Trelloの有料版‘Business Class’がアップデート、GitHubなどさまざまなサードパーティツールを統合

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2013年にプロジェクト管理サービスTrelloは、企業向けの有料サービス’Business Class‘をローンチし、そこにGoogle Appsの統合や、ユーザ全員ではなく部署別担当別などの管理機能を導入した。今日(米国時間9/15)同社は、この‘Business Class’をアップデートし、SlackやGitHub、Salesforceなどサードパーティツールの統合を導入した。

この新しい統合のことをTrelloはPower-Upと呼んでいるが、これによりTrelloがさらに使いやすくなる。たとえばこれまでのようにSlackとTrelloを別々に使うのではなく、Trelloのボード上のカードを数時間後にリマインドせよ、とTrelloに告げておくと、その時間にSlackがリマインダーをポップアップする。これまでの統合では、Trelloのカードやリストやボード上に何か基本的なアクティビティがあったとき、Slackのアップデートもらうだけだった。

さらにGitHubの統合では、コミットメッセージやプルリクエストなどGitHubの詳細情報を、Trelloのカードのリアルタイムなアップデートで見ることができる。このほか、BoxやGoogle Drive、Google Hangouts、Dropbox、Twitter、Evernote、Salesforce、Mailchimp、Help Scout、appear.inなどのサービスも今回のアップデートで統合される。

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これらの統合化はTrello Enterpriseのユーザに提供され、今回のアップデートの目玉だが、さらに‘Business Class’のユーザにはボードのコレクション機能が提供される。これは複数のボードを種類別タイプ別人数別などにグループ化できる機能で、ボードを、調べる目的別に容易にフィルタリングできるようになる。

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小粒度の管理機能や、企業の機密情報の保護などは、これまでの‘Business Class’と変わらない。たとえばチームへの新規参加者や、外部ビューワー(‘見物人’)をアドミンの権利で決めることができる。

‘Business Class’のアップデートには、プライオリティのサポートも含まれ、料金はユーザ一人あたり月額10ドルだ(アクティブユーザにしか課金されない)。既存のユーザには割引料金が適用されるが、古いバージョンをそのまま使い続けてもよい。

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チャットUIこそブラウザに代わるもの、Layer創業者のビジョナリーに現状と未来の話を聞く

11月17日、18日に東京・渋谷で開催するTechCrunch Tokyo 2015への海外ゲストスピーカーがまた1人決まったのでお知らせしたい。どんなアプリやWebにも簡単にコミュニケーション機能を持たせられるLayerの創業者でCEOのロン・パルメリ(Ron Palmeri)氏だ。

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ロンは連続起業家で投資家でもあり、多くの会社を立ち上げてきた。中でも、Google Voiceの前身であるGrand Centralを2005年に立ち上げ、2007年にGoogleに売却したというのは大きな成功事例だ。Google Voiceは日本ではほとんど知られていないが、ネットで進化すべきだった音声電話を順当に進化させたGmailのような電話サービスだ。ぼくはアメリカに行くときに良く使っていて、あまりに衝撃を受けて2010年に記事を書いたこともある。Google Voiceを使ってみれば、いかに「ICT」のうちCだけがイノベーションに取り残されていて、いかに通信キャリアがネットやソフトウェアの使い方が下手なのかが良く分かる。

さて、そんなロンは1990年代中頃にはノベルで通信関連のビジネスに従事していたというから、シリコンバレーではベテランの連続起業家だ。Grand Centralや、先日Ciscoが6億3500万ドルで買収したOpenDNSを含めてMinor Venturesでベンチャー企業数社の立ち上げに携わってきた。

強いテクノロジーのバックグラウンドを持ち、2015年5月にぼくがサンフランシスコのオフィスに会いに行ったときには、説明のたびに立ち上がってホワイトボードにデータベースやプロトコル、ソーシャルグラフの関係をサラサラと描くような人だった。

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単一プラットフォームではなく、Layerが拓くエコシステムの多様性

LayerはiOS、Android、Webアプリに組み込めるチャットUIのSDKだ。ロン自身の言葉によれば、「モバイルの興隆によって、チャットこそがUIになった」ということで、かつてWebブラウザが果たしていたサービスとユーザーの間にあるインターフェイスは、例の左右に吹き出しが開くチャットになったというのだ。

なるほど、Facebookはメッセンジャーをプラットフォーム化するといい、中国ではWeChatが圧倒的な利便性とともに多様なサービスを統合し、日本を含むアジア圏ではLINEが優勢だ。

そして、これらの間には実はかなり大きな違いがあるし、Layerが目指す世界もだいぶ異なる。

FacebookやDropbox、Foursquareなどは2014年ごろには機能別に本体から複数アプリを切り分けて緩やかに連携する「アプリ・コンステレーション」(アプリ星座)モデルを目指していた。一方で、中国のWeChatはAPI開放によってサードパーティーアプリのエコシステムを作りつつ、何もかもを単一アプリに載せるアプローチで、決済はもちろんのこと、タクシーを呼んだり、税金や公共料金を支払ったりといったことができるようになっている。中国のWeChatの利便性があまりにスゴいという話が伝わって、シリコンバレーの人々は自分たちの周回遅れ感を気にしているようにぼくには見える。一方で、Facebook、WeChatともに、ここにはプラットフォームビジネスを巡る、もっと大きな問題が潜んでいる。ネットやPCの歴史上何度も繰り返されてきた、垂直統合によるサイロ型プラットフォーム対オープンエコシステムの対立軸の上を左右に揺れ動く業界という構図だ。

「Googleが検索によって、必ず人々が使うことになる『焦点』を掌握したように、Facebookは認証とソーシャルグラフを抑えることで、ネット上の人々の活動の全てを見ようとしています」

Facebookは先日の開発者向け会議F8のなかで、今やほとんどの人がブラウザでFacebookを開きっぱなしにしていることを得意げに話し、常時数億人と繋がっていてユーザーのことを把握できるのだと堂々と公言していることに、ロンはとても驚いたそうだ。

「Facebookは、今やある1人の人間の生活全体を把握できる立場にあります。でも、かつてNTTやAT&Tといった電話会社はそんなことはしませんでしたよね? Facebookがやっているのは、まさにそれです」

「決済やコマースを含めて、プラットフォーマーが何もかもやる。そういう巨大な単一プラットフォームに依存していていいのか、ということです。そう考えない開発者やユーザーが大勢いて、それがわれわれのターゲットです。Facebookに依存すると、使い勝手や機能で制限を受けますしね。Zyngaを覚えていますか? いつでもFacebookはポリシーを変えられるんですよ。もちろん、Facebook依存で全然構わないという人もいますけどね」

Facebookアプリとして大ヒットしたゲーム、FamilyVilleを提供していたZyngaは2010年ごろにFacebookとポリシーを巡って頻繁にもめていたし、Facebookの一方的な決定によってユーザーベースを何割も失うということが起こっていた。

プラットフォームへの過度の依存はビジネス的にも、プライバシーを気にする消費者の視点でも好ましくない。しかし一方、あまり気にしない人もいる。例えば、ぼくは自分のことをサービス提供側に深く知っていてほしいと思っている。YouTubeで増毛のCMが流れると「PCのカメラをオンにして顔を見てくれてもいいんだけど、髪はフサフサで困ってないよ!」と考える。ハゲてない人に増毛の広告を出すのは誰の得にもならない。サービス提供者がユーザーについて多くのことを知っていればいるほど最適なコンテンツや広告が届くわけだから良いことではないか。ぼくのメールを「読んでいる」のはソフトウェアでしかないし、プライバシー関連情報に従業員がアクセスできるような状態を許す企業は早晩ユーザーに見放されるだけ。だから、ぼくはプライバシーを一定レベルで諦めることについて拒否感が薄めだ。

