Google、ビデオ中の対象を認識する機械学習API公開―Cloud Next 2017

SAPとの提携に引き続きGoogle Cloud Nextからのニュースだ。今日(米国時間3/8)、サンフランシスコでスタートしたカンファレンスでGoogleは新しい機械学習APIを発表した。このAPIはビデオ中の対象を自動的に認識し、検索可能にする。

新しいVideo Intelligence APIを利用するとデベロッパーは ビデオから対象物を自動的に抽出する能力を備えたアプリを開発できる。これまで画像認識APIはクラウド・サービスでのみ利用でき、しかも多くは静止画だけを対象にしていた。しかしGoogleのAPIを使えばデベロッパーはユーザーがビデオを検索して情報を引き出すようなアプリを開発できる。つまりflowerやdogなどのキーワードでビデオを検索できるようになる。

ビデオ中のエンティティの抽出に加えて、このAPIはシーンの転換を認識し自動的なタグづけを可能にする。

ただしビデオそのものはGoogleクラウドに保管されている必要がある。こちらでデモを見ることができる。

Google CloudのAIおよび機械学習担当チーフ・サイエンティストのFei-Fei Liのキーノート講演によれば、画像処理は静止画の先へ進みつつあるという。ビデオは機械学習の開発者にとって長らく困難なターゲットだった。新しいAPIは静止画の画像認識同様んび簡単にビデオから情報を引き出すことを可能にする。

さらにGoogleのクラウド機械学習エンジンはTensorFlowフレームワークを用いてデベロッパーが独自のカスタム機械学習モデルを構築できるようにする。Gogleによればこのエンジンは今日、一般に公開された。

キーノートでLiは、Googleは「社内で開発した機械学習テクノロジーの一般への普及を図っている。 今回もVision APIの公開もその例だ」と述べた。

〔日本版〕Googleが用意した説明ページのデモでは動物園、Google本社の自転車などを撮影したサンプルビデオにAPIを適用して処理した結果を見ることができる。APIの利用例のサンプルコードも掲載されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GitHubのエンタープライズバージョンが重すぎる企業のために通常Webサービスの“企業用プラン”が登場

Workers install a billboard for GitHub Inc. in San Francisco, California, U.S., on Tuesday, Nov. 11, 2014. GitHub, which provides open-source code hosting services and has raised more than $100 million from investors, is among tech startups boosting demand for billboard space around Silicon Valley. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

GitHubが今日(米国時間3/1)から大企業向けの提供物を拡張する。元々デベロッパーが効果的にコラボレーションし、ソースコードを共有するためのサービスだったGitHubだが、最近ではそのツールのエンタープライズバージョンを提供して、同じサービスを大企業が自社のために自社のデータセンターやAWS、Azureなどの上でホストできるようにしている。今日発表されたのは、企業自身が動かすバージョンというより、前からあるGitHubサービス本体の企業用バージョン、ビジネスバージョンで(下図)、というか‘プラン’で、それはユーザー一人あたり月額21ドルで利用できる。

では、無料や月額7ドルや9ドルの従来型サービスと、21ドルのビジネス用サービスプランは、どこがどう違うのか。この高い月額のサービスでは、上述の、GitHubツールのエンタープライズバージョンと同じく、Ping Identity, Okta, Azure ADといったSAMLベースのシングルサインオンがサポートされる。そしてアドミンがユーザーアカウントの供与やパーミッションの管理を行えるし、アカウントの供与/解消の自動化もできる。GitHubのエンタープライズバージョンにあってビジネスバージョンのサービスプランにないものといえば、Team Syncだけだが、これも年内にはサポートが予定されている。

さらに99.95%のアップタイムが約束され、その約束をSLAが支える。ウィークデーにはサポートにアクセスできる。

というわけでこれは、GitHubにとって当然のような次の一歩だ。エンタープライズバージョンを自分でオンプレミスでホストできるような大企業は多くないし、その必要のないところもある。しかしこれまでは、その必要のないところでも、エンタープライズ機能が使いたければ、GitHub Enterpriseのセルフホストしか選ぶ道はなかった。でもこれからは、もっと容易に、エンタープライズ級のGitHubを使えるし、アドミンの仕事も楽になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWS S3 US-EAST-1がダウン、アメリカは大混乱―Amazonは原因を突き止めたらしい

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AmazonのAWS S3クラウドストレージに広汎な障害が発生している。S3を利用している多くのウェブサイト、アプリ、デバイスが一部あるいは完全に作動しなくなっている。AWSは多くのサイトの実行イメージあるいはサイトそのものをホストしている。アプリのバックエンドとして利用しているサービスにはNestも含まれる。

「US-EAST-1のS3に高頻度でエラーが発生する」という障害が発生していることがAmazon AWSサービスのヘルス・ダッシュボードで確認されている。 当初、Amazonでは「プログラムを修正中」と発表したのみで原因など詳しい状況は不明だった。

影響を受けているサイト、サービスにはQ&AのQuora、ニュースレター配信サービスのSailthru、ニュースサイトのBusiness Insider、Giphy、S3が画像をホスティングしている各種yメディア、Slackにおけるファイル共有など多数だ。スマートサーモスタットなどホームIoTのパイオニアであるNestにも障害が発生しており、デバイスのコントロールが不可能になっている。

SimilarTechのトラッキング・データによれば、Amazon S3は14万8213のウェブサイトが利用しており、 12万1761のドメインを運用している。コンテンツのホスティング・サービスとしての利用はアメリカに集中している。ただし利用の絶対量は上位100万サイトの0.8%に過ぎず、たとえばCloudFlareの世界のトップ100万サイトについて6.2%という数字に比べてかなり小さい。それでもAWSのダウンは大きな影響を与えている。

驚いたことに、AWSサービスの健康状態を示すダッシュボードのグラフィックス自体がS3のストレージを利用しており、したがってこの大混乱にもかかわらず「平常通り」の緑のランプが点灯しているという。

われは状況を注視しており、さらに情報が得られしだいフォローする。

アップデート: (11:40 AM PT): AWSはヘルス・ダッシュボードについては問題を修復した。ダッシュボードは 作動の低下やダウンを正しく表示している。Amazonは復旧の努力中。

アップデート (11:57 AM PT): AWSはS3がダウンした「根本的な原因を発見」したもよう。「修正に全力を挙げている」という。ただしそれ以上の詳細は発表されていない。

取材を続行している…

〔日本版〕日本ではSlackのファイル共有を含めて目立った影響は出ていない。US-EAST-1を利用していない場合は正常に作動するもよう。
なおQuoraは”504. Gateway Timeout.”のエラーとなる。Business Insider(英語版)はテキストそのものは表示されるがウェブページとして正しく表示されない。

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Qualcomm、VRヘッドセット・アクセラレーター・プログラムを発表―開発キットも835対応へ

LAS VEGAS, NV - JANUARY 06:  Qualcomm CEO Steve Mollenkopf speaks during a press event at the Mandalay Bay Convention Center for the 2014 International CES on January 6, 2014 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs from January 7-10 and is expected to feature 3,200 exhibitors showing off their latest products and services to about 150,000 attendees.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

VR〔仮想現実〕が近々モバイル化することは間違いない。そしてモバイル・デバイスの市場を誰よりもしっかり握っているのはQualcommだ。そこでQualcommとしては世界のODM(オリジナル・デザイン・マニュファクチュラー)のコミュニティーにVR開発を普及させることがなにより急務となる。

モバイルVRのヘッドセットはスマートフォンをスロットに挿入して利用するような形式ばかりではない。中国その他の地域でもすでにオールインワン式のVRヘッドセットが強い関心を集めている。昨年QualcommはSnapdragon 820アーキテクチャに基づいたVRヘッドセットのレファレンス・デザインを発表している。今年に入って新しい835チップ用のアップデートも行われている。

Snapdragon VR820

Qualcomm VR 820レファレンス・デザイン

中国のODMの何社かはVRレファレンス・デザインをベースにヘッドセットを開発することに興味を示している。しかしQualcommはさらに広く世界的にユーザーを増やすためにヘッドマウント・ディスプレイ・アクセラレーター・プログラムを準備中だ。このプログラムに参加するVRヘッドセットのメーカーはQualcommのサプライ・チェーン・パートナー各社からの協力が得られる。また開発したプロダクトのマーケティングにおいてQualcommからの助力を期待できる。

Qualcommはまた「当初このプロジェクトはVRヘッドセットのメーカーを対象としているものの、近くAR〔拡張現実〕コミュニティーの各社もメンバーとなってSnapdragon 835チップの効果的な利用法を発見できるだろう」と述べている。

このVRヘッドセット開発加速計画のニュースに加えて、Qualcommはデバイス開発キットのアップデートも発表した。これは新しい835チップへの対応が主となる。新しい開発キットはユーザーのどんな動作にも追随する6DOF〔6自由度〕のモーション・トラッキングを可能にする。これは2台のカメラに加えて新しく視線トラッキングを利用している。こうしたテクノロジーは計算量を減らし、システムへの負荷を大きく軽減するという。

開発キットは今年の第2四半期にリリースされる予定だ。ヘッドセット・アクセラレーター・プログラムはすでにスタートしている。

画像:Justin Sullivan/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、ドローン、自動運転車のシミュレーター・ソフトをオープンソース化

Microsoft AIRO group on January 24, 2017.(Photography by Scott Eklund/Red Box Pictures)

Microsoftはドローン、自動運転車、その他ユーザー独自のガジェットの移動をシミュレーションできる高度な仮想現実のベータ版をオープンソースで公開した。ソースコードはGitHubから入手できる。このソフトでは物体の形状ばかりでなくドローンの運用にあたって困難な問題を引き起こす可能性がある影や反射などの要素も描写できる。レンダリングはきわめてリアルだという。

Microsoftはこのソフトが「ロボティクスの民主化」を進めることを期待している。つまり個人であれ組織であれ、ドローン・テクノロジーを実験したい場合に好適ということだ。現実世界でドローンを動かすのは自他への危険を伴う上にきわめて大量の資源を必要としがちだ。

ドローンその他の自動運転デバイスを仮想空間でテストするメリットは次のような点だろう。衝突を回避しなければならない壁などの固い物体と物体の影を見分けるのは自動運転システムにとって難しい課題になる。現実世界でドローンを動かすのは上で述べたようには非常に高価な上に、通り抜けが不可能な障害と影のように「そう見える」だけの形状を判別させるテストを現実世界で実行した場合、失敗はクラッシュを意味することになる。これはますます高価であり、また危険だ。しかし仮想世界の中では大量に失敗を繰り返すことができる。失うものは少々の時間と電気料金だけだ。

失敗を高速で繰り返すことはAIの訓練のために必須でもある。ただしAIの訓練に本当に役立つためには仮想世界はきわめてリアルに再現できなければならない。Microsoftによればこのシミュレーターは最新の高度なグラフィックス・テクノロジーを用いており、影、きらめき、陽光、霧、路上の水たまりの表面の反射など外界のディテールを精密に再現できるという。

MicrosoftのAshish Kapooはブログで「このシミュレーション・ソフトは自動運転車と飛行するドローンの双方の実験に用いることができるだけでなく、現実の世界を安全に移動する必要のあるロボットのテストに広く利用できる」と述べている。

画像: Scott Eklund/Red Box Pictures

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500 Startupsの第20期が来週デモ―全スタートアップ一挙紹介

2017-02-09-500startups-b20

500 Startupsの最新のクラスが来週プレゼンを行う。これは同時に、500 Startupsではすでに新しいクラスをスタートさせる準備が進んでいるということでもある。以下にバッチの全スタートアップを紹介する。

今回、第20期のスタートアップの大半はヘルス、金融に加えて公共機関に効率化のテクノロジーを供給することを目的としている。つまりこうした分野がトレンドだということだ。今回のバッチの3分の1はアメリカ以外のチームだった。

  • AllVirtuous — オンデマンド、クラウドソーシングで偽造商品を発見、撲滅する
  • Alta5 — 金融市場の取引をイベント・ドリブンで処理するプラットフォーム.
  • BenRevo — 保険会社、保険ブローカー、雇用主をデジタルに接続する
  • Bloom Credit — データ・ドリブンでローン申し込み者の財務状態を把握、改善する
  • Boon — 社員のSNSデータと人工知能を利用した人材リクルート・ネットワーク
  • Cadence — 通訳者と業務依頼者をマッチングさせるためのAPI
  • Clanbeat — 管理職の業務評価を継続的に実行できる フィードバック・ツール
  • Court Buddy — 個人事業主の弁護士を予算に応じて探すテクノロジー・プラットフォーム
  • Digital Mortar — l現実店舗のための経営最適化サービス
  • EquitySim — 金融ビジネスにおける学生の研修を助け機械学習を利用して雇用主とマッチングする
  • FinCheck — 財務サービスに関する会話ボット
  • FriendlyData — データベースの自然言語インターフェイス
  • Funderful — 大学向けオンライン資金集めソフト
  • Govlist — 文書オートメーションとアナリティクスを用いて公共機関の購入を最適化する〔注〕
  • Halo Home — スマートホームのセキュリティー
  • Hyphen — 管理職、人事部向けの機械学習を利用したリアルタイムで匿名化された社員の要望を聞くシステム
  • Littlefund — 子供たちの財政感覚を養うための貯蓄とギフトのためのスマート・ツール
  • Biomarker.io — ユーザーのサプリ服用などをトラッキングできるヘルス・モニター・プラットフォーム
  • Mycroft — SiriやAlexaなどのオープンソース版
  • Nazar — エージェントを用いないデータベースのパフォーマンス監視システム
  • Numina — A センサー・プラットフォーム コンピューター・ビジョンを利用してリアルタイムで都市の活動状況を分析する
  • Obie (Tasytt Inc.) — チームのデータを横断的にアクセスできるSlackbot
  • Optimity — ヘルスコーチングサービスにより社員の健康を改善し雇用者の健康保険負担を軽減する
  • Orderly Health — AIを利用してユーザーの医療コストの質問に答えるコンシェルジュ.
  • Preteckt — ハード、ソフトのデータを機械学習を利用して分析、自動車の故障を予測するオーナードライバーのためのソリューション 
  • Printivo — アフリカ企業、デザイナーのためのワンストップ高品質プリント・サービス
  • Raxar Technology Corporation — 大企業、政府機関向けにインテリジェント・データ管理プラットフォームを利用してワークフロー効率化を提供する
  • Regard — 病気、負傷による収入ダウンを保障するオンライン収入保険
  • SentiSum — 大企業が顧客の要望データを利用するための人工知能アナリティクス・プラットフォーム
  • Shoelace — eコマースの運営者がソーシャルメディア上でリターゲティングを行うことを助ける人工知能アシスタント
  • Skeyecode — 新しい暗号化システムを利用した認証ソフト
  • Text To Ticket — 「メッセージ入力しながら運転」などの危険運転をビデオ撮影して送付すると報酬が支払われるサービス
  • TopDocs — 医師を募集している病院のためのソフトウェア・プラットフォーム〔注〕.
  • TrueCare24 — 家族のためのワンストップ総合医療サービス
  • UrbanLogiq — 機械学習によるアナリティクスを利用して都市計画の精度、スピート、コストパフォーマンスをアップする
  • WellTrack — ストレス、不安、うつ状態改善のためのオンデマンドのオンライン・セラピー・プラットフォーム
  • Win-Win — スポーツ・ゲームのプラットフォーム。プロやセレブと1週間にわたる試合が体験でき、エントリー料金はチャリティーのために寄付される
  • YayPay — 売掛金処理にAIを利用してキャッシュフロー改善する
  • Zyudly Labs — ディープラーニングを利用して金融サービス市場における詐欺と戦いサイバーセキュリティーを確保する
  • VIA Global Health — 途上国市場で入手困難な医薬品を探し必要な人々と結びつけるプラットフォーム
  • Visabot — 人工知能を利用してアメリカのビザ取得プロセスを効率化する
  • Smile Identity — 身分証明書類と「スマート・セルフィー」写真を結びつけてバイオメトリクス認証を可能にするAndroidデバイス.
  • Credit Stacks — クレジットカード履歴のない外国人向けクレジットカード

〔日本版〕原文ではGovListのURLが404、TopDocsのURLが次のTrueCare24と同一だったため、それぞれ正しいと思われるアドレスに訂正してある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookのF8デベロッパー・カンファレンス、オンライン受付開始―現地時間4月18-19日開催

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われわれはデベロッパー・カンファレンスが大好きだ。さきほどFacebookが恒例のF8カンファレンスの(いわば)ドアを開いたところだ。今年のf8は4月18-19日〔日本時間で19-20日〕だ。参加は抽選となり、2月21日以前に応募しなければならない。当選した場合チケットは595ドルで購入できる。

Facebookは今年からF8のフォーマットを多少変えたことを発表している。2017年のF8は初めてサンフランシスコではなくサンノゼで開催される。サンフランシスコにはもはやF8を開催できるような大きな会場がなかったらしい。

例年どおりF8のキーノートでは真新しいプロダクトや機能がお披露目されるはずだ。これに加えてFacebookは50以上のデベロッパー・セッションのプログラムを発表している。読者のチームがFacebookのAPIやツールを利用しているなら、情報をアップデートするよいチャンスだ。

そしてもちろん参加するデベロッパーはFacebookのエンジニアと直かに話ができる。興味ある問題に関して直接フィードバックが得られるし、APIやプロダクトに関して質問もできる。残念ながら抽選にもれた場合でもライブのビデオストリーミングが予定されている。

〔日本版〕F8の会場はサンノゼ中心部のMCENERY CONVENTION CENTER。公式ウェブサイトでREGISTER TO ATTENDをクリックすると応募フォームが表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、iOS向けChromeをオープンソース化

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今日(米国時間1/31)、Googleは「Chrome for iOSをオープンソース化プロジェクトであるChromiumに追加した」と発表した

ChromeのiOS版ではレンダリング・エンジンにGoogle自身のBlinkではなくAppleのWebKitを使う必要がある。このためGoogleはこれまでChrome for iOSのソースコードをChromiumベースとしていなかった。基本的に同一のブラウザで2つの全く異なるレンダリング・エンジンを使うのは非常に面倒な問題を引き起こす可能性があった。

そのためここ数年、GoogleのChromeチームはソースコードに修正を加え、Chrome for iOSをChromiumベースとする努力を続けてきた。この作業がやっと終了し、デベロッパーはChromiumのレポジトリのソースコードからiOS向けChromiumをコンパイルできるようになった(もちろんOS XとXcodeが走る環境が必要)。

Googleは「これによりChrome for iOSを利用する開発のスピードが大きく加速される」としている。これはコードをChromiumにチェックインする際に自動的に行われるテストがすべてChrome for iOSコードにも適用されるとこからくる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、インストール不要のAndroidアプリ、Instant Appsの実地テスト開始

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昨年5月のGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスでの最大の驚きの一つはAndroidプラットフォームにおけるInstant Appsの発表だった。この新しいアプリはネーティブ・アプリとウェブ・アプリの間のギャップを根本的に解消する可能性を持っている。簡単にいえば、ネーティブ・アプリを非常に細かい要素に分解し、ユーザーが必要な要素だけをダウンロードするというものだ。要素が小さいためダウンロードも作動もほとんど瞬時に行われる。アプリのストアに行き、アプリをインストールし、その後に起動するという手間をかける必要がない。単にURLをタップするだけでよい。

発表から半年以上経って、最初のInstant Appsが限定的なテストに移された

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Googleによれば、この数ヶ月少数のデベロッパーと協力して開発上およびユーザーの利用上の課題を検討してきたという。その成果がBuzzFeed、Wish、Periscope、Vikiのアプリによる限定テストとなった。

GoogleのAndroidのエンジニアリング担当副社長、 Dave Burkeは昨年Instant Appsを発表したとき、私の取材に対して「Instant Appsはインターネットにおけるわれわれの進む方向を決めるものだ」と重要性を強調した。Burkによれば、「ウェブ・ページは短命でその場限りだ。ユーザーはページを見つけ、1度利用すると、2度と戻って来ない」という。

一方アプリのインストールには数々のハードルがある。1度しか利用しないような場合にも複雑な手順を踏まねばならない(めったに行かないような出先でパーキング・メーターの料金を支払うために専用アプリをインストールしなければならないといった例を考えてもらいたい)。Instant Appsの理想は、ウェブ・ページのアクセスの手軽さとネーティブ・アプリの機能と高速性を合わせたような存在になることだ。

デベロッパーにとってInstant AppsをサポートするのはAMPをサポートするよりは複雑だ。まず第一にアプリを単独で動作する小さい要素に分解する必要がある(従来のアプリ本体にアクセスしてはならない)。AndroidでInstant Appsを開発するフル機能のSDKが登場するにはまだ数ヶ月かかる見込みだ。しかしInstant Appsの開発に興味があるデベロッパーはローンチの際に発表されたGoogleの注意を研究しておくべきだろう。

残念ながらInstant Appに関する具体的な情報はまだ乏しい。われわれはテスト用のURLを含めて、Googleに追加情報を求めている。情報が得られ次第アップデートしていく予定だ。

〔日本版〕TechCrunchではInstant Appsがデベロッパーに対して与える影響を考察した寄稿も掲載している。

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エンタープライズソフトのAtlassianがプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収

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今日(米国時間1/9)、エンタープライズソフトのAtlassianはプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収した。この取引の大部分(3億6000万ドル)はキャッシュ、残りはRSU〔制限付き株式〕とオプションとなる。買収の完了は2017年3月17日となる見込み。

これはAtlassianの18回目の買収となる。またAtlassianのプレジデント、Jay Simonが先週私に語ったところによれば、同社として過去最大の買収だということだ。Atlassianの他の買収同様、Trelloは企業としてもサービスとしても従来どおり運営が続けられる。当面、Trelloの現行ユーザーには影響はない。

TrelloのサービスはTechCrunch Disrupt Battlefield in 2011で発表され、その後2014年にFog Creek Softwareからスピンアウトして独立の企業となった。今回の買収でAtlassianは成長最速のプロジェクト管理サービスを傘下に収めることになる。 Trelloはユーザー数1900万で、100人弱の社員は全員がAtlassianに所属することになる。Fog Creekからスピンアウトする際、TrelloはBoxGroup、Index Ventures、Spark Capitalなどから1030万ドルの資金を調達している。

Organizing, assigning, and tracking tasks for a team is time consuming. Trello brings more productivity to your individual and team projects. It shows all of the projects from the entire team in a single glance. Assigning projects is easy, just put them in the assigned person’s or team’s list and when completed drag it to the completed list. Each “card” or task can be commented on and links can be added. Trello works across multiple devices and uploads files from Dropbox or Google Drive.

「われわれはたいへん興奮している。Trelloのプロダクトはブレークしている。すごい勢いだ」 とSimonsは私に語った。

TrelloのプロダクトがAtlassianのエンタープライズ生産性ソフトウェアに適合するサービスだ。Atlassianは、最近デベロッパーだけでなく一般のエンタープライズにもターゲットを広げている。例えば、Atlassianの中核的ソフトウェア、JIRAシリーズのプロジェクト管理サービスはTrelloのサービスによく似たホワイトボードのカンバン方式をオンライン化したKanban board機能を提供している。これはもちろんJIRAシリーズのソフトウェアのごく一部の機能にすぎないものの、プロジェクト管理に必要なのはこうしたカンバン方式の視覚化ソフトだけだという企業も多い。JIRAはフル機能の生産性ツールであり、レポート作製機能や、こうしたツールを独自サーバーによりオンプレミスで運営するエンタープライズ版も提供されている。

AtlassianはMarketplaceというブラグインのデベロッパー向けのストアを運営しており、Trelloがpower-upsと呼ぶプラグインも順次このMarketplaceに登場することになるだろう。また両社とも伝統的な企業向けセールス手法よりフリーミアム・モデルや口コミ(WOM)を重視するなどマーケティングのアプローチに共通性があることも注目すべきだろう。

Simonsは私の取材に答えて、「われわれの会社文化はよく似ている。両社とも月間アクティブ・ユーザ1億人を目指すという大目標に向かって進んでいる」と述べた。この目標を達成するためAtlassianは顧客ターゲットを従来のソフトウェアのデベロッパーから他分野に拡張している。今回の買収を伝えるAtlassianのプレスリリースが財務、人事、法務マーケティング、セールスなどの部門でTrelloが高い人気を得ていることを強調しているのはそういう理由によるものだろう。Trelloのユーザーの50%はテクノロジー以外の部門の人員だという。

将来の見通しについてSimonsは「AtlassianはTrelloの発展を助けることを約束している。AtlassianはTrelloがスケールアップするために十分なりソースを振り向ける」と語った。

Atlassianの第2四半期の決算発表は1月19日の予定だ。その機会に買収についてさらに詳しい情報が明かされるものと思われる。またAtlassianがTrelloのサービスを自社プロダクトに統合していく計画についても発表があるはずだ。

〔日本版〕restricted shareないしrestricted stcokは報酬、賞与の一種として発行される株式。譲渡が可能となる期日などの制限が付される。発行日以降に株価が下がっても権利が無価値となることがないなどストックオプションと異なる点がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2016年のプログラミングのトレンドを振り返る

Aerial view of container terminal

編集部:この記事はCrunch Networkのメンバー、 Martin Puryearの投稿。Puryearは14週間でフルスタックエンジニアを養成するブートキャンプ、 Coding Dojoのカリキュラムとテクノロジーの責任者。

今年の1月、私はTechCrunchへの寄稿で2016年の主なプログラミング上のトレンドを予測した。

ソフトウェアの開発というのは非常に変化の速い分野だ。ぴかぴかの新しい開発言語、フレームワーク、ツールについての議論は賑やかだが、上位レベルのプログラミングのトレンドを正確に予測するのはたいへん難しい。まず私の2016年の予測がどの程度当たったおさらいしてみよう。

最新のJavaScriptが急成長する

JavaScript/ECMAScript version 6(通常ECMAScript 2015あるいはES6)は2015年の6月にリリースされた。私は2016年にはこの言語が広く採用され、デベロッパーが新しいバージョンに慣れるにしたがって新たサポートされた機能がウェブに普及するだろうと予測した。この予測は概ね当たった。

主要なブラウザすべてとNode.js(オープンソースのJavaScriptランタイム)の90%はES6準拠となった。この頃では、ES6は実験的、実験的な小さなシステムや内部利用に限られるツールに埋め込まれているだけでなく、さまざまな製品や主要顧客が直接触れるようなインターフェイスにも採用されている。既存のプログラミング遺産に縛られないユーザー、AirbnbGoogleなどはES6のシンタックスを社内のプログラミングのスタイルガイドとして利用している。

ただしES6は普遍的、全面的に採用されたわけではない。一部のシステムは旧バージョンのJavaScriptをレガシーとしてサポートし続ける必要がある。デベロッパーはの多くはES6の記法を使いたくても、レガシー・ブラウザを使うユーザーを置き去りにするわけにはいかない。そのためtranspilerpolyfillsといった新しいES6で書かれたコードを古いJavaScript向けにコンバートするツールが利用されている。

ただしES6の新しい機能をすべてのJavaScript環境がサポートするには至っていない。たとえば多くの環境で末尾呼び出し最適化がサポートされていない(Safari 10と iOS 10はありがたいことに例外だ)。この表はどのコンパイラやブラウザがES6のどのシンタックスをサポートしているかの一覧でたいへん便利だ。JavaScriptの旧バージョンは一夜にして消えはしない。しかし2016年を通してES6は急速に普及を続けた。新年にリニューアルされたサイトはほとんどがES6互換の環境に移行しているだろうと予想する。というわけでES6に関する予想は十分正確だったと思う。

BaaS―バックエンド・アズ・ア・サービス

BaaSつまりBackend as a serviceも予測どおり2016年のシステム開発の主要なトレンドになった。BaaSはクラウドストレージやノーティフィケーションなどプロジェクトの中で繰り返し行われる定型的処理の実行にサードパーティーのサービスを使う手法だ。BaaSを利用することによってデベロッパーは自分の得意分野に開発、運用の努力を集中することができる。バックエンドAPIの利用が盛んになっているのはフロントエンドのフレームワークがこうしたBaaSに接続しやすい形に変化してきたからだ。

デベロッパーはコンポジションと呼ばれるテクニックを多用するようになってきた。コンポジション方式の場合、システムいくつかの小さな部品(アプリケーション)から組み立てられる。このような構成の場合、小さな部品は容易にサードパーティーから入手できる。

私は特に今後ブログラミングのパラダイムがどう変化するかに興味を持っている

注意:前回の投稿で私は人気のあるBaaSの例としてParseを挙げた。記事が発表されたすぐ後にParseの所有者のFacebookはBaaSとしてのParseの運用を近く中止すると発表した。Parseを使い続けるつもりなら、ユーザーはそれぞれ独自にParseサーバーを構築し、 2017年1月28までにそちらに移行する必要がある。

イメージ管理と配布管理

2016年にはDockerPackerなどが予想どおりデベロッパーの主要なツールとなった。 これらのサービスは デベロッパーはコンテナと呼ばれるマシン・イメージを簡単かつ素早く生成ないし複製することがができる。コンテナはソフトウェア、そのランタイム、システム・ツール、言語ライブラリーなどがバンドルされどんなプラットフォーム上であれ実行するのに必要な要素をすべて備えている。デベロッパーは軽快なバーチャルマシンの上で素早くプロトタイプを作ることができる。ここにはバージョン管理機能がビルトインされているので、複数のサーバー環境であっても矛盾のないアップデートが可能だ。マニュアルでサーバーのプロビジョニングをするというのは本質的に時間がかかり間違いが起きやすい作業となる。そこでこうした面倒な作業を自動化するBaaSが急速に普及したのは当然だろう。

これに関連してVagrant(開発環境の設定の自動化)、 PuppetChefAnsible(コンフィグレーション管理)などのツールにも人気が出た。コンテナ・ベースの開発はますますデベロッパーにとってますます標準的なものとなりつつある。この傾向が今後原則するとは考えられない。

関数型プログラミング言語への依存が強まる

Haskell、Clojure、Scalaのような関数型プログラミング言語は2016年を通して普及を続けた。こうしたサーバーサイド言語を採用するプロジェクトが増えたのはスマートフォンやIoTデバイスの爆発的な増大によるものだ。コンピューター、タブレット、スマートフォン、IoTガジェットの数が増え、ますます強力になるにつれてサーバーの処理能力がシステムのボトルネックとなってきた。大量の「つながったデバイス」からのリクエストを処理するためにはサーバーの能力をアップする必要がある。処理能力の不足は反応の遅れをもたらし、ユーザー体験を著しく下げる。

関数型プログラミング・モデルは基本的にステートレスだ。 ソフトウェアの各部分を複雑な同期処理なしに多数の異なるCPUないしマシン上で効率的かつ容易に並行動作させることができるようになる。オブジェクト志向言語に比べて関数型言語のパラダイムが本質的に優位なのはウェブからのリクエストのような並列処理の場合だ。

マテリアル・デザインと共通パターンへのシフト

2016年にはビジュアル・デザインの分野でも興味ある進展があった。 予期されたことだが、Googleはすべての分野でビジュアル要素としてマテリアル・デザインを採用したプロダクトの数を増やしている。システム(ChromeOS、Android)、アプリケーション(Chrome、Drive、Google Play Music)、ウェブサイト(YouTube,、AdSense)、それにウェブ検索もマテリアル・デザインになった。サードパーティーのAndroidアプリ、Slack、Twitter、Spotify、Airbnb、Wikipediaがマテリアル・デザインを採用しており、AsanaからGeekbenchに至る多数のウェブサイトもビジュアルをマテリアル・デザインに準拠している。

ただし他のプラットフォーム((iOS、Tizen、Windows、MacOSなど)ではマテリアル・デザイン採用の動きは見られない(Ubuntuには多少の影響がある)。他のプラットフォームのデベロッパーは独自のデザイン・ポリシーを推進している。

デザイン分野での私の予測が当たったのは一部に限られるようだ。改めて2017年を予測するなら、サービスやアプリケーションにおける伝統的な視覚的デザインの役割は減少し、非視覚的なインターフェイス(Amazon Alexa、Siri、Cortana、Google Home)や別の視覚的要素(仮想現実、拡張現実)を利用したインターフェイスが普及期を迎えると思う。

結論

2016年のソフツには数々の興味ある進展があった。2017年にはさらなる発展が期待される。これにはコンテナや関数型言語の一層の普及、JavaScriptがアプリ開発に占める役割のさらなる増大などが含まれるだろう。私は特に今後ブログラミングのパラダイムがどう変化するかに興味を持っている。デベロッパー諸氏の考えを聞きたいところだ。

画像: Bernhard Lang/The Image Bank/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

KickstarterがそのAndroid/iPhoneアプリのコードをオープンソース化…公益法人化を契機に

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クラウドファンディングのトップサイトKickstarterが、そのアプリケーション開発過程を開示しようとしている。今朝(米国時間12/14)同社は、その技術系のブログ上で、AndroidとiOSのネイティブアプリのコードをオープンソースにし、同社の目標であるスタートアップ支援の一環とする、と発表した。

同社によると、この考えがひらめいたのは、昨年の9月に同社が公益法人になったことが契機で、広い意味でのデベロッパーコミュニティに何かを還元していくという、企業としての大きな社会的視野を持つべき、と考えた。

コードは今日から、同社のGitHubレポジトリで提供され、アプリのエンジニアリングとデザイン両面の、内部的仕組みや構造に、それらに関心のある人たちがアクセスできるようにする。

今日のローンチに先駆けてKickstarterのエンジニアBrandon Williamsは本誌にこう語った: “チームとしてのわれわれは、かなりユニークな仕事をしている、とかねてから感じていた。でも、エンジニアが自分の仕事を互いに共有できる機会は、そうめったにあるものではないからね”。

オープンソース化してとくに有益と考えられるのは、Kicstarterのアプリが、関数型プログラミングの手法で書かれていることだ。その開発過程やプロトタイピングの過程が目で見て分かることは、かなり参考になるだろう。

とくに同社は、次のような点を強調している:

  • Screenshotsディレクトリには500近いスクリーンショットがあって、すべての言語やデバイス、つねに真であってほしいエッジケース状態などのさまざまな画面を収めている。たとえば、Kickstarter上で支援者がフランス語のプロジェクトを見ていたり、クリエイターがドイツ語のダッシュボードやiPadのページを見たりしている。
  • われわれはSwift Playgrounds〔参考記事〕を使って反復型(iterative)開発とスタイリングを行っている。アプリケーションの主な画面の多くに、それに対応するプレイグラウンドがあって、そこで多様なデバイスや言語やリアルタイムのデータを見られる。われわれのプレイグラウンドのコレクションを、ここで閲覧できる。われわれはビューモデルを、副作用を隔離し、 アプリの中核的部分に取り組んでいくための、軽便な方法として使っている。
  • われわれはこれらを、入力信号を出力信号に純粋にマッピングするためのものとして書いている。テストは、ローカライゼーションのテスト、アクセシビリティのテスト、イベント追跡のテストなど、いずれもしっかりと行っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook Engeneeringの責任者が機械学習を解説―ビデオ・チュートリアル公開

2016-12-02-facebook-math

数学を勉強すること。もっと数学。さらに数学―というのが人工知能に興味ある学生に対するに対するFacebookの人工知能ラボの責任者、 Yann LeCunと応用機械学習グループの責任者、Joaquin Quiñonero Candelaのアドバイスだ。

テクノロジー企業は必要な能力としてよくSTEMという頭文字語を使う。 科学、テクノロジー、工学、数学(science, technology, engineering, math)の略だ。今回公開された人工知能と機械学習に関するチュートリアル・ビデオは学生に対するアドバイスとしても大いに役立つだろう。Facebookによれば、学生がやるべきことは野菜を残さず食べる他に数学 I、 II、 III、線形代数、統計をできるだけ速い時期にマスターすることだという。

このリストの中では特に統計学が目立つ。私の高校時代にはこの教科は一流大学を目指す生徒にはAP〔進学に有利となる高度授業〕の点数計算で有利でないとして無視されることが多かった。

微分方程式が機械学習の原動力となるエンジンなら統計は器械の歯車そのものだ。記事末にFacebookのAIのビデオ・チュートリアル(AI explainer)をエンベッドした。

本当のことを言えば、 LeCunと Candelaのビデオの対象は大学生以上だろう。しかし「どの科目がどのように重要なのか」は教育のあらゆるレベルで動機づけに欠かせない。それに加えて、われわれの日常生活でも統計の知識はこの上なく役立つ。Facebookの2人の科学者が「数学。もっと数学」と述べているとおり、数学は科学、工学一般ばかりでなく、コンピューター科学、経済学、神経科学など今日非常に重要になっている分野でも必須だ。広告の効果を強化するためにニューロン・ネットワークと認知科学を機械学習に応用するなどということは数学なしに実現できるはずがない。

統計学は知識と学習の本質を理解するという哲学上の重要課題の入り口でもある。最近Facebookのニュースフィードのバイアスの有無について議論されているが、忘れてならなないのは、たとえ機械学習だろうと、すべてのアプリの背後にはそれを作った人間がいるという点だ。われわれは人工知能の進歩によるコンピューターのブラックボックス化という問題に対する効果的な対策をまだ見つけていないが、それを見つけようとしているのはまさしく人間だ。またデータをやみくもにいじる前に、学習の本質がどういうものであるかを理解しておくことが重要になる。

最後の方でFacebookは機械学習の分野でどのような職に就けるか簡単に説明している。といっても説明のほとんどは自明だ。機械学習を実際にマスターしようとするならまず適切な指導教授を見つける必要がある。PhD課程の院生は教授より時間に余裕があるからいろいろ指導してもらえるかもしれない。企業でインターンとして働いてみるのは現実世界でAI(がどのように使われているかを知るのによい方法だ。

実のところ、実際にPhD課程に応募する場合、大学のランキングなどより指導教授の方がはるかに重要になるとFacebookの2人は注意している。一度博士課程に入学を許されたら、未解決の問題を探し、それを解決するコードを書きオープンソースで発表するのが大切だという。

〔日本版〕以下のビデオの音声は英語だが、アニメーションや図解だけでも理解の助けになる。また日本語で説明する際のヒントにもなりそうだ。

AI入門

機械学習とは


勾配降下法(Gradient Descent)


ディープラーニング

誤差逆伝播法(Back Propagation)


畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)



Featured Image: Getty Images/Yuri Khristich/Hemera (modified by TechCrunch)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleからApp Maker登場―ドラグ&ドロップで誰でもG Suiteアプリが作れる

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今日(米国時間11/30)、GoogleはApp Makerをリリースしたことを発表した。このプロダクトはコーディングをほとんど必要とせずドラグ&ドロップでアプリを作るサービスの市場に大きな影響を与えそうだ。

Microsoftその他数多くのライバルの製品と同様、App Makerも「誰もが簡単に手早くベーシックなアプリを作れるようになる」という。組織内で特定の処理のためにアプリを必要とする場合、理想的なソリューションになるかもしれない。

新サービスはクラウド・ベースのドラグ&ドロップ開発環境で、ユーザーインタフェイスを作成し、その中にG Suiteの各種アプリを埋め込むことができる。利用できるコンテンツにはGoogleマップ、連絡先、グループなどAPIが利用できるGoogleアプリのほとんどが含まれる。App MakerはコンテンツのG Suiteアプリと同一のインフラ上で動作する。 IT管理者はApp MakerのアプリをGmail、Googleドライブ、その他のG Suiteアプリとまったく同様にセキュリティーやアクセス権などを細かく設定できる。

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こうしたアプリが必要とされる代表的なケースは時間管理、受注・在庫管理など、比較的単純な処理でデジタル化されたデータが簡単に得られるような組織内業務だろう。

GoogleによればApp Makerを使う利点は、まず第一にユーザーはインフラに注意を払う必要がまったくないことだという(「サーバーレス・ソリューション」がバズワードだ)。しかも組織ごとに異なる特定のニーズを解決するためにいちいちデベロッパーの手を煩わせる必要がない。ユーザーに知識があり、さらに詳細なカスタイマイズがしたい場合はそれも可能だ。サービスにビルトインされているエディターを見た感じではフル機能のIDEのようだ。

App Makerは当面Googleの G Suiteビジネス向けアーリー・アダプター・プログラムの登録者が対象だ。

App Makerの発表と同時にGoogleは今日、いくつかのアプリを推薦プログラムと認定し、Recommended for G Suiteプログラムに追加した。これらのプログラムはG
Suiteとの適合性が高いというお墨付きを得たことになる。またセキュリティー脆弱性についてもGoogleのテストに通っている。今回発表された新しいパートナーはVirtru、LumApps、DocuSign、Freshdesk、Zoho Invoice、Xero、Asanaの7つだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWS re:Inventでバーチャル・プライベート・サーバー、Lightsail発表―5ドル/月より

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今朝(米国時間11/30)のAWS re:InventカンファレンスでAmazonは新しいバーチャル・プライベート・サーバー〔VPS〕を発表した。料金は1台当た月5ドルからだという。このVPSサービスはLightsailと呼ばれ、ユーザーはクラウド上で簡単にサーバーを立ち上げることができる。しかも低価格で設定や管理の面倒な点は表に現れない。

AWSのCEO、Andy Jassyによれば、サーバーの立ち上げに通常なら必要とされる技術的知識をLightsailのユーザーは一切必要としないという。

またJassyはユーザーはメニューから必要とするオプションを選ぶだけでよいと説明した。 たとえばまずOSとしてUbuntuを選び、 あらかじめ付属する5つのバンドル(CPU、ストレージ、メモリなど)でVPSに必要なスペックを選択する。最後に名前を付けるだけで、すぐに作動させることができる。

クラウド上でバーチャル・マシンをスタートさせるために必要な各種の作業、たとえばストレージやセキュリティーを設定するなどの作業は非常に煩雑かつ技術的知識を必要としがちで、これがVPSの利用にあたって大きなハードルとなっていた。

Trinity Venturesのパートナー、Dan ScholnickはTechCrunchのインタビューに対し「この発表はAWSがマーケットを拡大しようとしていることを示す動きの一つだ。AWSは既存分野を守ることにも容赦ないが、可能性があればどこへでも出て行き、ライバルの弱みを攻撃する。ここ数年はAmazonのエンタープライズ市場への進出が注目された。今回の発表はデベロッパーに低価格で簡単にコンピューティング・パワーを提供するというAWSのデジタル・ビジネスの出発点に戻り、弱点を補強する動きだろう」と述べた。

面倒なしにサーバーを手早く立ち上げたいスタートアップやデベロッパー(個人かもしれない)にとってLightsail VPSは朗報だ。もちろんユーザー全般に向くプロダクトではない。それなりの技術的知識があり、自分が何を必要としているかよく知っているユーザー向けのプロダクトではある。しかしそのようなユーザーにとっては詳細なオプションが簡単に選択でき作業は大きくスピードアップする。スタートアップの立ち上げコストを削減するのにも大きな効果があるはずだ。

〔日本版〕AWSのカンファレンス関連記事に関しては下のバナーから参照できる(英語版)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本のSoracomがSIMカードとサービスを世界にローンチ―IoTサービスの展開が簡単になる

One of Soracom's case studies is Farmnote, "a solution that involves attaching a sensor to heads of cattle and polling data on their activity."

Soracomnのケーススタディーの一つ、FarmnoteはIoTセンサーを家畜の頭部に取り付けて活動データを収集する。

来るべきIoT(Internet of Things)時代の課題の一つは、少なくともアメリカでの困難はモバイルデータの量が少なく、収集コストも高くつきがちな点だ。Twilioは今年に入って、これを改良していくと発表している。一方、日本のスタートアップ、SoracomはIoTの採用を簡単にするすべての産業分野で利用できるソリューションをリリースした。

Soracomの課金体系〔 英語版日本語版〕はやや複雑だが、帯域幅を最小に、アプリケーションの効率を最大にすべく最適化されたいくつかのプランが用意されている。同社のSIMカードは1枚5ドル、プラス1.8ドル/月(正確には0.06ドル/日だ)の利用料金となっている。注文ロットは1枚から1000枚だ。またSoracomhがIoTアプリ向けプランも数多く提供している。

SIMカードはグローバルでの使用を前提としているため、地域によって料金はメガバイトあたり0.08ドルから2.0ドルと幅がある。アメリカ、ヨーロッパ、中国の大部分の地域は最安区分だ。

Soracom's global data SIM cards are perfect for roaming Internet of Things applications.

Soracomのグローバル・データSIMカードはIoTアプリのろーミングに最適。

「アメリカでセキュリティーを確保しながらスケーラブルなIoTサービスを実施したい場合、われわれのクラウド・ファーストというアプローチはエンタープライズ、スタートアップのどちらにも適切な体験を提供できする」と
SoracomのCEO、共同ファウンダーの玉川憲氏は言う。

同社がローンチしたプロダクトにはSoracom Air(スタートアップ、エンタープライズ双方のIoTが対象)、Soracom Beam(コンピューティング処理をクラウドに移すことによってIoTデバイスの電力消費を押さえるサービス)、Soracom
Canal(ネットに接続されたデバイスとAWSプライベート・クラウド・サービスの間を接続しセキュリティの高いコミュニケーションを提供するVPNサービス)などがある。

訂正 – この記事の最初のバージョンではSIMカードの価格をもっと高く書いていた。 上の記事内の金額は訂正済み。

〔日本版〕SoracomについてはTechCrunch Japanでこの7月に詳しく紹介している

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

慌てるな、AIは職を奪わない―しかし今後ますます定着していく

Human and robots to work together in the near future. This combination will accelerate developing technology. Businessman and cyborg organizes social media.

ディストピアSFを通じて昔から広められてきた奇妙な信念に「人工知能やロボットが人類を破滅させる」というものがある。この世間知にはイーロン・マスクやスティーブン・ホーキングのような有名人も参加しているので驚いてしまうが、人工知能が発達すると、最後には有機体生命より賢くなり地球を乗っ取るという恐るべ結果をもたらすらしい。

しかし「AIがわれわれを滅ぼす」などということはSFの世界を離れればまずありそうにない。それどころか職を奪うことさえないだろう。

実際には、われわれが何かをするのを助けてくれるだろう。なるほどAIが仕事を助けてくれるという考えはロボットの大君主が地球を征服するという夢想ほど魅惑的ではない。しかし2016年現在、人工知能を考えるうえではるかに現実的な評価だ。これは工場の組立ラインの作業員にも得意先を回るセールスパーソンにも、オフィスの知識労働者にも等しく当てはまる。

シリコンバレーのソフトウェア・デベロッパーは人々の職を奪うための完璧なアルゴリズムを開発しようとしているという考えは正しくない。実のところ、コンピューターのアルゴリズムと人間の創造的な知能を組み合わせてより良い仕事ができるようにする方法を見つけようとしているだけだ。

AIは人間を補完する

AccentureのCTO、Paul Daughertyの説明によれば、同社は「人工知能は人間の能力を強化するもので代替するものではない」と考えている。その過程で人工知能は巨大な経済成長をもたらすという。同社の努力は恐怖を撒き散らすSF的ストーリーとは無縁だ。

「AI開発におけるわれわれの目的は人類以上のスーパー知能を作ることではなく人類の知能をスーパーにすることだ」とDaughertyは言う。SF風のお話はメディアが取り上げやすいかもしれない。しかしAccentureが目指しているのは「複雑な問題を簡単にする」という地味だが実際的な目標だ。

ロボットの大君主が地球を征服するというのと比べて、AIはわれわれを助けて仕事をスマート化するというのはセクシーな話題には聞こえないかもしれない。しかしはるかに現実的な考え方だ。

Accentureではこの目標に向けて具体的に3つの課題を追求している。一つはビジネス・プロセスを知的、効率的なものにすることだ。 次に、これを実現するために、人間がコンピューターのデータ処理能力を最大限に活かせるような新しいインターフェイスを開発している(おそらくスマート・グラスのような新しいデバイスの利用が含まれるだろう)。最後に、何十年も前からビジネスにおける大きな課題であった構造を持たないデータを利用できるようにする方法を探っている。

ただしこうした努力はいわゆる知識労働者だけに関係するのではないとDaughertyは言う。AIは工場にも直接影響を与える。Accentureでは製造業のクライアントのためにAIと拡張現実ヘッドセットを組み合わせ、熟練労働者に新しい作業を学習させる方法を開発中だ。作業員はヘッドセットを通じて作業の細かい部分について適切な指示を受け取る。これによって新しい作業を学ぶスピードが非常に速くなる。作業員もこの方法を快適だとして好むことがわかった。同時に会社側も作業員に多様な業務を実施させつつ訓練教育のコストを大幅に削減できるとが判明している。

セールス業務が改善される

セールス業務は今年に入ってAIの大規模な適用が始まった分野だ。Salesforceのセールス・ツールを始め、Oracle、SugarCRM、Base等々がその例だ。セールス・チームは個々のセールス要員の業務に影響を与える可能性のある要素をすべて把握することは不可能だ。そこでこの部分を助けるためにコンピューターの出番となる。

優秀なセールスパーソンはコミュニケーションの才能に恵まれており、成約に結びつけるためにどういう駆け引きが必要かもよく知っている。しかし、SugarCRMSugarの最高プロダクト責任者、Rich Greenによれば「.いかに優秀なセールス要員であっても、成約を妨害する可能性のある無数のネガティブな要素については知識を欠いていることが多い」という。

そこでAIが現在のセールスの進行状況と他のセールスの進行状況の関連、契約の成否に関係する可能性がある外部のニュース、客先からメールの調子その他を報告してくれる。コンピューターと優秀なCRM〔顧客管理〕ソフトウェアとはこうした情報を処理してセールス・チームに伝えることができる。現場のセールス担当者は客先の人間とのコミュニケーションに集中できるわけだ。

この点はSalesforceも今年早くから力を注いでおり、APプラットフォームのEinsteinのリリースもその一例だ。来年以降この種のソフトウェアはますますポピュラーになるだろう。

AIは定着し、拡大する

AIについて個人的にどういう印象を持っているにせよ、AIはほとんどあらゆるソフトウェアの進歩の原動力となるだろう。それがソフトウェアの進展の自然な道筋だ。ソフトウェアを賢くする方法があれば誰もが利用する。Daughertyは「この特性がAIの採用をクラウド・コンピューティングの採用より急速なものにする」と考えている。

クラウド・コンピューティングの場合、企業はオンプレミスのコンピューティング資源をクラウド・ベースに置き換えるという大きな決定をする必要がある。その分だけ意思決定に時間がかかる可能性がある。AIの場合、全体としては現状のままで、ソフトウェアの一部を将来に向けて置き換えていくことができる。AIはテクノロジーとしてははるか以前から開発され、実用化の機会を待っていた。今やコンピューターの処理能力の向上とビッグデータの蓄積が企業にAI化のシナリオを選択する絶好のチャンスを与えている。【略】

Featured Image: Devrimb/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

デベロッパーのためのクラウドスキル体験学習プラットホームQwiklabsをGoogleが買収

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Googleが今日(米国時間11/21)、Qwiklabsを買収したことを発表した。そこは、クラウド環境の運用に習熟したい、そしてクラウド上で動くアプリケーションを書きたい、という人たちのための体験学習プラットホームだ。

2012年にローンチしたQwiklabsこれまでもっぱら、Amazon AWS関連のスキルを教えてきた。AWSはいわばこの市場を支配している勢力だから、それも当然だ。Amazon自身も同プラットホーム上のデベロッパーたちに、自分のペースで勉強できるサイトとして、Qwiklabsを推奨している

Googleによると同社は今後Qwiklabsのプラットホームを利用して、“Google Cloud PlatformG Suiteを含む同社のすべてのクラウドプロダクトに関する、もっとも包括的で効率的で楽しい教育訓練を提供して、多くの人びとの定着を促進していきたい”、ということだ。

Qwiklabsはこれからも従来どおりの会員制学習サービスを提供していく、と言っているから、AWS向けのプログラムは継続するようだ。今後もまだAWSコースが増えていくのか、それはよく分からない。またGoogleのスポークスパーソンによると、この件に関して具体的に発表することはない、という。QwiklabのGoogle Cloudコースに関しても、いつから始めるなどの具体的な発表はまだできないそうだ。

Qwiklabsによると、これまで50万人あまりの人たちがそのプラットホームをのべ500万時間以上利用してAWSを勉強してきた。またCrunchBaseによれば、同社はこれまで外部資金を導入しておらず、今回の買収に関してはその価額などの詳細は公表されていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft、Visual Studio for Macを今月中旬にリリース

