The Cloud Native Compute Foundation(CNCF)が倒産したRethinkDBのソースコードを取得

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珍しいニュースだ。Cloud Native Compute Foundation (CNCF)が今日(米国時間6日)、RethinkDBの著作権と資産をコード込みで取得し、それをLinux Foundationに寄付したことを発表した。RethinkDBは、ベンチャーキャピタルからそのオープンソースデータベースに対して、およそ1220万ドルの資金を調達していたが、2016年10月の時点で倒産した。CNCFは、今回の取引のために2万5000ドルを支払ったと述べている。コードはApacheライセンスの下で利用可能になる予定だ。

CNCFは、Linux Foundationが支援するプロジェクトで、データベースよりもコンテナ(Kubernetesが最も有名なプロジェクトだ)に注力している。よってRethinkDBをLinux Foundationへ移管し、自ら保守は行わないということは特に不思議ではない。RethinkDBはすぐにクラスタリングが使えるという点が注目に値する。ということで、CNCFとRethinkDBのミッションには既に重なる部分もあるのだ。CNCFのメンバーに名を連ねるのは、Cisco、Docker、Google、CoreOS、Intel、IBM、RedHat、Samsung、そしてMesosphereといった企業だ。

典型的なケースでは企業自身がLinuxやApacheのような組織にコードを寄付することになる。2万5000ドルという金額は、ここに関わる企業たちにとってはもちろん大金という訳ではないが、Linux Foundationに聞いたところ、破産後ではRethinkDB自身にコードを寄付する決定はできなかったということだ。

私がこのことについて、CNCFのエグゼクティブディレクターであるDan Kohnに尋ねると「RethinkDBは著作権をもう持っていなかったのです」という答えが返ってきた。「Rethinkにお金を貸していた者がいて、担保を設定していたのです。担保を設定していた者が著作権も所有していました。この者に2万5000ドルを支払い、著作権と資産を購入したのです」。

以前の運営母体では、RethinkDBはGNUアフェロ一般公衆ライセンス (version 3)を使用していた。それに対してLinux Foundationは、ライセンスの制限によって、プロジェクトに寄与する会社は殆どないだろうと主張していた。このことは、RethinkDBの会社自身がプロジェクトのコアコントリビューターの間は大きな問題とはならなかったが、会社が倒産した後は、コードはほとんどGitHubの上に残されることになった。

「CNCFは、少しの寄与で莫大な投資を救済できる機会だと見たのです」とKohn。「RethinkDBは数百万ドルにも及ぶ価値を生み出し、様々なプロジェクト、企業、そしてスタートアップで利用されています。今やソフトウェアは、Apacheライセンスの下で利用可能になりました。RethinkDBコミュニティは自分自身で、将来の道筋を定義するチャンスを得たのです」。

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(翻訳:Sako)

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パブリッククラウドプラットホームにおけるAWSの王座は今後も揺るがず

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Amazonは木曜日(米国時間2/2)の決算報告の中で、同社のクラウド事業部Amazon Web Servicesの収益についても発表したが、それらは意外性とはほど遠いものだった。AWSの成長率そのものは、そのライバルのように突出してはいないが、それでも47%の高率、142億ドルという驚異的な四半期売上で35億3000万ドルの利益を上げた。

Microsoft Azureなどの方が成長率が高い、とはいっても、彼らはそもそも、最初から分母が小さい。AWSは巨体になりすぎて、子どもの体の敏捷さを失っているだけだ。

MicrosoftやIBM, Google, そしてOracleやAlibabaまでも、クラウドの高い成長率を誇っているが、彼らを全部合わせてもマーケットシェアではAWSに及ばない。しかも彼らが今後どれだけ売上を稼いでも、市場そのものがものすごい高率で成長している。つまり長期的に見れば、彼らは一定のサイズのパイの分け前を争っているのではない。

今ではいろんな市場予測があって、どれが正しいのかよく分からないけど、IDCの数字では、昨年のパブリッククラウドの市場規模は950億ドルだ。同社は、3年後にはこの倍以上、すなわち2020年には1950億ドルと予想している。これが正しければ、どのクラウド企業にも巨大な市場機会があることになる。

同じくIDCが予測する2020年の全企業のIT支出の総計は、2兆7000億ドルだ。少なくとも当面は、全IT支出の中でクラウドサービスへの支出が、微々たる比率であることが分かる。

これよりも楽観的なForresterは、2020年のパブリッククラウドの市場サイズを2360億ドルと予測している。どんな数字になるにせよ、市場そのものが急成長していることは明らかである。

それはマーケットシェアを争う各社にとっては良いニュースだが、AWS自身も急成長していくわけだから、それに追いつくのは難しい。Amazonは10年以上も前に業界で初めて、パブリッククラウドをInfrastructure as a Service(サービスとしてのインフラストラクチャ)、すなわちIaaSとして市場化したが、その後数年間にわたり、この新しい業態に挑戦する競合他社は一社も出現しなかった。

今日では、Synergy Researchの数字によれば、マーケットリーダーであるAWSのマーケットシェアはとてつもなく大きい。変化の激しい市場だから一概に言えないとはいえ、Synergy ResearchのチーフアナリストJohn Dinsdaleの説では、AWSに追いつくことはMicrosoftにとってすら、非常に難しい。

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Dinsdaleは語る: “単純に数字だけから言っても、AWSと二位以下との差があまりにも大きいから、短期的には首位争いと言えるほどの競争はありえない”。しかもAWSは、大きなマーケットシェアに安住することなく、次々と新しいイノベーションを打ち出している。

“AWSはインフラへの巨大な投資を継続しており、サービスの幅の拡大と実行性能の向上にも継続的に努めている。そのビジネスは顧客企業の成長と共に成長し、また今では重要な存在であるAWSを、母体であるAmazonが長期的に支えている。数字から言っても、ビジネスの論理から言っても、規模とマーケットシェアでAWSに匹敵するような競合他社は、近未来においては存在し得ない”、とDinsdaleは言葉を継ぐ。

だから今後しばらくは、すべてのパブリッククラウドベンダが、驚異的な業績をあげるにしても、それはAWSのシェアを奪ってのことではない。むしろ、今でもAWSのマーケットシェアは拡大を続けており、新しい機能やサービスを非常に頻繁に加え続けているから、資本力と企業力で負けていないMicrosoftやGoogleでも、AWSのマーケットシェアに食い込むことは、当分のあいだ難しいだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

速報:Amazonの四半期は期待外れ―売上ダウン、利益アップ、株価はダウン

NEW YORK, NY - OCTOBER 27: Jeff Bezos, Chairman and founder of Amazon.com and owner of The Washington Post, addresses the Economic Club of New York, at the Sheraton New York Times Square Hotel, October 27, 2016 in New York City. Bezos discussed the future of Amazon, space travel, and his ownership of The Washington Post. (Photo by Drew Angerer/Getty Images)

シアトルではAmazonが2016年第4四半期の決算を発表した。eコマースの巨人の決算は437.4億ドルと予想を下回る売上となった。逆に1株あたり利益は予想を上回り、1.54ドルだった。今期の決算に関してウォールストリートの期待は高まっていた。アナリストの予測は売上446.8億ドル、1株あたり利益1.35ドルだった。

決算の数字が判明すると同時に時間外取引でAmazonの株価は急落した。Amazonによる2017年第1四半期の予測は売上が332.5億ドルから357.5億ドルとなっている。営業利益は対前年比でダウンするという予測だ。

投資家にとって前四半期は波乱含みだった。ウォールストリートは虚をつかれたかたちとなった。Amazonの1株あたり利益が78セントという予測より26セントも低かったからだ。1年を締めくくる時期にわずかの配当しかないことで株価は下落した。しかしムードは変わってここ数週間期待が高まっていた。

Amazonの株価は先月8.7%アップした。Amazonが急速に事業の多様化を進めることを投資家が信頼していたことが読み取れる。GoogleとAmazonはともに多様なプロダクトやサービスを展開しており、それらの事業を収益化しようと苦闘している。しかしこれまでAmazonはいくつかの面でGoogleに勝っていた。Amazonはクラウド化でもスマートスピーカーでもGoogleに先手を打った。AWSとAlexaは急激に巨大化している。

AWS自身のビジネスの成長に加えて、投資家はクラウド事業はeコマース事業と比較して人件費などの運営コストがはるかに低いことを好感している。

決算発表はさきほど行われたばかりなので、現在さらに詳細を取材中だ。新しい事実がわかり次第アップデートする。

画像:Drew Angerer/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google Cloudは新作のWindows VMで長年のMicrosoft顧客を取り込む努力へ

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Googleは今日発表したいくつかの新製品により、会社のデータセンターでWindowsを使っているITのプロフェッショナルたちをGoogle Cloud Platform(GCP)に誘いこもうとしている。

その魂胆でGoogleはまず、Microsoft SQL Server EnterpriseとWindows Server Coreを同社のCloud Platformでサポートする。同時に同社は、クラウド上で重要なオペレーションを動かしている顧客の可用性と事故復旧に関する懸念に応えて、SQL Server Alway-On Availability Groupのサポートも行う。

これによってITのプロたちは、これらのMicrosoftプロダクトが動いている構成済みの仮想マシンを、Google Cloud Platform上にローンチできるようになる。それらは、時間制で課金されるが、SQL Serverのライセンスは、彼らの既有のものをそのまま使える。

Google Cloud Developer Toolsの主席プロダクトマネージャーChris Sellsによるとこれは、Windows製品をGCP上でサポートする大きな戦略の一環だ。彼によると、最初はとにかく、これらのWindowsプロダクトを動かしているエンタープライズ顧客に、Googleが十分対応できることを見せつける。しかもそれは、昨年GoogleがSQL Server 2008と2012のサポートを開始したときに始まった、大局的な取り組みの一環でもある。今日の発表は、それの、さらなる拡張にすぎない。

おそらくもっと重要なのは、Microsoftの製品は使うけどMicrosoftに縛られたくはない、という企業に、Googleが格好の代替選択肢を提供することだ。“Microsoftにもこれらの能力はあるし彼らはWindowsとSQL Serverのオーナーでもある。しかし最近では、Microsoftに代わるものを求める企業がとても多くなっている”、とSellsは述べる。そこでGCPは、そんな人たちを自分のプラットホームへ誘惑したいのだ。

2015年の後半にGoogleは、Diane GreenをGoogle Cloudのトップとして招聘したが、大きな変革はその時点から始まった。Greeneはエンタープライズ経験のベテランであり、VMwareの協同ファウンダー/CEOでもあった。昨年の春Greeneは本誌に、“これからのエンタープライズはものすごくおもしろい”、と語った。つまりエンタープライズ指向はGoogle全体としての今および今後の方向性であり、彼女はGoogle Cloud Platformでその一翼を担いたいのだ。

Sellsによると、今回の発表もGreeneのエンタープライズビジョンの実現努力の一環だ。Google全体のエンタープライズ指向から見ればまだ小さな努力にすぎないが、伝統的なエンタープライズ市場のマーケットシェアをGoogleが少しでも削りとり、それを同社のクラウドへ連れ込もうとする、周到な取り組みの一環だ。

“彼らが自分のデータを置く場所として、GCPは最良の場所でありたい。そしてそれらのデータが、SQL Serverに載っていようが、何に載っていようが、何でもそのままサポートできることを、実感してもらいたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleのG Suiteでアドミンのためのセキュリティ管理機能が拡充、企業ユーザーに安心感を持ってもらうため

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今や300万あまりの企業が有料で、Googleの生産性アプリケーションG Suiteを使っている。今日(米国時間1/31)同社は、これらの企業のデータが同社のプラットホーム上で安全であるために、いくつかのセキュリティ機能をローンチした。

たとえばこれからのアドミンは、ユーザーがYubicoなどの物理的なセキュリティキーを使うよう強制できる。さらにそんなキーの展開配布形式を管理できるし、利用報告書も入手できる。Googleによると、オンライン決済サービスのStripeはすでにこの機能を利用しており、Security Keyを新たなセキュリティレイヤ(層)として加えることによって、社員をフィッシングの被害から防いでいる。

また今回のアップデートでGoogleは、データ喪失防止サービス(data loss prevention, DLP)をGmail以外にも拡大した。言い換えるとこれからは、DLPがサポートされるのはGmailだけではない。アドミンはDLPをGoogleドライブで有効にできる。Gmailの場合と同じくDriveでも、社員が間違いや意図的に機密データを外部と共有できないようにする。ルールは文書の内容だけでなく、画像についても指定できる(OCRを使用)。

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メールのセキュリティの改良としては、今度からはS/MIMIの暗号化に企業が独自の証明を利用できる。また、Gmailの検索をBigQueryで容易にできるようになった。さらに、メールをGmailやGoogle Vaultの外にアーカイブしたい企業は、HP AutonomyやVeritasなどのサードパーティのサービスを、前よりも容易に統合できる。

最近のG Suiteの機能拡充は、今回のセキュリティ機能も含めて、企業が自分で独自のサービスをホストしたり、競合他社のサービスを利用する理由を、なくそうなくそうと努力している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleが近くGoogle Earth Enterpriseをオープンソース化、ユーザーのクラウドへの移行を誘導

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Google Earth Enterpriseは10年あまり前にローンチし、Google EarthとGoogle Mapsのプライベートバージョンを作りホストして、自前の地理空間的アプリケーションを提供したいと考える企業のツールとして利用されてきた。2015年に同社は、そのサービスを2017年に閉鎖すると発表したが、廃れるプロダクトの通例としてGoogleは今週、Google Earth Enterprise(GEE)の中核的なツールのすべてをオープンソースにする、と発表した

これによりGEE Fusion, Server, そしてPortable Server(全部で47万行のコード)がGitHub上で3月からApache 2のライセンスで利用できる。GEE ClientやGoogle Maps JavaScript API V3、およびGoogle Earth APIはオープンソースにならないが、Enterprise Clientのアップデートは今後も継続する。

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Googleとしては、既存のGEEユーザーはGoogle Cloud PlatformとGoogle Earth Engineに移行してもらいたいところだが、近く廃止されてもGEEから離れたくないユーザーもいる。当然ながら同社が今回の発表をしたのも、同社のクラウドベースの地理空間的サービスを宣伝し、この新しいアプローチがパブリックなデータセットへのより柔軟性に富んだ、そしてより容易なアクセスをユーザーに提供する、と言いたいからだ。

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Google G Suiteの有料ユーザー企業が300万社を超えた

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今日(米国時間1/26)の決算報告でGoogleのCEO Sundar Pichaiが、同社の生産性ツールG Suiteの採用数がまた新たな節目を迎えたことを発表した。彼によると、“G Suiteは前四半期に顧客数における大きな節目を達成し、今や300万あまりの有料企業ユーザーがG Suiteを使って、クラウド上でスマートでセキュアなコラボレーションを行っている”、ということだ。

この前Googleが同様のマイルストーンを発表したのは2015年11月で、そのときは、名前がまだGoogle Apps for Workだったこのサービスの有料ユーザー数は200万社とされた。

PichaiによるとG Suiteが企業ユーザーに人気があるのは、同プラットホームのセキュリティがきわめて厳格であるためだ、という。またG Suiteの(そしてGoogle Cloud Platformの)パートナー事業も、継続的に拡張されている。“弊社の顧客とパートナーは、Google Cloudのプロダクト展開が迅速なことと、ニーズや要望に対する応答性の良さを高く評価している”、と彼は付言した。

今のGoogleは公然と、企業顧客拡大努力を繰り広げている。対象は生産性ツールG Suiteとクラウドコンピューティングプラットホームの両方だ。昨年9月のHorizonイベントで同社は、同社のクラウドインフラストラクチャと生産性ツールを一体的にみなして、その全体をGoogle Cloudと呼んでいた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Cloud Native Computing Foundationが5つ目のホストプロジェクトとしてLinkerdを加える

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よく知られているコンテナ管理システムKubernetesをはじめ、各種のオープンソースのコンテナオーケストレーションサービスを提供しているCloud Native Computing Foundation(CNCF)が、その5つめのサービスとしてLinkerdを加えたことを発表した(“リンカーディー”と発音する)。BuoyantでインキュベートされたLinkerdは、Kubernetes, Prometheus, OpenTracing, FluentdなどそのほかのCNCFのプロジェクトと肩を並べて、ユーザーのクラウドおよびコンテナ管理をサポートすることになる。

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CNCFのミッションは、“現代的な分散システム環境向けに最適化され、何万もの自己治癒型マルチテナントノードへスケールできるような、新しいコンピューティングパラダイムの作成と採用促進を図る”、とされている。

そのような全体像の中でLinkerdの役割は、上記のような、現代的で、もっぱらコンテナ中心型のアプリケーションに、いわゆる“サービスメッシュ”を提供することだ。Linkerdはスタンドアロンのプロキシで、その中心的な機能は、さまざまなサービスの相互コミュニケーションを支えることだ。サービスメッシュとは、何か。

“つまり、サービスAがサービスBに直接話しかけるのではなく、サービスAはLinkerdのインスタンスを介してBに話しかける。ただしそのときでも、正常な状態なら、AはLinkerdが介在したことを知る必要がない”、とBuoyantのCEOで協同ファウンダーのWilliam Morganは語る。彼は前にTwitterにいたとき、この種の問題を体験したことがある。“そして実際には、何十、何百、何千ものLinkerdインスタンスをデプロイすることになり、それらが堅牢で順応性に富むコミュニケーションの‘メッシュ’を形成する”。誰もがすでによく知っている一種のプロキシのように(たとえばWebトラフィックを扱うNginx)、Linkerdはアプリケーションの内部的トラフィックのために、それらと同様の機能を提供するのだ。

Morganによると、現代のアプリケーションは、Webサーバー -> アプリケーション -> データベースといった少数のサービスを単純に呼び出すのではなく、おそらく10以上ものマイクロサービスを呼び出すから、そういうコミュニケーションがなお一層、重要な課題になる。“私たちの基本的な信念として、現代のアプリケーションのアーキテクチャでは、丈夫なアプリケーションの要求がイコール、丈夫なサービスコミュニケーションの要求だ、と言っても過言ではない”、とMorganは述べる。複数のマイクロサービスで成り立つアプリケーションは、サービス間のコミュニケーションが命(いのち)、というわけだ。

Linkerdは言語を特定しないメッセージングレイヤを形成するだけでなく、ロードバランシングやエラー/レイテンシ対応など、マイクロサービス群で成り立つアプリケーションの健康な応答性を維持するための、そのほかのサービスも提供する。

Buoyantはこれまで、350万ドルを調達している。中でもLinkerdは同社の旗艦的オープンソースツールだが、でもいちばん注力しているのは、企業のクラウドネイティブアプリケーション(最初からクラウド育ちのアプリケーション)の、インサイトとコントロールを提供するHeliumだ。

では、その同社がなぜ、LinkerdをCNCFに献呈したのか? Morganによるとそれは、Linkerdをもっとも有効に活用できる企業は、すでに“クラウドネイティブな環境”をITのメインにしている企業だからだ。

“また、私たちにとって本当に重要なのは、

a) 具体的な価値を提供し、コミュニティが元気で、スタンドアロンのプロダクトとして通用する(==単独で機能が完備している)オープンソースのプロジェクトがあること、と、

b) ビジネスとして利益を上げ、優秀な人材を吸引でき、ほかの企業のために重要なインフラストラクチャの問題を解決できること、

このa)とb)のバランスの取れたスタートアップであることだ。CNCFはこのような二重性に対してきわめてオープンであり、またわれわれと同様に、その両方ができる、両方を上手にできる、と信じているからだ”、とMorganは付言した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー事業を強化 ― 米ヒューレット・パッカードがSimpliVityを6億5000万ドルで買収

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Hewlett Packard Enterprise(HPE)は本日、データマネジメント・プラットフォームのSimpliVityを6億5000万ドルで買収したと発表した。なお、買収費用は現金で支払われた。

「ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー」という分野にフォーカスする企業は数多くあるが、SimpliVityもその1つだ。まるでバスワードのような響きの単語だが ― 実際にバズワードでもある ―、その中心にあるアイデアは非常にしっかりとしたものだ:ハイパーコンバージド・システムとは、演算、ストレージ、ネットワークを単一のシステムにまとめたものを意味する。

SimpliVityの旗艦プロダクトは、OmniCubeと呼ばれるハイパーコンバージド・インフラストラクチャーを採用した装置だ。それに加えて同社は、Lenovo、Dell、Cisco、Huaweiのサービス向けにソフトウェアを提供している

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HPEが今回買収で狙うのは明らかに、SimpliVityのプラットフォームを取り込むことによってHPEがもつ既存のインフラストラクチャー、オートメーション、クラウドサービスを拡大することだ。

「今回の買収によって、HPEが提供するソフトウェアのケーパビリティを拡大できます。また、この買収は顧客にシンプルなHybrid ITを提供するという私たちの戦略と一致するものでした」と語るのは、Hewlett Packard Enterprise CEOのMeg Whitmanだ。「クラウド化が進むなか、安全で、高い回復力をもち、オンプレミスなインフラストラクチャーを求める顧客が増えてきています。まさにそこが、私たちがフォーカスする分野なのです」。

SimpliVityの創業は2009年。同社はこの数年間で4回の資金調達ラウンドを実施し、合計で2億7600万ドルを調達している。それらの調達ラウンドをリードしたのは、Kleiner Perkins Caufield & Byers、Accel Partners、DFJ Growth、CRV、Waypoint Capitalなどの投資家だ。2015年のシリーズDにおける同社のバリュエーションは10億ドルだったことを踏まえれば、今回の買収金額である6億5000万ドルという数字が投資家にとって巨大な利益を生み出したという訳ではなさそうだ。

HPEに話を移すと、同社は最近、事業の一部を売却したことが報じられている。例えば、昨年9月にHPEは同社のソフトウェア部門のほとんどを合計約88億ドルで売却している。また、11月にはOpenStackとCloud Foundry関連のアセットをSUSE(Micro Focusの子会社)に売却している。おそらく、同社は事業売却によって得たキャッシュを利用して今回の買収を行うことで、ハイパーコンバージド分野への参入とポジションの強化を狙っているのだろう。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

プリンターのように印刷ーーAPI型印刷クラウド「コーデンベルク」がリリース

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パソコンのボタン1つで、オフィスや自宅にあるプリンターから資料が印刷できる。それと同じくらい簡単に、本格的なデジタル印刷機で自社のチラシや販促物の印刷ができたら楽だろう。本日正式リリースしたAPI型印刷クラウドサービス「Codenberg(コーデンベルク)」が目指すのはまさにそのような世界だ。

フライデーナイトが手がける「コーデンベルク」は印刷工場と連携する印刷サービスだ。例えばチラシを印刷したい場合、コーデンベルクにデータを入稿し、用紙の種類や加工を指定して発注する。ダッシュボードからは、オフィスのプリンターさながら、現在印刷待ちや印刷中といった状況もリアルタイムで把握でき、これまでの印刷履歴も確認できる。dashboard

料金は印刷料と送料がかかる。月に100部まではサービス利用料はかからないが、それ以上利用する場合は月額プラン1万9800円に加入する必要がある。また、開発者向けにはAPIを提供している。企業やブランドは自社システムにAPIを組み込んで印刷の発注と管理を自動化することも可能だ。

チラシでも効果測定

コーデンベルク最大の特徴は、1部からでも印刷できる点だ。これにより例えば、チラシに1枚1枚個別のQRコードやクーポンコードを載せたり、各カスタマーにパーソナライズした販促物を作成したりすることができる。今まで印刷物では難しかったパッケージのA/Bテストや効果測定を行うことも可能になる。デジタルでは当たり前にできたことが、オフラインの印刷物でも簡単にできるようになるのだ。

通常印刷会社ではオフセット印刷を用いるため、このように柔軟な印刷のニーズに応えるのが難しかったとフライデーナイトで取締役CTOを務める木村俊範氏はTechCrunch Japanに話す。オフセット印刷では印刷の版を作成する必要があるため、手間と人件費がかかる。

フライデーナイトは佐賀県にある老舗の印刷会社サガシキと資本業務提携を行っていて、コーデンベルクの印刷はサガシキのデジタル印刷機で行っているという。デジタル印刷機では版を作成することなく印刷ができ、小ロットでの印刷が可能だ。ただ、印刷物は単に印刷して終わりではなく、製品として出荷するには、断裁したり、加工したりする必要がある。コーデンベルクでは、小ロットの印刷サービスを実現するために、印刷工場のラインを充実させることに力を入れているという。

フライデーナイトは、デザイン会社を経営していたCEOの長沼耕平氏とコンサルティング会社を経営していたCOOの中村直彦氏は2005年1月に立ち上げた会社。その後2016年7月よりコーデンベルクのベータ版を公開し、本日正式リリースに至った。

コーデンベルクでは今後チラシに加え、箱や冊子などの印刷物に対応していくとのこと。また小ロットごとの個別配送にも対応予定だという。

印刷工場には断裁、加工、組み立てなどの工程があるが、コーデンベルクは将来的に、そのような工場のリソースもネットワークでつなぎ、開放できるようにしたいと考えている。コーデンベルクはアマゾンAWSのようにリソースを割り振り、さまざまな人と印刷工場とがつながる世界の実現を目指している。

ChefやAnsible以外のクラウド管理ツールが必要なワケ―、Mobingiが2.5億円のシリーズA調達

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クラウドやサーバー群の管理・自動化のツールといえば、ChefやAnsible、Terraformなど、すでにたくさんある。Dockerのようなコンテナ型仮想化ツールの普及と相まって、ますますクラウド上のシステムは柔軟でプログラマブルになってきている。ツールや言語といった好みの違いはあるにせよ、今さらクラウド管理ツールが他に必要なように思えないという人もいるのではないだろうか。

日本を拠点に創業したスタートアップ企業Mobingi(モビンギ)のクラウド管理SaaSは、ジャンルとしてはChefに似ているものの、全く違うビジネスモデルとターゲットユーザー層の組み合わせを想定していて、企業が持つアプリのライフサイクル全体を管理するプラットフォーム作りを始めている。

クラウドのデスクトップを作る

2015年にMobingiを創業したWayland Zhang(張卓)氏は「クラウド・コンピューティングのデスクトップを作っている」と狙いを説明する。

「既存のAnsible、Chef、Dockerなどのツールは全て開発者をターゲットにしています。アプリのライフサイクル全体をやろうと思うと複数ツールを組み合わせる必要がありますし、それらを使いこなすための、非常に優秀なエンジニアが必要になります」

「今のクラウドコンピューティングには画面がありません。Windows以前のMS-DOSのようなもので、文字でコマンドを打ち込んでいる状態です。われわれMobingiが作りたいのはクラウドにとってのWindowsデスクトップのようなものです」

ChefやDockerなどは、すべてAPIがあってプログラマブルだから抽象化や自動化の恩恵が得られる。ただ、ターゲットはガチのソフトウェア・エンジニアやインフラ技術者だけだ。OSSプロジェクトとして人気があり、とてもうまくコミュニティーによる開発が回っているように見えるが、ビジネスモデルとターゲット層を考えると、違うモデルがあるべきなのではないか―、というのがMobingiの言い分だ。

クラウドの潜在ユーザー層は現在よりずっと広い。自社でソフトウェア開発をしている企業やエンジニアでも「実際にはVMすら立ち上げられないのが現実」(Wayland氏)とユーザー層もある。ちょうどCUIがGUIとなってユーザー層が一気に増えたPCと似た議論だ。

面白いのは、Mobingiはクラウドのノウハウを持たないとか、ネット系の技術力が不足している層だけがターゲットではないということだ。すでにクラウドのノウハウを持っているネット系企業も対象で、特に新規事業を立ち上げるときに必要なクラウドリソースの調達といった場面では、「やれば自分たちでできるとしてもMobingiのようなツールを使うようになっていくだろう」という。小窓ラインインターフェイスを使いこなすソフトウェアエンジニアであっても場面によってはGUIを使うというのに似た話かもしれない。

Mobingiは具体的プロダクトとして、AWSなどパブリッククラウドのデプロイ、環境セットアップ、アプリの自動スケール、監視、ログ分析などの運用、をWebベースのUIで提供する「mobingi Cloud SaaS」を提供する。例えば、AWS利用の場合の自動スケーリングではインスタンス起動リージョンやインスタンスサイズ、スケールさせるサーバー数の上限・下限を決めるなどポリシー設定しておけば、Elastic Load Balancer、VPCなど必要な機能を自動で設定してくれる。AWSには需給に応じて利用料が変わるスポットインスタンスというVMがあるが、これをうまく利用してコスト削減を自動化するSpot Optimizer機能も提供する。ライフサイクル自動化では、Docker、GitHub、Jenkins、Travis、Fluentd、Datadog、Mackerelを利用できる。mobingi SaaSはパブリッククラウドのほかに、OpenStack、vSphere、CloudFoundry、Kubernets、Apache Mesosなどプライベートクラウドも含めて複数のクラウドを同じUI/UXで管理できる。顧客データセンターのオンプレミス環境でMobingiを運用できるエンタープライズ版も提供する。SIerがMobingiを使ってシステム開発をして、それを顧客に売ることもできるという。

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開発者と利用する企業ユーザーは別

Mobingiのターゲットユーザーは意思決定権(決裁権)を持つビジネスパーソンや開発チームやプロジェクトのリーダーたちだという。こうしたユーザーはChefやDockerを直接扱えない。ChefやDockerは素晴らしいソフトウェアでオープンソースプロジェクトとしても成功している。しかし収益をあげるビジネスモデルは、今のところまだ良く分からない。開発者に愛されても、それがそのままビジネスになるとは限らない。むしろ、Red HatがLinuxでやったように、あるいはGitHub Enterpriseがgitに対して果たした役割のように、ビジネスモデルの変革が必要なのだというのがWayland氏の言い分だ。

Mobingiはオープンなプラットフォームとして提供する。Mobingi利用者側の企業には開発者もいて、自分たちのニーズに必要な「アド・オン」などを開発する。監視やロギングなどのツールだ。こうした開発面はオープンソースコミュニティーモデルで行う。開発者のインセンティブとして、もちろん自社利益ということもあるが、プラットフォームへの貢献や承認欲求、自己表現、技術力の分かりやすい示し方といったことになる。プロジェクトで認められるとイベント講演への招待もあるだろう、とMobingiのWayland氏はいう。Mobingiは「エンジニア=ビジネス=プラットフォーム」という三角形のモデルということで、OSSプロジェクトの良さを持ちつつ最初からビジネスを取り込む試みということのようだ。

これはセールスフォースのクラウド開発プラットフォームに近い考え方だ。実際、セールスフォース傘下のPaaS、Herouも2015年からHeroku Enterpriseと企業向けサービスを出すなど、単に開発者に愛されるだけでなく、ビジネスパーソンたちに顔を向けた仕組みをリリースするなどマネタイズを模索している。

日本に法人を戻して2.5億円の追加資金調達

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Mobingi創業者のWayland Zhang(張卓)氏

Mobingi創業者のWayland氏は中国・瀋陽生まれの33歳のエンジニア起業家だ。高校生だった18歳からカナダ在住だったそう。カナダの大学在学中だった2004年にストリーミング動画サービスを立ち上げて月商8000ドルまで成長させたり、中国のSNS向け広告プラットフォームを立ち上げて2009年に売却。さらにゲームエンジンのスタートアップ企業を起業して2013年に日本企業へ売却するなど、起業家として成功を重ねてきた。日本企業へ売却した関係から日本の顧客と接点があり、Mobingiのニーズに気づいたという。

当初Mobingiの法人は日本で設立。チームメンバーも日本人が多い。ただ、米500 Startupsからのシード投資を受けたことからいったん本社を米国を移動した経緯がある。今日1月16日には既存投資家であるアーキタイプベンチャーズ、Draper Nexus Venturesから追加でシリーズAラウンドとして2億5000万円の資金調達を明らかにし、このタイミングで再び法人を日本に移した形だ。Mobingiメンバーは現在11人で、8人がエンジニア。Mobingi SaaSの登録アカウント数は2000。800〜1000がアクティブユーザーだ。有料版を利用しているのは20数社で、顧客には富士通、ヤマダ電機などが含まれる。

日本のクラウド普及は、他国に比べて結構進んでいて、AWSの売上の10%程度は日本。「中国は2、3年遅れている。いずれ中国のクラウド市場も狙いたいが、まずは日本企業の中国進出や、その逆をやりたい」とWayland氏は話している。

エンタープライズソフトのAtlassianがプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収

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今日(米国時間1/9)、エンタープライズソフトのAtlassianはプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収した。この取引の大部分(3億6000万ドル)はキャッシュ、残りはRSU〔制限付き株式〕とオプションとなる。買収の完了は2017年3月17日となる見込み。

これはAtlassianの18回目の買収となる。またAtlassianのプレジデント、Jay Simonが先週私に語ったところによれば、同社として過去最大の買収だということだ。Atlassianの他の買収同様、Trelloは企業としてもサービスとしても従来どおり運営が続けられる。当面、Trelloの現行ユーザーには影響はない。

TrelloのサービスはTechCrunch Disrupt Battlefield in 2011で発表され、その後2014年にFog Creek Softwareからスピンアウトして独立の企業となった。今回の買収でAtlassianは成長最速のプロジェクト管理サービスを傘下に収めることになる。 Trelloはユーザー数1900万で、100人弱の社員は全員がAtlassianに所属することになる。Fog Creekからスピンアウトする際、TrelloはBoxGroup、Index Ventures、Spark Capitalなどから1030万ドルの資金を調達している。

Organizing, assigning, and tracking tasks for a team is time consuming. Trello brings more productivity to your individual and team projects. It shows all of the projects from the entire team in a single glance. Assigning projects is easy, just put them in the assigned person’s or team’s list and when completed drag it to the completed list. Each “card” or task can be commented on and links can be added. Trello works across multiple devices and uploads files from Dropbox or Google Drive.

「われわれはたいへん興奮している。Trelloのプロダクトはブレークしている。すごい勢いだ」 とSimonsは私に語った。

TrelloのプロダクトがAtlassianのエンタープライズ生産性ソフトウェアに適合するサービスだ。Atlassianは、最近デベロッパーだけでなく一般のエンタープライズにもターゲットを広げている。例えば、Atlassianの中核的ソフトウェア、JIRAシリーズのプロジェクト管理サービスはTrelloのサービスによく似たホワイトボードのカンバン方式をオンライン化したKanban board機能を提供している。これはもちろんJIRAシリーズのソフトウェアのごく一部の機能にすぎないものの、プロジェクト管理に必要なのはこうしたカンバン方式の視覚化ソフトだけだという企業も多い。JIRAはフル機能の生産性ツールであり、レポート作製機能や、こうしたツールを独自サーバーによりオンプレミスで運営するエンタープライズ版も提供されている。

AtlassianはMarketplaceというブラグインのデベロッパー向けのストアを運営しており、Trelloがpower-upsと呼ぶプラグインも順次このMarketplaceに登場することになるだろう。また両社とも伝統的な企業向けセールス手法よりフリーミアム・モデルや口コミ(WOM)を重視するなどマーケティングのアプローチに共通性があることも注目すべきだろう。

Simonsは私の取材に答えて、「われわれの会社文化はよく似ている。両社とも月間アクティブ・ユーザ1億人を目指すという大目標に向かって進んでいる」と述べた。この目標を達成するためAtlassianは顧客ターゲットを従来のソフトウェアのデベロッパーから他分野に拡張している。今回の買収を伝えるAtlassianのプレスリリースが財務、人事、法務マーケティング、セールスなどの部門でTrelloが高い人気を得ていることを強調しているのはそういう理由によるものだろう。Trelloのユーザーの50%はテクノロジー以外の部門の人員だという。

将来の見通しについてSimonsは「AtlassianはTrelloの発展を助けることを約束している。AtlassianはTrelloがスケールアップするために十分なりソースを振り向ける」と語った。

Atlassianの第2四半期の決算発表は1月19日の予定だ。その機会に買収についてさらに詳しい情報が明かされるものと思われる。またAtlassianがTrelloのサービスを自社プロダクトに統合していく計画についても発表があるはずだ。

〔日本版〕restricted shareないしrestricted stcokは報酬、賞与の一種として発行される株式。譲渡が可能となる期日などの制限が付される。発行日以降に株価が下がっても権利が無価値となることがないなどストックオプションと異なる点がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NvidiaのGeForce Nowはクラウド上からゲーム用高速PCを提供する(20時間25ドル)

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Nvidiaが今日(米国時間1/4)のCESのキーノートで、PCのためのゲームプラットホームGeForce Nowのローンチを発表した。

キーノートには同社のCEO Jen-Hsun Huangが自ら登場し、今のPCでは多くの場合、現代的なゲームをプレイできないのは、現代的なグラフィクスカードを搭載していないという単純な理由からだ、と指摘した。そこでGeForce Now for PCsは、クラウドからの十分に高速なゲームサービスを提供して、その欠陥を補おうとする。

3月から始まるGeForce Nowは、20時間のプレーが25ドルだ。Huangは曰く、“それは要するに、GeForceを搭載したゲーム用PCのオンデマンド提供だ”〔いわば、最新高速PCの時間貸しレンタル〕。最新のPCゲームをプレイしたいけれど、手持ちのハードウェアが非力、という多くのユーザーが、クラウド上に提供される仮想PCを使うことによって、自分のマシンの上であらゆる現代的なゲームをプレイできる。Windows PCだけでなく、Macのユーザーが(Macから)利用してもよい(下図)。

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かつてのOnLiveプラットホームを使ったことのある人は、あれみたいなものか、と思うかもしれないが、でもOnLiveはゲーム企業からのサポートに大きく依存していた。今日のキーノートでHuangは、NvidiaのGeForce Nowプラットホームの上でSteamのゲームが動いているところを見せたから、これには、“Nvidia自身が何をサポートしている/いない”、というレベルの問題はない。

Nvidiaは前にも、GeForce Nowというブランドを使ったことがある。でもそれはゲームをユーザーのPCにストリーミングするサービスであり、ゲームがクラウドからライブで提供されるサービスではなかった。

Huangが強調するのは、このサービスを十分に高速にするために、相当な開発期間を要した、ということ。そして最近やっと、技術者たち自身が納得できるスピードと、十分に少ない(目立たない、気にならない)遅延が実現した。

ただし、単純にブラウザーからではだめで、このサービスを使うためには専用の小さなクライアントをダウンロードする。それをインストールしてゲームをスタートするまで、数秒しかかからない、と言っているが、ぼく自身はまだ試していない。

Nvidiaはこのサービスを、自社のデータセンターでホストしているのか、それともAWSなどのクラウドプラットホームを利用しているのか、それも不明だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

リセットボタンを押したGoogle

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Googleはこれまで8年間にわたり、1年を通して最大のイベントであるI/O開発者会議をいつでもサンフランシスコで開催してきた。

しかし、今年はキャンパスのすぐ横にあるマウンテンビューの円形劇場に移動した(しかも屋外だ)。今振り返ってみれは、その動きは象徴的なものに感じられる。多くの点で、2016年は、Googleにとって変化の年だった:驚きをもって迎えられたGoogle/Alphabet再編成以降最初の1年が経過し、Googleがハードウェア、クラウド、そしてエンタープライズ真剣に取り組んだ年でもあった。業界全体を見ると、2016年はAIと機械学習の年でもあった、そしてGoogleはそこで最先端を走っていた。

ではここで、Googleのミスを正しく認識してみよう:メッセージングアプリのAlloDuoのローンチは皆を混乱させ、殆ど使われていない;スマートウォッチには苦労を重ね、そしてAndroid Wear 2.0のの出荷を来年1月初頭に遅らせたとしても彼らのウェアラブル戦略を助けるものにはならないだろう;GoogleのレゴのようなスマートフォンプロジェクトProject Araも突然の死を迎えた

しかしGoogleが提供するプロダクトの数を考えれば、同社がしばしば的を外してしまうのも無理はない。なので、良い部分に目を向けてみよう。

昨年Googleはプロダクトポートフォリオを明確化し、以前はふわふわとうろついていた、潜在的に収益性のある市場に狙いを定めた。ハードウェアがその分かりやすい例だ。様々なハードウェア製造業者たちと、実質的にAndroid携帯のレファレンスとなるNexusブランドを何年も造り続けて来たが、Googleは今年その努力を捨てて、自身の名前とブランドの下にPixel携帯電話を立ち上げた。

それ自身大したことだったが、GoogleはさらにGoogleホーム (Amazon Echoへの挑戦)、Google Wifi 、新しいChromecastドングル、そしてDaydream VRヘッドセットなども立ち上げている。これほどの量のハードウェアがGoogleから発表された前例はない、しかもこれらのほとんどすべてがゼロから開発されたものだ。

グーグル・ホームオレンジ

Googleが独自のハードウェアを作ることについて真剣に取り組んでいるという証拠が必要な場合は、そのリストをもう一度読み直して欲しい(そこにPixel Cタブレットを追加することもできるだろう、これは2015年後半にローンチされて以来ずっと残っているものだ)。

これらの沢山のプロダクトとGoogleの全体的なAIに関する野望の中核にあるのが、自社のプロダクトラインを横断して動作する会話型パーソナルアシスタントとしてGoogleが構築しているGoogleアシスタントだ。

機械学習とAIに対する同社の関心はもちろん、新しいものではない、このアシスタントは、長年にわたるGoogleナレッジグラフや他のプロジェクト(Google開発している独自の機械学習チップなども含む)の成果の上に構築されている。

しかし、2016年のGoogleは、消費者に役立つAIの賢さを強調するための、沢山の新しい切り口を見つけた。Googleホームのアシスタントは市場に最初に出されたものではないが、私はAmazonの現在の成果よりもよりスマートでより便利だと考えている。そして、GoogleはまたTensorFlowや他のプロジェクトで、自分自身の仕事を再現し改善したツールを開発者コミュニティにバラ撒くことで、最後には自分自身に成果の戻ってくる種まきを行う方法を習得した。

GoogleはまたMicrosoftやその他の競合相手に生産性の分野で戦いを挑む際に、そのAIを自身の生産性ツールに持ち込み始めている。これらのツールは、以前はGoogle Apps for Work(あるいはEducation)という名前で呼ばれていたものだ。今年、Googleはその名前があまり良いものではないと判断し、その代わりに「G Suite」という名前を使うようになった。私はその名前を気に入ってはいないが、これもまたGoogleが期待を上回ろうと努力している証拠の1つだ。

おそらく最も明確にGoogleに起きた変化を示す1つの領域は、Googleクラウド(これも新しい名前だ)部門である。Googleは9月後半の小規模の非公開イベントで、G Suiteならびに開発者と小規模ビジネスのためのすべてのプロダクトがGoogleクラウドのもとに収まったことを発表した。内部的には、Googleはこれらの活動のすべてを指す名前として「Googleエンタープライズ」を使用していたが、どういうわけかこの名前はお気に召さなかったようだ。

そうした多くの変化、そしてAmazonとMicrosoftがここ数年で大きな前進をみせる中で、生産性ツールとクラウドプラットフォームにあまり手を掛けてこなかったGoogleが、ついにエンタープライズ市場に真剣に取り組むもうとする明らかな新しい取り組みを受けて、2015年にGoogleはDiane Greeneを取締役として迎えることになった。彼女の参加で、Googleは競合他社にそうした儲かる市場を譲るつもりがないことを示したのだ。

昨年から、AWSとAzureに対する競争力を高めるためにGoogleはそのクラウドプラットフォームのためのより多くのデータセンターの開設を始め、沢山のクラウドプロダクトを立ち上げている(一連の機械学習に基づくサービスも含まれている)、そしてコアとなる開発者プラットフォームFirebaseを立ち上げ、企業ユーザーにG Suiteアプリの使い方を教えるための教育会社も買収した。さらには企業向けの省コードアプリ開発ツールもローンチした。また、大企業のためにより役立つように、G Suiteアプリに数多くのアップデートを施した。

これらのほとんどは小さな動きだが、これらすべてを合わせてみるとGoogleがエンタープライズ市場に対しての取り組みに対してリセットボタンを押して、その市場を真剣に追い始めたことがわかる。

Alphabet/Googleの再編成は、おそらくこの変化を後押しするものだ、しかしそのことで事態を複雑にもしている。例えば、以前はGoogleの自動運転車のプロジェクトとして知られていたWaymoは、現在はAlphabetの子会社である。しかしそれはGoogle自身のプロジェクトを探す目的のためのもののようだ、実質的にすべての収益の源となり続けている広告機械以外の収益を探そうとしているのだ。

来年はどうだろう?Google I/Oは再びモスコーンで開催される、しかしGoogle自身の再発明はまだ終わっていないと思う。

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(翻訳:Sako)

GoogleがオープンソースのSaaS、Cloud Foundry Foundationのゴールド・スポンサーになる

MOUNTAIN VIEW, CA - SEPTEMBER 02:  The new Google logo is displayed on a sign outside of the Google headquarters on September 2, 2015 in Mountain View, California.  Google has made the most dramatic change to their logo since 1999 and have replaced their signature serif font with a new typeface called Product Sans.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

GoogleがCloud Foundry Foundationにゴールド会員として参加する。しかしGoogleは最近、この財団の元CEO Sam Ramjiを社員に迎えたぐらいだから、参加自体はそれほど大きなニュースでもない。

Cloud Foundryのゴールド会員にはほかに、Accenture, Allstate, CenturyLink, Huawai, Phillips, Verizonなどがいる。しかしGoogleはCisco, IBM, SAPなどのように、大型のスポンサーを意味する最高ランクのプラチナ会員にはならなかった。

Google CloudのVP Brian Stevensが発表声明の中で言っている: “Google Cloud Platformは最初からすべてのデベロッパーと企業にとって等しく一様にもっともオープンなクラウドサービスであることを目標としている。Google Cloud Platformは、彼らが立派なソフトウェアを容易に構築して動かすことのできるプラットホームでありたい。そのための努力の重要な部分のひとつが、オープンソースコミュニティの活発なメンバーとして、デベロッパーと直接的に協働していくことである…それが世界中のどこの、新興スタートアップであれ、あるいは大企業のデベロッパーであれ、分けへだてなく”。

多くの点でCloud Foundryは、OpenStackというInfrastructure-as-a-Service(IaaS)に対して、それらのインフラをベースとするPlatform-as-a-Service(PaaS)という性格を持つ(GoogleはOpenStackのスポンサーでもある)。StevensによるとGoogleは、加盟する前からCloud Foundryのコミュニティとはすでに密接に協働しており、Google Cloud Platformの上でCloud Foundryを利用できるようにしている。また同社のハイブリッドモニタリングソリューションStackdriverをはじめ、一部のクラウドサービスも、Cloud Foundryを統合している。

Cloud Foundryのユーザーが自分の好きなクラウドプラットホームを使うことを、もちろんGoogleは妨げるものではないが、でも彼らの多くが有力大企業なので、Googleの今後の営業努力の対象にはなる。Sam Ramjiを迎えたからには、近い将来きっと、Google/Cloud Foundry関連のニュースを私たちは見ることになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

仮想世界の開発を強力に支援するSpatialOSのアルファ版が公開された

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Andreessen Horowitzの支援を受けて、サードパーティがバーチャルでシミュレートされた世界を構築するためのプラットフォームを開発しているロンドンのスタートアップImprobableが、初のプロダクトSpatialOSのアルファ版を公開した。同時に、ImprobableはGoogleとの戦略的パートナーシップも発表している。その手始めとして、Google Cloud Platformをバックエンドとしてサービスを提供することになるだろう。

少なくとも今のところは、Googleとの提携には、資金調達を伴わない(Googleが投資しているのか、そうでないならば他の資金調達を行っているのかという質問に対しては「現時点で発表することはない」との回答だった)。しかし、経済的なメリットはある:認定開発者はSpatialOSへのアクセスに対して助成を受けることができる。

SpatialOSは開発者たちに対し、「数千人」に及ぶ同時プレイヤーを対象としたVRゲームで利用できる仮想環境の構築とテストを行わせることができる。プラットフォームの分散したコンピューティングアーキテクチャの特性は、特に重いタスクを処理する際に役立つ。Improbableは、その結果として作成されるグラフィックやディテールのレベルが、今日他のゲームプラットフォームで得られるものよりもかなり高いものになると主張している。

これのコンセプトと実現は、ゲームの世界を進化させるだけでなく、視覚化に頼るあらゆるデジタルサービス、例えば科学的、医療的、教育的、それ以外のものに対して、多くのものを約束する。

ImprobableのCEOで共同創業者のHerman Narulaは発表で次のように述べている。「SpatialOSの開発に着手したのは、開発者が何をしたいのかが分かったからです」。「Improbableを創設して以来、私たちは現在は実現できない新しい種類のゲームのための驚くべきアイデアを持っている多くの開発者たちと話し合って来ました。彼らのように、私たちはプレーヤーの行動がリアルな結果をもたらす現実的な世界を創造してその中で行動したいと思っていますが、今は技術的限界がゲームの革新を阻害しています」。

それでも、特にゲームに焦点を当てた開発者のより広い世界にSpatialOSを展開するアルファ版の公開までには時間がかかった。

SpatialOSが初めて発表されたのは1年以上前である。そのとき、ケンブリッジの学者によって2012年に設立されたImprobableがその多額の資金を使って(これまでに調達されたのは2000万ドル以上である、ロンドンの秘密のスタートアップとしては相当の額だ)何を作ってきたのかが初めてちらりと明かされたのだ。

これまでに、既にいくつかのスタジオがSpatialOSベースのゲームに取り組んできている。例えばBossa Studios (Worlds Adrift)、Spilt Milk Studios (Lazarus)、 HelloVR (MetaWorld)、Entrada Interactive (Rebel Horizons)、そしてSoulbound Studios (Chronicles of Elyria)などだ。

SpatialOSのアルファ版の立ち上げに際して、ImprobableがGoogleと提携するのは面白い動きだ。それが本質的に意味しているのは、私たちにとってSpatialOSの価格がどのように引き下げられるのかが不透明になるということだ。とはいえGoogleは、これをImprobableとのより長い関係の単なる一歩と見なしているように見える、よってアルファ版に対する助成以上のものが控えているのかもしれない。

Googleのテクノロジーパートナーシップの国際責任者であるNan Bodenは「ゲームの未来はクラウドの中にあります」と述べている。「このパートナーシップは、Google Cloud Platformのユニークな機能とSpatialOSの新しい可能性を、開発者が最大限に活用する手助けをできる機会です。これは、ImprobableとのGoogleのパートナーシップの第一歩で、ゲーム開発とその先をサポートするための共同作業の始まりに過ぎないのです」。

Google Cloud Platformはこれまでゲーム開発者たちのための地位は確立して来たが、このような形でプラットフォーム開発者と提携するのは初めての経験のようだ。

Improbableのメンバーが私に説明したところによれば、今のところこれが意味するのは、もし開発者たちが自身の計算エンジンとして他の環境を使っていた場合、SpatialOSの上で開発する場合にはそれらとは関係がなくなるということだ。

「ある開発者がSpatialOSで開発を行うときには、自身でサーバーの管理は行いません。SpatialOS上でビルドを行えば、SpatialOS自身がクラウドの中のサーバーを最も効率良く利用できるように必要な計算を割り当てます」と彼は語った。「なので、SpatialOS上で開発を行うひとは特定のクラウドを選択することはありません。彼らはSpatialOSを使用して、SpatialOSがサーバーに計算を割り当てます」。

ImprobablyはSpatialOSを2017年第1四半期にはベータ版に移行する計画を立てている。

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(翻訳:Sako)

DropboxがXboxにやって来た、ため込んだ動画や写真をテレビで観よう

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DropboxはXboxのためのユニバーサルWindowsアプリをローンチした。クラウドストレージプロバイダとしては初の動きである。このアプリを使えば、ユーザーは写真やビデオなどのファイルをテレビから見たり共有したりすることができる。つまり、ローカルコピーをダウンロードすることなく、Xbox経由でDropboxからビデオをストリーミングできるようになる。

また、VLCなどのさまざまなアプリケーションを利用して、XboxのDropboxファイルにアクセスしたり、USBスティックやその他のユニバーサルWindowsアプリからDropboxにファイルをアップロードしたりすることもできる。

このアプリを使えば、自分の個人所有のビデオをテレビの大きな画面に簡単にストリーミングできるので、DVDからリッピングしたり、(咳払い)、他の手段で多数の映画ライブラリを集めてきたりした人にアピールすることだろう。

新しいアプリは、ファイルのアップロード、コメント、共有など、他のプラットフォームのDropboxで見られるほとんどの機能を提供する。他のユニバーサルWindowsアプリで開いたファイルをDropboxに保存して、デバイスのストレージスペースを節約することもできる。またDropboxの発表によれば、KinectからDropboxへのスクリーンショットや写真を自動的にアップロードするように設定することもできる。

大画面での使用を想定しているため、Dropboxのアプリは、ゲームパッドやメディアリモコンを使ってナビゲートできる、テレビ用に最適化された新しいインターフェイスを導入している。

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これまでDropboxは、映画の海賊行為への関連の懸念からTVアプリを開発することに集中していなかったことを考えると、このローンチは注目に値する。実際、昨年の夏にRoku用のアプリをローンチしたとき、Dropboxの公開APIを使用してRokuのチームがアプリを実際に作っていたことが判明している。同社はまだApple TVやAndroid TVのアプリは持っていない。

さらに、Rokuのアプリには制限が課されていて、例えば動画は14〜15分の長さで切られてた。この制限は、Dropboxのアプリが商業映画向けではなく、家庭用映画のような個人向けのものであることを体現するためのものだった。

しかし、私たちが聞かされたところでは、新しいXboxアプリには、あなたがストリーミングできるビデオの長さの制限はない。

TVの世界を無視するという以前のDropboxの決定は、他の競合他社、例えばAllCastなどのサードパーティアプリが、Dropboxや他のクラウドストレージからストリーミングを行うサービスで参入する事態を招いた。そうしたアプリは、Chromecast、Apple TV、Xbox、Roku、Amazon Fire TVで動作している。

DropboxのXbox用Windowsアプリは、Xboxストアで今日から無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Sako)

究極のクラウド化: デベロッパーのコンピューターをクラウド上から提供するSixaがシードで$3.5Mを調達

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クラウドには多くのメリットがあるが、ことハードウェアとなると、自分の手元や職場などに自分用のPCを置いている人が、圧倒的に多い。

Sixaは、クラウドから高速な仮想マシンを提供することによって、デベロッパーをPCから解放し、コンピューティングをクラウドに移そうとしている。同社は最近Y Combinatorを卒業して、Tandem Capitalが率いるシードラウンドにより350万ドルの資金を調達した。

3か月前にローンチしたときには、15000名あまりのデベロッパーがSixaのプラットホームに集まり、待機者リストに数千名が並んだが、今日(米国時間12/9)同社は、公開ベータを公式に開始した。

TandemのパートナーDoug Renertはこう語る: “非公開ベータのときからすでに数千ものデベロッパーがこのサービスに群がり、本物の需要があることが伺われた。今回の資金でSixaは歩幅が大きくなり、その需要に迅速に対応できる。ほかにも、世界的に広がるデベロッパーコミュニティをサポートでき、ハードウェアが一台もなくても強力なコンピューターに簡単にアクセスできることを、訴求していけるだろう”。

同社が提供するクラウドコンピューターの上ではWindowsが動き、その十分なパワーを月額49ドルまたは1時間49セントで利用できる。また同社には、デザイナーやゲーマー向けの、ハイエンドのグラフィクスカードと大容量のRAMを備えた‘機種’もある。そしてWebブラウザーから仮想デスクトップに容易にアクセスでき、USB機器にアクセスするためのアプリケーションも提供される。

これまでの、仮想マシンの最大の問題点は、レイテンシー(遅延)だった。マウスを動かすとその結果が半秒後に画面に現れるようでは、コンピューターがまるでメンタルな迷路のように見えてくる。Sixaは自分側で生ずるレイテンシーを11ミリ秒に押さえている。それにISPが提供するインターネットアクセスのスピードと、データセンターからの物理的距離を加味したものが、ユーザーが実際に体験するレイテンシーだ。

Sixaの協同ファウンダーでCEOの Mykola Minchenkoは語る: “クラウド上でPCを使うことからレイテンシーを取り除き、そこに、つねに最新のハードウェアとソフトウェアを使える利便性を加えた”。

Sixaは今、無料試用を提供している。時間はわずか2時間だが、自分のニーズによく合った構成が得られることを体験できる。

重くて不格好なPCを抱(かか)えたり引きずったりから卒業して、クラウド上にコンピューターを持てるようになると、そこから得られる利便性も大きい。たとえばあなたがビデオ編集者なら、デザイナー用PCのアカウントにサインアップし、編集結果をいちいちリモートのプロデューサーにエキスポート/アップロードしなくても、クラウドコンピューターのリンクを教えるだけで、彼らにあなたの成果が分かるだけでなく、彼ら自身による編集〔やコラボレーション〕もできる。そのほかの非常にさまざまな分野、とくに頻繁なテストを要する分野で、これと同じような利便性をフルに享受できる。

今現在Sixaは、デベロッパーとデザイナーとゲーマーに焦点を当てている。しかし今後は、大量のデータ処理を伴う設計業務や、セキュアなエンタープライズアクセス、仮想現実のシステムなどに、対象を拡大していきたい、としている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SlackとGoogleが戦略的連携を発表―SlackとGoogleドライブが緊密化する

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今朝(米国時間12/7)、ビジネス向けチャットのSlackはGoogleと戦略的な提携を結んだことを発表した。これによりGoogleクラウドにはいくつもの新機能が加わる。Googleの各種サービスはチームでの利用に一層適切に対応できるようになると期待される。

Slackとの提携で追加される機能には、ユーザーに随時通知を送るボットや最近発表されたビジネス向けのチーム利用におけるドキュメントのプレビューやきめ細い管理権限の設定などが含まれる。

この提携はSlackに MicrosoftFacebookという手強いライバルが出現した時期に行われた。Microsoft Teamsは簡単にいえばMicrosoftのSlackクローンだが、広く普及しているSkypeと Office 365を始め各種生産性ツールと連携していることがセールスポイントだ。

独立の企業であるSlackには残念ながら生産性ツールのような連携するプロダクトはない。多くの企業が魅力に感じるような既存の生産性ツールを独自にもたないため、Slackはサードパーティーとの連携に活路を見出すことにしたようだ。GoogleとSlackはすでにこの方向で共同作業を始めていたが、正式な提携の発表はこれが最初だ。

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GoogleドライブはSlackと連携する最初のサービスだが、Slackによればドライブとの関係はすでに非常に密接なものとなっている。Googleドライブのファイルは週末を除いて1日当たり平均6万回もSlackで共有されているという。これは1.4秒ごとに1回の共有だ。

今後ユーザーの利便性を向上させるためにSlackはGoogleのデベロッパーと協力していく。両者のユーザー・ベースには重なる部分が多い。提携の成果はとりあえず今日発表された新機能だが、将来に向けてさらに拡張されていくという。

Slackとの提携によって生まれたGoogleドライブのボットはSlackに通知、コメント、ファイルを開く要請などを送る。ユーザーはSlackからコメントに答えたり、ファイル開いたり(拒絶したり)できる。また必要に応じてGoogleドライブのファイル上での共同作業に移ることも可能だ。

SlackのユーザーはGoogleドキュメントのファイルをSlack内からプレビューできる。またドキュメントのファイルが共有された場合、Slackはファイルの共有プロパティをチェックする。もしファイルを共有しようとしている相手に共有権限がない場合、Slackは共有設定を更新しなければならないことを告げてくれる。

SlackはGoogleのビジネス向け共同作業プラットフォームのTeam Drivesとも連携する。企業がTeam Drivesの最新版を利用している場合、Slackで共有されたファイルは自動的にTeam Driveにアップロードされる。逆にTeam Drive上での編集はSlack上でも共有される。

またIT管理者はG Suite(以前のGoogle Apps for Work)のダッシュボードを通じてSlackの設定や資源管理を行うことができる。これは新チームだけでなく既存のチームに対して遡及的に実施することも可能だ。

Google CloudのGlobal Technology Partnersの責任者、Nan Bodenは公式ブログでこう書いている。「GoogleとSlackは 将来の企業内コミュニケーションに関して同じビジョンを共有している。スマートなソフトウェアがチームを効率化し、すべての会話と作業が一つのプラットフォームから行えるようになるだろう。その結果、チームの作業はスピードアップされ、はるかに効果的に動けるようになる」。
BodenはまたGoogleはSlackのビジネスの規模拡大にもそのテクノロジーを役立てていくと述べている。

今日発表されたSlackとGoogleの提携は、GoogleとSlackのユーザーにとって魅力的なキャッチフレーズを多く含んでいるが、機能自体を一般のユーザーが利用できるようになるのは2017年の前半になるもようだ。

〔日本版〕Slackはサードパーティー・アプリのSlack内プレビュー機能をすでに持っており、Slack内からGoogleドライブのファイルもデフォールトでプレビューできる(「今後Googleドキュメントをプレビューしない」などのオプションの選択も可能)。またSlackではチームを作るとデフォールトでSlack Botというボットがメンバーとして参加する。ユーザーがSlack BotにダイレクトメッセージでHow do I add a new team? などと質問すると即座に手順の説明が返信される。現在のところボットは英語のみ対応。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

子供用の会話ロボットには危険あり?!

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子供に会話するおもちゃを買い与えようと思っているのなら、数年ほどは待った方が良いのかもしれない。消費者グループから、プライバシーないしセキュリティ上の問題があるとして、FTCに報告が行われたのだ。

行き過ぎた疑念や不満などといったものには賛成しない。こうした玩具が世界中で子供たちとの会話を秘密裏に録音して利用するようなことを行なっているかどうかも確かではない。しかし、こうした玩具を利用するのは自ら守る術を持たない幼い子供たちだ。こうしたケースでは、たしかに用心しすぎるということはないのかもしれない。企業の方にも、情報がいかに利用され、またどのような保護策が講じられているのかを、完全に明らかにする必要があるとも思う。

消費者から行われた告発(PDF)は電子プライバシー情報センター(Electronic Privacy Information Center)他2団体に対して行われたものだ。それによればGenesis ToysおよびNuance Communicationsが「事前の説明なく、ペアレンタルコントロールを利用させることもなく、不当かつ不適切に子供の声を収集、利用、開示している」としている。これはCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act)などの法律に抵触するものだとしている。

対象の玩具は「My Friend Cayla」という女の子の人形と、ロボット型の「i-Que」だ。スマートフォンからBluetooth経由で操作するようになっている。音声はNuanceないしGoogleのサーバーに転送してテキスト化し、このテキストは事前に指定されたサービスに送って利用することができるようになっている(罵り言葉など、ブラックリストに載せられていてテキスト化されない言葉もある)。詳細についてはThe Consumeristの記事に記されている。

そもそも、個人的にはこうした玩具についてはあまり賛同できない(ぼくの子供の頃は……と、そういう話をする場所ではなかった)。子供とおもちゃの関係に応じた会話を行うとしているものの、予めプログムされた要素が大きいのはまだ良かろう。ただ、会話したデータがどのように扱われるのかがまったくわからないとなると不安になってくる。子供に関するデータは法律に則って扱われるべきだ。保護者の同意は必ず必要だし、収集されたデータを確認して削除するようなことができるようにもなっていなければならない。問題となっているおもちゃは、どうやら法的ルールを軽んじているように思われるのだ。

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ちなみにGenesisのプライバシーポリシーをみると、収集されるデータの扱いについてはデータを蓄積するGoogleおよびNuanceのプライバシーポリシーを見るようにとなっている(リンクされていない)。Nuanceのプライバシーポリシーをみてみると「お客様が18歳未満の場合はニュアンスとの情報の共有について両親もしくは保護者の同意が必要であり、お客様がご自身の情報を送信することはできません」とある。送信されるデータは、アルゴリズムを進化させるために他サービスと連携させるケースもあり得るわけで、そのためにクライアント側にも慎重な姿勢を求めているということなのだろう。

このポリシーはNuanceのようなサービスを展開している場合には当然のことともいえる。しかし4歳から8歳程度の子供を対象としたプロダクトでサービスを利用するのであれば、「データを転送しないで」という以外の保護方針があってしかるべきではなかろうか。この件についてはNuanceの見解を問うているところだ。

Genesisの方は、子供たちの発した音声やテキストを保存しているのかどうかについて明らかにしていない。子供の声はマサチューセッツにある巨大サーバーに保管されているのか。次期モデルのマーケティングのためにデータマイニングに活用されているのかどうか。あるいは第三者に有償で提供するようなことが行われているのかどうか。そうしたことのすべてが、現状では闇の中だ。そうであるのなら、安全性面やプライバシー面を考えて、最悪のケースを想定して判断した方が良いように思う。もちろんGenesisの方にも質問を投げているところだ。

今回話題にしているGenesisの玩具に限らず、こうしたタイプのガジェットでネットに接続するものには、十分なセキュリティ対策が施されていないことも多い。「スマート」ロックも、「セキュリティ」カメラなど、それなりのセキュリティ機能を備えていると考えてしまいがちなものも、すぐに破られるような対策しかしていないことがある。ガレージを覗き見されるくらいならまだマシかもしれない。しかし子供がおしゃべりして遊んでいる様子が、そっくり見ず知らずの人に漏れているというのは、想像すらしたくないことではなかろうか。

My Friend Caylaは100万体も売れたそうだ。バーゲンのときにちょっとだけ売れたという規模のものではない。製作者は保護者たちの関心や非難に対し、十分納得の行く説明をしていくべきだと思う。

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(翻訳:Maeda, H