Waymo、ロボタクシーの安全性の詳細を秘密にすることを裁判所に認められる

カリフォルニア州の裁判所は米国時間2月22日、Alphabet(アルファベット)の自律走行部門のWaymo(​​ウェイモ)はAV技術に関する特定の詳細を秘密にしておくことができると判決し、同社は勝訴した。

同社は1月下旬、自律走行車の展開許可に関する一部の情報、およびカリフォルニア州車両管理局と同社との間の電子メールの一部を、身元非公開の第三者によって提出された公文書請求から削除するために、同局を提訴していた。

カリフォルニア州上級裁判所サクラメント支部による今回の判決は、少なくとも自律走行車業界においては、公共の安全に関わるが企業が企業秘密を含むと主張する情報への一般公開に関して、より広範な企業秘密保護の前例となる可能性がある。

Waymoは訴訟の中で、企業秘密の開示を迫られれば、自動運転技術への投資が損なわれ、車両管理局はもはや企業が自社の技術に関する情報を透明性を持って共有する安全な相手ではなくなるという「業界全体での冷え込み効果」があると主張した。

「Waymoがカリフォルニア州車両管理局に提出した許可申請書に含まれていた競争上重要な企業秘密の開示を除外する仮処分申請を裁判所が認めるという、正しい判断が下されたことをうれしく思います」と、Waymoの広報担当者はTechCrunchに語った。「当局と共有する詳細な技術情報は、必ずしも一般と共有することが適切ではないと認識している一方で、当社の自律走行技術と運用に関する安全性およびその他のデータをオープンに共有し続けます」と述べた。

カリフォルニア州でテストや展開を考えている他の自律走行技術企業と同様、Waymoもその安全対策や技術に関する情報を車両管理局に提出しなければならず、その後、車両管理局はより具体的な質問でフォローアップしていた。車両管理局はWaymoの許可申請情報の公文書請求を受けた際、企業秘密が漏れる可能性があると判断したカ所を検閲する機会をWaymoに与えた。Waymoはそれを実行し、車両管理局は主要部分を黒塗りにした状態で第三者にパッケージを送付した。Waymoによると、依頼者はこの黒塗りに異議を唱え、巻き込まれたくない車両管理局はWaymoに車両管理局に対して一時的な差止命令を求めるよう助言したという。その後、裁判官は2月2日に差止命令を出し、これによりWaymoは編集されていない形での資料の開示を永遠に禁止する差止命令を求めるための時間を稼いだ。

Waymoが訴訟を起こしたのは、同社のAVが特定の条件を識別して走行する方法、AVが人間のドライバーに制御を戻す状況を判断する方法、AV車両へのサポートを提供するタイミング、離脱事故や衝突事故への対処方法などの詳細を保護したいためだ。

「これらの研究開発には何年もかかり、莫大な資金を伴います」と、裁判所に共有されたWaymoの宣言文にはある。「WaymoのAV開発は、Waymoが2016年に独立する前、2009年にGoogleの一部として始まり、したがってWaymoのAV開発は12年以上にわたります。Waymoは、AV製品の研究開発に実に多大な投資を行ってきました」。

しかし、実際に企業秘密が含まれているかどうかは、その情報を一切見ることができないため、判断が難しい。

「問題は、その情報を他者と共有しないことによって純粋に経済的価値を得られるかどうかです」と、nuTonomy(Aptivが買収)の元顧問で、ニューヨークのイェシバ大学カルドゾ法科大学院の法学教授Matthew Wansley(マシュー・ワンズレー)氏はTechCrunchに語った。

例えば、物体を知覚する問題や、他の要因がどのように極端なものになるかを予測する問題を詳細に説明するソフトウェアの不具合は、技術の仕組みに関する情報が明らかになり、競合他社がそれを真似るか、特定のビジネスに対する自社の相対的な位置を評価する可能性があるため、非常に機密性が高いとワンズレー氏は指摘する。したがって、企業がそのような情報を公にしたくないのは理に適っている。しかし同氏は、当局がこの技術が完璧ではないことを知っていて、リスクをゼロにすることより、むしろリスクを減らすことに関心があると確信している。もし規制当局が守秘義務のもとにさらなる情報を求めたら、自身は情報共有に傾くだろうとも述べた。

「Waymoが提出した訴状に目を通しましたが、同社が話している情報のカテゴリはかなり広いです」とワンズレー氏は話した。「同社が送った情報の中に企業秘密があるのでしょうか ?おそらく、いくつかあるはずです。送った情報のすべてが含まれているのでしょうか? おそらく、ほとんどではないでしょう。ただ1つ驚くのは、同社が企業秘密だと言っているものが、実際にすべて企業秘密であった場合です。しかし、同社が当局と共有する具体的な情報を知らない限り、知ることは困難です」。

そして今、市民は知る由もない。ビジネス界はこの結果を成功だと思うかもしれないが、カリフォルニア州や一般市民は自律走行車に関して正当な公共安全の懸念を抱いているかもしれないし、当局が自分たちの代わりに判断してくれるとは思っていないかもしれない。

AV技術は非常に複雑で高度なものであり、また当局の多くの職員は必ずしも技術者ではない。市民は、公聴会や学術研究などを通じて、重要で社会に直結する決定が適切に行われているかどうかを検証する権利があると主張する人もいる。

「ある面では、これが単なるブラックボックスである場合、公共の乗り物に対する社会の信頼をどのように醸成するかという核心に触れるものだと思います」とAlston & Birdのパートナーで知的財産権訴訟を専門とする弁護士のRyan Koppelman(ライアン・コッペルマン)氏はTechCrunchに語った。「そして、これは自律走行車の根本的な問題で、データを入力し、データを出力し、その結果が安全であることを示しているだけなのです。ですので企業は、ブラックボックスで何が起こっているか、あなたは知る必要はない、ただ安全だと認識し、我々を信頼してくれ、というでしょう。そして、ブラックボックスを覗き見して署名した車両管理局を信用しなさい、それで社会にとっては十分でしょう、ともいうでしょう」。

Waymo側は、自社の技術に対する不安を解消するために、一般市民と共有している情報の幅を指摘した。例えば、AV安全報告書を発行し、米運輸省に安全自己評価を提出し、法執行機関との対話ガイドと安全手法の詳細な説明を公表している。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

ラストマイル配送用の電動自転車サプライヤーZoomo、三菱UFJイノベーション・パートナーズなどから約23億円調達

デリバリーワーカー用の実用電動自転車を作っているオーストラリアのZoomoが、この度、さらに2000万ドル(約23億円)を調達して同社のシリーズBを完了した。

2021年11月、同社は株と債務の両方で6000万ドル(約69億円)のシリーズBを調達し、ソフトウェア開発と自転車の増産に投じた。今回の追加投資により同社の調達総額は1億150万ドル(約117億円)になり、それらはすべて同社のグローバルな雇用増と、自転車の生産量増加、自転車店などのメカニクスと顧客企業の両方へのマネジメントの提供、そしてライダーのためのアプリの開発に使われる。

同社は、フォームファクターとアクセサリーを一新するZoom Oneと呼ばれる高性能な実用自転車を開発中している。

Zoomoはその電動自転車(eバイク)を、ギグワーカーに週20ドル(約2300円)、米国では30ドル(約3450円)でレンタル、料金にはサービスやサポートも含まれる。またUberEatsやDoorDashなど同社が提携しているアプリ利用のデリバリー企業に登録しているワーカーなら、安くなることもある。また同社はドミノ・ピザのような大企業顧客には、サードパーティ製のモペットを含むこともあるeバイク車隊を提供する。

Zoomoは2017年に創業。北米とアジア太平洋と、2021年加わったスペイン、フランス、ドイツなどのヨーロッパなど6カ国16都市に展開している。同社は、2021年はグローバルな売上が4倍、エンタープライズビジネスは20倍に増えたというが、「いつ」に対しての増加なのか、よくわからない。