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クロスプラットフォームのコーディングのファンに朗報だ。Microsoft言うところの「.NETとC#のための真にモバイル・ファーストでありクラウド・ファーストであるデベロプメント・ツール」、Visual StudioがMacにやってくる。これは今月ニューヨークで開催されるConnect (); 2016カンファレンスで発表される予定だ。

この動きはMicrosoftのIDEがMacに移植される最新の例だ。Visual Studio for Macに先立ってMicrosoftのクロスプラットフォーム・エディタ、Visual Studio CodeがすでにOS X向けにリリースされている。

MicrosoftはWindowsでの覇権を捨て去ろうとしているのだろうか? 「クラウド・コンピューティング」がいわば「壁に書かれた文字」だ。この予言に従えば、クラウドこそが未来であり、Amazon AWSやMicrosoft Azureは急速にオンプレミスのサーバーを置き換えていくことになる。MicrosoftはDockerやHerokuのようなツールに負けており、プログラマーがWindows環境よりMacBookやVimを使うようになるのも時間の問題だろう。

Hacker Newsのユーザー、BoysenberryPiは、「MicrosoftはAzureその他のサービスで金を稼いでいる。 つまり、その売上は主としてデベロッパーから得ている。そうなるとデベロッパーのコミュニティーに好かれることが最大の関心となる。これがMicrosoftが長年のドル箱ツールを突然Mac/Linux向けにオープンソースし始めた理由だ」と書いている。

Visual Studio for MacはWindowsに極めて近い。またそこがセールスポイントだ。OS X上で作業するユーザーがWindowsとの間で簡単にプラットフォームを行き来できるようにする―プログラマーに対してプラットフォームを意識させないか、あるいはそうでなくてもWindowsをまた使ってみようという気にさせるのがポイントだろう。プレス・リリースによれば、

本質的にVisual Studio for MacはWindows版Visual StudioのmacOS版です。Visual Studioでの開発を楽しんだ経験があるがmacOSを使いたいというデベロッパーにまさにぴたりです。UXはVisual Studioをベースにしていますが、ルック&フィールはmacOSのネーティブアプリとなるようデザインされています。またVisual Studio for Windows同様、フル機能のIDEを必要としない場合は、機能豊富ながらもっと軽いスタンドアローンのコード・エディタ、Visual Studio Codeが用意されています。

Microsoftの開発プラットフォームについてはこちら。こちらにVisual Studio CodeとC#プログラミングについての情報がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、JavaScriptの新パッケージマネージャ、Yarnをリリース―Google他が協力

OAKLAND, CA - NOVEMBER 30:  A FedEx worker sorts packages being uloaded from a truck on a conveyor belt at the FedEx Oakland Airport sort facility November 30, 2005 in Oakland, California. FedEx and UPS are beginning to feel large volumes of packages as the holiday shipping season gets underway with a high level of online shopping.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

今日(米国時間10/11)、FacebookはJavaScriptの新しいパッケージマネージャーYarnをローンチした。読者が日頃JavaScriptとNode.jsを使っているなら、 既存のコードを探して再利用する(あるいは自分で開発したライブラリを公開する)ためにnpmパッケージマネージャを利用している可能性が高い。

しかしnpmはFacebookのような巨大な規模の企業の業務を処理するには能力が足りなかった。そこでFacebookは社内のデベロッパーの意見に従って独自のパッケージマネージャを部内用に開発した。その後開発チームはGoogle、Exponent、Tildeなどの外部のエンジニアの協力も得るようになった。

こうして開発されたのがYarnだが、特に重要なポイントは以下の点だ。つまりYarnはFacebookのような巨大企業以外のデベロッパーにも画期的な効率アップを約束するものの、あくまでnpmレジストリを利用しているユーザーが対象であり、npmクライアントをドロップインで代替するプロダクトだという点だ。

Facebookのソフトウェア・エンジニアのSebastian McKenzie、エンジニアリング担当マネージャーのTom Occhinoが私に語ったところによれば、Facebookは社内でnpmを中心として多くのインフラを構築してきたという。McKenzieによれば、「しかし時間が経つうちに、npmに新しい機能やツールを次々に付け加えていくやり方ではうまくいかなくなってきた。そこでnpmの能力の限界をハッキングして拡張しようとする代わりに、Facebookは新しいパッケージマネージャをゼロから作ろうと決めた」という。

数百万人のデベロッパーのところでnpmが役に立っているのに、なぜFacebookでは問題が起きたのだろうか?  Facebookの開発チームの話によれば、同社のワークフローに適合しない根本的な問題がいくつかあったのだという。ひとつはパフォーマンスが低すぎたことで、Yarnはローカルに保存されたファイルを得るのが効率化されている。つまりネットワークへのアクセス回数を従来よりずっと減らし、負荷をかけずにすむようになった。Yarnはまたいくつかの作業を平行化することができ、新しいモジュールのインストールが高速になった。

Facebookのワークフローでは常時新しいモジュールが統合されている。npmはこのプロセスのネックとなり、スピードをダウンさせていた。当初、Facebookのエンジニアはマニュアルでnpm installコマンドを入力していたが、これはサンドボックスやセキュリティーや信頼性への配慮からネットワークから孤立した環境でのモジュール統合では作動しなかった。レポジトリにあるすべてのモジュールをチェックする仕組みも、どんなわずかな変更でも巨大なコミットを引き起こすことになったので非効率だった。たとえばReact Nativeモジュールには68の依存関係があり、依存先もまた独自に依存関係があり、合計すると12万1358個のファイルになる。これらをすべて引き出してくるのは効率的とはいえない。

Facebookが直面したもうひとつの問題は、npmは本質的にノン・デターミニスティック(非決定性)のデザインだという点だった。FacebookのエンジニアはDevOpsのワークフローで一貫性と信頼性のあるシステムを必要としている。npmの場合、すでにインストールされたモジュールとの依存関係によって、あらゆるプロジェクトに存在するにもかかわらず、node_modulesのディレクトリはマシンごとに全く違った見え方となる。Yarnではロックファイルとデターミニスティックなインストール・アルゴリズムを用いることにより、すべてのマシンを通じて統一的なファイルを構造を得ることができるという。

またnpmはデフォールトでデベロッパーがインストールの過程で必要になれば他の場所にあるコードを参照して実行できるようパッケージを書くことができる。これはセキュリティー上の問題を引き起こす原因になるため、Yarnではこの機能は削除された。

McKenzieが私に話したところによると、開発チームは当初npmのこうした問題の「修正」を試みたという。だが努力を重ねるうちに、既存のnpmクライアントの機能にFacebookのワークフローで作動しないものが多数あるのはバグではなく、そういう仕様であることが分かってきた。Occhinoは「それにFacebookが必要とする機能の多くはnpmのコミュニティーに受け入れられない可能性があった」と付け加えた。

npmプロジェクトを支える商業組織であるNpmはもちろんFacebookが新しいパッケージマネージャを開発中であることを知っていた。しかしNpmのビジネスモデルはクライアントよりレジストリを中心としており、一般に想像されるよりも相互の競合ははるかに少なかったという。

YarnはすでにGitHubから利用可能だ。Facebook以外の多くの企業が協力したことをふまえ、開発チームはFacebook独自のレポジトリを利用することを避けた。ただしYarnの今後の管理体制がどのようなものになるのかについてはまだ不明な点が多い。「これまで開発に協力してくれた企業が引き続き将来の管理についても助けてくれるというのがわれわれの希望だ」とOcchinoは述べた。

画像: Justin Sullivan/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+