というようなことをロンに言ったら、「それはまったくアジア人の発想だ」と返された。

ロンによれば、プライバシーの意識に関してアジア地域は世界のほかの地域とは全く違うという。ヨーロッパやアメリカは、単一の巨大なプラットフォーマーに情報を全部渡すというのはあり得ない発想だという。「南米もヨーロッパもアフリカもそう。だから、これら地域はわれわれには素晴らしいマーケットです。中国はまったく違う。そして私が知りたいのは日本はどうなのか、ということ」

日本は、アメリカと中国のどこか中間にあるのではないかというのがぼくの回答だけど、正直良く分からない。ここには、歴史的に長いものに巻かれ続けてきたか、市民革命によって自由を勝ち取ってきたのかというような社会の成り立ちの違いがあるのかもしれない。Firefox対Internet Explorerのときも、日本や韓国市場だけが長らくIEを使い続けていたようなこととも符合しているようにぼくには思える。ActiveX依存という技術的問題だったと言う指摘もあるかもしれないが、そもそも特定企業のテクノロジーを躊躇なく取り込んだ非インターネット的な舵取りこそアジア的だったとは言えないだろうか。

チャットインフラを作る必要はない、1人で10億人を対象にできる時代に

ともあれ、チャットインフラに選択肢があるのは良いことで、Layerのような企業がFacebookレベルのチャットUIを提供するというのは、開発者にとっては朗報だろう。Instagramが良い例だが、今やほとんど一夜にして数億人にスケールするようなサービスを数人のチームが生み出すようなことが起こっている。Andreessen Horowitzの投資家でジェネラル・パートナーのクリス・ディクソン氏が1年ほど前に「比較的限られた資金でInstagramは1億ユーザーに、次にWhatsAppが5億にリーチした。最終的には1人の起業家が10億ユーザーに手が届くようになる」と言った通りだ。Instagramは13人、WhatsAppは50人のチームだった。比較的少人数でもできるとはいえ、こうやって毎回毎回すべてのスタートアップがチャットのインフラを作るのは無駄な話だ、というのがLayerのロンの言い分だ。

そして現在は、シェアリングエコノミーとかオンデマンドエコノミーという言葉で象徴されるように、個人同士や、組織に所属する小回りの効くエージェント的なプロフェッショナルが相対で物品やサービス、情報をやり取りすることが増えつつある。これらのサービスではチャットこそが重要なビルディングブロックになりそうだ。Layerがブログで紹介している以下の2枚のスクリーンショットは、そうしたやり取りの事例だ。こうして見てみると、チャットUIをアプリ提供者が自由にカスタムできるのだとしたらメリットがありそうだなと分かる。

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日本でいえば、先日のDeNAが発表したANYCAであれば、クルマを貸す人と借りる人は、カギの受け渡しのとき、あるいは実際の利用中のちょっとした連絡といったことをチャットでやりたいだろうし、そこに地図を貼って場所を示したり、写真を撮ってクルマの特定のパーツを見せたいかもしれない。チャットUIで飲食店を探せる「ペコッター」のような例もある。もう検索して探すより「新宿で打ち合わせできる静かな店ありませんか?」とチャットで聞きたいのだ。ベビーシッターのマッチングサイト「KIDSLINE」や、部屋さがしの不動産サイト「ietty」のようにチャットでエージェントとやり取りする例もある。これはアメリカの例だが、MOOCsのUdacityが学生の修了率の低さを解決するためにLayerを使ってチャットを導入したということもある。

1人1人の画面で見ればチャットというのはシンプルなものだ。しかし各デバイスとクラウド間での未読や端末のオンライン状態の状態管理、OSごとのプッシュ通知のハンドリング、そして何よりスケーラブルな分散インフラの構築など、やるべきことは多い。ちょうどAWSがスタートアップ企業に対して果たした役割を、Layerはモバイル時代に果たそうとしている、と言えるのかもしれない。サーバーやネットワーク機器をラックに収めて設定をするような煩雑な作業がなくなったように、ErlangだZeroMQだといってメッセージ配送システムを自前で作るよりも、Layerのような「SDK+サービス」で解決できれば話が早い。最もシンプルなメッセージ機能の実装なら1人の開発者でも1日でできるかもしれないが、Facebook並みにスケーラブルでリッチでクロスプラットフォームなものは相応の開発チームが常時取り組む必要があるだろう。というのが、Layerというスタートアップの目の付け所の良さだとぼくは思う。例えば、いまもノーティフィケーションの世界では、Webブラウザでの対応が進み、Androidではリッチなプッシュ通知ができるようになりつつあったりする。こうしたものにキャッチアップする体力が、すべてのスタートアップ企業にもあるわけではない。ぼくはAirbnbをかなり使うのだけど、あれほどのユニコーン企業ですらホストとのメッセージのやり取りの実装はお粗末だ。以下はUberっぽい架空のライド・シェアのアプリの例だ。上が現状、下がLayerが提供する自由度の高いチャットUIを使った場合の例。

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チャットシステムが手軽に統合できるようになれば、いまよりもっと多様なアプリが登場するのではないか、とロンは言う。

「ネットユーザーが30億人ほどいて、多様なニーズがるのに単一のアプリでいいわけがない。例えば写真アプリ1つとっても、家族向けでシェアしたいというのと、Instagramでは全く別です。サッカーコミュニティーを作るのにFacebookが最適かといえば、そんなことはないでしょう。インドで最も人気のデーティング・サービスも違います。インドでは女性がデートの各ステップの主導権を持っているのでニーズが違うんです」。

「何かを利用するハードルを下げて、それを広く開放すると人々は創造性を発揮するものです。これはサイクルのようなものですね」

Facebookのような「サイロ」の次にはオープンなプラットフォームが来る、それがLayerだということだ。今年はじめのF8で発表されたメッセンジャーに接続するアプリは、コミュニケーションを楽しくするGIFアニメアプリのような限定的なもので、その数も当初40程度と、Facebookのような巨大プラットフォームにしてはいかにも少ないとロンは言う。

Layerが提供するSDKでは、多くのMIME type(ファイルの種類)が扱えるので、地図や音声をチャットに埋め込むといったことも容易にできる。現在、リアルタイムの音声・動画チャット規格「WebRTC」は揺籃期だが、これも年内にLayerに取り込んでいくそうだ。Layer自体はユーザー情報の収集せず、したがって広告モデルでのビジネスもやらないという。

LayerはTechCrunch Disrupt SF 2013で優勝していて、2014年5月には1450万ドルを調達している。エコシステム創出を目指して、Layerを利用するアプリの開発者に対して少額を出資するファンドも立ち上げている。

最初から開発者を対象にしてプラットフォームやエコシステムを作るのだと言って大きな絵を描く。いかにもシリコンバレーっぽい、このベテラン起業家のビジョンや哲学を、ぜひ生の声でTechCrunch Tokyoに聞きに来て欲しい。

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Facebookは共感ボタンを作っている。”Dislike” ではない。使い方はこうだ

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Dislikeボタンは長年Facebookユーザーから最も要望の多かった機能だ。だからMark Zuckerbergが今日(米国時間9/15)の公開 Q&Aで、悲劇などのLike(いいね!)が似つかわしくない事象の被害者に共感の意を表する方法を検討していると語った時、世界中のニュースメディアは飛びつき、大衆の要求がもうすぐ満たされると書き立てた。

ただし、”Dislike” というボタンを期待してはいけない。Zuckerbergは、Facebookが作っているのはそれではないと明確に言った

ここにDislikeボタンの要求に回答した場面のビデオがある。この記事の最後に回答の書き起こし全文を載せてある。

Zuckは正確に何と言ったのか?

