ECサイト制作サービスのSTORES、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

ECサイト制作サービスのSTORESがPayPayと連携、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

商売のデジタル化を支援するhey(ヘイ)は3月29日、ネットショップ開設サービス「STORES」(ストアーズ)において、キャッシュレス決済サービスのPayPayと連携したことを発表した。今回の連携により、STORESで開設したネットショップでは、従来のクレジットカード、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済などに加えて、PayPayでの決済も可能となったECサイト制作サービスのSTORES、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

heyは、2021年6月に実店舗オーナー・従業員へのアンケート調査を実施(n=444)。その結果「実店舗とネットショップの両方を運営している」「今後、両方を運営していきたい」と回答した事業者は82%に上り、同社は実店舗とネットショップを融合したマルチチャネル化、OMO(Online Merges with Offline)化の動きが進みつつあると指摘。今回、中小規模の店舗でも多数の導入実績を持つPayPayと連携したことで、今後も双方の特性を活かし「実店舗とネットショップの融合」を支援することで、より多くの中小事業者の成長に貢献できるようサービスを展開していきたいという。

ECサイト制作サービスのSTORESがPayPayと連携、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

PayPayは登録ユーザー数4500万人以上、加盟店数355万カ所以上のキャッシュレス決済サービス(店舗やタクシーなど、PayPay登録カ所数の累計。2021年12月時点)。

STORESは、ASPカート型のネットショップを開設できるサービス。ひな型となるデザインテンプレートを多数提供し、ウェブサイトデザインやネットワーク関連の知識がなくともECサイトを作ることが可能。商品の予約販売機能、電子チケットの販売機能、顧客管理機能なども備えており、中小事業者を中心に利用されている。

PayPalが返品サービスHappy Returnsの利用範囲を拡大、全米5000カ所以上で利用可能に

PayPal(ペイパル)は2021年買収した商品返却サービスのHappy Returns(ハッピー・リターンズ)の利用範囲を拡大し、PayPal Checkout(ペイパル・チェックアウト)を利用している売り手は追加費用なしで利用できるようにした。米国時間3月28日にPayPalは、売り手がHappy Returnsの返却・交換ポータル・ソフトウェアを無料で利用できるようにした他、化粧品チェーンのUlta Beauty(アルタ・ビューティー)との提携によって、全米1300カ所以上のUlta店舗に、Return Bars(返品カウンター)を設置すると発表した。

Ulta Beautyの拡大は、まず一部の店舗から始め、年間を通じて他の場所へも展開していく予定だ。

これは、ソフトウェア物流サービスのHappy Returnsを2021年に買収して以来初めての同社に関する大きな取り組みだ。

Return Barの設置場所は買収当時の2600カ所から、Ulta Beauty店舗を含めて5000カ所以上へと2倍近くに増えた。Return Barは全米に広く展開されており、PayPalによると、米国人の78%は半径10マイル(約16km)以内にReturn Barがあるという。

利用者はこの返品サービスを利用するために、別のウェブサイトを訪れる必要はない。売り手がHappy Returnsに対応していれば、販売サイト上で直接返品手続きを進められる。利用者にはQRコードが発行されるので、近くのReturn Barに商品と一緒に持ち込めばよい。商品を箱詰めしたり、箱やラベルを持っていく必要はない。QRコードがスキャンされると、利用者はすぐに返金を受けられる。返品された商品は再利用可能な手提げ袋に、他の返却物と一緒に入れられる。この袋は回収されて処理施設に送られるので、物流の回数を減らすことができるとPayPalは説明する。

Happy Returnsのパートナー小売店は、店舗の入り口とレジで、顧客に返品サービスのことを知らせる掲示を行う。さらに、返品した顧客にはその店で使えるクーポンが渡され、パートナー店にいる間に買い物をするインセンティブが与えられる。これはAmazon(アマゾン)が同社のパートナー店舗、Kohl(コール)などで行っているのと同様のプロセスだ。

返品サービスの利用は、この1年間にオンラインショッピングの成長にともなって増加している。PayPalによると、Happy ReturnsのReturn Barでの対面返品の利用は、2021年2月から2022年2月の間に4倍近く増えた。パートナー小売店の数も倍増し、Everlane(エバーレーン)、Rothys(ロジス)、Gym Shark(ジム・シャーク)、Mack Weldon(マック・ウェルドン)他多数が加わった。買い物客は,Ulta Beautyに加え、Staples(ステープルズ)、FedEx(フェデックス)、PaperSource(ペイパーソース)、Cost Plus World Market(コストプラス・ワールドマーケット)その他の対応店舗にも返却する商品を持ち込める。

PayPalを利用している売り手は、Happy Returnsを追加料金なしで利用できるようになるが、PayPalのチェックアウト手数料はこれまで通りかかる。売り手は、このソフトウェアとポータルを利用して、Returns Barのネットワークを利用せず自身による返品と交換の管理を行うこともできる。ソフトウェアを利用することで、自動化された返品・交換をよりユーザーフレンドリーな体験にすることができる、とPayPalは言い、売り手には返却データの詳細レポートや返品に関する顧客の問い合わせをリアルタイムで見られるダッシュボードも提供している。

Return Barを利用する売り手は返品ごとに追加費用(金額非公開)をPayPalに支払う。それでも、返品配送をまとめられ、配送料金の割引が受けれらることで売り手は費用を削減できるとPayPalは言っている。

「消費者のオンラインショッピングの頻度が高まっても、返品は「対面」で行われることが多く、売り手にとっては費用がかさむ面倒な処理です、とHappy Returns by PayPalのDavid Sobie(デビッド・ソビー)副社長は声明で語る。「Ulta Beautyとの提携は、当社の対面持ち込みネットワークを拡大し、オンラインショッパーが返品を完了するための選択肢を増やします。Return Barは、新たな顧客を店舗にもたらし、売り手はより費用効果の高い実用的な方法でリバースロジスティックを管理できます。

PayPalはHappy Returnsの買収に支払った金額を明らかにしていないが、SEC(証券取引委員会)提出書類には、これは2021年に実施された4件の買収の1つであり(Paldlyを含まない)、合計金額は5億4200万ドル(約669億円)だと書かれている。PayPalはかつてHappy Returnsに戦略的投資を行っており、2019年のBラウンド後の企業価値は550万ドル(約6億9000万円)だった。PitchBook(ピッチブック)のデータによる。

Happy Returnsのサービスは、小規模な売り手がAmazonやWalmart(ウォルマート)のようなeコマース巨人と戦いやすくために作られている。両巨人とも、AmazonはWhole Foods(ホールフーズ)をはじめとする小売店などのパートナーで、Walmartは同社の小売店舗で、顧客が対面で容易に返品できる手段を持っている。Amazonの返品窓口や店内ロッカーを設置することによる潜在的来客への期待は、Amazonの返品にくる買い物客を取り込むことで、KohlやStein Martといった小売店が敵を利用することへと繋がっている。

UltaはHappy Returnのサービスをこれまでパイロットテストしてきたが、同様に来客数の増加と購買への転化に魅力を感じていると報じられている。

画像クレジット:PayPal

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

D2Cの注文処理サービスを代行する仏Bigblueが18.3億円調達

フランスのBigblueが、1500万ドル(約18億3000万円)のシリーズA資金調達ラウンドを実施した。同社は、D2C(Direct to Consumer)ブランド向けのオーダーフルフィルメントプラットフォームを運営している。これによりD2Cブランドは、Bigblueに物流に関するあらゆることをアウトソースすることができ、製品やマーケティングに集中できるようになる。

ラウンドはRuna Capitalがリードし、LPVが「セカンダリーリーインベスター」になった。既存の投資家であるSamaipataも、再び投資に参加している。

現在、同社はフランス、スペイン、英国3カ国で事業を展開しており、6万平方メートル以上の保管スペースを持つ5つの倉庫と提携している。顧客は、これらの倉庫に直接製品を発送し、Bigblueが保管・管理する。

Bigblueの顧客である企業や店に注文が入ると、商品はBigblueの配送ネットワークから客に送られる。同社が契約している配送業者は20社ほどで、ヨーロッパ全域に配達できる。グローバルな発送もできるが、の他の市場ではそれぞれの国でD2Cのためのフルフィルメントパートナーを見つけるのが賢明だろう。

Bigblueでは、パッケージをカスタマイズしたり、パッケージ内にチラシを入れたりして、エンドユーザーの体験をパーソナライズすることもできます。また、何か問題があった場合、顧客はブランドの返品ポータルで返品リクエストを提出するよう促される。返金だけでなく、ストアクレジットにも対応している。

共同創業者でCEOのTim Dumain(ティム・デュメイン)氏は声明で「新しい資金で、ユーザーであるマーチャントの増加に合わせて、私たちのサービスも拡大したい。社員を増やすとともに、会社をD2Cのフルフィルメント分野のリーダーになりたい」と言っている。

結果は実に単純だ。BigblueはAmazonのような体験を提供したいが、しかしそれをサードパーティのロジスティクスの業態でやろうというのだ。そこでBigblueはShopifyやWooCommerce、PrestaShop、Wixなどさまざまな販売チャンネルと、CdiscountやFnac、そして、そうAmazonのような多様なマーケットプレイスとの統合を進めている。

そうすることによって、さまざまなマーケットプレイスが無料で同日または翌日の配達を提供できるようになる。しかも、オンラインのマーケットプレイスの商品ページで自分が真っ先に選ばれるためには、その点が鍵になる。そしてまた顧客は、そのブランドの追跡メールを受け取る。

D2Cのロジスティクスサービスで同社が競合しているのは、CubynHiveHubooなどとなる。全体としてBigblueは、From FutureUnbottledWe Are Joliesなどの顧客を惹きつけることに成功している。同社の2022年の目標出荷数は400万だ。そのためには同社は今後1年間で社員を100名増員し、西ヨーロッパ全域に拡張しなければならない。

画像クレジット:Bigblue

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Instagramが商品のタグ付け機能を米国の全ユーザーに拡大

Instagram(インスタグラム)は米国時間3月22日、今後数カ月間で商品のタグ付け機能を米国の全ユーザーに拡大すると発表した。これまでは投稿に含まれる商品にタグ付けできるのはInstagramのクリエイターだけだった。今後は米国の全ユーザーがInstagramショップに対応している企業の商品にタグ付けできるようになる。同社は、この拡大によりタグ付けした人のフォロワーは紹介されている商品を見つけやすくなり、企業にとってはInstagram上のオーディエンスを増やすことにつながると説明している。

誰かがInstagramで商品にタグを付けると、その企業に通知が届く。企業は自社のプロフィールからタグ付けされたコンテンツをすべて見ることもできる。さらに、企業がタグ付けできる人を制御する設定もある。

自分の投稿で商品にタグを付けるには、写真またはビデオを選択し、キャプションを追加してから「次へ」ボタンを選択する。投稿中のブランドをまずタグ付けすると、商品にタグ付けするオプションが表示される。そこから「Tag Products(商品にタグ付け)」をタップして企業を検索し、タグを付けたい商品を見つけて自分の投稿に追加する。1件の投稿で複数の商品にタグを付けられる。

InstagramはTechCrunch宛のメールで「お気に入りの小さい会社から新しいイヤリングを手に入れたら、フィードの投稿でその商品にタグ付けすると、あなたの友人やフォロワーはそのイヤリングについて詳しく知り、購入できます。人々はトレンドやインスピレーションを共有し、発見するためにInstagramを利用しています。商品のタグ付けにより誰もがお気に入りの小さい会社を応援し、使用した商品とともに自分のスタイルを共有できるようになります」と説明した。

画像クレジット:Instagram

Instagramによれば、アプリ上で平均して160万人が週に1つ以上のブランドにタグ付けをしているという。同社はここ数年、アプリでのショッピングをスムーズにすることに取り組んできた。

2021年に同社は新機能として米国でアプリの「ショップ」タブ上部に「ドロップ」を追加し、オンラインで買い物をする人と商品を結びつけようとした。消費者はドロップで最新の商品を見つけ、ブラウズし、購入できるほか、近日発売の商品も見られる。興味のある商品のリマインダーを受け取れるように登録したり、Instagramで公開された他のドロップから商品やコレクションを見る機能もある。

2020年には「ショップ」タブが再設計された。Instagramショップは好きなブランドやクリエイターの商品をブラウズできる場所と説明されている。「ショップ」タブでは例えば「ビューティー」や「ホーム」といったカテゴリーで絞り込んでから、アプリ内で直接商品をチェックできる。

画像クレジット:Instagram

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

Shopify、eコマース機能を組み込んだ新しいリンクインバイオツール「Linkpop」を発表

Shopify(ショッピファイ)は「Linkpop(リンクポップ)」と呼ばれる新しいツールを発表し「link in bio(リンクインバイオ)」市場に参入したと、米国時間3月22日に発表した。この新サービスはクリエイターを対象としており、クリエイターはLinkpopのページから直接商品を販売することができるようになる。クリエイターやマーチャントは、ページに重要なリンクを掲載できる他、ストアフロントを立ち上げて、フォロワーと関わっているプラットフォームで直接販売することも可能だ。消費者は、Shopifyのマーチャントの商品を閲覧し、使用していたアプリを離れることなく、Linkpop上で直接購入することができる。

マーチャントは、アカウントを開設し、Shopifyストアにリンクさせ、ページにショッパブルリンクを追加することができる。また、ウェブサイト、記事、ビデオ、プレイリストなどへのリンクも追加することができる。ショッパブルリンクは、販売者の商品カタログと自動的に同期し、顧客が購入する前に必要とするすべての詳細を掲載する。一度アカウントを作成すれば、最大200のリンクをLinkpop上で共有することができる。

Linkpop には分析ツールも組み込まれており、リンクのクリック数やユニークビジター数といった顧客のページへの関与の度合いをよりよく理解することができる。また、背景色、ロゴ、フォントなど、Linkpopのページのさまざまな部分をカスタマイズすることもできる。また、特定のリンクに付随する写真をアップロードすることもできる。

「今日、マーチャントやクリエイターは複数のチャネルを使って顧客と関わっており、そのタッチポイントの数は今後も増え続けるでしょう」と、ShopifyのプロダクトディレクターであるAmir Kabbara(アミール・カバラ)氏は、声明で述べた。「Linkpopでは、マーチャントがソーシャルチャネルに投稿するすべてのリンクを一元化するサーフェスを作成しました。さらに、Linkpopで直接商品を購入することが簡単にできるように、そこで買い物できるようにしました。これは、マーチャントとバイヤーの両方にとって利益となるでしょう」。

画像クレジット:Shopify

このツールは、Shopifyの加盟店であるかどうかにかかわらず、誰でも利用することができる。しかし、ショッパブルリンクを利用できるのはShopifyのマーチャントのみだ。Shopifyは、まだビジネスを始めたばかりのクリエーターや、ビジネスを立ち上げていないクリエイターが、オーディエンスやブランドを育てるためにLinkpopを利用することができると指摘している。Shopifyでストアを立ち上げる準備ができたら、Linkpopのページで直接商品をシェアすることができる。Shopifyは、Linkpopのユーザーが最終的にShopifyの店舗を作り、Linkpopで購入できるようになることを期待している。

リンクインバイオページは、ここ数年でますます人気が出てきている。ソーシャルメディアのプロフィールやSpotify(スポティファイ)のページ、YouTube(ユーチューブ)のチャンネルへのリンクとして使う人もいれば、オンラインストアへのリンクとして使う人もいて、使い方はさまざまだ。

Linktree(リンクツリー)は、人気のある「リンクインバイオ」サービスの1つで、最近、Index Ventures(インデックス・べンチャーズ)とCoatue Management(コーチュー・マネジメント)が主導する1億1千万ドル(約132億円)の全額出資ラウンドを発表した。この資金調達により、Linktreeの評価額は13億ドル(約1568億円)に達した。2021年末、同社はShopifyとの統合を開始し、ユーザーが自社のプラットフォーム上で直接ビジネスや製品を宣伝する方法を提供するようになった。Shopfyとの連携は、LinktreeがPayPal(ペイパル)と提携し、Linktreeで直接支払いを行うために最近開始した「Commerce Links(コマース・リンク)」ツールを拡張した数カ月後に実現した。

Shopifyは今回、Linktreeに直接対抗するための新しいツールを立ち上げた。また、Shorby(ショービー)、Linkin.bio(リンクインバイオ)、Beacons(ビーコンズ)などを含む広範な「リンクインバイオ」市場にも対抗している。

画像クレジット:Shopify

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

ECチェックアウト時にCO2排出量を計算するAPIで環境配慮アピールを支援するLune

Luneは、CO2排出量計算を公開し、ブランドから顧客がオンラインで何かを購入する際に、より良い情報を提供することを目指す新しいスタートアップだ。LuneのAPIを使い始めると、企業は顧客に料金を支払ってもらい、カーボンニュートラル化プロジェクトの資金を調達することもできるようになる。

Erik Stadigh(エリック・スタディ)氏は、Roberto Bruggemann(ロベルト・ブルッゲマン)氏とLuneを設立する以前は、Luneの400万ドル(約4億7800万円)のシードラウンドをリードしたVCファンドのCraneに勤務していた。さらに、N26共同創業者のMaximilian Tayenthal(マクシミリアン・タイエンタール)氏、Voi共同創業者のFredrik Hjelm(フレドリック・ヒェルム)氏、OysterHRとNexmo共同創業者のTony Jamous(トニー・ジャマス)氏など15人のビジネスエンジェルが同ラウンドに参加した。

「今日のやり方では、企業がサステナビリティレポートを作成しても、ウェブサイト上のどこかに隠れてしまい、読む人はほとんどいません」と、共同創業者のスタディ氏は筆者に語った。

Luneはまず、あなたの企業のカーボンインパクトの測定を支援する。通常そうであるように、それはあくまで推定値だ。「ベストプラクティスのガイドラインに従い、自動化された炭素排出量計算を提供しています」とスタディ氏はいう。

そして、APIを製品に組み込むと、顧客は少し多めにお金を払ってカーボンオフセットプロジェクトに貢献することを選択できるようになる。「当社は、世界中のカーボンオフセット開発者と提携しています」と同氏。

また、LuneはTrueLayerのような決済会社とも直接連携している。チェックアウトの際、顧客はカーボンオフセットプロジェクトに貢献できる「グリーンな支払い方法」を選ぶことができるのだ。

マーチャント側から見ると、Luneの顧客はそれらのプロジェクトのためにお金を払うか、顧客に余分な手数料を払わせるかを選ぶことができる。Luneはすでに他の決済パートナーと話を進めており、今後より多くの決済システムを提供する予定だ。

Luneは計算回数に応じて課金され、またカーボンオフセット取引の際にもわずかながら手数料をとっている。LuneのAPIを使えば、どんな企業でも気候変動に配慮した企業に変身させることができると、このスタートアップは考えている。

何かを購入することを検討しているとき、CO2排出量を削減するためには、その製品を購入しないことが最善の方法であると多くの人がいうだろう。しかし、どうしても購入を避けられない場合、顧客が他と比べて特定の会社を選ぶ判断材料になるかもしれない。

画像クレジット:Lune

画像クレジット:Lune

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(文:Romain Dillet、翻訳:Den Nakano)

グーグル、EC企業の配送業務の最適化を支援する2つの新ツールを提供開始

Google(グーグル)は米国時間3月17日、大規模な配送車両を運用する企業向けの2つの新しいツール、Last Mile Fleet SolutionとCloud Fleet Routing APIを発表した。Google Maps Platformの一部である新しいLast Mile Fleet Solutionは、注文から配送までのラストマイル配送プロセスの各ステップを最適化することに重点を置いている。その名の通り、Google Cloudの一部である新しいRouting APIは、配送車両のフリート全体のルートプランニングに重点を置いている。

Last Mile Fleet Solutionは、現在パブリックプレビュー中だ。Cloud Fleet Routing API は2022年の第2四半期に一般利用が可能になる予定とのこと。どちらも企業向けサービスであるため、価格情報は公開されておらず、どちらの製品も潜在的な顧客はGoogleの営業チームと連絡を取る必要がある。

「パンデミックは、すでに急増していたeコマースと配送件数の両方をさらに加速させました。配送ネットワークへの負担の増加に加え、ドライバー不足、住所データの不備、工場の閉鎖、燃料価格の上昇など、多くの要因が配送時間や成功率に影響を与えました」と、Google Cloudのグローバルサプライチェーン&物流業担当マネージングディレクターであるHans Thalbauer(ハンス・タルバウアー)氏は述べている。「Google Maps PlatformのLast Mile Fleet SolutionとCloud Fleet Routing APIにより、配送フリート事業者がこれらの問題に対処し、消費者、ドライバー、フリートマネージャーにシームレスな体験を提供することが容易になります」とも。

画像クレジット:Google

Google Maps Platformは、企業がオンデマンドでドライバーを派遣するためのソリューション「On-demand Rides & Delivery」をすでに提供している。同社は、新しいLast Mile Fleet Solutionは、このサービスをベースにしていると述べている。

一方、Fleet Routing APIは、企業のルートプランニングを支援するまったく新しいGoogle Cloudサービスだ。ユーザーはこれを使って社内の車両管理システム用のツールを構築し、時間帯、荷物の重量、車両の容量など特定の制約条件に基づいてシステムが配送ルートを最適化させるために利用できる。その過程で、サステナビリティの目標達成に向けたルートの最適化も可能になるという。

英国を拠点とする宅配便サービス、PaackのCTO兼CPOであるOlivier Colinet(オリヴィエ・コリネ)氏はこう語る。「Paackでは、欧州で最大級のeコマース小売業者が毎月受け取る数百万件の注文に対して、優れた配送体験を実現するための支援にこだわっています。迅速にスケールアップするために、Last Mile Fleet SolutionとCloud Fleet Routingを採用しました。これにより、ドライバーとフリートマネージャーは最高の効率を維持し、98%の定時・初回配達率を超えることができました」。

画像クレジット:Bruce Bennett/Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Den Nakano)

アドビが「Experience Cloud」のカスタマージャーニー分析に新たな実験機能を追加

Adobe(アドビ)は米国時間3月15日、同社の「Experience Cloud(エクスペリエンス・クラウド)」製品群に含まれる、プラットフォーム全体で顧客を追跡するツール「Customer Journey Analytics(カスタマージャーニー分析)」に導入された多数の新機能を発表した。

新型コロナウイルス感染流行から、より多くのブランドとその顧客がオンラインショッピングへの移行を加速させる中、チャンネル(ウェブ、モバイル、店舗など)をまたいでユーザー体験を管理し、パーソナライズできるようにする必要性も高まっている。しかし、これらのデータをすべて追跡してダッシュボードにプロットすることと、その実用価値を高めることは、また別の話だ。

画像クレジット:Adobe

小さな変化でも、さまざまなプロパティをまたがってカスタマージャーニー全体にどのような影響を与えるかを、企業がより理解しやすくするために、アドビは企業が現実のシナリオをテストして、その結果を分析できる新しい実験機能の提供を開始した。例えば、モバイルアプリに変更を加えることによってコールセンターへの問い合わせが減少するかどうかを確認したり、ウェブサイトを変更するとモバイルアプリのダウンロードが増加するかどうかなどを確認することができる。これは基本的に、カスタマージャーニー全体を対象とするA/Bテストだが、さらに企業はこのデータを使って、個々のユーザーや大規模なユーザーセグメントに向けて、ユーザー体験を正確にパーソナライズできるという利点もある。

これらはすべて機械学習モデルによって行われるもので、膨大なデータセットから相関関係を容易に見つけ出すことができる。アドビによると、このアルゴリズムは「過去のデータ、比較可能なキャンペーン、進行中のベンチマークなど」を参照するということだ。

「現在、人々はしばしばデジタルを使って、以前にはやらなかったかもしれないようなことを始めています。彼らは1つの結果を得るために、複数のデバイスを通じて複数のチャネルに関与しているのです」と、Adobe Analytics(アドビ・アナリティクス)のプロダクトマーケティング担当ディレクターを務めるNate Smith(ネイト・スミス)氏は筆者に語った。「このことは、生涯価値と顧客保持に力を入れる多くのブランドにとって、オムニチャネル分析の優先順位を押し上げることになりました。問題になっているのは、そのような分析を行っている方法です」。

スミス氏は、従来のアプローチ、すなわちデータウェアハウスやデータレイクへのデータパイプラインとか、SQLレイヤーとその上の可視化ツールといったやり方では、一見シンプルだがコード化するのが難しい質問に対する迅速な答えを関係者が必要としている環境では、あまりにも複雑で効率が悪いと主張する。

「私たちのカスタマージャーニー分析では、Adobe Experience Platform(アドビ・エクスペリエンス・プラットフォーム)に用意されている多くの専用コンポーネントを利用できます。このプラットフォームは、当社がこの分野で買収した企業がネイティブに接続できるように、この数年間で完全にネイティブに構築されています」と、スミス氏は語る。「他の多くのベンダーが、マーケティング・クラウド・ポートフォリオを構築するために大規模な買収を行っていますが、当社はそのためのプラットフォームを実際に開発しました。なぜなら、これらをすべて機能させるためのダクトテープや針金は、ある時点でなくなってしまうからです」。

このカスタムプラットフォームがあるからこそ、新たな実験機能にチームはデータを送り込むことができる。スミス氏が指摘するように、これは開発者が既存のあらゆるツールを使って、これらのテストを構築できることも意味する。

アドビはまた、カスタマージャーニー分析が持つ顧客セグメントの発見機能と「Customer Data Platform(カスタマーデータプラットフォーム、CDP)」との間の新たな統合も構築した。「カスタマージャーニー分析で発見したオーディエンスをCDPで実際に共有し、どのシステムでもそれに対するアクションを起こすことができます」と、スミス氏は説明する。「私たちにとって、インサイトを発見するだけでなく、インサイトを最終的に活性化できるというのが、本当にエキサイティングな瞬間なのです」。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Adobe、パーソナライゼーションに注力してExperience Cloudをアップデート

Experience Cloud(エクスペリエンス・クラウド)は、Adobe(アドビ)のデジタルエクスペリエンスソリューションのための包括的なブランドだ。含まれる代表的な機能は、データと分析サービス、コンテンツ管理ツール、コマースプラットフォーム、そして2020年のWorkfront(ワークフロント)の買収によって取り込まれた、完全なマーケティングワークフロー管理サービスなどだ。Experience Cloudブランドは、同社の2017 Digital Marketing Summit(デジタル・マーケティング・サミット2017)でデビューした。このイベントは現在Adobe Summit(アドビ・サミット)と呼ばれていて、ちょうどCreative Cloud(クリエイティブ・クラウド)を中心とするAdobe MAXカンファレンスを、Experience Cloudを中心にしたものに相当すると考えることができる。米国時間3月15日、同社は2022年の(仮想)カンファレンスで同社のデジタルエクスペリエンスプラットフォームの新製品やアップデートを多数発表したことは驚きではない。

今回の発表の焦点は、ブランドとそのために働く開発者たちが、よりパーソナライズされた体験を構築し、Experience Cloud内の異なるサービス間のより深い統合を提供することを助ける新しいツールを提供すること、そして長年要望されていたAdobeのCreative Cloudとの統合も提供することだ。

Adobeの戦略・製品担当副社長であるLoni Stark(ロニ・スターク)氏は「私たちがお手伝いする企業は、その顧客によりパーソナライズされた体験を提供する必要があり、このデジタル経済で成功するためのツールを従業員に提供する必要があると考えています」と語る。「コンテンツとコマースに関する革新において私たちが焦点を合わせているのは、ショッピングとコマース体験をパーソナライズするための機能を提供して、顧客体験を開発する組織内のすべての人が、それを行うために必要な最も豊かな資産と洞察を得ることができるようにすることです。私たちの強みは、最高の技術を提供する一方で、開発者が想像するものを構築することを可能にできることであることを認識しながら、私たち消費者が恩恵を受けることができる、より大きなビジネス成長とエキサイティングな体験を推進する手助けができることです」。

とはいえ、おそらく今回の発表会の目玉は、新しいAdobe App Builder for Commerce(アドビ・アップ・ビルダー・フォー・コマース)かもしれない。Adobeは、これを使って、クラウドネイティブのコンテンツおよびコマースアプリケーションを構築するためのツールを開発者に提供する。これは、開発者が一連の開発者用ツールとSDKを通じて、Adobeのコマースソリューションの機能を拡張することを支援するというものだ。これによって、開発者は新しいユーザー体験だけでなく、企業のITスタックの残りの部分との統合を行うためのマイクロサービスも構築することができる。これは2021年末にローンチされたApp Builder for Experience Manager(アップ・ビルダー・フォー・エクスペリエンス・マネージャー)プラットフォームを補完するものだ。

「開発者がExperience Cloudにアプローチする際に、構築のために多すぎるツールを持たせないようにしたいのです。APIゲートウェイで統一されたエクスペリエンスを提供する必要があります」とスターク氏はいう。このApp Builderによって、開発者はより簡単にユニークなストアを構築したり、既存のeコマースツールを拡張してストア内での選択を可能にしたりすることができると指摘した。

画像クレジット:Adobe

統合機能としては、同社のマーケティングワークフロー管理サービスAdobe Workfront(アドビ・ワークフロント)」が、マーケターによるオムニチャネルキャンペーンの管理・分析を支援するJourney Optimizer(ジャーニー・オプティマイザー)と連携するようになった。また、企業内のより多くの従業員がキャンペーンや体験の構築に積極的な役割を果たすようになる中で、同社はCreative Cloudとのより深いつながりを構築して、組織間のサイロを打破し、Adobe Experience Manager Assets(アドビ・エクスペリエンス・マネージャー・アセット) とAssets Essentials(アセット・エッセンシャル)サービス内にあるCreative Cloudライブラリのコンテンツへのアクセスをより多くのユーザーに提供するようになる。

ここでのアイデアは、同社が「エクスペリエンス・フラグメント」と呼ぶものを構築することだとスターク氏は指摘する。これは基本的に企業のコンテンツライブラリを構成する最小単位のことで、これをさまざまなチャネルで再利用することで、ユーザー自身の好みや使用しているプラットフォームに基づいて高度にパーソナライズされたコンテンツを提供することができる。

画像クレジット:Adobe

パーソナライズ化への注力の一環として、Adobeは本日(米国時間3月15日)、B2CやB2Bブランドが顧客行動や製品売上、人気トレンドに基づいてより良いレコメンデーションを提供できるようにする、AI主導の新しい製品レコメンデーション機能をAdobe Commerce(アドビ・コマース)内に組み込んだことも発表した。同社は、この新製品をすでに試用している企業では、受注額が25%以上増加したと主張している。同様に、Adobe Sensei AI(アドビ・センセイAI)プラットフォームを採用した同社の新しいLive Search(ライブ・サーチ)機能は、コンシューマーブランドに、より高速でよりパーソナライズされ、より適切な検索結果を提供するのに役立つ(検索結果がしばしば笑ってしまうほどナンセンスなAmazon[アマゾン]も、おそらくこれを試した方がよいだろう)。

画像クレジット:halbergman / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

「アプリで注文したら20分以内に商品お届け」デリバリー専門スーパーを手がけるMeshが2億円のシード調達

「アプリで注文したら20分以内に商品お届け」デリバリー専門スーパーを手がけるMeshが2億円のシード調達ダークストア型スーパーマーケット「Mesh」を開発するMeshは3月16日、シードラウンドとして約2億円を調達したと発表した。引受先は、Coral Capital、Delight Ventures、W ventures、堀井翔太氏(スマートバンク代表取締役CEO、エンジェル投資家)。調達した資金により、「アプリで注文したら20分以内に商品をお届け」するデリバリー専門スーパーを構築し、世界のコマースを次のステージに押し上げるとしている。

ダークストアとは、英語で「倉庫」を意味し、ユーザーが来店しないデリバリー限定の店舗を指す。同社は、調達した資金を基にMeshの開発を推進する。取り扱い商材は一般のスーパーと同様の食品・飲料・日用品とし、注文はスマートフォンアプリ経由のみ、配達時間は注文後20分以内という業態のスーパーを構築する。また当初は東京23区内でサービス提供を開始し、順次日本全国および海外にエリアを拡大する。

Meshは「頼んだら、いま、届く」体験を作ることで、生鮮食品をはじめ商材のさらなるEC化を押し進め、次のコマースのインフラを作るという。

中国で初めて新型コロナ迅速抗原検査キットが一般向けにネット販売

中国は、新型コロナウイルス感染者数がここ数日で2年ぶりの高水準に達したことを受け、一般の人が迅速抗原検査キットを利用できるようにする。JD.com(JDドットコム)やMeituan(メイトゥアン、美団)などのオンラインマーケットプレイスは現在、深センに拠点を置く遺伝子大手BGIなど政府公認のメーカーによる家庭用検査キットの予約注文を受け付けている。また、全国のドラッグストアでも販売される予定だ。

過去2年間、中国は「ゼロコロナ」封じ込め政策を掲げて感染者数を抑えてきたが、より感染力の強いオミクロン変異種によってこの戦略はますます試されている。中国はこれまで、感染者の特定を分子・核酸検査の一種であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査のみに頼ってきた。これは、市販の代替検査として迅速抗原検査を採用している欧米諸国とは異なる。

PCR検査は抗原検査よりも正確だと広く認識されているが、医療従事者が検体を採取し、検査機関に送って結果を得る必要がある。それに比べ、抗原検査は自宅で実施でき、1時間以内に結果が出る。

中国の医薬品規制当局は現地時間3月12日、新型コロナ抗原検査の製品5種を承認した。これは、中国の国家衛生委員会が、公的検査の選択肢として抗原検査を追加したと発表してわずか1日後のことだ。

自己検査キットの導入は、中国がゼロコロナ戦略をすぐに緩和するというシグナルにはならない。保健当局は、迅速検査は新型コロナ感染の早期発見を支援することを目的としており、PCR検査は症例確認の基準として残っていると述べている。

家庭用検査キットはせいぜい、過剰なPCR検査体制にかかるプレッシャーを軽減するのに役立つ程度だ。中国の地方当局は通常、都市で数件の局所的な感染例が発生すると、大がかりなPCR検査を命じる。人口密度の高い地域では往々にして、住民は検査を受けるために何時間も並ばなければならない。PCR検査の結果は、携帯電話で国の「健康コード」にデジタルで同期され、それがないと集合住宅、レストラン、オフィスビル、公共交通機関から締め出されることになる。

中国がこの自己検査キットの使用をどのように規制するかはまだわからない。例えば、住民が自宅で陽性結果を確認した場合、自発的な地元当局への通知を政府はどのように保証するのだろうか?少なくとも、政府の予備的な指示では、自宅での検査は「関連行政部門」によって監視されることになっている。

画像クレジット:Diptendu Dutta / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾン、ロシアでPrime Videoへのアクセスと同国への商品出荷を停止

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、Amazon(アマゾン)はロシアの顧客のPrime Video(プライム・ビデオ)へのアクセスを一時停止している。また、同社はこの発表に関するブログ記事に、ロシアとベラルーシの顧客への小売商品の出荷を停止したことも記している。加えて、同社はロシアとベラルーシを拠点とするAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)顧客とAmazonのサードパーティー販売者の新規受け入れを停止する。Amazonがロシアで直接販売している唯一のビデオゲーム「New World」の注文受付も終了する。

「ロシアとウクライナで進行中の状況に鑑み、同地域で追加の措置を講じました。注意事項として、他の米国のテクノロジープロバイダーとは異なり、AmazonとAWSはロシアにデータセンター、インフラ、オフィスを持っておらず、ロシア政府とビジネスを行わないという長年の方針を持っています」と同社はブログ記事で述べた。

Amazonは先週、AWSがアプリケーションの安全性を維持するためにウクライナの顧客やパートナーと緊密に連携していることを発表した。同社は、攻撃をかわすためにウクライナのIT組織と緊密に連携し、リアルタイムのインテリジェンス共有でウクライナを拠点とする組織と協業しているという。

今回の発表は、Netflix(ネットフリックス)が今週初めにロシアでのサービスを停止すると発表したことに続くものだ。Netflixのロシアでのサービス停止は、ストリーミング配信会社に20のロシアのプロパガンダチャンネルをホストすることを求めるロシアの新法に従わないと同社が先週述べたことに続く措置だ。Netflixはまた、ロシアで制作する予定だった今後のプロジェクトをすべて一時停止した。

ウクライナへの攻撃を受け、ロシアでの事業を停止する企業が増えている中、Amazoもそこに仲間入りをした。今週初めには、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)など、複数の企業が同国での事業を停止すると発表している。Apple (アップル)は先週、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。ハードウェアの巨人はまた、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogle(グーグル)はAppleに続いて自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。同社はロシアでの広告販売も一時停止した

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッター、モバイル向け新ショッピング機能「Twitter Shops」を導入

Twitter(ツイッター)は米国時間3月9日、新しいショッピング機能「Twitter Shops(ツイッターショップ)」を導入した。この機能では、販売者は最大50の商品のコレクションをキュレートし、Twitterのプロフィール上で紹介することができる。このモバイルファーストの機能は無料で利用でき、Twitterのプラットフォーム上で商品について話すだけでなく、実際にクリックして販売者の商品を閲覧し、精算するようユーザーを促すことが目的だ。

しかし、Instagram(インスタグラム)のネイティブのShops(ショップ)とは異なり、これらの取引はTwitter自体で行われるわけではない。ユーザーはまず、販売者のショップにアクセスするのに、販売者のツイートの上にある「ショップを見る」ボタンをクリックする。そして購入の準備が整ったら、その商品をクリックし、販売者のウェブサイトに移動して取引を完了させる。この体験はアプリ内のブラウザで行われ、TikTok(ティクトック)の新しいショッピング機能の仕組みと似ている。

Twitter Shopsは無料で使用でき、Twitterは現在のところ、テスト中の新製品で収益化していないとのことだ。

画像クレジット:Twitter

Twitter Shopsは、ここ数カ月の間に同社が行ったeコマースに関する他の取り組みの上に構築されている。

Twitterは昨夏、米国でeコマースの試験運用を開始し、ユーザーは販売者のプロフィールの上部にある「Shop Module」から商品を閲覧できるようになった。しかし、このモジュールでは、ユーザーがスクロールできる商品は最大5つだ。新しいTwitter Shopsでは、販売者はより豊富なカタログを掲載することができ、CSVファイル経由でアップロードすることができる。

このファイルには、商品名、説明、価格、その他の詳細を含む最大1万点の商品を含めることができ、販売者は、プロフィールに表示する商品50点の選択を簡単に変更することができる。

Shop Modulesに加え、Twitterは2021年11月、新しいライブストリームショッピングプラットフォームのテストを開始し、Walmart(ウォルマート)が最初のベータテスターに選ばれた。Twitterによると、Walmartはライブストリームで行われたイベントで200万回以上の視聴を記録した。しかしそれがどの程度のコンバージョンにつながったかは明らかにしなかった。Live Shoppingはその後、フードデリバリーブランドGopuff (ゴーパフ)やSamsung(サムスン)など、他のマネージドパートナーにも展開された。

新しいTwitter Shops、そしてShop ModuleとLive Shoppingの機能は、TwitterのShopping Manager内に設置されていて、販売者が利用可能なショッピング機能を設定・管理する入口になっている。このShopping Managerは現在、Twitterのマネージドパートナーに提供されているとTwitterは話す。

画像クレジット:Twitter

導入にあたり、Twitter Shopsは米国で@Verizon@ArdenCove@LatinxInPower@GayPrideApp@AllIDoIsCookUSなど数百のブランドと英語でベータテストされる。Twitterは今後、他の販売者やマネージドパートナーからベータ参加者を募って加わってもらう予定だ。

今回のeコマースの拡張は、Twitterがとんでもない速さで新機能を展開してきた一連の動きに続くものだ。この1年ほどの間に同社は、クリエイターツール(スーパーフォロー)、パワーユーザー向け購読商品(Twitter Blue)、ニュースレター(Revue)、NFTアバター、アプリ内投げ銭、ライブオーディオ(Twitterスペース)などを発表している。しかし、プラットフォームの収益を上げる新しい方法を見つけることに焦点を当てたこれらの取り組みが、誤報やプロパガンダの拡散に関連する分野(ロシアとウクライナの戦争が続く中でこれまで以上に重要だ)で取り組むべき、より重要な仕事から注意を逸らさせているという批判もある。

Twitterのeコマースへの取り組みに関するもう1つの課題は、ソーシャルネットワークがエンドユーザーにどのように受け止められているかということに関連している。テキストが多いという性質を考えると、TwitterのユーザーがTwitterを商品を発見する場としてとらえているとは言い難い(Twitterは、同社のライブビデオプラットフォームのPeriscope(ペリスコープ)や、TikTokよりも先に展開されてきた短編ビデオプラットフォームVine(バイン)などのサイトにもっと動画を追加するような取り組みを長年にわたって停止してきた)。

一方、今日のオンラインユーザーは、Instagramの写真や動画、そして最近ではTikTokの動画を通じて、ソーシャルメディア上で買い物をする傾向がある。特にTikTokのトレンドのバイラル性は、より自発的な購買を促す。TikTokは2月のイベントで、48%のユーザーが自社プラットフォームで商品を見てすぐに購入したことがあり、67%が買い物を考えていないときにも購入したとクリエイターに語った。

Twitterも明らかにそうした動きの一部を取り込もうとしているが、TikTokのようなライバルはオンラインショッピングを単なる追加機能としてではなく、没入型ビデオやパーソナライズされたホームフィードを通じてすでに提供している、予期しない発見の自然な延長線上にある機能として位置づけている。

Twitter Shopsは当面の間、iPhoneのTwitterユーザーのみが利用できる。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

簡単にネット販売ストアを立ち上げて注文を受けられるツールを開発するCococart

2年前、起業家のDerek Low(デレク・ロウ)氏は、自身が所有するバリ島のホテルを失い、生活費を稼ぐために手作りのチーズケーキのネット販売を始めた。しかし、すぐに立ち上げて注文を受けることができる簡単なeコマースツールを見つけるのは、難しいことがわかった。

ロウ氏は、2億もの事業主が注文を取るために電話やWhatsApp(ワッツアップ)やInstagram(インスタグラム)などのメッセージングアプリに頼っており、注文の追跡が困難であることが、代金回収を難しくしていることに気づいた。また、プロフェッショナルなeコマースサイトは立ち上げに数週間かかり、新規ビジネスには高額な費用が必要になることも知った。

Cococart共同創業者兼CEOのデレク・ロウ氏(画像クレジット:Cococart)

ロウ氏はZhicong Lim(ジコン・リム)氏とパートナーを組み、シンガポールを拠点にCococart(ココカート)を設立した。同社のツールは、商品を販売する人が数分でオンラインストアを立ち上げることができ、コードもデザインもアプリのダウンロードも不要だ。このストアには、注文管理からモバイル決済ソリューションまで、あらゆる機能が搭載されている。販売者は、持続不可能な手数料を請求するアプリやマーケットプレイスを利用することなく、自分たちの販売を管理することができる、とロウ氏は付け加えた。

「率直に言って、受注管理は大変です」と、ロウ氏は語る。「ほとんどの地方事業者は、未だにWhatsAppで注文を受け、スプレッドシートを使って注文を管理しています。それでは事業を成長させるために使うべき多くの時間が吸い取られてしまいます。私たちは、地方起業家たちの新しい波の最前線にいます。キッチンで作った料理を販売するところからスタートし、今では業務用キッチンを備えた小売店を経営しているような当社の加盟店のストーリーから、私たちは日々インスピレーションを受けています。私たちのミッションは、地域の事業を変革し、ビジネスオーナーに情熱を追求する力を与えることです」。

Cococartの加盟店の多くは、まさにロウ氏と同じような人々だと、同氏はいう。新型コロナウイルス感染流行から生まれた新世代の個人事業主は、eコマースで急成長しているセグメントを代表する存在となっている。また、人々がオンラインで注文することに慣れたことも、ロウ氏はこの動きがなくならない要因と見ている。

「私のように、職を失った多くの人がネットで副業を始め、それが主な収入源になりました」と、ロウ氏は続けた。「このような起業家は、他人のために働くよりも、自分のビジネスを運営する方が収益性が高く、充実感が得られることに気づいたのです」。

Cococartは設立当初から収益性の高い会社であり、サービスの立ち上げ以来、90カ国で2万人以上の商店主が契約し、合計50万件以上の注文を受け、1500万ドル(約17億円)以上を稼ぎ出している。

例えば、同社のトップマーチャントの1つであるINDOCIN(インドシン)は、オンデマンドで職人によるインドネシア料理を提供している会社だ。ロウ氏の話によると、同社のオーナーが1年前にCococartで商売を始めた当時は、自宅のキッチンで手作りの料理を売っていたそうだ。現在では24人の従業員を雇用し、自分の店舗を経営している。

ロウ氏によると、2021年だけでCococartは契約店数を30倍、顧客数を46倍に伸ばしたという。同じ期間に、同社は創業者2人だけのチームから、12カ国にまたがる22人のチームに成長を遂げた。

この勢いを維持するため、CococartはForerunner Ventures(フォアランナー・ベンチャーズ)とSequoia(セコイア)から420万ドル(約4億8500万円)を調達した。他にも、Y Combinator(Yコンビネータ)、Uncommon Capital(アンコモン・キャピタル)、Soma Capital(ソマ・キャピタル)、Liquid 2 Ventures(リキッド・ツー・ベンチャーズ)、Fitbit(フィットビット)CEOのJames Park(ジェームズ・パーク)氏、Curated(キュレイテッド)CEOのEduardo Vivas(エデュアルド・ヴィヴァス)氏などの投資家が出資した。

ロウ氏は、この新たに調達した資金を使って、雇用と顧客獲得を継続していく意向だ。

「私たちはまだ始まったばかりです」と、同氏は続けた。「私たちの目標は、商取引の次世代を定義することです。事業を始めて運営していくには、配送からサプライチェーン、資金調達に至るまで、まだまだ私たちで解決したい課題が山積しています。私たちは目の前に大きな機会を見出しています。Cococartを世界中の2億の事業主に届けたいと思っています」。

画像クレジット:Cococart

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

シェア買いアプリ「カウシェ」、シェア買い成立に必要な人数を事業者が設定できる「大人数シェア買い機能」α版追加

カウシェは2月21日、同じ商品を2人以上で購入することでお得に買い物ができるシェア買いアプリ「カウシェ」(Android版iOS版)において、「大人数シェア買い機能」α版を追加したと発表した。同機能は、シェア買い成立に必要な人数(従来は2名以上)について、事業者側が自由に設定できるというもの。今回はα版のため30人もしくは50人の2パターンから設定する。

事業者にとっては、販売数をコントロールでき、ボリュームディスカウントの提供も可能となる。またユーザーにとっては、よりお得な価格で商品を購入できるようになるという。

カウシェは、友人や家族、もしくはSNS上の誰かとといった自分を含めて2人以上で購入する「シェア買い」が手軽に行えるアプリ。シェア買いの仲間を見つけるにあたって、買い物の醍醐味ともいえる、商品についての語り合いや一緒に購入する約束をオンラインで実現することにより「ショッピングの楽しさ」と「お得な買い物体験」を提供する。

出品する事業者側としても、シェア買いを成立させたいユーザーが自発的に商品情報拡散をSNSなどで行うことで、広告費を抑えられるとしている。

「大人数シェア買い機能」では、シェア買い成立人数を事業者側が独自に設定し、「○個販売する場合は、○円で販売可能」といった形で販売量と価格の調整によるボリュームディスカウントが可能となる。シェア買い成立までの人数集めの規模が大きくなるので、ユーザーがより多くの新規ユーザーを呼び込むことを期待できるという。ユーザーとしては達成までのハードルは上がるものの、よりお得な価格で商品を購入可能になるとしている。

2020年9月設立のカウシェは、「世界一楽しいショッピング体験をつくる」をビジョンとして掲げ、シェア買いアプリ「カウシェ」を運営。買い物客と、モノを売りたい事業者の双方がワクワクするようなショッピング体験を実現することで、「物を購入する」という目的に留まらず、楽しさを追求できる場所として、デジタルの買い物体験のアップデートを目指している。

Varosは自社のパフォーマンス指標を他社と比較できるデータ共有ツール

ある分野で上場企業の1社が厳しい四半期を報告すると、同じ分野の他の企業の株価が下がる傾向にある。しかし、非上場企業の場合、なぜ先週のコストが増加したのか、それは自社の遂行能力によるものなのか、それとも他の企業でも起こっていることなのか、正確に把握することは難しい。

サンフランシスコとテルアビブに拠点を置くVaros(ヴァロス)は、顧客獲得コストなどの主要なパフォーマンス指標について、その企業が同業他社と比較してどうなのかということを解明している。

CEOのYarden Shaked(ヤーデン・シャケッド)氏は、CTOのLior Chen(ライオー・チェン)氏と父親のGil Shaked(ジル・シャケッド)氏とともに2021年にVarosを設立し、Y Combinator(Yコンビネーター)の2021年夏のバッチに参加した。彼らは、顧客の技術スタックとのAPI統合を通じて、データをクラウドソースするデータ共有ツールを作り上げた。チェン氏によると、データはリアルタイムで取得され、顧客によるメンテナンスは必要ないという。

「eコマース企業はデータを重視しますが、一般的には自社の過去のデータを参照することしかできません」と、ヤーデン・シャケッド氏はTechCrunchに語った。

「無視界飛行しているようなものです。自社のパフォーマンスが良いのか悪いのかわからず、KPI(重要業績評価指標)が良いのか悪いのかも答えることができず、何が問題なのかわからないため、どのレバーを引けばよいのかもわからないのです」と、同氏は続けた。「その一方では、トレンドもあります。顧客獲得コストが急上昇した場合、それは市場のトレンドである可能性があります。私たちは、データ連携を通してその解決策を提供します。人々が入力したデータを、我々は匿名化して、洞察のために顧客に返します」。

Varosでは、すべてがセルフサービスだ。顧客がデータを接続すると、データはさまざまな階層に分類され、さまざまな方法でタグ付けされる。ユーザーはダッシュボードを使って、例えば月に10万ドル(約1150万円)をデジタルマーケティングに費やしているアパレル企業の一定期間の平均受注額と比較し、その期間の推移をグラフで見ることができる。

Varos創業者。左からジル・シャケッド氏、ヤーデン・シャケッド氏、ライオー・チェン氏(画像クレジット:Varos)

その中でも特に人気が高いのが、月曜日の朝に提示されるVarosのトレンドレポートで、ユーザーは週ごとのデータと週ごとのベンチマークを比較することができる。「これは、ユーザーが自社のパフォーマンスを直接の競争相手と比較して理解するのに役立つ、新しいカテゴリーのデータ分析です」と、ヤーデン・シャケッド氏は付け加えた。

同氏によると、この種のデータ連携は、農業や旅行、そして競合他社のデータに基づいて評価を行うレイトステージ投資など、他の業界では行われているが、eコマースやSaaSの分野では比較的新しいものだという。Varosは2021年8月にソフトローンチして以来、すでに大きな支持を得ており、現在は250以上のユーザーが、Varosにマーケティングデータを入力し、同業他社との比較を行っている。

Varosは、データのマーケットプレイスを構築するとともに、無料でサービスを提供してきたが、複数の有料顧客も抱えている。この需要に対応するため、同社はIbex Investors(イベックス・インベスターズ)が主導する400万ドル(約4億6000万円)のシード資金調達を実施した。このラウンドには、Y Combinatorの他、元Thomson Reuters(トムソン・ロイター)CEOのTom Glocer(トム・グローサー)氏、Bonobos(ボノボ)共同創業者のAndy Dunn(アンディ・ダン)氏、Farmers Business Network(ファーマーズ・ビジネス・ネットワーク)共同創業者のAmol Deshpande(アモル・デスパンデ)氏、Crossbeam(クロスビーム)CEOのBob Moore(ボブ・ムーア)氏、Connectifier(コネクティファイア)共同創業者のJohn Jersin(ジョン・ジャーシン)氏などの個人投資家が参加した。

米国時間2月23日に正式にローンチしたVarosは、マーケティングKPIからスタートしたが、それだけに留まるつもりはない。Shopify(ショッピファイ)、Google(グーグル)、TikTok(ティックトック)の統合など、収益の伸びやコンバージョン率を追加していくだけでなく、金融、製造、販売など、他の分野にも拡大していく予定だと、ヤーデン・シャケッド氏は述べている。

同社は1カ月前まで創業者3人だけだったが、現在はプロダクトとデザインを中心に7人のチームで運営している。2022年末までに人員の倍増を計画しているという。

「私たちの仮説が機能していることをうれしく思います」と、ヤーデン・シャケッド氏は語っている。「以前、Varosがなかった頃は、何かを見つけたり変更したりすると、どこがうまくいっていないのかを理解するための学習期間が必要になる傾向にありました。現在は、Varosがあれば、自分の目で見たものに基づきながら、創造性に集中することができます」。

画像クレジット:Varos

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

さまざまなeコマースツールを接続、自動化するAlloy Automationが約23億円調達

Y Combinator(Yコンビネーター)の卒業生で、異なるさまざまなeコマースツールの接続に力を入れるAlloy Automation(アロイ・オートメーション)は米国時間2月22日朝、a16zが主導する2000万ドル(約23億円)のシリーズAをクローズしたことを発表した。同社にとってこの資金調達イベントは、資金確保が困難だった2021年とは対照的に、活発なものとなった。

TechCrunchは、ちょうど1年前にAlloyのシードラウンドを取り上げたが、このスタートアップは当時、事前評価1600万ドル(約18億4000万円)で400万ドル(約4億6000万円)を調達し、調達後企業評価額が2000万ドルだった。つまり、Alloyは1年前の企業価値と同じだけの資本を調達したことになる。

TechCrunchは、Alloyの共同創業者兼CEOのSara Du(サラ・ドゥ)氏とCTOのGregg Mojica(グレッグ・モジカ)氏に、今回のラウンドと、この1年間で自社のピッチがどのように洗練されたかについて話を聞いた。

Alloy AutomationのシリーズA

資金調達を行った際に、Alloyは同規模の他の企業よりも、キャッシュバーン(資金燃焼率)の面でやや保守的であったことに気づいたと、共同創業者は語っている。ベンチャー市場が価格、つまり支出の自制を見直し始めている中で、この事実は同スタートアップの資金調達の見通しにとってマイナスではなかった。また、Alloyの第4四半期は好調であり、これも悪くなかったと、ドゥ氏とモジカ氏はTechCrunchに語った。

なぜ、同社はより多くの資金を調達したのだろうか? いくつかの理由があるが、創業者たちは次のように述べている。もちろん、成長中の事業において、現金は多くあるに越したことはない。しかし、Alloyにとって同じくらい重要だったのは、多くの出資を集めたことと、その資本政策にa16zの名前が入ったというシグナルだった。この2つの要素が、会社の地位を築くために役立ち、パートナーシップの確保につながると、共同創業者たちは説明する。また、人材コストが高騰している現在、総資金額が多ければ、目先の資金繰りに悩まされることなく、必要な人材を確保することができる。

Alloyは、自社の自動化技術(企業が多くのアプリケーションをリンクさせ、自動化されたワークフローの構築を可能にする方法)をeコマース市場に応用しているが、この分野に注力しているのは、初期の顧客からの要望によるものだ。現在、Alloyは複数のアプリケーション間のコントロールパネル、つまりeコマースを同調するためのオペレーティング・システムとしての役割を担うと、自らを謳っている。

自動化の市場は決して小さくない。ワークフローとオートメーションの分野に属する別の企業であるAppian(アピアン)は、最近の上場ソフトウェア企業の傾向に反して、投資家が実際に好むような成長を報告している。つまり、長期間にわたって成長を加速させているということだ。Alloyにとって、Appianの最近の成功は、創業者や投資家が切望するTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)の増加を意味する。

ドゥ氏とモジカ氏はインタビューの中で、かつてeコマース企業は独自の技術スタックを構築する傾向があったと語る。しかし現在では、それとは対照的に、サードパーティのソフトウェアが主流になっている。このような変化が、Alloyの構築しているものに対する需要を生み出したのだろう。eコマース企業が利用するソフトウェアサービスが増えれば増えるほど、それらを統合し、相互に補完することが求められるようになるからだ。

Alloyの従業員数は現在20人を超えるほどだが、当然のことながら同社は積極的な雇用計画を立てている。2022年中にはスタッフを倍増することを漠然と予期しているという。

Alloyは、eコマースソフトウェアの世界では中立的な立場に近く、eコマースサイトのすべての構成要素を自ら作り出すのではなく、その中心に位置することを望んでいる。そう考えると、TechCrunchが創業チームを取材したとき、モジカ氏がテキサス州で開催されたBigCommerce(ビッグコマース)のイベントに参加していたことにも驚きはなかった。BigCommerceは、ヘッドレスのeコマースソフトウェアをてがける企業で、顧客の選択に大きく依存しないという点でAlloyと精神的に共通している。

このようなオープンなモデルは、決済のようなファーストパーティのソリューションで収益を上げている他の企業とはやや対照的だ。eコマースの世界では、Shopify(ショッピファイ)がその典型例である。

Alloyが今後、パートナーと顧客それぞれの観点から中心性を高める努力をしながら、その中立性をどのように管理していくのか、興味深いところだ。確かにこのスタートアップ企業は、次の4〜6四半期を運営するだけの資金をすでに確保している。次のベンチャー資金調達に戻る前に、同社がどこまで行けるか、見守ることにしよう。

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾン、VISAカード決済の継続にグローバルで合意

米Amazon(アマゾン)とVISA(ビザ)が、英国などでの決済手数料をめぐる対立を解決したとReutersが報じた。Amazonの広報担当者は「VISAとグローバルな合意に達し、すべての顧客がAmazonでの買い物でVISAのカード決済が継続利用できるようになった」とReutersに述べた。

Amazonは、クレジットカード取引にかかる手数料が高いことを不服として、1月19日から英国でのVISAの取り扱いを停止すると脅し圧力をかけていた。EUではカード発行会社の手数料に上限が設けられているため、欧州の他の地域には影響がなかったが、ブレグジット後の英国でMastercardとVISAの両カード発行会社が手数料をつり上げたのだ。英国の規制当局は最近、これらの値上げを調査すると発表した。

決済市場におけるVISAの優位性を考えると、Amazonがその脅しを実行に移すことはないと思われた。案の定、期限の少し前に、Amazonは結局VISAカードの受け入れを継続すると発表し「VISAと緊密に協力して可能な解決策を検討している」と述べていた。

Amazonは、他の地域ではVISAカードの使用を禁止したり、取り扱い停止の圧力をかけたりはしていなかったが、オーストラリアとシンガポールでVISAを使用する顧客には「サーチャージ」として追加の取引手数料を請求していた。この手数料は現在取り消されており、VISAとAmazonはこの問題をすべて解決したようだ。VISAの広報担当者は、声明で次のように述べている。「今回の合意には、今日(米国時間2月17日)からAmazonのすべてのサイト・ストアでVISAが継続利用できるようになることに加え、新製品や新技術への取り組みについて共同で取り組むコミットメントが含まれています」。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Matt Cardy / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

韓国大手NAVER、可能性に満ちた日本と韓国の大手eコマース販売業者の成長を加速するNew Vesselに投資

eMarketerの推定によれば、2021年の日本のeコマース市場は1440億ドル(約16兆5600億円)、韓国は1210億ドル(約13兆円9200億円)だ。市場規模の大きさにもかかわらず、両国のeコマースアグリゲーターの数は、より市場規模が小さい他の国よりも少ないと、韓国のeコマースアグリゲーターであるNew Vessel(ニューベッセル)は述べている。

同社は現地時間2月15日、韓国と日本での市場獲得をにらみ、非公開のシードラウンドで資金を調達したと発表した。韓国のインターネット大手NAVER(ネイバー)、CKD Venture Capital、Wooshin Venture Investmentが共同でラウンドをリードし、Lighthouse Combined InvestmentとS&C Networksが参加した。

New VesselのCEO、Jaebin Lee(イ・ジェビン)氏はTechCrunchに対し、新たな資金は韓国と日本でのeコマースブランドの買収と、ブランド管理、マーケティング、サプライチェーン管理の専門家の追加採用に充てると語った。同社は現在、年間売上高が少なくとも100万ドル(約1億1500万円)、利益率が15〜30%のブランドを求めており、買収案件の規模は100万〜200万ドル(約1億1500万〜2億3000万円)になるだろうと同氏は付け加えた。同社は2022年上半期に買収を完了した後、6月にシリーズA資金を調達する予定だと同氏は指摘した。

画像クレジット:eMarketer(スクリーンショット).

New Vesselは、弁護士や投資家として10年以上のM&A経験を持つイ氏と、日本のEC「楽天」や韓国のEC「Coupang(クーパン)」で活躍したKyuyong Lee(イ・キュヨン)氏が2021年9月に創業した企業だ。

ここ数年、共同創業者の2人は、ThrasioやPerchなどグローバルなアグリゲーター大手の成長を目の当たりにしてきた。だが、韓国と日本におけるeコマース市場は世界でもトップクラスにあるにもかかわらず、eコマースアグリゲーター業界はまだ始まったばかりであることに気づいた。このことは、両国を拠点とするアグリゲーターにとって大きな可能性だとイ氏は話す。

「単に時間の問題です。韓国と日本のeコマースアグリゲーター市場は、未開拓の可能性に満ちています」と同氏はいう。

New Vesselは、韓国と日本の大手eコマースの販売業者の成長を加速するために彼らと提携し、実績に裏打ちされた最適化戦略と売上拡大戦術を提供するという。同社が目指すのは、米国拠点の販売業者が韓国と日本で事業を拡大するのを支援することと、逆に、韓国と日本のブランドが米国市場へ参入できるようにすることだとイ氏は述べた。同社は最近、米国と韓国に拠点を置く携帯電話アクセサリーメーカー、Spigen(シュピゲン)と戦略的提携関係を結び、オペレーションにおける強みをさらに高めた。

「韓国のオンラインブランド販売業者の大半は、自分のブランドを売り込むことが可能であることさえ認識していません。ブランドオーナーとの提携により、すばらしい製品を手頃な価格で市場に広げ、販売者だけでなく消費者全体にも価値を提供できると信じています」。

一方、グローバルなeコマースアグリゲーターのThrasioは、日本のeコマースブランドを買収するため、2021年3月に日本に事務所を設立し、アジアに進出している。

画像クレジット:Blue Planet Studio / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンライン文房具市場をリードするためPapierは約57.7億円のシリーズCを獲得

テクノロジーを活用して非テックな製品を世に送り出しているスタートアップPapier(パピエ)は、オンラインで販売しているパーソナライズされたノート、手帳、カードなど、紙ベースの文房具に対する強い需要を受けて、事業拡大を続けるために資金調達を行った。このロンドンのスタートアップは、シリーズCで5000万ドル(約57億7000万円)を調達した。今回の資金は、米国への進出と、より多くの紙ベース製品やペン、その他デスク収納、ペンや鉛筆などの文房具、その他の書くことを支援するあらゆる物を含むデスク周りの消耗品などの製品の拡大を継続するために使用する予定だ、とPapierのCEO兼創業者のTaymoor Atighetchi(テイムール・アティゲッチ)氏は述べている。

「世界的な文房具ブランドを作ることが使命です」と彼はインタビューで語っている。「2000億ドル(約23兆円)規模の市場でありながら、強力なオンラインブランドは存在せず、他の業種に見られるようなカテゴリーを定義するようなものはありません。今回の資金調達は、その計画の重要な一部です。グローバルに、そして米国に、私たちを押し出してくれるのです」と述べている。また、Papierは現在のところ非公開を続けるものの「株式上場は絶対にこの先の旅の一部だと考えています」とも付け加えている。

パリのVCであるSingular(シンギュラー)がこのラウンドをリードし、その他にdmg ventures(ディーエムジー・ベンチャーズ)、Lansdowne Partners(ランズドーン・パートナーズ)、Kathaka(カサカ)が新たに出資し、Felix Capital(フェリックス・キャピタル)とBeringa(ベリンガ)が以前から出資している。このスタートアップは現在6500万ドル(約75億円)を調達しており、その評価額は公表していないが、過去2年間で収益は150%成長しているという。

このラウンドにおけるPapierの主要な投資家の1人が、世界有数の新聞社であるDaily Mail Group(デイリー・メール・グループ)のコーポレートベンチャー部門であるというのは興味深いことだ。出版業界など紙媒体の産業がどんどんデジタル化している今、Papierはある意味、アナログ製品の無名から脱却し、収益基盤全体をカニバライズしない興味深いルートを提示していると言えるだろう。

同スタートアップは、伝統的なものを現代の消費者の興味を引くような方法で倍増させることで、単純に成長する機会を見出したのである。つまり、カバーデザインは、InstagramやPinterestなどのサイトで目を引くモダンなグラフィックに寄せているということだ。V&A(ブイ・アンド・エー)、Mother of Pearl(マザー・オブ・パール)、Temperley London(テンパリー・ロンドン)、Rosie Assoulin(ロージー・アズーラン)、Headspace(ヘッドスペース)、Matilda Goad(マチルダ・ゴード)などの有名企業とのコラボレーションにより、購入者の名前とひと言でそのデザインをパーソナライズする方法を提供している。

そして、これらの製品は、若い消費者の間で生まれているある種の美学に対応していると、アティゲッチ氏は考えている。現代の私たちは、何でもできるアプリで埋め尽くされた海の中を泳いでいる。今日の話題は、NFTのような仮想オブジェクトに価値を与え「株」を購入することかもしれない。ミレニアル世代やそれより若い消費者は、デジタルネイティブであるがゆえに、これらをより敏感に感じているのかもしれない。

しかし、プロダクティビティや余暇の過ごし方、そして決定的なのはお金の使い方に関して、彼らは自分たちの生活の大部分を決めているスクリーンに代わるものを積極的に探しているようだ。テクノロジーを使って生産され、販売されるPapierの製品は、現代のデジタル世界に対する保護カバーのようなものでもあるのだ。

ノートの典型的な顧客は高齢者だと思われるかもしれないが、ミレニアル世代は現在Papierの最大の顧客層で、売上全体の53%を占めており、Z世代ユーザーは最も急速に成長しているセグメントであることがわかっている。

アティゲッチ氏によると、同社の成長計画の1つは、すでに販売している製品の市場での認知度を高めることだという。英国ではブランドの認知度は約30%、米国では15%だという。つまり「当社の存在を知らない文房具バイヤー」へのマーケティングに多くの投資を行うことになる。

この点で特に注力するのが米国で、同社は2022年の売上高の40%を占めると予測しており、2019年以降5倍に成長している。

同社は、製品のデジタル版を作る予定はない。書いたメモをアプリに変換するEvernoteのようなスタイルはとらない。しかし、アティゲッチ氏は、消費者がデジタル世界から離れるための方法を提供するという考えにある他のデジタルビジネスと連携したいと述べている。実際、この分野は中小企業だけでなく、iOSに新しいモードを組み込み、通知を最小限に抑え、1日の特定の時間帯にデバイスを使用する方法を合理化することによって、人々が画面から離れるのを助けているApple(アップル)のような大手プラットフォーム企業も推進している技術だ。

「Papierは、このアナログ革命の動きを拡大するものです」とアティゲッティ氏は言い、これはPapierだけではないとも指摘した。ただ他の市場をどう見るか次第だと。「Calm(カーム)もアナログ製品を販売しています。Sleepと呼ばれています」と語っている。

投資家はそのコンセプトと将来性を高く評価している。

「このブランドの魅力は、家庭と一体化したスタイルにあります」と、SingularのNahu Ghebremichael(ナフ・ゲブレミーチェル)氏はいう。「最近では、多くの人がホームオフィスで仕事をするようになりました。以前ほど、仕事と生活を切り離して考えることができなくなっています。Papierは、その両方の領域で何かできるかもしれません」と述べる。彼女はこのラウンドで役員に加わっている。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)