さまざまな保険を1つのアプリで簡単に管理、契約変更できる仏インシュアテックLeocareが大型資金調達を実施

フランスの保険会社Leocare(レオケア)は、Eight Roads(エイト・ロード)を中心としたシリーズBの資金調達を行った。全体で1億1600万ドル(約133億1300万円)を調達したことになる。このラウンドは、エクイティとデットのラウンドで、つまりこの金額の一部はキャッシュ・フォー・エクイティの取引で、残りはクレジットラインということになる。

同社は、シリーズAの調達から1年も経たないうちに、現地時間11月23日のシリーズBの調達を行っている。また、Felix Capital(フェリックス・キャピタル)、Ventech(ベンテック)、Daphni(ダフニ)などの既存の投資家は、今回のシリーズBでさらに資金を投入している。

Leocareは、顧客が必要とするすべての保険を1つの屋根の下で提供したいと考えている。このスタートアップ企業は、家、クルマ、バイク、スマートフォンに保険を提供しており、消費者がモバイルアプリを使って新しい保険商品に加入したいと考えていると踏んでいる。なぜなら、その方が便利だし、新しい機能が増えるからだ。

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例えば、同社は「TakeCare」という新機能を開発中だ。共同創業者でCEOのChristophe Dandois (クリストフ・ダンドワ)氏は「これはWaze(ウェイズ)のようなもので、危険度の高い地域に入ったときに教えてくれるものです」と話してくれた。

しかし、TakeCareはスピード違反取り締まり区間を警告するものではない。その代わりに、Leocareアプリは、その地域でよく交通事故に遭う人がいるかどうかを教えてくれる。同社はこの機能のために、交通安全のオープンデータを活用している。同様に、もし隣人が週末に自分のクルマを使いたい場合、数回のタップで2人目のドライバーを追加し、月曜日には削除することができる。

また同社は、意味のあるところで、データを利用して価格を調整している。例えば、Leocareでは、ユーザーがどのチャンネルを利用して登録したかを追跡したり、ユーザーが使用しているスマートフォンのモデルを調べたり、セッションの時間をチェックしたりしている。つまり、動的な価格設定が可能なのだ。

また、保険に加入したいときも、やはりモバイルアプリを使えばいい。電話で連絡することもできるが、ほとんどの顧客がすでにアプリのほうを利用している。

長期的なビジョンは非常に明確で、Leocareは、私たちが所有するすべてのモノと、定期的に行うすべての事をカバーする単一の契約を作りたいと考えているのだ。利用者が必要なときにいつでも保険のオプションを微調整できるようにするべきだ。同社は、自転車保険のような商品も追加したいと考えている。旅行保険のような単発の保険商品でない限り、基本的にはすべてLeocareでカバーできるかもしれない。

また、多くの人たちが同じものに二重にお金を払ってしまっているため、すべてを集約することそのものに意味がある。例えば、家の保険は通常、盗難に備えるものだ。自宅での盗難はLeocareの家財保険でカバーされているので、自転車保険では家の外での盗難をカバーできるわけだ。

同社は現在、複数の保険会社と提携する総代理店として活動しており、保険商品を自社ブランドで販売している。

「今回の資金調達では、同じモデルを踏襲しつつ、独自のリスクキャリアを使用する機能を追加する予定です」とダンドワ氏は述べている。保険商品によっては、Leocareが最初から最後まで保険商品を管理することになるかもしれない。

新しい保険商品に加えて、同社は新しい市場にも進出したいと考えており、まずはスペインなどの南ヨーロッパに進出したいと考えている。現在、Leocareのアクティブな顧客数は6万5000人で、2022年は1億ユーロ(約129億円)の収益を目指している。

画像クレジット:Leocare

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

クリエイター主導のマーケットプレイス「LTK」が約345億円調達、130人以上のインフルエンサーが億万長者に

LTKを立ち上げた2011年当時、「インフルエンサーマーケティング」や「クリエイターエコノミー」といった言葉はまだ一般的ではなかったが、ファッションブロガーのAmber Venz Box(アンバー・ヴェンツ・ボックス)氏は、今日のインターネットパーソナリティが直面しているのと同じような、無給で記事を書き、写真を撮り、動画を編集し、フォロワーを増やすことを、どうやって仕事にするかという苦悩に直面していた。

アンバー・ヴェンズ・ボックス氏がLTKを立ち上げたのは、自分が薦めた商品を読者が購入した場合に手数料を得る方法を模索していたときだった。それから10年経った現在、このブロガーから転身した彼女の企業は、20億ドル(約2303億円)規模に成長している。以前は。RewardStyleやLIKEtoKNOW.itという名前だったLTKは、ソーシャルメディアのインフルエンサーが自分のショッパブルなポストを、ウェブとアプリの両方で中央のマーケットプレイスに掲載できるようにする。また、ブランドはこのプラットフォームを利用して、今後のマーケティングキャンペーンのためのクリエイターパートナーとつながることができる。LTKは、Softbank Vision Fundから3億ドル(約345億円)を調達し、この評価額に達した。

LTKは、Instagramで年間30億ドル(約3454億円)以上を消費するクリエイター、ブランド、買い物客を対象としている。LTKのインターフェイスは、Instagram Shopを彷彿とさせるもので、クリエイターがお気に入りの商品を選んで投稿し、それをスクロールして共有する。LTKは、Instagramのeコマースへの転身を先取りしていた。LTKは、長年にわたって利益を上げてきたが、今回の資金調達により、テキサス州を拠点とする同社を国際的に成長させるために、組織全体での採用を計画している。現在、LTKには350名の国際的なスタッフがおり、5000の小売業者と100万以上のブランドと取引をしている。

この投資にともなってLTKの取締役会に加わることになるSoftBank Investment Advisersの投資ディレクターであるAngela Du(アンジェラ・デュ)氏は次のように述べている。「LTKは、人々が自分の趣味や情熱で生計を立てられるようにすることで、起業の概念を再構築する手助けをしていると信じています。LTKの革新的なマーケティングプラットフォームは、これらのクリエイターがソーシャルユニバース上でパーソナルブランドを構築し、フォロワーと長期的かつ真正な関係を築くことを可能にします」。

LTKの成功と成長は、自分がフォローしている人からのオススメで買い物をしたいという消費者の関心が高まっていることを改めて示している。ヴェンツ・ボックス氏がForbesに語ったところによると、130人以上のインフルエンサーがLTKを通じ、自らの力で億万長者になったという。女性を中心としたこれらのクリエイターは、売上の10〜25%を得ることができる。プラットフォームに参加しているブランドや小売業者は、独自に手数料率を設定している。ブランドはクリエイターが販売を促進することで売上を得て、クリエイターはそれに加えてコミッションを得る。LTKはこれらの売上から取引手数料を得ています。

画像クレジット:LTK

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Spotify、ネットフリックスの関連サントラ音楽やポッドキャストを集めた「Netflix Hub」を開始

Netflix(ネットフリックス)のお気に入りの番組のサウンドトラックを探している?拡大されたNetflixとSpotify(スポティファイ)のパートナーシップのおかげで、より簡単に探すことができるようになった。Netflixは米国時間11月23日、アプリ上で、人気番組や映画の公式サウンドトラック、プレイリスト、ポッドキャストを見つけることができる「Netflix Hub(ネットフリックスハブ)」を導入した。

Netflix Hubでは「ストレンジャー・シングス 未知の世界」「ペーパー・ハウス」「ナルコス:メキシコ編」「アウターバンクス」「イカゲーム」「チック、チック…ブーン!」「ブリジャートン家」「カウボーイビバップ」「ヴァージンリバー」「マイ・ブロック」などのサウンドトラックやプレイリストを提供している。

また「Okay, Now Listen」「Netflix Is A Daily Joke」「10/10 Would Recommend」「You Can’t Make This Up」などのNetflixに関連したポッドキャストや「The Crown:The Official Podcast」「Behind the Scenes:Shadow and Bone」などの人気番組を掘り下げたものがある。

他にも、Jay-Zが主導したサウンドトラック制作の舞台裏をファンに提供するNetflixの西部劇「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野」の拡張版アルバムなども、音楽やファンの新しい体験の一部となる。また「ペーパー・ハウス」パート5ボリューム2のコンテンツ・デスティネーションや、BuzzFeedのクイズのような、自分が「ペーパー・ハウス」のキャラクターの誰になるかを当てるゲームができるキャラクターマッチング経験などもある。

画像クレジット:Spotify/Netflix

このHubは、SpotifyとNetflixの既存のパートナーシップの上に成り立っているとSpotifyはTechCrunchに語った。両社はこれまでに多くの公式プレイリストで協力してきた。

Netflixは、Spotifyのアプリでハブを持つためのアクセス権を購入していない。つまり、これは広告商品ではなく、お金のやり取りもない。そのかわり、両社は、重なり合うファン層のために協力することに可能性を感じているのだ。

Spotifyのアプリにテーマ別の「ハブ」を導入する大手企業は、Netflixだけではない。最近では、SpotifyとPeleton(ペロトン)が同様の提携を発表し、Pelotonのインストラクターによるプレイリストを掲載した「Curated by Peloton(キュレイティッド・バイ・ペロトン)」ワークアウトハブを導入した。また、アプリ以外では、2021年初めにSpotifyは、アーティストのGIFを使ってユーザーに音楽を紹介するため、GIPHY(ギフィー)と提携した。

Netflixのコンテンツの一部をSpotify専用にすることは、Netflixにとって意味のあることかもしれない。というのも、音楽やポッドキャストを提供しているもう1つの大企業Apple(Apple MusicおよびApple Podcasts)は、Apple TV+ストリーミングサービスでNetflixの競合相手となっているからだ。Spotifyは、少なくとも現時点では、Netflixの中核市場に進出していないため、パートナーとして適していると言える。

Spotifyは、今後数カ月のうちに、より多くの専用コンテンツをNetflix Hubに展開する予定だという。

Netflix Hubは、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国、アイルランド、インドのフリーおよびプレミアムのすべてのユーザーが利用できる。

画像クレジット:Spotify/Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

イタリアがアマゾンとアップルに約264億円の制裁金、Beats製品の再販で

Amazon(アマゾン)とApple(アップル)は、AmazonのイタリアのeコマースマーケットプレイスでのAppleおよび(アップル所有の)Beats製品の再販に関する調査の結果、イタリアの反トラスト当局から総額約2億3000万ドル(約264億円)の制裁金を科せられた。

当局によると、両社は共謀し、AmazonイタリアのマーケットプレイスでAppleおよびBeatsの製品を購入する消費者が受けられる割引の水準が低下した疑いがあるとのことだ。

また、再販業者に対する制限を廃止するよう両社に命じた。

AGCM(イタリア競争・市場保護委員会)は現地時間11月23日、制裁措置を発表し、調査の結果、Amazon.itにおけるBeats製品の一部の「正当な」再販業者を阻止するために、2社間で制限協定があったことが判明したと述べた。

制裁金の内訳は、Amazonが1億3450万ユーロ(約174億円)、Appleが6870万ユーロ(約89億円)となっている。

問題の協定は、2018年10月に2社間で締結された。

AGCMのプレスリリースによると、この協定には、AppleおよびBeatsの製品の公式および非公式の再販業者がAmazon.itを使用することを禁止する多くの契約条項が含まれていることがわかった。Amazon.itでのAppleおよびBeatsの製品の販売をAmazonと、当局が「個別に差別的な方法で選ばれた」とするいくつかの再販業者に限定するという制限があり、これは欧州連合の機能に関する条約第101条に違反する。

「調査の結果、小売業者の数に純粋に量的な制限を設け、Amazonと差別的な方法で選ばれた特定の小売業者のみがAmazon.it上で販売できるようにする意図があることが判明した」と当局はリリースに記している(TechCrunchはイタリア語をGoogle翻訳で翻訳した)。

「この協定条件は、小売業者が地理的に差別されているため、国境を越えた販売も制限している。協定の制限は、サードパーティがAmazon.itで提供する割引の水準に影響を与え、その割引の度合いを縮小させた」。

当局は、Amazonのローカルマーケットプレイスが、同国における家電製品購入の少なくとも70%を占めており、そのうち「少なくとも40%は、Amazonを仲介プラットフォームとして利用している小売業者だ」と指摘している。

「それゆえ、競争ルールの適用は、特に今日の状況において、商業活動をする上でますます重要な場所としてマーケットプレイスを利用するすべての小売業者にとって、競争を制限する差別的行為を避け、公平な競争条件を確保することが不可欠だと思われる」と付け加えている。

「こうした観点から、当局の決定は、EU司法裁判所の判決に沿って、競争規則に適合するためには、販売システムは差別的ではなく、すべての潜在的な再販業者に等しく適用される質的基準に基づく必要性を認めている」。

さらにイタリア当局は、Amazon・Apple間の協定に関する調査を踏まえ、ドイツとスペインの競争当局が同様の手続きを開始したことを指摘している。

スペインのComisión National de los Mercados y la Competencia(国家公正競争市場委員会)は今夏、AmazonとAppleに対する懲戒手続きの可能性を発表し、独自の調査を開始した(調査完了までに最大18カ月かかるとされている)。

一方、2018年には、ドイツのBundeskartellamt(連邦カルテル庁)が、Amazonのマーケットプレイス販売者からの苦情を受けて、同社に対する不正行為の手続きを開始した。Amazonが販売者向けの一般取引条件を修正し、競争上の懸念を軽減するための追加変更を約束したことで、翌年、2019年には手続きを終了した。

直近では、デジタルプラットフォームに関するドイツの競争法が大幅に改正されたことを受けて、連邦カルテル庁が両社の市場支配力の審査手続きを開始した。同法では、両企業が「市場間競争にとって極めて重要である」ことが確認された場合、連邦カルテル庁は、市場濫用のリスクを抑制するために、AmazonとAppleがドイツ国内で事業を行う際に積極的に条件を課す事前措置を適用することができる。

今回のAGCMの決定について、AmazonとAppleにコメントを求めた。

本稿執筆時点ではAppleからの回答はなかったが、Amazonは控訴することを明らかにし、広報担当者は以下の声明を発表した。

「当社は、イタリア競争当局(ICA)の決定に強く反対しており、控訴する予定です。提案された罰金は不釣り合いで不当なものです。

当社のビジネスモデルは販売者の成功に依存しているため、販売者を当社のストアから排除することでAmazonが利益を得ているというICAの指摘は受け入れられません。協定の結果、イタリアの顧客は当社のストアでAppleおよびBeatsの最新の製品を見つけることができ、より良い価格、そしてより迅速な配送をともなう、2倍以上に増えたカタログの恩恵を受けています」

また、Amazonは、Appleとの協定は消費者にとって有益だと主張し、マーケットプレイスで購入できるApple製品の量が増えたことや、一部のApple製品に割引が適用された個別の事例を紹介した。

Amazonは、同社のマーケットプレイスが世界の小売市場の1%にも満たず、イタリアを含む同社が事業を展開しているすべての国に、より規模の大きい小売業者が存在すると述べ、いかなる市場支配も否定しようとしている。また、企業はApple製品を販売するために、オンラインと店頭の両方で複数のチャネルを持っていると主張している。

Amazonのマーケットプレイスにおける売上の約60%はサードパーティの販売者が占めており、その中にはAmazonで販売しているイタリアの中小企業約1万8000社も含まれる、とも付け加えた。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

良いことも悪いことも人のリアルな経験が反映されるソーシャルネットワークを目指すInpathy

ソーシャルメディアがメンタルヘルス、特に10代の若者のメンタルヘルスに与える悪影響については、数え切れないほどの研究がなされている。

しかし、私たちの多くはSNSをやめることができない。たとえそれが自分自身に悪影響であっても。

Facebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)に投稿されるハイライト映像と自分の人生を常に比較することは、ばかばかしいほどに偏っている。というのも、これらのプラットフォームのユーザーの大半は、自分のありのままの写真を投稿したり、悲しいニュースや悪いニュースを他人と共有したりしないからだ。

そこに、新しい「健康な」タイプのソーシャルネットワークInpathy(インパシー)が登場した。Ziarekenya Smith(ジアレケンヤ・スミス)氏は「ソーシャルメディアを透明化し、気分を正常化し、人間の経験を再現する」ことで、人々のソーシャルメディアの利用方法に革命を起こすというミッションを掲げ、2015年に同社を設立した。最終的な目標は、ソーシャルネットワークの世界により多くのウェルネスをもたらすことだ。

スミス氏は、デジタルアートとデザインの分野でキャリアをスタートさせた。初期の成功にもかかわらず、彼はその仕事が期待していたほど個人的に充実しているとは感じなかった。不安や抑うつの症状を感じるようになり、その気持ちをソーシャルメディアで表現したいと思うようになった。しかし、彼はそれを止めた。

「社会の不文律では、完璧でなければ、人生について話してはいけないことになっています」。とスミス氏は振り返る。「だから、私は自分の気持ちを胸にしまっておいたのです。しかし、私は自分自身に問いかけました。なぜそうなのか?」。

デトロイトを拠点とするInpathyのコンセプトは、彼が感じた痛みと葛藤、そして、現在のソーシャルメディアの構造は、長期的には持続可能ではないというスミス氏の信念から生まれた。

「お金を稼ぐにはいいけれど、本当の意味での人間の幸福には向いていません」スミス氏はTechCrunchの取材に対し語った。「私の目には、その核となっている部分を修正しなければならないと思えたのです」。

Inpathyは、完璧さだけではなく、よりバランスのとれた人生経験を提供することを目指している。良いことも、そうでないことも、悪いことも、自分の生の感情を共有する場を提供することを目指している。

「誰にでも浮き沈みはあります。その浮き沈みのタイムラインを見れば、その人の成長をより感謝することができます」とスミス氏はいう。「私たちはみんな、負け犬の物語が好きなのです」。

Inpathyのユーザーは、自分のストーリーやコンテンツを写真や文字ではなく、音声や動画で共有し、スミス氏が望む没入感のある体験を提供する。

Inpathyは、ユーザーに気分を尋ね、その気分の尺度が「怒り」「悲しみ」「喜び」といった気分でフィルターをかけられる他のユーザーにも見えるようになっている。

「私たちは感情を正常化し、透明なシステムを作りたいのです」とスミス氏はいう。「私たちが同じ土俵に立つためには、透明でなければなりません。そうすると、人々は『これは私だけのことではない。これが普通なんだ』と気づくことができます」。

フォローボタンや追加ボタンはない。Inpathyでは双方向のコミュニケーションが可能で、ユーザーは「友達」になることができる。

「私たちはロボットではありません。お金持ちだろうが、貧乏だろうが、地位に関係なく喜びや苦しみを感じるものです」とスミス氏は語る。「これが人間というものです。Inpathyは、人間であることがOKだと示すのです」。

このサイトでは、荒らしやいじめに対しては厳しく、それらを生涯にわたって禁止している。誰かがInpathyで何かを共有する勇気を出した後に、荒らしにあって、再び心を開くのが怖くなるということを考えて、この方針が決まった。

画像クレジット:Inpathy

今のところ、スミス氏はクラウドファンディングで資金を調達し、適切な投資家を見つけるまでは、基本的に自力で運営しています。

「私たちは、投資家に好印象を与えるためだけに機能を追加しなければならないような立場にはなりたくありません」と彼はいう。「ビジョンは非常に重要です」。

「今、ソーシャルメディアの状況を見てみると、テレビはYouTube(ユーチューブ)、短編動画はTikTok(ティックトック)、写真はInstagram(インスタグラム)、ニュースやトレンドはTwitter(ツイッター)、エンターテインメントはFacebook(フェイスブック)、ビジネスはLinkedIn(リンクドイン)、瞑想はHeadspace(ヘッドスペース)、デートはTinder(ティンダー)を使っています」とスミス氏は付け加える。「しかし、生の体験やただ自分自身でいるために、どこに行きますか?」。

スミス氏が思うようにいけば、Inpathyに。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

画像クレジット:Founder Ziarekenya Smith / Inpathy

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Yuta Kaminishi)

Netflixがストレンジャー・シングスやマーベル作品などの視覚効果を担当した独Scanline VFXを買収

Netflixが、ミュンヘンの視覚効果スタジオScanline VFXを買収た。買収の完了は規制当局の承認とその他の条件により2022年の第1四半期を予定しているが、買収の価額は公表されていない。Scanlineはこれまで「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」や「Cowboy Bebop(カウボーイビバップ)」など、Netflixのオリジナル作品をいくつか手がけている。また同スタジオはMarvelとDCの多くの作品にも特殊効果を提供している。

1989年に創業されたScanlineは、バンクーバーとモントリオール、ロサンゼルス、ロンドン、ミュンヘン、シュトゥットガルトにオフィスを持つ。同社は「Stranger Things 4」「Blood Red Sky(ブラッド・レッド・スカイ)」「Slumberland」「The Gray Man(グレイマン)」「The Adam Project(アダム&アダム)」そして「 Don’t Look Up(ドント・ルック・アップ)」といったNetflix作品を手がけている。Netflix以外では同社は「Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)」や「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」「Black Panther(ブラックパンサー)」「Captain Marvel(キャプテン・マーベル)」「Iron Man 3(アイアンマン3)」「キャプテン・アメリカ / ザ・ウィンター・ソルジャー」「Zack Snyder’s Justice League(ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット)」「Joker(ジョーカー)」などなどに特殊効果を提供している。

今後のプロジェクトとしては、Scanlineは「The Batman(ザ・バットマン-)」「The Flash(フラッシュ)」「Aquaman and the Lost Kingdom(アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム)」「Black Adam(ブラックアダム)」「Moonfall(ムーンフォール)」などに関わっている。Netflixによると、今後もScanlineは独立の企業体を維持し、今のクライアントの仕事も行っていく。

Netflixのスタジオ運用担当副社長Amy Reinhard(エイミー・ラインハルト)氏によると、Scanlineはその複雑でフォトリアリスティックな効果と、バーチャルプロダクションにおける専門的技能で知られている。ラインハルト氏のブログ記事によると、NetflixはScanlineのパイプラインとインフラストラクチャとワークフォースに投資して、ScanlineのEyeline Studiosがバーチャルプロダクションにおいて「視覚が為しうることの限界を押し広げようとしている営為を継続してサポートしていく」という。

ラインハルト氏はさらに続けて「弊社のVFXのニーズに関しては世界中の他の多くのスタジオにも依存を続け、弊社のクリエイターたちが世界でもっとも革新的な技術にアクセスできる状態を維持したい。そしてそれにより、弊社の会員のみなさまに、最先端のすばらしい物語をこれからも引き続きお届けしたい」と述べている。

NetflixによるScanlineの買収は、このストリーミング大手がますますプロダクションの内製化に力を入れようとしている間に行われた。2018年にNetflixはAlbuquerque Studiosを買収し、2020年は自社プロダクションへの支出をさらに増やして、すでに巨大なスタジオの300エーカーの増築に10億ドル(約1148億円)を投資すると発表した。その投資とさらに1億5000万ドル(約172億円)の資本支出により、新しいステージを10、ポストプロダクションサービス、大道具等工場、野外撮影所、訓練施設、衣装部、食堂喫茶などが増設される。

そして同社は最近では、ゲームスタジオまで買い上げた。それは9月に買収したNight School Studioだ。このインディーのゲームデベロッパーは「Oxenfree」のような物語性のあるゲームで知られ、Disney Interactiveの元シニアゲームデザイナーSean Krankel(ショーン・クランケル)氏と、Telltale GamesのリードライターだったAdam Hines(アダム・ハインズAdamuhainzu)氏により2014年に創業された。

画像クレジット:Sam Wasson/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグル、EUの違約金3145億円のGoogleショッピング独占禁止決定を覆せず

Google(グーグル)の購買比較サービス(Googleショッピング)に対する2017年のEU反トラスト事実認定における異議申し立ては、欧州連合の一般裁判所により大部分が棄却された。

これは欧州委員会の反トラスト部門にとって重要な勝利であり、近年、同部門はGoogleに対する複数の決定を含め、このビッグテックに対する強制執行を次々と行ってきた。しかし、2021年の夏はApple(アップル)への追徴課税に対して大きく敗訴していた

米国時間11月10日、欧州の一般裁判所は、製品比較検索サービスであるGoogleショッピングに関連して、競争の濫用に対してGoogleおよびその親会社のAlphabet (アルファベット)に4年以上前に課せられた24億2000万ユーロ(約3145億円)の違約金を支持した。

GoogleがGoogleショッピングに対するさらなる上訴を求めるかどうかは定かではない。

広報担当者は質問に対するコメントを避けた。2017年に、委員会はGoogleがその自社の名を冠した購買比較サービスを派手に目立たせる一方で、同時にオーガニック検索結果でライバルの順位を下げることにより、検索の支配的立場を濫用していることに気づいた。

Googleとその親会社のアルファベットは判決に対して上訴したが、一般裁判所は請求のほとんどを取り下げた。認可を受けた行動が反競争的であり、Googleがより良い結果のために役立つよりも、その比較購買サービスを競合サービスより優遇したことに同意した。

判決に関するプレスリリースで、裁判所はもう1つの問題ある戦術についても読み上げた。「Googleはその後、競合の比較購買サービスが有料で『ボックス』内に表示させることでその結果表示の質を高められるようにしたが、一般裁判所はそのサービスがビジネスモデルを変えてGoogleの直接の競合となることをやめ、代わりにその顧客になってその比較購買サービスに依存していると述べた」。

さらなる事実認定では、裁判所はGoogleの反競争的行為がその競合にとって有害な影響があることに同意した。そして比較購買グサービスの競合がその市場の販売者プラットフォームの存在により深刻な状態のままだというGoogleの主張を受け入れず、それらのプラットフォームが同じマーケットにないとの委員会の評価に同意した。

Googleにとってせめてもの救いは、委員会がテックジャイアントの行為が一般的な検索サービスのマーケットに(可能性も含め)反競争的影響を及ぼしたことを確証しなかったことに裁判所が気づいたことだ。そのマーケットだけに関して違反の発見を取り消した。

しかし、もう一度いうが、比較購買に特化した検索サービスの委員会の市場分析(およびその中におけるGoogleの反競争的活動)を支持した。

また、裁判所は、Googleのその行為が「検索サービスの質を向上させた」ため客観的に正当化されるという主張を退けた。

そして平等な扱いの提供を妨げる技術的制約についてのGoogleの請求を棄却した。

「Googleは競争に対するその負の影響を相殺する慣行に結び付いた効率の向上を示さなかった」。プレスリリースにはそう付け加えられた。

委員会により課された制裁金のレベルを支持するときに、裁判所はそれが取り消した判定の一部が罰金額に影響しないと述べ(「委員会が罰金の基準額を判断するためにそのマーケットでの販売額を考慮しなかったため」)、また行為が不注意によるものではなく意図的であるという事実を考慮し「特に違反の深刻な性質」として説明されるものを強調した。

委員会は、判定が「Googleの行為が違法で、それがマーケットに必要な法的明確性を提供する明確なメッセージを伝える」ものであると述べた。

「比較購買は、eコマースがどんどん小売業者や消費者にとって重要になってきた時に消費者に重要なサービスを提供します。デジタルサービスが私達の社会に偏在している今、消費者は情報に基づいた、偏見のない選択を行うためにそれらに依拠できるようになるべきだ」。と、委員会は声明で述べた。

委員会は「すべてのツールを自由に」続けて使用し「企業やユーザーがエンドユーザーやデジタルサービスにアクセスするために利用する大きなデジタルプラットフォームの役割に対応する」と付け加え、現在欧州議会および理事会により議論がなされており「公平性と競争可能性 」の確保を目的としたそのデジタルマーケット法規制の提案を指摘した。

その独自の声明内で判決に反応し、Googleの広報担当者は書面でいかなる重要性も軽視しようとした。

ショッピング広告は常に人が求める製品を迅速かつ簡単に探すのを助け、商売人が潜在顧客にリーチするのを助けてましきた。今回の判定は、非常に特定の事実に関連するものであり、念入りに読むと、2017年に欧州委員会の判定に準拠するよう変更を行いました。当社のやり方は3年以上うまく機能しており、700を超える比較購買サービスで何十億回のクリックを生み出しています。

しかしGoogleのローカル検索分野におけるライバルの1社、Yelp(イェルプ)は判定に付けこみ「他のバーティカルにおける行為の種類違法性の迅速な評価」のための枠組みを確立したと述べ、委員会にローカル検索に関してGoogleに対し措置を取るよう求めています。

「Yelpは欧州の一般裁判所による今日の判決、つまりGoogleがバーティカルの検索サービスの競合を消すために一般的な検索における支配を濫用したことをいかなる効率に関する正当な理由なく違反と認定したことを歓迎している」とパブリックポリシーのSVP、Luther Lowe(ルーサー・ロー)氏は声明で述べた。

「ピュロスの勝利を受け入れるよりも、欧州委員会は今こそ望ましい前例を受け入れ、ローカル検索市場における同時濫用でGoogleを告訴し、Yelpのようなサービスが実力で競争できるようにしなければなりません」。彼は続けた。「現在覚えておくことは難しいかもしれせんが、Googleとその同種のビッグテックはいつもこれほど不人気とは限りませんでした。2015年、欧州委員会の副委員長であるVestager(ベスタージャー)氏はGoogleの濫用が受け入れられないことを世界に見せるという驚くような勇気を見せました。彼女はこの勇気を称えられるべきです」。

「しかしこの期間における歴史の判断はこのオデッセイが最終的に欧州の消費者に目に見える影響を生み出したかどうかに基づきます。そのためこれらのツールが、競争が救いのままである市場で活用されることが必須なのです」。

その間に、Googleには他のEU反トラストの事実認定(AndroidおよびAdSense)に対する上訴のパイプラインに加えて、そのアドテックのEUの公開調査がある。母国の多数の反トラスト事例はいうまでもない。

したがって、その弁護士達は今回の損失の派生効果に関係なく非常に忙しい日々を過ごすだろう。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

欧州のデジタル規制の再改定でフェイスブックの態度が変わる可能性、内部告発者フランシス・ホーゲン氏が欧州議会で証言

Facebook(フェイスブック)の内部告発者Frances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏は、先に行われた英国と米国の国会議員の前でのセッションの後、欧州議会で洗練された証言を行った。

ホーゲン氏のコアメッセージは、大西洋の両側で発せられたのと同様の深刻な警告だった。「Facebookは安全より利益を優先し、個人、社会、民主主義に悪影響を及ぼす有害コンテンツの増幅を無視することを選んでいる。そして、欧州の規制監督は、こうした無責任な運営を行うプラットフォームを統制し、責任あるものにするために不可欠であり、立法者たちがソーシャルメディアに規制を課すことに一刻の猶予もない」。

Facebookの内部告発者として(これまでで)最も注目度の高い人物であるホーゲン氏は、欧州議会から非常に好意的な反応を受けた。議員たちは、同氏が時間を割いてくれたことや、彼らが同氏の「勇気」と表現する、懸念を公に表明してくれたことへの感謝の言葉を惜しまなかった。そして同氏が発言する前や、約3時間にわたるプレゼンテーションと質疑応答の最後にも、同氏を称賛した。

議員たちはさまざまな問題について同氏に質問した。最も大きな関心が寄せられていたのは、新たに導入されるEU全域のデジタル規制が、不安定なプラットフォーム大手に対して、効果的な透明性と説明責任をいかに最大限にもたらし得るかということだった。

Digital Services Act(DSA、デジタルサービス法)は、欧州議会議員の知性の前に置かれている。欧州委員会の提案に対する修正の検討と投票が行われており、この過程で同法案が大きく変化する可能性もある。

一部の議員が行動広告の全面禁止を求める動きを見せたことなどを受け、コンテクスチュアル広告のようなプライバシー保護に配慮した代替手段が法案に盛り込まれた。あるいは最近支持を得た別の修正案では、ニュースメディアをプラットフォームコンテンツの削除から除外するよう求めている

蓋を開けてみると、ホーゲン氏はこうした修正案に好意的ではないことがわかった。しかし、この規制を総じて支持すると同氏は発言した。

DSAの全般的な要点は、信頼できる安全なオンライン環境を実現することに置かれている。そして本日のセッション中に発言した多くの欧州議会議員たちは、ホーゲン氏が欧州議会で発言することに世界的な注目が集まっていることを受けて、EUの警笛を吹く街頭演説的なオポチュニティを捉えた。Facebookの(さらに)別のパブリシティ危機の真っただ中にある中、デジタル規制が審議中であるだけでなく、採択に向かって急速に進んでいる進歩的な状態であることを知らせるものだ。

Facebookの内部告発者は政治的エゴを満たすことに快く応じてみせた。EUがプラットフォーム規制に真剣に取り組んでいることに「感謝する」と述べ、EUはDSAにより「グローバルなゴールドスタンダード」を築くオポチュニティを有していると示唆した。

とはいえ、同氏は2021年10月に行われた別の証拠審議の際にも、英国議会で同様の表現を用いている。そこで同氏は、同国のオンライン安全法について同じように熱弁を振るった。

ホーゲン氏は欧州議会議員たちに対し、Facebookは「データを使ってごまかす」ことに並外れて長けている、と英国の立法者たちに警告した内容を繰り返し、Facebookのプラットフォーム上で起きていることに関するデータを提出することを単純に要求するだけのような甘い法律を通過させてはならない、と議員らに印象つけた。むしろFacebookは、データを引き出して監視監査を生成するのに使用するクエリの詳細に至るまで、同社が引き渡すデータセットのすべてについて説明を求められるべきだということだ。

法制化においてこのようなステップを取らなければ、EUの新しいデジタル規則に大きな抜け穴ができ、Facebookはチェックマークを付ける構図を描くのに必要なあらゆるクエリを実行して、選択的に自己利益的なデータを提供することでうまく乗り切るだろう、とホーゲン氏は警鐘を鳴らした。

Facebookのように信頼できないプラットフォームでも規制が効果を発揮するためには、市民社会組織や外部の研究者たちの幅広いエコシステムからの多層的で動的かつ継続的なインプットが必要だと同氏は提言した。新たに発生してくる弊害を掌握し、法律が意図した通りに機能していることを確保するためだ。

AIがもたらすインパクトに関して求められている説明責任を真に果たすためには、現在DSAが提案している「吟味された学識者」だけではなく、より広範な分野の外部専門家にプラットフォームデータを提供することで、監視に対する広い視野を持つべきだと同氏は強く要請した。

「Facebookがデータで偽ることは明らかです」と同氏は欧州議会で語っている。「DSAの導入を奨励します。Facebookはデータを提供する際、その取得方法を示す必要があります【略】データを引き出すために使用したプロセス、クエリ、ノートを開示することが極めて重要です。これを確認できない限り、提供された情報を信頼することはできません」。

ホーゲン氏は単に警告を発するだけではなかった。同氏はさらに賛辞を重ね、欧州議員たちに次のように伝えた。「欧州がこれらのプラットフォームを規制する上で重要な役割を担うことを強く信じています。欧州は活気に満ちた、言語的に多様な民主主義国家だからです」。

「言語的にも民族的にも多様な4億5000万人のEU市民のためのDSAの権利を獲得すれば、世界に向けたゲームチェンジャーを創出できます。ビジネスのオペレーションに対する社会的リスクの評価を各プラットフォームに義務づけることで、構築するプロダクトやその構築方法の決定は、利益の最大化だけに基づくものではなくなります。言論の自由を保護しつつ、リスクに対処する体系的なルールや基準を確立し、透明性、監視、執行がどのように機能すべきかを世界に示すことができるでしょう」。

「プラットフォームは自社がどのような安全システムを持っているのか、それらの安全システムがどのような言語に対応しているのか、言語ごとのパフォーマンスを明らかにしなければなりません。これを確実にすることが、深刻に、切実に求められています」と同氏は続け、包括的な情報開示の必要性に関する自身の主張を具体化した。「正直なところこれは欧州人の大多数にとって危険なことなのだろうか?と思われるかもしれません」。

ホーゲン氏によると、このようなアプローチは、そのプラットフォームが稼働するすべての市場と言語にまたがる弊害に対処する上で必要な「言語に依存しないコンテンツ中立的なソリューション」をFacebookに迫ることで、欧州を超えた規模のメリットをもたらすという。

Facebookの(限られた)安全予算における偏り、つまりどれだけの予算が英語圏の市場に向けられているのか、そして / または規制を恐れている少数の市場に向けられているのかという点は、Facebookの非常に多くの内部文書が漏洩したことで増幅された核心的な問題の1つである。そして同氏は、FacebookのAIモデルに状況に応じた透明性を持たせることで、強力なプラットフォームがどのように運用されているのか(そして何を優先するのか、何を優先しないのか)というグローバルな公平性の欠如に対処できると提言。そのためには一般的なパフォーマンス指標に加え、市場、言語、安全システム、そしてターゲットを絞ったコホート単位においても、詳細な情報が必要になると指摘した。

安全性を体系的な要件としてFacebookに取り組ませることは、欧州全域の市場でプラットフォームが引き起こす問題を解決するばかりでなく「世界の脆弱な地域に住んでいて、あまり影響力を持たない人々のために声を上げることにもなる」と同氏は主張する。そして次のように言い添えた。「世界で最も言語的な多様性に富む地域は、往々にして最も脆弱な地域であり、欧州が介入する必要性を抱えています。欧州は影響力を有しており、そうした地域の人々のために真に力を発揮できるのです」。

ホーゲン氏の発言の多くは以前の証言や記者会見でもお馴染みのものであった。一方、質疑応答では多くのEU立法者たちが、有害なコンテンツの増幅というFacebookの問題がマイクロターゲット / 行動広告(当議会で活発に議論されている)の全面禁止により解決されるのではないか、という論点に同氏の声を引き込もうとした。これによりアドテックの巨人は、背後にある人々の情報をデータ駆動型操作を通じて利益を得るために使用することができなくなるだろう、ということだ。

これについてホーゲン氏は異議を唱え、規制当局が決定するのではなく、人々が自分でターゲティング広告の有無を選択できるようにすることを支持すると述べた。

全面禁止の代わりに、同氏は「特定の事柄や広告は【略】実際に規制される必要があります」と提案し、規制の対象となる領域の1つとして広告料金を挙げた。「現在のシステムはヘイトを助成しています。つまり、ヘイト的な政治広告を掲載する方が、そうではない広告を掲載するよりも5倍から10倍安いのです。それを考えると、広告料を均一にする必要があると思います」と同氏は説明した。「ただし、特定の人をターゲットにした広告を規制すべきであるとも考えています」。

「ご存じかどうかわかりませんが、特定の広告について100人のオーディエンスをターゲットにすることも可能です。それが悪用されていることはまず間違いないと思います。政治広告に過剰にさらされているのはどのような人かを分析したところ、驚くことではありませんが、最も影響を受けているのはワシントンD.C.の人々で、それは極端に過度な露出状態です。私たちは月に何千もの政治広告について話し合っています。ですから、特定の人々を彼らの認識なしにターゲットにするメカニズムを持つこと【略】は容認できないと私は考えます」。

ホーゲン氏はまた、Facebookはサードパーティのデータソースを利用して、広告ターゲティング目的でユーザーのプロファイルを充実させていることに言及し、その利用を禁止するよう主張した。

「プロファイリングとデータ保持に関して、サードパーティのデータを取得することを許可すべきではないと思います。Facebookはクレジットカード会社やその他の形態と協働していますが、これは彼らの広告の収益性を根底から高めています」と同氏は述べ、次のように付け加えた。「データソースと連携する際にはその都度承諾する必要があると思います。人々は、Facebookに自分たちのデータの一部があることを知ればとても不愉快に感じるはずです」。

しかし、行動広告ターゲティングに関しては、全面禁止の支持を慎重に避けている。

それはこのセッション中に生じた興味深い波紋だった。この問題にはEU内部でモメンタムがあり、それにはホーゲン氏自身の内部告発が地域の立法者たちのFacebookに対する懸念を増幅させた結果としての影響も含まれていた。そしてホーゲン氏はそれを喚起するのに貢献したかもしれないのだ(しかしそうしないことを選んだ)。

「ターゲット広告に関しては、人々がどのようにターゲティングされるかを選択できるようにすべきであると強く提言します。そして、人々に選択を強要するダークパターンを禁止することを推奨します」と同氏はある回答の中で述べている(しかし「ダークパターン設計」のようなシニカルで多面的な要素に対し、規制当局がどのようにして有効な法律を作ることができるのかについての詳細には触れていない)。

「プラットフォームは、そのデータをどのように使うかについて透明である必要があります」と同氏は自身の提案のすべてを包含する本質を伝えてから、次の提案を繰り返すことに依拠した。「すべての政治広告に均一の広告レートを提供するようプラットフォームに義務づけるポリシーを公表すべきであることは、私が強く提唱するところです。政治広告でヘイトを助成すべきではありません」。

行動広告を禁止することに反対する同氏の主張は、規制当局が完全に包括的なプラットフォームの透明性を達成することに集約されている(むしろそれに依存している)ようだ。それは、Facebook(およびその他の同業各社)が人々のデータを使って実際に行っていることの正確な実態を提示できること、つまり、ユーザーがそのようなターゲティングを望むかどうかについて真の選択ができるようにすることだ。したがって、全面的な説明責任の遂行が重要な意味を持つ。

しかしセッションの別の局面で、それは子どもたちがFacebookのようなプラットフォームによるデータ処理に本当の意味で同意できるかどうかを尋ねられた後だったが、ホーゲン氏は、子どもはもちろんのこと、大人たちも、Facebookが自分たちのデータで何をしているのかを(現時点で)理解できているのか疑問であると主張した。

「自分がどのような情報をトレードしているのかを子どもたちが理解できるかということに関してですが、大人である私たちはほぼ間違いなく、何をトレードしているのかを理解していないと思います」と同氏は議員たちに語った。「アルゴリズムに何が含まれているのか、子どもたちにインフォームドコンセントが与えられるような形でターゲット設定されているのか、私たちにはわかりません。インフォームドコンセントが与えられているとは思えませんし、子どもたちの能力も限られています」。

これを踏まえると、同氏の信念、つまり「前述のような包括的な透明性は可能であり、すべての大人が操作的な行動広告を受け入れるか否かの判断を真に情報に基づいて下すことができるデータ駆動型操作、という普遍的に包括的な構図を描き出すだろう」との考えは、何というか、やや希薄に見える。

ホーゲンの論理、すなわち、規制当局がユーザーに提供されているあらゆるものについて不適切 / 不正確に伝達すること、および / または規制当局がユーザーに自らのリスクと権利に関する適切かつ普遍的な教育を保証していないことを含む、根本的な透明性の欠如に対して同氏が提案した解決策に従うならば、データ駆動型の搾取が(今まさに法律に組み込まれているフリーパスで)続いていくリスクがあることは確かであろう。

ここでの彼女の議論は一貫性に欠けているように感じられた。行動広告を禁止することに対する同氏の反対、そしてそれゆえに、ソーシャルメディアの操作的な有害性を助長する1つの根本的なインセンティブに対処することに反対している同氏の主張は、論理的というよりむしろイデオロギー的なものであるかのようだ。

(確かに、世界中の政府は同氏が主張しているような高い機能を備えた「完全な」監視機能を緊急に導入することができるという信念の飛躍は必要なように思える。とはいえ、同時に同氏は、何週間もかけて立法者たちに対し、プラットフォームは非常にコンテキストに特化した、データが詳細に記述されたアルゴリズムマシンとしてしか解釈し得ないものだと強く訴えてきた。同氏が今回の質疑応答で述べたようなFacebookの「驚くべき」データ量を考えれば、目の前にあるタスクの規模の大きさはいうまでもない。Facebookからデータを生の形で取得した場合、規制当局にとってあまりにも膨大すぎることが示されている)

これはおそらく、権利の専門家ではなく、データサイエンティストに期待される視点でもあるだろう。

(前述のような、行動広告の禁止に対する同氏の即座の拒否は、害が流れてそれが感じられるマシンの外にいるのではなく、ブラックボックスに内通してアルゴリズムやデータを操作することに専念してきたプラットフォームのインサイダーに見られるような、一種のトリガー反応といえよう)

セッション中の別の場面で、ホーゲン氏は、ソーシャルメディアの問題に対する唯一の万能薬として徹底的な透明性を求める自身の主張をさらに複雑にした。EUがこのような複雑な問題の施行を最大27の国家機関に任せることに対して警告を発した。

もしEUがそうするなら、DSAは失敗するだろうと同氏は示唆した。代わりに立法者たちに助言したのは、Facebookレベルのプラットフォームを包み込むために必要だと同氏が指摘する、非常に詳細で階層化された動的なルールの実施に対処するための中央EUの官僚機構を作ることだった。同氏はさらに、自身のような元業界のアルゴリズムの専門家たちがそこに「居場所」を見つけ、彼らの専門的な知識への支援や「公的な説明責任に貢献することによる還元」が推進されることを提唱した。

「アルゴリズムが実際にどのように機能し、その結果がどのような結果をもたらすのか、これらの分野の正式な専門家の数は、世界的に見て非常に少ないのが現状です。この分野に修士号や博士号はありません。そのため、分野に携わる企業の1つで働き、社内で実地訓練を受ける必要があります」と同氏は説明し、さらに次のように付け加えた。「この機能を27の加盟国に委譲した場合、1つの場所でクリティカルマスを獲得できなくなることを、私は深く懸念しています」。

「十分な専門家を確保し、それを広く分散させることは、非常に難しいでしょう」。

プラットフォームが人々の目をたやすく欺くことを防ぐためには、利己的なデータセットや「脆弱な」AIの中の悪質な詳細を明らかにする必要があると立法者たちに警告する声が非常に多い中、広告に個人データを使用しないなどの単純な制限を規制当局が実際に設定することにホーゲン氏が反対していることは、教訓的であるように思える。

同氏はまた、規制当局はプラットフォームがデータを使って実行できることに制限を設けるべきか、および / またはアルゴリズムに使用できるインプットに制限を設けるべきかについて、欧州議会議員らから直接質問を受けた。この質問に対しても、同氏は制限ではなく透明性を優先した(しかし他のところでは、前述のように同氏は、広告プロファイリングを充実させる目的でFacebookがサードパーティのデータセットを入手することは少なくとも禁止すべきだと主張している)。

結局のところ、このアルゴリズムの専門家のイデオロギーには、データ駆動型ソフトウェアマシンのための効果的な規制を考え出す方法について、ブラックボックスの外で考えることに関してはいくつかの盲点があるようだ。

民主主義社会がデータマイニングテクノロジーの巨人たちからコントロールを奪い返すためには、ある程度の急ブレーキは必要なことかもしれない。

したがって、ホーゲン氏の最大のアドボカシーは、デジタル規制を致命的に台無しにする抜け穴のリスクに関する極めて詳細な警告であろう。ここでのリスクが多元的であるという点で、同氏は間違いなく正しい。

同氏はプレゼンテーションの冒頭で、もう1つの抜け穴の可能性を指摘した。立法者たちに、ニュースメディアのコンテンツをDSAから除外しないよう求めた(これも議員たちが検討している修正案の1つだ)。「コンテンツ中立性のルールを作るのであれば、本当に中立でなければなりません」と同氏は主張した。「何も選ばれず、何も除外されないということです」。

「現代の偽情報キャンペーンはいずれも、システムを操作することで、デジタルプラットフォーム上のニュースメディアチャンネルを不当に利用していくでしょう」と同氏は警告した。「プラットフォームがこれらの問題に取り組むことをDSAが違法とする場合、私たちは法の有効性を損なうリスクを負うことになります。実際、今日の状況よりも状況が悪化する可能性があります」。

質疑応答の中でホーゲン氏は、いわゆる「メタバース」の構築に向けて計画されているFacebookの方向転換に照らして、規制当局が直面するであろう新たな課題について議員たちからいくつかの質問を受けた。

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これについて、同氏は議員らに対し「非常に懸念している」と述べ、家庭やオフィスでのメタバース供給センサーの普及によってデータ収集量が増加する可能性に警鐘を鳴らした。

同氏はまた、Facebookがワークプレイス用ツールの開発に注力していることが、ビジネスツールに関して従業員がほとんど発言権を持っていないことを考えると、オプトアウトが選択肢にさえならない状況をもたらすのではないかという懸念を表明した。これは人々が将来、Facebookの広告プロファイリングと、生計を立てることのどちらかを選ぶというディストピア的な選択に直面する可能性を示唆している。

Facebookが「メタバース」に新たな焦点を当てたことは、ホーゲン氏がFacebookの「メタ問題」と呼んだものを浮き彫りにしている。これはつまり、同社が現在のテクノロジーによって生じた問題を終わらせて修復するよりも「先に進む」ことを優先しているということでもある。

規制当局はこのジャガーノート(圧倒的な力を持つ存在)に対して、安全性に重点を置いた新たな方向性を計画させるためのレバーを投入しなければならない、と同氏は強調した。

​​画像クレジット:BENOIT DOPPAGNE/BELGA MAG/AFP / Getty Images under a license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

アップル製デバイス管理のKandjiがシリーズCで約114億円調達、評価額は1年で10倍の約912億円に

Apple(アップル)製デバイス管理プラットフォームを展開するスタートアップ、Kandji(カンジ)は、急速に収益を伸ばし、高額な評価額と多くの投資を引き寄せ、かなり好調に推移している。同社は米国時間11月18日、8億ドル(約912億円)の評価額で1億ドル(約114億円)のシリーズCを調達したと発表した。この評価額は、2020年10月に2100万ドル(約23億9000万円)のシリーズAを実施した際の10倍に相当する。同社はその後半年足らずで、2021年4月に6000万ドル(当時約68億4000万円)のシリーズBを発表した。

今回の投資ラウンドは、Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導し、Definition、Frontline Ventures、既存投資家であるFirst Round Capital、Greycroft、Felicis Ventures、The Spruce House Partnership、B Capital Group、SVB Capital、Okta Venturesが参加した。Kandjiはこれまでに1億8800万ドル(約214億4000万円)以上の資金を得ており、そのうち1億8100万ドル(約206億4000万円)は2020年10月以降に調達している。

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Kandjiは、中規模から大規模の企業向けにApple製デバイスを管理する方法を提供している。創業者兼CEOのAdam Pettit(アダム・ペティット)氏は、パンデミックや在宅勤務がインバウンド顧客の関心を高めたと述べている。実際、収益はここ1年間で700%以上も伸びた。

その理由の1つは欧州での成長の結果だ。同スタートアップはロンドンにオフィスを開設し、その地域の市場が収益構成に大きく貢献しているという。「我々は欧州で事業を開始したばかりです。ロンドンにオフィスを開設し、そこでは急速に採用を進めていく予定です」とペティット氏は語った。「そのきっかけは、とても興味深いものでした。当社は海外でのマーケティングをほとんど行っていませんが、この1年間でトップライン売上の約25%が海外からのものになっています」。

また、Kandjiがこのレベルの投資を受けていることを見て、長期にわたりビジネスを行っていくと安心感を持つ大口の顧客が一般的に増えているという。「長く活動していくにつれ、より大きな顧客を増やしてきました。そしてお客様は、当社がここに居続けると感じて下さっているようです」と同氏は語る。「それらの大規模なお客様の販売前後の管理を行うには、より高度なチームが必要です。この半年間、そのための準備を進めてきました」とも。

ペティット氏によると、このプラットフォームを利用している企業は1000社を超え、年初に40人だった従業員は現在250人以上に増えたという。同氏は、2022年までにはこの人数を400人にしたいと考えている。2021年初め、シリーズBの頃に話を聞いたとき、ペティット氏は、多様性に富んだ包括的な文化を築くことがいかに重要か、そしてそれは採用活動から始まると話していた。そのコミットメントは今も変わらないという。

「当社は実際に、パイプラインを拡大するために、さまざまな工夫をしています。通常のネットワークの外に出て、そうでなければ得られないような候補者を採用するようにしています。また、当社だけでなく他の多くの企業にとっても、リモートでの雇用は特定の市場をターゲットにしないという意味で、(多様性の構築に)大きな効果があります。それも、採用パイプラインの多様性を高めるのに非常に役立っています」と同氏は語った。

Kandjiはサンディエゴとロンドンにオフィスを構えているが、ペティット氏は同社はリモートファーストの会社であり、今後もそうしていくつもりだという。

画像クレジット:Kandji

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

米国防総省、中止したJEDIに代わる新たなクラウド契約を発表

米国防総省は米国時間11月19日、白紙に戻された10年間 / 100億ドル(約1兆1400億円)規模のJEDI契約に代わる、新たなクラウド契約の限定的な入札募集を発表した。以前、JEDI(ジェダイ、Joint Enterprise Defense Infrastructureの略)と名付けられた勝者総取りの入札が行われたことを覚えているだろうか?今回の契約は、Joint Warfighting Cloud Capability、略してJWCCと呼ばれる、あまり耳慣れない名前が付けられている。

RFP(提案依頼書)による条件の下、入札を求められているのは、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、Oracle(オラクル)の4社。JEDIのRFPでは、ベンダーに選ばれた1社のみが独占することになっていたが、今回のJWCCは複数の企業が契約を得られるマルチベンダー式であることが大きな違いだ。実際に、米国防総省はAmazonとマイクロソフトを有力視しているものの、資格のある(依頼された)ベンダーであれば、契約の一部を得られる可能性があると明言している。

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RFPによると「政府は2社、すなわちAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)およびマイクロソフトとのIDIQ(調達時期・数量未確定)契約を想定しているが、しかし国防総省の要求を満たす能力を示すすべてのクラウドサービスプロバイダー(CSP)に発注する意向である」としている。

この件に関わるベンダーの数を制限したのは、要件を調査した結果、これを満たすことができる企業の数が限られていることがわかったからだと思われる。「市場調査によると、米国防総省の要求を満たすことができるソースは限られていることがわかった。現在、米国防総省が把握している米国のハイパースケールCSP(クラウドサービスプロバイダー)は5社のみ。さらに、それらのハイパースケールCSPのうち、AWSとマイクロソフトの2社のみが、国家安全保障上のあらゆるレベルの分類でクラウドサービスを提供することを含め、現時点で国防総省のすべての要件を満たすことができると思われる」と、RFPには書かれている。

政府はこの契約の金額設定をまだ行っている最中だが、複数のベンダーが関わるため、今はなきJEDI契約の100億ドルを超える可能性も十分にある。「国防総省は今回の調達の契約上限をまだ評価中だが、数十億ドル(数千億円)の上限が必要になると予想している。契約発注額の上限は、各ベンダーに指示される募集要項に記載される予定である」とのことだ。

今回のRFPで選定された企業は、3年間の契約に加えて、1年間のオプション期間が2回設けられることも注目に値するだろう。

JEDIは、トップレベルのクラウドベンダーが競い合い、それより小規模なベンダーも参入しようとしたため、当初から論争の的となっていた。多くのドラマがあり、大統領への苦情大統領からの苦情大統領による干渉への苦情多くの公式調査、そしていくつかの訴訟があった。Amazonに決まると誰もが思っていたにもかかわらず、Amazonは受注することができなかった。結局、契約を勝ち取ったのはマイクロソフトだった

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ところが、それだけで終わらず、両社はこの決定をめぐって激しい論戦を繰り広げ、当然ながら訴訟に発展した。最終的には国防総省がすべてにうんざりして、このプロジェクトを完全に破棄することに決めたのだ。

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しかし、契約がなくなったからといって、軍のコンピューティングシステムを近代化する必要性がなくなったわけではない。だから国防総省は今回、クラウドインフラストラクチャによるテクノロジーの近代化を前面に押し出す新たな取り組みを発表したのである。

Synergy Research(シナジー・リサーチ)の調べによると第3四半期の決算発表時点では、Amazon、マイクロソフト、Googleの上位3社で、パブリッククラウド市場シェアの70%を占めていることは注目に値する。クラウドインフラストラクチャ市場では、Amazonが33%のシェアで首位、マイクロソフトが約20%で続き、Googleは10%で3位につけている。シナジー社によれば、オラクルは一桁台前半とのことだ。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

短編動画アプリに一石、インタラクティブな映画体験ができる「Snax」

短編動画アプリには、TikTok(ティックトック)のような大きな成功例もあれば、Quibi(クイービ)のような大きな失敗例もある。今回「Snax(スナックス)」という新しいアプリは、人気のある縦型動画フォーマットに変化を加え、ユーザーがモバイルデバイスでミニムービーを見るだけでなく、それらとやりとりする方法を提供しようとしている。Snaxの定額制ストリーミングサービスには、拡大中の、伝統的な物語の要素とインタラクティブなゲームを組み合わせたオリジナルムービーのレパートリーを取り揃えている。ユーザーは、物語を進めるためのパズルを解いたり、殺人事件のシーンで手がかりを探したり、ゲームブック「Choose Your Own Adventure」のようなモードで登場人物の選択をしたり、360度動画の要素を利用したりと、さまざまなことができる。

この新しいタイプのインタラクティブな映画体験のアイデアは、パリを拠点とするアプリケーション開発会社であるMarmelapp(マーメラップ)から生まれた。Marmelappは、Alan Keiss(アラン・キース)氏、Stéphane Fort(ステファン・フォート)氏、Jérôme Boé(ジェローム・ボエ)氏が共同で設立した会社だ。Marmelappは、これまでに15のアプリをリリースし、そのダウンロード数は3000万を超え、アプリ全体で年間数百万ユーロ(約数億円)の収益を上げている。

Marmelappの最近のタイトルには、パーティゲームのPicolo(ピコロ)や、テキストベースのゲームブックスタイルのアプリBlaze(ブレイズ)などがある。このBlazeがSnaxの出発点になったと聞いている。

「Blazeの開発はとても楽しく、すばらしいフィードバックをいただきました。Blazeでは、75のオリジナルストーリーを開発・公開しました。枝分かれしていて複数のエンディングがあるため、実際にはかなりの数のコンテンツがありました」とSnaxのコンテンツ責任者であるJames Davies(ジェームズ・デイビス)氏は説明している。後にチームは、Blazeが単なるテキストだけでなく、ストーリーに沿ったミニフィルムなどを盛り込めば、もっと楽しいものになると気づいた。当初、彼らはそのコンセプトをBlazeに取り入れようと考えていたが、あまりにも複雑になってしまった。

「別のプロジェクトにする必要があることがはっきりしました」とデイビス氏はいう。そうして1年半ほど前にSnaxの開発が始まった。

画像クレジット:Snax

現在、このアプリは、縦長の動画として観ることができるひと口サイズのムービー(「Snax」という名前の由来)をウリにしている。各エピソードは約3〜5分で、ユーザーが何らかの形でコンテンツに関われるためのストップポイントが含まれている。ユーザーはパズルやクイズを解かなくてはいけないかもしれない。もしくは、部屋の中で何かを選択したり、隠されたアイテムを見つけたりする必要があるかもしれない。キャラクターとメッセージのやりとりをする必要があるかもしれない……などなど(困ったときには「ヒント」という選択肢もある)。

ユーザーは、選択肢をタップする以上のことをしなくてはいけないこともある。例えば、ある殺人事件のムービーでは、テキストボックスが表示され、そこに自由に答えを書き込んでいく。この機能を実現するために、Snaxは答えの候補とその誤字脱字をデータベース化し、ユーザーが正解したときに正しく判断できるように設計した。

画像クレジット:Snax

ムービー自体も、この種のエンターテインメントアプリとしては想像以上に高品質なものになっている。

Snaxでは、7人のチームが脚本の作成やインタラクティブ機能の追加を担当し、映像コンテンツの制作はプロの映像作家や提携した制作会社と協力して行っていると説明している。現在、これらの撮影には、1つのプロジェクトにつき10万ユーロ(約1280万円)の費用がかかっているが、Snaxは、同じチームが異なる脚本で複数のシリーズを連続して撮影することで、制作費の効率化を図っている。

画像クレジット:Snax

映像作家には、アプリが生み出すサブスクリプションの収入は分配されず、前払いとなっている。現在、Snaxは、週4.99ドル(約560円)、月8.49ドル(約960円)、年47.99ドル(約5450円)の定額制サービスを提供している。(試しに2、3のエピソードを無料で視聴することもできる)。

同社は、2021年初めにフランスでSnaxの提供を開始し、10月には米国、英国、カナダ、オーストラリアの英語圏の視聴者にもこのアプリを導入したばかりだ。現在のところ、このアプリには、英語に吹き替えられたフランス映画が掲載されているが、長期的な戦略として、今後は英語とスペイン語でのコンテンツ制作にも着手する予定だ。

サービス開始以来、Snaxのユーザーの約半数は英語圏の人たちだが、同社は近い将来にはこれが90%にまで増えると予想している。

画像クレジット:Snax

Snaxのユーザーは、18歳から24歳の若い世代が多く、男女の比率は均等だ。これまでのところ、特に米国のユーザーが多くアプリについて話したり、シェアしたり、アプリのコンテンツに反応を示している、とSnaxは確認している。

「私たちは、フランスのユーザーより、米国の男女のほうが、多くのコンテンツに関わろうとする傾向にあることに気づきました。エピソードを完成させたり、ストーリーを完成させたりする割合が、フランスよりもかなり高いのです」とデイビス氏はいう。「つまり、北米の視聴者に向けて作品を制作する必要があるのです」。

初期の作品には無名の俳優を起用したものもあったが、Snaxは現在、フランス第3位のYouTuberであるNorman、俳優でコメディアンのLudovik(ルドヴィック)、俳優のBastien Ughetto(バスティアン・ウゲット)など、フランスで知名度の高いスターを起用して制作を進めている。今後、米国での展開に合わせて、このような取り組みをさらに進めていく予定だ。

Snaxは現在、インタラクションのバリエーションを増やし、よりエキサイティングで、より深く楽しめるようにすることに取り組んでいる。また、スクリプトを作成するための独自のソフトウェアの開発も進めている。

Marmelappは、2022年にSnaxを独立させることを計画しており、その際には資金調達を検討する可能性がある。

画像クレジット:Snax

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フェイスブックがグループや特定コンテンツの表示数を減らすニュースフィード制御機能をテスト

米国時間11月18日、Facebook(フェイスブック)はユーザーがプラットフォーム上で表示される内容をより細かくコントロールできるようにするためのテストを実施することを発表した。

このテストは、英語圏のユーザーを対象としたFacebookのアプリで実施される。Facebookのニュースフィードに表示される内容を管理するメニューに「友達と家族」「グループとページ」「有名人」という3つのサブメニューが追加されることになる。テストに参加しているユーザーは、自分の好みに応じて、これらの投稿の割合を「通常」のままにするか「多め」または「少なめ」に変更するかを選択できる。

テストに参加している人は、トピックについても同様に、自分が興味のあるものや見たくないものを指定することができるようになる。Facebookはブログ記事の中で、このテストが世界中の「ごく一部の人々」に提供されるとした上で、今後数週間のうちにテストを徐々に拡大していくとしている。

また、Facebookは、広告主が特定のトピック領域からコンテンツを除外できるツールを拡張し、ブランドが「ニュースと政治」「社会問題」「犯罪と惨事」の隣に表示されないようにすることができるようにする。「広告主が1つまたは複数のトピックを選択すると、その広告は、ニュースフィードで最近それらのトピックに反応した人々には配信されません」と同社はブログ記事で書いている。

Facebookのアルゴリズムは、扇情的なコンテンツや危険な誤報を助長することで有名だ。そのため、Facebookとその新しい親会社であるMeta(メタ)は、プラットフォームを浄化し、その慣行をより透明化するよう、規制当局からの圧力を受けている。議会では、ユーザーが表示内容をコントロールできるようにしたり、アルゴリズムによるコンテンツの不透明さを解消したりするための解決策が検討されているが、Facebookはまだ自主規制の時間が残っていると期待しているようだ。

2021年10月、Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、Facebookの不透明なアルゴリズムが、特に同社が最も精査している市場以外の国では危険であることを指摘した。

米国やヨーロッパでも、ニュースフィードのランキングシステムでエンゲージメントを優先するという決定により、分断的なコンテンツや政治的に扇動的な投稿が急増している。

ハウゲン氏は、同じく10月に放送された「60 Minutes」で「Facebookの今日のコンテンツの選び方が招いている結果の1つは、エンゲージメントやリアクションを得られるコンテンツに最適化するようになっているということです。しかし、独自の調査によると、憎悪、分裂、偏向的なコンテンツは、他の感情よりも人々の怒りを刺激しやすいことがわかっています」と語っていた。

画像クレジット:Facebook

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ツイッターがチップ機能をAndroid版にも展開中

Twitter(ツイッター)は、18歳以上のすべてのAndroidユーザーを対象に、アプリ内チップ機能の提供を開始した。iOSでは9月に始まっている。同社によると、この「Tips(チップ)」機能は、Cash App、Paypal、Venmo、Patreonを通じて直接アプリ内でフォロワーから金銭的な支援を得たいと考えているユーザーを対象としている。Androidユーザーはいま「プロフィール編集」ボタンをタップし「Tips」を選択することで、自分のプロフィールからチップを受け取る設定ができる。

「Tips機能では、自分の支払いプロファイルへのリンクを人々に示す簡単な方法を作り、コンテンツ制作者の支援、資金調達の支援、単に助けが必要な人へのチップ、笑わせてくれた人へのお礼など、Twitter上で会話を生み出している人々を簡単にサポートできるようにしています」とTwitterは説明している

Twitterは5月にこの機能を初めて導入したが、それ以前に、同社が直接支払いのオプションに取り組んでいるという報道もあった。Android版「Tips」のリリースの1カ月前には、同社はAndroidで「Ticketed Spaces」の展開を開始している。この機能により、Twitterのライブオーディオルーム機能であるSpacesのホストは、スペースへのアクセスを販売できる。Twitterはこの機能を、公開された会話のホストやモデレーターを務めるクリエイターの時間と労力をサポートする方法だと説明している。

収益化やクリエイターの生計支援を進めているソーシャルメディアプラットフォームはTwitterだけではない。TikTok(ティクトック)は2021年10月、TechCrunchに対し、アプリ内でチップを渡す新しい機能をテストしていることを明らかにした。この機能を使ってクリエイターは、すでにチップが導入されているTikTok LIVEストリーム以外でも、ファンからお金を受け取ることができる。同社は、この機能が当面の間、限定的なテストの一部で、まだ広く利用できないことを明らかにした。

TikTokとTwitterのダイレクトチップ機能は、クリエイターに儲ける方法を提供しているInstagram(インスタグラム)やYouTube(ユーチューブ)のようなデジタルプラットフォームに対抗するための手段のようだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Huluがオンラインショップ開店、クリスマスの「ダサいセーター」の売上はチャリティーへ

この夏、Netflixは独自のショッピングサイトオープンして、ファンが「ストレンジャー・シングス」や自分の好きなコンテンツのアパレル、アクセサリーやライフスタイルグッズなどが買えるようになった。

今度は、Huluが同じことをしている。ディズニーがオーナーを務めるストリーミングサービスが発表した「Shop Hulu」には、Hulu Originalsと同社のオンデマンドライブラリにあるその他のタイトル、およびさまざまなHuluブランドのアパレルやライフスタイルグッズの限定版コレクションが並んでいる。このサイトではHuluの例年発表する「Ugly Holiday Sweaters」を、初めて一般的に買えるようになる。

2019年から、Huluはプロモーションの一環としてそのアグリーな(ダサい)セーターをランダムに選んだファンに無料で贈っている。その無料提供の人気に乗じてHuluは2020年からそれを懸賞にし、セーターをもらえるチャンスが誰にでもあるようにした。その懸賞は「Little Fires Everywhere」や「Shrill」「The Handmaid’s Tale」などHuluの番組にも登場している

2021年のホリデーセーターは、米国時間11月30日に発売される。

2021年のラインナップには「Love, Victor(Love, ヴィクター)」や「Solar Opposites(ソーラー・オポジット)」「The Great(THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜)」「The Handmaid’s Tale」、そして「Wu-Tang: An American Saga」などがあり、その多くは人気作品だ。ただしNetflixのストアが同社の大きなリテール事業の一環としてのオンラインストアへの投資であるのに対して、Huluの主な製品はチャリティーの資金を得ることが目的だ。同社によると、12月31日までのダサいセーターの全売上は、税や送料を除いた全額が、フードバンクの巨大全国ネットワークであるFeeding Americaに寄付されるという。

なお、寄付金の上限はセーター1000着で価格は5万4950ドル(約628万4000円)となっている。

画像クレジット:Hulu

Huluのショップは、ホリデーのチャリティー目的だけでなく、年間を通じていろいろな商品が販売されている。たとえば「ソーラー・オポジット」のファンは、この番組のホリデー特集が放映される11月22日にはアパレルやガラス食器、ステッカーなどを買える。同社によると、これらのグッズのデザインには、プロデユーサーのMike McMahan(マイク・マクマハン)氏やJustin Roiland(ジャスティン・ロイランド)氏、そしてJosh Bycel(ジョッシュ・ビセル)氏が協力している。

また「The Orville」や「Wu-Tang: An American Saga」などの番組からはアパレルや家庭用品が出品される。Mitchell & Ness製のカプセルのコレクションの一部も買える。またHuluが放映権を買い上げた「Grey’s Anatomy(グレイズ・アナトミー 恋の解剖学)」や「It’s Always Sunny in Philadelphia(フィラデルフィアは今日も晴れ)」「American Horror Story(アメリカン・ホラー・ストーリー)」「What We Do in the Shadows(シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア)」などからは、それぞれの商品が売られる。

Huluは今後、同社のニュースレターの定期購読者には割引を提供し、1年を通じてときどき特選コンテンツを提供する。それは、2021年のブラックフライデーとサイバーマンデーから始まる。

画像クレジット:Hulu

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

オンラインの接客機能をノーコードで構築するプラットフォームEasySendが63億円以上を調達

ノーコードは、これまで非技術系の従業員が何かをしたいときに技術の専門家に頼らざるを得なかった企業で、ITのさまざまなレイヤーに浸透しつつある。そしてノーコードのツールを開発するスタートアップの事業は急成長し、多額の資金を調達している。

最新の事例を紹介しよう。EasySendはテルアビブのスタートアップで、コーディングの言語をまったく知らなくても顧客とやりとりする機能をドラッグ&ドロップのインターフェイスで構築できるプラットフォームを開発している。そのEasySendがシリーズBで5050万ドル(約57億5700万円)を調達した。同社はこの資金でプラットフォームで利用できるテンプレートを増やし、人材を雇用し、事業開発をしていく。

このラウンドを主導したのはOak HC/FTで、これまでに支援していたVertex IL、Intel Capital、Hanaco Ventureも参加した。EasySendによれば、これとは別にSilicon Valley Bankから500万ドル(約5億7000万円)のベンチャーデットによる調達も実施したという。EasySendのCEOで、COOのOmer Shirazi(オメル・シラジ)氏、CTOのEran Shirazi(エラン・シラジ)氏とともに同社を創業したTal Daskal(タル・ダスカル)氏はEasySendのバリュエーションを明らかにしていないが、前回のバリュエーションの5倍になったと述べた。

参考までに以前の数字をあげると、PitchBookは同社の前回ラウンド時のバリュエーションを3140万ドル(約35億8000万円)と推定しており、この数字が正しいとすれば現在のバリュエーションはおよそ1億5700万ドル(約178億9800万円)となる。いずれにしてもEasySendは、特に米国の売上が10倍とビジネスを急速に成長させている。

現在EasySendはおよそ100社の顧客を抱え、その分野は教育、行政、金融サービス、保険など多岐にわたる。特に金融サービスと保険の分野に強く、Cincinnati Insurance、NJM Insurance Group、PSCU、損保ジャパン、Petplanなどが同社を利用している。

同社の調達金額の合計は7150万ドル(約81億5100万円)となった。

EasySendがターゲットとしているのは、紙のフォームを作って顧客の情報を集め、非技術系の従業員がそうした資料を扱うことが多い市場だ。

企業が顧客サービスをバーチャルの環境に移行する傾向が急激に進むにつれて、企業は紙ベースの業務から離れることを求められている。ダスカル氏によれば「企業がデジタルカスタマージャーニーをゼロから作るための支援をする」ことに、EasySendのチームはチャンスを見出した。同社はまず旧来型の銀行に目をつけたが、類似する多くの市場に同様の問題とソリューションの可能性があることにすぐ気づいた。

さらにコロナ禍もその展開に影響を与えた。多くの企業で「デジタルトランスフォーメーション」と呼ばれる変化が推進され、紙ベースのオフライン業務を急速に減らしていった。これによりさらに多くの企業が、従業員に配慮しデジタルツールを使って仕事をする手段の1つとしてEasySendを利用するようになった。

そして、アナログツールを置き換えるデジタルツールは往々にしてアナログより機能が多い。EasySendがこれまでも開発し、今後充実させていこうとしている領域の1つが分析だ。分析機能があればユーザーは自分が構築した顧客とのやりとりに関するエンゲージメントを追跡できる。ダスカル氏はTechCrunchに対し、近いうちにAIのインサイトを強化してトレンドや予測のデータをもっと提供できるようにすると述べた。

EasySendは今後の投資で「カスタマージャーニー」のユースケースを充実させていくだけではなく、RPAなどのテクノロジーを取り入れて他の業務とも統合できるプロセスを開発する計画だ。IDの確認、電子署名などのテクノロジーといった他社の新しいサービスを組み合わせれば、さらに複雑で幅広い接客を扱える可能性がある。

Oak HC/FTのパートナーであるDan Petrozzo(ダン・ペトロゾ)氏は発表の中で「今日、企業が競争力を持つためには、これまで以上に優れた顧客体験を創造する必要があります。EasySendは、企業がデジタル・エクスペリエンスを迅速かつ効率的に顧客に提供する方法を変革しました。企業をデジタル時代に導く点でユニークな立場にあるEasySendには、今後大きな成長の機会があると信じています。投資はその結果です」と述べた。

画像クレジット:EasySend

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

シンガポールを拠点とするコワーキングスペースのデスク予約アプリ「Deskimo」がジャカルタに進出

コワーキングスペースを見つけて分単位で支払うオンデマンドアプリで、シンガポールを拠点とするDeskimoが現地時間11月17日、シードラウンドで300万ドル(約3億4200万円)を調達したと発表した。また、インドネシアのジャカルタでソフトローンチし、これまでのシンガポールと香港に加えて3つのマーケットでサービスを提供する。今回のラウンドにはY Combinator、Global Founders Capital、Pioneer Fund、Seed X、Starling Ventures、TSVCが参加した。DeskimoはY Combinatorの2021年夏学期に参加していた。

Rocket Internetのアジア責任者だったRaphael Cohen(ラファエル・コーエン)氏と、FoodpandaやHotelQuickly、GuestReadyの共同創業者であるChristian Mischler(クリスチャン・ミシュラー)氏が、2021年前半にDeskimoを創業した。Deskimoはアプリを消費者に直接提供するのではなく、ハイブリッド勤務を採用する企業と連携している。通常は在宅勤務をしているが集中するため、あるいは電話をするために家を離れたい従業員に対して、福利厚生としてアプリが提供される(ミシュラー氏によれば、Deskimoのユーザーはデスクを平均3時間利用するが、終日滞在するケースもあるという)。DeskimoはWeWork、The Hive、Executive Centre、Garage Societyなどのコワーキングスペースと提携し、コワーキングスペースの新たな収入源となっている。

ミシュラー氏はTechCrunch宛のメールで、交通渋滞が激しく、香港やシンガポールの都市と比べて不動産インフラがあまり充実していない都市をターゲットにするという方針から、ジャカルタに進出すると述べた。「インドネシアは東南アジア最大の市場で、ジャカルタはシンガポールの企業が最初に進出する都市の1つです。そのため当社の多くの顧客からDeskimoをジャカルタで利用できるようにして欲しいと要望がありました。そこで、東南アジアの他の大都市に先駆けてジャカルタを優先したのです」(ミシュラー氏)。

Deskimoはソフトローンチにあたり、ジャカルタで40カ所以上のワークスペースとすでに契約し、2021年末までにさらに10〜20カ所を追加する予定だ。サービスを展開するいずれの都市でも、同社はユーザーが自宅に近いデスクを見つけられるようにビジネス街の中心以外でもワークスペースを探している。例えば香港とシンガポールでは、Deskimoのスペースのおよそ3分の1は住宅地にある。ミシュラー氏によればジャカルタではスペースは市内全域に広がり、パートナーのワークスペースの約60%はビジネス街の中心以外にあるという。

同氏は「コロナ禍にともなう制限が続けばスペースはさらに混雑すると予測しています。そのため我々はDeskimoユーザー全員が近隣でスペースを利用できるようにオプションを増やしていきます」と補足した。

Deskimoはサービス開始からの3カ月間で、中心地にある会議室の予約などの新しいサービスもユーザーの需要に応えて追加してきた。現在の従量制料金モデルに加えて、固定料金のサブスクリプションも試行している。他に、アカウント所有者がゲストを同行できる機能、月末締めの請求だけでなくプリペイドのクレジットの利用、スペースに終日滞在したいユーザー向けの最大料金設定なども準備中だ。

画像クレジット:Deskimo

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

AIを使ってより優れた文章を書く、Grammarlyが約1.4兆円の評価額で約228億円調達

文章の自動編集ツールとして人気のGrammarly(グラマリー)は、Baillie Gifford(バイリー・ギフォード)やBlackRock(ブラックロック)が運用するファンドアカウントなどの新規投資家から、評価額130億ドル(約1兆4800億円)で2億ドル(約228億円)の資金を調達した。同社は今回の投資を、製品のイノベーションとチームの成長を加速させるために使用する予定だ。

「今回の資金調達は、私たちのビジネスの強さを証明するものだと考えています」と、Grammarlyの製品担当グローバル代表であるRahul Roy-Chaudhury(ラフル・ロイ=チョードリー)氏は、TechCrunchのインタビューに答えている。「当社は設立当初からキャッシュフローが黒字でした。今回のラウンドは、コミュニケーションの改善を通じて生活を向上させるという当社のミッションの強さを証明するものでもあります。今回の資金調達は、製品のイノベーションと製品のスケーリングという観点から行われました」。

ラフル・ロイ=チョードリー氏によると、Grammarlyは今回の資金調達を利用して、AI技術への投資を継続する予定だ。自然言語処理と機械学習の技術を進化させて、ユーザーにパーソナライズされたコミュニケーションのフィードバックも提供していく。また、同氏は、Grammarlyがユーザーの信頼を獲得し、強化するための追加投資を行う予定であるとも述べている。

「今後のことを考えると、私は多くの可能性を感じています。なぜなら、最終的にはいつもコミュニケーションの改善という私たちのミッションに立ち返ることになるからです。遠隔地にいる世界中のチームが協力して仕事をするようになり、仕事の進め方が大きく変わりました。私たちは、このような変化の中で、人々がより効果的にコミュニケーションを図れるよう支援することが大きなチャンスだと考えています。今回の新たな資金調達は、そのための取り組みを加速させるためのものです」と述べている。

サービスの将来像について、ロイ=チョードリー氏は、Grammarlyは単に簡潔さ、一貫性、正確さを重視するだけのものではなくなると述べている。今後は、改善提案の対象となるカテゴリーを増やすとともに、ユビキタス化を進めていく予定だ。

今週初めには、Grammarly for MacとWindowsがリリースされ、Grammarlyはすでに製品の規模を拡大し、ユビキタス化の目標を達成している。この新しいデスクトップアプリケーションは、Microsoft Office、Slack、Discord、Jiraなどのアプリで使用することができる。ロイ=チョードリー氏によると、この新しいデスクトップアプリケーションは、ブラウザの拡張機能に関連する技術的な障壁を取り除くことができるようになったため、ユーザーがどこで文字を入力しようとも常にいつでも使えるライティングツールになることを目指しているとのことだ。

画像クレジット:Grammarly

「Mac版とWindows版のGrammarlyによって、私たちはすべてを結びつけ、ユーザーのコミュニケーションフロー全体をサポートすることができます。これにより、私たちはみなさんのコミュニケーションのあらゆる場所に存在し、求めている成果をより効果的に達成する手助けをすることができます」とロイ=チョードリー氏は述べている。

また、Grammarlyは先日、プログラマーがあらゆるウェブアプリケーションにGrammarlyのテキスト編集機能を組み込むことを可能にするテキストエディターSDK(ソフトウェア開発キット)を展開し「Grammarly for Developers」を発表した。このSDKのベータ版のリリースにより、開発者は数行のコードでGrammarlyの自動編集機能のフルパワーを利用できるようになった。対象となるアプリケーションのユーザーは、Grammarlyの顧客である必要はないが、もし顧客であった場合は、Grammarlyのアカウントにログインして、それに付随するすべての機能にアクセスすることができる。

今回の資金調達は、Grammarlyが2019年10月に行った前回の資金調達に続くもので、10億ドル(約1141億円)を超える評価額で9000万ドル(約102億円)を調達した。今回のラウンドは、2017年5月に1億1000万ドル(約125億円)で行われた同社の唯一のラウンドのリードにも貢献していたGeneral Catalyst(ジェネラル・カタリスト)がリードし、前回の投資家であるIVPやその他の無名の支援者が参加した。

現在、Grammarlyは、メールクライアント、企業向けソフトウェア、ワープロなど、50万以上のアプリケーションやウェブサイトで動作している。同社は、より多くの人々がより多くのオンラインプラットフォームでつながるようになった今、個人やビジネスの目標を達成するためには、コミュニケーションを正しく取ることが重要であり、それがユーザーの目標達成を支援することにつながるとしている。

Baillie Gifford(バイリー・ギフォード)の民間企業部門の責任者であるPeter Singlehurst(ピーター・シングルハースト)氏は、声明の中で「世界がデジタル化したことで、人々はこれまで以上にコミュニケーションをとるようになりました。Grammarlyは、この問題を解決することに焦点を当てた、世界でも数少ないビジネスの1つです。私たちが惹かれたのは、会社のビジョンと、より多くの環境でより多くの人がより良いコミュニケーションをとれるように製品を推進するチームの能力です。また、Grammarlyの長期的かつ野心的なアプローチは、我々の投資に対するアプローチと一致しています」と述べている。

Grammarlyはフリーミアムモデルで運営されており、有料会員になると、文法やスペルチェックだけでなく、言葉の選択、文章のリライト、トーンの調整、流暢さ、フォーマル度、盗作の検出など、より多くのツールを利用できるようになる。有料会員の価格は月額12ドル(約1370円)、20ドル(約2280円)、30ドル(約3420円)だ。

画像クレジット:Grammarly

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ついにSpotifyが全世界のユーザーにリアルタイム歌詞表示機能を提供

Spotify(スポティファイ)は何年にもわたって、アプリ内歌詞に関するユーザーからの要望を特に米国で無視してきたが、米国時間11月18日、新たにLyrics(歌詞)機能を無料版、プレミアム版を問わず世界の全ユーザーに提供すると発表した。この機能は、歌詞サービスプロバイダーMusixmatchが提供するもので、SpotifyとMusixmatchがすでに結んでいる、インド、中南米、東南アジアのユーザーに歌詞を提供する契約を拡大する。

2019年に最初のテストを行った後、Spotifyは2020年に音楽に同期したリアルタイムの歌詞を世界26市場のユーザー向けに導入した。26市場のうち22市場が何らかのかたちで歌詞のサポートを得たのは初めてだったと、同社は当時述べている。その契約はその後、28市場に拡大した。日本のSpotifyユーザーも、SyncPowerとの単独契約により歌詞にアクセスできるようになっている。

しかし、その他の市場のユーザーは、2016年にGeniusと提携して開始した「Behind the Lyrics」という、歌詞に曲の意味やアーティスト、その他解説などトリビアを散りばめたものを提供する機能にしかアクセスできなかった。一方で、Spotifyのコミュニティフィードバックフォーラムを通じて何千人ものユーザーがここ数年、事実やバックグラウンド情報を挟んだ歌詞ではなく、リアルタイムの歌詞機能を希望するとSpotifyにアピールしていた。

そうしたユーザーの願いが、いま叶う。

SpotifyはTechCrunchに対し「Behind the Lyrics」を終了し、新しいLyrics機能に移行することを認めた。

歌詞は、プラットフォームにもよるが「Now Playing」ビューまたはバーから利用できる。

モバイルでは「Now Playing」画面から上にスワイプすると、曲の再生中にリアルタイムで歌詞がスクロール表示される。デスクトップアプリでは「Now Playing」バーからマイクのアイコンをクリックすることができる。また、Spotify TVアプリでは「Now Playing」画面の右上にある歌詞ボタンから「Lyrics」を有効にする。

同社によると、この機能はPlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One、Android TV、Amazon Fire TV、Samsung、Roku、LG、Sky、Comcast向けのアプリを通じて、大画面で利用できるようになるとのことだ。

また、新機能では、モバイルの画面下にある付属のボタンからの共有が組み込まれていて、ユーザーは共有したい歌詞と共有先を選択することができる。

なお、無料版とプレミアム版では、歌詞の表示に違いはないとのことだ。

音楽アプリのリアルタイムの歌詞表示には、複雑な歴史がある。歌詞が音楽出版社から提供されない場合、企業はサードパーティのプロバイダーを利用する。しかし、そうしたプロバイダーは必ずしも公平ではない。例えばGoogleは、2019年にGeniusの歌詞集を盗用したとしてGeniusに訴えられた。Geniusは「現行犯」をとらえるために歌詞に秘密のコードを巧妙に埋め込んで追跡していた。それらの歌詞は後にGoogle.comの検索結果に表示された。しかしGoogleは、責任はパートナーであるLyricFindにあるとした。歌詞に関する大型の取引ではパートナーの選択肢が少なく、Genius、LyricFind、Musixmatchのいずれか(またはその組み合わせ)と提携する傾向があるため、Googleは提携を解消しなかった。

そうしたこともあって、2018年にAppleが数千のトップソングの歌詞についてGeniusとの提携を発表し、その2年後にGeniusの独占的なウェブプレイヤーとなったことは大きな話題となった。他のサービスでは、PandoraはLyricFindと連携しているとし、AmazonはLyricFindとMusixmatchの両方と連携しているとウェブサイトに記載されている。

今回の契約拡大により、Spotifyが提供されているすべての市場でLyricsが利用できるようになり、ライバルがSpotifyに対して持っている大きな競争力の1つがなくなる。

Spotifyによると、Lyricsは米国時間11月18日から全世界で提供が始まる。

画像クレジット:Stockcam / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagramが新機能「Rage Shake」とカルーセルから投稿を削除するオプションの提供開始

Instagram(インスタグラム)は、ユーザーがスマホを振ってアプリの問題を報告できる新機能「Rage Shake(レイジ・シェイク)」を導入した。InstagramのトップであるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、Twitterの動画でこの新機能の開始を発表し、その仕組みを説明した。

「Instagramを使っていて、想定どおりに動作しなかったことはありませんか?ストーリーが読み込めなかったり、音声が聞こえなかったり、写真をアップロードできなかったりして、本当に困った、本当に腹立たしい思いをしたことはありませんか?そんなとき、文字通り携帯電話を振ると、問題を報告するための小さなオプションが表示されるようになりました」と、モセリ氏は説明した。

問題を報告するために電話を振ると、そのアプリで何が起こったかを説明し、問題を報告することができる。モセリ氏によると、この機能は、同社がバグに優先順位をつけたり、アプリで修正すべき点を知ったりするのに役立つ。今のところ、この機能は、iOSとAndroidの両方のユーザーに対して、米国でのみ提供されている。

また同社は、少なくとも3つの画像または動画をアップするカルーセル投稿の中から、1つのアイテムを削除する機能を開始する。カルーセルフィードの投稿では、1つの投稿に最大10枚の写真や動画を組み合わせることができる。今回のアップデートでは、既存のカルーセルからアイテムを削除できるようになった。ただし、カルーセルにアイテムを追加したり、あるアイテムを別のアイテムに置き換えたり、カルーセル内のアイテムを並べ替えることはできない。

画像クレジット:Instagram

モセリ氏によると、この新しいオプションはしばらく前に提供されるべきだった、要望の多い機能だという。Instagramは、ユーザーが誤った操作をした場合、特定の写真をグリッドに表示したくないがカルーセル全体を維持したい場合、特定の投稿を変更したかったりする場合があると指摘している。

カルーセルから画像や動画を削除するには、投稿の右端にある3つの点をタップして「編集」を選択する。その後、削除したい写真や画像のところまでスワイプして、左上の「削除」アイコンをクリックする。この新機能は、現在のところiOSでのみ利用可能で、Androidへの対応は近日中に予定されている。

この2つの新機能は、Instagramがここ数週間でいくつかの新機能を導入しているなかで展開された。先週、10分、20分、30分のいずれかの時間が経過したときに、ユーザーがInstagramを休むように自分自身にリマインドすることができる「Take a Break(テイク・ア・ブレイク)」と呼ばれる新機能のテストを開始した。また、同社は最近、ストーリーに公開スレッドを作成する新しい「Add Yours(アド・ユアーズ)」ステッカーを展開した。この新機能により、ユーザーは、フォローしているトピックについて、他のユーザーのストーリーに反応することができる。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Clubhouseにようやく字幕機能、日本語など13言語に対応しまずはiOS版

Clubhouse(クラブハウス)は米国時間11月17日、iOS向けに字幕機能の提供を開始したことを発表した。この不可欠なアクセシビリティ機能は、Clubhouseアプリでは長い間見落とされてきた。Twitter Spacesのような競合製品ではすでに当たり前になっていたこのライブキャプションがないことで、Clubhouseは聴覚障がい者にとって使い勝手の悪いものになっていた。そしていま、Clubhouseはより多くの人にリーチできる。

「現在、キャプションは13言語に対応しており、今後も追加される予定です。その13言語とは英語、広東語、北京語、粤語(中国語の方言の1つ)、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、スペイン語、アラビア語、ロシア語、トルコ語です」とClubhouseの担当者はTechCrunchに語った。

あるユーザーが、とある部屋ではスペイン語のライブキャプションが機能していたが、別の部屋ではスペイン語のスピーチがでたらめな英語に書き換えられていたとツイッターで報告した。Clubhouseのエンジニアは、これは言語検出がうまくいかなかったためではないかとリプライした。つまり、このアプリはベータ版で、英語以外の言語を区別する方法をまだ学んでいる段階のようだ。

Clubhouseは最近、友人との会話を簡単に始めることができるWaveや、非同期リスニングのためのリプレイ、ルームの録音など、多くの機能を展開してきた。ルームの録音は、クリエイターがライブで録音した音声を広く配信できるポッドキャストにできるようにするCallinSpace Podのようなスタートアップに対抗するための機能だ。しかし、ライブキャプション機能は、Clubhouseが人気を博した当初から欠落していた。ClubhouseはクローズドキャプションがAndroid版に搭載される時期を示していないが、そう遠くないことを願う。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi