Googleがモバイル検索をアップデート、結果ページからのショッピングが簡単に

2019年秋にGoogleショッピングを大改訂したのに続き、Googleは米国時間1月15日にモバイル版Google検索のショッピング体験を変更した。これからは衣類、靴、アクセサリーなどを検索したとき、表示されるのはさまざまな商品やショップへのリンクだけではない。Googleは新しいセクションをつくり、ウェブ中の店舗から人気の高い商品を選んで表示する。ユーザーはそこからフィルター、閲覧ができる。

例えば、「ランニングシューズ」とか「女性向けレザーベルト」とか「ワイドレッグパンツ」などを検索すると、選ばれた商品が新しいビジュルガイドに表示される、とGoogleは説明する。ユーザーはその中から、スタイル、ブランド、サイズなどで絞り込み、画像を見ることができる。それぞれの商品の下には、在庫数や最安価格も表示される($199+など)。

この変更によって、ある特定の商品を売っている店をすべて見つけたいというときは特に便利になる。これまでは簡単にはできなかったことだ。

探していた商品が表示されたら、スクロールするとカスタマーレビューをまとめて読むことができる。買うと決めたら、行きたい店のリンクをクリックするだけだ。

この機能にはGoogleの検索インデックスが使われていて、そこには100万店以上のオンライン店舗の商品が整理、登録され定期的に更新されている。新しいショッピング機能は小売店による有償広告ではない、とGoogleは説明する。小売店は認められた商品をこのセクションに無料で掲載できる。

一連の変更は、GoogleがAmazonにないものすべてが見つかる頼りになるプラットフォームになるために、オンラインショップのためにショッピング体験をいかによくできるかという大きな取組みの一環だ。今週同社が、スタートアップのPointyを1億6300万ドル(約180億円)で買収して、実店舗の店内在庫管理を支援しようとしているのも同じ流れだ。

同社はGoogleショッピングのウェブページも改定し、ユーザーの購入傾向や履歴に基づいてパーソナライズされた目的ページとして、価格トラッカーや地元店舗、オンラインショップ両方の新しいショッピングのやり方を追加した。ただし、衣類やアクセサリーをオンラインで探している人たちの多くにとって、Googleショッピングは第一の目的地ではない。使うの通常のGoogle検索だ。今回の新機能もそれに対応するために作られた。

新機能は本日から今週いっぱいをかけて段階的に公開され、モバイル端末のみが対象だとGoogleは説明している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Huluが視聴者による広告の選択や広告主と対話が可能なシステムを2020年に導入

Hulu(フールー)は、今年からいくつかの新形式の広告を出す準備を進めている。視聴者が注文をつけられる広告と、もうひとつは広告主と対話ができる広告だ。それには、スマートフォンで直接情報を送る方法と、QRコードを使う方法がある。数カ月後には、オリジナル番組に製品をデジタル挿入して広告機会を強化する方式を導入することも検討している。

これらの新形式広告は、よりユーザーフレンドリーな広告を作るための新しいアイデアに躊躇なく挑戦し、すでに革新的な広告エクスペリエンスを導入しているHuluの中でも後発に属する。たとえば去年、Huluは、視聴者がストリーミングを中断したときにだけ表示されるポーズ広告を取り入れた。先月は、新しい「一気見広告」を開始した。視聴者がドラマを一気見しているとHuluが感知したとき、企業が広告抜きのエピソードのスポンサーになれるというものだ。

こうした広告エクスペリエンスの目標は、できるだけ視聴者の邪魔をせずに広告を出す方法を見極めることだ。2020年、Huluは同時に、視聴者との関わり合いを高める広告にも力を入れる。

これから開始される選択式の広告(自分で筋書きを選ぶアドベンチャーゲームの広告板みたいなもの)の場合、視聴者は、そのブランドの広告の中から見たいものを選ぶことができる。たとえば、旅行代理店の広告の中でスキー休暇の広告だけ、あるいはビーチでの短期休暇の広告だけを見ることができる。しかも、それらのオプションはリモコンで選択できる。

さらにHuluは、視聴者が興味のあるブランドと対話できるようにするトランザクション広告も展開する。現在は、ビュー数の80%がテレビ画面での視聴となっていて、大きなテレビ画面でのやり取りを好まない視聴者が多い。むしろ、コンピューターやモバイル機器を使いたがる。この場合、視聴者が広告主の詳しい情報を知りたいとき、Huluはその情報を視聴者のスマートフォンに送信する。これは、Huluのユーザーアカウントに登録されている電話番号や電子メールアドレスを使って行われる。もちろん視聴者の承諾を得たうえでだ。または、広告に示されるQRコードをスマートフォンでスキャンすれば、即座に情報が得られる。

広告主が提供するその情報には、たとえば、そのウェブサイトへのリンク(小売業者のショッピングサイトなど)が盛り込まれている。「これは、視聴者第一のお約束に立ち戻るものです。つまり、できるだけ邪魔されず、より深い関わりが持て、機能的であることです。これにより、視聴者のエクスペリエンスと広告主のROIの両方を確実に高めることができます」と、Huluの広告プラットフォーム部門副社長 Jeremy Helfand(ジェレミー・ヘルファンド)氏は、先週、CES会場で交わした会話の中で述べていた。

これらの新しい広告形式は、Huluがその広告エクスペリエンスに関して打ち出している4つの大きな課題を具体化したものだ。ひとつはシチュエーション。ポーズ広告や一気見広告のように、視聴者の行動に寄り添うもの。ひとつはチョイス。視聴者が広告を選べるようにするもの。ひとつはトランザクション。視聴者がブランドとやり取りできるようにするもの。そしてもうひとつが物語との融合だ。スポンサーとの統合性を高め、ブランドと番組とを融合させて境目のないエクスペリエンスをもたらすというものだ。

Huluではすでに、物語と広告との融合をいくつか試しているが、この手法をさらに一歩進めたいと考えていると、ヘルファンド氏は話していた。「ポストプロダクションにより、ブランドを番組の中に溶け込ませる時代が来ると私たちは考えています」と彼は言う。つまりHuluは、デジタル技術でオリジナルドラマにプロダクト・プレースメントが行えるということだ。

「Hulu Kitchenの料理番組で実施されるのを、私たちは大いに楽しみにしています。理論的には、KitchenAidのミキサーをテーブルの上に置くことができます。実際にそこには存在していないにも関わらずです」と彼は言う。これは、Huluオリジナルの新しい料理番組シリーズのことだ。人気料理人Chrissy Teigen(クリッシー・テイゲン)、David Chang(デイビッド・チャン)、レストランチェーンのEater(イーター)が登場する。

デジタルな手法で映像にオブジェクトを挿入するこの広告技術はすでに存在するが、Huluがそれを自社開発するか、その技術ですでに事業展開している企業を買収またはパートナーにするかは、まだ決めていない。

「コンテンツに含まれるメタデータを読み出し、同時にコンテンツの映像をスキャンする必要があります」とヘルファンド氏は説明してくれた。「私たちはコンテンツを認識する作業を重ねてきました。Hulu内部ですでに進められているのですが、それには、広告に限らず、数多くの目的があります。また、サードパーティー企業も数多くあります。それを行うためだけの広告業界も存在します。私たちは、パートナー探しも並行して行っています」と彼は話す。

優先度が低い分野には、かつてHuluが約束していた広告付きのダウンロードがある。Huluは、広告が入るオフラインでの視聴ではなく別のモデルを考えている。それは恐らく、スポンサー付きダウンロードだ。だが目下のフォーカスは、スポンサー付きダウンロードではなく、ここで紹介した新しい形式の広告のほうにある。

「私たちは常に視聴者のエクスペリエンスのこと、いかにしたら最高の視聴エクスペリエンスをお届けできるかを考えています。そして、視聴者が広告に関与できるようにしたいという強い思いがあります。消費者には選択権があります。広告が入らないエクスペリエンスを望むか、広告に支えられたエクスペリエンスを望むか。もし、視聴者が広告に支えられた検索エクスペリエンスを選択した場合には、広告なしの場合と同じだけ快適なものにしなければならないと考えています」とヘルファンド氏は話していた。

画像クレジット:Lars Niki / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Googleが実店舗のネット活用を支援するスタートアップPointyを買収へ

Googleは、実店舗で販売を行う小売業者と密接な関係を作り、電子商取引の世界に参入するという長期目標を掲げているが、どうやらその計画が少し進展したようだ。検索エンジン大手である同社は、アイルランドのダブリンに本拠を置き、実店舗の小売業者を支援するハードウェアとソフトウェア技術を開発するスタートアップPointyの買収に乗り出した。その技術とは、特に取り扱い商品を細かく陳列するネットショップを開設していない店舗を対象に、大きな手間をかけることなく、商品をネット上で見つけやすくするためのものだ。

どちらの企業も買収額は公表していないが、ある情報筋によれば1億4700万ポンド(約210億円)とのことだ。

Googleは1時間以内に公式発表をすると言っていたが、情報筋から得た話の詳細を探っている間に、Pointyはすでに自社サイトでそのニュースを公開していた。現在は「習慣的な買収完了条件」の交渉中で、数週間以内に契約は完了するという(Googleの買収に関するブログ記事はこちら)。

Pointyは買収後も事業を続ける。「私たちは、Googleの資産とリーチの支援を受けて、今後もよりよいサービスが構築できることを楽しみにしています」と同社は書いている。だが、この計画に誰が残るかは不明だ。

情報筋は、この買収は「よい結果」だったと話している。なぜならPointyには「唯一無二」の製品があり、市場に比較対象がなかったからだ。さらにPointyは、小さなスタートアップにしては非常に多くのトラクションがあり、アメリカでは、特定分野の実店舗小売り業者の10パーセントほどと取り引きをしている(その中にはペットとオモチャの小売業者が含まれている聞いている)。

Pointyは創設6年目の企業で、さまざまな投資家から2000万ドル(約22億円)の資金を調達している。投資会社にはFrontline Ventures、Polaris、LocalGlobe、個人投資家には、以前はGoogleマップの開発を取り仕切り、その後、Facebookで検索エンジンや企業向けの製品の開発を行っていたLars Rasmussen(ラーズ・ラスムーセン)氏が名を連ねている。

Pointyは、CEOのMark Cummins(マーク・カミンズ)氏とCTOのCharles Bibby(チャールズ・ビビー)氏によって共同創設された。注目すべきは、カミンズ氏にとって今回がGoogleへの2度目のイグジットであることだ。彼が最初に立ち上げた会社Plink(プリンク)は、Googleがイギリスで最初に買収した企業だった。

Googleにとって、Pointyはカミンズ氏のスタートアップを前にも買収したことがあるという以上の既知の仲だ。この検索エンジン大手が実店舗を経営する小売り業者のためのツール開発をPointyが強く後押ししたことで、両者は2018年から一緒に活動していたのだ。

当時、Pointyの主軸製品は企業の販売時点管理、つまりバーコード読み取りユニットに接続するハードウェアだった。これを使えば、商品の販売時にバーコードを読み取るだけで、その商品が(販売数も含め)インターネットにアップロードされる。その後も、商品が売れるたびに読み取られたバーコードから在庫数が更新される。Pointyは入荷に関しては関知しない。長期的な販売パターンから、ほぼ正確に在庫数を割り出せるアルゴリズムを使用しているためだ。

一般の利用者は、その商品を検索すると、Googleの検索結果(ナレッジパネルの「◯◯を見る」やGoogleマップ)で、または広告にその詳細が示されるようになる。目的は、これらのリストを通じて該当する商品を、Pointyでそれをアップした店で買ってもらうチャンスを高めることだ。お客さんを店に導き、他の商品も買ってもらえればなおいい。

この装置の価格は700ドル(約7万7000円)ほどだが、特定メーカーのPOSに組み込める無料アプリも提供されている。Clover、Square、Lightspeed、Vend、Liberty、WooPOS、BestRx、CashRx POSのシステムなら、ハードウェアを必要としない。

2018年、Pointyと最初に提携したGoogleの狙いは、検索ポータルの電子商取引ツールとしての機能を高めることにあったのだが、なかなか実現しなかった。一方Amazonは、実店舗との連携を順調に強め、インターネットで買い物をする人が最初に見るサイトというGoogleの地位を大きく脅かした。

あれから2年。こうした課題は、Amazonの躍進によってますます大きくなるばかりだ。GoogleがPointyの引き込みに熱心だった理由は、恐らくそこにある。だが今、その技術を深く取り込み発展させる準備が整った。

Pointyも、小売業者との緊密さを少しだけ高めることができ、何が売れるか、何を多く仕入れるべきかといったインサイトを店舗に提供できるようになった。だが、インターネット上にリストアップされる商品の実際の売買にまでは、手を出さず、あくまで店舗とそこを訪れて直接商品を買いたい客との取り引きに任せていた。Pointy(と独自に小売り事業を目指すGoogle)がそこでどのような展開を見せるか、未来のドアは大きく開かれている。

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(翻訳:金井哲夫)

観光客とガイドをつなげるToursByLocalsが初の資金調達で約28億円獲得

2020年の旅行業界の市場規模は1830億米ドル(約20兆円)に上るとの予測がある。この分野で、これまで自己資金で事業を展開してきたスタートアップが、初めて外部から投資を受けると発表した。

ToursByLocals(ツアーズバイローカルズ)は、約162カ国でローカルガイドを調達し、観光客に対して、個人や小グループの旅行を検索・予約できるツールを提供している。同社は1月13日、3300万カナダドル(約28億円)の資金調達を発表した。投資家はTritium Partnersのみだ。調達した資金は、人材採用や予約、支払い、レビュー投稿などに関する独自技術の開発、事業開発チームの拡充に使う予定だ。

カナダのバンクーバーに拠点を置くToursByLocalsにとって初の外部からの資金調達となる。同社は過去10年間にわたって自己資金で事業を進め、顧客を145万人まで積み上げ、4500万米ドル(約49億円)ほどの売上を計上している。現在、約100人の従業員がいる。

ToursByLocalsはPaul Melhus(ポール・メルハス)氏、Dave Vincent(デイブ・ヴィンセント)氏、Luciano Bullorsky(ルチアーノ・ブロウスキー)氏が共同で創業した。バリュエーションは公表していないが、以下の情報が参考になるかもしれない。ダイナミックでプレーヤーが多い同社が事業を展開する旅行業界には、Airbnbのような競合他社がいる。ベルリンのGetYourGuideは、2019年ソフトバンクから資金調達し、現在の評価は10億ドル(約1100億円)以上だ。香港のKlookも同じくソフトバンクから投資を受け入れ、10億ドル以上で評価された。オランダにはWithlocalsという会社もある。こちらも参照されたい。

だが、すべての会社が順調なわけではない。Y Combinatorでインキュベーションを受けたVayableは、12月に静かに事業を終えた

ToursByLocalsのプラットホームには、少人数のグループツアーからプライベートツアーまで、約4130のプロフェッショナルガイドと3万のプランがあるという。ユニークなセールスポイントは、ガイドを同社が選別している点。応募したガイド10人のうち平均して1人選ばれる。またガイドは「考古学者、美術史家、野生生物専門家、写真家、グルメ」など、一般的に観光旅行で出会うことのない人々に焦点を合わせている点も特徴的だ。「ローカル」というのは、単に特定の地域に住んでいるということではなく、あるテーマに詳しいということを意味している。

「ローカルガイドつきプライベートツアーは、目的地でさまざまな体験をする最適な方法だ。創業以来、当社は旅行者のために本当に思い出に残るプライベートツアーを作ることに注力してきた。また、世界1000カ所以上で現地のツアーガイドがカスタマイズできるツアーを提案できるよう支援してきた」と、ToursByLocalsのCEOであるメルハス氏は声明で述べた。

「Tritiumとの提携を楽しみにしている。成長のための資金だけでなく、Tritiumチームとその経験豊富なマーケットプレイスエグゼクティブのネットワークの両方からの戦略的アドバイスを高く評価しており、主要なオンライン旅行マーケットプレイスとして事業を拡大し続けていく」

Tritium Partnersにとっては、ベンチャーマーケットへの初めての参入になる。プラ​​イベートエクイティファームとして名高い同社は旅行業界に注力しており、HomeAwayやピアツーピアRVレンタルマーケットプレイスであるRVShareに投資している。

「ToursByLocalsは、業界最高水準のツアーと現地ガイドを備えた最高のプライベートツアーマーケットプレイスとして際立っている」とTritiumのパートナーであるBrett Shobe(ブレット・ショーブ)氏と言う。「当社はToursByLocalsチームと提携し、当社の資本と経営資源を活用して、彼らのエキサイティングな成長軌道を支え、加速させることを楽しみにしている」

現在、同社のビジネスの大部分は直販によって拡大しているようだ。直販なら顧客の旅行体験をしっかりコントロールできる。ガイドを選ぶ際には、バックグラウンドチェック(身元調査)も実行する。支払いや顧客サポートも直接扱う。これらは、リピーターの旅行者を獲得するだけでなく、ガイドからも肯定的な反応を得られるため、マーケットプレイスの両サイドで良い効果があるようだ。ToursByLocalsは、すべてのツアーで20%の手数料をとる。

興味深いのは、同社が規模を求めてサードパーティと組むかどうかだ。例えば、Booking.comやAirbnbといったアグリゲーションプラットフォームへの自社の旅行商品の供給が考えられる。こうしたプラットフォーム側でも、既存の航空その他のチケットや宿泊予約などの旅行サービスに旅行商品を加えて、ユーザーあたりの収益を増やす狙いがある。

サードパーティのコンテンツを、自社のプラットフォームに取り込むことも考えられる。より大規模なツアーや、旅行に関連した製品やサービスなどだ。同社はまた、旅行者が小さなツアーを他人と「シェア」する方法も検討している。例えば、クルーズに参加中の2組のカップルがいずれもどこかに上陸するときに、催行人数4名の1日ツアーにともに参加して費用をシェアするといったものだ。

画像クレジット: Laszlo Szirtesi

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(翻訳:Mizoguchi

Googleによるノーコード開発のAppSheet買収で、プログラマー不在でもアプリ開発が容易に

Googleが米国時間1月14日、創業8年のノーコードでモバイルアプリケーションを開発できるプラットホームAppSheetの買収を発表した。PitchBookのデータによると、同社は6000万ドル(約66億円)の評価額で1700万ドル(約19億円)を調達している。両社とも、買収額は公表していない。

Googleは、AppSheetの買収で、企業がコードを1行も書かない簡単なモバイルアプリ開発環境を提供できるようになる。それはデータをスプレッドシートやデータベース、フォームなどから抽出し、それらのフィールドや列の名前をアプリ構築のベースにする。

統合されるGoogle CloudにはすでにGoogle SheetsやGoogle Formsがあるが、AppSheetはAWS DynamoDBやSalesforce、Office 365、Boxといった他のツールでも使うことができる。Googleによると、買収完了後もこれらのプラットホームへのサポートは続ける。

Google Cloudの副社長Amit Zavery(アミット・ザベリー)氏が、ブログで書いているように、この買収によりデベロッパーや開発チームがない企業でもモバイルアプリを作れるようになる。「この買収でエンタープライズは大量の一般社員に力をつけ、プロのプログラマーがいなくてもアプリケーションを容易に開発したり、拡張できるようになる」とザベリー氏は言う。

Googleに買収されたスタートアップの創業者がよく言うように、AppSheetの共同創業者でCEOのPraveen Seshadri(プラヴィーン・セシャドリ)氏も、単独の企業ではできなかった市場拡大がGoogleの下でできるようになる、と発言している。

セシャドリ氏は「G SuiteやAndroidなど、Googleのすばらしい財産を利用できることで得られる可能性はとても大きい。それによりAppSheetの機能性とスケール、パフォーマンスを向上できるだろう。今後はAppSheetの長所とGoogleの専門的能力を組み合わせて、金融サービスやリテール、メディア、エンターテインメントなどの業種も顧客にしていきたい」と記している。

Googleとしては、ノーコードを同社の開発哲学の延長として、ワークフローオートメーションや、アプリケーションインテグレーション、API管理などと並ぶ重要なサービスに位置づけていくようだ。

AppSheetのようなノーコードツールが、高度な開発環境に置き換わるわけではないが、これまでモバイルアプリの開発能力がない企業に、ちゃんとした力を提供していくことは確実だ。

画像クレジット: Akio Kon/Bloomberg via Getty Images/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

買収から4年、旅行メタ検索エンジンのHipmunkがまもなくサービス終了

旅行の計画にまだHipmunkを使っている人は、そろそろほかのサイトを探したほうがいい。遅かれ早かれ、ほんとに。

Hipmunkは米国時間1月14日、一週間ほどでサービスを終了することを発表した。1月23日、Hipmunkはウェブサイトとアプリのいずれも停止する、とブログに書いている。

こんなツイートも発信している。

今回の閉鎖は、企業の出張・旅費精算プラットフォームであるConcurが 2016年9月にHipmunkを買収してから4年足らずの出来事だった。

Adam J. Goldstein(アダム・J・ゴールドスタイン)氏とReddit共同ファウンダー、Steve Huffman(スティーブ・ハフマン)氏が共同設立したHipmunkは、世界初のよくできた「メタ検索」トラベルサイトのひとつだった。Expedia、Pricelineなど無数のサービスからフライト(ホテル、レンタカーも)を見つけ出し、日時、価格とともにまとめて表示するインターフェースを提供していた。

買収を発表した当初の投稿でゴールドスタイン氏は「Hipmunkはどこへも行かない」と上機嫌に宣言していた。しかし、4年のうちに状況は変わった。ゴールドスタイン氏は2018年末にチームを離れた。

Hipmunkは発表のFAQで、1月23日に「全」アカウントが停止されることを明言している。完了している予約は影響を受けないが、今後は同サイトが紹介した最終プロバイダーが対応することになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2019年Q4に米国で最もダウンロードされたDisney+アプリ

2019年第4四半期におけるアプリのトレンドを調べたSensor Towerの最新データで、米国の消費者はDisney(ディズニー)の新たな家族向けストリーミングサービスDisney+に強い関心を示したことが明らかになった。米国で11月半ばに提供が開始されたDisney+は、同四半期中に3000万回以上ダウンロードされた。この数は、その次にダウンロードが多かったTikTokの2倍超となる。

ダウンロード総数はAppleのApp StoreとGoogle Playの合計で、App Storeで1800万回、Google Playでは1200万回超だった。第4四半期で最もダウンロードされたアプリであったのに加え、Disney+はApp StoreとGoogle Playの両方でダウンロード最多だった。

App Storeでは、4四半期連続でYouTubeがダウンロード数トップの座をキープしていたが、2019年第4四半期はDisney+がYouTubeとTikTokを抑えてダウンロード最多となった。またDisney+は、Google Playでも大きな記録を打ち立てた。1四半期で米国でのダウンロード数が1000万回を超えたのは2017年のFacebook Messenger以来のことだ。

売上高に関しては、Disney+は最初の30日で5000万ドル(約55億円)超を売り上げ、他のビデオオンデマンドストリーミング(SVOD)のHBO NOWや Showtimeを上回った。また12月にDisney+は、HBO NOWの米国における最高月間売上高よりも多く売り上げた。HBO NOWでは「Game of Thrones」の最終シーズンが放映された月に売上高は急増したが、その月よりも多かった。

第4四半期のDisney+の売上高は、米国におけるSVOD全体の売上高の16%を占めた。11月半ばのサービス開始だったことを考えると驚くべき数字だ。また、Disney+の12月の売上高がNetflixのこれまでの最高売上高の71%に達したことも注目に値する。

加えて、Disney+の米国における3000万件ものインストール数は、2019年通年でのHuluとAmazon Prime Videoのものよりも多い。

とはいえ、サービスを立ち上げた第4四半期のSVODダウンロードの34%をDisney+が占めたものの、他のSVODアプリのダウンロード数も対前年同期比で12.5%、対前年比で4.7%成長した、とSensor Towerは指摘する。これは、Disney+が他のストリーミングサービスのシェアを奪っているのではなく、マーケットが拡大していることを意味するようだ。

Disneyのブランドはパワフルだが、その一方でサービス開始のタイミングも功を奏した。米国のストリーミングマーケットを少しずつ着実に開拓してきたNetflixと異なり、消費者はすでにストリーミングサービスに親しんでいて、新たなストリーミングアプリを喜んで試す状態にある。またDisney+は、人々がエンターテインメントアプリやゲームにより時間を費やすホリデーシーズンに先駆けてサービスを開始した。さらにインストール数を増やそうと、いくつかの販促も実施した。1つは1年間無料というVerizon(TechCrunchの親会社だ)とのもの。もう1つはGoogleとのもので、Chromebookオーナーに3カ月無料サービスを提供し、Disney+、ESPN+そしてHulu3つ合わせて1カ月12.99ドル(約1400円)へとディスカウントした。

サービス開始から2カ月たった現在、App StoreとGoogle Play合わせて世界中のインストール数は4100万近くに達し、消費者の支出は推計9720万ドル(約107億円)だ。

売上高の数字は驚異的で、最初の30日間で5330万ドル(約59億円)を売り上げ、2カ月目は4390万ドル(約48億円)だった(この数字には米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、オランダのものが含まれている)。

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(翻訳:Mizoguchi

Googleクラウドに小売業向けに特化した新サービス

Googleは小売業向けの大規模なカンファレンス、NRF 2020でeコマース市場向けのプロダクトを発表した。Googlクラウドプラットフォームはヘルスケアやライフサイエンス、製造業、金融サービス、エネルギー産業など各種のバーティカルな分野に特化したプロダクトに力を入れてきた。

AWSのライバルとしては当然だが、以前から小売業もこうしたターゲットの1つだった。現在、Googleクラウドの小売業のカスタマーにはアパレルチェーンのKohl’s、DIYやリフォームのLowe’s、フランスのスーパーであるカルフールなどがある。

今回、Apigee APIプラットフォームを利用した小売業向けAPIであるAPI Management for RetailやAnthos for Retailといった既存プロダクトに対する新機能の追加などのアップデートなどが発表された。Anthos for RetailはAnthosプラットフォームを利用してストアの運営やロジスティクスの効率化、現代化を図ろうとする企業をターゲットにしている。またGoogle検索をベースにしたリテール向け検索プラットフォームであるSearch for Retailは、通販アプリに組み込むことによりユーザーの製品検索ヒット率を大きく向上させるという。

さらに Googleはまた新たな顧客を獲得するためにRetail Accelerationプログラムなどをスタートさせた。これは例の入念な信頼性確保のプラットフォーム、Customer Reliability Engineeringサービスに基づくものだ。ショッピングは特定の日に集中する傾向があるが、このサービスはピーク時を予測し企業側で事前に対処することを可能とすると同時にオンライン処理の負荷を分散してダウンを防ぐ。

ただし最も興味深いプロダクトはGoogle Cloud 1:1 Engagement for Retailだろう。Googleはこのプロダクトは「多額の初期投資を必要とせず、効率的なデータ駆動型オンラインショッピングを構築するための設計図でありベストユースケース集」だとしている。その狙いは小売企業を助けることだ。Googleのビッグデータプラットフォームを利用して、小売企業が顧客をより深く理解しエンゲージメントするために、顧客からのニーズを理解するためにパーソナライズされ、レコメンドされたオンラインショッピング・サービスを作成する手助けをすることだ。

また、ショッピングニーズの事前予測により仕入れの最適化を図り、通販企業のロジスティクスを改善する機能も新しく発表された。

今回、重点が置かれたのリテール向けサービスだが、これが成功すれば他のバーティカルにも同様のソリューションが導入されるはずだ。われわれはGoogleがクラウドビジネスでも数年以内にAWSに次ぐナンバー2の地位を得ること目指して注力していると考えている。そのためには大企業、特にまだクラウド戦略を確立していない通販企業をユーザーとして獲得することが強く求められるだろう。

画像:Getty Images

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滑川海彦@Facebook

アドビがCMS「Adobe Experience Manager」をクラウドネイティブSaaSとして提供開始

Adobe(アドビ)は米国時間1月14、同社のコンテンツ管理システム(CMS)であるAdobe Experience Manager(AEM)を「これからはクラウドネイティブなSaaSアプリケーションとして提供する」と発表した。これまでAEMは、オンプレミスまたはマネージドサービスとして利用でき、純粋なクラウドネイティブではなかった。

言うまでもなく、クラウドサービスとして利用できれば顧客にはクラウドから得られる価値のすべてが提供される。これからは顧客は、メンテナンスや管理やアップデートをいちいち気にすることなく、AEMのすべてのツールにアクセスできる。そしてマーケティングのチームにはより幅広い柔軟性と機敏性が得られ、最新のアップデートにほぼリアルタイムでアクセスできるようになる。

アドビの戦略とプロダクト担当上級ディレクターであるLoni Stark(ロニ・スターク)氏も、この価値命題を強調する。「AEMは高度なデジタルツールの採用に熱心な中企業やエンタープライズにとって魅力的なツールだ。常に変化している彼らのビジネスモデルをサポートするためには、単純性と柔軟性がもっと必要だったのだ」と彼は声明で述べている。

AEMの数多い能力の中には、顧客体験をリアルタイムで管理する機能がある。顧客データにリアルタイムでアクセスできるのだから、プロダクトもサービスも体験もいつでもリアルタイムの顧客知識に基づいて提供できる。

その顧客に合わせる努力はタイミングが限定されない。そしてターゲットとしては、企業のウェブサイトやモバイルアプリ、そのほかのチャネルなど何でも対応できる。企業もチャネルの特性に合わせてコンテンツを柔軟に調整したいし、また顧客データにも合わせたい。AEMは、これらのリアルタイムな要求をサポートしている。

AEMはアドビが2010年に買収したDay Softwareがベースだ。同社は最初、ウェブ上のコンテンツ管理システムを開発したが、それが徐々にAdobe Experience Managerに進化し、体験管理の面も持つようになった。現在ではこのツールには、コンテンツ管理とアセット管理とデジタルフォームのツールが備わっている。

同社は本日この発表を、今週ニューヨークで開催されている大規模なリテールカンファレンスNRF 2020で行った。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドが独禁法違反の疑いでアマゾンとウォルマート傘下のFlipkartを調査

インド当局は1月13日、eコマース大手のAmazon IndiaとFlipkart(フリップカート)がインドでのシェアを伸ばすために反競争行為を行っているとの小売業グループの訴えを受け、2社に対する大規模な調査を命令した。

地元当局機関のCompetition Commission of India(CCI、インド競争委員会)は広範にわたる問題を取り上げている。その中には、特定の携帯電話をオンラインで独占的に販売するためのスマホベンダーとeコマースプラットフォームとの間の取り決めが含まれていて、eコマース企業は明らかに特定の販売業者を厚遇しているという主張を受けて調査が行われる。

CCIはまた、Amazon IndiaとWalmart(ウォルマート)が自社のマーケットプレイスで大幅な割引を行ってプライベートブランドを促進していないか調査するよう命じた。「情報では、FlipkartとAmazonがeコマースで本質的に反競争のモデルを確立した、とされている」とCCIは述べた。

Flipkartの広報は「弊社は書類をレビューしている」とTechCrunchに対し語った。「Flipkartグループは適用される法律とFDI規則を完全に遵守している。インドにおけるeコマースに民主改革を持ち込み、何十万というインドの中央省庁や販売業者、職人、小規模事業者にマーケットへのアクセスを提供し、何十万もの雇用を生み出しながら透明性がありかつ効率的なマーケットを通じて消費者に質のいい手頃価格の商品を提供してきたことに誇りを持っている」と広報は付け加えた。

「Amazonに関する申し立てに対応する機会を得たことを歓迎したい。コンプライアンスに自信があり、CCIに全面的に協力する」とAmazonの広報はTechCrunchに話した。

零細・小規模小売業者を代表するグループDelhi Vyapar Mahasanghがこの問題をCCIに提起した。Amazon IndiaとFlipkartを調査するという決定は、インドで2019年の規制に直面したこれらのeコマース会社にとって新たな悩みのタネとなるかもしれない。Amazonはインドでの事業に50億ドル(約5500億円)超を投資し、一方のWalmartは2018年にFlipkartの過半数の株式を160億ドル(約1超7600億円)で取得した。両社ともインドを最重要海外マーケットのひとつと位置付けている。

2日後の水曜日には、AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がニューデリーで小規模事業にフォーカスしたイベントをスタートさせる。AmazonとFlipkartによる反競争行為疑いの調査は、零細業者が今日直面している不利な状況を理解するという点で「長らく望まれていた初の具体的なステップ」だと全インド商業連合の事務総長Praveen Khandelwal(プラヴィーン・カンダワル)氏は話した。同連合はインドの7000万の小売業者と4万の事業者団体を代表する組織だ。

調査は60日以内に完了し、レポートが提出される。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

1日70円で傘を借りられるアイカサが大宮進出、アルシェ、そごう、大宮駅など10スポットで利用・返却可能に

LINE上で1日70円で傘を借りられる「アイカサ」を運営するNature Innovation Groupは1月14日、JR大宮駅、大宮アルシェ、そごう大宮店の3事業者との連携を発表した。具体的には、JR大宮駅の各出口6カ所・大宮アルシェ1カ所・そごう大宮店3カ所にアイカサスポットを設置する。

前述のとおりLINEを使っていれば、アイカサを利用する際に専用アプリの別途インストールは不要で、LINEでアイカサと友だちになることですぐに使える。アイカサスポットに設置されている施錠状態の傘に張られているQRコードをスマホで読み取ることで解錠・決済が可能になる。2020年1月8日時点で、登録人数は7万1179人、加盟店舗数は約750店となっている。約1カ月前の12月5日の時点でのユーザー数は6万3927人だったので1カ月でそれぞれ7000人強、約50社増えたことになる。

アイカサでは、傘を借りると1日ごとに70円が加算されていくが、6日以降から1カ月間は420円。ゲリラ豪雨など想定外の雨であっても、コンビニエンスストアで傘を購入するより安価に利用できる。借りた傘は最寄りのアイカサスポットに返却すればいい。決済方法は、クレジットカードのほかLINE Payを選べる。

Nature Innovation Groupは約1年前の2018年12月3日に渋谷エリアを中心とした50カ所でアイカサのサービスを開始。その後、京急アクセラレータープログラムの第2期に採用されるなど鉄道会社との連携を積極的に進めてきた。

現在では、品川駅周辺で京浜急行電鉄の所有不動産、小田急電鉄の新宿~町田間の各駅(参宮橋駅を除く)、西武鉄道の西武新宿線全線(西武新宿~本川越)、西日本鉄道の所有ビル14棟、そして2019年12月には東京駅近辺の41カ所にアイカサスポットが設置された。もちろん、新宿や池袋、秋葉原などの人が集まる地域も対応エリアで、地方展開では福岡市とも提携を果たしている。

同社の中長期的な計画としては、大宮駅西口のほかの場所や、高島屋やドンキ・ホーテなどがある大宮駅東口エリアにも展開を進めていくという。

グーグルがIBM Power Systemsを自社クラウドに統合

Google Cloudがプラットフォームに移行する企業を増やそうとしている中、企業が簡単にレガシーなインフラやワークロードをクラウドに置き換えたり移行したりできる必要がある。これらのワークロードの多くは、Powerプロセッサを搭載したIBMのPower Systems上で稼働しており、これまでクラウドベースのPowerシステムを提供しているベンダーは実質的にINMだけだった。しかし今回グーグルはIBMと提携して、IBM Power Systems on Google Cloudをローンチすることで、この分野に参入しようとしている。

「既存のインフラストラクチャを近代化し、ビジネスプロセスを合理化するためにクラウドを検討している企業には、多くの選択肢がある」と、Google Cloudのグローバル・エコシステム担当副社長のKevin Ichhpurani(ケビン・イチプラニ)氏は述べている。「一部の組織はクラウドを採用するために、レガシーシステム全体を再構成している。しかし他の多くの企業は、クラウドの柔軟な消費モデル、スケーラビリティ、人工知能、機械学習、アナリティクスなどの分野での新たな進歩から恩恵を受けながら、既存のインフラを引き続き活用したいと考えている」。

多くの企業がSAPやOracleのアプリケーションやデータベースに基づくミッションクリティカルなワークロードにPower Systemsのサポートを利用していることを考えると、グーグルによるPower Systemsのサポートは明らかにこの分野に適している。これにより、アプリケーションやインフラストラクチャを再設計することなく、ワークロードを段階的にクラウドに移行できる。Power Systems on Google Cloudは明確にGoogleのサービスや課金ツールと統合されている。

これはエンタープライズ向けのサービスであり、価格は公開されていない。Powerベースのサーバコストを考えると、分単位の格安な価格が存在しない可能性がある。

IBMは自前のクラウドサービスを提供していることから、グーグルと組んで自社サーバーを競合他社のクラウドに導入するのはいささか奇妙だ。もちろん、Powerサーバーをもっと売りたいのだろうが。一方で、より多くのエンタープライズワークロードを自社プラットフォームに移行させることを使命としているGoogle Cloudにとって、今回の動きは理にかなっている。グーグルが取り除くことのできるあらゆる障害は同社を有利にし、企業がそのプラットフォームに慣れるにつれ、他のワークロードを持ち込む可能性が高い。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

サムスンがTeleWorld Solutionsを買収 5Gインフラ構築を支援

Samsung(サムスン)は米国時間1月13日の朝、TeleWorld Solutions(テレワード・ソリューションズ)の買収を完了したと発表した。米国バージニア州に本社を置くこの通信会社は、ワイヤレスネットワークとコンサルティングサービスを提供している。そしてTWSの5Gソリューションは、サムスンがこの契約の一環として最も関心を寄せているものだ。

サムスンはTWSのサービスを活用して、米国にて次世代ワイヤレスネットワークを構築するのを支援する計画だと述べている。

サムスンでEVPを務めるPaul Kyungwhoon Cheon(ポール・ギョンフン・チョン)氏はリリースの中で、「TWSの買収により、モバイル通信事業者の4Gおよび5Gネットワークの改善ニーズの高まりに対応することが可能となり、最終的には顧客へのサービスを強化する新たな機会が創出される」と述べている。「サムスンは米国の5Gネットワークの拡大を加速するための最適なサービスを提供しながら、通信技術の革新を推進し続ける」。

今回の買収により、TWSはサムスンの100%子会社となり、また既存の顧客にコンサルティングサービスを提供し続けることになる。5Gがスマートフォンだけでなくさまざまな分野でますます注目を集める中、企業活動の継続のためにも最後の部分は重要だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

今年のアカデミー賞はNetflixが最多ノミネーション、 「アイリッシュマン」や「マリッジ・ストーリー」が作品賞候補に

今年もアカデミー賞の季節を迎えたが、主役はNetflixのようだ。合計24件のノミネーションを受け、ハリウッドのメジャー映画スタジオを押し退けて件数でトップだった。

アイリッシュマン」がNetflixとして最多の10件のノミネーションを受けた。作品賞と視覚効果賞のほか、個人ではマーティン・スコセッシが監督賞、アル・パチーノとジョー・ペシが助演男優賞、スティーブン・ザイリアンが脚本賞にノミネートされている。TechCrunchでも、デニーロを若返られせた驚異の視覚効果について報じている

Netflixからはさらに「マリッジ・ストーリー」が作品賞、個人ではアダム・ドライバーが主演男優賞、スカーレット・ヨハンソンが主演女優賞、ローラ・ダーンが助演女優賞、ノア、バームバックが脚本賞、ランディ・ニューマンが作曲賞という6件のノミネーションを受けている。

このほかNetflixからは、「2人のローマ教皇」「失くした体」「クロース」もノミネートされた。

ただし、今年最多のノミネーションを受けた作品はホアキン・フェニックスとロバート・デニーロの「ジョーカー」 で、作品賞ほか11件だった。 Netflixはゴールデングローブ賞でも多数のノミネーションを受けたわりに実際の受賞は少なかった。「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーン、「ザ・クラウン」のオリヴィア・コールマンの2件にとどまった

昨年 Netflixはアルフォンソ・キュアロン監督の半自伝的映画、「Roma/ローマ」が監督賞を含む10件のノミネーションを得たが、作品賞は伝統的配給方式で公開された「グリーンブック」に行った。

また報道によれば、スティーブン・スピルバーグらの著名映画人がNetflixやそのほかのストリーミングサービスに対し、「オスカーにノミネーションされる資格を得るにはストリーミング公開に先立って最低4週間、劇場で先行公開すること」という条件を課すためにキャンペーンを行ったという。結局、キャンペーンは失敗したが、映画業界にはストリーミングサービスに対する反感が根強く残っていることに注意すべきだろう。

Netflix関連を別にすると、監督賞候補は全員男性で白人以外の現役女優のノミネーションはシンシア・エリボだけだった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterは研究者をより丁重にサポートする戦略

Twitter(ツイッター)は新年に当たって、学術的な研究者が情報にアクセスしたり、APIについてのサポートを得るのが簡単になるよう、専用の新しいハブを用意した。この動きは、研究者コミュニティからのフィードバックに応えるものだと言う。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

新しいページは、「Twitter data for academic research」(学術的研究のためのTwitterデータ)と呼ばれ、ここからアクセスできる。

そこには、開発者アカウントを申請するページへのリンクが含まれている。開発者アカウントからは、TwitterのAPIへのアクセス、提供されるさまざまなAPIの詳細情報、さらに研究者向けのツールが利用可能となる。ツールには、データの統合とアクセス機能、分析、視覚化、インフラストラクチャとホスティング機能などが含まれる。

「この1年間、私たちは学術的な研究コミュニティの多くの人々と協力してきました。それにより、研究者が直面している課題について学ぶことができました。そして、どうしたらTwitterが研究者をもっとサポートして、この公の場での会話について深く理解することを手助けできるのか、についても学びました」と、Twitterは記している。また、「公の会話からさらに簡単に学べるようにしたい」とも考えているのだという。

さらにTwitterは、今年も、研究者に対して「さらなる機能強化とリソースの提供」を約束している。

2020年は、米国にとって重要な選挙の年であり、新たに選挙に干渉してしまうリスクに対する懸念が高まっていることを考えると、このタイミングでTwitterが学者向けに提供する機能を化粧直ししてきたのもうなずける。

Twitterでの会話の流れを追跡する際には、どうしても「ボットか、そうではないか」という判断を迫られることになる。これは、民主主義の健全性に大きな影響を与えるもの。またヨーロッパでは、Twitterは、他のいくつかの大手プラットフォームと並んで、偽情報に対する自発的な行動規範に2018年に署名した。それにより、偽アカウントやオンラインボットに対処することにコミットしたことになる。さらに、研究コミュニティによるプラットフォームデータへの「プライバシー準拠」アクセスを可能にし、オンラインの偽情報を監視する権限を与えることにもなった。

「Twitterでは、学術的な研究者の貢献を高く評価しています。私たちのプラットフォームをよりよく理解し、何がどうなっているのかを把握し、発見と革新によって新たな課題に取り組むのを助けてくれるだけの潜在能力あると見ています」と、研究者向けの新たなランディングページに記している。また、自らのプラットフォームの価値を持ち上げることも忘れずに、「この世に存在するものは、たいていTwitter上で話題になるものです」とも書いている。

もしTwitterが、研究者と、そのニーズに積極的に関与するという約束を守ることができれば、学術的な利用をサポートすることに失敗しているライバルのFacebookを、うまく出し抜くことができるかもしれない。

昨年Facebookは、自らのAPIにおいて、研究者に対する「透明性の洗浄」を行ったとして非難された。そして60人の学者グループは、広告アーカイブAPIを、役立つどころか害になると非難した。

それから数カ月経つが、FacebookはAPIを改善するために、ほとんど何もしていないと報告されている

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

eコマース向けレコメンデーションテックのLily AIが約14億円を調達

Lily AIは、ブランドが顧客の気持ちにぴったりとくるレコメンデーションをできるようにサポートするために深層学習を活用している。1月9日、Canaan PartnersがリードするシリーズAラウンドで1250万ドル(約14億円)を調達したと発表した。既存投資家のNEAUnshackledFernbrook Capitalも本ラウンドに参加した。

Crunchbaseのデータによると、Lily AIがシリーズA以前に調達した資金は数百万ドルにとどまる。

今回のラウンドが注意をひく理由はいくつかある。まず、本ラウンドをリードした投資家Maha Ibrahim(マハ・イブラヒム)氏はThe RealRealシリーズAもリードした。The RealRealも衣服にフォーカスしている会社で、2019年に上場した(イブラヒム氏は、こちらのビデオを含め、時おりTechCrunchにも登場している)。関連する業界の会社のアーリーラウンドをリードする投資家として注目に値する。

Lily AI共同創業者のPurva Gupta(パーヴァ・グプタ)氏と Sowmiya Chocka Nara(ソーミヤ・チョカ・ナラ)氏が構築したテクノロジーはこざっぱりとしている。グプタ氏は以前Eko IndiaUNICEFで、ナラ氏はBoxで働いていた。

TechCrunchが最初にLily AIを取り上げたのは、2017年に同社がNEAから200万ドル(約2億円)を調達したときだった。当時、Lily AIはiOSアプリ、ウェブアプリ、そしてAPIを展開していた。小売が自前のカタログやネット店舗で、「女性のファッションに関する好みをより理解する」のをサポートするAPIだ。

TechCrunchとの電話インタビューでグプタ氏は、ビジネスモデルという観点から2人が構築したテクノロジーは「企業プロダクト向け」だという結論に至った、と述べた。iOSアプリの優先度は徐々に下がり(CEOによると立ち上げから1年もしないうちに)、2018年初めには企業向けのサービスにフォーカスする方向に動いていた。

Lily AIは何をしていて、小売大手に何を売っているのだろうか。それはeコマースをパワーアップさせるものだ。

いかに機能しているか

Lily AI設立時の仮説はグプタ氏の経験からきている。同氏はニューヨークで何百人もの女性に最近何を買ったかを聞いて回った(同社創業に関するストーリーはここで読める)。この試みで、どの客も気分にまかせて買い物していることがわかり、「体についてどう思っているのか」「異なる種類のディテールやアイテムにどう対応しているのか」という疑問が生まれた。

グプタ氏は、そうした要素をオンラインショップに盛り込めたら、おそらく消費者が欲しいものを探し出すのをサポートでき、それと同時に小売の販促もサポートできると考えた。オンラインショッピングするときの「各顧客」の「それぞれの感情的なコンテクスト」を知りたかった同氏によると、これがLily AIの仮説だ。

こうした考えが、シリーズAでの1250万ドル調達につながった。この額はそれまでに調達した総額よりもずっと大きい。

Lily AIのサービスは3つのステップから成る。まずカタログにある商品についてかなり多くの特性を引き出すことができるテックを使う。特性が多岐にわたるほど、商品ついてより多くの情報を得ることができる。グプタ氏はTechCrunchに対する電子メールの中で、Lily AIのアプローチは、スタイルや着心地、着るシーンなど、顧客がアパレルを購入するときに求めていることに基づいてそれぞれのプロダクトのかなり多くの詳細情報をとらえることができると述べた。

そしてLilyはすでにブランドが集めた「細切れ状態の顧客データ」を使う。カタログにあるさまざまな商品のあらゆる特質を顧客が好むかどうか自信を持って予測できるよう、顧客データを商品の特質と照らし合わせる。そこからはレコメンデーションの世界だ。

グプタ氏によると、こうしたプロセスを適用することでLilyの全クライアントのパフォーマンスが「さらに改善する」だけでなく、「あらゆる指標が上向く」ようになる(同社のウェブサイトには、顧客のプロダクト購買の利益率が10倍になると書かれている)。

Lilyのサービス料金はボリュームに応じている。Lilyの売上はかなりのものになるはずだ。Canaanのイブラヒム氏によると、eコマースは年15〜20%成長を続ける見込みで、2020年に全小売消費額は20%ほど伸びる。eコマース消費額は最大4兆ドル(約438兆円)とかなりの額になる。つまりLilyが成長する余地は大きく、これはベンチャー投資家が好ましく思う点だ。

最後に1つ。電話でのインタビューで、プライバシーについてグプタ氏に尋ねた。結局のところLilyはブランドが恩恵を受けられるよう、消費者の好みを他の情報とペアリングさせている。消費者のプライバシーをいかに守るかについて、ぜひとも拡大してほしいと思う興味深いことを同氏は語った。それは、いかに他人の気持ちを汲むか、だ。これは共感として知られるものだが、Lilyは次のように述べている。

顧客がスタイリッシュでいられるよう、そして最高の気分でいられるようにLily AIを立ち上げた。プロダクトの構築や雇用、人材の囲い込み、企業文化の醸成など全ての面での指針に「共感」を盛り込んでいることを誇りに思う。

スタート地点としては悪くない。

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(翻訳:Mizoguchi

InstagramがTikTok対抗のためBoomerangに新エフェクトを加える

TikTokはそのクリエイティブなエフェクトから、無数のミームフォーマットを生み出し、フィルタ加工されたビデオ投稿の王座を巡ってInstagramに挑戦している。Boomerang(ブーメラン)フィルターのリリースから5年近くが経って、Instagramの繰り返しビデオループ作成機能は、ようやく編集オプションを大幅に更新した。

世界中のユーザーは、いまやSlowMo(スローモーション)、Echo(ブラー)、およびDuo(高速リワインド)といった特殊効果をBoomerangに追加したり、長さをトリミングしたりできるようになった。これは、このモバイルで最も人気のあるビデオクリエーション作成ツールにとって、これまでで最大のアップグレードだ。

このエフェクトは、Instagramの面白さを保ち続けるために役立つだろう。何年も使われてきたBoomerangは、いまや多くのユーザーにとって、ストーリーの中で最初の1回をみてスキップしてしまうものになってしまっていた。なぜならそれはとても単調だからだ。新しいビジュアル効果は、人々の注意をさらに数秒間引きつけ、新しいフォーマットのコメディ作成を可能にするだろう。Instagramは、多くの特殊効果を備えて独自のミームフォーマットを生み出したTikTokと競合しようとしているため、これはとても重要だ。

本日から、Instagramのユーザーの方々は、新しいSloMo、Echo、DuoといったBoomerangモードを、Instagram上で共有できるようになります」とFacebookの広報担当者はTechCrunchに語った。「Instagramカメラは、自分を表現し、自分のやっていること、考えていること、感じていることを友人たちと簡単に共有する方法を提供します。Boomerangは最も愛されているカメラフォーマットの1つです。Boomerangを使用して、日常の瞬間を楽しくて予想できないものに変える、クリエイティブな方法を拡大できることを嬉しく思っています」。

新しいBoomerangツールを見つけるには、Instagramで右にスワイプしてストーリーコンポーザーを開き、シャッターセレクターの下で左にスワイプする。Boomerangを撮影した後、画面上部の無限大記号ボタンは、代替エフェクトとビデオトリマーを表示する。モバイル研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏 は、2019年にInstagramの中に新しいBoomerangフィルターとトリマーのプロトタイプを発見していた。

通常、Boomerangは1秒間のサイレントビデオをキャプチャし、それを順方向および逆方向に3回再生して、ビデオとして共有またはダウンロードできる6秒間のループを作成する。以下に紹介するのは、追加できる新しいエフェクトと、Instagramが声明で私に説明した方法だ。

  • SlowMo:Boomerangsの速度を半分にして、各方向に1秒ではなく2秒間再生するようにする。「細かいところがわかるように、Boomerangを遅くします」
  • Echo:モーションブラーエフェクトを追加して、動きのあるものの後ろに半透明の軌跡を表示することで。酔っ払ったりよろけているような効果をみせる。「二重視効果を生み出します」。
  • Duo:ガタガタ動くデジタル化された映像で、クリップを冒頭へと素早く巻き戻す。「Boomerangの速度を上げ下げし、テクスチャー効果を追加します」。
  • Trimming:iPhoneのカメラロールまたはInstagramフィードビデオコンポーザーと同様の操作で、Boomerangを切り取る。「Boomerangの開始時点と終了時点を編集し、長さを変更します」。

こうしたエフェクトは完全なオリジナルというわけではない。Snapchatは、2015年にBoomerangが初めてローンチされてから数日後に、スローモーションと早送りのビデオエフェクトを提供している。一方TikTokも、いくつかのモーションブラーフィルターとピクセル化されたトランジションを提供している。しかしこうしたエフェクトは、InstagramのようにBoomerangsの中だけに限定されているわけではなく、通常のビデオに適用可能であるため、エフェクトを使用してテイク間のカットを隠したり、人々の声で遊んだりできるクリエイティブな柔軟性がある。

TikTokは、これらのツールを用いて、多数の独創的なミームを獲得した。ユーザーは、Echo風の機能を使用して自分自身とハイタッチし、アクション満載の瞬間や大きな音をDuoスタイルのガタガタしたカットで強調し、無限クローンエフェクトで背後にドッペルゲンガーの軍隊を並べることができる。Instagramストーリーズは、その代わりに拡張現実フェイスフィルターとレイアウトなどの、より高機能なツールに焦点を合わせている。

TikTokスクリーンショット

うまくいけば、Instagramの新しい編集機能は、主要なストーリーとビデオ制作者に利用されるようになるだろう。ストーリーの冒頭が退屈だとユーザーはすぐにスキップしてしまうので、動画のトリミング機能は特に有用だろう。

Instagramはこれまで、ソーシャルビデオの世界で長年にわたって支配的な地位を占めてきた。しかし、Snapchatがついに再成長を始め、TikTokも世界的現象になりつつあるため、Instagramはその優位性を維持するためにもう一度戦わなければならない。そろそろ10歳を迎えるのにあたり、もしユーザーに魅力的なコンテンツを素早く作成する手段を与えられないならば、時代遅れのものとなるリスクがある。

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(翻訳:sako)

AndroidのEUにおけるデフォルト検索エンジン指定に批判多数

Googleは反トラストの嫌疑に対して、Androidの「選択画面」での表示をめぐるオークションで勝利した検索エンジンを公開した

EU内で使われるAndroidスマートフォンでは、ユーザーがデバイスをセットアップするときにプロンプトが表示され、4つの検索エンジンの中からどれかを選ぶことになるが、その中には必ずGoogle自身の検索エンジンもある。

2018年の半ばに欧州委員会は、Androidプラットホームの運用をめぐる反トラスト違反でGoogleに50億ドル(約5500億円)の罰金を科した。この嫌疑には、市場で優勢なスマートフォンOSに自社サービスを優先的に載せていることが含まれており、その違反を正すよう命じられたが、やり方はGoogle自身に任されていた。

Googleの回答は、選択画面を作ってその小さなリストからユーザーが検索エンジンを選ぶことだった。初期画面におけるデフォルトの選択は、各地のマーケットシェアで決まるようだった。しかし2019年の夏、Googleは検索エンジンの名前を表示する欄を非公開のオークションにかける、と発表した。

最初となる2020年3月1日から6月30日までのオークションにおける勝者は、プライバシーを保護する検索エンジンDuckDuckGoで、ヨーロッパの31市場すべてで3つの有料表示欄の1つを勝ち取った。また、Info.comもこれらの市場すべてで検索エンジンのオプションとして表示される。Wikipediaによると、Info.comはGoogleを含む既存の複数の検索エンジンやディレクトリ(目録サイト)から検索結果を得るメタ検索エンジンの古参だ。

選択画面に4つ表示できる検索エンジン候補のうち3つは、優先権のあるGoogleとオークションの勝者DuckDuckGとInfo.comになる。そして残る1つは、8つのヨーロッパ市場でフランスのプライバシー保護検索エンジンQwantが表示される。東部の5つの市場ではロシアのYandexが表示される。

ヨーロッパのより小さな市場で表示されるそのほかの検索エンジンは、GMXSeznamGiveroそしてPrivacyWallとなる。

Microsoft(マイクロソフト)のBingという大物検索エンジンは、意外にもイギリス市場だけで選択画面に表示される。

広告収入のすべてを植樹活動に寄付する検索エンジンEcosiaは、今回のリストにないが、一部の選択画面には登場する。ただし同社はGoogleの「載りたけりゃ金を払え」主義に反対して、オークションをボイコットした。

EcosiaのCEOであるChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏は、BBCの取材に対して「このオークションは2018年7月の欧州委員会の規則の精神に反していると私は思う。インターネットのユーザーには検索エンジンを自由に選べる権利があり、オークションというGoogleの答えは、自由で開放的で共同的なインターネットを利用できるはずの我々の権利を侮辱している。Android上で誰がデフォルトの地位を持つのか、それを決める権利がなぜGoogleにあると言えるのか?」と語っている。

Googleのやり方が批判されているのは、検索エンジンだけではない。QwantとDuckDuckGoはともに、2019年にGoogleがオークションという有料制への移行を発表した直後に、懸念を表明していた。

オークションに勝利して、選択画面における全市場を対象とする表示欄を得たにも関わらずDuckDuckGoは、表示されるために金を払うという方式に反対している。

「検索エンジンを選ぶメニューは、正しく設計されていればユーザーの選択肢を有意義に増やす優れた方法だと考えている。我々の独自調査もこれを裏打ちしており、ヨーロッパのAndroidユーザーが自分のスマートフォンの設定をする際、容易にDuckDuckGoをデフォルトの検索エンジンに指定できることを期待している。しかしながら、それでもなお弊社は、わずか4つ(実質3つ)の表示欄をオークションにかける有料制は正しくないと考えている。なぜならば、この方法ではユーザーは自分たちにふさわしいすべての選択肢に触れることができず、またこの競争がGoogleの利益になるからだ」とDuckDuckGoは表明している。

一方、Qwantのスポークスパーソンは次のように語っている。「競争者全員がオープンなやり方でモバイル市場へのアクセスを許されることを、Qwantは繰り返し求めてきた。デフォルトの検索エンジンとしてユーザーに選ばれる機会も、すべて平等に与えられるべきである。検索エンジンが金を払ってGoogleに代わるものとして選ばれる機会を得るこの方式は、公正でないと我々は考えている。これは、Androidのモバイルシステムにおける、Googleの支配的地位の濫用だ。しかしながら、モバイル市場はどんな検索エンジンにとっても重要であり、この入札方式に参加せざるをえず、一部の市場のAndroidユーザーにQwantをデフォルトの検索エンジンとして指定する機会が与えられたことにはついてはほっとしている。すべての国のすべての競合製品に、同様の機会が与えられなければならない。そしてその機会の獲得は、彼らの価値によるべきであり、Googleに金を払って選択画面の表示欄を争う能力によるものであってはならない」

この記事はQwantからの新たなコメントによりアップデートされた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インド最高裁がカシミールのインターネット遮断は不当で「権力の乱用」と裁定

インドの最高裁は2020年1月10日、カシミールにおける無期限のインターネット遮断は不当であり、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相率いる政府による「権力の乱用」と裁定した。

同国は2019年8月、イスラム教徒が大半を占めるカシミールの自治を取り消し、その後インターネットアクセスを遮断した。政府がセキュリティのためとして強行しているこのインターネット遮断は、あらゆる民主主義の中で最長となる。今回の最高裁による裁定は、インターネット接続を回復させるものではない。

最高裁は裁定の中で、インターネットの無期限の遮断はインドの通信規則に反していると指摘している。N. V. Ramana(N. V. ラマナ)判事はまた、カシミール地元当局に1週間以内にすべての制限を見直すよう命じた。

また最高裁は、政府がすべてのインターネット遮断命令をつまびらかにすべきとした。不当な扱いを受けている人々がそうした命令に抗うことができるよう書面で公開すべきとしている。

インド政府はカシミールで携帯電話の通信も遮断したが、現在これは大半のところで回復している。

活動家でニュースメディアのMediaNamaの創業者であるNikhil Pahwa(ニクヒル・パーワ)氏は、最高裁の裁定は下級裁判所に手本を示すものとして「意義深い」と述べた。

ニューデリーを拠点とするデジタル支持団体「Software Law and Freedom Centre」が運営するサービスInternet Shutdownsによると、インドでは過去9年間で381件のインターネット遮断が報告されている。そのうちの319件は2017年以降のものだ。

インターネットが利用できない状態は、事業にもかなり大きな影響を及ぼしてきた。インド国際経済関係研究所(ICRIER)の2018年に行われた調査によると、インターネット遮断でインド経済は30億4000万ドル(約3330億円)の損失を被った。業界団体のインド携帯通信協会(COAI)は2019年12月末に発表したレポートで、サービスを展開する22エリアでの遮断により通信会社は1日あたり800万ドル(約8億8000万円)の損失となっていると推定している。

画像クレジット: Saqib Majeed / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

関連記事:インド政府が再びインターネットを遮断、今回はアッサム州とメガラヤ州

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(翻訳:Mizoguchi

世界一快適なスニーカーAllbirdsが日本上陸、革新的な素材のオープンソース化で目指す“サステナブルな社会”

右がAllbirdsでPresident of Internationalを務めるエリック・ハスケル氏

タイム誌が「世界一快適な履き心地」と評したスニーカーのAllbirdsが日本に上陸。1月10日、原宿に日本1号店となるコンセプトストアがオープンする。

2016年創業のAllbirdsは、元サッカーニュージーランド代表のティム・ブラウン氏とバイオテクノロジーの専門家であるジョーイ・ズウィリンガー氏が立ち上げたスタートアップ。同社のスニーカーは、今ではシリコンバレーの起業家や投資家たちを含むテック業界の関係者を中心に、幅広い層に愛されている。

Allbirds原宿

履き心地の良さや、丸洗い可能なことによる手入れの簡単さも人気の秘訣だが、Allbirdsのスニーカーの最大の特徴は、環境に配慮した素材を使用していることだ。同社のスニーカーはメリノウールやユーカリの繊維をアッパーに採用。サトウキビ由来の素材をソールに、インソールにはトウゴマオイル由来の素材を採用し、靴紐はリサイクルされたペットボトルから作られている。また、同社は2019年8月、同社が木の繊維とウールを組み合わせて生み出したTrino(トリノ)という新しい糸を使用した靴下をリリース。今後もアパレル関連商品のラインナップを増やしていく予定だ。

そんなAllbirdsでPresident of Internationalを務めるエリック・ハスケル氏は同社を「マテリアル・イノベーション(素材革命)カンパニー」と形容する。

「マテリアル・イノベーション・カンパニーとして、我々は環境に優しいサステナブルな天然素材を使用することが重要だと考えている。そして我々は、開発した素材に関する知的財産を独占するつもりはない」(ハスケル氏)

ハスケル氏いわく、スニーカーの部位で最も環境に害を与えているのは、石油由来の素材で作られたソール。そのため、Allbirdsでは、同社が開発したトウゴマオイル由来の素材を使用したソールに関する情報をオープンソース化し、他企業と共有。開発に3年ほど掛かり、R&Dに多額を投資したのにも関わらずだ。今では100ブランドほどがAllbirdsの技術を利用し開発に活かしている。

また、模造品を販売したアマゾンにについて、ハスケル氏は「(アマゾンは)我々のスニーカーのデザインではなく、環境に対する取り組みを真似するべきだ」と話した。

Fast Companyによると、AllbirdsはシリーズDラウンドでクローズまでに最大7500万ドル(約82億円)ほどを調達、累計調達額は約1億5000万ドル(約164億円)となる予定だ。

Allbirdsにとって原宿店は15店舗目。同社は2020年中に20店舗をオープンさせる見通しだ。また、2020年には新プロダクトの発売も予定されている。新プロダクトを開発する上で、同社にとって「ユーザーの声」は欠かせない。昨年はイギリスのユーザーが求めた「防水仕様」のスニーカーをリリースしたが、今後は中国や日本のユーザーの声についても、同社製品の「原案」になっていくだろう。

関連記事:2020年1月10日に東京・原宿オープンするAllbirdsのコンセプトストアの場所はココ