスキャン」のライブラリをホストするQuixelを買収している。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Epic Games買収フォトグラメトリーCapturing Reality

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Dropboxがセキュアなドキュメント共有スタートアップDocSendを179.2億円で買収

米国時間3月9日、Dropbox(ドロップボックス)は、DocSend(ドックセンド)を1億6500万ドル(約179億2000万円)で買収する予定であることを発表した。DocSendは、添付ファイルの代わりにセキュアなリンクを送信することで、顧客のドキュメントの共有と追跡を支援する企業だ。

DropBoxの創業者でCEOのDrew Houston(ドリュー・ヒューストン)氏は私に対して「リモートワークのためのより広範なツールを提供できるようにするためにDocSendを買収することを発表します。DocSendがお客さまに提供するのは、強力なエンゲージメント(ドキュメントの開封状況や閲覧状況)分析機能に支えられた、ビジネス上重要なドキュメントのセキュアな管理と共有機能です」と語った。

2019年にDropboxが買収したHelloSign(ハローサイン)の電子署名機能と組み合わせると、今回の買収によって、それまで欠けていたエンドツーエンドの文書共有ワークフローをDocSendが提供できるようになる。「Dropbox、DocSend、HelloSignの3社は、私たちの大勢のお客さまたちが、重要な文書のワークフロー全体を管理し、そのすべての側面をよりきめ細やかにコントロールできるようにできる、セルフサービス製品をフルセットで提供できるようになります」と、ヒューストン氏は説明する。

関連記事:Dropbox、e署名とワークフローのHelloSignを2.3億ドルで買収

ヒューストン氏とDocSendの共同創業者でCEOのRuss Heddleston(ラス・へドルストン)氏は、お互いに何年も前からの知り合いであり、しっかりとした関係を築いている。実際へドルストン氏は、2010年の夏のインターンとしてDropboxで働いていた。2013年に起業する前に、彼はヒューストン氏の側で会社のアイデアを実行してみせ、それに対してヒューストン氏がお墨つきを与えて、2つの企業はしばらくの間パートナーとなっていた。

ヘドルストン氏は「私たちは外部送信の道を追求して来ましたが、それがある種進化して、異なるワークフローへと道が開かれることになりました。また、それに集中したことで、ユーザーにとても愛される差別化された製品を作ることができたのは、本当に興味深いことです」と語る。

こうしたワークフローには例えばクリエイティブ、セールス、クライアントサービス、あるいはスタートアップ企業が、DocSendを使用して提案書やピッチ資料を送信して、そのエンゲージメント(ドキュメントの開封状況や閲覧状況)を追跡することなどが含まれる。実際、同社の初期のユースケースの中には、スタートアップ企業のピッチ資料の、VCファーム内でのエンゲージメント追跡支援もあった。

Crunchbaseによれば、同社はこれまでに1530万ドル(約16億6000万円)という、ほどほどの資金を調達しただけだ。だがヘドルストン氏はなるべく自力で運営できる会社を作りたいと考えていたので、VCの資金をさらに増やすことの優先度は高くなかったし、必要でもなかったと述べている。「常により多くの資金を私たちに提供したがるVCがいました。我が社の従業員に言っていたのは、集めた資金や人数に重きを置いたりはしないということです。大切なのは、すばらしい会社を作ることなのです」と彼はいう。

そうした、ヘドルストン氏の開発者としての姿勢も、ヒューストン氏の興味をDocuSendに惹きつけたものの1つだった。ヒューストン氏は「私たちは、製品の成長と資本効率のモデルを大いに信じて、そして口コミで広がる本当に直感的な製品を開発しています。そしてそのことが、私たちをDocSendに惹きつけたのです」という。DocSendには1万7000の顧客がいるが、ヒューストン氏は、同社はこの買収によってDropboxの一部として、はるかに大きな顧客ベースの前に立つ機会が得られると述べている。

Boxが似たような安全なドキュメント共有機能を提供し、ユーザーが添付ファイルを使用する代わりにリンクを共有できるようにしていることは注目に値する。Boxは最近、電子署名のスタートアップであるSignRequest(サインリクエスト)を5500万ドル(59億7000万円)で買収し、今回DropboxがHelloSignやDocSendで実現したような、より複雑なドキュメントワークフローの構築を目指している。この分野ではPandaDoc(パンダドック)も、また別のライバルだ。

DropboxとSendDocはどちらもTechCrunch Disrupt Battlefieldに参加したことがある。ヒューストン氏は2008年に同イベントの元の名前であるTechCrunch50でDropboxをデビューさせた。一方、DocSendは2014年にニューヨークで開催されたTechCrunch Disruptに参加している

買収によって、DocSendの約50人の従業員がDropboxに入社することになるが、これは標準的な規制当局の監督の下ですぐに実行されるはずだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Dropbox買収

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images 

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

PayPalがイスラエルの暗号通貨セキュリティCurvを買収へ

PayPal(ペイパル)はイスラエル・テルアビブ拠点の仮想通貨スタートアップCurv(カーブ)買収を計画していると発表した。PayPalの正式発表に先立ち、イスラエルの新聞Calcalistがこの動きを報じていている

Curvは、暗号資産を安全に管理するのをサポートする仮想通貨セキュリティ会社だ。あなたがハードウェアデバイスなしに暗号ウォレットにアクセスできるよう、クラウドベースのサービスを提供している。

同社はまた、新しいインターンが承認チェーンといったものなしに暗号資産を引き出せないよう、高度なポリシーを設けられるようにしもしている。同様に、通常の取引はより簡単に行えるようリストを作成することもできる。

この裏でCurvは秘密鍵を管理するためにマルチパーティ計算を使っている。あなたがウォレットを作る時、暗号化された秘密がユーザーのデバイスとCurvのサーバーで作られる。そしてユーザーがトランザクションを開始しようとするとき、複数の秘密鍵を使用して完全な公開鍵と秘密鍵を生成する。

秘密鍵は定期的に変わり、1つの秘密鍵だけでは何もできない。もし誰かが防犯対策がなされていないノートパソコンを盗んだとしても、ハッカーはこのデバイスに保存された情報だけでは暗号資産にアクセスできない。

おわかりのとおり、Curvはエンドユーザー向けの仮想通貨ウォレットではない。同社は両替やブローカー、店頭にサービスを提供している。もしあなたがファンドを運営していて、かなりの量の仮想通貨を購入する計画なら、Curvの利用を検討できるかもしれない。

最後に、デジタル資産を管理し、バランスシートを多様化するソリューションを探している金融機関もまたCurvと協業できそうだ。

CurvのチームはPayPal内の仮想通貨グループに加わるとPayPalは話す。同社は徐々に仮想通貨プロダクトを展開してきた。米国のユーザーが自身のPayPalアカウントから仮想通貨を購入、保持、売却できるよう、Paxosと提携した

関連記事:PayPalが仮想通貨の売買サービスを米国で開始、Paxosと提携

近い将来、PayPalは仮想通貨を使ってユーザーが物を売買できるようにもする計画だ。また直近の四半期決算発表で同社は米国外と同社が所有する消費者向けフィンテックスーパーアプリVenmoで仮想通貨プロダクトを立ち上げる計画であることも明らかにした。

買収の条件は非公開で、取引は2021年上半期のどこかで完了する見込みだ。PayPalはこの買収で2億ドル〜3億ドル(約218億〜327億円)支払う、とCalcalistは報じている。PayPalに近いとある人物は買収額は2億ドル以下だと話す。正確な額は次の四半期決算で明らかになるはずだ。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:PayPal仮想通貨Curvイスラエル買収

画像クレジット:Yichuan Cao/ NurPhoto / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

印大手ソフトウェア企業Wiproが英国の技術コンサルタント会社Capcoを約1576億円で買収すると発表

Wipro(ウィプロ)は、英国の技術コンサルタント会社Capco(カプコ)を、14億5000万ドル(約1576億円)で買収することで合意に達したと、現地時間3月4日に発表した。このインドの大手ソフトウェア輸出会社は、欧州とアジアで顧客を獲得しようとしている。

Wiproは米国を最大の市場としているが、この2社は「補完的なビジネスモデル」を共有すると述べている。買収は2021年6月末までに完了する予定だという。

ロンドンに本社を置くCapcoの顧客には、グローバルな金融サービス業界における「多くの有名企業」が名を連ねており、その中には銀行、資本市場、資産管理、保険部門の「取締役会や経営役員」が含まれていると、Wiproはインドの証券取引所に提出した書面(PDF)で述べている。

1998年に創設されたCapcoは、約5000人のコンサルタントを雇用し、20年前に投資家から約8000万ドル(約87億円)を調達した。同社は「その深い領域とコンサルティングの専門知識、リスクと規制への対応、そして業界の主要なテクノロジーの課題と機会に関する思想的リーダーシップで広く認知されています。加えて、エネルギーおよび商品取引分野の顧客にサービスを提供しています」と、両社は共同プレスリリースで述べている。

Wiproの証券取引所提出資料のスライド(画像クレジット:Wipro)

「WiproとCapcoは、最上級のコンサルティングとテクノロジーの変革、そしてオペレーションをお客様に提供することができます。WiproとCapcoは補完的なビジネスモデルと、核となる指導的価値観を共有しており、Capcoの新しい仲間たちは、誇りを持ってWiproをホームと呼んでくれると確信しています」と、2020年Wiproのトップに就任したCEO兼マネージングディレクターのThierry Delaporte(ティエリー・デラポート)氏は述べている。

デラポート氏の前任としてWiproを4年間率いてきたAbidali Neemuchwala(アビダリ・ニームフワラ)氏は、2020年までに150億ドル(約1兆6300億円)の企業になるという同社の目標を達成できなかった。2020年3月末の同社の収益は81億ドル(8800億円)だった。

新たなリーダーシップの下、Wiproは欧州とアジアでの顧客獲得を加速させている。同社は2020年、欧州のクリーンエネルギー企業であるFortum(フォータム)やE.On(エーオン)からの受注を獲得した。Wiproは企業買収も視野に入れていると公言してきた。

「私たちはともに、今後さらに規模が拡大する革新的なテクノロジーを駆使して、変換をもたらすエンドツーエンドのソリューションを顧客ごとに提供し、金融サービス業界をリードする新たなパートナーとなることを目指しています。両社の補完的な能力と類似した文化を活用して業界の変革を推進し、顧客と社員の双方にエキサイティングな機会を提供できることを楽しみにしています」と、CapcoのCEOであるLance Levy (ランス・レヴィ)氏は声明の中で述べている。

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画像クレジット:Thierry Falise / LightRocket / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クラウドアイデンティティ管理のOktaが同業のスタートアップAuth0を約7000億円で買収

アイデンティティ管理のOktaは米国時間3月3日、取引終了後に決算報告を発表し、また、同社はクラウドアイデンティティスタートアップのAuth0を65億ドル(約7020億円)の巨額で買収することも公表した。Auth0は2020年の7月にSalesforce Venturesのリードで1億2000万ドル(約130億円)を調達したときの評価額が19億2000万ドル(約2070億円)だった

Auth0によりOktaはクラウドアイデンティティ企業を取得して、開発者がアプリケーションにアイデンティティ管理を埋め込めるようにする。同社のアイデンティティプラットフォームにとってそれは、新しい次元が加わることになる。Oktaの共同創業者でCEOのTodd McKinnon(トッド・マッキノン)氏によると、買収によって彼の企業はアイデンティティの分野をさらに広くカバーできることになり、また同時にアイデンティティが、インフラストラクチャや、コラボレーション、CRMなどのエンタープライズソフトウェアと並ぶファーストクラスのクラウドカテゴリーに格上げされることになる。

「アイデンティティも、クラウドソフトウェアの主要カテゴリーであるべきだ。アイデンティティがそうなるには、ワークフォースやカスタマーなどすべてのユースケースをカバーしなければならない。私たちのプロダクトは、伝統的にワークフォース(従業員対象)だが、新たにカスタマー(一般ユーザー対象)にもなる」とマッキノン氏はいう。

カスタマーの場合は、それは単に企業の認証システムではなくて、顧客がOkta、Auth0をバックエンドで使ってユーザーをプラットフォームに登録する。買収によりこの両方をカバーできることをマッキノン氏は喜んでいる。

Auth0の共同創業者でCEOのEugenio Pace(エウジェニオ・ペース)氏は、彼の企業とOktaとの合併がアイデンティティ管理分野における強力な組み合わせであり、これは誇張ではないと念を押し、次のように述べている。「両者が一緒になって、顧客のワークフォースとカスタマー両方のアイデンティティソリューションを提供することには、他に類のないスピードと単純性とセキュリティと信頼性とスケーラビリティがある。両者が力を合わせれば、顧客はイノベーションを加速でき、至るところで消費者と企業と従業員たちの要求に応じられるようになる」。

ペース氏と共同創業者のMatias Woloski(マティアス・ウォロスキ)氏はともにMicrosoftに在籍し、2013年にAuth0を立ち上げた。マッキノン氏は、Auth0が社員数800名の大企業である点を指摘する。2021年の売上は、2億ドル(約220億円)と予想されている。

「彼らには、柔軟性に富みAPI駆動のサービスと、開発者が求める拡張性とカスタマイズ性のある優れたデベロッパーツールを開発してきたという自負がある。思いつきでではなく、最初からの体質としてその能力がある」とマッキノン氏は考えている。

マッキノン氏によると一部重複する顧客もあるが、お互いにとって新しい顧客も多いため、それぞれに対してAuth0、Oktaを売っていくことができるという。両社の組み合わせはアイデンティティ管理のフルコースを提供できるものだと、という。

Auth0のデベロッパー重視の姿勢は、本誌のZack Whittakerが2019年に書いた記事にも現れている。

「再投資と高成長の維持を優先しているため、利益は計上しない。しかし、効率は日に日に良くなっている。顧客の獲得も、彼らへのサービスも、設計のアップデートと実装もすべて効率を上げている」。

Oktaの下で、Auth0はどう変わるのだろうか。マッキノン氏は、統合の進め方は数カ月かけて検討するが、Auth0はOktaの中の独立のユニットのように操業を続けると述べている。Auth0のユーザーは、ほっとするだろう。しかも同氏によると、2人の創業者は数年前からの仲なので、お互いに信頼関係があるとのことだ。

この間、Oktaの四半期も好調で、前年同期比で40%増の2億3470ドル(約220億円)の売上を計上したが、ウォール街はこの買収を歓迎せず、時間外で株価は6.9%下がった。

Auth0は2013年に創業され、これまで3億ドル(約320億円)ほど調達している。主な投資家はSalesforce Venturesに加え、Sapphire VenturesやBessemer Venture PartnersそしてMeritech Capital Partnersなどだ。

関連記事:OktaがIDを使用して販売およびマーケティングタスクを自動生成する新ノーコードワークフローを提供

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OktaAuth0買収

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フィンテックSquareが音楽配信サービスTidalの過半数株を取得、ラッパーのジェイ・Z氏がSquareの取締役に

個人と企業の両方にサービスを提供しているフィンテック企業Square(スクエア)は米国時間3月4日、音楽ストリーミングサービスTidal(タイダル)の過半数の株式を取得したと発表した。2億9700万ドル(約320億円)ほどのこの取引では、アーティストであるパートナーは株保有を維持する。

SquareのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は自身の別の会社Twitter(ツイッター)を使ってこの取引を説明した。同氏はこの取引が疑念を生むと予想したようだ。確かにそうだろう。冒頭に、「なぜ音楽ストリーミング会社と金融サービス会社は協力するのか?!」と同氏は修辞疑問を書いた。

まったくだ。ドーシー氏の予想は、自身の会社がCash Appや他のSquareのプロダクトの成功を音楽の世界で再現することができる、というものだ。「新しいアイデアは交差するところで見つかる」と同氏は指摘し「音楽と経済」の合流はそうした1つの集合点だと主張した。

この取引では、ミュージシャンで事業家のJay Z(ジェイ・Z)氏がSquareの取締役に就任した。

この取引に対する最初の反応の中には否定的なものもあった。SquareとTidalがペアというのが奇妙に思える、と繰り返すのは簡単だ。そしてSquareは過去に似たような、しかし最終的に維持できなかった買収を行っている。例えば同社は2014年にフードデリバリーサービスのCaviarを買収し2019年にDoorDashに売却した。Squareがベンチャーレベルのリターンをこの取引で得たことはここでの論点にとって重要ではない。

しかしSquareとTidalのタイアップという強気のケースは同様にリターンを作れる。Squareは自社の時価総額の1桁のパーセンテージの額を使っただけだ。そしてアーティストに株を持たせ続けるという選択を通じてSquareは首尾よくアンバサダーのホストをブランドに取り込んだ。

そしてSquareが展開するカードリーダーで、多くのオフライン事業者のためにコマースゲームを一新したという点でドーシー氏は悪くない。ここ数四半期の零細事業者のように過去数年で物理的な世界からデジタルの世界へと移行した経済の一部である音楽に一撃を加えるのはどうしてダメなのか。

「セラーのエコシステム」であるSquareのビジネスユーザーはますますデジタルに移行している。直近の四半期決算で、セラーの総支払額における「店舗でのみ」の使用の割合は落ち込み「オンラインのみ」と「オムニチャンネル」がその落ち込みを補った。

Squareは消費者にフォーカスしたCash Appサービスでよく知られている。同サービスは2020年12月に月間アクティブユーザーが3600万人に達し、この数字は前年同月の2400万人からアップしたものだ。音楽ストリーミング会社と若者の利用が多いCash Appのタイアップを想像できるだろう。そしてSquareの会議室のテーブルにジェイ・Z氏がいることは同社をイノベーティブにするはずだ。同氏は斬新な見方を持ち込むかもしれない。

それから非代替性トークン(NFT)の疑問がある。これは最近、仮想通貨コミュニティ人気を引き起こしたデジタル資産の新たな形式だ。SquareがCash Appを通じて成長している仮想通貨事業を持っていること、そしてビットコインそのものに何億ドル(何百億円)も投資したことを考えて欲しい。Squareが音楽ベースのNFTをより大きな消費者ユーザーベースに持ち込むスペースがマーケットにあるか、というのは興味深い疑問だ。もし答えがイエスなら、Squareは今そのマーケットを作り出す主要な位置にいることになる。

おそらくSquareとTidalの取引はSquareが想像しているような将来の成長は生み出さない。しかし取引は安く、リーダーとしてジェイ・Z氏を獲得したことは勝利であり、企業防衛を演じるだけでは勝つことは難しい。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Square買収音楽ストリーミング

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

ZyngaがRPGゲーム分野に拡大を目指し「Torchlight III」のEchtra Gamesを買収

ソーシャルゲーム会社のZynga(ジンガ)は、ここ数年、特にモバイルとカジュアルパズルゲームでの活動を強化するために、30億ドル(約3210億円)以上を費やしてヨーロッパ(特にトルコとフィンランド)のさまざまなスタートアップ企業を買収してきた。しかし同社は米国時間3月3日、より没入型の、高度なグラフィックのクロスプラットフォーム体験へと方向転換し新たな展開を見せた。同社は、Steam、XBox One、PS4、Nintendo Switchで発売されている「Torchlight III(トーチライトIII)」を手がけたアクションRPGパブリッシャーであるサンフランシスコのEchtra Gamesを買収すると発表した。

Echtraのチームは、ZyngaのNaturalMotionスタジオと提携して新作タイトルのリリースに取り組むとのこと。それ以外の詳細は今のところ発表されていない。

取引の財務条件は非公開となっており、また、誰がEchtraを支援したのか、誰かに支援されたのかは明らかにされていない。

しかし、Echtraはある意味、冷酷に計算された金儲けではなく、情熱的なアイデアから構築されたゲームスタートアップの古典的な例であり、おそらく持つとすれば最高の類の会社だろう。

共同設立者兼CEOであるMax Schaefer(マックス・シェーファー)氏は以前「Torchlight(トーチライト)」オリジナルシリーズの開発者であるRunic Gamesに在籍し、またアクションRPGの金字塔「Diablo(ディアブロ)」などの開発者でもあった。Runicはその親会社であるPerfect Worldによって閉鎖されたため「Torchlight」フランチャイズにはまだ命が残っていると感じたシェーファー氏は、2016年にRunicの同僚や業界の他の開発者とともに、新会社Echtraを設立することにした。

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しかしそれは、Echtraが期待していたようにはうまくいかなかった。ゲームが早期アクセスを終了して一般に発売された後、新作はまちまちな評価だったゲームのデザイン、そしてバグに対する批判も見られた。

買収後の計画は、潜在的にはフランチャイズを構築し続けるためにEchtraのチームと専門知識を導入するということだが、より一般的には、Zyngaがクロスプラットフォームのゲームでフットプリントを拡大すること、またゲーム技術、特にRPGや他の没入型アプリケーションのためのプラットフォームとして現時点で最も使われているUnreal Engineで構築されたツールの面でZyngaを支援することになる。

ZyngaのCEOであるFrank Gibeau(フランク・ジボー)氏は声明でこう述べた。「Echtra Gamesのマックスと彼のチームは、これまでに作られた最も伝説的なゲームのいくつかを担当した経験があり、アクションRPGジャンルとクロスプラットフォーム開発の専門家です。Echtra GamesチームをZyngaファミリーに迎え入れることに興奮しています。この買収は、モバイルからPCおよびコンソールまで、当社の象徴的なライセンスおよびブランドを成長させ、Zyngaがリーチできる市場をさらに拡大するのに役立ってくれることでしょう」。

「Echtra GamesはZyngaファミリーに加われることをうれしく思います」とシェーファー氏は付け加えた。「我々は、クロスプラットフォームでのプレイがRPGとインタラクティブエンターテインメントの未来に不可欠であるというZyngaのビジョンを共有しており、この取り組みに我々の幅広い経験と能力を生かすことを楽しみにしています」。

パンデミックのせいで屋内や自宅で過ごす時間が増えているのだから当然といえば当然だが、ゲーム業界は、2020年の明るい場所の1つとなった。Zyngaは、その結果として、2021年2月発表された第4四半期の売上がアナリストの予想を上回ったことも含め、最近絶好調だ。その収益は6億1600万ドル(約659億円)で、四半期としては過去最高となっている。買収は最近の同社の戦略の主要な部分であると、ジボー氏は当時語っていた。

モバイル以外の、より没入型のRPGタイトルを目指すことは、野心的でより高額になる可能性がある事業であり、トルコのRollicの過半数株式を2億2800万ドル(約244億円)で、Peakを21億ドル(約2248億円)で、Small Giant Gamesの80%を7億1800万ドル(約768億円)で、そしてGram Gamesを2億9900万ドル(約320億円)で買収してきた近年の同社の買収とは方向性が目立って異なっている。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Zynga買収

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)

中国のD2Cコスメブランド「完美日記」のYatsenが創業35年の名門スキンケアブランドEve Lomを買収へ

中国のコスメ市場では歴史的に見ると海外ブランドが崇拝されてきたが、近年は中国国内のスタートアップがより安価でローカライズされたオプションを提供して、Z世代の消費者を獲得することが増えている。その中でも特に注目されているのが、設立5年のスタートアップYatsen(逸仙控股)が所有するD2Cブランド「Perfect Diary(完美日記)」だ。

Yatsenは2020年11月にニューヨーク証券取引所(NYSE)で6億1700万ドル(約660億円)のIPOを行い、資本市場にその存在を知らしめた。同社の主力ブランドであるPerfect Diaryは、オンライン売上高では、L’Oréal(ロレアル)や資生堂に次ぐトップメイクアップブランドとして常にランクインしている。そして今、同社は新たに、英国のプライベートエクイティ企業Manzanita Capitalが所有する創業35年のスキンケアブランドEve Lom(イヴロム)の買収に乗り出すという、大きな動きを計画している。

中国時間3月3日、中国革命の父である孫文(孫逸仙、広東語ローマ字表記Sun Yat-sen)にちなんで名づけられたYatsenは、クレンザーで知られるEve Lomを買収するための最終契約を締結したと発表した。この取引は数週間以内に成立する見込みで、Manzanitaは少数株主として同事業に参画し続け、戦略的パートナーとしての役割を果たすという。

取引の規模は非公開だが、2021年2月にBloombergは、Manzanita Capitalが2億ドル(約214億円)程度でEve Lomを売却しようとしていると報じていた。

Perfect Diaryは口紅、アイシャドーパレット、ファンデーションなどの商品をXiaohongshu(小紅書)などのソーシャルコマースプラットフォームでレビューする多数のインフルエンサーと提携し、中国での知名度を上げてきた。また同社は、中国で豊富に存在する化粧品やパッケージのサプライヤーの多くが国際的なトップブランドと提携しているという利点を活かしている。これらの戦略により、Perfect Diaryは品質に妥協することなく手頃な価格を提供し、「Xiaomi(シャオミ、小米科技)のコスメ版」というあだ名を得ている。

Yatsenは創業以来、飛躍的な成長を遂げてきた。効果的なEC戦略のおかげで、2019年の総売上高は2018年から4倍以上の35億元(5億4000万ドル、約578億円)になった。しかし、損失も膨らんだ。同社は2020年9月までの9カ月間に11億6000万元(1億7000万ドル、約182億円)の純損失を計上したが、前年同期には2910万元(約4億8000万円)の純利益を計上していた。

目論見書に記載されているように、Yatsenは製品ポートフォリオの多様化を図るため、買収の可能性を模索してきた。Eve Lomとの縁組により、同社は「グローバルなブランド構築能力と提供する商品をより豊かにしていきたい」と、Yatsenの創設者兼CEOであるJinfeng Huang(黄金峰)氏は声明の中で述べた。

Yatsenはすでに国際展開を開始しており、まず東南アジアに上陸し、Shopee(ショッピー)のようなeコマースサイトで販売している。同社は目論見書の中で、今後は「国際的な拡大を加速し、製品をローカライズするために、現地パートナーと選択的に協力していく」計画だと述べていた。確立されたブランドが多く競争の激しいメイクアップコスメ業界で、Yatsenの海外市場での冒険はこれから間違いなく注目に値する。

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カテゴリー:その他
タグ:Yatsen買収美容中国

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

AIソーシャルリスニングの英Brandwatchをが480億円で買収、PR・マーケティングの巨大企業が誕生

メディアモニタリングとメディアコンタクトデータベースサービスで知られるCisionは、デジタルコンシューマーインテリジェンス(DCI)とソーシャルリスニングプラットフォームのBrandwatchを現金と株式合わせて4億5000万ドル(約480億円)で買収すると発表した。Brandwatchの主要幹部チームは留任するという。この動きにより、PRからマーケティング、オンラインカスタマーエンゲージメントまで、幅広いサービスを提供する2つの大手企業が統合されることになる。買収は2021年の第2四半期に完了すると予想されている。

Cisionは、約100万人のジャーナリストやメディアのコンタクトデータベースを持ち、同社によれば7万5000人以上の顧客がいるという。一方のBrandwatchは、「ソーシャルリスニング」として知られるマーケティング手法にAIと機械学習(ML)を応用している。

これまでに、Brandwatchは総額約6500万ドル(約69億円)を調達していた。Nauta CapitalによるシリーズAに続き、Highland Europeが主導したシリーズB、その後Partechが主導したシリーズCによるものだ。

Brandwatchの創業者兼CEOであるGiles Palmer(ジャイルズ・パーマー)氏は声明の中で次のように述べた。「我々は、常に野心を持ちBrandwatchを築いてきました。今こそ次のステップを踏み出す時です。スケールの大きい企業に加わり、世界的に重要なインパクトを与えられるビジネスと製品群を作っていきます」。

CisionのCEOであるAbel Clark(アベル・クラーク)氏は次のように述べている。「継続的なデジタルシフトとソーシャルメディアの普及は、ブランドや組織の顧客との関わり方を急速かつ根本的に変化させています。これによりPR、マーケティング、ソーシャル、カスタマーケアの各チームは、最近利用できるようになってきたユニークな洞察を、コンシューマー主導の戦略に完全に組み込むことが必須となっています。CisionとBrandwatchは共に、クライアントが彼らの顧客をより深く理解し、顧客とつながり、あらゆるチャネルで顧客エンゲージメントをスケールアップできるよう支援していく所存です」。

Brandwatchは、資金調達から買収、合併まで、まるでケーススタディのような道のりを歩んできたが、資金力のあるテック企業からすると珍しいのは、そのほとんどを英国南部の海辺の町、同社地元のブライトンで達成した点だ。

パーマー氏の資金調達の道のりは、2006年に受けたエンジェル投資から始まった。2010年には、Brandwatchはマーケティング・PR会社のDurrantsから150万ドル(約1億6000万円)を調達し、さらに同年、Nauta Capitalが出資してシリーズAラウンドを調達した。2014年にはHighland Europeが主導するシリーズBラウンドで2200万ドル(約23億4000万円)を調達し、その後、2015年にはPartech Venturesが主導するシリーズCで3300万ドル(約35億2000万円)を調達した。

Brandwatchはその軍資金で、2017年にはコンテンツマーケティングとインフルエンサー識別プラットフォームのBuzzSumoを非開示の金額で買収した。そして2019年には、同社は類似の事業であったCrimson Hexagonと合併し、約1億ドル(約106億円)のARR(年間経常収支)を持つ事業を生み出した。また、ロンドンに拠点を置くSaaS型リサーチプラットフォームQriouslyも買収した。

Brandwatchは最近、Forresterのソーシャルリスニングソリューションのバイヤー向けガイドで10社中トップのリーダーに選ばれた

カテゴリー:ネットサービス
タグ:BrandwatchCision買収マーケティング

画像クレジット:Brandwatch

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速

Uber(ウーバー)の自動運転の子会社を最近買収した自動運転車両開発のAurora(オーロラ)は、別のスタートアップも獲得した。

Auroraは同社にとってこの2年弱で2つの目のLiDARスタートアップとなるOURS Technology(アワーズテクノロジー)を買収する。Auroraはモンタナ拠点のLiDARスタートアップBlackmore(ブラックモア)を2019年5月に買収している。Auroraは買収価格と他の買収条件の開示を拒否した。カリフォルニア大学バークレー校の研究者と博士号の学生たちのチームによって2017年に創設されたOURS Technologyは12人を雇用している。同社によると、チームは全員Auroraに移る。

「我々は、いかに可能な限り早く進歩させられるかに常に目を光らせていて、LiDARチップ開発におけるOURSの専門性が当社がすでに持つ専門性に加わることで、開発が一層加速します」とAuroraの広報担当は語った。

光によって検出と測距を行うLiDAR(Light Detection And Ranging Radar)について、自動運転システムを開発する会社は自動運転車両を安全に大規模展開するのに重要で必要不可欠なセンサーだと考えている。何百万台という自動運転車両が街を行き交う未来はまだ何年も、あるいは数十年も先だ。しかしそれは、数十ものLiDAR企業が最終的な需要を見越して出現するのを阻んだりはしない。

この業界に存在している70ほどの企業の大半はToFのLiDARセンサーを開発し、販売しようとしている。このセンサーは可視域外にパルスレーザー光を照射し、そのパルスが跳ね返ってくるのにどれくらいかかるかを測定する。跳ね返ってくるときに、方向や距離、パルスが当たったものをポイントとして記録し、最終的に3Dマップを作成する。

BlackmoreやOURS Technologyを含め、一部のLiDAR企業は低電力の光の連続波、つまり光の流れを発するFrequency Modulated Continuous Wave(FMCW、周波数変調連続波)LiDARを開発しているFMCW LiDARのデベロッパーはこのテクノロジーについて2つの主な利点を挙げる。1つはより高いダイナミックレンジ、瞬間速度で距離を測定できる点。これは、つまり近づいてくるものや離れていくもののスピードを測定できることを意味する。もう1つが太陽光や他のセンサーの干渉もないという点だ。

しかしFMCWは複雑でもある。FMCWはチップ上のレンジファインダーとして始まる。これを3D LiDARとするのに、多くのFMCWデベロッパーは視野を提供するのに大きな鏡や他の部品を使用するが、ンサーのサイズが大きくなる。OURS Technologyは自らを「LiDAR-on-a-chip」会社だと称しており、この創業4年の会社がソリッドステートスキャニングメカニズムにすべてを組み込む方法を開発したことをうかがわせる。これはセンサーの小型化につながり、FMCWの主な問題の1つを解決する。

Auroraは2020年夏に、自動運転車両、中でも長距離トラック向けに開発されたBlackmoreのテクノロジーに基づくセンサー、FirstLight LiDARを発表した。Auroraは声明文で、OURS Technologyがわずか3年で4世代のLiDARを生産することができ、同社のテクノロジーと互換性があるソリッドステートのスキャニングメカニズムを開発したと言及し、明らかにOURSの開発のスピードに関心を持っている。

AuroraはセンサーをスケーラブルなものにするためにOURSの専門性と開発のノウハウを活用する計画だ。簡単にいうと、Auroraは開発を加速させるためにOURSのチームと、ソリッドステートスキャニングメカニズムのような重要な部品の設計図を使うことを望んでいる。

「当社の車両を拡大し、ドライバーレスのトラックを商業化しようとしている現在、FirstLight LiDARはかなりスケーラブルでなければなりません。小型で、さほど高価でない必要があり、パワフルでなければなりません」とAuroraは述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aurora買収自動運転LiDAR

画像クレジット:Aurora

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

デジタルデザインのCanvaが静止画・動画から背景を消すKaleidoを買収

動画と画像から背景をドラッグ&ドロップで簡単に消してしまうサービスであるKaleidoが、今急成長中のデジタルデザインプラットフォームのCanvaに買収された。買収額などの詳細は明かされていないが1億ドル(約106億円)前後と推測されている。

これは正しいタイミングで正しい場所にいたという好例だろう。オーストリアの首都ウィーンに本拠を置くKaleidoは、2019年に画像からすばやく簡単に背景を除去する無料ツールremove.bgを発表した(日本語版サイト)。このツールは、邪魔な背景を取り除きたいがPhotoshopを開いて面倒な作業はしたくないという人々に圧倒的な人気を得た。

続いて2020年末にKaleidoはUnscreenを披露した。簡単にいえばUnscreenは動画向けのremove.bgだ。このツールのコンセプトはremove.bgと同じだったが、実現にははるかに複雑なエンジニアリングが必要だった。高性能、単機能のこれらの製品はやがてAdobeのような大きなフレームワークの一部となることが明白だったが、オーストラリアのデザインプラットフォームCanvaがライバルを打ち負かしたようだ。

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テーブルに積まれた本の背景が取り除かれるデモ(画像クレジット:Unscreen)

Canvaはこの買収と同時にプロダクトのモックアップを簡単に生成するSmartmockupsを発表した。Canvaがプロダクトの拡張に意欲的であることを示している。

Kaleidoの共同ファウンダーでCEOのBenjamin Groessing(ベンヤミン・グレシンク)氏はプレスリリースでこう述べている。

Kaleidoはスタート当初から一貫して投資家を介さず、自力で事業を拡大してきました。会社は我々2人のファウンダーとすばらしいエンジニアリングチームによって運営されてきました。スタート当初から黒字であったため、今回の買収は会社が存続するために必要不可欠なものではありません。単に多くの側面で理に適っていると考えたからです。

ドイツのメディアDie PresseDer Brutkastenの報道によれば、関係者はこの買収はオーストリアで最大の現金化だったRuntastic(2億2000万ユーロ、約283億7000万円)に次ぐものと見ているという。また買収額は1億ドル弱と見ている。

買収を祝うカレイドのチーム。メンバー1人ひとりの写真から切り抜いてデジタル的に合成された写真(画像クレジット:Kaleido)

正確な金額がいくらだったかは別として、チームは大いにハッピーなようだ。集合写真はKaleido自身のプロダクトを使ってデジタルで合成されている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CanvaKaleido画像編集動画編集買収

画像クレジット:Unscreen

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(文:Devin Coldewey、翻訳:滑川海彦@Facebook

モバイル広告のironSourceがビデオ広告・プレイアブル広告プラットフォームのLuna Labsを買収

モバイル広告企業のironSourceが、2021年2件目の買収を発表した。今回買収するのは、アプリ開発者がビデオ広告およびゲームを試用できるプレイアブル広告を作成し管理するプラットフォームを構築しているスタートアップのLuna Labsだ。

筆者が2019年に初めてLuna Labsについて記事を書いた際、同社の重要なセールスポイントは多くの開発者が利用しているUnityのゲームエンジンから広告を直接作れることだった。それ以降、同社はプラットフォームを拡張してプレイアブル広告とビデオ広告の両方の作成(ゲームプレイビデオのバリエーションは無制限)、広告ライブラリ全体の管理、パフォーマンスの分析、さらにはインストールデータに基づく広告の自動最適化に対応している。Luna Labsを利用する顧客にはCrazy Labs、Supersonic Studios、Lion Studios、Kwalee、Voodooなどがある。

一方のIronSourceはモバイルユーザーを増やし収益化するプラットフォームを構築している。直近のラウンドでは10億ドル(約1054億円)を超える評価額で4億ドル(約421億6000万円)以上を調達し、2021年1月には広告測定企業のSoomlaを買収すると発表した。

今回の買収の発表で、ironSourceの共同創業者で最高収益責任者のOmer Kaplan(オマー・カプラン)氏は次のように述べた。

ironSourceのビジョンはアプリ開発者向けに包括的な成長プラットフォームを構築し、開発者がコンテンツ制作と優れたユーザーエクスペリエンスの構築に集中できるようにすることです。ビジネスを拡大するためのインフラストラクチャは我々が提供します。そのためにはクリエイティブが鍵となり、ユーザーの注目を集めようとする競争が激しくなる中でその重要性は増すばかりです。しかし広告のクリエイティブを開発し大規模にテストするのは、極めて困難で多額のコストがかかります。Luna Labsはアプリ開発者にエンド・ツー・エンドの高品質な広告制作管理を提供してこの問題を解決します。我々はこの機能をironSourceのプラットフォームに追加でき、たいへん喜んでいます。

買収の条件は公表されていない。ironSourceによれば、現在英国を拠点としているLuna Labsのスタッフはそのまま現在のオフィスに留まり、「ironSource傘下」でテクノロジーの開発を続けるという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ironSourceLuna Labs買収広告

画像クレジット:fanjianhua / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)

TwitterがインドのShareChatを買収、MojをTikTokの世界的ライバルにすることを模索

Twitter(ツイッター)は最近、同社が世界第2位のインターネット市場でのプレゼンスを拡大し、TikTokの世界的なライバルを構築する方法を模索している中、インドのSNSスタートアップShareChat(シェアチャット)を買収するための交渉を行ったと、この件に詳しい3つの情報筋がTechCrunchに語った。

バンガロールを拠点とするShareChatにすでに投資している同社は、設立して5年になるインドのスタートアップを11億ドル(約1155億円)で買収することを申し出、9億ドル(約945億円)の追加投資を約束したと2人の関係者は語った。Lightspeed Partners India、Elevation Capital、India Quotientなどの支援を受けたShareChatは、これまでに約2億6000万ドル(約273億円)を調達している。

今回の協議は取引には至らなかったと、この件は非公開であるため匿名を要求している情報筋2人は語った。TechCrunchは、両社が協議を終了した理由を特定できなかった。

2つの情報筋によると、TwitterはShareChatが所有するショートビデオアプリMojを国際市場に展開し、中国のTikTokのライバルとして位置づける意図を表明していたという。

この件についてTwitterはコメントを差し控えており、ShareChatにもコメントを求めたが同社は応じなかった。

2020年のインドでのTikTok禁止は、国内のスタートアップや国際的なテック大手によるショートビデオ分野への進出を促した。

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

すでに8000万人以上のユーザーを持つMojは、このカテゴリの最大手の1つとして浮上している。2021年2月初め、Snap(スナップ)はShareChatとMojショートビデオアプリにCamera Kitを統合する契約を結んだ。Snapがインドの企業とこの種のパートナーシップを結んだのは初めてのことである。

関連記事:グーグルとSnapがインドの都市部以外でも人気のSNS「ShareChat」への投資を協議中

買収の交渉は決裂したため、ShareChatは新たな資金調達ラウンドのために他の投資家との協議を再開した。これらの投資家にはGoogle(グーグル)やSnapが含まれていると情報筋は述べている。

TechCrunchは2021年1月に、ShareChatが2億ドル(約210億円)以上を調達するために、GoogleやSnapだけでなく、Twitterを含むいくつかの既存の投資家と協議していると報じた。Twitterによる買収の可能性があったことで、投資協議は長期化した。

同社によれば1億6千万人以上のユーザーを擁するShareChatは、インドの15の言語でSNSアプリを提供しており、インドの小さな都市や町に多くのファンを持っている。Blume VenturesのベンチャーキャピタリストであるSajith Pai(サジット・パイ)氏が「インド2(India 2)」と呼ぶユーザー層だ 。インドのスタートアップエコシステムの中で、このセグメントにリーチしているプレイヤーは非常に少なく、「インド3(India 3)」と呼ばれるより小さな田舎町や村のユーザーの貢献もあり、近年オンライン利用が拡大しているという。

2020年のTechCrunchインタビューに対し、ShareChatの共同創業者兼CEOであるAnkush Sachdeva(アンクシュ・サクデバ)氏は、同社の主力アプリは「飛躍的」な成長を遂げており、ユーザーは平均して1日30分以上をアプリに費やしていると述べた。

関連記事:Twitterが支援するインドのソーシャルネットワークShareChatが4000万ドルを調達

Twitter自体は、インドの大都市や町以外での進出に苦労してきた。業界の幹部がTechCrunchと共有したモバイルインサイト会社AppAnnieのデータによると、Twitterアプリは、2020年1月にインドで約7500万人のユーザーに達した。また同社は、インドのニュースソーシャルアプリDailyhuntと契約を結び、ニュースやその他のローカルイベントに関するキュレーションされたツイート集である「Moments(モーメント)」をGoogleが投資しているDailyhuntアプリに導入した。

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Twitterは、アクティビスト投資家から成長を加速させるよう圧力がかかる中、この1年製品提供を拡大してきた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterインドShareChat買収

画像クレジット:PRAKASH SINGH / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:TechCrunch Japan)

全米で100万人の教師が使うマイアミのデジタル学習プラットフォームNearpodをRenaissanceが買収

マイアミに本拠地を置くEdTechスタートアップのNearpodが、教育技術を開発するグループ、Renaissance Holding Corp.に買収されることになった。取引はまだ成立していないが、Renaissance社の最高製品責任者であるTodd Brekhus(トッド・ブレクサス)氏は、米国時間2月19日午後のインタビューで、「両当事者によって署名された最終的な契約に合意しました」と述べている。買収のニュースは2月18日にYahoo!ファイナンス(米国)に最初にリークされ、TechCrunchに対して同社内部の情報源が2月19日朝に確認した。ブレクサス氏によると、Renaissanceは取引が終了した後も買収価格を公表する予定はないという。

Nearpodは、幼稚園から高校3年生まで(K-12)の教師が教室でビデオ、クイズ、質問、その他の活動で満たされたインタラクティブなスライドを作成するために使用するEdTechプラットフォームを提供している。生徒たちはどのようなデバイスを使ってもリアルタイムで授業に参加することができ、生徒が自分のペースで進める学習モードもある。パンデミックに対応して、Nearpodは現在、リモート学習も提供している。

この1年は、Nearpodにとって忙しいものだった。2012年に3人のアルゼンチン人起業家によって設立された同社は現在、パンデミックが本格化してきた2020年初頭にCEOとして就任したPep Carrera(ペップ・カレラ)氏が率いる。Crunchbaseによると、同社はこれまで3000万ドル(約31億6000万円)以上のベンチャーキャピタルを調達しており、直近では2017年に同社がシリーズBを調達した際にTechCrunchが報じた

Renaissanceはしばらくの間Nearpodに注目していたと、以前EdTech企業の創業者でもあったブレクサス氏は語った。「我々(Renaissance)は、教育現場における教師エンゲージメントやレッスン配信とつながりを深めたいと考えていました。Nearpodは非常に優れた方法でそれを実現しています」。

カレラ氏がRenaissanceのCEOであるChris Bauleke(クリス・バウレケ)氏に直属することになる点を除いては、カレラ氏とチーム全体はこれまで通り業務を続けるという。「我々のミッションを継続するとともに、Renaissanceのミッションとの融合を目指していきます」と同氏は語った。

マイアミで育ち、2020年にミシガン州からNearpodを率いるために戻ってきたカレラ氏は、激動の1年を過ごした。以前のインタビューで同氏は、「仕事に就いた最初の日に、(ダニアビーチ近くの)オフィスに車で向かう途中、運転しながら電話で経営陣と話して、パンデミックのためにオフィスを閉鎖する必要があると判断しました。それが3月のことでした」と語っていた。Nearpodは現在、約290人の従業員を雇用しており、そのほとんどがダニアビーチの本社で勤務している。

カレラ氏は、同社をイグジットに導くために彼が起用されたのかどうかについてははっきりと確認しなかったが、創業者たちは、教師・生徒たちのようなユーザー層に向けてより良いサービスを提供するために、いくつかの成長オプションを検討していると述べた。

パンデミックはリモートワークをめぐり同社に多くの疑問を投げかけてきたが、カレラ氏のリーダーシップのも下、Nearpodは2020年に爆発的な成長を遂げた。当初Nearpodは主に教室での使用を想定して設計されていたが、同社のチームはそれをリモート学習プラットフォームに変換することができ、K-12遠隔教育の先駆けとなった。

Nearpodは50州すべてで使用されており、1800以上の学区で使用されている。2020年だけでも100万人以上の教師が利用し、1日に200万~300万人の生徒がオンラインで学習するなど、同社は約50%の成長を遂げている。2020年12月のインタビューで、カレラ氏は、現在発生している資金はすべて会社の成長を促進するために投入されており、それはこれまで有機的だったと語った。Nearpodはマーケティングに広告費をほとんど使っていない。本当のマーケティングは口コミによるものだと同氏はいう。

教師はNearpodを使って、授業中に生徒の携帯端末にデジタルカリキュラムを配信する(画像クレジット:Nearpod)

カレラ氏はNearpodに参加する前は、ProQuest Booksの社長として、大学院生、研究者、図書館員のために書籍の取得、管理、配信を効率的かつインパクトあるものにする革新的なソフトウェアを提供するチームを率いていた。また、ProQuest以前にも、社長兼COOとしてIngram Conte Groupのデジタル学習部門であるVitalSource Technologiesを6年間で10倍に成長させ、世界で年間2000万人以上の学習者にサービスを提供した。

VCがこの分野に多額の資金を投じたことで、EdTechのM&A活動は加速している。筆者の同僚であるNatasha Mascarenhasが最近言及したように、EdTechのM&Aはこの分野の大量統合につながっている。今回の買収でNearpodは、ここ数カ月で撤退したSymbolabやWoot Mathのような他の多くのEdTech企業の仲間入りをすることになる。

【更新(米国時間2月19日)】Renaissanceの最高製品責任者であるトッド・ブレクサス氏へのインタビューと、同社についての追加情報を更新した。

カテゴリー:EdTech
タグ:Nearpod買収マイアミ

画像クレジット:Danny Lehman / Getty Images

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:TechCrunch Japan)

ポッドキャスト広告のAcastがポッドキャストアプリRadioPublicを買収

ポッドキャスト広告会社Acast(エーキャスト)は公共ラジオマーケットプレイスPRXから2016年にスピンオフしたスタートアップRadioPublic(ラジオパブリック)を買収したと発表した。

まず最初に、RadioPublicのメインプロダクトはポッドキャスト視聴のためのモバイルアプリで、同社はまだアプリを展開している。しかし共同創業者で最高製品責任者のMatt MacDonald(マット・マクドナルド)氏は、チームの注力対象がポッドキャスターのためのプロダクト、特にListener Relationship Management Platform(リスナー関係管理プラットフォーム)に移行したと繰り返し述べていた。同プラットフォームには埋め込み可能なウェブプレイヤーPodsitesと呼ばれるカスタムウェブサイトなどが含まれる。

「我々は構築したかったものすべてのロードマップを持っていましたが、当社の規模ではより大きな組織と提携することでもっと満足してもらえるのではと認識しました」とマクドナルド氏は話した。

最終的に、RadioPublicはAcastがパートナーとしてだけでなくオーナーとしてふさわしいと結論づけた。Acastの事業はまだポッドキャスト広告が中心だが、Acast Openホスティングプラットフォームのような新しいツールで事業を拡大している。そしていま2万のポッドキャストをホストし、月間ユーザー数は3億人に到達した、としている。

「RadioPublicの買収は、基本的に価値観の提携です」とAcastの最高事業戦略責任者Leandro Saucedo(リアンドロ・サウセド)氏は声明で述べた。「両社ともオープンなポッドキャスティングのエコシステムを信じていて、リスナーの発見とクリエイターのサポートというコミットメントを共有しています。RadioPublicがこれまで成し遂げたことに我々は感銘を受け、ポッドキャスティングがこれまでになく勢いを得ている現在こそRadioPublicの才能あるチームと社のミッションをAcastに持ってくる時だと確信しています」。

買収の条件は明らかにされなかったが、買収はRadioPublicの事業に影響しないとAcastは話している。

マクドナルド氏と共同創業者でCTOのChris Quamme Rhoden(クリス・クアメ・ロデン)氏は2人ともAcastに加わり、RadioPublicの機能をAcastのプラットフォームに統合するのに取り組むが、RadioPublicは「予見可能な未来」のために自前のプロダクトとモバイルアプリのサポートを続ける、とマクドナルド氏は述べた。

同氏はまた、RadioPublicがAcastと協業しながら「ポッドキャスターとリスナーの関係や結びつきを強化、深化する」ことに引き続きフォーカスするとつけ加えた。同氏の見方では、Spotifyのような大手がポッドキャスティングに投資しても、そこにRadioPublicのチャンスがある。

「我々はどうやってクリエイターがオーディエンスとの関係をコントロールできるようにするのでしょうか。ポッドキャストのリスナーはあくまでリスナーであり、プラットフォームの顧客ではありません 」とマクドナルド氏は話した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AcastRadioPublic買収ポッドキャスト

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

アイデンティティ管理のSailPointがSaaS管理スタートアップIntelloを買収

2017年に株式を上場したアイデンティティ管理企業のSailPoint(セイルポイント)が、米国時間2月19日、アーリーステージのSaaS管理スタートアップのIntello(インテロ)を買収することを発表した。両社は買取価格を公表していない。

SailPointは、顧客が社内で使用されているすべての SaaS ツールの場所を特定できるようにすることで、IT部門が企業の安全性を高めることができると信じている。ここで考慮されている問題は、ITの知識がなくても従業員がSaaSツールを導入するのが非常に簡単なことだ、そこにIntelloは、より高い可視性とコントロール性を与える。

実際、ここ十年ほどのうちに定着した「シャドーIT」という用語は、ITのプロの目が届く範囲外で、ソフトウェアを導入できてしまう状況を表現するためのものである。Intelloのようなツールを使えば、すべてのSaaSツールを検索して従業員を認可済みのツールに誘導することが可能になり、セキュリティのプロがみんなに利用してほしくないサービスをシャットダウンすることができる。

SailPointの製品担当上級副社長であるGrady Summers(グラディ・サマーズ)氏によれば、パンデミック中に多くの企業がリモート化したことで、シャドーIT問題はさらに深刻になっており、従業員がどのようなSaaS ツールを使用しているのかを知ることは IT部門にとってさらに困難になっているという。

「この問題によって、無秩序にSaaSが蔓延し、そうしたアプリ内に保存され共有されているために、保護されないデータが急増しています。組織内にどのようなシャドウアクセスが存在するかをほとんど把握できないために、各社のITチームは、ここ1年の間にさらに増加したサイバーリスクから保護することが、より困難になっているのです」とサマーズ氏は声明で説明している。彼は、Intelloを導入することで、無認可の利用を根絶し、企業の安全性を高めると同時に、SaaS支出もよく理解して貰えるようになると考えている。

Intelloは常に自身を、セキュリティとコンプライアンスを向上させるための手段として位置づけ、過去にはOkta(オクタ)やOnelogin(ワンログイン)などの他のアイデンティティ管理ツールと提携している。同社は2017年に創業され、Crunchbaseのデータによれば580万ドル(約6億1000万円)を調達している。その中には、2019年5月に行われた250万ドル(約2億6000万円)の拡大シード調達も含まれている。

米国時間2月18日には、別のSaaS管理ツールのTorii(トーリ)が1000万ドル(約10億6000万円)のシリーズAを発表した。SaaS管理領域における他のプレイヤーには、BetterCloud(ベタークラウド)やBlissfully(ブリスフリー)などもある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SailPointIntello買収SaaS

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)