GoogleのBrain TeamのAI研究者たちは毎日何をしているのか

GoogleのBrain Teamの連中は、毎日何をしてるだろうか。あなたと同じように、メールチェックに大量の時間を取られているかな。最近のRedditのAMA(Ask Me Anything, 何でも訊(き)いて)で、GoogleのAI研究者11名が、毎日彼らがやってることを述べている。メールはここでも多いが、学術論文を斜め読みするとか、同僚とブレーンストーミングをする、といった高尚な話題もある。

GoogleのBrain Teamは、同社で人工知能を研究している研究グループのひとつだ。グループのリーダーはGoogleのシニアフェローJeff Dean、彼はMapReduceの中心人物の一人だが、ほかにもいろんな実績がある。

Deanの一日の時間は、メールを送る、技術文書に注記する、研究者たちとのミーティング、コードをレビュー、コードを書く、講演やその準備などに費消される。チームのリーダーだから、Brain Teamを売り込む仕事も重要だ。

チームのだれもが例外なく大量の時間を費やすのが、自分の研究やチームの共同研究に関連するペーパーをarXiv読むことだ。チームの研修生Sara Hookerは、朝食、ときには昼食や夕食で、同僚とおしゃべりし、同じ問題でも研究者によって視点や取り組み方が違うことを知るのが、とても好きだそうだ。そして今の最先端の話題に後れないためにも。

これまで自分たちが考えてもみなかったようなAIのアプリケーション体験することも、彼らは好きなようだ。Hookerはその例として、宇宙探検を挙げる。

自分の出身大学の仕事を兼務している者も、何人かいる。NIPS(Neural Information Processing Systems)など、業界の重要なカンファレンスの企画運営に関わっている人もいる。

そして彼らは、自分で手を汚すことが好きだ。それは主に、hugeでmassiveでgiganticでcosmicでcolossalなGPUクラスター上で、徹夜も厭わず大きな実験をすることだ。Jasmine Hsuのように、コンピューターではなくロボットを使えるラッキーな研究者もいる。彼女はソフトウェアのボットではなくリアルなボットの上で、シミュレーションやモデルのテストなどをやって、研究中のアイデアのプロトタイピングをしている。一日中デスクに張り付いていることが好きな人は、あまりいない。

そこの研究者たちが考えることだけに費やしている時間で、ぼくたちならいくつかのことを学ぶことができるだろう。Daniel TarlowとNicolas Le Rouxは二人とも研究者で科学者だが、主な仕事は今やってるプロジェクトの舵取りや、今後のプライオリティの計画だ。彼らは毎日、それに集中している。

〔参考記事: 同グループ前年のAMA

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

DropboxのコラボレーションツールPaperがドキュメントのプレビュー機能などを加えてアップデート

大企業を相手に一挙に大量のユーザーを獲得したいDropboxは、そのためにプロダクトのチューンナップを続けている。今日(米国時間8/30)のアップデートではコラボレーションツールPaperに、ドキュメントをプレビューしてからロードする機能などを加えた。

シリコンバレーでデザイナーに話を聞くと、みんなPaperの使いやすさをほめる。プロダクトをデザインし構築する過程を、ネット上の呼吸する生き物のような、情報の流れにしてくれるからだ。この製品のユーザーをだいじにすべきだ、と気づき始めたDropboxは、ユーザーの要望に応えて、徐々徐々にプロダクトのアップデートをするようになった。

今日のアップデートをまとめるとこうなる: (1)モバイルデバイス上にフォルダーを作ってPaperのドキュメントを移動〜保存できる。(2)スマートフォン上でPaperのドキュメントを削除したりアーカイブできる。(3)Paperのドキュメントを開く前にプレビューできる。いずれもささやかなアップデートのようだが、Dropboxはかねてからプロダクトの単純性を頑固に守り、機能満載にはしない主義だから、これだけでもすごいことなのだ。

デベロッパー向けには、彼らのアプリケーションの中でPaperドキュメントの作成編集ができる、という機能、すなわちAPIが提供される。いわばDropboxの外で、Dropboxの機能を使えるようになるのだ。また、アプリケーションがそれらのドキュメントを操作しなければならない場合には、このやり方のほうがずっと便利だ。

このようなコラボレーションツールないしコラボレーションの機能は、そのほかの大型製品にもかねてからあるが、Dropboxのねらいは、多くのユーザーの多様なニーズにいちいち対応して複雑怪奇な製品になってしまうことではなく、むしろ、汎用的で抽象レベルの高い製品を維持するところにある。

いよいよ機が熟したと言われている同社のIPOを成功させるためにも、それは重要なことだ。その際、投資家たちは必然的に、同社をBoxやMicrosoftのような企業と比較すると思われるが、消費者製品を起源とするDropboxが彼らに訴求していくためには、Boxなどにはない独自の姿勢が必要なのだ。

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テクノロジーの利用による効率化が遅れている大企業の財務や法務にコラボレーションを持ち込むClauseMatch

ClauseMatchのCEO Evgeny Likhodedは、契約交渉というものがどんなものだったか、よくおぼえている。彼がMorgan StanleyやGazpromにいたときは、各種金融製品や商品取引をめぐって契約や合意を交渉するチームに配属されていた。

エンタープライズの多くの部分でテクノロジーが進化したが、Likhodedによると、財務や法務、保険関連などコンプライアンスが厳しい部門では、圧倒的にMicrosoft Wordに依存して文書の作成や編集を行い、それらの変更や承認を行う部署への配布には、圧倒的にメールが使われていた。

“大企業の、とくに法務の連中の仕事は、そこに何らかの文書が絡んでくるといつでも、何人かの利害関係者たちが意見を述べ、変更を加え、その文書を承認していた。文書を10か20の部署に送ると、それぞれ異なる10通が返ってきて、それらをすべて原本に取り入れなければならない”、とLikhodedは往時を語る。

関連部署が増えるとさらに複雑になる。80から100名ぐらいからの入力や承認が必要になると、Likhodedによれば、人びとは原始的な変更追跡とバージョンコントロールのフォームとしてスプレッドシートを作った。そして多くの場合、監督部門は文書の作成過程を理解するために監査証跡〔完全詳細な変更・編集履歴〕を見たがるので、問題はさらにややこしくなった。

これらすべてを踏まえてLikhodedは、ClauseMatchの構築に取り組んだ。財務や法務関連のチームがリアルタイムでコラボレーションしながら文書を作成編集し、変更を記録追跡し、承認のシルシを付け、そしてサインをもらうソフトウェアだ。

単純にすべてのアップデートをインデクシングして、すべての文書に完全な監査証跡が備わるようにする。文書がどう変化・進化してきたかよく分かり、誰がいつどこをどう変えたかも分かるから、機密情報も管理しやすい。

2016年の初めにソフトローンチしたClauseMatchは、バークレーズ(Barclays)に採用されて、同社のポリシー管理の合理化に貢献している。概念実証の段階で採用した数社は、近く完全なデプロイメントへ移行する予定だ。

その結果ClauseMatchは、Speedinvestがリードするラウンドで160万ドルのシード資金を獲得でき、それには既存の投資家SparkLabs Global VenturesとTechstars、元Thomson ReutersのCEO Tom Glocer、元SunGardのCEO Cristobal Condeらが参加した。

新たに資金を得たClauseMatchは、すでに成長しているチームをさらに大きくしたいと考えている。社員数は、1年前の6名から20名に増えた。今後はプロダクトチームを増員するとともに、営業とマーケティングを本格的に展開したい意向だ。

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アジャイルソフトウェア開発からヒントを得た営業ツールHeresydでコラボレーションとデータに基づくスマートな営業を

Stack OverflowのヨーロッパのマネージングディレクターだったDimitar Stanimiroffが作ったHeresyは、営業チームのメンバー間のコラボレーションを盛んにして、グループとしても個人としても、データ駆動の意思決定能力を磨き、販売実績を上げる、というツールだ。

このSaaSは、CRMに代わるものではない。CRMは今、Salesforceの統合に腐心しているが、Stanimiroffによると、Heresyはアジャイルソフトウェア開発からヒントをもらい、それにフロントエンドとしてシンプルなKanban(==トヨタのかんばん方式)ボードを、データの入力と、営業の進捗状況チェックのために置いたものだ(この部分はTrelloに似ている)。

営業が入力したデータはまとめて分析され、チームやマネージャーがそれらの案件の、成約や目標達成への寄与の見通しを知る。それらの案件が不発に終わりそうだったり、目標を達成できそうもないときには、ソフトウェアがそのことをいち早く教え、対策を提示する。

Stanimiroffによると、ロンドンで創業したHeresyの大枠的なミッションは、営業チームのメンバー間のコラボレーションを盛んにして、昔の、互いに支えあったり学んだりすることのない‘たこ壺営業’と決別することだ。一匹狼営業と、格差の激しい孤独な営業にも別れを告げる。

それは彼がStack Overflowで学んだレッスンで、そこではHeresyの初期のバージョンを試用したが、それにより短期間で120名あまりの営業チームが利用するようになった。コラボレーションの効果が、それだけの説得力を持った。

筆者もちょっと試してみたが、かんばんボード的なUIへのデータ入力はとてもやりやすい。個々の営業マン/ウーマンが、すぐにそれを使えるようになるだろう。

これまでの営業用のCRMでは、正しいデータを入力することが難しくて、しかも営業マン/ウーマンの役に立つというより、営業部長が見るためのデータを作っているような感じだった。徐々に、CRMは使われないようになり、使われている場合でも、そのデータは不正確だった。

Heresyでは、営業が入力したデータに基づいて目標達成状況などをリアルタムですぐに見られる。また、うまく行きそうもない案件には、警報を出す。目標達成の見通しも、ソフトウェアがチェックする。

“営業の各段階の状況報告や、今後やるべきことのリマインダー、過去のメールやノートを調べるなど、営業が必要とする情報をすべて提供し、しかもそれを、画面上のUIのクリックや、シンプルなドラッグ&ドロップでできる”、とStanimiroffは語る。

そして、集積し分析したデータを、マネージャーやチームと共有する。そのことを通じて営業の文化というものを作っていくが、その過程は、StanimiroffがStack Overflowで経験したソフトウェア技術者たちのコラボレーションに似ている。

チーム全体としてのその月の営業の進捗状況が画面で簡単に分かるから、それまでの孤独な盲目状態に比べると、それだけでも安心や励みにつながり、コラボレーションの意識や意欲も高まる。営業の動的過程を実際に画面上で見ることがとても重要、とCEOのStanimiroffは言う。

“問題が早めに分かるから、チームのコース修正も、間に合うタイミングでできる”、と彼は言う。

Heresyこのほど、75万5000ポンドの資金を調達して、製品開発と、(イギリスだけから)ヨーロッパへの進出にそのお金を充てようとしている。同社を支援する投資家は、LAUNCHub Ventures, AngelList, Seedcamp, そしてLondon Co-Investment Fundだ。Stack OverflowのファウンダーJoel SpolskyとTrelloの協同ファウンダーMichael Pryorも、同社の良きアドバイザーだ。

コミュニケーションのない孤独な営業から、コミュニケーションの盛んな強い営業へ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft Teamsの開発者たちが、自分たちのアプリを公開できるようになった

Microsoftは、本日(米国時間5月10日)Build 2017カンファレンスにおいて、すべての開発者がOffice Storeを通じてMicrosoft Teamsアプリケーションを公開できるようになったことを発表した。公開されたアプリは、新しいアプリ発見機能によって、Teamsの中で紹介されるようになる予定だ、と同社は言っている。

今回のイベントでは、MicrosoftはTeamsの機能の一部に関するデモを行ったが、その中にはボットや他のコネクターを利用できることだけでなく、タブ、モバイルアプリ、Cortanaとの統合なども含まれていた。

Teamsで同社が目指すのは、Microsoft独自のSlack対抗製品を提供することでもあるが、それ以外にもExcel、Word、PowerPoint、OneNote、SharePoint、Power BIなどのMicrosoftの他のアプリケーションとの連携はもちろん、Asana、Hootsuite、Zendeskなどの企業環境で頻繁に使用されている約150のサードパーティサービスとの統合も実現できるようにデザインすることも目標だ。

Buildにおけるデモでは、これらのアプリケーションたち同士とCortanaがどのように連携して動作するかを示すことに、Microsoftの力点は置かれていた。たとえば、あるミーティングデモの後、モバイルユーザーが彼女自身のラップトップに戻って、Cortanaを通してアクションアイテムを見つけたりするデモだ。CortanaはOutlookに送られてきた彼女宛のミーティングサマリーからその情報を見つけている。ミーティングサマリーには、出席者リスト、ビデオリンク、使用されたタブ、Teamsからのボットインタラクション、などと一緒にユーザーのアクションアイテムが含まれている。このアクションアイテムは、電子メールそのものの中で完了マークを付けられるようになっている。

Teamsのデモに加えて、同社はDeveloper Previewに2つの新機能が追加されたことを発表した。これは来月すべてのユーザーに提供されるものだが、統合拡張機能と、アクティビティフィード内でのサードパーティ通知機能である。

統合拡張機能によって、ユーザーたちは他の画面を切り替えることなく、他のアプリやサービスからの情報を、Teamチャットに持ち込むためのコマンドを発行することができるようになる。

一方、開発者たちは、新しい通知のサポートによって、アクティビティフィード内で自分たちのサービスから重要なお知らせや更新に関する情報を流すことができるようになる。これを可能にするために、開発者には新しいTeams APIが提供される。またチームとチャネルの情報にアクセスするためのAPIもプレビュー中だ。

これらの追加によって、開発者たちは、タブ、ボット、コネクター、統合拡張機能、そしてアクティビティフィード通知などを、1つのTeamsアプリの中にパッケージできるようになる。

MicrosoftはBuildにおいて、Wrike、Sapho、Adobeなどのパートナーからのものを含む、いくつかのアプリの実演を行ってみせた。

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(翻訳:Sako)

視覚的な共有ボードでプロジェクトを管理―、Milanoteの開発元が78万ドルを調達

アイディアの種を発見したり、インスピレーションを刺激したりするのに役立つソフトを探しているクリエイティブな職業の人たちが選択肢に困ることはあまりない。Pinterestのような主流の画像共有プラットフォームから、デザインに焦点をあてたムードボード作成ツールのNiiceまで、さまざまなツールがネット上には存在する。しかし、ライターごとに好みの作業環境が違うように、ビジュアルコンテンツを作成する人たちのニーズもさまざまだ。そこでMilanoteの開発元であるオーストラリアのスタートアップは、まだこの分野にはチャンスが残されていると考えた。

Milanoteのプラットフォームからは、EvernoteやPinterestの影響を垣間見ることができる。Milanoteのチームも同プラットフォームのことを「クリエイティブ向けのEvernote」と呼んでいるくらいだ。基本的には、「ボード」と呼ばれるスペース上に、ドラッグ・アンド・ドロップで画像や文字を配置することで、ユーザーはアイディアをグループ分けしたり、ムードボードを作ったりすることができる。さらに、画像や文字を別のボードに移動することで、ボードがフォルダ代わりになるので、各アセットの保管やリンク付けにも便利だ。

ボードは共有可能なので、関係者でひとつのボードを一緒に更新していくこともできる。さらにMilanoteにはToDo機能も搭載されている。こうして全体を見てみると、このプラットフォームはデザイナーが色々と試すためのものというより(もちろんそれも可能だが)は、多目的ツールのように感じられる。その一方で、例えば研究の進捗を管理したり、画像つきのチェックリストを作ったり、出来事を記録したりするためのツールとしても使えるだろう。

Milanoteはもともと、別のビジネス(UXデザイン会社)用の社内ツールとして開発されたのだが、その後彼らは独立したプロダクトとしてMilanoteを開発していくことに決めた。2月にローンチされたMilanoteのユーザー数は、これまでに3万5000人に増加したとCEOのOllie Campbellは言う。さらに彼によれば、現在Milanoteを利用しているユーザーの主な職業は、「デザイナー、ライター、マーケターなどクリエイティブなもの」で、勤務先にはFacebookやApple、Uber、Dropbox、Google、Adobe、Sony、Nikeなどが含まれているという。

Milanoteのチームは、Simon Martin(MYOBの前CFO)がリードインベスターを務めたシードラウンドで、78万ドルを調達したばかりだ。この資金は、「ウェブ上からインスピレーションを刺激しそうなものをかき集める機能など、クリエイティブなタスクに欠かせないもの」とCampbellが表現する機能(既に「Pinterestスタイルのウェブクリッパー」は導入済)の開発に充てられるほか、動画などさまざまなファイル形式をサポートするためにも利用される予定だ。

さらに彼らはコラボレーション機能も強化しようとしており、顧客からのフィードバックを受け取る機能やアップデート内容にコメントをつける機能などの追加を予定している。

コアユーザーについて尋ねたところ、Campbellは「Milanoteは(TrelloやEvernoteなどのように)とても”水平的”なツールなので、建設作業員や詩人、アーティスト、作家、ゲームデザイナーなど、ユーザーにはさまざまな分野や職種の人がいます。中にはMilanote上で小説を書いている人や、教会での説教の内容を考えたり、美術展の準備をしたりする人までいます。しかし、私たちの主要なターゲット層は、”ビジュアル・クリエイティブ・プロフェッショナル”と私たちが呼んでいる人たちです」と答えた。

「クリエイティブな仕事で重要なのは、既存のアイディアを上手く組み合わせたり、合成したりして何か新しいものを生み出すということです。しかし多くの人は、作業内容に応じて異なるツールやプラットフォームを利用しているので、一か所で全ての作業を行えないという問題を抱えています。例えば、画像はPinterestでノートはEvernote、タスク管理はTrello、ファイル管理はDropbox、メッセージのやりとりはSlackといった具合です。ツールが細分化すると全体像が見づらくなり、なかなかゴールにたどり着けなくなってしまいます」と彼は続ける。

