京大発の“大気計測技術”でドローンの安全運航を支援、メトロウェザーが2.2億円を調達

日本郵便が11月7日から福島の一部地域で始めた“ドローンによる郵便局間輸送”が、国内初の目視外飛行ということもあり話題を呼んだ。

近年、物流を始めインフラ点検や測量、農業など人手不足が深刻化する業界においてドローンが注目を集めている。日本郵便のケースでは約9km離れた郵便局間を2kg以内の荷物を積んだドローンが行き来するというものだけれど、従来は人が担っていた役割をドローンと分担する事例が徐々に増えていきそうだ。

このように今後様々な領域でドローンが活躍していくことを見据えた際、大前提となるのが「ドローンが安全に運航できる」こと。特にドローンが飛行する地上付近は風の影響を強く受けるため、その状況を高精度に観測する技術が欠かせない。

今回紹介するメトロウェザーは、まさに京都大学の研究をベースとした大気計測装置によってドローンの安全運航を支えようとしているスタートアップだ。

同社は11月19日、Drone Fund、リアルテックファンド、個人投資家を割当先とする第三者割当増資とNEDOからの助成金により、総額で2.2億円を調達したことを明らかにした。

通り1本ごとの風の乱れも測定する技術

メトロウェザーは2015年の設立。京都大学で気象レーダーを用いた乱気流の検出・予測技術の研究開発などを行なっていた代表取締役CEOの東邦昭氏と、京都大学生存圏研究所助教の古本淳一氏が2人で立ち上げた。

現在同社ではリモート・センシング技術と信号処理技術を基に、上空や海上における風の情報を高精度に測定する独自のドップラー・ライダーを開発している。

ドップラー・ライダーとは光を使って大気を測るシステムだ。具体的にはレーザー光を大気中に発射。その光がPM2.5などの微粒子に当たりドップラー・シフトして返ってくる(反射してくる)ものを受信し、風の情報に焼き直す。微粒子は風に乗って動いているため、ドップラー・シフトを見ることで風の動きもわかる仕組みだ。

東氏によると気象学においては高層大気の研究が比較的進んでいる一方で、ドローンが飛ぶような低層大気においては未解明な部分が多かったのだという。これは「低いところの方が建物や橋など障害物の影響を受けやすく難易度が高いから」で、難しいからこそ低層大気の状況を測定できる技術にはニーズがある。

たとえばゲリラ豪雨の予測など都市の防災や洋上風力発電事業を検討する際の風況観測、航空機の安全運航などいろいろな用途で使えるそう。ドローンもその一例だ。ドップラー・ライダーはビルの影や橋のたもとなど至る所で発生している風の乱れを測れるため、ドローンの安全運航をサポートするシステムにもなりうる。

ここで付け加えておくと、何もドップラー・ライダー自体は新しい技術というわけではない。すでに製品化されているものだ。ただし古本氏が「価格が高く、1台で約1億円するものもある」と話すようにコスト面がネックになっていたことに加え、サイズもより小型化できる余地があった。

「自分たちはライダーをばら撒きたいと考えている。そのためには価格を数百万円までに抑え、ビルの屋上に置けるようなコンパクトなものを作らなければならない」(東氏)

特にドローンとの関係においては、この“ばら撒く”というのが大きなポイントになるそう。たとえば都市部の複数のビルに、複数のライダーを設置することで「通り1本ごとの風の乱れまで細かく把握できるようになる」(古本氏)からだ。

出発点は野球場1個分の大型レーダーから

この点については今回Drone Fund代表パートナーの大前創希氏にも話を聞けたのだけれど、やはり低空領域の気象状況を高い解像度で、かつ即時に測定できることが重要なのだという。

「都市部で高層ビルの間をドローンが飛べるようにするには、そもそも高層ビルの間の気象状況を細かく把握できないとどうにもならない。そのためにはライダーを1台置けばいいというものではなく、複数台設置していくことが必要だ。1億円のライダーをポンポン設置するのはハードルが高いが、数百万円なら可能。だからこそ価格を下げられる技術を持ったチームであることが重要になる」(大前氏)

メトロウェザーの強みはかねてから研究を重ねてきた信号処理技術にある。もともとレーダーを用いてノイズだらけの状態から有益なデータを取得する研究をしてきたため“ノイズを取り除く技術”が高い。結果として弱いレーザーからもしっかりとしたデータがとれるので、低価格や小型化も実現できうるのだという。

ここに至るまでの歴史を紐解くと、メトロウェザーのチームはものすごく大きなレーダーの施設からデータを収集しつつ、どんどんサイズを小さくしていった経緯があるそう。東氏曰く「出発点は野球場1個分の大型レーダー」から。古本氏がコアとなっている技術の研究を始めたのは約20年前、東氏がポスドクとして古本氏の研究室に加わってからでも約10年が経つ。

今はレーダーからライダーに変わってはいるものの、長年の研究で培った技術やノウハウは変わらず活かされている。

ゆくゆくはライダーを作る会社から、データを扱う会社へ

左からDrone Fund最高公共政策責任者の高橋伸太郎氏、 Drone Fund代表パートナーの千葉功太郎氏、メトロウェザー 代表取締役CEOの東邦昭氏、 同社取締役の古本淳一氏、リアルテックファンドの木下太郎氏

同社のプロダクトは日常生活において多くの人が直接触れるようなものではないけれど、ドローンが安全に飛ぶためのインフラとして重要な役割を担う。Drone Fundで最高公共政策責任者を務める高橋伸太郎氏も「今後ドローンが社会的な課題解決ツールとしていろいろな場面で活用されていく中で、気象状況を把握できる技術は絶対になくてはならない存在」だと話す。

「レベル3、4の物流や広域災害調査を実現する上では『いかに気象状況を把握して安全なフライトプランを立てられるか』が重要だ(レベル3は無人地帯での、レベル4は有人地帯での目視外飛行)。そういった所でメトロウェザーの情報が必要になる。さらに先の未来の話をすると、空飛ぶクルマが人を運ぶようなエアモビリティ社会においても、低高度における天気の情報は不可欠だ」(高橋氏)

メトロウェザーでは、今年から来年にかけてまず洋上風力発電領域での利用を見据えたハイスペックなドップラー・ライダーを提供していく計画。並行して、調達した資金を基に小型の試作機作りにも取り組む。

将来的に製品化が進んだ先には「ドローンの飛ぶところを一網打尽にしたい。データを網羅的に確保してドローンが安全に飛べて、堕ちない社会の実現を目指していく」(古本氏)方針だ。

「(ライダーをばら巻くことができたら)メトロウェザーはライダーを作る会社から、だんだんとデータを扱う会社に変わっていき、データビジネスを展開するようになると考えている。たとえばドローンを運航する人に対してリアルタイムに風の情報を提供したり、ドローンの管制をする人にも同じような場を提供したり。今までは測定が難しかった低層領域の風のデータを扱うことで、ドローン前提社会に貢献していきたい」(東氏)

自律飛行するカメラ付きドローンHover 2がKickstarterで快調

最初のHoverから二年後に、Zero Zero Roboticsがその続編を持って帰ってきた。2016年にはシリーズAで2500万ドルを調達したが、今回はKickstarterのクラウドファンディングで、その自律飛行ドローンの最新バージョンは10万ドルを目指している〔日本時間11/15 17時現在ですでに37万ドル近く集まっている〕。

そのHover 2の発売は2019年4月発売を目指しており、障害物回避や視覚追跡機能、および内部機構の一部がアップデートされている。プロセッサーは、新しいSnapdragonが載っている。

二軸ジンバルにより画像の安定を図り、スムーズな撮影を目指している。カメラは4Kビデオと12mpの写真を撮れる。いろんな撮影モデルをオンボードで用意し、映画にヒントを得たフィルターや音楽もある。電池は一回の充電で23分の撮影が可能だ。

もちろん、Hoverの第一の競合機種DJIのMavic系列は、2016年のProのローンチ以来、さまざまなカテゴリーで大きくリードしている。つまり、競走は相当厳しい。Parrotですら、ビデオ撮影に特化したAmafi系列を本気で売ろうとしている。

初期の出資者の手に399ドルで渡るHover 2は、ハンドヘルドのDJI Sparkとほぼ同じ価格だ。価格には、小さなハンドヘルド(手持ち)のリモコンが含まれている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ソフトバンク、ドローンを活用して社会インフラの保全を効率化するサービスを2019年春から提供

eng-logo-2015ソフトバンクは、産業や生活の基盤として整備された施設(以下、社会インフラ)の老朽化対策として、ドローンによる社会インフラの保全を行う新たなサービスを開発し、2019年春から提供を開始すると発表しました。

橋梁や発電所、送電鉄塔、大型プラントなどの多くは、高度経済成長期に整備された社会インフラで、竣工から50年以上が経過し、老朽化が課題となっています。メンテナンスをする人が不足していることや、人が立ち入れない場所も多く存在しているといった課題もあります。

これらの課題解決に向けて、ソフトバンクは、北米を中心にドローンによる携帯電話基地局点検ソリューションの開発や運営事業を行う5×5 Technologies Inc.(ファイブバイファイブテクノロジーズ、以下、5×5)に対して、2018年8月に約400万ドルを出資し、5×5が持つ技術の日本国内での独占使用権と販売権を取得しました。

具体的には、人が用意に立ち入れない場所をドローンで空撮し、撮影した画像から誤差がわずか数ミリメートルの高精度の3次元(3D)モデルを生成。

その3Dモデルから対象物を計測し、歪みや傾きなどの確認ができる他、対象物の状態を視覚的に確認できるとしています。

上の画像は、写真撮影した画像に高精度な位置情報を画面に付与する様子

上の画像は、ドローンで撮影データから高精度3Dモデルを生成し、計測した画像からゆがみや傾きを確認する様子

今後、ソフトバンクは、3Dモデルとセンシングデータの解析AI(人工知能)を組み合わせることで、事前に異常を検知したり、を自動で検知し、建造物などの点検業務をさらに効率化するサービスの開発や、高精度な3Dモデルを活用したシミュレーションによる、災害発生時の被害予測や予防保全の実現などを目指すとしています。

Engadget 日本版からの転載。

警察のドローンが空から落ちてくる…DJIはファームウェアのアップデートを推奨

イギリスの民間航空局(Civil Aviation Authority, CAA)が、警察やそのほかの緊急事態対応省庁に対し、特定の機種のドローンの運用をやめるよう警告した。一部のデバイスが予期せざる動力喪失により、航行中に墜落しているからだ。

CAAの安全性警告は、イギリスでこれまで一部の緊急時サービスに使われていたDJIのMatrice 200シリーズのドローンに適用される。事故が最初に報告されたのはウェストミッドランズの警察局からだが、ほかにもノーフォーク、デボン、およびコーンウォールの警察がDJIのドローンを使っている。BBCによると、デボンとコーンウォールはそれぞれ20機のうち2機が地上に落下した。

CAAによると、“計器では電池寿命がまだ十分残っているにもかかわらず、航行時に動力を完全に失った機体が最近報告されている”、という。負傷者は報告されていないが、“突然の揚力喪失により、遠隔操縦のパイロットはその後の飛行経路の制御が不可能になった”。

今のところアメリカでは類似の報告はないが、バード大学の調査によると、アメリカの61の公共安全機関(警察、消防、救急など)が、同じくDJIの、Mavicドローンを使用している。使われているドローンのほとんどがDJIの機種だが、Matrice isはもっとも多い機種ではない。

メーカーは報告に応えて、Matriceのオペレーターは、問題を修復したファームウェアアップデートをプッシュするよう、促(うなが)している。同社のプロダクトウォーニングは、“DJIのPilotアプリでプロンプトが出たら、そこで顧客に、そのアプリ上またはDJI Assistant 2でインターネットにアクセスし、使用機のファームウェアとすべての電池をアップデートして、安全な飛行を確保するよう、勧めている”、と書いている。

DJIは昨年同じような問題に遭遇し、消費者品質のドローンDJI Sparkが突然動力を失い、空から落下した。

画像クレジット: DJI

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Starshipのロボットが商品のオンデマンド配送を始めた――年内にサンフランシスコにも展開

Skypeの共同ファウンダー、Ahti HeinlaとJanus Friisが2014年に設立したStarship Technologiesがイギリスのミルトン・キーンズで自動運転ロボットによる商品配送を開始した。住民は商品の到着に合わせて自分の予定を変えたり、ドアの前に荷物を置かれて盗難を心配したりする必要がなくなった。

このロボットによるオンデマンド配送を利用するためには、まず商品の配送を受けたい場所として自宅の代わりに最寄りのStarshipの拠点を入力する。商品がStarshipの拠点に到着すると専用アプリから通知が届く。ユーザーは自分の都合のいいタイミングでStarshipのロボットに配送を指示する。アプリにはパッケージがどこを移動中かモニターする機能がある。ロボットが到着するとアプリを使ってカバーを開いてパッケージを取り出すことができる。

現在ロボットによる配送が可能なのは拠点から半径3.6キロの距離だが、Starshipではこの範囲を拡大していく計画だ。Starshipによるとロボットのバッテリーには問題がなく、配送に要する時間を最小限にする努力をしているという。

Starshipは年内にサンフランシスコ周辺でサービスを開始する考えだ。アメリカでの配送料金は未定だが、イギリスでは最初の月は無料、以後毎月7.99ポンド(1153円))となっている。配送個数に制限はない。Starshipはこう述べている。

自分の生活が注文した商品の到着時間に振り回されるというのは過去のものになる。勤務先から早退したり、人と会う時間を変えたり、郵便局その他の受け取り場所に出向いたり、行方不明の荷物について配送業者に問い合わせたりする必要はなくなる。 消費者に代わってStarshipがパッケージを受け取り、オンデマンドで配送する。こうしたサービスを提供できるのは世界でStarshipだけだ。われわれは消費者のライフスタイルを快適にする。

数ヶ月前、StarshipはMatrix PartnersとMorpheus Venturesから2500万ドルの資金調達に成功している。このときの投資家にはAirbnbの共同ファウンダー、Nathan Blecharczyk,、Skypeのファウンダー、Jaan
Tallinnらが含まれていた。Starshipの資金調達額は合計4220万ドルとなっている。

Starshipは食品配送サービスのDoorDash、Postmatesと提携してロボット配送の実験を行ってきた。昨年1月には前述の企業と提携して、カリフォルニア州のレッドウッドシティーとワシントンD.Cでパイロット・プログラムをスタートさせている。現在までにStarshipのロボットは20カ国の100都市で延べ20万キロを走破しているちう。

〔日本版〕以下のビデオは2015年に公開されたものでSkypeの共同ファウンダーでStarshipの共同ファウンダー、CTOのAhti Heinlaがシステムを詳しく紹介している。


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滑川海彦@Facebook Google+

日本郵政、ドローンで郵便局間輸送を開始 国内初の目視外飛行

eng-logo-2015日本郵政は、ドローンを使った郵便局間輸送を11月7日に開始します。

福島県の小高郵便局(南相馬市)と、浪江郵便局(双葉郡浪江町)の間、約9kmを、補助者を介さずにドローンが目視外飛行するとのこと。積載物は2kg以内で、地面から60m以下の高さを約54km/h以下の速度で飛行します。

日本郵便は、補助者なしの目視外飛行の承認を国内で初めて得てのサービス開始と説明。南相馬市およびび浪江町も「福島ロボットテストフィールド」や「福島浜通りロボッ ト実証区域」を整備し、ドローン輸送における自由度の高い飛行の受入れを進めています。

飛行予定日は11月7日以降の毎月第2・第3週 火曜日から木曜日。飛行予定時間は9時から16時の間で、1日に最大2往復します。

人手不足が深刻化する昨今、ドローンなどの新技術を使った効率的な輸送システムの実用化が急務となっています。

Engadget 日本版からの転載。

スズメバチやクモをモデルにした強力ドローン開発――自重の40倍の対象を動かせる

ドローンに面倒な仕事をやらせようと思うなら重い荷物を動かせる能力が必要だ。 残念ながら物理の法則はいかんともしがたく、ドローンが地上を離れるためには非常に大きな力を必要とする。スズメバチやクモからヒントを得て、Stanford大学とスイス連邦工科大学(EPFL)の研究者は協力して自重の40倍の重量を動かせるドローンを開発した。

スズメバチやクモは自分よりはるかに大きな獲物を捕らえるが、持ち上げることができないときには強い顎、グリップの効いた脚、強力な糸などのおかげで獲物を引きずっていくことができる。人間がタンスを持ち上げることができなくとても、床の上を押していくことができるのと同じだ。

新しいドローンはFlyCroTugsと名付けられている。フライクロタグズというのは「飛ぶ・マイクロ・引きずる」を意味するのだろう。空を飛んでいるときは通常のドローンと変わりない。あちこち飛び回り、どこにでも着陸できる。しかしこのドローンは対象を移動させるために重要なメカニズムを3つ備えている。対象を掴むアンカー、アンカーに接続したワイヤを巻き取るウィンチ、自らをしっかり固定できる脚だ。

Science Roboticsに発表された論文で、執筆者のStanfordの大学院生、Matthew Estradaは.「自由に空を飛べる能力と着陸して適当な表面に固着できるメカニズムを組み合わせた結果、われわれが開発したドローンはどこにでも移動でき、非常に小型であるにもかかわらず非常に強力なものとなった」と述べている。

この100グラムのミニドローンは単独ないし数機が協力して作動する。ドローンはまず空を飛んでドアハンドルなど動かしたい物体にアンカーを取り付ける。次に細いワイヤを繰り出しながら少し離れた場所に着陸する。ドローンは独特の脚メカニズムで自らを固定し、ウィンチを作動させてワイヤを巻き取り、対象を引き寄せる。これにより持ち上げることができないような重い対象を動かすことができる。

着陸した表面が固着可能な状態であれば、このドローンは自重の40倍の重量を引くことができるという。つまり100グラムのドローンが4キログラムのものを動かせるわけだ。もちろんごくゆっくりとだが、スピードが要求されない用途は多い。たとえばオーナーが留守の間に、こういうドローンが家の周辺を飛び回ってゴミを掃除したり郵便受けから郵便物を回収してきたりするところを考えてみよう。これには何時間かかってもよい。

下のビデオには2機のドローンが協力してドアのレバーを引き、ドアをゆっくり開ける様子が映っている

共同研究者の一人、EPFLのDario Floreanoはニュースリリースで、「ドローンといえば空撮用のガジェットだと考えられがちだが、昆虫は空を飛ぶだけではなく、歩いたり、よじ登ったり、なにかを掴んだりできる。ハチやアリなど社会性のある昆虫は共同して複雑なタスクを実行する。われわれの研究で小型のドローンを周囲の対象物に固着させ、また複数のドローンに協調動作をさせることが可能だと分かった。これは人型ロボットなどずっと大型のデバイスでなければできないと思われていた複雑な作業を可能にする」と述べている。

人型ロボットが複雑な動作をこなせるようになるにはまだ時間がかかりそうだし、こうした重い大型ロボットは移動範囲やスピードが制限されるという問題がある。ビデオによれば、このドローンは災害現場での捜索、救難などの用途を考えている。ともあれ小型ロボットの群れに協調動作させるというのは優れたアイディアだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Apple StoreでSkydioの自律飛行ドローンを買えるしApple Watchからコントロールもできる

これからはほんの数タップで、Skydioの1999ドルの自律飛行ドローンをApple Watchからコントロールできる。まるで自分がSFの主人公になったように、高価な自律飛行ドローンを、小さな腕時計型のコンピューターで操縦できる。

このとってもクールな自動飛行ドローンR1は、アメリカのApple Storesでも買えるようになる。これからは、Webサイトに注文しなくてもお店でドローンを買えるようになるのだ。これまでAppleで買えたドローンは、ドローン最大手のDJIのものがほとんどだったが、その中でSkydioは、エリートのような位置づけになる。

ところで、現実に話を戻すと、しかしそもそも、一体何のためにApple Watchからドローンをコントロールしなければならないのだ? 確かに、適切な質問だ。Apple Watchはサードパーティアプリが山のようにあったが、最近ではデベロッパーもAppleも、このデバイスは、何かを積極的にするよりもむしろ、受動的な用途に向いてることに気づき始めた。

SkydioはR1を、GoProのユーザーのような人たちが使う、と位置づけている。とってもユニークな映像を、ドローンが自動操縦で撮ってくれるのだ。でもスマートフォンの上でSkydioのアプリを使うと、今やってるアクションをちょっとやめて、何よりもまずスマホの画面を確認する、という作業が入る。でもApple Watchならもっと撮りやすい、と言える用途がいくつかあるだろう。たとえば、自転車に乗ってる自分をドローンで撮りたい、というときは、スマホの画面という面倒なもののない、ウォッチからのコントロールがずっと楽だ。狭いところで、ローキーな映像を撮りたいときも、ウォッチならコントロールしやすい。

このWatchアプリは単純明快なUIで、ドローンのコントロール項目がたくさんある。スキルのリストがあり、Lead, Follow, Orbitなどのタッピングのモードもある。もっとおもしろいのは、写っている人を指定して、その人を追えることだ。Watchからのコントロールは意外なほど良好で、このデバイスに本来ある強力な機能か、と錯覚してしまう。

Skydioのユーザーにとっては、Watchでコントロールのオプションが増えたことになる。操縦のメカニズムとして理想的、とは言えないけど、とにかくもっと楽にR1を操縦したいと思ったら、このオプションを使いたいだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ローターが一つ壊れても安定飛行を続ける四翼ドローンをデルフト工科大学が開発

よくある、人間がロボットをいじめているシーンのようなビデオで、(オランダ国立)デルフト工科大学の研究者たちが、4つのローターの一つが壊れても飛び続ける四翼ドローンを紹介している。

上の、少々退屈なビデオでは、そのドローンが自らの構造的損傷と風の両方と戦って、確実に勝つ様子を見られる。そんな酷悪な条件下で空中に滞留できるドローンは確かに見ものであり、ロボットの堅牢化という課題における心躍るような実験だ。つまり、通常のクヮドコプターなら壊れてしまうような悪条件でも、このドローンはダメージを回避できた。

IEEEに載った記事によると、このドローンには複数のサブシステムがあって、それらにより位置と高度を制御できた。システムはジャイロと加速度計を内蔵し、それらを読むことによって空中姿勢を制御し、大量の計算処理能力により、傾斜姿勢のまま大空の彼方へ飛び去ってしまうことを防ぐ。と同時にモーターのパワーも管理して、ローターの“飽和”を防ぐ。

研究者たち、Sihao Sun, Leon Sijbers, Xuerui Wang, そしてCoen de Visserは、先週スペインで行われたIROS 2018で彼らのペーパーをプレゼンした。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ドローン開発のALI、同業のドローンデパートメントを完全子会社化:2016年創業同士のマージ

ドローンの研究開発・販売などを展開するAerial Lab Industries(以下、ALI)は10月5日、ドローン関連領域で複数サービスを展開するドローンデパートメントの発行済株式の100%を取得し、完全子会社化したと発表した。取得価格は非公開。

ALIは、ドローン関連商品の販売や技術コンサルティング業務をはじめ、ブロックチェーン技術を活用したプロダクト開発などを手がけるスタートアップ。具体的には、東京電力ホールディングスからのドローンハイウェイ構想に向けた技術調査受託、みんなの電力とのブロックチェーン技術を活用したP2P電力取引システムの開発などに取り組んでいる。

一方、同社が買収したドローンデパートメントは、ドローンによる空撮動画の制作、ドローン専門メディアの運営、ドローン専門の人材派遣サービスの展開など、この領域で幅広いサービスを展開している。

ALIはドローンデパートメントの買収により、ドローンデパートメントが持つ200社以上の操縦士ネットワーク、ドローンスクール運営のノウハウなどを獲得する。それにより、ALIが提供するインフラ点検サービスなどで現場でのオペレーションまで踏み込んだ一気通貫のソリューション提供に活かすという。

ALIとドローンデパートは、両社ともに2016年の創業。同時期に創業したスタートアップ同士がマージするという例が増えてきた。

ドローンにオプティカルフローを教育して小さな穴を高速で通過させるテクニック

メリーランド大学の研究者たちが、鳥や虫が飛ぶときのテクニックをドローンに教えて、小さな穴を高速でくぐれるようにした。ドローンはわずかに数回、環境を調べて開口部を定義し、大きなドローンが不定形な穴を訓練なしで通り抜ける。

そのGapFlytと呼ばれるプロジェクトは、Nitin J. Sanket, Chahat Deep Singh, Kanishka Ganguly, Cornelia Fermüller, Yiannis Aloimonosの計5人が立ち上げ、簡単な昆虫のような目を使ってドローンを教育した。

彼らが使ったテクニックはオプティカルフローと呼ばれ、きわめて単純な単眼のカメラを使って3Dモデルを作る。各時点の像の中の特徴をマークすることにより、ドローンは各像(写真)の変化に基づいて穴の形と深さを知る。ドローンに近いものは遠いものより大きく動くから、ドローンは前景と遠景を見分けることができる。

ビデオを見てお分かりのように、研究者たちは自分たちのシステムをテストするためにかなり雑然とした環境をわざと作った。Bebop 2ドローンがNVIDIA Jetson TX2 GPUを搭載して、穴のまわりを蜂のように飛び回り、そして秒速2メートルという、まあまあのスピードで通り抜ける。遠くに似たような壁を作ってドローンを混乱させようとしても、彼らのテクニックはその新しい面倒な状況に影響されなかった。

メリーランド大学のPerception and Robotics Group(知覚とロボティクスグループ)の報告によると、ドローンはさまざまな開口部を85%の精度で通過できた。タトゥイーンのベガーズ・キャニオンを避けて飛ぶときのルーク・スカイウォーカーほど速くはないが、でも感動的なスタートだ。

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倉庫と工場を検査し警備するドローンをVtrusが発表

倉庫や施設で何が起こっているかを知ることは、もちろん多くの業界にとって重要なことだが、定期的な点検を行うには時間と費用と人員が必要だ。ならばドローンを使わない理由があるだろうか?Vtrusは、コンピュータビジョンを使用して、コンパクトなドローンを室内で安全に飛行させることができるだけでなく、検査係や作業者が参考にすることができる室内の様子の詳細な3Dマップを、自律的かつリアルタイムに作成する。

Vtrusは、TechCrunch Disrupt SFで、Startup Battlefield Wildcardカンパニーとして、そのハードウェアプラットフォーム(現在はプロトタイプ)と、独自のSLAM(simultaneous location and mapping:位置決めとマッピングを同時に行う)ソフトウェアを発表した。

セキュリティや外部撮影などを行うドローンベースのサービスは既にいくつか存在しているが、VtrusのCTOであるJonathan Lenoffによれば、それらはエラーに対して大きなマージンを持って動作しているために、なんとか実用になっているのだと話した。開いているドアや、フェンスの向こうの侵入者を探しているときに、こちらが高さ7.6メートルから見ているのか、あるいは7.9メートルなのかは問題にならない。しかし、倉庫や生産ラインの中では、1インチ(約2.54センチ)単位の違いが重要であり、イメージングはさらに細かい単位で行われる必要がある。

その結果、照明の配線をチェックしたり、高い位置の歩行通路の下部にある錆を調べるといった、危険で面倒な仕事は人間によって行われる必要があるのだ。Vtrusは、こうした人たちの仕事を奪うのではなく、危険から遠ざける手助けをすることになるだろう。

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  6. Large-Scale-Reconstruction

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現段階ではABI Zeroと呼ばれているこのドローンは、通常のRGBカメラから360度カメラ、そしてstructured-light方式の奥行きセンサーに至る様々なセンサーを備えている(structured-light方式というのは別の方向から当てたプロジェクタによるマークをカメラで撮影することでキャリブレーションを行う方式)。離陸するとすぐに、ドローンはその環境の詳細なマッピングを開始する。毎秒30回、1回あたり30万箇所の深度を計測し、他のカメラからの情報と統合して周囲の詳細なマップを構築する。

もちろん、この情報を利用してドローンは飛行するが、データはwi-fiを介してリアルタイムに、ベースステーションとVtrus自身のクラウドサービスへとストリーミングされるので、オペレーターと検査係はそこに対して情報アクセスを行うことができる。

彼らが利用しているSLAM技術は社内で開発されたものだ、CEOのRenato Morenoはその原理のいくつかを用いた会社を設立し、FacebookとOculusに対して売却したりもしている。だがイメージングならびにプロセッシングパワーの改善により、従来よりも遥かに速く詳細に処理を行うことが可能になってきた。もちろん、人間と貴重な在庫でいっぱいの屋内空間を飛んでいるドローンでも事情は同じだ。

フル充電の状態で、ABIは約10分間飛行することができる。そう聞くと、あまり凄そうには聞こえないが、大切なことは高い位置に長時間留まることではない。そこを最初から狙うドローンは多くない。そうではなく如何に素早く空中に復帰できるかというところから始めるのだ。そこに登場するのが特別なドッキングと充電の仕組みだ。

Vtrusのドローンは小さな箱から離発着を行う。空中に離れていた機械が着陸すると、特許取得済みの高速充電プロセスが開始される。それはワイヤレスではなく接触式充電で、自動的に開始される。ドローンは約30分ほどすれば、再び空中に戻ることができる。すなわち1日のうち合計で6時間ほど滞空することができるということだ。

おそらくアパートの部屋よりも大きな建物やスペースの類を、検査もしくは保守しなければならない人なら、その空間に対する(保管棚から機械に至る様々なものへの)頻繁で高精度の情報取得に、価値を見出すことができるだろう。必要に応じてX平方フィート毎に1台のABIを投入する。それらはお互いのデータにアクセスし、それと同時に統合することができる。

ドローンが検査してカバーすることのできる頻度と詳細度は、保守作業が受け身なものではく、積極的なものになる可能性があることを意味する。実際に問題が起きた数日後ではなく、ドローンによる毎時間の検査によってパイプの錆(サビ)や機械の異変を検出することができる。また施設内に専門家がいない場合には、フル3Dマップと、ドローンに対する完全な操縦権を空調担当者(HVAC)もしくは組合代表に引き渡すことも可能だ。

VtrusのWebサイトでは、ABIの多くの実例を見ることができる。ここでは紹介し切れない数の例が置かれている。

Lenoff、Moreno、そして業界の専門知識を携えてきた第3の共同設立者Carlos Sanchezは、彼らの真の秘密ソースはソフトウェアだと説明する。ドローンそのものは、現時点ではそのまま使うものとして用意されているが、要求に応じてカスタマイズを行うことができる(もちろんベースはオリジナルの製品である)。

しかし、このソフトウェアは、リアルタイムでの高解像度3Dマッピングを行うだけでなく、それをストリーミングして記録するための手段なども、すべて特別に用意されたものだ。彼らはこれらのシステムを構築するための専門家も雇用している。6人のチームは既に大企業の風格だ。

現段階では全面的に自己資金で運営されており、チームは投資を求めている。しかしだからといって彼らの手が止まっているわけではない。彼らは既に大手企業と協業しており、「パイロットレス」プログラム(お分かりだろうか?)を運用している。チームは様々な施設を訪問し、システムの仕組みを示し、フィードバックと要望を収集している。彼らがすぐにでも大きな顧客を見つけることは確実だろう。

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(翻訳:sako)

Lockheed Martinがドローンレースのチームと組んでAI自律ドローンの勝利に懸賞

Lockheed MartinDrone Racing League(DRL)が協力して、操縦者のいないドローンを今よりもずっとお利口にしようとしている。商用ドローンをAI化するそのプロジェクトは、“自律航行のドローンが人間が操縦するドローンとレースをして勝つこと”、を目指している。

今日(米国時間9/5)サンフランシスコで行われたTechCrunch Disruptで、Lockheed MartinのCTO Keoki Jacksonが、優勝者の賞金は200万ドル、と発表した。

“Lockheed Martinでは、ドローンに高度なAIを搭載して、これまで不可能だった困難な仕事をやらせることを目指している。それらは、山火事の消火や、自然災害における人命救助、深宇宙の最深部の探検などだ”、とJacksonは語る。“そこで今回は次世代のAIイノベーターたちを招待して、弊社のAlphaPilot Innovation Challengeに挑戦していただきたい。参加者たちは、自律航行とAIの未来を定義する役割を担い、世界がその将来性ある技術を利用して、より明るい未来を構築できるだろう”。

参加者はドローンのAI部にNVIDIAのJetson組み込みモジュールを使用し、しかもそのドローンは、“事前のプログラミング不要、人間の介入不要”でなければならない。レースのコースは、三次元的である。人間が操縦するDRLのドローンに“ドローンの知能テスト”でも勝つと、さらに25万ドルをもらえる。それは、アマチュアのドローン対、Lockheedの知識量の多いドローンプログラムとの勝負だ。

Lockheed Martinは今回、Drone Racing Leagueと協働して、未来のドローンレースにAIを持ち込もうとしている。目標は、人間操縦士よりも上手に飛べる自律ドローンを作ることだ。

懸賞の詳細はここにあり、レースは11月に行われる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DJI Mavic Pro、ビデオレビュー

DJIは先週ブルックリンで開催されたプレスイベントでハイエンド・ドローンの最新モデル、Mavic 2を発表した。今回のアップデートではカメラ周りに重点が置かれている。

Pro(1449ドル)はハッセルブラッドのカメラ(1インチ撮像素子)を搭載しており映像作家の利用に耐える。Zoom(1249ドル)はその名のとおりコンシューマー向けドローンとしては初めてのズームレンズ搭載モデルだ。

現行Mavic同様、折りたたみ式のコンパクトなデザインで、カメラは3軸安定化ジンバルに搭載されている。カメラを交換できるモジュラー式ジンバルが搭載されるのではないかという噂があったが、今回は見送られた。ドローンの最高追尾速度は72km/hだという。障害を感知して空中で停止する機能がある。ただテストではドローンが視界から離れたときにクラッシュを経験した。

〔日本版〕DJIの日本向けプレスリリースによればProが189,000円(税込)、Zoomが162,000円(税込)だという。TechCrunchでのフルレビューはこちら

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滑川海彦@Facebook Google+

ドローン+AIで発電/送電施設等の異状を至近距離で検出するSterblue

ドローンの商用利用に関する政府の規制は、関連企業にとってとてもポジティブな方向に向かってるようだし、またドローンを利用するスタートアップにとっては、人工知能を利用して人間の努力なしで結果を得る機会がますます増えている。

Y Combinatorの最近のクラスを卒業したフランスのSterblueは、市販のふつうのドローンと、そのような自動化手法を使って、大きな屋外建造物の近接検査をする。

同社のソフトウェアはとくに、自動化されたシンプルな飛跡で大型の送電線やウィンドタービン(風力発電機のタービン)を検査し、それを人間がやるより短時間かつ少ないエラーで行なう。また、対象の至近距離まで接近できるので、細部の高精細画像が得られる。

混みあった都市環境と違ってSterblueが調べる対象物は、異状がそれほど多くない。またCADのデータが得られるので、飛行経路の設計も比較的易しい。そして、まわりに物が密集していないから、風などに対応してドローンの姿勢を直すための空間も十分にある。

ドローンのオペレーターは、ドローンをSterblueのクラウドプラットホームに接続し、そこに写真をアップロードしたり、構造物の3Dモデルを見たりできる。飛行の間、Sterblueのニューラルネットワークが、今後の精査が必要と思われる問題箇所を見つける。Sterblueによると、ドローンは送電線から3メートルの距離にまで接近できるので、同社のAIシステムは撮った写真から異状を容易に検出できる。汚損や傷などの最小検出サイズは、1ミリメートルととても小さい。

最初、ドローンは自社製を使っていたが、ユーザーを増やすにはDJIのような一般市販品をサポートすべし、と気づいた。同社のファウンダーたちはAirbusの元社員で、当面は電気などの公益企業を顧客にしていく予定だ。そして最初はヨーロッパ、次いでアフリカとアジアを市場としてねらっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

空港のバードストライク対策に自律飛行ドローンが有効かもしれない

航空機に鳥がぶつかるバードストライクはそう頻繁ではないが、空港が注意を喚起しないほどに稀というわけでもない。しかし、鳥を近づけない、というのは難しい。何十、何百羽もの鳥の群の動きをどうやったらコントロールできるだろうか。もしかすると、CalTech(カリフォルニア工科大学)が考案した手法のような自律飛行ドローンが最善の策かもしれない。

現状では、人がマニュアル操作するドローンを活用している空港もあるが、それはコストがかかり、またそうした技術を持つパイロットの数はそう多くない。それとは別に、調教したハヤブサを使うという手もあるが、こちらも大規模展開するのは無理がある。

CalTechのSoon-Jo Chungは、2009年にUSエアウェイズ1549便がバードストライクに遭って墜落しそうになりつつもなんとかハドソン川に不時着したという、大惨事となりかねなかった事件後にこの分野に興味を持った。

「ハドソン川の一件を見て、次はハッピーエンディングにはならないだろうと思った」とCalTechのニュースリリースで述べている。「だから、私は自分の研究分野であるオートノミーとロボティックスを使って鳥から航空機を守る方策の検討を始めた」。

ドローンは、明快な策と思われる。空中に放ち、ガンの群を追いやる。しかし鳥の動きを予測し、群の行動に影響を与えるのは、そんなに簡単なことではない。

「ドローンをどの位置につけるかについては、細心の注意を払わなければならない。あまりにも遠すぎると、群を動かすことはできない。また、近すぎると、群をバラバラにしてしまい、本当にコントロールできなくしてしまう」とChungは話す。

研究チームは、動物の群がいかに動き、互いにどう影響し合っているのかモデル研究を行なった。そして、鳥の群れが脅威となるものに対しどう動くのかを示すモデルを作りあげた。このモデルから、鳥をパニックに陥らせたりバラバラにしたりすることなく、好ましい方向に追いやれるようなドローンの飛行経路を導き出した。

研究チームは、新ソフトウェアを搭載したドローンを数カ所で試し、特定エリアに鳥が入らないよう指示して飛ばした。下記にあるように(こちらのビデオからの抜粋だ)、効果があるように見える。

当然、あらゆる規模の群れやスピードなどにも安定して対応できるシステムにするためには、まだ実験を重ねる必要がある。とはいえ、このシステムが航空機をバードストライクから保護するスタンダードシステムになるのは想像に難くない。正確なレーダーを使った1ダース前後のドローンで広範囲をカバーすることができるかもしれない。

研究結果は IEEE Transactions on Roboticsに掲載された。

イメージクレジット: Peter Linehan / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(翻訳:Mizoguchi)

DJI、SparkドローンにLine Friendsのクマのブラウンをフィーチャー

7月に予定されていたDJI Mavic 2のリリースは延期され、新しい期日はまだわからない。 待っている間にちょっとした発表があった。Sparkにクマの顔がついた。

DJI Sparkについてはすでに非常に詳しいテストレポートを書いているので興味ある読者はそちらをご覧いただきたい。小型軽量で多機能、コストパフォーマンスも良いモデルだ。これに見たところ面白くなさそうな表情のクマをフィーチャーしたモデルが加わった。

このモデルはDJI初の「キャラクター・ドローン」だ。動物モチーフのかわいいLINEスタンプを多数を作ってきた日本のLine Friendsとの提携だという。どうやらこの「クマのブラウン」に続いてDJIでは動物キャラの製品をシリーズ化する計画らしい。

ブラウンの顔がついた他はスタンダードのSparkと変わりはない。

DJI上席コミュニケーション・マネージャー、Monica Sukによれば「私たちがバッグの中にいつも持ち歩くあれこれ同様、ドローンはライフスタイル・アクセサリーになってきました。このブラウンのバージョンはLine Friendsとのコラボによるもの。キャラクター・ドローンによってビデオによる日々のストーリーテリングと情報共有がさらにエキサイティングになると期待しています」という。

うれしいことにブラウン版も現行Sparkと同一価格で399ドルだ。

〔日本版〕DJIのサイトではまだ日本向けに販売していないもよう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イギリスでドローン利用の年齢制限案、高齢者ではなくて子ども

爆発的に増えることがほぼ確実な、ドローンの消費者利用備えて、イギリスでは早くもドローンの規制が検討されている。その、山ほどある提案の中には、年齢制限がある。それは、18歳未満には重さ0.55ポンド(約250グラム)以上のドローンの使用を禁ずる、というものだ。

18歳は、飛行機やヘリコプターの操縦免許の下限より3つ若い。ただしその提案では、大人が付き添っていれば子どもでもドローンを飛ばせる、となっている。

これらの提案はアメリカにはすでにある法律に見倣っているが、アメリカの場合はドローンを登録制にするというFAAの案が今だに賛否両論の渦中にある。イギリスでもいくつかの規制はすでにあり、たとえば消費者が利用するドローンの最高高度は400フィート(約122メートル)、空港の近傍は飛行禁止、となっている。

また、特定のイベントや場所ではドローン撃退技術を使ってもよい、という規制提案もある。その場合、前もって飛行計画を申請登録し許可されたドローンは、撃退されない。もちろん、さまざまなドローン普及/愛好団体は、これに反発している。あって当たり前のような規制案もある中で、年齢制限は行き過ぎであり、反生産的だ、との意見もある。

イギリスの、遠隔操縦航空機システム協会(Association of Remotely Piloted Aircraft Systems)のGabin Wishartが、BBCで語っている: “ドローンの安全で責任ある利用を推進する必要があるが、しかしドローンの未来を担う子どもたちがドローンに触れてそれを利用できることも重要である。ドローン産業は未来の経済の大きな一部になると予想されるから、子どもたちにその探求を禁じてはならない”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

[ビデオ]Airoboticsの完全自動運航ドローンのデモを見る

テルアビブに近い、倉庫と壊れた歩道だけという荒涼とした地域の低空を、ドローンが飛んでいる。そいつはゆっくりと、自分の家に接近する。それは金網のフェンスの中にある冷蔵庫サイズの箱だ。ドローンはその上でホバリングし、着地に備える。まるで、大きな虫が、ブンブン鳴きながら下降するようだ。基地に戻ったドローンはきれいにされ、充電されて空に戻る。このドローンはしかし、不可能に近いことをする: 離陸も着陸も自動的に行い、人間がコントロールしなくても、何度でも離陸着陸充電離陸…を繰り返す。そしてそのためのシステムは外付けの装置ではなく、本機に内蔵されている。そのため、とってもクールなマシンに見える。

この自動運航ロボットを作ったAiroboticsが、本誌取材陣を本社に招待し、製品のデモを見せてくれた。このビデオでは、自動運航ドローンの仕組みや、人間がなかな行けない地域での地図作りや監視などへの利用、ひいてはドローンの自動飛行の未来について同社の人たちが語っている。そのうち、ジャングルや砂漠や戦場などで、これらのドローンが活躍するようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アメリカ空軍のドローンのドキュメンテーションがダークウェブで200ドルで売られていた

ダークウェブ(dark web, 闇ウェブ)の上には、あなたが想像すらしなかったものがある。6月にはセキュリティ調査企業Recorded Futureの危機情報(threat intelligence)チームInsikt Groupが、ダークウェブのマーケットプレース上の犯罪行為をモニタしているときに、アメリカの機密軍事情報が売られていることを発見した。

Insiktの説明によると、一人の英語を話すハッカーが、無人航空機MQ-9 Reaperのドキュメンテーションがある、とほのめかした。そして驚いたことにそのハッカーは、それを150ドルか200ドルで売る、と言うのだ。

Insikt Groupによると、そのドキュメントは極秘扱いではなかったが、いくつかの機密資料を含んでいた:

  • M1 Abramsメンテナンス・マニュアル
  • 戦車小隊訓練教程
  • 搭乗員生存教程(サバイバルコース)
  • 簡易爆発物対抗戦術

Insiktは、そのほかのドキュメントもアメリカ陸軍の職員やペンタゴンから盗まれたようだ、と言っているが、しかしその情報のソースは確認されていない。

そのハッカーは、フォーラムに参加してこれらのドキュメントをあからさまに売るつもりだったようで、米軍の不注意な職員からそのほかの軍事文書を入手したこともある、と認めた。Insikt Groupが調べていくと、ハッカーはドキュメントを、不正な構成のFTPログイン認証情報を使い、Netgearのルーターにアクセスして入手したことが分かった。ハックしたドローンのドキュメントのソースについて尋ねると、その犯人はMQ-1 Predatorドローンからの撮影記録にもアクセスした、と認めた。

彼の手口はこうだ(出典–Insikt Group):

犯人は、Webサイトだけでなくコンピューター本体を検索できる検索エンジンShodanを使ってインターネットを広範囲にスキャンし、著名なサイトで標準的なポート21(FTP)を使っている構成不良なルーターを見つけ、そこから侵入したマシンから貴重なドキュメントをハイジャックした。

上記の方法でハッカーはまず、ネバダ州クリーチの空軍基地にある第432航空機メンテナンス中隊Reaperドローンメンテナンス担当部隊の大尉のコンピューターに侵入し、機密ドキュメントのキャッシュを盗んだ。その中には、Reaperのメンテナンス教本やReaperメンテナンス部隊に配属された航空兵の名簿もあった。教本のたぐいは極秘文書ではないが、敵対勢力の手に渡ると、そのもっとも技術的に高度な航空機〔Reaperドローン〕の技術的能力や弱点を探る手がかりになりえる。

Insikt Groupによると、ハッカーが軍事機密をオープンなマーケットプレースで売ることは“きわめて稀”である。“平凡な技術的能力しか持たないハッカーが単独でいくつかの脆弱な軍部ターゲットを見つけ、わずか1週間で高度に機密的な情報を気づかれずに取り出せたことは、もっと高度な技術と豊富な財政力を持つ確信犯組織だったら何ができるだろうか、という怖ろしい想定にわれわれを導く”、と同グループは警告している。

画像クレジット: Andrew Lee/アメリカ合衆国空軍

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