「2021年はZoomoにとって変革の年であり、ギグワーカーに加え、企業やフリートマネージャーも当社の革新的なプラットフォームの恩恵を受けることができました。Zoomoでは、今後10年以内に、すべてのラストマイル配送が、Zoomoのエコシステムに支えられた軽電気自動車で完了する世界を見ています。私たちの投資家は、この実現に一歩近づくための手助けをしてくれるでしょう」と、Nada(ナダ)氏は声明で述べている。

今回のリード投資家はCollaborative Fundで、これに戦略的投資家として三菱UFJイノベーション・パートナーズとSG Fleet、Akuna Capital、そしてWind Venturesが参加した。戦略的投資家の参加はこれが初めてであり、さらに今後の特にラテンアメリカや日本における将来の有益なパートナーシップやイニシアチブが予想される。すでにWind Venturesはラテンアメリカ最大のエネルギーと林業企業であるCOPECのベンチャー部門であり、またMUFG Innovation Partnersは、Mitsubishi UFJ Financial GroupのOpen Innovation Strategyの企業向けVC部門だ。

関連記事:ギグワーカー向け電動自転車サブスクのZoomoが12億円調達、社名もBolt Bikesから変更

画像クレジット:Zoomo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ヴァージン・ハイパーループが旅客輸送の計画を断念、111人削減へ

Virgin Hyperloop(ヴァージン・ハイパーループ、VH)は、乗客が利用できるシステムにすることを断念し、従業員111人のレイオフを発表した。Financial Timesの報道によると、同社は貨物輸送だけに注力する予定で、全従業員の約半数を削減したという。サプライチェーンの問題やコロナ禍が原因となり、ビジネスモデルの転換が行われていると同社の広報担当者がFTに確認した。

同社は創業以来、乗客と貨物の両方を運ぶための真空チューブシステムを開発してきた。VHが最初に打ち出したコンセプトの1つ「inland port(インランドポート)」は、貨物船がカプセルにコンテナを載せて内陸部に輸送し、カーゴを処理するというものだった。そうすれば、メインの物流ハブを海沿いに置く必要はなく、顧客により近いトランジットハブの中心に置くことができる。

そのアイデアは、政府系持株会社ドバイ・ワールド傘下の港湾管理・物流大手であるDP World(DPワールド)による、この技術への投資を促した。現在、DP WorldはVirgin Hyperloop株式の過半数を保有しており、2018年には、貨物の移動に特化したサブブランドとして「Cargospeed(カーゴスピード)」を立ち上げた。しかしVHは、実際にポッドで旅をした2人のうちの1人である前代表のJosh Giegel(ジョシュ・ギーゲル)氏が同社を辞めて以来、ここ数カ月、何かと混乱している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Daniel Cooper(ダニエル・クーパー)氏は、Engadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Cargospeed

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(文:Daniel Cooper、翻訳:Den Nakano)

スウェーデンのVoltaが全電動トラック生産開始に向け562億円の評価額で約300億円調達

スウェーデンの電気自動車スタートアップVolta Trucks(ボルタトラックス)は、ガソリンを大量に消費し、不恰好な既存のトラックよりも安全で二酸化炭素排出量が少ない、より優れた都市部用の配送車両やその他のトラックを製造できると考えている。同社は、2022年後半のVolta Zeroトラック商業生産開始に向けた大詰め作業を行うために、大きな資金調達を完了させた。

同社はシリーズCラウンドで2億3000万ユーロ(約300億円)を調達した。同ラウンドでは同社を4億9000万ドル(562億円)強と評価したと思われる。健全な顧客リストを持つVoltaはこの資金を、最初のトラックが組立ラインを離れる前にエンジニアリングと事業運営に充てる予定だ。都市部の貨物輸送用に設計された初の全電動商用貨物車両になると同社がうたうVolta Zeroの予約受注額は現在12億ユーロ(約1562億円)を超え、台数にして5000台超と発表している。Voltaの広範な事業戦略は、トラックの販売とトラッキング・アズ・ア・サービスモデルによる車両の提供の両方に基づくものとなる。

2021年9月の同社の3700万ユーロ(約48億円)のシリーズBをリードしたニューヨーク拠点のLuxor Capitalが、今回のラウンドも主導している。不動産投資会社のByggmästare Anders J Ahlström(Volta同様ストックホルムに拠点を置いている)、サプライチェーンサービス大手のAgility、B-FLEXION(旧Waypoint Capital)も参加した。Voltaは評価額を公表していないが、Pitchbookのデータによると現在4億9000万ドル強で、この数字は今回、同社に近い関係者にも確認したものだ。

Voltaの成長と、同社がこれまでに3億2500万ドル(約373億円)超という多額の資金を調達したことは、自動車業界における大きな変化の一部だ。新しい製造技術、新しいバッテリー技術、新しいエネルギーインフラに取り組むスタートアップは、より安全でクリーンな技術で現状をディスラプトする新しい自動車を製造する絶好の機会を目にしている。

おそらくTesla(テスラ)が乗用車で収めたような電気自動車分野での成功に驚いた投資家は、これらのベンチャー企業に資本と、そして潜在的な顧客に信頼性を与えるべく資金を投入している。これらはすべて、自動車を次の技術革新の波に乗せるために不可欠な構成要素だ。技術革新で、Voltaのようなトラックは、車両やそれを利用する企業が新たなレベルの生産性を発揮できるよう、膨大なデータを収集・処理できるハードウェアプラットフォームとなる。

少なくとも理論上はそうだ。そこにたどり着くプロセスは、どうしても当初のバラ色のプロジェクトより遅くなり、コストも高くなる。これこそが、この分野の企業にとって大規模な資金調達を行い、市場投入のために戦略的投資家を集めることが重要である理由だ。

Voltaの2022年のロードマップには、Volta Zeroの設計を検証するためのプロトタイプ製造のエンジニアリングと生産事業への投資が含まれる予定だ。

交通渋滞、狭い道路、自転車などのマイクロモビリティ利用者の急増のために、配達トラックは珍しくないが危険なものでもあるロンドンやパリのような都市で行う試験運行を早期顧客に展開する。そうした環境のためにこれらの都市はVoltaのトラックにとって理想的なマーケットだ。同社は、ガス排出量が減るだけでなく(初の車両の電動航続距離は150〜200キロメートルで、2025年までに120万トンのCO2を削減するとしている)、ドライバーの視界も大幅に改善される(ドライバーが前席中央に座った場合220度)。ただし、当初は自動運転機能は搭載されないようだ。

「将来的には自動運転も視野に入れていますが、街中で使用する配達車両として設計していて、車内の荷物を車両から最終目的地まで届ける必要があります。そのため、この車両の目的には常に人の関与が必要で、自動運転はこのタイプの車両にはあまり関連性がありません」と広報担当者は述べた。

Voltaは、今回調達した資金の一部を使って、引き続き7.5トンおよび12トンの小さめの完全電動Volta Zero派生モデル(最初のモデルは16トン)の開発を行い、そしてゆくゆくは18トンの大型モデルも開発する。

同社はオーストリアに生産施設を建設中で、2023年に5000台、2024年に1万4000台、2025年には最大2万7000台のトラックを生産する計画だ。

Volta TrucksのCEOであるEssa Al-Saleh(エッサ・アルサレー)氏は声明で「応募者多数で成功したシリーズC資金調達ラウンドの終了は、外部が当社の旅路を肯定的にとらえていることを示しています」と述べた。「商用車分野の革新者および破壊者として、当社は業界をリードするペースで取り組み、大きな野望を抱いています。本日、シリーズC資金調達ラウンドを終了し、2億3000万ユーロを調達しました。これにより、当社がスタートアップから完全電気トラックメーカーに移行する中で、すべての目標を達成するための財務的な余裕が生まれました。5000台を超える車両と12億ユーロを超える受注は、当社の先駆的な製品とサービスの提供が、顧客から求められ、必要とされているという確信を当社と投資家に与えるものです」。

画像クレジット:Volta Trucks

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

折りたたみ電動バイクのシェアリングサービスShaeroが3億円調達、2022年夏に200ステーション開設を目指す

折りたたみ電動バイクのシェアリングサービスShaeroが3億円調達、2022年夏に200ステーション開設を目指す

折りたたみ電動バイクのシェアリングサービス「Shaero」(シェアロ。Android版iOS版)を運営するシェアード・モビリティ・ネットワークスは2月21日、第三者割当増資による総額3億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は国内投資家。累計調達額は6億円となった。調達した資金により、2022年夏に200ステーション、2023年夏には600ステーション開設を目指す。

