ボールウェーブ・東北大学・豊田合成が空気中の新型コロナウイルスを1分以内に検出成功、高速ウイルスセンサー実現へ

ボールウェーブ・東北大学・豊田合成が空気中の新型コロナウイルスを1分以内に検出することに成功 、高速ウイルスセンサー実現へ

ボールSAWセンサー」の開発・製造を行う東北大学発スタートアップ「ボールウェーブ」は9月24日、東北大学東北大学大学院医学系研究科)、トヨタグループの電気機器メーカー豊田合成と共に、空気中のエアロゾルに含まれるウイルスを、抗体やアプタマー(特定の異物と結合してその機能を阻害する核酸分子)を使って捕捉し、「秒オーダー」でウイルス濃度を測定する新原理の確立を目指す「ボールSAWウイルスセンサの原理検証に関する研究」を進めている。その中で、エアロゾル中の新型コロナウイルス由来のタンパク質を、1分以内に捉えることに成功した。これにより、患者の呼気からウイルスが検出できる機器や、環境の空気中に浮遊するウイルスのモニターの開発の道筋が見えてきた。

将来的には、「情報通信機器に搭載して、ウイルスの拡散状況を実時間で可視化するシステム」の開発にもつなげたいとのこと。また豊田合成は、将来的には、新型コロナウイルスの除菌に有効な同社UV-C(深紫外線)LED技術との連携も視野に開発を進めるとしている。

2015年11月設立のボールウェーブは、その独自技術である「ボールSAWセンサー」の表面に抗体やアプタマーを固定しておくことで、水に覆われた状態のウイルスが付着すると、ウイルスのスパイク蛋白と反応してウイルスが補足されるというセンサーを考案した。この技術を核に、自動車部品の開発で培った表面処理技術を持つ豊田合成と、呼気中のウイルスや炎症蛋白を質量分析で検出する高精度診察法「呼気オミックス」の技術を持つ東北大学が協力して、このセンサーの開発を行っている。これを使えば、人からエアロゾルが放出されてから、1m以内であれば20秒以内(到達まで10秒、センサー応答時間が10秒以内)にウイルスを検出できるという。

ボールSAWセンサーとは、球の表面を繰り返し周回する弾性表面波(Surface Acoustic Wave)を利用したセンサーのこと。東北大学大学院工学科山中一司名誉教授らが開発した。現在、空気中のウイルス濃度をリアルタイムで検出できる方法は存在していない。また現在もっとも簡便な新規患者の検査方法であるイムノクロマト法抗原検査キットでも、検査に15分以上かかる。このボールSAWセンサーを使ったウイルス検出技術が確立されたなら、新型コロナウイルスの検査や予防が大きく進化するはずだ。

計158のMaaS系サービスをまとめた「MaaSカオスマップ」2021年度版をボールドライトが公開

  1. 計158のMaaS系サービスをまとめた「MaaSカオスマップ」2021年度版をボールドライトが公開

MaaS推進の基盤となるオリジナルの観光客向け地図などを簡単に実現できる観光DXプラットフォーム「Platinumaps」(プラチナマップ)を運営するボールドライトは9月21日、計158のMaaS系サービスを掲載した「MaaSカオスマップ」2021年度版を公開した。また、Platinumapsをアプリ化する「プラチナApps」機能の提供開始を明らかにした。

カオスマップ2021年版の考察

日本政府が強力に推進する超スマート社会「Society 5.0」ではシームレスで効率的な次世代移動サービス「MaaS」の実現が重視されており、MaaSは2030年に約2兆8000億円の市場規模になると予測されている。ボールドライトによると、2021年度は「混雑情報配信」「統合型アプリ」が増加傾向にあり、新型コロナウイルスの影響の他、自治体や民間の新プレイヤーの参入が見られたという。

コロナ対策のため、混雑情報配信が増加

2020年度と比較すると、コロナ対策のためのリアルタイム「混雑情報」配信の実証実験が増加した。混雑情報配信は、訪問者が事前に安全性を確認することで密回避できるだけでなく、店舗や施設にとっては閑散時と混雑時どちらでも適切な人数が集客可能になる。密回避のための、人の分散や移動を促進する人流制御機能の強化は特に今後必要とされると想定される。

近距離移動や移動自粛へのニーズの変化

コロナ禍の影響で遠距離の移動が制限された昨今は、遠方への旅行からマイクロツーリズムと呼ばれる居住地近隣の観光にシフト。移動需要の変化を受け、観光型MaaSは特に近距離へのサービス展開を重視しているという。各サービスの近距離移動や移動自粛に対する機能強化が今後も進むかどうかは、ワクチン普及や変異型ウイルスの感染拡大など、コロナ禍の状況次第と考えられるとしている。

魅力発信をするコンテンツ強化の必要性

各MaaSプラットフォームにおける「検索、予約、決済」機能の完成度が高まり、徐々に移動の理由となる「目的」開発のため、魅力的な観光施設や飲食店などのコンテンツ配信が進んでいるという。プラットフォームの完成度が高まりつつある今後は、事業社単体ではできないコンテンツ拡充が加速すると見られ、プラットフォーマー・自治体・コンテンツ事業者などの事業者間連携において、どのようなコンテンツをどのように配信していくかを協議していく必要性があるという。

国産プラットフォームの振興

スーパーシティ・スマートシティの基礎ともなるMaaSは、自治体によるDX推進の柱に位置づけられ、2019年前後から官民連携のMaaS組織が矢継ぎ早に立ち上がった。先行する海外のMaaSプラットフォームでは、グローバルや国内全体で利用できる大規模な共通プラットフォームが多く見受けられる一方、日本国内では各地域特性の課題からサービスの内容・質が市場ごとに異なるため、地域ごとのサービス開発が進んだ。例えば、過疎化により医療福祉やラストワンマイルに課題を持つエリアもあれば、観光目的の回遊重視のエリアなど様々あるという。

今後MaaSプラットフォーム事業者は、必須の共通基盤と各地域ニーズに対応可能な柔軟性の高いプラットフォーム構築が覇権争いの要となるとしている。

Platinumaps(プラチナマップ)のアプリ化、「プラチナApps」提供開始

Platinumapsは、多彩な表現によるオリジナル地図を作成可能な、次世代型観光DXプラットフォーム。「観る」「食べる」「買う」といった目的別レイヤーの高速切り替え、クーポン、スタンプラリー、グラフィックマップなど場所の魅力を高める機能が充実しているという。一目でわかる画像ピン、地図の上を滑らかに動くバスやクルーズ船など、観光客を目で楽しませる工夫も盛り込めるそうだ。さらに、混雑情報配信やCo2濃度計測などコロナ対策機能も採用している。

Platinumapsは、従来利用者がすぐに利用できるウェブサービス体裁で提供してきたが、より詳細なデータの活用や決済などの要望増に伴い、今回アプリ化対応を可能にした「プラチナApps」の提供を開始したという。計158のMaaS系サービスをまとめた「MaaSカオスマップ」2021年度版をボールドライトが公開

このプラチナAppsは、ウェブ版デジタルマップとネイティブ化されたアプリ版を1つのCMSから管理可能で、ウエブとアプリ両方のデジタルコンテンツを相互運用できるという。また、観光アプリに必要となる、観光ガイド、デジタルマップ、モビリティトラッキング、コース案内、スタンプラリー、クーポン配布、決済基盤などの多様なコンテンツをワンストップで提供し、かつ、利用者の行動データ分析も可能ととしている。

プラチナAppsは、北海道ニセコ町の観光アプリ「NISEKO NOW!」に導入済みで、利用ユーザーは、ニセコエリアの観光スポットの確認、おすすめの観光ルートをマップ上に表示するガイドツアー機能やクーポン、デジタルスタンプラリー機能などを利用できる。

2019年4月設立のボールドライトは、より豊かで持続可能な未来創出を目的とするイノベーター集団。SDGs・観光DXを推進し、「世界から紙の地図を削減する」をミッションとしたPlatinumaps事業を軸に、目的・手段・消費を一体化させた観光DXプラットフォームの社会実装を通じ、観光市場、MaaS市場の未踏領域に挑戦する。計158のMaaS系サービスをまとめた「MaaSカオスマップ」2021年度版をボールドライトが公開

米国でApple Walletに証明に使える新型コロナワクチン接種記録を保存可能に

米国では施設に入るのに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を証明する書類が必要になる場合もある。Apple(アップル)は電子メールを探し出したり、ポケットにカード実物を携帯したりする手間をなくしたいと考えている。同社は今後行うiPhoneソフトウェアのアップデートの中で、証明として使える新型コロナウイルスのワクチン接種記録をWalletに導入する。この機能では、国際的なSMART Health Cards規格(すでにいくつかの州で採用されている)を利用して、予防接種の証明書を作成し、秘密鍵で署名し、公開鍵を作成して情報を検証します。

リリースされたばかりのiOS 15では、すでに検証可能な予防接種や検査結果を、同じ規格を使って「ヘルスケア」アプリに保存することができる。記録は、QRコードやダウンロード可能なファイル、あるいはiPhoneの「ヘルスケアレコード」を利用する医療機関を通じて受け取ることができる。

Appleは、ユーザーの全データに対して厳格なプライバシーを約束している。同社はユーザーのインポートされたり、共有されたりしたデータへのアクセスは持たず、どこか別のところに送られるときにはすべての情報は暗号化され、安全に保管されなければならない。Appleはまた、ユーザーのワクチン接種記録や、ユーザーがどのように記録を使ったかを確認することはできない。ユーザーは「承認した」サードパーティのアプリと情報を共有できるが、その時、1回限り有効というのが基本だ。

Appleはアップデートをいつリリースするのか明らかにしていない。もしあなたがワクチン接種の有無をコンサート会場やレストランと共有するというコンセプトについて懸念しているなら、この機能は楽しみではないだろう。しかし少なくとも会場に入るプロセスを合理化し、イベントに遅刻しているときには大事なものとなるはずだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポストコロナに向けて、分散型ワークの実現に向けPatchはコワーキングスペースを英国の小さな町や郊外に広める

パンデミックは働く環境に多大な影響を与えたといえるが、他の変化がすでに進行している中での出来事でもあった。電子商取引の拡大による街頭での買い物の減少は、さらに拍車がかかっているし、リモートワークへの移行も急速に進んでいる。人々はもはや8時から6時までの通勤を望んでいない。しかし、私たちは、在宅勤務が評判ほどいいものではないことに気づきもした。その上、もし地域に似たサービスがあれば簡単にいけるのに、WeWorkのようなところで共同作業をするためだけに大都市に通勤することに意味を見いだすこともできない。問題は、特に郊外や小さな町に、地域のコワーキングスペースがほとんどないということだ。

自宅で仕事をするのではなく、家の近くで仕事をすることができれば、よりバランスのとれたライフスタイルを手に入れることができるだけでなく、多くの人(特に家族)が望んでいる仕事と家庭の分離も実現することができるのではないだろうか。

今回、英国のスタートアップが「Decentralized workspace(分散型ワークスペース)」のアイデアを発表し、英国全土での展開を計画している。

Patchは、従来の通勤者を対象とした「Work Near Home(家の近くで働く)」という提案とともに、地元の大通りの空き店舗を「共同文化スペース」に変える。英国には600万人の知識労働者がいると推定されており、Patchはこの会員からの月額利用料で運営される。

現在、Patchは110万ドル(約1億2000万円)の創業資金を複数のエンジェル投資家から調達している。例えば、LocalGlobeの共同創業者Robin Klein(ロビン・クライン)氏、Entrepreneur Firstの共同創業者Matt Clifford(マット・クリフォード)氏、Charlie Songhurst(チャーリー・ソンハースト)氏、Episode 1のSimon Murdoch(サイモン・マードック)氏、元Jack WillsのCEOでGreat Portland EstatesのNEDであるWendy Becker(ウェンディ・ベッカー)氏、サステナブル投資家Eka Venturesの創業パートナーのCamilla Dolan(カミラ・ドラン)氏、米国投資会社SequoiaのタレントディレクターであるZoe Jervier(ゾーイ・ジャービア)氏、Grabyoの創業者でアーリーステージの投資家Will Neale(ウィル・ニール)氏などだ。

「家の近くで働く」というアイデアは、ポストコロナの「ハイブリッドワーキング」の動きに対応したもので、Patchは「起業家精神、テクノロジー、文化的なプログラムに焦点を当てた」公共の場を作ることを計画している。

Patchの各拠点では、プライベートオフィス、コワーキングスタジオ「利用しやすい低コストのオプション」、無料の学問のための場所などを提供する。

Patchの最初の拠点は、11月初旬にエセックス州チェルムスフォードにオープンする予定で、2022年にはさらに複数の拠点が計画されている。また、チェスター、セント・オールバンズ、ウィカム、シュルーズベリー、ヨービル、ベリー、キングストン・アポン・テムズの人々からも要望が寄せられているという。

Patchの創始者であるFreddie Fforde(フレディ・ファード)氏は次のように語った。「働く場所と住む場所は、伝統的に異なる環境と見なされてきた。そのため、平日の大通りは空洞化し、オフィス街も同様に廃れてしまった。私たちは、人々が家の近くで仕事をすることを可能にし、仕事、市民、文化の交流が混在する新しい環境を作り出せるテクノロジーがこの状況を根本的に変えると考えている」。

ファード氏は、Entrepreneur Firstの元創設者であり、ロンドンやサンフランシスコのアーリーステージのテック企業でさまざまな役割を担ってきた社員でもある。プロダクト部門の責任者には、2015年にターナー賞を受賞したデザインスタジオAssembleの元共同設立者であるPaloma Strelitz(パロマ・ストレリッツ)氏が就任する。

Entrepreneur FirstおよびCode First Girlsのクリフォード氏は、次のようにコメントしている。「テクノロジーは、私たちが組織化し、ともに働く方法を常に変えてきた。Patchは、住んでいる場所に制約されることなく、才能のある人たちが自分自身の能力に基づいて働く機会を解放するだろう。私たちは、高スキルの仕事がどこでもできる国にいたいと思っており、Patchはその環境の実現ための重要な部分を担っている」。

Patchは、主要都市の中心部ではなく、町や小都市の住宅地をターゲットにしており、町の中心部にある利用されていないランドマーク的な建物を探すとしている。例えば、チェルムスフォードでは、ビクトリア朝の醸造所を最初のスペースとして利用する予定だ。

Grays Yard

経済開発・中小企業担当の副内閣メンバーであり、BID委員会の代表でもあるチェルムスフォード市のSimon Goldman(サイモン・ゴールドマン)評議員は、次のように述べている。「グレイズヤードに新しいコワーキングスペースが導入されることは、この街にとって本当にポジティブな計画だ。住民に地元で働く選択肢を提供することで、通勤時間が短縮され、ワーク・ライフ・バランスの向上につながることが期待される。家の近くで働くことは、個人やその家族だけでなく、環境や地域経済にも多くのメリットをもたらす」。

また、Patchはイベントスペースのピーク時の20%を、地元や全国の「公益に役立っている」コミュニティサービスの提供者に寄付する「ギビングバック」モデルも実施するとしている。初期の国内パートナーには、技術サービスを提供するCode First Girlsや、Raspberry Pi Foundationが運営するCoder Dojoなどがある。

画像クレジット:Patch workspace

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Yuta Kaminishi)

新型コロナのアルファ株・デルタ株変異体発見に貢献、ゲノム情報に特化した情報共有プラットフォームのSeqera Labsが約6億円調達

ビッグデータ時代の現在、あらゆる場所に存在する非構造化情報に秩序をもたらして理解するということは、最も重要なブレークスルーの1つだろう。ライフサイエンス分野において、この課題に取り組むためのプラットフォームを構築してきた欧州のスタートアップ(同社のプラットフォームは複数の研究所によって新型コロナウイルスの変異株の配列と特定にも活用された)が現地時間9月7日、より多くのユースケースに対応するためのツールを開発し、北米に進出するための資金調達を発表した。

バルセロナを拠点とするSeqera Labs(セケラ・ラブス)。シード資金として550万ドル(約6億円)を調達した同社は、データオーケストレーションやワークフローのカスタムプラットフォームを提供しており、科学者やエンジニアがクラウドベースのゲノムデータから情報を得たり、複数の場所からの複雑なデータを利用するライフサイエンスの応用に取り組んだりするのを支援している。

今回のラウンドはTalis Capital(タリス・キャピタル)Speedinvest(スピードインベスト)が共同で主導し、以前からの支援者であるBoxOne Ventures(ボックスワン・ベンチャーズ)も参加している。また、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏とPriscilla Chan(プリシラ・チャン)博士が科学応用のためのオープンソース・ソフトウェア・プロジェクトを支援するために設立したChan Zuckerberg Initiative(チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)も助成金を提供している。

Seqeraは「sequence(配列)」と「era(時代)」を組み合わせた造語で、シーケンスデータの時代を意味している。同社はこれまで100万ドル(約1億1000万円)以下の資金しか調達してこなかったものの、現在では世界最大の製薬会社5社の他、バイオテクノロジーやその他のライフサイエンス分野の顧客を持ち、収益を伸ばしている。

Seqeraはバルセロナのバイオメディカル研究センターであるCentre for Genomic Regulation(CGR、ゲノム規制センター)からスピンアウトしたもので、Seqeraの創設者であるEvan Floden(エヴァン・フローデン)氏とPaolo Di Tommaso(パオロ・ディトマソ)氏が、オープンソースのワークフローおよびデータ・オーケストレーション・ソフトウェアであるNextflow(ネクストフロー)の商用アプリケーションとしてCGRで構築したのが始まりだ。

SeqeraのCEOであるフローデン氏はTechCrunchに対し、Nextflowがライフサイエンスのコミュニティで多くの支持を得て、その後さらなるカスタマイズや機能を求める多くのリクエストを繰り返し受けたことが、同氏とディトマソ氏が2018年にSeqeraを創設する動機になったと話している。NextflowとSeqeraはともに多くの利用実績があり、Nextflowのランタイムは200万回以上ダウンロードされ、Seqeraの商用クラウドサービスでは現在50億件以上のタスクを処理しているという。

新型コロナのパンデミックのような深刻な課題は、Seqera(およびその関連としてのNextflow)が科学者コミュニティで解決しようとしていることの典型例である。新型コロナの大流行は世界中で発生しており、研究所で新型コロナの検査が行われる度にウイルスの生きた遺伝子サンプルが採取される。こういった何百万件もの検査結果は新型コロナウイルスがいつ、どこで、どのように変異しているかを示す情報の宝庫であり、さらにまだ解明されていない新しいウイルスにとってもこれは非常に貴重なデータとなる。

つまり問題は、より深い洞察を得るためのデータが存在するかどうかではなく(間違いなく存在するからだ)、既存のツールを使ってそのデータを総合的に見ることがほぼ不可能だということなのである。データはあまりにも多くの場所に存在し、その量はあまりにも多く、日々増加し続けている(そして日々変化し続けている)。データを中央に集めて分析を行うという従来のアプローチは効率的ではなく、実行には莫大なコストがかかってしまう。

そこで登場するのがSeqeraだ。同社のテクノロジーでは異なるクラウド上の各データソースを重要なパイプラインとして扱い、データがすでに存在しているインフラの境界を離れることなく、1つのボディとして統合・分析することができる。ゲノム情報に特化してカスタマイズされているため、科学者らはその情報を照会してより多くの知見を得ることが可能だ。新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、Seqeraはアルファ株とデルタ株の両方の変異体の発見に貢献したのである。

同社はいわゆる「プレシジョン・メディシン」の領域など、他のタイプの医療応用でも使用されており、がんなどの複雑な分野では非常に大きな可能性を秘めている。がんは患者自身の遺伝子の違いなど、多くの要因によって変異や行動が異なるため、画一的な治療では効果が出にくいためだ。

機械学習やビッグデータ解析を活用して、個々のがんやそれが異なるグループ間でどのように発症するかを理解してより個別化された治療法を生み出すアプローチが近年増えているが、Seqeraはそのようなデータをシーケンスする方法を提供しようと取り組んでいる。

Seqeraプラットフォームのもう1つの特徴として、データの専門家でなくてもデータを分析する人、つまり研究者や科学者自身が直接利用できるという点が挙げられる。同社にとってこれは優先事項だったとフローデン氏は話しているが、高度に技術的なプロセスを技術者ではない人々が使えるように設計された、今流行の「ノーコード・ローコード」ソフトウェアをこのプラットフォームが意図せずして取り入れているというのは興味深い事実である。

既存の可能性と、将来的にクラウド上に存在することになる他の種類のデータにSeqeraをどのように適用していくかという両点が、この会社を興味深いものにしており、また投資先としても興味深いものとして考えられているのだろう。

Talis CapitalのプリンシパルであるKirill Tasilov(キリル・タシロフ)氏は声明の中で次のように述べている。「機械学習の進歩とデータの量と種類の増加により、ライフサイエンスや生物学におけるコンピューター科学の応用がますます増えています。これは人類にとって非常にエキサイティングなことですが、一方で、コンピューターを駆使した複雑な実験は、コストが非常にかかり、プロジェクトごとに数百万ドル(数億円)になることもあります。Nextflowはすでにこの分野ではユビキタスなソリューションであり、Seqeraはその機能を企業レベルで推進しています。その過程で彼らはライフサイエンス業界全体を近代化しているのです。Seqeraの今後に関わって行けるということに、弊社は胸を躍らせています」。

SpeedinvestのプリンシパルであるArnaud Bakker(アルノー・バッカー)氏は「安価で商業的なDNAシーケンシングによる生物学的データの爆発的な増加にともない、増え続ける複雑なデータを分析する必要性が高まっています。Seqeraのオープンでクラウドファーストなフレームワークがもたらす高度なツールキットにより、組織は複雑なデータ分析の展開を拡大し、データ駆動型のライフサイエンスソリューションを実現することができるでしょう」と話している。

現在のSeqeraにとって、医療やライフサイエンス分野は最もタイムリーで明らかな活用分野ではあるものの、もともと遺伝学や生物学のために設計されたこのフレームワークは他のさまざまな分野にも応用することができる。AIトレーニング、画像解析、天文学の3つが初期のユースケースだとフローデン氏はいうが、天文学には限度がないため非常に適した分野なのではないだろうか。

「私たちは、現在が生物学の世紀であると考えています」とフローデン氏。「生物学は活動の中心であり、またデータ中心になりつつあります。我々はそれに基づいてサービスを構築しているのです」。

Seqeraは今回のラウンドでの評価額を公開していない。

画像クレジット:zhangshuang / Getty Images

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、オリオン組立工場の操業停止を少なくとも10月中旬まで延長する。先日発表したシボレー・ボルトEVおよびEUVの安全性のためのリコールに関連したバッテリーパックの不足によるものだ。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたところによると、同社は10月11日の週まで同工場を休止する意向だ。

同社は声明で「今回の直近のスケジュール調整は、新型コロナウイルスに関連した国際市場からの半導体供給の制約により、部品不足が続いていることが原因です」と述べた。「私たちのチームは、需要は高いものの生産能力に制約のある車両への影響を最小限に抑えるために、創造的な解決策を見つけられると確信しています。状況は依然として複雑で非常に流動的ですが、GMは引き続き、需要の高いフルサイズトラックの生産を優先します」。

GMは先週、8月23日に始まったミシガン州の組立工場(オリオン組立工場)の操業停止を9月20日まで延長すると発表したが、遅れの原因への解決策がまだ見つかっていないことは明らかだ。その一方で、バッテリーサプライヤーであるLG Chem(LG化学)と協力し、製造工程と生産スケジュールの更新を継続するとしている。

関連記事
GMがシボレー・ボルトEVの生産中断をさらに2週間延長
米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

同社は7月、火災の危険性があるとしてシボレー・ボルトのリコールを開始した。米高速道路交通安全局は同社の顧客に対し、予防措置として住宅や他の車両から離れた場所にクルマを駐車するよう勧告している

GMは先週、フルサイズトラックとフルサイズSUVの生産を今週までに開始すると発表したが、チップ不足のため、北米の他の5つの組立工場でも生産を減速すると発表した。同社によると、シボレー・シルバラード1500とGMCシエラ1500モデルを生産しているフォートウェイン組立工場およびシラオ組立工場のような一部の工場は、世界的な半導体不足の影響を一時的に受けた後、9月13日時点ですでにフル生産に戻っている。

シボレー・トラバースとビュイック・アンクレイブを製造しているミシガン州のランシング・デルタ・タウンシップ組立工場は、9月27日の週にさらに1週間の稼働停止を予定しており、10月4日の週に生産を再開する。同工場は7月19日から操業を停止している。シボレー・カマロとキャディラック・ブラックウイングの生産停止も27日の週まで延長され、以前に発表されたキャディラック CT4とCT5の生産停止も同様だ。カマロの生産停止は9月13日から、CT4とCT5の生産停止は5月10日からだ。

また、カナダのCAMI組立工場、メキシコのサン・ルイ・ポトシ組立工場、ラモス組立工場で生産しているエクイノックス、ブレイザー、GMCテレインの生産も10月11日の週に延期された。ブレイザーは8月23日、エクイノックスは8月16日から、それぞれ生産を停止している。

キャデラックXT4は、2月8日から生産を停止していたが、来週からカンザス州のフェアファックス組立工場で生産を再開する。GMによると、同じくフェアファックスで2月8日から生産を停止しているシボレー・マリブの生産は、10月25日の週まで停止する予定だ。

画像クレジット:Veanne Cao

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイキャン・テクノロジーズが1.89億円調達、新型コロナやデング出血熱などウイルス感染症の重症化予測キット開発を加速

マイキャン・テクノロジーズが1.89億円調達、新型コロナやデング出血熱などウイルス感染症の重症化予測キット開発を加速

バイオ領域スタートアップのマイキャン・テクノロジーズは9月17日、第三者割当増資による合計1億8900万円の資金調達を発表した。引受先は、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合(リアルテックジャパン)、グロービス・アルムナイ・グロース・インベストメント1号ファンド(グロービス)、京都市スタートアップ支援2号投資事業有限責任組合並びにこうべしんきんステップアップ投資事業有限責任組合(フューチャーベンチャーキャピタル)、360ipジャパンファンド1号投資事業有限責任組合(360ipジャパン)。

調達した資金により、iPS細胞由来不死化ミエロイド系細胞(iMylc細胞)製品を使用した感染症の重症化予測キットの製品開発を加速させる。特に、デング出血熱や新型コロナウイルス感染症などのウイルス感染症に焦点を当て、体内にある抗体の質を測定することで重篤化を予測する新しいタイプの重症化予測キットを重点的に開発する。

マイキャン・テクノロジーズは、再生医療技術を用いてヒトiPS細胞などから誘導した不死化ミエロイド系細胞(Mylc細胞。免疫細胞の1つ。単球・樹状細胞などが含まれる)を作製・供給する技術を有している。大量製造により安定的・継続的な供給が可能なため、研究用細胞として、デングウイルスや新型コロナウイルスなどの感染症や、免疫の研究などに使用されているという。

Mylc細胞は、ヒトの免疫反応を生体に近い状態で再現することが可能な細胞。ウイルスや微生物が存在すると、Mylc細胞に感染し微生物が増殖したり、逆にMylc細胞が防御のため炎症性サイトカイン(IL-6など)を産生したり、生体で起こる反応を示す。このような免疫反応において、被検体(血液・血清など、検査対象の抗体)があると、感染・防御の反応性が大きく異なることがわかってきたという。そこで同社は、これら反応を基にした、再生医療の技術を活用した世界初のウイルス感染症重症化予測キットの開発・製品化を目指すとしている。

2016年7月設立のマイキャン・テクノロジーズは、再生医療の技術を使用した研究用血球細胞の提供を通じ、治療薬・ワクチン開発を支援してきた。今後は、より患者に近い製品も開発・提供したいと考えているという。同社の独自技術を用いて重症化を予測する検査薬事業を展開することで、「感染症に怯えず暮らせる社会」実現にむけてさらに一層貢献するとしている。

オフィスでの新型コロナ感染リスク率を表示するATMOの空気モニタリングデバイス

2015年、TechCrunchは電子機器の見本市であるCESで発表されたのち、数々の賞を受賞した小型で革新的なポータブル大気質モニター「Atmotube(アトモチューブ)」を紹介した

Vera Kozyr(ヴェラ・コザー)氏が共同で設立したATMOは、企業向けの室内空気環境モニタリングシステム「Atmocube(アトモキューブ)」を発表した。Atmocubeは、オフィス内の空気環境が極めて重要となるポストCOVID時代に向けられており、小型で持ち運びができる以前の製品(この製品もまだ販売されてはいる)と異なり、目立つことでオフィスワーカーに良い空気環境であると安心感が与えられるようにもなっている。

その鍵となるのが、さまざまな指標とともに「Atmocube」の画面に表示される二酸化炭素レベルの測定値だ。

このデバイスには最大14個のセンサーが搭載されており、CO2、ホルムアルデヒド、PM1(空気中の小さな粒子)、PM2.5、オゾンなどの各種環境パラメータや相対湿度、温度、気圧、環境騒音、光量、色温度などを測定する。

ATMOによると、この新デバイスは、粒子状物質、湿度、CO2のレベルに基づいて、ウイルスの空気感染スコアを計算し、閉ざされた空間でウイルス疾患が感染する確率を推定する「スコア」を導き出すという。もちろん、これを検証するには独立したテストが必要だが、WHOが新型コロナウイルスは換気の悪い、あるいは混雑した室内環境で感染する可能性があると勧告しているのは事実だ。

「大気汚染は、気づかないうちに自分自身や健康に影響を及ぼすので危険です。私たちは、人々が自分の吸い込んでいるものを知り、その結果として変化を起こす助けになることを目指しています。企業がオフィスに戻る際には、室内の空気環境に関する情報を透明化し、従業員がその情報にアクセスできるようにするツールが必要です。多くの空気環境モニターは隠されることを前提に設計されています。そこで私たちは暖房、換気、および空調のパフォーマンス(HVAC)の安全性を強調する、より透明性の高いインターフェースを備えたデバイスを作り、オフィスにいる人々とビルのオーナーの間に信頼関係を築くことを目指しました」とコザー氏はいう。

この分野には、AirThingsAwair OmniKaiterraなどが参入しており、ATMOだけが唯一のプレイヤーではない。

関連記事:オフィスの新型コロナ対策を支援する空気品質監視プラットフォームのOpenSensorsが4.1億円調達

画像クレジット:Atmocube

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Yuta Kaminishi)

産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、お気に入りをオンラインでリピート可

産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは9月10日、モビリティビジネス・プラットフォーム「SHOP STOP」を展開するMellow(メロウ)との連携第1弾として、移動型の八百屋「食べチョクカー」を始動すると発表した。

また、買い物と同時に受け取るQRコードによって後日オンラインで同じ生産者の商品をリピート可能。この仕組みにより、オンラインの「食べチョク」サイトと、オフラインの食べチョクカーとを連動させる。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

食べチョクカーは、野菜など生産者から直接仕入れたこだわり食材をマンションの敷地内で販売するというプロジェクトで、都内2~3カ所のマンションにおいて、10月から3ヵ月間期間限定で開始する。順次場所の拡大を進める予定。

インターネットを介した買い物に抵抗がある方や食べチョクを使ったことのないという場合でも、少量(1個単位)から購入できるため、生産者のこだわり食材を気軽に楽しめる機会を提供するという。実際に商品を見て少量からお試しして、安心感、納得感を得てから、インターネットでも購入できる。

コロナ禍によりおうち時間の需要が増加し、変化した生活様式に対応するとともに、遠出せず混雑がない場所で買い物ができるようにした。マンションや公園・商業施設など生活の場所の近くで販売することで、人が集まる場所に移動せずにこだわり食材を直接見て買うという体験を提供する。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

また同プロジェクトは、メロウが提供する企業向け「店舗型モビリティ導入プラン」第1弾の取り組みにあたる。同プラン内容は、各企業のコンテンツに最適な店舗型モビリティのリース、オフィス街やマンション、商業施設、公園といった出店ロケーション調整をはじめ、モビリティ事業へ参入されるにあたり必要なリソースをワンパッケージでサポートするものとなっている。これにより、リスクをおさえたモビリティ事業立ち上げが可能としている。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

食べチョクによると、利用者の約48.3%が一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)在住者という(2021年8月全注文のうち、送付先が一都三県となっている割合)。都心在住者の場合、新鮮で高品質な食材が身近で購入できない、自宅からスーパーまでが遠く通うのが大変という声があり、マンションの敷地内で販売することで、それら課題を解決する。

また、より生活に入り込んだ場所で産直食材に触れる機会を提供することによって、生産者のファン作りにつなげるという。

Mellowは、オフィス街、住宅街、病院といったロケーションを停留所として、移動型店舗「ショップ・モビリティ」を配車するプラットフォームサービス「SHOP STOP」を運営。キッチンカーを中心とした1200店以上と提携し、首都圏・関西・九州エリアで展開中という。フード以外には、「豊洲市場仲卸による鮮魚販売モビリティ」「保険の相談モビリティ」などのショップ・モビリティ運営ノウハウも有するそうだ。

キッチンカーの開業、経営に関する無料相談や、キッチンカー参入の障壁となる初期費用、営業場所の確保、保険などのリスクへの備え、営業ノウハウなどあらゆるサービスをワンパッケージにした日本初の飲食事業者向けMaaSサブスプリクション「フードトラックONE」を展開している。

旅先のアクティビティ予約アプリ「Headout」が新型コロナによる壊滅的影響から再び急成長

旅行業界は新型コロナウイルスの影響を最も大きく受けた業界の1つだが、スタートアップ企業のHeadout(ヘッドアウト)も例外ではない。このアプリは観光客がツアーやイベント、アクティビティを当日中に予約できるマーケットプレイスで、2015年にサービスを開始すると世界中に広がった。だが、その後、新型コロナウイルスが発生した。

しかし、現在は国内旅行の復調のおかげでビジネスは再び成長しており、Headoutは2021年1月以降、800%もの成長を遂げたと主張している。同社は米国時間9月8日、Glade Brook Capital(グレイド・ブルック・キャピタル)の主導によって1200万ドル(約13億2000万円)の資金を調達したと発表した。同投資管理会社は、Airbnb(エアビーアンドビー)、Meituan(メイトゥアン、美団)、Uber(ウーバー)、Instacart(インスタカート)などのマーケットプレイスにも投資している。今回のラウンドでは、Version One Ventures(ビジョン・ワン・ベンチャーズ)、Nexus Venture Partners(ネクサス・ベンチャー・パートナーズ)、FJ Labs(FJラブズ)、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)、Haystack(ハイスタック)、Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)が再び投資し、そして新たな投資家としてEspresso Capital(エスプレッソ・キャピタル)とPractical VC(プラクティカルVC)が参加した。

Headoutは、7月にEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の黒字化を達成したという。今回の資金調達は、300都市への進出、製品開発およびその製品、ビジネス、マーケティング、オペレーションの各チームに使用される。同社は世界中で150人以上の雇用を計画しており、旅行やエンターテインメント関連のスタートアップ企業を買収して人材獲得する機会も模索している。

これは新型コロナウイルス感染流行が始まった当時からの大転換を意味する。共同創業者で最高経営責任者を務めるVarun Khona(ヴァルン・コーナ)氏は「ご想像通り、新型コロナウイルスには壊滅的な影響を受けました。2億5000万ドル(約275億円)を超える規模で行っていた私たちの事業は、ほんの数週間で、取るに足らない規模にまで落ち込んでしまいました」と、TechCrunchにメールで語った。

しかし、人々が徐々に旅行を再開する中、Headoutは「2つの大きな追い風」を確認した。1つ目は、かつてないほどの国内旅行の需要。2つ目は、初めてデジタル化する旅行体験プロバイダーの存在だ。同社は2020年の第4四半期から国内旅行に注目し始めたが、米国以外にも英国、EU、アラブ首長国連邦など、ワクチン接種率が比較的高い場所で最も高い需要があると見ている。

「当社では、国内旅行者を惹きつけるためにより多様で、ローカルで、ニッチな新しい体験を提供することを優先しました。これらの体験を提供する家族経営の会社を標準化し、サービスをアップグレードして、オンライン化しました」と、コーナ氏はいう。「それと併せて、私たちはHeadoutを現地の言語で利用できるようにすることに力を入れました。単に機械翻訳するだけではなく、実際に注目を引く刺激的なコンテンツを作成するようにしました」。例えば、スペインでは予約の85%がスペイン語で受注されている。

Headoutが、他のオンデマンド予約マーケットプレイスとどのように差別化されているかを尋ねると、同社は2018年に、それまでの伝統的な予約を主体とするBooking.com(ブッキング・ドットコム)のようなマーケットプレイスから、一貫した品質を確保するためにエクスペリエンスを標準化、アップグレード、ブランディングすることで「より管理されたマーケットプレイス」へと進化したと、コーナ氏は答えた。これによりコンバージョン率が向上し「パートナーにより多くの販売を提供することができるようになり、そのためにより高いテイクレートを要求することができるようになった」ため、収益性の高いユニットエコノミクスにつながったという。

画像クレジット:Headout

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトが米国内オフィス再開の無期限延期を発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

マイクロソフトが米国内オフィス再開を無期限延期と発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

Stephen Brashear via Getty Images

米Microsoftは9月9日(現地時間)、従業員の米国内オフィスへの出社再開を無期限に延期すると発表しました。もともとは10月4日からの再開を予定していましたが、感染力の強いデルタ株の出現など、新型コロナウイルスの不確実性が増しているため、新しい日付は設定せず、公衆衛生上の指針に基づき安全に再開できるようになった時点で再開するとのこと。

再開を決定した際は、30日間の移行期間を設け、従業員が準備できるようにするとともに、データを確認しつつ、引き続き機敏で柔軟な対応ができるようするとしています。The New York Timesによると、米Microsoftはすべての従業員、ベンダー、ゲストがオフィスに入る際には、ワクチン接種証明書の提示が必要になります。

Microsoftによると、今年は世界中でMicrosoft社員16万人が自宅で仕事をし、2万5000人の新入社員がリモートで入社しましたが、Microsoftに仲間がいると感じるとアンケートに答えた人は過去最高の90%を記録。一緒にいると感じるために、物理的に一緒にいる必要はないことを示していると、リモートワークやハイブリッドワークの可能性を感じている様子。ただし、この前向きな傾向が継続するという保証はないともしています。従業員アンケートによると、ワークライフバランスやチームのつながりに対する満足度は、引き続き課題となっているとのことです。

なお、オフィス再開を延期したのはMicrosoftだけではなく、GoogleAmazonは2022年1月まで延期、Twitterは再開時期を未定としています。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

検温をエンタメ化する!? HYTEKが体温入りフォトカードThermo Selfieのプロトタイプを開発

検温をエンタメ化!? HYTEKが体温入りフォトカードThermo Selfieのプロトタイプを開発認知されていないハイテクを娯楽コンテンツに「昇華」させて、その魅力を世界に発信するという「テックエンタメ」企業HYTEK(ハイテク)は、9月9日、検温をエンタメ化して思い出に変える写真プリント装置「Thermo Selfie」(サーモセルフィー)のプロトタイプ開発を発表した。この装置は、2021年9月10日から13日まで東京都千代田区有楽町で開催予定の「micro FOOD & IDEA MARKET」に設置される。検温をエンタメ化!? HYTEKが体温入りフォトカードThermo Selfieのプロトタイプを開発

新型コロナウイルスのまん延で、展示会や店舗などの入口には自動検温器が置かれている光景が日常になったが、HYTEKは、検温という「事務的」な行動を「来場者が笑顔で入場できる新たな検温体験」とするべく、博報堂アイ・スタジオと共同で「Thermo Selfie」を開発した。これは、検温と同時にその人の撮影を行い、体温と顔が入ったフォトカードをプリントするというもの。正常体温を証明する顔写真入り入場パスにもなり、思い出にもなるという。検温をエンタメ化!? HYTEKが体温入りフォトカードThermo Selfieのプロトタイプを開発

検温をエンタメ化!? HYTEKが体温入りフォトカードThermo Selfieのプロトタイプを開発

フォトカードのデザインは裏表ともカスタマイズ可能で、たとえば裏面にクーポンを印刷するなど、なんらかのご褒美を添えることができる。

「micro FOOD & IDEA MARKET」では、プロトタイプを設置して実証実験を行う。これをもとに、音楽フェスやアミューズメントパークなどへの展開を目指して製品版リリースのための改善を進めるとのこと。

新型コロナ変異株「デルタ株」の高い感染力の仕組みに関する研究結果が発表、スパイクの多さと複製の早さが作用

新型コロナ変異株「デルタ株」の高い感染力の仕組みに関する研究結果が発表、スパイクの多さと複製の早さが作用

数十人の科学者からなる国際的な研究チームが、新型コロナウイルスのパンデミックにおいてデルタ株と言われる種が急速に流行している理由を明らかにする研究結果を発表しました。Nature誌に掲載された研究によると、デルタ株は、これまでの新型コロナウイルスに比べ、免疫抗体に対する抵抗力が強いうえ細胞に感染して自己複製する能力も高いとのこと。

2020年12月にインドで初めて発見されたデルタ株は、日本を含め世界に驚異的な速度で感染を拡大しています。チームは、研究の第一段階において、デルタ株が過去の感染やワクチン接種で生成された免疫抗体をどれほど効果的に回避するのかを調べました。

実験室内での研究によると、新型コロナ感染から回復した人の免疫抗体に対するデルタ株の感受性はオリジナル株に比べて6倍低く、ワクチンで得た抗体では8倍も感受性が低いことがわかったとのこと。

第2段階では、デルタ株がどのように宿主となる細胞に感染し、自己複製するのかを、ヒトの気道の細胞モデルを作成して調べました。その結果、デルタ株は他の種類の株に比べてスパイクタンパク質(画像でいう棘の部分)が多くあり、細胞内への侵入能力が高いことがわかりました。研究者らはいくつかの重要な変異を模倣したシュードタイプウイルスと呼ばれるものを合成し、宿主細胞への侵入の様子を観察してウィルスの表面のスパイクの多さが侵入に効果的に作用しているのを確認しました。また、いったん宿主細胞に侵入したデルタ株は、以前の株よりも短時間で複製されることもわかりました。

これらの要因が、いま世界中でデルタ株が猛威を振るっている理由だと研究者らは考えています。ケンブリッジ大学の上席研究員であるRavi Gupta氏は、この研究でワクチンを接種した医療従事者のうち、その後デルタ株に感染した約100人も研究対象に含んでいたとして、デルタ株に特化したワクチン開発の検討をする必要性がありそうだと述べています。現在のワクチンでもすでに重症化、入院、死亡を防ぐのに非常に有効であることがわかっていますが、研究ではワクチン接種者がデルタ株に感染した際に以前の亜種よりもより高い確率で周囲に感染を拡げてしまっていることもわかったとしました。

インドのCSIR Institute of Genomics and Integrative Biology(CSIRゲノミクス・統合生物学研究所)のAnurag Agrawal氏は、このような感染は、大半がワクチンをすでに接種した地域で静かにウィルスが感染を拡げ、いつの間にか基礎疾患を持つ人たちを感染させて重大な結果を招く可能性があると指摘しています。なかでもワクチン接種済みの医療従事者がデルタ株に感染するのが大きな問題で、その場合医療従事者自身は軽症で済むものの、自身が診ている基礎疾患を持つ人を感染させ重症化させてしまう恐れがあるとのこと。

そのためAgrawal氏は、早急に医療従事者の変異種に対するワクチン反応を高める方法を検討する必要があるとしました。またパンデミックが終息したあとにも、静かな感染拡大を防止するために、感染対策を続ける必要性がある可能性を示唆しました。

(Source:Nature。Via University of CambridgeEngadget日本版より転載)

殺菌消毒剤・漂白剤・消毒用アルコールを使用し丸ごと洗浄可能な有線マウスがKensingtonから新発売

殺菌消毒剤・漂白剤・消毒用アルコールを使用し丸ごと洗浄可能な有線マウスがKensingtonから新発売

事務機器メーカーのアコ・ブランズ・ジャパンは2021年9月6日、Kensington(ケンジントン)ブランドの有線マウス「ProFit有線ウォッシャブルマウス」を発売しました。税込みの価格は4000円。3年保証付。販路はAmazon.co.jp。

最大の特徴は本体を丸ごと洗えること。IP67と同等の防塵耐水性を持ち、研磨剤不使用の洗剤、石けん、多目的洗剤、殺菌消毒剤、漂白剤、消毒用アルコールを使用し、マウス本体を水にひたして洗浄できます(USBコネクターは水にさらさないこと)。最大濃度はアルコール75%、殺菌消毒剤0.06%、洗浄剤のPH範囲6.0-8.0となっています。

また、左右対称の手に馴染む形状で右利き、左利き両ユーザーでも使え、高精細な1600DPIで素早く反応するとしています。ソフトウェアのダウンロードやインストール不要という点も売りのひとつです。本体サイズはW68×D117×H38mm、重さは75g。

発売に至った背景について、同社は「日常的に使用するPCアクセサリー等の衛生管理への関心の高まりを受け、繰り返し洗って使用でき衛生的なPC作業環境を保つことのできる製品を発売した」と説明しています。

衛生環境を重視するユーザーには、KensingtonのProFit有線ウォッシャブルキーボード(型番:K64406JP/K64407JP)と併用するよう勧めています。

  1. 殺菌消毒剤・漂白剤・消毒用アルコールを使用し丸ごと洗浄可能な有線マウスがKensingtonから発売

  2. 2021-09-08-001-003

  3. 2021-09-08-001-004

  4. 2021-09-08-001-005

  5. 2021-09-08-001-006

  6. 2021-09-08-001-007

  7. 2021-09-08-001-008

  8. 2021-09-08-001-009

Engadget日本版より転載)

ナノテクノロジー応用の次世代がん免疫薬に特化した創薬スタートアップ「ユナイテッド・イミュニティ」が約5億円調達

ナノテクノロジー応用の次世代がん免疫薬に特化した創薬スタートアップ「ユナイテッド・イミュニティ」が約5億円のシリーズB調達

ナノテクノロジー応用がん免疫薬(ナノ免疫薬)に特化した創薬スタートアップ「ユナイテッド・イミュニティ」(UI)は9月7日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約5億円(4.995億円)の資金調達を実施したと発表した。引受先は、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、KISCO。

2017年11月設立のUIは、京都大学大学院工学研究科と三重大学大学院医学系研究科の長年の医工連携研究の成果を実用化すべく設立され、次世代ナノ免疫薬の基礎研究から臨床応用まで幅広く取り組んでいるという。

独自のナノ粒子型免疫デリバリーシステム(プルランナノゲルDDS)を活用した免疫活性化の基盤技術を活用し、難治性がんの治療薬や新型コロナウイルスワクチンの研究開発を手がけているそうだ。

調達した資金により、免疫チェックポイント阻害剤でも十分な薬効を示せない難治性がんの治療を目指す抗がん剤「T-ignite」、新型コロナウイルスワクチンの臨床試験実施の準備(どちらもAMED CiCLE事業の支援で研究開発を推進中)、および他の自社研究開発プログラムの加速化を推進する。また、アステラス製薬子会社のXyphosと実施中の共同研究の加速、人材獲得を含めた経営体制の強化を推進する。

UIによると、今までの治療法が効かない免疫的難治性がん(cold tumor)の原因となっているがん組織内のマクロファージの機能をうまく調節できれば、免疫的難治性がんを治療感受性の(T細胞が豊富に存在し免疫的に活性化した)「hot tumor」に変換して、治療効果を発揮する可能性があるという。そこで同社は、治療成分を搭載したプルランナノゲル型ドラッグデリバリーシステム(DDS)を「T-ignite製品」と名付けて鋭意開発している。

例えば、静脈内投与されたT-igniteは、プルランナノゲル型DDSの働きによってがん組織内のマクロファージに選択的に取り込まれる。そこで、T-igniteに含まれる薬剤がマクロファージの機能で抗がん免疫を活性化する方向に調節することで、がん組織の中から免疫が活性化して、がんを難治性から治療感受性へ変換できると考えているという。搭載する薬剤や適応疾患の種類を変えることで、多様なT-ignite製品をシリーズ化するとしている。ナノテクノロジー応用の次世代がん免疫薬に特化した創薬スタートアップ「ユナイテッド・イミュニティ」が約5億円のシリーズB調達

渋谷区がKDDIと連携しデジタルデバイド解消目的に65歳以上の高齢者1700人にスマホ無償付与、通信料も負担

渋谷区がKDDIと連携しデジタルデバイド解消目的に65歳以上の高齢者1700人にスマホ無償付与、通信料も負担

東京都渋谷区は、コロナ禍による新しい生活様式や防災対策における高齢者のデジタルデバイド(情報格差)解消を目的に、65歳以上でスマートフォンを保有していない約1700人を対象にスマートフォンを無料配布する実証実験を開始しました。

この実験では、KDDIのスマートフォン(Galaxy A21)を、公募した高齢者約1700人に2年間無償で貸与します。その際の通信料も区が負担します。

あわせて、高齢者がスマートフォンをスムーズに使いこなせるように勉強会を適宜開催します。また、参加者専用のコールセンターを設け、遠隔操作でのサポートも実施します。

加えて、アプリの利用ログや勉強会でのアンケート情報を収集し、スマートフォンの利用状況を個人を特定できない形で可視化することで、高齢者のスマートフォン利用の活性化に関する課題を収集します。

渋谷区によると、区内の高齢者約4万3000人のうち、約25%はスマートフォンを保有してらず、渋谷区が実施しているLINEでの情報発信や防災アプリを用いたデジタルサービスの提供が十分に活用できていない状況だといいます。こうした「情報格差」の解消に本実証実験を役立てる狙いがあります。

(Source:KDDIEngadget日本版より転載)

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

AIとIoTを活用してあらゆる空き情報を配信するスタートアップ「バカン」は9月2日、マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」(バカン マップス)において、2021年8月に国内人口15%をカバーするとともに(「導入自治体の人口合計÷国内の総人口」で算出)、全国で170超の自治体への導入を達成したと発表した。これにより、災害時には1万件以上の避難所の混雑情報をリアルタイムに可視化可能となった。

現在コロナ禍により、感染拡大防止のため人と人との間に距離を確保する社会的距離(ソーシャルディスタンス)や密の回避などが求められている。これら感染対策は災害時に開設される避難所も例外ではなく、距離の確保や体調不良者のゾーニングなどが重要となる。

一方で、そうした状況下では各避難所の収容可能人数が従来と比べ少なくなる可能性があり、一部の避難所に人が集中することを避け、分散して避難をすることが必要になる。

この課題を解決するため、多くの自治体において、マップ上で各種施設の空き・混雑状況を一覧表示できるVACAN Mapsの避難所への活用が進んでいるという。2020年8月の東京都多摩市導入以降、11カ月で1万件、170超の自治体が導入しており、2021年内には導入先が200自治体に増える見通しとしている。マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

VACAN Mapsでは、PCやスマートフォンなどでアクセスすることで、アプリなどをダウンロードすることなく各避難所の位置や混み具合を確認できるようになっており、ユーザー情報の登録なども必要ない。地図上のアイコンと表示される文言から、「空いています(青)」「やや混雑(黄色)」「混雑(赤)」「満(赤)」の4段階で避難所の混み具合を確認できる。マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

ヤフーが当日キャンセルによる余剰ワクチン情報をLINEで通知するサービスを東京の医療機関に導入開始

ヤフーが当日キャンセルによる余剰ワクチン情報をLINEで通知するサービスを東京の医療機関に導入開始

ヤフーは9月2日から「ワクチン接種キャンセル枠お知らせサービス」を東京都内6つの医療機関で導入開始しました。

ヤフーが当日キャンセルによる余剰ワクチン情報をLINEで通知するサービスを東京の医療機関に導入開始これは当日キャンセルによる余剰ワクチン情報を、LINEで通知するサービスです(サービスの対象年齢は18歳以上)。利用方法は、下記のとおりです。

LINE機能での登録の手順

  1. ヤフーが当日キャンセルによる余剰ワクチン情報をLINEで通知するサービスを東京の医療機関に導入開始

  1. サービスページに記載されているLINEのQRコードから、「ワクチン接種キャンセル枠お知らせサービス」の友達追加します。
  2. 「キャンセル枠情報部分」をタップし、LINEでログインし、「生月日」と「接種希望地域」の登録をします。最新の対象接種会場は「会場一覧」から確認可能です。

通知受信から予約完了までの手順

  1. ヤフーが当日キャンセルによる余剰ワクチン情報をLINEで通知するサービスを東京の医療機関に導入開始

  1. LINEでログインし、「キャンセル枠情報」をタップ。
  2. 当日のキャンセル枠がある場合のみ、空き情報が記載され、画面上で詳細事項を確認し「予約する」ボタンをタップする。
  3. 日時と会場、受付終了時間、ワクチンメーカーなどの詳細を確認し、「予約する」ボタンをタップすると、予約が完了。
  4. LINEで「予約完了」のお知らせが送付され、会場で「接種予約確認」画面を見せると接種可能。

現在、ワクチン接種のキャンセルなどによるワクチン廃棄が課題となっています。厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種における職域接種のワクチン廃棄は、7月末時点で全国48会場において総廃棄数量8090回分であると発表されました。

このサービスでは、当日キャンセルされたワクチンの有効活用を目的に7月20日より提供を開始し、これまでに港区乃木坂会場、仙台会場、札幌会場で先行導入された結果、廃棄されるはずだったワクチンの有効活用が実現しました。この度、港区虎ノ門、港区六本木、港区赤坂、渋谷区東、新宿区西新宿、台東区上野にある6つの医療機関でも導入され合計9会場での対応が可能になりました。

ヤフーは引き続き、やむを得ず当日キャンセルされたワクチンをワクチン接種を希望している方々に活用してもらうべく、同サービスの提供会場を順次拡大していく予定とのことです。

(Source:ワクチン接種キャンセル枠お知らせサービスEngadget日本版より転載)

STORES 予約が入退室管理クラウド「iDoors」とAPI連携開始、完全非対面で予約から入退室管理まで一元管理

STORES 予約が入退室管理クラウド「iDoors」とAPI連携開始、完全非対面で予約から入退室管理まで一元管理

オンライン予約システム「STORES 予約」(ストアーズ予約)を提供するヘイ(以下、hey)は9月1日、エーティーワークス提供のクラウド型入退室管理システム「iDoors」(アイドアーズ)とのAPI連携を開始したと発表した。同連携により、予約から入退室の管理までを完全非対面で実現可能となった。

iDoorsは、エーティーワークスが独自開発し提供しているIoT電気錠制御盤「iDoorsエッジ」に様々な「認証端末」をつなげることで、どこからでも入退室管理が行えるクラウド型入退室管理システム。顔認証、QRコード、ICカードなどの認証端末を利用でき、遠隔地にある設備や無人設備などの入退室管理も行える。

今回のAPI連携により、STORES 予約で予約を行うと、iDoorsより自動で予約当日の入室キーが発行される仕組みを実現したという。設備の入室方法はテンキーリーダーとQRリーダーの2種類から選択でき、どちらも固定パスワード、またはワンタイムパスワードを設定可能という(いずれもiDoorsへの加入および導入工事が必要)。

予約から入退室管理までを完全非対面で実現可能にすることで、コロナ禍の感染症予防・対策に加え、システムのオートメーション化による設備管理時のヒューマンリソース削減が可能になるとしている。

新型コロナウイルスの影響から液体酸素が不足、ロケット打ち上げ延期の原因に

新型コロナウイルス流行の余波は、宇宙飛行というおそらく最も似つかわしくない場所にまで及んでいる。米国時間8月27日、NASAは新型コロナウイルスの影響による液体酸素(LOX)の不足を理由に、9月の衛星打ち上げを延期するという予想外の措置を取ったが、今後も打ち上げの延期は続くかもしれない。

酸素の需要はデルタ変異株で高まる一方だ。多くの都市で入院やICUへの入室率が、新型コロナウイルス流行開始時の状態にまで戻ってしまった。酸素は人工呼吸器に使われるだけではない。宇宙産業では、LOXをロケット推進剤の酸化剤として使用しており、液体水素など他のガスと組み合わせて使用されることが多い(打ち上げ時に大量の蒸気が発生するのは、水素が酸素と反応して水になるためだ)。

Boeing(ボーイング)とLockheed Martin(ロッキード・マーチン)の合弁会社であるUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)とNASAは、Landsat 9(ランドサット9号)衛星の打ち上げ日を9月23日に変更すると発表した。

LOX不足の影響を受ける可能性のある打上げ会社はULAだけではない。SpaceX(スペースX)のGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)社長は、先週開催されたSpace Symposium(スペース・シンポジウム)のパネルディスカッションで「2021年は打ち上げ用の液体酸素が不足するため、実際に影響を受けることになるでしょう」と述べ「もちろん、病院で必要な酸素が確実に手に入れられるようにすることが大事です。しかし、どなたか余分に液体酸素をお持ちの方はメールでご連絡ください」と続けた。

SpaceXの創業者でCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、数日後にTwitter(ツイッター)でLOX不足について「リスクではあるが、まだ制限要因ではない」と発言した。

SpaceXのグウィン・ショットウェル社長、COVID-19による液体酸素の不足により、ロケット打ち上げの頻度が減ると語る。

ヴィンセント・ユー

リスクではありますが、まだ制限要因ではありません。

イーロン・マスク

実際に酸素の供給量が少ないだけでなく、新型コロナウイルスによる混乱がサプライチェーンに影響を与え続けているため、出荷の遅れが広まっていることも液体酸素不足を悪化させている。ULAのTory Bruno(トリー・ブルーノ)CEOはTwitterで、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地への窒素輸送を担当している業者が、フロリダ州でLOX配送を支援するために転用されたことを付け加えた。

9月16日の@ulalaunchによるSLC 3の打ち上げ予定時刻に関して、新たな情報はありませんか?

ムーン・トゥ・マーズ

VAFBに液体GN2を輸送しているUSGの業者は、フロリダでCOVIDの影響によるLOXの問題に協力しています。現在そのような状況で作業を続けています。

トリー・ブルーノ

LOX不足の影響を受けているのは、宇宙産業だけではない。NASAが打ち上げ延期を発表する少し前、フロリダ州オーランド市の当局は、住民に節水を呼びかける通知を送った。同市の水道処理にLOXが使われているためだ。

「当然ながら人命救助を優先するため、全国的に液体酸素の需要が非常に高まっており、OUC(オーランド市水道局)への供給が制限されています」と、オーランド市のBuddy Dyer(バディ・ダイアー)市長は、Facebookで述べている。「処理に必要な水の量を直ちに減らさなければ、私たちの水道水の水質に影響が出る可能性があります」。

非営利団体「Center for Global Development(グローバル開発センター)」は、2020年5月の時点で、新型コロナウイルスを、病院への十分な酸素供給に対する「警鐘」と呼んでいた。

画像クレジット:Heather Paul Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)