DJI Sparkが180°セルフィー撮影をサポート――ソフトのアップデートで機能追加

手のひらサイズのドローン、DJI Sparkのソフトウェアがアップデートされた。オーナーには朗報だ。

今回のアップデートでパノラマ・セルフィー写真が撮れるようになった。Sparkは被写体の周囲を飛びながら12メガピクセルのカメラで21枚の写真を撮影し、一枚の180°パノラマ写真に合成する。小さなサイズのわりに解像度は3968×2976ピクセルもある。

DJI Sparkは撮影の開始、停止をジェスチャーでコントロールできるようになった。ユーザーは片手を体の横に出して約45度の角度で上に上げればよい〔友達に挨拶するようなジェスチャー。下の画像参照〕。これまでユーザーはビデオの開始、停止をスマートフォンからしかコントロールできなかった。

さらにこれも小さくない改良だが、DJIはQuickShotソフトにも改良を加え、撮影の際の円運動ないし渦巻き運動の飛行方向を変えられるようになった。またDronieモードでの飛行高度がアップし、Rocketモードでのピッチングもスムーズになった。

われわれが6月初旬にSparkをレビューしたときに感じたいちばん大きな不満はドローンの操縦のコツを飲み込むのに思ったより時間がかかることだった。QuickShotにジェスチャー・モードが採用されたことでだいぶ取扱が楽になりそうだ。

すでにSparkを所有している場合、ドローンとリモコンのファームウェアを最新のものに更新することができる。DJI GO 4モバイル・アプリのアップデートもお忘れなく。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snap、1.5〜2億ドルで中国ドローン企業の買収を検討中か

Snapは新しいハードウェアプロジェクトの実現に向けて、外部から力を借りようとしているようだ。関係者の情報によれば、Snapは中国のドローン企業Zero Zero Roboticsと買収交渉を進めているとのこと。

The Informationが最初に報じたこのM&Aの金額は1億5000万〜2億ドルに達すると情報筋は語る。金額だけ見るとかなりの大型買収のように感じられるが、Snapにとっては、2億5000万ドル以上を支払ったとされるソーシャルマップ企業Zenlyの買収がこれまでで最大のM&Aだった(なおSnapはZenlyの買収額を公表していない)。

本件に関しSnapとZero Zero Roboticsにコメントを求めたが、未だ回答は得られていない。

Zero Zero RoboticsはHover Cameraドローンの開発元として知られている。これは空からセルフィーを撮るために開発されたドローンで、昨年上海で行われたTechCrunchのイベントでも紹介されていた。Hover Cameraは昨年10月に正式にローンチされ、Appleのオンラインストア・店舗限定で500ドルで販売されている。

夏に入り、Zero Zero Roboticsが「アメリカの大手企業」に買収されたという噂が立ち始めたときは、彼らも他のドローン企業同様、経営に行き詰まってソフトランディングを模索したのだろうと考えていた。有名な例で言えば、Kickstarterプロジェクトで一躍名が広まったLilyは、財務的な問題のせいで今年に入ってから事業を畳むと決めた

さらにSnapには、経営難に陥ったドローン企業を安く買収してきた実績がある。Lilyは倒産の代わりにSnapへの身売りを検討し(結局話はまとまらなかったが)、倒産寸前のドローン企業Ctrl Me Roboticsは実際にSnapに買収されたと言われている。大手ドローン企業DJIが発表した、Hover Cameraの競合商品となる499ドルのSparkもZero Zero Roboticsにプレッシャーをかけたと考えられる。

しかし、今回の買収話は経営難に端を発したものではない。SnapはこれまでにZero Zero Roboticsが投資家から調達してきた2500万ドルを遥かに超える額を支払おうとしているだけでなく、The Informationの情報によれば、そもそもZero Zero RoboticsからSnapに資金調達目的でアプローチし、それが買収話に発展したと言われているのだ。

Spectaclesに続くハードウェアプロダクトを模索しているSnapのことを考えると、この買収話には納得がいく。先日の記事で紹介されていた通り、現在同社はARテクノロジーを盛り込んだ新型のスマートグラスを開発中のようだが、カメラ企業を目指すSnapがドローンにも興味を示しているというのも事実だ。

New York Timesの報道によれば、Snapはドローンの自社開発も検討していたが、どうやら結局外部の助けを借りることにしたようだ。

現在Snapが成長に関して投資家からのプレッシャーを感じていることを考えると、既存の製品であっても自社のものにしたがるのもよくわかる。ロックアップ期間が終わり、関係者もSnapの株式を売却できるようになったにしては、同社の株価はそこまで落ち込んでいないが、現在の13.1ドルという株価は3月のIPO時に設定された公募価格17ドルを大きく下回っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

全てのコンソールやPCに接続できるAll Controllerが、Kick Starterで出資を募集中

NES(米国版ファミコン)の時代、兄弟、従兄弟、友人に家に遊びに行くと、サードパーティ製のコントローラーを使わされることがあったことを覚えているだろうか?ジョイスティックが上手く動かせなかったり、モータルコンバットでどうしてキャラクターがキックを続けるのか、途方に暮れたりしたことはなかっただろうか?ということで、All Controllerを使えば問題は解決だ。

All Controllerは、原理的には、どのコンソールでも使用することのできるサードパーティー製品だ。マクロとスピードボタンを設定し、Xbox、PS4、あるいはSwitchに接続することができる。それはまた、連続40時間使用できるバッテリーを備え、PCに接続することもできる。

「コンソールへの接続は、カスタムUSBアダプタを接続するのと同じくらい簡単です」と開発者は言う。「このAll Controllerは、XBox 360、XBox One、PlayStation 3、PlayStation 4に接続できます。Nintendo Wii、Wii U、Switchへのサポートも追加されます。さらに、このUSBアダプタは、Windows、Mac、Linux、またはAndroidのゲームを無線で使える11種類のUSBドライバを内蔵しています」。

またチームは集まった金額に応じて、ジャイロスコープやその他の慣性センサーなどを含む、様々な機能追加の特典を予定している。箱から出した状態ですぐに、Xbox One、Xbox 360、PS3/PS4、PCで使うことができる。

なぜこのようなものが必要なのだろう?まあ、80カナダドルという価格は、それぞれのシステムに対して別々にコントローラを買っていくよりは安上がりだ。さらに、システムは16個のプロファイルを使い分けることが可能で、別々のシステムやゲーム用にボタンをマップしたり、スピードマクロやその他の特別なコンボを追加することもできる。

チームは現在(日本時間8月2日21時)約8万カナダドルを調達して目標の7万5000カナダドルをクリアした。出荷の予定は2018年3月だ。Gizmodoにハンズオンレポートが掲載されているが、それによれば実際に使えるしっかりしたゲームデバイスのようだ。

標準のPS4/Xboxコントローラーが持っているすべての機能を使えるわけではないが、コナミコマンドを素早く打ち込んだり、Mega Man(和名:ロックマン)の敵を素早く打ち倒す用途に利用することができる。少なくとも、自分は公式コントローラを使う一方で、兄弟や従兄弟にはこのコントローラーを渡しておくこともできるだろう。

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(翻訳:Sako)

Facebook、ビデオチャット・デバイス開発中――スマートスピーカーは一時棚上げか?

Facebookはノートサイズのディスプレイを備えたビデオチャット専用ハードウェアの開発を行っているという。Bloombergの記事によれば、Facebookのハードウェア開発事業部、Building 8からの初の本格的製品となる。記事によれば、このハードウェアは物理的に離れた場所にいる友達が同じ空間を共有しているように感じて親しく会話できるようにすることを目指している。

BloombergはまたBuilding 8ではAmazon EchoやGoogle Homeのライバルになる音声認識機能を備えたスマートスピーカーも開発しているとしている。FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグ自身が自分の家庭のために映画『アイアンマン』のじゃーヴィスのような音声認識で作動するホーム・アシスタントを開発したことがある。これはザッカーバーグ恒例の「今年の目標」の2016年版だった。

Facebookのハードウェア開発に関するニュースは初耳ではない。先週はDigiTimesがFacebookのサプライチェーン関係者の話として15インチ・ディスプレイを備えたデバイスの開発が順調に進んでおり、早ければ2018年の第1四半期にもリリースされると報じていた。

こうした情報を総合すると、Facebookのスマートスピーカーと15インチ・ディスプレイは実は別々のプロダクトのようだ。15インチのスクリーンはノートパソコン・サイズのデバイスにちょうどよい大きさで、ビデオチャットに向いている。チャット・デバイスの価格は Bloombergによれば「数百ドル」になるという。もしFacebookが当面ビデオチャット・デバイスに集中するなら、スタンドアローンのスマートスピーカー製品は一時棚上げになるのかもしれない。スマートスピーカーの価格は100ドル台を目標としていた。

Bloombergによればビデオチャット用デバイスはマイクと広角カメラを内臓し、人工知能によってオーディオを最適化し、人間の顔を認識してズームする機能などを備えるという。テストではディスプレイを支えるために薄型のスタンドが用いられた。Facebookでは13インチから15インチ程度のサイズを考えているという。OSはインハウスの専用OSではなくAndroidが用いられるようだ。

またFacebookはこのデバイスに360°カメラを装備することも検討している。これが実現すればデバイスの全周を撮影することが可能となり非常にリアルなテレプレゼンスをもたらすはずだ。ただし最初にリリースされるバージョンには間に合わないようだ。

Facebookがビデオチャット・デバイスを販売することは理にかなっている。ユーザーがビデオチャットを利用する際のハードルを下げ、利用を大きく増加させるだろう。現在パソコンやタブレットなど汎用コンピューターでビデオチャットを行うにはプラットフォームにログインしたり、アプリにカメラのアクセスを許可したりするなどの手間がかかる。Facebookのビデオチャット・デバイスはFacebook Messengerをデフォルトでサポートするはずだ。これはMessengerを一層普及させ、コマースや金融などのトランザクションのプラットフォームとしての地位を確立することを助けるだろう。

記事執筆に協力: Josh Constine.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これがSamsung Galaxy Note 8のリーク画像だ――最大のノートになるもよう

Samsungの次世代機発表イベントが8月23日に迫り、新しいデバイスの画像がインターネットを賑わし始めている。画像はこのイベントの主役となるはずの新しいGalaxy Note 8の外観だ。

画像を入手したのはこれまでもスマートフォン関係で多数のリーク情報を公開してきたEvan Blassだ。彼は今年初め、SamsungがGalaxy S8を正式に発表する以前にスペックを詳しく明らかにしている

BlassはTwitterに新しいGalaxy Note 8の写真を何枚か投稿した。現時点でわれわれは正確なスペックに関する情報を持っていないが、上に掲載した画像からこのデバイスが背面にデュアル・カメラ、デュアル・フラッシュを装備していることが分かる。さらにいくつかの点についても推測が可能だ。Galaxy Note 8はGalaxy S8と同様、背面のカメラの横に指紋スキャナーを備える。ただし指紋スキャナーとしては場所が悪い。 また側面のボタンはS8で導入された人工知能アシスタント、 Bixbyを起動するものだろう。

もうひとつ、Note 8は過去最大のノートになりそうだ。

これは画像からの推測だけが根拠ではない。Samsung自身がイベントへの招待状で「大きいことをしよう!(Do bigger things)」というヒントを出している。またこれまでのリークによれば、サイズは6.3インチ、縦横比は19.5:9だという。これが事実ならたしかに巨大だ。Note8は、昨年のNote 7のリコール騒動 の後だけに、Samsungにとって非常に大きな意味を持つ。Note7はバッテリーに大きな問題があり、一部のケースでは爆発を起こした。

ディスプレイは今年のスマートフォンの上位モデルの新製品の目玉になりそうだ。LGは次世代フラグシップにAMOLEDディスプレイを採用すると見られている。HuawayのCEOは次世代のMate 10モデルはフルスクリーン・ディスプレイとなることを確認した。一方、AppleのiPhoneは誕生以来10週年を迎え、 新モデルは新機能多数を搭載するはずだ。これには赤外線カメラによる顔認識でのアンロックやベゼルを廃止したフルスクリーン・ディスプレイなどが含まれるだろう。

画像:: @evleaks (Twitter)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

役目を終えつつあるiPod

iPod nanoとshuffleの販売が終了となる。そんな中、iPodの歴史を振り返ってみたい。

BI:Before iPod(iPod登場以前)

iPodは、最初に登場したMP3プレイヤーというわけではない。ただ、すべてのバランスを正しく調整したプロダクトであったとは言えるだろう。Appleがプロダクトを投入する前から、非常に多くの企業がさまざまなプロダクトを発表していた。たとえばRioを懐かしく思い出す人も多いだろう。登場は90年代のことだった。しかし格好良いものもなく、使い方が複雑で不便なものばかりだった。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの方もひどいできのものが多かった。
(Hulton Archive/Getty Images)

2001: オリジナルiPod登場

2001年、音楽業界はNapsterに震えていた。そこに、音楽業界の再興を謳い文句にしてスティーブ・ジョブズが舞台にのぼってきた。ジョブズが準備したのは、5GBの記憶容量を備えたエレガントなガジェットだった。「ポケット入る1000曲」という宣伝文句もあった。
(Photo by Apple via Getty Images)

2004: iPod Photo

iPodとしては第4世代機となる。インタフェースの変更も行われたが、もっとも大きな変更は操作スクリーンをカラー化したことだった。500ドルを払う余裕があれば、220×176の画面にアルバムジャケットや、あるいは自分で撮影した写真などを表示することができるようになったのだ。iPhoneの登場まで、iPod Photoの解像度も、持ち歩けるデバイスとしては十分なものに感じられたのだった。
(Photo by Apple via Getty Images)

2004: U2 Edition iPod

Songs of Innocenceを無料配信する10年前に、iPodのU2限定モデルが世に登場していた。ボノがピースサインを示しながら手に持っているiPodは、赤と黒でデザインされており、無料のU2アルバムが予め収録されていた。

なお、翌年にはハリー・ポッターモデルもリリースしていて、こちらにはハリー・ポッターのオーディオブックが収録されていた。
(Photo by Tim Mosenfelder/Getty Images)

2004: iPod mini

2004年には、コンパクトでカラフルなiPodも投入された。6GBの容量を備えた本デバイスは大ヒットとなり、iPodの名を一層高めることとなった。しかし本デバイスは2世代で打ち切りとなり、コンセプトは2005年のnanoモデルに引き継がれることとなった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2005: iPod nano

茶封筒にMacBook Airを入れる3年前、ジョブズは同じようなことをiPod nanoで行なっている。ジーンズの小銭ポケットからiPod nanoを取り出して、コンパクトさをアピールしていたのだ。iPod nanoは第7世代まで続くこととなった。
(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)

2005: iPod shuffle

ハードディスクでなく、フラッシュメモリーを搭載した最初のiPodだ。デバイスはますますコンパクトになり、ジョギングなどワークアウトの最中に、収録した曲をランダムに再生するような使い方を想定している。ガムのようにコンパクトで軽量であり、首から下げていても気にならないのがウリだった。価格も99ドルで、他のiPodにくらべてはるかに安価なモデルとなった。利用シーンを限定することで、スクリーンをなくすということで成し遂げたサイズ・価格のモデルだった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2006: さらに小さなshuffle

1年たって、デバイスはさらなる小型化の道を歩んだ。shuffleの第2世代はサイズを半分以下として、重さも大幅に減らすことに成功した。服にクリップで取り付けられるようになり、身に着けていることが全く気にならないサイズになった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2007: iPod classic

2007年、これまで単にiPodと呼ばれていたプロダクトはiPod classicと呼ばれることとなった。黒と白のプラスチック筐体はアルミになった。電池のもちは画期的に伸び、記憶容量も最大160GBとなった。「classic」の名がついたことで、本モデルの終了も間近であるとの噂も流れた。しかし2007年以降もアップデートが行われ、以後7年にわたって販売されることとなった。

(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2007: iPod touch

初代iPhoneと同じ時期にリリースされたiPod touchは、従来のiPodとは大いに異なるものとなった。iOSで動くiPod touchは、セルラー機能のないiPhoneとでもいうべきものだった。しかしこのデバイスのおかげで、iPodの名前が受け継がれ続けるようになったという意味はある。すでに2年ほどアップグレードが行われていないが、Apple Musicを楽しむのに不足はない。少なくともいましばらくの間は生き残っていくのだろう。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2007: iPhone

2007年、ジョブズはMacWorldにて3つのプロダクトを紹介すると語った。3つとは、iPodと携帯電話、そしてインターネットにつながるデバイスであるとのことだった。そんな言葉に続いてアナウンスされたデバイスはiPhoneだった。これ1台で、先に述べた3つの役割すべてを果たすことができるという意味だったわけだ。iPhoneの先祖はといえば間違いなくiPodということになるはずだ。ギリシア神話風にいうのなら、iPhoneは父親殺しの犯人ということになるのだろう。iPodの利用される世界は狭まりつつある

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(翻訳:Maeda, H

ソニーα7S IIが国際宇宙ステーションからとらえた4K動画が圧巻

ソニーのフルフレーム・ミラーレスカメラ群は素晴らしい出来で、世界中のフォトグラファーやビデオグラファーを魅了している。しかし、α7S IIはついに地球を飛び出し、国際宇宙ステーションから美しい4K動画をとらえるまでになった。

この記事に掲載されている動画は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した宇宙実験棟『きぼう』に取り付けられたα7S IIによって撮影されたものだ。JAXAは同製品が、真空状態や放射線、極端な温度変化(太陽が当たるかどうかで200度以上の温度差がある)といった環境に十分耐えうると判断し、利用に踏み切った。

α7S IIの耐久性の驚くべき点は、今回の撮影にあたってほとんど製品に手が加えられなかったということだ。JAXAによれば、温度変化を和らげるため、カメラの設置部にラジエーターやヒーターを取り付けたものの、「カメラのハードウェア自体にはほぼ手を加えていない」とのこと。

もともとJAXAは、α7Sを船外に設置しようとしていたが、4K動画を内部で記録できるということで2016年に使用機材をα7S IIへと変更。暗い場所で力を発揮する高感度のフルフレームセンサーの力もあり、以前のシステムでは不可能だった夜間の撮影も問題なく行えた。

静止画もこのシステムを使って撮影される予定だ。動画よりも静止画の方が色の再現性が良いため、海や森林の色の変化を時間経過と共に比較するのに役立つだろうとJAXAは語る。その一方で、宇宙船がドッキングする様子や、上記のような美しい景色を撮影するのにはやはり動画が1番だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

第2世代HoloLensはマイクロソフト独自開発のAIコプロセッサを搭載

Microsoftは、第2世代HoloLens VRヘッドセットに独自のAI処理能力を搭載する準備を進めていると公表した。HoloLensの機能やサービスを強化するのが狙いだ。

HoloLensに搭載している現行のプロセッサにAIコプロセッサを加えてカスタマイズするとMicrosoftは説明する。これでクラウドに接続することなくデータ分析ができるようにする。常にオンラインである必要性が無くなるので、処理速度は上がり、可動性も向上する。

Microsoftがチップを自社で設計するのは、それがARやMRの新たな用途やサービスを切り開く唯一の方法だと考えているからだ。同社CEOであるSatya Nadellaは5月に開催されたMicrosoft Buildの講演の中で、工業分野における作業現場など、将来のAIの使用例をいくつか挙げた。それらを実現するにはカスタムAIチップがもたらす処理時間の短縮や可動性の向上が、非常に重要な要素になる。

「それ自体が知的なMR機器を開発する際には必要な考え方です。MRとAIは未来のコンピューティングの代表格であり、我々はこの先進未来分野を推し進めることを嬉しく思っています」と、Microsoftは自社チップセットの計画について語っている。

チップを独自開発しているのはMicrosoftだけではない。Googelはボット強化のために独自のAIプロセッサを開発し、Appleは水面下でiPhone専用チップを開発していると噂されている。新たな可能性を切り開く別のアプローチとしてはGoogleやFacebookが取り組んでいるように、端末のデバイス・プロセッサの負担を取り除く処理の軽いニューラルネットワークを創り出す方法がある。

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Sling Studioでプロ級マルチカメラ・ビデオが制作できる――バックパックでどこでもロケ可能

私はビデオを作るのが好きだ―それが仕事でもある。 そこでこの仕事を簡単してくれるガジェットを発見したときには興奮し、レビューのビデオと記事を作ろうと決心した。それがSling Studioだ。これはバックパックに詰めて持ち歩ける小型ハードウェアだが、マルチ・カメラによるビデオ・プロダクションに必要な機能がすべて備わっている優れものだ。

バックパックというのは文字通りの意味だ。私はこの「どこへでも持ち出せるスタジオ」の機能と使い勝手に強い印象を受けた。スペックや感想は下に書いたが、レビューそのものは上のビデオを見ていただきたい。

マルチカメラ・ビデオ・プロダクションに必要なすべてのハードウェアがバックパックに収まる

Sling Studioの画像

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結論(ビデオを全部見る時間のない読者向け)

Sling Studioシステムにはいくつかの制限がある。たとえば接続できるカメラは最高4台まで、また当面ライブ配信できるのは Facebook Liveと YouTube liveだけだ。しかしSling Studioによれば、ユーザーは将来独自のRTMPを追加し、自由にライブ配信ができるようになる。また今のところ、独自のアニメーション・グラフィックスを追加することができないが、ロゴ、静止画、およびSlingがサポートする少数のグラフィックを追加できる。

Slingにはかなりのレイテンシーがあり、被写体の現実の動きとiPadでモニターする映像の間には明らかにズレが認められる。そこでこのシステムを使うときにはiPadの映像に集中し、現実の動きは見ない(聞かない)ようにする必要がある。でないとライブアクションのスイッチングはめちゃめちゃになる。あとキャリヤを切り替えるなどして別のインターネットに接続してもシステムが自動的に認識してくれないのも多少わずらわしい。接続パラメーターの変更はユーザーがマニュアルで実行しなければならない。つまりシステムに新しい接続速度を設定するには「アップデート」をクリックしてメニューを開く必要がある。/p>

こうした多少の問題はあるものの、Slingはマルチカメラをスイッチングする本格的ビデオ制作のハードルを大きく下げた。これはすごいことだ。一式すべてバックパックに詰めてどこにでもでかけ、撮影後すぐに動画編集ができる。これはゲームのルールを変える存在だ。小規模なビデオプロダクション会社を運営しているなら時間と資金の節約は大きいだろう。ライブストリーミングの画質も操作性もすばらしい

TechCrunchではTricasterのビデオ・プロダクション・システムを使っている。これはすべての機能を備えたプロ用機器で、われわれは当分これを使い続けるつもりだ。しかしTricaster的でもっと手頃、あるいはもっと携帯性の高いシステムを探しているならSling Studioは間違いなくお勧めだ。

クレジット

脚本: Tito Hamze
出演 Tito Hamze
撮影: Gregory Manalo, John Murillo, Tito Hamze
編集: Tito Hamze

スペシャル・サンクス:Mitch Eason、Joe Seiler、Keven Hempel、Jenni Curticeはすてきなティー・サロン、Luna Teaでの撮影に協力してくれた。

〔日本版〕Sling Studio本体は999ドル。本体用バッテリーは149ドル、ワイヤレスカメラ・リンクは1台349ドル、専用バックパックは199ドルなど。操作のためにiPadを別に必要とする。スマートフォンはiPhone 6以降、Galaxy S6以降がサポートされる(詳しくはサイトで確認)。下はSling Studio制作のプロモーションビデオ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Oculus、200ドルのスタンドアロンVRヘッドセットを開発中――発売は来年のもよう

Bloombergの観測によれば、今年後半にFacebookはスタンドアロンのOculus VRヘッドセットを発表する。出荷は2018年になる。このヘッドセットはパソコン、スマートフォンなど外部機器にテザリングする必要がなく、世界でOculusのブランドで発売される。

ただし中国ではパートナー契約の一環としてXiaomi〔小米〕が製造し、そのソフトウェアが搭載されるという。ブランドもXiaomiとなるようだ。

ワイヤレスVR、つまり外部機器に接続する必要がないスタンドアロンの仮想現実ヘッドセットはFacebookとOculusが追求してきた目標だった。FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグは以前、Samsung Gear VRのようなスマートフォンをそのまま利用したエントリー・レベルのVRとOculus RiftやHTC Viveのようにパソコンにテザリングする必要がある高機能VRの中間を埋める製品カテゴリーがあってもよいと論じた。事実、 HTCでは今年初めGoogleのDaydreamプラットフォームを用いてスタンドアロンのVRデバイスを開発する意向を示していた。

SamsungもスタンドアロンVRを開発中で、Odysseyというブランドになるとみられる。一方、FacebookはRiftのスタンドアロン版も開発している。Bloombergによれば、コードネームSanta Cruzと呼ばれるプロトタイプは現在のRiftと同程度の能力がありパソコン等との接続を必要としない。Facebookではヘッドセットの環境に対する位置方向のトラッキングについては問題解決の努力中だという。

Facebookの中間レベルの新しいヘッドセットはPacificと呼ばれ、 外観のデザインはRiftとほぼ同様かつ現行のSamsung Gear VRより軽い。Snapdragonチップで駆動され、Gear VRよりグラフィックの能力は高いという。ただしRiftのようなセンサーを備えておらず、位置トラッキングの能力はないもようだ。

ここで重要となるのは価格とパフォーマンスのバランスだ。Facebookでは中間レベルのプロダクトを200ドル前後とRiftよりかなり安い価格で販売する計画だとされるが、これは広い層への普及を狙ったものだろう。現在Touchコントローラーを含むRiftの価格は399ドルからだ。こうした新製品を開発中であってもOculusはパソコンにテザリングされるRiftのサポートを続け、またGear VRに関するSamsungとの提携を止めるつもりはないようだ。FacebookはVRに関してできるだけ多様な製品ラインを用意することが普及を促進すると考えているのだろう。【略】

TechCrunchの取材に対し、Oculusは広報担当者を通じて以下のようにコメントした。

現時点で新製品に関して新しく公開できる情報はないものの、われわれはスタンドアロンVRの開発に関連していくつかの分野で重要な努力を行っていることは事実だ。われわれはOculus RiftのようなハイエンドVR、Gear VRのようなスマートフォン・ベースのソリューションの双方に引き続きコミットしていく。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

このプーチン・トランプの彫られたゴールド・チタンバージョンで、Nokia 3310を再び偉大な電話に

今日(日本時間7日夕方)からG20サミットがハンブルグで開催される。ロシアの携帯電話メーカーであるCaviarはこのイベントを、特別なNokia 3310( 新モデル )で記念している。最高の金属である、チタンとゴールドが使われたこのケースの裏には、トランプとプーチンの横顔の浮き彫りが施されている。わずか14万9000ルーブル、つまり約2500ドルだ。

「いや、ちょっと待て」とあなたは言うだろう。「確か新しい3310は、皆が愛した丈夫な古い3380への懐古趣味を掻き立てて、キャンディーバーのような携帯電話黎明期の裏蓋を愛でさせようという代物じゃなかったのか?」と。もちろんそうだ。そしてCaviarはNokia EDGE以上の速度を出せるように無線部分をアップデートしようとは考えなかった。

しかしそれ以外の部分は、ほぼデバイスの外装を大きく細工した物だ。

この贅沢なアップデートの象徴(あるいはお好みなら「象徴的意味」)は、Caviarのウェブサイト上で解明されている

  • 両大統領が同じ方向を向いているということは両者の合意を示唆する。しかしそれが何故左向きなのか?それは説明されていない。
  • 硬化チタンの使用は、正義と国を守るためには、(頑固さとまでは言わないが)強さ、原則、きっぱりとした態度が必要であることを強調している。
  • ダマスカス模様が使われているのはクールだからだ。

このユニークなアイテムは「現代の歴史と政治に無関心ではない人」への贈り物として推奨されている。健全な助言だ。説明の最後にある不思議な警句は知恵の塊か、それとも特にロシアの脅威を指すものなのか。その内容は以下のようなものだ「もしあなたが政治に関与しなければ、政治があなたに関与する」。なるほど!

iPhone 7版もあるが、それほど素晴らしいものではない。なおRT上では、もしこの2人が本当に好きなら、彼らの顔が彫られた歯科用クラウンを手に入れることもできる、と書かれている。

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(翻訳:Sako)

キヤノン、6D Mark IIを発表――フルサイズのデジタル一眼入門に絶好

キヤノンがフルサイズのデジタル一眼レフ、EOS 6D Mark IIを発表した。前モデルの6Dは2012年にデビューしており、私自身、真っ先に1台購入した。それから5年経ったが依然として素晴らしいカメラだ。5D Mark IVも持っているが、ある点ではこれに十分匹敵する。キヤノンから今回新しく登場した6D Mark IIはオリジナルの6Dのアップグレードを考えていたユーザーにも、新しくフルサイズの一眼レフを購入しようと考えるユーザーに好適だ。

6D Mark IIは26.2メガピクセルのフルサイズCMOS撮像素子を内臓する。AFは全クロスタイプの45点測距だ(撮影目的にもよるが、AF測距点が一挙に4倍以上になったことが最大のアップグレードかもしれない)。キヤノン独自のデュアルピクセルCMOS AFを採用しており、1080p 60pのフルHDビデオ撮影が可能。レンダリング・エンジンには新しいDIGIC 7画像プロセッサーが使われている。ISO感度は常用で100から40000。モニターはサイドオープン式バリアングルで今回のアップグレードで6Dに初めて採用された。

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バリアングル・ディスプレイも大きなセールスポイントだ。キヤノンのハイエンドのフルサイのズデジタル一眼でバリアングルが採用されたのは珍しい。街撮り、結婚式などでバリアングルは簡単にユニークなアングルの写真が撮れる。ビデオ機能は残念ながら6D Mark IIがやや弱い部分だ。ライバルのほとんどが4Kビデオ撮影機能を売り物にしているが、こちらはフルHDどまりとなる。

連写性能は毎秒6.5コマに強化された。防塵防滴仕様でWi-Fi、NFC、Bluetooth、GPSを内臓する。予約の受付を開始しており、出荷は8月になるようだ。

静止画撮影がメイン、ときおりビデオを撮影するというカメラマニアには最適の性能だろう。もちろん市場は2012年以来大きく変わった。2000ドル〔20万円半ば〕という価格帯には富士フィルムのX-T2、ソニーのミラーレスなどが存在する。それでもボディー価格1999ドルで画質、信頼性に定評あるキヤノンの製品が購入できるとなれば十分魅力ある製品だ。

〔日本版〕記事中のスライドショー画像はEF 24-105 f4L IS USM IIのレンズキット。アメリカ版プレスリリースにはこのレンズキットがリストアップされているが、日本では用意されない。日本でのレンズキットは24-70 F4L IS USMとEF 24-105 IS STMの2種類となる。キヤノンの日本サイトはこちら。キヤノン・マーケティング制作の紹介ビデオによればバリアングル液晶は60Dのものと同タイプで、取り付け軸を中心に180°回転して裏返しにできる(0:58あたり)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

留守中でもネコの出入りを管理できるIoTペットドア

ネコと暮らす人に嬉しいニュースだ。離れているときでもネコたちの行動を把握することができるよう、ペット用のドアもアプリケーションと連動するようになったのだ。

ペットドアの開閉状況をチェックして、ネコがうちの中にいるのか、それとも外出中なのかを把握したり、あるいはペットドアをロックしたり解除するようなこともできる。大荒れの天気の日などに、外出禁止にすることができるわけだ。出入りの様子をビジュアルにまとめる機能もあり、昼夜の行動パターンを把握することもできるようになっている。自宅のドアを管理する権限は、他の人と共有することもできるようになっている。ペットシッターに管理を任せるようなことも、かんたんにできるわけだ。

開発したのは、イギリスのペット関連テックプロダクトを開発しているSureFlapだ。本プロダクトについては以前からアナウンスしていた。このペットドアは、もちろん小型犬でも利用可能だ。まずは自社のウェブサイトを通じての販売となった。希望小売価格£160(2万3000円ほど)で、家庭内ネットワークに接続するためのWi-Fiハブもついている。

SureFlapによれば、アメリカおよびその他6カ国に向けては年内中にも販売を開始する予定であるとのことだ。

ちなみにドアは登録したネコが近づいた場合にのみ開くようになっており、識別はマイクロチップないしRFIDタグを埋め込んだ首輪で行うようになっている。見ず知らずのネコがやってきて、餌をタダ食いされてしまうようなこともないわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

ロジテック発、iPad Pro用Slim Comboで生産性は一気に向上

ロジテックは、これまでにもいろいろなiPad用キーボードを開発してきている。このたび、そのロジテックから最新の10.5インチiPad Proおよび12.9インチiPad Pro用のキーボードがリリースされた。名前をSlim Comboという。プロダクトはケースとキーボードからなり、ケースにはApple Pencilの収納場所もあり、またキーボードはSmart Connector経由で接続するようになっている。

キーボードおよびカバーのふたつとも、iPadとぴったりフィットするようになっており、出張時にも、そして旅行時にも便利に使うことができる。コンパクトでありながら、クリエイティブ用途にも十分応えるようになっている。

ところでマイクロソフトはSurface Proについて「Lapability」などという用語でプロモーションを行なっていた。その言葉もどうかと思うが、しかしこのSlim Comboも「Lapability」を体現するものでわある。すなわち、Surface Pro風のキックスタンドも備えているのだ。iPad Proをさまざまな角度で利用することができる。好みの角度でしっかり固定され、ラップトップ(膝の上)で利用するのにもとても便利だ。専用デスクなどなくとも、ソファの上や電車の中など、好きな場所で快適に利用することができる。

ちなみにキーボードは取り外して利用することもできる。ケースは端部分に隙間があり、その部分に磁石でくっつくようになっている。12.9インチ用にはパームレストもある。10.5インチ用の方はコンパクトにキーボードのみがおさめられている。タイピングの感触は双方ともに快適で、Apple純正のものよりも打ちやすく感じるほどだ。

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キーボードにはバックライトも備わっている。本体との接続にはSmart Connectorを利用するために、Slim Combo側にはバッテリーはなく、また本体とのペアリング作業なども不要となっている。タイピングの感触はまるでPCを操作しているような感じで、間に合せの感じは一切しない。

Slim Comboは硬化プラスチックでできており、落としたり衝撃を与えたりしても、ある程度までは耐えてくれそうだ。手で保持する部分には持ちやすいような加工もあり、全体的にもフィット感のある設計になっている。Apple Pencilも、装着に苦労することはないし、取り外すのに困るようなこともない。

まとめれば、好きな角度に立てて利用できるケース付きキーボードといった感じだ。状況に応じてベストな角度でiPadを利用することができる。秋になって、iPad Proが一層便利に使えるようになるiOS 11が正式にリリースされれば、さらにこうしたケース/キーボードの魅力が発揮されることになるのだろう。Slim Comboの10.5インチ用は15,800円、12.9インチ用が16,800円となっている。多様な機能を活用して、iPadに「生産性」を求める人は、きっと欲しくなるデバイスだと思う。

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(翻訳:Maeda, H

睡眠モニターSenseの発売元、Helloが閉鎖へ――ホームアシスタントの普及で苦境に

ベッドの枕元において睡眠をモニターする小型デバイス、Senseの開発元のスタートアップ、Helloが運営を停止する。 Helloの公式ブログによれば同社は売却先を探していたが、見つけることができなかったようだ。このニュースはAxiosが最初に報じた,。同社は社員のほとんどをレイオフし、残余財産の買い手を探していたという。

われわれが得た情報によれば、Axiosの記事はFitbitと売却について交渉したが不調に終わったという点も含めて正確だ。別の情報源によれば、Helloのエンジニアの大部分は別の睡眠トラッカーのスタートアップ、Casperに参加するという。元HelloのエンジニアはサンフランシスコのCasperのR&D部門に加わる。Casperはマットレス、シーツ、枕など睡眠関連のグッズを広範囲に開発、販売している。それに大中小、3サイズの犬用ベッドも売っている。

Helloは2015年にはTemasekをリーダーとしたラウンドで4000万ドルの資金を調達していた。会社評価額は2億5000万ドルから3億ドルだったと見られる。Helloは当初の製品をKickstarterに登録し、240万ドルを調達した。昨年は音声認識機能を備えた新製品を開発し、149ドルで販売していた。

Helloの製品は小型でどこにでも置ける。小さな睡眠モニターを枕にセットするだけでわずらわしいリストバンドなどを装着する必要なしに睡眠の質を改善できるというのがキャッチフレーズだった。睡眠モニターはヘルス関連製品の中でも大きな部分を占めるようになっていた。【略】

Sense app on smartphone

わずらわしい手間なしに睡眠の質を改善することを目的としたHelloだったが、iOS 10にベッドタイム機能が組み込まれたことや、Alexaなどの音声認識機能が普及するようになると存立の危機に直面することになった。Amazon Echo(それにGoogle Home、HomePod)のようなホームアシスタントは睡眠の質の改善を売りにしているわけではないが、Alexaならたとえば「明日の午前7時になったら照明をゆっくり点けるように。私が目が覚めたのを確認すること」などと命じるのは簡単だ。

またハードウェアの販売というのは単に睡眠モニターのアプリを売るのとはまったく異なるビジネスだ。昨年8月、HelloはSenseをBest BuyとTargetで販売すると発表した。こうなると一スタートアップであるHelloはサプライチェーン管理やロジスティクスという複雑な問題に直面しなければならい。同時に来店した顧客がSenseを実際に買ってくれるようにするマーケティングも重要になる。同社は昨年9月元DoorDashの幹部をCMO(最高マーケティング責任者)にスカウトしている。

私はHelloのCEO、ジェームズ・プラウドに質問を送ったがまだ回答がない。ピーター・ティールは若者の起業のための資金援助を行うThiel Fellowshipプログラムを実施しているが、プラウドは初期のティール・フェローの一人だ。われわれはCasperにもコメントを求めているがこちらも回答がない。

画像: Hello

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookを追われたOculusの創業者Palmer Luckeyが今度は“トランプの壁”に代わる国境監視デバイスで新会社

かつてはVR(仮想現実)のシンボルともてはやされたOculusのファウンダーPalmer Luckeyからの最後のニュースは、彼がトランプを支持するヘイトスピーチ(的)団体に10万ドルを寄付したことがばれて、秘かにFacebookを追ん出されたことだった。

2014年に彼のVR企業Oculusを20億ドルでFacebookに売ったLuckeyが、テクノロジー業界に復帰し、今度は国家安全保障関連の企業を立ち上げた。

The New York Timesの記事によると、彼の新しい企業は自動運転車でよく使われるLiDARの技術を利用して、国境や、軍の基地などの重要施設を監視する。完成すればその技術は、ドローンなどの脅威を検出するために利用できるが、鳥や野生動物などは無視できる。それは、大規模な国境の壁に代わるものとして提案されている。トランプ大統領は、アメリカとメキシコのあいだにそんな壁を作ると公約しているが、Luckeyの技術を使えばその膨大な費用を節約できるだろう、というのだ。

新会社の概要を、Luckeyはこう説明している:

わが国は、かつてなかったほどの巨額を国防に投じているが、しかしイノベーションはここ数十年停滞している。必要なのは新しい種類の防衛企業であり、納税者のお金を節約するとともに、われわれの兵士たちと国民の安全を守るための、より優れた技術を作っていくことがとくに重要だ。

NYTの記事によると、トランプ大統領の技術顧問Peter Thielが、Luckeyの新会社に投資する意向である。そのほかの資金提供者については、まだ情報がない。

南カリフォルニアに拠を構える同社は、すでに数名のスタッフを雇用しており、その中には元Oculusの社員Christopher Dycusも含まれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Appleからテンキー付きMagic Keyboard――ワイレス・フルキーボード(日本でも発売開始)

Appleは今日(米国時間6/5)のWWDCで数々の発表を行った。しかし華々しい新機能や新デバイスの紹介に時間を食われたか、10キー付ワイヤレスキーボード、Magic Keyboardはついにステージでは紹介されなかった。その理由は理解できないこともないが、やはり許しがたい。私の見るところ、これは今回のWWDCで最大、最高の新製品だ。

なるほど最大というのはやや誇張だったかもしれないが、それでも重要な製品だ。機能は従来のMagic Keyboardとほぼ同様で、Lightningポートで充電を行い、キーはApple独自のシザー構造だ。しかし新製品はテンキーとファンクションキー、それに上下左右の矢印キー、page up/page downキーなどが追加された。要するにフルサイズキー配列となっている。

特に印象的なのはフルサイズ化された矢印キーだ。 従来のMagic Keyboardの上下キーはキー1個分を上下に分割したせせこましいサイズだった。新キーボードではナビゲーションははるかに快適になるはずだ。ウェブページをスクロールしたりスプレッドシートのカーソルを移動したりコードを書いたりするときに矢印キーは始終用いられるから影響が大きい。

Appleではバッテリーは充電後1月保つとしている。もちろんMac標準のメディアキーも揃っている。USB/Lightningケーブルも同梱される。Appleがフルサイズ・キーボードを作るのにこれほど時間がかかった理由は知る由もないが、ともかく登場したのだからありがたい。即日出荷される。

〔日本版〕Magic Keyboard(テンキー付き)-日本語(JIS)は13,800(税別)で発売中。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WWDC:AppleがHomePodを発表――Amazon Echoに対抗するスマートスピーカー

AppleがAmazon Echoに対抗する製品を開発しているという情報は事実だった。この製品は(もっともなことに) HomePodと呼ばれる。AppleのCEO、ティム・クックは今回のWWDCカンファレンスのキーノートで「われわれはホーム・ミュージックを再発明した」と述べた。つまりAppleスピーカーは単にSiriを登載したスピーカーではなく本格的な音楽用だった。

Appleのグローバル・マーケティング担当上級副社長、フィル・シラーは「Sonosはスマート・スピーカーではないしAmazon Echoは良いスピーカーではない」と主張した。Appleは両者の「いいとこどり」を狙ったようで、マーケティング戦略として巧みだ。HomePodは今年後半に出荷される予定だが、まだ量産段階ではないようだ。

HomePodはクッションを思わせる円形のスピーカーで、7個のツィーターのアレイと1個のカスタムメイドのウーファー、AppleのA8チップを登載する。マルチチャンネルのエコー・キャンセラー、リアルタイムのアクースティック・モデリングなどの機能を備える。

HomePodは置かれた環境をスキャンし、それに応じてオーディオを最適化する。シラーはこのスピーカーのサウンドがいかにすばらしいか説明するために大いに時間をかけた。ただしWWDCの会場では巨大なスピーカーシステムから音が流れていたのでHomePodの音質について正確なところは判断できなかった。

当然ながらこのスピーカーはApple Musicと高度に協調作動する。Apple Musicのライブラリーにある曲ならなんでもスピーカーに向けて呼びかけるだけで再生できる。それ以外にも「これに似た音楽をもっと再生」と指示したり「この曲はいいね」などと言うことができる。

ユーザーはニュース、天気、スポーツの試合の結果その他、Siriが理解できるような他の情報をこのスピーカーに求めることができる。また照明、ガレージドア、エアコンその他がHomeKit対応デバイスである場合はHomePodに話しかけることでコントロールができる。

興味ある点は、今日のWWDCでAppleがAirPlay 2を発表したことだ。これはWiFiを通じて複数のスピーカーをコントロールできるシステムだ。多くのユーザーが複数の部屋で音楽を聞くために複数のスピーカーを買うのではないかと思う。

HomePodの価格は349ドルになる予定だ。カラーバリエーションは白とスペースグレイという。当面アメリカ、イギリス、オーストラリアで販売が開始される。他の国での発売は来年になる。

現時点で判明した情報はざっと以上のようなものだ。秋までにさらに詳しい情報が得られるものと思う。ただAppleはHomePodの発表をあまり華々しいものにはしなかった。Appleとしてもだいぶ遅れてこの市場に参入することになるのを知っており、キャッチコピーなどよりまず実物で優れたスピーカーであること実証したいようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Arduinoをベースにして電子回路製作を楽しむ(学習する)Code Kit

知育玩具にはあまり興味を感じない。どちらかの狙いが強すぎて、結局は虻蜂取らずになってしまっているように思うのだ。ただ、LittleBitsのCode Kitは、うまく両者のバランスを取っている様子。役立つ知育玩具というものがあるのだと、認識を改める必要があるのかもしれない。

Code Kitは第3学年から小学校中学年から中学生用向けに開発された、299ドルの教材だ。対象学年に応じて、かなり頑丈な作りともなっている。

LittleBitsは、バッテリーやスピーカー、あるいはスイッチなどのパーツで構成され、磁石の力でそれぞれを接続して電子回路を作ることができるようになっている。接続可能な組み合わせであれば引っ付き合い、接続不能な同士の場合は磁石が反発するようにもなっている。ショートさせてパーツを壊してしまう心配もないというわけだ。

キットのベースにはArduinoが採用されている。インプット/アウトプットデバイスと、充電池がセットになっている。キットはワイヤレスで動作するようになっているので、プログラムは、キット同梱のUSBドングルを用いて行うことになる。

プログラミングはScratch風にドラッグ&ドロップで簡単に行うことができる。キットを私の子供に渡してみたが、数分でサンプルのコードを書くことができたばかりか、コーディングの方法を教えると、30分ほどでプログラムを改造してオリジナルのゲームを作ることさえできた。コーディングの指導にあたる教員も、プログラミングの概念さえ知っていれば、数分でこのキットを使いこなせるようになるはずだ。

パーツの構成もよく考えられているように思う。ブレッドボード化しているのも扱いやすいし、接続に磁石を用いているのも簡単かつわかりやすい。組み合わせ次第でさまざまな可能性を実現できるのも良い。LittleBitsは、これまでにもプロダクトをリリースしてきたが、いずれも面白さの面からも、教育的効果の面からも不十分なものだと感じていた。そこから考えれば大いに進化したといって間違いない。IoTないしプログラミングの基礎を学ぶのに、なかなかよくできたキットだと思う。

本格的な電子工作を学習するなら、とにかくハンダ付けを繰り返したり、壊れたステレオをいじってみるのに勝るものはないのかもしれない。しかしLittleBitsは、懐かしの「ヒースキット」(Heathkit)など昔ながらの電子工作キットを、さまざまな面で現代的にしたものと言えるのかもしれない。ただし利用している9V電池は舐めないことをおすすめする(訳注:lick the 9 voltで検索するとさまざまな動画がアップロードされている)。

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(翻訳:Maeda, H

元ソニー・VAIO企画担当が開発した画像共有デバイス「Hale Orb」が40時間でIndiegogoの目標額を達成

離れて暮らす家族に写真や動画を共有する、という時に、どのような方法を思いつくだろう。PCやスマホ、タブレットを使い、メールやSNSを経由してやり取りする、というのが、現時点での主なやり方だろうか。ただし、シニア世代にとっては、スマホやPCを使うこと自体が難しく感じられる、という人も多い。このため紙にプリントした写真を郵送したり、動画ならDVDやBlu-rayディスクに焼いて送ったり、といった方法もまだまだ現役だ。そんな中、シニアでも操作が分かりやすく、テレビで家族から共有された写真や動画を見ることができる「まごチャンネル」のようなIoTデバイスも出てきている

今回、アメリカのクラウドファンディングサイト「Indiegogo」で、40時間で2万ドルの目標額を達成した「Hale Orb(ハレ・オーブ)」も、家族からメールやSNSで送られた写真やビデオをテレビ画面で簡単に表示できる、IoTデバイスだ。

Hale Orbは目標額を達成したことを受け、日本への配送予約も受け付けることになった。6月30日までプレオーダー受付を予定しており、プレオーダー価格はプラスチック製のLatteが139ドル、木製のDark Woodが199ドル(いずれも送料別)となっている。プロダクトは2017年12月、北米から出荷開始を予定している。

美しいコントローラーでテレビ上の画像を操れる「Hale Orb」

Hale Orbは、リモコンとなる「Orb」、テレビに接続するHDMIスティック、そしてアカウント管理やメディアを保存するクラウドサービスから構成される。HDMIスティックをテレビに差し込み、Wi-Fi接続を設定すれば、アップロードされた写真や動画をテレビで見ることができるようになる。

Hale Orbでは、家族がそれぞれのSNSに写真を投稿したり、メールに写真を添付することで、家族専用のプライベートアルバムをクラウド上に作成できる。アルバムの共有に特別なアプリは不要で、Google、Dropbox、Facebook、Instagram、LINEなどに保存した写真や動画を同期することが可能だ。今後、写真とビデオのアップロードをより簡単にするスマホアプリの提供も予定されているそうだ。

閲覧する側は、家族から投稿された写真や動画を見るだけであれば、メールやSNSのアカウントは不要。スマホやPCを使わずに、テレビに家族の写真やビデオを表示することができる。つまり、PCやスマホが苦手なシニア世代でも、家族からプレゼントされたHale Orbを使って、共有された画像を見ることが可能だ。

球体の独特の形をしたOrbは、新しい画像が共有されたことを光の点滅で通知し、テレビ画面上に並んだ画像を選択したり、表示したりするためのリモコンだ。最初の動画を見てもらえば分かると思うが、わずかに傾きのある球の上部を推すとスイッチが入り、回すとテレビ上で画像をスライドさせて選択できる。Orbにはプラスチック製の「Latte」と高級感のある木製の「Dark Wood」の2種類が用意されている。いずれも触った感じが気持ちよさそうで、デバイスというよりはリビングに置いておけるインテリアという雰囲気のデザインだ。

スマホの画面に縛られない新しい体験を作りたかった

Hale Orbを提供するのは、サンフランシスコを拠点とするDouZen。ソニーで「VAIO」や「CLIE」の商品企画を担当した後、「Misfit Shine」などのシリコンバレーのプロジェクトにも関わった日本人、三浦謙太郎氏が創業した企業だ。三浦氏は学生時代も含め、20年以上ベイエリアにいて土地勘があり、共同創業者で技術担当のJulian Orbanes氏(MITメディア・ラボでUIを研究していた)も米国在住だったことから、米国での創業を決めたという。

DouZenには、三浦氏、Orbanes氏のほか、電気設計技術者や車・医療関連機器の試作・製造のスペシャリスト、サーバーエンジニア、プロダクトデザイナー、UXデザイナー、組み込みソフトウェアエンジニアなどが集結。日米在住の日本人、アメリカ人が参加しているそうだ。

Hale Orb開発のきっかけについて尋ねると、三浦氏は「2014年の中頃から『スマホの画面に縛られない新しい体験』をデモ的に作ろうと考え始めていた。ちょうどその頃、TVにDouZenで開発した高速UIを表示できるコンピュータスティックの価格がこなれてきたこともあり、さまざまなコンテンツの可能性を考えたが、ファミリー向けのものがいいと感じた」と答えてくれた。

「自分自身、5人の家族が日米で常に遠く離れており、メール添付で写真や動画をたまに送っているだけではどうも物足りなさを感じていた。あまり楽しくないし(やり取りの)頻度も低い。しかしそれが唯一『みんなが使える』共通のやり方だったのでしょうがなかったのです。(共同創業者の)Julianに話すと、彼も似たような問題意識を自分の家族内での(写真)シェアについて感じていた。それなら製品にしない?というのが本格的なスタートです」(三浦氏)

Hale Orbの球状の独特の形は、どのように決まったのか。三浦氏は「もともと『ボワーっと光って通知する物体』というのと、『回転型のインターフェイスで、ものすごく簡単に高速にナビゲートできる』というのが漠然とあった」という。「加えて『家庭用なので温かみが欲しい』『あまりガジェットや工業製品感を出したくない』『とはいえ、あまりDIYのクラフト製品っぽくするとプロダクトとしての魅力がない』といったさまざまな議論の中で、『やはり球がシンプルで美しい』という思いが出てきた。すぐに知り合いのエンジニアの方にお願いをして、3Dプリントで試作品を作ったら、最初からその大きさが手のひらに収まって、ちょうど良かったのです。周りに触ってもらっても評判がよく、その後デザインの微調整はありましたが、外寸はほぼ当初のままです。我々はもともとはUI屋なので、当初から『回して横方向で気持ちよくスクロール』といったユーザーインターフェイス上のコンセプトがありました。それと円・もしくは球がマッチしたということですね」(三浦氏)

素材については「いろいろな物を検討したのですが、あまり最初からいろいろはできないので、当初のコンセプトどおり、まずは木材と樹脂の両方で行くという結論に至りました。今後はもっと増やしたいとは思っています」と三浦氏は答えている。

Hale Orbの機能についても聞いてみた。Google HomeやAmazon Echoなど、スマートホームのハブとして多機能のデバイスが登場している中で、「写真・動画の共有」に機能を絞った理由は何か。三浦氏は「まず、Orbを『汎用のマウス』的な立ち位置にしてしまうのは避けたかった」と説明する。

「メディアの音量をコントロールしたり、室温管理をしたり、フォトショップのブラシのサイズを変えたり、“なんでもIoTコントローラー”にすることで(汎用化すれば)、あくまでもサブのインターフェイスになる。また、一つ一つの操作が『浅い』体験になり、ユーザーに刺さらないのではと考えた。そこで、あえて専用の体験を深掘りするために、ゼロから作ることにこだわりました」(三浦氏)

三浦氏はHale Orbのユーザーエクスペリエンスについて、「コアにあるのは『大量のビジュアルコンテンツを、大画面で心地よくナビゲートしたり検索する体験』。当初は『狭く深い専用体験』を極めつつ、その後市場の要望に応じて進化させていきたいと思う」と述べている。

ちなみに、Google HomeやAmazon Echoに関しては、今後のHale Orbのアップデートで連携する予定もあるという。ホームコンピューティングのコントローラーとしての機能拡大も検討されているのだろうか。三浦氏によれば、「機能拡大は考えている。我々の考えではボイスコントロールは今後普通になるが、“ボイスだけ”ではある種のコンテンツに関しては限界があると考える。とっつきやすさという意味でもボイスコントロールはある層には問題があると思うので、『フィジカルなOrbのUI+ボイス』でいくのが良いだろうと考えている」とのこと。

「“Hale Orb単体での(独自の)ボイス体験”を加えることが本命ではあるが、ボイスアシスタントも今後増えていく中で『Alexa、Hale Orbで最新の写真のスライドショーを始めて』というような連携は比較的簡単なため、すぐにやりたいとは思っている」(三浦氏)

通常価格については今のところ、199ドルから399ドルが予定されている。リテラシーの低いシニアを含むファミリー層をユーザーとして見た場合、共有画像がテレビで見られるという機能だけの価格としては、少々お高いのではないか、と感じられる。

この点について、三浦氏に尋ねると「周辺機器として見てしまうとその通りだが、『楽しく簡単に、家族が全員飽きずに常に参加できる体験』という部分をいかに伝えられるかだと考えている。特に米国では100ドル以下を目指したいところだが、今は価格の最適化よりも、体験の最適化を重視している。今後、台数が出せればもっと価格も下げられる。また、月額制でサービスをプラスしていくなど、ビジネスモデルによってはハードの価格をもっと下げられるので、そうした可能性も検討している」ということだった。