家庭向けロボ「Jibo」は何が従来のロボットと違う? TechCrunch TokyoにCEOが来るぞ

11月17日、18日に迫ったTechCrunch Tokyo 2015で、またもう1人、海外ゲストスピーカーが決まったのでお知らせしたい。家庭向けロボットを開発する「Jibo」でCEOを務めるSteve Chambers氏が登壇する。Jiboは2012年創業で、Indiegogoで7400人を超える支援者から約370万ドル(約4.5億円)の資金を集めて注目される米東海岸発のロボット関連スタートアップだ。これまでに4度のラウンドで約3860万ドル(約46.8億円)もの資金を調達している。TechCrunch Japanの読者には、以下の動画に見覚えのある人も多いのではないだろうか。

現在、まだ量産出荷には至っていないものの、すでに試作量産品を作っていて、いまはSDKを準備中という。Chambers氏によれば上の動画ほど速くはないものの、首の動きは動画の通りだし、しゃべり方も動画に近い仕上がりになっているという。Jiboには腕はないし、目も1つだけ。でも、流れるような動きはコミカルだし、何か動作や目のアニメーションに人間らしさのようなものを感じてしまう。以下の2つの動画を見ると、これらが長年の研究に基いて注意深くデザインされたものであることがわかる。

相手が誰か認識し、感情表現をするロボット

SGC Color head shot

Jibo CEOのSteve Chambers氏

Jiboがこれまでに存在した家庭向けロボットやスマート・トイと異なるのは、顔認識によって家族のメンバーの区別が付くことだという。これまでにも個性を持ったロボットというのはあったが、相手によって違った対応をするとか、好みを覚えるといったものはなかった。その時々で誰に向かって話をしているのかJiboは分かっているので、メッセージングアプリやエージェント的アプリでの使い分けができるのだそうだ。

もう1つ、Jiboが従来のロボットと違うのは、Jibo側から人間側に話かけることがあることだそうだ。Siriが典型だが、これまでのロボットは人間側から話しかけて何かを頼み、ロボットがそれに応えるというのが基本的なインタラクションの流れだった。Chambers氏によると、利用者となる家族と「親しい関係」(social rapport)を築こうというのがJiboのコアにあるコンセプトだという。

Jibo創業に携わり、現在同社のチーフサイエンティストを務めているのはMITメディア・ラボ准教授のCynthia Breazeal氏だ。Jibo創業以前にも彼女は、アフェクティブ・コンピューティングという研究分野で、Jiboを思わせるロボットを、いくつか作り出してきた。アフェクティブ・コンピューティングというのは感情を識別、認識し、人間らしい感情表現をコンピューティングに生かすかという研究分野。1990年代にBreazeal氏が作ったKismetというフェイス・トゥー・フェイスでインタラクトするロボットも、この研究の一環で、以下の動画を見たことがある人も多いだろう。

Kismet

火星探査や自動車工場では、すでにロボットが使われているというのに、なぜまだ家庭にロボットが存在していないのか。その理由は、これまでのロボットには人間のようなソーシャルなインタラクションが欠けていたから、というのがBreazeal氏の主張で、それを商業的なプロジェクトにしたのがJiboということだ。

2014年7月のJiboのブログによれば、JiboのSDKはグラフィカルに行動を記述できるものと、JavaScript APIを使ってNode.jsベース直接プログラムできる環境とが用意されるようだ。Jiboは買ってきて数時間で飽きるオモチャではなく、スマホのような「プラットフォーム」の提供によるエコシステムの創出を狙っている、とJiboでエンジニアリングの責任者を務めるAndy Atkins氏はブログで書いている。Atkins氏はかつてAppleでNewtonのネットワーク関連APIを開発したことに始まり、後のAndroidを創業するAndy Rubinが共同創業者だったDangerでJavaベースのSDKの開発チームをリードしていた人物。今回TechCrunch Tokyoに登壇してくれるCEOのSteve Chambers氏は、音声認識エンジンや関連ソリューションで知られるNuanceを率いていた人物だ。NuanceはSiriにも技術提供をしていることで知られている。このほか、Jiboには、iRobotのプリンシパル・エンジニアだったRobert Pack氏もジョインするなど、どんどんタレントを集めている。潤沢な資金と人材を集めたJiboから出てくる「家庭向けロボット」という製品が、どんなものになるのか、とても興味深い。

JiboのSteve Chambers CEOは11月17日にTechCrunch Tokyo 2015で登壇予定である。ぜひ近未来の家庭向けロボットの話を聞きに来てほしい。

TechCrunch Tokyo 2015チケットはこちらから→

TechCrunch Tokyo 2015学割チケットはこちらから→

「お昼の相手を探す」サービスを大企業に売り込んだNever Eat Alone

screen-shot-2015-10-23-at-16-20-58

Never Eat Aloneの背景にあるのは、非常にシンプルなアイデアだ。しかしどうやら面白いビジネスチャネルを発掘したようだ。大企業に勤めていると、自分の部署の人とばかりランチにいくことが多くなる。もしいつもの仲間がいなければ、社内にいくらでも一緒にランチすると楽しそうな人がいるのに、結局ひとりで食事をすることになるケースが多い。Never Eat Aloneが着目したのは、まさにここだ。

「一緒にランチをする人を探す」というと、コンシューマー系のサービスだと思うかもしれないが、開発したフランスのスタートアップは別のアプローチを考えた。すなわち、フランスの上場企業に対し、従業員に使わせるためのライセンスを販売することにしたのだ。この方針がぴったりあたった。従業員のためにと導入する企業への売り上げが、数万ドル単位に達しているのだ。

共同ファウンダー兼CEOのMarie Schneegansが、アイデアの背景を教えてくれた。すなわち彼女がUBSで夏季インターンシップを行なっていたとき、彼女は部署を問わずにできるだけ多くの人に会いたいと考えたそうだ。しかし待っているだけではなかなかそういう機会も生まれなかった。それであちこちにメールを送ってランチの約束をしていたのだそうだ。ついにはUBSのCEOとランチすることもできたのだそうだ。

そうした経験から生み出されたNever Eat Aloneは、まさに当時の彼女がもっていた目的を実現するためのものだと言ってよいだろう。大企業には確かにこうしたサービスに対するニーズがあるのかもしれない。社内の人間関係を良くするのに役立ちそうだ。社内の風通しがよくなり、新しいアイデアが出てくるようになる可能性もある。企業文化の醸成といった面でも役立つことがあるだろう。

従業員側からすれば、Never Eat Aloneを使うか使わないかは全くの自由だ。使う場合には登録して自分のプロフィールを作成する。趣味などを記載しておいて、気が合いそうなランチ仲間を探すことができるようになるわけだ。普段は交流のない法務部にも、テニス好きの仲間がいるのを見つけられるかもしれない。

Never Eat Aloneとしては、ランチアプリケーション以外にも、企業文化の醸成に役立つサービスを展開していきたい考えであるらしい。アメリカの企業とも手を組んでいく予定になっているそうだ。大企業の規模(そしてもちろん大きな予算)に注目したサービスというのに、もっと注目しても良いのかもしれない。

  1. screen1.png

  2. screen2.png

  3. screen3.png

原文へ

(翻訳:Maeda, H

締め切りまであと1週間!「TechCrunch Tokyo 2015」スタートアップ向けデモブース出展者募集中

sd

スタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」の開催まで、いよいよ1カ月を切った。これまでも登壇してくれるスタートアップの起業家たちを少しずつ紹介してきたが、ほかの登壇者も続々決まっているので、逐次紹介していきたいと思っている。

それとあわせてお伝えしたいのが、展示ブース「スタートアップ・デモ・ブース」の出展募集があと1週間で終了するということだ。

スタートアップ・デモ・ブースは、創業3年以内のスタートアップ企業に限定して、TechCrunch Tokyoの会場でプロダクトをお披露目できるスペースを提供できるというもの。昨年を振り返ると、TechCrunch Tokyoの来場者は約1700人。起業家や投資家といったスタートアップ関係者のほか、大手企業の新規事業担当者なども多く参加していた。こういった層に自社のプロダクトを紹介したい、というスタートアップに向けては非常に価値のある場所を提供できると思う。

また出展料には2人分のイベント参加チケットも含まれている。前売りチケットは1人1万9440円なので、実質的には2万円の出展料でイベント来場者にアピールできるわけで、それなりのお得感はあるはずだ。ただし前述の通り、このブースは創業3年以内のスタートアップに限定した優遇措置となっている。

スタートアップ・デモ・ブース申し込みはこちらから→

イベント名:TechCrunch Tokyo 2015(ハッシュタグ #tctokyo)
イベント開催日:11月17日(火)、18日(水)
会場:渋谷ヒカリエ(東京都渋谷区渋谷2−21−1)
出展料:5万8320円(税込み。2名分の参加チケットが含まれます)
販売数:30ブース
条件:創業3年以内の企業
主催:AOLオンライン・ジャパン株式会社
問い合わせ先:event@tc-tokyo.jp

イベントに参加したい、という人たちに向けては、現在前売りチケットも販売中だ。学生限定の学割チケットもあるため、学生の人は是非とも参加を検討いただければと思っている。

TechCrunch Tokyo 2015チケットはこちらから→

TechCrunch Tokyo 2015学割チケットはこちらから→

Giphy、ビデオをGIFに変換する超簡単お手軽ツールをリリース

mario-gif

今月頭に、GiphyのCOOであるAdam Leibsohnは、簡単にGIFを作れるツールをいくつかリリースする予定だと述べていた。その第一弾となるGIF Makerがリリースされた。YouTubeはもちろん、手元のビデオファイルから簡単にGIFを生成できるサービスだ。

個人的にはこれまで、Macで利用できるGifGrabberを使ってビデオをのGIF化を行なっていた。これも十分簡単で使い安かった。しかし今回リリースされたGIF Makerはさらに簡単に操作でき、またMac以外からも利用できるのが便利だ。またGifGrabberの共同ファウンダーであるAndy HinがGiphyのシニアエンジニアとなっており、GifGrabberの良い点はそのままGIF Makerに受け継がれているとも言える。

サイトの見た目は以下のような感じだ。

gif maker giphy

ちなみにGiphyは1ヶ月ほど前に自分で写真撮影を行なってそれをGIF化するGiphyCamもリリースしている。これはGIF関連のポータル(閲覧・検索・作成など)として機能しようとするGiphyの戦略のあらわれであるということができよう。

「私たちはGIFの発見、共有、保管、製作まですべてを提供するワンストップサービスでありたいと思っているのです」と、Andy Hinは述べていた。

Giphyはベータワークス傘下で2013年にスタートしたサービスで、8000万ドルの評価額にて1700万ドルの資金を調達している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

画像認識からデイトレへ、深層学習のAlcapaDBが意外なピボットで100万ドルを新規調達

「お前が一体なに言ってんのかも分かんねぇし、誰がこんなクソに金を払うのかも分からねぇよ!って、ピッチが終わった途端、開口一番にそう言われたんですよw」

デラウェア州で法人登記、満を持してのプロダクトリリース。渡米し、意気込んで多数のVC回りもした。そして東京で行われたSlush Asiaファイナルで、歯に衣着せぬ毒舌で知られる500 Startups創設者のデーブ・マクルーアに上記のように痛烈に批判され、プロダクトに根本的な問題があることに気がつく……。

と、そんな風にピボットを決める前の状況を振り返るのは、2013年2月にAlpacaDB(創業時の日本の法人名はIkkyoTechnology)を創業した横川毅CEOだ。

ディープラーニングを使った画像認識をサービスとして提供する「Labellio」をベータ版としてリリースしたのは2015年6月のこと。もともとAlpacaDBはデジタルデータの大半を占める非構造化データを処理する労働集約型の仕事を弱いAIで代替するという目標を掲げて創業していたので、画像認識領域でサービスを提供するのは自然なことだった。GPUが利用できるクラウド側で、ある程度汎用のディープラーニングの処理環境を用意してサービス開発者やエンジニアのプロトタイピング用途に向けて提供するというのがLabellioだった。

Labellioベータ版リリースのブログエントリはエンジニア界隈でちょっとした話題とはなった。ただ、いま振り返って読むと、すでにリリース時点で「用途が良く分からない」と当事者自らが語っているのは良い兆候ではなかったのかもしれない。画像のシーン解析や定点カメラの状態検知、SNS上の画像から特定プロダクトを認識する、などといった用途例を並べた後に、AlpacaDB自身が以下のように書いていたのだった。

「ただ、もちろん、用途は上記だけではないです。正直、プロダクトを作成した僕らもこのサービスで何を生み出すことができるのかわかっていません。画像認識をこれほど簡単にデザインできるプロダクトはこれまで存在しなかったので、これまで一部の人しかできなかったことが、だれでも利用できるようになったことで、たくさんの「新しい用途」が見つかるのではないかと思っています」

リリース数カ月で1200の画像認識分類器と800件のユーザー登録があったものの、確立された新しい用途を短期間で見つけ出すのは容易ではなく、結局ピボットすることに決めた。

横川CEOは、次のように振り返る。「ディープラーニングを活用した画像認識のスタートアップにはmetamindという会社もある。ただ、彼らも迷走している感がある。技術フォーカスじゃないとダメだと考えるあまり、そもそも(ユーザーがほしがるものを作れという)スタートアップの基本が欠けていた。テクノロジーアウトじゃなくて、誰が喜ぶのか考えろよということですよね」。

ならば、デイトレーダーのモデル化を助けるのに深層学習だ! えっ?

同じディープラーニングを活かして今度はデイトレーダー向けのトレーディングプラットフォーム「Capitalico」(キャピタリコ)を開発すべく、AlpacaDBは今日、総額100万ドルの資金調達をしたことを発表した。今回のラウンドで出資するのはイノベーティブ・ベンチャー・ファンドアーキタイプベンチャーズ、エンジェル投資家の木村新司氏、ビップシステムズだ。これまでにAlpacaDBはMOVIDA Japanから500万円のインキュベーション資金のほか、経産省の目利き事業による補助金や日本政策金融公庫の借入などで3000万円ほど資金を調達している。

さて、読者の99%くらいはデイトレーダーではないだろうから、このAlpacaDBのピボットに対して、「デイトレかッ!」というツッコミをしたくなる人が多いに違いない。ぼくはそうだった。

ただ、トレーディングにターゲットを絞ったのは、共同創業者を入れて7人いるメンバーで徹底して議論した末のことだという。

「6月から7月に社内で議論しました。これをやり続けるのならオレは辞めるというメンバーが出るほど議論をした。動画に技術を適用してカメラ監視に特化したらどうかという議論もあって、実際にリサーチも行った。ただ、それができたとしても嬉しくないし、いくらヒアリングしてもハラオチしなかったんです。でもトレーディングであれば、喜ぶ人がいるだろうと。少なくとも自分は嬉しい」

AlcapaDBは2015年7月から3カ月をかけてCapitalicoのMVPを作り、この10月初頭から少数の限定ユーザー向けにβ版を公開している。一般公開は2016年1月を予定している。ディープラーニングを使っているが、画像認識でCNN(Convolutional neural network)を使っていたのに対して、時系列データを扱いやすいRNN(Recurrent neural network)を使うように変更しているという。

横川CEOはもともと慶応大学卒業後に6年ほど大手投資銀行のリーマン・ブラザーズと野村證券にいて金融関連の仕事に就いていた。リーマン・ショック後に野村に移籍して2年ほど経った頃、家庭の事情で実家で仕事せざるを得ない状況となったことから退職。その後の3年間はフルタイムのデイトレーディングをやっていたという。デイトレーディングを生業とする人たちの中には、横川氏のように、ほかにできる仕事がないからという理由でやっている人もいるそうで、そういう人たちを助けたいという思いがあるそうだ。

Capitalicoは、ウェブ上でユーザーがプログラミングを一切必要とせずに自動取引アルゴリズムを生成できるプラットフォームだという。先物や為替取引のためのテクニカルのチャート分析を行うためのプラットフォームで、トレードの意思決定をするためのもの。

capitalico01

capitalico02

機械学習で何をするかというと、これまでデイトレーダーがやっていた分析、例えば「バックテスト」と呼ばれるモデルの検証を助けること。チャート分析は、各種指標の時系列での動きを視覚化して、そこから法則性を導いて、これをアルゴリズムに落とすというような作業をする。何を指標として自分のダッシュボードにどう表示するかはトレーダーによって異なる。また、どういう時間軸で分析するかもトレーダー次第。

「チャートがこういう動きをしたときには、直後にはこういう値動きがあるのではないか」という仮説を立てて、これを過去のデータに当てはめて検証する。これがバックテストで、こうした解析はかつて簡単なプログラミングができる人たちだけが可能だったという。これをCapitalicoではノンプログラミングで行い、アルゴリズムが手元に溜まっていくようにしていくそうだ。以下は9月にNVIDIAが主催したGPU関連の技術カンファレンスのGTC JapanでAlpacaDBの林佑樹氏が行った説明のスライドだ。

 

「Capitalicoに似たテクニカル分析サービスとして、すでにQuantopianというのがあります。彼らはユーザーにPythonを書かせますが、ぼくたちはそこの部分が勝手にできるものを提供しています」

デイトレーディングは、ごくごく少数の人だけが儲けている上に、極めて投機的なギャンブルのようなもの。勝った、負けたは結果論でしかなく、常に大勝ちしている人がいるのはカジノと同じで単に確率の問題。上位1%とか2%の大金持ちにしたって運を実力だと思い込むギャンブラーと同じではないのか? ということを横川CEOに聞くと、次のような答えが返ってきた。

「デイトレで負けてる人はカンに頼っている人たち。ロジカルじゃないんです。ロジカルに分析して過去に遡って仮説を検証できるようにする。移動平均線のこういう位置関係にあったとき価格がこう動く、というアイデアがあるとき、それが本当なのか、確率はどのくらいなのか。これをノンプログラミングで分析するのがCapitalicoです」

どうして利益が出せるのかといえば、市場のプレイヤーにはいろいろな人がいて、異なる時間軸と思惑で値段を見て売り買いしているからだそうだ。例えば生命保険のALMをやってる人は為替から儲けようということは考えていなくて、ポートフォリオのバランスを取ってるだけ。だから決まった日に銀行に振り込むだけだし、1年単位で数字を見ている。デイトレーダーは1日単位、あるいはもっと短い5分単位のようなチャートを見て稼ぎを取りに行くことができる。

正直ぼくにはデイトレーディングにどういう本質的価値があるのか、そしてそれがどこまで大きくなるのか分からない。横川CEOは「特定のプロフェッショナルをサポートして彼らの業務を自動化していくサービスは経済的に意味がある」としていて、「みんなが特定の価値だけに縛られない生き方ができる世界を目指していて、人類によるお金への依存性が現状よりも少しでも減るような社会が実現されることで僕たちが思い描く世界に近づけるはず」と話している。

BuzzFeed Japan、思わぬ大物を創刊編集長に起用

shutterstock_182075207

驚きの採用劇と言っても良いのではなかろうか。BuzzFeedジャパンは創刊編集長として、朝日新聞で長い経験をもつジャーナリストである古田大輔氏を起用することとしたのだ。BuzzFeedによれば、日本国内でのサービススタートに向けて、日本のエディトリアルチームの採用や、コンテンツ戦略を統括する立場になるのだとのこと。

日本の中でももっとも歴史を持ち、760万の読者を抱える朝日新聞社において、古田氏は東南アジア特派員、およびシンガポール支局長を務めた経験をもつ。2013年には東京に戻り、「朝日新聞デジタル」の編集に携わり、朝日新聞社の運営するBuzzFeed風サービスの「withnews」に記事を書いたり、またインタラクティブ要素やビジュアル要素を扱う作業も手がけていた。

BuzzFeedによると、古田氏はまずBuzzFeed JapanのBuzz、Life、およびNewsセクションおよびFacebookやSnapchatなどのソーシャルメディア上で扱われるコンテンツについて作業を行うチームメンバーの人選に携わるのだとのこと。

BuzzFeedは現在、9ヵ国でローカルコンテンツを扱っている。ただし、地元企業とのジョイントベンチャーとして運営するのは日本が初めてとなる。ジョイントするのはYahoo Japanで、日本でもっとも人気のあるサーチポータルのひとつであり、Googleとトップ争いを繰り広げている。

Yahoo Japanと連携することにより、同社の広告ネットワークを活用することができるのが、BuzzFeedにとっての大きな魅力となる(Yahoo Japan本体だけでも月間600億のページビューがある)。BuzzFeed Japanでの広告についてはYahoo Japanが独占販売権を持つことになっている。

ところでYahoo Japan自体もソフトバンクおよびYahooのジョイントベンチャーとなっている。ただしYahooは35.5%を保有する株式を売却する機会をうかがっているようでもある。

なお、Yahoo JapanはTwitterDigital Advertising Consortium、およびIntegral Ad Networkなどとも広告パートナー契約を結んでいる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Jack DorseyはSquareの24.4%を所有している

dorsey-hero

【本稿のライターは Katie Roof】
新たに公開されたSquareのIPO申請書類によって、共同ファウンダー・CEOのJack Dorseyが同社の筆頭株主であり全株式の24.4%を所有していることがわかった。

Squareが最後に資金調達した際の評価額60億ドルに基づけば、Dorseyの持ち分は14.6億ドル以上の価値になる。上場企業としてのSquareの価値は、数週間のうちに予想株価が発表されればさらに明らかになるだろう。

共同ファウンダー・取締役、Jim McKelveyの持ち株はDorseyよりかなり少ない9.4%で最新評価では5.64億ドル。Dorseyよりはるかに少ないとはいえ、Box CEO Aaron Levieの持ち分が5.7%と、有力ファウンダーの一人としては少ないのと比べればかなり大きい。

Squareは数多くのシリコンバレー投資家からも、約6億ドルを調達している。Khosla Venturesはベンチャーキャピタル会社としては最大の17.3%、約10億ドル相当を保有する。Vinod KnoslaはSquareの取締役でもある。

JPMC Strategic Investmentsは5.5%を持つ有力株主だ。Sequoia CapitalとRizvi Traverseはそれぞれ5.4%の株式を所有している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ありそうでなかったウェアラブル・トランシーバー「BONX」 スノボ好きの元東大生が開発

“ウェアラブル・トランシーバー”というと既存ジャンルに思えるが、そうではない。日本のスタートアップ企業から面白いガジェットが登場した。2014年11月創業のチケイは今日、「BONX」を発表してクラウドファンディングを通じた予約販売を開始した。予約販売の価格は、1個1万5800円、2個だと1つあたり1万4800円などとなっている。色は4色。出荷は11月末から12月中旬。

iphone-device

BONXは片耳にぶら下げる小型デバイスで、スノーボードや釣り、自転車、ランニングなど屋外で複数人で遊ぶようなときに仲間同士でリアルタイムで会話ができるというコミュニケーションツールだ。耳に装着したBONXは専用アプリを使ってBluetoothで利用者のスマホと接続する。アプリは3G/LTEのネット通信を介して、ほかの利用者と接続しているので、デバイス(利用者)同士の接続距離は、Bluetoothの制限を受けない。

screen02

ここまで聞くと、Blutoothヘッドセットのような感じと思うかもしれないが、以下の点がBONXではユニークだ。

まず、しゃべっているときだけ利用者の音声を拾って接続中の仲間全員に届ける「ハンズフリーモード」を実装しているのが特徴だ。ハンズフリーモードでは、東大発ベンチャーのフェアリーデバイセズが開発した音声認識技術を使うことで、人間の発話だけを検知している。スノボや自転車だと速いと時速30〜50km程度で動くことになるが、このときの風切音や、周囲を行き交うトラックのエンジン音など、外部ノイズを拾いづらい設計になっている。マイクも2つ搭載してマルチレイヤーによる騒音、風切り対策をしているという。こうした対策がない一般的Bluetoothヘッドセットは、スポーツなどでは風切音で使い物にならなくなる。

従来のBluetoothによる音声通話と、BLEによるスマホとのペアリングという新旧のBluetoothを同時に使う「デュアルモード」を使っているのも実装上の特徴で、これによって高音質と低消費電力を実現している。チケイ創業者でCEOの宮坂貴大氏によれば、バッテリー駆動時間は現在バッテリーモジュールの調達中のために不確定であるものの最低5時間以上は確保できるだろうとしている。

BONXはハンズフリーモード以外にも、「ノーマルモード」を用意している。これは、いわゆるPTT(プッシュ・トゥ・トーク)で、トランシーバーのようにしゃべりたいときに明示的にボタンを押す形だ。ノーマルモードで利用するとバッテリーがより長時間持つほか、音声の遅延が少ないという。ハンズフリーモードでは音声検知をしている分、遅延が入るが、ぼくが量産試作機を実際に少し使ってみた感じでは実用上問題ないレベルのものに感じられたことを付け加えておこう。サーバ側の実装としても、遅延の蓄積が検知された段階で遅延分を無視して、リアルタイム性を優先するような処理を入れるなどBONXでは「スポーツなどでのリアルタイムコミュニケーション」というユースケースに特化した最適化をしているそうだ。この利用シーンについてチケイは「アウトドアで激しい運動をしている最中でも、まるでちゃぶ台を囲んでいるかのような自然な会話ができるというのは、実際に体験として画期的」で、「BONXを使うことで逆に、今までがどれだけ孤独だったのか気づきます」と説明している。

GoProにインスピレーション、スノボ好きの元東大生が起業

チケイを2014年11月に創業した宮坂貴大CEOは、東京大学で修士課程を終えるまで合計8年間大学にいたが、「大学時代は、半分くらいはスノボをやっていて、4年間は北半球と南半球を往復していた」というほどのスノボ好き。2011年4月の大学卒業後はボストン・コンサルティングで戦略コンサルタントとしての道を歩んでいたが、BONXのアイデアを思い付いて2014年8月に退社。もともと「いつかは自分で事業をやりたいとは思っていた」という宮坂CEOは、肥料や農薬を使わない「代替農業」での起業も考えていたが、GoProの華々しい成功にインスピレーションを受けたそう。

チケイ創業者でCEOの宮坂貴大氏

「BONXを思い付いたのは、GoProの事業を見たことがきっかけです。サーファーだった人(GoPro創業者のニック・ウッドマンのこと)が自分自身の姿を撮りたいということでカメラを作ったのがGoProの始まり。個人的なニーズを事業化したわけですよね。これは自分でもできるんじゃないかと思ったんです」。もともとスノボの経験から潜在的ニーズは感じていた。ただ、ニーズがあるならすでに製品があって良さそうなもの。「なぜ今までBONXのようなものがなかったのか?」という問いに対して、宮坂CEOはデュアルモード対応Bluetoothチップが出てきたことや、野外でも電波が入るようになった外的環境の変化を指摘する。

ウィンタースポーツの文脈で言えば、実は日本がウィンタースポーツ大国であるということもある。1992年のピーク時に2000万人いたウィンタースポーツ人口が800万人に激減しているとはいえ、まだまだ多いし回復の兆しもある。規模の違いはあれど、世界にある2000箇所のスキー場の3分の1は日本国内にあるそうだ。宮坂CEOは、すでに電波状況を調べるべく各地のスキー場へ足を運んでいるそうだが、シリコンバレーの人たちが必ずいくスキー場のタホ湖ではケータイの電波が入らないという。つまり、シリコンバレーのギークたちは「雪山なんて電波入らないじゃん」と思っているかもしれず、BONXは日本で生まれるべくして生まれたようなところがあるのだ。ちなみに全世界だとウィンタースポーツ人口は5000万〜1億人程度と言われているそうだ。もう1つのBONXのターゲット層であるサイクリストは数千万人規模。

宮坂CEO自身は文系だが、プログラミングやArduino工作を自分で勉強したりハッカソンに参加する中で、ハードウェア関連スタートアップ企業のユカイ工学創業者で代表の青木俊介氏に出会い、そこからiOSハッカーで知られる堤修一氏などをプロジェクトに巻き込んだ。現在は早稲田大学系VCのウエルインベストメントなどから総額1億円ほどの資金を集め、フルタイム4、5人、フリーランスも入れると14、5人というチームでプロジェクトが動き始めているという。

アイデアの検証は2014年末に開始して、今は量産試作段階。この11月にも深センでの量産を開始する。ハードウェアスタートアップが深センで量産するというと、予期せぬトラブル発生という事態も脳裏をよぎるが、実はプロジェクトチームには元エレコムのデザイナーが立ち上げたデザイン事務所が入っていて、深センでの発注経験があるエレコム時代のチームでやってるのだとか。国内GreenFundingでのキャンペーンを終えたら、第2弾として来春にはKickstarterでのキャンペーンも予定している。第2弾では、よりスポーツに適した性能を発揮するモジュールを組み込むアイデアもあるそうだ。

さて、BONXを発表したチケイだが、実は11月17日、18日に渋谷ヒカリエで開催予定のTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルのファイナリストとして登壇が決定している。書類審査による予選を勝ち残った12社のうちの1社だ。まだチケットを販売中なので、ぜひチケイのようなスタートアップの勇姿を会場に見に来てほしい。

TechCrunch Tokyo 2015チケットはこちらから→

TechCrunch Tokyo 2015学割チケットはこちらから→

ニュースアプリ「Vingow」などを開発するJX通信社、共同通信デジタルと資本業務提携

JX通信社代表取締役の米重克洋氏(左)と取締役の

JX通信社代表取締役の米重克洋氏(左)と取締役COOの細野雄紀氏(右)

ニュースアプリ「Vingow」などを開発するJX通信社は10月15日、共同通信デジタルとの資本業務提携を実施したことを明らかにした。資本提携として、共同通信デジタルを割当先とした第三者割当増資を実施。金額は非公開だが、関係者らによると億単位の資金を調達しているという。