「Milanoteの売りは、全ての作業が一か所でできるということです。さまざまな情報を一か所に集め、それぞれの関係性を見つけることで、新しいアイディアが生まれやすくなるのです」

Milanoteはフリーミアムモデルを採用しており、無料会員だと使えるノートや画像、リンクの数に限りがある。料金は1人で利用するのか、チームで利用するのかで異なるが、有料会員であれば無制限に各アイテムをボード上に配置できる。

Milanoteはユーザーにプロジェクトの関連情報をプラットフォーム上にまとめることを推奨しているため、今後膨大なストレージ容量が必要になり、それが料金プランにも反映される可能性がある。しかし、そもそも”空間的なコミュニケーション”と彼らが呼んでいるコンセプトを求める人たちと、既存のツールをそれぞれのタイミングで(コミュニケーションにSlack、ファイルの保管と共有にDropbox、ムードボードの作成と共有にPinterest、共同作業にGoogle Docsといった具合で)使う人たちのどちらが多いかというのはまだ分からない。

アイディアをこねくり回すことが要される職業では、”餅は餅屋”と考えている人が多そうだが、Milanoteのチームは、彼らのプラットフォームが少なくともある程度の収益をあげるだけのポテンシャルを秘めていると考えているようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

GitHubのエンタープライズバージョンが重すぎる企業のために通常Webサービスの“企業用プラン”が登場

Workers install a billboard for GitHub Inc. in San Francisco, California, U.S., on Tuesday, Nov. 11, 2014. GitHub, which provides open-source code hosting services and has raised more than $100 million from investors, is among tech startups boosting demand for billboard space around Silicon Valley. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

GitHubが今日(米国時間3/1)から大企業向けの提供物を拡張する。元々デベロッパーが効果的にコラボレーションし、ソースコードを共有するためのサービスだったGitHubだが、最近ではそのツールのエンタープライズバージョンを提供して、同じサービスを大企業が自社のために自社のデータセンターやAWS、Azureなどの上でホストできるようにしている。今日発表されたのは、企業自身が動かすバージョンというより、前からあるGitHubサービス本体の企業用バージョン、ビジネスバージョンで(下図)、というか‘プラン’で、それはユーザー一人あたり月額21ドルで利用できる。

では、無料や月額7ドルや9ドルの従来型サービスと、21ドルのビジネス用サービスプランは、どこがどう違うのか。この高い月額のサービスでは、上述の、GitHubツールのエンタープライズバージョンと同じく、Ping Identity, Okta, Azure ADといったSAMLベースのシングルサインオンがサポートされる。そしてアドミンがユーザーアカウントの供与やパーミッションの管理を行えるし、アカウントの供与/解消の自動化もできる。GitHubのエンタープライズバージョンにあってビジネスバージョンのサービスプランにないものといえば、Team Syncだけだが、これも年内にはサポートが予定されている。

さらに99.95%のアップタイムが約束され、その約束をSLAが支える。ウィークデーにはサポートにアクセスできる。

というわけでこれは、GitHubにとって当然のような次の一歩だ。エンタープライズバージョンを自分でオンプレミスでホストできるような大企業は多くないし、その必要のないところもある。しかしこれまでは、その必要のないところでも、エンタープライズ機能が使いたければ、GitHub Enterpriseのセルフホストしか選ぶ道はなかった。でもこれからは、もっと容易に、エンタープライズ級のGitHubを使えるし、アドミンの仕事も楽になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VRベースのソーシャルプロダクティビティアプリBigscreenがAndreessen Horowitzらから$3Mを調達

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VRの“キラーアプリ”(killer app)*をめぐる議論が喧しい中で昨年は、VRが提供する他に類のない優れたコラボレーション機能を活かそうとするソーシャルアプリがいくつか登場してきた。〔*: killer app, ここでは特定のアプリケーションではなく、その分野をメジャーに押し上げるアプリケーションのジャンル。〕

それらの中で、VRの面白さと仕事の生産性(プロダクティビティ, productivity)の二兎を追った初期の試みのひとつがBigscreenだ。それは初期のVRユーザーたちのあいだで、かなりの人気を獲得したが、その製品は過去の同社の、Web上のコンテンツ共有経験がベースになっている。

同社は今日(米国時間2/24)、Andreessen Horowitz率いるラウンドによる300万ドルの資金調達を発表した。そのラウンドにはほかに、True Ventures, Presence Capital, Ludlow Ventures, David Bettner, SV Angelらも参加した。

Andreessen Horowitzがハードウェア以外の分野でAR/VRに投資した例は、あまり多くない。その中で同社のOculusVRへの投資は、同じく投資家の一員であったFacebookによる2014年20億ドルの買収で、VR企業としては初めての大型イグジット(exit, 出口)になった。

VRアプリケーションはVRの最大の特性である3Dのインタフェイスを強調したものが多いが、そんな中でBigscreenは、2DのWebの世界で提供されているコンテンツと、VRが提供する高度なソーシャル体験の両者を、結びつけようとしている。

同社のベータ・アプリケーションは、仮想会議室におけるコラボレーションや、ひとつの部屋に友だちが集まってお互いのアバターとゲームをプレイする、などの使われ方で人気が急伸し、今や15万人のユーザーがいる。まだ費用的にも大衆化しているとは言えないVRの世界でこの数字は、相当なものだ。

Presence CapitalのマネージングパートナーAmitt Maharjanが、Mediumに書いている: “最初からマルチプラットホームに対応しており、そして、体験を他と共有するやり方がきわめてシンプルなため、Bigscreenは知らない人たちが互いに関心を共有してコミュニティを形成する能力に秀でている”。

同社の次のアクションは、Bigscreenの1.0をリリースすること。また、同プラットホームのネイティブアプリケーションや、モバイルのVRヘッドセットへの対応も課題だ。

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分散コラボレーション用の無限サイズのオンラインホワイトボードを提供するDeekitがシードラウンドを完了、書く/描くのほかにコンテンツの貼り付けもできる

deekit

EstoniaのDeekitが、主にヨーロッパ全域のエンジェルたちによるシードラウンドで40万ユーロを獲得した。ラウンドを仕切ったのはエストニアのSpring Capitalだ。そしてエンジェル投資家は、Mark Gillett(元SkypeのCTO), Copenhagen Business Angelネットワーク(代表者のOle AndresenはAppleの地域的マネージングディレクター), そしてEstonian Business Angelネットワークのメンバーなどだ。

元Skypeの社員たちが創業したDeekitは、メンバーが各地に分散しているチームが、いろんなプラットホーム上からコラボレーションできるためのオンラインホワイトボードをサービスとして提供する。ボードのサイズに制限はなく、いつでも表示できる。今はTransferwise, CGI, GrabCad, Guaana, SorryAsaServiceなどの企業が主な顧客だ。

Deekitの使用感は、本物のホワイトボードとあまり変わらない。ユーザーが記入のために利用したい図形やそのほかの成分も、ライブラリとして揃えている。デザイナーがワイヤフレームをドラッグ&ドロップしてWebサイトの簡単なスケッチを描いたりすることも、できる。有料ユーザーになると、ビデオやスプレッドシート、そのほかの文書など、Web上のコンテンツの貼り付けもできる。

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これからの企業を支える新しいコラボレーションプラットフォーム

Overhead shot of a small group of people, wearing monochromatic colors, pulling at ropes from opposing directions

【編集部注】著者のPeter Yaredは、Saphoの共同創業者兼CTOである。

私たちはエンタープライズソフトウェアの新しいフェーズに近づきつつある。そこでは、Software-as-a-Serviceによってあらゆるニッチが満たされ、クラウド企業が大企業に統合されていく。マーケットは、バンドリング(集中)からアンバンドリング(分散)に移行する傾向にあり、そこでソフトウェアはイベントをバンドリングする(束ねる)方向へ向かっている。クラウド、オープンAPI、次世代メッセンジャー、そして機械学習が組み合わされて、エンドユーザーインターフェイスからエンタープライズソフトウェアまでを巻き込み、統一されたエクスペリエンスを生み出している。

Portal Softwareのようなポータルサーバーから、Jive Softwareのような “Enterprise 2.0″コラボレーションソフトウェア、そしてYammerのような通信プラットフォームに至るまで、さまざまな試みが行われている。しかし、これらはいずれも問題の一部を解決するだけで、さまざまなバックエンドを統合するのは難しく、企業の外にいる人々と連携することも難しく、ユーザーを肩代わりしてすべてのデータを調べてくれる機械学習も存在していない。

さて過去数週間のうちに、Microsoft、IBM、Facebookが、企業向けの次世代コラボレーション・インターフェースを発表した。Slackが2、3年前にYammerとChatterの再始動に火を着け、それらはいまや大きくなって復活し咆哮を始めている。

これらの新しいメッセンジャーの主な変更点は、メッセージを機械学習に「プッシュ」して、エンドユーザーが関連するデータのみを取得できるようにするサードパーティのソフトウェアを統合できる能力である。こうしたことの全てが、レガシーシステムを含むほとんどのシステムに簡単にアクセスできるマイクロサービスの急速な普及に基づいている。一部のプラットフォームでは、従業員が特定のタスクを迅速に実行できるようにするシンプルで単一目的のマイクロアプリを完全統合することも可能だ。

最も便利な機能は、エンドユーザーがマイクロフローを駆動できるようにすることだ。例えばそれを用いれば購入申請を承認するなどの簡単な処理を実行できる。以前TechCrunchに書いたように、マイクロフロー、マイクロアプリケーション、マイクロサービスの独自の組み合わせによって、私が「マイクロウェーブ」アーキテクチャ と呼ぶ新しいアーキテクチャが可能になっている、

私たちはSaphoで、これらの初期のプラットフォームのほとんどを使って作業できる機会に恵まれた;以下に私たちの印象を述べよう。

Microsoft Teams

強み:Office365に同梱。

長所:この市場への最近のMicrosoftの取り組みは、非常に包括的で、よく考え抜かれた製品である。サードパーティの統合はクラス最高で、サードパーティシステムが提供するマイクロアプリをタブを使って完全にサポートすることが可能である。 Skypeの音声と映像機能の統合は、シームレスで完璧に機能し、チャネルの会話フローに統合することさえ可能だ。チャネルあたりのアクティブユーザー数はSlackの5倍になる。これは本当に新しいMicrosoftだ:デスクトップ版のMicrosoft TeamsはElectronとChromiumを使用し、発表時点でWindows、MacOS、iOS、Android、そしてもちろんWindows Phone上での利用が可能である。

短所:インターフェイスは少々煩雑だ;メッセンジャーフレームワークに多くを詰め込んでいる。Microsoftはいつものようにしつこく改良を繰り返し、インターフェイスをクリーンアップするだろう。

IBM Watson Workspace

強み:要約とアクション項目の抽出を伴うメッセージの認知的なグループ分け。

長所:Watson Workspaceは、新しいメッセンジャーたちの中で最もすっきりとしたインターフェースを提供する。この製品は十分に計画され、設計されてて、IBMのテクノロジーから期待されるように、柔軟に拡張することができる。IBMは、認知技術を企業にもたらすリーダーである。Watson Workspaceでは、情報を簡単に見つけることができないという、メッセンジャーの最も苦痛を感じる側面の1つをターゲットにしている。 Watson Workspaceは過去のメッセージを魔法のようにクラスタ化し、サマリーやアクション項目までも抽出する。それは実際に目にするまで、とても信じることができないほどだ。またIBMを初めて使うユーザーに対してはプロダクトが無償で提供される。

短所:サードパーティの統合は優れているが、マイクロアプリケーションをインターフェイスに統合する機能はまだまだである。IBMは、次世代のコラボレーション・ツールを探しているバイヤーたちの、心の一番上に飛び込むことはない。しかし、IBMはこれまで伝統的なバイヤーとの間にしっかりとした足跡を残しており、バイヤーたちが次世代ソフトウェアを模索する中で実際に注目を始めているので、ワトソン製品ラインのブランドを活用することは賢明だ。

Workplace by Facebook

強み:コンテンツをアルゴリズムを使って浮上させる使い慣れたユーザーインターフェイス。

長所:Facebook Workplaceの最大のメリットは、誰もがそれをどのように使用するかを既に知っていることだ。インターフェイスは、Facebookのコンシューマー版と似通っている。使い慣れたフィードでコンテンツを表示するFacebookの魔法のアルゴリズム。FacebookメッセンジャーはDavid MarcusとStan Chudnovskyの統率の下で強化されている。Facebookは、現代のコラボレーションツールの主なユースケースの1つである外部のチームメンバーのサポートがすぐに可能である。

短所:Facebookのアルゴリズムは、仔犬の動画であろうがドナルド・トランプ尽くしであろうが、あなたが望むものを見せるように調整されている。しかし仕事の場では、人びとは特に好きではないデータに触れる必要もある。Facebookはこれまでの歴史で、プライバシーにはあまり気を配って来なかった。エンタープライズシングルサインオンをサポートしたとしても、Facebookでホストされているコンテンツが今まで以上に安全になることはない。Facebookはサードパーティの統合をサポートすると発表したが、生態系を展開する切迫性を感じてはいないようだ。

Slack

強み:第2世代の1番手、SMB(Small and Midsize Business)での利用に強み。

長所:Slackはクリーンで楽しいインターフェースを提供し、無償で使い始めることができる。コードがチャネルに貼り付けられたときに自動検出して綺麗に整形するといった、クールな機能を備えた次世代メッセンジャークライアントの先がけだ。サードパーティとの統合はかなり優れているが、メッセンジャーにマイクロアプリケーションを直接統合する計画はない。競争は通常、企業の意思決定者に対するトップダウンで行われるのだが、Slackは純粋なボトムアップの売り上げモデルを使う期待の新人だ。

短所:Slackはエンタープライズクラスの製品の提供ができなかった。それぞれのSlackチーム(グループのこと)はすべて、PHPを実行する別個のAmazonサーバー上で動作し、150人を超えるユーザーをサポートすることは現実的には難しい。ユーザーは別のウィンドウを開いて、利用するそれぞれのスラックチームに対して個別のユーザー名とパスワードを保持する必要がある。これは、すべてのスラックチームがslack.comドメインで動作することを考えると特に厄介だ。お願いだからSlack、ユーザーデータベースをAmazonのRedisに移行して、サーバー間で認証クッキーを渡すようにしてくれ、1ヶ月位で出来ちゃうプロジェクトだぞ!どこかの時点で、kumbayaカルチャー(キャンプファイヤーを囲んで話をするように、お互いに腹を割って話すこと)が発動されなければならない;エンジニアリング部門の人びとと率直な話をする機会を持たなければならないのだ。それはミレニアム世代の一部の者にとっては悲しい経験となるだろう。

Google            

強み:G SuiteとHangoutsにバンドルすることができる。

Googleはこのレースのダークホースだ。Hangoutsに永続的なチャットグループを丁度加えたばかりである。

それらは皆どこに向かうのか

最大のエンタープライズ・プレイヤーのうちの2社であるMicrosoftとIBMが、今この市場を狙っている。マイクロソフトはOffice 365へのバンドルという優位性を持ち、IBMはコグニティブコンピューティングに優位性がある。 Facebookは、そのよく知られたインタフェースと表示アルゴリズムで、企業の抵抗を克服しなければならない新規参入者だ。スラックはその栄誉の座を占めて来たが、今やそれを上回ろうとしている大企業に追いつかなければならない。Googleの市場参入は、主にG Suiteを使用するSMB市場のローエンドをターゲットとし、Slackにさらなる課題をつきつけるだろう。

これらのすべてのプレーヤーのエキサイティングな部分は、メッセージングを超えて新しいモダンなインターフェースでエンタープライズワークフローを再発明することが急速に可能になって来ていることだ。特に大企業では、従業員が情報に圧倒され、古いソフトに縛り付けられているために、こしたものが本当に必要とされている。さあ前へ進もう!

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(翻訳:Sako)

デザインとプロトタイピングツールのMarvelがシリーズAで400万ポンドを調達

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POP買収の熱も冷めやらぬ、デザイン・プロトタイピングプラットフォームのMarvelが、シリーズAの資金調達で400万ポンドを調達したことを明らかにした。ラウンドを主導したのはBGF Venturesで、これに以前からの支援者たちであるIndex Ventures、Connect Ventures、Inreach Ventures、Andy McLoughlin、そしてRichard Fearnが加わった。

Marvelは、ウェブとモバイルアプリのアイデアをプロトタイプ(またはワイヤーフレーミング)するためのシンプルなアプリとしてスタートし、今では誰もがデザインとプロトタイプを行うことが可能になることを目指す、オールインワンデザインプラットフォームへと成長した。組織の中心にデザインを据える企業たちを支援するために、個々のデザイナーやチームによって利用されている。

これを実現するために、Marvelはワイヤーフレームからユーザーテストまで、コラボレーション機能を提供しながら、Webやアプリのデザインワークフロー全体をサポートしている。

同社とその製品が成長した方法も興味深い。それが買収の巧妙な戦略によって少しずつ達成されてきたように見えることだ。ウェブやアプリデザインのエコシステムは、製品ではないにしても、沢山の機能に溢れていて、その多くが大きな企業へと成長することはない。

Marvelはいくつかの機能や製品の買収から始めた — POPの資産を獲得する前には、Plexiというデザインツールを買収した — 市場で先頭を走るために、それらを自社の製品に組み込んだのだ。

今日のシリーズAの目的はMarvelを会社として強化することだ。スタートアップのプラットフォームには現在、100万人以上の登録ユーザが居て、毎月約3万5000人の新規ユーザがサインアップしていると聞いている。最大の市場は米国と英国である。現在はセールスに投資しているが、最近までは現在までは多くを組織と顧客のサポートに向けて投資していた。新たな資本はまた、Marvelの新たな市場への進出や新製品の開発を可能にする。

BGF VenturesのパートナーであるRory Stirlingは、次のように述べている。「私たちはMurat、Brendan、そしてJonathanが、この数年にわたってこの事業を構築するところを見てきました。Marvelの旅に参加することは並ぶことのない誇りです。私たちは、彼らの製品へのこだわりとユーザーに対する親近感が大好きです。技術が創造的なプロセスをシンプルにするために使われるとき、驚くべきことが起こります。Marvelは、個人やチームが世界規模で優れた製品を作り出す方法を変える能力を持っていると信じています。これはまさにBGF Venturesが支援したい野心の一種です。私たちは、すでにチームが掴んでいる印象的で忠実なユーザー基盤を持つビジネスを、拡大する手助けをすることを楽しみにしています」。

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(翻訳:Sako)

ロシア発のThngsはモノのWikipedia

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モスクワに拠点をおくThngsは、形のあるものを対象にしたWikipediaのようなサービスを開発している。しかし、現在同社がマネタイズの方法を模索していることを考えると、Wikipediaの哲学に共感している人はこの対比に納得がいかないかもしれない。

まずは美術館をターゲットとしているThngsは、高画質な写真や説明と共にモノをデジタルに保管することで、その情報を永遠に保存できるようなサービスをつくろうとしている。

同社は既に、ロシア国内のふたつの美術館(Polytechnic MuseumMoscow Design Museum)と契約を結んでいるほか、美術館やメーカーがオンラインコレクションを作成する際に使えそうな”Shows”を何十種類も準備している。

「Thngsは、モノ(Things)に関する情報を集めて共有するためのサービスです」とCEO兼共同ファウンダーのDima Dewinnは説明する。「Thngs上では、簡単かつ快適にモノの情報を発見し、共有し、保存できるようになっています。美術館やコレクター、ブランド、メーカーは、Thngsを使うことで、現実とほぼ同じようなエクスペリエンスを提供し、ターゲット層にリーチすることができます」

Dewinnによれば、Thngsの資金調達はこれまで上手くいっておらず、事業に必要なお金は全て自己資金からまかなわれてきた。「私たちはこれまで何度かロシアの投資家とミーティングの場を設けてきました。といってもロシアの投資家という存在自体、神話みたいなものですけどね」と彼は話す。「ロシアの投資家からは、Thngsのような複雑なサービスを構築するのは不可能だし、万が一サービスが完成しても儲からないと言われました。一方アメリカのVCからは素晴らしいサービスだと言ってもらったんですが、彼らの投資を受けるにはアメリカに拠点を移さなければいけないんです」

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外部から投資を受ける代わりに、Thngsは主要な機能の開発に注力し、それをマネタイズする方法を編み出した。実は美術館は、コレクションの電子化や電子化されたコンテンツを効果的に使うためのツールという、まさにThngsが提供可能なサービスを必要としていたのだ。「メーカーも同じニーズを持っています」とDewinnは話す。

そのような企業のために、Thngsは、高画質な写真や360度画像の制作をサポートするとともに、一般の人に馴染みがある形式でコンテンツを公開できるツールを提供している。さらにThngsは、Getty Imagesとパートナーシップを結び、顧客(美術館、ギャラリー、コレクターなど)がコレクションの写真や360度画像、3DモデルなどをThngs経由で販売できるようなサービスを間もなくローンチする予定だ。

「全てのモノを物理的に保存することはできませんが、私たちはモノに関する情報であれば保存できます。モノのWikipediaとして開発されたThngsには、全てのアイテムに個別ページが割り当てられるほか、誰でも編集可能なメタデータや画像、関連ファイルを追加するためのスペースも用意されています。私たちはモノを発見し、収集し、購入できるようなツールの開発を目指しているんです。例えるならば、モノで溢れる現代に誕生したノアの方舟といったところでしょうか」とDewinnは付け加える。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

New Labはハードウェアスタートアップのための新しいコラボレーションスペース

 

New Lab先月正式にオープンした 。その共同創業者のDavid Beltが、ロボティクスや人工知能といった分野の会社のための「コラボラティブワークスペース」と表現するスペースだ。

この施設はブルックリンのネイビーヤードに位置し、かつては造船に使われていた建物である。Beltはこの建物を、製造センターとして復活させたかったのだと語った。もちろん現在の産業と技術に対応できるようにして。

「ソフトウェア企業のためのリソースは、ニューヨークに沢山存在しています」と彼は私たちにに語った。「しかし、ハードウェアを作ろうとしている企業のためには、それほど多くのリソースは存在していません。そしてそれらのリソースには私たちが必要と考えるツールやコミュニティが備わっていないのです。なので、New Labは、人びとが集い、プロトタイプを行い、共にイノベーションを目指し、そういう人びとのプロダクトをマーケットに届けるために効率的な場所であることを目指しているのです」。

言い換えれば、ハードウェア企業は机と高品質なインターネット回線以上のものを必要としているので、New Labには溶接や、レーザーカッター、そして3Dプリンターといった設備が用意されている ‐ いずれも本当のプロトタイプを作る際に必要とされるものだ。

つい先日私たちは、建物のツアーを行う機会を得て、最初の登録メンバーの何人かに対するインタビューを行った。その中にはHoneybee Robotics(医療や火星探索までの幅広い用途のロボットを構築している)や、Nanotronics(産業用自動顕微鏡)、そしてStrongArm Technologies (倉庫従業員のような「産業アスリート」のための機器)の代表者たちも含まれている。

さらに詳しい情報とメンバーシップの申請はNew Labのウェブサイトへ

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(翻訳:Sako)

GoogleとMonotypeが全言語対応フォントのNotoを公開

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サービスで世界中をつなぎ合わせようとしているGoogleは、これまでモバイルサービスや検索エンジン、地図、コネクティビティ、デバイスなどさまざまな分野に挑戦してきた。そして本日Googleは、野望を叶える上で欠かせない分野である一方、あまり注目されることのないフォント界での取り組みについてある重要な発表を行った。

そこでは、フォントの専門家であるMonotypeとの協力のもとで生まれた、Notoプロジェクトがお披露目された。5年におよぶ両社のコラボレーションの末に誕生したこのタイプフェイスは、単一のスタイルで800以上の言語と100種類以上の表記に対応している。既にこのフォントはオープンソースのOFL(オープンフォントライセンス)として公開されており、そのまま利用するだけでなく、フォントデザインに改変を加えることもできる。

ユーザーがどの言語でデジタルコンテンツを創作・消費しようと、白いボックス(通称”豆腐”)として表れる”未知”の文字を表示させないようにする、というのが両社の大きな狙いだ(Notoは”No to(fu)”という意味でもある)。さらにGoogleとMonotypeは、全言語のフォントが視覚的に統一されれば見た目にもよいと考えている。

両社がこのプロジェクトに取り掛かりはじめたころ、疑いの目を向ける人がいたのも確かだ。そんな人たちの意見が、パキスタン系アメリカ人ライターAli Eterazの以下の言葉に上手くまとめられていると個人的には思う(2014年にNPRが引用しているが、この頃プロジェクトは既にかなり進行していた)。

「2つの考えの間で揺れているんです」と彼は言った。「このGoogleの普遍主義的なプロジェクトは、無害、もしくは有益でさえあるかもしれない。でもその一方で、技術的帝国主義のようにも感じるんです」

手元にさまざまな種類が揃っていれば、フォント選びはとても楽しく開放的である上、正しいフォントを選ぶことで自分のメッセージが上手く伝わる場合もある。

そういった意味では、Notoプロジェクトの結果生まれたのは、想像力をかき立てるというよりも機能的なフォントだと私は思う。文字ひとつひとつが、考えうる限り最も当たり障りなくニュートラルで(ベーシックな英語のサンセリフ体を下に掲載している)、フォントスタイルには、さまざまなウェイトや台詞・サンセリフ体、数字、絵文字(基本的にはGoogleの絵文字)、記号、楽譜用の記号などが含まれている。

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しかし機能面から考えると、真の意味でのグローバルフォントを作り出すというのは、価値のある素晴らしい取り組みであると同時に、その結果誕生したフォントもすっきりしている。

「Google Notoは、その規模や範囲を考えると気の遠くなるようなプロジェクトでした。それでも、これまで誰も挑戦してこなかった問題を解決できる素晴らしい製品を、5年間のハードワークの末に誕生させることができ、私は誇りに思っています」とGoogle国際化部門のディレクターであるBob Jungは声明の中で語った。

「Notoプロジェクトにおけるゴールは、私たちが販売するデバイス用のフォントを作ることでしたが、同時に情報を保護する活動にも興味がありました。話者数が減っている言語や、学問の世界でしか使われていない言語、さらには既に使われていない言語で残された情報を保護するのは、とても重要なことだと考えています。デジタルフォントのNotoがなければ、そのような文化資源を守っていくのは大変難しいでしょう」

私が面白いと感じたのは、プロジェクト開始当初のGoogleとMonotype間での仕事の割り振りだ。

Monotypeは実際のデザイン業務を主に担当していた。その業務内容は、「文字・表記システム・文字体系に関する研究やそのデジタルデザイン化、個別言語のルールや慣習をフォントに適用する作業、さらには世界中の外部デザイナーや、表記に詳しい言語学者の管理など」だったとMonotypeは言う。

Googleは、その強力なエンジニア陣やその他の力によって、クライアントの役割を務めていたようだ。つまり、Monotypeがやらなければいけない事項のパラメーターを設定したり、その対価を支払ったりというのをGoogleが担当しており、「プロジェクトの要件や範囲を定義し、主要言語のデザインの方向性に関する重要な指示を出していたほか、デザインレビュー、技術テストのリソース提供、さまざまな言語に関する専門的なアドバイスの提供以外にも、このプロジェクトを実現させるための資金を供給していた」。

さらに両社は、「世界中から何百人もの研究者、デザイナー、言語学者、文化学者、プロジェクトマネージャーがGoogle Notoに関わっていた」とも話す。

Googleは、さまざまなサービスをローンチすることで、インターネットに接続されている所であれば、どこにでもその足跡を残そうとしており、Google Notoの開発プロセスはその動きに沿ったものであった。さらにこれは、言語に関するGoogleの他の取り組みとも合致する動きで、話者数を問わずにさまざまな言語をカバーしている翻訳サービスがその筆頭だ(今年Google Translateの対応言語数は100を超えた)。

商業帝国主義的な要素があるのではないかというコメントに関し、2011年のUnicode 6.0(現行は9.0)リリース時からGoogleと提携しているMonotypeは、ある程度このような反応に配慮しながらプロジェクトに取り組んできたようだ。

例えば、チベット語へのアプローチについてMonotypeは「さまざまな文献や資料をしっかりと研究した後、仏教寺院の協力を仰いでフォントを批評してもらい、それをもとに修正を加えました。修道僧はチベット語の原稿を絶えず読み込んでいることから、チベット語版のNotoを評価するには最適な人材で、最終的なフォントのデザインを決定する上で、彼らの助言はとても有益でした」と説明する。

Notoフォントは本日リリースされたが、MonotypeとGoogleはこれが完成形とは考えておらず、Unicodeの進化にあわせて、今後新たな表記やウェイトが追加されていく予定だ。

「私たちは熱意をもって活字というものに取り組んでおり、さまざま文化・言語・地域で活字が利用されるように日々の活動に取り組んでいます」とMonotypeの社長兼CEOのScott Landersは話す。「歴史上最も重要な活字プロジェクトのひとつとなったNotoで、こんなに大切な役割を担うことができて光栄です。Monotypeのフォントに関する専門性とGoogleの革新性が合わさることで、こんなに生産的な関係が生まれることがわかったので、今後もフォントがさまざま場面で利用されるように、このコラボレーションを続けていくのが楽しみです」

Notoフォントの取り組みに関する詳細については、こちらのGoogleとMonotypeのビデオをどうぞ。

Creating Noto for Google from Monotype on Vimeo.

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Office 365はあなたのプロジェクトにゲストを招待できる…多様な人材から成るプロジェクトチームにも対応

Casual discussion between coworkers in modern architect studio

Office 365のようなオンラインツールのおかげで、同じ職場の同僚たちとのコラボレーションはやりやすくなったが、でも仕事、とくに個々のプロジェクトには、往々にして、外部の人が関わることも多い。パートナーとか、コンサルタントとか、あるいはベンダの人たちとか。Microsoftは、そういう現実に対応するために今日(米国時間9/9)、Office 365のコンテンツを、招待したゲストにも見たり編集できる、という機能を発表した

それは一挙に全面展開ではなく、段階的だ。まず最初はWeb上のOutlookにゲストアクセスできる。外部者を招待するためには、まず、招待する方法が必要だ。

プロジェクトにその人を招待するとき、最初はメールで連絡するから、Outlookは妥当な入り口だろう。[Add Guest]をクリックしてその人宛のメールを入力する。ゲストは招待メールのほかにもメールをもらったり、カレンダーに招待されたり、メールの添付ファイルを共有したりするだろう。

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Outlookでゲストを加える。画像提供: Microsoft。

ゲストは全員MicrosoftにサインインしてOffice 365のアクセスをもらう。ただし、メールのドメインは企業でなくてもどこでもよい。

これはMicrosoft一社の発想というよりも、むしろトレンドだ。まさに今週、BoxがBox Relayを発表した。これはIBMと共同開発したワークフローツールで、やはり、仕事のワークフローに外部の人を招待できる機能がある。

Boxの場合は、そのプロジェクトのリーダーがゲストのセキュリティをセットする。たとえばゲストにとってリードオンリーのドキュメントに、社内のチームメンバーは編集アクセスができる、という設定が可能だ。

両社とも、クラウドとモバイルが主勢の現代社会では、仕事のやり方が変わりつつあることを認めている。仕事は、どこにいてもできるし、多くのいろんな人が関わってくる。社員だけ、とは限らない。

プロジェクトのチームを社内社外のいろんな人で構成することが、ますます重要になっている。Microsoftの今日の発表もそのことの証(あかし)だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AppleのiWorkスイートがリアルタイムコラボレーションを導入、GoogleやMicrosoftに挑戦

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Appleは今日(米国時間9/7)のイベントで、iWorkのドキュメントにリアルタイムのコラボレーションを導入して、Google Documentsに対抗していくことを発表した。待望のこの機能が実装されたことにより、複数の人間がオンザフライでドキュメントを共作していくことが、可能になった。

iWorkアプリの最新バージョンを使うと、ユーザーはMacやiPad、iPhone、それにWeb上で、画像やテキストなどから成るさまざまなドキュメントをコラボレーションで作っていける。Pages, Numbers, KeynoteなどすべてのiWorkアプリケーションに、このコラボレーション機能が実装される。学生や一般職業人に喜ばれるこのリアルタイムのコラボレーション機能は、Appleの生産性スイートにもっと前からあってほしかったものだ。

ステージに立ったAppleのプロマネ担当VP Susan Prescottは、Appleのイベントに初めて登場する女性のプレゼンターだ。彼女はプレゼン用のデッキをライブで編集するデモを見せた。ステージ上のデッキの編集をライブでデモするなんて、これまでのAppleの極度に統制されたステージパフォーマンスでは考えられなかったことだ。デモは、まだ映写されていないスライドを編集することができる、というやり方を見せた。これなら、プレゼンテーションを今やっている現場でエディットすることも、可能だろう。すばらしい。

このアップデートは、今日からただちに提供される。

iWorks icons

イベントのステージで共同作業の様子を発表

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Slackの単純な線形のメッセージ集合に文脈性と構造性を与えるSlackボットPingpad

Business people talking in office

昨年、消費者向けのモバイルアプリをローンチしたPingpadが、本日(米国時間8/9)方向転換をして、人気の高いエンタープライズコミュニケーションプラットホームであるSlackの機能を高めるコラボレーションツールを発表した。同社は、こちらに専念するために、消費者アプリを最近閉鎖した。

PingPadのファウンダーの一人であるRoss Mayfieldは、いわゆるEnterprise 2.0ブームの初期のころから活躍していて、2000年代の初めに登場してきたWebベースのツール、ブログやwikiを真似て、それらの機能を企業のコラボレーションツールにしよう、という趣旨のサービスSocialtextを立ち上げた。

Mayfieldは今回、そのときの経験をベースにして、Slackに欠けているものを提供しようとしている。それは総合的なコラボレーションツールで、彼が初期のころ参考にしたwikiのように、チームのメンバーにコンテキストと構造性を与える。言い換えると、Slackのあくまでも線形の会話から、話の脈絡を取り出す。

このSlackボットは、Slack上の会話を組織化して、検索やそのほかの利用が可能なドキュメントを作り出す。

このボットは、その後の会話からも情報を取り出して、リアルタイムでそれらのドキュメントに加える。またユーザー自身が、/noteなどのコマンドでコンテンツを加えることもできる。

Pingpad Slackbot organizing tasks by person and color coding them.

画像提供: Pingpad

Slackは、これまで多くの人が失敗したエンタープライズコラボレーションで成功し、その成功の鍵は、オープンなコミュニケーションプラットホームであり、またデベロッパーにとってもフレンドリーだったことにある。その成長に刺激されたPingpadは、方向転換を実験的なサイドプロジェクトとして開始したが、すぐに、Slackという馬に乗らない手はない、と悟った。

ビジネスモデルは、1チーム100ノートまでは無料、それ以降は、1ユーザー1か月あたり4ドルで、サポートは無制限だ。

Mayfieldは、彼が昔作ったマイクロブログツールSocialtext Signalsと、今のSlackがとてもよく似ている、と感じている。“SlackのメッセージボタンみたいなものはSocialtext Signalsにもあった。サードパーティアプリとの統合性も良かった。通知機能や、他のアプリとの対話機能、メッセージを送って記録されているデータを変えることもできた”、と彼は昔を振り返る。

2002年にローンチしたSocialtextは、その後2012年にPeoplefluentに買収されたが、今日のSlackほど大々的に、エンタープライズ市場を捉えることはできなかった。

Mayfieldは、今回のように、他のプラットホーム(Slack)に乗っかる形にはリスクがあることを認める。でも、Slackよりも前にコミュニケーション/コラボレーションツールを作ってきた彼は、Slackにある種の因縁を感じている。彼は、Slackに賭けてみたいのだ。この分野ですでに14年の経験がある彼は、今度はうまくいく、と感じている。

この、‘Slackのためのwiki’は、最初のステップにすぎない、と彼は言う。これが離陸したら、ほかのツールも作りたいし、スタンドアロンのモバイルアプリもいずれやりたい、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Minecraftが予見する未来の協働作業

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【編集部注】著者のJim Fowler氏はGEのCIO

子供たちは究極のベータテスターだ。新しい技術が何のためのものであるかを理解するとすぐに、彼らはそれを使って他の何かをさせようとする。彼らは限界を押し広げ、規則を破り、可能なことは何でも使って遊び、そしてリアルタイムでその結果を共有する。

私の息子と彼の友人たちがどのようにMinecraftで遊んでいるかを見たとき、私はエンジニアリングと技術の未来を見たのだ - そしてそれはとてもエキサイティングなものだ。

Minecraftは没入できるデジタルレゴセットのようなものだ。それはあなたに少ない種類のデジタルブロックから、世界全体を組み立てさせる。そうすれば、あなたはMinecraftアカウントを持つ友人たちやその他の人たちを世界に招いて、そこでやり取りをしたり、世界を変えたり、あるいは元の世界をベースにパラレルワールドを作ったりすることができる。

基本を学んでしまえば、組み上げることができる複雑さのレベルは事実上無制限だ。Minecraftを使った遊びのスタイルは、デジタルワークプレイスのための優れた訓練手段でもある。それは協働的で、リアルタイムで、対話的かつ終わりのない活動なのだ。

ゾンビや溶岩湖、そして本当にクールなモンスターたちもいる。

これからMinecraftが予見する未来の協働作業を紹介しよう。

自分自身のデザインした世界の中に住む

2014年に25億ドルでMinecraftを買収したMicrosoftは、このゲームを拡張現実ヘッドセットであるHoloLensと統合した。これが意味するのは、今やプレーヤーたちは目の前の現実世界の上に重ねられたMinecraftの風景を見下ろすことができ、他のプレイヤーたちが小さなアバターとして歩き回っているところを眺めることができるということである。

エンジニアのチームが進行中のデザインに対して、同じことをしていると想像して欲しい。あるエンジニアたちは仮想的な自分を縮小して自分たちのデザインの中を旅することができる。あたかも人体の中を旅する映画「ミクロの決死圏」の中の小さな探検家たちのように。他のエンジニアたちは全体のデザインを一度に眺めることができ、その構築過程をアリがアリ塚を作るのを眺めるように観察できるだろう。

スキルを引き寄せ創造性を解放するプラットフォーム上で働く

Minecraftはゲーム以上の存在である。サードパーティとユーザーはカスタム部品を作ることができ、それが創造性とスキルのためのグローバルなプラットフォームへと発展した。他の人が購入したり遊んだりするためのカスタムアイテム、キャラクター、そして世界は誰でも作ることができる。

ジョージ・R・R・マーティンのゲーム・オブ・スローンズのファンタジー世界全体がMinecraftの中に作られている

皆を引きつけるクールなものを開発し、世界的な創造性の井戸へと投げ込むことによって、Minecraftのデベロッパーたちは大当たりを引き当てている。彼らは1つの会社で雇うことは夢にも思えなかったほどの、多くの創造力を入手したのだ。例えば:ジョージ・R・R・マーティンのゲーム・オブ・スローンズのファンタジー世界全体が、ボランティアの共同体によってMinecraftの中に作られている。また別のグループは、ちゃんと動作する16ビットのコンピュータのモデルを作った。

Minecraftはこれまではゲーム世界の外にいた人たちの想像力にも火を点けている。アイルランドの小説家Julian Goughは、Minecraftの最初の冒険のエンディングクレジットとして画面に流される詩を書いた。そしてデンマーク政府は、ある会社にゲームにデンマークの実物大のマップを作るよう依頼した。

デジタル産業時代には、人を集め創造性を解放する力のあるプラットフォームを開発することができる会社こそがより繁栄するのだ。あなたのソフトウェアはもはや、ただ目の前の問題を解決することだけでは済まされない。それはまた、解決を続けるエコシステム全体への入り口でもあるのだ - その解の一部はあなたが作り、他の部分は顧客やユーザーから得られるものだ。

協働的かつリアルアイムに解かれる問題は複雑すぎるものにはならない

私の息子は学校から戻ってくると、(もちろん宿題を終えた後に)コンピュータにかじりつき5、6人の友人たちと一緒に世界を創り始める。彼ら自身のゲームのための部品(mod)をコードして、それを使って新しい世界を築くのだ。もし私が、彼らがたどり着こうとしている場所の半分でも理解していると言ったなら私は嘘つきということになる。私は世界規模のテクノロジー企業のCIOなのだが。

私の息子と彼の友人たちが一緒に複雑なことを創り上げていく過程で、私を魅了してやまないことは、そこには誰も責任者がいないということなのだ。にも関わらず、必要な変更を加えながら、すべてのものが素早く完全に出来上がるのだ。

私たちは、教室の外にある、アクティブで生涯続く技術への興味を引き出すものも見過ごすべきはない。

私たちは企業の世界における仕事の現場において、すでにこの種の自然発生的な、大いに効果的な協働作業を目撃している。CIOとして私はこれまでに、人びとがデータを使う際により快適に探求と発見を行う自身の方法を見つけていくところを目撃してきた。まだキャリアが浅いころ、私は人びとに技術の使い方を指図しようと躍起になっていた。今私がすることと言えば、データが必要な人に対して、ただ最大限の流量を確保することだけである。ある一定のガードレールは設置するものの、それ以外は人びとが探求し実験するままにしておくのだ。時々私は、リソースとデータを用いた、オープンエンドでオープンソース、そしていちかばちかのゲームの審判を自分がしているように感じることがある。

私の息子と彼の友人たちが苦もなく働くスピードも未来を感じさせる。私はエンジニアたちに与えられた現代の協働デザインツールが、巨大な産業プロジェクトのデザインと最初の製造を、何週間の単位から数日、時には数時間のレベルで行わせるところを見てきた。私の息子の世代が労働力として社会に出るとき、いったい何が可能になるのかを想像してみよう。

科学技術教育はいっそうゲームのようになり、学校くささは減っていく

米国におけるSTEM教育の不足が多いに議論されている、私たちはより多くのハードサイエンスを教室に持ち込むために、公式に力を合わせて努力しなければならない。けれども私たちは、教室の外にある、アクティブで生涯続く技術への興味を引き出すものも見過ごすべきはない。

私のCIOへの道は、父親の薬局のカウンターの後ろにいた子供の頃に始まった。私は1台のIBMコンピュータの上で走る1つの専用アプリケーションが、それまで必要だった月2日の余分な仕事をなくし、保険会社が紙で行っていた時よりも4倍速く父親へ払い戻しをしてくれることに、すっかり魅了されていた。今日私がしている仕事は - 世界的なビジネスのために企業資源計画(ERP)を最適化すること - 最初のIBMを使った時に感じた興奮の延長なのだ。

子供時代に経験するこの種類の魅惑と驚きが、コンピュータサイエンスにおける重要なキャリアをいくつも始めさせてきた。計算科学のパイオニア、クロード・シャノンとダニー・ヒルズは、MITで出会った時二人とも子供の頃3目並べを遊ぶための単純な機械を作っていたことを知って強い絆で結ばれるようになった。やがてシャノンはサーチ・エンジンに用いられる数学を発明し、そしてヒルズは最初のスーパーコンピュータの1つを設計した。

ヒルズとシャノンのようなキャリアをより多くひき起こして、そして我々の将来の労働力がデジタルと産業両方の言葉を確実に使いこなすことができるようにするために、より多くの子供たちを科学、技術、エンジニアリング、そして数学に、自然で自発的かつ創造的なやり方で触れさせなければならない。

最近GEは、私の母校ヴァン・ウェルト高校のロボットクラブに2万5000ドルの寄付をした。設立から5年ほどの間に、このロボットクラブは山のような受賞歴を重ねていた(やるじゃないか!)- しかしそれがGEがチームをサポートを決めた唯一の理由ではない。私たちは全米を横断して様々な組織と、若者たちをテクノロジーへ自然で自発的かつ創造的なやり方で引きつけるために提携を結んでいる。

結局のところ、技術の未来は遊びの中にあるのだ。

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(翻訳:Sako)

AmazonのAWSがついにIDEを統合、40のプログラミング言語をサポートするCloud9を買収

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Amazon Web Servicesが、そのクラウドサービスを一層充実させるための買収をまた行った。今回買ったサンフランシスコのCloud9は、Web開発やモバイル開発をコラボレーションでやっていくためのIDE(integrated development environment, 統合開発環境)だ。

ニュースはCloud9の側から発表され、同社のサイト上に声明文が載った。それによると、AWSのための新しいツールは作るけれども、既存のサービスも継続する、と言っている。AWSを経由しなくても(Amazonの一部になっても)Cloud9を従来どおり単独で使える、ということ。

“Amazonに買収されたことを真っ先にユーザーのみなさまにご報告できることを、嬉しく思っています。今後はAmazon Web Servicesの家族に加わり、ほかのみんなと一緒にすばらしいサービスを顧客に提供していけると思います”、と協同ファウンダーのReuben Danielsが書いている。“これまでのCloud9は今後もこれまでどおりですから、安心してこれまでどおり、お使いいただけます。これまでCloud9に投資した時間や体力が、無駄になることはありません。オープンソースコミュニティAceとの協働関係も継続しますし、世界中の何十万もの顧客のみなさまに、弊社の革新的なサービスを引き続きご提供して参ります。いずれは、私たちがAWSでやることも、みなさまのお役に立つと思います”。

2010年に創業されたCloud9は、今では40種類のプログラミング言語をサポートし、互いにリモートの複数のチームが協働してコードの開発やエディットができる(オンラインのコードエディターを提供しているしまたUbuntuのワークスペースを使ってもよい)。コードのテストができる環境も、各種のブラウザーとオペレーティングシステムの組み合わせの種類・数でいうと、300種類を超えている。

最近はチームが地理的に分散していることが多いので、このようなグローバルなコラボレーション環境が必須だ。今では、SoundcloudやAtlassian、SalesforceなどもCloud9を使っている。Cloud9のサービスはフリーミアムで、有料は月額19ドルからだ。エンタープライズ・プランになると、課金に従量制の要素が入ってくる。AWSの下ではいくらになるのか、まだわからないが、薄利多売に徹しているAmazonのことだから、またまた、競合他社を蹴散らすような安い料金になるのかもしれない。

どんなに安くしてもAWSのメリットは大きい。昨年AWSは、アクティブユーザーが100万を超え売上が73億ドルを超えたが、今度の買収も、これまでと同じく、AWSの新規ユーザーを(Cloud9からの流れで)増やすとともに、(Cloud9が)AWSの既存のユーザーからお金を稼ぐ新しい商機にもなるのだ。こうやってAmazonもAWSも、ビジネスをどんどん増やしていく。

NitrousやKodingのような既存のサードパーティのIDEプロバイダにとっては、嬉しくない知らせかもしれないが、AWSはMicrosoftのAzureなどと並んで、モバイルアプリの開発や、スタートアップのサービス提供基盤として人気の高いプラットホームだから、IDE↔AWS間(かん)のワークフローがよりシームレスになる(スタンドアロンのIDEを使ってるときよりは)という意味で、Cloud9を買ったことの意義は大きい。

IDEを統合したコラボレーション型クラウドプラットホームという点では、Microsoftと、もしかしたらSlackも競合相手になる。後者は昨年画面共有サービスのScreenheroを買収したが、それはデベロッパーたちがそれぞれ単独のコーディング環境を使わずに済むためだ。

Cloud9はこれまで、AccelやBaldertonなどから500万ドルあまりを調達している(ソース: CrunchBase)。これはシリコンバレーでは、比較的おとなしい額だ。

買収の条件は公表されていないが、今本誌はそれを見つけようとしている。Amazonにも、今回の取引の直接の確認を求めているところだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマホがジカ熱の特効薬に?

SAO PAULO, BRAZIL - MARCH 04:  Aedes aegypti mosquito, the species which transmits the dengue virus, chikungunya fever and zika is photographed on March 04, 2016 in Sao Paulo, Brazil. (Photo by William Volcov/Brazil Photo Press/LatinContent/Getty Images)

【編集部注:本稿の執筆者、Shawn DuBravacはConsumer Technology Associationのチーフ・エコノミストでDigital Destiny: How the New Age of Data Will Transform the Way We Live, Work, and Communicateの著者】

スマホは現代の生活においてさながらデジタル版スイス・アーミーナイフのような存在となった。単に電話としての役割を超えて、写真やビデオを撮影したり、物を購入したり、ソーシャルネットワークに接続したり、街で道案内をしてくれたり、考え得るあらゆる目的のために、時には考えもつかないものも含めて使用されている。アプリを使うのもスマホ上だ。

今日のスマホは極めて強力なマイクロコンピュータだ。驚くべきことには、現在、このデバイスの計算力が集団でひとつにまとめあげられ、さらにすごい目的に使われつつある。その目的とは、ジカウィルスに対する治療法を見つけ出すことだ。

我々のほとんどは、この小さな奇跡とでもいうようなデバイスをポケットやパースに入れて普段持ち運んでおり、もはやスマホなしの生活など想像すらできない。その依存度たるや、オバマ大統領によるとそれはもはや「崇拝」といったレベルのもののようだ。しかし大統領も#OpenZikaプロジェクトのニュースを聞けば見方を変えるかもしれない。

IBMのWorld Community Gridの研究プロジェクトは、ボランティアのコンピュータ、アンドロイドのスマホ及びタブレットのネットワークを仮想的なスーパーコンピュータに変えてしまおうというものだ。

ボランティアがWorld Community Gridのアプリをダウンロードすると、研究者はそのデバイスにアクセスして演算を実行することができるようになる。蚊に媒介されるジカウィルスを撃退するには抗ウィルス剤が必要だが、その演算はジカに対する抗ウィルス剤を製造するために必要な化合物に関する仮想実験を行うためのものだ

Consumer Technology Associationの研究によると、世界中では大体26億のスマホが使われており、さらに14億のスマホが毎年売れている。先進国の多くでは、スマホの総数は人口より多く、世界の最僻地でも所有率は増加の一途を辿っている。

スマホ人気の陰で固定電話の契約数は下降の一途を辿り、アメリカでは遂に世帯数の50%を割り込むまでになった。また、スマホは何百万ものデジタルカメラのシェアを切り崩している。つい最近の2011年の時点では80%のアメリカ人はデジカメを所持していたが、今日その比率はたったの61%だ。つまり我々は迅速かつ熱狂的にオンライン、オフラインの両方においてスマホに移行しているのだ。

仮想的ドラッグスクリーニングは今日のスマホが実現できる最新ワザのひとつだ。そんなことまでできるとは。

我々が暮らしている空間では、互いに繋がった何百億ものデバイスがあらゆる場所に現れ、公共および私的な空間で日常的に存在している対象を次々に置き換えている。例えば、パーキングメーターや消火栓、自転車ラックや道路、自動車や家のドアの鍵がどんどんインターネットに繋がっている。カメラやマイクロフォンや各種センサーが実際の居住空間と一体化している。

大概のカメラやマイクロフォンはオンデマンドで動作するものだ。すなわちユーザーがデバイスに次どうするかを指示する必要がある。これらのデバイスがデジタル化し、さらにインターネットに接続され「センサー化」すれば、これまでそこにあったが特に利用されず放置され、デジタル情報として利用し得なかったデータを、今度は体系的に取得し始めることが可能になる。

そこにこそ強力なパワーが隠れている。そしてこれこそがWorld Community Gridの着眼するところであり、そのパワーを利用することでこれまでマラリア、エボラ、結核や様々な病気の研究が行われてきた。

#OpenZikaプロジェクトにより研究者はボランティアの提供するデバイスを使って演算を実行させてもらうが、持ち主がデバイスを利用する際に悪影響が出ることはなく、そのせいで持ち主のデータの安全性が損なわれた例はこれまで報告されていない。同時に、このプロジェクトで研究者が手にする演算力はスーパーコンピュータの演算力をも霞ませるほどのものだ。これは、スーパーコンピュータが誰にでも利用できるものではないという点と関係がある。

ラトガース大学の新興・再興病原体センターのAlexander PerrymanがCNBCに語ったところでは、研究者がいわゆる一般的なスーパーコンピュータを使うことができるのはたった数万時間、それは中央処理装置の実行時間で数十万時間に相当する、という。一方でWorld Community Gridであれば3万年相当の中央処理装置の実行時間が手に入る。

ジカ熱の治癒に役立つ化合物を探索するには、何千万種類にも及ぶ化合物を計算評価する必要があるが、World Community Gridプロジェクトはその過程を効率化し、計算にかかる時間の短縮に貢献するだろう。ジカ熱は致死率そのものは低いものの、妊婦が感染した蚊にかまれると赤ちゃんに先天性異常が引き起こされる可能性がある。

仮想的ドラッグスクリーニングは今日のスマホが実現できる最新ワザのひとつだ。そんなことまでできるとは。そして次に何が来るだろうか。大いに注目したい。

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(翻訳:Tsubouchi)