Facebookは新しいボタンを作っている

「人々は何年も前からDislikeボタンを要望してきたと思う…今日は、われわれが実際それに取り組んでいて、テスト版の公開に非常に近い状況であることを話せる日だ」

ただしそれはDislikeボタンではない

「単なるDislikeボタンは作りたくなかった、なぜならFacebookを人々の投稿にアップやダウンの投票をするフォーラムにしたくないからだ。それがわれわれの作りたいコミュニティーだとは思えない」

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Facebookのフィードバック機構には隙間がある

「人々は他の人の投稿にダウン投票する機能を欲しがっているのではない。本当に欲しいのは、共感を表す方法だ。いつも良い時ばかりではない、そうでしょう?そしてもしあなたが悲しいことをシェアする時、それが今起きていてあなたの心を傷める難民問題であれ、家族の死であれ、それにLikeするのは心地良いものではない」

だからFacebookは解決策を作ろうとしている

「しかし、友達や家族は自分がそれを理解していることを表現し、それをあなたに伝えたいと思っている」

実際これは実に理にかなっている。もしFacebookがDislkieボタンを作れば、ただ混乱を招くだけだ。もし私が自然災害の被害者について投稿し、あなたがそれにDislikeしたら、それは起きた悲劇をDislikeしたという意味なのか?それとも被害者をDislikeしたのか?それとも私が投稿したことをDislikeしたのか? それは極めて曖昧であり、Facebookがこのサービスを作っている意義と正面から衝突する。

Facebookが“Sorry”ボタンを作るのはどうか

ずっと意味があるのは、共感や同情の気持ちを投稿者や困難な状況にある人々に届けるボタンだ。

実際、Facebookは既に“Recommend”[おすすめ]ボタンを作っている。ウェブサイトはLikeボタンの代わりにこれを使って、ユーザーが悲しい話題をシェアする時使えるようにできる。しかし今Facebookは、哀悼の意を表現するための新しい何かを作っている。

どんな言葉をFacebookが選ぶにせよ、それは広く理解されやすく、様々な言語に翻訳可能で、簡潔で、曖昧さがないものでなくてはならない。

Recommend

ボタン名の一つの可能性は “Sorry” あるいはその種の単語だ。押した人が話題の悲しみを理解し、あなたと被害者に同情していることが一目でわかる単語。

実装にあたり、Facebookは投稿する人にLikeボタンをこの共感ボタンに置き換える、あるいは追加して並べるオプションを与えるかもしれない。Facebookが投稿の内容に応じて共感ボタンの設置を推奨することも考えられる。例えば、”died”、”passed away”、”hurt”、”fired”、”broke up” などのフレーズから投稿者が悲しんでいることを察知したり、悲劇フラグのついたニュース記事にリンクした時等だ。

こうすることで、あなたが悲しい内容をシェアした時、人々は Like することで誤った印象を与えてしまう危倶をしなくてすむ。こうした危倶は、Facebookのニュースフィード表示アルゴリズムに、投稿が面白くないかと混乱させる恐れがある。共感ボタンは、その記事はLikeすべきではないが、人々が読む価値はあることをアルゴリズムに教える。

Facebook Like Sticker

以下にMark Zuckerbergの、Dislikeボタン要求に対する回答の全文を載せてある:

そう、私は何年も前からDislikeボタンについて聞かれたと思うし、おそらく何百人もの人からこれについて聞かれた。今日は特別な日だ。なぜなら、われわれが実際これに取り組んでいて、ごく近いうちにテスト版を公開する予定であることを話せる日だから。

ここまでかなり時間がかかったことはわかるだろう。それは、単なるDislikeボタンは作りたくなくて、それはFacebookを人々が他人の投稿にアップやダウンの投票をするフォーラムにしたくなかったからだ。それはわれわれが作りたいコミュニティーとは思えない。自分にとって大切な瞬間をシェアして、それを誰かがダウン投票するような手順は踏みたくない。それはわれわれが今世界に作ろうとしているものではない。

しかし、長年みんなの話を聞くうちに、人々は他人の投稿にダウン投票するしくみを欲しがっているのではないことを理解した。本当に欲しいのは、共感を表現する能力だ。

いつも良い時ばかりではない、そうでしょう?そしてもしあなたが悲しいことをシェアする時、それが今起きていて心を傷める難民問題であれ、家族の死であれ、それにLikeするのは心地良いものではないこともある。しかし友達や家族は自分がそれを理解していることを表現し、それをあなたに伝えたいと思っている。

そこで私は、人々にLikeだけでなく、投稿に対する感情を表し、シェアするすばやい方法を提供することが大切だと考え、ここしばらくそれに取り組んできた。非常に単純にしたいしくみを作ることは驚くほど複雑だ。しかしわれわれは近々テストできると思うアイデアを持ってて、その結果次第でさらに広く公開していくつもりだ。

長年にわたるこのことに関するフィードバックに感謝している。これでようやくみなさんの声を聞くことができ、私たちのコミュニティーのニーズに合った何かを届けられることを期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FLUIDで自宅のいつ、どこで、どの程度の水を使用しているかを知ることができる

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今朝シャワーを浴びたのなら、30ガロンの水を使っている。トイレを数回流したのなら、4から5ガロンを使っている。食洗機を使ったのなら、最低でも6ガロンは使っている。

訳注:1ガロンはおよそ3.8リットル

平均的なアメリカ人は毎日80から100ガロンを水を使用している。それは、500ミリリットルのペットボトル700本分に相当する。その数字は屋外での庭のスプリンクラーやホースで使う水を計算に入れていない。

カリフォルニア州の積雪量は、ここ500年間の最低水準まで落ち込んだ。水不足が深刻なことに多くの人が気づいているが、水の使用量をモニタリングして、個人が水を節約することは簡単なことではない。

シャワーに入っている秒数を数えるべきなのだろう。それは分かるが、隣人はやっていないだろうと思うものだ。

FLUIDは、人のこのような行動を改めたいと考えている。Kickstarterで昨日ローンチしたFLUIDは、スマートな水量計測器だ。毎日、自宅でいつ、どこで、どの程度の水を使用しているかを正確に理解することができる。

「コンシューマーの水道代の請求書には、使用した水の量は記載されていますが、ガロンの単位ではありません。何ガロン使用したかを知るためには、請求書の裏を見て、計算をする必要があります」とFLUIDの共同ファウンダーであるJosh Becerraは言う。「FLUIDは、コンシューマーが水の使用量を把握するための手段を与えることが目的です」。

FLUIDは自宅のメインの水道管に付けて使用する。電源につなぎ、Wi-Fiに接続して、FLUIDのアプリをダウンロードすれば、iPhoneかAndroidでリアルタイムのレポートを見ることができる。

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FLUIDは超音波の技術を採用している。一方の超音波変換器から、もう一方の変換器に音波を送ることで、端末を水道管の中に入れなくても、流れている水の量を計測することができるのだ。

FLUIDの更にすごい点は、水の流れも把握していることだ。

自宅の水道設備、例えばキッチンの蛇口、ベッドルームのトイレ、洗濯機にはそれぞれ特有の水の消費率、あるいは設備が動いている時に水が水道管を通る使用時間がある。

FLUIDに消費率を正確に認識させるには少し作業が必要だ。アプリからFLUIDに各設備の典型的な使用時間を「聞く」ように指示する。洗濯機の30分のコースやトイレの流れる時間などだ。一度FLUIDが各設備の特徴を認識して記録すれば、各設備を判別することができ、各設備で同時に水を使用していてもそれぞれを特定できる。

「自身の水の使用状況を直接、意識してほしいと考えています」とFLUIDの共同ファウンダーのColin Hirdmanは言う。「結果的に水の使用量が減って、水道代を節約できることを期待しています。最も重要なのは、ユーザー自身がどこで、いつ、どの程度の水を使用しているか把握できるようになることです」。

無駄にしている水の量を正確に知ることで、歯を磨いている間、水を出しっぱなしにするのではなく、必ず止めるようになるかもしれない。あるいは、半分も食器がない状態で食洗機を回すより、それらの食器を手で洗うようにするかもしれない。この水道計測器に何時間もかけて自宅の各設備の水の流れる音を覚えさせたのだから尚更そう思うだろう。

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水漏れがある場合は、FLUIDは問題が起きる前に警告してくれるツールにもなる。地下室が水浸しになったり、水道代が高額になったりする前に対処できるだろう。

価格は239ドル、あるいはKickstarterから早期に支援した場合は179ドルだ。FLUIDの価格は、水道管が破裂して水が1時間流れた場合の水道代、あるいはトイレが5日間流れっぱなしの状態になった場合の水道代と同程度だ。

Kickstarterのキャンペーンは10月で終了し、それ以降はFLUIDのサイトから299ドルで販売する。最初のデバイスは2016年5月に出荷の予定だ。

将来的にFLUIDは、既存のスマートホームハブであるNestやSmartThingsと統合し、開発者が自身で改良できるようにREST APIを提供するという。

「人は自分が使用している水の量を把握してから初めて、水を節約できるようになります」とHirdmanは言う。「一度節約を始めれば、もっと節約するようになるでしょう。更には、どう節約するかについてクリエイティブな方法を思いつくと思います」。

人が自然資源の利用を改善するようになると前向きな考えだが、これが上手くいくことを期待したい。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Sonyの仮想現実(VR)ヘッドセット“Project Morpheus”の正式製品名が“Playstation VR”に決定

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Sonyが近く出すVRヘッドセットは、コードネームの”Project Morpheus”が製品名になるとは誰も思っていない。でもまだ、実際の製品名は誰も知らなかった。

しかし、まあ、Sonyのマーケティングチームが考えだしたのは、ふつうの人が名前の候補を三つ挙げたら、そこに必ずありそうな名前、「Playstation VR」だ。

それは、味気なくて退屈というよりも、クリエイティブでなく、独創性もない。でもまったく新しいタイプのデバイスを消費者市場に投ずるときには、奇抜な名前よりも簡潔で説明的な名前の方が良いのかもしれない。

名前はやっとわかったが、まだ知りたいことがいくつかある。発売日はいつか? それは“2016年の初め”、と言われている。価格は? 同社が“数百ドル”としか言わないのは、まだあれこれ考え中だからだろう。

これまでMorpheusと呼ばれていたデバイスの試用体験記事がここにある。

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モバイルでの買い物体験を単純化したStripeの新サービスStripe Relayについて協同ファウンダのJohn Collisonが語る

決済サービスのStripeが昨日(米国時間9/14)、Stripe Relayと呼ばれる新しいツールをローンチした。これは、リテイラーがbuyボタン(‘買う’ボタン)を複数のプラットホームに置ける機能で、StripeのJohn Collisonによれば、これにより、モバイルのWebサイトをあちこち言ったり来たりする面倒がなくなる。上のビデオでは、Relayの詳細とその技術について彼にインタビューしている。

Stripe Relayでは、商業者が製品を店に出したらそれをパートナーにプッシュできる。たとえば最初のパートナーの一つであるTwitterでは、商業者が自分のツイートにStripeのbuyボタンを置き、消費者はそのツイートから直接、買い物ができる。目標は、ネイティブアプリにいる状態のまま、確実に買い物ができることだ。

このプロダクトは、モバイルにおける買い物の面倒臭さをなくそう、という動機から生まれた。これまでは顧客が複数のWebサイトを訪れ、大量の情報を入力してから、やっと買い物ができた。クレジットカード情報を入力したり、サイトにサインアップしたり、あるいはパスワードをリセットするなど、たいへん面倒な買い物手順だった。もちろんそれは、リテイラーのビジネス機会も損なっていた。

 

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ジェフ・ベゾスのBlue Originがフロリダにロケット工場建設へ。イーロン・マスクのSpaceXに対抗

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今日(米国時間9/15)AmazonのCEO Jeff Bezosは、古き良きフロリダにロケット製造工場を建設する計画を明らかに した。このニュースはもちろん、ケープカナベラルで発表された。

BezosがSpaceXに対抗するために使う会社はBlue Originと呼ばれ、彼は離陸のために2億ドルを投資する計画だ。

Blue Originのロケット、New Shepardは既に開発、テスト中であり、同社によると、ボーイング、ロッキード・マーチンらのUnited Launch Allianceと協力して未来のエンジン開発を行っている。

Blue Originのプレスリリースより:

われわれのフロリダ事業の特徴は、ここから発射するだけでなく、ここで製造することだ。Exploration Parkには21世紀の生産設備を持ち、再利用可能な軌道ランチャー群を製造して、繰り返し飛ばす体制を作ることに専念している。機体の組立て工場を発射現場近くに置くことで、非常に大きなロケットの処理と移動という難題を緩和できる。

われわれは10年以内にここから発射するつもりだ。ニュースに注目していてほしい。アメリカ製のBE-4エンジン ― われわれの軌道打上げ機の心臓部 ― はここで受入れ検査が行われる。われわれのBE-4エンジンは、United Launch Alliance製Vulcanロケットの初飛行の動力となることでも歴史に名を残すだろう。

今この分野は非常に熱く、既に多大な資金が民間宇宙飛行に注ぎ込まれている

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Primerアプリで隙間時間にマーケティングが学べる

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一年ほど前、GoogleはGoogle Primerという新しいモバイルアプリをローンチした。これはスタートアップ向けにGoogleの最新の検索エンジン、メディア露出、コンテンツ・マーケティングの内容に慣れ親しんでもらうためのアプリだ。しかし当時、アプリはまだ検証段階でGoogleはこのプロジェクトに関するコメントを発表しなかった。本日、Google Primerは新しいデザインで公式にローンチし、レッスンの内容にも新たにモバイルサイトデザイン、プログラマティック・バイイング、検索連動型広告などが追加された。

Googleは毎週、新しいレッスンを追加すると発表している。

また、iOS版は昨年の10月にデビューしたが、現在Android版も利用可能だ。

Google Primerの目標は小規模なビジネスを運営している人から大手企業で働くマーケッターまで、仕事に必要な最新のツールの使い方やスキルを習得を助けるためだとGoogleは説明する。

ユーザーが簡単に学ぶことができるよう、アプリのレッスンは短くまとめてあり、オフラインでも利用可能だ。ちょっとした隙間時間、例えばコーヒーを買うのに並んでいる時や、飛行機での移動中、電車での通勤時など、どこでも学ぶことができる。

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Google Primerのユーザーはプロフィールに進捗を保存したり、前に保存したコンテンツを見たり、アプリを役立てることのできる友人に共有したりすることができる。

アプリのオリジナルのバージョンには入門レベルのコンテンツが多かったが、今回アップデートしたGoogle Primerには、基本的な内容のものから上級のものまで幅広く揃っている。レッスンには「難解な専門用語はありません」とGoogleは伝えている。新しくマーケティングを学ぶ人にとって登場するコンセプトを理解しやすくするためだ。

Googleは業界の専門家と共同でアプリのコンテンツを開発した。Primerのユーザーに分かりやすい言葉を選び、レッスンと連動するインタラクションを構築するために手を組んだという。

刷新したバージョンには、ユーザーにパーソナライズした「次のステップ」を提供する。つまり、各レッスンの終わりに短い課題があり、ユーザーにカスタマイズした次に進むためのヒントを提供する。この模擬課題には、例えば、カスタマーにセール期間を知らせる、新製品の発表を行う、誕生日のお祝いメッセージを送信するといったものがある。

Primerの目標は、Googleのプロダクトやサービスに新規カスタマーを増やすことであるのは明白だ。そのようなGoogleの思惑があるにしても、Googleの一連のツールを活用したいと考えている人にとっては、学習を助けてくれるものとなるだろう。

Google PrimerはiTunesGoogle Playから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

TwitterとSquareの提携で、新たな政治献金の方法が生まれた

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政治家候補への献金は、ドナルド・トランプの頭髪に関するジョークを140文字で発信するたけでよくなった。

Twitterは火曜日(米国時間9/15)、支払いサービスのSquareと提携してユーザーが政治家候補にツイートで寄付できるようにすると発表した 。候補者はSquare Cashを通じてアカウントを登録すれば、$Cashtagをツイートして支持者から寄付を募れるようになる。Twitter Square

新機能は火曜日の午前にスタートしたばかりだが、Twitterは公開前に全主要大統領候補者に会っている。これまでに9人の大統領候補と民主党全国委員会が参加した。バーニー・サンダースヒラリー・クリントンスコット・ウォーカージョン・ケーシックリック・サントラムボビー・ジンダルランド・ポールマイク・ハカビー、およびマルコ・ルビオの各氏がすでに寄付を求めるツイートを発信している。

有名どころでは、ジェブ・ブッシュとドナルド・トランプがサービス利用者のリストにない。彼らのキャンペーン陣営にコメントを求めたところ、すぐには回答がなかった。

2016年の大統領選挙は未だに一年以上先だが、キャンペーンは既に最高潮に達し候補者たちは党のトップ技術者の獲得を争っている。オバマ大統領が2008年と2012年にインターネットを使った草の根キャンペーン推進に成功して以来、多くの政治家はターゲットされたデジタル広告とオンライン寄付がホワイトハウス獲得の鍵だと信じている。

TwitterとSquareの提携は、オンラインキャンペーンの転換点と言える。もし今、マルコ・ルビオがディベートで優位な瞬間にあれば、彼の陣営は寄付を募るツイートを発信できる。メーリングリストよりずっと早く、キャンペーンのターゲット対象になっていない人々と有機的につながる可能性も高い。

この提携によって、キャンペーン陣営は初めてモバイル支払いの威力を真に役立てられ。Appleには、モバイルアプリが政治献金を求めてはいけないという厳格なルールがある。しかし、Twitter/Square提携によって、ユーザーはSquare Cashにリダイレクトされる。Square Cashは、出来の悪いキャンペーンサイトと異なりあらゆるモバイル端末で動作し、いかなるApple Storeルールや選挙資金法にも触れることはない。

Squareは各取引毎に1.9%の手数料を取り、これは企業がSquare Cashを使う場合の通常レートだ。Twitterが水曜日の共和党全国大会に先立ってサービスを公開したのは、ディベート等のライブイベントの最中には、政治に関するツイートが最も多く発信されるからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

地域に根ざしたビデオを匿名でシェアするPanama

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ビデオを扱うことのできるソーシャルネットワークも数多く存在している。しかし「ソーシャル」の面に力点をおき、「コンテンツ」側への意識が薄いものもあるように感じる。

そんな中で勝負しようと出てきたのがPanamaだ。Ochoの共同ファウンダーであるJonathan Swerdlinが、「コンテンツ」を第一に考えるサービスを作ろうと考えて産みだしたものだ。

Panamaでは「地域」に根ざした短いビデオがコンテンツとなる。各「地域」にいる利用者が投稿するものだが、投稿に際しては個人情報を一切必要としないというのが特徴となる。

「Panamaは自分のいる地域のできごとを映し出す鏡のようなものなのです。もちろん他の地域(外国など)にジャンプすることもできます。世界中の人々の心の距離を短くすることができるかもしれません」とSwerdlinは言っている。「皆が、自分のいる場所についての歴史を紡いでいくためのサービスなのです」。

投稿できるビデオは30秒までとなっていて、アプリケーション画面をタッチし続けることで録画・投稿を行うことができる。投稿したビデオは位置ごとに分類され、時系列で表示されるようになる。閲覧者はビデオを見て評価(肯定的および否定的の双方)することができる。

たくさんの肯定的評価を得たビデオは「トレンディング」セクションにまとめられることになる。これは地域に関係なく、まとめて表示されるようになっている。

この「トレンディング」セクションを除けば、基本的には「近所」(Nearby)のビデオが表示されることになる(場所を検索することはできる)。Panamaは現在、公開アプリケーションではあるが、公開前にニューヨークのコンテンツをテスト的に集めている。したがって現在のところはマンハッタンおよびウィリアムズバーグのコンテンツが多くなっている。

利用者はメイン画面から自分の投稿や、あるいは肯定的評価をしたビデオをまとめて閲覧することもできる。

自分でビデオを撮影して投稿する際、実際の音ではなくてBGMを流したいという人もいるだろう。そのような人はストリーミングアプリケーション(SpotifyやPandoraなど)を使うことができる。ビデオ撮影中に音楽を流し続けることで、スマートフォンのマイクがその音楽を拾うようになるのだ。

ビデオ投稿サービスは数多く存在するが、地域に特化して、また投稿者情報を完全に無視するところに新しさがある。

「ログインは無用で、ビデオコンテンツと個人情報が結び付けられることは一切ありません。個人のアイデンティティと結びつけてビデオを投稿する際のプレッシャーから開放されて、ストレートなリアルタイムビデオを投稿できるようになると考えているのです」とSwerdlinは言う。「フォロワーの多寡なども一切関係なく、まったく平等にコンテンツ勝負ができるという魅力もあります」。

もちろん匿名で投稿できるということには悪い面もあるだろう。しかしPanamaはさまざまな仕組みで「不適切」なコンテンツが広まることを防いでいるのだそうだ。

PanamaにはAndroid版とiOS版があり、こちらからダウンロードすることができる。

(訳注:訳者のGalaxy S3ではアプリケーションが異常終了してしまいました。訳者の環境によるものだとは思いますが念の為。iPad版は問題なく動作しています)

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(翻訳:Maeda, H

最新のOperaブラウザはパスワードのsyncをサポート、そしてVPN機能を最初から統合

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今年の早い時期にOpera Softwareは、仮想プライベートネットワーキング(virtual private networking, VPN)サービスのSurfEasyを買収した。VPNはインターネットの上にソフトウェアによりクローズドなネットワークを作り出す技術で、プライバシーの保護と安全なWeb閲覧を可能にする。今日(米国時間9/15)リリースされたデスクトップ版Opera 32では、SurfEasyが最初からWindowsやMac、そしてLinux用のOperaブラウザに統合される。

ただし当面、この統合はかなり軽い。Opera 32でプライベートタブを開くと、SurfEasyをダウンロードするためのポップアップが出る。ただしそれは当面だけのことで、今後はSurfEasyのもっとタイトな統合が提供される、という。ブラウザだけでなく、Android用の圧縮プロキシサービスOpera Maxも、当然ながらSurfEasyを統合するようだ。

SurfEasyはモバイルとデスクトップ両方のサービスを提供しているが、無料サービスは転送量500mbまでだ。無制限を希望するユーザは、デスクトップで月額3ドル99セント、モバイルアプリでは2ドル49セントを払う。

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このバージョンでは、syncオプションが改良されている。とくにこれからは、ブックマークやタブなどだけでなく、パスワードもsyncできる。

このほかOpera 32では、ブックマークをツリー状に見られるオプションが加わる。大量のブックマークを使いやすくまとめるのに便利だろう。

またバックグラウンドの画像が静的画像では物足りない人のために、Speed Dialのテーマとしてアニメーションを使えるようになる。Speed Dialは、ほかのブラウザでは‘新しいタブページ’と呼んでいるブランクタブページのことだ(トップ画像)。たとえばFirefoxなどでは「よく見るページを表示」などのオプションがある。Operaはこのアニメオプション用にGoogleの規格であるWebMやWebPフォーマットを使って、小さなファイルサイズの維持に努めている。

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合衆国国土安全保障省が図書館のTORノードを閉鎖、悪用の危険性に配慮

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国土安全保障省(Department Of Homeland Security, DHS)にとっては、終わり良ければすべて良しだから、今日は同省とニューハンプシャー州レバノン市の警察が同市の公共図書館に、テロなどの脅威を防ぐためにTORのノードを閉鎖するよう求めた。

この図書館は合衆国では初めての、セキュアなTORの末端ノードを設けた図書館だった。TORを経由するとWeb閲覧の匿名性が維持され、そのサイトを見ている人の本人性がばれない。そこでDHSと警察は、図書館のローンチ直後にその職員たちにアプローチした。このレバノン市の公立図書館はLibrary Freedom Project(図書館の自由プロジェクト)のメンバーで、このプロジェクトは多くの図書館にTOR末端ノードを置こうとしている。図書館の訪問者の匿名性が維持されると、個人が悪質な国家権力からスパイされたりするおそれがなくなる、というのだ。Viceはこう書いている:

警察や市から、TORは犯罪者が悪用することもある、という説明を受けた図書館は、LFPプロジェクトを脱会した。“しばらく休止しますが、こういう問題が早くなくなることを期待します”、と館長は語った。彼によると、9月15日に行われる評議員会議にサービスの復旧を諮る、という。

DHSのスポークスパーソンShawn Neudauerはこう述べる: “Torの利用そのものは不法ではなく、その利用には妥当な目的もある。しかしながらTorが提供する保護は、犯罪を行う企業や個人を魅(ひ)きつけることもあり、われわれはそういう、匿名化技術を悪用する人たちを追い続けることになる”。

この論理で言えば当然、車も銃もレンガも、その悪用の危険性ゆえに、非合法化されなければならない。次は、何が槍玉に上がるだろうか。

出典: Digital Reader

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Linux電球は、光の点滅で相互に通信する

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Disneyの研究者らが開発中の新しいプロトコル ― 仮の名はLinux Light Bulb[Linux電球] ― は目に見える光の点滅によってデータを通信する。電球はガジェットやおもちゃとも一緒に動作するよう設計されていて、Wi-Fiや本格的無線機能がなくても周囲からデータを読み取ることができる。このテクノロジーは、Visible Light Communication[可視光通信]と呼ばれている。

「可視光通信(VLC)を使えば、部屋に設置されたLED電球は、電球同士あるいは他のVLC機器(おもちゃ、ウェアラブル、衣類等)と通信できる。モノのインターネットの構想には、電球とVLC機器がインターネットプロトコル(IP)経由で通信することが必要だ」と研究者らは書いている。論文はここで読める。

この技術を開発したStefan Mangold研究員は、VLCは単純なシステム・オン・チップと電球があれば使えると言っている。

「光による通信を使えば、無線装置ではなくLEDを装備した消費者電化製品を対話型通信ノードに転換することで、本当の〈モノのインターネット〉が可能になる」とMangoldは言った。「われわれはセンサーやスマートフォンや家電だけの話をしているのではない。LEDを使ったおもちゃをシステムに加えて〈おもちゃのインターネット〉を作るのも簡単で、遠くから監視したり操作したりできるようになる」

LED電球は2進コードを発光するようプログラムすることが可能なので、システムを古い照明システム上に設置して、住宅や様々な物の可視光通信メッシュネットワークを使うことができる。これでイタズラ坊主たちが欲しがるおもちゃは点滅する理由を得るだろうし、音声ベースのチェックサムシステムが出現すれば、妖精バンシーのようにわめきたてることだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookのオープンソース「React Native for Android」でクロスプラットフォーム開発が簡単になる

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Facebookは自社のエンジニアチームが同じコードでiOS、Android、ウェブのインターフェイスを製作できるようにするため、React JavaScript ライブラリを構築した。Facebookは、開発において強力な効果を発揮するそのツールを誰もが利用できるようオープンソースにした。今回の React Native For AndroidはReact三部作の最終章を飾るものだ。

FacebookはReactを2013年にオープンソースにし、今年の初めに開催したF8 カンファレンスReact Nativeを公開した。Android版の公開で、Reactを使ったことのあるエンジニアは、全ての主要プラットフォームでの開発ができるようになった。スタートアップから大手テクノロジー企業まで、これまでより少ないエンジニアの数で仕事をこなすことができるようになる。また、それぞれ異なるコードを用いるiOSとAndroidの開発に専門の開発者を採用する負担も軽減できる。それは結果的に新しい機能の開発を速く行い、iOS版のリリースからAndroid版を製作するまでにかかる時間を短縮することにつながるだろう。

Facebookは本日、@ScaleカンファレンスReact Native For AndroidのオープンソースGitHubに公開したことを発表した。@Scaleカンファレンスでは、Facebook、Twitter、Google、Box、Pinterest、Microsoftといった企業の役員や開発者、総勢1800名が集まり、開発やインフラ環境を整えるために何ができるかについて共に検討する。参加企業はこれまでに累計で4500のオープンソースプロジェクトに貢献してきた。

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何故オープンソースにするのか?

何故FacebookがReactのような強力なテクノロジーを公開するのか疑問に思うかもしれない。非公開にしておくことで、競合である他のソーシャル企業より、開発において優位な立場を維持できるだろう。FacebookのエンジニアマネージャーであるTom Occhinoは、3つの理由を私に説明した。

  1. コミュニティーへの貢献:「機能面からバグの発見に至るまで私たちはコミュニティーからとても意味のある恩恵を受けてきました」。
  2. 採用:「Facebookのような大きな企業を支えているテクノロジーを学ぶことに関心がある人がいます。彼らは、このような製品を構築するチームに参加したいと思っています」。
  3. エンジニアの入社研修:「Facebookに参加するエンジニアが、Facebookのフレームワークを既に理解していることで、Facebookでの仕事をすんなり始めることができます」。

つまり、Facebookはオープンソースにすることで、失うものより得るものの方が多いということだ。また、これはFacebookが彼らの世界をつなぐという理念に沿う、利他的な取り組みでもある。「Facebookだけで全てのソフトウェアを構築することはできません」とOcchinoは言う。「私たちができることは、開発者のミッションを進めるためのツールを提供することです」。

一回学べば、何でも書ける

クロスプラットフォーム開発の最終目標は「一回学習すれば、何のコードでも書ける」ことだが、ウェブ、iOS、Androidの基本構造の違いがそれを阻んでいた。しかし、Reactは要素を概念化した3つのプラットフォームにまたがるレイヤーを置くことで、Reactを学べば、どのプラットフォームでもアプリを書けるようになる。

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例えば、今年の初めにFacebookはAds ManagerのiOSとAndroidのネイティブアプリを開発した。Reactを使用したおかげで、予定していた期間の半分で開発することができたという。当初の予定は18ヶ月間だったが、FacebookはiOSアプリを5ヶ月、それを元にAndroid版を3ヶ月で製作した。

このテクノロジーによりFacebookはウェブだけのプラットフォームの時代に培った、常にコードを書いてアプリに適応し、新しい機能を検証するMove Fast(速く動け)の理念を取り戻している。モバイル時代に適応した際、Facebookはエンジニアチームにウェブ、iOS、Androidの各専門家を入れて、分けなければならなかった。

FacebookのエンジニアマネージャーであるOlivia Bishopは、Reactなしでは「素早く機能改善するのは難しいのです。変更を行うたびにリコンパイルして、検証するデバイスに入れなければならないのですから」と話した。Reactではコードを再利用することができるので、開発時間の短縮につながる。

React Nativeを使い慣れるほど、コミュニティーはリーン・スタートアップの方法論をより簡単に実行できるようになるだろう。クロスプラットフォーム対応を諦めたり、新しいOSを検証することを躊躇ったりすることなく、全ての開発者は上手くいくものを素早く検証することができるようになる。また、Reactに何か問題あることを発見した場合は、Facebookのためにそれを修正することもできる。

「オープンソース化は、進化や風化といった長期間のプロセスに似ています。年月が経ってもソフトウェアが適切なものであることを保証し、オープンソースへの投資は報われるでしょう」とFacebookのエンジニアディレクターのAdam Woffは結論付けた。ソフトウェアを企業内に留めておくことは、危険な停滞を招くという。「時間が経過すると、それは資産であるソフトウェアスタックを破壊し、企業を傷つけます」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Googleの自動運転車部門のCEOが決定、FordとHyundaiに24年いたJohn Krafcikだ

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Alphabet/Googleの近未来の花形といえば、もちろん自動運転車だ。今日はこの部門が、自動車産業における経歴がとても分厚い人物をCEOに迎えた。今同部門はSundar PichaiとGoogleの下にあるが、今後巨大ビジネスになることは目に見えているから、いずれはGoogleの持株会社Alphabetの下の、独立企業になるのだろう。

CEOに決まったJohn Krafcikは10年間をHyundaiで過ごし、その5年間はCEO兼社長だった。さらにその前は、Ford Motor Companyに14年間いた。まさに、恰好の人材だろう。最近までKrafcikは、TrueCarの役員だった。同社は2008年のTechCrunch50でローンチした

[はい、本当です。私はGoogleの自動運転車プロジェクトに9月の後半に加わります。]

[これは、Googleによる自動運転車のとても大きなポテンシャルの開発を助ける、すばらしい機会です。始めるのが、待ちきれません。]

[自動運転車は何千もの命を救い、人びとの移動性を高め、今日の自動車運転にある不満な要素から私達を解放します。]

たしかに自動運転車はクールだけど、これまでGoogleの人たちは安全性を主張するだけで、実際にそれに乗る人間のことには言及しなかった。それを承認/不承認するお役人たちを事前に口説いておく、というアタマしかなかったのだな、Googleには。

安全性はもちろんだが、将来はお金も稼がなければならない。小さな子会社だが、優秀なリーダーが必要なのだ。Uberもいよいよやる気のようだからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple WatchとiPhoneの双方を、同時に充電できるPod Pro

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身の回りにテック・ガジェットが増え続けていく中、すべてを充電しておくことが難しくなりつつある。Apple Watchの購入をためらっている人の中には、充電が面倒だからと考えている人も多そうだ。しかし、そうした問題を解決してくれるプロダクトも出てきつつある。

このたびNomadがアナウンスしたのがPod Proというバッテリーパックだ。Apple WatchとiPhoneの双方を、同時に充電することができる。「世界初」のものであるとのことで、デザインもなかなかおしゃれだ。どうやっても格好良くはならない充電ケーブルはポッドの中にしまう形になっている。そしてそのポッド自体はApple Watchを充電するパワーマットとなっているのだ。

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これがあれば旅行に行くのにApple Watchの充電器を別にもっていく必要もなくなる。充電が切れてApple Watchが単なる腕輪になってしまうこともなくなるというわけだ。スマートフォンとスマートウォッチの双方に使うものなので、持っていくのを忘れる可能性も低くなるだろう。

Pod Proの容量は6000mAhで、これでiPhoneおよびApple Watchを2回ずつ充電することができる。先日のAppleの発表を受けて、ストラップなどのサードパーティー製品がいろいろと登場してきているところだ。Apple Watchの人気はまだまだ衰えていないとのことで、またWatchOS 2にも期待が集まっている。

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Pod Proの価格は99ドル99セントとなっている。但し現在は79ドル99セントでのプレオーダーを受け付け中だ。出荷予定は10月30日となっている。またBest Buyの店舗でも取り扱うそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

Facebook、Googleと協力してモバイルウェブユーザーにプッシュ通知を送信

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デベロッパーがモバイルウェブサイトを嫌う大きな理由は、ネイティブアプリのようなユーザーを呼び戻すためのプッシュ通知がないことだ。それはfacebookにとって深刻な問題だった。山ほどのユーザーがm.facebook.comサイトにやってくるのに、彼らを引き入れることができない。そこで今日(米国時間9/14)Facebookは、Googleと協力して新たなモバイルウェブアラート標準を定め、モバイルウェブサイト m.facebook.comのユーザーが、Chrome経由で通知を受けられるようにしたことを発表した。

2Googleが最初にサードパーティー用のChromeプッシュAPIの開発を発表したのは4月で、eBay、Vice News等数社がこの標準の実装を約束した。このたびFacebookが同機能を導入したことで、m.facebook.comを使うChromeユーザーは、Chromeプッシュを有効にするかを尋ねられる。Facebookのブラウザーパートナーシップ担当製品マネージャー、Janathan McKayは今日私に、「プッシュ通知に対応して以来、訪問者が増えている」と語った。

Chrome経由のプッシュは、「Facebookをあまり使わない人々をサイトに呼び戻すのに最適なツールだ」とMcKayは説明する。「最良のコンテンツをプッシュすることによって、彼らは自らサービスをアクセスしなくてもよくなる」。これは友達が結婚したり、その人が写真にタグ付けされた時、サイトを訪れるよう通知するという意味だ。こうしたプッシュアラートがないと、モバイルウェブユーザーはFacebookで何か急な呼び出しがあっても気付く術がない。

通信費を気にしないソーシャルネットワーク中毒者は、高性能なネイティブFacebookアプリの方を好むだろうが、途上国市場ではモバイルサイトの人気が非常に高い。表示に無駄がなくデータをあまり消費せずに済みアプリのアップデートも必要ない。

1Googleは、自社のモバイルウェブプッシュ通知標準を他のブラウザー提供元も採用することを願っている。「今やわれわれとOperaが安定して提供しており、11月にはFirefox 42にも塔載される」とGoogleでこの機能を担当するアソシエート製品マネージャーOwen Campbell-Mooreは言う。中国企業UC WebのUC Browserもこの機能をサポートして途上国市場への進出をはかっている。

一つの課題は通知の重複だ。Facebook、Facebook Lite、Operaその他のプッシュ方法にモバイルサイトが加わることによって、ユーザーは既に見たプッシュに再び曝されかねない。Facebookの統合担当ソフトウェアエンジニア、Nate Schlossはこの煩わしさを懸念している。McKayはこれをテスト中「Nateと私は誰かが何かをするたびに9回通知を受けた。あれはまるで耳鳴りのようだった」と笑いながら話した。

各社はユーザーの好むインターフェースを知り、それだけをプッシュしてアラートの重複を避ける方法を検討している。うまくいけば、プッシュ通知はモバイルウェブがネイティブアプリに対抗するための後押しになるかもしれない。今後はモバイルブラウザーの簡便さで、ネイティブアプリのように再来の機会を得られるようになるかもしれない。

両社が協力することによって、Facebookは体験の改善を手助けされ、GoogleはFacebookの膨大な規模でのみ発生するバグや問題点を知ることができる。それは、今日この種の発表を聞きにシリコンバレー全体からプログラマーが集結した、Facebook @Scaleエンジニアリング会議の大きなテーマの一つだった。ITの巨人たちは競い合うばかりではない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

App Store「人気検索」のキーワードは金で買える——表示を操作する広告商品の存在

6月末、TechCrunchではスマートフォンのアプリストアのランキングを操作する、おこづかいアプリを使った「ブースト」という行為の実態について紹介した。前後して複数媒体でブーストについて報じたが、このタイミングで多くのおこづかいアプリはアプリストアから削除されたようだ。

だが今あらためてアプリストアを見てみれば—以前ほどの数はないものの——新しいおこづかいアプリが登場しているし、ブーストに利用されるリワード広告も健在だ。上場する広告代理店らを筆頭に、引き続き広告を販売している(もちろんリワード広告自体に問題があるのではなく、ブーストという行為が問題になっている)。また、アプリストアから削除されたアプリも、ユーザーがアンインストールしない限り動き続けている。

ブーストはAppleやGoogleといったプラットフォーマーの規約に違反するかという意味で「グレー」だ「クロ」だと言われる手法だったし、景表法上の優良誤認に当たるのではないかという話もあった。だが同じ手法を使い続けるかどうかは別として、アプリ開発者がマーケティングを行ってアプリの露出を図り、マネタイズしなければならないのは切実な話だ。

「人気検索」のキーワードが広告商品に

そんな中、TechCrunchではとある広告代理店の資料を入手した。そこに書かれていた広告商品は、「App Storeの検索欄に表示される『人気検索』欄に希望するキーワードを掲載する」というものだった。以下はその抜粋だが、この3行で商品の意図は理解してもらえると思う。

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メニュー:人気検索ブースト
概要:AppStoreの検索欄TOPの人気検索欄への掲載保証
料金:60万円/初回のみ(100万円/定価)
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人気検索のキーワード表示は、1年前にリリースされた「iOS8」ではじめてApp Storeの検索ページに導入された。ロジックこそ公開されていないが、1日複数回アップデートされており、一定時間内に検索回数が増えるなどしたキーワードが検索欄の下部に表示されている。それぞれのキーワードをタップすると、そのキーワードでのApp Storeの検索結果が表示される。

そこに並ぶキーワードの多くは、その日テレビやウェブで話題になったアプリに関わるものだったり、(特に悪天候時に)天気予報や時刻表に関わるものだったりする。

ただときどき、おおよそ全文を入力して検索することはないであろう、ちょっとややこしいゲームタイトルなんかが(略称でなく)正式名称で表示されたりすることがあった。もちろんその全部が全部というワケではないが、それらの中には、第三者が商品として販売し、操作して表示されたキーワードもあるのだという。

ざっくりその仕組みを説明すると次の通りだ。以前の記事で紹介した「中華ブースト」ではないが、代理店はあくまで商品を販売しているだけで、実働部隊の多くは海外の企業、もしくは海外にネットワークのある国内企業だ。

彼らは国内外に日本のApple IDを数万件保有しており、そのIDを使って手動ないし自動で、タイミングを集中させて広告主の依頼したキーワード(多くはアプリのタイトルだ)の検索を繰り返す。しばらくたてば、人気検索にそのキーワードが表示されるのだという。

もちろんAppleは常に検索ロジックをアップデートしているし、この手法が毎回成功する訳ではない。そのためこの商品は成果報酬で売られるケースがほとんどだという。価格は代理店により数十万円から数百万円。

ネット広告に詳しい関係者いわく「費用対効果で考えればブーストより効果は低いが、成果報酬なので営業のフックにしやすい」という。ちなみにアプリ開発者側からブーストの要求は減りつつあり、今後は運用型の広告を中心にするという動きもあるそうだ。今回紹介したマーケティング向け商品は、人気とはいかないようだが、「ブースト以外の商材」としても興味を持たれているという。

前出の関係者はこの商品について「グレー」なものだとした上で、「Appleもアルゴリズムを日々研究しており、この手法は今年中にも利用できなくなるだろう」と語る。Googleが検索の世界でブラックハットSEOと戦ってきたのと同じような話だ。

今後この手法がどこまで通用するのかはさておき、読者にはApp Storeの「人気検索」に表示されるキーワードが「ユーザーが気になって検索した、本当に人気なもの」ばかりではないという現状を知っておくべきだ。

ロシアの独禁当局がAndroid機へのGoogle検索のプレインストールを不正競争と裁定、Yandexの株価が上昇

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【抄訳】
2月に“ロシアのGoogle” Yandexが、不正競争でGoogleを訴えた。その訴訟は、Androidデバイスのほとんど全機に、デフォルトの検索エンジンとしてGoogleがプレインストールされていることが不正競争にあたり、Yandexに不当な不利を与えている、と主張した。

Yandexはロシアで60%のシェアを握っているが、Androidはロシアで売られているスマートフォンの86%を占める。つまりモバイルが、この係争の戦場だ。

そして今日(米国時間9/14)、Googleに不正競争の判決が下りYandexの株価が急上昇した。

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ロシアのFederal Antimonopoly Service(連邦独占禁止局, FAS)の副長官Alexey Dotsenkoからの今日の発表によると、Googleに対しその“支配的な地位の濫用”の停止を命ずる命令が今後10日以内に公布される。

FAS Russiaはとくに、モバイルデバイスのメーカーとの合意事項を調製して、ほかのデベロッパのアプリケーションやサービスのインストールを制限している合意事項を排除するよう命ずる。

Googleは本誌宛の声明文で、最終命令が出るまでは何も言うべきことはない、と明言している:

弊社はまだ裁定を受け取っていない。受け取ったらそれを検討したうえで、弊社の次のステップを決定する。

以下は、裁定に対するYandexからの公式声明だ。同社は、同社の支配的な地位が将来的に不安定であることを、承知しているようだ:

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

第一回のドローンカンファレンスInterDroneに見るドローン未来学とそのための課題

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小型のドローンが急速に進歩している。最初はやや高度なリモコン玩具にすぎず、‘ドローン’という呼び名にも批判があった。ドローンと言えば、少なくともある程度の自律性があって、たとえばテロリストの暗殺に使われたりする無人機を指すからだ(一般市民も巻き添えにするが)。しかし今では、技術が名前に追いつきつつある。ドローンはますます自律的になり、そのため、近未来のスタートアップのための多様なビジネス機会が開かれつつある。

先週(9/6-12)は、今年で第一回となるInterDroneカンファレンスがラスベガスで行われ、そのキーノートで3D RoboticsのCEO Chris Andersonが、今やドローンは“パイロットのいない航空機”から“プロペラのあるスマートフォン”に変わりつつある、と述べた。

そのときのインタビューでAndersonは、3DR社は今、自律飛行の研究開発に重点投資をしており、AIと機械学習のエキスパートたちを雇用して技術の改良を進めている、と語った。

初期のドローンの性能は、人間操縦者の技能に大きく依存した。今のドローンは一部の基本的な機能は自律的に行うが、障害物の回避などの能力はまだお粗末だ。GPSで目的地に向かうことはできるが、その航路の途中に壁があってもまっすぐ飛び続ける。木や壁を避(よ)ける機能は比較的容易に実装できるが、たとえば送電線のようなものを認識させるのは難しい。いずれにしても今のドローンの大きな技術的障害が、障害物の回避なのだ。

ドローンが本当に“プロペラのあるスマートフォン”になったら、それは物のインターネット(IoT)の一部になり、それだけでなく、インターネットに接続されたほかのもの(ドローンや航空機が多いだろう)と対話できる。これにスマートな(電脳の)障害物回避が加われば、ドローンの自律性がより本格的になり、さらに新しい用途が開ける。

そしてドローンの自律性が増せば、人間はその複雑な操作に悩まなくなり、ドローンが集めてくるデータに集中できるようになる。

InterDroneに集まったAndersonなどの業界人の多くが、ドローン産業の現状をWebの初期になぞらえている。ということは、これからはドローンという新しい技術と、さまざまな既存の技術との組み合わせを考えるべきなのだ。インターネットとWebの登場によって、その後、小売業も不動産業もレストランも、行政すらも、あらゆる業態がディスラプトされてきたように。それはたとえば、Web + レストラン = OpenTable、といった式で書き表せるだろう。

誰もが思いつくユースケースもある。精密農業や、測量、それにAmazonのおかげで荷物の配達も。最近では、ドローンが撮影している映像をリアルタイムで仮想カンファレンス(ビデオによるカンファレンス)にストリーミングする、という企業も現れている。

このような簡単な応用例はまだまだたくさんあるが、あまり人が考えつかないようなものにも、おもしろいアイデアがいろいろある。

ドローンをめぐる規制はまだ流動的だから、ドローンでできることとできないことの境界も曖昧だ。でもベンチャーキャピタリストたちは、YuneecへのIntelの投資やさまざまなドローン指向ファンドにも見られるように、早くも走りだしている。ファンドの多くはハードウェアへの投資をねらっているが、しかし今日では、ドローン関連のソフトウェア開発も大量に行われている。そしてそれらのすべてが、将来FAAと問題を起こさぬように、適正に調製されるべきだ。AirwareSkywardのような企業ユーザ向けドローンソフトウェアのメーカーは、とくにそれを願っている。

というか、今日の主導的な趨勢としては、多くの企業が明日のドローン+(drone+, ドローンプラス)の時代に備えてインフラの整備に励んでいる。

ドローンを飛ばせることだけでなく、ドローンが集めてくるデータの分析も重要だ。それは典型的なビッグデータ分析の課題だが、今後はドローン固有のビッグデータソリューションがいろいろ登場するだろう。たとえば農家には、ドローンが送ってくる映像を毎朝分析する能力がないから、農家にそのためのわかりやすいダッシュボードを提供するソフトウェア企業が必要とされる。それは、潅水の適期適量を知るといった精密農業のニーズだけでなく、害鳥や害獣を追い払うといった、ドローンの古典的な活躍分野もありえる。

自分の身の回りの環境を完全に認識できる、真の自律的ドローンが登場し、同時にセンサとデータ分析の技術がさらに進歩し、良質な規制が完備したら、ドローンのポテンシャルが完全に開花するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa