Impalaは単一の標準APIでホテル業界全体をカバーしたい

ロンドンのImpala(インパラ)は、ホテルのデータとの対話をもっと容易にできるようにしたい。そこで同社は、ホテルのレガシーなシステムの上に、あらゆるものを現代的なREST APIで標準化する層を作っている。

そのImpalaがこのほど、シリーズAで1100万ドル(約11億8400万円)を調達した。投資家はStride.VC、Xavier Niel/Kima Ventures、DST GlobalのパートナーであるJerry Murdock(ジェリー・マーロック)氏、そしてこれまでの投資家たちだ。同社はこれまで、シードラウンドで175万ドルを調達している。

基本的にImpalaが望んでいるのは、Stripe(決済API)やTwilio(通信API)、Plaid(フィンテックAPI)などのようにシンプルであることだ。ほんの数行でデベロッパーはImpalaを利用でき、詳細に立ち入る必要はないものに。

ホテル業界はこれまでProperty Management Systems(PMS)というものを使って、部屋や部屋のタイプ、料金、税などなどを管理してきた。

Impalaの共同創業者でCEOのBen Stephenson(ベン・ステファンソン)氏葉「各ホテルはそういう古いシステムに固執しており、その上にオープンなAPIを自ら作る気などない」と語る。

そこでホテル業界でプロダクトを作っているデベロッパーは、現状では各社ばらばらに異なるホテルシステムに接続するために、大量の統合化作業を強いられる。そしてImpalaはそういう違いの大きいホテルシステムの上に標準的なAPIを被せて、プロダクトは一度だけ一つだけ作ればそれで終わりという状態にしたい。

例えば、いろんなホテルの空き室の数を知りたければ、どんなホテルに対しても同じAPIを呼び出して問い合わせできる。1つのホテルでも複数のホテルでも、管理は同じように容易になり、ホテルのシステムと対話するアプリやウェブサイトや内部的サービスの構築も1つのコードで実現できるようになる。

今度得た資金で同社は、そういう統一APIで対応できるホテルシステムをもっと増やしたいと考えている。今は8種類のシステムをサポートしているが、Impalaがホテル業界の普遍的な言語になるためには普遍的なサポートが鍵だ。

Impalaは、直接予約(ダイレクトブッキング)のAPIも作っている。現状では、ブッキングデータを手作業でBooking HoldingsやExpedia Groupのウェブサイト(Booking.com、Priceline、Agoda、Kayak、Expedia、Hotels.com、HomeAway、Trivagoなど)にアップロードしているホテルが多い。チャンネルマネージャーを使っているところもある。

チャンネル・マネージャーはホテルと、そういうホテル情報・予約サイトを仲立ちして、予約情報を1回だけ送ればすべてのサイトにアップロードしてくれる。「でも売り手側からすれば、新しいオンラインセラーを立ち上げたとすると、すべてのチャンネルマネージャーとコネクトしなければならないのだ」とステファンソン氏は言う。

同社の直接予約APIは、ExpediaやBooking.comと新たに競合しようとする者にとってハードルを低くする。また、ホテルの部屋を自分で売らなくてもいいという、新しいタイプの業種の参加も可能にするだろう。そしてたとえば、シティガイドやカンファレンスや音楽フェスティバルなどのWebサイトから直接、部屋を予約できるようになるかもしれない。

それらはBooking.comへの埋め込みではなく、ImpalaのAPIを利用してホテルを直接予約し、コミッション(手数料)を低く抑えられるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

データストレージのCloudianがエッジデータ分析特化の新事業を日本で立ち上げ

企業の大量のデータを保存して管理するサービスCloudian(クラウディアン)は米国時間9月17日、大きなデータセットのエッジ分析にフォーカスする新たな事業部門であるEdgematrix(エッジマトリックス)のローンチを発表した。EdgematrixはCloudianが株式の多くを持つ子会社で、最初はEdgematrixの本社が置かれた日本でサービスを開始する(Coudianの本拠地はカリフォルニア州サンマテオ)。

同社は900万ドルのシリーズAを、NTTドコモ、清水建設、日本郵政キャピタルなどの戦略的投資家およびCloudianの共同創業者でCEOのMichael Tso(マイケル・ツォ)氏と取締役のJonathan Epstein(ジョナサン・エプスタイン)氏らから調達した。資金は製品開発とそのデプロイメント、および営業マーケティングに充当される。

Cloudian自身は、昨年の9400万ドルのシリーズEを含めて計1億7400万ドルを調達している。同社の製品は、企業が数百TBものデータをオンプレミスで保存できるHyperstoreプラットホームおよび、データ分析や機械学習のソフトウェアなどだ。Edgematrixも大規模なデータセットの保存にはHyperstoreを利用し、独自のAIソフトウェアとハードウェアによりネットワークの「エッジ」におけるデータ処理を行う。エッジは、センサーのようなIoTデバイスからのデータが実際に集まる場所に近い。

同社のソリューションは、リアルタイム分析が必要な状況に向いている。たとえば、高速道路上の車のメーカーや車種や年式などを検出して、ドライバーに向けて表示される広告の最適なターゲティングがリアルタイムでできるだろう。

ツォ氏によると、Edgematrixが生まれたのは、Cloudianの共同創業者で社長の太田洋氏と彼のチームが、顧客のデータの処理や分析をより効率化する技術の研究開発に取り組んだ経験からだ。

ツォ氏は「最近では、IoTのデータをはじめとして、ますます多くのデータがエッジで作られ、しかもリアルタイムのデータ分析や意思決定をエッジの近くで行いたいというニーズが拡大している。データをどこかへ運んでからでは、通信費用やレイテンシーがどうしても発生する。最初はCloudianのチームが小さなAIソフトウェアによるソリューションを開発して成功し、同社のトップレベルの顧客たちの注目を集めた。そこでわれわれは、その成功を核として戦略的投資家たちによる子会社を作るのがベストだ、と決断した」と語る。

Edgematrixを日本で立ち上げるのは、AIシステムへの支出が今後どこよりも大きく伸びると期待されるからだ。IDCによると、その予想成長率は2018年から2023年までの5年間で45.3%にもなる。

ツォ氏は「日本はAI技術のアーリーアダプターとしてトップを走ってきた。政府と民間部門の両方が、AIを生産性向上に欠かせないと見ている。Edgematrixは、少なくとも次の1年間は日本市場に注力し、結果が良好なら北米とヨーロッパに拡張したい」とコメントした。

画像クレジット: Hiroshi Watanabe/Getty Images

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サッカーの試合をAIカメラで全場面録画するVeoが米進出を狙う

デンマークのコペンハーゲンのVeoは、アマチュアのサッカーチームがもっと容易にビデオを撮ったり試合をストリーミングしたりできるための「AIカメラ」を提供している。同社はこのほど、シリーズAで600万ドルの資金を調達した。

このラウンドを支えたのは米国のCourtsideVCとフランスのVentech Capital、そしてデンマークのVC Seed Capitalだ。Veoによると、この新たな資本は米国進出のために使う。

2015年にHenrik Teisbæk氏、Jesper Taxbøl氏、そしてKeld Reinicke氏の三氏が創業したVeoは、複数のカメラオペレーターや映像ミキサーが要らないようにして、サッカーの試合や練習の映像記録を誰にでもできるようにしたいと考えた。

そのためにまずやるのは、一台でピッチ全体を撮影できる4Kレンズのカメラを使うことだ。カメラは高さ7メートルの三脚に載せ、撮った映像をAIを使ったビデオ技術で処理する。そうするとVeoのカメラは仮想的なパンやズームでアクションを追い、まるで複数箇所のテレビカメラが動く選手たちを追ってるような映像が得られる。

Veo Måløv

前の記事でも書いたように、そのためには映像の各部分を頻繁にトリミングする。全体として解像度は落ちる。でも最初が4Kだから、スマートフォンやタブレットなど小さなスクリーンなら画質はまあまあだ。

VeoのCEO Henrik Teisbæk氏は、今回の資金調達に関連して次のように述べた。「至近の目標は米国に足場を作ることだ。投資の多くがそのために使われるだろう。長期的には米国からさらに世界のフットボール市場の主役になりたい。そして願わくば、ほかのスポーツを手がけることも」。

Teisbækによると、手始めに米国を選んだのは、そこが最大で最もエキサイティングなサッカー市場の一つだからだ。そして北米のサッカー選手や監督、チームなどはとてもデータを大事にするし、新しいテクノロジーに対して積極的だ。つまりVeoにとってそこは、ポテンシャルが大きい。

一方Veoによると、同社は昨年50か国1000チームの25000試合を見て録画した。今コペンハーゲンの本社には35人の社員がいて、Veoのソフトウェアとハードウェアを開発している。

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ギリシャとポーランドでオンライン中古車ショップ運営のSpotawheelが6億円調達、さらなるイノベーションを目指す

ギリシャとポーランドで、米国のCarvana(カーヴァナ)のようなビジネスモデルのオンライン自動車販売を手がけるSpotawheel(スポタホイール)が、新たに500万ユーロ(約5億800万円)の資金を調達した。VentureFriendsがこの投資をリードし、Velocity Partnersと匿名の戦略的投資家たちが参加した。

この投資は株式と融資の両方で行われ、後者は主に、前払いで車を仕入れるための運転資金に充てられる。アテネに本社を置く同社は、2016年に創業以来これで計800万ユーロを調達した。

Spotawheelの共同創業者でCEOのCharis Arvanitis(カリス・アバンティス)氏は「中古車販売は世界的に市場が大きいだけでなく、年率5〜7%で成長しているが、その多くは今だにオフラインの、悪名高い透明性を欠くやり方で行われている」と語る。

そのため買い手は欠陥車をつかまされることを恐れ、複雑すぎる手続きや隠れ手数料、それにバラバラで細切れ状態の供給サイドに悩まされている。バラバラと言うのは主に、3行広告にあふれる零細な売り手と、伝統的なオフラインの中古車販売店の分断を指している。

アバンティス氏は「この業界は売り手の構造がばらばらで、全体的なコントロールがどこにもない。そのためこれまで20年以上もイノベーションとは無縁だった。そして最初のイノベーションは、オンラインの3行広告(Classified Ads)だろう。市場の分断はヨーロッパでとくに著しい。車の売買が複数の国にまたがって行われるので、クオリティーのコントロールや車の履歴の追跡が難しい」と語る。

そこでSpotawheelは、中古車販売のためのオンラインのB2Cプラットホームを提供し、その上で売買のプロセスをゼロから新たに設計して、互いに信頼できてトラブルの起きない買い物体験を作ろうとしている。彼らが考えたのは、eコマースが提供しているような利便性と消費者保護を中古車購入に導入することだ。

それをアバンティス氏を「うちの顧客は車の試乗ができる。全国どこにでも納車し、最大7日間は返品できる。5年の限定保証はヨーロッパ最長だ」と説明する。このビジネスモデルを支えるためにSpotawheelは、予測分析を利用して個々の車の状態や予想される故障を管理している。

同氏によると、Spotawheelは車の仕入れに融資で獲得した資金とマーケットプレースの慣行を併用することによって、全ヨーロッパの個人オーナーやB2Bのリセラーから最良の車を入手している。それには運転資金を利用する車の前払い仕入れや、委託販売などの手法がある。

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データ分析大手のSplunkがクラウドモニタリングのSignalFxを1100億円超で買収

データ処理とアナリティクスを専業とする上場企業Splunk(スプランク)は米国時間8月21日、クラウドモニタリングのスタートアップであるSignalFxを約10億5000万ドル(約1120億円)で買収したことを発表した。そのほぼ60%はキャッシュ、40%はSplunkの普通株で支払われる。買収の完了は2020年の後半と予想されている。

2015年にステルスを脱したSignalFxは、リアルタイムのクラウドモニタリングや予測分析などのサービスを提供している。Splunkによると、今回の買収で同社は「企業のクラウド利用のすべての段階に対する観察とアプリケーションパフォーマンス管理で業界のリーダーになり、クラウドネイティブからオンプレミスの内製アプリケーションに至るまでその全環境をカバーできる」という。

確かにこの買収でSplunkはクラウド分野でより強力なプレーヤーになり、そのサポートをクラウドネイティブのアプリケーションと、それらが依存する現代的なインフラストラクチャとアーキテクチャにまで広げるだろう。

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Crunchbaseによれば、この買収の前までSignalFxはトータルで1億7850万ドルを調達し、最近はシリーズEを終えたばかりだった。主な投資家は、General Catalyst、Tiger Global Management、Andreessen Horowitz、そしてCRVなどだ。顧客には、AthenaHealth、Change.org、Kayak、NBCUniversal、Yelpなどがいる。

Splunkの社長でCEOのDoug Merritt(ドグ・メリット)氏は本日の発表声明で「現代のビジネスはデータが燃料であり、SignalFxを獲得したことによってSplunkは、大規模なモニタリングとシステム観察における業界のリーダーになるだろう。弊社は長年顧客に、単一のプラットホームでエンタープライズアプリケーションの全ライフサイクルをモニタできる環境を提供してきたが、SignalFxはそれをさらに強化する。SignalFxのチームとリーダーシップにも感銘を受けている。その専門的能力とプロ精神は、Splunkファミリーにとって強力な支えになるだろう」とコメントしている。

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AI利用のハードルを下げるH2O.aiがゴールドマンサックスのリードで約77億円調達

H2O.aiのミッションは、AIを誰でも使えるようにすることだ。そのために同社は企業に一連のツールを提供して、データサイエンティストのチームが要らないようにする。同社は米国時間8月20日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)とPing An Global Voyager FundがリードするシリーズDのラウンドで7250万ドル(約77億円)を調達したことを発表した。

これまでの投資家Wells FargoとNvidia、およびNexus Venture Partnersも参加した。Goldman SachsからはJade Mandel(ジェイド・マンデル)氏がH2O.aiの取締役会に加わる。これで同社の調達総額は1億4700万ドル(約157億円)になる。

なお、Goldman Sachsは投資家であるだけでなく同社の顧客だ。H2O.aiのCEOで共同創業者のSri Ambati(スリ・アンバティ)氏によると、顧客であるWells FargoとGoldman Sachsが前2回のラウンドをリードしたことは、彼とその企業に対する信任の証だ。彼は曰く、「二度の連続的なラウンドでは顧客が投資家になっている。前回のシリーズCはWells Fargoがリードしたが、彼らは弊社を選んで使っていた。今日のラウンドはGoldman Sachsがリードし、彼らは前からうちの強力な顧客であり強力なサポーターだ」。

同社のメインのプロダクトであるH2O Driverless AIは2017年に登場し、Driverless、つまり運転手がいないという名前は、AIのエキスパートでない人たちでも、データサイエンティストのチームなしでAIを利用できる、という意味で命名された。アンバティ氏は「Driverless AIは機械学習の自動化だ。これによってワールドクラスのデータサイエンティストたちの能力を万人が手にする。ありとあらゆる機械学習のアルゴリズムを使って、モデルを自動的に作る」と説明する。

同社は同日に、レシピと呼ばれる新しいコンセプトも導入した。それは、ビジネスの多様な要件に合わせてモデルを構築するための、AIのあらゆる原料とインストラクションの組み合わせレシピ集だ。同社のデータサイエンティストたちのチームは、約100種のレシピを作ってそれらをオープンソース化。具体的には、クレジットリスクの評価、異常事態検出、資産額の査定などのためのレシピがある。

H2O.aiは2017年のシリーズCのころに比べると大きく成長した。今同社の社員は175名だが、それはシリーズCのときのほぼ3倍だ。同社はオープンソースがルーツなので、今でも2万名のユーザーが同社のオープンソースプロダクトを使っている。

アンバティ氏は会社の評価額や上場については話を避けようとするが、今はAIの初期の時代であり、長期的な視野に立って会社を育てていきたい、と言った。

関連記事:H2O.AI snares $40M Series C investment led by Wells Fargo and Nvidia(H2O.aiがNvidiaとWells FargoからシリーズCを調達、未訳)

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アドテクには相関性より因果関係、ClearBrainが因果分析ツールを発表

どんなビジネスも、原因と結果を知りたがる。「誰かがXをしたから売上が増えたのだ」「売上が減ったのはYをしたからだ」などなど。そこで多くの企業がデータ分析に頼りたがるが、ClearBrainの共同創業者でCEOであるBilal Mahmood(ビラル・マフムード)氏に言わせると、これまでのアナリティクスは原因と結果に関する質問に正確に答えられない。

「今のアナリティクスのプラットホームはどれも相関モデルを基盤にしている」とマフムード氏は言う。それは、古典的な相関関係と因果関係の問題だ。データを利用して行為と結果を関連付けようとするが、そこから原因と結果の直接的な関連を導き出すことはできない。相関性は必ずしも因果関係を意味していない。

ClearBrainは、この問題を同社独自の「因果分析」(Causal Analytics)ツールで解決しようとする。同社のブログ記事によると「データの統計的処理の方は完全に自動化して、初めての大規模な因果推論エンジンにより、成長担当チームが各アクションの因果効果を測定できるようにする」とのこと。

このブログ記事はとても詳細だが、しかしその要点は、マフムード氏と彼にチームには、今まで誰にもできなかった正確な因果関係の導出ができるという主張だ。

ClearBrain analytics screenshot

そして同社はそれを、A/Bテストに利用する。顧客はClearBrainのデータを見て、次に何をテストするのかプライオリティを決める。そしてテストできない要素については、そのインパクトを推計する。それについてマフムード氏は「ウェブサイトやアプリケーションのすべての変数(変項)のインパクト、会話に対する実際のインパクトを知ろうと思ったら、数年はかかるだろう」と語る。

昨年TechCrunchがClearBrainを取り上げたときには、人工知能を使ってターゲティングを調整していたが、しかしマフムード氏によると、その後顧客の要望に応えて新しい分析技術を使うようになった。「顧客が知りたいのはその広告を見た人が実際に商品を買うか買わないかだけではなくて、買う、買わないとしたらなぜそうなのか、その原因を知りたいのだ」と彼は言う。

同社の因果分析ツールは今一部のアーリーアクセスユーザーが利用できるが、全面展開は10月を予定している。料金体系は何層かに分かれているが、スタートアップの多くは無料で利用できる。

因果分析ツールのアーリーアクセスと並行してClearBrainは今週、Harrison MetalとMenlo Venturesからの200万ドル(約2億1275万円)の新たな資金調達を発表した。

関連記事:中小企業や商店にAI利用のターゲットマーケティングをお安く提供するClearBrain

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データウェアハウスを誰も来ない古代遺跡するIncortaが30億円超を調達

「企業などが大量のデータを処理する方法を抜本的に変えたい」と一念発起した元Oracleの役員たちが創業したIncorta(インコルタ)は米国時間8月15日、Sorenson CapitalがリードするシリーズCのラウンドで3000万ドル(約32億円)を調達したと発表した。

このラウンドに参加したそのほかの投資家は、GV(元Google Ventures)、Kleiner Perkins、M12(元Microsoft Ventures)、Telstra Ventures、そしてRon Wohlだ。同社によると、今回の投資で同社の調達総額は7500万ドルになる。

IncortaのCEOで共同創業者のOsama Elkady(オサマ・エルカディ)氏によると、彼とそのほかの共同創業者たちがIncortaを創業せざるをえなかったのは、失敗するに決まってるようなデータプロジェクトに大金を投じている企業を数多く見てきたからだ。同氏は「僕とほかの3人がOracleを辞めてIncortaを始めたのは、多くの企業がデータウェアハウスなどの高度なプロジェクトに投資しているのに、成功したプロジェクトがほとんどないからだ」と語る。

データプロジェクトには通常、ETL(extract(取り出す)、Transform(変える)、Load(ロードする)という処理工程がある。すなわちそれは、データをデータベースから取り出し、そのデータの値を変えて形を目的のデータベースに合わせ、そしてそれを目的のデータベースに加える、という工程だ。データを取り出すデータベースと変更後のデータをロードするデータベースが同一の場合もある。

この工程にはとても時間がかかるので、Incortaはこのステップを省略してデータへのアクセスをずっと速くしたいと考えた。エルカディ氏によると、これによって顧客はデータの利用をずっと速くできるようになり、処理に要する時間を数時間から数秒へと短縮できた。そして、これほどのパフォーマンス向上が投資家の注目を集めるのも当然だ。

リード投資家であるSorenson Capitalのマネージングディレクターを務めるRob Rueckert(ロブ・リュッケルト)氏は、Incortaがデータベースという成熟した分野にイノベーションをもたらそうとしている、と見ている。彼は声明中で「Incortaはデータウェアハウジングの市場を革新的な技術で打倒し、30年も続いている古臭くて遅いデータウェアハウスのインフラストラクチャを終わらせようとしている」とコメントしている。

同社によると、売上は急激に伸びており、前年比で284%増加した(金額は非公開)。顧客にはStarbucks(スターバックス)やShutterfly(シャッターフライ)、Broadcom(ブロードコム)などがいる。

同社は2013年にローンチし、現在の社員は250名だ。開発部門はエジプトにあり、本社は米国カリフォルニア州サンマテオにある。最近はシカゴとドバイとバンガロールにオフィスを開いた。

関連記事:Real-time data analytics startup Incorta raises $15M Series B led by Kleiner Perkins(リアルタイムデータ分析のIncortaがシリーズBで1500万ドルを調達。未訳)

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中国最大のQ&Aプラットホームが450億円超を調達

中国で最大のQ&AプラットホームであるZhihu(知乎)が、シリーズFで4億3400万ドルを調達した。これは同社の2011年ローンチ以来最大のラウンドであるだけでなく、中国のインターネット文化およびエンターテインメント企業が調達した額としては過去2年間で最大である。この投資でファイナンシャルアドバイザーを務めたChina Renaissanceがそう言っている。

このシリーズFはビデオとライブストリーミングのアプリを作っているBeijing Kuaishouがリードし、Baiduが参加した。既存投資家であるTencentとCapitalTodayも加わった今回の投資は、主に技術開発と製品開発に使われる。中国のGoogleと呼ばれるBaiduがBloombergに語っているところによると、同社はZhihuのポスト1億件をメインのアプリに加える。

ZhihuはIPOの噂を否定しているが、昨年はCFOを雇用し、リストラを行った。その気は十分にあるようだ。

Zhihuのユーザーは教育水準と収入が比較的高く、また同社はテクノロジーやマーケティング、教育など専門分野のエキスパートを回答者に揃えているという評判だ。QuoraなどそのほかのQ&Aプラットホーム同様Zhihuも基本はユーザーがテキストでポストした質問に答えるという方式だが、ほかにディスカッションフォーラムや、パブリシングプラットホーム、企業がリアルタイムで質問に答えるためのライブのビデオなど多様なQ&A方式を揃えている。そして同社のストリーミングビデオのZhihu Liveはユーザーをエキスパートや企業に限定して、Douyinなどの競合他社と差別化している。DouyinはTikTokのローカルバージョンだが、TikTokの親会社ByteDanceはZhihuに投資している。ただし今回のラウンドには、参加しなかった。

Zhihuウェブページで創業者でCEOのVictor Zhou(ビクター・シュウ)氏は「中国のメディアとインターネット環境の急速な変化に乗り遅れないようにしたい」とコメント。彼によると「これまでの8年間でインターネットは単純な娯楽から生活や仕事上の問題解決の場へと変わってきた。そのため競争の焦点も、トラフィックの量ではなく質へと移っている」とのこと。

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サーバーレスやコンテナなど多様な実行環境でライブデバッグを提供するRookout

サーバーレスコンテナなど、さまざまな環境のためにデバッグサービスを提供しているRookoutは米国時間8月7日、シリーズAで800万ドル(約8億5000万円)の資金を獲得したと発表した。その資金は、デバッグ以外の新しい分野の開拓に当てられる予定だ。

このラウンドはCisco Investmentsがリードし、従来の投資家TLV PartnersとEmergeが参加した。またGitHubのCEOであるNat Friedman(ナット・フリードマン)氏やLaunchDarklyのCTOで共同創業者のJohn Kodumal(ジョン・コデュマル)氏、Codecovの収益担当副社長であるRaymond Colletti(レイモンド・コレッティー)氏らも参加した。

Rookoutの共同創業者でCEOのOr Weis(オー・ウェイス)氏は「Rookoutは創業の時点から、すべてのプラットホームにプロダクションレベルのデバッグサービスを提供している」と語る。そして彼の言うすべてのプラットホームとは、AWS Lambdaのようなサーバーレスの環境やコンテナとKubernetesの環境、Google App EngineやAWSのElastic BeanstalkのようなPaaS環境などのことだ。

同社は単純にデバッグサービスを提供するだけでなく、バグが起きているプラットホーム内部への可視性も提供する。バグは基本的に短命な現象だから、その可視化はかなり難しい技術だ。声明でウェイス氏は「昨年我々は、顧客がRookoutのコードレベルのデータ収集機能のまったく新しい利用方法を見つけていることを発見した。そこで我々は、弊社のコードレベルの観察機能とパイプラインの多様な使われ方に対応し、それらをサポートし、強化する必要性に迫られた」とコメントしている。

ここで特に印象的なのは、Ciscoのような古参のベテラン企業がRookoutへの投資に積極的に関わっていることだ。Ciscoのグローバル企業開発担当副社長であるRob Salvagno(ロブ・サルヴァグノ)氏はRookoutのデベロッパーフォーカスを賞賛して声明中で「デベロッパーはエンタープライズのIT関連支出の鍵を握っている。Rookoutを利用すると再デプロイせずにオンデマンドでデータを収集できるから、同社のそのようなデベロッパー中心型のソフトウェアはプロダクションレベルの面倒なデバッグを単純化し、デベロッパーの効率性を増し、そしてITのOpsとDevの間に存在する軋轢を軽減する」と述べている。

2017年にローンチしたRookoutはサンフランシスコとテルアビブにオフィスがあり、社員数は20名だ。これまでに1200万ドルあまりを調達している。

関連記事:AWS LambdaのサーバーレスのコードをライブでデバッグできるRookoutのデバッグツール

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ソフトバンクが1080億ドルでAIフォーカスの第2ビジョンファンドを立ち上げ

ソフトバンクグループは7月25日、第2のビジョンファンドを立ち上げると発表した。これにはアップルやフォックスコン、マイクロソフトなどのテクノロジー企業と投資家が参加する。このファンドはVision Fund 2(ビジョンファンドツー)と呼ばれ、AIベースのテクノロジーにフォーカスする。ソフトバンクによるとファンドの資本金は、了解覚書ベースで約1080億ドル(約11兆7300億円)達している。そのうちソフトバンクグループ自身による投資は380億ドル(4兆1200億円)だ。

なお、この第2のビジョンファンドのリミテッド・パートナーの予想リストには現在、サウジアラビア政府からの参加者はまったく含まれていない。最初のビジョンファンドはモハメッド・ビン・サルマン皇太子などの人々との密接な結びつきがあり、皇太子は後にジャーナリストであったジャマル・カショギ氏の殺害に関与したとされた。そのことは当然ながら、投資家や企業や人権監視家などからの大きな懸念の原因になった。

しかしソフトバンクグループによると、まだ他の参加者とも話し合いを続けており、ファンドの総額は今後増加すると予想される。現在覚書に署名している参加者は、次のとおり。

  • アップル
  • フォクスコン・テクノロジーグループ
  • マイクロソフト
  • みずほ銀行
  • 住友三井銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • 第一生命保険
  • 住友三井信託銀行
  • SMBC日興証券
  • 大和証券グループ
  • National Investment Corporation of National Bank of Kazakhstan
  • Standard Chartered Bank
  • 台湾の複数の投資家

ソフトバンクがこの第2ファンドを立ち上げる意図は、今週初めにWall Street Journalが報じた。その新たなファンドはサウジアラビアからの投資にあまり依存しないものになるとされ、そしてまた、スタートアップとマイクロソフトのような巨大企業と投資家三者の関係を変える可能性がある、と言われた。

この第2のビジョンファンドにより、世界で最も影響力の大きい投資家としてのソフトバンクの立ち位置がさらに強化されるだろう。最初の970億ドルのビジョンファンドにより同社は、数十社もの著名な成長企業に投資してきた。それらは、ライドシェア大手のDidi ChuxingGrab、インドのグロサリーデリバリーGrofers、決済企業Paytm、低料金ホテルのOyoなどだ。

最初のビジョンファンドは2016年10月に発表され、2017年の前半から投資を開始した。ソフトバンクの先月の発表によると、ファンドは62%のリターンを稼いだ。ソフトバンクの投資は一貫して額が大きい(多くが1億ドル以上)ことで知られ、調査企業CB Insightsによると、全世界で377社あるとされるユニコーン(評価額10億ドル以上の企業)のうち24社にも投資している。

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ソニーが200億円のファンドを立ち上げてテクノロジー系スタートアップに投資

ソニーは、スタートアップへの投資に注力しようとしている。この日本のテクノロジー大手は、200億円を調達して「高成長の重要産業」に属する企業に投資していくと発表した

ソニーは2016年にもファンドを立ち上げたが、今回のはInnovation Growth Fundと呼ばれ、他との共同事業になる。メインのパートナーは大和証券のVC部門である大和キャピタル・ホールディングスだが、これまで確認されている初期のLPの中には住友三井銀行、大阪商工信金銀行、三菱UFJリース&ファイナンスなどがいる。これまで得られた調達額は公表されていないが、まだ満額ではない。

ソニーによると、この前のファンドは40件あまりの投資を行い、今ではソニーよりも資金力のあるIGFが引き継ぎテクノロジー系スタートアップへの注視を続けている。

長期的目標のひとつは、そのポートフォリオ企業の上場を支援していくことだ。その意味で、企業の上場に関する大和の専門的能力が生かされることになる。一方ファンドの計画としては「著名な研究機関」やそのほかのテクノロジー企業とのリンクを開き、スタートアップの経営が軌道に乗るよう支援していく。そのやり方はなんとなくソフトバンクのビジョン・ファンドのようでもあるが、ただし1000億ドルには遠く及ばない。

大和証券の常務取締役を務める金子好久氏は、声明の中で次のように述べている。「最新技術に関するソニーの知見と大和証券グループの金融業における専門的能力が統合されれば新しい種類のベンチャーキャピタル事業が作られ、ベンチャーキャピタルのエコシステムに新しいトレンドによる活気をもたらすと信じている」。

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VMwareがマルチクラウドロードバランシングのAvi Networksを買収

VMwareは、ユーザーのデータセンターの仮想マシンの構築と管理を助ける企業から、オンプレミスでもパブリッククラウドでも仮想マシンがどこにあってもそれらの管理を助ける企業へと変わる努力を続けてきた。米国時間6月13日に同社が買収を発表した設立6年のスタートアップであるAvi Networksは、クラウドとオンプレミスの全域にわたってアプリケーションのデリバリを均衡化するサービスで、まさに今のそんなVMwareに合ってる企業と言える。なお、買収の価額は公表されていない。

Aviは、うちは昔のロードバランサーの現代版だ、と主張する。彼らが昔と呼ぶ時代には、アプリケーションは頻繁に変わることもなく、企業のデータセンターにオンプレミスで棲息していた。しかし、企業がますます多くのワークロードをAWS、Azure、Google Cloud Platformなどのパブリッククラウドに移行させている今日では、Aviのような企業がもっと現代的なロードバランシングツールを提供しなければならない。それらのツールは、ロケーションやニーズに応じてソフトウェアのリソース要求を均衡化するだけでなく、要求の背後にあるデータを調べる必要がある。

図表提供: Avi Networks

VMwareもユーザー企業のインフラストラクチャを、それらがクラウドやオンプレミスのどこにあっても顧客企業が一貫したやり方で管理できるよう努めてきた。Aviの買収もその努力の一環であり、今回は主にモニタリングとロードバランシングのツールを手に入れたことになる。VMwareのネットワーキングとセキュリティ事業担当上級副社長を務めるTom Gillis氏は、この買収が同社のそういうビジョンによくフィットしている、と言う。「この買収は弊社のVirtual Cloud Network(仮想クラウドネットワーク)ビジョンをさらに前進させる。そこでは、ソフトウェア定義の分散ネットワークアーキテクチャがすべてのインフラストラクチャに行き渡り、そのすべてのパーツを、パブリッククラウドにあるオートメーションとプログラマビリティで統合する。Avi NetworksとVMware NSXが結びつけば、企業は新たな機会への対応力を増し、脅威に対して強く、新しいビジネスモデルを作ってすべてのアプリケーションとデータにサービスを届けられるようになる。それらがどこにあっても」。

Aviの共同創設者たちはブログ記事でこれと同様の気持ちを表明し、さらに強力に前進できる企業になる、と期待している。彼らは曰く、「VMwareとの合体を決意したのは、両者のビジョンとプロダクトと技術と強力なマーケティングと企業文化の相性がきわめて良いと判断したからだ。私たちはこれからも継続して弊社のミッション遂行に努め、マルチクラウドのデプロイメントをオートメーションとセルフサービスで加速化して、顧客のアプリケーションサービスの現代化を助けていきたい」。というわけなので今後に期待しよう。

今後はVMwareの一部になるAviの顧客の中には、Deutsche Bank、Telegraph Media Group、Hulu、Ciscoなどがいる。Aviは2012年に創業され、Crunchbaseによればこれまでに1億1500万ドルを調達している。主な投資家は、Greylock、Lightspeed Venture Partners、Menlo Venturesなどだ。

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脅威インテリジェンスのスタートアップがプライベート・エクイティ会社に戦略的身売り

あなたがもしかして気づいていなくても、セキュリティ企業は今どきのホットな商材だ。米国時間5 月29日は、Palo Alto Networksが2つのセキュリティスタートアップを買った。今週初めには、FireEye(JP)がVerodinを2億5000万ドルで買った。そして本日、プライベート・エクイティ企業であるInsight Partnersが、脅威インテリジェンスのベンダーのRecorded Futureを7億8000万ドルで買ったことを発表した。

Insightが買ったRecorded Futureは、顧客企業が今直面している外部からのサイバー脅威をよく理解するための情報を生成する。今日の世界でそんな企業に、買うだけの価値があることは容易に理解できる。同社は、GlaxoSmithKline(グラクソ・スミスクライン)やMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)、The Gap(ギャップ)、 Verizon(ベライゾン)など顧客数400社を誇っている。

当然ながらRecorded Futureにとって今回の身売りは、自分が成長を続けるための方法だ。CEOのChristopher Ahlberg氏は声明でこう述べている。「Insightとの関係が進化して、Recorded Futureは現在と未来のクライアントにもっと良く奉仕できるようになった。当社の技術的ロードマップのすべてのポテンシャルを有効活用できるし、また、当社のソフトウェアが、当社のコミュニティが直面しているもっとも困難でユニークなインテリジェンスのチャレンジに、真のソリューションを提供できるようになったからだ」。

同社は2009年に創業され、Crunchbaseによればこれまでに5800万ドルを調達している。最新のラウンドは2017年の2500万ドルで、それはほかでもないInsight Partnersがリードした。彼らは同社が気に入ったらしくて、会社全体を欲しくなったのだ。

今回の買収は、これまでの投資家、GV(Googleのベンチャー部門)、In-Q-Tel(CIAのベンチャー部門)、IA Ventures、Balderton Capital、Mass Mutual Venturesなどからの投資も買い上げることになり、彼らに大きなリターンを与える。

Palo Alto Networks to acquire container security startup Twistlock for $410M(Palo Alto Networksがコンテナのセキュリティを提供するTwistlockを4億1000万ドルで買収、未訳)

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単眼のカメラから3D画像情報を取り出す次世代3Dセンサー

テルアビブのMultiVuは、1つのセンサーとディープラーニングを組み合わせた新しい画像技術を開発している。同社は米国時間5月16日、700万ドルのシードラウンドを発表した。ラウンドをリードしたのはクラウドファンディングのプラットホームOurCrowdCardumen Capital、および香港のJunson Capitalだ。

テルアビブ大学のイノベーション推進ファンドがMultiVuの中核的技術の初期の開発を支え、それは同大のDavid Mendlovic教授の研究室から生まれた。Mendlovic氏は前にスマートフォン用カメラのスタートアップCorephotonicsの共同ファウンダーだったが、同社は最近サムスン(Samsung)に買収された

MultiVuのセンサーは、従来のような2つのセンサーではなく単眼のカメラを使って3D画像を作り出す。そのたった1つのセンサーが1回の撮影で奥行きと色のデータを取り込む。

従ってセットアップはコンパクトになり、部品が少ないぶん費用も安くなる。それを可能にしているのが、同社が特許を持つライトフィールド技術だ。

現在同社のチームは、スマートフォンなど小型デバイスの顔認証でそのセンサーを利用することにフォーカスしている。それはもちろん成長市場だが、小型の3Dセンサーにはもっと多様なアプリケーションがありうる。顔認識以外のセキュリティ技術や、自動運転車のセンサーにも使えるだろう。

MultiVuのCEO Doron Nevo氏は次のように語る。「この技術は概念実証の段階を終えており、3Dの顔認証技術や、低コストの3D画像技術をモバイルや自動車産業、そのほかの工業分野、そして医療の分野にも提供できる。この技術を商用化する機会が与えられたことを、嬉しく思っている」。

しかし当面は、そのセンサーそのものの市場化に力を入れていく。今回の新たな資金もそのためのマーケティングや事業開発に充てられる予定だ。

OurCrowdの上級パートナーEli Nir氏はこう語る。「未来の3Dセンサー技術に投資できることはたいへん喜ばしく、MultiVuは市場に深く浸透していくだろう。現在の高コストな3D画像技術を利用できない企業はとても多い。David Mendlovic氏の3つめの創業企業に投資できることを誇らしく思うし、またCEO Doron Nevo氏の豊富な起業履歴や高い能力を持つチームにも大きな期待が持てる」。

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UberのIPO不調と米中貿易戦争でソフトバンクグループの株価も下落

Uberの最大の株主ソフトバンクグループは、このライドシェア企業の株式市場へのデビューに大きく期待していた。ところがこの日本のコングロマリットの株価は、IPOが期待外れに終わったUberと肩を並べるように下落した。ソフトバンクグループの株価は、UberがIPO価格をその下限に設定した先週末から落ち始めた。金曜日朝の取引開始時にソフトバンクグループの株価は1万1700円(約106.69ドル)から14.4%下げて1万20円(約91.37ドル)になった。

2018年の初めにUberの投資家になったソフトバンクグループは、その市場デビューによって30億ドルの利益得るはずだった。IPOの申請書類によると、ソフトバンクグループはUberの最大の株主で、IPO前の株式の16.3%をそのソフトバンク・ビジョン・ファンドにより保有していた。

2日目になっても株価の下落が続くので、UberのCEOを務めるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は社員に宛てたメモで、「どんな企業でも移行期には浮き沈みを経験する。ご存知のように当社の株式はIPO前に期待したほどには売買されなかった。今日も市場は厳しい1日となり、当社の株も同じ困難を経験するだろう」と述べている。

中国と米国の貿易戦争が継続的に激化し、先週米国が中国の品目の関税を上げたあと、今度は中国が米国からの輸入品の関税を上げようとしていることから、米国時間5月13日には主な市場指数のすべてが下落した

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画像クレジット: Tomohiro Ohsumi

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ARパズルで子どもたちにロボティクスとプログラミングへの関心を喚起するRosieReality

チューリッヒで消費者向けの拡張現実を作っているRosieRealityが、RedAlpineがリードするシードラウンドで220万ドルを調達した。そのほかの投資家は、Shasta Ventures、AtomicoのパートナーMattias LjungmanとSiraj Khaliq(どちらも個人資格で)、およびAkatsuki Entertainment Fundだ。

2018年に創業したRosieRealityの最初のAR作品は、子どもたちにロボティクスとプログラミングに関心を持たせることが目的だ。スマートフォンのカメラを使うそのアプリはキュートなARロボット「Rosie」(ロージー)が主人公で、LegoのようなモジュールでできたAR世界に住んでいる。その世界の中でユーザーとその友だちは、公園の遊具ぐらいのサイズの3Dパズルを作ったり解いたりする。

そのキモは、パズルを解くためにはロージーをプログラミングして拡張世界の中で動かす必要があることだ。

RosieRealityの共同ファウンダーでCEOのSelim Benayat氏はこう語る。「Rosie the Robot(ロボットのロージー)は、初めてのスマートフォンのカメラフィードの中だけで生きている対話的でモジュール構造の世界だ。コンピューターを使用するこの新しいプラットホームによって、子どもたちは遊具サイズのパズルゲームを作り、解き、そして友だちや家族とシェアできる。Legoの現代版のように」。

主な想定ユーザーは、複雑なパズルに挑戦することが好きなティーン。ARゲームを作ったのは、CEOの子どものころの体験もヒントになっている。彼はいろんなものを作って友だちを招き、それらを見せることが最大の楽しみだった。

彼は主張する。「今の子どもたちも、それほど変わっていない。でもARなら、同じような、形があってストーリーもある感動を経験できるだけでなく、彼らの創造性にもっと大きな発露の機会を与えることができる」。

「拡張現実の背景となる現実世界としてカメラを使えば、それは教えるツールとしても、また新しい創造のツールとしても最高だ。とくにゲームは、究極のクリエイティブでソーシャルでそして教育的な創造の場だ」、とRosieRealityのCEOは力説した。

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ウェブアプリのセキュリティを組み込みモジュールで提供するSqreenが約15億円を調達

ウェブ

アプリケーションやクラウドインフラのセキュリティを向上させるSqreenが、シリーズAのラウンドで1400万ドル(約15億円)を調達した。ラウンドをリードしたのはGreylock Partners、これに既存の投資家Y CombinatorとAlven、およびPoint Nineが参加した。

Sqreenは、ユーザーのコードを書き換えたりファイヤーウォールを置いたりせずにセキュリティを改善する。その意味で同社のやることは、New RelicやAppDynamics、DataDogのようなパフォーマンス管理企業に似ている。

共同創業者でCEOのPierre Betouin氏はこう述べる。「今では多くの戦略的タスクがエンジニア主体のやり方で扱われている。パフォーマンス、デプロイメント、ログモニタリング、エラー管理等々、どれもそうだ。でも、セキュリティが抜けている」。

ユーザー企業にセキュリティ専門チームを置く余裕がなければ、Sqreenがその企業のウェブアプリケーションの問題発見とフィックスを助けてくれる。サーバーにSqreenのライブラリパッケージをインストールして数行のコードを書き加えれば、アプリケーションにSqreenのモジュールが加わる。

すると、Sqreenのマイクロエージェントが常時動いてアプリケーションをモニタしている状態になる。そしてSqreenのダッシュボードを見ればセキュリティホールが分かる。オプションでリアルタイムのプロテクションモジュールを動かしてもいい。

Sqreenは最近サービスの機能を拡張して、これまでよりも多くの脆弱性に対応できるようになった。SQLやXSSのインジェクションに対抗するセルフプロテクションモジュールは前からあるが、最近Sqreenはアプリ内Webアプリケーションファイヤーウォール(Web Application Firewall)、というものを導入した。そのほか、アカウント乗っ取り対策や悪質ボット対策もある。

このようにSqreenのアプリケーションセキュリティ管理プラットホームはモジュール構造なので、ユーザーは必要なモジュールだけを動かしておける。Sqreenはユーザー企業のクラウドインフラのセキュリティの概要を示してくれるので、各ユーザーが万全のセキュリティを整えることができる。

Sqreenは現在、Node.JSやRuby、PHP、Python、Java、そしてGoで書かれたWebアプリケーションに対応している。Sqreenをデプロイすると、若干CPUのオーバヘッドは増える。現在のクライアントは、Le Monde、Algolia、Y Combinatorなどだ。

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メールAPIのMailgunが過半数株をThoma Bravoに売却して再びオーナーチェンジ

メールのAPIを提供しているMailgunが、株式の過半数をプライベート・エクイティ企業Thoma Bravoに売却すると発表した。同社はその条件を公表していないが、これは同社の8年の歴史の中で二度目のオーナーチェンジになる。

Mailgunは、デベロッパーが自分のアプリケーションにメールの機能を組み込むためのAPIを提供している。同社のデータによると、そのAPIを使っている顧客は15万社あまりいる。

投資を発表するブログ記事の中でCEOのWilliam Conwayは、これにより同社はその能力を拡大し、製品開発のスケジュールを早めることができる、と言っている。買収される企業がよく言う言葉だ。

そのブログ記事でConwayはこう述べている。「数百万ドルを製品開発に投じてユーザーの能力を高め、メールに関する多くの知見が得られるようにし、顧客に他に類のない体験を提供できるようにする。またユーザーがアプリケーションに組み込んだメール機能のスケーラビリティを高め、強力で安定的な通信機能をアプリケーションに賦与する」。

同社は2010年に操業し、2011年のY Combinator冬季を受講したが、その後の履歴が複雑だ。2012年にはRackspaceに買収され、2017年には単独の非上場企業に戻った。そのときは、別のプライベート・エクイティ企業Turn/Riverが同社に5000万ドルを投資した。今日の株式売却で、Turn/RiverはMailgunの少数株主として残ることになる。

Mailgunの主な競合他社はMailchimpやSendGridなどだ。Thoma Bravoには、これまで主にエンタープライズソフトウェアの企業を買ってきた履歴がある。いちばん最近では、同社はApttusの過半数株を買った。そのほか同社は、SolarWinds、SailPoint、Blue Point Systemsなどにも投資している。

Thoma Bravoは現時点でコメントの求めに応じていない。

関連記事: Email delivery service Mailgun spins out of Rackspace and raises $50M…MailgunがRackspaceからスピンアウトし5000万ドルを調達(未訳)

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ビデオ会議サービスで黒字を達成したユニコーンのZoomがナスダック上場を申請

ビデオ会議サービスのZoomは2017年に10億ドル(約1100億円)の評価額になり、来月早々にナスダックに上場することを申請した

2019年に上場を目指すテクノロジー系ユニコーンは徐々に増えてきているが、その一員であるZoomの重要な特徴は、黒字企業であることだ。

Zoomは、2011年にEric Yuan氏が創業した。彼はWebExの初期のエンジニアだったが、それは2007年にCiscoが32億ドルで買収した。Zoomを立ち上げるまでの4年間、彼はCiscoのエンジニアリング担当バイスプレジデント(VP)だった。彼が先月、本誌に語ったところによると「もう二度と会社を売るようなことはしない」と言う。どうやら、WebExの買収後の待遇に不満だったことが、今回会社を売るよりも上場を選んだ動機のようだ。

Zoomは、これまで累計で1億4500万ドルを調達し、2019年1月31日で終わる2019会計年度では売上が前年比倍増の3億3000万ドル、粗利益は2億6950万ドルだった。その前の2017年と2018年の対比でも売上は倍増以上を記録し、2017会計年度の6080万ドルに対し2018会計年度は1億5150万ドルだった。

損失は縮小しており、2017年の1400万ドルが2018年には820万ドル、2019年1月に終わる会計年度では750万ドルだった。

IPOの申請書類によると、Zoomを支えているEmergence Capitalが、IPO前の株式の12.5%を保有する。そのほかの投資家とそのIPO前株式保有率は、Sequoia Capital(11.4%)、元Zoomの取締役Samuel Chen氏が関わるファンドDigital Mobile Venture(9.8%)、そして中国人億万長者で世界最高のお金持ちの一人とされるLi Ka-shing氏が保有するファンドBucantini Enterprises Limited(6.1%)だ。

Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)

とJP Morgan(JPモルガン)、そしてGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)が上場のリード役を任されている。

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