MicrosoftがSkypeで自動通訳のテスト開始へ―Live Translator、登録受付中

Microsoftの研究開発部門は最近、驚くべきプロダクトを産みだしている。その一つが今年5月にRe/codeのCodeカンファレンスでSkypeチームがデモしたビデオチャットをリアルタイムで双方向に通訳するSkype Translatorだ。Microsoftはこのサービスの限定プレビュー版が公開しようとしている。

公式Skypeブログによれば、Microsoftは近くスタートするSkype Translatorのベータ・テスタの参加者を募集しており、登録を受付中だ。参加は無料だが、製品版はおそらく有料の拡張機能となるだろう。当初はWindows 8.1およびWindows 10 Technical Preview版を搭載したパソコンとタブレットが対象となる。

Skype Translatorは、一方のユーザーが話す言葉をリアルタイムで相手の言語に通訳すると同時に会話をテキストに起こして画面にスクロール表示する。インスタント・メッセージのテキスト翻訳は45言語をサポートするが、音声とビデオのリアルタイプ通訳は当面、比較的少数の言語のサポートにとどまるという。ウェブサイトの登録ページには、アラビア語、中国語(広東語、普通話)、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語が選択候補として表示されている。

私もぜひテストしてみたい。世界各地の人々と共に仕事をしたり面接したりしなければならない場合、これは大いに役立つだろう。Skypeによれば、このテクニカル・プレビュー版は年内にスタートするという。コンピュータによる現代版「ロゼッタ石」ともいうべきこのサービスを早く試してみたいものだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


新しいGoogleカレンダー・アプリはスマート補完やメールからの日程自動入力など新機能多数

今日(米国時間11/3)、GoogleはNexuxの新モデル2機種新しいカレンダー・アプリを搭載したことを発表した。今回対象となったのはLollipop 5.0のNexus 6とNexus 9だ。新カレンダーはLollipop 5.0とAndroid 4.1以降のすべてのデバイスで作動し、近くGoogle Play Storeで公開される。

現行のGoogleカレンダー・アプリは基本的にマニュアル操作だ。日付も時間も手でスクロールして選択しなければならないし、イベント名、場所、人名なども手打だ。新しいアプリはユーザーがイベントの入力を始めると自動補完で候補が表示されるようになった。

下に簡単なデモ・ビデオをエンベッドしてある。

新しいスケジュール・ページにはイベントの場所が地図で表示される。またイベントの場所の写真やイラストを含めることができる。Googleは「あなたの一日をちょっと明るくします」と説明している。

アシストというのはユーザーの過去の行動からイベント内容を提案する便利機能だ。たとえば毎週、ある友達と公園でジョギングしていると、新しいGoogleカレンダーはユーザーが「run…」と入力し始めると同時に公園と友人の名前を提案してくれる。

Googleカレンダーでもっとも重要な情報はイベントそのものだ。新アプリはイベントの情報をメールの受信トレイから収集する。たとえば、3週間後のニューヨーク行きのフライトを予約すると、カレンダーは予約確認のメールから情報を得て、正しい日付に時間、空港、フライト番号などを自動的に入力する。またそのフライトが遅延すると自動的にアップデートされる。

GoogleによればiPhone版も開発中だという。現在作動しているのはLollipop 5.0版だが、近くAndroid 4.1以降で作動するバージョンがPlay Storeで公開される。詳細はGoogleの公式ブログで。

画像:Google Official Gmail Blog

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


GoogleのCopresenceは、クロスプラットフォーム版AirDropらしい

Googleは、Android端末のユーザーが、近くにいる別のユーザーとメディアを共有できる新サービスを開発している。相手は、GoogleのモバイルOSでないiPhoneやiPadなどのiOS端末を使っているユーザーでもよい。Copresenceと呼ばれるこの機能は、最新のGoolge PlayサービスAPKを探索するAndroid Policeが暴露したもので、位置情報またはBluetoothを使って距離に応じた認証を行い、Android Beamのように連絡先リストを必要としない。

Copresence機能は、Wi-FiまたはWi-Fi Directを使ってデータの受け渡しを行い、マップ、音楽、写真、ウェブサイト、その他の共有が可能になる。チャットアプリのHangoutsとも密に統合することが、APKで発見された画像から推測される。これはHangoutsアプリにも内蔵されてしかるべき機能だが、以前に報告されたChromeのAPIもあることから、これはChromecastのCast機能と同様、デベロッパーが個々のアプリに内蔵できるようになるものかもしれない。

Apple iOSのAirDropは、近くのiOS端末同士がネットワークを通じて共有することが可能で、連絡先にない相手とも共有出来るが、 エコシステムを越えることはできない。iOS 8アップデートとYosemiteがあれば、モバイルとデスクトップの間を行き来できるが、参加するためにはやはりAppleデバイスユーザーでなくてはならない。GoogleのCopresence機能は、そんな制限の先を行くものであり、AirPlayが今もAppleのみの出来事であるのに対して、Chromecastの機能がiOSエコシステムにも拡張されているのとも似ている。

Android Policeによると、Google Presenceは「今後数週間」のうちにデビューするようなので、この非常に便利そうな機能を使えるまでそれほど待たずに済みそうだ。Google の次世代モバイルOS Android 5.0 Lollipopがすごそこまで来ている今、Copresenceがデビューを飾るには相応しいタイミングだ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Outlook for Macの新版がリリース。他のOfficeプロダクトは2015年に登場予定

新しいOffice for Mac 2015が話題にのぼるようになってきた。そんな中、先陣を切って新しいOutlook for Macが登場した。まずはOffice 365の利用者に向けてリリースされたものだ。新バージョンではルック&フィールが一新され、アーカイブしたメールの検索がやりやすくなっていて(ローカルにあるものとオンラインにあるものの双方に適用)、全体的なパフォーマンスも改善している。またプッシュメールにも対応している。今回の新版Outlookのリリースと同時に、Word、PowerPoint、Excel、およびOnenote for Macの新版の予定も公式に認めた。来年早々に公開ベータが利用可能となり、第2四半期に正式版がリリースになる予定なのだそうだ。

新しいOfficeアプリケーションがリリースされれば、Office 365の利用者は追加料金なしで新しいものを利用できるようになる。もちろん、安定版ができた暁には、パッケージ版も提供していくこととなっている。

ところで新版のOutlookは、Windowsやデスクトップないしモバイルで利用するウェブ版のアプリケーションに近いものとなっている。個人的にはMac上でOutlookを使う必要性がよく理解できないのだが、企業内メールなどを運用している場合には便利なこともあるのだろう。

いずれにせよ、トータルで見ればMicrosoftがMac上のアプリケーションを提供してくれるのは良いことであると言える。Office系ソフトウェアにもいろいろな候補があるのが望ましい。今年はじめには非常によくできたiPad用のOfficeアプリケーションを提供するなど、MicrosoftとしてもWindows利用者以外へのアプリケーション提供を強化しているようだ。ちなみにWindows版に比べてMac版のOfficeのアップデートが遅れたのは、今回についてはモバイル版の提供を急ごうとフォーカスしたためなのだそうだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Google Playブックス、教科書や料理本の閲覧に便利な「スキムモード」を搭載

たいていの電子書籍リーダーは、本を先頭から最後に向かって読むことを前提に設計されている。小説などは一般に、「読み通す」ことを前提として書かれているのでそれでも良いわけだ。

しかし小説以外の場合はどうなのだろう。たとえば研究レポートや教科書、あるいは料理ガイドのような場合には不便に感じることも多いのではなかろうか。そうした本では、たいてい何度もページ間を行き来するのが普通だろう。読み通すというよりも、前を見て後ろを見て、そしてまた戻るというような使い方をするのが一般的なスタイルだろうと思われる。

そうした使い方を考えて、Google Playブックスには、新しいモードが追加された(訳注:訳者の日本語版についてはまだ確認できていません)。

これは確かにさまざまな可能性をもつ進化だと思われる。機会を見て関連の話題をお伝えしていきたい。取り敢えずはPlayブックスのWhat’s Newを記しておこう。

  • 「スキム」(Skim)モードにすることで、フリップにより無限スクロール風にページ間を移動することができます。
  • 「Quick Bookmarks」にてブックマーク間の移動がより簡単に行えるようになります。200ページも離れたところにある注釈などを頻繁に参照する際に便利でしょう。
  • 書き加えたメモやハイライトしたところを一度に確認し、そこから該当のページにジャンプすることができます。教科書などを読むときにとても便利な機能となります。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


デベロッパが自作のAndroidアプリにライブブロードキャスト機能を持たせられる補助アプリをYouTubeが提供

サードパーティのアプリとそれらのデベロッパが、YouTubeのライブブロードキャスト機能をアプリ内で利用できるようになる。そのためにYouTubeが今日立ち上げたオープンソースのプロジェクトが”YouTube WatchMe for Android“だ。このプロジェクトはGitHubで入手できるが、一緒についているAndroid用の参考アプリはYouTube Live Streaming Eventを作るものだ。このアプリはユーザインタフェイスも紹介しており、たとえばユーザが自分のスマホからYouTubeへのブロードキャストを開始できるスタートボタンとか、イベントを終わらせるボタンなどがある。

ただしそれは、あくまでも参考アプリで、プロジェクトの本当の目的はデベロッパが自分のアプリにそんな能力を導入するためのツールキットを提供することだ。たとえばビデオを共有するアプリがそんなライブのブロードキャスト能力を持ってもよいし、もちろんニュースやイベントアプリが機能の一環として持ってもよい。

ユーザインタフェイスには、ライブストリーミングの開始/停止ボタンのほかに、ユーザがサムネイルをタップするとブロードキャストが始まる、とか、GoogleのソーシャルネットワークであるGoogle+でのブロードキャストができる”+1″ボタンなどもある。

このアプリは、YouTube Data API v3YouTube Live Streaming APIGoogle Play ServicesPlus APIなど、いろんなAPIを利用している。その詳細は、YouTube API Blog上の当プロジェクト発表記事に書かれている。デベロッパはGitHubのリポジトリにシンクし、それからGoogle Developer Consoleを使ってYouTube Data APIとGoogle+ APIを有効化、そしてAndroidのクライアントIDを作る。

なお、アプリの現状は‘実験段階’だそうだ。

もちろんYouTubeにはすでにライブストリーミング機能があり、イベントの主催団体などが利用できる。カスタムのエンコーダとコントロールを使ってもよいし、楽をしたければWebカメラとGoogle Hangoutのライブストリーミングを利用してもよい。今回のYouTube “WatchMe”プロジェクトはあくまでもモバイルのアプリデベロッパ用であり、ライブイベントのブロードキャストの開始、停止、視聴、共有などをAndroidアプリのインタフェイスから行う、というものだ。

今回サードパーティのデベロッパに提供されるこの技術は、前からOEMたちが使っていたものと同じだ。たとえばXperiaの“Live on YouTube”アプリや、HTCの“Re”なんかがそれだ。後者は手持ちカメラでビデオを撮影し、それをアプリのボタンひとつで即座にストリーミングする、というもの。だから今回のプロジェクトも、ビデオカメラやビデオレコーダーなど独自のビデオ機器とモバイルアプリを組み合わせたい、という制作意図にも対応する。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ビデオと実習を併用するプログラミング教育Code SchoolがiOSアプリをリリース

デベロッパのためのお勉強サイトCode Schoolは、ファウンダGregg Pollackの長年の知識共有努力から育ってきたが、このほどモバイルも対象にすることになった。そのiOSアプリからデベロッパは、CodeSchoolの300本を超える教材ビデオを視聴でき、JavaScript、HTML/CSS、Ruby、iOS、Gitや人気のデベロッパツールChrome Dev Toolsなどについて学べる。

CodeSchoolの多くの教材は無料だが、有料会員になるとそのほかのビデオも見られる。ただしモバイルアプリでは、デスクトップのようにブラウザ上で実際にコードを書きながらビデオや静止画から学ぶ、という勉強の仕方はできない。

コミュニティ優先、ビジネスは二の次

Code Schoolは8年前に、デベロッパのための教育的なコンテンツを作りたいというPollack自身の関心から生まれた。当時は、そのころまだ比較的新しいフレームワークだったRuby on Railsを取り上げた。“生まれたばかりの技術は、ドキュメンテーションがお粗末だからね”、とPollackは説明する。“だからぼくは、ブログでもポッドキャストでもカンファレンスの講演でもそればっかり書いたり喋ったりした。ひまなときには、ビデオも作った”。

Pollackの仕事はコンサルタントで、彼のコンサルタント会社は5年ほど前に”Envy Labs”という名前になった。そのころから彼が作る教材の評判が、多くの人たちに広まっていったが、彼にそれを独立のビジネスにする気はなかった。

しかし、2010年にリリースした”Rails for Zombies”が、大人気になった。それはビデオコンテンツとブラウザ上のコーディングを組み合わせる初の試みだった。今ではそんなプログラミング独習サイトがいろいろあるけど、当時はその後競争相手となるCodecademyすらまだ存在していなかった。

“当時でも、ブラウザ上でコーディングを勉強するサイトはいくつかあった”、とPollackは認める。“でも、ぼくのやり方は新しかった”。つまりそのRailsのコースでは、デベロッパはビデオを見て学んだことを、実際にブラウザ上でコードを書いて練習する。それを、納得するまで何度も何度も繰り返す。このやり方が大人気になったため、Pollackはもっと本格的にやろう、と思い始めた。

そして2011年の3月に、ビジネスとしてのCode Schoolが立ち上がり、そのときのコースはRailsの無料コースが一つ、有料コースが一つだけだった。今では前記のように、いろんな言語やツールをカバーする40あまりのコースがあり、完全な初心者と、自分のスキルを磨きたいと考えているベテランのデベロッパ両方を対象にしている。

今のアクティブユーザ数は常時だいたい40000名、登録ユーザの数は100万に達している。ユーザ調査によると、ほぼ15%が、昇進や有利な転職などがCode Schoolのおかげ、と答えている。ユーザを技能のレベル別に、上級、中級、初級、ビギナーの4段階に分けると、それぞれ29%、33%、14%、24%となる。

今回リリースしたiOSアプリで、外出〜移動時でも勉強したいという層をねらっているが、上に書いたようにモバイルでは実際にコードを書くという実習ができない。だからむしろモバイルは、Web上で実習したことの復習用に適しているのではないか。

今社員35名のCode Schoolはフロリダ州Orlandoにあり、最初から有料コースがあるので最初から黒字だ。Pollackが明かす、そのほかのネット上のプログラミング学習サイトとの差別化要因は、コースと教材の制作にかける手数だ。だいたい5時間のコースを、6人の社員が3か月かけて作る。スケーラビリティという点では不利なようだが、ファウンダは、これこそうちの特長、と胸を張る。“スクリーンキャストの寄せ集めではなく、一本のゲームを作るように念を入れて作っている”、と彼は語る。

なお、このiOSアプリでは有料会費は月額29ドルで、無料ユーザには見れないビデオも全部見られる。料金の団体割引もある。今ではAccentureやBooz Allen Hamilton、Zendesk、Fandangoなどが社員教育のために、Code Schoolの団体割引を利用している。

Code SchoolのiOSアプリの無料ダウンロードはここから。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleもついにフィットネス・アプリをローンチ―Play Storeで公開中

Googleが自製のフィットネス・アプリをPlay Storeに公開した。今年6月のGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスで発表されたAndroidデバイス向けのGoogle Fit SDKを利用したモデルケースとなる。このフィットネス・アプリはごくシンプルだが、ユーザーのヘルス、フィットネス情報を一箇所に集めて簡単に閲覧、共有できる機能を備えている。

Google Fitアプリはデバイスのセンサーを利用して歩行、ジョギング、サイクリングなどの活動をモニタして記録する。ユーザーは身長と体重、それに自動的にモニタされない運動をマニュアルで入力することができる。 Android Wearスマートウォッチのようなデバイスを利用すれば心拍データもインポートできる。Appleのヘルス・アプリのライバルといえるが、UIはシンプルさを最優先してしており、アプローチとしては対照的だ。

Google Fitはまたウェブ上にFitの専用ページを用意しており、ユーザーはこのページで自分のデータを表示したり設定を変更したりできる。今後はGoogle Fitをプラットフォームとしてサードパーティーのデベロッパーが開発に参加し、さまざまな機能が追加されていくことになるだろう。次世代のAndroid OS、5.0 Lollipopとそれを搭載した新しいデバイスのリリースが来週に予定されている。おそらくはヘルス関連でもなんらかのニュースがありそうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


音声指示に従って自動で返信メールを書いてくれるA.I.搭載のLess.Mail

膨大なメール処理に悩んでいるAndroid利用者向けに、A.I.を活用するLess.Mailというアプリケーションが発表された。モバイルアシスタントがメールの内容を把握し、そして利用者のために返事を書いてくれるというものだ。ミーティングへの誘いなど、メールに記されたオファーを受けるか否かをアシスタントに通知すれば、その意向にしたがって自動的に返信を作成してくれる。アシスタントへの指示は普通の話し言葉で行う。

たとえば、開発元のデモビデオによれば、利用者は「申し出を受け入れよう」(please confirm and accept)だとか「必要ない。だけど丁寧に断って欲しい」(No, thanks. But please decline politely)などと指示を出している。仕事の進捗を尋ねるメールには「やってるよと伝えておいて」(Just tell him I’m working on it)という指示で返信を作成してくれる。

(余計な訳注:下の動画はなかなかおもしろかったです)

Less.Mailの開発元は、Palo AltoのRobin Labsだ。Robin.AIというモバイルアシスタントのプラットフォーム上に各種アプリケーションを構築している。Robin.AIとは、AppleのSiriやGoogle Nowをよりオープンなものとしたいとして開発されたものだ。このA.I.プラットフォームはすでにRobinというアプリケーションで利用されている。用途を限定せず、Google Play風のアシスタント環境を提供するものだ。利用者も100万人を超えている。

また、昨年にはYahoo版Siriとでも言うべきものを作って話題になった(両社の間でどのような目的があってアプリケーションが開発されたのかについて、Robin Labsは詳細を明らかにしていない)。さらに、パーソナルアシスタント機能を備えた自動車用ルームミラーのシステムも開発している。これはパイオのイアとの戦略合意に基づく共同プロダクトだ。

Robin Labsの共同ファウンダー兼CEOのIlya Ecksteinによると、Less.Mailは現在進行中の音声操作機能を搭載したメールクライアントから、一部機能を取り出して実現したものだと話している。RobinのA.I.技術の応用可能性を世に示す目的もあるのだろう。またメールの操作に音声コマンドを利用することがどの程度受け入れられるものなのか、試してみる意図もあるようだ。

Less.Mailの開発に要した期間は数週間程度であるとのこと。もちろんA.I.部分について既にAndroid SDKを用意していることで、短期間の開発が可能となっているわけだ。多くの人に受け入れてもらえるようであれば、iOSなど、他のプラットフォームに移植することも考えているのだそうだ。現在のところは、ともかくまずテストをしてみようという話で、他プラットフォームの開発スケジュールなどは全く白紙であるとのこと。

メールの80%は定型処理で対応可

「名前にLessとついているのは、メールの処理時間を短縮できると考えたからです。他の作業を長く中断せずとも処理できるようにしたいと考えたのです」と、Ecksteinは言う。「受け取るメールのうち、80%ほどは定型処理で対処可能なものであると考えています」。昨今では、メールにおいても簡単に要件だけを記してやり取りすることが一般的になっている。オファーに対しては簡単にイエス/ノーだけを応えることも多い。また、予定通知のメールなどについては、それをカレンダーに移して処理終了とすることも多い。「私たちは、そうした定型処理可能なメールについて、できる限り簡単な処理方法を実現しようとしているのです」とのこと。

そして実際、Less.Mailを使えば送られてきたメールに対して定型的なレスポンスを戻すことができる。もちろん従来通りに自分で返信することも可能だ。また予定をカレンダーに移す作業も行なってくれる。

ただ、いろいろな理由で、メールを音声で処理するということに抵抗を感じる人もいるかもしれない。また、どのくらいの時間節約になるのかもよくわからないところだと思う。さらに、返信にあたっては結局自分で手を加えたくなるケースが多いかもしれない。

いろいろと疑問はあれど、しかしたとえば障害を抱える人にとっての支援ツールとしての使い方もあり得るだろう。また、車で長距離を移動する人は、従来なら音楽やトーク番組を聞いて暇つぶしをするくらいのことしかなかった。しかしこのLess.Mailを使えば簡単かつ効率的に受信メールを処理していくこともできるかもしれない。また、こうしたアプリケーションを使えば映画「her/世界でひとつの彼女」的な気分を味わうこともできるだろう。音声コマンドを利用するだけでなく、そこにA.I.が介在することで、デバイスを擬人化して考える傾向は強くなるに違いない。

どれほど役に立つものなのか、どれほどの注目を集めるのかについては、今後を見守りたい。現在は招待制で利用者を増やしている段階だ。徐々に利用者を増やしていって様子を見たい思いもあるのだろう。

Androidを使っていてLess.Mailを使ってみたいという人は、こちらから招待リストへの登録を申し込むことができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


非・検索女子を狙い始めたファッションアプリ「iQON」、講談社と資本業務提携

20〜30代のオシャレに敏感な女性をターゲットにしたファッションアプリ「iQON」を運営するVASILY。10月にはKDDIから推定10億円以上の出資を受け、同月25日から全国でテレビCMを開始した。これまで広告を使わずグロースハックによる「地上戦」でユーザーを集めてきた同社だが、メディアを活用する「空中戦」にシフトし、今までリーチできなかった「非・検索女子」を獲得しようとしている。28日には講談社と資本業務提携し、女性誌のコンテンツ配信で連携する。講談社の出資額は非公表だが、関係者によれば約1億円という。

iQONは提携する60以上のECサイトのファッションアイテムを、ユーザーが自由に組み合わせてコーディネートを投稿できるサービス。ユーザー数は150万人に上り、今まで投稿されたコーデは130万件。ユーザーはコーデの中からお気に入りの商品を提携先のECサイトで購入できる。

iQON経由のECサイトの月間売上は「10億円目前」(VASILY金山裕樹代表取締役)といい、最も売れているECサイトは「月間2億円以上」。提携ECサイトから支払われる手数料(比率は非公表)や、ブランドと実施するコーデ企画の広告料が、iQONの収益の大半を占める。10月27日にはネイティブ広告「iQON AD」を導入し、新たな収益源とする考えだ。

iQON初となるテレビCMでは、コアターゲットと想定する「ITへ興味が低いユーザー」の獲得を狙うと金山さん。IT感度の高いファッション好きの女性だけでなく、地方都市のイオンモールで余暇を過ごすような若い女性も囲い込もうとしているのだろう。「これまでのユーザーはApp Storeで自発的に検索してくれる人たち。今まではグロースハックでユーザーを集められたが、今後の数百万人はそれだけでは無理。どんどん一般化していかないとダメだと思っている」。

テレビCMは4種類のクリエイティブを用意し、各地域で獲得したユーザーを分単位で集計。クリエイティブごとのユーザー獲得数を比較し、何時何分に流したCMの効果があったかを検証するなど、「PDCAのサイクルを詰めまくっている」。テレビCMに投じる金額は「数億円」に上るという。

KDDIポータル構想の意味は?

KDDIは10月16日、iQONやnanapi、はてな、@cosmeなど12社13サービスで構成する「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」構想を発表した。KDDIによれば、全てのサービスが入り口となる「中心のないポータル」を構築するという。新鮮味があるのだかないのだかわからない構想だが、要は13サービスに各アプリやサービスのリンクを掲載して、お互いに回遊させようとしているらしい。

iQONにとってSyn.allianceはどんな意味があるのか? この点について尋ねると、金山さんは「アプリを自分で探さないようなマス層にリーチできるのが大きい」と答える。「自分に合うアプリを積極的に探す人は全体で見ればわずか。そんな状況にあって、いつもnanapiを見ているようなユーザーがiQONを目にしてくれれば、検索では届かなかったユーザーに見つけてもらえる」。

講談社との提携を皮切りに他の出版社とも提携へ

10月28日には、講談社とスマホ分野での資本業務提携について合意。「ViVi」を中心とした講談社との女性誌と連携し、スマホに最適化したコンテンツを一部有料で配信していく。iQONより女性誌の公式アプリやウェブサイトへネイティブ広告を配信し、女性誌コンテンツのアドネットワーク化を推進することも視野に入れている。

講談社はニュースアプリ「NewsPicks」を運営するユーザーベースに投資したり、写真共有SNS「Snapeee」を運営するマインドパレットへの出資を通じて「ViVi」や「with」に掲載するファッション写真を配信するなど、スマホ展開を模索してきた。スマホ向けコンテンツの配信に強みを持つVASILYとの提携で、女性誌のスマホシフトやマネタイズを強化する。

一方、iQONは講談社との提携を皮切りに、女性誌を扱う他の出版社との提携を視野に入れている。また、アジアでも人気の女性誌を持つ講談社との提携は、「そう遠くない未来に実現する」(金山さん)というiQONのアジア進出の布石にもなっていそうだ。


左右スワイプで高速暗記、1日1000語覚える英単語アプリ「mikan」が、いよいよリリース

「圧倒的にいちばん速く覚えられる英単語アプリ」を目指すという、今までありそうでなかった打ち出しアングルで英語産業にチャレンジしようするスタートアップ企業、mikan(ミカン)が、社名と同名のアプリ「mikan」のiOS版を今日リリースした。AppStoreから無料でダウンロードできる。Android版は2015年春リリース予定。

 

TechCrunch Japanでは、7月29日にmikanのことを詳しく報じているけれど、このときの反響はすごかった。TechCrunch Japanの7年にわたる歴史の中で3位となるはてブ数1500、Twitterで1400ツイート、Facebookで2300いいねが付くなど注目度はきわめて高い。「これならオレ(ワタシ)でも!」という万年挫折組の期待感と、「でも、ホントに効果なんてあんの?」、「ていうか、これ、結局なにが新しいの?」という英語学習中上級者の懐疑の目とが一気に集まったような感じだろうか。

改めて簡単にmikanの紹介をすると、これはスマフォネイティブの英単語帳だ。あらかじめ用意されている「TOEFL3000」「TOEIC2500」「センター試験・大学受験2500」「GRE1500」という4つの試験の学習者向けのカテゴリを選択して、合計9500語の学習ができる。次々に表示されるカード上の単語について、「意味が分かる」(右)、「分からない」(左)と指でスワイプしていくのだが、テンポよく高速にカードがめくれるのが特徴だ。左にスワイプした覚えていない単語のみ、何度も繰り返し復習できるのがポイント。ネイティブスピーカーの発音も収録されているので、「英単語=訳語=音」というセットを高速にグルグルとカードを眺めて学習できる。学習後に出てくる4択テストで、定着度を測ることができる。

以下はプロトタイプの動画でリリース版はもっと洗練されているが、mikanがどういうものかは分かると思うので再掲載しておこう。

で、mikanの何が新しいのか? ということだけど、英単語学習アプリを自作して3年間も使い続けてるほどの学習アプリオタクのぼくに言わせると、mikanがうたう個々の機能は世界初とかそういうものじゃないと思う。覚えていない単語だけを復習するアプローチは長らく存在している手法だし、定着度に応じて復習間隔を徐々に広げていくSRS学習法と呼ばれるようなアプリのモバイル版もたくさんある。

ただ、「スワイプUIで徹底して英単語の学習時間を短くする」ということを目標に全体を最適化しているアプリは、今のところmikan以外にないように思う。やってみれば分かるけど、単語カードや4択のタイマーのリミットがかなり短時間に設定されている。グングンと残時間表示バーが減っていく。知っている単語でもスピードを要求されるゲームのような感じだ。そして反応時間をベースにした統計情報もグラフで表示されるので、同じ「知っている」でも習熟度が上がっていく様子が分かったりするようになっている。隠れている訳語を表示するインターフェイスも、指を載せてスワイプする動作と一体化している。たとえばi暗記+のモバイル版だと、訳語はカードを裏返すアクションの後に表示されるようになっていて、かすかに時間がかかる。別の比較例としてAnkiAppは復習戦略の最適化のために、習熟度の自己申告を促す仕組みを採用しているというのがある。ユーザーは各アイテムごとに「無理、むずい、分かる、余裕」の4つから選んでボタンを選ぶ。やはり左右スワイプに比べると、1アイテムごとの滞留時間が長い想定だ。ぼくが作ったReijiroという単語帳アプリは「用例と例文を読むこと」を重視しているからアイテムごとの滞留時間は、たぶん1〜3分程度とむちゃくちゃ長い。そもそも日々のオンラインでの辞書引きが起点なので開発の背景や目的が全く違う。

こうした違いはmikanだけが「学習時間を徹底して短く」ということを掲げているから出てくるものだと思うし、この軸のために出てくる小さな違いの積み重ねこそがプロダクトの差別化になり、特定の問題への向き不向きを分けるのだとぼくは思う。今までの暗記系アプリは時間的な焦りを感じている英語学習者にとっては「(化学や歴史、資格試験など)ジャンルで欲張りすぎ」、「記憶効率の話はしても、徹底した高速学習を目指してはいなかった」ということで潜在ユーザー層に響いていなかった可能性があるのではないかと思う。もし単位時間あたりの接触回数が記憶効率にとって決定的要因だった可能性があるとすれば、mikanのアプローチは新しいし、興味深いと思うのだ。

起業してアプリを作ったmikanの宇佐美峻さんによれば、従来2000〜3000単語の学習に1〜3カ月かかっていた時間を、1日1000単語にまで縮めることができるという。実際、2014年7月から9月にかけて宇佐美さんら創業メンバーは、北海道から鹿児島県まで全国22都道府県28都市で、英語合宿を実施して、実地でアプリの有効性を検証。合計200名以上の参加者で、合宿終了時の4択問題による最終定着率の平均が81%となったという。合宿で学習した単語はTOEFL85点以上、TOEIC800点以上を目指す人向けの難易度が高い単語だったというから、学校の英語教育で学習するボキャブラリーに上積みする数千語という中級レベルでの結果で良好な結果が出ていると言えるのかもしれない。もっと多くのユーザーの声が聞こえてこないことにはなんとも言えない部分はあると思うけど、今度こそ英語をやるぞと思った読者は、ダウンロードして試してみてはどうだろうか。


やっぱり、AppleはBeats Musicを畳んでiTunesに吸収する


先月私は、AppleがBeats Musicを閉鎖し、iTunesで音楽ストリーミングを始めるだろうと報じた。Appleは、Beats Musicの閉鎖を明確に否定した

あの後すぐ、「本件に詳しい匿名筋」が都合よく次々と現れ、AppleがBeats Musicを、ブランドを含めどう料理するかついて論争が始まった

当時本誌が指摘したように、それはBeats MusicがiTunesに吸収されるだろう、ということの別の言い方だった。そしてそれは、Wall Street Journalが今日(米国時間10/23)書いたことそのものだった(WSJは本誌を引用するのを忘れたに違いないと私は思う)。「AppleはBeats Musicを再構築し、iTunesの一部として来年再スタートさせる。本誌に詳しいある人物による」

やっぱりね。

Beatsの買収が正式になる前に私が書いたように、iTunesの幹部がBeats Musicを買いたがったのは、彼らも音楽ダウンロードが急降下していることを知っていて、ストリーミングに美しく移行する方法が必要だったからだ。そして驚くなかれWSJはこう書いている、「Apple Inc.におけるデジタル音楽の売上は、本件に詳しい筋によると、今年に入ってから13~14%減少しており、音楽業界の早期景気回復の難しさを浮き彫りにしている」。

ダウンロード売上の衰退とストリーミングの急上昇を受け、Appleはストリーミングに本気で取り組む必要に迫られていた ― Spotify、Google Music、Deezerらに水をあけられる前に。そこで、5月時点の有料購読者が25万人しかいないBeats Musicに投資するよりも、8億人のユーザーと4万枚のクレジットカードが登録されているiTunesにストリーミングを取り込むことをAppleは選んだ。

Appleは音楽で儲ける必要がない。単なる客寄せ、即ちiPhone、iPad、MacBook、およびiMacという同社の高利益率商品の売上を促進する方法である。それに加えてAppleの業界に対する影響力を踏まえれば、iTunesがストリーミングと共に再スタートを切る時には、例えば月間5ドルといった、Spotifyの10ドルよりずっと安い購読料金で折り合いをつけられるかもしれない。

低料金、巨大なユーザー基盤、そしてAppleハードウェアという配信チャネルが揃えば、iTunesのストリーミングサービスとの争いは厳しい戦いになるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Twitpic、Twitterとの合意により(とりあえず)コンテンツは継続へ

いろいろな噂に困惑した人も多かったTwitpic問題だが、最後に多少なりとも明るいニュースで締めくくることとなった。Twitter側との合意により、既存の写真およびリンクは使い続けられることになったようだ。ドメインおよびデータはTwitterの管理下に移る。

もちろん、これはTwitpicが存続するという話ではない。さらにTwitpicに新しく写真などを投稿したりすることはできない。簡単にいえばリードオンリー・モードに移行するわけだ。App StoreおよびGoogle Playに登録されていたアプリケーションは、取り下げられることとなる。これまで利用していた人は、ログインしてコンテンツを削除したり、あるいはアカウント自体を取り消したりすることはできる。また、データをエクスポートすることもできる。

今回のTwitpic騒動が始まったのは9月のことだった。Twitpicのファウンダー兼CEOであったNoah Everettが、Twitterからの商標関連のクレームがきて、TwitterのAPIが利用不能となるためにサービスを停止するとアナウンスしたのだった。

「Twitpicは2008年から稼働しており、商標についても2009年にUSPTO(特許商標局)に対して申請を行なっています。そのような状況の中で受け取った停止要請には大いに驚いています」と述べていた。

しかしその直後、どうやらTwitpicは買収され、サービスも継続されることになりそうだとの噂が流れた。しかしこれも結局Everett自身が買収による存続を断念した旨をアナウンスして決着することとなった。

とても気が重いことですが、サービスの停止をアナウンスしなければならなくなりました。停止日は10月25日です。買収提案がいくつかあったのですが、いずれとも話をまとめることができませんでした。ほぼ話がまとまったように見えたときもありましたが(その旨をツイートしてしまいました)、しかし条件面で合意できなかったのです。

この話にはしかし続きがあり、本日もTwitpicのブログが更新された。内容は以下に掲載している。Everett自身がTwitterからTwitpicの管理を行うといわけではなく、Twitpicの運営からは完全に離れるということのようだ。

「ハッピーエンド」というわけではなかったろう。しかしいずれにせよTwitpicの戦いには、本日、幕が引かれた。

長い間Twitpicを使ってきて頂いて本当にありがとうございます。最後になって、いろいろとお騒がせしたことをお詫びいたします。ご覧の通り、ばたばたな幕引きということになりました。

結局、Twitpicのサービスを続ける道を見出すことはできませんでした。但し、Twitter側との合意により、TwitpicのドメインおよびデータをTwitterが継続管理することとなりました。すなわち投稿して頂いた写真などは、今後も生き残ることとなったわけです。データの継続性という利用者のメリットについて、Twitter側も認めてくれたわけです。多くの人に利用していただいていたサービスであっただけに、今回の合意はもちろんTwitter側にもメリットがあるものであると思っています。

混乱のないようにまとめておきます。

  • Twitpicに、新しく写真などを投稿することはできなくなります(リードオンリー状態になるわけです)。
  • iOSおよびAndroidアプリケーションは、アプリケーションストアから削除されます。また今後のサポートも行われません。
  • 利用者の方はログインしてデータやアカウントを削除することもできます。
  • データをエクスポートしてダウンロードすることもできます。

ともかく、Twitpicはこれで終了です。Twitpicをご利用いただいた方には、繰り返し感謝申し上げます。本当に、長らくのご愛顧、ありがとうございました。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


360度閲覧可能な3D写真を写す、3DAroundが間もなく登場

Eコマースサイトや、あるいは映画マトリックスなどでみた、ぐるぐると回転させて見ることのできる写真をスマートフォンで簡単に撮れたら楽しそうだと感じる人は多いだろう。そうした人に朗報だ。1ヶ月ほどの後、Dacudaより3DAroundカメラというアプリケーションが登場するらしいのだ。使い方は簡単で、スマートフォンないしタブレットで、撮影対象の周りを移動しながら撮影するだけで良い。アプリケーションにて、撮影した写真をまとめて3Dイメージを生成し、そして念願のぐるぐる回しができるようになる。

ちなみにDacudaについては、Kickstarterにて展開したPocketScanキャンペーンを覚えている人も多いかもしれない(TC日本語版の記事はこちら)。持ち運び可能で、かつ高機能であるスキャナを提供したいとするプロジェクトだった。今やDacudaは25人の従業員と5年の経験を誇る企業に成長している。そして360度展開可能な写真を撮影することで、どのアングルから写すべきかという悩みを消し去るプロダクトをリリースしようとしているのだ。これが普及すれば、(退屈な?)フード写真が魅力的になることもあるかもしれない。

「AppleがカメラAPIをオープンにしたことも、私たちにとっては追い風なのです」とDacudaのファウンダー兼CTOであるDr. Alexander Ilicは言っている。「私たちのプロダクトを実現するには、露出時間、フォーカスなどについて、ローレベルなところにアクセスする必要があります。まさにiOS 8にて可能となった機能をフルに使っているのです」とのことだ。


 

プロダクトを思いついたのは、フードブロガーの振る舞いを見ているときなのだそうだ。何枚を写真を撮って、そのうちのどれが良いかを悩んでいる姿に疑問を感じたらしい。そのときに「すべての角度から撮影してみれば良いのに」と考えたのだそうだ。アイデアを実現しようとすれば、3Dセンサーを搭載したカメラが必要であろうと考えた。しかし新しいiPhoneのスペックをみるにつけ、ソフトウェアでなんとかなるのではないかと考えたのだそうだ。そして実現してみたのが3DAroundであるというわけだ。

3DAroundはそもそもMIT卒業生たちを巻き込んで、ETH Zurichからのスピンオフとして始めたプロジェクトだった。Wellington Partners、Swiss銀行系Schwyzer KantonalbankおよびオーストリアのアントレプレナーであるHans-Peter Metzlerなどが出資している。

3DAroundは連写することにより360度ビューで利用できる画像を取捨選択するしくみとなっている。生成された写真はアプリケーション内から確認することもできるし、ChromeなどのWebGL対応のブラウザで見てみることもできる。出力した写真はFacebookやTwitter、あるいはPinterestなどでシェアすることもできる。

アプリケーションは、iPhone 5以上対応として来月リリース予定になっている。HTC EVOは3D写真用の2連カメラを搭載していたりもするが、3DAroundはハードウェア的な拡張をせずとも3Dを楽しめるようになっている。正式リリースとなった暁には、改めてレビューしたいと考えている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Apple、TestFlightによるベータテスティングを正式公開


Appleは、ベータテスティングサービスのTestFlightを一般公開した。デベロッパー向けニュースポータルで今日発表された。登録デベロッパーは、最大1000人のベータテスターにiTunes Connectポータル経由で招待状をメールすることによって、自分のiOSアプリを試してもらえる。TestFlightは、Appleが昨年買収したベータテスティングサービスで、これを使えばデベロッパーはアプリを公開する前にチームを作ってテストしてもえる。

TestFlightは、Appleが同サービスを買収した後、既にデベロッパーが利用できていたが、このたび正式にAppleのデベロッパーツールの一部になった。TestFlightの招待状はiTunes Connectから発送し、テスターは専用のTestFlightアプリを使ってフィードバックを返したり、新しいビルドを受け取ったりできる。買収前はTestFlightのウェブポータルに行く必要があった。

外部テスターがTestFlightに招待されると、App Storeで公式アプリをダウンロードするためのリンクが渡される。もうプロビジョニングプロファイルを端末にインストールしたり、端末のUDIDを調べて送ったりする必要はなくなった。公式アプリは、テスト中のアプリの新しいビルドが作られたことも教えてくれるので、これまでのメールによる連絡よりずっと便利だ。

TestFlightを使って1000人の外部テスターに使ってもらえるアプリを作るためには、ベータアプリレビューに通らなければならない。これはつまり、最終製品に適用されるのと同じApp Storeレビューガイドラインの対象になるという意味だ。大きな変更のある新バージョンも、テスターに渡す前に新たなレビューが必要になる。デベロッパーは最大10本のアプリを同時にテストできる。内部テスターの場合、レビュー承認は不要で、最大25人のiTunes Connectのadminまたはtech levelのチームメンバーが利用できる。

Appleは、TestFlightの詳しい使い方をここで説明している。さらに助けが必要なデベロッパーは、App Reviewチーム連絡ページを利用できる(デベロッパーアカウントとログインが必要)。

新しいTestFlightは、デベロッパーが技術に強いアーリーアバプターだけでなく、実際のユーザーからフィードバックをもらうための便利な機能を数多く提供するが、レビューが必要なためビルドの公開までに時間がかかるかもしれない。ともあれ、便利なベータテスティングの選択肢が正式に採用されたのは良いことだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


自動で方程式の解を示すPhotomath、Disrupt Londonでのデビューを経てApp Storeで大人気

話題になっているPhotomathに触ってみた人も多いだろう。頭の良さそうなアプリケーションだ。カメラで覗くだけで方程式を解いてくれるのだ。アプリケーションのリリースはDisrupt Londonの場だった。大いに話題になり、App StoreではFacebook Messageを追いやって無料部門のトップになってしまった。

方程式をカメラ領域に収めると、拡張現実的に解答をリアルタイムで表示してくれるのだ。表示されるボタンをクリックすると、解答に至るまでの手順さえも示してくれる。開発者によると、中学生レベルが扱う方程式を想定しているものなのだそうだ。三角関数などを扱うことは、今のところできないようだ。

また、今のところは手書きには対応していない。活字で記された方程式にのみ対応している。

Photomathは無料であり、開発元のMicroBlinkは、このサービスで稼ぐつもりではないようだ。本業としては銀行向けのOCRシステムを扱っている。PhotomathはMicroBlinkの技術力を証明するためのプロダクトであり、これをきっかけにMicroBlinkの提供する各種プロダクトに注目を集めたいという考えであるらしい。コアコンピタンスは教育界になく、技術を広めるのであればライセンス提供の形で行なっていきたい考えだ。

冒頭にも述べたが、Photomathが発表されたのはDisrupt Londonの席で、ファイナルラウンドにも進出した。優勝はCrateに譲ったものの、App Storeで注目を集めるようになったのは、MicroBlinkにとって好ましいことだろう。


 
原文へ

(翻訳:Maeda, H


Twitterを各種モバイルアプリのための普遍的なプラットホームにしてしまう果敢なAPI集Fabric…初のデベロッパカンファレンスで発表

今朝(米国時間10/22)行われたTwitterのFlightカンファレンスで、CEOのDick Costoloが紹介したFabricは、Twitterというプラットホームの上でデベロッパがさまざまなアプリやサービスを構築できるためのAPIの集合だ。

この新たなAPI集を紹介するにあたりCostoloは、“これはTwitterのための何か良いことをねらっているのではなく、デベロッパのみなさまの生産性を大きく向上させることがねらいだ”、と述べた。

Fabricでは、デベロッパがTwitterというソーシャルプラットホームを自分のアプリで利用できるだけでなく、同社が買収したクラッシュ報告ソフトウェアCrashlyticsや、広告のソーシャルなターゲティングを行うMoPubなどにもアクセスできる。でもそれは、デベロッパが作ったアプリがユーザをTwitterにサインインさせ、広告を無理やり押し付ける、というもの*だけ*ではない。たとえば今日Twitterのモバイルプラットホーム部長Jeff Seibertがデモしたのは、テスターたちにアカウント作成を要さずにアプリのプレリリースを配布できるTestFlight的なソリューションで、特定のリンクのある特定のビルドをテスターに送れる、というものだった。

とはいえ、Twitterというソーシャルプラットホームが無視されているわけではない。今やモバイル用のネイティブのTwitter SDKがあり、デベロッパはそれを利用してTwitterからのリッチメディアをユーザに見せるTwitterクライアントを作ったり、モバイルアプリに普遍的なTwitterログインを統合したりできる。またデベロッパがMoPubを統合すれば、広告をより有利な広告ネットワークに回して、広告料収入を増やすことができる。

 

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleの新しいモバイルメールアプリInboxをテスト中―とてもよく出来ている

先ほど概要を紹介したGoogleのInboxメールアプリが入手できた。現在はGoogleのベータテスター招待プログラムによる限定公開だ。一般公開はしばらく先になるようだが、とりあえずこのアプリに対する私の第一印象を報告しておこう。

UIには最近Googleが全てのアプリに採用を進めているマテリアル・デザインが使われており、たいへん見やすい。アニメーションもよくできている。鮮やかな色づかいで、アプリのどこにいるのかが直感的に分かるようになっているのも良い。アイコンやコントロールはよく考えられていて使い方で迷うことはないだろう。

機能については、まだ個人用アカウントだけしかテストできていない。つまりGoogle Appsを通じたTechCrunchの業務用アカウントでは試していないので、そちらの膨大なトラフィックにさらされたときにこのアプリの使い勝手がどうであるかはまだ分からない。ただし個人用アカウントではメリットは即座に感じられた。まずGoogleは「本当の」メールとコンピュータが生成したメールを区別することができる。またその内容によってGmailアプリの場合と同様、各種のカテゴリーに分類してくれる。

こうした分類は色彩とアイコンによってひと目で分かるように表示される。必要なメールを処理したらカテゴリーごとに1回のスワイプで全部片付けられる。個別のメール、あるいは複数のメールをまとめて、Gmailのアーカイブに近い「処理済み(Done)」フォルダー、あるいは「後で(snooze)」フォルダーに送ったりできる。「後で」の場合には、再びメッセージが表示されるまでの時間を自由に設定できる(デフォールトの簡単設定もあるが、カスタムで個別設定もできる)。

このアプリは「インボックス」、 「あとで処理」、「処理済み」という3つのセクションに分かれている。セクションはプルアウトするサイドバー・メニューで選べる。メニューからはさらに新しいカテゴリーや従来のGmailのフォルダーにもアクセスできる。画面右下隅のプラス(+)アイコンをタップすると即座にメールやメモを書ける。また最近の連絡相手(最近メールをやりとりした相手)も表示される。

こアプリはとても役に立ちそうだというのが第一印象だ。こちらで何も特別な設定をしなくても対応が必要なメールが画面のトップに表示されるし、プラス・ボタンを押してスマート・メール作成機能を呼び出すと連絡が必要な相手が自動的にトップに表示されるのでいちいち相手のメールアドレスを探す必要がない。

「後で」と「処理済み」セクションの1スワイプ機能は非常に便利で、既存のGmailアプリやMailboxアプリよりも優れている。「後で」もいつ再表示させるかを細かく設定するのが非常に簡単なため、大いに役に立つ。

このアプリを本当に評価するためには業務用のアカウントで大量メールの処理をしてみなければならないが、Google InboxはiPhoneで私用のGmailアカウントを管理する限り、十分ネーティブGmailアプリのライバルになると感じられた。メール処理という非常に難しい分野でのスタートとしては大いに成功したといってよいだろう。

〔日本版:原文にアプリのスクリーンショットのスライドショーあり〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Googleの新メールアプリ「Inbox」は、Gmailとは別物


Googleが新しいメールアプリを作った。Gmailと同じチームが開発しているが、Gmailとは全く異なるものを意図している。そのアプリ、InboxはどことなくMailboxやGoogle Nowにインスパイアされたように見える。

新アプリのInboxは、現在限定されたユーザーグループにのみ提供されており、今後は招待システムによってユーザー基盤を拡大していく。GoogleがGmailに使ったのと似たシステムだ。ただしこちらはクロスプラットフォームのアプリでiOS、ウェブ、およびAndroid版が提供される。また友達から招待されるのを待つのがイヤな人は、inbox@google.com にメールでリクエストすることもできる。

InboxがGmailと違うのは、メールをそのままではなく、コンテンツがコンテキストに関連づけられる形でユーザーに情報を見せようとしている点だ。メールの革命は手に負えないシステムをもたらしてた ― 元は1箇所の仮想的な場所から時折連絡を取るためのシステムだったものが、今やわれわれをあらゆる場所へ連れていき、その分量はユーザーを途方に暮れさせる。

Inboxは、メーユーザーが状況をきちんと把握するための機能を数多く備えている。Bundlesは、似たような種類のメールを自動的にまとめてグループ化する。Highlightsは、フライト情報、イベントの詳細、親しい友人や家族からのメディアを見逃がさないよう目立たせる。Google Nowタイプの機能もある。Reminders、Assists and Snoozesはビルトインのtodoリストとして働き、コンテキスト対応情報ファインダーは、予約したいレストランの営業時間を表示する。

Inboxは、何か目的を持ったプロジェクトのようだが、なぜGmail本体とは別に存在する必要があるのかという疑問を投げ掛ける。おそらくこれらの機能があまりに実験的すぎるので、Googleは長年のユーザーを遠ざけてしまうことを恐れて、正式機能にする前の実験場所を作ったのかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ディープリンクでスマホのウェブとアプリをスムーズにつなげるCircuit

「ディープリンク」という言葉を聞いたことはあるだろうか?本来の意味は、ウェブサイトのトップページ以外のリンクのことを指す。例えばとあるサイトやソーシャルメディアからTechCrunchのトップページではなくこの記事のページへのリンクはディープリンクと言える。

今では単にウェブサイトのリンクだけでなく、スマートフォンアプリの特定ページに遷移するリンクも指す言葉になっている。例えばFacebookのアプリ上でPinterestへ投稿された写真をクリックした際、Pinterestのアプリをインストールしているユーザーであれば、Pinterestのアプリが起動し、トップページではなく当該の写真が表示される。この当該写真へのリンクもディープリンクというわけだ。

そんなディープリンクがスマートフォンの世界で重要になっていく――ディープリンクソリューション「Circuit」ベータ版の提供を開始したふくろうラボの清水翔氏は語る。

僕らは普段あまり意識せずに利用しているのかも知れないのだけれど、実はプラットフォーマーは2013年以降、ウェブからアプリへの新しい動線を作るべくディープリンクへの対応を進めている。

Twitterでは2013年4月に「Twitter カード」を公開している。これは、ツイートに画像やアプリのリンクを埋め込むことができる機能だ。これを利用すれば、あるアプリをインストールしている環境であればアプリが起動して当該ページを表示し、アプリをインストールしていなければApp Storeが起動してそのアプリのダウンロードページを表示できる。冒頭にあったFacebookの例も、同社が2014年4月に公開した「App Links」という仕組みを利用している。またGoogleも、スマートフォン向けの検索結果画面にAndroidアプリのディープリンクをつけ、検索結果画面から対応アプリの当該ページに直接アクセスできるボタンを付けられるようにしている(ただし、日本ではヤフオク!やクックパッド、Hotpepper、pixiv、WEARなど対応サービスが限られている)。

ただし、このディープリンク対応、OSやブラウザ、リファラーごとに挙動が違うため、うまく動作をさせるには、OSやブラウザごとでコードを分け、さらにそれらのバージョンアップのたびに検証が必要になったりと、実装と運用には非常に手間がかかるのだそうだ。だがCircuitを利用すれば、ディープリンクのルールを設定したあと、ウェブサイトにJavaScriptを記述するだけで主要なOSやブラウザでのディープリンク対応を実現できるという。ベータ版の利用は無料。2015年2月をめどに正式リリースを検討している。同種のサービスとして、海外では「URX」「Deeplink.me」「Branch Metrics」などがある。

ではCircuitの導入で具体的にどんなことができるのか?清水氏は(1)端末内のアプリの有無を判別しての遷移先の振り分け、(2)前述のTwitter カード、App Linksへの対応、(3)ウェブサイト訪問者に対して、当該アプリの未ダウンロード時のみアプリのダウンロードを訴求、(4)広告や友人招待経由でのアプリ起動時に、指定のページに遷移する――といったことが可能になると説明する。ただし、App Linksは遷移元と遷移先の行き来ができる機能を有するが、Circuitを利用した場合はアプリ間での「戻る」機能は用意されていない。

僕はFacebookアプリを利用している際、友人がシェアしたコンテンツをクリックして、Web ビューが立ち上がり、アクセスの都度そのサイトへのログインを求められてうんざり……という経験が多々あるのだけれど(まさに下の図のとおりだ)、これがログインした状態で直接アプリで閲覧できるようになる(アプリを立ち上げるかどうかを確認するダイアログは表示される)のであれば非常にありがたい話だ。清水氏によると、すでにユーザベースのNewsPicksなどがCircuitを導入しているそうだ。

ふくろうラボでは「ディープリンク」を解説し、啓蒙するためにオウンドメディアも立ち上げているが、まだ理解はこれからといった状況だそうで、「いまはまだ、サービス説明の前にスマホ時代のディープリンクとは何かを担当者と会って説明し、理解してもらった上で導入を提案している状況」(清水氏)だという。同社は4月にインキュベイトファンドとEast Venturesから数千万円の資金を調達しており、現状はクライアントを拡大しつつ、サービス開発を続けている。将来的にはCircuitの利用料に加えて、広告事業者との連携を進めることで、マネタイズの道を模索していく。