「NewsDigest」

「NewsDigest」

JX通信社は2008年の設立。2012年10月よりVingowを提供している。Vingowは、ユーザーがあらかじめ登録したキーワードに対して、最適なニュースを閲覧できるというニュースアプリ。その仕組みを実現するために、同社では独自のエンジンを開発。ネット上の記事をクロール・自動解析・要約している。

Vingowで行っている記事の収集から整理・編集・発信のという一連のプロセスを、SaaS型のニュースエンジン「XWire(クロスワイヤ)」としてニュースサイトなどに提供しているのが同社のコア事業だ。大きなところでは、T-MEDIAホールディングスの運営するポータル「T-SITE」などへの導入実績がある。

また2015年には、速報配信に特化したニュースアプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」の提供も開始。ダウンロード数は数十万件だが、速報ということでプッシュ通知も積極的に行っていることもあり(もちろん設定でオフにできる)「起動回数やアクティブ率は他のニュースアプリと比較しても非常に高いのではないか」(JX通信社代表取締役の米重克洋氏)という。
さらにこのNewsDigestをベースにした法人向けの速報検知サービス「FASTALERT」も開発。大手メディアや金融機関を対象に提供していくという。

速報検知の仕組みについて聞いたところ、「Vingowで1日5万件の記事を解析してきた。その中から例えばどういった単語がニュースに使われるかなどのデータを蓄積している。人によってはビッグデータと呼ぶかも知れないが、そういった情報をもとにニュース性を見ている」(米重氏)とのこと。

これについては同社取締役COOの細野雄紀氏が例を挙げて説明してくれたのだが、例えば「ソーシャルネットワーク上で話題になっている記事」という切り口だけで速報のニュースを集めようとすると、2ちゃんねるのまとめ記事なんかも頻出するそうだ。そこでその内容を「ニュースそのもの」かどうか、すばやく正確に判定するために、Vingowで培ってきたノウハウが生きているという。

今回の資本業務提携により、JX通信社は自社の技術を共同通信グループの報道現場に応用する取り組みを協力して進めるとしている。また共同での新製品開発も検討するほか、XWireの拡販などでも協力していくとしている。

SquareのIPO申請書には、Jack DorseyのTwitter CEO兼務がリスク要因として挙げられている

459305148

Squareは今日初の株式上場を申請した — そして、型通りのリスク要因記述の中に埋もれていたのは、大物だった:CEO Jack DorseyのTwitterとの関係だ。

経営幹部への依存に関する記載を全文引用する:

「当社の将来の成功は、経営幹部およびその他主要従業員の継続的貢献に強く依存している。もし経営陣あるいは主要従業員が一人でも抜ければ、雇用および教育のための追加費用が発生し、当社のビジネスおよび成長を著しく損う恐れがある。当社の共同ファウンダー・プレジデント兼最高経営責任者、Jack DorseyはTwitterの最高経営責任者を兼務している。このことによって彼がSquareに対して時間、注意、および努力を集中する能力に時として悪影響を及ぼす可能性がある。

これは両社にとって非常に重要な論点だ。TwitterのCEO選出プロセス全体を通じて、Dorseyは最有力候補と目されていた ― しかしSquareとの関係は、彼のTwitterを率いていく能力を阻害しかねないとも指摘された。
もちろん、DorseyはTwitterの共同ファウンダーでもある。

最終的にTwitterはDorseyを選び、彼は両方の会社を経営し続けることとなった。このことが彼のSquareを経営する能力を妨げるかどうかは、現時点で不明だが、会社はその可能性をIPO申請書で明確に認めている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイキャスがゲーム実況配信に向けて機能を強化、Twitchやニコ生を追随

twicas2014年にはAmazonがTwitchを買収、2015年8月にはYouTubeも専用のチャンネル「YouTube Gaming」を立ち上げたように、ゲーム実況のストリーミングは世界的なトレンドの1つとなっているようだ。日本だと「ニコニコ生放送」がその文化を作ってきたし、ディー・エヌ・エー(DeNA)も8月にスクリーンの様子をリアルタイムで配信できる「Mirrativ」をリリースして好調だと聞く。

そんなゲーム配信の領域にモイのライブ配信サービス「TwitCasting(ツイキャス)」も参入する。同社は10月14日、ツイキャスにて、外部ツールを使った配信に対応したことを明らかにした。これはゲーム実況配信での利用を想定したものだ。

ツイキャスは4月時点で1000万ユーザーという数字を発表しているが、配信者として最も多いのは、雑談をする女の子。つまりは日常的なことを配信するユーザーだという。ツイキャスのユーザーの6割は女性で、それも10〜20代が過半数。そんなユーザー層もあいまって、「ゲームの実況をしている人は少なかった」(同社)のだという。ツイキャスはアプリによる配信が半分以上だと聞くが、それではテレビ画面を配信すると粗くなってしまう。こういったことも背景にあるのだろう。

だが一方で、ゲーム実況はライブ配信の中でも世界的な盛り上がりを見せている領域。新たなユーザー層を拡大すべく、ニコ生の配信者なども利用する動画配信ソフト「Xsplit」をはじめとした外部ツールへの対応を行ったという。またこれにあわせて、ツイキャス内にゲーム関連の10カテゴリを設置。視聴者の導線も整えた。

では既存のサービスではなくツイキャスでゲーム実況配信をする配信者側のメリットは何なのだろうか。モイによると「プッシュ通知とSNS連携」なのだそう。実況開始時にツイキャスのアプリでプッシュ通知が行われるほか、コメントがTwitter投稿と連携することで、「(ツイキャスというサービスの中に閉じることなく)SNSなどの『外』に情報を発信できることで視聴者が増えることは確信している」(モイ)ということだ。

Airpaperは、あなたに代ってComcastを解約してくれる

MIRAMAR, FL - FEBRUARY 13:  Gregory Bristol, a customer associate, speaks with a customer on the phone at a Comcast cable call center on February 13, 2014 in Miramar, Florida.  Today, Comcast announced a $45-billion offer for Time Warner Cable.  (Photo by Joe Raedle/Getty Images)

この(第一)世界にインターネットやケーブルテレビを解約するよりイヤなことは殆どない。

実際Comcastには、他のインターネットサービスに乗り換えたがる顧客を引き止めるための専門チームがあり、どうやって電話を切らせずComcastサービスを続けるよう説得するかのマニュアルまである。それがいかにぞっとするものであるかは以前紹介した。

最良のシナリオでさえ、もう必要のないものについて、見知らぬ相手と、必要をはるかに越える時間論争しなければならない。

しかし、Airpaperというサービスが面倒を引き受けてくれる。比較的安い5ドルという価格で。

あなたの名前、住所、電話番号、およびComcastのアカウント番号を伝えるだけで、あとはAirpaperが厄介な電話を代行してくれる。同社はあなたの情報を解約以外に使わないと約束しているが、これだけの個人情報を第三者に渡すことが100%安全ではあり得ないことは肝に命じておきたい。

そうは言いつつ、私は誰かにComcastサービスを解約してもらうために5ドル払う用意がある。

[via Geek.com]

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米保安局、Bitcoin 1000万ドル相当をオークションで販売

silk-road-seized-3-png

米国保安局は、シルクロードのbitcoinを再び競売にかける。計4万4341 BTCが2000bitcoinのブロック単位で2015年11月5日の12:00 UTCから18:00 UTCにかけて販売される。

これは麻薬組織シルクロードの首謀者とされるロス・ウルブリヒトから押収した最後のbitcoin群だ。

コインの価値は全部で約1060万ドルになる。米国保安局が次のように書いている

「登録期間は10月19日から11月2日正午まで。入札希望者はその時までに登録要項の記載を完了している必要がある。保安局による以前のbitcoinオークションに提出された登録書類はこのオークションでは無効である。興味のある入札者は本オークション向けに新たな書類を提出する必要がある。

詳しい発表内容はこちらで読むことができる。コインの申し込みはこちらから。これはシルクロード差し押さえ後に保安局が販売する最後のコイン群だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インターンシップ市場は拡大するか? 就活の新しいあり方を提案する「InfrA」がローンチ

結婚情報誌ゼクシィが2010年に実施したアンケート調査によれば、今や結婚するカップルの7割が結婚前に生活をともにする、いわゆる「同棲」を経験している。これを読んでいるTechCrunch Japanの若い読者にはピンと来ないかもしれないけど、ほんの一世代とかふた世代前までは「婚前交渉」というインビな言葉があったくらい、結婚前に生活をともにするなんてトンデモナイと考える人が少なくなかった。でも、一緒に暮らしてもみずにいきなり結婚なんて恐いよね。

就活にも似た事情があると思う。採用する企業にしてみても、これからキャリアをスタートしようという学生にしてみても、「本当にコイツでいいのだろうか? ちょっと試せるなら試してみたい」という気持ちがあるのが本音だろう。一緒にやってみれば、価値観や相性が分かる。エントリーシートの文章を表面的に洗練させるだけ洗練させ、大量に送って、大量に見るのなんて不毛なのかもしれない。

そんな時代背景から、本誌でもお馴染みのWantedlyのような、職探し・人材探しの新しいカタチが出てきているが、この問題の当事者の一方である学生起業家によるスタートアップのTraimmuが、つい先ほど、インターンシップ関連サービスの「InfrA」(インフラ)をローンチした。

infra01

成果報酬型でインターンシップのマッチング

InfrAは学生向けインターンシップの掲載媒体として機能する。現在参加企業はリクルートホールディングス、弁護士ドットコム、グロービス、トレンダーズをはじめ、スタートアップ企業のC Chanel、ZUU、ユーザーベース(NewsPicks)、Rettyなど30社。実際にインターンシップが決まれば企業はInfrAに対して成果報酬を支払う。この市場ではインターンシップ1件につき平均10万円程度の支払い発生するが、InfrAではその半分程度という。

インターンシップ期間終了後に、企業側から学生に対して定型フォーマットに従ったフィードバックが行われるのがInfrAの特徴だ。この夏に大阪大学を中退した、Traimmu創業者の高橋慶治氏は、以下のように話す。

「フィードバックが学生のマイページに表示されます。フィードバックには4項目あって、採用理由、インターンシップで取り組んだ内容、インターンシップ生の強み・弱み、改善の提案です。学生がインターンシップを希望する理由は、自己の成長と就職のため。フィードバックは学生にとって非常に重要です」

infra02

Jobwebの調査によれば、約85%の学生がインターンシップを選ぶ際に「フィードバックがもらえるか」を重視している一方、これまでのインターンシップは、ただ参加して終わりというものが多かったという。ここには終了時に社員に聞きづらかった、という学生側の事情もあるようで、それを解決するのが、インターン終了後に現場社員から必ずフィードバックがもらえる仕組みというわけだ。「参加して終わりではなく、成長に活かせる。学生ファーストで考えています」(高橋CEO)

プロジェクト参加など実績を可視化し、そのままエントリーシートに

このフィードバックは、仕事やプロジェクトの内容のみが公開され、それ以外は本人にしか見えない非公開となるが、そのままエントリーシートとして使えるようにするという。11月には就職活動用ページを用意する。「これまでのエントリーシートは文字ベースで学生時代の取り組みを書くもので、形骸化していた。InfrAではプロジェクト参加履歴など経歴を可視化し、データとして蓄積していきます」(高橋CEO)

過去に参加したインターンシップのほかにも、留学経験やゼミ・研究室での成果、学外でのプロジェクトなどの経歴を時系列順に追加していくことができるという。

Traimmuは、2015年6月にコロプラネクストからシード資金を得て、インターンを含めて7人のチームでスタートを切っている。TraimmuがInfrA公開前から運営しているウェブメディアで、月間12万人の学生が読む(16万UU)「co-media」と連携することで、知名度が低く学生へのリーチが難しいスタートアップのリアルな姿を伝えるなどしていくという。

また、InfrAでは地方学生向けの就活シェアハウスを経営する「地方のミカタ」と提携することで学生に対して安価に住居を提供するそうだ。高橋CEOによれば、現在学生たちの間でインターン経験者は増加中とか。

「ここ2、3年は増えていますね。1日とか1週間程度の短期インターンだと周囲で8割程度が経験しているイメージです。中長期のインターンシップは比較的少なく、経験者は1〜2割です。IT系やスタートアップ・ベンチャーが多いですが、中長期的には大手や外資系でも増えていくのではないかと思います」

「一度企業と接点をもっている学生は、自分の尺度、自分の目で見ることができるようになります。企業文化を知った上で納得して企業選びもできる。企業にとってはミスマッチを減らせるのがメリットです。入社してからギャップを感じて3年以内に退職する離職率が厚生労働省が毎年発表している統計では約30%だと言われています。1人あたり200〜300万円をかけて学生を獲得している企業には厳しいです。インターンシップは、企業と学生の熱量をすり合わせる重要な作業です」

データは金鉱であり地雷である

baddata

データサイエンスと医療関連分野で仕事を始めてから5年になる。私はウォートン大学で生物学とマーケティングを学び、膵臓がんの研究をした。そして今私が言いたいのは、テクノロジーとその利用環境が驚異的に進んだにもかかわらず、医療分野はおよそついて行くことすらできていないことだ。

今やどの会社もテラバイト単位の〈データ〉を扱っていると言っている。しかし、スタートアップからFortune 500企業まで、ベイズ統計を導入してユーザーレベルのデータの力を活用している会社を見たことがない。彼らは統計あるいはコンピューター科学の教育を受けた人たちであり、会社の収益を高めるために給料をもらっている人たちなので、そうするためのインセンティブは膨大だ。

これはベイズ理論が著しく複雑であるとか新しいという話ではない ― 名前はややこしそうに聞こえるかもしれないが。ベイズは1761年に死んだ。もしわれわれがテラバイトのユーザーレベル 〈データ〉を持っているなら、なぜプッシュ通知の一つ一つが私の魂を射止めないのだろうか?なぜ、どのウェアラブルにも一日中座っていると心臓病になる時期がわかる健康管理システムが付いてこないのだろうか?

それは、データの収集はほんの第一段階にすぎないからだ。データマイニング[採掘]とは実に適切な用語だ:膨大な量のテクノロジーと人手を注ぎ込み、エンジンをぶん回し、深く堀り進んだ挙句たぶん何一つ見つからない。100%の人々がある行動を示すことを知り、局所的に最適化しようとした結果、そもそもそんな機能を持つべきでないことに気付く。

例えば、脱水症状問題の答えは1時間毎に水を飲むためのプッシュ通知を受けることだろうか?それとも子供の頃に学校が健康的習慣を促進すべきなのだろうか。テクノロジーは毎日何十億ドルも広告に費し、私に炭酸飲料やビタミン水を飲まそうとする ― 実際に体が必要とするものの代わりに。こうした問題は、いずれも〈データ〉の問題ではない。

今データにできること、それは人々の意識を高めることだ。私は10歩しか歩かずドスンと座ってNetflixを見るだけの日があることなど知らなかった。しかし今は、 FitbitStrava(ランニング追跡アプリ)とiOS 8 HealthKitを使って運動を記録し元に戻すべく戦っている。

同じことはVessylにも言える。テクノロジーを駆使したクールなアクセサリーで、1日に飲んだ水の量を追跡する。私がTechCrunch Bostonのピッチオフでしゃべった時、Neumitraという会社は、ストレスレベルをリアルタイムで追跡するものすごいリストバンドを作っていた。

コストはさておき、われわれは臓器を3Dプリント(データ量は多くない)できる時点より手前にいるが、自分の健康を管理しない言い訳ができる時点は過ぎている。テクノロジーの進歩の速さ(Microsoft Word)と対応する医療の進歩(電子カルテ)から判断する限り、正確なバイオマーカー(生体指標)が出来るよりずっと前に、われわれはその特異点を越えているだろうから、賭けをするならそのつもりで。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アイスタイルがベンチャー投資を加速、ベイスターズ買収の立役者が子会社の代表に

アイスタイルの100%子会社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)・アイスタイルキャピタル。2014年11月に設立した同社が商号変更と代表の異動を行い、より積極的な投資を進める。

アイスタイルは10月5日に臨時株主総会を開催。商号をアイスタイルキャピタルから「iSG インベストメントワークス」に変更、さらに代表取締役社長を務めていたアイスタイル取締役 兼CFOの菅原敬氏が取締役に異動。あらたに五嶋一人氏が代表取締役社長に就任する決議をしたと発表した。今後は投資ファンドを組成し、本業との事業シナジーを目的とするCVCではなく、より独立した組織として投資意思決定を行うとしている。

スタートアップコミュニティの関係者であれば五嶋氏のことを知っている人は少なくないだろう。同氏は新卒で入社した銀行で法人融資・銀行系ベンチャーキャピタルでのファンド管理・投資実行、事業子会社立ち上げに従事。その後2006年にはディー・エヌ・エーに入社し、事業戦略室の室長として、投資やM&A、組織再編を主導してきた。大きなものでは、横浜DeNAベイスターズの子会社化なども同氏が関わった案件だ。

2014年にはコロプラに入社し、引き続きべンチャー企業やM&A等に従事。ランサーズやFablic、FILLER、オリフラムなどへの投資を行ったのち退任。今回iSG インベストメントワークスの代表に就任した。なお菅原氏はiSG インベストメントワークスの代表からは退くが、「今後も五嶋氏と二人三脚で投資を行っていく」(菅原氏)としている。ちなみに社名の「iSG」とは、アイスタイルの社名、菅原氏、五嶋氏の頭文字から付けたのだとか。

iSG インベストメントワークスでは今後外部のLP投資家を募り、ベンチャー投資ファンドを組成する予定。投資対象については「『インターネット+アルファ』が中心になると考えている。第一次産業、第二次産業を中心に、インターネットを活用することによって産業に革新を起こしうる企業、またはその産業で圧倒的な成功を収める可能性がある企業が対象」(五嶋氏)

シードからレイターまで幅広いステージのスタートアップに対して、数百万円から数千万円程度の投資を行う予定。「シリーズAに至る前の『死の谷(投資がかさむ一方で売上が伸びない時期)』にある企業に対しても積極的に投資したい」(五嶋氏)。「他のVCが出しづらい領域でも我々は出資していく」(菅原氏)。また既存ファンドのセカンダリー投資をバルク案件を組成して買い受ける「バルクセール」や、ある企業の株式のVC分を全部、あるいは経営者の分も買い受ける「バイアウト投資」も検討するとしている。

「消費者時代」のデザイン

shutterstock_148398119

AppleのiPhone、Spotifyのストリーミングサービス、Tesla Roadster ― いづれも質の高いデザインで競争力を高めた革新的テクノロジーの成果だ。

過去10年、IT企業におけるデザインの重要性は、テクノロジーに精通した消費者が、完璧な機能性と優れたユーザー体験だけでなく美しさ求めるようになるにつれ、飛躍的に高まった。

その結果多くのデジタル企業がデザイン能力の価値を認め、本格的な投資行動を始めた。この4年間にIT企業は、デザイナーが共同設立した会社を25社以上、クリエイティブ代理店13社を買収した。消費者指向のデザイン主導企業が株主価値を著しく高め、成長を加速していることは証拠が示している。彼らは適切な製品を作るだけでなく、彼らの消費者にとって適切な製品を作る。

最近3ヵ月間、IT巨人らはデザイナーの雇用をさらに進めて、ユーザー体験を高め、製品デザインを改善し、ユーザーに合わせた開発を行っている。Facebookは、Hot Studio、Bolt Peters、そして最近ではTeehan+Laxと、いずれもユーザー体験に特化したデザイン会社の協力を傘下に入れた。一方Googleは7月にPixateの買収して、新しいデザインとプロトタイピングツールの開発を強化した。そして5月には、経営コンサルタントのMcKinseyもトレンドに乗り、Apple、HPらをクライアントに持つデザイン会社、Lunarを買収した。これは上昇傾向にあり、多くの大手企業がデザイン会社やデザイン指向のIT企業を買収している。

このトレンドの起源は?

1990~2010年頃、「情報化時代」がやってきた。増殖するデータがIT企業に成功の機会をもたらした。つながったPCとサプライチェーンは、情報の流れを制御する会社が支配することを意味した。その後われわれは「消費者時代」に突入し、力を得た消費者は無限の選択肢を与えられたが時間と注意力は限られ、高いレベルのユーザー体験が要求されるようになった。今やデザインは、つながった消費者の時代で最も重要な要素となり、それはIT分野だけでなく、あらゆる主要産業 ― 自動車、小売、医療等 ― にわたり、企業は世界中で適切な適応が求められ、未曽有の競争に曝されている。

戦略的で消費者体験に基づくデザインはこれまでになく重要、不可欠である。主要な課題は、そのための人材供給が今は限られていることだ。

デザイン能力は、成功しているデジタル企業の成長を定義する。

2年前、Accentureはロンドン拠点のデザインコンサルタント会社、Fjordという歴史的買収を完了した。今年7月には契約を拡大し米国内外に新たなスタジオを開設しデザイン専門家のための新たな採用プログラムと共に、新規および既存の社員デザイナーのための教育プログラムを開始した。この買収によってAccentureのデジタルマーケティング機能は拡大し、クライアントが際立った顧客体験を開発し迅速に提供する手助けをすることで、Acentureの中核であるシステム統合ビジネスは膨大な追加収益を得た。

また、Ernst Y Young U.K. は国際デザインコンサルタントのSerenを買い、Wipro Digitalも国際デザイン会社のDesignitを買収した。WiproはDesignitを8500万ユーロで買収し、これは公表されている買収としては業界最大であり、相補的で強力なシナジーによって生まれた。この投資はWinproのデジタル事業推進活動が次の段階に進む前兆だ。

起業家はここから何を学びとれるか?

デザイン能力は、成功しているデジタル企業の成長を定義する。デザイン主導の企業は、自らの洞察に基づきすばやく行動できるため、早期の失敗やテスト、学習を活かしてプロトタイピングを反復することで製品やサービスを完成させる。これは企業の成長を助け、収益性と拡張性を高める。

このトレンドに関するわれわれの分析は、デザインとテクノロジーの関係がいっそう深まっていくばかりであることを予言している。それは、投資活動、買収、高額な給与へ徐々に変換されていく。

起業家は、デザインを自らの製品やサービスの中心に据える必要がある。しかし彼らは、自社のデザインが市場にうまく表現されていることも確かめなくてはならない。個々のあらゆる操作がユーザーにとって快適な体験になる必要がある。それは会社にとって、優れた価値を提供する決意を表明するチャンスだ。

この10年間が、取締役会にCTOが増えた時とするなら、次の5年間はデザイン責任者が席を持つようになるだろう。大企業はこのことを理解し始めている。今こそスタートアップはビジネスを拡大し消費者時代の要求を満たす時だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

元ピムコジャパン社長の高野真氏がGenuine Startups共同代表に——大企業との“橋渡し”を強化

左からGenuine Startupsの伊藤健吾氏と高野真氏

シードアクセラレーターのMOVIDA JAPANからスタートアップ投資の機能をスピンアウトして生まれたGenuine Startups。現在2号ファンドの組成中であるこのベンチャーキャピタルに元ピムコジャパン取締役社長で、アトミックスメディア代表取締役CEO、フォーブスジャパン発行人兼編集長の高野真氏が共同代表参画した。同氏はすでにGenuine Startupsの株式の4割を取得しているという。

MOVIDA JAPANは創業期のスタートアップに対して、育成プログラムと数百万円規模のシード投資を行っていた。これはMOVIDAの代表であった孫泰蔵氏やMOVIDAから独立したGenuine Startups代表の伊藤健吾氏が、シリコンバレーのようにスタートアップが数多く生まれ、そのほとんどが死に、残った中から優れたプロダクトが生まれるという「多産多死」モデルの構築を提唱するところからスタートした。

伊藤氏はMOVIDAから始まった投資活動や、周辺環境の変化によって「起業への世の中の見方は心理的なハードルは下がったのではないか」と振り返る。そして次の課題は「成功件数を増やすこと」だと語る。実際にMOVIDA、Genuineからは多くのスタートアップが生まれ、次のシリーズでの資金調達を成功するケースもある一方、まだIPOなど大きなイグジットが発表されていない状況で次の課題解決を掲げるのに違和感がないわけではないが、実際起業に対するハードルは心理的な側面だけでなく、資金、インフラなどさまざまな面で下がったのではないだろうか。

そうは言ってもスマートフォンアプリを作れば当たるという時代ではない。伊藤氏は「アプリのゴールドラッシュは終わった。インフラは早くなり、端末は優秀になった。クラウドで大量のデータも活用できるようになった。今後は既存のインダストリのプレーヤーと組んでいくことがトレンドになるし、買収にも繋がっていく。2号ファンドではその領域で投資をやっていきたい」と説明する。2号ファンドでは、食・農業、環境・エネルギー、金融、物流、教育、エンタープライズといった領域に投資していくのだという。

そこで課題となるのが既存のプレーヤーとの“橋渡し”だ。「大企業とスタートアップの連携」なんて言葉はこの数年いろんなところで聞いたし、大企業がスタートアップのサービスを導入するといった「お付き合い」程度の話はあっても、協業や買収といった規模感での連携はそうそう生まれてこない。そこで、もともと大企業や政界との親交が深く、個人でもスタートアップへの投資(Origamiやエニタイムズなどが同氏からの調達を発表している)を行う高野氏を共同代表に迎えたという。

「エスタブリッシュ層とのつながりを考えるとベテランの人と組みたいと考えていた。6月末に高野さんと出会い、8月末には共同代表になってもらった」(伊藤氏)。「政策的にもベンチャーは重要。Forbesでもそれを後押ししたいと思っていた。(孫)泰蔵さんとも、ベンチャーだけではなく大企業を巻き込んでいかないといけないと話していた。伊藤君は専門性やコネクションを持っており、僕は(エスタブリッシュ層)のバックボーンを持っている。サイロ型ではなく、広がりのあるビジネスを作っていく」(高野氏)

では具体的にはどういったことをやっていくのか? 2号ファンドでは今後、シード期のスタートアップに対して2000万〜3000万円程度の出資を行うほか、大企業が課題などを公開し、それに対して最適だというスタートアップが手を挙げるというようなビジネスマッチングも検討中だという。2号ファンドでは20億円規模のファンドを組成を目指す。

ところでForbesという雑誌の代表を務める高野氏が投資に携わることで、自らの手がけるメディアの内容にバイアスがかかったりしないのだろうか? これに対して高野氏は「(Forbesでは)提灯記事はいくらお金をくれてもやらない。なぜそんなことができるか? それは編集長がCEOだから。ビジネスのためにオーナーの顔を見る必要はない」と回答している。

物理演算ゲームBrain Dotsに自分でステージを作れる「ビルダー機能」が搭載された

brain

トランスリミットが提供する物理演算パズルアプリ「Brain Dots」。当初300までだったステージ数も現在は500以上にまで拡大したが、ヘビーユーザーはすでに全ステージをクリアしているそうで、同社にはステージ追加の要望が寄せられている状況だ。

そんなBrain Dotsが10月1日にバージョン2.0のアプリの提供を開始した。その目玉となるのが、ユーザーが自らステージを作成し、他のユーザーと共有できる「ステージビルダー機能」だ。

ステージビルダー機能を使えば、ユーザーはBrain Dotsのステージを構成する様々なパーツを自由に配置し、新たなステージを作成できる。作ったステージは、作成したユーザーがクリアすると公開可能になる。公開されたステージは世界中のユーザーがプレイしたり、評価・お気に入り登録したりできる。

コンシューマーゲーム機のWii Uにおいては、9月に任天堂が「スーパーマリオメーカー」というタイトルをリリースしている。これは人気アクションゲーム「スーパーマリオブラザーズ」のステージを自ら作成し、世界中に公開できるというもので、ソーシャルネットワークを見ると非常に人気を博しているようだ。今回のステージビルダー機能のコンセプトはこれに近いだろう。トランスリミットでは新機能によって、「Brain Dotsはユーザーが作りユーザが遊ぶプラットフォームとして生まれ変わる」と説明している。

ちなみに最新のダウンロード数やアクティブユーザー数については聞けなかったが、「ダウンロード数は伸びているし、継続率は非常にいい。(アクティブについては)リリース当初の勢いがもの凄かったので目減りしている感はあるが、もうひと山作っていく」(トランスリミット代表取締役の高場大樹氏)とのこと。

ステージビルダー機能のイメージ

ステージビルダー機能のイメージ

モバイルポータル「Syn.」参画のスケールアウト・nanapi・ビットセラーが合併、新会社は「Supership」に

supership2014年10月にKDDIが主導して立ち上げたモバイルインターネット向けの新ポータル構想「Syn.」。昨年11月には僕らのイベント「TechCrunch Tokyo 2014」でもその詳細を聞くことができたし、参画企業のサイト・アプリにはSyn.の独自メニューが付くなどしていたのだけれども、発表から1年が経過して1つ大きな動きがあったようだ。

Syn.に参画し、KDDI傘下となっているスケールアウト、nanapi、ビットセラーの3社は、11月1日(予定)を効力発生日として合併することを明らかにした。新会社名は「Supership株式会社」となる。新会社の代表には、KDDIにおけるSyn.構想の立役者であり、Syn.ホールディングスおよびビットセラーの代表取締役を務める森岡康一氏が就任する。

今後は各社で展開していた広告、インターネットサービス、プラットフォーム事業等の事業基盤を活用。「すべてが相互につながる『よりよい世界』を実現する」という理念のもとで新サービスを提供するとしている。具体的なサービスについては現時点では明らかにされていない。また、各社で提供するサービスについては、引き続き利用できる。

またSyn.ホールディングスでは同日、あわせてアップベイダー、Socketを子会社化したことも明らかにしている。