今後は、東京を中心とした関東エリアで拡大するとともに、地方都市へのシェアロの展開や、より幅広い年齢層の方が乗れる小型EVによるシェアリングサービスの開発を行っていく予定という。

Shaeroは、2021年9月にサービスを開始。2022年2月16日時点で、東京23区を中心に65ステーション設置が完了している。利用したい際には、専用アプリをダウンロードし、まずは無料の会員登録を行う(利用には原動機付自転車の運転免許証が必要)。アプリから貸出可能なバイクのある最寄りのステーションを検索してその場で予約、あとは15分以内に乗りに行けばいい。返却は、目的地周辺の返却可能なステーションを予約して、バイクを戻せば完了。起動の方法や折りたたみ方法、充電方法などの細かい手順は、アプリを見ながらワンステップずつ確認できる。

2019年7月設立のシェアード・モビリティ・ネットワークスは、環境負荷の少ない電動⾞両(EV)を⽤いて、都市部を中⼼にシェアリングサービスのネットワークを構築することで、都市部のラストワンマイルの移動⼿段として新しい選択肢を提供することを⽬的としているという。都市部の混雑する移動の緩和に加え、将来的には地方での生活の足となるような新たな交通手段として利用してもらえるよう考えているそうだ。移動手段を変化させることで、個々のライフスタイルをより自由に、環境的にもより持続可能な暮らしを実現させるとしている。

ウガンダのバイクタクシー「SafeBoda」はスーパーアプリ化でパンデミック不況からの回復に賭ける

2020年初めに2万5000台のオートバイを擁していたSafeBoda(セーフボダ)は、ピーク時にウガンダとナイジェリアでオートバイ後部座席の乗客数千人を運んでいた。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの到来とともにすべてが消え去った。在宅勤務推進などの感染対策はビジネスの不調を意味し、さらに都市封鎖や外出禁止令、公共交通機関の停止などが追い打ちをかけて、バイクタクシービジネスを苦境に追い込んだ。

この停滞はSafeBodaに悪影響を及ぼしたが、同時にこのスタートアップが、シングルサービスプロバイダーから統合マルチサービスおよびデジタル決済テクノロジープラットフォームへと戦略転換するきっかけを与えた。

同スタートアップは2017年に、Ricky Rapa Thomson(リッキー・ラパ・トムソン)、Alastair Sussock(アラステア・サソック)、Maxime Dieudonne(マクシム・デュードン)氏の3人が設立した。最近、ウガンダ中央銀行から決済ライセンスを取得してフィンテック分野で公式デビューを飾り、過去2年間に導入してきたた新サービスのリストに追加した。

「当社がこの分野に参入したとき、人々がタクシー以上のものを必要としていることに気づきました。アプリを利用する人たちは、もっと何かできるはずだと私たちに言い続けました。ユーザーの話を聞き、フィードバックを真剣に受け止め、調査を行った結果、タクシー以外にいくつかのサービスを提供することが可能になりました。そしてそれは、今後のビジネスの持続可能性に役立っています」とSafeBodaの共同ファウンダーであるトムソン氏はTechCrunchに語った。

画像クレジット:SafeBoda

SafeBodaの新しいウォレットを使って、ユーザーは相互に手数料無しで送金できる(telcosなどの同業者では手数料が必要)。これはタクシードライバーがキャッシュレス支払いを受けられることを意味している(アフリカ大陸ではカード支払いの普及は非常に遅れている)。さらにユーザーは、このウォレットを提携業者への支払いにも使える他、ウガンダの首都カンパラに点在する200以上の代理店で現金を引き出せる(要手数料)。SafeBodaウォレットの定期預金では年率10%の利息も得られる。

ある意味で、このウォレットはこの国の金融包摂(金融の機会平等化)に貢献している。ほとんどが銀行口座をもっていないバイクタクシーのドライバーたちが、報酬履歴をつくることによって、融資の際の信用力を高めることができる。これは新サービス導入の足固めにもなる。

「バイクタクシーのドライバーたちは実際収入を得ていますが、融資をはじめとする金融サービスを利用することもできていません。そして私たちは、機会平等を進めるためには、適切なパートナーを得るだけでなく、ユーザーの履歴を知る必要もあることがわかりました。当社のプラットフォームを使うことによって、ドライバーの報酬履歴を作ることが可能になり、これが大きな変革を起こそうとしています」。

トムソン氏によると、同社は近い将来一連の新サービスを提供する予定で、サービスの再評価と改善を繰り返す戦略に沿って、顧客が切望している利便性を拡大していく計画だ。新規市場への参入を目指すSafeBadaは、国境を超えたユーザーを対象にして新製品を作っている、と同氏は語った。

「アフリカ全土で利用できるグローバルな製品を作っています。SafeBodaは、ウガンダだけでなく、もっと多くの人たちよりよいサービスを提供することで、アフリカの誰もがクリック1つでサービスを利用できるようにすることが目標です。当社のドライバーたちの生活が改善されるようにすることはもちろんです」。

SafeBodaは、最近Googleによる5000万ドル(約57億円)のアフリカ投資ファンドの支援を受けた最初の会社となり、ユーザーベース(100万ダウンロード以上)を活用して、新規ビジネスの成長と競合他社の引き離しをはかっている。他の出資者には、Allianz X、Unbound、Go-Ventures、およびインドネシアでマルチサービス・スーパー・アプリを運用するGojekがいる。

SafeBodaが最近始めた事業の1つ、eコマースプラットフォームは、2020年4月にスタートし、所属ドライバーを配達のラストマイルに活用している。eコマース事業は、同社の小荷物および食品配達サービスに追加されたもので、ロックダウンでオートバイ・タクシーの利用が落ち込む中、ドライバーに仕事を与え、実質的に事業を継続させるためだった。同時に、同スタートアップのスーパーアプリへの道の始まりとなった。

画像クレジット:SafeBoda

ユーザーに提供する価値の選択肢を増やすことでSafeBodaは、Uber(ウーバー)やBolt(ボルト)といった資金豊富なライドシェアリング会社や、Jumia(ジュミア)などのEコマース・プラットフォームと対等に戦う準備を整えている。

2週間前、ウガンダのYoweri Museveni(ヨウェリ・ムセベニ)大統領は、2020年以来続いていたバイクタクシー(boda boda、ボダボダ)の禁止を解除し、SafeBoda、Uber、Boltによるライドシェア・サービス再開への道を開いた。

「当社はアフリカ最大のバイクタクシーによるライドシェアリング会社です。これまでさまざまな競争を経験し、大企業が私たちの市場に参入してきてからも、市場のリーダーを続けています。これからも成長を続け、強い競争力を維持していきます」とトムソン氏は語った。

新型コロナパンデミックがモビリティ産業に与える影響は、ウガンダ輸送業界に限らない。世界中の輸送サービスが、移動制限と都市封鎖によるひどい影響を受け、航空会社、タクシー会社など輸送産業のいくつかの会社が倒産に追いやられた。しかし、徐々に業界は息を吹き返し、全世界のライドシェアリング業界は、次の7年間に2倍以上成長して980億ドル(約11兆3000億円)に達し、年平均成長率10%が期待される、とこのレポートは伝えている。

画像クレジット:SafeBoda

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「水路を民主化」したいNavierの水中翼レジャーボートは約3480万円

正直、ボートが実際いくら程度するのかをググったほど見当もつかなかったのだが、30万ドル(約3480万円)もする製品でレクリエーションを「民主化」しようなどと宣伝しているのを見ると、ギロチンを磨きたくなるのは筆者だけだろうか。ロベスピエール的な冗談はさておき、Navier(ナビエール)には一目置いてしまった。同社の次世代ボートはかなりかっこいい。ハイドロフォイル(水中翼)によって水面を軽やかに移動することができ、大型のバッテリーパックと電気モーターを搭載しているため、電動船としては最長クラスの航続距離を誇っている。同社によると航続距離は75海里で、これは約690 ハロン(86マイル/139 km)に相当する。

同社は、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)と、Comcast Ventures(コムキャスト・ベンチャーズ)の元MDであるDaniel Gulati(ダニエル・グラティ)氏が運営する新しいファンドTreble(トレブル)の共同主導により、720万ドル(約8億3000万円)のシード資金調達を完了したとを発表。今回の資金調達には、Next View Ventures(ネクストビュー・ベンチャーズ)、Liquid2 Ventures(リキッド2ベンチャーズ)、Soma Capital(ソーマ・キャピタル)、Precursor Ventures(プレカーサー・ベンチャーズ)に加え、複数のエンジェルも参加している。

「2020年にスタートして以来、船舶のランニングコストを90%削減した新タイプの水上船を作ることを目標として掲げています」。Navierの共同創業者兼CEOであるSampriti Bhattacharyya(サムプリティ・バッタカリヤ)博士は説明する。「水中翼の電動化、高度な複合材、インテリジェントなソフトウェアを組み合わせることで、船舶のランニングコストを桁違いに削減できると考えています。これによりまったく新しいスケーラブルな輸送システムや、これまで不可能だった水上輸送システムが可能になります。世界の46%が沿岸部の都市に住んでいるわけですから、かなり大きな潜在市場があると考えています」。

「民主化」の意味を尋ねてみると、それはボートの購入をという意味ではなく、運用コストに関してだと回答した同社。従来の化石燃料で動くボートはクルマの15倍近い運用コストがかかるため、それがボートが移動手段として普及しない原因だと同社は話している。燃料と労働力という2つの主要要因がコストを上げている原因であると言い、そのため電動水中翼船技術による燃料費の削減と、ボートの自律化による人件費の削減を実現しようとしているのである。

同社が最初に市場に投入する予定の製品は、レクリエーションボート市場に向けた「Navier 27」(通称N27)だ。

めちゃくちゃかっこよくないか?(画像クレジット:Navier)

「レクリエーショナルボートは、釣りやウォータースポーツ、友人とのクルージングなど、非常に幅広いアクティビティに活用してもらえます。つまり、ボートを使用して水上で楽しむあらゆるアクティビティのためです」。CTOのReo Baird(レオ・ベアード)氏は、私がボートの知識をまったく持っていないことを考慮して馬鹿丁寧に説明してくれた。レクリエーション用のボートというのは同社にとっては第一歩に過ぎず、将来的にはその効率性を生かして浮動式のロボタクシーを作りたいと考えている。「我々は高効率な水上船のプラットフォームを構築しているのです。このプラットフォームを利用して水上のロボタクシーとして機能させることが長期的な目標です。そのためには、燃料費や人件費などのコストを削減する必要があります」。

「コスト、スピード、利便性で勝負できるボートを作ることができれば、まったく新しい交通手段を切り開くことができます」とバッタカリヤ氏は説明する。「例えばサンフランシスコのベイエリアを考えてみてください。現在、10のターミナルと5つのルートがありますが、より小さなマリーナに行くことができるボートを作れば、ターミナルの数は10から65に増えるでしょう。すると一気に2000ものルートが使えるようになり、これですべてが解決します。イーストベイのリッチモンドからサンフランシスコまで、クルマで1時間ではなく、海を渡って15分で行けるようになるのです」。

効率化は3つの要素によって実現される。主な節約源は水中翼技術によるもので、船がスピードに乗っているときは船体が水から浮き上がり、小さな翼でクルージングしているような状態になる。これによりモーターが水を押し出す必要がなくなり、抵抗が減って効率が上がるという仕組みである。この技術は1950年代頃から旅客船に搭載されていたもので、紛れもなくクールな技術ではあるのだが、トレーラーに積むのが難しく、また浅い海には向いていない上に水中翼の効果を得るためにはかなりの速度で移動しなければならないため、レクリエーションボート向けにはあまり一般的でない技術なのである。

「発進時の正確な最低速度は公表していませんが、時速15〜18マイル(24〜29km)の範囲内です」とベアード氏は話している。

CTOのレオ・ベアード氏とCEOのサムプリティ・バッタカリヤ博士(画像クレジット:Navier)

その他にも、主に軽量の複合素材を使用することで効率性を上げている(フォイリング中にボートを水面から持ち上げるのが容易になる)。また、抵抗と重量をさらに減らすためのスマートなデザインも効率性に貢献している。

「弊社にはすばらしいチームがあります。MIT(マサチューセッツ工科大学)出身者が何人もいますし、弊社の主任造船技師のPaul Bieker(ポール・ビーカー)は、Larry Ellison(ラリー・エリソン)がアメリカズカップで優勝したときの船を担当した人物です」。バッタカリヤ氏は同社が伝説的な造船関係者と協力してN27を設計していると説明する。「Navierは単にアップグレードされた電気製品ではなく、私たちはこれまでのボートのあり方を根本的に見直しているのです。ハイドロフォイルが波の上をフォイルするので船酔いも起きませんし、圧倒的に優れた乗り心地を実現します」。

同社によると、約1カ月半前に予約を開始して以来、最初の15隻がすぐに完売したとのことだ。このクールなボートに興味を持つさまざまな顧客層から現在も数百件の問い合わせを受けているという。しかし、現在はメイン州の造船所で試作品を制作中で、最初の消費者向けの船は2023年頃に生産ラインから出荷される予定とされているため、手に入れるにはまだしばらくかかりそうだ。同社は米国での製造を計画している。

Navierは、ボートビルダーのLyman-Morse(ライマン・モース)と提携し、このNavier 27の生産を実現している。同モデルの最初の2隻の船体は、現在メイン州の施設で建設中だ。2024年までに400台以上の生産を計画しており、Navierのウェブサイトではその年のボートを予約するためのウェイティングリストに登録することが可能だ。

フランス人ネタを繰り返したい訳ではないが、ちなみに同社名は水中翼船の製造を可能にするための重要な数学である「ナビエ・ストークス方程式」を考え出したコンビの一方、Claude-Louis Navier(アンリ・ナビエ)に由来しているという。

画像クレジット:Navier

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

Cruiseとウォルマート、自動運転車による配送の試験地域拡大を計画中

GM(ゼネラルモーターズ)の子会社で自動運転車の開発を手がけるCruise(クルーズ)は、アリゾナ州でWalmart(ウォルマート)と共同で行っている自動運転配送の実証実験を拡大する計画を持っていることを、同社の政府関係担当シニアマネージャーが最近行われた州議会議員との公開ミーティングで明らかにした。

Cruiseは現在、カリフォルニア州における商用ロボットタクシーの試験的運用と、最終的にはサービス開始に向けて、力を入れているところだ。しかし、一方で同社は、ウォルマートとの限定的な実証実験プログラムの一環として、アリゾナ州で電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の自動運転車を数台運用している。

現在、この自動運転配送の実証実験は、スコッツデール近郊のソルトリバー・ピマ・マリコパ・インディアン・コミュニティの敷地内にあるウォルマートの1店舗のみで行われており、これらの自動運転走行車には、すべて安全のために人間のオペレーターが乗車している。Cruiseのシニア・ガバメント・マネージャーを務めるCarter Stern(カーター・スターン)氏は、今月初めに開催されたアリゾナ州上院交通委員会で、同社が2022年内に最大で8カ所のウォルマート店舗に拡大することを計画していると語った。

画像クレジット:Walmart

「まずはアリゾナで引き続き成長を見届けた後、国内の他の地域にも拡大していきます」と、スターン氏は、プログラム拡大の意思を語った。Cruiseはアリゾナ州で100人以上の従業員を雇用しており、その中には同社の自動運転車をグローバルで監視するチームも含まれている。このグループが増員されることになる見込みだが、スターン氏は、いつ、どのくらい雇用を拡大するかという数字やスケジュールについては、明らかにしなかった。

スターン氏が提供したこのコメントからは、Cruiseのアリゾナ州における活動と、今のところ同社の唯一の収入源であるウォルマートとの試験運用契約について、貴重な洞察を得ることができる。

Cruiseはサンフランシスコで自動運転車の運用を展開しているものの、カリフォルニア州公益事業委員会から適切な許可を得られていないため、今のところ同州で送迎サービス(あるいは配送でも)の料金を請求することはできない。なお、Cruiseは現在、San Francisco Marin Food Bank(サンフランシスコ・マリン・フード・バンク)とSF New Deal(SFニューディール)と提携し、無料の配送サービスを提供している。同社はTechCrunchに、これまでに11万3000件の配達を完了したと述べている。

Cruiseは、人間のドライバーが運転しない車両の運行と課金に必要な許可のほぼすべてを取得している。同社はカリフォルニア州自動車局から「運転手付き」および「運転手なし」の自動運転車を試験・展開するために必要な3つの許可を取得しており、そのうちの1つは一般人を乗せることができるものだ。同社はカリフォルニア州公益事業委員会に、乗車料金を請求するための許可も申請しているのだが、まだその許可は受けていない。

今月初め、Cruiseはサンフランシスコで無人ロボットタクシーのサービスを一般公開した。今のところ、このサービスは無料で、一般からの予約申込みをCruiseのウェブサイトを通して受け付けている。同社は以前、一般の申込者がサービスを利用する前に秘密保持契約に署名する必要はないと述べている。

Cruiseの無人運転サービスは、当初は午後11時から午前5時まで利用可能となっている。Cruiseはシボレー・ボルトの自動運転車をサンフランシスコの至る所でテストしているが、無人運転の乗車サービスは、ヘイト・アシュベリー、リッチモンド地区、チャイナタウン、パシフィック・ハイツ地区内の特定の地域や道路に限定されている。

画像クレジット:Walmart

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

水素燃料電池車によるオフロードレース「Extreme H」、2024年より開催予定

2024年には、水素燃料電池自動車を使ったオフロードレースシリーズが始まる見込みだ。この「Extreme H(エクストリームH)」と呼ばれるシリーズは、2021年初開催された電気自動車によるオフロードモータースポーツ「Extreme E(エクストリームE)」の姉妹大会となる。これら2つのシリーズは、同じ場所で、同じ日に、同じフォーマットでレースを開催することになる。シリーズの創設者兼CEOで、Formula E(フォーミュラE)の創設者でもあるAlejandro Agag(アレハンドロ・アガグ)氏によると、主催者は水素の統合に関して、合同レースと完全移行という2つの選択肢を検討しているという。

Extreme Hの競技用車両の開発は現在進行中で、計画では2023年初頭までにプロトタイプが完成することになっている。この車両には、Extreme Eで使用されているものと同じパワートレインとシャシーが使用される予定だが、主な違いは、中心となる動力源が、バッテリーではなく水素燃料電池になることだ。

Extreme Hの主催者によると、この燃料電池には水と太陽光発電で電気分解して作られるグリーン水素が使用されるとのこと。Extreme Eでも同様のプロセスでバッテリーを充電し、レース開催場所のパドックでは、バッテリーとグリーン水素を組み合わせて電力を供給している。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Kris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Extreme H

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードとボルボがカリフォルニア州でEV用バッテリーの無償リサイクルプログラムに参加

Tesla(テスラ)の元CTOであるJB Straubel(J・B・ストラウベル)氏が創業したスタートアップRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)は、カリフォルニア州で電気自動車のバッテリーリサイクルプログラムを開始する。Ford(フォード)とVolvo(ボルボ)が設立パートナーとなる。EVの材料調達に圧力が高まっていることが背景にある。

基本的な計画は、Redwood Materialsがカリフォルニアのディーラーや解体業者と協力し、ハイブリッド車や電気自動車の使用済みバッテリーパックを回収するというものだ。ストラウベル氏によると、このプログラムはバッテリーを持ち込む側にとっては無料だ。バッテリーを回収し、適切に梱包して、ネバダ州北部にあるRedwood Materialsのリサイクル施設に輸送する費用は、パートナー企業であるVolvoとFordとともに、Redwood Materialsが負担する。同社は、車種に関係なく、カリフォルニア州内のすべてのリチウムイオン電池とニッケル水素電池を受け入れる予定だ。

「今は混乱していて、人々にとってすばらしい、つまり明白で明確な解決策がないのです」とストラウベル氏はいう。「これは、私たちが変えたいことの本当に重要な部分です。最初はアメリカの誰もが、そしてゆくゆくは世界の誰もが、非常に簡単にバッテリーをリサイクルし、材料がかなり高い割合で回収されるようにしたいのです」。

同社は、スクラップ回収業者やディーラーがバッテリーの回収を組織化するために利用できるポータルを立ち上げた

このパイロットプログラムはまだ初期段階にあり、いくつかの部分は明確に定義されていない。

「強調したいのは、私たちはこのすべてにおいて学習中であり、これはちょっとした西部劇だということです」とストラウベル氏は話す。「少し複雑であることが、これまで実現しなかった理由の一部かもしれないと考えています」。

Redwood Materialsは、循環型サプライチェーンの構築を目指し、2017年に創業した。同社は、携帯電話のバッテリーやノートパソコン、電動工具、パワーバンク、スクーター、電動自転車などの家電製品だけでなく、バッテリーセル製造時に出るスクラップもリサイクルしている。そして、これらの廃棄物を加工し、通常は採掘されるコバルト、ニッケル、リチウムなどの材料を抽出し、それらを再びパナソニックやAmazon(アマゾン)、Ford、テネシー州のAESC Envisionなどの顧客に供給している。

目的は、クローズドループシステムを構築することで、最終的に電池のコストを削減し、採掘の必要性を相殺することにある。

現在市販されている電気自動車には、リチウムイオン電池が搭載されている。電池には2つの電極がある。一方がアノード(負極)で、もう一方がカソード(正極)だ。真ん中に電解液があり、充放電の際に電極間でイオンを移動させる運び屋として働く。アノードは通常、黒鉛でコーティングされた銅箔でできている。

自動車メーカーが電気自動車の生産を拡大し、やがて内燃機関を搭載した自動車やトラックに取って代わるようになると、電池とその材料の需要が急増すると見込まれる。自動車の電動化に取り組む主要自動車メーカーのほぼすべてが、バッテリーセルメーカーやその他のサプライヤーと提携を結び、サプライチェーンの強化に努めている。

2022年初め、既存のパートナーであるパナソニックは、Redwood Materialsとの関係拡大の一環として、Teslaとともに運営するギガファクトリーで製造するバッテリーセルに、2022年末までにリサイクル材をもっと使うと発表した。

Redwood Materialsは、バッテリーセルのアノード側の重要な構成要素であるリサイクル材から製造された銅箔のパナソニックへの供給を始める。Redwood Materialsは2022年前半に銅箔の生産を開始する。銅箔はパナソニックに送られ、年末までにセルの生産に使用される予定だ。

画像クレジット:Screenshot/Redwood Materials

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォルクスワーゲンがファーウェイの自動運転部門を買収する方向で交渉中との報道

自動運転の分野で、2つの大企業の「結婚」が見られるかもしれない。Volkswagen(フォルクスワーゲン)がHuawei(ファーウェイ)の自動運転部門を数十億ユーロ(数千億円)で買収するためにHuaweiと交渉していると、ドイツの月刊ビジネス誌Manager Magazinが2月17日に報じた

HuaweiはTechCrunchの取材に対し、直ちにコメントすることはできないと述べた。VW Chinaもノーコメントとした。

合併の可能性は強力なものになる。Huaweiの自動運転部門は、通信機器とスマートフォンの巨人であるHuaweiが2019年に立ち上げたばかりの「スマート・ビークル・ソリューション」事業部門の下に位置する。smart car BUの設立は、Huaweiが自社で自動車を開発するのではないかとの多くの憶測を呼んだが、同社は製造計画を繰り返し否定し、代わりに「中国のBosch(ボッシュ)」に、つまり自動車ブランド向けの部品供給業者になりたいと述べた。

Huaweiは、少なくともこれまでのところ、この戦略を堅持しているようだ。深センに拠点を置く同社は2021年、中国の自動車メーカーBAIC傘下の新しい電気自動車ブランドであるArcfoxの量産セダンにプリインストールされた自動運転ソリューションを展示した。Huaweiは、この電動セダンのチップセットと車載OSを供給した。

VWにとって、自動運転機能を持つテック企業は、明日の自動車を作るという野望を前進させるのに役立つかもしれない。実際、VWはFord(フォード)とVWが出資するピッツバーグ拠点のスタートアップArgo AI(アルゴAI)と提携している。2021年9月、この2社は共同開発の最初の製品である自動運転電動バンを発表した。

2020年時点で最大の市場である中国で、VWが同様の技術パートナーを探していたとしても、誰も驚かないだろう。中国の自動運転車企業の多くは、すでに自動車メーカーと深い関係を築いており、Baidu(バイドゥ)はGeely(ジーリー)とDidi(ディディ)はBYDとジョイントベンチャーを結成している。

今回の買収報道は、HuaweiのAVチームにとって微妙な時期でのものだ。同社の自動運転プロダクトの責任者だったSu Jing(スー・ジン)氏は、Tesla(テスラ)のAutopilotの致命的な事故が「人を殺す」と非難した後、1月にHuaweiを去った。この発言について、Huaweiは「不適切なコメント」とした。

退社後、スー氏の次の一手は多くの憶測を呼んだ。わかっているのは、スー氏がロボタクシーを嫌っていることだ。2021年のインタビューで、歯に衣を着せないこのエグゼクティブは「ロボタクシーを最終的な商業目標とする企業は絶望的です。ロボタクシーを提供できるのは、乗用車に取り組んでいる企業でしょう。そのマーケットは間違いなく私のものになります。まだそうなっていないだけです」。

Huaweiの自動運転事業の買収は、決して安くはないだろう。同社のスマートカー部門は、2021年に研究開発に総額10億ドル(約1150億円)を費やす計画だった。また、スタッフ5000人を誇る研究開発チームの構築を目指していて、そのうち2000人超が自動運転に専従している。ここで疑問がある。Huaweiはすでにスマート運転に多額の投資をしており、顧客も増えているなかで、なぜこの芽生えつつある事業を手放すのだろう。

画像クレジット:Arcfox Alpha S powered by Huawei

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

Joby Aviationの墜落事故、米国運輸安全委員会が調査中

米国運輸安全委員会(NTSB)が、米国時間2月16日水曜日にカリフォルニア州ジョロンで発生したJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)の実験機の墜落事故を調査している。

規制当局に提出された書類によると、この事故に関わっているのは、カリフォルニア州にあるJobyのテスト基地で行われた飛行テストで遠隔操縦されていた実験機だという。航空機の初期テスト段階では、米連邦航空局(FAA)が安全上の理由から航空機の無人化を要求することが多い。

同社の報告によれば、墜落による負傷者はなく、テストは無人の地域で行われたとのことだ。

「実験飛行プログラムは、航空機の性能の限界を見極めるための意図の下にデザインされたものであり、残念ながら事故が発生する可能性はある」と提出書類には記載されている。「我々は、関係当局による事故の徹底調査を支援する」。

NTSBは、航空事故から特定の種類の高速道路事故、船舶事故、橋梁事故に至るまで、最も深刻な事故を調査しあらゆる詳細を報告している。今回の墜落事故ではJobyの機体に「かなりの損傷」があったことを、NTSBのスポークスマンPeter Knudson(ピーター・ヌッドソン)氏がブルームバーグに語っている

Jobyの株価は時間外取引で9%下落している。

画像クレジット:Joby Aviation

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

フォードマスタングMach-E、テスラのModel 3を抜いてコンシューマー・レポート誌の「最も推薦できるEV」に選出

Tesla(テスラ)の「Model 3(モデル3)」は、過去2年間にわたって「Consumer Reports(コンシューマー・レポート)」誌の「最も推薦できるEV」に選ばれてきたが、同誌は今回、新たなチャンピオンを宣言しようとしている。CRは、Ford(フォード)の「Mustang Mach-E(マスタング・マックE)」がModel 3を押しのけて、コンシューマー・レポート誌のトップピックEVに選ばれたことを明らかにした。CR編集部によると、このマスタングのクロスオーバーは「より実用的」であるだけでなく、発売年度の信頼性が高く、基本的な操作に複数の手順を必要としない「はるかに簡単な」インフォテインメントシステムを備えているという。乗り心地の良さや騒音が抑えられていることも評価された。

関連記事:【レビュー】フォード2021マスタングMach-E GTとGTパフォーマンス初試乗、ついに「Mach-E」の名にふさわしいものに

また、フォードの運転支援技術「BlueCruise(ブルークルーズ)」は、運転者監視システムがテスラより効果的で、これが車両スコアに加算されることも、Mach-Eの首位に貢献した。テスラの運転支援技術「Autopilot(オートパイロット)」は、ドライバーが目を離している間も機能してしまうことが減点の対象となった。

それでもコンシューマー・レポートは、Model 3のスポーツカーのようなパフォーマンス、長い航続距離、充電ネットワーク、テクノロジーなどを評価し、依然として推薦車種に挙げている。しかし、Mach-Eの直接的なライバルである「Model Y(モデルY)」は、EVトップピックとして推薦できないと、CRには判断された。このテスラのSUV風モデルは、ラインアップの平均的な車種よりも信頼性が「はるかに低く」、平均的と評価されているModel 3よりも明らかに劣るという。

これは、長年にわたりCRとあまり友好的ではない関係を築いてきたテスラにとって、喜ばしいことではない。両者はこれまで、テスト結果を巡って何度か論争し、CRはいくつかのモデルの推薦を一時的に取り下げたこともある。しかし、今回の評価は、テスラのなかなか消えない信頼性に対する懸念が反映されたものになっている。このEVメーカーは、最近数カ月の間に相次いでリコールを行っており、オーナーからは製造品質の問題が頻繁に報告されている。これだけがテスラを首位から陥落させた原因ではないかもしれないが、同社の足を引っ張ったことは確かだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:MATT BURNS

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

EVスタートアップFiskerが350万円切りの街乗りEV「PEAR」の予約受付を開始、納車は2024年予定

EVスタートアップFiskerが350万円切りの街乗りEV「PEAR」の予約受付を開始、納車は2024年予定

Fisker

EVスタートアップのFiskerは、5人乗りの「街乗りEV」であるPEARの予約受付を開始しました。価格は2万9900ドル(約345万円)からと非常に低価格。これはFiskerが先に発表しているSUVモデルのOceanの3万7499ドル(約433万円)や、安い安いと言われたテスラModel 3の当初価格3万5000ドル(約404万円)よりもはるかに安価です。

PEARを購入するにはまず予約金として250ドル(約2万9000円。2台目なら100ドル・約1万1000円)が必要です。また納車や記事執筆時点では2024年になる予定です。

大企業というわけでもないFiskerが、なぜPEARをこんなに安価に作れるのかとお思いの方もいるかもしれません。実は、この新しいEVはFiskerとFoxconnの提携によって開発製造されることになっています。Foxconnは昨年、オハイオ州にあるEVベンチャーLordstown Motorsの工場を買収しており、ここでLordstownのEVや提携しているFiskerの新型EVの製造を手がける予定だと発表していました。また10月には独自のリファレンスモデルとしてEV3車種を発表しています。もしかするとFiskerのEVが安価なのはこのリファレンスモデルが関係しているのかもしれません。ちなみにFiskerはPEARを年間25万台以上生産することを予定しているとし、スポーティな走りと直感的なUI、スマート充電機能その他「業界初へのこだわり」といった売り文句を並べてはいるものの、その仕様詳細はまだ明らかにしていません。

なお、Fiskerはまず2022年11月にOceanの生産を開始する予定となっています。そしてPEARが登場する2024年ごろには、既存の自動車メーカーを含め多数のEVが市場を賑わせるようになっていることが予想されます。そのなかで2万9900ドル(約345万円)という価格がどれぐらい武器になるのか、またその性能、品質や安全性などがスポイルされることなく提供されるかどうかが気になるところです。

(Source:FiskerEngadget日本版より転載)

自律走行トラック輸送のWaymo Via、新たな提携で20万の荷主・輸送業者へのアクセスが可能に

Waymo(ウェイモ)の自律走行型トラック輸送・貨物部門であるWaymo Viaは、商業化に向け長期的な戦略パートナーをまた1つ確保した。

Waymo Viaは、荷主と輸送会社をつなぐ貨物物流技術サプライヤーであるC.H. Robinson(C.H. ロビンソン)と、今後数カ月以内にC.H. Robinsonの顧客の1社向けに、Waymoの試験車両がテキサス州で貨物を輸送する試験運用を開始すべく準備を進めている。

この試験運用は、あらゆる運送業者が利用できるWaymoのAV技術と、C.H. Robinsonの300万超のトラック運送レーンに関する物流データおよび約20万の荷主と運送業者のネットワーク(その多くはWaymoが関心を寄せる中・小の運送業者)へのアクセスを組み合わせることを目的とした、両社のより大きな提携の一部だ。

「この提携は、北米全域でAVがどのように、どこで発展し、どのように運送業者をサポートするかに影響を与える可能性を秘めています」とWaymoの広報担当者はTechCrunchに語った。「Waymo Viaは、安全性と効率性を最適化する自律型ソリューションを提供します。C.H.Robinsonは、物流業界特有のニーズのために技術を進化させ、荷主と運送業者にとって最も利益があるところに適用するのをサポートするために、十分な物流の専門知識とデータをもたらします」。

Waymo Viaは1月、運送会社のJ.B. Hunt(J.B.ハント)が、Waymoが今後数年以内に実現すると予想している完全自律型貨物輸送ルートの最初の顧客になると明らかにした。2021年末にWaymo ViaはPeterbiltの大型トラックでUPSの貨物を輸送するという延長されていた試験運用を終了した。

2月16日に発表されたこの最新の提携では、今後数年にわたってC.H.Robinsonの顧客と複数の試験運用を実施する予定だ。WaymoもC.H. Robinsonも、使用する車両台数、試験運用の開始時期、期間など、初期パイロットに関する具体的な情報は共有しなかった。ただし、試験運用はダラスからヒューストンへの輸送レーンに沿って行われると述べた。

C.H. Robinsonとの提携は、Waymoに新しいビジネスモデルであるDriver-as-a-Service(ドライバー・アズ・ア・サービス)を柔軟にする機会を与える。ここには、WaymoのAVシステムであるWaymo Driver向けに設計・装備されるトラックを製造する、Daimler Truck(ダイムラー・トラック)などOEMとの提携が含まれる。目標は、輸送業者やフリートがこれらのトラックを購入することだ。このトラックには、自動運転トラックに必要なすべてのハードウェアが搭載され、Waymo Viaはハードウェアとソフトウェアの継続的なサポートとサービスを提供する。

要するに、Waymoはフリートを組み立て、所有し、運用しようとしているのではない。Waymo Viaのトラック事業商業化責任者であるCharlie Jatt(チャーリー・ジャット)氏は2月15日の記者会見で「Waymo Driverを搭載したトラックを、業界のオプションとして提供したい」と述べた。「そして、C.H. Robinsonのような貨物・物流の専門企業が本当にその技術を活用してビジネスを改善し、荷主顧客へのサービス提供でそれらの資産を運用することができるようになります」。

Waymoは、フェニックスでのロボタクシーサービスを通じて、完全自律走行車を商業的に実行可能な規模にした経験があるが、Waymo Driverを貨物に適用するのに最も適した場所については、まだ学ぶべきことがたくさんある。そのためC.H. Robinsonとの提携は有益だ。両社は長距離トラック輸送は、特に人間のドライバーを確保するのが難しいため、自律走行ドライバーを最も必要としている分野だという仮説を立てており、C.H. Robinsonのデータはその仮説を確かめるのに役立つ。

C.H. Robinsonにとっては、Waymo Viaとの提携は単に技術のためのAV技術導入にとどまらない。C.H. Robinsonの最大の関心事は、運送会社がビジネスの効率性を見出すのを支援することであり、それはドライバー不足の影響で苦労している自社の顧客にさらなる効率をもたらす。

C.H. Robinsonの最高コマーシャル責任者であるChris O’Brien(クリス・オブライエン)氏は、記者会見で次のように述べた。「年末に運送会社と行う典型的な会話は、『C.H. Robinson、来年のキャパシティはどうなっているのか』というものです。そして、その約束に基づいて、運送会社は雇用、そしてトラクターやトレーラーのリースや購入を決定するのです。ですから、我々は自律走行を、他とは違う、効率的で省力化され、ドライバーを短距離輸送に充てることができるオプションを提供できる、もう1つの方法だと考えています」。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

2024年発売予定の新型電動4ドアGT「Polestar 5」は軽量で高剛性のアルミニウム接着構造プラットフォームを採用

2024年末に発売されるPolestar 5(ポールスター5)は、それ以前のモデルとはまったく異なる作りになるようだ。スウェーデンに本拠を置く電気自動車メーカーのPolestar(ポールスター)は現地時間2月15日、今後登場するこの電動パフォーマンス4ドアGTが、Polestar 1や2のようなスチール溶接ではなく、まったく新しい軽量なアルミニウム接着構造プラットフォームを採用すると発表した。

画像クレジット:Polestar

アルミニウムを溶接すると一般的に降伏強度が半分になるため、同じ性能を得るためには2倍の材料を使用しなければならず、そもそも軽量な金属を使用する目的が失われてしまう。一方、アルミ製の部品を接着(ネジや接着剤で取付)すると、材料の使用量は減るが、生産時間は長くなる。

「接着剤を硬化させるためのサイクルタイムは、一般的な溶接セルと比較するとかなり長くなります」と、Polestarの車両エンジニアリング担当ディレクターであるSteve Swift(スティーブ・スウィフト)氏はEngadgetにメールで語り「製造の一貫性をコントロールする戦略は、従来の製造方法とは大きく異なります」と続けた。

アルミニウムを使用することによる素材の優位性を維持しつつ、部品を接着することによる生産上の不利を最小限に抑えるために、Polestarのエンジニアリングチームは、ボディとプラットフォームを一斉に組み立てる、より高速な製造プロセスを開発した。

画像クレジット:Polestar

「プロジェクトの初期段階で、我々が求める運動性能を実現するために必要な構造剛性の目標値を固めることができました」と、スウィフト氏は述べ、ユニボディ構造の利点を説明する。

「そのため、性能を実現するために後から設計を変更する必要はなくなります」と、同氏は認めている。「従来の戦略では、プラットフォームとボディの性能に対する貢献度がアンバランスであることが判明した場合、妥協や修正が必要になります」。

この設計による時間短縮の効果はすでに生まれており、開発開始からわずか18カ月で、初期段階の一連の試作品を製造・納入することができたという。スウィフト氏は、このプロセスによって「必要となる一部の生産ツールの製作期間も短縮できる」と期待している。さらに、Polestarは火曜日の発表で、5は「伝統的な2人乗りのスポーツカーやスーパーカーよりも優れたねじり剛性を持つように設計されている」と言及し「より小さなセグメントの車よりも軽い重量になることが予想される」と述べている。これによって移動する車両の質量が減るため、航続距離が伸び、ハンドリングも改善されるはずだ。

画像クレジット:Polestar

この技術は、Polestar 2の生産にさかのぼって適用することはできないが、Polestar 5での成功をきっかけに、将来のプロジェクトにも適用される可能性はある。「まだ何も研究開発していませんが、私たちはその可能性を夢見ています」と、スウィフト氏は語っている。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したAndrew Tarantolaは、Engadgetの編集主任。

画像クレジット:Polestar

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォード、車内アクセサリーを自分で作れる3Dプリント用CADファイルを公開

Ford(フォード)は、ハイブリッド・ピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した際に、3Dプリントで自分のオリジナルなアクセサリーを作成できるようになる可能性を予告した。その約束は守られたようだ。3D Printing Industry(3Dプリンティング・インダストリー)とNewsweek(ニューズウィーク)によると、フォードはマーベリックのセンターコンソール後方に備わるFord Integrated Tether System(FITS、フォード・インテグレーテッド・テザー・システム)スロットと、シート下の収納ボックスに対応する追加アクセサリーを3DプリントするためのCADファイルを公開した。これを使ってオーナーは、お気に入りの飲み物に合わせたカップホルダーや、所有する最新型スマートフォンに合った電話機ホルダーなどを、自分で作ることができる。

もっとも、フォードの動きは遅れていると言ってもいいだろう。マーベリックが発売されてから数カ月の間に、すでに愛好家たちがFITSに合わせたアクセサリーをデザインしている。ダッシュボードの棚や、フォード車以外でFITSアクセサリーを使うための非公式なFITSスロットさえ見つけることができる。とはいえ、公式ファイルがあれば、それだけアクセサリーの作成は容易になるはずで、ユーザーによるデザインが急増しても不思議ではない。

画像クレジット:Ford

同社は既製のFITSアクセサリーの販売にも積極的だ。しかし、デザインマネージャーのScott Anderson(スコット・アンダーソン)氏がNewsweekに語ったように、フォードが3Dプリントをサポートするということは、同社のユーザーに対する態度の「かなり大きな変化」を意味する。これは、自分でアクセサリーを作る人が増えていること、そして自動車のカスタマイズには、性能向上のためのチューニングや、見た目のドレスアップだけではなく、それ以上のものが含まれると、同社が認知していることの表れだ。フォードがアクセサリーの販売で失うものは、同ブランドの車を再び購入してくれる忠実なファンとして還ってくるかもしれない。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォード、車内アクセサリーを自分で作れる3Dプリント用CADファイルを公開

Ford(フォード)は、ハイブリッド・ピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した際に、3Dプリントで自分のオリジナルなアクセサリーを作成できるようになる可能性を予告した。その約束は守られたようだ。3D Printing Industry(3Dプリンティング・インダストリー)とNewsweek(ニューズウィーク)によると、フォードはマーベリックのセンターコンソール後方に備わるFord Integrated Tether System(FITS、フォード・インテグレーテッド・テザー・システム)スロットと、シート下の収納ボックスに対応する追加アクセサリーを3DプリントするためのCADファイルを公開した。これを使ってオーナーは、お気に入りの飲み物に合わせたカップホルダーや、所有する最新型スマートフォンに合った電話機ホルダーなどを、自分で作ることができる。

もっとも、フォードの動きは遅れていると言ってもいいだろう。マーベリックが発売されてから数カ月の間に、すでに愛好家たちがFITSに合わせたアクセサリーをデザインしている。ダッシュボードの棚や、フォード車以外でFITSアクセサリーを使うための非公式なFITSスロットさえ見つけることができる。とはいえ、公式ファイルがあれば、それだけアクセサリーの作成は容易になるはずで、ユーザーによるデザインが急増しても不思議ではない。

画像クレジット:Ford

同社は既製のFITSアクセサリーの販売にも積極的だ。しかし、デザインマネージャーのScott Anderson(スコット・アンダーソン)氏がNewsweekに語ったように、フォードが3Dプリントをサポートするということは、同社のユーザーに対する態度の「かなり大きな変化」を意味する。これは、自分でアクセサリーを作る人が増えていること、そして自動車のカスタマイズには、性能向上のためのチューニングや、見た目のドレスアップだけではなく、それ以上のものが含まれると、同社が認知していることの表れだ。フォードがアクセサリーの販売で失うものは、同ブランドの車を再び購入してくれる忠実なファンとして還ってくるかもしれない。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

船の自律航行技術開発を行うエイトノットが1億円調達、2025年までの社会実装目指す

船の自律航行技術開発を行うエイトノットがシードラウンドファーストクローズとして1億円調達、2025年までの社会実装目指す

船の自動運転技術開発スタートアップ「エイトノット」は2月15日、シードラウンドのファーストクローズとして、J-KISS型新株予約権方式による1億円の資金調達実施を発表した。引受先は、DRONE FUND、15th Rock Ventures、リアルテックファンド。累計資金調達額は1億5000万円となった。

2021年3月設立のエイトノットは、「ロボティクスとAIであらゆる水上モビリティを自律化する」をミッションに掲げる、自律航行技術開発スタートアップ。ロボティクス専門家集団による開発チームを擁し、実用的な技術を現実的なコストで、かつスピーディに開発可能としており、創業から半年で小型船舶向けの自律航行技術の開発と実証実験を成功させている。同社は、2025年の自律航行無人船の社会実装を目指し、事業活動を加速させるという。

調達した資金は、「ロボティクスおよびAIに精通したエンジニアリングチームの強化」「EVロボティックボートを活用した事業開発チームの強化」などにあてる。

調達した資金の主な用途

  • ロボティクスおよびAIに精通したエンジニアリングチームの強化
  • EVロボティックボートを活用した事業開発チームの強化
  • 自律航行機能を備えた小型船舶の開発
  • 遠隔監視システムの開発
  • 事業化を見据えた実証フィールドでの航行試験

昨今、陸の自動運転・空のドローンなど、モビリティの自律化・自動化技術は隆盛著しく、その動きは船舶など水上モビリティにも及んでいる。水上モビリティにおいても自律化による安全性・利便性・経済合理性の向上が見込め、とりわけ四方を海に囲まれた日本では、旅客・物流において新たな移動・輸送手段となることが期待されているためという。災害時に代替輸送手段として活用することも期待されている。

またグローバル市場、特に新興国の場合、都市部の交通渋滞が深刻な社会課題となっていることから、船運は重要な交通・輸送手段として活用が推進されている。

これら状況においてエイトノットは、ロボティクス・AIなど先端技術を活用した「水上モビリティのロボット化」をコンセプトとし、環境に配慮したEVロボティクスボートによるオンデマンド型水上交通を実現することで、課題解決に貢献するという。

テスラ、オランダのSuperchargerネットワークをすべてのEVに開放

Tesla(テスラ)は現地時間2月14日、同社製以外の車両の所有者がオランダのすべてのSupercharger(スーパーチャージャー)ステーションで電気自動車(EV)を充電できるようになったと発表した。

この措置は、2021年11月に10カ所のステーションで開始されたパイロットプログラムの拡大だ。CEOのElon Musk(イーロン・マスク) 氏はもともと、同年夏にSuperchargerネットワークを他のEVに開放することに関心を示していた。

他の自動車メーカーとは異なり、Teslaは広大な独自ネットワークを運用していて、これまでは他自動車メーカーのEVがSuperchargerの充電器を利用することはできなかった。Teslaが2012年に構築を開始したこのネットワークは、現在、全世界に3万カ所のSuperchargeステーションを有している。

Teslaのパイロットプログラムは、オランダとフランス、ノルウェー、ベルギーなど欧州の一部のステーションで、Tesla車両以外のEVのドライバーにTeslaのアプリを使って充電させるもので、同社はまだPlugShare(プラグシェア)など他のEVステーションプラットフォームと統合していない。

Teslaは、自社製車両にしか装着できない独自のプラグを使用しているため、試験ではCCS(コンバインド・チャージング・システム)対応車のみがアクセス可能だ。Superchargerには2本のケーブルがあり、Tesla製以外の車両はCCSコネクタを使用することができる。このコネクタはすべてのクルマに合わないかもしれず、その場合、ドライバーはカスタマーサポートセンターに問題を報告することになる。

同社によると「幅広い車種の充電をサポートするために発生する追加費用と、これらの車種に対応するためのサイトの調整」のため、Tesla製以外のEVはTesla施設での充電を享受するために、より多くの料金を請求される可能性がある。とはいえ、ドライバーが充電メンバーシップを購入すれば、1kWhあたりの充電価格は下がるかもしれない。

Teslaは「拡大する前にエクスペリエンスをレビューし、混雑を監視し、フィードバックを評価する」ために、一部の拠点から始めると述べた。将来設置される施設については、利用可能な容量がある場合にのみ、Tesla製以外の車両に開放される予定だ。

オランダには欧州で最も多くのEV充電ステーション(7万5000基)があり、Teslaがこのパイロットをさらにテストする上で競争的な環境となっている。ウェブサイトによると、Teslaはオランダにステーション33カ所を展開していて、18の新しいステーションが「近日オープン予定」だ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi