グロースハックとAndroid優先が奏功、ファッションアプリ「iQON」は登録ユーザー100万人に

ファッションアイテムの画像を組み合わせて自分好みのコーディネートを作成するVASILYのファッションアプリ「iQON」。同アプリの登録会員数(ダウンロード数やアクセスしたユニークユーザーではなく、会員登録したユーザーだ)が、6月25日付けで100万人を突破した。

グロースハックとAndroidファーストがキモ

「Androidファーストでの開発がうまくいっている」——VASILY代表取締役の金山裕樹氏はこう語る。実はVASILYは国内でもグロースハックにいち早く注目したスタートアップの1社とのことで、2013年1月からは様々な施策に取り組んでいるという。

「雄介(AppSociallyの高橋雄介氏)に概念を教えてもらったことがグロースハックを始めたきっかけ。VASILYはテクノロジーカンパニー。社員もエンジニアが多いし、アプリのユーザーレビューでも評価が高い。僕自身もUXのプロであってもマーケティングのプロではない。自社のエンジニアリング能力を生かす意味では、グロースハックでユーザーを獲得するのは『アリ』だと思った」(金山氏)

グロースハックのための施策は、ボタンの変更からチュートリアルの簡素化にはじまる「細かいことの積み重ね」だそう。その考え方や施策については、同社のブログでも一部紹介されているので参考にして欲しい。そしてその際に生きているのが、前述のAndroidファーストでの開発だという。

AndroidのアプリストアであるGoogle Playは、アプリのアップデートにアプリストア側で審査する時間がかからない(AppleのApp Storeではおおよそ1-2週間の審査時間を要する)。そのため、細かな施策をAndroidアプリで次々に実施し、効果が検証できたもののみをiOS版のアプリに反映していっているのだそうだ。その結果、リワード広告やアドネットワークなどをほとんど利用することなく会員100万人を達成したという。

特にアプリをリニューアルした2013年秋以降の成長は急激だという。「アプリのアイコンを4つに減らし、徹底的にシンプルなデザインにした。これもAndroidでうまくいったのでiOSにも反映した施策だ」(金山氏)

マネタイズの3つの柱

100万人の登録ユーザーは、もちろんファッション好きなユーザーが中心だ。iQONではコーディネート作成に利用するアイテムを直接購入できるように、ECサイトへのアフィリエイトリンクを張っているが、すでにiQON経由での売上が合計1億円を越えるサイトなども登場しているそうだ。

マネタイズについても聞いたのだが、前述のアフィリエイトのほか、タイアップを中心にした広告、4月から開始した月額300円のコンテンツ課金の3点を展開しているとのことだった。

広告に関しては、ELLEgirl前編集長の澄川恭子氏がVASILYに参画したこともあって「コンテンツの信頼感も増し、ナショナルクライアントも入ってきている」(金山氏)。一方で課金ユーザーはまだまだ少ない。だが将来的には「外部のファッション誌のコンテンツとも連携していきたい。まずはユーザーのニーズがあることを自社コンテンツで証明する」(金山氏)。

今週Gunosyの発表が続いたりしたこともあって、ニュースアプリのプラットフォーム化を意識する機会はあった。それと同じようにiQONは、ファッションECの集客を実現するプラットフォームとなりつつあるようだ。

ロゴ刷新、海外展開も視野に

VASILYでは今回の発表にあわせて、ロゴを一新する。記事冒頭にあるのが新しいロゴだ。また年内に会員数200万人を目指すほか、早ければ年内にも台湾をはじめとしてアジア、米国での展開を目指すとしている。


Google I/O:ドライブがQuickoffice統合でネーティブOffice互換に、暗号化もサポート

今朝(米国時間6/25)開会したデベロッパー・カンファレンスGoogle I/OでGoogleはクラウド・サービスのGoogleドライブをアップデートし、大幅な改良を加えた。これにともない、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドなどの生産性ツールにも新機能が加えられた。

中でも重要なのはQuickofficeのドライブへの統合だ。

QuickofficeはGoogleが2年前に買収したテクノロジーで、モバイル向けOffice互換の生産性アプリだが、今回Googleドライブに統合された。これによりMicrosoftのWord、Excel、PowerPointのファイルをネーティブ・モードでGoogleドライブで開き、編集することができる。この機能はスンダル・ピチャイ上級副社長が1年以上前にあと3ヶ月くらいでリリースすると予告していたものだ。

QuickofficeはGoogleのネーティブ・クライアント・テクノロジーを用いてChromeブラウザ内で高速のレンダリングを行う。そのためQuickofficeは当面Chromeだけでしか作動しない。GoogleはAndroid版、iOS版のQuickofficeを開発中だが、リリースまでにはまだ少々待つ必要がある。

QuickoffficeのGoogleドライブへの統合に伴い、スタンドアローンのQuickofficeアプリは役割を終え、近く消えることになる。先週、私はGoogle ドライブのプロダクト・マネジメント・ディレクター、Scott Johnsonに取材し、QuickofficeをGoogle Driveに統合するのになぜこれほど長い時間がかかったかのか尋ねた。Johnsonは「まったくベースが異なるコードを統合してGoogleドライブのような規模で作動させるようにするのは難しい作業だ。またドライブは現在非常に多くのプラットフォームで動いている。すべてのプラットフォームとデバイスで正しく作動するよう確認する必要があった」と答えた。

新バージョンのGoogleドライブを開くとルックアンドフィールが大きく変わったことに気づく。Johnstonは「ウェブ・アプリをデスクトップ・アプリにできるかぎり近づけ、どちらでもユーザー体験が変わらないようにするのが目的だ」と述べた。

これ以外にもいろいろな変更があるが、たとえば“Shared with me”〔共有アイテム〕というフォルダーはシンプルに“incoming.”という名前になった。ドライブのツールバーもシンプルになると同時にアップロード・ダイアログを消し、アップロードをドラグ&ドロップに統一した。

もうひとつの便利な改良はドライブ内のファイルをデフォールトのアプリケーションで開けるようになったことだ。たとえばドライブに保存していたPhotoshopファイルを開くと自動的にPhotoshopが立ち上がる。小さな変更だが、これもウェブとデスクトップの差を意識しないですむという方向への一歩だ。

また「更新情報」タブがモバイルのドライブにも付け加えられた。リンクの共有もワンタップでできるようになった。Johnstonによればアップロードの速度も改良されたという。

セキュリティも大きく改善された。ユーザーはローカル、通信経路、Googleのサーバーのすべてでドキュメントを暗号化しておくことができる ようになった。

〔日本版〕6/26朝現在、日本にはまだGoogleドライブのアップデートはリリースされていない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


FacebookのSlingshotが世界中で利用可能になった

Facebookの新しいメッセージングアプリケーションであるSlingshotが、全世界で利用できるようになった。以前にもお伝えしたが、利用者の間で「特別な」操作を行うことが必要とされる。これまでは地域限定で公開されていた。

このSlingshotはもちろん、Snapchatに対する対抗プロダクトとしての意味も持つものだ。SnapchatはFacebookから独立したソーシャルネットワークを構築するものであり、それがある意味ではFacebookに対する脅威ともなっている。Facebookとしても、真剣に対処する必要があるわけだ。

アプリケーションでは写真ないしビデオメッセージを送る。落書きやエフェクトを追記して送ることもできる。そこまでは他のメッセージングアプリケーションと変わらない。ここで必要とされるのが「特別な」操作ということになる。送られてきたメッセージを見るために、自分の方からも写真ないしビデオを送る必要があるのだ。

ある意味では、自分ばかりが送り手になるのではなく、相手からの返信が(高い確率で)期待できるようになる仕組みだと言うこともできよう。

これまでのところ、利用者の受け取り方はさまざまであるようだ。メッセージをやりとりする人々の間での強制的な関係強化を面白い仕組みだと考える人もいれば、これまで何度か生み出されてきた失敗作のひとつとして葬り去られるだろうと考える人もいる。個人的には、なかなか面白いものだとは思う。ただ、大規模に利用されるようになるのかどうかについてはよくわからない。

写真を送らないとメッセージを見ることもできないというのを重荷に感じる人もいることだろう。情報の受け手としての立場でいたいと考える人も多いのだ。発言を強制されるようならば、アプリケーションの利用をやめてしまおうと考える人も多いのではないだろうか。

また、Facebookについて「クールじゃない」と感じる層は依然としているわけで、これはアプリケーションによって払拭できるイメージではないという見方もある。若い人たちは流行に敏感であるものだが、しかし2008年以来Facebookが「流行」となったことはないようにも思われる。今後の動向を見守りたい。

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(翻訳:Maeda, H


Google、スマートサーモスタットNestをハブとするホームオートメーション・プラットフォームを発表

「オーケーGoogle、部屋の温度を下げて」と言うとエアコンがそのとおりに動作するという時代がすぐそこまで来ている。

Nestのスマートサーモスタットを設置した家庭ではGoogle Nowを通じてエアコンを操作できるようになる。しかもそれはほんの手始めだ。

GoogleはNest Learning Thermostatをスマートホームのハブに据えようとしている。Googleは今日(米国時間6/24)、Works with Nestというデベロッパー・プログラムをスタートさせた。これによってガジェット、自動車、リモコンなどがブランド、OSを問わずNestのサーモスタットと会話し、連携動作することが可能になる。スマートホームが一気に身近なものになってきた。

スマートホームの普及の上で大きな問題は、フラグメンテーションだった。スマートライトからウェブ接続家電までそれぞれが独自の規格、閉鎖的なアプリで作動し、互いに会話ができない。複数のブランドのガジェットに協調動作をさせようという試みはあったが、そのためには橋渡しをする別のガジェット、別のアプリが必要になり、問題をますます複雑化させる結果になっていた。

しかしWorks with Nestプログラムの登場で、いまやGoogleのスマートサーモスタットがスマートホームのデファクト標準となりそうだ。

このプログラムではサードパーティーのガジェットがNest内蔵の各種センサーに加えて機械学習、音声認識、ジェスチャー認識などの機能にアクセスし、活用することができる。

Works With Nestというエコシステム

すでにLIFX、Logitech、Chamberlain、Whirlpool、メルセデス・ベンツといった世界的なブランドがNestプログラムに参加している。Whirlpoolの場合、Nestがユーザーが家を離れていることを感知すると、「送風フレッシュ・モード」で乾燥機を作動させる。これでユーザーが帰宅して乾燥機から衣類を取り出すまでシワにならないようにするわけだ。LIFXの場合は、Nest Protect火災ガス警報器が一酸化炭素を検出するとウェブに接続した赤色の照明が点滅して危険を知らせる。 メルセデス・ベンツの一部の車種は車内からNestに対してエアコンの作動を命令できる。

またNest ProtectとNestサーモスタットはIFTTTをサポートしており、ユーザーが独自の動作を設定できる。たとえば、「もしNest Protectが煙を感知したら、次のテキストメッセージを隣人に送信する」とか「もしNestサーモスタットが摂氏22度以下になり、かつエアコンが作動中なら、以下のTwitterDMを私宛に送信する(そんなにエアコンを強くするなと子供を叱るため)」といった動作をプログラムできる。

また今年の秋にはGoogle Nowが正式にNestと連動する。ユーザーはAndroidスマートフォンさえ持っていればどこにいてNestに命令することができるようになる。

またGoogleはJawboneと共同でUP睡眠モニタをNestのエコシステムに取り入れようとしている。

スマートホームのハブへ

32億ドルでのNest買収はGoogleを一気にスマートホームのリーダーへと押し上げた。一方Appleもこれに対抗して今月、HomeKitというスマートホーム・プロジェクトを発表した。TechCrunchのMatthew Panzarino編集長の記事にあるように、HomeKitはデベロッパーがBluetoothを通じてさまざまなデバイスに対して命令を出せるようにするフレームワークだ。

HomeKitはスペック上はWorks with Nestよりも多機能だ。しかしHomeKitはGoogleのプロジェクトに比べるとまだ開発の初期段階にある。AppleのHomeKitが実際に作動するようになるには数ヶ月はかかるだろう。

Googleといえどもホームオートメーションのすべての要素を自製することは不可能だ。しかしNestをデファクト標準化し、協調動作することが確認されたデバイスにNest認証を与えることはスマートホーム実現に向けて非常に有効な戦略だろう。スマートホーム市場に参入する企業にとってはNest認証を受けることが大量普及への最良の道となるなら、Googleの立場は極めて強いものになる。

Works With Nest紹介ビデオ

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebookに若者が戻ってきた(Forrester調べ)

【本稿の執筆者は Julian Chokkattu 】
かなり意外なことに、Facebookが若者の人気を取り戻しつつあるらしい。

Forrester Researchが12~17歳の若者4517名を対象に、ソーシャルメディアの利用状況に関する調査を行ったところ、半数近くが1年以上前からFacebookを使っていると回答した。

この調査は、WSJが最初に紹介したもので、最大の理由の一つはスマートフォンの普及であると指摘しており、必ずしもFacebookへの愛着ではない。

昨年10月、Facebookは「10代の若者の利用が減少している」事実を認め、Pew Research Centerをはじめとするいくつかの調査会社が、この事実承認を 支持した。

Pewの調査では、多くの10代がFacebookに対する「熱意の喪失」を表していた。こうした報告やFacebook自身の確認表明が、マーケターに誤ったメッセージを送ったと、少なくともForrester Researchレポートの共同執筆者である、Nate Elliotは指摘している。

Facebookが先週、Snapchatを真似たアプリ、Slingshotを提供したのも恐らくこれが理由だ。Slingshotは、友達のビデオや写真メッセージを見るためには自分もコンテンツをシェアしなければならないしくみのアプリで、若者の利用を再燃させることが狙いとしている。

しかし、問題は、Facebook自身、さらにはそこに参加する意志のない層を呼び込もうとする同社の努力にあるのかもしれない。

Slingshotは、Yoという、ただ友達に「Yo」というメッセージを送るだけのアプリに後れを取っている。Yoはエイプリルフールの日に公開され、現在App Storeで19位に入っているが、Slingshotはリストはランキングにさえ載っていない。

これは、そもそも魅せることができないかもしれないグループを、Facebookが引き寄せようとした失敗例だ。Facebookをクールじゃないと考える層は存在しており、Facebookが巨大な企業に成長したことがそれに寄与している。

しかし同報告書によると、それでもFacebookは、YouTubeを除くあらゆるソーシャルネットワークよりも普及している。おそらく若者たちの選択理由は、Facebookが広く普及していることから、プレッシャーを感じ、あるいは有用性を認めてサインアップしたからだろう。

Pewの調査が指摘しているように、低年齢でFacebookに登録することは「ださい」と受け取られており、それは大人たちがそこにいるからだ。

「彼らはサイトに大人が増えることを嫌い、Facebook友達のシェアする些末な話にむかついたり、サイト上で頻繁に起こると彼らが説明する「ドラマ」に疲れ果てている」

Forresterの調査は、他の調査機関と異なる結果を示しているが、この数字が再び下落する可能性は十分にある。どの世代でも、親と同じ場所にいることがクールでないと感じる時期は必ずある ― そしてFacebookには彼らがいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


サンフランシスコ市、公共駐車スペースを売るアプリに排除勧告

つまるところ、駐車スペースのような公共設備を、あたかも自分の所有物かのようにレンタルすることは許されなかった。パーキングアプリのMonkey Parkingは、今日(米国時間6/23)サンフランシスコ市検察局から排除勧告を受け、また同アプリが現地法に違反しているとしてAppleもApp Storeから削除するよう依頼された。他のアプリ2種、SweetchおよびParkModoも、排除勧告を示唆する警告を受けた。

この決定は、ドライバーが駐車スペースを探して周回するのを防ぐことで収益を得るアプリを禁止する、先例になるかもしれない。Uber等の乗り合いサービスが、市条例との戦いに勝利する一方て、これらの駐車アプリは困難な時を迎えている。本来無料あるいはメーターで料金徴収されている場所を有料で貸すことは、露骨な違法行為だ。

それぞれのアプリは、駐車スペースの販売に異なるアプローチを取っている。Monkey Parkingは、ユーザーに駐車場所を入札させる。Sweetchは、駐車場所をもらい受けるドライバーから5ドルを徴収するが、後で別のSweetchユーザーに明け渡すと4ドル返金される。近々スタート予定だったParkModoは、ドライバーを雇って駐車場所を確保し、それをParkModoの有料メンバーに売る。

そしていずれもが、公共リソースの搾取に見える。エネルギー節約に名を借りて、自分たちが所有していないものを売ることによって、自らおよびユーザーの私腹を肥そうとしている。たしかに、混雑する地域で効率よく駐車スペースを見つける方法があればそれは素晴らしいし、いずれモバイルアプリが役立つ日も来るかもしれない。しかし、公共インフラに値段を付けるやり方は、いかがわしい。

これらのアプリは、公共駐車場所を「賃貸するいかなる契約」も結んではならないとする、ポリスコード63項(c)に違反する。違反に対しては1取引毎に罰金300ドルを科され、運転者が責任を負う。当該スタートアップらは、違法ビジネスモデルのみに拠って立つ企業に適用されるカリフォルニア不正競争法によって、1取引当たり最大2500ドルの罰金を科される可能性がある。

市検事のDennis Herreraがこう書いている:

「これは違法であり、運転者を罰金300ドルを科される立場に置き、公共駐車スペースの搾取的民間市場を作ることを、サンフランシスコ市民は許さない。さらに悪いことに、これはドライバーがモバイル端末を危険な方法で使うことを誘発する ― 運転中にオンライン入札戦争に参加する。自らが所有するガレージや通路を賃貸することは構わない。しかし、公共駐車スペースを質に取って私腹を肥やすビジネスを受け入れることはできない」

Herreraは、Apple法務部門にもレターの写しを送り、違法および危険であることを理由に駐車アプリを削除するよう依頼した。

法廷で戦う財力のある者がいない限り、サンフランシスコの混雑地域、ミッションおよびマリーナにおける駐車は、今後もイライラが続くことなるだろう。しかし、少なくともこれで平等な先着順モデルが続くことになり、裕福なスマートフォンユーザーが他の市民を追い出すことはなくなる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon、iOSアプリで広告付無料テレビ番組を提供。HBOコンテンツも

Amazonは、同社が無料の広告付テレビ・音楽ビデオサービスを、Prime Instant Videoとは別に提供するのではないかという以前の報道否定していたが、少なくとも広告付テレビの試行は始めたようだ。最新情報として、Amazon Instant VideoのiOSアプリは今日(米国時間6/23)のアップデートで、一部のテレビ番組を無料で視聴できるようになり、そこには広告が入っている。

さらにこのアップデートで、最近同社が購入したHBOコンテンツもiOSアプリで見られるようになった。

iTunesの説明文によると、Instant Videoユーザーは、対象テレビ番組の「第1話」を無料で見ることができる。そこでは、放送の前後および番組途中に広告が入る。

ただしAmazonが広告付無料番組を提供するのは、これが初めてではない。Kindle Fire端末およびRokuでは、この機能をすでに提供しており、テレビまたはビデオの一覧から「無料第1話」を選ぶことによって見ることができる。

対象の無料番組の多くは、Primeカタログにも入っているので、Prime契約者はこれらの番組を広告なしで見ることもできる。しかし、Primeにない番組については、契約者も非契約者も広告を見ることになる。

現在この機能で提供されている無料番組は何百とある。中には、The O.C.、Roots、Wonder Woman、Two and Half Men、V, Catfish、Invasion、Leverage、The Flash、The Hills、21 Jump Street、Eight is Enoughといった、古い、あるいは知名度の低い作品もある。

しかし、Amazonはこのセレクションを拡大すべく、様々なネットワークから著名な番組を集めていることがわかる。Duck Dynasty (AETN)、The Good Wife (CBS)、Grimm, Covert Affairs、Suits (NBC)、Glee, Sons of Anarchy、How I Met Your Mother (Fox)、Orphan Black (BBC)などだ。

もちろんAmazonは、手持ちコンテンツを収益化する様々な方法を「頻繁にテスト」していることをVarietyに対して認めているが、全面広告収益によるメディアサービスの提供計画については否定している。しかし、「第1話無料」機能を、Amazon自身のKindle FireからiOSへと拡大したことは、この実験がうまくいっていて、さらに投資する価値があると考えている兆候だ。

さらに今日のアップデートでは、The Sopranos、The Wire、Deadwood、True Blood and Boardwalk Empire等、以前発表のあったHBO番組が追加されている。

現時点でAndroid版アプリにはこのアップデートは提供されていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


I/O 2014開催近づく―Googleデベロッパー・カンファレンスのテーマはデザインとウェアラブル

今年もGoogleの大掛かりなデベロッパー・イベントの開催が近づいてきた。多くの読者がこの2日にわたるイベント〔日本時間6/26-6/27〕で何が発表されるのか興味をお持ちだろう。

今年のGoogleはアプリのデベロッパーだけでなく、デザイナーやマーケッターにもGoogleの戦略に関する詳細な情報を伝えようと力を入れているようだ。しかし一般エンド・ユーザーに直接関連する発表も数多く用意されているらしい。

Android Wear

事情に通じた情報源によれば、今年のI/Oの重要なテーマの一つはGoogleが今年3月に発表したAndroid Wearだという。このプラットフォームはスマートウォッチなどウェラブル・デバイスのためのAndroid OSの拡張機能だ。

メーカー数社がAndroid Wearを利用したスマートウォッチをデビューさせようとしている。なかでもMotorolaとLGはこの夏にMoto360 とLG G Watchをそれぞれローンチさせると発表している。暦の上ではすでに夏だから、I/Oでこれらのプロダクトが正式にお披露目されるのはまず間違いない。同時にAndroidWearの詳細についても多くのことを知ることになりそうだ。

Android車載システム

Appleは今年に入ってiOSの車載システム、CarPlayの普及に大いに力を入れている。当然、Googleも独自の車載モバイル・システムでAppleにに対抗してくるはずだ。1月に概要が発表され、GM、Audi、Hyundaiと提携しているものの、Android車載システムについてはまだ具体的な情報がほとんどない。しかし今年中にいくつかの新車種に搭載されるという。

GoogleはこのAndroid車載システムについて近く大規模なプレスイベントを計画しているらしい。

Android TV、ホームAndroid

今年、GoogleはIoT〔モノのインターネット〕などを通じてAndroidを通常のモバイル・デバイス以外の分野に拡張することに全力を挙げている。Goolge TVなどがその一例だが、Android TVプロジェクトも進行中といわれる。これもI/Oで発表されるかもしれない。

Android TVはGoogle TVとは異なりアプリ自身の機能よりもコンテンツに主題があると言われている。ただし具体的な内容はまったく分かっていない。Googleは最近子会社のNestを通じてDropcamを買収した。Nestは急速にホーム・オートメーションのハブに成長しつつある。Nest関連の発表もあるだろう。同時にGoogleのプラットフォームを利用したサードパーティーのプロダクトの紹介もあるかもしれない。

Android 5.0

Androidの新バージョンが今回のカンファレンスで発表される可能性は低いかもしれないが、それがどんなものになりそうかヒントがつかめるかもしれない。最近報じられたQuantum PaperはAndroidアプリに新しい統一的UIを導入しようとする野心的なプロジェクトで、Polymerは再利用可能なそのインターフェイス要素だという。

Quantum PaperとPolymerはAndroidアプリばかりでなく、iOSやGoogle独自のハードウェアも含めたさまざまなデバイスのインターフェイスの新しいデザイン・ガイドラインとなるようだ。今年、Googleはデザインの改良と統一化に全力を挙げるものとみられる。

デベロッパーの再定義

当然ながらソフトウェアのデベロッパーを中心とするものの、Googleは今年のI/Oではターゲットしてデザイナーやマーケッターにも重点が置かれるようだ。つまりアプリを開発して流通させるプロセスに関わる人々全てを対象とするということらしい。

われわれは現地取材を行い、ライブ・ブログも含めて報告する予定だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


匿名で皮膚病(および性病)の診断を受けることのできるFirst Derm

First Dermは皮膚の様子を写真にとり、それに基づいて匿名で医師に相談することのできるアプリケーションだ。

スウェーデン発のこのアプリケーションが最初にリリースされたのは2009年で、当初は性病(STD)を対象とするものだった。発疹、腫れ物、できものなどや、あるいは痣などの写真を撮って報告するものだった。

ただ、性病専門のアプリケーションでは、口コミによる展開があまり期待できないという状況もあった。そうした状況を受けて、First Dermは性病以外の皮膚病にも対応することにしたのだ。

但し、ファウンダーのAlexander Borveによると、今でも70%以上が下半身関連の相談なのだそうだ。

病状を相談するには、2枚の写真を撮影する。ひとつはクローズアップで、ひとつは全体が入るようにしたものだ。そしてオンラインで提供される投稿フォームに必要事項を入力して送信する。するとデータはFirst Dermと提携する医師に送られ診察してもらうことができる。費用は40ドルだ。

実のところ、値段は保険に入っている場合の自己負担額より高額だ。費用には匿名で受診できるメリットと、病院に出かけて行って待合室ですごさなければならない時間の分も含まれていると考えれば良いだろう。

診療結果は、ほんの数時間で得られることもある。First Dermは、24時間以内に診療結果を戻すことを保証している。これまでの相談内容では、70%程度が適切な薬品を利用することで治るもので、30%ほどが対面による医師の診断を必要とするものだった。

アプリケーションを利用するのに、個人情報を入力して利用者登録をする必要はない。メールアドレスやFacebookを利用したログインも必要ない。外部サービスと何ら連携することもなく、匿名で利用することができる。

アプリケーションのダウンロード数はこれまでに1万件に達し、1月に提供を開始して以来、1000件の診療が行われたそうだ。

どのような病気が診療の対象となっているのかについては、こちらに一覧が掲載されている。

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(翻訳:Maeda, H


Facebook、途上国のデータプランを救う。改良Androidアプリは65%小さく、50%高効率

アフリカを始めとする発展途上の国々では、データは高価でストレージは少ない。そこで昨年Facebookは、同サービスのAndroidアプリ大がかりな技術改善を秘かに施し、世界中で使いやすくした。動作は半年前と比べて50%速く、1年前と比べてデータ量は50%少なく、2014年初めと比べてアプリのダウンロードサイズは65%小さくなった。このアップデートによって、最新バージョンのFacebookアプリを使えば、古い機種でも読み込みが早くなり、データプランを早々に使い果たすことがなくなる。

Facebookは主要市場で飽和状態に達しつつある。米国およびカナダの月間ユーザー数2.02億人に対して、総人口(全年齢層を含む)は3.53億人だ。同地域では2013年Q4に新規ユーザーが400万人しか増えていない。一方、アフリカを含む「その他の世界」では、4900万人増えた。Facebookが成長を続けるためには、途上国を捕えなければならない。そこにはまだアカウントを持っていない人々が大量にいる。

しかし、こうした新興市場のモバイルネットワークと端末状況は、Facebookの母国とは大きく異なる。LTEアクセスと高級スマートフォンとiPhoneが当たり前の国とは異なり、アジア、アフリカ、南米の多く地域が、遅いネットワークにつながった、ローエンドAndroid機に頼っている。Facebookが、自社のAndroidアプリを一新しなくてはならなかった理由はそこにある ― それが途上国におけるソーシャルネットワークのあり方だ(Facebook傘下のWhatsAppと共に)。

そこでFacebookは昨年、モバイルテストの旅にアフリカに向かったと、エンジニアリング・マネージャーのAlex Sourovがブログに書いている。「われわれはいくつかの種類のAndroid端末を購入し最新バージョンのFacebookアプリをテストした ― そして、そのテストは困難を極めた。途切れがちで低帯域のネットワーク接続と端末のメモリー不足のために、読み込みは遅くクラッシュを繰り返した。われわれは、月間データプランをたった40分で使い果たした。

帰国したSourovらのチームは、世界中のAndroid体験を改善することを決意した。「Androidの端末とネットワークの多様性は、より多くの人々がスマートフォンを利用できることを意味している」と同社は私に言った。彼らにより良いFacebookアプリを渡すことによって、学ぶことやつながる力を与えることができる。

アプリが劣悪な環境でもより良く動作するために、数多くの賢いハックを実施した。アプリのサイズを65%減少するために、Google PlayストアのOSバージョンと画面解像度によって別のアプリパッケージをダウンロードできるオプションを利用した。こうして、あるユーザーの端末ではそもそも利用できないコードを削ることがてきた。

Android版Facebookアプリのデータ効率をできるだけ高くするために、同社は異なる画像圧縮技術を試し、WebPに切り替えることを決めた。このフォーマットは画質がほぼ同じでサイズはJPEGより25~35%小さく、PNGより80%小さい。さらに、ズーム可能な高解像度画像を自動的に読み込むのをやめ、ユーザーがズームしたい時だけ高解像度版を読み込むようにした。この変更によって、データ効率が50%高くなった。

スマートフォンの価格は、途上国でも安くなってきているが、データ料金は依然として高く、Facebookを世界でもっと使いやすくするための道のりはまだ長い。また、途上国市場では高い広告料は約束されていないが、Facebookには、ピアツーピア支払いを利用した収益化の可能性があり、同社のアプリが人々をデータプラン購入へと誘うことから、通信キャリアーとの交渉も進めている。

こうしたAndroidアプリ改善は、Facebookによる独自のウェブアクセス促進プロジェクト、Internet.orgとは別々に進められてはいるが、目標は類似しており世界中の人々が愛する人や知識経済への入口とつながることを望んでいる。

[画像出典]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon Fire Phoneの”Firefly”は、リアル世界で見たものを識別(そして購入)するしくみ

Amazonは、今日(米国時間6/18)発表したFire Phoneに、Fireflyという機能を導入した。主としてこれは、リアル世界で見た物を識別する ― そして、もちろん、買う ― ためのしくみだ。Fireflyは、ユーザーがスマートフォンのカメラを向けた先にある、電話番号、映画、本、ゲーム、CD、食品等を識別する。

この機能は、新スマートフォンの鍵を握るものであり、本体側面には専用ボタンさえ設けられている。この端末が、Amazonエコシステムに客を呼び、常連オンラインショッパーへと変えるために存在していることを示す、典型的な例だ。

Fireflyボタンは、端末に内蔵された「即席満足感」スイッチとでも言えよう。

壇上のデモで、Amazon CEO Jeff Bezosは、Fireflyで書籍、CD、その他商品のバーコードをスキャンするところを見せた。Shazam風の音楽認識機構もついている。Fireflyは、聞いている楽曲を識別する他、番組の音を聞いて、そのシーンをAmazonで見ることまでできる。巧妙な手口だ。もちろんユーサーは、曲や番組や映画をAmazonで買うよう、誘導される。

Fireflyは “Flow” に似ている

FireflyはFlowに似ている。FlowはAmazonの視覚認識テクノロジーで、まず単体モバイルアプリとして提供され、最近では、Amazonのネイティブアプリにも組み込まれている機能だ。

FlowはAmazonの検索および広告の子会社であるA9が運用しており、2年以上前にスタートした。Flowは、商品のパッケージ、ロゴ、アートワーク等の視覚特性を利用して識別する。

Amazonの説明を見る限り、FireflyがFlowの拡張であることは明らかだが、明確には書かれていない(同社が名前を変えた理由は不明だが、”Firefly”[ホタル]という名前の方が確かにクールだ)

Fireflyは、アートも認識して対応するWikipedia項目を表示する。これは、AppleのSiriやGoogle Nowがまだ出来ていないことだ。

発売時点で、Fireflyは1億種類の商品を識別できるとBezosは言った。これには映画とテレビ番組24万5000本、テレビのライブチャンネル160局、3500万楽曲、および商品7000万種類が含まれる。

Firefly機能が、購入できるものを探す〈だけ〉のためでないことは、知っておくべきだが、主要目標であることは間違いない。

舞台裏で使われている技術には “semantic boosting” と呼ばれるものもあり、これはコンテキストに応じてテキストを識別し理解する高度な方法のもったいぶった名称だ。文字認識によって電話番号を識別し、その番号が存在するかどうかを判断する。デモでは、パイショップの看板を撮影して、その店に電話をするところを見せた。

同機能は、看板、ポスター、雑誌、名刺などに利用可能で、そこからメールを送ったり、連絡先に追加したり、URLをタイプすることなくウェブサイトに行くことなどができる。

デベロッパーにとってのFirefly

デベロッパーもFireflyを利用できる。これによって、機能はさらに有望になる。

デベロッパーは、SDKを使って、Fireflyの全機能を利用できる。健康に注力する会社、MyFitnessPalは、既にこの機能を利用して、カメラに写った食べ物の栄養情報を識別するアプリを作っている。現在ユーザーは、手動で入力するか検索結果の中から食べ物を探さなくてはならない。Fireflyによって、MyFitnessPalのフードダイアリーは「完全自動」になる。

SDKでは、テキスト、音声、画像の認識機能、コンテンツデーテベース、およびカスタムアクションがサポートされており、デベロッパーはFireflyをそれぞれのニーズに合わせて作り変えることができる。

別の例では、Vivinoがワインのボトルをスキャンして情報を得るアプリを公開予定だ。iHeartRadiとStubHubも早期導入している。

Flowの機能には、受け狙い的な部分も見られたが ― つまるところ検索クエリをタイプするのは〈さほど〉面倒ではない ― Flowを(Firefly経由で)デベロッパーに広く開放することによって、新たなアプリカテゴリーが ― 少なくとも今は ― Amazonのプラットフォームのみに生まれた。

Googleも過去に視覚認識テクノロジーを実験したことはあるが(“Google Goggles”を覚えているだろうか)、同社の主要目標にはならなかった。一方、Amazonがこの機能を追及することは理にかなっている。同社にとって商品識別は、購入プロセスの第一歩であり、単なるスマホの珍機能ではない。

Firefly SDKは、今日公開されるとBezosは語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


nanapi「けんすう」が語る、ユーザー投稿サイト運営でやってはいけないこと

起業家の失敗談をテーマにしたイベント「FailCon」が18日、日本に初上陸した。FailConは、成功談ばかり語られるイベントが多く開催される中で、失敗談を研究して成功につなげようと、2009年にサンフランシスコで誕生したイベント。東京・代官山で開かれたFailCon Japanでは、 nanapi共同創業者の「けんすう」こと古川健介氏が、「CGMサービスを作る上での失敗」をテーマに講演。学生や予備校生向けのコミュニティサイト「ミルクカフェ」やハウツーサイト「nanapi」、スマホ向けQ&Aアプリ「アンサー」など、ユーザー投稿サイトの運営での失敗談とそこから得た教訓を語った。

ミルクカフェでは何度も警察に出頭

一番最初は19歳の時に「ミルクカフェ」というものをやっていました。どういう仕組みかというと、ユーザーが好き勝手に投稿して、「この授業が良かった」とか「予備校のあの先生、教えるの下手だよね」とかも投稿されていました。投稿しているのが学生さんなので責任を追わせるのは嫌だと思って、全部ボクの責任というふうにしたんですね。

そうすると、めっちゃ責任を負わされてですね。めっちゃ警察に行ってましたし、内容証明もがんがん来るし、訴訟での損害請求額は総額6800万円。でも、僕も学生でお金がなくて払えないので無敵だったんですね。

警察のような公的機関はいいんですけど、すごく大きな宗教団体の人が右翼を使って圧力をかけてきて、「街宣車呼ぶぞ」みたいな。すごい面白いと思って、ぜひ来てくださいという話で盛り上がったんですけど、そういうのがあると結構面倒臭いなと思うようになりました。

ミルクカフェの反省を活かした「したらば掲示板」も……

管理者が自分だからいけないんだと思って作ったのが「したらば掲示板」。ユーザーが好きに掲示板を作れるのですが、「自分の責任で管理してください」というものなので、我々は責任がなくなるんです。ユーザーも自分の掲示板を宣伝してアクセスが伸びていまして、2003年で3億PVだったりして、日本では100番ぐらいになってたりしました。

ただ、ユーザーからすると「掲示板は自分のもの」という意識があるので、広告を貼られるのを嫌がるんですよね。流行ってサーバー費用がかかるのにお金が入らない。成長すればするほどお金がなくなっていく感じで大変だなあと思いました。それで、ライブドアに事業譲渡せざるを得なかったという失敗をしてしまいました。

じゃあ次何やろうと考えてみると、やっぱり意見を交換するものは人が傷つく、これからはポエムだなと。主語とかなくて、「空がきれい」とか。ポエムが来るなと思ったんですけど、ポエムが来なかったんですね。ポエム来ないのかあと思って結構びっくりしました。

ハウツー版ウィキペディアの難しさ

その次にやったのがnanapiです。いろいろ考えてみて、人の意見がぶつかり合うものはトラブルが多いし、だからといってポエムぐらい振り切ってもニーズがない。そこで、生活に便利なネタを投稿するサービスを始めることにしました。

簡単に言うとWikipediaのハウツー版みたいなイメージ。これが結構難しくて、Wikipediaが解説する名詞と違って、ハウツーはコンテンツの粒感がバラバラなんですね。名刺とか固有名詞はひとつのコンテンツになるのですが、ハウツーだとドラクエのクリアの仕方から、ドラクエのこの洞窟の攻略法など、あらゆるレイヤーにわたって難しい。主観と客観もあったので、Wikipedia式は難しいと感じました。

最近気づいたのは、もともとは人が困るようなものを検索させたいと思ったんですが、検索できないものがあるということ。例えば、寂しいという悩みは、「寂しい」と検索してもいい情報が得られないんですね。我々のサービスの検索キーワードを見ても、寂しいで流入する人がベスト3くらいに入っていたんですよ。人は寂しいと思うと寂しいと検索するんだと。

検索しても解決しない悩みを解決したい

あんまり解決していないのでどうしようと思って作ったのが、即レス型の「アンサー」なんです。実際の例としては、「仕事にいきたくないー」「俺も」みたいなやりとり。仕事に行きたくないのは悩みなんですけど、検索してもしょうがなくて、「俺も」の2文字でいいんですね。それでユーザーさんが課題を解決するというか、解決まではいかなくても楽になることが起こっていたりします。

例えば、「次はぁ〜 おなりもん」という質問が飛んで「東京タワーのそばだよ」というと、のっぽんという東京タワーのキャラクターがボットで投稿したりします。そのほかにも、「化粧水は絶対にけちっちゃだめなんですってね」と言うと、島耕作が「そうですか」とボットで反応したりする。これは講談社に許可を取ってやっているんですけど、めちゃくちゃウザいじゃないですか。ユーザーは嫌がっているんですけど、島耕作がたくさん出てきます。

お題を投げてコミュニケーションしたかったのですが、こういったことはTwitterではできない。「おはよう」と言っても返信が少ないんですね。アンサーだと20〜30件くらい返ってくる。ユーザーが求めている緩やかなつながりとか、雰囲気を作っていたりします。今はアンサーが伸びていて、nanapiともつなげています。例えば、「大福の作り方を教えてください」といったときに、nanapiから引っ張ってコンテンツを出したりしています。

コミュニティサイトを作る際の5つのポイント

コミュニティサイトはボランティアや選挙事務所と同じなんです。社員は給料を払えば基本的に働いてくれますが、そうじゃないとモチベーション設計をしないといけない。このへんが難しいんですね。行き過ぎると誹謗中傷が起きたり、緩すぎると情報価値がなくなる。これをやると、こちらが立たず……ということになるんです。

人と人とのコミュニケーションは思い通りに行かないんですよね。そこで気づいたのはロジカルに考えないことです。意味のないことをやらないコミュニティはうまくいかない。2ちゃんねるのおみくじ機能とか、FacebookのPokeとか。

あとは数字で考えないのも大事です。この数字が伸びているので伸ばしましょうとすると、なぜか壊れるのでやっていなかったりします。

この機能の意味や価値は何かと説明できるものはイケてなくて、「島耕作がレスしたら面白いよね」「ユーザーが不便になるよね」というところからやるといいと思います。今のところ結果は悪いですけれど。意味不明にするのは大事で、素人考えだとわかりやすさやシンプルさが良いとされますが、わかりにくいからこそスティッキネスになったり、知りたくなるという人間の心理があるので、その辺を意識しています。

あとはゴールを明確にしないこと。例えば、クックパッドは「料理で困っている人を解決する」という価値が明確ですが、これを明確にするとつまんないなあと思うんですよね。コミュニティの話は非言語的な部分が多くて説明しにくいんですが、あえてゴールを明確にしないで、「この機能を付けるとユーザーがどうなるか」というのが大事だったりします。

手段を目的化するというのもよく言っています。目的に向かって手段を当てるのはアメリカ的な考えですが、手段自体を目的化したほうがよいと思っています。日本で言うと、初音ミクはこういう曲が作りたくて「手段」として使うよりも、初音ミクを使っていかに面白いことをするか、というのが起こっていて、新しいクリエイティブが生まれています。人間が生み出すものは、こういう目的のために作るというよりも、それ自体がめちゃくちゃ楽しいので盛り上がっていくのが強いんじゃないかなあと思っています。

アンサーも半分くらいは質問になっていないんですが、「会社に行きたくない」「俺も」と話しているうちに話が膨らみ、上司が嫌だったり、その上司ってこうだったんだよねと、会話で気づいたりする。上司の問題を解決しようとして、「あなたの心の持ちよう」と答えが返ってきても人は変われない。コミュニケーションをしているうちに解決したり、気持ちが楽になることを目的にしたほうが面白い。ビジネス的、ロジカルにやると面白くないと思っています。


Amazon、 独自スマートフォンFireを発表―3Dヘッドトラッキング機能を備えて199ドルから

今朝(米国時間6/18)、Amazonの最初のスマートフォン、Fireが登場した。ジェフ・ベゾスはプレスイベントで「これはAmazonプライムの会員向けのスマートフォンだ」と述べた。

FireはAT&Tの独占販売で2年間の契約で199ドルから。今日から予約を受け付ける。またFireには無料で1年間のAmazonプライム会員となれる特典が付く。現在、プライム会費は年間99ドルなのでこれは相当に魅力的な価格だ。

一見したところではFireは現在市場に出まわっている無数のスマートフォンと変わりはないように見える。しかし、Fireにはユーザーの顔の位置を認識する秘密の機能がある。Fireの表側の四隅にはそれぞれ赤外線カメラが埋め込まれており、ユーザーの顔位置に応じて前代未聞の3D効果を生み出す。ただし3Dといっても画像が飛び出して見えるという普通の意味の立体視ではない。

ヘッドトラッキング・テクノロジーによってユーザーの顔とFireとの相対的位置関係に応じた画面が表示される。つまりFireのスクリーンという窓を通して現実の空間を眺めているようなイリュージョンが生じる。この3D効果がAmazon Fireに注意を引くための単なるギミックで終わるのか、スマートフォンの次世代UIになるのかは今後を見なければならない。

Fireは4.7インチのIPS液晶ディスプレイ、手ブレ防止、f2.0レンズ付き13メガピクセルのリアカメラ、クアドコア2.2GHzチップ、Adreno330グラフィックス、2GBのRAMを備える。最新のAndroidフラグシップモデルほどのスペックではないが、快適に利用するには十分な能力がありそうだ。

Amazonはヘッドトラッキング3DシステムをDynamic Perspectiveと呼んでいる。毎秒60フレームのスピードで3D画像が再描画される。3D表示されるレイヤーは他のレイヤーの下に表示される。ユーザーはアイコンの下に3D画像を見る。4台のカメラは極めて広角のレンズを備えている。赤外線カメラなので非常に暗い場所でも空間認識は機能する。

Dynamic Perspectiveは単に3D表示ができるだけでなく、Fireを傾けるジェスチャーによって自動的に表示をスクロールさせることもできる。

以前にわれわれが報じたとおり、Amazonはデベロッパーに対してDynamic Perspective向けのSDKを用意している。われわれが取材したAmazon社員によると、Amazonはデベロッパーがこのテクノロジーを利用してアプリを作るようになることを熱望しているという。

AmazonがFireをプライム会員のために作ったというのは文字通りの意味だ。Fire TVと同様、Fireスマートフォンもプライム会員になった際に登録したユーザー情報が予め入力された状態でユーザーに対して発送される。結局のところFireの狙いはAmazonの上得意により多くの商品を買ってもらうことだ。Kindle Fireと同様、ユーザー個人向にカスタマイズされたサポート・サービス、MaydayがFireスマートフォンにも用意される。

さらにFireにはFireflyというオリジナル機能がある。これはカメラで電話番号、映画、本、ゲーム、CD、食品などを撮影すると、その商品が何であるか認識するシステムだ。Fireスマートフォンのユーザーは現実世界で目にしたものをカメラで撮影するだけで即座にAmazonから買うことができる。AmazonにとってFireflyは非常に強力なマーケティング・ツールとなりそうだ。

Fireスマートフォンは側面のボリューム・コントロールの下にFirefly専用のボタンを備えている。

Fireflyは芸術作品を見るとWikipediaで情報を検索してくれる。音楽を聞くと音楽アプリを起動してその音楽を再生する。テレビ番組を見ると、Amazonでそのシーンを探し出す。ベゾスは「Fireflyは1億種類のアイテムを認識できる」と豪語した。Fireflyのデベロッパー向けSDKも公開される予定だ。

またFireのユーザーはAmazonのクラウド・ドライブに容量無制限で写真をバックアップできる。 高性能なカメラとあいまって、Amazonは写真好きなユーザーの取り込みを狙っているようだ。

またFireにはPandora、Spotify、iHeartRadioその他人気のある音楽ストリーミング・アプリがプレロードされている。ユーザーはAmazon Prime Musicの現在のところ貧弱なライブラリーに我慢する必要はないわけだ。

TechCrunchではAmazonoの独自スマートフォンについて9ヶ月前から多くの情報を得てきた。ヘッドトラッキング機能ユーザー向け独自機能についてもスクープしている。われわれは3Dヘッドトラッキング機能がOmronのOkao Vison顔認識テクノロジーを利用していることも突き止めた。またAT&Tがキャリヤとして独占販売権を手に入れたことも報じている。今回のAmazonの発表の内容の大部分はTechCrunchがすでにつかんでいたといえる。

〔日本版:「信頼を生む方法: 1. 困難なことをきちんとやり遂げる。2. それを繰り返す。」というお気に入りのモットーを説くベゾス。イベントのライブ・ブログに写真多数。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


スマホと遺伝子検査で個人に合ったダイエットを指導する「FiNC」を使ってみた

語学から美容、ダイエットまで、いわゆる「コンプレックス産業」の市場は大きい。例えば語学ビジネスの市場規模(英会話教室やeラーニングなどの主要14分野の合計)は2012年度で7892億円、エステティックサロンの市場規模は2013年度で3554億円、メタボリックシンドローム関連市場(ダイエットや予防から治療まで含む)に至っては、2004年で7兆5000万円という数字が発表されている(いずれも矢野経済研究所調べ)。

そんな巨大市場に挑戦するスタートアップがFiNCだ。同社は3月から、オンラインでの指導を含めたダイエットサービス「REPUL」を提供。6月18日より名称を「FiNCダイエット家庭教師(FiNC) 」に変更して本格的にサービスを開始した。

FiNCではまず、遺伝子検査や血液検査、300項目にわたる生活習慣に関するアンケートを実施。検査結果に基づいて、管理栄養士が「ダイエット家庭教師」となり、60日間でダイエットの知識や食事のバランス、食べる順番、トレーニング方法といった体質に合ったダイエット方法を指導するほか、電話やSkypeで相談を受ける。上位プランでは同社が運営するスポーツジムや、提携する全国200のスポーツジムを自由に利用できる。栄養士に関してはクラウドソーシングを活用しており、サービス開始時点で50人をネットワークしている。

基本的なサービスとしては、毎日専用サイトで朝、昼、晩の食事と、朝晩の体重を専用のサイトに登録する。食事の内容に対しては栄養士から5段階での評価や、指導のコメントが付く。なお食事はもちろんのこと、体重計の写真までアップロードを求めることで、虚偽の申告を防いでいる。

先に言っておくと、僕は約1週間ほど有料サービスをモニターとして利用させてもらっている。その上での感想だが、これがなかなかよくできているのだ。炭水化物や脂質の多い食事だと栄養士から厳しい指導が入るし、毎日の体重を数字で意識することになるので、否が応でも体重を減らすよう意識をするようになる。これまで自分1人ではダイエットを継続できなかった人間にとっては、この“鬼コーチ”の存在は大きい。蕎麦と野菜天丼を食べたあと、「炭水化物×炭水化物、やってしまいましたね…」と栄養士からコメントがあった際にはさすがに参ってしまったが、実際1週間弱で1.5kgほど体重を落とすことができた。FiNCによると、これまで数百人が利用して、平均減量値は6.3kg、途中で脱落したのは2人ほどだそうだ。取締役COOの岡野求氏も7kgを落としたと語っていた。

また日々の行動によってポイントが貯まるようになっており、ダイエット終了時にAmazonのギフト券や同社の商品と交換できるという仕組みになっている。

価格は食事指導の回数やサプリメント提供の有無などで30日2万9800円〜60日9万9000円のプランまで3種類を用意する。プログラム終了後も約半数が月額1万円程度のサプリメントなどを購入しているそうだ。

スマートフォンがビジネスチャンス

「たとえジムに来てもらっても、1週間168時間のうち、2時間ほどしか指導できない。でもそこ以外をカバーしないと意味がない」そう語るのはFiNC代表取締役社長 CEOの溝口勇児氏。同氏は高校在学中からフィットネスクラブの運営・コンサルを手がける企業に入社したのちに独立。自身でフィットネスクラブの運営やコンサルティングを手がけてきた。

同氏が手がけるフィットネスクラブはすでに黒字経営。また、DNA検査やサプリメントなども独自に提供してきたとのことだったが、いざダイエットを成功できるかというと、意志の強い人間でもない限り、前述の“指導をしない166時間”をうまく使うことは難しい。そこで、スマートフォンを利用した指導で1週間168時間の指導を実現すべく、FiNCを立ち上げるに至ったそうだ。「スマートフォンによって、対面でしか提供できなかったサービスを非対面でも提供できるようになった」(溝口氏)

今後は、BtoCでのサービス展開のほか、BtoE(法人の福利厚生)、BtoBtoC(各種スポーツジムと提携してのサービス提供)でのビジネスも予定している。また、食事評価の機能だけをアプリ化し、今夏にもフリーミアムモデルで提供する予定もあるそうだ。将来的にはDNA検査や血液検査を無料にすることも予定する。さらには定期宅配なども予定で、溝口氏は「家庭の冷蔵庫をとっていく」と語る。

ダイエットというと、都市伝説のようなモノからFiNCのように科学的な検査をもとにしたものまで幅広く、ともすれば怪しく見られがちだ。だがネット、スマホと結びついて大きく飛躍する可能性を持つサービスは少なくない。

米国では、糖尿病予防プログラムを展開するOmada HealthがAndreesen Horowitzなどから2300万ドルを調達。ダイエット支援アプリのnoomも7億円を調達して話題になった。FiNCでも、事業シナジーのあるCVCを中心にした資金調達に動いているという。「競合は出てくると思っている。どうぞまねして下さいという気持ちだ。僕らは何歩も前に行く。あとはお金だけというところになってきたので、やりがいもある」(溝口氏)


Facebook、ユニークな写真共有アプリ、Slingshotを公開―写真を投げ返さないと相手の写真が見られない

先週、早まって一瞬公開されたFacebookの新しい写真とビデオの共有アプリ、SlingshotiOSAndroid向けにアメリカで正式リリースされた。

このアプリは友だちに写真やビデオを送れるが、その友だちがコンテンツを見るためにはまず自分も写真などを送り返さねばならないというユニークな仕組みになっている。プロダクト・マネージャーのWill Rubenは「全員がコンテンツのクリエーターになる。単なる観覧者は誰もいない。そこがSnapchatとの大きな違いだ」と述べた。

Slingshotの成否は、ユーザーがこの「返信してアンロックする」というユニークな特徴を不必要に面倒なハードルと感じるか、参加のインセンティブと感じるかにかかっている。

詳しい話に入る前に、簡単に概要を紹介してておこう。Slingshotは写真や15秒以下のビデオを、相手を指定して、または最近Slingshotで会話した友だち全員に送信できる。,コンテンツの存続は一時的で、閲覧後に消去される。ただし自分が作成したコンテンツは自動的に保存できる。友だちはFacebookの友だちリストないし電話帳の連絡相手から選べる。

ただしプライバシーはあまり強固ではなく、ユーザー名を秘匿するといういわゆるくオブスキュリティー・モデルに頼っている。したがって簡単に推測できるユーザー名を選んだ場合、誰でもSlingshotを通じて写真などを送りつけることができる。

デザインは全体に楽しげで、文字や線を描き込んだり、ユーモラスな効果音やBGMを入れたりできる。

こちらはFacebookのイントロ・ビデオだ。

Slingshotの動作

SlingshotはスタンドアローンのアプリでFacebookの一部ではない。サインアップにはスマートフォンの電話番号を用いる。アプリは電話帳と(メンバーである場合)Facebookの友だちリストをスキャンして新たなソーシャルグラフを作成する。FacebookのメンバーでなくてもSlingshotは利用できる。Slingshotは定期的に連絡相手をスキャンしてソーシャルグラフを最新の状態に保つ。

Slingshotのデフォールトはカメラ画面で、上部に小さいカウンターが表示され、ロックされている未読メッセージとすでにアンロックされたメッセージの数が表示される。画面下部のShootボタンをタップすると現在の画面が撮影され、長押しすると動画が撮影される。Selfieボタンをタップするとフロントカメラに切り替わる。さらにタップして最大5行のテキストを書き込める。

Slingshotにはよく出来たお絵かき機能も用意されており、右側のカラーピッカー・レールを使って好みの色を選択する。左右にドラグしてブラシのサイズを変えることができる。写真の顔にヒゲを描いたり夕日を付け加えたり自由自在だ。ドローツールは操作するたびにマンガ的な効果音が鳴って気分を盛り上げる。

処理が終わったらUseボタンをタップすると、最近Slingshotでなにかコンテンツを送ってきた相手のリストが表示される。その下にSMSで友だちをSlingshotに招待するオプション、まだSlingshotからコンテンツを送っていない友だちのリストが続く。アンロックしていないSlingメッセージにはモザイクをかけてぼやかしたサムネールが表示される。



プライバシーにはご注意

Slingshotの「オブスキュリティによるプライバシー確保」というポリシーには少々懸念を抱かざるをえない。もしユーザー名がどこかに公開されたり、簡単に推測できるようなものだったりすると誰でもあなたにSlingshotメッセージを送りつけてくることができる。メッセージを受け取りたくユーザーは、そのユーザー名を左にスワイプして非表示にできる(設定から再度表示するようにできる)。もしわいせつ写真などを送りつけてくるユーザーがいればFacebookに通報できる。

送信したコンテンツは全員がアンロックして閲覧した後、あるいは30日後に自動的に消滅する。このときFacebookはコンテンツをサーバーから削除するということだ。



Slingshotはブレークするか?

謎めいたコンテンツに「返信してアンロック」するという仕組みは自然に好奇心を刺激して自分もコンテンツを作ろうとするインセンティブになる可能性はある。誰もが興味を持つような印象的な写真はFacebookやInstagramに、親しい間でのプライベートな写真はSnapchatに、普段のなんでもないような写真がSlingshotに、と住み分けることになるかもしれない。

しかし同時に、「返信してアンロック」は面倒すぎる小細工だと感じられるかもしれない。テキスト・メッセージですむところをどうしていちいち写真つきでやりとりしなければならないのか、と感じるユーザーが多ければ利用は進まないだろう。 

「ソーシャルメディアでコンテンツを作っているのは1%のユーザーにすぎない」という「1%の法則」の現実を変えるのは必ずしも不可能ではないだろう。Instagramは巧みなUIデザインによって誰でもアーティスティックな写真のコレクションを作れるようにして裾野を大きく広げた。Slingshotはメッセージ・サービスというもっとも競争の激しい分野に挑戦している。もしかするとSlingshotはなんでもない日常写真を友だちと共有するという新しい分野を開くことができるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


24歳以上限定のインタビューメディア「another life.」は一般人版「情熱大陸」

スポーツや芸能、ビジネスといった分野の著名人に密着取材するドキュメンタリー番組「情熱大陸」。各界で活躍する人物の普段は見えない素顔が出てきたりするのが面白いわけだけれども、ドットライフが運営する「another life.」(アナザーライフ)は、一般人版「情熱大陸」と言えるかもしれない。24歳以上で何かに情熱を捧げる人を取り上げるインタビューサイトで、登場人物は情熱大陸で紹介されるような「成功者」だけではないのが特徴だ。

自分の半生を伝えるサイトといえば、日本では「STORYS.jp」「ザ・インタビューズ」といったものがある。前者はいわば自分語り、後者は匿名の質問に答える形だ。アナザーライフはザ・インタビューズに似ているが、「実名・年齢・職業」というプロフィールを明記していることと、一問一答形式ではなくストーリー形式なのが違い。「特に自分と同じ年齢のインタビュー記事は、特別なモチベーションで見る人が多い」と、ドットライフCEOの新條隼人氏は語る。

サイトには、仲間のトラブルでバンドの解散、親友との絶縁、バイト先の解雇が重なり、自分の部屋から約3カ月間出られなくなる挫折を経験しつつも、音楽番組を見て自分の未練に気づき、「音楽を成就か成仏させなくては」と再度バンド活動を復活させたドラマーの話から、最近イスラエルに拠点を移したサムライインキュベートの榊原健太郎氏野菜版オフィスグリコ的なサービス「OFFICE DE YASAI」を手がける川岸亮造氏ら弊誌でも紹介した人物のインタビューまで100本近く記事が掲載されている。

記事の本数については、3月に終了した「笑っていいとも」のテレフォンショッキングのように、インタビューされた人が面白いと思う人を紹介する形式で増え続け、年末までには700本に達するという。7月3日に放映するTBS系列のスポーツエンタメ番組「SASUKE」の出場者のインタビューを掲載することも決まっているそうだ。記事は新條氏を含むドットライフに所属する3人に加え、インターン5人が執筆している。

内輪メディアの壁を超えられるか

今年2月のオープン以降、記事全文を読むために必要な会員登録を行うユーザーは月130%ペースで増加。6月末には1万人を超える見込みだ。現時点では「知り合いが出てるから見てみよう」という人が多く、会員数は記事が増えるごとに、その人の友達が登録するかたちで増え続けている。

こうした経緯もあり、「知り合いしか読まないんじゃない?」と思わなくもないが、今後は読者が「興味を持てた」ボタンを押した記事を解析し、関心にあった記事を配信することで、「内輪」な記事以外の閲覧数も増やす狙いなのだとか。17日にリリースしたiPhoneアプリでは、こうした記事を毎日プッシュ通知する機能を備えている。

収益面は「まだまだ先」だが、いくつかの方法を検討している。例えば、クラウドファンディングやスキル販売サイトなど「個人を打ち出す」プラットフォームと提携し、これらのサービスにインタビュー記事からユーザーを送客するごとに収益を得たり、記事広告の出稿などだ。

ところでなぜ、アナザーライフで紹介する人物は「24歳以上」なのか。新條氏が言うには「日本人が夢を諦める平均年齢だから」(出典:キリンビールの日本人夢調査)。かく言う新條氏も24歳だ。「やりたいことが見つからないと言うと、僕らの年代は『ゆとり世代』と世代論で語られがちですが、昔からそうだったわけではありません。打ち込めるものがなくモヤモヤしているだけ。今の自分の見えている範囲ではやりたいことが見つからなくても、他の人の人生を知ることで価値観が明確になる。昨日までと違う人生を踏み出すキッカケを提供できれば」。

ドットライフCEOの新條隼人氏


Googleより容赦無し?Appleのアプリランキング操作の『即アウト』的な排除規制が、実際わりと厳しい模様

同じ”ランキング”に関わるテーマでも、今回はiPhoneやiPadを代表とするiOSアプリを主題とした話題です。つまりGoogleでの検索ではなく、「App Store」の中の話です。とりわけ新情報というわけではありませんが、「本格的な動きが見られた」という意味では新しいかなと。

App Storeのランキング操作に関わる仕組みを持つiOSアプリがゴッソリとストアから排除されるように規制強化

ランキングの人為的な操作を排除することでユーザーの利便性の向上を図りたいのは、なにもGoogleだけではありません。ランキングの品質改善は、ユーザーにランキングを提示する仕組みを持つ多くのプラットフォームにとって、避けては通れない課題の一つなのです。

Appleのアプリストア「App Store」でも、ランキングの公正化のための取り組みとして、人為的にランクの操作をする目的のプロモーションを排除する動きが厳しくなっているということがつい先日、話題になりました。まとまっている記事としてはこのようなところをご覧頂ければと思います。

※2つ目、3つ目のURLについては、訂正も入れられていますが「規約がずいぶん厳しくなった」ではなくて「もともと言われてたことが本格的に実行されてきているようです」という意図ですね。タイトル内の「規約厳格化」の表記で誤解する人も中にはいそうでしたので、念のため補足。

“記事の公開時、「規約を発表」とありましたが、「すでにある規約を厳密に運用し始めた」の誤りでした。”

“以前からAppleはリワード付きの広告を禁止していた。しかし、実際には規約は厳格に運用されず、「厳密には違反しているようだが、何も言われない」という状況になっていた。”

 
さて、挙がっている話題をまとめますが、

“規制の対象となるのは、報奨で誘ってビデオの視聴をすすめるツール、ソーシャルに共有するとおまけがもらえるもの、プレイしているゲームの中でほかのアプリを見つけさせるもの、などだ。この規制はアプリ業界全体に影響を及ぼし、アプリの成長や市場拡大のためにこれまで一般的に使われていた方法を“リセットする”効果を持つだろう。”
ビデオを見たりソーシャルな共有で“ごほうび”をくれるアプリはApp Storeから締め出しへ…iOS 8の大改革

ということで、何かしらのインセンティブ(報酬)と引き換えにユーザーに何らかのかアクション(広告の閲覧、アプリのインストール、Facebookでのシェアなど)を求める仕組みを持つアプリは、アプリストアからリジェクトされる、つまりストアに掲載されなくなるということですので、その間は一切新規のインストールを獲得出来ません。重めです。

そういう規制がここにきて本格的に運用され始めたようです、というのが今回の話題の主旨となります。ここからは、この話題を背景から掘り下げて行きましょう。

App Storeの人気ランキングってどうやって決まるの

Appleのアプリストア「App Store」は、利用したことがある方は分かると思いますが、アプリの人気ランキングには、「総合」「有料アプリ」「無料アプリ」のような全体的なランキングと、「仕事効率化」「ビジネス」のようなカテゴリ毎のランキングが存在します。

アプリのランキングには、総合的なランキングとカテゴリごとのランキングがあり、有料アプリ、無料アプリ、どちらも含むランキングから探すことが出来ます

こうしたランキング決定ルールについてはGoogleと同様公表されてはおりませんが、やはり「一定期間内にどれだけ多くの人がインストールしたか」という要素は大きいようです

※もちろんGoogle検索と同じで、インストール数が全てではありませんが、主たるランキング決定要因の一つにはなっている、ということです。だからApple側としても本腰入れて規制をせざるを得ないわけです。

 

そして、iOSでアプリをインストールするユーザーのうち、App Storeの人気ランキングを参考にインストールするアプリを選ぶユーザーはやはり多く存在します。

従って、「一定期間のうちにどれだけインストールされるか」でランキングが上がるか上がらないかが決まり、ランキングが上がればその後のインストールの促進にもなるわけです。

つまり、iOSアプリにおいて継続的にインストールを増やすために、

  • 短期間でのインストールを増やし、人気ランキング上位に食い込む
  • App Storeユーザーへのリーチが増え、オーガニックなインストールも増える
  • その後も継続的に一定量のインストールを獲得し続け、ランキングを維持する

大きくこのような施策が一般的に行われています。

従って、まずは「短期間でのインストール促進」というのはこの流れの起点となることですので、ここが上手くいくかどうかがアプリマーケティングの鍵を握る、と言っても過言ではない状態でした。

何かしらの報酬を対価としてアプリのインストールを促進するプロモーションが普及

「何かしらの報酬を対価としてアプリのインストールを促進するプロモーション」て何やねん、ということですが、砕けて言えば「ここからこのアプリをインストールしてくれたら、コイン○枚プレゼント!」みたいなやつです。

逆に、「コイン○枚あげるから、その代わりこのアプリインストールしてよ」とも言えますね

そしてこういう形式でインストールを増やしまくったアプリが人気ランキング上位にいるというのは、何か本質的な「人気ランキング」と言うには違和感ありますよね、というのはWeb検索に関わる仕事をされている方であれば慣れ親しんだ文脈だと思います。

また直接的なインストール促進以外にも、同じような意図で、ポジティブなレビューの投稿やソーシャルメディアでのシェアを報酬付きで促すようなプロモーションも広く行われています。

とにかく、このようなランキングの人為的な操作につながるような行為を何かしらの報酬を対価としてユーザーに促すような仕組みについては、実はもとから規制するとされていました

しかし、Googleのかつてのガイドラインと同じく、「そんなこと言ったっていくらでもやれちゃうし、やってるやつたくさんいるし、現にランキング上がりまくりじゃん」状態であった、ということですね。

Google検索とApp Storeの違い

Google検索ランキングとの大きな違いとして、掲載されているコンテンツ(アプリ)は全てAppleの規定に基づく人的な審査を通過したものですので、Web検索よりも掲載時点でのコンテンツ品質をある程度は担保しやすい、という点が挙げられるかなと(App Storeの場合は審査時に体裁整えて通してしまえば、、という抜け道はあるのでしょうけど、さすがにいずれはその辺も対応されるかと思いますし)。

また、それに付随し、コンテンツ量はGoogleのように”兆”とかの規模にはなり得ませんので、あくまでアナログな規制であっても機能しやすいという点も今回の話題には直結します。(ちなみにApp Storeの場合は特定の仕組みを自動検出する精度とかはどうなんでしょうかね?)

したがって、Googleのようなアルゴリズム依存ではなく、プラットフォーム側の運用ルールをどのように引くか、どのように運用するか、という改善のみで大きく規制を加速することが可能ということです。

その前提で、Google検索のリンク売買のアレと比較すると

若干こじつけだったりしますが概ねこんな対比は分かりやすいかなと思います。

App StoreとGoogleで対比して考えます。  App Storeの事情。 ・インストールが多いアプリは人気があるというロジック ・だからインストールが増えるとランキングが上がりやすい ・何らかの報酬と引き換えにインストールを促す機能を持つアプリがある ・何らかの報酬を払って得たインストールでランキングをあげようとしているアプリがある ・ユーザーの自発的なインストールでないのであればランキングに反映したくない ・報酬と引き換えにユーザーにアクションを促す機能を持つアプリに規制を入れる ・アプリストアからのリジェクト(排除):ストアに掲載されない ・問題となる部分を修正して再審査を行い、問題がなければ規制解除  Google側の事情。 ・リンクがたくさんあるサイトは人気があるというロジック ・だからリンクが増えるとランキングが上がりやすい ・何らかの報酬と引き換えにリンクを提供しているサイトがある ・何らかの報酬を払って得たリンクでランキングを獲得しているサイトがある ・ユーザーが自発的に貼ったリンクでないのであればランキングに反映したくない ・報酬と引き換えにリンクを提供しているサイトに規制を入れる ・検索結果からのインデックス削除:検索結果に表示されない ・問題となる部分を修正して再審査を行い、問題がなければ規制解除

という感じですね。Googleに慣れている方であれば特に違和感なく飲み込める話題だと思います。

今回のケースはGoogleのリンク売買の例に例えれば「リンクを売っているサイトは問答無用でインデックス削除ね(=検索結果に表示されなくなるよ)」ということになりますので、Googleで言えば最も重度のペナルティを、割とバシバシ行っているということです。

現実には、Googleのインデックス削除は、本当に低品質なサイト(アフィリエイトリンクばっかりとかリンク提供以外の目的がないとか)を除いては、よほどのことがない限りは一般的なサイトでそう起こりうるものではないのですが、Appleの場合はその辺は容赦ないみたいですね。

しかもGoogle検索で言えば、大事に作ってきたメインのサイトがそうなる、とかそういうレベルのことですので、アプリ関係者としてはそれなりに大きい変更と言えそうです。

ちなみに:実際この規制運用の強化によりどうなったか

ちょっと又聞きの情報なので不確かではありますが(関係者の方、もしも不適切でしたら訂正追記しますのでご指摘頂けますと幸いです)、結構色々話は聞きます。

結論から言えば、とりあえず、Appleは割と本気出してきているようです。

少なくとも上記の規制の対象と言われている

  • インセンティブ付きで他アプリのインストールを促進する仕組みを持つアプリ
  • インセンティブ付きでソーシャル拡散等を促す仕組みを持つアプリ

のような代表的な規制対象の仕組みを持つアプリは割とガシガシリジェクトされているみたいです。

また、ユーザーにインセンティブ付与が有りだろうと無しだろうと、アプリの中で他のアプリインストールを推奨するようなものも含めてアウトになっている的な噂もあります(これはあくまで噂)。

インセンティブの有無に関わらず、アプリの中で他所のアプリをプロモーションするのはヤメレ、という意図がそもそもあるのかもしれません。ぶっちゃけそれくらいはええやんとか思ってしまいますが。普通に広告してるだけだし。。(※もちろんそれ以外でアプリ内に表示される通常の広告ネットワークなどは特に規制の対象ではありません)

ちなみに、Webを通じたインセンティブ付与の広告とかについては特に規制とかないんですけどね。アプリの中にそういう仕組みを持ってたらダメよ、ということなので。

※この辺については、アプリ内でのインセンティブ付与の排除の背景として、「ランキング操作の禁止」だけではなく「そんなところでインセンティブとして付与しちゃったら、Appleに課金してもらえないじゃないの」という意図も多分にあるのかなと思いますがどうなんでしょうね。媒体(アプリ)としてはアドオンで課金されるより広告で得られる報酬が高いのであれば普通そちらを選びますし、事実今でもインストール成果報酬型の広告って単価かなり高く設定されますし。

 

まとめ

アプリの関係者の方々にとっては何だかんだ言ってもそれなりにはインパクトのある規制強化なのではないかなと。少なくともGoogleがここ何年もかけて取り組んできた規制レベルを、それに比べれば結構な短期間でズバンと進めてきたのが今のAppleということですので。

実際には、監視をかいくぐってうまいことやることが出来ないわけではないと思いますので、どこまで厳密にこの規制をAppleが運用していけるか分かりませんが、Googleのそれに比べれば現実的に運営側の努力と工夫である程度対応できるコンテンツ量ではないかな、などと考えますと、

アプリマーケティングの世界では、定められたルールの中でちゃんとプロモーションするにはどうしたらよいか、というのを考えていかなきゃ行けないよね、がキレイ事ではない時代はそんなに遠くないかもしれないですね。

※今回の件、おそらく「そういうプロモーションをしてるアプリを規制する」だとめちゃくちゃハードル上がると思うんですけどね。外的要因が絡むので検知と判断が難しいので、今Googleが右往左往してることと似たようなことを何だかんだすることになると思いますし。あくまで、「そういう仕組を持っているアプリ」への規制、ということで、根本からそういうプロモーションをやりづらくしようとしているのが現状でしょう。Googleも、最近のリンク系ペナルティの話題を聞くに、表面的なリンク対策への対応よりも、根本的な原因の検出と排除に注力するポイントをシフトしてきているようにも見えますし。

 

ともかく、GoogleにしてもAppleにしても、特定のプラットフォームに依存したビジネスを行うにあたっては、プラットフォームが許容する中でどうやって勝っていくか、を考えるのは普通です。

その中で、現時点での勝ちパターンを追求することで勝てている勝負も多くあると思いますが、一方で、プラットフォーム自体のルールや仕様の変更によりその勝ちパターンが一気に破綻する、といった可能性は常に考慮しておかないといけませんよね。

ということで、普段と違った話題をお伝えしました。別事業でアプリ紹介サービスを運営しておりますのでたまにはアプリ界隈の話題も良いかなと。(長い割に薄い内容ですみません)

最後に:SEOセミナーのお知らせ

すみませんただの告知でしかないのですが6月24日(火)に僕とグループマネージャーの實川の2人でセミナーやります。Googleのこれまでとこれから、SEOのこれまでとこれから、実際に業務としては何をしていくべきか、事例を交えてポイントに分けてお話します。ご興味ある方は是非。
セミナー詳細:“リンクを買わないSEO”を成功させるための、Web担当者向け実践SEOセミナー

JavaScript 1行でサイトを多言語化、ボタン一発翻訳の「WOVN.io」が良さそう

先日とあるWebサイトの新規制作のために見積もりを取ったら、日本語・英語の「多言語化対応」のためだけに18万円が計上されていて、卒倒しそうになった。翻訳料じゃなくて、単にCMSを多言語設定にするのに18万円ってナンノコッチャと思ったのだけど、Webサイトの文章やコンテンツを多言語化するのは手間もコストもかかる頭の痛い問題であることは間違いない。言語切り替えメニューは、どこに配置するのか、それは国旗アイコンなのか文字列なのか、言語ごとにURLパスはどう切り分けるのか、サブドメインで対応するのか、コンテンツ更新の同期はどうするのか、翻訳はどこに外注するのかなど、考えなきゃいけないことは多い。そして実は何より、コンテンツの更新となると、HTMLやCMS上で対応箇所を確認しながら訳文をコピペするという面倒な作業も発生する。

大手グローバル企業のWebマスターなら、ありあまる予算をクラウドソーシングにぶち込むなり、Web制作会社に翻訳ごとまるっと投げてしまえばいいのかもしれないけど、それにしたって、結構なグローバル企業のWebサイトで、英語と日本語で異なるコンテンツが表示されているなんていうケースに出くわした経験は誰にでもあるんじゃないだろうか。要するに大変なんである。

この問題を「なるほど!」という感じで、あっけなく解決するのが、創業間もないミニマル・テクノロジーズが提供する「WOVN.io」(ウォーブン)だ。独立系VCのIncubate Fundから450万円のシード投資を受け、ここ数カ月ほとんど1人でWOVNを実装してきたミニマル・テクノロジーズ創業者でCEOの林鷹治氏は、起業した理由を「ふとアイデアを思い付いたから」と語る。

元サイトには手を加えずに多言語化できる

もともと林氏は、Stores.jpを運営するブラケットでグロースハッカーとして活躍していた。グロースハッカーとして、ブラウザ上でA/Bテストが簡単にできるOptimizelyのサービスを使っていて、「あれ? これを多言語化に使えばいいんじゃない?」と同僚との会話の中で気付いたのだという。Optimizelyはブラウザ上で、ボタンやテキストといった要素を移動したり編集したりして、バージョンAとバージョンB……と同一ページで複数の異なるバージョンのページをユーザーに見せることができるツールだ。「A案」「B案」と出し分けることで、どちらがより良い反応が得られるかを見た上でデザインを決めるのがA/Bテストだ。

ポイントは、異なるバージョンを見せるために、元サイトにJavaScriptのスニペットを入れるだけで良いというところ。実際のコンテンツはOptimizelyのサーバから各サイト訪問者に提供される。これと同様の仕組みを多言語化サービスに使ったのがWOVNだ。

JavaScriptを1行、書き足すだけ

使い方は簡単で、WOVNでアカウントを取って、多言語化したいURLを入力。WOVNがHTMLをフェッチして解析した上でボタン類やコンテンツのテキスト要素を一覧して並べてくれる。ここで翻訳ボタンを押すと、マイクロソフトの機械翻訳サービス(Bingのもの)を使って主要10言語の訳文を生成することができる。訳文は手で編集することも可能だ。

次に、元サイトでJavaScriptのスニペットをHTMLに埋め込む。スニペットといえば、1行から5行程度ものが多いけど、WOVNでは実際に1行にすることにこだわったそうだ。

すると、Webサイトの右下に(モバイルでは下部に帯状に)、以下の画面のようなドロップダウンメニューが表示されて、訪問者は言語切替ができるようになる。技術的にいえば、各言語はハッシュタグの付いた個別のURLが割り当てられることになるが、ユーザー体験としても管理側としても、同一ページで複数言語が切り替えられるといって良く、非常にシンプルだ。WOVNのダッシュボードから多言語のリソース(テキスト)を管理、更新することができるという意味で、WOVNは一種のCMSとして機能する。オリジナルのHTMLやサイト構成、サーバ設定などに変更を加える必要がないのがポイントだ。

ちなみに、ちょっと技術的なことを書くと、WOVNではWebページにおけるテキスト要素をXPathで管理していて、これを動的に差し替えているそうだ。動的差し替えといっても、多言語のテキストは最初にまとめてクライアント側に持ってくるので、UIの応答性は極めて良い。

人間による翻訳も提供

「なるほど便利そうだ、でも機械翻訳じゃ翻訳精度が……」と思う人もいると思う。まず1点は、翻訳後の訳文は自由に編集ができるので、あくまで機械翻訳をスタート地点とすることができるというのがWOVNの良さと思う。もう1点、WOVNでは人間による翻訳の「リクエストボタン」も用意するそうだ。WOVNはMVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト)としてローンチしたばかり。今後、たとえばAPI経由でクラウド翻訳が可能なGengoなどのサービスへつなぎ込みを行うとか、背後にプロの翻訳者や、あるいはボランティア翻訳者をプールしておいて、翻訳の納品日数によって料金プランを変えるようなことも考えているという。

まだ、訳文のバージョン管理機能などはなく、たとえば人間が翻訳した高品質の訳文があるページにコンテンツを追加して、誤って全翻訳ボタンを押すと、せっかくの訳文が機械翻訳で上書きされて吹っ飛ぶという「その辺は運用でカバーしてね」という仕様や、「本文」「段落」などと認識してほしいテキストブロックが、全てP要素でバラバラに表示されてしまうといった荒削りなところはある。翻訳についてもURL単位なので、ドメイントップを指定して3階層まで翻訳するなどといったオプションもない。

とはいえ、元サイトに変更をほとんど加えることなくサイトを多言語化できて、何よりもオリジナル言語のコンテンツの更新に合わせて多言語をまとめて管理できるサービスとしてみると、ぼくは潜在市場は大きいと思うし、デモを見る限り、すでに十分な利用価値があるように思う。読者の中には、「Google Chromeの翻訳でいいんじゃね?」と思う人もいるかもしれないけど、提供者側が用意できることとか、肝心のところは人間の翻訳を入れられるというのがポイントだと思う。もっとも、まだ翻訳テキストのGoogleクローラー対策などは、これから考慮に入れないといけないという話なので、検索流入に効果があるのかなど未知数なところもあるけどね。

林氏は「スモールビジネスのオーナーの需要があるのではないかと見ている」という。たとえば、外国人向けサービスを提供する行政書士の事務所が、中国語、韓国語、ロシア語などのページを用意するといったケースがある。あるいは自治体のWebサイトなどでは、現在冒頭に書いたようなWeb制作会社や翻訳事務所への外注コスト、メンテナンスコストがかさんでいるといった状況はありそうだ。WOVNでは、オリジナルのHTMLに変更を加えると、ダッシュボード上で該当URLがピンクになるので、それを確認して翻訳ボタンを押し直すだけで良く、メンテンスコストを大幅に下げられるだろう。

ほかにもWebコンテンツの翻訳ということでは、KickstarterとかAirbnbのようなサービス系のサイトだとか、ブログプラットフォームでの利用ということも想定しているそうだ。ブログだと、Tumblrまで含めて、JavaScriptのスニペットを埋め込めるサービスであれば、ほとんどどんなブログサービスでも利用可能という。個人ブログに入れるのもありだ。

なんで今までWOVNみたいなサービスがなかったのか? というと、実はこれまでにも類似サービスは存在していたそうだ。たとえば、TolqというサービスがWOVNに近いそう。ただ、こうしたサービスは少数派で、多くの「多言語化サービス」はDakwakのようなタイプ。Dakwakでは翻訳コンテンツをDakwak側でホストして翻訳コンテンツについてはページ全体を提供するというモデル。だから、利用者はDNS設定を変更してサブドメインがDakwakのIPアドレスに振り向けられるようにしておく必要がある。つまり、サーバ管理ができるドメイン保持者ではないと利用が難しいということ。

まだWOVNにどの程度市場性があるのか良く分からないけど、ぼくは今すぐTechCrunch Japan主催のイベントページの多言語化に利用してみたいと思ったね。


モバイルでもいつもGIFを見ていたい人のためのアプリケーション「Nutmeg」登場

大好きな読者の方々に、素晴らしいアプリケーションの情報をお届けしようと思う。通常は記事を公開しない曜日ではあるものの、これはぜひともお伝えする価値のあるアプリケーションだと思うのだ。GIF動画を、とっても簡単にシェアすることのできるアプリケーションだ。

名前をNutmegという。モバイル版のGiphyだと思えばだいたいお分かりいただけるかと思う。アプリケーションを開くと、そこにはHello、Ugh Fail、Awesome、あるいはHaHaHaなどというメニューが並ぶ。もしこれらメニューの意味がよくわからなくても、メニューを選択すればどういう意味かがすぐわかることだろう。それぞれはカテゴリ名となっていて、カテゴリに属するGIFがまとめられている。

カテゴリを選んだ段階では多くの画像が表示されているが、その中から特定の画像を選ぶと、GIFアニメ再生がはじまる。そこで2度クリックするとメッセージ送信モードとなる。送り先を指定すれば、即座に表示されていたGIFを友達に送ることができるのだ。

まだできたてのアプリケーションで、GIFの枚数にも不足を感じる。現在、一所懸命にコンテンツの充実に向けて努力しているところであるそうだ。

尚、アプリケーションのトップには現在進行中のイベントに関するカテゴリも用意されている。もちろん、現在はワールドカップ関連のGIFを集めたカテゴリとなっている。

いろいろなGIFを見てみたいのに、なかなか良いものが見つからないという人は、ぜひともアプリケーションを試してみては如何だろうか。iOS版がこちらで公開されている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


TechCrunch Tokyo 2012で優勝したWhillが個人用移動デバイスのソフトウェア開発でKickstarterに登場

TechCrunch Tokyo 2012で大賞を取った移動器具を作っているWhillが、このたび、Kickstarterに登場して、製品の最終的なブラッシュアップのための資金を募集している。対象製品はWHILL Type-Aと、その付随アプリだ。

Type-Aは元々車いすに代わるものとして作られたのだが、同社を作った元Sony、Olympus、Toyotaなどの技術者たちはそれを車いすとは呼ばない。事業開発部長のAtsushi Mizushima(水島淳?)によると、その理由は、“弊社は万人向けのパーソナルモビリティ–個人の移動–に専念している”からだそうだ。

Type-AはRed Dot Design Awardのプロダクトデザイン部門で佳作賞を取った。最小旋回円は半径28インチで、いろんな地形に対応できるが、坂道は約10度までだ。

今、7月12日までの目標額3万ドルに対して1万ドル以上集まっているが、もし募金に成功したらWhillはそのお金でType-Aに搭載できるスマートフォンアプリを開発し、リモートコントロールができたり、至近の充電ステーションを見つけたり、問題発生時にはハードウェアの診断レポートとともにフィードバックを同社に送れるようにする。

資金募集に対し9500ドル以上を出すとType-Aをもらえるが、100ドルならシリコンバレーの同社本社とテクショップに招待される。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))