新型コロナ検査サイトのサービス内容についてトランプ大統領がミスリード

トランプ米大統領は3月13日、ホワイトハウスでの記者会見で1700人のGoogle(グーグル)のエンジニアが新型コロナウイルス(COVID-19)のスクリーニングサイトに取り組んでいると発表した。そのサイトは、新しいスクリーニングプロセスの最初のステップとなるはずだった。サイトで利用者が自身の症状に基づき詳細な検査が必要だと判定したら、新しい「ドライブスルー」検査場へ向かうという流れだ。だがトランプ氏は間違っていた。このスクリーニングサイトはGoogleによって開発されたものではない。Alphabet(アルファベット)のライフサイエンス部門であるVerily(べリリー)が手掛けていて、まだ立ち上げの準備中だ。

両社ともAlphabetという同じ親会社を持つが、それぞれまったく異なる会社だ。さらに、トランプ大統領の発表から約3時間後にVerilyが声明で明らかにしたように、このサイトはまだ準備中だ。

「Verilyは、新型コロナウイルスの検査でトリアージ(患者の重症度に応じて治療の優先度を決定・選別すること)を支援するツールを開発している。開発は現在初期段階だ。ベイエリアでテストを開始する計画を立てており、その後にほかの地域へも展開したいと考えている」と同社は声明で述べた。「支援してくれた政府関係者と業界パートナー、そしてこの取り組みに参加してくれたGoogleのエンジニアに感謝している」。

ホワイトハウス・コロナウイルス対策コーディネーターのDebbie Birx(デビー・バークス)博士は2020年3月13日、ワシントンDCのホワイトハウス・ローズガーデンで開催された記者会見で、ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウス・コロナウイルス・タスクフォースメンバーが見守る中、新型コロナウイルス(COVID-19)に関して話している。トランプ氏は新型コロナウイルスに関して国家非常事態を宣言した。(写真:SAUL LOEB / AFP, Getty Images)

Verilyはサイトが「初期段階」だとを明確に述べている。ホワイトハウスのコロナウイルス対策コーディネーターであるバークス氏とトランプ氏は、このサイトがまだ準備中であること、最初はベイエリアでのみ運用することについては言及しなかった。

そのため記者会見を目にした誰もが、サイトはほぼ準備が整ったという印象を持った。スクリーニングプロセス全体的の中での役割の重要性を考えればなおさらだ。

「Googleに感謝したい。Googleがウェブサイトの開発を支援している」とトランプ大統領。「過去のウェブサイトとは異なり、検査が必要か迅速に判定し、近くの便利な場所での検査を勧める。検査場も多く用意した。この国と世界の大部分をカバーする。今すぐに世界について語るつもりはないが、我が国をとても、とても強力にカバーする。ほぼすべての地域で検査できる。Googleで現在1700人のエンジニアが取り組んでいる。進捗状況は著しくいい」。

同様に、バークス氏は新しいスクリーニングアプローチの発表で、プロセスがスクリーニングウェブサイトから始まることを強調した。トランプ氏の記者会見でのコメントもあったため、多くの評論家はサイトが米国時間3月15日の夜までに準備されると思った。

Verilyの広報担当者が発表したサイトの計画に関する声明は次のとおりだ。「現時点で共有できるのは、トリアージツールを広範に使用するということだ。最初はこのサイトとベイエリアの複数のサイトをリンクしてテストを繰り返す。他の地域で検査を便利で受けやすいものにするために取り組んでいるQuest DiagnosticsやLabCorpといった組織と緊密に連携する」。

The Vergeに発表した別の声明でVerilyは「このツールはもともと医療従事者向けだったが、大統領の発表により一般大衆向けサイトに変更された」と述べた。プロジェクトの当初の意図がどうあれ、Verilyが大統領の発表に多少なりとも驚いたことは明らかだ。

現在、テクノロジーの世界以外の人がAlphabetとGoogleを区別なく使用することは珍しくない。それでも、VerilyはGoogleではなく、ベイエリアは国全体ではない。いずれも重要な事実だ。

画像クレジット:SAUL LOEB/AFP via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アップルが新型コロナウイルス関連アプリを制限

Apple(アップル)は米国時間3月14日、新型コロナウイルス(COVID-1)関連のセーフガードをApp Storeに追加した。同社は開発者コミュニティ向けの投稿の中で、世界中でほぼあらゆる生活に影響を与え始めている世界的な流行病に焦点を当てたアプリの、申請審査に関する措置を設けると説明している。

「このような要望に応えるために、我々はデータソースが信頼できることを保証するべくアプリを重点的に評価しており、これらのアプリを提供している開発者が、政府機関やヘルスケアに焦点を当てたNGO、企業、医療機関や教育機関などの認定された団体からのものであることを確認している」と同社は説明している。「新型コロナウイルス関連アプリを提出できるのは、これらの認知された団体の開発者のみである」。

コンテンツの評価や開発者の数の制限に加えて、アップルは偏在的かつ生命を脅かす題材を利用しようとする、エンターテインメントアプリケーションやゲームのリリースも禁止している。

同社はまた、一部のアプリが危機的状況にあるユーザーの支援を目的としている可能性があることから、迅速な対応のために「Time-Sensitive Event」のオプションを利用するよう開発者に求めている。同社はまた、新型コロナウイルスに関連するアプリを開発しようとする非営利団体や政府機関にかかる年会費の一部を免除する予定だ。

「COVID」や「コロナウイルス」でざっと検索すると、ケーストラッカー、ニュースアプリケーション、手を洗うリマインダー、ゲームタイトルなど、この用語を使っているアプリがいくつか見つかる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

コンピュータービジョンを利用して製品写真を重要な属性へと分解するGlisten

今日この時代になっても、新しい服を探すための最善の方法が、いくつかのチェックボックスをクリックして、果てしなく続く写真をスクロールしていくやり方だというのには驚かされる。どうして「グリーンの模様のスクープネックドレス」と検索して、結果をみることができないのだろうか? Glistenは、まさにこの課題を解決しようとしているスタートアップだ。その技術はコンピュータービジョンを使用してどんな写真からでも、写っている製品の最も重要な属性を理解して抜き出すことができる。

えっ、そんな機能もうあるのではと思ったかもしれない。ある意味それは正しいが、それほど役に立っているとは言えない。共同創業者のSarah Wooders(サラ・ウッダース)氏は、MITに通い自分のファッション検索プロジェクトに取り組んでいる最中に、この問題に遭遇した。

「オンラインショッピングを先延ばしにしていた私は、そのときVネックのクロップシャツを探していたのですが、まず見つかったのは2着だけでした。しかし、ずっとスクロールしていくと、さらに20着ほど見つかりました」と彼女は言う。「そのとき私は商品が極めて一貫性のない方法でタグ付けされていることに気づきました。消費者が見るデータが非常に煩雑な場合、おそらくその裏側はもっと悪い状況になっています」。

明らかになっているように、コンピュータビジョンシステムは、犬種の識別から表情の認識まで、あらゆる種類の画像の特徴を非常に効果的に識別するように訓練されてきている。ファッションやその他の比較的複雑な製品に関しても、似たようなことを行うことができる。画像を見て、信頼レベルを付加された属性のリストを生成することが可能なのだ。

そのため、特定の画像に対して、次のようなタグリストが生成できる。

想像できるとおり、これは実際とても便利だ。しかし、それはまだ多くの望ましい結果を置き去りにしたままなのだ。システムは「maroon」(栗色)や「sleeve」(袖)が、この画像に存在していることは認識しているが、それが実際に何を意味するのかは理解していない。システムにシャツの色をたずねてみても、人間が属性のリストを手作業で整理して、タグのうち2つは色の名前、これらはスタイルの名前、そしてこちらはスタイルのバリエーションのことといった具合に教えてやらない限り、システムはうまく答えることはできないだろう。

1つの画像だけならそうした作業を手で行うのは難しくないものの、衣料品の小売業者は膨大な製品を扱い、それぞれに複数の写真が関連し、毎週新しいものが入荷してくる状況なのだ。そうしたタグをコピー&ペーストで延々と整理し続けるインターンに、あなたはなりたいだろうか? そんなことはまっぴらだろうし、実際誰もやろうとはしないだろう。この点こそが、Glistenが解決しようとしている問題だ。コンピュータービジョンエンジンのコンテキスト認識を大幅に向上させて、その出力をはるかに便利にするのだ。

同じ画像をGlistenのシステムで処理すると、以下のような結果になるだろう。

ずいぶん改善されていないだろうか。

「私たちのAPIのレスポンスは実際に、ネックラインはこれ、色はこれ、パターンはこれという形式で返されるのです」とウッダース氏は説明する。

この種の構造化データは、データベースに容易に挿入することができ、高い信頼性とともに問い合わせを行うことができる。ユーザー(ウッダース氏が後ほど説明したように、必ずしも消費者である必要はない)は、「長袖」(long sleeves)と指定すれば、システムが実際に衣服の「袖」(sleeves)を見て、それが「長い」(long)ものを選ぶことを知っているので、組み合わせてマッチングを行うことができるのだ。

今回のシステムは、成長を続ける約1100万種類の製品イメージと、それに対応した説明文ライブラリでトレーニングされた。システムは自然言語処理を使用してそれらの説明文を解析し、何が何を参照しているかを把握する。こうすることで、学習モデルが「formal」を色のことだと思ったり、「cute」が利用されるシーンのことだと思ったりすることを防ぐための、重要なコンテキスト上の手がかりが与えられる。だが、データを単に投入してモデルにそれを判断させれば良いといえるほど、物事は単純ではないのではと考えるあなたは正しい。

以下に示したのは、説明のために理想化されたバージョンの概要だ。

「ファッション用語には多くのあいまいさがあって、それは間違いなく問題です」とウッダーズ氏は認めるものの、それは克服できない種類のものではない。「顧客に出力を提供するときには、各属性にスコアを付けています。そのため、それがクルーネックなのか、それともスクープネックなのかがあいまいな場合には、正しくアルゴリズムが機能している限り、双方にスコアとして大きな重みを付加します。確信が持てない場合には、信頼性スコアが低くなります。私たちのモデルは、現場の人たちがどのように製品にラベル付けしたか、その結果の集合で訓練されていますので、みんなの意見の平均値を得られることになります」。

当初のモデルは、ファッションと衣類全般を対象としていたが、適切なトレーニングデータを使用すれば、他の多くのカテゴリーに適用することもできる。同じアルゴリズムで、自動車や美容製品などの特徴を見つけることができるのだ。例えばシャンプーボトルを探す場合な、袖(sleeves)の代わりに適用シーン、容量、髪質、そしてパラベン(防腐剤であるパラオキシ安息香酸エステル)含有の有無などを指定できる。

普通の買い物客たちは放っておいてもGlistenの技術のメリットを理解してくれるだろうが、同社は自分たちの顧客が、販売の現場の手前にいることに気がづいた。

「時間が経つにつれて私たちが気づいたのは、私たちにとって理想的な顧客とは、乱雑で信頼性の低い製品データを持っていることに、苦痛を感じているような人たちだということでした」とウッダース氏は説明する。「それは主に、小売業者たちと協力しているハイテク企業なのです。実際、私たちの最初の顧客は価格の最適化を行う会社で、また別の顧客はデジタルマーケティング会社でした。これらは、アプリケーションとして当初私たちが考えていたものよりも、かなり外れた場所にある応用なのです」。

ちょっと考えてみれば、その理由が理解できるだろう。製品についてよく知れば知るほど、消費者の行動や傾向などと関連づける必要があるデータが増えていく。単に夏のドレスの売上が戻ってきていることを知っているよりも、七分袖の青と緑の花柄のデザインの売上が戻ってきていることを知っている方が良い。

Glistenの共同創業者サラ・ウッダース氏(左)とAlice Deng(アリス・デング)氏

競争相手は主に、企業内のタギングチーム(私たちが誰もしたくないような手作業のレビューを行う)や、Glistenが生成するような構造化データの生成を行わない汎用コンピュータービジョンアルゴリズムである。

来週行われるY Combinator のデモデー前にも関わらず、同社はすでに月々5桁(数万ドル、数百万円)の定常収益を得ているが、現時点では彼らの販売プロセスは、彼らが役に立つと思った人々への個別のコンタクトに限定されている。「ここ数週間で、非常に多くの売り上げがありました」とウッダーズ氏は語る。

ほどなくGlistenは多くのオンライン製品検索エンジンに組み込まれることになるだろうが、理想的には利用者がそれに直接気がつくことはないだろう。ただ単に探しものがはるかに見つかりやすくなったように思えるようになるだけだ。

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(翻訳:sako)

オンラインのコードコラボツールGlitchが労使協調の下で労働組合を結成

オンラインのコラボレーションで、ソフトウェアを作っていくプラットホームGlitchの従業員が米国時間3月13日、労働組合結成を発表した。このニュースはCommunications Workers of America Union(アメリカの通信労働者組合、CWA)により、公式のものになっている。CWAはアメリカで最大のメディアと通信の労働組合だ。プレスリリースによると、Glitchの社員は90%がCWAへの参加に賛成し、CWAを彼らの交渉代理人と認めている。

同社は、社員が労働組合結成を求めた最近のスタートアップにおける最新の企業だ。その中で最も有名なのはKickstarterで、2月その決定を発表した。そのほかにもSpinやInstacart、ピッツバーグのGoogle社員などが挙げられる。

CODE-CWA:労働組合を勝ち取ったGlitchの社員のみなさん、おめでとう。テクノロジー業界で労働者が組織を作るのは歴史的進歩だ。CWAの一員になることを心から歓迎する。今後も、業界における労働者の力を継続的に強化していこう。

GlitchはCWAの支部1101に入り、1月に立ち上げられたCampaign to Organize Digital Employees(CODE-CWA、デジタルの従業員を組織化するキャンペーン)に加わる。

CODEのEmma Kinema(エマ・キネマ)氏はプレスリリースで次のように述べている。「CODE-CWAは、テクノロジー業界とゲーム業界で改善を求める労働者を支援する。これらの業界は労働者のスキルを搾取し、彼らの仕事に影響を及ぼす諸問題について、従業員からの意見に耳を貸さないことがあまりにも多い。Glitchの労働者の圧倒的な労働組合結成への支持は、この業界における組織化努力の重要性を強調している。またそれは、通信やメディア、テクノロジー、そしてゲームの業界における大小を問わず企業の進歩的な変化を促進してきたCWAの成功を浮き彫りにしている」

今日はまたGlitchの三歳の誕生日であることを、創業者のAnil Dash(アニル・ダッシュ)氏は注記している。このサービスはFog Creek Softwareとしてローンチし、ユーザーがソフトウェアのプロジェクトをアップロードしてリミックスできるオンラインコミュニティを提供している。同社はTechCrunch宛てのコメントで、「私たちのミッションは、すべてのプログラマーが彼らの愛するウェブアプリケーションを、すばやくフレンドリーかつ安全な方法で作れるようにし、テクノロジーの世界をもっと良い場所にすることだ。今日のそれは、労働組合を結成するという私たちの社員を自発的に支援することだ」と言っている。

プレスリリースを読んだかぎりでは、組合結成のための団体交渉は他の企業に比べてずっと痛みの少ないものだったようだ。CWAの支部1101の理事長Keith Purce(キース・パース)氏はプレスリリースの中で「Glitchの経営者側との交渉を予期していたが、多くの雇用主たちと違ってGlitchの経営者チームは全従業員の権利の尊重し、誰にも強制されず労働組合の代表者を選ぶことができたのは評価できる」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国政府がZTEを贈収賄容疑で捜査中

ZTEの米国政府との闘いは、中国の大手スマートフォンメーカーHuawei(ファーウェイ)ほど目立ったものではない。しかし、同社はここ数年にわたり問題を抱えている。NBCが最初に報じ、その後にThe Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が確認した今回の報道は、ZTEが贈収賄容疑で捜査されているという。

この問題はZTEが米国の対イラン制裁違反の罪を認めた、2017年の米国政府との和解に端を発している。同社は、数百万ドル相当の機器を約6年間に渡ってイランに出荷したとして、8億9200万ドル(約960億円)という巨額の罰金を科された。

TechCrunchはこの件を米司法省に問い合わせたが、最終的にコメントは拒否された。現在、ZTEからの正式な回答を待っているところだ。また同社はNBCに対して、以下の一般的な声明を出している。

ZTEは、法律上およびコンプライアンス上の義務を果たすべく全力で取り組んでいる。弊社のリーダーシップチームの最優先事項は、ZTEをグローバル市場で信頼できるビジネスパートナーにすることで、チームは誇るべき偉大な業績を上げてきた。これ以上のことをZTEがコメントするのは、適切ではないだろう。

模範的な解答だ。一方、今回の調査の詳細やスケジュールはまだ明らかになっていない。ZTEは罰金を科されたが、贈収賄容疑がその事前か事後かに関わらず、米国政府によるさらなる調査から除外されるわけではない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

米政府が新型コロナ検査サイトをVerilyと構築、トランプ大統領はGoogleと勘違い

米国時間3月13日のホワイトハウスでの記者会見で、トランプ大統領はGoogle(グーグル)と協力し、COVID-19こと新型コロナウイルス感染症のチェックサイトを構築していると発表した。

しかし後に、これはトランプ大統領の勘違いだと判明した。サイトを構築しているのはグーグルではなくVerilyだ。開発は初期段階で、まずベイエリアにてロールアウトされる予定だ。進捗状況はこちらのサイトで確認ができる。

以下は、修正前の記事の内容となる。参考程度に掲載しておく。

詳細は明かされていないが、ユーザーが症状を入力し、追加のテストが必要かどうかを判断するのがサイトの狙いのようだ。トランプ大統領によると、グーグルでは1700人のエンジニアが開発に関わっているという。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策コーディネーターことDobbie Brix(デビー・バークス)氏によると、ユーザーは新しい検査用ウェブサイトにログインし、アンケートと危険因子に関する項目を記入し、その後に「ドライブスルーテスト」へと案内される。

なお、グーグルがどのようなデータを収集するのか、あるいはログインが必須となるのかは不明だ。グーグルとの連携は、ホワイトハウスが立ち上げたWalmart、CVS、Walgreensなどを含む、大規模な民間部門との連携の一部である。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

新型コロナで揺れるプリンセス・クルーズが過去のデータ漏洩を認める

クルーズ客船を運行するPrincess Cruises(プリンセス・クルーズ)は、横浜港に停泊していたダイヤモンド・プリンセスを含む同社の2隻の船で新型コロナウイルス感染が確認された後、全世界で運航を停止せざるを得なくなったが、さらにデータの流出も確認された。

3月初旬に公開されたと思われるPrincess Cruisesのホームページ上の投稿によれば、2019年4月から7月までの4カ月間に、社員や乗組員、来客者などの個人情報を含む多数のメールアカウントへの不正アクセスが発見されたという。

Princess Cruisesによると氏名や住所、社会保障番号、政府ID(パスポート番号や運転免許証番号など)に加えて、金融や健康に関する情報もアクセスされた可能性があるという。

また、どれだけの顧客のデータが影響を受けた可能性があるかは「明確ではない」と同社はいう。

Princess Cruisesは、2019年5月に同社のネットワークで不審な動きがあったことを発見したと述べているが、なぜ情報漏洩の公開にほぼ1年かかったのかは不明だ。

なお、同社はTechCrunchからの質問に対する回答はない。

Princess brandを所有する世界最大のクルーズ客船運行会社であるCarnival(カーニバル)は今週、新型コロナウイルスのパンデミックが宣言された後、18隻のクルーズ客船を一時停止すると発表したことで、株価が30%以上も下落した。また同社は、日本だけでなく最近ではカリフォルニアでも、新型コロナウイルスに感染した数十人の患者を乗せた船をめぐる事件に関係している。

Princess Cruisesは、どの部門でデータ侵入を許したのかは明らかにしなかった。ヨーロッパのデータ保護規則に違反した企業には、年間売上高の最大4%の罰金が科せられる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

第36回スペース・シンポジウムは新型コロナウイルスの影響で開催延期に

米国時間3月30日から4月2日に開催される予定だった第36回Space Symposium(スペース・シンポジウム)は、新型コロナウイルス大流行の影響により、正式に延期された。新しい日程に関する予定は発表されておらず、Space Foundationの主催者は今後の日程について関係者と協力し、次のステップは「追加発表する」と伝えている。

コロラド州で開催されるこのイベントは宇宙業界、政府、そして一般の宇宙コミュニティの有力メンバーが一堂に会する宇宙に焦点が当たる最も重要なイベントになるだろう。今週初めに世界保健機関(WHO)によってパンデミックだと公式に定義されたCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症の現状を考慮すると、イベントの延期は驚くものではない。

Space Symposiumがイベントを延期したのは当然の判断だが、主催者がリモート会議やバーチャル会議への変更ではなく、「スケジュール変更」を選択したのは興味深い。年に1回のイベントで得られるメリットの多くは、優秀な参加者同士が直接顔を合わせたり、偶然会うことで得られるもだ。そのような意味でも、今回の決定は最も理にかなっている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

NASAも新型コロナウイルスを考慮して宇宙飛行士の健康管理対策を強化

NASAは標準的なプロトコルとプロセスを補強して、最初の民間乗員宇宙飛行プログラムに参加する宇宙飛行士の健康管理を徹底しようとしている。COVID-19の可能性から保護するように設計された追加の対策を実施すると、Business Insiderが報じた。NASAの標準的な慣行では、すべての宇宙飛行士に対して、地上でのあらゆる病原体に感染する可能性を下げるよう、飛行に先立って対策が施されることになっている。そして現在、特に新型コロナウイルスのリスクに対処するため、特別な措置が講じられている。

Business Insiderのレポートによれば、民間の乗務ミッションに先立つ標準的な2週間の検疫に加えて、追加の対策が実施される。今のところ4月、5月、6月のいずれかに予定されているSpaceXのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船への乗船に際して行われることになっている。そこには、表面洗浄と消毒、社会からの隔離、手洗いなどの方策について、さらなる強化が盛り込まれている。これらはすべて、CDC(米疾病予防管理センター)が推奨する一般向けの予防策に沿ったものとなっている。

またNASAは、宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏やBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏がフライトに先立って訓練を受けている施設の見学ツアー開催を止めている。さらに、潜在的なウイルスへの曝露を制限するため、NASAのスタッフに対しても、何らかの病気の可能性に気づいたら、自宅待機するよう指導している。

宇宙に旅立ったり、そこで仕事をする人の健康は間違いなく最も重要だ。NASAの手順には、実際のフライトに至るまでの広範な検査と監視が含まれており、ウイルスなどの招かれざる客を宇宙空間に連れて行かないようにするという点において優れた実績を誇っている。新型コロナウイルスは、こうしたNASAの予防策に対して新たな課題となる可能性もある。とはいえ、COVID-19はミッションに参加する宇宙飛行士がこれまでどおり回避しようとしている一般的なウイルス性の疾患に対する健康管理と、機能的に大きく異なるものにはならないだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

FacebookがCOVID-19と戦うWHOなどに21.6億円を寄付

Facebook(フェイスブック)は米国時間3月13日に、新型コロナウイルス感染症の全世界的救援努力を支援するため、その四半期利益のごく一部である2000万ドル(約21億6000万円)を寄付すると発表した。

この超巨大ソーシャルネットワークのCEO Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏によると、1000万ドル(約10億8000万円)をUnited Nations Foundation(国連財団、UNF)とWHO(世界保健機構)のCOVID-19 Solidarity Response Fund(COVID-19連帯対応資金)に寄付し、さらに1000万ドル(約10億8000万円)を米国の疾病管理予防センター(CDC)の基金であるCDC Foundation(CDC財団)に寄付する。後者は数週間後に寄付受け入れ機関であるFacebook Fundraiserを立ち上げる。

ザッカーバーグ氏は、寄付に続きがあることを匂わせて「近くそのほかの寄付も発表する」と述べた。同社は今週、いくつかの理由で一部の契約社員は在宅勤務ができないと声明を出している

また3月13日には中国のライドシェア大手DiDi Chuxing(ディディチューシン、滴滴出行)は、同社の国際市場におけるドライバーと配達員のために特別救援金1000万ドル(約10億8000万円)を寄付すると発表した。

Josh Constine(ジョシュ・コンスティン)

中国のテック大手Alibabaの創業者がアメリカに50万の検査キットと100万のマスクを贈る。新型コロナウイルスは世界を統一する『インデペンデンス・デイ(独立記念日)』のイベントか?

Jack Ma Foundation(ジャック・マ財団)

50万の検査キットと100万のマスクを寄付することにより、私たちはこの難局でアメリカの人たちと手をつなぐ。

シアトルの二大テク企業Microsoft(マイクロソフト)とAmazon(アマゾン)は今週、それぞれCOVID-19 Response Fundへの100万ドル(約1億1000万円)の寄付を申し出た。それらもまた彼らの四半期利益のほんのひとかけらにすぎない。Google(グーグル)のチャリティ部門Google.orgとGoogleの社員たちは救援努力に100万ドル(約1億1000万円)あまりを寄付し、この検索大手は2500万ドル(約27億円)分の広告クレジットを世界保健機構と政府機関に寄付すると発表した。

先週はFacebookも、より多くの人びとがウイルスに関する正しい情報にアクセスできるために、世界保健機構に無料広告を提供すると発表している。

世界中の国々がこの新しいウイルスとその症状や拡散状況を知ろうと務めている。現在、このウイルスは全世界で13万2000名以上に感染している

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロシアの情報工作組織が米国の人種的緊張を高めるためアフリカにアウトソーシング

2016年の選挙でロシアの悪名高いトロールファーム(情報工作組織)が偽情報をばらまいた際に使った多くの戦術に関して、ハイテク企業側も知見を蓄積しているため、トロールファームの活動はより創造的になっている。

FacebookTwitterからの2つのレポートによると、ロシアのInternet Research Agency(IRA)と関連がある個人による偽情報活動が再び米国を狙っているが、今回はアフリカで活動しているという。

「このネットワークは偽情報に反応する層を構築する初期段階にあり、ロシアの個人に代わってガーナとナイジェリアのスタッフが(一部は意識的に、一部は無意識に)運営していた」とFacebookはブログ投稿で説明している。

CNNはガーナとナイジェリアでの活動について独自に詳細な調査を行ったようだ。活動拠点の家にも行った。そこではガーナ人のグループが米国の社会問題をターゲットにした投稿を作成していた。

驚いたことに、偽情報に特化したソーシャル分析会社であるGraphika(グラフィカ)が発見したのは、活動が米国の選挙や大統領候補に焦点を当てていたわけではないことだった。候補者をコンテンツに登場させるときには人権、寛容、人種差別といったレンズを通した内容にしていた。

GraphikaのチーフイノベーションオフィサーであるCamille Francois(カミーユ・フランソワ)氏は、ロシアを拠点とする活動はガーナ拠点のNGOを一種の代理人として使っており、少なくとも関与したスタッフの一部は仕事の本来の目的に気づいていない可能性が高いと指摘している。

「この運営体制が示すのは、外国の活動主体が代理のグループを独創的な方法で使おうと考えているということだ。また、情報操作の拠点に場所は問わないことを示している」とフランソワ氏はTechCrunchに語る。

ほとんどのアカウントは2019年後半に開設された。作成されたコンテンツは人種に関する問題、特に米国の黒人と白人間の緊張に関連するものだ。Facebookによると、活動は黒人の歴史や優秀さなどのトピックに集中していたが「警察の残虐行為などの弾圧や不正に関する内容」にも焦点を当てられていた。

Facebookは活動に関与した49のアカウント、69のページ、85のInstagramアカウントを発見した。Facebookでは、比較的初期のアカウントには約1万3500人のフォロワーがついていた。Instagramのアカウントには約26万5000人がフォローしていた。

Twitterでは、ロシアの活動に関連するガーナとナイジェリアの71のアカウントが「人種や公民権などの社会問題に関する話題を利用して社会的不和を広げる」ために、同様のメッセージを拡散していた。

米国に今も存在する社会的分断を、ロシアがさらに広げようと続けられている試みは驚くべきことではないが、警戒すべきだ。Twitterは、国​​内のほとんどの偽情報が国外からではなく国内から発信されているという有用な注意喚起情報を発信している。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Instagramはその拡散力を生かして正しい新型コロナ対策の伝達にひと役買う

Instagramは常にたくさんの人が利用しているという特徴を生かして、ホーム画面を新型コロナウイルス予防情報のニュースページにしてしまった。一部の国ではそこに、WHO(世界保健機構)とその国の保健衛生機関などへのリンクとともに「新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散防止のために、保健衛生関連機関からの最新の情報をチェックしよう。厚生労働省へのリンク」といったメッセージが表示される。

Instagramのスポークスパーソンによると、これらの注記はウイルス被害の大きい国から順に表示しているという。

またCOVID-19関連の拡張現実エフェクトは、合法的な保健衛生機関とのパートナーシップで作られたもの以外は検索できない。これはウイルスに関する不正確な情報や、無神経なジョークの拡散を防ぐためだ。Instagramはすでに偽情報をファクトチェッカーに送っており、新型コロナウイルス関連の検索結果上部には公的保健医療機関のリストがある。

この緊急事態への集中を維持するためにFacebookは、ARによる顔写真フィルターを始めるために2016に買収したMSQRDアプリを閉鎖した。このアプリを4月13日に利用できなくなるが、その技術はすでにFacebookやInstagramに完全に統合されている。

一方Snapchatは、パートナーが偽情報を共有するのを禁じ、同社のクローズドなプラットフォームだけを利用している。それはFacebookといったオープンなプラットフォームを悩ませている、ニュースデマを防ぐためだ。SnapchatはDiscoverのパートナーであるテレビ局や新聞社、通信社(NBCのStay Tuned、Sky News、The Wall Street Journal、The Washington Post、CNN、NowThisなど)などがシェアしている健康情報を強調表示しており、以下のようなものがある(ただし、モバイルでしか見られないコンテンツもある)。

  • Washington Postには手の正しい洗い方の説明がある。
  • WSJはCOVID-19の世界的拡散の様相を説明している。
  • 英国のSkyNews Explainsは自分を隔離する方法を列挙している。

現在、多くの人が伝統的なニュース媒体よりもソーシャルメディアを頻繁に見ることをよく知るソーシャルプラットフォームの賢明な取り組みだ。Instagramの月間ユーザーは10億人あまりで、Snapchatは1日のユーザーが2億人を超えている。彼らには重要な情報を広める力があり、新しいかたちの緊急放送システムとして機能することができる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ビル・ゲイツ氏がマイクロソフト取締役を辞任

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が、より多くの時間を慈善活動にあてるためにMicrosoft(マイクロソフト)の取締役を辞任した。同社が13日午後に発表している。ゲイツ氏はCEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏のテクノロジーアドバイザーは継続するが、今回の辞任によってゲイツ氏のマイクロソフトとの関わりはこれまでで最も小さくなる。

80年代からビル&メリンダ・ゲイツ財団により専念することを決めた2008年まで、ゲイツ氏はマイクロソフトを率いた。その後は巨大な富を投じて、世界の健康問題に取り組んでいる。

ただその後もゲイツ氏は役員会に残り、実際2014年まで取締役会長を務めていた。しかし今日から彼はマイクロソフトのラッキー・チャームのような存在となり、ときどきナデラ氏や他の役員のブレイン役を補助的に務める。

「何年にもわたってビルととともに働き、そして彼から学べたのは大変名誉で特別なことだった」とナデラ氏は同社のプレスリリースで述べた。「ビルとの友情に感謝している。さらに多くのことを達成するため、地球上のあらゆる人や組織に活力を与えるというミッションの具現化に向けて今後も彼とともに取り組むことを楽しみにしている」

ここでゲイツ氏とマイクロソフトを回顧するつもりはないが、少なくともかなり興味深い来歴だったことだけは言っておく。マイクロソフトはテクノロジーのベストとワーストを、時にはそれらを同時に体現してきた。その多くはゲイツ氏の影響力によるものだ。

ゲイツ財団もかなり大きな影響力を持つ存在ではあるが、よりひそやかで人道的なものだ。最終的にはこのゲイツ氏にとって2つめの遺産となるゲイツ財団が、彼の最も輝かしい業績となるかもしれない。

画像クレジット: Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Airbnbが新型コロナ対策でキャンセル料なしの対象を拡大するポリシーを発表

世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大している現状への対応として、Airbnbは特定のエリアの予約に限定して、キャンセル料を課さないとするポリシーのアップデートを発表した。Airbnb経由で中国本土、韓国、イタリア、米国で予約していた宿泊客は手数料なしでキャンセルできる。

Airbnbのニュースルームページに詳細があるが、米国における宿泊に関しては、3月13日以前に予約したもので、チェックイン日が4月1日までのものにこのポリシーが適用される。この期間設定は合理的なようだ。というのも、米国の現状について把握していない人の予約をカバーしていて、州やコミュニティがすでにとっている社会活動や移動規制をめぐるほとんどの対策の期限とも合う。またAirbnbはニュースリリースの中で、今後も状況を注視すると述べていて、これは状況によっては適用範囲が変わるかもしれないことを意味している。

上記の国に加え、Airbnbは欧州のシェンゲン圏に予約をしていた米国のユーザー、そして下記の理由で予約をキャンセルせざるを得ない世界中のゲスト並びにホストにキャンセル料なしを適用する。

  • 関係する政府や健康当局が実施する疾病コントロール制限を遵守するため
  • COVID-19流行に関連する医療または病気コントロール規制を守るため
  • COVID-19流行でフライトや地上の交通運輸がキャンセルされたため
  • 医療機関や衛生当局によってCOVID-19感染を診断されたり感染が疑われたりしているため

これは称賛すべきキャンセルポリシーで、新型コロナウイルス感染拡大によって旅行計画の変更を余儀なくされるあらゆる人を対象にしたものだ。海外旅行を考えている人は、Airbnbそしてその他の予約も再考することになりそうだ。

画像クレジット: Carl Court / Staff

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(翻訳:Mizoguchi)

心臓血管ケアのHeartbeat Healthが8.9億円を調達

おそらく現在は多くの人が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックについて思いを巡らせていることだろう。だがそれ以外の健康課題が消え去ってしまったわけではないことへの注意も大切だ。心臓病は今でも米国における主な死因であることには変わりがない。

Heartbeat Healthは、心臓血管ケアの提供方法の改善に取り組んでいるスタートアップだ。米国時間3月12日、同社はシリーズAで820万ドル(約8億8500万円)を調達したことを発表した。

同スタートアップの共同創業者でCEOのJeffrey Wessler(ジェフリー・ウェスラー)博士は心臓病専門医だ。彼が約3年前に「アカデミックな心臓病の道を外れた」理由を、私に対して次のように語ってくれた。「デジタルヘルスの世界で行われている仕事を見る機会があったのです。それ以来、心臓の健康のために、その世界へ自分でも信じられないほどの勢いでのめり込みました」

ウェスラー博士は、心臓血管ケアの提供方法はほとんど変わっていないと語った。既存の方法は役に立つもので、それが現状維持が続く大きな理由であるのは事実だが、それでも改善の余地はあると言う。

「ここ7年ほどの間に、一度病気をしてしまった人びとを、どのように上手く扱えばいいのかわかってきたのです。新時代に入ったのです」と彼は語る。「しかし、そうした患者の方々の健康を保つという意味では、私たちの現在のやり方はまったく上手くいっていないのです」

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この問題にアプローチするために、Heartbeat Health は、ウェスラー博士が「デジタルファースト」レイヤーと表現するものを開発し、患者が遠隔医療を通して専門家に相談できるようにした。この相談を通して、患者は個人的に適切な治療機関(「Heartbeat推奨パートナー」である場合も、そうでない場合もある)へと誘導されることになる。

この最初のやりとりを通すことで、患者は「多くの無駄」を避けることができると博士は言う。なぜなら患者が不適切な場所へ行くことがなくなるからだ。そして「ミスマッチした医師の、個人的なやり方に身を任せるのではなく、エビデンスとガイドラインに沿った検査に基づいて、正しいケアを始めることができる」ようになるのだ。

さらにHeartbeat Healthは、患者に関連するすべての心臓のデータ(Apple WatchやFitbitなどのウェアラブルデバイスから記録したものかもしれない)を1カ所で収集し、どの治療が最も効果的かに関する結果を追跡しようとしている。

「最終的に私たちは、すべてを支えることができるソフトウェアやテクノロジーを実現したいと考えていますが、そもそも最初の段階で患者を置き去りにしたくありません」とウェスラー博士は語る。

さらに彼は、このプログラムはほとんどの健康保険で扱うことができ、すでにニューヨーク地域の1万人患者の治療に関与していると付け加えた。そしてウェスラー博士によれば、どうやらこのシステムは心臓病専門医たちに受け入れられており、口々に「私たちは信じられないほど分断されたシステムが、こうしたレイヤーによって、便利なかたちで統合されるのを待っていました」と博士に話してくるという。

今回のラウンドは406 VenturesとOptum Venturesが主導し、Kindred Ventures、Lerer Hippeau、Designer Fund、そしてMax Venturesが参加している。

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画像クレジット: Heartbeat Health

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(翻訳:sako)

Epic Gamesが顔の動きをキャプチャするCubic Motionを買収

米国時間3月12日、ゲームタイトルの「フォートナイト」やゲームエンジンの「Unreal Engine」で知られるEpic Gamesが、英国のコンピュータビジョン企業Cubic Motionの買収を発表した。Cubic Motionは、複雑なカメラリグとソフトウェアでリアルなフェイシャルアニメーションをキャプチャするプラットフォームを構築しているスタートアップだ。

Epic GamesはCubic Motionとともに、ここ数年で技術デモをたくさん制作してきた。そのデモの中心は、アクターの顔の動きをリアルタイムでデジタルキャラクターに変換するものだった。2019年に登場したCubic MotionのPersonaシステムは、ソフトウェアとモーションキャプチャ用のハードウェアリグをセットにしたものだ。

Cubic Motionのテクノロジーは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「ゴッド・オブ・ウォー」やInsomniac Gamesの「Marvel’s Spider-Man」といった大ヒットゲームタイトルで使われている。

Cubic MotionはNorthEdge Capitalから2200万ドル(約24億円)以上を調達していた。買収の条件は明らかにされていない。両社のプレスリリースによれば、Cubic Motionは今後も既存の顧客にサービスを提供すると同時に、自社の技術とUnreal Engineの統合を加速させるという。

Epic GamesとそのライバルであるUnityは、これからも自社のリアルタイムゲームエンジンが大手ゲームメーカーに採用されることを狙っていくが、一方で今回のような買収には、そのゲームエンジンがゲーム以外の業界にもっと浸透していくだろうという期待も感じられる。この買収は多額の予算を使えるゲームメーカーがシーンを作り込むために間違いなくプラスになるだろうが、ワークフローにリアルタイムレンダリングを取り入れたいと考えている映画製作会社からも注目を集めることになるだろう。

2019年、Epic Gamesは人間のリアルなアバターを制作するゲームスタジオの3Lateralを買収した。このことと今回の買収を合わせて考えると、Epic Gamesは人間のキャラクターやアバターのリアルさは投資に値する分野だと見ているのだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

米政府職員の仕事用携帯でTikTok使用を禁止する法案を上院議員が提出

米上院議員のJosh Hawley (ジョッシュ・ホーリー、共和党・ミズーリ選出)氏とRick Scott(リック・スコット、共和党・フロリダ選出)氏は、3月12日に政府のデバイスでの人気バイラルビデオアプリTikTok使用をさらに制限する法案を提出した。

この法案は、米政府が職員に貸与しているデバイスの安全を確保するためにTikTokの使用を禁止するという、すでに導入されているガイダンスを拡大するものだ。中国で開発されたテックソフトウェアやデバイス、部品を使用しているプロダクトが中国政府の監視下に置かれているのではという懸念から、そうしたものの使用制限を模索する米議員による最新の動きとなる。

アジアを拠点とするソーシャルアプリはグローバル展開において苦戦しているが、TikTokはあっという間に全世界で10億人ものユーザーを獲得し、FacebookやYouTubeといった米国の名だたるソーシャルメディアと同じくらいお馴染みの存在になった。TikTokは北京拠点のテックスタートアップByteDanceが所有している。

ByteDanceの成長は緩やかになってきているようだが、TikTokの広がりに対してホーリー氏のような対中国強硬論者の間では警戒が強まっている。同氏は、TikTokが中国政府にデータ共有を強制されるかもしれない、と警告している。法案提出を説明するリリースの中で、スコット氏はTikTokを「我々のネットワークへのリスクであり、国家安全への脅威」と形容した。

「多くの政府機関がすでに、TikTokは米国にとって大きなセキュリティリスクであり、政府のデバイスで使用すべきではない、と認識している」とホーリー氏は説明する。

この法案提出と時期を同じくして、トランプ政権は米国内で使用される中国のテクノロジーを抑制しようと、政府機関が外国製のドローンの購入を禁止する大統領令草案を準備している。

 

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(翻訳:Mizoguchi

アップルは6月のWWDCをオンライン開催に、新型コロナ懸念で

米国時間3月13日、Apple(アップル)は他の大手テクノロジー企業の動きにならい、6月に開催される毎年恒例のWorld Wide Developers Conference(WWDC、世界開発者会議)の通常開催をキャンセルすることを発表した。近年サンノゼで開催されていたような大規模なイベントではなく、同会議をオンラインのみの形態にシフトする。アップルはこの決定の主要因として「現在の健康状況」を挙げている。

シニアVPのPhil Schiller(フィル・シラー)氏はニュースリリースの中で「私たちは6月のWWDC2020を、世界中の何百万人もの開発者のみなさまに、革新的な方法でご提供いたします。開発者コミュニティ全体に新しい体験をもたらすことになるでしょう」と述べている。「現在の健康が懸念される状況は、私たちにオンラインキーノートとセッションを含む完全なプログラムを提供する新しいWWDC 2020形式を求めています。もちろん世界中の開発者コミュニティ全体にすばらしい学習体験を提供いたします。今後数週間のうちに、完全な詳細を発表いたします」

2020年で31年目を迎えるこの会議は、その多くで新しいハードウェアの発表を行い、それに伴ってiOSやmacOSといったソフトウェアの最新機能を紹介する、開発者と消費者の両方にアピールする大きなイベントになっていた。現在公開されている公式グラフィックはMacBookがフィーチャーされているが、おそらく新しいノートブックの登場を示唆しているのだと思われる。冒頭の基調講演以外に、会議は開発者向けの数日間のワークショップで構成されている。これまでずっとアップルは、ライブストリーミングされたコンテンツを含むワークショップのビデオを、開催後に提供してきた。現段階での発表は、同社が6月にそれらにどのようにアプローチするつもりかを示すものだろう。

WWDCに関する発表は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴って延期、再構成、キャンセルされた一連のイベント(MWCやGoogle I/Oなど)に続くものとなる。米国時間3月12日にカリフォルニア州のサンタクララ郡は、近くのサンフランシスコにならい1000人以上の集会を禁止した。最新のレポートによれば、サンノゼがあるサンタクララ郡では、48人の新型コロナウイルス感染症確定患者と1件の死亡が報告されている。

同郡は1週間前の時点で集会禁止を否定していた。だが、サンタクララ郡の保健局担当者であるSara Cody(サラ・コディ)氏は、今週始めの記者会見で「新しいデータによれば、5日前に明らかになったものよりも広範なコミュニティ内での広がりが見られるため、病気の広がりを遅らせ、公衆を保護するために、より多くの行動をとる必要がある」と述べていた。6月の状況を知ることはできないが、Appleの動きはすべての関係者にとって明らかに最も理にかなったものだ。Appleは、イベントのキャンセルにより失われた収益を補填するために、サンノゼに拠点を置く複数の組織に対して100万ドル(約1億1000万円)を提供することも約束している。

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(翻訳:sako)

5月19日〜21日開催のMicrosoft Buildもリアルなしオンラインのみ

5月といえば、大きなデベロッパーカンファレンスの月であり、Facebook F8とGoogle I/O、そしてMicrosoft Build(マイクロソフト・ビルド)は同じ2週間の中で行われることが多い。しかし、今年は違う。Facebook F8Google I/Oはすでに中止を発表してオンラインのイベントに切り替えたが、今度はMicrosoftが当然のようにその後に続いた。5月19日から21日まで予定されていたBuildのリアルイベントは中止となる。新型コロナウイルス騒動がその理由とされた。microsoft build logo

同社はThe Vergeに掲載された声明で「コミュニティの安全を最優先する。健康と安全に関するワシントン州の勧奨に基づき、デベロッパーのための例年のイベントMicrosoft Buildを、実演によるイベントではなくデジタルのイベントとして開催する。弊社のデベロッパーエコシステムがこの新たな仮想的形式に寄り集まって、学び、結びつき、そして共にコードを書くことを期待している。今後の詳しい続報をお待ちいただきたい」と述べた。

この発表に、意外性はない。むしろ最近では同社がいつそれを言い出すかが唯一の疑問であり、それが早すぎたり遅すぎたりしたときのみ意外に感じただろう。しかもワシントン州は新型コロナウイルスに相当やられているだけに同社も意思決定をせざるを得ないはずだ。現在、州の各郡は250人以上のイベントを禁じているが禁止期間はBuildの前までだ。

私がこの記事を書いている時点ではBuildのホームページは更新されておらず、チケットを買えるようになっている。でも私があなたなら買わないだろう。もちろん返金はあるが、そんな面倒を背負い込む理由もない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インド・バンガロールのGoogle社員の新型コロナ陽性が判明

Googleは米国時間3月12日、同社のインド・バンガロール支社の社員が新型コロナウィルス(COVID-19)検査で陽性反応だったことを発表した。同社は同じオフィスで働く全従業員に対して、警戒のために在宅勤務するよう要請した。

「バンガロールオフィスの社員1が新型コロナウイルスに感染していることを確認した。本人はバンガロールの当社オフィスに症状が出る数時間前まで勤務していた」と広報担当者が声明で話し、当該社員と濃厚接触のあった社員には自らを隔離するよう依頼したことを付け加えた。

TechCrunchが入手した社内メールで、Googleのエンジニアリング担当ディレクターであるAnand Rangarajan(アナンド・ランカラジャン)氏は「当該社員は海外渡航した後にウィルスに感染した」と語った。

最近Googleは、北米、欧州、その他いくつかの地域で社員に在宅勤務を要請した。しかし、アジア諸国の従業員および請負業者には同様の対応が実施されていなかった。

インドのいくつかのスタートアップは、より先を見越した手段を講じている。同国最大の株式仲買業者でバンガロール拠点のZerodhaは3月12日に全社員に在宅勤務を命じた。

バンガロール拠点で小規模商店を支援するInstamojo、教育系スタートアップのUnacademy、モビリティー関連のBounce、リクルーティングのスタートアップのSpringworks、ソーシャルコマース系スタートアップのMeeshoも同様の方針を実施している。

現在までにインドでは74の新型コロナウイルス感染者が報告されており、先週から40人ほど増えた。新型感染症への注意を喚起するために、同国の通信事業者は、通話の前にユーザーに注意を促すメッセージを挿入している。3月11日にインドは、ウィルス感染のある国への渡航許可を大部分停止した。

3月12日にインドの株式市場は下げ相場に突入し、すでに停滞している同国経済の近い将来の展望への懸念を増加させた。NIFTY 50指数は8.3%減の9590.15ポイントで最近2年半で最低の終値だった。Sensexは8%下落し、3万2778.14ポイントという2年近くぶりの安値だった。

インドの株式指数がここまで暴落したのは、2008年の世界経済危機以来だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook